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1969-07-01 第61回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月一日(火曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 臼井 莊一君 理事 小渕 恵三君    理事 本名  武君 理事 八木 徹雄君    理事 美濃 政市君 理事 永末 莊一君       大村 襄治君    小坂善太郎君       中川 一郎君    福田 篤泰君       山田 久就君    井上  泉君       西風  勲君    伊藤惣助丸君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  出席政府委員         総理府総務副長         官       鯨岡 兵輔君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      松下 康雄君     ————————————— 七月一日  委員渡部一郎君辞任につき、その補欠として伊  藤惣助丸君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩における産業振興開発等に資するための  琉球政府に対する米穀売渡しについての特別  措置に関する法律案内閣提出第一一二号)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  沖繩における産業振興開発等に資するための琉球政府に対する米穀売渡しについての特別措置に関する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。小渕恵三君。
  3. 小渕恵三

    小渕委員 ただいま議題となっております沖繩における産業振興開発等に資するための琉球政府に対する米穀売渡しについての特別措置に関する法律案につきまして、政府の見解をただし、明確でない点をお聞きいたしておきたいと存じます。  内容に入ります前に、長官お時間の関係で中座されるということでございますので、まず最初にお聞きいたしておきたいと存じますが、この法律案本土政府として国会提出をいたしまするにつきまして、この内容にも関係がございまするが、琉球政府として対応すべきもろもろ琉球政府における法律施行等が当然要求されてくるであろうと思います。そこで、この法律案ほんとうに生きてまいりますためにも、円満かつ緊密な関係のうちにこの法律が施行されるように、琉球政府との間に緊密な関係を保つような交渉を今日までされてきたかどうかについてお伺いをいたします。と申し上げますのは、新聞の記事を見ますると、琉球政府屋良主席は、屋良主席なりにいろいろの希望を出されておられます。それは、本土政府に対してもそうでありますが、同時に、米国在日大使館に対してもされておられるようでありますので、本土政府琉球政府の間にほんとうに円満な話し合いがなされた上でこの法律案を提案されておられるか、その点についてまずお聞きいたしたいと思います。
  4. 床次徳二

    床次国務大臣 この法案を提案するに至りました当初は、実は昨年の秋ぐらいからこういう構想のあることを明らかにして、西村農林大臣が参りましたときに、こういう構想の発表をいたしたことがあるわけでありまするが、具体的にいろいろ詰めをいたしておりまして今日に至ったのであります。その間におきましては、よく琉球政府側意向も聞いております。使いまする費途並びに使用方法等についても地元了解のもとにやってまいっておるのでありまして、法案の中にもありまするがごとく、この金を琉球政府特別会計、または琉球政府立法によりまして設立されましたところの法人というような企画のもとに取り扱いもいたすことになっておりますので、琉球政府といたしましても十分この趣旨については喜んでおるわけであります。  ただ一つ琉球政府としての要望といたしまして、できるだけ多額の米を本土政府から入れまして、本土政府から入ることによりまして必要な資金売却代金によって蓄積できるという意味において、特にまた要望いたしておる。単に日本米がおいしいという意味でなしに、将来の産業開発のためにも少しでも多額のものを寄与させたいという意味におきまして、強い要望があるのであります。私ども本土政府におきましてもその要望を十分了承しておるわけでありますが、ただこれは、現地におきましてアメリカ並びオーストラリアとの従来の米の取引関係もあります。相当の量を本年度におきましては買い付けの契約もいたしておるわけであります。したがって、残余の量についての交渉でありまして、これは現地琉球政府並びに業者という立場を離れまして、本土におきましても日米の間におけるところの交渉等もあるわけでありまして、われわれといたしまして、本土政府といたしましてできるだけ多額の量を用立てるということはやはり意義がある。この点につきましては同意見であります。さような趣旨において努力をいたしておるわけであります。結果的には、その数量の点におきまして地元はできるだけ多くという希望を持っておる。この点につきましてはわれわれも同じであります。琉球政府とは、この点は趣旨は合致している。ただ少しでも多くもらいたいという気持ちは御了解をいただけると思います。
  5. 小渕恵三

    小渕委員 そこで、いまの長官の御答弁に関連する問題から内容に入りたいと存じますが、まず第一に、琉球政府としてはできる限り多量の米を売り渡してほしい、こういう御希望があるといま御説明がございましたが、本土政府といたしましては、この売り渡し計画につきまして、当面何年間にどのくらいの数量売り渡していこうという計画でありますか、まずこの点からお伺いいたします。
  6. 床次徳二

    床次国務大臣 沖繩におけるところの米の需要というのは大体九万トンであります。地元の産額が一万トンであり、残りの八万トンを外国輸入にまつわけでありまして、わが国といたしましてもできるだけ多量のものを入れたいと思います。これは従来からの取引実情もありますので、そういうことを加味しながらできるだけ多額のものを供給したい。地元も、ほしいという希望を持っておりますことは先ほど申し上げたとおりであります。ただ、特に本年度におきましては、すでに来年二月まで地元としては契約しておる次第でありまして、そういう実情がありますので、その実情を十分踏まえまして今後対処いたしたいと思います。
  7. 小渕恵三

    小渕委員 いまの御説明のように、確かに沖繩におきましては、明年二月まで食糧米については米国並びオーストラリア輸入契約をすでに済ましておられます。したがって、当然、この法律案が通過いたしましても初年度は、明年三月から年度がわりになります六月まで、四カ月間の消費量について援助売り渡しになるのだろうというふうに考えますが、そこで明年といいますか、法律案が通りました初年度について、それでは一体どの程度売り渡す計画であるか、数量についてお伺いいたします。
  8. 床次徳二

    床次国務大臣 数量に対しましては今日交渉中でございます。まあ私ども過去の経緯から見ますると、将来におきましてもこの点は、少なくとも両方から見まして——私のほうから言うとできるだけ多数、また、従来の取引先からもできるだけ多数という要望があると思います。この点につきましては、それぞれの時点におきまして具体的に交渉いたしまして、決定いたしたいと思っております。
  9. 小渕恵三

    小渕委員 初年度についてはこうした特別事情がありますから、数量についてはあるいは出てこないかもしれませんけれども、この法律案の中には三年間ということをうたっておるわけです。したがって、それでは三年間を通算してほぼ何万トン程度売り渡すのか、このほぼの見通しがありませんと、一体この金が何に使われるか、そしてその金がどのくらい必要なのかということがさつぱり結論づけられないのではないかと思いますので、おおよそ現時点においては総額何万トン程度売り渡す考えであるか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  10. 床次徳二

    床次国務大臣 この法律は、返還のときまでというふうに考えて、復帰するまでの間におけるところの援助の一環としてというふうになっていますから、七二年が今日目標でありますので三年間という形になりまするが、その間におきまして、できるだけ私ども多額にいたしたいと思っております。この点は、今後の事業計画等も参酌しなければなりませんが、私ども、たてまえと申しますのは、先ほど申し上げましたように、本年度特殊事情がありますが、少なくとも従来の経過から見まして、われわれ、半数以上のものは本土米を買おうというたてまえが必要なのではないかと思います。今年度におきましては二月まで入っておりまするが、残されたものに対しましても今日折衝中でありまして、できるだけひとつ本土米を買うように努力しておる次第でございます。  なお、事業計画等につきましては、政府委員から御説明申し上げます。
  11. 小渕恵三

    小渕委員 ちょっと待ってください。事業計画を御説明願うというのですが、事業計画を完成するためには予算的措置がなければならない。その予算措置が今度の売り渡し代金によってまかなわれるということでありますので、どの程度売り渡しするかという数量、したがって換算すれば金額、が当然出てくるだろうと思うのですが、ここが明確でありませんと、事業計画というものも出てこないという気が私はいたすのであります。再度お伺いして恐縮でございますが、おおよその見通しについてお伺いいたしたいと存じます。
  12. 床次徳二

    床次国務大臣 先ほど事業計画と申し上げましたのはちょっとことばが足らなかったと思いますが、どういう費目に充てるかということにつきましては、ここに法律に書いてありますごとく、農業生産基盤整備及び開発のための資金砂糖製造業等農産加工業企業構造高度化のための資金水資源開発、利用というふうにあがっておりますが、従来沖繩におきましては、長期低利資金がなかったために基盤整備ということが非常におくれておりまして、この資金というものを低利に供給いたしまして、そうして基盤整備に充てたいというのが対象とするところの事業種類でございます。  金額がきまらないと事業量というものがきまらない、なるほどそのとおりであります。今日、幾らの米を売ることができるかということがその点を左右するわけでありますが、現在の段階におきましては日米間の折衝をいたしております。琉球政府希望しておりますし、私どももできるだけ多額のものを売りたい、かように考えておりまして、折衝中でございますので、数字につきましては今日のところ明確にいたすことはできませんが、先ほど申し上げましたように、全体の消費量が九万トンで八万トンを買っているという前提に立って、私どもはできるだけ努力をいたしたいと思っております。
  13. 小渕恵三

    小渕委員 新聞その他でおおよそこの程度であろうというようなこと、たとえば三年間で十二万トンとか、あるいはその他数量について憶測がされておるわけでございます。にもかかわらず、政府は、この数量について、本法律案国会提出いたしまする段階に至るまでに結論が出ないということが、私はまずおかしいことだろう。おかしいことと言うよりも、やはりこれからの事業計画その他、どういうふうにこのお金が活用されていくかということを検討する場合にも、最初前提がなければ結論が出てこないという気がいたします。しかし、いま長官の御説明の中に、この数量がきまりません理由といたしまして、アメリカ側との折衝云々というお話がございました。これが決定をいたしません理由につきまして、その他ございましたら、含めましてお答えをいただきたいと思います。
  14. 床次徳二

    床次国務大臣 この点は、先ほども申し上げましたが、道を開きましたけれども、すでに二月までは買っておるという事情もあるのでありまして、だから今後どの程度のものを本土から売れるか、また、従来の購入先でありまする米豪との関係もあるわけであります。したがって、その見合いにおきまして交渉中でありまして、特に豪州米につきましては、本年度分につきましてはすでに相当量買ってしまった。残されておるものは米国との折衝で、これは民間の業者との関係もあります。なお政府との関係もありますので、ちょうどいま話を詰めておるところであります。いま数字を申し上げますことにつきましては、ちょっと時期がまだ早いのではないか。しかし、ただいま申し上げましたような前提のもとに、できるだけ多数のものを売り込みたいという本土側考えにつきましては、この点は、私どもも強くこれを確保しておるのであります6そういう経過でありますので、来年、再来年とまたそれぞれの年度において折衝をいたすわけでありますが、しかし、その基本的態度といたしましても、できるだけ本土側のものをよけい——また地元もそれを要望しておりますので、さような趣旨において運びたいと思います。  なお、事業計画のほうにおきましては、この資金がきまりましたならば、それぞれの具体的な計画によりまして資金使用方法等々も考えなければならないと思うのでございます。先ほど申し上げました砂糖なりパインなり、各種の産業基盤整備という点を具体的に今後検討いたしまして、実施に移したいと思っております。
  15. 小渕恵三

    小渕委員 この問題ばかりに御質問申し上げても時間がありませんのですが、ちょっと参考までにお伺いしたいのです。アメリカ側との交渉が現段階において最終的結論を得ておらない、こういうことなんですが、一体アメリカ側との交渉というのはどういうものなんですか、どういう性格を持つものなんですか。たとえば、ちょっと聞いてみたところでは、この余剰農産物処理の問題についてFAO、そういう機関を通さなければ処理ができない、あるいはそういうところを通すことが好ましいという立場米国との折衝をいたしておるのか、それとも道義的に、いままでカリフォルニア地域では五万五千トンという数量を過去の実績として持っておる、これが一時的にでも全く減少してしまうということについて反対もあろうかと思いますので、そういった点を考えながら、義務ではないけれども道義的に交渉を行なっておるのか、それとも、取りきめか何かありまして、こういった場合には当然義務行為として交渉しなければならない問題なのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  16. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの問題につきましては、いままでの輸入手続等がございますので、その輸入手続等につきまして御説明を申し上げたいと思いますが、しかし、本土側から売り込むということに対しましても、米側としては十分了解しておるのでありまして、そのかね合いにおきまして折衝をいたしたというわけでございます。この点は、政府委員から具体的に御説明申し上げます。
  17. 山野幸吉

