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1969-10-14 第61回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年十月十四日(火曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 石田幸四郎君    理事 木野 晴夫君 理事 齋藤 憲三君    理事 石川 次夫君 理事 三木 喜夫君    理事 佐々木良作君       桂木 鉄夫君    河野 洋平君       長谷川 峻君    井上 普方君       長谷川正三君    吉田 之久君       近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  委員外出席者         宇宙開発委員会         委員      山縣 昌夫君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁振興         局管理課長   北野 茂夫君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君         厚生省公衆衛生         局防疫課長   後藤 伍郎君         農林省農政局植         物防疫課長   安尾  俊君         参  考  人         (宇宙開発事業         団副理事長)  松浦 陽恵君         参  考  人         (東京大学教         授)      玉木 章夫君     ――――――――――――― 十月十四日  委員大石八治君及び村上信二郎辞任につき、  その補欠として長谷川峻君及び河野洋平君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員河野洋平君及び長谷川峻辞任につき、そ  の補欠として村上信二郎君及び大石八治君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 八月五日  一、科学技術振興対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(宇宙開発、東海  地区原子力施設地帯安全確保及び医療保健科  学技術に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 石川次夫

    石川委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、委員長指名により私が委員長の職務を行ないます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  本日は、宇宙開発に関する問題調査のため、宇宙開発事業団理事長松浦陽恵君及び東京大学教授玉木章夫君に参考人として御出席を願っております。  この際、両参考人一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ、本委員会に御出席くださいましてありがとうございます。どうかそれぞれの立場から、忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 九月十日、科学技術庁宇宙開発推進本部によってロケット実験が種子島でやられましたが、この打ち上げの結果も失敗だといわれておるわけなんです。しかしながら、その詳細をまだ承っておりません。また九月二十二日だったと思いますが、東大宇宙航空研究所ラムダ4S四号機も、人工衛星になるという望みを託しておきながら、ついにこれも失敗しておるわけであります。そういう事態を踏まえて宇宙開発委員会は非常に手回しよく、宇宙開発事業団が十月一日に発足したのをきっかけにいたしまして、「宇宙開発計画きまる」という大見出しで新聞発表しておりますが、これは非常に酷な言い方かもしれませんが、何のことはない、次の計画が一年おくれたというだけのことしか書いてないわけであります。電離層観測が四十七年、実用静止衛星が四十九年、そうしてMロケットによって全段姿勢制御装置をつけるというようなことがやや明るい見通しがあるだけの発表になっておるだけで、新聞あたりはやっぱりこれについては酷評をしております。これはいままでの計画ののりで継ぎはぎした計画であって、今度こういう失敗もしておりますし、さらにおくれてまいりましたこの宇宙開発に対するところの総反省の上に立って立てられた総合計画ではないので、私たちはそういう計画であってほしいという、こういう願いを込めてきょうは御質問申し上げたいと思うのです。  この総合計画の中に、東大ラムダ機失敗一言も触れてない。これはどうしたことか。また東大重力ターン方式といわれておりますが、この方式と、四十八年に全段姿勢制御装置をつけるというこのやり方の間に、技術的な相関性をどうするのか、技術的にどういうぐあいに関連をつけるのか。したがって、いま申しましたように、この計画書なるものは、のりとはさみ式計画に見えてしかたがないのであります。なお、予算編成期も控えておるのですから、この計画書というものに対しまして、予算計画書もつけるべきではないか。長期の見通しに立ってもよろしいし、本年度の見通しに立ってもいいですから、そういう計画書を持ってもらいたい、このように思うわけであります。  私は、この二つ実験結果、その失敗は責める気はないわけでありますけれども日の丸衛星という、こういう言い方で、多少日本の国の宇宙開発が足が地についてないのじゃないかと思うのです。私はこれは国産衛星と言いたいと思うのですけれども日の丸衛星日の丸衛星という宣伝をよくして、そういう思い上がり考えだけが先行して、技術的反省を国民に知らせて予算的裏づけを持った熱意のある計画書をなぜ出さないのか、まずその点につきまして宇宙開発委員のほうからお答えをいただきたいと思います。  二番目に、これは東大なり、宇宙開発委員の方、それから事業団から見えておりましたら事業団からもお答えいただきたいと思うのですが、まず、東大宇宙航空研究所の今回の失敗についてお伺いしたいと思うのです。  私は、四十一年の九月、ラムダ4S一号機から二号機、三号機の失敗があったときにずいぶん意見を申し上げ、姿勢制御誘導装置等を研究されたいと申し述べておきました。しかし、今回新聞発表によりますと、四号機も無誘導方式をとっておられるというような発表をしておられます。はたしてそのとおりであるかどうかということをひとつ聞いておきたいと思うのです。そしてこの無誘導方式で次にミューに取りかかるということをいっておるようでありますが、はたして人工衛星になる自信があるのかどうか、これをまずお聞きしたいと思います。二番目に、今回の失敗は三段目が四段目に追突姿勢を狂わして失敗した、こういっておるわけでありますが、ラムダ4T型のときに、その危険が予想されているのに、軌道計算をやり直し、切り離しを十五秒おくらせただけで、こういうような実験が科学的に調査された、研究されたということができるのかどうか、私はしろうとでわかりませんけれども、その点がずいぶん当てずっぽうのような感じがするわけであります。新聞によりますと、野村民也主任は第三段目の噴射ガスがまだ残っていたらしいと、こういうことを言っておられるようでありますが、十五秒ということと、その噴射ガスがまだ残っていたという、この二つ関係は一体どうなのか。科学的に地上実験はこういうときにやる必要があるのではないか。そういう点がわかりませんから、ひとつお教えをいただきたいと思うわけであります。  それから基本的な設計上にミスがあるのではないか。こんなことで本年ミュー4S型一号機が上げられるのかどうか。非常に強気でありますけれども、だいじょうぶかどうかということにつきまして、私、非常に危惧の念を持つわけであります。その点につきましてもお答えをいただきたいと思います。  それから、もうかなりの日がたっておるのでありますが、今回の実験に対するところ報告書というようなもの、これは国会にまたお出しいただけるのかどうか。あるいはそれはミューまでやってみて、それから出すのだということになっておるのか、その辺も知らしていただきたいと思います。すでにラムダ4S一二、三、号機の報告書は、前回こうしていただいておるわけであります。四十一年からいいますと、もはや三年たっておりまして、今日これの反省点もあるだろうと思いますし、さらに今回やってみた上での反省点技術的欠陥というものも私は当然あるだろうと思います。そういうものを、国会というもの、あるいは学会というものをやっかい視せずに、オープンリーにひとつこういう報告書を出して、みんなが寄ってそういう問題につきまして心配をしていくのがよいのじゃないかと思いますが、これにつきましても、御意見なり、計画があるようだったら計画を知らしていただきたいと思います。  それから四番目に、これは苦言になるかと思います。私は本年内之浦を見せてもらって驚いたわけであります。実験用ロケットということになりますと、ぴかぴかと光って、そして大事に保管されているのかと思っていたのですが、倉庫の中にむぞうさにほうり込まれておる。そして放置されているのを見て驚いた。これでは、ちょっとした誤差でも実験失敗するといわれておりますが、こんな雑然とした中でこういう保管をされてよいのかどうか。それも実際見た者として心配いたしましたので、そういう点につきましても、これは小さな問題かもしれませんけれども実験までの整備、保管管理状況、こういう問題につきましても、ひとつお聞かせいただきたいと思います。一機一億円であります。今度ミューになりますと、一機五億円するといわれております。もう、はや前回から三年もたってしまって、しかもやり方が依然として初歩的な失敗をしておる。一機目はかなり成功したが、二機目は頭の部分がぽろりと落ちてしまった、こんなことがあったり、だんだんしまいになるほどその失敗が初歩的な失敗というような感じがするのであります。こういう点につきましても本日はひとつ明らかにしていただきたいと思います。  それから、宇宙開発委員のほうに、次の三点ほどお伺いしたいと思います。  アメリカからの技術導入見通しがつかなかったのでこの計画書がおくれたのだというようなことが新聞に書いております。そうすると、どういう技術導入見通しがついたのか、その状況を知らせてほしいのです。  それから、前々から非常にわれわれはやかましく言っておりますし、国会科学技術対策特別委員会においても小委員会を持ってこれを推進してまいりたいと考えておりますが、ちょうどいまの宇宙開発というものは、計画をやる頭脳にあたる宇宙開発委員会はできました。それを推進するところ宇宙開発事業団もできました。しかしながら、肝心の宇宙開発基本法というものがないわけであります。これはちょうど羅針盤のない船が大きな海を漂うておるような感じが私はしまして、基本法についてどうお考えになっておるのか。前々からも承りました。しかし、委員会考え方の中に、軍事と結合するということをおもんぱかっておられのかどうか、そういう私たち心配をするわけでございますので、この点についてもついでに聞かしておいていただきたいと思います。  三番目にインテルサット計画とわが国の宇宙開発、特に静止衛星を打ち上げる段階におきまして、この地域衛星インテルサット衛星とがどのように競合し、あるいはダブっていくか、あるいはその間でうまく地域衛星利用できるのかどうか、こういう問題も当然今回の計画書の中に指摘をしておいていただかなければならなかったのじゃないか、こういうぐあいに思うわけであります。  以上、お伺いいたしまして、御答弁によりましては次に質問を続けさしていただきます。
  4. 山縣昌夫

    山縣説明員 最初に御質問でございますが、開発計画につきましていろいろお話がございました。御承知のように、私ども委員会が昨年の夏発足いたしまして、何はともあれ開発計画を持つということが最初の仕事でございました。計画を持っておらないでいろいろな施策をやるということは、まことにおかしな話でございます。したがいまして、昨年の十一月二十日だったと思いますが、宇宙開発計画基本方針というものを委員会といたしまして決定をいたしました。このことはすでに御承知のとおりでございますが、その中で先ほどお話しの点がちょっとございますので触れておきますが、この基本方針の中に、可能なものについてはこれに必要な経費の概要を示すものとするということがございました。結果におきましては、この計画書の中に経費を示すということができませんでした。  まず、これにつきまして申し上げます。  私ども開発計画を立てます場合に、いわゆる人工衛星利用機関、そういった各方面からいろいろな御計画をいただきまして、と同時に、それに要する経費もお示し願ったわけでございます。私どもこの計画を立てます場合に、当然経費考えておったわけでございますが、何ぶんにも初めての宇宙開発という事業でございます。したがいまして、不確定要素が非常に多いということでございまして、そのために計画書に載せるほどの精度をもって、計画書に対する経費というものを積算するということができませんでした。これは私自身非常に不本意と思っておりますが、何ぶんにも、そういった特殊なプロジェクトでございますので、現状におきましてこの程度、ということの見通しはつけましたけれども計画書に載せるという正確度を持った数字というものを載せ得ませんでした。もっとも、四十五年度あるいは四十六年度、その程度のことでございますと、これは当然しっかりした数字が出ますけれども、今後いろいろ見直しもしなければならぬ事情と情勢もございますので、ただいまのような理由で経費の総額を計画書の中に載せるということができませんでした。  それから次に、開発計画そのものでございますが、御承知のように、開発計画につきましては過去においてたびたび審議会においても議論をされ、最終的には一昨年の十二月二十日だったと思いますが、四号答申に対しまして、審議会としては科学技術庁長官に答申申し上げたわけでございます。  その後、大体その線に沿うて四十四年度の予算要求をし、予算をいただいたというのがこれまでの現状でございます。  そこで、今回の宇宙開発計画でございまするが、御承知のように十カ年程度の将来を一応見通しいたしまして、ここ五、六年の計画を立てるというのが基本方針でございます。その作業におきまして、部会三つつくりまして、各方面専門家の方々にいろいろ検討をしていただきました。その結果、先ほど三木先生からのお話でございますが、一年おくれただけが変わったというお話でございました。見方によってはそうかもしれませんが、計画そのものとしても相当変わっております。  科学衛星につきましては、これは、お手元に差し上げてございますか、計画書は。――どういたしますか。
  5. 石川次夫

    石川委員長代理 あとでいいです。
  6. 山縣昌夫

    山縣説明員 科学衛星計画につきましては、四十四年から四十八年、五カ年間に六つの衛星を上げる。上げる時期といたしましては四十四年、四十五年、四十六年、それに一つずつ、四十七、四十八年の二カ年間にわたって三つ、こうなっております。これは従来の計画とそう変わっておりません。  それから実用衛星に関しましては、先ほどお話しがございましたように電離層観測衛星を従来四十六年に上げるということで進んでまいったわけでございますが、実際部会その他で十分御議論を願いましたところ、やはり十分な信頼性を持つ確信を持ってから上げるべきだという基本方針でございます。したがいまして、四十六年には従来考えておりません地上試験用ロケット、GTVといっておりますが、これを新しくつくりまして、こういう計画を新しく入れまして、陸上において十分検討して、その結果で確信を得まして、それで四十七年にQロケットによる電離層観測衛星を打ち上げよう、こういう計画をいたしました。  それから静止衛星のほうでございますが、従来四十八年という計画でございましたけれども、御承知のように静止衛星、なかなかむずかしい衛星でございますので、直ちにNロケットによる静止衛星を打ち上げるということをやめまして、四十七年に電離層衛星を打ち上げますQロケット、これを使いまして静止衛星を四十八年に打ち上げよう、これはいろいろな機器その他を乗せまして、その機器信頼性その他を調べるという特殊のミッションを持ったものではございませんけれども、四十九年にNロケットによる静止衛星を打ち上げる一つ前の段階といたしまして、四十八年にQロケットによって静止衛星を打ち上げよう、こういうふうに計画を変更しております。従来の計画と違いましたおもな点はそういう点でございます。  それからアメリカからの技術導入見通し、これにつきましては御承知のように七月三十一日に日米間で交換公文を交換することになりました。われわれといたしましては非常に喜んでおる次第でございます。御承知のようにソー・デルタの技術水準、ただしアンクラシファイドの技術、これをアメリカ日本に提供しよう、こういう大筋がきまったわけでございます。具体的なことにつきましてはその後科学技術庁は人をアメリカに派遣いたしまして、私どもといたしましてはその結果、Nロケットによる静止衛星、この技術をこのアメリカとの交換公文によってある程度技術導入をいたしますればNロットによる静止衛星の打ち上げは可能である、こう現在においては自信を持っております。  次に基本法についてでございますが、これは先般の国会でいろいろこの席でも私申し上げましたように、平和目的に徹するということ、これは大鉄則でございまして、国会におかれましても基本問題に関する小委員会をおつくりになられて今後御検討になると思いますが、私どもその御検討の結果もいただきまして、さらにあの当時いろいろ問題がございました、たとえば定義の問題であるとか、そういったようなことが国際的にいろいろ討議されておりまして、そういうことがだんだんまとまってまいりますれば、それらを取り入れました何かの基本法というようなものは当然必要なものだろうと思います。いずれにいたしましても平和目的に徹するということは、これはもう前提でございまして、基本法をどうつくるかというむしろ技術的な問題が残っておると私は考えております。  それからインテルサットのことに宇宙開発計画は触れておらぬという話でございますが、インテルサット地域衛星関係でございますが、これは直接は触れておりませんが、最初段階におきまして間接には触れております。しかし、いずれにいたしましても、この問題は三木先生よく御承知のように、利用の問題でございますので、私どもといたしましては、むしろこの宇宙開発計画に正面切ってのせるということはどうかと思っております。現在でもそう思っております。と申しますのは、御承知のように宇宙開発委員会の任務といたしまして、利用面が間接的にはともかくも、直接的には除かれておりますので、単に地域的な国際通信衛星を打ち上げるに容易になろうと、こういうことをやれば容易になるということをうたっておるわけで、地域衛星について議論をするということはむしろ故意に避けている、こういう次第でございます。  以上、お答えいたします。
  7. 玉木章夫

