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1969-03-19 第61回国会 衆議院 議院運営委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十九日(水曜日)     午後一時十二分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 田澤 吉郎君 理事 海部 俊樹君    理事 三原 朝雄君 理事 安宅 常彦君    理事 勝澤 芳雄君 理事 中村 時雄君    理事 正木 良明君       小渕 恵三君    加藤 六月君       桂木 鉄夫君    坂本三十次君       塚田  徹君    西岡 武夫君       佐野  進君    柴田 健治君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君  出席政府委員         内閣官房長官 木村 俊夫君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         管理局長    茨木  広君         人事院事務総局         任用局長    岡田 勝二君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         総理府人事局長 栗山 廉平君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         行政管理庁行政         監察局長    諸永  直君  委員外出席者         副  議  長 小平 久雄君         事 務 総 長 知野 虎雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  営利企業への就職承認に関する年次報告書に  関連して質疑  趣旨説明を聴取する議案の件  中小企業基本法に基づく昭和四十三年度年次報  告及び昭和四十四年度中小企業施策についての  演説及びこれに対する質疑に関する件  次回の委員会の件      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  去る十三日の委員会におきまして、営利企業への就職承認に関する年次報告書に関連して、参考人より意見を聴取したのでありますが、本日は、荒木行政管理庁長官木村内閣官房長官佐藤人事院総裁が出席されておりますので、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝澤君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最初に人事院総裁お尋ねいたしたいのですが、天下りの問題は、過去何回も各委員会で問題になり、議論をされておるわけでありますけれども、今回も特に議運でも、あるいはまた決算委員会あるいは内閣委員会等々で行なわれておりますが、一体、問題になっている焦点といいますか、理由といいますか、これをどう御理解されておりますか。
  4. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 一口に申しますと、やはり役所転出先との関係ということからたどってまいりまして、そういう関係のある役所にある公務員関係会社に入っていくのはどうだろう、おそらく一般でいわれております点はそうであろうと私ども考えておるわけでございます。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、この間あなたもいらっしゃった席で、新聞社皆さんからいろいろ議論されて、三つの問題が出された。一つは、民間企業の問題で、いま人事院が内容を審査されている問題、もう一つは、公社公団事業団等特殊法人に対する問題、もう一つは、地方公共団体に対する問題、こう三つの点が出されたわけでありますが、直接的には、いま民間営利企業の問題だけにされているわけでありますけれどもあと二つの問題につきまして人事院総裁の権限があるのかどうかよくわかりませんけれども高級公務員天下りという全体的な問題からいってどうお感じになっていますか、お聞かせ願いたい。
  6. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 前回申しましたのは、公団公社関係等は現在人事院所管になっておりませんから、表立ったことは申し上げかねますとお断わりいたしたのでありますけれども、ただ、かりに公団公社転出する関係をも何か規制すべきではないかという案が出てまいりました場合に、私どもがそれについてどういう考え方を持つか、たとえば、人事院にそれじゃやれと言われた場合に、われわれはどういうことでやるべきかという仮定の問題としてならば、これは申し上げることができると思います。それでよければ一言だけ申し上げさせていただきたい。  一番問題になっているこの公社公団への転出関係は、実は私企業関係への転出関係とは全然性格が違うものだと思います。私企業の場合は、これもたびたび申し上げておりますように、最悪の事態考えますと、管轄下にある、監督下にある私企業に対して在職中の公務員がさんざんコネをつけて、そうして、行く末は頼むといってそこに行くというようなことが第一の問題点になるわけでございますが、公団公社関係は、いかにそういう意味で、たとえば何々公団に対して本省の者が働きかけましても、たとえば理事その他の役員に関しては、全部これは政府がお握りになっておる。総裁のごときは大臣の任命になっておるわけでありまして、コネつけようにも実はコネのつけられない構成になっておるわけであります。したがいまして、その意味私企業関係のコントロールの問題とは、全然別の角度からお考えいただかなければならないのではないか。この間参考人の人も、だれかちょっとそういうことを言った人もおりましたが、そういうことではなかろうか。これは所管ではありませんから、きわめてあいまいなことでありますけれども、そういう気持ちを持っております。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、四十三年度の場合を見てみますと、人事院承認した件数というのは百三十七件。しかし、これの対象になる本省課長級以上の者というのは一応年間離職者千六百人、こういわれておるのですが、千六百人の離職者がおおむねどういう形で次の職場民間企業あるいは公団なりあるいはそのほかに転出されておるか、こういう点、おわかりになりましたらお聞かせ願いたい。
  8. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 実はそういう点まで追跡すべきだろうと思いますけれども、これまた法律的なことを申し上げて恐縮でありますけれども、私ども所管上の問題としては、実はそこまで追跡する責任は一応ない。しかしながら、御承知のように、定年制をどうするとかなんとかという問題が、盛んに前から世に出ておるわけでありまして、そういう関係で、われわれはやはり全然無関心でおってはなるまいということで、実は従来としてはそういう角度から、三十五年、四十年——古い話になりましたけれども、三十五年と四十年の離職者のごくあらましの趨勢を調べたことはございます。ただし、予算が何もないので、あり合わせのお金をかき集めてやったことでありますから、不徹底であります。したがって、言いわけになりますけれども、今度こういう、お話しに出ますような問題になりますと、今度は予算をたっぷりちょうだいして、私企業関係の面に重点を置きながら、もう一ぺんそういうことを詳しく調べなければいかぬのじゃないか、そういう気持ちを持っております。  いまの三十五年、四十年というようなもので、ごく大ざっぱなことで申し上げますと、行き先のほうですね、これは政府機関もありますし、私企業もありますし、それから自営企業もありますし、行き先のことは、このときはあまり調べておらぬ。三十五年度で申しますと……。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 四十年のほうがいい。
  10. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 四十年は、五十歳以上の退職者のうちで五九・六%が再就職をしておる。自家営業を含んで再就職をしておる。その就職先内訳は、民間企業へ三七%ないし三八%、政府関係機関へ五%ないし六%、その他、まあその程度のことしかわかっておりません。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、次の問題として、この間もお話があったのですけれども、退職する年齢が早過ぎる、若過ぎるという話がされておるわけですね。逆に言うと、別に定年制というのはないわけですね。定年制がない中で、まだ四十代で、あるいは五十前後でおやめになっているというところに問題があるわけです。そこで、私は現状お尋ねしたいのですが、大学を卒業されて、課長補佐になり、それから課長になり、あるいは局長になり、次官になる、こういうのは年齢的には大体どういうふうになっておるのでしょうか。
  12. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 前段にお述べになりました、定年制のないのにということについて一応前おきを申しますと、実は、御承知のように、勧奨退職というものが行なわれておるわけであります。後進に道を譲ったらどうかということで、勧奨に応じて退職すれば、退職金関係で有利な扱いをしてやるということが現実にございますために、大部分の者が勧奨退職によって心ならずもやめていく。そういう人が相当おる。後進に道を開くためにやめていくという人がおる。これが前段の問題でございます。  そこで、課長級が大体現在で平均四十八歳、その内訳は三十五から六十七までにわたっておりますが、大まかに平均して課長級が四十八歳、役所によって違いますけれども、大体そうであります。それから局部長、これが平均していえば年齢が五十一歳くらい、その幅は四十二歳から六十六歳にわたっておる。それから、次官は大体平均五十三歳で、その幅は四十八歳から六十八歳にわたっておるということでございます。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、三十五で課長、それから四十二で局長、四十八で次官、最短はこういうケースがあるわけですね。そうしますと、これは人事院総裁に聞いたほうがいいか、よくわかりませんけれども、あなたが一番、何というか学識経験を持っていらっしゃるようだからお聞きしたいのですけれども、この間の新聞記者皆さんの御意見でも、大体民間と比べて出世が早過ぎるのではないか、こういう話がされておるわけです。たとえば重役になると大体もう五十五過ぎだというのが、四十八で次官になるというようなことからいって、この辺についてのお考えはいかがでしょうか。
  14. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 民間のほうもかねがね気にしてはおりますけれども、これは御承知のとおり、何ぶんにも各社別々でございまして、非常に若い社長さん、若い幹部のところもありまして、一がいには申し上げられませんけれども、大体達観して申し上げますと、私どもは、民間よりそう早過ぎるとは実は考えておりません。そうして、戦後の趨勢を見ますと、大体出世のスピードはおくれつつある、おくれる傾向にある。早まる傾向ではなしに、おくれる傾向にあるというふうに申し上げてよろしいと思います。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 では、早過ぎるという意見、おそ過ぎるという意見もけっこうです。それで、天下りが問題になる理由ですね。なぜ問題になるのか、その理由というのは、いま言うように早くやめ過ぎるのではないか、こういわれておるわけですけれども、それと今度は、いまあなたのおっしゃった、そう出世が早くなってはいない、こういうこととのバランスをどうお考えになりますか。
  16. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それが実は一番むずかしい、かつ、問題の焦点であろうと思います。根本的にいえば、公務員としてその職を奉ずる以上は、その能力をとことんまで発揮して、いよいよ刀尽き矢折れた後にやめていただくというのが私は理想だろうと思います。したがいまして、そのほうの問題から詰めていきますと、少しでも長くいてもらう方向に持っていかなければいかぬ、勧契退職制度などはやめてくださいという方向になるわけです。ところが、この間ちょっと触れましたように、下のほうは下積みになって、もう押せ押せになっておるわけです。ことに最近は、終戦後たくさん採用された方々がみんな下積みになっておって、上のあくのを待っておる人がおるわけです。そことの関係、そういう人に励みを与えなければならぬという面がございますものですから、そこに私は問題の焦点があると思います。これの解決方法については、ここにも所管大臣がおられるのでお聞き取りいただきたいと思いますが、私から見れば、問題の焦点は、一番むずかしいところは、そこにあると思います。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 押せ押せになっているとおっしゃいますけれども、どこが押せ押せになっておるんですか。私ら見ていて、別にそう押せ押せになっているとは思わないのです。それは、ある大学の卒業生は、ある年限が来たら局長にしなければならぬ、あるいは何にしなければならぬ、こういうことから押せ押せになっているということではないですか。それは一つエリートコースだけであって、ほかの多くの人たちには関係ないことではないですか。ですから、高級公務員の退職する年齢と、それからそのほかのコースをたどっていく人たちのいわゆるやめる年齢の違い、その点はどうなっているでしょうか。
  18. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 次官局長あたりになりますと、あるいはエリート一般にいわれているような名をもって呼んでもいいかもしれませんけれども、それから下は大体押せ押せの一大群衆だと見ていただかなければならぬ。したがいまして、先ほど触れましたように、終戦後採用された人たちで、いま課長の一歩手前まで行っておる大群がおるわけです。そういう面で、それらの人々に励みを与えるにはどうだろうか。そこで、かりに局長があけば課長がそれに上がる、課長があけば下におった課長補佐課長に上がる、課長補佐があけば係長が上がる。これはもうずっと下から連鎖反能になっているんですから、それは現実にあるわけです。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、同期生次官になると同期の局長はやめさせられる、これはこの間新聞記者の方でおっしゃった方があるんですが、こういうことがあるんですが、こういうことはどうお考えになりますか。それは一体どこに問題があるのか、なぜこういうことになったのか。あなたに聞くのがいいかどうかわかりませんよ、その点は。
  20. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 非常に同情深いお尋ねですけれども、率直にいって、私にはわからぬと申し上げたいですね、なぜやめなければならぬのかということが……。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは官房長官お尋ねしたほうがいいかどうかわかりませんけれども、副長官は、昨年参議院の議運で、加瀬委員が質問されておったときにお聞きになっておったようですし、それからこの間も、新聞記者皆さんがおいでになったときにお聞きになっておったわけですけれども、どうですか、同期生次官になったときに同期の局長がなぜやめなければならぬのか、やめさせなければならぬのかという点をお聞きしたいのです。
  22. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 正直に申し上げて、私にもその心理はちょっとわかりません。わかりませんが、察するに、やはり大学を同じ時期に出てまいりまして、同じ時期に局長になり、さて次官は一人しかおりませんから、そのときに、あとに残った同期生の連中に対して非常に気まずい思いをさせるであろうという大臣の配慮、それもあろうかと思います。また、本人にしましても、そこまでいけば、自分としてはもう後進に道を譲る時期ではないかという自主的な判断もあろうかと思います。いろいろ要素があろうかと思います。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、大体同期生がいつごろ次官になるであろうかというのは、同期の人たちはみなわかっているわけですね。同じ年次の中から次官になるのは大体いつごろだ、その中のだれがなるかはまだわかっていないけれども、しかし、何となく、あと三年たてばおれの仲間から次官が出る。そうすると、おれは三年たてばやめなければならない。だから、それなら、いまのうちからやめて行く先を考えておこうということになって、結局現職時代から癒着が続き、そうして、次官になったとたんに、ほかの局長をやめさせる。民間に行く者は民間に行く、公社公団に行く者は行く、こういう形になっているわけですね。ですから、それが四十八歳の次官でなくて、五十五歳なり六十歳になれば、同期の人たちはそれにつられてこう行くということになるのではないかという気が実はするわけですけれども、いま木村長官が言われたように、私もそう思うのです。同じ年代の者が次官になると、同じ年代一緒局長におるのは気まずい、やりにくいという親心といえば親心官僚機構といえば官僚機構ですが、これはやはりどこかの大臣が、そういうことはやめろ、おまえら有能なんだからおれ、こういうふうなことにならないのですか。これは荒木行管長官にお聞きしたほうが適任ではないだろうかと思うものですから、荒木行管長官、あなたのところでかりにそういうことがあるとするならば、あなたはどうお考えになりますか。
  24. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 私も人事院総裁のまねをするわけじゃございませんが、合理的な根拠に立ったお答えはできない。いわばわからないと申し上げたほうが正直なお答えだと思います。私も役人で長くおったものですから、昔を思い起こしてみますれば、先ほどもちょっと話が出ましたように、主管大臣からやめろと言われたから、肩をたたかれたからやめるなんということよりも、いわば同期の者が次官になったら、むしろ次官がやりやすいように、自分としても局長にもしてもらっているんだから、一応役人としては行き着くところまで行った。同期の者が引き続いて二人も三人も次官になれっこない。また、制度上もそういうことはあり得ないということで、みずから身を引くような気持ちで引き下がることが常識的であったように思いますがね。むしろ人間関係のことでございまして、制度論よりは、そんなような一種の人情論で動いておる、こういうふうに私は理解しております。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ちょうどいいところに来ましたから、行管長官に引き続いてお尋ねしたいのですが、五十前後で優秀な人材が、せっかく国がめんどうを見て、知識を得させ、なおかつ外国にも行かして、十分な、一番仕事のできる時代に、同期の人がそうなれば自分はこういかなければならない。こういういまの状態というものをいいと思っているか、悪いと思っているかという質問、これはたとえばの話ですけれども、どうされたらいいかということについて、どうお考えになりますか。
  26. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 これまた、どうもお答えに困りますが、思いつきでしかございませんけれども衛生施設その他が発達いたしまして、人間の寿命がだいぶん延びたと統計的に知らされておるわけですが、定年制ということをかりに考えたといたしまして、戦前に比べれば年齢はある程度上回ってもいいのじゃなかろうか、制度的に考えれば、そういうことにも結びつくかと思います。個人的な見解ですけれども定年制というものは公務員にはあったほうがいいと思いますけれども年齢の選び方については、五十代前後でやめなければならぬということがはたして現状に即するかどうかという点については、ある程度年齢を引き上げるという考え方もあり得るんじゃなかろうか、制度的にいえば、そういうことで解決するほかには、いまのお尋ねに関連してのこととしてはちょっと思い浮かびません。ただ、戦前のものを援用するわけにはむろんいきませんけれども技術者俸給の上でも——技術者は原則として、以前は事務次官にはなれませんでしたけれども事務次官よりも二級俸ぐらい上にまで俸給表そのものが、勤続年数に従って、定期昇給抜てき昇給を含めて、上がり得る仕組みであったと思うのであります。したがって、そういう特殊の専門技術者のごときは——同期の者が次官になったらやめたほうがいいんだという人情論でしかないとさっき申し上げましたが、だといたしましても、特別の考慮が払われてしかるべき課題がそこにあるのじゃなかろうかというようなこともあわせて、考慮の余地はあろうかと思います。思いつきでございますから、あまり合理性を持っていませんで申しわけありませんけれどもお尋ねについては一応そういうふうに思います。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いま問題は、天下りか天上がりか、とにかくけしからぬ、けしからぬということがいわれているわけですね。人事院総裁も、何と言ってくるか知らないけれども、まあ各委員会を回って、はい、はいと言ってきているんですね。毎年同じことが繰り返されているわけですね。しかし、どこかでこれを破って、根本的な問題にメスを入れない限り、いま荒木行管長官お話を聞いておっても、そう問題の解決にならないように思います。これはやはり問題をどう解決していくのか、どう国民の批判にこたえて、癒着をなくす人事管理というものをやっていくか、私は、こういうことをそろそろ積極的に考えなければならぬ時期に来ていると思うのですけれども、何かこれについての考え方、これはどうですか、人事院総裁のほうから聞きましょうか、何かお考えがあるようですから……。
  28. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いま癒着からお話が始まりましたけれども、実は役所というものがある種の統制力とか監督権を持っておる以上は、癒着というものは絶対に免れられない。ただし、この間も論説委員の方のお話にありましたように、許可認可のようなものはなるべくはずしてしまう、そういう接着剤になるようなものは除いていくべきだ、これは一つ方法だと思いますが、しかし、幾ら許可認可を除いたところで——役所民間との関係というものは、これを除いてしまったら役所存在意義がなくなってしまうところまで話がつながると思うのです。したがって、そういう環境のもとにおいて、公務員というものはいかなる態度、いかなる意識で働くべきかということに尽きるので、この間もちょっと触れましたように、悪いことをすればすぐ刑務所行きだ、懲戒だと、しょっちゅうにらみをきかしていただいておりますれば、その癒着から来る不正というものは、その職場で防げなければならぬはずです。そういう刑務所行きや懲戒のほかに、この制度でいえば、ほんとうにまじめに一生懸命やっておった人も、われわれの行き方でいえば、ポストが悪かったということでこれをアウトにしなければならぬ。そこに本質的にこの制度問題点を持っているものですから、なぜこういうことになったかというと、要するに、公務員に対する不信感、これは残念なことでありますけれども、今日新聞紙上を見ると、それをあおるような事態が日に日に出ておる。ほんの一握りの、あるいは、ほの字のつく人だとか、一握りの人のやったことが、全体の公務員に対してどれだけ大きな不信感をあれしているかということを考えて、やはり職場における服務規律確立公務員に対する信頼の確立ということがあれば、ほんとうはこういうぎこちない制度はあってはならないものじゃないか。その根本はやはり根本として、ここに行管長官もおられますが、この間委員会報告をお出しになった御本家でいらしゃいますけれども、そういうところで政府もわれわれも一緒になって、その根源のほうに力を尽すということが根本的な一つ方法ではないかというふうに考えます。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 では行管長官に次にお尋ねいたしますが、公社公団、公庫、事業団特殊法人に対する問題というのは、いまだいぶあちらこちらに出ておるのですが、行管長官は、どういうふうにこれを認識されておりますか。
  30. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 公社公団事業団特殊法人といわれますものは、民間企業は、営利追求関係でありますれば、商機をとらえて会社としての利益を上げるように、損失を少なくするようにという敏捷な行動神経が発達しておる。役所は、どうも判こ行政能率が悪いと一般にいわれる。判この多寡によって能率が上がったり下がったりするものではないとむろん思いますけれども、やり方によると思いますけれども、しかし、法治国日本において、法律に基づいて、法令に基づいて国民に奉仕する、したがって、国民の血税を国民のために活用するという意味においては、営利企業と違った厳粛さ、慎重さが要請されることは当然である。したがって、本質的な差異がそこにある。あるけれども官庁組織内の執務態度、慎重さ、厳粛さというものを持ちながら、そうして、民間企業の敏捷な改善、改革に勇敢であるというふうな仕事に対する態度長所、それを合わせて二で割ったようなものをつくるならば、特殊なものにつきましては、特殊法人公社公団事業団などという組織のもとに、両方の長所と申しますか、国民本位考えての長所が期待されるであろうという組織が、特殊法人公社公団等の設置された基本理念であろうと思います。そういう意味において、天下りをかりにとりましても——天下りというそのことが俗語であってどうかと思いますが、天下りといわれることだけについて考えても、純粋の営利企業に対するものとは、いささか考えが違ってしかるべきではなかろうか、それだけの差異があるのが当然な本質を持っておるのじゃないか、こういうふうに理解しております。
  31. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、いまの公社公団、公庫、事業団、特殊会社等の人事を見たときに、いまの現状でいいかどうかという点についてお尋ねいたします。
  32. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 これはどうもお答えする能力がないと申し上げざるを得ませんが、ただ、新聞報道等を通じまして、横すべりをしたりなんかして、いつまでも公社公団等をかせぎ回っておる、そういうはなはだしい例が出ますけれども、これは度が過ぎればいかがであろうかという感想は持ちますが、人間能力の問題、その団体に適任であるかどうか、就任して本来の職責を果たしておるかどうかということを中心に、国民にかわって評価し、信賞必罰を厳にして、監督すべき当該事業団等の監督庁の立場において初めてはっきりしたことが申し上げられるのではないか。一般論としては、私がさっき申し上げたように理解しております。
  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あなたの所管をしておる、監督権のあるところでないと言いにくい、というようなことではないだろうか、こういうことですね。  それじゃ一応内閣を代表する副長官お尋ねいたしたいのですけれども、いま公社公団、公庫、事業団等に対する問題というのは、これは第二官僚組織だというふうに私は理解するわけです。民間に行くよりももっと楽で、うまみのあるところはどこか、民間に行けばそれだけ激しいわけでありますから、そうして、実績が上がらなければ、そう顔だけでいける業界だけでもないわけですから、やはりある程度力量というものが考えられなければならないと思います。しかし、公社公団事業団ということになれば力量も何もないわけですね、極端な言い方をしますれば。いままでやっていたことを、次にやっておればいいわけです。何となれば、実はそういう人事機構になっておるわけですね。役員が何人、十人といえば、その役員の割り当てが、大蔵省は何人で、何省は何人で、何省は何人だ。これが一つのルールにしかれて、実はそのとおりやられておるわけですね。官房長官、さっきも勧奨退職の事例が出てきましたが、その事実は御存じだと思うのですが、いかがですか。
  34. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 公社公団転出する本人から申せば、そういうことが言えると思います。元来、公社公団等の性格そのものが、先ほども行管長官から申し上げましたとおり、業務の本質は、やや国家の行政に近いものであります。しかしながら、予算制度その他に縛られないような民間企業の利点を取り込んだような一つの機構をあんばいするという意味でつくられたものでございますので、したがって、どうしても官庁の延長になりやすいという点は、これは否定できないと思います。しかしながら、そうかといって、そこに転出いたしますのが、官庁から割り当て的に転出するものであっていいかどうかということは、これは別の問題でございます。そういう意味におきまして、内閣としましても、昭和四十年代から、もともと法律によって、その理事ないし監事その他役員が、所属長官認可だけできめられることになっておりますけれども、それだけでは全体の人事配置上まずいというので、一々それを官房長官承認に、事前協議にかけております。したがいまして、内閣といたしましては、そういう意味において所属長官から相談を受けましたときに、協議を受けましたときに、それを一つ一つ審査いたしまして、適正かどうかということをきめるわけでございますが、なかなか私どもの微力のいたすところ、私どもが庶幾するような目的を果たしておりません。これははっきり申し上げていいと思います。ただ、その際にできればひとつ民間の方々、適材をそういう公社公団に注入したい、採用したいという気持ちでやっておりますが、事実について申し上げますと、そういう場合に民間にその選考をお願いしますと、なかなか適正な人材を御推薦なさらないというようなこともございまして、事実上まだまだ私どもの庶幾するようなことには至っておりません。
  35. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 おっしゃるとおりの理由で設立されておると私も思うのですけれども、その設立の趣旨に沿っていない現状だということはお認めになっておるわけです。ですから、その設立の趣旨にこれから沿おうとしても、それはおそらく沿うことができない結果を持っておるのだと私は思うのです。それなら現状に合わせる批判のない方法考えるべきであって、現状はどうしてもこれは第二官僚的なものにならざるを得ない。それを破って、もっと理想的な、民間の人を持ってきてやらせるだけのものになっていないし、また、民間の人が入ってきたからといって、そんなに自由奔放にできる機構になっていない。そうだとすれば、やはりいまの機構の第二官僚的な人たちがおるのだというものの認識をとるならば、それは根本的にその点をもう一回——理想はけっこうです。理想はけっこうですが、一つ公団を見ても歴史が浅いから、そこから成り上がってきて役員になるよりも、上から押しつけて、関係のところでなるということになっておるものですから、やはりそれは片方でいまあなたが言う理想の型を考えながら、片方で現状に合ったものにしなければ、これはひど過ぎるということがいえるわけです。  なぜひど過ぎるかというならば、私、ここに一つの例を申し上げます。たとえば国鉄を見てみますと、国鉄は四十二万人おるわけです。この国鉄の総裁が四十七万円ですね。片方、四十五人しかいない環境衛生金融公庫の理事長が四十一万、四十五人を監督する人ですよ。それと四十二万人を監督する国鉄総裁、これは極端過ぎるじゃないか。どう思いますか。しにくい答弁だと思いますが、どう思いますか。
  36. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 どうもお答えしにくい御質問でございますが、国鉄の人的機構、それから、いま御指摘の環境衛生金融公庫の人的機構、私はあながち人数によるものではないと思いますけれども、ただ、その仕事の重要性その他からいって、ここに差等がついておると思います。ただ私、環境衛生金融公庫の理事長の待遇が、それほどであろうとは、実はいま初めて承ったようなわけでございまして、たいへん申しわけないのですが、これはまた後刻調べてみたいと思います。
  37. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 言いついでですから、もうちょっと申しますが、理事長が五十六歳、理事が五十五歳、次の理事も五十五歳、それからもう一人の理事が五十三歳、それから監事と、こうなるのです。それで理事長は東大の法科の十二年、筆頭理事は十三年、その次は十四年、その次は十五年、監事は中大と、こうなっておるわけです。ですから、東大の年次に従って理事長、理事三人を取り、それからあとは私立になっておるわけですね。ですから、これが私は一番典型的な例だと思うのです。  それから理事長の場合はどうかといえば、次官でおやめになって——これもやはりお若いですよ。五十二歳でおやめになったわけですから行くところがない。そこで社会保険診療報酬支払基金の理事長をおやりになって、一年でおやめになって、退職金をもらい、その次は国民休暇村の理事長になって、一年でおやめになって退職金をもらい、そうして、いま環境衛生金融公庫の理事長です。四十五人しかいないわけですから、これは仕事ではないのです。私は、仕事の重要度によって給料がきまっておるなら大賛成です。そうではないのです。われわれは役人でないわけですから、政治家の立場からものを見て、いくら役人の出だからといって、政党政治になっておるわけですから、やはり国民の代表としての政治家が、役人の行き過ぎは行き過ぎとしてチェックしなければならない。  それから、これは優秀だというものについては、やはりそれを育てていくという形に政治家が何とかしない限り、あるいは各大臣が何とかその気にならない限り問題は解決しない。それは自分時代にものを直そうとしても、総裁も副長官行管長官も、お見受けするところ東大の御出身ではないかと思いますので——私がいつか東大のゴルフ場の問題を取り上げてみたら、そこにいらっしゃる会計検査院の方までみんな東大の御出身ばかりで、検見川のゴルフ場を見て、これは直らないと思ったのですが、しかし、行き過ぎたものは直したようですが、これはやはりいまのは一番極端な例ですよ。ほかはそうなってはいませんけれども、極端な例ですが、その点をもう少し、いまの批判というものは、そんなにただ批判だけではないのだ、何とかこの際問題として解決しなければならないというお気持ちになっていただきたいと思うのですけれども、いま副長官は初めてこの問題をお聞きになったと言われた。それは公社公団事業団等に対する問題というのは、現役におったときよりも重い仕事をしておるなら、給料もいいと思うのですが、重い仕事ではないのです。仕事の内容は、私よりもあなたのほうがよく御存じだと思いますが、大体原局に相談しなければやれないようなものなんです。医療金融公庫でも何でもそうなんです。ですから、それは別に次官をやられた方でなくても、課長がぽっと行っても理事長がつとまるようになっておるわけです。なっておるわけですけれども、そのいすをつくらなければいかぬわけです。割り当てのあるところはいいが、国会とか行管とか人事院とかいうのは、お年をとっても、途中でそういったところにはけ口がないですから、人事院総裁は苦労しておるけれども自分のところで監事でも理事でも一口入れ込むということはたいへんな政治力だろうと思います。それを取るか取らぬか、それがまたそのときの腕になるのでしょうけれでも、しかし、そういうことがいいのかどうかということで、もう一度公社公団事業団の点について、官房長官からひとつ、どうお考えになっておるかということをはっきり言っていただきたい。  それからもう一つ高級公務員全体が天下りの問題で批判されておるわけですから、それを根本的に解決するために何かひとつお考えいただきたい。この二点です。
  38. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 公社公団事業団の役員の給与が非常にアンバランスであるということを御指摘になりましたけれども、一応各関係法律によりまして所属長官認可をいたしまして、それを大蔵大臣に協議するということになっております。できるだけの調整ははかっておるわけでありますけれども、なおその他について、非常に不合理な点がございましたら、今後改めてまいりたいと思います。ただし、ある場合におきましては、民間から有能な人材を受け入れますために、特に人的機構に比較して高くきめる場合もあろうかと思います。そのときには具体的にそれを審査するわけであります。  第二の点でございますけれども、先ほど人事院総裁からいろいろお答えになりましたとおり、やはりもとを正さなければ天下りの弊というものはなかなか直らない。しかも、そのもとは、結局公務員制度全般のあり方、国の行政制度全般のあり方というものを今後一体どういうふうに改正すべきかということになってくると思います。したがって、たとえば、天下りということばはどうかと思いますが、それを何らか弊害がないようにするためには、もともと行政制度そのものを改正しなければならない。これは行政改革を含めての問題ですが、したがいまして、公務員制度にこれを限れば、たとえば年金制度あるいは定年制その他、いろいろ具体的な問題があろうかと思いますが、そういう問題を含めました総合的な行政制度、また公務員制度の改革というものを今後人事院を中心として考えていきたい、こう考えております。
  39. 久野忠治

