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1969-03-19 第61回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十九日(水曜日)     午後十一時十七分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 阿部 喜元君 理事 大竹 太郎君    理事 徳安 實藏君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       加藤 六月君    金子 岩三君       川野 芳滿君    菅  太郎君       木部 佳昭君    四宮 久吉君       渡海元三郎君    中川 一郎君       西村 英一君    福家 俊一君       福井  勇君    箕輪  登君       井上  泉君    神門至馬夫君       内藤 良平君    矢尾喜三郎君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       玉置 一徳君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         運輸政務次官  村山 達雄君         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         海上保安庁長官 河毛 一郎君         高等海難審判庁         長官      早川 義男君         気象庁長官   柴田 淑次君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局水資源課         長       松村 賢吉君         大蔵省主計局主         計官      丸山 英人君         水産庁漁港部建         設課長     矢野 照重君         運輸省海運局参         事官      須賀貞之助君         建設省河川局開         発課長     川崎 精一君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道常         務理事     井上 邦之君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 三月十九日  委員福家俊一君及び岡沢完治辞任につき、そ  の補欠として渡海元三郎君及び玉置一徳君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員渡海元三郎辞任につき、その補欠として  福家俊一君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  陸運海運日本国有鉄道経営港湾及び海  上保安に関する件      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会の件についておはかりいたします。  すなわち、本委員会において審査中の、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措置法案について、大蔵委員会物価問題等に関する特別委員会からそれぞれ連合審査会開会申し入れがありますので、この申し入れを受諾するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、連合審査会開会日時等に関しましては、大蔵委員長物価問題等に関する特別委員長と協議の上、追ってお知らせをいたします。      ————◇—————
  4. 砂原格

    砂原委員長 次に、陸運海運日本国有鉄道経営及び海上保安等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部喜元君。
  5. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 きょうは大臣に、国土総合開発新幹線のことについておもに聞きたいと思ったのでありますが、それはあとにいたしまして、昨日行なわれました国労ストについて、新聞を見ますと、二百万人の足を奪って大混乱を呈しておる。国鉄が生きるか死ぬか、非常に注視の的の中で、この法治国において、まことに心外にたえない。その国労スト理由をまず国鉄総裁に、どういう理由でやったか、お伺いしたい。
  6. 石田禮助

    石田説明員 お答えいたします。  組合の主張するところは、つまり運賃値上げ反対運賃値上げというのは、大ぜいの人の負担になるだけであるということで、われわれから言えば、実にこれはもう問題にならぬ。国鉄というものは、御承知のとおり、いま非常な危機に瀕しております。これを立て直しするためには、やはり三位一体で、政府というものは、ひとつ財政措置を講じて一はだ脱ぐ。国鉄というものも合理化に徹してやる。それでさらに残りは、ぜひひとつ利用者負担でやってもらいたいということが、今日の運賃値上げの問題でありまして、これは公平、公正に見て、国鉄としては堂々と主張し得るものではないかと私は考えております。
  7. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 結果的には、運賃値上げは大体ベースアップに使われる、こういう事情にかかわらず、はたしてこのスト国民の協力を得られるかどうかということで、国鉄当局がこのストに対して、どういう対処をされたかというようなことも聞きたいのですが、まずこれに入る前に運輸大臣に、岡山両備バス定期バスですね。これで非常に大事件が起こったのでありますが、これをひとつ国民の前にまず発表してもらいたいと思います。
  8. 原田憲

    原田国務大臣 いまお尋ねが二つありまして、昨日の国鉄ストライキに対して当局はどういうふうに対処したか、私に対するお尋ねが一点。それからあとで、けさ起きました事故につきまして報告しろということでございます。先に報告からさしていただきます。  定期バス岡山両備バス転落事故について、御報告を申し上げます。  本日の午前七時ごろ、岡山玉野槌原国道三十号線におきまして、両備バス、これが転落事故を起こしております。目下救助中でございまして、九時現在、死者八名、負傷者三名、救助四名。乗客は、小中学生を含む通勤、通学の乗客約二十名であります。玉野発岡山行きの両備バス国道を運行中、対向の大型トラックに接触し、そのはずみで道路左側の約十メートル下の用水池に転落したものでございます。岡山陸運事務所整備課長が現地に急行し、調査中でございます。たいへん残念なことであり、なくなられた方には心から哀悼の意を表し、負傷者の方々には、一日も早く回復なさることを祈るわけでございますが、いま申し上げたように、目下調査中でございますので、またわかりましたら、御報告をさしていただきます。  それから、十八日のストに対しましてどういう対処をしたか、こういうことでございますが、いまのお話にございましたように、運賃値上げを阻止というストライキ、これはちょっと異例なことでございます。その規模、内容が国民生活に甚大な影響を及ぼすおそれのあることも、これは言うまでもございません。そこで、私はこの計画が公表されました段階から見守っておりましたが、スト前日の十七日には国鉄総裁を呼びまして、国鉄総裁はすでに警告を発しておられましたけれども、その情勢をお聞きし、なお一そう国鉄労組説得努力を尽くしてもらうことを要請しまして、スト回避への努力を行なったのでございますが、翌日の御報告を聞きました際には、夜の夜中、十八日に入っても、二回にわたって副総裁は三役と会って説得につとめたが、努力のかいなく、ストという状態に立ち至ったということでございまして、まことに遺憾千万であります。自分たちの月給は上げたらよい、ほかのものは押えろ、そんなかってな理屈は私はないと思っております。そこでもう一つは、これは違法のストである、こういうことをなされるということは、まことに遺憾千万なことでございます。
  9. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 大臣は非常に責任を感じた発言でありますけれども、このスト国鉄にしばしば認められていいものかどうか、この法治国において、われわれは断固とした態度でこれに臨んでもらいたい、という前に、この全国的なスト影響のあらましを、ひとつ国鉄総裁のほうからお聞かせを願いたい。
  10. 石田禮助

    石田説明員 井上常務のほうから詳しく申し上げます。
  11. 井上邦之

    井上説明員 事実の経過説明でございますので、私から申し上げます。  十八日の違法ストの結果でございますが、全国的に申しますと、列車運休が約六百五十本に及んでおります。それから遅延関係でも、約百四十本に及ぶ列車がおくれておる、こういう大きな結果を及ぼし、国民皆さまに多大の御迷惑をかけたわけでございます。問題は、東京周辺に一番大きな影響を与えておるのでありまして、全国的に見ますと、地方ではさしたる影響を与えておりません。東京周辺だけでも、列車運休が六百二十五本ということであります。それから、おくれを出しました列車の数が百十五本に及んでおります。これは、わずかに一分くらいの遅延から、最大は約一時間に及ぶおくれを出しておる、こういうふうな影響を出しております。都民の皆さまの足に対して、非常に大きな御迷惑をかけた次第でございます。
  12. 砂原格

    砂原委員長 井上委員関連質疑を許します。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 いまの岡山でのバス事故で、大臣説明によりますと、大型自動車と接触した、大型自動車貨物自動車であるのか、それからその自動車営業用であるのか、自家営業であるのか、自家用であるのか、その辺のこと。また、運転手の年齢、経験、そういうものがわかっておれば御報告願いたいと思います。わかっていなければ調査の上……。
  14. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど申し上げましたように、現在調査中でございますので、わかり次第御報告をいたします。
  15. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 いまスト影響報告がありましたが、大ざっぱに言って、損害金額にしたらどのくらいになりますか。
  16. 井上邦之

    井上説明員 損害計算は非常にむずかしい問題でありまして、得べかりし利益まで計算いたしますと、これは非常にばく大なものになりますけれども、そこまでの計算はなかなかむずかしいのでございます。現実に損害として考えられますのは、この違法ストのために、当局が、普通の勤務でありますれば勤務しなくてもいい時間に、超過勤務として勤務をさせなければならぬ、あるいは特別な警戒をするために、やはり若干の金を出すとか、いろいろなものがございますが、詳細は現在調査中でございまして、いま手元にお答えするほどの資料は持ち合わせておりません。
  17. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 影響金額というよりも、きのうの各新聞を見ますというと、各駅に何か石ころでも投げ出したような、人間扱いされていないような、国民に非常に精神的な御迷惑をかけておる。こういうことが行なわれておるわけでありますが、こういう国鉄政治ストに対して、当局は従来どういうような処置をしてこられたか、ひとつ御参考にお聞かせ願いたい。
  18. 井上邦之

    井上説明員 再三申し上げますように、国鉄職員争議行為というものは、公労法の十七条によって一切禁止されておるわけでございます。したがいまして、この違法の争議行為に対しては、そういうばかなまねはしてはいかぬということを、再三再四繰り返して警告を発しますけれども、やはり組合には組合立場がある。結局は、実力をもって争議行為に入るということになるのでございまして、この実力行為に対しまして、私どもがそれでは実力でこれに対処できるかといいますと、管理職人間は全体の十分の一でございまして、一割でございます。数をもって対抗するには一対一〇で、これはとうてい実力をもって対抗するわけにまいりません。したがいまして、ストというような違法行為をかまえます場合には、事前に説得説得を重ねて、こういうことはするなということを言いますし、交渉を重ねますけれども、結果としては、やはり国民皆さまに御迷惑をかけるというようなことになっておるわけでございます。あくまで違法のストでございますけれども、やはりこれをやりますのは国鉄職員でございまして、これにつきましては、国鉄管理者としても、やはり重大な責任というものは感じております。
  19. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 こういう違法ストを放置するということになると、この公労法十七条は空文化されてしまう。こういうわけでありますが、これに対して国鉄総裁、今後どう対処していかれるか、ひとつ決意のほどをお聞かせ願いたい。
  20. 石田禮助

    石田説明員 御承知のとおり、ああいうストをやることによって、いかに多くの人がそれがために迷惑をこうむるか。だからして私は組合幹部に対しては、ああいう法律で禁止してあるストを平気でもって最近はやっておる、それで、ああいう大ぜいの人に迷惑をかける。たとえば今度の運賃法の問題なんかをたてにとってやるなんということは、いまストをやってみたって、それじゃ国鉄はああいう運賃法の提案を引っ込めるか、引っ込めはせぬ、どこまでもこれは国鉄再建のために、われわれとしてはやらざるを得ぬのだ、だからして、やったって何も効はないのだ、結果は得るところはただ一つ、大ぜいの人に迷惑をかけることなんだ、大ぜいの人に迷惑をかけることによって、自分の目的を達成するということはいかにも心さみしい、そういうことは国鉄職員責任から考えて、また、国鉄職員良識にかんがみて、絶対すべきことではないのだ、よしてくれということを再三再四言うのですが、それに対しては別に何ら抗議はない、ごもっともだというような顔をしておるので、別れるときには握手して別れるのですが、帰ってみると、やはりもとのもくあみ、何ら変わりはない。結局、この問題は、われわれは彼らの良識に訴えてやるしか方法はないのだ。とにかく非法な行為だけはやめねばいかぬ。ことに、国鉄職員というものの責任から考えてやめねばいかぬ。その点われわれとしては、ああいう違法ストをやるということについては、どうしたらいいかということになれば、これは法に定められたところによって処置する以外には方法はない。こういうことで、その点については、今後ひとつ法に許す範囲において、できるだけの厳罰に処せねばならぬ、私はこういうように考えております。(「そのとおり」「穏やかでないぞ」「政府が悪い」と呼ぶ者あり)
  21. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 総裁がいま厳罰に処さなければならぬ、こう言われましたが、ひとつ運輸大臣決意をお聞きしたい。
  22. 原田憲

    原田国務大臣 いまお話しのように、国鉄労組ストは認められておらないのであります。この法治国家にあって、いま不規則発言で、何でも政府が悪い、こう言って押し通そうとするところに治安が乱れてきて、社会混乱をしてくる。そういうことで、だれが政権とっても、法律というものがある限り、この法律を守っていくということが社会生活国民生活の根本になっておる。それを破るということはもってのほかである。いま国鉄総裁が言われたように、この問題は国会で審議をしておるのでありまして、これを撤回しろというようなことを言って労組ストライキをやる、違法のストライキをやって、そして国民に迷惑をかけるということはもってのほかのことであります。言論機関においてきのうのストに対して、読んでみますと、この政治ストの前途は困難だろう、総評の組んだ行程に国労だけが独走した、こういう批判を加えて、今度の政治ストに対する専門的な見方から評しておるのも、お読みになっておると思います。国労幹部が、いま総裁の話を聞くと、総裁が一生懸命話をしたら、そのときは握手して別れた、結局はやっておる、こういう話であります。全く遺憾千万なことでありまして、これに対して厳罰に処するという所存である、こういう話でありましたが、私は、法を破った者は当然法に従って処断されるものである、こういうように考えております。
  23. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 どうかひとつ国民に対して、き然たる態度で臨んでいただきたい、強くこれを要望いたしておきます。  大体、この反対運動国民の支持を得たと考えますか、われわれは、それは得たと解しない。国鉄総裁、どうですか。
  24. 石田禮助

    石田説明員 これはもうさっき申しましたとおりに、彼らの良識にまつ、責任観念にまつよりほかはないのでありますが、しかし、その良識をしてふるい起こさせるようなことを、やはり私なんかがやらなければいかぬ。やはり法に定められたる範囲において彼らの良識をふるい起こす、それはやはり厳罰だと思います。とにかく良識でやるという責任意識を喚起し、最後は、どうしてもいけない場合はそこにいかざるを得ぬ。——それは、あなたは何とか言うけれども、あなた、国鉄総裁ならどうしますか。
  25. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 国鉄総裁は給料を返上して、日本国鉄再建を命がけでやっておられるということで、われわれ日ごろ尊敬をいたしておる。ところが国民に対して——いまこの運賃値上げというのが注視の的にある。ところが、その国鉄組合ストをやる、やはり、えりを正して国民にいま相談をしておるところなんです。そういうところで、国鉄部内においてこういうことをやるということにつきましては、まことに遺憾千万であります。今後もひとつ一そう重大な決意で臨んでもらいたいと要望いたしておきます。  次に、新幹線の問題を少し大臣に聞きたいのでありますが、大臣は、大臣になられる前に、自民党の政策審議会に長くおられまして、閣僚中最も政策通だ、こういうふうな評判があるわけでありますが、この日本国土総合開発という立場から、ことに日本輸送ということについても、大臣になられる前から広く研究をされておると思います。きょうの日本経済新聞を見ますと、二十年後には日本はアメリカを追い抜いて、国民一人当たりの所得世界一になる、こういうことが書いてあったわけでありますが、われわれこの輸送を考えます場合に、日本の総生産世界第三位だ、この原因を私なりに考えてみますと、第一は、明治のわれわれの先輩が今日の教育の普及を果たした教育制度をつくったこと、第二には、思い切って国鉄を国内に敷いたこと、第三は、安い原料を日本に入れるために海運に力を入れたこと、この三本の柱がもとになって、今日の日本経済成長発展になったものだと私は思う。ところが、教育の問題も再検討せねばならぬ時代、いわゆる輸送の問題も、一応国民にふさわしい輸送条件を出さなければいけない、さらに二十年後のビジョンに対処した輸送を考えなければいけない、こういう重大な時期じゃないかと思います。この明治の元勲に負けないだけの勇気と識見を持って、日本国づくり対処していかなければならない時代じゃないかと思うのであります。そういうことから国土総合開発計画が考えられておると思うのでありますが、これに対しまして、大臣の心がまえと申しますか、そういうものをまずお伺いしたいのであります。
  26. 原田憲

    原田国務大臣 昨日、板川さんの冒頭の質問に、私はその場で、国鉄がどういう働きをするかという立場に立ってお答えを申したのでありますが、自由民主党昭和三十五年、現在の菅野さんが経済企画庁長官のときに、新しく所得倍増政策というものを昭和四十五年を目ざして打ち出したことは、御存じのとおりであります。これが一億という人口になる日本の国において、国民所得の場を得るということを目標に立てた計画であったことは、御存じのとおりであります。その後、池田内閣に至って、これのテンポを早めよう——これはいま野党の諸君は何とか言っているけれども、そのときはみな言ったのです。池田内閣になってこの政策を発表したときには、そんなテンポじゃだめだ、もっと早いテンポでいかなければだめだ——共産党だけはそう言いませんでしたけれども、そういうことで突き進んできたのです。ただそれにひずみが出てきて、これに対して何とかしなければならぬじゃないかということで答申が行なわれ、一方では、新しく経済社会発展計画というものが昭和四十六年を目ざして四十年から出発すると同時に、新しい全国的な総合開発計画というものを立てなければならぬじゃないか、こういう答申から、いま経済企画庁で、本年にこれを発表しようという準備をいたしておるのであります。その中で、いまあなたがおっしゃっているように、いろいろな統計数字もとにはじいてみると、ハーマン・カーンという人は二十一世紀と言ったけれども、きょうあなたのおっしゃっていることは、現在のテンポでこのままいったら、一九九二年に日本国民一人一人の所得世界一になるであろう、こういうことを言われておる、こういうのであります。これはあくまで、いままでの統計数字そのままにいったということを前提としておるわけでありますから、そうなるとは言えないわけでありますが、私はそうなるように持っていきたい。いま日本の国は、共産社会をのけた国民生産では二位になった、こういうことを言うと、それでは国民個人所得は何番だ、こう言う。日本人口が一億ですからね。人口が一億で頭割りにしていけば、これは低下せざるを得ない。イギリスのように、半分でこれだけの総生産を上げていたら、一ぺんにその倍になる。簡単に計算すると、そういうことになるのであります。だから二十何番なんということは、世界百三十幾つ国があるのですから、決して低い地位じゃない。しかも、これは為替レート計算しているのですからね。はたしていまの為替レートが正しいかどうかということについても、今日国際収支がよくなってきたら、日本為替レートはドイツとともに、もっと考えなければならぬじゃないかというような議論が出てくるのであります。したがって、現在までの政策のひずみを直し、みんな協力してやっていく時代が来ているのじゃないか。私は党におるときから申し上げておったのです、いまは科学技術の力で月の世界人間が到達するという時代に来ておる、それに百年前の思想を根底にした経済的な観念をもってしたら、それにマッチした人間が進歩していく社会がつくれるか。それよりも実際にわれわれが新しい観点に立って、近代経済学が絶対とは言いませんけれども、あらゆる知恵をしぼってやっていく時代が来ているのじゃないか。その意味で私は、今度の昭和六十年を目ざした全国総合開発計画というものは、一応われわれ自由民主党責任を持っておる政治の場で、政府が出してくるという中に、これから先のあり方というものを出してくると考えております。  いまあなたのおっしゃっておる新幹線問題等につきましても、その場合どうなっておるかということについて、交通通信の新ネットワークの整備はきわめて重要でございますから、この新幹線輸送というものが、日本列島の新しい骨格を形成することが必要であるという見方をしておることは、私は適当なことであろうと考えます。いま国鉄再建の、われわれがお願いをいたしておりますことも、ここに国鉄の使命の一つがある、こういうことを考えて、具体化していこうと考えておるわけであります。しかし、その具体的路線延長等につきましては、今後十分に慎重に検討すべきものでございまして、四国における新幹線鉄道等についても、十分検討していくべき問題であると考えております。
  27. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 具体的な構想につきましては、いろいろあろうと思いますが、四国新幹線のことが大臣のほうから出ましたから、ひとつ申し上げたいと思うのです。  現在の新幹線は、大阪、東京へみんな集まっていらっしゃいと、民族大移動を助けているような結果になっておる、国民には愛されておる。しかし、このままでいくと、東海道へ日本人口が集まってしまう、そこに国の総合計画も必要でないかと思うのです。一方では、高速道路というものの大体の骨ができておる。道路鉄道は夫婦のようなものだ、こういうことを言っておる人がありますが、国土総合開発の終着駅は、高速道路新幹線とを調和さして、全国に二十万から三十万の地方都市をつくる、これでなくてはならぬと私は考えておるわけであります。そういう観点から見ますと、現に北海道と青森はトンネルをやっておられる。北海道もけっこうでありますが、われわれの四国は、非常に気候もいい、こういう観点から、四国、九州の経済価値のほうが、はるかに多いのじゃないか。また、距離も北海道−青森の三分の一であるというような観点から、四国新幹線というものは、四国、九州及び本州を結んでの地域開発の意味から、非常に重要な意味があるのじゃないか。中曽根運輸大臣のときにも、私は同様な質問をいたしたのでありますが、中曽根運輸大臣は、ひとつ検討をしようという答弁をしたわけでありますけれども、いま橋が三本、非常に騒がれておる。この橋の関連もあろうかと思いますが、大臣はそういう意味から、四国新幹線構想に対して、もう一度見解をお示し願いたいと思います。
  28. 原田憲

    原田国務大臣 新幹線につきましては、先ほど、日本の今後の、具体的には昭和六十年を目ざした国土総合開発計画ということを申し上げたのでありますが、その六十年あるいは七十年から、先ほど言いましたように二十一世紀を目ざしていく中で、運輸通信は、人間経済社会を営んでいく限り必ず要るわけです。これは絶対的なものです。その中で、いま国鉄再建推進会議が指摘しておるような点については、鉄道というものは十分働き得ると考えます。その場合に、新幹線というものが働き得る最も有力なものであるから、これを整備して全国的なネットワークを組む、こういうことは必要である。この場合に、四国地方にも新幹線網を持っていかなければならぬ。こういうことで、具体的には今後検討させていただきたいということを申し上げておるのでありますが、すでに、たとえばいま橋の話が出ましたが、この橋については、鉄道を敷くということの前提をして、建設省は建設省、私のほうは私のほうで調査費をつけて調査をいたしておるのでございます。函館のトンネルもそうでございます。その際に、今後というものを考えながらその調査を十分生かしていく、こういうふうにして検討をし、具体化を進めていくという順序をとっていかなければならぬと考えております。
  29. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 新幹線に対する考え方をいろいろな角度から調べてみますと、地方へ新幹線をつくっても、東海道新幹線のようになかなか採算がとれない、こういうような意見をちまたに聞くのでありますが、全国のうちで、もし東海道新幹線のようなもので採算がとれなければ、単線の新幹線ということも考えられないか、そういうことについて大臣どう思われますか。
  30. 原田憲

    原田国務大臣 これは専門的な話でありますから、私が答えても権威のないことではなかろうかと思いますが、私は、人間というものは、結局、知恵の戦いだ。だから私鉄というものも、小林一三という人が私鉄を経営したときに、かつて世界にない私鉄経営というものを編み出したわけですね。いまは、それをみなまねをしておる。その時分にはどう言ったか。だめだ、そんなところへ線を引っぱって何になる、こう言ったものです。だから、先ほど言いましたように、人間の知識がどこまで進んでいくかわからぬ。いまわれわれ、わあわあ言っているけれども、実際ソビエトとアメリカは、空の上から世界じゅうのことが全部わかっているというのでしょう。わからぬのはポラリスだけだというのでしょう。そういうことを開発してまた技術が、いまはあれに集中しているけれども、今度はそれをわれわれの実際生活の中に応用して進んでいったらどんなことになるか。それは私は、ほんとうにとてつもないことができていくのじゃないか。それを平和なうちに、全人類のために使っていくのが大事であるから、だから、えらい飛び火しますけれども、学問の力です。それを学問を忘れて、ヘルメットをかぶって棒を持って解決できるか、こういう気がするのです。あなたはいま単線新幹線と言われたが、それは国鉄の技術屋さんがいますから、国鉄側から答えさせたいと思います。
  31. 石田禮助

    石田説明員 そういう問題は私にもわかりませんが、新幹線四国へ引くということは、私はよほど考えものだと思います。要するに、新幹線を引く場合には、その輸送力に適応した輸送需要があるかどうかという問題だと思う。御承知のとおり、東海道は人口の四割以上が集中しているところでありますからして、東海道新幹線は成功したのですが、これも、ひとつ御参考までに申し上げなければならぬのですが、東海道新幹線のことを考えるときには、在来線とコンバインして考えなければいかぬ。ということは、新幹線のできる前の、三十八年における在来線の収支を見ると六百十九億のプラスになっておる。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 ところが、新幹線は三十九年の暮れから今日まで、四十二年までは合計して六百十九億のプラスにはなっていない、四十三年に至って、ようやく六百十九億のレベルにきた、こういうことなんで、独立採算で経営しなければならぬというワクをちゃんとはめられておる国鉄といたしましては、新たに新幹線をつくりますなどという景気のいいことを言うと、あるいはお喜びになるかもしれないが、事実問題からいえば、どうもむずかしいですね。たとえば、これは四国のみでなくて東北へ引け、こういうのですが、仙台まで引いたって、はたして採算がとれるかどうか。かりに私があと十年総裁としておるとして、新幹線を東北に引けと言われた場合に、よろしい引きましょうということで私がやれば、よほどばかだ、なかなかこれは引けやしません。私がやるとすれば、政府の勘定においてやります、こういうことでやるので、独立採算のもとにおける今日の国鉄もとでやるということはむずかしいし、ことに四国に対しては、はなはだお気に召さぬようだが、ちょっとこれは見込み薄じゃないかと思います。
  32. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 それは採算という立場からいろいろ検討しなくちゃいかぬことはよくわかるわけですが、国土総合開発立場からものごとを考えなくてはいかぬところに問題があるので、国家的使命になれば、われわれは予算の面については、これは国家が重要となれば大いに考えなければならぬ、こういうこともあるので、総裁、そう弱気になってもらっちゃ困る。国土総合開発立場から交通というものを考えなくちゃいけない。二十年後にはアメリカを追い抜かなくちゃいかぬのだ。そういう立場から地域格差をなくして、国の調和した発展を考えなくちゃいけない、そういうところで議論をしておりますので、総裁、そう気が弱くなってもらっちゃ困る。もう少し気を強くして、総合開発的な立場からひとつお考えを願いたい、かように思います。  話を転じまして、私鉄の問題が運輸大臣のほうから先に出ましたが、いま国鉄の関係で悩みの一つは、赤字線であろうかと思います。この赤字線の問題について、私鉄との関係において、なかなか私鉄が赤字線を好きこのんで払い下げてくれというようなものもないと思いますけれども、今後の長い日本の交通関係において、場所によっては、これを民間に移譲してやらすというようなことは考えられないかどうか、大臣大ざっぱでいいですからお答えを願いたい。
  33. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄を民間の私鉄へ払い下げるということについては、現在の法律的な問題で私はできないというように解釈をいたしておるのでございます。この点が解決をされ、それがより国民へのサービスになるということになるならば、要は国民へのサービス、これが目的なんでございますから、そういうことは絶対に不可能である、こういうことは言えないわけでございますが、いまのところは、現在の法律ではむずかしい、こういうことであります。
  34. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 この問題はなかなか困難なところがあろうかと思いますけれども、いつも言われますとおり、交通というものは、すべて総合的に国全体として考えなくちゃ解決しないと思う。ですから、そういう広い範囲から、衆知を集めて総合的に考える意味から、簡単に一つヒントを与える意味で申し上げたわけでありますが、今後それを検討される御意思があるかどうかということを、もう一度お伺いいたします。
  35. 原田憲

