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1969-06-17 第61回国会 衆議院 運輸委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十七日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 阿部 喜元君 理事 大竹 太郎君    理事 徳安 實藏君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 小川 三男君    理事 山下 榮二君       小川 半次君    加藤 六月君       菅  太郎君    木部 佳昭君       中川 一郎君    福家 俊一君       箕輪  登君    井上  泉君       板川 正吾君    久保 三郎君       神門至馬夫君    内藤 良平君       矢尾喜三郎君    渡辺 芳男君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         運輸省海運局長 澤  雄次君  委員外出席者         専  門  員 小西 眞一君 六月十七日  委員井村重雄君、小川半次君及び倉石忠雄君辞  任につき、その補欠として福井勇君、福家俊一  君及び箕輪登君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員福家俊一君、福井勇君及び箕輪登君辞任に  つき、その補欠として小川半次君、井村重雄君  及び倉石忠雄君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶整備公団法の一部を改正する法律案(内閣  提出第三二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  船舶整備公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 船舶整備公団法の一部を改正する法律案につきましては、先般、大臣より提案理由の御説明をいただき、また、今回の一部改正案内容がごく簡単なものでございまして、そう大きく議論の分かれるところではない、こう思うのでございますが、大臣にまずお伺いしたいと思いますのは、今回のいわゆる改造融資制度を設けた基本的な考え方といいますか、御趣旨は、どういうものであるかということについて承りたい、こう思う次第です。
  4. 原田憲

    原田国務大臣 加藤さん御承知のように、船舶整備公団が創立されてから十年たつわけでございます。いま改正されて船舶整備公団になっておりますが、これはわが国の内航及び近海の船の建造を推進するために、国が融資をし、共有方式等をとって推進していこう、こういうことにつとめてきたわけでございますが、この政策によりまして、内航の船舶整備をされて、近代化されていっておることは、お認め願えると思うのであります。今日、国外においても、いわゆる近海汽船というものが相当伸びてきて、わが国近海におけるところの船舶整備ということも推進していかなければならないという情勢が見られるわけでございます。したがいまして、その情勢に対応するために、この近海航路の船を新造というよりも、改造してやっていくということができる、新造以外にもそういうことができる、こういう制度にしよう、こういうために、簡単にいいますと、今次の改正をお願いいたしておるわけでございます。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 船舶整備公団法は、名前を変え、また、法律内容を徐々に変えて、いままでに六回の改正をやってきたわけでございます。それぞれの歴史的任務国内旅客船、あるいは離島航路、あるいは荷役整備、その他いろいろな問題についての弾力的な改正というものをやって、国内情勢に合わせるようにやってこられた。今回、いま大臣がおっしゃいました近海船の問題を中心とした改正、こういうようなお話が出てきたわけでございますが、しからば、貨物船改造することによって、大臣、どういう効果メリットというものをお考えでおやりになったのだろうか。われわれはそれよりか、近海船に対していままでのいろいろのむずかしいワクや基準というものをはずして、もう少し大々的にやったほうがいいのではないか、こういう印象等もあるわけでございますが、今回の提案理由は、この貨物船改造することについても、船舶整備公団でいろいろ応援していきたい、こういうことなのでございますが、この改造するメリットあるいは効果というものについての御判断を承りたい、こう思うわけでございます。
  6. 原田憲

    原田国務大臣 いま船舶の問題で非常に問題になりますことは、乗り手、いわゆる船員という問題があるわけでございます。したがって、新造ということもなるほど大事でございますが、いまある船をできるだけ自動化し、合理化し、引き伸ばし、主機換装というようなことを行なうことによって、一方において省力化して使っていくということは、忘れてはならない政策ではないか。しかも海運界というものは、中小が特に多い業界であることを思いますときに、やはり一応、政府が立てた方針に御協力を願ってやっていくことが、今日まで成功してきたゆえんでございますから、この制度の中でやっていくことがよりよかろう、こういう判断に立っているわけでございます。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 あと一、二承りたいのでありますが、大臣は御都合もあるようでございますので、私は大臣に対する質問は、この程度でけっこうでございます。  次に、局長さんに承りたいと思うわけでございますが、先ほど私が御質問申し上げましたように、一次、二次、三次、四次、五次、六次と、それぞれの国内情勢、あるいは中小企業の内航あるいは近海というものに対する時々適切な改正をやって、今日非常に大きな効能を発揮してこられたわけでございます。(私語する者多し)
  8. 砂原格