    久野委員長 佐野君。
  40. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、この前各新聞社論説委員の方々に質問をしたのですが、そのときに、実は人事院総裁はじめ政府側に質問したかったのですが、時間の関係上できませんでしたので、きょうあらためて質問してみたいと思っております。そこで、いま勝澤理事の質問を聞きながら、幾多の点で感じたことがありますので、逐次御質問してみたいと思います。  まず第一に、行政管理庁長官も、それから佐藤人事院総裁も、何か天下り人事というか、天下りの実態というか、そういうものについては、もう手もつけられないような、どうにもしようがないような印象を与える答弁をしておられるのですね。たとえば、五十歳で次官になって、一人がやめればあとのほかの人たちはやめるということは避け得られない宿命であり、それが官界の秩序を保っておるものである。それが日本の現在の行政機構の中における必然的なものであるという位置づけ、こういうものを観念的に認めておられるような答弁をいま聞いたのですが、この点、私の見解が誤りであるかないか、どうかお二人から、簡単でけっこうでありますから、御答弁願いたいと思います。
  41. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 あきらめに徹しておるわけでは絶対にございません。しかし、こういう実態というものは、なかなかむずかしい条件になっておるということを強調いたしたわけでありまして、したがって、それをどう打破するかといえば、やはり長くその地位に公務員をとどめるということから、たとえば下の人もあまりくさらないようにという方法考えなければなるまい。いまどなたもおっしゃることではありますけれども、たとえば長期の人事計画をもう少し精密に立てられないものかというようなことも一つ考え方でございましょう。そういうふうに検討の余地は十分あるのじゃないか。ですから、決してあきらめてはおりません。
  42. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 私もいまの人事院総裁お答えと似たような気持ちでおります。ただ、天下りということで表現されますが、役人をやめたものが他の職につくことを天下り一般的にマスコミでは報道しておると思うのですけれども役人といえども日本人であり、人間である。めしは食わなければならない、健康である、また能力も一応認められて、ある職場に来てくれと言われてオーケーと言って出ていく。このことは一般的に非難されておる形ではないと思うわけですけれども天下りということを悪い意味でのニュアンスで報道されておると理解しますけれども、それは在職中から何かコネをつけて、無理往生させて民間会社に天下るとか、あるいは公団等につきましては、そんなことは原則としてないと思われますけれども——と申しますのは、公団公社等においては、私、さっき申し上げたような制度でございますから、できれば役人上がりでなしに民間の有能な人で、しかも、半ば役人的な、全国民に奉仕するような公正な気持ちを持った人があれば好ましいということが、本来の期待された主眼であったと思うのですけれども、景気のいいときには相当の会社の将来社長にでもなりそうな希望を持った人が、安い月給で来るはずはない。四十万とか四十何万とか、給料の低いほうから見れば相当の給料とも思われますけれども、大会社の社長さんが幾ら取っておるか知りませんが、もっとたくさん取っておるらしいと聞いております。したがいまして、本来期待された民間の有能な、しかも特殊法人に適任者であるという人が、給与関係に目がくれる限りにおいては来手がないものですから、役人上がりが数多くいわゆる天下っておるという現象だろうと思います。天下りましても、それが悪いというのは、何か悪いことをするから悪いといわれるので、悪いことをしなければいいだろうということを、監督する立場の者の目が届くように任免ちっちょくを厳粛にやるように、そのことをどうすればいいかということになりますと、これはどこで考えるかよくわかりませんけれども人事院総裁もまたこれを考えていただく一人じゃなかろうか。バトンタッチをしてしまったようなことを申し上げますけれども、そういう考え方に立って、政府全体、人事院も含めまして十分考えていかねばならない課題が伏在しておるのではなかろうか、そういうふうに思います。
  43. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、人事院総裁行政管理庁長官とでその見解に若干の差があることは当然だと思うのでありますけれども人事院総裁は、公務員制度全体をながめて、百三条の規定を厳格に実施しようとする。この前は、これができた昭和の二十二、三年ごろの戦後の状態と今日の状態とは違うから、その当時といまとでは考え方が違うと言われておりますけれども、その当時の考えといまの考えとは違うといっても、現実はやはり営利事業に高級官僚が就職することは弊害があるということについては、全体的な世論はやはり間違っていないと判断しているわけです。だから、あなた方のとっておられるこの百三条の規定を厳格に適用してもらえないかというのが、一般的な世論ではないかと思います。ところが、あなたはそれに対して非常に消極的である。消極的になることは、さっき言った、高級公務員が一定の年齢になり、同僚が一定の地位につくことによってみずから職場を去らなければならない、それは気の毒ではないか、その問題がどうなるのか、それらの関連の中でそれらを救済する方法として、そういうこともあり得るのではないかという考え方があなたの根底にあるわけです。根底にあるからこそ、そういうことを言われると思うのです。私は、それではこの問題の解決にはならないし、むしろ役所に働く多くの人たち、いわゆる高級官僚と称される人たち、あるいは高級官僚になり得ない人たちを含めて、希望のない状態を、人事院総裁であるあなたがみずからこの表現の中に与えておる、こう率直に言わざるを得ないと思うのです。だれだって、なれた職場を離れて、まだ四十五や五十でもってほかの職場へ行きたいと思う人がいますか。やはり六十とか六十五になるまで安定した職場の中で働いていきたいと思うのが人間の本能じゃないですか。それを、四十五くらいになったら、この次はおれはどこに行こうかと思って、そのことにのみ努力して——とまでは言わないけれども、三分の一なり四分の一なり頭を使わなければならぬような制度にいまなっておるんでしょう。それを何とか変えていき、それらの地位にある公務員人たちを何とか守っていこうというのがあなたの立場でしょう。それをあなたは是認してしまって、四十五歳になったらやめてもやむを得ない、やめて新しい職場をさがす以外にいい考えはございませんでしょうということは、非常に消極的であり、しかも、やめていく人たちは、天下りという名のもとに行っても、利用価値があるときはいいでしょう、民間に天下っても、その会社がその人を利用価値がないと判定したときには全くみじめなものですよ。そういう状態に——高級官僚の人たち、能力のある人たちはある程度いいとして、一般下級の人たち民間会社へ移っていった人たちはそういう事例が間々あると思う。私たちはそういうことを考えたときに、何とか国家がその人々に対して公務員としての技術なり能力なりを与えて活用して、国家の行政の能率をあげるために働いてもらおうとすれば、人事院総裁としては、これらの人たちが安定し、その職場に、役所に長くつとめることができるような施策について積極的に取り組まなければならぬ、あなたのおっしゃることはむしろ逆ではないかと思う。そうして、そういうような考え方に基づいて百三条を解釈されるとすれば、当然あなたの考え方は、できるだけこの解釈の幅を広げて、民間の適当なところへ、さっきの勝澤さんの話じゃないけれども、適当なところへ押し込もう。押し込むことのできるその省の大臣なり、あるいはまた、それぞれの庁の長官は、それについて最も能力のある人たちと高く評価され、感謝される。そんなばかなことはないと思うのです。その職場に働いて実績が高まることがほんとうにその長官の評価を高からしめることになる。いまはそうではない。やめたあとの生活のめんどうを見ることのうまい人が有能な長官だということにならざるを得ない。そういうことについて人事院総裁がこの議運の席上で話をされるということは、これは公務員全体の不幸ですよ。それから、もらうほうもたいへんですよ。喜んでもらっておるのではない。もらうほうは、それをもらわなければ仕事にならないし、当てはめる長官なり大臣なり次官が言ってくるから、一人とってくれと言われるから、いやだといってとらなければあと困るだろうと思うから、無理してとる。とった当時はちやほやされるが、大臣がかわったり、役所の体制が変われば、だれが相手にしますか。相手にしたくとも、とった会社はできないですよ。そういうことを考えたときに、総裁はもう少し変わった見解を言ってもらいたいと思う。
  44. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私は口がへたなものでありますから、逆にお受け取りになったのかとも思いますが、いまのおことばは私の考え方とほとんど同じことでございますから、それをもう一ぺん復習さしていただきまして、そこはいかぬというところがあれば御指摘いただきたいと思います。  そもそもの発足点は、公務員法百三条の問題から話があったと思うのですが、いまおことばにありましたように、できたときはむしろかわいそうじゃないかという御批判のほうが強かったのが、世の中が変わって、最近はむしろ甘過ぎるという方向にいって、これは諸般の情勢からいって、そういう世論が出てくるのももっともであります。国会の御意向もありますから、私どもとしては、当時に比べれば格段のきびしさをもって今日臨んでおる。今後も日に日にもうちょっと締めなければなるまいという気持ちで臨んでおるということは御了解願いたいと思います。  そこで、この間論説委員各位のお話にも出ましたように、これは、しかしながら、ほんの一つの手段にすぎない、問題はもっと根本にあるだろうということを論説委員の各位が指摘された。いま先生の言われるのも、そういうことに触れてのお話です。そこで、私も望ましいことは、長くその人の腕を官界に公務員として発揮してもらいたい。それにはどうすればいいのかということで、先ほど来いろいろ申し上げたわけであります。  したがいまして、いまのおことばにありました、長く安定させる方法はどうか、まさにそのとおりなんです。いまの、たとえば民間に参ります人たちも、もう公務員がいやになった、会社のほうがいいといって出ていく人は私の知る限りはほとんど一人もおりません。後進に道を開くために、君、気の毒だがひとつ退職願いを出してくれぬか、そうすれば退職金もこれこれ割り増しになるよと言われて、泣きの涙で出ていく人が多いわけです。後進に道を開くという問題がそこに一つ出てくる。道を開いてもらわぬことには、先ほど来の、下積みの人はみなうっせきしてしまうじゃないか。これらの人も含めて安住させるためにはどうしたらいいか。そこでたとえば人事計画も必要でありましょうが、いま安住させるということばがありましたから、ついでに、かねがねの宣伝をさせていただきますけれども、給与の問題なんかも、毎年せめて完全に実施をしていただいて、だんだん改善してやっていただきたい。  この間、論説委員の方が、某週刊誌の記事を引用されまして、四十五歳過ぎると公務員のほうが得になるというようなことを申されましたが、われわれ公務員の賃上げを念願しておる者にとっては、これはたいへんなことで、お許しを願えれば、この機会に御理解をいただきたいと思うのですけれども、あれは、民間の人は、採用試験といわれるわれわれのやっております国家公務員試験というものはなしに、べたで入った大学出の人をつかまえ、こっちは上級職の試験を通った人をつかまえて比較しているんですから、そこに比較上の問題があるということ。それからもう一つわれわれをして言わせていただきたいのは、それでは高校卒の人で一ぺん比べてください。高校卒で比べていただくのが一番公平な比較になる。それでなおかつ公務員が高いといわれたら、われわれの給与勧告はもうできません。われわれはそういうところまでちゃんとデータを整えてやっていただきたい。われわれとしては、確かに百人以上の企業規模ですから、大企業に比べて公務員の給与はいいとはいえませんが、百人以上の水準には合っている。また、それに合わなければ合わせていただくのがわれわれの念願である。あの記事のことは、ちょうどいい機会でありますから、一ぺん弁明させていただいて、御声援をお願いしたいと思います。
  45. 佐野進

