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1969-08-28 第61回国会 衆議院 決算委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年八月二十八日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 鍛冶 良作君 理事 白浜 仁吉君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       亀山 孝一君    塩川正十郎君       古屋  亨君    保岡 武久君       赤路 友藏君    多賀谷真稔君       依田 圭五君    浅井 美幸君  委員外出席者         警察庁交通局長 久保 卓也君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         大蔵大臣官房         日本専売公社監         理官      熊田淳一郎君         大蔵省主計局主         計官      松下 康雄君         厚生省保険局国         民健康保険課長 松田  正君         農林省農政局参         事官      遠藤 寛二君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         郵政政務次官  木村 睦男君         郵政省郵務局長 曽山 克巳君         労働省労働基準         局監督課長   大坪健一郎君         自治省行政局選         挙部長     皆川 迪夫君         自治省税務局府         県税課長    近藤 隆之君         会計検査院事務         総局第一局長  中込 良吉君         会計検査院事務         総局第二局長  石川 達郎君         会計検査院事務         総局第四局長  鈴木 治久君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         日本専売公社副         総裁      佐々木庸一君         日本専売公社総         務理事     黒田  実君         日本専売公社理         事       斎藤 欣一君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 八月八日  委員早川崇辞任につき、その補欠として根本  龍太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員篠田弘作君、菅波茂君、中曽根康弘君、水  田三喜男君、石野久男君及び三宅正一辞任に  つき、その補欠として古屋亨君、保岡武久君、  亀山孝一君、塩川正十郎君、依田圭五君及び多  賀谷真稔君が議長指名委員に選任された。 同日  委員亀山孝一君、塩川正十郎君、古屋亨君、保  岡武久君、多賀谷真稔君及び依田圭五君辞任に  つき、その補欠として中曽根康弘君、水田三喜  男君、篠田弘作君、菅波茂君、三宅正一君及び  石野久男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 八月五日  一、歳入歳出実況に関する件  二、国有財産の増減及び現況に関する件  三、政府関係機関経理に関する件  四、国が資本金を出資している法人会計に関    する件  五、国または公社が直接または間接補助金、    奨励金助成金等を交付しまたは貸付金、    損失補償金財政援助を与えているものの    会計に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件  政府関係機関経理に関する件      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件及び行政関係機関経理に関する件について調査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 私はきょうは郵政省及び自治省に、第三種郵便物の問題に関連をしてお伺いいたしたいと思いますが、その前に次官から御答弁をしていただいて、議事録にとどめたいと思います。  郵政大臣出席を求めておりました。いまのお話では現在閣議中だそうです。閣議が終わったら出るのか出ないのか、それから何か佐藤総理に随行して大阪万博へ行く、こう言っておりますが、閣議が終わった時間と、それから大阪へ立つ時間、その間に出席するのかしないのか、はっきりしてください。これは議事録にとどめます。
  4. 木村睦男

    木村説明員 きょうは繰り上げの閣議でございまして、ただいま連絡をとりましたところ、まだ閣議を続行いたしております。総理一緒大阪に立ちます間に時間があれば、こちらに出るように私から要請はいたしております。目下閣議をまだ開いております。時間の関係によると思います。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 総理一緒大阪に立つのは何時ですか。閣議が終わってから総理一緒に行くから出られませんといって、立つのは何時かわからないのか。
  6. 木村睦男

    木村説明員 時間はきまっておりますが、私いまちょっと覚えておりません。至急に調べて御返事いたします。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 これが国会軽視なんですよ。閣議が何時に終わるか、それはわかりません。きょうは長くかかるというようなこともあります。しかし大阪へ立つというならば、立つ時間はわかっているはずです。その間の時間に何時ごろなら出られるとか、その間にもこういうわけで出ないとか、はっきりすべきですよ。総理に随行して万博の問題等々で大阪へ行きますということで、先日から大臣は出られないと言っておるのです。一体何時に立つか。ここに郵政省政府委員室連絡員がおるのでしょう。その時間すらわからなくて、出席できないということは、初めから出る意思がないからですよ。委員長の名において厳重に申し入れるとともに、国会の名において問責すべきだと思います。本日もし大臣が出られないときは、次の当委員会大臣出席して、何がゆえに出られなかったかという理由を釈明してください。そうしてそれを議事録にとどめる。次官、いいですか。
  8. 木村睦男

    木村説明員 承知いたしました。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 後ほど閣議が終わった時間及び大臣大阪へ立つ時間、これを確認して、その間に出られるか出られないか、それをはっきりしてもらいます。  質問に入ります。  第三種郵便物ですが、これはいわゆる定期刊行物ですね。これは特に安い料金で郵送しておりますね。その理由はどういうことですか。
  10. 曽山克巳

    曽山説明員 郵便法規定がありますことは御存じのとおりでございますが、「政治経済文化その他公共的な事項報道」いたし、国民の方方を文化的な恩沢に浴せしめるという意味から申しますと、いろいろな文化上の刊行物、そういったものにつきましてできるだけ低料でこれを扱いまして、国民方々がそれを手に入れやすくする、したがって国民文化向上に資するということを目的といたしております。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆる政策料金ですね。郵便法の第二十三条に第三種郵便物のことについて規定があります。それで、いま局長が読んだのは三十三条三項三号を中心に読み上げただけですね。そうですね。いわゆる二十三条三項三号、これだけが政策料金として安くする理由なんですね。
  12. 曽山克巳

    曽山説明員 基本的にはさように心得ております。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 じゃ基本的でなければどんなことなんですか。基本的という以上は、基本的でない付属的な理由があるはずですね。それはどういうものがあるのですか。
  14. 曽山克巳

    曽山説明員 基本的ということばがあるいは適当でなければ、その精神においてはということでございますが、ただいま御指摘になりました、なぜ郵便物全部に等価の、つまり価の同じ均一料金をきめないで、種別を設けて差別しておるかということのお尋ねでございましたので、私さように答えたのでございますが、やはり先ほど来申しておりますように、本来から申しますと、郵便事業を企業的に経営いたしますためには、できるだけ原価を割りましたような低料金はとりたくないのでございますけれども、一方また国家公共仕事であります以上は、原価を割りましても公共の役に立つ仕事であればこれを遂行すべきであるというよう要請もあろうと思います。いわゆる公共性であろうと思います。したがって、国民文化に貢献する、向上に資するという目的のために、言うならば、一言で申しますと、公共性の遂行のためにこの制度があるというぐあいに心得ておる次第でございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 「政治経済文化云々とありますが、要は公共性ですね。公共性の上に立って特に政策料金で扱っておる、これを一つ確認しておきます。
  16. 曽山克巳

    曽山説明員 そのとおりでございます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 そうならば、この二十三条で認可条件がきめられておりますね。一度認可されたものが常にその要件を、あるいは条件といいますか、維持しているかどうかをどのようにしてチェックしておるのです。  それから郵便法の八十二条には「第三種郵便物認可をいつわる罪」というのがありますね。これは「発行人を三万円以下の罰金に」という、たいしたことはないのだが、この「第三種郵便物をいつわる罪」、これが今日までどのように運用せられたのか、その実例があるならばあげていただきたい。
  18. 曽山克巳

    曽山説明員 まず第一の御質問でございますが、御案内のように第三種郵便物認可を得ましたものにつきましては、発行のつどその実物つまり見本郵政局に提出することにいたしております。したがって、それによりまして形式的な要件、つまりきめられた部数どおり発行されておるかどうか、あるいは定価の表示をすることを義務づけておりますけれども、さようなことをいたしておるかどうか、また内容的に公共的事項報道であるか、ないしは広告割合がきめられた割合以下であるかというような監査をこの見本によってやっております。さような方法で郵政局で取り行なっている次第でございます。  なお、ただいま御指摘のありました郵便法八十二条の罰金規定の問題でございますが、これはここにも規定してございますように、第三種郵便物認可のない定期刊行物、つまり認可を申請して認可を得たという郵便物でないさよう郵便物、第三種郵便物という認可を得ておらないものを、偽りまして認可を得ておるという文字を掲げた場合、これにつきましてはこの罰則規定が適用になるわけでございます。ただし従来の例といたしましては、私ども現在承知しておるところでは、さような例はございません。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 偽りの罪ですから、第三種を受けていないのに受けたごとくやるというのは、それはわかっておるのです。しかしそれがいままで実例がない。実際なかったのかというたら、そうじゃないと思うのです。それがいままでなかったということは、これは空文化しておるというか、郵政省仕事をする上において——設置法を見たらどこにも法令云々というのがあるのです。ところがこの法令、すなわちこの基本たるべき郵便法を完全に守っておるかどうかというと疑問なんです。どうなんです、完全に守っておる、そう言い切れますか。
  20. 曽山克巳

    曽山説明員 確かに御指摘ように、低料で郵便物を出す利益というものを受けるために、第三種本来の目的でございますところの、先ほど指摘のありました公共性に沿わない郵便物であるにもかかわらず、認可を得たいといってまいるものもございます。こういうものにつきましては、私ども先ほど来申しておりますように、見本等によりまして審査をいたし、さようなものは拒否しておるつもりでございますが、なおさような申請があとを断たないことは事実でございます。  さらに郵便法全体についての法令が順守されておるかということにつきましては、私どもこれを順守すべき義務がございます。したがってその指導と申しますか、周知につきましては十分配慮しておるつもりでございますけれども、間々法令違反の事実があることはおっしゃるとおりでございます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、法令を守らすためにあるいは守るためにいろいろの掲示なり警告なりをする用意はありますか。
  22. 曽山克巳

    曽山説明員 第三種郵便物の点に限りませんで、広く申し上げますと、郵便法令が変わった場合、これは法律ないし規則すべての場合でございますけれども、当省といたしましてはあらゆる機会をとらえまして、具体的に申し上げますと、マスコミつまりテレビなりラジオ、そのほか掲示物、ポスター、チラシそういったものを調製いたしまして、これを広く国民方々周知させるという努力はいたしておるつもりでございます。また現にいたしております。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 郵政省設置法の第四条の十四号に「所掌事務周知宣伝を行うこと。」とありますね。この周知宣伝は十分に果たしておりますか。
  24. 曽山克巳

    曽山説明員 私どもといたしましては十分いたしておるつもりでございます。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 この第三種郵便物認可を受けておるものはいろいろたくさんあります。もちろん日刊紙もそうです。日刊紙のごとく、もうわれわれの生活に密着しており、一日でも新聞を見なければ、何だか時代におくれるというか、これは生活必需品となっておる公共性を持っておる。こういうのはまさにそうだと思うのです。ところがそうでないのがたくさんあるんですね。むしろ公共性に逆行するものがたくさんある。たとえば、かってに郵送しておいてその購読料金強要するもの、あるいは広告を強制、強要ないし無断掲載しておいて広告料金を請求するもの、あるいは特定の人あるいは会社、法人のちょうちん記事を載せ、金次第でその者との競争関係にある者、これの事実無根中傷記事を書く。あるいは購読料金広告料をかってに載せたためにそれを支払わなければおどす、中傷記事を書く。こういうことで少なくともここにおる議員諸公はもちろん、地方の町会議員に至るまで選挙をする者、あるいは町の商店街商店等々に至るまで多大の迷惑を受けておる、こういうのがたくさんあります。そうかと思うと、これを逆に利用して自己の宣伝をさす、あるいは金を与えて自分の競争関係にある者を中傷する、そういうようないろいろなものがあることは御承知と思いますが、どうです。  さらにそういうものに対して一体どうすればいいのか。いわゆるダニですね。これをかりにインチキ紙とでも申しましょうか、このインチキ紙発行ダニですよ。こういうのは一筋なわでいかないのです。そこで考えてみましたが、かりに事実無根中傷記事を載せた、名誉棄損で争ってみても、こういうのは体刑でも受ければともかく、そうでなくて罰金程度なら何とも思っていないのです。またそういうものを告訴、告発して争うのもばからしい、そういうことでそのままになっておる例がある。あるいは商店等々はいろいろいやなことを書かれたら商売にも関係する、そういうことで泣き寝入りになっているのがたくさんあるのですよね。そこでいろいろ考えたのですが、こういうのに一番何がこたえるか。私は第三種認可を取り消すことが一番こたえるのじゃないだろうか。あと自治省のほうにも質問いたしますが、第三種郵便物認可ということの上に立って、選挙に関する報道ができ、あるいは事業税等についての免税の措置がある。だから第三種という、この認可がすべての土台の上に立っておる。ところがいまあなたは公共性ということを強調せられました。まさに公共に逆行するということがあることは御承知と思いますが、それについていままでどのような手を打たれましたか。
  26. 曽山克巳

    曽山説明員 多数あります第三種郵便物の中で、特にただいま御指摘になりましたようないろいろな事実があることも承知いたしております。私どもといたしましてはもちろん好ましくございませんので、これにつきましては十分な指導をいたしたいと存じております。したがって将来ともいろいろな機会をとらえまして、たとえば見本提出等の際に、これに対しまして内容等につきまして若干思わしくないという点が見られます場合には、こちらから勧告等もいたしたいと思いますが、ただ法二十三条の言っておりますところのいわゆる公共事項公共的な事項というものの限界につきましていろいろと思想発表の自由その他からむずかしい問題があることは御承知のとおりでございまして、徹底的な指導ができるかどうか、その点につきましては慎重な態度で臨みたいと考えております。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 いままでに二十四条によって取り消した例がありますか。
  28. 曽山克巳

    曽山説明員 いわゆる二十四条による取り消しといたしましては、昭和四十三年を例にとりますと、全国で約五百四十件の取り消しをいたしております。ただその中で形式的な要件にそわないものと、それからそうでないものというふうに分けました場合に、約半々くらいでございまして、そのまた半分くらいの中ではたしてそれが純然たる内容的なものであるかどうかということにつきましては、実はそういうものは率直に申しまして多数ございません。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの御答弁ように、きわめて形式的なことだけなんですよね。郵便法二十四条を見ますと、いわゆる二十三条の三項の条件を具備しなくなった場合、いわゆる認可条件を具備しなくなったときには取り消すのはあたりまえなんですよ。それ以外に取り消しの何かありますか。この法律によると二十三条の三項の条件を具備しなくなったとき取り消すことができる、こういうことだけなんですね。聞いてみると、六カ月間に四分の一出さなかったとした場合にも取り消し条件ということになっているそうですが、それは政令省令か知りませんが、二十四条以外に政省令をもって取り消しのことを書いている条文がありますか。かりにあったとしても、一面これは報道の自由とか、言論統制とかいう問題と、十分その間のことを考えねばいけないので、政令省令だけではできないという面もあると思うのです。政令を出すときの要件等々については憲法に規定がありますね。そういう点から考えて、政令だけではできないという点がある、こう考えてみると、郵便法改正が必要じゃないか、こういうふうに思うのですが、どうなんですか。
  30. 曽山克巳

    曽山説明員 もうすでに御承知ように、郵便法二十四条を受けまして政令規定がございます。具体的には郵便規則二十三条でもちまして、認可取り消しという条文がございますが、ちょうど三項目ございまして、その中では、最近六カ月以内に発行したものが、休刊数が四分の一というような場合、並びに実質的な要件といたしましては、御指摘よう公共性に反した場合ということになるわけでございます。ただ、確かにおっしゃいますように、私どもといたしましても、第三種郵便物認可の上にあぐらをかいて、先ほど来おっしゃっております中傷記事広告強要をされるような事実もあるよう承知しておりますが、具体的にかくかくしかじかの場合においてそれが公共性に違反するという条文をつくることは、率直に申して非常に困難ではなかろうかと思います。さればといって私ども何も坐して待っているわけではございませんで、いろいろな機会指導もいたし、特に広告等につきましては十分な規制をいたしている次第でございますが、特に思想発表自由等のむずかしい問題につきましては、運用でもちましてできるだけ公共性をそこなわず、かつまた認可されました権利を持っておりますもの等の自由というものも束縛しないように、この辺中庸を得て指導してまいりたい、将来法律改正機会におきましてはそういう点等も検討いたしたいと思っております。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 もう何回も言わなくても、いわゆる公共性に逆行し、いろいろな人に迷惑を与え、あるいは脅迫、恐喝、そういうものを業としているものがあるのです。それがわかっておりながら手が出せない。それは警察に言えばいいじゃないか、こういうことですが、そういうのは名誉棄損だとかなんとかいってやってみたって何とも思っていない連中なんですよ。だから三種郵便物認可取り消しが一番私はどんぴしゃだと思うのです。  そこで一つ提案というか、お伺いするのですが、四十二年の内国郵便物種類別の一通当たりあるいは小包なら一個当たり原価収入損益比較表、これは郵政省でこしらえたものです。それを持っておりますから、こまかいことは申し上げませんが、この原価収入損益表によると、四十二年度全体で大体百三億何通かの郵便物を扱っておるのですね。そのうち第三種の低料金扱いが八億三千万通ある。一通当たり原価計算からいって十円の赤字が出ておる。したがって、低料金扱いの八億三千万通を一通十円当たり赤字と計算すると、八十二億円以上の赤字ということになるのですね。これによるとただ算術的に計算しても、一通当たり九円九十九銭の赤字、それに八億三千万掛けて八十三億円の赤字ですね。そして、いわゆる一般普通人の出す一種郵便物では百七十億の黒字なんですね。言うならば、一般国民犠牲というか負担において、公共性を持つがゆえに低料金でやっているわけなんです。したがって、二十三条に掲げるよう公共性を持ち、それが生活の中に密着をしてなくてはならないもの、日刊紙等はそうだと思います。そういうものならけっこうなんです。しかし、先ほど来言っているようインチキ紙、こういうようなものになぜ一般国民犠牲において一通十円の赤字を出しながら三種郵便物の取り扱いをしてやらなくちゃならないのか、これはわれわれ決算委の上からいっても重要な問題だと思うのです。  そうして、郵政省設置法の三条を見ると、「郵政省は、左に掲げる国の事業及び行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」、そして一項一号に「郵便事業」とあるのです。したがって、郵便事業について責任を負う行政機関である。いいですね。したがって、一般国民犠牲においてそのようインチキ紙、町のダニ、こういうのをなぜ安い料金でせなければいけないのか。郵便事業責任を負う行政機関としての責任を果たしておるといえますか。  さらに、先ほどもちょっと読みましたが、第四条の十四号では「所掌事務周知宣伝を行うこと。」、これも郵政省のなすべき義務一つなんです。このインデックスは「権限」となっておりますが、権限ということは裏を返せばせねばならない義務があるということです。そこで、第三種郵便物ということについて一般の人はあまり知らない。少なくともこのよう目的でこういう扱いをしておりますということを、郵便事業責任を負う郵政省として、第四条十四号によってこれを周知宣伝する必要がある。と同時に、その反面、このよう公共性を持つものであるから特にこのようにしておりますけれども、このことによって迷惑を受けたり、あるいは名誉を棄損せられたり、あるいは金品の強要を受けたりすることは許されないのだ、したがって、そのような行為があったときには遠慮なく郵便局長なり郵政局長に申し出てほしい、その場合は郵便法二十四条あるいはその省令ですか、これによって第三種を取り消す、このよう意味のことを郵便局の窓口あるいは必要なところに、警告あるいは周知宣伝という意味において出すことについてはどうですか。  きのうあなたのほうの一課長補佐が私のところに、質問はどういうことでしょうかと聞きに来た。そうして私の質問の最後はこういうよう提案をするつもりだと言うと、そういうことはできませんと言ったのだ。もしできないということであるならば、この設置法の上からできない理由を明らかにしてもらいたい。そういうことをやるかどうか、お伺いいたします。
  32. 曽山克巳

    曽山説明員 前段でおっしゃいましたこと、私全くそのとおりだと思います。郵政省といたしましても、他の郵便利用者のいわば負担犠牲の上において原価を著しく割っておりますものを扱っておるわけでございまして、気持ちといたしましてもまた企業経営の立場からいたしましても、私どもとしましては少なくとも直接費、原価の中でも間接費を除きます直接費程度はこれを取るべきだという気持ちでおります。気持だけでなく、理論的にもさようだと思います。しかしいろいろな点から、諸般の事由からいたしまして、現在の低料金でおさまっておることは先ほど指摘のとおりでございます。  そこで、私どもとしましては、この制度を利用いたしまして、利用といいますか乱用いたしまして、いろいろと公共性に反するような行為をするというものに対しましては、これを何とかして規制したいという気はございます。ただ、私先ほど申し上げましたように、私どものほうにも悩みがあるわけでございまして、特に「政治経済文化その他公共的な事項」というものを、逆にいいますと公共的でない事項、こういった事項についての明確な基準を定めることがきわめてむずかしゅうございますので、その点につきまして悩みを持っておる。しかし、将来にわたりましていろいろと法改正機会がございますので、さよう機会にはできるだけただいま田中委員が御指摘になりましたようなことを頭に置きながら、前向きに検討いたしたいということを申し上げたわけでございます。ただ、いろいろとむずかしい点があることはぜひ御了承をいただきたいのでございます。  第二点の、しからば省といたしまして、省の所掌事務につきまして周知徹底をする責任を負っておるではないかということは、全くそのとおりでございます。私どもとしましても、その責任にもとりますような行為をもちろんすべきではございませんし、積極的に指導してまいりたいつもりでございまして、現に先ほど取り消しの例が多々あることを申し上げましたが、その場合でもそれを周知する方法といたしまして、現に第三種郵便物認可を受けております者本人たちに対して、御指摘になりましたような行為をしないよう指導をまず第一にしたらいかがかと考えまして、現にこの九月の早々、ただいま田中委員指摘になりましたような次第もございますので、早急に関係者を集めまして、さようなことを検討してみようと考えております。  それから、全国民に対しまして、郵便局に被害をこうむった者は届け出ろということにつきましては、ただいま初めて承りましたので、その点につきましては、なお検討さしていただきますが、私ども積極的に第三種認可を受けておりますところにチラシとかパンフレット、そういうものを発送いたしまして注意を喚起したいということをここでお誓いしてもけっこうだと思います。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 この種のインチキ物の中には特定の議員、自民党——名前をあげてもけっこうです。月二十万円、そしてその議員の後援会事務所とか連絡所とかいう看板を、その発行所といいますか、そういうところに掲げておる。そうして毎号ちょうちん記事を書かしておる。そして競争関係にある者を中傷する。それだけでなくて、町の商店等こそかわいそうだと思う。ところが、あなた方は、新しい切手の売り出しとか、たとえば記念切手あるいは郵便貯金の募集、簡易保険の募集等々では、ポスターをつくって張るでしょう。   〔委員長退席、華山委員長代理着席〕 同じことじゃないですか。そういうポスターでもつくって、一般の人に郵政省のやっておること、郵便物について周知徹底せしめるところの宣伝する方法として、ポスター——何もポスターに限るとは申しておりません。掲示でもけっこうです。しかしこのごろは、掲示というものはあまり読まないのです。読むより見るほうが多いのです。だから、見れるようなポスターをつくってください。と同時に、定期的な検査をする。もちろん、その発行のつど一部をつけて郵便局の窓口に出すことになっております。しかし、その郵便局は、大体その地元の郵便局です。よく言えば敬遠せられておるというか、悪く言えばもうダニ的なものに相手にならない、狂犬のようなやつに文句を言うてかみつかれてもつまらない、あるいは何らか弱みがあって言えない等々で、形式的に窓口で見るだけで終わっておる。あなたのほうには監査制度もあるのですね。この監査制度は、そういうもののためではないと思うが、何か特に監査制度のようなものをつくって、定期的にそれぞれの認可を与えて、いかがわしいと思われるところに対しては監査をする、そのような方法をぜひやってください。やるかやらないか、ひとつはっきりしてください。
  34. 曽山克巳

    曽山説明員 私ども心の中でもっともだと思っておることをずばりおっしゃっていただきまして、非常に感謝しております。私どもとしましては、従来からさような監査をいたしてきたつもりでございます。具体的に申し上げますと、各郵政局の郵務部に一つの係を置きまして、その係で監査をしてまいっております。しかし御指摘ような事態もございまして、もっともだと思われますので、なお内容等について十分今後監査を重ねてまいりたいと思います。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 中川委員長がこの問題について関連質問をしたい、こういうことであって、私の質問から言えば、ちょうど関連質問をしてもらっていいときですが、どこか電話をかけているそうですから次にいきます。  次に自治省に対して、この問題について若干お伺いいたしますが、官房長見えておりますか。——この問題に関連をいたしまして、自治省選挙の問題、それから事業税等について質問したいので、二十一日に、大臣大臣が出られなければそれぞれ担当局長出席の要求を委員部を通じて正式にやっております。ところが、きょうは両局長も出てきていないので、代理で出てきている人から、ひとつどういうわけで出てこられなかったのか、あとをどうするのか、答弁をいただきたい。そういうことは、官房長が、当然こういうわけだということを公式に言うべきだと思って官房長の出席を、これは急に言ったのですが、求めました。ところが官房長は休暇だそうでございます。一体自治省は、国会をどう考えているのか。あなた方に言っても悪いと思うのだが、ともかく税務局長ですか、出てこられなかった理由選挙局長が出てこられなかった理由、そこで、あなた方が責任をもってここで答弁できるのかできないのか、その答えいかんによっては、私の質問の内容も変えていきます。責任をもって答弁しますね。まず出てこられなかった理由、しかも二十一日から言うているのに、きょう委員会だのに、きのうから出張しているとは何事です。明確に議事録にとどめます。順次代理で来ている人から、なぜきょう局長が出てこられなかったかを明らかにしてください。そして、このことについては、いつ局長が出てきて責任ある答弁をする、その約束を議事録にとどめます。
  36. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 御承知よう選挙局は部になりましたので、部長の私が出てまいりました。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 局長はいないのか。では君が政府委員かね。いまは閉会中ですから、政府委員というのはないのですが、君は本来の政府委員ですか。
  38. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 選挙局が部になりまして、行政局の中に入っているわけでございますが……。   〔華山委員長代理退席、委員長着席〕 局が部という性質もございまして、前国会におきましては私が政府委員に任命していただきまして、所管の説明を申し上げたわけでございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 本来政府委員たるべき人であるならば、けっこうです。しかし、責任はやはり行政局長でしょう。それを要求しておるのに、これはおって出てこないのですね。だが、あなたは選挙に関しては部長ではあるが局長と同等だ。いまは閉会中ですから政府委員ということばはありませんがね。政府委員としての答弁ができる、よろしいですね。はっきりしてください。
  40. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 責任をもって御答弁を申し上げます。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、次は税務局長ですが、なぜ出てこられなかったか。
  42. 近藤隆之