    砂原委員長 お静かに願います。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 それでまず最近、海運事故で問題になりましたフェリーボート事故というのがずいぶんありますね。そのフェリーボートに対する融資は、もちろんこの船舶整備公団がいろいろ融資その他を共有船でおやりになってきたと思うのですが、今回、連休前後から最近にかけて事故があった場合に、いわゆる桟橋設備と申しますか、接岸設備というものに、いま非常に問題が出てきております。整備公団のこの関係に対する融資というのは一体どういうようになっておるか、まず承っておきたいとこう思うわけです。
  10. 澤雄次

    澤政府委員 昭和四十四年度の予算編成に際しまして、船舶整備公団からカーフェリー桟橋設備あるいは可動橋等融資ができるように、運輸省といたしましては予算要求いたしたのでございますが、これは、政府全体として成立するに至らなかったわけであります。それで目下、公共事業費をこういうカーフェリーの公共的な桟橋施設に投入できないかということにつきまして、運輸省内で検討をいたしております。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、もちろんそういう設備というのは地方公共団体、あるいはこれは県であろうか、市町村でございましょうかが優先的に、ある面ではやるべきだと思うのです。ところが、現実には港湾整備というものが相当おくれております。その逆現象として、フェリーに対する要望というのは、いま各地で非常に盛んになってきております。必ずしもまだ設備ができていないところでも、どうしてもフェリーを通してあげたい、こういう気持ちが起こるのは当然のことでございますが、それに対して、設備がないのに許可をするという問題、あるいはまた、許可を出すときに設備をつけさすという条件をつけるかどうかという問題。しかし、先ほど大臣より答弁がございましたように、中小企業者比較的多いわが国海運業において、必ずしもカーフェリー業者に対してまでそうい方条件をつけるかどうか、これは疑問があると思います。思いますけれども、先ほど来申し上げておるように、せっかく船舶整備公団という海運業者を育成し、国民のために役立たせるいい機関があるわけでございますので、いろいろ運輸省や大蔵省の関係問題等があると思いますが、ぜひこのワクはつけてもらって、人命尊重という立場からもやっていただくように、これはまた四十五年度の問題になると思いますが、われわれも一生懸命がんばりますので、海運局におかれましても、ぜひこの問題を進めてもらうように、これは要望いたしておきます。  その次に、やはりこれは過去の決算といいますか、過去の問題について承るわけでございますが、先般三カ年計画をおつくりになって、スクラップ・アンド・ビルドで相当実績をあげておる、こういう判定を私はいたすわけですが、それに関連しまして、若干、局長管轄外かどうかわかりませんが、こういう国内船会社、特に離島とか僻地とか、いろいろの場合を結ぶ場合に、いわゆる船に郵政省マル郵のマークをつけて、郵便物その他を取り扱っておる会社が相当あるようでございますが、大体これは年間との程度——船会社を全部集計しまして、郵政省から郵便物取り扱い料金をもらっておるという数字がいまおわかりでしたら、ちょっとお示し願いたい、こう思うわけです。
  12. 澤雄次