    ○佐野(進)委員 次に、私は行政管理庁長官にお伺いいたしたいのですが、いまお話がいろいろあったわけですが、お聞きしておって感じたことは、いわゆる公社公団は必要だからつくったんだ。これはまあ当然のことです。そのつくったという形の中においては、適切な指導者がいないから高級公務員に行ってもらう、したがって、それがさも当然であるという認識において御答弁をなさっておる。ところが、政府は、公社公団を設立するということについては、このところ非常に消極的な姿勢を示されている。行政管理庁長官は非常に積極的な姿勢を示されておりますが、ここのところ行政管理庁長官としては、何か政府全体の姿勢とむしろ逆の立場にお立ちになって、ちょっと印象が合わないような気が私はするわけです。そういう点から二、三質問してみたいと思うのです。  三十九年の二月二十五日の衆議院の議院運営委員会の議事録を見ますと、当時の山村長官のおことばがいろいろ出ております。結局、高級公務員をもって公社公団の運営に当たらせる。それは、その公社公団というものが、現在の日本経済並びに日本の政治の現状の中で、そういうものを設置し、政府のいわゆる外郭的な行政の肩がわり、民間の資金導入という肩がわりの中で必要だということで設けられたのですが、今日の段階においてはまさにその域を逸脱して、いわゆる高級官僚の横すべりというか、天下りというか、あるいはおば捨て山というか、その人たちの将来の身分を確保し、生活を安定させるために公社公団が設けられてきているような状況になりつつある。したがって、天下りというその現象、ことばが、民間とまた違ったニュアンスをもってこれをとらえなければならないような形になりつつあると思うのです。そういう面からいたしますと、公社公団というものを設立した当初の考えにやはり戻らなければいけない。戻るといっても、公社公団をつくるときに、そのことが意識の三分の一なり三分の二にあったろうけれども、それはその当時における行政の急激な膨張に対応するための一つ制度だったと思うのですが、今日はそうでないという形の中において、いわゆる高級官僚の将来への生活の安定の基盤になっておる。それが多くなったのですね。公社公団がずっと多くなってしまって、多くなることは単にそれだけにとどまらなくなった。たとえば、高級官僚がやめて一つ公団へ行く。公団へ行くならば、任期は五年か六年、四年のところもあるけれども、普通常識からいって、せいぜい五、六年たてば、それこそ後進に道を譲ってゆうゆうたる生活に入るのが当然と思う。ところが、そうではなくて、四年か五年たつと次の公団へ行く。またそこで四年か五年たつと次の公団へ行く。この間海外経済協力基金をおやめになった柳田さんのように、七十以上ですか、それまで公社公団を転々とお歩きになって、そのたびに退職金をおもらいになって、いわゆる優雅な生活を、たいして困らないでおやりになっておる。そういうのが上にずっとおるわけです。おるから、新しい高級官僚は、おやめになってもそこへ入れないから、新しい公団をつくるということになる。つくってみずからそこへ行く。新しく公団をつくっても、それに直接は行けないから、まずほかの公団から副理事長クラスが理事長になってきて、そのあいたところに役所の人が行く。まさに日本の行政機構の中における公社公団の複雑性というものが、政府の外郭機関という名のもとに、全く国民の利益に合致するがごとき印象を与えながら、特定の人たちの利益を守る機関に変化しつつある。もっとも全部が変化ではないけれども、全く不必要に変化しつつある。そういうことに長官は全然目をおそむけになって、その努力をされるということなくして、是認されて、やむを得ないんだ、そういうものがあることによって人事管理がうまくいっているような印象を私は受けるような答弁をなされておられたわけでありますが、これは長官としては、将来ともそういうようなお考えでいかれるのかどうか、前のそれぞれの長官の見解ともだいぶ違ってきているようにお見受けいたしますので、御見解をこの際承りたいと思います。
  46. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 私も表現があまりじょうずでございませんので、御指摘でございますが、別に御指摘のような気持ちであるわけではございません。公団というものは、冒頭に申し上げたような趣旨でできたであろう。それは一つ制度論としては有意義であろうといまでも思います。しかし、現にあるものがすべて本来の趣旨に名実ともにかなっておるかどうか、その評価は別途なさるべき課題であり、私の守備範囲ではちょっとはっきり申し上げられない立場だものですから、その点に触れなかっただけであります。  それからさらに、一つ二つ三つと横すべりをしながらやっている人のことなんかが新聞にも話題になったことは、私も承知しております。そのことは先刻も触れました。それは弁護的に申し上げれば、その具体人が非常に有能であって、引く手あまたでそういうふうになったかと思いますが、現象的に見れば、本来の制度論からいえば、そんなことは当然予想されていなかった現象ではなかろうか。さっきも触れましたように、できれば石田国鉄総裁のように、月給なんか安くても一生懸命やってみようというふうな人がおってくれれば願わしいことだと思いますし、また給与も、ほんとうにだれが見てももっともだ、民間の優秀な人が誘引できるようなことになし得るものならば、それによって本来の趣旨にかなうような人材が得られるであろう。そういうことにも問題はあろうと思います。  ただ、繰り返し申し上げますが、現在ある特殊法人が、全部理想的な、名実ともに備わった状態であると申し上げておるわけではむろんございません。それで、たてまえとしましては、すでにあるもので使命の終わったものは、これを解消する。新設するときでも、類似のものである場合は既存のものを吸収合併するような形でよりよきものにする計画内容ならば認めるというたてまえで査定をいたしておりまして、四十四年度の予算に関連しましても、四つ五つ特殊法人の要請がございましたが、一つだけにしぼったわけでございます。これは、すでに御案内のとおり、宇宙開発事業団でございますが、これは、そういう事業団をつくりまして国民的なビジョンにこたえ、外国の宇宙開発、技術開発におくれをとらないように、ともあれ実施機関をスタートさせることが急務であるという政府なり国会方面の御要望等もあると承知いたしまして、これだけを認めたわけでありまして、ただ、おば捨て山をつくることが必要だという角度から認めたわけではございません。今後といえどもその基本方針は一貫してまいりたいと存じております。
  47. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は官房長官に去年の速記録を見ながら——官房長官でこの問題を参議院で取り扱っていながら、今度は官房長官の取り扱いですから、どうも言いにくいのですが、やむを得ないことですからひとつお答えを願いたいのですが、さっき勝澤理事からお話がありましたように、私は参議院の速記録をずっと見せていただきますと、副長官はいろいろな面で非常に良心的な御答弁をなさっておられるのでありますが、これについて政府が去年からことしにかけて具体的な対策をお立てになったということは聞かない。さっきいわゆる公社公団の横すべりについてはお話がございましたが、これについては去年から、というよりも、衆議院においては三十九年当時から毎年のように問題になっているわけでありますが、ことしもこれがまた議論に終わってしまうと、来年になるとまた同じように議論をしなければならぬというような形にならざるを得ないと思うわけですが、どのようなお取り組みをなさったか、その点ひとつお答え願いたい。
  48. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 制度的に著しい改善を見たとは言えません。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、公社公団の人事その他につきましては、各所属大臣にまかせることなく内閣で統一をとっております。その結果、たとえば長期勤続者と申しますか、長期留任者は、これを極力制限するという趣旨のもとに、四十二年現在で申しますと、八年以上つとめておる者が六十四名でございましたが、本年三月一日現在においては約半分の三十二名に減じております。こういうのも一つの実例でございます。その他、民間から、あるいは部内から役員に昇級する者をできるだけ出すようにということで各所属長官にも申しております。しかしながら、その実績を見ますと、必ずしも私どもの期待したごとくいっておりません。わずか五%でもそれが上がったという具体的な実績を持っております。また、制度的に申しますと、いま公社公団の問題が出ましたが、この天下りの問題は、営利会社に対する転出の問題にいたしましても、人事院総裁に各所属大臣から申し出るとき、できるだけ所属大臣においても自粛するようにというようなことを奨励しております。そういうようなことで現実の成果がどの程度あがりましたか、これは私の口からは申し上げることははばかりますが、著しい改善は皆さまにお認め願うまでにはいきませんけれども、漸次改善しつつある。根本的な改善としましては、これは行政制度公務員制度のもとから正さなければ根本的な解決はむずかしかろう、こういう考えのもとに、すでに政府部内では、その根本的改正の方向に動きださせておる次第でございます。
  49. 佐野進

