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1969-04-16 第61回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十六日(水曜日)     午前十時十三分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 阿部 喜元君 理事 大竹 太郎君    理事 徳安 實藏君 理事 細田 吉藏君    理事 小川 三男君 理事 山下 榮二君       大野 市郎君    加藤 六月君       金子 岩三君    川野 芳滿君       木部 佳昭君    四宮 久吉君       中川 一郎君    福家 俊一君       福井  勇君    井上  泉君       板川 正吾君    久保 三郎君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      細見  卓君         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山口 真弘君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         消防庁次長   山本  弘君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉浦 喬也君         厚生省環境衛生         局環境衛生課長 赤穴  博君         中小企業庁計画         部長      外山  弘君         運輸大臣官房観         光部長     蜂須賀国雄君         労働省労働基準         局監督課長   細野  正君         建設省住宅局建         築指導課長   前川 喜寛君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         参考人         (日本鉄道建設         公団副総裁)  篠原 武司君         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 四月十六日  委員箕輪登君及び矢尾喜三郎辞任につき、そ  の補欠として大野市郎君及び久保三郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大野市郎辞任につき、その補欠として箕  輪登君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運海運日本国有鉄道経営及び観光に関  する件      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  陸運海運日本国有鉄道経営及び観光に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。金子岩三君。
  3. 金子岩三

    金子(岩)委員 目下国鉄運賃値上げがたいへん問題になって、国会審議中でございますが、こういう際に最もおもしろくない新聞記事がちょいちょい出ておるのでございますが、その事実があるのかどうか。事実があるとすれば、その内容について鉄監局長の御意見を伺っておきたいと思います。  去る三月十八日の違法ストに対して大量の処分通告したが、その内容はどのようなものであるかをひとつ御説明願います。
  4. 町田直

    町田政府委員 国鉄労働組合及び国鉄動力車労働組合が、去る三月十八日に国鉄運賃値上げ反対闘争と称しまして、時限ストサボタージュ等違法行為を実施いたしました。国鉄は四月十二日に次のような厳重な処分をいたしました。解雇九名。停職最高十二カ月八十三名。減給最高十カ月、十分の一、千二百六十一名。戒告四百四十五名。合計千七百九十八名でございます。
  5. 金子岩三

    金子(岩)委員 新聞の報ずるところによりますと、その通告した処分者から弁明弁護を実施する方針だということでありますが、大体国鉄処分制度はどのようになっておりますか。
  6. 町田直

    町田政府委員 国鉄処分制度につきましては、一般処分と若干違いまして、処分通告いたしました者の中で、解雇は別でございますけれども、それ以外の者につきましては、弁明弁護機会を与えるということを労働協約できめております。この弁明弁護趣旨は、要するに、できるだけ被処分者実態をよく把握し、また、処分者からの意向も聞きたい、こういう趣旨でございます。弁明弁護が終わりましてから、それに対して処分発令をする、こういう制度に相なっておるわけでございます。
  7. 金子岩三

    金子(岩)委員 その労働協約という、そういったものが生まれた経緯を少し御説明願いたいと思います。
  8. 町田直

    町田政府委員 昭和二十七年ごろに、労働組合側から処分に対しまして委員会をつくりたい、こういうことで調停委員会に申請されたわけでございます。それに対しまして調停委員会から、その委員会につきましては適切ではないけれども、そのかわり被処分者に対して弁明弁護機会を与える、こういうことにすべきであるという調停案が出されました。それに従いまして、労働協約弁明弁護制度というのを設けたというふうに聞いております。
  9. 金子岩三

    金子(岩)委員 それでは、従来処分通告した者で、いまだに発令をしていない者が何名ぐらい残っているのか、その内容をひとつ御説明願います。
  10. 町田直

    町田政府委員 昭和四十年から四十三年まで処分通告をいたしました者は、合計いたしまして三万六千七百十三名でございます。その中で、弁明弁護が済みまして発令をいたしました者は一万一千八百三十二名でございます。したがいまして、まだ弁明弁護の終了いたしていない者は二万四千八百八十一名、こういうことに相なっております。
  11. 金子岩三

    金子(岩)委員 その残された二万四千数百の方方のいわゆる弁明弁護が終わる時期は、大体めどはいつごろになるのでしょう。
  12. 町田直

    町田政府委員 ちょっと御質問趣旨とそれるかもしれませんが、こういうことに相なりましたのは、実は弁明弁護という制度そのものは、通告されてから五日以内に申し出るということになっておりまして、五日以内に申し出た者について弁明弁護をするということでございますが、昭和四十年以降処分通告者の数が非常にふえまして、それに対して一人一人弁明弁護をするということで、事務手続が非常に繁雑になってきた。したがいまして、こういう事態になっているというふうに聞いております。これが終わる時期につきましては、国鉄当局でできるだけ早くということを考えておると思いますが、具体的には、お許しを得られますれば、国鉄井上常務理事からお答えさせていただきたいと思います。
  13. 金子岩三

    金子(岩)委員 私は、きょうは国鉄のほうにはお伺いしないつもりでございます。もっぱら監督責任がある運輸省のほうにいろいろ御所見を伺いたいのでありまして、いまの問題にしましても、私は非常に怠慢と言わざるを得ない。このようにして国鉄運賃値上げが爼上にのぼると、運賃値上げに反対して、あるいはまたあすからストをやるといったような態度をとっておる、そうした方々に対する処分の道が、あるいは弁明弁護の道があいておるのに、その処理が非常に怠慢であるということを私は指摘いたしたいのでございます。  次に、これもやはり新聞で騒がれております報償金問題。これは新聞で見たところによりますと、やみ手当といわれるような性質のものでございますが、その手当の性格はどのようなものであるかをひとつ御説明願いたいと思います。
  14. 町田直

    町田政府委員 一部の新聞に伝えられました国鉄手当の問題でございますが、調査いたしましたところ、この当該金額は沿革的には、年末年始輸送繁忙等の場合に功労物資支給ということをかつて行なっていたわけでございます。そういうものが現金化いたしまして、非常に忙しいとか、特別な功績があったとか、そういうような場合に報償として与えておる、したがいまして、それらの措置は謝金及び賞与金予算のうちから支給している、こういう趣旨のものでございます。しかしながら、最近数年間は、これがかなり一般化しまして、一律に支給される、あるいは毎年支給されるというような状態になってきておるというのが実態でございます。
  15. 金子岩三

    金子(岩)委員 ただいまの御説明のような支給の根拠であるならば、これは給与とみなすべきと私は考えますが、給与でしょうか。
  16. 町田直

    町田政府委員 これは本質的には、ただいま御説明いたしましたように、いわゆる報労、報償といった趣旨のものでございますので、国鉄のように非常に職員の数が多うございまして、しかもそれが最近のような状態になりますと、たとえば昨年の十月にいたしました大時刻改正とか、あるいはいろいろ全国的なストライキとか、そういうような全社的なことがございました場合に、全社的に非常に苦労する、こういうことから一律支給というような形になってきておるというふうに考えております。したがいまして、必ずしもこれは給与の一部ではなくて、やはり本質は報償であるというふうに考えるべきではないかと考えております。
  17. 金子岩三

    金子(岩)委員 報償とは何でしょう。全員支給するものが報償といわれましょうか。
  18. 町田直

    町田政府委員 その点が一つ問題点だと思います。必ずしも全員に一律に支給したから、それは報償ではないというふうに言うべきかどうかという問題はあるかと思います。しかしながら、支給のしかたとして全員に、しかも例年支給するという形をとりますと、これは御指摘のように報償ではなくて、あるいは手当の一部、給与の一部というふうに考えられやすいということは言えるのではないかと思います。
  19. 金子岩三

    金子(岩)委員 ただいまの局長の御意見を聞いておりますと、まことにこれは疑問の点が非常に多い問題で、この新聞を読んで、国民は異様な感じを持っておるのではないかと私は思う。これは民間でいう、いわゆる労使なれ合い、株式会社と会社の社員、従業員が、なれ合って食いつぶしているわけですね、極端なことばで表現いたしますならば。そのさなかに、大臣はこのたびの国鉄運賃値上げ三位一体を盛んに強調されておりましたが、三位のうち一つ欠けたものがあると私は考えるのであります。それはいわゆる労使がなれ合って、やみ給与の一部を裏で支給しておるといったような事実、これは見のがすわけにはいかない。私はもっと早くこの問題が、運賃改定が衆議院で審議中に出ておりますならば、相当この議場におきましては、大きな問題として取り上げる問題であったろうと思います。いわゆる労使がなれ合ってやみ賃金を払うような経営のずさんさ、これで、はたして三位一体合理化ができておるかどうかということです。これは給与の一部でございます。その他いろいろ——われわれは与党でございますから、なるべくならば、政府が提案したものでありますから、できるだけの御協力をいたさなければならないという考え方に立って、まあ申し上げにくいことは遠慮するというような立場をとっておるのでございますが、こういった問題は、与党といえどもやはりただすべきは堂々とただして、そして、これに対して大臣はどういう態度で臨むのか、これは原田大臣が就任する以前の問題でございましょうけれども、こういうずさんな経営をやっている国鉄運賃を改定するために、やはり苦しい答弁をしてこの法案を通さなければならないというお立場、その苦衷を私はよく承知できるものでございますけれども、この中身を解明していくと、われわれが見ても非常に不愉快なものが山積している。こういった点、ひとつ大臣からは、国鉄全般あり方について基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  20. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄経営合理化近代化ということにつきましては、経営者並び労働者がともに働く、共働という意識で仕事をしてもらいたい、私はそういう面の指導監督をしなければならぬと常々考えておる次第であります。したがいまして、いま指摘されたような問題は非常に遺憾千万なことでございまして、このことにつきまして、先般国会におきまして同様御質問を、他院でございますが、参議院で受けたわけでございます。その際、国鉄のほうでは、こういうやり方に対して今後慎重に検討したいということを申しておりますので、国鉄側態度をしばらく見守るということにいたしたいと思っておりますが、経緯はいま鉄監局長から申し上げましたように、最初はたとえば暮れの忙しいときに、ほかの人が働かないのに特に働いた、災害のときによく働いてくれた、こういうものに対するいわゆる報償的なものが、いつか知らない間にずるずるべったりに手当的なものに変わってきてしまっておる、これはあなたの御指摘されるとおりであろうと私は思うのであります。それに対しまして、今回国鉄総裁は、これを正そうとしたというふうに承っております。しかるところ、それが今度は逆に、もらえるものがもらえなくなったじゃないかというようなことから、はしなくもこの問題が明るみに出てきた、これはけっこうなことであると私は思っております。この際、そういうことに対して徹底的に近代化する、合理的なものにするという態度国鉄側がやるということを私は期待いたしております。そのように指導していきたいと考えております。
  21. 金子岩三

    金子(岩)委員 いま大臣が御所見を申されたのですが、私は全く同感でございまして、長い一つの流れが国鉄の中にありまして、一朝一夕にこれを改めるということは容易ではないと思いますけれども、私たちが一番気がかりになる——これは国民がみな関心を持っておると思うのですが、どうも理屈に合わない、筋の通らない矛盾がたくさん出てくるわけです。とにかく赤字を解消して国鉄を再建するために、十年がかりでかようなことをいたしましょう、それがためには、まず運賃も上げましょう、国民皆さんもこれは一つ納得してほしい、こういうことで皆さん説明をなさっておるのでございますが、その国鉄中身を、表面に出ただけを見ましても、かような問題が出てくる。そこで今度は運賃を改定いたしまして、いわゆる経営バランスをとろうとしておる。経営バランスとは、すなわちそれに従事をする労働者のいわゆる生活の安定もはかる、こういうことになっておるのでございます。その国鉄運賃値上げには、国鉄労組は反対しておるわけですね。取るものは給与の一部と思われるものを、やみでもらっておる。それで今度は、自分たち考え方が通らないから、明十七日からストをやろうとしておる。こういうことをずっと考えてみますと、まことにこれは矛盾だらけでございます。この場合私は、監督の地位におられる運輸大臣は非常に重大な決意をもって、この機会に強い態度国鉄指導していただきたいと希望するものでございます。  次に、運輸省許認可行政について、これは相当具体問題に入りまして、時間をかけてただしたいと思いますので、きょうは持ち時間がありませんので、この次の定例日に回したいと思います。  そこで委員長に御要望いたしておきますが、次に私が質問を行なわんとする許認可の問題につきましては、いわゆる運輸省出先機関である九州海運局局長佐世保支局支局長、このお二方を説明員としてお呼び出しいただきますように御配慮賜わりますようお願いいたしまして、私の質問は、きょうはこれで終わりたいと思います。
  22. 砂原格

  23. 木部佳昭

    木部委員 私は、観光行政並びに防火対策に関しまして質問をいたしたいと思います。  この機会に、相次ぐ多発事故のためになくなられた方々の御冥福を、あわせてお祈り申し上げます。  総理府のほうにお伺いをいたします。  観光基本法の第九条国は、観光行政の安全の確保をはかるために、観光旅行における事故防止に関する必要な事業を営む者の不当な営業利益防止というようなことが明記されておるわけであります。したがって、第九条には、旅行者安全確保ということが明記されておる。同時にまた、第五条には、国会観光年次報告その他を報告する義務がある、こういうことになっております。私が知っております範囲では、たとえば観光白書その他等を見てみましても、戦後これだけ人命尊重という中にあって、旅館ホテル火災が多発しておる、そういうときに観光白書にそうした施策というものが盛られておらない、そういう報告がされておらない。私がいま申し上げましたように、基本法の第九条というものは、旅行する国民安全確保事故対策というものが明記されておる。そういうところから申し上げれば、これだけ多発しておりましても、国会報告する観光白書にも何らそうした点が盛られておらない。その辺のことについて、総理府なり観光部長は一体どう解釈をされておりますか。また、現実にそうした施策について、今日までどういうようなことを実行されてきたかということにつきまして、お尋ねをいたしたいと思います。
  24. 杉浦喬也

    杉浦説明員 お答えいたします。  ただいま木部先生お話しのとおり、基本法に安全の問題が明記されておりまして、観光白書におきましても、安全の見地から交通安全、それから一般環境衛生関係の安全の確保並びに火災の問題、消防庁の所管でございますが、そうした点について苦手の御報告はいたしております。先般の磐梯ホテル火災につきましては、すでに有馬温泉火災の際に、消防庁中心になりまして対策連絡協議会を設置しております。この協議会で、事故原因と今後の対策を各省庁持ち寄りまして、すでに政令等改正がなされております。今回の磐光ホテルの問題につきましては、引き続きこの協議会を開催いたしまして、具体的に事故原因と今後の対策を現在まだ協議中でございます。  以上でございます。
  25. 砂原格

    砂原委員長 質問者答弁者の両方の方にお願いいたしておきますが、速記のほうで声が聞き取れぬ場合がありますので、できるだけ少し大きい声で御質問を、また、お答えを願いたいと思います。
  26. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 ただいま総理府からお答え申しましたように、旅客の安全の確保につきましては、非常に多方面にわたっておりますので、各省がおのおのやっておるわけでございますが、特に運輸省におきましては、総理府中心にやっておりますところの観光週間におきましてこれを毎年やっておりますが、これにつきまして、全国的に安全を中心とした旅行者の、あるいは宿泊施設等指導をいたしております。その他消防週間がやはりありますが、その間に登録旅館登録ホテル中心といたしまして、それに対しまして、特に火災予防的な面につきまして指導いたしております。なお、交通安全運動等もございますが、その間、あるいは年末年始等におきますところの主として交通中心といたしまして、観光バス等につきまして、安全の確保をはかるように指導をいたしております。その他運輸省としましては、随時、登録旅館ホテル等につきまして、臨時立ち入り検査をいたしておりまして、それによりまして、特に安全面指導をいたしております。
  27. 木部佳昭

    木部委員 杉浦さんにお伺いいたしますが、私の言っておりますのは、基本法に明記されて、その基本法にのっとって白書というものが国会に提出される。そこでこの第九条を見てみますと、事故というものは、いまお話しのように、交通機関事故やその他のいろいろな事故があると思いますが、私は、やはりホテル旅館安全性ということに大体九条を解釈しておるわけですが、その辺について、昨年の白書を見てみましても、そういうものは何にも書いてないわけです。これは総理府がまとめるわけですから、総理府として多少いままでのあり方について問題があるのではないか、私はそういう気持ちがしているのです。私はその辺を聞いておるわけです。
  28. 杉浦喬也

    杉浦説明員 ただいまおっしゃるとおりの御指摘の点もございますが、総理府といたしましては、消防の問題につきまして、やはり関係の各省庁が非常に多いというところから、観光対策連絡会議等の場を通じまして、緊密に連絡をとりまして、従来もやっておるつもりであります。いま観光部長答弁の中に観光週間の問題がありましたが、これはすでに四回実施しておりますが、最近の二回におきましては、それまでになかった火災予防ということを大きな旗じるしにいたしまして、全国的に関係の諸団体等を通じまして指導いたしておるつもりでございますが、今後ともこの点につきましては、関係省庁とともに大いに努力してまいりたいと思います。   〔委員長退席細田委員長代理着席
  29. 木部佳昭

    木部委員 総理府のほうが、全体的なそういう連絡会議を持っていままでやっておるわけでしょう。そこで、火災が起きたらなるべく消防庁におっつけて、総理府のほうは全体的な調整機関としてあればいいんだ。——私はあとから消防庁にも質問したいと思っておるわけですが、いま申し上げましたように、国会へそうした報告をする義務がある。第九条にはっきりそういう条項が明記されておるにもかかわらず、いままでそうした点について、特に防火対策火災の問題なんかは一言も触れておらない。そういういままでの責任を明らかにすると同時に、これから総理府として、全体の観光行政調整機関としての総理府が、一体どういうふうな全体の調整をとられるのかというような点も、ただ消防庁だけにまかしておかないで、真剣に考えるべき問題である。私はこう実は思っているわけです。
  30. 杉浦喬也

    杉浦説明員 観光白書にも、従来全く取り扱っていないということではございませんで、先ほど申し上げましたように、安全の問題を三つの点からとらえまして、若干でも触れてはおるわけであります。今後、御指摘のとおり、総理府中心になっての活動というものが不活発であったことは事実だと思いますので、御質問の御趣旨に沿いまして、安全の問題、特に火災予防の問題につきましては、努力を重ねていきたいというふうに考えております。
  31. 木部佳昭

    木部委員 観光部長は先ほど、立ち入り検査をやられたことがある——いまからちょうど四、五年前ですか、オリンピックの前に外人を誘致する場合に、もう少し政府登録その他登録をしなければいかぬ、報告もないので、増改築をやっていても把握することがなかなかむずかしい、そこで立ち入り検査ができるようにする、そういう一部改正をしたわけですね。観光部のほうでは、そういう点を考えられて立ち入り検査をやられたことはありますか。
  32. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 立ち入り検査はやっておりますこれは本省が実施する場合と地方陸運局が行く場合とございますが、両方合わせまして、昨年で大体二百二十件ぐらいやっておりまして、目標としましては、三年に一回やりたいと思っておりますが、まだ目標を達成するまでに至っておりませんけれども、そのつもりで努力いたしております。
  33. 木部佳昭

    木部委員 昨年の十一月でありますか、旅館ホテル防火対策推進連絡協議会というものが、消防庁中心に過去四回それぞれ協議をなされ、それから事務次官会議等了承も得て、各省別にわたる指導、それから法律改正というような問題を検討された。現実にそうした連絡会議のいろいろな了承事項というものが、いまそれぞれの関係省庁指導、それから法律改正というふうなことで行なわれておるわけでありますが、特に私は運輸省にお伺いしたいと思うことは、たとえば建築基準法または消防法に違反した場合、それから改善を行なわない場合、そういう場合には、たとえば宿泊関係業団体というふうなものが自主的に制裁を加えるような、そういう指導をすることが明記されておるわけですが、その問題について、どういうふうな制裁を加えるかというふうなことになりますと、たとえば日観連でいえば、千軒近くもあるというふうな事態を考えてみますと、一体どういうふうな指導をされるお考えでありますか。
  34. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 現在、観光関係団体といたしましては、国際観光連盟日本観光旅館連盟とございますが、この連盟に対しまして、連絡協議会趣旨を伝えまして、そうして、その線に沿ってするように指導しております。なお、現実問題といたしましては、国観連等におきまして、自主的に内部で検査いたしまして、非常に悪いものにつきましては、除名するという手段をとるといっております。現に磐光ホテル等につきましても、焼けてしまいましたけれども、これは除名いたしております。
  35. 木部佳昭

    木部委員 消防庁にお伺いしたいと思うのでありますが、連絡協議会消防庁中心になって検討されまして、各省間にわたるいろいろな問題について、指導や法改正の問題というようなことで、いろいろ指導方針や法改正の準備というものがされておるわけでありますが、消防庁が考えられまして、この協議会了承事項というものは、全く万全が期せられますか。
  36. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 御質問にもございましたように、有馬火災以降、十一月四日から旅館ホテルの防火安全を中心各省連絡協議会をつくったわけでございまして、消防庁がそのお世話役をしたわけでございますが、問題が火災ということから大きな事故が起こります関係上、そういうわけでお世話役をしたということでございます。関係省庁と申しますと、文部省、厚生省、運輸省、建設省、消防庁、各担当の責任者が集まりまして、各般の問題を協議いたしました。そして指導で行なうべきものは指導でもって行なう、また、法律あるいは政令改正をもってなさなければならないものについては、法令改正の措置を講ずるというようにいたしたのでございますが、なおこの協議会は、全部を終了いたしておるわけでございません。順次行なうということで、一応の了解事項はできておりますが、なお検討中のものがあるのでございます。そういったものを含めまして、関係各機関が協調して、旅館ホテル等の防災体制というものが確立されるならば、今後の旅館ホテルの防火安全の措置は期し得られる、かように考えておるのでございます。
  37. 木部佳昭

