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1969-06-17 第61回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十七日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 鍛冶 良作君 理事 白浜 仁吉君    理事 丹羽 久章君 理事 水野  清君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       椎名悦三郎君    菅波  茂君       早川  崇君    水田三喜男君       赤路 友藏君    石野 久男君       浅井 美幸君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長 床次 徳二君         官)  出席政府委員         人事院事務総局         管理局長    茨木  広君         内閣総理大臣官         房臨時引揚者特         別交付金業務室         長       川合  武君         総理府人事局長 栗山 廉平君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         青少年対策本部         次長      今村 武俊君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局参事官  橘  利弥君         総理府内閣総理         大臣官房参事官 山下  治君         総理府恩給局次         長       平川 幸蔵君         総理府恩給局恩         給問題審議室長 大屋敷行雄君         行政管理庁長官         官房総務課長  安達 為也君         行政管理庁行政         監察局監察官  佐藤 恵一君         会計検査院事務         総局第一局長  斎藤  実君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十二年度政府関係機関決算書  昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十二年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管総理本府、公正取引委員会土地  調整委員会首都圏整備委員会及び宮内庁)〕      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  総理府所管中、総理本府、公正取引委員会土地調整委員会首都圏整備委員会及び官内庁について審査を行ないます。  まず総理府総務長官より概要説明を求めます。床次総理府総務長官
  3. 床次徳二

    床次国務大臣 昭和四十二年度における総理府所管歳出決算について、その概要を御説明いたします。  総理府所管昭和四十二年度歳出予算現額は、七千七百六十億二千百六十一万二千円でありまして、支出済み歳出額は、七千六百四億三千五百八十五万三千円であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと、百五十五億八千五百七十五万九千円の差額を生じます。  右差額のうち、翌年度繰り越した額は、百三十二億三千三百六十四万八千円であり、不用となった額は、二十三億五千二百十一万一千円であります。  右の総理府所管歳出決算は、総理本府のほかに、公正取引委員会土地調整委員会首都圏整備委員会の三つの委員会と、宮内庁警察庁行政管理庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁及び科学技術庁の七庁の外局に関するものでありますが、警察庁行政管理庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁及び科学技術庁につきましては、各担当の大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局について申し述べますと、歳出予算現額は、二千百九十一億二千四十三万三千円でありまして、支出済み歳出額は二千百五十八億七千七百万七千円であります。  この支出済み歳出額予算現額に比べますと、三十二億四千三百四十二万六千円の差額を生じます。右差額のうち翌年度繰り越した額は二十三億三千二百六十八万二千円であり、不用となった額は九億一千七十四万四千円であります。  以上申し上げました経費のうち大部分は恩給費でありますので、恩給関係経費について、さらに御説明しますと、その総額は一千九百八十九億八千七百五十四万七千円であり、そのおもなものは、文官等に対する恩給費二百五十三億三百六十三万一千円、旧軍人遺族等に対する恩給費一千七百三十六億八千三百九十一万六千円でありまして、これに対する支出済み歳出額は、総額一千九百七十億九千九十三万二千円であります。  このうち、文官等に対する恩給支給における支出済み歳出額は、二百五十一億八千九百二十七万円でありまして、この経費恩給法等に基づいて、退職した文官またはその遺族に対し支給した年金及び恩給並びに国会議員互助年金法に基づいて、退職した国会議員またはその遺族に対し支給した互助年金に要したものと、旧勲章年金受給者に関する特別措置法に基づいて、旧勲章年金受給者支給する一時金に要したものであり、また、旧軍人遺族等に対する恩給支給における支出済み歳出額は一千七百十九億百六十六万二千円でありまして、この経費恩給法等に基づいて、旧軍人またはその遺族に対し支給した恩給に要したものであります。  次に翌年度繰り越し額は、恩給費及び沖繩援助等に必要な経費における二十三億三千二百六十八万二千円でありまして、これは旧軍人遺族等恩給軍歴及び死亡事実の調査確認に不測の日数を要したこと等のためであり、また、沖繩に対する産業開発社会福祉及び医療、文教関係等財政援助事業琉球政府における執行着手までに相当期間を必要としたこと及び事業の完成までに相当の工期を要したこと等のため、年度内支出を終わらなかったものの繰り越しであります。  また、不用額を生じましたおもなものは、公務扶助等支給実績が予定を下回ったので、旧軍人遺族等恩給費を要することが少なかったためであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 中川俊思

  5. 斎藤実

    斎藤会計検査院説明員 昭和四十二年度におきます総理本府、公正取引委員会土地調整委員会首都圏整備委員会及び宮内庁決算について検査をいたしました結果は、特に違法または不当として指摘した事項はございませんでした。
  6. 中川俊思

    中川委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  7. 中川俊思

    中川委員長 これより質疑に入ります。  質疑通告がありますので、順次これを許可いたします。丹羽久章君。
  8. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 委員長の許しを得ましたので、二、三の点について質問をいたしたいと思います。  まず最初に、恩給支給事務敏速化についてお尋ねいたしたいと思います。  昭和四十二年度決算における恩給に要した金額は千九百六十一億円で、二百九十万人の人々が恩給支給を受けているのであります。しかるに、四十二年度末における恩給使用状況を見ますと、十一億円の繰り越し額を出しておるのであります。  その理由は履歴及び死亡事実の調査確認等に多くの日数を要したこと等により、年度内給付を終わらなかったためであります。この例の示すごとく、恩給法もさることながら非常に手続がむずかしく、まためんどうなために、請求に時間がかかり、また請求したあと裁定までに月日が相当かかっているようであります。一回でパスすればよいが、何回も書類が送り返されたりして、ひどいのは恩給をいただくまでに数年間もかかるといわれております。  これらについて現在までどのような対策を講じてこられたか、こういうような事態に対しての考え方、さらに処理状況はどうであるか。請求より裁定までの最短のもの、最も長い期間を要したもの、平均年月等をお知らせいただきたいと思います。
  9. 平川幸蔵

    平川説明員 お答えいたします。  御承知のように、恩給年金というのは、本人死亡したあとでも妻、子供、父母、祖父母、こういうように順次支給範囲が拡大されていく非常に大事な裁定業務でございますから、われわれとしては非常に慎重に取り扱っております。  問題は恩給請求から裁定までの期間の問題でございますが、ただいま申し上げましたように非常に大事な事務でございますから慎重にやる反面、できるだけ早く裁定いたしたい、こういう考えでやっておりますが、恩給事務内容によりましては、若干そのおそい、早いが異なるわけであります。すなわちいわゆる普通恩給のように在職年の長さと最終俸給だけできまるというような恩給につきましては、比較的早く処理されておるわけであります。普通恩給につきましては大体恩給局に入りましてから二カ月程度で処理しております。  御承知のように、恩給恩給局へ入ります前に、府県世話課なり援護課を通じまして厚生省に入り、厚生省から恩給局へ入る、こういう段階でございますから、恩給局裁定に要する期間が二カ月でございますが、それにプラスすることの市町村段階期間と県の段階期間、それから厚生省段階期間、これもプラスしなければいけませんが、恩給局へ入りましてから、普通恩給等につきましては約二カ月で裁定をしておるわけであります。  この点については問題ないわけでございますが、おそらく御指摘の点は傷病恩給の点であろうかと思います。傷病恩給は御承知のように受傷は二十数年前に受傷したわけでございます。現症状は受傷との間に因果関係がなければならない、立証をしなければならない、こういうことでございまして、この間における立証資料等について相当手間がかかるわけであります。場合によりましては、この資料を補完することによりまして、本人に適正な恩給支給することができるということになるわけでありますが、こういった資料を求めるために若干普通恩給よりは裁定期間を要する。平均いたしますと、傷病につきましては恩給局に入りましてから約六カ月くらいで裁定をされております。しかしながら先ほど申し上げましたように、傷病恩給府県段階それから厚生省援護局段階を経てきますから、その間における本人援護局なり、あるいは府県世話課との行き来相当あります。たとえば資料が、御承知のように二十数年たっておりますから、必ずしも完全でない。そういう場合には、本人援護局なり世話課との段階相当行き来がありますが、資料を完全なものにして恩給局にくる。恩給局につきましてもやはり資料が不足の場合がありまして、これを補完を求める場合がある。それから恩給局には顧問員がおられますけれども、この顧問員にかける場合もあります。それから場合によりましては恩給審査会という諮問機関がございまして、これにかけなければならないケースもございます。そういうことでございますので、大体恩給局に入りましてから六カ月くらい平均所要期間が要る。長いものになりますと、一年数カ月のものもございますけれども、平均いたしますと以上のとおりであります。  なお請求件数手持ち件数を申し上げますと、ただいま申し上げました普通恩給につきましては、受け付け件数が六万六千件でございまして、処理が六万九千件でございます。処理のほうが多いのは前からの手持ちがあったからでございます。それから傷病恩給も三万五千件受け付けいたしまして、三万二千件裁定しております。以上のように大体受け付けたものはその年度において処理しておる、こういう状態でございます。
  10. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そこでいまお話を聞きますと、傷病関係相当手間どる、普通の恩給のほうは比較的スムーズにいっている。大体二カ月くらいで手元へくればできると次長さんはおっしゃいますけれども、現実はそうでないですよ。あなたほんとうにそう思っていらっしゃるか知らぬが、その理由一つとして、府県あるいは市町村を通じてくるのであるから、相当その期間もかかる。手元へきて、私のほうの処理は二カ月くらいでやるとおっしゃるけれども、最後の決定するのは一体だれが決定するのです。あなたのほうでやるでしょう。最後はあなたのところで決定する。たとえそれがあなたのほうで二カ月で処理せられましても、出した本人から考えてみますと、非常に長い年月がかかるということですね。いまの説明を聞いていると、一番長いので大体一年六カ月くらいだ、こうおっしゃる。それじゃあなたは二年以上もかかったのはないとおっしゃるのですか。私は事実を示して申し上げているのですよ。これはもう少し早くやってもらえないのか、もっと簡単なやり方があるのじゃないかという恩給受給者の声なんですよ。これをこの委員会でもう少し直してもらいたい、敏速にやってもらいたい。最初から申し上げるのがほんとうであるけれども、現実どうなっておるかということをずっと積み上げてきて、初めてあなたに訴えるのですから、そう簡単にすっと流して、二カ月くらいでできますとか、そうしてあとは他のほうに回っております、私のほうへ入ってくれば、早いのは二カ月、おそくなっても六カ月くらいで済みますなんというようなことは、それはちょっと違うと思うのです。だから、私は与えられた時間が四十分よりきょうはないのですから、四十分の間に四つ、五つ聞くのですから、これ以上のことは申し上げません。  きょうは総理府長官いらっしゃるから、長官のお考えもひとつ聞きたいと思いまするが、こういうような恩給事務能率促進ということに対して、もう少し事務的能率をあげるということに対しては現代的器具をひとつ考えてもらう。言いかえれば、電子計算機のようなものによってやるようなお考えはないかどうか。これは特許でも、非常に積み重ねになって何ともならないということで、電子計算機を買い入れてこれの処理促進しているのですよ。あなたのほうも年々いろいろのことによって変わってくるから、非常に事務も複雑でしょう。御苦労はよく察しられますけれども、しかし、もらう者の身になったら一日も早く解決してもらいたいというのが私の願いなんです。受給者の声なんです。だから、今後どういう方針をとられるかということを率直にお聞きしたい。
  11. 平川幸蔵

    平川説明員 恩給事務促進につきまして、たとえば機械化などを考えてみないか、こういう御質問だと思いますが、実は私のほうも約三百万に近い恩給受給者を控えておりますし、ほぼ毎年のように改定事務もございますので、こういうことも実は考えておるわけであります。局内に事務促進委員会というのをつくりまして、いわゆる機械化につきまして進めておるわけでありますが、実は基本的に問題点が若干あるわけであります。  簡単に申し上げますと、御承知のように恩給は六十年の経過を経ておりますし、その間にいろいろな改正がございまして、非常に複雑な経歴を持っておられる方につきましては、必ずしも機械化になじまないという種類の恩給相当あるわけであります。たとえば文官恩給等におきましては、不均衡是正というのも何回かやっておりますし、あるいはその人の退職時期を擬制いたしまして、ほんとうに退職した時期よりもさかのぼった時期において時点をおきまして、それから給与を追っていくというような、実はむずかしい技術的な面がございまして、そう経歴を持っておられる恩給受給者につきましては、なかなか困難ではないか。しかしながら、先生が御指摘になりましたように、たとえば軍人恩給等におきましては、比較的経歴が簡単な人が多い。そういうものにつきましては、改定事務機械化できるということになるのじゃないかと思って現在非常に研究しておりますが、もう一つ問題点は、この改定事務機械化するにあたりまして、実は支給庁、これは郵政省でございますが、そのあたりまでも実は一緒に機械化を進めなければあまり意味がないのじゃないかというようなことも事務的に考えております。御趣旨の点を体しまして、日夜われわれは研究、検討努力しておりますが、今後ともひとつそういう線でできるだけ受給者に早く改定恩給なり、あるいは新規の恩給証書をお手元に届けたい、そういう趣旨で努力はしてまいりたい、このように考えております。
  12. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 床次総務長官に申し上げますが、いま平川恩給局次長から御答弁がございました。お聞きいただいておるとおりです。そこで電子計算機をもってもっと早くやるようにしたらどうだと私は申し上げたのですけれども、なかなか複雑で電子計算機を全面的に利用することはなかなか困難な面がある、こういう話であります。それはそれでいいと思います。どちらにしても、恩給を手に入れるまで二年近くの日数がかかる、全部ではありませんが、相当そういう人があるのです。それはあなたのほうの責任とは思いませんが、各省ひとつ連絡していただくと同時に、市町村のほうにも至急すみやかに、そういうものを受理したら早く出せというような指令を出していただきたい、あるいはそういう通告を出していただいて、そしてこれの処理方を早くやっていただきたいと私は希望するのです。長官のお考えはどうでしょう。
  13. 床次徳二