    ○近藤説明員 税務局長は前からの約束によりまして、前からの予定がございまして、本日出張いたしておりまして、まことに申しわけございません。かわりに、地方税の関係でございますので、所管でございます府県税課長出席いたしました。答えられる限りお答えいたしたいと思います。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 いやらしい質問をするようですが、これも今後国会、ことに当委員会の運営のためにいやらしい質問をします。  前からの予定というのはいつから予定していましたか。そして、どういう目的で、どこへ、何日の予定で出張しておるのですか。
  44. 近藤隆之

    ○近藤説明員 税務関係の講習で、数カ月前から約束しておったように聞いておりますけれども、詳しいことについては後ほど調べて御返事を申し上げたいと思います。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 代理で出てきた人が、出てこられなかった理由を明確にできないということはどうなんでしょう。まあ課長さんをとっちめてもしかたがないので、正式な文書をもって、きょう出てこれなかったことを委員長まで出してください。いつ、どういうことでそういう約束をしたのか。いつからいつまで、何の目的でどこへ出張したのか。それを明確にしながら、本日出席できなかった理由として委員長のところへ提出してください。委員長はそれを受けて善処をしてください。
  46. 中川俊思

    中川委員長 はい。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 できますね。君が答弁しておったんじゃないか。
  48. 近藤隆之

    ○近藤説明員 はい、善処いたします。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 それから、私の質問の終わるまでに、野田大臣が出られるか、出られないか。出られなければ次官がかわりに出てきて、きょうこのような不始末をしたことについて、次官あるいは大臣から、大臣がたてまえです。大臣から当委員会においてその理由を釈明していただきたい。それを議事録にとどめる。いいですね。
  50. 中川俊思

    中川委員長 はい、承知しました。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは関連して委員長から質問があるそうですからどうぞ。
  52. 中川俊思

    中川委員長 それでは木村さん、それから局長に、先ほど田中委員から第三種の問題についていろいろ御質問がありましたが、これは傍聴しておられる人もみな一様に同感だろうと思うのです。私もこの問題については全く同感なんですが、問題はいま局長がお答えになったような趣旨が、全国の各郵政局に徹底しておるかどうかということです。ぼくの知っておる範囲においては徹底していないのではないかというような節があるのですね。ですからせっかくそういう問題があるなら、これは徹底さしていただいて、そして全く田中委員の言われるとおりなんです。これはもうおそらく政務次官もそういうことは百も承知だろうと思うし、皆さんみんな知っておられることだと思うけれども、私らから率直に言ったら、何が政治経済文化公共性に合致しておるのかといいたいのが一ぱいある。郵政局は第三種認可を与えておるが、いま田中委員の言われるいわゆるインチキ新聞の中には、何が一体公共性だというのが一ぱいある。必要ならいつでもごらんに入れます。毎日来ている日刊新聞などというのは、いま田中委員の言われたとおり、これはわれわれの毎日の生活のかてだと思って見ておるけれども、われわれにはもうそういうのがたくさん来ます。議員会館にも自宅にも事務所にも来ますが、私は全然封も切らずにみなくずかごに入れるだけです。皆さんもおそらくそうだと思います。衆参両院議員の諸君は、あんなものを一々見ているひまは第一ありはしない。そんなものが何の公共性がある。これをなぜ第三種郵便物認可をしておるのか。しかも当然国家の収入となるべき八十三億円以上の赤字ですら甘受しておるということでしょう。言葉をかえていえば、郵政局はそういう新聞とぐるになって国家に損失を与えておるといわれたって文句ないでしょう。これは言いわけができぬのじゃないかと思う。今度郵政局はそこへりっぱに建てました。あれは四十何億かかったそうですね。東京を見ても地方を見ても、全国を見ても、りっぱな家が建つのは役所と銀行だけです。人の金で建てるものばかり建っている。自分の金で家を建てようと思えば家はいま建たない。  とにかくあなた方は、いまの質疑応答を聞いていて私は痛感したのですが、八十三億円も、それ以上の赤字を出して、いわゆる国家に損失を与えておることになる。第三種郵便物を依然としてそういうインチキ新聞、インチキ刊行物に継続させておる。一体どういう考えでやっておるのか、全然私にはわからない。私自身長年痛感しておるのです。それならそういうことを書いたり、いま田中委員の言われるようなことをやれば、名誉棄損なり損害賠償なりやったらいいじゃないかといわれるかもしれないけれども、そんなことをやっているひまもない。たいがいの人はみな泣き寝入りです。そのために選挙に落ちる者もおる。また社会的な名誉を非常に失墜する者もいるし、信用を失墜する者もある。  それから最近六カ月以内に四分の一以上発刊をしていなければ、郵便規則の第二十四条によって第三種郵便物を取り消すということを先ほどあなたは田中委員質問に対して答えておられたが、取り消していない実例がある。四分の一以上の発刊をしていないのを依然として続けておる。ですからさっき局長田中委員に答えておられる中には、私が知っておる範囲内でもちょっと間違った答弁があったのじゃないかという感じがするのです。四分の一以上休刊して、発行すべきものが発行しなかったら取り消すというのに取り消していないのですが、あなたのほうの係官の説明によれば、一応警告を発して、そしてそれでもなお聞かなければ今度は取り消すというけれども警告を発するというのはいかなる法的根拠に基づいてそういうことをおやりになっておるのか、それが私ちょっとわからないからお聞きしたい。
  53. 曽山克巳

    曽山説明員 委員長の最初にお示しの点はごもっともだと思います。私どもとしましても、今後さらに勇気を持ってさような現行郵便法が悪用、乱用されることのないように努力してまいりたいと思います。  最後にお尋ねのございました、いかなる根拠に基づいて取り消しの前に警告をするかということでございますが、若干法文を持ち出しまして御説明しますが、御指摘よう郵便法二十四条によりまして取り消すことができるという規定がございます。それを受けまして省令の二十三条で認可取り消し条文がございます。この場合に郵便規則二十八条によりますと見本を提出させることになっておりますが、その提出がなかった場合に、定期刊行物発行がなかったものと推定をするという規定があるわけでございます。しかし万一ずばり直ちに取り消しました場合に、実物は発行しておるんだけれども、うっかりして忘れて見本を届けなかったという場合に、直ちに取り消しますと、これはいうならば、与えておりますところの権利をそういううっかりした単純な過失によって取り上げるということになりまして、いささか公平を欠くと思いますので、私どもは一応警告を発しまして、さらにその次に休刊を続けた、四分の一以上になる休刊をしたという場合には、もうこの二十八条によります見本の提出などということをかまわずに、見本が提出されようとされまいと直ちに取り消すということをいたしておるわけでございます。若干歯がゆいというようなお考えを委員長お持ちかと思いますけれども、一応与えました権利である限りにおきまして、警告をして、その後再びその警告を無視して休刊したというような場合には直ちに取り消すという措置を現にやっておりまして、そのような実績はかなりあるわけでございます。
  54. 木村睦男

    木村説明員 ただいま委員長並びに田中委員から第三種郵便物の取り扱いについていろいろ御指摘を受けたわけでございます。私自身も、この第三種郵便物が非常に雑多にわたっておるということ、またその内容につきましてもいかがかと思われるようなものもあるということも身をもって体験をいたしております。  認可の当初にあたりましては、やはり認可を得たい側のほうは認可条件に合うよう発行を一号、二号、三号とやって認可の申請をするわけでございますので、その段階では突っ込んで、はたして将来これがどうなるかということまで見通しをするということがかなり困難な面がございます。したがいまして、認可という問題につきましてはこの法律の条項に照らして認可をいたしておるわけでございます。認可を受けた後においてそういうふうな条件に合わないような内容を持ったものが相当あるわけでございまして、この点につきましては郵務局長が御答弁申し上げましたように、その実物を郵政局のほうへ届けさせておりまして、それぞれ責任の担当者が見て必要な措置はとっておりますけれども、私もまだそれは十分ではない、かように考えております。したがいまして、さらに一そう部下を督励いたしまして、御指摘の点については十分善処をいたしてまいりたいと考えております。  なおまた第三種郵便物がどういうものであるか、また認可条件に違反した場合にはどういう制裁を受けるかというふうなことにつきましても一般に対するPRがまだまだ行き届かない点も多多ございます。そういう点も、きょうの御指摘を十分参考にいたしまして、将来にわたってさらに一そう善処をいたすよう指導をいたしたい、かように考えております。
  55. 中川俊思

    中川委員長 ちょっともう一言お願いしておきますが、第三種郵便物認可を受ける場合の条件ですね。これは政治経済文化面で公共性があるということでしょうけれども、やはり部数の問題だとかいろいろあると思うのです。ところがいまどこの郵政局でも窓口では、三種認可を受けたものは新聞一つ持っていけばすぐ三種の取り扱いをするのです。部数をどれだけ刷っておるとか——新聞の部数などというのは大新聞でもそうでしょうが、極秘事項になるのかしりませんが、そういうのでなく、いわゆる田中委員の言われたようなインチキ新聞などというのは二百か三百しか実際問題として刷っていないのです。ひどいのになりますと、実物をごらんに入れますが、日にちだけ変えて内容は同じなんです。そうかといって号数をぽかっと飛ばしたり何かしてやっている。そんなのを一々あなた方がお調べになるということはないでしょう。私はおそらく地方の郵政局でもお調べになったことはないと思うのです。窓口でも調べはしないと思うのです。窓口でも何月何日という日付だけを見て、ああこれは何月何日の発行だからというので、部数なんというのはほとんどおそらく調べていない。いま私が申しますように、内容は同じであって日にちだけを刷りかえて持ってくる、あるいはほかの新聞の内容をとって日にちだけを自分の日にち、それから何々新聞という表題だけをつけて発行しておるのもあるのですよ。ですからこれを厳重に調べていただきたい。これは国家にそれだけ損害を与えておることですからよくお調べいただいて、もううんと取り消すのが全面にわたってあるのじゃないかと私は思うのです。幸い田中委員がこういう問題をテーマに決算委員会に出していただいて、非常に当を得たなにだと思っておりますが、私自身もこういう問題は痛切に平素感じておりましたので、ぜひこれは厳重にやっていただきたい。このことを特に、政務次官がおられることですから重ねてお願いしておきます。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは引き続いて自治省のほうへお伺いいたします。  公職選挙法百四十八条で、三種郵便物認可を受けておる、そして毎月三回以上の発行をするものは選挙情報等が記載できることになっています。これを逆用して、選挙前に候補者たらん者にあるいは候補者になるであろう人に金品を強要する。あるいは選挙に入ってからあるいはその前に特定候補の売り込み記事を載せて、一部幾ら、何部買え、あるいは逆に相手方候補の中傷記事を載せて、これも一部幾ら、何部買え、あるいは金をもらったらこちらでばらまきます。中にはこれを利用する候補者もおる。先ほど言ったように年間二十万円出してその新聞を買っておるといいますか、毎号ちょうちん記事を書かす。あるいは選挙中は後援会連絡事務所というのははずすけれども、ともかくその特定議員なり候補者たらん者の連絡事務所あるいは後援会事務所といったようなものをその新聞、何々タイムスとかなんとかいったものの横にぶら下げるというか大きく書く。そういうことで著しく選挙の公正を害しておる。たいてい選挙が終わりますときに、それがどこかで問題になっておる。  そこでこれは三種郵便物認可のときとあわせてですが、タブロイド版裏表くらいで、それでも三回以上出しておればそれで条件を満たすわけです。先ほど委員長も申しましたが、常時発行する部数を厳格にチェックする必要がある。千部足らず出しておって選挙になって何万と刷るわけですね。そしてそれを売り込む。これはすべて三種を受けておるという上に立ってそういうことができることになるのですね。だから三種認可ということは相当きびしくなくちゃいかぬと私は思うのです。そこで号を一回出すのはどの程度の大きさのものでなくちゃいかぬということも一つ認可基準に入れておいてもいいのじゃないか。タブロイド版の裏表程度でも号を追うて毎月三回以上出しておればいいということでは私はどうかと思うのです。これを相当ページ数をふやすことを基準にすれば、一人や二人ではそんな記事は書けないのです。タブロイド版程度でもそういう中傷記事か何か以外のことは、地元のことをちょっとどこそこに何の行事があるということは書くとしても、あと日刊紙の古い記事を転載しておる。こういうのが多いのです。だから、紙面についての制約をする——制約というか、基準を上げる。少なくともタブロイド版ならタブロイド版は何ページ以上、こういうことも一つ考えていいのじゃないかと思うのです。とにもかくにも選挙の公正を害することについては、あるいは害してきたことについては、選挙部長も十分御承知のはずなんです。どういう手を打ちますか。どう善処しますか。
  57. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 選挙の公正と報道、表現の自由をどういうふうに調整しようかということは、公職選挙法をつくります際に非常に議論になりましたところでございまして、御承知ようにその基準を何に置くかということは、やはり一つの客観的なものとしては、第三種郵便物公共性の認定をしておるという以上それに立つべきであろうということで、その当時からいろいろな議論がありました結果、そういうたてまえをとってきたわけです。ただ選挙の際に急にそういう新聞を始めるということになりますと、それを目的にした新聞が出てくるということがございまして、選挙が始まる前一年以上前から継続してやっていなければならない、こういう条件をつけておるわけでございます。さらにそういういわゆる公共性を認定された新聞でありましても、その記事を載せるにあたって、候補者あるいはその他の者から依頼をされて、特に金品を授与されて記事を掲載をするというような場合には、御承知ように百四十八条の二という規定がございまして、それでは禁錮あるいは懲役五年でございますか、非常に重い罰則を科しまして、それの防止につとめておるわけでございます。しかし現実の問題としては、裏に金銭の授与があるかどうか、なかなか認定がむずかしいわけです。そこでただいまお話のありましたように、第三種郵便物自体がさらに厳格に励行されるということになりますならば、選挙法のほうでも非常に便利になるわけでございます。私どもそういう措置をされるということについて大いに期待をいたしておるわけです。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 それで結局は第三種郵便物認可ということにくるわけです。またそれを受けておっても公職選挙法百四十八条でもっと締める方法もあると思うのです。これは抽象的にしか言えないのがまことに残念だけれども、相当社会的な存在価値のあるものでなければそういうことはできないというような方向で検討すべきじゃないか。  それから先ほど私が一つ提案として申し上げましたが、そういう警告、ポスター等を出すと同時に、二十三条の法改正を検討する。もっと厳格にする。そのときに先ほど言ったような、紙面はどのくらいの大きさのもの以上に限るとか、あるいは発行部数はどうだとかいうようなこと、ただしこれは営利を目的とするものについてですね。それでなければ機関紙だとか何々会の会報というような、いわゆるそれはそれとしての公共性を持つもの等について縛ることになるので、その辺のところは分ける必要があると思うのですがね。いわゆるインチキ紙と目される営利を目的とするものとか、そういうものについては、何ページ以上、何部以上と厳格にチェックするような方法を考える。タブロイド一枚の裏表を月に三回以上出したからといってそれを武器に金をゆすられたりいやなことを言われたり、たくさんありますよ。これはもっと考えるべきだと思うのです。  それから選挙部長のほうも公職選挙法百四十八条とあわせ考える。それから第三種郵便物認可ということが基礎になるのだから、ひとつ郵政省自治省とでも選挙については特に考え相談して何か設ける、取り締まりの方法を厳格にするというようなことを私は望みたいと思いますが、いかがですか。
  59. 曽山克巳

    曽山説明員 先ほど政務次官からも答弁申し上げましたように、方向といたしましては第三種郵便物の乱用を規制するように、私どもといたしましては進みたいと思います。
  60. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 自治省としても同じ方向で検討されるように期待し、協力を申し上げたいと思います。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 抽象的な答弁で気に入りませんがね。いまのところはそういうことで、どうしてやるか見守っていきたい。どういうふうに実行するか、こういうことで次へ行きたいと思います。  次に税金の問題ですが、これも公共性があるがゆえに、民法法人にしたってあるいは他の法人にしたって、公共性のものについては税金を免除したりあるいは減免規定等もありますから、これは当然私は公共性の強いものについては事業税なんか課すべきでないと思います。しかしこの種のものに事業税を課さないということ、これは国会修正でなされたいきさつ等もありますが、私は公共性という問題の上に立って区別すべきではなかったかと思うのですね。そしてこれは税金のことですから、取り立てるほうが、たとえば府県等が厳重にチェックはしておると思うのですが、案外盲点になっていると思うのです。  そこでそういうことについて事業税を取り立てる側、あるいは自治省のほうに、そういう対象になるインチキ紙といったってわかりはせぬだろうが、ひとつ府県に対して厳重なチェックをせよ、そういうおかしなものがあればその税の取り立てという調査の上からも摘発していくという、そういう方法も考えるべきではないか。そういうふうな通牒というか、注意を促すという方法を望みたいのです。その点についてひとりお伺いする。と同時に、そういう点でこれならある程度の強権というか執行権を持って調べられるわけです、税金の面からなら。それをひとつ郵政省連絡をとって十分な監視体制をつくっていく。現在のところではこういうインチキの出版方法をある種の強権を持って取り調べられるというのはこの点しかないと思うのです。こういう点についてはいかがですか。双方。
  62. 近藤隆之

    ○近藤説明員 インチキ紙であるかないか、その判定の基準は非常にむずかしいところであろうと思います。それで、現在事業税法の取り扱いでどうなっているかと申しますと、これは言うまでもなく法律の面では毎月三回以上号を追って定期に刊行されている時事の報道目的とする新聞というふうになっているわけでございまして、そこで時事の報道目的とする新聞は何かということになりますと、われわれ通牒の形をもちまして第三種郵便の認可を受けておるものというふうに縛っておるわけでございます。そこで、現実の問題といたしまして、第三種郵便の認可を受けておる新聞、六千以上あると聞いておりますけれども、こちらの場合には月三回以上出すという形になっておりますので、千足らずのものが現実に非課税になっておるという杉でございます。そういう形式的な面で非課税になる、あるいは課税になる審査をするという以外に、現実の問題といたしましてはなかなかどこまでがインチキ新聞であるかあるいは公共性のない内容であるかという審査は非常にむずかしいことで、その点につきましては同じように第三種郵便物認可という点でこのチェックがされておるという前提をもちまして、その判断によっておるという形をとっております。したがいまして、郵政省のほうにおきまして第三種郵便のほうの認可基準につきましていろいろ御検討になります際には、われわれといたしましても十分御協力申し上げ、現実にそういう公共性のないものが課税から漏れるという形のないように今後も努力していきたいと思っております。
  63. 曽山克巳

    曽山説明員 当省といたしましても、先ほど委員長も御指摘になりましたが、発行部数を偽って発行しておる、つまり、千部以上発行しなければならぬものにつきましてそれよりはるかに下回る部数を発行しているというものがあることも承知しております。ただ、これの捕捉につきましてなかなか、御指摘ように強権をもって踏み込んで調べるというわけにもまいらぬこともございますので、今後の第三種郵便物認可の法的検討にあたりましては、さような点を積極的に要件に取り入れて検討じていきたいというぐあいに現在考えております。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 だから、二十三条なり二十四条の法改正も必要である。同時に、私は、ある程度の調査権というものを持つべきである。しかし、現在の法律では、税金の面だけですね。そこで、税金を取る側では、十分そういうことにつきましてはそれは心しておられると思うのです。これはむしろ酷なほど税金を取ることに一生懸命ですからね。しかし、こういう点が私は盲点になっておると思うのです。したがって、そういう点については府県に注意を促す方法を講じてもらいたいと思うのです。どうです。  それと同時に、その面から十分調べて、郵政省との間にも十分な連絡をとり、郵政省はそれを受けて、第三種郵便物認可を取り消す等々の問題について検討する。いいですね。どうです。
  65. 近藤隆之

    ○近藤説明員 公共性のないものについてまで税を非課税にするというような趣旨は、税法の趣旨から申しても全然ないわけでございますので、お説のように、地方団体に対しても喚起いたしたいと思いますが、基本的には第三種郵便物認可の基準の問題にからんでまいりますので、郵政省のほうとも十分連絡をとってまいりたいと思います。
  66. 曽山克巳

    曽山説明員 先ほど来申しておりますように、効果的な認可の与え方につきまして十分検討してまいります。その際、御指摘のございました自治省との協力につきましても心がけてまいりたいと思います。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 これはむしろ市町村長のモラルというか考え方、姿勢の問題になるのであろうと思うのですが、市町村等で何か行事がある。記念祝賀式典等がある。その場合に、この種のインチキ新聞発行のほうにもあたかも日刊紙の記者さんと同じような待遇を要求する。あるいはおれを招待しろ、こういうことです。その市町村長にしてみても、あるいはそれを担当する庶務等の関係者にしても、その他の市町村の機関にしても、ダニようなものあるいは狂犬のようなものを相手にしてかみつかれるよりはということで、招待状を出すか出さぬか知りませんが、やはり花をつけてやってきておる。そうして取材と称して勝手気ままな行動をとる。そういうことがまた、その人たちの社会的な存在価値を一般に認識せしめて、それがまた次の脅迫なり強要なりの基礎をつくっていく、こういうことになりかねないわけです。  そこで、そういうことについて自治省のほうでコントロールということはむずかしいと思うのですが、何かひとつ——ここになると、課長さんとか部長さんじゃちょっと答弁ができないと思うのですね。市町村長にそのようなことについてのモラルというか、考え方を厳格にするような注意を促すというような措置が望ましいのです。取材と称して傍若無人にふるまって、しかも招待者の花等をつけてやっておる。あるいは、そういうことがなくとも、かってに入り込んできてやる。そしてこのごろ市町村はだいぶ自粛して簡単になっておりますが、あとで簡単なパーティ等があれば、入ってきて、まあそれはかまわぬと思いますが、一緒に飲み食いをする。そういうことについて私は、考えるべき問題があると思うのですがね。これはどうです。自治省のお二人で、何らかの措置がとれるか。どうするかということについて答弁ができますか。
  68. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 私からお答えする限りではないかもしれませんが、私たちも地方につとめておりまして、そういう経験をたびたび持っておるわけであります。したがって、いまお話しのありましたように、そういうものがつけ込む余地のあるような計画をなるべくやめて、実質的なほんとうに意義のある式典をするならする、こういうようにするよう指導をいたしております。逐次そういうふうに改まっていると思いますけれども、しかし、やる以上は、やはり外形的に基準を設けられております三種郵便なら郵便ということでありませんと、それ以外に個々にそれぞれが認定をして入れるとか入れないという基準をつくるのは非常に困難なように思います。したがいまして、私は、先ほど指摘のありました三種郵便の認可そのものにさかのぼって整理をすることがやはり一番望ましい姿で、また、実際の地方団体としては、そういうものに悪用されないような運用のしかたをするということに心がけていきたいと思っております。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 この質問をそろそろ結論へ持っていきたいと思うのですが、ここで私、両大臣出席をしてもらっておいて、大臣から聞きたかったのですが、大臣連絡してもだめなんですか。それはどういうわけなんですか。もう大阪へ立ったのですか。閣議は終わったはずですがね。——それでは、きょう閣議はもうすでに終わっています。ところが、両大臣、再度の出席要求にかかわらず出てきておりません。だから、今度は委員長のほうから、本日の両大臣の行動についてひとつ御調査をいただきたい。そして何時に閣議が終わって、何時の新幹線もしくは飛行機で大阪総理一緒に行った。その間、何時間の余裕があって、何をした。これをひとつ委員長権限をもってお調べ願いたい。そして次の理事会に発表していただきたい。と同時に、できるならば、きょうすっぽかしたことについて両大臣から理事会に釈明を求めたい。提案します。よろしいか。
  70. 中川俊思

    中川委員長 承知しました。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、もう締めくくりを申し上げたいと思うのですが、郵政省いいですか。八月二十六日の朝日新聞の記事をごらんになったかどうかわかりませんが、これは先日、長崎県会の議長が刺し殺された事件があった。その問題にもいま申しておるような種類のいわゆる「県政新報」とかなんとかいうのがかんでおって、広告料数万円を要求した。そういうことによって、「新聞発行人を逮捕」という記事が出ております。これは自治省のほうも聞いておいてほしいのですが、自治省の管轄というか、関係のある市町村の議会等々で何らかおかしな事件が起これば、必ずといっていいほどこの種のものがかんでおるわけです。長崎県会議長、この人もまあまあいろいろ問題があった人のようですが、刺殺された。それにちゃんとやはりかんでおるのですよ。これもおそらく第三種郵便の認可があったのだと思う。それはよく私も調べておりませんがね。ことほどさように、害毒を流しこそすれ、一片の公共性も持たないものを、先ほど来何回も言っておるように、国民犠牲において、負担において、それを安く扱う。そのことについて私は先ほど来申しましたよう警告を出すこと、これはぜひやってもらいたい。そういうことによって、一般人に迷惑を与えた、いうならば、あなた方の負担において、これらのものを安くしておるんだ、だのに迷惑をこうむる、というようなことがあるならば、遠慮なく申し出てほしい。それに基づいて、これを取り消す、それから認可基準を高めて、ただ月に何回発行だという程度でなくて、選挙のときには千部とかなんとかあるようですが、部数、これを的確に——これは握りにくいだろうか、検査をする。部数の基準を上げるとか、あるいは紙面、申しわけ的な、しかもそれは三分の一以上が広告だったらいかぬとか、半分以上が広告だったらいかぬということになっておるが、新年号だとか、夏のやつを見てごらんなさい。記事だと思って読むと、その記事広告記事であったり、ちょうちん記事である。そうするなら、ほんとうに公共性のあるような行動はさがしてみても見つからないようなものがたくさんある。だから、紙面の大きさを基準を上げる等々いろいろあると思いますが、そのことで認可及びその取り消し、必要があれば法改正も行なう。さしあたっては、先ほど申しておるよう警告書なり、いわゆる周知宣伝のためのポスター等を郵便局の窓口等々に掲げる。これはぜひやってもらいたいと思います。木村次官、どうです、約束できますか。
  72. 木村睦男

