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1969-05-16 第61回国会 衆議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月十六日(金曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 阿部 喜元君 理事 大竹 太郎君    理事 徳安 實藏君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       加藤 六月君    金子 岩三君       川野 芳滿君    菅  太郎君       木部 佳昭君    中川 一郎君       福家 俊一君    福井  勇君       箕輪  登君    板川 正吾君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         労働省労働基準         局賃金部長   小鴨 光男君  委員外出席者         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 五月十五日  委員箕輪登辞任につき、その補欠として早川  崇君が議長指名委員に選任された。 同日  委員早川崇辞任につき、その補欠として箕輪  登君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣  提出第八七号)      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 道路運送車両法の一部を改正する法律案について質疑をいたしたいと思います。  今回の道路運送車両法の一部改正の要点を簡単に説明してみてください。
  4. 黒住忠行

    黒住政府委員 二点ございまして、一点は、仕事をなるべく簡素にしたい。それは、車両検査登録等非常に事務量がふえてまいっておりますので、たとえば車両検査におきましては、指定整備事業を利用いたしまして……(私語する者多し)
  5. 砂原格

    砂原委員長 御静粛に願います。
  6. 黒住忠行

    黒住政府委員 なるべく便利に車検を受けられるようにしたい。そのほかに、便利簡素化にいたします条文整理をいたしております。  それから第二点は、車検登録コンピューターシステムを導入いたしまして、全国を一本に把握したい。コンピューターシステムが従来の登録原簿であった車検記録簿にかわるわけでございまして、それにまつわる関係条文整理と二点でございまして、モータリゼーション時代に即応いたしまして、仕事を能率的、科学的にやりたいというのがこの法律改正の骨子でございます。
  7. 板川正吾

    板川委員 第一点の、自動車整備事業を拡大する、整備事業内容を能率的に便利にする、こういうことのようでありますが、そこで伺いますが、車体検査証ですね。有効期限満了後でも継続検査が簡単に受けられるようにするという改正、これは自動車使用者にははなはだ便利でありますが、たとえば期限満了後、整備する以前に整備不良の状態で乗り回すという危険性はありませんからどうか、この点ひとつ伺っておきたい。
  8. 黒住忠行

    黒住政府委員 車両検査期間を経過いたしますと、当然それは使えないわけでございます。それの担保は、御承知のように車検期間ステッカーでもって表示をいたしておりまして、これは街頭等取り締まり対象になるわけでございます。現在ステッカー制度が普及いたしまして、これによりまして車検期間切れの車が道路を走っているという事態ではなくなっております。したがって、今回の改正はその点は変わりないわけでございまして、いま御指摘のような点はないと考えます。
  9. 板川正吾

    板川委員 ステッカーのほうで表示をウインドーにしてあるから、期限終了後の車を運転をすれば取り締まり対象になるから、おそらくそういうことはあり得ないだろう、こういうことですね。それは、たとえば五月一日で終わるものが五月の末まで運転することがあっても、六月ということはあるまいということだろうと思います。  次に伺いますが、今度の改正継続車検を受けて検査証に記入の手続をする前に、整備工場発行標章表示して運行できるというふうになる、これが今度の改正一つのポイントだろうと思います。この制度をどのくらい利用するであろうか。四十四年度の車体検査件数は五百三十万件というふうに予想されておりますが、この中でどのくらいこの制度を利用するというふうに考えておりましょうか。何%ぐらい……。
  10. 黒住忠行

    黒住政府委員 今回の制度改正いたしまして、現在の新規検査継続検査とすることによりまして、その他便利にすることによりまして、四十五年度あたりでは約二十八万件の件数が増加することを予想しております。
  11. 板川正吾

    板川委員 そうじゃなくて、局長車体検査を受けて、そして検査証有効期限の書きかえをいたしますが、その間に時間がかかるから、手続をしている間、指定工場標章を張って、検査が終わったんだから運行してもいいという制度を今度採用するというのです。その手続する間は一日か二日だろうと思うのです。わずかの間だろうと思うのです。で、こういう手続ができるようになるのですが、これを手続をして使うような車は継続検査をするだろうと思います、新車はそういうこと必要ないですから。だから継続検査車両のうち、どのくらいの割合が利用しますか、そういうことを聞いておるのです。
  12. 黒住忠行

    黒住政府委員 現在のところでは、車両検査期間切れで、登録はいたしておりますものを新たに検査を受ける場合は新規検査でございまして、返納検査といっております。その返納検査事務量が、四十二年度では八十七万八千件、四十三年度では百四万件でございまして、これが全部今度の継続検査を利用するということになりますと、それだけの件数になるわけでございますけれども、全部が利用しますかどうかは、検査が切れても当分使わないでそのままにしておくという事態もあるかと思いますので、それらは将来どうなりますか、いまのものが対象になりますので、いまの件数が今回のものの対象になるわけでございます。
  13. 板川正吾

    板川委員 ちょっとよく聞いてください。  期限満了後、いままでは新規検査だった、今度はそうじゃない、こういうことなんですね。それはそれでいいのです。わずか半月かそこらぐらいの端数の日数だけだから、標章が表へ張ってあるから、五月期限のやつが六月に表で走りませんから、それはそれで防止できるから、私はいいと言っておるのです。今度は問題は別なんです。今度は、新しく継続検査を受ける。整備工場へ入っている。整備は完了した。完了してすぐ運転できるんだけれども、車体検査をして有効期限の書きかえをして持ってくるまでは、従来は運転できなかったわけですよ。それが今度の改正は、指定工場標章を張れば、一日か二日手続をしてもらってくる間、走ってもいいといっておるのですよ。だから、その制度を利用するのがどのくらいと予想しているのだろうかということなんです、私の質問は。   〔委員長退席大竹委員長代理着席
  14. 黒住忠行

    黒住政府委員 いままではその種のものは動かせなかったわけでございまして、四十五年度におきまして約二十八万件と予想しております。
  15. 板川正吾

    板川委員 そこで次に伺いますが、指定整備工場標章を乱発したり不正に発行したりするおそれはないだろうか。こういう点は心配ありませんか。
  16. 黒住忠行

    黒住政府委員 指定整備事業者は、優良整備事業者の中で一定の資格、すなわち、車検関係の施設が整備されている。それから検査員というものが置かれておる。この検査員につきましては、厳格な資格がございます。で、そういうふうに指定整備事業指定いたします場合に、厳格にやりますと同時に、指定後におきましては監査を厳重にやっておるわけでございまして、今後ますますこの監査を適正厳格に行なっていくということによりまして、国にかわって車検をするわけでございますから、保安が低下しないように厳正にやっていきたい、かように考えます。
  17. 板川正吾

    板川委員 整備工場で乱発したり、あるいは不正な発行をする場合には、監査制度を活用して、そういうことを未然に防止するようにやります、こういうことだと思います。  次に、自動車整備工場には、認証工場優良認定工場指定工場、こういうふうに種別がありますね。この認証工場優良認定工場指定工場というのは、どういうような基準で定められておりますか。
  18. 黒住忠行

    黒住政府委員 分解整備工場といいますのは、自動車を分解して整備いたしますための基準でございまして、分解整備工場認証基準は、検査主任者を配置しておかなければならない。これは、今回の改正案によりますと、二級整備士を配置しておかなければならない。それから事業場設備屋内作業場車両置き場整備関係機器等に関します設備基準がございます。それからさらに、工員の四分の一以上が整備士認定に合格したものでなくちゃならないという基準でございます。  それから次は優良自動車整備事業でございますが、それは分解整備事業者の中で優良なる設備技術管理、組織を有する事業場ごと運輸大臣認定を行なうわけでございます。その場合の基準は、まず、作業につきましては、定期点検に伴うすべての整備作業ができる。それから事業場につきましての諸設備関係。それから機器につきましては、その作業に必要な機器工員につきましては六人以上。それから整備士が三人以上で、工員の中の三分の一以上が整備士試験に合格しているというものであります。  それから指定整備事業は、その優良事業の中で、国にかわりまして検査を行なえるというものが指定整備事業でございますが、まずその優良自動車整備事業者に限るというのが指定基準の第一でございます。それから国が行ないます車検と同程度設備を持っていなければならない。すなわち、ブレーキテスターであるとか、前照灯試験機であるとか、音量計等機械器具を備えつけて、その保守管理につきまして十分な配慮をしなくちゃならぬ、そういうふうになっております。それから、これはその工場検査をやるわけでございます。これの検査員自動車検査員といっておりますが、資格といたしましては、一年以上の検査主任者実務経験があり、かつ法令の内容車両検査実務につきまして陸運局長の教習を修了した者に限られております。最後に、工場管理体制といたしましては、指定整備された自動車が確かに保安基準に適合することを証明する保安基準適合証発行する体制、それから指定設備記録保管等が正確かつ確実に行なわれるかどうか、それらの点につきまして厳重に審査をした結果、指定整備事業として指定をいたすわけでございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 この認証工場陸運局長指定をし、認定工場運輸大臣指定をし、指定工場は今度は大臣でなくて、陸運局長指定するというのはどういうわけですか。上級である指定工場陸運局長指定するのは——中間であるものを運輸大臣指定して、それよりもさらに技術水準の高い、責任の度合が高い工場陸運局長指定できるという制度、これはどういうことでそうなったのですか。
  20. 黒住忠行

