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1969-06-18 第61回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会宇宙開発の基本問題に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十八日(水曜日)     午後一時四十二分開議  出席小委員   小委員長 小宮山重四郎君       木野 晴夫君    佐々木義武君       齋藤 憲三君    田川 誠一君       石川 次夫君    三木 喜夫君       吉田 之久君    石田幸四郎君       近江巳記夫君  出席政府委員         科学技術政務次         官       平泉  渉君         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君  小委員外出席者         宇宙開発委員会         委員      山縣 昌夫君         科学技術庁研究         調整局宇宙開発         参事官     加藤 博男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  宇宙開発の基本問題に関する件      ————◇—————
  2. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 これより会議を開きます。  宇宙開発の基本問題に関する件について調査を進めます。  最初に、わが国宇宙開発計画概要とその進捗状況及び将来の見通しについて、山縣宇宙開発委員より説明を聴取することといたします。山県宇宙開発委員
  3. 山縣昌夫

    山縣説明員 宇宙開発計画につきましてでございますが、先週の特別委員会でも私ちょっと申し上げましたが、これまでは、昨年の八月に委員会できまして、その際四十四年度予算見積もりもやらなきゃならぬということで、さしあたり、一昨年の宇宙開発審議会の第四号答申、これを踏まえまして四十四年度予算見積もりをやった、こういう事情でございます。したがいまして、委員会といたしましては、目下宇宙開発計画を作成中でございます。これが正式の委員会の決定にたりまして、総理に具申する、これによりましてわが国宇宙開発というものの長期と申しますか、開発計画がきまるわけでございます。そういったような事情でございますので、現状におきましては、ただいま申し上げました審議会の第四号答申の中の基本方針によって四十四年は動いておる、こういうことでございます。  これは、御承知のように、実用衛星につきましては、昭和四十六年にQロケットによる電離層観測衛星、さらに引き続きまして四十八年度Nロケットによる実験用静止通信衛星、これを打ち上げるという計画で、現在進んでおります。  それから、科学衛星関係につきましては、御承知のように、本年度におきまして、おそらくことしの夏ラムダロケットによる実験をやりまして、二月ころでございますか、打ち上げができるときに科学衛星の第一号、Mロケットによる第一号というものを打ち上げるという計画が骨子となっておりまして、その線に沿うて四十四年度、この四月から進んでおります。  これにつきましては、委員会といたしましては、関係の各省庁の担当の方々にお越しを願いまして、五、六回にわたりまして各省庁から鋭意話を伺っております。ただいまのところ、いま申し上げました計画の線に没うて電離層観測衛星、それから、実験用通信衛星はちょっと先でございますが、それに対するシステムデザイン検討、そういったことが順調に進んでおるようでございます。  そのほか、各省庁にいろいろな計画がございますが、委員会関係方々お話を承りますと——これまた、まだ六月でございますので、年度の初めではございますけれども、いろいろ予算がある程度削減されたというような事情もございますが、各省庁からのお話によりますと、差し繰りましてまあ何とかやっていくというお話でございます。  各省庁から承りましたお話を具体的なことについて申し上げますと、まず、実用分野宇宙開発でございますが、電離層観測衛星開発につきましては、現在プロトタイプの人工衛星試作試験を行なっておりまして、さらに実験用静止通信衛星につきましては、四十四年度には塔載用のミリ波帯中継器試作研究、こういったことを行なう予定でございます。  それから、電離層観測衛星の打ち上げを行なうためのQロケット開発につきましては、現在システムデザインの実施中でございますが、なるたけ今年度の早い機会にこのシステムデザインを終わりまして、詳細設計あるいは各部の試作、それから、性能の確認のための地上試験、こういうものに取りかかると、う予定でございます。これらに必要な試験用の中型あるいは小型ロケットの打ち上げ実験というのは、種子島宇宙センターで引き続いて行なうということになっております。  それから、次の実験用静止衛星通信衛星の打ち上げを行なうためのNロケット開発でございますが、今年度におきましては、昨年度に引き続きましてシステム研究を進める予定でございます。  そのほか、各省庁計画しておられます気象、航行、測地、こういったいろいろな分野におきましても人工衛星開発に必要な基礎的な研究を進めております。  それから、宇宙科学関係でございますが、科学衛星、それから、その打ち上げ用Mロケット、これはすでに第一号が開発を終わりまして、今年度内に打ち上げるという予定東京大学がおられると思います。その打ち上げまでに、先ほど申し上げましたけれどもラムダロケットによる飛しょう試験、これをおそらくことしの夏内之浦で行なう、こういう段階になっております。  以上が、概略でございますが、現状あるいは進捗状況でございます。
  4. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 次に、アメリカ航空宇宙局国家計画として取り組んでいるアポロ計画概要について、加藤宇宙開発参事官より説明を聴取いたします。加藤宇宙開発参事官
  5. 加藤博男

    加藤説明員 アポロにつきまして概要を御説明申し上げます。なお、アメリカ予算その他、わりにこまかい点もございますので、この席では概要を御報告いたしまして、後日必要がございましたら、資料として提出さしていただきたいと思います。  アポロ計画は、元来、人間を月に着陸させたいということで始めたものでございまして、この前段階としましてのマーキュリー計画ジェミニ計画というものと並行して始められた、いわゆる有人ロケットでございます。  出発は一九六一年五月となっております。一九六七年にアポロ四号というものがアポロとして最初に打ち上げられたものでございます。御承知のように、現在十号が飛びまして、十一号でいよいよ着陸ということになっているわけでございますが、四号から六号までは装置関係テスト中心といたしまして、無人の衛星でございます。七号以降につきましては有人でございまして、各種の実験を行なっております。いずれもこれらの飛行実験は成功して今日に至っておるわけでございますが、これの打ち上げに使っておりますロケットサターンといわれているものでございまして、サターン1Bというのが一、二度使われましたが、大半はサターン5型といわれるものでございます。後ほど概要を申し上げます。  去る五月に打ち上げられましたアポロ十号が、皆さん御存じのように、月のわずか一万五千メートルまで近づきまして地球に戻ってまいりました。これでいわばリハーサルがまず成功裏に終わったと考えていいようでございます。アポロ十一号の打ち上げは七月十六日と聞いております。約二百時間かかりまして、また地球に戻るという計画でございます。なお、そのあと十三号まで一応現在計画があるように聞いております。  大体アポロ概要は以上でございますが、どんなタイミングで上がったかということを簡単に御紹介いたしますと、先ほど申し上げましたように、アポロ四号の前に、一号から三号までは、ちょっとはっきりいたしませんけれども、たぶんこれは地上テストに使われたのではないかと思われます。二〇四号というものがございますが、これがいわゆる三飛行士が焼け死にましたあの機体でございます。四号から打ち上げられまして、四号が六七年の十一月九日でございます。これはサターン5で、このおもなねらいはサターン5自身のテスト、及び宇宙船の各部分及びエンジン等試験でございます。もう一つは、地球に帰ってきます場合の大気圏への突入テストでございます。次の五号は六八年の一月に上がっておりますが、これは月着陸船部分に関するテストでございまして、小型でございますのでサターン1でございます。   〔委員長退席木野委員長代理着席〕 次の六号はまたサターン5で打ち上げましたが、これは四月でございます。これは三段目のロケットの二次噴射のテスト、それから、司令船大気圏突入並びに回収の研究でございます。七号はその十月に上がりまして、初めてここで三名人間を乗せたわけでございます。四号が上がりましてから約一年弱で人間が乗ったわけでございますが、ここでいわゆるランデブーなどの実験をいたしました。それから、八号は二カ月後の十二月に飛ばしております。一応月まで行って往復をやっております。それから九号が次いで翌年、ことしの三月三日でございますが、地球衛星軌道での月着陸船テストなどをいたしまして、十号が先ほど申し上げました五月ということでございます。  ちょっと順序が逆になりましたが、これの前段階になりますマーキュリー計画ジェミニ計画を簡単に申し上げますと、マーキュリーのほうが先でございまして、これは一九五八年十月に計画が確定いたしました。それから、これはむしろ宇宙飛行士宇宙環境における居住環境を整備すると申しますか、いろいろな宇宙線や何かが参りますので、そういうことからの遮蔽など、要するに、宇宙において人間が住みいいような環境をつくるという観点からの研究並びに再突入に関する基礎的な研究でございます。高温に対する保護でございます。これは六一年から六三年の五月までの間に合計四回やっております。これは一名人間が乗りまして、先ほど申し上げた実験をやったわけであります。  その第二番目の基礎的な、いわば前段階研究としてジェミニ計画がございますが、これは二週間の軌道飛行をする、それからランデブー、ドッキングなんかの研究をやるという目的でございますが、これは六五年から六六年の間に合計十回、二名の人間を乗せてやっておる状況でございます。大体の全体のタイムスケジュールと申しますか、そういうことは、いま申し上げたようなことでございます。  それで、飛行船のほうはちょっといろいろ仕様を申し上げにくいわけでございますが、アポロ打ち上げに使いましたサターン5というロケット、これはいわば世界で一番大きいロケットになるかと存じますが、これの概要を申し上げますと、直径が十メートルでございまして、長さが百十三メートルという非常に大きいものでございます。発射時の重量が全部で二千七百トン、段数は三段、液体ロケットを使いまして三段でございます。最初推力が三千四百トンという非常に大きいものでございます。最後に上がりますのも百二十何トンというものが打ち上げられております。先ほど申し上げましたサターン1Bというのをときどき、小型で済む場合にはこれを使っておりますが、これは簡単に申しますと、サターン5の、重さで申しますと、約四分の一から五分の一くらいのものでございます。直径で約六メートル、長さが六十八メートル、二段ロケットでございまして、推力も大体サターン5の五分の一くらいでございます。  あと若干、それに関連しまして、どのくらいの費用がかかっているかという点を簡単に申し上げますと、この表は後日資料として提出いたしますが、アメリカNASAの場合には、研究開発という項目と、それから、いわゆる設備費、それから行政費というぐあいに、大きく申しますと、三つに分かれております。それで、新聞などを拝見いたしますと、アポロ計画全体で約八兆円という数字と十四兆円という数字と両方見受けますが、この違いは、たぶんいま申し上げました狭い意味での研究開発費だけをとりますと、われわれの試算でも大体八兆円になります。先ほど申し上げました施設費、それから行政費などを入れますと、十四兆円になるかどうか、それがはっきりいたしませんけれどもあとから申し上げますが、かなり大きい数字が残っておりますので、こういうのを入れますと約十五、六兆円の計画、そう見ていいかと存じます。大体の感じをおつかみいただく意味で、ある年度を申し上げますが、一九六五年から六七年、八年、九年あたりが安定した状況でございますが、日本の円で申し上げますと、三十九年が八千二百億でございます。四十年度が九千四百億、四十一年度が一兆五百億ぐらい、四十二年が同じく一兆五百億ぐらい、四十三年以降逐次減ってまいりまして、四十三年が九千二百億、四十四年が七千二百億という感じでございます。以上でございます。  なお、NASA全体の中でどのぐらいのウエートを占めるかということを申し上げますと、これは年度によってかなり違いますけれども、大体半分以上と申し上げていいかと思います。それぐらいのウエートを持っております。  また、あと質問によりまして、こまかい点を補足さしていただきます。  以上でございます。
  6. 木野晴夫

    木野委員長代理 以上で説明の聴取は終わりました。     —————————————
  7. 木野晴夫

    木野委員長代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  8. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 いま山縣先生から概略日本の国の、と言っていいと思いますが、実用衛星計画が発表されました。もう一回確認のためにお伺いしておきたいと思いますが、Qロケット主体にして電離層観測衛星を四十六年までにやる、それからし、Mロケット主体にして四十五年までに科学衛星をやる、それから、Nを主体にして静止通信衛星を四十八年度までにやる、大きく言うて、こういう計画になるわけでありますか。
  9. 山縣昌夫

    山縣説明員 ただいまの三木先生お話でございますが、四十六年にQロケットによって電離層観測衛星、それから、四十八年度Nロケットによる実験用通信衛星、これは静止衛星でございます。それから、科学衛星につきましては、ことしの夏、ラムダによりましていろいろな実験をやられると思います。その成果によってMロケットによって、来年の二月と思いますが、四十五年の二月に第一号の科学衛星を打ち上げる、こういうことでございます。
  10. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 そういたしますと、結局QもNも、Mのできぐあいということになるわけですね。
  11. 山縣昌夫

