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穗積委員 外務
大臣、あなたは外務
大臣初めてですね。初めてですから、早々だと言えばそれまでですけれ
ども、いやしくも、こんな独立か
戦争かという問題をひっかかえた沖繩の基地条件問題について話をされようというのに、いま
お話しのようなことではわれわれは納得できませんよ。それはどういうことかといいますと、最近、自民党の
方々は、いろいろな演説会、座談会等で、
戦争によって失った
領土というものを取り戻すためには、
話し合いでできたためしは少ないのだ、その問題
解決のために一世紀も二世紀もかかっておるのが、それを今度
話し合いでやれば、どんな条件でも、核つき、自由使用つきでも、こんなものは画期的な大成功だ、こういうことを盛んに言われるわけだ。それは無知な代議士選挙演説や床屋談義なら聞き捨てできますけれ
ども、あなたはこの問からもそういうことを堂々と外務
大臣の地位、自覚において、しかも国会の議場でそういうばかばかしい答弁をされて、これでは心もとなくてしようがないですよ。なるほど昔は
領土拡張を目的とした
戦争があり得た。それをなかなか返さない。実力を使わなければ返さない。それはヨーロッパでもあるし、
アジアでもあった。しかしながら、近来の国際原則というものは、
領土不拡大原則なんですよ。それが一般的、抽象的原則であることはもとよりでありますけれ
ども、それだけではないのです。
日本が道理に従って
アメリカあるいはソビエトに放棄するかしないかをきめるものは、降服文書によってきめるべきですよ。いまの沖繩問題について申し上げれば、あるいは北千島——私
どもは千島列島全体だ。北千島を含む千島列島全体の
領土権についても、道理に従って、
戦争をやめたときに、向こう自身が出したポツダム宣言、それにちゃんと調印した。それはカイロ宣言がコンバインされて、一緒に結ばれておるわけだ。カイロ宣言の中で、戦勝国が
戦争によって
領土を拡大しない原則というものを確認して、そして初めから沖繩は
日本の固有の
領土である。盗んだものでもないし、
戦争によってとったものでもない、おどかしてとったものでもない、その中にちゃんと入っておるのです。千島列島にしてもそうです。カイロ宣言でちゃんと約束しているのですよ。終戦後、それを
アメリカがみずから違反をしている。それを
日本人はおこらないで、黙って、こわさ一方でほおかぶりしておったでしょう、
政府は。ところが、ネールはそのことを客観的、合理的に憤慨して、サンフランシスコ
条約には調印しなかったわけでしょう。問題は、このカイロ宣言の原則ですよ。その
領土を不法かつ不当に——特に信託統治にすれば軍事基地は置けない。そこで、信託統治でなければ取り上げられない。ダレスのほうが知っておるから、そういうややこしい、彼自身がわれながら老獪なうまいことをやったといって自画自賛するような、取り上げるときは、カイロ宣言で取り上げられないから、信託統治で独立国という名目で取り上げた。信託統治にすれば、軍事基地は
国連憲章の条項で置けないから、その間は独力でこれを統治するんだということでしょう。しかも、それは信託統治にしないという意思表示が
アメリカからあった。しかも、
わが国は
国連に
参加しておる。加盟国の
領土はこれを
国連で信託することができないとちゃんと書いてある。もう消滅しているのです、第三条は。それをとったものを、われわれが下げてもらうんだ、向こうが不正にもとったものをわれわれが下げてもらうんだ。だから核つき、自由使用つきくらいは当然ではないか、それでもなおかつ返れば、これは
世界の
外交史の中で画期的なことだ、こんなばかばかしい論理であなたは対米折衝されるなら、これはわれわれも
考えなければならぬと思うのですよ。あなたは外務
大臣として認めるか認めぬか。そんなことで、いまのような白紙論や、向こうの要求だと称して、それで核つき、自由使用つき、こういうことはもうこの際振り切って、いらっしゃる以上は、まず主権者である
国民に明らかにして立つべきだ。きょうは答えなければ、お立ちになる前の外務
委員会でぜひそのことを明らかにしていただきたい。
方針を持たずして折衝に当たるなんということは、それは三つ子に聞いても
考えられないことでありますから、そのことを私は非常な不満と要望を込めて申し上げておきます。
それから次に、事前協議権、特に作戦行動に対する事前協議権を放棄した場合に限って、
外務省の
見解を
お尋ねいたしておきます。一括して
お尋ねしますから、
大臣または
局長からでも、
外務省を代表されるならばどちらでもけっこうです。
第一は、そのときは本土とは違った特別な条件を許すならば、当然そのことを内外に明確にする取りきめ文書だというものが必要である。これをどう
考えておられるかどうか。
第二は、その文書は当然国会の
承認を得べきものであると思うが、どう
考えておられるか。これが第二。
そしてその上で、もし事前協議権を放棄して基地の自由使用を認めた場合に、それはまず第一に、
アメリカに対して第五条との
関係——安保
条約第五条、共同
戦争の義務規定がございます。この共同作戦行動の義務は、
日本の
承認なしに、沖繩から自由に行動をとった場合に、それによる報復攻撃が生じた場合には、第五条の
日本側の共同作戦行動の義務条項というものは免除されると思っておられるか、どうであるか。わかりましたね。
それからもう一、そういうことであるならば、
日本の意思の加わっていない自由使用の沖繩基地から第三国に攻撃を加えた場合、その国は直ちに報復攻撃権を生じますが、それは
日本の意思が加わったもの、敵対国と相手はみなす、あるいは場合によれば
アメリカと一緒に宣戦を布告するというような場合もなきにしもあらずでしょう。そういうことに対して、沖繩の基地は特例であるから、
日本の
政府の意思は加わっていないというので、そのことを免除できる、のがれる抗弁権がありやなしや、どう
考えておられますか。その点について、時間の
関係上一括して申し上げましたので、結論だけお答えをいただきたいのです。