    木部委員 なお検討とは一体どういうことを検討されておりますか。
  38. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 たとえば現在、旅館ホテルを許可する場合におきましては、厚生省が営業許可の権限を持っておるわけでございますが、その用途に使うところの建物は、建築基準法の許可が要るのであります。また、そういった建物には、防火安全のための消防用設備を設置維持すべき義務がございます。それが、それぞれの官庁がばらばらにやっておりますと、建築基準法による竣工検査がないのに営業許可がなされたり、あるいはまた、消防設備が完全でないのに営業許可がなされるというようなことになるわけでございまして、こういった点につきましては、現在、厚生省、建設省、消防庁の間におきまして、各出先機関において統一がとれた措置がなされるような決定をいたしまして、そうして指導によってこれを行なっておるわけでございます。しかしながら、こういった問題をさらに法律化していくか、あるいはまた、現在旅館営業の中で行なわれておる風俗営業とか、あるいは劇場、演芸場等の問題、そういった問題につきましても、今後いかなる法的な規制をすべきかというような問題について、さらに検討をする必要があると思うのであります。  また、消防の側から申しますと、消防は常時旅館ホテル等の査察を行なっております。その場合、査察結果を国民の目に明らかにするような表示の方法がないかどうか、こういったような問題も非常に大きな問題でございますので、そういった問題も、現在検討いたしておるのでございます。
  39. 木部佳昭

    木部委員 次長さん、ばらばらの行政といいますか、建築基準法にしても、厚生省の旅館業法にしても、それから政府登録の所管事項というようなことになりますと、私は次長さんがそれだけの勇気を持ってやられる、そういうお気持ちにはたいへん感謝しております。しかし、まあ現行法をいろいろ比較してみますと、たとえば厚生省のほうは、旅館業法をどういうふうな改正をするか、私はわかりませんけれども、厚生省は厚生省として、中毒その他のいろいろな対策であるとかというようなことが分かれておるわけですね。でありますから、いま次長さんもおっしゃるような全体の調整をしたり、全体の改正をしたりということは、もちろん大事なことであります。しかし、なかなかこれは、お考えになっているように簡単にできますか。
  40. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 それぞれの法律は、その目的を異にしている部面もございますので、それをまあ一本化するということは非常にむずかしいと思うのでございますが、しかしながら、防火安全という点に限りまして、法的な脈絡づけをできないものかどうか。ただいまは行政指導でやっております、これを法的な脈絡ができないかどうかといった点に関しまして根本的な検討をしておる。こういう意味でございまして、この問題が一応多くの他の基本的な問題に触れていく問題であるという意味で、非常にむずかしい問題であることは十分承知をいたしております。
  41. 木部佳昭

    木部委員 消防庁にお伺いしますが、この四月一日から自動火災発見器というものが義務づけられた。おそらく大体百坪近く以上の病院、ホテル旅館ということになるようでありますが、私は装備といいますか、機械はよくわかりませんけれども、たとえば、せっかくつけましても、従業員が保安管理するとかいうようなものまで徹底させなければ、ただつけっぱなしで、それじゃあとは、万が一火災の場合に、その機能を十分発揮することができなかった。それからまた、やはり従業員皆さん方が、労使が一体となって、そういう保安管理というものも十分徹底する必要があるのじゃなかろうか、私はそういう気持ちがするわけなんですが、その辺につきましての技術的な面等についても、簡単にお答えいただきたいと思います。
  42. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 政令を改定いたしまして、四月一日から自動火災報知器の設置対象の範囲を拡大をいたしました。同時に、これはいわゆる遡及項を伴うものでございまして、昭和三十六年四月以前の旅館ホテルにおきましても、すでにそのときにありました旅館ホテルにおきましても、設置をさすということにいたしたわけでございます。先生御指摘のように、自動火災報知器が消防法の規定どおりに、何平米に一個というようにつくられましても、それが有効に作動するための管理というものが大事であるというふうに考えるのでございます。そこでそういう物的な設備を規制するほかに、旅館ホテルには、防火管理者というものを必ず置かねばなりません。そういった防火管理者を通じまして従業員に防火管理の徹底をはかる、すなわち、自動火災報知器がいつでも作動できるような状況に管理をしていくというふうに指導いたしている次第でございます。
  43. 木部佳昭

    木部委員 私よくわかりませんが、たとえば火災発見器ですか、一個十五万くらいするそうですね。大きなところは数十万円もするでしょう。それが自己負担ということになるわけですね。その問題についてあとから質問しますが、たとえば完ぺきな管理者が一人おる、ところが、あとの従業員は、大きなホテルだったら、どこに何があるかよくわからないというようなことになりますと、いま次長さんがおっしゃるようなことが周知徹底できますか。
  44. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 口で言うべくして、実際となりますと、なかなかむずかしい問題だろうと思います。旅館ホテル等におきましては、防火管理者を置きまして、消防計画を立てるということになっております。消防計画は、人命の安全な避難という点を重点に置いた消防計画でなければならぬというふうに考えるわけでございますが、この計画を一人一人の従業員にまで徹底さす、同時に、お客さんにもこれは知ってもらわなければいけません。そういう意味で、単に計画ができておる、従業員が知っておるというだけでは万全を期せられませんので、訓練を行なうということになります。これは反復した訓練を行なわねばなりませんので、われわれといたしましては、そういった方針のもとに、しんぼう強く熱意を持って消防機関がこれに取っ組んで、旅館経営者とよく意思疎通して行なうことによって、初めて万全が期せられるものである、かように考えております。
  45. 木部佳昭

    木部委員 建設省にお伺いいたしますが、五月から建築基準法の施行令を一部改正する、内装制限やそれから防火区画、避難階段というふうな問題についても一部改正をして実施をしよう、こういう考え方ですね。そこで、たとえば各市町村に建築主事がおる。そこで申請をしますと、建築主事がほんとうは現場を確認する原則になっていますね。ところが、今日のような建築ブームであり、非常に高層化されておるというふうな場合に、せっかくこういうふうな一部改正をしても、末端まで周知徹底するか、それが効果があがるかということに対して、私は多少の疑問を持っておるわけです。この辺について建設省、どうお考えになりますか。
  46. 前川喜寛

    ○前川説明員 お答えいたします。  御質疑のとおり、実は建築基準法もある意味で非常に違反が多くなったというふうなことで、われわれもこの執行体制をはっきりさせるということについては、非常に重点を置いて考えております。そういった意味で、いまのPRの関係ももちろんでございますが、この前の有馬の事件につきましても、現場の検査がほとんど行き届いていないというふうなケースもございます。したがいまして、実は今回の建築基準法の法律そのものの改正におきまして、まず制度的にいかに能率的にそういった違反を取り締まれるかというふうなことを最重点にいたしまして、運営その他につきまして、さらに現在検討中でございます。何しろ、これはいつも出ることばでございますが、予算、人員というものがなかなかふえません。御指摘のように、建築工事量そのものは非常にふえている。こういったことで、いかに少ない人員で重点的に、たとえばいま出ました旅館ホテルとかいうふうな重要な建物についても、徹底的に検査をするという体制をとるかということについては、現在も課長会議等において相当指示をしておりますが、さらに根本的には、そういった法律改正についても当たりまして、抜本的に練りたい、こういうふうに考えております。
  47. 木部佳昭

    木部委員 私は、建設省さんのそうした防火対策に対して非常な熱意を持つこともよくわかるのです。しかし、私が申し上げましたように、これだけ建築が全国で行なわれていて、しかも観光地なんというのは、非常に集中的に投資が行なわれておるというような場合に、基準法の施行令の一部改正もけっこうでありますけれども、実際問題としてできますか。  それからもう一つは、新建材が中毒症のことでいろいろ議論されておるわけです。建設省がいまそういう問題についていろいろ研究、検討されておるようでありますが、私はどこからどこまでというようなことを聞こうとは思いませんけれども、新建材に対する建設省の取り組んでおる姿勢というものを明らかにしていただきたい。
  48. 前川喜寛

    ○前川説明員 いまの、いかに徹底的に見るか、あるいは周知させるかということにつきましては、たとえていいますと、建築士が実際に設計とか工事管理とか、こういうものをやっておるわけでございます。したがいまして、ざっくばらんに申し上げまして、役所の人間そのものはそうふやすことはできないだろう、できるだけ今度は建築士制度といったものを活用しまして、そういった人にも十分こういったことを見回らせるというふうなことで、今回の改正でも一種の定期検査とか、そういったものを、特殊な建築物でもある程度まで徹底的にやれるようにまた、建築士そのものができるだけちゃんとやるようにというふうな業務基準をつくるとかいうふうなことで、できるだけそういった建築関係の人たちをある程度まで使うことによってまた役所の足りないところを補う、こういうようなことを考えておるわけでございます。  それから次は煙、そういったことからみまして、新建材の問題でございますが、実は新建材そのものにも非常に燃えにくいとか、あるいは建築方法をよくするとかいうふうなものもございますが、中には、煙を非常に出すような材料があるわけでございます。それで現在の室内の仕上げとか、そういったものにつきまして、ある程度まで材料区分をしておりますが、これは申しわけないのですけれども、燃える燃えない、あるいは燃えにくいということを中心に、その試験方法その他がきまっておりますので、今回、煙を出す、あるいは出しにくいとか、出さないとか、そういうような要素を入れて試験方法をきめたい。これはつい近く結論が出る見込みでございます。その結論によりましてすぐ実施したい、こういうふうに考えているわけでございます。
  49. 木部佳昭

    木部委員 私、いつか、だいぶ前に、東京都内の消防庁の総点検は非常にむずかしいだろうというようなテレビを見たのです。これは、東京都の消防庁の次長さんか何かでした。ですから、いま建設省がおっしゃったように、私はいまの行政は、建築の許可を与えるというのが一番大事だと思うのです。ところが現在では、いま申し上げましたように、いままでは建築の基準というものが何か徹底しないで、それで今度は消防庁のほうが批判されるというふうな点に、どうも私は一つの疑問を持っておるわけなんです。  そういう点を考えてみても、抜本的な建築の基準法といいますか、非常にむずかしいことでありますが、私がいま指摘しましたように、また、課長さんがお答えになりましたけれども、課長さんのお考えのようなことにいけば幸いでしありますけれども、実はこれはなかなかむずかしい問題だと私は思っておるのです。そういうようなことで、ただ二、三の点をいじっただけで、それですべてが解決できるというふうな、そういう考え方というものは捨てていただいて、そうして、もう少し掘り下げた抜本対策というものをどうするかというようなことを考えていただかないと、また将来とも疑問が残る、私はそういう感じがするのです。でありますから、たいへんくどくなりますが、課長さんにもう一度、決意のほどをひとつ伺っておきたいと思います。
  50. 前川喜寛

    ○前川説明員 おっしゃるとおり、こういったことは、少ない人間でいかに能率的にやるかというふうなことで、非常に困難だと思います。われわれは今度の基準法改正つきましても、根本的には人命尊重というふうなかっこうで、極端にいいますと、実は消防庁さんの問題もございます。人が逃げ出したあとは、少しは建物は焼けてもやむを得ないじゃないかというくらいのことで、実は基準法の全体の制限規定の内容も考えているわけでございます。したがって、そういった法規的な制限内容、それから実施体制、こういったことも、人命尊重に一番重点を置いてやりたい。もちろん、おっしゃるとおり、建築基準法担当の部局だけではできない問題でございます。関係団体消防庁、警察その他いろいろな方の御援助をいただいて極力やっていきたい、こういうふうに考えております。
  51. 木部佳昭

    木部委員 労働省にお伺いいたします。  最近の連絡協議会の決定の労働省関係として、たとえば従業員の寮の問題、それから寮の問題は、特に労働条件その他の関連もありますから、いままでは私は本省でそう指導したことかどうか別といたしまして、出先のほうでは労働条件その他の緩和からいっても、なるべく旅館から離して寮を建てるような指導をされておったということを私は聞いておるのです。ところが、最近の連絡協議会の決定によりますと、かんばしくないから、その辺をうまく考えながら指導するようにと、申し上げればそういう通達が出ておるわけですね。この辺についてどうお考えになりますか。
  52. 細野正

    ○細野説明員 ただいま御指摘がございましたように、私生活と業務とが分離をするということは、長時間労働にわたったり、あるいは、だらだら勤務がなくなる意味でも、実は大事なことでございますが、しかし同時に、先ほど来議論がございましたように、お客さんの命を守るということがきわめて重要なことでございます。したがいまして、住み込みの形で従業員が勤務をする場合には、私生活と業務との分離ということが、あいまいになるという点がございます。しかし、その場合でも、直ちに一般的に別むねの宿舎をつくるというようなことを指導するのは行き過ぎでございます。したがいまして、私どもとしましては、運営面で私生活と業務の分離をはかるように考えながらいくように、そういう実情に合った指導をして、先ほど来お話が出ておりますような、お客さんに対する連絡とか誘導ということに事欠かないような指導をする。そういう観点で、先ほど御指摘がございましたように、二月の七日に基準局長名及び監督課長名で、それぞれ都道府県労働基準局長あてに通達を出しております。
  53. 木部佳昭

    木部委員 私は、やはり労使が一体となる、そういう防火対策や万が一非常時の場合に、両者が一体にならなければいかぬ。おそらく私は、旅館ホテル従業員の皆さま方も、そういう意味の訓練も怠らずにされていると実は思っておるのです。実は私が経験したことでありますが、ある旅館火災のさなかに見たのです。その晩には、たまたま一人のけが人もなしに、泊まっていたお客さんが避難ができたというのは、従業員が誘導した、そういうところにあるわけですね。ですから私は、おそらくいままで、労働省のほうでは出先だと言っていますけれども、その辺をただ従業員対策だけの立場から、ホテル旅館からかなり離れた地域へ寮その他を建てる、そういうふうな指導をしておったと私は思うのです。あなたはそうおっしゃっておられないけれども、大体そういうことなんです。でありますから、そういう問題等についても、ただ火災が起きたから、また、旅館ホテルでなくなる人があったから、今度はなるべく旅館ホテルの近くにそういう施設を設けるような指導をするというような点が、私は業界のほうでも非常に困っていると思うのですよ、そのつど変わるのですから。私は通達の内容を大体知っていますよ。その表現がかなり複雑といいますか、表現しにくいような表現で通達が出ておる、そういうことですね。  でありますから、私はいま申し上げましたように、労使が一体となって、そうした防火対策や避難対策というものに当たらなければならぬのではないか。でありますから、おそらく労働省のほうでその辺の問題について、確たる対策がいままでなかったのではないか、私はそういう気持ちがするのです。課長さんは、出先のほうがそういう指導をしたのだと言っていますけれども、おそらく私は、労働省の本省のほうで指導したと思うのです、出先がかってにそんな指導ができるわけはないのですから。しかも、寮を建てるといっても、観光地なんか土地もたいへん高いし、相当な施設をつくらなければならぬということでしょう。それをまた今度、ホテルのほうへ近いところにしろというようなことをしたのでは、私は行政の一元化に欠けているのではないか、そういう気持ちがしているのですよ。もちろん私は、労働省の考え方もわかるのです。その辺、どうですか。
  54. 細野正

    ○細野説明員 先ほど御指摘がございましたように、現実指導の場合に、お客さんの誘導というふうな大事な仕事に対する配慮の欠けていた面があったことは事実でございます。したがいまして、先ほどお答えしましたように、そういう人命を守るという大事な仕事の面も考慮した指導をするということで、今回の通達では、その点はわりにはっきり指摘をしたように考えております。その線で、第一線が一貫した指導をしてくれるというふうに考えています。
  55. 木部佳昭

    木部委員 消防庁にお伺いしますが、今回のこの協議会の法令改正の一部になりますが、「温泉観光所在地の市町村における常備化を含んだ消防力の強化をはかる。」、こういうことになっていますね。私の知っている範囲では、昭和三十六年に消防庁の長官通達で、たとえば観光地なんというものは、昼間の人口と夜の人口が違いますから、観光地の場合には、万が一に備えて、夜の人口を限度にして、そして消防力の強化をはかるとか、消防署の増設をはかるとか、それから消防力の装備の近代化であるとかいうふうなものが、たしか消防庁の長官通達で昭和三十六年に出ておると思うのです。おそらく通達が出ましても、市町村としてもなかなか消防庁のおっしゃるような、長官通達のように財政的その他の問題で夜の人口に合わせた消防力の装備というものができてないのじゃないか、私はそういう気持ちがするのです。でありますから、ただ抽象的に消防力の強化をはかるといってみたところで、現実に三十六年に通達が出ておるわけですが、その辺は一体どうなっておりますか。
  56. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 だんだん観光開発が進んでまいりますと、地方のほうに大きなホテルが建つ、あるいは観光地ができ上がるということになります。そういったところは、おおむね消防力が希薄でございます。言うならば、消防本部署がなく、団でもってやっておるという地域にまで及んできておるわけであります。そういったところは、団ではやはり早期出動というのが困難でございますので、消防本部署を持たしたいというのが、私たちの基本的な考え方なのでございます。しかし、消防本部署を持ちます場合におきましては、消防職員、消防ポンプ自動車等、相当な財政負担になりますので、市町村の財政力によっては、なかなか持ちにくいという点があるのであります。一般的に消防本部署を設ける基準としましては、人口三万以上であるとか、そういった点を一番重点にいたしておりますが、温泉地、観光地に限りましては、人口三万以上でなくても、いわゆる夜間人口等を加味しまして人口補正をしまして、人口三万以下でございましても、本部署設置の希望のあるところにおきましては、政令指定をいたして、本部署を設置するというふうにいたしております。三十六年四月の通達をいま問題にされたのでございますが、その後におきまして、従来、消防団地区であった観光地等につきまして、順次本部署の設置を見ておりまして、現在では観光地、温泉旅館を持っておる市町村で、市は全部本部署がございます。町村につきましては、まだ一部本部署の設置を見ていないところがございますが、これも財政力と見合いながら本部署の設置を推進してまいりたい、かように考えておるのでございます。
  57. 木部佳昭

    木部委員 私がいま申し上げたように、夜の人口というものは、多いところでは倍ぐらいになるわけですね。これは、消防庁よりも自治省にお伺いしたいと思うのでありますが、観光地の場合は、遊興飲食税、入湯税その他かなり出しておるわけですね。でありますから、私はやはりこういう防火対策は大事な問題ですから、補助金を出すとか、または交付金を計上するとか、そういうような施策というものが必要じゃないかという気持ちがするのですが、どうですか。
  58. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 ただいま消防本部署設置のことを申し上げましたが、ポンプ自動車その他消防力の強化につきましては、重点的に温泉観光地に補助金の配分をする、あるいは起債を認めるというふうなことをもちまして、消防力の増強をはかっております。
  59. 木部佳昭

    木部委員 先ほど消防庁の次長がおっしゃられたことでありますが、たとえば一本化の方向に向かいたいというような御決意もあったわけです。  厚生省にお伺いしますが、旅館業法の目的というものには、いまの防火対策だとか基準とか全然ないわけですね、ただ食中毒の問題とか、そういう問題だけあるわけです。でありますから、その辺を厚生省としては、たとえば旅館業法を改正するとか、それからまた、政府登録がやっておるように、基準の問題であるとか、安全の問題であるとか、防火対策の問題であるとか、そういうようなことを一件どうお考えになっておりますか。
  60. 赤穴博

    赤穴説明員 旅館業法は先生御承知のとおり、もっぱら衛生的なサイドからの規制というたてまえに相なっております。その他防火上の問題とが、建築上の問題につきましては、それぞれ現存の法体系におきましては建築基準法消防法の定めるところに従ってやられる、こういうふうな次第になっておるわけであります。これらの諸制度を防火安全対策の上から、どのようにリンクさせていくかということについて、われわれも最近旅館ホテル防火安全対策協議会というところでいろいろ御協議申し上げたところでございまして、現在の体制といたしましては、先ほど消防庁のほうからお話もございましたように、事、消防関係の設備の問題につきましては、査察を受けたあと、その通知書によりまして旅館業の許可を与える。それから建築基準法につきましては、従来から確認の段階では、ある程度相互にリンクいたしておったのですが、今後はさらに竣工検査後において旅館業の許可を与える。このように、それぞれ諸制度とリンクさせながら旅館業の許可を与える、こういうことにいたしまして安全対策に万全を期したい、このような措置をいたしたいと思っております。
  61. 木部佳昭

    木部委員 そういたしますと、いま課長さんがおっしゃったような基準をちゃんと入れて改正してやろうというのですが。
  62. 赤穴博

    赤穴説明員 旅館業の許可とか、設備の基準に防火上の問題というものを入れますことは、消防法とか建築基準法と相互に重複いたしますので、これはできるだけ避けたい、そのかわりに行政的な措置として、それぞれそれらの設備等が十分なされておるかどうかという確認を経た後に旅館業の許可を与える、このような行政措置によりまして、十分カバーできるのではないかと考えておる次第であります。
  63. 木部佳昭

    木部委員 たとえば厚生省のほうは、従業員防火対策火災対策というようなものについては、環境衛生協同組合を通じて指導する、それから防火施設に対する改善に対しては、環境衛生金融公庫から融資する、こうなっておるのです。私は、環境衛生金融公庫というものができた目的は、いまの環境衛生全般に対する業界の近代化合理化をいかにして進めていくか、そういうために公庫ができていると思うのです。でありますから、先ほども自動火災発見器の場合に申し上げましたように、かなり金がかかるわけです。でありますから、たとえば環衛公庫からそれを融資するといっても、かなり多くの旅館があるわけです。それが一斉に申し込んだ場合には、今度は環衛公庫全体の融資に影響が出てくるということも考えられますね、その辺はどうですか。
  64. 赤穴博

    赤穴説明員 環境衛生金融公庫におきましては、消防法に定める設備につきましては、一番利率の低い六分五厘で御融資申し上げておる次第でございます。このような設備については、先般の取りきめからいたしまして、私のほうで、消防法に定める設備を充実する場合には、できるだけ優先的に融資するというような措置をすでに公庫に周知徹底いたしまして、公庫においても、すでに末端にその方法で徹底いたしております。現在その総資金量がどのくらいあるかということについては、私どもの手元で十分把握いたしておりませんが、公庫におきまして、各委託金融機関等を通じまして、これらの御希望がどのくらいあるかという点について、現在、一応いろいろな申し込み状況等について調べるようにいたしておる次第でございます。  現在までに旅館業全体につきまして、前年度の総額はまだ出ておりませんけれども、四月から十二月までに約五十六億ばかりの融資がなされております。これからさらに一−三月の計を合わせますと、おそらく七十数億の融資がなされるものと思われます。このうち、相当数のものが消火設備というものについても、かなりの額が融資されておるものと考えております。
  65. 木部佳昭