    山野政府委員 米穀輸入につきましては琉球政府のほうで審議会を持っておりまして、そして輸入数量をきめまして、その輸入数量に基づいて沖繩輸入業者がそれぞれ相手国業者折衝をして輸入しておる、こういうことでございます。したがいまして、この輸入数量決定について、日米両国政府あるいは日豪政府が正式にきめるという筋合いのものではないのでございます。しかし、相互に、米国におきましても豪州におきましても、それぞれ従来の米の輸出市場については強い関心政府の側も持っておりますので、したがいまして、そういう米国生産者等の利益を代弁した立場から、いろいろな面で政府間の折衝が行なわれるという種類のものと考えております。
  18. 小渕恵三

    小渕委員 そういたしますと、義務的行為でないけれども外交慣例といいますか、そういった観点から米政府並びに豪州政府との話し合いがまとまって一定の数量が出てくる、こういうことでよろしいわけですね。そういたしますと、この交渉は、一体相手国のどういうところと交渉しておられますか。
  19. 山野幸吉

    山野政府委員 これは、正式な外交ルートとししては外務省と、たとえば米国でございますと国務省になりますが、もちろん総理府としても非常な関心を持っておるし、それからまた、米国においては農務省も相当関心を持っておる。したがいまして、そういう関係省庁の事務的な段階でも話し合いが行なわれることがあるということでございます。
  20. 小渕恵三

    小渕委員 その交渉は、今回それが成立いたしますれば、当然この法案関係がございまする三年間の総量について結論が出る、こう承ってよろしいですか。
  21. 山野幸吉

    山野政府委員 先ほど長官からも御説明ございましたように、一つは、沖繩農業基盤整備その他に一体どういう事業を実施していくかということの事業計画、したがいまして、それに対する所要資金の見積もり、そういう問題が一つあるわけでございます。それと相見合いまして、本土米をどの程度出していくかという数量の問題に関連してくるわけでございます。何ぶんにもこれは相互——相互と申しますか、アメリカ側あるいは豪州側については、それぞれ生産者あるいはそれを擁護しようとする国の機関も持っておりますし、政治的にも相当関心が持たれた問題でございますから、したがいまして、あまりに急激な市場の変化ということについては、いろいろ国際的な関係においてもなかなかむずかしい面もあると思うわけでございます。  それから一方、ただいまお話がありましたように、来年の二月までは米を沖繩は持っておるわけでございまして、いま先生からは年度とおっしゃいましたが、年度でなくてむしろ暦年でとらえておるわけでございます。したがいまして、来年は十カ月でございますが、ちょうど初年度でございますから、その米を出して資金をつくるまでには沖繩農業、主として、さしあたり農業開発計画資金計画というようなものをつくってめどを立てて、そうして資金を積み立てるということに相なるわけでございますので、したがいまして、初年度としてはそう多額のものにはならぬだろう。しかし、次年度以降漸次この数量を増しまして、そうして所要資金事業計画に見合ってある数量を確保していく、その毎年の数量はその年ごとにきめていこうというのが、いまの話し合いの線でございます。
  22. 小渕恵三

    小渕委員 やめたいと思うのですが、それではこの交渉は一体いつ済むのですか。
  23. 山野幸吉

    山野政府委員 明年の分については、できるだけすみやかなうちにきめたいということでございます。
  24. 小渕恵三

    小渕委員 これで先に進みますけれども、やはり政府がこの法案提出いたしまするについては、内容の中で最も重要な点は、どの程度売り渡すかということがポイントであろうと思うのです。そうでないと、売り渡し金額から発生するもろもろ計画そのものも、日本円として一体百億円になるのか、その半額になるか、そういったことが出てまいりませんと、琉球政府としての計画もまた成り立たない、こういうことであろうと思うのです。したがって、交渉しなければならないという過去からのいきさつについては私も否定するわけではありませんけれども、今国会に提案する段階までには、ある程度数量というものについて政府間でのまとめ、あるいは対外的折衝の結果によってほぼ明確な線を、私は出すべきが当然ではなかろうかという気がいたしておるのでございます。しかし、いずれにいたしましても、現在までそれが成り立っておらないということでありますので、一日も早く折衝を終了して、日本政府として明確な売り渡し数量というものを提示されるよう要望いたしておきたいと思います。  二番目には、いまの売り渡し計画の中の第二でありますが、売り渡し価格、これは一体どういうふうな算定で決定をされるか、簡単でけっこうですから御説明いただきたいと思います。
  25. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 売り渡し価格につきましては、法律にもございますように、沖繩における米の消費者価格を参酌して定めるということに相なっておりますので、現在の沖繩消費者価格は、輸入米につきましては統制をされておるわけでございまして、統制価格基準にいたしまして、国内流通経費、それから沖繩政府が徴収しております課徴金の扱い、それから海上運賃等の諸経費を控除したものを基準として定めたいというふうに思っております。その定め方につきましては、琉球政府意向ももちろん聴取をいたしました上で、納得ずく価格をきめてまいりたいというふうに思っております。
  26. 小渕恵三

    小渕委員 これもまだ明確な線が出ておらないということで、はなはだ不満でございます。後ほどこの点について心は御質問いたしますとして、次に、先ほど長官は、 本土復帰が七二年を目途にしておられる、したがって、三カ年という年限が提示されてきたという趣旨お話がございました。しからば、もし本土復帰が一年でも早く行なわれたような場合には、そういうことも勘案して、米の売り渡しについては二カ年で終了するようなことはあり得るのですか。
  27. 床次徳二

    床次国務大臣 御承知のごとく、本土復帰は、私はできるだけ早いほうがよろしいと思っております。法律におきましては「復帰するまでの間における」云々と、こう書いておりまして、復帰の時期が早くなりますならばこの期間は短縮する。しかし、いずれにいたしましても沖繩政府といたしまして、沖繩には長期低利資金が非常に不足し募りますので、何らかの形におきましてその資金を供給いたしまして、そして沖繩産業開発をしなければならない、かように考えております。
  28. 小渕恵三

    小渕委員 そういたしますと、いまの問題については、一応法律には「復帰するまで」、こう書いてありますが、三カ年ということの中にこのお金長期低利の金融として活用されるように期待をしておる、こういうことでございますか。
  29. 床次徳二

    床次国務大臣 別に三カ年という数字が出ておるわけではないので、復帰の日までであります。ただ、今日の復帰努力目標が七二年でありますために、三カ年になるだろうということを申し上げたわけでありますので、この点は今後の日米折衝にまちたいと思っております。  なお、従来から沖繩に対しまして援助をいたしておりますが、この種のような低利のものはいままでなかったので、 こういう特殊な低利、しかも長期のものが出し得るということは、私は援助政策に対する一つの進歩だと思う。たとえ米の問題がないといたしましても、やはり今後長期低利のものは出さなければならぬ、そして振興を果たさなければならぬ、そういうものであろうと思っております。
  30. 小渕恵三

    小渕委員 先に進みまして、次に、この積み立て金の管理と運用についてでございますが、冒頭私が長官に、琉球政府との話し合いが円満に推移しておるのかということをお尋ねしたのでありますが、その内容は、本土政府はこういう法律を提案して、法律を施行していこうというその対応処置として、私は、琉政側におきましてもそれに見合うような措置を当然されておられるか、あるいはされるように話し合いを進めておられるか、こういうことを含めてお尋ねを申し上げたわけです。  そこで、琉政側として考えられる対応処置といたしましては、これまた新聞によりますが、たとえば農林漁業開発基金法というような法律を制定するのだ、そしてまた、特別会計をこの中に設けていき、さらに関係機関を設置していくということなのでありますが、この点についてはどういうふうな考慮をされておられるか、承りたいと思います。
  31. 床次徳二

    床次国務大臣 立法に至りますまでの段階は、この趣旨において琉球政府了解していますが、どういう名前をつけた会計をつくるか、また、どういう名称の団体に貸し付けるかということにつきましては、今後の琉球政府立法の問題でありまして、これらにつきましては十分了解しておるものでございます。具体的には局長から御説明いたします。
  32. 山野幸吉

    山野政府委員 琉球政府といたしましては、この法律案国会で成立いたしますと、直ちに琉球政府予算で米の供給に関する特別会計をつくります。そして、その特別会計本土米供与資金が行くわけであります。米特別会計から、たとえば宮古のかんがい排水事業を行なう場合には、この宮古の用排水の実施母体を立法化しまして、そしてそこへ流しまして事業を実施していく。それからまた、その他の農林関係資金でございますと、現在あります農林漁業中央金庫を通じて実施するという考え方をとるか、あるいはまた、新しく何かそういう農業開発のための、また糖業、産業開発のための機関をつくるか、そういうどちらかによって実施主体を定め立法化して、それに流していくという形になると思います。
  33. 小渕恵三

    小渕委員 こちらの法律が通りませんと、筋道として、琉政側としてそれに対応する処置が講ぜられないとは存じますけれども、こちらの法律がかりに円満に通過したような段階に時を移さず対応できるような処置、これはあらかじめある程度話し合いがなされておらなければできないことであろうと思うので、その間——そもそもこの法案が出てきますいきさつについては、松岡前主席とわが党の当時の農林大臣との話し合いから出発したというように記憶いたしておりますので、政府もかわったことでありますので、この間、きわめて円満裏に、円滑に推進するように期待をいたしたいという意味でございます。  そこで、いまの宮古のかんがい排水施設について、重点的に施策を講じるように、この積み立て金が運用されることを現地で検討中であるということを総理府としては考慮しているようでありますが、今度の積み立て金が、宮古を第一候補として重点的に計画を推進する、こういうような形で運用されるのか、総花的にばらまいていこうと考えられるのか、日本政府として、どちらがある程度好ましいという程度の見解は承れないかということをお聞きいたしておきたいと思います。
  34. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま宮古のことを申し上げたのですが、これは一例としてこういうものがあるので、現状において予想されますことは糖業の合理化のための問題、パイン合理化のための問題、それから畜産奨励のための問題あるいは畜産に伴う草地の開発の問題等、またあと水の問題、いま宮古の例もありますが、さようなことが今日予想されるものと思っております。
  35. 小渕恵三

    小渕委員 一例として宮古の例が出たわけでございますが、これに重点的に施策を実行するためには、相当の金額を食っていくだろうと思います。こう考えますと、宮古というのは沖繩の一部の島でありまして、こうしたところに重点的に施策を講じていくのか、あるいはいま言うようにそれぞれの品目別に分類していくほうがいいのか、この点は総量の金額がきまりませんと何とも申し上げられませんが、研究を要する問題であろうと思いますので、御検討をいただきたいと思います。  次に、今度貸与いたしますお米の問題でございますが、先般、同じような形で隣国の韓国に対してお米を貸与いたしたわけでありますが、そのお米の質の問題についてかなり不平不満が起こりまして、日本政府に対してもおそらく抗議があったことだろうと思います。今度の沖繩に対する貸与米について、二度と再びそのようなことがあってはゆゆしき問題であろうというふうに考えますので、こうしたことが絶対ないということの明言を食糧庁長官からいただきたいことと、同時にまた、今年、まず初年度については一体何年産米を貸与するのか、お考え伺いたいと思います。
  36. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国と沖繩とは米の供与の形が違うわけでございますが、いずれにいたしましても日本米の供与ということについては同様でございます。  韓国への貸与に関連いたしまして、当初、ざっくばらんに申し述べまして、日本側も昭和十年前後以来外国に米を出したことは一度もございませんで、経験を欠いておったということもございます。韓国側の流通の実情もわが国と違うというようなことがございまして、比較的少量の事故米の発生があってクレームがついたことも事実でございます。その後、私ども輸出積み込みにつきまして厳正な検査を行ないました上で出しておりますので、事故の発生は全くない実情に相なっております。沖繩につきましては、それらの経験もございますので、絶対に事故米の発生はないように、私どもは確信をもって実行できるというふうに思っております。  それから、何年産米を供与するかにつきましては、供与の時期によって何とも申し上げかねるのでございますが、韓国の場合も同様でございましたが、本土の国民感情また沖繩における住民の感情、そういうようなこと等を考慮いたしまして、年産の割り振りの問題は、国内における配給比率と同様にいたしたいと思っております。
  37. 小渕恵三