    床次国務大臣 恩給取り扱い機械化することにつきましては、部内におきましても検討に着手しております。ただ電子計算機にしますと、いままでのような恩給証書というような形でもって取り扱えるかどうかというような点もありますので、この点は十分将来のことを検討いたしまして、事務促進をはかりたいと思いますが、なお取り扱います事務関係者につきまして、仰せのような趣旨におきまして、できるだけ早く処理をするということは当然のことでございます。特にめんどうなのは、傷病恩給その他多少ケースの複雑なものにつきましては、とかくおくれがちであったと思う。長い時間がかかっておったかもしれません。この点につきましても、できるだけ早くこの恩給法趣旨受給者に行なわれますように、努力いたしたいと存じます。
  14. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 引き続きまして、恩給支給事務費についてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  昭和四十三年度における恩給支給に要する事務費は、支出済み歳出額が二十七億八千六百万円であります。そのうち実際に恩給を支払っている郵政省手数料として支給している金額は、事務費の七九%を占める二十二億円であります。この手数料推移を見ますと、一口当たりが四十年度が五十円、四十一年度が百六十円、四十二年度が百七十四円、四十三年度も同じく百七十四円、四十四年度、これは百九十四円と上昇しておるわけであります。この手数料及び値上げ分はどういうところから算出されたものか、積算内容について少しお伺いいたしたいと思います。  もう一点は、他は上昇しているけれども一四十二年と四十三年だけが、四十二年も百七十四円、四十三年も百七十四円、この年だけが手数料が一口に対して同額である。これはどういうわけか、この点をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  15. 平川幸蔵

    平川説明員 恩給事務費の件でございますが、実は恩給事務費につきましては、郵政省が主体になりまして計画を練りまして、私のほうと協議いたしまして大蔵省に提出する、こういう仕組みになっております。御指摘になりましたように、恩給取り扱い事務費郵政特別会計へ繰り入れておりますのは、四十三年度は約二十一億九千万円。なお四十四年度、本年度予算におきましては二十三億四千万円でございますが、口数当たりの単価は御指摘になりましたとおりでございます。この推移につきましては実は私のほうで承知しておりますのは、人件費その他の値上がり、諸物件増高ということを考慮に入れまして算出されておると聞いております。ただ先生指摘になりましたように、同じ額の年度が二年度ぐらいあるかと思いますが、この点につきましては、われわれといたしましては実はよく承知していないわけでございます。大体全体の流れといたしましては物件費人件費等値上がりを見て、大体本年度におきますと一一%の値上がりになっておりますが、一一%くらいの値上がりを見込んだ積算基礎、このように聞いております。
  16. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 四十年度が五十円ですね。あなたのほうはわかっておるだろう。それが四十一年度は約百六十円になっておる。四十二年が百七十四円です。四十三年度も同じく百七十四円です。今度四十四年度は百九十四円。だから物価上昇に伴う、手数料もやはり費用がかかっておるということで、ある程度上昇していくことはわかるのですが、最初の年に五十円で、ぱっと百何十円になっておる。さらに二年同じ百七十四円、百七十匹円というのはこれはどういうことだ、こういうことをお尋ねしているのですよ。ちょっとわかりかねるというけれども、これはあなたの監督なんですからね。どうしてもわからなければ、あとでよく調べて、どういうわけでこういう積算をしたのか、深く追及しようと思いませんが、あとで聞かしてください。いま返答できればいいです。できなければあとで私のところに話してください。
  17. 平川幸蔵

    平川説明員 この点につきましてはあと郵政省とよく連絡をいたしまして、資料を提出いたしたい、このように考えます。
  18. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 しかし次長、重大な金ですからね、そのくらいのことはわかっていなければならない。この手数料、他の類似年金等と比較してみますと、業務内容大同小差だと思うのですが、郵政省共済年金は九十七円、厚生年金は百五十五円、国民年金支給は三十二円、同受け払い金が百五十五円等になっておるわけです。これについてある程度業務の違っておる差異によるのでしょうが、どうしてこんなにみなそれぞれ違っておるか、ちょっと私はわかりかねるのですがね。これはどうです。  引き続いて聞いていきますけれども、恩給支給は年に四回ということになっておりますね。一人当たり恩給支給手数料平均しますると年間大体七百円見当です。それで一体恩給平均して幾ら払っておるのかと申しますと大体六万九千円払っておるのですよ。六万九千円に対して手数料が七百円かかる、言いかえれば約一%かかる、こういうことになるわけですね。そういうことになっておりますけれども、こんなにかかるということもこれはどうかと思うのですよね。もっといい考えがないかどうか、どうしてもそれだけはかかるのか、この点ちょっとお伺いしておきたい。
  19. 平川幸蔵

    平川説明員 他の年金等取り扱い手数料等につきましても、われわれとしては若干承知しておるわけでございますが、実は恩給は御承知のように全額国庫支弁年金でございます。御指摘になりましたような年金につきましては、国庫全額ではないということの歴史的な経過もあるかと思います。実は郵政省を通じて全額国庫負担恩給支給しておりますが、なお今後郵政省によく連絡しまして内容を聞きたいと思いますけれども、一応経過といたしましては、ただいま申し上げましたように口数といたしましては百七十四円かかっております。この金額自体が必ずしも適当であるかどうか、今後よく検討しなければならないと存じますけれども、そういうたてまえでやっております歴史的な経過がございまして、郵政省を通じてやっておるわけでございますが、なおさらによく検討いたしたい、このように考えております。
  20. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 あまり深く聞こうと思いませんから、ひとつ研究してみてください。  そこで、恩給類似給付共済年金というのがある。これは年金支払い手数料を見ますると、郵便局を通じて支払うものとそれから銀行の口座振り込み、どちらでもよいことになっております。郵便局を通ずると一口平均百五十一円かかる、銀行支払いのものは一口平均が四十三円でできるのですね。後者、すなわち銀行でやると額は四分の一で済むということですね、片一方が百五十一円、片一方が四十三円ですから。現在年金においては銀行の受け取りのほうが多い。恩給の場合において、いずれで給付を受けてもよいようにすると、銀行でやると手数料が非常に安く済む、こういうことになるのですが、先ほども申し上げましたように、二十二億円がこの方法でいくと十一億くらいで済むわけになるわけです。だから約八億くらい助かるという計算になります。こういうようなことについてひとつお考えいただきたいと思います。どうでしょう。
  21. 平川幸蔵

    平川説明員 御承知のように、恩給郵政省を通じて支給しておりますが、歴史的な経過考えますと、やはり全国的に一番ブランチがすみずみまで行っておるのは郵政省郵便局であるということは間違いないわけであります。そういう歴史的な経過あるいは組織的な面からと、恩給がただいま申し上げましたように全額国庫支弁年金ということから、実は恩給裁定恩給局支給郵政省という、そういう長い経過をたどっておるわけであります。御指摘のように、市中銀行を利用すれば経費が節減されておるということは聞いておりますけれども、この軽減されておる原因等につきましては、いろいろ内容的なものもあるかとも思いますが、そういった点につきましても検討しなければなりませんし、いずれにいたしましても、経費節減ということについては、われわれはできるだけ努力すべきである、このように考えておりますから、今後とも先生の後趣旨を体しまして、ひとつ全般的な面からさらに検討してまいりたい、このように考えております。
  22. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 おっしゃるとおりですね。郵便局というのは山間僻村どこでもずっと古い歴史とあれがありますからね。すみずみまで通ずるのですね。銀行はそうはいかないだろうと思います。銀行でやれるところはやはり銀行でやって、いま言ったように、四分の一でやれることをほったらかしておいて、片方のほうの、金のかかるほうでやらなくても、銀行でやれる範囲の都市だとか何とかいうものは、郵便局でやらないようにして節減することのほうが私はいいと思うのです。一ぺんよく研究してみてくれませんか。そうすると、何億という金が残るのですからね。それは待遇改善にでもいろいろ使っていけるのじゃないですか。むだな金を使わないというのが基本になると思います。そうして片方が銀行でやれて、郵便局のほうがそれだけ取らなければやれぬ——やれなければそちらの一部分を与えるというような方法で、どちらでもその人の便利のいいように採択してやりなさいという方向で指示、指導することがいいことだと思います。どうですか。
  23. 平川幸蔵

    平川説明員 今後とも真剣に検討してまいりたい、このように考えております。
  24. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 次に軍人の加算恩給処理状況についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。  昭和三十六年の恩給法の改正によりまして軍人の加算恩給が認められることになりました。これにより新規に恩給の受給資格を有する人は約九十二万人と私は調査したことがある。しかしこれには請求の時効がありますね。遺族は四十三年九月三十日まで、それから本人恩給は四十四年九月三十日まで請求しなければ、この恩給支給を受けることは、恩恵を受けることはできないことになっています。まずすでに時効の完了した遺族に対する遺族扶助料については、推定した人員と、請求人員及び予算額と実際に要した金額はどういうふうになっておるのでしょうか、この点ちょっとお聞かせいただきたい。
  25. 平川幸蔵

    平川説明員 御指摘の加算恩給の件でございますが、これは昭和三十六年に、いわゆる戦前の主たる加算を復活さしたもの、これは金額計算の加算ではなくして、資格期間としての加算を設けたわけでございますが、これは御承知のように七年を経過いたしますと時効で消滅いたします。これは昭和四十三年九月をもって時効が完成しますが、加算恩給のうち、扶助料につきましてはほぼ所期の件数が来ております。問題は普通恩給のほうにあると私は考えます。
  26. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そこで、請求資格を持ちながら請求しなかった原因はどういうところにあるかということを御調査になっておりますか。もしなっておったら聞かしていただきたい。また、そういう人に対して今後どのようにいたされていくか、何か方針があるのかどうか。
  27. 平川幸蔵

    平川説明員 先生の御指摘になりました九十二万件というのは、実はわれわれも承知しております。そういう公式の数字が厚生省から私のほうに参っております。数字を申し上げますと、この九十二万件のうち現在まで裁定いたしたのが、扶助料と普通恩給全部合わせて七十五万件でございます。そうしますと、残るものが約十七万件ということになります。このうち普通扶助料は昨年において時効が完成しておりますから、これは問題ないわけでございますが、問題はことしの九月に時効が完成いたします普通恩給についてでございます。約十七万件は一体どうなっておるのかということについての御指摘でございますが、御承知のように九十二万件という数字自体について私は若干この際再検討する必要があるのではないか、このように考えておるわけでございます。実は昭和三十六年におきまして、ただいま申し上げました加算の権利として資格期間として認められたときに、実はわれわれが推定いたしましたのは、大体七十五万件程度であったわけであります。ところが、その後、申達状況等を見まして、厚生省当局におきましては、約九十二万件に見込み件数を改定したという事情がございます。ところが、実際、また裁定した現状を見ますと、ただいま申し上げましたように、約七十五万は裁定しておりますので、ほぼ当初の数字に近い裁定が行なわれておるわけであります。これは昭和四十三年度分でございますから、四十四年度分の予定件数は実は四万一千件でございます。そうしますと、七十五万件に四万一千件足しますと、大体八十万件近くが総件数じゃなかろうかというのが実はわれわれの推定でございますが、ただいま申し上げましたように、実はこのうち請求されていない方々につきましては、われわれとしても非常に関心を持っておりまして、公報とかあるいは有線放送、そういったいろいろなPR機関を利用いたしまして、あるいは新聞広告等も利用いたしまして、盛んに、時効完成が間近いからできるだけ早く申請するようにということをいたしております。実際問題としまして、その後、あまり件数は上がってきておりませんが、この際できるだけPRいたしますと同時に、この九十二万件につきましても基本的に厚生省とも打ち合わせて一つの結論をつけたい、このように考えておるわけでございますが、いずれにしましても権利者がもし漏れるようなことがありますと、非常に残念なことでありますから、できるだけ努力してまいりまして、一人も漏れれのないように努力をいたしたい、このように考えております。
  28. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いま大体現在状況のお話があったのですけれども、今後のこれが周知徹底をどのように持っていくかという具体的なお話もありましたので、われわれ了承しますから、どうぞひとつそういうふうに手続がむずかしいとかなんとかでもうやめております人にはあれですが、周知徹底につとめるように厚生省とも十分連絡の上やっていただきたいと思います。  そこで、これは重複したような話になりますが、去年の七月十二日の読売新聞に、軍人加算恩給の四十三年度における宙に浮いた予算額は六十億円、この制度がスタートした三十六年以降の未請求による未払い分は二十万人分にも及び、合計百六十億円になっておる、この二十万人はおそらく制度の改正を知らないための未請求と見られる、来年九月三十日までには百六十億円を上回る金額国庫に返還されることになるだろう、こう報じているわけです。制度の改正を知らしむる方法は再検討する——正当な恩給を受け取るためにいま言ったようにたいへんな時間と労力を要する請求をすることはやめにするというような人があるということがここでわかってくると思うのです。その簡便化はもっと何か考えていただかなければならぬという気がしたわけでありますけれども、もう一度私は申し上げたい。この記事を発表したのは総理府のほうじゃないのです。厚生省であります。百六十億もの金が国庫に返還されるというか、決算ほんとうにあなたのほうの関係に今度はなるわけです。どのように返還されるのか、決算の書類を見ますと実際こんなことはちょっとわからぬですよ。読売新聞に報ぜられておるというその金がほんとうに戻っておるのかどうか、年度別に調べてみましたらちょっとわかりかねるけれども、事実どういうふうに返還せられているのか、新聞がこれをただ単なる報道として取り上げて書いたものか、あまり昔の新聞でないものですから、一ぺんお聞かせをいただきたいと思います。
  29. 平川幸蔵

