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1969-03-19 第61回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十九日(水曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 石田幸四郎君    理事 佐々木義武君 理事 齋藤 憲三君    理事 田川 誠一君 理事 福井  勇君    理事 石川 次夫君 理事 三木 喜夫君       桂木 鉄夫君    木野 晴夫君       橋口  隆君    井上 普方君       石野 久男君    福岡 義登君       山内  広君    内海  清君       吉田 之久君    近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       平泉  渉君         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁計画         局長      鈴木 春夫君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君         外務省国際連合         局長      重光  晶君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         運輸大臣官房首         席技術調査官  高力  章君         運輸省船舶局原         子力船管理官  宇田川貞夫君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  宗像 英二君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団理事         長)      佐々木周一君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団専務         理事)    内古閑寅太郎君     ――――――――――――― 三月三日  委員増岡博之辞任につき、その補欠として橋  口隆君が議長指名委員選任された。 同月十九日  委員小林信一君、松前重義君及び吉田之久君辞  任につき、その補欠として石野久男君、福岡義  登君及び内海清君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員石野久男君、福岡義登君及び内海清辞任  につき、その補欠として小林信一君、松前重義  君及び吉田之久君が議長指名委員選任さ  れた。     ――――――――――――― 三月十四日  宇宙開発事業団法案内閣提出第二八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  宇宙開発事業団法案内閣提出第二八号)  科学技術振興対策に関する件(宇宙開発及び原  子力行政に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 石田幸四郎

    石田委員長 これより会議を開きます。  去る三月十四日本委員会に付託されました宇宙開発事業団法案議題といたします。
  3. 石田幸四郎

    石田委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。木内国務大臣
  4. 木内四郎

    木内国務大臣 宇宙開発事業団法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  宇宙開発は、通信、気象、航行、測地等の各分野において国民生活に画期的な利益をもたらすとともに、関連する諸分野科学技術の水準を向上させ、新技術開発推進する原動力となるものであります。  先進諸国におきましては、この宇宙開発重要性に着目いたしまして、開発体制整備し、具体的な開発目標を定め、国家的事業としてその積極的な推進をはかっておりまして、その成果には刮目すべきものがございます。  このような情勢にかんがみまして、わが国におきましても、宇宙開発の本格的な推進とそのための体制整備が各方面から強く要請されるに至りまして、その体制整備の一環として、まず、昨年五月、国の宇宙開発を計画的かつ総合的に推進するため、その重要事項について企画、審議決定する宇宙開発委員会が設置されました。  現在、わが国宇宙開発は、宇宙開発委員会の昨年十一月の決定に沿って、昭和四十六年に電離層観測衛星を、昭和四十八年度に実験用静止通信衛星を打ち上げることを目標に進められておるのでありますが、この目標を達成するためには、多岐にわたるきわめて高度な技術を駆使するとともに、短期間に多額の資金を投入することが必要でありまして、これは国の総力を結集して行なうべき大事業であります。  これを成功されるためには、政府はもちろん学会、産業界から広くすぐれた人材を結集するとともに、弾力的な事業運営を行なうことが必要でありまして、このために、中核的な開発実施機関として、新たに特殊法人宇宙開発事業団設立し、宇宙開発を総合的、計画的かつ効率的に実施しようといたすものであります。  この事業団は、現在の科学技術庁宇宙開発推進本部を発展的に解消し、その業務組織を引き継ぎ、これに加えて従来郵政省電波研究所で行なっておりました電離層観測衛星開発関係部門を移管させることとし、また将来、開発実施体制一元化をさらに推進し得るような仕組みといたしております。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、この事業団は、人工衛星及び人工衛星打ち上げ用ロケット開発、打ち上げ及び追跡を総合的、計画的かつ効率的に行ない、宇宙開発及び利用の促進に寄与することを目的として設立されるものであります。  第二に、事業団資本金は、設立に際して政府が出資する五億円、科学技術庁宇宙開発推進本部及び郵政省電波研究所から承継する特定の財産の価額並びに民間からの出資額合計額でありまして、このほか、将来、必要に応じて資本金を増加することができることといたしております。  第三に、事業団機構につきましては、役員として、理事長一人、副理事長一人、理事五人以内及び監事二人以内を置くほか、非常勤理事及び顧問の制度を設けまして関係各界の参加を得て、その協力体制の確立をはかることとしております。  第四に、事業団業務といたしましては、みずからまたは委託に応じ、人工衛星及び人工衛星打ち上げ用ロケット開発、打ち上げ及び追跡を行なうことといたしております。  なお、事業団がその業務を行なうにあたっては、主務大臣の認可を受けて定める基準に従ってその業務の一部を民間機関等に委託することができることといたしております。  また、事業団業務運営につきましては、宇宙開発委員会の議決を経て内閣総理大臣が定める宇宙開発に関する基本計画に従ってその業務を行なうことといたしております。  第五に、事業団の監督は、主務大臣がこれを行なうこととしておりますが、主務大臣は、内閣総理大臣及び郵政大臣のほか、将来政令でこれを追加し得るようにして一元化の進展に応ずることといたしております。  第六に、事業団は、その設立の際に、科学技術庁宇宙開発推進本部の廃止及び郵政省電波研究所業務の一部の移行に伴う権利義務の承継を行なうことといたしております。  その他、財務及び会計等につきましては、他の特殊法人とほぼ同様の規定を設けております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
  5. 石田幸四郎

    石田委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  6. 石田幸四郎

    石田委員長 引き続き、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  世界商業通信衛星組織に関する暫定協定恒久協定とするための政府間国際会議が現在ワシントンにおいて開かれているのでありますが、一九六四年から今日までの経過概要及びワシントン会議に臨んでいるわが国基本方針等について、関係各省よりそれぞれ説明を聴取することにいたします。  まず最初に、重光国際連合局長
  7. 重光晶

    重光政府委員 私から、最近やっておりますワシントン会議の模様についてだけ御報告いたしたいと思います。  御承知のとおり、二月二十四日から六十六カ国の代表及び二十五カ国のオブザーバーを入れてワシントンでやっておりますが、この会議は二十一日に終わる予定でございます。今日までのところ、正直に言いまして何にもきまっていないというのが現状でございます。したがいまして、この会議でどうなったということはまだ御報告できないのでございますが、御承知のように、こういう大きな会議になり、これほどむずかい問題になりますと、各国は、まず第一に自分の腹一ぱい主張をぶつける、そうして、それをもんでおりますうちにだんだん腹のうちがわかってきて、そうして、だんだん結果が出てくるという経過をたどるわけでございますが、いままでの討議の結果から見ますと、腹のうちが少しわかりだしたという状態でございまして、二十一日に終わるものでございますから、これもまだ正式にはきまっておりませんが、今回の会議で妥結しないことは、これはもう全く確実といってよろしい。したがいまして考え方としましては、いまの主流の考えは、これに引き続いて、この終わったあと準備委員会を夏ごろにでも続けまして、そうして準備委員会の作業の進みぐあいを見まして、この会議と同じような会議をことしの秋、大体十一月ごろもできたらやることにしたい、これが大方の考え方でございます。まだきまったわけではございません。  そこで、いままでの会議各国がいろいろな提案をしたり、それから演説をしたり、あるいは会議の背後でいろいろな個人的な接触を通じて腹の探り合いをやったわけでございますが、これらを総括いたしまして、大体こういうラインではないかというような観点から御報告してみたいと思います。  問題はいろいろございましょうが、今回の会議委員会四つできまして、おもな実体問題は第一委員会、それから第二委員会は法律問題、第三委員会技術問題及びもう一つ財政その他に関する委員会でございます。それで、ちょっとつけ加えますが、この第二委員会法律関係委員会では、日本側議長をつとめております。第一委員会のほうの議長アメリカでございます。問題の大部分は第一委員会議題でございます。  それで、いままで少しわかったと思われる問題をあげてみますと、まず、インテルサット業務範囲インテルサット機構の問題、それからインテルサット法的地位、これもあとで御説明申し上げますが、国際法上の地位、それから財政関係するのですが、調達の問題がいままで相当重点一つとして論議されました。そのくらいのところであろうと思います。  一番の問題は業務範囲でございますが、これは条約面からいえば、加盟国権利義務というかっこうになっておりますが、要するに、恒久インテルサットが何をやって何をやらないかということでございます。それで、これは特殊衛星の問題、国内衛星の問題、それから公衆通信に関する地域衛星の問題、この三つといって差しつかえないと思うのでございますが、これは会議の場におきましてもとらえ方はいろいろございますが、内容的に分類すると、この三つではないかと思われます。  もちろん、特殊衛星というのは、御承知のとおり、公衆通信以外の衛星であって、実験用科学用あるいはテレビの放送用、その他、要するに、公衆通信用以外の衛星をすべてここで特殊衛星といってとらえられておるわけであります。この特殊衛星国内衛星は言うまでもなく国内だけで使う公衆衛星でございます。この特殊衛星国内衛星につきましては、これは御承知のとおり、アメリカ態度とそれ以外の国とが非常に違っておりました。ことに、当初においては全く違っておりました。アメリカの案は、特殊衛星及び国内衛星は、インテルサット機関決定をもらわなければできないのだというような案を出したのでございます。しかし、この特殊衛星国内衛星に関するいままでの論議の実態から申しますと、インテルサット決定がなければできないのだということを少しでも言ったのはアメリカだけで、ほかの国は、これは自由であるべきだというのが全く絶対多数なんでございます。それで、先ほど申しましたように、一体腹の中はどうだということになるのでございますが、これはぼんやりした見通し――ぼんやりで恐縮でございますけれども、いまの時点においてぼんやりした見通しをつければ、これは自由になるという公算が一番強いのでございます。これは、会議でございますから当然であろうと思います。  ただ問題は、これまた当然でございますが、衛星を上げる以上はインテルサット衛星技術的な面で妨害し合う、そういった技術的な問題は、インテルサットと十分協議しなければいけない。これは各国も言い、実は日本のこの問題に対する態度も、原則は自由である、しかし技術的にお互いに妨害し合っても困るし、そういう意味で、上げるに際してはインテルサット技術的な問題について協議が必要だ、そういう態度を表明いたしましたし、また、そういう試案も非公式に出したわけでございます。  問題は、公衆通信に関する地域衛星の問題でございます。これはアメリカは認めないということを前から言っておりましたし、会議にも一応、認めないという案を出しました。これについて意見は、特殊衛星国内衛星ほど、ほかがこぞって、アメリカ以外は全部米案反対だということではございません。これは主として、地域衛星を認めた場合に、インテルサットのほうの実入りが少なくなる、そういう経済的な理由が多いようでございます。ただ、いままで発言した国を全部あげるわけにもいきませんが、大部分の国は、これはインテルサットがあるからといって禁止すべきものではない、もちろん技術的な協議を行なった後両立するように運営しなければならないけれども、これは原則として自由にすべきであるという意見のほうが大多数でございます。これに関連いたしまして、アジアの国でも大部分はそういう意見でございますが、非常に注目されますのは、フィリピンとマレーシアだけは、この点について全くアメリカと同様なことを言っております。アメリカと同様なことを言ったのは、すなわち、絶対に認めないということを言ったのは、アフリカで一カ国か二カ国ございますが、それ以外の国は禁止すべきものではない。しかし、どの国も指摘するのでございますが、技術的に両立するような関係が必要であるということに加えて、これは経済問題がからんでくる、あるいは政治問題がからんでくる。でございますから、特殊衛星国内衛星と比べまして、これは非常に複雑な問題であるから、よく検討しろ、こういう意見が大多数としては出ておるわけでございます。  日本は、この問題につきまして代表から演説もし、案も出ておりますが、公衆通信に関する地域衛星については、原則的に自由にすべきである、しかし特殊衛星及び国内衛星に関する規定、必要である技術的な協議のほかに二点を重視すべきであるということを言っておるのでございます。その第一点は、地域衛星通信衛星というものは、当該地域利害関係を持っておる国すべてが同意してつくらなければいかぬ、一部の国だけでつくるというのはよろしくない。それから第二点は、公衆通信に関する地域衛星をつくっても、たとえば、その地域内の通信についてはその地域衛星組織を使わなければいけない。ということは、インテルサットを使ってはならぬということでございますが、そういうふうに、インテルサットを使えないようにするという考え地域衛星はいかぬ、この二点を、技術的な協議の必要に加えて試案として出しております。しかし、この公衆通信に関する地域衛星の問題は、前の二者、すなわち特殊衛星国内衛星とはその複雑さが非常に違いますから、これに対する見通しは、前者に比べればまだ立ちにくいというのが状態でございます。この点はあとでもう一度申し上げますが、業務範囲ということについては、大体そんなところでございます。  その次は、インテルサット機構の問題でございますが、これは一応総会理事会管理機関の三本立てであるということは大体の考え方でございます。  総会各国一票、平等、これもみなそのような考えのようです。  それから、理事会各国出資率に応じた投票権を受ける。この理事会において出資率に応じた投票権にするということについての反対は、あまり会議中聞かれておりません。ただ問題は、総会権限理事会権限とを具体的にどこで引くかという点は大問題でございまして、この問題については具体的な考えはまだ全然出てきておりません。抽象的に、理事会権限を狭くしろとか広くしろとかいう意見だけでございまして、具体的には出てきておりません。  それから三番目の管理機関でございますが、言うまでもなくアメリカのほうは、コムサットをそのまま管理機関にしたいということでございます。ところが、これに対して、それでいいのだという国はないので、まず、たてまえとして国際機関をもってこの管理機関にすべきである。問題は国際機関ができるまでの過渡的期間においてコムサットを使っていく、そういう考えが強いわけでございますが、この問題に関するアメリカ側考えは、前の地域衛星その他に比べまして非常に強いようでございます。といいますのは、地域衛星についてまあまあだけれども、コムサットを何とかして維持したいということは非常に強く言っております。したがって、この管理機関の問題は、いまのところ全く見通しがついておりません。ただ、将来もずっとこのコムサットでいくというような協定ができるという見通しは、ちょっとないと思います。どこで折り合うかは将来の問題になると思います。  それからその次は、法的地位という妙な問題でございますが、これは、新しくできるインテルサットが一体政府間の国際機関であるか、あるいは合弁会社のような民間企業体の集まりであるかという問題でございます。これは、問題は法律問題でございますが、いままであげましたような実態の問題と関連いたしまして、アメリカは、これは合弁会社のようなものにしたいと言っておるわけでございます。これは、ほかの国は、いやそれはいかぬ、政府間の国際機関であるのが当然であるということを言っておりますが、これは実態について話がまとまれば、別に合弁会社にする必要もアメリカにとってないものでございます。結局全部まとまらないから、法律問題でもがんばっておる、そういうような感じのように見受けられます。これは第二委員会の問題でございますが、見通しはついておりません。  それからもう一つ、ちょっとこまかな問題にはなりますが、インテルサットがいろいろな機器を調達する場合の原則、これは御承知のように、現在の暫定協定では、最も安くていいもの、そうして、その見地から、同等なものがある場合には、なるべく広い地域の国から調達する、こういう原則になっております。  それで、わがほうは言うまでもなく、いまのこの原則をそのまま残してもらいたい。わがほうだけではなく、ヨーロッパその他の先進国はみなそれを主張しております。しかし、これに対して、同等のものならほかからもいいというけれども、いままでの実際は、ほかから入れたので少し高くなったではないかという問題が起こっておるのです。しかし、これはまだ、もちろん詰まっておりませんが、どうなるかいまのところ見当がつかない。しかし、先進国はこぞって現行の規定主張しておりますから、まあそれから非常にかけ離れるようなことはないと思いますが、これまた、いまの段階においては不明でございます。  内容的には以上だと思いますが、会議が二十一日に終わってしまって、それで一部には、アメリカ側としてはなるべくこれを延ばしたほうがいいのじゃないかという考えというか、そういう予想をする向きもあるのでございますが、最初にちょっと申しましたように、これを二十一日に終わって、準備委員会を夏ごろ開く。その準備委員会は、一体どの程度の国の数にするかということがいま問題になっておりますが、これはわからない。二十カ国とか三十カ国とか、そういう数になるかと思いますが、それで詰めて、そうして、ことしじゅうにまたこの会議を開きまして、何とか妥結に持っていきたい、こういう考えアメリカ側にもあるし、会議全般の空気のように考えております。  以上が、ただいまのワシントンにおきます会議説明でございます。
  8. 石田幸四郎

  9. 浦川親直

    浦川政府委員 ただいま外務省のほうから詳細にわたって御説明がありましたので、郵政省といたしまして、特段に、さらにこれ以上つけ加えて御説明申し上げる事項はございません。
  10. 石田幸四郎

    石田委員長 以上で説明聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 石田幸四郎

    石田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  12. 三木喜夫

    三木(喜)委員 重光国連局長お話で、日本の国の大体の意向はわかったのですけれども、それはアメリカをのける他の国の意向という中にかなり含まっておるように思ったのですが、いろいろ諸般の関係もあるでしょうけれども、差しつかえない範囲で、もう少し日本態度を明確にしていただきたいと思います。
  13. 重光晶

    重光政府委員 会議の正式の場においては、何事もきまっておらぬわけなのでございます。したがいまして、先ほどちょっと日本が案を出したと申しましたが、これも委員会なら委員会に、正式の案として委員会の場に出すということではないのです。ほかの国も、それはやっておりません。ただ、お話し日本側活動ぶりと申しますか、そういうことについてつけ加えさせていただきますと、まず、第二委員会委員長をとったわけでございます。そうしますと、必然的に会議全体のスティアリングコミッティーと申しますか、幹部会のようなものに入るわけでございます。それで、会議運営その他については、実はそういうような関係で、十カ国くらいがその中に入るわけでございますが、その中に入って意見も述べておりますし、インフォームされております。  それから、アメリカとして一番の問題はコムサットかもしれませんけれども、しかし全般的にいえば、地域衛星の問題がやはり一番重要な問題であると考えられます。これについて各国とも、いま申しましたような全く非公式でございますが、アメリカ提案に対していろいろな――いろいろといっても私のところに来ておるのは三つ四つでございますが、案を出しております。非公式な案でございます。地域衛星というか、業務範囲でございますね。特殊衛星国内衛星、それから地域衛星、この問題について全面的な試案をつくりまして回しまして、その後委員会会議その他で、三つ四つの国からその考えを支持するというような発言も出ております。ただ、ほんとうに詰めに入ったときに、どういうふうになるかということについては、そのときに日本主張がどの程度通るかということは、正直に申し上げますと、わからないのでございます。日本側として、今度の会議及びこれから予想される準備委員会その他に、いわば主導的な役割りをしていくという実績と地歩は確保したのではないか、大体そういう感じを持っております。
  14. 三木喜夫

    三木(喜)委員 実は、これはわが国としては重要な国益を踏まえた問題でありますので、できれば与野党一致して日本主張を応援するというような体制をしいてくれぬかということは、非公式に科学技術対策特別委員会のメンバーに話がそれとなしにあったわけですよ。そういうことですから、いまお話しになったことで大体のアウトラインはわかるのです。また、方向もわかるのですけれども、日本としての主張がやはりなければならない。それを可能な範囲で明確にしてもらいたいということです。いまのお話では、お互いに腹にあることをぶっつけて、そのぶっつけた中から適当なものが生まれるのだ、そういう見通しを持っておるというその見通しはわかるのですけれども、たとえば、アメリカがその資本の出資率によって六〇%近い発言権を持ち、日本は二%ないし三%の発言権でどういうことができるのかということも心配しますけれども、しかし、それよりももっと明確な主張を国会で――外交の立場では言いにくいかもしれませんけれども、科学技術とか、あるいは郵政省の立場から言えば、これはまた言えるところがあるのではないかと思います。そういう点は、大事なところを明確にぴんぴんと押えておいてもらうということが、われわれとしても非常に主張しやすいわけですね。そういうことと、それからもう一つ、今度立てられるときに、これも一緒にしておいてもらいたいと思うのです。今度は、どっちかというと、準備会議のようなかっこうに聞こえるのですね。そして、十一月に本協定を結ぶというような会議の形になりそうです、いまのお話を聞きますと。そうすると、その間において、暫定協定というものはどうなるのかということですね。その辺の見通しもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  15. 浦川親直

    浦川政府委員 先ほど国連局長も触れられましたように、今回の会議の論点の主要なところと一番問題になりますのは、国内衛星、それから地域衛星特殊衛星この三点であろうかと思います。郵政省といたしましても、そういうところが非常に関心がございま。すこれにつきまして先ほど国連局長が触れられたのでありますが、国内衛星及び地域衛星につきましては、インテルサット技術的に両立性がある。すなわち、周波数、それから軌道、それから電波のインターフェアレンスがない、こういうことを前提として、そういうものを打ち上げる自由は確保する、こういう方針でございます。  持殊衛星につきましては、これは気象衛星であるとか、あるいは飛行機の航測用の衛星であるとか、測地衛星であるとか、いろいろないわゆる公衆通信衛星以外の目的のための衛星でございますが、これにつきましては、これもやはり電波を出します以上、また軌道を持ち、静止衛星として使います場合に、軌道位置、電波の周波数というものの両立性というものを前提といたしますけれども、こういうような情報を、インテルサット総会というものができますれば、そういうものに提供してはどうだ、そして、そういうものを打ち上げるのは完全に自由である、われわれとしては、こういう方針でお願いをしておる、こういうことでございます。  それから、今回の会議が終わりまして、本協定がいつ結ばれるか、あるいはできるかわかりませんが、その間は当然現在の暫定協定でいくということに、現在の暫定協定がなっております。本協定ができるまで暫定協定で移行していく、こういうことでございます。
  16. 重光晶

    重光政府委員 暫定協定との関係から申しますと、実を申しますと、技術的に、本協定ができましても、国によっては最初の効力発効のときに入れない国がある。国によって、加盟の時期は出っぱり引っ込みができるわけでございます。したがって、一定の時期には、ある国との関係では暫定協定、ある国との関係では本協定、こういうようなことがあって、そういう技術的な問題はまだ解決されておりませんけれども、いま申し上げましたように、本協定ができたときに暫定協定が消えるという原則は間違いない。  それから、わがほうの基本方針ということは、郵政省のほうからお話――私も、この会議の模様をお話しします際には、それを踏まえてお話ししたつもりでございますが、しかし御指摘のように、広く国内関係を前もって固めておいて外に当たるということについては、私ども全く仰せのとおりだと存じます。ただ、一たび会議の問題になりますというと、もとの主張がどうであった、そして、それがどうなったという問題は、ことに二国間交渉の場合でございますと、わりあいに、簡単で、いやだというのならのまなければいいのです。しかしこういった会議の場合に、事によってはなかなか方針が貫きにくいということが当然あるわけでございます。そういうような意味におきまして、国内郵政省を中心といたしまして方針はしっかりとっていただく。しかし私のほうの立場から申しますれば、その方針に相当な幅がほしいという場合もあるのでございます。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体気持ちはわります。しかし私のほうから質問いたしますと、たとえばアメリカは方針として合弁会社のようなものにしたいと思っておるわけでしょう。それから、ほかの国の国際機関が望ましい、政府機関が望ましい、こういう考え方だというのですね。そうすると、日本はそのどちらですかということが言いたいわけですね。と申しますのは、今度行かれたメンバーを見ますと、どうも政府機関のようなぐあいでもあるし、ことによれば国際電電が全部権力を握りそうにも見えるし、また、別の会社をつくりそうにも見えるし、一体政府のほうではそのどれをとるかということに自信がない、あるいは国内なんかでも相当は運動が行なわれるだろう、したがって、明確にできないのだというようなところが見えるわけですね。そうすると、今度政府機関としてこの会合に臨まれたメンバーと、それから、いま申しました合弁会社のかっこうをとるのかあるいは政府機関とするのかということをひとつ御答弁願いたい。
  18. 重光晶

    重光政府委員 御指摘の法的地位でございますが、私の前の説明がちょっと足りなかったと思うのでございますが、御指摘の点については、日本側としては、これは政府間の国際機関にするという考えでございます。それをまた現地でも主張しております。と申しますのは、今度の恒久的なインテルサット協定案としていま並べられておるところを見ますと、やはり政府権利義務というものが相当に、いまの暫定と違いまして基本的な問題になるということになるわけでございますが、ただ、その問題は、実際的には理事会というものが、おそらく企業間のものである。しかし、インテルサットそのものは政府間の機関といたしましても、理事会そのものが企業間のものであるから、そうしますと問題は、先ほどの問題に返りますが、理事会がどれだけ権限を持っておるか、総会がどれだけ権限を持っておるかということにも関連するわけでございます。しかし、いまのところ、この代表団が行く前から郵政省を中心としてつくった考え方は、インテルサットそのものは政府間の国際機関にする、こういうことでございます。
  19. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 ちょっと関連して。  いまの御説明ですね。私よくわからぬのですが、暫定協定に加盟する際に、国際電電が五万ドル出したのです。それで暫定協定に加盟した場合は、政府が加盟書に何か署名しているのですか。
  20. 重光晶

    重光政府委員 そうでございます。
  21. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 しているのですね。そうすると、これは国際関係においては、どういう種類になるのですか。これは正式な条約でもないのだろうし、正式な条約を前提とした暫定協定というふうになるのですか。どういう性格なんですか。このインテルサット暫定協定に国際電電が五万ドル出して、加盟の署名は政府がしている。こういう前例があるのですか。それはどういうことなんですか。
  22. 浦川親直

    浦川政府委員 御案内のように、現在の協定におきましては、政府協定暫定協定というのがございます。それともう一つ政府または――政府が直接通信事業をやっている場合には政府でございますが、政府指名した通信事業者、これをもって特別協定というものを結んでおります。暫定協定におきましては、この特別協定をつくり、さらに、現在十八カ国でございますが、大体当時一・五%以上のシェアを持つ国々、これの構成いたします暫定委員会、こういうものをつくろうというようなことを規定しておるわけでございます。特別協定には、その業者間のいろいろの財政上の問題とか、いろいろ運用上の手続の問題とか、そういうことをきめておるものでございまして、暫定協定政府協定ではございますけれども、直接国の国民に対する権利義務の発生というものはございません。特別協定あるいは暫定委員会、業者間協定をつくるための政府協定、こういうふうになっておるわけでございます。
  23. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 ちょっとわからぬですね。そうすると、いまの御説明によりますと、暫定協定に対する責任というのは、一体、国際電電が金を出しているから国際電電が責任を持っているのですか、署名した政府が責任を持っているのですか。これはどっちが責任を持っているのですか。
  24. 浦川親直

    浦川政府委員 暫定協定につきましては、これは政府が署名しておりますので、政府が責任を持つということになっております。実際の特別協定によりましてインテルサットを運用してまいりますいろいろな事項財政上の問題、運用上の問題、そういうものはすべて事業者が責任を持つ、こういうふうになるわけでございます。ですから、実体的には、暫定協定に対して直接国が責任を負うような事項は、協定にはないと申し上げてもよろしいかと思います。
  25. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 よくまだわかりませんからやめますが、そうすると、暫定協定を土台として今度は恒久的なインテルサット協定を結ぶ場合に、この交渉に当たる責任者はやはり政府ですか。
  26. 浦川親直

    浦川政府委員 当然今回は政府ということになります。
  27. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 そうすると、その暫定協定に署名した署名は、どういう署名ですか。これは国会の承認を得なくてもよい署名なんですか。こういう署名はあるのですか。対外的に政府が責任を持って、その責任において今度インテルサット恒久協定に交渉をしなければならぬ。そうすると、その署名の責任というのは、一体どういうたちの署名ですか。
  28. 重光晶

    重光政府委員 ただいま郵政省のほうから御説明申しましたように、いまの暫定協定は二つの協定からなっておる。しかしながら、政府間の約束は、これは実体的に、予算の面その他から申しましても、国会の問題にするようなところはない、いわば行政協定である。そして、実体のほうは特別協定、企業間の協定だ。ところが、今度の案文はきまっておりませんけれども、本協定のほうは、いま問題になっております、たとえば国内衛星を上げるときにどういう制限があるかとか、そういうことが恒久的にきまるわけでございますが、これはどうしても政府の手足を縛る問題、その意味では内容的にも違う。それから、もちろん今度も、何という名前になるかわかりませんけれども、本協定のほかに、現状の特別協定に相当するものができると思います。これは、一般の現在の会議考え方においては、国によって、公衆通信政府が直接やっておる国があるのでございますね、そういうところは政府の名前になるのでございます。普通の国は企業体がサインすることになる。これは、現在もそうでございます。ですから、特別協定のほうは、基本的には現状と変わらない。ところが、本協定のほうの権利義務というものが内容的に非常に変わるので、これは本協定の内容がきまってからでなければわかりませんけれども、いままでの行政協定というワクに入らないのじゃないかと思います。そういう可能性があるのじゃないかと私どもは考えております。
  29. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま質問をいたしましたね。代表として行かれておる人の名前をひとつあげていただきたいと思います。
  30. 重光晶

    重光政府委員 首席代表というのですか、代表は下田大使でございます。それから代表代理として小木曽国連局参事官、これは外務省でございます。それから柏木電気通信監理官、それからKDD、国際電電株式会社副社長八藤さんでございます。この三人が代表代理、こういうわけでございます。
  31. 三木喜夫