    小渕委員 次に、沖繩復帰をいたしました暁に、貸し付け金といいますか、これは法律に基づくとおりにおそらく処置をされることであろうとは存じますけれども長官の感覚、感じだけでけっこうですが、お伺いをいたしておきたいと思います。沖繩新聞によりますと、この法律案何々々とあり、その下に、いわゆる本土産米の沖繩への供与に関する特別措置法という文字が見えるわけでありまして、この供与ということばの問題でありますが、沖繩の人たちは、本土政府の好意というものを実質的に援助と受け取るのではないかという気がするのであります。これを単なる金融措置である、お金を貸すのであるという感覚か、援助金の上に上積みをしたんだ、こういう感じを持たれるのか、いずれであるか、ちょっと御答弁がむずかしいかもしれませんが、できましたら御答弁いただきたいと思います。
  38. 床次徳二

    床次国務大臣 この供与につきましては、売却代金を積んで、そうして将来の農業基盤開発に使えるということ、これは私は非常な特典であるかと思います。その意味におきまして、本土に対する非常な好意を感じておるわけであります。したがって、これがさような意味におきまして単なる援助、純然たるもらうものだというふうなものではない。もちろんこれは、代金を払って買うわけですから、その趣旨においては、地元といたしましても十分理解してこの資金を使うものと私ども考えております。また、その意味におきまして十分活用しなければならぬ。その資金がみだりに使われることのないよう、先ほど申し上げました資金を通しますところの機関等におきましても、特に立法によりましてきめました機関をもって、責任を持って管理させるというふうにいたしておる次第であります。
  39. 小渕恵三

    小渕委員 時間もありませんので次に進みますが、次に、食管の国内米管理勘定の繰り入れ金についてでございます。その予算的措置はどういう形で処理をされるのか、食糧庁長官にお伺いいたします。
  40. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 先ほど申し上げましたように、沖繩における米穀消費者価格を参酌して、日本政府琉球政府に売り渡す米の価格をきめるということにいたしますと、当然、食糧管理勘定としては、食糧管理特別会計としては赤字を生ずるわけでございますが、御案内のように、食管特別会計年度収支均衡の方式、原則をとっておるのでございます。何らかの財政措置を要することに相なります。法案にもございますように、そのような赤字が生じました場合には、一般会計から国内米管理勘定に、それを補てんするための資金の繰り入れをするということが附則できめられておるのでございます。その予算の計上のしかたは、これは最終的にきまっておるというふうには私は承知をいたしておりませんが、事の性質上、沖繩援助費として計上したものを食管特別会計に繰り入れていただくということが筋ではなかろうかというふうに考えております。
  41. 小渕恵三

    小渕委員 もう一度、ちょっと最後のところを明確に御答弁いただきたいのですが。
  42. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 この繰り入れ金の予算上の措置をどうするかという問題は、最終的に政府としてまだ決定をいたしておるわけではございませんで、食糧管理特別会計としては、一般会計からストレートに赤字補てんを受けましても、それでもけっこうでございます。また、この法律、制度というものが沖繩援助の一環の措置であるというふうに考えますれば、沖繩援助費に一度計上いたしましたものを食管特別会計に繰り入れる。これは学校給食の小麦粉の値引きのために生じる予算の計上のしかたが、そういうことになっておるわけでございます。私は、筋からいえば、一度沖繩援助費に計上いたしましたものを、食管特別会計へ繰り入れるという措置をとるのが最も適切ではないだろうかというふうに思っておりますが、なお政府部内で十分検討すべきことであろうと思っております。
  43. 小渕恵三

    小渕委員 総理府の見解をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  44. 山野幸吉

    山野政府委員 ただいま食糧庁長官から御答弁ありましたように、方法としては二つあるわけでございます。これらにつきましては、ひとつ慎重に政府部内で検討いたしましてきめたいということでございます。
  45. 小渕恵三

    小渕委員 大蔵省は来ていないのですか。
  46. 中村寅太

    中村委員長 いま主計官が入ってきたから……。
  47. 小渕恵三

    小渕委員 それでは総理府に再度お尋ねいたしますが、そういたしますと、総理府としての考え方、二つあるというのではなくて、そのうちどっちをとることが総理府としては適当であるとお考えになっておられるか、この点についてお伺いします。
  48. 山野幸吉

    山野政府委員 この問題につきましては、いま総理府としてどう、あるいは食糧庁としてどうというよりか、方法としては二つしかないわけでございます。したがいまして、政府部内で慎重によく検討しまして最も適切な方法を選びたい、かように考えております。
  49. 小渕恵三

    小渕委員 大蔵省が参られましたが、いまの質疑は、この食管の国内米管理勘定の繰り入れの方法について農林省、総理府から御意見を承ったのですが、一度沖繩に対する援助総額の中に上積みして、それから勘定に入れるほうが筋であろうというのが農林省の考え方のようにも聞こえたのでありますが、方法としては、この二つしかというか、この二つが方法なんですか。
  50. 松下康雄

    ○松下説明員 この損失補てんの予算上の措置といたしましては、ただいま御指摘の二つの方法が考えられると思います。
  51. 小渕恵三

    小渕委員 たとえば、それでは方法については二つとして、これは一般会計のどういう形の金から補てんをしていくのですか。
  52. 松下康雄

    ○松下説明員 予算の項目にどのように計上するかという点につきましては、まだ実は結論に至ってないのでございます。方針は決定をいたしておりますけれども、これが沖繩援助的な色彩の濃厚な経費というふうに考えますれば、沖繩援助という大きな項目のうちに含ませて支出することが適当であろうかというふうにも思われますし、この支出の性格をどう考えるかという問題でございますので、今後関係省におきましてなお細部につきまして具体的な検討をいたしまして、適切な計上をいたしたいと考えております。
  53. 小渕恵三

    小渕委員 すみやかに政府部内で検討されて、どういう形でこの補てんをしていくのかということについても、はっきりした考え方を出すべきであろうと私は考えます。  そこで、さらにこまかくお聞きしたいと思うのですが、おおよそ一万トン当たりどの程度補てんをしなければならないか。食糧管理法としては、一万トン当たりどの程度食糧会計のほうは欠損が出てくるかという数字的なことをちょっとお伺いいたしておきたいと思います。
  54. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 先ほど申し上げましたように、日本本土政府琉球政府売り渡します価格沖繩消費者価格を参酌して定めるということでございまして、最終的にその価格決定いたしませんと正確な計算はいたしがたいのでございますが、参考までに、現在沖繩輸入いたしております外国産米、そのCIF価格基準にいたしまして、内地米の沖繩における売却の価格も同様であるという前提を置いて試算いたしてみますと、輸入価格が精米トン当たり二百十ドル十三セントというのから出発しまして、それからフレートを差っ引いてFOB価格を出すということにいたしますと、約百九十五ドル三十セントということになるわけでございますが、これを日本政府が売ります場合には玄米ということに相なりますので、玄米換算をいたしましてFOB価格を申し上げますと、これは円に直しまして六万二千円ないし六万三千円くらいになるようでございます。一方、内地米の国内における政府売り渡し所定価格はトン当たり約十二万五千円でございますから、したがってFOB価格段階で六万二千円ないし同じく六万三千円程度の赤字、ちょうど国内売り渡し価格の半分程度で売らざるを得ない。それに産地倉庫からオンデッキまでの諸経費がかかるわけでございます。これも新しい売り渡しに伴う負担ということに相なりましょうから、そういうことを考えますと、大体一万トン当たり六億五千万前後の負担になるのではないかというふうに推測をいたします。
  55. 小渕恵三

    小渕委員 いまの赤字——赤字といいますか、一般会計から繰り入れすべき額については、十二万五千円マイナス六万二、三千円、こういうことのようであります。そこで、いただきました資料を拝見いたしますと、この取り扱いというものは地元の指定された業者が取り扱う、こういうことのようであります。そういたしますと、その業者に対しても、ほかの国から輸入した場合と同様の諸経費を計上いたしておりますし、同時にまた、売り上げ手数料として二・〇四ドルを与えておられるようであります。これについて質問しても、これをどうするのか、この問題を含めてこの欠損分は一体どういうものが積み上げられて、こうした欠損の総額になってきたかということについて、まだもろもろ資料が明確でないから答弁できないと御答弁あるだろうと思いますので、この際は答弁を求めませんけれども、やはり私は、法律案を出してきて、そして貸与した場合には、国内産米買い上げ価格の半分程度の補てんをしていかなければならないということでありますので、この補てんに対する内容について、これをどう扱うかということを、きっちりこれまた政府部内でよく検討しておいていただきたいことを要望いたしておきたいと思います。  その次に、産業振興開発資金を貸し付ける特別措置法でありますが、かねて当委員会でも審議されたわけでございますが、その問題に関連しまして一、二お尋ねしておきたいと思います。その法律が通過いたしました段階に附帯決議がなされまして、これは衆議院でございますが、その第一に、「沖繩の基地依存経済の体質を改善し、経済の自立体制とその安定した発展を確保するため長期経済計画を速やかに樹立すること。」こういうふうに附帯決議がなされておるわけでございます。この附帯決議の趣旨を体して、政府としては一体どの程度まで現在作業が進んでおられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  56. 山野幸吉

    山野政府委員 沖繩の将来の長期的な経済の展望と申しますか、経済の計画につきましては、最初に各方面から専門家の調査が行なわれまして、また政府ベースでも調査を行ないましたし、それから諮問委員会でも大来報告書を中心にして目下鋭意検討中であります。しかし、何と申しましても沖繩経済の将来の展望をどういうぐあいに見ていくかということにつきましては、沖繩の基地経済の問題をはじめといたしまして、前提となるべき外的な与件が非常に圧倒的なウエートを占めておるわけでございます。基地経済のウェートがどうなっていくか、日米の経済援助がどう動いていくか、そういったことを前提からはずしてしまいますと、なかなか経済計画は非常にむずかしい。そういう外的な与件が非常にたくさんございますので、現時点においてこれというはっきりした、国内の各県の長期経済計画のようなものはなかなか立ちにくい。  しかしながら、沖繩の経済全体をラフに申しまして、農業においては、ただいまの法案による資金をもちまして糖業、パイン産業の相当思い切った合理化を促進する、あるいは畜産の振興をはかるために、草地造成をして食肉生産地としての地位を高めていく、こういうことが大まかに言われます。  それから、二次産業におきましては、沖繩の地理的条件にふさわしい何か先導産業を確立すべきだ、そういうこともありまして、石油の外資導入の問題も具体化しつつあるし、あるいは宮古におけるパイロット訓練基地の構想もございますし、それから本島の天然資源、天然ガスの開発、そういう問題も具体的な調査を進めております。そういう点であります。  三次産業におきまして、観光産業をはじめとするそういう三次産業振興策もいろいろと具体案は出ております。  これらを基礎にしまして、この間も経済企画庁の総合開発計画の中で、沖繩復帰を控えて積極的な調査に乗り出すというような態勢が示されました。政府機関としましても、米国政府現地の民政府、それから琉球政府日本政府共同してこういう経済の長期展望、長期計画の方途をできるだけ早く確立すべきだということにおいては意見が一致しておりますし、近く話し合いも始めたいというところでございます。
  57. 小渕恵三