    木部委員 たとえば、環衛公庫の貸し付けのワクが最高一千万になっておりますね。私なら私が金を八百万借りた、そこで今度は改善命令が出た、防火対策でどうしても五百万必要である、担保は前のときに入れてあります、そういう場合においてどうなんですか、それでも貸してくれますか。
  66. 赤穴博

    赤穴説明員 限度額は、先生御指摘のとおり一千万円でございます。その限度額に非常に近い方、あるいはすでに限度額一ぱいに借りておられる方、こういう方々につきまして、さらにその限度額を特別に見るかどうかという問題については、現在大蔵当局に、そういう場合の限度額の弾力的な運用というものについては、災害と同じような方向で考えられないかということで、いま折衝いたしております。まだ最終的な結論は出ておりませんけれども、そういう方々の、特に防火安全対策という面からの限度額の弾力的な運用というものは、私どもとしてはできるだけ講じて差し上げたい、かように考えております。
  67. 木部佳昭

    木部委員 それでは大蔵省にお伺いしますが、厚生省のほうから、災害と同じような処置として考えたいといって申し込みされておられるようですが、私は、各省にまたがって、これだけ大きな問題を改善しよう、改革しようというのですから、そういうものはすでに検討されて、業界に対しても、こういうことですから、協力してもらいたいという姿勢がなければ、業界だって心から皆さん方に——それではあなたの方うでけっこうですが、そういうものは一緒に出なければ、業界のほうが協力しようと思ってやっても、何も国のほうはめんどう見ないじゃないか、そういう気持ちを起こすとたいへんなことになると思うのです。そういうことで、むしろ業界のほうは皆さん方の指導によって喜んで協力してやっていこう、そういうものが一体にならなければいかぬという気持ちがするのですが、どうでしょう。
  68. 赤穴博

    赤穴説明員 私どもも、先生の御指摘のとおりの考え方からやっておりまして、近いうちに何らかのめどをつけるという方向で、ぜひ処理させていただきたいと思います。
  69. 木部佳昭

    木部委員 私の聞いたのは、大蔵省から断わられたというのですが、そんなことはありませんか。
  70. 赤穴博

    赤穴説明員 現在、大蔵省とやっておりまして、できるだけ早い機会にめどをつけるようにいたしたいと思います。
  71. 木部佳昭

    木部委員 断わられたことはありませんか。
  72. 赤穴博

    赤穴説明員 大蔵当局が断わったということは、私どもは直接の当事者ではございませんので、大蔵省が、財政当局が絶対だめだ、こういうふうに言ったわけではございません。
  73. 木部佳昭

    木部委員 私はいま環衛公庫のことを申し上げたのですが、これは国民金融公庫など、政府三機関にしても同じじゃないかと思うのです。  結論を急ぎますが、たとえばいわゆる中小企業の定義なんというものを考えてみれば、資本金一千万円以下の五十人ということになっておるわけです。そういう場合に、私が冒頭申し上げましたように、そうした防火対策の改善については大体自己負担である、そういうことが出ておるわけです。そこで、おそらく中小企業の定義に属さない大きなホテルや何かも、また、環衛公庫の融資の対象にならないようなのが、全国でホテル旅館の三〇%くらいあるのではないか、私はそういう計算を私なりにしておるわけです。その辺については、一体どうお考えになっておりますか。
  74. 外山弘

    ○外山説明員 ただいま御指摘の中小企業の定義の問題は、中小企業全般の問題として、昨年来いろいろ経済の発展状況に照らして検討事項の一つになっておりますけれども、多種多様な中小企業の業種全体に対して、中小企業政策の立場から、どう考えるかということになりますので、個別的にものを考えるということがなかなかむずかしゅうございます。もちろん中小企業基本法には、基本はこうだけれども、施策に応じてそれについての改善の余地があると書いてあります。したがいまして、実情に照らして、そういう道を開くということも可能なことでございますので、今後そういう問題については、ホテル旅館に限らず、私どもとしては、個別的に個別立法のもとにいろいろ検討をさせていただくという態度で臨んでおります。  それからもう一つ、いまのホテル旅館業に関しますその一千万をこえる範囲の問題、これは先ほど来の御指摘ではっきりいたしますように、特定設備の融資ということになりますと、環衛公庫ができまして以来、環衛公庫がホテル旅館業の主たる金融機関ということになっております。したがいまして、それが原則でございますけれども、もちろん中小公庫も、中小企業に対しましては、ホテル旅館業についても引き続き特定の範囲、これは御承知だと思いますが、一定の資格を認めておりますが、そういうものについては、中小公庫も引き続き融資を行なっております。この場合は、普通は融資限度が三千万でございますが、五千万まで認めておるわけでございます。
  75. 木部佳昭

    木部委員 たとえば、旅館ホテルの防災施設資金なんかは、神奈川県庁なんかは、県自体がかなり低利、長期の融資をしておる、そういうことを私は聞いておるわけです。でありますから、やはり政府機関が、いままでのきめがこうであるから、この限度だとか、こうだとかということをしないで、やはり人命尊重という大局的な見地に特に政府機関なんか立っていただかないと、先ほどから私が質問しておりますように、たいへんな防火対策の設備の改善をしなければいかぬ。こういうことでありますから、もう少し真剣に人命尊重ということを政府機関に——そうした使命を果たすために、政府機関の使命というものがまたあるわけでありますから、そういうことに特に意を注いで基本的な検討をしていただきたい、私はこういうことを要望いたします。  それから大臣にお伺いいたします。  大臣は、かつて党の政調会の副会長をおやりになって、そうしてダンプカーや——御承知のとおり、ああいう規制法案にも非常な熱意を示されたわけであります。ダンプカーその他の規制法案にいたしましても、定員だけでも大体九十人くらい一ぺんにふやしたわけです。そうして事故の撲滅をはかっていこう、大臣も先ほどから熱心にお聞き取りをいただいておるわけでありますけれども、たとえば建築基準の問題、それから厚生省所管のホテル旅館業法の定義の問題、それから総理府がいろいろ全体の調整をやっておる。しかし、そう熱意がない、むしろ私が知っておるところでは、消防庁のほうが非常に熱意を持っておやりになっておるという気がするのです。これだけの各省間にまたがっております防火対策の問題ということを考えてまいりますと、政府のほうでもかなり抜本的な対策指導というものも、また、融資の面におきましても、一元化したそういう指導というものをしていただかなければならぬ、私はそう思うわけであります。そういう意味で、そうした総合調整というものは、いまのところは、総理府消防庁がやっておるわけでありますが、特に、運輸大臣として観光全般から考えてみれば、一般的な定義を考えれば、運輸省ということにもなるのではなかろうか、私はそういう気持ちもいたします。そういう点について大臣の決意のほどを、また、御意見を承っておきたいと思います。
  76. 原田憲

    原田国務大臣 観光政策という問題として考えるときに、いままで木部さんの申しておられること等は、運輸省の所管とも考えられるのではないか、こういうことから私に御質問がありましたが、私もそのように考えます。御承知のように、観光基本法というものをつくり、政府観光に関する関係の閣僚会議まで置きまして、観光政策というものを推進しようという体制はとっておるわけであります。たとえばオリンピックをやりました当時には、外客にいたしましても、まだ二十万そこそこ来るか来ぬかというような状態でございましたところが、現在では——数字が間違っておりましたら、後ほど訂正さしていただきますが、すでに五十万に近くなってきておる。これからジャンボジェット機というような時代が来る、あるいはSST、コンコルドというようなものが外国から大量に飛んでくるというような時代になりますと、百万というような外人が、これは観光ということだけではなしに、日本の経済的な世界における立場というところから、非常に日本にたくさんやってくるという時代は近いと思います。これらに関しまして、いわゆる政策的にどうするかということを進めてまいらなければならぬ。一方におきましては、日本の経済成長は、大蔵大臣は一〇%くらいということを言っておられますが、いずれにいたしましても、今後ますます相当な成長をとげていくことは間違いがない。そうすると、国民生活というものが向上し、レジャーということばで言われておりますけれども、明るい生活、健全な生活を送るための国民生活というものがこれまたどんどん伸びてくることは、間違いない事実になってくるであろうと思います。これらのことを——観光政策という名前が今後ともいいか悪いかは別にいたしまして、観光政策推進本部というものをつくって対応しようということを政府が考え、これの本部長はまだきまっておらないわけでございますが、早急にこれをきめて、対応策を具体的に講じていかなければならないと考える次第でございます。  その際に、いま申しておられます安全ということは、一番大切なことでございまして、いままでの行政は、とかく業者保護といいますか、認可、許可とか、そういうことを行なうときにそういう面にウエートを置いて、すべての者が幸福に、安全に、気持ちよく、ということにウエートを置いていたとは言えなかった。そういうことが、たとえば火災が起きた場合に、お客さんをほっといて従業員が逃げてしまったとか、あるいは火災が起こりやすい状態にあっても、それを建築を許しておいたとかいうような問題になってくると思いますので、これらの点につきましては、総合的に十分調整をつけて、そして行政を一元化して十分要望にこたえていく、こういうように、私、微力でございますが、やっていきたいと考える次第でございます。
  77. 細田吉藏

    細田委員長代理 大野市郎君。
  78. 大野市郎

    大野(市)委員 時間の制約があるそうですから、単刀直入に質問いたしますから、答えもほんとうに短いことばで、ずばり答えていただきたい。  人命尊重が一番のことであることは、お互いに理解しております。ですから、ホテル旅館のような多数の人の寄るところで、火防の点でどんな注文が出ても、それをのみ込んで実行すべきものだろうと思います。そういう人命尊重の観点ですが、消防庁の政令改正があっても、その改正を官報で読んでみても、別表一のイの何とかかんとかでというので、しろうとが読んだらわからぬようにできている。そこで、単刀直入に一つづつ聞きますが、現在既存の設備に対して、カーテンあるいはどんちょう、そういうふうなものに対する防炎加工を政令で指定されたそうですがいつから実行になりますか。
  79. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 四月一日から施行されております。
  80. 大野市郎

    大野(市)委員 それから、なお次に同じことを申しますが、自動火災報知機あるいは煙感知器、あるいは電気火災警報器、それに伴う非常時における自家発電、そういうような設備の必要を改正案にうたってあるようでありますが、これは既存の建物、それから現在増改築中の建物については、いつまでにそれを実行するように政令は考えたのでありますか、この点。それから、先ほどのカーテンその他の問題の施行完了の時期はどのように指導されていますか。
  81. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 既存の自動火災報知機は、四十六年の四月一日から適用になります。それから、カーテン等の防炎性能の問題につきましては、本年度、四月一日から適用されておりますが、これは既存のものにつきましては、今度取りかえるときから適用になります。
  82. 大野市郎

    大野(市)委員 とにかくそういう意味で、一つずつの消防庁の改良政令を検討いたしましても、急を要するものが多いのでございます。そこで問題を一転しまして、消防庁は、そのようなぐあいで、結果論から分析をされて、必要性を認められたものであろうと思う。それもわれわれは是認をいたします。  さて、問題は、それらの施設をいたします場合には、膨大な費用の支出が要るわけであります。この膨大な費用の支出に対して、行政官庁はあとから追っかけてきて、事故が起きると、こうしろ、ああしろという指導はされるが、企業体としては、建築基準法によって規定された内容で、正式に許認可をとって円満に運営されたものが、とたんにそれらの費用を用意をせねばならぬということで、非常な混乱をしております。これはやらねばならぬことをみんなが認めておる。しかし、やるについての資金の面について行政指導が必要だから、企業はそれをやるべきだと、早急にただ設備の改善だけを要求しているような傾きを、消防庁の政令で業界は感じて困っておるわけです。そこで消防庁立場はわかるのです。  一転いたしまして、そういう観点から、旅館の問題に対して、旅館業法によって厚生省環境衛生局で御指導があるが、先ほど木部君の質疑で大略わかっております。ですから、ずばり申し上げると、一千万円が限度では、すでに環衛金庫から金を借り出しておる業界がたくさんある。そうすると、いまの規定では、その差額しか貸さない、こういう形でありますので、この点、先ほどの質疑を聞いても、どの程度前進されるのか不明であったから、もう一回お話を承りたい。
  83. 赤穴博

    赤穴説明員 先ほどの木部先生の御質問にもお答えいたしましたけれども、現在一千万円の限度額を、さらにどの程度ふやすかということについては、全般の限度額の問題としてまず取り組んでおるわけであります。現在におきましては、早急にこれを消防設備の改善という面からの融資を何とかすべきであるという面から、その面に限りまして、ある程度一千万円につきましての限度額を引き上げるということについて、現在話を進めております。近々この問題について、何とか両省の意見調整いたしたい、そうして早急にこの限度額の引き上げについて努力いたしたい、かように考えております。
  84. 大野市郎

    大野(市)委員 法令もあることですから、きょうここで決定ができないことは私はわかる。そういう方向で話を進めておられるという事柄を聞きました、それを善処を要望します。ただし、金利が六分五厘で、環衛金庫では消防施設その他に出してくれることになっておるので、この点もさらに低金利になるような御努力もつけ加えていただきたい。  それから中小企業公庫の先ほどの御説明もいただいたが、これまた御承知のように、一千万円のワクで——ワクの金額はもっと大きかったですかな、後ほど御説明いただきますが、これに対しても、ただいまの災害に準じての取り扱いをするという根本の考え方でありまするならば、これはいろいろな方途があると思うので、その意味を含めて、金額についても御答弁願いたい。
  85. 外山弘

    ○外山説明員 先ほど申し上げましたように、ホテル旅館等に対する特定設備に対しましては、環境金融公庫が特に低利な資金で融資をしているわけでございます。中小公庫は、それからはずれるといいますか、むしろ一般的にホテル旅館業の建設資金を、一定の範囲で引き続き見るということで、限度を五千万まで上げて融資をしているわけでございます。そういうことで、一般的に建設資金を見るというたてまえになっておりますので、いまのところ関係当局からのお話も伺っておりませんが、災害等の場合に準じて融資をいたすというふうな、つまり個別金融と申しますか、そういう考え方を公庫の中へ目下のところ入れる考えを持っておりませんが、いまのお話がございました機会に、関係方面等ともお話し合いをしていきたいというふうに考えます。
  86. 大野市郎

    大野(市)委員 ぜひその方向で御検討を願います。  それから同時に、さらに大規模の設備をなしておる企業もあるわけでありますが、これらは中小企業金融にもはずれるが、それで法定でだいじょうぶだという設備をいたしておるのに、さらにさまざまな設備の追加が加わる、そういう企業もあるわけであります。これらは自己資金の充実については、それぞれ相当の力はあると思いますが、ない企業もあるわけであります。ですから、そういう形で事情が変わってきて、いわゆる行政指導内容に変化がきた場合においては、行政の当局として、それに対しての資金のめどをつけてやるような親切心が必要だろうと思うのであります。きょうお呼びした金融機関には開発銀行関係がございませんし、また、開発銀行の金額までには及ばぬと思うので、そのギャップがありますが、これはきょう限られた時間で詰めるわけにはいきませんが、後ほど全体を統括したお願いを最後にいたしますので、そういう問題がこの点に、金融措置の中に一つあることを、この際、記録にとどめておきたいと思います。  そこで第二点は、そういうぐあいで、どんな金がかかるかということで、一例として試算したものを申し上げますと、運輸省管轄の登録ホテル登録旅館、これら約九百軒のものの延べ平米は四百八十万平米であります。この四百八十万平米に対して、自動火災報知設備の費用だけで、とにかく平米当たり四百五十円になるというので計算すると、このたった一つの設備だけで二十一億四千万円、概算でかかるという試算が出るくらいであります。一つの設備でそれくらいでありまするから、これらの累計ということになりますと、ただいまの平米たった四百五十円のもので計算しても、登録ホテル旅館は、一軒当たり、ホテルは五百万円かかる、旅館は二百万円かかるというふうな形が出ておるのであります。そんなような形で、非常に膨大な資金がここに必要になることが明らかでございますので、これに対して大蔵省は、いわゆる固定資産税の減免とか、あるいは償却資産の率の十二年でありますものを、せめて五年くらいに短縮をするというような方法で、その人命を尊重するために設備投資を追加するわけでありますので、一企業の利潤だけでない問題がそこで負担になるのでありますから、そういう点に対するお考えはありませんか。
  87. 細見卓

    ○細見説明員 固定資産税は実は地方税でございますので、大蔵省のほうでお答えするわけにはいかぬと思いますが、その事柄につきましては、公害防止のいろんな施設について固定資産税の軽減等が行なわれておりますので、同様の趣旨のことは相談になる話ではないかと私は思いますが、これは所管でございませんので、この程度にさしていただきまして、耐用年数のほうは、おっしゃるように非常に緊急な問題でもございますし、また、よく実情を調査いたしまして、実態に即した耐用年数にいたすことにはやぶさかでございません。   〔細田委員長代理退席、大竹委員長代理着席〕
  88. 大野市郎

    大野(市)委員 そこで建設省のほうの指導課長にもお尋ねいたしたいのでありますが、煙の問題であります。煙の問題は、いわゆる煙感知器を備えろという施行令の改正がありましたが、現在の内装材については、それぞれ規格に合ったものを建築士は採用して許可を受けて、すでに新増築をいたしておるわけであります。そこで、急にそのような内装材の問題に対して建築基準法改正案を考えておるのだという先ほどの御答弁でありましたので、これはいつごろ、どうするのか。これも必要だと思うのですよ、私は全部肯定なんです。それは人命尊重ですから、やるべきだと思うことは、これは私はやるべきだと思う。けれども、いつまでにやるのか、それには、たとえば避難階段、避難路、これらに対する内装を全部かえろというような趣旨に聞いておりますだけに、これまた膨大な費用が企業としては必要になろうと思うので、人命尊重のために追加するそれらの設備というものは、企業体としての利益の計算からは、逆になるわけであります。そういう意味でありますために、何としても国の一つの方針としてなさるからには、企業に対して、公害の問題の御解釈と同じように、全部を持てとは言わぬ——補助金をよこせとかなんとかというふうなことは、企業は言わないと思いますが、資金のめんどうぐらい見る、あるいはそれらの償却に対して、めんどうを見るというような事柄でこの問題を解決しないと、現実の問題として、なかなか進まないと思うのです。そういう意味で、煙の問題は先ほどの答弁でわかりましたが、研究中だというのでありますけれども、一般国民はあの火災を見て、その設備をなしておる企業体の無責任が追及されておる。彼らの旅館はまさに無責任であった。しかし、それらの宿泊施設というもの全般は、善良にそれらの諸規則を守って今日にきておるだけに、煙の問題までをそれらの施設の責任者のものだといわれては、それはもうたいへんな誤解でございますので、煙の問題に対して、いつごろまでにそれらの内装材の指定を御決定なさるか、もう一ぺん承りたい。その点だけでいいです。
  89. 前川喜寛

    ○前川説明員 ごく最近、試験方法が決定すると思います。したがいまして、荒見当で今年じゅうぐらいにはおそくとも決定、施行というかっこうになるのじゃないかと思います。
  90. 木部佳昭

    木部委員 それでは結論を申し上げますが、運輸大臣お聞きのとおりに、各省それぞれ努力をしておられるのは私もわかる。ただ、いわゆる連絡協議会ができておる、そこで政令の改正案ができる。労働者はどういうふうな示達をするときめる。厚生省もこんな考えだということで、実はその内容も、私は資料としてここに持ってきておりますが、いかんせん、中心がないのですな。だがらこの際、特に観光地のいわゆる宿泊施設を掌握して、政府登録あるいは国際観光ホテルという形で観光部が掌握せられておる今日において、やはり運輸大臣が、人命を尊重するという意味合いから、消防庁、建設省、あるいは厚生省、あるいは大蔵省、自治省等各省指導立場をとられて、窓口になられるのが至当でないかと私は思うのですが、運輸大臣はその点いかがお考えでありますか。
  91. 原田憲

    原田国務大臣 御意見を尊重いたしまして、速急にこれらの問題に対処いたします。
  92. 大野市郎

    大野(市)委員 御承知のように、観光行政の一元化の問題で前二人の大臣はいずれも強い決意を表明せられておるのですが、原田運輸大臣は、観光行政の一元化という観点から、私はこの問題も運輸大臣が適当だと思って発言をしたのでありますが、いまの答弁の程度であっては、はなはだ心もとないので、観光行政一元化の問題に対して、簡単でけっこうでありますが、原田運輸大臣の御決意を伺いたい。
  93. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど木部さんに私の考え方を申し上げまして、大野さんも聞いていただいておりましたので、まことに失礼とは思いましたけれども、時間の関係のお話がありましたので、簡単率直に申し上げた次第でございます。  私は、先ほども申し上げましたが、観光基本法というものをつくり、関係閣僚会議をつくり、そしてその推進本部までつくって、これが効果をあげないということでは、本来の責任を果たしておるとは言えないと思いますので、これらにつきまして、速急に結論を出して責任を果たしてまいりたい、このように考える次第でございます。
  94. 大野市郎

    大野(市)委員 終わります。
  95. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 久保三郎君。
  96. 久保三郎

    久保委員 限られた時間でありますから、本日は貨物輸送、そういう問題を中心にして、時間の範囲内で多少お尋ねをしたいと思うのであります。  まず第一に、全体的なものから入るのが順序でありますが、時間の問題もありますので、最近問題になっております国鉄再建の問題に関連して、国鉄の貨物輸送、そういうものからお話しをいただきたいと思うのであります。  一つには、すでに当委員会では、変な形で通ったのか通らないのかわからぬが、参議院に参っておる再建促進法案によりますれば、国鉄の分担すべき輸送分野は、あらためてこれからその法案が成立後において、運輸大臣が基本方針を示して、国鉄がこれに基づく計画を立てるというような順序のようでございます。ただ問題は、法案の中にもありますように、総合交通体系の中で国鉄の占める分野というか、そういうものをつくらねばならぬ、こういうことを言っておるわけでありますが、その法案の裏づけというか、もとになりましたのは、国鉄財政再建推進会議意見書ということになるのでありましょうが、その意見書によりますれば、貨物輸送については、国鉄の分野は中・長距離の貨物輸送であるというようなことを言っておるわけであります。ただ問題は、この財政再建推進会議意見書以外に、国鉄経営に対して言及しているものは、御承知のように、財政制度審議会からも出ております。財政制度審議会の表現は、大筋は同じでありますが、中・長距離大量貨物輸送その他旅客の問題もありますが、そういうものに限定しろ、こう言っておる。意見書のほうは限定しろとは言っていないが、そういうものに力点を置くということが書いてある。ところで、総合交通体系ができるという前提に立って、国鉄をしてそういう分野を占めさせるのかどうか。もしも占めさせるとするならば、具体的な方向は、いま国鉄がやっている物資別適合輸送、あるいはこれからやろうとするフレートライナー方式、そういうものに限定されるのかどうか、この点をまず第一にお伺いしたい。  再言すれば、いわゆる総合交通体系というのはどうあるべきなのか、これは策定したのかどうか。していないで、国鉄の分野はかくかくであるというきめ方は、やや早計ではなかろうかと思う。また、総合開発計画というか、次の経済計画の中では、交通投資のあり方で、バランスのとれた、しかも長期展望に立った総合交通体系が樹立されて初めて効率的な資金配分ができる、こういうようなことも言っているようであります。総合交通体系というものと、いま幾つか申し上げたような国鉄の貨物輸送のあり方矛盾もしないが、将来の展望に立っておるのかどうか、この点どうですか。
  97. 町田直