    黒住政府委員 まず、分解整備事業者は現在五万以上ございまして、非常にたくさんの事務量でもございますしいたしますので、これを一々大臣認定する必要はないということで、陸運局長がしているわけでございます。  それから、優良自動車整備事業というのは、現在、たとえばことしの三月末では二千六百工場くらいございます。これは一つ表彰制度でございますので、全国的なレベルからも考えまして、大臣権限でもって認定をしておるわけでございます。  そうすると、今度は指定整備事業は、その中で検査関係機械器具等整備されているかどうかということでございまして、当該工場としてすでに優良となっておれば、全体としては十分りっぱな工場でございますので、検査関係につきまして、陸運事務所等機械と同等のものを持っているかどうかということを見るわけでございますし、それから検査実態等につきましては、この優良整備事業者がふだん車を陸運事務所に持ってきておりまして、どういうふうな合格率になっておるかというふうなことも地方で十分把握できますので、そういう面から考えまして、指定整備事業につきましては、陸運局でやっても間違いはないんじゃないかということで権限を委任しておる次第であります。
  21. 板川正吾

    板川委員 そういう理屈であれば、優良認定工場というのは運輸大臣指定でなくたっていいという理屈になるんじゃないか。しかし、これはそれほど重要な問題じゃないからいいけれども、理屈としてそういうことにもなるんだろうというふうに思います。  次に、継続車検整備基準、車を検査する場合の整備基準、これは今度の法改正では別に改定はありませんね。
  22. 黒住忠行

    黒住政府委員 その検査基準につきましては、従来と全く同様でございます。
  23. 板川正吾

    板川委員 いまは御承知のように、いわばマイカー時代高速道路ハイウエー時代、これがいまの自動車交通一つの特徴になりつつあると私は思うのですね。そこで、こういうハイウエー時代マイカー時代というのに、継続車検検査基準というのが従来のとおりであっていいのかということに、若干の疑問を感じてきたのです。それは五月十三日の新聞で報道されておりますが、名神高速道路交通警ら隊が、東名の全線開通を目前に控えて、名神国道に入ろうとする車を診断したところが、ハイウエー運転に不適なもの、整備不良車が全体の五九%にのぼった。診断した千百二十六台のうちに六百六十八台というのが不良車だ。この不良車の内訳は、タイヤ摩滅が百八十七台、ライトのつかないものが百七十三台、タイヤに外傷があって危険なものが五十九台、オイルが漏れ、あるいはオイル不足などが五十九台、ブレーキ関係が不良なものが五十台、こういうふうなことで、この高速道路へ入る自動車の五九%が不良車であった。高速道路運転するのには不適な車であった。また、一宮のインターチェンジでも適正かいなかの検査をしたところが、六三%、九十一台が整備不良の車であった。名神国道の問題では、昨年五月に診断したときには、千四百二十台のうちに整備不良車は四百四十三台で、三一%であった。ことしは、その三一%の整備不良車が五九%にふえた。過半数だ。  こういう状況が報道されておるのでありますが、こういう状況が続きますと、高速道路における交通事故というのは非常に大きなものになりましょうが、それが続出をする可能性がある。だから、継続車検検査基準を従来よりもきびしくする必要があるのではないかと思うが、この点どうお考えですか。
  24. 黒住忠行

    黒住政府委員 高速道路が逐次整備されまして、それの通行車両保安の問題がきわめて重要な問題でございますので、昨年の七月四日に保安基準改正いたしまして、十二項目のものを加えたわけでございます。その場合におきましては、衝突事故防止対策につきましては、主として高速道路でございまして、非常点滅表示灯であるとか、尾灯の関係、それから追い越し合図灯関係非常信号用。それから、スピードが逐次加わってまいっておりますので、座席ベルト安全まくら等関係につきまして保安基準改正したわけでございます。  それからさらに、昨年の十月に、高速道路供用開始に伴う事故防止対策の徹底につきまして関係の者に通達を出しまして、事故防止対策の要領を制定いたしまして、自家用車バスに対しまして、おのおの指導を行なったわけでございます。  それから今回の交通安全期間中におきましても、高速道路におきますところの検査につきましては特に重点をあげまして、この五月の十二日に東京名古屋大阪陸運局の管内におきまして、たとえば東京につきましては東京厚木インターチェンジというふうに、名古屋につきましても三カ所、それから大阪陸運局におきましては五カ所におきまして、通過車両につきまして、外観から見ましてどうも整備が悪いんじゃないかというようなものを摘出いたしまして検査をいたしました。それに対しまして、口頭の警告をしたものと、それから整備を通告したもの、こういう整備をしなさいということを通告したものがございます。それで、その結果といたしまして反則金を取るとか、それから高速道路乗り入れ禁止、さらに整備が非常に悪いものは、一般道路ですら動いてはいけないというような処置をいたしておるわけでございます。  われわれといたしましては、この高速道路運転につきましては、まず運転手スピードを出し過ぎないという運転手に対する指導、これは主として警察関係でございますが、バス事業等運輸省が所管いたしておりますので、これはバス事業者に十分の注意をしなければならぬと思っております。そしてまた、車両欠陥によりまして大きな事故が起きることはまずいわけでございますので、先ほどから申し上げましたような対策を講じておる次第でございます。今後も高速道路はますます整備されますので、この面の事故防止については万全を期していきたいというふうに思います。
  25. 板川正吾

    板川委員 最近高速道路で車の立ち件生が非常に多いそうです。特に、中央高速道路の一部に二車線のところがありますね。立ち往生して一車線ふさいでおると、交通渋滞を来たして非常に困るという報道もされておるのです。その立ち往生したというのは、パンク車が多いとか、あるいはガソリンを入れないで走っているのが多いそうであります。ガソリンを入れないで走るというのは運転者の不注意かもしれませんが、パンク車が多い、故障車が多いということは、いわば整備が十分でないということになるだろうと思います。今回は整備基準検査基準というのは、改定したばかりだからしないのだそうでありますが、これらも今後のハイウエー時代自動車整備ということを考えて、時代にマッチするように、将来改正する機会があったら改正するようにしてもらいたいと思います。  次に、自動車保有台数の見込みについて伺いたいと思います。特に、車体検査を受けることのない軽四輪車がどういうぐあいな保有台数を占めているのか、それから自動車全体の保有台数は現在幾らで、将来どのくらいの予想を持ってふえていくのか、計数的な説明をしていただきたい。
  26. 黒住忠行

    黒住政府委員 現在、昭和四十三年度末におきますところの自動車軽自動車合計が千四百十万台でございまして、おおむね一六%ないし二〇%の伸び率自動車が伸びてきております。それでわれわれの推定におきましては、四十六年度末には二千二百三十万台くらいになりまして、すなわち、四十六年度中に二千万台をこえるのではないかという予想をしております。従来の予想は、おおむね九五%以上の確率になっておりますので、大体間違いはないと思っております。将来、自動車がどういうふうになるかということにつきましては、いろいろ推計はございまして、たとえばS字型カーブ推定をいたしましたものによりますと、従来の耐久消費材伸び等から見まして、また、近ごろの自動車趨勢から見まして、三千九百万台くらいにはなるのではないかという推定がございますが、これは学問的研究の域を脱しておらないわけでございますけれども、まずわれわれといたしましては、四十六年度には二千万台をこえるものと予想いたしております。  それから軽自動車でございますが、四十三年度末の先ほどの千四百十万台の中に、軽自動車合計が約四百五十八万台でございます。その中で多いのは軽四の貨物で二百五十六万台、それから軽四の乗用車で百二十二万台というようになっております。
  27. 板川正吾