    平川説明員 御指摘の点でございますが、実は先ほど先生が御指摘になりましたように、中にはこの軍人恩給で資格が発生したということを知りながら請求をされない、そういう方も実は私どもも存じております。そういう方が若干あるということも知っておりますが、そういう方は数としてはわりあい少ないかと思いますが、いずれにしましても問題は九十二万件の根拠でございます。これは先ほど申し上げましたように、今後最終的に厚生省と打ち合わせまして、もしこの数字が妥当でないならばこの際修正すべきである、私はこのように考えております。  繰り越しの件数でございますが、実はこの記事は若干意が足らないところがあるかと思いますけれども、要するにこの百六十億円という数字自体につきましては私詳しくはわかりませんが、たとえばこういうことがありましても、この予算が繰り越されたということではございません。というのは、われわれとしましては、先ほど申し上げましたように、本年度予算としましては四万一千七百件しか計上しておりません。したがいまして、これは実はことしの一月から三月まで平均一カ月三千件程度申達されております。これから推定いたしますと、大体年間四万件程度というのが妥当な数字だと思うのでございます。したがいまして、この記事はおそらく最終的な見込みを書いたわけで、もしこういう人が漏れておったならばその金額がむだになるという感じの記事だと思います。会計的にこれだけの金が盛られておったものが使われずに次年度に繰り越されたということではございません。したがいまして、ただいま申し上げましたように、たとえば四十四年度予算でいいますと四万一千件計上されておりますが、これは過去三カ月間におきまして一カ月約三千件の受付件数を類推いたしまして、年間四万一千件としておるのでございます。予算件数と決算件数が若干食い違うことは当然あり得ますが、そうたくさん食い違うということはないわけでございます。そういう意味で了解を願いたいと思います。
  30. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そういたしますと、若干ということばにはなかなか意味深長なものがあると思うのです。厚生省はこのようなことをもう率直に言っておるのですが、私が町で聞きましても、手続がめんどうくさいからもらおうと思ったけれども、もうやめるという人も実際あるのです。ですから、いままでの状態としてはどのような見通しになっておるか。いままでずっとやってこられたものとしては実質的には余っていないものか。
  31. 平川幸蔵

    平川説明員 大体いままでの経過から申し上げますと、約十億程度は繰り越しておるということになります。したがって件数としてはそんなにたくさんの件数ではございません。
  32. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それは国庫へ納めておりますか。それはどういうような手続、処理方法をしておりますか。
  33. 平川幸蔵

    平川説明員 この金額につきましては次年度繰り越しを行なうわけでございます。
  34. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それは納めるんじゃなしに繰り越しておるのですか。それはどういう理由なんです。
  35. 平川幸蔵

    平川説明員 たとえば本年四十三年度末でいきますと、これは大体確実な見込みでありますが、一万数千件手持ちがあるわけであります。どうしても所要の経費でございますから、その分だけは次年度繰り越していく、こういうことでございます。
  36. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それじゃこういうような記事が出まして、やはり国民が関心を持っておりますから、新しい事実もできてくるし、ほっておいてもあれだからもらおうという人の申告もあろうと思いますから、繰り越しせられることは違法だとは思っておりません。しかし慎重にやってください。こういうことが書かれておりますから、決算のほうに出てこないとおかしいなという考えを持つ人もあります。それはどうぞよろしくお願いいたします。  時借がありませんし、あと質問せられる委員からおまえの持ち時間は何時間だ、何時間だと言われますので、あとまだ二つ、三つありますけれども、それはあと回しにしまして、重点的に一つだけお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。  新生活運動の協会の経理と今後のあり方という問題についてお尋ねいたしたいと思います。これは審議室長いらっしゃいますか。——参事官見えますか。——それじゃあなたに聞いておきたいと思いますが、民間団体である新生活運動協会というのがありますね。これは全額国の補助金ですね。過去五年間の国が出しておる新生活運動の金額を見ますと、昭和三十八年度に二億六千万円出しておる。三十九年度にも同じような金額で二億七千万円出しております。四十年度にも同金額で二億七千万円、四十一年度に二億九千万円、四十二年度も二億九千万円出しておりますね。これに対する人件費事務費等と実際の事業に使う金とを分けてながめてみますと、人件費に要する費用は、昭和四十二年度は三十八年度の一・三倍になっておるのですよ。事業費においては逆にうんと少なくなって〇・九倍になっておるわけです。ここで一〇%事業のほうが減少しているということになる。これはよく調べてみますと、人件費等に要する費用が増加している原因は、事務局の職員を、足らぬから足らぬからということで安易にふやしておるように思われるのですね。このように事業が比較的進まないのに事務局員がふえていくということはどうかと思いますが、このような点についてあなたのほうのお考えを少しお聞きしたいと思うのです。
  37. 山下治

    ○山下説明員 人件費がふえておるという御指摘でございますが、確かに公務員に準じたベースアップその他をやむを得ずやらなければならないという関係上、われわれの指導としては極力人間を減らすという方針で臨んでおりますが、ベースアップその他で多少ふえていく。ただ、人員の節減は、われわれも極力減らすように指導しておりまして、今年度一名削減をしております。
  38. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは事業内容に触れて聞きたいと思いますが、新生活運動では新しい村づくり運動だとか、環境づくり運動だとか、明るい職場づくりの運動等の事業を行なっておりまして、地域住民の要請に十分にこたえることのできるようにということになっておりますけれども、実際にはどうかと思わざるを得ない点があるように思います。どうでしょうか。そういう点から調べて、一つの例をあげて申しますと、明るい職場づくりの運動のための費用として、一事業当たりになっているのですが、二万二千円を出しているのですね。あるいは県の婦人連合会、青年団等にも配分される。これも一つの県にたったの二万五千円。こんなことでほんとうにできるとお考えになって、このようなものをやっていらっしゃるのか。どうでしょうか。
  39. 山下治

    ○山下説明員 国が助成する助成金の性格でございますが、われわれの考え方としては、新生活運動協会が各都道府県単位の協議会に、いろいろ先生の御指摘のような助成金を出しておりますが、それで十分だとはもちろん考えておりません。われわれの基本的な考え方は、環境をつくる運動にしろ、あるいは職場を明るくする運動にしろ、それぞれの企業体なり地域住民の自主的な活動でやるべきであって、国の助成金、つまり新生活協会が地方協議会に交付する交付金はいわば呼び水といいますか、そういう性格のものであろう、さように私、考えております。
  40. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そこで、日本ユースホステルがありますね。ああいうところに助成しておりますか。これは文部省に並行しましてあなたのほうからも出されるわけです。同じ国の金を使いながら、こういうように補助金が二本立てになるなんて、実際おかしいと思うのですよ。どうしてそういうなわ張り的な根性になるか、私はおかしくてならないと思うのですよ、同じ国のもので。どこに性格が違うかということですね。そういうことをどうお考えになっているか、参事官、御答弁願いたい。
  41. 山下治

    ○山下説明員 確かにいま御指摘のようなことはあろうかと思います。ただ、新生活運動協会は、発足のいきさつからいたしまして、昭和三十年、鳩山内閣当時、時の鳩山首相その他有志の方々の提唱により設置せられまして、三十一年三月三十一日をもって総理府で設立の許可を与えた、そういういきさつからいたしまして、自来十何年総理府がこの新生活運動協会の指導に当たってきた、そういういきさつがございますので、その点をひとつ御了承いただきたいと思います。
  42. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 だから新生活運動協会というもののあり方に対して検討を加えるべきであり、もっと活発な動きをしてもらうべきものである。人件費をいっでも親方日の丸で、もらった金を使えばいいというような考え方ではいかぬと思うのですよ。だからそのもの自体が悪いという考え方ではなくて、一県当たりに二万五千円くらいの補助金を出して一体何ができますか。それこそ人件費と名目だけでやっているということにすぎないんじゃないですか。こういうところを再検討をして、国民の血税を大切に使うという基本的な姿勢を示さなければだめですよ。金額はたったの二億数千万円だ、六兆数千億から考えてみれば大した金でないとお考えになるかもしれませんけれども、一銭たりともむだに使ってはいけないという原則がある、ここから生まれてくるんですよ。どうです参事官、そうでしょう。
  43. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま新生活運動に対しまして御批判がありました。とかく長い間の沿革を持っておりますために、ややマンネリ化しているところもあるのではないかということを私自身も反省しておる次第であります。過般、昨年でありますか、行管におきましてもさようなことを指摘された例もあるわけでございます。私どもといたしまして、やはりこの際時代の変遷に伴いまして十分にふさわしい活動ができますように、大いに検討を加えて、むしろ活発にこの際運動を展開することが必要なのじゃないかと考えておる次第であります。過般来幹部ともよく話し合っておりまして、来たるべき予算等におきまして十分その点は活発に運動できますようにいたしたいと思っております。
  44. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいま長官から再検討してよりよき成果をあげていくように指導していこう、検討してみようというお話ですから、それで十分ですからぜひそういうふうにしてください。  私は以上をもって質問を終わります。どうもありがとうございました。
  45. 中川俊思

    中川委員長 田中武夫君。
  46. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もうちょっと委員を集めてもらうことを条件として質問に入ります。それでなかったら途中でやめるかもわかりません。  私は、きょうは沖繩返還の問題に関連をいたしまして若干の質問をいたしたいと思います。  この種のことはむしろ総理に直に聞きたいのでありますが、総理の出席を決算委員会へ要求することはあまり例もないので、まず担当の総務長官にお伺いいたしますから、沖繩担当の国務大臣としての御答弁をいただき、そうしてかつ不満な点、不足の点がありましたならば、後日総理、愛知外務大臣の出席を求める、そういうことをまず委員長にお願いをしておきます。  先日の愛知外相の訪米、それから十一月に予定せられておる佐藤さんの訪米等で、もう沖繩の返還、沖繩の本土復帰、これが現実の問題となってきております。  そこで、まず基本的にお伺いいたしますが、沖繩の祖国復帰ということは一体どういうことなのか。総務長官はどう理解しておられますか。沖繩の本土復帰ということをどのように把握しておられますか。
  47. 床次徳二

    床次国務大臣 沖繩がさきの大戦におきまして敗戦の犠牲となりました上に、なお本土から切り離されて施政権がアメリカに所属することになりましたこと、言いかえますならば、日本の憲法が適用されず、しかも異民族の支配のもとに生活をしているということでありまして、この問題に対しましてはあまりに長い期間を今日まで経過したような感じがいたすのでございまして、この点に対しましては一日もすみやかに本土の政府のもとに復帰することが適切ではないか。私はこれは人道的な問題とも考え、一日も早くその実現に当たりたいと考えている次第であります。
  48. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は沖繩の本土復帰、祖国復帰ということは、沖繩の地域及び住民、これが日本国憲法のもとに返ってくる、そういうことであろうと思うのです。どうでしょうか。違いますか。
  49. 床次徳二

    床次国務大臣 施政権の復帰ということは、すなわち領土が日本の領土ではありますが、日本の施政権が及ばなかった、これが再び日本の施政のもとに入るということであり、同時に沖繩の県民が日本人でありながら日本憲法のもとに生活できなかったものが、再び日本憲法下に生活することであります。御説のとおりであります。
  50. 田中武夫

    ○田中(武)委員 地域及び住民が日本国憲法のもとに返る、この上に立って交渉は進めるべきであり、また日本国政府はこの上に立って受け入れを考えるべきだと思うのです。したがって沖繩の県民、住民が日本国憲法のもとに返るという上に立って政府は一体何をなすべきか。どう考えますか。
  51. 床次徳二