    澤政府委員 郵政省から郵便料として離島航路にどのくらい出ておるか、それはただいまちょっと資料を持っておりませんが、運輸省からは、そういう郵便物を運んでいる船を含めまして、離島航路に対し約三億三百万の補助金を交付いたしております。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこでその問題にからんで、運輸省補助金の交付の問題はわかるわけでございますが、郵政省関係資料がないということになりますと、これはやむを得ませんが、しからば、どの程度大型化高速化、あるいはまた欠航を防ぐことができるようになったかという、その数字がございましたらお教え願いたい。まず第一に、どの程度大型化できたかということ、第二番目は、どの程度スピードアップするようにできたかということ、三番目には、欠航——島々にとって欠航ということは、道路もなくなった、すべての交通が遮断したということで、非常に大切だという最初公団法一つのねらいがあったわけでございますが、それに対してどういう数字があがってきたかということ、この三点についてその次に承りたい、こう思います。
  14. 澤雄次

    澤政府委員 船舶公団を設立していただきましてから約二百五十七はい、四万三千トンの旅客船をつくった次第でございます。これは、現在の全体の旅客船に占めます比率は約二二%でございます。これによりまして、大型化いたしましたのは平均といたしまして、約一・二から一・三倍の大きさに変わったわけでございます。スピードも、それに伴いまして非常に速くなりまして、これも一・三ぐらいの比率スピードが速くなっております。それから、安全面におきますこの公団の果たした役割りというものは、これは非常に大きなものがある、このように考えます。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 これは、私が十分打ち合わせをしておけばよかったのですが、冬場の欠航が非常に多い。それが大型化し、あるいはスピード化することによって、あるいは桟橋設備その他をよくすることによって、欠航というものが数字の上でどの程度少なくなったかということが一つはほしかったわけです。というのは、いま第何次の改正でございましたか、そういうことをねらった改正案もあったわけでございます。しかし、いろいろの方面においてこの法案効果をあらわしておるということは、納得できるわけでございます。これ以上その問題については御質問いたしませんが、次に、近海船の問題について承っておきたい、こう思うわけです。  近海船の需要というのは最近非常に多くなり、また、わが国の経済の伸び率その他、あるいはまた東南地域との貿易量の増大、これは輸出入ともにあると思うわけでございますが、前回の改正で、この近海船に対しても融資ができるようになったということで、一つ愁眉は開いたわけでございます。この近海船船舶整備公団融資した実績は、過去どの程度になっておるかということについてまず承りたい、こう思います。
  16. 澤雄次

    澤政府委員 船舶整備公団近海船に対しまして融資した額は四はい、一万五千三百三十八トン、これは三十九年から四十二年までの統計でございます。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 その間に売船したものですが、特に、東南諸国売船したトン数は、どの程度になっておりましょうか。
  18. 澤雄次

    澤政府委員 売船と申しましても、内航業者が現在持っておる船を外国に売ったものと、それからいわゆる輸出船と、この二つございますが、そのうち現在持っておりますものを売りましたものが、内航対策三カ年計画のうちで約九万トンでございます。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 それらの船の建造後の平均数字というのはわかりませんでしょうか。あるいはその条件……。
  20. 澤雄次

    澤政府委員 船型は、ちょっとただいま資料を持ち合わせておりませんが、船齢はおおむね十年程度以上のものが多うございます。  それから条件といたしまして、一応売ったあと日本貿易に従事しないことということを念書でとっております。
  21. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、その日本貿易に従事しないということを念書でとられておるわけでございますが、実際は、買う相手方というのは、日本へ自分の国の品物を運んでくる、あるいは特に日本から物を買う場合にバイ何々、シップ何々という名目でだいぶ来ておるのではないか。この念書というのは、売った先に対して拘束力はありますか、ないですか。
  22. 澤雄次

    澤政府委員 先生おっしゃいますとおり、念書法律的拘束力はございません。それでまた運輸省としても、はたしてその船が現実日本に来ているかどうかということも、完全にチェックすることはできないわけでございます。
  23. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、わが国近海船問題というのがいろいろ出てくるわけでございますが、本日は、その議論はあまりやらないことにしまして、その次に承りたいのは、輸出入銀行ワクでつくって輸出した近海諸国の船のトン数というのはわかりますでしょうか。
  24. 澤雄次