    板川委員 軽四輪の車体検査を受けない車と車体検査を受ける一般自動車との事故発生率というか、割合はどういう程度を示しておりますか。
  28. 黒住忠行

    黒住政府委員 四十二暦年で見ますと、一般自動車一万台当たりにおきます車両欠陥による事故は二・四件でございます。それに比べまして軽自動車は一・二件でございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 車台数に比較して、軽四輪は自動車事故普通車の半分だ、こういうことです。スピードもないし、軽四輪の場合に営業用というのはごくわずかで、大体自家用車でありましょう。走行キロ一般と違って非常に少ないだろうと思う。そういう意味事故率が少ないと思うのですが、その事故率の少ないのはどういう原因とお考えでしょうか。
  30. 黒住忠行

    黒住政府委員 車両小型であるということ、それからスピードにつきましても、先ほど板川委員も御指摘のように、普通の車よりもおそいというふうなことが原因である。それから使用態様も若干違うのじゃないかと思います。これは的確な統計はございませんけれども、そういうところから全体としては事故率は少ない。しかしながら、運転不良によりますところの事故等は相当あるわけでございます。われわれは車両欠陥を把握するわけでございまして、その面におきましては、ただいま申し上げましたようなことで約半分であるということでございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 軽四輪の事故というのは、そういう意味使用態様も違いますし、自家用車が多い。また、小さい車ですから、ぶつかれば被害が大きいですから気をつける。スピード一般自動車のようには出ない。こういうことで比較的事故が少ないだろうと思うのですが、しかし、自動車事故一般的に減少させる一つ方法として、私は自動車が無制限にふえてくる、保有台数が年々激増しているという現状に何らかの対策を打たなければ、交通事故というのは非常な勢いで伸びてくる。そこでこの際、軽自動車に次の二つの目的から車体検査をするようにしたらどうか、こう考えるのであります。  それは車体検査するにしても、たとえば新車から三年はよろしい、三年後に初めて検査をする。有効期限は二年間ぐらいにする。五年目ぐらいに整備検査をして、もし整備上不良というなら使わせないようにする。軽自動車は大体四年も使えばガタがきて、よほど整備でもしない限りは表通りは歩けないようなかっこうになるのじゃないかと思うので、そういう意味一般自動車と同じように二年に一ぺん、一年に一ぺんやれという意味じゃなくて、小型自動車並み車体検査をやったらどうだろうかというのが一つなんです。  それから自賠法の加入率というのをわれわれ伺っておるのですが、軽自動車の場合には四百万近い軽自動車があるが、自賠責に入っておるのはその七七%ぐらいだといわれておるのですが、あと二三%ぐらいが保険に入っていない事実があるのですか。
  32. 黒住忠行

    黒住政府委員 軽自動車の四十二年度におきますところの強制保険加入率は七七%でございます。それでいまの先生の御意見の前段でございますが、現在では自動車が非常にふえてまいって、その保安を確保するために今回の法律改正等をお願いいたしまして、指定整備工場活用等をはかって、普通の車の車両検査等の万全を期していきたいということを考えておるわけでございます。それで当座の問題といたしましては、軽自動車車両欠陥事故は普通の車の半分でございますので、当座の間はこれの保安につきましていろいろ措置をとったわけでございまして、新車型式認定であるとか、使用中の定期点検であるとか、整備工場認証制度、あるいは軽自動車整備士技能検定等措置を講じているところでございます。その措置によりまして、保安の万全を期していきたいと思っておりますけれども、将来の問題といたしましては、やはりこれら車両欠陥事故が今後ふえるということになりますと、検査対象にしたほうがいいのではないかと思います。そのときの方法といたしましては、先生いま御指摘のような方法があるかと思いますが、これを直接国がやるといたしますとたいへんな仕事にもなりますので、まず普通の車の車両検査体制を整えつつ、そして軽自動車車両欠陥事故趨勢を見つつ、将来御指摘のような方向につきまして検討をしてまいりたい、かように考えております。
  33. 板川正吾

    板川委員 確かに軽自動車一般車両検査と同じ指定工場でやらせるといったら、これはなかなか数も多いし、たいへんだと思うのです。また、指定工場でやるほどのこともない。だから優良認定工場でやるとか、あるいは認証工場でやるとか、整備をする機関を若干下級のものに引き下げてそこにやらせるということでもいいと思うのです。ですから新車で三年間、継続の場合には二年間ということでやれば、私は軽自動車整備不良車が黒い煙を吐いて町の中をぽこぽこ走っているというようなことはないのじゃないだろうか、こういうふうに考えています。ひとつこの点に関して検討を早急にしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  34. 黒住忠行

    黒住政府委員 先ほど申し上げましたように、現行法上できるだけ保安の確保をはかりつつ、将来の方向につきましては宿題として検討させていただきたい、こういうふうに思います。
  35. 板川正吾

    板川委員 車検の有効期間の問題について伺いますが、いまトラックは営業用自家用車とも一年、乗用車は新車で二年、旧車で一年、自家用車は新旧とも二年、こういうふうに有効期限が一応きまっておりますね。それで、この場合にトラックの問題ですが、ライトバンは乗用とトラックと、どちらかといえばトラックになっていると思うのですが、ライトバンはトラック扱いでしょう。
  36. 黒住忠行

    黒住政府委員 ライトバンはトラック扱いでございます。
  37. 板川正吾

    板川委員 一体このライトバンの使用態様というのは乗用車的なんですか、それともトラック的なんですか。この態様を分析したことはございませんか。
  38. 黒住忠行

    黒住政府委員 態様を厳格に分析したことはございませんが、トラックではございますけれども、乗用車的にも使われておる面が相当あるのではないかと思います。
  39. 板川正吾

    板川委員 ライトバンというのは、いわば乗用車的であり、トラック的であるから、それは両面に使われていることはわかるのですよ。ただ、使用態様の実態は、よりトラック的であるのか、より乗用車的であるのか、こういう分析をしたことはありませんかというのです。
  40. 堀山健

    ○堀山説明員 特に詳しく調べたことはございませんが、ただ、ライトバンは二つ種類がございまして、一つは乗用車そのものを車体面だけ変えてライトバンにしたものと、もともとトラックシャシーでライトバンにしたものと二つあります。ちょっと見ると同じように見えますが、トラックシャシーをベースにしたもの、それから乗用車シャシーをベースにしたもの、二つございます。どちらかということは非常にむずかしいのですが、もともと載せる量も非常に制限しておりますので、あまり多くの量の荷物は載せてない。配達だとか、あるいはセールスマンがサンプルを持って乗るとか、そういったことに使われておりますので、普通の乗用車のうしろのトランクに載せるものよりは若干多い量が載っているという感じでございます。
  41. 板川正吾

    板川委員 私は、ライトバンというのは乗用車的使用態様のほうが多いのじゃないかと思うのです。そうであれば、これをトラックのように一年間という期限で扱うことは実態にそぐわないのじゃないかと思うのですが、この点はどう考えますか。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 黒住忠行

    黒住政府委員 今回の法律改正を検討いたします場合に、乗用車が二年になっておりますのに対して、特に小型トラックあたりはどうであるかということで事故状況等を検討したわけでございますが、自家用車の千台あたりの事故が〇・一四件に対しまして自家用小型トラックは〇・二四件ということにもなっておりますので、やはり一年、二年の相違は車両欠陥事故の現状から見てやむを得ないということで見送りにした次第でございます。
  43. 板川正吾

    板川委員 そうですか。ちょっとわれわれ考えるところによると、乗用車的のほうが多いから乗用車的に扱ったらどうかという感じがしたわけですが、実態がそうであればやむを得ないということになるでしょう。  それから自家用車車検期限、現在二年になっておりますね。これは西欧では五カ年ぐらいの有効期限をくれておるところもあるそうですが、自家用車使用態様というのは、大体年間一万五千キロぐらいが常態じゃないかと思うのです。そこで自家用車新車の場合、二年という有効期限を三年ぐらいに延長するお考えは将来ありませんか。
  44. 黒住忠行