    三木(喜)委員 下田さんが出られるということになると、国を代表して出ておられるように思うのですね。それから、ほかの二人も外交官でしょう。そうなってくると、あなたの言われるように、条約に準ずるべき取りきめに入ってきたわけですね。そのときに国会のいろいろな承認を得なくてもいいのか、法律的にどうかという問題、国益を大きく踏まえるという立場からいえば、かってに外務省の行政協定だという解釈だけで処理できる問題かどうかというのは、非常に問題になってくると思うのです。その点をあなたにお聞きしたら、代表の名前がちょっと出てこぬくらい、今度の代表というものに対する国全体の利益ということのつかまえ方がちょっと私はゆるいんじゃないかしらんと思ったのです。ちょっと、感じですよ、これは失礼な言い分かもしれませんが、私たちは大事な問題だと思っております。それは押えられてしまうんですからね、へたをやると。いままでだっても、核燃料にしましても、アメリカの独占を許してしまって、われわれはどうにもならぬ。これは外交上の問題として一つの原子力協定ですね。その中でそういう問題をわれわれとしては非常に心配しておる。石油についても非常に心配しておる。食糧についても心配する。今度空についてもそういう心配があるので、こういう質問をしておるわけなんですが、そういう点は、いずれあと宇宙開発事業団法もありますし、そのときに来ていただいて、もう少し詰めた質問をしたいと思います。きょうは原子力関係の大事な質問もあとにありますので、私の質問は一応このくらいで終わらしていただきます。
  32. 石田幸四郎

    石田委員長 続いて近江巳記夫君。  近江君に申し上げますが、時間の関係もありますので、なるべく簡単にお願いいたします。
  33. 近江巳記夫

    ○近江委員 私もそれじゃ、詳しくは法案審議に入ってからいろいろとお聞きしたいと思います、一、二点だけお聞きしたいと思います。  ワシントン会議におきまして、日本政府代表の方は、地域衛星の打ち上げ権利を留保する、このように主張すると聞いておりますが、しかしながら、一方、東南アジア諸国は、この点に関して反対意向を表明しておる、このようにも聞いておるわけであります。日本の地理的な立場からして、地域衛星の打ち上げ問題をどのように考えていらっしゃるか。  それからさらに、ソ連等の共産圏諸国、それから欧州諸国の主たる主張点はどういうものであるか、この点をひとつ簡単におっしゃってください。
  34. 重光晶

    重光政府委員 地域衛星、この場合、先ほど申しましたように特殊衛星国内衛星は別問題でございます。公衆通信に関する地域衛星の問題でございますが、これは禁止すべしといった、アメリカと同じことをいっているのはフィリピンとマレーシアだけでございます。あと、たとえば同じ地域の国にしましてもインドネシア、タイ、それから台湾その他はみんな、大体日本と同じようなことをいっております。ほかの地域の国も大体そうでございます。これがいまの会議の模様でございます。  したがいまして、先ほども申しましたように、日本側から発言いたしました考えは、ある一定の地域の中で、そういう宇宙通信に理解を持っている国のすべてが同意しなければまずいだろうということを発言しておるわけでございます。ですから、東南アジア諸国と申しましても、フィリピンとマレーシアだけなのでございますが、これが具体的に何を考えているのか、あるいは経済問題であるか、これはまだあまりはっきりいたしませんが、しかし、その二国以外のほとんどすべての国は、地域衛星を初めから禁止という考えには反対でございます。  それから、ロシア、東欧圏の問題でございますが、これはオブザーバーとして出席しておるわけでございますね。それでソ連は演説もいたしました。しかし非常に短い、抽象的なことだけでございまして、例のソ連側の従来からの主張である一国一票主義であるとか、そういうことをいっておりまして、具体的に地域衛星のことについては演説で触れませんでした。ほかのオブザーバーは、こちらの知る限りにおいては、委員会の席上ではおそらく発言していないようでございます。ですから、ソ連側というか、東欧諸国からこの機会に具体的に自分らの主張をどんどん述べるという態度ではこの会議はないようでございます。
  35. 近江巳記夫

    ○近江委員 国内術星の打ち上げが――これから宇宙開発が本格的になってくるわけでありますが、国内関係者間のこういう調整といいますが、関係のところは、国際電電、あるいは電電、NHK等もあろうかと思いますが、その点はどうなっておりますか。
  36. 浦川親直

    浦川政府委員 国内通信衛星開発に関しましては、郵政省を中心といたしまして電電公社、それからKDD国際電信電話株式会社、それからNHKという通信衛星に関連のございます機関の四者の、これはまあインフォーマルでございますけれども、協議機関を設けまして、もう二年前からだと思いますが、随時相談をし、技術的な問題もそこで討議する、共同して情報を交換し、開発に協力していこう、こういう体制で現在進んでおります。
  37. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども暫定協定のことがちょっと出ておりましたが、この恒久制度というのは来年一月一日までに施行されるように、そういう制度の設立を確立するようにつとめなければならない、このように聞いておりますが、もしその協定が成立しなかった場合は、暫定協定になると思いますが、その暫定協定というのはそのまま効力があるものであるかどうか、この辺をひとつ明確にお聞きしたいと思います。
  38. 浦川親直

    浦川政府委員 現在の暫定協定の第十五条によりまして「この協定は、第九条に規定する恒久的制度が実施される時まで効力を有する。」というふうにしてございまして、恒久制度ができるまで、加盟国はこの暫定協定でやっていこうではないかというふうになっております。
  39. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろ疑問点がありますが、まだ次がたくさんありますので、これはこのままにします。  それから本協定が成立したときに、当然国会の承認というものは求めるべきであると思うのですが、その点、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  40. 重光晶

    重光政府委員 この内容によるわけで、先ほど申しましたように、いま問題になっておるような内容でございましたら、私どもは少なくとも当然国会にかけるものだと考えております。ただ、これは内容次第でございます。
  41. 近江巳記夫

    ○近江委員 同じことで、それでは大臣、本協定が成立したときに、当然私たちは国会の承認を求むべきである、このように思いますが、大臣はどのようにお考えでございますか。
  42. 木内四郎

    木内国務大臣 これはむしろ私のお答えする問題でないと思うのですけれども、いま国連局長の言いましたように、内容によっては当然国会の承認を得なければならないと思います。
  43. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。      ――――◇―――――
  44. 石田幸四郎

    石田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  日本原子力研究所に関する問題調査のため、本日、日本原子力研究所理事長宗像英二君及び原子力船開発に関する問題調査のため、日本原子力船開発事業団理事佐々木周一君及び同専務理事古閑寅太郎君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 石田幸四郎

    石田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  46. 石田幸四郎

    石田委員長 それでは、日本原子力研究所及び原子燃料に関する問題について、質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
  47. 石川次夫

    石川委員 きょうはたいへん限られた時間で質問者がたくさんおられるようでありますし、それから私が質問しようとすることは、この前の委員会で、三木委員を中心としていろいろ質問されておるようでありますので、きわめて基本的な問題だけ簡単に質問をしたいと思いますので、お答えのほうもひとつ簡潔にお願いをしたいと思います。  そのまず第一は、これから、きょうも宇宙開発事業団のことについての提案理由説明があったわけでありまして、宇宙開発に関するところの原子力基本法に準じた基本法というものを同時につくらなければならぬという主張を、これはわれわれだけでなくて、与野党一致でもって結論が出ておるわけであります。そういう問題を考えるにつきましても、一応原子力基本法の解釈といいますか精神といいますか、そういうものを明らかにしたいと思うのでありますけれども、きょうはその時間がありませんので、ほんとうに簡単に基本的な点だけを質問したいと思いますのは、宗像理事長がお見えになっておるようでありますけれども、先ほど来「今週の日本」というのに、この前も質問があったかと思うのでありますが、「民主・自主・公開の原則守る」という題で論文をお書きになった。この「今週の日本」という新聞はどういう性格の新聞か、どこから御要求があってこの論文を――論文というほどじゃございません、見解を発表されたか、それをまずお伺いしたいと思うのです。
  48. 宗像英二

    ○宗像参考人 これは、原子力研究所の責任者としまして、いろいろのうわさが飛んでおりますので、私どもの立場をはっきりさせようと思いまして、私も勉強をしまして、そして書いたものでございます。
  49. 石川次夫

    石川委員 私は、これは非常に不注意だったんではないかと思うのですけれども、この「今週の日本」というのは、われわれが承知している分では、大体自由民主党がスポンサーで、大体自由民主党の機関紙的なものであるというふうにわれわれは理解をしておるわけです。ですから、これを出すということは、原研がほんとうに中立性を守らなければならぬ研究機関として、そういううわさの濃い――自由民主党の機関紙だと私は申し上げませんよ。しかしながら、ほとんどそういうふうな理解をされている新聞に出されたということは、一つの偏向があるんではないか思われてもやむを得ないんじゃないか。そういう点で、私はこれは非常に不注意な発表のしかたであったと考える。こういうものを出すんだったら、堂々と商業新聞なりマスコミなりを通じてやればいいけれども、そういう機会がなかったかもしれませんけれども、これはほとんど自由民主党が買い占めて配布している新聞なんですよ。そういう点ではぼくはちょっと異様な感じを実は受けた。そのことは一応おきます。  この中身の問題でありますけれども、この自主、民主、公開というのは一体どういうことなんだという、この解釈のしかたは、いずれ機会をあらためて科学技術委員会の中で議論をしなければならぬということが、宇宙開発基本法というものを通じて出てくると思うのです。その議論はきょうは一応やめておきますけれども、「民主の原則」という中で「基本的には民主的に選出された国会の同意を得て任命される原子力委員が、民主的な合議制により日本の原子力研究の基本について企画、審議決定し、原研がこれに基づいて研究を進めることによってこれが確保されるのである。」こういうふうに書いてあるわけです。私は、民主というものの原則は、こういう狭いものであってはならないと思うのですが、意見は申し上げません。  それで原子力委員、山田さんですか、おいでになられると思うのでありますけれども、ほんとうに原研におけるところの自主の原則というのは、原子力委員会がきめたことに基づいてやるということが自主の原則である、こういうふうなことが原子力委員会の中で意見決定を見ておるわけですか、伺いたいのです。
  50. 山田太三郎

    ○山田説明員 自主の原則は、ただいま石川先生のおっしゃいましたような形で、行政面におきましては、原子力委員会が民主的に構成されておる。それを実行する面におきましては、基本法の原則、基本法によりまして各研究所がそれに基づいてやっていくということで自主の目的が達成せられると思っております。
  51. 石川次夫

    石川委員 ということは、原子力委員会が民主的に設立をされておるので、原子力委員会がきめる方向に従ってやるということが原研における民主の原則を守るということになる、こういうことではないということに理解をされますね、いまの答弁だと。この点をはっきりひとつ答弁願いたいと思います。
  52. 山田太三郎

    ○山田説明員 ただいまのは原子力委員会の構成について申し上げたわけですが、原子力研究所あるいは動燃事業団あるいは原船事業団は、この基本法の原則に従って、これに基づいて運営されるということになっておりますから、それで三原則のうたわれております基本法に従っておりますので、自主の面はそれで十分であるというふうに解釈しております。
  53. 石川次夫

    石川委員 どうもよくわからないのですがね。ここで宗像さんがおっしゃるのは、原子力委員会というものが民主的に行政機関としてできておる――行政機関というよりは諮問機関でありますね。そこでいろいろな計画、方針等をきめてやっておるのであるから、そのきめたとおりにやれば、原研としては自主の目的にそれで沿い得るのだ、それでいいのだ、それが自主なんだ、こういうことを言っておるわけですか。それはそれでよろしいですかということなんです。
  54. 山田太三郎

    ○山田説明員 ただいまも申し上げましたように、原研法その他におきましても、原子力基本法に基づいて業務を行なうことになっておりますから、その意味で自主が入っておる基本法に基づく原研の運営は自主的にいける、こういうふうに解釈いたしております。
  55. 石川次夫

    石川委員 ですから、原子力研究所それ自体も、やはり原子力基本法の方針の自主の精神というものは尊重してやるという、この自主ということばから、これは原子力委員会がきめたことに従ってやるということがすなわち自主であるということにはならない。したがって、いま山田原子力委員のほうの御説明によれば、こういう宗像さんの見解は、原子力委員会のほうではっきりこうだときめた方針ではない、私はこう理解するわけです。その点はいかがですか。
  56. 山田太三郎

    ○山田説明員 原研法に書いてございますとおり、もちろん原子力委員会の線が必要でございますが、それにもっと基本的には、基本法に基づいて運営されるということであるというふうに思います。
  57. 石川次夫

    石川委員 原子力委員会の見解はほぼ明らかになりました。そうすると、この宗像さんの書かれた「自主の原則」というのは、原子力委員会がきめたものに従ってやるということは自主の原則を守ることだということには、ちょっと原子力委員会としては理解をしておらない、こういうことになりますね。したがって、この見解自体が、私はきわめてこれは独断と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、非常に考え方の基本的なとらえ方が狭いのではないか。私は議論をするつもりはないのでありますけれども、こういう点で、すでに私はこれは原子力委員会の統一見解ではないということがここで明らかになった。あと「公開の原則」にいたしましても、非常に問題があるわけなんですが、それから、ついでですから伺いますけれども、この間、JRR3、国産一号炉の故障が出て、その原子炉を続けて運転をしようとする原研の意向に反して、原子力委員会としては、原子炉の運転を一回とめて、故障というものをすっかり点検し直さなければならぬ、こういうことに端を発して、原子炉の管理を今度は監督するという方針を出したわけですね。監督をするというと、これは語弊があるかもしれませんが、監督を強化するというようなことになって、そのことが、朝日新聞によりますと、そういう原子力委員会態度を固めたことに関して、原研は反発をしておるという記事が出ています。この点はどこまで真実を伝えておるかわかりませんけれども、まあありそうなことだという感じもするわけなんですけれども、この点について原研はどうお考えになっておりますか。
  58. 宗像英二

    ○宗像参考人 あの記事に書いてありますことはどういうことでお書きになったのか知りませんが、理事会があった日にちも違います。それから、話し合った内容も違います。委員会の方と非常に親しく話し合いをした。それがいろいろの事情でどう曲がって伝わったか知りませんが、そういうことだけをまず申し上げます。
  59. 石川次夫

    石川委員 では、その点は一応おきますけれども、原子力委員会に非常な敬意を表し、原子力委員会の指導といいますか、そういう企画立案したもとにやるのが自主の原則だというふうに考えられておるこの原研が、原子力委員会の方針に対して反発をするということになると、どうも自己矛盾があるんじゃないか、こういう感じがしたものですから、一応念のためにお伺いしたわけです。  それから、労務管理のことは、これは社労でもって取り扱うのが本筋なんです。でありますけれども、御承知のように、社労のほうは、健康保険法その他で非常に忙しいという委員会で、それから労務問題が研究体制と密接な関係があるということになれば、この科学技術委員会としても放任はできないという立場で、若干質問をしたいと思うのであります。  これも、この前の委員会でだいぶ質問はされておるようであります。たいへんひけらかすようにとられては困るのでありますけれども、私は終戦後しばらく労務管理をあるところでやったことがございます。そういう立場で言いますと、私の乏しい経験から言うと、労務管理というのは、労働組合対策とことばをかえてもよろしいのでありますけれども、社会情勢と離れた方針をいかにとってみても、これは必ず破綻を来たすということが一つあると思うのです。それから、特にいろんな組合員の行動とか活動家の行動とかいうものについて監視をする、あるいはスパイ的にその行状を監査をするということになると、これは決して成功しない。そして、労働組合対策としてはまだしも、労務管理としては職場に非常に暗い空気を与えるという点で、これはたいへんな失敗をもたらすということは、私の乏しい経験でもよくわかっているのであります。そういう点では、どうもいままでの原研の労務対策というものはきわめて拙劣であったとしか私は考えられない。いろいろな事情はございましょうけれども、拙劣であったということの結果としては、この前のロックアウトの問題が現在裁判ざたになっておるというようなことでも、労使慣行というものがうまくいっておらぬということの有力な証明になると思うのです。このJPDRのロックアウトの問題については、いま裁判になっておりますから、この点について、ここであまりせんさくをする必要はないと思うのでありますが、これは御承知のように、労働基準法に照らして、期限のない協定として労働組合法第十五条によって、こういうふうな勤務状態を変えるという、労働協約に基づいた五班でもって三交代というものを、今度四班にするんだというふうにする場合は、当然九十日前に両方でもって調印をして出さなければならぬという手続の問題が一つあるわけですね。そういう手続を全然踏まないで、一方的にこういうふうな勤務状態にするんだということを通告をするということは違法行為ですよ。私は、これは裁判所で負けると思うのです。これは私の独断かもしれませんけれども、常識的に考えて、これはあり得ないことだ。社会通念というものと非常にかけ離れたところの判断でもって労務管理をやっておられる、こういう感じがしてならない。  そういう点と、あと一つは、御承知のように、片方がストライキをやった、片方が対抗上ロックアウトをするということは、世の中でもたまにあることです。めったにあることじゃありません。しかしながら、片方で今度はストライキを解除した。そのあとはロックアウトを解かないという行為ですね。こういうことはほとんどないのです。世の中の労働争議はたくさんありますけれども、こういう状態はほとんどございません。たまたまあるとすれば、それは労働組合をつぶす、あるいは会社がつぶれてもいい、こういう決意のときでなければ、こういうことは行なわれません。そういう点で、しからばこの原研というものはつぶれていいところかというと、原研というのは、御承知のように、日本の将来のエネルギーのもとにもなろうかと思われる原子力の唯一の研究所です。ただ一つの研究所、これがなくなったらとんでもないことです。そういう重要な基本問題を研究している研究機関がつぶれてもいいという形でもって労務管理が行なわれるということは、どう考えても、あなた方に非常に好意的な見方をしても、私は納得がいかない。こういうようなことは、私も相当激しい労務管理をやっておられる責任者の方なんかにもいろいろ聞いてみておりますけれども、ちょっとこれは論外だという批判が強いようであります。これは、あなたが理事長のときに行なわれたことではございませんから、あなたを直接責めようとは思いませんけれども、少なくとも当時副理事長でいらっしゃったわけです。したがって、全然関係ないとはいえない。こういうことを現在どう反省をされておるか、どうお考えになっておるか、その点を簡単でけっこうですから、伺いたいと思います。
  60. 宗像英二

    ○宗像参考人 ただいまの先生のお話、前の時代に私が副理事長としては関係しておらない、理事としては関係しておりました。その点だけをまず申し上げておきます。  それからいま先生がおっしゃった労務問題のこと、私も先生に劣らず関心を持って長年何とかして、ことに研究をする人たちがどうしたら育っていくだろうかということについては、おそらく私も長い経験を持っておりまして、そう皆さま方に、専門の方々に劣らない考えと経験を持っているのでございます。もともと、研究をするということは、もちろん、たまたま恵まれて非常にりっぱな先生がおいでになって、その先生のところに弟子について、そして、その先生から教えられて、大きな題目につかまって、その先生も一生おやりになる、それから、その次の代の人も一生おやりになる、そういうところに入れば非常に研究もよく進みますし、人もよく育てることができます。たとえば本多光太郎先生がおつくりになって、そのあとのあそこの研究者が、方向をきめられたものに向かって、もう突っ込んで研究をしていくというような場合がございます。そういうような例は日本には、残念ながら、あまり多くないのでありますけれども、外国の例なんかも話を聞きますと、そういうときになりますと、上下の信頼関係が非常によくできて、そして、先輩の人はよく経験もあるし、よく知っている、あの人に学ぼう。そして上下の信頼関係が非常によくできているために、非常にうまく進んでいくことがございます。私は途中から研究題目が変わっておりますものですから、そういう大先生のような指導力はありませんけれども、しかし、私は長年いろいろなことをやって、どうしたら研究を工業化できるか、そういうことについては、日本でもその経験者が少ない中でも、私はそれについては経験は相当あったつもりです。そういう意味で、どうかして原子力研究所の皆さんが、研究者も、それから研究補助者も、みんなが育って、そして、日本の国の原子力の仕事というのは非常にこれから発展していくのですから、それぞれのところに分に応じて、能力に応じて発展していかれるようにということを念じております。そういうことで、信頼関係がもとになったいいつながりができれば、これは御心配のそういう問題はほとんど起こらないということを私は確信しております。しかし、残念ながら現実には、いろいろな影響がありまして、なかなかその信頼関係ができない。どうかしてこれをつくりたいと思いまして、私も責任者になりましてから、それについては一番努力をしております。運営のしかた、いろいろなことがありますけれども、しかし、もとはその研究者あるいは補助者の人たち、補助者の人たちでも、いずれは育ってりっぱな人になって、そしてりっぱなかいのある人生を送っていただくようにしたいということが私の念願であります。そういうようにしたいと思っておりますし、また、原子力研究所の研究の実態を見ますと、いろいろな研究がありますが、どの研究でも、研究者あるいは補助者が実際に手を下して研究をしながら現実にある真理から――現実にあるものが一番正しい研究の進め方を教えるものでありますが、それからものを習って研究をやっていくわけであります。でありますから、だれがどう、だれがどうということはなしに、みんな現象をつかまえて研究をし、現実から教わっていけば、必ずその人は研究の力ができて、そして育っていくものと思うのです。  話が少し横道に入りますが、日本ではどうも、本を読んだりあるいはえらい先生の話を何となしに聞いて、その流儀でものを研究することがありますけれども、先生の話、本の話、それはみんな過去のものです。これから先道を開いていくのは、いまあるものをよく見て道を開いていかなければならない。過去にいかに能力のある、いかにその当時えらい先生でも、現在とは研究手段あるいは観測の手段、そういうものが違いますから、現在いる人のほうがものをよく見、ものによく教えられて、ものを判断して育っていくわけです。そういうふうにして育っていくように、どうして仕向けていこうかということを考えておりますと、私は実は、先ほどからおっしゃる組合の問題とかなんとかということでなしに、信頼感で一緒になってやっていけるというふうに思って、それを最高の理想にしております。しかし、その途中に、そういかないときがあります。  私も若干の経験がありますので前を振り返って考えてみますると、三木先生からちょっと一言つかえるがといってこの前のときおっしゃられたのですが、そのときの話をちょっと申し上げますと、御承知かと思いますが、私、昭和二十三年ごろにベンベルグをやっておりました。ドイツのベンベルグ会社もつぶれた、イギリスもつぶれた、それからフランスももちろんつぶれた。それからアメリカも小さくしようとしていた。イタリアは細々としてやっている。本家もつぶれてしまった。だから、多くの人たち、もちろん組合の人も含めて、経営者のある人たちも含めて、これはつまらない、やめなさいということをみんなが言いました。そして、多くの人たちがやめよう、やめようと言って、いまおっしゃったように、常識的に考えると、ほとんどみんながそれを支持しなかったのです。しかし、私は実験して、こことここを改めれば必ずこれはよくなるのだ、これは現実に実験をして知っておりました。その実験をした結果をみんなに言って、これを直せば直るじゃありませんか。しかし、ずいぶん反対する人がいました。どうしてもじゃまをする人もいた。しかしそれでも、これを直せば直りますよということでがんばって、最後は、じゃまをする人は残念ながらどいてください。そして、それを直してやりましたら、今日世界一のものができておりますね。もう二十年隆々としている産業ができております。アメリカ人も見に来ました、イタリア人も見に来ました。しかし、その人たちは、日本のこの手の込んだものをあえてやるよりも製品を買ったほうがいいといって、いまそれをやろうとしません。手は込んでいます。しかし世界一のものができています。そのときに私に賛成した人たちは、その後もりっぱに仕事を得て、もうすでに二十年たっておりますから、退職もしています、あるいは第二の職場について、そして私どもに連絡してくれて、あのときよかったですな、それから、反対した人たちも、あああのときあなたに反対したけれども、あなたのほうがやはり見通しがよかった。見通しがよかったというのは、私は実験をしていた、事実をよくつかんでいた。多数決できめるものでも、事実をつかんでいない人が幾ら多数決できめても、事実をつかんでないから、これはやはり根拠がないわけです。それが一つ私が非常に強く教えられた二十何年前かの経験であります。その後も、たとえばカシミロンをつくるときも、多数の反対があった。それを押し切っていまの硝酸法を採用いたしました。それから、二十年前に燐酸窒素肥料のやり方も、これも、学者も反対した。それから私の恩師の人も、それはむずかしいぞといって反対をしました。そういうことに対して、私自分で実験してみたら、やはりこれでいいのですよ。それから、みんなが反対しますけどれも、それを私自身が篤農家に頼んで――その篤農家も遊びにやっているんじゃない。自分で生命をかけて実験をしてみると、やはりよかったということを言われるので、その実験をもとにして二十年間がんばっていました。二十年間がんばると、もう学説も変わりました。私に反対していた大先生方も学説を変えて、いまは支持するようになっています。そして、ことしはもう数社がこれをやろうとしています。これはある例であります。  なぜこういうことを申し上げますかというと、科学技術の研究をする人は多数決できまると――みんなが同じに現実をよく見て判断をしてくれるんなら、それはいいです。しかしそうでなかったら、千人の人がだめだといっても、一人の人は現実をよく見ている。現実をよく見ているその現実の教えるものが科学技術の進歩を促すものです。原子力研究所にもそれはきっとあると思うのですが、私は一生懸命に若い人たちに、どうして現実をつかまえて、そして真理に沿うた研究をしていくようにしようじゃありませんか。私は何も原子力のことに詳しくはありませんけれども、実験の見方、あるいはどうしたらそれがプラスになるかということに向けていくことについては若干の経験が多いもんですから、そういうようなことを通して、労働組合とかなんとかということでなしに、みんなと一緒にやっていこうということをいつも考えています。しかし、その中に、まだやはりどうしても、かつて私がベンベルグのときに、どうしてもしようがなくてそういうふうにしたように、そういう方がおられるのが残念なんですね。しかしいずれは、私も熱心に説き伏せて、そしてそういう人たちがみんな科学技術、現実を学んでやろうじゃないかというふうに仕向けていってあげたいと思います。
  61. 石田幸四郎

    石田委員長 なるべく簡潔にお願いいたします。
  62. 宗像英二

    ○宗像参考人 はい。それでいま先生が、おまえは考え方が間違っているじゃないか、あるいは片寄っているじゃないかということをおっしゃられる。それは見方によって、私みたいなある片寄った、現実をつかまえることだけに熱心なのは、あるいはあるところを見そこなっていることもあるかもしれませんけれども、しかし科学技術の研究を指導する立場としては、やはりこれでなければいけない。私は四十年の経験でこれを打ち出して、これでやれば原子力研究所の研究補助者も研究者も、いずれはいい道を開いて、その方々がかいのある人生を送れるようになるんじゃないかしら、そういうように考えますので、これを強く申し上げて、私は、初めから弾圧をするとかなんとかということをお考えになる、それに対して考え方を変えていただきたい。私はそういう人間であるということをひとつ知っていただきたい、そういうことを申し上げます。  少し横道にそれましたけれども、私の考えておりますことを申し上げて、今後の先生の私に対する理解といいますか、それを改めていただくといいますか、そういう参考にしていただきたいと思います。
  63. 石川次夫

