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1969-03-20 第61回国会 衆議院 運輸委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十日(木曜日)     午後六時五十三分開議  出席委員   運輸委員会    委員長代理 理事 大竹 太郎君    理事 阿部 喜元君 理事 徳安 實藏君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 小川 三男君 理事 野間千代三君       加藤 六月君    木部 佳昭君       中川 一郎君    福家 俊一君       箕輪  登君    神門至馬夫君       内藤 良平君    沖本 泰幸君       松本 忠助君   物価問題等に関する特別委員会    委員長 帆足  計君    理事 金子 一平君 理事 木部 佳昭君    理事 竹内 黎一君 理事 武藤 嘉文君    理事 阿部 助哉君 理事 和田 耕作君       青木 正久君    倉成  正君       中山 マサ君    山下 元利君       唐橋  東君    内藤 良平君       村山 喜一君    有島 重武君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         運輸政務次官  村山 達雄君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君  委員外出席者         議     員 久保 三郎君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇号)  日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案内閣  提出第一一号)  日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措  置法案(久保三郎君外九名提出衆法第五号)      ————◇—————     〔細田運輸委員長代理委員長席に着く〕
  2. 細田吉藏

    細田委員長代理 これより運輸委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。  委員長の指定によりまして、私が委員長職務を行ないます。  これより国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案及び日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措置法案を議題とし、審査を進めます。
  3. 細田吉藏

    細田委員長代理 各案につきましては、お手元に配付してあります資料によって趣旨は御了解願うこととし、直ちに質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部哉君
  4. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まず、企画庁長官にお伺いしたいのですが、大臣、どうされたのですか。−企画庁長官にお伺いしたいのでありますが、政府は、国鉄運賃値上げをすると、たしか物価には〇・二%響く、 こうおっしゃっておられるわけですね。それでは、この〇・二%というのは、これは全国平均だろうと思うのですが、そうでございますね。
  5. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 平均というのは、全国一般消費者物価値上げ率に対して〇・二%国鉄運賃値上げが響く、こういうことなんです。
  6. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、これは全国一般でありますから、国鉄利用度によってこれはたいへん違ってくると思う。たとえば東京周辺の人であるとか、国鉄をお使いになる度合いの多い人、あるいは、いなかのほうにおって、あまりそういう旅行をなさらない方、また、生活上それほど必要のない方、こういう方がある。そうすると、国鉄利用度によって、せめてある程度東京周辺であるとかいうような、あるいは名古屋周辺大阪周辺というようなあたりの多少地理的な、また生活態様による調査、どの程度響くかというようなものは何がしか検討されたことはありませんか。
  7. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私どもではそういう地域を限って計算はしておりません、全国的な数字を集めてやっておりますからして。地域的な関係からいうと、東京都なら東京都だけの消費者物価、これは全国的な物価、こういうように分けて発表いたしております。
  8. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣は単なる統制官や何かではなく、物価担当大臣でありますから、これだけ物価問題がやかましい、国民の不満のあるこういうときでありますから、もう少しきめこまかな対策をお立てになってしかるべきではないか、こう考えるのでありますが、ない、こういう話でありますから、それはこれ以上お伺いしませんけれども大臣は、国鉄運賃値上げされようとしたときに、当初この運賃値上げ反対をされたですね。その反対をされたときには、それならば、これの対案といいますか、対策というか、長官自身のほうで、企画庁で何かお考えになった案というものがあったろうと思う。だだっ子のように反対だということではなしに、これはただやみくもに反対だということではなかろうと私は思う。大臣としては、これはこういうことでやっていくべきで、物価に響くような運賃値上げはけしからぬのだ、こういうことで反対されたと思うのでありますが、その対案は、当時どういうことをお考えになったかをお示し願いたい。
  9. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 目標を五%ということに消費者物価上昇を定めましたからして、その五%に定めた場合に、国鉄料金値上げした場合には〇・二%影響するという計算ができたわけです  そこで、国鉄のほうは、たびたび申し上げましたとおり、国鉄再建さすためにはどうしても料金値上げは認めなければならぬということからして、そこで〇・二%の上昇をどうしてほかでカバーするかという問題、そこで、ほかでカバーする道がないかというと、そうではない。問題は、国鉄料金値上げだけで押えれば、そこにいわゆる普通は便乗値上げというものがあるからして、便乗値上げすることによって、一般消費ムードは高まってきて、それによって物価上昇せしめますから、そこで便乗値上げは認めない、交通関係公共料金は極力押えるという一つの態度をとったわけです。  そこで、そのほかに方法といたしましては、生鮮食料品や何かで、たとえば豚の例を申し上げてもよろしいが、豚肉が上がっても海外から安い豚肉を輸入するというような輸入政策をとる方法考えるとか、それからそのほか、生性産の高い商品であればそれだけコストが安くなっておりますから、売り値を安くするというようなことを極力そのほうで奨励して、そしてカバーしようということで、これにはやはり各大臣協力してもらわなければだめなので、そこで各大臣に、五%で押さえるということについて、国鉄料金を上げたからひとつ協力してほしいということでお願いして、たとえばいまの豚肉の問題であれば農林大臣の御協力を得るとか、あるいは、生産性の高い商品を安くするとかというような場合には通産大臣の御協力を得るとかということで、各大臣の御協力を得て五%で押えるということをきめたわけです。
  10. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣、私の質問とちょっとピントをはずれておるのですが、大臣はいろいろなもので各面にわたって物価を安定させようという御努力をなすったというお話でありますが、それはそうでしょう。だけれども、私お伺いしておりますのは、具体的に国鉄運賃が上がるということに大臣反対されたわけですね。しかし、国鉄赤字を出しておるのは、大臣国務大臣としてよく御承知になっておるはずなんです。しかも、この国鉄赤字再建というものを御承知の上で、なおかつ物価の面からこれに反対されるにはされるだけの十分な理由というものがあったろうと思う。まさか、さっき言っただだっ子のように、何でもかんでも反対だという形で発言をされたのではなかろう、こう思うので、大臣はその国鉄に対する対策自分であったろうと思うので、それをお伺いしておるわけです。
  11. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それは先ほどちょっと申し上げましたとおり、国鉄料金値上げすることによって五%という目標に影響するから、そこで五%という問題さえなければ——国鉄料金を上げたから五・二%になるということは簡単に勘定できますけれども、やはり五%以上物価を上げてはいけないというのが私の信念でありますから、そこで、五%に押えるためには、ほかの方法国鉄はもう二%やむを得ず上げなければならぬから、先ほど申しましたような方法物価を上げないということで対策をとったわけであります。
  12. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうもそこがはっきりしないわけです。最後には、大臣国鉄値上げをやむを得ないとして認められたろうけれども、その前、国鉄値上げ反対されたその段階で五%以上云々とおっしゃるが、それも一つの別個の立場での問題であって——国鉄運賃を上げたら五%をこす、だから反対だというだけなんですか。それには何か、国鉄がいま苦しんでおる、赤字を出しておるということに対して、大臣企画庁長官として、また国務大臣ですから、当然国鉄の問題も考えながら反対されたに違いないと私は大臣を評価しておるわけですが、そこはどうですか。
  13. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 物価が上がり、同時に賃金が上がる、賃金が上がるから物価が上がるということで、今日の物価上昇政府主導型になっておるということ、そこで、どこかでこの悪循環を打ち切らなければならぬ、それが政府主導型になっておる、その型を破らなければならぬ、そこで私は公共料金を一切上げないという方針を立てたわけです。そこで、その方針を立てたところが、国鉄値上げしなければ国鉄自身破綻する——これはまた、国鉄というものは、御承知のとおり日本交通の動脈でありますから、これに破綻を来たしてはいかないということで、そこで料金を上げることは認めましたが、しかし私どもでは条件をつけたのです。  まず、国鉄自身体質改善しなさい——国鉄自身体質改善をせずして料金値上げしておったら毎年料金値上げしなければならぬじゃないかということで、まず、国鉄自身体質改善ということを要求しまして、それを踏まえて財政的な援助政府大蔵省がしなさい。いままでは独立採算制であったのでありますが、それはいかぬ、これは大蔵省財政的に援助しなさいということで、大蔵省が御承知のとおり財政的援助をするし、市町村納付金もやめなさいということで、これも二十五億円減らすことにしたのであります。そこで、なおかつそれでも赤字だということでありましたら、適正な国鉄料金値上げは認めざるを得ないというように決意した次第であります。
  14. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だいぶ具体的にはなってきたのですが、私のお伺いしたいのとはまだだいぶ離れておるわけです。  体質改善をしろという要求をなすった。そこでいろいろな問題、市町村へ出す金であるとか、財政援助、まことにさびしい財政援助でありますが、やるようになった、こうおっしゃるけれども、これは大臣、どの企業をとってみても公共企業はいま同じような運命にあるわけです。幾ら担当大臣でなくても、物価を預かる大臣としては、もう少し具体的な、それならば国鉄がこういうことをやっていくべきだという線が強く出てしかるべきではないか。財政援助の面にしても、それは大蔵省担当でありましょうけれども、かくかくのものをやって、その上で国鉄運賃値上げはやめなさいということでなければ、いまのような程度では説得力も何もないのじゃないですか。大臣としてはその辺はもう少し——企画庁は科学的な電子計算機やなんかを駆使しておられるのだから、その辺、具体的なものがないはずはないと私は思う。それでなければ、全く子供だましのような言い方で、五%をこえるからおまえのほうの運賃を上げるのをやめなさいというような話では通るはずがない。大臣が押し切られるのは当然だと思うのですが、その辺、もう少しくどいようですが、お示しを願いたい。
  15. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そこで、国鉄がどうしていまのような窮状におちいってきたかということが根本問題です。その根本問題の解決をせずして、ただ料金だけ上げてその年は間に合わすというようなやり方には、私は絶対反対です。それは国鉄総裁にはっきり申し上げた。そこで、まず根本的な対策考えなさい。その根本的な対策は、今日の交通事情というものは、私から言うと、交通革命ということばを使っておりますが、この交通革命に適応できるような国鉄にしなさい。いままでのような国鉄のままでいけば、いつでも赤字であるし、毎年料金値上げをしなければならぬ、それでは国民に対して申しわけないじゃないか、まず国鉄自身がいかにして赤字を消すかということを考えなさいということを私は強硬に申し入れたわけです。それについてはいろいろ考慮するということであったから、それではその前提のもとにおいて、次には大蔵省に対して財政的な援助をしなさいということを申し入れた。独立採算制というのは、今日ではとるべき時期じゃない。いままでの国鉄であれば、それは独立採算制でもよかったが、いまでは独立採算制をとるべき時期じゃない。もう独立採算制はやめて、大蔵省が、あるいは地方団体財政的な支出をしなさいということを申し入れてあるわけで、不足かもしれませんが、大蔵省としては苦心してあれだけの負債の借りかえということをやっていただいたわけであって、それでもなおかつどうしてもやっていけぬということだから、問題は、国鉄をつぶすか料金をそのままにしておくかという問題です。  私の最後考え方は、国鉄がいまこんなことで破綻を来たしたら、日本交通網を根本的に破壊するし、日本の経済全体に大打撃を加えますからして、国鉄を何とかして維持してもらわなければならぬということで、それじゃもう料金値上げするよりほかに道がないということで、料金値上げ最後に踏み切ったわけであります。
  16. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それじゃ、国鉄の当局にお伺いしますが、いまの企画庁長官のおっしゃっておるようなことで、これで今後の再建のめどは立つわけですか。
  17. 石田禮助

    石田説明員 国鉄の第三次計画から始まった大きな仕事というものは、いかにして国鉄が国の輸送機関の中軸としてその任務を尽くすことができるかというような建て直しでありまして、これにつきまして、いろいろ国鉄としても徹底的な合理化をやる、さらに、大蔵省に対しましては、国鉄のいままで非常な大きな負担になっておった公共負担の問題とかいうものについては是正してもらわなければならぬ、さらにまた赤字線の問題もやらなければならぬ、解決しなければならぬ、それでどうしても足らぬからこれはやはり利用者負担してもらう、利用者に対しては、要するに、国鉄再建収支の情勢というものは、収入よりは経費のほうがふえていく、このバランスというものがどうしたってこれはやはりある程度利用者に持ってもらわなければならぬということで、私ども運賃値上げということに踏み切った次第でありまして、これに対しては企画庁長官から非常な反対がありましたが、私は、国鉄総裁としてつらつら考えるのに、企画庁長官としては、物価を押えるということに急なるがゆえに、つまり九百十億の運賃値上げ即マイナスの〇・二%と、こういうことに考えたんだろうと思うのです。これはもう御職務の上からいってはごもっともだと思いますが、しかし、つらつら思うのに、この九百十億の収入増によって国鉄輸送力がふえる、ふえる結果は、つまり輸送機構の強化ということになって、物資の交流が円滑になり、うまくいく、さらに製造力の上に、生産の上に非常な力になる、これはプラスじゃないかというようなことで長官をくどいてみたんだが、大臣、がんとしてなかなか言うことを聞かぬ。その後だんだん事情がおわかりになりまして、ようやくあれしたんで、これは、企画庁長官としては理想じゃないかもしれぬが、もうきわめて合理的な譲歩じゃないか、こういうことになったのでありまして、私が企画庁長官であればやはり同じようなことを言ったかもしれぬが、そういうことで、私としては非常に感謝しておる次第であります。
  18. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それでは運輸次官にお伺いしますが、いま企画庁長官は、独算制はもうやめるべきだ——もう事実それではやっていけないことはわかっておりますが、その点はやはりお認めになりますか。
  19. 村山達雄

    村山(達)政府委員 国鉄は普通の企業と違いまして、公共的使命を帯びておりますし、また、必要とあれば赤字線でもやらなくてはならぬのでございます。しかし、一方におきまして再評価準備金が一兆二千億くらいあり、それに配当負担はないわけでございます。また、収支はゼロでよろしいわけでございますし、税金もかからぬわけでございます。したがいまして私は、国鉄自体の合理的な経営のためにも、また合理化努力のためにもやはり独立採算制というたてまえは堅持すべきである。今度の財政措置は、いわば将来に向かってその独立採算制が堅持されるための輸血剤である、かように考えておるわけでございます。今後ともその方針でまいりたいと思っております。
  20. 阿部助哉

    阿部(助)委員 長官のほうは、独算制はもうやめるべきだ、こうおっしゃっておるし、運輸省のほうは、独算制を維持するための輸血剤で、これは今後とも維持していくんだ、こうおっしゃっておる。これはくどいようでありますけれども、食い違っておるようでありますので、もう一ぺん企画庁長官にお伺いしたい。いかがですか。いままでの御意見どおりであれば、それでようございます。
  21. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ことし財政的の援助をしたということは、独立採算制原則を破ったということなんです。だからして、それでなければ政府財政的の支出をする必要はないんです。だから、原則はもう破ったわけである。だがしかし、やはりもともとは独立採算制でやるべきであるということで、体質改善ということを第一にあげたわけです。これはもうやはり独立採算制でいくということで、自分でやっていくべきだ、そして、合理化して赤字を出さぬようにやっていくべきだというのが第一の条件です。それでできないから、そこでことし財政的の援助をしたのです。その点は独立採算制原則を破っておるわけであります。     〔細田委員長代理退席大竹委員長代理着席〕 でありますからして、私どもは、第一の条件体質改善をやって、合理化をうまくやってくれさえすれば——それはもう独立でやれるものであればやってもらったほうが、もとより賛成するところです。
  22. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そんな観念的に、こうできればとか、ああできればなんということでは、これは議論にならぬ。現実にいまこれだけの問題をかかえておる。それで、運輸省のほうでは、あくまで独立採算制でいくというふうにおっしゃる。しかし、現実にそれが破られておるということは私も認める。私は、むしろ企画庁長官と同じように、大体これだけ公共性のあるものに独立採算制なんというものを言っておるほうがおかしいんじゃないかという感じを持っておるわけでありますが、やはりこれは明らかに何か思想的に考え方運輸省と食い違っておるんではないですか。
  23. 村山達雄