    黒住政府委員 諸外国、特にヨーロッパ関係を見ますと、おおむね日本と同様でございまして、一年ないし二年、たとえば西ドイツ等におきましても、そういうふうなことでございまして、イタリアの二輪自動車だけが五年でございまして、そのほかのところでは一年がおおむねでございます。これはヨーロッパ全部を調べております。アメリカについても調べておりますが、日本のほうがシビアーであるということにはなっておりません。
  45. 板川正吾

    板川委員 五年という制度がヨーロッパに一、二あったように聞いたものですから、あるいは短か過ぎるのではないかという感じがして質問したのであります。  次に、登録検査の手数料の改定をされる、最高限度を引き上げるということですが、具体的にどういうことでありますか。
  46. 黒住忠行

    黒住政府委員 法定では、現行検査関係手数料は、普通車検査四百円、小型三百円、検査証再交付五十円ということになっておりますものを、法定限度では、検査につきまして七百円、それから検査証再交付につきましては五十円を百円、それから検査標章再交付につきましては、従来はございませんものを今度は百円、それから登録関係につきましては、新規登録の二百円を三百円、変更登録、移転登録の百円を二百円、臨時運行許可を百円から二百円、それから回送運行許可というのを今回新設いたしましてこれを千円、それから登録事項等証明書、これは新設でございます。これは新しくできるわけでございまして、謄本にかわる性格のものでありまして、これは五百円、整備士の技能検定につきまして三百五十円を六百円、型式指定につきまして八千円を一万五千円、優良整備事業者認定について三千円を四千円ということで法定限度額にいたしておりますが、その範囲内におきまして政令で定めるわけでございます。それの考え方といたしましては、実際に国の職員が機械を使いまして検査をする、登録するところのものは法定限度に近くやりますけれども、そうでないものはその範囲内でやりたいということでございます。そうして全体の基準は、車両検査登録設備を増強し、人員を整備していくために要する特別会計を年度ごとの計画にいたしまして、それをこの手数料でまかなっていくという考え方でございます。
  47. 板川正吾

    板川委員 自動車の保有にある程度ブレーキをかけるという見地から、そういう登録検査の手数料の引き上げというのは私ども賛成ですね。ですからそれはいいんですが、できればその特別会計の中から、車両検査の際に、事故防止の施設や安全教育というような問題も、そういう費用の特別会計の中から何か捻出せしめて、教育関係あるいは安全施設関係というものに対して、その特別会計の使い道ができるような方法はありませんか。
  48. 黒住忠行

    黒住政府委員 車検登録の特別会計は、検査登録をするのに要する費用をまかなう経費でございますので、これをそういうふうに使うのはいかがかと思います。ただ、われわれのほうは自動車損害賠償の特別会計をやっておりまして、その中で補償事業という仕事をやっております。補償事業の仕事につきましては、ひき逃げ事故等が減少をいたしておりますので、予定よりも金の出るのが少ないためにこれを一応リザーブしておりますが、リザーブしておりますものに対して利子がついておりますので、その範囲内におきましては、保険の普及であるとか、事故防止であるとか、あるいは運行管理センターというふうな施設に金を出しまして、事故防止に当たっているという現状でございまして、車検登録の特別会計につきましては、必要なものを最小限度にいただくというたてまえでございます。
  49. 板川正吾

    板川委員 次に伺いますが、大型車、超大型車のマフラーが車体の横に、道路の中央を向いて出ているのがあります。これは夏、乗用車が窓をあけっぱなしにしてその大型車を追い抜きするとき、あるいは交差点で待つという場合に、大型車の排気ガスがまともに乗用車の中に入るような位置にあるのですが、これはどうでしょうか。このマフラーは従来どおり大型車の下に置いて、やや下向けに道路に向けるようにしたならば、そういう乗用車というものに迷惑をかけるようなことはないと思いますが、これは改善するつもりはございませんか。
  50. 堀山健

    ○堀山説明員 御指摘のような現在の姿は、特に乗用車で交差点等で車が停止しておりますときに、ちょうど乗用車の中のほうに入る位置になっておるわけであります。私どもは適当な位置ではないというふうに考えておりますが、ただ、どの位置に置いたら一番合理的であるかということについては、いろいろな車の種類がありますので、それらを勘案いたしまして、最も合理的な位置につけかえるということを検討しております。
  51. 板川正吾

    板川委員 十トン、十五トンという大型車がありますね。その排気管の何インチもあるようなものが横を向いて、乗用車に吹きつけるという形はこの際変えて、従来どおり、うしろ向きになっているものをやや下向けにするような方法をとるならば、そういう迷惑をかけないで済むのではないかと思いますが、こういう点はひとつ注意をしてもらいたいと思います。  それから自動車の回送業者の使用する番号票はどんなものですか。
  52. 黒住忠行

    黒住政府委員 番号票は、陸運局長が承認しております現行の臨時運行許可番号票、いわゆるディーラーナンバーといっておりますが、それと同じようなものを使う予定にしております。ただ、回送運行の許可の内容は、従来五日単位に許可をいたしているわけでございますが、これを一カ月単位にいたしまして、回送運行期間の限度を新しく制度化したい。ナンバー自体は従来のディーラーナンバーを予定しております。
  53. 板川正吾

    板川委員 次に、自動車登録検査記録作業をコンピューター組織に変えようというのが今回の改正の第二点と思いますが、これは前に細田委員も質問しておったようでありますが、この機能が麻痺するようなことが万一あるとすれば、どういう事態の場合でありましょうか。
  54. 黒住忠行

    黒住政府委員 事故といたしましては、火災あるいは地震等の事故、それから機械的に末端と中央に機械がございますので、機械的な事故というもの、それから特に間違った情報が入りはしないかという問題、これらの問題があるかと思いまして、それに対する措置を具体的に考えております。
  55. 板川正吾

    板川委員 機能が麻痺するような事故、天災、地変等があるという場合が考えられるが、それについては、その場合に対策をいろいろ考えてはおります、こういうことですね。こういう機能は非常に便利であることには間違いないのです。しかし、どこか一つ一点において間違いがあるために全機能が機能を果たさないということになる可能性があるわけですね。どこかの一つの間違いのために全体が動かないということがあり得るわけでありまして、そういう心配のないような措置が講ぜられると思うのでありますが、われわれそういう意味では、技術的な点について検討しておりませんが、それは当局の技術者を信頼するほかないかと思います。  次に、コンピューターの採用によって、従来これに関係しておった人員の配置転換とかあるいは整理とか、そういうようなことはあり得ないと思いますが、この点どうですか。
  56. 黒住忠行

    黒住政府委員 おっしゃるように従来の人たち、あるいはその人たち以上に人が要るわけでございまして、全国的にこれが普及いたしますのは四十六年度を予定いたしております。したがいまして、それまでには相当増員を要しますし、それからその後におきましても、登録等の審査をするのは機械でなくして人間がやらなければならないわけでございまして、申請書類をチェックいたしまして、所有権を確認するというふうな仕事は依然として人がやるわけでございまして、これが重要な仕事でございまして、その方面につきましては増員をしていかなければならない。ただし、たとえば機械的に登録原簿を倉庫から持ち出すというふうな仕事はなくなりますので、それ等は機械にかわってやってもらうということでございます。現在の形では、現有勢力に若干プラスしてこれに即応していきたい。将来につきましては、さらに登録官というふうな質的な仕事をやる人は、将来も自動車の伸びに従いまして増員の必要があるということでございまして、現在の人たちが余って、配置転換というふうなことは毛頭考えておりません。
  57. 板川正吾

    板川委員 大臣に、実は自動車検査あるいは自動車の今後の行政について伺いたいと思っておったのでありますが、何か都合がつかないようでありますから、大臣が見えたら、またそれはやります。  ここでひとつ話題を変えますが、きょうの新聞で、運輸省は大都市のタクシー事業の改善策と乗車拒否の絶滅対策というものをまとめた、この改善策は、原田運輸大臣の在任中に乗車拒否を絶滅したいという意向でできたのだという報道がされておりますが、この乗車拒否及び大都市交通対策、大都市タクシーの改良対策というものは、報道されたとおりの内容を持っておるものかどうか、この点をひとつ……。
  58. 黒住忠行

