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大出委員 つまり、最低
賃金が幾らというものの言い方が基礎になっている。ですから、
賃金の何%という言い方は、基礎がそこにあるわけですから、そちらのほうとあわせて行なわれるという
解釈のようでございます。したがって、そうなると、この
布令が公布されたから即実施できるという筋合いのものではない。これは、
民政府も組合側も、両方ともそう受け取っておるようでございまして、私はやむを得ぬことだと思います。
ただ、それよりももっと問題は、めんどうですから私のほうから言いますけれ
ども、
総合労働布令第九条B項で、
重要産業で
ストが発生した場合、「軍事施設運営と安全
維持のために一時的または恒久的に代替される。」かわるというわけですね、こういう条項があります。したがって、これは
ストライキに入って二日目に
重要産業指定という条項を持ち出して、十三条を持ち出して
契約を一方的に破棄をした。つまり、
契約不履行であるからという理由で破棄をした。ところが、それだけならば
民政府当局ないし
米軍が労働
争議に介入したことにはならない。
契約上適法ですから、その条件がついておりますから。
時間がありませんから簡単に申し上げたいのですけれ
ども、ところがさて
軍側の言い分は、この
契約を破棄した再
契約にあたって、五十七名の人間を
陸軍病院に
雇用しない、つまり請け負った
業者は、それは雇って
陸軍病院に入れることをしない、そのことを条件として再
契約をする、こういうわけですから、そうすると
契約破棄じゃないです。
争議中なんですね、
おまけに片方は。
紛争解決の条件になっているわけです。その条件について、それはいけない。そのいけないことを
契約の条件としてのめば新しい
業者に請け負わせる、こういうのでございますから、そうすると五十七名は
ストライキが
解決したとしても、これは
陸軍病院に採用はされないということになる。
陸軍病院に採用、つまり
業者を通じての採用でございますが、されないということです。そうなると、これはある
意味では、間接的にというよりもっと直接的にというか、労使間の労働
争議に対する介入である。四、五年前から問題になっておって、かつて
ストライキをやったことがあるわけですが、そのときには、
重要産業指定のこの条項を現に持ち出していない。そして、そのとき以来一貫して軍なり
民政府側の言っていることは、われわれとは
関係がない。フェーラー労働局長もそう言っている。
米軍とは
関係ない。あくまでも
業者が雇って、
業者に一括して請け負わせるものだから、
業者がだれを雇おうとそれはかってだ。だから
賃金の問題あるいは年末手当の問題は、
業者と
業者が雇ったその働く人たちとの間の問題で、
民政府とは全く
関係ない、こう言ってきたわけですね。だとすると、それはあくまでも直接的労使間の問題だけなんですね。ところがそこで、今度は
ストライキ中に
契約破棄をしておいて、かといって清掃ですから捨ててはおけない。兵隊さんを持ってきてかわりにやらして不満も出ているというわけで、急いで
契約しなければならぬ。その入札に応ずる
業者は、五十七名はおまえたちは雇うな。つまり
陸軍病院に入れないんだ。
病院に入るパスポートその他も取り上げているわけです。パスポートを出せ、出さなければ
国際ビル管理という
業者は入札に参加させないというふうに言われたから、あわてて五十七名から取り上げて憲兵に返しちゃった。そこまでいくと、これはまことにもってどうも労使の
紛争に介入したといわれてもしかたがないのです。だから、もう次々に
声明その他を出して、
民政府の何とかニュースリリースなんというものを出したりいたしまして、
沖繩の県民
諸君に
軍労働
関係の、特に
請負業者に雇われている
労働者の間の争い、旧来、軍あるいは
民政府と
関係ないと言ってきた、それが今回は介入した、こういうふうに受け取られてしまっていることはまことに困る、そうではないんだということを一生懸命PRしているのですね。ただ、そのPRの中に、軍は、
陸軍病院に再採用させることはいけないけれ
ども、ほかのほうにつとめるなら認めているんだということをわざわざ言っているわけです。これはやはり明らかにこの
布令を頭に置いての、つまり既成事実をこの際つくっておこうというスタイルだと受け取らざるを得ないですよ。したがって、七月という時点は、これはまんざらうそではない。誤れる
情報でない。新会計年度から
総合布令を実施したい。
中身はどう変わるか、それはわかりませんよ。わかりませんが、そういうふうな手配になっている。現実にこう見ざるを得ないですよ。これはいささか私の偏見かもしれませんが、見ざるを得ない。だとすると、
日本政府側の
布令に対する
政府の
考え方を、ものを言っておられるわけですから、それがどの
程度どういうふうに相手方に理解をされ、
日本政府の言い分を
アメリカ側は認めようとしているのかという点をやはり
総務長官も伺っておいていただかぬと、このまま
——先ほど私、少しことはかすべって言い過ぎもあったけれ
ども、あまりどうもノータッチでい過ぎた。ぽかっと出てしまった。そうしたら、
日本政府はものを言ったけれ
ども、それは何にも取り入れられなかったとなると、
日本の
政府なるものは、
沖繩の県民
諸君にさっぱり気をつかってくれなかったじゃないか。なぜならば、何か形式的にものを言ってくれたけれ
ども、出たものは変わったものではないじゃないか。似たような
布令が出てきたじゃないか。
日本政府はお義理にあんなことをしてくれたけれ
ども、あれはゼスチュアで、しんから何もしてくれる気はなかったのではないかというふうに受け取られたのではたいへんなことになりますよ。いまの
争議についても、あまりにも
皆さんのほうで気をつかっておられぬようだから、ましてその上にそういうことになると、これはますますもって妙なことになる。したがって、
そこらの点はひとつ
外務省のルートを通じて、
総務長官のところでもう少し気をつけていただけぬものかという気がするのですが、
総務長官いかがでございますか。