    玉木参考人 ただいま御質問の点についてお答えしたいと思います。  まず最初に、引き続いてラムダ4S型が無誘導方式かどうかということに関してでございますが、これは四十一年からやっておりますものと方式としては全く同じでございます。無誘導方式衛星軌道に乗せることが非常にむずかしいというふうにいわれておりますけれども、これは少し誤解があるのではないかと私は思っております。ただ、私たちがまだ一回もこの方式最終段軌道に乗せることができておりませんので、そういうような誤解を受けるのだと思っております。今回M3D、L4Tそれからし4Sと一連の実験を行ないましたけれども、私はこの結果から見ますと、この方式はかなり安心して使える技術なんじゃないかというふうに思っております。  それから同じような方式Nロケット衛星を上げることに自信があるのかという御質問だったと思いますけれども、ただいま申しましたように、この方式十分科学衛星を上げられるものと思っております。  それから二番目の御質問は、ラムダ4S四号機の第三段ロケット燃えがらと、上段の部分との追突のことに関して、その対策をどうして第三段の切断秒時を十五秒おくらせるということでいいという判断をしたかということだと存じますが、第三段の燃えがらと、その上の姿勢制御部分と第四段ロケットとが衝突する可能性というのは、原因は幾つか考えられますが、一つは第三段のロケットが燃えたあとに、わずかではありますけれどもエンジンの中に残っております物質が蒸発して、それでわずかな推力を出す、つまり加速するということが一つであります。   〔石川委員長代理退席委員長着席〕  それからもう一つ考えられますのは、姿勢制御部分切断しましてから、スピンをとめる動作、それから姿勢制御が終わりましてからまたスピンをかける動作がございます。この動作は、小さな固体ロケットエンジン円周方向にふかせてやるのでありますが、その小さなロケット噴射ガス真空中に上がりますと、わずかながら機体に触れまして、その反力で、これを逆に減速するような向きに働くことになるのであります。そういうことがあるのであります。  そこでラムダ4T一号機の実験あとで、こういうものの推定を、計算と、小規模ではありますが、実験をやりまして、そしてまずその第三段の残留推力に関しては、真空槽の中で、小さなロケットを燃やしたものを使いまして、その程度をはかります。それからまた姿勢制御部スピン停止あるいは再スピンによって減速する程度も、やはり真空槽の中で大体の程度をはかりまして、そういうものをもとにしまして、それからもう一つは、ラムダ4T型で得られました加速度の曲線から、推力の終わりのほうの部分を推定いたしまして、この三つのものを使っていろいろ計算をやりまして、その結果、ラムダ4Tの場合よりも十五秒おくらすということで、この二つが当たることはない。実は長時間たちますと、すれ違うことはございますが、上下の差がありまして、当たることはない、そういうような結果が出てまいりましたので、こういう方法実験をやりました。このほかいろいろな方法も実は考えましたのですけれども、実際に地上実験なり、あるいは気象実験をやっていない技術を使うということは、安心して使えないということで、やめまして、このことだけにいたしました。結果は、御承知のように衝突が起こってしまいました。  いまどの点の予測がまずかったのかということを検討しておりますけれども、大体現在申し上げられることの一つは、この微少な残留推力というものが、私たちが予想したものよりもだいぶ大きかったということはございます。そういうことで、予想してないときに事故が起こってしまったということでございます。  それから、ラムダ4Sに設計上のミスがあるのではないかということでございますが、確かにいままでラムダ4Sにいろいろな故障が起こりました。三号機までの故障は、ロケットの結合、切断点火等、直接ロケット構成部品に関するものでございます。これらの点は、今回の実験で、まず完全に改良されたというふうに思っております。ただ、追突というような、いままで予測しておりませんでした事故が起こったために、そしてこれに対する措置が不十分であったために、第四段を軌道に乗せることができませんでしたけれどもロケットそのものとしては、だいぶ、といいますか、非常によくなったものというふうに思っております。  それから、報告書の件でございますが、今回の実験の結果につきましては、宇宙開発委員会技術部会において技術的な検討、評価が行なわれるということになりましたので、私ども、現在、できるだけ早く得られた資料をまとめて、まずそこに御報告したいというふうに考えております。非常にたくさんの資料がとれましたので、現在、宇宙航空研究所の中でそれを大ぜいの人間が解析検討をやっておるところでございます。  この報告をどういう形にするのがよろしいのか考えているところでありますけれども、もちろん前のラムダの一、二、三号機について、研究所から報告としてまとめたものが出ておりますけれども、研究所として、いずれはそういう形にできるだけ早くまとめたいとは思っておりますが、まず技術部会のほうに御報告をしなければならないというふうに考えておりますので、その上でひとつ、どういう形にするかを検討させていただきたいと思っております。  それから、ロケット保管に関する御質問がございました。ロケット保管については、私どもも常々、たいへん注意をしてやっておるつもりでございます。内之浦にはMロケット用の推薬貯蔵庫というものと、小さい火薬類を入れます火薬庫とございます。この推薬貯蔵庫、このいずれも火薬取締法に基づく必要な処置をとっております。それから、推薬の貯蔵につきましては、年四回、定期的な点検を行なっております。それから、この貯蔵庫の内部は、温度の調節、湿度の調節というようなこともやっておりまして、決してその保管をおろそかにしているというようなことはございません。  大体以上のようなことでございます。
  8. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もう大体約束の時間が過ぎたのですが、いまの御答弁の中で抜けておりました点について御答弁いただきたいと思いますが、山縣先生のほうからは、やはり今回のこの計画書には、総反省の上に立ってこの計画書を書いていただかなければならないのじゃないかということを申し上げました。  なお、東大の問題につきましては皆さんのほうからは一言も触れられないということは、一体どういうことかということですね。そのことによって、私は、一元化への道筋がついてくるのじゃないかと思うのです。したがって、東大のほうも、国の機関として開発委員会ができたのですから、どこにどういう報告をしようかしらというようなことをおっしゃらぬと、まずそこに報告をし、一如の姿の中で進めていく。失敗失敗として、やはりこの中から次の飛躍の段階を見つけようとするならば、東大オンリーでなくして、やはり委員会に報告してもらうのがいいんじゃないか。委員会も、これについては重大な関心を払って、やはりそれについての反省を書いていただかなかったら、国民はもうばらばらにやられておるんかという感じをいまだに持つわけであります。私たちも一番にそれを今度の報告書で思いましたから、それできょうはそういう質問をしたわけであります。  それから、玉木先生のほうからは非常に自信に満ちた御報告をいただいて安心をしたわけでありますけれども、しかし、前々からこの報告書を見ましても、姿勢制御だとか、あるいはディスピンのことなんかもいろいろ書いてありまして、それが大体いい資料を得た、こういうようなぐあいに報告はされておるわけなんです。この報告書と照らし合わせまして、今回の実験の結果のこの得たところのものというものを、やはり照合していただきたいと私たちは思うわけであります。ただうまくいったんだ、実験失敗したけれどもいいデータが得られたんだ、こういうことだけでは、きょうの御答弁としては私たちはちょっと満足しかねると思うわけです。いま申し上げました、十五秒間切り離しの期間を長くしたということと、若干推薬が残っておったという、こういう問題については、どういう実験をやられたのか。そういうことは、野村さんも言っておられるし、それから、玉木さんも、前回ラムダ4T型のときに、そうした危険が予想されたので、軌道計算をやり直し、切り離しを十五秒おくらせることにしたのだが、こういうようなことをおっしゃっていますけれども、この二つの間の関連性が、いまのお話ではちょっとわからぬ。こういうことについては、やはり実験をこれだけやっておりましたけれども、これだけ残りました、これはこういうところに原因があったんでしょうというように説明していただかなかったら、ただ原因はこれだろうということだけ指摘されたような感じがするわけで、ちょっと御答弁としては私も了解しがたいのであります。  それから、無誘導だ、前と同じかっこうだ、こういうぐあいにおっしゃいますけれども、やはり一部では、これは誘導を取り入れておるじゃないかというような、こういう意見もあるわけであります。それでいまそういう質問をしたわけであります。もう時間がございませんから、そういう機微な点について、一言御答弁をいただきたいと思います。
  9. 山縣昌夫

    山縣説明員 ただいまの東大との一元化に関連いたします御質問でございますが、私ども委員会ができまして、東大は当然その委員会の、ことばは悪いかもしれませんが、かさの下に入ってきた、こう考えております。またそうであるわけでございます。  そこで、いろいろ東大実験についての御批判がございました。それに関連して申し上げますが、昨年の夏委員会がスタートをいたしまして以来、東大が、ことしの冬、夏と二回すでに実験をやっておられるわけでございます。この実験をやります前には、御出席玉木さんその他に委員会においでを願いまして、計画につきまして詳しく伺いました。また、私どもそれに対しまして、御質問なり御意見なり申し上げたわけでございます。それから、実験が終わりました後におきましては、実験の結果につきまして、東大の方においでを願いまして御報告を承り、御意見を申し上げ、あるいは私どもは、こうやったらいいのではないかというようなことを申し上げております。しかし、先ほども申し上げましたように、委員会といたしましては、まず開発計画をつくるということに重点を置きまして、この計画ができますのは、かれこれ半年、いろいろの事情でおくれました。いずれにいたしましても、委員会といたしましては、それに第一義的に取り組んできたわけでございます。  そこで、先般十月一日に、委員会開発計画に関する決定をいたしました。その前から、この委員会におきまして開発計画が決定いたしました暁には、当然部会の改組を必要とするということを私も委員会で申し上げ、皆さんの御賛同を得ておったわけでございます。従来の三つ部会はあくまで計画をつくるというための部会でございましたから、この八日、先週の委員会におきましてその三つ部会を解消いたしまして、新たに二つ部会をつくっております。  一つは今回、先般できました計画の実況状況検討する、あるいはこれも前に申し上げましたが、私ども開発計画というのは、俗なことばで申し上げますというと、ころがし計画でございまして、先般決定いたしましたのはいわゆる昭和四十四年度版の計画でございまして、明年四十五年になりますれば当然必要な見直しをする、さらに、年度を一年、必要なら延ばしていく、こういう計画でございますので、そういういわば四十五年度版の計画をいろいろ検討していただくという意味、ですから、四十四年度の計画がきまった、その実施の状況検討していただくということ、それと、四十五年度版の計画を策定するそのための部会、これを一応計画部会と名づけております。  それからもう一つ技術部会というものを設けました。これがただいまの御質問に直接関係があると思いますが、この技術部会におきましては、東京大学、あるいは事業団、あるいはその他いわゆる学識経験者、あるいはメーカーさん、ユーザーさん、こういう方にお集まりを願いまして、技術全般についていろいろな議論をしていく。当然その場におきまして東京大学の技術議論をされ、さらに、今後の事業団のいろいろな技術問題、たとえばいま申し上げました、お話にありました打ち上げというようなことも当然問題になると思います。  特にこの技術部会におきまして、いまのところ三つの分科会をつくるということを考えております。第一の分科会は、先ほど来いろいろお話がございましたが、ロケットを打ち上げたその結果を検討する分科会、当然これは最終的には委員会の所掌でございますけれども、そのうちの専門家にお集まりを願いまして、たとえば東京大学でやられた実験につきまして徹底的にそこで皆さんに議論していただく、逆に今度は事業団がおやりになった実験につきましては、東大の先生方、さらに第三者と申しますか、学識経験者、そういった方もその分科会にお願いする予定でございまして、そういう方で徹底的にお話し合いを願う。いま実施する機関といたしましては、さしあたり二元的と申しますか、東京大学と事業団でございますが、私はその技術交流の場に非常に役立つ、同時に、いろいろ実験をやりました結果をお互いに議論し合いまして、次の計画、ですからかりにうまくいかなかった場合は、一体そのうまくいかなかった状況というものはどういうものであろうか、その原因は何であろう、その対策はどうしたらいいだろうかということを専門的、技術的にそこで十分御判断願いまして、それを委員会に御報告願いまして、委員会といたしましてはいろいろなほかの事情もございましょうが、そういった広い視野で決定をいたしたい、さらにそれによって計画自身を変えるということになりますと、必要ならば計画部会のほうへまた移しまして、そこで広い視野からいろいろながめて議論をしていただく、それを最終的に委員会でまた議論をいたしまして決定する、こういうような組織がえをいたしました。  そういったようなことで、大体私ども考えておりますことは、要するにまず計画をつくる、その計画によって実施する、実施するその主体は事業団であり、東大であるわけでございまして、むろん委員会としてはその東大なり事業団でやりやすいようないろいろな措置について御協力申し上げますが、実施主体はあくまで東大であり、事業団である。それからその結果を評価するということはこれは明らかに委員会の仕事と思います。したがいまして、計画段階、四十四年度版の計画は一応できましたから、少なくとも当分は評価に重点を置いていきたい、こう私は考えております。その評価を通じて私は東大事業団技術の交流は、非常に現実の問題としてできるのではないか、こういうふうに考えておりますから御報告申し上げます。
  10. 玉木章夫

    玉木参考人 まず第一に、私ども今回、ラムダ4Sによりまして第四段を軌道に乗せることができませんでしたが、これにつきましては、国民の皆さまの期待にこたえることができなかったことを非常に深く反省しておる次第でございます。  先ほどの報告の点につきましては、詳しい報告をまず宇宙開発委員会技術部会に提出しまして、各方面の方から御批判いただき、御検討いただくというふうに考えております。その報告をこちらに御提出するというようなことにつきましても、宇宙開発委員会のほうを経てやらせていただくというようなこと、これはいかがかと思っておりますのですが、それが最初の御質問に対するお答えになるかと思います。  それから、追突しないだろうという基礎になった実験でございますけれども、これは先ほども申しましたように、小規模なものでございます。真空槽の小さなものの中でやりまして、時期的にもラムダ4Tの実験からラムダ4Sの実験までそう長い期間があったわけではございませんし、これが不完全なものだったというふうに思っております。そのために、それに基づいて予測したことが実際の場合と違っていたのだというふうに考えております。したがって、現在考えておりますのは、やはりこういったロケットエンジンが、非常に高い空、真空状態で燃焼する場合の特性につきまして、もっと掘り下げた研究をやらなければいけないということで、もう少し大規模な実験をやるようなことを計画しております。  それから、ラムダ4S型、それからミュー4S型が無誘導式でございますが、その後のミューロケットの開発、改良計画の中には、二次噴射による推力方向制御というようなものが入っております。私ども考え方は、その無誘導方式というのは、軌道の高さとか形とかいうものを、あまりやかましく要求しないような科学衛星には役に立つと思います。それからまた、誘導制御のさらに進んだ装置を研究していくときに一番最初に手がつけられやすい、やさしい方法といいますか、そういう意味で、順序としていまのような方式姿勢制御というようなことをまず勉強して、特に姿勢基準のジャイロのシステムというようなものにつきましては、現在まで得られた知識を活用しまして、もっと精度の高いものにしていくというようなことを考えております。現在の方式は、決してこれが一番いいとか、これしかやらないとかいうことでなくて、私の考えでは、最初に取りついてやる方法としては、一番やりやすいものなんじゃないかというふうに思っております。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もう長官が見えまして、石川さんの質問が始まると思いますので、ずっけりひとつお聞きしたいと思うのです。  これはいままで御質問申し上げて御答弁いただいた中からはっきりしてきたのですが、山縣さんにお聞きしたい。とにかく技術導入見通しがついた、それでこの計画発表したんだ、こういうことでございますが、一体どんな技術をどういう条件でアメリカから導入するのか、これをお聞きしたい。  それから、玉木さんには、いままでいろいろ実験をやってきたことをまだまだ深めていく中で、ミューで本年はやるんだ、そういう自信があるというお話でございましたが、いつこれを実験されるか。そして、いままでのこういう失敗は完全にそれまでに消化できて、失敗のないようにやる自信がある、こういうようにお考えかどうか。もうわかり切った質問かもしれませんけれども、いつお上げになるのか、それまで準備可能な――もう今年の後半は幾らもありません。その二つを簡単に山縣さんと玉木さんから御答弁いただいて私は質問を終わりたいと思います。
  12. 山縣昌夫

    山縣説明員 アメリカからの技術導入の御質問でございますが、先ほど申し上げましたようにソー・デルタ、この技術水準までで、アンクラシファイドの技術、これは導入してやろう、こういうことでございます。したがいまして、その技術が入りますれば、私どもはいわゆる静止衛星は可能と思っております。  その技術の内容そのものの主たるものは誘導制御の関係でございますが、たとえばQロケットのチェック・アンド・レビューとかいったこともやってもらいつつあります。また、ものによりますと特に誘導制御が一番問題と思いますが、ハードウエアも出す、こういうことをいっております。アメリカでも日本技術を輸出する、それに対しまして組織をつくりまして、そこでいわゆるアンクラシファイドであるかどうかという議論をするということになっております。  なお、詳しい事情につきましては、石川局長のほうから事務的な手続等のことにつきましてはお話願いたいと思います。
  13. 石川晃夫

    石川説明員 補足させていただきます。  本年の七月三十一日でございますが、アメリカとの間で技術協力に関する交換公文が交換されたわけでございます。この中身につきましては、わが国のQロケット、それからNロケット、それから通信衛星、それからその他の応用衛星――応用衛星と申しますのは、そのほかの航行衛星とか、あるいは気象衛星とか、こういうものを含んででございますが、それに必要な技術は、アメリカのほうでも許可をいたしますというような話し合いでございます。これによりまして、私たちのほうから職員を派遣いたしまして、その内容について今後どのように運ぶかという点について打ち合わせを行なったわけでございます。  ただいま山縣委員からのお話のように、その結果といたしましては、わが国で静止衛星を打ち上げ得るだけの技術アメリカで許可するであろうというふうな返事をいただいております。したがいまして、そのこまかい内容につきましては今後まだこれから数回の交渉を重ねないといけないわけでございます。いまの段階では、先ほどお話がございましたシステムデザインあるいは誘導制御、こういう問題についてまだ個々に具体的なものまで入っておりません。そのようなものにつきまして、今後これは企業間でその契約を結ぶことになっておりまして、日本政府としましてはそれに対する証明書をつける。これは日本宇宙開発のために必要であるという証明書をつけることになっておりますので、そのような作業を今後進めながら技術の導入を逐次はかっていくということになっております。
  14. 玉木章夫

