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1969-02-13 第61回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月十三日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 鍛冶 良作君    理事 丹羽 久章君 理事 水野  清君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       菅波  茂君    根本龍太郎君       山口 敏夫君    赤路 友藏君       森本  靖君    浅井 美幸君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 河本 敏夫君  出席政府委員         郵政政務次官  木村 睦男君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         電気通信監理官 柏木 輝彦君         郵政省郵務局長 曾山 克巳君         郵政省貯金局長 鶴岡  寛君         郵政省経理局長 上原 一郎君  委員外出席者         外務省アメリカ         局安全保障課長 松原  進君         会計検査院事務         総局第二局長  石川 達郎君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   井田 勝造君         日本電信電話公         社理事経理局         長)      中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 二月十三日  委員石田博英辞任につき、その補欠として山  口敏夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山口敏夫辞任につき、その補欠として石  田博英君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十二日  昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十二年度政府関係機関決算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書   (郵政省所管日本電信電話公社)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  この際、国政調査承認要求についておはかりいたします。  去る四日、理事会において協議いたしましたところにより、従来の五項目中、第一、第二、第三の三事項につきましては、従前のとおり国政調査承認要求をいたし、議長承認を得ました。他の二項目につきましては検討の上、案を作成の上おはかりすることになっておりましたが、先ほどの理事会において次のとおり協議がととのいました。  すなわち、  一、国が資本金を出資している法人の会計に関する事項  二、国または公社が直接または間接に補助金奨励金助成金等を交付し、または貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項以上でございます。  つきましては、去る四日承認を得ました各事項のほかに、右の二事項を追加して議長承認を求めることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。      ————◇—————
  4. 中川俊思

    中川委員長 昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  郵政大臣にちょっと御忠告いたします。  官房長からお聞きだと思いますが、委員会が始まります寸前にここに来てもらいたい。十時半からということになっておりますので、すでに二十分も経過しておるのですが、こういうことは非常に困りますから、今後そういうことのないように御注意を願います。  本日は、郵政省所管及び日本電信電話公社について審査を行ないます。  まず、郵政大臣より概要説明を求めます。河本郵政大臣
  5. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和四十一年度決算について御説明申し上げます。  郵政事業特別会計郵便貯金特別会計簡易生命保険及び郵便年金特別会計並びに一般会計昭和四十一年度決算について、その概要会計検査院から指摘のありました事項について申し上げます。  郵政事業特別会計歳入予算額は四千一百七十八億三千四百余万円、歳出予算現額は四千三百四十億八千一百余万円でありまして、これに対する決算額は、歳入では四千三百六十五億八千余万円、歳出では四千三百十億九千四百余万円となっております。この中には収入印紙等業務外収入支出借り入れ金建設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では三千三百四十五億六千二百余万円、歳出では三千二百十九億八千四百余万円となっております。この収支差額は、建設費の財源をまかなうほか、債務の償還等に充当いたしました。  郵便貯金特別会計歳入予算額は二千一百八億九千四百余万円、歳出予算税額は一千八百四十八億九千四百余万円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二千二百十五億二千二百余万円、歳出では一千八百四十二億五千一百余万円となっており、差額三百七十二億七千余万円は、法律の定めるところに従い、翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は三千五百八十億八千一百余万円、歳出予算現額は二千一百十七億九千二百余万円でありまして、これに対する決算額は、歳入では三千六百四十三億八千四百余万円、歳出では二千十五億二百余万円となっており、差額一千六百二十八億八千二百余万円は法律の定めるところに従い積み立て金といたしました。年金勘定歳入予算額は三十六億一千五百余万円、歳出予算現額は二十四億九千三百余万円でありまして、これに対する決算額は、歳入では三十八億二千七百余万円、歳出では二十四億余万円となっており、差額十四億二千七百余万円は法律の定めるところに従い積み立て金といたしました。  また、一般会計におきましては、歳出予算現額四十四億七千五百余万円に対し、支出済み歳出額は四十三億二千三百余万円となっております。  次に四十一年度主要施策事項について申し上げますと、  第一は業務量増加等に伴う労働力の確保をはかるため、定員において約四千人の増員を行ない、また、雇用難救済定着率向上策として職員住宅完備充実推進いたしました。  第二としましては、事業近代化推進をはかるため郵便局舎改善を行なったほか、通常郵便物の航空機への搭載、近距離通信速達化大都市圏運送施設拡充託送難救済等のため郵便専用自動車便増設を行なうとともに、局内作業及び窓口事務につきましては、機械化推進し、また、公衆用施設の整備、改善を実施して利用者に対するサービス向上に努力いたしてまいりました。なお、窓口機関拡充につきましては、無集配特定局二百八十九局、簡易郵便局二百七十一局を設置いたしました。  第三といたしましては、郵便貯金及び保険年金の増強であります。  まず、郵便貯金の純増加目標額四千九百億円に対しましては、六千十七億円の成果をあげ、目標額をはるかに上回ることができました。郵便貯金の四十一年度末の現在高は三兆二千六百七十六億円となりまして、資金運用部資金の約五二%は郵便貯金預託金で占めている状況でございます。  また、簡易生命保険新規募集目標額四十五億円に対しましても、四十八億円の実績をあげることができました。四十一年度保有契約高は四兆八千七百八億円となっておりまして、四十一年度におきまして新たに財政投融資へ一千六百八十九億円の資金を運用いたしております。  次に、会計検査院昭和四十一年度決算検査報告において指摘を受けました事項について申し上げます。  四十一年度におきましては、不正行為関係五件の指摘事項がありましたが、この種犯罪あとを断たないことはまことに遺憾に存じます。  郵便局関係職員による不正行為防止につきましては、従来から諸般の方策を講じているところでありますが、特に特定郵便局長業務推進連絡会及びその部会に防犯担当者を設け、防犯意識高揚防犯体制強化をはかり、この種犯罪絶滅について積極的に努力いたしました。また、業務考査及び会計監査にあたりましては、防犯管理体制相互牽制措置適否等事故犯罪防止重点を置いて行なうほか、特定郵便局長全員を各ブロック別に召集いたしまして、防犯対策打ち合わせ会を開催する等いたし、管理者防犯意識高揚犯罪未然防止早期発見について強力に推進いたしてまいった次第であります。  なお、今後とも諸施設徹底を期するとともに、業務考査及び会計監査にあたりましては、不正行為防止重点を置きまして、一そうその絶滅に努力いたす所存でございます。  以上をもちまして、四十一年度決算概略について説明を終わります。
  6. 中川俊思

    中川委員長 次に、会計検査院当局より、検査概要説明を求めます。石川会計検査院第二局長
  7. 石川達郎

    石川会計検査院説明員 昭和四十一年度郵政省決算につきまして、検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項として五件、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認めましたものが一件でございます。  不当事項は、職員不正行為に関するものでありまして、名古屋中ほか四十一郵便局で、窓口事務担当内務員や、あるいは貯金保険担当外務員または特定郵便局長郵便貯金預入金簡易生命保険保険料を受領しながら、受け入れ処理をしないで現金を取得したものなどでございます。  次に、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認めましたものは、四十一年六月、郵便法が一部改正せられましたに伴いまして、新たに郵便書簡を発行することといたしましたが、その売りさばき状況を見ますと、多量の在庫を生じている状況でありますので、今後、このような新規物品調達にあたっては、過大調達とならないよう配慮するとともに、その売りさばきにつきまして、今後適切な対策を講ずる要があると認められるものでございます。  なお、以上のほか、四十年度におきまして、小包配達業務運営について改善意見を表示いたしましたが、これに対する郵政省処置状況につきましても掲記いたしております。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     —————————————
  8. 中川俊思

  9. 米澤滋

    米澤説明員 昭和四十一年度事業概要につきまして御説明申し上げます。  昭和四十一年度は、電信電話拡充第三次五カ年計画の第四年度にあたりますが、政府景気刺激策に即応し、建設投資の促進につとめた結果拡張設備早期稼働がはかられ、また、景気動向上昇局面に入ったこともあって、事業収入予定を上回る結果となりました。  しかしながら、事業支出の面について見ると、減価償却費利子及び債券取り扱い費など、資本費用増高は引き続き著しいものがあり、業務合理化能率的運営につとめましたが、収支決算におきましては、利益金は前年度に比べますと百十三億円余減少し、二百三十八億円余にとどまる結果となっております。  四十一年度決算について見ますと、損益勘定におきましては、収入予算額五千五百二十九億円余に対しまして収入済み額は五千七百六十億円余となり、二百三十億円余上回りましたが、その内容電話収入で百九十七億円余の増、その他の収入で三十二億円余の増となっております。支出におきましては、予算規模五千五百六十六億円余に対しまして支出済み額は五千五百二十九億円余となり、三十七億円余下回っております。  また、建設勘定におきましては、収入予算額四千百二十億円余に対しまして収入済み額は四千二百九十億円余となり、百七十億円余の増となりましたが、これは建設勘定に繰り入れられる資本勘定において、収入予算額四千三百四十八億円余に対しまして収入済み額が四千五百八十四億円となり、二百三十五億円余上回った結果であります。  すなわち、資本勘定収入では、予算額に対し損益勘定からの繰り入れ額で百九十四億円余の減、減価償却引き当て金で百六十一億円余の増、電信電話債券で九十九億円余の増、その他で百六十九億円余の増となり、これにより建設勘定繰り入れ額が増加したものであります。  支出の面におきましては、予算規模四千四百三十三億円余から建設工程の未完成等により翌年度へ繰り越した二百十四億円余を除き、四千二百十八億円余が支出済み額となりましたが、これをもちまして四十一年度として、加入電話増設農村集団自動電話を含め約百二十三万加入予定に対し約百三十一万加入公衆電話増設三万八千個の予定に対し約三万三千個、また、市外電話回線増設約五万七千回線の予定に対し約六万三千回線などの建設工程を実施したものであります。  このような増設を行なったにもかかわらず、電話の申し込みを受けてなお架設のできないものが、同年度末において二百十一万に達し、依然として熾烈な需要に応じ得ず、かつ、市外通話即時化に対する要望も著しい状況でありますので、さらに施設拡充及びサービス向上をはからなければならないと存じております。  次に四十一年度決算検査報告指摘を受けました事項について申し上げます。  不当事項として二件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じております。  これらにつきましては、次のとおり措置いたしましたが、今後は十分注意いたします。  第一の近畿電気通信局施行した那智無線中継所移動通信施設工事及び関東電気通信局施行した大楠無線送受信所移動通信施設工事において、鉄塔新設に伴う積算にあたり、実情に合致しない単価を適用して工事費が高価となったものにつきましては、その後実情に即した単価を適用するよう措置いたしました。  第二の大半の電気通信局管内電話局等において、既設ワイパを修理して再用することを考慮しないで、新品を購入し取りかえを行ない不経済となったものにつきましては、今後修理して再用するよう趣旨徹底をはかりました。  なお、改善を要する事項として意見を表示されました、保全強化工事等における屋外線および屋内線の取りかえ工事費積算につきましては、指摘趣旨に沿って全国的に実態調査を実施いたしました。その調査結果に基づいて従来の積算法改善し、今後、より経済的かつ適正に施行することといたしました。  以上簡単でありますが、概略説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 中川俊思

  11. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和四十一年度日本電信電話公社決算書類会計検査院検査報告とともに第五十八回国会に提出いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十一年度における日本電信電話公社決算は、前年度に引き続き黒字決算となっておりますが、損益計算上の利益金は、事業規模の拡大に伴い、利子及び減価償却費等が増大したため、前年度よりも減少し二百三十八億円余となっております。  また、建設計画につきましては、農村集団自動電話を含め加入電話増設約百三十一万加入主要工程とする建設工事を実施いたしました。  以下、決算内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入済み額五千七百六十億余円、支出済み額は五千五百二十九億余円でありまして、収入支出を超過すること二百三十億余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては予算額五千五百二十九億余円に対し、二百三十億余円上回っておりますが、これは電話収入で百九十億余円及びその他で三十二億余円の増収があったためでございます。他方支出におきましては、支出済み額支出予算現額五千五百六十六億余円に対して、三十七億余円下回っておりますが、この差額は翌年度繰り越し額六億余田と不用額三十億余円とであります。  資本勘定におきましては、収入済み額は四千五百八十四億余円、支出済み額は四千五百十八億余円でありまして、収入支出を超過すること六十五億余円となっております。  この決算額予算額と比較いたしますと、収入におきましては予算額四千三百四十八億余円に対し、二百三十五億余円上回っておりますが、これは減価償却引き当て金が百六十一億余円、債券発行差損償却引き当て金が五億余円、資産充当が百四十九億余円、設備料が十四億余円及び電信電話債券が九十九億余円、いずれも予算額に比べ増加したのに対して、損益勘定より受け入れが百九十四億余円減少したことによるものであります。他方支出におきましては、支出済み額支出予算現額と同額でありまして、差し引き差額を生じません。  建設勘定におきましては、収入済み額は四千二百九十億余円、支出済み額は四千二百十八億余円でありまして、収入支出を超過すること七十二億余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額四千百二十億余円に対して、百七十億余円上回っておりますが、これは資本勘定より受け入れが増加したためであります。  他方支出におきましては、支出済み額支出予算現額四千四百三十三億余円に対して、二百十四億余円下回っておりますが、この差額は全額翌年度へ繰り越すことといたしております。  なお、昭和四十一年度日本電信電話公社電信電話拡充第三次五ケ年計画の第四年度に当たっておりますが、実施いたしました建設工程のおもな内容について申し上げますと、加入電話増設農村集団自動電話を含め、百二十三万加入予定に対し約百三十一万加入公衆電話増設は三万八千個の予定に対して約三万三千個を実施し、また市外電話回線増設、新電話局建設等につきましても、それぞれおおむね予定どおり実施いたしております。  最後に、昭和四十一年度予算執行につきまして、会計検査院から不当事項二件と改善事項一件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾なことでありまして、日本電信電話公社に対して、経理事務適正化経費効率的使用につきまして、今後一そうの努力をいたすように指導監督してまいりたいと考えております。  以上をもちまして、私の説明を終わります。
  12. 中川俊思