    小渕委員 ただいまの長期計画につきましては、不確定なエレメントが非常に多いのでなかなか困難であるという御指摘は、私も認めます。しかしながら、そうであるからといって、この長期計画というものを作成しようという意欲が減ぜられるようなことがあってはいけないと思います。したがって、幾つか予想される要素というものは当然明確なものもあるわけでありますから、必ずしも私は、この一つを取り上げて、これ以外はだめだということでもないだろうと思いますので、長期計画につきましても、複数なものでもいいですからこれをつくり上げて、その予想される線に基づくなり柔軟性をもって対処のできるような形をとっておくことが必要ではないかと思います。  それから、この問題に関しまして産振資金貸し付け法の貸し付けの状況でございますが、聞くところによりますと、この中で特にこの資金がきわめて歓迎され、有効に処置をされておられる項目もあると聞いております。たいへんいいことであろうと思います。しかしながら、同時に、さらに検討を要すべき項目として、たとえば産業開発の点などについては、その資金の運用について必ずしも芳しくないというような意見も聞くのであります。したがって、今度のものは、産振資金貸し付け法に基づくところの条件よりさらに好条件でされていく問題でありますので、前の産振貸し付け法にいろいろ問題点があって、それが条件によるものであるとするなればこうしたものを肩がわりして活用するように、これまたある程度話し合いを進められることを期待しておきます。  もう時間が一時間ちょうど経過しましたので終わりますが、先ほど来の質疑を通じて感じますことは、まずどのぐらい数量をやるかということに明確な考え方がなくしてこの法案を出した。それから、赤字といいますか食管の欠損分をどう補うかという点について、その方法論においてすら政府間の調整がされておらない。やはり率直に申し上げて、国会提出する段階までにそうしたものはある程度整備されておき、結論を出しておくということが、まず当然であろうというふうに私は考えます。法律案は出してきた、内容はいま検討中だというのでは、やはり態度としてうなずけないものがありますので、こうした点について早急に結論を出すことを強く要望いたしておきます。  それから、この法律案をながめてみますと、なかなかよくできたものだと思います。というのは、沖繩産業振興開発、特に沖繩側にとっても非常に役に立つことでありますし、また、年間約一千六百万ドルにのぼる外貨が沖繩においては節約されるということでもあります。それから本土側にとりましても、やや余剰ぎみの本土産米の効果的活用の道がこれによって一部開かれてくる、こういうことで双方にメリットがあるように考えます。しかしながら、こういうふうに一石何鳥ということは、ときとして処理を誤りますとその間違いもまた起こりやすいところもありますので、こういう幾つかの効果が一ぺんにあらわれるような問題につきましては今後適切に処理をされて、間違いのないよう一そうの配慮を強く期待いたしておきたいと思います。最後に副長官の御意見を伺いまして、質疑を終わります。
  58. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡政府委員 だんだんの御注意を承りましたが、全くそのように思います。私どもとしては、沖繩の施政権返還後の経済を十分沖繩の人のお役に立つようにするために、この資金を活用するようにしたい、こう考えますし、その赤字補てんの方法につきましても鋭意検討中であります。数量におきましてもいまだ申し上げる段階には至っておりませんものの、いま先方とよく折衝を重ねておる段階でございまして、早急にきめなければならぬ、そう思っております。
  59. 臼井莊一

    ○臼井委員 関連して一点だけお尋ねいたしたいのですが、それは、ただいま小渕君の御質問や御意見にございましたように、売り渡し数量でございますね。このいきさつは、いまも小渕君が触れられたように、向こうではいろいろ産業開発のための財政の資金が不自由だ、足りぬということで、本年もたしか五十億ですかね、財政投融資したわけですけれども、当時松岡主席が西村農林大臣が参りました際にいろいろ話し合った結果、幸い日本では米がある、自分のほうも輸入している、だからそれでもらえれば、それを積み立てておけばそれを財政資金に使える、こういうことから話し合いができたわけです。ただ、その後屋良政権になりましてから、何か少し——琉球政府のほうの理解がないわけではないと思いますが、何かその点でもどれだけこの受け入れの熱意があるかというところに、将来の運用の問題にも関係するわけですが、それはそれとして、一体アメリカから輸入する量について、日本と違って向こうでは自由に輸入しているのだと思いますから、そこで業者間の話で来年度はこれくらい、こういうことの話し合い折衝をするものと思うのですが、ただしかし、沖繩が特殊な地位にあるため日本政府がやはり外交上折衝しなければならぬ面もあると思うのですが、琉球政府では向こうの民政府とこの問題をどの程度話し合いになっているか、あるいは民間側がアメリカの輸出業者との間でどれだけ折衝しているか。日本の外交関係だけでこの責任をしょって、売り渡し量をきめなければならぬ問題であるかどうか、その点ですね。やはり多く話がまとまれば沖繩側がよけい財政資金を積み立てて使えるわけで、日本としてはそれだけよけいに一般会計から赤字補てんをしなければならない。三万トンとしても、約二十億くらいのものが向こうで使えるわけなんです。ですから、琉球政府は、最近この問題に関してどういうような熱意を示し、どういうような折衝をあちらでやっているかということを、もし御承知ならば伺いたいと思います。
  60. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡政府委員 すでに先生方からお話が出たと思いますが、年間使用するものは約九万トンといわれております。そのうち、大ざっぱに計算して、一万トンは島内で生産されます。残り八万トンが輸入されるものであります。本年は、私どもの承知している範囲では、来年の二月まで買い付けが済んでいるようであります。会計年度関係もあるかと思いますが、そんなわけでございますから、本年はこの法律を通していただいてどのくらいのものを日本から向こうへ送るかという問題は、いま琉球政府のほうの要望にもこたえて鋭意検討しているわけでございますが、これは正式の外交交渉ではないと思いますけれども、従来アメリカを主体として入っていたことでもありますし、両者の関係もあると思いますので、そうなかなか簡単にいかないいきさつは御案内のとおりであります。そこで、目下検討中であるということを御了承いただきたいと思うわけでありますが、こまかくは山野特連局長から御説明いたします。
  61. 山野幸吉

    山野政府委員 ただいま小渕委員からの御質問に対しても御答弁申し上げましたが、輸入数量審議会の意見を聞きまして琉球政府が確定しておる、それに基づいて輸入業者相手国業者話し合いをして、どこは何トン入れるという話し合いをするわけです。したがいまして、いま副長官から御答弁いたしましたように、正式に外交ルートで外交折衝するという問題ではありません。沖繩側としましては、昨年の秋以来、本土復帰に備えて沖繩農業の相当思い切った合理化をはかっていきたい。そのためには、西村構想と申しますか、そういう米の供与によってそういう資金をつくってもらいたい。それに対して琉球政村は全く賛成でありまして、それについて疑義は一つも持っていないわけでございます。数量の点については多少、もらって使うほうと、それから現実の輸入条件との間にいろいろ調整すべき問題はあると思いますが、これらは日本政府におきましても関係国とよく折衝をいたしまして、琉球政府にも納得していただきまして、ひとつ円満にこの資金を所期の目的どおり使えるように持っていきたい、かように考えております。
  62. 臼井莊一

    ○臼井委員 私の心配するところは、いま沖繩は、施政権返還に関して日本とアメリカとの外交の微妙な際ですから、そこでこの問題、向こうの産業には大きく寄与する問題ではありますけれども、いまのお話で大体わかりましたが、やっぱり琉球政府の熱意というものが私どもはもっとほしい。何でも日本が持ってくればそれでいいんだというわけではもちろんないのでしょうけれども、そういうふうにあちら側でひとつ民政府琉球政府との間でもこの問題は話し合って、そうして輸入業者でまとめて、むしろ日本のほうに、これだけひとつ自分のほうに売ってくれとあちら側から申し込むくらいに私はしてもらいたい。これを日本が全面しょって、わずかでもドル防衛を云々している際に、どうもこの問題をあまりしょい過ぎるということではどうか。しかし、向こうの数量要望があれば、こちらとしても、もちろんできるだけの援助アメリカ側に要請するということは必要ですけれども、その点を機会があったらひとつ南方連絡事務所のほうからも琉球政府のほうに伝えてもらうことが私、必要だと思います。やはり受け入れ体制というものが必要だと思いますので、そのことだけ申し上げておきます。これで終わります。
  63. 中村寅太

    中村委員長 井上泉君。
  64. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私は、この法律に関連して幾つかの問題を質問いたしたいと思いますけれども、いまの政府沖繩に対する援助のやり方に対しては、巷間こういうふうなことばがあるのです。一つは、つり食い競争にぶら下がったパン、あるいはアユの化かし釣りの毛釣り、そういうふうなことをいわれている。それはなぜかというと、つり食いのようにぶら下がっておるパンは、なるほどぶら下がっているがなかなか食うにも食えない、食ってもその一部、まさにこの法律もそのとおりではないか、あるいは毛釣りのアユは、これをえさと思って食ったところが釣られた、こういうふうな状態。いま小渕委員の質問の中でも、こういう法案を出す以上は、一体どのくらいの数量沖繩に渡し、これくらいの金ができるのだ、だから二年、三年の間にできた金でこういうふうなことをするんだ、そういうふうな具体的な構想というものがなければならぬ。それを、今後において検討するとかいうことにいたしますというと、アメリカ側の圧力によって日本の米を使っては困る、こう言ってこられたら、こういう法律を幾らつくってもしようがないじゃないですか。その辺の事前折衝にしても、きわめてあいまいである。その点からも、政府は、いま質問されておる方のなにを聞いても、沖繩というものは日本の国土の中にないような考え方の上に立って、沖繩県民は日本国民ではないという理解の上に立ってこの法律考え出したのではないか、そういう疑問を抱き、失望を感ぜざるを得ないわけですが、そこで、まず食糧庁の長官にお尋ねします。  韓国に対して相当量の米を出したのですが、この韓国に対する米の量、金額、条件、これをひとつ説明願いたいと思うのです。
  65. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国に対しましては、日本産米を供与いたしまして、等質等量の韓国米を将来返還してもらうという考え方に立って、貸与の契約をいたしたわけでございます。数量は、玄米で三十三万三千トンでございます。条件の主要なものは、返還開始は貸し付け後十年据え置き、それから二十年間に均等に返還をするという条件でございます。その間の貸し付けの代価に対する利子は徴しないという考え方のものでございます。
  66. 井上泉

    ○井上(泉)委員 同質同量の米を戻してもらうということで三十三万三千トンの米を供したというのですが、そんなことができますか。同量同質の米を十年先にもらうということができますか。日本の米と韓国の米とは違うんですよ。
  67. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国にも日本の米と違う種類の米は確かにございます。しかし、韓国の大部分の米は、御案内のように日本種ジャポニカでございまして、検査等級等も全く日本と同様の基準にありますから、等質等量の米の返還ということは、何ら困難がないというふうに考えております。また、過去において韓国の米を日本に輸入いたしましたときにも、わが国のこの米の扱いについては、内地米と全く同様に扱ったという経験もありますので、等量等質の米の返還ということに私は疑問を持っていないのであります。
  68. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、十年、二十年先には、あなたも食糧庁長官をやってないでしょう。だから、十年後の日本というものを考えたときに、こんなことは、国民はだれしもまともに受け取ってないです。韓国の政情だってどう変わってくるかわからない。それを等質等量の米を十年据え置いて、二十年後に戻してもらう。そうすると、十年先には、日本の国は、米は韓国から戻してもらわねばならないような食糧の生産体制に持っていこうという構想ですか。
  69. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 現在の日本の米の需給関係は、私からここで申し上げるまでもなく、構造的な供給過剰状態にあるということは周知の事実であるわけでございます。昨年、農林省が農産物の需給と生産の長期見通しを公表いたしました際にも、現在のような作付面積がそのまま変動なしとすれば、昭和五十年度には約百八十万トンの供給過剰になるという見通しをいたしておるのでございます。そういう供給過剰の状態を続けることは農業の政策としても適切ではないということで、五十年までにはおおむね需給の均衡がはかられるであろうという考え方をとり、また、そういう需給の均衡をとるという方向で政策を進めていくという考え方でございますから、十年を経過いたしますときには、政府の需給操作のために、韓国の返還米がその需給操作に役立つような時期になるであろうという考え方を持っておるのでございます。
  70. 井上泉