    原田国務大臣 これはいまあなたが後段に言われたように、交通というものは陸、海、空にわたる総合的な問題で、きのうも渡辺さんから御質問があったのですけれども、こういう問題等々も考え合わせて、今後検討せねばならぬ問題であろうと思います。
  36. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 質問者がたくさんおられますので、私は飛び入りでやりましたから、なるべく簡単にしたいと思いますが、最後に、貨物輸送について一問だけ聞いておきたいことがございますが、国鉄の貨物輸送昭和三十年には総貨物の五二%、これが四十一年には二六・二%に減っておると聞いておるが、この数字は間違いありませんか。
  37. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 いまの数字はシェアではないかと思うのでありますが、確かに現在は国鉄輸送量といたしましては、昭和三十二年ごろと大体横ばいでございます。しかし、トラックその他各交通機関のシェアという点から申しますと、申されたような数字だと思います。
  38. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 そうすると、二六%の大幅の減ということになるわけですね。ところが、四国の私のところは日本一の愛媛のミカンができるところですが、この四、五年、われわれに対して貨車が足らぬ、貨車が足らぬとミカンが送れぬ、高い自動車で送るとミカンが高くなる、価格が上がるということで、毎年そういう運動が起こるようなわけです。大体五年後には、愛媛のミカンは倍になります。お得意は幾らでもあると思うのです。愛媛ミカンを一つ例にあげましてもそうです。ところが、一方二六%も減っておる。ものの考え方によれば、お客さんは幾らでもある。ミカンを貨車で早く東京なり大阪に送りたい。そういうことについて、この貨物の対策といいますか、われわれも政治家として、どうしても貨車がとれなければ、船をつくらすとか何か対策を考えなくちゃいかぬ。現実に困っておることについて、対策を考えておられるようでしたら御明示を願いたい。
  39. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 先ほどの国鉄輸送量という点につきまして、もう一度御説明申し上げますと、三十年におきましては四百二十六億トンキロ、それから四十二年におきましては五百八十五億トンキロで量的にはふえております。しかし、逆にトラックが三十五年には二百八億トンキロでございますが、四十二年には八百十一億トンキロということで、シェアといたしましては、当時は一五%でございましたが、三三%になっております。こういうのが現状でございます。ただいま御指摘の四国の貨物輸送につきましては、貨物の輸送力というものにつきましてのまず第一の考え方は、陸上の輸送力が問題でございますが、この点につきましては、予讃線あるいは宇野線の問題が現在輸送力が整備されております。問題になりますことは、結局、上りの貨物の輸送力でございます。現在の状況におきましては、四国から申し込みいただいております貨物のうちで、大体三分の一程度が輸送できているというのが現状でございます。したがいまして、国鉄といたしましては、宇高航路の輸送力をつけるという点に重点を置いておりますが、先般新しい船を三ばい入れてみまして、これを全部古い船と取りかえて、輸送力を増強いたしております。しかしながら、それに対応しまして、現在は陸上の設備——宇野と高松の陸上の設備が実はまだ整備されておりません。引込み線の有効長が短いために、現在二十七両の積載ができます船に対して二十両しか積めないというのが現状でございます。したがいまして、この点につきましては、これらの設備につきまして、約三億円程度の投資をいたしまして、本年度末にはこれを増強する。その結果どうなるかと申しますと、現在の航送力が一日片道五百三両でございますが、八十四両ふえるとなりますと、約五十万トンの輸送力が年間につくことになりますので、さしあたりましては、四国の上り貨物の輸送力としては、相当つくというふうに考えております。今後の問題としましては、十分検討いたしまして、航送力の問題その他何らかの手段というものを検討しなければならぬと考えております。
  40. 阿部喜元

    阿部(喜)委員 構想の一端を聞きましたが、今後も大いにひとつ力を入れて検討を願いたい。もう少しいろいろな角度からこまかく質問をいたしたいのでありますが、あと四、五人待っておられるようでありますから、最後に申し上げたいのは、ストに対しては決意のほどを伺いましたが、大臣も、国鉄総裁も、土性骨を据えて、国民に向かってき然たる態度でお臨みを願いたい。これを要望いたしますと同時に、今後のこの輸送の関係というものは、国民経済の発展、政治の目標の中核になる。釈迦に説法のようでありますけれども、どうかひとつ大臣におかれても、日ごろの政策通の面を大いに国家国民のために活用されまして、国をしょって立つという決意で、今後運輸行政に当たっていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  41. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 米田東吾君。
  42. 米田東吾

    ○米田委員 私は、一月五日の午前十一時三十二分といわれておりますが、千葉県沖五十キロの海上で遭難されましたぼりばあ丸の海難の問題を中心にいたしまして、御質問を申し上げたいと思うわけであります。もうすでに今日まで二カ月余の歳月を要しておりまして、この委員会でこの問題を取り上げるのは、ややおそい感がございますけれども、これから若干の御質問をしたいと思うわけであります。  冒頭に、この海難にあたりまして、ぼりばあ丸の長沢船長以下三十一名の船員の方々が、とうとい犠牲になられたわけでありまして、私は心から哀惜の情と御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。遺族の方々に対しましても、重ねて心からお見舞いを申し上げるものでございます。  このぼりばあ丸海難の問題につきましては、当時の新聞報道によりますと、大臣も非常に心痛されまして、この事後対策、あるいは緊急の救援対策、あるいは原因究明に対するいろいろな対策について相当な配慮がなされた、加えて、大臣談話まで発表されているという事態を、私は承知しているわけであります。この際、大臣から、このぼりばあ丸の遭難の問題につきまして、総括的に現在の大臣のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思うわけであります。特に私は、遭難の経過等については、もう時期が過ぎておりますから、私も承知しておりますので、詳しくは必要といたしませんが、この遭難によって私は、日本海運あるいは造船技術、あらゆる面で教訓とすべきものが多々あるだろうと思うのであります。したがって、そういうものを中心にして、大臣の所信をまずお伺いしておきたいと思います。
  43. 原田憲

    原田国務大臣 米田委員お尋ねの、ジャパンラインKKの所属貨物船ぼりばあ丸が、一月五日、お話しのように十一時三十二分、船体が前部から沈没した。こういう事故があったわけでございまして、当時私は、就任まだ日もなかったのでございますけれども、日本海運国である、世界の新造船の半分まで日本がつくっておるという状況下にあって、その優秀な日本船が、特に何万トンというような船が沈没した、こういうことはたいへんな事件である。こう判断をいたしまして、さっそく閣議でも発言をいたし、所要の措置をとるために運輸省において省議を開き、措置をとったわけでございます。  その大要を申し上げますと、海の事故の場合は、原因を究明するために、海難審判という制度がすでにできておるのでございますけれども、この事件の重要性にかんがみまして、事故の原因がどうであるにしろ、この機会に造船技術上の見地から、今後この種の鉱石運搬船の事故防止上留意すべき事項につきまして、私の諮問機関であります造船技術審議会において、特に鉱石運搬船特別部会を設けて検討していただくことになったのであります。一月二十四日、第一回目の会議を開催いたしまして以来、船舶の材料、強度品質管理、生産及び検査に関する施設等の専門的分野について、鋭意調査検討を進めておるところでございまして、運輸省自体といたしましても、この種鉱石運搬船の現況について調査を進めておりますが、さらに具体的に一船一船について運航実績、船長からの事情聴取などを中心として、現在早急に調査を行なっておる段階でございまして、数カ月後には何らかの結論を出したいと考えておりますが、現在までの調査段階では、類似の鉱石運搬船については、特に安全性について問題のある船はないという報告を私は受けておるのでございます。なお、これから御質問があるかと思いますが、具体的には、それぞれ政府委員から答弁をさしたいと思います。
  44. 米田東吾

    ○米田委員 運輸省の関係につきましては、とりあえずあとで御質問いたしますが、第一番に私この際伺っておきたいと思いますのは、もうすでに二カ月経過をいたしておりますし、この問題の報道によりますと、救援対策等については、もう打ち切られておるというようなことも聞いておりますが、それはとにかくといたしまして、この遺族の方々に対する対策といいましょうか、それらの関係は、いまどんなふうに、どういう段階まで進んでおるのか、そこから先お聞きをしたいと思うわけであります。これは民間のジャパンラインの船だといいましても、運輸省として、この種の海難の問題でありますから、当然私は現状について掌握されているものと考えるわけでありまして、まず遺族に対する現在の補償なり救援の対策等がどういう段階にあるか、お聞きをしたいと思います。
  45. 原田憲

    原田国務大臣 この事故が起こりましたあと、私は会社の責任者からこのことについて、遺族並びに会社の関係者一同が士気阻喪をし、というようなことを心配いたしておりましたが、そういうことはない、そして、まず十分なことをしなければならぬと考えておるという報告を受けておりましたが、政府委員から具体的には答弁させます。
  46. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。  船員法の規定によりまして、この種の職務上の死亡の場合におきましては、標準報酬月額の三十六カ月分が遺族に対する遺族手当といたしまして、船員保険会計から支給されることになっております。これについては、ただいま手続が進められております。  で、ただいま大臣から申されましたように、その他、会社におきましては、遺族に対して十分今後のことを考えるという基本的な考え方で、遺族といろいろお話しをしておるというのが現状でございます。
  47. 米田東吾

    ○米田委員 船員保険の関係は、これは法律事項でありますからわかりますが、ジャパンラインの遺族に対する対策というものは、まあ心配のないように進められておるという答弁でありますけれども、もう二カ月も過ぎておるわけでありますから、相当具体的な措置というものが進められておるのじゃないかと、私、推察するのであります。差しつかえなかったら、現在どういう段階にあるかということを、もう少し説明していただきたい。
  48. 高林康一

    ○高林政府委員 会社側といたしまして、誠意をもって遺族に対しまして、いろいろお話しをしておるという段階でございまして、最終的には、遺族の方とまた具体的に——最終的な段階には現在至っておりませんけれども、なお現在それを進めておるというのが現段階でございます。
  49. 米田東吾

    ○米田委員 抽象的な御答弁でありますが、現在陸上におきましても、交通災害等については、たとえば保険金を引き上げるとか、いろいろ法律的にも改正が検討されている。しかも、金額にいたしますと、約一千万円程度まで引き上げたらどうか、というような話すら出ている段階でございます。この種の関係は、これはあとでずっと私、質問いたしますけれども、日本海運にとりましても、たいへんでありましょうが、船員にとりましても、たいへんな問題であり、遺族の方々にとりましては、なおたいへんな問題だと思います。そういうときに、この補償の関係が、誠意を尽くしておるとは言われますけれども、私はやはり問題だろうと思うのであります。いろいろ船員の雑誌とか、あるいは業界の雑誌等を見ますると、そういう点については、きわめて注目されている記事がたくさん出ているわけであります、したがって、これは私は、会社が誠意を尽くしておるというだけで、監督当局として放置されておいていい問題ではないと思うのでありますが、十分ひとつこの点については、今後も対処をして遺憾のないように——大船に乗っておればだいじょうぶと言ったのが、大船に乗っておった船員が一瞬にしてこのような事故にあう、大きな損失でありますし、その当事者にとりましては、たいへんなことでございますので、これはひとつぜひ努力をしていただきたいと思うのであります。  具体的にジャパンラインの会社のほうから、何か報告が来ていませんか、どうです。
  50. 高林康一

    ○高林政府委員 会社側からは、誠意をもって処理する、そうしていま具体的に遺族の方々と、それから関係の労働組合というような方々が中に入りまして、お話を進めておられる、そういう状況については、私のほうとしては伺っております。したがいまして、今後の状況につきました逐次お話を伺いながら、先生の御趣旨を体して処理してまいりたいというふうに考えております。
  51. 米田東吾

    ○米田委員 じゃ、ひとつその点は十分努力をしていただきたいと思います。  次に、私はこの遭難の関係につきまして、最初に気象庁長官のほうからお聞きをしたいのでありますが、一般的に一月五日のこの時期におきましての気象並びに海象という関係につきましては、ある新聞は、大しけであるというような書き方をしているところもあり、また、ある雑誌や新聞等は、これはもう冬型としては普通だ、波の高さなんかも八メートルくらいで、これはもう普通なんだ。したがって、言わんとするところは、このような事故が起きるような気象条件や海象の条件ではなかったということがいわれておるように、私は聞いておるわけであります。したがって、私はまず一月五日のこの前後におけるこの周辺の気象条件、まずその点はどんなふうになっておりますか、長官からお聞きしたいと思います。
  52. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 本年の一月五日の天気図をいまここに持っておりますが、それを見ますと、カムチャッカ付近に非常に大きな低気圧がございまして、それからその西のほうは、大陸から張り出している高気圧がございます。その張り出しは、当日はたいして強くはなかったようでございますが、天気図を総観的に見ますと、やはり冬型の天気図ということになっております。遭難されました地点の風向、風速その他につきましては、遭難の地点には、ちょうどそこに何も観測点がございませんので、付近にたまたまおりました船からの資料、あるいはその付近の天気図からの資料で推定をいたしますと、当時の風向は西ないし西北西でございまして、風速は十五ないし十八メートルでございます。それから波の高さは、五ないし六メートルというように推定されるのでございます。このような状態は、大体毎年冬の太平洋、その辺の海象としましては、そう珍しくない現象でございます。  ただ、先生いまおっしゃいましたように、これがとんでもない大しけであったかどうかということにつきましては、これは場所によりまして、たとえば、いま申し上げましたようにカムチャッカ、あの付近に低気圧がございますので、その低気圧の中心付近では二十メートル以上の大風が吹いておりまして、大しけになっておりました。波も相当高うございましたけれども、遭難船の付近においては、ただいま申し上げましたような程度でございまして、これを大しけと申していいかどうか、これは感覚的な問題ではないかというように考えております。  それに対しまして、ついででございますので、気象庁といたしましては、当日の朝の六時に強風警報をその付近の、遭難船の付近の海上に対して発布いたしております。これは海上保安庁のほうの第三管区保安本部の通信所から、そこの無線で全般的に放送されております。なお、気象庁独自のJMC及びJMHなどの放送で付近の気象状態を流しております。  以上でございます。
  53. 米田東吾

    ○米田委員 いまのお話ですと、一般的にはそうたいした、大しけという状態ではない。しかし、いまのお話で気にかかるのは、局部的には、あるいは予想以上のそういう海象の状態が起きるというようなことがあったかもしれぬ、そういう趣旨ですね、そうじゃないですか。——それでその点、もう一回よく御説明いただきますが、何か雷、そういうようなものは、この前後にはこの周辺にあったのですか、なかったのですか、そういう点がもしわかっておりましたら聞かしてもらいたい。
  54. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 ちょっとことばが不得要領の点がございまして、申しわけございません。ところによって大しけと申しましたのは、低気圧の中心付近のことを指しておったのでございますので、カムチャッカ付近の海上は大しけだという意味でございます。  それから、その前後に雷のような現象はなかったかという御質問ですが、ただいま私の手元に入っている資料からは、それはございません。
  55. 米田東吾

    ○米田委員 そうしますと、警報としては午前六時に強風警報が出ておる、それだけで、当日はこの遭難の十一時三十分前後までは、気象上あなたのほうから警報らしいものは何も出ておらない、こういうことでありますね。
  56. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 そのとおりでございます。
  57. 米田東吾

    ○米田委員 どうでしょうか、この日、このぼりばあ丸の航路というものが太平洋のどういうコースを描いて走ってきているのか、これはあとで聞こうと思いますけれども、予想される航路の全般的な気象というのは、いまの長官の答弁で、大体そういうことだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  58. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 航路につきましては、私よく存じませんけれども、大体常識的に考えまして、あるいは聞くところによりますと、船はやはり低気圧を避けて、できるだけ安全かつ経済的な航路をとっておるという話は聞いております。
  59. 米田東吾

    ○米田委員 私どもしろうと考えでも、いまの御説明の限りにおいては、このような大きなぼりばあ丸の遭難というような、しかも船体がまっ二つに折れての遭難というようなことが起こり得る気象条件はなかったというふうに考えていいのじゃないかと思いますが、長官はどうでございますか。
  60. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 船体構造につきまして、私、全くのしろうとでございまして、何ともお答えすることができないのでございますが、先ほどのお話もございましたように、遭難の原因につきましては、海難審判庁のほうで目下調査中だと聞いております。気象庁としましては、それの結果を待っております。
  61. 米田東吾

    ○米田委員 海上保安庁にお聞きをしたいのでありますが、この日の、要するにぼりばあ丸からのSOSが入ってからの海上保安庁の、特にこれは第三管区になるかもしれませんが、この海難に対する救援対策というものを、ひとつ最初に、大体総括的に聞かしていただきたいと思います。
  62. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 海上保安庁は、五日の午前十時三十分にぼりばあ丸のSOSを受信いたしております。このSOSを受信いたしましてから、直ちに私どもの通信所から遭難放送を行なっております。これは付近航行船舶に対しまして、ぼりばあ丸がSOSを発しておるという注意を喚起いたしますとともに、遭難現場に直ちに急行するように措置をしたものでございます。また、これによりまして、あるいは直接付近航行船舶がSOSを受信いたしまして、数隻の付近航行民間船舶が現場に急行いたしております。これと同時に海上保安庁は、巡視船を四隻及び航空機を現場に差し向けるよう手配をいたしております。同時に海上自衛隊に対しましては、航空機の出動を要請いたしました。  さしあたり当日とりました措置は以上でございます。
  63. 米田東吾

    ○米田委員 海上保安庁で一番最初に現場に着いたのは何ですか。船か飛行機か、それとその時間。
  64. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 海上保安庁は、このSOSを受けますと、「いず」「のじま」「しきね」、この三隻に対しまして出動を命じますとともに、羽田におりますビーチクラフト、これに出動を命じております。で、一番先に現場に着きましたのはビーチクラフトである、こういうことでございます。  時間でございますが、ビーチクラフトは五日の十三時三十五分に羽田を出発いたしまして、十五時二十五分現場に着いております。
  65. 米田東吾

    ○米田委員 それから、船のほうは何時に着いていますか。「いず」「のじま」「しきね」のうちで一番早く着いたのは……。
  66. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 一番初め現場に着きましたのは巡視船「のじま」でございますが、これが、五日の十一時五十分に出港いたしまして、あくる朝、六日七時二十分に現場に着いております。そのあと「いず」が十時に着いております。
  67. 米田東吾

    ○米田委員 わかりましたが、一番早いビーチクラフトの飛行機で、羽田を立ったのが十三時三十五分、現場へ着いたのが十五時二十五分、もう船が沈没してから非常に長い時間を経て現場へ着いているような状態だと思います。羽田を飛び立った時間を見ても、十三時三十五分でありますから、もう二時間もたっておる。この種の海難——緊急を要する救助体制というものは、こんなにあなたのほうは時間がかかるのですか。
  68. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 巡視船及び般空機の緊急出動体制につきましては、私どもも日ごろから即時出動できるよう、常に注意をいたしておるわけでございまして、ただいま先生の御指摘のように、私自身といたしましても、さらにその緊急出動のタイミングを向上させるよう今後一段の努力をしてまいりたい、こういうふうに考える次第でございますが、航空機につきましては、やはり全体の機数が非常に少ないということ、あるいはまた、巡視船につきましても、必要な船が整備状況に入っておる、いろいろな原因がございますが、しかし、これは私どもの言いわけにはなりませんので、ただいまの御趣旨に沿うよう努力いたしたいと思います。  ただ、この「ぼりばあ」に関しましては約五百キロ、海里にいたしまして約二百五十海里の地点でございますので、ある程度立ち上がりの問題とともに、かりに十七、八ノットのスピードで参りましても、巡視船としては相当時間がかかるということは、ひとつ御理解願いたい。と同時に、航空機によりましてできるだけ早く地点をつかみまして、あるいはまた、通信の一〇〇%の活用によりまして、付近航行船舶に至急援助を頼むというような手配については、今後さらに、このような遠距離海難については行なう必要があると思います。また、現に「ぼりばあ」の場合には、付近航行船の健島丸が約一時間の距離におりました。この結果、二名が救助されるということに相なった次第でございまして、なお努力いたしたい、こう考える次第であります。
  69. 米田東吾

    ○米田委員 努力は大いにしてもらわなければなりませんけれども、しかし、いまの答弁だけでは、ちょっと私は納得できないのです。SOSを受け取ったのは十時三十分といま報告されているわけですね、答弁いただいておる。それから船が二つに割れて、轟沈のかっこうで沈没したのが十一時三十二分、それから羽田のビーチクラフトが飛び立ったのが十三時三十五分であります。そうしますと、SOSからあなたのほうは、緊急出動なり救難の体制に入るのだろうと私は思うのですね、第三管で受信して直ちに。ちょっと時間がかかり過ぎておりませんか。何かそれは事情があったのですか。幸いに今度は「健島丸」が御説のように近くにおった、したがって生存者の二人は、それによって助けられたという事態がありましたけれども、それは海上保安庁からすれば、私はもっけの幸いであったので、あなたのほうの救難体制からすると、そのことによって、この責任がのがれられるということはないと思う。これは何か特別の事情があったのですか。  それからもう一つは、新聞社のほうの飛行機が早かったというのですね。新聞社の飛行機、これは命令とか指令とか、そういうようなものがありませんから、ニュースが発生すれば、直ちにそういう体制になるでありましょうからね、比較にはならぬと思いますけれども、ここらあたりは私は理解できないのです。もう少し具体的に説明をしてくれませんか。
  70. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 まず私どものビーチクラフトの問題でございますが、実は先ほど申し上げましたように、遭難地点が羽田から二百五十マイルという地点でございます。そこで、私どもの航空機としては、ビーチクラフトが一番足の長い飛行機でございますが、これは大体海上進出距離が三百マイル弱、こういうことでございます。したがいまして、私どもがそのビーチを現場へ出すということについては、当時の海象、気象条件を相当検討したという問題がございます。しかし、結果といたしましては、ビーチクラフトは十分その能力を発揮いたしましたが、航空機については、そういう性能上の問題が当初これを出動させるときにはあった。したがって、これはビーチの出動を準備すると同時に、海上自衛隊に対しましてP2Vの出動を要請したということも、このような事情に基づくものでございます。  それから巡視船の問題につきましては、これは特に先生が御指摘のような原因ということではございませんで、私どもの緊急出動体制というものを今後さらに具体的な現場において検討して、その時間を縮めていくということに努力いたしたい、こういうふうに考える次第でございます。
  71. 米田東吾

    ○米田委員 長官、私が簡単に答弁いただきたいのは、SOSが入ってからビーチクラフトが羽田を飛び立った時間まで三時間ある。このことを私、聞いておるわけなんです。緊急発進で三時間、それは事前に、いまのお話によりますと、天候の状態等で相当検討を加えた。いずれにいたしましても、ぼりばあ丸がSOSを出して、その間、記録によりますと、相当交信しているわけです。あなたのほうへ刻々と情勢は入っておるはずなんです。そういうときに、あなたのほうの専門の飛行機が飛び立つまでに三時間もかかるというのは、一体そんな救難体制なのかということなんです、私の聞きたいのは。その点どうなんですか。
  72. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 いまの緊急出動の立ち上がりの時間の問題につきましては、航空機につきましては、いま申し上げましたような性能上の検討を、羽田においてやっておるという点が一つございます。今後はそういった点につきまして、さらに判断を早くいたしまして、飛行機を発進させるということに特段の努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  73. 米田東吾

    ○米田委員 これは別にあなたのほうを責めているわけじゃないですけれども、こういう状態だということであれば、やはり海上保安、救難体制というものについて、私どもも相当検討しなければならぬ、こういう立場で前向きのつもりで御質問しているわけです。これは特別、何か事情があったということじゃなしに普通、そうすると、やはりこのときのビーチクラフト、これは相当性能が弱い、いまのところ、あなたのところは、ようやくYSが今度増備されたようですね。それにいたしましても、三時間もかかるような体制では、どうも私は問題だと思うのですが、このぼりばあ丸のときには何か事情があったのですか。たとえば操縦士が間に合わなかったとか、あるいは、ほかに飛んでおったとか、普通のときは、もっと緊急性があって直ちに飛ぶのだけれども、このときは、たまたまこういう事情があって三時間もかかったんだ、何かそういうものはあったのですか。
  74. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 このときは、先ほども申し上げましたように、本船の遭難地点が二百五十マイルの洋上にあった。したがって、二百五十マイルの洋上にあった地点に対しましてビーチクラフトを、当時の気象、海象条件のもとに十分な捜索時間を持って効果的に飛ばし得るかどうかという検討をいたしました。結果論といたしましては、現地へ着きまして約四十五分現地海面を捜索いたしております。当時、羽田からビーチクラフトの発進に時間がかかりました原因はそれでございます。
  75. 米田東吾

    ○米田委員 ついでに、航空自衛隊に要請した飛行機は何時ごろ着いているか。それから、これは取材だろうと思いますけれども、朝日新聞の飛行機が一番早く着いた、これは一体何時何分ごろ着いているか。
  76. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 海上自衛隊の第四空軍のP2V一機が、当日十三時十四分下総を発進いたしまして、十八時四十分帰投いたしております。それから朝日の関係は、いまちょっと資料を持っておりませんので、申しわけございません。
  77. 米田東吾

    ○米田委員 あとでまた何しますから、この点ではよろしゅうございます。  それからさっき、SOSの受信を三管で受けたのが十時三十分、この場合は、通信の宰領船は健島丸、当初そういうことになっておったようですね。したがって、健島丸との交信は、記録によりますと、相当ひんぱんにやられておる。三管としては、この健島丸との交信はずっと傍受しておるのですか。それから、適時にあなたのほうから、救難についての指示とか司令というようなものは通信を通して出されておったのですか、この点はどうでございますか。
  78. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 三管は健島丸との通信は、途中電波状況が悪くて、一時連絡が悪くなったことがあるというふうに記憶いたしておりますが、その時間以外は、連絡をとっておるわけでございます。
  79. 米田東吾

    ○米田委員 その記録ありますね。記録あったらもらいたい。
  80. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 はい。
  81. 米田東吾

    ○米田委員 そこで、通信の問題、いまこの機会に聞いておきたいのですが、健島丸の通信士の報告によりますと、今後の救難についての通信施設といいますか、そういうものについては、相当示唆に富んだいろいろ話が出ております。たとえば、いま取りつけておる器材が、はたしてこれでいいかどうか。それから配置されている通信士がこれでいいかどうか。要するに、このような非常緊急の場合、これは再検討を必要とするのではないかという意見をある雑誌に載せております。いまのお話でわかりましたが、このような場合は、ややもすると現場に近い船が通信では宰領船になって、昼夜を越えて、不眠不休で通信の任に当たる。私どもしろうとは、一般的に海難等があれば、あなたのほうでいわゆる宰領船がやるような、そういうことについては一切やられるものだと実は思っておったのでありますけれども、ある点では新しい知識を得ましたけれども、そういうことを考えますと、いまの通信士の配置の体制、これは昨年ですか、一昨年でしたか、法律改正等があったようでありますけれども、これらの関係につきまして、長官として再検討を必要とするというような、そういうお考えはございませんか。
  82. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 特に、今回の「ぼりばあ」の経験から見まして、健島丸と三管との連絡に関して、ただいま御指摘のような不都合があったというふうには私ども考えておりません。
  83. 米田東吾