    ○佐野(進)委員 官房長官根本的な改正に動きだそうとしておる、こういうことですから、あまりこの問題は長く質問することもどうかと思いますが、ただ、さっきの人事院総裁官房長官もそうですが、努力した努力したということは、具体的に数字になってあらわれるのが努力した成果だと思います。ところが、ここにある人事院から出された資料によると、昭和三十九年、いわゆる衆議院の中でたいへん議論がやかましかった翌年の四十年が、三十九年が百三十三件で百二十八件ですから若干減りました。しかし去年はたいへんやかましかったが、その四十二年で百二十三件だったのがことしは百三十七件にふえておる。数字がふえていて努力しました、一生懸命やりましたと言っても、これはだめです。数字が減ればいいですがね。だから、そういう点については、やはり人事院総裁が先ほど来お話しになっておることと、そういう実績との中において若干差があるということ。それから、官房長官がそうお話しになっておりながら、民間会社のほうはまた他の民間会社にかわるということはあり得ることだと思うのですが、あるいはまた、こういうこともある。民間会社に一度出てさらに公社公団に入ってくる、特殊法人に入ってくるような場合もあります。一がいには申し上げられませんが、公社公団を綱渡りというか、転々と歩くということは少なくともお認めにならないような措置を講ぜられることが必要ではないか。行政管理庁長官は、公社公団の増設については、不必要なものは廃止する、増設については今後もできるだけ押え、ことしはほとんどやらないというようなことがあったのですが、官房長官がそういうお考えならば、将来の公務員制度改正とも関連して、いわゆる定住して長く一つ職場に落ちついて——落ちついちゃあとが困るからいけないですけれども公務員として職務に専念していただくために、少なくとも外郭へ出た場合、一つでこれをやめるというような規制措置、こういうものを講ぜられる必要があると思いますが、そういう考えはどうですか。
  50. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 たいへん適切なお尋ねが出てきましたから、こちらもお答えせざるを得ないのでありますが、いまの、数がふえておるじゃないか、これはよく方々から言われまして、そのつど陳弁——陳弁する必要はないのでありますが、堂々と反論しているのですけれども、数は、お察しのとおり人事は生きものでありますから、その年その年のいろいろな動きによって違うので、ほんとうをいえば、せめてその年における総退職者数が何人で、その中で何%とでも言えば、それでも正確とはいえないと思いますけれども、大体わかるだろう。そこで、たまたま昨年その経験がありますので申し上げさしていただきますと、前の年の四十一年は百四十七件でありますが、四十二年はずっと減って百二十三件になっているわけであります。これはきっとほめられるぞと思って実は内心あれしておったところが、新聞紙の批判を見ますと、数は減っても何にもならぬ、総退職者数その他の条件と見合わせなければ、数が減ったってきびしくなったとはいえない。わざわざそこまで書いておる記事があったりしまして落胆したのですが、そういう点があるということをひとつお含みいただくことと、それから、つけ加えさしていただきますと、これは決して手柄にはなりませんけれども、ことしの場合は、事務次官級で退職してぶらっと遊んでおるのが五人いるのでありまして、こういうことはいままで実はないことです。しかし、これはいばって言える話ではありません。あすまたいつ来るかわかりませんから何とも言えませんけれども、現に五人がぶらっと遊んでおるという場面はいままでないことだということだけをつけ加えさしていただきますが、おそらく自粛じゃあるまいかと私は思っております。
  51. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 お尋ねがありましたとおり、公務員ができるだけ安住して公務に専念する、これはきわめて望ましい姿であります。そのためには、まず待遇をよくする、第二は、たとえば五十そこそこでやめるということでなしに、定年制でもしきまして、せめて五十七、八歳まで勤続ができるような、そういう状態をつくるように制度を改善することは私も望ましいと思いますが、一面から考えますと、そういうことは非常に新陳代謝を妨げることにもなりますし、また、人事が渋滞する。まだ役所にはヤングパワーはございませんが、下からの突き上げもございますから、なかなかむずかしい問題でございます。また、待遇改善といいましても、また、定年制をとることによって年齢層が高くなることも、結局これはとりもなおさず国民の税金を食うものであって、その点がなかなかむずかしい。したがいまして、理想を申しますれば、いまの行政機構の根本的改善、たとえば行政の簡素化、定員の削減、これは、そういうものによりまして民間と同じようなレベルに行政の能率をあげて、しかる後に安住した生活を公務員に保障するということが一番理想的な問題であります。したがいまして、いろいろ問題が伏在しておりますので、慎重に検討してみたいと思います。
  52. 久野忠治