    村山(達)政府委員 独立採算制ということば意味のとり方の問題だと思いますが、筋としてやはり独立採算制でいった方がよろしい、また、そのたてまえは堅持すべきであるということを言っているわけです。もしそうでございませんと、もうこれは公共性なんだということになりますれば、必要があれば納税者の納めた税金から幾らでも納めるということになれば、合理化努力も現に失われると思いますし、また、そのほかにいたしましても、まあ、言ってみれば底が抜けたようなものだろうと思うのでございます。ただ、おっしゃるように、一方において公共性というものがあるわけでございますから、場合によりまして、ときに財政援助を仰がなければならぬ場合もないとは言えないのでございますが、たてまえとしては、やはりあくまでもそうやったほうが、結局は利用者のためにもなると思いますし、また、納税資金をむだに使わないという意味においてもそうあるべきだと思います。そしてまた、先ほど申しましたように、これだけ大きな世帯を持っているわけでございますし、配当負担があるわけでもないし、税金があるわけでもございませんから、私は、やりようによって、大筋において可能である、かように思っているわけでございます。
  24. 阿部助哉

    阿部(助)委員 可能であるというものが、現実に今日これだけの大きな赤字を出した。これは公共性のほうが強いと私は思っておるんだが、いまの村山次官感じからいくならば、もし企業性というものに重点を置いていくならば、普通の株式会社ならば、総裁以下役員の人たちはもうとうの昔に首になっておらなければいかぬのですね。大総裁を置いてなおかつこの赤字なんだから、普通の総裁であればなおさらのこと、もう何べんか交代をしておらなければいかぬ。なおかつ、いま任についておられるということは、公共性の面からくる赤字、やむを得ない赤字というか、むしろ今日まで政府がほっておいたのが問題なのか、それとも企業努力が足らなかったところにこのようなところまで追い込められたのか、それはどちらなんです。次官もう一ぺん……。
  25. 村山達雄

    村山(達)政府委員 それは今日の赤字の原因が何であるかということにつながると思いますが、先ほども企画庁長官が言われましたように、今日は輸送革命の時代であると思うのでございますが、それに対応する収入面の施策あるいは合理化努力あるいは財政援助ということが欠けておった、これを軌道に乗せるためには、やはり三者が相ともに力を合わせまして、将来、大筋において独立採算がかなうようにやるために今度の臨時的措置としてやむを得なかったと思うわけでございます。しかし、そうだからといって企業性だけで収支できないことは当然でございます。普通の企業でございますと当然配当があるわけでございますが、そういうことではないわけでございます。利益を出す必要はさらさらございませんけれども経営を安定し、できるだけ安いコストで良質のサービスを利用者にするということ、そこに私は国鉄公共性があると思います。そういう意味でいいますれば、公共性の面を強調すれば、まさに私企業とは根本的に違う性格を持っておる、しかし、一つ公共企業体でございますから、やはりその中でまかなったほうが結局において効率がよい、また、利用者に対しても最終的には利益につながる、かような意味で、われわれは企業性をまた別の半面強調しているわけなんでございます。
  26. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも私には納得ができないのでありますが、ここまで来た責任というものがいまのお話の中からは——村山次官はなられたばかりでありますが、長いこと自民党政権が続いてきておる。しかし、こういう事態になったからといって、だれ一人責任をとるところがない。これでは私は国民に相済まぬのではないか。こういう段階にまで来て、いまになって、交通革命でございます、そのためにこうなりました、企業努力が足りませんでした、政府のこれに対する援助が足りませんでしたというようなことでいまお話がありましたが、それでは、その責任は一体だれがとるのか、そして国民に対してどういうふうに責任をとるのかというものが明確でないと、ますますこの企業もだめになるだろうし、政治もだめになるだろう。だから、私さっき言ったように、これがもし普通の会社であったならば、当然その責任者はそれぞれ株主に対して責任をとらざるを得ないだろう、こう思うのです。ところが、だれ一人責任をとってもいないし、だれ一人悪いとも言っていない。輸送革命でございますからこうなりましたというだけでは、その程度では今後の再建はむずかしい。いままでの欠陥に対して十分な責任感じ、検討した上で初めて次の前進があると私は信ずるのでありますが、それが何もないところに私は問題があるのじゃないか、いまのお話を聞いてこう感ずるわけでありますが、これは一体だれが責任をとるのです。
  27. 石田禮助

    石田説明員 だれが責任をとるか、私は、これは政府であり、国会であり、国鉄であり、すべてであると思う。第一、今日の国鉄が非常な窮状に入ったということは、これまでの投資効果が少なくて、やるべき仕事をやらなかった。なぜやらなかったかといえば、自己資金がないからやらなかった。なぜ自己資金がないかといえば、しょっちゅう運賃というものを安く押えつけられてきた、物価の問題から押えつけられた。同じような理屈をまさにいま繰り返さんとしている。そういうことと、さらに、政府にしても国会にしても、国鉄に対する認識というものが、最近はようやく直ってきたんだが、いままでは戦前における独占性の上にあぐらをかいておった時分の、国鉄収支が非常に良好だった時分に見た頭で国鉄を見ておった。その結果が赤字線というものであり、公共負担というものであるということで、さらに、これは国鉄から申しましても、貨物輸送の問題その他についてもう少し努力をすべきものだと私は思うので、決して国鉄責任がないとは言わない。私は大いにあると思う。  いずれにいたしましても、そうむずかしい、そんないままでのことを言ったって、これはもうしようがないんだ。われわれは将来に向かって生きているんだからして、そんなことは忘れて、心機一転して新たな頭でひとつ再建に御協力を願わなければならぬということでありまして、そういうことは今度の財政再建推進会議の報告にも書いてありまして、一般も国会も政府も、国鉄に対する認識というものを変えてもらわなければならぬ。昔の国鉄じゃないのだ。それから赤字線の問題にしましても公共負担の問題にしましても、ひとつそういう頭で解決してもらわなければならぬ。さっきから問題になっておりました独算制という問題でございますが、これはぜひ独算制というワクははめておく必要があると思う。ただ、これがいまちょっとはずれているのですが、これは一時病気になったようなもので、じき健康になりますよ。そう御心配になるようなことはないと思う。それには、やはり独算制というものでワクをきめてやるということによって国鉄というものはほんとうに合理化に徹することができるということなんでして、この独算制というものに対してはどこまでも持続される必要があるだろう。現在の病気状態における国鉄を見てどうということはひとつお考え直しを願わなければならぬ、こういうことで考えております。
  28. 阿部助哉

    阿部(助)委員 一面私は、たしか三十八年ころから赤字の傾向を持ってきた、こう思っておる。三十八年から今日までもう五年間たっておる。それに対して、国鉄はそれを強く要請しなかったのか。私はしたと思う。だけれども、それに対して今日までこのようにほっておいたのは、私は、何といっても政府責任だ、こう思うのであります。いままでこういう傾向をずっと持ってきておるのですから、いつでも景気の見通しであるとか、いろいろなことをあれだけやっておる政府が、これだけほっておいたというのには何かあったのか、全然それを気づかずやっておったのか、その辺が私にはどうも理解ができない。そういう点で次官からひとつ御答弁願いたい。
  29. 村山達雄

    村山(達)政府委員 概括的に申しますと、まさに、それぞれの責任感じて、今度の十カ年計画について財政協力する、それから運賃のほうも最小限度の引き上げをやる、こういうことになったと思うのでございます。  それで、いままでの経緯で申しますと、やはり何と申しましても運賃値上げ抑制ということが非常にきびしかったということと、それから近代化投資がおくれておったというようなこと、あるいは人件費がそれにもかかわらず生産性以上に上がっている、こういうようなことが赤字の原因になっていると思うのでございます。したがいまして、今度はそういうことがないようにひとつしっかり計画を立ててやろうというのが今度のやり方でございます。
  30. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いろいろな面で不満でございますが、非常に時間をせかれておって、二時間分くらいの予定で用意をしたところがたいへん短い時間でやめろということでありますから、少し先を急ぎますが、赤字になった国鉄、そして、これだけ国民に大きな影響を与える問題を、しかも佐藤内閣にとっては物価問題が最大の政治課題だ、こう総理もおっしゃっておる、それだのにこうやって運賃値上げをするということで問題の処理をやろうというのは、少し安易過ぎる考え方ではないだろうか、こう思います。しかも、運賃値上げしていくと、国鉄の場合は、同じところを走っておる平行線の私鉄の運賃よりもはるかに高くなる。たとえば、これは国鉄当局からいただいた資料でございますけれども、これで見ますと、京成と国鉄との比較でありますが、これは一カ月の定期だと思うのですが、定期券で、片方が千六百八十円、国鉄のほうが三千八百八十円という、これは驚くべきほど国鉄が高くなっておるわけですね。そうすれば、これだけ上げておるのに、なおかつ公共性を持っておるというこの国鉄のほうがこれだけ高くなっておるとすれば、私鉄のほうから値上げ要求というのが出るのは当然だと私は思・う。それはそこの採算がいいとか悪いとかの問題じゃなしに、それもありましょうけれども、この運賃の格差から見たところで私鉄が値上げをしてくれというのは当然のことだと私は思う。ましてや、株主に対して配当をしなければならぬところの重役にとってみれば、これは値上げ要求するのが当然なんで、それでもなおかつ値上げを押えていくという決意は変わらないのですか、経済企画庁長官。
  31. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私鉄と国鉄との運賃の差が非常に多いということは、これは私も認めております。が、しかし、私鉄は、大体大都会中心の私鉄ですが、その大都会中心の私鉄は大体旅客運賃ばかりでありますし、そして、しかも非常に交通ひんぱんなところで運賃収入で相当の利益をあげられるところ、有利なところ——有利なところでなかったら私鉄なんか初めからやらないです。だから、もうかるという見込みでみなやっておる。そこへもってきて、私鉄は経営能力はありますからして、土地の造成あるいは百貨店の経営等をやっておりますからして、いずれも大手の私鉄はみな黒字です。だからして、国鉄が上がったから便乗しておれのほうも上げてくれというのは、ちょっと私も聞こえぬので、それよりも、いま政府としては物価を上げないという国策をとっておるのであるからして、この際はひとつごしんぼう願って、国策に準じてやってくださいということを私、私鉄にお願いしておるのであって、国鉄と私鉄の運賃の違いということは、これは私よくわかっておる。しかし今日では私鉄の運賃値上げはできない。私鉄の運賃値上げをすれば、それによって物価上昇のムードを高めるからして、しばらくしんぼうしてくださいと言うてお願いしておるわけであります。
  32. 阿部助哉

    阿部(助)委員 今日すでに五%をこえるような物価というものは、これは国民生活にとってはもう危険信号なんですね。しかも、これ以上さらに上がるようになれば、これはほんとうにたいへんなことになる。私は各大臣ともそうだろうと思うのですが、いまの企画庁長官お話にありますように、運輸省としても、やはりこの点は、おそらくは前にこの私鉄の問題あるいはタクシーの料金の問題等質問があったろうと思いますが、もう一度ひとつここで企画庁長官の御意見と同じであれば同じということでけっこうですから、確認をしておきたいと思います。
  33. 村山達雄

    村山(達)政府委員 今度の予算編成方針でも明らかなように、国鉄運賃を除きまして、公共料金は極力抑制するということでございます。その点については全然変わりございません。ただ、現在大手私鉄から値上げ申請がされております。われわれは、私鉄もまた自分国民経済的に負担すべきものがありますし、また、当然利用者に現在並びに将来にわたって良質のサービスをすべき義務を負っておると思うのでございます。したがいまして、はたして私企業である私鉄がその財政状況からいいまして値上げをしないで済むかどうか、それをいま慎重に検討しておるところでございます。
  34. 阿部助哉

    阿部(助)委員 長官、この夕刊によりますと、けさ物価対策閣僚協議会というものの初会合をやられて、労使に対して、生産性が向上したときはその一部をまず価格や料金の引き下げに向けてほしい、こういうことを強調したというのが、非常に注目されるように新聞に出ておりますが、これは三十五年の物価が上がったころからたしか言われ続けておる、そう思っておる。だけれども、実際に、自由経済の中でそれほど指導をしたり——指導はされておるのだろうけれども、その効果を発揮したためしがないのではないか。いまもいろいろな私鉄の問題もありますが、大体そういうことはどういうぐあいにおやりになるのですか。その指導の方法といいますか、具体的なことをお示しを願いたい。
  35. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 具体的なことというと、私の実例を申し上げますと、私が通産大臣時代に鉄の小棒がにわかに上がりまして、それがために建築業者が非常に困ってきたのであります。そこで私は、製鉄メーカーの人々にみんな集まってもらって、この際建築費を上げては困る、したがって、小棒の値段はこれは上げないようにしてほしいということをお願いしたら、皆さん時局を認識していただいて、それでは値上げをしないということを決議してもらったのであります。そういうのが具体的な例です。
  36. 阿部助哉

    阿部(助)委員 実際にこれだけ物価が上がっておって、私たちは、政府物価政策というものに対して国民は納得しない、目安だけはきめておられるが、具体的な努力というものに対しては国民はおそらく納得しておらないのだと思います。  時間がないので、もう一点だけお伺いをいたしますが、通勤の定期は、一カ月——皆さんの資料ですが、一番一般的な十七キロというのをとっておるそうですが、これで見ると、三十四年の四月に八百六十円だったものが、今回の改正によると二千四百円、大体三倍になるわけですね。こんなに急速に通勤定期などが上がるのでありますが、貨物の輸送というものは、これは値上げをされないわけですか。
  37. 村山達雄

    村山(達)政府委員 通勤の問題につきましては、これは例の公共負担の問題と関係しておりまして、従来は法定の最低限度である割引率をはるかにこえてやっておったわけでございます。ただいまお話しになっております八百六十円というときには七割一分の割引になっておったのでございますが、いま例示されたところでは法定の最低限一ばいの五割というところで押えてきめた定期代でございますので、今回そのように上がってくるということでございます。  それから貨物につきましては、これは二つ問題がございまして、一つは、対戦前運賃から申しますと、貨物のほうがまだ旅客よりも少し高い運賃になっておるのが一つございます。それからもう一つは、いまの状況でございますと、貨物については実際問題として上げ得ない、上げればかえって減収がくるということもあるわけでございまして、これは貨物の現在の運賃の立て方に関係しておることと思いますが、今後この運賃を、機会を見てやはり合理的なものに逐次改めていく必要があるのじゃないか、かように思っておりますが、今回は上げる余地がない、こういうことでございます。
  38. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、貨物のほうは上げるわけにいかない、上げればお客が逃げてしまうのだ、こういうことだけですか。  それで、ついでにお伺いしますけれども、通勤というのも、やはりこれは一面産業政策的なものが十分あると私は思う。特に、いまの労働力不足なんという場合にはなおさらこれは産業政策としても重大な問題じゃないか、通学の場合には、やはり政府の文教政策という面からも配慮するのが当然なんじゃないか、こう思うのでありますが、こっちのほうは上げ方が非常に急過ぎるんじゃないかという感じがするわけであります。米とか生鮮魚介類というような、直接消費につながるものはやむを得ないとしても、一般の原材料の輸送なんというものはそれほど割り引かなければいかぬという、それならば、やはり産業政策あるいは文教政策として、もう少し通勤、通学の定期というもののこういう激しい上げ方というものはひど過ぎるんじゃないかという感じを、私、詳しくはわかりませんけれども持つわけでありますが、その点はいかがですか。
  39. 村山達雄

    村山(達)政府委員 少しことばが足りなかったかもしれませんが、今度、いわゆる定期については割引率を改定しようというわけではございませんで、それは従来からのものを据え置くわけでございますが、基本賃率の上がった分だけ上がったということでございます。  それから、貨物につきましてもう一つ申し上げておきたいことは、実は、若干の是正をいたしたいということで改定案を出したのでございますが、やはり直接経済に響く面が多い、物価に影響するところが多いということで今度押えられたわけでございます。  それから先ほど全般的に上げる余地はないと申しましたのは、現在の価格別の等級運賃関係でございまして、上位のほうは、これ以上上げますればかえって減収になるということでございますし、また第四分類のほうになりますと、これは上げますと、一般生活必需品でございますものですからやはり経済に非常に響くということで、今度は貨物の値上げにつきましては据え置いた、こういう事情にございます。
  40. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これで終わりますが、いままでお伺いしておりましても、私も、時間をあまり気にして質問をはしょりましたのであれでありますが、どうも、いままで十分な対策も立てないで、一番安易なやり方で運賃値上げという形でこれにたよるならば、もうこれは大臣総裁だなんという大ものが要らないで、だれでもがこれはやれる。     〔大竹委員長代理退席、細田委員長代理着席〕 いまおふろ屋や散髪屋が、みんな値上げをしてもらいたい、こう言っている、だけれどもなかなか上げられない。そういうときに、一番公共性のある、しかも大事な、国民生活にも重大な影響を持つこの運賃値上げというものをこう毎年毎年上げていく、これから再建期間中にさらにまた値上げをしていこうなんというのは、国民が絶対に納得しないことだろうと思うのです。もう少し、いままでの反省の上に立って、そして再建計画やそういうものをもっと国民に十分納得するだけ説明した上でないと、これはやはりやるべきではないんではないか。確かに、国鉄赤字は何とかしなければいかぬわけで、やはり国の責任においてやっていただきたいという希望を述べて、私は質問を終わります。
  41. 細田吉藏