    玉木参考人 ミュー4S一号機の打ち上げの時期でございますが、ミュー4S一号機は、今回の一連の実験の結果に基づきまして、十分検討と改良を加えてから実験を行ないたいと思っております。  それから、さらにラムダ4S五号機の実験というものを行なって、その成果を見た上で実験したいというふうに考えております。  時期につきましては、現在研究所の中で慎重に検討中でございまして、もしこの現在の予定を変更するような場合には、これは宇宙開発委員会の審議をしていただく必要があることと考えております。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 本年度中とはわからぬですか。本年度中に打ち上げる……。
  16. 玉木章夫

    玉木参考人 時期を本年度からおくらせるということも含めて現在検討しております。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 石川さん、いまのお話はこの前承った話で、大体同じことになっていますけれども、私の聞きたいのは、それについてどういう条件がついておるのか。たとえば対価ですね。これはもう産業界が輸入する、導入するということだけでほうっておくのか。どれほどの条件がついて日本に導入するのか。金で計算すればということもあると思いますし、そういうことの交渉というものは、これはメーカーにやらしておいていい問題だろうか、私わからぬのですがね、その辺がちょっと気になるわけです。長官がおいでになっておりますが、その技術に対する秘密の条項ですね。これは依然としてついておるのか、そういう問題等伺っておきたいと思うのです。  それから山縣先生、いま評価をどんどんやっていって、とこうおっしゃいますけれども、現実に東大の問題があるんでしょう、目の前に。それの評価をなさって、そのことと技術導入というものとどう結びついておるかということがはっきりしませんので、きょうお話を承っておって、この宇宙開発につきまして計画はりっぱですけれども、くつの上からかゆいところをかいたような感じがして、根っから私たちもぴんとこないんですよ。一体どうなるかということを心配すれば心配するほど、何が何だわからぬようになってしまうんですね。
  18. 山縣昌夫

    山縣説明員 ただいまの三木先生お話のもう一つ前に、科学衛星ですから、ミュー4S一号の打ち上げ時期の問題、玉木教授からいろいろお話がございました。私自身はこう考えております。  先般の実験結果、これを技術部会のおそらく第一分科会という名前になるんじゃないかと思いますが、そこで十分に関係の方で御審議願う。そこで先ほど申し上げましたように、その対策いかんというようなことをも含めて御議論願う。当然東京大学としては次の段階として打ち上げの時期――ミューにまいりまして、ミューの一号、すなわち科学衛星の一号、この打ち上げ時期が一応われわれの計画といたしましては四十四年度になっております。それは一体四十四年度に打ち上げるべきか、あるいはそれを延期すべきかというようなことも、その技術部会の第一分科会で十分御検討願いたいと思っております。むろん、この冬場に打ち上げる、打ち上げないの決定は、当然委員会がやるわけでございますけれども、少なくとも技術的にはそこで十分詰めて、技術的にはこういうことになるということをそこで十分御討議願って分科会としての結論を出していただきたい、こう考えております。  なお、分科会の構成につきましては、最終的に確定はいたしておりませんけれども、少なくとも委員もそれに一人なり二人なり当然入るべきだと私は考えておりますので、そういう意味においても委員会と直結して技術検討ができる、こう考えております。  それからラムダの問題でございますけれども、いまラムダ4S四号でございますか、いろいろ問題になっておりまして、それが計画とどういうふうに関連するかということでございますが、Qとの関係を申し上げますと、Qは御承知のように第一段、第二段は東京大学でおやりになりましたラムダミュー、そういったいわゆる固体燃料についてのロケットでございます。したがいまして、東京大学の御研究、さらにその成果、これを十分取り入れる、その場合に先ほど玉木教授からもお話がございましたけれども、先般のラムダ4Tですか、それとラムダ4S四号、これのうまくいかなかったということは、先ほど来たびたびお話がございましたように、第三段と第四段がぶつかったということのようでございますが、固体ロケットによる第一段、第二段はうまく上がっておるわけでございます。したがいまして私どもは、ただいまさしあたりの問題といたしまして、東大実験結果によってQの計画を変えなきゃならぬ影響が出てくるとは、少なくとも現在においては考えておりません。先ほど玉木教授のお話に対しまして、三木先生から非常に楽観的というお話がございましたけれども、そういう意味において私は楽観しておるわけでございます。軌道に乗せる乗せないということではなしに、固体燃料を使うロケットによってあれだけの推力、あれだけの高度に行ったということは、これは当然高く評価し、したがって、それを踏まえてのQの一段、二段でございますから、さしあたりQというものについて今後何が起こるかしれませんけれども現状においては私はQのほうに影響はない、こう考えております。  それからついででございますが、御承知のように、液体燃料につきましては推進本部、引き続きまして事業団のほうで開発しております。これは東京大学には直接の関係はない、こう考えております。
  19. 石川晃夫

    石川説明員 ただいま先生から御質問ございました秘密条項はないかという件でございますが、これは七月三十一日にこの交換公文が結ばれましたときに、内容は全部御発表いたしましたし、またこれにつきまして秘密条項はございません。内容はそのとおりでございます。  それからそのあとの企業の問題でございますが、これはわが国の宇宙開発に必要なものについての技術導入ということでございますので、当然企業間で結ばれる契約につきましても、この宇宙開発に直接関連したものでございます。したがいまして、その金額につきましては、われわれのほうはそこまではタッチできないわけでございますが、何でもこれを機会に技術導入宇宙開発に直接関係しないものも入れることはないと思いますし、またしたがいまして、この企業間で結ばれます金額も、そう予想外の金額になるということも考えられず、適切な金額のものが結ばれると思っております。ただそれにつきましても、私たちは、どの程度の金額が必要かという点につきましては、ちょっといまの時点では、その内容をよく見ないとわかりかねるわけでございます。ただし、先ほどの秘密の問題でございますが、企業間におきましてノーハウの問題につきましては、やはり企業間で秘密が守られるということはあると存じます。
  20. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 ちょっと関連して石川局長にお尋ねしますが、アメリカからの技術導入に対して従来の経緯を考えてみますと、ジョンソンメモというのがあるわけですね。ジョンソンメモには非常な条件がついておる。それは結局来年の一月一日から恒久化されるインテルサット関係する条件がついている。今春、インテルサット協定に対する国際間の相談では取りきめまで及ばなかった。あのときは十一月に今度はもう一ぺん相談をするということになった。このインテルサットに関するアメリカのジョンソンメモの条件というのは、正確に私いま記憶いたしておりませんが、結局日本地域衛星を認めるか認めないかというような大きな問題がひっかかっておるわけですね。ですから、インテルサット協定に支障を来たさない範囲内においては、アメリカ日本に対する技術導入に応ずるということであった。そういう問題はもうどういうふうに解決してその交換公文が取り行なわれたのか。だから、ジョンソンメモを全部日本がのんで、そうして技術導入を受けるということになったのか、あくまでもインテルサット協定においては、地域衛星の権利を確保する、その確保ができなければ技術導入を受けないという従来の懸案がもう解決された上での交換公文か、それをちょっと簡単でいいですから、説明してもらいたいのです。
  21. 石川晃夫

    石川説明員 お答えいたします。  この交換公文におきまして、このインテルサット関係ある条項といたしましては、このように書いてございます。「アメリカ合衆国の協力を得て開発され又は打ち上げられた通信衛星は、現行のインテルサット取極(同取極から発展するものを含む。)の目的と両立するように使用すること。」という表現になっております。インテルサット会議は、御承知のようにことしでき上がる予定になっておりましたが、とうとう恒久協定はできませんでして、五月と九月とさらに十一月と、この三回準備会議を開いているわけでございます。さらに来年の三月ごろにまた会議が開かれるわけでございますが、現在はその起草の段階でございます。したがいまして、これができましたときには――そのインテルサットに対するわが国の最終的な態度というものをまだきめかねる状態でこの協定が結ばれたわけでございますが、このインテルサット協定は、来年の春の会議で最終的にきまるものと存じております。ただ、わが国といたしまして、このインテルサット会議に臨む態度といたしましては、従来からの基本的な対処方針は踏襲しておりまして、そしてインテルサットの恒久制度が国際協調の促進に役立つ制度として樹立されることは望んでおりますが、しかし、わが国の国益の保護、増進という面についても強く主張しておりまして、現在、聞くところによりますと、この面については相当強く主張もしておりますし、また各国から支持を受けているというふうに聞いております。
  22. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 ただいまの御説明によりますと、技術導入に関するアメリカ側の要求というものを日本は全面的にのんだということにはなっていない。ですから、技術導入を受ける根底というものは、まだ非常に不確実だという点が残っておるわけですね。それは地域衛星の権利を放棄するか、あるいはこれを国内衛星だけにとどめるかということは、これは従来の主張からいくと非常に大きな問題として残っておるわけです。その後、地域衛星の権利というものは、考えようによってはこれは不必要であるから放棄する、単に将来の通信システムというものを考えて、日本がいま宇宙開発としての大きな目標となっておる通信衛星は、これは国内向けの衛星にとどめる、こういうことなら、それは大手をふってジョンソンメモにいうアメリカからの技術導入は受けられるわけですね。しかし、それが非常にまだ論議の対象となって、不的確であるとすれば、アメリカからの技術導入は受けられるのだということはまだはっきりしてない、これは未確定だ、来年の春の最終国際的協議によってきまるのであって、それまでは技術導入というのは受ける気持ちでもって、インテルサット協定に支障を来たさざる範囲内においてはやれるけれども、もしインテルサットに対する日本の主張というものが、アメリカ側と同調し得なかった場合においては、技術導入は受け入れないということに解釈してよろしいのですか、いまのお話は。どうなんですか。
  23. 石川晃夫

    石川説明員 ただいまの技術導入の問題でございますが、これは通信衛星についての技術導入でございまして、ロケット関係技術導入はこれは別でございます。ロケットに関する技術導入は、今回のこの交換公文によって可能でございます。ただ、その技術導入によってつくられた通信衛星というものでございまして、その中に地域衛星が入る可能性があるということでございますが、これは現在わが国ではインテルサットを認めて、その中で地域衛星が可能になるようにという方向で会議に臨んでおりまして、その主張はぜひ通そうということで、各省それぞれの点については努力している最中でございます。
  24. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょうど松浦さんもおいでになっておりますが、でき得べくんばこうした会議をやるときに、科学技術庁としてこういう実験をやったがこういう結果だったというぐらいのことは、きょうの会議で発言をしていただきたかったし、またそういう簡単なメモを出していただければいいと思うのです。何も私たちは検閲するとか、あるいはこれを監視するとかいうような考え方は持っていないわけでありまして、せっかくああして私たち実験を見せていただきました。うまくいったのかと思っておったわけでありますが、それがどんな結果だったかということを知らないということはまことにさびしいことであります。これは要望だけにしておきます。  それから、いま関連質問がありましたように、このこととインテルサットの条約と非常に私は関係があると思うのです。それからなお、企業がそれに対するところの対価を払うということも、これは国としては考えていかなければならぬ問題じゃないかと思うのです。企業間にまかせておいていいという問題じゃないと私は思います。こういう点もこの次のときに明らかにしていただいて、その導入した技術東大宇宙開発、特にこの実験ラムダ4Sあるいはミュー、こういうものとの関連をどうするのかということをおそらく技術部会で御検討になるだろうと思いますが、その点も明らかにしていただきたいと思います。  こういう要望をしまして、質問を終わりたいと思います。
  25. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、東海地区原子力施設地帯安全確保に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
  26. 石川次夫

    石川委員 きょうは宇宙開発に関連する質問であるべきところを、割り込んだようなかっこうになりましてたいへん恐縮でありまするが、いわば緊急質問のような形になりますので、ひとつお許しを願いたいと思います。  宇宙開発につきましても、私個人としてもたいへん意見を持っておりますが、同僚議員からの御質問もありましたし、党といたしましても、三木委員その他をはじめとして、これに対する正式な態度を決定をいたしまして、科学技術庁長官、あるいはまた事業団、あるいは開発委員会その他と折衝をしたいと思っております。いさいはそのときに譲りたいと思います。  きょう御質問したいと思いますのは、射爆場返還の問題が地元でもってたいへん大きく取り上げられておりまするし、これはただ単に茨城県だけの問題ではないという性格のものであろうと思うのでありますが、いきさつにつきましては多くを申し上げません。もうすでに皆さん方御承知のことでありますから、繰り返しませんけれども、何しろ事故が非常に多い。誤射誤爆が多くて、死者も含めて相当の件数にのぼっておる。しかも、原子力施設のわきにこのような危険な射爆場があるということは、どう考えても理不尽である。それからあの地域の問題といたしましては、地元のちょうど東海村と勝田市と那珂湊市との接点にこれはございまして、この発展が非常に阻害をされておる重要な地点になっておるというような問題もございます。地元といたしましてはたいへんな労力を費やし、たいへんな時間を費やしまして、何回も何回も、終戦後このことについては陳情に及んでおりますことは、いまさら御説明するまでもないと思うのであります。日米間の問題としてもきわめて重要な問題になろうとしておるわけです。  そこで、きょうは鶴崎さんがおいでになっておりますので――実はこの問題は、閣議決定か閣議了解かという重要な問題をはらんでおりますので、防衛庁長官にぜひ出てもらいたい、こういう希望を強く申し上げておったわけですけれども、どうしても都合がつかないということで、防衛庁長官とも密接な連絡をとって、防衛庁長官の意見として施設部長がお話をなさるということでありますので、私も了解をしたわけです。  そこで申し上げたいのでありますけれども、従来松野・プレストン共同発表というものがございまして、四十一年のころからたいへん積極的に射爆場の返還については移転を進めるというようなことが一応閣議了解事項になっておったわけです。したがって、われわれとしては閣議了解事項というものを信頼しておったわけですけれども、いまだに結論が出ないだけではなくて、その具体的な対策として出た新島の問題も、いろいろな技術的な問題でもってデッドロックに乗り上げて、ほとんどそれは不可能視されておるという状態になったために、この閣議了解とか、そういったものだけではどうしても安心ができないというのが地元の偽らざる感情であります。  そこで、最近に至りまして、またさらに「水戸対地射爆整腸の移転の方針を再確認し、三年ないし四年のうちにこれを実現する。」注といたしまして「移転先は、新島に固執しない。」というのが四十四年九月九日に――水戸対地射爆撃場の移転についてということで文書が提出をされておるわけです。  さらにつけ加えまして、茨城県知事の要望に対しまして、内閣官房副長官――これは木村さんでありますけれども、の名前で、さらに回答という形でもって、いま申し上げたようなこういう方針については「九月九日の閣議において防衛庁長官から発言があり、これを政府の方針として異議なく了承し決定されたもので、当然将来にわたり政府の方針として堅持されるものであります。」こういう回答が来ましたために、県当局としては、これは閣議決定である、こういうふうに了解をいたしておるわけです。  私はこの点につきまして木村官房副長官ともお会いしたことがございます。そのときの言い方といたしましては、これは閣議で了解をした事項ではあるけれども、決定と言ってもらっても差しつかえございません、こういう言い方であります。したがって、われわれとしては了解か決定かということは、実際はことばの上のことであって、決定であろうとも実現されない場合もあるでしょうし、了解事項であろうとも実現する場合もあるでしょう。あまりこれにこだわることはないと思いますけれども、素朴な県民感情としては、了解か決定か、了解はとてもだめだ、決定には少なくとも持っていってもらいたい、こういう強い希望があるわけです。それで私といたしましても、この回答を見れば決定ともとれるし、まあ了解ともとれるというようなあいまいな文句ではなかろうか、こう感ぜざるを得ない。木村官房副長官の意見といたしましても、決定と言ってもらってけっこうでございます、こう言うけれども、決定だとは決して言わない、というところにどうも若干あいまいな点が残っておるのじゃないか。まあこういう正式な回答もあることですから、決定と考えてもよろしいというふうに受け取れば受け取れないこともないかもしれないが、どうもあとひとつすっきりしない面があるという点で、この見解をひとつお述べいただきたいと思います。
  27. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 ただいま先生から、去る九月九日に行なわれました閣議において、水戸射爆場の移転について決定がされたわけですが、それは一体閣議決定であるのか了解であるのか、こういうことでございます。先生からの御注文もございまして、本日は大臣の御意向を体してかわって答弁をするということになっておりますので、きょう午前中大臣のところにお伺いをしまして、ただいまの御質問の件についてもよく大臣のお考えをお伺いしたわけでございますが、大臣は、この閣議において定められたことはいわゆる閣議決定であるというふうに明確におっしゃっておられましたし、われわれもそのように承知をしておるということでございます。
  28. 石川次夫