    ○米田委員 たとえば交信できなかった、それは何か空中障害か電波障害で交信できなかった。大事なときに、しかも、よその船はちゃんと通信して有効に交信されている。あなたのほうの三管が、電波障害か何かで混線してとれなかった。これは私はやはり信用したいと思いますけれども、どうも交信あるいはこの問題についての体制というものが、日常張り詰めた体制にあるのかどうかということがちょっと心配になる。  もう一つは、宰領船の健島丸が今回非常な働きをしておるわけです。その健島丸の通信長の意見というものは、非常に参考にしなければいかぬのではないかと実は思うわけなんですけれども、そういうことでいまお聞きしたのです。保安庁としてどうかということでなしに、そういう場合について考えてやる、あるいは再検討を必要とする事態を認識されておるかどうか、ということをお聞きしたわけなんです。
  84. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 先ほどちょっと申し上げました途中で、三管の受信がやや困難になったということを申し上げましたが、これは原因は空電でございます。したがって、原因ははっきりいたしております。  それからもう一つ、通信の宰領の問題でございますが、一般的には、海上保安庁の通信所の宰領によって通信活動が行なわれる。ただ健島の場合におきましては、先生が御指摘のようなことがありましたが、これは実際だれが宰領するのが一番便利であるかという問題であろうと存じます。一般的に健島の通信状況につきましては、私どもがそれと交信している限りにおきましては、特にいま先生の御指摘のような点について御意見を申し上げる点はない、こういう状況でございます。
  85. 米田東吾

    ○米田委員 あとでまた機会もあると思いますから、十分聞きたいと思います。  次の問題でございますが、大臣並びに海運局長にお聞きしたいのでありますけれども、いまの御説明でございますと、造技審の中に鉄鉱石の特別部会を設けて一生懸命検討中だ。その他、私どもが知っているところでは、ジャパンラインにしても、石川島播磨にしても、いろいろな機関でこの事故について原因究明の活動がなされておるように聞いているわけであります。したがって、それらは相当時間がかかるだろう。だから、それはそれとして私は認めていいと思うのでありますが、ただ問題は、当面、事故究明とはかかわりなく、予想される現在の同型船に対する安全対策あるいは航行上の安全対策、そういう面で緊急に何か手を打つようなものがあるだろう、あっただろうと私は思うのです。そういう関係につきましては、さっきの大臣の答弁ですと、あまり問題がなかったように思います。特にそれは、同型船についてのことだったのじゃないかと思いますけれども、そういう点について、緊急に手を打つものとしてあったのか、特にこれは、船の関係よりも海運行政としてこの問題を見られた段階において、緊急的にいままで措置されたものがあったら答弁をいただきたいと思います。
  86. 澤雄次

    ○澤政府委員 先ほど大臣から御説明申し上げましたように、造船技術審議会の中にこの事故の対策と申しますか、将来の対策のための委員会をつくられた。これにつきましては、技術的には船舶局が主管でございますが、私のほうといたしましても、この審議会に入りまして対策の検討をいたしている次第でございます。
  87. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 この際、二時まで休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  88. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため出席できませんので、私が委員長指名により、委員長の職務を行ないます。  質疑を続行します。  米田東吾君。
  89. 米田東吾

    ○米田委員 午前の私の質問は、当面緊急に措置すべき事項がないかという項目を中心にいたしましてお聞きをいたしまして、引き続くわけでありますから、そういう観点でこれから船舶局長にお聞きをしたいと思います。  ぼりばあ丸と大体同型の船あるいは大型船とか、この種の専用船、これは相当あると思うのです。同型船あるいは同型船と目されるものが十六船あるというようなことも聞いておるわけでありますが、これらに対しまして、当面、運輸省の行政指導として何らかの措置がなされておれば、そのことをお聞きしたいと思います。それから、この種のいわゆる姉妹船、同型船というようなものについて、どのような手を打たれておるのか、この点からお聞きをしていきたいと思います。
  90. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 お答えいたします。  実は、運輸省といたしまして、先ほど大臣から御説明申し上げましたのですが、造技審に特別部会をつくりまして、それで対策を練ろう。もちろん、海難の直接の原因につきましては、審判庁においてこれをとらえる、並列の姿でスタートしたわけでございます。それで実は造技審のほうといたしましては、本船がないために、これの技術的な欠陥と申しますか、そういうようなものがあるかどうかを突き詰めるのには非常に問題がございまして、実は非常に広い範囲からこれを検討しようということに決定したわけでございます。大きく分けますと、船舶に対する技術的な検討を行なう、それから船舶の建造または修理に対する品質管理の問題、それから船舶の安全に関連する諸施設に関する問題の検討、大体こういう大きな項目の中に、いろいろこまかい項目をたくさんあげまして、これに実質的に取り組むことにしたわけでございまして、それに従いましてやる一方、われわれといたしましては、まず先生がおっしゃったように、何らかの共通点があるのじゃなかろうか。しかし、簡単にその原因らしきものを考えて手を打つことは、むしろたくさんの輸出船をやっております関係もありまして、慎重を期する必要もございますので、まず同型船を持っている船会社の責任者を集めまして事情を聴取しております。その事情、話を聞きましたが、いままで何ら不安は持ってないという報告を得ましたので、これに対する緊急措置をとるということをいたしませんでした。  それからそのあと、この種の船はもう何カ月かかかって外国のほうに行っておるわけでございますが、その船が入るたびに、実はいわゆる首席検査官がその船の船長に会いまして、それで航海の状況その他の関係のことを聞いております。大体四万デッドウェートトン以上の船が十二隻ほどございますが、そのうち、いままで事情聴取が済んだ船が九隻ほどございます。以上のような状態でございます。
  91. 米田東吾

    ○米田委員 事故究明につきましては、海難庁その他で直接の原因やその他については究明されていることは、私も承知しているわけであります。ただ、今度のぼりばあ丸事件というものは、あり得べからざる事故なのであります。しかも、原因がなかなか究明できない。船体自体が海底にある。生存者はわずかに二人で、しかも、それから十分な事情を聞くということはなかなか困難である、そういう、言うなれば日本の造船界あるいは海運界に、いままであまり例のない事故でありますから、それだけに、私は、運輸省としてはこの問題については真剣に、積極的に、安全対策あるいは事故究明等について努力をしていかなければならぬと思うのでありますが、いまも船舶局長が答弁されましたけれども、要するに、造船世界一、しかも、海運においても世界に冠たる実績を持っている、この事故がそういうものに悪い影響をもたらしてはたいへんだという政治的意図というものが非常に先行しているのじゃないか、そういう面からしか事故対策やあるいは原因究明についての観点というものが出ていないんじゃないかというきらいがするわけであります。たとえば、いまも説明ありました造技審の中の特別部会、これは技術的に専門的に究明をするということが主体でありましょうから、わからないわけではないけれども、こういうものに対して、たとえば船長協会とか、あるいは船主会とか、いろいろあろうかと思います。要するに、船員の代表も加えて、そういう角度からの検討というものも考えられていいんじゃないか。しかし、そういうものは排除されている。あるいは日本船長協会というのがありますね、それから航海士会というのがありますね。そういうところでも、なかなかうんちくに富んだいろいろな提言といいますか、提案といいますか、あるいは問題提起をしております。もう純粋に、あなた方が心配される船主あるいは船会社と、そこの船員あるいは従業員という立場を越えて、海上に働く者として、建設的ないろいろな提言をしておるようでありますから、そういうものとも皆さんは積極的に接触して、そうしてこの原因究明についての資料を求める、そういうようなことがあってもいいんじゃないかと思うのでありますけれども、どうも海外に及ぼす影響とか、輸出船にいろいろな関係が出てくるとか、言うなれば海運日本、造船日本というその名にかかわるということだけが、どうも皆さんが心配されている点ではないかと思うのでありますけれども、遺憾だと思いますが、この点については船舶局長どうでございますか。
  92. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 ただいま先生がおっしゃったような議論が、実は鉱石運搬船の特別部会をつくりました際にもございました。ところが、委員長はいま山県昌夫氏がなっておられるわけですが、委員長の御意向で関連のある方は全部省こうということになりまして、造船界、海運界、それから全日海、あるいは途中において船主協会の方もいろいろコンタクトがありましたけれども、実は全部そういう方々を排除いたしまして、利害にとらわれず発言のできる方をということで、実は人選いたしました。したがいまして、たとえば船乗りの観点からいえば、航海訓練所の所長とか、商船大学の教授とか、そういう方に入っていただいたということでございます。それで一応その特別部会ではそういうふうにやりまして、それぞれ専門の方が、先ほど申し上げましたような事項につきまして担当分担していただいて、そして内容を詰めていくというふうにいたしたわけでございます。ただ、これはあくまで部会でございますので、本審議会には、船主協会の方も、造船業界の方も、それから組合の方も、みんな入っておられますので、いずれそういうところには、そういう部会の成績というものはおはかりするわけであります。それからなお、特別部会の会議にはそういう委員さんが常時出てきてもよろしいということにしておりますので、実は特別部会ではございますけれども、そういう関係の方々は、皆さんいわゆる傍聴の形で出ておられるような次第であります。
  93. 米田東吾

    ○米田委員 たとえば、救命具とか安全具というものについても、今度のぼりばあ丸は、ある一つの教訓を残しているのじゃないかと思うのです。そういう関係については、どこで検討されますか。
  94. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 鉱石運搬船の特別部会におきまして、救命設備をどうしようかという話も委員から出ました。しかし、救命設備までやっておりますと、その委員会の活動が非常に広くなりまして、ある期間をきめてやるにはふさわしくない。一方、その救命設備その他のことにつきましては、われわれ常時検討を進めておるわけでございますので、実はこれは役所の仕事としまして、並行してやろうということにして、いまその案を練っているところでございます。なお、救命設備につきましても、いろいろの申し入れがございまして、いまその基本的な案を練っておるわけであります。それから先生がおっしゃったように、基本的な問題というのは、いまの救命設備は、水上で浮くということが原則になっておりますけれども、今回の場合は、おそらく船と一緒に沈んで、それが水圧か何かで救命設備の用をなさなかった面があったのじゃないかというようにも考えられますので、もし考えるとすれば、ある水圧に対する考え方をどうするかということになるのじゃないかと考えております。
  95. 米田東吾

    ○米田委員 いろいろありますが、またあとで聞きますけれども、それからもう一つ、問題点は積み荷の関係、これは伝うるところによりますと、南米の鉄鉱石だけれども、いわば相当加工をした上質の、しかもバラの鉄鉱石だということがいわれておるのですが、この積み荷の関係については、どこの産の鉄鉱石で、どういうもので、どこからどれだけ積んできたのか、この点はどうですか。
  96. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 私のほうでは、鉄鉱石五万三千九百五十トンをペルーのサンニコラスから川崎に向けて積んできた、こういうふうに聞いております。
  97. 米田東吾

    ○米田委員 積み荷の関係、今度の遭難は、そこらあたりの関係は、審判庁あるいはどこかで検討されておるのですか。これは全然別だということで、積み荷の関係等については切り離しておられるのですか。
  98. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 ぼりばあ丸はバラ積み運搬船でございまして、石炭と鉱石を交互にでも積めるようになっておるわけです。したがって、そういう構造になっておるわけです。鉱石を積むときはこの船は、鉱石は重いものですから、いわゆるジャンピングロードと申しまして、ホールドを一つおきに積んでおるわけであります。したがいまして、先ほど申し上げたほかの類似の船も、そういう運航形態で運んでおる船が非常に多いわけであります。
  99. 米田東吾

    ○米田委員 あとでまた関連してきますから、お聞きをいたします。  船舶局長にもう一つこの原因究明の関係についてお聞きしておきますが、一応運輸省の中と外に分けまして、いまの造技審の中の特別部会、それが一つある。その他に運輸省内部で、この問題についての究明の何か専門的な委員会はありますか。それから外のほうでは、業界やあるいはそれぞれの関係の会社の自主的な委員会を含めまして、どういうものができているのか、御存じでありましたら、お聞かせ願いたいと思います。   〔大竹委員長代理退席、阿部(喜)委員長代理   着席〕
  100. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 外部の調査グループとして聞いているのは、表向きと申しますか、ほんとに専門的にやっているのは石川島播磨重工業で一応委員会を設けてやっております。それからあと、私のほうの造船技術審議会は別にいたしまして、船舶局に研究グループを置きまして、造船技術審議会としては、ちょっとやりにくい調査事項その他をわれわれがここで——もちろん向こうの事務局もつとめますけれども、われわれ単独でやるものを拾いまして調査をやっておる次第でございます。
  101. 米田東吾

    ○米田委員 どうもはっきりとした答弁がいただけないようなんですが、たとえば日本海事協会では、独自に調査委員会をつくっている。あるいは石川島播磨でも、いまおっしゃったように調査委員会をつくっている。あるいはジャパンラインでも、石川島播磨と共同して原因究明についての調査委員会をつくっている。そういうふうに新聞やその他では伝えられておるのですけれども、あなたのほうでそういう点は関係がないということじゃないと思う。したがって、掌握されておられますか。そういうものと、たとえば造技審の特別部会というようなところでは、総体的に究明についての検討ができるような、そういう関係にあるのかどうか。たとえば石川島播磨は、原因究明というよりも、自分の社の利益ということが優先するような研究機関では困る。ジャパンラインだって、やっぱりそうだと思う。そういうことではないと思いますよ。思いますけれども、せっかくこのぼりばあ丸の原因究明について、これほどいわゆる民間ベースで調査研究のあれがあるんだから、あなたのほうでそれらを総体的に連絡をとられるなり、掌握をされるなりして、原因究明について、これを積極的に役立てるということがあってもいいんじゃないか、こう思って質問しているわけです。さっぱりお答えがどうもはっきりしないのでありますけれども、わかっておられますか、この調査機関。
  102. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 ちょっと、誤解もないことと思いますが、念のためにお答え申し上げておきますが、このぼりばあ丸の事故の直接の原因を究明いたす機関は、御案内のように海難審判庁でございまして、現在、司法制度で申しますと検事になります、それが原因究明をやっておるわけであります。したがって、今度の原因は、はたしてどうかという最終決定は、いまの機関としてはそういうことでございます。ただ、先生もおっしゃいましたように、日本海運国であり、そしてまた、世界の大部分の造船をやっておる関係からいたしまして、造船技術上、これを機会に、特に鉱石を運ぶ船について、構造上あるいは材質上問題がないか、こういう点を検討いたしまして、その結果といたしまして、あるいは海難審判庁のほうに提出できるような資料が出るかもしれませんですけれども、直接の担当といたしましては、御案内のとおり海難審判庁でございますものですから、原因ということにしぼりますと、いま言ったような造船技術審議会というものは、直接にはやってないのでございます。
  103. 米田東吾

    ○米田委員 政務次官、そんなのはようわかっているのですよ、午前中から大臣に質問しまして、ずっとやっておるわけなんでありますから。これからも私は審判庁のほうにお聞きしますけれども、しかし、この事故というものは、単に海難審判庁がとかく追及される船長の判断あるいは船員の判断、そういうようなものだけではないと私は思うのですね。それだけに大臣だって、この問題はたいへんだということで取り組まれたわけです。そういう観点で、造技審の中にも特別部会を設けたい。私が前段申し上げましたように、各界でもこの問題については重視をされて、自主的に——これは原因究明が主体であるかどうかわかりませんよ。あるいは造船技術の問題、あるいは気象の問題、あるいはいろいろな問題を、専門的な立場から追及されるものと思いますけれども、しかし、総体的には、これはやっぱり原因究明という方向につながっていることは間違いない。そういう立場がありますので、私はお聞きしたわけであります。  それで船舶局長、私が御質問している趣旨はおわかりだと思いますが、どうでありますか。次官のお答えは私も十分了承しております。
  104. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 特別部会におきまして自主的にやっていこうということで、非常にたくさんの項目を実はやっているわけでございます。なお、外部の協力は、これは十分得るということで、ほかのほうでつくっている委員会、それのあるなしにかかわらず、十分に協力を得ている、こういうかっこうになっております。
  105. 米田東吾

    ○米田委員 じゃ、私は一つ要望しておきますが、それぞれ、たとえば日本海事協会あるいは石川島播磨、あるいはジャパンライン、それから聞くところによりますと、海上保安庁でも三管を中心にして、これは角度は海上の救難ということが主体かもしれませんけれども、検討されているというようなことを私は承知しているわけでありますから、これらが総体的にあなたのほうに掌握をされて、そうして造技審の特別部会あるいは海難審判の段階でこれらが十分効果を発揮するような、そういう政治的配慮を、行政的配慮を、あなたのほうからやっていただくように私はお願いしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  106. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 十分了承いたします。
  107. 米田東吾

    ○米田委員 ここで特別部会の現在の究明状況をちょっとお聞きしたいと思うのであります。  メンバーはあえて私も、この段階でありますから聞きません。現在までどういう取り組みの状態にあるか、一月の二十四日でありますか、第一回の会合が持たれておる。それ以降どの程度に会合が進んでおるのか、しかも、いろいろな検討がいまどういう段階に進んでおるのか、わかりましたら説明をいただきたいと思います。
  108. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 最初の部会が一月二十四日でございますが、第二回は、実は今月の末に開く予定にしております。その間、先ほど申し上げましたように、大きなグループアップをしまして、それぞれ相当の委員さんが数名ずつでございますけれども、われわれのほうの事務機構を使って、現在取りまとめ中でございます。  それで進捗の状況でございますけれども、実は非常に——何%くらい進んでいるというふうにちょっと言いにくいのでございますけれども、とにかく一生懸命やっておるさなかでございます。
  109. 米田東吾

    ○米田委員 これは性格上あるいは目的上、たとえばある段階で中間報告——私は中間報告は何も中教審だけじゃないと思うのでありますけれども、中間報告というようなものを出して、当面改善すべきもの、あるいは勧告すべきもの、そういうものがあってもいいんじゃないかと思うのですが、そういうものはこの委員会には期待できないのでありますか。
  110. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 第二回が今月の末に開かれる予定でございまして、そのときに、いままでの大体の進捗状況、それから内容的にもだいぶ明らかになるものがあると思います。したがいまして、その次の会と申しますか、三回目くらい、これは四、五月ごろを予定しておるわけですが、そのころになったら、中間報告をしなくてはいかぬのではないかというふうに委員長とも話をしておるところでございます。
  111. 米田東吾

    ○米田委員 そのころというのは、今月の末ごろ開くという、そのころということでございますか。
  112. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 今月の末開くものは、一応いままでの成績を集めて解析するということになっておりますので、その次の委員会ということであります。したがいまして、五月の初めくらいになるのではないかという感じがしておりますが、そういうことで御了承願います。
  113. 米田東吾

    ○米田委員 私はやはりこの造技審の特別部会を大いに信用したいと思います。しかも、委員長の配慮で関係あるものは除く、そういう方針のもとに純粋に究明、解明に当たられる、こういうことでありますから、その点では信用してよろしいと思いますが、多分に政治的に出してしまう。しかも私は、いまのところこの問題で一番おそれておるのは、輸出船や今後の計画造船や、あるいは抽象的にいえば、造船世界一、海運世界一という、これに影響が出てくるんじゃないか。造船世界一、あるいは海運世界一ということが盛んに強調されているわけであります。要するに、海運日本のメンツにかかわるということが、私は、業界とか政府の非常に心配する点じゃないかと思っておるだけに、この結論というものを、私は実はある程度の心配もないわけではないわけであります。しかし、アメリカとか、外国あたりで、こうした異常な事故に対しては、国をあげて究明について取っ組んでおられ、権威のある答え、答申というものを出しておられる。そういうことでありますから、おそらく私も、この部会は権威のあるものが出るものと思いますけれども、私の心配する点については、局長としていかがお考えでございましょう。
  114. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、最初にこの委員会のメンバー選考のときにも、そういうことを十分頭に入れまして、一応委員長が選考されたという経緯から、おそらく輸出船の影響その他を特別考えていくということでなしに、ほんとうに造船技術の面からこれ突き詰めていくというふうな結果が出るものと、私どもは期待しておるわけでございます。
  115. 米田東吾

    ○米田委員 この特別部会は、審議あるいは討議の経過というものは公開ですか、非公開ですか。
  116. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 公開でございます。
  117. 米田東吾

    ○米田委員 このぼりばあ丸の関係については、総体的に言えるのでありますけれども、運輸省としては、独自に私どもに資料を一回も出しておりません。請求すればくれますけれども、進んで皆さんから、この問題について皆さんの対処の方針なり、あるいは現況というようなものについて、出されたことはないわけであります。非常に重大なもの、重要なものとして理解をしているに比べては、ちょっとそういう点ではどうかと思うのでありますが、できれば私はこの特別部会の、公開ということであれば、審査やあるいは討議の内容等についてはこの委員会に出していただく、運輸委員会に提供してもらう、そういうふうに取り計らっていただきたいと思いますけれども、これは局長と、それから理事会で十分ひとつ検討していただきたいと思います。いかがでございましょう。
  118. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 私のほうも、いずれ正規に発表されるものでございますので、途中の段階で発表を渋るというような気持ちは全然ありません。
  119. 米田東吾

    ○米田委員 委員長あと理事会でひとつこれを善処していただきたいと思います。
  120. 阿部喜元

    阿部(喜)委員長代理 米田さんに申し上げますが、理事会でそういう趣旨のあったことをおはかりいたします。
  121. 米田東吾

    ○米田委員 お願いいたします。  海難審判庁からおいでをいただいておりますので、これからちょっと、ぼりばあ丸の海難の問題を中心にしてお聞きしたいと思いますけれども、いま海難審判庁でこの問題についてどういう審判の段階にありますか、初めにお聞かせをいただきたいと思います。
  122. 早川義男

    ○早川政府委員 お答えいたします。  ぼりばあ丸の遭難地点、これが横浜の地方海難審判庁の管轄に入るものですから、ただいま横浜地方海難審判庁の理事所において、その原因究明のための取り調べをやっております。これは、まず最初に一月の七日から始めまして、いま私のところに参っておるのは、三月の六日までの取り調べの状況が参っております。
  123. 米田東吾

    ○米田委員 いま御答弁がありましたけれども、ちょっと私、はっきり聞き取れなかったのですけれども、もう一回失礼ですが……。(発言する者あり)
  124. 阿部喜元

    阿部(喜)委員長代理 御静粛に願います。
  125. 早川義男

    ○早川政府委員 このぼりばあ丸遭難地点の管轄は、横浜地方海難審判庁の管轄になりますので、横浜地方海難審判理事所においていま取り調べを行なっております。——ことしの一月の七日から取り調べの活動をやっておりまして、いまのところ、三月六日までの取り調べの状況について報告を受けております。
  126. 米田東吾

    ○米田委員 海難審判の目的、それから、この問題についていろいろ審判がされている角度というのはどういうものでありますか、私もよくわかりませんので、お聞かせいただきたいと思います。
  127. 早川義男

    ○早川政府委員 海難審判の目的は、海難審判法の第一条にもうたってございますように、海難がありましたならば、その原因を究明いたしまして、そうして裁決によって海難を防止する、再びそういう海難を起こさないようにしようというのが目的でございます。
  128. 米田東吾

    ○米田委員 そうしますと、主としてこのぼりばあ丸の場合、船長以下船員の、何といいますか、措置なり、あるいはこの遭難の対処についてどうであるか。要するに、船長以下の対処のしかたといいましょうか、そこに違法性やあるいは問題があるかどうかという角度からの審判、したがって、船体がどうであったか、あるいは積み荷の関係がどうであったか、気象条件や、そういうものがどうであったか、こういうようなことは、海難審判庁の審判の範囲には入らない、こういうことでございますか。
  129. 早川義男

    ○早川政府委員 海難審判庁の審判におきましては、「人の故意又は過失に因つて発生したものであるかどうか。」ということが第一でありますし、それから「船体若しくは機関の構造、材質若しくは工作又は船舶のぎ装若しくは性能に係る事由に因つて発生したものであるかどうか。」というようなことも検討するわけでございます。それからさらに、気象状況あるいは水路の問題、航路標識の問題、こういうものも調査いたしまして、そうして、それによる海難であるかどうかということを探求するわけでございます。
  130. 米田東吾

    ○米田委員 これは、大体いつごろ審判の判決が出される見通しでございますか。
  131. 早川義男

    ○早川政府委員 ただいまのところ、まだ理事官の調査、取り調べの段階でございまして、その理事官のほうの調査が終わりまして、申し立てがございましてから、それから審判のほうは開かれるわけでございます。いま、まだその申し立てのところにいっておりません。したがって、採決の出る時期というものは、まだ未定でございます。
  132. 米田東吾

    ○米田委員 いままでの海難審判の例からいいまして、大体何年ぐらいかかるのですか。
  133. 早川義男

    ○早川政府委員 いまのところ、特殊な事件でございまして、ちょっと見当がつきません。
  134. 米田東吾

    ○米田委員 いずれにしても、造船技術にしても、あるいは船舶の安全の問題にしましても、いまどんどん日進月歩で進んでいる。こういう状態でありますから、皆さんの審判の原因究明、そういう点については、私はやがて判決が出ると思いますけれども、皆さんの審判の中から、このぼりばあ丸の犠牲を、日本の造船技術やあるいは海運に生かしていくという点ではテンポが合わない、そういうことがいえるのじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  135. 早川義男

    ○早川政府委員 海難審判庁でやる審判は、どちらかと申しますと、裁判形式でございまして、やはり取り調べなんかも、刑事訴訟法に準じてやるわけでございまして、そういうものの調査、それから証拠が非常にやかましくなりますものですから、いいかげん、と申したら語弊がございますが、そういう点で非常に時間がかかりやすいのじゃないかと思います。いままでの例がそういうふうになっておりますので、しかし、できるだけ早くやらなければならないということで極力急がしておりますので、御了承願いたいと思います。
  136. 米田東吾

    ○米田委員 ここで私は、船舶局長に、ぼりばあ丸の戸籍について少しお伺いしたいと思います。  聞くところによりますと、これは昭和三十九年六月、石川島播磨重工業の東京第二工場で工事が開始されて、そうして引き渡しが昭和四十年九月、こういうふうに聞いているわけでありますけれども、これは、そういうことで間違いありませんか。それからこの船の船主はジャパンライン、こういうことで間違いございませんか。
  137. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 間違いございません。
  138. 米田東吾

    ○米田委員 この船は、北米、南米航路だと思うのでありますけれども、現在までの就航回数、それをまずお聞かせいただきたいと思います。
  139. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 いままでの就航実績の資料がございますが、大体二十三航海ぐらいやっておるようでございます。
  140. 米田東吾

    ○米田委員 ぼりばあ丸の航路は、大体いわれておりますように、北米、南米ですか。
  141. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 大体北米、南米の三角航路でございます。
  142. 米田東吾

    ○米田委員 今度の遭難のときでけっこうでありますけれども、あのぼりばあ丸の出航地はサンニコラス、これは間違いございませんね。
  143. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 間違いないと聞いております。
  144. 米田東吾

    ○米田委員 そうしますと、サンニコラスを出港して川崎に入るという大体のコースだと思いますが、北米、南米航路として、どれくらいの日数が一航海の大体の平均になっておりますか。
  145. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 年間、大体八航海ということでございますけれども、三角航海の場合と今回のように直航する場合と、平均して大体年間八航海ということでございます。
  146. 米田東吾

    ○米田委員 出航して帰るまでの日数は、平均はどれくらいですか。これは局長、途中寄港するということは、ほとんどないでしょう。ペルーからまっすぐ川崎に入る。気象条件で多少の違いはあったとしても、大体一航海五十日か六十日、太平洋あるいは北太平洋を航海して入る、こういうことじゃないですか。
  147. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 三角航海のときには約二カ月、それから直航の場合は、大体四十二日くらいになっておると思います。
  148. 米田東吾

