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1969-03-13 第61回国会 衆議院 議院運営委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十三日(木曜日)     午後三時四十九分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 長谷川 峻君 理事 田澤 吉郎君    理事 海部 俊樹君 理事 三原 朝雄君    理事 安宅 常彦君 理事 勝澤 芳雄君    理事 中村 時雄君 理事 正木 良明君       小渕 恵三君    加藤 六月君       桂木 鉄夫君   小宮山重四郎君       塚田  徹君    西岡 武夫君       橋口  隆君    佐野  進君       柴田 健治君    広瀬 秀吉君       山口 鶴男君    麻生 良方君  出席政府委員         内閣官房長官 木村 俊夫君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         管理局長    茨木  広君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君  委員外出席者         副  議  長 小平 久雄君         議     員 林  百郎君         事 務 総 長 知野 虎雄君         参  考  人         (朝日新聞社論         説委員)    熊倉 正弥君         参  考  人         (毎日新聞社論         説副委員長)  高橋 武彦君         参  考  人         (読売新聞社論         説委員)    多田  実君         参  考  人         (共同通信社論         説委員)    木津 睦夫君         参  考  人         (産業経済新聞         社論説委員)  今井 久夫君         参  考  人         (日本経済新聞         社論説委員)  前川 光男君         参  考  人         (東京新聞社・         中部日本新聞社         論説主幹)  楓  元夫君         参  考  人         (西日本新聞社         論説委員)   宮崎 政之君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  営利企業への就職承認に関する年次報告書に  関連して質疑  議員請暇の件  議員千葉三郎君永年在職表彰の件  本日の本会議議事等に関する件      ――――◇―――――
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  この際、人事院より国会に提出された営利企業への就職承認に関する年次報告書に関連して、参考人として朝日新聞社論説委員熊倉正弥君、毎日新聞社論説委員長高橋武彦君、読売新聞社論説委員多田実君、共同通信社論説委員木津睦夫君、産業経済新聞社論説委員今井久夫君、日本経済新聞社論説委員前川光男君、東京新聞社中部日本新聞社論説主幹楓元夫君及び西日本新聞社論説委員宮崎政之君の人名の方々から、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  4. 久野忠治

    久野委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には御多忙中のところ、本委員会のためわざわざ御出席をいただき、まことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  なお、議事の進め方でありますが、参考人各位より御意見を伺います前に、本件に関し佐藤人事院総裁から説明を聞き、次に参考人各位よりそれぞれ十分程度意見の御開陳をお願いし、その後委員からの質疑にお答えいただきたいと存じますので、この点お含みの上よろしくお願いいたします。
  5. 久野忠治

    久野委員長 それでは、まず佐藤人事院総裁発言を許します。
  6. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 本日この機会に私の発言をお許しいただきましたことについて、心から感謝をいたしたいと存じます。  ただいまお手元に、人事院と書きました謄写版刷りのものを二枚お配りしておりますが、一応その謄写版刷りをながめながら、ごく簡単に御説明申し上げまして、そのあと若干つけ加えさしていただきたいと存じます。  この問題になっております国家公務員法関係条文は、御承知の第百三条でございますが、この百三条のねらいとするところについては、これは当時、この規定が制定されましたころの国会での説明もされておるわけでございますが、要するに、職員在職中の地位、職権を乱用して特定営利企業と私的な情実関係を結び、これを利用してその企業就職しようとする弊害を防止するため、在職中密接な関係のあった営利企業地位への就職を禁止することによって、在職中の職員服務を厳正ならしめようとすることにある。要するに、在職中コネをつけてもそれはむだですというかまえを法律で設けたものと考えておるわけでございますが、ただ、無条件にこのような就職禁止をいたしますことは、退職した職員に対しましてこれはもう国家公務員たる身分を離れて、普通の日本国民になっております関係上、憲法の保障をフルに受ける、職業選択の自由を受けることになっておりますに対して、大きな制約を与えることにもなるということから、同じ条文の第三項におきまして「所轄庁の長の申出により人事院承認を得た場合には、これを適用しない。」という除外例を設けておるわけでございます。したがって、人事院申請を受けまして、具体的なケースごとにその判断をいたします。この場合、申すまでもなく基本的人権公共福祉との関係というような点をも重視いたしまして審査をいたしておるわけでございます。  そこで、第二といたしまして、この制度対象となっておりますのは、これは申すまでもありません、営利企業と密接な関係のある国の機関在職し、かつ、その営利企業地位就職しようとする一般職国家公務員退職者でございます。したがいまして、申すまでもありません、特別職の人々と自衛官等を除きましてはかぶってまいらない。もちろん地方公務員、公団、公社の関係もかぶってまいらない、こういうことでございます。さて、この申請は、その本人が退職するときに所属しておりました役所の長、すなわち各省大臣あるいは外局長官から人事院に対して申請されることになっております。私どもとしては、個人がばらばらに申請してくるについてはこれは乱にわたる、したがって、各省大臣が一応責任を持って、そして大臣名前人事院申請してくる、そういう制度趣旨だろうと思いますので、たとえば、申請者大臣名前でない、事務次官などの名前になっておるというようなときは突っ返して、大臣名前で出してくれというようなことをやっております。  そこで、各省内部の実情を見ますと、たとえば、ある局の関係の者、これの場合を考えますと、第一次的には、その当該所属機関の長が適当かどうかという判断を内部において行ないます。適当と認めますときは、その所属長官から申請の手続をとるということになります。  かくして、第三点といたしまして、申請を受けました人事院としては、本人の歴任したポストとその営利企業地位との関係に主眼を置いて、各事案ごと審査をいたしております。本人の歴任したポストをつかまえておりますことは、これも制定当時の国会における政府委員言明からそういうたてまえが明らかにされておるわけでございまして、そのたてまえを踏襲してやっておるということでございます。そして、具体的事件ごとに綿密な審査をやる。ときには、現場の実地調査に人をつかわしまして調査をするくらいのこともやっておるわけでございます。  なお申請の前に――何ぶん大臣名で出すものですから、これが人事院にけられてしまうと非常に形がぐあいが悪いというわけで、各省からあらかじめ、これはどうでしょうかということで相談に来られる場面が非常に多うございまして、非公式な判断を求められる。その判断の結果、これはわれわれとしてはやはり人事院会議を開きまして、実は私も加わって、非公式ではありますけれども、慎重に審査をした上で、これはだめだという場合にはそのことを申し渡しまして、これは各省側から撤回をするという形になっております。したがいまして、人事院審査は全部オーケーじゃないかというふうに見られますけれども、その形で撤回されるものが毎年相当ございまして、昨年の場合は約三十件近いものが撤回されております。ただ、週刊誌などの記事を拝見いたしますと、ただでさえ甘い人事院にはねられたというのは、これはよほど悪いことをしたやつだろうというふうに書いてございますが、これは決してそうではございませんで、ここにカッコ書きでつけ加えておきましたけれども、この制度の性質から申しまして、本人が形式的な条件に該当する以上は、いかに在職中公正に職務を行なっていてもこの就職承認されることはないんだ。これは冷厳なる法律のたてまえでございますから、私は、そのような批判を受けた御本人に対しては非常に気の毒だと思いますが、きわめて冷厳なる制度になっているということをつけ加えさしていただきたい。  そこで、別の紙に、去年の分についての報告の概要を簡単に申し述べておきました、これはごらんになればわかることでありますから、くどくは言いませんが、大体去年、昭和四十三年じゅうに人事院承認した件数は百三十七件、人数は百三十六人。一人で二件の者がありますから、人数件数とはちょっと狂っております。このうち、本省課長級以上の者で承認ざれたものは百二十人ございますが、これに相当する官職の人で四十三年じゅうに離職した者が何人いるかというと、約千六百人おります。離職者数約千六百人の中での百数十人である、こういうふうに御理解をいただかねばならないと思います。  おもな省庁の承認件数は、これはもうかねがね御承知のとおりでありますので、あらためて申し上げません。  それから、承認されました者を事務系技術系と分けてみますと、事務系が八十二人に対しまして技術系が五十四人となっております。これは御承知のように、全体の公務員八十四万人ばかりの中で、事務系技術系との人数のバランスはどうかと見ますと、もちろん技術系は非常に少ないのでありまして、全体の一七・五%程度を占めておる。技術系はそれだけしか占めておらないわけでありますけれども、この就職の面から申しますと、事務系八十二人に対して技術系五十四人となっているということは、大体毎年の一つの例になっておる。技術者のほうが比較的多いということであります。よしあしは別でございます。  それから、承認件数就職先地位別に見ますと、取締役等役員が五十五件、それ以外の顧問嘱託等の非役員が八十二件ということになっております。  それから、承認された者の年齢を見ますと、これも一つの問題を含んでおると思いますが、四十歳未満が去年は一人。三十九歳であります。四十歳代の者が四十人。それから五十歳代が八十七人、六十歳以上八人ということになっております。  これがいまのプリントについての大体の御説明でございますが、これに関連いたしまして、私どもがかねがね考えておりますところを率直に申し上げまして、あとでまた御批判を仰ぎたいと存じます。  第一点は、卑俗なことばでいえば、人事院審査は甘いのではないか、これに対して人事院はどう考えるかというような面を念頭に置きまして申し上げて、これは言いわけがましくなるかもしれませんけれども、御批判は別であります。  そこで、そのやり方は、役所全体とその会社との関係は密接であっても、私ども審査では、その人の経歴上から見た職歴の上で、会社に対する不当な支配力を与え得ないポストだという場合には、これは大体認めてよかろうというたてまえになっております。これが一つのめどであります。このことは、先ほども触れましたように、現在の条文ができましたときの国会審議の過程において、当時の提案者たる政府側がはっきり申し上げている筋でございまして、それを踏襲しておる。  それから、いま、当時審議されたときの政府言明ということを申し上げましたが、いまから考えますと、実に感慨無量なものがございます。この現在の規定審議されましたのが昭和二十三年の暮れでございました。そのとき、この法案は、当時の、人事院の前身であります臨時人事委員会がたしか受け持っておったと思いますが、その審議の際の御議論として出てきましたところは、ほとんど、この制約は行き過ぎではないか、退職者に対しては酷に失するのではないかというようなことが、基本的人権にも触れて批判されまして、それが集中しております。たとえば、事務次官のごときはどこにも行き場がなくなりはしないか、それでいいのか、また、労働者の弾圧につながるんじゃないか。これははっきり速記録に出ておる。私が申し上げますと非常にオーバーにお聞き取りになるといけませんので、速記録の番号を申し上げておきます。第三回国会人事委員会二十三年十一月二十七日の速記録ごらんになりますと、まさに隔世の感があると思います。したがいまして、当時の臨時人事委員会当局者としては、いまさら弁護するわけではありませんけれども、そういう御追及を受けまして、速記録を見ますと、そういうことは承認運用の妙によってよろしくやりますということを、二回ばかり言っておるわけです。したがって、その運用の妙が、今度は運用そのものにあらわれてきておるわけであります。いまから見ますと、相当ルーズな扱い方がされておりました。しかし、世の中はだんだん変わってまいり――おそらくそのころは公務員信用というものは確立されておったんではないか。皮肉な言い方をすればそういう気もいたしますが、不幸にして、最近、公務員に対する信用というものは非常に下落してまいっております。そういうことが、おのずから、このいわゆる天下りの名において非難されておるという空気になったと思います。したがって、世論も、今度は甘過ぎるではないかという世論になって、国会の御意向もそういうことであります。したがいまして、人事院といたしましては、もちろん旧套を墨守すべきではない。やはり世論なり国会の御意向を体して引き締めなければならないということで、たとえば、この発足当初、事務次官会社の会長さんとかなんとかに大手を振ってなっておった当時の例がずいぶんある。それはそういう背景からきたものだと思いますけれども、現在ではそういう点を相当引き締めておる。  それから、その後さらに、御承知国会に対する報告制度というのができました。私は、前に、人事院総裁就任辞令書をいただきまして、ここにごあいさつに伺ったすぐあとで、猛烈に皆さんの御追及を受けまして、非常にしどろもどろの答弁を申し上げたことを思い出します。それらのことも十分身にしみて考えまして、そうして次々と引き締め方向に進んでまいっておるわけであります。したがって、今後もその態勢をもって、やはり世論に耳を傾けながら進めてまいりたい。これははっきり申し上げます。  ただ、この引き締めの場合について、やはりわれわれとして無視できないのは、憲法基本的人権との関係、これの壁でございます。これは釈迦に説法でございますけれども、御承知のように、憲法の十三条では幸福追求権利を保障しておる。二十二条では職業選択の自由を保障しておる。二十七条では勤労の権利を保障しておる。さらには平等の原則もございますが、要するに、すでに公務員でなくなった、平の日本国民になった者に対して、これらの権利制約するというためには、明白に、公共福祉上これだけのやむを得ない要請があるんだという理論が立ちませんと、人権の制限はできない。これは憲法の当然のたてまえであります。  ただ、この場合に、一体公共福祉とは何だろうということをわれわれ考えてみますと、汚職をやった人は、これは刑罰に処すればいい、刑務所にやればいい、懲戒処分に付すればいい。ここで対象になりますのは、それとは別のものをここでチェックしよう。そこで、先ほど触れましたように、在職中に清廉潔白で、何も悪いことをしなかったという人も、ある特定ポストにいたからという理由のみで就職を制限されざるを得ないという、その意味ではきわめて強い規制になっておりますために、そのための公共福祉というのはどこにあるだろうか、これは率直にわれわれ考えるわけであります。この場合に考えられるのは、最初にこの条文趣旨として申し上げた、このことによって在職中の公務員服務の適正を期するんだ、これは確かに公共福祉ではございますが、さてその面から見ますと、たとえば非常に優秀な技術者勧奨退職職場を追われて、そうして、その技術を生かそうとして関係会社に行こう、関係会社でありましょうと、技術を生かすための、経験を生かすための職場に行って活躍することは、実は社会に対してはむしろ貢献になるのではないか、公共福祉に害があるどころか、むしろ社会福祉に対してプラスになるんじゃないか。これは、数年前のロンドンのエコノミストに、日本官僚は非常にすぐれておるということを書きまして、日本経済興隆が今日に至ったのは、官僚がすぐれていることとともに、優秀なる官僚がどんどん民間会社に入って、そうして活躍しているからだというようなことを、これは日本では皮肉としてしか見られておりませんけれども、率直にいえば、公共福祉からいえば、そういう面から公共福祉にはプラスになるんではないか、そういうようなことが、理屈になりますけれども非常にございます。そういう面も兼ね合わせて考えませんと、なかなか断固たる処置がとれないんじゃないかということがわれわれの従来の一つの悩みでございます。  したがいまして、その辺のところをわきまえながら、これはおそらく憲法アレルギーとおっしゃられるでありましょうし、私自身憲法を手がげたために一種の郷愁から言っておるんじゃないかという御批判は甘んじて受けますけれども憲法基本的人権考えます場合には、やはり公共福祉との関係は、そうルーズには考えられないんじゃないかという気持ちがございます。したがいまして、そういうことを申し上げただけであります。  しかし、それにいたしましても、壁は壁として、その壁に至るまでにまだ数段階あるんじゃないかというのがわれわれの気持ちであります。一押し押しとこれを締めていく道はまだあるんじゃないか、そこをいまだに熱心に検討を続けておるということは、これは事実でございます。  もう一つ、念のために申し上げておかねばなりませんのは、以上私の申しました人事院規制、これは国家公務員法に基づくいわば法的な規制について申し上げたわけであります。各個人方々自粛あるいは各省の、あるいは各庁の自粛ということは、これは全然別問題でございます。今日でしたか、新聞行政監理委員会意見書というのが出ております。これは各省側自粛していいんじゃないかということを指摘されております。これはまさに私がいままで申しました法的規制の問題とは並行して考えられる別の問題であります。私どもとしては、自粛をしていただくと同時に、われわれも、いま申しましたように、さらに承認制度合理化厳粛化という方向に歩調を合わせて努力をしてまいりたい、そういう気持ちを持っておるわけであります。  最後に、これは実は人事院総裁として申し上げるよりも、ここに御列席の各参考人の諸先生の立場に立って申し上げたものとお聞き取り願ったほうがよくはないかと思いますが、しからば、この抜本策はどこにあるかということを、私の思いつきを申し述べまして、あとの諸先生の御意見も承らしていただきたいと思いますので、あえてことばをつけ加えさしていただきますと、この抜本策につきましては、たとえば、代償措置的なものとして退職金あるいは年金などの拡充をすべきではないか、あるいは人事局あたりで集中的にその処置をやる、交流をはかるべきじゃないかという御議論がございますけれども、何と申しましても、問題の根本は、公務員に対する信用の問題であろうと私は痛感いたします。今日、とにかくこの制度運用が甘いという批判がありますのも、公務員に対する信用が下落しているからではないかというふうな見方は、私は十分成り立つと思います。残念なことでありますけれども堀田それがし一人出てくると、この堀田それがしによって、ごく一部の不心得の者のために、多くのまじめな公務員諸君、その公務員全体が信用を失墜しておるということは、まことに残念なことだと思います。公務員部内における綱紀の振粛が徹底いたしまして、そうして公務員の道義が確立するならば、実はこのような法律規制そのものがほんとうは要らないんじゃないかというふうにまで考えます。したがいまして、これは総理府人事局あたりともわれわれタイアップいたしまして、今後もこの公務員諸君信用の回復ということに対してはあらゆる努力を尽してまいりたいと思っております。  それから第二は、先ほど年齢のことを申しましたけれども、とにかく有能な人材が四十代そこそこで官界を去ってしまう。これはまことに国としても大きな損失ではないかということについては、どなたもお考えになるだろうと思う。しからば、定年制等を設けて、これを長く引きとめるべきではないか。むしろ定年制というのは近ごろでは引きとめの作用のほうに考えられておるわけであります。そういうことをいたしまして、長く職場にとめておくべきじゃないかという考えが当然浮かんでまいりますが、さて、その場合の新陳代謝をどうしてはかるか。多数の下積みの公務員諸君が、新陳代謝が停滞しているために、いつまでもくさって、くすぶってしまうこの人たちに対して、いかように励みを与えるかという重大な問題が一面にあるものですから、なかなか単純に割り切れるものではありません。そのために、たとえば総理府人事局が、長期人事計画考えるべきではないかという御研究をやっていらっしゃるようでありますが、そのほうの御研究も必要であろうかと思いますけれども、とにかく総合的な計画の策定その他の方法が立てられなければならないというふうに痛感いたします。  それから最後にもう一つ、私、身の回りのことから痛感いたしますことは、外へ出ていかれる、転職をされるにいたしましても、狭い国内にあくせくと職場をさがされるというのはどうだろうか。海外派兵は、これは憲法違反でございましょうが、公務員海外に進出するということを、もっと各方面で考えていただいていいんじゃないか。ただいま外務省では、国連職員として日本から多くの人をとってくれという努力を非常にしております。そういうこともあります。私の役所自身のことを申し上げましても、遺憾ながら私の役所には全然そういう関係会社はございませんから、独力をもって開拓をいたしておりますが、その一つとして、昨年は私ども職員タンザニア政府顧問として派遣いたしました。ことしの四月発令になるはずでありますが、これは国連人事機構の中にやっと送り出すことにきまりました。若い男でございますが、国連に行っての月給は、私と同じ月給をもらえる。そして六十までは身分が保障されるということでございますので、海外派兵じゃなしに、海外進出のほうもひとつ皆さん考えていただけないものだろうかという気持ちがいたします。  きわめてよけいなことを申し上げまして恐縮でございますが、御批判あとでたっぷり伺わしていただきたいと思います。  以上、長くなりましたが、御説明を終わります。     ―――――――――――――
  7. 久野忠治