    石川委員 そこで、具体的な問題になりますけれども、新島にはこだわらないということになったわけでありますけれども、移転ということになれば、これは移転先でもってなかなか納得をしない問題がたくさん出てくるのではないか、したがって、移転ということにこだわる以上は、どうしてもまた行く先の反対運動、あるいはいろいろな条件の食い違いというようなことでなかなか実現をしないだろう、こういう感は依然として残ると思うのです。したがって、あくまでも移転ということにこだわるのか、それとも、有力新聞の社説にもありましたけれども、返還であるべきではないか、移転ということはなかなか困難であるし、また日本アメリカとの間のほんとうに広い意味での友好関係というものを考える上では、移転ということに必ずしもこだわる必要はない。やはり返還という線で交渉すべきではないかという、大きな商業新聞の社説にもあったように、われわれとしてはこれは移転ということにだけこだわるということではまだ不安が残る、したがってこれは返還というかっこうでやるべきではないかという気持ちは、率直に言って持っております。これは日米友好の上からいっても当然そういう必要性があるのではないか。  それであと一つ、私はちょっと、あるいはという感じでお伺いをしたいのでありますけれども、将来、移転でなくても、戦略戦術といいますか、そういうものの変化に伴って、射爆撃場というものが必要でなくなるという可能性見通した上で、米軍司令長官などとも交渉を進めた結果了解が得られたものだ、こういうふうにも考えられないことはないのではないかという感じがするわけなのです。その点はどうでありましょう。
  29. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 ただいま先生のおっしゃる御趣旨、われわれとしてもよくわかるわけでございますが、過般の閣議において決定された内容は、あくまでも水戸射爆場の移転を三年ないし四年のうちに実現をはかろうという趣旨でございまして、全面返還ということについては決定をされておりません。ただいまお話がございました、将来の日本の防衛の問題がいろいろ姿が変わってきた場合には、移転でなくて返還ということもあり得るのではないかということを前提として、防衛庁長官が在日米軍司令官のマギー中将と話したのではないかという点につきましては、そういう線で話し合いをされたというふうには私ども聞いておりません。
  30. 石川次夫

    石川委員 私は、まだ閣議決定という正式の文書ではないというふうに理解をするのでありますけれども、いま閣議決定ということだということを、一応百歩譲って認めたにいたしましても、移転ということが前提である以上は、やはり移転先の反対、条件というようなことで結局は実現しないのではないかという懸念が、新島の例をまつまでもなく、こういう射爆撃場を喜んで受ける地元は日本国じゅうどこにもないと思うのです。しかも一定の二百キロとか百キロとかいう制限距離をつけておりますから、そこで横田の基地を中心として半径を描いた範囲内でそういうものを求められるとは、現実の問題として考えられないのであります。したがって私は、いわゆるいろいろな情勢の変化というもので必要としなくなるということの見通しがなければ、これは三、四年の先には移転をするんだ、とにかく水戸対地射爆撃場というものはなくなるのだということについてはどうしても確信が持てない、これは率直な県民の声だと思うのです。それはいまここで質疑応答いたしましても結論が出ないと思います。出ないと思いますけれども、これは率直な声だということをひとつ十分御理解を願いたいと思うのです。  そこで、科学技術庁長官のほうに質問をしたいのでありますけれども、この閣議了解か、決定かということについての若干の疑念は残る。しかし、それは残らないとしても、移転ができるかどうかということが、いま言ったように非常に県民としては不安な気持ちで迎えておるというときに、あと一つたがをはめたらどうかという考え方があるわけです。これは知事のほうからおそらく科学技術庁長官のほうにお話があると思うのですが、知事の強い要望としては、射爆場がここにある、そこで再処理の問題が大きくクローズアップされております。再処理の問題は、われわれの党といたしましては反対ということで決定をいたしております。射爆場とはからませないという形になっているわけですが、ただその素朴な県民の気持ちを代弁する形であえて申し上げるとするならば、少なくとも対地射爆撃場というものがあり、そして再処理工場というものが完成をした、完成をしたときに、これを併置をさせて稼働を始めるということについては、どう考えても地元感情としては了承しないと思うのです。県会の決議といたしましては、多数決という形でいろいろな条件をつけてありますけれども、賛成の決議をいたしております。いたしておりますけれども、現地の実情というものは、そういうものには全然動いておりません。あれは県会だけの決議であって、地元としては、各、東海にしても、勝田にいたしましても、那珂湊市議会にいたしましても、全部が反対の決議をしているわけです。現地の感情としては、もう県会の決議ぐらいでは動かされない、非常な不安な気持ちがある。最低の条件として、いま申し上げたように、知事の要望するような、この射爆場がまだ撤去をしてない段階で再処理というものは稼働させないのだ、あるいは再処理というものが〇・七トンという能力になっているわけでありますけれども、これをこれ以上は拡大をさせないのだ、こういうはっきりした確約があれば、住民としてもある程度納得する線が出てくる。しかし、それでもなおかつわが党としては、過密という問題、あるいはまた安全性の問題、特にこの前の安全審査部会での報告書を私も拝見をいたしましたけれども、再処理プロパーの安全性なのであって、総合的にどうなる、東海地区というところにおいて、現地の実態を調査をした上で海洋に放出されるところの放棄物の放射能は一体どうなるのだという問題、ほかのものと全部総合された場合の放射能の累積というものは、一体どうなるのだというような問題、それからいろいろな問題があるわけです。いろいろな問題があるのですけれども、最低限ここでもって住民に納得をさせる条件としては、射爆場と再処理というものを併置しないという確約書を知事が非常に要望しておるようでありますけれども、これを科学技術庁長官のほうから知事のほうにかわす、そういう確約をするということにならなければ、私は、もうこの段階ですでに再処理の問題というものはデッドロックに乗り上げて、収拾ができないだろう、こう思っておるのであります。この点長官、どうお考えになりますか。
  31. 木内四郎

    ○木内国務大臣 再処理工場の建設の問題について、地元の石川委員からもたいへん御心配のようで、その点感謝しております。それもなるべくうまく進行するようにというお考えで御協力を賜わっておるものというように了解しておるのですが、私どもは射爆場の問題と再処理工場の問題、実はいまお話がありまして別個に考えております。再処理工場のほうにつきましては、いまもお話がありましたが、安全審査の委員会によりまして詳細に検討してもらいまして、その中に書いてあることばはちょっと変わっているかもしれませんが、これは射爆場と一緒にあっても危険はない、こういう結論を出しておられるようでありまするから、私どもは別個のものと考えておるのですけれども、しかし、いまお話しのように、住民感情、これは無視するわけにいきません。地元の方も射爆場と一緒にあっちゃ困る、こう言っておられるし、県会のほうにおいても、当初射爆場と併存は困る、こういう決議をしておられる。それが今日はだいぶ変わってきておりますけれども、射爆場移転という閣議決定をいたしましたあとにおいては、だいぶ変わってきておるようであります。そういうことも無視できませんので、県知事等が地元の人々の感情をやわらげるに必要なことがあれば、できるだけの協力はいたしたいと思っておりますけれども、いま申しましたように、さっきからお話があるように、射爆場はもう三年ないし四年の間にこれは移る。これは確かに防衛庁長官は自信を持ってこれは移す、こう言っていますから、私はそれを信頼しているのです。そうしますと、私どものほうは直ちに再処理工場に着手しましても、それが完成して動き出すまでには、いまのように、三年ないし四年で移るということになりますと、併存するということはまああり得ない、かように考えていますので、私は御心配はむしろなくてもいいのじゃないか、かように考えております。
  32. 石川次夫

    石川委員 たいへん問題の発言が多いようでありますけれども、私は再処理の問題でここで発言したことはないのです。発言したことがないというのは、射爆場の撤去ということが確認されない限りは、もう再処理の問題に触れるという必要性がない。射爆場がはっきり撤去されるという段階で、初めて再処理問題というものを検討の対象にすべきではないかという点で、私は再処理をつくるということの積極的意思表示をしたことは全然ないです。論外であるという見解でありますから、その点、私はつくるためのいろいろな配慮をしているというふうに考えられては誤解であるということを申し上げておきたいと思います。  それで、私は端的に御意見を伺いたいと思ったのは、なるほど閣議決定であるからだいじょうぶだ、最後になったら撤去される、だから併存はさせないのだという、ことばの上だけではそう言っても、先ほど申し上げたように、移転ということが前提であるということであれば、実現の可能性は薄いのではないかという心配を持っておるわけです。率直に言って地元感情としては持っておる。でありますから、その不安を取り除くという意味でも、併存をさせない、それから能力も上げないということを確約をする、確約書をかわすということが最低限――もしほんとうに自信があるなら確約書をかわすことは易々たるものだと思うのですよ。知事の非常に強い要望でもありますから、知事のその要望にこたえて、併存はさせないということを、確約書をかわすのが当然ではないか。最低限そのくらいのことをやらなければ、それから先、話は全然進みませんということを申し上げたいのです。その点どうなんですか、端的にお答えを願いたい。
  33. 木内四郎

    ○木内国務大臣 ですから重ねて申し上げますけれども、防衛庁長官の発案によって三年ないし四年の間にはこれは移すという閣議の決定までして、防衛庁長官は、自信を持って御心配は要らぬと、こう言っておるのですから、私は防衛庁長官の言うことを信用いたしております。  そこで、私どものほうは、いま着手しまして建設をすぐに急いでも、やはり三年半、あるいは四年くらいかかる、そういうことでありますので、御心配のように併存することはあり得ない、私はかように考えておりますので、御心配は御無用だ、かように思っております。
  34. 石川次夫

    石川委員 私は話をすぐに切り上げようと思ったのですけれども、どうもそれじゃいつまでたっても並行線ですよ。併存しないなら併存しないということを確約をしたらどうですか。それがなければ、あり得ないといっても、あり得ないということには限らない。移転先をこれから探すのだということであれば、新島と同じようにこれは難航する、とんざしてしまうという可能性が十分あるのですから、そういう不安感が残っているのですから、併置はしないのだということを確信を持っておっしゃるならそれを確約すべきではないかと私は思う。自信があるのだったら確約することは、常識的に考えて当然何でもないことでしょう。それができない、ことばだけでいいじゃないかというのでは、この話は進捗しませんよ。率直に申し上げます。
  35. 木内四郎

    ○木内国務大臣 私は、別にあなたの言っておられることを正面から否定するわけじゃありませんが、政府内でやる場合に、一々確約をしなければいかぬということは情けないことだと思うのです。お互いに信頼し合って、それによってものごとを処理していくということでなければ、何もかも疑って、確約を一札よこせというようなことをあっちもこっちもやるようじゃ政治はうまくいかないものだと私は思うのです。  私は、さっきも申し上げましたように、やはり住民感情についても十分考慮しなければならぬから、知事がそれを緩和するために必要なことはいろいろ考えてくれているだろうと思うのですが、それにできるだけの協力をすることはやぶさかでないということを申し上げておるわけです。
  36. 石川次夫

    石川委員 これはだめですね、それでは。お話になりません。これはたとえば松野・プレストン共同発表が出たときには、もう二、三年のうちには必ず移転するということだったのですよ。それで出てきたのが新島。それがあのような状態でもってとんざをする。今度閣議決定といったって、移転先がきまらないのですから、実現しっこないというのが率直な判断ですよ。前の共同発表なんかは実に重みをつけて、鬼の首でも取ったように地元では喜んだ。ところが実現しないじゃないですか。閣議決定を信用しないとは情けないというけれども、了解も決定も同じだといって、閣議了解が公式に松野・プレストン共同発表というものを確認をした。実現していないじゃないですか。政府が言うから間違いないんだということが、過去の経緯に照らして間違いなくはないのだということが、国民の素朴な感情としては信用ができるかなという気持ちが残っていることは、これは否定できないと思うのです。だから、これは併置しないという確約ができないということであるならば、この再処理工場は少なくとも――その先にまた問題がたくさんあるのですけれども、それすらもできないというのであれば、再処理はあそこにつくることは不可能であります。はっきり断言を申し上げます。
  37. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いろいろ御意見のようですけれども、私は信頼してもらいたいのですけれども、先ほどから申し上げておるように、私どもはもう科学的にこれは安全性は十分だと考えておるし、閣議の決定もしたんだからそれで十分だと思っていますが、住民感情の点についても考慮しないわけにいきませんので、そこでさっきからたびたび申し上げておるように、知事がこの住民感情を緩和するに必要なものであるといっていろいろ申し出てきている点もありますししますので、そういう点については知事とも十分に打ち合わせてそして積極的にこの問題を処理してまいりたい、かように思っております。
  38. 石田幸四郎

    ○石田委員長 関連して齋藤君。
  39. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 防衛庁にちょっとお伺いしますが、この東海村の射爆場移転の問題は、東海村に原子力研究所を置く当初からの問題であったわけですね。原子力研究所を東海村に設置するについて、射爆場を将来もここへ置いておいたんじゃいかぬじゃないかという要望がございまして、その当時から、できるだけ早く射爆場の移転をするということであったわけです。その当時、私も政務次官といたしまして最初この射爆場の移転問題について奔走した経験がございます。爾来十数年間、常に米軍とこの射爆場移転問題は政府も熱心に折衝を行なってきたわけです。まだこの実現の見通しがないので、いま問題となっておりまする再処理工場の問題が非常に難航しておる。これは、原子力平和利用のたてまえからいきますと、もう着工後本年は二年目ぐらいになっていなければ、日本の原子力平和利用と並行しての再処理能力というものは日本で持ち得ないのです。この点われわれは、原子力平和利用を世界の足並みにおくれないようにしようと思って考えておるたてまえから、非常に憂慮すべき問題であると常に心配をいたしておるわけです。そこへ向かって、有田防衛庁長官は、三年ないし四年の期限をもってこれを必ず移転するという閣議決定をとられたわけですね。その閣議決定をとられて、三年ないし四年間に移転を実現するという自信を持たれたその根本は一体何であるか、米軍との折衝において、米軍も、適当な場所があるならば、あるいはその適当という条件を示して、この範囲内において射爆場に適当なものがあれば文句なしに移転するというような折衝があったのかどうか、その三年か四年の期間に必ず射爆場を移転するという閣議決定を得たその自信というものは、一体どこから出てきておるのか、そういうことをお示し願わないと、石川委員と木内長官との質疑応答は平行線をたどってしまうのじゃないか。これは防衛庁長官が御出席になって答弁をされるのが一番いいと思うのですが、もしきょうあなたができなければ、これは委員長にお願いして、その点防衛庁長官の出席を得てはっきりしたことを言っていただかないと、われわれも非常に心配なんです。いままでだって、これはもう十何年間やっておるのですが、それでも移転ができないのですから、だから地元としては、閣議決定を見たと言ってもなおこれに不安を覚えるというのは私は当然じゃないかと思うのですね。だから、その点に対しましては、防衛庁長官として、こういう立場において三年ないし四年で必ずこれは実現できるのだという意思をお示し願わないと、これは私は問題は進まないと思う。あなたは防衛庁長官でないからそれはできないのじゃないかと思いますが、その点は一体どうなんですか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  40. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 この水戸射爆場を三年ないし四年のうちに移転をするという閣議決定をしましたについては、まずその前段としまして、新島についていろいろ努力をしてきた、しかしながら、航空路の調整その他の問題があって、これは客観的に見て非常に困難であるというようなことから、将来米側とは、新島に移転するという線でいろいろ協議をしておったわけですが、これがいま申し上げたようなことで非常にむずかしいということですので、その実情を米側に説明をしまして、例の日米安保協議委員会におきましても、特にこの水戸射爆場の移転問題を米側に説明をし、こういう事態になっておるので新島に固執せず、他の移転先についてもひとつ検討したい、ついては米側も日本政府の置かれた状況を認識していただいて、格別のひとつ協力をお願いしたいということを要請をしたわけでございます。これに対しまして、米側としては日本側の実情はよくわかった、われわれのほうもひとつ積極的に努力をしましょうということで、もちろんこれは基本的な方針の合意でございまして、こまかい具体的なものを掲げて折衝したというわけではございませんが、ともかく米側はそういうことで日本側に十分協力するというようなことで、大臣としては米側の積極的な協力があればこの問題は解決できるという自信を深めたものというふうに私ども拝察をしておるわけでございます。
  41. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 その新島の問題ですね。これは東京都知事が反対であるとか反対でないとかいう問題は別として、あれは今日もうすでに既存の航空、通信、そういう問題からいっても新島に射爆場を持っていくのは、これは不適当だという論も御承知のとおりたくさんあったわけですね。ですから私は、米軍との折衝において、その射爆場の土地が、向こうがどこでもよろしいと言うならこれはまた考えようがある。がしかし、米軍の射爆場に対する希望というものが、水戸の射爆場が持っておる地理的な、距離とかいろいろな条件ですね、そういうものに制約があるというようなことでありますと、新島において問題となったような航空網あるいは通信網、そういうものに支障のないところというものは、一体日本の上空にあるかどうかということも考えてみなければいかぬですね。でありますから、そういう点をやはり具体的に説明をしていただいて、十分日本には射爆場を移転すべき土地というものはたくさんあるのだ、そういう候補地をたくさん見つけておるから、これを一々米軍と折衝して、米軍も積極的にこれに協力をして、そして可能な範囲内において必ず移転できるのだというような、もう少し突っ込んだ御説明でもしていただくとこれは納得できるのじゃないか、こう思うのです。ただ閣議決定を得たのだから、閣議決定を得たのだからとおっしゃっても、閣議決定は得たけれども、あなた、移転する他の土地がなかったら、それはできないことはきまっておるのですから、そういう点をもう少し親切に説明をされて自信のほどを示されれば、あるいは地元を納得せしめることもできるのじゃないか、こう思うのであります。そして必ずできるということであったならば、いま石川委員の言われるようにもっと積極的な態度をお示しになるほうがいいのじゃないか。  われわれといたしましては、何を私関連質問で申し上げておるかというと、この射爆場の移転問題のために、日本の原子力平和利用のために最も必要な再処理工場が着工できないでおるということなんです。これは原子力時代に対しての認識を持っている者は、こういう支障というものは大きな障害となると思うのであります。だから、もし日米親善というものを考えるならば、やはり米軍側においても、日本の原子力平和利用の支障になっておるような問題というものには、積極的に、可能な範囲内において同意をしていくということが日米親善の根本だ、私はこう思っておるのです。だから、そういう点において有田防衛庁長官がもっとき然たる確信のもとにやり得るという条件を示されたら私はいいのじゃないか、そう思うのですが、ひとつ長官にそういうことを言うて、ここの委員会に来て堂々と自信を示してもらうように御伝言願いたい。どうですか、そういう何ら支障のないたくさんの候補地というものは一体あるのですか。
  42. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 先ほども申し上げましたように、新島以外の移転先について現在鋭意検討しております。これにつきましては、もちろん米側に対しても積極的な協力をお願いしておるわけですが、その一つの問題点としては、従来米側が日本側に提示しておった距離の問題とか、いろいろ条件がございますが、そういった米側の提示しておる条件を緩和してもらうということについて折衝をしております。従来の条件のうち、一部についてはすでに米側からある程度緩和した条件を提示されておるわけでございますが、こういった条件の緩和並びに新島以外のいろいろなところ検討することによって、何とかこの三年ないし四年内に実現をしたいということで、これはもう現実に私ども具体的なところ検討しております。米側も担当官をわがほうに通知してきまして、この連中がこの問題については協力しますということを、名前をあげて言ってきております。そういうことでわがほうもメンバーを出しまして、お互いにこの問題についての協力体制を固めて問題を打開しよう、これは具体的な事実でございます。こういうことでやっておりますので、私どもとしては、閣議できめられた三年ないし四年内にはこの問題の解決ができるもの、このように考えておるわけでございます。
  43. 石田幸四郎