    久野委員長 田澤君。
  53. 田澤吉郎

    ○田澤委員 ただいま勝澤委員、また佐野委員からいろいろお話があったわけでございますが、ちょうどここに週刊読売、週刊新潮を私持ち合わせておるわけですが、この中でこういうことが見出しに書かれておるわけでございます。「あいかわらずの官僚天下り天国」という見出しで、「昨年一年間で百三十六人もの高級公務員が、堂々と」、「堂々と」ということばをつけて、民間会社天下りをしている。そうして例としては、大蔵省銀行局金融検査官が相互銀行の重役になっておる。同省理財局次長が銀行の常務になっておる。陸運事務所長がタクシー会社の重役になっておる。建設省営繕局長が土建会社の顧問になっておる。通産省の繊維雑貨局長が貿易商社の重役になった。週刊新潮では「この堂々たる天下り」という見出しで、やはり同じことが書いてあるわけでございますが、これも建設省の営繕局長から安藤建設へ、通産省の繊維雑貨局長から伊藤忠商事へ、通産省貿易振興局長からブリヂストンタイヤの重役にというようなのが書かれているわけでございますが、先ほど荒木行管長官から、役人といえども生活があるのであるから民間にかわるのは当然である。能力さえあれば当然だと言いますが、この内容を私たち国民全体が見た場合に、また官僚がやったかという印象を与える以外の何ものでもないと思うのであります。  そういう点からいいますと、先ほど来いろいろ議論になっております退職時における年齢の問題だと思う。勧奨退職年齢だと思うのであります。もう一つは、許認可制度のあり方が、はたしていいのか、あるいは融資、請負制度というもののあり方が、この状態でいいのかということが問題になってまいります。いま一つは、日本の国全体の考え方でございますが、官僚に対する国民の意識、官僚に対する期待感を非常に多く持っておる。この三つ一つになってこういう天下り人事というものが大きく取り上げられるようになったと思っているのでございますので、私は、少なくともただいま申し上げました三つの点、いわゆる機構の面から、あるいはまた意識の面から、あるいは認許可、こういう制度の面から思い切った改善をしてまいらないと、依然として週刊誌をにぎわす大きな材料になってまいろうと思いますので、この間の決算委員会でも議決されておりますし、内閣委員会でも議論がされる、いま議運でもこのように議論されているのでございますから、この機会に思い切った抜本的な施策を考えていかなければいけないのじゃないか。日本の官僚制度というものが、少なくとも国民の目から見て何か薄暗い、きたないことをやっているという考え方国民に見られただけで、私は日本の行政そのものの国民に対する価値というものはマイナスになってまいるだろうと思うので、そういう点に対する考え方をお三人の方にひとつお答えを願いたい、かように考えるのであります。
  54. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いま週間誌の例をお引きになりましたけれども、これをお尋ねになる御趣旨ではなかったかと思いますが、私どもとしては、前回の当委員会で冒頭に申し上げましたような趣旨で審査をいたしました結果、そのようなことになっておるということで、またいずれお尋ねがあれば、それはお答え申し上げますが、根本問題はまさにおっしゃるとおりなんで、先ほど来の御議論も、私の申し上げましたところも、まさにその点に集中しておったと思うのでありますけれども、何と申しましても、国民からの公務員に対する信用というものがどうしても確立されなければならぬ。尽きるところは私はそこにあると信じておりますし、そのために、やはり人事局その他ともタイアップいたしまして、すでに通達等もお出しになったこともありますけれども、今後さらにその辺に努力を集中していかなければなるまいという気持ちを持っております。
  55. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 大体マスコミは、時の政府権力に対して非常にきびしい、春秋の筆法をもってする批判的な性格を持っております。そのことは、ある意味においては、悪政に対する批判であり、忠告であるというふうに受けとめてしかるべきものと、もちろん思います。ですけれども、私が先ほど申し上げましたことについて言及されたことですけれども役人天下りということばで表現されますと、何かしら無理往生させて乗り込んでおるような印象を受けますが、中にはそういう不届きな者もおるかもしれませんが、五十かそこらでやめて、心身ともに健在である、そうして、国家公務員法百三条二項の厳重な制約のもとにふるいにかけられて民間会社に入った者を、全部不届きであるということを週刊誌もいっておるとは思わないのであります。悪いことをしたら、役人天下りであろうと何であろうと、厳重に刑罰法に照らして処断さるべきであるという点は厳重に行なう。それは別個に当然あるべき前提であります。私はそういうふうに思います。御質問になりましたのも、むろんそういうことを含めてのお話と思いますけれども、先ほどお触れになりましたけれども、再度、弁解がましいのでございますが申し上げますと、さらに人事院総裁からいろいろお答えになりまして、蛇足を加える必要もないようなことですけれども、給与関係全般は人事院総裁でないとわかりませんが、昔のことをもう一ぺん申し上げさしていただきます。昔は、役人の初任給は、いまの高級公務員試験に受かった者の初任給は七十五円ないし八十五円。物価指数をどう換算したらいいかわかりませんが、ずっと昔のことですから、かりに千倍と勘定しますれば七万五千円ないし八万五千円ということで、それが他の給与関係との公平な観念において妥当であったかどうかは別途の検討はむろん必要としますけれども、生活ということだけでいきましたならば、昔はそうであって、いまは半分以下であると思います。さらに、いまの一級職、指定職、昔の高等官一等でかりにやめたとする。そうすれば、昔の恩給は、月額十五万円くらいにいまの千倍の貨幣価値換算でなろうかと思います。今日はそれよりはるかに下だと思います。そういうことで、人事院総裁が、毎年五%の物価の関係民間賃金の関係考慮して勧告をなさいますことが制度上ございますし、政府は常にこれを尊重すると申してきておりますが、それだけでなしに、公務員というものの国民的な給与の評価というものがあらためて考えらるべき課題もそこにあるんじゃなかろうか。教職員にいたしましても、当初初任給二号アップということでスタートしましたが、途中で一号だけは消えてしまって一号上げにしかなっていないということが指摘されますが、これも最初の評価が正しかったんじゃなかろうかということをはじめ、いろいろ考えさせられる課題がございます。いま、やめまして、年金と称するもので、ぜいたくは許されないにいたしましてもどうやら食うに一応困らない、質素な生活は維持できるくらいのことが裏づけされて、そして行政改革が行なわれ、定員が過剰なものは減らす、足らぬところには持っていくということでなま首が切れれば、行政改革はわけないのでありますけれども、なま首は切るべからず、やるならば配置転換でいくという、衆参両院を通じての超党派の附帯決議をちょうだいに及んで臨時行政調査会が発足し、そして行政改革を答申し、政府は歴代その答申を尊重しますと、法律の規定がございますからお答え申し上げて今日まできております。その臨調の答申に、配置転換で行政の簡素、能率化、近代化、合理化をはかれ、それにふさわしい制度をつくれという答申がございまして、ちょっと商売の宣伝みたいになっておそれ入りますが、お許しをいただきまして、それで御審議願いつつあるのが例のいわゆる総定員法でございます。これがなま首を切らないで、できれば、少数精鋭で、同時に、それにふさわしいところの給与の改善向上の裏づけ、そういうものをもって国民のための行政を合理的に、能率的にやっていく、そういうたてまえであることは万々御承知でございますが、やはりそういうようなことも念頭に置いてでなければ、いま御指摘のような欠陥があり、運用上の誤りがかりにあるとしますならば、抜本的にこれを是正する一つの手段とはならないものではなかろうか、かように思いますことを、蛇足を添え過ぎましたが、お許しを得ましてお答えといたします。
  56. 久野忠治

    久野委員長 安宅君。
  57. 安宅常彦

    ○安宅委員 人事院総裁に質問いたしますが、人事院規則十四−四は、国家公務員法第百三条を受けてつくられておるわけですね。この規則をほんとうに、なまで読んでいきますと、営利企業への就職承認に関する年次報告書、こういう膨大なものにならないのじゃないか、こう私は思うのです。少しゆるやか過ぎるんじゃないですか。昔は同情されたとかなんとか、昔のことは別として、いまの時点では私はそういう感じを受けるのですが、安宅の意見は間違っておる、こういう意見でしょうか。少し甘いところもあったという意見でしょうか、どうでしょうか。
  58. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 間違っておるなどということを申し上げる筋ではございませんが、この四項で御指摘のところは、「前二項各号の一に該当する者が、離職後二年以内に、」これこれの者は「任用又は離職について特殊な事情が存し、」これは勧奨退職というような場合、あるいはおやじが死んで、どうしてもそこへ行かなければならないというような特殊な事情が存しておる、これはすでにいまやっておるとおりでありまして、これについても法の精神及び公共の利益に反しないと認めるときに限り承認することができる。この基本原則にのっとってやっておるわけでございます。公共の利益と両方のバランスの関係もあります。
  59. 安宅常彦

    ○安宅委員 私はこの前もちょっと名前を触れたのですが、最終的には大阪郵政局長をやってやめた石丸貞次郎君、これはやはりその条項を適用した人ですか。
  60. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 まさにその条項を適用したと申し上げてよろしいと思います。法の精神というものは何か、これは前回申し上げましたように、在職中に不当の影響力を与えて天下る、これは禁止することが精神だということから申し上げますというと、この人は郵政局の関係でありまして、電波関係のことを全然やっておらない人であります。そこで、不当な影響力、支配をすべき職権も何にもその地位になかったということでございますから、法の精神には反しない、公共の利益にも反しない。きわめて簡単に申し上げれば、そういう筋の考え方でまいっております。そして、それは、この条文ができますときの国会での政府委員の言明がそうなっており、それを踏襲しておるということであります。
  61. 安宅常彦

    ○安宅委員 これはそのことだけなのか。つまり、この人はいろろろ問題があるのですが、たとえば人事院総裁は、下の人の励みになるように上の人はやめてもらったほうがいいということでありますが、上に行く人はきまっておる、ほんとうの話。安宅常彦というものはどこにも行けない。郵政省に行ったって、何ぼあんたから励まされたって、局長次官になれないんだよ。だから、問題にならないんだ。それで聞くんだが、ほんとうはえらくなるようにきまっておった石丸という人が、突然やめたのです。だから、何か勧奨でもされて、大臣から、おまえやめたらどうかというふうに言われた、そういう人なのかと聞いておる。
  62. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いまの前段にちょっと触れさしていただきますが、自慢話をさせていただきますれば、わが人事院におきましては、学歴等に全然かかわりなく局長に任用した例もあります。これは中学を出ただけの人で、局長にまで抜てきした人もある、いま死んでしまいましたが、そういう例もありますから、そこはひとつ自慢話をさせていただきます。  いまの関係は、あれをごらんになれば大体わかると思いますが、勧奨退職でいっておるわけであります。年は四十八歳、一等級の九号というところでございます。
  63. 安宅常彦

    ○安宅委員 これで私非常にふしぎに感じておるのですよ。勧奨退職というものは、大臣がこの場合やめなさいと言って勧奨退職さしたのです。いいですか。私は逓信委員会で、なぜやめさしたのですかと聞いたのです。そうしたら、一身上の都合で、本人が辞表を出したのでございますと言えば何でもないのに、あの大臣はあまり正直なものだから、やめさした理由は言えませんと言う。言えないということは、重要な何かがあるのですか。何か汚職でもやったのですか。この人はそんなことは絶対ありません。汚職もしない、エリートコースを歩いた人を、突然大臣勧奨退職をさした。人事院勧奨してやめさしたということを今日認めておるわけです。そうすると、何らかの理由によって首を切った。そして、大臣があなたのところに行って、金沢の民間テレビ放送局にひとつやってもらいたい、こういうことを頼んでおるのです。だれが頼んだかというと、大臣が行きましたと言いましたよ。こんなばかなことはないと思うのです。これは、あなたのほうでは、電波関係でありますから、郵政局長は何にも電波とは関係のない仕事をしておるのでありますから、承認するのがあたりまえであります、こういう意見ですよ。しかし、関係がなくても、全般を指揮する大臣——これは、この前の小林さんという大臣です。あの人はUHFの局をあっちにも認可し、こっちにも認可した人です。重大な職務権限のある人が、その人間を首切っておいて、その人の意思に反して金沢に行きなさい、こういうふうに言われたというのです。これはほんとうは百三条の精神にまるっきり反したことです。職務権限があろうとなかろうと、反したことであって、大臣の行為は非難さるべきだと私は思うのです。その人は、大臣から言われたから、泣きの涙で金沢に行ったかもしれませんよ。しかし、そういうことをやる場合、そういう事例がはっきりしておる場合に、これは職務に関係がなかったからなどということでオーケーを出すというのは、少しおかしいじゃないかと思うのです。どうなんですか。大臣がかってに法の精神を曲げることができるような法律になっておるということに私は疑問を持っておる。
  64. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 たまたまいまのおことばにつながって考えますが、実際大臣が批判をお受けになっているようなことが、みんな人事院のほうに集中してきておるということで、はなはだ私、心外に思う場面が相当ございます。したがいまして、この問題の行監委員会意見書にありますように、大臣のほうで自粛をして——いま官房長官がいみじくもおっしゃいましたように、大臣のほうで自粛をしていただく。たとえば閣議決定をもって、自粛の意味で、人事院に対して一切申請をしないという閣議決定をしていただくならば、問題は全然なくなる。法律改正も必要ない、そういう筋合いのものだと思います。したがいまして、私どもは第三者機関として審査をする以上は、これは法律的の角度から見て、実地も見ますけれども、そこに至るまでのいきさつがどうだったということを一々取り上げて、それだからだめだというような根拠は私どもは持たないということだけは、はっきり申し上げておきます。
  65. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、問題点一つは、私の質問したものは、今度閣議で了解事項で自粛するようになどといっても、自粛なんてするはずはない。日本の役人は、政治家もそうですが、可及的すみやかにというときは、大体おそいにきまっておる。考慮するといったことは、考慮しないことになっておる。だから、そんなことを言ったってどうにもならないので、何かそれをチェックする機関をどこか政府とは別のところに設置しなければならぬ。たとえば総裁は、総理府に人事局をつくって、相当の権限を人事院から委譲することにたいへん反対されました。りっぱな態度だと思っております。なぜかというと、国家公務員がめちゃくちゃにあっちへ飛ばされたり、こっちへ飛ばされたり、そのときの権力で首にされたり——局長が、同期生次官になったら首だなんというのも昔のあれなんですよ。だから、私から言わせれば、そういうことを総理府の人事局に移したらたいへんなことになるだろうという人事院総裁考え方と同じように、今度は大臣の恣意によって、ほしいままにどうにでもできる。職務権限が本人にはなくとも、重大な職務権限を持っておる大臣の意思で、今度は法律を曲げることができる。こういうことでは話にならないから、今度人事院にそれを審査するような機関といいますか——これはどうもおかしい。職務権限は本人にはないけれども、いまのようないきさつ等は別にしても、大臣がわざと職務権限のないところに持って行こうとするのではないか、そういう疑いの目をもって見るような、そういう機関は設置できないものでしょうか。できるという法律があればできるとあなたは言うかもしれないけれども、そういう構想は一つの手にならないものですから、法律的にできるできないは別にして、政府に持たせるよりはあんたに持たせたほうがいいと思うから……。
  66. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それは結局、私どもに対する不信任の意思表示、われわれにやらせておいたのではだめだからとおっしゃるわけでしょうか。
  67. 安宅常彦