    黒住政府委員 タクシー、ハイヤーが大衆の足としてますます発達してまいっております反面、大都市におきまして乗車拒否がございまして、これを根絶しなければならないということで、大臣からの命令もございまして検討をしておるわけでございまして、その現在検討中の内容につきまして一部報道をされたわけでございます。したがいまして、これが最終的な結論として運輸省としてきまったわけではございませんで、こういう項目につきまして目下検討中でございます。近く結論を出したいというわけでございます。したがいまして、この項目は全部を網羅しておるわけでもございませんし、このほかにもいろいろなことを現在検討をしておる次第でございまして、この乗車拒否対策はやはり総合的な対策考えなければならないという観点から、各項目にわたりまして現在検討をしておるような次第でございまして、その一部がこの報道の内容でございます。
  59. 板川正吾

    板川委員 報道されておるこの内容は、運転手登録制を実施をする、そして乗車拒否をしたような運転手登録を取り消す、取り消しされた運転手東京、大阪——この場合、東京、大阪になっておりますが、ここでは営業の運転はできない、こういうような規制をしておる。  それから運賃制度に時間制、距離制を併用する。深夜と早朝の割り増しという料金制度もこの際確立をする、これが第二点。  第三点として、タクシー運賃の他の交通機関とのバランスをはかる方式で改定する。言い方は、バス等とのバランスがとれるように科学的に運賃を決定するシステムを開発する、こういっておるのでありますが、他の交通機関との運賃のバランスをはかるというのが第三点。  第四点として、それを条件として運転手の歩合給を完全に廃止する、労働条件を改善することを条件としてこういった制度を認めていこう。前回はこのほかに、タクシーに人数制といいますか、二人の場合には普通料金だが、五人乗ったらば何割か増すという人数制というものについて何か検討中であったようですが、今回からははずれております。いずれにしても、これは一つ内容としては、われわれも非常に首肯し得るものがあるのでありますが、これはいつごろ結論を出して、いつごろから実施をしたいという方針でありますか。
  60. 黒住忠行

    黒住政府委員 この結論は今月中にも出したいわけでありまして、ただこの中でいろいろの方法がございまして、運賃制度等につきましては所定の手続がございます。すなわち、関係官庁等にも協議しなければならぬというような問題がございますし、それから無線の整備というものも考えております。それには無線の電波数をふやすということ、それから設備をつくるというような問題がございますので、これの成案は今月中にも得たいと思っておりますけれども、具体的な実施につきましては、おのおのの項目につきまして、できるものからすみやかに実施していきたい、さように考えております。
  61. 板川正吾

    板川委員 東京、大阪の二大都市だけに限定されておるかと思うのですね。この乗車拒否なりが東京と大阪と実態が共通しておるのは、その他の大都市あるいは大都市周辺でも同様な事情があろうと思のうでありますが、東京、大阪だけでやろうとされるのでありますか。その後、場合によっては、各都市あるいは将来全国的にこういう制度を採用していこうとされるものですか、その点はどうお考えですか。
  62. 黒住忠行

    黒住政府委員 乗車拒否が顕著なのは東京と大阪でございまして、他の大都市では、東京、大阪のような乗車拒否の現象はございませんので、必要な輸送力の増強、そして事業者の監督というようなことで当分処理していけばいいのではないかと思います。したがいまして、こういう制度、たとえば運転手登録センター等の制度東京と大阪という、差し迫って乗車拒否を解決しなければならぬというところに適用していきたいと思っております。したがいまして、今回考えております案も、全体といたしましては東京、大阪に適用したい。しかし、この中でも無線の活用その他の方法、あるいは需要の多いところに機動的に配置するというようなことにつきましては、ほかの都市でも実施していいことでございますので、それらは実施したいと思いますけれども、全体の構想といたしましては東京、大阪で実施をしたい、さように考えております。
  63. 板川正吾

    板川委員 乗車拒否の一番はなはだしいところは東京、大阪である、だから、ひとつこういう新しい制度東京、大阪でやってみよう、これはわかりますが、しかし、乗車拒否が東京、大阪以外にないんだという考え方はおかしいと思う。東京周辺の都市とか大阪周辺の都市でも、実際に乗車拒否というのは堂々と行なわれておるのです。しかし、一番はなはだしいところが東京、大阪だから、とりあえず東京、大阪に焦点を当てて、この制度を採用してみようということであるべきだと思うのであります。  時間がないから、私は、一言この問題について私の所見——これは私の私見になるかもしれませんが、申し上げてみたいと思うのですが、時間と距離のメーターの併用制というのは、距離一本よりも、いまの交通渋滞や何かの実態から見ると合理性を持っておるんじゃないだろうか、実態に合った考え方じゃないだろうか。諸外国でも、距離ばかりでなくて時間制を併用しておるところが多いようでありますから、そういう意味で私はこの思想には賛成であります。それから深夜、早朝の割り増しも、タクシー業の主たる経費は運転手の人件費になるのですが、深夜一時過ぎに百円でどこそこまで行ってくれということになると、いまの料金制度では、運転手の人権というものを考えた場合、確かに安いように思う。だから、その辺から乗車拒否という思想がやや具体性を持ってくると思うのでありまして、深夜、早朝に対して割り増し制ということも、これまたやむを得ないんじゃないだろうか。それを条件にして歩合給の完全廃止ということ、労働条件の改善を前提にしていくという思想も、もちろんわれわれ多年の主張でありますから賛成であります。  ただ、これをやる場合の問題が一、二点ある感じがしますが、それは、この場合、登録制をとったほうがいいかどうかという問題です。私は、いま言ったような時間、距離の併用制あるいは運転手の歩合給の完全廃止、待遇改善ということができれば、登録制をあえてとらなくても、乗車拒否というものが絶滅できるのではないかという感じがいたします。しかし、これは私の一つの思いつきといいますか、そういう感じでありますから、これをやる場合には、関係者とひとつ十分な話し合いをして、そういう対策をとることによって紛争が起こらないような措置をしてもらいたい。そういう点をちょっと危惧するのでありまして、その点を申し上げます。  第二点としては、この運賃制度改正の結果が、結果としていまのタクシー業者にいわゆる保護過剰、過保護の結果をもたらしてはいけないという感じがします。この問題は、料金制度の改定いかんなんです。それがオーバーに改定されて、なるほど運転手の待遇もよくなったもしらぬ、労働条件もよくなったか知らぬが、タクシー業者にそれ以上の利益を与えるような結果になっては私は問題だろうと思う。ですから、この料金改定を現実に行なう場合には、その点を十分ひとつ注意をしてもらいたいと思います。  それから、今度この運賃制度の改定をしようとする場合に、基本料金は一体どう考えておるのだろうか。基本料金を上げて、さらに深夜割り増しを取りということになると、料金の大幅改定になる。これは、私鉄や大都市タクシーの運賃値上げについては極力抑制するという大臣の従来の言明と相反する可能性もあります。たとえば一つの案を申し上げれば、基本料金は下げて、百円を八十円にしてもいいから、深夜割り増しとか早朝割り増しとか、あるいは時間制、こういうものの併用でそれをカバーする、こういうことがあってもいいんじゃないだろうか、こう思います。  それからもう一つは、大都市の交通機関に対してこういった対策が講じられる。しかし今日、地方交通というものがいわば非常な危機を迎えておるのであります。こういう地方交通の問題をいつまでも放置して、とかく問題のあった大都市のタクシー業の改善のみを運輸省が取り上げて他は放置するということであれば、私は運輸行政上片手落ちになるのではないだろうか、こう思うのでありまして、その点はひとつ地方の交通問題も適切な地方交通対策——これはバスも含めますが、あるいは地方の私鉄、タクシーも含まれるでしょう、こういうものを含めて、どういう対策を今後打ち出すかということが問題だろう。東京、大阪だけ改善して、あとは当分何もしないで放置するのだということになれば、運輸行政としてはまさに片手落ちになりますから、この点ひとつ十分留意をしてもらいたいと思います。  以上の私の所見に対して、局長はどうお考えになりますか。
  64. 黒住忠行

