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山田説明員 ウラン濃縮の問題につきましては、これは二年くらい前に、
原子力委員会の
核燃料懇談会というところで
核燃料全般にわたって
考えました中の
一つの項目であります。
それで、
ウラン濃縮につきましては、いろいろな
方法がございますけれども、現在有望であろうと見られておりますものは、
ガス拡散法と
遠心分離法でございます。その他も、非常な基礎的な
研究は行ないますけれども、その
二つにしぼるという
考えでありますが、ただし、その場合、
原子力委員会は、
RアンドDの進め方に若干ニュアンスをつけてあります。それは、
ガス拡散法につきましては「
調査研究」を行なう。それから、
遠心分離法におきましては「
研究開発」を行なう、こういうような表現になっております。
その
理由は、申し上げるまでもないと思いますが、
ガス拡散法につきましては、これはわれわれ自身には
既知の
技術ではございませんが、世界的にいいますと、
既知の
技術でございます。したがって、それの
経済性についても大体
めどがついておるということがいえると思うのです。したがって、もし
日本が
ガス拡散法の
研究開発に成功して、いよいよ
濃縮ウランをつくるという場合におきましても、
アメリカより安い
濃縮ウランをつくり得るかどうかということについては若干疑問がございます。その
理由は、御
承知のとおり、
アメリカは軍用につくりました
設備が、すでに半分ぐらい償却の済んだ
段階の
原価計算をするということが
一つでございます。それと、非常に膨大な
設備でありますから、規模の利益を十分受けているということであるわけでございます。第三番目は、あの地域は非常に
電力が安い。一円五十銭
程度の
電力である。この三点が満足され、しかも、
アメリカの
技術に到達いたしますと、いま
アメリカがいっておるような
コストになるということでございますからして、そうでない場合には若干高くなる
可能性がある。しかし、どうしても
濃縮ウランをつくらなければならぬということが起こるならば、
アメリカよりも若干高くてもやらざるを得ないという
考え方でございまして、それが「
調査研究」という形で名前があらわれております。
これに反しまして
遠心分離法のほうは、これはできるかできないかわかりません。が、しかし、できた暁には、
ガス拡散法よりも安い
濃縮ウランがつくれるのではないか、こういう
めどがございます。したがいまして、これは
RアンドD、
研究開発である、こういうような
考え方をいたしております。これはどういう性質を持っておるかと申しますと、非常に
単体の形でできておりますから、
ユニットシステムのようなものでございますからして、
スケールメリットはそれほど出てまいりません。逆に言いまして、小さくても、ある
程度の
経済効果があげられる。それから第二番目は、
電力の
消費量が、
ガス拡散法に比べまして五分の一から十分の一、普通七分の一といわれておりますが、そういうようなことであるならば、若干
電気代が高くてもやっていかれるのではないか、こういうことでございます。
そこで、
原子力委員会といたしましては、その
両方、たとえば
ガス拡散法に全く手をつけずにおくというわけにはいかない。これはヨーロッパの場合には、もしかいたしますと、
イギリスの
技術が取り入れられるかもしれない、あるいはフランスの
技術が取り入れ得るかもしれない。しかし、
日本は、その部分は世界的には
既知であると申しましても、ベースはゼロでございますから、どうしてもやらざるを得ない。しかし、そこで
二つの
方法をずっと並行して続けていきますことは、多分国力が許さないであろうということから、今後三年くらいの間に、
両方の
技術につきまして鋭意
努力をして、ある
めどをつけて、その場合に、いずれか一方を切り捨てることを決心するか、あるいは
両方を併用したほうがもっといいということがわかった場合には、
両方を続けていくというようなことにしたい。これを四十七年までに
めどをつけたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。
きのうの
日英会談におきましても、
イギリスは現に小さいながら
ガス拡散法をやっております。その
英国側が、この
遠心分離法はプロミシングである、有望であると申しておりますので、われわれも大体そういう
考えを持ちますが、彼らは自分でやっている人が言いますので、やはりこの
ガス拡散法については、現
段階において
めどが出てきているのではないかというふうに
考えております。
それから、
ウラン濃縮研究懇談会でございますが、そうは申しましても、
原子力委員会の、この
ウラン濃縮研究に対する腰が入っていなかったという御批判があることは当然であると思いますし、確かに十分の腰が入っていなかったということは認めざるを得ません。といって、一ぺんに何百億、何千億ぶち込んだらできるというものでもございません。それで、現在
考えられております
プログラムがございますが、その
プログラムが一体妥当であるかどうか、あるいは、そんなことでは外国の
技術に追いつけないのではないかというようなことにつきまして、おもに
研究開発側のメンバーが集まって
ウラン濃縮研究懇談会をつくっておるわけでございます。これは
評価でございませんから、第三者はほとんど入っておりませんが、そういう
研究開発の
担当者自体が集まってやっております。そこで若干ディスカッションされておりますことは、
理化学研究所という
母体において
ガス拡散法を十分続けていけるかどうか、どうもあの
母体におきましては、できないのではないか。したがって、四十七年までの、
チェック・
アンド・
レビューを受けるまでの
研究でも十分にはできないのではないかということが
考えられますので、これを一体どういう形に将来変えていったらいいのだろうかということが
一つでございます。
それから、
チェック・
アンド・
レビューを受けるまでにどのくらいのことをしておかなければならないのか、あるいは、それが四十七年に間に合うのかどうかというようなことも
検討いたしております。まだ一回しかやっておりませんから、大きなことは言えないのですが、そこで得られましたかすかな結論的なこと、これは
あとで間違っておるかもしれませんが、それによりますと、
遠心分離法のほうは、ある
単体――ぐるぐる回すところの
単体が十分に回って、しかも、これは
耐久力が非常に問題でございますから、
耐久力も相当あるという
めどがつけば、それで
チェック・
アンド・
レビューを受ける
段階までいける。これに反しまして、
ガス拡散法は、一段の
濃縮の効率でございますね。これが小さいものですから、相当段数を多くやりませんと計測にかからない、はかることができないというようなことと、これは
システムとしていろいろデザインをしなければなりませんので、どうもこのほうは四十七年にはなかなかむずかしそうであるというようなことになっております。しかし、もう一ぺん詰めなければなりません。したがって、次には、理研のいまやっております仕事をどういうぐあいにして今後、たとえば原研でこれを引き継ぐ、あるいは
動燃で引き継ぐ、あるいは国内のメーカーの
技術、そういったものを動員するには一体どういうふうにしたらいいのかというようなことについて
検討する、これは
濃縮と
遠心分離両方でございますが、そういうようなことを
考えたい。
お答えになっておりましたかどうか……。