    ○安宅委員 いや、そうじゃない。そういう権限を政府に与えたら、大臣がどうするかわからない。そこに大臣一人いるが……。そうするといけないから、人事院という第三者の公平なところにチェックする機関を置いたら、ある程度その悪弊がためられるのではないかと考えるから、総理府などに置かないで、あんたのほうにチェックする機関を置いてはどうかという提案です。
  68. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それはありがたいのですけれども、先ほど来のお話によりますと、事そこに至るまでの点まで、草の根を分けても実情を調査して、これは好ましくないというような判定をしろということであれば、これは第三者機関には向かないことでして、これは政府部内の自粛の段階でりっぱに処置していただいて、それから先のことをわれわれが判断する。しかし、われわれが外部から見て、目に余まるものがあります。そのときには率直に言っております。その程度のところでちょうどいいんじゃないだろうかというのが経験上の結論でございます。
  69. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。そのことはやめましょう。私は、そういう機関をつくることは、いい制度だと思うんだが、それは私の質問のしかた、例の引き方が間違っておったかもしれません。もっと別な意味で、大臣がかってにあっちへやったり、こっちへやったりする。いまの石丸さんという人以外の例を引けばよかったかもしれません。そういう上に立って、一般的にそういう機関があってしかるべきだと、私はいまでも思っておるのです。  もう一つは、いままで職務に携わった内容が軽微であるとか、それから過去五年間にこの人が許可認可、そういうことについて全然関係がなかったからとか、いろいろいっておりますけれども、ずっと見ておると、大蔵省は酒の会社だね、そういう大蔵省の非常に権力の及ぶところは。林野庁やあるいは陸運局などは、タクシー会社、観光会社、運送業者。陸運局なんか非常に明白ですね。それから国税局は全部、これも酒屋が多いね。大阪の国税局長をやめた人が、富久娘酒造株式会社の取締役、こんなのは職務権限とは関係がないなどとどこからいえるのか、われわれにはわからぬのです。これは庶民の感情だと思うのですよ。人事院は、それは関係がないという。おかしい話だと思うのです。そして、これの理由には、「3の(ウ)の官職に在職中の関係は、その内容が軽微であること。」何が軽微だというのです。国税局長と酒屋が……。あれはどこかの酒屋が酒を安く売りたいと言ったら、国税庁や大蔵省が大騒ぎして、今度法律的にいろいろな手心を加えて、そしてあれは違法だなどと言っておるでしょう。あれだけの力があるのですよ。国税庁や大蔵省が軽微だというのはおかしい。軽微は軽微でも字が違う。これはあぶないと思って警備しなければならない。とんでもないことだと思うのです。  それから建設省は、さっき田澤さんが言いましたけれども、週刊誌によらなくても、見ると全部土建会社ですよ。建設省と土建会社くらい癒着しているところは世の中にないじゃないですか。それが直接その仕事に携わらなかった、べらぼうなことを言いなさんなというところがたくさんありますね。九州のどこかの建設省にいた人が、九州の土建会社、北陸にいた人が北陸の土建会社へ入っていますよ。たとえば中村正という人は、北陸地方建設局の新津工事事務所長から、阿賀川工事事務所長になっておる。どこに行ったかというと株式会社加賀田組。たとえば山形の会社に入ったというなら少しかわいいところがあるけれども、何と目の前のところに入って堂々とやっておる。私は、山形県境と宮城県境がぐらぐらになって、決算委員会で、あれはおかしいじゃないかということで問題を提起したことがあります。そうしたら、林野庁の貸し付けを——林野庁では貸付といいますね。林野庁では国有林をそのとき貸付した係官、それから観光業者を許認可したときの陸運局の係官、そういう人がもういないのですよ、追及しようと思ったら。たった二、三年の間にいない。どこにいるかと思って追跡調査をしたら、十和田観光株式会社です。陸運局は全部バス、タクシーの会社です。林野庁の人はどこに行ったかというと木材の会社、それから、リフトや何かをつくる、国有林を借りて観光業をやっておるリフトの取締役など、全部同じようなところに行っていますよ。それは関係があるから行くのです。関係のないところに行ったって何も顔がきかない。たとえば、テレビの会社に建設省の人が行ったってどうにもならないから、見たところ、テレビ会社なんかどこにもほとんど行っていない。土建会社にだけは間違いなく行っておる。それでも一四−四の適用が甘くないとおっしゃるのかどうか、ぼくはどうしてもこれは理解できない。だから、もし何だったら、百三条の三を受けた一四−四という人事院規則、これはあんたのほうで変えられるわけでしょう。国会の承認は要らないでしょう。だったら、そういうことができないような、同じ地方の同じところに、だれでも疑いの目をもって見られるような、そういう職場には行けないような、そういう改正をする意思はありませんか。
  70. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 非常にまくし立てておっしゃられますと、実にわれわれが何をやっているかというふうに受け取られると思います。一々お答えをすべきところでありますけれども、ただ、この間の論説委員の方々のお話が非常に有益だったと私が思いましたのは、いまちょうど御指摘になった軽微だとか、具体的関係がなくては——これはもう少しやはりこまかく理由を書かないとおわかりいただけないということだけは痛感いたしました。今後はその点を御納得いただけるように、できるだけこまかく詳しく書きたいと思いますけれどもお話は、たとえば陸運事務所にしても、福井の陸運事務所の人が名古屋のタクシー会社に行ったというような例なんですけれども、これは同じ陸運事務所でも、名古屋のタクシー会社というのはそもそも三十五台しか持っていない。現地へ行ってみてもそうでありますが、三十五台しかない小さな会社で、それがはるばる福井まで長途営業をするはずはない。そうすれば、福井の陸運事務所長が、名古屋のその会社に対して支配力なり監督権を行使するはずはないわけです。したがって、これはよろしかろうというような意味で、ずっとみんな理屈はあります。  それから、契約関係のパーセンテージが非常に低い。これは三越から物を買ってもひっかかるかもしれない。そんなことは法のねらいではあるまいということで、契約関係の率が少なければ見てやろうというようなことで「軽微」だとか「具体的」というようなことをいうものですから、これは疑いを受ける。しかし、週刊誌などで見ておられる目は、およそその役所関係があったら全部だめだという趣旨ではないかと思います。したがって、週刊誌の人がよくやった、よくやったとほめるような事態を招き出すためには、いまの百三条の三項をやめてしまって、全面的に法で禁止するなり、あるいは、先ほど申しましたように閣議決定で一切申請はしないというところまでいきませんと、おそらく世論は御満足できないのではないか。しかし、そのためには、この間申しましたように、憲法上の重大な問題もあります。自粛は別ですが、自粛以外の法的規制としては限界がある、どうもそういうことになるのではないかと思います。
  71. 安宅常彦

    ○安宅委員 具体的に言うならば、一四−四は何もこれ以上いじる必要はない。それよりももっと、就職の自由というか、職業選択の自由というか、そういう憲法に触れるようなことをあなたは私に言って、そうして、百三条を撤廃するくらいの度胸がおまえさんあるかというように私には聞えるのだけれどもね。それならば、そのような見解だと思っていいですよ。あなたの見解がそうだというならばいいですよ。ただ、問題は残りますからね。それはこっちで検討することにします。  ただ、人事院総裁にここで少し同情して言うのはどういうことかといいますと、この一四−四を見ますと、何級職以上の人とか、何級職以下の職員とか、みんな書いてありますね。ここで荒木さんに聞きたいのです。それから官房長官に聞いておきたいのですが、大体ずっと見てみますと、事務次官などというものは、この百何人の中にはあまりいないのです。どこに逃げているかというと、全部公社公団事業団です。ほとんどそうです。五人遊んでいるというのは、何か意図があって遊んでいるのだ。そんなに高級官僚のことばかり考える必要はないのです。あなた方は高級官僚だから、仲間意識でそう言うのかもしれませんが、郵便局の配達夫など首を切られたらどこへも行けない。林野庁の木を切っている人々だってそうです。あとは失業保険をもらって終わりです。高級官僚だけなぜこんなに一生懸命就職の世話をしなければならないのですか。これは不公平ですよ。これこそ憲法違反ですよ、そんなことを言うならば。ところが、いいところは大部分公社公団事業団へ行って、その余りものが人事院へ行っているような気がするのです。どうも最近はそんなような気がするのです。三十五台ぐらいしか車のないような小さなタクシー会社へ飛ばされてはつまらない。だから、事務次官局長のいいところはどこへ就職して行っているかというと、公社公団事業団へ行っている。今度、宇宙開発事業団しかつくりませんなんて言っておりますけれども、一年に一つずつつくってごらんなさい。いま百何ぼあるんですよ。一年に一つずつふえていっても、十年に十ふえるのですよ。その後四つも五つもふえているところが一ぱいありますよ。建設省の場合など、日本道路公団があるでしょう。日本道路公団一つでいいでしょう。道路のことをやるならば、ほんとうは建設省がやるべきことですよ。それがどういうことで公団ができたかというと、役人仕事ではなかなか進まない、非能率的だとすぐ言う。あなたもそう言う。だから、民間から有能な優秀な人を入れて、民主的に運営したならば非常にうまくいくだろうということで、公団をつくったのです。そうしたら、行った人は、民間から来ないで、みんな役人が行っちゃう。これじゃ非能率そのものになってしまうじゃないですか。日本道路公団一つを例にとりましても、ほんとうはおかしいのです。それだけでなくて、首都高速道路公団だとか、今度は阪神高速道路公団だとか、今度は名古屋にも中京何とか道路公団ができるような雰囲気で、一生懸命やっているようです。こんなに三つも四つもつくったら、よし今度は山形あたりへひとつつくろうということで、東北高速道路公団なんてものができるかもしれない。そんなばかなことをしておって、民間からは一人も入れないで、どういう人が入っているかというと、全部役人だ。公団事業団なんというものは一つしかふやさないなどと言わないで、荒木さん、これは木村武雄さんがやったことだからあまり言いたくないが、一省一局削減、あれだって相当勇気の要る仕事だったらしいですが、とにかく、事業団仕事というものは本省がやるべきものだ。たとえば鉄道建設事業団とかなんとかあるでしょう。それこそ、鉄道を建設するのは国鉄の任務ではないですか。それを鉄道建設事業団だか公団だか知らないが、別に置かなければならぬという理由は何もないと思う。そうして、そこに役人が入り込んでいくにおいては、これはもう全然意味がないと思うんです。これを減らすという気はありませんか。一省一局削減などといって、一生懸命になってこっちを削減していったら、しり抜けみたいにあっちがふえていく。まるで北海道のクマみたいに、一生懸命に魚を取っても、うしろからぼろぼろこぼしているようなことを行政管理庁がやっておったんじゃたまらないと思う。  具体的に言うならば、もっと手近な例を言えば、議運理事会において、大臣が答弁するのに困るから政府委員が要る。大臣が有能な人だったら、ほんとう政府委員なんて要らないはずだ。そうして、今度政府委員が何人か必要だ。たとえば厚生省に国立公園局なんてものがあった。それが行政管理庁でようやく一省一局削減をしたために部に格下げになった。そのために局長ではなく部長になってしまった。部長では政府委員にはなれないから、部長でも政府委員になれるようにぜひ復活してもらいたいという要求があった。厚生省が一番先に来たのならばまだいいけれども、一番先に行政管理庁が来た。自分のほうで廃止した局の政府委員ですね。どこかに統合になったのだから、その人が政府委員になって来ればいいのを、行政管理庁の一省一局削減によって廃止されて、局長でなくなった人を相変わらず政府委員にしてくださいと言う。荒木さん、こんな不見識なことはないでしょう。これはあなたのほうの例ですよ。そんなことをやるのは何かといったら、彼ら高級官僚が不勉強だからですよ。最近の国会へ来てごらんなさい。予算委員会へ行くと、まず大臣を補佐する政府委員がいる。そこで変な答弁をしてはいけないということで、その次に課長がいる。またその次に課長補佐がいる。そしてこんなに大きなふろしき包みを持ってくる。どこも腰かけるところがないから、予算委員会室のすみのほうや前の廊下に、電線にとまったスズメみたいにずらっと並んでいる。あんなことは最近まではなかったことですよ。そんな答弁ができないような高級官僚ならば、民間に払い下げるとか、天上りするとか、そんなことよりも、まさに首切ってしまいなさい。それが正しいことだとぼくは思うのです。だから、そういう者が勉強するような雰囲気、それをつくること、これもまた必要でしょうが、そういう意味で言うならば、まずあなたが一番先にやることは、公社公団事業団をある程度切るべきだと思う、減らすべきだと思うのです。あなたはそういうことをやる意思があるかどうかを答えてください。
  72. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 先刻もちょっと申し上げましたが、御指摘の宇宙開発事業団は、従来科学技術庁にございました宇宙開発推進本部をつぶして、それを吸収して名前を変えたと言ったほうが早道かもしれません。ですから、御指摘のとおり、四十四年度の予算に関する限りは一つもつくっておりませんと申し上げたかったのですけれども事業団の名前で一つ出ているものですから、しかられると思って御遠慮申し上げて、さっきのとおりに御答弁申し上げたのであります。もとより、お説のような考えで臨むべきであるという心構えは持っておるつもりであります。ただ、従来ありますものを片っ端からつぶすわけには、実際上むろんまいりません。ただ、いままで幾つ減りましたか、私の前任者、前々任者当時の時代でございますから、私は党で協力いたしておりました当時で、はっきりおぼえておりませんけれども、数個の特殊法人は減らしました。今後も用済みのものは減らすという方向でやっていくつもりでございます。  なお、いま政府委員の話が出ましたが、まさにそういう要請をしたようでございますが、これは説明員でひとつお許しいただいて、足らぬところは説明さしていただこうということに切りかえましたから、御了承願います。  なお、ことばのついでにおっしゃったことではありますが、さっきの話に返りますけれども、配置転換で合理化するということは、どうしてもその根拠がございませんと、行政改革についても思うようにまいりませんので、先刻も触れたような次第でございます。  以上、お答え申し上げます。
  73. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたは減らす意思がないのですか。農林省の特殊法人の例を言いますと、農地開発機械公団、森林開発公団、こういうふうなものはどういうふうに違うのかね。それから畜産振興事業団、農があったから林があって、林をつくったから、今度畜産を考えなければうまくない。その次に今度はお蚕のほうも必要だということで、日本蚕糸事業団、そういうふうに何ぼでもある。今度は金融公庫の例をとりますと、農林漁業金融公庫、農林中央金庫、林業信用基金、漁業協同組合整備基金、漁業共済基金、これは統合できませんかな。そうしてまた、農林省も農林省で、ここには大蔵省の役人が必ず入っているのです。そういうふうにしてやらないと、つまり大蔵省から役人をもらわないとワクをふやしてもらえないのです。そういう仕組みになっているのです。こんなばかなことはないでしょう。昔陸軍いま総評なんてことばがいまから十年ほど前にはやったけれども、昔陸軍いま大蔵だ。そういうことは私どもが知っているんだから、皆さんも知っているはずだ。国民も知っているはずだ。それをそのままにしておいて、大蔵省の役人天下りの場所をつくって、農林省にも少し甘い汁を吸わせて、おれのほうも少し天下りできるような——大蔵省に二、三人やってワクをふやしてもらえば、農民も喜ぶだろうなどと宣伝ができる、こういうことで、五つも六つもある農林省だけの金融のセクション、これは具体的に私は言いますが、これを統合する意思はありませんかね。どうですか。
  74. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 これは、一般的に行政機構を簡素化、合理化して、能率ある行政を確立する使命を帯びておりますから、いまの御指摘の点も含めまして、検討中でございます。これは行政監理委員会におきましても話題に出ておりますし、すでにして臨調の答申にも御承知のとおりございまして、検討中であることは確かでございます。
  75. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたは大学のときばかり勇ましいことを言って、何だか断固、断固などと言うけれども、こういうときはえらい処女みたいな答弁をしてはだめですよ。こういう公団事業団ということになると、表面は、非能率的な役人仕事ではうまくないから、こういう公団をつくったのだと言いながら、行っているのは全部役人だから、これは役人のおば捨て山だ。次官が、自分と同期の局長がやめた、かわいそうだ、気の毒だ、よしどこか山を見つけてやろうというので開拓した。これが一つのこういう大きな機構になっておるのだと私はいわざるを得ない。これは絶対に間違っていないと思います。私の言い方は当たっていると思います。そうでしょう。そういうことを黙認しておく手はないだろう旧いままではなるほどふえたかもしれない。ふえたことはあったけれども、この荒木行政管理庁長官時代に至っては、断固としてひとつ整理するというくらいの高姿勢の——佐藤内閣ただ一人の高一点の大臣ですから、そういう高姿勢の答弁くらいあってもしかるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  76. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 一生懸命やります。
  77. 中村時雄