    石川委員 過去の非常な実績をあげた体験に基づいての御意見、これは承ります。ところが、私の質問に対する答えには若干なっておらないと思うのですね。その貴重な体験は体験として承りますけれども、しかし、過去にやった労務対策というものは、そういう意図で出たのかもしれませんけれども、客観的に見て相当世間的な常識からはずれたものであった。いままた今度停職の問題が出ておる。この問題も掘り下げればいろいろ切りのない問題がたくさん出てくるのでありますけれども、これまた、一等最初の平和三原則というものに立ち返った話になりますが、公開の原則というのが一つあるわけです。これは学術会議で、原子力基本法というものをつくるときに、これぐらい熱心に衆知を集めて討議をした問題はいまだかってないといわれております。その学術会議の結論というものを踏まえて、国会でも熱心に討議をした末に、原子力基本法というものが出たわけでありますけれども、その学術会議のこの公開の原則というものは、一九五四年の日本学術会議第十七回総会ではっきり声明をしておるその内容によれば、原子力の「一切の情報が完全に公開され、国民に周知されることを要求する。」というのが厳然として出ております。それからその他、学術会議意見といたしましては、これは国会の意見でもそのまま移しかえられたわけでありますけれども、「原子力の研究・開発・利用に関する機関の要員については基本的人権を十分尊重する。」それから「原子力の研究・開発・利用については、それにともなう放射線障害に対する対策、とくに、その予防のために、あらかじめ万全の措置を講ずる。」というふうなことで、公開の原則と安全対策というものは無関係なものではないわけです。公開の原則というのは、科学技術の振興のために公開をやることによって、お互いがその上にまた新しい知識を築いていくという意味では、科学技術の進歩に絶対欠くべからざる条件であるということもありますけれども、しかし安全対策上の問題で、原子力の場合には特にこの公開の原則というものが重視されなければならぬ面が強いわけであります。そういう点で安全対策のためにいろいろな問題が提示をされる、そして、その中の一環として出たのが「原子炉3」という職場の機関紙。これはこの前も話があったと思うのでありますが、これは不特定多数とあなた方はおっしゃったけれども、不特定多数じゃないですね。特定の少数ですよ。ごく少数。これに配られた機関紙、これが出たということが職場秩序維持上、対外信用の保持上からも非常にまずい、こういうことで停職の処分をされたわけですけれども、いま私が非常に心配しておりますのは、刑法の改正の問題が出ております。そこでは産業スパイ罪を制定しよう、こういう問題が出て、この問題は、いずれあらためて、この問題を中心にひとつ議論をしなければならぬ重要な問題を含んでおるとわれわれは考えております。産業スパイ罪というものになりますと、公開の原則が乱されるだけではなくて、いわゆる産業公害、安全対策というものに対する措置というものは、この産業スパイ罪の制定によって非常に制約を受けるのではないかという懸念を持っております。これはきわめて重要な問題だと思っております。そういうふうな機運が一方にあって、しかも、今度のように、私は、機密を漏洩したということには該当しない。この程度の破損の問題は、これは理事長も御承知のように、一九六八年の七月に研究炉管理部業務月報五十七号、五十八号、五十九号にこの破損の問題はすでに公開されているんですね。公表されています。それから続いて昨年の十一月には、日本原子力学会の炉工学分科会で講演もされておるという、きわめてはっきりした問題であります。この問題が職場の片すみの特定、ごく少数の連中に配付をされた新聞に出た。その内容はたいしたことはありませんよ。私も見ましたけれども、誤っている中身もございます。誇張されている部分もございます。そういうことでありますけれども、これが職場秩序維持上の問題になるかどうかという判断の問題になると、私はきわめて疑問です。もし、これが職場秩序維持上の問題になり得るとしても、三カ月停職というような大きな処分をしなければならぬほどの問題であるかどうか。これは、ここにおられる委員の方はあまりごらんになっていないと思うのでありますけれども、ほんのこんな小さな文句です。ほんとうに学問的な機密を漏洩したというふうなものでもない。しかも、この事故が出ておったということは、もう公開されている。学会でも発表されていることなんです。こういった問題に端を発して、しかも、この間、理事長自身の指図かどうかわかりませんけれども、きわめて隠密裏に一々厳重な調査をしまして、その関係の係長は五人ばかり組合を脱退させられるというような、きわめて暗いやり方で行なわれてきたというふうに私は受け取るのです。こういうふうなことがはたして労務管理上得策であるかどうかという問題のほかに、特に安全対策としては、原子力の場合はあくまでも公開というものは徹底的に守らなければいかぬ。こういうときに、この程度の発表をしたということで、これが停職処分になるというようなことでは、一体産業スパイ罪なんか制定されることと関連をして、今後どうなっていくんだろうか、これは別に原研の問題ではありません。世間一般の問題であります。たとえば、原子力の問題ですら公開の原則がこういう点で曲げられるということになれば、産業スパイ罪なんかができたら一体どうなるのだという非常な不安を持たざるを得ない。産業スパイ罪のことは皆さまに直接関係はありませんからお触れにならなくてけっこうでありますけれども、こういうふうなことで、一体何を考えて公開の原則を守ろうとしておるのかという不安をわれわれは持たざるを得ないわけなんです。この停職処分はいまでも正しいとお考えになっておりますか。これはまた裁判の問題になるかどうか、それはわかりませんけれども、これをやったら敗訴になりますよ。こういうふうな非常に熱意のある考え方、研究体制はこうされなければならぬという過去の経験に照らしての熱意のあるあなたの御意見というものはよく理解するにしても、しかし、具体的にやっているこういう行動は、あなたの意図とは相反する方向に行かざるを得ない結果を生むという点が私非常に心配なんです。その点、どうお考えになっておりますか。
  64. 宗像英二

    ○宗像参考人 私、公開の原則はとうといものだと思っております。しかし私は、あくまで研究をいかにして進めていくかということを中心にして研究所を運営していく限りは、日本の原子力研究所がどうしてりっぱな研究所になっていくかということを中心にして考えざるを得ません。きょうの新聞にも自主技術をどうして盛んにしようかということがしきりにいわれております。私は、公開の原則、成果があがったら皆さんに公開するということは当然しなければならぬのでありますが、しかし、ここによく先生方に考えていただかなければならないことがある。われわれ研究をしている者で、勉強をしている者ではありませんよ。研究をしている者は、自分が成果をあげたら公開はしたいのですけれども、これはちゃんと保障された状態にあって初めて公開をするものだと私はかたく信じております。また、それができない限りは公開はできないと思います。特許法ができる前には、そういうクリエーションであるとか、独創であるとか、創造であるとかいうものが守られなかったためにみんな隠されてしまって、それがために科学技術の進歩が非常に阻害されていた。それを公開するために特許法をつくって、そして、権利といいますか、その人の功績を確保してあげて、そして、初めて公開するように持っていったわけであります。科学技術の研究をする場合にも、これは特に私、科学技術のうちでも原子力の開発のような工業技術に結びつくもの、これについて片寄って申し上げます。厚生の関係であるとか、何といいますか、そういうふうな関係のほうには若干違うかもしれませんが、産業に結びつくような科学技術は、ちゃんと守られるようになったところで公開をするようにしむけてあげませんと、研究をする人たち、独創をして新しいものをつくり出していこうという人たちは、つくったらみんな持っていかれちゃった、だれのものかわからずに持っていかれちゃった、しかも、名前をかたられて持っていかれちゃったということがかりにありましたら、これは研究をする意欲を非常にそぐと私は信じております。でありますから、公開をするにあたっては、必ず正式の学会で公開をするとか、あるいは権威ある学会の刊行物で公開をするとか、あるいは何かの権利がちゃんときちんとされたもので公開をするということをよく守ってあげる、そういう習慣を原子力研究所の中につくりませんと、原子力研究所に持っていくと何となしにどこかへずるずると流れて出てしまうというようなことがあったら、これは原子力研究所が将来日本の自主技術をつくっていく研究所にはなり得ない。これは非常に大事なことですから、私は非常に注意をしております。先生方皆さんが心配しておられる自主技術開発ということにつきまして、それがない間――いま自主技術が少ないじゃないか、日本技術開発というのは大部分は学んできてそれをあらわすだけですね。学ぼうとする人は一刻も早く人のがほしいから公開、公開と言います。その点が私非常に大きな問題だと思うのです。私自身が長年の間それを主張していますと、やはり私のまわりには導入技術の人がたくさんいて、そして、何でも持ってきたものは早く出してくれ、習っている人は、ここまで習ったといって、あしたでも習った瞬間に自分はここまで知っていますよということを言いましょう。しかし、つくった人はちゃんと守られなければ出しませんですね。ことに、できてから守られるようになるまでの問、これは保護も何もされてない状態なんですから、ここを一番大事に守ってあげなければいけない。これは研究所を運営していく上で一番大事なところです。できたばかりのもの、まだほやほやのものをするすると持っていかれたら、だれのものかわからなくなってしまいます。そういうことがいいかげんに行なわれる研究所というものはぜひ改めて、自主技術開発する限りは、ちゃんと順序をきめて公開する。発明をした人、あるいは独創をした人は公開したいのです。したいけれども、ちゃんと守られた状態で公開するということを私は考えております。これは私の根本的な考え方です。この考え方を先生にひとつ含んでいただいて、そして、あとのことを考えていただきたい。原子力研究所が自主技術をねらってこれから研究していかなければならない、そういう場合に、ぜひそういう点で御理解を得たいと思うのです。先ほどの新聞の中にも、まだ原子力にはたくさんこれからやるべきところが、何も習うだけじゃなくて、自分でつくり出すものがあるのだ。そのつくり出すものを、日本原子力研究所の者は非常に恵まれた研究の環境にあるのですから、そこでぜひふるい立って研究成果をあげていこうじゃないか。しかし、あげていった場合に、その研究成果は、やはり研究した人の励みになるように仕組んであげなければいけない。それでなければ研究成果はあがらないと私は考えるものですから、強く申し上げるわけです。  どうも先生の直接おっしゃったことに対する返事にはなりかねるのですが、しかしこれは、どういうふうにして公開しなければならぬかということの私の根本の考え方で、この考え方は、先ほど先生が御指摘になられて、若干問題があると言われる。私はそう思っていないのですけれども、その新聞の中にも書きましたので、ぜひよく含んでいただきたいと思います。
  65. 石川次夫

    石川委員 私は三十分くらいで質問を終わろうと思ったのに、答弁がたいへん丁寧でありますから、そのために時間がなくなってしまったのです。私はいまの意見については非常に意見が違います。違いますけれども、もう時間もありません。いつかまた機会をあらためて、この問題についてはとことんまで議論をしなければならぬ、こう思っております。私の聞いた具体的な問題については何一つ答えていないわけなんです。  たとえば、この公開の問題については、先ほど申し上げましたように、こと原子力に関する限りは、一切の情報は完全に公開されて、国民に周知されなければならぬということで、あなたがかつて経験をされたような商業機密というものとは、これは質が違うであろうということを私は言いたいのです。  それとあと一つ、念のために申し上げますけれども、このジュリストという法律雑誌にも書いてありますが、「原子力法制の現状と問題点」ということで、原発の下山さんと原子力局次長の成田さんと、それから東大の金沢教授と三人で座談会をやっております。その中で、安全性に関する報告書とか設置許可その他は一切一般に見せるのですか、こういうことに対して、要求があればいつでも見せます。こういうことで、安全性に関する限りは、その過程であっても、全部見せる。ところが、原子力に関する限りは、これはほとんど原子力の安全性ということに関係のないものはきわめて少ない。そういう点で、安全性に関係のないものは少ないということと、それから、先ほど問題にいたしましたJRR3という、機関紙に出たような問題は、これは燃料棒の破損の問題でありますから、やはり安全性と無関係ではないという意味では、公開されて何らはばかるところのない性質のものではなかったかという問題と、いろいろありますけれども、この原子力の問題に関しては、あとでこれまた議論をする機会をほしいと思いますけれども、この問題については、いわゆる民間の企業におけるノーハウとは性格が違うものだ、私はそう考えなければならぬ性格のものだと思う。だからこそ、原子力基本法で公開の原則に対しては非常な熱意をもって論議をされてきたという経過がある。そういう点で、これは意見でありますから、議論になりますから、時間もありませんので省略いたしますけれども、そういうことに関連をして、たとえば、いまのような三カ月の停職にしたというふうな問題は、どう考えても私は合点がいかないのです。いまの公開の原則というものは、ある一定の成果を踏まえてからやらなければならぬという性格のものと、今度機関紙で発表された過程のものと、大した関係はないと思うのですよ。これがあったから一定の成果というものが発表にならないとかなんとかということではないと思うのです。これは、たとえば、いろいろほかの、これをつくったところの企業との関係があるとかなんとかいうことは、これは時間がないから言いませんけれども、私は外部から、こういうことでこういうことになったということは、常識として考えられないと思う。この程度のことが発表されて、しかも、事故を起こした大もとがそういうことで抗議をするなんということは、常識的に考えられないのですよ。もしそういうことがあったとすれば、これは非常なあやまちというか、行き過ぎです。しかしそういうことがあったにしても、あなた方の判断で停職に値するかどうかということは、原子力基本法というものを踏まえての考え方がおのずからあってしかるべきではなかったかという感じがしてならないわけです。この点は、非常に時間がありませんから、きょうはやめます。あと石野委員のほうからもまた質問があるかと思うのですが、一つだけ長官のほうに伺いたいのですが、いまのような議論を経て、やはり原子力の場合は、ほかの企業と違う意味での公開の原則が特に必要である、こういうことをお考えになりますか。
  66. 木内四郎

    木内国務大臣 いろいろ質疑応答がありまして、大体おわかりになったと思うのですが、原子力基本法には明らかに、いまお話しになったように、開発の成果を公開するというふうに書いてあります。もちろん、これはいまお話しになったように、原子力については非常に大事だから、一番先にこの規定を置かれたことだと思うのですが、これはもちろん宇宙開発その他にも当然適用されるものだと思うのですけれども、この公開の原則というのは、いま申しましたように、開発の成果を公開するというようなことで、何でもかんでも、どの過程においてもというふうには私は理解いたしておらないのです。多少石川さんとは意見が違うようですが、開発の成果というふうに書いてある。単にすべて公開すると書かないで、開発の成果を公開するというふうに書いたところに私は相当意味があるんじゃないかと思います。しかし、これはもちろん開発の成果だと申しましても、私どもは別に軍事機密保護法みたいなものをこしらえて、それによって取り締まる、そういうようなことのないのはもちろんでございます。できるだけこれは公開する、そして、単に、いま申しました点ばかりでなく、国民生活の向上あるいは産業の発展に資するような意味におきましても、公開の原則というものはあくまで適用されていくべきものだと思います。
  67. 石川次夫

    石川委員 たいへん残念ですが、時間がありません。いまの意見意見として一応承っておきます。意見が若干違います。原子力の場合は違います。これは安全性という問題と非常な関連が出てくる、したがって、そういう意味を含めて科学技術の進歩、原子力科学の進歩ということと、安全性というものを踏まえた上での公開というものが守られなければならぬ、こういうことになりますと、私は民間のいわゆる企業体における研究の成果あるいは公開というものとだいぶ事情が変わってくるのではないかという判断をしております。これはいずれあらためて議論したいと思いますから、きょうはやめます。あと実は質問したいことが二、三点あったのですが、たいへん時間を超過してしまいましたので、これでやめます。いずれあらためてお願いをしたいと思います。
  68. 石田幸四郎

    石田委員長 次に、石野久男君。
  69. 石野久男

    石野委員 宗像さんにお尋ねしますが、先般のJRR3の実験といいますか、米人の患者を照射して、そのあとの炉はいまどうなっておりますか、そこをちょっとお聞きしたい。
  70. 宗像英二

    ○宗像参考人 ただいま十二サイクルの運転をしております。
  71. 石野久男

    石野委員 山田さんにちょっとお尋ねしますが、原子力委員会は、この炉について今後どういうような注意をしていかなければいけないというふうに現在お考えですか。
  72. 山田太三郎

    ○山田説明員 このJRR3の燃料棒の破損検出という装置は非常にデリケートな装置でございます。といいましても、これに欠陥があることは確かであるということは認めざるを得ないのでございまして、その対策はもちろんございまして、別の方法でやっておりますが、それはいわゆるアラームという性質のものではございませんで、人間が適当な時間間隔ごとに調べて、燃料棒に破損があるかないかを調べる、こういう形になっております。したがいまして、本来あるべき姿でないことは確かであるというふうに考えられるわけです。しかも、特別な計測をするためには、若干人間の被曝もございます。これは計画でございますから問題ございませんけれども、ある、というようなこともございまして、委員会といたしましては、これは、予定は十三サイクルまでやることになっておりましたのですが、その中で非常にアージェントなものがあるかどうか、それをとめたら非常に困るかどうかということと、それからやや不完全な状態で運転を続けることとどちらがいいかというバランスの問題になったと思いますが、その際に、もしこれが十二サイクル目をやめまして、十三サイクルのものを来年度に回しましても、二カ月程度のおくれになるわけでございますから、そのくらいの不便は、場合によっては忍べるものが多いんだろう。しかも、もし非常にアージェントなものがあれば、十二サイクルの中に繰り入れればよろしい、こういう考え方で、運転を中止するほうがベターである、こう考えました。  なお、これの修理といいますか、保守につきましては、いままでの普通の保守よりも少し時間がかかることも考えまして、十三サイクルもやめたらどうだ、こういうふうに考えたわけでございます。
  73. 石野久男

    石野委員 炉は、いずれにしましても、正常な運転がなかなかできにくい事情にあることだけは間違いありませんね。
  74. 山田太三郎

    ○山田説明員 現状におきましては、いわゆる設備としてアラームというものでないものですから、しかも、もし非常に極端な事故に発展して、それがスクラムできるようであれば、これはまた考えようがございますが、燃料破損だけでスクラムにいくような装置はございませんので、これはどうしても燃料を監視せざるを得ない、そういうふうに考えます。
  75. 石野久男

    石野委員 私は、実はきょうはこの問題でもう少し聞きたいと思っておりましたけれども、先ほどから石川委員の質問に対して、宗像さんのお話を聞いておりました。やはり、もう少し基本的な問題で、特に原子力についての安全性の問題で、われわれこの委員会としても考え直していかなければいかぬじゃないか、そういうことを痛感するわけです。実は、この委員会は、原子力の開発をやはり真剣に考えております。しかし、真剣に考えれば考えるほど、また未知の分野が多い原子力について、その安全性の確保と、それから、それに対するわれわれの対策というものを前提として開発するということが一番大事だ、こういうふうに考えていて、そういう形でわれわれはこの委員会運営をしてきたわけです。ところが、いま宗像さんからのお話を聞いておりますと、宗像さんは、自分の過去二十年かの経験といいますか、四十年の経験に踏まえて、これでやれば、原子力の研究も成果があがるんだというような意味で、とにかくこの上下の信頼感を確保するために、私はとにかく自分の信念にじゃまになるものは取り除く、そのくらいの考え方で、どいてくれというやり方で、かつて旭ベンベルグで成功しているんだ、世界一のものになっているんだ、だから、原研でもそういう考え方でやっていきたいんだ、宗像という人はこういう人だということを理解してほしいんだ、先生、こうおっしゃった。私は、宗像さんの信念はよくわかります。しかし、あなたの考え方は、まさに資本家の考え方です。経営者の考え方です。しかし、私たちは、この原子力の開発の問題については、もっとより大きな意味における国家的意義をこれに付しております。もちろん、もうけなくちゃいけない、開発をしなければいけないということもわかっておるけれども、もっと安全性を真剣に考えなければいけないということが、この原子力については最大の、しかも最低の条件なんです。この条件を無視して原子力の研究所を運営するということは、絶対に許されない、こういう考え方でわれわれはきておるわけであります。  私は宗像さんにお尋ねしますが、この許容量の問題でございます。許容量の問題についてICRPが一九三四年に最初に許容量を出しました。それから今日まで許容量がだんだんだんだん軽くなってきているのか、重くなってきているのか、どっちか、あなたの知っている範囲での話を聞かしてください。
  76. 宗像英二

    ○宗像参考人 修正されています。そうして、少しずつ重くなっているそうです。私も安全のことに、先生がいまおっしゃいましたが、安全のことを軽く考えているというようなことは絶対にございません。私もこの前も申し上げたように、正月のなんのときにも、安全を大事にしなさいよということを言っております。それから、今度もまたみんなに呼びかけて、管理された放射能ということで、われわれ研究所でありまして、そうして、やはりこの原子力の開発の研究をしなければならない。その場合には、管理された放射能、われわれが、管理されてないような放射能というのは問題でありますけれども、管理された放射能という考え方を入れて、そうして、その中で許容量もちゃんときめて、そうして、自分はどういう範囲まで出ていくのだということをよく認識して皆さんおやりなさい、管理されてない放射能がひょこひょこ出ていくようなことは絶対ないようになさいということを強く申し上げておりますから、(石野委員「質問にだけ答えてくれればいいですよ」と呼ぶ)絶対に先生がいまおっしゃるように、私は研究一点ばりにやって、そうして、安全を無視しているという、先生がおっしゃることは、それは考え直していただきたい、私はお願いいたします。
  77. 石野久男

    石野委員 宗像さん、一九三四年の段階で、ICRPが出した大体の標準許容量というのは、御承知のように、パーデー当たり〇・二レントゲンなんですね。一九五二年では〇・三レントゲンが週になっております。そうして一九五六年になると〇・一レントゲン・パー週ですね。これは一日当たりにすると、一九三四年の段階では〇・二レントゲンであったものが、一九五二年では一日当たりのなにが〇・〇四三レントゲンということになっておる。そうして、一九五六年になるというと、それが〇・〇一四三レントゲンというふうになってきておるわけです。非常に重くなってきている。重くなってきているということは、ばかにしてはいけぬよということなんですよね。そのことが、他の産業におけるところの危害と違うゆえんだと私は思う。理事長、ベンベルグからずっといろいろな経験をなさって、原研へおいでになって、高崎からこっちへおいでになって、いろいろと労務関係を中心にして今日にきておることもよくわかっております。だけれども、とにかく今日私たちが一番大事なのは、日本というのは原爆の被害を受けている国であるし、特に放射能に対する感覚が非常に鋭いわけですよ。それであるだけに、私たちは原子力の開発はやらなければならぬけれども、しかし安全性だけはどんなことがあっても考えなければいかぬよというのがもう原則なんですよね。その点について、あなたのおっしゃるように、とにかくじゃまをするものはどんどんどけてやるのだという、そのじゃまをするという内容はいろいろあるわけなんです。ところが今日、原研の中で出てきておるじゃまをするものというものはどういうものかというと、結局安全性を確保するための要請をしておるものがじゃまをしているという形に見えるんです。これは私はそう見ているんだ。だけれども、この点についてはいろいろ見解がありましょうから、そのことは一応、ここでは抜きにしますけれども、しかしただいまJRR3の問題でもわかるように、現にこのJRR3が、原子力委員会としても一応中止して、オーバーホールか何かしないことにはだめだぞというところまできたわけなんです。この運営のしかたは、私は問題があると思うのです。宗像さんのお考えでは、JRR3を正常運転させるのにはどういう方法をしたらいいか、正常に、あなた方の予定しているような形で、いまたとえば汚染度が非常に強いと私は思います。重水もずいぶんよごれておると思います。これをよくして、フィルターがとにかく一年に一回か二回の交換でもいいようなぐあいに正常運転をさせていくというようなやり方をするには、どうしなくちゃならぬかということをむしろ考えてもらわなければいかぬときなんです。大体あなたが――よけいなこと言わなくてもいいですよ、あなたが、このJRR3が正常な予定どおりのスケジュールに乗る運転の行なわれる時期というのはいつだと見ておりますか。
  78. 宗像英二

    ○宗像参考人 さっき申しましたように、管理状態がよくできるような、管理された放射能の中で運転できる、これは安全のなには、時間と強さと、いろいろその組み合わせですから、それで管理をして、そしてこの範囲できょうはやろうじゃないかということがちゃんとできるようにしなければいけません、絶対にしなければいけません。それをしながらやっていくことにしたいと思っております。そういうふうにしながら、JRR3は、先ほど山田委員が言われたように、一応私どものほうでも、あれに対して、内部にはやれる、やれる、どうして引いたかというようなことを言う人もありますけれども、しかし管理された放射能、そして多くの方々に納得していただくようにしませんと、これはやはり支持を得ないとなかなか動きませんから、そういうふうに持っていこうと思っております。そうして、ちょうど研究をする連中が、いままでの管理のしかたよりももう少し研究的に、発生した放射性物質をよくつかまえて研究もできるようにしようということも、かなり前から実は言っていたのです。それをこの次のオーバーホールのときにはつけようということも言っていたのですが、ちょうどいい機会ですから、そういうものをつけまして、もっと科学的に管理する。では昔、どうしてそれをしなかったかというと、数年前にはその必要はないじゃないかということを考えていたものですから、そういうことになったわけでして、これも先ほどから申しますように、科学の進歩でこうしなきゃ気が済まないということが出てきたから、そういうことでやろうとしております。そういうことをつけていろいろ補強をいたしますが、そうしますれば、十分JRR3を使って今後も研究をしていけるものと私は見ております。
  79. 石野久男

    石野委員 研究していけるもの、使えるもの、そうでなくちゃ困る。使えなくなっちゃったら困るのだから。だから、正常に運転できるようになる時期はいつだと見ておるか、簡単でいいのですよ。
  80. 宗像英二

    ○宗像参考人 それはちゃんとオーバーホールをしますから……。
  81. 石野久男

    石野委員 いつごろになりますか。
  82. 宗像英二

    ○宗像参考人 四十四年の五、六月ごろです。
  83. 石野久男

    石野委員 五、六月ごろまでに大体オーバーホールをして正常な運転をするようにできれば、なるべく早いほうがいいんだから、それはそうしてもらいたい。ただ、それがあまり狂わないように、国会答弁の表向きだけそういうことしないようにしてくださいよ。  それからいま一つここでお聞きしておきたいことは、炉はこわれていませんね。
  84. 宗像英二

    ○宗像参考人 こわれておりません。
  85. 石野久男

    石野委員 炉はこわれていないけれども、一応運転を停止してオーバーホールをしなければならぬということは、運営の中に問題があったということになりますね。
  86. 宗像英二

    ○宗像参考人 そうではないのでございます。これはやってできないことはないと、あの文句に書いてありますが、慎重に注意してやれば運転できるのですけれども、しかし第十三サイクルは三月三十日からスタートするわけですね。三月三十日からスタートするから、まあそれはやめよ、それで原子力委員会の勧告といいますか、おすすめを聞いてそうしたわけです。
  87. 石野久男

    石野委員 私はここで、時間もあまりないことだから、こまかい技術的な問題は、私も技術屋じゃないから、多くのことは申しませんが、常識的に考えて、原子力委員会が、当面原子力研究所の炉を運営している、あるいはそれを操作している皆さんに一時とめてやりなさいということの内容は非常に重大だと私は思うのですよ。これはいろいろあなた方は弁解しても、非常に重大な内容を含んでおるということは間違いない。  それから問題は、運転をしても、それがいわゆる正常な形で運転される場合と、いろいろな形で操作を緩慢化させながら、所期の目的に対していろいろとやはり十二分のものを出していけない、成果があがってこないというような運転のしかたもあるでしょうし、それからまた、正常な運転をずっとやっていけば無理がかかって、今度は使いものにならなくなる事態も想像できる、炉はこわれなくても、たとえば汚染度が非常に強くなってくるとかなんかして、それを使っているよりも、むしろとめておいたほうがいいじゃないかという場合も出てくるだろう、いろいろあるだろうと思うのです。私はそういうような危険をなるべく招致しないように、なるべく安全性を確保するという意味で、これは原子力委員会が中止をさせるのだと思う。そうなりますと、やはりそこへ持っていったあなた方、当面これを運営している当事者である宗像さん以下の皆さんの責任は、私は非常に重要であると思うのですよ。これを運転している作業者というのは、すでにこの炉にはこういう危険があるのだということを、いみじくも注意を喚起しているわけです。こういう障害が起きておるということを喚起しているわけなんです。そのことがまた、ある面においては壁新聞といいますか、職場新聞になってきているわけです。私はむしろ、安全性の観点からすれば、この従業員諸君が壁新聞で危険性を訴えていることのほうが、国民に対して、あるいは事業運営の問題に対して、より忠実であり、誠実であり、まじめさがあると思うのですよ。むしろ、これをおおい隠そうということの中に、実を言うと、私たちはやはり危険を感ずるのだ。むしろこういうようなときは、先ほど公開の原則の問題で宗像さんは、なるべく公開しないほうがいい、それで大臣はまた、研究の成果については公開するけれども、途中の公開ということまでも含んでいませんよと、こういうような、なるべくそこを押えようというような答弁のしかたをした。私どもも、研究の過程で何も一々公開しなければならぬようなことは、必ずしも常に要求しなくちゃならないとは思っていません。ある段階において一つ一つやらなければならぬ。必要があれば、それは公開してもらうということもありますけれども、しかし、少なくとも安全性に関して疑義を持つ場合は、いつでもこれは公開を要求しなくちゃいかぬと思うのです。また、率直に、そういうときには、公開を要求する者に対してこたえるだけのかまえがなければいけないのじゃないかと思うのですがね。  大臣にまずお尋ねしますけれども、われわれが言う公開の原則という公開は、そういう意味の公開をこの委員会は要求していると思うのですよ。だから、成果があったら公開せよというだけじゃないので、たとえば、いまのように事故があってあぶないじゃないかというようなときに、そう言った者は処罰されてしまう。ところが、事実はそれが誤報であるとか、作為であって、事実を虚報している場合は、これはしかたがありません。しかし、その職場新聞に書かれたような事実が、ものの二月とたたないうちに出てきているという事実を見ると、私たちはやはり職場新聞に書いた諸君のこの報道というものは間違っていないと思うのです。その間違っていないものに対して処罰するという、そういう考え方はわれわれは間違っておると思うのだ。公開の原則に反すると思うのですよ。そういう点について、大臣、ひとつ所見を承っておきたい。
  88. 木内四郎