    細田委員長代理 村山喜一君。
  42. 村山喜一

    村山(喜)委員 物価対策の立場から問題を詰めてまいりたいと思います。  まず初めに、国鉄運賃物価に及ぼす影響でございますが、国鉄運賃のウエートは幾らにとっておいでになりますか。これを経済企画庁並びに国鉄当局の当事者のほうから説明願いたい。
  43. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 消費者物価指数に占めますウエートは、御承知のように、四十年の家計調査に基づきます支出金額でもってウエートを大体はじいておるわけでございます。それによりまして現在の消費者物価指数が構成されておりますが、国鉄運賃は、全体を一万といたしますと百三十一でございます。
  44. 石田禮助

    石田説明員 これはこの委員会で再三私が申し上げておるのでありまするが、企画庁長官のおっしゃるところによると、運賃値上げによって物価に及ぼす影響は〇・二%だ、こういうのです。ところが、これが最悪の場合においてしかりなんで、実際においてはやはり〇・九%マイナスエックスだと思う。そのエックスというものは何かというと、この九百十億の運賃値上げというものが、これは輸送力の増強に使われる、輸送力が増強されれば、物資の交流というものは盛んになり、円滑になり、そこにおいて需給のバランスがうまくとれるのではないか。さらに、これは企画庁長官がおっしゃられるのだが、この輸送力が増すということは、つまり物資の生産の上において大きなプラスになる、こういうのですからして、その数字は一体どのくらいかわかりませんが、いずれにしても〇・九%より少ないことは、これは間違いない。あるいは、〇・九%なんというのはどこかへすっ飛んでプラスになるかもしれないということで、さほどにこれは御心配になることはないのではないか、かように考えております。
  45. 村山喜一

    村山(喜)委員 感度の違うような答弁は御遠慮いただきます。  あなた方が出している「国鉄通信」ナンバー三四七、この中にはウエートは幾らだととっておいでになりますか。これは総裁がお答えになるような問題ではございませんから、事務当局でけっこうです。
  46. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 昭和三十二年と三十六年と四十一年の各国鉄運賃を上げましたときのその年度の物価上昇率の中における国鉄運賃の寄与率と申しますか、経済企画庁は寄与率ということばを使ってありますが、寄与率から申し上げますと、昭和三十二年に三・一%上がっております。それに対する寄与率が〇・二二%でございます。昭和三十六年に五・三%上がっております。それに対するその寄与率は〇・一四%でございます。最後は昭和四十一年に五・一%一般消費者物価が上がっておりますがそれに対する寄与率は〇・三八%でございます。
  47. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は寄与率を聞いているのではないのです。ウエートを聞いている。あなた方はここに印刷して出しているでしょう。幾らです。お持ちになっておいでにならなければ、私が言いましょうか。どこかありますか。
  48. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 たぶん、お持ちになっておる資料は家計消費支出における品目別のウエートだと思いますが、消費者物価ではなく、家計消費支出だと存じますが……。
  49. 村山喜一

    村山(喜)委員 経済企画庁のウエートのとり方は、消費者物価全体に及ぼすウエート、国鉄のほうは八十七だ、これは家計消費支出に占めるウエートだ。そうなると、残りはどこに入るのですか。
  50. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私のほうの家計消費支出に占めます品目別のウエートは、御承知のとおり総理府の四十二年度の家計調査年報によっておるわけでございます。これによりまして、まず家計消費支出の中の交通費の割合を算出いたします。そうすると、その交通費の割合と申しますのは、交通費は、御承知のとおり総理府の調査では雑費の中に入っております。雑費が三四・七五%でございます。その雑費の三四・七五%の中に交通費が丁九六%ございます。その一・九六%の中に国鉄、私鉄、バス、タクシーといろいろございまして、その中の電車、汽車賃というのが〇・八七%、こういう計算になっておりまして企画庁のおっしゃる〇・一八%、俗に〇・二%と言っておりますが、これは寄与率からの計算だというふうに私は承知いたしております。
  51. 村山喜一

    村山(喜)委員 消費者物価上昇計算の分については、私ここに資料を持っております。ただ、これは家計消費支出に占める国鉄運賃のウエートがきわめて低い、だからたいしたことはありません、こういうような宣伝で、あなた方は一万分の八十七という数値を出された。ところが、消費者物価全体に及ぼす影響というものを経済企画庁はマクロ的に取り上げて、百三十一という数字を出している。物価に及ぼす影響の度合いについて、経済企画庁は全体的にこれをとらえて、これだけのウエートがあるからその影響のもたらすところは〇・二%なんだ、だから、この〇・二%以上に上げないように他の関連する物価というものを押えていかなくちゃならぬという感度に立っておる。ところが、あなた方のPR資料では、この中に一万分の八十七しか影響がないのだからたいしたことはありません、こういうような資料なんですね。だから、これを「国鉄通信」という形でPR資料として使われておる。そこに、いま総裁が言われたように、マイナス幾ら、エックスというものがあるだろう、こういうようなもののとらえ方となってあらわれてくるのじゃないか。私は、そういうような問題の認識の中で国鉄運賃が値上がりになって、また経営的に行き詰まったらまた値上げをしていく、こういうような繰り返しを今日まで続けてきたところに経営の基本的な姿勢の問題点があるのじゃないかと思うのです。  だから私は、やはり物価上昇に及ぼす影響というものは、ただ指数の上にあらわれるものだけではないと思う。これはやはり心理的な影響というものが出てまいります。その結果は、直接物価の上に影響があるものと、間接的な形で回り回ってまた物価に影響が出てくるものが必ず生まれる、それを私たちが一番心配をしているわけなんです。ですから、「国鉄通信」でこういうようなふうにお出しになることは、これは自由ですけれども、しかしながら、これだけの物価に及ぼす影響があるのだという、何というのですか、国民に対してまことに申しわけない、上げたくはないんだという気持ちで接してもらわなければ、たいしたことはありません、これは回り回ってよくなるのでございますという訴え方では、私は国民に申しわけないのではないか、そういうふうなお気持ちにならるべきではないかと思うのでございますが、国鉄総裁はそういうようなお気持ちはございませんか。
  52. 石田禮助

    石田説明員 国鉄運賃値上げするという根本は、物価に及ぼす影響ということも考えないではありませんが、要するに、コストが上がるがゆえに値段を上げるということでありまして、これは私鉄のごとく鉄道以外のサイドラインの商売でもうけているところは別ですが、鉄道だけをやるものから見れば、いまのような物価が上がる、人件費が上がる、しかも収入というものがわりあいにふえない、こういうところにおいては、これは当然の帰結じゃないか、独立採算でいく以上は。これは単に国鉄ばかりじゃない。私鉄がすでにそうなんです。各国の鉄道にしたって、すべてそうなんです。これはひとつ村山さんに、ただ物価だけということを考えないで、国鉄経営の上からいってこの収支のバランスがどうだ、こういうことを根本にして考えていただきたいと私は思うのです。
  53. 村山喜一

    村山(喜)委員 原田運輸大臣、いま石田総裁は、きわめて経営合理主義の立場からやはり原価計算主義に基づく問題のとらえ方をしておいでになる。あなたはやはり一国の国務大臣であり、そして佐藤内閣の閣僚であります。物価安定というものは、佐藤内閣の最大の政治的な課題であります。そういうようなときにいまのような考え方では、少なくとも運輸大臣としてはその責任を負い得ないものだと私は思うのですが、いかがでございますか。
  54. 原田憲

    ○原田国務大臣 私は、国鉄再建に関しまして推進会議が提唱しておりますことを根底として、今度二つの法律案の審議をお願いいたしておるのであります。できますならば、経済企画庁長官が言われるように、値上げをせずにやっていけたらこれほどよいことはないのでありますけれども、今日の国家財政の中で、国鉄のために、国鉄が要求する財政支出大蔵省が全部出すということはできない。そこで、この三位一体形式をとって国鉄再建をしようと考えておるのでございまして、国民の皆さん方に、いわゆる利用者の皆さん方にも、ひとつまことに御苦労でございますけれども、御利用賜わりたい、こういうことを申し上げておるのでございます。
  55. 村山喜一

    村山(喜)委員 きょうは時間があまりございませんので、私も簡潔に尋ねていく点だけを申し上げてまいりますが、いまの問題は、またこれから経営の中身に関する問題の中でも取り上げていかなくちゃならぬと思うのです。いまの国鉄は、もう破産状態ではないかと思います。私はこの際中身をみてみれば、資本勘定で鉄道債券及び借り入れ金の収入が三千九百九十億円、それだけ借金と債券で収入を得まして、そして支出は、工事勘定を見てみると三千八百十八億円、出資金がほかにありますから、それを入れて、八十九億円入れましても三千九百七億円しかない。だから、この資本勘定を見てみても、これは赤字のやりくりをもうすでにこの勘定科目の中でもやっている。また、支出のところを見てみますと、昨年の工事勘定と比較してみると三十八億円しか伸びておらない。物価上昇をしていけば、それだけ実際は工事量はペースが落ちているわけです。そういう財政状態になっている、しかも支出は、利子及債務取扱諸費が千四百六十八億円、これは昨年より百四十二億円ふえている。資本勘定へ繰入、これは債券及び借入金の償還及び工事勘定の繰り入れですが、これを調べると千三百七十五億円で、これまた七百二十億円の増であります。ですから、それらのものを計算をいたしてみると八百六十二億円も、支出の中において利子その他の借り入れ金の支払いがふえている。ですから、こういうようなことから、出資金を昨年より減らしたりあるいは繰り延べ支払いをしたりするようなことをせざるを得ないような状態にまできているのではないか。そこで、これらの中身から当然繰り越し欠損金がふえてくるという貸借対照表が生まれてきておると思うのであります。  ですから、ここでひとつ、現在の資本勘定の中で国鉄が持っている財産、固定資産をもう一回洗い直してみる必要があるのではないだろうか。と申しますのは、国鉄は資本金に比べてたくさんの財産を持っております。その中で私がいつもふしぎにたえないのは、固定資産税の対象外になっております土地ですが、この帳簿価額は四十三年の三月三十一日現在で千四百九十億円、これはその前の年は千四百五十四億円です。これは決算書ですが、予算書の上においてもわずかにふえている程度であります。  そこで、一体この中身はいまどういうふうになっているのか説明ができますか。その坪数、種別の購入時における購入価格が帳簿価額になっているわけですが、今日、過去十三年の間に土地価格は十倍以上に値上がりをしております。その値がり益は再評価されていないわけですから、それを見込んだときに一体どういうような計算になってくるのか、このことを国民の前に明らかにしながらもっと財産内容を正確につかんで、その上に再建対策考えていくべきではないか、こういうふうに考えますので、その中身について説明願いたい。
  56. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄の持っております土地は、ただいま先生のごらんになっている貸借対照表に載っているとおり、簿価として千四百九十億円でございます。この面積が六百五十三億平米、大体琵琶湖ぐらいの面積でございます。これを用途別に申し上げますと、駅の用地、これは公共の用に供しております駅前広場も含めまして、駅等の直接旅客、貨物の使用に供しておる土地がその二三%でございます。それから線路あるいは線路の付帯の築堤とか、そういったいわゆる線路敷に該当するものが四七%でございます。それから、これは主として北海道、東北等の豪雪地帯でございますが、鉄道林と申しまして、相当な林を持っておる、これは防雪用の林でございます。これが二五%ございます。その他の用地が五%ございまして、合計六百五十三億平米、簿価で千四百九十億円ございます。これはただいま先生のお話しのとおり、再評価をいたさない昔の簿価のまま、あるいはその後、昭和三十年以降入手いたしましたものにつきましては、入手当時の価格で計上しているわけでございます。
  57. 村山喜一

    村山(喜)委員 昭和三十年以降は入手したときの価格が簿価になっておる。それ以前のものは再評価されたんでしたかね、副総裁
  58. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ちょっとことばが足りないで失礼いたしました。  昭和三十年の第三次評価のときに土地も再評価いたしました。その後の土地につきましては、取得価格でもって貸借対照表に計上してある、こういうことでございます。
  59. 村山喜一

    村山(喜)委員 ですから、これから見てまいりますと、昭和三十年ですから、全国の土地価格の値上がりで当時の十倍しておりますから、その計算でいけば一千四百九十億円というのは一兆四千九百億という数字になる、そういうものも踏まえながら、国鉄の中身について私はメスを入れていかなくちゃならぬときが来ているのではないかと思うのです。もう、時間がありませんから、ただ問題だけを投げかけておきたいと思います。  次に、公取見えておりますか——富士と八幡の合併に関連をいたしまして、国鉄のレールの問題をめぐりまして、いろいろ新しい対応策をとって公取のほうに申請をするように新聞で見るわけです。その中で私は、国鉄が現在取り扱っているレールの取得の方法の問題、それから私鉄が購入をしているそのやり方の問題等を考えてまいりますと、公正取引委員会がこれから新しい競争原理を導入しなければ、いまの富士と八幡の合併は条件として認めることができない、こういうような姿勢をとっておられる。そこからいくならば、流通構造というものは新しく変わってくる、その変わってきた中において、国鉄の今日のレールの購入価格というものがどういうふうに変化をしていくのか、また、私鉄関係はどういうふうに変わっていくのか、この見通しを持たなければならないと思うのでありますが、これについてどういうふうに考えておいでになるか、それぞれ説明をいただきたいと思います。
  60. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 お答えいたします。  今般の八幡、富士の合併にあたりまして、現在わが国におきましては、鉄道用レールの生産をいたしておりますのは合併会社の二社でございますので、両社が合併いたしますと一社になるわけでございます。これは国鉄、私鉄を問わず、独占禁止法に申します競争の実質的制限になるということで十五条に抵触するおそれがあるという指摘をいたしておるわけでございますが、現在、会社側といたしましては、この抵触する事実を払拭しようということで、対応策を添えて届け出を昨日いたしてまいっておるわけでございますけれども、この対応策につきましては、本審査の一環といたしまして委員会で検討を現在進めておるところでございます。
  61. 村山喜一

    村山(喜)委員 国鉄にお伺いいたしますが、いままで国鉄は八幡なりあるいは富士製鉄との間で製作請負契約に基づいてこの購入をしておられた。これは公販価格に比べたら安いのです。私鉄の場合にはトン当たり四万八千円ぐらいです。それから国鉄の場合には四万三千円ぐらいです。大体一割安い。そればしかも、共同開発という形なのか、技術指導というような形の中であなた方がやはり指導しておいでになる、そういうようなものも入っての価格だろうと思うのです。ところが、新しい会社をつくって競争原理を導入をして供給構造を変えるという独禁法上の政策課題が一つある。その場合に、いわゆる技術の安定という問題を考えなければならない、それには少なくとも三年間は習熟する必要性がある、こういうようなことになってまいりますと、先ほど私、国鉄担当の常務からお聞きをいたしたのですが、これはいままでと変わらないような形態をとらざるを得ないのではなかろうかという話でございます。時間がありませんから問題の指摘だけにしておきますが、産業政策上はできるだけ国際競争力をつけるということで合併が要請される。ところが独禁政策上は、それが新しい競争原理のものを導き出す供給構造をつくらなければならない、そういうようなことで新会社構想が生まれてきた、しかし、それでは現実には対応ができない、こういうような問題があるわけですね。そういうような状態の中で、一体国鉄はどういうような姿勢でこれからやっていこうとお考えになっているのか、そしてまた、運輸省はこれをどういうふうに指導をしようとしているのか、これをちょっとお伺いしておきます。
  62. 原田憲

    ○原田国務大臣 この問題に関しましては、通産大臣も国会において答弁をいたしておりますが、この富士、八幡合併問題が起きてきて、このことについて私どもとして検討すべきことがあるかどうか、あるとするならばどういう点かということについて検討いたしておる、こういう段階でございまして、いま柿沼君から、対応策を持って富士、八幡のほうからきたという話がありましたが、きょう私は通産大臣から実は話を聞きました、会社が対応策を持って行っておると。私どもといたしましてはこの話が出たときに一番心配しましたのは、国鉄あるいは私鉄が品質の良好なものが安く入るということが保障されるかどうかということを私は運輸大臣として一番心配したわけです。そのときは国鉄のほうも私鉄のほうも、かりにこれが合併しても心配ない、独占禁止法云々の問題は抜きにして、一緒になっても問題はないということを言っておったようであります。ところが、今度はそれが法律のほうと問題を生じてきたから、対応策というものを講じなければこの合併は許されない、こういう問題に突き当たっておるわけでありますから、その対応策というものが、国鉄あるいは私鉄がそれならばけっこうだと十分言い得るものであるならば、あえて私はじゃましますということは言わなくともよい、このように考えております。
  63. 石田禮助