    山縣説明員 その点は、過去の歴史を申し上げますと、Mロケットを踏まえてQロケットという思想であったわけでございます。しかし、ここ一年ほど前から、Mとは無関係Qロケット開発しようというふうに基本方針が変わっております。したがいまして、むろんこまかいことではいろいろ、たとえば材料の点とかその他ございますけれども、大筋におきましては、MとQとは別のものと、現状におきましては、考えていただいたほうがいいと思います。
  12. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 いま山縣先生もおっしゃいましたように、最初ミューできに合わしてQ、Nということでしたので、私たちはそのミューできを鶴首して待っておったわけであります。しかしながら、いまお聞きいたしますと、Qは全然とは言えないまでも、大体別途のものだ、こういうことでございますが、そこまで、別途にやるだけ技術が大体発達してきた、あるいはまた、それだけの確信があるということですか、計画はどのようにでも立てられるのですが、しかし、実際に即さなければこれはどうにもならぬ問題ですから、その点を私は非常に心配しておるわけでございます。と申しますのは、今度、推進本部事業団に変わるわけでありますね七推進本部の実力をもってしてはできない、非常に失礼な言い分かもしれませんけれども、いままでいわれておりましたことを主体にして考えまして、私はそういう懸念を持っておったのですが、しかしながら、いまのお話では、これができるということで非常に頼もしい思いがするわけですが、その辺をひとつはっきりとしておいていただきたいと思います。  それから、いまのお話を聞きますと、すでにQのシステムデザインが本年中にできる、こういうことでございますが、これに対するところの研究体制並びにそういう研究員というものが確保できておるのかどうかということを懸念するわけです。失礼な言い分ですけれども、心配するあまりそういうことをお伺いしたいと思うのです。
  13. 山縣昌夫

    山縣説明員 前段のお話でございますが、MとQとの関係でございます。先般ESROの計画局長が参られまして、そのときに、いまのお話とちょうど同じ御質問があったのでございますが、私どもといたしましては、こういう実用衛星となりますと、やはり信頼性と申しますか、十分それを確保したロケット、さらには衛星ということでなければならぬということであります。要は、Qロケットは、御承知のように、三段目に液体燃料を使っておりますが、これは誘導制御を十分やるためには固体燃料ではぐあいが悪い、こういうわけでございまして、Qロケットにおきましては、実用衛星となる以上は、誘導制御という点から、ミューロケットとはある程度違ったものにせざるを得ないと私どもは考えております。  さて、それならば、そういった三段目に液体燃料を使いまして十分な誘導制御を持たせる、これが現在の推進本部できるかという御質問であります。これにつきましては、私どもも非常に心配しておるわけで、しかし、その前提といたしまして、御承知のように、アメリカにおきまして誘導制御というものはもうすでに完成されて、いわゆるアンクラシファィドされておるのだろうと思います。したがいまして、アメリカのいろいろなデータを導入いたしますれば、これはそうむずかしい技術ではないと私どもは考えております。ただし、東京大学ではああいうやり方でございますので、日本におきましては、誘導技術というものは、ほとんど従来から検討され、研究されておらないという事情がございますので、この点はやはりいろいろな実際のデータアメリカから導入しませんと、なかなか予定どおり計画を遂行するのがむずかしいのじゃないか、こう思っております。いずれにいたしましても、推進木部という現在の機構ではとてもできませんので、当然、新しく事業団できますれば、それに人材を十分入れまして、と同時に、アメリカのそういうデータも導入いたしまして、Qロケット開発をいたしたい、こう考えております。
  14. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 可能性の問題と確信の問題ですが、いまのお話を聞いてみますと、かなり確信があるようなお答えで、私たちも、ちょっと安心をするわけですけれども、しかし、また、その中には、人材を入れましてとか、アメリカデータを入れましてとかいうお話が出てくるということになりますと、これはまた、人材活用方法というものがきまっていないし、また、人も入っていないように見えます。それから、アメリカデータ日本の国へ移す、こういうことになりますと、かなりアメリカからの援助を期待しておられるようにも思える。その問題については、ジョンソンメモ等についていままで御質問申し上げましたから、くどくどしく申し上げませんけれども、どうやらいまのお話を聞きますと、確信に満ちたところは、アメリカから技術を入れれば難なくいけるのではないかというようにも聞こえますし、人材の点をいまお話を聞いておりますと、まだ整備ができないし、確信がないのではないかというようにも思えるのです。その点が何か、いまのお話を聞いておると、片方は、靴の上からかゆいところをかくような感じがしますし、片方は、アメリカにたよればすらっといけるんだというような非常に安易な感じもいたしまして、ちょっといま山縣先生お話の中では二つのニュアンスが出てまいりまして、非常に理解に苦しむわけなんですが、その点、もう少し詳しく言ってもらえませんか。
  15. 山縣昌夫

    山縣説明員 冒頭に申し上げましたように、委員会といたしましては、現在開発計画をつくっておるわけでございまして、先週この席でも申し上げましたが、私ども開発計画をつくっております段階におきましてだんだん問題を煮詰めつつありますが、ほとんど大部分は、こまかいことは別といたしまして、煮詰まってきたわけでございますが、前回も申し上げましたように、一番問題はロケットの問題でございます。  そこでロケットも、さしあたりQロケットの問題でございますが、このQロケットをどうやって開発するか、また、どういう方法でやれば四十六年にでき上がるかということは検討いたしております。これは一応推進本部中心になりまして、メーカーその他関係の方の御意見も伺いまして、現在、ある程度骨格ができてまいりました。それをロケット部会におきまして、十分各方面の権威者方々に御検討いただきまして、それで四十六年までにQロケットを打ち上げるのには、一体どうすればいいのか。逆に言いますと、いろいろ検討の結果、四十六年はあるいは無理じゃないかというような結論が出るかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、現在の時点におきましては、ロケット部会において検討中でございまして、その結果が委員会に上がってまいりまして、委員会委員会の独自の判断でそこで検討いたしまして、最終的にQロケット開発計画できてくるわけでございます。われわれの開発計画の中には、先ほどお話がございました人材をいかに確保するかとか、あるいは国際協力をどうするか、大いにこれをやらなければいかぬならいかぬというようなことも含めまして、委員会としての初の開発計画できるだけ早い機会につくりたい、こういう段階でございます。したがいまして、こまかいことにつきましては、私、逃げるわけではございませんけれども、まだそういう段階で、委員会段階でございませんで、ロケット部会段階でございます。ロケット部会に、実は私は問題はないわけでございますが、話は間接には聞いておりますけれども、いま検討中である、こういう段階と御承知おき願いたいと思います。
  16. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 それから、もう一つ疑問が出てくるのですが、これからの点につきましては、いま御答弁いただいたのでわかりましたが、そういたしますと、東大のLからMへかかってくるところの研究というものが、日本の国の静止衛星、それから、科学衛星はそれによってやるのですからいいですけれども、それに発展してくると関連性が非常に強いということで、私たちはMまではけっこうだろうというように言っておったわけなんですが、そういうところで別に関係がない、断絶してしまうようなら、東大科学衛星をつくるだけにかかっておった、こういうことで、一向日本の国の静止衛星人工衛星に大きな貢献をしたというわけにはいかぬわけです。そうすると、評価が非常に違ってくるわけなんであります。非常に関連が深いということでわれわれはこれを心待ちにしておったわけでありますけれども、そうなってくると、東大科学のために国費をかなり使って、そうして、科学衛星できるのかできぬのかわからぬという状況になってくる。もしなってくれば、いままでのせっかくの研究というものが実らないような気がして非常に惜しいような感じがするわけなんですけれども、その点はどうなんですか。
  17. 山縣昌夫

    山縣説明員 三木先生お話、ごもっともでございますが、先ほど申し上げましたように、誘導制御というようなことが一番むずかしい問題なものでございますから、主として申し上げたわけでございますけれども、L、Mロケット開発する場合に、いろいろな新しいことを、たとえば材料をとりましても、先般はうまくいきませんでしたロケット、あれは材料が百四十キロのハイテンションスチール、高張力鋼を使っておりますが、この百四十キロの高張力鋼が先般の失敗の一つの原因ではないかというような疑いもあったわけですが、その後、東京大学でお調べになりますと、材料の点ではなくて、むしろメカニズムの問題でございます。ただいま申し上げました百四十キロのハイテンションスチールというのは、当然おそらくQにも使うと思います。したがいまして、大筋のいまの誘導制御というような問題は、MとQとはっながっておりませんけれども、そういった材料その他のことにつきましては、Mに関するいろいろな御研究、あるいは開発されたもの、これは当然Q、Nにつながってくると思います。大いに利用させていただきたいと思います。おそらく事業団はそう考えておられると思います。   〔木野委員長代理退席、小委員会着席〕 つきましては、従来からとかく東京大学推進本部との連絡が必ずしもよくなかったのでございますが、これにつきましてはいろいろ各方面から私どもお話を伺っておりますので、この東京大学研究結果あるいは実験の成果、そういったものが直ちに推進本部あるいは今後の事業団につながってくる、逆にまた、事業団のほうのいろいろなことが東京大学につながっていく、そういう組織、あるいは実際具体的にどうやって直結させるかということで、私個人といたしましては、すでに東京大学といろいろ話し合っておりますけれども、近日正式に科学技術関係東京大学関係、あるいは文部省関係、それに委員が加わりまして、右から左にいろいろな技術がつながるパイプを設けようということを、きわめて近い機会計画しております。従来いろいろ外部で、独立して二つがやっておるのではないかというような御批判がございましたけれども、ぜひこれは早急に改善したい、私、こういう考えでおります。
  18. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 そういうようにやっていただきますならば非常にけっこうなことだと思います。東京大学もやはり非常に多額の国費を使ってやっておるのですから、頭脳は御自分のほうで出されたかもしれませんけれども、国費をこれに投入しておるのですから、大いにその分野におきましては、材料だとか、形だとか、あるいはいろいろな抵抗の問題だとかいうことについての研究を十二分にQロケットのほうに、そうして、それを使って打ち上げる衛星についても利用していただくならば、これはいいことであります。いまのような企てをやっていただくことについては賛成でございますので、その点はやっていただきたいと思います。  そこで最後ですが、この前、大臣がおいでのときに、時間もありませなんだので、詳しく聞いておりませんでしたので、きょうは山縣さんからひとつお聞かせいただきたいと思いますが、いまのような計画を持っておられるにもかかわりませず、四十四年六月八日の日経新聞に、「一年以上遅れそう」、これは新聞の一つの見通しでしょう。「実用衛星めざすQ計画」、これにこういうことが書いてある。   宇宙開発委員会は、わが国初の実用静止衛星  打ち上げ(Nプロジェクト)をめざし、本格的  宇宙開発の具体的スケジュールを検討していた  が、実用静止衛星の前段階となる実用実験衛星  の打ち上げ(Qプロジェクト)を当初計画の四  十六年度中に実現するのはかなりむずかしく、  少なくとも一年以上延期は避けられない情勢と  なった。これはおもに宇宙開発の日米技術協力  に関し、両国政府間での正式合意がいまになつ  ても成立しておらず、Qプロジェクト実現への  開発計画が大幅に遅れているためである。この  結果、わが国宇宙開発計画が大幅に遅れ、イ  ンテルサットの本協定移行に伴うわが国の国際  的発言力に微妙な影響を与えるなど政治的波紋  が広がりそうである。こういうような観測文が載っておるわけであります。ここで私たちがおくれそうだということについての心配は、自主技術開発がこれに伴わないのか、あるいはアメリカ技術の導入がうまくいかないのか、あるいはまた、発射場における発射回数が少ないということが隘路になるのか、いろいろなことを頭に描いてみなければならぬと思うわけでありますけれども、ここでは、どうやらアメリカとの技術協力ができそうにない、こういうことが観測として書かれておるわけなんです。しかしながら、かなり断定的に「一年以上延期は避けられない情勢となった。」こう書かれておる以上、やはり私は委員会のほうからこういう材料が出ておるんじゃないか、あるいは、そういう意見を述べられたんじゃないか、こういうように思うわけです。しかし、この記事が出たことを私はとやかく言うておるわけではなくて、むしろ一年以上おくれそうだということに対する心配からこのことを申し上げておるので、いまのお話では、別におくれそうでもないというような感じがするのですが、なぜこういうような記事が載ったのか、そして、実際に一年以上おくれないのかどうかということをひとつはっきりとお答えをいただきたいと思うのです。
  19. 山縣昌夫

    山縣説明員 再三申し上げておりますように、この問題は現在ロケット部会検討しております。要するに、Qロケットを、どういう体制で、どういうようなやり方で開発し、それが何年——一応四十六年とわれわれはさしあたり考えておりますことは、最初申し上げたとおりでございます。そういったことを具体的に詰めつつございます。したがいまして、私どもがいま一年おくれるというようなことをむろん言った覚えもございませんし、今度は逆に申し上げますと、委員会は四十六年に必ず打ち上げるのですよということも申し上げたことはない。要は、四十四年度宇宙開発関係経費の見積もり方針というのを昨年委員会が決定しておりますが、そこにございますように、宇宙開発の長期計画は今後つくるんだ、しかし、さしあたり昭和四十四年度宇宙開発関係経費の見積もりは、宇宙開発審議会の答申、例の四号答申でございます。「宇宙開発に関する長期計画および体制の大綱について」、これは四十二年十二月二十日でございますが、に述べられた、宇宙開発の基本的事項、その後における内外の情勢の変化を勘案するとともに、国際協力に留意して、次のような計画に基づいて行なうということで、そこに四十六年の観測衛星、四十八年の通信衛星、こういうことになっておりまして、委員会といたしましては、現状はまさにこのとおりでございまして、これが四十六年が四十五年になるのか、あるいは四十六年、四十七年、そういったことを現在検討しておるという段階でございます。この新聞の記事がどこから出たんだかよく存じませんけれども、われわれといたしましては、何にもそういうことを委員会としては決定しておらない、こういう現状でございます。
  20. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 委員会としては既定方針どおりいける自信がある、それもはっきりは言えないけれども、いまそれが四十五年になるのか、四十七年になるのかということを検討しておる。しかし、その中にはアメリカ技術というものが考えの中に入っておるのですか、入っていないのですかということをひとつお聞きしておきたい。
  21. 山縣昌夫