    ○米田委員 私しろうとだから、わからないけれども、一航海というのでしょうかね、それが大体平均四十日と見ていいでしょうか。六十日くらいでございませんか。
  149. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 三角航海の場合は二カ月でございます。
  150. 米田東吾

    ○米田委員 私もまたいずれあとで十分お聞きしたいと思いますが、このぼりばあ丸がジャパンラインに引き渡されて、船主のもとに帰ったのがおそらく四十年の九月ということになると思うのですが、このときの日本海事協会のぼりばあ丸に対する検査の状況というのは、どんなふうになっておったのですか。
  151. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 最初に入級検査というのがございまして、この検査は船をつくるときの材料からでき上がるまで、船体構造全般にわたりまして詳細な検査を行なう検査でございます。
  152. 米田東吾

    ○米田委員 ですから、海事協会の検査報告というようなものは出されておるのですか、おらないのですか。
  153. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 それは私のほうでとっております。
  154. 米田東吾

    ○米田委員 ここに新聞もあるのでありますけれども、たとえば、これは東京新聞の一月八日付の記事であります。「ぼりばあが沈んだと聞いたとき、ああ、とうとうやったかという感じがしましたね。外部の人にはあまりいいたくないが、あの船はできたときから“黒い影”みたいなものにつきまとわれていましたからねえ」こういうようなある会社の課長の談が出ておるわけであります。このことはとかく世間に、ぼりばあ丸が誕生したときから、何かそういういわく因縁があるのじゃないかということを、一般的に流している代表的な一つの談話じゃないかと思うのでありますけれども、造船の段階でも、当然検査はあると思うのです。それから、引き渡しにあたっても検査報告というものがなされておる。こういうのは資料として出していただけますか、どうでございましょう。
  155. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 資料として出すには、やぶさかでありません。  それからいまのお話でございますけれども、実はわれわれも新聞を読みまして、あそこの第二ホールドの部分が折れたわけでありますが、そういうところに何らかのあれがあったのだろうかということで、調べてみましたけれども、特にそれらしいことも、実はあの段階では見つからなかったわけであります。
  156. 米田東吾

    ○米田委員 私の調査によると、日本海事協会の検査報告は、このぼりばあ丸の場合は出ておらない。要するに、指定事項とか、あるいは注意事項というものはなかった、こういうふうに聞いているのでありますけれども、そうすると、これは間違いでしょうか。
  157. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 最初図面処理を行ないまして、それでいろいろチェックをいたします。したがいまして、最初の設計から完成に至るまで、いろいろ指示によって変更をするわけであります。したがいまして、でき上がった段階では、もう指示事項はない、かように考えております。
  158. 米田東吾

    ○米田委員 その点はまたあとで伺います。  それから、この船が就航してから約三年たっているわけでありますけれども、この間のこの船の検査履歴というようなものは、当然あなたのほうにおありだと思うのでありますけれども、いかがですか。
  159. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 ございます。
  160. 米田東吾

    ○米田委員 いまそこにありますか。
  161. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 検査の内容を簡単に書いたものはございますが、ただいま正規の検査履歴はございません。
  162. 米田東吾

    ○米田委員 そのいま手持ちの書いたものでけっこうでありますから、ちょっと全文をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  163. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 四十年九月十三日製造検査。先ほど申し上げました入渠の検査でございますが、これは全般。それから四十年の十一月の十三日、これは臨時検査であります。これはアメリカでやっておりますが、二番の右舷、三番の両舷、四番の右舷のサイドタンクの水平板の溶接部の補修工事。それから四十一年の十月十九日、これは二種中検で全般を見ております。それから五番倉口前端両舷の隆起甲板下端部の補修工事。それから三番としまして、海難による船首部の船底外板の凹入部の一部かえ及び補修工事。それから四十二年九月二十三日に第一種中間検査、これが浮上中検査、ただし昭和四十二年十二月三十一日までに入渠検査を指定する。それから四十二年十二月二十八日、これは臨時検査、入渠検査指定を昭和四十三年二月十五日まで延期。それから四十三年二月十四日、これは臨時検査でありますが、指定による入渠検査、それから接岸の際の損傷による船首部両舷外板、ショルダータンク底板等の一部新がえ及び補修工事。それから四十三年十月十七日に第二種中間検査、これが全般と接岸の際の損傷による船首部左舷外板の一部新がえ工事。これだけが手持ちのものでございます。
  164. 米田東吾

    ○米田委員 いま読んでいただきました検査の履歴でありますけれども、これを見まして、これは私どもしろうとでありますから、わかりませんが、新造船、しかも近代造船技術の粋を集めたという新造船にしては、いま読んでいただきました検査の内容や回数というものは、ちょっと異常じゃないかという感じがするわけであります。専門の局長のほうでは、この点は新造船といっても、大体こういうことなんだという見方でございましょうか。私、そこらあたりは、ちょっと専門家の見方を聞かしていただきたいと思います。
  165. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 新造船は、一年間のうちにその船の欠点が出てくるといわれております。それから、この船は二十次船で、ちょうど船が非常に大きくなりつつあったときの最初の船でありまして、いまここで読み上げました製造検査とか、あるいは中間検査、これは定期的なものでございますが、臨時検査というものが、いわゆる補修特別工事をやったというものでございまして、確かに先生がおっしゃるように、少し多いかなという感じはしますけれども、この点、どれだけという計量的にちょっと申し上げかねる状態でございます。
  166. 米田東吾

    ○米田委員 このわずか三年間くらいに臨時検査が二回、しかも、いま読んでいただきましたように、たとえば四十年十一月十三日の臨時検査においては、二番、これは二番ハッチ、二番倉ですね。二番の右舷、三番の両舷、四番の右舷、しかもサイドタンクの水平板の溶接部の補修工事、これはほんの一くだりの文句でありますから、私どもしろうとでは、どういうところで、どういう程度の補修かわかりませんけれども、感じとしては溶接部門の補修工事というようなものについては、おかしいじゃないかという感じがするわけですね。しかも、この場合の二番、三番というようなところは、伝えられる今度の遭難で二番倉と三番倉の間が折れて、それで垂直に轟沈というかっこうで沈没をした、こういうことになっておる。これは、しろうと考えが、ある一つのものを妄想してもいけませんから、多くを申し上げられませんし、いま調べておられるわけですが、そういう関係は、いわゆる始めからちょっとおかしいということで、どうも案外こんなところに原因があるのじゃないかという気がしないでもないのです。こういう点は、ちょっとおかしいのじゃないかと思いますが、いま局長のお話では、おかしいんじゃないかという程度で、こういうものが済まされていいものでしょうかね。あなたのほうでは、こういうものについて監督権やいろいろ行政指導の権限があるわけでありますし、やはり何かその点について、きちっとした措置というものがなされなければならぬ、そういうふうに思うのでありますけれども、どうでしょうか。
  167. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 船の構造上、非常に力のかかる強力部材と、そうでない、たとえば簡単に仕切りだけというようなものと、いろいろあるわけでございます。あれだけの大きな構造でございますので、実はいまここで、すぐ、どうであるかということはちょっと申し上げかねますが、ここの、いま申された二番の右舷と三番の両舷のサイドタンクの水平板というのは、特に強力にウエートのかかることはないんじゃないかと思いますが、この補修全般につきまして、いろいろいま検討中のところでございますので、それが済みましてから、またお答えいたしたいと思います。
  168. 米田東吾

    ○米田委員 もう一つ、これはジャパンラインの中尾工務部長の話として新聞に書かれておるのでありますけれども、「三年前の四月、こちらが受け取る前にバラストタンクに水を入れたら、タンクがふくれあがった。そこで四百トンの鋼材を使ってタンクを補強した」、責任ある船主のジャパンラインの工務部長がそういうことを言っておられるわけでありますが、このことは、この検査経歴の中には出ておらないようでありますが、運輸省としては、この点はどういうふうに見ておられますか。
  169. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 実はそういう問題も含めまして、いま検討中でございますけれども、船をつくる過程において、いろいろの検査をやっています。この水張りも一つの検査のうちでございますが、そのときに、そういうふくれとかがあることも、こういう新しい船ではあり得るわけでございます。これにつきましては、実はいままでの経験と、それから新しい計算上はこれでよかろうと思ったものも、やはりほんとうの水圧をかけてみると、一部そういうことが出てくることも、間々あるわけでございます。したがいまして、その点がほんとうにそういう原因なのかどうか、実は私、先ほど申し上げましたけれども、ジャパンラインの工務部長も来ておられて、その点も話を聞きましたが、特にそういうことで心配したようなことはなかったと私は思っております。
  170. 米田東吾

    ○米田委員 私も造船については、全然しろうとじゃないのです。大体水盛りで、しかもある一定の氷圧を加えると思いますけれども、これはちゃんと設計にかなった圧力で水圧をかけるわけでありますから、その鋼材がふくれ上がるなんということは、あなたはちょいちょいあるというようなことをおっしゃっておられますけれども、最近はほとんどそんなことはないのじゃないですか。そういうことがやはり新聞には書かれておる。しかも、いまのあなたのお話だと、まあ肯定も否定もされておりませんけれども、いずれにしても、そういうことはちょいちょいあるのだというお話でありますが、私はその点はちょっと、あなたがしっかりとした根拠に基づいて答弁なさっておられるのかどうか、お伺いをしたいし、もしそういうことであったとすれば、これはたいへんな問題じゃないですか、実際問題として。その点はいかがでございますか。
  171. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 私の申し上げ方が不十分であったのですが、新しいタイプのものをつくる、そういうときには、予期しない問題が起きる可能性がありますということを申し上げたわけでありまして、特に最近、一般の船について、そういうような問題が起きておると申し上げたものではございません。
  172. 米田東吾

    ○米田委員 時間がたいへんあれですし、また、これはどうせ外航船舶の利子補給の法案もかかってきますから、あとで十分ひとつただしたいと思います。  それからもう一つ船舶局長にお聞きしておきたいと思いますけれども、いまこのぼりばあ丸は六千メートルの海底にあるということで、引き揚げについては、ほとんどもう考えられておらないようでありますが、これはやはり原因をほんとうに究明して、ある意味では積極的に世界に、この原因の究明というか、いわば真相というものを明らかにして、そうして、三十一名の犠牲になった船員の霊に報いることは当然でありますけれども、要するに、日本の造船技術、あるいは日本海運というものについて、一点の疑いも持たせないような措置というものが考えられていいんじゃないかと私は思う。したがって、六千メートルの海底だから、これはもうどうにもならぬということでは、どうも私はちょっと理解ができない。技術的にまだそこまで——水中写真とか、探知機とか、あるいは引き揚げ等は困難かもしれませんけれども、たとえばアメリカあたりでも原子力潜水艦のスコーピオン、これが大西洋で行くえ不明になった。これについては、最近の新聞では、海底の写真が出たことがあるわけです。まあスコーピオンの場合はどの程度か、はっきりしませんけれども、六千メートルと違いはあるとしても、日本のいまの科学技術なら、私は取り組んでみるべきじゃないかと思うし、もし日本でできなければ、それこそアメリカあたりからも力を借りる、科学の粋を集めて、この船の引き揚げをやるということについて、ひとつ考えたらどうかと思うのでありますけれども、これはいかがでしょう。
  173. 早川義男

    ○早川政府委員 ただいまのお話でございますが、最近の雑誌を見ましたら、六千メートル、二万フィートの海底を調査するような深海調査船というのが、二、三年たったらできるようなことを書いておりますが、いまの段階ではどういうふうになるか、私ちょっと申し上げかねるのでございますが……。
  174. 米田東吾

    ○米田委員 これは次官もひとつ考えてもらいたいと思うのですが、このアメリカの原子力潜水艦のスコーピオンの場合は、これは船体は揚がっていないようでありますけれども、新聞の記事によると、リモートコントロールのできる水中写真あるいはカメラですね、そういうものを使ってスコーピオンの——これは字がこまかくて見えないけれども、要するに操作をやっているということですね。私、この水中カメラがとらえた写真が、たしか日本新聞にも載ったと思う。ですから、私は技術はやはりそこまで進んでいると思います。したがって、ひとつこの問題をほんとうに、うやむやにするということは、これは政府の意図でもないし、ましてや、日本の造船海運界の名においても、そういうことは考えておらないと思う。そうだとすれば、何とか、金を使っても、この船体を引き揚げることができなくても、せめてカメラによる水中写真、そういうようなものは可能になるんじゃないか、こう思うのでございますけれども、この際ひとつ次官のお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  175. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 今度の問題の原因の究明は、おっしゃるとおり、非常に大事なことだと思うのでございます。やはり日本の造船というよりも、むしろ人命のために、今後の運航の安全のためにも、われわれも全力を尽くしたいと思います。ただ、いまの六千メートルのものができるかどうか、私も専門家じゃございませんが、いまの技術では、とてもできないというように、われわれ方々から聞いておるのでございます。先般もある予算折衝のときに、マラッカ海峡の海底を調べるということが話になったわけでございますが、それも私は専門家じゃございませんが、それさえ非常にむずかしいと聞いておりますが、先生の御趣旨には賛成でございますので、さらにその点を慎重に検討いたしまして、積極的に取り組みたいと思います。
  176. 米田東吾

    ○米田委員 海運局長さんに、たいへんおそくなりましたが、ちょっと御質問して終わりたいと思うのですけれども、ぼりばあ丸というのは、船主はジャパンライン、しかし、これは、どうも外国のどこかの会社にチャーターされている船だというようなことを聞いておるわけでありますけれども、この部分は、あるいは船舶局長かもしれませんけれども、しかし、海運の関係だと思うのですが、この点はどちらでもいいですから、そこらあたりの真実をはっきり聞かしてもらいたい。
  177. 澤雄次

    ○澤政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、アメリカのマルコナという鉱山会社の子会社のサンファンキャリア、こういう船会社に用船に出しております。
  178. 米田東吾

    ○米田委員 わかりましたが、そこでお聞きしたいのは、いまの計画造船のたてまえからいきますと、造船が許可になるには、やはり荷主の長期積み取り保障といいますか、そういうようなものがある程度一つの条件になっておる、そういうようなことを聞いておるわけでありますけれども、このぼりばあ丸は、荷主はどこですか。
  179. 澤雄次

    ○澤政府委員 この船は、マルコナという外国の鉱石を運ぶために使用する船でございまして、サンファンキャリアと十年の用船契約をいたしております。
  180. 米田東吾

    ○米田委員 そうしますと、十年の長期にわたる用船契約、しかも外国のサンファンキャリイズ、この会社との十年間の用船契約で、この船は造船を認めたということになるのか。——これは二十次船の一つの船になっておるわけですね。そうすると、いま現在では、日本政府の造船融資の対象になっている、助成の対象になっている。そういうたてまえからすると、外国の用船でもその契約があれば、いわば日本政府日本の金で融資をして船をつくらせる、どうもこういう点はふに落ちない、これはどうなんですか。このサンファンキャリイズというのはアメリカですね、そうしますと、これは十年間全く向こうの、アメリカの積み取り比率の計算に入るわけですね。そうすると、金は使っても、日本海運の積み取り比率は、この場合は上がってこない。どうもそこらあたりが私はふに落ちないのでありますけれども、これはどういう関係になっているわけですか。
  181. 澤雄次

    ○澤政府委員 日本船の外貨収入をかせぎますためには、日本の貿易物資の積み取りのものを充当するのがまず第一でございますが、しかし三国間輸送、これは別な海運政策からまた奨励しているわけでございまして、このサンファンキャリアの場合には、世界的な市場を持っておりますので、この船が三国間に就航することによって日本船が三国間に出る糸口をつくる、こういう意味で、こういうものを計画造船で建造することを許可しておるわけでございます。  それからいま一点、先ほど船舶局長から、この船は二十三航海したということを御報告申し上げましたが、そのうち十三航海は、日本向けの物資を積み取っております。それからマルコナの鉄鉱石を日本の鉄屋が買っておるのでございますが、マルコナの商売の方法といたしまして、CIFで鉱石を売っている。これは日本の港渡しで売っておるということでございます。いま、どんどん南米あるいは豪州の向こうの港で買うように日本の鉄屋も切りかえをやっておりますが、まだやはり、日本の港渡しでないと買えない鉱石が多いわけでございます。その場合、どういう船を使うかは、結局、向こうの荷主の自由になるわけでございます。そういたしますと、ほうっておくと、結局そういう鉱石の輸送に外国船を使われてもしようがないわけでございますが、その間に日本の鉄屋が入り、また日本の船会社が入りまして、そのうちの大部分を日本船を使って運ぶ、こういう話し合いをいたしました場合には、CIFの鉱石を買っても、すなわち、日本の港渡しで鉱石を買いましても日本船が利用できる。こういうことになりますので、そのような意味からも、日本国際収支の改善には非常に貢献しているわけでございます。それで、それが第二十次の計画造船で許可に相なったわけでございます。
  182. 米田東吾

    ○米田委員 その関係については、やはり議論があると思いますから、私はあとへ残しておきたいと思います。ただ問題は、海上運送法の第四十四条の関係はどうなりますか。これはおそらく運輸大臣が許可をしたということに、たてまえはなっておろうと思うのでありますが、それには前提条件がある。運輸大臣は、申請があったら、その許可によって船腹の供給が需要に対し著しく不足にならず、かつ海運の振興に著しく支障を及ぼすことのない限り許可するとありますけれども、いまやはり海運助成という、一つの、いうならば日本政策であります。この政策をとられておる段階において、日本の金をかけて船をつくって外国へ貸してやる、こういうことは私はまず第一にどうかと思うし、それから四十四条の三からいっても、日本の船腹はそれほど需要に万全ではないと思うし、むしろ足りないから、どんどん計画造船でやっていこうということでありますから、どうもここらあたりの点は、行政ベースがちょっと強過ぎる、法律のたてまえというものが尊重されておらないように思うのでありますけれども、この関係はどうでありますか。
  183. 澤雄次

    ○澤政府委員 日本向けの貿易物資の輸送の船腹も足りないことは、先生おっしゃるとおりでございますが、また一面、三国間輸送を奨励し、あるいはCIFで買ったものにも日本船を食い込ませるという趣旨から、こういうものも計画造船の対象にすべきだということが、運輸大臣の諮問機関でございます海運造船合理化審議会で運輸大臣に意見の具申がございまして、そういう海造審の意見に基づいて、こういう船も計画造船の対象にいたしているわけでございます。
  184. 米田東吾

    ○米田委員 一体ぼりばあ丸に、政府はこの一船についてどれくらい金を出しているのですか。助成はどれくらいの額になっているのですか。
  185. 澤雄次

    ○澤政府委員 いま手元にちょっと資料を持っておりませんが、この船は契約船価十八億四千万円の船でありますが、その当時の計画造船のベースでございますと、八割を日本開発銀行から融資をいたしております。
  186. 米田東吾

    ○米田委員 八割融資ですね。そうしてその船は、十年間の長期にわたってアメリカに貸してある。しかも、その積み取り比率は、アメリカの積み取り比率になる。どうも私はこれは問題が残ると思う。これはあとでもう少しお聞きをしていきたいと思うのです。  時間がありませんが、この船の保険金はどこでかけているのでしょうか。ジャパンラインでしょうか。それとも荷主のほうでありますか。これはどこがかけているのか、これはどちらでもけっこうでありますから、お知らせをいただきたいと思います。
  187. 澤雄次

    ○澤政府委員 この船体保険は、ジャパンラインが付保いたしております。
  188. 米田東吾

    ○米田委員 そのジャパンラインがかけている、ぼりばあ丸の保険金は幾らでありますか。
  189. 澤雄次

    ○澤政府委員 船体保険十七億五千万円をかけていた、こういう報告を受けております。
  190. 米田東吾

    ○米田委員 そうしますと、償却があるわけでありますから、この船舶の場合、三年たっているので相当償却は高いわけです。しかもこの場合は、逓減方式をとっている。沈没したときの、ことしの一月段階におけるこのぼりばあ丸の帳簿上なり減価償却を引いた現価というのは、大体幾らになっている計算になりますか。
  191. 澤雄次

    ○澤政府委員 債務残高が、四十四年一月現在で日本開発銀行が十四億五百万円、市中が一億九千二百万円、合計で銀行に対する残高が十五億九千七百万円でございます。
  192. 米田東吾

    ○米田委員 そうしますと、これもちょっと私はたいへんな問題じゃないかと思うのでありますが、建造の段階の船価が十八億四千万円、このうち八割は政府の融資。ところが、これが三年で沈没いたしまして、ジャパンラインは保険金十七億五千万円とれる。この内訳を見ますと、現在の減価償却を引きまして、このぼりばあ丸というのは大体十五億九千七百万円の価値しかない。保険金は十七億五千万円。ここらあたりがどうも私は理解できない。こんなばかげた——海運助成が問題なのか、どこに問題があるのか、これから私も十分勉強、検討しますけれども、何のことはない、船が沈めば船会社がもうかるような、こういうかっこうというのは、ちょっと私はいただけないと思うのでありますけれども、この関係について、海運局長からちょっとお聞きしておきます。
  193. 澤雄次

    ○澤政府委員 この保険を付保しておりますのは十七億五千万円ですが、これがどれだけカバーされましたか、実はまだ調査いたしておりませんが、政府の開発銀行の融資は、保険金を受け取れば、残高については全額繰り上げ償還をさせるたてまえになっております。その間、開発銀行から借りた分につきましては、保険金の入り次第全額返済する、こういうことに相なっておるわけであります。
  194. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 ちょっとお答えしますと、いま未償還残高のお話がございまして、私の聞いておるのは、簿価は十一億幾らになっておるように思います。確かに簿価と、それから保険価額との差はかなりございます。これはおそらく、普通償却のほかに特別償却をやっておるわけでございますので、それだけ形式上差益が出てくる。言いかえますと、過去においてそれだけ償却いたしまして、それだけ利益を減殺されておるということの結果が、この遭難発生時点において差益になって出てきた、こういうことだろうと思うのでございます。
  195. 米田東吾

    ○米田委員 いずれにいたしましても、この問題は非常に重要な内容を持った問題だと思います。運輸省のほうから外航船舶融資の法律改正の法案も出てまいります。そういう段階で、これはもっと十分お聞きをしていきたいと思います。  あと時間がありませんから、これで終わりたいと思いますが、何といいましても、ぼりばあ丸の今回の遭難に対しまして、第一に政府として十分な手を打ってもらいたいのは、遺族の対策であります。  それから第二は、私はやはり今後の海上における船舶それ自体の安全を含めた安全対策、こういうものが必要だと思います。少なくとも今度の、このぼりばあ丸を契機にして言われておりますように、日本の造船というものが経済面だけが追求されて、海上の労働者が命を託する船舶の安全、あるいは船それ自体の設計面、いろいろな関係に出てくる安全対策といいますか、そういうようなものがどうしてもおくれておるんじゃないか。あと先が逆になっているんじゃないか。そういうようなことが一般的に言われておるわけであります。海上労働者にそういう不安がないように、ぼりばあ丸のこの原因究明については、徹底して、しかも早期に、これは世界的に注目されている海難でありますので、ひとつ大いに努力をしていただきますことを要請いたしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。   〔阿部(喜)委員長代理退席、大竹委員長代理   着席〕
  196. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 小川三男君。
  197. 小川三男

    ○小川(三)委員 時間の関係で早急にやります。  銚子河口で三月五日に波崎の漁船第二十八山仙丸が遭難して、多くの犠牲者を出した。その前、十二月には、第一稲荷丸が遭難しておる。これは、ほとんど同時刻であり、同一地点で遭難している。この銚子河口の港湾は、港湾局の所管なのか、それとも建設省河川局は、一体どの辺まで所管の点が延びるのか、そういう点について伺いたい。
  198. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  銚子の漁港は、農林省所管の漁港でございます。河川は、御承知のように利根川でございますが、川のほうは建設省河川局の所管でございます。
  199. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうしますと、水産庁の建設課長お見えになっていますね。水産庁の所管になる水域は、銚子河口からどの辺までですか。たとえば一ノ島灯台を基点にしたら、外洋へどれだけあなたのほうの所管が延びるのか。
  200. 矢野照重

    ○矢野説明員 利根川の河口には、銚子漁港と波崎の漁港とございます。そして基点は、たしか一ノ島灯台だと思いました。半径は、いまちょっと数字を覚えておりませんが、あの水域は大体包含されておりまして、ある程度の半径を描いたその内側の水面が両漁港になっておりまして、それから利根川の中心部から奥のほうに向けて直角に引きました直線を境にしまして、右側が銚子漁港、左側が波崎漁港になっております。
  201. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうしますと、波崎漁港も銚子漁港も、あなたの水産庁のほうで所管しているということですか。
  202. 矢野照重

    ○矢野説明員 さようでございます。
  203. 小川三男

    ○小川(三)委員 この間、あなたのほうの瀬尾漁港部長は、現地に行かれましたね。あの銚子漁港の改修工事をいまやっていますが、あれは何年計画で、いつ完成する予定ですか。
  204. 矢野照重

    ○矢野説明員 銚子漁港につきましては、昭和四十四年度から四十八年度までの五カ年計画でやることになっております。総額約五十四億の計画になっております。
  205. 小川三男

    ○小川(三)委員 いまあそこで、上では鹿島港の建設をやっている。利根河口ぜきが完成すると、銚子のあそこは、ほとんど入り海になる可能性がある。ここの漁港では、絶えずああいうような遭難が起こっているのですが、これについて地元の漁師たちは、潮流の変化が起こっているのだということを盛んに言っている。あなたのほうで潮流の変化その他についての測定は、一体どこでやっているのか、これはやっておられるのか、やっておられないのか。
  206. 矢野照重

    ○矢野説明員 鹿島港の建設にからみましたその後の調査については、特に現在やっておりません。
  207. 小川三男

    ○小川(三)委員 したがって、去年の十二月にあそこで十四人の零細な漁民が、いまもって遺体は上がってこないのですから、行くえ不明。もちろん、死亡が確定している。この間の山仙丸も、十一人が行くえ不明のままになっている。これも、いまもって遺体が上がってこない。こういうような状態で、同一場所で同一時刻に起こっている。そういうのは、潮流の変化であるということを地元では盛んに言っているわけです。そういう問題について、これほどの遭難がある。これはもうすでに遭難が起こっているのですから、零細な漁民の多くの犠牲者を出しながら、そういう問題についての調査は一体どこでやるのか。水産庁が当たるのか、港湾局が当たるのか、その点はどういう形で、だれがこの責任をとって、こういう問題について対策を立てるのか。
  208. 矢野照重

    ○矢野説明員 銚子漁港あるいは波崎漁港に入港する船舶は、利根川河口をさかのぼって入港しているわけでありますが、利根川河口の航路は北を向いておりまして、冬季におきましては、北西の季節風と利根川の流れのちょうど合流点に当たりまして、従来とも非常に潮流のぐあいは悪いわけでございまして、その点につきましては、従来とも調査をやっております。したがって、今後の銚子漁港の第四次整備計画におきましては、従来の河口にたよらずに、河口から東方約四百メートルの地点に、新たに港口を設けるという計画で進めております。先ほど調査をやっておりませんと申し上げましたのは、鹿島港の建設にからんだ調査をやっておりませんということでございます。
  209. 小川三男