    石田説明員 レールの問題でございますが、いま国鉄がレールの問題について直面しておる問題は品質の問題なんです。御承知のとおり、どうも実にひび入りが多くて困るということで、何とか品質の改善ができないかということで、これは八幡なんかに非常にやかましく言っておるのです。われわれからいえば、二社が一社になればそれだけ力というものはふえるのですから、品質の問題について改善を迫るべく迫りがいがあるわけです。そうすると、値段の問題になりますが、大体コストはどのくらいか、ちゃんと私のほうはわかっておるのです。それで、それに対して適当の利潤を与えるというようなことでやっておるのでありますから、二社が一社になったからといって、値段のために国鉄が好きにされるということは絶対にない。要するに、大きくなればなるだけ品質の改善というものに対しては寄与するところがあるのではないか。とにかく、国鉄としてはひびの入らないようなレールをつくってくれ、これが一番大きな問題なんです。その点はどうぞひとつ御了承願いたい。
  64. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、やはり国民の生命を預かる立場からは当然いま総裁が言われた立場が正しいと思う。ただ、ここで私が指摘しておきたいと思いますのは、あなた方が原価が幾らになるかを握っておいでになる、その原価計算の上に適正なマージンをかけたもので契約に基づいて収納をしておられる、ところが、その価格は公販価格よりも大体一割安いのです。一割安いということは、通産省が行政カルテルと私たちが指摘をしておりましたその公販価格というものは、適正価格よりも一割高いところで指導をしているというこれは具体的な数字ですよ。今度富士、八幡が一緒になりまして新日本製鉄が生まれ、そして、それを支援をするのが日本鋼管、新しく二つの会社が生まれて競争原理が生まれるだろう、こういうようなことがいわれているのだけれども、いま適正な利潤を求めるがゆえに合併をし、しかもそれを支援をしているその三社がなにしてつくり上げて競争の原理をどうのこうのと言ってみても、実際の価格の形成の問題は、私が言ったように、現実でさえもこういうような状態になっているのですからそのことが期待ができるかどうか問題があるという指摘だけをしておきます。そして今後、こういうような問題が具体的な問題として出てきておるわけですから、独占資本だけが不当な価格の上にあぐらをかいていかないように私たちも監視を強めてまいりたい。  ここでもう一つ指摘をしておきたいのは、この契約価格なり、あるいは私鉄関係の納入価格というものが十年間下がらないということです。それは下がらなくてもいいだけの生産性上昇があるから、しかもそれ以上の上昇があるから、いま言ったように国鉄は公販価格よりも一割も低いところで買い得ているということなんです。それでも適正なマージンが与えられているということですから、そういうような意味からいうならば、私鉄に納入をしているレールの値段はもっと下げられる、下げても差しつかえないものだ、こういうふうに考えます。ですから、これは物価担当大臣、また運輸大臣として私は当然指導をされてしかるべきだと思うのですが、いかがでございましょう。
  65. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私はいま初めてお聞きしたのですが、そういうことはよく調査いたしまして、そして指導したいと思います。
  66. 原田憲

    ○原田国務大臣 国鉄レールは国鉄が一番大口ですから、いま話があるように、国鉄と八幡、富士との間には特殊な技術関係等々があって出てきた値段であろうと私は推察します。私鉄のほうは買い方が違うのじゃないかと思いますから、そこに私鉄と国鉄との間の値段というものはおのずから違ってくるのが当然ではなかろうか。ただ、それがあまりにも大きいか少ないかという問題は、よく私も調査して、適当に指導していきたいと思います。
  67. 村山喜一

    村山(喜)委員 国鉄で購入している量は二十一万トン以上ですか、私鉄が購入している量との間に量の開きがありますから価格は違うだろうと思う。ただ品質は国鉄のほうがずっといいのですよ。大都市周辺の私鉄の場合はいざ知らず、ローカル線のところにある私鉄のそのレールの品質と国鉄が使っている品質と比べると、ずっと国鉄のほうがいいですから、そういうような点から考えますと、まだ値下げができる、このことだけ指摘しておきます。  そこで、最後になりましたが、社会党案の提案者であります久保先生にお尋ねをいたしたいと思います。時間がなくなりましたので、これは全部まとめて申し上げますから、適切な答弁をいただきたいと思います。  この国鉄財政が、先ほども若干指摘をいたしましたが、再建をしなければならない、こういうような段階にきていることは、久保先生も同じだというふうに考えてもいいと思うのでございますが、社会党の考え方政府が出しておりますその考え、財源対策の基本的な考え方の違い、これを簡潔に要領よくその基本的な相違点をひとつ説明していただきたいと思うのです。  それから、こういうような状態になりました赤字の原因等については、いままでも国鉄総裁からも、あるいは運輸大臣、さらに経済企画庁長官等からも御説明をいただきましたが、これの背景はどういうふうに分析をして、真の原因というのはどこにあるのか。その原因をきわめずして対策は打ち得ないわけでありますから、単なる対症療法でとどまるのではなくて、抜本的な対策を進めていくためのその必要な措置としての原因分析をお聞かせいただきたいと思うのです。そして、今後の輸送力増強の試金石というような問題等についてどういうふうに考えていけばいいのか、あるいは、貨物輸送の問題、自動車輸送、特にその競合関係がそれぞれ出てまいります。空、陸、海、そういうものを一元的にとらえていかなければならないと思うのでありますが、交通ビジョンといいますか、そういうものを持っておられたらお示しを願いたい。  さらに、この過密、過疎が同時に訪れて——佐藤内閣の政治政策の失敗の結果そういう現象があらわれているわけですが、都市化現象の中で通勤輸送力はなお増強を要するというそういう状況であります。これに対する投資の問題等も当然出てまいりますが、これらの新しい町づくりといいますか、そういうものの考え方をこの際説明を願っておきたいと思います。
  68. 久保三郎

    久保議員 基本的な大事な問題でありますので、かいつまんで申し上げますが、多少お許しをいただきたい。  まず第一に、国鉄経営悪化の原因でありますが、いままで政府並びに国鉄当局等からもお述べになったことでありまして、必ずしも全部が全部一致はしておりませんが、おおよそそういう認識というか、それは同じだとわれわれも思っています。  かいつまんで、念のためわれわれの考え方を申し上げておきますが、一つには、たとえばこの収入の面から見てどうなのか、悪化の原因は収入が思うように伸びないということだと思うのです。それじゃ思うように伸びないということは、収入がなくなってきているのかというと、そうではなくて、そこにやはり将来にわたって鉄道が必要であるという要素は、これはまだ残っていると思うのであります。だんだん石炭のようにといえば語弊がありますが、そういうかっこうとはずいぶん違うのではないかと思っています。収入の伸び悩みというのはよくいわれますが、陸上交通における独占性が失われたということの一語に尽きるかと思います。独占性が失われたということは、言うならば、競争の立場に立つべき道路運送、いわゆる自動車運送あるいは内航海運あるいは航空というようなものの発達に対応して国鉄が近代化されていないということだと思う。それからもう一つは、輸送力が非常に不足しているということだと思うのです。そういう二つの面からとらえていく必要があるし、それから輸送革命といっておりますが、いまは輸送の技術的な革命を通り越して、これはもはや体制の問題だろうと思うのです。そういう変革を国鉄自体がとらえながらやっていかぬ限りは、残念ながら収入の伸び悩みは今後も続くであろうということであります。それには、先ほどいろいろお話がありましたが、しかるべき投資が必要である、こういうふうに考えます。  それからもう一つは、これはもちろん野放図に、国鉄がおもむくままに投資をすべきものではありません。御指摘になったように、総合交通対策というか、総合交通政策の中で、国鉄が将来にわたって、あるべき姿というものをきちんときめながら、それに向かっての近代化、輸送力増強だとわれわれ考えています。政府の提案ではその輪郭さえわかりません。あるものは、答弁の中に出てくるように、国鉄財政再建推進会議の意見書だ、こういうのですね。意見書というものは、御承知のようにやはり意見書にとどまるわけでありまして、それじゃそれを具体化するような方策はどうかというと、いま提案になっている一つの法律、いわゆる再建措置法案でありますが、この中では第何条かの冒頭に、そういう将来にわたっての国鉄の姿を何か運輸大臣がつくるというのですね。それなら、まず第一におおよその輪郭をつくって、その中で国鉄再建をはかるというのが順序だと思います。そういうのがない。  話は横道にまいりましたが、もう一つ支出のほうの問題がたびたび答弁の中に出てまいりました。経営経費の膨張であります。経費の中でもよくいわれますところの人件費の膨張であります。それから最も注目しなければならぬのは資本経費の膨張であります。資本経費の膨張は、その割合は人件費の割合以上にこれはふえているわけですね。先ほど来あなたも御指摘になりましたように、国鉄のいわゆる財政というものが、借りられればどんな金でも借りていこうというかっこうで今日まで来ました。政府、またそういうかっこうでありまして、手元にいまちょっと資料ございませんが、たしか、財投の占める比率というのはごく一、二年前までだんだん減ってきたのであります。いわゆる政府の資金というものの投入の割合が、言うならば減ってきている。総体的にはふえていると思うのでありますが、言うならば、連年その比率は減ってきておる。減ってきておるということは、いわゆる資金コストの高い民間資金をもって第二次、第三次長期計画を今日までやってきた。当然のごとく、それは御承知のように利子がかさんでまいりました。でありますから、先ほどおあげになったように、年間一千四百六十何億、約一千五百億の利払いになっているわけですね。  こういうものを考えると、何をまず第一に反省しなければならぬかというと、支出の面では、人件費を目のかたきにしているようでありますが、御承知のように、鉄道の仕事は労働集約産業でありまして、オートメーションのきくものはそんなにありません。しかし、近代化、合理化は、これは当然やらなければいかぬと思います。しかし、生産性に見合っての賃金ということでありますが、先ほど答弁の中にありましたが、労働の資本装備率が低いのでありますから、生産性はこれは残念ながら上がりませんよ。そういうものを怠ってきたところに一つは問題がある。それから、必ずしも近代化、合理化のための金の使い方は、これはほめたものではないのではないかというふうに、われわれは専門家ではありませんが、よそから見ているとそういう気がします。金の使い方について、必ずしも有効適切に使っているとは考えられない面が多少あるということであります。  いずれにいたしましても、この資本経費というか、そういうものに対するいわゆる対策考えなければならぬ。だから、再建の方策は、御承知のように二つあります。一つは、前向きといったら語弊があるかもしれませんが、いかにして国鉄をして国民経済的に相当のしかるべき分野を確立させるかどうか。これは言うまでもありませんが、主として都市間の旅客輸送あるいは中長距離の大量貨物の輸送、それから通勤輸送、この三つが中心的ではありましょうが、ここで忘れてならないのは、国鉄国鉄たるゆえんのものは、全国一体として運営されるところに特色があるとわれわれは思うのであります。だから、いなかの支線はやめて、もうかると言っては語弊があるが、まあまあ採算が合うようなところだけにして、あとは撤退作戦をとることについてはわれわれは反対であります。でありますから、いわゆる財政再建推進会議の意見書によりますれば、十年間で三兆七千億、年間平均で三千七百億の投資ということを見込んでおりますが、その中で注目しなければならぬのは、たしか都市間旅客輸送は一兆二千八百億か六百億投資しよう、その中でも新幹線には約八千何百億を投下しよう、残りは御案内のとおり五千億足らずです。それでいま赤字であるといわれるような長大な幹線、亜幹線の近代化はできようがありません、実際言って。だから、言うならば、いまのままでいくならば、そういう投資のしかたでは残念ながらこれは無理だろうというふうに考える。われわれも、先ほども申し上げたように、新幹線の建設はこれは否定はしません。しかし、過去における第二次長期計画の中で、新幹線を建設するために既設線区の改良がおくれてきて今日の事態になっておることも、これは否定できない。だから、新幹線建設の計画というか、そういうものの資金のワクは、既設線区の改良にしわ寄せをされないために遮断しておく、あらためて、いわゆる国土総合開発計画というか、そういうものの中でやっていくというのが当然であろうとわれわれは思うのであります。そういうことが一つある。これは前向きであります。  貨物にしてもそのとおりであります。あるいは定期通勤旅客についての話になりますと、農村で米がだぶついてきたので、米つくりを百姓が何か悪いことでもしているように思う。それと同じような考え方で、通勤輸送をじゃまものみたいに考える向きがあるが、とんでもない話だ。通勤輸送というか、いま国鉄担当すべき分野の中で最も重要なものは、この都市における通勤旅客の輸送であります。よってもって、運賃制度もこれはまた別途に考えなければならぬと思うのです。先ほど来御指摘になったように、私鉄の並行線と比べて国鉄は倍近いような運賃です。そうなると、先ほど来の御答弁を聞いておると、運輸省関係の御答弁では、私鉄でも手をあげてどうにもならぬところは値上げをするほかはないじゃないかという御答弁になる。企業の実態、企業によって運賃が違うということは都市の一体性を欠くものでありまして、決して健全な都市の開発にはならないと私は思うのであります。そういうことも考えると、都市交通は、御案内のとおり都市一つとってもたいへんでありますから、建設経費の三分の二、いわゆる道路並みに固定施設というか、既存施設は考えていくべきだろうと私は思っておるわけです。  そういうことを考えているわけでありまして、たいへん長くなりますが、そういうものを全体としてとらえて再建の方策を考えなければいけないじゃないか。単なる運賃の問題だけで処理してはいけない。しかも、この赤字になった原因というのは、そのほかに、申し忘れましたが、大事な点は公共負担であるということ。先ほど数字は間違えましたが、昭和二十四年公共企業体になってから、国鉄の発表によりましても一兆円しょっておるという。もちろん国鉄自体が全部しょったとは私は考えていない。むしろ赤切符、そして一般の小さい荷物を送った人がしょっておるかもしれぬ、いわゆる総括原価主義でありますから。しかし、それでもなおかつ赤字が出たのだからその分は公共負担のせいであろう。この際国鉄再建するためには公共負担をどうするかという問題——先ほど論争がありましたが、いわゆる独算制がいいのか。独算制でやることは——これは将来は独算制でやるべきだと私も思います。しかしながら、国家政策までも含めて独算制でやることは、いわゆる税金の二重取りでありまして、これはいけません。そういう観点から、これは先ほどから申し上げたような観点から新しいわれわれの提案でやっていくのが至当である、こういうふうに思います。  たいへん長くなりましたが、以上、申し上げます。
  69. 村山喜一

    村山(喜)委員 これで終わりますが、いまの問題を突き詰めてまいりますと、先ほど来ほかの委員からもお話がございましたが、今度の予算書の中に八十九億という出資額があります中で、七十億が日本鉄道建設公団に対する出資額であります。この日本鉄道建設公団は赤字線区をつくっては毎年国鉄に押しつける、こういうような形の中では、まさに国鉄赤字を増大をさせる機関になっておる。それから、いま公共負担の問題が出ましたが、これもやはり日本国有鉄道法第一条のいわゆる公共性の定義という問題についてこの際私たちが考えなければならない問題があると思うのです。特に、何でもかんでも国鉄だからおんぶしてしまえばいいじゃないかということが、国鉄の今日の苦境を導き出しているのだと私たちも思うのです。そういうような点から、この点についいては、破産状態になっている国鉄にそんなにおんぶすることはまことに過酷な要求だといわなければならないと思うのです。そういうような立場から、この問題について、さらに今後それぞれの立場で十分な検討を加えていただくように要望いたしまして、時間が参りましたので終わります。
  70. 石田禮助

