○石野
委員 この再処理工場の問題について
科学技術庁が従来やつてきている態度なり、あるいは動力炉・
核燃料開発事業団のやってきたいままでのやり方からしますると、将来は再処理工場というものは全国に何カ所かできるだろう、私たちもそう思います。しかし、
最初はとにかく東海村でなければならないのだという
考え方に膠着しておるように思います。しかも当時燃料公社の今井
理事長あるいは有沢
原子力委員会委員長代理が、候補地を何カ所か求めるのだ、さがすのだということを、私には何べんも
科学技術委員会で約束しているわけですよ。しかし実際にはいままではそれをやっていないようです。そして今日の段階でも射爆場の返還は、ここ三年や四年くらいではしそうにないということはもう常識になっておる。けれども執念のようにして、あすこにつくろうとしているわけです。安全審査
委員会が出した報告を見ますと、いわゆる訓練機、ジェット機が再処理工場の上に落っこちてもだいじょうぶだ、こういうことらしいのですね。そんなばかなことはないと思うのだけれども、とにかく私は安全性の問題についてはしばしば重要性を説いているわけでございますが、炉の安全性あるいは放射能に対する警戒という問題は、こういう
施設を持っている限りは、ただ炉だけではないと思う。電源が絶った場合も非常に大きな障害がくるわけです。ことに再処理工場と違って
原子炉のごときは、もし電源が絶たれた場合になると、予備発電機が動かなくなった場合などには、たいへんなことになるというくらいはだれでもわかっておる。だから過度集中という問題は非常に重要なことだから避けなければいけない。
事業団法が制定される場合にも、
原子力について放射能災害から安全性を確保するためには、過度集中を避けなければならぬということで、私は中曽根君を筆頭とする自民党の
委員とも話をし、あるいは
科学技術庁の皆さんとも話をして、そして過度集中ということばはちょっときついから、適切な配置ということばに変えてくれないかという中曽根
委員の
意見などもあって、附帯決議の中にそういうことも入れた。そのことは具体的にはやはり東海村におけるところの
施設の過度集中を避けるという内容を
意味しておった。いまここで地元の方々が再処理工場の問題を射爆場との併存の問題で強く反対する、これは知事をはじめとして全県民の
意見です。けれども、地元は再処理工場自体が悪いということはいっていない。やはり射爆場があってもなくても、あすこに再処理工場をつくるということは地域的に過度集中である、こういうことで反対が強いわけです。近代工業における公害の問題を取り扱う場合に、一番重要な問題は過密化だと思います。どんないわゆる許容量を設定しましても、ゼロでない限り数多く重ねれば必ず公害が出てくる。それはもう
通産省がいままで認可しているいろいろな
施設が、いろいろな公害を出してきている具体的な結果でよくわかると思う。
原子力についての公害はまだ大きく出ておりません。だけれどもこの公害が出る場合は、他の公害の比ではないということです。もう出してはいけないのです。ほかの公害は出ても、たとえば亜硫酸の問題については、それを押えれば極小限でとめることはできると思いますけれども、放射能の公害が出ますと、これはたいへんなことになります。だから私たちはこれを非常に重要視しなければいけない、そういう立場から再処理工場の設置の問題についての反対があります。だから
原子力委員会における安全性審査の結果が出ましたことについても、地域の住民はもうそれでだいじょうぶだという
考え方になっていないし、常識的にいってジェット機が落っこちてもだいじょうぶだという結論など、だれもほんとうにしていないのです。それは何か
目的的につくられたような審査だとしか思っていない。私はやはり
原子力の問題については、基本法の三原則に基づくことが非常に大事だと思います。そして
長官は
原子力開発、特に燃料サイクル
確立の上で再処理工場の設置を急がなければならぬということをしばしば言ってきている。私たちもそのことに対してはあえて反対をいたしません。けれども、それはあくまでも安全性を
確立させるという上でなければいけないということを言っているわけです。
そういう
意味で、東海村にいまつくろうとする場合、隣接して射爆場があり、そして誤射、誤爆、いろいろな被害を生じておるから、地域住民は併存を絶対に許さない、こういう反対の
意見が出ているわけでしょう。今日防衛庁の
長官がいろいろと御努力なさっている、こういうふうな
お話でございますけれども、先般本
委員会において防衛庁
長官は、やはり代替地なしではとても米軍との話し合いはできないんだ、こういうことになってまいりますと、外務大臣なりあるいは
施設庁の
施設局長が、米軍との折衝をしてみようなどというようなことを言ってみても、代替地なしにそんなことはできない。そうすると、代替地のない間は、おそらく水戸射爆場というものはあそこから立ちのくことができないというのが現実の
政府の
考えている内容だと思うのです。私たちはそんなことじゃなしに撤去しろという
意見があるのですよ。
それは別として、そうなってきますと、茨城県における併存を許さないという県民の
考え方と、再処理工場を設置しようという
事業団の
考え方との間には、もうかみ合わないものがあるのですよ。そうなってくれば、再処理工場を急いでつくろうというこの
考え方は、ここではとても満たされないことになる。私は、再処理工場の設置については、早急にやはり敷地をさがすということを先行させなくちやいけないんじゃないか。もしそれをやらないでいてこれをやろうとするならば、これはやはりいわゆる
原子力三原則を無視してでも
事業をやる人の声にこたえようとしておる
考え方だといわなければならない。そういうことのために
原子力委員会の安全審査の結論を出さしたと勘ぐっても、それは決して行き過ぎじゃないと思うのですよ。私は、再処理工場の設置についての敷地の選定について全然
考えもしないで、東海村オンリーでやるというやり方は、権力的なやり方だと思うのです。こういうやり方はとても地域住民は受けとめることはできないし、賛成はしないと思います。だから、これはどんな結論を出しても、こんな
政府の
考え方や
事業団の
考え方であったら、まあまあという
考え方を持っている者でもこれは反対の立場に立ってくる。
私は、大臣がいまこの段階で、射爆場の問題については防衛庁がやっているんだからというようなことなら、それでいい。それにしても、それと切り離して、じゃ再処理工場の問題をどうするんだとかいう結論がなかったら、
核燃料サイクル
確立の政策というものは全く皆無だといわなければいけないし、そしてそのやり方は権力的に東海村にだけ押しつけようというやり方だけしかないというようにしか思えないのですが、そういうように
考えてよろしゅうございますか。