    床次国務大臣 政府といたしましては、アメリカに対しまして平和条約三条によりますところの施政権の返還を交渉しておりますことは御承知のとおりでありますが、なお政府といたしましては、単に返還を要求するばかりでなしに、返還いたしました際におきましてでき得る限り本土との格差を是正しておきまして、摩擦をなくす、そうして返還に際するいろいろの動揺、不安というものをあらかじめ解消してまいりたい。今日総理府といたしまして担当しておりますことは、いわゆる一体化と称しておりますが、この問題を主にして努力しておりまして、すでにことしの秋には返還のめどもつくわけでありますから、そのめどのつく機会におきましてはさらに受け入れの万全を期したい、さような方針でもって今日努力している次第であります。
  52. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いままで沖繩県民はみずからたよるべき何らの法を持たなかった。そして異民族の一方的な定めによる布令その他において行政が行なわれてきておった。それが今度日本国憲法のもとに返る。そのことは、まず憲法十四条のすべての国民は法のもとに平等である、この上に立って政府は沖繩県民を迎え入れるべきだ、そのことを確認したいのですが、いかがでしょうか。
  53. 床次徳二

    床次国務大臣 さような趣旨に私どもも考えております。
  54. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういたしますと、沖繩返還にあたり、この交渉にあたり、政府はアメリカに対して、今日まで沖繩県民が本土の国民、本土の住民との間につけられた格差、差別をまず是正すべきであることを要求すべきだと思います。その点いかがです。
  55. 床次徳二

    床次国務大臣 沖繩の復帰問題に対しましては、すでに岸・アイゼンハワー会談、また池田・ケネディ会談、佐藤・ジョンソン会談、数回の首相、大統領の会談におきましてそのつど一歩一歩進んでまいったわけでありまして、一昨年の佐藤・ジョンソン会談におきましては、復帰の際におけるところの摩擦をできるだけ少なくするという意味におきまして、復帰を予定いたしまして一体化政策というものを実行するということを、両政府において話し合いまして、そうしてこれを今日実行中であります。そのために必要な機関といたしましては諮問委員会を設置する。なお、私どもといたしまして、予算援助等におきましてはその一体化計画を三年間において完成実現しようという趣旨におきまして、本年度は第一年度予算をお願いいたしまして、今日実施中でございます。
  56. 田中武夫

    ○田中(武)委員 基本的にいって、いま言ったように、返還交渉にあたり、今日までの沖繩の住民の本土国民との間の格差、差別を是正する、このことに基本を置いて交渉する権利と義務を日本国政府は持ちます。この点確認できますか。
  57. 床次徳二

    床次国務大臣 施政権が返還いたしました際におきましては本土国民と全く同様でありたい。本土並みという字を使っておりますのはさような意味に考えておるわけであります。今日はその実現の過程でありますので、段階的にこれが本土化しておる、本土並みになりつつある。しかし、本土並みにまだなっておらないものもあるわけであります。返還の際におきましてはこれは一〇〇%同じようにいたしたい、これが私どもの日米交渉の基本であると思います。
  58. 田中武夫

    ○田中(武)委員 たとえば沖繩の県民に対する人権侵犯、これはいろいろあります。私有財産に対するもの、あるいはアメリカ軍並びに軍属等々によるところの犯罪の結果としての人権侵害、いろいろあります。ところが、それに対して今日まで若干の補償等があったとしても、それは施政権者の一方的な押しつけの補償であった。したがって、それをもって今日まで補償したからすべて解決だというたてまえをとるべきではない、私はそう思います。そうして、たとえば本土におきましては二十年から二十八年の間に予算措置による見舞い金を出しておりますね。昭和二十八年にはアメリカの軍人等の行為による特別損失補償法というのができまして、アメリカの軍属あるいは軍人等々による人権侵害あるいは損害等に対しては本土においては二十八年の法律をもって補償をやっておるわけですね。そういうような問題も当然沖繩の県民が日本国憲法のもとに返るにあたっては、政府は考えるべきであろうと思うが、いかがです。
  59. 床次徳二

    床次国務大臣 今日は施政権がアメリカにありますので、アメリカ軍が住民、県民に与えました損害に対しましてはアメリカ政府が補償することになっておりまして、この点は外国人に与えたところの損害に対する補償法と申しますか、そういう法令によりまして米国政府が責任を持っておる次第であります。したがって、返還になりました後におきましては、日本本土政府といたしましては本土政府の責任において考慮しなければならない。この点につきましては安保条約の行政協定等もいろいろ考えられると思います。
  60. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いや、本土におきましては予算措置ないし法をもってそういう損害に対する補償をやっておるわけなんですね。私当初に、法のもとにすべての国民は平等でなければいけない、こういうことを申し上げました。したがって、返還交渉にあたってはそのことを要求する、そしてそれがなおいれられなかったならば、日本に実施したところの、本土に実施したところの法律と同じ法律を沖繩県民の過去の人権損害に対して行なうべきである。平和条約三条によって施政権を譲渡したといわれますが、日本国政府は、沖繩県民の天賦の人権を処分する権限は持っておらなかった。天賦の人権に対しては、何人といえどもこれの処分権を持っていない。したがって、それに対する損害の補償、賠償、これは当然アメリカがなすべきであって、それは要求のときに強く主張すべきであって、そして平和条約十九条によって請求権を放棄した。したがって、請求権を放棄しているならば、それを放棄したのは政府である。したがって、それは政府がかわって補償すべきである。この点を確認しますが、いかがですか。
  61. 床次徳二

    床次国務大臣 アメリカに施政権があったために、その施政下に生活しておりまする県民の人権に対する補償全体に対してアメリカ政府が返還の際に補償すべきかどうかにつきましては、私は消極的に解するのであります。ただ、具体的に与えましたケースに対しまして、損害がありまする場合におきましては、賠償問題は引き続き残ると考えております。
  62. 田中武夫

    ○田中(武)委員 当然施政権を持つものが補償すべきであるということに対しては消極的に解釈をする、私は不満です。しかし、このことについて平和条約三条、十九条、あるいは国際公法等にさかのぼっての論議を見ましても、おそらく受けられると思いますが、あなたがお困りになると思いますので、後日法制局長官の出席を求めて、ヘーグの陸戦規定にさかのぼって論議することを留保いたします。  そこで、現在のアメリカの基地は、どういうようにしてそもそもアメリカが占領し、占有をし、基地を広げてきたか。まず、戦闘行為の結果に基づく占領から始まったわけですね。そのときから当然へーグの陸戦規定が適用せられるべきである。それによりましても、まず四十六条では私有財産権の尊重ということがうたわれております。五十五条、五十六条等によりましても、これは公共施設あるいは公有地等々についても規定がございます。これらを見ました場合に、アメリカは当然損害の賠償をすべきである。まずそもそもの出発が、これは予算委員会でも若干やりましたが、へーグの陸戦規定その他国際公法違反から始まっておる。そうして平和条約発効後は、当然占領軍は撤退すべきである。ところが、それをアメリカ軍は引き続きおるということ、このことは、平和条約発効後は、アメリカの立場に立っていうならば、自国の軍隊の占領というか、占有地、自国軍隊のための施設である。あるいはそのための施政であったと思います。こう解すべきだと思います。そうするならば、土地収用等におきましても、一方的な布令によって、あるいは権力をもって取り上げられるべきものではなかった。そういう点から考えても、返還にあたってはまずそのような点を十分主張すべきである。そもそもが違法から始まったことであり、そうして違法の連続であり、違法の積み立てた結果である。そのことを確認しますか。そうして返還請求にあたってはそういうことを強力に要請する交渉をすべきであると思いますが、いかがですか。
  63. 床次徳二

    床次国務大臣 講和発効前の損害に対しましては、それぞれ見舞い金を出して支払っているわけであります。その後の土地問題等のいきさつにつきましては、戦闘行為から引き続き占領に移り、それから平穏な平時に移っているわけでありますが、その後におきまして、土地問題に対しましては、いわゆる賃貸借契約に全部切りかえておりまして、今日は賃貸料を払って米軍が使用している形であります。したがって、それに対して特別な補償なり何なりするかということについては、ちょっと払いまお答えすることはできません、研究させていただきます。
  64. 田中武夫

    ○田中(武)委員 賃貸借契約といいますが、その布令によるところの最初土地契約は、私有地に対してわずか二%でしょう。二%しかみずから進んで契約はしてなかった。そうしてそのあとは、土地収用令というか、土地収用の布令を改正する、そうしてそれは契約に基づくところの賃貸借とみなすというようなかっこうできたんでしょう。そうじゃないですか。布令にさかのぼって論議をいたしますか。戦後、講和発効後あらゆる土地に対する民政府の出した布令の内容等についてどうなっているのか、それによるところのみずから進んでの契約が何件であるのか、さかのぼって論議いたしますか。そういう言い方をするならば私のほうから詰めますよ。何件あったか、その広さは幾らあったか、一体布告によるところの収用内容は何か、ひとつ議論いたしましょうか。いかがですか。
  65. 床次徳二

    床次国務大臣 現在に至りますまでの経過につきましては、具体的にこの間の権利の関係、補償の問題がどうなるかということにつきましては詳細に知っておりませんが、今日におきましては、全部の民有地がいわゆる賃貸借契約によりまして米軍に賃貸借されている、かように私ども解しておるのであります。その広さ、件数等につきましては別に御説明申し上げます。
  66. 田中武夫

    ○田中(武)委員 説明するといってだれがするのでありますか。——それでは資料を要求いたします。  アメリカが戦闘行為によってまず占領が始まった。そのときの広さ、その広さの中の公有地と民有地の割合です。なぜ聞くかというならば、民有地と公有地によってへーグの陸戦規定の適用が違うのです。それから講和発効後今日に至る間のアメリカの土地使用に対する態度の変遷といいますか、いろいろな布令が出ておりますね。第一回目の土地収用に対する布令、それからまた、それに基づいて契約せられたのだとみなすというような布令、それから契約をやろうとして、いま言ったように二%しかなかったのに、今度また新たな布令が出ておりますね。これらによって、アメリカ軍側の沖繩土地占領及び占有に対する国際公法上の態度、及びアメリカの講和発効の前と以後に分けますと、戦時占領というこの間においては公有地幾ら、民有地幾ら、以後、アメリカ民政府のとった土地収用に対する態度の変遷、これは布令によって違いますが、たくさん出ております。それによってどのように変わってきたのか、そうして現在どのようになっており、その賃借料はどのように支払われておるのか。できなければ、私が持っています。そういう資料を要求いたしますが、よろしいか。
  67. 山野幸吉

    ○山野政府委員 いま御指摘いただきました資料につきましては、私どもさっそく調査しまして、できる限りの資料を提出いたしたいと思いますが、大体の傾向はもう御案内のとおりでございますが、講和前における土地や人的、物的な損害等に対しましては、長年の琉球政府あるいは土地所有者等の要請がありまして、一昨年、米側から二千二百万ドルの補償が行なわれております。それから講和後におきましては、もう先生承知のとおり全部、土地の賃貸契約に関する布令に基づきまして一応正当な代価が払われているものと考えられるわけでございます。しかしまた御指摘になりましたように、占領からどのように賃貸の契約が行なわれて、どのような布令が出てきたか、そういう経緯等につきましてはひとつ調べまして、資料として後刻御提出いたしたいと思います。
  68. 田中武夫