    山縣説明員 これは、先ほども申し上げましたように、アメリカ技術が入るという前提でおります。これは、いまもう六月でございます。したがって四十四年度も四、五、六ともう三カ月たつたわけでありますが、いまだに入っておりません。入るめどと申しますか、正式に入ることになっておりません。確かにだんだんこういうふうにおくれてまいりますと、ある程度の影響は出てくるんだろうと思います。しかし、現状におきまして、そのために半年おくれる、一年おくれるということまでは考えておりません。いずれにいたしましても、アメリカからのいろいろなそういうデータを導入するということが前提になっておることは確かでございます。したがいまして、今後適当なときに適当なデータが入らないということになりますと、それはそれだけ窮屈になってくるんだろうと思います。あるいは計画を延ばさなければならぬというようなことがあると思いますが、私どもといたしましては——私自身も政府の人間かもしれませんけれども、政府に対しまして、早くこれの導入の交渉の結果を、正式な決定にしていただいて、それで推進本部のいまのシステムデザインにすぐ反映をさせたい、こういうふうに考えております。もうすでに六月の半ばでございます。私どもとしては、至急これは導入していただきたいというのを政府に一生懸命ハッパをかけておるというのが現状でございます。
  22. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 科学技術庁はどうですか。「この結果、科学技術庁は公式には既定方針不変としながらも、四十六年度Qロケット打ち上げはかなりむずかしくなっているとし、高性能のロケット開発することは望めないと、暗に既定の計画を延期するのはやむを得ないとの判断に傾きつつある。」と書いてあります。
  23. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  科学技術庁といたしましては、ただいま宇宙開発委員会のほうにおきまして、山縣先生からお話しのようなスケジュールで計画策定に進んでおいでになりますので、私たち、その計画できましたら、それを受けて立ちたいと思っておるわけでございますが、ただいま先生からお話がありましたように、この内容について私たち意見は全然発表したことがございませんし、また、われわれとしましても、委員会と協力しながらその達成に邁進したいというふうに思っております。ただ、技術導入の点につきましては、先ほどお話ございましたように、委員会のほうから、早急にこの問題を解決するようにというふうにいわれておりますし、私たちとしましても、現在その点につきまして相当深い接触をもって交渉しておるわけでございますが、なかなかその点が思うにまかせませんで、いまだに日にちが延びてきているわけでございます。しかし、この点につきましても、担当官を外務省なりあるいは米大使館と接触させながら、一日も早く入るように現在努力中でございます。
  24. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 言ったことがないということですから、相手がそんたくして書いたということしかないと思いますが、しかし、この書き方は、科学技術庁として証拠のあることをいわなかったら、こういう書き方はできないわけなんですね。「高性能のロケット開発することは望めないと、暗に既定の計画を延期するのはやむを得ないとの判断に傾きつつある。」。それから一方、ここが私は問題だと思うのですが、「研究の委託を受け、実際の開発事業を推進する民間の宇宙開発関連業者は一様に五十六年度中のQロケット打ち上げは困難としている。」、こう書いてあるわけです。そうすると、宇宙開発事業団法というようなものをつくったり、以前から推進本部を設けて国の力でやろうとしたこの事業というものが、この記事によりますと、「研究の委託を受け、実際の開発事業を推進する民間の宇宙開発関連業者は一様に」と、こういうことをいっておるわけですから、実態はもう民間に移ってしまったような感じがするわけなんです。これは私は非常に遺憾に思う。  それからもう一つは、いま山縣さんのお話を聞いても、あなたのお話を聞きましても、もうアメリカさまさまの技術が入ってくることを手を合わせて拝んでおるというような感じになるわけであります。そうすると、自主技術開発は一体どこへ行ったのか、こういうことになりまして、非常に心もとない感じがするわけなんです。そうすると、政府機関はいままでかなり国の費用を投じて事業団をつくるというような意欲的なところを見せておったけれども、その実は民間のこういう事業主体に実際をまかしてしまっておるということ、それからもう一つは、アメリカ技術に完全に組み込まれてしまうということになった、こういう感じがするわけであります。その点、ひとつ最終的に私は大きな疑問を持ちますので、お伺いしておきたいと思います。
  25. 山縣昌夫

    山縣説明員 問題は、先ほどの四十八年に静止衛星を打ち上げるということが根本の問題だと思います。それに間に合わせる、少なくともそういうターゲットを掲げまして、それで、まずQロケット開発する。その場合に、私は、東京大学のように、みずから何でもかんでも、こまかい計器は別といたしまして、大筋はおきまして東京大学開発される、これは一つの行き方だと思います。特に大学における研究というものはああいう形であって差しつかえない、というより、むしろそれが正当だと思いますが、一方におきまして、実用衛星となりますと、ある時期にはやはり静止衛星を打ち上げなければならぬということを掲げますと、先ほど来申し上げておりますように、誘導技術最初からすべてみずから開発するということになりますと、時間もお金もかかりますし、したがいまして、われわれは、自主ということは、やはり自主的に計画を立てるということでございまして、自主的に何でもかんでも自分で研究開発をするということではない、これは当然だと思います。そこでいまのように、四十八年がどうしてもやらなければならぬというタイムリミットと考えるのは少し窮屈かもしれませんけれども、やはりある期間には、われわれは静止衛星を打ち上げるだけの能力を日本は持たなければいかぬということからまいりますと、やはりその中間におきますQロケットを早く開発したい、それには一番基礎的なことから、いわゆる東京大学のようにペンシルロケットから始めて、ああいうやり方ではとても間に合わない、したがいまして、われわれといたしましては、そういった誘導関係データ、そういったものはやはり導入すべきであるというふうに自主的に判断いたしまして、現在のようなふうに進んでおるという実情でございます。  要は、実用衛星となりますと、科学衛星と違いまして、時間のファンクションになってまいりまして、その時間のファンクションがございますので、そこで開発のスケジュールというものをおのずから考えていかなければならぬ、自主的に考えますが、必ずしもすべてを自分の手でもって開発するということをわれわれは考えておりませんので、計画そのものは自主的でございますけれども、そういうふうに私どもは現在まで運んできておるというのが現状でございます。
  26. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 先ほど先生からお話ございました、民間に主体をまかせているのかという問題でございます。これにつきましては、先ほど山縣委員からも御説明ございますように、現在計画立案中でございますので、このような表現はあまり適切ではなかろうかと思います。と申しますのは、計画できまして、各民間関連産業がその計画に基づいて動くわけでございます。したがいまして、現在この宇宙関連産業というものが、はたして、私たち計画しておりますQロケットあるいはNロケットに対する製作体制というものができているかということになりますと、これは計画できなければその体制が万全になっているかどうかということを判断することは不可能かと存じます。したがいまして、詳細な計画が出ていない現時点において、この関連産業のほうが打ち上げが困難であるというような問題はなかなか判定しにくいと思いますし、また、計画によってこの関連産業の体制というものができ上がってくるのではなかろうかというふうに存じております。
  27. 山縣昌夫

    山縣説明員 ただいま石川局長からお話がございましたとおりでございますが、私、申し上げるのを忘れてしまったのですが、結局、私、よく存じませんけれども、民間の方が、あるいはもどかしがっておられるという点もあるのだろうと思います。  と申しますのは、先ほど申し上げましたように、システムデザインを早く推進本部でやりませんと、それから先は、ことはきまりませんので、システムデザインを早くやらなければならぬというのが、いろいろな事情で少しおくれているというので、民間の産業会社はお困りになっているのだろうと思います。要するに、ソフトウエアに関しましては、これもやはり推進本部だけではむろんできませんけれどもシステムデザインをやります場合に、やはり前提条件がある。その前提条件が、われわれといたしましては、少なくとも年度の初めにある程度のデータが得られると思っておりましたのが、ここ二カ月ほどおくれておるということで、あるいは民間の会社が期待が少しはずれているということが原因じゃないか、これは推測でございますけれども、そう私は思っております。
  28. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 事業団をつくって——宇宙開発委員をつくって、その宇宙開発委員は、前に、宇宙開発審議会の当時、三つの原則を持たれておった。自主性を尊重する、公開を原則とする、国際協力を重視するという、この方針をはっきりとうたわれて、私たちの考え方では、日本技術をある程度主体にして進まれる、こういう期待を持っておったわけであります。今日では、その事業団というものは、ほんの打ち上げ屋になってしまう。もう一切の仕事は民間にまかす、技術導入もアメリカから持ってきて、それも民間の事業会社がやる、こういうことになってくると、私たちは非常に失望せざるを得ないわけであります。いまのお話を聞くと、計画を立てるのが自主性である。技術に対する自主性というものがここにもう全然考えられていないということになると、東京大学でいままで研究したことは全部断絶してしまう。こまかいことはあるかもしれませんけれども、大きなものは全部アメリカにたよる。これまで科学技術庁ないしは宇宙開発委員が気位を下げられたのかと思って、私が期待しておったこととは全然違いますから、この点では非常に失望せざるを得ないわけなんです、これだったら、極言すると、アメリカに打ち上げてもらうのと大きく違わないんじゃないか。アメリカロケットを持ってきても、そう違わないんじゃないかしらんとさえ、極言すれば、思うわけであります。これはあとでほかの人も質問しますでしょうから、この問題については、もっともっと詳しく聞かねばならぬと私は思いますが、日をかえて、またお伺いしたいと思います。  それから、アポロ計画につきましては、先がた説明を聞きました。これは、あとの人の質問もあるでしょうから、アポロ質問については、日をかえて御質問申し上げます。
  29. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 近江君。
  30. 近江巳記夫

    ○近江小委員 今後の宇宙開発の進捗を考えていきますと、日米の開発協力というものが非常に大きなウェートを占めてくるわけでありますが、日米の宇宙開発協力についてお聞きしたいと思うのです。その後の経過、それから現状について、まず初めにお聞きしたいと思います。
  31. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 日米につきましては、すでに御承知のとおり、昨年の一月にジョンソンメモが参りまして、それに対して、昨年の十二月の終わりに、わが国からそれに対する考えを向こうへ申し越したわけでございます。その中には、わが国としては、当然平和利用の問題を含んでおるわけでございますが、それと同時に、技術的な協力も仰ぎたいということで、その具体的な内容について今後検討を進めましょうということで申し越したわけでございますが、それにつきましては、本年の当初から接触を始めたわけでございます。これは政府間で交渉する内容のものでございますので、まずは原則的なものを取りつけるということで、現在その原則的なものについて交渉中でございます。内容につきましては、現在まだ外交交渉進行中でございますので、詳細発表できませんが、いずれこれがまとまりましたら公表いたす予定でございます。その原則的な内容につきまして、現在いろいろ接触しているわけでございますが、その原則的なものにつきましては、おおむね了解の線に達したというふうに私たち考えておりますし、正式な米国からのそれに対する返答というものを私たちいま待っているわけでございます。
  32. 近江巳記夫

    ○近江小委員 窓口としては政府間交渉、しかし、その接触の時点においては、やはり科学技術庁が相当具体的に接触しないとあかんと思うのです。その点、やっておられると思いますし、おおむね了解事項に達したということですが、どの辺が了解事項に達したのですか。
  33. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま申し上げましたように、原則的な問題をいま提出しているわけでございますが、その点について了解に達したということでございます。(三木(喜)小委員「原則って何だ」と呼ぶ)どのような形で技術を導入するかというような問題でございます。
  34. 近江巳記夫

    ○近江小委員 だから、そのところを、大体どのようなものであるか、内容を聞いているわけです。
  35. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 その内容につきましては、現在まだ交渉中でございますので、これがどのような結論になるかわかりませんので、その点については発表いたしかねるわけでございますが、ただ、実際の機器につきましては、これは民間ベースに移して、実際の機器の技術導入ということはやるわけでございます。その前提といたしまして、政府といたしまして、もちろんこれは外務省、科学技術庁相談してやっているわけでございますが、この点につきまして、私たちどのようなかっこうで、しかも、どういうような種類といいますか、大きな原則的なものでございますが、そういうものについての交渉を行なっているわけでございます。
  36. 近江巳記夫

    ○近江小委員 交渉していることは、もうわかっているのですよ。ですから、どのような技術を、どういうような形で導入するか。具体的なことを——確かに公表でき段階ではないかもしれませんが、しかし、あくまでもどういう技術かということは、いまのでは全然わからないのですよ。もう少し立ち入って話してもらいたいと思います。
  37. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 これは、当方からアメリカ側に渡した書簡の内容にもございますように、物といたしましてはロケット関係の機器——機器と申しますか、ロケット開発に必要な技術ということでございます。(三木(喜)小委員「それはきまっておる、おかしなことを言うなよ」と呼ぶ)ただいまちょっとことばが足りませんでしたが、向こうが申しておりますのは、ロケット衛星についても十分の援助を用意しているというようなことでございましたが、わがほうとしましては、ロケットについて要求しておるということでございます。
  38. 近江巳記夫