    ○石田委員長 引き続き、宇宙開発及び医療保健科学技術に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。近江巳記夫君。
  44. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどから三木委員のほうからいろいろな質疑があったわけでございますが、この東大失敗につきましては膨大な国費を投入しておりますし、われわれとしても成功を願っておったわけであります。成功は明といい、失敗は暗といいましょうか、こうした失敗の中で、質問をするということについては、皆さんのそうしたお気持ちもよくわかるわけでありますが、私たちも国民の代表としてやはり国費が投入されておるわけでありますし、その点をお聞きしたいと思います。  先ほどからのやりとりの中でもありましたが、失敗はしたけれどもデータは得られた、こういうように言っておられますが、こういうデータはいままで、過去公開されたことがありますか。技術部会で今後資料を出されるというようなことも推測ができるわけでありますが、実際いままでそういう公開ということについては全くの秘密主義できた。ですから、どのようにデータを今後公開されていくか、この点、私たちも全くベールに包まれているわけです。まず、この点について山縣さんからお聞きしたいと思います。
  45. 山縣昌夫

    山縣説明員 先ほど三木先生からお話がございましたラムダ一号、二号、ラムダ4S一号、二号、三号につきましては、この科技特の席上だったと思いますが、実験の結果の報告をしろというお話がございまして、東京大学からお配りしたと思います。私もいただいております。その後につきましては私そういうものをいただいた覚えはございません。ただし、先ほど申し上げましたように委員会といたしましては御報告を承り、御質問も申し上げ、御意見も申し上げた、こういうことでございます。  それから今後のことにつきましては、先ほど申し上げましたように技術部会というものをつくりました以上、当然技術部会としての報告はあり得ると思います。これが一般に公開されるかどうか、この点につきましてはまだきめておりませんけれども、おそらく部会そのものが非公開のものではございませんから、みずから進んで公開するかどうか存じませんけれども、御要求がございますれば当然公開する、あるいは何らかの方法委員会が報告するということも考えられます。いずれにいたしましても、今後技術部会の第一分科会でいろいろ実験の結果の御検討があるはずでございますがそれを秘密にするということは考えておりません。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、これからこの部会のそういう編成ということをお考えになるわけでありますが、当然人選ということになってくるわけです。ところが現実に宇宙開発の、特に東大が中心になってやっているこの開発事業団、当然でありますが科学技術庁のメンバーの方々、やはり非常にそういう技術者、エンジニアというものは限られてくると思うのですよ。そうした場合、これだけ過去に失敗を繰り返してきた。そうしますと、今度技術部会のメンバーが一体だれになるのか、その辺の関連性をお考えになっていただきますと、私たちちょっと首をかしげざるを得ないわけです。その辺どういうようにお考えになっておりますか。
  47. 山縣昌夫

    山縣説明員 近江先生のお話のとおりでございまして、人工衛星とかロケット専門家というものは、非常に日本では限定されている。今後はふえてまいると思いますけれども、過去においては、あるいは現在においては、非常に限定されます。したがいまして、私ども委員会で決定いたしました技術部会はともかくといたしまして、その第一分科会という名前になると思いますが、事業団及び東大実験の結果、あるいは場合によって成果かもしれませんが、それを討論する、検討する、あるいはそれによってある結論を出すという場合に、確かにお話のとおり人選難でございます。現在ある程度下話をすでに事務的に始めておりますが、大体私ども考えは、やはり何と申しましても東大、それから事業団、ここに専門家がまとまっておられるわけです。それからその他学識経験者と申しますか、東大あるいは事業団に属しないで衛星なりロケットなりに技術的な知識をお持ちになっておる方、それからお役所関係といたしましては、たとえば電離層衛星ということになれば、あるいは追跡の関係になりますというと郵政省、そういったお役所の関係の方に限定されるんじゃないかと思います。この第一分科会におきましてはいろいろ民間にと申しますか、業界にエキスパートがおらないとは決して申しませんけれども検討いたします事項が事項だけに、私自身といたしましては、業界の方に第一分科会に加わっていただくということはいま考えておりません。結論といたしまして、近江先生、お話しのとおりに、現在人選では非常に私どもも困っておるという状況でございます。  それからもう一つ、先ほど申し上げたことを重ねて申し上げますが、要は、事故の原因なり対策なりを検討する。国民の税金によってやるガバメンタルサイエンスとしてやっておりますから、当然そういう必要がございます。と同時に、先ほど申し上げましたように、その場におきまして、先ほどお話がございました、単なる善き物の報告ではなしに、実際とった記録、それまで事業団なり、東大なりから出していただいて、そこで十分そういった方々の御検討を願い、ある意味においてはそれによって日本ロケットなり、あるいは衛星技術の向上に資したい。ですから、東大のいろいろなことを御検討になり、その知識はすぐ事業団へ伝わる、それが単なる紙に書いた報告ではなしに、ほんとうになまのデータから議論していただきたい、こういう趣旨でございます。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 ここに大きな問題点が浮き彫りになったわけでありますが、この正当な評価をするためには、第三者を入れなければならない。当然こういうメーカーからは絶対に入れるべきではない、私どもそういう考えを持っております。そうしますと、実際に人材難である。これはちょっと変な言い方かもしれませんが、しかし、それだけにエキスパートが非常に不足しておる、こうなってくれば、やはりその評価という点からするならば、この際、たとえばアメリカのNASA等から専門家を招いて、そしてそういう意見を聞くとか、そういう何らかの思い切った手を打たなければならないのじゃないか、私はこのように思うのです。この辺、山縣さんと科学技術庁長官、どうお考えですか。
  49. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いまの御意見、まことにごもっともの点もあるのですけれども、まあ人が不足だといいながら、やはりわが国にも相当な科学者の方々がおいでになる、そういう方々にお集まりを願って、そして検討していただきたい。いま直ちにアメリカのNASAの人々をこちらへ招致してやるということは、いまの段階ではまだ考えておりません。
  50. 山縣昌夫

    山縣説明員 長官のお話のとおりでございますが、そういう事態が起こりまして、われわれ、と申しますか、現在の分科会で手に負えないようなことがございますれば、これは当然何か手を打たなければならぬと思います。あるいは人を呼ぶなり、あるいは向こうに駐在している人を通じて相談をしてみるなり必要だと思いますが、さしあたりスタートをする場合に、そういう外国の方を招けの失敗をしてきている。結局、チェック・アンド・レビューといいますか、その辺のところ一つ一つ明確にほんとうにくさびを打っておかなかった。何か失敗は全部過去の連続のような気がするわけです。ですから、その辺のところがネックになっておるのではないか。これは重大な問題ですよ、非常に山縣さんのお気持ちも私はよくわかりますけれども。ですから、この辺のところは真剣に考えていただかないと、われわれとしてはやはり納得できない体制のままに進んでいる。また、結局そこに前進のないままにまた積み重ねが行なわれていく。これではちょっとまずいと思うのです。その点どうですか。いま急にと言いますと、お考えもなかなかまとまらないと思いますけれども、この辺のところをどのように今後取り組んでいただけるか、もう少し具体的なお考えがあればお聞きしたいと思うのです。
  51. 山縣昌夫

    山縣説明員 今後のことでございますので、これからやることでございますが、さしあたり私の考えておりますことは、先ほどから申し上げております東大なり、以前の推進本部でございますが、その実験結果、これはこの夏にやりましたものだけを対象とするとは考えておりません。すべて必要な場合には、最初にさかのぼって二年、三年前のものまでいろいろなデータを出していただいてやって、ここで総ざらいをやってみたい、こう私は思っております。何ぶんにもたいへんな仕事で、口で言うのはわけはないのでございますが、記録そのもの、追跡なら追跡の記録というのはたいへんなものでございますね。それをすっかり検討するというのはたいへんな事業だとやってみておそらく驚くのだろうと自分自身も考えておりますが、できるだけのことをやりたいと思っております。その結果によりましてまた必要な手を打たなければならぬということでございますれば、当然私どもとしても真剣に考えていく。要するにいつも私も言っておりますけれども、そういった評価をいたしまして、それをまた計画に反映さしていく。結局、計画、実施、評価、これがぐるぐる回っているのだと思いますので、評価については、徹底的と申しますとことばは簡単でございますけれども、実際問題としてはなかなかたいへんなことだと思いますが、できるだけのことをやっていただきたい、こう考えております。
  52. 近江巳記夫

    ○近江委員 やはり国民が考えて納得のいけるそういう一つのスタッフでもって編成をしていただきたい、この点は要望しておきます。  それから、この一月、二月に東大ミューロケットを打ち上げる予定、このように聞いておるわけでありますが、こういう現状で、はたして現段階で実際成功の見通しがあるのかどうかということなんです。われわれそういうエンジニアでありませんから、事こまかい点についてはわかりませんけれども、しかしいままでの結果から見ても、一応全般の常識から考えて、私たちはそれを非常に心配しているわけです。できないという見方のほうが私たちは強いわけです。私たちの気持ちは、成功してもらいたい。だけれども、できないのじゃないかというのが圧倒的な私たちの思いになるわけです。過去いろいろな発表もなさっておるわけですが、いままでの状態を見てみますと、非常に誇大宣伝のような、これはことばは悪いかもしれませんが、何か非常にオーバーなそういう宣伝がなされておるように私は思うのです。いままでほんとうにやってきたのか、何もしないのか、その辺の技術的な解析ということはこの際絶対に大事だと私は思うのです。そうしないと、ずるずる同じようなことを踏襲するように思うのです。その点どうなんですか、自信あるのですか。東大の方にもお聞きしたいと思うのです。山縣さんと東大玉木さん、それからまた宇宙開発事業団の副理事長松浦さんですね。これは東大の問題ですからなにですけれども、一応いろいろ真剣にお考えになっておると思います。三人の方からお聞きしたいと思うのです。どうです。
  53. 山縣昌夫

    山縣説明員 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、まず計画をつくるということが委員会の第一の任務だと思います。そこで委員会の任務といたしまして、計画をつくることに昨年から着手いたしまして、いろいろな事情でおくれましたが、この十月一日に決定をいたしました。次の段階はそれを実施していただくということでございます。と同時に、その実施の結果を十分評価していく。今後の計画にフィードバックしていくということでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、部会の編成がえをしたいということは、ただいま近江先生がおっしゃいましたように、われわれといたしましても、十分実験成果の技術検討をやって、われわれが十月一日に定めました計画どおりに宇宙開発が進むように努力いたします。しかし、先ほど申し上げましたように、いろいろ不確定要素というものが今後出てまいりますので、当然できない、延びる、――たとえば延びるということならば、十分なその技術検討の結果どうしても延びるということならば、われわれ委員会といたしましても、それを検討いたしまして、延びざるを得ないという結論になりますれば、今度は計画をある程度修正しなければならない。要するに評価をすぐ計画にフィードバックすべきだと思っております。  重ねて申し上げますが、計画ができました以上、われわれといたしましては、計画どおり事を運ぶようにできるだけの努力をいたす。特に、この実施機関である事業団東大に対しましては、私どもできるだけの協力はいたしますが、実施機関がぜひ計画どおりにやっていただくことを、私どもといたしましては切望するわけでございます。
  54. 玉木章夫

    玉木参考人 先ほどもお話いたしましたように、ミュー4S一号機の実験というものにつきましては、今回の一連の実験の結果というものを十分に活用して、そして改良を加える。それからまた、ラムダ4Sもう一機実験をやりたいと思っておりますけれども、それの結果というものも見た上で実験をやりたいというふうに考えておりまして、今回は特に非常にたくさんの資料がとれておりますので、こういうものを十分活用しなければいけない。そういう意味で、いま研究所におきまして、時期をどうするかということについては慎重に検討しております。これはおくらせるということも含めていま検討しておりまして、もしこういうふうに予定を変えなければならないということで変える場合には、これは宇宙開発委員会で御審議いただく必要があると思っております。それからまた技術部会においても、第三者の方から十分御意見、御検討いただいた上で次の計画に進みたいというふうに思っております。
  55. 松浦陽恵

    松浦参考人 先ほど玉木参考人から説明がありましたように、私たちはなおさらデータにつきましては、まだ十分承知してないわけでございます。技術部会で従来の経緯等も含めまして十分検討された上でありませんと、正確な意見は申し上げかねるかと思います。現在の時点でございますと、他のいままで発表されたデータだけに基づいて申し上げるということになりまして、たいへん不正確になりますので、技術部会検討の結果申し上げたい、そう考えております。
  56. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この誘導制御装置をやらないで打ち上げを成功させるということについては、これは世界各国から笑いものになっていると私もちょっと聞いておるです。もし上がったとしても、まぐれに上がったとしか考えられない。こういうやり方でいいかということなんです。このままあくまでこのようなやり方で今後も続行していくかどうか。やはりこの成功については――これだけの膨大な国費を投入しておるわけです。国民みんなが願っておることです。したがって、この辺のところの判断、私はあらゆる技術者をそこに結集し、あるいはまた導入しなければならないものについても考えなければならない。もちろん自主開発が根本でありますけれども、その辺のところどのようにお考えになっていらっしゃるか。これは山縣さんと東大玉木先生にお聞きしたいと思います。
  57. 山縣昌夫

