○溝口
説明員 御指摘のとおり、五三年と五八年の
協定には
アメリカも加盟しておりましたし、ヨーロッパ、EECの大
部分の国も、たとえば五八年の
協定でございますれば、ベルギー、
フランス、オランダ、
西独、イタリアが
加盟国になっております。それで、今回の
交渉におきましては、EECは共通
砂糖市場が結成されましたので、今回の
交渉では
一つの単位として臨んだわけでございます。ただ、
交渉の過程におきまして、EECといたしましては、共通の農業政策におきまして、今後の政策といたしましては、クォータといいますより、価格を中心に
砂糖市場を組織していこうということで、これは、ここに御審議いただいております
国際砂糖協定の、クォータを中心に
輸出を統制していくということと基本的になじまない点がございまして、また、この
交渉におきまして、EECの
輸出クォータとしてかりにクォータを受諾しても、クォータとして
協定上考えられました三十万トンというものがここに計上してありますが、EECは、将来のEECの
砂糖状況から見て、この数字では不十分であろうという意見もありまして、この結果、EECは
協定に参加いたしませんでした。ただ、EECとしましては、
協定に参加はしないけれ
ども、
協定の目的を害しないように行動する用意はあるという態度は表明してございます。
また、
アメリカにつきましては、五三年と五八年の
協定後事態が変化いたしましたのは、一九六一年にキューバに革命が起こりまして、その結果、キューバからの
アメリカへの特恵による
輸出というものが一切中止されまして、その後は、キューバはもっぱら社会主義諸国へ
輸出しております。この
関係から、
アメリカといたしましては、
砂糖協定については、それがキューバを利するようなものであれば、
アメリカの国内上の立場もありまして、これに同調できないという態度を表明いたしまして、結局
アメリカも、今回の
交渉には初めは参加しておりましたが、
協定には最終的には参加しないという態度を表明しております。
ただ、
アメリカにいたしましてもEECにいたしましても、この
協定が規制することをねらいとしております
砂糖の自由市場と申しますか、特恵市場以外の
砂糖取引市場でございますが、この自由市場におきましては、
アメリカもEECも大きな地位を占めておりませんので、
砂糖協定の目的の運用を害するものではないというふうに考えられております。