    石田説明員 これは、国鉄が破産状態にあるなんということを言われますと、私は責任者としてはなはだ困るのであります。  そこで、たとえば四十三年の決算において千五百億損が出る、なぜ損が出るか、こういう根拠をひとつ御参考までに申し上げようと思うのです。  第一は赤字線ですよ。このうちの約六千キロというもの、これはもう幹線、亜幹線以外の赤字が約五百億円ですよ。そのほかに公共負担、通勤輸送の平均割引率は五割一分二厘ですが、その一分二厘が百三十六億円、通学定期がいま七割以上割り引いている、法定の割引率五割引いた二割一分が三百十億円ですが、合計しまして四百四十億円でしょう。それで合計して九百四十億円になる。そのほかに通勤輸送に金をかけたやつが、四十年から四十三年の間に二千七、八百億円ある、この金利が約百六十億円ある。さらに、この間の委員会でも言っているのですが、一体五割の基本割引というものはどこから出たのであるか。何も根拠があるわけではないのだ。これは全く、国鉄はなやかなりし時代の頭で国鉄にこれを持てということでやってきた。これは委員会でも、是正する必要がある、こう言った。かりに五割を三割に減らすということになると、七百二十億円ですよ。そうすると、これでもって約千八百億円の原因がわかったわけです。決してこれは破産状態でも何でもない。これを是正すればいいんですよ。結局そういうことになる。
  71. 村山喜一

    村山(喜)委員 倒産状態ですから、ひとつがんばってください。
  72. 細田吉藏

    細田委員長代理 和田耕作君。
  73. 和田耕作

    ○和田委員 いまの総裁の御答弁で安心のような感じもするのですけれども、最初にお伺いしたいのは、昨年の十一月に発表されましたいまの国鉄財政再建推進会議の意見書、これを総裁、どのように評価されておりますか。
  74. 石田禮助

    石田説明員 これは実に適切なる結論だと私は思います。あれは実によく国鉄事情も知っており、私はほんとうに公正な意見だと思います。ぜひひとつ、これは今後の国鉄責任者としては万難を排してやらなければならぬ、ここにおいて、国鉄がほんとうにりっぱな国鉄になって、日本輸送機関としての任務を尽くすことができるのだ、こういうように考えております。
  75. 和田耕作

    ○和田委員 実は、その意見書の冒頭のことばにあるのですけれども、三ページの上から四行目ですが「爾後、赤字は加速度的に増加し、遠からず破局的な状態に至るものとみられている。」こう書いてあります。最初に、のっけからこういうことばを使っておられます。いまの村山委員とのやりとりで、たいしたことはないのだというような御判断があったようですけれども、このことばは、単なるまくらことばと受け取られますか。
  76. 石田禮助

    石田説明員 これは、このままで改善もしないで、ぼんやりしておった日にはえらいことになる、この際、ひとつ目をさまして再建努力をしなければいかぬ、こういうことなので、これは改善しない場合においてしかり、そこにいくために改善する必要があるという前提だと私は考えております。
  77. 和田耕作

    ○和田委員 この問題は、若干ことばじりの感じもあります。おそらく総裁は、いまの国鉄の状態を楽観的に、たいしたことはないのだと思ってはおられないと思います。だから、いまの問題は単なることばじりだと思いますからこれ以上は追及しませんけれども責任者としては、もっと真剣に国鉄の問題をお考えにならなければならない段階ではないか、私はこういうように感ずるのですけれども、もう一ぺん総裁の決意をお伺いしたい。
  78. 石田禮助

    石田説明員 私はさっき、国鉄は破局状態にあるというようないやなことを聞きましたので、実際に数字から見ればそうではないのだ、これは要するに、破局状態ではないけれども、このままでいけば破局状態になる。ここにおいて、私は総裁に三十八年になったのですが、大声疾呼したことは、公共負担、こんなものはとってくれ、そして赤字線の問題はどうしても解決しなければならぬ、沈みつつある国鉄というものを本来の筋に直したい、こういうことでありまして、この結論は、今度ようやく推進会議の結論になって出たわけであります。
  79. 和田耕作

    ○和田委員 いまの破局的云々はこの程度にいたしまして、この再建会議の意見書の八ページにある文言ですけれども、「再建期間の初期において、公共負担の是正を含み実収一〇%程度運賃改訂を行なうとともに、その後における物価騰貴等の止むを得ない要因に基づく運賃改訂については、」云々、こうあります。この意味は、再建会議の御意見としては、今年度から始まる十カ年の再建の期間において本格的な運賃のアップというのは、この初期に行なう一〇%でいいのだ、あとは物価の問題の是正程度でいいのだというような意味と解されますけれども、その点、どういうふうに受け取っておられますか。
  80. 石田禮助

    石田説明員 一〇%ということは、まず第一の値上げでありまして、いまのように経費というものがえらい勢いで上がるにもかかわらず収入の増というものは弱い、差し引きマイナスになる。その是正というものは、将来十年の間に二回くらいはやはり運賃値上げをして是正する必要があるだろう、こういうことでありまして、これは何も国鉄だけの問題ではない。私鉄も同じことだと思います。
  81. 和田耕作

    ○和田委員 それは総裁のお気持ちであって、この再建会議の文言としてはこうなっておりますよ。公共負担の是正を含み、実収一〇%前後の運賃改定を行なうとともに、あとは物価高の是正云々ということなんですよ。つまり、これは今後何回も何回も無計画に運賃値上げされてはかなわぬと思うから今後の運賃値上げの見通しの問題を総裁にお伺いしているのです。今後まだ何回もおやりになる必要があるのかどうか。この再建会議の意見では、初期の段階においてと、こう書いてありますけれども、今回は初期でもない。冒頭からこれが出てきているわけですけれども、初期の段階において公共負担を含み、運賃実収一〇%程度云々ということばが出てきている。しかも、今後こういうような問題が続いてあるということば一つもない。あるのは、物価値上げについての是正問題です。こういうのが意見書の見通しですね。これはこれで非常に責任ある立場だと思うのです。十カ年の再建のいろいろな方途を実行すれば、運賃値上げは初期の一〇%実収でいいのだ、あとは物価値上げを是正する程度のものを適時やれるような形にすればいいのだという趣旨ですね。これをどういうふうにお考えになりますか。
  82. 原田憲

    ○原田国務大臣 おっしゃっているとおりだと私は思っております。
  83. 和田耕作

    ○和田委員 それでは、この十カ年計画が進行すれば、今回の一五%程度運賃値上げで見通しとしてはいいとお考えになるんですね。今後、物価値上げ以外の問題としては値上げが必要でないとお考えになるんですね。
  84. 原田憲

    ○原田国務大臣 もう和田さんも御承知と思いますけれども、この推進会議が十年を見通して試算をいたしております。その中には、お話しのような運賃値上げというものを考えてこういう計算だというような一応の試算をいたしておりますが、私は、それはいまあなたがおっしゃっているように、この十年間に、国鉄だけではなしに物価の値上がりというものもあるであろう、そういうときにはそれに適応した措置をとればいい、こういうふうに考えております。
  85. 和田耕作

    ○和田委員 いまの運輸大臣の御答弁を了承いたします。つまり、その意味は、特別の運賃値上げというものは一〇%内外のものでいい、あとは物価が上がるということについてはしかたがないんだということですね。ぜひともそれを守っていただきたいと思うのですけれども、その問題と関連して、同じくこの意見書の中にこういうことばがございます。  これは四ページなんですけれども、いままで国鉄基本問題懇談会等でいろいろの適切な対策が提案された。残念ながらこの提案が旧来の慣行的、制度的な諸制約、あるいは社会的、政策的な配慮等によってびほう的、部分的にとどまってしまった。これが現在の苦しい状態に至った原因だということを書いておりますね。これはどういう意味でございますか。つまり、このりっぱな提案がいろいろなされたけれども、しかし、慣行的、制度的な諸制約という、いろいろな含みがあることばで書いてあるんですけれども、これは具体的にどういう意味なんですか。
  86. 町田直

    ○町田政府委員 お答えいたします。  具体的には、たとえば二十七ページの第一部会の第五章、そこに「国鉄がその役割を果たすうえでの問題点」というのがございます。その中に、たとえば「競争条件の不均衡」、それからその中で「各種公共負担」あるいは「ローカル線の負担」というようなことがございます。概してこういうようなことでございまして、大体、前の委員会等で指摘されておりましたことが必ずしも全般的には行なわれなかったというようなことを指摘しておるものと思います。
  87. 和田耕作

    ○和田委員 この再建会議の十カ年計画というのは、いままでいい提案がなされたけれども、それが実際において行なわれていない、しかもそれを必ず実行するという体制なしにはこの意見書の方針は実行されない、つまり、単なる机上プランになってしまうということなんですけれども、今後このような諸制約というものを必ず実行されると思われるのか、あるいは、これとこれとこれは実行できるという、その問題についての総裁の御意見をお伺いします。
  88. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま鉄監局長が申されましたようにいろいろ項目がございますので、私から答弁を申し上げます。  実は昭和二十九年以来いままで、ここに書いてございますとおり各種の委員会が実は持たれまして、おのおの多少のニュアンスはございますけれども国鉄経営形態、すなわち、いまの公共企業体でいいかどうかという問題、それから経営の機関の問題、あるいは国鉄に対する監督の問題、あるいは全般的な財政の問題、大体その四点くらいに分かれて、多少のニュアンスはございますが、いろいろなアドバイスがございました。そのうち経営形態につきましては、おおむね現状の公共企業体のままで推移すべきだ、これを地域的に分割したり、あるいは昔の鉄道省に戻したりなんかはいかぬ、いまのままでとにかくやってみろ、これがおおむねの御意見でございます。これはいま実施されておるわけでございます。その次の経営機関につきましても、いろいろ当時経営委員会等がございましたけれども、現在は総裁理事会ということで、それに監査委員会というものをつくりまして、これも大体よろしいということになりました。  問題は、国鉄に対する監督と財政上の援助の問題でございますが、監督につきましても、各省がいろいろ監督しているのがいけないとか、あるいは運賃が国会できめるのがいけないとか、あるいは定期の割引率が高いとかいういろいろな内容がございますが、一々申し上げる余裕がございませんが、それらのうちで、いま定期の問題だとか、あるいは監督につきましてもだいぶ簡素化されてまいりました。  それから財政問題につきましても、やはり二十九年当時から何か国鉄にめんどうを見るべきだということがいわれておりましたけれども、昨年、実際には実施されませんでしたが、やっとこれが実施の運びになったというようなことでございまして、いろいろその他、赤字線の問題等もございますが、これからやれる問題、あるいは、たとえば国有鉄道運賃法を廃止して、運賃の決定は主務大臣にまかせるというようなことも書いてございますが、こういうようなことがはたしてできるかどうかは相当疑問だと思いますし、そういった問題によりまして、実行のできるものと実行できないものとございますが、今回の財政再建推進会議におきましては、おおむね実行できるであろうということを一つの前提として試算が行なわれたわけでございます。
  89. 和田耕作

    ○和田委員 実は、この再建会議のある有力なメンバーですけれども、これは人の名前は申し上げませんけれども国鉄の問題は、運賃の引き上げというものを先に出すというよりは、むしろいままでのやろうと思ってできない諸条件の幾つかの問題を真剣に改革していかなければだめなんだという意見を述べる人がおりましたけれども、しかし、今回の場合は、この意見書の中にあるように、十カ年のうちの初期の段階において一〇%前後の運賃の上げがありますね。初期の段階ということは、つまり十年のうちの二、三年ということなんでしょう。しかも、この運賃だけが先ににゅっと出てきて、国鉄の管理体制あるいはその他の問題として、政府との関係の問題としての重要な問題がまだほとんど緒についていないにもかかわらず、その問題をやらないで、まず運賃の問題が先に出てきた、こういうところに総裁としての一つ責任みたいなものがあるのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
  90. 石田禮助

    石田説明員 もしもそういうことであれば、国鉄総裁責任として相済まない。利用者負担をどうしてもやらなければもうだめだというのは、最後の問題です。  それで、第一には、国鉄は積極、消極の合理化について徹底してやる。それで、政府公共負担というようなこと、さらに、住宅政策の一環になるべき通勤輸送について財政措置を講じてくれるということで、これは四十四年度にはありませんが、将来のものを入れると四千五百億くらいになる——実際には六、七千億くらいになるのではないかと私は思いますが、それをやる。それをやってもなお足らぬから、これはぜひひとつ通勤者に、利用者負担してくれということで、利用者負担ということは最後の助け船として持っていった次第でございまして、まずこれをやって、あとのことをやるというわけではない。順序としては、全く最後の問題だというように御了承願いたいと存じます。
  91. 和田耕作

    ○和田委員 私はしろうとでよくわからないのですけれども、いろいろな問題を見ていて、国鉄の問題は、管理体制というものについて、大事なところで責任を負う者がないという感じがしてならない。ちょうどいまの大学問題が責任を負う者がないと同じように、違った意味で、何か無責任な、大事なところで責任があちこち転嫁されるという体制があるように思えてならない。こういう場合に、総裁は、先ほどから強調されておりますように、公共負担というものを政府責任をもって見なければ国鉄の最高責任者として責任がとれないという強い立場で政府に迫る、そのような御決意はないのですか。
  92. 石田禮助

    石田説明員 それはごもっともな次第です。過去においては、国鉄収支状況にきわめて余裕があったのでありまして、政府なり国会が負担しろということは負担してきたのですが、その後、国鉄収支状況はすっかり変わってしまった。それにもかかわらず、政府あるいは国会というものは依然として同じような頭で国鉄を見ている。そんなことでは、国鉄というものはにっちもさっちもいかなくなってしまうということで、私が三十八年の五月に総裁になってから一生懸命にやってきたことは、この公共負担の是正とか赤字線の問題とかいうようなことでやってきたのでありまして、この点については、言われるまでもなく、私は最善の努力をした。その結果がつまり今日の状態になって、大蔵省としても思い切って援助してくれたということになったのだと私は確信している次第であります。
  93. 和田耕作

    ○和田委員 しかし、いまの状態では、公共負担の問題についての政府の態度というのはきわめて不満な状態でしょう。これは運輸大臣あるいは企画庁長官、この提案では、公共負担の問題をこの十年間にできるだけ是正するようにという注文があるのですけれども政府としてどういう態度でこの問題に対処されるでしょうか。
  94. 原田憲

    ○原田国務大臣 私はやはりこの公共負担の問題で検討を加えていかなければならぬだろうということを考えておりますが、いま和田さんから国鉄総裁に、あなた不満でしょうということを言われたが、国鉄総裁は、そうじゃない、いままでと比べたら今度は大蔵大臣はよくここまでやってくれたということを何度もここで言われておるわけなんです。私自身も、運輸大臣に就任いたしまして、それまで実は国鉄の専門家でもありませんし、政務調査会におりましても、この部門を担当したことは、私、正直言ってございません。しかし、見ておりまして、国鉄総裁が就任をされて長期七カ年の計画を立てられたときに、確かに、先ほど話があった基本問題懇談会といったのですか、これが一つの提案をした。ところが、結論は金を出さなかったのです。そこで、その計画をやるのに特別債を借りて金だけは借りてきた。これが後ほど、いま資本の増高になって苦しめておるわけであります。こういうことで、その次に、そのときは運賃値上げもさしてもらえぬから収入もふえぬ。四十一年にたしか値上げがあったはずでありますが、それ以来、政府のほうとしては何もやってくれぬ。去年、四十三年度予算のときには百三十億の国鉄納付金というのを国鉄予算の中へ組んで大蔵省はてこ入れするというような話をしておった。私は、ここに副総裁がいるからうそじゃない、そんなことはやめなさいと言ったんだ。それはきっと入ってこないよ、それはあなたのところに入ってくると思っているかしらぬが、なかなかそうはいかぬ、地方財政には地方財政としての要望があるから、それがもし入ってこないということになったらたいへんなことになるからと、そういうことを申し上げたことがある。しかし、そのとおりの予算をやってみて、結局これは一文にもならなかった。そして結末は、初めて財政資金というもので五十億ほど、実態は六分五厘までの利子補給みたいな形で去年の予算を組んだということなんです。そこで、四月に入ってこの国鉄財政再建推進会議というものを閣議できめて、さっそく五月に組まなければならぬ事態に立ち至ったということは、国鉄財政状況が償却前の赤字になる——これは、先ほど破産になるといって、国鉄総裁はそんなものじゃないと言われましたけれども、このまま推移したらそうなるということは間違いがない。そこでこの推進会議で出してこられたものを取り上げてみて、私はいまあなたがおっしゃるように、全部が全部できたと思っておりません。しかしながら、大体ここで指摘されておることは今度の予算によって実現ができた、私自身はそうひそかに考えておるのでございまして、おっしゃるように、今後も公共負担の面等につきましても検討を加えていかなければならぬと思っておりますが、いずれにいたしましても、今日提案いたしております件につきましては、ぜひ御協力が賜わりたい、このように考えております。
  95. 和田耕作

    ○和田委員 企画庁長官、どうですか。
  96. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま運輸大臣が言われた考え方と私も同じ考え方であります。
  97. 和田耕作