    木内国務大臣 先ほどお答えしたのですが、私はこの公開の原則というのは、いまの処罰の問題とはちょっと違うと思うのです。私は公開の原則を、何もかも出しちゃいかぬということを言っているのじゃないのです。私はただ、原子力基本法の第二条の趣旨はどうかということで、第二条には、開発の成果を公開し、と書いてあるから、その意味はどうかということで申し上げた。もちろん、危険なことがあったりすれば、いろいろな資料を出すのは当然でしょう。しかし、私は、この安全性の問題というのは、二つの方面から見なければならぬと思うのです。いま石川さんからもお話があったように、これから原子力の産業というものは非常に発達してくる。もう至るところにこの原子力関係の施設は十年を出ずして出てくると思うのです。そのときも、安全性の問題というのは非常に重要な問題の一つだと私は常々思っておる。前の委員会でも申し上げましたし、社労の委員会でも私はその点を強く申し上げておるのですが、そこで科学的にあくまで安全性を確保しなければならぬという一面と同時に、科学的だけではこのごろは通らないのです。科学的に正しくても国民が不安を持つようじゃやはりいかぬ、社会的に安全性に対して国民の信頼を得るようなふうにしなくちゃならぬ、常々さように考えておりますので、それを解消するあらゆる手段は講じなくちゃならぬ、かように私は考えております。したがいまして、必要があれば、そういう危険なものは公表し、そして、これにみな近づかないように、それを避けるように、さっきお話があった管理された放射能ということにするばかりでなく、社会的にも不安のないようにしなくちゃならぬ、かように考えており、あなたのお考えと私は少しも変わらないと思っております。  ただ、しかし、いまの処罰の問題と私は直接あれはないと申しますのは、処罰の理由として私の聞いておりますのは、その過程において個々のことを取り出して、そして、そういうことを出すことがいいか悪いか、これはもちろん原研の規律の維持の問題になってくるのでありまして、これは理事長の判断によってなさるべきものだと、私はかように考えます。
  89. 石野久男

    石野委員 公開の問題について、成果だけを公開するので、過程的なものについてはということが、そういうところまで出るものではないのだというように、誤解にとれるような意味の答弁が先ほどありました。ところが、いま大臣は、そういうように話があるんだから、公開というのは、やはり疑義を持ち、特に安全性という問題については、いつ何どきでも公開する、こういう考え方だけはひとつ一貫してとっておいていただきたいということを、特にこれは大臣に要望しておきたいと思います。  そういう意味で、私は宗像理事長にお尋ねしますが、先ほども言ったように、職場の中で特に放射能の汚染度が強いとか、そういう疑義が出るというようなときに、職場の諸君がものを言わなかったら、一定の方向に、一つのスケジュールがあって、あるいは作業のスケジュールがあって、その作業スケジュールというものをじゃまするというようなことがあると、これは研究者の方針に従わぬからおまえはだめだ、こういうきめつけ方をされると、かえってこれは全く職場の技術者の作業に対する不安感をつのりまするし、自分たちの身の安全を確保することはできなくなると思うのですよ。二月十四日ですか、皆さんがオーバーホールをされた。ところがそれが二十日にならなければ、やはり公表されなかった。ところがその十四日の作業のときにすでに五人の人が被曝している。この被曝しているという事実があるということ、これは私たちたいへんなことだと思うのですよ。その被曝した時点で、それじゃどういうふうに研究所はこれに対して対処し、あるいは運転に対してどうしたかという問題について、われわれの聞き及ぶところでは、そこでは別段応急の措置をとったのじゃない。炉は、次の研究テーマへ進んでいくための準備を着々と進めていくだけであって、それに対する対策は全然とっていない、こういう態度、これはあまりにも、やはり、企業意識は強いのかもしれぬけれども、安全性に対する感覚というものは全然ないと言っても言い過ぎではないと私は思うのですよ。こういう態度は間違っていると私は思いますが、どうですか。
  90. 宗像英二

    ○宗像参考人 先生のいまのお話、だいぶ実情と違いますね。私は先ほど申しましたように、管理された放射能の範囲内では研究所は十分動いていいと思います。管理された放射能の範囲内にあるわけです。でありますから、先ほど先生は、いろいろな問題があるようにおっしゃいましたけれども、それは管理された放射能の中にあるというふうに理解していただきたいと思います。  それから先生がしばしばおっしゃいます、押しのけてやる、これは私はもう少しよく申し上げなければなりませんが、そのときも非常に説得を尽くしました。そして説得を尽くしましたから、初め全部反対だったと言ってもいいぐらいだったのが、三千人のうち二千人までが私を支持するように説得してなにしたわけです。そして、あとで数百人の人がどうしても妨害をするわけです。これはあなた方、妨害したらつぶれちゃうじゃありませんか、こんなうまくいくものを……。そうしてやったくらいで、これは先生、ずいぶん努力するものでございますよ。その点をひとつ含んでおいていただきたいと思いますね。
  91. 石野久男

    石野委員 あなたのベンベルグにおけるところの経験なり、あるいはまた、原子力研究所で行なおうとするその方針について、あなたのそういう考え方は、それはあなたの考え方だから私はそれでいいと思う。ただ、しかし、われわれが原子力の問題について、安全性、それから自主、民主、公開の問題を平和利用のために原則としてとっていく、それはもうあくまでも安全性を確保するんだという考え方でいく場合に、あなたの考え方と違うものは全部じゃまするものだという考え方に立たれると、非常に大きな間違いをおかすと思う。もちろん、あなたも研究についてはずいぶんあれがありましょうけれども、原子力研究所に働いている人は、十年間の経験の中で生きてきた人だ。その間いろいろな経験を積んでいる。あなたの言われるように現在をよく見てということ、現在をよく見てということになれば、この人たちほどよく現在を見ている者はないと思うのです。こういう人々が注意を喚起しているものについては、やはりあなた方も耳を傾けて聞かなくちゃいけないのじゃないかと思うのです。  それはともかくとして、管理された放射能の中において作業しているんだ、管理した放射能の中において作業しているんだということを言うと、もうそれでいいのだというふうに考える。ところがやはり、管理している放射能の問題についても、これはほんとうに私たちが許容量をきめるときの考え方に立ち戻らなくちゃいけないと思うのですよ。私たちが許容量をどういうふうにきめるかというときの考え方というのは、結局原子力というのは人類に対して非常に大きな利益を与えてくれる、だから片方にそういう観点を持ちつつ、しかし、また利益とは相反するところの悪影響もその中から出てくるのだ、そういう相反する二つの中でのバランスをとった率が、これが許容率なんですよ。ですから、私たちがその時点において、これでいいと思っておりましても、たとえば内部被曝をするような事態があるときに、大臣はこう言っておった。この前、われわれの同僚、参議院の上田君に対してこういうふうに言っておりますね。「マスクをかけておれば内部被曝にならなかったものが、マスクをかけなかったというのが一つの大きな原因じゃなかったかと思うのです。」こう言っている。今度のJRR3に対する五人の被曝についてね。マスクをかけておればだいじょうぶだったけれども、マスクをかけていないからこうなったんだ、これは一つ理由にもなりますけれども、マスクをかけていないから――それじゃ、この人たちが全部マスクをかけていなかったかどうか、私は現実はわかりませんよ。ある程度の、相当な準備をしながらやっておったものだ、こう思うのだけれども、大臣が言うようにこんなに無防備な形じゃなかったろうと私は思うのです、しかも事故が起きておるところへ行くのだから。ところが、大臣のこういう考え方、管理された放射能というものがこういうような形で受け取られ、そしてまた、開発する問題だから、少しくらいの事故が起きたり、そういうことがあっても、これはやむを得ないのだという考え方、こういうものがあるとすれば、これはたいへんなことになると思うのです。私は、こういうような考え方はやめなければいけないと思うのです。とにかく大臣は私に対する質問の最初のときもそうだった。わが国におけるところの原子力の開発は、まだ開発途上にあるから、先進国のそれのようにはいかない、だから、ある程度のものはそういう事故が出てもやむを得ないのだ、それを乗り越えていかなければいけないんだ、こういうような趣旨の考え方がある。しかし、私どもは、一般の産業におけるところの開発の心がまえと、それから原子力におけるところの開発の心がまえとの中で最も違う点は、身体的障害のほかに遺伝的障害があるということ、これがもうわれわれにとって決定的に大事な問題なんです。それゆえに、たとえば内部被曝がどんな微量なものでありましても、それが子孫に影響する内容を持つ場合があり得る、しかも、それは現在の状態のもとでその悪影響が出てこなくても、子供の代になったり、あるいはまた孫の代になったら出てくる可能性があるから、われわれは内部被曝なんか絶対にさせてはいけない、こういうことになっておるわけです。ところが、現実にあなた方が直接目の前で見ている、しかも事故が起きているそのJRR3のフィルターを交換する中で被曝者が五人も出た。これは管理監督の不行き届きですよ。この問題についての責任はないとは言えないと私は思うのです。こういう問題については、管理者であるところの理事長がもっと真剣に自分たちの責任を考えなければいけないと思うのです。管理された放射能の中でこういうようなことがあなた方の現場の中で出てくることを、それを人ごとのようなことを言っておったのでは、あなたは理事長の役はつとまらないと思うのだ。それでもあなたは全然そのことについては責任を感じていないんですか、作業者が悪いと言うんですか、どっちなんです。
  92. 木内四郎

    木内国務大臣 いま石野さんからお話ありました、これは、私の言ったこともよく御了解願わなくちゃならぬ。私はそのときにこういうことを言っておるのです。安全性の問題はみんなが注意しなくちゃならぬ。これは一番大事な問題だ。私はこれを第一に取り上げたい、かように申しておるのですが、その際には、管理者だけでなく、それに従事する職員もよく注意をしなければならないということをその際申し上げた。  それから、私はいまのお話の問題と直接関係なしに、私の今日までの人生経験として、いままで平生扱っていると大体間違いない、この前も間違いなかった、今度も間違いがなかったという場合には、ややもすると油断をしがちになるものである、そういうことがよく人生にあるものなんです。そこで、もし今度の場合に、マスクをかぶるだけの注意をすべきものであったのを注意しなかったということであれば、これは職員諸君も非常な誤りであるという意味で私は申し上げた。  そこで、私は申し上げておきたいのは、私は科学者じゃありませんけれども、あの原子炉というものは、御案内のように、あれによって、炉も、燃料も、材料も国産化しようとして試験する機関なんですね。ところが、あの炉において燃料棒に支障を来たした。ちょっと破損を来たした。そして重水が濁った。それで重水のフィルターを取りかえなければならぬ。そうすれば当然このフィルターというものは相当な放射性物質を含んでおるということは、だれも想像できるわけなんです。ですから、そのフィルターの取りかえの作業に従事する者は、作業の規定はあったろうと私は思うのですが、そういうものを扱うときには、当然マスクをかけるべきものだ。それで、私は理事長に聞いたのです。マスクは用意してあったかと言ったら、マスクは用意してあると言う。それなら、あなたのほうでそれを注意するだけでなく、従業員の方々も、危険物を扱うのだから、当然マスクをかけてやらなければならないじゃないかということを私は理事長に申し上げた。そうして、そういうときには、作業規定にあればよし、ないのならば、当然そういう危険物を扱うときには、マスクをかけて十分に注意してやるべきものだ、そういうふうにさせたほうがいいということを理事長にも申し上げたような次第です。そういうような意味で申し上げたのですから、決して誤解のないようにお願いいたしたい。
  93. 石野久男

    石野委員 これは、大臣がそういう注意を与えることはけっこうです。しかし、その注意を与えるならば、炉は一月の七日にフィルターを一ぺん取りかえていますね。そのとおりですね。それから、その一月七日に取りかえたものを二月十四日にまた取りかえている。そのとおりですね。違いないでしょう。これは非常識でしょう。これははっきりいまの私の質問、それだけでいいですから、確かかどうか言ってください。
  94. 宗像英二

    ○宗像参考人 それはよごれれば取りかえるようにつくってあるのですから……。
  95. 石野久男

    石野委員 それは、フィルターはよごれれば取りかえるようにつくってあるのはきまっている。わかり切っている、そんなことは。だけれども、フィルターというのは、一カ月に一ぺんずつ取りかえるということが常識になっているのかどうか、その点はっきり言ってください。
  96. 宗像英二

    ○宗像参考人 燃料棒破損が起こる前には年に二回取りかえていたそうですが、燃料棒破損が起こっているんですから、取りかえることが頻発することは当然考えられます。ですから、それに対する対策を今度は別に立てなければならない、それに対する対策を立てていたわけです。
  97. 石野久男

    石野委員 これは大臣というよりも原子力委員会の山田さんにお聞きしたいのですが、とにかく、御承知のように、この前も私は申しましたが、研究所のほうで出しているこれの六八ページ、御承知のように、このJRR3には一本以上の破損燃料棒が同時に炉内に存在することは一応ないと考えることを前提としてこの炉の運転が一応許可され、認可されているのだと私は思うのです。こういう問題については、理事長は無視しますか、この条件は。
  98. 宗像英二

    ○宗像参考人 これは、ここに書いてあるのは、こういうふうなのでございます。ひとつよく含んでおいていただきたいのですが、一本のものがべらべらべらっとむけるわけです。何本も少しずつむけていくというのよりも、一本がべらべらべらっと大きくむけることを考えているわけでございます。そうでないと比較の何がないものですから。今度のはこれくらいがこうなっちゃった。それですから、その及ぼす影響は、こっちのこの一本のやつのほうがうんと大きいわけです。
  99. 石野久男

    石野委員 山田委員に私聞きますけれども、ここではこういうことを書いてある。これはもう何へんも読んでいることですけれども、いま宗像さんが非常に巧妙に御弁解なさるので私は読むのですが、「考えられる最大事故として破損燃料棒の検出が遅れ、被覆の破損箇所が増大しそこに含まれた核分裂生成物が重水中に溶けこみ、その溶けこんだ重水が地下室に洩れ出た場合を考える。」これが最大の事故だというわけです。「破損燃料棒の発生はカナダNRXの実績によれば、年間数本程度であるから、JRR-3の場合も、一本以上の破損燃料棒が同時に炉内に存在することは一応ないと考えられる。」こういうふうに書いているのです。これが大体このJRR3の運転許可をするときの条件のようになっているし、また、われわれもそういうように見ているわけです。この場合にあなたがおっしゃるように、一本がべらべらべらっとみんな破れてしまって、全部ウランがだだだだっと流れて出ていく、そういうようなことまでほうりっぱなすというような、そこまでほうりっぱなすようなメーターのつけ方をあなたはしているのですか。あなたはそういう考え方をするけれども、そんなことをやられたら、私たち近所に住んでいる者、安全性を確保しようとしてやっているわれわれの考え方と全然違うのだ。少しでも破損個所があればそれをチェックして、そこで何とかせにゃならぬという考え方になるのだ。あなたのその考え方は、一本がべらべらべらっと溶けてしまうまでは、重水が全部よごれるまでは運転しましょう、こういうことと同じになるのだ。そんなでたらめな答弁はやめなさい。
  100. 宗像英二

    ○宗像参考人 いまおっしゃったことはたいへん違いまして、そういうふうになって、そうしてひどいのが出て、そして床にこぼれたときが最大事故と考えているわけです。われわれはりっぱな計測器を二十四個もつけ、また、それに二重につくようにして、これくらい出たときに気がつくようにしたもので動かしているわけです。それだから早く気がついているわけです。そうして、先生おっしゃるように、何本も一緒にあったわけではないのです。気がついては取り出し、気がついては出ししていたわけです。最後に怪しいのがあったから抜いた。だから、一ぺんにあるという状態ではなかったわけでございます。
  101. 石野久男

    石野委員 検出器がすでに幾つか振り切っちゃっているという事実は、前に何べんも国会の答弁の中で聞いているんだが、それは事実なんでしょう。
  102. 宗像英二

    ○宗像参考人 一つだけが振り切って異常を呈していましたけれども、いまはもう直っております。
  103. 石野久男

    石野委員 私はここでこまかいことの論争をするんじゃない。それよりももっと基本的に、安全性に対する考え方理事長にしっかりと――あなたがあなたの信念に基づいて、私どもからいうと、安全性を無視したような形の運営をやろうとしているように見受けられるので、そうでなければけっこうです。そうでなければけっこうだけれども、あなたの先ほどからのお話を聞いておりますと、安全性くそ食らえだ、率直に言って。そんなことじゃだめですよ。私たちはいささかでも瑕疵がありましたら、それをやはりチェックする中で安全性を確保していってもらいたいのです。私は科学者じゃありません。けれども、原子力に興味を、興味というかこういうふうな非常に関心を持ちながら政治の場に携わっているものだから、一昨年も実は原子力のために同僚とともに各国を歩いてきました。そうして、これは、日本アメリカとは違うからだけれども、とにかくアメリカではその当時、アメリカの原子力委員会としては発電所を一つつくるについても、まだ未知数が非常に多いから、経験もあるけれども、もう五、六年の経験をまたなければ市街地、人口の稠密化しているところの近くにはなるべく原子力発電所というものはつくらないようにしたい。少なくとも十二・五マイル離れた地域になるべく原子力発電所というものはつくるように指導しているのだということを聞いてきました。事実そういうふうに指導をしているわけですよ。日本においてそういう土地を求めてもなかなかむずかしいのだから、私は、そうだからすぐ日本でやれとは言わない。だけれどもこの考え方、この原理というものは日本でもやはり大事なことだと私たちは思うのです。それほどまでに私たちは――事故のないときは何でもないけれども、事故の起きたときには取り返しのつかないものになる。この事故が起きたときには、四日市のいわゆる亜硫酸ガスにおけるところのぜんそくの問題どころじゃないだろうと私は思うのです。水俣病もまた非常に重要な問題ですけれども、それよりももっと広範に、もっと影響が大きくなるであろうと予想する。だから、そういうことのないようにということを、そうしてまた、どういう形で事故が起こるかということを考えなければいけない。それだからこそ、理事長はそういう問題について、だれよりもシビアーなものの考え方があってしかるべきだと私は思う。そのことに対する関心がなければ理事長をやってもらっちゃ困ると私は思う。あなたがどこかの営業会社の社長なら、それはかってですよ。だけれども、国家の金を使って、国民の血税を使ってわれわれは研究所を持っている。その研究所の中で事故が起きている。現に炉はオーバーホールをしなければだめなところまできてしまっている。オーバーホールすべき状態のものをしないでやれば、その寿命が短くなることはだれだってわかっている。自動車だって二年なら二年のいわゆる定期検査を終えてやらなければ事故を起こしやすいのですよ。こんなことは通念ですよ。そのオーバーホールを、一年ごとにやらなくちゃならないやつを、二月や三月ごとに詰めてやっていくというような形までやる無理な運転を大臣は命じておるのですか。そういう運転をあなたは原子力研究所長に命じているのですか。
  104. 木内四郎

    木内国務大臣 私どものほうは、安全第一にしなければならないことは、さっきから申し上げておるとおりです。そこで、原子力委員会意見を徴しまして常々慎重にやっておるのです。今回の問題は、昨年の十二月にすでに一度調査に行っているわけでございます。立ち入り検査といいますか、一度調査に行っているわけです。それで、次は二月に調査するということをそのときに、重ねて調査をいま一度やるからということを言っておるわけなんです。特に慎重を期しておることは御承知を願いたいと思うのです。
  105. 石野久男

    石野委員 大臣、昨年暮れにやって、また二月に調査に行くということになっておった。それはそれでいいのです。非常に慎重にやってくれることはけっこうです。私は、そのときに、二月なら二月の検査のときに、暮れにも検査をしたんだから、二月の検査のときはもうフリーパスで通りますというような、そういう体制になってくれているのが管理者の、少なくともそこの所長がやらなければならない仕事だと思うのですよ。おそらく宗像さんがベンベルグかどこかの上役でおって、下僚に対して注意を与えて、今度来るからしっかりしておけよと言って、今度また事故でも起きるとか、事故でも起こるような内容を持っていたら、あなたは鋭くしかるだろうと思うのです。私はやはり、昨年の暮れに検査をして、二月に行ったとき検査をしたところが、むしろ前よりも大きな被曝事故が起きてきたということになると、努力はしたでしょうけれども、努力する以外に被害が大きくなってきているということ、これはおおい隠すことのできない事実だと思う。こういうことではいけないと思うのです。私は、炉がいまこわれているとは言いません。炉はこわれてないのだけれども、そういう事態が起きているということになれば、これは運営上の問題なんですよ。ある時点でとめて作業をし、そういうようなフィルターがよごれないようにするように、きれいなものにしてかかればこんなことはないわけなんだから、私は、こういうような非常に事故続きといっては悪いですけれども、とにかくオーバーホールをしなければならぬのだったらならぬように、はっきりと対策はぴしっととって、そうして、皆さんが、だれが考えてもそんなに心配のないようにするという態度が望ましい、これはやらなければいけないと思うのです。どういうやり方でやるか、私はそれは専門屋じゃありませんからわからないけれども、とにかくそういう方針だけは明確にここでお約束してもらいたい。あまりこまかい説明はしてもらわないでもいいですから、そのことだけ、やれるかどうかはっきりしてください。
  106. 宗像英二

    ○宗像参考人 オーバーホールは、もうこんなことがなくても四月からやることは予定していたわけです。ですから、このためにするわけじゃないわけです。ただ、十三サイクル目を三月三十日からやるものですから、それをとめて、少し余裕を置いていろいろな整備をするわけでございます。
  107. 石野久男

    石野委員 それから私はもう一つ、これはやはり作業をやる上で注意してほしいことは、いまオーバーホールは予定しておったのだからやるのだ、たまたま予定しておった時期にあったからけっこうなんでございましょうけれども、いずれにしても、ただ予定している日にちにやる以外に、そういう事故のあったことは、これはおおい隠すことはできませんから、より一そう注意を厳重にしながらやってもらいたい。  それからもう一つ運営上の問題で大事だと思いますことは、無理をしてはいかぬということを、特に私はこの際宗像理事長にお願いしておきたいのです。たとえば、燃料棒なら燃料棒に破損がある、それがどういう原因であったかどうかということを調査するということが次の発展のためにいいのでありまして、それを無理に、どういう形か知りませんけれども、無理をしながら作業を続けていくとか、あるいは研究も十分ないままに次から次へ同じようなものをそのまま使っていくことがいいか悪いか、これは非常に疑問だと思うのです。私どもは、一つの材質なら材質、あるいは燃料棒なら燃料棒について事故が起きますれば、それは作業の上に問題があったのか、あるいは被覆するときの問題なのか、内部の問題なのかというようなことをきわめなければ運転ができないだろうと思います。そういう点についての注意は、これは非常に大事だと思います。これをいままでどおりにやっていくと、また同じような事故が起きる、それであってはいけないと思いますので、そこらのところの注意をこの際ひとつ厳重にしてもらいたいということが一つ。  それから、この前ちょっと聞きましたのですが、そういうことになりますると、たとえば燃料棒なら燃料棒で、ある一定の作業内容をそれに期待しておったと思います。ところが、それがやはり一〇〇%利用できないで、あるいは七〇%利用とか、あるいは五〇%の利用ということになれば、当然のこととして、これは作業計画が狂ってくるわけです。そういう作業計画が狂ってくるというようなことになれば、当然また予算の問題も出てくるわけでございますが、こういう問題についての次善の策は立てておるのかどうか、その点についてひとつ聞かしてもらいたい。
  108. 宗像英二

    ○宗像参考人 いま先生がおっしゃるように、初めの予定は当然狂いますから、それに対する対策を、局と相談しまして予算の措置もお願いしなければならぬと思っております。  それからもう一つ、私、先生によく含んでおいていただきたいと思いますのは、私自身が、先ほど申しましたように、研究者と一緒になって動くつもりでおりますから、現場に行ってみんなとよく触れているつもりです。それは時間がないものですから、なかなかそれができないのですけれども、そうして一緒にものを見、そうして一緒に判断して事をしようとつとめております。ですから、あの人たちは行ってやれ、おれはこっちにいるのだというようなことは絶対していないつもりです。これは科学技術開発をするためには絶対必要なことですから、ですから、私自身が先生の御心配になることの中に飛び込んでいるわけです。その点もよく含んでおいていただいて、先生は、おまえはどこかでじっとしていて――それは時間がないものですから、そうしげしげはできないのですけれども、そうして若い研究者と一緒に、どうして研究をし、道を開いていくかということをしながら、信頼関係を密にしたいということを考えておりますので、申し添えておきます。
  109. 石野久男

    石野委員 理事長は私にもそう言うし、それから、先ほど石川委員にもそう言っておりましたが、とにかく宗像という人はこういう人なんだということを理解してほしい、これを非常に押しつけられます。われわれもあなたを理解することにやぶさかでない。けれども、原子力政策を論ずる場合は、宗像個人を私たちは問題にしない。あなたはやはり日本の原子力政策の中に入り込まなくてはいけません。われわれが平和利用をしようというたてまえで原子力政策を遂行するということになれば、あなたの考え方もありましょうけれども、それは国の政策に従ってあなたの力量、あなたの性格などというものを幾らでもその中で生かしてもらえばけっこうなんですよ。私はあなたの考え方をここで理解することによって私たちの考え方を変える必要はちっともありませんから。特に職場におけるところの安全性を確保するという問題は、地域住民の安全性を確保する問題と密接不離の関係にあります。あなたは自分の職場の中の職員なりあるいは従業員の方々に対して、命令的な立場でのいろいろなものはできるかもしれませんが、そこでもし十二分の安全性が管理されないとか、あるいは職場の人々の納得のできないような形でのいわゆる労働の強化なり、あるいは指示なりを与えられるとしますと、そのことはそのままその外に住んでおる地域住民の不幸につながるのですよ。われわれは、そういうことをしてはいけないから安全性の問題を強く言っておるのだ。したがって私は、たとえば労働組合の問題にしましても、労働組合の諸君が職場新聞を出した中で、それは信憑性が得られないものであるとか、虚偽のものであるという場合は、これは厳に戒めなくてはいけないと思うのです。しかし手段、方法が幾らか手順が違ったかもしれないけれども、真実を伝えておるものを、それをいろいろなことで処罰とかなんとかというようなやり方をするというあなたの労務対策については、これは先ほど石川氏からもいろいろあなたに質問しておりますけれども、私はこれは少し考えてもらわなければならぬ問題があると思う。もしこの点であなた方が処罰や何かをするというならば、私は他日、やはりあなた方が計画どおり予算の実行ができなかったという責任をとってもらわなくちゃいけないと思う。あなた方が一定の計画を持って国会に約束して、そして予算を使っておるわけです。その予算が予算どおりに実績をあげなかったという責任は、明らかに理事長自身の責任でなければいけないと思う。あなたはそのことに対する責任を感じておりますか。
  110. 宗像英二

    ○宗像参考人 もちろん先生がいまおっしゃるようなことは、私も、ものによっては私が責任を持ってやらなければならぬことなんですから、私の責任は感じております。
  111. 石野久男

    石野委員 あなた自身がその責任を感じなければならないような事実が現にある。そういう問題について、どれだけの手当てをして、どれだけの――ちょうど従業員に対して配置転換をし、あるいは講責処分をしたと同じ、それにかわるようなものを、あなた自身はどういうふうにして大臣に対して責任をとっておりますか。
  112. 宗像英二

    ○宗像参考人 私は、原子力研究所の進め方については、先ほども申しましたように、民主、自主、公開ですか、そのようなプリンシプルでいきますけれども、しかし具体的に研究所を指導して、研究者を育て、研究成果をあげるということについては、これは私にまかされたものであります。その範囲で、私はどうしたら研究所の秩序がきちんと保たれて、みんなの信頼を博する、そうして将来成果があがるような研究所にどうしたらなるかということについて大きな責任を感じて、これを実施するように努力しているつもりです。
  113. 石野久男

    石野委員 あなたが口の先ではそう言っても、成果がそれと逆になってきてはいかぬと思うのです。あなたが石川氏に対して先ほど長い時間、十分以上もいろいろと非常に高邁な経験談をお話しなさった。その中に、何よりもまず信頼感が必要だと言うが、いまあなたと原子力研究所の職員の諸君、特に労働組合の諸君との間に信頼感がどの程度深まってきておるかについては、私は、率直に言いまして、非常に疑問を持っております。あなたがいま何千人かのあそこに働いておる人々の中で、多くの人々がだんだんあなたの言うことを聞くようになってきたというように言われるけれども、しかし私たちは、実を言いますと、そうばかりは見ていないのです。これはいろいろものの見方があるから、あなたと私との間に違いがあるから、一がいに私の意見がいいとかなんとか言えません。しかしただ、あなたがそういう信頼感を立てるにあたって、今日の日本憲法において労働者に対しては、組合に団結する権利を与えられておると思うのです。その組合に団結するという労働者の権利に対して、あなたが妨害をするというようなことがあってはいけないと思います。私はそう思う。あなた自身もおそらく、労働組合の運動に対して、組織を分断させるとかなんとかというようなことの指導はしていないと思いますけれども、今後するかもしれませんから――そんなことはしないだろうなと私は思うので、あなたにちょっと御意見だけ聞いておきますが、労働組合に対して、組織上の問題等について、そういうことはしませんでしょうね。
  114. 宗像英二

    ○宗像参考人 実は先日、脳腫瘍の実験をしたあと私があそこへ行きまして――ちょうどその日は行けませんでしたが、あそこに働いている人たちとみんなでよく話してみました。そうしますと、先生のほうに入っているニュースとだいぶ違う空気になってきているなということを、私ははっきり自分でつかんでまいりました。これなら皆さんにこれから信頼感を持ってやっていけるな――信頼感というのは結局こういうことだろうと私は思うのです。私がこうなさいなとすすめたことが、もしもプラスの成果が出たらやはり信頼感になるだろうと思うのです。もうそれだけですね。それをこれからつとめつとめてやっていくつもりをしております。  それから組合の問題については、私はきわめて常識的な考え方しか持っておりません。
  115. 石野久男