    木村説明員 御指摘の幾多の点がございますが、十分その意を体しまして、善処いたしたいと思います。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 善処ということはどういうことかわからぬがね。やるとなぜ答えられないのですか。何ならもう一ぺん繰り返しましょうか。設置法からいうと、やらなくちゃならないのですよ。設置法について、十分にあなたがわかるように説明をいたしましょうか。これは国会内にもあるのです。国会においては、議運で、議長あてに誓約書というのをとっておるのです。参考までに読みますと、「院内、議院会館及び議員宿舎内において秩序を乱す行為、新聞、雑誌等に事実無根記事を掲載して議員を誹謗し、又は不当に金品を要求する等の行為は絶対にいたしません。若しかかる行為があった場合には、直ちに記章を没収されることに異存ありません。」というような誓約書をとっておるのです。議会ではね。そういうような何らかのチェックの方法、これを考えてもらわなくちゃいかぬと思うのです。これは公共性のために、社会のために、社会正義のために、いうならばペンの暴力に対してこれを抑圧するために、ぜひ善処を要求いたしまして、終わります。
  74. 中川俊思

    中川委員長 政府から御発言ありませんか。
  75. 木村睦男

    木村説明員 善処いたしますということを申し上げましたが、法改正については御指摘の点は十分考慮して今後検討していくという意味でもございます。また周知徹底の方法につきましても、そのやり方等につきまして、十分前向きで検討していく、こういう意味でございます。
  76. 中川俊思

    中川委員長 華山親義君。
  77. 華山親義

    ○華山委員 まず農林省に伺ったあとで大蔵省のほうに伺いたいと思います。  私、このことを伺うのは一昨日内閣委員会で私も質問し、また委員質問の間に気づいた点がございましたので、急速に申し込みをいたしたようなわけでございますから、あるいはこの問題は事務当局だけでなしにお伺いする場合があるかと思いますが、その点お含みの上、ひとつ御答弁等を願いたいと思います。   〔委員長退席、鍛冶委員長代理着席〕  今年の生産者米価に関連をいたしまして、政府は——数字あるいは名称等を間違えておったら御訂正願いたいと思いますけれども、二百二十五億ですか、それを稲作対策特別事業費とかいう名前で稲作農民に交付する。交付の方法は、市町村長に交付するのだというふうなことを、初め聞きました。それで、こういうことになりました経緯なり、また今後どういうふうにこれを処置されるつもりなのか。またその金額が二百二十五億ということになりましたその計算の基礎、そういう点について農林当局のほうからお答えを願いたいと思います。
  78. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  先生から御指摘ございましたように、私、事務的なお答えしか申し上げられない点は御了承願いたいと思うのでございますが、まだ予算が決定をいたしておりませんために事業の名称はまだ確定いたしておりませんが、仮称といたしまして、私ども稲作特別対策事業というような名称でいろいろ検討いたしております。金額は、先生御指摘のごとく、二百二十五億という考え方でございます。  それで、こういうものを出すという方向になっております経緯でございますが、それは先生御承知のごとく、本年の米の生産者価格の決定の際にこういうことが出たわけでございます。農家の側にはいろいろ問題があったわけでございますが、私どもといたしましては、需給事情等を勘案して米価を据え賢くということにせざるを得なかったというような経過がございます。  そこで、いろいろな点がありまして、一つは、従来毎年米価を引き上げておりましたのが、この際——前例がないことはございませんけれども、しばらくの聞そういうことをしなかったのに、米価をとめたという問題がございまして、農家の受けたショックというものは相当ある。そういった衝撃を一時に農家がかぶることを緩和するという意味もございましたし、それからまた、私ども大臣がたびたびお答え申し上げておりますように、ここまで米をつくってくださった過去の農家の方への報償的意味も十分含ませるというような御趣旨もあったかに承っております。それから、それだけではありませんで、こういう事態がございましたので、農家といたしましては、生産性を向上いたしまして、米価据え置きに対処して生産の合理化をはかっていく必要があるであろう、そういったよう意味を総合的に勘案をいたしまして、こういうことをしようということで御決定になったと承っておる次第でございます。  それから二百二十五億の積算の基礎というのはどういうことかということでございますが、これもいろいろ経緯がございまして、二百二十五億というのは大蔵大臣が参議院の農水でお答えになっているような面もございますのですが、結局いろいろなものを勘案いたしましてやりましたために、どれがほんとうの積算の基礎であるという確たる積み上げ計算ではございませんで、いろいろな面を申し上げますと、生産費のうちに占めております農薬とか肥料とかいったようなものの何割——ちょっといま数字は忘れましたが何割というような考え方、あるいはその他それに類似したようないろいろな方面を検討いたしまして、大局的に二百二十五億ということになりましたわけでございまして、いわゆる積み上げ計算ではございません。  これに対して事業の内容、今後の措置とおっしゃいましたのですが、事業の内容、それから今後のやり方等についての御質問だと思いますので、少し時間がかかるかもしれませんが、ちょっと詳しく申し上げますと、ただいままでのところ、大蔵省の主計官も見えておりますが、私どものほうと大蔵省のほうの間の打ち合わせはきわめて順調に進んでおりまして、大体要綱の案というものも実は相当程度まで詰めておりますわけでございます。ただ、予算がまだ御承知ように決定をいたしておりませんで、どういう項目でどういうことになるのかわかりませんものですから、それがきまりますまではそういうものを公表もできないわけでございます。したがいまして、私どものほうとしては、大体の趣旨等につきまして地方局を通じまして県には流しております。  それから後ほど申し上げますような経過で各個人の過去の三年間の米の政府売り渡し量というものを個人別に計算しなければならぬというばく大な仕事がございますので、これに対しましては、予算決定前でございますけれども、調査という形で調べておいていただいて——いまこの段階まできますと、補助金が出るのは、年度内には出さなければならぬと思いますけれども、かなりおくれると思いますが、きまりましたそのときに配付ができるようにという措置を進めておるわけでございます。  そこで、事業のやり方とか内容でございますが、過去どういうものを対象にしてこの補助金を出すかということでございますが、これは四十四年に稲作を行なっているというようなものに——これには途中で災害のためにだめになったというようなものも、とにかく稲作を始めた人については対象とすることにいたしておりますけれども、こういう人であって過去三年間の政府売り渡し実績というものに応じまして補助金を出していこうということになっております。過去三年間といいましても、いろいろな問題がございまして、たとえばよく先生方皆さん御承知でございましょうが、たとえば新潟県の加治川などのように三カ年連続で収獲がなかったというような災害のところもございます。その他一カ年全滅したというようなところもございますので、そういうものにつきましては特別の考慮を加えまして、そういった災害面を除きました計算をするというようなことを考えております。  もう一つ問題になりましたのは、種子を生産している農家がございます。種子生産農家は食管法からはずされまして、政府売り渡し農家にならない。その量につきましては、今回におきましては、種もみはわれわれのほうの計算にちゃんとのっております正しい種につきましては対象にしていく、そういうような操作を加えまして、各個人別の三カ年間の実績を調べ、それに応じまして配当するということになっております。  その補助金をどういうふうに流すかという点につきましては、まず都道府県を通じまして市町村に流す。これは市町村が行政の系統でございますし、それから米の流通を取り扱っておりますのが二系統ございます。御承知のごときことを申し上げて申しわけございませんが、農協系統と全集連系統といった面の公平を期するためからも、市町村を通じて、それから先は集荷事情に合わせましてどちらかの系統を通じて、あるいは農家個人に直接やるとか、これは市町村が配慮されることになろうかと思います。そこまで詳しく検討いたしておりませんが、要するに市町村を通じて流していきます。  さて、補助金を何に使うかという問題でございますが、これは肥料、農薬その他、そういったような米作の生産に必要な資材、機械、施設、土地改良の用排水の合理化とか、生活改善のための施設をつくるとか、農道補修というようなものも含めまして、その他特別の事情があります場合には、各県なり町村なり農家の実情によりまして特認をする事業もあるというような広い範囲の事業も考えておるわけであります。そういったようなことで補助金を流すわけであります。  その額がどのくらいになるかというと、政府に対して売り渡しました額の一俵につきまして百四十円をこえることになるだろうと思うのでございますが、それがまだ三カ年の集計が未了でありますとか、災害の件の補正を加えますので、単純に過去三カ年の政府が買ったものの平均だけでまいりませんので多少わからぬところがございまして、百四十円を多少こえるようなところで平均値が出てくるのではないか、その平均値がわかりましてから仕事をするということで事を運んでおります。  それから補助金はいつごろ出るかという問題でございますが、先ほど申し上げましたように、予算がまだ当初予算のままでございましてあと何もいたしておりませんので、それがきまりませんためにまだいつということは申し上げられません。ただ、年度内にはぜひとも出さなければならないものでございますから、年度内ということは申し上げられると思います。このように考えております。
  79. 華山親義

    ○華山委員 その問題の当否につきましてはこの委員会で論議すべき問題ではないと思いますので、その政策につきまして私いろいろ考えもございますけれども申し上げません。  ただ一点だけ伺っておきますが、そのようにして農家にまいります金があるわけでありますが、農家で何に使ったかということにつきまして、決算の立場からいいますと、会計検査院の問題もありますけれども、調べなければいけない。ただ飲み食いに使った、遊山に使ったということではいけないわけであります。具体的にものが特に残らなければいけない、あるいは仕事あとが残らなければいけない。農家に対しまして、そういうふうなことの報告義務とか、あるいは会計検査院が行って調べるかもしれないとか、そういうふうなことを考えておられますか。
  80. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 まことに御指摘のとおりでございまして、補助金でございますし、多額の公金を支出するものでございますので、当然検査決算というものがあるのはあたりまえであります。それの段階におきまして、会計検査院等におきまして、必要な証票書類、たとえば肥料、農薬とかはもう残っていなくなりますから、買ったという証拠の書類というものが必要であろうと思います。機械等でございますとものがございますし、あるいは買った値段を証明するものがございます。そういったことを調べなければならないという関係がございますので、末端の事務につきましては非常にたいへんな事務になろうかと思いますが、私どもといたしましては、そういうことになっておりますので、それを確認をして、そういう証票書がないものにつきましては、当然会計検査院の指摘を受ける場合もあり得るというように考えております。
  81. 華山親義

    ○華山委員 市町村の段階までですと別でございますが、各農家までいくということになりますとその当否は別でございます。私ここでは言いませんけれども会計検査院なり農林省なりはたいへんな仕事になるだろうということを申し上げておきまして、その間に間違いのないようにひとつお願いをしておきたいと思います。  それで、内閣常任委員会で論議になりましたことは、このことが別に論議になったわけではございませんけれども、国家公務員の人事院勧告がありまして、これを実施するための財源について論議があったわけであります。その際に、御承知のとおりただいまは人事院勧告を実施するためのものは一応当初予算にも組んでありますけれども、足りない分は予備費をもって支弁するという、総合予算主義のたてまえ上そうなっているわけであります。それで、今後の予備費の動向でございますけれども、その際に、私が質問をし、また他の委員質問する間に、私の感じたことは、この二百二十五億というものを予備費をもって支弁をする、こういうふうなことが考えられるわけであります。そこで、私この点は政治的にきまったものでございますから、大蔵省の事務の段階ではお答えはどうかと思いますけれども、法規上のたてまえから一応伺っておきたい。憲法は「豫見し難い豫算の不足に充てるため、」こういう前提のもとに予備費を認めているわけです。何にでも使っていいというわけではありません。「豫見し難い豫算の不足」こうなっている。「豫見し難い」というのは一体何なのか、客観的に考えられなかったか、わからなかったか、そういうふうなことが予見しがたいことだと私は思うのです。災害であるとかあるいは事務的経費が初めの予見よりもあるいは予測よりも多かったとか、あるいはいろいろな行政費が予算の積算よりも多くなってきたとか、そういうふうな場合であるとか、あるいは国会法律をつくったとか、法律改正したとか、そういうふうな政府外の客観的なことが起きた。それに応ずるための予備費なのであって、政府が自分で政策をつくっておいて、そしてこれを予備費で支弁するということは、憲法上おかしいと私は思うのです。こういうことにつきまして、従来大蔵当局のほうはこの憲法の解釈をどういうふうにとっていらっしゃいますか。
  82. 松下康雄

    ○松下説明員 憲法の条文解釈というきわめて大きな重大な問題でございますので、私の理解いたしております範囲でお答えを申し上げたいと思うのでございますが、憲法の第八十七条予備費の規定でございますけれども、先生の御指摘ように予見しがたい予算の不足に充てるために、予備費の支出を内閣の責任において行なうことができるという規定でございます。「豫見し難い豫算の不足」と申しますことの内容につきましては、私どもは当初予算作成当時におきまして、予見することができなかった事情に基づきまして支出を行なうことが必要になったところの経費というふうに理解をいたしておりますので、この条文上、この予算の不足に充て得る不足予算の種類なり、金額なり、内容なりにつきましての法規上の制限というものはないものであるというふうに理解をいたしております。
  83. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、私はこれは政治上の問題として論議しなければいけませんけれども、今度の場合は一つ例として申し上げるならば、総理大臣はじめ、生産者米価はことしは昨年どおりということを年度初めから言っておるわけです。そしてそれによって予算をつくったわけです。そういうふうなことであって、「豫見し難い」ということは一体何なのか、どういうことが予見しにくかったのか。福田大蔵大臣は、米価の激変を緩和するためだと言われる。米価の激変の緩和ならば、当初予算のときに初めから考えておくべき問題なんだ。そのときになって予見しがたい事実というものは、あの過程において何も起きなかったわけですね。しいて言うならば、農協団体がこのような米価では政府及び自民党と対決せざるを得ないと言って国に帰ってしまった。そういうのは予見しがたかったかもしれません。それ以外に予見しがたいということは何もないわけですね。初めからそのつもりでいたのだから……。そうして先ほど農林省のお答えになったようなことでやろうというならば、これは初めの予算に組んでおくべきだ。いま事務当局がおっしゃったように、当初予算にないものならば、何でもできる、こういうふうにおっしゃいますけれども、広い意味で農業対策というものは当初予算に組んである。途中になって増すべきものではない。さらにまた、この問題は政治的に言うならば、当初予算ではどうも問題になりそうなやつは引っ込めておいて、そうして年度途中において金額においては限度があるでしょうけれども、これを予備費で出してしまう。決算委員会はこれについて承諾を与えるかどうかの権能はありますけれども、出してしまったものについてその効果をどうすることもできない。政府のほうではそういうことさえもできるわけです。憲法が「豫見し難い」ということばを入れたということは、私はたいへん大切なことだと思うのです。そうでなければ、「豫見し難い」ということばを抜いてしまったと同じようなものの考え方を大蔵当局はしていらっしゃるのじゃないか。「豫見し難い」をひとつ抜いて読んでごらんなさい。あなたの言うとおりになるでしょう。政府の予算の不足に充てるための予備費ということと、「豫見し難い」ということを入れたことと、そういう考え方では何の違いもなくなるのじゃないですか。どこが違うのですか。
  84. 松下康雄

    ○松下説明員 ただいまの私の申し述べましたような解釈であれば、政府としてはいかなる性質の経費でありましても、これを予備費の中から支出することができることになるのではないかというお尋ねでございます。  私の理解いたしておりますところによりますれば、憲法第八十七条の第二項におきまして、「すべて豫備費の支出については、内閣は、事後に國會の承諾を得なければならない。」という規定がございますゆえんのものは、一たん予見しがたい予算の不足に充てるために、内閣の責任において、国会の議決を経ました予備費の範囲内で予備費支出を行なうことを内閣に認めております。半面といたしまして、これが先生の御指摘のごときいかなる種類のものにでもおよそ支出することができるというがごとき状態にならないことを担保するために、事後におきまして国会の御承認を得なければならないという規定を置きまして、あらかじめ政府の行政責任の範囲内で国会の御承認を得るということを前提といたした上で、必要と考えるところの予算の不足に充てることを認めておる、そういう実質的な制約を加えておるものであろうと存ずる次第でございます。  ただいまの、予見しがたかったかどうかという点につきましては、御指摘ように——その前にひとつおことわりを申し上げておきますが、この二百二十五億円の特別対策事業費につきまして、これを予備費から支出するということを、現在、方針として決定いたしておるわけではございません。これは財源その他の問題がございますので、まだ決定されていない問題でございますが、かりにこれを予備費から支出いたすといたしました場合に、何が予見しがたかったかということでございます。米価の据え置きにつきましては、御指摘ように内閣総理大臣の施政方針演説におかれましても米価据え置きの方針ということを申し述べておられますし、予算の作成の当時に、これを据え置くことにつきましては政府の方針として一応決定をしておったところでございます。ただその場合に、米価の据え置き実施に伴いまして、この種類の特別対策事業費の支出が必要になる事態が生ずるという点につきましては、これを予見することができなかったのでございました。したがいまして、当初の予算におきましてこの種類の経費を計上いたさなかったのでございます。その後、実際に米価の据え置きを行ないますに伴いまして、先ほど農林省からも御答弁申し上げましたような種々の事情を考慮いたしまして、この特別対策事業費を支出することが必要であるというふうに判断をいたした次第でございまして、この点につきましてはあらかじめ予見し得たではないかという御指摘につきましては、そうではございませんでしたという点を申し上げます。
  85. 華山親義

    ○華山委員 私は、こういうものが予見し得たであろうということを言っているわけじゃありません。そういう意味で言っているんではないのであって、そういうものが「豫見し難い」という範疇には入らないのではないかということを申しているわけです。先ほどように、外部的な客観的な事情によって政府が金を出さなくちゃいけない、そういうのが「豫見し難い」のであって、自分から政策をきめて、そして出すという場合には予備費で出すべきではない、これは補正予算を組んで出すべきだ、そして国会の批判を受けて出すべきだというのが当然だと思うのです。あとから国会の承諾を得なければいけないからかってなことはできない、こういうふうに申されますけれども、それは効果が違います。あらかじめ批判を受けるか、事後になって批判を受けるかによって効果が違ってくる。そういう面で、先ほど申しましたとおり、この予算の出し方、出すことの是非につきまして、いまここではこの委員会の性格上私申し述べませんけれども、当然補正予算を組んで出すべきであって、予備費をもって出すべき性格のものではない、こういうふうに私は考えます。先ほどおっしゃったとおり、当初予算に組んでないものならば何でも出せるというふうなものの考え方は私はおかしいと思うのです。予算を組むのが原則であって、予備費はやむを得ざる場合の例外なんです。憲法の予備費の規定は私は例外規定だと思うのですよ。それはもう国会が予算をきめて——憲法全体の考えから考えてもそうでしょう。国会の議決によって政府は支出をしなければいけないというふうにも書いてある。私は、やむを得ざる場合に行政府がかちかちにならない、国民の幸福のためのやむを得ざる場合の規定として予備費の規定がある、そういうふうに考えます。時期的には今年度ということでもございますので、私はもしやるとすれば当然補正予算をもって施行さるべきものだと思います。  なお、私この点、きょうは事務当局だけにお考えを伺っておりますが、法制局それから大蔵省の主計局長なりあるいは大臣なりにさらに伺ってみたいと思いますので、この次の決算委員会には御出席を願いたい。それだけをひとつ申し上げたいと思ってまいりましたので、きょうはこの問題は保留いたします。  次に、専売局にお伺いいたしますけれども、専売局では第一次中期経営計画というものを四十四年六月にお出しになっておりますが、これはもうすでに決定をして、総裁がおきめになったものでございましょうか。
  86. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 総裁の決裁を経て、おります。
  87. 華山親義

    ○華山委員 そこで伺いますけれども、この中にたばこの耕作の問題があります。たばこの耕作の問題について、合理化という点をうたっておるわけであります。間違いございませんね。一面、あなたのほうから、たばこはどういうところに植えてあるかというふうな資料をいただいたわけでありますけれども、その中で見ますと、都市近辺のところはあまりたいしたことはないんですね。それで平地部については四百一万アール、山間については三百六十五万八千アール、大体平地と山間とは同じような計数が出ているようであります。間違いでありましたらひとつ御指摘を願いたいのでございますけれども、さらにこの注釈を見ますと、どういうふうにしてこれを区別したかということでございますが、その中で、平地部については生産力の高い地帯、こういうふうに書いてあります。農山村地帯とは農業または林業を主とするが、一般に生産力の低い山間の地帯である、こういうふうにしてこの統計が出ておるわけです。そういたしますと、あなたのほうでこの中期経営計画によってたばこ栽培の合理化を進めるという場合には、生産性の低い山地地帯からはたばこの耕作が追い払われるのじゃないか、あなたの言われるような生産性の低い山間の地帯から生産性の高い平地に移るのではないか、そういう方針をとっておられるかどうかにかかわらず、この二つの資料からはそううかがわれるのでございますけれども、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  88. 黒田実

    ○黒田説明員 先生のお手元に差し上げました資料で先ほど数字をおっしゃいましたのでございますが、そのとおりでございまして、全国平均いたしますと平地と山村との割合がほぼ半々というような状況でございますが、これは種類によりまして非常に異なっているわけでございまして、いわゆる関東以西のほうでつくっております黄色種でございますと、大体平地が七割、農山村が三割でございます。ところが関東以北が主産地でございます在来種になりますと、山村地帯が逆に七割近く、平地は三割、こういうようになっているわけであります。それからなお東北の北のほうに多いバーレー種でございますと、山村地帯が八割、平地は二割、こういうようなことになっております。したがいまして、少なくとも在来種、バーレー種に関します限りは、現在の産地が、農山村地帯が主でございまするし、それから種類の特性から申しまして、そういうところが適地が多いというふうに、私どもこれまでの経験で考えております。したがいまして、この中期計画で生産性の向上のいろんな問題が取り上げてあるわけでございますけれども、現在の在来種、バーレー種の実態から見まして、将来とも品質の面並びに生産性の面で期待が持てまするならば、山間地の在来種、バーレー種というものにつきましては、私どもやはり大いに伸ばしていくべきじゃないか、かように考えております。
  89. 華山親義

    ○華山委員 いまお伺いしたことで、大体のものの考え方が、抽象的に考えておったことがわかるのでございますけれども、私も東北の出身でございますけれども、東北地方は、子供のときから、たばこというものは山でつくるものだと思っていたわけです。あまり平地でつくるものだと思っておらない。現在では桑も山に入ってまいりましたけれども、そういうふうな状態、そこで僻地問題あるいは過疎の問題等がやかましく言われ、根本は山間地帯におけるところの産業の問題が根本だと思うのでございますが、私、このよう質問をいたしますのは、その点を憂えて申し上げているわけであります、それで、将来のたばこといたしまして、専売公社は、新しいたばこの味、ニコチンが少ないとか、そういうふうな将来のたばこを目ざしていらっしゃる。私もいただいてのましていただきましたが、ああそういうものかなと思ったのでございますが、このものと、いまおっしゃった山でつくられている品種との関係はどういうふうになりますか。
  90. 黒田実

    ○黒田説明員 従来のシガレットは主といたしまして黄色種が主体原料になっていたわけでございます。そして在来種、バーレー種と申しますのは、補充料と申しますか、そういうようなことが大体の流れであったわけでございます。ところが御承知ように、最近非常に軽いたばこというものに嗜好が向きまして、現在、そういう意味で、フィルターたばこが九割近く売れておりまするし、例の喫煙と健康の問題等も非常に関心が持たれまして、ニコチンの少ない低ニコチン、低タール、こういうような方向に嗜好が向いていくというふうに私も考えております。したがいまして、今後のシガレットの葉組みを考えます場合には、どうしても低ニコチン、低タール、それからうまみがなければいかぬ、こういうことがあろうかと思っておるわけでございます。ところがこれまでの原料のうちの主体をなします黄色種は非常にニコチンが高い、特に日本産の黄色種はニコチンが高いわけでございます。逆に在来種、バーレー種はニコチンがわりあいに少ない、それから非常に物理性がよろしいという特性がございます。それから非常に香料の吸着性がいい、こういう点があるわけでございます。したがいまして今後ニコチンが少なくて、喫味が軽くて、しかもうまみのあるたばこという方向を考えますと、極力在来種、バーレー種というものをいままで以上に葉組みの中によけい入れまして、そういうものに適当な香料を使いましていい味をつけていく。そして全体としてはニコチン、タールが少ない、こういうような形のたばこがやはり求められるのではないかというふうに私ども考えているわけでございます。そういうことになりますと、従来以上に在来種、バーレー種の使用比率というものが高まっていくのではないか、かように考えております。
  91. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、結論的には、従来山の中でつくられているたばこ、そういうものを山の中でも今後ともつくるのだ、土壌、気候等の関係もあるし、そういうところでつくるので、山の中のたばこの栽培は今後は心配要らない、こういうふうに私どもよそで言ってよろしゅうございますね。
  92. 黒田実

    ○黒田説明員 いろいろこまかい点はあるわけでございますが、私どもは中期計画、長期計画の中でも、今後この主産地の形成ということばを使っているわけでございますが、主産地の形成といいますと、新しい白紙の場所に、新しい産地をつくるような感じも出るようなことでちょっとぐあいが悪い点があるわけでございますが、これはそういう意味ではなくて、現在の産地以外の新しいところに今後たばこの産地ができるという余地はほとんどないと思っております。したがいまして、将来のたばこの産地ということを考えますと、やはり現在たばこを耕作している地帯で、先ほど申しました品質の面なりあるいは生産性の面なりでふさわしいところに集中的な産地を育成をしていく、いいますならば将来の安定した、集団的な産地を確保していきたいということが、この公社の中期計画等に書いてございます主産地の形成、ことばを平易にいえばそういうことになるかと思います。そういうことを考えますと、同じ山間地帯でも——平野部でも同じでございますか、やはり現在見ておりますと、いろいろな関係でたばこがこれ以上いろいろな条件から伸びていくところ、あるいは現状維持あるいは後退していくところ、いろいろあるわけでございますけれども、伸びていくところと言えるようなところは、やはりいろいろな面で、現地の耕作農家の方もやはり経営上たばこを入れることが得策だというようなことだと思います。そういうようなことで、おのずから産地の情勢というものもございますので、そういうようないろいろな面でたばこの耕作経営から見ましても、品質面、生産性の面から見ましても、いい場所はこれは山間地帯であろうと平地部であろうと、今後伸びていく、また私どもとしても伸ばしていきたい、かように考えているわけでございます。
  93. 華山親義