    ○中村(時)委員 これは関連でまことに申しわけないのですけれども、時間の関係もあるから質問をしないつもりでおりましたが、いまおっしゃったことは、長官、よく考えてもらいたい。公団をつくる場合には、ほとんどがおば捨て山だ。これだけ役人が多いということですよ、反面から見たら。そうして、おば捨て山ができ上がって、一つのものができる。いま農林省の関係が話に出ましたが、長期金融の貸し付け、短期の貸し付け。かりにここに農業に対する金融機関ができますと、すぐに今度はセクトのなわ張り争いになる。農業のほうでやるならば、林業でもやろうじゃないか。林業ができるならば、今度は漁業のほうもやろうじゃないか。やると役人は喜ぶのですよ、一つ口がふえたということで。こういう事柄はあなた方は御存じかどうか知りませんが、ほんとうに内部に入って調べてごらんなさい。政府がこういうことをしよう、それには近代化資金が必要だ、こういうことになるんです。ところが、それを受けて立つ役所は、そのときにはすでに、これが出てくればこういう金融機関が要るんだから、そうすると、こういう公庫がつくられる。そうすればたれそれが行けるんだ。きまるときには全部人事がきまっている。それは調べてごらんなさい。みんなこういうふうになっておる。先ほど酒屋の話が出ましたが、あっちにいってもそうですよ。大蔵官僚だってそうですよ。選挙のときだって、その酒屋が中心になります。そうして、地方における税務署はその人の言うことを聞いて、全部酒屋を集めますよ。そうして、そこに出てきてやっておりますよ、実際。やはりせっかくやられるなら、あなたのような識見のある方だったら、もう少し微に入り細にわたって調査をして、なるほどこれはこういうところに行けるのだ、ともに一緒にやってみようというような、ほんとうに真剣な、誠意のある、前向きの姿をもってほしい。これは希望しておきます。よく調べてごらんなさい。これは関連ですから深くは申し上げませんけれども、いずれ一つ一つ具体的に的確に抽出してみせますよ。よくその点を御配慮して調査をしてください。
  78. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 お答えせぬでもいいかもしれませんが、開店早々でございまして、むろん詳しくは存じませんけれども、むろん刻明に検討を加えつつ努力を続けていきたいと思います。
  79. 久野忠治

    久野委員長 委員長から行管長官にちょっとお尋ねしたいと思うのです。あなた、非常な意気込みで行管長官をお引き受けになったと思うんですが、しかも、前任の木村行管長官というのは大進軍ラッパを吹き鳴らし、そうして、行政の簡素化のために身を挺してやると豪語されて、一省一局削減というのが実現したわけですが、いまくしくも安宅君が指摘しました道路行政——日本道路公団があり、首都高速道路公団があり、阪神高速道路公団がある。そこで、役人というのは非常に頭がよくて、別途の公団をつくる際には、その内容が違っておるのです。どう内容が違っておるかといえば、首都高速、阪神高速道路公団は、一般資金を導入することができるような内容になっております。そういう内容のものをつくって、これは日本道路公団とは性格が違うんだから、そこで別個の機関としてこれの事業に当たらせる、こういうんです。今度名古屋にまた同じような高速道路公団の企画がありまして、私も相談を受けました。受けましたときに、私が自分意見として率直に申し上げたことは、今日のように行政簡素化が叫ばれておるときに、新しい機構は設けるべきではない、そういう組織はつくるべきじゃない。私は反対だ。それはあくまでも日本道路公団の手によって、名古屋の高速道路の事業は行なうべきである。これは名古屋だけでなく、将来は横浜とか、神戸とか、あるいは広島とか、福岡とか、各地に同種の事業計画が出てくるに違いない。そういうものを一々別個の機関をつくってはたいへんなことになるから、日本道路公団の資金内容を変えて、首都高速道路公団なり阪神高速道路公団と同じように、一般地方資金も民間資金も入れることができるように法律を改正すれば簡単にできることじゃないですか、かように私は進言をいたしました。進言をいたしましたら、日本道路公団関係者いわく、まこともごもっともである、ぜひそれを実現させたい、こう言っておられます。そこで、私が付随して申し上げたことは、この現存しております二つの別個の公団を吸収合併なさってはどうですか、そのことも進言いたしました。  これと同じようなことが、運輸省でもう一つ起きておるんです。それは京浜外貿埠頭公団、そこへまた阪神外貿埠頭公団というものができましたら、今度名古屋にもまたつくるという。一体そういうものが必要であるというならば——コンテナヤードをつくることのようでありますが、それが必要であるというならば、全国に一つだけつくっておいて、そうして、その支所を設けるなり、あるいは出張所を設けるなりすれば、その機能を十分果たすことができるんじゃないですか。そういう意味で、いま安宅君や中村君や同僚の皆さんが指摘なさったことは、既存の公団公社事業団、いわゆる特殊法人はこの際整理統合すべきではないか、その勇気ありやなしや、その意思ありやなしやということを荒木行管長官にいまお尋ねいたしております。どうか率直に、行管長官の御意見を賜わりたい。
  80. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 たとえば水資源開発公団をつくりましたときにも、既存のものを吸収合併いたしました実績が、これは私のときではございませんけれども、ございます。ここ数年、委員長その他各委員からおっしゃったような線で基本的には動いております。ただ、おっしゃるように、既存のものをいきなりつぶしてしまえということが含んでおるとするならば、これはちょっと容易ならざることであると思います。無用のものを温存しようという意思は私もございません。既存のものをつぶすについては、そこに何百人か何千人かおるでございましょうけれども、その人間行き先考えなければならぬという課題も含めまして、ただ、ここで、さっそうとことばを申し上げるだけで解決できないものですから、慎重に検討しながらその方向で努力する、これは本来の行管の使命でございますから、その心がまえで善処したいと思います。
  81. 久野忠治

    久野委員長 私は、無用だからつぶせと申し上げているのじゃないです。これは一つの機関で十分事業目的を達成することができるんじゃないかと申し上げておるんです。そういたしますと、いわゆる高級の幹部だけをやめさせるだけであって、その他の従事者というものはそのまま残るんですよ、事業をやっておるんですから。だから、高級官僚の天下りという問題も、ある程度ここで是正されるんじゃないか、そういう気持ちで私は申し上げておるのであって、何も無用なものをつぶせと言っておるんじゃない。整理統合すればおのずと、いわゆる同じような総裁が三人あったものが一人で済むでしょう。理事がそれぞれ五人あるとすれば、十五人のものが五人で済むでしょう。どのくらい行政の簡素化によって経費の節減ができるか知れぬじゃないですか。それから、有機的なつながりが出てきますから、事業を促進する上においてどれくらい有益であるか知れません。そういう意味で私は申し上げておるのであって、荒木行管長官はまさにその最適任者であると私たちは思っておりますから、この整理統合について勇断をおふるいになる御意思ありやなしや、もう一度その点を伺っておきたいと思います。
  82. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 話はそれますが、与党の委員長から、強力な御支援をちょうだいする御意向のあることを拝聴して、心強く存じます。と同時に、いまお話がありましたような道路公団のことは、道路公団にもお話をいただいたおもむきでもあり、むろん建設省にもお話しいただくことでもありましょうし、今後の問題でありますから、本年の実績から申しますと、四つか五つの要望は、実質上は全部お取りやめを願いまして、今後出てくると仮定するならば、むろんいま委員長その他の委員のお話しのとおり、ほんとうに必要なものはやむを得ないことがあるかもしれませんけれども、基本的にはいわば無用なもの——というと、ことばが過ぎますけれども、不要不急と思われるものはセーブしていく、これは当然の使命だと心得ております。
  83. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 この問題は、行政管理庁というよりも、内閣全体の問題として御趣旨に沿いたいと思います。御承知のように、改造前の内閣におきましては、木村行管長官を中心にいたしまして、四つの法人を整理したことは御承知のとおりであります。その後この国会には、糸価安定特別会計、これも一つ事業団でありますが、これを蚕糸事業団と一本にするということを決定いたしまして、ただいま御審議をいただいておるところでございます。また、今後具体的な日程といたしましては、漁業協同組合整備基金、それから日本てん菜振興会及び日本学校給食会、きわめて小さい機構ではございますが、これを整理いたしたい、こう考えて進んでおります。そうしてこの公社公団の整理問題、これは来年度の予算におきましても、七つか八つ申請が出てまいりましたが、ただいま荒木行管長官お答えいたしました以外は、全部押えました。なおその上に、現存する公社公団を整理しようというような方針で進んでおります。これを含む行革方針は、佐藤内閣の基本方針でありますので、この点を申し上げておきます。
  84. 久野忠治

    久野委員長 私は、荒木行管長官の勇断を期待いたしまして、これ以上質問いたしませんが、どうか勇気を持ってひとつこの問題と取り組んでいただきたい、こういうことを希望いたします。
  85. 安宅常彦

    ○安宅委員 荒木さんね、そんな何百人なんという人がおるというが、いないところもある。四十二人もあれば三人というのもある。それから漁業協同組合整備基金というのに三と書いてあるが、三のところの理事長というのは何ぼもらっておるか知っておりますか。給与の決定は、国家公務員だったら、人事院の勧告できちっときめますよ。この労働に対する評価、これは役員だって労働力に対する評価だと思うのですがね、私から言えば労働力の評価。平理事二十万円だとか、東北開発は四十七万円だとか、あとのところは三十何万円だとか——四十七万円というのは、四年間勤続とすれば、退職金は大体……(「千三百万円だ」と呼ぶ者あり)そうでしょう。そういう三人くらい人を使っておるところに三十何万と、内閣総理大臣の給与に近いような人を置く必要があるのかどうか。その評価は、一体どこできめるのですか。これは私はどっかの官僚の談合があってきめたことだと思うのです。いま独占禁止法がえらい問題になっておりますけれども、どっかで談合したのでしょう。こんなに一斉に平理事は二十万円、理事長のところは、一番安いところで二十何万円というのがありますけれども、高いところは四十何万円というのは、とにかくどっかに基準があって、どっかにそういうものを排出するパイプがあって、そこのところで大体これくらいにしようじゃないかという談合がなければ、こんなにうまくきちんといくはずはありません。これは内閣官房長官、あなたのほうで追ってくださいよ。一体どういうところできめたか。私は大蔵省がくさいと思うのです。こんなことはたいへんな腐敗の根源になります。そうして、人事院総裁の権限が及びません。官僚がかってにやれるのです。百三条というのはないもの。天上がりだね、これは。天下りではない。いままで十万円もらっておった役人がぽんと二十万、総裁になれば四十万、任期が終われば一千二百万の退職金をもらって、渡り鳥シリーズで三つもやればえらいことになる。たとえば、ここに厚生事務次官をやった大山正という人が、環境衛生金融公庫の役員をしておる。第一回は社会保険診療報酬支払基金の理事長になった。一年でやめて、そうして退職手当を百二十一万円もらっておる。今度は国民休暇村協会の理事長に肩がわりして——それこそ配置転換だね。そうしてまた、ちょうど一年でやめて百二十万円もらっておる。その次、環境衛生金融公庫の理事長になっておる。これは二年くらいつとめていますからね、ここでは二百万か三百万の退職金をもらうわけですね。四年間で千三百万ですか。とにかくこういう退職手当をそのつど、そのつどもらっておるのですよ。こんな機構は世の中にはありませんよ。こういうものをどこで基準をきめたのか、その基準をぴしゃっと押えなさいよ。そうでなければ、もう官僚はこれくらい天国はないですからね、極楽街道だと思って走っていくから、規制のしようがありません。自粛自粛と何ぼ言われてもだめです。どこできめたか、この給与を統制することを。そうして、さっき縮小すること、統合すること、私の言うのは廃止することだ。それは廃止と同じことですから……。それは行管長官、あなたがやると言われた。官房長官、今度給与を——たった三人の銀行の頭取と電電公社——公社公団のうち三十万もの従業員をかかえておるところと、どれくらいの給与差があるのか、こういうことをきちっとやって、べらぼうな給与をきめないようにすること。  それからもう一つは、人事院総裁、あなたは国家公務員天下りを一生懸命やっておられるが、先ほど一番先に言ったように、事務次官とかなんとか最高のところまでいった人がぽんと、あなたのところの世話にならないでここに来ているでしょう。人事院総裁、くやしいとは思いませんかね。あなたのところで所管しておるのはコンマ以下みたいなものじゃないですか。そういうものに対するチェックの機関が必要だとお思いになりませんか。総裁、どうお思いになりますか。
  86. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 現在は所管外でありますから、公式には申し上げられませんけれども、いまのお話を聞いておりますと、かりに公団関係の給与をわれわれのほうにまかしていただいて、そうしてぱっと職務と責任において適正な給与をわれわれがきめたとすれば、うまいことしておるなという気持ちがすでに消えてしまうのじゃないか、そういうものではないかという気がします。いまの給与よりもうんと上がっていくから、いろいろまた注目を引くわけでしょう。給与が、その職務と責任において、われわれの目で行政官庁の中の給与とあわせてかりにやればあたりまえの問題になる、それだけの問題になりはしないかと思うのです。
  87. 安宅常彦

    ○安宅委員 権限外であるけれども、そういう権限を人事院総裁が持てば、たいへんうまくいくんじゃないかという発言にとってよろしゅうございますか。
  88. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 公式な発言ではございませんけれども、ただいまのお話を伺っての感想でございます。
  89. 安宅常彦

    ○安宅委員 つまり国家公務員の給与、賃金というものに対して、たいへん大きな権限を持っておる人事院総裁が、こういう公社公団、そういうものの役員あるいは職員の給与ですね、このことについては、どこで権限を持つにしても、公務員はうまいことをやっておるじゃないか、これだけでも消すために、それを大蔵省かどっかでやっておるということに対して非常に大きな疑惑を持つ、そういう権限をきちっときめる機関がほしいという御意見として理解してよろしゅうございますか。
  90. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 人事院にまかしていただけば、また違った結論が出るかもしれないという観測であります。
  91. 安宅常彦