    ○田中(武)委員 具体的にいえば、突然武装軍隊がやってきて、そうしてそこに居住している普通の人たちを追い出してしまって、ブルドーザーで土地を広げたという例もあるのです。いまでは契約だといっても本人の自由意思に基づく契約というのは少ないのですよ。契約したものとみなすということなんですね。そうじゃないですか。ともかく一応政府がどの程度調べられるか、それを公有地と私有地に分けてひとつ出してみてください、現実にいまどの程度払っておるのか。  それから補償ということばが出ましたが、若干の金をアメリカがつぎ込んだといっても、これは施政権を持つものの当然の義務なんですよ。それをもって私は補償とは思われない。まあ資料をもらった上で基本的な、根本的な議論はそれからやることにいたしまして、これも保留いたしておきます。  次に、これは日刊紙の有力な新聞が六月十一日の朝刊に出しました記事なんですが、ほかの新聞にも出ておったと思いますけれども、それを持ってきております。これは沖繩の米国保有資産を、返還にあたってアメリカが日本に対して買い取れということを、愛知訪米にあたって——直接長官からではなかったと思いますが、愛知外相とロジャーズ国務長官との間ではなかったかもしれませんが、いわゆる財務及び国務両省の当局者から非公式かどうか知らぬが、そういうようなことが出たという。それに対して日本側もこれを検討しておる。現在沖繩県民が持つアメリカに対する資産、すなわち保有ドルですが、これが四、五億ドルあると見込まれております。そこで、それとの相殺をやろう、こういうような考え方が政府の中にあるかに伝えられております。しかし、これは私は筋違いだと思うのです。先ほど来書っておりますように、まず公有地、いわゆる国有及び当時の沖繩県有その他及びこれに付随する教育あるいは宗教等々の法人等の持っておったもの、この前者に対してはへーグの陸戦規定五十五条、後者に対しましてはすなわち教育施設、あるいは宗教施設等の法人が持っておるものに対しては五十六条でこれは返さなければいけない、損害賠償に応ずべきであるという規定がはっきりしております。それから私有地に対しましても同じくへーグの陸戦規定四十六条二項によって私有財産の尊重がまずうたわれておる。したがって、それは言うならばアメリカ軍の御都合によっていろいろの施設をつくっておる。そうして現在では沖繩の県民は、沖繩をアメリカのいわゆる極東軍事戦路の中心とし、あるいはベトナム戦争の前線基地という中で、命を守ることすら安心できないというような状態の中で生活をしておるということは、これはもうみなが認めるところであります。そういうアメリカの御都合によってつくられた施設、これを買い取るということはおかしいのですよ。むしろヘ−グの陸戦規定及び国際慣例、公法等によれば、原状に回復して返還すべきが当然である。もちろんこの施設の中には軍用施設と同時に道路、学校、港湾等、公共施設もあるでしょう。これは分けて若干考える必要があろうと思いますが、基本的にはもとの十八にして戻すのが当然なんです。原状回復の義務があります。それを買い取れといわれて検討するということは筋違いです。この点は私ははっきり申し上げておきますが、いかがでしょうか、総務長官段階で答弁できますか。買い取れなんというのはけ飛ばして当然なんです。むしろ原状回復をしてもとどおりにして——炭坑節ではありませんが、もとの十八にして返せ、これが基本でなくてはならないと思うのですが、いかがですか。
  69. 床次徳二

    床次国務大臣 いま御指摘の新聞に出ましたような話が話題となったということは聞いておりますが、しかしこれに対する処置等に対しましては今後の問題であると考えております。
  70. 田中武夫

    ○田中(武)委員 だから基本的な態度としては当然占領から始まって講和条約によるところの占有に入ったわけですね。たとえば戦時中の占領にしても没収することはできないのですよ。そうして占領目的を越えての使用はできないのですよ。それがはっきり国際公法の規定であり、国際慣行なんですよ。(発言する者あり)意見があったらどうぞ言ってください。鍛冶弁護士と国際公法の論議をやってもよろしい。御意見があったらどうぞ言ってください。当然原状回復の義務があるのですよ。あなたはへーグの陸戦規定を御承知ですか。国際法、それに足場を置いて交渉すべきなんですよ。その決意があるか、こう言っておるのです。あなた段階で答弁ができなければ総理の出席を求めます。それとも国際公法の違反を認めた上で、おっしゃるとおりでございますということで買い取り請求に対して、たとえば沖繩県民の持つ保有ドルとの相殺等を考えますか。これは問題です。いかがでしょう。
  71. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの問題は一応話が出ておることでございまして、われわれといたしましても当然検討すべきである。この点は外務省、総理府、十分研究いたしまして、基本的な態度を決定いたしたいと思います。
  72. 田中武夫

    ○田中(武)委員 外務省等の意見も聞いてというようなことのようですが、この点につきましては、後日、総理、外務大臣、総務長官等の出席を求めて、その席上でひとつ詰めていきたい、こう考えます。少なくとも私がここで強調したいのは、アメリカの沖繩占領は戦闘行為終了後から違法に始まったということです。これは陸戦規定にはっきりとそう規定している。しかも私有財産については、私有財産尊重の原則が四十六条第二項にうたわれているわけです。そうした場合には、当然原状復帰及び損害賠償をすべきであるということがうたってあるわけです。こういう規定があるにかかわらず、少なくとも平和条約十九条で請求権を放棄した。かりにこれを認めたとしても、それは平和条約発効以前の問題です。それ以後はまた別ですよ。以前については、政府は沖繩県民の意思をまたずして少なくとも——憲法九十五条ですか、一地域における特別法の住民投票、そういうこともやっていないわけです。沖繩の県民の意思というものを全然くみ取らずに権利を放棄したわけです。したがって、十九条で権利を放棄しておりますから、アメリカに請求できませんというのは、講和条約以前のものです。それは政府がかわって補償すべきである。住民の側からいうならば、政府に対して代替賠償を要求すべき権利がある。それからその以後については、これは当然原状復帰を要求すべき権利がある。また、政府は沖繩県民にかわって要求すべき義務がある。確認いたしましょう。いかがです。
  73. 山野幸吉

    ○山野政府委員 ちょっと内容につきまして問題がたくさんありますので御説明しておきますが、占領が終わりましてから、平和条約に基づいて米国が合法的に施政権を行使して今日に至っているわけです。占領期間中のものにつきましては、一応原則として平和前の補償の問題として約二千二百万ドルが支払われております。現在米国が施政権を行使しておるこの沖繩が、日本に施政権が返還されるに関連しまして、いろいろ問題がございます。たとえば米側が余剰農産物資金として沖繩に資金を供給してきた、そのガリオア資金の性格はどうか。それからいまお話にございましたような、米側がいろいろな施政権の行使の態様の一っとして、投資してきました公共建築物その他の施設はどうか。あるいはまた公共建築物ではなくて、いわゆるやや公営企業的なもの、水道とか電気とか、その他の施設があります。そういうものをどうするか。それから現在流通しておるドルを一体どのように考えるべきか、そういうような関連した諸問題がたくさんございまして、これらは現在話も出ておるわけでありますが、沖繩が返還される場合の返還協定なり、それに伴う両国の取りきめの中で、慎重に検討して解決されるべきものか、ように私どもは考えております。
  74. 田中武夫

    ○田中(武)委員 だから、アメリカもその間いろいろな金を出した、これは施政権を有する者の当然の義務である。返還にあたってはいま私が申し上げましたように原状回復ということが基本なんです。ただし、その中で軍事施設あるいは公共施設があります。公共施設等で今後も沖繩に対してプラスになるもの、こういうものに対してはこれは話し合いをして、それは原状の回復からはずしてもいいものもあろうと思う。あくまでも原状回復が基本であるということを私は申し上げておるのですね。したがって沖繩県民の持つところの現在のドル、これと相殺するというような考え方を日本が出すべきではない。沖繩県民の持つところのそのドルは、日本国政府が円で買い上げる、そして当然これは外貨準備として政府が持つべきである、私はそう考えます。それと同時に沖繩が帰る、このことについて、経済が日本経済に合うような方法、そのためにはドルから円に切りかえる必要がある。あるいは日本の資本が沖繩に出ていく場合に外資法の取り扱いを受けていますね。そういうものからはずしていくべきだ。そういう沖繩の本土復帰、言うならば沖繩の地域及び県民が日本国憲法のもとに帰る、この上に立って経済的にやるべき点が、いま二、三申し上げましたが、たくさんあると思います。どういう態度をとるか、またとっていこうとされますか。
  75. 床次徳二

    床次国務大臣 復帰の作業を想定いたします際におきましては、制度的に申しましても、経済的に申しましても、いろいろな変革があるわけであります。これに対しまして、当初も申し上げましたように、円滑に復帰が実現するように対処することが必要であります。この点におきましては、先ほど来御指摘のいわゆる県民の権利の問題また財産等の問題もありまするが、これは十分県民の立場また日本国の立場を考えまして、今後慎重に検討を加えて対処してまいりたいと思います。
  76. 田中武夫

    ○田中(武)委員 具体的に、いまドルですが、円を沖繩で使う、そういう問題あるいは日本の本土資本が沖繩に出ていく、その場合に外資法の壁をはずすということ、あるいはまた沖繩の県民の持つドル、言いかえるならばアメリカに対する短期債権、これをどう処理していくか、具体的にひとつ御答弁願いたいと思う。
  77. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの時点におきまして、具体的にそれぞれの処置を申し上げることは困難でありまするが、円とドルの切りかえはやはり施政権の返還のときだろうと考えております。しかしその返還のときに起こります経済的の動揺は、御指摘になりましたいろいろな事態について非常に広くあるわけであります。私はやはりそれぞれのものに対しましても十分検討いたしまして、摩擦を少なくするようにいたすのが基本的な態度であります。今日具体的にドルをどうすると、一つずつお答え申し上げます段階にまだ入っておりません。この点はひとつ十分慎重に、めどがつきました以上は私どもこれを実行したいと考えております。
  78. 田中武夫

    ○田中(武)委員 少なくとも本土資本の移住といいますか、移出といいますか、こういうことに対する外資法の壁をはずすというようなことは早くやらなければ、せっかく帰ってきた、しかしアメリカの手によって経済は握られておる、そういうことになりますよ。これは沖繩県民の基地依存経済からの脱却等々も考えて早く手を打たねばならぬと思うのです。先ほど来私の申し上げておりますることについて、まだそういうことをお答えできる段階ではないということはちょっとおそ過ぎますね。もう考えなくてはいけないですよ。こうするのだと言わなくてはいけないですよ。しかもアメリカの保有資産の買い取りなんというのは、私は何回も言っておるように、むしろ原状回復が原則である、もとの姿に戻して返せ、これを主張することだけぐらいは約束してくださいよ。できませんか。国際公法、慣例にのっとって交渉をする、それぐらいのことは言えるでしょう。いかがです。それも言えませんか。
  79. 床次徳二

    床次国務大臣 経済の具体的現象に対しましてはいろいろの問題があるわけでありまして、本土からの資本の移出、あるいは、現在沖繩におきましても、物品税その他いわゆる非関税障壁等もあるわけでございまして、個々の事業にかんがみました場合におきまして、復帰にあたりましていろいろの摩擦があるわけでございます。相互にその点は考えなければならないのであります。私どもは、具体的の摩擦と申しますか、不安というものができるだけ少ないようにいろいろとケース当たりまして検討してまいりたい。今日もうすでにその点を考えておるわけでありますが、具体的な処置を発表いたします、実行いたしますのは、やはり施政権のめどがついたときにおいて、復帰以後において行なわれるべきものと思うのであります。  なお、御意見等につきましては、十分にひとつ拝聴いたしまして、参考にいたしたいと思います。
  80. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それではおそ過ぎるのですよ。その前に、考えられる手を打つべきである。そのことをアメリカに要求すべきである。同時に、国際慣行、多国間条約、アメリカも日本も加盟しておるところの条約等々、あるいは国連憲章等の上に立って交渉をいたしますということをすら言えないのですか。どうなんです。
  81. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの問題は、今日復帰の問題に対しまして交渉が行なわれつつあるというところでございます。そのめどが立ちますのはやはり十一月、総理の訪米の際にはっきりめどが立つのだと思うのです。したがって、それと歩調を合わせまして私どもは十分検討をいたしまして、復帰の際におきまして、他日動揺の生ずることを可及的少なくする、生じないようにいたしたい、かようなことで検討いたしてまいりたいと思います。
  82. 田中武夫

    ○田中(武)委員 少なくとも私の主張を総理に伝えていただきたい。いいですね。そして、前にも言っておるように、総理の出席を求めて一応この問題を詰めてみたいと思います。  次に、沖繩県民の国政参加について政府はどう考えております。
  83. 床次徳二

    床次国務大臣 今日、一体化を実現いたしまして、各制度また現実の社会生活、経済生活等におきましてできるだけ摩擦を少なくする、格差を是正いたしたい、かように考えております。県民の意向を日本政府の今後の政策に反映することはまことに適切であると思うのでありまして、したがって、日米間におきましても、県民の国政参加の問題につきまして話し合いができておる次第であります。今日私どもといたしましては、この国政参加が行なわれること、そうしてその目的を達することがまことに適切であると考えておるのでありまして、その内容等につきましては、すでに経緯もございまするが、国会のほうにおいて御審議を願っておる状態でございます。
  84. 田中武夫

    ○田中(武)委員 沖繩県民の国政参加、具体的に言うならば、沖繩地域から国会議員を選出するという問題、まあ政府の考え方では、委員会には出席できるが本会議においては表決権を持たないとか、いろいろあります。そういうことについて国会でもいま各党でやっておられることは承知しております。政府自体は具体的にどう考えておるのですか。——それなら、いままでの発表せられた点でよろしいですよ。政府は「時の法令」の何号かでそういう態度を発表したことがあるでしょう。そのことは新聞に書かれたこともあるのですがね。それでも一ぺん言うてみてください。そして、それを妨げるものは何かという、たとえば法律的に問題があるというなら憲法の何条になるのか、それをひとつ言ってください。
  85. 床次徳二

    床次国務大臣 政府といたしましては国政参加の実現が望ましいと考えておりまして、その具体的な対策に対しましては国会のほうにお願いしておる次第でありまして、したがって、ただいまの政府の立場から申しますと、具体的な問題に対しまして政府として意見を申し上げることは私は適当ではないと思う。この点十分ひとつ国会におきまして御審議をいただきまして、そうして結論を得ていただきたいと思います。
  86. 田中武夫