    石野委員 あなたが、脳腫瘍の作業をやったとき、あとで行ったら非常に信頼感が出たという意味は、どういうことを言おうとしたかわりませんけれども、私のそんたくでは、やはり研究所が一つの成果をあげた、その喜びに浸っておったという意味だろうと思うのです。私ども、やはり炉が脳腫瘍に対して照射するということに成功したということは、決してそれはだめだったとは言わない、けっこうなことだと思います。しかし、たまたまそれがいままで心配しておった事故につながらなかった、皆さんも最善の努力をしてそういうことをしなかったという結果から来ることなのでありまして、それがまた、いままでわれわれが予測しなかったような事故が起きたというような事態になったら、これはたいへんなことになっているのです。だから、これは、実際問題を言うと、紙一重の差なんです。その紙一重の差というところをもう少しわれわれは真剣に考えなければいかぬと思うのです。あなたはいい側面だけをとっておられる。私たちは、そのいい側面も考えなければならぬけれども、その悪い側面も考えなければいかぬ。たとえば川崎の炉でやればやれないこともないわけですよ、率直に言えば。この前やったわけですからね。ただその照射の力量が違うから、向こうとこちらと炉の大きさも違うので、やはり時間の関係や何かもいろいろあるということで、それは短い時間にやろうというかまえになったことはよくわかります。わかりますけれども、そういう非常に危険をおかして得た成果ですから喜びは一そう深かった、そのことがあなたに対する信頼感と見たら、これは間違いだと思う。むしろそのことは、反面においては非常に大きな危険をはらみつつ冒険をやったということなんですからね。われわれが予測される事態に対する冒険をしたわけですよ。だから、こういうことは私は好ましいことだとは思わないです。それよりも、むしろ、組合の諸君が事実を伝えようとしてもなかなか伝えにくくなった、もの言えばくちびる寒しという考え方がいま原研の労働組合の中にびまんしているぐらいにもう一ぱいになっちゃっている。あなたのところの職場の中の人々は、もうものを言えなくなった。何か言ったらこわいなという考え方になっている。こういう形の中では成果はあがりません。私の言っていることが間違っているかどうか、あなた自身があとでよくまた考えてみてください、見てください、事実がそうなっていますから。いずれにしても、職員諸君に対して譴責処分を食わしたり、あるいはまた一カ月、二カ月の停職、配置転換をさせたりするようなことをやっていながら、自分たちの責任に対しては何もとらないという無責任きわまるところの理事長態度は気に食わない。私はやはりこういう問題については、あなたはもう少し責任感を持たなければいけないと思うのですよ。その責任感があれば運営のしかたもぐっと違ってくると思うんだ。私はなぜそこから来ているかというと、あなたの考え方はただ業績だけを追っかけている。もっと端的に言うなら、一番最初に申しましたけれども、やはり資本家的な立場に立ったものの考え方をしておられるんですよ。それはまずいと思います。だから私は大臣に、この際やはりJRR3の運営の中でわれわれが学んだこと、教訓は、これをよく活用しなければいかぬと思うんですよ。いまJRR3の中から出てきた問題は、このままほっておいて、これを何べんも繰り返すというようなやり方をしたら、たいへんなことになると思います。今度やったやつは、脳腫瘍を実験しようということのための非常に意欲的な問題がある中に、あとからあとから追い込んでおったと私は思うんですよ。いまそんなことは理事長は言わないだろうと思いますけれども、しかしこういうように危険がはっきりわかっているのに、作業をどんどん続けていき、一本の破損棒が二本になり、三本になり、五本になり、十本になっていくというようなことが続けられることが常識なんだ、それでいいんだという考え方がもしここで是認されるとするならば、これからあとの炉の運営なり、あるいは原子力の開発についての安全性の問題については私は非常に危険を感じます。この点については、大臣がもう少しあらためてひとつ今後の運営についての指示を考えてもらいたいと思うのですよ。その点についての大臣の所見をひとつ聞かせてもらいたい。
  116. 木内四郎

    木内国務大臣 私もこの前からたびたび申し上げているのですけれども、この国産一号炉というものは、自主的に日本で原子炉をつくること、それから燃料棒もつくること、材料もつくること、こういうことについて研究する一つの大事な機関なんですね。そこで、もちろん失敗はなるべく少ないほうがいいのですけれども、自主的にこれを開発していこうという場合には、ある程度の失敗も私はやむを得ないんじゃないかと思っております。しかし、あまり多くちゃもちろん困りますけれども。そこで、失敗した場合にはこれを改めるだけの努力をしなくちゃならぬ、これはいまお話しのとおりであります。そこで、たとえば今度の炉は燃料棒の破損の問題です。これも初めは輸入燃料棒を使っておった。輸入燃料棒を使っておるときには一度もそういう破損がなかった。これを続けて使っておればそれに越したことはなかったのですけれども、そこに問題がある。国産の燃料棒をつくろう、そういう努力をしよう、研究をしよう、開発をしようというところに苦心があると思っておる。そこで、重ねて申しますが、なるべく失敗がないほうがいいのだけれども、ときには失敗もある程度はあり得る。しかし一度失敗したらそれを繰り返してはいかぬ。それをすぐに改めていくようにしなければいかぬ。そこで今度の炉を見ますと、さっきも申しましたけれども、私は科学者じゃありませんけれども、私に対する報告、また、原子力委員会から聞いておるところによりますと、炉自体には危険がなかったのですね。いたんでおらなかった。しかし燃料棒がいたんでおった。それから、燃料棒のいたみを測定する機器にやや欠けるところがあった。二重にやっておったが、一つのほうの機器の一部に故障があった、こういうことで、いま一度オーバーホールしなければならぬという問題が出てきたものです。そこで、私の聞いておるところでは、また、原子力委員会でお調べ願ったところでは、外部に対する危険というものは毛頭私はなかったと思うのです。しかし、内部におきましても、従事しておる人たちに、この重水の汚染が非常にひどいために、フィルターにおいてああいうこともあったということを考慮しまして、今後におきましては管理者、また、それに当たっておるところの職員も十分に注意をして、避け得る危険は十分に避け、そうして、機器その他の不備な点があったら、それを直ちに直す、こういうことをあくまでやってもらいたい。これは私がかねがね申しておる安全第一ということから当然の帰結であります。
  117. 石野久男

    石野委員 いま木内大臣のおっしゃられたことで、大体の意味はつかめると思うのですけれども、もう一つ私は大臣に考え方をもう少ししっかりなにしてもらいたいことがあるのです。それはほかじゃないんですけれども、私に対する答えなんですけれども、こういうふうに言っておる。いまと同じ答えなんです。とにかく「この炉を設けた理由は、それを研究して悪いところがあったら改める、こういうことにあったわけです。そういうことでありましたので、自分の国でみずから開発していくためには、多少の危険一とかいうものは、輸入した炉とか輸入した材料に比べまして、多少そういうことがあり得るということは、私ども覚悟していなければならぬ問題だと思っております。」こういうわけですよ、あなたの言い分は。輸入した炉あるいは燃料には事故がなくて、そして、国産のものには事故があるという考え方も大体間違っている。輸入したものにだって事故が出てくることはもう当然なんだし、外国でも幾らもあるわけなんです。だから、国産のものだから事故があるというふうに考え考え方は、そんなに卑下する必要はないと思う。私は日本のものだってもっとりっぱなものがたくさんあると思いますから、こういう考え方をまず第一番に改めてもらわなければいかぬし、同時に、開発しなければならぬのだから、事故があったらその類似が起きるということを予想しなければいけない。類似の事故が起きることを予想するならば、その事故があった時点において、ものごとをとめて研究する、それが開発理由だと思うのですよ。その事故があったやつを、そんなことはどうでもいいからといってまたじゃんじゃんやっていったら、ちっとも研究にはなりやしませんよ。その事故の最初の段階にとめたときに、初めて事故の原因がわかるのであって、事故の炉がだんだんびらんするところまでいっちゃってから事故をさがしたってわかるものじゃありはしませんよ。だから、そういうところに、実を言うと、私は研究者の態度というものに問題があると思うのですよ。ある一定の事故が起きたときには、その時点でぱっと一つのものを取り出してそこでやって、なるべくその次には事故が起きてこない――ところが、事故が次々と同じところに多発化してくるということが今度の場合は私はあったと思うのです。それでなければ一本の燃料棒が二本になり、三本になり、五本になり、十本になりしていった理由はないだろうと私は思う。もし、これが一つのものに影響したのではなくて、みんなそれが一つ一つの燃料棒の持っている共通の欠陥であるとするならば、少なくともその棒は全部とめなくちゃいけないと私は思う。だから、この点では、私は、事故が拡大されていないというならば、それならば一応全部とめて、全部の棒を検査すべきである。それでなく、ある時点においてこれをとめることを怠ったために次から次に事故が続発するような形になっていったというならば、とめなかったという責任で出てくるはずです。そのいずれかを明確にしなければいけないと思います。これは責任問題です。私は、これは簡単な問題じゃないと思うのです。なぜ一カ所で十本も現実に破損が出てきているのか。だから、共通した欠点があるとするならば、まだ事故を起こしていないものに対しても共通したなにが出てくるはずなんだから、それに対する研究もせにゃならぬわけなんです。そうでなく、ある時点でとめることを怠ったためにこれが次々に影響していったというならば、それは一本だけで、よくわかるのです。だから、ここらのところ私はもう少し明確にしなければいけないと思うのです。そういう意味で、私は、やはりこの安全管理の問題についての指導監督に不備があったと思うわけだから、その点をもう少し明確にしなければならぬ。原子力委員会ではその点についてどういうふうに見ておられるのですか、山田さん。
  118. 山田太三郎

    ○山田説明員 ただいまの燃料棒の事故でございますが、こういったものは、ある意味で統計的なデータが出ないとわからぬという場合もございます。したがって、一本出たらすぐにそれで早急な答えを出すことは正しくないと思いますが、それにしても若干多い。したがって、われわれの要求は、まず破損の原因について早急に報告をもらいたい、こういうことを言っております。ですから、いまお話しのように、事故が起こるべきではないというお話でございますけれども、やはり起こっているならば、それがあとに役に立たなければならぬ。そのためには、その結果を十分に早くやってもらわぬと、いまお話しのように、次々に起こる可能性もあります。そういう意味では、原子力委員会の指示の第一報がそういった事故をむだにしない、役に立たせるためにはそのデータを早く出せ、こういうことを要求いたしました。
  119. 石野久男

    石野委員 大臣、私はもう質問はこれでおくつもりですけれども、しかし、これは決定的な問題ですから、現実にやはり一本だけの破損ならいいけれども、同じ時点で三本出、五本出てきて、結果的には十本近いものが問題を起こしたわけですよ。こういうことになりますと、私はやはりいわゆる燃料棒の使い方というものをもう少し慎重に考えませんと――私は事故の起こらないことを念願します。今後はそういうことの出ないことを念願しますけれども、しかし事故を起こしたような事情が、ある一定の熱度を持ったり何かしたときにまた起きてくるというようなことがあるとすれば、この次の、まだ未使用のものなり、現在使用中のものでその限度にいっていないものにまた事故が起きる危険性が出てこないとも限らない。そうなると、ある一定のところにいけば同じような事態を繰り返すことになると思う。これはまずいと思う。これは別にその材料が悪いとかいいとか、これこそがやはり研究開発なんだから、そういう事態をおそれる必要はないと思うのです、検査したりなんかするということは。だから作業するにあたって何にしても、そういう過去の経験にかんがみて、同じようなことを二度と繰り返さないようにするための配慮が必要だ。そうなってくるという、私は、やはり材質上の問題としてやったのか、それとも、運転操作上の中である時点でここでとめておいたらもうあとは多発化しないでも済んだものをこうなったのかという、ここの分かれ道を、まずしろうとわかりするようにしてもらいたい。それがわかれば、一本だけでとまったとすれば、あとはそうたいした問題ではありませんけれども、しかし、これをとめても、これも同じようだということになると、全体としての残った燃料棒について同じような検査をしてもらわないと、やはり効率よい運転はできないだろうと思うのです。このことだけは、安全性を確保する上で明確にやってもらわなければいかぬと思う。その点について大臣の所見なり、理事長でもけっこうです。
  120. 木内四郎

    木内国務大臣 いま石野さんのおっしゃたこと、まことにごもっともです。そこで、この事件について見ますというと、初めに一本故障が出た、それから、一本だけならいいんですけれども、いま山田委員からもお話がありましたように、統計的のものも見なければいかぬ。一本だけでというわけに直ちにはいきません。そこで、それについて原研は何をしておったかということを私どもよく聞きましたところ、直ちに委員会を設けて、その原因と対策について研究をしている、こういう段階であったし、最後には、だいぶたくさん出てきたので、あとのものも取りかえた、こういうことでありまするので、その点については処置はよかったと私は思います。しかし、今後再びその失敗を繰り返すようなことがあってはいけませんから、この燃料棒の改良その他についてはひとつ十分注意してもらいたいと思います。
  121. 石野久男

    石野委員 最後に宗像理事長にひとつお願いしておきますが、いま大臣からもそういう話があったように、私は、炉の運転なり何なりについては十分安全性を確保するようにしてもらいたいと思います。あなた方としては、炉を運転することの中で何かの成果をあげていきたい期待はあるだろうと思います。何か仕事を一つずつ一つずつ重ねていくことは、やはりその作業を監督している、あるいはまた、指導している以上は、そういう希望のあることは当然だと思うけれども、しかし、安全性の問題等について、しろうと目に見ても非常に無理が重なるというようなときは、やはり一歩下がって、しろうとにわかるような処置をしてほしい。無理をしないようにしてもらいたい。私はそのことだけあなたにお願いしておいて私の質問を終りたいと思います。あなたの所見だけ聞かしてもらいたいと思います。
  122. 宗像英二

    ○宗像参考人 ちょっとつけ加えておきますが、いまの燃料の破損は、いま私どもが判断しているなにでは、運転の問題ではなく、燃料の材質の問題だものですから、これはよく突き詰めまして、そして材質を変えていかなければいけませんから、そういうふうなことをやろうと思っておりますし、それから、現実に昨年の暮れから運転時間を短かくしまして、この範囲だったら変調が起こらないだろう、そういう処置をしていたわけです。  それから、先生がいまおっしゃった、安全を第一にして、そして研究をしていく、研究の成果をどうこうというのは、やっぱり私はこういうふうに考えております。研究の成果をあげることが、研究をしている人たちが育つもとなんですね。私らは研究の成果なんか何も――ただ、いって、こうなさるほうが間違いが起こらぬですよということを言って、若い人たちが研究の成果をあげると自信ができて、また研究が進んでいくということになるのでりあますから、若い人たちが現実をよく見ながら研究をしていくようにぜひしむけてあげたい。しかし、それはいま先生がおっしゃるように、また私どももそこへ行ってなにするのですから、安全でないということは絶対ないようにしたい。それで、先ほども申しましたように、放射能がいつも管理された状態であるようにしてほしいということをいつも言っておるわけなんです。ぜひ先生の御心配のないようにしたいと思っております。
  123. 石野久男

    石野委員 あとまだ問題がありますが、いまの御答弁の中に、特に材質上の問題等がありますから、それらの点について十分ひとつ、管理する中で事故を起こさないようにしてもらいたいという希望だけを申し述べまして、私の質問を終わります。
  124. 石田幸四郎

    石田委員長 以上で石野久男君の質疑は終わりました。  続いて、近江巳記夫君。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 あとの原子力船の問題がありますので、できるだけ私も簡単に終わりたいと思っておりますが、先ほどから事故の問題につきまして、いろいろと各委員から御注意なり質問があったわけでございますが、私たちもその事故のことに関しまして非常に心配しております。世界の状態を見ましても、原子炉の事故及び被害というものは、おもなものだけでも、私の聞いておる範囲では、一九四五年から一九六五年にかけて十八件、これは要するに人体に非常に影響のあった事故と聞いております。間違いがあればまた直します。また、一九五五年の十一月には、アメリカのアイダホ州のアノコ国立原子炉試験所内で、世界最初の増殖炉の中で実験中に燃料棒が曲がって大きな事故を起こしている。こういうこの種の事故というものについては、各委員から指摘があったように、どのようにささいな事故であっても、これは私はたいへんな問題だと思う。これは何回も重複をしますので、私はこまかいことは聞きませんが、根本的に、原子力研究所で二千名ですかの人が働いておる。一つは、職員の事故対策についてどうしておるか、さらに、一般住民が、特に付近の人たちが非常に心配しておる、その一般住民の全体に対する事故対策をどうするか、これを理事長と大臣、両方からお聞きしたいと思います。   〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  126. 宗像英二

    ○宗像参考人 事故対策といいますか、安全管理の体制でございますね。安全管理の体制では、東海の研究所もさることながら、全体としまして、理事長が総括のもとに、業務執行機能と第三者管理機能の安全上の責任を明確に分化させ、そして、安全管理上の必要な事項審議するために、各支分組織――研究所でありますが、の長の諮問機関として、各研究所に安全委員会がございます。この安全委員会には労使両方から委員が出て、そして、安全に関する事項についてよく話し合いまして、そして、関係者の意見がよくそこに反映するようにして安全をはかっております。労働条件と見られる安全問題については、労使双方が随時によく話し合っていることは、十分進んでいると私は思います。今回の問題になりましたことについて、東海研究所の中で十分そういう会合を持って、そして、どうやっていこうかということを労使双方でよく話し合って、安全の問題については尽くしている、そういうことをしております。
  127. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、御案内のように、こういう原子炉を設置する場合、発電所その他におきましても、あらかじめ原子力委員会にはかりまして、総理大臣の認可を必要とすることにしております。それからいよいよつくる場合にも、設計あるいは仕様書に対する許可、あるいはさらに事業を始める場合の許可、あるいはさらに安全規定につきましても許可を必要とする、こういうような方法によりまして安全性をあくまで確保するようにつとめております。
  128. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま、おもに、このようにやっておるという現状のそれはよくわかります。これだけの事故をあなた方は起こしておる。ですから現時点から――いままでやっておったことは、いままで聞いていますから、わかっています。新しい安全対策、職員の安全対策、さらに付近住民に対するそういう安全対策、事故対策、特にいままでのベースからあがった、特に新しい、この事故を契機として、結局あなた方の反省は、結果となって、対策となって出てこなければならぬ。それが何もできていないなら――あなたがただここでああすみませんでした、これから以後気をつげますと、決意だけではだめなんです。ですから、もう一歩新しい、要するに、この事故を契機としてこういうようなさらに安全対策をとります、それをはっきりと明確にしてもらわなければ困る。それを言ってください。
  129. 宗像英二

    ○宗像参考人 先生よく事故ということばをおっしゃいますけれども、実は原子炉の事故ではありませんで、計器が二重についております、その一片のほうの二十四組のうちの一つが敏感でなくなりまして、それで、そこのところだけが若干敏感に燃料の変調を見ることができなくなったわけであります。ですから、私ども事故ではないと申しておりますのは、二重に見る設備、それがありまして、どっちかではちゃんとつかめるというふうにしてあるのでございますから、その点のところはよくお含みいただきまして、あくまで私どもは事故ではない、しかし万全に期することはしたいというふうに言っているわけであります。
  130. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこが問題なんですよ。これだけのことを事故と見ない、そういう感覚が、これからやはりどういうようなことが発生するかわからない――小さいことはありませんよ、このことは。事故じゃないですか、これは。どうなんですか、その点は。もう一度補足するところがあれば、もう一ぺん言ってください。
  131. 宗像英二

    ○宗像参考人 法的に取り扱う事故ではありません。これは、先ほど申しましたような内容のものであります。
  132. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしても、法的とかなんとか、あなた、そういうふうに言われますが、要するに、現実に職員がその灰を吸っておる、そういうことまで起きているわけでしょう。ですから、マスクをつければよかったというような、そういうような答弁もここでありましたけれども、要するに、そのような人命にまでかかわるようなことではなつかたにしても、きつければどうなっていたかわからない。だから、結果として、そういうようなもう一歩手前のところで、大事に至るところであったけれどもそれでとまったから事故ではない、そういう感覚が私は問題だと思うのです。そういう点で、この問題については、いまあなた方がおっしゃったように、そういう各種の施策について万全を期して、安全を期してもらいたい、この点を強く要望しておきます。  それから、この前に私が質問しました使用済みの燃料の輸送でありますが、日本原子力発電所の東海発電所、ここで本年の七月から四カ月ごとに、一回の輸送量約二十五トン、二千四百本の使用済み燃料を日立港まで運んで、それからイギリスへ送る。この件についてお聞きしたわけでありますが、この安全輸送の問題でありますが、運輸大臣にいろいろとそのような指示を得てやるわけでありますが、容器の問題、あるいは収納、あるいはまた積み込みの問題等について指示を受ける。しかし、その指示の技術的基準というのは明らかになっておるのですか。どうなんですか。   〔石川委員長代理退席、委員着席〕
  133. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 輸送の場合の容器でございますが、これにつきましては、その容器自体につきまして原子力委員会が核燃料物質輸送容器の安全性審査基準というものを先般つくりまして、この基準は国際基準と大体同程度のところで審査しておりますが、その基準をつくりまして、それを私のほうから各関係省に回しまして、関係省がこの燃料の輸送等についてはこれでもって処置をしておるという形をとっております。
  134. 近江巳記夫

    ○近江委員 国際的には現在IAEA国際原子力機関の安全輸送規則に基づいてIMCOのコードが制定されて、わが国にも勧告がきておるようでありますが、しかし、この勧告に基づいて、そういう基準の制定ということは明確になっておるのですか、もう一度お聞きします。
  135. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 原子力委員会としてその基準を明確につくったわけでございます。それで運輸省の関係法規等にこの基準をもとにして直すべきところは直すという形にしておるわけであります。
  136. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは法に基づいて確認はちゃんとできておるのですか。それは、きちっと認められたものですか。
  137. 高力章

    ○高力説明員 ただいま科学技術庁のほうから御説明がありました容器の問題につきましては、原子力委員会におきます容器の安全基準というものが出ておりまして、当省といたしましては、自動車、鉄道、船舶、いろいろ輸送の状態があるわけでございますが、その際の大臣の指示あるいは許認可の基準にそれを参考として使っております。そうしまして、その輸送方法、積載方法その他それに関連いたしますものを一括いたしまして指示あるいは許可しておるということで済ましておるわけでございます。
  138. 近江巳記夫

    ○近江委員 参考にしておりますということは、これは問題ですよ。勧告に基づいて明確にこれは基準を設けるべきじゃないですか。たとえばこの港則法第四章は、危険物積載の船舶が特定港に入港し、停泊、停留、積みおろし等を行なう場合について規定しておる、このように規定しておりますが、これに対して、たとえば指示の技術的基準というのは、法に基づいてこれは明確化されておりますか。どうなんですか。
  139. 高力章

    ○高力説明員 船舶につきましてはIMCOにおきまして――これは国際海事協議機構でございますが、IMCOにおきましてIMCOコードというものができております。それをもとにいたしまして、現在船舶局におきまして危険物船舶運送及び貯蔵規則の中に全面的に繰り入れるということでいま作業を始めております。
  140. 近江巳記夫

    ○近江委員 作業を進めておるという点で理解はできますけれども、これのどこに載っておりますか。まだ明文化されていないことはわかりますよ。そうでしょう。ただ参考にします――勧告は受けておるけれども、法に基づいた基準はないじゃないですか。そんなことで安心できませんよ燃料棒だって七本もあのように破損しておる。二千四百本一ぺんに運ぶんじゃないですか。法的に何も基づきもせずして、どうやって住民がそれを安全に――そのこと確信が持てますか。
  141. 高力章

    ○高力説明員 現在本省といたしましては、この核燃料の運送の問題が、当初は、法制定当時は、大量輸送ということがあまり予想されていなかった点もございますし、関係法規が不十分な点、いわゆる明確にされていない面もございますけれども、いま当省におきましては、船舶におきます先ほどのIMCOコードの全面点な採用と申しますか、これを進めておりますと同時に、自動車局、鉄監局におきまして、それぞれ担当の部局で、取り入れ方につきましていま検討を進めておる段階でございます。
  142. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま検討を進めているというのはわかりました。それからもう一度、私は念のために申し上げておきますが、この使用済み燃料を輸送する場合には、放射性物質車両運搬規則によって行なうことになると、あなたはそのようにおっしゃた。この放射性物質の量が二千七百ミリキューリーをこえることは間違いないし、そうしますと、同規則の第二条第五項により、そのつど運輸大臣の許可が必要である。しかし、この許可の基準というのが、いま申し上げたように明らかになっていない。関係者の行政指導だけにたよっている。結局、先ほどの勧告を頭に入れて行政指導をしておる。そんなずさんなことで――七月に運ぶんだよ、これを。だから、あなたもおっしゃったように、制定当時は、主として放射性アイソトープの輸送を対象にしたためである。したがって、核燃料物質とはけたが違うわけですよ。それをそのうよな状況に置いておる。そういうわけでIAEAの放射性物質の安全輸送規則、あるいは原子力委員会の核燃料物質輸送容器の安全性審査基準、そういうものはわかりますけれども、そういうものを参考にして、輸送容器あるいはまた輸送について最も具体的な基準を設ける必要がある。これはまだできていない。できていなくて七月に、早い話が、ここで二千四百本の核燃料を輸送するんだ、これはいつまでほっておくんですか。だから、私はここで申し上げたい。前に質問したときに、そういう法則がある、規則があるから、それに基づいてやる、大臣も局長もそういうように答えた、明確な基準もなくしてですよ。それは勧告をあなた方は頭に入れてやるかもしれない。しかし、はっきりとしたその基準も法的に基づいていないのに、それじゃこうやりますと言ったって、これは信用できませんよ。ですから、はっきりとした基準がちゃんとできるまでこの輸送は中止すべきである。したがって、その点についてどう考えておるか、明確に答えてもらいたい。
  143. 木内四郎

    木内国務大臣 いま運輸省から御説明になったようでありまするが、私が先般申し上げましたように、原子炉等規制の法律に基づきまして、運輸省令を出して、いまお話しになった放射性物質車両運搬規則というものがありまして、それによりまして、私どもの科学技術庁と運輸省がいま、原子力委員会でおきめになったその基準に基づいて、この容器の審査をしておるわけですから、それは間違いないと私は思います。
  144. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣、よく運輸省の方の意見を聞いておってくださいよ。基準ができていないと言っているんですよ。基準ができていないのに何の基準をもとにしてやるんですか。勧告を頭に置いてやると言うかもしれない。だけれども、はっきりとした基準がない。私は運輸省の方に聞きたいのですが、いまこのような危険な使用済み燃料が輸送されようとしておる。陸送についても、海上輸送についても、危険この上ない。したがって、早急にこの明確な基準をちゃんと科学技術庁と相談するなり何なりして、設ける意思があるのかどうか、それについてはっきり答えてください。
  145. 高力章

    ○高力説明員 その点につきまして、先ほど私ちょっと基準がないというような表現と申しますか、法的にはっきり内容を指示しておらないという点が一つあるわけでございまして、現在の原子力委員会から出されております基準につきましては、現実に大臣の認可にあたりまして、その基準で審査をしておるということでございます。現在、確かに、法規につきまして、基準については、大臣指示あるいは許可という形になっておりますので、その辺につきましては、こまかい規定をしておらない面はございます。この点につきましては、陸海空の問題でございますし、これは科学技術庁とも連絡を常にとっておるわけでございまして、それに基づきまして、運輸省としましても、これを早急に明確化するように、といいますのは、法律的に明確化と申しますか、そういう方向でいま早急に検討を進めておる段階でございます。
  146. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、それが法律的に明確化されるまで、この核燃料の輸送についてはやってはならない、このように思います。これについて運輸省のあなたと大臣、答えてください。
  147. 木内四郎

    木内国務大臣 いま安全性の問題についていろいろ御心配願っておることはまことにありがたいことですけれども、私が先ほど来、また先般申し上げましたように、原子炉等の規制の法律に基づきまして、運輸省がすでに放射性物質車両運搬規則というものをきめています。いま運輸省からの説明で、その規則の中にはっきり書いていないというだけで、私どものほうは、すでにその点につきまして、原子力委員会意向を徴しまして、原子力委員会におきましては、核燃料物質輸送容器の安全性審査基準というものをはっきりきめておるのでありますから、それに基づきまして、いま法律の中にはその文句は入っていないけれども、その後にきめられたところの審査基準によりまして、私のほうと運輸省と共同して審査をする。それに基づいて、運輸大臣は個別に許可をするのですから、きわめてこれははっきりきまっておるものでございまして、ただ、これは運輸省令の中に付表としてまだ入っておらぬというだけの話で、私は、これは十分に法的効果があるもの、かように思っております。
  148. 近江巳記夫

    ○近江委員 運輸省の人がいまああいうぐあいにおっしゃっておるのですから、大臣としても、安全を期してすみやかに――運輸省はそのようにやると言っておるのだから、ちゃんと相談をして、すみやかに法律の上でもこまかい基準に至るまでちゃんと盛るようにします、皆さんの納得のいくようにします、どうしてあなたそういうように率直に答えないのですか。運輸省の専門家がはっきり言っておるじゃないですか。
  149. 木内四郎