    ○近江小委員 もちろん宇宙開発協力なんですから、ロケットに関することはきまっておるわけですね。これが船であればおかしいわけですから。ですから、もっと内容を、ある程度こういう線で私たちとしてはこれをものにしたい、こういう点で協力を受けたいという辺の線は、別に話したって、これは別に関係ないと思うのですよ。そういうことを隠すという態度自体がこれはおかしいですよ。いろんなことで勘ぐられるわけです。もっとフェアに言ってもらわぬと困る。もう一ぺん答え直してください。
  39. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この交渉の内容は、先ほど申しましたように、外交的な交渉でございますので、その内容については詳細まだ公表できない段階でございますが、私たちとしましては、ただいま先生からおしかりを受けましたように、ロケットということでおしかりを受けたわけでございますが、私たちとして、将来使いますロケットとしまして、固体ロケット並びに液体ロケットというものを考えているわけでございます。さらに、先般も申し上げましたが、やはり誘導装置というようなものについても技術の援助をいただきたいということで話を進めているわけでございます。
  40. 近江巳記夫

    ○近江小委員 それでちょっと出たわけですが、それから、日米の宇宙開発協力について、機密保護法の制定あるいは新たな日米協定を結ぶ必要がないというような答弁は、いままでずっとわれわれも聞いてきたわけですが、そうしますと、アメリカが提供する技術というのは、第三国に漏れても心配のないそういう技術しか提供しないということが考えられるわけです。そういう程度の技術ですか、これは。
  41. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 この内容につきましては、まだ詳細ではございませんが、しかし、わがほうといたしましては、これについて新しく別に立法措置を講ずるつもりはないということを言っておりますし、先ほど申しましたように、原則的ということになりますと、そういうような趣旨のことも含んでの原則的でございます。したがいまして、その内容が第三回に漏れてもいいかどうか、これは一つの商取引の問題でございまして、法律の範囲内ということでございましたら、そういうことも可能かと存じますが、その点につきましては、まだ今後の問題かと存じます。
  42. 近江巳記夫

    ○近江小委員 その漏れてもいいか悪いかということではなくして、要するに、そういうふうな協定も何も結ぶ必要はないということになっておるわけでありますし、したがって、第三国に漏れても心配のない技術しか提供しないだろうということが予測されるわけですよ。ですから、その程度の技術しか受けられないのかということを言っておるわけです。
  43. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 先ほど参事官のほうからも説明がありましたように、アメリカにおきましては、すでにアポロによります有人飛行というもの、さらに月着陸というところまで技術は進んでおるわけでございます。わが国におきましては、残念ではございますが、まだそこまで技術は進んでおりませんし、したがいまして、われわれのほうでいま現在必要としておりますのは、そういう高度のものではございませんので、アメリカといたしましても相当以前に開発したものというふうに考えられますので、その点につきましては、いわゆる商業機密の問題もあるかとも存じますが、概念的に申しまして、そう高度な技術ではないというふうに考えているわけでございます。
  44. 近江巳記夫

    ○近江小委員 そんな高度な技術でない技術を提供してもらって、そんな範囲でだいじょうぶなんですか。その辺は期待できるのですか。
  45. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 現在のわが国計画に基づきますと、その程度で十分だと思いますが、わが国計画がさらに高度なものになってくる場合には、わが国自体においても開発を行ないますし、また、必要なものはそういうものを導入するということも考えられるわけでございますが、現在のわが国科学技術のレベルというものから判断いたしますと、今後わが国の自主開発というものがこれによって進むものというふうに考えております。
  46. 近江巳記夫

    ○近江小委員 アメリカとの格段の差を見せつけられて何とも言えぬ気持ちですね。  そこで、現在科学技術庁でLS−C型の打ち上げ計画に必要とするそういう技術導入、これは具体的にはどういうものになってくるわけですか。
  47. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 LS−Cにつきましては、わが国自体においてこれは開発したものでございまして、別にまだ、その点につきましては外国からの技術導入という必要はないわけでございます。
  48. 近江巳記夫

    ○近江小委員 民間ベースの技術導入は、現在どのような範囲で行なわれておりますか、その辺のところを詳しくひとつお聞きしたいと思います。
  49. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 現在まで技術導入を受けておりますものは、いわゆる設計のフェーズゼロ、概念設計までの段階のものは一、二件導入しておるわけでございます。
  50. 近江巳記夫

    ○近江小委員 その一、二件は何かと聞いているのです。
  51. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま申しましたのは、ロケットの基本設計の技術導入でございます。
  52. 近江巳記夫

    ○近江小委員 それだけですか、現在民間ベースでの技術導入というのは。
  53. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 現在までの段階では、それだけでございます。
  54. 近江巳記夫

    ○近江小委員 現在もう具体的になりつつある動き、その辺のところはどうなんですか。
  55. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 現在はこの基本設計の段階でございますが、宇宙開発委員会計画できますと、それによって進むわけでございますが、今後さらに詳細設計、さらに製作という段階で進んでいくわけでございます。
  56. 近江巳記夫

    ○近江小委員 抽象的なことばかりで困るのですけれども。  そういう技術は平和目的に限る、このように明らかにされていると聞いておるのですけれども、その辺はどうですか。
  57. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 そのとおりでございます。
  58. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 関連して。石川さん、私は先がた、アメリカから全部技術導入するかっこうになるようなそういう形だから、もう非常に失望して質問をやめちゃったのですけれども、いま聞いていると、ロケットの基本設計からそのあとまた詳細なものを入れるということなら、ロケットは全部アメリカの考えが入ってくるわけなんですね。こっちの考えが入らないわけでしょう。そんなことなら、あなた、もう東大研究しているのなんか完全に断絶してしまう。どこにそれを生かすのですか。
  59. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ロケット開発につきましては、詳細につきましては宇宙開発推進本部のほうから説明していただいたらよくわかるわけでございますが、考え方としまして、われわれのほうで自主的にQロケットあるいは将来のNロケットというものについての考え方がきまるわけでございます。しかし、私たちのほうで足りないのは、その詳細部分におきますいろいろな条件というものをいかに消化するかという問題でございますが、たとえば、ロケット開発していく段階におきまして、やはり従来われわれが持っている技術にいたしましてはどうしても解決できない、あるいはまだ十分それについて納得できないというようなものがあるわけでございます。その点につきましては、この技術導入といいますと全般に入れるような感じがいたしますが、そういう点につきましてわれわれはチェック・アンド・レビューということで、その点についての向こうの意見を求めるということでございまして、アメリカのものをそのままわれわれがうのみにしてしまうという意味ではないのでございます。
  60. 近江巳記夫

    ○近江小委員 将来日本ロケット及び関連技術を外国に売る場合、そういう導入技術の扱いについては、どのようにお考えになっていますか。
  61. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 導入される技術につきましては、外国に売る場合は別に事業団がこれを売るわけでございませんで、それぞれのメーカーが売るようになるかとも存じます。その時点におきましては、その導入技術につきまして、こちらのメーカーと向こうのメーカーとのいわゆる契約内容いかんによってそれが出せるものもあり、出せないものもあるというふうに存じております。
  62. 近江巳記夫

    ○近江小委員 そうすると、機密保持あるいは何らかの協定を必要とする技術導入というものが今後問題になってくると思うのですが、絶対しないということを約束できますか。いまのところ協定とかそういうものは結ばないといっているのでしょう。その辺のところはどうですか。
  63. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 その点については、従来からも申しておりますし、新しく立法措置というものを講ずるつもりは、さらさらございません。
  64. 近江巳記夫

    ○近江小委員 だから、そういう協定を必要とする技術の導入はしないかというのです。そういう技術を導入すれば、また何らか陰でこそこそやるということも考えられるわけです。絶対やらないという以上は、協定を必要とするような技術の導入はないのかということを聞いているわけです。
  65. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ないものと存じております。
  66. 近江巳記夫

    ○近江小委員 それから、衛星の打ち上げを非常に急ぐ、これはいろいろな理由があろうかと思いますが、そういう理由の一つに、インテルサットの正式協定の成立前にこの衛星を打ち上げておきたい、これは皆さん方もそういうことをいろいろな場でおっしゃっておりますが、日本の立場を非常に有利にしていこう、こういう考えのもとと思いますが、技術導入によって、行きがかり上、アメリカのこういう主張を日本がのみ込まなければならない、そういう事態を非常に心配する一わけですが、その辺のところはどうなんですか。
  67. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 そのような心配はないと思いますが、インテルサット自体は、これは、わが国としては、従来からの方針によってやっているわけでございますので、インテルサットの問題と技術導入の問題がからみ合わされるということはないと存じております。
  68. 近江巳記夫

    ○近江小委員 一部表現の方法について日米間で意見の一致しないところがある、このようにちょっと私は聞いておるのですが、具体的にどのような点が一致しないのですか。
  69. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 インテルサットの問題につきましては、これは郵政省所管でございますが、現在におきましてはまだ、前回の二月の会議以降進んでおりませんので、あのときの事態で、地域衛星の問題については、まだ日本側と米国側とは食い違っていると思います。
  70. 近江巳記夫

    ○近江小委員 それで、具体的に技術導入のこまかい点までは話がなかったので、この辺のところはわからないかもわかりませんけれども技術導入というのは、推定で大体何ぼぐらいお金は要るのですか。それは具体的なことは出ていないからわからぬにしても、大体でいいですよ。
  71. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 現在行なっておりますのは、先ほど申しましたように、原則的なものでございまして、その後、それぞれの企業間においての導入が始まりますので、その内容によりまして金額が非常に左右されますので、現段階においては、経費の点についてはわかりかねます。
  72. 近江巳記夫

    ○近江小委員 わかりかねますじゃなくして、大体そういうことはもう推定で、どういう技術を大体どのくらいやって、どのぐらいの金額になる——それはわかっていてわからぬと言っているのだと思いますけれども、話せる範囲では、これからの質問についてはできるだけ話してもらいたいのです。それ以上はきょうはもう聞きませんが。  そこで、先ほどからいろんな計画の話があったわけですが、この日米協力の話が、どういう技術を導入するかはっきりしないうちは、開発計画というものもはっきり立てられないわけですか。どうですか、その辺のところは、はっきりしているのですか。向こうの導入技術いかんにかかわらず開発計画はこうだということは……。
  73. 山縣昌夫

    山縣説明員 私どものいまの計画は、必要なデータアメリカから入るという前提で考えております。したがいまして、私自身は、入らないというようなこと——これは時期的にいま少しおくれているようでございますけれども、いまのお話をいろいろ伺っておりますと、何か全部がアメリカから入ってくるような、テレビのセットがすぽっと入ってくるようにお感じになっているかもしれませんけれども、やはりチェック・アンド・レビューということがございますね。こちらでもって一応のデザインをやる。われわれとしては、それをまだ上げた経験がございませんから、それをアメリカでもって見てもらう、こういうようなことがやはり一番大きな問題だと思います。それに関連いたしますが、当然誘導技術の問題が入ってまいります。したがいまして、アメリカ技術がそのまま入ってきて、それでもって日本ロケットできるとは私は考えておりません。これは原子力の場合でも同じでございまして、いろいろなものを日本計画いたしまして、ところが、これは実際つくった経験、データはございませんから、やはりそれを経験のある海外の機関にチェックあるいはレビューをしていただく、こういうことが一番大きなねらいでございます。そういうことは私どもできるという前提で考えております。したがって、万一それができなければ、これはやはり開発計画を変えなければいかぬ。あるいは時間も延びてくるということは考えられますが、いまのところ、私どもはやってくれるのだろう、こういうふうに考えております。
  74. 近江巳記夫

    ○近江小委員 この開発計画は、大体の点はきまっておるとは思うんですが、はっきりとしたことは、大体私たち六月中に決定をされるんじゃないかということを聞いておるわけですよ。ということは、アメリカ技術の導入がなければ、やはり今後進まないという点から考えれば、日米協力のそういう細目についても六月中にこれははっきりするわけですか、この点はどうなんですか。
  75. 山縣昌夫

    山縣説明員 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、年度の初めのころに話し合いができるんだ、こういうふうに推測しておったわけでございますが、だんだん延びてまいりまして、私どもといたしましては、科学技術庁のほうに早く早くと言っておるわけでございます。  そこで、問題は、いまのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、まあおそくとも六月一ぱいには長期計画をつくりたい、こう思っておったわけでございますが、もうすでに六月半ばになっておりますので、少しこれはおくれる、七月に入るんじゃなかろうか、こういうふうに私は考えております。要は、先ほど申し上げましたように、ロケットが一番問題でございまして、ロケット部会でもっていろいろ議論をして結論が出てまいりませんと、委員会としてはまだどうにもならないというのが現状でございます。
  76. 近江巳記夫