    ○小川(三)委員 鹿島港の建設がいま盛んに進められている状態は、あなたのほうで御存じなはずです。それからさらに利根上流の東庄では、利根河口ぜきの工事が進められている。そういう形の中で、銚子漁港に潮流の変化が当然起こり得る可能性がある。したがって、銚子漁港に対しては、まず潮流の変化を先に調査しなければならないはずだと思うのであります。そういう点はどうですか。
  210. 矢野照重

    ○矢野説明員 その点は、今回の事故でも痛切に感じまして、とりあえず茨城県におきましては、調査費百五万を組んで、さらにそういう面の調査を徹底的にやりたいと思っております。その点の指導は、うちのほうでいたしたいと思っております。
  211. 小川三男

    ○小川(三)委員 それを千葉県や茨城県のような地方財政にまかせないで、どうして水産庁自体が率先してやらないのか。しかも、銚子漁港は皆さん御存じのように、日本でも最大の漁港といわれているわけです。その漁港に対して、こうして絶えず遭難が起こってくる。これだけじゃないですよ。あそこには千人塚という塚がある。千人も遭難したというので、千人塚といわれている塚もある。そういうような、絶えざる銚子漁港の遭難が起こっているわけです。これに対して根本的な対策を立てないで、単に地方財政に依存しておるというようなことはあり得ないと思うのだが、水産庁として、もっと根本的な対策を立てるべきじゃないのか。あなたのほうでこの間も現地調査されたのですから、現地調査の結果、かりにいまのような状態で、あなたのほうで完成を待っていたら、遭難はさらに続くということを言明して差しつかえないと思うのです。したがって、人命にはかえられないわけですから、早急に根本的な対策を立てるべきだし、潮流の変化は重大な問題ですから、それらに対する調査も進められなければならないと思うけれども、そういう点についてはどうですか。
  212. 矢野照重

    ○矢野説明員 現在の銚子漁港整備計画を立てるに際しましては、水産庁におきましても三カ年にわたりまして、ちょっと正確な数字はいま覚えておりませんが、たしか総額二千万円ぐらいだと思いましたが、投資しまして、調査をやっております。それで一応現在の計画ができましたので、その計画に沿って、現在の銚子漁港の事業を進めているわけでございますが、今後ともそういう点をさらに検討して、必要とあらば調査費を計上したいと思っております。
  213. 小川三男

    ○小川(三)委員 これは早急にやってもらわなければならないと思うのですよ。遭難しているのはいつでも五十トン前後の小型の漁船で、しかも遭難しているのは、ほとんど零細な漁民である。しかも、目の前で死体が上がってこないのですよ。目の前で死体が上がってこないというのは、非常に激しい潮の動きがあるということ、これはもうおかで見ていてわかるわけですから。そういうのに対する根本的な対策を立てると同時に、早急にこの仕事を進めなきゃならないと思うのです。  次に、伺っておきたいのは、海上保安庁としては、ああいう遭難の場合、現地出動をしているんですか。銚子漁港を中心に海上保安庁が所管する海域は、一体どの辺までですか。
  214. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 海上保安庁のあの地方の救難体制でございますが、銚子には保安部がございます。保安部には、ただいまもお話が出ておりましたように、あの河口は潮流その他の非常にむずかしいところでございますので、百三十トン型の、特にあの場所におきまして、操船が差しつかえなくできるような特殊な船を配属いたしております。このほか十五メートル型のボートを一隻置きまして、遺憾なきを期しておるわけでございます。したがいまして、このたび事件の起こりましたものは、当然、銚子保安部の管轄内でございまして、その点につきましては、私どもも事件が起こりますと、すぐに巡視艇、巡視船を出しまして救難活動に当たったわけでございますが、先生からもお話がございますように、何さま磯波の非常に高いところでございまして、船の操船自身が相当困難であったということで、多くの犠牲者を出したわけでございますが、今後さらにこのような経験にかんがみまして、私どもの巡視船の利用のしかた、あるいはまた、出入港警報の出し方、あるいは救命器具その他の改善という点に努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  215. 小川三男

    ○小川(三)委員 銚子保安部が所管している海域は、一体どの辺までですか。
  216. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 いまちょっと図がございませんで、大ざっぱな話でございますが、野島崎から銚子までの海岸線の中、ちょうど那珂湊が那珂川の河口にございますが、那珂湊と銚子の中間までということでございます。
  217. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、銚子から那珂湊と野島崎がほとんどですか。
  218. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 銚子の守備範囲は、那珂湊の中間まででございます。
  219. 小川三男

    ○小川(三)委員 銚子から……。
  220. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ちょっと不正確でございましたが、那珂湊と銚子の間に線を引きまして、その銚子寄りのほうを銚子保安部が持っておるということでございます。
  221. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、銚子港はもちろん、波崎港も銚子保安部の所管である。銚子保安部には、いま船あるいはヘリコプター、そういうものの用意はあるのですか。この間は自衛隊に要請して飛行機は出ているのですが。
  222. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 船はただいま申し上げましたように、百三十トン型の、特に銚子のためにつくりました「つくば」という船が一隻、十五メートルの巡視艇一隻、計二隻でございます。銚子それ自身にはヘリコプターはございませんが、羽田からヘリコプターで約一時間の距離でございます。したがいまして、この間の場合には、防衛庁のヘリコプターの出動を御依頼したわけでございますが、私どもの体制としては、必要に応じて羽田から出す、こういう体制になっております。
  223. 小川三男

    ○小川(三)委員 これは保安部に問い合わせればすぐわかることですが、あそこは、目の前で船体が見えなくなるんですよ。倒れると思う。そうすると、乗り組み員は、風浪の中にからだがまだ没しないでいるわけです。けれども、それは瞬間なんです。次は、もうからだが見えなくなる、そういうように非常に危険な状態である。したがって、羽田から一時間でヘリコプターが飛んでも、これはもはや現場に到着したというだけで、おそらく漁民を救い上げるなどということは、できないことだと思うのです。海上保安部としても、銚子を中心に保安体制、救助体制をもっと強化する必要があると思うのですが、これは次官からお答え願いたい。海上保安庁長官は、おそらくこれは強化したい、強化する必要はないとはお答えにならない、強化するのが当然だと思う。したがって、次官、これは運輸省の政策としてお答えを願いたい。
  224. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 いま海上保安部にあります飛行機は、全体で十八機でございまして、それをいま全国の主要の地点に配置しておるわけでございますが、おっしゃるように、銚子につきましては、非常に危険な地域でございますので、根本的には、私はやはり漁港の整備とか、あるいはいろいろな警戒警報の伝達とか、そういったこともあわせ考えながら、さらに救難体制のために必要なものの増強に努力するつもりでございます。
  225. 小川三男

    ○小川(三)委員 港湾局にちょっと伺いますが、名洗の避難港は、いま工事の状況はどんな状況ですか。
  226. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  名洗は、昭和二十六年に避難港の指定を受けまして、二十七年度から四十年度まで避難港としての防波堤、水利施設を完了いたしました。ところが、避難港としてつくったのでございますけれども、御承知のように、最近は商港として発展してまいっておりまして、物揚げ場その他の設備を、四十一年度からそういう公共埠頭のほうの工事に着手いたしておりまして、引き続き今後ともそういう工事を施行したい、かように考えております。
  227. 小川三男

    ○小川(三)委員 名洗港は、地方港湾として、管理その他は千葉県が当たるわけですね。そうしますと、運輸省としては、あそこに助成するということになるわけで、あの避難港は、水揚げするような設備を持たないのです、いまの状態では。単に避難に——銚子港に入れないで、名洗港に避難しているということだけで、あそこで水揚げやその他ができないというような状態なんですが、そこまで、水揚げのできるような漁港として——避難港だけでなく、漁港として水揚げのできるような状態にまで工事を進めるような計画はお持ちにならないのか。
  228. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 避難港と申しますのは、御承知のように、水域施設と外郭施設だけが避難港でございまして、水揚げ施設は、たぶん係留施設のことだと思いますが、船を横づけにいたしまして、そこで貨物の積みおろしをやる係留施設でございます。現在その工事に着手いたしております。また、今後ともこれはそういう港の発展に従いまして、必要があればそういう整備をはかっていきたい、かように考えております。
  229. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、いま防波堤やその他の工事を進めていますが、それにはそういうような施設の計画は入っていないのですか。
  230. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 四十三年度から一応五カ年計画を予定いたしておりますが、事業費約九億程度、防波堤の延長も含めまして、係留施設も水揚げの施設も含めまして、その程度の工事を予定いたしております。
  231. 小川三男

    ○小川(三)委員 建設省の河川局の方、見えておりますか。  利根河口ぜきの工事は、水資源公団が仕事を進めていますが、これについての、利根水系全体に対する所管は、あなたのほうでおやりになっていますか。
  232. 川崎精一

    ○川崎説明員 利根川水系の関係は、建設省が所管いたしております。
  233. 小川三男

    ○小川(三)委員 利根河口ぜきの完成は、一体目途をどこまで置いてありますか。
  234. 川崎精一

    ○川崎説明員 昭和四十五年度を予定いたしております。
  235. 小川三男

    ○小川(三)委員 四十五年度というともうすぐですが、あそこでせきとめられた場合に、銚子河口までの間は、入り海のような状態に変化すると思うのですが、その点について、あなたのほうで上流からの水の放出は、一体どういう計画で進められておるのですか。
  236. 川崎精一

    ○川崎説明員 私どものほうで利根川の水の非常に少ないときに、大体三十トンを割るようなときには、それ以下の自流を流すように考えております。通常の場合には、そういうことは頻度としては非常に少のうございまして、大体百五十トン以上で逆流の場合、それから順流で九十トン以上の場合には、ゲートを全開して下流に流します。したがって、あの需要水が約五十トンのうち、二十トンは利水に活用するわけでございますが、実際の河口における舟航に格別な支障はないというふうに考えております。
  237. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、現在の水量に対して河口ぜき完成後の放出の水量との差はどのくらいになりますか。
  238. 川崎精一

    ○川崎説明員 五十トン以上ございます場合には、そのうちの約二十トンを利水にする予定でございます。
  239. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、下のあすこは入り海のような状態にならないという保証がつきますか。上でもって、上流で水をとめるでしょう。とめた場合に、当然その下の流水量は減るはずですよ。減るために水をとめているのですから……。したがって、水をとめた場合に、いまでもあれほど河口に潮が押してきている。佐原地先まで潮が上がっていたのですから、それをあすこでとめたら、あの地帯一帯は入り海のような状態になると思うのですが、あなたのほうでそれに対する対策が何かありますか。
  240. 川崎精一

    ○川崎説明員 あの河口ぜきの目的が、利水と同時に河口ぜきから上流に潮がさかのぼりまして、いろいろ沿岸に塩害を起こしておるわけでございます。そういったものを防ぐつもりで建設をしておるわけでございます。おっしゃるとおりに、二十トンばかり通常の状態で流量が減るわけでございます。これについては、いろいろ調査をいたしておりまして、完成後も調査の上で支障がございましたら、それぞれ十分しゅんせつ等の対策を講じたい、こういうふうに考えております。
  241. 小川三男

    ○小川(三)委員 そこで伺っておきますが、そうすると、利根水系の中で工業用水として、あなたのほうで幾ら見込んでいるのですか。工業用水、農業用水、上水道、三つに分けて利根水系からどれだけの水を取ろうという計画でやっているのですか。
  242. 川崎精一

    ○川崎説明員 現在の計画は、全体で百二十トンくらいじゃなかったかと思いますが、現在の河口ぜきで取水をするのは、そのうちの約二十トンでございます。
  243. 小川三男

    ○小川(三)委員 それじゃ最後に伺っておきますが、この銚子港の建設は水産庁の仕事である。たまたま遭難が起こった場合には、保安部が出動する。そうすると、それらを総合して、、あすこの遭難を防止するというような総合した対策というような案というか、そういうようなことは現在考えられていないかどうか。つまり、行政上ばらばらになっておる。片方は水産庁でやる、片方は遭難が起こった場合には保安部が出動する、いつでもそういう状態になっておる。港湾局は港湾局の仕事をする、建設省は建設省で上流での工事をやっている。つまり銚子港を中心として、総合的にそういうものを見る機関というものが必要ないのかどうか。絶えず各所管の中で打ち合わせせられて、お互いに資料を出し合い、そうしてやっていられるのか、それともいまのような状態のままなのか、その点を……。
  244. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 銚子港及びその河口における遭難につきまして、特に今後このような海難を防止するために、どのような措置をいたすべきかということは、やはり第一義的には海上保安庁の任務であろうと存じます。したがいまして、私どもが中心になりまして、今後の海難防止につきましては、地元関係機関及び県その他必要な向きと御連絡を申し上げまして、対策を進めてまいりたいと思うわけでございますが、漁港計画、あるいは港湾計画、あるいは河川計画そのものにつきましては、やはりそれぞれの所管においてお進めいただくことに相なろうかと存じますが、少なくとも私どもといたしましては、当面の河口における遭難防止のためにいろいろな対策を立て、これを関係の向きに御相談し、御協議を申し上げて、できるだけいい結果が生まれるように努力いたしたいと考えておる次第であります。
  245. 小川三男

    ○小川(三)委員 水産庁に最後に伺っておきますが、あなたのほうのいまの建設計画を、地元ではもっと早期にやってもらわなければならない、これほどの人命の犠牲の上に、なお遅々としてやっておられたんでは困るんだという強い要請があるわけですが、あなたのほうでは、それを繰り上げて進行させる体制がとり得ないかどうか。
  246. 矢野照重

    ○矢野説明員 現在立てられております銚子漁港の第四次計画におきましては、四十四年から四十八年までの五カ年計画になっておりますが、そのうち、特に漁船の安全航行のための必要につきましては、早期に、できれば三年くらいを目標にしまして完成させますように、工事規模あるいは施工技術等につきまして現在検討しております。
  247. 小川三男

    ○小川(三)委員 これはどの所管が当たるかは別として、少なくとも銚子漁港のいまのような状態、あれは大きな潮の変化が起こっているんだということを地元では盛んに言われているわけです。ですから、どの所管庁が当たるかは別として、潮流の変化や、いま現在起こっている事態について、銚子港そのものをもっと根本的に調査をして、そうして早急に対策を立ててもらいたい、この点を私は要望して質問をやめます。
  248. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 玉置君。
  249. 玉置一徳

    玉置委員 内航海運の現状と将来について御質問申し上げたいと思います。  御案内のとおり、日本列島は南北に走る非常に長い海岸線になっておりますような関係で、内航海運というものが外航海運と並んで非常に重要なものでありますことは、御承知のとおりであります。この特殊な立地条件のもとに、しかも経済の発展が、各地の産業振興によりまして立地点を持ってまいりまするに伴いまして、内航海運のふくそう化というものが当然起こってくるわけであります。そこで、この内航海運につきまして、国内貨物輸送上に占める役割り、もしくは地位と申しますか、これを政府はどのようにとらえておるのか、また、どのように対処しようとしておるのか、まず冒頭にお伺いをしておきたいと思います。
  250. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 日本経済の発展に伴いまして、貨物の輸送量は逐次増大しており、今後もますます増大されると思うのでございますが、特に日本は、いま玉置先生御指摘のとおり、周囲海にめぐらされておりまして、南北に非常に長い海岸線を持っているわけでございます。しかも陸上は、御案内のように非常に平地の少ない地域でございますので、勢い、貨物の輸送につきまして、海運に負うところが多いのでございまして、その点は、過去並びに現在におけるシェアに明白にあらわれているわけでございます。特に最近におきまして、モータリゼーションの関係でトラック輸送その他が急速に伸びているわけでございますけれども、今後はおそらくは長距離フェリボートその他で、トラックから内航海運への転換という問題が大きくクローズアップされてくるのではないか。そういう意味におきまして、この内航海運の問題につきましては、その経営に当たる企業の基盤整備、あるいは適正規模、こういう財政的の基礎を固めると同時に、今後諸般の関連施設の整備を急がなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  251. 玉置一徳

    玉置委員 まず質問の段取りといたしまして、一番先に内航海運自動車鉄道、この輸送の占める割合及び総トン数、この現在と十年向こうの将来図を、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  252. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 いま手元にあります資料で申し上げますと、これは五年間でございますが、昭和三十八年と四十二年の比較でございます。  三十八年におきまして、貨物輸送の総トンキロでございますが、千八百十億トンキロでございます。そのうち鉄道による分が三三・二%、自動車による分が二三・二%、内航海運による分が四三・六%でございますが、その後四十二年までの五年間で見ますと、全体のトンキロが二千四百四十二億トンキロでございますから、全体としては一三五%の伸びを示しているのでございます。これに対しまして、鉄道による分は総トンキロでほとんど変化がございません。若干下がっているくらいでございます。指数で申しますと、三十八年の一〇〇に対しまして九九でございますから、総トンキロで若干下がっております。これに対しまして、自動車は三十八年の一〇〇に対しまして一九三、約倍増しておるのでございます。内航海運は、三十八年の一〇〇に対しまして一三一、つまり伸び方がやや平均だということでございます。その結果といたしまして、四十二年におけるそれぞれのシェアは、鉄道におきまして二四・四%、自動車におきまして三三・二%、一〇%くらいアップしております。内航海運は伸び率が平均でございますので、大体横ばいでございまして、四二・四%、かようになっておるのでございます。  今後の十年後の見通しと申しますと、なかなかむずかしい問題でございますが、例の社会発展計画でございますが、これは四十六年度のところで一応の目標を立てておりますが、それによりますと、内航海運は現在の四二・四%が四六くらいには高まるのではなかろうか、かように見ている次第でございます。
  253. 玉置一徳

    玉置委員 ただいまの御説明でもわかりますとおり、内航海運の国内輸送に占めるシェアは、自動車輸送の伸びには及びませんけれども、ますます伸びてまいります。こういうところから見ましても、ただいまおっしゃいました四十六年度における内航海運輸送は、輸送トン数におきましても三億六千万トン、輸送トンキロで千四百五十億トンキロですが、全体のシェアは四六・三%と伸びていく、重要性はますます伸びていくわけであります。  そこで、これだけ伸びていかなければならない必要性のあります内航海運でありますが、御案内のとおり、日本の内航海運には、なかなか問題点が数多くあると思います。その数多くある問題点につきまして、これからひとつ相互に検討を加えていきたい、かように思うわけであります。  まず、海運二法が改正されましてからこの三月末に集計されます——登録から許可制に切りかえつつあるわけでありますけれども、この集約の進行度は、どういうふうになっておるかを御説明いただきたいと思います。
  254. 澤雄次

    ○澤政府委員 集約の進行度は、この三月末で申請の受付を締め切りまして、九月一ぱい、九月末までに集約を完成するように法律で相なっております。ただいままでのところ、地方の海運局を通じまして、あるいは海運組合を通じまして、行政指導をいたしてまいっております。大体法律の要請する要件を具備いたしまして、九月末までには集約を完了できる見込みでございます。
  255. 玉置一徳

    玉置委員 経営の集約というものは、どういうように進行しておるとごらんになりますか。
  256. 澤雄次

    ○澤政府委員 経営の集約と申しますのは、例の内航海運業法に基づきます許可制を通じて許可基準を設けておりますので、その許可基準に適合するように、各企業が協業をいたしましたり、あるいは協同組合をつくりましたりいたしまして、集約する準備を進めているわけでございます。
  257. 玉置一徳

    玉置委員 あの法案が成立いたしました当時に幾らの経営体があって、集約が終わります時分には、大体どの程度になると推定されますか。
  258. 澤雄次

    ○澤政府委員 当初の登録業者数は一万一千六百程度でございます。このうち集約を非常に強力に指導し、また、法律の要請しておりますのは、いわゆるオペレーターと申しますか、運送責任の主体になる企業でございますが、オペレーターは、この一万一千六百のうち約八千四百ございます。これが集約の完了の段階におきまして、約千五百まで集約ができる見込みでございます。
  259. 玉置一徳

    玉置委員 ついでにお伺いしておきますが、千トン以上の船舶は内航海運でどのくらい、五百トン以上及び五百トン未満、この三つに分けてひとつ……。
  260. 澤雄次

    ○澤政府委員 いま資料を調べております。暫時御猶予を願います。——まことに申しわけございません。いまタンカーの資料しかございませんが、タンカーは千トン以上が約二〇%でございます。
  261. 玉置一徳

    玉置委員 あとで資料の提出をお願いするとしまして、木造船の鉄鋼船への切りかえと申しますか、代替の建造はどのように進行しておるか、その進行状況を……。
  262. 澤雄次

    ○澤政府委員 三十九年三月末の木船のトン数が九十万七千トンでございますが、これが四十三年の三月末には六十万七千トンに相なりまして、ちょうど三十万トン減少いたしておりますので、この大部分のものは、スクラップ・アンド・ビルドのスクラップに充てられたものと考えられます。
  263. 玉置一徳

    玉置委員 もう一つお伺いしますが、内航海運の一ぱい船主の当時占めておった割合というものはどのくらいで、現在どのくらいになっておって、将来どのくらいの規模にすることが望ましいのか。
  264. 澤雄次

    ○澤政府委員 一ぱい船主と申しますか、会社形態をとっておりません個人企業の形態が、先ほど申し上げました一万一千のうち、約八〇%が個人企業の経営でございます。
  265. 玉置一徳

    玉置委員 それをどの程度に——圧縮ということばは非常に語弊がございますが、経営を近代化しようとお思いになっているか。
  266. 澤雄次

    ○澤政府委員 これも先ほど御説明申し上げましたように、今度の企業集約の重点はオペレーター、運航業者に置いてございますので、これらの個人企業経営者の大部分はオペレーターからオーナーと申しますか、いわゆる船主に転換をいたすことと思います。したがいまして、急激にはこの数は減らないわけでございますが、しかし、船舶整備公団の建造のときの行政指導その他によりまして、この一ぱい船主の数も漸次減少してまいりたいと思いますが、これは非常に困難であると考えております。
  267. 玉置一徳

    玉置委員 そこで、今度は以上の諸点を総括いたしまして、あの法案の成立を見ましたときの過剰船腹と思われた分は、その後進行いたしましたスクラップ・アンド・ビルドの過程におきまして、現状においてはどのようになっておるか。
  268. 澤雄次

    ○澤政府委員 法案を御審議願いましたときは非常な船腹過剰で、内航海運が慢性的な不況であったわけでございますが、おかげさまで、この内航海運対策を通じまして、非常に引き締まってまいりました。タンカーのほうは、需給のバランスが非常に近づいてまいりました。しかし、一般貨物船のほうは、まだ船腹過剰ぎみでございますし、それから政府が御承知のように、適正船腹量その他の措置を非常に強い行政指導を通じて、かろうじてバランスを維持しているということでございますので、潜在的には、まだ非常に船腹過剰になるおそれが強い、このような状態であると思います。
  269. 玉置一徳

    玉置委員 油送船とかその他の鉱石船等の専用船は、これからますます需要が拡大すると思いますし、なお国内輸送のコンテナというようなことも、これから随時ふえていくのじゃないかと思いますが、いまの一般貨物船においては、まだ過剰だというのが大体の見方じゃないかと思うのですが、これについては、どういうような施策を進めていくおつもりであるかどうか。
  270. 澤雄次

    ○澤政府委員 現在、御承知のように、船舶公団におきまして、船舶をつくる場合には、一定の船腹を必ずスクラップさせております。それからその他、船舶公団以外で船をつくります場合にも、海運組合、船主の組合の内部調整によりまして、必ず自主的に一定の船腹をスクラップするという措置を講じまして、船腹の調整をやっております。それから、毎年五年間の適正船腹量の見通しを出すことは、これは法律運輸大臣の義務に相なっております。その適正船腹量を公示いたしまして、これによって業界を指導してまいりたい、このように考えております。
  271. 玉置一徳

    玉置委員 そこでまた一つ話が変わりますが、内航海運経営の脆弱性のうちの集約化のことは、一応よそに置いておきまして、運賃の問題でございますが、このくらい一つの大きな役割りを持っておる海送運賃が、陸送運賃に比べまして弱い、ということばは変ですが、非常に弱いのが実態じゃないか。どういう統計になるか知りませんけれども、ここ数年前のどこかの時点をつかまえまして、そのときの内航海運と陸送運賃との比較はどうであって、その後どういうような形にそれが展開しておるのかということを、ひとつお示しいただければと思います。
  272. 澤雄次

    ○澤政府委員 基本運賃に関します限り、海上運賃は全く横ばいでございます。たとえて申しますと、関門、阪神の鉄鋼輸送の運賃も、六百七、八十円台でずっと横ばいをいたしております。まあ上がっていないということでございます。これに反しまして陸上の運賃——陸上もトラック運賃はよく把握いたしておりませんが、鉄道の運賃は、いわゆる運賃値上げのたびに上がっているというのが現状でございます。
  273. 玉置一徳

    玉置委員 いまのお話で、陸送運賃は国鉄運賃その他の値上げのたびに上がっていく、しかしながら、海送運賃はそのままで横ばいである、こういうことが一つわかりました。そこで、ある一定のどこかの航路をとりまして、陸送運賃と海送運賃の比較を、いまの時点でもよろしいし、前の時点でもけっこうですから、ひとつお教えをいただきたい。
  274. 澤雄次

    ○澤政府委員 これはまことに申しわけないのでございますが、陸送運賃と海送運賃を比較いたしますときに、たとえば石炭の山元から出まして、海上ならば港頭で積み込んで、船に載せて京浜で揚げて、またトラックまたは貨車積みして工場に納める。中間地点の経費がいろいろあるわけでございますが、これに関します資料が実は最近のものがございませんので、ちょっと申し上げかねるのでございますが、基本運賃だけを申し上げますと、たとえば室蘭と京浜の運賃は、これは海上運賃だけでございますが、八百三十円、これに対しまして国鉄運賃は四千六十一円、これはトン当たり。それから二年前の四十年には、海上運賃は八百円、国鉄運賃は三千四百四十五円、こういう状態でございます。
  275. 玉置一徳

    玉置委員 いまの国鉄運賃に比較して、これは話をせざるを得ないわけでしょうが、国鉄運賃は、ただいまも審議になっておりますように、一つ政策運賃であるということを考えますと、私企業である海送運賃が、いまお伺いいたしましても八百数十円に対して三千数百円という一つのケースがあり得るわけです。そういうようなことで、非常に低いと思われるわけです。皆さんのここでお出しになっております標準運賃というものは、適正にそういうことが把握されておる運賃であるかどうかということを、お伺いしたいと思います。
  276. 澤雄次

    ○澤政府委員 標準運賃は、内航海運業法で御指摘のように、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものでなければならない。」というふうに規定されておりまして、この規定に基づきまして、運輸大臣が七つの航路について標準運賃を公示いたしております。
  277. 玉置一徳

    玉置委員 そこで標準運賃——いまのお話の陸送運賃というものは国鉄運賃、それとその他の運賃と比較せざるを得ない。それが一つのケースをとりまして、室蘭と京浜で八百数十円と四千数百円になっておるというようなのが現状でありますが、標準運賃というものをお定めになるときに、適正な利潤と適正な原価等が計算し得られない。いまのように、横ばいにずっと片方はなっておるというようなときに、適正にただいま読まれたものを織り込んでやっておるものとは思えませんけれども、どうなんでしょう。
  278. 澤雄次