    久野委員長 次に、参考人各位から順次御意見を伺います。  まず、熊倉正弥君からお願いいたします。
  8. 熊倉正弥

    熊倉参考人 これはなかなかむずかしい問題であると思います。簡単に一刀両断のような名案はなかなか思いつかないわけです。私は個々の一人、一人の例は別に問題にいたしません。全体の流れとして見ますと、これは、ある高級公務員の方がある会社に行くというふうなことではなくて、露骨に申しますならば、役所に対する顔というものを持っていくのである、これが世間一般の人の受け取り方であろうと思います。そして個々の人の心掛けというふうなことでは割り切れない問題がありまして、日本の政治、経済の体質といいますか、官庁行政、経済界の関係、そこに根本がございます。また、技術革新その他で官庁も行政指導力といいますか、ますます増大すると思われますので、こういうことはむしろ減らない、ほっておけば盛んになる、こういう趨勢であると思います。こういう見通しの上で考えるべき問題ではないか、こう思っております。したがいまして、実質的に、天下りということば自体もたいへん変なことばでありますが、俗にいうそういう問題は増大する、強まる。はい、そうですかといって、すうっとなくなる問題ではありませんから、かなり厳格な態度で、制約を強めるという方向で行くことが根本であろうと思っております。  ただ、退職される個々の人の事情、経済的な事情、心持ちの問題を思いますと、いろいろ同情すべき点はあります。当然にありますが、この全体の問題のとらえ方は、退職者の生活問題ということを重点に置くのは私は違う。それは幾ら具体的な解決策としまして重要であっても、第二義の問題であるというふうに問題を据えませんと、問題はこんがらがってしまうというふうに私は感ずるわけであります。退職者の生活の問題ということは必要でありますが、それは問題の根本に据えてはならないものである、こういうふうに考えます。  それから、退職した以上、公務員ではなくて普通の国民でありますけれども、私、むずかしい法律は苦手でありますが、ついこの間まで公務員であったという国民であるという程度制約はなし得るんじゃないか、私は考え方としてさように思っております。  それからこれは数年前のある調査でありますが、民間の会社の課長、この平均年齢を調べましたところが、四十八、九歳であったそうであります。これは官庁の課長と同じレベルに考えていいかどうか問題はありますけれども、とにかく民間は官庁に比べますと、役職者になったりすることがおそうございます。それで官庁は、優秀な人はどんどん上に行く、そうして上が行き詰まってしまう、下のほうでは早くやめてくれぬかという声がある、こういう事情であろうかと思います。  そこで、小さいことのようでありますが、案外私はばかにならないと思いますことは、同期生が次官になりますと、同期の局長はやめなければならない、われわれ民間で仕事をしております者から見ますと、実に義理がたいといいますか、時代はいつのことであるかわかりませんけれども、まことに驚くべき習慣であると思います。その根本は、日本人のものの考え方、特色にあるかもしれませんが、一つには、露骨に申して学閥がある。普通、官庁で、あれは何年である、あれは何年卒業、何年に役所に入ったということを言いますときに、どこの学校ということを省略しまして、何年組と言えば通ずるように考えております。それで、特別の学校が――問題がほかにそれることはしませんが、たとえば卒業生が出ないというふうなことになるとたいへん困る。私もこれはどうかと思うような、頭がしびれておるのじゃないかと思います。  それから今度は、特定役所では、相当のところまで行きますと、いいポスト社会にある。そのために最近では民間会社に入りまして、就職していわゆるえらくなるというよりも、まず役人になっておいたほうが早いということを考えておる人たちもあるわけであります。また、役所の相当えらい方が、君のようにやかましいことを言うと人材が役所に来なくなる、こういうふうな御意見もあります。私は来なければ来ないでいいというのであって、公務員になり手が一人もなくなればやむを得ませんけれども公務員になり手はあると思います。また、公務員になったほうが出世の早道である。民間の役員になるほうが早いという人は、公務員にならなくても少しも困らない。そのくらい日本には人材が多いと思います。また、役所におりまして、局長その他になる人は、相当優秀であります。これは私も認めますが、適所適材に使わなければ国家的に損であるという面はあると思いますが、それでは民間には人がいないのか。一々役所から人を借りてこなくても、民間の企業にはりっぱな人はおると私は思います。それで、これは個人の心がけだけでは解決する問題ではありませんけれども、やはり日本の勤務形式、役所の官庁業務のやり方をいろいろ変えていかなければならないところもあると思いますが、局長は課長よりもえらい、責任はありましょうけれども、とにかく人の評価というものが、おのれもはたもそのポストだけで評価をするというふうなことでありますと、この問題は解決できないのであります。  それで、全体としましては、いろいろむずかしい問題はからむと思いますが、根本は厳格に制約していくという方向でお考えいただきたいと思います。  終わります。
  9. 久野忠治

    久野委員長 どうもありがとうございました。次に、高橋武彦君からお願いいたします。
  10. 高橋武彦

    高橋参考人 いま熊倉さんからお話がありました。私も趣旨においては大体似たようなことになるかと思います。  結論から申し上げますと、私も、天下りについてはきびしい制限が必要であるということであります。今回人事院から国会に出されておりますこの個々の内容につきましては、私、よく承知いたしておりません。おそらく佐藤人事院総裁の御性格からして、そういいかげんなことをされておるのじゃないというふうに御信頼は申し上げます。ただ、なぜきびしいことが必要かということを申し上げます理由としまして、やはり官庁と官僚と財界の癒着というものが天下りによって生じている。そのことがまた、たいへん国会方々には申し上げにくいことでございますが、政党との癒着をも生じておるのじゃないか。そこに日本の民主政治というものが何か毒されるものが生ずる危険を私は感ずるわけであります。そういう意味で、官庁から財界への天下りということは、きびし過ぎるほどきびしいことが必要である。確かに官僚はエリートかもしれませんし、有能でありましょう。しかし、よく考えてみますと、その有能な官僚になったということは、たまたま官僚になって、国民の税金によって、そういう立場で生活をしたからであって、その才能というのは、あくまでも公務員として、全体の奉仕者として、その才能は生かすべきである。その個人の生活並びに一企業の利益のために、官僚として得た技能やあるいは技術、そういうものを利用するようなことになってはいけないのじゃないかということを私は考えます。  もちろん、そのきびしい制限をするためには、官僚自体に対して、先ほど佐藤総裁からもお話がありましたが、いろんな条件の整備が必要だと思います。それは何と申しましても、四十七、八から五十歳前後で役所をやめていく、その後の生活というものが当然あります。これはいま熊倉さんからもお話があったように、その生活というのは何も官僚に限ったことではないので、民間企業におきましても定年というものはあり、定年後の生活は、それぞれの努力によっていたしておるわけでありますから、官僚だけが特にやめたあとの生活を何とかということにはならないかと思いますが、それにしましても、五十歳前後でやめていかなければならないという環境をまず整備する必要があると思います。それはやはり五十八歳が適当か、六十歳が適当か知りませんが、たとえば次官というような仕事は、五十八歳から六十歳くらいでもいいのじゃないか、あるいは局長というポストも、五十五、六歳くらいの年配の者でやっていいポストではないだろうか、四十四、五で局長になる、あるいはもっと若い局長がおるかもしれませんが、そうしてその人が、五十、六十、民間に入って営々として努力した人の監督的な立場にまたあるということによって、直接ではありませんが、回り回ってある企業の重要なポストに入っていくということは、やはり好ましくないのじゃないか、あくまで官僚として得た知識や技術というものは、国民全体の奉仕に最後まで役立たせるということが、官僚として、役人として当然必要なことではないかと思います。  また、いまの刷りものを拝見いたしますと、人事院承認を求めた件数が百三十七件で百二十六人でございますが、本省課長級以上は、そのうちで百二十人。これに相当する官職の年間離職者が千六百人ということでございます。したがって、この残りの多くの人、千四百何十人という方々は、やはりこういうこととは関連なしにそれぞれ就職をされておるわけでございますから、むしろそういう人たちがその後やめられたあと、どういう生活の道を選ばれておるのかということも、これはやはりつぶさに検討をしてみる必要があると思います。  もちろん、これはたいへんきびしい条件かもしれませんが、役人、官庁の側だけに対するいろんな制約をつくりましても、なかなかお役人という人は頭がいいものですから、その運用の解釈などで巧妙に抜け穴をつくるということも考えるのじゃないかと思います。したがって、私は、法律的にどういうふうにすべきかということについては知識がなく、にわかに思いつかないのでありますが、受け入れる側の企業に対しても、何らかの制限が必要ではなかろうか、天下りする人のほうではなくて、それを受け入れる側に対しても、何らかの規制というものが必要ではないか、かように考えます。そうしないと、あくまでも条文の行政的な運用解釈ということによって、だんだんとルーズになっていく、ゆるやかになっていくということが懸念されますので、受け入れ側に対しても、規制の意味の何らかの方法を講じられないものだろうかというふうに考えます。  なお、本日の題は、営利企業へということでありますが、ついでに私は、公社、公団といいますか、そういうものに対する人事について、ほとんどが官庁からの横すべり的な人事が多いようでございますが、これはもともと公社、公団というのは、民間経営者の創意、才能といいますか、経験というものを生かすためにつくられたのじゃないかというふうに考えるのですが、ところが現在はほとんど高級官僚の横すべりである。したがってこれについても、一つの人的な構成について、理事長とか理事とかいうものについては、一つの制限があってもいいのじゃないか。役所からは、せいぜい監事くらいにして、あとは民間からの起用ということを考える。そうすれば役所は、公社、公団をつくるということをあまり言わなくなる。自分たちが行けるものですから、つい公社、公団をつくりたがる。したがって、いま公社、公団の整理というものがたいへん問題になっておりますが、これをやらないと――役人、高級官僚が横すべりしないのだ、民間の人を起用してやるのだということになると、おのずからその整理もできるのじゃないかと考える次第です。これは本日の意見を求められた点ではございませんけれども、天下りと関連をいたしまして、一言申し添えておきたいと思います。  冒頭にも申し上げましたように、官僚と財界の癒着、それから、それがまた政党との癒着状況に及ぼしていくということは、民主政治の健全な発達の上において好ましくない。したがって、きびしい制限をすべきであるということを重ねて申し上げまして、私の意見を終わります。
  11. 久野忠治