    澤政府委員 昭和四十年から四十三年までの統計によりますと五十三ばい、十五万二千百九トンでございます。(私語する者多し)
  25. 砂原格

    砂原委員長 お静かに願います。
  26. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、そこで一番問題になってくる点があるわけです。それは、もちろん整備公団近海船として四年間でやったのが一万五千三百三十八トンである。ところが、売船した九万何ぼという船、あるいはまた、輸出入銀行日本造船所でつくって輸出したものが十五万トンである。船をつくるとき、それぞれ条件は全部違うわけですね。  そこで、わが国近海船あるいは近海船業者が、東南ア諸国といったら語弊がありますが、近海地域のほかの業者と競争する場合に、非常に条件が悪くなるという問題が出てくるわけです。ただ数字を調べますと、近海諸国においての積み取り比率というのは、一般外航船の積み取り比率とそう違わないというので、数字を見た上だけでは、われわれはやや安心いたしております。安心いたしておりますが、現実の激しい競争になった場合には、こういう近海船というのは苦しい立場に追い込まれておるのではないか。そこで船舶整備公団だけではいけないからというので、北東公庫あるいは開発銀行というものにも、わが国近海業者というのは飛び込んでいく。さらにこれだけのワクではいけないからというので、一般市中機関あるいはいろんなところ、長期の金を貸してもらえるところに飛び込んでいって、非常に無理をして、高い金利条件の悪い方法で船をつくっておるということが問題になってくるわけでございますが、われわれが一番心配しておるのは、まだここ二、三年はいいかもわからないが、四、五年先にはどうなるかという問題等もあるわけでございます。そこで船舶整備公団は、近海業者に対してもう少し現在の融資ワクの幅と条件というものを広げさす必要があるのか、ないのか、ということを一番承りたいと思います。
  27. 澤雄次

    澤政府委員 輸出入銀行によります輸出条件と、それから公団船によります建造条件との比較は、正直に申しまして、ちょっと比較がむずかしいということが申し上げられると思います。それは輸出入銀行は、御承知のように二割が頭金で、残りの八割を六分の金利で八年間の延べ払いでございます。それに対しまして、公団船は七割を国、公団が共有いたしまして三割が自己資金、それから公団金利は八分二厘、実際これは保険料によりまして七分五厘まで引き下げております。七分五厘でございますが、その償還条件船齢と同じだけに非常に長い、十六年ないし十八年ということでございますので、実際上の金繰り上の比較は非常にむずかしいのでございますが、一応表面金利で計算をいたしますと、輸銀船輸出船のほうが有利でございます。それから自己資金船に至りましては、これは問題にならないくらい悪いということでございますので、われわれといたしましても、公団船による近海船条件輸出入銀行による輸出条件を近づける方向で努力をいたしたい、このように考えております。
  28. 加藤六月

    加藤(六)委員 何やかや承りたいのですが、今回の法律改正によりまして、内航船並びに近海船がこういう問題で改造を行ない、これに対する融資をするといいますと、少し不利な面がカバーされるのではないかという気持ちがあるわけですが、特に、近海船に対するわが国政策というものは、ある面ではないにひとしいのではないか。また、非常に立ちおくれておるのではないかという気持ちを強く持っておるものでございます。今回のこの改造という問題が、一番最初大臣に御質問申し上げたわけでございますが、こういうわが国近海船対策に対する立ちおくれ、不利というものをどの程度カバーできるか。一歩でも二歩でも前進できるということになるという立場で、われわれはこの法案に賛意を表するものでありますが、どうぞ当局におかれましては、近海対策ということをひとつ抜本的に打ち出してもらいまして、これからのわが国海運政策の大きな柱として打ち出していただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  29. 砂原格

    砂原委員長 次回は、来たる二十日金曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時一分散会