    木内国務大臣 私からお答えしますが、これは運輸省令の中に付表としてでも入れておけば一そう明らかになると思います。その点は、運輸省では今後やると言っておるのですよ。私どもは、それをやらない前においても、すでに原子力委員会においてそういう審査基準をきめておるのだから、われわれ運輸大臣と一緒に、この容器をその基準によって検査をする。それで実際上の効果は、この運輸省令の中に入れる前においても十分確保し得るものである、かように私は信じておることを申し上げたので、別に私は、運輸省がこれを省令の中に入れることをとめるなんという気持ちはもちろんありません。また、入れなくても、すでにわれわれはその基準によって審査をするのであるということ申し上げたのであります。  ことに、なお申し上げておきたいのは、七月にこれを輸送するということになれば、その前に容器を検査するのですから、その基準によって検査をするのであり、運輸省も運輸省令の中に入れるということであれば一そう明確になりますから、御心配のような安全性についてのあれは少しもない、かように考えております。
  150. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ運輸省の方、七月に輸送がすでに行なわれようとしておる、したがって、これについては、先の問題で――先に日数もあるわけです。何カ月も先だし、その点、七月からすでに行なわれようとするわけです。したがって、その点大体のめどを言ってもらいたいと思うのです。どうなんですか。
  151. 高力章

    ○高力説明員 先ほど来科学技術庁長官のほうからも御説明がございましたが、現在において、その省令の内容につきまして、はっきり書いておらないという面があるわけでございます。これは指示事項になっております関係もございます。現実に船舶の場合に関しましては、「使用済み核燃料を運送する場合の容器の強度、収納方法、荷役方法等に関する指示について」という通達を出しております。各規則の判定の基準になりますものは、先ほど御説明になりました容器の基準その他につきましては、現実に基準があるわけでございまして、それに基づいて万全は期しておるわけでありますが、たまたま省令その他の基準の問題ということにつきましては、省令にはっきり書いてない面はございますが、現実の問題としましては万全を期すべく、科学技術庁とも、これは個々のケースについて検討を加えて進めておりますので、現在の実行上の問題はある程度担保されておるのではないかと思いますけれども、今後の省令上の取り扱いにつきましては、省内におきましてさっそく検討を開始いたす所存でございます。現実に、昨日も科学技術庁との連絡会議を持ちまして、この問題について検討をしたところでございまして、科学技術庁のほうと非常に連絡を密にいたしまして、この点について万全を期したいというふうに考えております。しかも、省内におきましても、各陸運局、鉄監局、船舶局それぞれ検討を開始いたしておりますので、近くそういったものに関連する成案がある程度出てくるのじゃないかと思っております。
  152. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、国民の安全を考えればこそ言うのです。ですから、メンツとかそういうようなことにこだわらず、いま比較的率直な意見も聞かしてもらいました。したがって、国民が法を見て、なるほどこれなら安心だと言える、こまかいそうした内容まで盛り込んで一日も早く制定をしていただきたい、それを強く要望しておきます。そういう点が、われわれが納得できない段階で、危険なこういう輸送をやって、これはもしも事故があったらたいへんな問題だし、その点はよほど慎重にやらなければ、これは申し上げておきますが、これはわれわれとしても承知はできません。したがって、法的においても、何においても、確実に納得できる体制のもとにおいて、そのような実施段階に考えるべきである。このことを強く要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  153. 石田幸四郎

    石田委員長 近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  154. 石田幸四郎

    石田委員長 引き続き、原子力船開発に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。福岡義登君。
  155. 福岡義登

    福岡委員 私は、原子力船基地の問題について若干お尋ねいたします。  原子力船基地の問題につきましては、現在青森県のむつ市に定係港が二十数億円の経費を費やして建設中であることは、承知いたしておるところであります。しかし先日、読売新聞、毎日新聞及び日刊工業の各新聞に次のような記事が出たわけであります。ここへコピーしたものを持ってきておるのでありますが、つまり広島県の御調郡向東町に加島という島があるわけです。瀬戸内海であります。そこに常石造船が原子力船の基地を建設するという報道であります。これは二月十日の新聞であります。若干その経緯は承知はいたしておるのでありますが、長官のほうで、科学技術庁のほうでこれを御承知かどうか、お伺いをまずしたいと思います。
  156. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しになりましたような新聞の記事のあったことは承知しておりますが、私どもは、まだ直接聞いておりません。
  157. 福岡義登

    福岡委員 聞くところによりますと、事業団のほうには一月以降何回か御相談に関係者の人がお見えになったように聞いておるのでありますが、事業団のほうは承知されておりますか。
  158. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 常石造船所のほうから二、三回事業団へおいでになりまして、原子力船基地に自分のほうの造船所が適しておるから、そういう余地はありませんかというお話がございました。事業団といたしましては、すでにむつ市で定係港の仕事が始まっておりますから、さしあたりは定係港のお話を進めるような余地はございませんから、そういうぐあいにお話をいたしておきましたような次第でございます。
  159. 福岡義登

    福岡委員 参考までにお聞きしておきたいと思うのでありますが、一月以降何回か常石造船のほうからお話があった、こういうようにいま言われたのでありますが、できれば、何月何日何時までは必要でございませんが、どなたが、いついつ、どういう話にお見えになったかという程度、わかればお教えいただきたいと思います。
  160. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 別に向こうから正式に社長とか専務とかいう役の方が事業団へおいでになってお話があったわけじゃございませんので、事業団で私がお目にかかりましたのは、あの町の町会議員の方とか、あるいは漁業組合の方とか、それらの方々が東海村の研究所へ見学においでになりまして、その帰りに私のほうへお寄りになったのをお目にかかって、そのときに名刺はちょうだいいたしましたけれども、別にそういう責任者の方から正式にお話があったようなわけではございません。
  161. 福岡義登

    福岡委員 私が承知いたしております、これは科学技術庁のほうからお話をちょっとお伺いした資料なんでありますが、常石造船の専務が事業団に何回かお見えになってお話をされておる、こういうように聞いておるわけであります。どうでしょう。
  162. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 確かに専務の方がおいでになりまして、私もお目にかかったことがございます。
  163. 福岡義登

    福岡委員 先ほどもちょっと御説明いただいたのでありますが、専務がお見えになったときに、どういうお話経過であったか、たとえば、常石造船として、先ほど申し上げました加島に原子力船基地をつくりたい、事業団としてお考え願えるかどうかという、たとえばそういうような話であったのか、あるいは別の話であったのか、どういうようなお話であったのか、わかっておれば、御説明いただきたいと思います。
  164. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 専務からは別に具体的に定係港にお願いをしたいとか、そういうような具体的な話はございませんでした。原子力船の将来というものは、五年先か十年先になるかわかりませんが、将来というものは、専務のお考えとしては有望だ、したがって、そういうものに対する研究をしておきたい、それには現在の常石造船所というものは非常に適当な場所じゃないか、こういうようなお話がありまして、先ほども申し上げましたとおり、いま私の印象では研究調査の段階であって、特別に具体的にどういうことをやりたいとか、また、事業団に対してお願いをしたいとかというようなことはなかったのでございます。少しも具体的な話は私は記憶しておりません。またそういうお話もございませんでした。
  165. 福岡義登

    福岡委員 これも私が承知しております情報によりますと、常石造船のほうは、定係港つまり基地をつくりたいという立場で事業団のほうに打診をした。ところが事業団のほうは、いまむつ市に建設中であって、それ以外に特段のものは考えておらないというお返事をなさった、こう聞いておるのでありますが、事実と違いますか。
  166. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 そのとおりでございます。
  167. 福岡義登

    福岡委員 そうしますと、もう一ぺん繰り返しておきますと、常石造船の専務さんのほうから、加島に原子力船の基地をつくりたいという立場から、原子力船開発事業団のほうに打診がされた。原子力船事業団としては、そういう計画はいまのところ考えていない、こういうようにお返事をなさった、こういうように理解していいわけでありますか。
  168. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 そういうことを計画していないというよりも、現在むつ市に定係港の建設を一生懸命やっておりますから、現在の立場としては、ほかのことを考える余地も何もないわけでございます。一応向こうのほうのお話は承っておくという程度なんですが、その承っておきますことも、先ほど申しましたとおり、特別に具体的な提案は――何か島のことも考えていられるようですけれども、それもまだお買いになったわけでも何でもないように承っております。大体そういうような成り行きでございます。
  169. 福岡義登

    福岡委員 大体荒筋はわかりましたが、大臣にお伺いしたいと思います。  聞くところによりますと、原子力商船の建造は、その第一船が昭和四十七年の一月末に、むつ市の定係港つまり基地において竣工する予定である、こういうように私どもは聞いておるのでありますが、第二船、第三船はどういう御計画でおられるか、わかっておれば……。
  170. 木内四郎

    木内国務大臣 第一船については、大体いまお話しになったようなとおりでありますが、第二船、第三船については、まだ考えておりません。
  171. 福岡義登

    福岡委員 考えておらぬということでありますが、そうしますと、かりに二船、三船をいまから検討されて計画ができるわけでありますが、その場合、つまり二船、三船を建造する場合、むつ市の定係港以外に、そういう基地を必要とするのかどうか。
  172. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話がありましたが、二船、三船の程度ならばむつ港で足りる、かように思っております。
  173. 福岡義登

    福岡委員 そこで、続いてお伺いしたいのでありますが、将来かりに第三船をやってみて、第四船以下の計画が立てられるというような段階になったときに、いまは事業団事業をやらしておられる。ですが、将来こういう定係港的なものを民間企業に委託をされるような場合が考えられるかどうかということが一つであります。  また、民間企業が自主的に定係港を建設した場合に、そういうものを利用して原子力船の建造を考えられていく、そういうことが考えられるかどうか。
  174. 木内四郎

    木内国務大臣 御案内のとおり、このごろの科学の進歩というものは非常に急速です。また、原子力の利用についても、そうだと思います。また、原子力船についても同様だと思います。私どもはいま第二、第三船の計画はありませんけれども、遠き将来においては、原子力が船の動力として使われる時代が来るだろう。その遠い将来のことは私どもはいま考えておりませんけれども、遠い将来になれば、事業団でなくて民間に私どもは大いに期待せざるを得なくなってくるのじゃないか。そういう場合におきましては日本全国、あるいは今日原子力船の定係港を断わっているところでも、そういう時勢になれば、やはり船に寄ってもらわなければ困るというようなことになるのじゃないかとも私どもは思っております。これは遠い将来のことでありましてわかりませんけれども、そういう次第だと私どもは想像いたしております。
  175. 福岡義登

    福岡委員 遠い将来という、その時期なんですけれども、私は十年も二十年もという意味で言ったわけではないのです。第二船、第三船、まだ計画がないとおっしゃるのでありますが、その辺までは、むつ市だけで十分足りる。そうしますと、第一船が四十七年でしょう。いまから三年先ということになるわけです。第二船、第三船を考えますと、おそらくこれは十年近く年月を要するのではなかろうか。ですから、それから先ということになるわけです。それから先、想像できる範囲といえば五年ないし十年ということになると思うのでありますが、そういうあまり遠い将来のことではなくて、われわれがいま現時点で考えられる第三船以降第四船、第五船程度までの間の事情を考えた場合に、申し上げましたような別の定係港、いわゆる原子力船基地というものが、むつ以外に必要であろうかどうであろうか、そういうことをお尋ねしたわけであります。
  176. 木内四郎

    木内国務大臣 おそらく第四船、第五船になるというと、私がこの世の中にいないころのことになるのじゃないかと思っておるのですけれども、そういうことをいま申し上げてもいかがと思うのですが、今後非常に発展していくようになれば、あるいは四船、五船程度はまだむつ港を拡充してそれで足りるかもしれません。しかし、それからまた先のことになりますと、ちょっと私はいまお答えしかねるわけであります。
  177. 福岡義登

    福岡委員 大体わかりましたが、遠い、もう一つ遠いというのをつけ加えたほうがいいと思うのでありますが、遠い遠い将来のことは別にいたしまして、当面第三船くらいまでの間にはむつの定係港だけで十分である、別にそういうものは必要としない、こういうことだろうと思うので、わかりました。  そこで、次の問題でありますが、この際特に申し上げておきたいと思いますのは、原子力の平和利用については、私ども否定するものではないのであります。ただし、幾ら安全性が確認されておるとはいっても、万一ということもやはりないわけではないわけですし、また、精神的な面から考えましても、先ほど申し上げました加島、つまり瀬戸内海のどまん中に、将来こういうような基地をかりにつくるとしましても、こういう瀬戸内海のどまん中に定係港というようなものをつくるということは適当でないと思うのです。それから御承知かもしれませんが、加島など瀬戸内海一円といっていいと思うのでありますが、チヌその他の魚の産卵場あるいは漁場というものが非常に多いわけであります。また、風光明媚、観光の地でもあるわけであります。そういうところに、遠い遠い将来のことで、はっきり議論できないといたしましても、瀬戸内海のどまん中に定係港のような原子力船基地というものをつくることは妥当でないと思うのでありますが、一体大臣はどのようにお考えになるのでしょう。
  178. 木内四郎

    木内国務大臣 いまの時点における問題としては、私はお説のような点を考えなければならぬと思います。しかしこれから先、原子力というものが平和利用に徹して広く用いられるというようなことになってきますと、そのときには、人間の知恵は無限といいますから、私は原子力の安全性というものについてももっと進むだろうと思うのです。しこうして、また、科学的に進むだけでなく、一般の社会的にも、原子力に対する安全性の認識というものはよほど変わってくるんじゃないか。私は願わくは、原子力なんというものは危険はないのだという、無限の発展力を持つ科学においてそこまでいってもらいたいと思っているのです。したがいまして、それに伴って社会的にも無限にそういうものがあることを私は夢として持っているのです。しかし原子力のことは――また原子力だけではありません。科学のことは、きょうは夢であっても、あすは可能性が出てきます、あさっては、もう実用になってくるのでありまして、無限の発展性を持っておるのが科学技術の世界でありまするから、私はそういうことがこなければ、人間はいばったってもう始まらぬと思います。私はもう七十幾つですから、その時代には、おそらくいま申しましたように世の中におらぬでしょう。しかし、それだけのことを私は今日の夢としていま持っております。
  179. 石田幸四郎

    石田委員長 関連で三木喜夫君。
  180. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いまの福岡君のほうからの質問は、これは大臣 一説によると、産業界とかあるいは政治的な政治家の動きによって、こういう定係港の問題がいわれておるようなんです。そこで、科学技術庁としても、あるいは事業団のほうとしても、はっきりした答えをこれにしてもらわなければならぬ、こういう必然性が出てきておるわけです。それと、いままで定係港の問題でこれだけもめたことは、御存じのとおりです。横浜の近くにつくろうとしたというところから、現時点から考えれば、瀬戸内海とか、ああいう船舶の出入りの激しいところではまことに危険である。こういうところからやはり外海のほうにつくらなければならぬというような原則的なものをわれわれとしては了解してきたわけです。だから、科学が発達して、遠い将来のことについては、いま大臣の言われたようなことも、それは考えられるだろうと思うのですよ。そういう外の力で基本方針が曲げられるようなことでは困る。だから、基本方針はこうだ、将来、一船、二船、三船というようなものはまだ計画もないのですから、そういうようなことについてどうするかということ、それから、定係港はどういうところに置くのがいいのか、こういう問題を明らかにしてもらわなかったら、そういう一部財界とか産業界で吹き上げてきて、そして国会の論議になる。国会の論議になっても、責任者はそんなことは知らぬ、一時新聞で見ましたというようなことで情勢をつくられたらたまったものじゃないと思うのですね。原子力については、われわれとしては平和利用をしなければいかぬですけれども、非常に強い関心を払っておるわけです。それで、こういう問題が出ておるのですから、そういう立場から御答弁をいただきたいと思うのです。
  181. 木内四郎

    木内国務大臣 お説のとおりでありまして、それですから、私は、いまの時点では、そういう船がたくさん入ってきたり、魚の網の入るようなところは考えられないということを初めに簡単に申し上げたのですが、初めのほうが少し簡単過ぎたものだから、そういうあれが出てきておると思うでのすが、それはもちろん、いまのような状態でありますれば、船が非常によけいに通ったり魚のたくさん集まるようなところ、そういうことを当然考慮に入れて、安全性を科学的に確保できるばかりでなく、社会的にも安全性があり国民に不安を与えないような、そういうふうにしなければならぬものだと思っております。
  182. 福岡義登

    福岡委員 いま三木委員のほうからも指摘されましたのですけれども、さっきの事業団理事長の答弁といい、大臣の先ほどからの答弁といい、私としては釈然としないものがあります。というのは、さっきの理事長の御答弁は、最初どう言うてお答えになりましたか。漁業組合や町会議員の方々はお見えになりました、こういう答弁だったのですよ。私が、専務が行っておる事実があるということを申しましたら、確かにお見えになりました、こういう御答弁でしょう。一体何を考えて答弁されておるのですか。まず、事業団理事長から答えてください。
  183. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 専務がおいでになったのは、漁業組合の方々、それから町会議員の方々をお連れになってぼくのところへおいでになったのです。私としては、常石造船所の人が来られたというような考えをそのときは持っておらなかったのでございます。
  184. 福岡義登

    福岡委員 とぼけちゃ困りますよ。ここへ持っておる科学技術庁から取り寄せました資料にどう書いてあるか、読みましょうか。あなたのほうから科学技術庁のほうへ答えておるのですよ。理事長が知らぬというんなら、だれがこの資料をつくったか明らかにしてもらいたいですよ。ちゃんと書いてあるんですよ。「一月末以来再三にわたって」常石造船専務が事業団に来てその意向を打診をしておる、こう書いてあるのです。造船所の専務として来たんじゃないとあなたはおっしゃるが、あなたのほうから科学技術庁に出した資料には、こう書いてあるのだ。さっきの大臣の答弁にしても、あいまいもこの答弁をしてお茶を濁して、遠い将来のことは別としてというようなことで、科学技術がそこまで進むのが望ましいとか、大臣、現実にこうやって新聞に出ておるのですよ。読売も毎日も日刊工業も出ておるのですよ。具体的な社会問題なり政治問題になっておるのでしょう。一体あなたらの答弁の態度はどうですか。本気で問題を考えておるのですか。
  185. 木内四郎

    木内国務大臣 それだから私はお答えしたのですが、私のほうは正式にそういうことは聞いたことはないのです。新聞ではそういうような話があるということは承知しているが、聞いたことはない。そこで、おそらくきょうそういう御質問があるというので、私のほうから事業団のほうに聞いたら、事業団のほうからそういうお答えがあったのだ、私はさように承知しております。私は正式にそれを聞いておらないのですから。
  186. 福岡義登

    福岡委員 これを承知しておったかどうかということをいま私は問題にしておるのではないのですよ。大臣の答弁の姿勢が問題だということを言っているのですよ。私は七十何ぼだからもう生きてないかもしらぬ。それは死んでおられるでしょう。現実に起きておる問題について見解を求めておるのですよ。新聞にはそういうことが出ておるのを聞きましたけれども、そういうことは全然聞いておりませんし、考えもございませんと、はっきり言えばそれでいいんですよ。
  187. 木内四郎

    木内国務大臣 たいへんどうも話が誤解されているんじゃないかと思うのです。それですから私は先ほど来二船、三船とつくる――まだ、これも考えておらぬが、二船、三船ができてもそういうことは考えません。むつで足りるということをはっきり申し上げておるのですよ。しかし、これから先の遠い将来のことは、まだ計画もないわけだから、それについては私はまだ申し上げる段階ではない、かように申し上げているのですから、決して私ははっきり答弁してないのではないのですよ。
  188. 福岡義登

    福岡委員 その点はそれでいいですよ。私が次に質問した点は、かりに将来つくるとしても、瀬戸内海というようなそういう内海のどまん中に、しかも漁場が非常に多い、魚の産卵場にもなっておるそういうところに、遠い遠い将来のことは別にしても、いまわれわれが常識で考えられる範囲からいえば、そういうところにつくるべきではなかろうし、むつに建設をする経過から考えて見ましても、外洋に面したところに建設をするのが常識的な判断でしょう。申し上げましたように、かりに万々安全であるという安全性が確認されたとしても、感情面あるいは精神的な面から、外洋に面したところに持っていくというのが常識的じゃないのですか。
  189. 木内四郎

    木内国務大臣 それですから、私は先ほど来、いまの時点においてお説のとおりだとはっきり申し上げたつもりなんですよ。それですから、そこのところは、ことばが簡単だったから聞き落されたかもしれませんが、私は、いまの時点においてはお説のとおりだと言っているんですから、そこを誤解のないようにしていただきたい。
  190. 福岡義登

    福岡委員 くどいようですが、今度は事業団理事長。一体さっきからのあなたの答弁はどうですか。ただ単に漁業組合、町会議員、それにたまたま常石造船の専務がまじっておった。何も造船を代表してというか、常石造船の専務として来たんじゃない。それなら初めから漁業組合の代表や町会議員たちがお見えになりましたということを言わぬで、そういう人と一緒に常石造船の専務さんもお見えになりましたと、なぜそう答えないのですか。
  191. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 先ほどからも申し上げましたとおり、常石造船所としては、私の考えでは、原子力船の母港にすることについてのサウンディングのような意味でおられるのであって、事業団に対して正式に、あるいははっきりと、こういう希望を持っておるがどうだというようなお話は少しもあったわけじゃないのでございます。  それから、先ほど、専務が数回事業団においでになったということを、事業団から技術庁のほうへ申し上げたようでございますが、そのとおりおいでになったのだろうと思いますが、少なくとも理事長のところへは専務はおいでになっておらないので、係員のところへおいでになったのじゃないか存とじます。したがって私の頭には、常石造船所というもののそういう動きに対して特別に考えを持っておらなかったので、先ほどそういうようなお答えをしたような次第でございます。別に他意あるわけじゃないのでございます。
  192. 福岡義登

    福岡委員 まあ釈然としませんが、その点はそれで、いいことはありませんが、その程度にしまして、じゃ繰り返して整理いたしますと、事業団のほうにも再三お見えになっていることは事実なんです、ここにちゃんと書いてあるのですから。たまたまあなたのところには一回だけしかお見えになっていなかったかもしれませんが、再三といいますから、二回か三回か四回か、そこは私にもわかりません。再三常石造船の専務が事業団意向打診に来たということが書いてあるのですからね。そういうことだけは間違いないのです。  そこで、問題を整理するのですが、そういう意向打診はあったけれども、現在までのところ、事業団としては、そうい計画は毛頭考えてないという答弁をした、こう理解してよろしいですか。
  193. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 ええ、そのとおりです。
  194. 福岡義登

    福岡委員 それから大臣に、もう一回繰り返してなんですが、一つは、現在のところ、むつ市で原子力船の基地というものは十分足りるということが一つと、それから二つ目には、将来かりに定係港、いわゆる原子力船基地をつくるような場合でも、一般論としては、瀬戸内海のどまん中にそういうものをつくるべきではないということは、はっきりここで確認できるわけですね。
  195. 木内四郎

    木内国務大臣 いまの初めの点ですね、第一船はもちろん、第二船、第三船までになっても――これも計画ないことですけれども、なってもむつ港で足りる、ほかには考えておらない。  それから、今度瀬戸内海の問題です。それは、私は場所は実は知らないのです。よく承知していませんけれども、お話のように漁場の中心であるようなところとか、そういうようなところであれば、あるいは船がひんぱんに通るようなところであるとかいうようなことになりますと、私どもは、そういうところには、いまの時点においては考えるべきでない、かように考えております。
  196. 福岡義登

    福岡委員 わかりました。御参考までに場所を申し上げておきますと、尾道から海上へ向かって小さい島なんですが、どのくらいあるでしょうか、二十キロ、三十キロ前後じゃないかと思います。ですから、瀬戸内海のどまん中で、少し本州寄りなんですから、十分認識をしておいていただきたいと思うのです。  それから、特に広島は、御承知のように、原爆の洗礼を受けたところなんです。ですから、広島県のどこかに原子力船の基地がつくられるということになれば、他県よりも必要以上に神経を使うことだけは間違いないんですね。これだけは認めていただきたい。これは常石造船がそういう計画を持ったということなんですが、政府がそういう考えを打ち出したということじゃございませんが、今後行政に当たられるに際しては、そういうことも十分認識していただきまして、広島県の原爆問題については十分配慮していただきたいということをお願いしておきたいと思うのであります。  それから、もう一つお伺いしたいのでありますが、原子力第一船が四十七年の一月に竣工するわけであります。第二船、第三船もそのうち計画されていくのじゃないかと思うのでありますが、この原子力商船が完成したときに、特別の係船港または仮泊港というのですか、原子力船をつなぐところですね、そういう港は特定のものをつくる必要があるのですか、どうですか。
  197. 木内四郎

    木内国務大臣 いまのところは、さような問題は考えておりません。
  198. 福岡義登

    福岡委員 考えていないということはわかりましたが、定係港の場合は、さっきのことで話はわかったのですが、いま聞いておる意味は、原子力船が航行するわけです。それで、一説によりますと、原子力商船の入れる港は特別の港なんだ、そういう設備を必要とするんだ、あるいは仮泊するにいたしましても、普通の船とは違って、原子力船という角度から何らかの設備をしなければならぬという説も聞いておるわけです。技術的に、私どもはしろうとでありますから、よくわからない。また、一説によりますと、いや航行に際しては原子力船はそう問題はないのだ、だから水深とか港の幅とか、そういうものが整っておりさえすれば、どこの港へでも荷物を積んだりお客を積んで入れるのだ。あるいは今度は観測船中心に考えられておる節もあるのでありますが、その内容は別にいたしまして、港へ入るのに原子力船であるがゆえに特別の何かの装置を必要とするのかどうか、そこをお聞かせ願いたいと思う。
  199. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 原子力船につきましては、原子炉等規制法がございます。その関係から、やはり厳重な安全性の審査というのが行なわれております。その関係からきますと、港へ入ります場合、その入るときに指示事項というのが出ることになると思います。それで、入ります場合には、当然届け出制がございまして、総理大臣のほうへ届け出が参ります。届け出が参りましたら、その条件が全部出ておりますから、その条件に基づいて運輸省の港則法、それにかけまして、運輸大臣のほうへこちらから指示事項を出します。運輸大臣のほうは、それを、港長のほうにこういう指示でいけということが出てまいります。しかし、これは出てきました基準が、そういうことをしないでいいという場合は別でございますが、港々に条件がございますから、そういうような体制でいくという形になる、こういうことに考えております。
  200. 福岡義登

    福岡委員 大体わかりました。  以上で質問を終わるわけでありますが、ちょっと声を大きくする場面もありましたが、問題が問題でありますだけに、私どもも神経を使っておるわけであります。ですから、今後原子力船問題にかかわらず、原子力全般の問題について十分配慮していただきまして、必要以上の摩擦が社会に起きないように配慮していただきたい。今度の問題も必要以上にと私は特に申し上げたいのだが、きょうではっきりしていただきましたので、まあ安心なんですけれども、二月の十八日には漁民がこの問題で海上デモまでしているのですよ。ですから、今後こういう行政を進められるにあたりましては、必要以上の摩擦が起きないように特段の御配慮をお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  201. 石田幸四郎

    石田委員長 以上で福岡義登君の質疑は終わりました。  次に、内海清君。
  202. 内海清

    内海(清)委員 私は、原子力船の問題、並びに、いま福岡委員からお話がありました定係港の問題その他につきまして質問申し上げたいと思いますが、まず最初事業団一つお尋ねいたしますが、第一船は、御承知のように、一昨年の十一月に契約した。それから、昨年の十一月に船体起工をやったわけですね。そうしていま建造中であります。これは順調に進んでおりますかどうか、まず、それを一つお伺いいたします。
  203. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 船体のほうも原子炉のほうも、いずれも計画どおり、予定のとおり工事が進捗しております。船体のほうは、ことしの六月に進水式を挙行するようなことになっております。
  204. 内海清

    内海(清)委員 それで、先ほど来いろいろ原子力についてお話がございましたが、いわゆる原子力の三原則の問題があるわけであります。したがって、この原子力船もそれによらざるを得ない。そういうことからいたしまして、第一船の建造技術、これは当然公開さるべきであります。これは、どういう形で公開されておりまするか、それを一つお伺いいたしたい。
  205. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 開発経過お話しのとおり、公開することになっておりますので、適当な期間を置きまして、関係者をお呼びしまして、そこで発表会をやっております。また、船をこしらえております石川島播磨の現場へも御案内をいたしまして見ていただくようなことにもいたしておるのでございます。  ただ一つ、ここで御了承を得ておきたいのは、原子炉のほうは、メーカーの三菱原子力工業でアメリカのウエスチングハウスとの間に契約がございまして、ある部分の商業秘密に関することは一般の公開を避けてくれというような契約がございますので、その部分に限っては商業秘密を保持しなくてはならないというようなこともございますけれども、その他に関しましては全部公開をして発表しておるような次第でございます。
  206. 内海清

    内海(清)委員 確かに船体は来年の六月に進水するのだと思います。
  207. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 いや、ことしの……。
  208. 内海清