    山縣説明員 お答えいたします。  私ども、いまお話がございましたように、無誘導であるから軌道に乗らないとは考えておりません。先ほど玉木教授からもちょっと触れましたけれども科学衛星となりますと、ねらった軌道に必ずしもきちっと合わなくてもいいわけですね。ところ実用衛星になりますと、ねらった軌道にきちっと乗らなければいかぬ。ことに静止衛星になりますと、まさにそうであります。したがいまして、私、現在におきましては、東大のようなやり方、これをお進めになっている、これも意義があると思っております。先ほど私も触れましたように、玉木教授からもお話がございましたが、先般のラムダ4Tあるいはラムダ4S、その四号機、これは、なるほど軌道に乗せること自体には失敗いたしましたけれども、それまでの経路といいますか、段階と申しますか、これから考えまして、軌道に乗らないという証拠はないと思います。しかし、それは先ほど申し上げましたように、先週の委員会でいろいろ中間的な御報告をいただいた程度でございまして、これから先は、いわゆる部会におきまして、徹底的にその問題と取り組んでいただきたい、こう思っております。  私自身の心境といたしましては、要するに目的によって安上がりのロケットというものがあってしかるべきものだと思います。しかし、これはむろんその安上がりという意味は、単にロケットをつくるのが安いということではなしに、軌道に乗る確率というようなことも当然問題になってまいります。したがいまして、Mロケットはある程度成功いたし、また性能の改善をする、一方Qロケットは成功する、そういった場合に、やはりある時期におきましては、MとQの経済的効果と申しますか、経済性の比較検討をしなければならぬ時期が必ずくると思っております。しかし、その前に、いま近江先生のお話しのように、Mロケットでは軌道に乗らないのだということになってしまえば、これはしようがありませんけれども、私自身いま考えておりますのは、要するに目的によってMロケットというものも存在し得る、しかし、その存在というものは、やはり経済的にQロケットよりは――ですから、誘導をやったロケットよりは性能と申しますか、正確度と申しますか、そういったことに劣っておりましても、科学衛星に向くとなれば、今度は経済性の問題になります。で、軌道に乗る確率まで入れました経済性を検討いたしまして、Qロケットのほうが安いとなれば、これは、ある時期からMロケットというものはやめるべきだと思っております。いずれにいたしましても、現状におきまして、Mロケットによる無誘導によって軌道に乗らないということは言えないだろうと私は思っております。詳しいことは玉木教授のほうからお話し願いたいと思います。
  58. 玉木章夫

    玉木参考人 前にも同じような御質問三木委員からもございましたけれども、私どもは、いわゆる無誘導式のもので実際に実証してないということがございまして、たいへん残念といいますか、申しわけないのですけれども、これでだいじょうぶ回るのだということをとにかくいままで実証してないということで、御質問のような御疑問を持たれることになるのじゃないかと思いますが、今回の実験の結果でも、私どもの見ましたところでは非常に有望だということが言えるのじゃないかと思います。この点は、これは私どもがそう自分で考えているだけではいけないのでありまして、今度の技術部会などで十分皆さんにその結果を実際に見ていただいて、そして悪いところがあれば直すというようにやっていきたいと思っておりますが、決してこれではだめだというようなものではないと私は思っております。  それから、ちょっと一番最初山縣先生に御質問がございました、前のラムダの報告のことでございますけれども、宇宙航空研究所の報告として、一、二、三号機の報告がまとまって出ておりまして、これは研究所の報告ですから各方面にお配りしてございます。
  59. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど松浦さんが、こまかいことについてはデータ等も見ておらないというような発言がございました。確かにこの点が問題だと思うのです。実際のところは私はかさに隠れておると思うのです。ですから、過去に、ほんとうに成功であると言っているけれども、ほんとうに成功か失敗かわからないというような場面もあるのではないかと私たちは想像しているわけです。そういう点で、それは全部に公開ということについていろいろお考えがあろうかと思いますが、少なくとも関係者にはその全貌というものを、あらゆる詳細に至るまで知らせるべきである、私はこう思うのです。この点山縣先生、それから玉木先生、それから長官、どのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  60. 山縣昌夫

    山縣説明員 いま近江先生のお話の御趣旨に対しまして、これはいろいろ実際問題としては公表ということが、外国へ流れるというようなことと関連いたします場合がないとも……(「いいじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、アメリカからの導入関係ですね。それにひっかかるおそれがあるようなことが将来――現在東京大学にはございませんけれども、そういったようなことがございまして、すべて公表できるかどうか存じませんけれども、できるだけ私といたしましてはそういうふうに措置いたしたいと存じます。
  61. 玉木章夫

    玉木参考人 研究所の報告としてできるだけ詳しいものを出すように心がけておりますし、また今後も一そうそういうふうに心がけたいと思っております。
  62. 木内四郎

    ○木内国務大臣 衛星の打ち上げについてたいへん御心配願って恐縮しております。東大のこの科学衛星の打ち上げにつきましても、また今日までの推進本部の衛星打ち上げの研究にしましても、実に少ない予算と少ない人員で、非常な努力をしてもらって今日まで至っておったのです。御案内のように、あるいは漁業問題などで約一年余りの時間を空費するというようなこともありましたし、また技術導入につきましても、思ったよりも日数がかかりまして、あるいは一年八カ月もかかっておるというようなこともあります。  そんなことでだいぶ東大科学衛星の打ち上げについても、推進本部の打ち上げについても、いろいろなうまくいかなかった点などもありまして、御心配をかけておるのですけれども、最近におきまして、御案内のように技術導入についての日米間の交換公文もでき上がった。そうして技術導入の道も相当開けてきたということもありますし、また技術面においていろいろ御検討願っておることは、山縣先生からもお話がありましたとおりでありまして、今後宇宙開発委員会においても、特に技術部会におきまして、過去の実績を詳細に評価して、わが国の宇宙開発が全体としてうまくいくようにはかっていくという体制も着々整ってまいっておりますし、もちろんそのほかに宇宙開発事業団もすでに発足している、すなわちそれによって体制もだんだんいろいろな意味において整ってきておりますので、今後におきましてはできるだけ国民の期待に沿うようにものごとを取り運んでまいりたい、かように思っております。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんので、あとは明確にお願いしたいと思うのですが、一つ東大Mロケット計画がおくれている以上、事業団開発計画自体に若干の計画変更の必要性というのが生ずるのではないか、この点が一点です。  それから、この失敗原因を、先ほど技術部会のそれも出てきたわけでありますが、究明する調査委員会の設置等についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、もしもお考えであるならば、具体的にどのような形にしていくか、これが二点です。  それから三点目は、この東大と開発事業団関係でありますが、東大宇宙航空研究所から一名の方が非常勤理事として、週に一回程度アドバイスに顔をのぞかせておられるというように聞いておるわけでありますが、こういう状態ではたして東大の研究成果というものを事業団にスムーズに引き継いでいけるかどうか、この点が非常に疑問なのです。  この三点について、山縣さんと玉木先生にお願いしたいと思います。
  64. 山縣昌夫

    山縣説明員 お答えいたします。  三つの点があったと思いますが、東大Mロケットがおくれているというお話、これはおくれるかどうか、しばらくたたないとわかりませんけれども、いずれにしても以前に考えておったのよりはおくれておるということは考えられます。それによって事業団Qロケットに影響を及ぼさないかという御質問だったと思いますが、この点につきましては、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、御承知のようにQロケットの一段目と二段目は固体燃料でございまして、東大Mロケットは固体燃料でございます。したがいまして、事業団の一段目、二段目の開発は、東大における固体燃料の開発に相当依存するところが多いと思います。  そこで、具体的なことを申し上げますと、先般のL4S四号、それからし4Tでございますか、これの、特に前者が軌道に乗らなかったということは、いまの燃料の問題とは無関係でございまして、したがいまして、先ほど申し上げましたし、また玉木教授からもお話がございましたけれども、私どもこのロケットについて、ラムダ、これは失敗である、こうは思っておりません。軌道に乗らなかったということは別の問題でございます。したがいまして、現状におきまして、これはあるいは事業団からお返事があるのがほんとうかもしれませんけれども、私といたしましては、東大のいろいろな実験の結果、現在のところQの一段、二段の開発に支障があるとは考えておりません。したがいまして、そのためにQロケットの開発がおくれるということはいまのところないと考えております。  なお、三段目は液体燃料で、液体燃料につきましては東大では触れておらないので、過去の推進本部、今後の事業団、ここで開発していくわけでございます。その間あるいは事業団におかれましても、いろいろの計画を立ててごらんになりまして、われわれといたしましては四十七年度打ち上げというワクをはめておりますから、そのワクの中で、あるいはこの部分アメリカから技術を導入するというようなことは今後あり得るとは思いますが、いずれにいたしましても、東大のおくれということについて、さしあたりQに影響があるとは考えておりません。  それから次の、東大あるいは今後の事業団のいろいろな実験失敗した場合に、原因の調査委員会をつくるか、こういうことでございますけれども、私どもは、先ほど来も繰り返し申し上げておりますように、技術部会がその任務を持っておるのだろうと思います。技術部会はそういう任務ばかりでなしに、あるいはうまくいった場合、いわゆる成果があがった場合のその検討もやっていただきたい。どういう点がよかったからこうなったのだというように、単にうまくいかなかった場合だけ、いわゆる事故調査ということと同時に、うまくいった場合も、必要な場合には皆さんの御意見を戦わされて、たとえば東大のなまの技術をその場において事業団あるいは第三者にお分けする、こういうふうに考えております。  それから三番目に、東大事業団との関係でございますが、これは今後、私、事業団といたしましても、東大技術をどういう形ですぐ受け入れられるかということについては事業団自身も十分お考え願いたいと思っております。私、先ほども申し上げましたように、委員会が直接やりますことにつきましては、いまの技術部会というものを活用していただきまして、東大のいろいろな実験の結果、あるいは計画、そういったものを十分その場で、たびたび申しますけれども、なまの状態において検討をしていただいて、そこで意見と申しますか知識を交換する、委員会の直接の仕事としてはそういう形でやっていきたい、こう思っております。
  65. 玉木章夫

    玉木参考人 第一の、Mロケット計画がおくれて、それがQロケットに影響するのではないかという御質問でございますが、山縣先生のお答えにもありましたように、確かに私どもミューロケット計画がおくれておりまして、たいへん申しわけないのですけれどもQロケット計画にはMロケットの成果を取り入れてというのがございます。ただ、このMロケットロケット自体、あるいはいままでやりましたいろいろな実験の結果とか、あるいは地上の設備とか、そういったものの考え方といったようなものは、これは随時取り入れていただくといいと思っておりまして、そういう意味では、ミューロケットで実際に衛星が上がるという段階にいく前でも、現在の私どものやっておりますことができるだけ有効に使われるということは望ましいことだというふうに思っております。  それから調査委員会の件でございますが、これは私ども宇宙開発委員会技術部会がこういうことをやってくださるというふうに伺っておりますので、この委員会にできるだけ私どものとりました資料なり研究の結果なりを出すようにしたいというふうに思っております。  それから最後の事業団に対して非常勤理事が一人出ているだけだというお話でございますが、私どもとしては最も優秀なメンバーの一人でございまして、そういった意味で今後の研究開発における協力とか連絡というようなことは十分できていくのじゃないかと思っております。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 あと一、二問で終わりますが、そうしますと、技術部会というものがさらにクローズアップされてきたわけです。一番最初に私は問題を提起したわけです。これは要するにいまのメンバーからいけば、山縣さんもお答えになりましたように、科学技術庁あるいは東大と、スタッフをそろえるのに非常に苦慮しておられる。そうなってきますと、いまいろいろお答えになられた広範なそういうことをやっていかなければならない、そういう点からいけば、なおさらそこに第三者としての評価のできるそれだけのしっかりした人を入れてもらわないと困るわけです。先ほど、すぐに答弁できない、こういうようなことで私どもそれで終わったわけでありますが、いまあらためて技術部会の重要さが認識されてきた。その点どのようにお考えになっていらっしゃいますか、山縣さん。
  67. 山縣昌夫

    山縣説明員 第三者ということは、先ほどのお話でございますと、外国の人と……
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは一例です。
  69. 山縣昌夫

    山縣説明員 国内に、そういう第三者の方を一生懸命われわれさがしているわけでございます。ただし、先ほど申し上げましたように、たとえばかりにNASAならNASAの人を何かの形で参画していただくというようなことは、いま考えておらぬということでございます。
  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ、広範にさがされて、そして言うなら第三者的なそういう人をどんどんスタッフに入れていく、こういうことでございますね。どうですか。
  71. 山縣昌夫

    山縣説明員 お話のとおりでございます。
  72. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後に一点お聞きしたいのですが、特に予算の面でございますが、開発計画に乗らないものはおそらくいままでの例からしても大蔵省は受け付けない、こういう行き方をしておるわけでありますが、そうなってきますと、よほどこの委員会にしっかりしてもらわないと、やはりひとえに宇宙開発委員会の肩にかかってくると思うのです。そうしましたら、この前の法案通過のときに、要するに今後は宇宙開発委員会は強力にあらゆる面において推進していかなければならない、そうなってきたときに、非常勤というようなことが非常に問題になったわけでありますが、その後、何とか努力しますと大臣も答弁されたわけです。原子力委員会のように、総合計画を推進していくためにも、そういうような体制ということも真剣にここで考えていかなければ、やはりこれからのそうした予算を中心とした広範な推進ということはむずかしいのじゃないかと私は思うのです。その辺、山縣さんと長官にお聞きしたいと思うのです。長官はあとからお願いします。
  73. 山縣昌夫

    山縣説明員 近江先生のお話のとおりでございます。委員会の強化ということを、今回の昭和四十五年度の概算要求の中にも組み込んでございますので、ぜひ御賛成を願いたい、こう思っております。
  74. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、非常勤から常勤という、そういうような具体的なお考え、どういう具体的な強化をお考えになっておるのですか。局長でもけっこうです。
  75. 石川晃夫

    石川説明員 明年度の予算におきまして、やはりこの委員会の強化ということを考えておるわけでございますが、現在委員長は国務大臣、長官でございますが、委員といたしまして四名の非常勤の方に委員になっていただいているわけでございます。さらに、明年度の予算要求といたしまして、二名の委員を増員していただきたいということと、その増員の中で二名の方を常勤にしていただきたいというのが、私たち委員会強化に対する考え方でございます。
  76. 木内四郎

    ○木内国務大臣 概算要求、御趣旨のような線に沿って、いま石川局長から御説明したような要求を出しております。ところで、行政管理庁は、新しい制度を拡大していくというようなことに対しては反対の意向を新聞などでたびたび表明しておりますので、相当困難な点もあるかと思うのですけれども、いまの概算要求の実現に向かって最善の努力をしたい、かように思いますので、委員各位の格別の御支援をお願いしておきたいと思います。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 宇宙開発のことについては一応これで終わります。
  78. 石田幸四郎

    ○石田委員長 この際、両参考人一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして貴重な意見をお述べいただきまして、本問題の調査のためにたいへん参考になりました。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  近江君。
  79. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは、時間があれば相当いろいろ問題を聞きたいと思うておったのですが、時間もだいぶ経過しておりますので、スモン病、それからあと薫蒸ガスについてちょっとお聞きしたいと思います。  私たちも、このスモン病につきましては非常に重大問題であるということで、いままでいろいろと取り組んでまいったわけでございますが、まず一番最初にお聞きしたいのは、現在の患者及びそうした家族等の実態ですね、その辺のところの掌握をしていらっしゃる、これについてお聞きしたいと思うのです。
  80. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 スモン患者の全国的な発生状況はどうかという御質問だと思いますが、実は、私たちまだ全国的にこれが確実な数字であるというところまでは至っておりません。というのは、この病気そのものの診断が非常にむずかしいということにあると思いますが、現在私たちがつかんでいる数字というのは、たとえば昭和三十九年の日本内科学会シンポジウム、それからその後行なわれました厚生科学研究費によります前川研究班、こういった先生方の報告事項、それから私たち自身で県のほうからいただいた数字、そういうものの数字でございます。これを合わせますと総計三千百五十五名、これが私たちのつかんでおる数字でございます。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 死者は……。
  82. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 死亡者は百八名でございます。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 この掌握の点について、いまあなたが報告されたのですから、それはそのまま受けますけれども、しかし、実際掌握の体制ということが完ぺきであるかどうかというような問題があるのです。その辺の不足を考えて、やはり大阪府などはその総点検をやろうとしておるわけです。そこで、私は、何よりもまず掌握ということをはっきりしなければいかぬと思うのです。その点、大阪府がやっておるそういう態度については、非常にいいと思うのです。そういう点で、今後、各都道府県の総点検とか、そういう点について、掌握という点について、どういう対策を立てていらっしゃるか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  84. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 実は、ことしの当初予算で約三百万円研究費をもらいましたが、これをもとにいたしまして全国調査をいたしたいというのがこの三百万円の研究費でございます。  それで、最初研究班をつくりまして、先生方約十九名の方々がございますが、いろいろ診断の方法、それからどういう質問表をつくるか、それから診断の基準をどうするかというようなことで、すでに数回会合を開いておりまして、やっとこの間成案が出まして、今月と来月一ぱいで調査のできる段階になっております。これは全国一斉にできるはずでございます。しかし、対象といたしましては、昨年と一昨年の病院を訪れた患者ということに限定いたしております。
  85. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がないので、私もポイント、ポイントを聞いていきたいと思います。  このスモン病対策予算の三百万、三百万ではたしてどれだけできるかということなのです。科学技術庁で特調費の中から出すと、これはかけ声だけで終わっているのじゃないか、このように必配するのです。この辺の実態はどうですか。
  86. 石川晃夫