    ○近江小委員 この政府の実用衛星計画の基本的な考え方というのは、東大ミューロケット技術、それからさらに引き継いだQ型、さらにN型、そういうことで開発をするということをお聞きしておるわけですが、そうしますと、このミューロケットの一段階前のラムダ型でこれは三回実験が全部失敗しておるわけですね、現状は。そうすると、はたして構想どおりに、こういうロケット技術をうまく引き継いでいけるかどうかということは、非常に疑問なんですね。この辺のところはどうですか。失敗ばかり、もう三回やっておる。
  77. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 その点につましては、先ほど山縣委員から御説明ございましたように、計画の当初におきましてはミューロケットというものとQロケットをつなごうという考えもございましたが、これにつきましては、先ほど山縣委員からも御説明ありましたように、現在では切り離しているわけでございます。といいますのは、ミューロケットというのは、大体目的がいわゆる観測用のロケットというところが主体として発展したものでございますし、私たちが考えておりますQあるいはNロケットと申しますのは、これは人工衛星というものをねらってのロケットでございます。したがいまして、このミューロケット開発途上におきまして得ましたいろいろな技術的な内容につきましては、われわれとしましては、参考になるものは十分参考にさしていただいておるわけでございますが、ミューロケットがそのまますぐQロケットに変わるということはないわけでございます。
  78. 近江巳記夫

    ○近江小委員 先ほどからずっとお聞きしていて、ほんとうに安心できるという感じじゃないのですね。話せないところもたくさんあるし、そういう点、私は納得できないのかもしれませんが、何か非常にはらはらしながら皆さん方のやっておることを見守らなければならぬというような感じなんです。こういうような状態で、四十六年に電離層観測衛星、四十八年に実験用通信衛星という計画がはたして実現できるのかどうかという、その辺のところの不安が大きいわけですよ。自信があるのですか。これは山縣さんと局長と、それから次官にお聞きして終わりたいと思うのですが……。
  79. 山縣昌夫

    山縣説明員 最初に私の名前が出ましたから申し上げます。  繰り返し申し上げておりますように、私ども現在、四十六年に上がるかどうかという最終的の決定は委員会ではやっておりません。要するに、いまロケット部会で詰めておる、それが参りまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、一昨年——これは歴史的に申し上げますと、四十一年に建議が宇宙開発審議会から出ております。その場合にはQロケットが四十五年になっております。それが審議会の第四号答申ですから、一昨年、四十二年ですね、四十二年にはだんだん詰めてまいりまして、それから、それまので予算関係や何かもございまして、それが四十六年になっておるわけでございます。  これも先ほど来たびたび申し上げておりますけれども、私ども委員会委員を拝命いたしましたのは昨年八月でございまして、すぐ予算見積もりをしなければならぬという段階でございますので、あの当時、文書に残っておりますが、さしあたりこの四号答申を踏まえて、四十六年に電離層観測衛星、四十八年に静止衛星、こういう計画で四十四年の概算見積もりをやったわけでございます。そこで、今回は、委員会といたしましては、正式な初めての長期計画でございまして、従来のいきさつもございますから、当然四十六年ということを目標にはしておりますが、それを十分具体的に専門家に検討していただきまして、そうして、最終的に委員会として決定をし、さらに所定の手続をとりまして、国の計画にしていただきたい、こういう段階でございまして、委員会といたしましては、四十六年ということを決定した、さしあたりこういうことをやった、しかし計画を決定したことはないわけでございます。
  80. 平泉渉

    ○平泉政府委員 目標を立てておるということは事実でございますから、目標を立てた以上は、目標を守るように努力するのが当然であろうと思います。全力をあげて努力いたす所存でございます。
  81. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま政務次官からもお話がございましたように、私たち実際実務を担当する者としまして、現在委員会の事務局もやっておりますので、委員会のお手助けをしながら、この委員会の方針に十分沿ったかっこうでこの衛星開発というものに努力したいと存じます。
  82. 石田幸四郎

    ○石田(幸)小委員 関連でお伺いいたしますけれども、先ほど局長から、ロケットについて固体ロケット液体ロケット等の研究が進んでおる旨お話がございましたが、一体これはどちらに重点を置いて今後の開発研発を進めていくのか。
  83. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 先ほど申し上げましたが、科学技術庁として考えておりますのは、現在のQロケット、さらにNロケットにつきましても、固体と液体というものを両方まぜたロケット開発したいというふうに考えておるわけでございます。  この液体、固体にはそれぞれ利害得失がございまして、推力という点から見ますと、固体というものもなかなか捨てがたいものがあるわけでございますが、ただ非常にこまかい操作ということになりますと、液体のほうが非常に利点があるわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、この両方を組み合わせまして、現在はそういう考え方で進んでいるわけでございます。したがいまして、わが国として、現在液体関係ロケット開発しているのは科学技術庁だけでございますが、東京大学の固体ロケットでのいろいろ技術的な点というものも、私たちぜひその資料などいただきまして、われわれのQロケットNロケット開発につきましても、十分それを参酌して今後開発を進めていきたいというふうに存じております。
  84. 石田幸四郎

    ○石田(幸)小委員 液体、固体をまぜてということでございますけれども技術的な問題になると思いますけれども、まぜるということについて、技術的にどういうふうになるのでございますか。
  85. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 その点につきまして、加藤参事官から説明いたさせます。
  86. 加藤博男

    加藤説明員 まぜると申しましたのは、一つロケットの中に液体、固体をまぜるわけではございませんで、Qで申しますと、一段、二段が固体ロケット、三段目が液体ロケット、四段目が固体でございます。そういう意味で、Qロケット開発するにあたっては、液体ロケットも固体ロケットも、両方完成しなければいけないということになるわけでございます。  いま先生の御指摘で、いずれに重点を置くかという御指摘かと存じますが、そういう意味では、いずれをないがしろにするというわけにはまいりませんが、ただ一般的な言い方と御理解いただきたいと存じますが、固体ロケットについては東大でいままでいろいろやっておりますので、何と申しましても日本としてはいろいろな蓄積がございます。ただ、これについても、こまかいいろいろな制御機構についてはまだいろいろ勉強しなければいかぬ点もございますけれども、その意味では、固体のほうが日本にはわりにポテンシャルがあるということがいえるかと思います。ただ、いずれだけでいいというわけにはいかない点は、ひとつお含みいただきたいと思います。  以上でございます。
  87. 石田幸四郎

    ○石田(幸)小委員 これは私は予算面からのお答えをいただきたいわけでございますけれども宇宙開発事業団は、これが参議院を通過しまして実際に始まりますと、本年度予算五億円で始まるようになっておりますけれども、こういったものを含めて、一体それでは来年度宇宙開発事業団としてはどのぐらいの予算規模になるのか、また、その主たる内訳は、どういうふうな予算規模で研究開発を進めていくのか、そこら辺の見通しがわかりましたら教えてもらいたいのです。
  88. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 その点につきましては、基本計画につきましては、現在、宇宙開発委員会で基本計画をつくり、開発計画をつくっていただきまして、それに基づいて予算要求というものが行なわれるわけでございますが、現在の時点におきましては、まだ予算をまとめるには少し時間がございますので、現在その点につきまして鋭意作業中でございまして、まだこの時点においてどのくらいの経費ということは申し上げられないわけでございますが、先般申し上げましたように、大体われわれ事務当局の試算といたしましては、Qロケットを含んでNロケットまでにはやはり一千数百億円がかかるというふうに考えております。したがいまして、Qロケットをどういうかっこうで開発するかによりまして、そのピークになる年度がきまってくると思います。したがいまして、そのピークになる時期に多額の経費をつぎ込むという方法で今後の計画を立てていきたいというふうに思っております。
  89. 石田幸四郎

    ○石田(幸)小委員 そうしますと、固体ロケットについては東大のほうで研究が進められておるという御答弁でございましたけれども、こういった面の予算措置というのは、文部省関係ですか、それとも科学技術関係研究調整費でまかなっていくのか、あるいは宇宙開発事業団からの研究費が流れていくのか、そこら辺のところをもう少し……。
  90. 加藤博男

    加藤説明員 先ほど私、申し上げましたのは、過去において東大でいろいろやりましたので、液体に比べますと、技術の蓄積と申しますか経験がたくさんある、そう申し上げたわけでございまして、いろいろな制御方式や何かが違いますと、当然固体そのものとしての研究がやはり全然要らないというものではございません。したがいまして、このたびの事業団でございますが、固体の問題はもちろん研究はいたします。先ほどの御質問が、非常に一般的な意味で、液燃と固体との間の重要性と申しますか、そういうものかと思ったのでそう申し上げたわけでございます。
  91. 石田幸四郎

    ○石田(幸)小委員 それではロケット部門を離れまして、山縣先生にお伺いしたいのでございますけれども、この小委員会宇宙開発基本法を制定するための審議がなされておるわけでございますけれども、この宇宙開発基本法をつくるということは、いろいろな問題がまださだかでない、したがって、非常に基本法をつくりにくいという問題がありますけれども山縣先生がお考えになるには、一体、この宇宙開発基本法をつくるための一番大きな問題点、それはどこにあるというふうにお考えになるか、そこら辺の御意見を承りたいと思うのです。
  92. 山縣昌夫

    山縣説明員 基本法につきましては、私、この特別委員会でございますか、理事懇談会でございますか、数回私の考えを申し上げたことがございます。一昨年、私、宇宙開発審議会におりました時分にも科技特に参考人として参りまして、その節、やはり私は基本法はつくるべきであるということを申し上げた記憶がございます。その考え方は現在でも変わっておりません。何ぶんにも宇宙開発という大きな事業、これは国の事業として大きなお金をつぎ込んで計画的にやろうという場合に、やはり基本法というようなものが必要なのだろうと思います。  そこで、基本法の内容でございますが、いま先生からお話がございましたように、不確定な点が非常にございますが、要は、国の姿勢と申しますか、目的なり、あるいは国の責務、あるいは基本方針というものは、当然この基本法に盛り込むべきものだと思います。実際問題として、定義その他を考えてみますと、まだ確定しない点がございますが、いずれにいたしましても、基本法というものは必要だろうと思います。やはり一番問題は、国の責務あるいは国の姿勢と申しますか、先般の決議にもございますように、平和利用、そういったようなことは当然これに盛り込んでまいりまして、委員会の設置法もすでにでき、一方において事業団法も通していただいたというような現状になりますと、やはりこれは倫理規定に非常に近いものになるのではないか、私はそれでいいのだろうと思うのですが、そういったように、私自身としては基本法をつくる——これは私だけでございませんで、委員会でもこの問題を取り上げました場合に、委員会といたしましても、当然基本法は必要であるという結論は出ております。
  93. 石田幸四郎

    ○石田(幸)小委員 国のいろいろの姿勢をきめるについて、やはり宇宙の定義というのが当然ある程度の想定をなされなければならないと思います。この前、石川委員も申されましたように、それは大気圏あるいは月を含むそういった宇宙圏というような問題、いろいろございましたけれども、かなり大胆にそういったような宇宙の定義というものを、日本の近き将来を含めて日本宇宙開発に取り組むべき姿勢というものは、これは当然ある程度限定されてくると思うわけなんですね。月の探検を日本の経済力でできるというようなところにはまだほど遠いわけでございますから、そういう意味である程度限定してそれを考えていいのじゃないか、というような意味石川さんの発言もあったと思うのですけれども、そういった宇宙の定義も、ある程度日本宇宙開発としての限定した考え方、そういうようなことはあり得ると山県先生はお考えですか。
  94. 山縣昌夫

    山縣説明員 私、ただいま申し上げましたように、基本法というものの考え方でございますけれども、いわゆる憲章的なもの、倫理規定となりますと、これは一般的なもののほうがいいのじゃないかと思います。いまお話がございましたように、また、現実に委員会の設置法では、非常に限定された任務を委員会は持っておるわけであります。したがいまして、私、ここら辺から先になるとよくわからないのですけれども、華本法は非常に広いものをつくっておきまして、さしあたり、いろいろな委員会とか事業団というものはずっと狭い守備範囲にしておくということが可能ならば、これはこれでいいのだろうと思いますけれども、まあ筋としては、やはり何か守備範囲が同じのほうが形はいいのじゃないかという気もしておりまして、ここら辺になりますと、私自身よくわからないのでございますが、要するに、いろいろ基本法についてのお考えがございまして、いろいろな提案もございますけれども、たとえば、私いつも考えておるのでございますが、現在われわれの考えております宇宙開発というものは、人工衛星、したがって人工衛星を打ち上げるロケット、こういうものが主体になっているわけでございますね。ところが、これが人工衛星でない、何かこう打ち上げる、あるいは天体を利用するというようなことになりますと、全然われわれの所掌の範囲外でございますが、さて、これを基本法といたします場合に、そういった天体あるいは宇宙に打ち上げられたもの、そういったものまでを含めるかどうか、これはやはり問題があると思います。ですから、結論的に申しますと、望むらくは基本法というものは非常に幅の広いものであって、一方において現実の問題を踏まえまして、委員会の設置法あるいは事業団というものの守備範囲がきまってくる、そういうことがあってよろしければ、そういう法律の体制でいいのじゃないかと思いますが、形からしては何だかおかしいような気も、しろうととしてはいたしておるわけでございます。
  95. 石田幸四郎

    ○石田(幸)小委員 これで、私、終わりにいたしますが、現在、宇宙開発の機構といたしましては、宇宙開発委員会、それに宇宙開発事業団というものが今回設立をされたわけであります。そのほかに、東大等においては宇宙航空研究所等、いろいろな基礎的な問題に取り組んでおるところもございますけれども、これからの宇宙開発を進める上において、宇宙開発委員会とか、あるいは開発事業団とか、こういったもののほかに、何か基本的ないわゆる調整局としての役目といいますか、そういうような役割りの上から、さらに何か新しいそういう機構が必要だとお考えになっていらっしゃるかどうか。それとも、現在のいろいろ各省にあるところの、気象庁の問題であるとか、電波監理局の問題であるとか、そういうものを踏まえた上で、単なる調整局が全体的に調整すればいい、こういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、そこら辺のお考えがもしございましたならば、最後に伺っておきたいと思うのです。
  96. 山縣昌夫

