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木内国務大臣 いまの
日本原子力発電所の
使用済み燃料を
貯蔵しておった、それの槽のペンキ塗りかえについて、いろいろ御
心配をかけまして非常に恐縮しております。私はもともと、これから日本の
原子力の技術、また、
原子力産業の発達をはかっていくためには、まず安全確保ということが第一だということは、もう繰り返しあらゆる機会に申し上げております。しかも、それは、科学的にも安全であるだけでなく、社会的にみんなの人の不安がないようにこれを納得させていかなければならぬということを私は第一に考えております。そこで、そういう見地から、私はそう考えても考えなくても、政府の今日までの施策というものはそこへひたすら目がけておるわけです。そこで、さっき申しましたように、
原子炉をつくる場合には、厳重なる安全審査の専門
委員会で審査をして、そうして、許可をするかどうかということをきめる。それから、設計とか工事の方法についても、詳細に調べて認否を決定する、あるいは、いよいよ
仕事を始める場合には、さらに
安全性の見地から事前の
検査をする、のみならず、この保安規定も
原子力委員会で審議をして認めておるものですから、保安規定についても認可をする、そういうふうにして、設置だけでなく、運営についても十分に安全が確保される、さらに、放射線あるいは放射性物質の
管理につきましては、これまた厳重なる基準を設けて、これを設置者に守らせる、こういうことにしておるわけです。
ところで、この
安全管理の問題は、これも私は前回の
委員会でよく申し上げたと思うのですが、これは
管理者だけが注意しておっただけじゃいけないのです。これに従事する者あるいはこれを監督する者、この
人たちも細心の注意を払っていかなければならぬ。
管理規程にはこうあるけれども、保安規定にはこうあるけれども、おれ
たちはマスクをかけないでやってもいい。この前の
被曝のように、マスクの用意があるのにマスクをつけないでやってもいい、あるいは
作業衣を着ないでやってもいいというようなことをやっては困るわけです。ですから、この保安規定というものは、詳細にわたって注意すべき点を規定しているわけなんです。
それで、今度の炉の問題につきましても、まず
作業衣を着て入る、
手袋をする、あるいはくつをはいて入る。そうして、しかも出てきた場合に、もちろん安全審査のことを十分審査していますが、これはやはり危険なものを扱うものですから、多少の汚染があるかもしらぬ、そういうところは出てきたら、すぐに厳重に
検査をしろ、
作業衣、
手袋、それからさらには、疑問のある場合には
下着まで
検査しろ、こういうことで厳重な
検査をやってきておるわけです。そこで、
検査したとろが、多少の汚染があるから、それは洗たくしなければならぬということで、これを取り上げるということは当然のことで、
作業衣も取り上げる、
下着も汚染しておったので取り上げる、そして、これを洗たくして返すということになっておるのだから、洗たくをした。洗たくをしたところが、たまたまそれがぼろぼろになった。それは汚染の程度によったのか、あるいはシャツとかああいうものの素材が悪かったのか、あるいはこれは私はわからないと思うのです。そこで、それを返せなかったものだから困っておるところに、その工事に従事した者からシャツを返してもらわなければいかぬと言ってきたので、
清水建設がかわりのシャツを返した、こういう事態でありまして、私は、この設置者としては相当な注意を払っておるのじゃないかと思うのです。
しからば、それをなぜ
科学技術庁が知らなかったかという問題になってくると、これは、
科学技術庁は規定を設けてあるのです、設置者に対して
義務を命じておる、ある程度の被害があったら、すぐに
報告しろ。これは、彼らは軽微なものと見た、いいか悪いかは別として、軽微なものと見たから、われわれのほうに
報告してこなかった。その
作業衣を洗たくして返せばいいと思ったら、返す前にぼろぼろになってしまったということで、その程度で、軽く見たといったらしかられるかもしれないけれども、軽く見ているわけではないのですよ。そこで、そういう事態だと私は聞いておるのです。しからば
被曝――
被曝といいますか、汚染の程度はどうかといいますと、一ミリ
レム程度で、きわめて軽微なものであった。しかも、出てきたときに、すぐに厳重な
検査をした。保安規定に従っておる。一ミリ
レムという非常に低いものであったということです。そういうようなことで、事態は、私は、そう申し上げてははなはだあれですけれども、われわれのほうに
報告すべき事項じゃなかったのですよ。われわれのほうとしても、その規定によって法定の
報告を受ける
段階になっておらなかったのです。しかし、いま近江先生のおっしゃったように、私も先ほど来申し上げているように、科学的にはそうであっても、一般に不安を与えてはいかぬというので、そういうものがあったらできるだけこちらに
報告するようにさせるように、私は
原子力局長にも、またその設置者に対しても注意しているわけなんです。私は何としても安全確保ということを第一の問題だとして、部下に対しても厳重に注意している次第ですから、今般はいろいろ御
心配をかけましたけれども、この程度でひとつお許しを願いたいと思います。