    ○安宅委員 だんだん核心に触れてまいりまして、私の考えているところを非常にうまく答えてもらっておるのですが、防衛庁あるいは自衛隊法という法律が出たときに、なぜこういうことを、国家公務員法に関係がある国家公務員ですから、それを人事院あたりでほしがらなかったのかと思うのですが、ロッキードとかグラマンとかファントムとかいうのが出てきて、川崎だとか三菱、ああいうところにこしらえさせる。それから、伊藤忠とかなんとかがいろいろ仕事をする、そこに出ていく。防衛庁の役人くらい出ていくところが限られたところはない。そういうところでは、防衛庁は長官承認によって天下りさせられている。だから、昔でいえば、私ら軍備は認めませんけれども、昔、軍備があったころ、日本陸軍がもしそんなことをやったら、たいへんなことだったと思いますよ。まるっきりなってない。勇将のもとに弱卒なしということばがありますが、堕落した将軍の下に強い兵隊がいるはずはないですよ。そういうことを平気でやって、世の中の指弾を受けている。官房長官、法律改正をして、百三条を適用させるような意思というものは、あなたはございませんか。
  92. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 確かに防衛庁が人事院承認のワク外にあるということは合理的ではないと思います。ただ、これは特別職務であるということ、防衛庁そのものが一般私企業を監督する立場でないということ。しかし、一面においては、各省の経理課あるいは会計課のような仕事をする、その重要性については異ならない。そういう意味において、これを改正するにはもちろん法律が必要ですが、そのほかにおいて人事院そのものの制度の改善も必要だと思う。これは今後の検討事項としたいと思います。
  93. 安宅常彦

    ○安宅委員 うっかりしていたのですが、人事院総裁に伺いますが、防衛庁は特別職ということなんだそうですが、どういう法律的な根拠で、あなたのところの管轄外になったのか、いきさつをちょっと教えてくださいませんか。
  94. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは特別職ということで、最初からはっきりきまってしまっております。われわれは一般職だけをお預かりしている。したがって、特別職は管轄外、それだけのことだと思います。
  95. 安宅常彦

    ○安宅委員 ただそれだけ。特別職といういままでの概念、国家公務員の特別職とか、そういうものは、日本人は、大臣とか知事とか、そういう概念ですよ。だけれども、一万何ぼもらって官費で演習している自衛隊というものは、特別職というよりは一般公務員だと思うのですよ、徴兵制度でもできない限り。そういう特別職もあるという程度しか私らの感覚ではぴんとこない。こういうところの人は、たとえば公社公団事業団でも、そういう制度があればたいへんいいと思う。給与のことは総裁が持てるならばという考え方を持っていますから、天下りについても百三条の適用ということは好ましいと思いますが、人事院総裁の見解を一応承っておきたい。
  96. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 どうも所管外のことにあまりくちばしを入れますと、侵略をたくらんでいるように思われますが、私どものほうの防衛で精一ぱいでございます。一般職の防衛だけで汗をかいているので、とても侵略どころの気持ちは全然持っておりません。しかし、ある程度預けてやろうとおっしゃれば、それはできるだけのことはしなければならぬ、そういうことであります。
  97. 安宅常彦

    ○安宅委員 官房長官、あなたもやはりそう思いませんか。預けてやろうといえば、預かってもいいと言っているんだから、内閣の大番頭であるあなたが——木村官房長官からいま副長官であっても、官房長官のような気がしている。大体官房長官なんかに大がついて、保利さんがここへ来ないというのは無礼だと思う。ほんとう長官が来るべきだが、前の長官だからしようがないと思って泣きの涙でこっちはいるんで、あなたは官房長官のつもりで考えてくださいよ。そういうことはきちっとすべきだと思う。あなたはどうですか。
  98. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 私も気持ちにおいては同感でございます。
  99. 正木良明

    ○正木委員 関連して。防衛庁のことは、この前お聞きして、ちょっとしり切れトンボになっておりますので、きょうお聞きしようと思います。  いま安宅さんから話があったのでありますが、特別職公務員一般職にするということは相当研究しなければならぬ、にわかにきめがたいものがあろうと思います。ただ、特別職の自衛隊員の身分を規制している自衛隊法には、私企業からの隔離ということがこの六十二条にあるんです。したがって、法律改正としてはそんなにめんどうな問題ではなく、私企業からの隔離という問題だけを人事院に移しても、そう法体系を乱すものではないという感じがするわけです。この点どうですか、そんなに考え込んでいろいろ研究しなければならぬというほどたいしたことではないと思う。実際問題として、人事院総裁は誠意を込めていわゆる天下り人事について検討をやられたものであると私は信じたいわけですが、しかし、どうしても私たちの——国民といってもいいと思うのですが、素朴な感情からいうと、きわめて密接な関係にある私企業に対して天下りをしているというふうなものが非常に多い。したがって、自衛隊のほうを人事院に移したからといって、どんな成果が生まれてくるかどうかわかりませんけれども、少なくとも佐藤人事院総裁お話をだんだん承っておると、現在まで誠意を込めておやりになっておったし、また今後もなお、こういう声がかまびすしくなってきたわけですから、きびしくおやりになるだろうというふうに感ずるわけです。同時にまた、公平な第三者機関としての人事院がこの問題に携わるということは、国民に対する信頼というものを大きく変化させるのではないか。したがって、防衛庁の問題についても、六十二条に少し何字か加えれば、それででき上がる、それが非常に法体系を乱してしまうということにもならないと思いますが、これはどうですか。防衛庁をうまくこれに含めるということにするお考えはございませんか、副長官
  100. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 私も、実質的に申し上げますと、私企業からの隔離という点では、一般公務員も特別職公務員も本質的な差異があろうとは思いません。しかしながら、公務員制度全般が一般職と特別職に制度的に分かれている、その根源までたどりますと、なかなか一がいにはいかない。この面だけで一般公務員と同じように人事院承認にまかすことがはたしていいかどうか、私はいま断定的なお答えをする自信がございません。なお検討したいと思います。
  101. 正木良明

    ○正木委員 国家公務員法にも地方公務員法にも、自衛隊法にもありますけれども、秘密を守る義務というのがある。ところが、これが要求されるのは、在職中もそうでありますけれども、離職後もその義務というものが防衛庁に関してはきわめて重要になってくると思うわけです。そういう意味で、防衛庁は秘密の多いところで、私たちが国会で要求をいたしましても、機密にわたるということにおいて資料の提出もなければ、答弁もないということがしばしばある。しかし、防衛庁から関連の兵器産業とか防衛産業とかいわれるところに限って天下りをしているという近来のきわめてゆゆしい傾向から見ると、いわゆる容易に秘密を知り得る立場におる人が、離職後において就職した先においてその秘密が漏れていくという懸念がないとはいえないと思うのです。むしろこれは、悪意にわたるかもしれませんけれども、防衛庁の高級幹部を受け入れようとするところの兵器産業、防衛産業は、そういうことを知り得るということを欲してそういう高級幹部を受け入れるという傾向考えられないこともないと思います。そういう意味において、いま防衛庁長官が、みずからの防衛庁の職員を私企業天下りさせる——させるということばがいいかどうかわかりませんが、するということについての許可を与えておるということは、いままでの実績から見ると、きわめて甘いように思うわけです。そういう意味では防衛庁にだけまかしておけない、やはり公正な第三者機関であるところの人事院にこのことは厳格に審査をしてもらわないと、こういう面での弊害が今後起こってくるであろう。現に昨年は防衛庁関係の秘密漏洩事件がきわめてたくさん起こりまして、自殺者まで出てきたという問題が起こっております。そういう意味において、私は秘密がたくさんあるということを決して歓迎するものではありませんが、しかし、国民の代表である国会にも漏らせないような秘密が、営利を目的とするところの防衛産業に容易に漏れるというおそれがあるというようなことについては、やはりはっきりした隔離をしなければならぬというふうな感じがするわけです。そういう点ひとつ人事院に、私企業からの隔離の審査を防衛庁職員についてもゆだねるという方向に向かっていただきたいと思うわけです。  いまのは関連の質問でありましたので、あらためてただしたいと思っておりますが、中村さんが先にやるようでありますから……。
  102. 久野忠治

    久野委員長 中村君。
  103. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私、公社公団特殊法人等に関する資料を要求したいと思います。  その前に委員長に一言お願いしておきたいのは、いままでの話の経過をずっとたどっておって、たとえば農林関係が出てくる、防衛庁の関係が出てくる、あるいは建設省の問題が出てくる、あるいは大蔵の問題が出てくる、せっかくここまで前向きの姿で日本の行政管理、そういう問題と取り組んでみようという御意思があるならば、竜頭蛇尾にしないという意味においても、各省別にわたってやるという一つ方向で今後この委員会の審議を進めていただきたいと思うのですが、委員長自身としてはどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  104. 久野忠治

    久野委員長 中村君の御質問にお答えをいたしますが、先日来論議をいたしておりまするいわゆる高級官吏の天下り問題につきましては、非常にいま重要な政治問題にもなろうとしておる。そういう意味から、これを、ただ単にここで関係参考人を招致して意見を聞くとか、あるいは政府側の意見を聞くだけにとどまらず、当委員会で十分今後この問題を論議して、何らかの規制を設ける必要があるとすれば、そうした点等についても、皆さん意見を参考にして処置をすべきではないか、かように私は思っておるわけであります。ただいま資料の要求のこともございましたが、その資料要求あるいは今後の進め方につきましては、当議運理事会において協議をして善処いたしたい、かように思っております。
  105. 中村時雄

    ○中村(時)委員 というのは、非常に多岐にわたる問題ですから、やはり竜頭蛇尾にならぬように、各省ごとに基準を設けてきちっと整理をしていって、やはり言いだした以上はその結論をぜひともまとめておいていただきたい。  これは行管のほうで出されるのか、あるいは内閣のほうで出されるのか、そこのところは御両者で相談をしていただいて出していただきたい、こう思うわけなんです。  まず第一に、公社公団特殊法人等に関する資料といたしまして、それぞれの役員名、役員数、資本金、設立月日、氏名、年齢、学歴、卒業年度、略歴、特にこの略歴はできる限り詳しく追っていただきたい、現在給与、退職時における退職金の支払い金額、この点をひとつ明確に出してもらいたい。かなり膨大なものになると思いますが、各省ごとにいろいろな問題を持っておるといういまのいき方がはっきりしてきたから、この点をお含みの上で明確に書いていただきたい。途中でちょっと抜いたりすることがときどきありますけれども、そういうことのないようにしてもらいたい。
  106. 久野忠治

    久野委員長 ただいまの中村君の資料要求につきましては、追って理事会において協議した後善処いたしたいと思います。  正木君。
  107. 正木良明

    ○正木委員 総裁、資料によりますと、ことしは百三十七件の承認件数があるわけであります。これはどういう制度になっておるのですか。申請を出して不承認になりますね。そうすると、その不承認になった分は行き先が悪いから不承認になったんだからというので、行き先を変えて再申請をしてくる例は従来ございませんか。
  108. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 今年度の報告の分は、大体正式の不承認まで至らずして、この間御説明しましたように事前の審査を求めてまいりまして、そうして、だめだというのがございますが、要するに、それらも含めて人事院でけったもの、それについては、場所を変えて、これならどうでしょうかということもございます。これならいいというところもあり、どれもこれもだめだといって、事務次官級の人でとうとう大学の先生になったという人もおります。
  109. 正木良明

    ○正木委員 そういう意味では、非常に密接な関係のあるところでも、人事院がどう言うか、けられたらけられたときのこととして、一回出してみようというので申請を出してくるおそれが多分にあると思うのです。ですから、これは、そういう意味では、甘くすると切りがなくなってくる。先ほどの総裁お話だと、むしろ私たちは草の根を分けてまで調査できないから、各省が十分に事前審査をして、それで持って来させるよりほかない。これはごもっともな話だと思う。ごもっともな話だが、甘いと、いいかげんなのをぶっつけて、返ってくればまた変えて出せばいいというので、結局は人事院総裁としては、各省の事前審査というか、大臣の手元における審査にあまりウエートをかけずに、やはり独自のきびしい審査をしないと、そういうおそれは十分あるだろうと思うのでありまして、そういう意味では、先ほどあなたのおっしゃっていることはよくわかります。あなたがそんなうそをつく人じゃないということはよくわかりますけれども、そういう意味でちょっときびしさが足りないような感じがします。再度申し上げておきますが、来年度からはもっときびしくやっていただくようにひとつお願いしたいと思います。  それと、荒木長官、先ほど委員長はじめ各委員のお話があって、相当前向きでこの問題の、いわゆる特殊法人の整理統合に取り組まれるということを言われて力強く思うわけですが、いま一つは、そういうことで役人天下りということが公社公団には野方図になっておるということ、その影響力でただ単に次から次へと特殊法人ができるという問題があるというよりも、その風潮をまねて任意団体がずいぶんできておるのです。これも役人の行きどころのないのを全部そこへ振り向けていく。これは別に政府が出資しておるものでもないし、税金を使うものでもないからかまわないというふうにお考えになるかもしれませんが、これはこまかく調査するとおわかりだと思いますが、たとえば道路協会、都市協会、港湾協会、河川協会、ああいう大どころからこまかいところに至るまで、財団法人とか任意団体でずいぶんある。ここにも役人天下り先があるのです。これの費用は、先ほど申し上げたように、税金を使ったり政府の出資を受けたりしておりませんけれども、このほとんどの財政をまかなっておるのはどこだというと、地方公共団体です。地方公共団体から、それこそ何十何百とそういう団体に対して毎年毎年膨大な費用が出る。それで任意団体が運用されておる。そこへぽこぽこ中央の役人はおろか、地方のいわゆる県庁の部長クラスなんかがどんどん天下っておる。こういうふうに任意団体にせよ、そういう外郭団体がたくさんできるということは、一つは、やはり国においてそういう特殊法人を次から次へつくっていくという、そういう点についての甘さが大きな拍車をかけておる一つの問題であろうと思うわけです。そういう意味で、先ほど長官がおっしゃいましたので今後期待したいと思いますが、なおこの整理統合について十分あなたの力をふるっていただくようにお願いをいたしまして、私の質問は終わります。
  110. 久野忠治

    久野委員長 きょうは予定の時間をはるかにオーバーいたしまして委員各位の慎重な御論議をいただきました。さらに荒木大臣木村長官佐藤人事院総裁におかれましては、長時間にわたってほんとうに御苦労さまでございました。私たち憂慮のあまり、ときには不遜にわたるような言辞が万一あったといたしますれば、これは国を憂うる心情から出たことでございますので、その点はひとつお許しをいただきたいと思います。  では、以上をもって本日の質疑は終了いたすことといたします。  皆さんどうもありがとうございました。御退席くださってけっこうでございます。     —————————————
  111. 久野忠治

    久野委員長 次に、趣旨説明を聴取する議案の件についてでありますが、内閣提出にかかる国民年金法の一部を改正する法律案は、次回の本会議において趣旨の説明を聴取し、これに対する質疑を行なうこととするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  113. 久野忠治

    久野委員長 次に、中小企業基本法に基づく昭和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度中小企業施策についての国務大臣の演説は、次回の本会議において行ない、これに対する質疑を行なうこととするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  115. 久野忠治

    久野委員長 次に、次回の委員会は、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会