  13. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 昭和四十一年度日本電信電話公社決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が二件、改善意見を表示した事項が一件でございます。  不当事項として掲げましたものにつきまして御説明いたします。  三三六号は、近畿関東電気通信局施行いたしました鉄塔各一基及びこれに伴う土どめ石垣を新設するなどの工事におきまして、割り高工事単金を適用したため、工事費が高価となっていると認められるものであります。  三三七号は、公社におきましてA形自動交換機上昇回転形スイッチ用ワイパを取りかえ用として購入しておりますが、既設ワイパ部分品を取りかえるだけで再用が可能なものであるのに、これを怠ったために不経済となっていると認められるものであります。  次に、改善意見を表示した事項について御説明申し上げます。  東京ほか八電気通信局管内電気通信部等では、通話の質の抵下を防止するため、既設電話宅内装置のうち老朽化した屋外線屋内線の取りかえを部外に保全強化工事として請負わせておりますが、予定価格積算におきまして、保全工事屋外線または屋内線を取りかえ施行する場合に適用する予定価格積算のための標準単価がまだ設定されておりませんので、各施行部局においては、建設工事の際適用するために作成しております屋外線等の取りかえの標準単価を適宜使用しているため、施行部局により予定価格積算標準単価がまちまちで積算している実情でございます。また、これらの積算に使用した標準単価はこの種の保全強化工事作業内容とは異なったものから作成されたものでありまして、本件のような保全工事の取りかえにこの単金を使用するのは工事費が高価となって不適当と認められましたので、実情に即した標準単価を作成して工事経済的な施行をはかる要があると認められるものでございます。  なお、以上のほか、四十年度におきまして工事用図面等のトレース、青写真朱入れ及び青写真焼きつけの請負契約にあたり、作業方法契約寸法及び契約価格等につきまして不合理な面が見受けられましたので、これらについて適正を期し、経費の節減をはかるよう改善意見を表示いたしましたが、これに対する日本電信電話公社処置状況につきましても掲記いたしております。  以上簡単でございましたが、御説明を終わります。     —————————————
  14. 中川俊思

    中川委員長 以上で説明聴取を終わり、質疑に入りますが、その前にちょっと政府委員にお願いしておきます。河本大臣米澤総裁は私知っておりますが、あとの方は知りませんから、御発言の際にひとつお名前を言っていただきたいと思います。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。吉田賢一君。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最初にちょっと伺ってみたいと思いますが、電電公社の第四次五カ年計画の大体の構想はどうなっておりましょうか。一番の問題とされておるところは何に置かれているのでしょうか。それをちょっと簡単に……。
  16. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  現在窓口にたまっております加入電話が約二百四十万個あります。公社といたしましては、政府がつくられました経済社会発展計画を受けたのでございまして、その中にはおもなことが三つあります。  一つは、電話の需給を改善しなさいということ。第二は、独立採算をもってやるサービス事業につきましては受益者負担ということをやりなさいということ。第三が、現在の電信電話料金体系というものは、大正時代の非常に古いものを倍率で直してありますので、料金体系合理化をはかりなさいということ。この三つでございます。  それを受けまして、昨年八月の時点におきまして経営委員会を開いて第四次五カ年計画をきめたのでございます。  その第一が、経済効率化をはかるということ。第二が、地域社会と格差の是正をはかるということ。第三は、電話要望が非常に強いので、大体四十七年度末におきまして三世帯に一つ電話をつけることが予想される。住宅用、事務用合わせまして全体といたしまして九百三十万個の加入電話をつけることを予想しております。それから第四が、たとえば北九州市のように同一市内になりましてもなお市外通話になっているところが全国にたくさんございますので、いわゆる同一の行政区域内においてそういう電話局を統合合併して地域社会の利便に備える、こういう四つの柱をもとにいたしましてつくったものでございます。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 電話につきまして住宅用電話、それから事業用電話等々いろいろあるようでございますが、最近の住宅発展状況は公団とかあるいは集団的な住宅区域がかなり発展してまいりましたのですが、これは電話実需給の実態等思い合わせますと、生活を集団的にしておられるのですからもっと集団的な何かもう少し便利な方法はないものであろうか。一々引いて電話番号を持っていることは、これは生活上便利でもあり利益もあるのでございましょうけれども、かなりむだでもあるのではないか。すっきりともっと経済的な簡易な安直な何か方法はないものか、こんなことをよく聞くのでありますが、この方法はないものでしょうかね。
  18. 米澤滋

    米澤説明員 電話につきまして建設費を下げるということでいままでたびたび国会からも御意見や御質問がございました。農村等につきましては、一つの線に最大十個までつけられる農村集団自動電話というものを始めました。これはいわゆる自動電話というものは普通は親局が自動でなければならないのでありますが、農村集団自動電話は親局がマグネット、いわゆる磁石式の局でありましてもそれができるという点が特徴なのでありますが、その農村集団自動電話をやりました。  それからまた団地のように一カ所に非常に集中しております場合には、団地電話というものを設けましてやっておる次第でございまして、公社といたしまして一般の加入電話のほかに農村集団自動電話あるいは団地電話、こういうものによって安い電話をつけるように努力してまいったのでございます。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点は少し実例を引きまして後日伺う機会を持ちたいと思います。  それから電話につきまして全体の資金計画について、これは河本大臣にお尋ねするのですが、私前々から電電公社の財務状況から、資金調達方法についてもっと便利な低利の長期の方法はないものであろうか。ことに電話債券とかあるいは縁故債などによりまして調達するというものの、高利でありますこと、一方政府資金は必ずしも金利六、七分以上ではございません。もっと安いものもありましょう、電電公社の資産状況、財務全体の状況につきまして資金計画を抜本的に低利長期のものを入手するということが基本的な点ではないであろうか、こういうふうに思っておったのですが、何かこう改善に持っていくというようなくふうはないものでしょうか。ひとつ御検討願えないものでしょうか。この点は公社郵政大臣と両方で責任を持ってさらに御検討願いたい。私は去年外国のお金でも使うような手はないものでしょうかとお尋ねしたのですけれども、これはこれといたしまして、いまのようなあり方では電電公社の財務状況はそうよくならぬ。五カ年計画を完遂するにいたしましても問題点はほかにもたくさんあるのですから、まず根本の資金調達計画のあり方を基本的に法則を変えることが必要ではないか、こういうふうに思うのです。御研究いただいたらと思うのですが、どうでございましょうね。
  20. 河本敏夫

    河本国務大臣 御指摘のように資金調達の問題はこれからの公社の経営上最大の問題だと思います。現在もすでに借り入れ金の残高が一兆四千億近くなっておりますし、それから四十四年度の新しい事業計画など見ますと、建設勘定で約六千億、こういう巨額に達しておりまして、年々借り入れ金は激増する一途でございます。したがいまして金利の安い資金調達するということは非常に大きな影響がございまして、ただいまのところ縁故債あるいは公募債等にいたしましても大体七分二、三厘ということになっておりますので、何とかこれをもう少し安い資金調達する方法はないものかということを先般来公社と共同いたしまして研究いたしておるところでございます。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、電話の料金の調整の問題ですね。電話料金の調整は、過般もあなたの副総裁がエコノミストなんかに発表なさったり等々いたしておりまして、また法案もきのう出たようでございますが、この面につきましても、日本人は時間に対する価値観念がどうも乏しいこともございますので、私ども大阪から東京に電話をかけると、赤電話でかけたら六十円でかかりますね、というようなことでございますが、この辺については、何か相当大きく締めていって、国民全体の時間と経済、その価値観念というものと電話と結んでいくという面の啓蒙の運動もひとつ必要でないのであろうか。こういうふうに持っていきますると、私は、電話料金の調整といいますか改正ですか、それが比較的スムーズにいくのじゃないかと思う。やはり電話料金につきましてはもっとほかに検討を要する点が多々あるような感じがしますが、ちょっと気のつく点はそういうふうに思いますので、本年秋に実施せんとする電話料金の改定をめぐりまして、問題点だけをきょうはできたらひとつ指摘しておいてもらいたいと思います。
  22. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、実は料金体系合理化とそれから料金水準のアップを昨年の八月の時点で郵政大臣のほうに要望いたしたのでございますが、政府の物価対策に従いまして、今回は料金改定の一部の合理化だけをやることにして法案の提出を政府にお願いした次第でございます。一部と申しますのは、電話の基本料、これが、たとえば東京あたりでいいますと、現在住宅の場合にはそれは利子だけにも及ばないというのでありまして、現在資本費用、いわゆるオペレーティングコストがゼロといたしまして資本費用だけでも月二千六百円かかっておるのでありますが、それに対しまして今度は住宅を九百円にしようというのでありまして、そういうふうなことであるとか——しかし、その上げる分が年間約三百億円ぐらいになるのでありますが、その分だけ近距離の市街を引き下げるということによりまして、結局アップ率をゼロ%に押える、いわゆる増収にならない範囲で調整をするということにいたした次第でございます。といいますのは、現在大都市とその近郊、あるいはまた、最近都市が非常にふくらんでくる傾向にあるのでございますが、そういう場合に、市内通話は七円でかかる。度数料が七円である。ところが、ちょっと市外に出ますと、それが、たとえば六十秒七円であるとかあるいは四十秒七円とか、そういうふうにいわゆる時分制が入っておるわけでございまして、いわゆる都市の中と一歩都市から出たところとの間の負担というものの差が非常に不公平だという陳情が非常に出てまいります。したがって、今回は料金体系の一部の合理化でございまして、たとえば東京から三鷹にいく場合には約一七%ぐらい値下げするということでありまして、そういうことによっていわゆる都市の開発といいますか、あるいは都市の近郊とのアンバランスというものをこの際直していく。同時にまた、公社といたしまして電話の基本料のアップをする、こういうことを考えた次第でございます。  なお、詳しくはまた御質問がございましたらお答えいたします。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから河本さんにお尋ねするのですが、根本的に私も前からしろうとといたしましてそういうことを感じるのですが、郵便事業というものですね。郵便事業というものが、たとえば郵便の集配、それから簡易保険の集金あるいは社会保険事務その他等々にいたしましても、何か非常にこまかい仕事を人手をずいぶんかけて、そうして時間もかけてやっていきつつあるわけですが、何かもう少し合理化して経済性、科学性を発揮して、そうして時代に即応したような持っていき方は何かないもんであろうか。たとえば、七円のはがきを雨の降るのに配達してもらうというようなことも、一体何で国民はこんなむだをするのであろうかということをときどき思います。したがいまして、そんな配達している姿は、いまは都市では一々歩いておりませんけれども、しかしそれぞれとガソリン使って走ったりしておりますが、全体といたしまして何かもっと経済性、効率性を発揮していくといういき方へ運営はできぬもんであろうか。同時に、これは裏を返せば、やはりこの郵政財政が非常に経済的に用いられる道を検討することに通ずる、こういうふうにも思いまして、郵政事業というものが電信電話事業と比べますと、非常に前時代的な感じがしてならぬのでございますがね。そういうふうな感じがするのですが、これはやはりあなたの若々しい、非常にたくましいエネルギーで何か今度はすばらしい絵でも描いて前進するような、そういう体制に改めていけるようにできぬもんであろうか。人間もいたずらにあそこで浪費されるような感じがしてならぬのでございますがね。これはまことに抽象的なことでございますけれども、そういう構想を持って臨むということが大事なときでないかとも思われます。いまのこの時代に処して特にそう感じるのですが、どうでございましょうね。
  24. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま郵政事業の最大の問題は何かといいますと、やはり御指摘の郵政事業全体の近代化、合理化の問題この一語に私は尽きるのではないか、かように思います。  そこで、おそまきながら郵政事業全般に思い切った機械化を取り入れまして、たとえばこの郵便事業でありますと自動読み取り区分機とか、そういういろいろなものを番号制実施を機会にそういう機械を取り入れまして思い切った合理化をしていく、こういうことを考えておるところでございますが、何ぶんにも、先ほど御指摘のように、この配達という現業部門がございまして、合理化あるいはまた機械化できる部面が非常に少ない点が悩みでございます。  さらにまた、貯金事業あるいはまた保険事業におきましても、その事務処理その他の面で非常に立ちおくれておるということは事実でございまして、これまたおそまきながらいろいろな機械化を目下取り入れつつあるところでございます。ただ一面、実施上一番われわれが気をつけなければならぬ点は、機械化と同時に配置転換——人手がうんと助かるわけですね。その余った人をどうするかという配置転換の問題が非常に重大な問題になりますので、これとにらみ合わせながら全般の機械化、近代化を進めていく、こういうことでございますが、御指摘のように、郵政事業全般に前世紀的な事務処理のしかたが非常にたくさん残っておるということは事実でございまして、この際思い切って前向きの形でこれを合理化していかなければならぬというふうに考えております。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは別の機会にまた伺いますが、私の尋ねる一つの基本の点で、たとえば合理化した場合に人が余ってくる。余ってきた人たちをどうするか、こういう問題はこれは政府が全責任を持ちまして、若い人、技能のある人あるいはあることに適する人、適しない人、それらはそれぞれと最もその人が生涯を託するに足る地位を保全していく責任があることはもちろんでございます。そういうことをいいかげんに考えていくということになると、これは切り捨てになっちゃいましてたいへんでありますから、混乱するのみでありますから、もちろん絶対にそういうことは許されないことが基本の前提になっておることは申し上げるまでもございません。  それから、これも時間がないからよしますけれども、例のコンピューターによる情報処理の問題ですね。情報管理の機能の問題ですが、これはまた時代に即応する一つのすばらしい企画のような感じがいたします。全国の銀行の本店におきましては、しかるべき市中銀行はみなそうなるようですが、同時に、全国の支店の現在の支払い残高等々は一挙にわかるようなことになっておるらしいのですね。そういう時代でございますので、コンピューターによる情報管理というものが急速な発展を遂げつつあるようなときにおけるこれらの事業に対処する企画、新しい企画があるらしいのですが、これは非常におもしろいことと思われます。これもやはり時代に即応いたしまして、社会は相当大きく期待を持っておりますので、これは、できましたら、きょうの段階における資料だけでも当委員会へ出しておいていただきまして、そして次の機会に、いろいろと、こまかく具体的なその長短なり、あるいはそれによって得るところの国民へのサービスはどれだけ実質的に大きくプラスするか、こういうこともいろいろと追求してみたいと思いますので、これは適当な方法で資料を当委員会へ出しておいていただきたい、こう思います。  まだお尋ねしたいと思っておりますが、きょうはこの程度で保留させておいていただきたいと思いますので、委員長、どうぞよろしく
  26. 中川俊思

