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高田委員 そこで、大臣、これは私非常に重大だと思うのですが、いまの御
答弁、それからその前の御
答弁、両方ともいま進行中の裁判ということを、いまも前も
答弁の中に入れておるわけですね。御
承知のように、国と大
日本製薬等を相手といたしました訴訟が
関係者から出ておるわけでございます。これは大臣もよく御
承知だと思うのです。それが成り行きがどうのこうのということで、だから業界に対しても、
責任を明らかにしたような形では、サリドマイド対策の寄付というのはできにくい状況にございますなんという
答弁をする。またいまも育英資金のようなもので
云々といっても、それも裁判の成り行きを見なきゃということをおっしゃる。私はここに大問題がひそんでいると思うのです。
それで大臣のお考えをぜひここで明確にしていただきたいのですが、大体こんな裁判をやらしておくということは、私は世界に対して恥をさらしているようなものだと思うのです。いま世界で同様の問題が方々に起こっておる。いまも御
答弁にありましたように、ドイツのごときは警察庁から刑事被告人として告発して、刑事裁判、付帯した民事裁判もございますが、裁判までやらしているのです。それから英国におきましては、政府が行政指導をして訴訟の起こったものは和解させてしまって、そうして一人について何百万円かの見舞い金のようなものを出させ、また訴訟しなかった
関係者にも出させ、そうして円満に解決をし、かつ
責任を明らかにしているのです。それから、カナダ、スウェーデンその他のところにおきましても、会社側から和解の申し出があったというようなところもあって、政府はやはりこれを推進する立場をみんなとっているのです。しかも
日本はよそと違うのですよ。国まで相手にされている。なぜかというと、よその場合と全然違うのは、製薬会社がつくったのがいかぬ、販売したのがいかぬというばかりでなくて、政府が事情を知って、なおかっこれを差しとめもしなければ、回収命令もしなければ、一年近くもほったらかしておいたということで、行政上の
責任を問われているのでしょう。これは世界に例がないのです。どこでも問題になったらすぐストップをしているのです。イギリスなんか、おくれたといっても、一週間日にストップしている。
日本は一年近くたっている。ここに国の
責任が問われているのですよ。ですから国としては、園田さんのときの御
答弁、非常に明快ですよ。過去を反省しているのです。そうなると、しょうがないから読まざるを得なくなる。「この際に第一に明確にしなければならないことは、いままでずいぶん調べてみましたが、正直言って、許可した場合、それからその後の措置について、あいまいな
責任のがれの
ことばを言っておりまするが、たとえ訴訟になっておりましょうとおりませんとも、政府と製薬会社がその
責任をとって今後の処置をそれぞれやるべきだ、この点をまず第一に明確にいたしておきたいと思います。」こう言っているのです。その
説明もちゃんとあるのですよ。「おかしいと思ったら直ちに製造中止を命じて、そして販売中止を命じて、その上で実験をすべきであった。」こういうのですね。実験中だから−一カ月に何百人もあぶない者が出るぞという学者の警告があるにもかかわらず、半年も一年もほったらかしている。これを率直に反省した上に立って対策を立てるんだと、こんなに明言されているのですよ。裁判の経過を見てとは何ですか。冗談じゃないですよ。私はすみやかに政府が中に入って和解さすべきだと思う。そうして訴訟しているのは何十家族、そのほかにまだ百家族くらいの訴訟してない人がある。金がないとかそういう事情があるのでしょうけれども、そういう人たちも含めまして、政府が中に入って、これは
法律上勝ったらどうするとか、負けたら処置しますというわけにはいかぬでしょう。そんな勝った負けたという問題じゃない。こんな問題は、そんな
法律にひっかかるかひっかからないかという
法律上の興味の問題ではないのでありまして、事はきわめて明白なんです。世界じゅうにこういう裁判に対する政府の態度ははっきり出ているのです。これはすみやかに政府が中に入ってあっせんをする、——
法律上の過失の有無とかなんとかいう問題じゃないのであって、これは道義的
責任でいいです、道義的
責任を明確にして、処置して、誠意ある態度をとれば、問題は円満に解決し、これから政府の行政に対する国民の信頼あるいはまた製薬会社の製薬に対する信頼感というものも出てくるでしょう。それがなかったら、ますます信頼感はなくなるばかりですよ。しかも、さっき申しましたように小学校へいよいよ上がるサリドマイドの特殊な子供をかかえました父兄の悩みは、精神的にも物質的にも大きなものです。これに対して、裁判がありますから経過を見てとか、そんな、とんでもない態度だ。これは第一、前の大臣とは全然態度が変わってしまう。新しい大臣になりましてからまだ見解を聞いておりませんから、きょうは大臣から
責任ある御
答弁をいただきたいと思います。