    山縣説明員 一般論でございますが、いわゆるビッグサイエンスということは、いろいろな定義かございましょうけれども、現実にはガバメンタルサイエンスなんでございますね。要するに、民間ではできないほど人材も集めなければならぬ、金も必要だ。いわゆるビッグサイエンスはすなわちガバメンタルサイエンス、政府のサイエンス、テクノロジーだと思います。  そこで、私、昔から考えておりますけれども、現在日本におきましてビッグサイエンスというもの、いわゆるガバメンタルサイエンス、これをどうしてやっていくかという体制が必ずしもはっきりしておらない。たとえば予算にしてからが、先ほども予算お話がございましたけれども、ことしは宇宙は、全部で九十二億ぐらいだと思いますが、さて来年幾らになるか。実はこれから帰りまして、委員会を開くわけでございますけれども、おそらく二百億、三百億、あるいはそれ以上になるのだろうと思います。計画どおりやるとしますればですね。そういったことが、はたして日本の現在の状況においてできるのか、できないのか。したがいまして、ビッグサイエンスを実際国の事業、いわゆるガバメンタルサイエンスとしてやる以上は、やはり国として何かもうちょっと大きな手を考えていただかなければいけないんじゃないか、こういうふうに考えております。したがいまして、いま研究調整局のお話が出ましたけれども、たとえば宇宙開発委員会がほんとうに活動するとなれば、みずから相当大きな事務局を持たなければいけないんだと思います。ところが、現実の問題といたしまして、ここで何十人、何百人の事務局を持つ予算を出しましても、これは通りっこないだろうと思います。なまじっか五人か十人の事務局を持っておれば、これはむしろマイナスだろうと思います。と申しますのは、調整局長を隣に置いてこんなことを言うのもおかしいのですが、調整局のほうがずっと大きいですし、いろんな資料も持っております。一番いい例は原子力局だと思います。原子力委員会は、なまじっか事務局を持ちましても原子力局にはとてもかなわない。そういうようなことは本来はあってはいけない。要するに、ガバメンタルサイエンスを国として受けとめる——これも国の心がまえでございますが、それをひとつやはりお考え願いませんと、なかなかガバメンタルサイエンス、ビッグサイエンスというものは日本では育たないんじゃないかという気がしております。たとえばNASAは、一九六〇年代に、ケネディが、月に人をやって、それを回収するという一つの命題を出しますと、それこそ思い切った金をつぎ込んでいるわけですね。これは単に、月に人を送るということだけでなしに、それに関連していろいろな波及効果があるということではございましょうけれども、ああいう大きな計画アメリカとしてすぐ、すぐだかどうか知りませんけれども、受けとめるだけの体制が政府にできておるんだろうと思います。日本にはああいうものはございませんから、われわれといたしましては、委員会はもっと活発に動けということならば——われわれ実は非常勤でございまして、ほかに商売を持っておりますので、四人ともこればかりやっておるわけにいかぬ。と同時に、事務局自身もないわけで、こういうことでビッグサイエンス、ガバメンタルサイエンスが日本で大成するのか、私自身は非常に疑問に思っておるわけです。平素考えておることを申し上げまして、申しわけございません。
  97. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 齋藤憲三君。
  98. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 私、中座をいたしておりまして、あるいはダブる質問かもしれませんけれども、参議院でも宇宙開発事業団が通過して、いよいよこの十月から宇宙開発事業団が発足するわけです。何か法案が通過するまでは、法案通過のために一生懸命になって、わき目も振らずにそればかり心配しておった。今度いよいよ法案が通過してしまって事業団できるということになると、一体この事業団というのは、どういう形ででき上がるのだろう。これはよけいな心配かもしれませんけれども、非常な大きな責任となって、審議したわれわれの上にのしかかってきておる。これは何べん皆さんの御質問を伺って、また、私が考えてみても、いろいろなところで突き当たっちゃって通らないのですね。これが何か通らないというと、しょっちゅう消化不良を起こしておるようなもので気持ちが悪いものですから、つまらない質問になるかもしれませんけれども、お尋ねしておきたいと思うのです。  宇宙開発事業団というものを発足せしめるのに、一体どういう考え方をもって発足をしたらいいのか、たとえていえば、ロケット、それから静止衛星、これをとにかく打ち上げればいいんだ、それだけの任務でもって宇宙開発事業団というものが仕事をやっていけばいいのだ。インテルサット協定において、地域衛星の打ち上げというものが日本の希望であるけれども、それが認められなかった場合、アメリカ技術導入に応じない、そういうことがあってもこれはだいじょうぶやれるんだというふうな考え方でいくのか、これは昭和四十八年に静止衛星実験的に打ち上げるということを目標にしてやる場合、宇宙開発事業団に姿勢制御とか誘導制御というものを、技術導入なしにやれということを要求してもいい立場にいま日本はなっておるのか、これは金や人間じゃないと思うのです。やはり経験に基づく技術だ、こう思うのですが、そういう高度の、アメリカにしてみれば宇宙開発に七十兆円かけておる。金額にしてはとても及びもつかぬですけれども、それに相応する経験に基づく科学技術の立場においても、そういう点では非常な距離があるんじゃないかということが一般的に想像されておるわけです。ですから、宇宙開発事業団を発足させるのに、これは、番の困難な姿勢制御とか誘導制御というものは、アメリカから技術導入をするという前提のもとに、昭和四十六年、昭和四十八年の衛星打ち上げという計画を立てていくのか。あるいはそうでなくてもいい、姿勢制御も誘導制御技術的に導入しなくたって、これは自力でやるんだ、だから、インテルサット協定においてはあくまでも地域衛星の権利を主張していくんだ、こういうたてまえでやるのか。それは科学技術庁や宇宙開発委員会だけできめられる問題でなくして、事外交に関する問題も加味してくるし、また、あるいは郵政省の問題もからんでくるであろうと思うのです。一体どういうことを中心として考えて宇宙開発事業団というものを発足させるのがいいのですか。そういう点で内々御相談になったことはございましょうか。  きょうもある会合でその話が出たのですが、地域衛星というものをあくまで日本は主張しなければならないということになれば、これは一切は十一月のインテルサット協定の会議の結果にまってて、日本というものは、ある意味においては態度を決しなければならないということになるんだと思います。だけれども、地域衛星というものを主張していれられなかった場合には、それはそれでいいんだ、技術導入は断わってもいいんだというふうな態度でいくのか、何かその辺がすっきりしないというと、宇宙開発事業団のあり方というものもすっきりしてこないのであって、これは日本技術に対して懐疑的な考え方ですけれども、私、いろいろな技術屋に聞いてみますけれども、大体はどうも誘導制御だけは日本技術じゃ追っつかないんじゃないか。大体そういう研究をする体制になっていない。金の高からして、とにかく問題なんじゃ、こんなちゃちな考え方で、あの大きな技術的な問題を解決するなんということはとんでもない話だという人もいるのです。わからないのです。聞けば聞くほどわからなくなるから、この宇宙開発事業団がいよいよ発足するということになると、その審議の衝に当たったわれわれというものは、大きな責任というものに押しつぶされるようなことになる。一体、宇宙開発委員会としてはどういうふうなお考えの上に立っておられるのか、簡単でけっこうですから、ひとつお聞かせ願いたい。
  99. 山縣昌夫

    山縣説明員 お答えいたします。  齋藤先生のお話、ごもっともでございますが、私どもは、事業団に、これはおそらくそういうこまかいことまでは総理から基本計画というものはお示しにならないと思いますが、まあ、ある基本計画を総理がお示しになって、その範囲でもって事業団はいろいろおやりになるのだろうと思います。私どもは、やはり、いまお話がございました誘導技術というようなものを一番最初からこの事業団でおやりになるということは、いろいろな、お金の面、時間の面から、これはもう実際非常に不経済なものだ、こう思っておりますので、いまのような必要な技術導入、データの導入というものは、やはり前提といたしまして四十六年とか四十八年ということを考えております。  それから、インテルサットとの関係でございますが、これはいま齋藤先生からお話がございましたように、事業団の問題ではございませんで、国全体の問題でございます。当然、これは委員会は間接でございまして、むしろ外務省、あるいは郵政省、あるいは科学技術庁もそうかもしれませんけれども、そういったところでおきめになることだと思いますが、要するに、私はこれは一技術者、一科学者の立場から、委員会委員ということを離れて申し上げますけれども、一体、いまアメリカのまねを日本がやろうなんといったって、これはできる相談ではない。よく私どもが使いますことばは、わが国にふさわしい宇宙開発をやるんだと、こう言っております。そこで、今後宇宙開発、たとえば人工衛星によっていろいろな利益を得られる、これ自身もやはり開発しなければならぬと思います。たとえば、一、二年前までは資源衛星などということばはなかったわけでございます。ところが、やはり資源衛星というものが考えられ始めまして、人工衛星を使いましていろいろな資源を探査するということに非常に効果がある。こういったように、宇宙を利用するということを今後やはり開発しなければならぬと私ども思っております。これは、実を申しますと、委員会の任務ではございませんけれども、やはりそういうことはどこかでやらなければならぬ。その場合に、当然、わが国にふさわしい計画でなければいけないわけでございますが、その場合に、日本静止衛星を打ち上げる技術というものを一体持っていなくていいかどうかということだと思うのです。むろん、さしあたりは、インテルサットとか、いろいろ問題がございますけれども、もっと大きな目で見ますと、日本人工衛星を利用していろいろな利益を狩る、そういったことは、当然にわれわれは将来考えなければならぬ。それには、やはり自分自身がある規模の静止衛星ぐらいは打ち上げる技術を国内で持っていなければならぬということは当然だと思っておりまして、そういう意味で、むろん、この地域衛星の問題、さらに国内通信衛星の問題にもからんでまいりますが、それは当然一方において考えながら、一方において、私自身は、静止衛星技術ぐらいはここ何年かでもって身につけなければ、将来の人工衛星の利用ということに非常におくれをとるんじゃないか、こういう気持ちでおります。  これは、委員としての考え方ではなしに、私個人の考え方でありますが、そういう考え方を私自身は持っております。
  100. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 もう一点。私の申し上げているのは、ジョンソンメモからいきますと、インテルサットとジョンソンメモの技術導入というものは非常に関係がある、こういう考え方の上に立つておるわけです。あの文書を見ますというと、その後どういう交渉経過になっているかわかりませんけれども……。そうすると、宇宙開発事業団というものは、そういうインテルサット並びにジョンソンメモというものとは全然関係なしに衛星を打ちしげるという目標に向かって進む。そういう場合に、技術導入というものがあるんだという考え方で出発をしていくのか、技術導入がなくてもいいんだという形で出発をしていくのか、これはよほど根本的に違うと思います。あの大きな、私らもしろうとでよくわかりませんけれども、三万六千キロの上空で、姿勢の制御をやったり誘導制御をやったりするということは、口で言うべくして、話を聞いてみると、これが最高の技術だとまでいわれておるわけなんですから、そういう技術導入というものを前提として日本静止衛星を打ち上げるという計画宇宙開発事業団が出発するのか、そういう技術導入はなくてもいいという立場において出発するのか、これはやはり一にインテルサットの問題と関係を持つのじゃないかと私は思うのです。関係を持つとすれば、一体、そのインテルサットの十一月の協議に対して日本というものがどういう方針で臨むかということは、当然、宇宙開発委員会のメンバー及び政府当局との間にいろいろ相談があってしかるべき問題じゃないか、そういうふうに考えるのですが、こういうような問題を突き詰めて、日本の将来の宇宙開発、通信というものを総合的に考えて、非常勤のいまの宇宙開発委員会のメンバーのあり方として、これに突っ込んで取り組めるか取り組めないかという問題もあるわけですね。ですから、われわれといたしましては、宇宙開発事業団法というものの通過いたしました今日、りっぱな宇宙開発事業団というものができ上がって、十分その機能を発揮していただきたい、こう思うのですが、現状においてそういう期待をすることができるかできないかということを考えると、すこぶる不安だ。ここをこうしなければだめなんだ、あすこをこうしてもらわなければとてもそういうことはできないんだということであれば、そういう点を率直に述べていただいて、昭和四十五年度予算要求のときにどうあるべきかということは、ひとつわれわれも腹がまえをきめなければならぬ、こう思うのです。このまま法案が通過したからどうもおめでとうございますと言って、われわれも責任解除していただければそれに越した安心感というものはないわけですが、なかなかそういうわけにはいかないんじゃないか。ですから、そういう問題も、宇宙開発基本法とからんで、この小委員会でもやはり忌憚なきディスカッションをやって詰めていかなければならぬじゃないか。われわれはそれがわからないのです。ほんとうにわからないんです。そういうことをお尋ねしたい。
  101. 山縣昌夫

