○曽祢
委員 私もしろうとながら、そうこれが無限にエスカレートするとは考えておりません。しかし、同時に政治的には中ソ双方とも極力これを利用して、中共のほうは、九全大会に向けて、党の綱領を変えてまで
ソ連修正主義を徹底的にたたくという
態度をとった。中共からいえば、これこそまさに
ソ連の帝国主義的な修正主義の典型であるというふうにPRつとめるだろうし、また
ソ連は
ソ連で、むろんこれは中共のトロツキー主義というか、行き過ぎの一番いいあらわれだということで、味方の陣営の引き締めと、特に世界共産党
会議での中共孤立化の材料に徹底的に使うのではないかと思います。これはそれとして、この問題はきわめて不気味な危険性を含んでいることは事実でして、
ソ連のほうでは極東シベリアにおける弾頭ミサイル兵器の展開のことをわざわざ中共にリマインドするというような手まで使っているということ、並びに、とにもかくにも
ソ連としては、
ソ連のことですから、ツアーの帝国主義時代の遺産である愛琿条約、北京条約の、アムール川から北のシベリアとかあるいはいまの沿海州ですね、そういうような中央アジアにおける全体が七千キロに及ぶ国境において、中共との問に国境紛争という
一つの葛藤を持っている。加えて、スターリン帝国主義の所産である第二次世界
戦争の、西においては東ドイツ、さらにフィンランドもそうかもしれませんが、東ドイツ、ポーランド、ルーマニア等の国から、あるいは
日本の北上領土に関連して、いろいろな拡張の歴史を持っているので、国境紛争については非常に硬直した
姿勢をいつでもとっていると思うのですね。その
ソ連のことですから、やはり中ソ国境問題については、非常に大きな自分の国の安全上の問題として、決して——われわれの
希望とともに、現実にシベリアの端で中ソの紛争が起こって、それがいきなり拡大するとは思いませんけれ
ども、問題の含み出る潜在的危険性というものについては、それは中国もそうかもしれませんが、
ソ連としては安全に関する
一つの異常な脅威と受け取っていることは事実だと思うのですね。したがって、
ソ連の外交のこれからの行き方についても、やはりそこに徴妙な投影があるのではないか。それが直ちに
日本と
ソ連とのいろいろな
交渉についてどういうふうな影響、特にわがほうに直接有利な影響があると断定するのは、これは少し甘いと思いますけれ
ども、そういうことの見通しもあながち間違ってないような気がするのです。したがって、これが直ちに
日本と
ソ連との間の紛争なり問題にどう
関係を及ぼすかむずかしい問題ですけれ
ども、現在少なくとも経済問題の形で起こっている
日本と
ソ連との漁業
関係の問題、あるいは紛争といいますか、こういう問題についても、影響が出てくる可能性があるのではないか。たとえば、目下
相当集約的時期に達しているやに見られる北洋のカニ漁業についての、
ソ連の非常に硬直した
姿勢がありますね。それからまた逆に、この間本
委員会でも私が問題に取り上げた、
日本近海、伊豆諸島にまで出てきたサバ漁についての
ソ連の
態度、これらについて何か、いまの国境紛争に関連があるという意味じゃございませんが、最近若干の変化なり発展があったかどうか。たとえばサバ漁については、あれは漁業をやったんじゃない、実験をやったんだという変な申しわけみたいなものをしたやに
新聞に出ておりましたが、そういう変化があったのですか。それから、北洋のカニ漁業についての
交渉の煮詰まり
状況は、直接には農林省所管でやっておられると思いますけれ
ども、全般を監督されておる
外務省としてどう見ておられるか、
お話を願いたいと思います。