    ○和田委員 いまの問題もまだたくさん問題があると思いますけれども、先へ進みたいと思います。  国鉄赤字が表面化してきたのは昭和三十九年からということですね。四十年から七カ年計画が始まっております。四十年から始まりまして、四十一年にかなり大幅の運賃値上げをしました。そうして四十二年は休んで、四十三年に、公共負担的なものですけれども運賃値上げがありました。そうしてまた今年この提案があるということですね。つまり、七カ年計画をお立てになったときには、このような状態を全然予想されていなかったのですか、あるいは、赤字承知で金をどんどん借りて実行したわけですか。
  98. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 昭和四十年からの七カ年計画のときには、やはり昭和四十四年から損益分岐点が悪くなる、こういうことで、実は予算委員会でもそういう御答弁を申し上げました。それじゃ四十四年ころに何かてこ入れをしなければならぬのじゃないかというような御質問があったようなわけでございまして、当時の計画書にはやはりこれほど収入が伸びないとは思いませんでしたけれども、大体、全体の所要工事資金の二割弱を自己資金でまかなう、八割を借金でまかなう、こういう計算で、しかも四十四年から損益計算は悪くなるという、こういう計算でございました。しかしながら先ほどからのお話しのとおり、収入が伸びませんでしたので、実際には自己資金は一割以下というような数字になったわけでございまして、当時も、現計画自体も償却前赤になっておりませんでしたけれども、四十四年時点からやはり赤になる、こういう計算にはなっておりました。
  99. 和田耕作

    ○和田委員 この意見書にも強調しておりますけれども国鉄経営の、つまり生産性というものですね、収入に対しての従業員の比率ですね。生産性というものが、考えられないほど低い。つまり昭和三十年から十数年の平均として四・五%という数字がございます。その間に賃金が九・五%、これがもう十数年ずっと平均しての数字ですね。これはちょっと考えられないのですけれども、先ほどの久保さんの話では、労力が集中する産業だからなかなか装置がちゃんとしてできないのだという、ごもっともなことでしょう。しかし、トラック輸送の場合は、一〇%近く上がっていますね。なぜ国鉄だけがこのように生産性が低滞しておるのか、この問題についてお尋ねしたい。
  100. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄生産性賃金の問題につきましては、お説のとおりの数字でございます。私どももこの生産性の伸びをずっとこうやってながめてみますと、平均四・五%というのは非常に低い。しかも、年ごとに非常に異常的な数字が出ておりまして、これらについて一々検討いたしておりますけれども、結局、やはり投資してもそれが収入にはね返るまでに非常に期間が長いということ、それから、この生産性は実は収入で見ませんで、輸送量と申しますか、換算客貨車キロというので見ておりまして、実は収入とは関係ございませんが、これで見ますと、多少お客の乗らない列車が動き過ぎている。たとえば地方のローカル線等におきましては相当すいた列車が実は走っております。そういう意味で、換算客貨車キロに比較いたしまして一人当たりの生産性が非常に悪いということは、やはり能率のいい列車が動いていないということに尽きるのじゃないか。あるいは、石炭の減収等によりまして、地域的には貨車が遊んでいるというふうなことがこういう特殊現象になってあらわれていると思います。本来、四・五%ならば、大体逐年によくなるとか悪くなるとかいう数字が出るべきでございますが、ほとんど毎年非常に異常値ばかりの累積でございまして、これは結局、いま申しましたような、そのときそのときの特殊現象がこういう形にあらわれておるのだ、しかし、全体的に見ますれば、昭和三十年に比しましてわずか一七〇にしかなっていない、ほとんど日本じゅうの産業で一番低いだろうと私は思いますが、これは非常に問題点だと思っております。
  101. 和田耕作

    ○和田委員 まだいろいろな要素があると思いますけれども、いずれにしても、この国鉄の運営という問題について、よそから見ていて、何か非常に意欲的なものが見られない。これは経営者の経営態度にもそういう感じ一これは感じなんですけれども、そういう感じがするだけでなくて、働いている労働者にしても、そういうふうな感じがある。何か、これは国鉄の運営という問題に対して、いままでとは変わった抜本的な、頭を切りかえた協力体制というものが必要じゃないか。そういう意味で、ことばはちょっと悪いのですけれども、労働者の経営参加というような制度、つまり、十カ年計画を実行するということを目標にしてそういうふうな画期的な制度をつくって、いい意味国鉄一家一丸になって大事な任務を果たすというような意欲がおありにならないのか、総裁ひとつ。
  102. 石田禮助

    石田説明員 これは私は、国鉄の性格というものが一つの根本原因だと思うのです。要するに、国鉄というものは、ただ私利だけを目的にしてやっているんじゃないんです。ほんとうに欲だけを土台にしてこんな大きな鉄道はもちやせぬ。やっておる二万八百キロのうち、ほんとうにもうかっておるのは、御承知のとおり三千キロ以下なんです。あとはもうからないわけです。そこに公共性というものがある。つまり、もうからぬ仕事も公共性でやらなければならぬ。だからして、国鉄職員のベースアップにしても、ベースアップ資金があるかないかという問題じゃないんです。これはやはり仕事の性質その他にかんがみて、ほかの二公社並みに上げなければならぬ、こういうようなことになっているんでありまして、その結果が、国鉄合理化をやろうと言うと、合理化反対だとかというような、全く仕事と運命をともにするというようなことになってないのです。これは国鉄公共性というものが原因をなしていると私は思う。国鉄がほんとうに民間の会社であるなら、会社がもうからなければ職員のベースというものは上がらぬ、こういうふうになるのでありますが、国鉄の仕事そのものがもうからぬ仕事で、やはり公共性のためにやらなければならぬ、こういうことになっているんですからして、生産性が上がるゆえにベースアップをする、生産性が上がらぬがゆえにベースアップをしないということにはできない。そこに合理化反対というような気持ちが出てくるんで、これはやはり公共性というものをやめて、全く普通の企業のようなぐあいに根本から直さないと、あなたがおっしゃっているように、従業員というものが民間の従業員と同じような気持ちにはならぬ、こういうことになるんだと私は考えております。
  103. 和田耕作

    ○和田委員 それでは、つまり現在の国有鉄道的なものではなくして、もっと民間的なものに切りかえるということが国鉄経営の最大のポイントだ、こういうふうにお考えになっているわけですね。  しからば、このお考えはりっぱな御意見だと思いますけれども、現在の国鉄をどうするかという場合に、その考え方だけを軸にしてお考えになると、一種のはかない望みということになるんじゃないですか、一つの民間的な経営体制に持っていく、そうしなければ国鉄はよくならないのだということだと。そうではなくて、現在の公共企業体のままで、何とか全体の人が、協力できるような体制をつくり上げていくというようなお考えを持たなきゃならぬじゃないかと私は思うのです。その意味で、労働者にも経営責任を持たしていくという体制を考えなければならぬと考えているわけですけれども、これは要望として申し上げておきます。  それで、肝心の物価の問題に関係した大事な問題なんですけれども、今度の場合に、便乗値上げ、つまり私鉄運賃、バスその他の直接関係を持った運賃値上げはさせないということを総理大臣はもう何回か言明されておられるし、ここにおられる企画庁長官は、私も今まで何回かお聞きしたことがありますけれども、特に強くそれを言明されております。運輸大臣、この問題について何回か御答弁なすったと思いますが、重ねてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  104. 原田憲

    ○原田国務大臣 この問題につきましては何度もお答えを申し上げておりますが、特に大手私鉄の運賃改定につきましては、各社の経営内容、輸送力増強計画及び他交通機関との関係等、諸般の事情を総合的に考慮するとともに、物価対策上の見地からも慎重に対処する考えでございます。
  105. 和田耕作

    ○和田委員 慎重に考慮するということは、あるいは上げるかもしれないということを含んでいるわけですね。
  106. 原田憲

    ○原田国務大臣 これは昨日も企画庁長官と一緒に委員会で答弁を申し上げて、企画庁長官が、初め、絶対にということばを使われた、質問もありまして。運賃の問題については、私が権限者なんです。そこで、これは法律によって、手続上、大手私鉄の場合は運輸審議会にかけるのでございます。それと物価の問題が非常に重要な問題でございますから、この問題については物価の閣僚協議会にかけるという手続が内閣で必要になっている、こういう問題がある。したがいまして、いま運賃の申請が出てきておりますけれども、私のところをパスしたから、運輸審議会をパスしたからそれで政府はオーケーだというわけにはいかぬ。物価の問題、経済全般の見通しについて責任を持っておられる企画庁長官は、そういう意味でことしは特に、何度もお答えをいたしておるのでございますが、安定をした、バランスのとれた経済状態というものをもって国民経済というものを安定するためには物価という問題が一番重大だと思う、そこで、この四十四年度の予算を編成するにあたって、政府方針として、公共料金国鉄以外は極力これを抑制するということを統一した見解として持ったわけです。したがいまして、私はそのことを何度も繰り返し申し上げておるのでありまして、抑制ということにウエートを置いてものを考えておるということでございます。
  107. 和田耕作

    ○和田委員 これはいま運輸大臣の含みのあることばだと受け取ったのですけれども、この十年間の例を見てみますと、昭和三十二年に運賃改正をしたときは上げております。三十六年の改正のときも上げております。四十一年のときも上げております。四十三年のときには上げていないようですけれども、実際の中小はずっと上げております。中小の地方の運輸機関は今度の四十四年、この運賃改正だけ上げないという、できるだけ押えるという何か根拠みたいなものがありますか、運輸大臣
  108. 原田憲

    ○原田国務大臣 いま和田さんのお話しのとおりだと思います。運賃というものは、ここでもお答えいたしましたが、特に、同じところを同じ形態で走っておる運賃が異なったらおかしいじゃないか、一物一価じゃないか、こういうことで、いままでそういう形で考えております。私が間違いなければ、四十一年の値上げのときは、私鉄のほうが先であったのじゃないかと思っております。あとから国鉄が追いかけたのじゃないか。四十三年に定期の運賃が変わっておりますね。ここがえらい変わりようなんです。そこで、前の大臣が、一年間私鉄の運賃は上げませんということを言われ、その末期において定期運賃等はいまと同じような御質問があったらしい。そこでは、これは上げなければしようがないじゃないかというような意見を言われたがあなたはどうかという御質問に、私は就任直後から、臨時国会からずっとあっておるのです。だから、バランスをとらなければならぬということは大事なことだと私は申し上げてきたのでございますが、予算編成をいたしましてずっとその見通しを立ててみたときに、特にことしは、四十三年度の予算を組むときの状況では、これはことしまだいまごろ国際収支も悪いと思っておったのです。ところが、逆に外貨手持ちも非常にふえれば、国際収支はまだよい。かげりだ何だとかいわれておりますけれども、非常によい。七期連続の好況だ。ところが物価だけが、きょうは、五%以内にいくのじゃないかというお話がいま出ましたけれども、五・六というような状態でございましたから、これは物価安定をすることが一番大事である、こういう見解に立って、私鉄運賃というものと国鉄運賃というものと確かにバランスがとれない面が出ておるけれども、この際はひとつがまんをしてもらいたいということを菅野さんが言われる。この間は広沢さんもここで実例を引いて、こことこことの間がこれだけ違ってくるじゃないか——これは確かなんです。いまでも違っておるのです。だけれども、これは他の方法をもって、いわゆる減税とか、通勤手当に対する税制措置、そういうようなカバーをしておるから——ただ単に運賃が違いますと、これはたいへんな問題が去年も生じておったと私は想像します。同じところを違う運賃で走って、そこに何らの措置がなかったら安いほうへ行くのにきまっていますから、私は就任して一番先にそれを聞いたわけです、どういう現象かと。そうしますと、なだれ現象が起きておらないということは、他に対する措置をもってこれに対処しておるという現象がいまある、こういうことでございますから、極力抑制につとめる、こういうことでやっていきたい、こういう態度でいまおるわけでございます。
  109. 和田耕作

    ○和田委員 四十一年の運賃値上げのときも、予想したよりも国鉄収入は非常に減ってしまった。これは、運賃を引き上げるということによって増収をはかろうとする見解の一つのシグナルみたいなものじゃないかと思うのですね。たとえばいまのこれにしても、東京から地方へ出る私鉄よりも現在でも全部高いのですね。今度上げると非常に高くなる。これは運賃を上げても、結局国鉄収入というものは予想以上に増加しない、こういう問題がすぐ出てくるのじゃないかという感じがするのですよ。先ほどの、今回は旅客運賃だけで貨物運賃は上げないということですが、上げられないわけですね、貨物運賃を上げちゃ品物が減るわけですから。旅客の場合はたくさんの数ですから、私鉄には乗り切れないものが出てくるということはあるでしょうけれども、これは非常に非人間的な扱いですね。つまり、もうこの段階になりますと、運賃の引き上げということでは国鉄収入は得られない、その一つの限界点みたいなものがもうすでに迫ってきておる、そういうような感じすらするわけですよ。したがって、運賃の問題で国鉄経営の問題をよくしようという安易な考え方はもうだんだんと限界にきているという感じがするわけなんです。はたして今度の場合に、予想したこの九百十二億というものが得られるかどうかということですね。これは総裁、たいへんな御心配じゃないですか。得られる見通しがございますか。
  110. 石田禮助

    石田説明員 運賃値上げをする場合には、必ずそれに対する抵抗というものがある。その一番いい例は四十一年の運賃値上げでありますが、しかし、これは四十二年になってくればやはり普通の状態に返ってくる、こういうふうなんで、一時的には御心配のような点はありますが、しかしこれは、やはり結局においてわれわれも目的を達することができる、こういうふうなんで、さほどに御心配になることはないと思っております。(「他に乗るものがないから乗らざるを得ない」と呼ぶ者あり)
  111. 和田耕作

    ○和田委員 乗るものがないから乗らざるを得ぬという声があったのですけれども、その問題をほんとうにお考えにならなければいけないと思うのですよ。乗るものがないから、国鉄が高くてもしかたがない。先ほどから総裁は非常に冷たいコマーシャルな線で問題を考えておられるようですけれども、この問題については非常に重要な問題に差しかかっておると思いますね。  それで、最後に私、物価の問題について特に注意を喚起しておきたいと思いますけれども、来年度予算の政府物価値上げの見通しは五%ということでございます。しかも、この五%ということが、なかなかこれはたいへんな努力をしなければ守られないということは、政府自身が言っておられます。昨年の例からいえば、昨年四・八%が五・四%ですから、今度は五%の見通しが五・六あるいは六%近くなっていくかもわからないという危険がある。こういう時期の国鉄運賃値上げなんですね。私どもは、この問題について特に重視するがために、運賃値上げは絶対にやめてもらいたい、こういうふうに考えておるわけなんです。それによって、同僚委員が述べたと思いますが、建設的な代案をもって運賃値上げを一年間延べてもらいたいということを申し上げておるわけですけれども、この五%という問題ばたいへんな一つの坂に差しかかっておるというのは、つまり預金利子の問題のぎりぎりの限界なんですよ、五%というのは。銀行利子の一年間の定期が五・五%、半年間の利子が五%、日本人はそういう定期に預ける人よりも一般に預ける人が多い、これは三%前後なんです。そういう日本の経済成長というものがこの大きな、他国に冠絶したような貯金、貯蓄というものがあるとするなれば、あまりそれに甘えてはいけないということなんですね。そういうふうな問題のぎりぎりの線が五%、私はもう五%では非常に危険信号だと思います。ほんとうは四%以下でなければならないと思うのですけれども一、もう五%の線にきている、こういうときですから、企画庁長官——先ほど運輸大臣は含みのある立場、抑制するということにウエートを置いた努力ということをおっしゃったのですけれども企画庁長官はこの問題についての強い決意を持っておるのは当然だと思いますけれども長官、御意見を伺いたいと思います。
  112. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 来年度の消費者物価を五%にするということは、これはお話しのとおり、よほど努力しなければだめです。このままでほうっておけば、来年度は五・八%あるいは六%になりはせぬかという心配を私は持つので、そこで、そうなればお話しのとおり銀行預金利子よりも高くなりますからして、そうなれば預金も減るし、それがまたいろいろ他の物価に影響するし、輸出にも影響するということを考えますので、どうしてもこの際は五%、われわれは、理想とすれば三%にしたいのですけれども、いま三%にするといっても絶対できないことですから、せめて五%まではしたいというのが努力目標なのでありまして、そこで、そういう意味において公共料金を一切上げないということで主張してまいったのでありますが、しかし、消費者物価へ最も影響を及ぼすものは米価です。米価だけはがんばろう——国鉄料金のこともがんばったのでありますが、国鉄自体がこのままでいけば破綻するというようなことで、国鉄破綻すれば、これは日本の全体の経済を撹乱することになりますから、その意味において国鉄を何とかしなければならないということで、まず最初には体質改善ということで、先ほどのお話のとおり、これが根本条件だ、それをやらずに料金だけ上げるのだったらそれは絶対賛成しない、体質改善をやるという前提で、そこで体質改善をやり、それから財政支出大蔵省に無理にお願いするし、その上で足らぬ分だけ料金値上げということでやって、そこでやむを得ず料金値上げをしたのでありますが、それだけ、五%ということについては実現困難な事情にあります。でありますからして、それを他の方法でカバーしなければならぬということで、この問題については、きょうも物価対策閣僚協議会を開きまして、物価に対する政府の態度をはっきりして国民に訴えて、国民とともに物価問題を解決したいということで、きょうきめて新聞にも発表して、ただいま見ましたが、夕刊にもすでに出ておるのでありますが、そういうことで、ひとつ五%はぜひ来年度は実現したいという考えをしておる。これが、他のいろいろ構造上の問題で消費者物価を上げておるという問題がありますが、それはやはりじみちな方法でありますからして、それが幸いにして功を奏すれば、やがて二重的な日本物価というもの、これは卸売り物価消費者物価が非常に違っておるということが漸次なくなってきて、消費者物価というものがまた漸次下がっていくというようなことも考えておりますので、それは経済社会発展計画で計画いたしまして、それで、できれば来年度二%、三%くらいに消費者物価をとどめるようにしたいという考え方でいまいろいろと苦労、苦心している最中なんであります。
  113. 和田耕作