    ○澤政府委員 運賃そのものはほぼ横ばいでございますが、この間に、荷物の量が日本経済の伸びと同時に非常に伸びまして、一方、船腹のほうは強い規制によってあまり増加いたしておりませんので、一つ一つの船の運航回転数が非常にここ三年間増加いたしております。このために、船員費の値上がりであるとか、その他の諸経費の値上がりを吸収して、このようにほぼ横ばいで推移することができたということでございます。
  279. 玉置一徳

    玉置委員 工場が一ぺんにオートメーションをしたような思い切った技術革新でも行なわれない限り、これも私は、そこまで開きがあるほどに能率があがっておるんじゃないんだと思う。つまり、毎年の賃金の高騰その他諸物資の高騰を実際に吸収し得るほど船がよくなったとか、荷役が楽になった、というところまで進んでおらない感じがいたしますが、どうお思いになりますか。
  280. 澤雄次

    ○澤政府委員 運航回転数の増加は、おかげさまで非常に上がってまいりまして、たとえば従来、月間八航海していたものが十航海というふうに、ここ三年間で上がってまいっております。このために、個人経営の企業についてはよくわからないのでございますが、会社形態をとっている企業について調べましたところ、その会社の経営内容が非常に改善されてまいりまして、おかげさまで四十三年度は、本年度に関する限り、どうやら償却後とんとんというところまでくることができるように相なっておるわけでございます。
  281. 玉置一徳

    玉置委員 海運二法が通りましたときも、実際はどうにもならないほど経営がきつかったわけです。なるほど船腹量の過剰があって、係船をやらなきゃならないじゃないかとか、いろいろな施策を一挙に講ぜざるを得なかったわけでありますが、その後、経済の伸びとともに、船腹の回転率というものは多くなったとはいえ、私はそう完全な償却ができて、その経営が成り立っておるとは思えないのであります。  そこで、ついでに聞いておかなきゃならぬわけですが、調整運賃が、しかもこれより下回っているという実態は、これをどういうようにごらんになりますか。
  282. 澤雄次

    ○澤政府委員 標準運賃は、能率的な経営もとにおける適正なコストと適正利潤というものを前提といたしまして、運輸大臣が指示しております。調整運賃は、海運組合、船主の組合の中で、自分たちでこういう運賃を守ろうということで、荷主と話し合いをした運賃でございます。これはおっしゃるように、標準運賃より、航路その他によって違いますが、一%ないし一〇%下回っております。これは結局、いまだに船腹過剰の傾向が残っておるということが一つと、したがいまして、船会社のほうの力が荷主の力より弱い、それで運輸大臣が告示した標準運賃までの運賃を取得することができないことが実情であろうかと思います。
  283. 玉置一徳

    玉置委員 いまの力関係だと思います。したがって、過剰船腹が存在するかどうかによると思うのですが、そこで標準運賃というものは適正に、たとえば、それが計算されておるとして示された標準運賃を下回った調整運賃ができておることを公にお認めになっておるわけですね。
  284. 澤雄次

    ○澤政府委員 認可いたしております。
  285. 玉置一徳

    玉置委員 それならばひとつお伺いいたしますが、現在の乗り組み員の状態は、内航海運の現状において充足率はどうなっておるか、しかも、今後の見通しをどのようにお考えになっておりますか。   〔大竹委員長代理退席、阿部(喜)委員長代理   着席〕
  286. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。  現在、内航海運につきましては、大体五トン以上五千トンくらいまでの階層がありまして、一律にはいかない点もございます。また、職員の免状が甲、乙、丙、小型操縦士というように、各層に分かれております。それである程度の分類をして申し上げますと、千トン以上のクラスにつきましては、もちろん企業によっていろいろアンバランスはあるのですが、大体充足されている。ところが、千トン以下のクラスは、大体五百トン前後を中心にいたしますところのクラスにつきましては、いま相当きゅうくつになっている。もちろん、その船員不足というものによって船の運航がストップするというようなところまではきておりませんが、しかし、企業によりましては、ことに機関士、特殊の技術を要する部門が不足を来たしているというところが相当ございます。さらに、百トン以下のクラスになりますと、現在のところは、家族労働によりますところが非常に多いので、ある程度の充足をやっておるという状況でございます。したがいまして、いろいろな階層に分かれておりますけれども、現状におきましては、もちろんいろいろの企業において問題がございますが、大観すれば、ある程度充足されているというのが現状でございます。  次に、将来の問題でございますが、これは事業要員につきましては、いろいろ問題がありまして、的確にはつかみにくうございますけれども、最高限度の制度その他がございますので、船腹は特に量がふえるということはないと考えております。しかし問題は、内航の千トン以下の階層におきましては、離職率が最近は三〇%くらいでございましたのが、大体四〇%くらいになっているというような状況でございます。したがって、このような離職率を前提にいたします場合には、当面はある程度充足は可能でございますけれども、今後におきましては、一般的な労働力不足というようなことも根本にございまして、将来におきましては、相当これの逼迫がはなはだしくなるというふうに見通しておる次第でございます。
  287. 玉置一徳

    玉置委員 いまのお話しのとおり、五百トン未満というところに労働力不足というものが顕著にあらわれてくるのではないかということを確信しております。これは陸上の諸工場におきましても、企業の新規学卒者の充足率は、ほとんどなくなりつつあるわけでございますから、まして、海上の内航海運、ことに五百トン未満のようなところには、その点が急激に顕著にあらわれてくるものと想定をしなければならないと思うのです。  そこで一点伺いたいのですが、戦前の陸上の工場の同じ年齢の賃金と海上の運送に携わっている者の賃金との過去十年間の差というものは、どのくらいかを調べた統計はございませんか。それと現状について伺います。
  288. 高林康一

    ○高林政府委員 戦前の統計につきましてはいま持っておりませんが、戦後、大体昭和二十三年と記憶しておりますが、当時、海上の賃金につきまして、船員中央労働委員会におきまして調停をいたしました。その場合に、陸上賃金は主として製造業を考えておりましたけれども、その陸上賃金に比較いたしまして、海上賃金は五割増しというのが当時の調停委員会の結論でございました。その後におきましては、陸上に比較いたしまして、五割増しというのが大体の一種の通念のようになっておるというのが状況でございます。  なお、現状におきましての賃金でございますけれども、これは全体をひっくるめてでございますけれども、現在の海上賃金は、一五一というのが陸上に対するところの比率でございます。きまって支給されるところの給与と、それから航海日当というものを基準にいたしまして算定いたしますと、現在一五一というのが大体の数値でございます。ただ、これは全体をひっくるめておりまして、五百トン階層以下のところにおきましては、これが大体一四〇程度になるのではないかと思っております。
  289. 玉置一徳

    玉置委員 これは全体の所得と申しますか、収入というんですか、あるいは名目賃金の話ですか。
  290. 高林康一

    ○高林政府委員 船員の給与におきましては、体系上、乗船本給というものがいわば基本給としてございます。そのほかに、たとえばタンカー手当でございますとか、航海日当とか、それから時間外とか、そういうようなものが付属して当然ついてくるわけです。こういうようなものが、航海日当を除いて、きまって支給されるものというふうに統計上いっておりますけれども、そういうような各種の手当、これを含めてやっておるわけでございます。もちろんこれは税引き前のことでございます。
  291. 玉置一徳

    玉置委員 どなたか戦前のほぼの比率を御存じの方はございませんか。と申しますのは、昭和二十三年と申しますと、日本海運状況が一番どん底のときでありましたから、普通の状態における戦前の格差というものを御存じの方がございましたら、お教えいただきたいと思うのです。
  292. 高林康一

    ○高林政府委員 なお戦前のものについて調べてみますけれども、大体二十三年のころの考え方といたしまして、各種の係数比較をいたしましてやっておるものでございまして、特殊にその時期のインフレーションとかということでなしに、一般的に係数で、たしか一五三と勘定をしたかと思いますが、なおその点、戦前のものについては、できるだけ資料を調べてみたいと思っております。
  293. 玉置一徳

    玉置委員 戦前は御案内のとおり、朝鮮や台湾に出向いたすような社員その他役所の方々、私も行っておったことがありますが、当然四割増しという加俸があったわけであります。海上の方々は、年に一回か二回しか帰らぬような方々もございます。陸の上で台湾や朝鮮におったようなものじゃなかったということは、私は容易に想像されるのじゃないかと思うのです。極端な例かもわかりませんが、私は一と三のような比率だということすら聞いておるのです。これは総所得の話だろうと思いますが、そこでいまの海運業者の、ことに内航海運の方々が、適正な収入が得られておるかどうかということを心配いたします。と申しますのは、先ほど申しましたように、内航海運の運賃の比率が、回転率は非常に大きくなったとはいえ、決して経営がまだ満足な状態じゃあり得ないはずなんであります。それに標準運賃をまだ下回った調整運賃でやらざるを得ない状況を見ましたときに、片や労働力不足というものが、そこでは顕著に急激にくるものだと私たちは想定いたします。そうなれば急速に内航海運整備をはからなければ、先ほどのお話しのように、大きなシェアを占めております、国内輸送に大きな役割りを果しておる内航海運が、はたして現状でいいかどうかということは、私は非常に問題点じゃないかと思う。そこで海運局長にお伺いするのですが、これの充足対策として、何かきめ手になるようなものがございますかどうか、ありましたら、ひとつお教えいただきたい。
  294. 高林康一

    ○高林政府委員 結論を先に申し上げますと、きめ手になるというものは、端的にはなかなかないと思います。全般的な労働力不足というようなこともございます。そこでやはり、たとえば内航につきましては、最低賃金制を——従来これは機帆船でございましたが、さらにこれを鋼船に広げる。また内航の船員養成のために、たとえば海員学校がございますけれども、これを強化するというようなこと。あるいはまた、全般的に労働条件の改善というようなことをやると同時に、現在非常に不足しておりますのが内航、ことに小さい内航におきましては、職員の部面におきましての機関士の部面というような点もございます。そういう点は、やはり船舶職員法というものについて、今後いろいろ検討を加えていくということも必要かと思います。したがいまして、養成の面あるいはまた職員制度の面、あるいは労働条件の面、それらのいろんなものを総合的に実施していって、今後の内航への流入をはかるというふうに努力してまいる必要があると考えておりまして、そういう線に沿って、個々の施策を現在進めておるという状況でございます。
  295. 玉置一徳

    玉置委員 私は学校も必要だと思いますが、陸上におきましても、われわれの近くに農業高等学校を持っております。その九割は、やはりその他のほうへ就職をいたします。しかも残った一割の八割は、また二年の間に違うほうへ就職するというのが現状だと思います。そういうことを考えましても、学校だけがきめ手にはならない。これも必要ではありますけれども、そういう意味では、内航海運の安定した経営のあり方がやはり一番問題になるのじゃないかということをひとつ強調したいために、そういうことをお伺いしたのであります。  そこで、ついででございますので、港湾料率の公示料金の中に含まれている労務比率というものは、具体的に一体どのようにきめられておるか。それはそれで適正と思っておいでになるかどうかについて、お答えをいただきたいと思います。
  296. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 いまちょっと御質問の意味がとりかねたのですが、港湾料率の中における……。
  297. 玉置一徳

    玉置委員 労務比率……。
  298. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 それでは港湾局長から……。
  299. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 港湾の荷役賃の中に占めますところの労務の比率がどのくらいかというお尋ねかと思いますが、荷役の形態によっていろいろと違いまして、全般的に申しますと、港湾運送というのは非常に労働力を使いますので、労務比率が非常に高いということを申し上げたいと思います。大体七、八割じゃないか、いま資料を持っておりませんが、そういう高い比率であるというふうに考えております。
  300. 玉置一徳

    玉置委員 あとで資料の提出をお願いいたしたいと思います。  もう一つお伺いしておきますが、海上の標準運賃の中に占める船員労務費の比率はどのようですか、具体的にひとつ。
  301. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 いま詳しい数字は持っておりませんが、約二〇%程度だと思います。
  302. 玉置一徳

    玉置委員 そこで先ほど申しましたように、内航海運の集約は、徐々にですが、進みつつある。しかしながら、一般貨物については、まだ余剰船腹があり得る。それは、標準運賃並びに調整運賃等の格差でもっても証明し得る力関係であるということは言えると思うのですが、それでも力関係そのものを、そのままお認めになってお置きになるのか。先ほど申しましたように、一方ではどんどん必要となってまいります労務者、乗り組み員の充足という問題について、大きく考慮していかなければいかぬ。陸上の国鉄運賃の政策運賃にすら、はるかに及ばないのが現状である。船と国鉄との違いというものも認めながらも、そこに労務比率というものが、完全に吸収し得るものになっておるかということが一番心配であります。この標準運賃というものが、力関係でたとえ調整運賃として一割ほど低いものを認めざるを得ないといたしましても、早く標準運賃に追いつくような施策というものが、違ったほうで行なわれなければならないということは事実だと思うのです。したがって、その標準運賃というのは、調整運賃が困難だから、しばらくの間ほっておけというものじゃないのです。そういう意味では、この三月末、一応の集約が済みます、一応の許可制への移行が済みますが、すみやかな機会に一応この標準運賃の再検討をなさるお考えがあるかどうかということを、ひとつお伺いしたいと思います。
  303. 澤雄次

    ○澤政府委員 標準運賃につきましては、毎年実は再検討と申しますか、調査をいたしております。ただいままでのところ、先ほど申し上げましたように、船腹の回転率がたいへんに上がってまいりましたので、標準運賃を改正するというところまでは、まいっていなかったわけでございます。ことしもまた、標準運賃につきましくは、慎重に再検討をしてまいりたい、このように考えております。
  304. 玉置一徳

    玉置委員 それではお伺いいたしますが、標準運賃は毎年おきめになる、こう言われたのですね。
  305. 澤雄次

    ○澤政府委員 毎年再検討をしている、コストの再調査をいたしております。
  306. 玉置一徳

    玉置委員 いつからこれは据え置かれているのですか。
  307. 澤雄次

    ○澤政府委員 四十一年にきめられまして、去年、再調査をいたしておりますが、据え置きでございます。
  308. 玉置一徳

    玉置委員 その中に占める労務費の上がったものは、どのくらい毎年見ながらそこまできていますか。
  309. 澤雄次

    ○澤政府委員 いま資料が手元にございませんが、労務費は毎年十数%上がっております。これが船舶の運航の回転率で吸収されているというのが実情でございます。
  310. 玉置一徳

    玉置委員 これも正確な資料をひとつあとでお願いいたします。  そこでそうなってまいりますと、船員の充足というようなこととにらみ合わせますと、なるべくすみやかに高能率、高賃金、そういうところまで到達しなければならぬのではないかという感じがいたしますね。それには、一つ港湾の荷役設備の問題から、コンテナ輸送とか、専用船の建造とか、いろいろなことがございますが、おしなべて船腹と申しますか、船の近代化されたものの急激な代替というものも必要だと思いますが、それには、今日まで打っておるような手だけでよいかどうか。
  311. 澤雄次

    ○澤政府委員 内航海運対策につきましては、三年前に国会の非常な御声援によりまして、これを実施さしていただいたわけでございますが、これがこの四十三年度で一応終わるわけであります。来年度からにつきましては——いままではどちらかと申しますと、企業救済と申しますか、過剰船腹を急速に圧縮する対策を中心にしてやってまいったわけでございますが、四十四年度からは、ただいま先生のおっしゃいましたような船舶の合理化経営合理化ということを徹底してやるように考えまして、船舶整備公団を中心にいたしまして、そのような予算を組みまして、ただいま国会で御審議を願っておる、このような状態でございます。
  312. 玉置一徳

    玉置委員 あの当時は、陸上運送の機関と異なりまして、一体どのような船がどうなっておるのかも、的確に把握できなかったという次第でございます。とりあえず過剰船舶をどうするか、いまのお話しのように、緊急に、収拾つかないような混乱をどうささえるかというところに重点が置かれておりました。なるほど、いまのお話しのような近代化への方向づけのもとに、現在集約が行なわれておることは事実でありますけれども、一般の労働力不足、ことに海上におつとめいただいておる方々の充足状況を考慮いたしますと、いままでのやり方では、これは少し間尺に合わないということは、言い得るのではないかと思います。今度は構造改善と申しますか、そういう見地に立ちまして、思い切った施策を展開していただかなければいかぬのではないか、こう思いますので、十年間くらいの展望に立ちまして、ひとつ政策を集中してこれに向かっていただきたい、こう思います。  そこで先ほど申しましたように、需給対策の中で海員の需給対策、職安行政だけは、ちょっと一般の陸上の職安対策と比べまして、特殊なケースもあり得るのではないかという感じがするのですが、職安行政が変わるような一般的な趨勢にありますので、若干不安がられている向きもあるのでありますが、これはどのようにされるのか、御説明いただきたい。
  313. 高林康一

    ○高林政府委員 現在、船員職業安定所は、全国で大体六十カ所程度ございます。それによりまして、ここ二、三年来の傾向でございますけれども、二、三年前と違いまして、逆転いたしまして、求人数のほうが求職数に数に対しまして大体三倍くらいになっておるというのがその傾向でございます。そこで数字的に申しますと、いままでのところは、求職数が大体一万五千くらいというのが大体の数値でございます。年によりまして多少違いますが、一万五千から二万というのがいままでの大体の数値であります。それに対しまして三倍くらいの求人がございます。そういうことは、先ほど御指摘もございました需給逼迫ということをあらわすものだと思います。この点につきまして問題は、それだけ、求職数が二万近くございますにもかかわらず、なお求職、求人が成立していないのが半分ぐらいになっております。といいますことは、なおそこに失業状況にあるところの船員が、相当数あるというのが現状でございます。  なぜ不成立になるかということは、いろいろ原因がございます。それは、やはり賃金の問題、あるいはまた労働環境の問題、それから、何と申しましても海上労働というものは、家庭から離れるというような問題、そういうような問題が原因になっておるかと推定されます。この問題につきましては、職業安定機能をさらに充実していく必要があると、われわれも考えております。現に、それだけ人が足らないにもかかわらず、失業船員があるということ、この点は、もっと充実をする必要がある。それと同時に、従来は、むしろ求職者数のほうが多かったということで体系ができておりましたが、これからは、やはり積極的な意味の求人開拓というものをやっていかなければ、今後の充足ということは非常に困難になる。そういう意味で、従来はむしろ失業対策的な観念でございましたけれども、もっと新規の求人開拓をやるというように、今後職業安定行政の中心を、そちらのほうへ変えながら進めていきたいというふうに考えております。
  314. 玉置一徳

    玉置委員 いまの、求人が三倍あるにかかわらず、求職のほうは全部はととのっておらない、こういうお話しでありますが、私は、だんだんと手がなくなってまいりますと、将来オペレーターごとに、一つのオペレーターが雇うというようなことをやっていかなければ——一つの船ごとの、オーナーごとにやりますと、そこに繁閑が、つまり忙しいときとひまなときというようなものができてみたり、あるいは土地柄、そのほうの航路にはかんべんを願いたいというようなことがあったり、そういう傾向にもなっていくように思いますが、どうお思いになりますか。
  315. 高林康一

    ○高林政府委員 やはりそういう点は、傾向といたしまして、御指摘のような傾向が出てくるかと思います。ただ問題は、戦前日本には海事協同会というようなものがあって、そこである程度、いわゆる社外船、いまのむしろ中核体以外というような感じでございますが、社外船については、全部プールしておったというような歴史がございます。しかしその後、雇用形態というものが海事協同会の制度とすっかり違っておりまして、各社雇用を中心にやっておるというのが現状でございます。しかし、非常に需給関係がアンバランスになりました場合、現在百トン前後ないし五百トン以下のクラスの階層におきましては、船員の融通派遣というようなことをやっております。そういうようなことが、やはり小さい企業の場合においては、相当出てくるのではないかという予想をしております。
  316. 玉置一徳

    玉置委員 従来は、人手が余ったすべての労働行政でしたけれども、人手不足の行政にすっかり頭を切りかえていかなければならぬ。その意味では、そういうことも考えられるんじゃないかということを思うわけでありますが、いまの職安行政におきましても、いよいよ積極的に求職者を開拓するという時代に入るわけですが、そこで先ほど申しましたように、内航のコンテナ輸送もしくは長距離のフェリー輸送とか、いろいろな専用船が出てくると思います。したがって、特殊な技能者というものが、いまのお話しのようにどんどん不足するのではないか。これの再教育と申しますか、これを思い切ってやらなければいかぬと思いますが、どのように具体的にお考えになっておりますか。
  317. 高林康一

    ○高林政府委員 御指摘ございましたように、海上におきますところの技術革新の速度が非常に早うございます。そういうようなことに対応いたしますために、船員の再教育ということが特に必要になってくる。また、非常に技能労働者が不足傾向でございますので、中高年齢層の活用というよな観点からも、再教育ということが技術革新と並行いたしまして必要になってくる。その度合いはますます大きくなると思います。現在は海技大学校というものがございまして、そこで毎年大体五百名前後の再教育課程を進めております。ただ、これにつきましては、船員の再教育をもう少し組織的にやる必要もあると考えます。再教育、再訓練という問題は、陸上におきましても、職業訓練法のものの考え方が非常に大きく変わってきておると思います。そういうようなこともにらみ合わせて、さらに検討をして、再教育をさらにもう一段積極的にできるような措置を、今後研究してまいりたいと考えております。
  318. 玉置一徳

    玉置委員 これは、小さい船から大きな船へ移る再教育というものは、応募者がかなりあり得ると思います。一番問題は、いつも五百トン、千トン未満の船員をどう充足するかということでございます。  ついでにお伺いしておきますが、内航、外航に限らず、船に乗る医師の不足というものが、私は非常なものじゃないかと思います。順番に乗ってくるのでありますが、三カ月間乗りまして、そしておやめになるというようなことが多うございます。私は、前にもこれは何かの形で、昔、戦時中即成の医師を養成したものでありましたが、何らかの充足の対策があり得るんじゃないかということをいつも考えておるのですが、名案ございませんか。
  319. 高林康一

    ○高林政府委員 現在、船員法によりまして、ペルシャ湾航路、それから西アフリカ航路、インド・パキスタン航路、こういうような非常に暑い地域と申しますか、そういう地域の航路につきましては、船医、ドクターの配乗が義務づけられておる。いま御指摘がございましたように、非常にドクターが不足しております。それで、配乗が非常に困難になっております。また、たまに配乗をいたしましても、非常に高齢の方が多いというのが現状でございます。したがって、問題は、一つはこういうような配乗を義務づけるということについては、もう一度検討する必要があるんじゃないかという点がございます。それから第二には、現在もすでにやっておりますけれども、ドクターを乗せない船につきましては、衛生管理者というものを乗せるということを、大型船についてはやっておるわけでございます。現在は、その衛生管理者の育成と指導というようなことにつきまして、それぞれの団体でやっておりまして、これは相当進捗しておるかと思います。したがいまして、現在の対策としましては、現在労使間におきまして、このドクターの配乗の問題についていろいろ協議をやっております。その状況を見守りながら、私らとしては衛生管理者の指導ということと同時に、海外におきますところの医療体制をなるべく整備する。これはいろいろその国の法律、医師法のようなものがありまして、むずかしい点があると思いますけれども、そこで病院なんかの活用というようなことをあわせて考えていくということで、ドクター不足の問題に対処してまいりたいと考えております。
  320. 玉置一徳

    玉置委員 衛生管理者は、もう少し小さい船でも当然要るのでありまして、充足がむずかしいからと後退したらいかぬと私は思うのです。ですから、現在の医師と衛生管理者の中間のようなものを、どう養成するかという方向へ踏み切らないと、この問題は解決せないと、こう思いますので、お互いに知恵をしぼり合って、ひとつこの問題に対処していきたい、こう思うのです。  そこで、時間がもうありませんので割愛いたしますが、毎年千人前後の事故者を出しておるという海難救助の問題、こういう点につきましても、非常に重要な問題じゃないかと思いますが、前にありましたマリアナ群島のような遭難が起きますと、一、二年は非常に対策が進むのでありますけれども、しばらくしますと、予算措置がどうしてもゆるんでくるというので、飛行艇の整備を非常に要求されておりますが、これについて前向きにとらえる決意があるかどうか。
  321. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいま救難用の航空機ということで、飛行艇につきまして、どのように考えておるかというお話でございます。  私どもは、先ほど御質問もございましたように、特に遠距離海難におきまして、現在ビーチクラフトを中心といたしましてこれを使っておりますが、航続距離その他にいろいろ問題がございます。ただいまお話しがございましたような、マリアナを契機といたしまして、YS11を私どもの救難用の飛行機として採用することに決定が相なり、この三月、私どもが入手できる状態になったわけでございます。特に、遠距離救難につきましては、飛行機が必要であると考えております。このような観点で、ただいま御指摘のありました国産の飛行艇PX−Sという点でございますが、これはごく最近開発され、自衛隊がこれを発注しておるという状況でございます。  その性能は、航続距離も十分ございますし、特に、海上でいろいろ救難用に使いますために、飛行機のスピードがある程度おそくなるということが、発見上非常に大切でございますが、このようなことも可能である。それからまた、飛行艇でございますので、着水できる、こういうことでございます。これも報告によりますと、波高四メートル程度で着水できるということでございます。  したがいまして、それやこれや勘案いたしますと、遠距離用の救難航空機としては、非常にすぐれていると一応考えております。また、このような報告に基づきまして、私どもといたしましても、注目しておる次第でございます。  ただ、この飛行機を具体的に、私どもが計画として取り入れるかどうかという点を考えます場合に、私どもといたしましては、まだやはり検討しなければいかぬ点が数点ございます。  それを申し上げますと、まず第一に、この飛行機は、航空法によります必要な耐空証明がまだとれていないということでございます。私どもへの報告では、これには、あと二、三年かかるということでございますので、私どもは、やはり航空法の適用を受ける航空機ということになりますので、これはとってもらう必要がある。  それからその次の問題といたしましては、飛行艇でございますので、いま海上自衛隊が使っておる場合でも、当然、基地は水上基地ということでございます。ただ私どもの航空基地の事情からいいますと、あるいはまた、今後の使いがってからいいますと、やはり水陸両用機であるということが、ぜひ必要でございます。したがって、PXが私どもが要求しておるような意味の改造が可能であるかどうかという点について、やはり技術的に相当検討する必要があろうと思います。  それからその次は、実は予算上の問題でございますが、これはあり姿のままでも二十億程度かかるというふうにいわれておりますし、また、必要な水陸両用の改造をいたしますと、場合によりましては、三十億近い金目になるということでございます。また、採用する以上は、複数のものを持たなければいかぬということもございまして、海上保安庁といたしましては、先ほどからお話しがございましたように、巡視船の性能改善なり向上もやはりやらなければなりませんし、また、航路標識の整備もやらなければならぬという、いろいろな当面緊急の課題をかかえております。したがって、このような相当高額にわたるものを、どのように予算的に位置づけていくかということは、非常に大事な点でございます。  しかし、御趣旨の点は私どもも非常によくわかりますので、このような問題点につきまして、前向きの方向で検討さしていただきたいと考える次第でございます。
  322. 玉置一徳