    ○井上(泉)委員 その三十三万三千トンというのは、一体米の価格は幾らになるのですか。
  71. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 現物貸与でございますので、両国間でこれをどういうふうに評価するかというような必要もございませんでしたので評価をいたしておりませんが、三十三万三千トンというものを国内の売り渡し価格というもので評価いたしますれば、トン当たり十二万五千円でございますから、三十三万三千トンを乗じますと、正確に計算いたしておりませんが、約四百億程度になろうかと思います。また、これを国際価格で評価するということになれば、二百億程度ということになると思います。
  72. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは現物を韓国へ渡したのだから食管会計の経理面ではこれは別だ、売り渡しをすれば当然四百億という金が入ってくるのだけれども売り渡しをしないでやったのだから入ってこぬ金だというのは、帳簿面ではどう扱うのですか、この四百億という金を。
  73. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 国内米管理勘定に、貸し付け米ということで資産として計上するわけであります。
  74. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、その四百億という金が、十年、二十年、三十年たったら、いまの安い金利計算でやって、かりに五分五厘の金利計算でやってどうなるのですか。出してください。ばく大な国費の損失じゃないですか。
  75. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 食糧管理特別会計としましては、貸し付け米でございますから、いま申し上げましたように資産としては計上いたしておりますが、それ自身は損失にはならないわけでございますが、かりに御案内のように、食糧管理特別会計資金の調達は、調整勘定の資金で十分でない部分については食糧証券の発行によって借入をいたしておるわけでございます。(井上(泉)委員「金利が要るでしょう」と呼ぶ)これに対する金利がかかりますので、三十年の期間、食糧管理特別会計としては金利の負担をせざるを得ないのでございます。(井上(泉)委員「金利は幾らですか」と呼ぶ)金利の累積額は、ちょっと私の手元に資料を持ち忘れまして恐縮なんですが、私の記憶では、たしか累積金利額は四百六十億程度になろうかと思いますが、一方において、貸し付け米として韓国に行っておりますので、かりに国内において食糧管理特別会計で管理をいたしておりますれば、保管料の負担があるわけでございます。その保管料の負担だけは免れることができるという利点がございます。
  76. 井上泉

    ○井上(泉)委員 あなた、そんなばかなことを言いなさんな。保管料の負担といったって、米を二十年も三十年もためるところがどこにあるのですか。あなた、ためますか。四十二年の米でさえも古米でどうにもならぬといってわいわい騒いで、今年の米の値段を上げないで、そうして作付転換なんか奨励しておるんじゃないか。その米を二十年も三十年も倉庫に置くと倉庫料が要るから、それから見ると米を韓国に渡してもそう違いはないという、そんなばかなことがあるんですか。それでは倉庫料は幾らになるか、計算してください。それと同時に、あなた自身が、自分がたんぼなりあるいは物を持っておる。人から借金をして洋服を買った。その買った洋服は、十年先にはこれと同じ質のものを返してくださいよ、それは返します、こういう約束だった。ところが、いまあなたが五万円なら五万円でその洋服の生地を買っておったのが、三十年たったらこれは十万以上になるでしょうが、そのときに等質等量の米をもらったところで、これは得になると思いますか。
  77. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 米を二十年、三十年保管するようなことはないじゃないかというのは、仰せのとおりでございます。しかし、食糧管理特別会計が過剰米をかかえております姿では、新しい米と循環をしながら保管をしていくわけでございますから、かりに三十三万三千トンを特別な処分をしないということであれば、やはり需給関係において過剰がある限り、これは当然政府は保管の責めを負うわけでございますから、同一の米ではなくとも等量の米の管理の負担というものは当然続くわけでございます。  それから、等質等量の米を返還を受けるということに相なりますと、返還時における米の価格水準はどうなるかという問題があるわけでございますが、一般的に申し上げまして、農産物の価格は将来下がるとはとうてい思えないのでございますから、帳簿面における受け入れ後の整理の際には、おそらく私は、評価益というものが出ることになるであろうというふうに思っております。
  78. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、十年、二十年——三十年と言わぬですが、平均して二十年間のこの三十三万三千トンの倉庫料は幾らですか。あなた韓国にこれを売り渡すときには、それくらいの作業をするのはあたりまえでしょう。
  79. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 大体保管料の負担は金利の約半分でございますから、大ざっぱに申し上げまして、全期間を通じまして二百三十億前後というふうに計算されます。
  80. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これはもちろんあなたの金ではないし、わが国の国民の大事な血税であり、米にしたところで百姓が営々としてつくった米です。その米は、いま韓国に約四百億程度の米を渡す。その金利だけでも四百三十億負担がかかる。そうなりますと、国庫へばく大な損失を与えるわけです。国民に大きな損失を与えるわけです。ところが、あなたは、米が余っておるから韓国に出すということは、余剰米を処分しなかったらそれだけ倉庫料が要るから、だからその倉庫料を考えればというような答弁をされた。その倉庫料は二百三十億、それなら金利より安いじぁないか。いわゆる資本主義的に計算して割り切ってやれば、いま三十三万三千トンの米を韓国へ等量等質で十年後にわれわれに戻してもらうというようなことをしなくとも、数字的に、計算的に割り切れば、何らそういう必要はない。むしろ安くてもそれを処分したほうが、もっと国庫のためには得なわけでしょう。得にならないかどうか、その点について。
  81. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国への米の貸与の問題に限りませんが、国外に対する米の処理の問題は、相手方のあることでございますので、日本側が最も都合のいい方法だけしかとらないということになれば、現在のような米の過剰状態のもとにおいて、適切な処理は非常に困難になると私は思うのでございます。     〔中村委員長退席、小渕委員長代理着席〕 韓国に対する貸与の場合も、韓国側の御意向というものと日本の政府意向というものとの一致点で処理をする以外にはないわけでございます。韓国側が、長期の現物貸与方式、現物返還方式で日本米の供与を要請してまいったということに基づいて処理をいたしたのでございます。  なお、多少よけいなことを申し上げてお気にさわるかと思いますが、いまのような需給の状態のもとでは、過剰米の一部はどうしても特殊の処分をせざるを得ない。これは、私ども食糧管理をしているものとしては、はなはだ心苦しい問題なのでございます。日本の農民が営々としてつくった米であるということ、仰せのとおりでございます。それは食糧として、国の内外を問わず、できるだけ活用していくということが、私ども食糧管理の責めに当たっておるものにとっては努力すべきことであろうというように思っております。
  82. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それはあなた、役人としては当然そういうようなことを考えるのがあたりまえかもしれませんけれども、それじゃ二百三十億円という大きな損失になることは、これはお認めになるでしょう。それは相手方があるから、結局米を等量等質で十年後二十年年賦償還で戻してもらう、この方法というものは韓国に対して二百三十億円の経済援助、つまり日本の金を韓国へやるのと同じであるということに、結果的には間違いないでしょう。
  83. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 隣国の韓国が、御承知のように二年続きの不作に見舞われまして、食糧事情が非常に窮屈な事情にある。その際に、わが国に食糧供給の余力があるということから貸与の形で米の供与をいたしましたことは、ある意味で国際協力の性質を持っておると思いますが、現物を貸与し、現物を返してもらうということの関係で、純然たる経済援助という性質のものではないと理解いたしております。
  84. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そんなことはないでしょう。純然たる経済援助じゃないと言うが、十年据え置いて二十年後に戻してもらうということですから、その間の金利というものは、当然これは経済事情——米がその時分に、金利に相当する倍の価格になっておるかもしれないと、こう言われますけれども、いまの日本の米の状態から見て、米が十年後に倍になるというようなことが予想されますか。本年あたりだって、米価上げないじゃないですか。私は、韓国に援助することがよいとか悪いとかはまだ言ってない。言ってないけれども、韓国へ二百三十億円というものに相当する金額の米を出すことによって援助を与えておる、こう理解せざるを得ないので、そのことをあなたに言っておるわけです。隣国の韓国が二年続きの不作で困っておる。困っている韓国にこういうことをするのは国際上当然のことであるということは、りっぱな心がけでしょう。ところが、沖繩県民は日本人であるということをあなたは忘れていはしないですか、どうですか。
  85. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 沖繩の人たちが日本人であるということは当然のことでございまして、忘れるはずはないのでございます。
  86. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それじゃ沖繩県民は一体どういう食糧状態にあるか、特にあなたが関係するところの沖繩農民は、どういう食糧状態にあるということを把握しているのか、御説明を願いたい。
  87. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 沖繩事情につきましては、総理府のほうで詳細……。
  88. 井上泉

    ○井上(泉)委員 総理府だけでないでしょう、農林省でもやるのでしょう。
  89. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 私どもの理解しておりますところでは、沖繩では米の年間総消費量が約九万トン、それに対して島内の生産がラウンドにしまして約一万トン、八万トンの米を外国から輸入を行なっておるというふうに理解いたしております。そういう事情でございますから、沖繩の島内におきましては、消費価格については統制価格が設けられておる。また、島内産の米については、財政資金による一種の不足払い的な支出を行なっておるというふうに理解いたしております。
  90. 井上泉

    ○井上(泉)委員 あなたは、韓国に米が不足していると日本が援助することは国際的に当然のことであり、けっこうなことだと言う。それと同じように、またそれとは次元が違うもっと大切なことは、同じ日本の国民が非常な苦しみを受けている。かゆをすすっている、イモがゆもすすれない、そういうふうな状態に沖繩の農民があるということについての、あなたには理解がない。この法律総理府が出してきておるといいましても、やっぱり食糧に関することであるし、農林省がこのことについては十分検討した上において、十分参画をした上においてこれはなされたものであると私は理解をしておるのでありますが、この法案を出すにあたって、農林省としては総理府話し合いをしなかったどうか、その点を承りたい。
  91. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 沖繩産業開発に資するために本土産の米穀売り渡しまして、それについての延べ払い方式をとるということでございますから、当然食糧管理特別会計と関連がある問題でございますが、農林省としても、この法案の立案については総理府と密接に連絡を保って今日までまいったのでございます。
  92. 井上泉

    ○井上(泉)委員 総理府と密接に連絡を保ってやればなおさら——なおまた聞きたいのですが、いま沖繩はいわゆる両三年のうちに返還をされるというめどが立てられておって、沖繩の県民としては返還には非常な期待をかけられている。そうすると、いまは施政権はアメリカにございますけれども、もう二年たてばこの施政権も当然お互いの中にあるわけです。つまり農林省の行政の管轄の中に入るわけであります。そういう点から沖繩農業というもの、沖繩の食糧というものを食糧庁が検討するのはあたりまえのことであるのにかかわらず、沖繩の県民の食糧事情についての認識が非常に欠除しておる。そういうあなたが、普通の農林省の一役人なら私はあえて言いませんけれども、食糧庁の長官という農林省の首脳官僚が、そういうふうに沖繩のことはよその国のものだ、よその国のことだという考え方がありはしないか、それよりもお隣の韓国は困っておるから、国際的に援助してやるのが当然日本人としての一つのつとめだ、こういうふうな非常に聞こえのりっぱな言動をなされておるわけですが、この韓国に対する米の貸与のほうは農林省のほうで直接担当してやられたのですか、それとも総理府とかあるいは外務省とかと話し合ってやられたものであるか、この点ひとつ……。
  93. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国に対する米の貸与につきましては農林省が責任を持って実施に当たったのでございますが、もちろん国際間のことでございますから、外務省とも緊密な連絡をとり、また事は、先ほども御指摘になりましたように、三十三万三千トンという大量の貸し付けでございますから、政府全体としての基本方針をおきめ願った上で農林省食糧庁として処理を進めた次第でございます。
  94. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それで韓国のほうは、韓国から要請があったら、たまたま日本の国では米も余っておるからこれはやった、こういうことに理解をしておっていいですか。
  95. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 大体御指摘のようなことでございまして、このことは韓国にとっても有益で、かつ日本の食糧管理の立場からも十分評価できるものであるという考え方でやったものでございます。
  96. 井上泉

    ○井上(泉)委員 少なくとも国庫に対して二百五十億にも近い損失を与えるような韓国に対する米の貸与、これは別に食管法を改正する必要もなし、あるいは特別立法措置をする必要もこの韓国の場合にはなかったのですか。
  97. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 食糧管理法七条の規定で……。
  98. 井上泉

    ○井上(泉)委員 あったかなかったかだけでいいですよ。
  99. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 政令の規定さえあれば行政府として貸し付けができるということでございまして、政令の制定を待ちまして貸し付けを行なったわけでございます。
  100. 井上泉

