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1969-06-11 第61回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十一日(水曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 石田幸四郎君   理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君    理事 齋藤 憲三君 理事 福井  勇君    理事 石川 次夫君 理事 三木 喜夫君       大石 八治君    海部 俊樹君       桂木 鉄夫君    田川 誠一君       松前 重義君    山内  広君       吉田 之久君    近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         宇宙開発委員会         委員      山縣 昌夫君         文部省大学学術         局審議官    渋谷 敬三君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団副         理事長)    清成  迪君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団副         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      神山 貞二君     ――――――――――――― 六月十一日  理事田川誠一君同日理事辞任につき、その補欠  として木野晴夫君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(動力炉核燃料  開発及び宇宙開発に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 石田幸四郎

    石田委員長 これより会議を開きます。  この際おはかりをいたします。  田川誠一君より理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石田幸四郎

    石田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  引き続き、理事補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石田幸四郎

    石田委員長 御異議なしと認めます。よって、理事木野晴夫君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 石田幸四郎

    石田委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。  動力炉及び核燃料開発に関する問題調査のため、本日、動力炉核燃料開発事業団理事長清成迪君、同副理事長今井美材君及び同理事神山貞二君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石田幸四郎

    石田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  7. 石田幸四郎

    石田委員長 動力炉及び核燃料開発に関する問題について質疑の申し出があります。これを許します。三木喜夫君。
  8. 三木喜夫

    三木(喜)委員 五、六点質問をしたいと思うのですが、まず最初大臣にお伺いして、その他は原子力委員からお教えをいただきたいと思います。  去る九日の午前十時から、東京芝東京プリンスホテルにおいて日英原子力会談が開催されておるわけであります。日本側からは有澤原子力委員長代理以下十六名、イギリスからはヒル原子力公社総裁以下八名がおいでになって会談をなさっておるわけであります。この会談木内原子力委員長がごあいさつになっておるわけですが、こういう会談はいろいろ意義があることだろうと思いますので、ひとつお伺いしたいのですが、結局何を協議されるのかということと、それから、この会談に何を期待し、効果はどういうものなのか、それから、いろいろ今後の協力を御検討になっておるようでありますが、日英関係において、どの分野協力し得る余地があるのか、これをお伺いしたいと思います。
  9. 木内四郎

    木内国務大臣 ただいまお話しのように、九日と十日の両日にわたりまして、日英原子力関係会議を開きました。出席者は、いまお話しになったとおりであります。これは御案内だと思うのですが、昨年の十月効力を発生しましたところの日英原子力協定に基づきまして、原子力平和利用に関する日英両国協力関係をひとつできるだけ推進していこうというのが目的で集まったわけです。  なお、いま御質問の、どんなことを話したとか、あるいは、どういうことに期待しているかということは、こまかくなりますので、原子力局長あるいは関係のほうからひとつ説明させたいと思います。
  10. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 今度の会議は初めての会議でございまして、協定におきましては、心要に応じてこの会議を開くということで、英国からの要望でことしの六月にやったらどうかということでございました。われわれのほうでは、ここで早急に何らか直接きめなければならないというものはございませんでした。しかし、意見交換等をする議題は相当あるということで、第一回を東京で開こうということで開いたわけでございます。  議題内容につきましては、一つ動力炉開発に関する問題、もう一つ原子炉の多目的利用、それから、ウラン資源の確保に関する諸問題、それから、廃棄物処分についての現状考え方、それから、保障措置等問題等会談を広くやりました。  それで、きまったと申しますか、大体向こうとの考え方である程度考えが進んでおりますのは、高速増殖炉等、新しい炉の情報交換でございますが、これについて具体的なやり方をきめようということで、協力関係を以前と同じように強力に結ぶということがきまりました。しかし、その内容のこまかい点については、なお具体的な点については、今後やり方について考えるところがございます。  以上が大体おもな問題点として話し合いされたわけでございます。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっと話を聞いておりますと、必要に応じて開く、そうして、特段に必要はなかったんだけれども、議題はある。高速増殖炉情報交換が主たるものだった、具体的なものは今後考える、こういうことです。  私がお伺いしたいのは、原子力協定はなるほど結びましたし、それから、この前私もお伺いしたように、原子炉において相当クラッカーが起こっております。こういうことは、これについての損害は日本が見なければいかぬ。かなりそれを削ってクラッカーの様子なんかも調べておる、この前は、こういう段階だったですね。しかし、だんだんそのクラッカーが深くなってくる、こういう状態も非常に心配しておるのですが、こういう点、具体的に英国との間に話があったのかどうかということも知りたいのですが、それよりも、私は、これをやることによって実際に効果があるかどうかということを、非常に問題にしたいと思うのです。これはまたあとの問題とも関連があるので聞いておきたいのです。それから、どの分野協力し得るのかという一つの目算がなければ、こういう会議を漫然と開くわけにもいかぬ。情報だけ交換しようや、それでよろしいじゃないかということだけでは、国際的なこういう会議意味がないと思うのです。あるいは、日英協力し得る具体的な命題は何かというところまで見つけていただかなかったらいかぬじゃないかと思うのです。そういう点をお聞きしたい。
  12. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 先ほど、私、あまりきめることがなかったというのは、ここで具体的にどれをどうするということで申し上げましたが、この会議は、最後の感想といたしましては、非常に意義のあった会議だというふうに考えられております。と申しますのは、実際的に向こうから八人参りました。こちらも原子力委員の方皆さん出られた。そこで、向こうのいわば将来への考え方、あるいは現在の体制の問題等、非常にざっくばらんな話をしてくれております。それで、第一回でございますので、そういう点を日本現状も十分説明し、向こう現状も聞いて、それで今後この会議を続けていきまして、そこで、先生のおっしゃいます具体的な問題というものに今度は入っていく形になるわけでございます。第一回でございますので、その点で非常に分野を広く、いろいろな意見交換を行なったというのが現状だと思います。これは山田先生が、直接いろいろの御質問をなされておりますので、原子力委員山田先生からお答えするのも一つ考え方だと思います。
  13. 三木喜夫

    三木(喜)委員 次と関連がありますから、次に移ります。  第二にお伺いしたいのは、ウラン濃縮技術開発基本策についてお伺いしたいのですが、具体的に六月三日の朝日新聞の社説に出ておりました内容について、まず、いまウラン濃縮技術として二つ方法開発されかけております。その一つは、理化研におけるガス拡散法、もう一つ動燃事業団でやっております遠心分離法、この二法ですが、この二法の技術の育成について、原子力委員会におきましては、どのように考えておられるか。  それから、原子力委員会におきましては、五月の二十二日、ウラン濃縮研究懇談会をつくっておられる。これとの関連が一体どうなるのか。  三番目に、ガス拡散法は三千億円以上かかるという。遠心分離法のほうはコストが非常に安い。これをどう育成するかということによって、これだけの費用を見るか見ないかということにもなるし、どちらに価値があるかということによって、これだけの予算をつける値打ちがあるかないかということがわかると思うのです。その点をどういうように評価されておるか。また、開発途上ですから、やるだけやらしておけばいいというわけにもいかぬと思うのです。これだけの予算が要るものならば、予算をつけなかったらいけないですし、この評価をやらなければいかぬのじゃないかと私は思うわけであります。これが二番目の質問のうちの三つ目質問でありますが、一応この三つについて御答弁をいただきたいと思います。
  14. 山田太三郎

    山田説明員 ウラン濃縮の問題につきましては、これは二年くらい前に、原子力委員会核燃料懇談会というところで核燃料全般にわたって考えました中の一つの項目であります。  それで、ウラン濃縮につきましては、いろいろな方法がございますけれども、現在有望であろうと見られておりますものは、ガス拡散法遠心分離法でございます。その他も、非常な基礎的な研究は行ないますけれども、その二つにしぼるという考えでありますが、ただし、その場合、原子力委員会は、RアンドDの進め方に若干ニュアンスをつけてあります。それは、ガス拡散法につきましては「調査研究」を行なう。それから、遠心分離法におきましては「研究開発」を行なう、こういうような表現になっております。  その理由は、申し上げるまでもないと思いますが、ガス拡散法につきましては、これはわれわれ自身には既知技術ではございませんが、世界的にいいますと、既知技術でございます。したがって、それの経済性についても大体めどがついておるということがいえると思うのです。したがって、もし日本ガス拡散法研究開発に成功して、いよいよ濃縮ウランをつくるという場合におきましても、アメリカより安い濃縮ウランをつくり得るかどうかということについては若干疑問がございます。その理由は、御承知のとおり、アメリカは軍用につくりました設備が、すでに半分ぐらい償却の済んだ段階原価計算をするということが一つでございます。それと、非常に膨大な設備でありますから、規模の利益を十分受けているということであるわけでございます。第三番目は、あの地域は非常に電力が安い。一円五十銭程度電力である。この三点が満足され、しかも、アメリカ技術に到達いたしますと、いまアメリカがいっておるようなコストになるということでございますからして、そうでない場合には若干高くなる可能性がある。しかし、どうしても濃縮ウランをつくらなければならぬということが起こるならば、アメリカよりも若干高くてもやらざるを得ないという考え方でございまして、それが「調査研究」という形で名前があらわれております。  これに反しまして遠心分離法のほうは、これはできるかできないかわかりません。が、しかし、できた暁には、ガス拡散法よりも安い濃縮ウランがつくれるのではないか、こういうめどがございます。したがいまして、これはRアンドD研究開発である、こういうような考え方をいたしております。これはどういう性質を持っておるかと申しますと、非常に単体の形でできておりますから、ユニットシステムのようなものでございますからして、スケールメリットはそれほど出てまいりません。逆に言いまして、小さくても、ある程度経済効果があげられる。それから第二番目は、電力消費量が、ガス拡散法に比べまして五分の一から十分の一、普通七分の一といわれておりますが、そういうようなことであるならば、若干電気代が高くてもやっていかれるのではないか、こういうことでございます。  そこで、原子力委員会といたしましては、その両方、たとえばガス拡散法に全く手をつけずにおくというわけにはいかない。これはヨーロッパの場合には、もしかいたしますと、イギリス技術が取り入れられるかもしれない、あるいはフランスの技術が取り入れ得るかもしれない。しかし、日本は、その部分は世界的には既知であると申しましても、ベースはゼロでございますから、どうしてもやらざるを得ない。しかし、そこで二つ方法をずっと並行して続けていきますことは、多分国力が許さないであろうということから、今後三年くらいの間に、両方技術につきまして鋭意努力をして、あるめどをつけて、その場合に、いずれか一方を切り捨てることを決心するか、あるいは両方を併用したほうがもっといいということがわかった場合には、両方を続けていくというようなことにしたい。これを四十七年までにめどをつけたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  きのうの日英会談におきましても、イギリスは現に小さいながらガス拡散法をやっております。その英国側が、この遠心分離法はプロミシングである、有望であると申しておりますので、われわれも大体そういう考えを持ちますが、彼らは自分でやっている人が言いますので、やはりこのガス拡散法については、現段階においてめどが出てきているのではないかというふうに考えております。  それから、ウラン濃縮研究懇談会でございますが、そうは申しましても、原子力委員会の、このウラン濃縮研究に対する腰が入っていなかったという御批判があることは当然であると思いますし、確かに十分の腰が入っていなかったということは認めざるを得ません。といって、一ぺんに何百億、何千億ぶち込んだらできるというものでもございません。それで、現在考えられておりますプログラムがございますが、そのプログラムが一体妥当であるかどうか、あるいは、そんなことでは外国の技術に追いつけないのではないかというようなことにつきまして、おもに研究開発側のメンバーが集まってウラン濃縮研究懇談会をつくっておるわけでございます。これは評価でございませんから、第三者はほとんど入っておりませんが、そういう研究開発担当者自体が集まってやっております。そこで若干ディスカッションされておりますことは、理化学研究所という母体においてガス拡散法を十分続けていけるかどうか、どうもあの母体におきましては、できないのではないか。したがって、四十七年までの、チェックアンドレビューを受けるまでの研究でも十分にはできないのではないかということが考えられますので、これを一体どういう形に将来変えていったらいいのだろうかということが一つでございます。  それから、チェックアンドレビューを受けるまでにどのくらいのことをしておかなければならないのか、あるいは、それが四十七年に間に合うのかどうかというようなことも検討いたしております。まだ一回しかやっておりませんから、大きなことは言えないのですが、そこで得られましたかすかな結論的なこと、これはあとで間違っておるかもしれませんが、それによりますと、遠心分離法のほうは、ある単体――ぐるぐる回すところの単体が十分に回って、しかも、これは耐久力が非常に問題でございますから、耐久力も相当あるというめどがつけば、それでチェックアンドレビューを受ける段階までいける。これに反しまして、ガス拡散法は、一段の濃縮の効率でございますね。これが小さいものですから、相当段数を多くやりませんと計測にかからない、はかることができないというようなことと、これはシステムとしていろいろデザインをしなければなりませんので、どうもこのほうは四十七年にはなかなかむずかしそうであるというようなことになっております。しかし、もう一ぺん詰めなければなりません。したがって、次には、理研のいまやっております仕事をどういうぐあいにして今後、たとえば原研でこれを引き継ぐ、あるいは動燃で引き継ぐ、あるいは国内のメーカーの技術、そういったものを動員するには一体どういうふうにしたらいいのかというようなことについて検討する、これは濃縮遠心分離両方でございますが、そういうようなことを考えたい。  お答えになっておりましたかどうか……。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 非常に意欲的な御答弁をいただきまして、よくわかりました。  次に、西独とオランダ、英国、この三国が共同いたしまして、遠心分離濃縮工場共同建設計画を持っておって、六月九日に調印をする運びになっておるようであります。こういう運びは、一のほうで最初にお伺いいたしました日英原子力会談と、こういう三国の共同建設計画というものとの関係があるのかどうか。それから、三国で共同してやっていこうとする理由、これをお伺いしたいと思います。
  16. 山田太三郎