    山縣説明員 ただいまの、ロケット開発とインテルサットの関係でございますね。私自身、これは自分自身を交渉しているわけじゃございませんで、局長のほうからお話し願いたいと思いますが、私が知っている範囲では、インテルサットと技術導入とはからめておりません。ジョンソンメモには書いてございますけれども、私はそういうふうに記憶しております。したがいまして、何回も繰り返しますけれども事業団ロケット開発をやるという前提といたしまして、必要なデータが必要な時期に導入されるということを踏まえて四十六年とか四十八年とかいうことをわれわれは考えておる次第であります。
  102. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま山縣委員のほうからもお話がございましたように、これは従来からのジョンソンメモの、ことにインテルサットの問題についてまとめて申し上げますと、当初、ジョンソンメモにおきまして、米側から日本側に対して、衛星についても協力する意向であるということをいっておりまして、その中に、ただ、その場合には、インテルサットと競合するようなものをつくってもらっては困る、そういうものについては協力できない、簡単に言いますと、そういうことでございます。そういうような話があったわけでございます。わが国の返事といたしましては、われわれとしても、インテルサット、将来どういう名前になるかわかりませんが、要するに、そういう世界通信網というものと競合する意思はございません。しかし、それと競合しない地域衛星というものはわれわれは主張いたします。これがインテルサットの会議でも出ておりますし、日本側の返事には、その地域衛星の問題についてこまかくは申しておりませんが、考え方といたしましては、インテルサットの、その当時きまっている国際的な通信網の中にはわれわれは入りますが、ただし、その場合には、当然われわれはインテルサットの協定に入っているわけでございますから、そのインテルサットできめられた範囲内で行動いたします。しかし、地域衛星というものは、これは別でございます。地域衛星の中にもいろいろございます。インテルサットと申しますのは、これは単なる通信の衛星組織でございまして、そのほか衛星といたしましては、たとえば気象衛星にいたしましても、地域的な衛星もあるわけでございます。それから、グローバル的な気象衛星は現在ございませんけれども、あるいは今後そういうものも出てくるわけでございますが、これはみな通信衛星以外の特殊衛星ということで別に分類してありまして、これについては何ら拘束はないわけでございます。
  103. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 この間の国際会議では、日本と欧州は地域衛星というものの権利を主張したのでしょう。それは話し合いがつかなかったのだね。話し合いがつかないということは、アメリカ側から考えれば、それは世界通信衛星網の中に含まれるべき性質のものであって、特別に地域衛星というものを認めないという方針を持っているわけなんですね。そこへ向かって、日本と欧州は地域衛星を認めろ、これはアメリカ側が日本の主張をいれて、それじゃ、あなたの言う地域衛星というものを認めましょうということになればいいけれども、あくまでもそれは認めない、じゃあなたは脱退してください、こう言われて不調に終わったときに、それじゃ日本技術導入が受けられるかというと、それは技術導入は受けられないようになるのじゃないか。だから、インテルサットが地域衛星というものをどういうふうに考えて、それを限定するかということは、まだわからぬのでしょう。  きょうも話を聞いたのだけれども、いま上げているところのインテルサットのグローバルな星というものは、もう二、三年たったら二万、三万、四万というチャンネルを持つようになるだろう。そして、それを三個組み合わせれば世界がシェアに入る。一個になるというと、これはりっぱな地域衛星になるわけだな。そうでしょう、これは一個ずつ見れば。三個の地域衛星が合わさるというと、グローバルな、世界を全部包含する衛星になるはずなんだ。日本の中にも、日本はもう地域衛星を必要としないという議論はたくさんあるのですよ。何をゆえに政府は地域衛星を要求しているのか、あんなものは要らぬじゃないか、何をいまごろ——ただドメスティックなものだけあればいいじゃないかという議論というものがたくさんあることを私は知っているのだ。だから、地域衛星というものの性質から考えて、はたして地域衛星という独立した機能を持つところの星というものを認めるか認めないかということは、この十一月の国際会議においても大いに論議されるだろうとばくは思う。そのときに、アメリカの主張をこちらがけって、それじゃよろしゅうございます、われわれはわれわれの力で地域衛星を上げますから、インテルサット協定には入りませんよ、こう言ったときに、ジョンソンメモは一体どうなるか、技術導入は一体どうなるか。それは関係ないとは言えないでしょう。インテルサット協定に違反せざる限りにおいて技術導入をするというのだ。だから、そういう点がはっきりきまらないと、その問題に対する結論というものは生まれてこないのじゃないかと私は思うのだな。結論が生まれないと、宇宙開発事業団の心がまえというものがはっきりきまらないのじゃないか、こう思うのだ。その点、はっきりしていればいいのですよ。いままで知っている限りにおいては、その点がはっきりしていないとぼくは思うのだ。
  104. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま先生のお話の内容でございますが、インテルサットは、衛星についてでございまして、ロケットとは関係ないわけでございます。これは向こうの文章でもそういうふうに、衛星についてはインテルサットのワク内でということでございまして、衛星についてアメリカからの技術導入を必要とする場合であり、かっ、先生がおっしゃるように、わが国がインテルサットから脱退しているという場合には、衛星についての技術導入はないものと思われます。しかし、別に方法としては両国間の協定という方法もございますけれどもロケットについてはこのインテルサットというものは全然かぶさっていないわけでございます。
  105. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 だけれどもロケットばかり打ち上げたって、あなた、これは宇宙開発にならないのだから。そうでしょう。衛星というものがついておるからロケットというものの必要性がある。だから、ロケット衛星というものを切り離して宇宙開発を論じたって、これはナンセンスなんだ。だから、ロケットをつくって宇宙開発をやる、衛星をつくるのだ、それに対しては姿勢制御、誘導制御が必要だ。結局、アメリカ技術を導入しなければ四十八年に日本の企図する宇宙開発というものの実現ができないのだという立場に立って立ち向かうのか、それは要らなくても、ロケットも打ち上げられるし、衛星日本ではできるのだ、完全に三万六千キロの静止衛星軌道の上へ打ち上げて通信ができるのだという立場で、この十月から宇宙開発事業団が発足するのかどうかということを聞いておる。あなたはロケット衛星というものは別だと言われるけれども、これが一緒にならなければ宇宙開発にならぬのだよ。そういう考え方はおかしいと思うのだな。
  106. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 確かに先生のおっしゃることもあるわけでございますが、この地域衛星の問題といいますのは、通信政策を相当大きくからむわけでございます。したがいまして、インテルサットの会議におきましては、なるほど地域衛星の問題もございますが、そのほかにもいろいろ問題点がございます。その中に通信政策として地域衛星という話を出まして、それを各国がいろいろ検討しているわけでございます。私たちロケット開発段階におきましても、確かに地域衛星というものもございますが、しかし、そのほかに国内衛星、さらに気象衛星、航行衛星と、いろいろな衛星によって宇宙開発を行なおうということでございまして、なるほど先生のおっしゃるとおり、地域衛星の問題につきましては、そのインテルサットの問題が片づかなければ、ほんとうに今後地域衛星というものを日本が持てるか持てないかということで、日本の通信政策に相当大きく影響してくると思いますが、その点につきましては、郵政省のほうでは、地域衛星というものが必要であるということで、現在このインテルサットの会議に臨んでわがほうの主張を述べているということでございまして、今後、このあとの秋の会議におきましても同様な主張がなされるものと思っております。その結果につきましては、国際会議でございますので、もしヨーロッパなりわが国の主張が通れば当然アメリカはそれに従わざるを得ないということになるわけでございます。
  107. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 それはそれでいいのですよ。ただ、ぼくの言っているのは、そういう点に対して日本としての意思統一というものをはかってもらいたい。それに対して宇宙開発委員会は無関心でおっていいのか、宇宙開発事業団は無関心でおっていいのか。もういまのお話のように、郵政省は地域衛星はあくまでも必要だといって主張するのだ。もしそれがいれられなかったらインテルサットに入らぬと言うかもしれない。それでも日本宇宙開発というものは推進しなければならないという立場に立てばできるのか。それは、あなた、今度の国際会議の窓口は外務省でやるのでしょう。外務省と郵政省と科学技術庁、それに宇宙開発委員会が入って、日本が今後宇宙開発をやるその具体的政策、具体的な方法、その実態に対してほんとうにはっきりした、統一した意思を持っておるのかどうかということですね。それで外務省の言うことも、郵政省の言うことも、科学技術庁の言うことも、宇宙開発委員会の言うことも、もうはっきりした目標をとらえて、四十六年、四十八年、既定方針どおりこれは日本の力で、あらゆる場合に思いをいたしても宇宙開発は実現できます、だから、予算は何ぼ要る、これならぼくらも一生懸命になって予算の獲得に従事するけれども、何かそこに、できるかできないかわからないような不安定感がわだかまっているので、ほんとうにできるのかと言われたら、いやどうもあぶないところもあるのだなんて言ったら予算はとれない。そういうことを固めてもらいたいと言うのですよ。それでないと、あなた、四十五年に対するはっきりした計画が立たぬでしょう。だから、その予算の概算要求は八月の末でしょう。いまごろから十一月の国際会議に臨む態度というものは関係省庁及び関係機関において相談をしてまいります。われわれのところにも提示をして、こういうことで今度は国際会議に臨むし、こういう態度でもって宇宙開発事業団も発足させるつもりだ、どうかということをよく話をしてもらって、そうして、これに対する予算というものは大体これくらいだという話をしてくれるなら、われわれも納得ができるわけなんですが、どうもそういうところが、何ぼ考えてもこれは不安感を除去するわけにいかないのですよ。それを除去してもらいたいというのが私のお願いなんです。おわかり願えましたでしょうか。山縣先生、どうでしょうか。
  108. 山縣昌夫

    山縣説明員 齋藤先生のお話しのとおりなんですが、これはやはり根本的には宇宙開発委員会の設置法に「利用」ということばを落としたことだと思うのです。われわれは利用という面にははいれないのですよ。いや、それは間接にははいれますよ。だから、ある程度批評はできるかもしれませんけれども、その意思決定をわれわれは何もできないのです。この点は、御承知のように、原子力委員会は利用が守備範囲なんですね。ところが、宇宙開発委員会は、「利用」というものは落ちているのです。そこで、われわれは何かよそできめられた利用計画に対して、その人工衛星あるいはそれを打ち上げるロケット開発するということが任務なんです。ですから、お話はよくわかるのですけれども、どうも私どもの任務でないようで——それは御相談には乗りますけれども、われわれが旗振りをするという立場にはないということだけは御了承願いたいのです。これはいつかも齋藤先生に申し上げたことがあるのですがね。
  109. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 それはわかりました。その利用問題で、確かにそこは守備範囲外ですからいいのですが、しかし、いま齋藤先生の言われたように、その中で宇宙開発事業団というものがあり、宇宙開発委員があるならば、一応どこまでが到達目標かという目標を定めてもらわなかったら、それは私の守備範囲外でございますということで、ただロケットだけやっておったらいいというような近視眼的にやってもらっては困るので、やはりそれくらいの——国会の承認を経て、そしてやってもらった、ほんとうに日本の国でいうたら、あなたを一番たよりにしておるところの委員会ですよ。そういう観点からすると、静止衛星を打ち上げて、それからまた、地域衛星も打ち上げて、あるいは気象観測とか、あるいはまた、航行衛星とかを打ち上げてやっていくということは、これはもう日本の国の一つの国論のおもむく方向でしょう。これまで否定はされないだろうと思うのですね。そうすると、いま石川局長が言ったように、ロケットだけやっておったらいいんじゃないのですよ。やはりどの衛星を上げるかということを考えなければならないでしょう。そうすると、それはあなたの守備範囲ではないかもしれませんけれども通信衛星を打ち上げるということなら静止衛星でなければならぬ。静止衛星を打ち上げるということになると、アメリカは、技術はもうあなたのところに送りません、こういうのかどうか、そこが齋藤さんの言われるところですよ。もう日本は絶対に静止衛星も打ち上げません。静止衛星を打ち上げなかったら、これは通信衛星はだめなのか、あるいは地域衛星でいけるのかどうか、その辺も見きわめてもらわぬことには、きょう聞いておって、われわれ話の整理ができないのですよ。その辺をひとつはっきりしてくださいよ。はっきりしなければこの次にはやはりそれぞれの省庁の責任者に来てもらわなければしょうがないのです。そんなあいまいな、ばらばらで、アメリカ技術援助についても一つも見通しが立たぬ。いまのお話をずっと演繹していきますと、十一月のインテルサットの本協定がきまるまでは、そうすると、日本に対しては技術協定はお預けだ。何をやるかわからぬ。静止衛星でもつくられたらたまらぬとアメリカが言うのか。そんなことはありません、それでも技術はちゃんと入れてあげましょうと、こうアメリカはおっしゃるのか。近江君の質問のときにも、ロケットロケットばかり言って、さっぱりわからなかった。いまのお話でも、日本はどこを目標にして宇宙開発をやっておるか。あんな話では先行きまっ暗らになってしまう。そこを明らかにしてください。
  110. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 先ほどの静止衛星の件でございますが、静止衛星と申しますのは、これは通信だけに使われるべきものではございませんので、通信その他気象なり、いろいろなものに使われるわけでございます。したがいまして、もしほかの、いろいろな気象衛星とか航行衛星とかその他を上げる場合には、この静止衛星技術というのは必要でございます。ただ通信に使った場合には非常にメリットがあるということで、われわれは、通信の際にはぜひ静止衛星を使いたいということで考えておるわけでございます。
  111. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 通信することはいかぬのでしょう。
  112. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 失礼しました。通信に使うという問題につきまして、これは現在のインテルサットの協定では、これは使ってはいけないとも何ともいっていないわけでございます。ただ、今後そういうふうにきめたい。アメリカからの提案では、今後はインテルサットのグローバルシステムと競合するようなものは排除したいという意向に対しまして、日本並びにヨーロッパとしては、地域衛星というものが必要であるということで話をしているわけでございます。それがどういう条件で、われわれが考えている地域衛星と、将来持っていきたいというアメリカの案とぶつかっているという点につきましては、今後の国際会議の中におきまして、どんどん詰められていく問題だと思います。この前、郵政省のほうからの説明があったかと存じますが、この地域衛星というものに対して、あながちアメリカ側としても完全に否定しているという空気ではないというふうな話がございました。といいますのは、たとえばカナダのような場合は、カナダの国内衛星といいますのは、これはアジアへ持ってきますと、大体地域衛星並みのサービス範囲があるわけでございます。したがいまして、衛星そのものの性能からいきますと、地域衛星も、いわゆるカナダなんかの国内衛星と能力的にはあまり変わりないわけでございます。ただ、機能的にそれが国際的につながるかっながらないかという問題だけが残っているわけでございますが、もしアジア地域におきまして、そういう地域的ないわゆるローカル、幹線だけではなしに、別のものが必要だということになりますと、そういう主張を従来からわれわれも続けておりますが、そういう主張がやはり相当強くなってくると思います。したがいまして、リージョナル衛星というものは、インテルサットがあれば不必要であるということは、一がいには言えないかと存じます。そのような意味におきまして、今後の国際会議においても、われわれの主張というものを十分に主張していきたいと存じておりますし、いままでの二月の国際会議の内容につきましても、さらにこの事業団において計画を立てます衛星につきましても、関係各省は十分に連絡をとっておりまして、表面的には、各省庁がそれぞれの衛星開発を進めるかのごとき印象を与えておりますが、内容につきましては、委員会のほうで全部連絡をとりながらやっておりますので、先ほど齋藤先生からお話ありましたように、その話の食い違いということは、今後とも計画遂行の上においては起きてこないというふうに私たち考えております。
  113. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 そうすると日本は、そういういろいろな問題を考慮しても、静止衛星を赤道の上に上げるのかどうかということですね。上げるなら、いまあなたがおっしゃるように、インテルサットの関係でそれは通信に使えそうにない。相手はそう言うておるのでしょう。そういうことに使うのなら技術は提供しません。あなたのよく言う、いまのロケットのほうは応援しません、こう言うておるのでしょう。そこが知りたいのです。
  114. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 私、先ほど申しましたのは、ロケットのほうはインテルサットの問題とは全然別個でございますというふうに御説明申し上げたわけでございます。別個でございます。これは、向こうからいっておりますのは、衛星そのものについての技術というものはインテルサットとの競合問題がございますということで、ロケットには触れていないわけでございます。ただ、皆さま方心配しておいでになることは、そういうことが感情的に、もし日本が何かやればアメリカのほうとしてはけ飛ばすんじゃなかろうかというふうに考えておいでになるのだと思いますが、この文章……
  115. 三木喜夫