    中川委員長 水野清君。
  27. 水野清

    ○水野委員 最初に大臣に伺いたいのでありますが、前小林郵政大臣が昨年の十月四日に郵政審議会に対して、郵政事業の経営形態を公社化するということについてその是非を諮問をしておられます。現大臣におかせられては、この公社化についてはどのような考え方を持っておられるか。ただいまの吉田委員の御質問の一部にもそのような趣旨のお話があったようでございます。最初に伺いたいと思います。
  28. 河本敏夫

    河本国務大臣 郵政事業公社化の問題でございますが、御承知のように、昨年の秋審議会に諮問をいたしまして、できるだけ早く答申をしていただくように、たぶんこの六月には答申が出るのではないか、かように考えております。ただしかし、諮問をいたしました趣旨は、郵政事業というものの仕事を、できるだけ早く、しかも正確に、安くやるためには現状のままでいいのでしょうか、それとも公社化したほうがよいのでしょうか、各国の例をよく調べて、日本でどうすれば一番よいかということについて御検討いただきたい、こういう趣旨で答申をお願いしておるわけでございまして、公社化をしなければならぬという趣旨ではございませんで、その答申いかんによりまして、それを参考といたしまして、今後の経営のあり方をきめていきたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 水野清

    ○水野委員 私、大臣に伺うのはこの点だけなんでございます。あと、ほかの委員から御質問があると思いますが、もし何かお急ぎの用があれば、一時退席なさっても……。  これは担当の局長に伺いたいのですが、郵政事業特別会計事業計画実績書、損益勘定というものがございます。この点についてちょっと伺いたいのでありますが、事業計画実績書というものは、郵政事業特別会計法の三十九条によりますと、歳出歳入決算を国会に提出する際添付しなければならないということになっておるわけでございます。これは十分御承知だと思います。その内容を拝見しますと、この昭和四十一年度決算参照書でありますが、これに出ておりますが、収入予定額、収入決定済額、以上が貸方になっております。それから、経費予定額、支出決定済額、これは借方になっております。この両方が表示されておりますけれども、この点で少し伺いたいのでありますが、簡易生命保険郵便年金特別会計、それから郵便貯金特別会計、さらに日本電信電話公社、その三社から予定を上回って受託業務収入受け入れをしております。一応はこれを保険年金業務費、電気通信業務費の、この二項目に配分をしておりますけれども、さらにこれを流用して総係費に振りかえをしておるわけであります。これは四十一年度決算のただいまの参照書ですかに出ておるとおりでありますけれども、四十一年度だけでなくして、過去において例年こういう傾向をとっておられる。例年だということになると、これは何もあらためてそういう一つのやりくりといいますか、からくりの手を使わないで、最初から大体のせておけばいいものを、あえてそういう方法をとって予算を組んでおられるということについて、いささか疑問を持っておるわけであります。もう少し、四十一年度決算の参照書の点を数字で申し上げますと、経費予定額と支出済額を比較いたしますと、郵便業務費が九億円の増、為替貯金業務費が十七億円の増、保険年金業務費が十三億円の減、電気通信業務費が三十二億円の減、そうして総係費は百二十三億円の増ということになりまして、いわば収入増のほとんどが総係費で支出をしているという形になっておる。どうしてこういうふうになっておるかということを伺いたいのであります。  それから例年の傾向にあるのはなぜであるか。何か大蔵省との間に黙契のようなものがあるか、それならば主計局の担当者にでも来てもらってその辺の話も聞きたいわけです。いかがなものか、伺いたいのであります。
  30. 上原一郎

    ○上原政府委員 お答えを申し上げます。  事業計画書並びに事業計画実績書という点については、ただいま御説明があったとおりでございます。  まず第一に、予定に対して支出が総体的にふえているではないかという点につきまして御説明を申し上げますと、御承知のとおり郵政事業特別会計は、予定をきめまして事業をやっております。そうすると、業務量が増加した場合には予算総則に弾力条項という規定がございまして、業務量の増加に対応する経費を出すことができる、これが弾力条項、十一条でございます。  それからもう一つ、例年のことでございますが、仲裁裁定というものがございます。これはきわめて簡単に申し上げますと、予算の節約と事業の増収ということでまかなっておる。したがって、決算の処理としてはふえ、同時に流用とかいろんなことになります。そこで、第二の問題でございますが、事業計画実績書というのは、これは説明するまでもございませんが、郵政会計歳入歳出予算というものと、それから事業計画ということで、各事業別に出しております。それが御指摘のありました事業計画書であります。そこで、この総係費というのは、これはまことに古めかしいことばでございますけれども、間接費でございます。それから業務費というのは直接費でございます。そこで、この直接費から間接費に出しておるわけでございますが、これはちょっとおかしいという御指摘だと思いますけれども、この点につきましては、まず第一に仲裁裁定がございます。そうすると、直接費に使用されておる人間よりも間接費のほうが給料単価が高い、したがって、その分どうしてもふえざるを得ないということでございます。が、しかし、それにしてもちょっと直接費からの流用が大き過ぎるのではないか、その点についてはまさに御指摘のとおりでございまして、そういうことは例年のことであるならば、少なくとも予算をつくる際に、その決算に合わせ、と同時に決算それ自体の実態も予算に合わせるようにしていく、そうしてこういった流用が少なくなるというふうにすべきだと思う。したがって今後の予算を編成するときに際しましては、そういったことを十分頭に入れまして、一気にはまいらないかと存じますけれども、徐々にそういった方向で進んでおりますし、またその方向をさらに徹底させて、御趣旨に沿いたい、こういうふうに思います。
  31. 水野清

    ○水野委員 次に郵便貯金のことを伺いたい。  郵政事業一つである郵便貯金の問題でありますが、私どもよりそちらのほうがよく御存じですが、御承知のように最高額が一人百万円までになっておりまして、この利子は非課税である、こういうことになっておる。ところで、これは真偽はわかりませんが、巷間伝えられるところによりますと、この制度を利用して一口百万円もしくはその未満のお金を多くの郵便局窓口に分散して預ける、合計が一千万になるか二千万になるかわかりません。さらに預金自体が、どこから流れてくるかわかりませんが、それまで銀行の架空名義とか無記名預金というようなものであったものがこっちに流れてきているんじゃないか、こういう疑問なんですが、預金自体を国税調査の対象外に置くという向きがあるやに聞いているわけであります。このようなことに対していかなる防止措置をとっておられるかということを伺いたいのです。いわば郵便局は国税庁の調査の対象外にあるということと、それから郵政省で名寄せをしておられない。たとえて申しますならば、AならAという人物が都内の郵便局二十カ所へ百万円の定額貯金をしてもその名寄せはしておられない。そうすると二十カ所だと二千万円ということになるわけです。これは税の公平という面から——国税庁の調査の対象外になっているわけです。郵政省には監察局もあるわけでありますから、自主的にそういうことをおやりになるので、役所間のいままでの慣例としてやらないんだと思いますが、それでは郵政省としてどういう調査をしていらっしゃいますかという点を伺いたいのです。  念のために申し上げておきますけれども、郵便貯金のお金が財政投融資の非常に重要な部分になっているということは私もよく存じておりますし、これが日本経済あるいは国家財政に非常に貢献しているということもよくわかっております。あるいは郵便貯金を集めるのに関係者がなかなか御苦労しておられるということもよくわかっておりますが、この問題は、それとこれとは性格が別の問題である。極端な言い方をすれば、脱税の金でも何でも、とにかく金額がふえればいいという問題ではないと思う。その点についてちょっと伺いたいと思います。
  32. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 お答えを申し上げます。  まことにおっしゃるとおりてございまして、私どもといたしまして、総額制限というものが、法律で現在百万円というワクをはめられている。この法律を守るという点からも、また脱税等にわれわれが結果として知らずに協力するというような点が絶対ないようにということから、従来ともこの点については、いわば非常に厳重な措置をやっておるわけでございます。特に、四十年の四月に制限額が百万円に上げられましたので、その機会にさらにそれを徹底しております。たとえばどういう施策をとっておるかと申しますと、第一は、いわゆる架空名義による預金の防止でございます。預入に来られたならば、場合によったら身分証明書の提示を求める、住所の確認を行なうというようなこともやっておりますし、また通帳の冊数制限、これも、法律できめております一人一冊でございます。それについて、申し込み人にあなたは初めてですかというようなことを尋ねたり、あるいは自局に通帳の台帳を備えております。発行通帳を備えておりますので、それと対照してみるというようなこと。あるいは制限額超過の分につきましては、これが一番のポイントでございますが、預金者にもちろん尋ねてはみるわけでございます。そして同時に、特にただいま御指摘の定額貯金等につきましては、原局でも、受け入れます郵便局においても、そのようなことがないように十分に配意をすると同時に、郵便局の後方機関でございますいわゆる地方貯金局におきまして、その監査をやっておるわけでございます。  ただいま御質問の要点でございますが、たとえば現在におきましては、定額貯金の三十万円以上のものにつきましては、貯金局におきましていわゆる名寄せをとっております。したがいまして、この貯金局の段階で必ず発見できる、そういう仕組みになっておるわけでございます。そういうことで、私どもとしては遺憾のないように、制限額の超過があったり、その他法律違反の事実がないように、十分な手は打っているつもりであるわけでございます。  なお、御質問の中にありました、銀行等への預金がこちらに流入しておるのではなかろうかという点でございますが、これも、四十三年度と二年度を比較して計数を月別に当たってもおりますが、そういうことはないように考えております。
  33. 水野清

    ○水野委員 いまのお話は、貯金局ごとには名寄せをしていらっしゃる、こういうことですね。それはわかりました。  実は最初に伺いたいのですが、ごく最近の郵便貯金の口座数と現在高というものがあると思うのです。なるべく最近のものがいい。時間の関係もありますので、できればその内容、要するに戦前のものとか、あるいは掛け捨てになっているような低額のものとか、あるいは活動しているものは何口ぐらいあるかということです。
  34. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 御質問の趣旨において端的に申しまして、現在活動口座は三千万口座というふうに存じております。
  35. 水野清

    ○水野委員 最近の口座数は幾つですか。
  36. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 現在の口座数は、通常貯金もいわゆる定額貯金も全部一切合わせまして、四十三年の三月現在におきまして一億六千五百四十二万五千口座、そのように相なっております。そのうちには、通常貯金が約一億ばかりでございまして、残りが主として定額貯金でございます。そして通常貯金の中で、いわゆる戦災貯金が二千万、外地貯金が二千万、一億から四千万引きますと六千万に相なりますが、その六千万のうち半分がいわゆる睡眠貯金、したがいまして六千万から三千万を引きました三千万が活動口座、そのように相なっております。
  37. 水野清

    ○水野委員 ちょっと私の伺っている数字と違うのです。ただいまの四十三年の三月のものは、これはきのう郵政省のほうから聞いたのですが、少なくとも活動しているものが六、七千万はあるだろう、こういう話です。これを四十三年の十月ぐらいの想定をしますと、これは正式ではないですが、私の調べた範囲では一億七千万ぐらいはある。これは眠っているものを含めてです。そして、活動しているものが一億ぐらいはあるのではないか、こういうことですが、だいぶ数字の開きがあるのですが……。これは四つの預金全部集めてですよ。定額だけではないですよ。
  38. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 いま私は通常貯金だけについてそういうこまかい内訳を申し上げました。通常貯金だけにおきましては、ただいま申しましたように三千万口が活動貯金でございます。しかしそのほかに先ほどちょっと触れましたように、いわゆる定額貯金が六千万近くございます。これは全部活動でございます。したがってそれを合わせますと一億ばかりが活動口座、そのように考えております。
  39. 水野清