    町田政府委員 お答えいたします。御指摘のように、今後の国鉄の進むべき道は、総合交通体系の中における分野というふうに考えるべきであろうと思います。そういう中において、一体どういう地位を占めるかというのが今後の問題になりますが、総合交通体系の具体的なものはともかくといたしまして、一応の考え方として、推進会議で述べられておりますように、国鉄の今後の使命は、貨物については中・長距離大量貨物輸送であり、それから旅客につきましては、都市間旅客輸送並びに通勤通学輸送である、こういうふうに述べられております。私どもも今後、御指摘の全国総合開発計画とか、あるいはそれに基づく総合交通体系が具体化するであろうということは当然考えますけれども、とりあえず現在の段階では、財政再建推進会議指摘しております三つの使命というものを中心にして考えていきたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
  98. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、話は長くなって恐縮なんでありますが、総合交通体系というのは、具体的にどういうものなんでしょう。
  99. 町田直

    町田政府委員 要するに、わが国の各交通機関の分野と申しますか、シェアと申しますか、そういうもの、並びにそれらの間の調整ということが中心になって考えられるべきものであると考えております。
  100. 久保三郎

    久保委員 総合交通体系の確立というのは、どういうことになりますか。
  101. 町田直

    町田政府委員 確立ということは、やはりただいま申しましたようなものが一応一つの形として、はっきり出てくるということだろうと思います。ただ具体的な問題につきましては、これからの問題でございますのではっきりただいま申し上げられませんけれども、やはり一つの方向を示すという形になるのではないかというふうに考えております。
  102. 久保三郎

    久保委員 私は、一つの方向を示すと同時に、総合交通体系というのは、具体的にやはり、ある程度分野の調整を意識的に指導するというか、誘導するというか、そういうものでなければ総合交通体系としては確立しない。いわゆる概念としてはあるかもしれないが、政策としては、そういうものは成り立たないのじゃないかと私は思うのです。それはどうなんですか。
  103. 町田直

    町田政府委員 御指摘のように、方向として示された以上は、その方向に向かっていく施策というものがあるべきであろうと思います。ただその場合に、国の具体的な施策として出せるものと、そうでなくて、指導行政と申しますか、そういうほうにいく性質のものと、必ずしも画一にはまいらないのじゃないかというふうに思います。
  104. 久保三郎

    久保委員 しかし、いま総合交通体系の確立というが、いろいろことばの言い回しはあるにしても、そういうものができていないままにいまあるわけですね。そういう際に、いま鉄監局長のおっしゃるような推進会議意見書のように持っていくこと自体は、はたして妥当なのかどうかという疑問も、理屈の上ではあると思うのですね。ただ、みんなが考えてみて常識だ、大体貨物輸送一つとれば、大量でそれで中・長距離といえば、大体国鉄に当てはまりやしないかということであります。そうすると、中距離と長距離とどんな区別があるのかというと、これまた混線しているわけですね、そこに問題がある。道路運送との問題がある、あるいは内航との調整の問題が出てくるわけです。だから、陸運について総合交通体系といえば三つ、陸海空までだけれども、まず陸海の問題、道路との問題、レールの問題、こういうものをある程度調整というか、一つの分野を、方向を示すという方向でなければいかぬ。ところが、今度の財政再建推進会議は、総合交通体系を立てなければならぬ、その中で国鉄の分野を確立することが必要であるというふうに言っている。どこでも言っている。財政制度審議会でも言っている。それでは、総合交通体系とは何なのかというと、言うならば、何も言っていない。言っているのは、国鉄のいわゆる、さっき申し上げた、貨物ならば中・長距離の大量貨物輸送だ、こういうようなことを言っていますね。そこらのところが、あまりにも無責任じゃなかろうかと思うのです。しかも、片方はさっき言ったように全体的な輸送投資、交通投資、これはやはり社会資本の一つとして考えていく面と、いわゆる産業投資としての二つの投資の面はあるだろう。しかしながら、いま、たとえばフレートライナーの問題を一つとれば、なるほど分野の問題になるかもしれない。社会資本としての分野もあるかもしれない。しかし、発想からいうならば、これは一つは企業性から出てくる問題である。そうすると、これは社会資本というより、産業資本というかっこうで投資していくことが妥当ではなかろうかという問題も出てくる。そういう問題があるので、これはいい悪いは別ですよ、いい悪いは別で、混乱があるままで施策を遂行することは、あとから申し上げますが、制度上にも問題が出てくるので、長期展望を早急に立ててやるべきだろうと私は思うのであります。  だからそういう点について、ひとつ私は運輸大臣にお伺いしたい。おそらく御答弁は、お手元でいま策定中の政策審議会等を使って何かおつくりになるだろうと思うのでありますが、それも一つの方法でありましょう。しかしながら、いま当面そういうものがすべり出しているのでありますから、これはやはり考えながら、ひとつ確立すべきだと私は思うのですが、どうですか。
  105. 原田憲

    原田国務大臣 久保さんのお話は、私は同感であります。本会議の際に久保さんがこのことについて、いまの再建のため措置法、運賃改正法というものをとらえて、それが考えられてから実施すべきものではないかというお考えを述べられたのであります。私はそのことについて、御意見は御意見として伺いますが、これを待っておったんでは、そのことについてやるべき国鉄というものの財政自体が破綻に瀕してしまう、目的を達成することができないということになるから、今日このことを取り上げさしていただいておるということを答えたのであります。したがって、総合交通体系の確立ということにつきましては、私ども考え方を同じくいたしておりますが、陸海空の輸送の分野について、先般もお答え申し上げておりますが、陸の場合は、たとえば鉄道というものはどうだ、これはいろいろな意見がありますけれども、やはり総合的な交通体系の中で、鉄道が果たすべき国民経済の中の条件として、中・長距離の貨物輸送というものは、間違いない将来性を持っておる、これだけは言えるのではないか。  こういうことから、それでは具体的にその方法はどうだ。これはいわゆるフレートライナー方式だとか、あるいはその他近代的な輸送方式をもってやっていこう、こういうことを具体的に考えておるわけであります。運輸省といたしましては、政策審議会でもってこれらの問題をとらえていくつもりをいたしておりますが、いまお話の中にも出ましたように、これは運輸省が担当いたしておりますところの行政上の責任だけではなしに、道路という問題も関連して、お互いにどういうふうに効果をあげていくかということをかみ合わせた上において決定されていくべきものであると考えております。
  106. 久保三郎

    久保委員 時間がありませんから、原則的なことはあとでお話を伺いたいと思うのでありますが、ただ問題は、先ほど来のお話からいきますれば、大体国鉄の貸物輸送の分野というのは、中・長距離の大量な貸物である。それで輸送の方式は物資別適合輸送方式、あるいは、いままさにやろうとしておるフレートライナー、こういうものに尽きるというお話でありますが、そのほかに在来貸物の問題がございます。在来貸物の、しかもその中でも小口扱いの問題はだれが担当するか。今度の財政再建推進会議で、小口扱いに言及しているようなものは何かあろうかと思ってひもといてみますれば、あんまりありませんね。あったとするならば、小駅の廃止ですね。いわゆる扱いの小さい、一日八十トン以下ぐらいの扱いの駅はもう廃止していくんだ、ああいうふうなことだけが書いてある。こういうことで、はたして国鉄の使命というものは——そういうところから撤退作戦でやっていいのか。ところが、一般のトラックの運送あるいは通運業者の扱っておる問題、そういうものの中に、いわゆる小口扱いがだんだん押し込まれていく。最後にはやはり通運事業者もこれは耐えかねます。あるいはトラック業者も、これの引き受けに耐えかねておる。すでにそういう傾向が出てきていますね。そうしますと、国鉄がシャットアウトしたらば、そういう少量の荷物の運送というか、輸送はだれが担当すべきかという問題が出てくる。しかも国鉄は、先年、小口混載の問題で中途はんぱなしかけでいまやっているわけですね。これは伸びているのか、伸びないのかわかりませんが、輸送の革命が起きているという時代において、小口混載輸送というのはあまりかんばしくないと、われわれは、はたから見ているわけです。方式は別として、このやり方がそうなんです。そういうものに対しては一指だに触れずに、物資別適合輸送ということで大量貸物をどんどん扱っていく。あるいはフレートライナー方式で、これは優良な貸物を扱っていく。扱っていくことについては非難はいたしませんけれども、小口貸物を忘れてはいませんかということですね。これはどういうふうに指導しているのですか、どういうふうにやろうとするのですか。いわゆる総合交通体系の中で、小口貸物というものは、あるいは国鉄側のややっている在来の貨物輸送は、だれがどういうふうに改善し、近代化していくつもりなのか、これはどうなんですか。
  107. 町田直

    町田政府委員 先ほどの御指摘のございました国鉄財政再建推進会議の中に述べられておりますように、要するに国鉄は、今後これこれこういうものをやることに重要な使命があるということを言っておりますけれども、それだけを国鉄はやるんだということを言っているのではないと私は理解いたしております。やはり、たとえば旅客輸送につきましても、都市間の旅客輸送だけではなくて、今後とも必要な場合には、たとえばローカルの輸送もしなければならぬということもございます。同じように、貨物につきましても……(「そんなことは書いてない」と呼ぶ者あり)まあ、そういうことを考えて書いてあるというふうに理解いたしているわけであります。したがいまして、小口貨物の扱いについて、今後国鉄がやめてしまうということでは決してないというふうに私は理解いたします。  ただ、全体の貨物の動き等を見まして、やはりだんだん物資別適合輸送とか、それからコンテナ輸送とか、あるいはフレートライナーとか、そういう方向に向かっていくだろうというふうに想像されまして、そういう点に重点を置いてやっていこうという考え方であります。したがって、小口貨物については、今後とも、いま御指摘ございました小口混載という形は続けていくべきであるし、それについて改善をしていくべきであるというふうに考えておる次第でございます。
  108. 久保三郎

    久保委員 鉄監局長が言うのは観念的でありますから、もっと具体的に、どういうことで改善をしていくのだということを聞きたいところなんです。あんまりないのじゃないですか、具体的に目ぼしいものは。  それじゃ聞きますが、再建推進会議意見書、これは全部政府が承認したとも聞いておりませんが、そこでは大体三兆七千億の投資、その中でも貨物については大体八千一百億投資する、こう言言っている。投資の内容は、これは適合輸送あるいはフレートライナーに重点を置くのだろうと私は思うのです。国鉄から常務が見えていらっしゃるようだが、時間があまりないのですよ。いつものことだが、この委員会は時間をあまりたくさんもらえないので、簡単に説明していただきたいのですが、小口貨物を中心にした在来貨物の輸送について、国鉄はいかなる方針を具体的にお持ちでありますか。八千一百億の投資をするとするならば、そういうものはおおむねどういう方向で投資をされますか、いかがでしょう。
  109. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ただいま鉄監局長が御説明いたしましたとおり、小口の問題につきましては、私ども小口混載というものを強化していくという方向については、いま着々やっておりますが、さらにコンテナを使いまして、小口混載を強化していくということになりますと、現在の混載制度がさらに強化されていく。同時に少量物品と申しますか、託送されました小荷物との関連がございましてて、それとの統合と申しますか、現在客車便と申しておりますものと同様な輸送を考えなければならぬということでございまして、小口の大衆的な少量物品につきましては、そういう方向でサービスを低下しないように努力をいたしたいと考えております。  それから今後の投資の問題につきまして、現在の段階におきまして一番問題になりますのは、東海道のベルト地帯というものにつきましては、これが一番貸物輸送の隘路になっております。これらを強化していくということが必要なのでありまして、東海道ベルト地帯に対する投資、近代化という点につきまして、将来大井埠頭あるいはその他のヤード、ターミナルを整備していく。これによりまして、現在全国で一番詰まっておりますのが東海道でございますので、その辺に今後投資の重点を置くというふうに考えております。  それからさらに情報処理と申しますか、これに対する強化——現在、貨物のサービスの悪いのはそういうところにございますので、コンピューターを使いまして情報処理を強化していく。さらに投資の方向といたしましては、現在のヤードに対する自動化という点、これを強化いたしまして、将来の貨物輸送の近代化の拠点を明確にしていくというふうに考えております。最終的には、現在の貨車を極力コンテナ化していく。その一つのあらわれといたしまして、今回、東海道フレートライナーというものを実現したわけでございます。
  110. 久保三郎

    久保委員 時間がありませんので、詳しい説明は要りません。聞きたいのは、八千一百億投資するとすれば、その中で小口あるいは在来貨物の輸送はどういうふうな増強をされるか、こうお尋ねしているわけなんです。まあ大体わかりました、具体的ではないということが。いわゆる小口混載を強化していく。それじゃ、これ一つだけ聞きましょう、強化するというのは、どういうふうな方法でおやりになるか。
  111. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 小口混載の問題につきましては、これは非常にむずかしい問題がございます。通運業者との関連がございますので、非常にむずかしいわけでありますが、先ほど申しましたとおり、今後はコンテナを使いまして、混載化をしていくということが考えられております。したがって、そのためにはターミナルを整備していくということに投資の重点を置きたい、こう考えております。
  112. 久保三郎

    久保委員 コンテナを利用するというが、コンテナ混載というのも考えているんでしょうね。そうでしょうね。それは当然のことだと思う。一言言っていただけばいいです。ただ、いまの仕組みとか、そういう方向がいいかどうか、これは検討することなんですか、どうなんですか。通運業者の問題もあります。通運業者も含めて大きな輸送変革の時代でございますから、問題はそう簡単じじゃありません。しかし、問題として関係はありますから、そういうものを含めてやらなければ、これはうまくいかないことは事実でございます。その点は検討をする用意を持っていまやっておるのですか、どうですか。
  113. 町田直

    町田政府委員 御指摘のとおり、検討をいたしております。できるだけ——これも財政再建推進会議指摘されておりますように、トラックとの一貫輸送とか、あるいは協同一貫運賃とか、そういう面から入っていって、できるだけ解決をいたしたいというふうに検討いたしておる次第であります。
  114. 久保三郎

    久保委員 それは、いま鉄監局長がおっしゃるようなことは、小口ではあまり適用ないですね。お考えの中にはあまり入っていないと思うのですね。私は、ここで時間があまりとれませんから、小口でばかり、ほんとうに小口でまごまごしては困りますから、きょうは先へ参りますけれども、これはもう少し誠意をもって考える心要があると思う。  それからもう一つ、ローカル線の問題はこの間から同僚各位がたくさん質問しておりますから、これはやめます。ただ小駅の問題、さっき申し上げた八十トン以下の扱いはやめていくのだ。そうなりますと、少なくともいま言った小口あるいは在来貨物の輸送というのは、いうならば、このままでは決定的な打撃を受けますね。だから、これはもし廃止していくというならば、そればかりではなくて、通運事業の問題が出てくる。いま一駅何点主義か知りませんが、駅単位に免許を与えておる。そうなりますと、拠点の駅の整備ということをおっしゃいましたが、そういうものの関連で通運事業の免許、いわゆる免許範囲というか、区域というか、そういうものも検討しなければならぬと思うのだが、これもあわせて検討するということでありますか。
  115. 町田直

    町田政府委員 そのとおりでございます。
  116. 久保三郎

    久保委員 ただ問題は、検討するといっても、その業務内容を検討するだけでは、これは簡単にいくわけではない。そこにある事業、その中にいる労働者も、これは問題としているわけなんですす。これは、国鉄の問題も同様であります。そういうものを含めてやはりこの処理理をするというか、考えていかなければならぬ時代にきたと思う。だから、簡単に財政再建推進会議は八十トン以下は全部やめていくのだというようなことを気やすく言っていますが、そんなに簡単にいくわけじゃありません。これは慎重にやるべきだと思うし、われわれは、そういうものを切っていくことには反対だし、このことは一つ申し上げておきます。  それからもう一つというか、次はフレートライナーの問題であります。これは国鉄が四月、今月から始まるそうでありますが、フレートライナーの運賃は、東京−大阪間でありますが、これは東京−大阪間のトラック運賃というか、トラックの輸送と関係はあまりないか。今度新しくつくる運賃はあまり関係ないか。あまり関係ないかというのは、いわゆる輸送分野において混乱を来たすことはないか。ここにおいて運賃によるところの調整というか、そういうものが必要であるとは思うのだが、どうもそういう調整は全然考えていないで、競争原理に従ってだけ考えているようにも思うのだが、そういうことは、これは心配をするだけやぼかどうか、いかがですか。
  117. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 その御心配はないと思います。
  118. 久保三郎

    久保委員 それは国鉄は自分でやろうというのだから当然なんで、これは自動車局長からお聞きしたほうがいいかな。
  119. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 今回のフレートライナーの運賃は一万九千五百円でありまして、現在の五トンコンテナというような場合におきまして、平均が一万七千三百五十六円になっています。今回の場合は、いわゆる急行の列車を運転するわけでございますから、その分につきまして、ある程度運賃が上がることはやむを得ないと思うわけであります。現在におきまして、トラック関係とコンテナ関係につきましては、両方とも相当の荷物を運んでおりますので、その点、適正に実施されておると思うわけでございます。  今回は、フレートライナーができまして、急行扱いということになりますと、そのメリットを荷主が認めるということになりますと、これは発達するわけでございまして、今後はこのやり方いかんによりましては、相当の伸びが予想されるのではないか。また、トラック業者といたしましても、新しい輸送のそういうものに応じましてのサービスの向上——従来からトラックの持っております長所をさらに発揮させて、いわゆる適正な、公正な競争をするように指導していきたい、かように考えております。
  120. 久保三郎

    久保委員 公正な競争というが、これはダンピングをさらに激化させるのじゃなかろうかという心配も一部にあるわけです。その点はどうなんですか、簡単にお答え願いたい。
  121. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 トラック運賃は定額制でございますけれども、実際問題といたしましては、若干のダンピング的なものがございます。しかしながら、今回のものによりまして、特にダンピングが激化されるものとは考えておりません。両者がその長所を発揮いたしまして、競争することによって、荷主のために便宜になってまいるということを期待しておる次第でございます。
  122. 久保三郎

    久保委員 それでは今度のフレートライナーの運賃の立て方、これは言うならば、従来の観念からいくならば、鉄道運賃と通運運賃料金、そういうものを合算したものであるべきなんだが、今回の認可は一本にしたようだが、この中身はどういうふうに考えておられるのか。いまの法律制度の中でこういうことであって、将来には、たとえば運賃の、鉄道運賃あるいは通運運賃料金、そういうものに変動を与えねばならぬというときには、どういう手続その他処理をされるのか、これはどうなんですか。
  123. 山口真弘

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  今回の運賃につきましては、東海道フレートライナーといたしまして、戸口扱いの運賃、それから戸口——駅扱いの運賃、それから駅扱いの運賃、この三つの制度にいたしております。戸口扱いにつきましては一万九千五百円、それから戸口——駅扱いの運賃につきましては一万六千五百円、駅扱いが一万三千五百円でございます。五トンコンテナでございます。  そこで、ただいま先生のおっしゃいましたこのような運賃が、鉄道のレールだけでなく、集荷配達につきましても及んでおるわけでございますが、この点につきましては、現在の鉄道運輸規程等におきまして、引き渡し期間等の規定がございます。その引き渡し期間の内容といたしまして、集配を含む考え方をとっております。なおそういった観点から、鉄道運送の範疇といたしまして、この種の集配を含めたものというものは、従来から考えられていたところでございまして、今回のフレートライナー運賃におきましても、その従来の考え方を踏襲いたしまして、戸口から駅までの集配部分を含めた運賃というものを設定することが可能だという形で、運賃の認可をいたしておるわけでございます。
  124. 久保三郎