    ○華山委員 くどいようでございますが、一面から言いますと、生産性を高めることが目的であり、また集団栽培ということばも出てくる、主産地形成ということばも出てくるわけであります。それを山の中に私あてはめて考えてみますと、山の中というのは、集団的に大きな耕作をやるということはできないわけです。小さな土地がぽつりぽつりとあるわけですからね。そこに集団栽培というふうなことは、これはなかなかできない。そういう点もありますし、合理性と申しましても、その中に機械を入れるとかなんとかということは、山の中では規模の小さいところもありますし、傾斜の面もありますし、なかなかむずかしい。小規模経営の面においてまた機械等を入れたんではこれは歩に合わない。そういうふうなことをいろいろあわせ考えますと、私はどうも山の中の従来のばらばらに谷の合い間合い間に、あるいは段々畑にたばこをつくっているようなやり方は、将来整理の段階に入るのではないかということを心配しているわけなんです。いかがでございますか。
  94. 黒田実

    ○黒田説明員 私ども先ほど申しました今後の集団産地を具体的にどの場所に考えていくかということを四十四年度から調査を始めて、いろいろな条件を考えまして、将来のいわゆる農業振興地域ということを対象にしまして、先ほど申しましたようなたばこ耕作の条件を考えましてきめていきたいと思うのでございますが、ただいま先生のおっしゃいましたような、同じ農山村にしましても非常にばらばらに耕作が行なわれているというようなところも確かにあるわけでございまして、そういう極端にばらばらにいっているところを一応やはり——これは今後きめることでございますけれども、非常にまばらに入っているところまで将来の集団産地ということにはまいらぬと思いますが、しかし現在のところ、そういうような集団産地でないからたばこ耕作の希望をお持ちになっている耕作者を無理にやめていただきたい、かよう気持ちは私ども持っていないわけでございます。
  95. 華山親義

    ○華山委員 将来に不安の残る問題でございますけれども、過疎地帯の対策などということは政府が根本的にやることであって、そこまで専売局がしょえ言われても、これは無理な話です。そういうふうなこともございますが、私といたしましては、ここにあなたの書いてあるとおり、山村は非常に生産性が低いのですから、これで生産性を高めるというならば、当然淘汰されるのではないかという心配が起きてくるわけです。ひとつ今後、私の申し上げましたことを忘れないで、そういう点の善処をお願いいたしたいと私は思います。たいへんお尋ねをしましたけれども、私も決して不安は除かれません。これ以上お尋ねしてもどうかと思いますのでその程度にいたしておきます。  それで、なお第一次中期計画の面におきましていろいろな面が出ておりますが、第一次中期計画におきます、これは具体的にいろいろなことが書いてありますけれども、最も必要な、この計画を進める上にどういう経費が要るか。どれだけの原資が要るか。それはどういうふうにして調達するのかということがまだ出ておりません。全面的な計画がございますか。
  96. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 初めに先生にお断わり申し上げておかなければならぬと思いますが、この新しい長期計画なり中期計画を組みますときに、数字的にぴしっと整合性があるものをつくるかどうかを議論いたしました。いままで数字をぴしっとつくりましたものは計画いたしましてから数年ならずして非常に違ってくるという状況をしばしば経験いたしました。したがいまして今度の計画ではどういう方向づけをするか、どういう施策をやることにするかという、われわれの決意すべきことを重点にしまして、数字につきましてはそのときどきの条件に合わす、というとたいへんぐあいの悪い点も感ぜられますけれども、現実の要素を取り入れ得るような近い期間についてはっきりした計画でいこう、こういうふうに考えておる次第でございます。したがいまして、先生の御指摘ような資金計画というようなことはたいへん重要になってくるわけでございます。したがいまして、私ども、数字がどう伸びればコストとしてどのくらいのものがかかるはずであり、その間物価騰貴を見込めば、このように変わってくるであろうし、設備にはこの程度要るであろうという見通しは内部的には持っておりますけれども、正式に発表する形のものとしてはきめておらない次第でございますので御了承願いたいと思う次第でございます。
  97. 華山親義

    ○華山委員 私、詳しいことは存じませんが、第一次中期計画は、年度として何年度までにおやりになるのでしたか。
  98. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 大体五カ年ということを考えておる次第でございます。
  99. 華山親義

    ○華山委員 物価も上がりますし、いろいろな点もあると思いますけれども一般企業でありますれば計画を立てる場合金がかかるのがあたりまえなんでして、いいことばかりあるわけじゃない。金がかかって、そしてこれがどういうふうに調達されるか。自己財産からはどのくらい出るか、借り入れはどういうふうなものなのか、そういうふうな計画のもとで立てられるわけですね。またそういうものがなければ銀行は金を貸しはしませんよ。それが少しも出てないというのは少しむちゃじゃないですか。どうなんですか。何かあるんだけれども、あまり示さないほうがいいということじゃないですか。そうでないと私少しおかしいと思うんですね、何もないということは。
  100. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 公社の設備資金なり運転資金なりにつきましては、国庫の中で原則としてやっておりまして、銀行から金を借りて設備をするというふうなことになっておらない次第でございます。借り入れる道は開けておりますけれども、実は借り始めましたのはつい最近のことでございます。したがいまして国庫以外のところから資金を調達するという問題がありませんものですから、そのような銀行、金融機関への説得のための計画というものとしては、私どもまだ必要を感じていない次第でございます。
  101. 華山親義

    ○華山委員 私申し上げたのはただ一例を申し上げたので、民間企業ではそうなんだからということで申し上げたようなわけでございます。それでいまのお答えの中から出てきたわけでございますけれども、とにかく工場を新設するにしてもあるいは合併して工場をつくるにしても、あるいは新しい機械を入れるにしても、金がかかるわけであります。この金はお話によると自分のところのいろいろな資産を処分したような経費からお出しになる、したがって銀行から借りるということはない、こういうふうに考えてよろしいんでございますね。
  102. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 公社の制度は民間の制度と違いまして、非常に特殊な仕組みになっております。設備等がふえますと、それだけ資金が固定するわけでございますが、その固定する資金をどうやって調達するかという点につきましては民間の会社経営と非常に違いまして、公社はたばこの販売をいたしました利益を専売納付金として国庫に納入するわけでございますけれども、その納入する際に固定資産評価分は控除して納入してもよろしいということになっておる次第でございます。したがいまして利益のうちから留保できる資金が確保されておる。しかもいままでの現実の経営からは利益が相当あがるような仕組みになっておりますので、いま申し上げましたような資金の中で固定資産の資金手当てをやっておる次第でございます。
  103. 華山親義

    ○華山委員 そういう手当ては利益の中からお出しになって予算として組まれるということでございますが、その利益の中には財産を処分なすった分、こういう計画でございますから、当然ある工場はやめるとかあるいはいろいろなことか——たとえば何か収納所というようなものがあるそうですが、そうものをやめるとか、したがってそれを売り払ってしまうとかいうふうなことが行なわれるわけでありますね。そういうものはやはり利益の中に入ってきて、そうしてそれは経営利益、そういうものと一緒になって、そして設備のいろいろな予算ができる、こういうふうになるわけでございますか。
  104. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 総収入から総損金を引きまして、利益を計算いたしておりますが、その利益のうちには、民間会社でいいます営業利益としてたばこ売り上げなり塩の売り上げが本則でありますけれども、御指摘ような場合も収入のうちに入れるべきものと考えておる次第でございます。
  105. 華山親義

    ○華山委員 今度の第一次中期計画によりましていろいろなところが先ほど申し上げましたようなぐあいに廃止になる、こういうふうなことがあるわけでございますけれども、これによってどれだけの収入がお入りになりますか。
  106. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 現実の収入計算におきましては帳簿価格では済みませんでして、要するにいろいろな場合が起きましたときには時価計算というものを正確にやらなければいかぬという関係もございまして、私どもそこらの手続を、具体的な初期の段階においてとったらいいのじゃないかといまのところ考えておるものでございます。そしてまた処分を外部の民間経営なりほかの公社なりにするという確実な目安をいまの段階でつけておるわけではございませんでして、外部的に使う場合もあろうかと考えておる次第でございますが、そのような処分についての具体的計画をまだ組んでおりません。中期計画として組むのも非常にむずかしい性質の事柄ではないかと思っておりますので、数字として申し上げるようなものにはなっておらない次第でありますので、御了承をいただきたいと思います。
  107. 華山親義

    ○華山委員 どうもしかし何か、私も小さな会社をやったことはありますけれども、ずいぶん専売公社というのは楽なものですね。金のことは考えないでもいいのだ、こういうことですかね。われわれはとにかくいろいろ会社の合理化等のことにつきまして、小さな会社でございますがやったことがありますけれども、それに新しい機械を置きかえなければいけない、工場は建てなければいけない、したがって、いままでの敷地では間に合わないから新しい敷地を買う、そういうふうなことから土地はどういうふうにして得るか、そういうふうな計画を立てたものですけれども、専売公社というのは楽なものですな、極端なことを言えば。そういうふうなその場その場の当てずっぽうで入った金でやっていこう、こういうことですかね、極端に言えば。そういうことでこの計画というものが成り立つものでしょうか。国鉄だって私はそんなことないと思いますよ。国鉄だって計画を立てる以上は、この建設には幾らの金がかかる、これだけ不足するのだ、これをどうやって調達するかという計画を立てているわけですよ。何の資金計画もなくてということは少し乱暴過ぎやしませんかね。少し安易なものの考え方じゃないでしょうか。どうですか。そういうことを申し上げましてまことに失礼でございますけれども、私は、専売公社というものが利益の中から国庫に入れるわけですけれども、いわゆる利益というのが非常に大幅にあるものだからその中でやっていくのだ、こういうことになるのじゃないでしょうか、どうなんですかね。
  108. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 公社経営と民間経営と非常に違いますところは、先生御指摘のありましたような長期資金の調達等について、私ども従来特別の問題を起こすことなくやってまいり得たということにあろうかと思います。それは先生の御指摘になりましたように、相当大幅な利益があり、その中からの留保が予算で認められました幅の中で設備なんかをやるわけでございます。ただ予算で認めてもらうためには相当の苦労がありますけれども、国鉄等と違いまして、相当な利益があがっておる企業なものでございますから、資金繰り上に特別な問題が出てこないということだろうと思う次第でございます。
  109. 華山親義

    ○華山委員 たびたび時間の御注意もありますので、ちょっと申し上げますが、公社法律の中に、財産を処分しようとするときには、工場等の場合、国会の議決、承諾ですか、を得なければいけないということが書いてありますね。あれは一体どういうことなんですか。やはり財産の処分は重要だからひとつ国会の議決を経ようということなのか、そういうふうな工場等をやめるということは機能に影響があるから議会の議決を経なければいけないというのか、どちらの考え方に立たれているのですか。
  110. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 お答えいたします。  この日本専売公社法四十三条の十九に、ただいま先生がおっしゃいました財産処分の制限の条項がございます。これは「公社が製造工場及びこれに準ずる重要な財産を譲渡し、又は交換しようとするときは、国会の議決を経なければならない。」というふうに規定をいたしております。  こういう規定がございますゆえんのものは、私どもの解釈によりますと、公社国民から託された公社財産の中で、財産的価値の高いものにつきましてその姿を変える、つまり譲渡または交換をするということにつきましては国民として当然に関心を有することである、したがいまして国民の代表機関であるところの国会の議決を経なければならない、こういうふうに解釈しております。したがいまして、あくまでも重要な財産を譲渡または交換しようというときに国会の議決を経るということでございます。
  111. 華山親義

    ○華山委員 法文の解釈でございますけれども、そこには、工場の場合には必ず議会の承諾を得なければいけない、「製造工場及びこれに準ずる重要な」と、こう書いてありますね。そういたしますと、製造工場は必ず議会の承諾を得なければいけない。「及び」のほかは、製造工場以外のものについて重要だ、こういうふうに解釈すべきものであって、製造工場は小さなものでも——どんなものがあるか知りませんけれども、必ず議会の議決を経なければいけないのか、あるいは一番しりに書いてある「重要な財産」が一番前の「製造工場」まで響くのか、その点伺っておきたい。
  112. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 この「重要な財産」の例示と申しますか代表的なものとして製造工場というものをあげておると考えます。製造工場につきましては、当然に製造工場を製造工場としての機能を果たす一体の姿で譲渡あるいは交換をするという場合には、国会の議決を経なければならないということであります。  また、「これに準ずる」といいますのは、製造工場以外の施設でございましても、財産的価値が非常に重要であるという場合には、ケース・バイ・ケースに判断をして、場合によっては国会の議決を経なければならない、こういうことであろうと考えております。
  113. 華山親義

    ○華山委員 重要であるという判断はどこがしますか。
  114. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 「これに準ずる重要な財産」というのは、公社が判断をすべきものと考えます。
  115. 華山親義

    ○華山委員 公社が判断をして、これは国会の議決を経るほどのものだ、これはそれほどのものではないということを公社で判断をするわけでございますね。——そうしますと、どの程度のものをいまの時価で標準にしていらっしゃいますか。
  116. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 これはやはりケース・バイ・ケースに考えませんと、一がいに価格においてどのくらいのものとかいうような基準は出せないものと考えます。
  117. 華山親義

    ○華山委員 私考えますけれども、とにかくこれは専売公社のものであろうとも財産というものに重きを置いて、その処分ということについては国会の承諾を得るということになっておりますね。だけれども、それが一つのまとまったものと限っておることはないと私は思う。たとえば収納所のように個々ばらばらにたくさんあるものを、年次計画等によって売却した、交換したという場合には、その総計というものは相当な巨額に達する場合だってあると私は思うのです。偶発的に一年に一カ所や二カ所だったならばないかもしれない。しかし今度のような計画によってやろうという場合には、あるいは収納所というものを全廃しようというふうなことになろうものなら、膨大な金額になると私は思う。それが工場でない、一つのものでないからといって、小さなものの集まりだからといって、議会の承諾を得ないというふうなことでは、私は済まないのじゃないかと思う。ということは、先ほどおっしゃったとおり、財産ということに重きを置いてやっているんだ。それだから専売局において財産の移動が大きく行なわれる場合は、それが一つのたとえば工場であるとか、一つにまとまっていなくても、多くのところに散在するものであっても、グロスとして大きく移動する場合には、国会の承諾を得なければいけない。これが立法の考え方じゃなかったのか。立法する場合には、現在のような中期経営計画とかいうふうな根本的な改革というふうなものは考えておらなかったと思うのです。したがって、今度のよう一つの計画としましていろいろなものが廃止されるあるいは交換される、グロスとしてやはり国会の承諾を得なければいけないのじゃないか、こういうふうに私は思いますが、どうでしょう。
  118. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 私どもの解釈は、ただいま先生がおっしゃいましたような解釈はいたしてないわけでございまして、あくまでも個々の財産につきましてその財産的な重要度、財産的価値というものを判断をいたしまして、国会の議決を得るというふうに考えております。  なお、今度の中期計画実施の過程におきまして、統廃合あるいは廃止というようなことが行なわれる工場の数は相当あるわけでございますけれども、その統廃合あるいは廃止の結果といたしまして、譲渡あるいは交換をしなければならぬ、処分をしなければならぬ、そういうケースはこれからどの程度になるかまだわからないわけでございます。統合あるいは廃止に伴いまして、あとそれがまた公社の施設として転用される余地もあるわけでございます。そういうような点も考慮をされるべきであると考えます。
  119. 華山親義

    ○華山委員 私お聞きしているのは法律論をお聞きしているわけです。いまおっしゃったようにいろいろこれからそういう場合もあるだろうということでお聞きしているわけじゃない。ただしかし、こういうふうに根本的な専売局の機構の改革なりそういうふうなものが行なわれる、一年間に生ずるところの財産の処分というものは、交換なり売却なり相当の額に達するだろうと思うのです。それが一つ一つが小さいからそれはもういいんだ、それは法律の筋ではないのじゃないか。先ほど理官がおっしゃったとおり、国民の財産だから国民の代表の国会の承諾を得るんだというならば、処分が大きければ、まとまったものとしての承諾を国会で求めなければいけないのじゃないか、こういうことを私は申し上げているので、いま監理官のおっしゃったことが私にはお答えにならないと思う。いまここで総裁もいらっしゃらないことでもありますし、また大蔵当局の政治責任者もいらっしゃいませんから、いま確定的なことは御返答いたしかねるということであるならば御研究を願いたいのでありますけれども、この立法の趣旨からいえば私はそうだと思う。幾ら小さなものでもまとまれば大きなものですよ。一つ一つのものが小さいからといって国会の議決は要らないのだ。そういうことじゃない。それは、機能説をとるならば、これは別だ。一つの工場をやめる。それは工場としての機能をなくすからということでないので、財産ということに重きを置いてやるのだ。重点はそこにあるのだということならば、私の考え方のほうが正しいと思う。その点いまここであまり確定的なことをおっしゃいますと、また私は大臣等に聞かなければいけない。保留しまして私はお尋ねを今後いたしますから、その点ひとつ留保しておきます。
  120. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 先生御指摘の問題、法律解釈としてたいへんむずかしい点を確かに御指摘になっておると思います。派生的に申しますと、国鉄にも専売公社にも同じよう規定として初め入れられたようでございます。国鉄の場合を考えますと、機能説によったほうが解釈が通るという面があろうかと思います。専売公社の場合におきましては、たばこの製造というものは公社だけが行なっております関係上、国鉄にありますような輸送施設としてそのままほかの民間の私鉄へ売るということが国鉄にはありますけれども公社の場合にはないというちょっと違った筋がございます。したがって、私どもなかなか機能説では筋が通りませんところを財産価値説、折衷説で考えておる次第でございますが、なお御指摘ような問題につきましてはよく検討いたしたいと思います。
  121. 華山親義

    ○華山委員 それで、私いまここで時間がないとおっしゃいますから申し上げませんが、何か私専売のやり方を見ておりますと、どうも売ったんじゃめんどうくさい。一般会計の歳入になってしまうのだ。交換したほうがいい。交換しておけば自分の財産に残るからというふうなことで——私はそのことはわかりますよ。大蔵省というのはやかましいのだから、売ってしまって利益が上がればそれだけ納付金として政府のほうにとられてしまう。そんなものはばかばかしいから、そういうことでなしに、ほかのものと交換したもので持っておこうというふうなこともあるようですね。これはそういうことはありますとおっしゃらないかもしれませんけれどもね。私はそういうことも考えられますよ。どうなんですか。その点正直に言ってあまりここで聞かないほうがよろしゅうございますか。そういうことは頭の中におありになるんじゃないですか。本来ならば、売ってしまって利益が出た、先ほどおっしゃったとおりそれも収入になるのですから。そうすれば政府に出す納付金が多くなる。そしてまた予算を組んでもらう。めんどうくさくてしようがないからひとつ財産として持っておこうというようなことはありませんか。
  122. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 経理の仕組みが、不動産を処分しました場合に納付金の増になってしまうという関係がありますことはある程度御指摘のとおりでございます。しかし手続がめんどうくさいからというようなことでぶしょうを起こしまして交換を考えておるわけでございませんので、それは必要に応じてやっておることでありますので、御了解願います。
  123. 華山親義

    ○華山委員 いま追及しませんけれども、おかしなものがありますよ。私ここで私は質問をとめますけれどもあとでどなたかおいでになりまして、私いただきたい資料がありますので、その点ひとつ出していただきたいと思っておりますが、委員長、その点ひとつお認めおきを願いたいと思います。
  124. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 吉田賢一君。   〔鍛冶委員長代理退席、田中(武)委員長代理着席〕
  125. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうは大臣は余儀なき用務のために出席できないようでありますので、事務当局に行管の扱う各般の行政改革について事務的な点を伺います。ただし、時間もないことでありますから、できるだけ簡単明瞭に問答を続けたいと思いますから、ひとつそのつもりでお願いいたします。  まず第一点は、最近、本年八月二十日に決定を見ました行政監理委員会の行政改革の緊急課題に関する決定意見の問題であります。これにつきましては、去る七月十一日に閣議決定があって、政府の行政改革三カ年計画が決定され、また八月の六日にはすでに自民党内部でも行政改革の試案なるものが、前の管理庁長官の木村君が委員長として決定し、社会に発表を見ておるのであります。なお、われわれにも案がありますけれども、いま発表の運びには至っておりません。こういう際でありまするので、この監理委員会の決定意見なるものは相当重視してよいものではないか、こういうふうに考えるのであります。つきましては、行政管理局は事務担当局でありまするので、この八月二十日決定の事項については、扱い方はどういうふうにするつもりでありますか。
  126. 河合三良

    ○河合説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話しの行政監理委員の御意見でございますが、この御意見は、これは六月ごろでございましたか、行政監理委員の、委員長を除きました六人の委員方々が政府の行革を激励するという意味を込めまして、六人の先生方の識見に基づかれまして、現在の段階における行政改革上の問題点を指摘されたものでございます。そういうものでございまして、政府といたしましても、これは重要な参考資料として勉強さしていただくという姿勢でおります。  この六人の監理委員方々の御意見が八月二十一日に行政監理委員会委員長としての荒木国務大臣に手交されまして、その内容につきまして私ども勉強さしていただきまして、行革上の重要な参考資料とさしていただきたいというふうに思っております。
  127. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 行政管理局はこの委員会の運営上、事務に参画しておるはずでありますが、重要な事項の決定でございますので、あらゆる資料の収集などはやったのですか、やらぬのですか。
  128. 河合三良

    ○河合説明員 行政管理局として、この六人の委員の先生方の作業に管理局としては参加しておりません。この委員会の六委員の先生方がこういうことをやろうというふうにお考えになりました際に、これは役所としての仕事ではなくて、六人の委員の識見に基づく意見として提出するということでございますので、管理局といたしましては、局といたしましての作業はいたしておりません。
  129. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしながら、行政監理委員会なるものは法律によって設置された委員会でございます。またあなたのほうの管理局は、これもまた設置法に基づきまして当然監理委員会の事務担当の唯一の局なんであります。しからば参考意見にしろ、いずれにいたしましても重要な監理委員会の意思決定の過程におきまして、あなたのほうが事務的に参画しないというようなことは、私はやはり事務連絡は適当にあらずと思うのです。こういうことでございまして、もしこのようなことが絶えず繰り返していくということになるならば、これは監理委員会の一部が独走するということになって、しかして監理委員会そのものは社会的には重要な機関として今日は認識されておるのであります。そういうことになるのでありますが、その辺の食い違いを適当に調整していくというのも、補佐役としての事務当局の重要な仕事でなければならぬ。おまえのほうはかってにしなさいというようなことでは、法律に基づいた委員会の運営に参画すべき事務当局としてはやはりどうかと思いますね。しからば進んで提供するとか、あるいはいろいろな意見を求めるとか、何か参画するということでないと、そのようなちぐはぐでありましては、参考意見といえども、第一行政管理局自体も何も知らぬじゃないか、そんなものを内閣の参考意見にするといったところで、これはやはりもう一つ不備な点があるんじゃないか、こういうことになって結局権威のないものに終わりやしないか。しからば、さきに指摘いたしました閣議決定の七月十一日のあの三カ年計画にしろ、ないしは自民党も公然と発表いたしましたこの改革案にしろ、そういうものと対比しまして国民は比較検討しようとしましても、帰趨に迷います。その辺は相当私は積極性をもって参画していかれることが、事務当局としてしかるべき態度だと思うんですね。どうですか。
  130. 河合三良