    黒住政府委員 まず第一点のセンターの問題でございますが、私といたしましては、乗車拒否の対策はいろいろなものを総合的にやらなければなりませんので、とんぷく的なきき目のあるものはないと思っております。したがいまして、このセンターの構想も、総合対策の一環として考えていきたいというふうに考えております。  それからこのセンターでは、悪質運転者を排除するということも目的ではございますけれども、運転者に対する福利厚生施設の整備であるとか、また、運転者指導、養成というふうなことも並行してこのセンターでやらしたいというふうに考えておるのであります。したがいまして、これは経営者側と運転者側、労働者側というものが十分理解を持っていただきまして、協力して運営をしていくものでなくてはなりませんので、現在持っておりますところの案を経営者側、すなわち協会側と労働組合の側に提示いたしまして、詳細なる説明をいたしておりますし、将来の運営につきましても同様に考えております。考え方としては賛成を受けておりますので、いろいろの希望等も組み入れまして、実現をしていきたいと思っております。  それから運賃制度で不当に業者に利益を与えるものでは困るという御説に対しましては、全く同感でございまして、われわれといたしましては、運賃の制度を全体の基本料金とか、そういうものとは別に、運賃制度自体として考えてみた場合におきましては、時間、距離併用メーターであるとか、深夜メーターというものは合理的ではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから全体の基本的料金をどうするかということにつきましては、これはたびたび大臣から答弁がございましたように、極力抑制するという方向は、現在でももちろん変わっておりませんが、われわれ事務当局といたしましては、申請がありますものに対しましては審議をするという責務がございますので、これの審議は行なっていきたいと思っております。  それからもう一つ、地方交通の問題でございますけれども、自動車から見ますと、都市におきます自動車交通はふくそうしておりますので、それに対してハイヤー、タクシーの行政であるとか、バス行政であるとかいう、都市交通問題というものは非常に重大な問題としてこれに取り組んでおりますと同様に、地方におきましては、モータリゼーションを反映いたしまして、事業は非常に苦しい状況にございます。いわゆる過疎地域におきますところの交通確保ということが重要な課題になっておるわけであります。自動車局といたしましても、それらに取り組んでおるわけでございますが、今度は、地方陸上交通の審議会というものが近く各陸運局単位に発足いたしますので、自動車関係のみならず、私鉄等の関係も一緒にいたしまして審議されるわけでございますけれども、そこでまず取り上げられます事項は、各地方におきます、特に過疎地域におけるバス事業であるとか、私鉄事業というものをどうして維持していくか、どういうふうにして育成していくかという問題が中心議題となると思っておりますし、それを最も重要な問題として指摘しておりますので、その解決に向かって進むようにしていきたい、さように考えております。
  65. 板川正吾

    板川委員 大都市タクシーの労働者の労働条件、そういったものを改善していく、同時に地方交通の労働者の労働条件も改善していくような対策も、この際早急にとられるように要望いたします。  以上をもちまして私の質問を終わります。
  66. 砂原格

    砂原委員長 米田東吾君。
  67. 米田東吾

    ○米田委員 私は、この法律に関係いたしまして大臣にお聞きしなければならない部分がございますが、それは後刻大臣がおいでになりましてからお聞きすることにいたしまして、主として労働省に関係する部分が多いと思いますけれども、そちらのほうから御質問をしていきたいと思っておるわけであります。
  68. 砂原格

    砂原委員長 米田君にちょっと申し上げておきますが、政務次官を呼んでおりますから……。
  69. 米田東吾

    ○米田委員 おいでになりましてからまた……。  ただいまの板川委員の御質問にも十分関係をするのでございますが、運輸省も、それから労働省におかれましても、この十一日から春の交通安全運動の期間を旬間として設定されまして、現在その運動を進めておられるわけであります。乗車拒否の問題や、あるいは白タクの問題や、ハイヤー、タクシーあるいは通運業の運賃の問題、たくさん問題がございますが、要は、そこに働く運転労働者の労働条件、とりわけ給与の関係がどうであるかということによってある部分は解決される問題ではないか、私はこういうふうに思っておるわけであります。  そこで御質問したいのでありますが、その点ではここ二、三年、運輸省当局も労働省も十分留意されまして、たとえば四十二年の二月九日等におきましては二・九通達が出されまして、漸次運転労働者の労働条件の改善という方向に指導されておられるわけであります。しかも、労働省や運輸当局の発表によりますと、この指導が漸次効果をおさめて改善に向かいつつあるというような報告も聞いているわけであります。私としては、たいへんけっこうなことではないかと思うのであります。  そこで、まず労働省の労働基準局のほうにお聞きしたいのでありますが、今度の旬間の一つの重点の中に刺激的賃金をなくするような、そういう指導をしていく、歩合給制度を採用している場合には、労働時間に応じ、固定的給与とあわせて通常の賃金の六割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めるような、そういう措置をとらせるとか、あるいは極端な刺激的な賃金、歩合給等については改善を求める、そういうような指導方針が重点項目として出ているようでありますけれども、この点につきまして労働省、それから当然これは運輸省当局の自動車局長のほうからもお答えをいただきたいと思いますが、現在どういう状態でこれが実際に進められておるか。とりわけ私は、この刺激給とか累進的な歩合給というようなものについてどういう定義をされて、どのような基準で行政指導をされているのか。現実にいま交通安全旬間で指導の重点をそこに求めておられるのでございますから、相当な行政指導上の基準を持っておられると私は思いますので、その点からまずお聞きをしていきたいと思っております。
  70. 小鴨光男

    ○小鴨政府委員 米田先生のただいま御指摘いただきました給与関係の問題につきましては、これは四十二年の二月九日に、いわゆる労働時間を含めましての自動車運転者に関します改善基準という通達を流しているわけでございます。その背景には、労働基準法による監督、それによっての効果をあげまして、いわゆる交通災害その他に効果あらしめようという配慮から出たものでございます。特に、自動車運転者の長時間労働に伴いますところの災害の防止、あるいは給与体系上からくる超過労働、そういうことによって疲労が生ずる、それに対する災害を防止しようという観点からでございますが、特に給与関係につきましては、いま先生指摘のように、この二・九通達におきまして初めて実は賃金形態についての監督指導上の基準をつくったわけでございます。本来、賃金は労使の自主的な交渉によって取りきめられるというのが大原則でございますけれども、労働者の疲労あるいは災害の防止という観点から、特にこの面について今回通達として地方に流して、監督指導上の基準といたしたわけでございます。いわゆる歩合給制度というのが、運転労働者の特徴として賃金体系上盛られておるわけでございますが、その歩合給の程度というのが非常に刺激的であるという点に着目いたしまして、できるだけ早くこの刺激的な歩合給制度をなくしていこうというのが今回の指導基準でございます。  その基準は、いま先生も御指摘いただきましたように、固定的な給与とあわせまして、通常の賃金の六割以上の賃金が保障されるというふうに保障給を定めるというのが第一点でございます。第二点は、歩合給制度のうちで、いま申し上げましたように極端に労働者を刺激する制度というものを廃止する。その極端に労働者を刺激する歩合給制度というものは、いわゆる累進歩合給制度でございまして、ある一定額の水揚げ高をこえた場合に極端に支払う歩率がよくなる。その率を是正していきまして、積算歩合あるいは一定給の歩合制度に持っていこうということによって、長時間労働をしなければならぬというものをなくしていこという観点でございます。これは四十二年の二月通達いたしまして、すでにそれに対する指導を強力に実施しておるわけでございますが、四十三年度の結果はどうかということになりますと、全国で調査しました四千十五事業場のうちに、この四十二年の二・九通達を出した当時、いわゆる累進歩合給制度というものが残っておりましたのが二千三百三十三事業場ございます。パーセンテージにしても半分以上の五七%でございます。これが四十三年八月に調査しました結果、二千三百三十三事業場のうち千七百三十九事業場が累進歩合給制度を廃止いたしまして、積算ないし一定歩合給制度のほうに移行しているという実績に相なっておるのであります。なお、まだ二五%残っている実情でございます。今度の交通安全旬間とあわせまして、現在、一斉監督指導を実施中でございます。
  71. 黒住忠行