    ○水野委員 そうしますと、大ざつぱな話になるのですが、大体人口一億なわけですね。活動口座が一億ということは、生まれたばかりの赤ん坊も全部入れて一つずつ郵便貯金の口座を持っていて、しかも活動しているということになる。それはもちろん郵便貯金の法規には違反をしていないわけでありますし、私も先ほどのお話の御趣旨は大体わかりますけれども、やはり相当数のものが、何千万という金がこれは隠し貯金が流れているとは言えないかもしれませんが、国民の相当の数の人が一人で郵便貯金の三冊や四冊持っている人がいるということは私は想定できると思うのです。郵便貯金の口座を持っていない人も非常にいるわけであります。その辺でもう少しこれまでより厳重な名寄せとか、あるいはそういった脱税の防止措置を考えていただく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  40. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 ただいまの口座数の点について簡単に付加説明を申し上げますと、通常貯金と定額貯金は御案内のようにほとんど大部分が重なっておるわけでございます。特殊な富裕階級は郵便貯金をあまり使っていただけませんが、いわゆるサラリーマン階級は、通常貯金に入っていただく方は大体定額貯金にも入っていただく。人については重なっております。  それでもう一つ申し上げなければならないのは、定額貯金がかりに六千万口座と申し上げましたが、これはいわゆる口座数でございまして、たとえば私が昨年入ってことし入るという場合には、それは二口座に数えられるわけでございます。そういう関係で表向きは通常貯金と定額貯金が一億近い口座数になりますが、そういう内訳になっておるわけでございます。したがいまして私どもは総額制限の点も、あるいは一人一冊という点も守られておる、そのように考えております。
  41. 水野清

    ○水野委員 大体御趣旨はわかりますが、こういうのもあるのですな。これはあとで御参考に見せますが、郵便局で出している「税務署よさようなら!!」「石橋を叩いて……」なんというビラがあるのです。あるいはこの写真は「郵便局は国立銀行だ」こう書いてあるのもあるのです。これなんかは、郵便局の名前はわかっていますが、山口県の秋穂郵便局というのでは、「無税・秘密」こう書いてある。そういう勧誘もだいぶ出していらっしゃる面があるわけです。その辺は適当にやっていただいたほうがいいのじゃないか。これは奈良県の郵便局でありますけれども、やはり「貯金の秘密はかたく守られ、だれにも知れない。」「税金の心配がない。課税申告書も要らない。」、これは事実そのとおりなんですが、というような宣伝をしていらっしゃる向きもあるわけでありますから、他を刺激しないよう適当にこの点はやっていただいたほうがいいのじゃないかと思うのであります。  大臣に一つ伺いたいのでありますが、定額貯金郵便貯金の今後の募集の上の問題でございます。いま非常に苦労してやっておられるそのお金は財投へ回っておりまして、有益に使わしていただいているのですから、まことにけっこうなことだと思うのですが、それならばもっと積極的にほかの方法をお考えになったらどうか。これは郵政省でもかねてお考えになっておるということを聞いておりますけれども、定額貯金の預金担保の貸し出し制度を実現されたらいかがかということについて、大臣からもし御意見を承れますならば承りたいと思います。
  42. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は、先ほど御指摘のように郵便貯金は道路、学校あるいは環境衛生事業、そういうふうに社会資本の開発にそのまま使われますので、ぜひこれを伸ばしていきたい。現在のところ若干伸びておるようには見えますけれども、やはり信用金庫であるとかあるいは農協などの伸び率から見ますとまだまだ低いわけでございまして、どうしても伸ばしていきたい、かように考えておるわけでございます。  その一つ方法といたしましてたとえば先ほど御指摘のような制度がありますと、簡単に郵便局から金が借れる、それで解約が少なくなり、非常にいいのですが、銀行方面で相当反対がございまして、これまで数年間懸案として毎年努力しているわけでございますが、いまだに実現をしないわけでございます。そこで単純なる貸し出しということでなしに、たとえば百万円の預金がありますとその九〇%以内、九十万円までは簡単にいつでも貸し出しをいたしましょう、こういうふうな制度、つまり預金維持のための制度、こういうふうにすれば、別に他とも摩擦が起こらぬのじゃないのかということでいま検討をしておるところでございまして、ぜひそういう方向で実現をしたい、かように考えております。
  43. 水野清

    ○水野委員 次の問題でありますが、固定資産の計上について承りたいと思います。  郵政事業特別会計規程固定資産の六十七条に減価償却のときの償却資産の耐用年数のことが規定されておりますが、建物及び工作物、船舶、機械器具について規定をし、機械器具については、車両、鉄道郵便車は二十年、こうなっております。昭和四十二年三月三十一日現在の財産目録の機械器具も、車両について百五十両、十二億三千九百万円のみ計上されておりますが、私の知っております限りで、公団・公社などにおいては金額に限界を求めている、一般会社などはもっと金額が低いわけでありまして、金額以上のものは償却資産ということにして、固定資産に計上して毎年減価償却をする。それを通じて費用としているという制度をとっているわけであります。たとえばこれは別の特別会計でありますが、国有林野特別会計においても、機械器具については、電気機器、通信機器なと、それから車両——これは自動車であります。医療機器、雑機器まで固定資産に計上されている。同じ国の特別会計なのでありますが、郵政事業特別会計のほうはまことにおおらかだ。内容はおおらかだとは思いませんが……。乗用車に例をとりましても、林野特別会計のほうは固定資産に入っている。郵政事業特別会計のほうは固定資産に入っていない。そういう違う扱いをしているわけなんです。  このことについて少し伺いたいのですが、こまかい計算書を読み上げてもいたし方ありませんけれども、償却資産についての会計規程をそろそろお改めになっていいのじゃないか、ほかの特別会計なりあるいは公団・公社並みに改められる時期が来ているのじゃないか。もちろんその自動車を紙や鉛筆と同様に使っているとは私も思っておりません。制度としてこういう制度は郵政省として昔から持っておられるのかもしれませんけれども、ほかの企業とか特別会計並みに改める必要があるのじゃないか。担当の局長にひとつお答えを願いたい。
  44. 上原一郎

    ○上原政府委員 ただいまの点につきましては、御指摘のとおりでございます。郵便車のみを固定資産に計上しております。今度は自動区分機という大ものが入ってまいりますので、これは予算的にも償却資産ということで建設勘定に計上しております。これを機会に、いま御指摘の点につきましても三公社五現業あるいはほかのほうということで、目下作業を取り運んでおります。御趣旨に沿うように、近代的と申しますか、筋の通ったものにしたいと思います。
  45. 水野清

    ○水野委員 もう少し伺いたいのですが、乗用車なら乗用車というのが固定資産に入っておらないということはわかりますが、実際には省内で使用規程をつくって使っておられると思うのです。むしろ今度は逆な意味で、別に紙や鉛筆のごとく使っていると私は申し上げているのじゃないのでありまして、よく官庁なんかにある自動車の使用方法なんか、車を十年くらいたっても相変わらず使っている。はっきりいうと、ポンコツで売ればもう三万円か五万円にしかならないものを、毎月二万も三万も修理費をかけて相変わらず使っておられるというわけであります。それならば、いまの郵政事業特別会計は、逆にいうと私は非常にいい制度だとも思うのです。というのは、一年間車をお使いになって修理費を使う前に下取りに出してしまう、次の年新車をお買いになる、そうすれば修理費というものは非常に軽減されると思うのです。それならそれで逆用した運用をされるのもそれはまた一考だと私は思うのです。いずれにしても、当決算委員会というのは国費をなるべくむだづかいされないような運用をお願いするところなんでありますから、その辺経理局長から少し御苦心のほどを聞きたいと思いますが、 いかがでしょうか。
  46. 上原一郎

    ○上原政府委員 非常にいい案をお示し願ったことでございまして、固定資産経理につきましても乗用自動車というのは実は問題点の一つでございます。たとえば一般会計は国有財産としておらないというような関係もございます。それから電電公社の関係ではこれは固定資産に計上しております。ところがいま言ったようなことであると、むしろ償却資産に立てないで、耐用年数を使ったら修理費がかかるので、それをむしろ新しくしたほうがいいというような場合にはいまの制度のほうがいい。それも問題点の一つでございますので、そういった点も十分考えながら固定資産経理全般について新しくやっていきたい、こういうふうに考えます。
  47. 水野清

    ○水野委員 以上で私の質問を終わります。
  48. 中川俊思

    中川委員長 華山親義君。
  49. 華山親義

    ○華山委員 本年の予算の編成にあたりまして、公開主義と大蔵省ではいいますけれども、そういうことをやられまして閣議決定をなすった。その際に、財政投融資についても、郵便預金の伸びは期待できないので、その面についても増加することはしないというふうに大蔵大臣は言ったと私は新聞で見たわけです。ところが結論的には財政投融資の面はふえてきたわけでございます。その間郵便預金との関係、これはどういうふうなことが大蔵省と郵政省の間にあったのか。これは大臣が御存じでなければ、事務的な面がありましたならば事務局でもよろしいのでございますけれども、ひとつ経緯を伺いたい。
  50. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は昨年の十一月ごろには、大蔵大臣が申しましたように、郵便貯金の伸びは非常に悪かったのです。これはいろいろ理由があったと思いますが、一つは、ことしは米のおそ出し奨励金など制度が変わったということがあります。これも一つであったと思います。しかし十二月に入りましてから激増いたしまして、すでにこの年末にはおよそ四十三年度の増加目標八千億円に近づく、こういう様子になりましたので、この調子でまいりますと三月末までには予定額を相当オーバーするであろう。こういう最近の実勢に基づきまして、四十四年度の預金の伸びは四十三年度に比べまして若干ふえるであろう、こういうことで策定をいたしまして、     〔委員長退席、水野委員長代理着席〕 財政投融資の原資につきまして大蔵省と予算編成上の打ち合わせをしたような次第でございます。
  51. 華山親義

    ○華山委員 十月の末米の問題で預金が伸びなかったのは全国的な傾向で、郵便預金だけにかかった問題じゃございませんが、よくわかりました。それにつきまして目先でなくて将来郵便預金の動向というものはどういうふうにお考えになっておりますか。  近来いろいろな銀行の窓口等におきましては、支払いの面につきまして預金者の便宜をはかりましたり、いろいろなことで預金集めをやっておるわけであります。そういうふうなことになりますと、競争といってはおかしいのですけれども、将来郵便預金の面がいろいろな小口の銀行預金に変わっていくんじゃないだろうかというふうな気持ちもいたしますが、将来どんなふうにお考えになっておりますか。
  52. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在、大体最近の統計を見ますと日本全体の預金の総額は五十五兆円くらいに達しております。そこで郵便貯金は残高が大体五兆円でございます。したがって国全体の預金総額のおよそ九%を占めておるわけでございます。  御承知のように日本ではヨーロッパあるいはアメリカに比べまして、国民全体の所得に対する預金の比率というものが非常に高うございまして、およそ二〇%に達しております。外国では大体六%前後でございまして、外国の三倍あるいは四倍の貯金率に達しておるわけでございます。これはだんだん減るとは思いますが、現在のところはそういう実情になっておりまして、そういう点から換算をいたしますと、四十四年度の国全体の貯金の伸びは大体十兆をこえるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、その中におきまして郵便貯金がおよそ一兆前後の増加をはかるということは決して過大ではない、かように考えます。特に先ほども申し上げましたように、郵便貯金で集めた金はそのまま国の建設資金、道路あるいは学校、環境衛生事業住宅あるいは山に木を植える、いろいろな仕事にそのまま使われまして財政投融資計画の大きな柱になっておるわけでありまして、そういう観点からぜひ全部の伸び率の少なくとも一割は郵便貯金で確保していきたい。こういうことが郵政省のただいまの基本的な考え方でございます。
  53. 華山親義

    ○華山委員 おっしゃるとおり一般金融機関から先ほどおっしゃいました社会投資を求めていくということはなかなかたいへんなことだと思います。それに対する重要な財源になっておるのでありますが、ことしのことはわかりますけれども、私心配いたしますのは、将来小口のものが郵便貯金からよその銀行等の小口に移るんじゃないか、そういうふうな心配もされますので、その点に対する長い目で見た対策等がありましたならば、示していただきたいと思います。
  54. 河本敏夫

    河本国務大臣 こまかい具体的な施行計画につきましては局長から答弁をいたしますが、御指摘のように、金融機関はなかなか競争が激甚でございまして、第一線で貯金事業に当たっておる諸君もなかなか苦心があるようでございます。そこで、何と申しましても、郵便貯金を扱っております約二万の郵便局におきまして、サービスと申しますか、そういうものも徹底して利用者の便宜をできるだけはかっていく。そしてあくまでこの仕事を正確迅速に行なっていくということ、これが根本でなかろうかと思います。その趣旨に沿いましていろいろ具体的な計画を進めておる次第でございます。
  55. 華山親義

