○武田
説明員 現在の
電話料金は相当古い時代に設定されましたものでございますから、その後、社会の変化、あるいは
電話の普及、あるいは技術の進歩といったような面で近代的になっておって、これを
合理化しなければならない点がたくさんあるわけでございます。
電話料金の中で一番の大きなものは基本料、度数料、
市外通話料、こういうふうなものでございますが、まず基本料金について申し上げますと、全体
収入の中で基本料等固定的な
収入の占めております割合は一五%にしかすぎないのであります。アメリカでは大体六〇%くらいが基本料金である。ヨーロッパでも四〇%ぐらい入っておるということでございます。したがいまして、基本料の水準は非常に低い。
利子と
減価償却費だけでも二千六百円といいますのに、平均で七百円ぐらいの基本料金しか入らないというふうな、基本料水準の低さの問題があります。
もう
一つは、大局と小局の間を十四段階に区別しておるわけであります。従前、最高の
加入者数が百万でございましたが、いま一年間で二倍くらいつけるというふうな状態でございまして、これほど細分化する必要はございませんし、また
経費の面でもそれほど差がないわけでございます。したがいまして、そういった大局、小局間の料金格差を是正する必要があると思います。
それから、度数制という料金制度はもともと使用の多寡によりまして料金負担に差が出る制度でございますが、基本料に事務、
住宅の別を設ける必要はないわけでございます。事務、
住宅の区別を設けておりますのはアメリカのみでございまして、イギリスも昨年の十月に廃止いたしたような次第でございます。そういう点を直してまいりたいと思います。
それから、度数料等について申し上げますと、原価
計算はなかなかむずかしいわけでありますが、市内と市外と分けて、大ざっぱに原価
計算をいたしますと、市内のほうが約四割くらいの赤字になっておるわけでございます。そして、これは
加入区域の拡大等に伴って、ますます赤字がふえていくというようなことがございます。それから
市外通話料につきましては、
生活圏の拡大に伴いまして、
加入区域を広げてほしいという要求があるわけでございますが、これにも限度がございますし、したがいまして近距離と度数料格差の是正をやってほしいという社会的
要望がございます。
また、地域格差の是正あるいは産業の分散といったようなことに伴いまして、遠距離
通話などもふえておりますし、また、遠距離
通話は技術の進歩によりまして、相当コストダウンされている面もございます。そういった点で、
電話料金全体にわたって体系の
合理化をはからなければならないわけでございます。
また、電報につきましては、非常に赤字をかかえておりますので、
合理化を進めるとともに、利用分野の
適正化をはかるといったような意味で、やはり料金改定の必要を
公社としては痛感をいたしておるわけでございます。
ところで、本
年度は
政府の強い物価抑制策が打ち出されまして、
公社といたしましてもそれに従うということになったわけでございます。ただし、ただいま申し上げました
生活圏の拡大に伴いまして、度数料と近距離
市外通話料の格差の是正をやってほしいという
要望が非常に強うございますので、度数料と近距離
市外通話の格差を縮小するために、近距離
通話を値下げする、そうして、その反面プラスマイナスゼロの範囲内において基本料の体系——先ほど申し上げました三本の柱があるわけでございますが、そのうち
住宅用、事務用の料金格差の問題は、物価に影響するところ大きいということで、見送りになりましたけれども、基本料の水準の若干のアップ、そして十四段階を五段階にして、大局、小局間の料金格差を縮小し、
受益者負担の
適正化に幾らかでも近づけていく、こういったことで今回の料金の一部体系の
合理化を実施することにいたしたわけでございます。