    石川説明員 お答えいたします。  このスモン病につきましては、かねてから厚生省のほうからこれの特別研究を行ないたいというお話がございまして、私たちのほうでも検討いたしまして、この八月にスモンの病因と、それから治療に関する特別研究というテーマにおきまして、三千万支出いたすことに決定いたしまして、厚生省のほうへ流したわけでございます。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 この病気は、病因も治療法も全く不明である、非常に現在社会問題化しておる特有の奇病である、このようにいわれておるわけであります。特に、岡山県を中心に非常に発生しておるわけでありますが、ここであらゆる病理学あるいはビールス等のそうした原因究明、あるいは診断基準の確立、いろいろ専門的にはむずかしい問題がたくさんあろうかと思うのでありますが、いま岡山大等を中心に進みかけておる、このように聞いておるのですが、その辺のところ、研究体制は現在どうなっておりますか。
  88. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 八月中旬に、ただいま調整局長からお答えいたされたような三千万円をいただきました。それで、さっそく学会の先生方に協力方をお願いいたしました。九月の二日に第一回の先生方の集まりをつくって……(「何人だ」と呼ぶ者あり)委員の方は当時よりふえまして、四十四名になっております。それで、この四十四名の先生方が疫学班、臨床班、病理班、病原班の四班に分かれまして研究を進めようということをきめたわけでございますが、この九月下旬から十月上旬にかけては、この先生方がどういう方法で研究を進めていくかということを、いろいろ会合を持たれまして、実は十月の八日から、各班の中で研究推進の進め方、そういうものについて会合を開いております。今月の十八日になりますと、疫学班の、これが最後の班の会合でございますが、これによって各班の研究の進め方というものがはっきりしてくるだろうと思います。
  89. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、一つは、リハビリテーションの施設の整備ということを今後どう考えていくか、これが一つ。  それから治療費によって非常に家庭生活が破壊されているケースが多いわけです。ですから私は申し上げたのですけれども、そこまでのところは掌握しておられない。  そこで治療費は、全額国庫負担にすべきであるともうあらゆる機会に私たちは叫んでおるのですが、その辺のところはどのようにお考えになっておるか。その二点について、厚生省と科学技術庁にお聞きしたいと思います。
  90. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 最初の、第一点のリハビリテーションでございますけれども、実はこれが非常に問題がございまして、リハビリテーションをいつの時点で始めるのかということが現在問題になっております。いろいろやっておりますけれども、かえってリハビリテーションの時期を間違えると、再燃した場合に症状が強く出るというようなことで、これからのやはり問題になるだろうと思います。  それから治療費でございますが、現在こういう研究を進めておりますが、特にいま私たちとしては、非常に社会不安を起こしておりますこの感染説、あるいは伝染説というような問題がございます。これについて、どうもまだはっきりした所見が出ておりません。たとえば伝染病予防法で扱うというようなこともできますので、なかなかむずかしい問題に達しておりますが、この三千万の研究費の中には治療研究も入っておりますので、間接的な一部、そういう面ではプラスになると思いますけれども、国庫負担にするとかというようなことは非常にむずかしい問題があるだろうと思います。
  91. 石川晃夫

    石川説明員 ただいま御質問のリハビリテーションの問題、治療費の問題、これにつきましては、直接は厚生省の所管でございますので、ただいまお答えのような線で検討されることと思いますが、私たちといたしましても、三千万の特別研究費によりまして、これの病因と治療というものについて研究をしていただいておりますので、なるべく早くこの結果を出していただきまして、そしてこのスモンの患者が少なくなるよう望んでおるわけでございます。
  92. 石田幸四郎

    ○石田委員長 関連で井上普方君。
  93. 井上普方

    ○井上(普)委員 私、スモンのことで一度科学技術庁並びに厚生省にお伺いしたいと思っていたのですが、実はこの病気が起こりましたのは、御承知のとおり三十四年から起こっておるのでございますが、特に昭和三十六年当時から、県の衛生部を通じて盛んにこのことを厚生省に、実態はどうなのかということをいった熱心な開業医がおったはずです。ところが、これについて三年全然放置しておった。昭和三十八年の、オリンピックのとき戸田に発生した戸田病のときに、初めてこれがやかましく言われた。ここに一つ問題がある。一つは学会の古さということも私ら感じるわけです。その後も国の、厚生省の施策としての研究というのが、あれほど多く患者が出、かつまた死亡者が出ておるにもかかわらず、ことしになって初めて三千万円出すというのは、あまりにも厚生省としては怠慢ではなかったか。それまでの間に出されておる金額は、年にいたしまして二、三百万円程度しか出されていなかったと思う。この点どうなんです、いままでの実態をお考えになると。この点をまず一つ、厚生省の対策あるいは科学技術庁の取り組みをお伺いしたい。  もう一つは、ただいま近江君の質問に対して、三千百五十五名の入院患者がおる、そして百八名の死亡者がある、こう申されましたけれども、実際の病気は反復性があるのですね。ほかの慢性の呼吸器疾患にしましても、あるいは胃腸病疾患というのにこれは付随しますとか、あるいはそういうときにぽっと出てくる。出てきて、一たん早急に治療すると、なおったかに見える。なおったかに見えるけれども、また再発してくる。これがこの病気の特徴じゃございませんか。そしてまた先ほどあなたも伝染性あるいは感染性というようなことは微妙でいま言えぬとおっしゃいましたけれども、久留米医大の病理学教室においてビールスが発見されたということは、これはもう間違いのない事実である。それから昭和三十九年にはシンポジウムにおいて感染性、特に院内感染の問題について言及せられたときに、学会で発表した。ところがこれについても学会の中における、何というか学閥といいますか、それらのために一笑に付せられたという事実もある。いまになってこういうように、これらの感染性あるいはまた伝染性がのぼっておるわけですけれども、一がいにこれが伝染性、感染性ということを言うことは世論に対しての影響も大きいでしょう。したがって、これは軽々しく言うべきではないと思うのです。しかし、それに対する、感染説あるいは伝染説に対する十分なる予防措置というものを講じなければならないと思うのです。そういう体制で臨まなければならない。地域的に見ましても、岡山では六百十六名、あるいはまた北海道では二百八十八名、和歌山、あるいはまた徳島、あるいはまた山形というようなところで多発しておるんですね。一つには、これは診断技術がまだ十分でないというところもありましょう。しかし最初はこの病名は――あなたはお医者さんでしょうな。
  94. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 はい、そうです。
  95. 井上普方

    ○井上(普)委員 ギランバレー症候群であるとか、あるいはまた何だというようなことで言われておったけれども、実際に見てみると、これはノイエスの病気ですね、原書にもない。ために、日本の学会の古さからいって、それに積極的に取り組む姿勢も少なかった。しかし、厚生省としては、こういうような患者が昭和三十八年にはかなり多く出てきておったはずです。あるいは四十年くらいにはもうおそらく千名をこしておったはずです。それらに対しての対策がなかったんじゃないか。対応のしかたがおそかったんじゃないか。ここに私は学会の古さや権威主義というものを痛切に感ずるのであります。  一体これらに対して、この患者数自体に対しても私は疑問なきを得ないのです。潜伏性があること、反復性に出てくること、こういうようなことを考えますと、三千百五十五名という数字じゃなくして、おそらく一万名、一万四、五千名に及ぶんじゃないかと思うのですが、この点どうでございます。将来また起こってくる可能性といいますか、一たん病気しておっていまは進行がとまっておるという状況、こういう患者も含めておりますか。もっと含めるならば一万名あるいは一万四、五千名あるんじゃないですか、どうです。
  96. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 本疾患が三十四年ごろから始まって、どんどん重なっているではないかというお話でございますが、実は三十八年、戸田の疫病、先生お話しのようにそれが非常に危険になりまして、三十九年から四十一年まで厚生科学研究費で研究していただいております。その後は厚生科学研究費としては取っておりませんけれども、国立病院のほうで臨床班をつくりまして、これは細々ではございますけれども、臨床的な研究はずっと続けておるわけでございます。  それから再燃の問題でございますけれども、やはり本疾患の特徴であろうと思います。当然再燃の問題があるためにリハビリテーションを始める時期というものがなかなかつかめないという問題がございます。  それから感染症という問題でございますけれども、久留米医大の新宮先生がエコー21という説を出されまして、これは非常に重要な問題でございますので、他の先生方にいろいろ追試していただいたわけでございます。その結果、どうもエコー21というものがはっきりしない、明確でなかったという点で、必ずしも学閥とかそういうことではないと私は思います。  それから患者数でございますけれども、私たちはやはり何といってもこの診断の基準がはっきりいたしませんので、いままで各医学会雑誌、そういうもので発表された数字の累積でございます。  しかしながら、やはり大学のない県とかそういうところでは発表になかなか載ってまいりませんので、やはりこれをオーバーした数字になるであろうとは私は思います。何人ぐらいになるか、それは私はわかりませんけれども、今度の調査でそれがはっきりするだろうと思います。
  97. 井上普方

    ○井上(普)委員 私はいま、昭和三十九年に発表された開業医の報告書をここに持っております。これは徳島の日比野さんというお医者さんが発表されておるわけです。この人の病気の状況を見てみますと、「本症患者を一般病棟に入院させることは、家族伝染あるいは地域内発生以上に、伝染的な発生を助長する危険があり、早急に適当な制度の必要があると考えられる」、結論的にこうおっしゃっているのですね。あなたも日比野さんは御承知でしょう。これを最初発表された方ですな。こういうような点は社会的に非常に重要な影響を及ぼしますので、感染説あるいはまた伝染説ということは軽々とはいえないにいたしましても、そのおそれがあるのは、十分におそれがあるのです。こういう問題についてもう少し――院内感染もすでに発表になっておるのですね。これは京都の前川さんも認められておる。こういうところをやはり慎重といいますか、慎重、適切、迅速なる処置をやられる必要があるのじゃございませんか。これがまず第一点です。  それから、患者がおそらく三千名をこえておるというのは、ここ昭和四十二年ぐらいにもすでにそのくらいになっておった。なぜこれに対する予算がつけられなかったか、これが第二問です。  第三点として、一体、現在でこの三千万円の金ではたしてこの研究が十分できるかどうか。といいますのは、いまお聞きしますと四十四名の方がこれに参画せられておると言われる。そういたしますと、これはまあ一人当たり――そして四班に分かれておるようでありますが、特に私も先般も申したのですが、班研究をやられた場合、一人の研究者に対する補助というのは、旅費とか、あるいはまた会議とかに費やされて、実質研究費というのが非常に少なくなっておるのが現状です。はたしてそこの三千万円で――これらの新しい、ノイエスな病気ですね、原書にもない病気を徹底的に追求していく、しかもその患者たるや、近江さんが言いましたように、ずんずん進行性に上へ麻痺が上がってくる病気、悲惨な家族の状況、こういうのを考えましたときに、一体三千万円ぐらいでこの病気の究明ができるだろうか。そしてまた、それによって一刻も早くともかくこの対策を立てなければならないにもかかわらず、三千万円ぐらいでできるだろうか。おそらく、潜在患者は国内に一万四、五千人おると私は思います。それが、悲惨な状況であると思います、この三千万円ぐらいの金で――初めて三千万円台の金が出されたわけですけれども、これくらいで一体――一千四、五千人と推定せられる患者をなおすためにもっと多く研究さすためには、これはいまのような金の出方では少な過ぎるのじゃないか。そしてまた、日本の医学界がノイエスな病気を世界にこう解決したのだということを誇示するためにも、もっとうんと、億のかかった金をこれにつぎ込むことによって、一刻も早く、診断技術ないし治療技術あとの予防ができるのじゃないか、このように思うのです。したがってこの金は、最後でございますが、木内長官にひとつお願いしたいのですが、来年はどういうような体制で臨まれるか、このスモンに対する研究費をひとつお伺いいたしたいと思います。
  98. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 前段の御質問お答えしたいと思います。  私、防疫課長でございますので、すぐ伝染説と感染説という話が飛び出たわけでございますけれども、これの病因について諸説があるわけでございます。いろいろな代謝障害説とか、あるいは中毒説とか、アレルギー説というようなことまでいわれておる状況でございます。  それから病理学者の所見をお聞きしますと、感染症よりはむしろ代謝障害の疾患ではないか、脱髄性のものであるというような御意見ども出ている次第でございます。それで、これに対して三千万円で十分かというお話でございますが、私たち、いまどの一角から破っていくべきかという目当てがなかなかつかないわけでございまして、これを大きく分けた先ほどの四班の先生方にそれぞれ検討していただく。なるべく効率的に三千万円のお金を使って研究に成果のあがるようなしかたでひとつお願いしたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  99. 木内四郎

    ○木内国務大臣 このスモン病の研究につきましては、厚生省のほうにおいて所管されておりましたことはいま説明されたとおりですが、たまたまことし、研究を必要とするけれども予算がないということで、私のほうから研究促進調査費、これから三千十何万円というものを出したわけなんです。なお、それだけでは私は足らぬこともあり得ると思うのですが、足らぬ場合にはこれは厚生省の所管の予算を要求して、それによって対処されるべきものだ、私はかように思っています。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 一つは研究体制、四班で編成されておる。今後はいろいろな研究成果が出てくると思いますが、しかし、私たちしろうとが考えても、三千万円の、そういうような中でいろいろなことをやっていかなければならぬわけです。非常に疑問です。これだけのわずかな予算で何ができるか。ですから、研究体制の強化ということをもっとやってもらいたい、よろしゅうございますか。両方にお聞きしますよ、科学技術庁と厚生省。よろしいですね。  それから二点は、いろいろ関係者に聞いてみますと、潜在のそういう患者を入れますと二万名は突破するだろう、こういうようなこともいわれておるわけです。ですから私は少額ということを言ったわけです。それを厚生省は三百万円出して、こうやっています。三百万円というのはあなた、一回冷静になって考えてくださいよ。三百万円というのは、何ができるか、三千万円科学技術庁が出したといいますけれども。ですから、大阪府等がやっているスモン病患者の総点検を、全国的に強力な体制で掌握してもらいたい。具体案を二点目として聞きたい。  それから三点目は、患者の治療でございますけれども、大体ずっと私たち調べた範囲では月に二十万円はかかる。国民健康保険でもその三割の六万円が要っておるわけです。それを捻出するために、血を流す思いをして家族がみんな一生懸命になっておるわけですよ。完全に生活がだめな状態になっておる。ですから、私はここで申し上げたいのは、厚生省だ、科学技術庁だ、そういうセクト主義でいけばだれが犠牲になるのですか。現実にこれだけの三千何ぼの患者があり、これだけの死者が出ておる。百八名も死者が出ておる。三千百五十五名の患者が出ておる。しかも、これからますます増大していく傾向にあるわけですよ。この人たちをこのまま放置しておいていいんですか。真剣に考えてもらいたいと思うのです。その辺関係各省でいままでどういう討議をやってきたのですか。そうでしょう。科学技術庁が三千十一万円出されたということについては、私は非常にその点は評価します。長官のそういう人道的なあり方については非常に評価しております。したがって、ただそれを科学技術庁の中で、できるだけの範囲でとどめてはならないと思います。閣僚会議にも持ち込んでもらって、首相にも、これはたいへんな問題だ、国をあげて患者の救済、治療体制というものを確立すべきである。この辺のところを長官としても今後ほんとうにさらに進めていただける、そういう決意でおられるかどうか、そうしないとほんとうに患者はみな泣いていますよ。ですから、以上の点について、厚生省と、局長と、その次に大臣にお答え願いたい。
  101. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 三百万円で何ができるかというお話でございますが、私たちは全国調査的なことを実は考えて三百万お願いしたわけでございます。やはり三百万ではなかなかむずかしいということで、省内の研究費、いろいろございますが、その中からまた二百万さらにつけて五百万にして、その調査の強化をはかっていこうということになっております。  それから、これは今度は研究促進費で科学技術庁にお世話になったわけでございます。来年からは厚生省を主体としてもっと研究体制を強化する意味で予算もお願いしていきたい、こういうふうに考えております。  それから、これを放置するのかどうかというお話でございますが、私たちはそういう考えは全然持っておりませんので、さらにこの研究を展開していかなければならない、そういうふうに考えております。  治療でございますが、これはいま先生御指摘のように、患者さんはたいへん苦労されているわけでございます。厚生省といたしましては、健康保険とか、社会福祉施設という制度がございますが、これだけではなかなかむずかしいというような問題があって、この間も話し合ったわけでございますが、実は患者の診断基準がまだはっきりしないということで、これが非常にネックになっておりまして、早急に臨床班から診断の基準をつくっていただこうということで、今度の調査にも診断の基準についてお願いしたわけでございますけれども、どうしても出てこない。いま早急にはできない。それで今度の調査については椿教授、祖父江教授、それから高崎先生、この三人のそれぞれの診断基準というものを参考までに載せたわけでございまして、まだ一致した診断基準というところまでいっていない。これが非常にネックになっております。この辺の研究成果というものを早くいただきたいと思っております。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 この診断基準――それは診断基準がネックだから……。そうでしょう。それじゃそれをいつまでに決定するかということですよ。これがきまらぬから、きまらぬからといって、患者をそのまま放置しておくのか。いつまでにはっきりさせるのですか。大体のめどをつけてもらわなければ困る。
  103. 後藤伍郎