    ○華山委員 どうも人的な、一生懸命やって預金を増やそうということだけでいいものであろうか。やはり国の仕事でもありますけれども、商売なんです。多くの銀行はいろいろなサービスをしておりますし、また金融の幅と申しますか、いろいろな送金の問題であるとか、そういうふうなことでも、やり方が拡大しているわけであります。それで旧態依然としていままでのようなことでいいものだろうか、郵便貯金というものは非常に重要な財源でもありますのでお聞きいたしておるわけでございますが、まあそれだけでないんだということであれば、お聞きいたしましてもやむを得ないことだろうと思いますが……。
  56. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 ただいまの御質問は、今後郵便貯金が銀行等の窓口へ移って取られてしまいはしないかという点であろうと存じますが、この問題には大体二つの点があるように存じます。  一つは、郵便局窓口環境あるいは窓口サービスが銀行に相当劣っておりはしないかという点でございます。この点につきましては、私どものほうでも、三、四年以前から非常に大きく省全体の施策として取り上げまして、窓口サービス、人的な面からするいわゆるお客さまに接触します窓口接遇の面をもっと感じのいい応待に変える。さらにもう一つは、物的な面から窓口環境と申しますか、公衆だまりにきれいな、公衆に利用していただきますいすとか机その他花を置いたり、銀行等になるべく近づくような物的施設も考えております。あるいは無集配特定郵便局窓口を塗装する、きれいにお化粧直しをする、あるいはカウンターの改修をするというような点、このような窓口サービス並びに窓口環境の整備に相当力を入れて、現段階においてある程度実効もあげておるわけでございます。その点から銀行に負けないようにやっていくという点が一点ございます。  もう一点は、先ほどお話に出ましたように、何と申しますか、銀行がオンライン等をどんどん進めておるではないかという問題でございます。これは確かにおっしゃいますように、銀行のオンライン化によって私ども郵便局が受ける痛手は、これも二つに分けて考えられようかと存じます。  一つは、いままで郵便局は全国どこの郵便局ででも預金の預け入れあるいは引き出しができますということでございます。銀行はそれができなかった。銀行は自分の預入した支店でしかできなかった。しかし銀行のオンライン化によりまして、それが全国どこの支店でもできるようにそのうちになるそうでございます。  またもう一点は、いわゆる営業時間の問題でございます。現在銀行では三時までしかやらない。われわれは四時半までやる。その夕方の一時間半というものは、これはもう申すまでもなしに家庭の主婦が買いものに出動する時刻であるわけでございます。そのついでに郵便局に寄る。いわばゴールデンアワーとでも申しますか、そういう時間でございます。ところが、銀行は今後窓口の営業時間の延長を大蔵省へすでに要請しておるわけでございます。つまり、もう原簿整理が要らなくなってオンラインでキーをたたくこと、これがすなわち原簿の作成になっているわけでございます。そういう点から、銀行が窓口時間を延長する傾向にあると郵便局は痛手を受けはしないか、こういう点も考えられるわけでございます。したがいまして、これに対する対策といたしましては、私どもも、先般来逓信委員会等で何回もお話もありましたように、なるべく早くコンピューターを入れる、こういうような措置をして、そういうサービスの面でも銀行に負けないように考えていかなくてはいけないのではなかろうか、大体そういう点であるわけでございます。  そして、さらにもう一言つけ加えますならば、先ほど大臣からもお話がありましたように、定額貯金のワク内のいわゆる貸し付け制度をやる。そして郵便貯金に新しい魅力を備えるというようなことも現在懸命に努力をしているわけでございます。そういうようないろいろな手を打ちまして、今後十年あるいは十五年間の対策を考える、そういうところでございます。
  57. 華山親義

    ○華山委員 私も庶民でありますから、郵便貯金にごやっかいになっておりますけれども、利子などというものは黙っていたら何年も記入しないのですね。私はちょっとひど過ぎるんじゃないかという気がいたします。私の場合はそうだったので、私の場合は特別なのかもしれませんけれども……。それからいま郵便局だったならばどこでも貯金通帳を持っていけば払ってくれるとおっしゃいましたけれども、そうでないんじゃないでしょうか。何か初めに制限があって、そして前の郵便局から証明書をもらってこいとか何かいろいろなことがあると思いますけれども、間違いのないようにするためにはそういうことかもしれませんが、もう少し商売人らしくお客さまのことを考えたほうがいいんじゃなかろうか、こう思うのでございます。利子などは黙っていたって半年に一ぺんでも入れてくれたっていいんじゃないでしょうか、ああいうことはどういうわけなんでしょうか。——これは雑談的になりますから簡単でよろしゅうございますよ。
  58. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 まず第一点の利子記入の点でございますが、私どものほうでも毎年度年度末、三月末日をもちまして、原簿官庁で利子記入をしておるわけでございます。そしてその記入した結果につきましては、全部の加入者に対してではございませんが、大体三分の一程度の加入者に対しまして、あなたの貯金はこういう現在高でこのように利子がついておりますといういわゆる元利金通知をいたすわけでございます。そしてその通知書をお客さまが窓口へ持ってきていただきますと、その場で通帳に利子記入をやる、そういう制度に相なっておるのが一点でございます。  もう一点は、どこでも払うという点。私のさっきの申し上げ方がきわめて簡単過ぎて失礼いたしましたが、これは一カ月十万円の範囲円で支払うように相なっております。その際には、私どもはもう大事なお客さまのお金でございますので、間違いがあってはいけないということで、いろいろな証明書等も提示を願うこともあるかと存じますが、これはあくまでも御不快をかけないように十分指導いたしておるつもりでございます。
  59. 華山親義

    ○華山委員 私は、郵便局窓口というようなお話がございましたが、いまのままでたいへん庶民的でいいと思うのですよ。大きな銀行に行って、でかいところに入れられて、そしてまさか千円や二千円の預金もできないんだからという気がしますがね。郵便局というのは庶民を相手にする以上あんまりりっぱなものでないほうがいいんじゃないか、私はそういうふうな気持ちもいたします。  まあそういうふうな雑談的なことはやめたいと思いますが、非常に重大な財源になっているわけですから、私は銀行を目のかたきにいたしませんけれども、銀行のほうに金が集まって、重大な金が集まらなくなるというふうなことのないようにひとつ御努力を願いたいと思うだけでございます。  その次に伺いますけれども、会計検査院の報告の留意事項の中にありますが、郵便書簡というのは一体どのくらい残っているのですか。毎年いまの状態で売れるまで大体何年かかるものなんですか。
  60. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 御指摘のございましたように、先ほど検査院から四十一年度決算におきまして御指摘を受けました。四十一年の七月までに約一億枚調製いたしましたのが、現時点におきまして六千五百万枚残っております。その間におきまして私ども売りさばきの努力もいたしました。当初は珍しかったせいもございましてかなり売れましたが、中だるみがございまして、中だるみで一年の期間に半分に落ちました。その後、昨年の五月以降、私どももいろいろ御指摘を受けましたあと、たとえば旅館ホテル等でも使ってもらう。そのほかいろいろな愛の便り運動というようなものにもこれを利用していただきまして持ち直しまして、現在におきましては、最近六カ月間の平均売りさばき枚数は月に百二十万でございます。したがって、この勢いでいくとあと何年かかるかということでございますが、この百二十万のペースでまいりますと、実は四年間はかかるということになると思います。これではいかぬということで、なお、さらにいろいろ売りさばきの勧奨につきまして努力してまいりたいとせっかく決心したところでございます。
  61. 華山親義

    ○華山委員 これは製造費だけのことでございますけれども、製造原価というのはどのくらいの金額になっておるのですか。いま残っておるのを計算いたしますとどのくらい手持ちになっておるわけですか、金額にしますと。
  62. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 調製費一枚につきまして二円二十銭だったと思いますので、したがってそれを含めますと約一億四千万円という額になると思います。
  63. 華山親義

    ○華山委員 このごろは郵便番号なんか四角なものをやっておりますね。簡易郵便書簡にはあれはどうなさるのですか。
  64. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 ここに現物を持ってまいっておりますが、残ったものにつきまして、毎月売れる割合に応じまして郵便番号のワクもつけております。
  65. 華山親義

    ○華山委員 四年かかるとすると、そのうちに、好ましいことじゃないけれども、また郵便料金も上がるかもしれませんね。そうすると、みんなそれはだめになるわけですか。
  66. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 私ども、先ほど申しましたように、極力努力をいたしまして、そういうときまでにはこれを売りさばこうと思っておりますので、その時点になりまして御指摘のようなことになりました場合にはどういたしますか、その時点において検討することにいたしたいと思います。
  67. 華山親義

    ○華山委員 一生懸命努力していらっしゃるのはいいですけれども、こういうものは官庁で使えないのですか。いろいろな省で封筒に入れて、そして切手を張っているわけです。そのほうが能率的かもしれませんけれども、税務署とかいろいろなところで使えないものですか。民間にだけ使え、使えといって、お役所のほうではさっぱり使わないのではだめでしょう。あれは官庁方面にでも協力を求めたことはございますか。
  68. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 非常にいい御意見をいただきましたが、私どもも実を申しますとさような線で各郵便局長を督励いたしまして、官庁、民間すべてを問わずにあらゆるところで売るようにという指導をいたしております。なおこれは末端の機関だけの使用というわけにはまいらぬと思いますので、御指摘のように本省、本庁を通じまして積極的にこれの使用を勧奨してまいりたいと思っております。
  69. 華山親義

    ○華山委員 いままでやっていなかったのですか。
  70. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 地方では一部いたしました。
  71. 華山親義

    ○華山委員 これは何も郵政省だとか大蔵省だとかいうことでなしに、国のものですから、各省に協力を求めて、各省が使うようにしたらいいと思う。もう少し気がきいたことをくふうすれば——お年玉の景品みたいなものがありますね。あれだって何かくふうをして、景品にしたっていいと思うし、もう少し商売人くさい気持ちを持たないとだめなんじゃないでしょうか。ひとつがんばってください。もったいない話です。倉敷料だってたいへんでしょう、ああいうたいへんなものを入れていたら。どこに入れてあるのですか。
  72. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 御指摘のようにさらに売りさばきに努力いたしたいと思います。  なお年賀はがきのお年玉の賞品といいますけれども、周知の意味も込めまして、それぞれ等級上位のものにつきましては、この郵便書簡を添えてございます。したがって数百万枚消化というと語弊がございますけれども、皆さんのお役に立っているつもりでございます。  なお在庫につきましては、東京中央郵便局を中心にいたしまして倉庫に入れてございます。
  73. 華山親義

    ○華山委員 たいへん間違った計算をして注文したものだと思って、会計検査院の御指摘は私はもっともだと思うのでございますけれども、とにかく一億四千万円といえば大金なんですから、できるだけ早くあらゆる面で使っていただきたいと思います。  それから、電電公社のほうに伺いたいのでございますけれども、今度の料金の改正、先ほどお話もありましたので大体わかりましたが、これを計算なさるのに、片方では増すけれども、片方で減るのだという計算をされる際に、何年前からの趨勢をお考えになっておつくりになりましたか。
  74. 井田勝造

    ○井田説明員 明年度予算におきましては、基本料で十月一日から料金改定ということで百四十六億の増、近距離市外通話等で百四十六億の減になっておるわけでございますが、これは昭和四十二年度決算をもとにいたしまして、そのときの金額から割り出したものでございます。     〔水野委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 華山親義

    ○華山委員 この問題については、私は決算委員会でなくて、逓信委員会等で論議されるのだと思いますから、詳しいことを追及いたしませんけれども、一年だけやったのではおかしいのではないですかね、これからの趨勢がどうなっていくのかということを見なければ。過去五年なり六年なりの趨勢を見れば、これからこの種類の電話の使い方が多くなる、そういうふうな傾向を見てやらなければ、悪意に考えるならば、意図的に考えるならば、伸びるところのほうのは上げる、伸びないところのほうのものは上げない、あるいは下げる、こういうふうなことで、計算を四十二年度決算で合わしたとすれば、これは意図があるんじゃないか、こういうふうにも思われるわけですけれども、その点どうして五年なり六年なりの趨勢というものをお考えにならないで、ただ一年だけお考えになったのでしょうか。
  76. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、第四次五カ年計画を対象にして考えたのでございまして、ただいま四十四年度におきましては十月一日からこれを実施するということで、いま総務理事が百四十六億と申し上げましたが、これを年間にいたしますと約三百億というふうに私、先ほどお答えしたわけであります。ところでこれは全体の収入に対しまして三・三%になっております。それで、今度の問題は住宅と事務との比率の問題にかかるわけでございまして、この三・三%が今後どういうふうな形になるかという第四次五カ年計画全体の加入電話増設数とその収入の構造変化を見ながらいけばはっきりするわけでございます。  ところが、最初公社が考えましたときには、住宅と事務との額を同じ額にするという案でございましたが、これは物価に対する影響がございますので、いままでと同じように住宅と事務との比率を、電話の基本料をやはり三〇%ダウンさせまして、住宅のほうは安くしたわけでございます。ところで今後の状態を見ますと、九百三十万の五カ年間の加入電話の中で、住宅のほうが約二、事務のほうが約一の割合でございますから、その構造の変化を見ると、三・三%がふえてきて、結局かえって減るような形になってくる。したがって、むしろいわゆる基本料のほうからいきますと減収のほうの心配が出てくる、こういうふうに見ておるわけでございます。もしこれが最初の公社の案のように住宅と事務が同じ額であったといたしますと、確かに御指摘のような問題がございますが、住宅と事務の格差を三〇%つけておりますので、したがって、むしろその点は減収のほうの心配があるくらいだと私は考えます。
  77. 華山親義