    ○田中(武)委員 国会で議運等で話をしておることは事実です。しかし、いま政府の考え方を言うことは適当でないということはおかしいじゃないですか。政府の態度は、私ここに持っておるのですよ。それじゃこっちから聞きますが、沖繩の国政参加、具体的に言うならば国会議員の選出は憲法上妨げになる条文がありますかないか、いかがでしょう。
  87. 床次徳二

    床次国務大臣 いろいろ御意見を承っておりますと、基本的に政府の解釈と申しますか意見のようなことを申し上げなければならなくなると思うのでありますが、私は、今日の段階におきまして、この問題は国会のほうに全部おまかせしてある、国会が自由な意見のもとに国会として御意見を出していただくことが望ましい、政府自体がこれに対してとやかく言うべき立場ではないというふうに考えておりますので、私個人の私見あるいは政府自体の意見というものも、実は今日まで発表しておりません。
  88. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いや、かつて発表したでしょう。出ていますよ。それはどこの見解ですか。だから、あなた個人の意見でもよろしいですよ。沖繩から具体的に国会議員を選出するにあたって、憲法上これの支障になる条文はあるのかないのか。あるとすれば何条なのか。いかがです。あなたがないと思うならないでけっこうですよ。あると思われるなら何条がじゃまになると、これをおっしゃってください。
  89. 床次徳二

    床次国務大臣 この問題につきましては、政府といたしましては意見をまだ申し上げたこともありませんし、また私も意見を申し上げるべきではないと考えております。
  90. 田中武夫

    ○田中(武)委員 どうも沖繩担当の総務長官としてははなはだお粗末ですね。あなた、総務長官としての意見ぐらい持っておるでしょう。——それじゃ私のほうから申し上げましょうか。たとえば憲法の四十三条一項がじゃまになるという意見があるのですよね。ところが、それはそうでないのですよ。私の見解からいくなら、憲法上何らの支障がない。ただ問題は、現在は何といってもアメリカの施政権下にある。したがって、日本国憲法及び日本国法令からは差しつかえはないわけですが、しかし、アメリカの了解を得る必要があるということだと思うのです。そのことは、政府がアメリカから現実に返還せられるまでにまだ二年か三年かあるのでしょう。その間にも、国会議員を選ぶ、こういう選挙を沖繩にも持っていきたいということをアメリカに了解をとればそれでいいのですよ。そういうことを返還時までやらずにおりますか。返還前にでも意思表示をするだけの勇気がありますか。私は、あるべきであり、それが当然の担当国務大臣としての義務である、そう考えますが、いかがでしょう。
  91. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの問題は、国会におきまして今日御検討をいただいておる非常に大きな問題の一つだと思います。したがって、総務長官といたしまして個人的意見を申し上げるべきでないと思います。この点は国会におきましてただいまお述べになりました等のいろいろの御意見があることをよく承知しております。ひとつ国会におきまして御結論を出していただきたい、かような意味におきまして、政府としても私といたしましても個人的見解は慎むべきであると考えております。
  92. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それじゃ何にもならぬですね。国会で検討しておられますので、担当国務大臣として意見を申し上げるべきでないということ、これ以上押し問答しても何も出ないと思います。しかし、私はそれじゃ適当でないと思う。少なくともあなた自体の意見を持つべきです。たとえば国会へおまかせしてあるのですが、これも国会の常任委員会一つですよ。そういうことをつくるに当たって、担当の総務長官どう考えておるのかということは聞けるわけなんです。そういう立場で聞いた場合どうします。国会にまかしている、国会においてそれをつくる必要上担当国務大臣考えを聞いておるわけです。どうなんです。
  93. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの問題は院の構成の基本的な問題に関連しておることでありまして、政府でもって今日意見を申し上げることは遠慮すべきである、適当でないと考えております。
  94. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これでは論議になりません。じゃこれも総理の出席を求めて話をするよりしようがないと思う。私は不満ですよ。じゃすべて国会にまかしますか。この問題だけでない、沖繩の問題について、すべて国会にまかしますね。担当国務長官としてどうですか。
  95. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの国政参加の問題は、佐藤総理大臣から国会議長に対しましてお願いしてあるわけです。したがって、今日国会の御審議を中心とするということは当然かと思います。
  96. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは佐藤さんにお伺いすることにいたしましょう。  そこで、沖繩の県民と本土の国民われわれとどこが違うのでしょう。基本的にどこが違いますか。いわゆる等質性という上に立って何らの違いはないわけなんですよ。それが現に差別が存在する、このことについては、アメリカは当然日本国籍を有する沖繩県民に、同一民族であり等質性において同じである、したがって同じような施政を行なうべきである、このことについて日本国政府はアメリカに要求する義務があると思うのです。その点はいかがでしょう。
  97. 床次徳二

    床次国務大臣 この点は平和条約三条によりましてアメリカに施政権がありますので、差ができておると思うのです。返還後におきましては当然等質であると思います。その意味におきまして、私はやはり、施政権の返還ということも当然これは私どもの要求だと思っております。
  98. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いや、平和条約三条は天賦の人権までも処分するものではないということを言っておるのですよ。天賦の人権を処分するところの法的効力が平和条約三条にあるとあなたおっしゃるのですか、それなら議論いたしましょう。あるとおっしゃるのですか。
  99. 床次徳二

    床次国務大臣 日本政府が施政権を持っておりませんけれども、しかし沖繩県民は日本人でありますので、したがって、沖繩県民の福祉の問題に対しましては、本土政府といたしましても重大な関心を持っておるわけであります。したがって、岸・アイゼンハワー大統領会談以来、本土政府の要求をたびたび重ねております。そうして住民の福祉の増進に対しましてはアメリカも最初は尊重するという立場から、本土政府が積極的に援助いたしまして福祉の増進等に関与するという状態にまで今日なってまいった、今後におきましては、さらに一歩を進めまして、施政権そのものの返還まで実現しようというのが今日の沖繩問題の段階である、私はかように考えております。
  100. 田中武夫

    ○田中(武)委員 はなはだ不満ですね。当然要求すべきなんです。だから弱腰だと言われる。これらについては、いまここで言ってもしかたがない。  もう一言だけ言って終わりたいと思うが、少なくとも沖繩の本土復帰、これは沖繩の地域及び住民が日本国憲法のもとに返るということ、その上に立って交渉の基本を置くならば、基地の問題がどうあるべきか、核基地がどうだとかいうことは当然解決できる問題だと思うのです。いままでいろんな角度から沖繩の問題について国会で論議が戦わされております。私はきょうはそういう日本国憲法のもとに地域及び住民が返る、この上に立って若干の質問をいたしましたが、お聞きのように十分な答弁を得られません。残念です。したがって、自後の質問及びいままでの質問に対して十分な答弁の行なわれなかった点につきまして留保いたします。  なお、要求いたしました資料についてはさっそく整えていただく、そうして委員長にお願いいたしますが、総理の出席を求めて、この問題に対してさらに論議を行ないたい、そのように考えておることを保留いたしまして、きょうはこの程度で質問を終わりたいと思います。
  101. 中川俊思

    中川委員長 総理の都合を聞きまして、できるだけ出席していただくように取り計らいます。吉田賢一君。
  102. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一に総務長官にお伺いいたしますが、例の本年三月十四日付の特命通達をお出しになった綱紀粛正とその対策の問題であります。これは四月末までに各省庁とも報告することになっておりましたが、これの大体のねらいと、そして報告の結果等につきまして、こまかい点は事務当局から伺いますが、ねらいと大体得られた報告の結果、これについてまず伺っておきたい。
  103. 床次徳二

    床次国務大臣 三月十四日に特命通牒を出しまして、不祥事件の発生の原因の再検討と申しますか、なお今後におきましてかかる問題の発生しないように厳に綱紀の粛正に対して戒めたのでありますが、なお特にその際、各省庁がかかる趣旨において今後いかなる措置をとるかということに対しましての具体的の回答を求めて、四月末を中心といたしましてこの回答を得まして、そうしてその回答の中より適切と思われますものを、これは例示でございますが、さような趣旨におきまして取りまとめました。そうして各省庁に再び連絡をいたしたのであります。もって、各省省において具体的に処置をとってもらうことになったわけであります。省庁の具体的な処置はそれぞれの職場の実態あるいは態様に応じまして必ずしも画一ではございません。したがって、その報告の中から、各省におきましてそれぞれ具体的なものを取り出して実施をしてもらうようにいたしたいと思うのであります。  かような意味におきまして各省からの回答を処置いたした次第であります。
  104. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 特に国家公務員の綱紀紊乱、汚職の続発というような件は、やはり全国民に対する影響がなかなか重大であるということを考えさせられます。一体それは何が最も大きな原因であるかということをこの機会に深く追及していく必要があるのではないだろうか。公務員というのは元来そのような弱い立場に置かれておるんであろうか。たとえば外からする汚職の誘因などに弱い立場に置かれておるんであろうか。それとも、制度自体に何か本質的な老廃的な腐敗原因があるのであろうか。あるいは、公務員制度の運用というものについて一段と新しいくふうを講じなければならぬようなことになっておるのであろうか。これは、総理府として、総理大臣を助けなさるあなたから依命通知を出すということはよくよくお考えになった上と思いますけれども、しかしいやしくも綱紀の紊乱的なそういう問題につきましては厳にえりを正していくという、その姿勢が欠けておるというところに根本原因があるのではないだろうか。こういうことについて、いずれあなた御自身の発案でないと思いますが、総理府として、総理大臣を助ける立場からいたしまして、そこは深く憂いをもって対処せられたと思うのですが、何が一番大きな原因か、こういうふうな点いかがでございましょうか。お述べいただけますか。
  105. 床次徳二