    ○河合説明員 お答え申し上げます。  監理委員会法律に基づきます所掌事務としての仕事の場合には、これは当然事務局として管理局のみならず行管全体が、その役所として御協力申し上げるべきものだと思っております。ただ今回の御意見につきましては、この御意見をつくろうというようなことをお考えになられました初めに、やはりこれは役所という組織とは別に監理委員会委員である六人の学識豊かな先生が、こういう行革問題についての意見をまとめてみようという御趣旨でございまして、そういう意味から事務局としての行管を、役所の機構としてそれを利用するということはむしろ避けるべきだというようなお気持ちもあったように私は拝察いたしております。しかしながら資料その他につきましては、事実上の便宜につきましては、もちろんできるだけおはかりいたすようにいたしておりましたので、そういう点で事実上資料のこういうものがあったらという際には、積極的に御協力はもちろん申し上げたわけでございまして、ただ役所といたしましてこの先生方の御意見を作成されます際に参画いたしましたということにはなっておりませんわけでございます。またこういう点につきましては、今後とも先生の御指摘も十分に体しまして、慎重に処理していきたいというふうに思っております。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、行政改革がもし重要であるという認識に立っての委員会の運営であるならば、また行政改革本部もあなたのほうの管理庁にあるわけでありますから、行政改革の最も重要なる、中枢的な機関とも見、あるいは立案すべきもとであるとも見るわけであります。物価問題における企画庁のごとき役割りを持つべきではないか、そういうのでございますので、またすでに第一次、第二次案というものも出ております。このたびは第三次であります。この内容を読んでみましても、相当猛烈に政府の冬眠的な状態を、いうなら非難的な字句が使ってあります。この文句が適当かどうかということは、私は必ずしも批判いたしません。いずれにいたしましてもそういうことになっていきますと、ますますいうならこばかにされちゃう。唯一の監理委員会がこばかにされるというようなことでありましたら、結局国民を無視した、遊離した、そうして行政府と全く相離れました存在ということになってしまいやしないか、いうならば六人の個人が茶飲み話にきめた話であるということにされてしまうのではないだろうか、そんなようなことでいいのだろうか。かりにも日刊新聞全部に堂々と発表いたしましております。しかもその全文を発表した新聞すらあるのです。このようなことを思いましたときに、行政改革の重要性にかんがみまして、茶飲み話のように茶化されてしまうというような結果になるということがもしありとするなら、これはゆゆしいことであります。でありまするので、事務当局のあなたらとしましても、これは重大な傾向であり、事実である、そしてこれは一つの教訓としてわれわれはさらに考えなければならない。言うなら事務当局もばかにされちゃっておる。また行政管理庁というものはあってもなくてもいい、むしろそんなものはむだな存在ということにしまいにされてしまう危険なしとしませんです。反対はそうなるかもわかりませんよ。行政改革は必ずしも全国民の絶対支持をいま受けておりませんです。だんだん猛烈な反対空気も出るのでありますから。しかしこれは至上命令として日本の行政の時代の進運に適切に順応せしむる機能強化、改善等々のためでなくちゃならぬ機関であり、またそれは大きな方針でなければならぬ。佐藤総理もしばしば臨調の答申を尊重するということを繰り返しておるのであります。だからその点についてはまた一ぺん一きょうはこれ以上申しませんから、十分内部的に御検討ください。そうしてあなたらも今後のあり方について、監理委員会の運営等につきましてもそういうことにならぬようにひとつ御要望を申したいのであります。これは答弁よろしゅうございます。検討してください。  それからこの内容につきまして若干触れていきます。第二でありますが、ここで指摘しておりますのは「総合調整機能の強化」の問題であります。これもいまあなたの前提の御答弁によりますと、結局権威のないものを前提とした問答になってしまって、あまりこれは価値がないかもしれません。なぜならば、そんなに十分検討したことがわれ関せずえんということになって、行政管理庁は何も責任ないのだ、六人の方々がかってに寄ってつくったものだ、ただ政府が参考にするらしいということになっちゃう。でございますから、問答がたいした価値がないかもしれませんが、私はそうは思わない。たとえばこの意見は尊重すべしという新聞論調も随所に見るのであります。これはやはり国民の要望であります。これは鋭敏につかまなければいけません。そういう点も考えていきたい。  そこで、いまの総合調整機能の強化の問題でありますが、これはすでに臨調の答申で三十九年にできました当時から詳しく指摘しております。これはいまさら私がとやかく申すまでもございません。問題の所在といたしまして、内閣を構成する国務大臣が行政長官を兼ねておるというところに困難な問題がありということを指摘しております。これは要するに官僚のなわ張りということを含むこともあるかもわからぬ。さらに与党の政府に対する姿勢、態度の問題もある、こういうことになります。もちろんこれはいまの憲法が議院制内閣でありまするから、与党と政府は一体の関係にあることは申すまでもありません。しかし与党の個々の議員とか、あるいは一部の与党が政府を動かすということはとんでもないことであります。これは政府への干渉であります。政府への干渉で三権分立の趣旨に重大な侵犯であります。でありますから、やはりとの点は厳に重大な問題点として指摘しなければならぬ。これはもう臨調が明らかに言っておるのであります。与党内において十分に調整された意見でなくても、どんどんかってに個人やら一部の者がどんどん持ち帰っていって、そして自分みずからの私物のごとく扱うおそれなしとしません。これはもう日本の行政の大きな弊害になっております。これは中央地方を問わず、大きな弊害になっておることは申すまでもないのであります。その辺を断固として明らかにしていく、そしてためていくというところに基本的な目標がなければならぬ。内閣の行政総合調整機関を強化するという問題につきましてはそう思うのです。やはりこの問題は臨調の答申が基本的には正しい、この基本線に基づきまして、これをたたき台にいたしまして十分に案を立てるべきである。もちろんここに指摘してあります意見は大体この線によっておるようでありますから、私はこれもいいと思いますけれども、やはりこういうときは、これはあなたは責任ないのですけれども、もっと根拠を明確にして、内容を具体化して、資料も明らかにして、その上で国民を納得させるというふうにあってほしいです。しからざれば、別表に資料を添付するようにしてもらいたいと思うのです。そうしないと、単純にそんなつまらぬ無力なものを、たとえば補佐官をつくるとか内閣府をつくるとか総務庁をつくるとかいったところが、そういう無力なものをつくったところが、予算編成について予算権、財政権の主管庁である大蔵省ががんとして控えておる以上は、それは昼あんどんになってしまって何にもならぬ。だからトップマネージメントのそういうものが発揮できない。結局内閣強化にならぬということになるおそれあり、こういうことになります。これはもう相当重要な点ですわ、バックボーンですわ。こういう重要なところを突いていこうとするならば、やはり相当広範な根拠に基づきまして、これでなければいかぬ、だからここを改めるのだ、こうしよう、予算編成権ここにあり、国民がそれを信頼して可なり、しからばいまのようなばらばら行政、ばらばら予算にならず、国民がほんとうに求めるところの政策の実行に必要な予算がそれぞれ配分されていく、だから三カ月も四カ月も予算編成に費し、予算のぶんどり合戦をして、九月に予算の審査が始まって十二月になってまだきまらぬ。三カ月も四カ月も予算をひねくり回すというところに、ほんとうを言うなら客観性がないわけです。予算の要求自体に客観性がない、客観性がないというところにそれを審査するほうにもしゃんとしたものがないということになります。そこへ行くと議論が分かれてきますけれども……。だからその辺はもっと広範な土台、根拠、前提に基づきましてこのような結論、具体的な提案をしてしかるべきだ、私はそう思うのですが、しかしこれもあなたと問答の最終をしようとは思わぬけれども、あなたが事務当局としてお考えになりました点だけをちょっと述べておいてもらいたい。これは大臣とまた問答しますけれども……。
  132. 河合三良

    ○河合説明員 ただいまのお話の前段につきまして、監理委員の御意見が茶飲み話として受け取られるおそれありというふうな御指摘がございましたが、私どもはもちろん決してそういうつもりでございませんで、大臣もその点につきましては御激励をいただいてこれは大いにけっこうなことである、参考にすべき点を大いに取り上げていくべきであるということをはっきり言っておられますし、私ども事務当局といたしましてもそういうつもりで対処いたしております。  また、ただいまの内閣機能の強化の問題につきましては、これはまさに御指摘のとおり現在の行政機構あるいは行政運営の問題の非常に重要な問題点、おそらく最重要点の一つというふうに理解いたしております。そういう意味におきまして、この監理委員の御意見の内容はもっと具体的にあるべきであるという御指摘でございましたが、私も具体的にお示しいただくことは非常にけっこうでございまして、それはそうなっておりますればさらによかったと思いますが、監理委員の先生方の大体のお考えは臨調答申が前提になっておられますように理解いたしておりますので、臨調答申の趣旨に沿ってこういう線をお出しになったというふうに理解いたしております。  また私どもの立場におきましても、これは御承知ように行政改革の三年計画の第二次計画の検討項目の第一といたしまして、内閣の総合調整機能及び企画機能の強化という問題を検討するということを打ち出しておりまして、その問題につきましてできるだけ早い時期に着実にできるものからそういう検討の結果を実施に移していきたいというふうに思っております。そういう意味から申しましても、この監理委員会のお考えと方向につきましては、私は合致するものがあると思いますので、大いに参考にさせていただきたいというふうに思っております。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次に、「行政需要の変化に伴う対策」という個所です。これについて問題が二つあるわけです。一つは行政需要の対策ということは最も重要な行政改革の一つの目標であり、また前提になっていかねばならぬと考えるのであります。  そこでまず先に指摘したいことは、ここにあげております科学技術行政に対してどうあるべきか、それから物価行政に対してはどうするか、中小企業をどうするか、この三つの点が一応要約されておるのであります。ところがこれは科学技術行政にいたしましては、これはやや行政機構自体の新しい検討が一つの相当重要なことになっておるということは認められるのであります。認められるのでありますけれども、やはり、たとえば原子力、海洋開発、宇宙開発、情報技術、こういうような諸般の問題を前提といたしまして、そうして長期計画の作成などに触れていきなどいたしております辺は、これは科学技術行政なるもののもっと長期計画的な政策の大綱、どうあるべきかという最も重要なことでございまするので、そこまで一体、行政監理委員会、もしくは研究課題としての行政改革というものの意見を広げていくというのは、これはちょっとオーバーしてはいないかというふうな感じがするのが一つ。  それから、物価行政の問題でありますが、物価行政になると、物価安定のためには、これは安い食料品を外国から輸入したらどうか、輸入規制がされておっては、これは物価安定の時期が来ないんではないか、こういうことになっておる。それで安いものを外国から入れる。よろしい、入れて、国内の生産は一応押えてしまう。外国が高うなったらどうなるか。そのときは、また適当に生産を奨励したらいいじゃないかということになったら、まさにこれは日本の物価政策の政策上の重要な綱領になってきますね。そういうことになるんじゃないか、そう思うのでありますが、ここに書いておりますのは、大部分そうではないかという印象をどうも受けるのであります。これが一つ。  それからもう一つは、第三番目の中小企業行政の問題でありますが、中小企業行政につきましても、これは貿易振興とかあるいは輸入の増大であるとかあるいはジェトロと提携しろとか、また輸出相談所を設けろ、これはよくわかる。これは中小企業の近代化の推進等々、あるいはコンサルタントの活動が必要であるというようになってきますので、これはまた中小企業行政の面が半分以上あるんではないか、こういうふうに感じるのです。  結局この三つの、科学技術行政、物価行政、それから中小企業行政なるものは、むしろ本題を行政改革ということよりも、それそれの政策面を重視した扱い方になっておるんじゃないかということ。したがいまして、これは重要なことに間違いないのですけれども、あなたのほうは、行政管理庁といたしまして、あなたの話、監理委員会の職権、職責といたしまして少し逸脱するおそれはないだろうか、こう思うのです。  行政管理庁設置法の第二条一、二、三、四、四の二これまでを含む様子でございます。それから監理委員会設置法の第二条一項の一、二、三、四、五、六、全部含みますね、ということになるらしいんだが、この条文の趣旨を通読してみましたときに、ややこれはオーバーしないだろうかという疑問なしとせず、こういうような疑いがあるのです。  そこで、あなたとして、行政管理局長といたしまして、これに対する所見を一応承っておきたい、こう思うのです。
  134. 河合三良

    ○河合説明員 お答え申し上げます。  ただいまの吉田先生の御指摘は、私もまさにそのとおりの感じを受けておるわけでございまして、監理委員の六人の先生方からいただきました御意見は、いわば私どもがふだん直接事務の対象といたしております行政機構改革あるいは定員管理という面よりも若干高次元の御意見が含まれているというふうに理解いたしております。その辺も、これは初めの問題に戻りますが、監理委員会としての正規のワクの中の御意見ではなくて、六人の監理委員としての、学識経験を持たれた先生方の御意見というふうに理解いたしておるわけでございまして、政策問題につきまして、私どもはその政策問題をどうするという問題ではないと思います。政策問題に関連いたしまして機構あるいは定員の問題が生じました際に、これは私どもが当然所管として事務処理をすることになるわけでございますが、政策自体は、これは政府全体あるいは内閣、それぞれ所管大臣がおられまして、所管大臣のお考えに基づきまして、場合によっては内閣、政府全体としてきめていかれるべきものだ、行管においてそれを処理するべき性質のものではないというふうに思っております。ただ、そういう政策の問題に関連いたしまして、当然機構、定員の問題も出てくるかと思います。そういう際には、私どもは、当然私どもの所管として受けとめるべきものというふうに理解いたしております。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの、科学技術行政、物価行政、中小企業行政、これは国民生活に密着したきわめて重要な課題のみでありますので、いろいろな角度からわれわれは、国会としまして取り上げつつあり、また今後さらに取り組んでいかなければならぬ、こう考えております。おりまするので、もっと別のいろいろな角度からこれは検討することにして、きょうはちょっと保留しておきましょう。  そこで、これらの諸問題の解決につきましての重要な一つのかぎは別にありと思うのです。   〔田中(武)委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕 それはやはり第一の総合調整行政にもつながっていく問題でありますが、もっとやはり、第一、予算作成につきまして、PPBSの導入について積極的な姿勢をとるべきではないか。そういうことにつきまして、できるだけ正確な資料を集めまして、そしてこれを適当な方法も設定して、いかにしてこれを実現するかということの考えも具体化して、これらをトップがそれぞれ判断をせられて、そしてそれを正確に見、また予算化する、これを実行に移す、こういうようなことが前提に立っていくならば、私は、これらの諸問題の解決についても、これは相当解決の道があると思う。  物価問題について、前国会におきまして私は菅野長官にもこの点については相当指摘した次第でありますので、あなたのほうのPPBS導入に関して、日本の全体の行財政についての導入について、どのようなかまえで取り組んでおられるのか。むしろ行政管理庁といたしましては相当積極的な姿勢でこれは取り組むべき問題ではないか。制度に直接つながる問題であります。  もう一つこれにつながる問題として、例のコンピューターの行政活用という問題であります。これはすでに去年の八月三十日、閣議決定におきまして、このコンピューターの活用ということは広範にせねばいかぬということはされております。また、アポロ十一号が月に到達いたしまして以来、日本におきましても、この電算機の活用というものは、これはが然企業内におきましては一つのブームさえ巻き起こさんとするのであります。こういう際でございます。ひとり停滞いたしましてこれを活用し得ないのはなお行政面であります。行政管理庁たるものは、このようなときに、このような課題について、積極的に取り組むことが、これは当然であろう、こう思うのです。そういたしまして、また、閣議のみならず、各党間におきましても、私どもの党におきましても、積極的にこれは研究を進めております。自民党内におきましてもこれは研究せられたその成果が最近にも発表された次第であります。こんなときでございまするので、このコンピューターの行政活用という面につきましては、行政管理庁は相当重大な関心を持っていると思うのだ。だから、PPBSの導入の問題、どの範囲に実際に導入し得るかというような構想あるいは具体的な試案でもありやいなや、コンピューターの行政活用について一体どんな準備とあなたのほうは取り組み方をしておるのか、この二点を、これも簡潔に事務的にのみ答えておいてください。
  136. 河合三良

    ○河合説明員 お答え申し上げます。  第一のPPBSの点でございますが、お話しのとおりに、たいへんに今後の事業計画あるいは予算計画に重要な技法であるというふうに考えております。ただ、これは、直接予算と関連いたしますので、現在の段階におきましては、大蔵省の主計局におきまして、このPPBSの手法を導入することを各省と連絡調整しながら検討いたしておりまして、各省の関係官が大蔵省を中心にいたしましてPPBSの手法の導入、特にこれは予算計画に活用するというような立場から検討をいたして勉強をしておられるところでございます。  ただ、PPBSにつきましては、これは申すまでもなく、アメリカの国防省が、マクナマラ前長官当時に始められたものだそうでございまして、それを国防省以外のアメリカ政府の全省庁に徐々に及ぼしているというふうに承っておりますが、やはり業務によりましてはこれをそのまま導入して適当にこれが利用できるものとできないものとあるようでございまして、現在国防省以外の省庁におきましては、PPBSの導入は必ずしも円滑にはいっていない。しかし、一、二の省庁におきましては非常に円滑にも進んでいます。しかし全般的に見て必ずしも円滑に進んでいるとも言えないというような状況のようであります。と申しますのも、PPBSを適用いたしますためには、そのための基礎資料その他非常に完全な準備が要りましょうし、またそのための文書管理その他も統一的なものが必要だと思いますので、そういう意味で準備段階が非常に必要である。まさに着実にこの採用について歩を進めていくことが必要だというふうに思っております。着実でありますが、しかしながら大いに積極的にやるべきだということは、もちろん言うまでもない点だと思っております。  ヨーロッパ諸国におきましてもPPBSの問題はやはり検討を開始されているようでございまして、現在アメリカで各省庁におきましてうまくいってないところがあるにいたしましても、将来はそういう方向に、いろいろな基礎的な条件が整備いたしますに従って、そういう手法が活用されていくに違いないというふうに思っておりますので、日本でもできるだけ早急な準備、勉強と、しかしながら着実なその採用とを行なっていくというふうに思っております。  コンピューターにつきましては、昨年ただいま御指摘の八月の閣議決定がございまして、それに基づきまして行政管理庁が世話役をいたしまして、関係省庁の担当課長を集めて数次の会議を行なっておりまして、その会議を通じまして各省のコンピューター業務の合理化、高度化あるいはその統一あるいは要員の養成の問題というような点について寄り寄り協議しておりまして、昭和四十五年度の予算査定におきましては、そういう各省庁の準備的な検討を基礎にいたしまして、できるだけ全省庁の統一的な形がとれたような、有機的な関連のあるコンピューターの体制に持っていけるというように検討いたしております。  なお、技術的な点につきましては、工業技術院に全省庁、二十六省庁集めました技術的な研究会が開催されておりまして、その中で機械のハードウエアの問題、ソフトウエアの問題、標準化の問題、そういう技術的な問題の研究をいたしております。その研究の結果を私どもいただいて各省庁にお答えするというよう関係になっております。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 PPBSがマクナマラ国防相の専売的な考え方というのはもう古いですよ。もうすでにジョンソン大統領が号令しておるのですよ。あちらこちらでまだ十分に徹底しない、あるいは行なっておるところあり、行なわないところあり——当然ですよ。これはそんな簡単にさっとできるなら、今日まで予算制度の問題についてはかくまでも難航しません。事業別予算制度につきましても、それを実施するについて、全国に市民委員会を設置して、そしてあらゆる方面から理解を求めるということの努力もあったぐらいです。ですからそれは簡単にいきません。いきませんけれども、事重大であります。ことに日本においてはもっと切実にこれは取り組むべき必要がある、こう思うのです。それでありますので、いまおっしゃるように、大蔵省の予算の関係があろうとなかろうとにかかわらず、大蔵省であろうと各省庁であろうとそれぞれ行政庁は独立だし、対等なんですから、あなたのほうでPPBSの導入について必要とするならば、研究するならば、予算要求したらいいです。来月から予算査定に入るんですから。そんな問題もありますから、大蔵省の姿勢待ちというようなへっぴり腰じゃこの問題はなかなか推進できません。コンピューターにいたしましても、もう民間においてはどんどんやっております。とにかく何か知らぬけれども、行政は間が抜けていますよ。能率があがらぬし、停滞しておるし、何かやかましく言われて、しりたたかれてそれでもなお反対している。被害者はみな国民ですよ。そういうことでございますので、コンピューター革命というものは——そんなことばまで使われるくらいであります。そういうこともいずれこれはまた正式に問答いたします。具体的な資料に基づいてしますから、よく相談して、吉田がこんなことを言っておったと大臣にも言っておいてください。PPBSにつきましては、総理府におきましても、外務省、通産省、建設省、運輸省、農林省等々におきましても相当——われわれもわれわれなりにいかに導入可能かというような辺の指摘したものも持っておるのです。きょうは言いませんけれども、そういうものもある。だからあらゆる資料に基づきまして、そして正確な、広範な資料がたくさんに要る。これは当然ですよ。そんな簡単にだんごをつくるようにできやしません。これはもっともであります。  それから次は、もう時間がなくなったので、簡単に、あるいはもうこれは答弁なしに資料でももらいましょうか。文書で答えてください。  次は、自治省が昨年七月全国の地方公共団体にいたしました百二つのアンケートの行くえの問題であります。これは昨年十一月二十日に各省庁から自治大臣あてに回答が来ております。反対あり、反対多し、賛成は若干、そうしてその間にまた態度保留、検討中というのもございますが、これが自治省から行政管理庁に回付され、行政改革本部のほうに回って、あなたのほうの行政管理庁でこれを今日相当練っておられるはずです。すでに約一年近く経過したのであります。こういう問題でございますので、現在の時点におけるアンケートの行くえ、どうなっておるのであろうか、どのよう理由に基づいて反対するのであろうか、あるいは検討しておるのなら何を検討しておるのであるか、その賛否にかかわらず財政的にどういう影響があるであろうか、こういう辺を少しデータに基づきまして当委員会にあてて文書で回答してください。これも非常に重要なことでございまして、財政運用上、予算の執行上きわめて重要なことであります。中央地方を通じまして重要な関係であります。  それからもう一つは、これももう時間もないから、手数ですけれども文書で答えてくれませんか。一点は、結局は、私は行政の運営というものは人間だと思うのです。だから人の関係がはっきりしなければいくまいと思うのです。ところが、最近NHKでありましたか、全国の公務員諸君に対して、一体あなたらは国民に対する奉仕者かどうかというようなアンケートのようなものを出したら、どうもはっきりしなかったということもうわさに流れております。しかし、憲法第十五条の第二項によりますと、公務員は全体の奉仕者、こうなっておる。一部の奉仕者にあらずということが明記されております。もちろん現行憲法は基本的には国民主権の憲法でございますので、これに基づきまして一切の行政は成立しております。国会といえども国民の厳粛な信託以外には何もないわけです。だから国会といえども唯我独尊的なつらをしていくわけにまいりません。でありますので、行政の立場は尊重いたします。けれども行政がまた官僚王国的な考え方になったらたいへんであります。だから、すべてにおきまして、一部の奉仕者にあらず、全体の奉仕者である、これに徹底するということも行政運営の一つの重大な考えであります。むしろバックボーンではないかと思うのであります。行政改革、そういうところまで踏み込んでいくなら、これは公務員制度の改革につながってまいります。  それから第二点は、行政の改革といえども財政の改革につながるのでなければ、それは国民の立場からすれば興味索然たるものであります。行政改革によって税金が安くなるとか、手数が省けますとか、どれだけ労力が省けるようになります、便利になりますとか、そういうことが、広い意味における国民へのサービスが行政の至上命令である。そういうことを思いましたならば、行政の改革は即財政の改革につながるべきである、こう思います。行政、財政は表裏一体の関係にある、こういうように思います。そういうように思いますというと、やはりもっと予算の制度、予算の執行ないし決算の制度、こういうものにつきましてもっと機構的にも何かつくらねばならぬのではないか、こう思うのであります。何べんも言うておることですけれども、予算は使うたら使いっぱなし、あとは野となれ山となれ、国民はもう忘れてしまう。足らなかったらまた税金を取れ、税金を取られて夜泣きしようが破産しようが御自由、これが日本の行政です。そんなことをしておるから大学にゲバ棒が入ってくる。そういう責任はやはり三権を主管するものが負わねばならぬ。こう考えましたときに、私はやはり行財政の全体につきましてもっと深刻に批判するような機構と運用とあってしかるべきであると思います。こういう観点からいかねばならぬと思いのです。ひとつ、しゃべって悪かったけれども、これを速記録を読んでからでもよろしい、ちゃんと政府の所見として答弁をまとめるようにしてください。そして文書で出してくれませんか。簡単でよろしゅうございます。そうしてこれらを台にしてまた大臣と問答しますよ。一応時間がないので終わります。
  138. 河合三良

    ○河合説明員 ちょっと一言御答弁さしてください。  ただいまの一般所管につきましては、財政的なという点につきましてなかなか資料がまとまるかどうかむずかしいと思います。現在行政管理庁におきまして各省との間の調整をはかっておりますところでございます。  公務員制度につきましては、これはどうも私ども実は所管をだいぶ離れますので、もちろん公務員制度にいろいろ問題点があるということは個人的には承知いたしておりますが、行管といたしましての所管を若干離れると思いますので、その点は……。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 何かあとでちょっと文書を出しなさい。あなたに所管を離れたことを述べてもらってもしようがない。よそのことを述べてもらってもしようがない。何か文書を出してください。
  140. 河合三良

    ○河合説明員 行管としてそういう文書を作成するのは、行財政につきましてそれぞれ所管がございましてむずかしいと思います。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それなら帰ってあなたのほうの長官とも所管の担当官ともよく相談いたします、こういうふうにして相談して、その上で次の機会を見てまた聞きますから、御用意を十分しておくというよう意味にしてください。
  142. 河合三良

    ○河合説明員 そういうことで研究さしていただきます。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わります。
  144. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 浅井美幸君。
  145. 浅井美幸

    ○浅井委員 私は、厚生省所管事項についてまずお伺いしたいのですが、昨日の新聞報道に東京都の老人医療の問題について報じられておりましたけれども、これについて二、三伺いたいわけであります。  まず第一番に、現在わが国の老人の問題でありますけれども、六十五歳以上の老人の実数は全国でどのくらいおりますか。
  146. 松田正

    ○松田説明員 ちょっといま手持ちの資料といたしましては七十歳以上がございますので、七十歳以上が四十三年の十月一日、この調査で集計をいたしますと、総数にいたしまして四百三万一千人でございます。
  147. 浅井美幸

    ○浅井委員 そのうち老人の無料健康診断がございますが、その受診率はどのような程度で受けておるか、あるいは受診の内容、これを具体的にまず説明していただきたいと思うのです。
  148. 松田正

    ○松田説明員 申しわけございませんが、これは老人福祉課のほうの所管でございますので、いまさっそく調べるようにいたしまして御答弁いたします。
  149. 浅井美幸

    ○浅井委員 新聞の報道によりましても、老齢福祉年金を受けておる老人の医療費の問題ですけれども、大体六十五歳以上の老人には年一回の老齢健康診断が全国的に実施されておるわけです。そうしていろいろと便宜的なことをはかっておりますけれども、この受診率が非常に低い。東京都の場合には受診率が二三%である。この受診しにくい理由、あるいはまた受診をしても、疾病等があったということを健康診断の内容で指摘されても、その後治療費等で本人負担が非常に困難であるということで、なかなか受診する者も少ないと同時に、受診されて疾病を指摘されても、今度は入院しにくい、あるいは治療を受けにくい、こういう現況であると聞いておりますけれども、その点はどうでしょうか。
  150. 松田正

    ○松田説明員 私ども国民健康保険あるいは健康保険の関係におきましては、年齢別のそういう統計で確実なものがございませんので、一般論しか申し上げられないわけでございますが、そういう方も相当あるということは承知をいたしております。
  151. 浅井美幸

    ○浅井委員 まずこれらの人々、たとえば指摘をされた人、指摘をされないまでも疾病にかかった人は、入院し、あるいは治療を受けるために、今回いろいろと老人福祉問題の上からも老人医療に公費負担という問題が昨年から取り上げられております。前厚生大臣の園田厚生大臣も、老人の医療に対しては通院の場合は千円以上ですか、あるいは入院の場合は二千円以上ですか、この場合は全額国庫負担にする、こういうふうな構想を発表されましたけれども、その後大蔵省から財源がないという理由でこれについてはそのまま見送りになっておる。  そこで今回東京都において、この老人医療の対策で、これらの受診が抑制されている人たちを救済するために、全国で初めての措置として、いわゆる十月から医療費の自己負担分を東京都において公費において肩がわりしよう、こういう何というか、善政といいますか、こういうことが決議されて、その予算計上も行なわれたと聞く、ところがそれが厚生省のほうで、どうも法律的にも問題があるというので、待った、こういうふうになったと聞いておりますけれども、これはどういうわけでしょうか。
  152. 松田正