    ○華山委員 この論議は決算委員会の論議でないと思いますのでやめますけれども、決算委員会といたしましては、あなた方の今日の推計というものが将来当たるか当たらないか、結局料金をたくさん取ったことになるのかならないのか、そういうふうなことは将来、そのとき私は決算委員をやっているかどうか知りませんけれども、やっぱり追及していかなければいけないと思うのです。そういう意味から、いまここでお答えにならなくとも、どういうふうな計算のもとに今度の結論が出てきたのか、そういう点を明らかにする資料をいただいておきたいと思うのでございますが、委員長のほうでお取り計らいを……。
  78. 中川俊思

    中川委員長 提出されるそうですから……。
  79. 華山親義

    ○華山委員 それから一つ伺っておきたいのですけれども、電電公社につきましてこの前も私、御注意を申し上げておきましたけれども、とにかく電電公社の仕事というのは特別な仕事が多いわけです。したがって特別な会社というものがきまっておって、そこで指名入札をなさる。特にその会社には電電公社の御出身の方が多いというふうなことから、特に厳重にひとつ、いろいろな問題が起きないように、私は悪意でそんなことをやっているとは思いませんけれども、そういう点について御注意を願いたいということを申し上げたのでございますが、今度の不当事項の中にはそういうふうな傾向はございませんか。
  80. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしまして、資材につきましてもあるいは建築あるいは請負工事等にいたしましても、ただいま御注意がございましたように業界といろいろ入札等の手続をやっておりますので、そういう点につきましては、平素から十分注意するようにさしております。たとえば、契約をやる人等につきましては、あまり長い間一つのポストに置きますとやはりいろいろまずいことがありますので、定期的に、たとえば二年とか三年とかで必ずそのポストをかえるとか、あるいはまた、特に公社をやめた人でそういう業界に入っている人もあるわけでございますが、これらの人は、大体公社の人の大部分はその技術的な専門的な知識を認められて入っているというのが多いのでございまして、そういうふうな場合にもいわゆる公私を明らかにして、先輩であるからといって絶対に便宜をはかってはいかぬというようなことを強くいろいろなところで指示しております。私は、幸いにして最近はそういう問題について、十何年昔には、まだ電電公社になる前にはある事件を起こしましたけれども、電気通信省時分にありましたが、最近はそういう問題はほとんどないというふうに思っております。なおこれにつきましては厳正に十分注意していきたいと思っております。
  81. 華山親義

    ○華山委員 昨日も私申したのですけれども、非常に最近入札の方法等が乱れているんですね。これは電電公社には責任がおありにならない面もあると思いますけれども、談合等が非常に行なわれているのが実態です。私は電電公社のことは存じません。そういう面で、特に電電公社出身の人がそういう会社に就職なさっている。そうすると会社と会社との間は、人と人とのつき合いは兄弟みたいなものです。もとの友だちだというふうなこともありまして、行なわれがちじゃないかと思いますので、これは私何も事実を突きつけて、こういうことがあったじゃないかということを申すわけではありませんが、十分に気をつけていただきたい。  それで私は考えるのですよ。いまの建設業界というものは非常にスピードで進まなければいかぬ。その際に業者というものが限定されている。そうであるならば全力をあげて各業者がやらなければ追いつかない、したがって仕事は各業者に配分されなければいけない。そういうふうなことから、一つには私は必要悪としての談合というものがあるのじゃないかというふうにも考えますけれども、いまの法律がある以上そういうことがあってはいけないわけですから、あなたのほうで仕事の配分という面を考えられるならば、指名入札のやり方も私はあると思う。そういう点にひとつ気をつけていただきたい、こういうことを申し上げまして、私は質問を終わります。
  82. 米澤滋

    米澤説明員 ただいま御質問ございましたが、今後とも厳正に十分注意していきたいと思っております。
  83. 中川俊思

    中川委員長 浅井美幸君。
  84. 浅井美幸

    ○浅井委員 昨日の本会議における決算審査に対する質問にもわが党の代表が述べておりましたけれども、米軍の電電公社に対する電話料の未納金のことでございますけれども、いま金額はどのくらいになっておりますでしょうか。
  85. 武田輝雄

    ○武田説明員 いまお話のございましたのは、おそらく終戦処理費支弁あるいは安保条約に基づきまして公社政府から金をもらいまして建設いたしましたケーブルの米軍の使用に供している設備についてのことだと思いますので、そういうふうに理解して御説明させていただきたいと思います。  もともとこの設備は、終戦処理費支弁のものについて申し上げれば、終戦処理費で金をもらいましてそれによって公社が建設したものでございます。それで平和条約発効前は、すべて政府から専用料相当額が電通省ないし公社に払われておったわけでございます。ところが、平和条約が発効いたしましてから後は、米軍に対しまして公社は一般官庁に適用いたしますと同じ料金を請求する、こういうふうな考えを持ったわけでございますが、米軍のほうは終戦処理費支弁並びに安保条約に基づきます施設、都心から撤退するための施設につきましては米軍の負担でなしに日本政府の負担においてつくられたものであるし、将来とも負担をかけないというべき性質のものであるから、この分については金を払う必要がない、こういうことで見解の相違が生じまして、いまのような話になっているわけでございます。  そこで二十七年以降今日まで、米軍から専用料金として受け入れました金額は五百五十六億円でありますが、いまのように見解が違いまして、公社は料金として計算書を提出している、米軍は一応計算書は受け取っておるけれども、紛争となって残っております金額は二十七年から四十一年度までで七十四億六千万円でございます。
  86. 浅井美幸

    ○浅井委員 おたくのほうにいただいた資料では、昭和二十七年から四十二年度までに収納された金額は電話専用料その他で合計五百七十億円になっておりますが、いまあなたのおっしゃったのは五百五十六億円、それから紛争料金額は七十七億八千万円というふうに資料ではなっておりますけれども、いまの金額とまた違うのですけれども、これはどういうことでしょうか。
  87. 武田輝雄

    ○武田説明員 申しわけありません。私がいま申し上げましたのは四十一年度末の数字でございまして、いま御指摘がありました数字は四十二年度末の数字でございますから、四十二年度末で申し上げれば、いまおっしゃった数字が正しいのでございます。
  88. 浅井美幸

    ○浅井委員 この問題は二十七年度から十数年間続いておりますけれども、このことについて、例の地位協定の第七条のわがほうの請求権、これに対して大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  89. 河本敏夫

    河本国務大臣 わがほうは、ただいま御指摘のように、地位協定の第七条に基づきましてあくまで債権がある、こういう考え方のもとに請求を続けておるわけでございます。
  90. 浅井美幸

    ○浅井委員 請求は続けておりますけれども、一向にこれは解決していない、来年度日米安保条約の再検討期を迎えるにあたって非常にアメリカに対するいろいろな問題が喧伝されております。したがって日米友好の上においてもこのような問題が十数年間放置されておる、そしていま発表されたように七十七億八千万という膨大な金額がそのまま放置されておる、これは国民感情にとって決してプラスではない。アメリカに対する日本人の感情をいたずらに刺激してそして来年度予想される紛争を激化せしめるだけである、そのように私は思うのです。わがほうにおいて請求権がありながら、アメリカのほうにおいては支払う必要はない、拒否をしておる、この対立は一体いつまで続くのか、この点について大臣、明確にお答え願いたいと思うのです。
  91. 河本敏夫

    河本国務大臣 わがほうが第七条で請求をしておることは先ほど申し上げたとおりでございますが、米軍側はやはり地位協定の第二条と第二十四条によりましてこれはもう支払う義務がないんだ、こういう主張をいたしておるわけでございます。そこで、ただいまのところは日米合同委員会並びに外交ルートを通じましてこの問題の解決をはかっておるところでございます。
  92. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは昨年問題になったあるいはことし問題になったのではないのです。日米合同委員会で外交交渉をやっておられる、十数年間同じことを平行線で対立したまま続けておる。非常に怠慢ではないかと思うのです。交渉を継続中でございます、交渉を継続中でございます、それではたして済むものかと思うのです。昭和三十五年、旧安保から新安保に移ったときに、いろいろと条約の中で問題点があるものは、これに対して是正するのが望ましいのだ、これを是正したのだと当時の岸総理は強調したのです。しかるに、この問題は昭和二十七年から、三十五年以前です。これが解決されないまま十数年間続いておる。この事実を大臣は一体どのように考えるか、あるいは日本に政治家がいないのか、そのように私は思うのですけれども、この点どうでしょう。
  93. 河本敏夫

    河本国務大臣 念のために申し上げますが、現在米軍が専用線として使っておりますものの中には四種類あるのです。その一つは旧陸軍から接収されたものでございまして、もう一つは米軍がドルで建設したものでございます。それから、いま問題になっておりますのが終戦処理費で建設したもの、さらにまた安全保障条約上の諸費用に基づいて建設したもの、この四つがございまして、そのあとの二つの専用線が問題の対象にいまなっておるわけでございます。これは、わがほうは先ほど申し上げましたような第七条に基づいての主張をし、先方は第二条及び第二十四条に基づいての主張を続けまして、実は行政協定の解釈上の相違から来ておるわけでございまして、この点がいかようにでも解釈できると言えば語弊がありますが、そういう点にものごとが進まない最大の原因がありまして、この点についても非常に残念に思っておりますが、先ほど申し上げましたように、十数年間係争中でございまして、現在に至っておる状態でございます。
  94. 浅井美幸

    ○浅井委員 残念であるというお話でございますけれども、十数年間の日米委員会における交渉の経過、話はどのように煮詰まってきているのか、それとも一向に進まないのか、この点について私は知りたいのです。地位協定において第七条と第二条、第二十四条と、この相違のまま進められる。これではあまりにも日本が追随外交の姿勢である、そのように言われてきておりますが、この被害は国民がみんな負担しておるのです。いまも説明があったように、料金改定が行なわれて、一般大衆にまたこの電話料が大きく負担されようとしております。その財源に七十七億八千万という——あるいはこれに利子をつければもっと膨大な金額になります。それだけの大きな損失を与えられながら、これをはなはだ遺憾ながらで済ましておっていいのか。国民に対して政府としてそれで済むのか、その点私はお聞きしておるわけです。
  95. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は公社のほうの経理もいろいろ調べてみたのですが、公社のほうでは未収料金というのがございます。この未収料金にはこれは計上してないのです。紛争中の料金でありますから、係争料金ということで、未処理費にはのぼっておりますが、未収料金には計上していないのです。いろいろおしかりをいただきましたが、これは先ほど来申し上げますように、日米行政協定の解釈上に基づく見解の相違がございまして、なかなか実はむずかしい問題でございまして、最近の交渉の状況につきましては、係のほうから御報告をさせます。
  96. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 この問題につきましては、御承知のように、日米合同委員会のほうにおきまして、非常に長い間この解釈問題についての交渉があったわけでございます。もともと、この財産の関係は、当初は郵政省、電気通信省に移り、また電信電話公社に移った財産でもございますし、その後電信電話公社のほうで建設した財産もございまして、またその使用関係とその財産関係の実態は、その施設の特性に応じましてなかなか複雑でございます。それらの点に基づきましてこまかい交渉を続けておるのでございますが、基本的には、ここにありますように地位協定の第二条に定めます施設及び区域の運用に必要な施設、備品、定着物というふうに米側がこの施設をみなして、無料使用できるというふうに主張しておりますが、日本側におきましては、地位協定第七条で定める公共の役務として、公社が電気通信サービスを提供するために設置したものでありますので、この使用料は払うべきである、この条件は政府の一般の使用者よりも悪い、不利な条件でないということで、一般政府官庁並みの料金としてこれを計算して、請求を続けておるわけでございます。  なお、この合同委員会につきましての問題もなかなか進みませんで、その間には、料金の条件等につきまして種々の新しい提案等もあったのでございますが、しかし、それにつきましても、現在まで妥結に至っておりませんし、また、これと並行しまして、これは外交交渉といたしまして、外務省におきましても直接米国当局と交渉を続けておるわけでございますが、いまだにその解決はついておりません。
  97. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま御答弁いただいたのですけれども、そのくらいの話はわかっているわけですよ。第七条のその点と、第二条、第二十四条の、この解釈のどの辺が違っておるのか、具体的に教えてもらいたいのです。あなたのおっしゃったことは、これはいまお読みになって、相対立した話を言われただけであって、日本側が積極的にこの問題に対して交渉をしておるという姿がいまのお話の中では全然浮かんでこない。それでは怠慢ではないかと私は先ほどから申し上げているのです。したがって、こういう話が昭和二十七年から持ち上がって、年々この程度まで話が進んでおるという具体的な話を私は聞かしていただきたいし、そしてまた明年度、これを再検討しなければならない時期にあたって、これらの不合理な点は是正しなければならない重要な問題なんです。したがって、取れないならば取れないと、明らかに、地位協定によって、これは向こうの一方的な使用を十二分に許す、あるいはその費用を日本で負担するという明確な解釈ができるならばできると、その点をおっしゃっていただきたい。請求権が残っているのか残っていないのか、あるいは請求することが不当なのか、その点を明確にお答え願いたいのです。
  98. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいまの内容問題はなかなか具体的にわかりにくい点もございまして、一応、日本側といたしましては、これを請求権ありという立場で交渉に当たっておるわけでございます。その最も代表的なものといたしますと、施設、区域を結ぶ専用線がございます。その専用線の費用の関係でございますが、これは日本側が公共の一般の専用料として取れるという解釈でございますが、米国側は、協定の二十四条によりまして、区域外にわたる施設についても、区域を無料使用するための使用権がある。したがいまして、専用線についてもこれらは無料で、区域外のものについても無料であるという主張をしております。その点がおもな対立点でございます。
  99. 浅井美幸