    ○後藤説明員 学会の先生方といろいろ相談しているわけでございますが、なかなかむずかしい点がございまして、鑑別を要する疾患が非常に多いわけでございます。先ほど先生おっしゃられましたギランバレー症候群、それから多発性硬化症、いろいろな問題がございまして、いつまでにできるかというのは、私やはりもう一度学会の先生方に促進方をお願いするという以外にちょっと答えられないわけでございます。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはほんとうにじょうだんじゃないです。あなたの立場はわかりますけれども、大体のめどをつけて、それまでにはっきりと結果を出していく。そのためにあなた方は必要なことを全部言ってもらいたい。厚生省にしろ科学技術庁にしろ、全力をあげて――これは事、人命に関することですよ。大体人命尊重の精神に欠けておる。ただお役所的なそういうだらだらした行き方になっておると思う。この点については、帰って直ちに厚生大臣にもその旨を申し入れていただいて、強力に、早く結論を出していただいて、そうしてあとの治療体制を確立してもらいたいと思うのです。
  105. 石川晃夫

    石川説明員 科学技術庁といたしましては、このようなむずかしい病気につきましての専門家がいないわけでございまして、その点、このようなスモンのお手助けをするということになりますと、先ほど申し上げました特調費というものを使いまして、緊急研究ということで専門家の厚生省にやっていただくということになるわけでございます。厚生省のほうも、とりあえずはこの特調費をもとにいたしまして、研究班を組織していただきまして、さっそく取り組んでくれるわけでございますが、私たちの希望としましては、なるべく早く成果をあげていただきたいということを希望しております。またただいまも話にございましたように、厚生省としましても、明年度から予算要求をするという段階になっておりますので、この特調費がそれの呼び水になっていただいたということで非常に意義があるわけでございますし、また来年度予算要求をいたしますと、この問題についても軌道に乗って、今後のこの対策が進むものと考えておりますし、私たちもそのように希望しております。
  106. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いま局長からお答えしたとおりで、私から別に蛇足をつけ加えることはないのですけれども、この問題、いま伺っているところによるとなかなか困難な点があると思うのですけれども、大事な問題ですから、所管の厚生省におきましては今後できるだけの努力をしなければならぬ、かように思っております。  また、御質問の御趣旨は課長から厚生大臣にも伝えると思うのですが、私からも十分に厚生大臣に伝えておきたいと思います。  ただ、ちょっと一言申し上げておきたいのは、科学技術庁が何かセクト主義によって云々というようなお話がありましたが、私どもは毛頭そういうことはないのですから、厚生大臣には、ことし予算がないから三千万円出してくれと言われて、私どものほうは三千万円出した、これだけの話ですから、その点はひとつよく御了承いただきたい。
  107. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは長官、科学技術庁をセクト主義と言っているのと違うのですよ。それは要するに厚生省だ。厚生省が出すのがほんとうだ。それを科学技術庁が出した。それについては大臣はほんとうによくやったと評価しているわけですよ。ですから、さらにそれを進めていただきたい。閣議でも出していただいて――これは大問題だ。首相にも各関係閣僚にもいってもらって、関係各省が力を合わしていただきたい。ですから、ただ長官が厚生省に私からも言うと、それだけではなくして、私は国全体の問題としてこれをとらえていただきたい。この点を特に長官にお願いしたいと思うのです。その点どうですか。国全体の問題として私は評価し得るという、それだけの確信で答弁していただけますか。
  108. 木内四郎

    ○木内国務大臣 なかなか大事な問題で、国全体の大事な問題ですけれども、扱うものは厚生省でありますので、厚生大臣によく伝えまして、善処するようにしたいと思います。
  109. 井上普方

    ○井上(普)委員 最後に私ちょっと申し上げておきたいのでございますが、この病気は一つには専門家がおるところに数が多いのです、各都道府県の数字を見ますと。それがいままでは、ギランバレーであるとかいう、下からどんどん麻痺してくる病気がある。ですから、それとある程度間違われておるという点もあるのです。したがって、専門家がおる府県は多くなっているのです。それで、これはおとなの小児麻痺といいますが、小児麻痺よりもまだひどいのです。大体中高年齢層に多くなってくるのです。下からずんずん麻痺が来まして、しまいには目が見えなくなって死んじゃうという状況になるのです。そこまで至るのに前駆症状があるわけでございますが、その前駆症状の段階で治療すれば、大体早くとまるというような実態なんです。実際患者を見ますと、おとなの小児麻輝以上のひどさなんです。  ところが厚生省は昭和三十八年、三十九年、四十年までは研究費を出したけれども、四十一年、四十二年、四十三年研究費は出ていないのですよ。これだけ実際に廃人になるのですから、完全に廃人になるのですよ。それをともかく三年間研究費を出していないのです。ことし初めてやかましく大きく問題になりまして、それは科学技術庁のほうが三千万円という大きい金を出していただいたので、研究のほうも私はある程度進むと思います。しかし三十八年、三十九年、四十年、四十一年と出しておいて、それから四十二年、四十三年と休んでおるのですからね、研究費が。こんなばかなことをしているのですよ、政府は。政府を信用なさいと言いますけれども、政府のやり方というのは実際認識が不足なんです。長官、あなたも国務大臣として――この病気は、いま近江君も言いましたように、潜在患者一万五千から二万、あるいはもっとこえるかもしれません。これは先ほど防疫課長も言っておったように診断技術が十分でないから、ほかの病気と間違われていることも多いのです。したがって、この三千万円というものを考えてみますと、一人の患者当たりにしますと千五百円ぐらいしかかかっていないのですね。だからこれらの予算を、大臣、これから大いにひとつあなたも協力して厚生大臣に強力に申し入れる、そしてこの予算をひとつ出していただきたいと思うのです。いま専門家が少ないのです。したがって、患者の数が少なくなっておる。しかし、実際にはたくさんおるのだということも言えると思う。そして悲惨なんです、患者自体が。しかも、ここでも感染説が強いのです。流行性が強いのです。だから私らはこれの早急なる研究、予防と治療面をひとつ早急に研究する、これをやらなければたいへんなことになる、こう思うのです。ひとつその点さらに強力なる予算措置を大臣ともどもお願いいたしたいと思うのです。
  110. 木内四郎

    ○木内国務大臣 両委員の御意見、まことにごもっともの点がありますから、課長から大臣に伝えるのはもちろんですが、私からもとくと伝えることにいたしたいと思います。
  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんから簡単に終わりますが、もう一つは私が九日に衆議院商工委員会で取り上げた問題でございますが、皆さんも御承知のように輸入自由化が相当大幅に今後行なわれる。そうしますと、この植物の輸入が特に増加してくるわけです。その場合の薫蒸ガスが非常な犠牲者を伴っていま発生しております。御承知のように、農林省の植物防疫所の調べによりましても、メチルブロマイド、クロルピクリン、特にこのメチブロにおいては中毒患者の発生数が三十九年十人、四十年二十二人、そのうち死者一名、四十一年十五人、同じく死者一名、四十二年四人、同死者二名、四十三年三人、全員死亡。  ところが、この掌握ということを聞いてみたところが、ばらばらなんです。全然掌握が関係各省できていない。こんなの何分の一かわかりませんよ。死者は別として中毒患者は大量に発生している。こういう問題について質問したところが、科学技術庁のほうでいま非常に研究してもらっている、こういう答弁でした。科学技術庁、お聞きしますが、どれだけ研究していますか、あなた方。農林省も来ているから先に答えて、それから科学技術庁言ってください。
  112. 安尾俊

    ○安尾説明員 お答え申し上げます。  先般の商工委員会で私どものほうの参里宮がお答え申し上げましたのは、農薬の開発につきましては科学技術庁の担当になっておるし、それから利用の面につきましては農林省の担当になっております。それからなお毒性等の安全問題については厚生省のほうで担当いたしておりますが、よく連絡いたしまして、先生の御趣旨に沿って今後大いに安全対策を進めていきたい、こう申し上げる次第でございます。
  113. 北野茂夫

    ○北野説明員 お答え申し上げます。  科学技術庁では理化学研究所を所掌しておりますけれども、三十八年以来、理化学研究所において低毒性農薬を中心とした研究並びに創製、新しくつくり出すことをやっているわけでございます。薫蒸剤に限らず、一般に害虫なりあるいは菌を殺す薬をつくるということで、主として低毒、人畜に害がなくて虫なり菌を殺すというものを中心にやっているわけでございますけれども、その一種として、当然薫蒸剤も含まれております。ただいまでは選択性の殺虫剤といいまして、特定のものは殺すけれども、あるもの、あるいは人間等には害がない、そういうようなもののスクリーニングと、それからこん虫等にどういう薬がどういうふうにきいて死ぬか、そういうメカニズムについて研究し、なおその他のいろいろの効果のありそうな化合物の合成等をやっておりますけれども、現在のところは基礎的研究が中心でございまして、直ちに新しい農薬ができているというような段階ではございません。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 研究はそのようにやっておられるといっても、これは事、人命に関することでありますし、しかも死に至らなくたって、どれだけそれが原因となってまた大きな障害をなすかわからない、そういう危険な中に関係者がみな従事しているわけですよ。特に昭和二十五年ですか、植物防疫法ができてからいまだに新薬も開発をされない。科学技術がこれだけ発達しておって、いまだにそういう人命に関すること、へたをすれば死ぬというようなことが行なわれておっていいかという問題なんです。  この間の答弁では、科学技術庁は全般的にそれを研究し促進しておる。しかしあなた方のとらえ方としては、ごく一部としてやっております、こういうニュアンスですよ。そんな問題でいいのですか。全然農林省なんかで言っておることと違いますよ。私は、それを重大問題として科学技術庁は取り上げておる、こういう聞き方をした。だから、これがほんとうかうそか、きょうは両者を呼んで聞いたわけです。あなた方は一部としてとらえておる。そんなんでいいのですか、いまみたいな状態で。
  115. 北野茂夫

    ○北野説明員 先ほども申し上げましたように、虫を殺すという点では広く殺虫剤全般の問題がございまして、現在では最も効果的な薬、しかもその薬が人畜等には無害であって虫だけを殺すということを広く研究しておるわけでございます。たくさんある物質の中で、どういうものがそういう特性があるかということは、世界的に各国でやっているわけでございますけれども、やはり虫を殺すようなものは人にも害がないというわけはないということで、なかなか希望に合ったものを見つけるということが困難な状態でございます。要するに殺虫剤全般の問題として、鋭意全力をあげて四十五名ほどの者が従事してやっておるわけでございます。近いうちにそういう低毒性のいい薬が開発されるということは大いに期待できると思います。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、人畜とも被害があるのは当然であるというような考え方自体が大問題だと言うのです。科学技術がこれだけ発達しておるのだから無害なものをつくってもらいたいと言っておるわけですよ。そのうちにできるでしょうというような、待ちかまえておるような、何となし流れっぱなしできて、そのうち何とか積み重ねていけばできるだろう、そういうマンネリ化した考えではあかぬと言うのですよ。鋭意開発をやってもらわなければ困るということを言っておる。そうでしょう。もうとにかく、ほんとうは密封した倉庫の中で薫蒸しなければならない。ところがどんどん入ってくるものだから、しかたがないからはしけ薫蒸あるいは船内薫蒸、それで犠牲者がどんどん出ている。しかも木材なんか、陸上でビニールをかぶせてばっとやっておるわけですから、子供がそばでひっくり返っておるのが何ぼでもいてるんですよ、中毒にかかって。それでたいへんなことになってくる。それをただそんな感覚で、何とかそのうちに研究しておればできるだろう、そういうぼんやりとしたような考えじゃだめだと言うんですよ。局長と大臣はどのようにこの開発についてお考えになっておるのか。農林省もただ科学技術庁に言っておる、そんな態度でいいんですか。あなた方関係各省でどれほど真剣に取っ組んでおるのですか。まず農林省と局長、それから大臣、その順序でお答えください。
  117. 安尾俊

    ○安尾説明員 植物検疫所の薫蒸は、先生御承知のように殺虫効果が一〇〇%要求されますので、現在のところ諸外国同様に危険な農薬を使っておるわけでございます。この点につきましてわれわれはより安全な農薬を導入することをより好むものでございまして、今後科学技術庁のほうと十分御連絡申し上げて、また業界等の協力も得まして、できるだけ早く安全な農薬が導入できるように万全の努力をいたしたい、こう考えます。  なお、それまでの間は、現在の農薬につきまして危害防止の点で十分な注意をして事故が起こらないように万全の措置をとっていきたい、こう考える次第でございます。
  118. 石川晃夫

    石川説明員 これは当庁におきましては、理化学研究所のほうで研究を行なっているということでございますし、研究調整局の所管ではございませんので、ひとつ担当の所管の局を通じまして本日先生のおっしゃった旨を伝えたいと思っております。
  119. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いまお話ありまして、いろいろな問題があるのですよ。多少誤解しておられるのじゃないかと思うのですが、科学技術庁のほうの理化学研究所ですね、ここで開発しているのは、なるべく害のない殺虫剤――さっき話がありましたが、全然害がないというわけにはいかぬと言っていましたけれども、害のない殺虫剤または害のない農薬の開発を理化学研究所のほうでやっておるわけです。ともかく外国から入ってくるものの薫蒸ですか、そういうようなものに対する、有毒のものがあるじゃないかというお話ですが、これについてはいまお話ありましたように、農林省のほうにおいて輸入食品関係の毒性の問題なんか十分にひとつ研究してもらいたいものだと思っております。今後においても、いま課長から話がありましたように、この点は鋭意ひとつその毒性の排除に力を尽くしていくだろうと思います。私のほうとしても、今後そういう問題が出てくれば研究をお手伝いするにやぶさかではありません。
  120. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わりますが、研究をお手伝いするのにやぶさかではないというようなことではなくして、科学技術庁が理化学にそうしたテーマを与えてやっていくわけですよ。ですから、そういう点において、もうただ応援をしていくというような態度であってはならぬと思うのです。ですから、科学技術庁が、農林省等も、関係各省よく連携をしていただいて、真剣にこれを長官みずからが先頭を切ってひとつ今後研究促進をやっていただきたい。その辺のニュアンスがちょっと違うわけです。ですから、その辺のところを長官に、重大問題として今後研究促進をやっていただきたい。この点を最後にもう一度長官のお考えをお聞きして終わりたいと思います。
  121. 木内四郎

    ○木内国務大臣 さっきお手伝いすると言ったのをたいへん誤解していられると思うのですが、これは所管はやはり農林省にあるものですから、私のほうで出向いていって、農林省の所管の仕事を取り上げてやるというわけにはいかないのです。そこで、いま申し上げたように、農林省のほうで鋭意やっておる、なおしかし農林省のほうで、この点は自分のほうでできないから、科学技術庁のほうでやってくれということになると、これはこちらのほうとしてお手伝いは十分にする、こういうことを申し上げておったのでありまして、しかし、いずれにしましても、この問題は大事な問題でありますから、課長からも、また私からも、農林大臣によく伝えて、御心配のないようにいたしたい、かように思っております。
  122. 石田幸四郎

    ○石田委員長 この際おはかりをいたします。  先般鹿児島及び和歌山の両県に委員を派遣し、科学技術の実情について調査を行なったのでありますが、派遣委員より調査報告が文書で提出されております。  本調査報告を、参考のため会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 石田幸四郎

    ○石田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会      ――――◇―――――