    山田説明員 この三国会談のことにつきましては、ちょうどわれわれ日英会談を開いておるときに、ドイツで会合が行なわれたのでありますが、まだ詳しいことはわかっておりませんが、最終のアグリーメントをきめるに至らずに別れておるようであります。  それと日英会談との関係でございますが、日本側は、ただいま私が申し上げましたような説明をいたしましたし、特に日本は、原子力法関係があるので、独自に開発するということを申しました。ただし、英国側では、フォースカントリーズ、第四国群というものについての考え方について若干申しておりましたが、それは、ことしの暮れぐらいになれば、それに対して、どういう条件で、どういうことがいえるかということがわかるであろう、こういうような程度でございます。  それで一体、どんな話になるのかといえば、たとえばアメリカのような賃濃縮をしてあげますとか、あるいは遠心分離機を売ってあげますとか、遠心分離機技術をあげますとか、こういうようなことも含まれるかもしれない――これはかもしれないでございます。しかしながら、その場合の機密保持クラシフィケーションの問題が非常に重要である、こういうことを向こうでは言っております。逆に、日本側からは、クラシフィケーションの問題は日本では非常にシビアーな問題であって、そういううるさい問題にはいま立ち入ることを考えておりません。  それと、前の話に戻りますが、日本でも若干研究開発が成功するのではなかろうかというめども出てまいりました。そんな意味で、意欲的にわれわれはやっていこうとしております。  ですから、第四国問題は、向こうから特に触れたわけじゃないのですが、彼らがペーパーをわれわれのほうにくれておりまして、その中に書いてあったものを質問した。向こうの代表が、フォースカントリーズの問題を議場で説明したというものではございません。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 遠心分離法についてはかなり有望な見通しがあるようでありますから、ガス拡散法とともに、今後の御検討をいただきたいことと、そして、これについて原子力委員会としては強力に政府にも要請しながら――予算をつけぬことにはどうにもならぬのですからね。この点、原子力局長もおられるし、大臣おいでになっておるのですが、どっちかというと、われわれは、エネルギー源に対する革命的な時代に入っておるのですね、その接点にいま立っておるような気がするのです。いまもお話を聞きましたように、濃縮ウラン可能の見通しが大体ついておるということになれば、これを促進せなければいかぬわけですね。それについて、来年度のことを言えば鬼が笑うかもしれませんけれども、八月にもうすぐ予算の編成にかからなければならぬわけです。どういう決意を持っておられるのか。日英原子力関係のこういう会談を持たれた上で、そういう決意を新たにしてもらわなければいかぬ問題点が私はあると思うのです。相手方からもそういうような誘いかけがありますしいたしますけれども、わが国わが国として独自な開発をするということを原子力委員のほうからはっきりおっしゃいました。そうなると、相当予算の問題が大きく前へ出てくると思います。どういう御決意ですか、ひとつその辺を聞かしていただきたいと思います。
  18. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しの問題、たいへん大事な問題でありまして、私どもも日夜心を砕いておるのでありますが、ウラン濃縮の問題については、いま山田原子力委員からお話がありましたように、こちらのほうでも独自の開発をしていこうということでありまして、動燃によりましては遠心分離法、それから理化学研究所によりましてはガス拡散法、これによりまして研究を続けてもらっておるのですが、それで、四十七年ごろまでに、その成り行きを見まして、諸般の情勢を考えて、できればひとつ一本にしぼって、そうして、強力に進めてまいりたい。これのためには、いまお話しのように、いろいろ予算が要ります。この予算については、従来も、足りない予算ではありましたけれども、予算をつけておったのですが、今後におきましては、この研究を進めるに必要な予算はあくまでもひとつ獲得するように努力をしてまいりたい、かように思っております。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 具体的なことはわからぬでしょうけれども、原子力局長ならば、大体、来年度どれぐらいな予算をこれについて要請せなければいかぬかという見取り図が立っておらぬといかぬと思う。きょう、もう六月で、原子力委員はいまこういうようにおっしゃっておりますね。そうすると、これはナショナルプロジェクトのうちで、燃料というと、一番基礎になる問題ですからね。動力炉燃料というものは、これは車の両輪ですから、片一方がすでにこういう進み方になってきたということになってくると、私はかなり予算が要るんじゃないかと思う。とかく政府考え方は、このナショナルプロジェクト、いわゆる宇宙、あるいはまたこの原子力、将来は海洋もありますね。こういうものを組んでいくということは、政府全体の中のそれだけ出ていった予算、こういう考え方に立たなくて、むしろ、科学技術庁予算をふやしてやったぞというワク内で操作、ふえたとか少のうなったとかいうことを比較していく、こういうきらいがあります。この前も木内長官にも私は申し上げました。これは何か別途に考えていくというような、そういう方策を内閣においてとらなかったら、とてもこれはできませんよ。ガス拡散法についても三千億円要るということになったら、これはもうたいへんなことになるように私たちは思うのですね。その点、局長、お考えがあればひとつ聞かしてください。
  20. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 先ほど山田委員から御説明いたしましたように、四十七年にチェックアンドレビューがございます。それができるまでの研究成果を出さなければなりません。ところが、いまのところは、御承知のように、まだ基礎的段階で、片一方は隔膜だけ、片一方は遠心分離機の一部というところでございます。したがいまして、今度も原子力委員会で、懇談会でやっていただいておりますのは、チェックアンドレビューするのには、まだ関連技術の、たとえばポンプだとかそれから材料の問題もございます。その研究をどこでどうやるべきかという課題を早急にこの一、二カ月で出していただいて、来年の予算に間に合うということでやっていただいておるわけであります。しかし、一方、ことしやはり、詰めなければいけませんので、ことし委託費等を使いまして、理研のほうは、三段階のカスケードまで組めるところに持っていく。そういう形で、できるだけのことは、ことしはいたしますが、来年は、研究課題をまず積み上げまして、その基礎研究から入って、どうしても四十七年にチェックアンドレビューできるだけのデータを出したいということで、予算を積み上げていきたい。  いま、幾らになるかということでございますが、これはいま私の個人的考えでいきますと、課題の出方次第でございますので、四十五年度より四十六年に相当に要ると思っております。四十五年度ももちろん、いままでどおりではございませんで、相当でございますが、原子力平和利用の委託費もございますし、動燃その他のということも総合的体制でできるだけ強力に予算化していきたい、こう思っております。
  21. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それから、原子力委員の方にもう一つ……。ちょっと答弁が漏れておるのですがね。ドイツ、それからオランダ、英国と、三国が協同するところのわけはどういうところにあるのか。
  22. 山田太三郎

    山田説明員 正直に申しまして、よくわかりません。われわれのほうもそういう情報の収集の能力が少ないことについて非常に残念に思っております。もしもどこかの国でひとり立ちができるのだったら、三国でやるはずはないというふうにわれわれも考えるわけでありますが、オランダはだいぶ小さな国ですからどこかの国とやりたい気持ちになるのは、わかります。ドイツは、自分の国内でやるとうるさいということがあるので、別のところでやるということはわかるのですが、イギリスがなぜやるかということにつきましては、よくわかりません。ただ、いろいろな技術情報をながめてみますと、たとえば日本は現在の段階では超々ジュラルミンのシリンダーを使っておりますが、イギリスあたりはグラスファイバーの技術がある。オランダには非常にいいガスベアリングがある。ドイツはどうということは詳しく知っておりませんが、そんないろいろなものをうまくまとめてやるのか、それとも独自にやるのかについてはわからないのでございますが、そういったような技術的な違いが若干あるようにも伺っております。しかし、これは何ゆえであるかと言われますと、むしろ先生にお教えいただきたいというふうに思います。
  23. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その次に、これとも関係があるのですが、有澤さんが第二原子力センターの構想を発表されておるわけなんです。その理由は、東海村にこれ以上多くの施設建設は期待できないということを理由にし、さらに第二センターの設立の意義としましては、これは工業化の技術開発高速増殖炉、多目的利用炉、それからウラン濃縮、こういうことを東海村でやりにくいから、やれないから、どこかほかで第二センターをつくるのだ、そうしたら、いままでの東海村の原研のほうはどうなるのかということになりますと、これについては基礎的な研究を重点に置くのだ、こういう発表をなさっておるわけなんです。  これについては、原子力委員会としての統一的な見解になっておるのか。さらにまた、科学技術庁としては、これに対してどう考えておられるのか。さらに、候補地をどこに考えておられるか、これは今後の問題でしょうけれども、一応どこに候補地を求めようとされておるか。私たちが考えられるのでは、むつあたりを非常に賛美されておりますから、この辺が候補地になるのじゃないか、そういうめどをつけておられるのじゃないかと思ったりもします。しかし、これを言いますと、今後なかなかむずかしい問題も起こりますから、ちょっと言いにくいかもしれませんが、全然白紙かもしれません。その辺をひとつお伺いしたいと思います。
  24. 山田太三郎

    山田説明員 これは有潔先生がじかにお答えになるのが一番いいと思うのですが、まあ正直に言いまして、委員会の内部で相当話し合われたことであるということではございません。まあどっちかというと、有澤私案のような感じであると思います。しかし、これから大型の高速増殖炉とか、あるいは、もしできますならば多目的原子炉であるとか、さらにはウラン濃縮工場であるとかといったようなもので考えてまいりますと、確かに東海村では十分でないということはわかります。しかし、われわれも一緒に行っておりまして、有澤先生があの話をされて実はびっくりしたわけなんです。ちょうどあの当時は、国会も終わるはずであったので休みに来たのだ、こういうことを言うのだと言っておられたのに、突然言われたものですからわからないのですが、この点はどうも私からかわって答えてはまずいかもしれませんが、ただ、委員会の決定とか内定とかあるいは相当話し合われたことであるということではございません。
  25. 三木喜夫

    三木(喜)委員 科学技術庁はどうですか。
  26. 木内四郎

    木内国務大臣 私もその場におったわけではありませんのでよくわかりませんけれども、いま山田委員お話しになったとおりであると思います。私は有澤先生がおっしゃったポイント、根本は、これから原子力の発電その他原子力平和利用というものは非常に広まってくるだろう、そうして、諸般の施設が全国至るところにできるような時代にだんだんなりつつあるのじゃないか、そうなってくると、東海村だけでは原子力のセンターとしては足りないのじゃないか、そこで当然あと二つ三つも方々にできるというようなことになってくるだろう、まあ二つ三つもとまでいかなくても、少なくとも二つ目ということが近く必要になってくる時期がくるのじゃないだろうか、こういう趣旨でお話しになったんじゃないか、かように私は想像しております。
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その話の中に、東海村は基礎研究、それから、こちらは、どっちか言うと、工業化の研究をやるところだ、こういうことになってきますと、いまの原研というものがどうなるのか、この辺がちょっとわれわれの頭で交通整理がしにくくなってくるんですね、こういうお話になりますと。それで、機能の上からどうなのかという疑問を持ちますから、お伺いしておるわけでございます。そういう分け方で科学技術庁長官二つにせなければいかぬと、こうおっしゃるのですか。
  28. 木内四郎

    木内国務大臣 さっき申しましたように、私もその場におりませんし、有澤先生から伺ったわけではないからわかりませんが、いま基礎的なことは東海村でやっているだろう、これからつくっていくものは特殊な目的のものがだんだん出てくるようなことになるんじゃないかというようなことを頭に置かれてのお話じゃないか、いま現に東海村では基礎的なことをやっていますから、そんなようなことから当然にそんなようなお話になったんじゃないだろうかと私は想像しておるような次第であります。
  29. 山田太三郎

    山田説明員 第二センター構想は、むつ市というようなところで発表されたのでございまして、したがって、新聞記者は有澤さんの言われたことについて十分理解できなかった点が多かったと思います。ですから、いまお話しの点も私はそばにおりましたが、どうも聞いたように覚えておりません。あのときの新聞報道を全部ながめでみますと、みんな少しずつ違ったニュアンスになっておりますので、私はどうもそういう話はなかったというふうに思っております。
  30. 三木喜夫

    三木(喜)委員 使用済み核燃料輸送上の問題がこの委員会でもだいぶ問題になったわけですが、この問題が提起される理由といたしましては、諸外国の法規との関連がない、それから、許認可の基準が明確でない、それから、許認可の手続が非常に複雑多岐である、こういうところから、国際的な共通性を持ったやり方にしたらどうだろうかという意見があるようであります。私は、この点について、原子力委員にお伺いしたいのですが、むしろ国際原子力機関IAEAはこんな問題こそ取り上げ、日本原子力委員も当然こういう問題にタッチされるべきではないか、当委員会におきましては、近江君あたりが盛んにこの問題についていままで当委員会で質問をしておりましたし、意見も言っておったわけです。そういう意見がいま大体出ておるようであります。どういうようにお考えになりますか。
  31. 山田太三郎

    山田説明員 この使用済み燃料の輸送につきましては、まあ省の所管範囲の問題もございますので、原子力委員会としましては、輸送容器の基準というものをつくりました。これは、いまお話しのIAEAの基準のほとんどそのまま引き写しでございます。したがって、国際的なものであるということがいえると思います。ただし、その場合には輸送容器だけでございましたので、輸送容器だけできても輸送することはできませんが、このIAEAの基準は輸送容器及び輸送のしかたも書いてあるわけでございまして、その分をわざわざはずして輸送容器の基準をつくったり何かしております。したがって、原本はございますので、そういうことについて局と運輸省との間で早急にその話をしてもらいたいというようにわれわれは思っております。したがいまして、いまのお話はIAEAの基準を一そう言いますと少し権威が落ちますが、それのほとんど英語を日本語にしたに近いもの、若干日本的な考えも入れましたけれども、大体国際的なものになっておるというふうに思っております。
  32. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それなら、原産の核燃料問題懇談会の中に使用済み燃料輸送問題専門委員会がいま検討中、こういうことにはならないと思うのですがね。それで盛んにいまそういう隘路があるものだから検討中ということがいわれておるわけですが、科学技術庁のお考えはどうですか。
  33. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いま山田先生のおっしゃったとおりでございますが、実は燃料運びます場合に、どうしても海を渡ってよその国に参ります。そういう関係からいきますと、やはり海外の基準を守るということで、いま申しましたIAEAの基準の形に持ってまいります。その基準を日本の法律の中の、航行法、いろいろな法律がございますが、それにいかに当てはめるかということで検討しておりまして、それで、その方向で、科学技術庁と運輸省とが一緒になってそれで指定をして運んでいくという形をいまとっております。しかし、まだ、その中のどこをどういうふうに直したらいいかという点について運輸省といまこまかく検討中でございますが、現在のところ、向こうの基準に基づいて送れる体制には一応できております。ただ、法律改正といいますか省令改正といいますか、一部こまかい点の改正をしたほうがいいという点が少しございます。その点について早急にやりたい、こう考えております。
  34. 三木喜夫

    三木(喜)委員 局長お話は、私が言いました三つのうちの一つに大体なるような感じがするのですがね。とにかく、許認可の基準が明確でないということやら、許認可の手続が複雑多岐であるというこの問題について、すでに原産の核燃料問題懇談会で専門委員会を設けて検討しつつある、こういう段階において、科学技術庁は、そういうところで検討して、もうそれでよろしい、それを受けて私らのほうはいろいろな法律改正等をやりましょうという御態度か、あるいは、われわれのほうでもそれは当然検討しなければいけないというお考えなのかということを科学技術庁に聞いておるわけなんです。
  35. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 もちろん、これから先、なお検討しなければならないと思っております。これは早急にやらなければいけない。ただ、まだ運んだことはございませんので、今度運ぶ場合には行政指導と、それで運んでみてその経験をとりまして、そして、はっきり基準化したといいますか法律化したというものにしていきたい、そういう努力には万全を期したいということで検討中でございます。ただ、いまのところ机上の空論だけでやるわけにいかないので、ことしの分については行政指導といいますか、いままでの法律の範囲内でできるだけのやり方をやってみて検討していきたい、そう考えております。
  36. 三木喜夫

    三木(喜)委員 次に移ります。  もう一つだけお伺いしておきたいと思いますが、いま原子力委員の欠員ができております。その欠員の補充として、ここに北川一榮さん、住友電気工業株式会社取締役会長ですか、それから、原子力産業会議理事日本科学技術振興財団副会長、こういう肩書きの人がいま候補にあがっておるわけであります。私は、この北川さんという人にけちをつけようという気持ちは毛頭ございません。しかしながら、原子力委員、こういうことになりますと、私がいま若干御質問申し上げたように、かなり日本の国の原子力事情というものは緊迫してきておるんじゃないかと思います。したがって、こういう原子力委員というのはかなり専門的な経験なり意見なりを持っておられる方がいいのではないかと思ったりもいたします。そういう点で、この人が適任であるか適任でないかということは知りません。そこで、これは、この原案を出された科学技術庁の長官にお伺いをしたいと思うのです。  私の考えを忌憚なく言わしてもらいますならば、動燃事業団だとか、原研とか、あるいはその他のところでこの問題に懸命に取り組まれているこういう方がおありになると思う。そういう経験を持っていってそれを基礎にして、そして、原子力委員をやっていただくというのがいいのではないかと思ったりもいたします。  なお、これは先ばしった言い方かもしれませんけれども、有澤さんの任期が九月に切れるような気がするのですが、こういうことになってきますと、もう期限が来たからやめてもらうとか、あるいはその次にだれかに出てもらう、こういうことでなくて、実質的に働いていただいたかどうかということを大体焦点にしてやっていただかなければならぬのじゃないか。私は端的にいえば、有澤さんのような人は、できれば原子力委員として残ってもらえればいいんじゃないか。とかく、いままで各委員会との兼職が多いとかなんとかいうようなことをいって、有澤さんの問題が批判を受けました。私は、そういう意味合いで有澤さんの場合はいいんじゃないかと思うのです。これは何も有澤さんを引き合いに出すまでもないのですが、要は、そのことに専心やっていただいて、日本の国の原子力開発に意欲的にやっていただける人がいいのではないか。財界のだれかをバランス的にこう配置していくというのでは、これは困ると思う。また、原子力産業界の何かをしておる人を持ってきておかなかったら産業界ににらみがきかない、こういうような政治的な配慮からばかりでは、私はいかぬのじゃないか。純粋な立場でやっていただけないかということを申し上げたいと思う。これは人のことに関係がありますから非常に私も言いにくいのですが、この人にとやかくということを言っておるわけではありません。そういうところに焦点を合わせて、いい人なればひとつ確信をもって御答弁いただいてけっこうでありますし、私は何もわかりませんので、お伺いしておるわけです。
  37. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しの問題、これはたいへん大事な問題だと思いますが、原子力委員会委員先生方、これは非常に大事な問題を扱っていただいておりまするし、私どもはその選任には慎重を期さなければならぬと思っております。  そこで、いま原子力委員になっておいでの方、みな各界を代表した、有能な、りっぱな方でございます。そこで、この原子力委員の選考にあたりましては、やはり政治のほうに関係しておる者としては私が委員長という名前になっておりますが、そのほかに、財界の方あるいは学界の方あるいは外交方面などについても関係のある方、各界の有能な人々を集めてやるのが私は適当じゃないか。ただ単に原子力関係技術的の方面だけの御理解のある方だけでは私は足らない。各界の有能な方々を集めて、そして形成するのがいいのじゃないか、かように思っております。  それから、いま有澤先生お話もありましたが、有澤先生の個人的のことは別としまして、任期が来たからどうとかなんとかいうものでは私はないと思う。いまお話しのように、やはり有能な方は、任期が来たら何回やってもらってもかまわないのですから、別に任期が来たからやめていただくとかなんとか、そういうことは私どもは考えるべきではないし、また考えてもおらないつもりでございます。  北川委員のことにつきましてもお触れになりましたが、(三木(喜)委員「北川委員候補、まだ委員になっていない」と呼ぶ)それは個人的のことはここではあまり申し上げたくありませんけれども、財界のほうの代表者として、高井さんが前に出ておられた。それで財界のほうにおいて深い御経験があり、そのほうの御推薦のある方がやはりこの委員会に加わっていただいておることが適当だろう、私はかように考えまして御推薦を申し上げておる、こんなようなわけでありまして、別にだれにとらわれてどうというようなことは、私ども毛頭考えておりません。そのことをひとつ申し上げておきたいと思います。
  38. 三木喜夫