    久野委員長 どうもありがとうございました。  次に、多田実君からお願いいたします。
  12. 多田実

    多田参考人 きょうの主題は、営利企業への就職承認に関する人事院報告に関連してでありますけれども、私は、公務員の天下りの問題というのは、一般の公務員退職者の問題ではなくて、非常に特権的な地位と職務権限を持っておる高級公務員の他の職業分野への転出の問題だと思います。そういう意味で考えますと、本日の主題よりも若干それるかもしれませんが、そういうふうに考えまして意見を申し述べさしていただきます。  いま申し上げましたような観点から高級公務員の天下り問題を考えますと、高級公務員の天下りと一口に申しましても、三つの類型がある。第一は、もちろん民間企業への転出であります。第二は、いま高橋さんが言われましたような公社、公団等の特殊法人への転出であります。それから第三が、地方公共団体への中央官庁からの転出の問題であります。  で、第一は、順序を変えますが、特殊法人への天下りの問題でありますが、これはおそらく、御存じのとおり四十三年四月現在で国会へ提出されました政府の資料によりますと、特殊法人の役員総数の中に占める天下り率ですね、これが五二・六%になっております。実際にはそれ以外に隠れみの的な天下り、転出者がおるわけでありまして、私はこの高級公務員の転出は六割ないし七割以上にのぼっておるんじゃないか、こういうように考えます。もちろん、特殊法人に転出した場合は、非常に職務内容が役所と似ておるといったようなこと、いろいろな利点、プラスがあります。しかし、同時に、問題点も少なくない。  第一には、いま高橋さんが言われましたように、本来、こういった特殊法人は企業性を発揮する目的で設けられておるわけであります。ところが、官僚といいますか、公務員役員に占める率がこれほど大きくなりますと、企業で民間人がりょうりょうたる状態でありますと、本来の企業性の発揮といった目的が全くそこなわれてしまうという問題。  それから第二には、官僚の転出とはいいながら、官僚生活を大部分送りまして、中には余生的なことでこういった特殊法人に入るにもかかわらず、給与と退職金が巨額にのぼるということで、これが一般の国民感情に合致しないということであります。  それから第三には、特殊法人の職員ですね、これは事実上十年ないし十五年くらいにしか設立してからなっていない関係もありますが、職員の昇進するチャンスが失われて、要するに、人事管理もむずかしいし、士気が阻喪するという問題があります。  それからさらに第四番目としましては、実は特殊法人の多くは、設立の当初から、監督官庁の間で縦割り的な役員の配分が、これは事実上の問題でありますが、行なわれておるということであります。したがって、特殊法人を調べてみますと、大蔵省、農林省、通産省、建設省、運輸省、こういった順で普通大部分の役員を占めております。こういった産業官庁、金を出す官庁が強い、こういった点が弊害を招きます一つの原因になると思います。  それから、本日の主題でありますが、次に民間常利企業への転出の問題でありますが、これは実情を簡単に申しますと、人事院総裁のほうから申し上げることかもしれませんが、ここ数年来の数字をとってまいってみますと、各省別の数では、大蔵、通産、運輸、建設、農林、この各省出身者の天下りが八割ないし九割を占めております。これはここ数年来変わっておりません。特に大蔵省が群を抜いて多くなっております。それから、天下られるほうの業界は、建設業と金融業と運輸業、この三つが三傑をつくっております。  さて、いろいろの規制の問題があるわけですが、問題点について触れますと、私はまずプラスもあると思います。もちろん、民間企業に役人が転出する場合に、非常に広い視野とか、時代の変化に対する適応力とか、それから専門知識がある、あるいは組織で働く技術を心得ておる、いろいろの利点があると思いますが、しかし、こういった利点は、本来、民間企業の責任において発揮すべきものであって、民間企業はそういった人材を養成するのが当然で、役所から人材を求めるのは筋違いであります。したがって、弊害のほうがむしろ多い。  第一には、官僚時代に特恵的な措置をしてやって、そのお返しとして天下りの保証を得るという関係在職中から発生しやすいということ。  第二に、官僚時代の顔を利用して、転出後監督官庁から特別の配慮を獲得して行政の公平をそこなうということ。時によっては、それが官庁と企業の間の利権行政、汚職行政の原因になるといったこと。  それから第三番目には、もちろん、突如官界から天下られるわけですから、その企業のはえ抜きの職員の士気を阻喪させるという問題であります。  最大の問題は、いま申しました第一と第二の問題でありまして、これは時間をとってあれですが、決して利権行政的なことがないとは言い切れない。なぜかといいますと、数年前に北九州の財務局長をやっておった官僚が民間企業に転出いたしまして、裁判所に訴訟を起こしております。在職時代の顔を利用して天下り先の会社のために国有地の払い下げに努力してやった、それにもかかわらずその報酬を支払わないのは約束違反である、会社を相手にそういう訴訟を起こしまして、もちろん敗訴いたしました。このことは確かに非常に弊害を生む原因があるということを表明しておるようにも思われます。  それからさらに、これは時間がありませんが、また後ほど御質問があれば、人事院審査関係することは、機会があれば申し上げます。  それから最後に、地方公共団体への天下りでありますけれども、これは私が四十一年の八月現在で調査した数字でありますけれども、都道府県の土木建築部長ですね、これが建設省からの転出者で八〇%を占めております。それから、同じく農林部長への転出者が農林省から五六%、総務部長への転出者が六四%というように中央官庁から地方公共団体に転出しております。もちろん、これは人事交流という名目で行なわれておるのでありまして、プラスが非常に多いのですが、しかし同時に、問題点も少なくない。たとえば、中央官庁の縦割り的な地方公共団体の人事支配を招来ずるというようないろいろな弊害があると思います。  さて結論的に、それでは、この高級公務員の官庁以外の職業分野への転出の問題、つまり天下りの問題をどう考えたらいいかということでありますが、私はやはり対策としましては、各省にゆだねることはしょせん無理である、各省が必死になって売り込みに懸命になっておるわけでありますから無理である。やはりたいへんであっても、人事院規制をきびしくする以外には当面は方法がない、こう思います。審査基準をきびしくすること、あるいは審査内容をもっと詳しく公表すること、それからさらには、抜け道をなくすること、つまり、いまの実情ですと、民間の顧問とかあるいは嘱託とか何々部員といった形で一たん転出しまして、人事院規制の問題がなくなったあとで常務取締役になる、あるいは副社長になる、頭取になるといったケースが多いわけです。したがって、こういう抜け道をなくするようにする、こういうことが必要だと思います。  それから、特殊法人に転出する場合ですが、これは各省間で割り当て的な、なれ合い的な配分の慣習をなくすること、これが必要だろうと思います。  それから、地方公共団体への天下り、転出では、やはり地方自治体がもっと自分自身で、あるいは共同してしっかりした幹部職員を養成するということも必要だし、それから、中央からの転出だけでなくて、地方からも中央に転出するというような体制をつくることが必要だと思います。  結論といたしまして、それにしましても、こういった改善策というのは、しょせん日本官僚制と衝突する問題でありますので、なかなか容易ではない。どうしたらいいか。やはりこれは根本的な官僚制度、行政制度の改革ももちろん容易でない。天下りだけに関連して対策を考えれば、この官僚制度との関連で対策を考えれば、現在の五十歳――たしか臨時行政調査会の調査時点では、次官の退職年齢が五十一歳であったと記憶しておりますが、現在の五十歳そこそこで転出、次官をやめる、あるいは四十七、八歳でも転出するという悪習をやめる。それから、先ほども出ましたけれども、だれが次官になったからといって、同期生が一斉にやめるといった悪習ももちろんやめる。したがってその専門的な能力は、本来の公務員の職務において六十歳でも六十一歳でも活用してもらうというふうな慣習、制度をつくっていく、生涯を公務員として公共の仕事に対する奉仕に励むという慣習、制度をつくるということが大事だと思います。  それから、ちょっとそれに関連しまして、高級公務員の出世がむしろ早過ぎるのじゃないか。有能であるから出世するということではなくて、一律に出世するという形でどんどん出世し過ぎるということが問題であって、私は、適当であればやはり五十九歳の課長がおっても一向かまわないというふうに思います。  結局は、現在の高級公務員問題は、高級公務員に集中するわけですから、高級公務員と、それからそれをきさえる下級公務員と、それを選考する方式がはっきり分かれてしまっておる。ここの問題までメスを入れないと解決がしにくいのではないか。したがって、公務員の選考システムというものを、もっと新しい方式に変えていくという検討が必要であるように思います。  私は、天下りには大いに利益もあると思います。現実の社会では利益もあるというふうに確かに思いますけれども、しかし、現状はやはり、利益よりも弊害を生む可能性のほうが多い、そういう意味できょうは特に弊害をあげて、その対策を求めたわけであります。
  13. 久野忠治

    久野委員長 どうもありがとうございました。  次に、木津睦夫君からお願いいたします。
  14. 木津睦夫

    木津参考人 いまお三人から、すでにるる述べられておりますので、重複する部分もあるかと思いますが、私たち新聞の仕事に従事しておりまして、新聞社会面で特に天下りという三つの文字を見ますると、それには庶民の感情、国民の感情が非常に端的にあらわれておると思うのです。つまり、いまの日本社会の中で国家公務員なり公務員の方が非常に恵まれているというふうに、これは特に退職後のことでございますけれども、先ほど人事院総裁もおっしゃっていたように、公務員信用の度合いというか、そういうものが下落しておる、それに対する国民の反発が三つの字にあらわれておるというふうに思います。もっとも、この国家公務員法第百三条の第三項の規定というふうな制限は、よその国にはあまりないものでございまして、私はあまり学問は深いことはございませんが、聞いておる範囲では、フランスが十年ほど前に日本のまねをして、この制度を導入した。イギリスには若干これに似た制度はありますけれども、これは企業を守るほうに重点があります。   〔委員長退席、長谷川(峻)委員長代理着席〕  つまり、Aの会社に役人が天下りされると、Bの会社が損をするので、それを防ぐために天下りということをかなりきびしく見ておるという規定がありますが、これを日本に戦後導入したアメリカにおいてすらこういう制度はありません。そうして、もちろん、公務員から一般の国民になった瞬間には、憲法による職業選択の自由がありますし、それから、労働三法の精神からいいましても、雇用関係が切れたとたんに、やはりそれは自由で、過去にとらわれないというのが、これが民主主義国家の大原則でなければならないわけです。しかし、そういう大原則がありながら、国民の感情が天下り官僚ということばに集約されてくるということには、私はここにかなり大きなギャップがある。これを埋めてどういうふうに調和させていくかということが、この天下り問題の解決の一番大切なことだと思うのです。  それから、先ほどのお三方から私の言いたいことをるる言っていただいたので省略いたしますが、私が一つ提案いたしたいことは、この第三項で縛られておる国家公務員というのは、一般職のごくわずかの、九牛の一毛のものでございます。そうして、地方公務員の天下りは全部これはフリーであります。もちろん、国家公務員に準ずる公団、公社、それから事業団、そういったところから民間に行くのは、これも全くのフリーであります。それから、防衛庁職員の方は、この間新聞に出ておりましたが、自衛隊法の六十二条というやつで、防衛庁長官の一存で天下りといいますか再就職ができることになっております。そうして、いま人事院からお出しになる年次報告書で各所で論ぜられておるのは、非常に数を限定された部分だけでありまして、私はその全体を一元的にしぼり上げてみる必要があると思うのです。そうして、それを一本の法律にするという考えを、政府あるいは各党の間でお話しになってはいかがかと思うのです。そういたしまして、また、きのうは行政監理委員会のほうから総理大臣のほうへ役人の汚職について、あるいは天下りの問題について意見書が出されております。あの意見書はなかなか傾聴に値する意見書だと思いましたので、あの意見書趣旨も含めまして、そうして単独立法にする。そのときには人事院のこの第三項のほうのやつは落としまして、関連条項は落として法制化したらいいんじゃないかというふうに思います。しかし、その場合に、やはり単独立法の措置をとりまして、それを扱う事務局を政府部内に置きますと、たとえば総理府などにその事務局を置いたりしますと、やはり同じように抜け道が講ぜられるかと思いますので、その事務局としては、公正取引委員会であるとか、あるいは現在の人事院であるとか、そういった中立的な性格を持ったところにまかせるというふうにすることが発展的なことだと思うのです。そうすると、人事院総裁にあるいはおしかりをいただくかもしれませんが、人事院はこの問題から解放されて、本来の給与の改善の勧告であるとか、そういったことに全力をあげられることになると思います。その点をひとつ、もし政府がなかなか検討できないというようなことがありましたならば、きょうは参議院のほうは各委員会が開かれていないそうでございますけれども、各党御相談の上でそういう方向を検討されるということも一つの案ではないか、こういうふうに思います。  簡単でございますが、意見を述べました。
  15. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員長代理 どうもありがとうございました。  次に、今井久夫君からお願いいたします。
  16. 今井久夫