    床次国務大臣 基本的には、それぞれの国家公務員が公の奉仕者であるという観念に徹するということにあるわけでありまするが、特に今回におきましては、依命通牒におきまして、汚職等の不祥事件発生の原因、職場の実態等を再検討して、これを未然に防止するための具体的処置を講ずる。たとえば職務権限の配分の是正、チェック機能の強化等、人事配置の問題にも触れまして、具体的な注意を促したのであります。  なお、第二といたしまして、平素から監督者として部下の指導にあたります場合におきましては、公私の別を明らかにするよう適切な指導を行ない、特に国民一般から誤解を招くような、特定の民間業者等との接触に対しましては細密な注意を払うようにいたしたのでありまして、不祥事件の発生いたしました際におきましては、厳正な処分を行なう。そうして単に本人のみならず、監督の地位にあります者の責任につきましても明快にさせるというようなことを具体的に指示いたしたのでありますが、今日綱紀に対していろいろ遺憾な事実が出ておりまするが、これを反省してみますと、人事がある程度まで停滞しておる。しかもその停滞しておる人事にあって、一部の権限を特定の者が長い間握っておるということから、やはり誘惑にかかりやすいし、また問題が発生しておるという事例があったのでありまして、この点に対しましてはやはり適正なる人事交流ということと、なお一人の者にそういう重要な権限をまかせ、与えっぱなしにしておることのないように、お互い十分チェックさせる。なお、監督者におきましても特に留意、慎重な配慮を望むということが特色的に言えるのではないかと私は思うので、今後とも、その他におきましてもいろいろ問題がございますが、各般の問題につきまして具体的な事例をあげまして、重ねて各省に通知を出した次第であります。
  106. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 行政改革の一環として、すでに昭和三十九年にいわゆる臨調の答申のうちに公務員制度の改革の意見が出されまして、各般の角度からその考え方を、あるいは勧告の問題点なども指摘されておったようであります。この臨調の答申につきましては、総理もしばしばこれを尊重してできるだけ実現に努力していくということを何回も強く国会で言明せられたのであります。したがいまして、このような粛正の異常な依命通知を出されるときには、この臨調の公務員制度の改革に関する意見というものもすぐに頭にぴんとくるべきでないであろうか。言うならば、さらに広範に、今日の複雑な、需要の旺盛な、この変動の激しい日本の行政需要に適切に対処していくべき公務員制度あるいは公務員自体のあり方ないしは規律、責任あるいは職能の能率等、各般から検討するということを迫られておるのではないであろうか。言うならば、外部的な重大な原因が押し寄せて、内部的な一つの原因も積み重なって、公務員制度は、通牒、通牒とどんなに努力してやりましても、これはあとを断たないという原因ができておるのではないか、こういうふうにも考えられますので、私はこれを機会に、さらにあなたのほうとしては、総理を助けて、しかるべき機関等と総合提携せられて、公務員制度に対してどうあるべきかについての研究をしていくべきでないであろうか、こういうふうに考えるのでありますが、この点はいかがでございますか。
  107. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの問題はまことにごもっともな御意見でございます。なお、臨調の答申等におきましても、たとえば職階制の実施というような問題も含んでおります。なお、一面におきまして給与の問題等もあるのでありまするが、この点は、職階制につきましては人事院、給与の問題につきましても人事院の問題で、実施につきましては政府が責任を持っておりまするが、組織等に対しましては行管等の関係もございますので、十分行管あるいは人事院等とも連絡をとりまして、御趣旨のように、十分公務員が公の機関といたしまして国民に奉仕できますような体制を堅持してまいりたいと思います。
  108. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこへいきますと、やはり総理府のトップである総理大臣が、日本の行政府の首長といたしまして各機能を調整し、もしくは総合して、この目的に向かって進んでいく対策を立てる、そして各公務員を指導する、こういう体制が一そう強化されねばなるまい、こう考えるのであります。  そこで、あなたのほうといたしましては、総理府一つの重要な機能は行政の総合調整にあるとも思われます。行政の総合調整は、いまの行政府が持っておりまするきわめて根本的な一つの課題であることは申し上げるまでもないことでございます。長官のお立場からも、その方面に向かっては一段とあらゆる角度から他に呼びかけをする機会もつくって、公務員制度に本格的に取り組んでいく、そして抜本的にそれこそ汚職、腐敗、紊乱等を根絶することに努力していくことがこの際切実に求められておるのではないであろうか。要するところ、しからばいかに総合するか、いかに調整するかということが大きなかなめでございます。この点については特段と御配慮をせられんことを御要望いたしておきます。  それで、いまの依命通牒に対する回答につきまして、他の事務当局のほうから補足的に御説明をしていただいたほうがいいであろうと思いますが、これも通牒なれしてしまうということであっては、交通戦争の犯罪的なものがあとを断たぬと同じように、なれてしまえばびくともしなくなってしまう、こういうおそれもありますので、一たん出した通牒は相当厳固として最終のある結論を得るというところまで進んでいかなければならぬ。一体どんな反応が具体的にあったのだろうか。こまかいことは時間の関係でよろしゅうございますから、要点だけでいいから先にお伺いしておきたいと思います。
  109. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 お答え申し上げます。  先ほど総務長官がお答えになりましたように、三月の十四日に出しました通牒、これにつきましございませんで、先ほどるる長官が述べられましたような線に沿って、具体的な職場でいろいろの施策をそれにふさわしいようなことを考えて出すように、こういう趣旨のものを出したわけでございます。それに対しまして、各省からいろいろの措置の報告がございまして、そのうち各省に共通するような、参考としてこれを取り入れてもらったほうが望ましいと思われるような事例を取り上げまして、先ほど申しましたように閣議に、五月二十日に総務長官から御報告になったという次第でございます。つきましては、いま先生おっしゃいましたように、一片の通牒あるいは一片の報告ではこれは決して綱紀粛正の実は達せられるものではないことは、先生承知のとおりでございます。したがいまして総理府といたしましては、毎月二回ございます人事管理官、つまり各省の人事課長、秘書課長の集まりでございますが、この会議におきまして息の長い追及をいたして、常にこの問題を繰り返し徹底し、かつ実施についての協議をいたしていきたい、かように考えておる次第でございまして、おっしゃいましたような一片の報告で満足しているわけではございませんで、常にこれの具体的な実施という点につきまして留意をいたしながら、その実効を期していきたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なお、長官にその点について伺っておきたいのでありますが、私は考え方といたしましては、日本の公務員は諸外国に比較して優秀だと見ております。したがって有望な素質を持った公務員が、このような汚職に問われるようなことになるということは、人材経済の点から考えてみましても、いたずらに暗い面へ追いやってしまう。これは社会制度、運用、公務員外のあらゆる環境、利害等々、いろいろな悪い条件がそこに押し迫っておるかと思いますが、いずれにいたしましても公務員制度は公務員がけしからぬというような考え方だけじゃなしに、有能な人材をできるだけさらに開発をして、日本の全体のためによるような明るい職域に邁進さす、こういう積極的な姿勢を求めるということが、私は綱紀粛正の終局だろうと思うのです。いたずらに法務省的な、司法権的な考え方で処罰をして、刑務所へ行って矯正するということにあらずして、やはり行政全般の見地から見ますと、そうではなしに、明るい分野をどうして積極的に開発できるかというそのくふうこそ、この時代に一番ふさわしい基本的な方針になるべきではないだろうか、こう考えております。ですから私はしかり飛ばして処罰するの、あるいは懲戒するのというような、そればかりが頭にあるというのではなくして、寄ってきたるところ、そして持てるその人の素質、あるいは従来の技能とか経験とか幾多のもの、そういうものを、どうするならば一番適切な場でさらに躍進して働かしていけるかというふうなくふうを、広範に打ち立てていく、そういう角度でやっていただきたい。これがかえって公務員自体もそれはそうだというように協力するゆえんだ。戦慄しておっかながる、えらいものが出た、そういうようなことでは最善の手にあらず、こういうように考えておりますが、そういう点は長官いかがでございますか。
  111. 床次徳二

    床次国務大臣 お話しのように、今後公務員の能率をあげその素質を向上させますにつきましては、粛正と申しまして、いわゆる罰だけを強調してまいるのは私は決して適正なものでないと思います。いわば賞の部面におきましても積極的な面がなければならないと思うのでございます。したがって過去におきましてはとかく賞の問題につきましては硬直化しておったと思いますが、今後におきましては一そう賞を明らかにする方面に対しまして努力をいたしてまいりたいと思うのであります。しかし平素におきまして人事管理というものを十分にいたすということで、公務員の能率を発揮させることが大事であります。個人のいわゆる適性というものを絶えず考慮しながら、その個人が十分その特色を発揮できますような地位につてはこれを賞してさらに一そう励ます道をつくるというふうに考えてまいりたいと思う。御意見のように私どもも両面を今後十分に活用いたしたいと思います。
  112. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 人事院総裁はきょうはやむを得ぬ用でおいでになっておられぬのですが、管理局長は見えておるようであります。いまの公務員制度の問題、職階制は、職制上はどうもあなたのほうの所管らしい。臨調の答申の公務員制度の改革に関する意見、これに対して各省庁からそれぞれの回答が寄せられております。この寄せられておるうちで一番多いのはやはり人事院なんです。人事院はずいぶんとたくさんにわたって回答しております。そうして、そのうち検討を要する、検討を要するというのが一番多いのですね。これは一々私は朗読する時間もないのでよしますが、四十年の三月現在の回答でございます。これによって見ましても、あなたのほうは職階制の問題に触れておらぬ。臨調の答申は、職階制につきましては相当詳しく「職階制の実施とその活用」という一項を設けまして、専門制度の確立であるとか信賞必罰の励行であるとかあるいは勤務評定の完全実施であるとか、幾多の処遇の改善あるいは処遇の向上、公務員の福利厚生施設一般の充実、身分保障、退職後の保障等々、幾多の事項に分けまして意見を述べておりますが、この職階制の実施、活用というものにつきましては、この改革意見に対する回答には出てこない。一体なぜこれが出てこないのだろうか。これはいまの日本の行政制度のうち、公務員制度のうちの重大な、取り残された一つの課題言うならばこれは日本の行政制度の恥部かもわかりません。いま公務員制度がこのような重大な段階に来ておるときですから、どうしてもこれを爼上にのぼせねばならぬと思う。そして臨調はこれを答申しておる、人事院はこれに触れず、これは一体どういうわけなんでございましょうか。この点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  113. 茨木広

    ○茨木政府委員 職階制の問題についてお答え申し上げます。  職階制の問題につきましては、後指摘のように非常に根本的な問題がございますわけであります。戦後この職階制の思想が導入されまして、国家公務員法にうたわれ、さらに職階制に関しますところの法律ができましたわけでございますけれども、それらに基づいて一応職種の名称あるいは定義等を国会に提案をいたしまして、異議がなければそれで行なっていく、こういうような法体系に現在なっております。二十七年の五月当時でございますが、約二百七十一職種につきまして国会に提案をいたしまして、そのまま現在になっております。その後、さらにそれに基づきました給与準則の勧告というものを二十八年の七月にやっております。それらにつきましてもやはりそのままに、国会及び政府において取り上げられないままになって現在に至った。その背景の事情には、やはり当時非常に職種を細分いたしましたけれども、それが人事行政の実態から見ますと、必ずしもそのように細分された形で現状ができ上がってきていない。あるいは実態がそういうようなところまで進んでいないというような点がございまして、特に任用上の観点から、相当各方面から批判なり抵抗があったようでございます。したがって、その後累次の答申等において、簡素化したものにして、これを実施したらどうか。臨調の答申もやはりそのような方向で考えるべきだというような答申があったはずでございます。したがって現在私どもが考えておりますのを、その後約二十年近い期間、私どもの給与局なりあるいは任用局において運用しておりますところの人事行政の実態がございます。特に法律関係でいきますと、給与法の職務の等級というものを現在は一応職階制にかわるべきものというふうにみなされたかっこうで運用されてきております。したがって、そういうような二十年近い実態が積み重なってきておりますので、現在新しいかっこうで職種を整理いたしまして実施をするというようなふうになりますと、その辺の任用上の観点あるいは給与上の関係というようなものもスムーズに移行するように考えてまいりませんといかぬわけでございます。目下その辺のところを一生懸命検討を加えておるというような関係になっております。  漸次この職種の関係も整理されてまいりまして、最終的に公示等の形で出しましたものが百二十六ら種くらいになっておるようでございます。さらに、しかしその後そういう臨調の答申もございまして、現在の任用なりあるいは給与上使っております、たとえば給与上でございますと俸給表の数がいろいろございます。これが一種の大分類と申しますか、あるいは職群と申しますか、そういうふうに考えてもいいんじゃないかと思います。あるいは学校の卒業の関係から合わせまして、任用上いろいろな試験の種類をつくっております。そのような資格なり試験の種類なりから見た職種の考え方というようなものもあるのではなかろうか。それからいま言った給与上の俸給表の数あるいは俸給表の変形としての諸手当というようなもので、一部部分的に変形をして運用をしておる部分もございます。そういうようなものを総合してみまして、新しい日本になじんだ職階制というようなものができないだろうかというような方向で検討をしておる。それが私どもの人事院の総裁以下のお考えでもございまして、私どもとしましてはその方向で一生懸命やっておる、こういう関係でございます。ただ、任用、給与上の非常に基礎になります一番根本な制度なものでございますから、早急の間にそれを出すわけにいかず、現在に至っておるような次第でございます。
  114. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 総務長官はほかの委員会に出られるそうですから長官に伺いたいのですが、国務大臣としてあなたにお伺いするのが適切だと思うのです。あなたのほうはいかにして公務員の能率をあげるか、いかにして粛正するかということが重要な仕事であろうと思います。これは申すまでもないことであります。そこで職階制の問題はすでに昭和二十五年に法律ができました。広範な詳細な規定ができて、いま人事院の局長のお述べになったようないろいろな問題点はあろうかと思いますけれども、しかし昭和四十年にあらためてまた附則を改正いたしております。附則によりますと、公布後九十日以内に実施する義務を政府は負っております。職階制の法律の内容等によってみましても、あるいは国家公務員法の二十九条ないし三十二条のいわゆる職階制の各般の規定によって見ましても、政府はかなり義務づけられております。そして人事院は人事院の事務として総理府設置法にこれは明記されております。職階制の担当官庁になっております。こういうことであります。職階制が無用のものであろうかなかろうかは、これは一々行政府が最終結論を出すべきものじゃないと思うのです。やはり法律なんですから、法律は執行すればいい、実施すればいい。実施をはばかるならば、適切にあらずというならば、これが改正について何らかの行政府としての手は打たねばならぬ。そこであなたは人事院総裁ではないけれども、しかし国務大臣といたしまして、いま公務員制度、公務員問題が重大になっておることは議論の余地はないのでありますから、そのときに職階制に関する法律が、立法ができて約二十年間どこかにたなざらしになっておる。四十年のときとはまた一部改正もしている。たなざらしであるということは、ほかの法律によってこれを補っているとか、あるいは制度によって補っているというようなことは、これは要らざる御意見であります。国会に対しては要らざる御意見であります。やはり何ゆえこれを行ない得ないのかということを正面から取り組んでいかねばなるまいと私は思います。もしこれが日本の国情、社会、行政諸般の事情から考えて、この法律は無用であるということであれば、そういう意味において改廃の手段をとる、これがやはり行政府の責任であろうと私は思います。また内閣の責任であろう、こう思うのです。これは綱紀粛正、その他公務員制度の諸般の問題、臨調の答申等々、これは重大な国策上、行政上の問題になっておらぬときならばそう申しませんけれども、ともかく重大になっております。ということでありますから、何かここにやはり職階制に関する本格的な取り組みが政府はあってしかるべきでないだろうか、こう考えるのであります。その点をひとつ、長官のお立場となれば、これは人事院の所管事務でしょうけれども、国務大臣として、閣僚の実績を持っておりますあなたでありますから、その辺についての御所見を聞いておきたいと思うのです。
  115. 床次徳二