    ○井上(泉)委員 沖繩に対する場合にこの法律でやらなければいかぬのと、韓国の場合には政令でやるのと、どういうふうに——沖繩の場合にはなぜ法律でやらなければいかぬのか。韓国の場合にはそうやって政令でやって、国会もつんぼさじきでそのまま素通りで二百三十億もの金をやった。こちらのほうは、わずか四億程度だから金額はたいしたことはないでしょう。この点について説明してもらいたいのです。
  101. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 沖繩の場合には現物貸与、等質等量のものを返してもらうということは期待できませんし、また、先方もそういう意向を持っておらない。結局売り渡しの方法をとらざるを得ない。売り渡しということになりますと、これは法律上は輸出ということになるわけでございます。輸出自身は食糧管理法第六条によって認められておるところでございますが、その場合の代金の延納あるいは利子の徴収を免除するといいますか、利子は取らないということは食糧管理法の規定からは出ないのでございまして、国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律の範囲内では琉球政府の要請にこたえ得ないということに相なりますので、その特例法をつくる必要があるということが、少なくとも私のほうの立場からはこの法律を必要としたゆえんでございます。  そのほかに、総理府においてこの資金の使途、そういうことについても法律上基本的な線を明確にする必要があったというふうに聞いております。
  102. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これはあなたに質問するのが当たるかどうかわからぬのですが、少なくとも二百億以上のものを現時点においては国庫に損失を与えることが明白になっておるような韓国に対する米の貸与について、法律でこれを定めるとか——食管会計にその分だけ当然赤字が出てくるでしょうし、それを今度は一般会計から繰り入れるという、沖繩と同じような法律というものは、これは当然出さねばならぬ性格のものではないかと思うのです。これは私、その辺のことについては十分わかりませんけれども……。  そこで、沖繩の県民が、あの沖繩に行って何が一番まずいといっても沖繩の米が一番まずい、こう言うでしょう。あなた方、沖繩の米がうまいと思っていますか、御答弁願いたいと思います。
  103. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 私も先年、沖繩へ参ったことがございますが、沖繩で食事をいたしましたときに、特にうまいともまずいとも感じなかったわけであります。
  104. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それはあなた、高級ホテルへ泊まったから、あなたたちに食べさせるものはりっぱなものだから、だからそういうふうに感じなかったかもしれませんけれども、だれしも沖繩の米はまずい、こう言う。まずいのはあたりまえであって、それで一日も早く一粒でも多く日本の米を食いたい、私どもは日本人だから日本の米を食いたい、こういう願いを込めた要求というものが何年も前から出されておる。それをなかなか受け入れない。そして屋良さんが当選されてからも、本土はいわゆる西村構想というものを早く実現してもらいたい、こう屋良さんが言ったじゃないですか。そういうふうな状態の中に沖繩があるということを承知いたしましたならば、こんなしちめんどうくさい法律をつくる以前において、もっと沖繩に対する思いやり、沖繩を自分の国のものだという認識の上に立った措置がとられてしかるべきだと思う。それをお隣の韓国、よその国の韓国に対しては法律は改正する必要もなし、新しくつくる必要もなし、二百何十億もの金を国庫に損失を与えて、それでのうのうとして過ごすような、そういう役人の頭というものは一体どこにあるのか、まことにふしぎ千万に思うわけであります。     〔小渕委員長代理退席、臼井委員長代理着席〕 これで日本の農政というものが回されちゃたいへんだ。聞くところによれば、アメリカは、農業の自由化と自動車の自由化を全面的に押しつけてくる。そういうふうな情勢の中にあって、日本の農民の利益を守るような立場というものをあなたらでとられるかどうか、こういうふうに疑問を持たざるを得ないわけです。  そこで、あなたは米の値段ことで頭が一ぱいなものだったから、沖繩の農民の実情については承知をしていないと思いますので、ここにお見えになっております蚕糸園芸局長にお尋ねしたいと思っておりますが、一体、沖繩の農民がどんな状態にあるのか、沖繩の農民の生産する物はどんな状態なのか、それから沖繩の農民の食生活はどんな状態なのか、その点について説明願いたいと思います。
  105. 小暮光美

    ○小暮政府委員 沖繩の詳しい事情につきましては、蚕糸園芸局としては直接詳細な調査はございませんが、御質問の中のどのような農業の状況であるかということにつきましては、私ども砂糖行政との関連で把握しておりますところで申し上げますと、全体の耕地面積約五万ヘクタールのうちの約六割がサトウキビに集中しておるようでございます。その他の四割が各作物でございますが、水稲はきわめてわずかで、約四千ヘクタールというふうに承知をいたしております。
  106. 井上泉

    ○井上(泉)委員 沖繩のことを表現してイモとはだしというふうに日本のある有名な政治家が言った。これは沖繩県民の状態を象徴してイモとはだし、こう言ったのですが、あなたはそのことばをどう理解しましたか。
  107. 小暮光美

    ○小暮政府委員 まことに残念でございますが、寡聞にしてそういうことばはまだ聞いてございません。
  108. 井上泉

    ○井上(泉)委員 ほんとうに常識の少ない方ですね。新聞を読んでおったら、あれだけ大騒ぎになったんだから承知をしておると思うけれども、イモがゆも食えないという状態で——私がここに持っておるのは週刊朝日ですが、「本土の農家がうらやましい」、「脱落相次ぐ石垣島の開拓部落」、こういう中に載っておるのですが、イモがゆをすすって食うのがやっとの状態だ、こういう悲痛な状態があるわけです。米を食うどころじゃない。イモがゆをすすっておるのもやっとの状態。「パインもダメ、キビもダメ。そこへ本土の農林省からえらい人がきて、『販路は心配するな、責任をもつ』というから、肉牛を飼った。ところが、肉牛の値は下がる一方、それどころか買手がさっぱりない。あの役人がもういちどきたら、まっさきに文句を言いたい」とこう言って農民の人が嘆きながら憤慨している。これは蚕糸園芸局の役人ではないかもしれませんけれども、全体的に沖繩の農民というものはこういう悲惨な状態なんだ。  そこで、イモとはだし論が沖繩のそういう県民の生活状態を象徴したことばとしてずいぶん取りざたされたけれども、あなたは寡聞にして知らないと言うから私はあえて言わぬですが、総理府総務長官はこのことばを耳にしたことがあるのですか、あるいは活字を見たことがあるのですか。
  109. 床次徳二

    床次国務大臣 イモとはだしという問題、これは選挙中にある一部の人が使ったことばであったと思いますが、私は、現在の沖繩におけるところの経済というものが非常にそこなわれた場合におきましては、そういう悲惨な状態におちいるおそれがあるという意味において言ったのではないかと理解しております。
  110. 井上泉

    ○井上(泉)委員 あなたは、沖繩の問題についてはいろいろ見解を本でもあらわしておられるし、私自身、それこそ寡聞にしてあなたの本は読んでいないわけですけれども、あなたは、沖繩復帰については非常に熱心だということだけは承知いたしております。  いま食糧庁長官に、韓国に対して米を貸与することによって国庫に対してばく大な損失を与えてまで、日本の米が余っておるから、ちょうどお隣の韓国は米が足りないと言ってきておるから、少々ここで三百や四百億損しても、十年先にぼつぼつ米を戻してもらったらいいからという形で出す。それに対しては法律を制定する必要もなし、別段国会の中で審議をわずらわすというようなこともなしにやってきておるわけですが、そのことから考えても、そういうふうなことが一あなたも政府の閣僚の一人ですから、これは別に農林省がそういうことをやったことが違法であるかどうかわかりませんけれども、不法な行為であることには間違いないと思うのですが、どう思うのですか。
  111. 床次徳二

    床次国務大臣 韓国に対しましては政令で米を貸与し、沖繩に対しましては法律をつくる、この点まことにその取り扱いが逆ではないかというような御趣旨もあるかと思うのでありますが、私どもは、沖繩と韓国とは本質的に違うと考えておる。韓国と同じような貸し方をする、供与のしかたをすることは間違っておるので、別個の方法でもって行なうべきものだ、かように私ども考えておるわけであります。その点、あえて法律をもちまして特別な取り扱い方をいたしたわけでございます。
  112. 井上泉

    ○井上(泉)委員 韓国と沖繩とが違うのはあたりまえであって、違うから言っておるのであって、韓国は外国でしょう。沖繩は外国ですか、総務長官
  113. 床次徳二

    床次国務大臣 沖繩も当然復帰すべく予想されておるところでございます。したがって……(井上(泉)委員「外国か日本かということです」と呼ぶ)これは施政権がアメリカにありますが、日本人がおるところでありまして、しかも私どもは、一日も早く施政権の復帰努力しておるところであります。
  114. 井上泉

    ○井上(泉)委員 施政権というのは、財産でいえば動産でしょう。だから、沖繩の国土は日本の国土であり、沖繩県民は日本国民であるということには間違いないでしょう。
  115. 床次徳二

    床次国務大臣 日本の領土でありまして、なお、住んでおる人は日本人でありまするが、しかし、その施政権というものは……(井上(泉)委員「施政権は動産でしょう。持っておるから」と呼ぶ)平和条約三条によりまして、アメリカが今日行使しておる次第であります。したがって、その施政権が本土に返らなければ、本土と同じようにはなり得ないというのがいまの状態であります。
  116. 井上泉

    ○井上(泉)委員 その本土と同じようになり得ないということは何ですか。施政権が返ってこないと沖繩は日本国の国土といえない、こういうわけですか。沖繩の県民は日本国民とはいえないわけですか。
  117. 床次徳二

    床次国務大臣 だいぶ議論がありましたが、施政権がなければ本土と同じとはいえない。(井上(泉)委員「日本の国土といえないか」と呼ぶ)日本の領土でございます。日本の領土ではございますが、しかし、施政権が行なわれておりませんので本土法律が適用されていないというところに、現在沖繩の人たちが非常な苦痛を感じておる次第でありまして、立法、司法、行政がアメリカのもとにあるという点で非常に大きな差があるわけであります。
  118. 井上泉

    ○井上(泉)委員 だから施政権の返還を日本が要求しておるんでしょう。アメリカは施政権をとっておる。そして今度施政権を日本は要求しておる。この施政権というものは、物にたとえれば動くものである、動産である。動産である以上は——いわゆる国土というものは不動産でしょう。国民というものは、国家の成立要件としてなくてはならない存在でしょう。何ぼ土地があっても家がなければ、国家というものは形成できない。だから私は、沖繩を日本の国土としての考え方であなたがやるのと、施政権がアメリカにあるからあれは日本の国土ではないという考え方でやるのと、施政権がアメリカにあるから沖繩の住民は日本国民でないという考え方でやるのと、行政上に、いわゆる沖繩に対するあなたたち政府の態度というものに大きな違いが生じてくるので、この点についてもう一度総務長官沖繩問題に最も理解のあるあなたですから、明確に答えてもらいたい。
  119. 床次徳二

    床次国務大臣 いまの施政権が動産であり、領土が不動産であるというようなことにつきましては、これはちょっと当たらないのではないか。これはほんとうの施政権の行使の問題でありまして、さように御理解をいただきたいと思うのであります。私どもは、今日におきまして施政権がありませんために沖繩県民が非常な悩みを持っておる、また、現実におけるところの生活におきましても大きな格差ができておるということに対しまして、本質的な施政権返還の要求の態度であるのでありまして、いわんやたとえ経済的に同じ、あるいは本土よりいい状態でありましても、施政権を持たないというところに私はなお一そう大きな問題を感ずるのでありまして、一日も早くこの意味において施政権が返り、同時に、その生活自体が本土並みになるということを一日も早く実現いたしたい、これが私どもの基本的な心がまえでございます。
  120. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私が施政権を動産、国土を不動産と言うのはたとえだ。私も法律学者ではないし、その辺のことはわからないけれども、いわゆる施政権というものはアメリカが現在持っておるけれども、この返還をわれわれが要求しておるというのは、沖繩は日本の国土だから、それがアメリカの施政下に置かれてはたまらぬから戻してくれ、あるいは沖繩県民は日本国民だから、これをアメリカの施政権の中に置いておくことは、沖繩県民から見ても、日本国民としても耐えられないからその施政権を戻してもらわねばならぬ、こういう願いであることには間違いないでしょう。
  121. 床次徳二

    床次国務大臣 さように考えておりまして、施政権のすみやかなる復帰を私ども要望いたします。
  122. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういうことになりますと、沖繩は日本の国土であり、沖繩住民は日本国民であるという厳然たる認識の上に立って、あなたは行動しておるということに理解をしておって間違いないですか。
  123. 床次徳二