    ○松田説明員 今回東京都が考えております老人の医療費の公費負担、これは方式といたしましてはいわゆる現物給付方式というようなやり方を考えているようでございます。それで私どもといたしましては、御承知ように医療保険の抜本改正につきまして、先般社会保険審議会なりあるいは社会保障制度審議会等、関係審議会にその基本構想等につきまして御諮問を申し上げているわけでございまして、その関係におきまして老人の医療がどういうふうにあるべきかという問題も実は御審議を願うことになっているわけでございます。この現物給付方式の問題につきましては、実は国民健康保険法の四十二条という規定がございまして、一部負担金の支払い義務規定でございますが、こういったものとの関連等の問題を含めまして、いろいろと影響するところが非常に大きいわけでございます。そういうことで、私どもとしましては現在の段階におきまして、法律改正等といたしまして、そういうような施策をやっていくということは、現段階といたしましては、抜本改正に着手をいたしました際でもございますので不適当であろう、したがいまして、現行法のワクの中でひとつお考えを願いたい、かような意見でございます。
  153. 浅井美幸

    ○浅井委員 お伺いしますけれども、この問題につきましては東京都から全然あなたのほうに御相談はなかったのですか、この春にこの問題については相談をしておるというふうに伺っておりますけれども
  154. 松田正

    ○松田説明員 東京都が一応厚生省の御意見を伺いたいということで、ことしの三月ごろから内々に話がございました。で、私どもも、その点につきましては非常に影響するところが大きいわけでございますので、いろいろと事務的な意見をその際には申し上げてございます。したがいまして、四月の終わりごろにも都の民生局長がお見えになりまして話をされたわけでございますが、その際にも現行法のワクの中でひとつお考えを願いたい、かように実は申しておったような状況でございます。
  155. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは三月に都議会で十月実施をきめておりますね。その後いろいろと話があったのでしょうけれども、最近になって、十月実施を目前にしてこれがだめになった。この対象者は、七十歳以上の方が東京都で約十四万四千五百人おると聞いております。その人たちは非常に希望を持ってこの東京都の新しい企画を待ち望んでいた。ところが、このごろそれがだめだ、こういうふうになった。このせっかくの東京都の善政を否定して、それでは治療費を持たない老人の福祉対策はどうするのか、これがいままで問題になっておった。だから公費負担ということは老人福祉という立場から叫ばれてきた。厚生省というのはそういう弱い立場の人を守らなければならないわけですね。また、この国民健康保険法の第一条は、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」、こういうことになっております。この第一条の規定からいえば、社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的としております。それであるのに、なぜこのよう国民健康保険法の第四十二条だけを引っぱってこられて、そして違法の疑いがある、このように言われるのか、私は理解に苦しむのですが……。
  156. 松田正

    ○松田説明員 私どもといたしましては、老人の一部負担金につきまして公費負担で救っていこう、こういう方向につきましてはとやかく申しているわけではございません。厚生省も、いま先生からお話がございましたように、四十四年度予算を編成いたします際に、公費負担制度ということで予算要求をいたしました。これは残念ながら予算を計上するに至らなかったわけでございます。この方式を考えました際にも——実はこれは償還方式でございます。したがいまして、いま都が考えておりますような現物給付方式ということは、現行制度の中でもいろいろ問題がある。したがいまして、われわれといたしましては、厚生省が考えましたような償還方式というものも検討する必要があるのじゃないかということを申し上げておるわけでございます。
  157. 浅井美幸

    ○浅井委員 償還方式の導入は、現在の老人の受給あるいは受診あるいはその経済負担において現実に非常に問題がある。またここにも出ておりますように、その償還方式になれば事務費が非常に膨大にかかってくる、そういうことを指摘されております。だから、単なるそういう事務的な考え方だけで、このようにせっかく地方自治体から盛り上がってきたそういう意欲に対して水をさされるというのは、私は判断に苦しむのです。償還方式がいいならば、なぜ現物給付方式はいけないのか、その点のはっきりしたお答えをいただきたいと思います。
  158. 松田正

    ○松田説明員 老人の医療費をどうするかという問題につきましてはいろいろ方式がございます。公費負担制度でやるという方式もございますし、あるいはまた社会保険の方式でやる、あるいは両者を組み合わせてやる、まあいろいろ方式がございます。私どもといたしましても、実は抜本改正に際しまして、一応保険サイドで老人医療というものをやる場合にはどういうかっこうが考えられるかということの試案を、実は関係審議会に提出をいたしているところでございます。したがいまして、それにつきましても今後いろいろと審議会等で御議論があろうかと思います。その間は、国の施策を補完する、こういう趣旨でおやりになるわけでございますので、現行法のワクの中でひとつおやりを願いたい。一部負担規定につきましては、これをどういうふうに今後扱っていくかという問題も含めて、審議会のほうで御審議が当然あるわけでございますので、その間は現行法のワクの中で一番効果的な方法をお考え願いたい、こういう趣旨で申しておるわけでございます。
  159. 浅井美幸

    ○浅井委員 あなたがいまおっしゃったのは、ただいま医療保険制度の改正を計画しているので、中央社会保険審議会ですか、これにいま諮問しておる、その審議のさなかである。だから現行法の中でやってくれ、そういう審議を始めたばかりであって、そういうときにいま言うような現物給付方式では支障になる、こういうお答えですか。
  160. 松田正

    ○松田説明員 先ほど申し上げました趣旨は、いま老人の保険につきましても厚生省としては一応試案のかっこうで意見を出しているわけでございまして、そういった関連の方向づけができますまでは、国の施策の補完的という意味でございますれば、現行法のワクの中でおやりになっていただきたい、こういうことでございます。
  161. 浅井美幸

    ○浅井委員 なぜ諮問しておったら現行法でやらなければならないのですか、それがわからないのです。いわゆるこの諮問しておることが法律化されるのはいつですか、あなたの見通しとしてはいつこの医療保険制度ができるのです。この医療保険制度の問題については二年前から抜本改正がいわれておる重要な問題なのです。それが二年間放置されてきた。そうして先般異常国会の中で問題になったあの健康保険のすりかえ法案の強行採決という結果になった。そのような重要な問題が、いま諮問しておるからといって、いつできるかわからない、それをあえて不便な方法のまま厚生省としては押し通されようとするのですか。
  162. 松田正

    ○松田説明員 現行法のワクの中でと申し上げておりますのは、やはり老人の医療というものは——これは老人の医療も含めて医療保険制度全般について方向づけをしていかなければならない、またその方向づけに着手をいたした際でもございます。したがいまして、国民健康保険法の法律改正をいたしませんと、その現物給付方式というものとの関係がはっきりしないわけでございます。そういう意味で、いま直ちに法律改正をするということにつきましてはいろいろ問題があろう、こういう意味でございます。
  163. 浅井美幸

    ○浅井委員 どうもよくわからないのですがね。その法律が施行された後だというならわかるのです。老人福祉対策というものの抜本構想というものはできておるのですか。まだ全然できておらぬじゃないですか。それを老人保険だけ医療保険制度のワクの中にあるから、あるからということで、せっかくのいわゆる地方自治体から生まれてきたところのあたたかい老人に対する施策を踏みにじるような行き方というものは、私にはわからない。いわゆるお役人根性です。なぜ適用除外なら適用除外という措置、便法をとらないのか。私はあなた方の頭の考え方が非常に古いと思う。せっかく生まれてきたいい芽をつんでしまう、そういう考え方についてわからない。では東京都がこのまま現物給付でこれを押し切ってしまったならばどうなるのですか。
  164. 松田正

    ○松田説明員 都もやはり国の施策の補完的な制度、こういうことで発足をしようと考えておられるわけでございますので、法律違反の疑いのあるような制度を強行されるということはおそらくないということをわれわれは期待をいたしております。
  165. 浅井美幸

    ○浅井委員 ではあなたのおっしゃる答えからいうと、この老人医療に対する今回の措置はできないということですね。東京都としては事務費が非常にかかってできない、そんな償還方式では、とてもじゃないけれども財源負担にたえられない。せっかくこういういい案ができたのに、見出しでは「厚生省つれない仕打ち」、まさにつれない仕打ちですね。そういうことで、あなた、いいと思っているのですか。
  166. 松田正

    ○松田説明員 先ほどから申し上げておりますように、老人の医療の問題につきましては、現在一応老人保険制度というような試案を、われわれも提出をいたしております。そういった関係との関連を、当然考えていかなければならない。そういう意味で、再三申し上げておりますように、それまでの補完につきましては、現行法のワクの中でやっていただきたい、こういう趣旨でございます。
  167. 浅井美幸

    ○浅井委員 もう一ぺん念を押して聞きますけれども、そういうふうに改正案が諮問中であるから、それが実施されない。では改正案が諮問してなければ、それはできることですか。
  168. 松田正

    ○松田説明員 現行法との関係を考えますと、これは試案の諮問とかということを離れましても、四十二条との関係に問題はございます。
  169. 浅井美幸

    ○浅井委員 問題があるというだけで、できるのですか。あなたはさっきから、にしきの御旗で、いま審議会に諮問中だからできない。できないとおっしゃるならば、では諮問していないならば、いまの東京都の実施計画はできるのですか。
  170. 松田正

    ○松田説明員 現行法には触れるわけでございますので、いまの都の方式ではできない、かように考えております。
  171. 浅井美幸

    ○浅井委員 では初めから、なぜこれを東京都議会に対して——あなたは先ほど、地方自治体においても、政府の補完的な仕事をなさると言うならば、最初からなぜ現行法に触れることについて、東京都議会との緊密な連絡がないのです。いまごろになってなぜだめだと言うのです。なぜ法律違反だというのですか。その点を伺いたい。
  172. 松田正

    ○松田説明員 私たちの段階においては、法律違反であるということは、かねて都のほうには申し上げてございます。
  173. 浅井美幸

    ○浅井委員 では、東京都議会は、そのことを法律違反であることを知っておって、そして決議をしたとおっしゃるのですか。
  174. 松田正

    ○松田説明員 東京都の予算の審議の過程を、私たちよく知らなかったわけでございまして、私が知りましたのは、たしか予算が成立したあとと記憶いたしております。
  175. 浅井美幸

    ○浅井委員 ではお伺いいたしますけれども、「厚生省は法律違反というが、都は違反とは解釈していない。」都民生局の和田老人福祉課長ですか、このようにはっきりこの中に出ておりますけれども、これは間違いですか。
  176. 松田正

    ○松田説明員 新聞の内容からいいますと、老人福祉課長さんは法律違反とは思っていない、こういうことのようでございますが、私たちとしては、やはり法律に触れる問題だ、こういうふうに考えております。
  177. 浅井美幸

    ○浅井委員 私たちと、あなたがさっきおっしゃったのは、東京都へきちんと、法律違反であるということは連絡して、文書で通達してありますね。正式な文書として通達してありますね。
  178. 松田正

    ○松田説明員 文書では通達はいたしておりません。口頭で申し上げてございます。
  179. 浅井美幸

    ○浅井委員 大事な問題について、あなたが口頭でもって法律違反であると言った。片一方は法律違反でないと思っておる。このような食い違いは、一体どうするのですか。それがあなた、行政指導しておる立場ですか。わざわざこのように、法律違反でない。「違法論は表面の理由で、実は「全額無料」をいやがっているのだと思う。都がやれば全国に波及するかもしれないし、そうなると金がかかって仕方がないからだ。しかし、核家族化が進んで老人は厄介者扱いされ、病気になっても医者代を家族からもらいにくい。」これは実情です。私は確かにそう思います。「とくに経済的に苦しい家庭の年寄りは、厚生省のいうようないったん窓口で払ってあとで払いもどしを受ける方式」、すなわちあなたのおっしゃる償還方式、これでは実際問題として、いままでどおり、医者にかかりにくい実態は解決しないのですよ。その解決しない問題を、東京都においては解決しようとして前向きの姿勢をとった。それはあなたが、いわゆる中央社会保険審議会に、いまこのような老人福祉問題、老人医療の問題を含めて諮問中であるから、だからその間はそういうものは控えてほしい、こういう言い方をなさっておる。私は言い方があいまいだと思うのです。現行法でだめならばだめだとはっきり言ったらどうですか。現行法だと言わないことは、厚生省が何かやり出したから、その間待ってくれ、言いのがれにすぎないわけです。これは違反でありますぞと東京都議会に言っていて、東京都議会が三月にこれを議決するわけがない。正式に通達を出したか——口頭で言っておる。そんなばかな行政指導がありますか。これがお役所仕事と、常に世間から批判を受けるところの重大な問題なんです。断絶しておるのです。おひざ元の東京都において、こういうりっぱなことをやろうとしておる。それをあなた自身が言っておることと、向こうの言っておることが食い違う。厚生省というのは、一体どこの味方なんですか。ただ法律の番人だけですか、それとも恵まれない——社会福祉国家を目さすところの、総理が常に言う、その社会福祉国家建設のために進んでおる旗頭が厚生省でなければならないじゃないですか。何とかそれに便宜的な措置を加えようとするのが厚生省じゃないですか。どうなんですか。
  180. 松田正

    ○松田説明員 都に対しましては、都の所管は老人福祉課でございますけれども、しばしば老人福祉課長とも私お会いをいたしまして、いろいろと両者で検討いたしております。  いまお話しの新聞記事でございますけれども、老人福祉課のほうでは、法律違反ではないのではないかというような見解を持って来られたこともございます。私たちもその点につきましては慎重に検討いたしました。その結果、やはり四十二条との関係で抵触する、こういう結論を出したわけでございますが、もちろん先生のおっしゃいますように、老人の医療、非常に重要なものであることは、おっしゃるとおりでございます。私たちといたしましても、前向きでそういったような医療というものをどうするかというような問題に取り組んできておるわけでございます。それで今回そういうような趣旨から、医療保険制度の改正の際には、保険サイドから考えるとすれば、老人保険というような構想も実は提出いたしておる、こういうことでございます。
  181. 浅井美幸

    ○浅井委員 だからあなたのおっしゃる償還方式では「事務量が膨大にふえ何百人もそのための職員を置かなければならない。国の老人医療制度の実施は早くても四十七年以降と聞いており、」——あなた、いつだと思っているのですか。それに対して、「それまでのつなぎの施策としてぜひ実現させたい。」こういっておる。何もあなた方のが出たあとまでも、これをしようというのではない。国の老人医療制度の実施ができれば、さっそく切りかえてけっこうだ。それまでのつなぎ施策として、救済措置として講じたいと言っているじゃないですか。話はわかっているじゃないですか。あなたは、いつ老人医療制度が、いろいろ諮問したのができると思っているのですか。
  182. 松田正

    ○松田説明員 現在の、先生おっしゃいますように、つなぎの間ということは、私たち十分承知をいたしております。ただやはりそういうつなぎの間にいたしましても、四十二条との関連を考えますときには、国民健康保険法の法律改正が必要でございますし、そういった点で問題がある。かように考えております。
  183. 浅井美幸

    ○浅井委員 じゃあなた、改正するような意思がございますか。
  184. 松田正

    ○松田説明員 老人の医療費につきまして、この負担割合をどういうふうにしていくかということにつきましては、いろいろ議論があるところでございます。七割給付がいいとか十割がいいとかいろいろ議論があろうと思います。この方向につきましては審議会の御答申を得て決定していく、こういうことになろうかと思います。
  185. 浅井美幸

    ○浅井委員 何を言っているか。あなたにあるかと聞いているのですよ。審議会の答申じゃない。あなたがいま当事者でしょうが。その問題の当事者でしょう。まだこの人のことばをかりれば、「もともと厚生省発想の制度なのに、いまごろになって反対されて困っている——。」こう言っておる。あなたは全然そういう話をしたことはないのですか。いまあなたはいつ実施するかということは答弁なかった。いつから、何年度から老人医療制度はできるのですか。それまでのつなぎということなんです。つなぎがいまの現行法では問題がある。ではそれを改正してでも救済措置を何とか講じようという前向きの姿勢があるかと私は聞いている。それは諮問の答申が出てから、出てから、何です、それは。あなたにあるかと聞いているのです。
  186. 松田正

    ○松田説明員 現行法のもとでは三割の一部負担はやむを得ないとわれわれは考えております。
  187. 浅井美幸

    ○浅井委員 じゃあ、この話は初めからなかったことと同じですな。園田厚生大臣は去年はでたらめを言ったのですな。入院月二千円、通院が月千円をこえる分は公費で見る。これはでたらめな構想だったんですな。
  188. 松田正

    ○松田説明員 先ほど申し上げましたように、厚生省が考えておりました公費負担制度というのは償還制でございます。そういう意味で、都のほうもその償還制を国がやります前に補完的にやっていこう、こういう趣旨で予算をとって計上したというふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、現在の都の方式が現物給付方式ということをとるというところに問題があるわけでございまして、私どもといたしましても、医療費の一部負担金、それを支払えないような階層の方々について、公費負担制度によって補っていこうという趣旨には反対ではございません。
  189. 浅井美幸

    ○浅井委員 ではお伺いしますけれども、いまおっしゃったところのいわゆる現物給付、それからあとで償還する方式と、どれだけ公費負担で違うのです。なぜそのようにこだわるのです。公費を負担するということについては変わりはないんじゃないか。患者が一ぺん窓口で払って、あとでそれを償還されるという事務量の変なめんどうなことを考えないで、なぜ現物支給であったらいけないのです。
  190. 松田正

    ○松田説明員 現在私どもとしましては、重ねて申し上げるようでございますけれども、そういったような老人医療の一部負担の問題を含めましての考え方というのを、抜本改正の際に確立をしていきたいということでございますので、現行法の中ではそういうようなやり方が認められておらない、こういう趣旨でございます。
  191. 浅井美幸

    ○浅井委員 償還方式と現物方式と公費負担をするのはどれだけ違うのかと聞いておるのですよ、私は。認めているとか認めていないとかじゃないのです。償還方式と現物給付方式と、どう公費負担で違うのですか。
  192. 松田正

    ○松田説明員 一口に公費負担と申しましても、たとえば保険で七割なら七割給付をする。あと一般会計からの金で負担をする。こういうやり方もございますし、一たび三割を払っておいて、その分をあとで本人に返してやる、こういうやり方もいろいろあるわけでございます。したがいまして、本人の側からいたしますれば、現物給付方式でございましても、いわゆる償還方式でございましても、その内容については同一になるわけでございます。
  193. 浅井美幸

    ○浅井委員 本人は一緒になるけれども、一ぺんお金を払う金があれば、みんなかかるのですよ。いいですか。あなたはそんなことよく御存じなはずでしょう。だから、払えないから医者へかかりたくてもかからないというのが現況じゃないですか。あなたはそんなことを御存じないのですか。そういう人はいませんか。あなたは御存じないとしたら、国民健康保険課長としては問題だ。御存じなのか御存じないのか、さきに言ってください。
  194. 松田正

    ○松田説明員 そういう場合を予想いたしまして、国民健康保険におきましては、一部負担金の減免なりあるいは保険料の減免、こういったことの措置を法律上制度として持っているわけでございます。その点はそういう方が多数おられる場合もある。国保の保険者につきましては、そういう場合にはそれ相応の裏打ちができるように国保では処置をいたしているところでございます。
  195. 浅井美幸

    ○浅井委員 それならあなた自身は、この問題はどういうようにしたら東京都と話し合いがうまくいくのですか。どういうふうにあなたは今後行政指導をなさってこれを生かそうとなさるのですか。それをはっきり言ってください。
  196. 松田正

    ○松田説明員 私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、償還方式、ことしの予算で厚生省が要求をいたしましたような仕組みをやっていただきたい、かように考えております。
  197. 浅井美幸

    ○浅井委員 では東京都のほうへの今後の行政指導については、あなたのほうでは償還方式をとってこの制度を何とか生かしてもらいたい、こういうふうにあなたは行政指導なさるというわけですね。そうですが。
  198. 松田正

    ○松田説明員 さようでございます。
  199. 浅井美幸

    ○浅井委員 あなたのいままでの答弁をまとめますと、厚生省については東京都議会との連絡において全然ミスはなかった、あくまでも一方的に東京都にはこれは法律違反であるというふうに連絡もし、通達もしてあったけれども、東京都が知らないで、そしてかってにどんどんお進めになった、強引にお進めになった、そういうことですね。
  200. 松田正

    ○松田説明員 都のほうが強引に進めたとかそういうことではございませんで、私たちといたしましても、東京都から相談がありましたときに、都の見解も聞きわれわれの見解も述べて、そして何らかのかっこうでいい方法はないかということはお互いによく相談をいたしましょう、こういうことで実は進んでまいったのでありますが、現在の段階におきましては、東京都のほうがいま考えておられる方式では問題がある、こういうふうな結論を都のほうに伝えたわけです。
  201. 浅井美幸

    ○浅井委員 厚生省としては指導あるいは連絡についてはミスはない。話し合いの余地がなくなって、とうとう結論としてはこういうふうになったということ、そういうあなたの御答弁ですね。
  202. 松田正

    ○松田説明員 話し合いの余地があるとかないとかということではなくて、とりあえずのところ、現在の厚生省の考え方はそういうことであるということを都のほうに正式に口頭で伝達いたしました。
  203. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 そうじゃないんだ。東京都がきめる前にあなたに相談したろう、こう言われるのだ。それをあなたははっきり言わない。それを相談を受けたのか受けぬのかはっきりせぬからこういうことになるのだ。何十ぺんやったって切りはありゃしないじゃないか、こんなこと……。
  204. 松田正

    ○松田説明員 老人福祉課から相談を受けておりますし、それについての見解はわれわれも申し述べております。
  205. 浅井美幸

    ○浅井委員 この問題についてはもう一度東京都川と連絡をとりまして、私も再調査をしてもう一度やりたいと思いますし、関連質問もございますようですから、この問題については私はこれで一応終わりたいと思います。
  206. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 関連質問の申し出がありますのでこれを許します。多賀谷真稔君。
  207. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 実は本日厚生大臣に、わが党としてはいま浅井委員質問をされた件について申し入れをしてきたところです。それでそれに関連をして質問をしたいと思いますが、地方自治法の二条三項の一に「住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」ということが地方自治体の任務として書いてあります。同条三項の九に「未成年者、生活困窮者、病人、老衰者、寡婦、身体障害者、浮浪者、精神異常者、めいてい者等を救助し、援護し若しくは看護し、又は更生させること。」ということが地方自治体固有の任務として書いてあるわけであります。  そこで私はお尋ねしたいのですが、あなたは一体国民健康保険法の何条に違反するといっているのか。すなわち、東京都が国民健康保険組合に金を入れて、そして老人が窓口において現物支払いを受けるという制度は違反だというけれども、一体どこが違反だと考えておるか。
  208. 松田正

    ○松田説明員 法律の四十二条に一部負担金を支払わなければならないという規定がございます。これに触れるということでございます。
  209. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それはあとから言いますけれども、それは全くしゃくし定木な話です。結局一部負担というのが主ではないのです。この考え方が少し間違っておりはせぬか。要するに差額はひとつ患者が負担しなさい、こういう意味ですよ。その差額は患者が負担しなさいというほうを全面的に押し立てて、国民健康保険法の違反だというのは私はあまりにこの法律をしゃくし定木に解釈していると思う。これでは行政の施行者としては責任が全うできない。  そこで私はあえて聞くけれども、都が法人たる国民健康保険に資金を入れることは可能ですか。
  210. 松田正

    ○松田説明員 可能でございます。
  211. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうするともう一度聞きますが、都が健康保険医と契約を結んで、健康保険医が国民健康保険組合並びに東京都に請求する方式は国民健康保険法上違反であるかどうか。
  212. 松田正

    ○松田説明員 御質問の趣旨はおそらく今回の医療費についてということであろうかと思いますが、全然別の体系でやる場合でありましても、四十二条に触れる場合には実施が困難になるのではないかと思います。
  213. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国民健康保険の保険医がいわゆる国民健康保険が負担する分については国民健康保険へ請求する、都が出す分の差額については都に請求するというのがどうして法律上違反になりますか。
  214. 松田正

    ○松田説明員 その際患者が一部負担金を払っておりますれば法律上は問題ございません。
  215. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それは法律の読み方が違うのですよ。保険医が法律に基づいて国民健康保険に請求する。そしてその差額は本人からとらないで、本人にかわって東京都が払うというのだから、東京都に請求する。そのことは保険医と東京都がかねてから約束をしている。契約を結んでおるという場合がどうして違反になりますか。
  216. 松田正

    ○松田説明員 窓口で支払わなければならないのは患者自身でございますので、その肩がわりということにつきましては問題があるということでございます。
  217. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あなたは主客転倒した法律解釈をしているのですよ。保険医と東京都が契約をして、そして患者の負担分は東京都が支払います、こういう契約自身はじゃ違法ですか。
  218. 松田正

    ○松田説明員 契約自体は有効でありましても、本人が一部負担金を払うかどうかということはそれとは別の問題になるのだろうと思います。
  219. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私はそういう法律解釈はとれない。あらかじめ契約していて、患者の負担は東京都がかわって支払います、東京都が払うということは患者が払うということになるのです、保険医の窓口では。かわって支払いますという契約をしておる。国民健康保険組合は全然関係ない。それがどうして違反ですか。患者にかわって払うということを契約することがどうして違反ですか。その契約は有効だということだ。そうすると、契約が有効であるのに、都がかわって払ったらどうして違法になりますか。
  220. 松田正

    ○松田説明員 実定法で申し上げますとよくわかっていただけるかと思いますが、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律がございます。これの十四条の二の五項という規定がございまして、これは原子爆弾の被爆者が一般医療を受ける場合の規定でございます。その際社会保険を適用いたしまして全額公費負担をいたすことになっております。その公費負担の際に、国民健康保険の被保険者につきましては四十二条の規定にかかわらず払うことを要しないという規定を置いております。そういうことで、われわれは法律に触れるという解釈をとっているわけであります。これは実定法上の例でございます。
  221. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では私が老人を連れていって、そして窓口でこの老人の患者負担分を多賀谷真稔に請求してくださいと言ったら違反になりますか。
  222. 松田正