    内海(清)委員 四十四年六月、ことし六月ですね、六月に進水するのだと思いますが、船体につきましては、これは造船工業会で造船派遣技師団というものをつくって、石川島播磨に行っていろいろ技術的なことも追求しておる、こういうふうに聞いておりますが、それは事実でございますか。
  209. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 そのとおりでございます。
  210. 内海清

    内海(清)委員 それから、いまのいわゆる炉をはじめとする機関関係、これについては、その点はいま商業秘密の問題がありましたけれども、大体どういうふうな形で公開されるか、それはまだできておりませんか。
  211. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 いま設計を両方で打ち合わせをいたしまして、できる部分は、三菱原子力工業のほうで機械をいま製造しておられるのですけれども、何ぶんにも途中の問題でございますので、大きな部分、たとえばコンテナですとか、それからタービンの製造、そういうようなものについては、皆さんに見ていただいたり発表をしておりますけれども、まだ詳しいことを発表するような段階になっておらないような状態でございます。
  212. 内海清

    内海(清)委員 これは、ウエスチングハウスと三菱原子力工業、この間でどの程度の商業秘密が約束されておるかわかりませんけれども、これが商業秘密の範囲が大きいことになると、少なくとも炉についてはほとんど公開されぬおそれがあるのじゃないかと思うのです。この点どうです。
  213. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 それでは私からお答えいたしますが、これはウエスチングの重要なる炉の設計の部分でございますので、相当な部分ノーハウは発表できないものだと考えております。これはやむを得ないかと思っております。
  214. 内海清

    内海(清)委員 もちろんウエスチングのほうは軍事的な問題があるでしょう。軍事的な問題がありますが、それが炉全体にそういうことになるというと、これはちょっと、わが国でやるのについては、この実験船をつくるということについては、将来を考えての問題ですから、そこらに問題があるだろう、こう思うのですがね。それはどういう範囲になっておるのですか。
  215. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 ただいまのところいま申し上げましたとおりでありますが、これはでき上がりますと、もう公開してもよろしい、こういうことになっておりますので、でき上がったらば公開する予定でおります。
  216. 内海清

    内海(清)委員 でき上がったら公開してよろしい、その過程は公開しないということですか。
  217. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 はい、そういうことでございます。
  218. 内海清

    内海(清)委員 それはどういう意味かね。でき上がったものを公開すればみんなわかるのじゃないですか。
  219. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 これは、お話しのように軍の関係のものでございまして、ウエスチングとしてはできないということでございますが、一番問題になりますのは製作過程でございます。その製作過程におきましては、それは公開ができない、こういうことになっております。
  220. 内海清

    内海(清)委員 製作過程は、そうすると一切公開しないということですか。
  221. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 はい、ウエスチングの指定しますノーハウのところだけはいけないのでございまして、それ以外のところはよろしいのでございます。これは三菱とウエスチングとの間に契約ができておるわけであります。
  222. 内海清

    内海(清)委員 それは、どういう範囲が商業秘密に属しておるかということは、およそわかっておるのだと思いますが、それは何かの形で資料をお出しいただくことができますか。
  223. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 ただいまのところは、承知している範囲におきましては、できないと思っております。
  224. 内海清

    内海(清)委員 この問題は、私は、今後わが国がこの第一船をつくる意義からいっても、かなり問題が出てくるのじゃないかと思います。まあ、いまそういうことになっておれば、この問題は、時間の関係もありますから、私はまた今後において論議することがあるかもしれません。しかし、これは少なくとも将来の世界の海運界が原子力船に向かっていき、それに備えてのわが国の第一船である、こういう意味から申しますならば、この点は十分考えられなければならぬ。  この製作過程なり、特に商業秘密の部分ができぬということになりますと、その部分は、これは三菱原子力工業の独占的な技術になるということになる。そのことがはたして、この第一船の建造からいって、妥当なことであるかどうか、こういうことがあると思うのです。でありますから、この点は、私は問題を今後に残しておこうと思います。それから次の問題は、これは原子力委員会にお尋ねしたほうがいいのじゃないかと思いますが、昨年の三月十一日に私が五十八国会で質問しておるのでありますが、原子力第一船の就航問題をどう考えるか。すなわち、四十七年の三月にはこれが性能の確認が終わるわけです。そうして四十七年の三月には事業団はなくなるはずだ。そういうことですね。そうすると、原子力船が四十七年の三月に完成したとして、試験運転その他はどうするつもりかということです。よもや、できたらそれでほっておくのだということではないと思うのです。生みっぱなしではないと思うのです。完成と同時に係船するのでもなかろうと思うのです。第一船をつくりました目的は、これでは達せられない。その点、どうお考えになりますか。
  225. 木内四郎

    木内国務大臣 お説のように、船はでき上がった、それを係船するというのでは意味がありません。しかし、運航の主体、だれに運航させるかということは、まだきまっておらないのです。これからきめるべき問題だと思っております。
  226. 内海清

    内海(清)委員 これはいま大臣が言われましたが、確かに今後の、事業団がなくなったあとのこの船の管理をどこがやり、だれが運航するか、こういう問題があるわけです。その問題と同時に、これは四十七年の三月にはどうするか、こういう問題は十分残るはずなんです。それをいまから考えておかぬというのはおかしいと思うのです。
  227. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 四十七年の一月引き取りまして、事業団としましては、先生おっしゃいますように、四十六年度一ぱいでございます。その後やはり上昇試験と、それから実験航行をやらなければならぬ。いまのところそれをやる実験段階には約二年ぐらいかかるのではないかということが予想されております。したがいまして、その時点におきましても、これは当然今後事業団のあり方等を考えていかなければならぬ点がある、こう思っております。
  228. 内海清

    内海(清)委員 原子力委員会、何かお考えがありますか。
  229. 山田太三郎

    ○山田説明員 全く同じ答えでございます。したがって、二年間くらいはどうしても慣熟運転をしなければ第一船をつくったかいがございませんので、したがって、いま事業団法できまっている期日の関係を調整せざるを得ないと思っております。
  230. 内海清

    内海(清)委員 しかし、これは時限立法ですから、その点はどうお考えになっておるのですか。四十七年の三月には事業団はなくなるのですよ。
  231. 木内四郎

    木内国務大臣 時限立法ですけれども、そういう点についてはまた御審議を願って、必要な限度においてやはり延長していただかなければならぬと思っております。
  232. 内海清

    内海(清)委員 大臣は、この解散後の運航も考えなければならぬということだし、その形態をどうするかということはもちろん問題になりましょうが、いま言われました事業団の延命といいますか、これを延ばすということ、こういうことも当然必要だと思うのですが、あるいは事業団の延命をする以外に適当な処置が考えられておるかとも思いますが、いずれにいたしましても、そのことはもういまから考えておかなければならぬ。いまから三年ですよ。しかも、これは国会の承認を得なければならぬわけですよ。だから、必要な立法措置というものはいまから考えられておかなければいかぬが、どうもまだいまの答弁では、そういうことは何らお考えになっておらぬように思いますが、どうですか。
  233. 木内四郎

    木内国務大臣 いま直ちにどうということはありませんけれども、お説のとおり、これは十分に検討して考えなければならぬ問題だと思っております。
  234. 内海清

    内海(清)委員 いろいろ問題があると思いますが、時間の関係でなるべく急ぎますが、これは確かにある程度のタイムスケジュールはいまから当然持っておくべきだと思うのです。そういうことも一応考えてみまして、いまの原子力第一船は、これは計画どおりきちっといくということがありますかどうか、その点を一応事業団のほうから聞いておきたい。
  235. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 計画どおりにいくようにしたいと考えております。
  236. 内海清

    内海(清)委員 だから、もしいわゆる計画がずれておれば、四十七年の一月の引き渡し、四十七年の三月の性能検査というものはできぬことになるのだから、当然その建造の過程でこれを延命しなければならぬ、あるいは他の処置をとらなければならぬということが出てくるわけですから、この点はよほど前もって十分これに対処していただかぬと相ならぬだろう。これは強く要望しておきます。  それから、いま大臣も言われましたけれども、それではこの運航形態をどうするかということ、これはまだきまっておらぬようでありますが、これまた私は非常な問題があるだろうと思う。どこが運航するのかという、それによってそれぞれ問題がある。もしかりにアメリカのサバンナのような、船会社に運航さすというならば、これまた、これは経済船ではありませんから、運航経費の問題が出てくると私は考える。これは科学技術庁か、あるいは原子力委員会か、あるいは運輸省か、そういうところがやるなら問題ないでしょう。当然予算を組まなければならぬ。これらの問題も、よほど前から考えておかなければいかぬ問題だと私は思うのです。ところが、寡聞にして、なおそういうことを一つも私ども聞きません。この点はいかがでございますか。
  237. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお説の点まことにごもっともでございます。これは政府で使う観測船とかいうようなことであれば、当然この経費は予算に組んで御承認を得なければならぬと思うのです。これを民間にまかせてやるということになりますれば、これは実験船というような立場になりまして、実験のための船でございますから、これは直ちに貨物の輸送によるところの収入によってその経費を全部まかなうことは、当初においては困難だろうと思います。そういう場合の措置につきまして、今後十分に検討いたしまして、今後においてどのような処置をするか、それらの点は十分に検討してまいりたい、かように思います。
  238. 内海清

    内海(清)委員 これは、これまた早急にやられる必要があると思います。でありますから、むしろ運航費の試算くらいはすでに行なわれて私はけっこうだと思う。その試算を行なわれたことがありますか。
  239. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 一応運航費を試算をいたしました。それで、特殊貨物船として考えまして、いま廃棄物等を運ぶという計算でいきますと、大体運航経費、これは維持費全部でございますが、四・六億円が大体年間かかるのではないかという計算になっております。ところが、それに対しまして運賃の収入、これにつきましては大体二・八億円、差し引きますと、約一・八億円というのが赤字になるのではないかという計算は一応しております。
  240. 内海清

    内海(清)委員 運航経費が年間四・六億円、それに特殊貨物の運搬ですから、それによる収入が二・八億円、このことはいまから十分検討されて、どういうふうにこれをあとの運航形態にするかということは、いまの大臣の御答弁では、まだ考えておらぬようでありますけれども、当然すでに考えられておかなければならぬ問題だと私は思うのです。  それから、これまた事業団だと思いますが、いまむつ市にいわゆる定係港、母港を建設されております。建設状況は、これは計画どおりにいま順調に進んでおりますか。どうですか。
  241. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 岸壁の建設は大体できあがりまして、本年度は岸壁の前のしゅんせつ、それから建屋の建設をやることになっておりまして、本船ができあがってまいりますまでには十分に竣工することになっております。
  242. 内海清

    内海(清)委員 それから、これに関連して、地元の協力に対して、あのむつ市に対する地域社会の開発といいますか、何らかの開発策が当然考えられていると思いますが、これはどういうふうになっておりますか。
  243. 木内四郎

    木内国務大臣 地元から定係港を受け入れるについていろいろな要請がありました。それに対しましては、十分に考慮いたすつもりでおるわけでございます。なお、詳細につきましては、原子力局長からお答えいたさせます。
  244. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 大臣の申し上げましたとおりでございますが、定係港のしゅんせつに伴いましてどろが出てまいります。それでもって対岸に大平埋立予定地というのがございます。そこに約二億三千万こちらでかけまして、造地をするという地元の対策に対しての協力をいたしております。それから、むつ港は重要港湾ということにはまだなっておりませんので、運輸省と相談いたしまして、近くそれが格上げに持っていくという形でございます。あと道路についても県道から国道という、いろいろな御意見がございます。それにつきましても、建設省といま協議中でございます。
  245. 内海清

    内海(清)委員 ひとつ、地元の要望と、これを受け入れられましたものにつきましての資料をあとから御提出願いたい、これをお願いしておきます。  それから、定係港の問題がありましたので、さっき福岡委員から御質問のありました問題にちょっと触れておきたいと思うのですが、定係港をつくるときには、それぞれ立地の基準というか、設置の基準というものがあると思う、これは私が調べてみましても、いろいろあると思うのです。この問題は事故対策としていろいろな問題があると思うのです。そういう問題についていわゆる基準的なものがあれば、この際一ぺん示してもらいたい。
  246. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 原子力船の運航といいますか、こういう場合の意味では立地条件、それから港湾管理体制については、原子力船の母港と、単なる寄港地といいますか、(内海(清)委員「寄港の問題はあとからお伺いします。母港について」と呼ぶ)母港につきましては、燃料の交換、それからそれに伴う陸上施設、そういうものの施設を特に設けて、その管理地域の安全性ということを特に強めていかなければならぬと思っております。
  247. 内海清

    内海(清)委員 その程度ですか。事故対策としていろいろ、たとえば仮泊場所の距離はどうなっていなければならぬとか、遠隔係留場所はどうなければならぬとか、そういう基準がいろいろあると思うのです。これは、むつ市の場合はそれがある程度あったはずですな。だから、そういう基準というものは、今後母港をつくる場合においても、そういう基準によってやるのかどうか、こういう問題もあります。それらについてお答え願いたい。
  248. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 いまの管理体制といいますか、その管理地域におけるこういうことにつきましては、この船の安全審査をいたしましたときに、安全審査の中の基準としての考え方に全部出ております。
  249. 内海清

    内海(清)委員 それはどうなっておりますか。数字的のものがかなりあるはずです。私も数字を拾うてみたが、私はしろうとでなかなかよくわからない。
  250. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ここに資料を持っておりませんが、私の知っておる範囲では、住家がございますが、人の住んでいるところから二百五十メートル、そこのところの中に入ってはいけない。それから管理区として設ける場合には五十メートルになっておるはずでございます。
  251. 内海清

    内海(清)委員 それから、仮泊の場合は二百五十じゃないですか、遠隔係留が七百五十、こういうふうなのが……。
  252. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 遠隔錨地から非居住地帯の境界までの離隔距離が二百五十メートル以上あること、それから、遠隔錨地から低人口地帯の境界までの離隔距離が七百五十メートル以上あること、それから、仮泊場所から陸岸までの離隔距離が二百五十メートル以上あること等が基準に出ております。
  253. 内海清

    内海(清)委員 いまありました遠隔錨地というのは、事故があった場合に、そこまで引き出すということですかどうですか。
  254. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 私もたしかいまの先生のおっしゃることと存じておりますが……。
  255. 内海清

    内海(清)委員 それではそういうふうなのをあとから一ぺん詳しく、しろうとでわかるようにきちっとやって出してください。それと同時に、そういう一応の基準というものは大体国際的に認められておるものかどうか、あるいは日本委員会で大体そういうふうなことを考えられたのか、その辺のところがありましたらひとつ……。
  256. 山田太三郎

    ○山田説明員 これは原子炉の出力によってきまるものでありまして、この場合にはこういう値であるけれども、もっと大きな原子力船が来れば、もっとよけい要る場合があるということになると思います。これは事故の状況を審査しまして、そうしてどこまであぶないかということを調べた結果ですから、第一船ではこれだけの、一万馬力という原子炉だから、こういうことになるので、その数字自身は国際的にさまったものではございません。しかし、そういう考え方はあると思います。
  257. 内海清

    内海(清)委員 それは船によってもちろん違うでしょう。違うでしょうが、たとえば第一船程度であればこのくらいでいい、これよりもっと出力が大きくなってくれば違ってくるでしょうが、しかしおよそこれが基準になってきまるわけじゃないですか。
  258. 山田太三郎

    ○山田説明員 ただいまのは第一船の安全審査をした結果出てきたものでございますから、次のものがどういうものであるかによって変わると思います。
  259. 内海清

    内海(清)委員 そういうふうなものが、一応第一船ではこれで安全であるということになりますから、これは出力その他関係がありましょうが、一応大体基準になると見て差しつかえはないですな。
  260. 山田太三郎

    ○山田説明員 第一船については基準になるということはいえると思います。
  261. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、船の出力、大きさその他によってこれは全部変わってくるわけですな。
  262. 山田太三郎

    ○山田説明員 これは出力だけではございませんで、どういう安全設備が存在しておるかということとも関係がございます。したがって、出力に比例して大きくなるとか、出力の自乗に比例するとかということではございません。安全設備もあわせて考えまして、安全審査をした結果出てくる数字でございます。
  263. 内海清

    内海(清)委員 それはもちろんそうでしょう。しかし、安全審査をやるわけですけれども、これは安全には、大体第一船が安全なら、それより悪くなることはないでしょう。でありますから、一応の基準にはなると考えますが、そうすると、一船一船によってこれは変えなければならぬということですね。そう解釈していいですな。
  264. 山田太三郎

    ○山田説明員 ことばどおり言えば確かにそうでございます。みんな炉の大きさが違う場合には、一々審査した結果が出てまいりますから、それによって違ってまいります。
  265. 内海清

    内海(清)委員 わかりました。そういたしますと、将来におきましても、母港を決定する場合には、そこにどんな船が入ってくるかわからぬのだから、これはよほどむずかしい問題になると思うのですね。だから、定係港をつくる場合には、こういう点がすべて考慮されて、これがつくられなければならぬ。したがって、その港には、どのくらいな船まで、どういう安全性を持った船までは入れる、それ以外は入れぬということになってくるわけですね。
  266. 山田太三郎

    ○山田説明員 お説のとおりだと思います。もちろん、また船が大きくなりますと、水深その他が大きくなりますから、そこへ入れない状態も生まれます。
  267. 内海清

    内海(清)委員 それでは、これはこの程度にしておきましょう。  それで、第二船以下ですが、さっき大臣は、第二船、第三船は考えておらぬという福岡委員への御答弁であったと思いますが、そうですか。
  268. 木内四郎

    木内国務大臣 いまのところは、まだそこまでいっておりません。
  269. 内海清

    内海(清)委員 考えておらぬということですか。そういうことですね。
  270. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 第二船等についての考え方の検討はいたしております。しかしながら、この舶用炉の問題が一番問題でございます。舶用炉の研究、これを委託研究で進めておりますが、第二船につきましては、実用原子力船の建造、運航ということで考えますと、やはり民間に相当の期待をするという考え方を持っております。その程度で、いま検討中でございまして、いつ計画を具体的に立てるということはまだ考えておりません。
  271. 内海清

    内海(清)委員 それは、検討しておるということは、第二船以下を建造することを考えて検討しておるのとは違いますか。
  272. 木内四郎

    木内国務大臣 いま原子力局長からお話し申し上げたように、第二船以下は今後民間でやることを期待しておるということです。
  273. 内海清

    内海(清)委員 民間でやることを期待する。そうすると、政府は第二船以下には何らタッチせぬということですか。
  274. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 昭和五十年代には原子力船に実用価値が相当出てくるという見込みは考えております。そうして、それについて民間に対して期待いたしますが、民間に対して期待するに際しては、国の助成策等は当然考えていかなければならない、このように存じております。
  275. 内海清

    内海(清)委員 私は、この問題についてはどうもいまの答弁はちょっとおかしいと思うのですよ。これはわが国の海運政策からもこれが出てくるかもしれませんよ。あるいは造船の技術開発がこれを推し進めていくかもしれません。これは私は両面があると思う。だから、そういうことは科学技術庁としては何ら考えておらぬということですか。
  276. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 先ほど申し上げましたように、やはり炉の開発ということが一番問題だと思います。また、その自主開発という点で現在われわれのほうは日本造船研究協会を通じまして舶用炉の研究については委託費を出しておるわけであります。そういう関係で、当然今後の原子力船の発展を期しての研究開発ということをいま進めております。
  277. 内海清

    内海(清)委員 どうもはっきりいたしませんがね。もちろん、これを開発していくのには、舶用炉の開発ということが一番問題だと思うのです。ところが、昨年の三月十一日に私が質問いたしました。ここに議事録があります。これでは、当時の鍋島国務大臣、科学技術庁の総力をあげて舶用炉の研究体制をつくるとはっきり言明されておるのですよ。読みましょうか。これははっきり言明されておる。何かそういう体制ができておるのですか。
  278. 木内四郎

    木内国務大臣 ただいま原子力局長から申し上げたとおり、これは委託しましてその研究をやってもらっておるという段階です。
  279. 内海清

    内海(清)委員 どこへ委託されておりますか。
  280. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 日本造船研究協会でございます。
  281. 内海清

    内海(清)委員 そのことは、鍋島長官の「科学技術庁の総力をあげて」ということになりますか。
  282. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 原子力船につきましては、確かにわれわれのほうにも、それから原産におきましても原子力船についてのいろいろの御意見、御要望が出ております。したがいまして、原子力委員会としても原子力船の問題については、慎重にこれは具体的に進もうという考え方で、現在原子力委員会がみずから運輸省等そういう関係省の意向等をお聞きになりまして、それで進めていこうという態勢で現在進んでいるところでございます。
  283. 内海清

    内海(清)委員 これはいろいろ言われますが、私はどうも科学技術庁にこれらに対する熱意があまりないと思うのですね。というのは、これは四十四年二月十九日、みずから原産の原子力船懇談会と懇談されておる、この記録があるのですね。これはもちろんはっきりした責任者がなかなか出ておられぬけれども、原子力局からは、梅澤局長が国会へ出席のために大坂保男政策課長が出席しておられる。運輸省からは加藤さん、これが出席しておられるのですが、この記録を見ますと、私のこの前の質問に対する科学技術庁の答弁よりもかなり後退した答弁なんです。これはだれが出席されようと、少なくとも科学技術庁を代表して出席され、運輸省を代表して出席された人の発言です。その点どうなんですか。
  284. 山田太三郎

    ○山田説明員 この問題につきましては、原子力委員会としても、非常に重大な関心を払っております。したがって、内部的な検討を十分やっておりますが、これはまだ専門委員会をつくってどんどんやるという段階に至っておりません。その理由は、要するに、原子力船が、世界的に見まして、どのくらい動いているかということを考えていただければよくわかると思うのであります。これは、イギリスもやめましたし、アメリカも一時大げさにやりそうであったけれども、やめたわけであります。したがって、これの経済性が非常に重要であるということを考えざるを得ないのであります。先ほどの、民間に主体を置く、民間に期待するという点から特にそうであります。ところが、日本の第一船の原子炉は、原子炉の中でも最も旧式でございまして、そういう意味では、オットー・ハーンに比べてだいぶ劣っております。したがって、それが経済性をあげ得ない原因になるわけでありますが、現在いろいろ考えられております、民間考えております原子炉の形につきましても、まだ十分ではないのではないか。最近の情報によりますと、ドイツは、原子炉は三万五千馬力ぐらいになると経済性を得られるといっておるのでありますが、日本では十万馬力くらいないとだめだ。そういった違いはどこにあるかということも十分突き詰めた上で本格的に取り組んでいくべきであると考えております。
  285. 内海清

    内海(清)委員 これは、まあ委員会のそういう発言ですけれども、そのおりの懇談会のメンバーの方のいろいろあれを見ますというと、かなりやはり心配しておられるようです。というのは、西ドイツのオットー・ハーンに次いで、三万八千重量トンあるいは五万馬力の実証船の建造、これは第三次計画で出た。あるいは二十一万五千トンの鉱石運搬船またはコンテナ船の設計も研究をやっているという状態、さらにまた、アメリカでも、これは原子力船ではありませんけれども、大型コンテナ船、三十ノット、そしてコンテナを千百四十積むという、こういうふうなのが日本に引き合いに出されておりますよね。そういうふうなことも考え合わせ、日本が海運国であるがゆえに、第一船はそれらに備えてつくることにきまったわけです。ところが、その第二船の研究開発、こういうふうな問題に関して、舶用炉の開発については、いずれにしても、これは真剣に取り組まざるを得ぬ問題じゃないか、こう考える。ところが、どうもまだ経済的に見てあれだからということで済むのかどうかということです。
  286. 山田太三郎

    ○山田説明員 ドイツの場合は、内海先生御指摘のとおりでありまして、これも三万五千トン程度のものが第三次計画にもしかすると入るかもしれない、こういうようなことを聞いております。したがいまして、われわれとしても、当然考えるべき問題であるというふうに考えまして、慎重に検討いたしております。しかしながら、現在まで出されております案そのもので進行いたしますと、必ずしもいい方向にいくかどうかわかりませんので、やみくもにスタートするよりも、十分足元を固めてからスタートしたいというのが原子力委員会考えであります。
  287. 内海清

    内海(清)委員 これは、そういう点、私は、ドイツは非常に合理的にものを考える。私も一昨年、オットー・ハーンの建造中に行きました。ところが、あそこは母港をつくっておりません、実験船だから。船の中で燃料の差しかえもできるようになっている。いま母港をつくる費用はかけない。この実験船で十分実験して、必要があるならばこれをやろう。その結果、ドイツは次をやろうというわけです。そういうことですよ。だから、オットー・ハーンは日本の第一船よりはおそくから計画して、はるかに早くできてしまった。このことが日本科学技術の振興に対する考え方のいこじさであると私は思うのです。もっと合理的にものを考えてやっていくべきじゃないかと思うのです。これは、いまから言うたって始まりませんけれども。それで、昨年の私の質問に対しては、原子力委員会の中に専門部会を設けよう、このことがはっきり言うてあるわけです。ところが、いまの山田委員お話では、なお経済性の問題があるからちゅうちょしているということだと思うのです。しかし、この研究開発というものは、私は、そのためにおくらしちゃ相ならぬとこう思います。  まあ、時間がたちますからそれくらいにしておきますが、もし第二船以下をやるとした場合に、これは原船団のようなものでやるつもりがあるのか、それとも、さっきありましたような、民間自力ということも考えて、さらに政府は、研究開発には一臂の力をかそうけれども、この建造には力をかさないというのか。およそ私は、その辺にやはりドイツあたりの考え方日本考え方が違うと思いますけれども、どうお考えになっているのか。
  288. 木内四郎

    木内国務大臣 先ほども申し上げましたように、第二船以下は民間の建造に期待いたしておりますけれども、今後いろいろ研究してみまして、民間でないほうがいいというようなことになれば、またそのときは考えなければならぬ、かように考えます。
  289. 内海清

    内海(清)委員 まあ今後考えてということじゃ私は間に合わぬと思うのです。早く腹をきめなければ間に合わぬと思います。このことは、ひとつ十分御検討いただきたいということを要望しておきます。  それからまた、私が質問いたしました当時、政府は、原産の原子力船懇談会、これの検討をまってというふうなことがあるわけです。ところが、原産のこの懇談会は、昨年の八月にすでに要望書を出しておるのですよ。ところが、政府はそれに対して、どういうふうな具体的策をとっておられるかどうかです。私は、寡聞にしてまだそういうことをあまり聞いていないんだが、どうなんですか、それは。
  290. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 昨年の八月に原産から、原子力船の開発に関する要望というのが確かに出ております。この中の内容につきましては、先ほど先生がおっしゃいました、外航船舶の大型化とか、そういうことの関係から、原子力委員会の中に、原子力船の専門部会をつくれということと、それから、舶用炉の研究開発をしろというようなことで、それで私たちもこれを原子力委員会におはかりいたしまして、委員会のほうとしては、その部会をつくるべきかどうかということで、いま先生のおっしゃるとおり、まだ部会をつくっておりません。しかし、現在、委員会のほうで、運輸省をはじめ関係者から意見の徴取をして、先ほどの経済性もございますが、持っていき方をどうするか、それから、第二船についての具体的な考え方をやはり立てなければいけませんので、その第二船の船種だとか船型だとか、こういうことまで行なう部会をつくるまでにまだ至っておらないというところが現状でございます。
  291. 内海清

    内海(清)委員 まあ、いろいろ言われておるようですけれども、昨年の私に対する答弁とだいぶ食い違いがあるということです。これは少なくとも、その当時長官が言明されたことです。ですから、そういうこの委員会で言明されたことがそうそう軽々に皆さん方の考えで変わっていいか悪いかということです。この問題があると思うのです。少なくとも、変えるのであれば、それをはっきり納得さすべきだと思います。  それから、これは第二船に関連して、これは海運政策との問題があると思うのですが、運輸省と協議されたことがありますか。
  292. 木内四郎

    木内国務大臣 先ほど来原子力局長から申し上げておりますように、運輸省と十分連絡をとっております。
  293. 内海清

    内海(清)委員 運輸省のほうの管理官がおいでになっておるかもしれませんが、運輸省は第二船以下についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  294. 宇田川貞夫

    ○宇田川説明員 先生から先ほどいろいろ御説明ありましたように、外国の原子力船の開発について、ドイツ、アメリカあたりでも、まだ具体化はしておりませんが、いろいろ計画等が発表されております。しかも、三十ノットの船の引き合いもきておるというようなことから、今後特にコンテナ船の高速化というものが促進されるのではないかというふうに当然予想されるわけです。したがいまして、こういう外国の趨勢といいますか、そういったものに対抗する意味において、日本でも技術開発は進めなければならないというふうに考えられるわけです。特に原子力船の場合には、経済ベースに乗るような船にするということからいえば、舶用炉の開発というものに重点がしぼられるのではないか。もちろん高速に伴う、ほかの船体関係の問題もございますけれども、原子力船がたとえば三十ノット以上になると有利であるというようなことになりますと、当然舶用炉の開発に焦点がしぼられてくるのではないかというように考えられるわけです。したがいまして、第二船の建造という問題に入る前にやはり舶用炉というものの改良、開発――第一船もちろんやっておりますけれども、さらに経済ベースに乗るような意味での舶用炉の開発が、それ以前の段階で必要じゃなかろうかというようなことから、先ほど科学技術庁のほうで御説明がありましたように、運輸省のほうと科学技術庁のほうといま協議しておる段階でございまして、まだ運輸省としては、第二船はどういう船種で、どういうものをつくるべきかというところまでは考えておらないわけであります。
  295. 内海清

