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板川委員 乗車拒否の一番はなはだしいところは
東京、大阪である、だから、ひとつこういう新しい
制度を
東京、大阪でやってみよう、これはわかりますが、しかし、乗車拒否が
東京、大阪以外にないんだという
考え方はおかしいと思う。
東京周辺の都市とか大阪周辺の都市でも、実際に乗車拒否というのは堂々と行なわれておるのです。しかし、一番はなはだしいところが
東京、大阪だから、とりあえず
東京、大阪に焦点を当てて、この
制度を採用してみようということであるべきだと思うのであります。
時間がないから、私は、一言この問題について私の所見——これは私の私見になるかもしれませんが、申し上げてみたいと思うのですが、時間と距離のメーターの併用制というのは、距離一本よりも、いまの
交通渋滞や何かの実態から見ると合理性を持っておるんじゃないだろうか、実態に合った
考え方じゃないだろうか。諸外国でも、距離ばかりでなくて時間制を併用しておるところが多いようでありますから、そういう
意味で私はこの思想には賛成であります。それから深夜、早朝の割り増しも、タクシー業の主たる経費は
運転手の人件費になるのですが、深夜一時過ぎに百円でどこそこまで行ってくれということになると、いまの料金
制度では、
運転手の人権というものを
考えた場合、確かに安いように思う。だから、その辺から乗車拒否という思想がやや具体性を持ってくると思うのでありまして、深夜、早朝に対して割り増し制ということも、これまたやむを得ないんじゃないだろうか。それを条件にして歩合給の完全廃止ということ、労働条件の改善を前提にしていくという思想も、もちろんわれわれ多年の主張でありますから賛成であります。
ただ、これをやる場合の問題が一、二点ある感じがしますが、それは、この場合、
登録制をとったほうがいいかどうかという問題です。私は、いま言ったような時間、距離の併用制あるいは
運転手の歩合給の完全廃止、待遇改善ということができれば、
登録制をあえてとらなくても、乗車拒否というものが絶滅できるのではないかという感じがいたします。しかし、これは私の
一つの思いつきといいますか、そういう感じでありますから、これをやる場合には、
関係者とひとつ十分な話し合いをして、そういう
対策をとることによって紛争が起こらないような
措置をしてもらいたい。そういう点をちょっと危惧するのでありまして、その点を申し上げます。
第二点としては、この運賃
制度の
改正の結果が、結果としていまのタクシー業者にいわゆる保護過剰、過保護の結果をもたらしてはいけないという感じがします。この問題は、料金
制度の改定いかんなんです。それがオーバーに改定されて、なるほど
運転手の待遇もよくなったもしらぬ、労働条件もよくなったか知らぬが、タクシー業者にそれ以上の利益を与えるような結果になっては私は問題だろうと思う。ですから、この料金改定を現実に行なう場合には、その点を十分ひとつ注意をしてもらいたいと思います。
それから、今度この運賃
制度の改定をしようとする場合に、基本料金は一体どう
考えておるのだろうか。基本料金を上げて、さらに深夜割り増しを取りということになると、料金の大幅改定になる。これは、私鉄や大都市タクシーの運賃値上げについては極力抑制するという
大臣の従来の言明と相反する
可能性もあります。たとえば
一つの案を申し上げれば、基本料金は下げて、百円を八十円にしてもいいから、深夜割り増しとか早朝割り増しとか、あるいは時間制、こういうものの併用でそれをカバーする、こういうことがあってもいいんじゃないだろうか、こう思います。
それからもう
一つは、大都市の交通機関に対してこういった
対策が講じられる。しかし今日、地方交通というものがいわば非常な危機を迎えておるのであります。こういう地方交通の問題をいつまでも放置して、とかく問題のあった大都市のタクシー業の改善のみを
運輸省が取り上げて他は放置するということであれば、私は運輸行政上片手落ちになるのではないだろうか、こう思うのでありまして、その点はひとつ地方の交通問題も適切な地方交通
対策——これは
バスも含めますが、あるいは地方の私鉄、タクシーも含まれるでしょう、こういうものを含めて、どういう
対策を今後打ち出すかということが問題だろう。
東京、大阪だけ改善して、あとは当分何もしないで放置するのだということになれば、運輸行政としてはまさに片手落ちになりますから、この点ひとつ十分留意をしてもらいたいと思います。
以上の私の所見に対して、
局長はどうお
考えになりますか。