    今井参考人 国家公務員法は、公務員の私企業からの隔離ということを明確に規定しております。これは、公務員の公務の公正とその完全な遂行を期するための必要かつ当然の原則ではなかろうかと思います。その第一は、公務員の私企業への兼任禁止でございます。第二は、本日の議題となっておりまする天下り人事制限でございます。  問題は、この天下り人事制限というものが公務員の公務の公正とその完全な遂行というものに反するものであるかどうかということを審査するわけでございますけれども、私は、原則としては、審査は厳格にしなければならないという点におきましては、前述の各参考人と全く同じ意見でございます。しかし、これを厳格に実施することによって天下り人事による公務の紊乱という弊害が防げるかということになりますと、そこにはおのずから一つ限界があるのではないかというふうに思います。  なぜならば、人事院は、一般国民の私的活動に対する規制作用というものを持っておりません。この点は、公正取引委員会などとたいへん権限を異にする行政委員会でございます。要するに、行政組織内部の公務員に対する規律ということでございます。しかし、本日問題になっておりまするのは、行政組織から出た公務員企業との一つの不明朗な接触による公務の公正な実施の阻害という点にございます。したがって、人事院審査を厳格にいたしましても、出方の規制はできるにいたしましても、出てしまってからの規制ということでは、これはすでに人事院の権限のはるかかなたに存する問題ではないかと思います。   〔長谷川(峻)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、天下り人事の制限ということは、これを強化することによっても効果に一つの限界があるということ。それから、先ほど人事院総裁から御指摘がございましたけれども、これをあまりに強化すると、憲法基本的人権という問題にも抵触するのではないかという二つの問題がございまして、国家公務員法の改正もしくは人事院規則の改正、強化ということによってのみでは、この問題は根本から規制することは不可能ではないかと私は考えます。  いろいろ問題はございますけれども、要するに、高級公務員の天下りというものは、公務員の再就職の問題であろうかと思います。この場合、特に問題になりますのは、離職の早い高級公務員の動向でございますけれども、先ほど来各参考人が御指摘になっておりますように、これは高級公務員の退職、離職年齢の引き上げということを考えなければならないでしょうし、最近の公務員の待遇は非常に向上しておりますけれども、また別の意味からこの待遇改善ということも考慮に加える必要があるのではないかと思います。そうして、せっかく国の人的資源としてたいへん有能な能力というものを、長く官界においてこれを遺憾なく発揮せしめるという一つの施策が必要ではないかと思います。  そうして、直接高級公務員とは関連はございませんけれども、問題がなお深刻なものは中級以下の公務員の再就職の問題ではなかろうかと思います。特に二佐以下の自衛官とか警察官とか、あるいは行政整理の対象となった一般公務員の再就職の問題は、非常に微妙であり、複雑であり、当事者にとってはたいへん心細い一身上の問題であろうかと思います。しかし、これらの再就職につきましては、いまのところ別に手というものはございません。出身官庁の上司が適当にあっせんをするということでございますね。これは往々にして許認可の一つの条件として民間会社押しつけるというような傾向も指摘されております。さもなければ、結局、自分が在職中に、それこそ公権力を利用して自分の落ち行く先を見つけるというようなことにならざるを得ないのではないかと思います。したがって、中級公務員以下の天下りは、出世できない、出世コースに乗っていない公務員一つのあせりといいますか、あがきといいますか、そういうもののあらわれではないかと思います。  したがって、以上の点から考えまして、私は、公務員の天下り全般の問題を解決するためには、中級公務員も上級公務員に昇進し得るという道を開くことが一つ。それから、公務員の民間への転出でなくて、民間からも公務員に登用できるという一種の特別任用と申しますか、弾力性ある任用制度というものが考えられていいのではないかと思います。  一般に官吏の任用につきましては、資格制が原則でございます。つまり、かつて明治、大正、政党はなやかなりしころ官吏が猟官の対象になりまして、内閣がかわるたびに上から下まで総ざらい官僚がかわるという弊害を防ぐために、資格制度が導入されたと思いますけれども、しかし、この資格制というものを重視するあまり、人事行政について一つの硬直化現象が起きていることは私は否定できないと思います。  また、最近の公務員の汚職防止という考え方の中に、たとえば許認可事項につきましても、なるべく人事の介入しないように書類審査もしくは条件審査で自動的にイエスあるいはノーの結論が出るような事務の処理ということがだんだん出てきているように見受けられます。つまり、人事、事務両々ともに形式的に流れるということは、わが国の明治以来のせっかくのすぐれた官僚制度というものの新鮮さといいますか、一つの能力というものを低下させるのではないか。そういう意味からいたしましても、民間の新しい血を入れる、あるいは上と下との交流をはかるという意味において、弾力的な人事行政の任用、運用という点について考えるところがあってしかるべきではないかと思います。  要するに、国家公務員もしくは人事院の規則というものを改正することによって天下り人事による弊害を是正することには、おのずから一つの限界があるという認識でございます。  結局は、企業と転出する公務員の良識の問題でございまして、企業規制する立法を別途するならば別でございますけれども、そうでない限り、現在の制度でもってそこまで追っかけていって企業と転出後の公務員規制するということは、結局、両者の良識にまつほか方法はないのではないかと思います。  もう一つは、そういう企業公務員――高級といわず中級といわず公務員を受け入れて、それをもとの古巣の官庁に対して利用せしめ得るというものを起こさせ得る日本の行政機構の不備あるいは官僚制度の欠陥というものを別途改めていくということも考えなければ、早急にはこの問題は結論が出ないのではないかというふうに私は考えます。  したがって、結論を再び申し上げますと、官僚天下りの規制につきましては、形式に流れず、厳格にこれを実施してもらいたいけれども、おのずから限度があるということ。その限度を打破するために、企業側と出ていく者と、の良心の問題、そうして、このような企業側と落ち行く者との結託によって利用せしめ得られないような行政組織、官庁、官僚機構の整備というものをあわせ御考慮願いたいというのが私の意見でございます。
  17. 久野忠治

    久野委員長 どうもありがとうございました。  次に、前川光男君からお願いいたします。
  18. 前川光男

    前川参考人 すでに多くの方からいろいろな点に触れられていますので、私は一つの提案という形で問題を考えてみようと思います。そう申しましても、おそらく委員皆さん方から、おれたちはすでにやっていると言われるのではないかと思いますが、まず当面の対策といいますか、そういう形で問題を考えてみようと思います。  それは、人事院報告は毎年出ます。出ますけれども、その報告の中を見ますと、たとえば過去五年間の実例で言いますと、百二十三件から百四十七件、ことしは百三十七件で百三十六人ということになっております。そうして、各省別に見ますと、多いところで三十四人、ゼロというところもございます。一人ないし二人というところもございます。したがって、議運の小委員会で、おそらく議運にはたくさんの人事承認案件があるのですから、そういう人事担当の非公式な研究機関でもおつくりになって、そこで個別に――もちろんそれは公開すべきかどうかということは議論があると思いますが、非公開で十分だと思いますけれども、そういう機関で個々に検討されて、あるいは一般的に検討されて、一つの答案を書かれるということがいいのではないかと思います。  といいますのは、私はしろうとですが、今度の報告を見ましても、たとえば「承認理由」の項目を見ますと、カッコして要旨と書いてある。その中を見ますと、在職中の関係は、その内容が軽微、いわゆる軽いということ、あるいは新しくつく地位が非役員だからいいんだ、役員でないからいいんだ、軽いからいいというような表現になっておるわけです。すべての人がそうではなく、大方の方はほとんど問題はないと思うのです。もしそこに問題があるとすれば、そういう問題について検討されて、少なくともこの次の回からは、こういう問題については注意してほしいとか、あるいは一般的にこういう改善の策をとったらどうかというようなことを御提案になれば非常にいいのではないかと思います。そうすることが、一つの国民の中の不満というものをかなりやわらげていくことができるし、一つの解決策になるのではないかという気がいたします。  と申しますのは、ある政治学者の話の中に、官僚独善を打ち破る道は何かという問いに対する答えとしてこういうのがあるわけです。いわゆる議会の側、政治の側の専門家をいえば議員、それから行政のほうの専門家といえば公務員、その双方の間で何か非公式な連絡機関というか諮問委員会というか、そういうものをつくって、日常からうまく連絡をしておれば、少なくとも国民かう出てくる官僚独善という批判は、何かの形で解決するのではないか、そういうような意見を見たことがありますけれども、特に議運などでは、そういうことをうまくおやりになれば、天下り対策なども、あらためて声を大にしなくとも、ある段階ではもっとうまく処理できるのではないかということを感ずるわけです。  非常に僭越なんですが、最近の国会審議に対する非難の中で、何か結論が出ないということがよく問題になるわけです。そういう場合のことを考えますと、そういう報告に対して何かうまい処理をしていただけないものだろうかということを一つ考えるわけです。  しかし、おまえはそんなことを言っても、天下りという問題はそんな簡単なものではなくて、やはり国民の中には非常に強い不満があるということになるかと思うのです。その点につきましても、私はこの委員会の中に何か研究会なり懇談会なりというものをつくって、今国会のおしまいまでにとか、あるいは次の国会までにというようなことで、何か問題を考えられたらいいのではないか。  といいますことは、公務員の問題を考えてみますと、天下りというただそれだけの問題としてはなかなか解決策はないのではないかという気がするのでありまして、私、ここに呼び出されますので、かつて人事を担当しました友人の公務員に、おまえはかつてどんなことを研究したのかということを質問してみたんです。そうしたら、彼は、要するに、われわれの中ではそういう問題はタブーとしていままではやってきた。しかし、やはりどの役所でもそろそろこういう問題を取り上げなければならないというムードは確かにあると言っていいだろう。もちろん、これは無責任な立場からですから、信用できるかどうかわかりませんが、そのときに彼が言いますのには、要するに、公務員のおれに問題を聞いても答えにはならぬ、自分のことを自分できめるということはなかなかできない、したがって、やはり第三者が何かの形でそういうものをまとめたらいいのではないかということだったわけです。  皆さんに釈迦に説法で申しわけございませんけれども公務員制度に限りませんで、行政改革などを見ておりましても、ここにおられる木村副長官なんかも、官房長官時代に、行政改革を一生懸命おやりになったんですけれども、何となく政府にまかせておいてはうまくいかない。たとえば臨時行政調査会の答申は、三十九年以来ほんとうにうまく処理されているかどうかというと、問題があります。  そんなことを考えまして、天下り対策の一つとして、たとえば人事交流というととがよくいわれますけれども、これは資料が古いので、人事院ではもっと進んでいると思いますけれども、四十年二月に各省の人事課長会議で人事交流をやろうということがきまったと存じております。翌四十一年三月に実際に交流ができたのは八十人ということが出ております。その後しっかりやろうということになっておるので、あるいはもっと進んでおるかと思いますけれども、そういう状態なので、総合的にどこかで対策を何か考えていただかなければならぬ。  それから、具体的な天下りの問題もすでに皆さんから出ましたけれども、たとえば天下りのどこが悪いのか、あるいは何が悪いのか、そういった問題を出されて、あらためて考えてみますと、必ずしも一つの問題ではないだろうと思うのです。たとえば形でいきますと、民間への天下りあるいは他の公務員審査というものは、人事院審査対象になっていない。その他の公務員の場合はどうするか、あるいは公団、公社への天下りはどうするかという問題も出てくると思います。  それから別の見方で見ますと、人材や能力を買うという立場から一つの天下りを考えるという考え方もできますし、それから、顔がきくから利用しようという立場で問題を考え考え方もできますし、あるいは全く生活の問題として、給料なり退職金問題というような形で問題を考えることもできるだろうと思います。  それからまた、天下り規制を強化するか、あるいは禁止かという問題が出てくると思いますが、この点も、先ほど人事院総裁が言われましたけれども、なお数段階の道ありということで人事院総裁はおっしゃったのですが、規制を強化するにしても、全面的に禁止するにしても、何かそれだけでは対策にならないということがあるのではないかと思う。たとえば事由のいかんを問わず禁止するということになりますと、再就職考えないで公務員で働いていくという体制をつくらなければならないのではないか。そのためには、私たちもすでに社説で主張しましたけれども定年制の問題は、当然に考えざるを得ないだろうと思うのです。  ところが、では定年制の問題を考えるのにどうするかといいますと、先ほど人事院総裁が言われましたけれども、若いダイナミックな指導力をうまく活用していくということ、それから、古いと言っては語弊がありますが、知識や経験のあるベテランをうまく起用していくということ、この二つをどういうふうにかみ合わしていくかということになりますと、やはりそう簡単には答えは出てこないだろうと思う。それだけではありませんで、すでにお話が出ましたけれども、能力主義の問題、あるいは給与の問題、あるいは定員管理の問題、そういったいろいろな問題が出てくるでしょうし、また、定年制は、社会への影響とか経済的な背景、そんな問題も当然考えてこざるを得ないと思うのです。  それから、たとえば対策として、内閣へ一元化してプールして考えればいいという意見も出ますけれども、これも考えてみますと、確かにいいんですけれども、同時に、今度は逆に、天下り先を政府が公認するという形になるのではないかというような疑問も、疑問としては出てくる。もっとうまくいけばいいと思うのですが、そういう点も出てくる。  それから、外国の学者などが言っている問題ですが、そういうものよりも、基本的に、権力を行使することに関しては、もっと職業倫理について基本的な法典をつくる必要があるのではないか。   〔委員長退席、長谷川(峻)委員長代理着席〕 最近汚職なんかが激しいということを考えますと、やはり何か職業倫理についてまとめた一つの基準というか、考え方を持つ倫理法典をつくれという意見もありますし、それから、天下り問題を考えるときに、もうすでに人事院なんかでやっておりますけれども、幹部の養成コースというような研修コースをもっと本格的にとって、そういう形で転職が、いまのような天下りでないうまい形に持っていけばいいのではないか。総裁も、公務員の国際的な活躍ということで、何かもっと手があるというお話でございましたけれども、そういうような問題もあるだろうと思います。  そういう形をずっと見てみますと、臨時行政調査会の公務員に関する部分の勧告で改善対策というのがありますけれども、それを見ますと、やはり総合的な対策を要求しておるわけです。   〔長谷川(峻)委員長代理退席、委員長着席〕 しかも、総合的な対策につきまして、最近出ております、国際基督教大学の交換教授で来ておりますディモックさんの「日本のテクノクラート」という木によりますと、その結論のほとんど大部分が臨時行政調査会の答申を全部引用しているというような状態になっておりまして、国際的にも臨時行政調査会の答申というものは一つの権威を持っておるのではないかと思う。特に総合的に考えていただくということで、何か議運の中でうまくそういうものを処理してほしい。  それから、研究会とか懇談会と申し上げましたけれども、それは何も外部の人を集めてというだけでもないわけです。たとえば、政府の中に人事院あり、行政管理庁あり、大蔵省あり、総理府人事局ありということで、いろいろ関連のところがあるのですから、そういう人たちを議運でお集めになる。それぞれ対策もすでに出ておるところもあります。たとえば行政管理庁では、少なくとも行政診断の中で、活動サイクルについては、ある程度何か答えが出せるような状態になっておると思います。そういうものを活用する段階にもはや来ているということを役人は言っておるわけです。そういうものを大いに使っておやりになれば、議運独自のうまい対策が出てくるのではないかと思います。  非常に僭越でございましたけれども、そうした感じを持つものでございます。
  19. 久野忠治