    床次国務大臣 さようのとおりであります。ただ、現実において相当差がありますので、その差をなくすために今日一体化——一体化施策というものは、その意味におきまして非常に意味がある。一体化を行ないまして、そして復帰する際におきまして、本土沖繩の間において円滑に復帰が行なわれ、その間に摩擦が生じないようにするという意味におきまして今日対処をしておる次第であります。
  124. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、私はあとのことを聞かずに、あなたが沖繩は日本国土であり、沖繩住民は日本国民であるという認識の上に立って一日も早い返還を願っておる、こういうふうに行動しておると私どもは理解しておるのです。そして本土との一体化をやっておる。その場合に、この法律でなぜこういうことをやるのですか、三年以内の据え置き期間を含む二十年以内の年賦払いとする条件で琉球政府に売り渡す。両三年内に沖繩返還をされようとしておるわけでし、よう、されるんでしょう。そうすれば、沖繩政府というものは、日本に復帰すればそのときに沖繩県ということになるのでしょう。それで沖繩県となった場合に、この沖繩県のそれらの負債がいわゆる日本政府に引き継がれるというかっこうになると思うわけですけれども、この法律そのものが、本土との一体化を望むために立てられた法律とは私は理解しがたい。私はこの点についてもっと質疑を続けさしていただきたいと思うわけですが、韓国に対する三十五万トンの米あるいは四百何十億に相当するところのばく大な国費の支出をさしておいて、それが十年据え置いて二十年、つまりこれで三十年。韓国は外国である。ところが沖繩は、日本の国土であり、日本の国民である。しかも両三年以内には施政権が返ってくる。こういう時期に、今日沖繩の住民が米を食いたい、そして沖繩農業は破壊に瀕しておる。それで日本の大政治家ともあろう人が、イモの話とかそんなことを言っておる。それで沖繩では、そういうような状態の中から何とかして早く本土復帰をして、本土の農民並みの状態を沖繩の農民も味わいたい、なりたい、こう願っておるときに、私は、これを三十年も先まで沖繩というものを復帰しないような状態の中でこの法案を出してきておるということは、どうも解せない。米をやるということはいいのですよ。米をやるということについては異論がないけれども、その米をやることについて、こんな長期関係琉球政府とやるというようなことは、これは本土の一体化を望む日本政府としてとるべき態度ではないと思うのですが、この点についてはどう思いますか。
  125. 床次徳二

    床次国務大臣 据え置き期間をつけて年数がついておりますことが非常に過酷な条件のようにお考えになっておりますが、私どもは、当然本土復帰するということを前提にいたしまして、そのたてまえを予想しながらなおできるだけのいい条件でもって供与するようにいたしたいという意味におきまして、こういう条件がついておるのであります。  なお、御承知のごとく、今日日本の食糧管理制度というものは日本国民の相当大きな負担にもなっておる、そういうこともやはり考えまして条件をきめたのでありまして、本土に対しましても十分な説明がつくように、また、地元沖繩県民に対しましてもこの供与というものを喜んで受け入れることのできますように、かような立場から立案いたした次第であります。
  126. 井上泉

    ○井上(泉)委員 さっきの質疑の中で、沖繩県はアメリカ米とか豪州米とかカナダ米を八千トンぐらい入れておる、そのうち何か四万トンぐらいを日本の米でやりたいという希望というか、そういうような話をされたのですが、これは四万トンぐらいを目標にしておるのですか。これは私初めにちょっと質問したのですけれども、あなたいなかったから、あらためてあなたに聞きたいのですが。
  127. 床次徳二

    床次国務大臣 御承知のごとく、九万トンの消費に対して一万トンは自産で、八万トンを豪州あるいはアメリカから買っておるということは事実でありまして、従来からそういう商取引がありますところへ今度の本土来の供与ということが出てまいりましたので、地元といたしましては、本土米ができるだけよけい入ることが県民のために利益であるというふうに考えておるわけでありますが、従来の商取引のいきさつもございます。したがって、私どもは、そういう過去の実情というものを考えながら、できるだけ多量のものを供与したい、また地元の人も、県民といたしましても、できるだけ多量のものを供与してもらいたいというのが今日の状態でありまして、私どもこの点、新年度米につきましてはすでに豪州とは契約ができまして二月まで買っておりますので、残りました期間につきましては、できるだけひとつ本土米をよけい買うように交渉しておる最中でございます。
  128. 井上泉

    ○井上(泉)委員 できるだけ多くというのは、四万トンという数字をあなたはさっき答弁されておったのですが、それは消えたのですか。
  129. 床次徳二

    床次国務大臣 それは先ほど申し上げましたが、八万トンの輸入量がありますので、従来の経緯等を見て半々とすれば四万トンだということになったのではないかと思っております。私ども、できるだけそのシェアがふえることが望ましいことと考えております。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 井上泉

    ○井上(泉)委員 大体こういう法律を出すときに、大体の数量目標ぐらい——これは与党の議員からの質問の中でも言われことですから、くどくこのことについては言わなかったわけですけれども、大体どれだけの米を沖繩へ出して、それでどれだけの金をつくって、大体二、三年の間にはこんな仕事をする、そうしてこの仕事をすることによって本土農業との間に格差のないようなこういう仕事をする、こういうふうな計画くらいはあってしかるべきであるし、当然説明をしてしかるべきだと思うわけですが、そういう説明が、今日の段階では全然そんなことは説明ができない状態にあるのですか。ただこの法律を、屋良さんから、早う米を回してもらいたい、沖繩県民も日本の国民だから日本の米を食いたい、早う日本の米を食わしてもらいたい、こういうふうに言ってきている。こういう法律をつくって、数量がなんぼかわからぬけれども、私が初めに言ったように、まるでつりパン食い競争のパンのように、飛びつけ飛びつけというようにぶら下げておるというようなかっこうでこの法律を出したのですか。どっちですか。
  131. 床次徳二

    床次国務大臣 この法案を出しましたときにすでに折衝中でありまして、これは先ほどもお答え申し上げましたが、琉球政府自体が毎年度輸入量をきめまして、そうしてそのきめられました量に応じまして関係業者が外国と折衝して輸入するという取り扱いになっております。したがって、従来のそういう取り扱いに対して、新しく本土米を入れようというわけでありますので、ここに関係が変わってまいりまして、今日、私ども先ほどから繰り返しるる申し上げておりますように、できるだけひとつ量をふやしたいという折衝をいたしておる最中でありまして、今日具体的に幾らの数量でもってどうということを申し上げますことはちょっと差しつかえがある、その点かえって解決のためによくないかと思いますので、今日一生懸命努力しているということでもって御了承いただきたいと思います。
  132. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういうことは、別に原子力潜水艦が入ってきたのどうの、あるいは軍事基地をどうするかという問題でもないわけですから、俗に言う軍事機密でもないし、少なくとも日本政府の良心にかけて、日本政府がいわゆる本土と同じ沖繩県民に対する良心にかけても、これだけのことは米の場合には——韓国には四百億円近いものをただやるけれども、おまえのところは同じ日本国民だからまあしんぼうせよ、まあしんぼうせよと言うかわりに、これだけのものはやるぞよという数量のものは示してやるのが——これはいまのところ交渉に支障を来たすとかいうのと逆じゃないですか。やはり政治というものは、あなたがやられることが沖繩県民にぴしっと通じてこそ初めて生きた政治の姿があって、こういうようなどれだけのことをやるやらわからぬような——いま沖繩の農地がどういう状態なのか、沖繩農業がどういう状態にあるのか、そういうことをあなたが知っておれば、そんな思いやりのない、愛情のない態度をとるではなしに、少なくとも八万トンぐらいは、できるだけ多くやるのだけれども、少なくとも沖繩県民が必要とする米は日本の農民がつくった日本の国の米でまかなうようにわれわれは努力するのだ、そうしてその米の代金はこうこうこういうふうにするのだということを示してこそ、沖繩国民に対する血の通った政治の姿であると思うわけですが、まだそんなことは言えないわけですか。
  133. 床次徳二

    床次国務大臣 まことにごもっともな御意見でありまして、私どもできるだけ早く具体的な数量結論を得たいと思って一生懸命やっておる、私はもう近いうちにきまると思います。  なお、何に使うかということの事業目標につきましては、先ほど申しげました糖業あるいはパイン産業あるいは畜産あるいは治水等、いろいろの具体的なことを検討しておりまして、この数量がきまりまするならば、同時に金額もきまってくるという形で、その使途もさらに具体化し得るわけであります。御趣旨のように、この点につきましては私どもも、なるべく早くその数字を確定いたしたい、そういうふうに交渉を急いでおる次第でございます。
  134. 井上泉

    ○井上(泉)委員 この法律で、このことによって受ける沖繩における利益というものは、主として農業関係の方面にこの金が利用される、使われることになっておるわけです。  ところで、沖繩の農地、沖繩国民の所有していた農地の問題について、総理府としては一体どう考えておるのか。この点を、本土との一体化あるいは返還を目ざしておる場合に考えなければならない問題だと思いますが、これも週刊朝日に載っております。「とまどう五万人の”軍用地主”たち」というものですが、これによると、十年前払いの軍用地代の契約がこの六月に切れる。六月に切れることによって七月から新しく契約をしなければいかぬ。それについて本土としては、この沖繩の接収をされておる軍用地に対して、いわゆる借りられておる軍用地に対してどういう取り扱いのしかたをされておるのか、御答弁願いたい。
  135. 床次徳二

    床次国務大臣 農耕地を問わず、一般民有地がずいぶん基地に使用せられておることは御指摘のとおりであります。しかし、今後基地がどうなるかということに対しましては、返還の交渉におきまして具体的に基地の態様というものもきまってまいります。したがって、その時期を待ちまして私どもは対処いたしたいと思っております。
  136. 井上泉

    ○井上(泉)委員 時期を待って対処すると言うが、いま沖繩のアメリカ軍が取り上げておる、つまり借り上げておる土地の期限というものがこの六月で切れるのですよ。それならそれをどうするかということがいま沖繩の大きな問題になっておる、それをどうするかということです。
  137. 山野幸吉

    山野政府委員 軍用地の問題は、御承知のように、軍用地の賃貸の布令に基づきまして期限が五年と十年になっておると思いますが、その十年の分が期限が来るということではないかと思います。五年の契約の分は、たしか去年改定になっておるはずでございます。したがいまして、この改定期を迎えますと琉球政府に軍用地の賃借料をきめる特別委員会がございまして、その委員会にはかりまして、その委員一会で適正な賃借料を定めて米側に申し入れてきめるということに相なっておるのでございます。
  138. 井上泉

    ○井上(泉)委員 今日の沖繩の農民の一番貧乏な原因というのは一体どこにあるのか、そのことについてあなた方はどう理解しておりますか。
  139. 山野幸吉

    山野政府委員 これは非常にむずかしい御質問で、端的に明快に御答弁は申し上げかねるのですが、やはり沖繩の特殊な地理的、風土的条件、そういうもの、特に土壌がサンゴ礁でできておる、非常に貧弱な土壌である、そして台風常襲地帯であり、湿潤であり、高温であるという特殊な地理的条件が、その基本的な制約になっておるものと私ども考えております。
  140. 井上泉

    ○井上(泉)委員 あなたは仕事は何ですか。——この沖繩の農民が苦しんでおるという一番の原因というのは、平たんな農地がなくなったことでしょうが。それもわからぬですか。答弁しなさい。
  141. 山野幸吉

    山野政府委員 これは平たんな農地がなくなりまして、農民の平均耕作面積は確かに減ったと思いますが、また相当部分の人は別の雇用の機会を持っておるのも事実でありまして、必ずしも一律にそう断定できるかどうかは疑問があると思います。
  142. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは、あなたは沖繩問題を専門に担当しておるからもっと強強してくれなければ困るのです。戦前において、沖繩の県民所得というのは宮城県や高知県なんかよりは高かったですよ、国税の納付額などは。それがああいうふうに沖繩の土地というものが取り上げられてしまって、そして本土決戦の犠牲の中で沖繩がめちゃくちゃにされて、そして農業が破壊をされてやられてきておる。——まじめに聞いてください、聞いてないじゃないですか。——その沖繩で、あなたの仕事は何ですか、それこそ寡聞にしてあまりわからぬですが、沖繩の返還交渉に当たるような大事な仕事をしておるのと違いますか。援助関係の何をやっておりますか。
  143. 山野幸吉