    ○浅井委員 だから、こちらに請求権はきちんとあるものなんでしょう。取れるものなんでしょうか、取れないものなんでしょうか。それを私は聞きたいのです。請求権のあるものをもらえない、アメリカのほうでは拒否している、これに対して強い姿勢で臨めない。その、いわゆる隘路になっているものは何なのか。この条文の解釈だけで、これを対立さしたままおいておくことでこの問題は済むのか。
  100. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 その解釈につきましては、日本側の主張をもって、必ず最後までその主張を貫いていけるかどうかということになりますと、その点について問題とすべき点はかなりあるかと存じます。そのような経過もありまして、この交渉の過程におきましては、日本側において減額をしてもいいという提案もした経過がございます。しかし、この解釈の財産の実態につきまして、もう少ししさいに検討いたしまして、法律的な議論構成をする必要があるかと存じております。
  101. 浅井美幸

    ○浅井委員 おかしいことを承ったわけですけれどもね。この請求の中で問題があるから減額をしなければならないという弱気な話が出たり、あるいはまた、今後またしさいに検討するというお話でありますけれども、それでは、いつごろからそういう話になっているのですか。昭和二十七年からこの問題になっていながら、いまごろになってまだこれが問題となるという問題点が残されている。あるいはしさいに検討しなければならない。一体何の交渉をいままでやってこられたのですか。問題になった点、あるいは問題となって強く要求できないというのはどの点でしょうか。
  102. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま手元に詳細な資料を持ち合わせませんですが、やはり、財産権の所属という問題が基本的な一つのポイントになるかと存じます。
  103. 浅井美幸

    ○浅井委員 財産権の帰属が問題になるならば、なぜ初めからこれは請求権があるということになってきたわけですか。先ほどから大臣の答弁にもありましたけれども、あくまでも終戦処理費で建設したもの、あるいは安全保障費で建設したものは電電公社の所属になっているのではないですか。財産になっているのではないですか。大臣、これはどうでしょうか。
  104. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはいろいろ問題点を御指摘になりましたが、重ねて申し上げますと、アメリカ側は行政協定に基づきまして自分のところはこれは払わぬでもいいのだという解釈なんですね。日本側は、先ほど申し上げましたように、第七条を根拠にしまして払えと、こういうことでございまして、行政協定自体の解釈が実は根本的に対立しているわけなんです。そこに問題がありますので、必ずしも先ほど政府委員から答弁いたしましたように、全額が当然すらすら取れるものではない。こういうことも勘案いたしまして、交渉の途中でそれじゃある程度ひとつ減額をしようじゃないか、こういう話し合いなども出たものだと思います。そういうことでございますので、問題点はいろいろ御指摘になりますけれども、そういう経過並びに現状から見まして、なかなか早急に解決するのは困難な問題ではなかろうかと思います。
  105. 浅井美幸

    ○浅井委員 行政協定の解釈によって問題が違うというわけです。ところがいままでいろんな委員会がございまして、昭和二十七年度からの問題で三十五年からでも十数回予算決算で取り上げられておるのです。この中の答弁がここにございますけれども、やはりはっきりとこの点について請求権はあるということを、国内法的にはこれは確かに電気通信法による請求権が生まれると思うと、このことについて木村官房長官も答弁しておるじゃないですか。それがいまごろになって行政協定の解釈が違うから減額をしなければならない。あるいは財産権の問題が残っておるから、その辺で微妙な問題が出てきておる。そのように問題の本質から解釈がだんだんと変わってきているんですか、それともいままで二十七年以後と現在何ら変わっていないのですか、どうでしょうか。
  106. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど来、申し上げますように、わがほうは請求権がある、そういう確信のもとに請求を続けておるわけです。しかし、向こうは、繰り返し申し上げて恐縮ですが、地位協定の第二条と第二十四条に基づきましてこれは払う必要はないんだと、こういう強い主張をしておるわけですね。ですから、その地位協定の解釈上の相違によりまして難航しておるわけでございますから、そこで政治的な解決ということで減額というふうな数字も一時出たのではなかろうか、かように存じます。
  107. 浅井美幸

    ○浅井委員 この行政協定の解釈に違いがある。十数年間これが対立しているんです。これを解決しないでそのまま置いておるということの事実は、非常に政府として怠慢ではないかと思うのですけれども、この点、ほんとうに大臣として、これはあなたの直接所管の問題でありますし、あなた自身が今後どのようにこの解決の方向に向かって努力なさるのか、その決意を先にお聞かせ願いたいと思います。
  108. 河本敏夫

    河本国務大臣 こういうふうな問題が十数年間も放置されて係争を続けておるということは、これはいろんな面で悪い影響があると思います。ですから、何とかこれを早急に解決しなければならぬというのが私の考え方でございます。
  109. 浅井美幸

    ○浅井委員 いまお話ありましたですけれども、来年度安保の再検討期がございますけれども、その再検討期までにこの問題が解決するという見通しがあなたございますか。
  110. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはやはり相手のあることでございますから、いついつまでに来年の六月二十三日までに必ず解決できると、そういうことをいまここで断言できる段階ではないと思います。
  111. 浅井美幸

    ○浅井委員 それでは何もならないと思うんですね。これは国民がこの問題について非常に注視しておる問題であります。したがって、いまあなたがおっしゃったようにいろいろな悪影響がある。いろいろな悪影響がある問題をそのまま、来年度その再検討期を迎えて世上は騒然となっておるのに、このまま放置するという姿勢、あなた自身にその弱気があるならば、これは前向きに解決しないと思う。どこまでもあなたは日本国の政府の代表として、これに対する要求、請求を強くこの外交ルートなら外交ルートに乗せても解決するのが、私の在任中の大臣としての本来の仕事なんだと、そのくらいの自覚を持たなければならないと思うんです。  もう一点お伺いしたいのですけれども、では電電公社はこれだけの——さっきは紛争料金で未収金ということではないということでありますけれども、この料金を、外務省なりあるいは政府に対して、外交問題にかかっているのですが、請求なさいますか。
  112. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、いままでしばしば郵政省にお願いたしまして、外交交渉等を通じてこの解決をお願いしておったわけであります。ただ先ほど来大臣もお話しになりましたが、両方の解釈の違いという問題が一つございますのと、それからまたこの中身が非常に複雑なんでございまして、中身につきまして、たとえば安全保障諸費の場合と終戦処理費の場合とはその事務的な扱いがやはり少し違っているという点もございます。そういう点で、いわゆる未収金といいますのは、公社が料金を調停いたしまして、ある一月なら一月の間にちゃんと入ってくる、こういうものを未収金として処理しているわけであります。この問題は紛争料金ということで処理しておりますし、またその財産も特別専用施設という中に入れておりまして、一般の施設と区別して計上している、こういうわけでございます。公社といたしましてはできるだけ早く解決するようにお願いしておる。最終的にはこれは外交交渉になるというふうに考えておりますが、中身がきわめて、たとえば安全保障の問題でつくった問題、それから終戦処理でつくった問題、いろいろその取り扱いが違っている、こういう点を申し上げたいと思います。
  113. 浅井美幸

    ○浅井委員 米軍とはどういう契約になっているのでしょう。
  114. 武田輝雄

    ○武田説明員 この問題は先ほどからもお話がございましたように、二十七年に平和条約が発効いたしましてから直ちに問題になりまして、両方で交渉をし、何回も交渉を重ねたわけでございます。そこで三十年の八月に至りまして、この問題につきまして中間的な向こうとの契約を結んだわけでございます。その契約によりますれば、「施設及び区域」外の終戦処理費支弁の施設は米軍が修理を要求し、その修理の実費を支払うが、安保諸費支弁によります「施設及び区域」外の施設については、公社が全面的に保守の責任を有する。公社経費で修理をする。次にその料金につきましては、解釈の違いがございますので、米軍は公社の請求書を受理するけれども、これを削除する権利を有する。こういうふうな取りきめになっているわけでございます。
  115. 浅井美幸

    ○浅井委員 変な契約ができているのですね。中間的な契約でありますけれども、じゃもっとこれを本格的な契約に変える予定があるのですか。
  116. 武田輝雄

    ○武田説明員 公社といたしましては、終戦処理費支弁あるいは安保諸費支弁により建設した施設でございましても、公社の資産となっておりますものですから、公社の他の一般の専用料金と同じように請求をする——料金を請求すべきもの、こういうふうに考えております。また米軍は逆に、先ほどからございましたように、二条ないしは二十四条に基づくものということで、特にこの施設につきましては終戦処理費支弁あるいは安保諸費支弁で、実際にこれ以前は米軍が負担をしておらなかったというようなこともありまして、ただで、料金は支払うべき性質のものでないということになっておりまして、日米合同委員会で外交ルートの交渉になっておりますので、公社といたしましては、その外交交渉で決着がつくまでこの問題については正式な契約を結ぶわけにはいかない、こういうわけでございます。
  117. 浅井美幸

    ○浅井委員 終戦処理費支弁だとか、あるいは安保諸費支弁によってできたものの、使用に対する請求はしておるけれども、向こうはくれない。その場合に私は電話をどうしてとめないのかと思います。普通われわれ一般日本の国民が電話代をもしも滞納したならば、直ちにそれに対する通話停止、あるいは差し押え処分がある。ところが、この米軍の場合には全然その措置をしない。請求書を回す、向こうは破棄してしまう。何ら払おうという姿勢がない。そういう高姿勢の姿勢のままでそのまま済ましておられる。少しおかしいのではないかと思うのです。なぜそのように差があるのか。われわれ日本の国民であるならばこれは通話停止になる。向こうの場合は通話停止にならない。どういうわけでしょう。
  118. 武田輝雄

    ○武田説明員 一般の加入電話でございますと、公衆電気通信法並びに営業規則などの契約約款がございまして、それに基づいてはっきりとした契約を結んでおるわけでございます。したがいまして、その条項に照らしてすべての措置をとっていくということは、両者間の契約において当然やれることでありますので、そういうふうにいたしておるわけでございます。この問題につきましても、平和条約が発効いたします際にはっきりとした取りきめが本来ならばなされるべきであったわけでございますし、当然そうあるべき性質のものであったわけでございますが、いま申し上げましたようなことで両者の間に解釈の違いがございまして、米軍につきましても、正式に契約を結んでいる専用線につきましては支障なく専用料が払われておるわけであります。もしこの正式に結んだ専用線について、料金未払いというようなことがあれば当然通話は停止することになります。しかしながら、御指摘の終戦処理費並びに安保諸費支弁で建設された設備の料金の取り扱いについては、当初使用に供するときからすでに紛争のままはっきりとした契約が行なわれないでスタートをいたしたようなわけでございますので、公社計算書を出す、向こうは、それを受理するかしないかは、今後の日米合同委員会の結果によってやるというようなことで、はっきりした契約は結ばれておらない。したがいまして、一般の正式に契約が結ばれておるものと違う、こういうことであります。
  119. 浅井美幸

    ○浅井委員 外務省の方はお見えになっておりますか。松原さん。いま米軍との電話の料金の問題があるのですが、これは外交ルートに乗って請求権は日本のほうはある。アメリカは第二条あるいは第二十四条でこれを拒否しておる。これに対していわゆる外交ルートでいま交渉なさっていらっしゃる。この点についてどのような経過になって、そしていまどのように進展しておるのか、また今後の見通しはどのようになるのか、これをお答え願いたいと思います。
  120. 松原進

    ○松原説明員 ただいま先生御指摘のとおりこの電話料金の問題に関しましては、米側は地位協定第二条による設備に対するものと解釈いたしております。わがほうは、これは地位協定第七条に基づいて支払うべきものだという二つのあれで、すでに数年来交渉を重ねておるわけでございますが、遺憾ながら現在まだ解決に至っておりません。
  121. 浅井美幸

    ○浅井委員 先ほど御答弁がこちらの方からあったのですが、二十七年に平和条約が締結されてから、本来その平和条約以後この問題についてきちんときめておくべき問題であった。それがいまだにきめられてない。昭和二十七年から十数年間この問題は続いておる。そして先ほどから何回か申し上げておるのですけれども、日米安保条約は日本にとって戦争に巻き込まれる危険のおそれのある条約である、そのような意見も出てきておる。そのような中で、この安保条約によってこれが平然と、当然日本としては請求権がありながらそれが払ってもらえないというこの不合理さに対して、国民は多くの疑惑を持っておる。したがってあなた自体がこの問題について遺憾ながらというのじゃなくて、この解決というものは一体どうしたらいいのか、あるいはどうすべきなのか、あるいは外務省としてどのように今後当たっていくのか、その点を明確に教えてもらいたいと思うのです。
  122. 松原進

    ○松原説明員 この問題には、電話料金の支払い義務があるかどうかという問題のほかに、懸案になっております電話料以外にも、全体として米軍の使っておる電話線の料金の額がどういう額を適用すべきであるかという点についても、米側としては日本側と実は見解を異にしておる点があるわけであります。そういういろいろな問題がからんでおる問題でございますので、私どもといたしましては、関係省庁さらに電電公社その他と協議をいたしまして、いろいろ米側との折衝のアプローチのしかたと申しますか、寄り寄り協議をしておるところでございます。
  123. 浅井美幸

