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久保委員 時間がないし、ひもじくなっている人もいるようだから、はしょりますが、次には新しい
海運政策、そして今度の
法案、この中身は、言うならば、これから五十年までを一応区切りにしているわけですね。ところが、六年間やっているのだが、
助成の方法としていわゆる頭金、自己
資金の問題、これは定期は五%、その他一〇%の融資条件にして、これは前半の三年間だけやろう、後半については別途
考える。しかもそのほか、言うなら非集約船主、集約外の船主に対しては四〇%の融資をしよう、しかし、
利子補給はこれはしない、インダストリアルキャリアについては三割であって、条件はあとからきめる。思想の混乱ではないかと思うのです。私にもこれはわからぬ。
海運産業というものを
考えて、その中にインダストリアルキャリアも国際競争力に入るかもしれない。だから、この辺の区分け
——インダストリアルキャリアは、御案内のとおり、これは自家用船です。すなわち、言うならば自社船だ。だから、これは船賃だけじゃなくて、輸入物資あるいは輸出物資について、総体的に
考えていっていいはずなんですね。
一つの産業として、
海運産業じゃなくて、石油産業でありますとか、あるいは鉄鋼産業とか、そういう全体の産業政策としてとらえていく筋合いのものでもあろうかと思うのです。そういうことになると、しかも、最近の船腹の傾向は御承知のとおりでありまして、コモンキャリアであるべきところの定期船、不定期船、そういうものはこれはあまりふえていかない。もっとも、ふえないのは当然かもしれません。現在の物資の輸送をやる専用船、タンカー、これはどんどんふえていく。その中で、いま特定の産業がみんなこれを使うわけであります。だから、最近の
海運は、コモンキャリアとインダストリアルキャリアの
二つに分割されつつあるわけですね。しかも、インダストリアルキャリアのシェアというのが非常に大きくなってきた。だから、
海運産業であるのか。
海運産業といった場合には、インダストリアルキャリアも含めての産業なのか、インダストリアルキャリアは自社船というか、そういうものなんだから、これはある特定の鉄鋼産業とか、石油産業とか、そういうものの中で政策を実行するのが正しいのかどうか。なおかつその上に、
運賃収支を改善するということで何か
考えるのがいいのかどうか。ところが、これは前から申し上げているとおり、
海運企業というか、そういうものは、いままで
自分の食道はあるが、胃袋がなくて他産業の胃袋に通じておる。
助成をしても、みんな栄養分が他産業に食われてしまう。この形がもっとひどくなってくるわけです。胃袋のほうは、もう
一つ自分のほうの食道というか、口を持っているわけです。要らないときには、
海運企業のほうのやつはもう要りません、こうなっている。そうなった場合には、
海運企業全体から見れば、これはたいへんなことだと思うのです。だから、
政府の
海運政策の方向というか、指標というのは、どこにねらいを明確に置くのか。企業として見ば場合に、あるいは産業として見た場合に、
海運産業といった場合には、どれが
海運産業なのか。だから、そういう明確さをこれはだんだん欠いてきたのだ。
それからもう
一つは、いわゆる
自主性を回復するということで、これはいままでの制約を取り除くのだ、こうこの中でおっしゃっていますね。ところが、非集約的船主には先ほど申し上げたように、開銀融資四〇%はやるが、いわゆる
利子補給はしませんというようなことで
——これは
海運産業ですよ。非集約船主の船も、これこそ純然として
海運産業の範疇に入るわけです。ところが、これはいま申し上げたようなことをやらない。それじゃ、中核体には
利子補給するというその目的は何であろうかというと、非集約船主と目的は違わない。これは国際収支の改善、物資の安定供給ですよ。非集約船主との
関係でいえば、これはまさに不均衡きわまりないことだと思う。
法律でいえば、政策のもとに平等でなければならないはずです。ところが平等でない。そういうことについて、これは思想の混乱といったらたいへん失礼だが、矛盾があるわけですね。政策に矛盾がありはしないか。だから、思想の混乱を来たしておる。だから、これは筋が通っておるようだけれ
ども、ちっとも筋が通っていない政策ではないかというふうに思うのであります。
まず最初に、まあこれが最後でありますから、もう一ぺん申しますが、三年間を切ってのいわゆる頭金の問題を別途
考えるというのは、腰だめ鉄砲であるので、これが非集約船主あるいはインダストリアルキャリアに対するところの対策が、これは思想の混乱を来たしてはいないか。新しい
海運政策というものは少しくお粗末ではないか、こういうふうに
考えるのだが、そう言ったら失礼ならば取り消す。
政府としていかがでしょうか。