    ○松田説明員 それは先生が窓口で現実にお支払いになる場合はよろしいかと思います。
  223. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 別に窓口である必要はないと思うのですよ。私がお医者さんに契約して、この人の患者負担分は私のほうに請求してください、こういう契約は有効でしょう。私が有効の場合、どうして都なら悪いのですか。
  224. 松田正

    ○松田説明員 一部負担金は個々個別の問題でございまして、一般的に医療費を無料にするというような制度的な問題とは若干違う問題でございます。
  225. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 一部負担というのが主じゃないのですよ。あなたのほうは、東京都と保険医とが契約をすることは有効だという。それが有効であれば当然、都がその患者にかわって払う契約に基づいて保険医が都に請求するのは何も違法じゃありません。
  226. 松田正

    ○松田説明員 一部負担金というものの解釈はちょっと先生と私どもと違っておるように思いますけれども、一部負担金と申しますのはやはり原則としては本人が窓口で治療を受けた際に支払うべきもの、かように考えております。
  227. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それは差額の出るところがないから、結局本人が負担しなさいという意味ですよ、法律は。そんなばかげた法律解釈がありますか。  それからもう一つは、政府管掌の健康保険組合の場合、その基金のほうで、いや私はそういう事務を扱いません、こう言えば、これは別ですよ。これなら別ですよ。しかし健康保険組合の法人が今度は逆にもう一つ都と契約をする。その法人は大体市が、特別区が設立するのですね。ですから、ここで契約をして、そして基金に、いわば国民健康保険組合に金を入れてくださいというのも当然有効であると解釈するのです。あなたはまるっきり法律の逆を読んでいるのですね。どこかほかのほうで受け入れる体制がないとか、それは金の出しようがないとかいうなら別として、患者に一部負担させなければならぬという四十二条を持ってきて法律違反であるということを言うことは、全く主客転倒しておるのです。そう言うならもう厚生省は要らない。
  228. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 何かそこに本人にあらざれば払ってはならぬとでも書いてあるのですか。それなら別だけれども。代理弁済をやった。代理弁済をするということは法律上どこにも禁止しておるものではなかろうが。それをもらう相手がいやだと言えば、これは別ですよ。どうですかそれは。
  229. 松田正

    ○松田説明員 私どもの解釈としましては、先ほど私が申し上げましたように、一部負担というものは、いわゆる今度の都のようなやり方の一部負担金の支払い方法は四十二条に触れる問題であるというふうに考えております。
  230. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 委員長大臣を呼んでください。実は私はいま大臣と話をしたけれども大臣は、保険医が都と契約をされることは自由です。これは有効です。こう言って斎藤大臣ははっきり答弁をしました。政府の基金として、保険基金としては、これは私のほうは断わります。それは法律改正がなければできません。こうおっしゃいましたが、保険医に都がかわって払うという契約をし、保険医が都に請求することはこれは差しつかえありません。こう言ったのですから。私は党を代表してきょう一時に厚生大臣に会見して、厚生大臣がはっきりそうおっしゃった。私はいろいろな事例をあげて念を何度も押した。ですから、それはあなたのほうが大臣の意向を受けて答弁をしてないというなら、ここへ厚生大臣を呼んでいただきたい。
  231. 松田正

    ○松田説明員 先生がきょうお会いになりまして、大臣のお話を私は承っておりませんのでその点は私全然わからないわけでございますが、おそらく大臣が申された趣旨を推察をいたしますと、国民健康保険では条例を改正をいたしまして、そして給付割合、いわゆる一部負担金の給付割合を引き下げることができるような制度に現在なっております。そういう趣旨のことを大臣が申されたのではなかろうかと思うわけでございます。
  232. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いや、大臣が言ったのは違うのです。それは、たとえば国民健康保険でなくてもいろいろな、保険には御存じのように九種類もある。そこで保険医が、要するに患者にかわって都から払うことを了承をし、その契約をするならば、それはけっこうです。ぼくはあいまいな質問もしなければ、あいまいな答弁を聞いては帰れない。そして私はきょう、厚生省と社会党の記者クラブへ行ってその旨をいま発表してきた。でありますから、委員長、かなり大きな違いがある。ですからひとつ厚生大臣を呼んでいただきたい。それは浅井さんの質問が全部終わったあとでけっこうですから。あとでいいです。
  233. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 それでは関連して田中武夫君。
  234. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは一点だけ。  先ほどの浅井委員、多賀谷委員に対する答弁者の答弁を聞いておると、私もお二人と同じ意見で、あなたはどうも法律の解釈のしかたがサカトンボである。逆行しておる。あくまでも四十二条の「給付を受ける者」と、それから「給付を受ける際」これに重点を置いておると思うのです。本人でなくてはいけないというのは「者」ですね。窓口というのはその「際」という、これに重点を置いておると思うのです。しかし、先ほど多賀谷委員も言っておるように、この法律の趣旨は何かということです。この国民健康保険法、新しい法律ですから、いわゆる見出しですね、インデックス、これも法律の一部をなしておるのと違うのですか。これはどうなんです。法律の一部でしょう。古い法律にはありませんが新しい法律にはみなこのごろ見出しがついておるのです。これはもう法律の一部だ。それは「療養の給付を受ける場合の一部負担金」「場合」です。「者」に重点を置いていないわけなんです。いいですか。あなたが概念的な解釈で言われるから私も概念的なことを申し上げておるのです。見出しは「場合」となっている。「者」ではないのです。いいですか。そうするならば、本来ならば無料でやるのが望ましい。しかし保険会計が許さないから一部負担せしむるのだというのがこの法律の趣旨じゃないですか。この条文の趣旨じゃないですか。そして給付を受ける場合の一部負担金——だからだれかかわって払ったってかまわないのじゃないですか。あなたの言うのは、あくまで四十二条本文の「者」とその「際」という、この二字にこだわっておると思うのです。そういう法律の解釈は私はおかしいと思う。ないと思うのです。あなたは課長さんだ。だから、閉会中だから政府委員という資格はいまだれもないけれども、あなたは責任ある答弁者ではない。ただ事務官として法律を棒読みにしてやっておるあなたには、それ以上の答弁はできないかもしれない。しかし、先ほど来浅井委員あるいは多賀谷委員の申し上げておるように、あなたは全体の奉仕者としての態度に欠けておる。公僕としての態度に欠けておる。法律に縛られ過ぎておるというか法律を逆に読んで、その中の一部の字句、「者」とその「際」ということだけにこだわっておる。法律全体の精神をくみ取り、この条文のよってきたるべきゆえんことについて全然わからないんじゃないか。そういう者には答弁の資格なし。どうなんです。答弁の資格なしと言って答弁を求めるのはおかしいけれども、あなたは黙って机の上にもたれて法律法律のままにやっておる事務官だ。だからそういう答弁をすると思う。もうちょっと局長なり——いま大臣も出てもらいたいといっておるので、もっと根本的な法の精神の上に立って解釈すべきだと思う。先ほど多賀谷委員も申し述べておりましたが、地方自治法第二条三項等々は地方自治体の固有の事務なんです。地方自治体がやらねばならぬ事務なんです。それをやろうとしておるんですよ。この場合、かりにあなたの言うとおり四十二条の一部負担に違反だといっても、一方地方自治法の第二条三項の条文のいわゆる法律規定が競合したともいえると思う。しかも憲法の二十五条にはすべて国民云々と、これはいわなくともいい条文があがっておる。しかも地方自治体が行なうこと、これは憲法でも地方自治体の精神は、九十何条ですか、地方自治の本旨にのっとり云々ということになっておるわけです。そういう点からすると、かりに競合したとしても、これは地方自治法のほうが優先すべきものですよ。そうじゃないですか。答弁があったら聞きましょう。しかしあなたのほうはあまりにも「者」とそれからその「際」にこだわり過ぎておる。そんな法律の読み方をしておってはつとまりませんよ。これだけ申し上げておきます。何か答弁があったら聞きましょう。
  235. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 相手がいやだと言えば別だが、相手がいい……。
  236. 田中武夫

    田中(武)委員 別に言いわけがないですから、ぼくの言うことを最後にごもっともだ、こういうように受け取ったと了承します。
  237. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 肯定しましたよ。
  238. 田中武夫

    田中(武)委員 課長さん自体が、いままでの答弁はすべてこの法律条文の一字句である「者」とその「際」にこだわっておる、そうしてサカトンボな法の読み方をしておりました、そういうことは全体の公僕としての公務員としての資格を喪失しました、こういうことを肯定した——答弁がなければ肯定した、こう思いますが、どうなんです。
  239. 松田正

    ○松田説明員 法文の解釈、いま先生の解釈もお聞きをいたしたわけでございますが、多賀谷先生もそういうような解釈でありますが、重ねて申し上げるようでございますけれども、私たちの解釈は、先ほど私が何回も申し上げておるような解釈をとっておるわけでございます。
  240. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど言ったインデックス、見出し、これも法律の一部なんです。それは「者」でなくて「場合」なんです。その点もよく考えて、一ぺん頭を冷やして、法律をもう一ぺんじっくり読んでください。
  241. 松田正

    ○松田説明員 見出しはもちろん法律でございますけれども、この「場合」といいますのは、「者」と「際」を含めて「場合」であろうかと思います。
  242. 田中武夫

    田中(武)委員 こんな頭のかたいのを相手にするのもしようがないから、一応やめます。
  243. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 いま大臣が来るから進めてください。
  244. 浅井美幸

    ○浅井委員 先ほど私はこの厚生関係は終わると言ったのですけれども、もし大臣がお見えになったらまた私の質問をさせていただきたいと思います。  それでは運輸省とかわっていただきますから……。  悪質なタクシーの乗車拒否をめぐっていろいろな社会問題が起こっておりますし、また最近暴力タクシーが横行するような気配も見えてまいりました。殺人未遂、あるいは監禁、暴行、傷害などの事件が先月末から今日までにすでに七件、そのように起こっておって、非常に利用者がこの問題について、安心してタクシーに乗れないということで大きな社会問題として発展してきておりますけれども、陸運局はこれまで何回か乗車拒否一掃を期するということで業界に勧告してきましたが、その結果は一向に効果はあがっておりません。このような状態まで放置した、そうして悪質なタクシー運転手を野放しにしてきたこの責任については、どのように感じられておりますか、まずその辺から御説明願いたい。
  245. 黒住忠行

    ○黒住説明員 タクシーの乗車拒否あるいは暴力問題につきましては、本来、事業のあるべき点を逸脱いたしまして、最も遺憾なことでございます。この原因には種々あるかと思いますけれども事業者の運転手管理が十分でなかった。われわれといたしましても、事業者を指導いたしまして従来からまいっております。あるいは、増車その他によりましてこの輸送力の増強というふうなこともやってまいっておりますけれども、遺憾ながら現状でございますので、事業者としての事業運営上遺憾であるという点、われわれといたしましても、今後、この改善ということにつきまして従来に増して努力をせねばならぬという責任を痛感いたしております。
  246. 浅井美幸

    ○浅井委員 従来からいろいろと御指導なさっていらっしゃいましたね。どのように御指導なさってきたか、あるいは、いま改善ということを言われましたけれども、具体的にどういう点について国民世論にこたえ、国民の足としてのタクシーの安全の確保のためにこの改善策を講じられますか。
  247. 黒住忠行

    ○黒住説明員 乗車拒否の原因には多々あるかと思いますが、オリンピック前にありました乗車拒否につきましては、輸送力が不足している。すなわち、乗車の実車率という面から見ましても六〇%を欠いたような状況にございまして、そういう点におきましては、量的に輸送力を増強する。そうしてまた、評判のいい個人タクシーを免許いたしまして、よりよい質的な輸送力を提供するというふうな施策をやって、一応解決したものと思っております。  ところが、その後におきまして、輸送力に対する需要が非常に旺盛でございます。それに対しまして、増車というふうな方法をやりましたけれども、運転手不足というふうなことでございましたので、その従来どおりの施策では十分でないというふうなことで、昨年も七月に一つの改善対策を出して実行に移しつつあるわけでございますけれども、最近の情勢にかんがみまして、われわれといたしましては、将来に向かって根本的な改善対策を講じたい。それは、総合的なものでなくてはならないと思っております。  まず、運転手に対しては、良質運転手を確保し、悪質運転手を排除いたすために、近代化センターというものを設けまして登録制度でやる。同時に、この運転手に対する給与の内容の改善、これは量的なものも質的なものもあるかと思います。それから、運転手が喜んで働けるという職場を提供しなければならないというふうなことで、近代化センターにおきまして福利厚生施設というふうなものを増強していきたいというふうな構想でもって、現在、この案を練っておる次第でございます。  それから、運転手の労働条件の改善等につきましては、労働省のほうからいわゆる二・九通達というものが出されたわけでございますが、労働省とともにこれの実施を十分監督をしていきたいというふうに思います。  事業の監督につきましても、事業者の運転手に対する指導監督、教育ということが不十分でございますから、近代化センターのような組織をもちましてその不十分なところを補完するというふうなことを行なうと同時に、事業者に対する監督の体制を整えていきたい。従来からも乗車拒否等に対します行政処分その他の処分をやってまいったわけでございますけれども、最近におきましてこれをさらに強化いたしまして、車両の停止、あるいは進んでは、営業所単位の事業の停止というふうな厳罰をもって臨まなければならないのではないかというふうに思っております。しかし、なお事業者のほうが運転手の確保等のために福利厚生施設等を充実いたします場合におきましては、それに対する助成の措置等も考える必要があるのではないかと思います。  それから、夜間等におきましては、深夜はタクシーが唯一の交通機関になっておるわけでございますが、他の公共交通機関というものもやはり輸送力を提供する必要があると思うわけでございまして、鉄道関係であるとかバスの関係というふうなものが、深夜におきます輸送力の提供につきましてさらに改善の必要があるのではないか。さしあたり、われわれが監督いたしておりますところのバス事業につきましても、最近、大阪では、灘波——上六間で実施いたしておりますけれども、そういうふうなことを東京におきましても実施するということで、目下準備を進めさしておりますので、近日中にこれを実行に移したいと思っております。  それから、運賃の制度につきましていろいろ御意見があります。たとえば時間と距離との併用メーターを採用したらどうか、深夜の割り増し料金を採用したらどうかというふうな動きもあるわけでございますが、運賃問題につきましては非常に影響も多いと思いまして、これは慎重に検討しなければならないと思っております。  われわれといたしましては、悪質業者、悪質運転手に対する取り締まりの強化と同時に、この乗車拒否の原因等にさかのぼりまして、総合的な対策を推進してまいりたい、かように考えております。
  248. 浅井美幸

    ○浅井委員 非常にいろいろのお話がございましたのですけれども、きょうはひとつ具体的にまたお聞かせ願いたいと思いますので、一つ一つ逐次、私、聞かしていただきますから、お答え願いたいと思います。  いま乗車拒否の問題が現実の問題としていろいろと出ておりますが、警視庁、あるいは警察庁でも掌握なさっていらっしゃると思いますが、警視庁におけるところの乗者拒否常習業者、これは十数社のブラックリストがあるということでございますけれども、この業者名をあげていただきたいのと、警視庁としてはその処分をどのようにとられておるかお伺いしたいわけであります。非常に悪質だ悪質だといっても、国民は弱い立場にありますもので、これに対して何ら訴えるすべがない。実際問題、車に乗せていただきたいといっても、その方向には行かないとかいってすげなく断わられて、すごすごとほかの車を探さなければならない、こういう状態であります。この点どうでしょう。
  249. 久保卓也

    ○久保説明員 警視庁でこの五月から七月にかけまして乗車拒否の一斉の捜査をやったわけでありますが、その際に、数字はあとで申し上げまするけれども、相当数の違反運転者が検挙され、また、それぞれ会社の人に警告したわけでありますが、その中で、一つの会社で二人以上の乗車拒否の違反者を出した会社が二十六ございます。その中で、これは道路運送法の百三十二条違反の容疑があるかもしれないと思われたものが十八ありました。そこで、この十八について警視庁は捜査いたしたわけでありますが、結局、現実の違反ありとして摘発されたものが、新聞でも大きく報道されました志村興業であります。したがいまして、他の十七の会社は、一応違反の容疑はありましたけれども、道路運送法の違反であるということで検察庁に送るまでには至っておらないというような状況でございました。
  250. 浅井美幸

    ○浅井委員 具体的にどのような場合には送検できて、どのような場合には送検できないのか、いろいろと事例があると思いますけれども、具体的に教えていただきたいわけであります。
  251. 久保卓也

    ○久保説明員 たとえば志村タクシーの場合におきましては、同じ会社に所属する運転者の乗車拒否が六件、六人あったわけでありますが、それらを調べてみますると、運輸省のほうの規則で定めておりまする、たとえば最初の五日ですか、一週間ですか、教育をしなければならない、講習をしなければならない、あるいは日雇いの運転者は雇ってはならないといったような話が出てまいるわけであります。一件くらいですと、なかなか検察庁のほうでも必ずしも違反が濃いということで受け取れないわけでありますけれども、数件に及びますと、検察庁のほうでまず実態を調べてみなさいということで家宅捜索をやるわけであります。そこで、志村タクシーの場合には、違反が一件だけではありませんで数件出てまいりましたので、違反容疑が明確であり、また帳簿その他を当たってみましたところ、まさに日雇い運転手が相当数雇われておりまするし、それから初めの一週間かの教習も全然行なわれておらないというような実態がわかりましたので、百三十二条違反ということで、志村タクシーを検察庁に送ったということであります。ところが、その他のものにつきましては、たまたま教習が行なわれてないかという懸念を持たれて、この運転者を調べましたところが、教習などを行なってないのではないかという懸念があったわけであります。あるいは他に日雇いの人がいるのではなかろうかという懸念があって、具体的に各会社について調べたわけでございますけれども、その点については必ずしも立証がなく、かつ、乗車拒否をすることにつきまして会社側では相当の注意をもって監督指導をやっておったということで、百三十二条の間擬には至らなかったということでございます。
  252. 浅井美幸

    ○浅井委員 運輸省に伺いたいのですが、いまの話にも出ておりまする日雇い運転手の件でございまするけれども、運転手の質の低下の問題としての最大の問題は、人手不足によって雇わなければならない日雇いの運転手の問題が非常に質の低下をもたらしている、このようにいわれております。現在日雇い運転手は一体業界の中にどのくらいおるのですか。
  253. 黒住忠行

    ○黒住説明員 われわれが監査その他で発見するわけでございますけれども、いわゆる雇ってはいけない運転手は、日々雇い入れられる者、二カ月以内の期間を定めて試用される者、十五日未満の期間ごとに賃金の支払いを受ける者、そういうふうなものになっておるわけでございまして、これらの違反の者は、現在何名おるかということはつまびらかにいたしておりません。しかしながら、現在これらに違反して、あるいは運転をしているのではないかということが考えられるわけでございまして、それらの者が乗車拒否等を行なうというふうなことがあります。そういう場合におきましては、監査その他の方法によって調べまして処分を行なうというふうなことでやっておる次第でございます。
  254. 浅井美幸

    ○浅井委員 私の聞いたところによりますと、日雇い運転手は全体の約三割ではないかというように伺っておりますが、これは私がつまびらかに全部調べたわけではございません。大体の概数でございます。この日雇い運転手が多くなるというのは、給与体系が非常によくない、会社につとめると収入が大きく減ってしまう、そのために、このような日雇い運転手が一つはできておる。あるいは悪質な運転手が、一つの会社を罷免になるとその日暮らしの運転手がいて、それがその会社に飛び込んでいく。このようにいわれておりまして、現在の運転手の一カ月の平均収入は、四十歳の人で、一日十八時間で走行三百三十キロ、月に十三回の勤務をして固定給が約二万円、歩合で約三万四千円前後、合計五万四千円前後となっているというような例があがっております。一日の拘束が十八時間で、一日交代の勤務は過重労働であるというふうに私は思っております。労働省の通達によるところの帰庫時間を守っていたら食っていけないというので、さらにこの十八時間を延長している。こういうのが現場の共通の声でありますけれども、歩合制重視の賃金体系を先ほどあなたの指摘でも述べておられましたが、この点について、どのような給与体系にしていったらいいのか。この点について運輸省に、それから労働時間の問題について労働省にお伺いをしたいと思います。
  255. 黒住忠行

    ○黒住説明員 タクシー運転手の給与制度につきましては、三十三年にいわゆる神風タクシーの問題がございまして、そのときに、固定給の部分が少なくて歩合給の部分が多いというえとで指摘されたわけでございまして、逐次指導してまいっておるわけでございますけれども、現在いわゆる固定給のものが三六、七%、それ以外を歩合給的な給与といたしますと六二、三%がさようになるかと思っております。われわれといたしましては、給与の内容を固定給何%でなければならないということを法律的にきめるということは種々困難な問題があるかと思います。しかしながら、現在の約四分六分の固定対歩合の率を三対七というふうなことに努力をさせる必要があるのではないかということ、それからさらには、この運転手の昇給制度とか退職制度というようなものが他の産業と比べまして十分でないというふうなことを痛感しておる次第でございまして、これらの給与の内容につきましては、労働省の御指導を得まして改善をさせなければならないというように考えております。
  256. 大坪健一郎

    ○大坪説明員 労働時間の件についてお答えいたします。  御承知ように、タクシーの労働時間は、旧来は特に労働時間に関する改善基準を実施いたします以前は、二十四時間の労働時間をもって交代をいたしておりました。そういうようなやり方をしておったところが非常に多うございまして、それが実はタクシー業界の非常に長い慣習になっておりまして、労使ともそれが当然のことのように考えられておった時期がございました。そこで、労働省は、昭和四十二年の二月に、タクシー運転手の労働時間等の改善基準というものを出しまして、基準法の施行に関して、特にその点について厳重な監督をいたすように方針を出したわけであります。ところが、実はこの方針を出しますにつきまして、タクシー関係の業界の方、労働組合関係の方から非常に強硬な反対がございました。これは従来タクシー業界が長い労働時間を労使とも当然のことのようにお考えになっておられたということの結果ではなかろうかと私どもは判断をしておりますけれども、これは監督を続けながら徐徐に直していっていただくようにすべき問題であろうかと考えます。したがいまして、一応御承知ような改善基準で労働時間を非常にきびしくしぼりまして監督を続けておりますが、今年の五月に行ないました一斉監督の結果を見ましても、労働時間についての違反が約五割ございまして、ほかの違反に比べますと相対的に多いわけでございます。これはやはり慣行が改まっていく過程がなかなか時間がかかるということの一つではないか。しかしながらヨーロッパ諸国を見ましても、また大阪などでも、八時間交代でやっておるところもあるようでございますから、当然将来はそういう姿が正しい形ではなかろうかと思いますので、業界の改善の事態をながめながら、監督を強めつつそういう方向で将来努力をしてまいりたいと考えております。
  257. 浅井美幸

    ○浅井委員 さっき黒住自動車局長が、いまの四対六を三対七に改善したい、あるいは昇給制度あるいは退職制度までもお話しになったのです。大体あなたの行政指導として、これをいつから実施するようになさるお考えですか。
  258. 黒住忠行

    ○黒住説明員 この給与のあれにつきましては、具体的にこちらが強制的に命令できるものではございませんので、逐次改善をさす必要があろうかと思います。  それから先ほどのいわゆる八時間労働というふうな問題につきましても、将来の目標といたしまして、それが可能なような宿泊施設の整備等を要しますので、直ちにというわけにはまいりませんけれども、われわれは機会をとらえまして、いま申し上げましたような内容の指導をしていきたいと思っております。
  259. 浅井美幸

    ○浅井委員 先ほどあなたはいろいろな問題についての改善策の中で近代化センターを設ける、そして給与の改善あるいは登録制度、喜んで働けるよう条件をつくる、こうおっしゃった。それは将来というのは何年先の話なんですか。いま私はこの給与の問題についてお聞きしたら、これから、今後ということですね。それではいままで何回も乗車拒否の問題についても行政指導をなさってこられた。ところが何ら実効があがっていない。だからこういう問題が放置されてきたままになお大きな社会問題になってきたのだというよう指摘されておるわけです。それをいまのあなたのお答えを聞くと、これまた五年先か十年先かわからないようなあいまいなお答えとしか私は受け取れないのですけれども、あなたとしてはおよそいつごろまでにこのようなことをしたいという改善策のめどなんですか。
  260. 黒住忠行

    ○黒住説明員 先般労働省のいわゆる二・九通達は四十二年の二月九日に出まして、その後約二年余の推移を見たわけでございますけれども、いわゆるこの歩合制の内容等につきましてはある程度改善の結果を見ております。したがいまして、それらのことをさらに進めていくということでございます。  それから近代化センター等の構想は登録制自体は法律改正を要しますので、次の国会に提出を目標にいま内容を検討しておるわけでございます。しかしながら法律改正を要しないような点、たとえばバスを深夜利用するというような点につきましては、これはすみやかにできることでもございますから若干の期間を置きまして、九月中にも発足するようにいたしたいと思っております。  改善の内容につきましては、できるものは幾ぶん早く改善をしたいということでございます。  それから取り締まりの強化、処分の強化等につきましては、この五月にも行なったわけでございますが、さらに最近の暴力の事犯にかんがみまして、来月の中旬までに各会社からそれらの問題に関します従来の自分たちの会社のやりました措置及び今後の計画等を徴しまして、その内容によりまして、要すれば特別監査の措置を九月中旬後に行ないたい、かように思っております。
  261. 浅井美幸

    ○浅井委員 近代化センターと伴って、給与の改善は、これは法律解釈が必要ではないと私も思うのですね。ですから、法律の解釈の分については次国会、そしていわゆる法律の必要のないものはできるだけすみやかにということで行政指導をなさり、そしてその改善策をすみやかにとられるというふうに受け取っていいですか。
  262. 黒住忠行

    ○黒住説明員 そのとおりでございます。
  263. 浅井美幸

    ○浅井委員 労働省にお伺いしたいのですが、現在のいわゆる労働時間の問題でありますけれども、労働省通達ではこの七月の十五日以降ですか、勤務制度をABCに分けて、Aが午前八時から翌日の午前二時、Bが午前十時から翌日の午前二時、Cが午前八時から翌日の午前六時半、このように分けておられるのですか。
  264. 大坪健一郎