    黒住政府委員 いまの労働条件、特に賃金の関係につきましては、労働省からお話がありましたように、二・九通達によりまして指導が行なわれているわけでございまして、われわれのほうは自動車運送事業、ハイタク等の免許をいたします場合、あるいは事業計画変更で増車をいたしますような場合におきましては、運転者が過労におちいらないような程度運転者数が見込まれているかどうか、その当該会社の運転者の給与の制度というものが当該地域から見、また、労働省の二・九通達から見て、適正であるかどうかということを十分審議いたしまして認可を行なっている次第でございます。また、仮眠所等の休養施設等の整備につきましても、これを審議の対象として審査をいたしている次第でございまして、労働省当局と十分連絡を密にいたしまして、この問題の解決に当たっていきたいと思っております。
  72. 米田東吾

    ○米田委員 小鴨さんに質問いたしますけれども、おっしゃった六割程度の保障給がなるべく恒常化するような指導をしていきたい、けっこうだと思うのでありますが、この保障給と固定給とは違うと私は思うのですね。あなたのおっしゃる保障給というものはどういう内容意味するか、これは相対的に月収に対する保障給という御答弁ではないかと思うのでありますが、できればこの保障給というものは固定給として——かせき、水揚げにかかわらず、そのハンドル労働者が毎月保障されるという給与にするためには固定給として体系づける、こういうことが私は当然だと思うのでありますけれども、そういう指導だというふうに理解してよろしゅうございますか。固定給六割……。
  73. 小鴨光男

    ○小鴨政府委員 いま先生指摘の点は、まことにもっともだと思うわけでございますが、目下運転者の労働の特性からいたしまして、なかなか歩合給というものを全面的に廃止するわけにもまいらないだろうと存ずるわけでございます。ただ、何ぶん賃金制度ないしは賃金額の決定というものについては、労使の自主的な交渉によってきめるという大原則でございます。したがいまして、その点について直接的な干渉ということについては、私ども厳に慎まなければならないと存じますけれども、ただ、基準法におきましては、最低限の保障といたしまして、いわゆる出来高払いあるいはその他の請負制ということで、使用しておりますところの労働者に対しましては、事業主は労働時間に応じまして一定の賃金の保障をしなければならないという規定がございます。この一定額の賃金の保障という点につきましては、労働者の最小限の生活の安定という意味からいたしまして、大体通常の給与の六割程度を最低限保障するというのがこの基準法の二十七条で保障されておる保障給でございます。しからば、その保障給が全部固定給として支払われるべきではなかろうかという御意見でございますけれども、この点、何ぶん賃金給与の体系上の問題に相なりますので、これがいいとか悪いとかいうことは、一がいに私ども強権をもって言う筋合いのものではないというふうに思っております。ただ、ある程度指導といたしましては、できるだけその保障給の中に固定給的要素を広げていくというふうな指導は一応やっております。私ども、先ほど四千十五事業場について調査いたしました結果におきましても、全面的に固定給にしてしまったという事業場も相当ございます。この六割の保障給の中で固定給と歩合給との割合をどうするかという点につきましては、これはまさに労使の交渉ないしは協定ということによって現実に決定されるべき問題でございますが、一応この六割の保障給の中で固定給をできるだけ多くするというのも、私どもの指導一つとしてやっております。
  74. 米田東吾

    ○米田委員 最近、特にハイタク関係がそうなんでありますけれども、刺激的給与体系というものが、知能犯的にだんだん悪質な給与体系というものが採用されてきているのではないか。確かにいまあなたがおっしゃるように、一時このハイタク運転手の給与は、なるべく歩合給がいいんだということで全国的に蔓延した。それが二・九通達が出て、あなたのほうである程度強力な行政指導をされた。これはやはり役所のほうから文句を言われるし、あまりよくないということで、さっき説明がありましたように、千七百三十九企業が廃止し、改善率は七五%というふうに、現象的にはよくなってきたというふうに答弁されましたね。形式的にはそういう内容になっていると思いますけれども、残りの二五%、それから擬装したいろいろな体系、たとえば二重の賃金台帳あるいは秘密協定というようなものを結んで、むしろ脱法行為が専門的に、知能犯的に進んでいるんじゃないか、私はこういう見方をしているわけであります。いまあなたのおっしゃいましたように、賃金というものは労使が自主的にきめる、まさにそのとおりだと思います。しかし、いつでもあなたのほうではそういうことで逃げておりやせぬか。私は介入はよくないと思いますけれども、一定の労働省の指導で、いい意味指導で、この基準法あるいは道路運送法の精神に沿うような、介入でない、いい意味での指導というものは、当然、行政当局の責任だと思います。そういう点では大いにやってもらわなければならぬのでありますけれども、いまやっておられますという御答弁ではございますが、やや私は不満でございます。私が前段申し上げたように、むしろこの面については、刺激的な賃金体系というものは、悪質的に、脱法行為を含む方向で進んでいるという点については、部長さんはどうお考えでございますか。それは認められませんか。
  75. 小鴨光男

    ○小鴨政府委員 四十二年の二・九通達を出しましてから一年間くらいまでは、ある程度、累進から積算あるいは一定歩合に移行をするということで、相当強力に進んだように見ております。ただ、ある県、ある都市におきましては、なかなか企業主側のほうにおきましても、急激にそのほうに移行するという点について指導の限界という点もございまして、いろいろ問題があったように聞いております。いま先生の御指摘のような、逆に刺激的な給与体系を新しく考えるとか、悪質な問題がないという点については、私自身も全然ないというふうには申し上げられません。事実、ただ監督署のほうにこういう改善をしましたということで届け出ることによって、実際はいろいろ逆の方向に動いているという事例も二、三報告を聞いております。したがいまして、特に今度の十一日から始めました安全旬間について、私ども全国につきまして一斉監督をやっておる最中でございます。その中におきまして、従来は、集団指導的に給与体系をこういうふうに改善したらいいのではないかというふうにやっておりましたが、これは実際の監督とあわせて、そういう面につきましても、監督署に届けましたいろいろの書類等と実際上は食い違ってないかというものも見たいと思います。それから、そういうところの運転業者の方々からやはり給与体系上の問題を聞きまして、それと対応するような方向で、いま先生の御懸念になっておるような点については、極力今度は一斉監督の中でいろいろ一体的にやっていくというふうに考えておりまして、検討を要する問題につきましては十分にやっていきたいと思います。
  76. 米田東吾

    ○米田委員 具体的にちょっとお聞きしたいのですが、もう一回念を押しますけれども、要するに、極端な刺激的賃金体系というものに対するあなたのほうの基準といいますか、ある程度行政指導として持っていなければならぬ基準というものがあるのかないのかということを、まずどうしてもはっきりさせておきたい。それがないと——これは個々の企業や、地域や、あるいは客観条件によって判断はむずかしいと思いますけれども、何らかの計算尺のような一つ基準は、法律でなくとも行政指導の面で持っていなければできないと思う。したがって、それがあるかないか、あったら教えてもらいたい。それで、はかった上で——たとえば、ことしの五月三日の河北新報でも、仙台タクシーの生産価値配分賃金制、これはむずかしい名前をつけておりますけれども、完全なハンドル貸し、請負で、名義貸しの典型的な内容ではないかと思います。しかも、給与体系は完全な請負方式です。この生産価値配分賃金制なるものを仙台タクシーが採用してやっているということが五月三日付の河北新報に出ております。これはあなたのほうも、おそらく資料を持っておられると思いますが、これはどうですか。あなたの言われる極端な刺激的賃金に該当しませんか。私は、それ以上ではないか、はっきり法違反ではないかと思いますが、この点はいかがでございますか。どういう内容か、わかっておったらひとつ説明していただいて、それに対するあなたのほうの見解を示してもらいたいと思います。
  77. 小鴨光男

    ○小鴨政府委員 まず第一は、歩合給制度というものについて極端なものについて直す、その指導基準は何かということでございますけれども、これは給与体系でございますので、実態がいろいろ複雑多岐でございます。歩合給というものにつきましては、一つは、水揚げ高のいかんにかかわらず、一定の歩合率を乗じますところの一定歩合給というのがございます。それから二番目には、水揚げ高の階級区分といいますか、十万円とか十五万円とか、そういう階級区分ごとに歩合の歩率が逓増して、その階級ごとの歩合給を合算するところの積算歩合率というのが最も刺激的と見られます。第三番目に、水揚げ高の増減に応じまして歩率が逓増いくというものでございまして、十万円のときにはその一〇%、十五万円のときには二〇%というふうに極端に歩率を上げていく、これを累進歩合給制といっているわけでありますが、この累進歩合給制というものを、とりあえずこういう形で指導としてやっているわけでございます。  それから五月三日の仙台タクシーの件でございますが、実は私どもちょっと資料を入手しておりませんが、いま御指摘いただきました生産価値配分賃金制というものが、この三番目の類型にまともに入ってくるのかどうか。入ってきますならば、これはまた強力な指導でやりたいと思いますけれども、早急に現地から資料を取り寄せまして検討したいと思います。
  78. 米田東吾