    床次国務大臣 職階制につきましては、先ほど人事院からお答え申し上げましたが、しかしこれは仰せのごとく公務員の服務に非常に関係の多いことだと思うのであります。この問題に対しましては、人事院の総裁と十分協力いたしまして適切なる結論を出すようにいたしたいと思います。
  116. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと間にはさみまして、長官に青少年問題を伺っておきたい、こう思うのであります。他の方によって後に答弁をいただきますけれども、青少年問題が最近いろいろな点で、いろいろな角度からまた問題が提起されていることはもう知らぬ人はないのであります。たとえば一つのあらわれといたしましてことしになりましてから、十九歳の少年が連続殺人魔として喧伝せられる、十五歳の中学生が同じ仲間の生徒の首を切り落としてしまう、あるいは不幸にして兄弟が殺し合う。ともかく青少年のあり方について、健全育成の見地から、何か本質的に問題があるのではないであろうか。これにつきましては、青少年対策本部におきましても何かと考えておられるようでありますけれども、私はこの際、単に青少年対策というような角度からだけでなしに、日本の将来あるいは児童、青少年の教育の問題あるいは国内のほんとうの平和と繁栄と発展の将来のために、やはり相当注目して考えていかねばならぬのではないであろうか。ですから、いま私が指摘しましたような不幸な現象を通じて、総理府長官としましてのあなたはどういうお考えがあるでしょうか。もう一つ、ついでながら、本年度の青少年対策を各省庁の予算によって見ましても、総理府以下ずいぶんたくさんな十幾つにわたる省庁、裁判所等まで八百八十六億円という予算が本年度の青少年対策費で組まれておるようでありますが、この段階で私は相当総合施策、それこそ総合調整を積極的にやる必要があるのではないか。この辺にどこか欠けているところがあるのじゃないだろうか。思い思いに効果があってもなくても予算を使うということでやるなら、たいへんなことであります。この効果思わしくあらず、これは費用が足りないあるいはこの費用ならもっと成果があがるべきである、もっと他に適切な案がある。何か青少年の対策につきましては各省庁総合的に施策を進めていくべき段階に来ておるのじゃないだろうか、強くそういうふうなことを考えていくときでないだろうか、こう思うのですが、この二点を伺っておきたい。
  117. 床次徳二

    床次国務大臣 具体的には次長からお答え申し上げますが、私対策本部長に就任いたしましてから、この青少年問題につきまして、仰せのごとく、まことに大事な問題である、今日大学問題が一面大きく取り上げられておりますが、しかし、その根底に流れておりますものは青少年問題として理解しなければならぬし、対策を立てなければならない問題だと考えておるわけであります。したがって、一面におきましてはこれは学校教育の問題でありますが、しかし学校教育以外の部面におけるところの問題がずいぶん残されておる。すなわち家庭の問題、父親の問題もありますが、母親の問題もあります。私は、一口に申しましてやはり家庭教育というもの全体を考えなければならないと思うのであります。なお、家庭といたしましても学校に出しておけばいい、学校に出していい成績をとればいいというふうなまことに誤った考え方が相当蔓延しておったと思う。この点につきましても反省を要すると思うのであります。あらためて家庭教育の重要性につきまして指摘し。これに重点を置いてまいりたい。  もう一つ大きな問題は、最近の社会の環境の問題だと思います。環境がずいぶん大きな変化をいたしておるのであります。たとえば子供に対しましてはよく学びよく遊べといいますが、よく遊ぶ機会に恵まれていないという状態を一例として申し上げてもわかると思うのであります。なお、交通事故対策等から見ましても非常な問題があります。私はやはり社会環境というもの自体におきまして、ほんとうに青少年が健全に育成され得る環境づくりというものに対して積極的な努力をしなければならない。  なお、社会教育の面から申しまして、単に場所を提供するばかりではなくて、いわゆる指導層並びに組織というものがなければいけないのじゃないかと思うのであります。個人個人の自由にまかしておったならば、なかなかそういう機会に恵まれ得ませんので、やはり組織の中に加盟して、そしてりっぱな指導者によって社会教育が行なわれる。包括的に申しまして、私はそういう姿勢が学校教育のほかになければならないのじゃないか。環境の改善と相まっていきたい。  なお、環境の問題につきましては、いわゆるマスコミその他の問題、映画の問題、雑誌、週刊誌の問題いろいろあるわけでありますが、これに対しましてやはり適正なる青少年みずからが処し得るような広い意味において環境、これもつくっていかなければならないと思うのでありまして、かような問題に対しまして今後積極的に行なってまいりたい。  なお、総理府といたしましては、体育の問題も大きな問題として、学校だけにまかしておけない。私は青少年の問題から見ると、体育と申しますかむしろ訓練と申しますか、そういう方面におきましても努力をしてまいりたいと思います。  まことに抽象的に申し上げましたが、こういうようなところに大きな問題があるのではないか。大学問題に劣らないだけの取り上げ方をいたすべきである、今後私どもさような意味におきまして努力をいたしたいと思います。なお、非常に各種の関係省庁に分かれておるのが青少年問題の一つ問題点でありますが、これをできるだけ連絡調整して重点的に処置してまいるということが必要だと思います。この点におきまして、ただいま私が申し上げましたような青少年対策を骨子といたしまして、ことしからひとつ積極的に各省に呼びかけてまいりたいと思うのでありまして、とりあえず青少年対策本部事務心得と申しますか、事務取り扱い方針というような形におきまして、さようなことも掲げてみたのでありますが、次長から御説明を申し上げますのでお聞き取りをいただきたい。今後とも連絡調整と申しますか、この役割りを十分果たしながら、予算はそれぞれの省において持っておりましても、その使い方におきましてただいま申し上げましたような基本方針に合致するように努力していきたい。さような協力を望みたいと思います。  特に先ほども申し上げましたが、学校教育の点につきましては青少年対策からいうと、従来は文部省にまかせ切りというようなこともあったと思うのですが、密接なる連絡をとることが必要であるということを重ねて申し添えたいと思います。
  118. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 長官よろしゅうございます。  それではいまの青少年問題についてもう少し具体的な点を聞いておきたいと思います。  今度一局削減で青少年局が青少年対策本部に名前が変わったらしいのでございますが、いろいろと事務処理要綱でございますか、そういうものもできたらしゅうございます。あるいはまた青少年問題の審議会につきましても、特にことしの議題を一つ選定せられて論議されるらしいのでありますが、ただいまの青少年対策といたしまして、ともかく大きな激動の社会の中で、青少年がきょうのみずから、あしたの自分ないしは将来というようなことにつきまして、ほんとうに誤りなく何か考え方を持っておるだろうかというようなことも思わせます、おとなにおいてさようですから、ましてや社会の経験の乏しい青少年において。こういうことを思いますと、あらしが吹いておる中で立ちすくんで、もしくはどこかへ歩いていくという人と同じような、非常に万事困難な諸条件のもとにきょうを歩んでいかなければならぬというのが青少年である。どういうことに一番の重点を置いたらいいであろうか。いまも長官からある要点の御説明があったのでありますが、それにいたしましても子の親として、また社会人として、もしくは行政当局として、また政治家として、国策の観点からないしは国の将来、青少年の将来、いろいろな角度から考えまして、きょう一番大きなねらいは何に置いたらいいのだろうか。それもそう一番大きなねらいというだけでは解決できない。それはきめのこまかいあらゆる施策を総合しなければならぬということになるのかもしれませんけれども、何か一つ大きな柱があってよいのではないか、こう考えるのですが、いかがですか。
  119. 今村武俊

    ○今村(武)政府委員 お答えいたします。  現在の青少年が置かれております環境は、従来に増して非常に激しい勢いで変わっていっておるわけであります。その中で、いつの時代でも青少年の肉体の条件あるいは心理的な条件はあまり変わらないのではないか。しかし一方知識の蓄積という点ではすばらしい変化を示しておる。その中で青少年が人間としていかに生きていくべきであるかという問題を検討しておるわけでございます。それが青少年問題審議会におきまして、現在の課題を象徴的に都市化と青少年問題という課題でつかまえまして、現在の都市化という時勢、それは産業構造の変化、社会構造の変化までも念頭に入れた都市化でございますが、その都市化に対しで、青少年がいかに対応していくべきであるか、青少年の生活の場が、生まれてから成人に達するまでの間、家庭、学校、職場、それ以外の社会の場、この四つの場に分けて考えられますので、家庭においては、学校においては、あるいは職場においては、あるいはそれ以外の社会の場においては、青少年はいかにあるべきかという問題を、学識経験者による審議会によって御審議をいただいておるわけでございます。  その結果として、最終的な問題となってくるのが現在の青少年を指導する場合においていかなる指導理念に基づいて指導すべきかという問題がございます。この問題につきましては、行政府がある価値観を強要するというようなことは避けなければなりませんし、さりとて青少年が今後個人としてもりっぱであり、かつ、社会、国家の構成員としてもりっぱである、そういう青少年に育てていくためには、やはり指導理念も考えなければなりませんので、それはまさに先生のおっしゃるとおりでございますが、次の審議会における検討課題になろうかと存じておるようなわけでございます。  一方、また現在の青少年に関しましては、学校教育、家庭教育以外の場における指導者の養成の問題も非常に重要なことでございますので、審議会の中に指導者部会という部会をつくって、そこで一年余りにわたって検討いただいており、間もなく結論が出るといった段階でございます。
  120. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 青少年問題はなお相当ございますのですが、時間がおくれてしまいましたので、委員長、済みませんが、この点は保留させていただきたいと思います。  実はあと私はなお特殊法人の問題、公務員制度、その他職階制の問題を持っておりますのですけれども、時間の関係上、どうもこれはやりにくいらしいので、やむを得ませんから、職階制について少しだけ聞いて、そして次にはひとつ人事院総裁にもおいで願いまして、職階制の問題については根本的にもっと問答してみたい、こう思っております。  管理局長に伺いますが、いま人事院といたしましては、とにもかくにも国家公務員の職階制に関する法律があることはあるわけですね。あるけれども実施しておらぬ。これは実施することは不利、困難、抵抗、不可能——したがって、法律自体は、日本のいまの社会事情から見るならば、これを実施しないほうが適当であるというような根本的な考え方があるのであろうか。したがって、これは根本的に改正を要する、改正のほうへ努力するということのようにも、さっきの御説明では受け取れるのですが、そういうことの前に、どうしても一実施できないようなことであるなら、総裁が責任を持って総理ともよく御相談になって、そして国の一つの行政の方針として打ち出していくところまでいきませんと、法律があるのに実施しないで、これはだめなんだから新しい改正案をいま研究中でありますというようなことは、これは行政府としては少し行き過ぎじゃないだろうか、こう考えるのですが、こういう根本的な考え方についてまとまっておるのでしょうか、まとまっていないのだろうか。しょせん、日の目を見ることのない法律だからというようなことに実際はなってしまっておるのじゃないだろうか。その辺、どうなんでしょう。人事院としての御意見が固まっておればともかく、固まっておりませんようでしたら、よく総裁から伺ってみます。
  121. 茨木広

    ○茨木政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、先ほど総務長官に対します質問の中に引用されました九十日云々という問題でございますが、これは国家公務員の職階制に関する法律の二条の二項の改正の部分でございますが、その中に国家公務員法七十三条の部分を引用しておる個所がございます。現在の表現は「同法第七十三条に定める研修並びに」こうなっておりますが、ここの「研修」の部分が、従来「教育訓練」という表現でございましたが、国家公務員法の改正に合わせましてその部分を同時に動くようにするということでもって、政令で九十日以内ということで定めがあったわけでございます。そのとおり、それはもう動いております。  それから根本的な問題でございますが、この点については、過去におきましても最近におきましても人事院会議等で検討が行なわれておりますが、国家公務員法全体を流れる思想としましては、やはり任用制度なり給与制度なりが、職務の種類なり複雑さ、あるいは責任の度合いというようなものを根本といたしまして採用を行ない、あるいは給与支給する、こういう精神で貫かれておりますので、したがって、職階制について日本的なものにするという考え方はございますけれども、それを廃止をするとかいうような方向の考え方は、現在ございません。やはり、できるだけ早い機会においてそれを実施してまいりたい、こういう考え方を持っております。  ただ、現在いろいろ考えておりますのは、ただいまの職階法の条文の中にもございますが、先ほどちょっと触れましたように職種の種類等を人事院の公示でもって定めるわけでございますが、定めましたものについて国会に御報告を申し上げる——御報告と申しますか、提出をするという表現になっておりますが、それが普通の法案と同じように議決を経ましてから確定をするのか、あるいはそこに書いてありますように、国会のほうから御異議がなければそのまま実施をしておってよろしい、こういうふうにも読めるのでございますが、当時の経過はやはり普通の議案に近い扱いで順次議決をとっていくのだというような考え方であったようでございますが、その関係でそういうふうに考えますというと、審議未了になりました関係上、そのまま現在まで至っておるという経緯が一つあったようでございます。その点、現在もそういうような考え方に立ちますとすると、やはり日本になじんだようなかっこうで提案を申し上げ、現在動いております各人事行政との関係であまり混乱を起こさないようなかっこうでこれを実施していくという方向のものでないというといかぬのではなかろうか、こういう考え方がございます関係上、非常におくれておるわけでございます。せっかく努力をいたしたいと思っております。
  122. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 質問を保留させていただきまして、きょうは約束によってこれで一応終わっておきます。
  123. 中川俊思

    中川委員長 次回は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十二分散会