    三木(喜)委員 わかりました。言ってもせんないことかもしれませんけれども、天下り官僚ということがあるわけですね、高級官僚の行き場所としては。これはバランスさえとってそこへはめておけば、財界、産業界との関係がうまくいくという関係だけで、年をとった人をどんどんそこへはめていくということになれば、これは高級官僚の天下ったのと何ら変わらないということになりますし、天下り重役ということになるわけですね。これを政府機関なり国の機関の中でこなしていくということは、口幅ったい言い方かもしれませんけれども、そういうことになっては困ると私は思うのですね。ごりっぱな方のようでありますから、私たちもとやかく申し上げる筋合いのものではありませんけれども、理屈を申し上げると、そういうふうなことでございます。  そこで、いま数点にわたりまして原子力問題についてお伺いいたしました。要は、これから後八月を迎えまして予算の時期がやってまいります。この仕事に携わっておられる方、あるいは濃縮ウラン研究に従事しておる人が予算的に苦しいというようなことでは、これはとても望みを今後に託すことはできませんので、大臣に今度また新しく腕をふるってもらうときですから、どうか大いにがんばってもらいたいと思います。それを要望しまして、要望ですから御答弁は要りません、終わりたいと思います。
  39. 石田幸四郎

    石田委員長 次に、吉田之久君。
  40. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いま三木委員からチェックアンドレビューの問題、それから核燃料問題等につきまして御質問がございましたので、私も、多少重複するかもしれませんけれども、この問題につきまして御質問をいたしたいと思います。  実は、朝日新聞の岸田純之助という人がチェックアンドレビューについて著書を書いておられます。それを読みますと、日本の科学の進め方の中にはこのチェックアンドレビューという手法はいままではなかった。しかしながら、諸外国では、ビッグサイエンスに取り組む常識としてこのことはなされておる。今度新型転換炉のチェックアンドレビューをやられることはわれわれも大いに歓迎するものであるけれども、決しておざなりにならないように心から期待するというふうなことを申し述べておられます。まさにそのとおりだと思うのです。したがって、われわれもいろいろこのチェックアンドレビューのやられ方につきまして承りたいと思うのでございますけれども、あくまでもそういう意味で、将来に悔いを残さない、的確な判断を日本のビッグサイエンスの推進の中で歴史的にやられたというふうなりっぱなチェックアンドレビューにしてもらいたいという考え方を強く持ちましてお聞きいたしたいと思う次第でございます。  そこで、承りますと、この新型転換炉の評価検討専門部会というものが設置されることが原子力委員会におきまして五月の八日に了承されております。その後この専門部員さんをどういう方々に委嘱するかということでいろいろ選考が進められておるやに聞いております。  そこで、まず承りたいことは、この専門部会の構成、人員ですね。それから、大体どういう人たちをもって選任されるのか。それから、さらにどういうことを諮問し、そして具体的な審議はどういうことをやられようとするのかというふうな点につきまして、この機会に原子力委員会のほうから明らかにしていただきたいと思います。
  41. 山田太三郎

    山田説明員 吉田先生御指摘のとおり、このビッグプロジェクト、ビッグテクノロジーというものは、常にチェックアンドレビューをされなければいけないものでありますし、これを遂行しておる者は中で常にチェックアンドレビューをしておりますけれども、しかし中の者がやります場合には、当然推進するということが前提で行なわれますので、やや観点を変えた、まあ冷静なといいますか、公平なメンバーによってチェックアンドレビューが行なわれるということが大事であろうということは、原子力委員会としても前から考えておったところでございます。  それで、いま御指摘の新型転換炉の評価検討専門部会は、六月五日に第一回の会合をいたしました。これの際に私もちょっとごあいさつしたわけでございますが、要するに、結果は、常に青信号が出るものであるとはいえない。赤信号もあり得るし、いや注意信号の場合もいろいろあり得るだろう。しかし、原子力委員会としてはどういうお答えでも十分いただきまして、あと検討さしていただくということを申し上げました。  これの内容は、要するに、いま動力炉核燃料開発事業団がずっと計画を進めてまいりまして、いよいよ新型転換炉の原型炉をつくるという、あの節の段階に参ったわけでございまして、新型転換炉を四十五年度、来年につくる、建設を始める、そういう計画が一体妥当性があるのかどうかということを諮問いたしたのでございます。  もう少し中身を申し上げますと、これは経済問題とか技術問題、いろいろございますが、これが将来開発が成功いたしまして商業炉となるという段階におきまして、軽水炉と比較いたしまして、この新型転換炉の発電原価が経済性において相当よいものであるということが必要ではないかということが一つと、同じく日本でやっております重水炉と似通った重水炉がございますが、そういったものといろいろ比較をしてみたらどうかということが第一点でございます。  第二点は、前々からいわれております核燃料の資源対策関係でございまして、新型転換炉ができますと、軽水炉に比べていろいろ利点が出てまいりますが、核燃料の多様化あるいは核燃料資源の有効利用、たとえば濃縮ウランの所要量が少なくなる、あるいは濃縮ウランがもう要らないというようなこと、そんなことは当然エネルギー供給の安定性に関与してくるわけですから、そういう度合いについて、第二点は聞いております。  第三点は、現在動力炉核燃料開発事業団が進めておりますところの原型炉建設計画、これを技術的な見地から見て、やれればいいけれども、ほんとうにやれるのかということを検討していただく、その具体的な開発計画の妥当性についてでございます。  なお、第四番目は、この新型転換炉を日本開発するということは自主技術でやるわけでございまして、それはいろいろな面から開発効果があるであろう。これは単に経済的だけではいえないかもしれませんが、そういう開発効果について検討していただきたい。  こういったような四点でございます。  それで、お話しのメンバーでございますが、大学の先生方、これは必ずしもエンジニアリングではございません。エンジニアリングもあります、経済もございますが、七名、それから経済団体から二名、電力業界から一名、メーカーから一名、金融機関から一名の計十二名で、これに関係いたします原子力委員といたしましては武田委員と私でございます。
  42. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いまの御説明を承りまして大体の輪郭はわかってまいりました。いまも申されましたとおり、チェックアンドレビューする人たち、その人たちがいままでいわゆる推進役を買ってこられた中心人物ばかりであっても、いわゆる冷静な、客観的な評価をすることは、その点でむずかしいだろう、といって、いわゆる学者グループばかりにこれをお願いした場合、はたして現実の政治と対応する評価ができるだろうかどうかというふうな点でわれわれはいろいろ懸念いたしてまいりました。いま構成を承りまして、十二名のうち、いわゆる大学の先生方が大体過半数を占めておられるということを承りました。私は、それはそれなりに一つ意義があるし、妥当だとも思うのでございますけれども、しかし、いわゆるほんとうに手塩にかけてきょうまで原子力開発を推進してこられた人たち、あるいは、官僚の中のそういう点では非常に専門的な人たち、こういう人たちを若干加える必要はなかっただろうか。あるいは特にチェックアンドレビューする場合に、国家が予算面でどのような処置をしていくかということが一番重要な問題でございますので、たとえば大蔵省あたりが、この評価に対してどういう関係で審議に加わると申しますか、関連してくるのか、この辺のところを少し御説明いただきたい。
  43. 山田太三郎

    山田説明員 いま御指摘のように、これの推進役をやっておった人というメンバーは、それほど入っておりません。しかし、実際にはこの資料の提供を相当動力炉核燃料開発事業団が行ないますので、その面で実態的な資料は十分出てくるのであろう、それを公平に見ていただくというのがわれわれの考えでございます。  大蔵省との関係は具体的に私よく知りませんけれども、いままで申し上げましたような趣旨でスタートしていくことで十分了承しておるのではないかというふうに考えております。
  44. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 さらに、実際これが実用段階に入ってまいりますと、これはいわゆるわが国の総合エネルギーの重要な一環として使用していくユーザーですね。それから、この炉をつくっていくメーカー、こういう各界の意見というものは、このチェックアンドレビューには、この入り方では少し線が弱いと申しますか、実際それをになっていく人たちの意見というふうなものは、事前にはこの程度でいいものでしょうか、どうでしょうか。その辺の御見解はいかがですか。
  45. 山田太三郎

    山田説明員 電力関係あるいはメーカー関係というメンバーは、必ずしもそのフィールドを全部代表しておるといった意味委員になっていただいておるわけではございませんけれども、委員になられた方はそういう気持ちも多分にお持ちのようでございますので、チェックアンドレビュー段階では、この程度でいいのではないかというふうに思っております。なお、このメンバーは大学の先生と申しましても、非常に広い視野を持った方が相当おられますので、技術開発その他の専門家が相当入っておられます。  なお、具体的な仕事は、この十二人の方ではとうていできませんので、この下に、委員が判断をする素材を提供するというような意味で、小委員会を二つつくっております。一つは主として経済性を――簡単に経済だけと割り切れませんけれども、主として経済問題を扱う第一分科会と、主として技術的問題を扱う第二分科会というのがございまして、ここに多数のメンバーを各界から入れて検討いたします。  なお、この分科会には専門部会の委員が二名ずつ各分科会に入りまして、この資料の検討をするわけですが、この第一回の会合をやりました際にも、あまり分科会で先ばしって答えに近いものを出してもらっては困る、相当判断の余地のあるものは判断の余地のある形で専門部会に上げてくれ、こういう御指摘がございましたので、いろいろ意見の分かれる点につきましては、そのままの形で専門部会でもう一ぺん検討していただくわけでしょうけれども、十分な整理をした上で、問題点をあまり分科会の段階で切り捨てないで専門部会へ出すわけですが、そのもとの資料は、この分科会が相当やってくれるであろうというふうに考えております。
  46. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いま承りまして、その構成等あるいは運営等でいろいろの配慮がなされておりますことはよくわかりました。ただ、いまの御説明で、いわゆる専門部会の中に二つの分科会がつくられて、その専門委員というのですか、それはそれぞれ第一分科会と第二分科会に二人ずつ担当される。その分科会の中にはそれぞれ各界の専門家の方々が十数人ずつ配置される。結局、この分科会のそういう委員を助けるメンバーというのは、いわば単なるアシスタントみたいなものであって、この人たちには何の決定権もない。ただ、こういう事情を適当な資料、適切な資料を集めて専門的に検討される。その結論をそれぞれ専任されている委員の人たちが聞いて、そうして専門部会にかけるということなんですけれども、この第  一分科会と第二分科会は経済面と技術面ですから、角度がずいぶん違いますね。それぞれいろいろな検討がなされると思うのです。いまおっしゃるとおり、判断の余地は残すべきものは残しておいてくれ、もっともだと思います。それを判断する場合に、今度は、専門部会だけで判断するのか、その辺のところをもう少し御説明願いたい。
  47. 山田太三郎

    山田説明員 まだ、そこら辺の詳しいところまでは実は固まっておりません。第二回以後、審議のやり方をもっとだんだん固めていくと思います。しかし、専門部会では大所高所から意見を出したいので、小委員会において二、三あるものをあまり切り捨ててしまってもらっては困るというようなことでございますからして、そういう意味では、専門部会としては独自の判断が出せることになると思っております。小委員会は、事態を明らかにするという点で、問題になりそうな点を小委員会の段階で切り捨てないでくれ――先ほど申し上げないで申しわけありませんでしたけれども、そういうような形になっております。  しかし、これは日本でも初めてでございますので、どういうやり方が一番いいのかについてはまだわかっておりませんが、まずは、第一回の専門部会をやっただけでございます。その間、分科会におきましては、もうさっそく検討に入っておると思いますが、七月の上旬ごろになりますと、その分科会がどういうふうに審議していったらいいかという方針を審議した結論のようなものを専門部会で検討いたします。それから、なお、八月の下旬ごろになりますと、いまの審議方針に従って分科会が作業いたしまして、そこで分科会が中間報告を出す。それの出た中間報告を専門部会で審議していただく。それからなお、それでいろいろクレームその他等が出ると思いますので、そこでいろいろな問題点を専門部会が出したあとで、今度は小委員会が作業いたしまして、小委員会としての報告書を出す。それの結論が九月ごろに得られるので、九月中旬にこの分科会の報告書の審議をいたしまして、そこでまたいろいろ問題が出るでありましょうから、また分科会に戻すか、あるいは専門部会そのものの中で小委員会をつくるか知りませんけれども、そこで起草委員会のごときものができるかと思います。その段階で、十月中旬に決定をしていこう。小委員会といいますか、分科会があまり独走しないで、間で何度かチェックアンドレビューを受けて進行するということになると思います。
  48. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 何せ初めての試みでございますので、いろいろと今後慎重な検討をなされたいと思います。ただ、私どもが希望いたしますことは、そういう機構の中で、最後は一体だれがチェックアンドレビューをやったのか、いわゆる専門部員であったのか、あるいはその下におられる人たちであったのか、何かがちゃがちゃになってしまうというふうなことがあってはなりませんし、それから、特に私どもが心配いたしますのは、その第一分科会や第二分科会で一応何がしかの結論、検討報告がまとまるだろうと思うのですが、それを本来の専門部分にかけられる場合に、事経済の問題であろうと、技術の問題であろうと、もう一度ほんとうにフリーな立場で専門部会というものが論議されなければ、何か自分たちの率いてきた意見に固執したりするようになってしまいますと、これは冷静さを欠くことになるだろうと思います。また、いま一つは、専門部会が単なるサロン的な、仲よしクラブ的なものになってもこれはたいへんでございますので、その辺、やはり、えらい先生方ばかりでございましょうけれども、原子力委員会としても、科学技術庁としても、最初であるだけに十分な指導や要望をなされなければならないのではないか。それから、特に同じ部員のメンバーでも、いま申されましたように、各分科会にいわば専従される部員と、それから単なる部会にだけ出てこられる部員というふうな点で、若干実情の点でニュアンスの差が生じてきはしないか。そういう点で、いろいろとトラブルが起こったり、あるいは発言力の大小が起こったりしてはなりませんので、われわれもよくわかりませんけれども、この辺のところ、長官のほうも、原子力委員会としてもよく配慮、御指導、英知をしぼっていただきたいというふうに思うわけでございますが、特に長官、何か御感想がございましたら、ひとつ……。
  49. 木内四郎

    木内国務大臣 いま御指摘の点、たいへん大事なことでございまして、いかなる制度、あるいは機関、機構のもとにおきましても、その運用がやはり一番大事でありますので、いまいろいろ御注意いただきましたことを、私どもはもちろん、原子力委員会のほうにおいても頭に置いていただいて、誤りのないように、いい運営をしていくようにしていただきたい、かように思っております。
  50. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 次に、この専門部会で審議される審議事項につきまして、原子力委員会のほうに少し御質問をいたしたいと思うのです。  まず第一番として、軽水炉と比較した場合における新型転換炉の経済性ということでございますが、このいわゆるデータと申しますか、新型転換炉というのは、これはまだできていないわけですから、いままでの設計によっていろいろと想定される性能を勘案して、現にある軽水炉のいろいろな要素を取り出して、双方を検討するということになるだろうと思うのですが、通産省のエネルギー調査会で今日まで中間報告として二回ぐらいいろいろな資料が出されているように思います。そういう資料がやはり主たる検討の素材になるのだろうかとわれわれは憶測をいたしているわけでございますけれども、大体そういうことなのかどうか。それから、海外の重水炉の場合も、これはデータをどのように集め、どれを平均値として参考にするかというふうなところを、すでに考えておられることがございましたら、御説明をいただきたいと思います。
  51. 山田太三郎