    ○和田委員 もう時間もなくなりましたからこれで終わりますけれども、ぜひともひとつ——再建会議の有力なメンバーが私に語っておりますように、とにかく物価の上げよりも国鉄の体制を合理化することが先決だ、こうおっしゃっておられるのですよ、実際よく調べた方が。また、この意見書にもそういうニュアンスが出ていますよ。全面にわたってそういうような問題ですから、ぜひとも総裁、もう欲も野心もないりっぱなお方ですから、この問題は、最高責任者としてほんとうに責任体制をもって政府に迫るものは迫ってもらうし、国民に訴えるものは訴えてもらう。そして運賃値上げというものはだんだん限界に達してきておる。運賃値上げでは国鉄収入は上がらない。上げようとすれば国鉄の新体制はできない。そうでしょう。貨物の問題でもそうですね。そういうようなことですから、ぜひともひとつ、この運賃値上げという方向にたよらないで、国鉄経営再建という問題を本気になって考えていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。
  114. 細田吉藏

    細田委員長代理 有島重武君。
  115. 有島重武

    ○有島委員 国鉄再建計画をめぐる諸問題を質疑するにあたりまして、いままでいろいろな議論が重ねられてまいりました。きょうはたいへん時間が経過いたしまして、関係者一同がお疲れであると思いますし、私は、特にきょうは国民生活に密着している物価の問題、この一面に限ってここでお尋ねしていきたいと思います。  それで、いま経済企画庁長官からお話が出たので、私もきょう行なわれました物価対策閣僚協議会のこの記事を見ましたけれども、非常にこれは問題である。  第一番には、国鉄運賃に続く私鉄運賃値上げ問題が表面化しておる、そういう認識の上にこの閣僚会議がやられたわけですね。そういうことになっておりますけれども、これはいろいろとこちらでも同僚議員の質疑があったわけでございますけれども、私鉄はあくまで押える、押えるとはいいながら、実はもうこれは押えきれない、そういうような判断のもとにこういうような話し合いをされているのじゃないか、そういうふうにこちらは受け取らざるを得ない。  もう一つ国民に対して呼びかけるというわけです。で、この物価問題については、国民のほうから政府に一生懸命呼びかけようと思っているところなんです。それを逆に、いたけだかに国民に閣僚会議が呼びかけるというような、これは一種のゼスチュアじゃないか、非常にこれは不謹慎である、僭越であるというふうにいわれてもやむを得ないのじゃないか、こういうふうに思うのでございますけれども長官の御所見をここで承っておきたい。
  116. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そういうふうにお考えになるということは、よもや私は考えなかったのでありますが、最近の物価の動向をまず国民に知らすということでありまして、その次には、政府のとるべき政策を申して万全を期する、次には、この問題については国民各位の御協力をひとつお願いしたいというようなことが三番目に書いてあるのでございまして、問題は、やはり先が政府です。政府がこの際、物価対策についてはどういうような対策をとるべきかというようなことを二番目に示してあるのであって、この点について全閣僚がひとつ覚悟して協力してもらいたいということで、政府がいかにこの物価問題について熱意を持っておるかということをこの際はっきりしておきたいということでこの問題を出したのであります。政府がここまで決意をしておるのであるからして、したがって国民にもひとつ御協力をお願い申し上げたいということであって、政府国民に転嫁するというような考えは毛頭持っておりませんから、さよう御理解願いたいと思うのです。
  117. 有島重武

    ○有島委員 ただいまの長官お話では、政府が新たに重大な決意をしたのだ、それだから国民にも協力してもらいたいと呼びかけたのだとおっしゃいましたね。そうしますと、政府のきめた決意というものは何ですか。ここで言っているのは、米価を含む食料品の価格の安定対策、二番が公共料金の抑制と安定対策、三番が労働力の流動化対策、四番に流通機構の合理化対策、五番に競争条件整備——こんなことはいままでずっと言っていたことではないですか。何も一つも新しいことはない。さんざん言って言いまくったけれども、何一つ効果があがっていない、そのことを繰り返しまた言っただけでしょう。そのほかに新しく言ったことは何かといえば、それは国民に呼びかけている。その呼びかけたのは何ですか。  一つは、社用消費の節減というのですよ。社用消費の節減を国民に呼びかける、これは一体どういうことなのだ。これはわれわれのほうからもう六千億、七千億にのぼる交際費に税を課するべきだ、そうでなかったらとても歯どめができない。こんな修身のお説教みたいな、これは節減したほうがいいですよなんといって、できると本気に思っているのですか。
  118. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 物価というものは、私がたびたび申し上げるように、政府のとる経済政策と、すべての国民の経済活動の総結果として物価というものがあらわれてくるのです。だから、政府としてとるべき政策は政策としてありますが、国民国民として経済活動上とるべきことはとってもらう、そこで初めて物価というものは安定するのでありまして、そういう意味でこういうことを言っているのであります。  そういう意味において、たとえば社用消費の節減というようなことは、交際費なら交際費というものは、税金を取る場合にそういう消費がなければ税金を取る必要もないのだ。そうでしょう。そういう社用の消費がなければ税金なんか取る必要はない。そういうことをやっているから税金を取らざるを得ない。そういうことを会社自身がやめてもらったら一番いい。簡単だ。そういう意味でわれわれが呼びかけているわけであります。
  119. 有島重武

    ○有島委員 ここは国鉄の話を一番おもにしたいのでその議論に深く入りたくはございませんけれども、いま長官が言われたようなことを言われれば、これはずっと記録に載っておりますから、後代に残るいまのお話ですよ。国民のほうがここに使うからいかぬのだ、そういうお話ですよ。それでは、どうしてそんなふうに交際費がたくさん出るのか、それは税制の上において経費で落とせるから、それだからやっているのじゃありませんか。そうしたからくりがあった上でやっている話なんだ。政府のほうがやるべきことと、国民のほうがやるべきことと二つあるとおっしゃったわけですが、政府でやるべきことをやらないで、国民にばかりおっかぶせているじゃありませんか。このことはそういうふうにだれだって思わざるを得ない。さっきのお話はおかしい。あれは訂正なさらなければいかぬと思いますよ。
  120. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 どういう意味で訂正しなきゃならぬか、私にははっきりわからない。もっと教えていただきたいが、この消費の問題についても「消費の健全化、合理化」ということをここでうたってありますが、私たちが外国で生活してみて、日本人の消費生活が合理性がないということを感ずるのでありまして、そういう意味で個人消費の健全性ということをここで書いているのですが、その点において……。
  121. 有島重武

    ○有島委員 二番目ですよ。
  122. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 同じことですから申し上げておるのでございまして……(有島委員「個人消費と社用消費とは違うんだ」と呼ぶ)そういうことで、社用消費の場合も、それはいまの交際費に税金をかけるということは、すなわちそういうような交際を減らすという意味で高い税金をかけるということを言うておるし、それはもうわれわれも同じ意見でありますからして、したがいまして、そういうようなむだな費用も会社が使わずして、そして、それで会社が賃金を上げられるなら上げるし、配当もするし、あるいは売り値を安くするということもやってもらったら一番いいということがわれわれの考え方です。
  123. 有島重武

    ○有島委員 それはもう長官がヒトラーみたいな指導者であって、号令をかければみんな動く、そういうつもりでいるのならば、皆さん節約しなさいと言うこともいいかもしれない。しかし、政府がやるべきことは、そこに一つの歯どめをつけていく、国民が大体そのようにおのずからなっていくような歯どめをつけていくという役目が政府の役目なんじゃないですか。それをすべきだ。それもやらずして、ただ一方的にお説教するのは、これはおかしい。だれもそう思う。  それから、第二番目のいまの個人消費ですね。一緒にされてしまったけれども、個人消費のことにしても、これなら大臣がひとつまあ率先垂範してなさってもいいんじゃないか、そう思いますよ。イギリスの大臣なんかそうですね。国会に来るのに地下鉄で来るというんですよ、いま国鉄の話になっているけれども。私は電車でもって通っておりますけれども、うしろから押されて混んだ電車で来ますよ。そういった率先垂範をなさっていいじゃないか。それから、値上げムードの最たるものは、すなわち政府政府主導型の値上げというふうに言われておりますが、それはまさにきょうこれから限られた時間の中でございますけれども、そこに入っていきたいと思いますが、きょうのこの物価閣僚協議会の呼びかけということについては、私には電話がかかってきたんですよ、けしからぬと言って。これは国民全部がやはり怒りを感ずると思いますね。それは御注意申し上げておきたいと思うのです。  次に移ります。次といっても、これから始まるんだが……。  運輸大臣に伺いたいのでございますけれども国鉄運賃値上げが家計をずいぶん大きく脅かす、そういうことをみんな心配しているんですよ。運輸大臣は、この値上げ一般家庭の経済にどのように影響していくとお考えになっておるか、その辺の御見解から伺っていきたいと思います。
  124. 原田憲

    ○原田国務大臣 国鉄運賃の家計及び物価に及ぼす影響は、昭和四十二年の総理府家計調査報告によりますと、都市世帯、五万人以上、この月平均家計支出は六万一千九十一円で、このうち国鉄運賃支出は五百三十円、全体の〇・八七%でございます。したがって、国鉄運賃を一五%引き上げたときの支出増加額は七十九円、家計支出に与える影響は〇・一三%である、また、消費者物価指数に与える影響は、国鉄運賃を一五%引き上げた場合、〇・二%でございます。
  125. 有島重武

    ○有島委員 その話は、これは物価指数の話なんですね。私が伺っているのは、家計の上にどのくらいの影響を与えるだろうかということです。  それじゃ大臣は〇・一三%である、そういうふうにだけ考えていらっしゃるのか。実際にはどのように家計の上に影響を与えるだろうかということを全然お考えになったことはないですか、それともあるのですか。
  126. 原田憲

    ○原田国務大臣 これは、いま数字で言うとこういうことになるということを申し上げたのです。だから、物価というものは、上がったときの影響というものはこれは非常に心理的なものがある。特に上がるときほど心理的な影響は強い。下がったときは、たとえば減税で、そのときの月給でもらったときに、ああ、ことしは減税になったな、翌月から同じことですから、この減税というものに対する感じというものは非常に低い。上がったときのほうがそれは非常に影響を受ける傾向にある。運賃というものから受ける影響は、数字の上でいうと非常に低いです。これは実際低いのですから……。しかしながら、今度はほかのものを全部上げないということを企画庁長官が言われています。また、政府は上げないですね。たとえば電話料金も上げない、塩も上げない、米も上げない、ほかのものも上げない、こういうときですから、ものを上げるということは心理的な影響がある、だから極力抑制につとめる、こういう態度でおるわけであります。
  127. 有島重武

    ○有島委員 私が伺っておるのは、これからどうしようかという話じゃなくて、こういうことによって家計に相当響くだろうか、響かないだろうか。さっきの数字の〇・一三ということになりますと、これはほとんど響かないだろうというような感じを知らない人は受けるわけだ。だれでもそういうふうに受けると思うのです。ただ、大臣がいまおっしゃっているのは、相当な被害を受けるだろうか、それとも、それほどの影響は今度は受けないであろうか、どういうふうに思っていらっしゃいますか。
  128. 原田憲

    ○原田国務大臣 それはただいま申し上げたとおりであります。
  129. 有島重武

    ○有島委員 いまのは心理のお話だったですよ。いまお金の話を聞いておるのですよ。
  130. 原田憲

    ○原田国務大臣 お金の面で上がることは間違いがないから、これは数字で申し上げたわけであります。それだけかとおっしゃるから、ほかのものが上がらないときにこれが上がるということは影響がある、こういうことを申し上げたわけであります。
  131. 有島重武

    ○有島委員 影響のあるなしということは、すでに数字でわかっているのですよ。これは相当な被害をこうむるだろうか、それほどたいしたことはないだろうか。——じゃ、もう一つ聞きましょう。大臣、〇・一三というあれでございますけれども、これは平均値でございますよ。これを収入五分位で示すと、どういうことになりますか。
  132. 原田憲

    ○原田国務大臣 いまのことはちょっとわからないです。
  133. 有島重武

    ○有島委員 収入五分位といいまして、低所得層と中ぐらいなのと高所得層とそういうふうに分けて普通やっているのです。これは経済企画庁の方にお伺いいたしましょうか。
  134. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ただいま御質問の所得の五分位別の計算はいま手元に持っておりません。  ただ、御承知のように、五分位で傾向を見ますと、いわゆるエンゲル係数、食料品は、たとえば第一分位では四十数%、それから第五分位では二七、八%ということで、平均三四%、国鉄運賃とか、そういうものを含みますいわゆる雑費というのは、そういう食料品の価格、ウエートとは反対の形を占めております。  御指摘の国鉄運賃がどれだけになっておるのかということは、残念ながらいま手元にございませんが、国鉄運賃等を含みます雑費につきましては、いま申し上げましたように、食料品とは逆の形になっておるということだけで御了承を願います。
  135. 有島重武

    ○有島委員 私はいま雑費のことを聞いておるのじゃなくて、運賃のことを聞いておるのですよ。それで、いま一番こんなに問題になっておる運賃について、物価の問題だからこれは重大だというような御発言がございました。どの程度重大なんだということを何も知らずに、口先だけで言っておるというふうに思われてもしかたがないじゃないですか。それじゃ、その資料はいつできるのですか、八塚さん。
  136. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 私どものほうで、現在は夜でございますからちょっと作業員がいないと思いますが、土曜日に一日かかればたぶんできると思いますが……。
  137. 有島重武

    ○有島委員 これは低所得者層にとっては相当な痛手を受けるのですよ。定期代ということがございますけれども、定期なんか使わないような人もいるわけなんですよ。日雇いの人もおりますし、それからパートタイムをやっておるような人もございます。それから、子供をかかえて父親があまり働けない、そういうような層がかなりいるわけです。今度の一五%とはいっても、一番響くのはその階層でしょう。そこの階層がどの程度響くかということは全然お考えにならないで、数字の上だけでもって〇・一三だ。これでは国民が納得しかねる面が非常に多い。心理効果——心理じゃないですよ。これはそちらの計算のしかたが、あまり一億全部まとめて割り算したみたいな、そういうような非常に機械的な冷たい印象を受ける。これはもう一ぺんその面でもって認識のし直しをしていかなければならないと思うのです。その点について……。
  138. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この問題は、汽車にお乗りになった人は、なるほど高いということなんです。汽車にお乗りにならぬ人は、何にも影響ありません。だからして、問題は、やはりこういうものはマクロ的に取り扱わなければならぬのであって、一人一人について、汽車にお乗りになったか、乗らぬか——乗った人は高い、乗らぬ人は何にも高いという感じを受けませんからして、それを一々について調べるということは、私はそれは困難だと思います。
  139. 有島重武