    内海(清)委員 それで大体わかりましたが、これはいまお話しのような舶用炉の問題がもちろん先決だと思うのです。そうすると、これは技術開発になりますよ。だから、技術開発が海運の形態を変えるということをさっきちょっと申しましたが、そのことだと思います。ですから、いまのお話で、十分この点は運輸省も重視をしてもらわなければならぬ、こう思うのです。ところが、相談相談でなかなか実際の研究開発が進まぬようでありますから、これではまことに心もとないといわざるを得ぬと思うのです。早く手をつけていくということも、これまた重要なことで、いままで原子力船をすでに建造しておるのでありますから、原子力船についてはかなりの研究ができておると考えなければならぬ。その足らぬところが特に舶用炉というものであるならば、これに全精力を注がなければならぬ、こういうことだと思うのです。この点はひとつ十分お考えいただきたい。  なお、いまお話がありましたが、西独や米国は高速の原子力コンテナ船、これは確かに考えつつあるのです、いろいろなものに出ておりますから。いま経済性がどういうこうということで、日本がこれで足踏みをすることは、将来日本の海運のために私はとらざるところでなければならぬと思うのであります。この点はひとつ十分御勘案いただきたいと思う。  それから、その次についでにお尋ねしておきたいと思うのは、外国との協力関係です。これは、開発について、特にアメリカや西独とはどういうふうな協力関係ができておるかということであります。これは昨年の十月ですか、サバンナの燃料交換の問題があったはずだし、あるいは西独とも、そういう問題については交渉があったはずだと思うんだが、それらについてひとつ明らかにしてもらいたい。
  296. 木内四郎

    木内国務大臣 アメリカ、西独から情報を得ておりますが、なお、両政府のほうから、双務的の技術協力の申し入れがあるようなわけでありまして、これをどうするかということはいま検討中でございます。
  297. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 西独もやはり、アメリカと同じように、クロスライセンスといいますか、双務協定式の考え方でやってくれないかという話がきておりまして、現在検討中でございます。
  298. 内海清

    内海(清)委員 西独も、私どもおととし入りました時分に、十分ひとつ協力してやってみたいということをわれわれにも申しておったわけでありますから、いろいろな問題はありましょうけれども、そういう、日本よりも確かに原子力船については進んだ国でありますから、十分協力関係を結ばなければならぬと考えるのであります。  それから、これは私は原産新聞で見ましたが、西独は今度の万国博にオットー・ハーン号を来航させたいという意向を伝えてきておるようであります。御承知のとおり、さきにサバンナにつきましては、これは寄港を日本政府は拒否した、今度のオットー・ハーンに対してはどういう態度をとられるか。
  299. 木内四郎

    木内国務大臣 外国から原子力船が入る場合には、御案内のように、原子力委員会において、まず第一に安全性を確保しなければならない、これがまず第一点です。その次には、補償の措置が十分にできなければならない。ところが、ドイツのほうは、補償の最高限度一億ドルと聞いておるのですが、また、アメリカのほうは五億ドル、日本のほうではいまのところ、補償は青天井といいますか、損害があったら幾らでも補償しなければならないというようなことで、話し合いがつきませんものですから、前回サバンナ号は入港を見るに至ならなかった、ドイツについても同様だと思います。ドイツは一億ドルといったのでは補償の最高限度が低過ぎますから、そういう意味で、その点からいって、ちょっと困難ではないか、かように考えております。
  300. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、これもその点で拒否する、こういうことですね。
  301. 木内四郎

    木内国務大臣 そういう協定ができなければ、やはり拒否せざるを得ないと思います。
  302. 内海清

    内海(清)委員 これは、もし寄港を許可することになると、いま言うたいろいろの問題がありますから、二国間協定を結ばなければならないわけですね。その他適切の処置をとらなければならぬ。こういうことになると思います。これは日本の第一船とも関連を持つわけです。これも関連を持ちまして、海外との協力関係をどうするか、こういう問題です。これは日本の第一船もできるのでありますから、当然このことは考えなければならぬ、その点についてはどうなっていますか。
  303. 木内四郎

    木内国務大臣 確かにお説のような点がありますから、そういう点は検討すべき問題だと思っております。
  304. 内海清

    内海(清)委員 これは少なくとも二国間協定でありますが、いままでサバンナを断わった、今度オットー・ハーンも断わろうということだが、それほど二国間の協定というものはなかなか簡単なものではないのです。これはよくおわかりだと思うのです。ところが、日本の第一船ができて、そうなりますと、特殊運搬船だ、これは海外にも行くでしょう、いまの計画からいえば。そういう場合に、二国間協定が当然要るわけです。そういうことをすでに考えておられますか、時間的に十分間に合いますかね。
  305. 梅澤邦臣

    ○海澤政府委員 サバンナにつきましても、オットー・ハーンにつきましても、安全性としては多分――サバンナのときには入っていいという形になりました。ただ、損害賠償の規定のところで、向こう側の国会が承認をしないと変えられないというところで、向こうから断わってきたという形になっております。したがいまして、われわれのほうとしては安全性が第一で、また、そういうことであれば入ってもらってけっこうではないかという立場でわれわれは動いております。その関係からは当然わが国の原子力第一船も海外に出る場合があるという場合には、できるだけそういうふうに向けていきたいという考え方できております。したがいまして、よそから来る船を全部断わっているということではございませんで、入れたいという形でございましたが、ただ向こうのアメリカ自身が国会承認を得て変えるということができなくてサバンナが来れなかった、そういうふうにお考えいただいたほうがいいのではないかと思っております。
  306. 内海清

    内海(清)委員 これは向こうの国会審査でできなかったということですか、そのためにということ、これは二国間協定ではそういう問題がいろいろ出てくるでしょう。したがって、日本がよそへ行ってもその問題が起きるかもわからぬ。だから、よほどこの点は前広に二国間協定を結ばなければならぬと思う。  それから、寄港を受け入れるとしますと、受け入れ準備などでは、港湾管理ということ、これは原子力潜水艦が入った時分に、いろいろ私ども質問いたしましたが、港湾管理の問題、これはまたきわめて重大だと思うのです。寄港受け入れ準備あるいは港湾管理というようなものを含めてどのような責任体制で臨まれる気持ちなのか。そういう検討がいま行なわれているのかどうか。
  307. 石田幸四郎

    石田委員長 内海君に申し上げますが、だいぶ時間を経過しておりますので……。
  308. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 港湾管理体制につきましては、もちろん、先ほど申し上げました安全審査の場合にいろいろな規定がございます。それで、それに基づきまして考えますと、いまの原子力船の運航で考えて、母港については特別の規制関係が出てくる。それから、それにつきましては、もちろん燃料の交換等がございます。しかし、立ち寄るといいますか、寄港といいますか、これにつきましては一つの基準がございまして、その基準の中に入れば入れる形になりますが、ただし、寄港する場合には当然総理大臣あてに届け出が参ります。そういう形にしてございます。その届け出が参りますと、必要事項を運輸大臣のほうに総理のほうから通知をする。運輸大臣は港則法に基づきまして、その港則法で原子力船が入る場合の指示事項等を与えて入れる、あるいは寄留するところはどこにするかということをきめるという形を行政的な措置としてとることにしております。
  309. 内海清

    内海(清)委員 この港湾管理の問題は非常に問題を起こしやすい。これはもう去年の三月、あるいは五月、私も質問しておりますが、佐世保、横須賀で――これは商船と潜水艦はまた違うという面もありますが、港湾管理体制がいろいろ問題になったわけだ。しかも、去る二月の横須賀では八回くらいいろんな問題が出ているでしょう。原潜ではないということには最終的になったけれども、八回も問題を起こして、それがいまだに原因が十分解明されていないのですよ。原因がはっきりしておらぬのですよ。こういう体制にあるから、いろいろ問題を起こすわけですよ。でありますから、将来の原子力船の寄港港に関連して十分な港湾の管理体制、これはわが国では十分過ぎるほど十分にやって問題ない、こう思うのですよ。現在の管理体制でいいと思われておりますか、どうですか。
  310. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 現在安全審査等で考えられました場合に、居住地帯と一定の距離をとるということは先ほど御説明いたしたとおりでございます。それに基づいて管理体制というものがございますが、そのほかに、入りました港には港長がおりますから、港長からそこの港ということの条件――これは港、港で条件が違うと思います。それについて、運輸省のほうからの指示で、港長がそれに対しての指示を与えるということで、万全の策ができるんじゃないか、こう思っております。
  311. 内海清

    内海(清)委員 まあ、これは、私は横須賀の資料をみな持っておりますが、八回も起こしておるんです、二月で。しかも、その原因ははっきりしていないということです。原子力潜水艦じゃないということだけは、どうやらこうやら言うたけれども、原因ははっきりしておらぬということです。こういうことで、はたして住民が安心するかどうかですよ。ですから、この問題はひとつ十分やってもらいたいと思うのです。これは強く要望しておきたいと思うのです。でありますから、こういうふうなのは、私は潜水艦が入るとかその他のような場合には、やっぱりこの委員会で十分こういうふうに、前よりは管理体制ができたんだというようなことも報告してもらいたいと思う。でありますから、それがないものだから、いつもこう言って質問しなければならない、問題が起きてくる。  それから、もう終わりますが、原子力船の寄港港についてどう考えておられるかということでありますが、これは原子力船ということで特別な扱いをする方針ですか、どうですか。  なお、ついでに言っておきますが、寄港港と母港とについては、立地条件その他で区別するのかどうか、こういうことです。
  312. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 母港と寄港港は、さっき御説明いたしましたとおり、母港につきましては、これは燃料の入れかえ等がございますから、特別な措置が要ります。  それから、寄港につきましては、これは先ほどの基準がございますが、その運輸省等の規則、それに基づいて、その基準に合えばどこの港にでも入れるという形になる、こういうふうに考えております。
  313. 内海清

    内海(清)委員 これに関連して、さっき基地の問題が出ましたから、ちょっとお伺いしておきたいのは、横浜へ母港をつくろうとしたのだが、これは地元の反対でできなかったが、瀬戸内海とか、あるいはこういう東京湾その他のような狭水道の多いところ、こういうところには原子力船の航行制限をするような考え方がありますか、どうですか。
  314. 木内四郎

    木内国務大臣 さっき申し上げたのは、そういうところに定係港をつくるのが適当でないかという話でありましたけれども、その他航行全般については、安全性を確保される場合に、必ずしも定係港のような考え方はいたしておりません。
  315. 内海清

    内海(清)委員 航行は狭水道でもかまわぬ。これはたしか、何か原子力委員会じゃないですけれども、どこかで、科学技術庁の関係のあれで、港からどのくらいの距離離れたところを航行しなければいかぬとかいう議論もあったと思うのです。そういうふうな問題は、われわれはしろうとでわかりませんが、そういうことがもし現実に考えられるとすれば、これはやはり航行が問題になってくると思うのです。そういう問題がもしありますならば――私はちょっと聞いたことがあるのです、議論されたということを。そういうことがあるならば、これはやはり将来問題になりますから、そういうことに対する御意見は、いま伺わぬでもいいですから、あったらあとからひとつお知らせをいただきたい、こう思います。  たいへん長うなって失礼でございましたが、これで終わります。  いろいろ問題を申し上げましたけれども、特にここで私が要望しておきたいのは、原子力委員会は、この昨年の長官の言明によって、早急に専門部会を設置して、検討を開始してもらいたいということを考えるわけです。それから、原子力船開発体制づくりも昨年の言明のとおりに、具体的に進展させてもらいたい。その当時の言明から大きく後退しておる感じを持っておる。それで、はたしていいのかという気がいたします。この二つを特に要望いたしまして、終わります。
  316. 石田幸四郎

    石田委員長 答弁は要りませんか。
  317. 内海清

    内海(清)委員 もしあれば……。
  318. 山田太三郎

    ○山田説明員 原子力船の開発を非常に有効にやっていくためには、事前の準備は十分しなければならない、しかし、やるならば大いに強引にやっていくということでございまして、その前に十分な調査をしないで、ただ委員会をつくりますと漫然と流れていく場合もあり得るのじゃないかということを心配しております。重要な問題でありますから、これは原子力委員会は何も動いていないじゃないかという御批判もございましたが、去年の夏以来、原産の原子力船専門部会の方々とダイレクトによく会いまして、どういう真意であるかということを十分伺っております。
  319. 内海清

    内海(清)委員 ちょっと発言させてください。  それなら少なくとも長官が言明されるのは――原子力委員長ですよ。(木内国務大臣「私が委員長です」と呼ぶ)その当時の長官が言明された。当時の委員長ですよ。それがあなたのようなことで、簡単にどんどん変えられていっていいですか。読みましょうか、この議事録を。
  320. 木内四郎

    木内国務大臣 さっきお読みになったことは拝聴しました。そこで、具体的にとおっしゃいますけれども、私のほうは、すでに具体的に造船の技術協会に委嘱しまして、その問題を具体的に、舶用炉の問題を研究してもらっておるのですから、何もやらないと言われることはちょっと……。今後におきましても、できるだけやっていきたいと思います。
  321. 内海清

    内海(清)委員 そのときには、ここにありますように、ちゃんとこれは書いてあるのですよ、委員会の中に専門部会を設けてやろう、それをやっていないじゃないですか。
  322. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 前鍋島大臣のときに確かに部会をつくるという考え方で進んでおります。ただ、そのときに、タイミングがちょっと延びておりまして、委員会として関係省、それから関係機関からいろいろな話を徴取しているという時期が長引いておりまして、まだ部会をつくるまでに至っておりませんが、それについては早急に考えたいという、前の大臣の意向はもちろん曲がっているわけではございません。ただ、申しわけないことに、ちょっと時期が延びているということでございます。
  323. 内海清

    内海(清)委員 もう終わりますけれども、それは、その当時の発言からいえば、当然つくられなければならぬ、そういうことでしょう。それを、いまのような言い方で、少なくとも大臣が発言される時分には、それに対しては、その下部機関というものはみな承知しておらなければならぬ、それがいまかわっておられるから、そういうことを言われるかもしれませんけれども、おられたらそういうことが言えぬはずだ。だから、そういうことを軽々に発言されることがすでにこの問題について真剣でないということだと私は思う。もしその情勢が変わってできぬのなら、できぬとはっきり、その当時、その直後において言うべきだ。答弁はもうよろしいです。  終わります。
  324. 石田幸四郎

    石田委員長 以上で内海清君の質疑は終了いたしました。  次に、近江巳記夫君。
  325. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に長時間、大臣以下関係者の方々非常にお疲れと思いますが、私もできるだけ簡単に終わりますから、皆さんも明快にお答えを願いたいと思う。  アメリカ、ソ連、西ドイツの原子力の第一船、この運航実績の問題でありますが、一つは、経済性について所期の目標どおりにいっておらない、さらに、この安全性についても非常にトラブルがある、このように聞いておりますが、その点について簡潔にお答え願いたい。
  326. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 アメリカのサバンナ号のいままでの経過を申し上げますと、昭和三十七年五月に完成してから、三十九年には欧州十四カ国を歴訪しております。それで、十六の港に入港しております。それで、その当時はデモンストレーション的な航海ということで行なっておりましたが、その結果、一応その所期の目的が終わりましたので、四十年の八月から一般貨物船という形として運航することになっております。それで、政府の運航補助を受けて欧州航路に就航いたしました。それで、四十二年六月には初めて極東方面、韓国、フィリピン等に来ております。それで、昨年八月から九月にかけて第一回の燃料の交換をしております。現在新たに、今後としての運航会社を選定していく、そういうふうにいわれております。ただ、これにつきましては、サバンナ号は四十二年の十一月二十三日に原子炉部分でないところで故障があったと聞いております。しかし、これはその月の二十七日までに直りまして、すぐまた就航についております。それが一つございます。  それから、ソ連のレーニン号は、これは砕氷船として昭和三十四年の九月に完成して以来、砕氷船として北極海ですか、そっちのほうに就航して、三十八年六月に第一回目の燃料交換をして、十万キロの航海をしております。そのうち六万キロは氷海で活躍して、約三百隻の船舶の誘導といいますか、そういうことに役立っております。それで、現在ちょうど第二次燃料を入れかえて航海を行なっている、それ以上のこまかい点はちょっとわかりません。  それから西ドイツのオットー・ハーン号は、これは昨年の十月でございますが、十月に試運転に入りまして、現在国内の北海沿岸、それの各港を訪問中でございますが、結果は良好だといわれております。しかし、まだ国内だけの運航ということでございます。ことしの秋からノルウェーからの鉱石運搬、それにこの船が就航するのではないか、こういわれております。  以上がいままでの三隻の現状でございます。
  327. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどからずっと聞いておりまして、わが国の第一船の建造状況というのがおくれておる、先ほどの答弁では四十六年末までに間に合わせます、このようにお答えになったわけですが、その点は確信あるのですか。
  328. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 先ほど御説明いたしましたのは、四十七年の一月に事業団に引き渡し、それから試運転、実験航海に入るという大体の段階で、これは予定どおり進むというふうに考えております。
  329. 近江巳記夫

    ○近江委員 しかし、あなた方、これは当初計画ですか、計画変更じゃないですか。私の前にもらったこの時点においては、船体の起工にしても四十二年のおそらく十一月か十二月だと思いますが、船体の進水については四十三年の八月ぐらいの予定ですよ。ところが、あなたのほうでかってに計画を変更している。船体の起工は四十三年の十一月、そして進水が四十四年の六月。何でこれ、当初と中間でこれをそのように変更したのか。これは当委員会にはかりましたか、変更の点を。どうですか、これは。少なくとも法律は四十六年末でしょう。これを皆さんの計画を見て――その当時に私はおりませんけれども、先輩の当委員がその計画を承知しているはずですよ。かってに四十七年ですと、そんなことを言っていいんですか。当初計画を途中で変更になったその経過を話してください。
  330. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 原子力第一船の開発に関しましては、基本計画が当初昭和三十八年でございましたが、七月に策定されました。その後、船価が非常に大幅に上回ったことと、原子力船の実用化の見通しということが明らかになってきた等の事情から、四十二年の三月に原子力委員会では基本計画を変えております。そこで変わったのがいま先生のおっしゃった点でございます。  その要点を申し上げますと、船種については、当初は海洋観測船として考えたわけでございますが、実験航海終了後は特殊貨物の輸送に供するようにしようということで、そこが変更されたわけでございます。したがって、観測船から特殊貨物船の考え方に変わった。それから、それに伴いまして、総トン数も当初は六千九百トンと考えましたが、約八千トンということに変わったわけであります。その基本計画の変更とあわせまして、第一船の建造費が初め三十六億円という考え方が五十六億円となりまして、その開発スケジュールについても、いま先生おっしゃいましたように当初計画から少しおくれまして、四十四年の三月に原子力船が完成して、その後四十六年末までに約二年間の慣熟運転、こういう当初計画が実は変わりまして、先ほど申し上げましたように四十七年一月引き渡しという段階になったわけでございます。その点のいきさつにつきましては、その当時の科技特におきましては、いろいろ先生方の御議論もございまして、御意見を伺っておる次第でございます。
  331. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると計画を変更して、四十七年の七月ですか、三月ですか……
  332. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 一月でございます。
  333. 近江巳記夫

    ○近江委員 一月までにやると、こういうわけですね。
  334. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 一月に事業団に引き渡しを受けまして、それから出力上昇試験、それから原子力船の試運転というのを事業団がやるのがそのあと続くという形になっております。
  335. 近江巳記夫

    ○近江委員 その計画の変更、それは当初計画がいかにずさんであったかという点で変更になったんだと思いますが、いずれにしても、そうした計画について、一応途中で事情があれば変更するのはしかたがない、そういうことではまずいと思うのです。やはり計画はできるだけそれの実現に向かっていく。そういう点で、これからもいろいろな計画を立ててなさるわけでありますけれども、計画はあまり途中でそのような変更、変更、そういうことのないように、もっと長期の見通しを立ててやってもらいたい。その点を要望しておきます。  それから、国産原子炉を採用する、こういうことで出発したわけでしょう。その点は、先ほどからもウエスチングハウスのそういう問題が出ておりますけれども、実際上それは国産としてやっているのですか。どのくらいの部分、国産といえるだけのものをタッチしているのですか。
  336. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 まず、ほとんど国産でやっているといっていいのでございますが、いまの原子炉の炉心の部分、これが非常に生命でありまして、むずかしいものでありますので、そこのところはウエスチングと技術提携をしたということと、それからコントロールロッド、これは非常に大事なものでありますから、これを輸入するということがおもなるものでありまして、その他、ポンプの特殊なものを輸入するというのもございますけれども、まず一〇%か一五%くらいが輸入でございまして、あとはほとんど国産でやっております。ですから、国産といっていいと思っております。これは最初のものでありますので、できないこともないと思われますが、大事をとりまして輸入する、こういうことにしたわけであります。
  337. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は原子炉のことを聞いているのですよ。
  338. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 ただいま申し上げましたのは原子炉のことでございます。原子炉だけのことを申し上げました。
  339. 近江巳記夫

    ○近江委員 わかりました。しかし一番肝心な大事なところは、要するに全部外国のものでしょう。
  340. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 さようです。肝心のところが輸入でございます。一番大事なところでございますから、輸入しております。
  341. 近江巳記夫

    ○近江委員 当初計画においては、国産の原子炉を採用する、しかしながら、そういうような最も大事な部門は輸入――そういう点ももっと、どれだけの努力をしてきた、やはりそれだけの実績がなかったらだめだと思うのです。  それから、先ほど外国船の状況も聞きましたが、そういうような安全性についてもいろんな心配すべき点が出ておった、こういう点で、私は安全性という問題で、この第一船を非常に心配しているわけです。したがって、この構造、運航、あるいは原子炉運転上の技術的な問題、乗り組み員の安全訓練、いろんな問題があろうかと思いますが、その辺の安全性についてどういう配慮と、また具体的な処置をとっていくか、明確に答えてもらいたいと思います。
  342. 内古閑寅太郎

    ○内古閑参考人 ただいま申し上げました中で、輸入いたしますと申し上げましたのは、いまのコントロールロッドその他でございまして、炉心の一番大事なところは、先ほどからも問題がありましたウエスチングからチェック・アンド・レビューをやってもらうということになっておるのでありまして、そういうことをやりまして、そして安全性を確保していくということに考えておる次第でございます。
  343. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろんな問題が重複しますから、また今度にしたいと思いますけれども、最も大事な舶用炉の問題にしましても、先ほど内海さんからもいろんな話がありましたけれども、そういう点、前の大臣もはっきりと確約をしておるわけです。よその国で経済性が問題だから、わが国もやめる、当然これからの海運ということを考えていけば、原子力船というものは、やはりどうしても開発を進めていかなければならない。こういう点で、あなた方もあまりにも国会軽視がはなはだしいと思うのです。その場だけ答弁したらいい、それじゃ――われわれは国民の代表として皆さんに質問しているわけです。そんなことを、大臣がかわったからもう内容においてニュアンスが違っておる、あるいはむしろ後退しておる、そういうようなことであっては困ると思うのです。少なくともこの委員会の席上で述べたことについては、誠意をもって実行すべきだ。私は根本的なことを聞きたい。当然私も、この舶用炉の問題については重大問題だと思います。そういうわけで、この原子力委員会にも原子力船に関する専門部会を設ける。そして、舶用炉のそういう開発体制の確立をさらにはかっていく。いまも日本造船研究協会ですか、これがどれだけの体制を持った実力のあるところか、どんなところなんですか、ここは。ちょっと聞かしてください。
  344. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 これは一つの取りまとめ役でございまして、そこから会社に委嘱をしておりまして、研究はそれぞれその会社に回して、日立等がその研究を進めるという形の共同研究体制の場としてつくられているわけでございます。
  345. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、あなた方はそのままの体制でいいと思っているのですか。どうなんですか、この点は。
  346. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 いま舶用炉のいわば基礎研究、開発研究といいますか、そういう時期で、盛り上げの時期でございますので、現在そういう考え方でいって有効に行なえるのじゃないか、そういうことで、私たちもそういう委託費を出して研究を進めているわけでございます。
  347. 近江巳記夫

    ○近江委員 原子力委員会の方も同じ意見なんですか。それでいいんですか。
  348. 山田太三郎

    ○山田説明員 現状では、この舶用炉というむずかしいものをやるためには、とても力が不足だということはもちろんわかります。したがって、強力な体制をつくるということをやるためには、強力な準備をする必要があるということを申し上げているのでありまして、それで、専門部会をつくってどんどんやっていく、そのときには、いま言いましたような形ではなくて、もう少しがっちりとした体制で進められるということにならなければ、舶用炉というむずかしい問題はやっていかれないというふうに考えております。
  349. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、第二船以降の建造については考えておらないというようなお話、そういうようなニュアンスでありましたが、私はもっと推進すべきだと思う。そういうわけで、原子力船のこれからのさらに開発推進していく。私は先ほどちょっとことばで入れましたが、この原子力委員会に原子力船に関する専門部会を正式に設置すべきだ、いまどういうようにやっておられますか、この原子力船に関しては。
  350. 山田太三郎

    ○山田説明員 その専門部会をどういう姿で発足させるかということのために、いま地固めをしておるわけであります。
  351. 近江巳記夫

    ○近江委員 将来はその専門部会を設けてやっていく、そういうおつもりはあるのですか。
  352. 山田太三郎

    ○山田説明員 非常にいい姿でやっていきたいというふうに考えておりますから、この原子力船が日本にとって非常に重要であるということはもちろん認めております。その意味で、原子力船の専門部会をつくるだけではだめでございますから、そこでどういうことをやって、どういう予算的なことを考えていくか、そこまでやっていかなければならぬ、そういうように考えております。
  353. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは当然ですよ。ですから、研究開発目標あるいは内容、研究開発体制あるいは計画期間、あるいは所要経費、これは当然織り込んでいかなければならない問題です。しかし、将来といったって、これはもうこれから先のことはみな将来ですから、私は早急にそういう体制を組むべきである、このことを皆さんに強く要望しておきます。  きょうは非常に時間もありませんし、委員長からも先ほどああいったお話もありましたので、きょうはこれで終わります。
  354. 石田幸四郎

    石田委員長 次に、齋藤憲三君。
  355. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 私は簡単に委員長を通して資料の提出をお願いしておきたいと思うのであります。  それは、原子力産業新聞というものを私きょう読んだのでありますが、この間の原産年次大会の記事が載っております。これを読みますと、原子力発電計画というものは、私たちが従来知っておったものよりも長足の進歩と申しますか、発電量が大きく見込まれておる。四十三年から五十二年に至る十年間に千二百万キロワット。それから、九年後には三千万キロワットの原子力発電所が存在し、昭和六十年にはそれが五千万キロから六千万キロワット。六十年にはわれわれは三千万キロワットから四千万キロワット。そうすると、これは二千万キロよけい早くなっておる。それから一方見ますと、燃料確保という問題が非常にやかましく論議されておるのです。きょうの質疑応答を拝聴いたしておりますと、まだまだ原子力に関する問題は、きょうの質疑応答は九牛の一毛だ。しかし、一番大切な問題は、どうして原子力発電に対するところの燃料の確保を確実にはかり得るかということだと思うのであります。これに対して、どうもだいぶ認識にズレがありますから、もう一ぺん正確な資料の提出をひとつお願いいたしたいと思うのです。  それは昭和六十年度を展望する原子力発電という目標のもとに日本及び世界の発電量、六十年にはどれだけの日本と世界の発電量が見込まれておるのか。大体それに対する一キロワットの電力料金はどのくらいに見込まれておるのか。それに炉の種類は一体どういうふうになっていくか。それから、それに必要な燃料の積算量、こういうものをU3O8の標準でもってひとつ出してもらいたいと思うのでございます。それから、ウラン鉱に対して、日本の埋蔵量、これもU3O8。それから、世界の埋蔵量、これはだいぶ一時より世界の埋蔵量は、一ポンド十ドル以下が八十万ショートトンというふうになったということを聞いておるのでありますが、そういうものについてひとつ正確に出していただきたいと思います。それによって私のほうも勉強して、当局並びに原子力委員会等の燃料対策をひとつ伺いたいと思います。急ぎませんから、なるべくわかりやすいように正確な資料を提出していただきたいと思います。委員長にお願い申し上げます。
  356. 石田幸四郎

    石田委員長 齋藤憲三君より資料の提出の要望がございましたので、科学技術庁におきましては、十分御配慮の上、提出をお願いいたします。
  357. 木内四郎

    木内国務大臣 見込みの入ったなかなかむずかしい資料ですけれども、できるだけ早く提出いたしたいと思います。
  358. 石田幸四郎

    石田委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  359. 石田幸四郎

    石田委員長 速記を始めて。  以上で質疑は終了いたしました。  次回は明二十日木曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開くことといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十四分散会