    久野委員長 どうもありがとうございました。  次に、楓元夫君からお願いいたします。
  20. 楓元夫

    ○楓参考人 先ほど来多くの参考人から意見が述べられておるのでございますが、若干ダブっておるところもあるかと思いますが、弊害について、特に最近のように天下りが事実上無制限に認められておるということが、実は人事といいますか、そういうようなところに悪循環を起こしておるという問題もあるのではないかと思います。言うまでもなく、これは憲法第十五条の第二項に「すべて公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」こういう点に違反するような執務になるわけですけれども、行政の中立性が官民癒着ということになるわけです。  私は、次の三つの点から若干具体的な対策について言及してみたいと思います。これは非常にむずかしいことはわかります。しかし、この問題は、むずかしいからといってこれを避けていてはできないのでございます。  第一は、国家公務員法の第百三条の不備とその運用が形式化しているのではないかという点があります。せっかく私企業からの隔離という精神があるわけですけれども、現在の法制運用の中では、先ほど来人事院総裁が言われたように、これが限度で、厳正にやられてもこの程度しかできないのではないか。もし天下りの弊害を少なくしようとすれば、何らかの形で法制的に手を打たなければならないということが一つの点であります。  第二の点は、公務員の民間企業への就職そのものを全面的に禁止するような法制万能的な考え方ではなく、むしろ公務員を終生公務員として、ほんとうにその能力を活用する方法を考えなければいかぬのではないか。  第三に、天下りの問題は、先ほど来言われていますように、官僚制度そのもの、あるいは公務員服務姿勢そのものの問題でありますので、よほど長期的に総合的に考えなければ効果は生まれたいだろうということがいえると思います。  まず第一の、法制上あるいは運用上の問題についてでありますが、天下りというのは、いわゆる民間営利企業にだけ天下る問題ではなくして、生ほど来言われておりますように、ことしで言いすすと、本省の課長以上の人で千六百人、実際に対象になっておるのはわずか百二十名、問題はこの残りの千四百八十名にむしろ問題があるのではないか。  それから、国家公務員法第百三条の二項によって、離職後二年間というふうに限っておりますけれども、これではたしていいのかどうか。少なくとも高級公務員は、一般のその他の公務員との間に差をつけてもいいのではないか。これは先ほど来人事院総裁基本的人権にかかわるということで壁が厚いということはよくわかりますけれども、この点も何らかの検討の余地があるのではないか。  それから、たとえば過去五年間だけを審査対象にする。実は私も官庁の取材をやっておりまして痛感するわけですが、むしろ五年以前に非常に密接な関係があったとしても、現在の制度によりますと、最近の五年間に問題がなかった、軽微であったということで、フリーパスになるわけです。むしろ全体的な資料を、その公務員としての勤務の全体の参考資料としてとる。あるいは第三者機関のようなものを設けてそれに諮問する。少なくとも審査した結果については、詳細に公表するということが必要ではないか。  対策といえるかどうか知りませんけれども国家公務員法第百三条第二項を、できれば、さっき言いましたように、高級公務員とその他のものとに分ける。それから、第三項の中の、第二項を受けた部分をできれば削除する。もしそれができないならば、先ほど言いました独立の第三者の機関でやるということが考えられないかどうか。  それから、先ほど来触れられておりますけれども、民間への天下りよりも、むしろ公社、公団、特殊法人あるいはそれを跳躍台にして、中には三主段飛びという例もたくさんあるわけですが、それに対して何らか審査するという方法がとられなければならない。これは当然人事院審査対象にしていいと思います。  それから、防衛庁の将補以上の高級自衛官の天下りというものは、これは産軍癒着といいますか、将来にむしろ問題を残す。それから国民的な不信を起こす危険がありますので、この審査人事院が当たったらいい。そのためには、自衛隊法の改正というものが当然あってもいいのではないか。これは、いわゆるシビリアンコントロールの原則からいっても、決して妥当でないということはないと思います。  それからもう一つ、先ほど来あるいは触れられておりませんでしたけれども地方公務員、地方公営企業に対する問題、そういうようなものについても、国家公務員の場合と同じように、これに準じてやる。やる方法としては、当然地方の人事委員会あるいは第三者機関というようなものが活用されていいと思うわけです。  先ほど言いましたが、第二、第三の関係につきましては、能力、専門知識をどういうふうに活用するかということを総合的に徹底的に考えてみる必要がある。なるほど、現在官僚の管理能力とか、専門知識が民間に一つプラスをもたらしておることは事実です。しかし現在までのところ、はたしてほんとうにそれが活用されているかどうかということを考えますと、非常に疑問があるわけです。いわゆるパイプ役といいますか、あるいは顔をきかす、そういうようなところに主としてねらいがあるわけで、もしほんとうに能力が優秀であるから活用をしていくというならば、通産官僚が土建会社に行き、建設省の官僚が醸造会社に天下るという場合があってもいいわけですが、そのような例はほとんどないわけです。そのことからいいまして、いわゆるパイプ役あるいは顔をきかすということで、現在天下りが行なわれておるということがいえると思います。  その対策というものは非常にむずかしいわけですけれども、先ほど来触れられましたように、ところてん式な単に年功序列制度、何年組の非常に早い昇進を改めるということが第一の問題です。  それから、交流人事をするために、現在のような通産事務官とか大蔵事務官とかいうような、一つ役所の封鎖的な人事行政を根本的に改める。このためには、内閣の人事局といったようなもので、少なくとも将来高級公務員というか、幹部職員となる者は一括して国家全体でいく。少なくとも日本国事務官といいますか、国家公務員何々省勤務、通産省勤務、大蔵省勤務というような形、少なくともそういう考え方がとられない限り、通産省は通産省のなわ張りでやっていくというような問題が起こるのではないかと思うわけです。  それから、官庁エコノミストあるいは専門職などは、別の国立研究機関のようなものをつくる。これは外国などではいろいろな研究所があり、ハーマン・カーンで有名なハドソン研究所でもそうですけれども一つの政策立案というような点で非常に力を持つ。何でも政策の原案というものは、それぞれの所管官庁でしなければいけないということはない。そういうベテランで、それぞれの産業政策なら産業政策についての専門的な知識があるならば、それが六十になろうが幾つになろうが、そこで活用して、別な政策を持っているとするならば、非常に目先の業界と密着したような政策に対する一つのチェックにもなるし、非常に長期的ないい政策を出す機会にもなるんじゃないかと思うわけです。  それから、先ほど人事院総裁も触れられましたけれども海外その他そういうところに活用するということも考えられてもいい。  要するに、公務員の天下りそのものが悪い、現在非常に弊害が目立っているわけですが、それを法的に禁止するというだけではどうしてもだめなわけです。それよりも、そういうふうにしなくても公務員はやっていける、しかも終生公務員として一もともと民間に天下りを前提として公務員になったはずではないのでありますから、公務員として暮らしていける、十分やっていける、しかも持っている能力を、その専門分野で政策立案その他についてやれる。たとえば、現在の各官庁に調査統計部というようなものをそれぞれ持っておりますけれども、こういうようなものは、何もそれぞれの官庁が持つ必要はないわけです。そういうところに活用することもいろいろあると思うわけです。  それから第二は、先ほど言いました第三者機関によるスクリーン監視といいますか、管理ということが考えられていい。  それから民間との交流、あるいはどうせ天下りということをするならば、三角トレードといいますか、建設省はむしろほかの大蔵省の関係のところへ行く、そういうような天下りのしかたを考えてもいい。  それから、先ほど言いましたように、第二項に関連するところの禁止期間を廃止したり禁止期間を長くするとすれば、当然退職年金の積み増しとか、そういうような対策も立てなければならない。定年は少なくも六十前後あるいは六十以上というように考えられていいと思います。  とりあえずそういうことが私の意見でございます。
  21. 久野忠治

    久野委員長 どうもありがとうございました。  最後に、宮崎政之君からお願いいたします。
  22. 宮崎政之

    宮崎参考人 八番目の男で、私から申し上げるのは蛇足と思いますけれども、二、三御意見を申し上げます。  先ほどから申し述べられておりますように、行政と経済界の密着、これが非常に進んでおりまして、それだけに行政の中立、公正ということが求められておることは当然だと思うのです。そういう意味で、高級官僚の天下り問題が新しく論じられてきておる。それだけに、現在の天下り規制のあり方では、ややなまぬるいのではなかろうか、もう少しきびしくする必要があるのではないかという点についても、私もそういうふうに考えます。また、その背景にある問題としまして、やはり政治の姿勢と申しますか、そういうものが出されなくてはいけないということもございましょうし、先ほど佐藤さんからもお話がありましたように、根本的には公務員の心がまえの問題ということもございますが、そういうことを踏まえまして、二、三対策を述べてみたいと思います。  これも重複いたしますけれども一つは、やはり在職年限が短い。五十そこそこで去っていかなくちゃいけないという問題が一つあると思うのです。これは、いままでの高級官僚といわれる人たちは、非常に昇進テンポが早い。五十前後で公務員の最高地位についてしまうような状況になっておる。したがいまして、この昇進テンポをもっとおそくしまして、大体六十歳くらいまで在職期間を繰り下げるというようなことを検討してみてもいいのではないかというふうに考えます。そのためには、やはり高級公務員の採用をもう少し厳正にやりまして、数を少なくするということも、それを考える上での一つの対策になりはしないか、こういうふうに思われます。  それから、それと並行いたしまして、人事管理上の問題でございます。先ほど来繰り返し指摘されておりますように、だれか同期の人が次官になると、ほかの同期の人は全部去ってしまう、そういうふうなところてん式な人事は、やはり改めなくちゃいけないし、また、公務員人たちも、そういう同期の人が次官になっても、どこかで国民のための全体の奉仕者の一人として、やはりその才能を生かすという心がまえも持ってもらっていいのではないかというふうに思います。  それから、それと関連いたしまして、現在各省別の採用になっておりますところの公務員を、これも指摘されましたけれども、プール制にしてみたらどうだろうか。それとあわせまして、もっと各省間の人事交流を活発にやる。いま、だれか同期の人が次官になりますと、ほかの人はぐあいが悪いということになりますけれども、そういう人たち各省に散在しておりますと、どこかで同期の人が次官になっても、ほかのほうにおる人は、そう気分的な問題もなくていいのではないかというようなことも考えられますし、そういう点から、このプール制の公務員の採用ということは、どうであろうかというふうに考えます。  これは臨調でございましたか、退職者の再就職に関連しまして、退職者をプールする案が検討されたと思います。採用時からプール制をやって、人事交流をやっていけば、退職時における高級公務員人たちのプール制採用も、あるいは可能になることになりはしないかというような気もいたします。  それから、次の点は待遇改善でございます。これは現在年金の基準額の最高が十一万円に押えられておるそうです。これは専門家の方がいらっしゃいますからあれですが、それでまいりますと、大体三十年勤続した人で、最高額が押えられておるものですから、年金は月額にして六万円ちょっとにしかならない。この基準額が十年ほど前できたそうでございますから、このあたりの引き上げもある程度検討に値しはしないだろうかというふうな考えも持ちます。  それから、人事院承認の問題でございます。これもいろいろ御指摘がありましたように、非常に抜け道その他もございます。たとえば、退職前の五年間の職務の地位が密接な関係ということで問題になっておりますけれども、いわゆる高級公務員といわれる人たちは、各省内のそれぞれのあらゆる分野を大体回っていらっしゃる。そうしますと、退職前の五年間だけのポストに限ってそのことを見るということは、あまり意味がないのではないかというふうな気もいたします。  それから、同じく密接な関連ということで、一つ例を申し上げますと、たとえば防衛庁関係、これは、調達は調達本部ということになっておるそうでございまして、この「密接な関係」は、調達本部の人たちは問われるけれども、装備局の人は全然関係がない。ところが、現実問題としては、調達関係については、装備局の人たちがかなり最終的な決定権と申しますか、そういう役割りを持っておるようにも聞いております。いまのあれでいきますと、装備局の人たちがどこか兵器産業に行っても「密接な関係」を問われないというような内規になっておるやに伺いますが、そういうふうに抜け道と申しますか、運用がこれではやや不十分でなかろうか、そういう意味で人事院承認制度というものも、もう少しきびしい方向で検討すべきではなかろうかというふうに考えます。  それから公社、公団その他の天下り問題、これも当然承認対象になってしかるべきであると思いますし、それから、防衛庁の自衛官の人たちの問題が、防衛庁長官承認になっておりますけれども、これも別扱いにする根拠というものはそうないのではないか、やはり人事院承認である一般公務員並みに扱ってよろしいのではないかというふうに考えます。  以上、私の意見を終わります。
  23. 久野忠治

    久野委員長 どうもありがとうございました。  これにて参考人各位の御意見の開陳は終わったわけでございますが、参考人各位におかれましては、まことに貴重な御意見を御開陳いただきまして、ほんとうにありがとうございました。     ―――――――――――――
  24. 久野忠治

    久野委員長 委員長もいま承っておりまして、官庁から民間企業へ、あるいは特殊法人へ、あるいは中央官庁から地方官庁へと天下りの問題がある。その根底には何があるかといえば、それは人材、能力を買うのではなくて、顔を買うのである、そういうことが一貫した御主張のようです。しかし、報道関係者の方でございますから、もっと率直に具体的な問題を取り上げて御意見の開陳があるものと私は期待をしておりましたが、まだ隔靴掻痒の感ありと判断をいたします。この官界の風潮が、ひいては一般民間企業にも及んでおることは事実であります。大企業から協力会社、協力会社から傍系会社、ただいまお話しのように子会社、とにかく民間企業にもこの風潮が移りつつあるのでございまして、そのことが官界、民間企業、政界、これを結んで汚職の原因にもなっておるという御指摘があったわけでございます。本日は、そういう重要な問題をはらんでおりまする会議でございますから、委員各位には率直にひとつ御質疑をいただきまして、徹底的に具体的な問題をも取り上げて御議論を願いたい、かように思う次第でございます。  それでは、ただいまの御意見に対し、何か御質疑があれば、これを許します。  委員の皆ざまにお願いをいたしますが、参考人の方もそれぞれの御予定があって、時間はそんなに長くはとれないようでございますから、要点だけひとつ簡単に質疑をしていただくようにお願いいたします。
  25. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 お触れにならなかった点について簡単にお尋ねをしたいと思います。  と申しますのは、中央官庁から地方公共団体への天下りの点を強調されましたが、特に私は問題だと思いますのは、中央官庁から土木部長とか総務部長へ移る。この場合はまだ一般職同士の交流でありますから、問題といえば、もちろん問題でありますけれども、ざらにはなはだ遺憾だと思いますのは、中央官庁から一たん特別職である副知事に転出をする。そうしてまた中央官庁に帰るというケースもあるわけです。そうすると、特別職の場合は、一般職と違って政治活動も自由なわけです。一般職から地方公共団体の特別職にいって、政治活動もやって、それがまた中央官庁に帰って一般職になるということは、私は、現在の公務員制度上からいかがかと考えておるわけでございますが、その点につきまして、どなたでもけっこうですから、御見解があれば承りたいと思います。
  26. 木津睦夫

    木津参考人 いまの御質問ですけれども、一般公務員が副知事になる場合には、都道府県議会の議決を要するので、これは当然天下りの場合とは全然違うわけです。それが今度帰ってくる場合の問題は、これは別に考えればよろしいと思います。それは一度能力を請われて副知事に就任をきれて、それからあと一般公務員に帰れないというように規定してしまうのもまたどうかと思うのです。その点の御質問ですか。
  27. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 もちろん特別職の場合は、当該議会の議決を要するという、自治体の機関としての意思決定の場があるのは、私も十分承知をしております。ですが、一たんそういった特別職で他の一般公務員制約は離れておる。御指摘がありましたように、民間から公務員にどんどん入る道が開かれておるならば、これまたいいかと思うのですが、そういう道は全くない。中央官庁からそういった特別職に行って、それから次に中央にまた帰ってくるというコースだけが開かれているというところに問題があるんじゃないかという気がするわけです。そういった特別職に出るときは、議会の意思決定というチェックの場がありますが、また中央に戻ってくる場合には、当然同じような意味でのやはり制約があってもいいんじゃないか、もちろん国会の議決というほどではありませんが、何らかの審査機関が必要ではないだろうかという感じがいたしましたので、お尋ねをしたいと思います。
  28. 木津睦夫