    三木(喜)小委員 局長、ちょつとおかしいんだ。ちょっと待ってくれ。あなたの言っておることはぼくらと話が一つもかみ合っておらない。  これが衛星ですね。衛星日本開発しますね。これを打ち上げるのはロケットでしょう。ロケットで打ち上げるのでしょう。これを赤道の上に持っていって置きますね。これを打ち上げる力は日本にないのですよ。だから、これは関係ないといっても、関係あるのですよ。アメリカ技術で——きょう話を聞いてみると、アメリカ技術をひたすら望んでおるような言い方、それしかないというように私たちに聞こえるわけです。そうすると、このロケットの問題については、これを赤道の上に持っていって、それを通信衛星に使うということになれば、アメリカのインテルサットと競合してしまうでしょう。うちはこれを通信にも使うけれどもアメリカのインテルサットも使わしていただく、この二つときめれば向こうは文句ないのでしょう。しかし、これを通信に使えばアメリカのやつは要らなくなる。そんなことをしてくれるのならロケットも教えませんぞ、こういうように関連づけていまお話があったように思ったから、これを言っているのです。そういう意味合いで言っているのです。   〔「ジョンソンメモもそうだろう」と呼ぶ者あり〕
  116. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ジョンソンメモではそうなっていないわけでございまして——ちょっと読ましていただきますと、  通信衛星に関しては、米側は、衛星開発のすべての面において協力したい意向である。米側は、また、日本通信衛星のために打ち上げ  施設を提供する用意がある。この協力は、日米  両国政府がともに両国政府のインテルサットに  おける約束に合致して引き続き行動するという  仮定のもとに提案され、また、実施しうるもの  である。この分野における技術日本への移転  は、既存の、または改定されるインテルサット  協定と両立する実用国内組織、または純粋に実  験的な通信衛星組織において使用される場合に  米国によって承認されるであろう。ということでございまして、このインテルサットの衛星そのものについては競合してはいけないということで、衛星に関しての技術は提供しない——衛星についての技術でございます。あとの段にこのロケットの問題が出てきておるわけでございます。ただ、先生お話しの、ロケットを使って……
  117. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 局長、いま読んだのは、インテルサットと日本との協定において違反することがない場合には技術導入するんだな。
  118. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 衛星についてでございます。
  119. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 衛星。だから、インテルサットの立場に立つというと、日本の地域衛星というものが競合するという立場に立たれると、それは日本技術導入しないという結論になるんだよ。ぼくもずいぶんそれを読んでみたんだ。単なる実験衛星に限るんだな、技術導入するという場合は。だから、実際に地域的に使うという地域衛星は、インテルサットとこれが電波その他において競合するという立場に立つと、そのジョンソンメモに反するということになるんだと、ぼくは解釈しているんだ。
  120. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 その点でございますが、地域衛星というものがあれば——地域通信衛星でございますが、地域通信衛星がインテルサットと競合するかしないかということが現在議論になっているわけでございます。したがいまして、われわれとしては競合しないという線で出ておるわけでございます。アメリカ側では、競合する、これは観点の違いでございまして、たとえば、先ほど先生がおっしゃいましたように、太平洋の上に一つインテルサットの星があれば、それでリージョナル衛星というものはまかなえるんではなかろうかというお話でございましたが、これは将来の通信需要というものの伸び方によりまして、ほんとうに地域的な通信というものが相当ふえてまいりますと、たとえばカナダ−アメリカ間のように相当多数の通信回線を必要とする場合には、この通信内容は別にヨーロッパとか日本へ送る必要はない。あの辺だけで通信回線を持てばいいという必要が起きれば、当然アメリカでは地域衛星というものが必要になってくると思われます。それと同様に、太平洋地域、あるいは東南アジアを含んで、インドも含みまして、ここだけで通信しておればいいのだというものがあれば、それがある程度経済的に引き合うような価格で通信ができましたら、地域衛星というものは、インテルサットと競合せずにその実施が可能であろうというふうに考えておるわけでございまして、この点、考え方の相違ではなかろうかというふうに存ずる次第でございます。
  121. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)小委員 そこなんだ、あなたの言うとおり、アメリカ側の主張は、日本の主張する地域衛星というものはインテルサットと競合するという主張なんだよ。日本は競合しない、こういう。欧州も競合しない、だから、地域衛星を認めろ。だから、その日本の主張が通ったときはいいよ。日本の主張が通ったときはいいけれども、通らなかったら一体どうするのだとぼくは聞いているんだよ。通らなくてもいいのか。そして、通らなかった場合には技術導入を受けない。それでも、そういう体制を考えて宇宙開発事業団を発足させるのか。技術導入を受けなくてもいいという体制でいまの計画というものは推進ができるのか、日本は。そこなんだよ。だから、これは技術的にいうと、非常に議論があるんだね。実際通信に当たっている機関も、ほんとうのことをいうと、日本の主張している地域衛星なんというものはむだなんですということを、ぼくに理路整然と説いた人もいるんだ。それはどうして要らないんですかといったら、いやそれは三万チャンネル、五万チャンネルというものを打ち上げたらどうなりますか。これに拮抗して経済的にペイする地域衛星なんというものは、日本は打ち上げられないのだ。そうすると、安いほうをみんな使ってしまう。日本は打ち上げたけれども、いつでもお客さんがいない衛星というものになってしまうじゃないか。そんな経済性を無視した地域衛星なんて主張したってナンセンスですよ、こう言っておる。だけれども、それはぼくは一つの主張として、ああそうですかと聞いておくだけで、そんなものには、ぼくはあまり、ほんとうかうそか、結論は出さないで、そういうこともあるのかなと思って聞いておるのだけれども、そういうことを聞くと、地域衛星の必要性というものはわからなくなってくるんだよ。日本語でしょう、日本は。だから、日本語を使うドメスティックなものは日本語でいくのだから、これは日本の国内の通信網というものがマイクロウエーブ等においてまかない切れないという場合には、それはドメスティックな衛星を使うということができるでしょう。地域衛星というものは、これはいわば日本語で通用する地域衛星というものはほとんどない。日本語で電話をかけられるところなんかありはせぬから、これは英語でやるとかそういうことになってくるというと、いわゆる太平洋上に打ち上げるインテルサットの三万チャンネル、五万チャンネルという膨大な機能を持った衛星が打ち上げられるというと、これ一個でもってオーケーになってしまう。だから、そのほかのインテルサットのシステムというものは、そのために日本も加入してもらって、日本からも金を出してもらっておるのだ。経済的に使えばいいじゃないか、何もそれと競合する地域衛星というものを主張する必要はないじゃないかというのが、あるいはアメリカの考え方かもしれない。そこへ向かって、絶対に地域衛星が必要なんだという主張をしていくのか、そして、それがいれられなかった場合には技術導入をお断わりしますというだけの決意をもって国際協議に臨んで、そういう心がまえで宇宙開発事業団を出発させるのかと聞いている。どちらなのか。局長、あまり先ばしって答弁してはだめですよ。みんな相談してから言ってください。
  122. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいまのお話は、やはり問題が通信政策の問題に相当からんでいくと思いますので、その点につきましては郵政省などからも、外務省も含めまして十分最終的な考え方というものをまとめないといけないかと存じます。  しかし、確かに先生のおっしゃいましたようなリージョナル衛星に対する考え方というものも、私も実は聞いたわけでございます。しかし電話だけが通信ではございませんので、将来伸びますのはデータ通信でございます。これはことばというものはございません。数字でまいります。したがいまして、そういうものが東南アジアでどのくらいの数になってくるか、その辺が結局将来の通信政策の問題と相当からんでくると思います。したがいまして、そのデータ通信なりあるいはことばでない通信というものが将来ふえてきた場合に、当然郵政省としても、それに対処する方針を立てないといけないと思いますし、それに必要な回線数、そういうものから考えまして、はたして何万チャンネルを持つインテルサットというものを利用するのが得策なのか、あるいは別個の日本といいますか、いわゆる東南アジア各国の寄り集まってつくった地域衛星というものが必要なのか、その点が問題になってくるのではなかろうかというふうに存じますので、その点、きょうの御質問の内容を各省にも伝えまして、十分検討を進めていきたいと存じますが、われわれとしましては、従来からもそういう考え方によりまして、事業団というものは、やはり将来地域衛星というものの開発もあるのだという考えで現在進んでいるわけでございます。
  123. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 石田君。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)小委員 いまの問題ともいろいろ関連があるので聞きたいと思ったのですが、時間もあまりありませんので、省略します。  次官にお伺いしたいのでございますけれども、いまお聞き及びのとおり、本年度宇宙開発予算は全部で九十二億、また、実用衛星を打ち上げるまでには千数百億かかるのではないか、こういうような議論が行なわれております。この前から委員会でも再々問題になっておりましたように、そういうようなビッグサイエンスは、科学技術庁の中では現在調整局でこういう問題を扱っておるわけでございますが、来年度予算要求のときに宇宙開発局、そういうものを設置するように科学技術庁としては要望される御決意があるのかどうか、そこら辺の議論は、大臣と次官あるいは局長さんあたりで話ができているのかどうか、そこら辺のお話をお伺いしまして、私は質問を終わりたいと思います。
  125. 平泉渉

    ○平泉政府委員 実は今年度予算要求のときに、御承知のとおり、局としては出しておるわけでありますが、これは行政機構全般の問題とからんで、局の新設ということは非常に困難な問題でございます。自民党全体の政策としても行政機構の簡素化ということをいわれておりますので、その関係で、今回は実は貫徹できておらないわけでございます。来年度どういうふうな対策を立てるか、現在の機構そのものでむしろ実質的にやっていけるか、まだこれは検討段階でございます。本年度予算要求の段階では、宇宙局という構想が出たことは御承知のとおりであります。機構としてそういう構想は、もう予算要求に出ておるわけでございます。現在検討中でございます。
  126. 小宮山重四郎

    小宮山委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会