    久保委員 しかし実際は、これは制度を変えるのが先なんです。実際の行為が先行しているのだから、矛盾があると思って質問しているわけです。大体集配区域であるのか、これは新しいことばで集散区域であるのか、これはどちらであるのか。実際はあいまいなことしているのですよ。たとえば東京のデポから埼玉県のほうまで行くでしょう。これは集配区域であるのかどうかという問題も一つ論議の対象にはなるでしょうね。めんどうくさいことを言えば——めんどうくさいということは別にして、どうもあいまいだから、制度的にも問題がありはしないかと申し上げているわけです。それでは、持ち込みについては、言うならば、集荷の料金というか、ところが持ってくるほうはトラック屋ですから、道路運送の運賃を荷主からは取るわけですね。その運賃に対応する部面は、いま認可された料金から差っ引いて、トラック屋から荷物の運賃として国鉄は受け取る、こういうことになると思うのですね、そうでしょう。だから、こういう立て方は、これからもこのままやっていくとするならば、集配という料金とまた別じゃなかろうかということも言えるわけです。集配料金というものとどうしてもくっついてあるというのですか。いまの制度の中では、通運業者がやれば集配料金ですよ。だが、いまのトラック屋が持ち込む場合には、それは関係ないという。だから、そこらのところの変動があったときには、それじゃどういうふうに考えていくのか。  それから、もっと言うならば、フレート何とか会社が今度できますね。その何とか会社の積みおろし料金は幾らになっているのか。横文字の料金は幾らにしているのか。そういうものも計算して、コンテナ運賃というものは今度設定したものでありますかどうか、それを聞きたい。
  125. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいまの御質問の前段の問題でございますが、この点につきましては、今回のフレートライナーの戸口扱い運賃というものが、戸口から戸口までが、鉄道の責任において運送をいたします場合の運賃でございまして、したがいまして、戸口と駅の間の運賃につきましては、国鉄のほうがその事業者に下請をさせるという形に相なるわけでございます。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕  それから、駅扱い運賃の場合は、これは鉄道の駅から駅までの間の運賃でございまして、したがいまして、この場合に、他の、それぞれ自家用車を使ったり、あるいはトラック事業者が持ち込むというような、別の運送契約の内容になってくるということではないかと思います。  それから運賃の計算の方法でございますが、これは、積算の根拠といたしまして、従来のコンテナ運賃でございますが、そういったようなものを基礎といたしまして、さらにそれに今度の営業所関係の経費だとか、それから集配の経費というものを加味して定める、こういう形で積算をいたしております。
  126. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、いまの制度の中でやることについては、いろいろな点でどうも何か実態にそぐわなくなってきている。これはあとから申し上げますが、そういうものがある。  それから、国会審議権をあまりひけらかすのもどうかと思うのでありますが、理屈でありますから、一言申し上げておいて聞きたいのでありますが、国鉄運賃法によれば、小口の貨物は運輸大臣の認可である、そうですね。コンテナは小口になっているわけです。いままでのコンテナは五トンですね。しかし今度は、フレートライナーは十トン以上のものができている。通常十トンに合わせるわけですね。将来は十五トンなり二十トンに持ってくる。そうなりますと、これは重さ、大きさからいって車扱いですね。片方は、国会審議で別表によってつけられなければならぬ。片方は、運輸大臣でいいという。そういうものを考えれば、これもちょっと制度的に矛盾が出てくる。  それからもう一つは、コンテナの中には——コンテナ料金は私はあまりよく存じませんけれども、いろいろなものが入ると思う。そうなった場合に、特にコンテナ料金と一般の車扱い料金との間の、いわゆる等級制の問題が問題になってくるのですね。新しいコンテナは、そういうものから一歩も二歩も踏み出した形じゃなかろうかと私は見ている。そうだとすれば、いうならば従価等級制によるところの現行の貨物運賃制度というものを、根本的にまず検討し直さなければいけないのじゃないか。これは先ほどだれか言ったように、運賃制度を含めて、輸送分野のシェアの確立を考えていくべきであると私は思うのです。国鉄の貨物輸送のいわゆる輸送力増強、あるいは近代化はおくれております。怠慢だから、いままで何もやっていません。明治時代とちっとも変わらない。貨車の請求をしても、三日ぐらい過ぎなければ、われわれのほうへは来ないのです、東京はいざしらず。よけいなことを申し上げましたが、そういうものがある。だから、そういう近代化を促進すると同時に、制度的にもこれは考えていくべきだと思うのです。そういうものを全然度外視——といっては語弊があるが、あまりコンクリートな展望も聞かないうちに、フレートライナーをそれに押し込むということでやること自体が、総合交通体系の中で正しいかどうかというのが、やはり疑問として出てくると思う。だから、こういう運賃の問題——いまの運賃法にからんで理屈を申し上げましたが、そういう時期に来ておると思うのです。今回の運賃値上げも旅客だけ上げてきた。聞くところによれば、上げれば逃げちゃうから、やむを得ず上げないんだ、こう言う。そういう方法が正しいかといったら、公正妥当のものではありません。われわれが反対したのは、一つにはそういう問題があるのです。反対は別として、この運賃制度について、いわゆる輸送分野というか、総合交通政策の中で再検討する時期に来ていると思うんだが、これはいかがですか。簡単にお答えいただきたい。
  127. 山口真弘

    ○山口政府委員 ただいま御指摘のございましたコンテナ運賃の場合に、等級を別にしていない。車扱いの場合には、等級によって運賃に相違を設けてあるということでございます。それで、これはコンテナ——フレートライナーは従来のコンテナと非常に似ておるわけでございますが、従来のコンテナ運賃も同様に小口扱いといたしまして、等級を設けていないわけでございます。  それから、いま一つの問題といたしまして、大きさの問題でございますが、今回のフレートライナーの主体は、五トンコンテナを利用するところのものでございまして、この点は、従来の五トンコンテナと大体同じような形で行なわれるという意味で、今回もこれを小口扱いとして取り扱っておるわけでございますが、なお十トンコンテナにつきましては、今回十トンコンテナを試用的に用いることにいたしたのでございますが、将来これが非常に拡充され、あるいはさらに大きいようなコンテナができるという場合には、これについて十分の調整を必要とするということは、先生御指摘のとおりじゃないかと思います。ただいま先生御指摘のございましたように、国内の貨物輸送体系というものは非常な変動期に来ております。こういった問題につきましては、今後運輸省内部でも調整問題につきまして十分検討いたしまして、この面につきましてもさらに進めてまいりたい、こういうふうに考えておるところであります。
  128. 久保三郎

    久保委員 次に、新会社をつくってやるのだそうでございますが、新会社の必要性は、なるほど会社の性格を見ると、国鉄が半分の出資で、日通と全国通運が残りの半々を持つということですが、そういう会社だから、国鉄の言うことは右から左に聞くであろう、聞かせねば困るので、この会社をつくったというふうにとれるのだが、それはそのとおりですか。
  129. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 今回考えておりますフレートライナーの会社といたしましては、輸送基地におけるコンテナ積み出し作業、これが非常に能率的、集中的に行なわれるわけでございまして、一例を申し上げますと、コンテナを二個積みにして営業基地まで運んでいくということになりまして、しかも列車が限られた時間に大量に到着するということで、能率的な積みおろし作業ができる。それから、コンテナ営業所におきまして輸送作業も行なうわけでありまして、これらの点から考えますと、この会社は絶対必要である。同時に出資といたしましても、国鉄、さらに通運業者、将来におきましては、情勢によりましてはトラック業者ということも考えられるわけでありますが、その利用の実態を今後見まして、さらにそういう問題が考えられるということを申し上げます。
  130. 久保三郎

    久保委員 従来の通運事業者を使ってはできない面があるのですか。
  131. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 従来の通運事業者につきましては、先ほど申しましたとおり、集中的、能率的という点につきまして、現在は駅に免許されているという点から一つ問題がございます。同時に、国鉄責任を持って戸口から戸口へ輸送するという体制が新しい考え方でございますので、新しいこうしたフレートライナーの会社をつくる必要があるというふうに考えるわけであります。
  132. 久保三郎

    久保委員 国鉄が戸口から戸口まで責任を持つということは時代の趨勢で、これは当然だと思うのです。だれが持つかは知らぬが、一貫して持つのは当然だ。しかしながら、この会社は別に集配はしないのでしょう。
  133. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 この会社は積みおろし及び取り扱いの作業、それから道路におきます、駅からコンテナ営業所までの運送事業、これをするわけでございます。
  134. 久保三郎

    久保委員 あまり簡単に聞いたからあれですが、集配までこの会社はしないんだから、国鉄責任をもつということとこれは直結しないだろうという意味で聞いているのです。この会社がなくても、集配は別のものが別のところでやるのでしょう。だから、一貫してというところには、戸口から戸口まで責任を持ちますというのは、この会社がなければ責任が持てないということではないだろうということ……。
  135. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 そのとおりでございます。
  136. 久保三郎

    久保委員 そうなると、これはトンネル会社じゃないかという話をする人がおります。これは、もちろん下請ではないのでしょうね。
  137. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 トンネル会社ということばがどういう意味かよくわかりませんが、先ほど申しましたとおり、事業内容が積みおろし作業ということと輸送作業、さらに駅のコンテナの取り扱いを直接やるというような面もございますので、決してトンネル会社ではございません。
  138. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、既存の通運業者の分野は、この面からははずれていくわけですね。この新しい会社が直営でやるというたてまえならば、その分野は、既存の通運業者は手を引くわけですね。既存といっても、日通と全国通運か知りませんけれどもね。いずれにしても、会社は違いますから引くわけですね、どうなんですか。
  139. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 そういうような考え方も出てまいります。
  140. 久保三郎

    久保委員 そういう考え方ではなくて、そういうふうになるのですか、こう聞いているのです。
  141. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 そういうような面になると思います。
  142. 久保三郎

    久保委員 そうなると、これは通運事業のあり方はどうあるかということは別にして、あるいは国鉄関係がどうあるかは別にして、これは非常に問題が出てくると思うのです。たとえば設備の問題にしても、過剰になるというか、そういう問題が出てきはしないか、あるいは労力が片方では過剰になってくる。既存の通運事業でこういうものを扱ったものは、大体はじき出されるということになれば、そこで雇用の問題が深刻になってきはしないか。そういう点はあまり心配なくて、対策をそれぞれの会社とお考えでございますか。
  143. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 設備の問題につきましては、フォークリフトの問題がございますが、これにつきましては、従来の方針として、国鉄所有を整理していくということになりますので、現在通運業者が持っておりますフォークを大体転用するということになると思います。さらに労務関係につきましても、十分協議をしていきたいと考えております。
  144. 久保三郎

    久保委員 労力、働く従業員の問題が一つやはり残るのですね。そういう問題は、新しい会社へ転換するとか、あるいはその事業を拡大するとか、そういう方向で処理されるお見込みであるのかどうか、それは決着がついているのかどうか、いかがですか。
  145. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 その方向で検討いたしております。
  146. 久保三郎

    久保委員 いつから始まるのですか。
  147. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 この営業開始は、四月二十五日から予定いたしております。
  148. 久保三郎

    久保委員 それはもうすべて整ったのですか。
  149. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 現在鋭意努力いたしまして、準備をいたしております。
  150. 久保三郎

    久保委員 まだ準備完了というか、そういうふうにはならぬようでありますが、今月末におやりになるというのに、いまどき一番問題になる労働者というか、従業員の問題がこれからということなんで、これは国鉄の直接的責任ではないかもしれません。しかし、認可されるところの運輸省責任というのは、当然あると思うのです。それから、国鉄責任じゃなくても、それぞれ新しい会社に参加される通運事業者は責任あると思うのですね。そういう問題を未解決のままで出発させるということは、われわれ自身も、さっきから申し上げたように、将来の展望を踏まえて、労働力を含めて、事業のあり方も踏まえてやるべきだろうということを言っているのですが、これはどうなんですか。そういう問題を処理されないでやることはどうかと思うのですが、お考えありますか。
  151. 原田憲

    原田国務大臣 十分いま指摘されたような問題は解決して、万遺憾なく出発ということができるように指導したいと思います。
  152. 久保三郎

    久保委員 それでは大臣のおことばでありますから。  あとは何と何が準備に残っているのですか。いま問題になっているのは、何があるのですか。新会社にしなければならぬということでおやりになっているようでありますが、先ほど来のお話では、どうも何かもう少しくふうがありそうにも私は思うのだけれども、これをやり出すというのですが、何がいま引っかかっているのですか。この会社は、まず通運事業の免許が必要ですね、積みおろしもやりますから。それから、拠点駅とデポとの間の輸送もやりますから、道路運送といいますか、そういうものの免許もあるでしょう。それから、駅頭でのトラックの持ち込んできたものの取り扱いをやるそうですから、そういう問題もありますから、通運と道路運送ですか、そういう免許がありますが、これはそれぞれ免許をされましたか。
  153. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 通運事業の免許申請は四月十日に出ておりまして、目下審議中でございまして、近く結論を出す予定でございます。それから道路運送の面につきましては、東京と大阪に特定貨物自動車運送事業の申請が四月の初めに出ております。これも目下審議中で、これまた至急に結論を出したい、こういうふうに考えております。
  154. 久保三郎

    久保委員 もう時間がございませんから、たくさん申し上げられませんが、冒頭に申し上げたように、輸送革命というのは技術革命じゃなくて、体系の革命になってきているわけです。そういう際には、いろいろなところでいろいろな問題が出てくるわけですね。だから、思いつきといっては語弊があるが、一つだけ先行したのでは、なかなかうまくいかぬと私は思うのです。やはり総合的に制度、体制も整えながらこれをやるべきだ。ところが運輸省自体、これから政策審議会をつくってやろうというのですから、まあ実態よりも一こまも二こまもおそくなっているのですね。そこへもってきて出発だというので、いろいろな矛盾が出てきていると思うのですね。この調整をどうするのかという問題なんです。たとえば運送取り扱い人という制度、これは商法から始まって、たくさんの法律がございます。通運事業法もそのとおり、道路運送事業法も、あるいは航空法も、港湾事業法も、海上運送法もある。こういうふうな法律制度だけ見ても、思い出すだけだって五つも六つもあるのですね。それでこの荷物は一貫協同運送体制というか、輸送体制、陸海を通して、あるいは陸海空を通してやっていこう、そういうさなかで、しかもこれが雑多にある。その中で国鉄が貨物を確保しようというのでありますから、いまお話が出たような、幾つかの網の目をくぐったような形でなければできないことになっている。だから、悪いことばで言うと、むずかしい問題はあとへ残して出ていくようなかっこうになる。こういうものについて、もう少しピッチを上げてやるべきだろうと私は思うのです。一つは体制の制度を確立するということは、言うならば、総合的な運送取り扱い人制というか、そういうものが必要になってきやしないか。いろいろな法律を全部一貫して。しかし、それは必ずしもある一定の業者が、一貫的な輸送を全部受け持つということではもちろんない。それから通運事業者のこれからの道は、単に国鉄だけの荷物の積みおろしというか、そういうものだけやっていたのでは食っていけない、それは無理もないことだと思うのです。これは実際はそうだとするならば、やはり時代に合ったところの総合運送取り扱い人制か、そういうものをひとつ想定しながら転換をはかっていかなければ、これはできないと思うのですね。  それから港湾運送事業、これは港湾局長もいらっしゃるが、港湾運送事業の集約もいまやっている。なるほど一定の集約になってきたか知らないが、いま言ったように、内航を含めての海上コンテナの問題、あるいはいまの国鉄のコンテナ、これは聞くところによれば、大井埠頭あたりに四十七年にデポをつくるというんですね。いわゆるコンテナオペレーションをそこでやろうというのでしょう。そうなってくると、港湾運送事業はどこに介在していくのか、これは非常に問題になってきますね。しかも集約の形は、御承知かもしれぬが、無限定一種に大体集中しようというのです。そのほうが見やすくて、取り締まりというか、行政指導もやりやすいから、これは当然だと思うのだが、それは中身を見ますと、いわゆる荷主が資本参加という形で系列化していく傾向が出てくる。系列化していくというと、いまより以上に運賃のいわゆるダンピングをさせられる。運賃で締められる。この間、港湾運送の料金を改定したでしょう、改定したが、これはちっとも守られていない。トラックと同じだ、守られていない。古い運賃です。古い運賃も割引されている。そういうことを度外視して、一貫体制を貫き通すということは問題があると思うのですね。  これは港湾運送のことでありますが、私どもはそういう変革期に応じて、もう少し実態を荷主サイドで考えていかないで、この場合は零細企業なんだから、もう少し企業のあり方からも考えていくべきだ。先ほど運輸大臣から、運輸省行政は企業サイドからのみだという話がありましたが、そのきらいは確かにあります。しかしながら、そういう零細企業の問題はまた格別だと私は思うのです。そういう点について港湾局長はどう思いますか。
  155. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 港湾運送業の集約近代化を進めてまいっておりまして、おおむね順調にいっているわけでございますが、私どもこの港湾運送は企業基盤が非常に脆弱でございますので、こういった企業というものを強化していく、そうして来たるべき輸送革新の時代に耐え得るような近代的な港湾運送業に育てたい、こういうふうに念願をいたしております。  また、先ほど来の一貫輸送とかいろいろな問題、あるいは通運業との問題でございますが、いまのところ、コンテナバースは東西五バースずつ来年度のいまごろでき上がりますが、これにつきましては、港湾運送業としては、やはり近代化された姿で残る港湾運送事業というものは、ターミナルのオペレートを船主の方と話し合いをいたしまして、港湾運送業でやるということになっておりますので、そういう方向に努力していきたい、かように考えております。
  156. 久保三郎

    久保委員 最後に、もう時間ありませんから、海運局長一つだけ、いまの問題に関連して海上コンテナの輸送——これは自動車局長にも鉄監局長にも関係ございますが、内陸輸送の問題ですね。海上コンテナ、これは内航のコンテナの問題もございます。しかし、まあ外航の問題を中心にとりますれば、かなり大型のもので、二十トンですね、8×8×20というようなものでありますから、本来は、日本の道路事情、あるいは内陸輸送の実態から言いますれば、こういうものは大量なものでありますから、交通事故の安全の対策からも、当然のごとく、これは鉄道によって輸送されたほうがいい場合が多いんじゃないか。ところが、最近はそうではなくて、大型のトレーラーのリース事業なんていうのが免許を受けているようであります。これによってどんどんやっていくというと、何か戦国時代を迎えたような感じがいたすわけであります。これについて、あなたはそれを利用してもらうほうの立場から、いかがですか。
  157. 澤雄次

    ○澤政府委員 海上コンテナの内陸輸送の問題、先生おっしゃいますように、非常に大事な問題でございます。現在のところ、コンテナバースに使っておりますところには、鉄道の側線が入っていないという事情もございまして、先生のおっしゃいますように、大部分がトレーラーで内陸輸送をされている実情でございます。諸外国のコンテナバースを見ましても、側線の入っているところが非常に多いということでございますので、これは今後、港湾局あるいは鉄道のほうとも十分連絡をとりながら、研究を進めてまいりたいと思っております。
  158. 久保三郎

    久保委員 最後に大臣に、くどいようでありますが、時間もないので、多少意を尽くしませんでしたが、貨物輸送の近代化なり輸送力——まあ輸送体系というか、そういうものの確立というのは、国鉄の再建にはもちろん一番大事な点だろうと思うんですね。そればかりじゃなくて、いま輸送革命の時期に逢着して、少なくとももう少し積極的に運輸省自体が出るべきだと思うし、それには、観光行政でも一元化の問題、一元的運営とか、そういうものがありましたが、政策的解決がなければ、なかなか思うようにいかないんではなかろうか。ついては、これは関係各省との間の何か調整機関を設けてみたらどうか、そうして、この政策の実行にもう少しピッチを上げてもらったらどうか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  159. 原田憲

    原田国務大臣 私は、久保さんの御意見には、いつも感心して聞いておるんでございますが、きょうお伺いしましたもの、これはまあ国会議員としては当然でありますが、学識経験者として非常に有益な御意見を賜わっておると思います。国政の面にできるだけ取り入れて、国民のためになるように、運輸大臣として努力をいたしたいと存じます。  最後に御提案の件に関しましても、私が率直に言いますと、組織、機構、これを多くしまして、結局、役人さんを多くして、そして船山に登るという傾向がありはしないか。一方において、非常にコンピューター時代、PPBSの問題なんか論じられておりますから、こういう面を十分に活用して、そして、いまセクショナリズムにおちいっておることと調整して、いま久保さんのおっしゃったようなことを、国民のために一日も早く実行できることを私は考えてまいりたいと存じます。今後ともよろしく御協力をお願いいたします。     —————————————
  160. 砂原格

    砂原委員長 この際、おはかりいたします。  すなわち、日本国有鉄道経営に関する件調査のため、本日、日本鉄道建設公団副総裁篠原武司君を参考人として御出席をお願いし、意見を徳取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  参考人からの意見徳取は、質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。     —————————————
  162. 砂原格

    砂原委員長 井上泉君。
  163. 井上泉

    井上(泉)委員 自動車関係質問は、時間に協力する意味で明日の交通安全でいたしますので、その関係の方、つまり自動車局、警察庁、建設省、総理府は帰っていただいてけっこうです。  そこでいろいろな質問をいたしたいわけですけれども、時間の制約もありますので、私、きわめて簡明に質問をしたいと思いますけれども、せいぜい愚鈍ですから、あるいは複雑になるかもわからないが、御了承を願いたい。  まず第一に、実はけさの新聞を見て驚いたことには、「機関車の「一人乗務」安全の論拠に欠ける」、「調査委に公開質問状」、「国鉄研究員、解雇も覚悟で」、こういうことなんですが、こういうふうなことをした場合に解雇を覚悟しなければならないような、そういう事情でも国鉄内部にあるのかどうか。そのことを国鉄当局に承りたいと思います。——鉄監局長でもけっこうです。
  164. 町田直

    町田政府委員 私、その新聞記事解雇の点は見ておりませんので、はっきり申し上げられませんけれども、解雇するには解雇するべきはっきりした理由がなければできないわけであります。
  165. 井上泉

    井上(泉)委員 その公務員が——特にその方なんかは科学者だから、自分のしたことには非常に確信を持ってやっておる。その確信を持ってやられるということは、私は公務員としてほんとうに適切な、いわば表彰をすべき公務員でないかと思うのです。そういうふうな者が解雇覚悟でやらなければならないということは、ちょっとオーバーな気持ちじゃないかと実はそんたくするわけですが、まさかそういうことをしたからというて、圧力をかけたりということはしないでしょうね。
  166. 町田直

    町田政府委員 運輸省に関しましては、そういうことを一切いたすつもりはありません。
  167. 井上泉

    井上(泉)委員 そこでそういうふうな公務員には、特に研究あるいは技術職員については、科学者の良心に基づいてどんどん自由な研究をせよ、こういうことで国鉄安全確保をはかっていただきたいと思います。  そこでひとつ、よく昨年度からも言われておったのですが、いわゆるし尿の黄害の問題、この問題については、この前も神門委員からもずいぶん質問をされておったのですが、本年度はどういう対策を講じられておるのか、お答えいただきたい。
  168. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 黄害の問題につきましては、昨年九月に、方向といたしまして明らかにいたしたわけでありますが、タンクを車両に取りつけて汚物を吸い上げ、基地において排出する方式によりまして、ことしから東海道線、山陽線の沿線につきまして、まず手をつけていきたいというふうに考えております。ただ問題となりますことは、基地の問題がございますので、地元との協議、これが非常に問題になるわけでありまして、この点につきましては、今後精力的に協議を進めまして、この黄害問題につきましては、鋭意努力をいたしたいと考えております。  車につきましては、逐次循環式のタンクを基地に取りつける予定でございます。さらに新しい車につきましては、全部そのような設備をつけまして、基地ができましたら、それを使うというような計画でございます。したがいまして、四十四年度からその方向でやっていきたいというふうに考えております。
  169. 井上泉