    ○米田委員 これは私、きのうあなたのほうに、きょうお聞きしますから調べておいてもらいたいと申し上げてあるはずなんです。それで不正確だと困りますけれども、一応私も新聞しか資料はありませんから申し上げますが、こういうことなんですよ。  この賃金制というのは、新聞の記事によりますと、一カ月の水揚げから管理費、それから車両直接経費——これはおそらくガソリン代だとか保険料とか、いろいろそういうものだと思うのですが、管理費と車両直接経費として一定の金額をとる。六万五千円から十年以上は六万円、これを除いて、残りはそっくり運転手の収入になる仕組みだ、こうなっておる。要するに、管理費というものが不明確でありますけれども、管理費と車両の直接営業用の経費を除けば、あとは全部運転手にやる。ここには固定給とか、そういうものは全然ありません。こういうことは、もうあなたのおっしゃる累進歩合なんという以前の問題として、これは問題にしなければならぬ内容じゃないかと私は思うのですよ。これについてどうでありますか、資料はございませんか。取り寄せて調べていただくなら、それでけっこうであります。取り寄せられたら、その内容も私のほうに資料としていただきたいと思いますし、この点について私は、これが全国に広がらないうちに、あなたのほうの一定の見解を出して、そうして指導をされる——これが通るということになれば、よその業者がみんなまねしますよ。また、そうなったら、いまのあなたのほうの指導に逆行することになりますから、早いところ労働省として指導性を発揮していただきまして、これを是正させるようにやってもらわなければならぬと思う。そのほうが重点だと思いますから、あまり詳しいことは聞きませんけれども、もう一ぺん見解をお聞きしておきたいと思います。
  79. 小鴨光男

    ○小鴨政府委員 ただいまの仙台タクシーのことについての資料は、至急取り寄せて検討いたします。  それと類似のものであるかどうかわかりませんけれども、一種の利益分配制という形の中で賃金原資というものが保障されているという形態は、ほかにはございます。大ざっぱに申し上げますと、一カ月の水揚げの中から燃料費あるいは一般管理費等の必要経費を差し引いた残額、いわゆる付加価値でございますが、その中から労働者の賃金を一定の割合で保障する、いわゆる分配率といいますか、付加価値の中から何パーセントというものは労働者のほうにいく、そういう制度がございます。しかし、この累進歩合給制は、個人の能力によって累進的に上げていくという制度ではなくて、付加価値の中からどれだけの賃金原資を獲得するか、それが固定的な形として分配されておるということでありますならば、必ずしもこの累進歩合制にはひっかからないのではなかろうかというふうに私は思っております。何ぶん給与体系の問題でございますので、いま御指摘の点は、資料を早急に取り寄せまして詳細に検討したいと思います。なお、その資料が手に入りましたならば、御要望に沿いたいと思います。
  80. 米田東吾

    ○米田委員 自動車局長、この道路運送法の三十六条規定しております名義貸し、それからハンドル貸しですね。三十六条の名義の利用、事業の賃貸しですね。これの禁止、私はこれにもう全く該当すると思いますが、あなたのほうではこの三十六条の条文についてはどういうことを禁止しているんだという見解か、そういうあなたのほうのこの条文に対する判断ですね。これは何を禁止しているか、どういう形のものがいけないのか。この三十六条の規定の解釈について、正確なあなたのほうの解釈をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  81. 黒住忠行

    黒住政府委員 三十六条では、自動車運送事業者は名義を他人に利用させてはならないということになっております。その自動車運送事業者が免許を受けて事業を経営する以上は、事業経営によりますところの収入はその事業者に帰属し、これを諸経費——人件費もその一部でございますけれども、諸経費をその事業者が支払って事業を継続していくというのがたてまえでございます。したがいまして、他人が経済的にもその収支が帰属いたしましてその事業をやるという形態になりますと、これはまさに名義利用でございまして、看板だけを借りて、あとの事業経営は免許事業者と全く同じようにやるということが名義貸しだと思います。タクシーの場合におきましては、経営者と運転手関係につきまして経営者が免許を受けておるが、それの経済的な収支の帰属等が、全部運転手が経済の主体になってしまうというふうなことになりますと名義貸しでございますので、そういうことではまずいということでございまして、そういうふうになっているかどうかということと、もう一つは、先ほどお話がありましたように、そうではない場合におきましては、給与として支払う場合に、その給与の内容がはたして正しいかどうかということにつきましては、労働省から御答弁がありましたような点を調べまして結論が出るわけでございまして、それらの点は労働省の御判断に従いまして、われわれも判断をしていくというように考えておる次第でございます。
  82. 米田東吾

    ○米田委員 道路運送法の判断は、あなたのほうにやってもらわなければならぬと思うのですが、いまおっしゃったように、明白な法違反か、あるいは脱法行為が明白な形が残っておれば、これは文句はありませんけれども、いま法律を知らないで経営をやっておるなんという人はおりませんからね。基準法であろうが、道路運送法であろうが、車両法であろうが、一応はみな知って、そうしてその法律をのがれる行為をいかにしてつくり出すかということでみなやっているわけですね。私は、経営者が全部そうだとは決して言いません、りっぱな経営者もおられますから、そういうことは言いませんけれども、ややもすると、いなかのハイタク業者あるいは小さい業者、目の届かないところでは、そういうふうにやっているわけです。ですから、これはあなたのほうで、おそらくこの法律ができましてからこの三十六条違反だといって処分したようなことは、そうないのじゃないですか。また、ハイタク関係においては処分されては困りますから、結局、あなたのほうと経営者と知恵比べをして、この脱法的な方法を編み出しながらやっているというのが現状じゃないか。それがやはりいま一般的に乗車拒否だとか、あるいは白タクだとか、いろんな問題にそういう点でモラルが全然ないという状態になっているのじゃないか、私はこういうふうに思うわけであります。したがって、この三十六条の規定に対しまして、あなたのほうでも相当強い行政指導基準をもってそういう措置をしてもらわなければ、この悪循環は直らぬと私は思うのです。したがいまして、いまのような御答弁では、私、非常に不満であります。しかし、これはここであなたとやっても実効はあがりませんから、具体的に聞きますが、河北新報に載った仙台タクシーの場合はどうですか、これは労働省から資料が来ないとわかりませんか。この新聞は、あなたのほうでも取っておられると思うのでありますけれども、この三十六条に反する経営ではございませんか、お聞きしておきたいと思います。
  83. 黒住忠行

    黒住政府委員 河北新報に五月三日に報道をされましたので、最近、仙台陸運局で同社の社長を呼びまして、いろいろの点につきまして、会社の説明、意見等を聴取いたしました。現在のところは、明白にこの三十六条に違反しているとかいう証拠のようなものは把握いたしておりませんが、さらにこの内容につきましては、十分検討をしていきたいと思っております。一方、賃金給与の制度と本件は関連がございますので、出先におきましても、労働関係の出先当局とも十分相談をさせまして、処理をするように指導したいと思っております。
  84. 米田東吾

    ○米田委員 きょうは時間がありませんので、私はこれで終わりたいと思いますが、次回にまたお聞きしたいと思いますので、一応御要請申し上げておきたいと思います。  なおもう一つやはりこの解釈で重要な問題提起として委員会で検討をやりたいと思いますのは、福島の福陽交通の賃金形態、それから新潟の日の出タクシーの賃金形態、これを引き続き次の委員会で私は見解をお聞きしていきたいと思いますので、ひとつ資料をとっておいていただきたいと思うのです。これは労働省だけではなしに運輸省のほうも、私はどうもこの三十六条との関連においてどうかと思いますから、お願いしたい。  きょうは私はこれで終わります。
  85. 砂原格

    砂原委員長 米田君に申し上げますが、資料の要求をなさるときは委員長に御要求を願いたい。議会の尊重の意味から、委員長に御要求になりましたものを委員長から要求をすることになります。  次回は、来たる二十日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十三分散会