    山田説明員 この経済性というのは非常にむずかしい問題でございまして、われわれの知っておるのはプライスですけれども、ここではコスト考えなければならないというような点で、プライスとなりますと、そのときの経済情勢、あるいは売りたいか、売りたくないかというふうなことで非常に違ってまいりますから、非常にむずかしいのであろうと思います。特に新型転換炉の場合におきましては、極端なことをいいますと、原型炉をつくった上でなければなかなかほんとうのことはいえないということにもなるかとも思いますが、しかし、これは相当な幅のある答えが出てくるのは当然であると思いますけれども、いかに幅があるとしても、どうも軽水炉に及ばないということでは、われわれとしては、あとこれを開発することがなかなかむずかしくなってくるのではないか、こういうふうに思っております。しかし、この経済の問題をワンポイントですぽっと切り捨てるというようなことはなかなかむずかしいので、これは委員の方もなかなか頭を悩まされるのではないかと思います。われわれとしては、特にこういうことをやってくれとかいうようなことは頭に持っておりません。  それから、重水炉につきましては、これはいろいろな評価がございます。ですから、それを参考にして日本の場合に当てはめることが可能であると思います。  なお、さらに海外におきましては、あらゆる新型転換炉と軽水炉とをいろいろ比較した論文等もございます。しかし、そういったものも中身によく入りませんと、どういうデザインのものを比較したかということになりまして、単に炉型が重水型であるとか、あるいは軽水型であるとかいうことだけではいかないと思いますけれども、しかし、そういったいろいろな原子炉のタイプを比較いたしまして、それで、ある国の政策をきめているという状態もございますので、そういった資料をいろいろ勉強していくのではないかというふうに考えております。
  52. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 それから二番目の、核燃料サイクルの観点から見て、新型転換炉のメリットと申しますか、そういう点を検討されるようでございます。ただ、諸外国の場合に、特にカナダなどで、燃料の再処理をしないATRがあるというふうに聞いております。そういうものとの比較、これは少し意味が違うわけでございます。したがって、いわば新型転換炉が、わが国においては、そういう燃料サイクルを確立していく意味でこそ、私は意義があると思うのですけれども、諸外国の場合、必ずしもそうとは言い切れないのではないかというふうな気がいたします。したがって、この辺の検討のしかた等について、いま申しました問題などと関連して少し御説明をいただきたいと思います。
  53. 山田太三郎

    山田説明員 海外の資料は海外の資料として、そのときのグラウンドルールというのがあるわけでございますから、そのグラウンドルールに従った計算がなされておると思いますが、これを、できますならば、私がやるのでないので知りませんけれども、日本のグラウンドルールに当てはめるというようなことも当然考えなければならないというふうに思っております。したがいまして、たとえば、ただいまのカナダの方式の、再処理をしないようなものと日本の新型転換炉をそのまま比較するというような場合もありましょうけれども、そうでなく、同じベースに戻して比較をするということは当然行なわれると思います。
  54. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 再処理をするということ、これが日本の場合の新型転換炉の当然の一つの課題でございます。それからいえば、メリットがあるとかないとか、当然のことのような気がするのですね。それが非常に高くて、全然採算のとれないものができ上がるならば、やめようかというふうなことで検討するのかどうか。まあ、いろいろさらにまた経過の中でお聞きすることにいたします。  そこで、三番目に、いわゆる技術的見地から見た妥当性でございますが、これも一審大事な問題だと思うのです。いかにいいことであっても、実際は国の技術が自主開発でついていけるのかどうか、やれもしないことを幾らやろうと思ったって、それは不可能なことです。そこで、今日までの研究開発の進捗状態というものが、新型転換炉をいまチェックアンドレビューすべき時期において、きわめて順調に開発研究されてきているというふうに判断なさっているかどうか、その辺に多少おくれと申しますか、心配といいますか、そういう点がありはしまいかという点を承りたいと思います。
  55. 山田太三郎

    山田説明員 この日本の新型転換炉の開発計画につきましては、まだ実際には緒についたばかりでございまして、いろんな技術情報等の入手はいたしておりますし、実験等もそろそろ出かかってはおりますけれども、まだ大型施設その他による研究の結果というものは出ておりません。したがいまして、ここで申します意味は、現在の段階ということもそうでございますが、そういう実験研究がいっごろ終わるであろうかというターゲットディト、それから、それがデザインの中にどう入ってこなければならないかという時期とを合わせますと、その想定もあわせて込めて、その具体的な計画がいいかどうかということを考えるわけでございます。  なお、現在どうなっておるかというお話は、むしろ私から申し上げないほうがいいんじゃないかと思っております。動燃の副理事長からでもいいかと思います。
  56. 清成迪

    清成参考人 ATRの進捗状態を大体お話し申し上げたらいいんだろうと思いますが、ここで前にも申し上げたような気もいたしますけれども、現在動燃事業団では、大体のほうは一応一次設計がすっかり済みまして、いま二次設計をやっておるという段階でございます。二次設計と申しますのは、サイトの関係あるいはその他のコンベンショナルパートを含めた全発電所としての考え方というものを織り込んだ、いわば設置許可申請をするのに心要なだけの設計、これはもう多分に工作に一歩近いような設計でございますが、そこまで大体できておるところでございます。  それと並行しましていろんな研究開発がなされておりますが、これは前にもここへいろいろ図表を持ってきてお目にかけましたような形になりまして、それぞれの建設の過程に、それぞれの研究事項あるいは確認事項というものが織り込まれていくという形になっておりまして、われわれとしては、建設が、研究の結果あるいは確認試験の結果というものを取り入れて十分間に合うというふうにいま考えております。先ほども山田委員からお話がありましたが、現在つくっておりますところの施設としましては、大型の重水の臨界実験装置というもの、並びに大型の熱ループ、大型のコンポーネント・テスト・ループというものがいま大洗に建設されております。  なお、それと並行しまして、今度はATRの安全の試験設備というものも一緒に進めつつあります。これらはいずれもことしの十月から十一月にかけまして竣工をしまして、ことしの年末からは実際に運転に入るという予定でございます。  なお大型の臨界実験装置ができますまでのつなぎとしましては、住友にありましたところの臨界実験装置を二領域に改造いたしまして、これではだいぶデータがもう出てきておるところでございます。  それから、先ほども山田委員からお話がありましたように、これも御案内のとおりに、英国からSGHWRのいろんな設計コード類あるいはいろんな臨界実験のデータ、こういうようなものを昨年入手いたしまして、本年に入りましてからは、またカナダから各種の材料その他に関しますところのノーハウに類するいろんな情報、あるいはハザードリポート、こういうようなものを購入いたしました。これらはすでにそれらの諸国とも技術的な検討を済ませまして、十分われわれが消化して、先ほどの第二次設計には着実に反映をさしておるわけなんであります。したがいまして、われわれとしては、来年から着工しまして、基本計画にきめられたような四十九年度の臨界ということに大体間に合わせるというふうに考えております。  なお、実は、大洗に進めておりますところの――これは実は吉田先生あとからこらんに入れたいと思いますけれども、これも高空からとりました写真で、はなはだ小さくて、あとからお手元にお届けいたしますけれども、   〔清成参考人、写真を示す〕 ここにございますのは、原研でやっておりますところの材料試験炉、これだけが大体原研、ここにRI棟がありますが、この二つが原研のものでございます。こちらのほうにいまずっとやっておりますのが、全部動燃でやっておりますところのATRとFBRの試験設備でございます。これがこの程度までにいま進行しておりますので、これでもって大体十月ごろでき上がるということを御判断願いたいと思います。  お答えになったかならないか知りませんが、大体そんなところでございます。
  57. 山田太三郎

    山田説明員 原子力委員会の立場は、前に開発を進めておきながらこんなことを言うのは非常に変ですけれども、現在の段階では非常に中立でございまして、みな答えが、だいじょうぶだから、こういう問題を出したということではございませんで、したがって、どういうふうに具体的に検討されるかということについては、現在の段階では全く委員会におまかせしております。
  58. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 原子力委員会のいまの姿勢と申しますか、そういうお立場でいかれる点は、いまのチェックアンドレビューを受けるべき点で最も正しいと私も思います。  ただ、清成さんにお聞きいたしたいのでございますが、最後に、大体間に合わせられると思うと言われる、決してことばじりをとらえる気はございませんけれども、どうやらその辺が実感じゃないかというふうにわれわれも思うのです。と申しますのは、われわれが一番心配をいたしておりますのは、人材の問題なんです。人の問題なんです。これがわれわれの聞き間違いであればしあわせなんですけれども、たとえば、いま御説明になりました大洗の場合でも、臨界実験装置あるいは熱ループ等の建物はすでにできた。それから、機械も大体三、四〇%は搬入された。しかしながら、実際これを運転する人が十分にそろっていないというふうなことを聞いているわけなんです。幾ら建物ができ、機械が入っても、運転する人間がいなければ、これこそ全く宝の持ち腐れであります。そのような人材がそろわない現状では、とてもチェックアンドレビューできるような条件がそろっていないのじゃないかというふうに言いたくもなるわけであります。もしかそういう人の面で不足しているという実態がありとするならば、これはたいへん重要な問題だと思います。少し御説明をいただきたい。
  59. 清成迪

    清成参考人 御指摘の点、施設のほうは大体得心がいっておる、人の問題がだいじょうぶかというお話は、たいへんありがたい御指摘でございまして、われわれとしても、そういう点はいろいろ心を使っておるわけでございます。  まず第一に、事業団のほうの人員から申しますというと、現在大体百六十名ぐらいが動力炉開発に従事しておるわけでございますが、これは御案内のとおりに、事業団というものは参謀本部的性格だということを前々からいわれておりまして、われわれは、日本にありますところの各機関の組織を組織として利用していくということは、これはもうできますときからのたてまえでございます。したがいまして、われわれの百六十名は、実際に開発しますのにはこんなもので足りはしませんけれども、キーメンバーとして企画し、決定し、調整し、推進していくというのには、われわれあまりこと欠かないつもりでいま進んでおります。また、質的にも、それに十分な人を方々から実は出してもらっておりますので、大体問題はなかろうかと思うのでございます。  第二番目には、いまおっしゃいましたいろいろな大型の試験設備ができます。これらのものは実際問題として、これを使ってほんとうのモックアップテストあるいは確認の試験というようなものをやっていくわけなんでございますが、これには大体二種類の人が要るわけでございます。画然と二種類と割り切るわけにはいかぬかもしれませんけれども、一応二種類の人が要る。それは、そういう施設を使って研究していく研究者、それからもう一つは、それを運転し保守をしていくという部面の人、これが画然と割り切れる施設もありますれば、あるいはまた、多少両方が一緒になるような施設もありますけれども、大体そういうふうなかっこうになります。  それを使って研究していきます人間につきましては、これはわれわれが委託しますところの各メーカーあるいは原研、あるいは大学というようなところのメンバーでございまして、これはそうたくさん人は要らないと思います。これらは十分われわれはやっていけるというふうに考えております。  次に、実際のこれを運転、保守というようなものをやっていく人間につきましては、これからいろいろと手当てをするわけでございますが、この辺のところが、おっしゃるようにまだ実は完全に充足しておりません。しかし、これはいずれにしましても、先ほど申しますように、大体この十二月近辺から必要な人間ということなんでありまして、それらの人間がそろっていないと、チェックアンドレビューするのに不都合じゃないかとおっしゃいますけれども、そんなに人間をそろえて遊ばして、チェックアンドレビューを受けるというわけにもいかぬので、われわれはそれをずっと、すべてを間に合うように予定を組んでいきたいと考えておるわけでございます。大体は、私は、これは充足できる。これは事業団の人間としてやるか、あるいはそれを扱います各メーカーに運転を委託するかというようなことは、これからいろいろ考えていこう、いろいろ相談をしていきたいと思っておるのでございますが、いずれにしても、この事業団だけの人間でもって全部をやっていくというふうにはまだ考えておりません。それらが入りまじっていくと思います。そんな形でいま検討しておりますので、御了承願いたいと思います。
  60. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 動燃のボード的性格と申しますか、参謀本部的な性格から推しまして、そういう方法で臨まれることは妥当だろうと思います。特にオペレーターというのですか、運転員等の問題、保守要員等の問題で、清成さんよりわれわれのほうが心配し過ぎるのもちょっとちぐはぐでございますので、これ以上の心配はいたしませんけれど、要するに、人を求めればすぐに集まり得る体制にあるならば、それに自信さえあれば、十二月に必要ならば十二月で大いにけっこうでございます。しかし、もしもいよいよというところに大事な運転員がさっぱり配置できないというふうなことであれば、これはなかなかたいへんな問題だと思いますので、念のため申しましたような次第でございます。  次に、四番目の審議の対象として、いわゆるわが国の自主技術と申しますか、自主開発効果という点を審議すべきだということを申されました。われわれ常識的に考えまして、一体その自主開発をした場合に、どういう利点というものが出てくるだろうか、われわれなりに考えますと、それは大体三つくらい考えられます。  まず一つは、日本でもこれだけのものが自分でできたんだという一種のプライドと申しますか、そういうものは無形の意義として非常に大きいものになるのじゃないか。  それからいま一つは、ともかくこういう自主開発を進めていく中で、平均的な一般技術のレベルアップがなされるということも当然だと思います。  いま一つは、こういう新型転換炉がどんどん自力で設計でき、運転でき得る段階になることによって、この新型転換炉というものが日本の新しい輸出産業として役割りを切り開いていくのではないかというふうな気がするわけなんです。  こういう、われわれ、常識的に申しまして、しろうとで考え得る三つくらいの要素の中のどの辺に重点を置き、審議を進めようとしていかれるのか、三つとも三つだとおっしゃればそれまででございますけれども、いまどういうふうにお考えになっておりますか。
  61. 山田太三郎

    山田説明員 実はこれはややばく然とした項目でございまして、どういうものが答えになるか、あるいはいま御指摘の三点、まことにごもっともだと思います。日本も経済大国になったのだから、日本だって原子炉をつくらなければいかぬ、自分のものがなければいかぬという、あるいは、こういうものを非常に努力して開発していきますと、当然その間において技術レベルが向上していく、さらにはライセンスでない、自分の力による輸出用原子炉をつくれというようなことになるわけでございますが、それのどの点に重点を置くかということについては、実はまだほかにもあるかもしれないのでございますが、いまのところ、委員会の判断に待とうと思っておりますので、どれが委員会が大事だと思っておるというようなお誓えをするのは早いのではないかと思いますし、実はあまり考えておりません、正直に申しまして。しかし、これらの効果が総合的にどうなるか、あるいは、これらをもう少し、簡単に経済になりませんけれども、これを経済効果としてあらわすことが可能であるかどうかといったようなことまで、もしやっていただければ、単に新型転換炉の発電原価がこれだけであるということ以外の利益があり得るかもしれないのですが、そういったことまでいっていただけるかどうかにつきましては、よくわかりませんです。したがいまして、いま先生の御指摘のようなものが平均的に考えられるのではなかろうかと想像しておりますが、これも委員会がもっと、自主開発という問題についての専門家等もおられますので、いろいろないいポイントをあげて検討されるのではないかと考えております。
  62. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 特にこの経済性の問題で、軽水炉との比較検討、これが一番差し迫った、しかも、相当詳細に検討されなければならない問題だと私は思います。  そこで、最近ちょっと聞くところによりますと、軽水炉の建設費というものは、アメリカなんかの場合に最近非常に高いものになってきたというふうなことを聞きます。原子力委員会、AECでの許認可関係手続が非常に複雑で、しかも、きびしくて、だんだん事務的にもおくれるし、いっそのこと火力に切りかえようかというふうなユーザーも出てきているとか、あるいは溶接工業熟練労働者が不足しておる、また、圧力容器などの受注が増大して十分に供給できない現状にある、しかも、非常に工期が長引く、こういうことで、いろいろ軽水炉が思わざる一つのつまずきにもしも遭遇しておるというふうなことが事実であるとするならば、これはわが国のこれからの軽水炉の問題にも非常に大きな関係のある問題でございます。その辺のところ、何かお聞きになったことがございますか。
  63. 山田太三郎