    井上(泉)委員 それでいくと、全部の列車にやるというと、何年ごろまでかかりますか。
  170. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 この基地と、それから車両につけます設備につきましては、先般も御説明いたしましたとおり、約八億の金がかかるわけでありまして、これにつきましては、先ほど申しましたとおり、基地の問題がございますので、できれば早くやりたいわけでございますが、金の問題、それから地元との協議ということもございますので、いつごろまでにできるかということは明言できません。
  171. 井上泉

    井上(泉)委員 目標もないのですか。
  172. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 私どもといたしましては、極力早くというふうに考えております。
  173. 井上泉

    井上(泉)委員 そんな、極力だとか、できるだけ、ということででき上がったためしがないですから、やはり仕事をするのには、何らかの目標というものをきめておくのがあたりまえでしょう。そういう目標のない中で仕事をせられるということは、予算のワクに縛られて、そうして主要な幹線のほうへ全部流用されるというようなことで非常に困るのですが、たとえば建設省あるいは地方の自治体で、最近、舗装の問題で、予算が少ないので、連権戸数の多いところから舗装するというようなことで、できるだけの一つの防御措置というものができるはずだと思うのです。全部の予算をつけなくとも、たとえば高知市内で走っておる区域なんか約二キロぐらいのところなんか、両側に人家が密集をしておるのでありますが、その両側の人家へ盛んに黄色いものが飛び散るというようなことで、ずいぶん問題になっておるのですが、そういう人家の多い中を通るところには、国鉄のせめて板べいで囲うなり何なりの措置はとれないものかどうか、その点ひとつ……。
  174. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 現在この完成までにつきましては、旅客に対して密集地帯につきましては、便所を使用しないでほしいということをお願いいたしておりまして、これは必ず放送いたしております。(「放送していないですよ」と呼ぶ者あり)ただ問題は、それを各地のところへつくるということで、各地におきましてそれができると、この便所は使えないという状態になりますので、旅客サービスとの関連において、この放送する場所につきましては、十分検討いたしたいと考えております。  ただもう一つは、現在の飛び散るというものにつきましては、これを流し管おおいというようなスカートをつけまして、飛散の防止をはかるように現在進めております。
  175. 井上泉

    井上(泉)委員 これは土讃線に限らず、地方の鉄道の沿線はほとんどそういう状態だと思うのですが、これは、たまたま高知市の人家の密集地域にあった問題で、それで何とか対策をせねばならぬ、こういう話を言われておったのですが、別段本社のほうにそういうことについて予算的な配慮をするとかいうようなことはする必要なしに、支社で処理ができるものかどうか。それから、人家の多いところはしないようにと、こう言われましても、汽車の速度は速いのですから、一キロぐらい走る間にどういう状態が起こるかということは、これはもうここで議論をするまでもないことなんで、人家のところなんか板べいで囲っても、何でもやろうと思えばできるのですよ。あなたらは、意思がないからそういういろいろな理屈を言うのであって、やる意思があればすぐできる。それができないかどうか。
  176. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 現在、先ほど申しましたとおり、たとえば東京付近におきましても、高架線を走っておるところにつきましては、便所の使用を御遠慮願っておりますが、さらにそれを拡大していくということになりますと、これは全国的にへいをつくるという問題になりますので、これは非常に問題になりますので、現在はその方向でなくて、むしろ車自体の改良を積極的に進める。しかし、暫定的には先ほど申しましたとおり、現在の便所を改良いたしまして、スカートをつけて、飛散を防止するという方向で努力いたしております。
  177. 井上泉

    井上(泉)委員 そのあなたらの努力を待っておったら、いつできるかわからぬでしょう。一体いつまで待っておったらいいか、その見通しも立たないのですか、できるだけという以外は。
  178. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 流し管おおいにつきましては、これは簡単な設備でございますので、極力促進をいたしたいと考えています。
  179. 井上泉

    井上(泉)委員 やるべく努力をしてもらはなくてはいかぬわけですが、それではその次に、私は国鉄の貨物の問題について伺いたい。  いま久保先輩から非常に中核的な質問をされたわけですので、私はローカル的なことになって恐縮ですけれども、大体いま説明を聞いておりましても、東海道新幹線、いわゆる太平洋ベルト地帯に貨物輸送関係の施設を集中するように言っておったのですが、これは地方の、四国とか九州とか北海道とかいうようなところの貨物の渋滞というものは、もう目に余るものがあるわけですが、それについては一体どう考えておるのか、その点ひとつ承っておきたい。
  180. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 貨物輸送の問題につきましては、結局、各地方から出てまいります貨物は、東海道線を使うということが多いわけでございますので、先ほど申しましたとおり、東海道に大きなパイプをつくっていくことが必要だということを申し上げたわけであります。御指摘のような四国の問題につきましても、現在の予讃線あるいは宇野の宇高航路につきまして、極力輸送力をふやしていく。結局、四国におきます貨物輸送の隘路というものは、宇高航路の輸送力によって決定されるわけでございまして、宇野の宇高航路の貨物輸送量につきましては、現在一日五百三両のベースで運んでおりますが、これを五百八十七両のベースに、今年度中に工事をいたしまして切りかえていきたい、こういう考えでございます。
  181. 井上泉

    井上(泉)委員 四国の場合にも、土佐丸、阿波丸、伊予丸、これをつくるときに、この船をやれば、もう四国の貨物輸送については大幅に増加をされるということをいわれてから、零細な業者まで利用債を買わしたことについては、あなたも承知をしておると思うのですが、そのときの話と現実とが全く違っておるわけです。それについて責任は感じないですか。
  182. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 御指摘のような点につきましては、現実におきまして、確かに貨物輸送の輸送力において欠けておるということは事実でございますが、数字的に申し上げますと、四十年の、まだ瀬戸丸、眉山、鷲羽という船が就航しておりましたときには、十五万三千三百両の年間輸送力を持っておりましたが、今日におきましては十八万五千七百両ということになっておりまして、さらに四十五年度からは、これがさらにふえるということになりますので、私どもといたしましては、お約束どおり、輸送需要の増加に対応できると考えておったわけであります。
  183. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、あなたは、思っておったといま最後に言われたでしょう。実際はそのときに話をした、つまり利用債を買ってください、この利用債を買っていただけば、宇高の輸送力は非常に増大しまして、あなたたちに御迷惑かけません、こう言っていたことが、実際四十五年でないと実行し得いというと、そこにえらい違いが出てくる。それについて、あなたは責任を感じないのかと言っておるのですよ。あなたではない、国鉄ですよ。
  184. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 先ほど申しました数字は四十年の旧体制のときでございますが、その後におきましては、毎年、四十一年におきましてはそれに対して一万三千五百両、四十二年におきましては一万三百両、四十三年には六千四百両、四十四年には二千二百両というふうに逐次前年よりも輸送力を強化いたしておりますので、責任と申しますと、貨物の需要との関係におきましては私どもの見通しが甘かったかという点につきましては今後問題がございますが、私どもといたしましてはそういうような輸送力をつけたということにつきましては御了解いただきたいと考えるわけであります。
  185. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、このダイヤ改正で輸送力の増強とスピードアップということで、この地域間特急と称するダイヤ改正をやったわけです。ところが、これのおかげで四国はずいぶん困っておるのです。私ども愛媛、高知、徳島と回ったときにも、この地域間急行のおかげで荷物がさっぱり動かなくなって零細な業者は、中小企業者も、もうこれでは何ともならぬ、こう言っているのですが、これは四国だけですか。それとも全国的にそういうふうな状態があらわれておるのですか、どうですか。
  186. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 地域間急行の問題につきましては、御承知のとおりコンピューターを使いまして到着の日時を明確にするという、荷主に対する貨物の古い体制を切りかえるということで行なったわけでございまして、現在は、この地域間急行につきましては、まことに好評でございます。(井上(泉)委員「好評でないから問うておるんですよ」と呼ぶ)この点につきましては、四国につきましてはもう少し調査いたしますが、そういうようなサービスをするということでございます。問題は、四国につきましては、先ほど申し上げましたとおり、宇高航路の問題がございますので、これとは直接関係ないと考えております。
  187. 井上泉

    井上(泉)委員 全部宇高へ宇高へと持ってきて、ごまかしちゃ困りますが、それでは全国的に好評ということについて、これはさっきも久保さんも好評でないという点で質問されたのでありますので、あなたの好評という意味がわからぬ。地域間急行に載せて荷物を送っておる人には好評かもしれないけれども、それから落ちた人は、前から見れば、幾倍も送れなくなって困っておるのですよ。好評というのは、だれが言うのをさして好評と言っておるのか、これをひとつ御説明願いたいと思います。  それとあわせて、昭和四十一年十月から発足した混載扱いですが、これは発足当時は、いままでよりか非常に早くなるということがいわれておったのですが、貨車の割り当てというものは、この制度を採用してからずっと少なくなっておるのですか、それとも多くなっていますか。
  188. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 先ほど好評と申し上げましたのは、現在、貨物輸送のいつ着くかわからないという状態が、これによって解消いたしておりますので、大部分の荷主の方々は、これは非常にけっこうであるという意味におきまして好評と申し上げたわけです。これ以外の貨物につきましても、逐次こうした地域間急行というか、高速列車による輸送を強化していくという方向で鋭意努力いたしておりますので、御了解をいただきたい。  混載扱いにつきましては、これは通運業者との関連がございますので、通運業者の仕立てというものをまず考えなければならぬ。したがいまして、これに対する貨車の割り当てにつきましては、国鉄といたしましては、優先的に配車をいたしておるというような現状であります。
  189. 井上泉

    井上(泉)委員 これは私は、まだ国鉄の貨物輸送については、あなたのほうからも数字をもらって、十分にひとつ論議をしていきたいと思いますが、時間がないので、これ以上この問題についてはきょうは言わぬわけですから、ひとつ貨物輸送の状況については、十分留意して調査を進めておいていただきたい。  それで一つ貨物のサービスセンターというものをつくった、ところが、いなかでは——いなかというのは、四国とか九州とかいうところですが、そこでは、貨物のお客さんを集めるためにサービスセンターをつくったのが、現在では貨物のお客さんを断わるために、サービスではなしに、断わるための役割りを果たしておるといっても何ら過言ではないわけですが、それもサービスですか。
  190. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 サービスということば、荷主さん、国鉄を利用する方々につきまして、事情を説明するという面もサービスかと思いますが、特に、四国の問題といたしましては、宇高航路が、たとえば十二月千六百三十両の申し込みがございましても、四百六十八両しか輸送力がないという面から、そういう点についての事情を御説明いたしますというのも、一つのサービスだと考えております。しかし、極力輸送力をつけていくという点が基本的なサービスだと考えております。
  191. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたらサービスが、荷主に非常に迷惑をかけておることについての反省がない。これは自分が荷物を運ばぬからそういう根性になろうと思いますけれども、やはり零細な荷物を取り扱っておる人の気持ちになって行政というものはやってもらわぬと困ります。  そこでひとつ、私は建設公団の汚職の問題でこの前に質問したんですが、その後の状況はどうであるか、御報告を願いたいと思います。
  192. 篠原武司

    ○篠原参考人 その後の進展の状況を御説明申し上げます。  犯罪の被疑者の河西、尾方、津田、この三名は、三月十七日及び四月四日に大阪地方検察庁から虚偽公文書作成、同行使、詐欺の罪名によって起訴されておりますが、三月二十日に河西は、贈賄容疑で同地検から追起訴されております。それから収賄容疑者の高知の大正町長鍋島利則は、収賄容疑で収容されました。  それでこういうような事態を起こしまして、まことに申しわけなく、こういうことの今後絶対に起こらないように公団内部でいろいろ検討いたし、いろいろ処置しておりますが、今回の事件につきましては、まことに遺憾でございまして、この点、深くおわび申し上げる次第でございます。
  193. 井上泉

    井上(泉)委員 贈賄を大正の前町長にしたわけで、大正の前町長は収賄罪で起訴された。こういうことは、私は全くふしぎにたえないわけですが、一体、大正前町長に公団としては感謝状を差し上げておるでしょう。その感謝状を上げて、そして記念品もつけ添えてやっておる。その大正町といいましても、これは実際業務を担当したのは鍋島町長でやっておるけれども、大正町に対して感謝状を与え、記念品をやって、そしてそのあとで河西課長が、えらい御苦労でございましたといって三十五万円渡した。これが贈賄、収賄事件の内容でしょう。この場合にあなただったら、かりにあなたがこの土地の町長であって、そして公団といいましても、一般の人から見れば、これはりっぱなお役人さまだ、事実そうですから。お役人で、しかも課長だ。課長からこうして、えらい御苦労でございましたといって金一封をもらわれたことについて、あなただったらどういう心境になるですか。
  194. 篠原武司

    ○篠原参考人 この大正町は、用地の買収がなかなかむずかしかったのでありますが、これを町に委託して買収をお願いしたわけでございますが、それに関連しましてお金を贈ったということは、非常におかしなことだと思うのでございまして、まあお礼の気持ちを述べるのは、けっこうだと思いますけれども、お金を贈るというのは非常に私も疑問だと思いますし、そういう場合には、拒否するのがあたりまえじゃないかというふうに考えます。
  195. 井上泉

    井上(泉)委員 それは、あなたが副総裁としてならそうだけれども、現場におる町長とかいう立場で、そうすると、いつも建設公団へ早く工事してください、してくださいといって陳情に来ておる、その町長がいわゆる政府のえらい人から、えらい御苦労でございましたといって包みを持ってきた場合に、それをわいろとして受け取るでしょうか、考えるでしょうか、あなただったらどうでしょうか。そういう場合に、副総裁を離れて……。
  196. 篠原武司

    ○篠原参考人 それはむずかしい御質問でございますが、公団の課長という身分で参りましたので、前町長がこれを信頼したのかもしれないというふうに私は思いますけれども、やはりそこには、もらっていいものともらって悪いものと、当然あるんじゃないかと思います。ただ、そこに感謝状を差し上げたということは、前町長に非常にお骨折りいただきまして、町をあげまして一生懸命にこの用地買収の事務を進めていただきました。わずか五カ月間と聞いておりますが、その間にこの事務を完了いたしたということは、非常なお骨折りだったと思います。それに対しまして感謝状を差し上げたということは、当然じゃないかと思います。私どもも、それに対しては非常に感謝しております。
  197. 井上泉

    井上(泉)委員 それはあなたのように、いなかでいえば副総裁というえらい人になるような人と、いなかの町長さんとでは、それは格が違うかもしれないけれども、普通そういうえらい人から——課長といえば、えらい人と思っておるから、そういう人から受け取る場合、いわゆるわいろとして、おそらく町長は受け取らないと思うのです。しかし、そのことを言っておりますと、時間がたちますので言いませんが、そういうことをあなたの職員がやったということについて、あなたはどういう責任を感ずるのですか。
  198. 篠原武司

    ○篠原参考人 部下にこういう不心得な者を出したということは、まことに監督上の責任は大きいと思います。そういう意味で、今後そういう処分につきましてはどういうふうにするか、まだ具体的に報告も受けておりませんので、司直の手にゆだねられたこの事件の内容が判明いたしました暁におきまして、十分検討して処置したいと思っております。
  199. 井上泉

    井上(泉)委員 十分検討して処置したいというが、だれを処置するのですか。
  200. 篠原武司

    ○篠原参考人 監督責任者でございます。
  201. 井上泉

    井上(泉)委員 責任者を処置するとかなんとか、そういうことは別ですよ。そういうふうな、町長に公団の職員が迷惑をかけたということについて、どう思うかということです。公団の自分の部下が、たとえば私の子供が篠原さんのさいふを盗んだ、こういうことになれば、親としては、あやまるのがあたりまえでしょう。それだけの心境がないのかどうかということですよ。一体それをどう思うかということです。
  202. 篠原武司

    ○篠原参考人 町長に非常に御迷惑をかけましたことに対しましては、非常に申しわけないというふうに思っておりまして、今後、町長もどういうふうにされるか存じませんが、われわれとしても、そういう面につきましては、よく考えてまいりたいというふうに思っております。
  203. 井上泉

    井上(泉)委員 それから、その金の出どころ、これは課長がそうやって渡したのですから、これは全然支社長のところへは報告はなかったのですか。なかったか、あったか、どこから出たか。
  204. 篠原武司

    ○篠原参考人 支社長のところには報告がなかったそうでございます。
  205. 井上泉

    井上(泉)委員 それで何かもたもた——あなたらは自分の責任になると思うから、なかなか言わぬわけだ。なかなか明快な答弁をされぬわけですけれども、この鍋島町長は、どれだけ迷惑を受けたかわかりませんよ。もう大正町におれなくなった。市民の信望を受けて町長になっておるのですが、その大正町にもおれなくなった。公判の結果によっては、一審でも済んだら宇和島へでも行こうか、こう言っている。これに対して、町長だけではなしに、大正町という町に対しても、あるいは高知県に対しても、これは公団の職員として許しがたい汚名を冠したと言わざるを得ないわけです。あなたが高知に来てゴルフをするようなわけにはいかぬですよ。一体どう考えるのですか、それを。もっとちゃんと答えてください。
  206. 篠原武司

    ○篠原参考人 町長が町におられなくなる、それで非常にお困りになっていらっしゃるということも、私どもは聞いておりますし、これに対してどうするかということも、寄り寄り協議しておりますが、私たちも、できるだけのことはしたいというふうに考えております。
  207. 井上泉

    井上(泉)委員 できるだけのことをしたいという、そのことをひとつ言ってください。
  208. 篠原武司

    ○篠原参考人 たとえば、どこかほかへお出になった場合に、どういう職でもって今後仕事をして生活を立てていかれるかというようなことについて、われわれで御援助できることがあれば、そういうことも考えてもいいんじゃないかというような打ち合わせはいたしております。
  209. 井上泉

    井上(泉)委員 それは非常にありがたいことで、就職のお世話をされる、いっそ公団の用地部へでも呼ばれたらどうですか。  そこで、鍋島町長に対する公団としての責任はある程度償えると思うのですが、ところが、町に与えた汚名というか、これについては、一体公団としては、少なくとも副総裁——私は総裁に行ってもらいたいのですけれども、総裁なり副総裁なり、しかるべき権威のある者が、御迷惑をかけたと、感謝状を出した手前、感識状を引き揚げるわけにいかぬでしょうが、陳謝に行くべきが至当だと思うのです。どうですか、それだけの公務員としての倫理感がなければ、私はだめだと思うのです。
  210. 篠原武司

    ○篠原参考人 ただいまのところは、まだ司直の手であまりはっきりしておりませんから、こういう問題が片づきました暁において、われわれはどうするかということを考えたいと思うのでございますが、私どもの一番の任務は、何といっても公団の目的といいますか、鉄道新線を早くつくって、町の人の御要望に沿うというのが、われわれの任務じゃないかというふうに思います。それで、この建設によりまして、経済基盤の強化とか、地域格差の是正とかというようなことができるのでございます。しかも、先ほどからお話にも出ておりましたように、四国循環線がそこへ完成する、しかも、そういう意味で、われわれとしても重点を置いておりますが、今後それ以上重点を置きまして、早くこれを完成しまして、皆さまの御期待に沿うのが、私どもとしては一番地元に対するおわびのあれにもなるんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。そういう意味におきまして、今後ともわれわれとして努力してまいりたいと思います。
  211. 井上泉

    井上(泉)委員 それは確かに、窪江線の建設を促進をさすという公団本来の任務に沿うて、そうして予算的にも十分に町の誠意にこたえる配分をされてやられるということは、私はけっこうなことだと思うわけですが、そういうことだけでは、この汚名というものは挽回されないと思うのです。そこで仕事は、新線建設をやるのが仕事ですけれども、やはり役人としては、道義的なものもこれを保障するというようなこと、あるいは道義を重んじた形において地域の仕事をするということが必要だと思うわけですが、こういう点について、私は、どうも公団関係の方は何か自分というものがかわいいので、一生懸命自分を守っておるような感じが受け取れてならないわけです。何も私は、あなたたちにそういうことで個人的な恨みがあって言っておるわけではないのですが、これは運輸大臣どうですか。そういうふうな役人の行為、そうしてまた、その役人の課長がそうやって町長に金を渡した、それの犯罪が、裁判の結果がどうあろうとも、建設公団の課長がやったことには間違いないのです。そのやったことがいい悪いは裁判の結果でわかるけれども、やったことは間違いないのです。あなたは、いまの私と公団との質問のやりとりを聞いて、一体どうお考えになっておりますか、ひとつ政治家としての大臣の見解を聞いておきたい。
  212. 原田憲

    原田国務大臣 綱紀粛正ということは一番大事なことでありまして、このことについて、私自身も責任がないかと言われたら、責任がある地位にいる者でございます。したがいまして、これらの問題につきまして、綱紀粛正ということについて、十分今後も正していきたいと考えております。公団総裁、副総裁はもとより、公団の職員一同が今回の問題に心をいたしまして、非常に世間へ迷惑をかけたことも考え、再びこういうことを起こさないよう十分注意をするように、今後もしていくように、私は望んでおるものでございまして、大正町に御迷惑をかけたことにつきましては、心からおわびを申し上げる次第でございます。  なお、当該事件の被疑者として起訴された町長さんは、いまお聞きしますと、まことに人のよい方のようでございますが、これは議論を尽くすことはようございますけれども、やはりそのうしろに金品がついて回ったということは、いかによい人であっても、これが裁判の結果を待たなければ、事のよしあしという最後の決断にはなりませんけれども、一応起訴されたということでございますので、まことにお気の毒とは存じますが、この点について、私は公団のほうから町に迷惑をかけたということに対しては考えます。しかし、御本人の行動に対しては気の毒だと思いますけれども、お話を聞いておりますけれども、われわれも今後ともよく気をつけなければならぬ問題である、このように感じておる次第でございます。
  213. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣答弁は、しごく納得のいくものです。町に対して御迷惑をかけたということは、まことに相すまぬという、そういう当委員会における大臣の見解、あるいはその町長の問題については裁判の結果を見ないと、しかし、まあ同情を禁じ得ないというそのことばは、まことに大正町あるいは高知県としても、その不名誉を挽回するに足ることばだと私は感謝するわけです。そこで、その感謝の気持ちを表現してもらいたいわけで、いま建設公団の副総裁は、早く新線を建設して、循環鉄道を完成さすのが町の努力に対して報いる道だ、こういうことを言われたのでありますが、私は、それも一つの道であるし、当然そのことはやってもらわなければならぬ道だと思うのですが、聞くところによると、公団の汚職が起こったから、この鉄道は予算をつけることはやめなければいかぬのじゃないのか、あるいは井上議員が国会でこんな問題を取り上げると、その予算をどうするとかというような話が流布されて、私自身もたいへん迷惑を受けているわけです。こんなことをごっちゃにされたのでは困るので、副総裁のほうの明確な窪江線の建設に関する決意と、予算は運輸省のほうで配分をするわけですから、ひとつその点について大臣の御意見を承って、私は質問を終わりたいと思います。
  214. 原田憲