    ○有島委員 菅野長官、お疲れになっているかもしれないけれども、私は、五段階くらいにお分けになったらどうですか、そのとおりになっているのですから、いま一億人一人一人やれと言っているのじゃないですよ。いまのはあまり冷た過ぎるというのですよ。だから、もう少しきめこまかくお考えになるべきだ、それが国民のための政治じゃないか、そう申し上げたのです。
  140. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 五段階にもちろん分けての話ですが、そこで五段階に分けて、その五段階の人がみんな汽車に乗るかというと、そうでない。だから、そこはそこでやはりマクロ的に見て判断しなければならない、こう私は思うのです。だからそれを、乗らぬ人は何にもわれ関せずえんでおりますし、乗った人は高いなという感じを持っている。貧乏な人ほど高いという感じは強いと思うのです。それはあなたのお話のとおり、収入の少ない人ほど、これだけの汽車賃が上がればえらい高くなったという感じは非常に強いと思うのです。それは収入によってその感じ方はもちろんお話しのとおり違ってきます。
  141. 有島重武

    ○有島委員 そんなのんきなことを言っているから、国民の心は、政治というのは当てにならない、そういうふうに見放されていくのじゃないか、それを私たちはほんとうに心配いたしますよ。  それで、いまの乗る低所得層の方々ですね。これは二十円切符、三十円切符——一番乗るのはその低所得層の方が乗るわけですよ。それは、ここでもたびたび言ったかもしれませんが、五〇%上がっているわけですよ。それからこれは東北地方だ、青森だ、あるいは北海道だ、九州だ、そういうところから来ているわけですね。そこに帰郷しようと思う人たちがいるわけですね。そういう人たち、それなのに二の足を踏まざるを得ないようなふうに落ち込んでいくわけですよ。そういうようなことがたくさんあるわけだ。それで、値上げのこの配分にしても、たとえば二十円切符、三十円切符、その辺のところにうんとしわ寄せが来ている、そういうような上げ方だって、もう少し押えるならば血の通った考え方ができるはずだ、そういったことまで私は考えなくちゃいけないのじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  142. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 運賃をどういうようにして上げたかということは、これは国鉄のほうでお考えになったことでありますからして、私は、そのどこまでの距離に対してどれだけにするということについては、実は十分知りませんが、ただ、先ほど物価の問題について冷ややかだというおことばがあって、これは私、いささか抗議を申し込まざるを得ない。  というのは、いまわれわれが物価の問題と取り組んでおるのは、低所得者が物価の問題で悩んでおるから物価問題を取り扱っているのであって、高所得者は物価が少々上がったって問題にはしません。だから政府が一生懸命になって物価問題と取り組んでおる次第でありますから、何も決して低所得者に対して冷ややかな気持ちを持っておるわけじゃない。われわれは低所得者に対して、何とかして物価をもっと下げてあげたいということでやっておるのでありますから、さようひとつ御了承願いたいと思います。
  143. 有島重武

    ○有島委員 その低所得者が一番値上げの波をかぶるような値上げのしかたに今度なっておる。いまの二十円、三十円の切符を考えたってそうじゃありませんか。その点について、長官はそういうふうにおっしゃいますけれども、運輸大臣にそのことを申し上げたいのであります。
  144. 原田憲

    ○原田国務大臣 確かにおっしゃるような点は私はあると思います。運賃のきめ方というものを、そういうことまで配慮を払って、収入に応じて運賃をきめるというようなシステムをとっておらないのと、今度の五〇%値上げになるというところまで、ほかと比べて、ほかのものとバランスをとったときにそこで並ぶ、こういう現象になってくるからひとつがまんをしてお願いをしたい、こういうことになっておると思います。
  145. 有島重武

    ○有島委員 何だかちょっとよくわかりませんけれども、もう少し考えようはないのか。私は、物価の値上がりというものは、今度全面的にこれは引っ込めることができるはずだという前提のもとでおりますけれども、一歩進めて言うならば、二十円のところがいきなり三十円になる、それはそういうシステムになっているからというのではなくて、そのシステムそのものももう少し考え——所得に応じて切符を買うなんというのは、これは同じ所にいくのに、収入がこれだけだからといって証明書を持っていく、そんなことを言っているわけではないのですよ。もっと大ざっぱに考えても、もう少しきめのこまかい配慮がそこに加えられなければならない、そういうことを申し上げているわけなんです。
  146. 原田憲

    ○原田国務大臣 私が申し上げたのは、一つは、いますでにほかのものがみな三十円になっておる、だから、今度国鉄が二十円が三十円になるということはごしんぼう願いたい、こういうことを申し上げたのと、いま、低所得者対策ということについては、現在国鉄がとっておるシステムは残す、たしか、こういうことにいたしておるはずであります。
  147. 町田直

    ○町田政府委員 この前の四十一年の値上げのときに、特定者、生活保護世帯、母子福祉世帯、年金受領世帯、児童扶養世帯、こういう者の割引をいたしまして、それを今度そのまま受け継ぎまして三割引きをいたしております。そういうふうに、いろいろな面で実は現在の運賃制度の中で、はかれるだけの配慮をはかっているというふうに考えております。
  148. 有島重武

    ○有島委員 いまのお話ですね。その低所得者をそこでいじめないという方向でこれからも配慮を払っていく方向に考えているということだけは了承いたしますよ。  それから、さっき気になる話がまた一つ出てきたのですよ。汽車に乗らぬ人は全然関係がないという、これは間違いだと思うのですね。それで、運賃値上げの波及効果と申しますか、これは単なる心理効果、そういうこととは別にあるのじゃないか、厳然とあることではないか。私は、汽車に乗らぬからといったって、たとえば、これは定期代が上がる、そうすれば、それを大体九九%までは職場で持つということになっているそうです。ところが、それは全額持っているとは限らない。現に公務員はどうですか。公務員は全面的に旅費代は持たれているのですか。
  149. 原田憲

    ○原田国務大臣 一定キロ数までは経費で見ますが、一般の民間がこれを見るのは、公務員の給与をきめる際に手当として出す、これと見合ったものを税でカバーする、こういうことになっておるわけですね。
  150. 有島重武

    ○有島委員 公務員はいま二千円だと思いますね。
  151. 町田直

    ○町田政府委員 三千六百円でございます。
  152. 有島重武

    ○有島委員 三千六百円というのは、それ以上になると課税をするという場合でしょう。いま伺っているのはそうじゃない。二千円までは補助で、たとえば三千円の定期の場合は、自分でもって千円払っているはずですよ。いまのお答えになった方、勘違いしているのじゃないか。
  153. 町田直

    ○町田政府委員 課税の範囲の三千六百円と支給の範囲の三千六百円と一緒でございます。
  154. 有島重武

    ○有島委員 それで、公務員の場合でもそういうわけでございますね。会社のほうでもってこれを負担する、大企業のほうは経費で落とすからいいだろう、もうけが少なくなるだけで、少しぐらいはいいだろうという話があったそうです。ところが、ここで中小企業なんかは、これは人件費が上がったのと同じことになるわけですよ。いま中小企業で一番困っておるのは人件費の問題じゃないですか。それが上がる。それがほかの物価にはね返ってこないということが言えますか。中小企業でつくっているというのは大体雑貨ですね。そういったものは非常に敏感なものでしょう。おれは汽車に乗らないのだから、電車に乗らないのだから今度の値上げには全然関係がないという人が国民の中に一人でもいるかということです。
  155. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 あなたは家計にどう響くかというお話だったから、だから私はそう言ったのです。私はマクロ的に見るのだと言ったのです。全体的に見て何%上がるかということ、国鉄料金が上がると〇・二%物価上昇率があるということを前から言うておるので、それはマクロ的に見ておるのであります。具体的に家計にどう響くかと言われるから、汽車に乗らぬ人は響かぬ、そう私は答えただけであります。
  156. 有島重武

    ○有島委員 そうなりますと、先ほど汽車に乗らないから今度の値上げ関係ないと言ったのは、あれはうそですね。
  157. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 汽車に乗らない人は家計に決して響かないからそう言ったのです。だから、マクロ的に見れば響くということは、それはそうです。それは私は初めから言うておるのです。
  158. 有島重武

    ○有島委員 私は家計の国鉄運賃代のところだけを聞いているのじゃないのですよ。それはマクロ的におっしゃるかどうかしれないけれども、家計というものはそういうものなんですよ。そうすれば、これはもうほとんど日用品が上がるという可能性は目に見えておるのじゃないですか。
  159. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そこで国鉄料金値上げが〇・二%消費者物価上昇させる率があるということで、私たちはこの国鉄料金値上げは押えるということでなにしたのですが、しかし、ここで問題は、国鉄料金に便乗してまた私鉄の値上げをしたがるものでありますからして、先ほども和田さんのお話のとおり、国鉄料金が上がったときに私鉄の料金が上がっておりますからして、そこで今度は私鉄の料金は極力押える、交通関係の私鉄の公共料金は極力押えるということを条件にしたのであります。でありますからして、問題は食料費や何かに響くのは米価です。米価が食料費なんかには非常にこたえます。それから鉄道料金は、これはやはり公共料金にこたえます、交通関係やその他。それだから便乗値上げは許さぬ、極力抑制するということで、できるだけ物価を押えようという考えをしたのであります。
  160. 有島重武

    ○有島委員 これは便乗値上げといいますとまた困るのだけれども便乗値上げというのは、どの範囲のことまでを便乗値上げというのか。これは幾つかあると思うのですよ。いままで値上げをしたいという必然性がありながら、どうしてもチャンスがなかったからというところもあるでしょう。それから、ほんとうはそれほどでもないのだけれども、それこそ不当に上げてしまえというところもある。いろいろな判断があると思いますけれども、いま米の話が出たが、四十三年度に米が八%上がって、その影響力は〇・三二とかなんとかいうふうに伺っておりましたけれども、これが相当波及力を持ちましたね。そのときには、政府の御説明では、家計にはわずか〇・三二しか響かぬのだ、安心せよというような印象の御説明であった。ところが、そうなってみると、去年の十一月から十二月、これはもう次々といろいろな物価が上がりました。たとえばカレーライス百円なら百二十円に上がってしまう、それからそのときにはビールが上がりましたですね。それから新聞が上がった。ああいったのは、いま長官がおっしゃる便乗値上げになるのか、それとも便乗値上げではないのか、どうなんですか。
  161. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ビールや新聞などは、私は便乗値上げとは考えていませんが、いま私鉄の値上げなど言うてきておるのは、便乗値上げだと考えております。
  162. 有島重武

    ○有島委員 なるほどミクロ的に見ると、それは国鉄に対して私鉄などは便乗になる、これは押えるとおっしゃるのですね。マクロ的なほうはもうしようがないだろう。米が上がって次々にいろいろな物価が上がったのは、これはだれも否定できないと思うのですね。であるがゆえに今度はお米だけは上げない、その波及力が意外に大きいからという含みだと思うのですよ。お米が上がったら、それじゃお米に関連したものだけが便乗なのか、牛乳は違うのか、これはやはりみな連鎖反応のように上がっていると思うのです。それは心理効果かどうか知りませんけれども、結果としてはそうなっているのだ。そのときに、これはやはり極力押えるつもりで大臣いらっしゃったのじゃないかと思うのですけれども、あのときは、去年、ことしにかけて極力押えないで上がったのですか。
  163. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お米の上がったのは昨年の話でしょう。そのときの政府はどういうつもりで上げたのか私わかりませんが、ことしは据え置くということで方針をきめております。生産者米価、消費者米価は据え置くということで政府方針をきめて、これは総理もたびたび言明しておりますからして、したがってわれわれは、米価が上がればこれが食料費にも影響するということを考えております。ことに昨年のように豊作で米価を上げますと、これが非常にいろいろな物価に影響してきます。これは、私は皆さんに例を申し上げたと思いますが、昨年末、大阪で小売り市場でミカンの値段が急に上がった。豊作であって、ミカンはもう三分の一ぐらいに下がったというのに、昨年より高くしたのです。それで買う人がおこって、ことしミカンは豊作だから安いと思って買いに来たのに、去年より高いじゃないか、こう言ったとき、その小売り商の人は、豊作でも米価は政府が上げておるじゃないか、ミカンくらい上げるのはあたりまえじゃ、こういうことを言うたというのです。そういうような空気を起こらさぬようにしなければいかぬ、政府が主導して物価を上げるというようなこの空気を何とかして消していきたいというのが、今度の政府のとっておる物価政策の基本でありまして、そういう意味で、先ほどもきょうのきめたことについていろいろ御批判がありましたが、しかし、政府は何もしてないじゃないかというのが皆さんのお声でありますので、政府はこれだけのことをしておる、国民政府のやっておることに御協力を願いたいという意味でやったのでありまして、政府は何もしてない、してないという声がしておるものだから、そこで政府はこういう点においてここまでやっておりますよ、だから皆さんもひとつ御協力お願いしますということで、ひとつ、政府国民も一緒になって——物価を上げないほうがお互いの生活を安定せしめるのですからして、そういう意味で、ひとつ物価を上げないようにやったほうが国のためになるということでやっておるのであります。
  164. 有島重武

    ○有島委員 いまのお話ですと、政府はいろいろやっているのだ、だけれども上がっていくわけですよ。去年の米価値上がりに関して、世論がこれはたいへんだというふうに言ったんですね。そのときに政府のほうとしては、これは影響が少ないようにするんだということを説得しながらやった、にもかかわらず上がっておりますよ。ですから、今度の国鉄についても、いろいろ抑制するとは言うけれども、一体どうやって抑制するのか。こういう抑制のしかたをするんだということは、いまのところ何もないわけでしょう。これもいままでのことで何も違ったことはありはしない。これはただそう言っていながらずんずん成り行きにまかせていくような、そういった姿をとられるのではないか、そういうふうにみんな危惧しているわけです。(発言する者あり)
  165. 細田吉藏

    細田委員長代理 御静粛に願います。
  166. 有島重武

    ○有島委員 それで、時間がなくなりましたから結論的に申しますと、さっき一番最初に運輸大臣が言われましたように指数を出して、これだからだいじょうぶだ、そういうふうな印象を与える説明というものは、これはあまり物価のことに詳しくない人にとっては酷なことである。たいしたことはないんだという印象を与える。これは数字というものと現実というものは違うんだ。心理的要素が入るのがいかぬといっても、現実に入っているわけでございましょう。心理的要素かほかの要素か知りませんけれども、その数字をはじき出すまでに持ってこられるエレメントというものは、これは確定的な確かなものだけを寄せ集めて一つの指標にしようとしているにすぎないでしょう。その指標をもってすぐストレートに、だから安心せいという説明というものは今後一切おやめになったほうがいいんじゃないか、そういうふうに私は思うわけです。
  167. 原田憲

    ○原田国務大臣 それは、あなたがそういうふうにお尋ねになったから私は正直に答えたんで、あなたときょう初めて質疑応答をやっているのですけれども、私が答弁に立って、これでたいしたことはないという答弁をしたことは一ぺんもない。きょうは冒頭からあなたが幾らと指数を言われるから、あなた非常に詳しいからそのとおり私は答えたのであります。先ほども和田さんが国鉄総裁に同じようなことを聞かれて、総裁の答えがやや私のような答えであったために、それは冷たいじゃないかという話があって、あらためて私にお尋ねがありまして、私はまた答えたのです。この間あなたのほうの婦人部の方が来られたときにも、ひとつごしんぼう願いたい、それは値上げはしないにこしたことはないかわからぬが、国鉄というものを再建しようじゃないか——それは社会党の案もあるわけです。何べんも言っているように、これは政府が補助したらいい、簡単に言うとそういうやり方です。私のほうは、それだけの財政支出ができない。そこで、国も出すが、国鉄自体も近代化、合理化につとめます、まことに相すみませんけれども利用者である皆さん方にも御協力を願います、こういうことで再建方策を立てておるので御協力願います、こういうことを申し上げてきたのでございます。
  168. 有島重武

    ○有島委員 そのように言われますと、こちらもほろりとするような感じもいたしますけれども、それじゃ、その中身を見てどういう根拠で来ているかといえば、一億全部割り算でもって、上げのパーセンテージもこれはずいぶん過酷な感じを受けざるを得ない。ですから、いまおっしゃったことは、よく数字を調べてみると、これはもう一ぺん考え直さなければならぬ、そういうふうに思わざるを得ない。そうすれば、まだもう少しこれは余地があるんじゃないか、われわれとしても、これはもう一ぺん考えていただきたい、そういうふうに、もうどこまでもこれは私からの要望でございます。ですから、時日も迫っているみたいですけれども、もう一ぺん出直されたらよろしい、それが私のきょうの結論でございます。  以上をもって質問を終わります。
  169. 細田吉藏

    細田委員長代理 本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後十時十六分散会