    山田説明員 軽水炉がこれだけ爆発的にアメリカで発注されましたのは、一つはオイスタークリーク、第二審にはTVAのブラウンフェリーでございます。しかし、これらは非常に出血受注でやっておったのではないかというふうなことが考えられます。ということは、買い手市場に対してだんだん売り手市場になってきたということからして、いまのような状態が出てきたのではないかというふうに考えられます。  それからいま一つは、御指摘のとおりでございまして、アメリカの安全審査というものが非常に厳重になってまいりました。これは一つはクオリティー・アシュアランス・プログラムというものを非常に厳重に、ですから部品のつくり方、据えつけ方から全部非常に厳重にするということによって安全性を十分にしていかなければならぬ、これは将来原子炉の都市接近、原子炉を都市に近く置くということを考えた場合の前段階と見ることができるわけでございますが、それと、このいまの問題のほかに、いろいろと安全上の問題がありまして、アメリカの場合には、安全審査に非常に長い時間かかっております。したがって、電力会社といたしましては、予定する時期に発電ができないという問題がだいぶ出てまいりましたので、その面も火力に移行する理由でございます。しかし、日本の場合にはオイスタークリークほど安いようなことはもちろんいっておりませんので、あれは特別なケースであろうというふうに考えられます。したがいまして、原子力発電にしても、まだあまり重油火力に比べて飛び離れて安いという話は出てまいりませんからして、その影響はないと思います。  それから、安全審査につきましても、日本の場合には、これはあまりいばったことではございませんが、アメリカのすでにパターンのできた原子炉が入ってまいります。したがいまして、それに関しての安全審査のアメリカの過程は相当わかっております。そんな意味で、厳重に審査をいたしましても、アメリカが大体十二九月ぐらいを要しておりますが、日本の場合には六カ月くらいで済むのは、日本が非常に疎漏にやっているんじゃないかということでは全くございませんで、彼らが十分にやったあとをトレースすることができるので、これは第二号機、第三号機をやる場合の利点でございますが、そういうこともございますから、安全審査で時間が非常にとられる、あるいは、もういつ認可になるかわからぬというような状態もございませんから、アメリカにおける状況がすぐそのまま日本にはね返るということには考えておりませんけれども、しかし前にいわれたほど軽水型原子力発電所が安いわけではないということのようでございます。  もう一つの点は、これは実際に使ってみなければわかりませんが、原子力発電所はなるほどできたけれども、さて運転に入ってみると、ロードファクターが上がらないという問題もあって、これもみな初期の病気であるということは考えられますが、そういった点も評判を悪くしている点であろうと思います。これは日本でも若干そういう問題がまた起こるかもしれませんけれども、いずれの場合におきましても起こる初期の病気でござ・いまして、これはいま評判は悪いのですけれども、そのうちにだんだん平常に戻ってくるんじゃないか。したがいまして、アメリカほど楽観的な原子力発電を日本で始めたわけではございませんからして、その意味では、そんなに大きく日本が影響されることはなかろうというふうに判断しております。
  64. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 チェックアンドレビューの問題につきましていろいろ御説明を承りまして、われわれもだいぶわかってまいりました。先ほども申し上げましたように、重要な節になる課題でございますので、真剣に英知をしぼって対処をしていただきたいということを申し添えておきます。  時間がずいぶんなくなりましたが、せっかく動燃理事の方々に来ていただいておりますので、ちょっと一、二、核燃料の問題につきまして御質問を許していただきたいのであります。  先ほど三木委員からもお述べになりましたけれども、われわれやはり一番心配いたしております問題は、今後日本ウラン濃縮技術遠心分離法によるのか、ガス拡散法によるのか、いずれこれは決着をつけなければならない、結論を出さなければならない問題だと思うのです。たまたま時を同じくして、理研のほうでガス拡散法の基礎実験に成功された。また、動燃のほうで遠心分離法の基礎実験に成功された。まことに御同慶にたえない次第でございます。ただ、われわれの聞いておるところでは、ガス拡散法によるウラン濃縮の場合は、工場が大きければ大きいほどそれは安く濃縮できる。逆に、日本のようにそう大規模な工場などをつくることの非常にむずかしい条件――ヨーロッパの場合も、そのように聞いておりますけれども、そういうところでは、むしろ遠心分離法のほうが長所があるのではないかというふうなことをわれわれなりに承っております。  いま一つは、技術開発の点で、いわゆる遠心分離法というのは、研究のピッチといいますか、そういう技術レベルの上がっていく上がり方というのは非常にのろくて、しかし、ある一定の段階にくれば急に上昇するものだ。それから、ガス拡散法の場合には、初め技術レベルが非常に上がって、それからだんだんゆるやかなカーブでしかのぼっていかない。だから、非常に長い時間、一定の時間をかけてみれば、その二つの曲線は交差して、やがて遠心分離法の場合のほうが交差の上のほうに乗っかっていくのではないかというふうなことを聞いたりいたしております。この辺のところ、今後どちらかに決定されるべき一つの重要な要素になるのではないかというふうに思ったりするわけなんです。何かその辺のところで動燃の皆さん方から、御検討くださっていることがございましたら御説明いただきたいと思います。
  65. 今井美材

    今井参考人 二つお答えすべきことがございましたと思います。  一つは、いわばガス拡散のほうは非常に大きな設備を必要とする。裏を申しますれば、遠心分離機のほうは何か小回りのきくような、小さくても、それはそれなりにいく。また、場合によると、維持や保守なんかも楽であろうというような意味合いのお尋ねでございますが、それはばく然とでありながら、みな一般にそう信ぜられておりまして、たぶん間違いのないことではなかろうかと思うのであります。  その次に、技術の進歩の傾向のことでございまするが、私は、いま御指摘のような傾向もやはりほんとうであろうと思います。つまり、しいて理屈をつけるようなことにも相なりまするけれども、ガス拡散というのは、いわばある程度、もう技術の進歩が飽和しているものでございます。それゆえに、これは今後の進歩ということを考慮に入れますると、初めは相当いきましても、あとは平らになってしまってあまり上がらないということがいえると思います。  一方、遠心分離のほうは、初めゆるやかであるが、後にある段階を過ぎるとかえって早くなるということには二つ意味があるように思うのでありますが、何しろまだ未解決の、初めての技術でございまするので、うまくいくだろうかというところまでに若干の時間がかかります。それゆえに、その辺はおそいのだ。しかし、一応いってみますと、何しろまだ未開発分野が多うございますので、ちょっとしたインプルーブメントもどんどん効果を発揮することはあり得ることでございますので、その辺から先は急になるだろうと思います。  さて、それなら、とうとうそれが上へ行って行きっぱなしであるかどうかというところたけが問題なんでありますが、そこまでまいりますと、早さの問題ではなくて、とうとう最後に到達したレベルがどっちが上かということと同じでございますので、その点になりますと、ただいまちょっと結論を出すことはむずかしいんではないかと、そう考えております。
  66. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 最後に、ちょっと先の話になるだろうと思うのですが、いよいよわが国原子炉を海外に輸出する場合、そういう時期がこなければならないと思います。いまは、イギリスから日本に原電の東海発電所十六万六千キロワットですか、が導入された際に日英協定ができまして、この協定においては相互主義の原則を確保するとともに、英国から導入する原子炉の運転について、必要な燃料に関し英国はその供給を保証したということになっております。この逆のことが、今後日本も諸外国に対してしなければならなくなるのではないかという気がするわけなんです。ところが、わが国における燃料の確保というのは、それはまことにさびしいものがございます。  そこで、この際、政府としても、さらにアメリカ、カナダ以外の国でも探鉱の調査をやるような計画を早急に持たれなければならないのではないか、あるいはまた、民間みずからが行なっております外国の探鉱について、政府としても相当積極的な援助をし始めなければならないのではないかというふうな気がするわけでございます。非常に大ざっぱな質問で恐縮でございますが、時間の関係でこの点だけを御質問しておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  67. 山田太三郎

    山田説明員 先に御指摘になりました濃縮ウランの点でございますが、ドイツが濃縮ウラン研究に非常に努力をしておるという理由は、たぶんこれはエクスポートということを考えてのことであろうと思います。日本におきましても、軽水炉を自分で売る場合、あるいは新型転換炉といった自分で開発したものを外国に売ろうというような場合には、やはりソースを自分で持っておるということが必要なことは、御指摘のとおりでございますので、そういう意味でこの濃縮は非常に大事であるというふうに考えます。  それから第二の、天然ウランの入手の問題でございますが、御指摘のとおり、電力業界におきましては、このウランの確保に非常な努力をいたしております。一つは長期契約でやっておりますし、足りない部分はスポット買いをしております。さらには外国と共同で探鉱をいたしております。しかしながら、国情が非常に安定した国という意味でカナダは非常に有望であります。その他、オーストラリア等も有望でありますが、しかし、もう少し国情が安定しない、というとぐあいが悪いのですけれども、分野を広める。これは世界じゅうがみなやっておりますからして、われわれもおくれをとらずに、いま普通にいわれております国以外にも開発努力をしなければならないというふうに考えております。  そういうふうに口で言うのは非常に簡単でございますが、実際何をやっておるかと言われますとたいへん困るのでありますが、現状ではまだ海外探鉱の費用は非常に少ないのでございます。しかしながら、だんだん日本に対しましても探鉱してみないかという国がだいぶ出てまいりましたので、そういうところに、もう少し力を入れていかなければならない。それで、動燃事業団が探鉱いたしまして有望な地点を見出したあとに、これを業界にどうつなげていくかという問題もございますが、まずは、あるところをさがすというような意味で、来年度はことしよりも相当多くこの海外探鉱に予算をつけなければならないというふうに考えております。
  68. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 最後に、研究開発につきましても、あるいは核燃料の確保につきましても、先ほど三木委員も申されましたが、いま非常に重要なときだと思います。一手のおくれは千手のおくれというふうなたとえもございますので、ひとつ長官におかれましても、積極的に予算の獲得と、この原子力開発の推進に一そう鋭意努力されるようお願いいたしまして、質問を終わります。
  69. 三木喜夫

    三木(喜)委員 齋藤さんがお帰りになりますと聞かれると思うのですが、ソ連が核融合に非常に自信を持ってきた、中性子の発生に成功したという記事が載っておるわけですね。これについてお伺いしたいのですが、また齋藤さんと一緒に別な日に伺います。よくひとつわれわれにわかりやすいように資料をまとめておいていただいて、後日お教えいただきたいと思います。  それで原子力委員の方はお帰りいただいてけっこうでございます。それから動燃事業団の方もどうぞ、もう質問はありませんから……。     ―――――――――――――
  70. 石田幸四郎

    石田委員長 宇宙開発に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  71. 三木喜夫

    三木(喜)委員 文部省から見えておりますね――またですか。そうしますと、最初科学技術庁にお伺いしたいのですが、それから山県先生がお見えになっておりますのでお伺いしたいのですが、実用衛星を目ざすQ計画というものが一年ぐらい立ちおくれるだろう、こういう検討の結果が出ておるようであります。私はこのことについてはいろいろ検討された上でのことですから、とやかく申し上げません、残念だとは思いますけれども、しかし問題はきょう逓信委員会で、私、郵政大臣の発言に非常に危惧の念を持ったのです。というのは、郵政大臣は人工衛星についていま順調に進んでおります、そういう答弁だったのです。ここには新聞にも「一年以上遅れそう 実用衛星めざすQ計画」ということが、これは六月八日の日本経済新聞に載っておるのですね。そうしますと、これはもう重大な支障があるわけです。重大な支障があるにもかかわらず、郵政大臣が、順調に進んでおりますというような、実用衛星の開発に向かっての問題についての認識が私は問題だということを、きょう郵政大臣に言ったのです。郵政大臣は、この宇宙開発事業団の、言うなら有力なメンバーです。この有力なメンバーがこういう認識を持っておるということは、要するに、この宇宙開発委員のほうと郵政省の責任者と連絡がとれていないのかと思ってがく然としたわけですよ。こういうことなら、日本宇宙開発というものはもう完全に宙に浮いておる。責任者の郵政大臣が知らないということは、いろいろなことがありますから、郵政大臣の耳に入らぬかもしれませんけれども、しかし取り巻き連中はそういうことについて郵政大臣にやはり言うておかなければいけない。また、科学技術庁としても郵政省と連絡をとっておかないといけない。郵政省のそれらの係官のほうではよく知っておらねばいかぬわけですよ。それが一体どうなったのかと思って、私はびっくりしたわけなんです。順調でございますと、こういう答弁なのです。だから、これはきょう科学技術対策特別委員会でとくとお伺いするということを言っておきましたのですが、それはどうなのですか。
  72. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいまの御質問の件でございますが、事実を申し上げますと、実はその問題につきまして、現在宇宙開発委員会の中に部会をつくりまして検討を進めている最中でございまして、たぶん郵政大臣がおっしゃったことは、電離層衛星の開発については順調に進んでいるという意味のことであったのではなかろうかと存じます。  と申しますのは、昨年度、四十三年度の終わりでございますが、本年三月に電離層観測衛星につきましてのプロトタイプの発注を行なったわけでございます。そのあとの作業が、それぞれの関係メーカーにおきましてプロトタイプの製作にかかっているわけでございます。したがいまして、その意味合いにおきまして郵政大臣の御発言になったと考えております。  なお、Q計画のおくれという問題につきまして、私たちが現在やっております作業につきましては、研究調整局といたしましては委員会の事務局もやっておりますので、その間の事情を御説明したいと思います。  宇宙開発は、御存じのように、総合科学の結集ということがなくては達成できないわけでございます。したがいまして、非常にむずかしい開発事業でございますが、そういうような意味合いで、新聞においても、今後いろいろ問題点が出てまいりますので、心配して、そのような記事になったのではないかというふうに思っております。事実は、先ほど申しましたように、この問題につきましては現在検討中でございまして、その考え方といたしまして、私たち諸外国の状況を見てみますと、やはりこの宇宙開発というものは、開発体制というものをつくりまして、開発計画に取り組んでいっているというのが実態でございます。したがいまして、米ソを除きましては、それ以外の国におきましても、まだその計画自体が十分な効果をあげていないということでございまして、私たちも先般宇宙開発事業団法案の国会での御審議をお願いしたいわけでございます。  このようにいたしまして、私たちのほうといたしましても、早急に宇宙開発体制というものをつくりまして、そして、この宇宙開発体制が今後この宇宙開発事業というものを推進していきますためには、まず基本計画というものをその事業団なるものに示さないといけないわけでございます。したがいまして、この事業団は、これは事業団法案の中にも書いてございますが、内閣総理大臣が基本計画をつくってこれを事業団で行なわせる。その基本計画は、宇宙開発委員会において策定した開発計画を議決を経て行なうのだというふうになっております。したがいまして、私たちが現在宇宙開発委員会において検討しておりますのは、この開発計画でございます。この策定を急いでおりますが、この事業団が発足する段階におきましては、相当厳密な内容に入らないといけないというふうに考えておりますので、したがいまして、現在その点について各担当部会で慎重に検討を進めておるわけでございます。これは、御存じのように、総合計画部会のほかに、ロケット部会と衛星部会とございます。そのロケット部会、衛星部会におきましては、それぞれロケット、衛星というものを分担いたしまして検討いたしております。その衛星のほうでは、今後どのような衛星を上げるかということにつきまして、最近ほぼ十年間の今後の見通しのもとに立って今後五カ年間の実際の衛星というものに対する考え方がまとまってまいりました。ロケットにつきましても、そのような衛星を上げるために、どのようなロケットの開発が必要かという点につきまして現在検討中でございまして、これにつきましても、従来から考えられておりましたQロケット、及びQロケットを踏まえてのNロケットというものについてのおおよその考え方が出てまいりました。しかし、事業団で行ないます以上は、さらに詳細な計画が必要だということでございますので、現在それを鋭意ロケット部会において検討中でございます。したがいまして、まだその結論というものは得ておりませんが、これはわれわれも十分具体性を持った技術的な問題に取り組まないといけない時点でございますので、その目標年度につきましても達成できるような十分な計画を練りまして、そして国民の期待にこたえられるような努力をしたいというふうな所存でございます。
  73. 三木喜夫

    三木(喜)委員 石川さん、あなたは非常に熱心に答弁してくれるのだけれども、ピントをはずしたらいかぬですよ。私の言っておるのは、大臣がそれは知らなかったと、こういうことなんですね。順調ですと、こう言うておる。電離層衛星だってこれは衛星ですよ。これは何に乗せるのです、Qに乗せるのですか、Nに乗せるのですか、ミューに乗せるのですか。やはりロケットがうまくいかなければこれは上がらないでしょう。私の言っておるのは、要するに、そういう、大臣に対しても絶えず――宇宙開発事業団の有力なメンバーでしょう、郵政大臣は。順調だというような言い方をしておったらだめだと私は言ったんです。
  74. 木内四郎

    木内国務大臣 ちょっと私からお答えします。  私どものほうは順調だと思っておるのですよ。新聞社はどう書いておるか、これは別問題ですよ。私どものほうは、これは予定どおりいかないあれだなんということを言ったことは一回もない。郵政大臣と完全に一致しておるのですから、その点は誤解のないようにお願いしておきます。こちらであることを郵政大臣に知らせないようなことは絶対にないです。
  75. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうしたら、これは山縣さんにお伺いしたいのですが、「一年以上遅れそう実用衛星めざすQ計画」ということになりますと、一年以上おくれるというのであったら、これは順調じゃないんですね。新聞はこれをかってに書いたのですか。
  76. 木内四郎