    玉置委員 YS11はどうしても陸上のあれですから、できれば飛行艇、こういう意味でございますので、御検討いただきたいと思います。  そこで最後に、取りまとめといたしまして、政務次官と局長にお伺いしたいのですが、私のほうで現在、繊維製品の構造改善をやっております。このままでいきますと、韓国、台湾、香港等の開発途上国の追い上げを受けまして、アメリカに輸出しておる約十億ドルの繊維製品はもとよりのこと、開放体制下の現在、内需まで食われるだろうというのが、いまやっておるあれでございます。約四千億円の金を投じまして、五年間で日本の繊維製品の産業の構造を、すっかり改めようじゃないかということをやっておるのです。ところが、内航海運と同じで、小さい集団でございます織布につきましては、やってみたらむずかしいものであります。理屈は、そうやってやらなければいかぬことはわかっておりながら、一つ一つが一緒にグループを組んでいってということは、むずかしいことなんです。  私どもの地方に、ある一人の人がございまして、思い切って、田畑を売りまして、数億円の金をかけて、ものすごい能率のあがる近代的な工場をつくりました。私どもの三千五、六百軒の織布業が、ほとんど一年半大赤字で悩んだときも、そこだけは黒字でありまして、その方がいわく、先生、うちでは労働組合をつくらせましたよ、つくってもらいましたよ、賃金を一番高くしました、まわりの方々にも労働組合をつくれと言って、いま、わあわあ言って騒いですすめておる、自分のところが一番高くするから、続いてみんな上げざるを得ない、そうやったら、やめるか、そこまで思い切って構造改善するか、どっちかで、構造改善の一番早く進む方法は、これしかございませんということをその方がおっしゃっておりまして、私は、なかなか含蓄のあることばだと思って聞いておったのです。  この内航海運経営の脆弱性を強めていくのには、そして安定した輸送の足と申しますか、を確保するためには、思い切った構造改善が必要でありますが、これはやはり、先ほどの労務充足の点から考えましても、わざわざ海上に行くということは、新しく人を求めることは、なかなかむずかしいと思います。漁船のほうを考えましても、昔から漁船に乗り組んでおっていただいた地方の方方でないと、新しく山の中から開拓しましても、なかなか漁船に乗ってくれないと同じでありまして、この点はむずかしい問題がございます。そういう意味でも、すみやかに内航海運の思い切った構造改善、抜本的な構造改善が要るんじゃないだろうか。経営の集約化も要りましょうし、船の近代化も、荷役の近代化も要りますけれども、やはりそこに働く人々が、次々あとを断たないように来てくれるという産業にしなければならない。しかも、それは海の上であるということを考えれば、なおさらだと思うのです。そういう意味で、ただいま繊維の構造改善を一つの例として申し上げたわけでありますが、そこに働く人々に、安心して定着して働いていただけるような生活環境をつくるということに、もう少し思い切った指導も対策も講じてもらいたい、こう思うのですが、いまの構造改善並びにそういった問題につきましての所見をお二人から承りまして、質問を終わりたいと思います。
  323. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 おっしゃることは、全くそのとおりだと思います。賃金の問題にいたしましても、また、企業体の経営を安定いたすにいたしましても、やはり先立つものは経営合理化であり、それの適正利潤の問題だと思うのでございます。しかし一方、同時に、それは陸上との競争の関係にあるわけであります。また、陸上側もおそらく同じことを言っておると思うのでありますが、とりあえず海上につきましては、先ほど申し述べましたように、第一には集約の問題、第二には、いまのおくれました船舶を急速に近代化して、それを省力化していくところが、最大の重点だろうと思います。それが要するにベースアップの基礎になり、しかしまた同時に、総体で見れば、人件費割合がだんだん少なくなっていって、経営が可能になっていくと私は思うのでございます。先ほど申しましたように、ことしの十月、集約化について一応のめどが立つわけでございまして、八千幾らのものを千五百くらいという、かなりドラスチックな集約の目標を立てておるわけでございますので、それが一体どういう形になって出てくるか、それから今年度、自動化につきまして、開銀融資を二十五億つけたわけでございますが、これで十分かどうか、この辺、十月ごろのことを見まして、さらに決定的な方策を講じていきたい、かように考えるわけでございます。
  324. 玉置一徳

    玉置委員 終わります。
  325. 阿部喜元

    阿部(喜)委員長代理 松本忠助君。
  326. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、まず路線トラックの運賃の問題についてお伺いいたしたいと思います。  路線トラックの業者から運賃値上げの申請が出ていると思います。かなり広範にわたって出ているわけでございますが、現在どの程度の値上げの申請がされているか、値上げ幅についてまず最初にお答えを願いたいと思います。
  327. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いま先生が仰せのように、路線トラック運賃につきまして、この一月に申請がございました。増収率は約九%でございます。
  328. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 政務次官にお伺いするわけでございますが、運輸省としてこの運賃値上げを認める考えがあるのかどうか、この点について政務次官からお答えを願いたい。
  329. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 結論から申しますと、これから検討いたしまして、慎重に対処いたしたいということでございますが、路線トラックは二十七年以来そのまま据え置きになっていることは、御案内のとおりでございます。最近の申請のところで見てみますと、これはまだ申請段階でございますからなんでございますが、四百五十七社の営業報告の集計がございますが、現在約三百八十八社の収支状況について計算をとっております。そのうち七三%にあたります二百八十五社が利益を出しておりますが、そのうち無配会社が百二十三社、それから欠損会社が百三社ということになっておりますから、三百八十八社のうち、無配と欠損を合わせますと約六〇%、こういう状況でございます。これからその内容を分析いたしまして、それが一般の荷主あるいは経済に与える影響、そういうものも片方検討いたしますし、片方このままでいって、現在重要な役割りを果たしておりますトラック会社が、はたして国民経済上要請されております役割りを果たすことができるかどうか、そういう両方の角度から判断してまいりたいということで、目下慎重に検討中でございます。
  330. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 トラックの運賃あるいは路線トラックの運賃、いずれにしましても、これが値上がりするということは、国民生活に大きな影響を及ぼすことになると思うのです。今回は国鉄の運賃の中でも、いわゆる貨物運賃は上げておりません。そういうことで、やはり国民生活に大きな影響を及ぼすということから、上げていないことだと思うわけです。  そこで、いま検討中というお話でございますが、基本的な考え方として、上げなければならないような状態にきておるのか、それとも個々別々にケース・バイ・ケースで、会社の内容によって損をしているようなところだけ上げるのか、そういうわけにはいかないと思うのです。やはり全国一律ということになってくると思うのです。そういう点から考えれば、やはりある程度の値上げはやむを得ぬのじゃなかろうかとも思いますが、この点について次官どう思いますか。
  331. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 まことに恐縮なんでございますが、まだ結論を出していないのでございます。まだ検討中といわざるを得ないのでございますが、ただ言えますことは、先ほどトラックのほうはシェアがずっと広がっておるというお話しを申し上げたわけでございます。ですから、国鉄の貨物に比べますれば、生産性という点では、おそらく上がっているのではなかろうかと思うのでございますが、片や運賃が二十七年から据え置かれておるという状況でございます。それから概括的に見ますと、先ほど申しましたように、無配ないし欠損というものが六〇%ぐらいを占めております。概観いたしまして、こういう三つくらいの要素があるわけでございます。トラックのシェアは、今後ますます拡大していくとは思いますが、そういった点を十分考えながら、国民経済的な要請、また、事業といたしましてやっていけるかどうかという点を、総合的に判断してまいりたいと思います。  ただ、おっしゃいましたように、会社ごとに見るというわけには、これは路線トラックでございますから、なかなかまいりません。その辺もある標準的なもの、あるいは総体的な観点からこの問題を検討してまいりたい、こういうふうに考えます。
  332. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 また検討中というお答えが出たわけでありますけれども、検討中というのをもう一歩突っ込んで、上げるのか上げないのか、その辺のところはどうですか。上げるのか上げないのか、はっきりと出ませんか。
  333. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 上げるか上げないかを検討中でございます。
  334. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 検討の時期は、いつまで検討すれば済むのですか。それもまた検討中ですか。
  335. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 ただいまの、これは一月に提出されたばかりでございますので、目下まだ緒についたばかりでございます。いつまでに検討が終わるかという見通しは、まだ持っておりません。
  336. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 業者のほうは、相当にこの問題に対しては真剣であります。一日も早く経営状態の立て直しをするためにも、やはり九%程度の値上げはさせてもらいたいというような要望が出ております。これを全然無視するわけにもいかぬと思う。しかしながら、また物価上昇に大きな影響を及ぼすということも考えるならば、これをそのまま認めるわけにもいかないだろうと思う。ここのところに、いま次官の言われる検討中ということになるわけでありますが、いつまで検討していても問題は際限がないと思う。ある時期にはこの検討を、はっきりした具体的な数字をもってやはり発表しなければならぬと思うわけです。その見通しについてどうですか、やはり検討中ですか。
  337. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 この運賃の改定申請は、さっき申し上げましたような、全体といたしまして九%の所要増収率が必要であるかどうかという点と、それから現在の路線トラック運賃の運賃制度自体の問題をどう改善するかという二つに分かれております。運賃の制度につきましては、ほかの交通機関との関係等も考えなければなりません。また、増車率全体につきましては、これは会社全部から申請が——おおむね大部分からあったわけでございますけれども、これを総計いたしまして作業をやるわけで、しかも、経費の内容につきまして、一々査定等もやらなければなりませんので、やはり夏ごろぐらいまで作業はかかるというふうに思います。
  338. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 夏ごろということですな。よろしいですね。夏ごろまでにはその結論を出す、こういうふうに承知していいわけですね。
  339. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 その目標で作業を進めたいと思っております。
  340. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、経企庁のほうの八塚国民生活局長に伺いたいと思います。  経企庁としては、この路線トラックの運賃の値上げの問題に対しては、どのようなお考えを持っておられるか。
  341. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ただいま自動車局長のほうからお話がありましたように、現在はまだ運輸省で検討の緒につきかけておる段階でございます。私どもいずれ御相談があると思いますが、これはまだかなり先のことでございますから、私どもの現在の段階では、まだ勉強を始めておりません。そういう段階でございますから、どうこうというだけのデータも、いまのところないということで御了承願いたいと思います。
  342. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 重ねて伺いますが、世間では、国鉄の運賃が上がる、やがて私鉄も上がるであろう、トラックの運賃も上がるであろう、路線トラックも上がるであろうと、いろいろ取りざたをされております。われわれとしては、上がらないほうがいいわけでありますけれども、しかし、やはり会社の経営の面も考えれば、これもやむを得ない点もあるのじゃなかろうか。上げるとすれば、最小の幅で上げなければならない、こういうことが常識的に、いまもう経企庁あたりでも検討を加えておかなければならない時期ではなかろうかと思う。単に運輸省から話があって、初めてその時点から検討を開始するということでは、少しおそ過ぎるのではなかろうかと思うわけです。やはり、これはもう秘密に行なわれていることでなくて、世間一般どこへ行っても聞いておる話である。しかも役所で、経企庁として、そういう問題に重大関心を持っておるとするならば、やはり話がなくても、当然すでに検討を進めておるのが常態ではなかろうかとわれわれは思うわけです。運輸省から便々として御相談があるのを待つのでなくて、独自の見解もあろうかと思いますので、その点を伺っておきたい。
  343. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 確かにただいまお話しになりましたように、国鉄運賃値上げの問題に関連いたしまして、いろいろ運輸関係の運賃値上げの問題が取りざたされております。世間でいわれておるというふうに、いま先生おっしゃいました。そういう意味におきまして、私どもやはり、物価問題全体についての所管の官庁、あるいは特に、今度の問題に関連いたしましても、波及効果がどうであろうかということについては、当然いろいろ勉強はいたさなければならない役所でございます。そういう意味におきまして、しからば、そういうことについての考え方はどうだというようなお話の過程で、昨日も私どもの長官から、決意であるというような意見等もあったわけでございます。ただ、おことばを返すようでございますが、やはり私ども経済企画庁は、それぞれ所管省が具体的にその業界の事情なり何なりデータを持っておられまして、そうしてお出しいただいた上で、私どもも具体的に態度を決定するための検討を始めるということでございます。そういう意味におきまして、私ども確かにいま先生のお話しになりましたように、事の問題性については勉強しなければなりませんが、具体的な問題につきましては、やはり運輸省——この場合には運輸省等のいわば下ごしらえ、そういう問題についての検討を経た後に具体的に勉強に入る、こういうふうに考えております。
  344. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次官にお伺いしますが、タクシー運賃についても、やはり申請が出ているように聞き及んでおります。このタクシー運賃の値上げの問題は、何ぶん前回の値上げより時間もたっておりますし、国民の足、都民の足であるこのタクシーが値上げされることは、われわれとしては非常に歓迎できませんけれども、運輸省としてはどのようにお考えであるか、次官からお答え願いたい。
  345. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 タクシーにつきましても、お話しのように、いま申請が出ているわけでございます。特に、六大都市周辺のタクシー会社からそれぞれ出ておりまして、これもあわせて検討しているわけでございますが、トラックの場合も同じでございますけれども、採算が一体どういうふうに変化してきておるのか、そしてまた、経費増高の趨勢の原因が那辺にあるのか。それが今後の努力によって、あるいは場合によりますれば、国家の何らかの財政的援助等によりまして、あるいは金融的援助によって解消できるのかどうか。そしてまた、いまの稼働率その他について、マキシマムにいっているのかどうか、こういう点も慎重に考えながら、同時にまた、一方、それが物価その他国民生活に及ぼす影響、両方をにらみ合わせながら考えなければならぬと思うのです。私がタクシーについて聞いておりますのは、東京周辺では、すでに現在の一日の稼働キロの限界に達しておるということでございます。平均して大体三百六十五キロでございますが、ほとんどもう一ぱいくらいまで稼働しておるということでございます。したがって、稼働については、それが事実であるとすれば、ほとんど改良の余地がない。これは交通規則なり、あるいは労働基準法からきた一つの制限でございましょうけれども、業界にそれを直せといっても、これはどうも無理らしい。要するに、いま申しましたように、そういう各方面がありまして、それを何らか吸収する余地があるかどうかということをまず検討し、それらがあるいは財政的金融措置で助かるのかどうか。もしできないとすれば、ある程度上げざるを得ないということに、私企業でございますから、おそらくなると思いますけれども、その場合どの程度が妥当であるか、そういう点を総合的に考えてまいりたいということでございます。
  346. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ある程度上げなければならないというふうに考えているわけですね。——いまの情勢から考えて、ある程度は上げなければならない、特に六大都市のタクシーについては。かように考えているわけですか。
  347. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 いや、いまそう考えているわけじゃございません。ある程度上げなければならないとした場合に、どの程度という問題を言っているわけであります。
  348. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 まるでコンニャク問答のようであります。  それでわれわれとしては、今回の国鉄運賃の値上げの問題についても、貨物運賃の値上げはしない、こういうふうに最初から法案の中にも出てきておりません。何としても、物価高騰の原因になるところのいわゆる運賃値上げ、これは絶対やめなければなりません。特に国鉄の運賃、路線トラックの運賃等は、直接生鮮食料品、あるいは原材料等の運搬について大きな値上げの要因となってまいりますから、これは絶対やめたい、値上げはやめなければならない、こう思っております。  先ほどの局長のお話に、値上げの幅は平均九%ということでございましたけれども、最高のところは、二倍にもなっているようにも私ども聞いております。この点はどうかと思っております。特に、近距離の運賃の値上げ幅が大きくなっているということが考えられます。そういたしますと、どうしても中小企業の方々等は、近距離の輸送が主体になってまいります。したがいまして、中小企業の荷主の方々にとっては非常な負担になってくる、このように思うわけでございます。こうなりますと、当然、中小企業の荷主の経営状態を大きく圧迫することになります。この点について、私どもは値上げの幅を最小限にとどめよ、もし上げなければならないとするならば、最小限にとどめよ、特に、その近距離の問題等については十分考えた上でやってほしいと思うわけであります。この点についての局長の考え方を聞きたい。
  349. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いま御指摘の点は、近距離の軽量小口貨物でございまして、現在は御承知のように、最低が八十円ということになっております。これを二百円に改定しておるものでございますので、倍率は、いま先生がおっしゃるように、相当の倍率になっておる。この点がどうかという点でございますが、まだ結論はもちろん出しておるものではございませんけれども、これらの貨物につきましては、少量の近距離貨物をどうやって輸送するかという問題がいま起きておるわけでございます。したがいまして、その場合におきます原価に見合う運賃でなくてはならないという点があるわけでございますので、その原価につきまして十分審議をしつつ、いま先生のおっしゃるような点も十分考慮しつつ、今後施策を進めていきたい、かように考えております。
  350. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではちょっと伺いますが、先ほど路線トラックのほうは伺いましたが、タクシーのほうで現在申請の出ている地方、それから、その申請数またはその地方で許可になったところが、すでにあるわけです。そこはどことどこか、この点について伺っておきます。
  351. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 タクシーにつきましては、昨年の四月以降におきまして全部で十一ブロック、合計五百七十九社につきまして認可をいたしております。現在提出いたしておりますものが九十七ブロックでございます。業者にいたしまして約一万八千業者でございます。その中には、先ほどからお話がありました七大都市のものも含まれております。十一ブロックでございますが、これを全部申し上げましょうか。
  352. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大体そのうちで、七大都市のほうは幾つですか。
  353. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 七大都市を含めて、現在申請が出ておりますのが九十七ブロックでございます。七大都市は、たとえば東京は一ブロック、大阪は一ブロックというふうな計算をいたしまして、現在出ておりますのが九十七ブロックでございます。
  354. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、この運賃の問題につきましては以上でとどめます。自動車関係はけっこうでございます。  次に、港湾関係について、海上保安庁関係の方々にお瀬いいたしたい。きょうの一般質問におきましては、各党ともそれぞれ重要な問題につきまして質問がございました。特にきょうは、海に対する問題が非常に多く出てまいりました。やはり日本は四面海に囲まれ、また、海上日本としての大きな要素を含んでいるがゆえに、各委員の方々も真剣に討議をされたわけでございます。私も若干、海の問題について触れてまいりたいと思います。  運輸大臣が二月十二日に当委員会におきまして、運輸行政の基本方針について述べられております。その中にもございます一点、すなわち、海上警備救難対策の強化について運輸大臣が触れておられます。すなわちその内容は、必要な予算額、人員の確保について、その推進に努力すると運輸大臣は言われておりました。その具体策につきまして次官からお伺いしたい。
  355. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 海上保安体制の強化に関連いたしまして、特に四十四年度におきまして、どのような施策がとられる予定であるかということを具体的に申し上げます。  四十四年度におきましては、巡視船艇、航空機について申し上げますと、まず巡視船三百五十トン型一隻、百三十トン型一隻、二十三メートル型四隻、十五メートル型十五隻の代替建造及び消防船一隻を増強する計画でございます。また、航空機につきましては、ビーチクラフト一機、ベル型ヘリコプター一機、及び大阪に航空基地を一カ所設ける、こういう計画でございます。
  356. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その計画については、後ほどまた大蔵省の方からもお話を聞きたいと思っております。  そこで先にまず伺いたいことは、きょうもいろいろと各委員のお話の中へ出てまいりました海難の問題でございますが、去る一月十二日に第八漁吉丸、同じくタンカーの第八東洋丸と、沈没事故が続いております。また、先ほども小川委員から質問のありました銚子の河口の事故、多数の船員の貴重な生命が失われておるわけでございます。特に私どもが関心を持っておりますのが、第八漁吉丸のごとき三十九トン型の事故が多いように考えられます。そこで私、海上保安庁の調査を白書によりまして拝見いたしますと、昨年一年間で漁船の海難事故が千百五十件、そのうち多数の死者を出した例は、大部分がこの三九型にあるように思われます。三九型は、出港時には食糧、燃料、水、えさ、こういうのを限度一ぱいに積み込んで出てまいりますし、また帰りには、とれた魚を満載して帰ってまいります。往復とも、いずれにいたしましても喫水線一ぱいになっております関係上、ちょっとした強風あるいは横波等がございますと、かぶりまして、転覆するおそれがある。この三九型の事故の実態について、保安庁長官から伺っておきたい。
  357. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、四十三年度におきまして私どもの把握いたしました要海難救助隻数は、約二千五百隻でございます。このうち、漁船につきましては約千百二十一隻、したがいまして、パーセンテージにいたしまして四五%ということでございます。特にこの中で三九型がどのくらいあるかという点は、ただいまちょっと資料の持ち合わせがございませんので、御容赦いただきたいと存じますが、いずれにしても漁船の海難事故が非常に多い、こういうことでございまして、やはり基本的には、漁船に対しましては、特に遠距離海難が非常に多いわけでございます。私どもといたしましては、たとえば北太平洋あるいは南太平洋、そのようなところに大型の巡視船を出し、前進特別哨戒体制をとりますとともに、基本的には、やはり漁船について一番大事なことは、海難防止思想というものを徹底することでありますので、この点についても努力をいたしております。さらにまた、漁船の海難救助を行ないます場合に一番大事なことは、漁船はSOSを発します場合に、そのものの位置が非常に不正確でございます。したがいまして、SOSを発射する場合におきまして、私どものほうで、その位置を正確に測定するということが必要でございますが、ごく最近、ようやく私どもは近海におきまして、SOSの電波が発射される限りにおきましては、その位置を正確に把握できることに相なりましたので、このようないろいろな手段によりまして、特に漁船の海難防止につとめてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  358. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、海上警備の救難体制の強化の点について、いまお話がございました。たいへん心強い次第でございます。こういう事故を未然に防ぐことができることを、われわれとしては最も好むわけでございますが、さてそこで、大蔵当局としては今年度、ただいま保安庁長官からお話がありました三百五十トン型、あるいは百三十トン型、あるいは二十三メートル型、あるいは消防船、あるいは航空機、ビーチクラフト、あるいはヘリ、こういうものについて、いろいろと心配をしておりますし、何とかしてそれを充足し、充実して、そして事故を未然に防いでいく、このように体制は整ってきたわけでございますが、まだまだこの点では不十分だと思っております。特に現在、海上保安庁の所属の巡視船艇が二百八隻と私ども承知しておりますが、その二百八隻のうちに耐用年数を過ぎたもの、これがまだまだ使われているということを聞いております。それからまた、耐用年数を過ぎて、もう使えなくなってしまった、こういうものが帳面のつらは載っかっていても、係船してある、使用不能、こういうものも聞いております。この耐用年数を過ぎたものが、どれくらいあるかということについて伺っておきたい。
  359. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいま海上保安庁の船の現状につきまして御質問がございました。全体の隻数が二百八隻ございます点は、ただいま御指摘のございましたとおりでございます。それからもう一つ、この二百八隻のうちに現在係船しておるというお話でございますが、これは私どものほうは、どのような古いものでございましても、いろいろ航法上の制限その他はございますが、その性能の許す限りにおいて使っておりまして、係船状態にあるものはございませんので、その点はお含みいただきたいと思います。  それから次に、二百八隻の現状でございますが、まず海上保安庁が発足いたしました当時、旧海軍から引き継ぎました船が非常に多かったわけでございますが、これは、おかげさまで過去二十年間のうちに、逐次代替いたしまして、現在、旧海軍から引き継いでおりますものは巡視船につきまして四隻、巡視艇につきまして十一隻を残すのみとなりまして、ほぼ旧海軍時代のものは全部リプレースされた、こういうことでございます。ただ、海上保安庁は戦後できました役所でございまして、急速にこのような旧海軍の船舶を整備し、また、増強しなければいかぬという事情がございましたので、二十六年から二、三年にわたりまして、急激に船をつくっております。これらの船のうちの、特に巡視艇と称せられるものが約百二十八隻ございますが、これはもう私どもの見るところでは、非常に老朽になりまして、代替を要する、こういうことでございます。が、ただ、この点につきましては、財政当局のほうでも非常に御配慮をいただきまして、特に先ほど申し上げましたように、本年度、四十四年度におきましては、巡視艇二十三メートル四隻、あるいは十五メートル十五隻ということで、思い切った代替の計画を認めていただき、また、今後数年間にわたってこのような方針を維持していただく、こういうことでございます。  それから、その次に巡視船でございますが、やはり巡視船は、巡視艇よりは耐用年数は長いわけでございますが、当時スピードの制限が法律上あったというようなこともからみまして、また、ごく最近の海難から見まして、十三ノット程度の船足ではおそいではないかというようなこともございますので、この巡視艇の整備と並行いたしまして、巡視船の整備状況とにらみ合わせながら、これらのものを最近、私どもが重点を置いてつくっております三百五十トンあるいは百三十トンのものに、逐次置きかえていくということを今後推進いたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  360. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大蔵省の方に伺いたいわけでございますが、今年度では、代替計画は一応わかりました。新造計画は、要するに三百五十トン一隻、百三十トン一隻、こういうわけですね。それで新造計画は、要求は、六隻くらい海上保安庁では出したということを聞いております。しかし、いまのお話によると、そのうち新年度できまったのは、わずかに二隻である。それで、われわれがやはり新しい事態に即応して、新造計画は全面的に認めてほしかった、こう思うわけであります。その点について、大蔵省がこの新造計画を削った点の根拠を——どのようなわけでそれを削らざるを得なかったのか、この点について。
  361. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 大蔵省からもお話があると思いますが、その前にちょっと私から一言だけ申し上げます。  実は先ほど申し上げました三百五十トン、百三十トン、それから二十三メートル、十五メートルを含めまして、これは全部代替計画でございます。新造といたしましては、化学消防船を一隻新造する、こういうことでございます。  そこで、私どもの判断といたしましては、先ほど申し上げましたように、現在代替を要する、つまり改善を要するものが、当面、非常に多うございますので、当面、重点を代替建造に置いて四十四年度の予算がきめられた、こういうふうに考えております。
  362. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。それでは、一応了解しましたが、大蔵省の方へ、せっかくおいでいただいたので、その点についての補足的な説明があったらば承りたい。
  363. 丸山英人

    ○丸山説明員 ただいままでに、すでに海上保安庁長官から詳細数字をあげて御説明申し上げましたので、私から特につけ加えることはございませんですが、大蔵省といたしましても、今後海上保安庁側とよく相談いたしまして、救難体制に万遺漏なきを期していきたい、かように考えております。
  364. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 やはりこの辺で、ひとつ大蔵省にもふんばってもらわなければ困るわけですね。こういうふうな貴重な財産、生命が危険に瀕するということから考えて、四面海に囲まれた日本とすると、いつ何どきそういう事故が発生するかわからない。したがいまして、やはりこれに対する救難の準備はあり余るほどあって、しかも、それが使われない状態であっても一向に差しつかえないと思うのです。それが当然じゃなかろうかと思う。ところが、現実には、まだまだその代替計画も遅々として進んでいない。海上保安庁は大蔵省に対して、たいへん感謝の意を表しているようだけれども、私は、もっともっと強く要求してしかるべきじゃなかろうかと思うのです。ただ消防船の一隻ですか、今回できるということを伺っておりますが、この消防船のごときも、後にまたタンカーの事故等について触れてまいりたいと思うのですけれども、この一隻くらいの消防船、これはおそらく双胴の消防船のことじゃなかろうかと思うのですけれども、そういうものが一隻くらいできたところで、現在の大阪、あるいは伊勢湾、あるいは東京湾の中でも、千葉あるいは川崎と、こういうふうに非常に範囲が広いわけです。一隻くらいのものが、かりに本年度できたとしても、一朝火災が発生した場合には、とうてい間に合わなくなるのではなかろうか、非常に危険な状態が多くなるのではなかろうかと思うわけです。この消防船の点について、いま話が出てまいりましたので、この点を大蔵省としてはどのようにお考えになっているか、万が一大きな事故になってしまって、陸上にまで火災が延焼した、タンカーの事故、それが陸上にまで延焼した、そうして大被害を受けたというようなことが起きることは、最も好ましいことじゃございません。それを未然に防ぐ意味においても、いま双胴の消防船のごときは、もっともっと急速に十分整備されてしかるべきじゃないかと思うわけです。この点どう思いますか。
  365. 丸山英人

