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細見政府委員 まさにそこが
租税条約の一番問題になるポイントでございまして、この
条約によりまして、いろいろ技術的にくしゃくしゃしたことを書いてございますが、それは要は、
日本の国に外国人が来た場合に、
日本人と同じ
課税をする。しかし、外国人が、アメリカならアメリカ、イギリスならイギリスの本国で
所得を得ていることもあるわけでございます。その部分については、またアメリカ人なりイギリス人なりとしての
課税の公平ということがあるわけです。
日本に住んでおるから
日本人との間の公平、それからイギリス人であり、アメリカ人であるから、イギリス人、アメリカ人との間の公平、それをどういうふうに
所得を分け合って
課税するかということをいろいろ技術的に書いてございますが、基本的に、そういう意味で、アメリカ人であって、アメリカで発生しておる
所得についてはアメリカ人と同じ
課税を受けますし、
日本で働いて
日本で得る
所得につきましては
日本人と同じ
課税を受けております。ただ、
先生何もかも御存じでしょうから申し上げますと、一つだけ比較的優遇をしておりますのは、たとえばインドとか後進国に、みなし税額控除、タックス・スペアリングと申しておりますが、これはいろいろな国が
資本を導入して
経済復興をはかろうという場合に、そこで免税にすることが多いわけです。その場合に、税が現実にはかかっておらなくても、かかったものとみなしてあげましょう。と申しますのは、先ほ
ども申しましたように、税の仕組みが、世界中での事業活動を総括して
日本で
課税するわけでございますから、そのうち、外国でそれぞれかかった税額を
日本の税から引いてやろうというシステムでございますから、インドならインドでそういう事業活動をゼロにしましても、
日本でその分の税金を取ってしまうということになりますので、そういう意味でスペアリングという制度を置いておりますが、その意味では、若干
日本法人が
日本で事業活動するより有利になるということがございますが、これも
経済協力の一環という形でいたしております。それだけのことについて申せば、
日本の中で事業活動を行なうのと外国で事業活動を行なう場合との差でございますが、これは後進国に限って
——後進国ということばは適当ではありませんが、発展途上国に限ってそういう条項が入っておることがございます。