    木津参考人 それでしたら同感でございます。
  29. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 先ほど来皆さま方から非常に貴重なる御意見を聞かしていただきまして、まことにありがとうございました。われわれ国会人といたしまして非常に同感する点が多いのでございますが、二、三希望を――答弁はむりに要りませんから、ひとつ頭の中に入れておいていただきたいと思うのでございます。  本日御出席の方は新聞社の論説委員でございますが、私は天下りということばをお使いになること自体おかしいと思っていることが一つ。この天下りということばは非常に官尊民卑で、民主主義になった今日の世の中で、無冠の帝王といわれる皆さま方が官尊民卑を非常に助長するようなことばづかいをされておるんじゃないか。高級公務員なら高級公務員ということば、高級官僚なら高級官僚ということばを使われたらいいのではないか。これはあえて苦言でございますが、いまの世の中は決して官尊民卑でないと思います。  それから、朝日新聞熊倉さんがおっしゃっておられましたが、同期生が次官になるとその同期の者はやめるというお話がございましたが、戦後同期の者でも同じ省で次官になっておる前例もございますので、こういった前例、そのときの大臣がいかなる決断をもってこれをやったかということ等もお調べ願いまして、そういう点はよくPRしていただきたいと思うわけでございます。  その次は、民間へいろいろ出る問題でございますが、たとえば、これは高級公務員には入りませんが、ある官庁の、いま流行のコンピューター関係のプログラマーのある要員が役所の給料の二百八十四倍という給料で誘われておる。しかしそれでも行かない。これはいまから十年ほど前でありましたが、民間産業が非常に発達してきたときに、いわゆる特殊機械、ブルドーザーとかダンプカーとかのオペレーターがいない時分に、ずいぶんある役所からひっこ抜かれて困ったわけです。これらは国家が膨大な金をかけてやった人間です。非常にさもしいことでございますが、こういったケースもあるということをひとつ検討していただいて、今後皆さま方世論としても、また意見をお考え願いたいと思う次第でございます。
  30. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私もいままで皆さんのお話をずっと聞いて、一貫して御主張なさっておる点が幾つかあると思うわけなんです。その中で特にそれをどうしたらいいかということの幾つかの点が御提案なされておるのですが、人事院総裁については、あと委員長から配慮されて、こういう場所へ呼んで論議する機会をつくっていただけると思いますから、きょうはやめまして、参考人皆さんにお伺いをしたいと思うのですが、いわゆる天下りということが、一般国民から見れば、特権階級と見られる、いわゆる高級官僚と称する人たちは特殊の能力を持たれるというように見られておる。その人たちが、さらに特定の、一般の人にとっては到達することがほとんど不可能と目される地位に、突然その役所を離れる形の中で就任する。したがって、このことが庶民感情としてはほとんど受け入れることのできないほど、民主化された日本の国の中における特別のグループだ、これは何としてう排除しなければならないじゃないかという感情、感覚、こういうものが非常に多い、こういうふうに御指摘なされておるわけです。それでは、それをどうやって排除するのかということが当面非常に重要な問題であるし、さればこそわれわれもこうやって取り上げておるわけでございます。人事院総裁は、つくった当時といまとは全く反対で云々というようなことを言われ、それだからおれたちがやっておることは正しいんだということを長々とお話しになったわけですが、私は、それは時代の変遷、現在の状態とあの終戦後の混乱とは全く違うということを考えたときに、これをどうやって排除するかという方法の中で幾つかの方法が提案されておるわけですけれども、いわゆる法律によってはほとんど不可能だと何人かの方が言われておる場合もあるし、あるいは法律的に規制する必要があるかということも言われておるわけですけれども、はたしてその点はどういう形によることが一番正しいのか、いわゆる世論を高めるという形の中で必然的にそういう空気をつくっていくことが一番いいように感ずるわけであります。世論をつくっていくということになれば、いわゆる新聞社の皆さん方がそういう点についてまっ先にキャンペーンをしいていただくということが、こういういわゆる社会の中における特権階級をつくらない民主的な世の中における最もふさわしい社会の雰囲気をつくっていく上に必要じゃないかというように感ずるわけですが、これらのキャンペーンをおしきになるお考えがあるかないかということがまず一点。これは朝日、毎日、読売その他の皆さんが来ておられますので、どなたからでもけっこうですがお答え願いたいと思います。  それから、もう一つ一番重要なことは、いわゆる役所の待遇が悪いから民間会社へ行くんだということがたびたび言われておるわけですが、はたして役所のいわゆる高級公務員の待遇というものが、年金制度その他いろいろ御指摘なされておりますが、現在のいわゆる一般民間会社と比較して、高級公務員の賃金とその年齢と同じような経歴とを比較した場合、高級と称される役所人たち――下級、一般は違いますけれども、高級と称せられる公務員人たちの賃金は、それに対応する民間の会社の賃金と比較して悪いとお考えになっておられるのかどうかということ。これは非常に重要だと思いますので、悪ければ改めなければならぬということもありますので、その点もひとつお聞かせ願いたいと思います。  もう一つは、いわゆる一番問題になろうかと思うことは、役所における人事管理が、いわゆる入ったときにその一生が決定してしまう。いわゆる高級公務員になる人は、高級公務員としての地位就職した時点の中においてきまる。下級公務員になる人は、下級公務員としての地位就職したときにきまる。そのことはさらに役所を退職したあとにおける状態の変化にまでつながっていく。したがって、先ほど来議論の出ているいろいろな問題が出てくるわけですが、それが学閥その他とのいろいろな問題等とも関連をしてくるわけですが、これらの点が、一体現行法による人事院の段階の中で解決することができ得るのか、解決する方法は一体あるのかないのか、こういう点について参考人皆さん方がはたしてどうお考えになっておるか。私は、この点が根本的に解消されるならば、いわゆる役所の中における就職後における能力、その能力に基づく実績によってその地位が必然的に決定していくということになるならば、そうむずかしいことではないのではないかと思うわけです。そのことが、結論的に言うならば、高級公務員になった人が相当早くやめて民間会社へ天下りするということについては、いわゆる退職年限に達する三年も四年も前に退職後のことを考えて、在職時における職責を果たすよりも、退職後における職責を果たすのにきゅうきゅうとする人たちがなくなる。民間企業は、あれを招くことによって、みずからの企業を存続させようというような風潮もなくなるんじゃないか、こういうような気もするわけですが、いろいろな点が一ぱいあるわけですが、時間がございませんので三点について御質問申し上げます。  結論的に私が申し上げたいことは、そういうことは、われわれももちろんこういうところでやる、院内でやるけれども、一大キャンペーンといいますか、皆さん方が世論をもう少し高めていただくように御配慮していただくことが必要でないかという気がするわけです。それらについてひとつまとめて御見解を承りたいと思います。
  31. 多田実

    多田参考人 第一のキャンペーンの問題でございますけれども、確かに、その前提になりました国民感情の問題が大きくあると思います。高級公務員の天下り一でなくて転出がこれほど問題になるのは、第一には、行政の公平がそこなわれるという問題と、第二には、国民感情に適合しないという問題でして、たいへん失礼な言い分ですけれども、せいぜい役所の局長、調査官あるいは課長、課長補佐といったくらいの人々が、突如として相互銀行なりあるいは中堅のかなりの会社なりあるいは銀行、そういったものの頭取、副頭取や副社長、常務、専務といったところに弱冠にしてなるというのは、国民感情から見ると、どうしても許容できないというところが大きな一つの問題になった原動力であるわけです。したがって、そういう問題の出た場合には、当然世論を喚起するという問題が起こるだろうという御指摘もごもっともでございますけれども世論というのは、おこがましい話ですけれども、ある問題についての見方の大勢を動かすことはできます。しかし世論は、その問題についての制度の改善とか慣習の改革ということをするわけにはいかないわけでして、特に本日は私ども全部個人の資格でここに出席しておるわけでして、私どもの所属しておりますそれぞれの新聞なりが具体的にキャンペーンをやるかと言われましても、ちょっとお答えしにくい点でございます。
  32. 木津睦夫

    木津参考人 ただいまの御質問の中で、キャンペーン以下のところで、法か精神かということがあると思うのですが、私は、これは両方とも必要なんで、法律以前に、国家公務員の精神の持ち方というもの、これは当然に必要であります。法律が要らないということでなく、その両方ともが必要だと思います。  それから、その次には、待遇の関係ですけれども、私は共同通信で給料は安いと思いますけれども、上級職の官僚の人は、われわれと比べてむしろ多いんじゃないかぐらいに思っております。そんなに待遇は悪いとは思っておりません。これは高級官僚の方に限ります。  それから人事管理が、入ったときの序列できまってしまうのではないかということは、これはいまの人事院制度でもって、内部の昇進試験というものを大幅に取り入れることによって改善していくことができる、かように思います。
  33. 今井久夫

    今井参考人 これに関連いたしまして、制度法律か精神かの問題とおっしゃいますけれども、私は、高級公務員というものの利用価値がある限り、いかに法で縛っても、やはり企業側が何らかの形でもって利用するであろうと思います。したがって、問題は、高級公務員というものの退職後の利用価値をなからしめる方策いかんということだと思いますけれども、これはせんじ詰めれば、公務員、行政機構自体の問題、官僚制度の問題の中にあると思います。具体的に申せば、やはり許認可事項ですね。許認可事項というものをいかに有利に顔をきかしてとるかということ、つまり、退職後の官僚の一般の利用度でございます。したがいまして、許認可事項をいかに近代化し、いかに一つの顔でもって左右されない制度にするかということの解明にこそ、この問題を解く根本的なかぎが一つあるというふうに思っておるのです。
  34. 楓元夫

    ○楓参考人 先ほど木津参考人が触れられましたけれども、給与の点についてだけ言いますと、ある週刊誌が、たまたま実際に民間と高級公務員その他の公務員の比較をしたことがございます。私自身は試算したことはございませんけれども、四十五歳を境にして、公務員のほうが高くなっておる。実質賃金は高くなるという調査がたまたまありましたけれども、おそらく、高級公務員に限って比較されるならば、民間の相当なところだったら、公務員のほうが高いと思います。
  35. 中村時雄

    ○中村(時)委員 参考人の方、どうも御苦労さまです。  私、時間の関係があるので、三点だけお聞きしておきたいのですが、まず天下りとしての本人の生活上の問題、たとえば生活上からくる問題というものは、五十歳前後にして云々されていくということになると、将来自分の生活の保障というものを考えなくてはならぬ。そうすると、よその会社へ出ていく。やめるときには、たとえば三百万なら三百万もらっていく。今度常務なら常務になった。三年間たって役職が交代すると一千万円もらう。今度専務になってやめるときは、また一千万円もらう。ひどい者になると、一時空席にして、またもとに戻ってくるという方法をとって、生活本位にものを考えていく。だから、官庁につとめるときには、少なくともこれは大学の入試だ、これを卒業して官庁をやめるときに、いよいよこれからが就職だというふうなばかげた雰囲気がある。一部官僚の中にそういうことを口にする実情すらあるのです。こういう生活上の問題、あるいはそれに伴うところの年齢の問題、それまでにいち早く地位を確保したいというような問題、あるいはそれに伴うところの能力の問題、これは個人的な一つの感覚の問題であります。  それと同時に、今度は受け入れるほうの体制としては、そういう官僚組織という一つの権力のもとに、これもAという会社が受け入れれば、今度はBという競争会社がまたすぐにそれを受け入れなければならぬ、こういう問題が起こってくるであろうと思う。そういう受け入れる側の問題がある。  もう一つは、役所としての顔でいくのか、あるいは顔を立てようという意味でいくのか、こういう問題で分かれていく。  もう一つは、こういうような官僚制度の権力を利用するところに一つの大きな原因がある。  そこでお尋ねしたいのは、一体個人というものを明確に締め上げていくのがほんとうなのか、あるいは受け入れる側のほうを明確にしていくのがほんとうなのか、あるいは行政組織といいますか、官僚組織といいますか、そういう組織の中にメスを入れることが一番有効なのか、その三点のうちのどれが最も有効価値を持つのか、これをお聞きしたいと思います。皆さん方全体にお聞きしたいのですが、時間の関係もあるので、熊倉さんと木津さんにひとつ御返答願いたい。  それからもう一つ、公社、公団、地方公務員が非常にフリーである。そのとおりであると思います。たとえば、ここに一つの団体の実例があるのでありますが、皆さん遠慮して言われないのでありますが、日本食堂株式会社というものがある。公社のほうから人事の異動されておるのがどういうふうになっておるかというと、従業員が六千二百三十六人、そのうち国鉄退職者が二百二名。そこの役職は時間の関係で申しませんけれども、ほとんど全部が退職者であります。あるいは鉄道会館にいたしましても、そういうふうな状態で、三百四十六名の中で七十三名退職者が吸収されておる。しかも、それが一つの機構になって、そこに天下りするから、かちっとした一つの組織になってしまう。そういう方法をとった場合、フリーになっていくところの公社、これはどういうふうにお考えになっておるか、どういうふうなやり方をすれば一番いいのか、そういう点をひとつお答えを願いたい。  それから、人事院総裁に一点お尋ねしたい。たとえば大蔵省につとめておるその連中が、自分が、政治的にしろ、あるいは一般の経済的にしろ、将来に向かって自分がこうと目標をつけたら、その会社を非常に云々される。政治であれば、その地方において特殊な状態をつくっていく。こういう事柄に対して、どういうふうにお考えになっておるか。こういうことが現実に出てくるのであります。政治的に利用するにしろ、企業の営業に利用するにしろ、そういうことを当初から意識的にやっておられる。そういうことが事前にわかっておりながら、何らの事前の処置も施していない。こういう点に対してどういうふうにお考えになっておるか、三点だけ質問をしておきたい。
  36. 熊倉正弥