    木内国務大臣 私どもは言ったことはないです、そういうことは。
  77. 三木喜夫

    三木(喜)委員 言ったことはないと言うても……。
  78. 木内四郎

    木内国務大臣 それは新聞社が書いた。
  79. 三木喜夫

    三木(喜)委員 新聞社が書いたにしろ、事実のないことを、あなた……。
  80. 木内四郎

    木内国務大臣 それは新聞社というのはいろいろな意見を言いますよ。(笑声)
  81. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それはこう書いてありますよ。「日米技術協力に関し、両国政府間での正式合意がいまになっても成立しておらず、Qプロジェクト実現への開発計画が大幅に遅れているためである。この結果、わが国宇宙開発計画が大幅に遅れ、インテルサットの本協定移行に伴うわが国の国際的発言力に微妙な影響を与えるなど政治的波紋が広がりそうである。」と書いてある。しかし、これは検討せぬと新聞社が、一年以上延期は避けられない情勢になったというようなことをかってに書いていいものでしょうか。こういうのは、あなた、抗議を申し込まなければいけない。大臣としてこんな――これは日本経済の六月八日に書いておる。私はこれで心配をしておるのだ。こんな検討は、いま石川さんが言いましたように、宇宙開発委員会で三部会をつくって検討している、こういうことで、これはもう検討してもらったらいいです。大いに検討してもらって計画を立ててもらったらいいのですけれども、こういう疑念が出てきたということは――これはあとずっといろいろ書いてありますよ。これはあなた、かってに新聞社がこんなことをやれるはずがないのですよ。「Qロケットの製作分担はシステムデザインの三菱テー・アール・ダブリュをはじめすべて内定しているが、米国からの技術導入がストップしている状態では開発研究も進められないのが実情だ。」こう書いてある。だから、これは、大臣の言われるとおりならけっこうですから、ひとつこの真相をもう少し明らかにしてもらいたいと思います。きょうは私も時間がないから、四時までということでありますので、問題だけ提起しておきます。  そこで、問題点は、郵政大臣との間に話し合いができていなかったかという心配をしたことが一つ、それで私はがく然としたということです。それから、この記事を見まして、またおくれるということになると、これはたいへんなことだと思います、この新聞のとおりならですね。その真相をもう少しはっきりしていただき、あるいはなぜこんなに載ったかということも後ほどまた知らしていただきたいと思います。  それから、大臣に申し上げたいのですが、大臣はなかなか景気のいいことを参議院で言っておられるのですが、要約してみますと、米国から技術導入はしない。一部技術導入はしても自主技術でやる。わが国の衛星はアメリカのロケットでは打ち上げない。なかなか勇ましい、りっぱなことなんです。そうして、こういうことを言われたかどうかということも一ぺんお聞きしておきたいのですが、事業団の新設により米ソを追い越す決意で進みたい。この考え方は非常にけっこうです。しかし、米ソを追い越すというのは、ほんとうに小さな予算をもって――言うのは何ぼでもいいですよ。言うのはけっこうです。それは大きなことを何ぼ言ってもらってもいいですけれども、しかし、これまで言うたとすると、私は、これは大臣はえらい覚悟をしておられると思って感心したり驚いたり、びっくりしておるのですがね。これはまた、新聞社なり、こういうものはどないでも書きほうだいだということをおっしゃるかもしれませんが、「電波タイムズ」に書いてある。これは参議院の記録を見ればすぐにわかるのですけれども、まだすぐに出てこないでしょう。これは参議院の委員会があったのですから七日くらい前でしょう。四日の記事ですが、そういう非常な勢いと、そうして新聞に載っております一年間おくれそうだということが非常にアンバランスに感じられるわけなんですね。それで非常に心配いたします。かけ声はいいけれども、よく言う大山鳴動ネズミ一匹ということばがありますしね。こういうことになれば、私たちの心配しておることが如実に出てくると思うのです。山縣先生、その辺一番御心配をいただき、一番力を入れて進めていただいておるのですが、大臣とともに責任者でありますので、その辺をひとつ聞かしていただきたい。
  82. 木内四郎

    木内国務大臣 その前に、私、一言。いま米ソを追い越すということを私が言ったように書いておられますけれども、その点は私はちょっと了解に苦しむのです。私はそういうことを平生言う心がまえじゃないのですから、もしたまたま何か言ったとすれば、ほかのことで言ったかもしれません。しかし、向こうで打ち上げている衛星に対して日本が追い越すなんということを考えれば、ちょっとどうかしている。あるいはそのとき気が狂ってそんなことを言ったかもしれませんが、(笑声)私は平生はそういうことを言う心がまえじゃありませんから、そういう点はひとつ誤解のないように願います。それが参議院の速記録なら、私はこれはたいへんなことだと思うのですけれども、私はそういうことを言った覚えはありませんです。
  83. 山縣昌夫

    ○山縣説明員 御質問の趣旨がわからないのでございますけれども、米ソを追い越すというようなことでどう考えるかということですか。(三木(喜)委員「いやいや、一年おくれているということ」と呼ぶ)それは先ほど、大臣、それから局長からもお話がございましたように、私どもといたしましては、一昨年、一応ああいう計画を立てまして、今年度の予算編成にあたりましては、私どもがスタートいたしましたのは八月でございます。したがいまして、本年度の予算編成といいますか、概算要求を大蔵省に出すということが非常に差し迫っておる状況でございまして、この宇宙開発の事業が、委員会ができまして国の事業となる以上、当然宇宙開発計画というものが先行いたしまして、それによって予算がきまってくる、こういうことだと思います。  ただいま申し上げましたような事情で、四十八年に実験通信衛星、その一つ前の段階として四十六年にQロケットということが一昨年からきまっておったわけでございます。  さて、委員会ができましてやはり先ほど申し上げました宇宙開発計画をわれわれはさっそく策定しなければ、本来ならば何もできない、こういうことだと思います。したがいまして、この点につきまして、先ほど来お話がございましたように、三つの部会をつくって検討中でございます。そこで、やはり一番問題になりますのは、衛星というよりはロケットの問題でございます。それで、このQロケットの四十六年ということを、やはりわれわれといたしましては、はっきりした見通しのもとに長期計画を立てなければならないというので、現在ロケット部会でこれは慎重に検討中でございます。いろいろ新聞なんかに――私は日経も読みましたけれども、そこにございますようなアメリカの問題などもあるのだろうと思いますが、そういったいろいろ周囲の情勢を踏まえまして、現実には宇宙開発推進本部が主体になりまして、これの具体的計画をいま練っておる最中でございます。したがいまして、その新聞にございますような一年おくれるというようなことは、全然まだ私は知っておりません。当然これはロケット部会で議論されまして、それが委員会に上がってくるのだろうと思いますが、いまのところ、そういうことは私は何も伺っておりません。  以上でございます。
  84. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは大臣、よく確認しておきたいのですが、参議院で御発言になっておるわけなんですが、こういうものですから、これは議事録ではありませんから、確認しておきたいのですが、Nロケット開発までには千数百億円かかる。これが一つ。それから、一部技術導入するが、自主技術でやる、こういうこと。それから、機密保護法はつくらない。それから、わが国の衛星をアメリカのロケットで打ち上げない。この四つ。これは間違いございませんか。
  85. 木内四郎

    木内国務大臣 いまのは大体間違いありません。  初めの、金額のことは、私はそのときには一切答弁しておりません。局長が、金額を自分たちが事務的に計算すればこんなものだということは言いましたが、私は金額には一切触れておりません。  それから、機密保護法をつくるあれはないということは、私どものほうでジョンソンメモに対するこちらからの返事のメモですね。メモの最後に明瞭に書いてあります。われわれはそのために法律を制定までしてやるというような考えは毛頭ないのだという一項を最後につけ加えてある。  それから、アメリカのロケット――初めにジョンソンメモにおいては、あらゆる援助をしてくれる、こういうことを書いてある。もし日本が希望するならば協力を惜しまない、こう書いてありますが、日本は、ヨーロッパの諸国みたいに、アメリカのロケットを借りて衛星を打ち上げるという気持じゃないのですから、私どもは自分でロケットも衛星も開発していこうというのがわれわれの従来からの考え方ですから、アメリカのロケットを借りて、イギリスみたいに衛星を打ち上げてもらおうなんという、そういう根性にはならないのです。その点ははっきりしておきたいと思います。
  86. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこでこれは局長にお伺いしたいのですが、Nロケット開発に千数百億円、そうすると、Qまでいくとまた相当になりますね。Nが中間でしょう。これは金額は違いますか。その点をひとつ明らかにしてもらうことと、それから、いま大臣が言われましたように、目下外交交渉で折衝中であるということがこれにも書いてある。そうすると、どういう技術アメリカから協力してもらうのかということですね。この点、局長からはっきりしてもらいたいと思います。
  87. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  先ほどのロケットの金額の問題でございますが、私たちの計画といたしましては、Qロケットを先に上げまして、そのあとでNロケットを上げるという計画で進んでいるわけでございます。したがいまして、私たちそのときの答弁といたしまして申し上げたことは、Qロケットを開発いたしまして、それを踏まえてNロケットというものを開発するまでに千数百億円かかるということでございますので、当然その中にはQロケットの開発費というものが含まれているわけでございます。  私たち、この千数百億円という金額を出しましたのは、実は四号答申を出すころでございますが、そのころに、宇宙開発をやって、Nロケットまで開発するには大体どのくらいの経費がかかるのかという話がございまして、ただ、これは事務当局で試算したということでございます。  その根拠といたしましては、米ソを除きました、それ以外の国におきます開発計画というものに使った経費を参考にいたしまして、Nロケットの開発までに大体千数百億円かかるということでございますので、内容につきましては積み上げてないわけでございます。  それから次に、導入技術の問題でございますが、ジョンソンメモに対する日本側の返事といたしましては、昨年の十二月に日本側としての回答を出したわけでございますが、そのときに、具体的な内容に入ろうということで、具体的な内容について詰めております。ただ、具体的な内容と申しましても、どの機械どの機械というものではございませんので、大体ロケット関係のものとか、そういうような大きなワクで具体的な話し合いをしているわけでございます。  と申しますのは、その個々の機器につきましては、そういう大ワクがきまりますと、それは日米のメーカー間で、いわゆる実際に機器を導入する間で具体的な内容をきめるわけでございまして、私たちのほうで、現在政府において行なっておりますのは、そのような個々の機器についての取りきめは行なっていないわけでございます。
  88. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっとおかしくなってきたですね。これはジョンソンメモによると、技術についてはかなりクレームが初めついたでしょう。そうすると、これは外交交渉でやらなければいかぬのでしょう。各メーカーでいろいろの技術について、たとえば誘導制御ですね、こういうもの。ロケットの場合ですよ。ロケットとか衛星とか分けるでしょう、あなたのおっしゃるのは。ロケットの場合、誘導制御の技術ということになってくると、ジョンソンメモがひっかかってくるでしょうし、それから、それになってくると外交的な交渉に入らなければいかぬ。それをメーカーのほうでやっておけということになってくると、ちょっと私は理解ができにくいのですがね。
  89. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 このこまかい交渉の内容につきましては、外交上の慣例で詳細御説明できないわけでございますが、個々の具体的なものにつきましては、これは政府間の取りきめができまして、初めて個々の機器にはいれるわけでございます。したがいまして、私たちが交渉いたしております大ワクということは、そういう意味で申し上げたわけでございます。実際の機器導入につきましては、交渉がまとまりまして、そのあと事業団がそれぞれの仕様書に基づいてそのメーカーに製作を依頼するわけでございます。その時点におきまして、個々の機器についての折衝が始まるわけでございます。
  90. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、端的に言って、誘導制御の技術は導入しないのですか、それの援助を受けるのですか。
  91. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 援助は受けたいと思っております。
  92. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それでわかりました。  いろいろお伺いしたい点があるのですが、ちょっと私もせけてきましたので、あとアポロ宇宙船について、これまた、石川局長、それから山縣宇宙開発委員のお教えをいただきたいと思いますので、きょうはひとつこれははしょっておきたいと思います。私たちにわかるように、われわれ新聞情報ぐらいしかわかりませんので、アポロ宇宙船のもたらしておるところの効果だとか、あるいは日本技術として取り入れる点はどういう点かとか、科学技術対策特別委員会として取り扱うべき要点をひとつ今後資料としてお示しいただいて、御教示をいただきたいと思います。  それから東大の問題で伺いたいのですが、東大のロケットの推薬は、一体どこでつくっておるのですか。
  93. 渋谷敬三

    ○渋谷説明員 東大のロケット用の推薬は二つに分かれておりまして、多段式といいますか、二段以上のロケットの場合と、単段の、一段だけのもの、シングル方式のロケットというものと二つに分かれております。  多段式のは、日産自動車株式会社と契約をいたしておりまして、具体的には、そこの航空事業部でございますが、実際には日産の指導のものとに下請工場、帝国火工品株式会社の川越工場でつくっております。  それから、シングル式につきましては、ロケットのほうは三菱重工業でつくっておりますが、そのシングル式につきましては、旭化成が新しい製法を生み出しまして、旭化成株式会社で推薬をつくっております。
  94. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私の郷里の新聞にこういうことが載っておったのですが、郷里に大日本セルロイド株式会社という会社があるのです。そこで二人の方がロケット用エンジン点火薬、これの試験中に爆風によって飛ばされた。点火薬というのですから、推薬とは限らぬだろうと思うのですが、その内容は過塩酸アンモニウム、それからアルミニウム、アクロムサンド、この粉末を使っておったようでありますが、これをロケット用エンジン点火薬と、こういうぐあいに名前をつけているわけですね。しかも東大宇宙研究所ロケット用エンジン点火薬、こういうことになっておったわけでありますが、この事実を御存じですか。
  95. 渋谷敬三

    ○渋谷説明員 私どもも新聞でその記事を見まして、さっそく調べてみたわけでございますが、その記事は、二つの点でちょっと誤解といいますか間違いがあるようでございます。  第一点は、あの事故が起きましたときの推薬の燃焼でございますか、つくっておった過程でございますか、これは東大宇宙研のものをつくっておったときにと書いてございますが、その後、工場側に問い合わせましたところ、それはほかの場合のときであるということでございます。  それからもう一点は、宇宙研が関係しておる工場であることは間違いございませんが、宇宙研にも、御承知のように、ロケットの開発研究をやっております宇宙の部門と、それから旧航空研を引き継ぎました航空の部門とございます。この航空関係の部門に推進燃料工学部門という部門がございまして、そこで主任教授が、ロケットのためとか、あるいは原子力船とかジェット機とか、そういう何のためということでなく、先行的な純基礎研究といたしまして新しい推薬の研究をいたしておるわけであります。それで、どういう材料を使ったらいいかとか、その混合方法、練るその混合方法をどうしたらいいかとか、あるいは工程管理をどうしたらいいかとか、そういう新しい推薬をいかに強く、いかに力の安定したものとして、またこの燃焼時間をできるだけ長く、あるいは短い時間でより推力がつく、そういったような純粋の基礎研究といたしまして、そういう先行的な試験研究をいたしておるわけでありますが、その推薬を兵庫県にございます大日本セルロイド、そこでつくり、そこの網干工場というところで燃焼試験をやっておる、こういうことでございます。
  96. 三木喜夫

    三木(喜)委員 よくわかりました。そこで東大関係宇宙研のやはり推薬をつくっておった、そのことが先行的な性格を持っておる。直接固形燃料のものをつくっておったとか、あるいはそうでないとかいう問題ではなくて、もう一つ先だった、こういうことでありますが、私が、これは法律の上でもどういうぐあいにしたらいいかということで非常に疑問に思い、今後の対策が必要だと思うことは、東大側も大セルに頼んでおった、これはそっちでどういうぐあいに研究してもよろしい、そこで事故が起こったらおまえたちの責任だぞと、これでいいのかどうか、あるいはここに何か法律的な責任があるのかどうかということが一つ考えられる。なお、道義的にどういうような責任があるかということと、そういうものがないということなら、今後この産業界、時に企業側でそういう事故が起こったときには、その企業はもうそのまま泣き寝入りするのかどうか。これはこれだけのビッグサイエンスと取り組みだした場合には、あるいは発注側あるいはそういう指示を与えた側に何らかの補償をするというような立場をとらなければいかぬのじゃないかと私は思うのですね。これは東大だけでなしに、科学技術庁にも私はいえると思うのです。そういう点の考え方、どう考えておられるか、これは石川さんからも伺いたいと思う。  私は、この問題と、さらに今度は、企業が、東大側なりあるいは科学技術庁からいろいろなアイデアを出すあるいは設計書を出して、そうして一つの――いま特許問題が商工委員会で大きく取り上げられておりますね、そこで得たところのいろいろな研究の権利、そういうものは企業に属するのか、それとも、東大なら東大、あるいは科学技術庁なら科学技術庁に属すべきものなのか、ここに大きな疑問が残っておるわけですね。この二つを対比して考えた場合、そういう事故が起きたときに、それは企業側の不注意だということだけで済まされるかどうかということは問題だと私は思うのですね。まず、文部省のほうからお伺いしたい。
  97. 渋谷敬三