    ○大坪説明員 いまの問題は労働省の通達に従いまして東旅協が自主的にきめたやり力でございます。
  265. 浅井美幸

    ○浅井委員 これはじゃ自動車局長にお伺いしたいのですが、東旅協できめられたというのですけれども、こうなりますと、この状態でいきますと、朝の通勤時間六時半から八時までの間は、実際問題タクシーは一台も走っていない、こういうことになりませんか。ところが現実にはタクシーはこの六時半から八時までもちゃんと走っておりますが、これはどういうことになっているのですか。
  266. 黒住忠行

    ○黒住説明員 いま先生が御指摘のものは、東京におきますタクシー運転手のいわゆるスリーシフトの労働勤務体系だと思います。これによりますというと、このスリーシフトで配置しますと、ずれてまいりますので、午前六時から午前八時までの間には一五%程度の車が稼動するということになります。したがいまして、車両数は確かに少ないわけでございますけれどもそれだけのものは走っているという勘定でございます。
  267. 浅井美幸

    ○浅井委員 一五%走っているわけですね。  それで、労働省にお伺いしたいのですが、労働省の通達によってこのように東旅協がきめたのですけれども、このことについては御存じですか。
  268. 大坪健一郎

    ○大坪説明員 存じております。
  269. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうすると、実際問題この通達が空文になっている。車が一五%どころではないはずです。もっと走っておるわけです。このことについて、これはあなたはいま一五%だとおっしゃいましたけれども、実際問題、これは矛盾しませんか。朝の一番ラッシュ時間の六時半から八時までの間は一五%だ、わずか一五%のタクシーで、需要状況は、これでいわゆる国民の足としての確保はできますか。
  270. 黒住忠行

    ○黒住説明員 午前六時から八時までは一五%でございますが、八時以降、たとえば九時までは九〇%というふうになっておりまして、いわゆる時間帯に応じて、需要に応じて出すということになっております。しかしながら夜間におきます需要も、深夜におきます需要も相当あるわけでございますけれども、これをタクシーのみで一〇〇%応ずるということはなかなか困難かと思う次第でございます。したがいまして、他の交通機関等と総合的に一つの輸送体系として観念をする必要があるのではないかというふうに自動車行政を担当する私といたしましては考えております。しかし、過労におちいらないようにということも非常に重要でございますから、これらの勤務体制につきましては十分労働省で御監督願いまして、万全を期していくようにいたしたいと思っております。
  271. 浅井美幸

    ○浅井委員 労働省としては、このような状態についてどのように考えられますか。  それから、いわゆるいま言った他の輸送関係との関係でこれは何らかのかわるものを輸送関係で補完したい、このようにあなたはおっしゃった。補完したいという希望的ではなくて、実際問題この足の確保に対して自動車局としてどのような措置を講ぜられていくのか、またいるのか、この点についてのはっきりしたことをお答え願いたいと思います。
  272. 黒住忠行

    ○黒住説明員 先年地下鉄の終電の延長ということを実行いたしました。われわれといたしましては、さらに地下鉄なりそれから電車等の延長の問題もございますけれども、直接所管いたしております範囲では自動車でございまして、バスの輸送を活用するというふうなことで、夜間一定の地域から、たとえば銀座方面から一定の方向に向かいましてバスを動かす、それから郊外施設の駅におきますそれを受けますところのバスを、現在よりも終バスを延長するとかいうふうなことが考えられると思います。電車につきましては、先ほど申し上げましたように、具体的に需要測定の作業が目下進んでおりますので、来月中にもそれを実行に移したいというふうに考えております。
  273. 浅井美幸

    ○浅井委員 いまのは夜の話でありまして、私が伺ったのは、朝の六時から八時までの間のいわゆる通勤の体制の穴をどうやって埋められるか、またどうやって埋めておるかと聞いておるのです。
  274. 黒住忠行

    ○黒住説明員 早朝におきます都会における通勤、通学の主たる輸送機関は私鉄、国鉄、地下鉄であると思います。タクシーというものは、都市におきます通勤、通学の輸送機関としては、きわめて副次的な使命であると思うわけでございまして、早朝におきますところの通勤、通学につきましては、鉄道関係の不足ならば鉄道関係の輸送力の増強ということをもって対応すべき問題であると考えます。
  275. 大坪健一郎

    ○大坪説明員 労働時間に関連いたしまして御質問がございました。  いまの東旅協できめました体系の問題でございますが、これによりますと、十二時、正午から夜中の二時までに最もたくさんの車が動いている形になっております。私どもといたしましては、営業上どういう時間にどういう車をA勤務、B勤務、C勤務と分けて稼働させるかということは、やはり運輸機関としての本来の使命、それから営業政策上の問題点を考慮してきめるべき問題だと存じておりますが、私どもとしては、やはりタクシー運転手が過労となって事故を起こすような労働時間になるようなことを特に防ぎたいという趣旨で十六時間という限定をつけておるわけでございます。したがいまして、この三つの勤務制度につきまして私のほうからことさらいろいろ申し上げることは、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  276. 浅井美幸

    ○浅井委員 さっき黒住局長がおっしゃったのは、午前九時ならば九〇%とおっしゃったのですが、いまのお答えのように、東旅協できめているA、B、Cによれば十二時に一〇〇%になるのであって、午前九時から九〇%になりますか。午前八時から翌日の午前二時まではAのグループしか勤務しておらぬわけです。これで九〇%になりますか。
  277. 黒住忠行

    ○黒住説明員 いまのA、B、Cのスリーシフトは三等分しておるというものではございません。A勤務というもの、すなわち七時半から八時まで点呼、点検をやりまして、八時から翌日の午前二時までタクシー営業をするといういわゆるA勤務というものが原則でございます。したがいまして、それが八時から出動いたしますので、パーセンテージが相当高いということだろうと思います。
  278. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうすると、Aは九〇%でBは五%でCは五%と受け取っていいのですか。ちょっと矛盾しておりませんか。
  279. 黒住忠行

    ○黒住説明員 これはA、B、Cと割っておりまして、三百数十社の中で九十五社につきましては、九時三十分、十時、十一時始業の会社が一〇%をいわゆるC勤務に配車いたしておりまして、九〇%の車両はB勤務となっております。それからその他の会社で、概数二百六十社、一万七千七百両に相当するものが一〇%の車両をC勤務に配車いたしておりまして、九〇%の車両はA勤務というふうに割り振りしております。
  280. 浅井美幸

    ○浅井委員 Bはゼロですか。
  281. 黒住忠行

    ○黒住説明員 Bは、九十五社の三千五百両に相当するものが、その会社の九〇%の車両はB勤務ということでございます。それからAは、二百六十社で一万七千七百両に相当するものについての一〇%がC勤務で、九〇%はA勤務です。したがいましてそれを車両数で割り振りしてみますと、八時から九時までは約一万九千台の車になりまして九〇%ということになります。
  282. 浅井美幸

    ○浅井委員 ちょっとむずかしい分析でよくわからないですけれども、そうすると労働省の通達によって東旅協がきわめたこのA、B、Cというのは、実際問題、労働省に伺いたいのですけれども、東旅協は実施していないということですね。その会社によってはAとCしか分けていないということですね。どういう指導をなさったのですか。
  283. 大坪健一郎

    ○大坪説明員 労働時間につきまして、二日継続して十六時間、翌日は必ず休むという形のものを通達いたしておりますけれども、個々の企業が自分のところの運転手にどういう勤務時間を指定して行なわせるかということまでは私ども指導いたしておりません。ただし、お説のように深夜の問題等についても確かめる必要がございますので、深夜の臨検、監督もいたしております。私ども先ほど申し上げましたように、ことしの五月の一斉検査におきましては、残念ながら労働時間についての違反が五割程度ございます。まだ完全にその通達の状態が実施されておるとは、はなはだ遺憾でございますけれども申せませんので、今後におきましてその通達の趣旨を実現していきたいと考えております。
  284. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうすると、局長にお伺いしたい。このようにA、B、Cと分けてきめておりますけれども、この時間は守られていない。そうしてあなたのおっしゃった八時以後は九〇%動いておるという計算が私はよくわからないのですけれども、労働省としては、お昼ごろは一番よく実車化しているじゃないかという計算であって、運輸省と労働省はだいぶ計算が違う。それは別としても、実際問題、監査をして五割程度はこの勤務時間が守られていない。ということは、業界が労働問題について指導を守っていない。これについて自動車局としてはどのように考えられますか。
  285. 黒住忠行

    ○黒住説明員 いまの時間帯でございますが、午前十二時から二時まではおおむね一〇〇%出動していることになっておりまして、八時から九時までのほうが多いということではございません。八時から九時までは一応スリーシフトの案分によりますと九〇%でございますが、十二時からのほうがさらにこの出動率が上がってくるということでございます。その点は労働省との矛盾はないかと思います。  それから、にもかかわらず勤務時間等に関する違反があるということにつきましては、経営者の労務管理、運行管理の面において遺憾な点があるのでございます。現在、たとえば最高走行キロにつきましても、四十三年度で平均約三千八百五十キロということになっております。   〔鍛冶委員長代理退席、田中(武)委員長代理着席〕  平均が三千八百五十キロであるといいますことは、相当、それ以上の走行をやっておる者があるのではないかとも見られるわけでございます。われわれといたしましては、多数の業者を相手にいたしておりますので、これは各事業者の自覚にまつことが必要でございますけれども、個々のものにつきましては、それらが事故等を起こしました場合、乗車拒否を行ないました場合等におきまして出動して監査を行なう、また定期的な監査等を行ないまして指導をしていくということが必要であるかと思うのでございまして、それらの点につきます経営者等の自覚の点等については、きわめて遺憾な点が多いと思っております。
  286. 浅井美幸

    ○浅井委員 それから次の問題ですが、日雇い運転手が多くなってきますと、運転手の教育が、これは全くできないことになりますね。入社五日間は運転手教育が必要であるというふうに義務づけられていますが、実際問題、これは守られていません。その監督は一体どこが行なっておるのですか。
  287. 黒住忠行

    ○黒住説明員 これは自動車運送事業等運輸規則という省令で、運輸省令でございます。したがいまして、われわれのほうの関係規則でございます。これの励行につきます監督は、われわれがやらなければならぬ事項でございます。
  288. 浅井美幸

    ○浅井委員 ところが、この日雇い運転手が非常に多い。放置されたままである。先ほども警察庁からお伺いしたのですけれども、いわゆる悪質な会社というものは十八社あったけれども、実際問題、いわゆる送検できたのは一社のみであって、あとのものは引っかからなかった、こういう取り締まりの状態である。監督とそれから取り締まりと両々相まってこのようなことは、実際問題、毎日毎晩行なわれておる。自動車局長、一ぺん夜の銀座へ行っていただいたらわかると思う。どの車も一つも乗せてくれませんよ。ですから、そのような実情が毎日平然と行なわれていながら、それが悪質な日雇い運転手である、このように言われていながら、その実情は取り締まりもできないし、あるいは指導監督もできないというまま放置されているのが現状ですよ。これはどうでしょう。
  289. 黒住忠行

    ○黒住説明員 夜の銀座等におきましては、圧倒的に輸送需要が多いわけでございまして、われわれといたしましては、夜の銀座とか新宿とかいうふうなもの以外の場合におきましても乗車拒否があるということを非常に遺憾に思っておるわけでございまして、警視庁と東京陸運局が非常に連絡を密にいたしまして取り締まりに当たっておるわけでございます。警察のほうで通告をいただくものと、それから利用者のほうから通告をしていただくものと二つございます。警察のほうで通告を願いますものは証拠関係その他も十分なものが多いわけでありまして、それらにつきましては送検その他が行なわれたものにつきまして使用停止処分を的確にやっているつもりでございます。利用者のほうから通告の参りましたものに対しましては、前後の関係を被害者、利用者のほうからお聞きして証拠固めをする必要がございますので、それらが証拠固めができましたものにつきましては行政処分をいたしておる次第でございます。それは個々の車に対してでございますけれども、最近におきます志村興業のような場合におきましては、検察におきましても会社の責任を追及されているわけでございますので、われわれのほうも東京陸運局でこの八月の二十日と二十一日の二日間にわたりまして本社と二つの営業所につきまして特別監査を実施いたしました。その結果につきましては、来月に行政処分をいたしたい。その内容につきまして、現在精査いたしているような次第でございます。したがいまして、将来は従来の車両の使用停止ということを励行することはもちろんでございますけれども、それらの悪質事犯が重なるような会社に対しましては、特別監査等の方法をもちまして内容をつまびらかにし、さらにその結果営業所の営業停止というふうな強い処分をもって臨んでいきたいと思っております。
  290. 浅井美幸

    ○浅井委員 いろいろとおやりになっているようでありますけれども、今晩でも一ぺん自動車局長、私と一緒に行って現場を見られるといいと思うのですね。このようなことやったって、これはもうぬかにくぎですよ。私は警察庁にお願いしたいのですけれども、徹底的に一斉点検をやってもらいたいと思うのですね。これは毎晩やってもらいたいと思うのです。暴力学生の取り締まりも非常に大事な問題でありますけれども一つの大きな社会問題であります。これは運輸省と警視庁とあるいは警察庁と連絡をとって、徹底的な点検をやってもらえば、悪質業者もあるいは悪質運転手も大きな反省をしあるいはまたそれに対する今後の改善策に積極的に取り組むと思う。いままで一斉点検あるいはまたそれに対する何といいますか、恒久的ないわゆる監視体制といいますか、それが組まれておるかどうか、これもまたあわせてお聞きしたいのです。
  291. 久保卓也

    ○久保説明員 一斉点検と申しますものは、常時やるわけにはまいりません。したがいまして、先ほど自動車局長からもお答えいたしましたように、この五月から八月にかけましては、東京では陸運局と警視庁との、また大阪でもそれぞれ提携をしながら、一斉の点検をやったわけでありますが、この際に四、五百人の警察官を出しております。ところが御承知でもありますように、警察官が出れば車が寄りつかなくなるというようなことで、これも一斉点検中に相当の検挙も見ておりますけれども、それが十分の効果を発揮するかどうかは必ずしも言えないと思います。そこで警視庁が考えておりますのは、そういった総合的な点検というのはときどき計画をすることにしまして、常時の体制としてどうあるべきか。これは乗車拒否の常習地区、新宿、渋谷、池袋、銀座といったようなところの外勤の警察官に乗車拒否の扱い方を教える。これはマンモス都市でもありますので、相当数の人が要るわけでありますけれども、そういったようなことを訓練するというようなことをやっております。  しかしながら問題なのは、乗車拒否の根源がどこにあるかということは、申すまでもなく御存じだと思いますけれども、取り締まりの面でどういう点が問題になるかといいますと、たとえば運転手がこれから食事に行くのだあるいは車庫に帰るのだ、制限キロ数が切れたからこれでおしまいです、こういわれると乗車拒否の形にならない。運転手側のほうも防衛策を講じ術策を講じまして、上取り締まりにひっかからないようなことを考える。  それからもう一つ難点は、これは乗客のほうでありますが、乗客がうるさいのか、どうしても警察側に協力をしないという点が問題であります。どうしても乗車拒否をされた乗客の供述書といいますか、そういう調べがついておりませんと、検察庁に送れないというところは、これまた取り調べ上非常に大きな難点であります。今度はさらにこれを検挙をした。したものの、効果は何であるか。運転者については三万円以下の罰金でありますが、その三万円は本人が支払えば相当痛いわけでありますけれども、たとえば会社が支払うというかもわかりません。さらにもっときついのは、運転者のみならず会社を罰するということでありますけれども先ほどの百三十二条というのは、わずかに会社の三万円の罰金しか科せられないというので、これでも取り締まり上何といいますか、効果の点で非常に疑問があるということで、どうも取り締まりという点についてはさらに限度があるというような感じがするわけであります。  そこで先ほど自動車局長がお話になりましたような総合的な対策をとって、タクシー業というものの体質を改善することによって乗車拒否をなくすということが本筋ではなかろうか。もちろん、そう申すことが、われわれが乗車拒否の取り締まりはやらないということではなくて、恒常的な取り締まり体制に移りつつあるけれども、その間において感ずるのは以上のことであるということでございます。
  292. 浅井美幸

    ○浅井委員 いまいろいろと御答弁いただいたのですが、その中で法律的な問題がありますが、警察官に協力いたしますと、調書がなければ、いま送検できない。その調書をつくるのに、夜の十一時半ころから乗車拒否があったんで訴えて、朝の四時も五時もかかる。非常に繁雑である。これでは協力できないというのが一つの声になっております。もう少し簡単な、いわゆぬ乗客の訴えにおいて、本人を何らかの形で罰する法的な処分をとれるというような法的な措置が講ぜられないかどうか。この点お伺いいたします。
  293. 久保卓也

    ○久保説明員 おっしゃいますことには二つ問題があります。一つは、警察官の取り調べ技術がまずいためにだらだらと時間がかかるという点がございます。この点は従来からも、これは乗車拒否だけではございませんけれども、取り調べのしかた、その調書の書き方等について教養を行なっております。不十分なものも残っていようかと思います。これは、われわれ内部の問題として今後も十分に推進していかねばならないと思います。  ところで、もう一つの問題は、裁判所と申しますか、検察庁と申しますか、それとわれわれ警察側との問題であります。つまり、われわれのほうは、なるべく事務を簡素化したい、調書も簡単にしたいと常に思うわけであります。そうでなくとも、仕事が非常に多いわけでございます。ところが、裁判所のほうでは、やはり人権の尊重というのが大きな柱でありますから、その点からなるべく詳しい調書を要求する。したがいまして、また検察官のほうもそれにならってあまり簡単なものは好まないということで、利害の相反すると申してはなんですけれども、それぞれの立場が異なることで、必ずしも簡単にするということは容易ではないという二点、問題がございます。
  294. 浅井美幸

    ○浅井委員 いろいろと問題点があると思いますけれども、これは、いろいろな問題点を克服しなければ解決しない問題でありますので、前向きに検討いただきたいと思います。  それから、自動車局長にお伺いしたいのですが、この乗車拒否は需要と供給の関係であります。乗車拒否をしてもあくまでも需要がある、こういう見通しで自分の好むような、あるいはチップをはずむような、そういうふうな状況を選ぶということの選択権が向こうにまかされておる。これが一つの解決策として評判のよい個人タクシーを増車せよという声がありますけれども、この点についてあなたのお考えはどうでしょうか。
  295. 黒住忠行

    ○黒住説明員 個人タクシーは非常に評判がよいということで免許いたしておりまして、現在東京におきましては約八千人個人タクシーがございます。われわれの方針といたしましては個人タクシーをさらに免許をしていきたいということで、事務処理を急いでいるわけでございます。しかしながら個人タクシーの出動する時間というものは自由になっておりまして、その人の健康の許す範囲内において出動をする。その場合は法人タクシーが一日三百六十五キロといたしますとその半分の輸送力を適宜配分していくということでございます。したがいまして現在では個人タクシーは主として昼間に出動しているわけでございまして、夜間にこれが出てくるということはむずかしい問題があるかと思いますが、われわれといたしましては個人タクシーの協会等に呼びかけまして、できるだけ夜間も個人タクシーが勤務時間を案分いたしまして出動するということを要請をいたしております。さようなことで個人タクシーが評判がよい限りにおきましてはこれを免許いたしたい。現在の免許率はおおむね申請に対しまして約七割でございまして一定の要件が合致しておれば免許するという方針をとっております。  なおその場合に過半数の者はタクシーの運転手でございまして、この個人タクシー制度はタクシー運転手に長年の希望をかなえてやるという制度でもございますから、タクシー運転手を優先的にいたしております。したがいまして、その場合にタクシー運転手が免許を受けました場合におきましては、輸送力は一応量的にはプラスではないという結果になるかと思います。個人タクシーの免許はこれを促進いたしてやるという方針は従来と変わりなく続ける予定でございますが、全体といたしましてタクシー運転手が不足をいたしておりますので、それには量的、質的に給与の内容等を改善して、タクシー運転手になりたいというたくさんの希望者を得られるということ、また来ていただきます希望者に対して研修の方法等を充実していくというようなことが必要ではないかと思いまして、われわれといたしましてはいろいろな手段を講じまして良質な運転手を多量に確保するということがこの問題に対する根本的な解決策であるというふうに考えておるわけでございます。
  296. 浅井美幸

    ○浅井委員 個人タクシーの年齢制限も四十歳から三十五歳に引き下げられましたね。そしてまた個人タクシーは非常に事故も少ないということがいろいろな統計から出てきております。したがって個人タクシーについての免許基準といいますか、これらについて、優良な運転手等の基準は三十五歳からまださらに若いそういう運転手を養成あるいは育成することによって、いまあなたがおっしゃったように昼間勤務が多い個人タクシーをそういうことから若い元気な人たちが今度夜間勤務により多くつくのではないか、こういうふうに言われております。したがってその点の運転経験の期間の引き下げやあるいは運転資格の基準や条件の緩和は当然行なってもいいと思うのですが、この点についてどうでしょう。
  297. 黒住忠行

    ○黒住説明員 昨年年齢制限を緩和いたしまして、三十五歳というふうにいたしております。その場合にはタクシー運転手を三十五歳、それからタクシー運転手以外の人に対しましては、いわゆる優マークという表彰を受けておる者を免許するというふうなことでいたしておるわけでございまして、その結果非常にたくさんの人たちが申請を提出されているようでございます。現在百数十名から二百名程度の人たちを免許いたしておりまして、先ほど申し上げましたように約七〇%でありました免許率が、この八月に実施いたしました東京の場合におきましては七八%の免許率になっております。といいますことは、条件等につきましてはそんなシビアな審議をやってないということかと思うわけでございまして、中には事故を起こしたというふうな人がございます。年齢も当然足らないというふうな人がございまして、一見して形式的に却下されるような人もございますので、そうでない場合におきましてはほとんどの人たちが免許されるというふうにお考え願ってもいいのではないかと思います。  ただ若い人ならば夜間にも出動するかどうかという点でございますが、われわれといたしましては、この個人タクシーの評判を落とさないというふうなことがどうしても必要なことでございますので、そういう面のことを十分考えつつ免許をしていきたいというふうに考えてやっておるわけでございます。
  298. 浅井美幸

    ○浅井委員 よくいろいろなうわさによれば、個人タクシー免許についても議員が介在するというふうな話も聞きます。したがってそれらのうわさが一掃されることを私は望んでおきます。従来からタクシー業界と政界との結びつきということはいろいろなことがいわれております。業界が赤字であって値上げを要求しておるとかいうふうにいいますけれども、やはり政治献金が相変わらず続いておる。そういうところから非常に不明朗な話も出ております。したがって運輸省の自動車局においても、このタクシー業界に対する取り締まりが非常に手ぬるいのではないか、このようなうわさもあるわけです。したがって、私は今回のこのような大きな問題になってきたことについて、いまあなたもおっしゃいましたけれども、まず夜間におけるところのいわゆる交通機関を、そういう何といいますか乗車拒否のひんぱんに起こるところに出したいという話でありますけれども、これは私はすみやかな措置をとっていただきたいと思うのです。ですから乗り合いタクシーというような、方向が同じようなものである場合は、これはマイクロバス等をどんどん出していく、そしてこれらの改善をはかっていく、こういうふうに私はすみやかな措置をまず望みたいと思うのです。  先ほど近代化センターのお話も伺ったわけですけれども、これがこのまま半年間推移すれば、また年末等を迎えていろいろな社会問題が続くわけでありますので、大きな政治問題とだんだんなってきます。この点について私は強く望んでおきたい、このように思いますし、また先ほど申し上げましたように、乗り合いタクシーのようなマイクロバス等をつくるならば、料金も安くなるし、そしてそのような改善策の一端にもなるのじゃないか、このように私は思います。このような検討が具体的に実施されるのは、あなたの見通しとしてはいつごろであるか、その点をちょっと明確にお伺いしたいのです。
  299. 黒住忠行

    ○黒住説明員 乗り合いバス等の夜間の利用につきましては、先ほど申し上げましたように、来月中にも実施したいと思っております。   〔田中(武)委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕 その他の御指摘の方法につきましては、なるべくすみやかに案をつくりまして、できるものから実施をいたすようにいたしたいということで、われわれといたしましては、この問題につきましては最善の努力を払っていく必要があるということを痛感いたしております。
  300. 浅井美幸

    ○浅井委員 最後にお伺いしたいのですが、来月から実施される具体的な構想というものはどういうものでしょうか、重ねてお伺いいたします。
  301. 黒住忠行

    ○黒住説明員 夜間の十一時とか十二時の時刻から、たとえば銀座方面から数方面へ特別のバスを運転するというふうな方法でございます。それの方向、経路等につきましては、やはり利用者の希望というふうなこともございますので、現在その需要調査をやらしております。これが近くでき上がりますので、それによりまして実施をいたしたい。大阪におきましては灘波——上六間につきまして、近鉄と南海の終電車の時間を見まして連絡ができるような時間帯に動かしております。東京におきましてはそういう方法ではなくして、銀座あたりから四谷、新宿等を経由いたしまして一定の経路において夜のバスを動かしたいということで、いま経路の選定等を陸運局に命じましてやらしておりますので、それが近く成案を得次第実施に移したい。その目標を来月に置いている次第でございます。
  302. 浅井美幸

    ○浅井委員 どこのバスでしょうか。
  303. 黒住忠行

    ○黒住説明員 これは、東京におきましては一応東京都営バスなり、それから民間の乗り入れのバスがございまして、それらの路線の分野というものがございますから、原則的にはそういうところに協力を求めるわけでございますが、これのいろいろ条件等もあるかと思いますので、さらに観光バス等の協力を得るということも必要かと思います。それで、その相手といたしましては、東京のバス協会というものがございますので、バス協会を全体としての相手方といたしまして陸運局とバス協会とで具体的な路線、どこにやってもらうかというふうな問題につきまして目下検討しておる状況でございます。
  304. 浅井美幸

    ○浅井委員 最後に私から申し上げたいことは、非常にそういうふうな措置をとられるわけです。どうか、いわゆる一時的な形式的なものに終わらないで、効果的なそういうきちんとした実施とともに、先ほどあなたが一番最初に言われましたように、いわゆるタクシー業界の実質的な体質改善、運転手をはじめ給与体系あるいは業務管理等等についての積極的な姿勢を私は強く望んでおきます。  私はこれで質問を終わりたいと思います。
  305. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会