    熊倉参考人 どうも、お名ざしでありますから……。生活上の問題で、生活本位に考えるということでございますが、おことばを返すようでございますが、これは私は当然だと思う。私なども実は生活を考えなければならぬわけであります。したがいまして、高級官僚の人がどうやってめしを食うか、自分が死んだらどうするか、子供をどうするかと考えるのは当然だと思います。それを私は非難する意思は毛頭ございません。しかし、それが行政上の権力があって、国民生活にいろいろ大きな影響を及ぼす地位にいた人であり、今後もそういう影響を持ち得る、そういうことで、私ども民間の者が生活本位であたりまえであるところを、少しがまんをしてもらう、あるいはだいぶがまんをしてもらう、こういう問題であるように思います。お答えが当たりますかどうか……。  それから、受け入れる側の競争になるのじゃないか、当然なります。なっております。したがいまして、こういう会議が開かれておると思います。当然そうだと思います。  それから個人を締め上げる、いやなことばでありますが、制限する、あるいは受け入れ側に対して規制をする、あるいは官庁組織にいろいろメスを入れるというようなことでございますが、私は、法律が必要じゃないかと思いますが、法律でけりがつくとは思いません。抜け道のないような、息苦しい法律だったら、これもたいへんな問題が起きましょう。普通の法律では実は押え切れないものが出てくる。つまり、ちょっとやそっとの法律では押えられないような底流の強いものであると思います。受け入れ側を規制するということもなかなか――法律的にどういう表現になりますか……。  私は官庁組織にポイントがあると思う。しかし、ほかの参考人の方からありましたけれども、許認可事項を減らすとか、いろいろありましょう。ありましょうが、それ以外に、日常の行政指導といいますか、これは非常に大きな意味があると思います。それで、白紙の上でものを論ずるならば、官庁がどれだけ定員をお持ちになれば――反対だけれども、それで国民が満足すればいいのですが、日本の数十年の歴史、戦後のことも含めまして、歴史の上では弊害があらわれておる。こういうわが国の実情に立って考えれば、私は、官庁の仕事はやはり多過ぎる、もっと減らしてもいい。もっと極端にいいまして、そういうものが減っていけば、一々民間に競争で出るという必要度は減るというふうに思います。そういう必要度が減るような方策を官庁の組織、業務形態から考えていくべきでございます。愚見でありますが……。  それから公社、公団について、私実は非常に悩んでおります。結論は持っておりません。
  37. 木津睦夫

    木津参考人 いまのお答えと一緒になる点がありますけれども、高級官僚の方は大体国立大学の出身で、つまり、国で非常に経費をかけて教育した人物が多いわけです。それから政府という場に入りまして、そこで法律の小さな一つの起案から始まりまして、徹底的に仕上げられた人間が多いわけです。それが五十歳ころになりまして、一番使いごろに、能力も経験も豊富になって、それが役所を離れたとたんに、すべての自分の経験、自分の勉強、そういったものを一瞬にして今度は私有財産として民間に売り渡すということは、やはり国民の感情としてぴったりこない点がある。そういう点が、先ほど来申しましたように、天下りという文字になってあらわれておるわけなんであります。しかし、これはやはり憲法の問題等と関連しますので、それだけで押えつけてしまうわけにはまいりませんけれども、そこらは、やはり公務員人たちが、精神面でそこをはっきり踏まえてもらわないことには、国家公務員法というものの精神は成り立たないと思うのです。あの国家公務員法の精神は、国家に忠実であり、社会公共福祉のために働くということを大前提にした法律なんですから、それを踏みはずして、自分だけの将来の展望のために、経験なり勉強なりをするということだったら、これは法律以前の間違いだと思います。  それから第二番目の、受け入れ側の競合の点ですけれども、これは、私、最初にお話し申し上げましたが、たしかイギリスでは、受け入れる側が非常に競争するので、受け入れられなかったほうを保護する規定があるかに伺っておりますが、こういう点も御研究になったらよろしいかと思います。  それから三番目に、個人か、受け入れ側か、あるいは組織か、これは三位一体だと思います。これをどれが一番大切かということは、ちょっといま直ちに即断ができませんので、この三本を組み合わせて活用していく以外にはないと思います。  それから最後の、公社、公団の件でございますけれども、一般公務員が公社、公団に行く場合には、これは普通の天下りとはニュアンスが違います。というのは、これは政府が任命するのでありますから、ちょっと人事院承認ケースとは違うわけです。私たちが一番問題にしたいと思うのは、公社、公団の役員になって、その後に民間に下る。つまり準公務員の立場から民間へおりていく場合に、これが全く野放しであるという点を非常に天下りとして強調したわけであります。
  38. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私に対するお尋ねは、その大前提となるところは、大体いま熊倉さん、木津さん、その他の方々がお述べになりましたところに関連すると思いますけれども、いま現象的に問題をとらえて、一応の考え方の私としての筋道を申し上げますと、お尋ねに当たっているかどうかちょっとわかりませんけれども、こういうふうに考えます。  要するに、たとえば大蔵省なら大蔵省に入って、そうして将来、管轄の関係がありましょうが、ここという会社をねらって、そこに不当な利益を供与してコネをつけようという場合に、まずくるのは、一体それが服務規律上どういうことになるのか、極端な場合であれば、それは刑務所行きにもなりますし、懲戒処分対象にもなるわけであります。しかし、そういうことでなく、なお弊害が予想されるから、関係ある経歴を持った者は、ここでチェックしますよというのがこのたてまえになっておりますけれども、ただし、その場合、たとえば大蔵省には印刷局というものがございまして、印刷局でずっとやって、印刷のことばかりやっておった人が、それがたとえば銀行のほうへ行こうと思って一生懸命コネをつけようとしても、印刷局の職権ではさっぱりつけられないわけです。そういうときは一応いいことにしないと悪いのではないか。しかし、それにしても、わきまえを越えて悪いことをすれば、第一義的には懲戒の問題であり、刑罰の問題であるというふうに考えます。
  39. 林百郎

    ○林議員 官房副長官にお尋ねしたいと思います。実は高橋さんの御意見にもあったのですけれども企業と国家機関との癒着、そうしてさらには、それと政党との結びつき、そういうところに今日のいわゆる天下り人事問題の一つの体制的な根源があるのではないかという御意見で、私も非常に感銘して聞いたのです。  その中で第一の問題は、国家公務員法の百三条の三項、これはいまはチェックする役割りではなくして、むしろこれが天下りを合法化する役割りになっておるように思うわけです。すでに一年に百何十人も高級官僚が天下りしている。しかも、大蔵関係の高級官僚が証券会社に行く、農林省関係の高級官僚が農産物の市場だとか荷受け機関におりるとか、これはだれが見ても密接な関係があると思われることが、むしろ百三条の三項で合法化されているという状態ですね。これは政府としての考えをお聞きしますが、むしろこういうものを取り除いて、一定の期間は就職できないということ、一定の期間はそういうことをはっきりさしたほうがいいのじゃないかと思いますけれども、なお将来そういう考えがないかという問題が一つ。何らか百三条の三項を考え直す時期が来ているのではないかというふうに思うわけですが、この問題が一つ。  それから、やはりそれは高級官僚のほうにも問題があるけれども、受け入れるほうもまたいろいろの条件でこれを引っぱり込もうとしておる。たとえば大蔵の高級官僚を引き込んで、税金関係で何とか交渉をする。あるいは建設省関係の高級官僚を引き入れて仕事を取ろうとする。民間会社のほうも一定の規制をするような立法的な措置が必要じゃないか。不十分ながら、政治資金規正には、国と地方公共団体と密接な関係がある営利会社からの一定の期間の献金はしてはならないということ、これはわれわれから見るとまだ非常に不十分ですけれども、そういう規制がなされているわけです。そういうことをやはり民間会社のほうも規制をする立法的な措置が必要じゃないか。この二つの問題。これはやはり最終的には政府が責任を持って、今日のこういう実情を考えてみなければならないのじゃないか。高級官僚はこうして公団や――もちろん公団などへも行きますし、営団なんかへも行きますし、われわれから見ると、ばく大な退職金をもらいながら、またここへきて五、六年たちますと、またそこをやめて、またばく大な退職金をもらったり、高給をはむ。憲法で保障されているといいますけれども、しかし憲法就職の自由とかなんとかいいましても、一般の公務員は五十七、八を過ぎてやめれば、しかも、子供がちょうど成長盛りで相当な生活費が要る、社会的にも体面を維持しなければならない、そういう苦しい中を何とかくふうしながら通り抜けているのに、高級官僚だけが憲法の名においてこのように保護される。しかも、公務員法百三条の三項が、いまやそういうことを合法化するような役割りに転化している。佐藤さんは先ほどから甘くない、甘くないと言っておりますけれども、しかし、世間から見れば甘いですよ。あなたがいくらそんなことを弁解したって、何か自分自身のことを弁明されているように聞える、身につまされて。だから、どうしてもこの二つの点を規制することを政府自体が責任をもって考える時期にきているのではないか。国民の世論からいっても、そうだと思う。ひとつ、そういう点で政府考え方を聞きたい。公務員法百三条の三項、それから民間のほうの規制、この二つの点を考えるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、どうですか。
  40. 木村俊夫

    ○木村(俊)政府委員 いまの問題は非常にむずかしい問題でございますが、政府といたしましては、いま人事院総裁からお答えしたような趣旨で、ケース・バイ・ケースで事を処理しております。しかしながら、将来の大きな見通しとしましては、いま林さんがおっしゃったことも一つの御意見かと思いますし、また、そういうふうに社会的風潮も向かっているのではないかということも十分考えますが、しかし、現在のところ、それにかわる一たとえば一般的に、天下りという名前はいけませんけれども、高級官僚にしろ、あるいは中級の官僚にしろ、公務員が、全然何らの規制を受けないで、あるいは、ある規制のもとに民間企業就職してはいけないという一律な規制をして、はたしてそれでいいものか悪いものか。これは、憲法上の問題はさることながら、それにかわる何らかの制度をそこに代替制度として設けなければいかぬじゃないか。それには、さっきからお話がいろいろ出ましたとおり、行政制度一般の問題、これは臨調の問題もありましょう。また、行政改革を徹底的にやるということも一つ考え方だと思います。そういうような総合判断のもとに、はたしてそういうような一般的規制が可能かどうかということは、政府としても今後考えなければいけない問題である、こう考えております。
  41. 中村時雄

    ○中村(時)委員 先ほど申しました政治的に云々のことですが、天下りをするということは、経済的だけでなく、政治的にも一つの目標を持ちまして、その地位を利用しでやっていく。これは極端に言えば自民党さんに多いわけでありますけれども、人ごとながら、実際にはそういうような問題があらわれてくるわけであります。そういうものに対して規制のお考えを持っていらっしゃるかどうか、そういう点をお答え願いたい。これは、人事院総裁と副長官がいらっしゃるから……。
  42. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは法律規則一点ばりで一応お答え申し上げますれば、私どもは、政治活動の面はまた政治活動の規制の規則がございますから、それはそのほうできびしく取り締まっていくよりほかにない。それを、もぐったとかもぐらぬとかという形になってまいりますと、特にその意図を持ちながらの転出ということになってまいりますと、これはわれわれとしては立証はつかめませんし、やはり現象的にあらわれたところを見てきびしくつかんでいく以外にないのじゃないか、大体そんなような気持ちを持っております。
  43. 木村俊夫

    ○木村(俊)政府委員 これは公務員の官紀の問題と関連いたしますが、政府としては、事あるごとに官紀の粛正を十分通達はしておりますが、これはやはり最終的には公務員一人一人の自覚の問題だと思います。
  44. 正木良明

    ○正木委員 八名の参考人方々に御足労をお願いしたわけでありますが、私は、八名の参考人皆さん方の中から、一人ぐらいは天下り人事に賛成の方がいらっしゃると思っておりましたら、そうではなくて、天下り人事には大きな批判をお持ちになっていらっしゃるということがよくわかりました。これは私どももそう考えておりますが、ジャーナリストの皆さん方の御意見を拝聴いたしますと、むしろこれは素朴な国民的な感情でもあるという確信をなお持ったわけであります。特に、その御意見の中で一貫されて述べられました中には、熊倉さんが役所の顔のことをおっしゃいましたが、これはまさにうまいことばであろうと思います。すなわち、それは、企業のほうが役所の顔というものを欲しておるということになると思います。したがって、実際、高級官僚の才能だとか技術、そういうものよりも、役所で顔がきくということ、すなわち、自分が退職したあとは、自分の後輩並びに下僚が自分のあとを襲うわけでありますから、そういう人たちにも圧力がかかるということになる。こういう面での顔を企業は欲している。これは私も同意見であります。  さて、それじゃ、この一番大きな弊害、これを遮断するためにはどうしたらいいかということについていろいろ御意見があったわけでありますが、一つ行政監理委員会の太田さんが言っておられるようでありますが、天下り人事を絶対許さないという一つの方法があるわけであります。もう一つは、自分の関係業務以外のものに天下りは限られるべきだという、少しは緩和された考え方があるわけであります。もう一つは、先ほどおっしゃいましたように、そういう顔がほしいということは、結論的にいって、役所が持っておるところの許認可事務というものに対するスムーズなものを企業側が期待するということであるから、その許認可事務を整理すべきである。また同時に、その許認可事務というものについての顔が通用しないような制度にすべきであるという、両面の問題があろうと思っております。  それで、まず第一点として、これは人事院総裁に伺わなければいかぬと思うのでありますが、この天下りのほうを制限するという意味において、天下りを絶対に許さないという方法と、それから、自分の関係業務以外のものに限るべきであるという考え方と、二つあるわけです。ところが、今回の国会に対する報告書を拝見いたしましても、私たちはどう考えても関係業務に携わった人たちが、それと最も密接な関係にある企業に対して天下りをしているということが随所に発見できるわけです。こういう意味において、やはり相当大きな制限をつけるべきではないか。天下りを絶対許さないということが、憲法職業選択の自由ということと競合するならば、少なくとも自分の役人になってからの経歴の中における関係業務とは一切関係がないところならば別ですけれども、それは人事院のほうでチェックして許さない。こういう方向に強化するという考えはないかどうかということをお伺いしたいわけであります。そうして、許認可事務の問題については、これは人事院とは直接関係がありませんので、この際これは置いておきますが、その辺の御答弁をひとつ伺いたい。  それからもう一つ私が考えることは、一つは、汚職の発生というのが次官、局長クラスといったような高級官僚から起こりにくくて、中級、下級といわれるような公務員からしばしば汚職が発生している。最近の一連の汚職にしましても。そういうクラスから汚職が発生している。これを考えてみますと、一つは、天下り人事それ自体が綱紀の弛緩につながってくるのではないかというふうな考えを持っているわけです。それは、高級官僚というものは、役所へ入ってから、退職しても、自分の老後がきわめて安定した再就職先というものが必ずきまっていると言っても過言ではない。個別的にはどこの会社ということはきまらないでも、少なくとも安定した再就職先というものがあるということは考えられる。したがって、身辺きわめて清潔にやっておっても行けると同時に、また、それは、今後自分が再就職するべき企業との密接な関係さえつけておけばよろしいという考え方で進んでいるが、しかし、この天下りということがきわめて困難な、先ほども御指摘がありましたが、大部分の、申請を出していない人、そういう人たちの再就職先というものは非常に不利な状態にある。しかも、下級公務員に至っては、そういう点についても保障されていない。したがって、老後の保障ということについてはきわめて不安定である。だから、上のほうは清潔にいけるのは、老後の生活が安定するという方向に向かっているからであって、私たちは決してそうでないのだからという、そういう気持ちがこの中級、下級公務員に、特に下級公務員にあるのではないかという感じがする。それをきびしく規制しようと思っても、腹の中では何を言っていやがるんだという気持ちがあるのではないか。したがって、この天下りというものが、いまのように、そういうきわめてぬるい方向で進められていくのであれば、綱紀の粛正ということも根本的に厳正にはできないのではないかという考えがあるのですが、この点についての御意見を伺いたい。  最後に、防衛庁は、人事院のいわゆる国家公務員法第百三条の三項のチェックを受けないで、防衛庁長官判断によって、いわゆる天下り再就職ができることになっておる。ところが考えてみると、企業役所の結びつきにおいては、その企業の国からの受注率ということになると、これは兵器産業が一番大きなパーセンテージを占めるのではないかというように考えるわけです。そういう意味において防衛庁の職員が、特に高級官僚、将並びに将補というような人たちが相当防衛産業に転身をしておる。それがきわめてルーズに行なわれておるのではないかという考え方を私はきわめて強く持つわけです。特に昨年機密漏洩事件が起こりましてそういう点が大きく論議されましたけれども、だからといって、そのあとどうなっておるかというと、同じような傾向を示している。こういう点について、防衛庁にもチェックを加えていけない理由、またいくような方向へ進む気持ちがあるかどうか、この三点をひとつお伺いしたい。
  45. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 資格の使い分けをしてまずお答え申しますが、人事院総裁といたしましては、現行の国家公務員法を誠実に執行するということが任務であって、それに尽きるわけでございます。したがいまして、ただいま、先ほど申し上げましたような方向で、世論にもかんがみて、その承認については十分慎重に遺憾なきを期してまいりたい、こういうよそ行きの御答弁になるわけであります。  ただ、ここに御列席の方と肩を並べての、多少論説委員的な発言を許していただきますならば、それはその意味でお聞き取り願いたいと思うのですが、ただいまの林議員のおことばにもありましたけれども、この三項を削ってしまったらどうかということについては、私自身は、これは国会でそういうふうにおやりになる分には、もちろんこれは批判すべきではございませんけれども、どう思うかと、かりに個人的の意見をお問いになりますならば、先ほど申し上げましたように、どうも基本的人権の面から申しまして、これは相当なことになりはせぬか。たとえて言えば、公安条例というものがございます。公安条例そのものが、人権の問題として相当各方面で争われておりますけれども、あの中で、かりに公安委員会の許可というものをのけてしまった場合に、公安条例ははたして合憲か違憲かという問題になると、これは私は相当深刻な問題であろうと思う。これは職業選択の自由といい、ほかの自由といい、憲法で保障する自由という上では同じことではないか。相当重大な問題になりはしないかという気持ちを持っております。  それから防衛庁の問題は……。
  46. 正木良明