    原田国務大臣 これは、公私の別を明らかにしておかなければなりません。汚職が起きたから、その地方の事業がおくれたというようなことは、問題が少し違うのではないか。この新線建設というものは重要な問題で、ぜひやらなければならない、こういうことがやはり新線建設の根本の問題であると思っておりますので、この点につきましては、建設公団で今後の新線建設の問題を十分検討して、事業を進めていくというふうに考える次第でございます。
  215. 篠原武司

    ○篠原参考人 大臣からお答えになりましたように、われわれはこういう問題が起こったから予算を減らすとかなんとか、そういうことは毛頭考えておりません。その点ははっきりお答えしておきたいと思います。
  216. 井上泉

    井上(泉)委員 また後日に譲ります。
  217. 砂原格

    砂原委員長 山下榮二君。
  218. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間が二十分と限られておりますし、大臣もお急ぎのようでございますから、大臣に対する質問から先にさせていただきたいと思います。  きょうは大阪−岡山間の新幹線建設の進捗状況、あるいはそれの住民に対する公害問題、並びに大阪国際空港に関する問題を伺いたい、こう思っておるのであります。大臣は、国際空港と関係の深い立場におられますから、その問題から先にお伺いをいたしたい、かように考える次第でございます。  東京の羽田空港は、御承知のとおり東京湾のまん中にありまして、案外住民に対する被害が少ない——といったら言い過ぎかもわかりませんが、大阪よりはましであると私は見ておるのであります。大阪は御承知のとおり、伊丹市と豊中市のまん中にあって、しかも池田、豊中、伊丹、川西、宝塚、尼崎、西宮と、七市の住宅街のまん中にあるのであります。したがいまして、住民に及ぼす影響がきわめて重大であることは、すでに世上やかましくいわれていることで、皆さん御承知であろうと思うのであります。そこで、過般来から地元の市議会等で議決をされて、決議等が行なわれ、あるいは陳情書等が私のところにも参っておるのでありますが、それを中心にしてお伺いいたし、さらに地元のそれぞれの新聞がこの問題を取り上げて、相当やかましくいっておるようでございますから、それらの点について大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。  まず、飛行機が離陸いたしますのは、国際空港から宝塚のほうへ向かって離陸をいたすわけでありますが、川西市の久代の真上を通るのであります。したがって、久代付近を中心といたしまして、公害対策協議会というのが設立をされております。この協議会方々から再三にわたって陳情が行なわれておるのでありますが、その後一向進捗をしない、こういう訴えが強いのであります。  まず第一に伺いたいのは、深夜の離着陸等について、これを禁止してもらいたい、これが第一の強い要望でございます。これに対して運輸当局として、あるいは大臣として、一体この禁止のめどがついておるのかどうか、ひとつ伺いたいと思うのであります。
  219. 原田憲

    原田国務大臣 夜間飛行の禁止は私はやかましく言いまして、四十年十一月二十四日、閣議了解を得て、深夜のジェット機の発着を原則として禁止しております。現在は公共性の大きい郵便輸送等、音の小さいプロペラ機で運航する場合に限り認めることとしておりまして、今後の深夜の増便については、極力避ける方向で指導する方針でございます。
  220. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 避ける方向というあいまいなことではなく、ぜひこれは禁止をする、こういうふうにひとつお考え置きをいただきたいことを要望いたしておきます。  次に伺いたいと思いますことは、いまも申し上げましたように、川西市久代地区の約七百世帯、人口にして二千八百人の人たちが、これは十七己之助という人が会長でありますが、人権侵害である、こういうことで訴訟を起こす、こういうことが言われておるのであります。その訴訟の原因については、不眠症により幼児の発育が非常におくれる、あるいは老人の高血圧症など、人権が非常に侵害されておる。家賃、土地の価格があの付近は非常に低下しておる、こういうことからして損害賠償の訴えが行なわれる。さらに、そのほかにも二、三訴訟を起こすという手配が進められておるようでございます。これはすでに大臣も御承知であろうと思うのですが、こういうことを考えてみますと、憲法に保障されている財産権の問題、すなわち、憲法第二十九条には財産権が保障されておることは、御承知のとおりであります。しかし、ただし書きがついて、公共の福祉云々という項目はございます。さらにもう一つ考えなければならぬことは、基本的人権につきましては、憲法第十一条に基本的人権の享有が明記されております。「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に與へられる。」と、こういうことがちゃんと明記されておるのであります。こういう観点からいたしまして、この問題に対し、もし訴訟等が提起される、こういう問題になりますと、基本的人権等の関係から考えて、大臣は一体いかようにお考えになっているか、伺っておきたいと思うのであります。
  221. 原田憲

    原田国務大臣 訴訟を起こすとか起こされないとかいう問題は、新聞で拝見をいたしましたが、起こされたということについては、つまびらかにいたしておりませんので、このことについてお答えをするわけにまいりませんが、私は山下さんもよく御存じのように、あの地元におりまして、飛行場問題というものといち早く取り組んだ者でございます。あの辺は人家がまことに少ないために、当時飛行場として適地であろうというので、飛行場となったところでございます。飛行場が先にあったと申しましても過言でないのであります。その後、飛行機の発着もふえましたが、人家もふえてきました。私が、昭和二十九年であると記憶しますが、特損法によって学校の騒音防止と取り組んだ当時は、まだ現在のような状況ではなかったわけでございます。  そこで政府に対しまして、この法律をつくり、何とかせいと言ったときは、やかましいながら、人がどんどん来るではありませんか、人が住んでくるのはどういうことでございますかということを役人が言うのです。何をぬかすかということで、けんかをしながら、今日まで騒音対策については私は鋭意努力してきたつもりでございます。それから四十二年、四十三年も、新しい法律にのっとった騒音対策の予算を獲得し、来年度の予算におきましても十億円の予算をこの騒音対策に投入して、まことに不十分でありますけれども、努力を重ねて、騒音対策と取り組んでおるのが現状でございます。問題のあります地区におきましても、できるだけ騒音というものに対する対応策をとるために努力を重ねておるのでございまして、その住民の方々には——私も池田に住んでおりまして、いわゆる騒音地区におるのでございますが、できるだけの努力をしておるということを御了解賜わっておきたい、このように考えております。  なお、これ以上施策を伸ばしていきたい、そして対処したいと考えておるということもお答えを申し上げておきたいと思います。
  222. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 大臣の気持ちはわからぬわけではないのであります。どうも憲法ばかしを振り回して恐縮だと思うのですが、憲法二十五条には、生存権、国民の社会的使命が明記されておることは、御承知のとおりであります。これを読んでみますと、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」として、二項目として「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」こう憲法に明記されておるのであります。私はこの条文からいきましても、いま大臣の言われるように、公害に対するいろいろの防止対策を樹立されることは、憲法上当然過ぎるほど当然のことでなければならぬ、かように考えておるのであります。補助も、ことしは仰せのとおり、予算もふえてまいっておるようでございます。公共施設だけといわれていたものが、今度は民間の病院その他にもそれぞれ補助、補償等が行なわれる、こういうことにも聞いておって、だんだんそれぞれ充実されつつある姿を、実は承知はいたしているのであります。しかし、これではまだ事足りないので、さらに十分な方策をお考えおきをいただきたいことを、ここに申し上げておきたいと思うのであります。  なお、この機会に伺っておきたいと思うのは、いまも申し上げましたように、しかも人口の密集せる七都市のどまん中にあるのでございますから、第二国際空港を考えたらどうかということで、いろいろ淡路とか方々に予定等もお考えになったりいたしておるようでございます。これに対して、大臣は一体いかようにお考えになっているか、第二国際空港の建設について伺っておきたいと思うのであります。
  223. 原田憲

    原田国務大臣 山下さんにはいろいろ御了解を賜わって、私は厚く感謝を申し上げます。  いまお話の中に出ましたように、できるだけ努力をいたしまして騒音対策施策を今度も伸ばしていく所存でございます。  なお、いま御指摘のように、あの飛行場は現在では非常に条件の悪い状態になってまいっておりますので、私も十分これを承知いたしましておりますが、今度これ以上航空の過密を招くことはならないと考えて、国際飛行場の第二空港というものを関西地方に設けるべきである。これはまた一方で必要なことでございますので、調査費をつけて調査を進めておる次第でございます。できるだけ早く調査を完了いたしまして、十分な世界の経済発展、人類発展におくれをとらないように、ふさわしい国際空港というものを設けねばならぬ、このように考えておる次第でございます。
  224. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 予算がついていることは、私は承知はいたしておるのですが、調査費を計上されるのでありますならば、大体の目安の予定というものをどういう方面にお考えになっているか。どこどこの何々だということは言えないでありましょうが、ほぼ見当はいかようにおつけになっているか、伺いたいと思います。
  225. 原田憲

    原田国務大臣 これはどこということをきめて調査をいたしておるわけではございませんで、関西地方においてそれにふさわしい適地はないかということで、現在の気象状況はどうか、あらゆる方面、たとえばいまも申しましたが、そういう条件がどうかということで調査を進めておるのでございまして、まだ確定はいたしておりませんが、私は大臣に就任する前には、私の調査の上で淡路島が適地ではないかということで、党のほうで強く推進をいたしておった一人でございます。現在大臣に就任しておりますが、淡路島にまだ決定はいたしておりません。ふさわしい地域がどこにあるかということの調査を進めておりまして、そのほかに二、三点、ここはというようなところがないではないという報告は受けておりますが、まだ調査の段階でございます。
  226. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 予定地は、調査の段階で暗中模索、こうでも申し上げていいかと思うのであります。しかし、そういうなまぬるいことを言っているときではなかろう、早急に予定地というものをお考えになる時期が迫っている、私はかように考えているのであります。さよう御了承を願っておきたいと思うのであります。  次に、先ほど申し上げました大阪——岡山間の新幹線の進捗状況について伺いたいと思うのであります。私は住居は尼崎でございますが、大阪から尼崎、伊丹、西宮を経まして六甲山のトンネルに入るわけでございますが、地元でこの新幹線の問題で相当やかましくいわれて、期成同盟会が尼崎、伊丹、西宮それぞれの地区にでき、その連合会ができて、それぞれの関係方面に陳情あるいは要請等があったことは、御承知であろうと思うのであります。したがって、まず最初にこの新幹線の進捗の状況——トンネルだけは手をつけられて、すでにトンネル掘さくが始まっておるわけですが、尼崎、西宮、伊丹地区の測量、これらについては、私が先ほど読み上げました憲法の条文からいきましても、いかに公共福祉のためであるからといって、これは一方的に無理押しのできるものではない。期成同盟会は申すに及ばず、住民の方々と十分了解のでき、納得の上で仕事にかかっていただくのでなければならぬ、かように考えておるのでありますが、その進捗の状況についてひとつ伺いたいと思うのであります。
  227. 町田直

    町田政府委員 山陽新幹線の建設の進捗状況でございますが、御承知のように、昭和四十二年三月に工事に着工いたしまして、四十六年度完成を目途に建設を進めております。現在、用地買収につきましては、所要面積の約六〇%について、買収済みまたは買収確定ということでございます。工事につきましては、長期間を要するトンネル、橋梁、停車場部分を特に重点的に、鋭意施工中でございます。所要用地買収面積は約二百万平米でございますが、この中で買収が済みましたものが三〇%、買収の確定いたしましたものが三〇%、合わせて六〇%、こういう状況でございます。
  228. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 西宮、尼崎、伊丹地区の関係はどうなっておりますか。
  229. 長浜正雄

    ○長浜説明員 私から補足説明さしていただきます。  用地買収の終わったところは三〇%でございまして、その前に立ち入り測量をいたしまして、いろいろな調査をしなければならぬ、あるいは測量をしまして、くいを打ったりしなければなりませんが、そういうことの御承諾をいただいておりますのがもう八十五キロ、トンネルその他を除きますと約百キロございますが、そのうち八十五キロは、そういうことでもう立ち入りの御承認をいただいております。まだ立ち入りの承認をしていただいておりませんのは、いま先生の御指摘の阪神三市、尼崎、西宮、伊丹及び明石——姫路間の一部の土地ということでございます。
  230. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それはひとつ、いま申し上げましたように、住民は申すに及ばず、期成同盟会等とよほどよく御相談をなさることがきわめて必要である、こう思っておるのであります。  この新幹線の防音装置のためにグリーンベルトを設定される、こう聞いておるのでありますが、そのグリーンベルトの幅員というのは、一体何ぼにきめられておるのですか。片側が幾らでございますか。
  231. 長浜正雄

    ○長浜説明員 新幹線の鉄道そのものの所要用地のほかに若干の空地をとるということで、国鉄としましては、高架線のあとの保守とか、そういうことも考慮いたしまして、あるいはまた、振動の伝播その他のことも考慮いたしまして、保守部門では、国鉄は両側四メートルずつでございますが、都市計画道路あるいはそういう道路敷といたしまして、それにプラスアルファということで、大体その地域によって違うわけでございますが、六メートル足すところ、あるいは五メートル足すところ、いろいろございますが、そういうことで、地元の県、市と御相談をしながら、どの程度の空地をとるか——空地というよりも、それを将来道路敷に使うようにするための空地をとるということで御相談申し上げております。ただいま先生おっしゃいましたように、地元と十分御相談申し上げて、できるだけ御了解をいただいた上で、測量工事に着工するようにいたしたい、こういうことで、いま私が御説明しましたように、阪神三市につきましては、まだ立ち入りも御遠慮申し上げて、話がついてから立ち入りしたい、こういうふうに考えておるところであります。
  232. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 四メートルや五メートルというのじゃ、どうにもならぬのじゃないかと私は思うのです。私は、ここに京都大学の工学部衛生工学教室の調査を持っておるのですが、これは東京——大阪間の新幹線の区間の公害についての調査があります。地盤の軟弱なところでは、約二十メートルないし三十メートル離れたところで八十ホンあるいは百ホンの騒音がある、こう明記されておるのであります。これは騒音に対する人間の、大体安眠ができる許容量というのですか、というのは、一体何ホンとお考えになっておるのですか。
  233. 長浜正雄

    ○長浜説明員 騒音のホン数というのは、なかなか学問的に、私も専門家じゃございませんのでよくわからないのですが、非常にむずかしいようでございます。いま先生御指摘の百ホンとか九十五ホンといいますのは、東海道新幹線で測定した場合であろうと思いますけれども、東海道新幹線の場合は、はなはだ申しわけなかったのでございますが、鉄橋で橋梁をつくった部分が相当ございます。こういう場合には、鉄橋でございますので、相当高く音が出ます。こういうことでは、将来の騒音防止という面から芳しくございませんので、今回、山陽新幹線の場合には、人家のあるところはすべて有道床といいまして、バラストを敷きました道床にして、下をコンクリートのけたにする、こういう高架橋方式を採用しております。それからまた東海道の場合には、実はレールがまだ五十三キロレールを使っております。重さでございます。それを山陽線の場合には六十キログラム・パー・メートルのレールを使いたい。あるいは、まくら木とレールの間にはさみますパッドというものがございます。これをできるだけ研究いたしまして、なるべく音の発生しにくいようなくふうをこらす。それからまた、東海道の場合の経験から、側壁といいますか、両側に壁をつくります。これの高さをどれくらいにするといいかということをいろいろ勉強いたしまして、これを二メートルくらいの高さにすれば相当音が低くなる、こういうふうな研究もいたしております。あるいはまた、これに張ります壁の材料、こういうものもできるだけ吸音質なものを張るというようなくふうをしたい。あるいはまた、車両におきましても、いままではスカートがわりに短かったわけでございます。このスカートをなるべく長くするとか、新しい車両につきましては、いろいろなそういうくふうをこらしまして、騒音の発生量を減らすというような努力をいたしたい。それと、なおかつ都市計画のほうと御相談しまして、国鉄としては、両側四メートルしか資金的といいますか、いろいろな関係で出せませんが、それを都市計画のほうと相談をいたしまして、プラスアルファして大体十メートル前後の空地といいますか、道路がとれるようにしようということで、いま阪神三市と、知事を中に入れまして御相談申し上げておる段階でございます。
  234. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間が参りましたから、最後にもう一つだけ伺っておきたいと思うのですが、いずれ適当な機会に時間をかけて、もっと詳細に伺いたいと思うのですが、ひとり騒音だけではない、風圧の問題、いろいろ公害が出ておるのであります。東京−大阪間には、かわらがずるとか、あるいは壁にひびが入るとか、いろいろ京都大学の調査で明記されておるようであります。今後建設をされる大阪−岡山間、あるいはまた、さらに広島間等々ができると思うのですが、これらに対しましては、いまお話しのとおり、工事工法等についても、これはお考え願わなければならぬだろうと思います。あるいはいま防音壁をつくる、こういうものに対しましては、私はいささか疑問を持っておる一人であります。せっかく楽しい旅をする、外をながめて走りたい、こうい目隠しをされたのでは、私は旅行が旅行にならぬのではなかろうか、こういう心配をする一人であります。そこでグリーンベルトをつくられるなら、そこに高くなるポプラの木か何かを植えて、緑で騒音を防止するような対策、樹木で防音装置のできるような対策、こういうことを考えていくことも一つの方法ではないのか、こういうことも考えておるのですが、さようなことはお考えになっていないかどうか。あるいは風圧その他の問題等については、今後適当な機会にもっと詳細にわたってお伺いしたい。お約束の二十分という時間が参りましたから、これ以上申し上げませんが、ただ、それだけについて、一体いかようなお考えを持っておられるか。将来は防音壁というようなものだけではなくて、もっと近代的な、汽車に乗っても感じのいいものをやはり考えていくべきじゃなかろうか、こう考えたりするのですが、あるいは風圧等の問題についても、もっとスピードが速くなってまいるということになりますと、風圧はだんだんきつくなるであろう、こういうことも想像されます。それらに対する対策、それらに対する工事工法等にまだいろいろくふうが要るのじゃなかろうかということも考えておりますが、いかようにお考えになっておりますか。
  235. 長浜正雄

    ○長浜説明員 基本的には、騒音の発生あるいはそれが伝播しないようなくふうということで、研究所で毎年三千万前後の金をかけましていろいろな研究をしております。いま先生おっしゃいました、私も申し上げたのですが、防音壁でございますね。これは実は大体二メートルくらいになりますけれども、窓の高さが相当高うございますので、そういう見通し、景色を見る見ないということには、ほとんど関係がございません。音が発生いたしますのは、大体車両の下部のほうでございます。下のほうからでございます。それから発生する音の伝播角度を考えまして高さをきめていきたい、こういうふうに考えております。  それから先生御指摘のグリーンベルトの件でございますが、これにつきましては、これをどうするかという問題は、やはり建設省と一緒になって建設省サイ下で考えていただかないと、国鉄の鉄道建設という面からだけで解決することは、いまの情勢ではできない、こういうふうに考えております。それで、もしこれをやるというようなことになりましたならば、これは都市計画としてやっていただくか何かしないと、鉄道サイドとしては、こういうグリーンベルトをつくるということは、現状においてはできかねる、こういうふうに私たちは考えておるわけでございますが、それでは全然努力はしてないかと申しますと、そうではなくして、せっかく新幹線ができますときに、建設省サイドでつくります都市計画とできるだけ一致をさせまして、新幹線に沿って道路をつくるとか、あるいはその他都市計画の施設をつくるというようなことをお願いいたしまして、建設省サイドでもできるだけ考慮をしていただくように、いまお願いをしておる情勢でございます。したがいまして、そういうふうに今後とも進めていきたい、こういうふうに考えております。
  236. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それではこれで終わります。風圧その他は後日にひとつ……。
  237. 砂原格

    砂原委員長 松本忠助君。
  238. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 国鉄の財政再建の問題につきまして、大臣並びに国鉄総裁——総裁はいらっしゃいませんので、国鉄を代表して長浜常務理事にお伺いしたいと思います。  国鉄財政再建の問題については、国民のひとしく待望するところでございます。何となれば、国民国鉄であるからでございます。国鉄は自由民主党の国鉄であってはならないし、また、佐藤政府国鉄であってはならないと思うわけでございます。この点につきまして、政府として、運輸大臣としてはどのようにお考えであるか、また、国鉄総裁にかわって長浜常務理事は、どのようにお考えであるか、まずその点からお聞きしたいと思います。
  239. 原田憲

    原田国務大臣 いまあなたのおっしゃったとおり、一党一政府の所有物ではない、国民経済のため、国民生活を守るための一つの必須条件である国鉄、そういうものである、このように承知をいたしております。
  240. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄といたしましても、もちろん大臣が御答弁になられましたことと同様に考えております。
  241. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの大臣並びに国鉄最高幹部の答弁でわかりますように、国鉄はまさに国民の足でございます。国民の日常の生活と切っても切れない深い深い関係を有するところの国鉄でございます。しかも、その財政が悪化しているとするならば、その再建にあたりまして、国民総力をもって当たるべきであって、国民がひとしく知恵をしぼり、話し合ってこそできるのではないかと思うわけでございます。国鉄財政再建推進会議のメンバーだけにまかせておくべき問題ではないし、国民の代表である国会議員が参画していないところの推進会議意見書を基礎としてつくられた再建案は、当然国民の代表たる衆議院議員に審議せしめるべきであって、これに全然審議する機会、発言の機会を与えないで、不当なやり方で値上げ案、再建案の採決を行なったということについては、許されないことであると私は思うわけでございます。大臣は、この点についてどのようにお考えになるか。運輸委員長砂原格氏は、先般の当委員会において特に発言を求められて、三月二十五日の委員会の議事については遺憾の意をなされておりますが、政府とし、運輸当局としては、どのようにお考えになっているのか、あらためて聞いておきたいのでございます。
  242. 原田憲