    ○渋谷説明員 いまの点は、確かに依頼側といいますか、発注側と請負側の契的関係の問題もございましょうが、法律上どういう責任を生ずるかということはなかなかむずかしい問題かと思いますが、少なくとも道義的な責任、いろいろな問題があろうかと思います。  先般の問題につきましては、先ほどのようなわけで、工場側に問い合わせましたところ、事故が起きましたときのつくっておった、あるいは試験をしておったのですか、それは東大側の依頼による推薬のときでないということでございましたので、あまりその点まで詳しくあれいたしておらないわけでございます。
  98. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 科学技術庁におきましても、現段階におきましては、実際の仕事がないわけでございますので、今後の問題として十分考えないといけない問題だとは存じますが、やはりこのような大きなサイエンスになってまいりますと、どうしても安全管理という面について十分力を入れないといけないと思います。これは事業団自体としては、射場の打ち上げの問題なんかもございますが、それ以前に、ただいま先生御指摘のような製作の部門において、どのような危険性が出てくるかという問題については十分検討してまいりたいと思いますが、法律の問題につきましては、ただいま文部省からのお話のように、やはり私たちとしても、現段階でどうということは言えないので、これを研究課題としてやっていきたいと思います。
  99. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それでけっこうなんですが、先般来近江君のほうから、原子力の場合のああいう間違いがあったり、あるいはまた、放射能が漏れたような場合、これは非常に道義的だけではなしに、科学技術庁としても責任を感じてその対策を今後立てなければいかぬ、こういうことだったわけですね。これは単に労務者が不注意だということだけでは片づけられない。やはり科学技術庁としても、今後こういう大きなものと取り組みかけたときには、やはりどういう安全対策をし、あるいはそれに安全対策ができなくて、そこで事故が起きた場合どうするかということまで考えてやらなかったら、こういう先行的な科学に取り組む者は労務者として非常に不安ですね。会社がやってくれるといったって、会社だって大きな爆発事故でも起こしたら、それこそ会社の資本でやれませんね、小さい会社なら。そういうときを私は考えまして、この際は二人の人が傷ついて、一人が即死をしておるわけです。一人は重傷を負っておるわけですね。とにかく、われわれは科学技術宇宙開発の問題と取り組んでおるだけに、近くに起こった問題も決して人ごとのように思えないのです。ほかの労災と違うということを今後は考えていかなければいかぬのじゃないか。これは検討に値するというお話が文部省ないしは科学技術庁からあったのですが、どういう機関でこういうものを今後検討していくか。ただ国会答弁で、それだけ言うておけばそれで済むのだという問題ではこれはないですよ。人が死んでおるのですからね。今後どれくらい多くの人が死ぬかもしれないということですね。これはまたロケットになって上へ上がったり、それからまた、衛星になって人が乗ったという場合、科学技術庁の責任で人を乗せなければならぬという場合もありますね。これは防衛庁にまかしておいたらいいわというわけにいかないでしょう。科学技術庁の人も乗せなければいかぬかもしれませんし、また、下請の人を乗せなければいかぬかもしれません、あるいは、学者を乗せなければならぬかもしれません。そうした場合に対する法律的な用意あるいは救済措置、こういうものがいまはないと私は思うのですよ。そこで、これは、木内長官にもお考えいただき、山縣委員にもお考えいただき、文部省としても考えていただきたいと思います。
  100. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しのように、大規模なナショナルプロジェクトなどを遂行していく際におきましては、いままで予期しなかったような危険が生ずる場合が各方面にあると思う。宇宙開発だけではありません。原子力関係、海洋もまたしかり。そこで、こういう問題につきましては、私は、かねがね安全第一ということでいかなければならぬ、ことに、原子力がいままで問題になっていましたが、科学的に安全だけでなく、国民にも納得してもらうような安全性を保っていかなければならぬということを申し上げておるのですが、私どものほうとしては、科学的な立場から、あらゆる角度から、安全性第一ということで諸般の法規、規定その他を取りきめて、そして厳重にやってまいりたい、かように思うのですが、実際にあたりましては、管理者だけにその責任を負わせるわけにいかぬ。これに従事する人も細心の注意をしてその規定を守るということでなければならぬと思うのですが、それでもなおかつ不慮の災害などがある場合があります。こういう場合につきましては、国家の計画でやった場合には、国家においてその点を考えなければならぬと思います。いまどこの機関でどうしているということはまだやっておりませんけれども、私どもの関係のことならば私のほうで考えなければならぬ、大学のほうであれば大学のほうで考えなければなりませんが、また、そういうこと全部をひっくるめて、政府全体としてもこの問題はやはり公害の問題と同じことに対処してまいらなければならぬと思いますので、今後は慎重にこの問題を検討し、対処してまいりたい、かように思っております。
  101. 三木喜夫

    三木(喜)委員 どうせ大臣のお答えはそこまでくらいだと思うのです。大臣答弁でなくて、これは労災でないのですから、大臣それ自体は、いまおっしゃれるのは、安全に気をつけい、規定のワク内ではそれでいいのです、近江君が言っておられた、原子力のいま知られておる知識の範囲内では。それから一歩先に出た先行的な研究ということになると、このワク内だけにはおれないでしょう。原子力の放射能の問題はもうわかり切っておるのです、不注意ではだめだということは。労務者も気をつけいということでは、大臣の言われる規範の中へは入ります。しかし、いま文部省が言いましたように、先行的な研究だったということで、先へ進んだときには、それに対する安全の度合いも何もわからないですよ。たとえば戦時中、大段博士があの原子力研究をやっておって、たいへんなけがをしてなくなられた。これは先行研究ですから、一つ先へ進みますから、安全管理の方法がわからないのですから、そういうようなときにはどうするかということについては、いまおっしゃいましたように、文部省の問題は文部省だ、科学技術庁の問題は科学技術庁だということでなくて、大きな科学に今後取り組んでいき、日本人として前人未踏の地域を行かなければいかぬのですから、そこで、政府の責任においてこれは考えていく。国会は国会の責任において今後考えていくというふうに、私はこれは問題提起をしたのではないかと思うのです。小さい問題だと言われるかもしれませんけれども、人命を失ったということは、何よりも大きな問題ですからね。文部省はどう考えられますか。
  102. 渋谷敬三

    ○渋谷説明員 そういうわかっている範囲を越えましていろいろな先行的な研究をやるということに関連する問題でございますから、普通の場合の、そういう発注者と請負者の契約関係と全く同じに考えていいかどうかという点は、やはり十分検討すべき問題だと思いますが、今回の事件に関しましては、先ほど申し上げましたように、東大宇宙研の推薬のときに起きたという新聞記事は誤報であったようでございまして、ほかのときの事故であったようでございましたので、その点、かりに法律問題を抜きにしましても、東大宇宙研の推薬のときでしたら、これは道義的にもいろいろ問題が当然出ると思うのでありますが、工場側に問い合わせましたところ、ほかのときの問題であったということでございましたので、あまりそこまで突っ込んで検討するあれもいたしておりません。
  103. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あと質問があるそうですから、私はこれで終わります。     ―――――――――――――
  104. 石田幸四郎

    石田委員長 核燃料開発に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。齋藤憲三君。
  105. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 きょう私は、ほかの委員会の採決がありましたために中座をいたしまして、たいへん失礼をいたしましたが、せっかく動力炉核燃料開発事業団神山理事がお見えになりまして、近く海外に出張されるそうでございますが、ごく簡単に御質問申し上げて、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  動力炉核燃料開発事業団の肝心の核燃料に対して、どういう考え方を持っていま作業をしておられますか、簡単にひとつ……。
  106. 神山貞二

    神山参考人 ただいまの齋藤先生の御質問ですが、動燃事業団の私どもの担当しておりますウラン資源の探鉱開発の問題は、国内の探鉱開発がいままで主体となってまいっております。しかしながら、将来のウラン資源の問題ということを日本のエネルギー資源として考えた場合に、当然海外のウラン資源の確保に向かって努力をすべきだということに考えております。  動燃事業団としましては、先般の原子力開発計画にのっとったエネルギー調査会のウラン資源に関する答申と、原子力委員会のきめられました核燃懇で報告されました国の姿勢というものがございまするので、その方向で努力してまいっております。  それは、開発に関しましては、海外ウランについては民間がこれをやることを期待するといいますか、民間がそれをやるべきだということになっておりまして、私どもはその前段階の先駆的な基礎調査をいたすということになっております。したがいまして、その基礎調査した結果は、それを将来民間が開発されるようにつないでいくということに当然いたさなければならぬと思いますが、そのつなぎ方につきましては、目下民間方面でもいろいろ議論をされておりますし、私ども関係者としましては、通産省、それから科学技術庁動燃事業団、それから関係のあります金属鉱物探鉱促進事業団、それから海外鉱物資源開発会社というようなところと、国の姿勢としてといいますか、国側の役割りをどう果たすべきかというようなことを相談しながら進めております。
  107. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 国内のウラン資源は人形峠、それから東濃地区、これも大体見きわめがついたと思いますが、もうあれっきりで日本の領土内にはウラン鉱物として、あと見るべきものはないという結論に達したのではないかと思いますが、その点どうですか。
  108. 神山貞二

    神山参考人 私どもも十三年ばかりやってまいりましたので、おおよその見当はついたというふうに考えております。ただ、いままで、その十数年の間に人形峠にかなり長い時間と金と人間とをつぎ込んでまいりました関係で、見当はついておりますが、たとえば東濃地区と私ども申しておりますが、岐阜県、愛知県の県境区域、あるいは最近探鉱しております山口県の豊田町の地域というようなものは、なお探鉱を進める価値があるだろうと考えております。
  109. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 これは昭和六十年までにU3O8で累積所要量九万トン、これに比較すれば、日本はいかにがんばってもとてもその十分の一もむずかしいのじゃないかということをわれわれ考えておるのです。そうしますと、海外に燃料を求めなければならぬ。神山理事は、いろいろ海外に対してもいままで調査の手を伸ばされておって、そのレポートもだいぶつくっておられるようでありますが、世界的に見て持てる国からウランを買う。売り手があって買い手があれば商談というものは成り立つのでありますけれども、今日のごとく、いわゆる原子力時代に即応する平和利用の一番大きな目標が原子力発電です。そういう点から、各国がいま猛烈に原子力発電というものの推進をやっておるその根本のウラン燃料というものが、現在海外の調査探鉱をやって日本がはたして所要量を入手できるかどうかという大きな疑問に突き当たるのですが、こういう点に対してはどれだけの責任を持っておられるかわかりませんが、とにかく、その方面における知識の持ち主として、神山理事は、一体どう考えますか。
  110. 神山貞二

    神山参考人 確かにその問題は、私どもだけでどうこうとはっきり言い切ってはいけないような気もいたしますが、御質問のような趣旨でお答えいたします。  私ども、実はそういうことにつきまして、ここ数年来でき得る限り世界じゅうの新しい資料を集めて分析をいたしてまいりましたし、また、私ども自身がカナダをはじめ、アメリカ、中南米、オーストラリア、それから、近くアフリカ方面等にも参りますが、そういうことについての基礎的な調査をいたしてまいりました。  そのようなことから、私どもとしましての判断で申し上げますと、おっしゃるとおり、九万トンと称されておる昭和六十年までの累積ウラン需要量に対して、まず、国内でどれほどの充足率が持てるかという点でございますが、これは、先ほどのお話にもありましたように、私どもといたしましても、今後たとえどのようにわれわれが探鉱努力をいたしましても、多くを期待することはとうていむずかしい。いまお話しのように、一割ぐらいでもむずかしいだろうというお話もございますが、あるいはそういうことに終わるかもしれませんし、また、鉱石の質が問題でございまして、アメリカとかカナダのような高い品位のものであれば、鉱量があればそれで役に立つわけでございますが、いままでのところでは、品位の点で、それに比べまして低いという点が難点でございますから、その充足率はきわめて低いと考えざるを得ないと思います。  海外ウラン資源と申しましても、さっき申しましたような国々の資源が、日本の将来の対象になると思います。共産圏のソ連とか中共についてはなかなか簡単にはまいらないであろうと思います。  そのような観点から判断いたしますと、いまあるウラン資源量から、いま考えられるような経済ベースでのウラン鉱石の開発というようなことを考えますと、日本が需要するウランを、ただ単に購入契約だけで、はたして全部充足できるかということになりますと、これはきわめて困難であるというふうに考えております。
  111. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 アメリカ、ソ連が原爆をどれだけ持っておるか、これは私らにもちょっとわかりませんが、一説によると、アメリカは三十万メガトン持っておるのではないか。それは一メガトンの原爆にどれだけのウランというものが使われるのかはよくわかりませんが、三十万メガトンというと、普通の爆弾で三千億トンということになるのです。でありますから、核拡散防止条約が締結されても、核保有国の原爆製造というものは、あるいは停止しないかもしれない。それに今度、原子力平和利用の主点である発電が行なわれる。  これは山の経験者でなければよくわからぬと思うのでありますけれども、もうすでに世界的には、ウラン資源というものは、地質的に調べができておって、これは大体想像がつくのではないかと思うのです。創成期から、それからいろいろな、第四紀層までの間にどういう地帯にどういう鉱物というものが埋蔵されているかというのは大体の見当がついている。それで、自由諸国及び共産圏もすでに世界的な探鉱というものは大体終わっているのじゃないか。そして、有望な地区というものは全部手中におさめているのじゃないか。そこへ向かって、日本がいまから将来の燃料対策としてウラン資源の入手をはかるという。一体どういう方法が残されているのか。高くてもいいから買えばいいといったら、それは売るウランもあるかもしれないのですけれども、安いウランを入手しなければ、日本原子力発電のコストというものは下がらない。大体目の子勘定でもって燃料というものは発電のコストの三分の一というふうに考えられておるのですが、それが高かったらもう原子力発電のコストというものはなかなか下がらないということになると思うのですが、そういう観点から、もし外地のウラン鉱石の調査探鉱をやらなければいかぬというたてまえに立ったら、どこが一体残されているか、そういう見当はつくのですか。
  112. 神山貞二