    ○浅井委員 そんな抽象的な答弁を聞いておるのじゃないのです。あまりにも不誠意過ぎるじゃないですかというのです。あまりにも追随外交過ぎるじゃないか、屈辱外交じゃないか。そういう弱腰な姿勢でもってこの問題が解決できるわけがない。七十七億八千万円、この膨大な金額ですよ。それをおおように、国民の負担においてこれが平然と使用されっぱなしでいいのか。問題があるからこそ十数年間続いてきたのでしょうけれども、裏返して見るならば、十数年間そのまま放置してきたことに、政治折衝も、政治家としての解決も、あるいは政府としてアメリカとの交渉は全然でき上がっていない、そのように言える。それをいつまでもこのまま置いておかれるのかということなんです。
  124. 中川俊思

    中川委員長 ちょっと浅井君に申し上げます。それから政府に申し上げますが、先ほどから聞いておりますが、並行線をたどっておるようです。そこで政府も、二十七年以後の問題がまだ解決しないでおるということについて関係者がまず協議なさって、そしてはっきりした日本政府としての態度を表示してもらいたいと思うのです。そうしませんと、これはいつまでたっても並行線です。ですから、大きな金額でもありますし、それからまた双務的な観点からいいますと、こちらの解釈が違うようですから、いま浅井君がるる御質問になっておりますような、日本側としては当然そういう、あなた方もそういう立場に立ってやっておられるだろうと思うのだけれども、これは相手があることですから、政府としてのはっきりした態度をこの次の委員会までにひとつまとめていただきたい。どうですか浅井君、そういうことで。そうしませんと、いつまでたっても並行線で結論は得られないのじゃないかと思う。それから外務省も、できれば次の機会には大臣、局長に御出席を願いたい。あるいは郵政大臣が代表しておやりになるか、外務大臣が代表しておやりになるか、意見をおまとめになって、ひとつ次の機会に提示していただきたいと思います。いかがですか、浅井君。
  125. 浅井美幸

    ○浅井委員 委員長にそれをはかっていただければけっこうです。
  126. 中川俊思

    中川委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許可いたします。華山君。
  127. 華山親義

    ○華山委員 簡単にこの問題についてお尋ねいたします。  先ほど、未収金が入っておらない、係争中だという話でございますが、バランスシートの上から帳じりにどういう影響になっておりますか。
  128. 中山公平

    ○中山説明員 これにつきましては貸借対照表の上におきましても、流動資産の中の一つの科目であります未収金というのがございます。それに計上いたしておりません。また損益計算書におきましても収入の中に入れておりません。解決をまった上で会計処理を考えるということにいたしております。
  129. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、いろいろな財務諸表では計算外になっておる、こういうことでございますね。
  130. 中山公平

    ○中山説明員 そのとおりでございます。
  131. 浅井美幸

    ○浅井委員 では、いまの問題は委員長の御提案どおりに、私も次回の委員会でもう一度正確に答弁をいただきたいと思います。  いまの、未収金にもなっていないので、資産表にもその点が評価されていないのですが、今回基本料金を三〇%値上げなさるその唯一の理由は一体何でしょうか。
  132. 武田輝雄

    ○武田説明員 現在の電話料金は相当古い時代に設定されましたものでございますから、その後、社会の変化、あるいは電話の普及、あるいは技術の進歩といったような面で近代的になっておって、これを合理化しなければならない点がたくさんあるわけでございます。電話料金の中で一番の大きなものは基本料、度数料、市外通話料、こういうふうなものでございますが、まず基本料金について申し上げますと、全体収入の中で基本料等固定的な収入の占めております割合は一五%にしかすぎないのであります。アメリカでは大体六〇%くらいが基本料金である。ヨーロッパでも四〇%ぐらい入っておるということでございます。したがいまして、基本料の水準は非常に低い。利子減価償却費だけでも二千六百円といいますのに、平均で七百円ぐらいの基本料金しか入らないというふうな、基本料水準の低さの問題があります。  もう一つは、大局と小局の間を十四段階に区別しておるわけであります。従前、最高の加入者数が百万でございましたが、いま一年間で二倍くらいつけるというふうな状態でございまして、これほど細分化する必要はございませんし、また経費の面でもそれほど差がないわけでございます。したがいまして、そういった大局、小局間の料金格差を是正する必要があると思います。  それから、度数制という料金制度はもともと使用の多寡によりまして料金負担に差が出る制度でございますが、基本料に事務、住宅の別を設ける必要はないわけでございます。事務、住宅の区別を設けておりますのはアメリカのみでございまして、イギリスも昨年の十月に廃止いたしたような次第でございます。そういう点を直してまいりたいと思います。  それから、度数料等について申し上げますと、原価計算はなかなかむずかしいわけでありますが、市内と市外と分けて、大ざっぱに原価計算をいたしますと、市内のほうが約四割くらいの赤字になっておるわけでございます。そして、これは加入区域の拡大等に伴って、ますます赤字がふえていくというようなことがございます。それから市外通話料につきましては、生活圏の拡大に伴いまして、加入区域を広げてほしいという要求があるわけでございますが、これにも限度がございますし、したがいまして近距離と度数料格差の是正をやってほしいという社会的要望がございます。  また、地域格差の是正あるいは産業の分散といったようなことに伴いまして、遠距離通話などもふえておりますし、また、遠距離通話は技術の進歩によりまして、相当コストダウンされている面もございます。そういった点で、電話料金全体にわたって体系の合理化をはからなければならないわけでございます。  また、電報につきましては、非常に赤字をかかえておりますので、合理化を進めるとともに、利用分野の適正化をはかるといったような意味で、やはり料金改定の必要を公社としては痛感をいたしておるわけでございます。  ところで、本年度政府の強い物価抑制策が打ち出されまして、公社といたしましてもそれに従うということになったわけでございます。ただし、ただいま申し上げました生活圏の拡大に伴いまして、度数料と近距離市外通話料の格差の是正をやってほしいという要望が非常に強うございますので、度数料と近距離市外通話の格差を縮小するために、近距離通話を値下げする、そうして、その反面プラスマイナスゼロの範囲内において基本料の体系——先ほど申し上げました三本の柱があるわけでございますが、そのうち住宅用、事務用の料金格差の問題は、物価に影響するところ大きいということで、見送りになりましたけれども、基本料の水準の若干のアップ、そして十四段階を五段階にして、大局、小局間の料金格差を縮小し、受益者負担適正化に幾らかでも近づけていく、こういったことで今回の料金の一部体系の合理化を実施することにいたしたわけでございます。
  133. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは、あなた方は合理化ということでこの案を出されておられるわけでありますけれども、基本料金の値上げ幅は、その級局によって違いがございますが、不均衡だというのですか。この点はどうでしょう。
  134. 武田輝雄

    ○武田説明員 基本料というものの性格といたしまして、必ずしも固定的な経費あるいは資本費用を基本料でまかなうというふうには考えてはおりませんけれども、それにいたしましても度数制局においては、基本料と度数料、二つから成り立っておりますから、個定的な経費といいますか、少なくとも資本費用ぐらいなものは基本料でカバーし、あとは使用度数に応じて度数料でカバーしていくというふうにいたしたい、こういうふうに考えるわけでございます。ところが、現在の体系によりますと、十四段階に分かれておりまして、非常に安い金額でございます。一、二、三級局はございませんから申し上げませんが、たとえば四級局で申し上げますと、住宅用で二百七十円、事務用で三百八十円といったように、きわめて安い料金でございます。資本費用二千六百円の八分の一くらいあるいは十分の一くらいの料金であるということでございます。そこで、この不均衡を是正をしていくということが絶対的に必要だと思いますし、受益者負担適正化をはかるといった面からも必要だと思います。また、こういうふうなへんぱな料金体系にいたしておきますと、電話の普及発展にも支障を来たすということになると思うわけでございます。したがいまして、経費に差はないという点に着目いたしまして、本来ならば級局をもっと大きく統合いたしたかったわけでございますが、にわかな変動を避けるために五段階にいたしたい、その結果、いま御指摘のございましたように、級局によっては若干上がり下がりの多寡がございますが、それほど大きな額ではありませんし、いまのような実態でございますのでお許しを願いたい、こういうふうに思うわけでございます。
  135. 浅井美幸

    ○浅井委員 確かにいまあなたは不均衡を認められたわけでありますけれども、基本料金の値上げは、その級局によって不均衡がそのまままた出てきたということは、これは合理化という美名ではありますけれども、この値上げについては非常に問題があるわけです。こういうふうに体系を合理化して、先ほどの何か御答弁では収入減が予想されるかもわからない、このようなお話でありますけれども、なぜ料金の合理化を現在において行なわなければならないのか、いままでどおりではいけないのか、その積極的な理由は、私はちょっと不明だと思うのです。減収になるようなことも予想されるような話だが、公共料金の値上げということは、一般物価へのはね返りがある。これは政府も口をすっぱくして言っておるのです。しかるに、いまこれを積極的に行なわなければならない理由は一体何ですか。
  136. 武田輝雄

    ○武田説明員 最近、生活圏が拡大いたしまして、加入区域を広げてほしいという御要望が非常に強いわけでございます。そこで公社といたしましては、従来局間距離六キロのものは、加入区域を合併して一つ加入区域にするということをいたしておりましたが、今後は同一市町村内であれば、大体十二キロ内においては加入区域を統合していきたいというふうに考えておりますが、加入区域の統合にも限度がございます。と申しますのは、このために中継線等のために相当の建設資金を要しますことと、もう一つは、そのためにまた経費も要るわけでございます。また逆に収入の面では、市外通話が市内通話になるといったようなことで減収を生ずるといったようなことで限度がございます。また広げてまいりましても、広げれば広げるほど境界格差といいますか、近距離市外通話であるところと度数料との格差というものが激しくなってまいるということでございます。したがいまして、生活圏拡大の強い要望に対処するためには、どうしても度数料と近距離市外通話料との格差を縮小していくという方向にもっていかざるを得ない。これは非常に強い要望でございますので、これはどうしてもやらざるを得ないということでございますが、これだけをやるということになりますと減収が生じてまいりますので、これに合わせて、公社が本来やりたいと思っておりました基本料の一部合理化をプラス、マイナスゼロの範囲内においてやらしていただきたい、こういうことでございます。
  137. 浅井美幸

    ○浅井委員 近距離市外電話の料金コストダウンということはうたっておりますけれども、基本料の三〇%アップが一般の加入者にとって全然影響はないか。いままでよりも電話料金が大幅に上がるところはたくさん出てくると思うのです。これらに対しては、どういうふうに考えておりますか。
  138. 武田輝雄

    ○武田説明員 近距離を下げまして、基本料を上げたわけでございます。したがいまして、個々の加入者の方々の負担変動ということになりますと、その使用実態によって異なってまいりますが、平均的な加入者の使用状態からいたしますと、事務用で上げました金額が二百五十円、住宅用の基本料で上げました金額が百六十円でございまして、平均的な加入者で見ますと、住宅用で上がっても、せいぜい月十円ぐらいというふうに考えております。したがいまして、平均的に申せば、負担変動はないというふうに考えております。
  139. 浅井美幸

    ○浅井委員 大臣にお聞きしたいのですが、一般公衆電話が今度通話三分間で打ち切るらしいのですが、これでいきますと、いままで公衆電話でいろいろと長い間話をしておったくせがついております。そうすると、これは三〇%アップではなくて、倍ということになりますけれども、この点についての考慮はもうできないのでしょうか。一般大衆はいままで公衆電話で、三分間といいますけれども、非常に長い間の話になれております。この点についてはどうですか。
  140. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは公衆電話利用者が、中には非常に長くお使いになる、しかも数がそんなに多くはない、だから、何とかもう少しいい方法はないのか、こういうふうな強い御要望等が前からあったわけでございます。そこで今回公社が、先ほど御指摘のような案をつくりましたので、これを許可することにいたしたのでございます。
  141. 浅井美幸

    ○浅井委員 いろいろと問題はありますけれども、これは公共料金値上げというものに通ずるものであり、一般国民に対して公平な負担であるというようには私は全然感じておりません。今回のこの値上げによって大きく影響を受ける人たちがたくさんあらわれる。また、いま一般公衆電話の使用料あるいは住宅用で基本料金が上がっても、平均いたしますと、単なる一〇%だ、そんな簡単なものではないわけです。そして先ほど来質問いたしましたが、米軍に対しては七十七億八千万円というようなこげつきが起きておりながら、平然としている。そのような姿勢は改めていただいて、もっともっと物価の安定をはかるためにも、こういうような公共料金制のものは、あくまでも取るべきところから取って、そうして国民のよりよい、住みよい生活のためにも、公共料金は値下げをしていかなければならない、基本料金は据え置いて、近距離の料金だけでも下げていこうという姿勢が電信電話公社にほしいと思うのです。いわゆる受益者負担という名目のもとに、何でも受益者が負担しなければならないというものの考え方は、これは福祉国家という名前に反するわけであります。したがって、もっともっとより健全な生活を営むためにも、電話料金の改正については強く反対をしていきたい、私はこのように思うのです。委員長、だいぶ長い間ありがとうございました。  以上で終わります。
  142. 中川俊思

    中川委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十八分散会