    ○丸山説明員 ただいまおっしゃられました大型の消防艇につきましては、四十三年度予算で一隻建造いたしました。四十四年度、ただいま御説のように一隻認めておりますが、大型の消防艇につきましては、あともう一隻、合計三隻をつくりまして、京浜、それから伊勢湾、それから大阪湾、その一番問題の起こりそうなところに配属する予定で現在おります。
  366. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 一応理解しましたが、この点については、重ねてひとつ要望しておきます。  それから次に、海上保安庁に配置されているところの航空機、救難の飛行機、ヘリコプター等についても、たびたびの質問で不足の状態が訴えられております。先ほども質問に出てまいりましたが、ぼりぼあ丸の事件等、かなり広範囲にわたって出動しなければならないこともわかります。そうなってくると、現在の体制では、とうてい不十分ではないかと思うわけでございます。わずかに今年度の予算において、一機やあるいはビーチクラフトが二機あるいはヘリが何機、そんな状態では、とうてい海難救助を急速に空から行ってやるということは、間に合わないのじゃなかろうかと思うのです。こういう点について、もっともっとわれわれは要望をしたいわけでございます。特に、その業務を全うするために、本年度の予算で、ただいまお話のあった程度では、まことに少な過ぎると思います。この点について、大蔵省ではどのようにお考えなのか。また、将来の見込みについてどうなのか。
  367. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいま私どものほうの航空機による救難体制につきまして、いろいろとお話がございましたわけでございます。確かに御指摘のとおり、私どもは現在ヘリコプターを含めまして十八機、これに必要な基地を持っております。決してこれで十分であるとは考えておりません。特に、先ほど来お話がございましたように、遠距離海難の場合におきまして、もっと足の長い飛行機をということが非常に要望されております。たまたまマリアナ海難を契機といたしまして、先ほど御説明のように、YS11を私どものほうで発注いたしまして、これがこの三月に入手できるわけでございますので、私どもといたしましては、この貴重なYS11を十分に使いこなしまして、さらにまた、先ほどお話がございましたような、ただいま開発中のPXその他につきましてもいろいろ問題点はございますが、航空機救難体制強化という観点から問題を検討いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  368. 丸山英人

    ○丸山説明員 ただいま海上保安庁長官からお答えしたとおりでございまして、今後ともよく相談してまいりたいと思います。
  369. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 次に、一月十二日に事故のございました第八東洋丸、このタンカーが沈没して、積載しておりました重油が流れ出して、そうして沿岸一帯のノリひび、真珠の養殖いかだ、こういうものが汚染されるような状況になった。こういうふうになりますと、これはたいへんな被害になってまいります。海上保安庁としては、中和剤のほかに、あめ状の薬品を重油の帯の外側に流して、接岸防止につとめているというような新聞記事が載っておりました。これらの資材が、どのような場所に、どんな状況で保有されているのか、その詳細について伺っておきたい。
  370. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございましたタンカーの第八東洋丸の沈没及び油の流出事件につきましては、お話しのとおりでございまして、当時私どもといたしましては、乗り組み員九名は全員救助いたしましたが、本船から油が出た、こういうことでございます。そこで私どもは、船主の油の除去措置に協力いたしまして、事件発生以来十日にわたりまして、巡視船艇を使いまして、オイルフェンスの展張及び除去剤による処理を行なった次第でございます。  一般的に、そのような油の流出事故と申しますものが、この九州に限らず、東京湾あるいは伊勢湾、あるいは大阪湾というところで、方々に起こっておるわけでございます。そこで私どもといたしましては本年度、つまり四十三年度からオイルフェンス及び油除去剤というものを、私ども自身でも備蓄するということを計画いたしまして、四十三年度及び今度の四十四年度の予算におきまして約二千五百万円程度のものを計上いたしております。これは四十三年度はまず東京湾、それからまた今後伊勢湾、大阪湾あるいは瀬戸内海、このように逐次、官としての備蓄を準備をしてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。ただ、これらのものは官だけがやるということではございませんで、むしろこれに関係のある船主はもちろんでございますが、石油精製業者その他のものが、官のそのようなものを、いわば呼び水として備蓄するという体制が非常に必要でございます。そこで私どもといたしましては、このような資材の官による備蓄と並行いたしまして、東京湾その他主要な各地におきまして、タンカーのこのような流出事故対策に関係する官民の合同機関、合同の連絡協議会というものを組織化するように、本年度から努力いたしておりまして、逐次、各管区において現在その組織化ができております。特に、東京湾における最近の油の流出事故その他については、このような組織を通じまして、流出油に対するオイルフェンスなり、あるいは備蓄資材の調達というものが、比較的スムーズにいっております。今後このような努力をいたしまして、官の対策、官民合同の対策を並行いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたい、こういうように考えております。
  371. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 民間の資材がどこに、どの程度確保されておるかということは、保安庁としても常に承知しておるわけですか。
  372. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 この点につきましては、あらかじめ、たとえば石油会社なりあるいは船主が買い置くということよりも、私どものほうで、これらの除去剤のメーカー及びその在庫というものを押えておきまして、必要な場合に、そのメーカーの在庫品を調達するという形をとっております。   〔阿部(喜)委員長代理退席、細田委員長代理着   席〕
  373. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 別に製造の会社に対して、それを御協力を願っておるという立場ですね。決して官のほうできめられただけ、これだけを確保しておけということではないわけですか、その点はどうでしょうか。
  374. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 メーカーがそのときどきにおきまして、除去剤等をどのくらいストックしておるか、どこにストックしておるかということをつかんでおる、こういうことでございます。
  375. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最後に、政務次官にこの点について伺っておきたいわけであります。  いまいろいろ巡視船、巡視艇、あるいは航空機、消防船、あるいは消防艇等の現況を伺いまして、また、新年度の予算等についても伺ったわけでございますが、あまりにも規模が小さく、予算も少額でございます。遭難事故によって貴重な人命が失われることを防ぎ、また、危険なタンカー火災を防止するためにも、もっと装備を増強をしなければならないと思うわけでございますが、この点について次官はどう思うか、結論を出してほしい。
  376. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 輸送につきましていろいろな問題がございますが、やはり一番大事な点は、安全という問題と、それから事故が起きた場合の救済の問題であろうかと思うわけでございますので、特に問題になっております海難あるいは航空、そういう問題につきましては、今後ともあらゆる機会を通じましてこれの増強をはかりまして、万遺憾なきを期してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  377. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 たいへんごりっぱに確信を持って答えられて、われわれは安心するわけでございます。しかしながら、現実にその姿は、いまお話があったような、ほんとうにとるに足らない数量、これをもってほんとうに安心はしておられないわけでございます。もっともっと私どもは、大蔵省に対して強く強く要望すべきではないかと思うのです。自衛隊がファントム一機を装備すると、一機二十億もかかるということも聞いております。二十億かかれば、シコルスキーのヘリコプターが十機も買える、こういう計算が出てきます。そうなってきたときに、私は、国全体として考えれば、海難救助体制の増強が、もっともっとできるわけではなかろうかと思うわけです。不測の海難事故の犠牲者の遺族の方々からも、こういう意見が数多く寄せられております。先ほどの米田委員の質問にもございました、あの一月五日のぼりばあ丸の乗り組み員の遺家族の問題——私どもも千葉県におりますぼりばあ丸の遺家族と親しく行って会ってまいりました。その結果、異口同音に言われたことは、いまのように軍用機を買うなら、戦闘機を買うならば、もっともっと救難体制を整備してほしい、これが残された家族の人たちのお話でございました。こういう点を涙ながらに訴えられたときに、私どもはほんとうにそうだと思いました。運輸当局が、いまのような弱腰であってはならない、もっともっと徹底して、こういう面に対しては要求をして、装備も完全にして、事故が起きた場合もすぐ出動ができる、各方面から飛んでいくことができるというふうに、私どもは一日も早くしてもらいたいと思うわけでございます。この点について、政務次官の重ねてひとつ決意を述べていただきたい。と同時に、大蔵当局に対して今後どうやっていくか、その点も次官の決意を聞かせてもらいたいと思います。
  378. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 御趣旨全くごもっともでございまして、今後とも万全の努力をしてまいりたいと思います。
  379. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大蔵当局としましては、いま申し上げたような事態は、ほんとうにおわかりいただけると思うのです。軍用機をつくるのがいいか、それとも、こういう救難体制を完備ならしめるのがいいか。いま申し上げたように、たった一機のファントムで、二十億のファントムでシコルスキーが十機も買えるということを考えたならば、もう少し生きているうちに金を使ってもらいたい、こう申し上げたいわけです。この点について、担当の主計官として、どのようにお考えになりますか。
  380. 丸山英人

    ○丸山説明員 ただいま御指摘の点につきまして、両方の点をどういうふうに考えるかという問題は、たいへん大きな問題でございまして、いろいろな角度から、これは慎重に検討しなければならぬ問題だと思いますが、いずれにいたしましても、救難体制の完備ということは非常に大切なことでございます。そういう意味におきまして、今後ともできるだけの配慮をいたしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  381. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 次官も丸山主計官も、ともどもこの救難体制は完備したい、今後もこれに対して努力していくというふうに私ども了解いたしました。どうかそのつもりで、しっかりとこの点についてもがんばっていただきたいと思うわけでございます。  それでは、次に港湾局長にお伺いすることにいたします。国鉄の再建計画等で、にわかに国の交通総合政策、これが欠除しているという面が表にクローズアップされてまいりました。港湾につきましても、都市の再開発、太平洋ベルト地帯、産業の集中化、合理化等によりまして、その用途、使命も大きな変革を余儀なくされていると思います。政府も長期政策を立てられていることは、わかっておりますけれども、どうもわれわれには、その政府の立てておられる長期政策なるものがびんときません。政府の立てられている長期計画自体が、現状にそぐわないものがあるのではないか、こう思うわけでございます。また、いわゆるお役所仕事の長期計画ではないのか、机上プランではないのか、こう思うわけでございます。現状で十分今後港湾の機能を発揮できるのかどうか、この点について港湾局長から伺っておきたい。
  382. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 御指摘の点は、現状の計画港湾の機能が十分発揮できるのかというような点だと思いますが、私どもがいま立てておりますいわゆる五カ年計画でございますけれども、これは昭和四十三年から四十七年までの五カ年計画でございます。これは国の経済計画にのっとりまして、外国貿易あるいは国内輸送の両面にわたりまして、物資ごとの五年先の輸送の見通しを立てているわけでございます。それによりまして、各港の計画をやっているわけでございます。いま予想される事態と申しますか、具体的に申しますと、昭和四十七年に港湾の扱い量が十五億三千万トンという目標の数字を扱い得る計画にはいたしております。しかしながら、この目標がどうなるかといいますと、五年先のこの目標がどうなるかということは、日本経済成長と非常に深い関係がございますので、経済計画自体が変わりますと、あるいはまた、経済の実勢というものが変わってまいりますと、この目標は変わってくる、そういう変化に対応するような考え方は、一応持っております。計画の中で持っております。
  383. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで最近、港湾の取り扱いの貨物が非常に増大しております。港がいわゆる交通ラッシュだ、こういうふうなこともいわれております。特に六大港におきましては、身動きがとれない、というと、あまりにことばが強過ぎるかもしれませんけれども、実際問題として、相当港で停泊をしていないと荷役の時間が回ってこない、こういうことも聞いております。そこで滞船時間が、現在の六大港においては、どの港ではどの程度になっているのか、この点を具体的に聞かせてもらいたいと思います。
  384. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  六大港の滞船状況でございますが、各港ごとのはちょっといま資料がございませんが、全体で申し上げますと、入港船舶の約二二%に近い数字でございます。一二・七%ぐらいの船が滞船をいたしておりまして、四十三年度で平均その滞船の時間が三十三時間でございます。四十二年度はもっと多くて、四十五時間ぐらいでございましたが、四十三年度は少し好転をしているというふうに考えられるわけでございます。
  385. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 一応その滞船をどうしたら少なくすることができるかというような問題について、相当に論議をされていると思うわけでございますが、このような状態になっていることは、港湾の内容そのものが旧式なものになっているのではなかろうか、時代にそぐわないものになっているのではなかろうか、こうも思うわけでございます。また最近では、タンカー等が非常に大型化してまいりました。シーバースや大型貨物船のバースへの直接の接岸等、港湾そのものの規模を拡大しなければ、この貨物量の急増に対処していけなくなるのではなかろうか、こんなふうに思っております。  そこで最近、新聞によりますと、大阪におきまして、関西経済同友会というのが、大阪湾の総合開発を行なうために、ポート・オーソリティーなどを設ける考えがあるということが出ておりました。この点につきまして、運輸省はどのようにお考えであるか。大阪湾の総合開発計画について、関西、神戸両同友会が申し合わせたポート・オーソリティー、こういうものに対して運輸省ではどのようにお考えになっているか、この点を伺っておきたいと思います。
  386. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 御承知のように、大阪湾、東京湾、こういう日本の外国貿易の中心でございます諸港のある湾におきましては、広域的な港湾計画をやっております。したがいまして、大阪湾全体で申し上げますと、港湾管理者が神戸市、兵庫県、大阪市、大阪府、こういうふうにございますが、これらの計画を総合的に調整をいたして、私どものほうで広域的な計画をつくっています。  また、ただいまお話しのポート・オーソリティーをどういうふうに考えているのかという問題でございます。これはいまに始まったことではございません。もう数年前、五、六年前でございましたか、防波堤をつくってポート・オーソリティーをつくるのだという構想が、関西の経済同友会でございました。このポート・オーソリティーの内容でございますが、現在の港湾法につきましても、いわゆる地先水面を自分の水面とする地方公共団体が合同して、港務局をつくることができるようになっているわけでございます。したがいまして、このポート・オーソリティーそのものが、どのような構想とどのような権限で考えられているかという点が非常に問題でございまして、要するに、いまの港湾管理者自分の管理権というものを捨てて、一本のものにならなければ意味がないと私は思うわけでございまして、この点、民間から再三提起がございますが、私どもとしては、この問題は非常に大きな問題でございますので、今後検討をしていく、こういうふうに考えているわけでございます。
  387. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ただいまお話がございましたけれども、いわゆるお役所の仕事に対する民間の不信のあらわれが、このような形で出てきたのではなかろうかと思う。港湾整備の五カ年計画に対する不満、これがあるのではなかろうか、そういうところからこういう計画を持ち出してきたのではなかろうかと、われわれは思うわけでございます。この点についてはどう思いますか。
  388. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 役所の港湾計画、あるいは港湾の管理、運営、これに対して不信感があるのではないかというようなお話でございますが、私はそのようには受け取っていないわけでございまして、経済同友会から直接にお話を聞いたわけではございませんが、大阪湾の港をもっとよりよくしたい、もっとひとつ大きくしていきたい、あるいはまた、一元化していきたい、そういう積極的な意欲と申しますか、そういう観点から出ているのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  389. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではその問題は、またわれわれも大阪の財界人の意見も、もっともっとよく聴取した上で、当局の意見とよく相互に検討を加えてみて判断を下したいと思います。  そこで現在港湾の開発は、新しい港を開発していく、また、古い港がさらに拡大される、その問題を考えてみましたときに、港の周辺に設立されるところの石油コンビナート、あるいは火力発電所その他の工場の需要に応じて行なわれているのではなかろうか。すなわち、国の港湾の開発計画よりも、大企業等のコンビナートや工場の設立のほうが先行している感が深いと思うのです。昨年度から行なわれているところの港湾整備の新五カ年計画との関係はどのようになっているのか。新五カ年計画を推進するために、産業界と住民の意見の調整なり、計画の策定なりについて、意見の交換が行なわれてきたものかどうか、また、全然これに対してはやられていない、一方的にこの計画を立てたものであるかどうか、これらの点について承知しておきたい。
  390. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  御承知のように、港湾法によりますと、港湾計画というものは、港湾管理者がつくるわけでございます。国はそれを総合いたしまして、国の計一画というものをつくり上げるわけでございます。したがいまして、国が直接産業界と交渉するというようなことはございません。計画自体の樹立の責任者は、港湾管理者でございます。港湾管理者もとで、そういった産業界とのいわゆるタイミングと申しますか、そういうような問題は解決をしているわけでございます。私どもはそれを聞きまして、大体その工場の進捗状況を見ながら、毎年毎年予算で産業との問題は調整をしていく。ところが、そこの産業界の工場建設という問題は予測しがたいわけでありまして、来年つくるから来年取ってくれということになりまして、毎年毎年の予算でそういうことをやっておる。したがいまして、御承知のように、五カ年計画の中に千百五十億円という調整項目というものを設けまして、そういったものにも対応できるような仕組みにいたしておるわけでございます。
  391. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私はもう少し産業界の意見を、特にこれから三年後あるいは五年後の産業界の見通しというようなものについても十分意見を戦わして、いわゆる港湾管理者計画に大きく取り入れていくという、その雅量がなければならないと思うのです。そこで一方的にいってしまって、自分のほうはこうやるのだから、おまえのほうでこの計画にマッチしろ、こういうような行き方ではなかなかうまくいかないと思うので、どうしてもこれらの点について、その港によって大きく発展していく都市であるとするならば、やはり港湾管理者がもう一歩積極的に、その産業界との打ち合わせを十分されるようにわれわれは希望するわけです。やはり役所仕事というそしりを免れないのは、その辺にあるのではなかろうか、そう思うわけですが、その辺についてどうですか。
  392. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 港湾管理者は、企業の来ることを非常に喜んでおると申しますか、工場を誘致いたしまして、地域経済の発展をはかるということで、いわゆる新産都市にいたしましても、工特にいたしましても、産業界を誘致しよう、工場を誘致しようということに熱心でございます。したがいまして、その産業界との連携、連絡と申しますか、港湾管理者と産業界との連絡は、非常に密だと私は思っております。なおまた、国におきましても、港湾審議会という場がございまして、ここでは鉄鋼関係の方、油関係の方、そういう方々が審議会の委員として加わっております。したがいまして、重要なものにつきましては、運輸大臣港湾計画審議する必要があるというものにつきましては、港湾法によりまして、港湾管理者計画の提出を命ずるわけでございまして、その際には、おおむね十カ年先くらいの計画をつくっておりますが、そういう点につきましては、産業人も入れて議論をいたしております。したがいまして、現状はもう少し産業界との交流と申しますか、足りないのだということであれば、また私どもも今後努力するように港湾管理者にも指導いたしますが、大体新産都市その他については十分にやっているのではないかと考えているわけであります。
  393. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私がこのようなことをお伺いするということは、四十年度を初年度としたところの五カ年計画が、四十二年度において練り直しを迫られた。これは、確かに貨物量が予想以上に伸びてきたというところもありましょうけれども、見通しの悪かった点、それを考えましたときに、今度の新五カ年計画が、現在混乱しておりまする港湾の状況を十分解消できるかどうか、この点について心配が起きてくるわけです。そういう点から、いま重ねてお伺いするわけでございますが、その点心配が起きてくるわけです。そういう点からいま重ねてお聞きするわけですが、その点、確信がありますか。
  394. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 予想されました貨物量に対して、そのとおりにいけばだいじょうぶでございます。しかしながら、いままでの過去の経過を振り返ってみますと、私どもが想定した——私どもと申しますと、ちょっとことばが過ぎるかもしれませんが、つまり政府計画いたしました経済計画自体が、それを上回った経済の実勢の伸びがあるというところが、港湾計画を練り直したと申しますか、改正した一番大きな問題でございます。したがいまして、そういう点さえなければ、いまの計画で十分やっていける自信がございます。また、今後の海上輸送の革新と申しますか、コンテナ輸送、そういった点に対しましても、調整項目の中で貨物量自体が私どもの予想どおりであればやっていける、こういう自信を持っております。
  395. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 新五カ年計画の推進の上で、各企業との意見の調整をいま完全にやられている、行なっている、こういうふうな港湾局長の御意見でございましたけれども、われわれの聞くところによりますと、なかなか自分たちの意見を入れてもらえない、こういうことを言ってきております。そして、意見の調整ができない、そういうところに、港湾整備の五カ年計画が変更を余儀なくされたように思うわけでございます。やはり港の取り扱い量はますます増大してくる、こういうことはいろいろの角度から、当然予測をして計画を立てられたと思うのです。また、それができないときには、予備費があるからいいんだというようなお話がありましたけれども、やはり計画はあくまで緻密に、そしてその計画どおりに、少なくとも最初の計画は一年度、二年度くらいまでは計画を立てた線でいかなければ、これは計画を立てる値打ちがないと思う。それが四十年度を初年度としたところの五カ年計画の二年度において、もうすでに計画の練り直しをしなければならぬということもあるので、われわれは心配しているのでございます。また、練り直しをするならば、至って簡単ではございますけれども、そうたびたび練り直しをしてはならないと思いますので、この点について、重ねて、政府はどのようにしていくか、その考えをもう一度念を押して聞いておきたいわけです。
  396. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 第一次の五カ年計画は、四カ年で改正をいたしたわけでございます。第二次五カ年計画は、三カ年で改正をいたしました。そして、第三次の計画でございますが、これは三、四年くらいはだいじょうぶもつという——いままでの計画を練り直したということは、日本経済が予測以上に伸びたという、港湾計画を練り直さなければならない程度に日本経済が伸びたということは、非常に喜ばしいことじゃないかと思っておるわけでございまして、今度の計画も、先ほど来申し上げましたように、貨物量の予測が予想どおりいきますれば変える必要はないと思いますが、それがどうなるかということはわかりませんので、非常に大幅な伸びがあると予測が狂うということになりますれば、またその時点で改めなければならないということになると思います。
  397. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 荷物がふえるということは、結局、港湾が繁栄するということになりますので、荷物がふえたために計画を変更する、そのほうがいいわけです。荷物が減ってしまって、せっかく設備したものが遊休になってしまう、それでは困るわけですから。ふえるために設備を変更するということは、われわれはそれに対して決して反対するものではございません。やはりもっと民間の企業といろいろと相談されて、意見を交換し合って、そして計画をりっぱに立てていただきたいと思うわけです。  そこで話は別になりますが、港湾審議会の答申が一日に出ております。これによりますと、港湾整備の五カ年計画の国の助成措置についての基本方針が了承されるというふうに書いてございますが、それについて内容を答えてほしいと思います。
  398. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 港湾整備五カ年計画に対しまして、港湾審議会から運輸大臣あての答申でございますが、「港湾整備五箇年計画の案は、原案のとおりおおむね適当である。」「ただし、港湾整備五箇年計画の実施にあたつては、次の二点に留意されたい。」こういうことでございます。第一点は「今後の急激な輸送方式の革新と近代化に対処して、必要な施策を積極的かつ弾力的に行なうよう配慮すること。」第二点は「港湾整備事業費の年次配分については、取扱貨物や入港船舶等の港勢に対応出来るよう配慮すること。」この二点を実施上留意されたいということで答申書は出ております。
  399. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 次官にお伺いするわけですが、閣議にかかる日も近いんじゃなかろうかと思いますが、この際、運輸省として助成措置、一応八千億円というふうに考えられているようでございますけれども、この点について強力にこれを要請するつもりがあるのか、それとも、場合によってはやむを得ない、ある程度割り引きしていくというふうに考えているのか、その決意のほどを知らせてもらいたい。
  400. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 この五カ年計画につきましては、最近答申を見ておりまして、この骨子については、すでに大体了解を得ているところでございますので、私たちは今度の案で、慎重審議をしてもらった結果でもありますので、ぜひ閣議を通していくように努力するつもりでございます。
  401. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いよいよ最後の段に移ってまいりましたから、もうしばらくお待ちを願います。  港湾の性格によりまして内航に重点を置くところ、あるいは外航に重点を置くところ、いわゆる自然の立地的なものによりまして港湾の性格があると思うわけでございますが、いずれにいたしましても、内航を整備して岸壁の荷役、また倉庫、上屋等、あるいは最近はサイロによるところの穀物の荷役、貯蔵等、近代化、合理化を進めております。そこで、港湾管理は地方の公共団体でありますが、財政が非常に豊かなところと貧乏なところとあるわけでございます。したがいまして、その事業にもおのずと差ができてくるわけでございますが、近代化、合理化を進めるのには、用途別の集中的な埠頭整備をしなければなりません。そこで、おもに六大港につきまして、その現況はどのようになっているか、これを港別にお知らせを願いたい。
  402. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 六大港につきまして、港湾整備の状況と申しますか、どういうふうになっておるかという御質問でございますが、先生のいま御指摘のように、今後の近代化、合理化というものは、やはり物資ごとと申しますか専門的な埠頭と申しますか、そういうものでやっていきたい。たとえばコンテナといったものは、これもやはり一つのそういう近代化になり専門化になるわけでございますから、そういうような形で、油は油、あるいは木材、あるいはまた穀物類でございますとか、そういうような物資ごとに、一番能率的な荷役方式と申しますか、そういう方式に変わっていくということが指摘されるわけでございます。各港ごとにつきましては、ここに資料がございませんので、方針といたしまして、そういう方針で五カ年間をやっていく、こういうことをお答えしたいと思います。
  403. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最後に、次官にお伺いしたい。海上交通法を今国会に提出するというようなことを言われておりますが、これが漁民の反対が激しいということを聞いております。漁業の補償問題が、かなりこじれているように聞いておりますけれども、その後、意見の調整ができたのか、補償問題についてどの程度の話し合いができたのか、この状況について伺っておきたい。
  404. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 この問題は、昨年からずっと検討してまいりまして、引き続いて今度の国会に御審議を願うべく、いままで水産庁と中に入りまして調整してまいったのでございますが、いまの段階では、残念ながら、まだその間の了承を得ることができません段階でございます。なお、まだ会期も残っておりますので、努力してまいりたいと思っておりますが、いまのところ、まだ調整がついておりません。
  405. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 水産庁にこの処理についてのげたを預けたということを聞いておりますが、水産庁のほうから、補償の問題について進展状況の報告は来ていますか、来ていませんか、その点はどうでしょうか。
  406. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 まだその補償とかなんとかいう問題でございませんで、御案内のように、海上交通法でございますから、これは、いわば交通警察に関する法規でございます。したがって、性質上やはり補償という問題ではなかろうということでございまして、漁業家にどれだけ迷惑をかけるかという問題でございます。運輸省の海上保安部といたしましては、まず迷惑はかけない方向で案を立てているわけでございますけれども、その内容についてまだ十分な了承が得られていない、こういう状況でございます。
  407. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 今国会には提出の運びになる模様はないということでありますか、結論的にいうと。
  408. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 目下盛んに調整をやっておりますが、見通しは非常にむずかしい状況でございます。
  409. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 見通しは暗い……。  じゃ、以上で終わります。
  410. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二分散会