    神山参考人 いまの先生の御意見でございますが、おおよそ世界じゆうでウラン賦存資源の区域はわかっているであろう、そしてまた、おそらく鉱区といいますか、その権利も大体押えられているのではないか、また、探鉱も大体終わったような段階ではないかというお説なんでございますが、確かにウランがどういうところにあるだろうかという点は、世界的に見まして、鉱業としては原子爆弾以来のことでございますから、ここ二十数年来の浅い経験でございますけれども、おおよその見当はついていると思います。そういう点はいえると思います。したがいまして、世界的にどのような地域にウランの有望な地域があるだろうかということは、私どもも見当はつくと申し上げていいと思います。  ただ、それらの地域が、それでは、はたして、おっしゃるように探鉱開発はもう済んでいるのであろうかという点につきますと、いろいろこれは事情があります。一番大きな事情は、先ほど原子爆弾のお話もございましたが、しょせんウランが戦略資源であるという点にあると思います。たとえばカナダはなるほどウランにつきましても非常にオープンマィンデッドでやっておりますけれども、アメリカにおいては、これはいろいろな政策の一つでございますけれども、平和利用原子炉には、アメリカ国内のウランでなければ使わせないという規制をいまいたしております。これは一つの規制だけですが、中南米諸国においては、ほとんどすべて大統領がその権限を握っておって、探鉱とか開発ということをかってにやらせない。かってに輸出もさせない。オーストラリアにおいては、かなりオープンでございますが、これは自分の国内に千トン見つけた場合に半分だけ輸出させるというような規制をいたしております。それからまた、アフリカが非常にまだはっきりとしていない区域だと思いますが、これは旧植民地の関係もありまして、フランスなどは特に旧植民地関係はほとんど独占的にその探鉱権をとっている。それからまた、近くはインドネシアにフランスが探鉱権をとったというような、いろいろそういった国と国との間での話し合いで特別にできる場合もありますが、一般的にいいますと、なかなか自由に流通ができない。流通機構がまだ形成されていないという事情がございます。したがいまして、そういうような関連もありまして、探鉱開発が世界的に見て大体終わっているだろうということは、まだ残された区域のほうが私どもは多いのじゃないかというふうに実は考えております。そういうことで探鉱開発をしていきたいと思っております。
  113. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 それは、私の申し上げるのは十ドル以下は七十万トンとか、十五ドル以下はこれに対して八十万トン加算されるとか、全部そういう統計は出ているのですね。ああいう統計というものは、世界的に大体の探鉱の目星をつけ終わらないと、私はああいう数字は出てこないと思う。ですから、ものにならないやつは残っているかもしれない。それはやはり二十ドル、二十五ドル、三十ドルといって高くかけてとればとれるというようなかすは残っているかもしれないけれども、十ドルとかあるいは十五ドルとかというような、将来原子力発電の燃料として有望性を持っておる大体の地区というものは、世界的に探鉱して、そして押えられている。そこへ向かって日本が外地のウランというものを獲得すべく調査探鉱をしに行こうといったって、これはなかなか効率的にはいかないのじゃないか。まあ悲観論ですが、やってみなければわからぬといえばそれまでですけれども、大体もう原子力問題が世界的に提起されてから二十年以上経過しているのでありますから、そんな日本みたいな間抜けな国というのはそうないと私は思うのだ。大体調査していると思う。私はおととしシベリアに参りましたときに、シベリアの地下資源の探鉱というものは、各地に大体六千名ぐらいのグループがおって、それが春から秋までには全能力をあげて探鉱をやる、そして、冬季間はそれを分析したり、いろいろ地下資源の埋蔵というものに対して検討を加えているというんですね。ですから、私は、世界的にもうそういう段取りが行なわれて、大体もうウラン資源というものは有望なところは押えられてしまっているのじゃないかと思う。もしそうでなければ幸いです。  きょうは時間がありませんからもうやめますが、お願いしておきたいのは、一体どうすればいいかというのです。これは山というのは専門的な立場に立たなければわかりませんから、いままで人形峠、東濃地区を調査探鉱した経験をもって、世界的に日本が外地でもってウラン資源を獲得する必要性に迫られたときにどうすればいいか、どこを目標にしてやればいいか、何ぼ金がかかるかということを具体的に示して、その予算の獲得にでも向かわなければ、民間に期待するといったって、一体こういう問題は民間に期待ができますか。あるものを買ってくるということは私はできると思う。しかし、いまお話しのように、向こうは売らないかもしれぬ。そういう場合に、日本原子力平和利用というものは根本から崩壊をしてしまう、燃料なしに発電はできないのですから、日本はそういう危機というものがあるのじゃないかと思う。それで、昭和六十年までには三千万キロワットとか四千万キロワットとかいうような計画を立てておるのですね。どこに一体その計画を遂行する信憑性があるか。まず十分燃料を獲得して、そうして軽水炉でもって三千万キロ、四千万キロやれる、そのうちに増殖炉ができてくるから、増殖炉によってさらに何ぼやれる、そのうちに核融合反応ができてくるから、そこで究極において原子力平和利用というものが花が咲くというのならいいのですけれども、第一、日本に手持ちは三千トンか四千トンのU3O8を持っておって、あとウラン二三五の百六十一トンだけは三十年間いまリストに載っているところの契約はできた。あれだって、あの条約を検討してみれば、結局ウランの原鉱を持っていくというのがたてまえでしょう。そうでしょう。
  114. 神山貞二

    神山参考人 そうです。
  115. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 ですから、本質的にいけば、やはりウラン原鉱を入手するということが、日本原子力平和利用の発電というものを推進していく原動力だと私は思う。そいつは何もないというのだ。ほとんど何もないにひとしい。ですから、それを民間に期待するということでもって外地の資源獲得を逃げておるという、そんな政策は私はないと思う。もしそういう政策があるとしたら、これはとんでもない政策だ。どこに一体原子力時代に対応する日本の確固たる姿勢があるか。ないということじゃないかと思うんですがね。それは一体どうお考えですか。
  116. 神山貞二

    神山参考人 先生の非常に熱心な御意見を拝聴したような気がしますが、政策的な問題が多分にありますので、私が適当かどうかわかりませんが、初めの先生お話で、これはきわめて恐縮でございますが、世界じゆうで確かにああいう数字が発表されておりまして、十五ドルから三十ドルというようなところはいまわかってないが、かなり地質的に見て有望、可能地域の鉱量だというふうに注釈がついております。それは非常に離れた場所、全然新しい場所ということではなくて、いまある鉱床の周辺地区を大体あれはさしているようでございます。現在どういうことで世界じゅうの探鉱が行なわれているかと申しますと、もちろん、いま既知の鉱床の周辺の探鉱も盛んに行なわれておりますが、全く新しい地域での探鉱も現在世界じゆうで行なわれております。その例は、アメリカにもカナダにもございますし、また、全然あの表にも載っていない、ENEAのレポートに載っていない鉱量といたしましては、たとえばアフリカのソマリアなどというのは、国連が最近数年かかって探鉱した結果でございますが、これをこれから各国が開発しよう、国際入札までやって、いまアメリカと西ドイツとイタリアが入っておりますが、そういう地域がございます。確かにおっしゃるように、当初の時点から比べますならば、不便なところとか、あるいは深いところとかということになろうと思いますから、先生にこういうことを申し上げてたいへん恐縮でございますが、多少高くなるかもしれません。非常に高くならないだろうと思いますが、そういうことであっても、ウランの探鉱開発をする地域はまだあると私どもは考えておりますし、その地域はおそらくアフリカとかあるいはオーストラリアとか、ああいう一種の後進国といいますか、未開の地域の多いところという場所になろうかと思います。  それから、私も先ほど冒頭に申し上げました、民間に期待するといいながら、おまえたちゃっても役に立たぬだろう、こういうお話なんですが、これにつきましては、期待される民間企業はどのような形態、どのような民間の企業が考えられるかというようなことを、つい最近でございますが、関係の方々で真剣に討議もされておりますし、その関係の方と申しますのは、原産が中心になったような形で、金属鉱業会社とか、あるいは電力の会社とか、あるいは私ども、あるいは石炭の関係の方、各首脳部の方々が集まって相談しておりますし、たとえば、今度私どもアフリカに参りますのも、フランスといろいろな話し合いをしようと思って参りますが、その対象地域はニジェールでございます。ニジェールはサハラ砂漠の南方区域でありまして、相当広い区域であります。そこでこれから共同探鉱をやらないか、やることができるかというような問題になりますが、それにしましても、私どもができる限度がございますので、それらを、いま申しましたような話し合いの場につなぐ。それを持って帰って、そこで検討しよう。そういうつもりで行ってくるべきだというような話し合いまでされておりますので、私は、これもなかなかすらすらといくかどうかわかりませんが、そういうような方向で進むことになろうかと思います。いまきめられているといいますか、国の姿勢としては、国はそれに対して探鉱融資とか、あるいは技術援助とかいうことをあらゆる面から、国側としての協力をしながら民間企業による開発に結びつけていくという以外、私どもとしてはなかろうと思って考えております。
  117. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 長官、お聞きのとおりのことでございます。私は原子力委員会でこういう問題が真剣に論議されているかどうかということに非常に疑いを持っているのです。というのは、原子力委員会にはマイニングに関する専門家がおらぬですね。原子力委員会原子力に関する政策の決定をする。そして、これを総理大臣も尊重しなければならぬ。ところが、一番肝心の燃料対策というものがどうもはっきりしない。どこに一体責任があるのか。動燃事業団には、総理大臣の許可を得て外地の調査、探鉱をすることができるという一項があります。その他、さっきお話がありました、燃料は民間に期待する。海外鉱物資源開発会社ですか、それから金属鉱物探鉱促進事業団、こういうのもありますけれども、これは一つウランには手をつけてない。どこに一体ウランを獲得する熱意が日本にはあるか。だから、さいふに金を入れないで物を買うような形になっているんじゃないかと思うのです。  そこで長官、ひとつ原子力委員長としてお願いしておきたいのは、早急にウランに対する政策の決定をしていただきたいと思います。どこが一体責任をもってやるのか。民間に期待するといってやって、民間は拘束されないわけです。民間はリスクを負うてアフリカの探鉱をやるのはいやだといえば、それまでのことなんです。結局、原子力時代に備えるところの国家としては、原子力時代に対応する政策の確立というものがなければ、これは砂上楼閣にひとしいものじゃないかと私は思うのです。大きな観点からいえば、日本燃料一つもないのです。ようやくアメリカのそでにすがって、ウラン二三五を百六十一トン、三十年間の契約をしたんだけれども、これも先ほど申し上げたように、厳密に検討を加えると、原鉱石を持っていって濃縮ウランをつくってもらうということがたてまえのようであります。ですから、これは私は日本の悲劇に終わらなければいいと思っておるのでありますが、この際、この燃料政策をいかにして確立するかということに対して、原子力委員会において真剣に検討を加えていただいて、はっきりした線を出していただきたい。そして、いままで日本がマイニングに経験を持つ、特にウランの探鉱に経験を持つ人々を外地に派遣して、はたして日本はどういう立場において将来ウラン資源を獲得していくべきかということを早急に詰めていかないとできない問題じゃないか、こう思うのでありますが、これに対して長官の御所信を承って、私の質問をやめることにいたします。
  118. 木内四郎

    木内国務大臣 たいへん大事な問題を常々御心配願っておって、まことに感謝にたえないのでありますが、御案内のように、わが国はひとりウランだけじゃないのです。今日までの歩んできた道を見ますと、石炭においても非常に苦労しましたし、石油についても苦労しましたが、どうやら国民の非常な努力で今日まで乗り切っておるわけでありますが、いまお話しウランについても、お話しのとおり、国内においてはきわめて貧弱な資源しかありません。そこで政府においても、さっき神山参考人からお話がありましたように、通産省、あるいは民間の人々、あるいはまた科学技術庁、あるいはまた動燃事業団等が集まって、いろいろ相談しておるわけであります。原子力委員会その他でもって、いろいろ相談した結果、今日までのところ、とにかくウランの資源は民間に期待するということになっております。民間におきましては、発電業者その他が長期契約、短期契約その他をやっております。これではもちろん足りませんので、さらにまた、いま神山さんなどもわずらわして、海外の探鉱、開発輸入、こういうことに力を尽くしておりますが、予算が少ないので、今日までは十分にいかなかった点はあると思います。今後動燃事業団のそういう方面の経費などもなるべくふやして、そして動燃事業団は概査をする、大体の調査をする。利用、開発になれば民間のほうにやってもらうということになっておりますが、民間のほうでどうしてもやるものがないということになれば、総理大臣の認可を得て動燃事業団でも開発し得るような余地はつくってあるのですけれども、いまお話のありましたように、何しろ資源は国内には貧弱、世界のものも非常な奪い合いということでありますので、政府としても、また期待されておるところの民間の業者にしても、この問題と真剣に取り組んでいかなければならぬ。いま寄り寄り相談をいたしておるところであります。さしあたりは科学技術庁としては動燃事業団を通じて概査をひとつしてもらう、こういうことでもっぱら力を尽くしてもらいたい、かように考えております。
  119. 石田幸四郎

    石田委員長 関連で、石川次夫君。
  120. 石川次夫

    石川委員 齋藤委員もたいへんこのことを心配されておりますが、もう時間もありませんから、結論的なことだけ申し上げます。科学技術庁あるいは動燃団は、決定的に不足が見込まれるウランについては、先駆的役割り、あるいはまた、その補完的役割り、あるいは貧鉱なるがゆえに特別な技術を持っているという意味も含めて技術指導的な役割りというものは待っておるけれども、事業体としての力は、そう言っては失礼だけれども、われわれとしてはあまりたよれない存在だと思うわけです。ですから、これは通産省の関係が大いに実働部隊として動かなければならぬのじゃないかということで、実は商工委員会でこの件については私は二回ほど徹底的に詰めた議論をやってきたのです。どう考えても仏つくって魂入れずどころではなくて、入れものだけはできたけれども、燃料がないということになったのではナンセンスです。実際にはそうならざるを得ないような見通しになっておる。そういうことで、たとえば民間では電力会社が一番心配をしておるのですけれども、電力会社は探鉱ということに全然しろうとです。したがって、カーマギー社と提携をして金を出したといっても、あなたまかせというかっこうになっておる。どうしても日本がある程度主体的にマイニングの中心的役割りを持たなければ心細いということにならざるを得ないので、金属鉱物探鉱促進事業団というものがありますけれども、日本では、御承知のように、銅でも鉛でも亜鉛でも、これは海外探鉱でなければならぬのだ、これはたいへんな至上命令になっておる。ウランまでやろうなんということは非常な冒険だし、経験もないしというようなことで、利潤追求を行なうことが前提になっておる民間会社ではとうていこれはできない。したがって、どうしてもこれは国が中心になってやらざるを得ないという使命を持っておると思うのです。これをまずしっかり踏まえてもらいたいと思うのです。民間にまかせれば何とかなるのだということにはならない。したがって、国が責任を持つのだということ、これが第一の条件。  それでどういう組織でやるかということが問題だと思うのです。金属鉱物探鉱促進事業団があるから、そこにまかせるのだという。組織は一応あっても、これはウランには、いま言ったように、とても手が出ない実態でもあるし、そういう冒険はおかさない。したがって、海外探鉱の中でのウランというものについては特別の組織というものをどう考えるか、このめどが立たなければ将来のウラン不足というものは解消できないと思うのです。  それから、目標としては一体どうするか。たとえば、日米原子力協定ができても、これはアメリカのAEC、原子力委員会が明言しているように、全部出すのじゃないんだ、賃濃縮が原則だということを言い切っておるわけですから、これにたより切るわけにはいかぬわけですね。幾ら不足して、いつまでにどれだけ原鉱石を補給しなければいかぬのだという目標をまず確立しなければいかぬと思うのです。この目標も残念ながらいまはっきり立っていないのじゃないか。何となく、原子力協定に依存すれば何とかなるのだというような安易感が非常に支配的なんです。これは非常に危険なことなんです。向こうはどういう情勢でどういうふうに変わるかわからぬし、大体の概算によりますと、一九七三年ごろからはアメリカは原鉱石は自分の国で手一ぱいだ、とても海外に出ないのではないかという推算も一つ根拠のある形として出ているわけです。したがって、これは何とかそのうち考えるというような問題ではなくて、焦眉の急務だと思うのですよ。  したがって、国が中心になって、組織をどうするか、そして目標をどう立てるか、それに伴う資金は一体どれくらい要るのだということを、これは来年度の予算考えるなんという問題じゃないと思うのです。いま、もうまさにゴールドラッシュのような状態になっておるわけですから、これは早急に政府のレベルで考えてくれということを私は通産省の関係の商工委員会でも強調しておいたのですけれども、ひとつ科学技術庁も大いに責任があるわけですから、通産大臣とも早急に話をして――核燃料懇談会のほうでは、最近たいへん関心を持ち始めておるようでありますけれども、いままでのようなピッチではとても立ちおくれるということははっきりしております。聞くところによると、ブリティッシュコロンビアというところで八十ばかり鉱区をつくったというのですが、大体ほかの国であれば千とか二千とか鉱区をつくるわけですね。ところが、予算を聞いたら、驚くなかれ一千万円。これで何ができるか。こんな体制で一体どうするのだという、これは齋藤さん同様、私も非常な焦燥感にかられておるのです。こういう事態を踏まえていま言ったような責任感を持って、国がやるのだという中核を立てて、そして民間と組み合わせてどういう組織をつくって、どういう目標で、いつまでにどのくらいやる、予算はどのくらい要るということを、ここ一カ月か二カ月のうちに早急に立てて、すぐに着手をする。こういう形にならなかったら、悔いを千載に残すと思うのです。これは長官、どうお考えになりますか。
  121. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しの問題、齋藤先生お話と同様、非常に重要な問題でありまするので、私ども心を砕いておるのですが、いま核燃料の懇談会その他においていろいろ協議をしております。私は、実は、別にこれで努力しないという意味じゃないのですけれども、それほど悲観しないのです。日本人の能力はこれを必ず打開していき得ると私は確信しておるのですよ。世界的に足らぬけれども、これは日本の民間も政府も、これまでいろいろ難局も乗り切ってきたように、私は必ずこの難局を乗り切り得る能力はあると思うのですけれども、努力をしなければならぬことはもちろんでありまするので、諸先生お話のとおり早急にこの問題を検討しまして努力をいたしたい、かように思っております。      ――――◇―――――
  122. 石田幸四郎

    石田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。  食品加工技術に関する問題調査のため、明十二日、食品評論家郡司篤孝君及び東京都葛飾赤十字血液センター所長森下敬一君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 石田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は明十二日木曜日午前十時より理事会、十時十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会