    ○正木委員 それじゃ総裁、関係業界に限っていえばどうですか。
  47. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは基本的には、さっきちょっと触れましたように、大蔵省所管の業界でありましても、たとえば銀行と印刷局長というような関係を見ますと一大蔵省の職員である印刷局長は、実は不当な支配力を銀行に及ぼそうとしても及ぼし得ない地位にある。これは厚生省の役人と銀行の職員関係と同じことではないかという点から申しまして、一応われわれはその辺に一線を画しておるということでございます。
  48. 正木良明

    ○正木委員 質問となじまないすりかえ答弁をしないで。関係あるじゃないですか、大蔵省主税局で酒屋へ行った者がいる。
  49. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは所管の権限の及ぶ管轄をみな持っておりますが、その管轄区域外の会社に対しての支配力というものはないのではないかということで、いまの印刷局の例は極端な例でありますけれども、それと共通に考えているというわけでございます。  防衛庁の問題は、これは完全にわれわれの所管外でもあり、これは実は実態をよくつかんでおりませんので、この点……。
  50. 正木良明

    ○正木委員 総裁の希望としてはどうですか。
  51. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは世論批判にこたえていただきたいということに尽きるわけでございます。
  52. 柴田健治

    ○柴田委員 簡単に御意見を聞きたいのですが、いまいろいろ参考人の御意見、また委員皆さん方の御質疑の中で聞かせていただいて、参考になる点が多々あり、今後の改革というか、それに取り組む姿勢というか、われわれも認識を新たにしたのですが、ただ一点、私は人事院総裁と木村官房副長官に見解を聞きたいのですが、私たちは、この天下りの人事というものがなぜマスコミに乗らなければならぬのだろうか、人間一人々々の弱さ、強さというものは大体みんな持っております。どんな官僚であっても、個人の人間としてはどんな顔をしておっても、りっぱな顔をしておろうと、きたない顔をしておろうとも、そう顔というものが高く評価されるわけではない。要するに、それは権力だと思う。権力をここまで大きくしたということは、日本官僚の中の権力というものが――私は日本憲法からいって、司法権、行政権、立法権、この三権分立が守られていけば、こんな問題は起きないのではないかということが、角度を変えて考えた場合にはそれがいえると思うので、たとえば立法府で法律をつくる。その法律を歪曲して、かってに各省が政令、省令をどんどんつくっていく。その政令、省令をどんどんふやすことによって、改正することによって、やはり官僚の力というものが増大をされてきた。だから、関係のないポストにおった者がやめて、たとえ民間会社関係のないポストだった、こう言っても、やはり政令や省令をかってに変える権限を、それぞれの課長以上、部長以上、局長以上でやる限りにおいては、先輩後輩という人間関係が続く限りは、ポスト関係がどうあろうとも、これはどうにもならない。要するに私は、立法府の国会議員の姿勢を見てもわかるのですが、農林省に行って国会議員が頭を下げなければいかぬというような、そういう立法府できめた法律より政令、省令のほうが権限が強いような仕組みにした、そういう政府がとった態度というものに疑問を持っておるわけです。だから、この点については、政令、省令というものを、政府はもっときびしく、かってに政令をつくらないように、改正しないように、何とかこれをチェックするような考え方を持つべきではないか、こういう気がするのですが、見解をお聞きしたいのです。
  53. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いまの政令その他は、これは私どもの所管ではございませんから、木村副長官から後刻お答えになると思いますが、いまのお話の問題は、要するに、公務員信用の問題と思います。したがって、権限をいかに与えられておっても、その権限を厳正公平に実施するならば、そこに何らの批判の入ってくる余地は本来ないものだと思います。しかし、その前提の問題として、なるべく権限を与えないほうがまだ無難ではないかということが論理的に出てくる。そこで、先ほど来論説委員各位が言っておられるように、許認可事項をどんどん減らすべきではないかというお話も出てくるわけで、それは当然その面でつながりがある、こういうふうに感じます。
  54. 木村俊夫

    ○木村(俊)政府委員 国家権力と企業との関係、これは行政がだんだん複雑になってまいりますので、いかに行政改革で行政上の許認可事務を簡素化いたしましても、やはり残るものは残ります。そこで、それに対する監督の面で厳重にしなければならぬ。一つ政府部内の内部的監察、これがございます。当然われわれ内閣で公務員の職務を監督しております。これが一つ。もう一つは、皆さん立法機関による国政調査権に基づく監督、これは立法機関による監督であって、第三には、ここにおいでになるマスコミその他社会批判を受けることによって生ずる監督、この三方面の監督によって、国家権力と企業、また公務員の職務を監督するということは、これは当然していかなければならぬと思います。  それから、正木さんの御質問でしたか、これは私ども、実は防衛庁を人事院の問題から切り離したのは、特別公務員であるというだけです。したがって、人事院の機能と制度を改正すれば、防衛庁についても同じようにやれるわけです。ただ、それがはたしていいか悪いか。また、現在の制度においても、防衛庁のいわゆる企業への転出をもう少し厳重にやるべきではないか、これは私ども考えております。
  55. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は、きょう実はこういう会合をやろうじゃないかという提案をした言い出しっぺみたいなものでありますから、各社の論説関係の非常に重要な職におられる皆さんがおいでになるのですから、たとえば毎日さんからでありますか、政府との、あるいは財界との癒着という問題、これは非常に重要な御意見であります。だから、そういう問題を少し掘り下げて話し合ってみたい、こういう問題ですね。それから、読売さんのほうからも出ましたし、その他の皆さんからも出ましたが、職員の士気の高揚ですね。たとえば次官に同期生がなったからというただ上のほうだけでなくて、上をながめてみたら、つかえてしまってどうにもならないという、そういう問題についての各社あたりに対する投書などによる切々たる訴えだとか、それから、その癒着の実例だとか、たとえば抜け道の問題、たいへん各社から出ました。これは総裁なんかもよく聞いておいてもらいたいのですが、何も印刷局長に関係ないと言うが、印刷局長はたいした関係があるんだ。そういう問題、たとえば郵政省の某郵政局長が、去年突然一身上の理由でやめたんですよ。やめたと思ったら、どこに行ったかというと金沢のUHF局に行きましたね。委員会で私が大臣追及したら、本人が一身上の都合で辞表を出してやめたんだと言っているんですね。その理由は絶対に言いません。それでは汚職か何かあったんですかというと、何もないと言う。人事院総裁の御高説はときどき拝聴しておるのですが、国家公務員というものが、戦前のように、何か政府がかわったとたんに一警察署長までがらりとかわってしまう、こういうことではたいへんだから、人事局などというものではなくて身分、任用、給与の問題も、すべて第三者的な人事院が握っていたい、こういうことは正しいと思います。そういう意味で、私は、人事院審査がなまぬるいとかなんとかという批判は――あなたが期待する方向と別な方向に行くことをおそれて言うのですが、あっさり首を切ってしまう。そうしてあなたのほうに承認を求めてきたに違いない。そうすると、その郵政局長なる者はUHF局とは全然関係がなくても、次官なり大臣のほうからあなたのほうに行って、関係がないからやってくれと言われれば――関係ないどころか、大臣という全般を指図する人が、自分の意思でやめさせておいて、今度どこかに身売りさせるなどということは、あなた方が人事院規則の十四-四ですか、この基準というものをよほど考えないとたいへんなことになるのではないか、そういうことを私は心配しているのです。そういうことをも含めて、たとえば公社、公団の天下り、これは退職金なんか言うと、天下りじゃない、天上がりだ。公団屋なんていうのがよくあるのです。食糧営団におって、その次には愛知用水に行った、その次には成田空港に行った、こういう渡り鳥シリーズみたいな人も中にはいるのです。こういう問題を、きょうは論説委員皆さんから具体的に実例を発表していただけると思って、たいへん期待しておったのですよ。そうしたらえらい紳士的な発言ばかりで、少しがっかりしているのですが、そういう公社、公団の問題なんかチェックのしようがありません。防衛庁は防衛庁でかってにやっておる。これは権限外だと逃げる。こういう問題について、人事院総裁の最初の説明とその後の答弁と、各社の皆さんの言われた御意見との間にたいへんな断層がある、こういうふうに私は理解しておるわけですね。その断層はどういうふうになっておるのかということまで、きょう私はやれるものだと思って期待をしておったわけです。たとえば、あなたがいろいろ言いますが、ある一流の建設会社へ割り当てを――二流も三流ももちろんやられますよ。だけれども、こういう役人をことし三人入れてやらないと――いやだと言えば仕事をやらない。そういうことで泣いておる会社なんかたくさんありますよ。なるほど三年間くらいは顔がきくのです。そうすると、四年か五年たつと時代が変わって、そんな者が建設省に行っても、どこの馬の骨か忘れたといわれる時代が来ると、まさか首を切るわけにはいかないし、生産コストが上がろうと、もうしょうがない、泣きの涙でかかえておる会社がざらにある。郵政省のことはうっかり実例をあげて言ってしまいましたが、こういう例はたくさんある。こういう話を私はしたかった。ところが、きょうはそういう話まで至りませんでしたが、たいへん根本的な問題について、私が期待したものとは違った意味で、根本的な問題でたいへんいい意見がきょう出たわけですから、これを参考にして、そういう欠陥というものをこちら側が一生懸命取り組んでやらなければならぬ、こう私ども思っておるのです。議運の委員長からあとあいさつがあると思いますが、そういう意味ではほんとうに御苦労さまでした。ありがとうございました。そういう意味で、各社の皆さんにお願いをしたいのですが、きょうこういうキャンペーンをしてみたらどうかという佐野君の意見がありました。それは個人の資格で参りましたというお話もございましたが、しかし、心の中はそういうもので、たいへん悲憤慷慨といいますか、悪の温床みたいなそういうものに対する正義の念がうつぼつとしておると思われるのですね。そういう佐野君が言ったような方向にひとつぜひ各社とも御協力を賜われば、われわれが取り組むのにたいへん都合がいいのじゃないか、こう思うのです。  それで、委員長に提案しますが、きょうは人事院総裁並びに官房副長官でありますが、官房長官を含めまして、その他関係の諸君を呼んで、こういうもっと具体的な問題をやれるような会議ができるように理事会におはかり願う、そういうことを提案します。私、もっと言いたかったのですが、時間ですから……。
  56. 久野忠治

    久野委員長 ただいまの安宅君の御提案、まことに私も同感であります。ごもっともだと思います。まだ十分議論は尽くしていないと思いますし、もっともっと本質的な問題を掘り下げて検討すべき段階にきておるのではないか、かように思います。そこで、今後の取り扱いにつきましては、理事会で協議をいたしまして、ざらに委員会を開いてこの問題を取り上げたい、かように思っておる次第でございますので、皆さんの御協力を賜わりたいと存じます。  それでは、この際、参考人各位に一言お礼を申し上げたいと存じます。  本日は、それぞれお忙しいところ、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、ほんとうにありがとうございました。今後とも何かと私たちの国会審議について御協力、御支援を賜わらんことを心からお願い申し上げまして、皆さんにかわりまして、お礼を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  57. 久野忠治

    久野委員長 次に、議員請暇の件についてでありますが、宇都宮徳馬君から、海外旅行のため、三月十八日から三十一日までの十四日間請暇の申し出があります。  本件は、本日の本会議において決定するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  59. 久野忠治

    久野委員長 次に、永年在職議員の表彰の件についてでありますが、議員千葉三郎君が今月で在職二十五年になられましたので、慣例により院議をもって表彰することになります。  表彰文は、前例に従って作成した、お手元に配付の案文のとおりとし、表彰決議は、本日の本会議において行なうこととするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――  議員千葉三郎君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた  よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰ずる     ―――――――――――――
  61. 久野忠治

    久野委員長 なお、表彰決議は、議長発議をもって行ない、表彰決議の後、千葉君から謝辞が述べられることになっております。  また、先例により、院内に肖像画を掲げて記念し、千葉君には別に小型の肖像画を贈呈することになっております。     ―――――――――――――
  62. 久野忠治

    久野委員長 次に、本日の本会議議事の順序について、事務総長の説明を求めます。
  63. 知野虎雄

    ○知野事務総長 まず最初に、議員請暇について、おはかりいたします。二番目に、永年在職議員の表彰決議がございます。三番に、日程第一に入りまして、田中大蔵委員長報告がございます。日本共産党が反対でございます。次に、本日の議事日程の諸議案の趣旨説明は延期して散会いたします。  以上でございます。
  64. 久野忠治

    久野委員長 それでは、本会議は、午後六時四十分予鈴、午後六時五十分から開会することといたします。     ―――――――――――――
  65. 久野忠治

    久野委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、明十四日金曜日午後二時から開会することといたします。  また、次回の委員会は、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時三十九分散会