    山野政府委員 私は、沖繩援助費あるいは沖繩内政の問題を中心にして担当しております。
  144. 井上泉

    ○井上(泉)委員 沖繩内政の問題と援助の問題を中心にしてやっておられるならば、沖繩の実態というものをもっと把握してもらわないと困ります。石垣島の開拓部落が本土の農民をうらやましがり、沖繩の農民が、自分の土地でありながら軍用地であるがために、銃剣の威嚇の中で農業をさせられておる、そういう状態の中におる。その沖繩のものが、いま土地が十年の期限がこの六月に切れた。そうして七月から新しく契約をしなければならない、そういう状態になっておることに対して本土政府として明確な、沖繩の国民に対してこの指針を与えないと、本土への返還をいわれておるのに、またこれで十年の契約でもするとこれはたいへんなことになると思ってうろうろしておる。そういうことが沖繩に、あなたは別にないと思っておりますか。
  145. 山野幸吉

    山野政府委員 この軍用地の賃貸借契約につきましては、先ほど申し上げましたように、琉球政府がそういう軍用地の賃借料を決定するための特別委員会の制度を持っておりまして、そこで合議をしてきめるわけでございます。したがいまして、日本政府がそれに対してこうあるべきだ、こうすべきだという意見は、従来も申したことはございません。
  146. 井上泉

    ○井上(泉)委員 日本政府が意見を申したことはない、従来はないから、占領をされたときには何にも言えなかったでしょう。それから講和条約ができ、沖繩県民にこんな不幸なことをさせてはいけないということで、沖繩の返還という問題が国民的世論として持ち上がってきたでしょう。だから今日の段階においても——もちろん、沖繩関係で軍用土地特別委員会があるということは私もわかっています。それでその賃貸借の契約方式というものがどういうふうにされるかということはわかっております。こういうふうに一九五五年から五六年にかけてアメリカ軍に農地をたくさん没収されたときに、沖繩住民が非常な闘争をやったことをあなたは承知しておりますか、知らないですか。
  147. 山野幸吉

    山野政府委員 そういうことがあったことは聞いております。
  148. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういうことを聞いておれば、承知をしておれば、なおさら沖繩県民の土地に対する執着というか本能的なものというものは、あなたがくみ取っていなければならぬです。あのときにこじき行進というものをやった。総務長官沖繩問題に詳しいからお尋ねいたしますが、こじき行進をやった。そのこじき行進をやったのはどういうことをやっておったか。こじきをするのは恥ずかしいけれども、こじきをさせるのはもっと恥ずかしい、こう言っていたのです。沖繩県民をああいう状態に置いておるということは、そういう状態になっておる沖繩県民としてはこじき行進をすることは恥ずかしい、恥ずかしいけれども、そういうこじき行進をさせたところのアメリカなり、あるいはアメリカと一体となって沖繩の問題を処理しようとかかっておる日本政府の態度というものがなおさら恥ずかしい、こう言って沖繩の県民が、九十万の人口の中で四十万人の者が  一斉に抗議のデモ行進を各地でやったということから考えて、今日の軍用地の賃貸借問題に対して十年前の賃借料で、また今度どういう賃借料で契約をされるのか、私はそれについて政府として、政治の場として当然配慮すべきだと思うのですが、そのことについて、全然沖繩の行政府委員会にまかせっきりだというような態度で日本政府としてはいいのですか。
  149. 床次徳二

    床次国務大臣 沖繩が過去におきまして軍用地によりまして土地が接収せられまして、いわゆる土地問題として相当の摩擦がありましたことにつきましては承知しております。その後、いわゆる適正なる賃借料を払うという運動が起こりました。これが実現いたしまして今日に至っておるわけです。私は、やはりこの賃貸料の改定期にあたりまして、適正に解決さるべきものと考えております。
  150. 井上泉

    ○井上(泉)委員 適正にと考えておるのだったら、どういうことが適正であって、こういうふうにするのが将来の沖繩の農民としてあるべき姿だから、こういうふうな契約に今度はしなければいかぬとか、あるいは沖繩の状態の中でどういう契約のしかたをするのがよいかということを、思うだけではこれは何にもならぬでしょう。若い男女が愛し合っておる、愛し、思うだけではどうにもならないでしょう。そこで、独身だったら結婚という具体的な形をとらねば……。沖繩県民はかわいそうだ、何とかしてやらなければと思うだけだったら、だれでも思いますよ。だからそこに行動せねばならぬ。大体総理府は思うだけで行動しない、行動が逆になっておる。  たとえば、六月の十七日の朝日新聞ですが、「救援の手待つ借金の島」、「台風禍から立直れず」、「早く本土の共済制度を」という見出しで、私はそのときこれを見て、ほんとうに宮古島というところがこんな状態であるのか、一ぺん行って調査をしてみたい、こういうふうに思っておったのです。ところがどうですか、中島総理府援助業務課長、これはあなたの特連局の中にある課じゃないですか、「気の毒と思うが、いまのところ新たな特別救済措置考えていない」。かゆをすすって食べておると聞いておる、この人たちは。「一・一ヘクタールのキビ畑。たとえ豊作でも九人家族は養っていけない。イモがゆをすする日が多い」。こういうため息の中に八百戸の者がいる。それに対して、気の毒に思うが、どうにもしようがない、そんな思いをしてもらう必要はないわけです。こういう態度に対してどう考えますか。
  151. 床次徳二

    床次国務大臣 現在、沖繩におきましてやはり農民が非常に困っておられる。これは農地が縮小したことが大きな原因であると思います。同時に、現在残されました農地自体がサンゴ礁地帯で、場所によりましては非常に水に不自由して、大体天水のところが多いと思う。そういうわけで農業振興ということは望まれず、今回の資金におきましては、まず農業基盤整備ということを根本に考えてまいりたい。従来から糖業をしておりましたところでも、パインにおきましてもずいぶん無理して栽培をいたしておりますので、そういうようなことを通じまして沖繩農業の基本を考えるというところに今回の供与の実体があるわけでありまして、なおこればかりでございません。今後ともやはり沖繩産業というものの状態は本土と一体化ができまして、そうして本土の人たちと沖繩県民とが、生活、産業等を通じて一体化することを目標努力している次第でございます。
  152. 井上泉

    ○井上(泉)委員 努力をしておることを具体的に示してもらいたいと私は思うのですが、宮古島のこういう場に対しまして、これまで二十億二千万円ほどの特別援助をしてきたが、これからできぬというようなことを言わないように、もっと宮古島に住んでおる私どもの同胞の日本国民に対して、これを救済する措置をもうこれ以上講じることはできないですか。
  153. 床次徳二

    床次国務大臣 ちょっと私、宮古島の具体的なケースにつきましては存じませんが、今後とも、本土との一体化によりまして共済制度等も行なえることになりますし、また、農業の改善等も行なわれますので、できる限り農民の立場というものを考えまして措置してまいりたいと思います。今日までの本土からの沖繩に対する援助費のごときも、逐年著しく増加しております。なお、必要な資金等におきましても非常なパーセントをもって伸びております。さらに明年、明後年、一体化施策を推進してまいりまして、そうして住民の立場というものを十分改善してまいりたいと思います。
  154. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私は、委員会としての予定されたきょうの時間が終わったので、また後日やることを保留して、最後になるわけですが、アメリカの沖繩援助に関する姿勢と日本政府沖繩に対する姿勢とが、何かしら表では違っておるようだけれども裏ではべったり一緒であるような気がしてならないわけです。そこで、これは総務長官にお尋ねしますが、一九六八年、昨年の三月二十五日に沖繩の経済援助に関する聴聞会があったのです。知っておったらまたその内容を調べておいていただきたいと思いますが、その中で向こうの委員長、つまりアメリカの沖繩援助に関する小委員会の委員長のパスマンという人がアンガー高等弁務官に対して、沖繩の人口は幾らあるか。そうするとアンガーは、九十五万二千人。パスマンが、わが国の人口は二億。アンガーは、そうです。日本の人口が一億、すると日本の人口とアメリカの人口を合わせると三億になる、三億対九十万、その九十万の人間がわれわれをあの島から追い出せというようなことがあってたまるものか。アメリカの人口二億と日本の一億と合わせて三億というわけだが、それに対してたった九十万ぽっちの人間がB52を置いてもらっては困るというような不満を言うのは不都合千万ではないか、三億の安全を守るためには九十万の人間はどうでもいいじゃないか、ものの数じゃないではないか。こういう人間無視の姿勢というものを、アメリカの沖繩援助に関する特別委員会の委員長のパスマンが発言をしておる記録があるはずです。これは総理府では見ておると思うのですが、一体こういうアメリカ側の発言というものをあなたはどう考えますか。その点についての総務長官の見解を聞きたい。
  155. 床次徳二

    床次国務大臣 アメリカの国会におけるところの委員会の質疑の内容につきましては、私具体的に存じませんが、今日沖繩自体におきましては、私先ほど申し上げましたように、沖繩県民がアメリカの施政下にあるということだけは非常に問題である、しかも本土との大きな格差があるということも、生活上経済上、福祉上格差があるというと、これはたいへんな問題であります。かような意味におきまして施政権の返還をすみやかに実現いたしたいというのが基本的な姿勢なのでございまして、したがって、本土から沖繩に対する援助も、従来から見ますると日本の援助というものがアメリカの沖繩に支出しておりまする援助金を下回っておるところから出発いたしましたが、今日ではすでに日本のほうの援助費が上回っておるという状態、これはとりもなおさず施政権が将来本土に返るという前提にありまして、アメリカのほうも了解しておることと思う。私どもは、さらにいままでの方針を進めてまいりまして、今度は一〇〇%本土復帰させるというふうにありたいと思って努力しておるわけでありまして、その暁におきましては、沖繩県民におきましてもできるだけ本土との格差のないように産業の発展も打ち出さなければならぬ。しかし、このためには、やはり従来のおくれを取り戻すための産業振興計画とでも申しますか、制度的にずいぶん差のありますものを直す、施設におきましても劣っておりますものを直す必要があるし、また、産業そのものにおきましても、基地依存の産業から脱却する必要もあると思う。これも今後の努力に御期待をいただきたいと思います。
  156. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは最後に簡単に御答弁していただきたいのですが、山野さんは、沖繩に対する援助日本政府の恩恵であると考えておるのか、日本政府としては沖繩国民に対する当然なさねばならない義務だと考えておるのか、その点についてのあなたの御心境、それから同時に、総務長官も、それについて義務考えておるのか恩恵と考えておるのか、その点を明確に……。
  157. 床次徳二

    床次国務大臣 私は、先ほど申しましたように、沖繩が異民族の施政下にあるということに対しましてはまことに残念に考えておるのであります。これはひとえにわが国が敗戦という状態におちいったためだと思っておりまして、その点におきましては、私は、法律的の義務ではありませんが、道徳的に非常に大きな義務を持っている、そして一日も早くこれを改めて本土並みにするということが、国民あげての悲願でもあるし、また、私どもの大きな責任であると考えております。
  158. 山野幸吉

    山野政府委員 沖繩の人たちは日本人であるし、沖繩は日本領土の一部であるし、近くその返還が予定されておるところであるというような、そういう認識に立って日本政府としては当然沖繩に対する援助をすべきであるというぐあいに考えております。
  159. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは私は質問を終わりますが、きょうの段階は外務省から出席がないので、外務省と大蔵省への質問をする時間がなかったので、次回に質問を保留させていただくわけですが、当然なさねばならない義務考えるのと恩恵と考えるのとではたいへんな違いですから、その点も、明確な義務だという考えの上に立ってやっていただきたいということと、それから沖繩をどこまでも——何か私、領土ということばが非常に気にさわるわけです。やっぱり沖繩は領土ではなしに国土で、領土と言うと何か侵略した地域のようなことも含まれているような感じがしてならぬわけですが、とにかく沖繩は日本の国土であり、日本の国民であり、第二次世界大戦であれだけの犠牲を負われて、そうして沖繩県民だけではなしに、あの沖繩の国土の中には多数の私どもの同胞がアメリカ兵のために殺されて死んでおる、その殺されて死んだ沖繩の上に、またアメリカがほんとうに何ぞの救い主のような顔をして、日本の国を守るんだとかあるいはアメリカの国を守るんだとかいって、私どもの同胞の犠牲の上にまた銃剣をかまえて突っ立っておる、こんな民族的な屈辱はないと思う。だから、そういう点からも、沖繩交渉にあたってはもっとやはり積極的に行動をしていただきたいと私は思う。  この米の問題については、なおその点から次に質問いたします。
  160. 中村寅太

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる三日、木曜日、委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時四分散会