    原田国務大臣 私どもは、政府責任において国鉄の財政再建のための特別措置法を御提案申し上げておるのでございます。その案のもとになる点で、国鉄再建のための推進会議意見というものを適切なものとして尊重いたしておることは、言をまちませんが、これはそのとおりというわけではございません。政府責任において御提案を申し上げておるのでございます。この案が適切なものであると私どもは考えて、いわゆる立法府、国の最高議決機関である皆さま方に御審議をお願いいたしたのでございまして、この再建推進会議に国会議員が参加をしておらないということとは、問題は別ではなかろうかと私は思っております。国会議員というものはもっと高いところで、ここで十分審議をする機会を与えられておるものである、そういう資格のあるものである、私は国会議員というものの資格を、そう考えておるのでございます。私は政府といたしまして、予算委員会におき津、して、また、当委員会におきましても、できる限り御審議を賜わるようにお願いを申し上げてまいりました。そのことにつきまして、混乱のうちに採決が行なわれたということにつきましては、提案者といたしまして、皆さん方に十分御満足を得られなかった点があろうかと思います。この点につきましては、遺憾の意を表明するものでございます。私どもが提案をいたしておりますことは、決して一党一派の立場に立って提案をしたものでないという点は、御了解を賜わりたいと思うのでございます。
  243. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 国会議員がもちろん高い立場から審議に当たることは、当然のことでございますし、また、そうでなければならないし、私たちも、別にそのことを拒否したわけでもございません。この点については、政府・自民党、また、野党各派で十分の打ち合わせをして、そして理事会等において打ち合わせの結果、委員会が開催されてやってきたわけでございます。いま大臣からお話しのあったように、十分審議機会をはたして与えられたかどうかというと、この点については不十分であったという以外にないと思うのです。野党側といたしましても、十三名の質疑通告者のうち一名、完全に終わった、二番目の社会党議員がやっておるときに、そして、しかも休憩中あのような事態が起きたということについては、大臣がいま遺憾の意を表されたことは当然だと思いますが、いまあらためてこの財政再建について、もっともっとわれわれが今後真剣に討議する機会が与えられなければならない。いまからでも、まだまだ私たち機会のあるたびに献策もし、またよりよい方向に向かって国鉄の財政再建をはかっていかなければならない、そういうふうに考えておるわけです。私たちは、今後もあらゆる機会を通じまして、この考えを政府にも、国鉄にも申し上げたいと思っております。もう法案は衆議院を通ってしまったのだから、そういう話を聞いてもしようがない、聞く必要はないと言われれば別でございますけれども、この点について、大臣はどのようにお考えになるか。
  244. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄の再建策に関する御意見は、いついかなるときでも拝聴させていただけることは、まことにけっこうであると私は考えております。ただ、いま政府責任を持つ四十四年度の予算、これと関連した法律案というものは、確かに衆議院から参議院に移って論議されておりますけれども、再建のためのよき意見というものを述べていただけることは、まことにけっこうなことであろう、このように考えております。
  245. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでもう一点だけ伺っておきたいのですが、この再建案にしても、値上げ案にしても、四月一日という一つの時点を、それも行政府できめて、そのことを押しつけがましく立法府である国会に提出している、これにはいろいろの理由もありましょう。それはわかります。しかし、こういうものは十分審議を尽くし、衆議院でそれではよかろう、参議院でもよかろう、こうなった暁において初めてその実施の日というものはきめられるべきであって、最初から四月一日を予定して、何でもかんでも衆議院はこの日までに、参議院はここまでに仕上げなければ四月一日から実施できない。こういう考え方から、すでに切符の印刷が終わり、そして駅の掲示板は一切四月一日から実施できるような状態をつくり上げておいてかかってくるということについては、私たちは非常に憤慨を覚えるわけです。大臣もこの点については、いろいろと言い分はあると思いますが、ひとつ大臣の言い分も聞いておきたいと思います。
  246. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど申し上げましたように、ものの考え方については、決して一党一派だけではない、いろいろなものの考え方があるわけでございます。私どもは、この国鉄再建の方法について皆さま方の御意見考え方を拝聴しますと、考え方が異なるわけでございますが、四月一日から実施するという原案を、政府責任において提案をさせていただいた、こういう立場をとっておるわけでございまして、そのことが立法府において認められなかったために、この案が実施されなかったということにつきましては、私どもはまことに残念なことである、こう考えております。できるだけ早く成立をさせていただきたい、このように考えております。この案に反対だと考えておられる松本さんにいたしましたら、一日でもおそいほうがいいとお考えになっておるかと思いますが、これは、そのことについては、ものの考え方ということについて審議を尽くすということが国会の場で、そして賛否を明らかにする考え方についての違いというものを、同一に求めていこうとするために考えが実施されないということでは、これはまた何にもならない、こういうことになると思うのでございまして、私といたしましては、四月一日に成立をいたさなかったということは——しかし、案を提出いたしまして、最高議決機関である立法府でそのような状態になったということについて、私は皆さま方の御意思がそこにあるという考えのもとに、いまも御審議をお願いをいたしておるのでございます。
  247. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、あと国鉄側に対する質問に入ります。  きょうは時間もございませんし、いわゆるガード下等の国鉄用地の貸し付けの問題について、国鉄側並びに鉄監局長にお伺いしておきたいと思います。それで、きょうはガード下の問題と共済組合の物資部の問題について聞くつもりであったのでありますが、時間もございません。したがいまして、きょうはガード下の問題についてのみお伺いいたします。  なお、物資部の件につきましては、近日参議院におきまして、わが党の議員が質疑をする予定もございますので、重複することを避けまして、これに関しては、参議院でやらない場合には、また次回に当委員会でお聞きしたい、このように思っております。  そこで四十三年度の決算はただいま鋭意精算中でございましょうから、昭和四十二年度の国鉄の決算書、監査報告等を基礎にお伺いしたいわけでございますが、まず常務理事に伺いますが、雑収入として計上されたもののうち、国鉄用地の貸し付け料収入といいますか、いわゆる民間で言うところの地代、これに相当するものはどれくらい入り、そして、その貸し付けの面積は全体でどれくらいあるか、当然のこと、一平方メートル当たりの単価が幾らということが出てくると思いますが、この点についてお示しを願いたい。
  248. 長浜正雄

    ○長浜説明員 四十二年度の土地の貸し付けによります貸し付け料は、概算十三億二千四百万くらいであると思います。面積は約六百万平米でございます。一平方メートル当たり割りますと、約二百十一円という勘定になろうかと思います。
  249. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 日本全国の総平均でございますから、相当安くなります。したがいまして、都会地——東京とかあるいは大阪とか、こういう都会地のものになってくると、相当高額になってくると思うのでありますが、東京鉄道三管理局の管内で考えた場合にはどのくらいになりますか、それはわかりませんか。
  250. 長浜正雄

    ○長浜説明員 申しわけございませんが、資料の持ち合わせがございませんです。
  251. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 けっこうです。それでは、その分だけあとで教えていただきたいと思います。  大体二百十一円というものが出ましたので、それを見当に進めてまいりたいと思います。そこで東京の、また、大阪の使用料並びに面積、一平方メートル当たりの単価等は、あとでお知らせ願えればけっこうです。  そこで、少なくとも都会地のほうは二百十一円より高いというふうに考えますが、この点はいいでしょうか。
  252. 長浜正雄

    ○長浜説明員 常識的に考えまして、平米当たり約二百十一円と申しますのは、全国平均でございますので、都会地の場合は、それよりは少し高いと思われます。
  253. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで一般並みよりも安いように私は思います。いわゆる東京なんかでアパートを借りまして、大体四畳半で六千円が東京の場合相場です。一畳は一カ月間千三百三十円くらい、なおそこへもっていって二年間で書きかえるということになりますと、その権利が大体二万円ぐらいですから、一カ月畳一枚が百八十五円、こんな計算になってくるわけです。ちょっといま言い間違えた点があるかもしれませんが、要するに四畳半で六千円、そうすると、一カ月一畳当たり千三百三十円、そこに権利金というようなものを加えて、権利のほうだけが約一カ月で畳一枚が百八十五円とすると、一畳当たりが千五百円、半分で七百五十円、こういうのが相場になってきます。畳半分と一平米がたいした相違がないとして考えた場合に、七百五十円と二百十一円というような値段の大きな開きがあるわけです。そういう点から考えましても、まだまだ国鉄でいま一般に貸しているところの用地の使用料というものを上げるだけの余裕がある。少なくとも現在では、相当に安いというふうに私は考えます。しかも、これを上げれば、相当の収入がまたここで加えられることも事実です。そうなれば、国鉄財政の財源の一助にもなるのではなかろうかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  254. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄の用地の使用料を算定いたします際には、国鉄の部内に土地建物貸付規則とか、それに準拠いたします基準、規程をつくりまして、それに準じてやっておりますが、大体現在は、近傍類似の賃貸の実例、これを参考とすることを原則として、これによりにくい場合には、部外の学識経験者の鑑定を参考として評価した財産基準、これをもとにいたしまして、いろいろな計算をいたしまして、その価格を算定しておる次第でございます。そういう正当な評価機関を通じましてやっておりまして、大体いまのところ、三年ごとに価格の更新をいたしまして、現在の回りの価格の高騰といいますか、その上昇に並行するようにつとめておる次第でございます。
  255. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで常務理事は、そのいまの二百十一円が公正妥当と思いますか。それとも安いと思いますか、その点をはっきり……。
  256. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ちょっとその二百十一円につきましては、安いか高いかということになりますと、私は特に専門でないのでございますけれども、私、大阪の管理局長をやっておりましたときも、そこにあります土地建物等評価委員会にそういう価格をお願いいたしまして、それを基準にして進めておりました。各地でそういうふうに、あるいはまた、専門の土地の坪価機関を通じまして、この価格をとりまして、それを基準として評価いたしておりますので、この二百十一円につきましては、ずいぶんいなかのほうのたんぼだとか、あるいは畑に貸すというような場合もございますので、これをもってちょっと比較はむずかしいのではなかろうか、こういうふうに感じております。
  257. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで先ほど申し上げてお願いした東京並びに大阪のその単価が出てくれば、私のほうのアパートの単価等を引き合いにしてみた場合によくわかってくると思うわけです。そこで先ほど申し上げましたように、東京のアパートにしますと、少なくとも一平米当たりが七百五十円、そういう単価ですが、こちらのほうの二百十一円というのは、おそらく年間の金額でしょう。そこに大きな違いがあるわけですよ。私のほうは、もう一カ月の畳一枚のその半分、いうならば、一平方メートルとたいして違いはありませんから、それで御了承願うとして、その値段というものですが、おたくさまのほうで言っていらっしゃるのは、一年の単価が二百十一円ということでしょう。
  258. 長浜正雄

    ○長浜説明員 そうです。二百十一円は一年の単価でございます。なお、これは用地代といいますか、用地を貸す貸し賃でございまして、建物の入居といいますか、そういう造作をした場合の貸し賃ではございませんで、用地代でございますので、念のために申し上げておきます。
  259. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その点はわかっております。いかに安いかということだけはおわかりだと思う。そうすれば、もっともっとこれの値段を上げても差しつかえないのではないか、このように思うわけです。  そこで問題を転換しまして、国鉄の現在の旅客の駅、これが幾つあるか、そしてまた、その旅客駅で鉄道弘済会の売店の出ている駅は幾つあるか、また、その売店の数は幾つあるか、こういうことは、弘済会で出しているパンフレットを見ればわかるわけですけれども、あらためてお聞きしておきたいと思います。
  260. 長浜正雄

    ○長浜説明員 駅数はわかりますが、弘済会の出ている駅と、それから弘済会の売店数は、ちょっとわかりかねるのでございますが、駅数でいいますと、一般駅としまして約五千でございます。
  261. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 弘済会の売店の出ている駅が二千、売店の数が三千五百というようなことも承知しております。そして、その売店で売られているいろいろな物資の売り上げといいますか、これが昭和四十三年度において、三月末を待たないで初めて一千億を突破したので、お祝いをやったという話も聞いております。  そこで弘済会のこれらの売店の賃借料として、幾らくらい国鉄に納めているのか。先ほど言われました十三億二千四百万円、この中に弘済会の分はどのくらいの比率になっているのか、その点を伺いたい。
  262. 長浜正雄

    ○長浜説明員 弘済会の場合には、この土地の使用料は、土地そのものの使用でございまして、弘済会の場合には、構内営業、いわゆる旅客が旅行するために必要な物資を売らせるということで、構内営業という範疇で処理をいたしておりますので、この二百十一円とはちょっと種類が別になっております。
  263. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうすると、構内営業のあの売店のいわゆる地代というのは、国鉄では取っていないわけですか、ただで貸しているというわけですか。
  264. 長浜正雄

    ○長浜説明員 これは用地代というよりも、営業料金として収納させているわけでございます。したがいまして、土地代ということではございませんで、プラットホームでございますとか、構内の通路の横で物を売らせる、こういうことでございますが、そこの用地代ということではなくて、物を売らせることによってその料金を、構内営業料金として向こうから取る、こういうかっこうにしてございます。したがって、これはさいぜん私が申し上げました十三億何がしという金額の外でございます。
  265. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうすると、その構内営業料金は幾らですか、十三億の別とするならば。
  266. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ちょっと私手元にその資料を持ち合わせておらないのでございますが……。
  267. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではけっこうです。弘済会並びにその子会社あるいは傍系会社——とにかく弘済会関係のいろいろな会社がありますが、こういったものがいろいろな意味で借りている。要するに国鉄から、名目はどうあろうとも、借りているものに対して、やはりその使用料を、地代と申しますか、そういう形で払うもの、あるいは構内営業料金として払うもの、いずれにいたしましても、弘済会並びにその関係会社等が国鉄へ納めている金、そしてまた、その使用させてもらっている面積そういったものについて、後刻でけっこうでございますから、文書でお知らせを願えれば十分であります。  そこで弘済会の問題は、いろいろ国鉄とも深い関係がありましょうから、これの料金は、まずほかのものより比べて安くても差しつかえないというような見解をお持ちかもしれません。しかし、それ以外のものについては、市価というものを考えて、相当に値段も取ってもいいのではなかろうか。特に、通運会社であるとか、国鉄関係している会社、これは別でございます。全然無関係のものについては、料金等は、世間一般のものと同じような考え方で取ってもいいと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  268. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄の使用料金につきましては、さいぜん申し上げましたように、土地の価格を評価してもらいまして、その価格を基礎として計算して、しかも常に近傍類似の資料に比べまして、これと肩を並べるようにしております。現在国鉄の使用料金は、一般の民間の使用料とおおよそ同等程度の額になっている、私はそういうふうに理解しております。
  269. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次のことについて伺いたいわけでありますが、最近の東京都区内におきまして、東京高架株式会社あるいは中央高架株式会社、大阪の市内におきましては、関西高架あるいは大阪高架等の会社が創立されまして、国鉄が直接民間に貸し付けるということをやめて、ワンステップ置いて貸し付けているようであります。それは問題がないと思うのでありますけれども、戦後の混乱期に貸し付けたものの中に、いろいろな不合理なものがありながら、何らそれが改善されないままに放置されているものがまだ相当あるように見受けられます。特に、東京で申しますと、御徒町のいわゆるアメ屋横町、あるいはまた秋葉原駅の周辺等に、まだそういう例が多々あるように聞いております。  ここで実例の一つを申し上げてみたいのでありますが、ここにも国鉄当局と借り主との間に取りかわされたところの鉄道高架下使用承認書というのがございますが、この実例でひとつ申し上げてみたいわけでございます。これは秋葉原のいわゆる総武線のガード下にある問題です。借りている方の名前については、この席で特に申し上げません。しかしながら、御当局では十分おわかりのことであります。その借りている場所というのは、いま申し上げましたように、秋葉原デパートに隣接した総武線のガード下であります。その使用料が二百八十八平方メートル、すなわち、八十四坪で年間に六十九万七千百六十一円、このようになっております。そういたしますと、一カ月坪当たりが六百九十円です。これに使用者はいろいろ造作をしておりますので、約二十万円の固定資産税を別に払っている。そして、それ以外の諸費用というものは、全部たな子が負担しております。そして、そのいわゆるたな子、国鉄から直接借りている人間が、さらに又貸ししている。そのたな子が納めている家賃というものを個々に当たって集計してみました。そうしましたら月額二百四十八万一千円、このように推算されました。これの十二倍ですから、年収が二千九百七十七万二千円、こうなります。そういたしますと、先ほど申し上げました国鉄に対して納めている約七十万円と固定資産税の二十万円、この合計の九十万円を差し引きいたしました、要するに利益というものは、驚くなかれ二千八百八十七万四千八百三十九円、こういうふうになってまいります。しかもまた、さらに驚いたことには、昨年の十一月に家賃の五割増しをたな子に対して申し入れてきております。その申し入れ書の控えと申しますか、写しがここにございますけれども、五割の家賃の値上げ、これに対しましては、十二月二十八日付で弁護士三名を立てて、内容証明郵便をもって明け渡しを要求をしてきている事実がございます。このようなわけで、たな子はやむなく五割値上げを承認せざるを得ない状況となっております。かりに五割値上げとなりますと、収入が年額四千四百六十五万八千円、こうなります。国鉄へ納付する使用料、また、固定資産税等は変化がございませんから、従来のとおりの九十万円を差し引くと、わずか二百八十八平方メートルのところから四千三百七十六万一千円、すなわち坪当たり五十二万円、一カ月にしますと四万三千円、このような収益があるわけです。このようなばかなことを許しておいていいものかどうか、ここに問題があると思うのです。ここでその付近のものは、すべて貸し付け方につきましても画然としておりますし、中間で不当な利益を得ているような模様はございませんが、ここだけが不当な利益を得ております。なぜ国鉄はこの整理ができないのか、やる気があるのかないのか、この点を明確にしてもらいたいと思います。
  270. 長浜正雄

    ○長浜説明員 本件の場合、秋葉原の総武線の西に付属する高架下の部分でございますが、たぶん私の想定しておりますところと同じであろうと思うのでございますが、本件は昭和二十四年ころの社会の混乱期に、この辺も非常に混乱しておりました。群小の露店商といいますか、そういう人たちの整理をするというようなことで、東京都からの協議がありまして、それで国鉄が協力をいたしまして、その当時からこの高架下を貸しておる。こういうものでございまして、その当時から貸しておりますが、その貸し方につきまして、その後三十二、三年ころの貸し方についての規程の改正、あるいは三十三年でしたか、四年でしたか、高架下の刷新措置要綱、それらに基づきまして、国鉄としましては、全国的に直接貸す、あるいはその後、昭和四十年ころの間接高架下貸し付けの管理会社方式というようなことで貸し付けるというような方向に全国的に処置を進めておりますが、本件につきましては、そういう過去のいきさつがございまして、いまだにそのままの状況になっておりますが、われわれとしましては、なるべくすみやかに正常化をするように処置をしたい、こういう努力をしておる段階でございます。
  271. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは先ほども申し上げましたけれども、物資部の問題、あるいはいま申し上げたような国鉄の高架下の貸し付けの問題等については、まだまだこれ以外にもいろいろな問題があると私は思います。たとえば中央高架と吉祥寺の駅ビルの関係、あるいは交通公社の乗車券等の発売手数料と後納制の問題、こういう問題についていろいろのうわさ話を耳にしておりますが、いずれにいたしましても、きょうは時間もございませんし、次の機会に譲りますが、国鉄に関連のある諸問題をすっきりと解決して、国民から愛される国鉄となり、冗費を節約して、経営の能率化をはかって、どうしてもこれ以上のことはできない、このように姿勢を正しましたから、どうか利用者の皆さん値上げをお願いします、こういうようなことであるならば、国民値上げ了承すると思います。まずこの辺の整理をしてから値上げ案を提出すべきだった、こう思うのでありますけれども、値上げ案は、あの不当な採決によってすでに衆議院を通っております。こういう事態でございますが、今後も国鉄内部の姿勢を正すという意味において、国鉄当局ももっとしっかりやってもらいたいし、また、国鉄監督者の立場にあるところの運輸大臣、きょうはかわって鉄監局長にその辺の点について最後にお答えをいただいてて、終わりにしたいと思います。
  272. 町田直

    町田政府委員 ただいま御指摘のございました高架下の貸し付けの適正化につきましては、国鉄から御答弁申し上げましたように、いろいろ長いいきさつがありまして、必ずしも適切でないという面がございますが、できるだけ正常化を急ぐということで努力をいたしております。私どもも、そういうことで国鉄指導してまいりたいと思います。  なお、その他先生の御指摘のございました部内の合理化近代化、あるいは古いしきたりで不合理になっておるものの適正化ということにつきましては、全力をあげて努力していきたいというふうに考えております。
  273. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄といたしましては、さいぜんも御答弁いたしましたように、できるだけ正常化の努力をし、また、一般国鉄の業務全般につきまして、できるだけ合理化近代化の努力をする中において、こういう問題も、そのとおりに最善の努力を尽くしていきたい、こういうふうに考えております。
  274. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一問だけ国鉄に別の問題ですけれども、これは簡単です。  北区豊島五丁目に日産化学の王子工場がありますね。これが近々移転します。そのあと地が公営住宅の敷地になる予定でございますが、現在そこに王子駅から須賀駅まで引っ込み線がございます。日産が移転した場合には、これが不要になってきます。その際、引っ込み線は撤去して、その用地を道路用地として地方の公共団体に移管すべきであると私は思いますが、この際、それをぜひ無料で払い下げてもらいたい、この点を希望しておきますが、お答えをひとつ伺っておきます。
  275. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄の不要になりました用地につきましては、これを処分するにつきましては、地方公共団体に優先払い下げるということは当然のことでございます。これは無償というわけにはまいりませんので、また、東京都から道路として使いたいという要求がございましたから、価格その他の点についてお打ち合わせの上、できるだけ要望に沿うように努力をしたい、こういうように考えております。
  276. 砂原格

    砂原委員長 次回は、来たる十八日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会します。    午後二時四十四分散会