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1969-03-11 第61回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十一日(火曜日)     午後七時三十四分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 阿部 喜元君 理事 大竹 太郎君    理事 徳安 實藏君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 山下 榮二君       加藤 六月君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    川野 芳滿君       木部 佳昭君    四宮 久吉君       中川 一郎君    橋口  隆君       福家 俊一君    福井  勇君       箕輪  登君    玉置 一徳君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 三月十一日  委員菅太郎君、西村英一君、池田禎治君及び沖  本泰幸君辞任につき、その補欠として橋口隆君、  亀岡高夫君玉置一徳君及び浅井美幸君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として西  村英一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇号)  日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案内閣  提出第一一号)  日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措  置法案(久保三郎君外九名提出衆法第五号)      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  去る七日、当委員会審議にあたり、円滑なる運営のでき得なかったことは、まことに遺憾に存じます。  今後は一そう民主的運営に情熱を傾け、精進努力を続けます。  各党理事各位並びに委員各位の深き理解ある御協力により、議案審議に格別の御配慮を切に懇請申し上げます。  なお、単独審議並びに強行採決は、これを避けるよう、与野党ともに努力するよう、理事会において申し合わせました。  なお、七日の委員会における中川委員の発言中、用語として穏当を欠く個所があれば、検討の上、委員長において適切なる措置をいたしますので、御了承願います。
  3. 砂原格

  4. 砂原格

    砂原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、ただいま審査中の国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案及び日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措置法案について、参考人から意見を聴取することとし、参考人の人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  6. 砂原格

    砂原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。大竹太郎君。
  7. 大竹太郎

    大竹委員 今度の国鉄運賃値上げにつきましては、相当強い反対があることは御承知のとおりでございます。それで、この反対の人々の意見の中には、国鉄の現在の運賃は必ずしも安くない、これを他の物価が上がっているこの際、上げるというのは非常に不都合じゃないか、というような意見を持っておる人もありますと同時に、また、国鉄運賃は、ことに、ほかの物価から見た場合には非常に安い。しかし、一般物価が最近非常に上がってくる、この際、安いといって上げるのでも、ほかの物価値上げを刺激する、したがって、安いから上げたいという気持ちはわかるのだけれども、この際は上げるべきじゃないのではないかという意見もあるようでございます。したがいまして、この国鉄運賃の問題を議する場合においては、国鉄運賃というものは、一体ほかの物価と比べて高いのか安いのか、ということをまず考えてみる必要があるのではないかと思うのであります。ただ、国鉄運賃は高いか安いか、こう申しましても、なかなか結論が出しにくいのでありますが、たとえば他の公共料金と比べて一体どうなっているのか、また、私鉄運賃との比較が最近問題になっているようでありますが、私鉄運賃と比べた場合にどうなのか、また、よく物価比較に用いられますように、戦後における他の物価上昇率運賃上昇率比較、あるいはまた、欧米先進国鉄道運賃は一体どうなっているのか、こういうようないろいろな比較検討の方法があるだろうと思うのであります。  まず第一に、戦後における他の物価上昇率国鉄運賃上昇率というものは一体どうなっているのか、これをまずお聞きをいたしたいと思います。
  8. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまのお尋ねでございますが、まず国鉄運賃と諸物価、特に公共料金値上がり率との比較を、少し数字でもって申し上げたいと思います。  現在発表いたされております、まず都市における消費者物価指数、これは昭和十一年度を——基準でございますが、一応日本の非常に物価の安定しておったと言われておる年であります、都市消費者物価指数が四八一、それから一般卸売り物価指数が三七五、これが一つ基準となっております。以下、公共料金につきまして申し上げますと、まず、国鉄と非常に似通って、戦前全く同じであった国鉄の一キロの運賃、それから、はがき代、これは同じく一銭五厘でございました。それが現在、はがきが七円で四百六十六倍、それから都市ガス、これが二百六十七倍でございます。それから、公共料金と申しましても、多少性格は違うかと存じますが、入浴料金が五百六十三倍、新聞代が、これはページ数その他もだいぶ違っておりますが、一応五百九十一倍、電灯だけが大体戦前並みということでございます。これに対しまして、国鉄旅客運賃は現在二百三十四倍でございまして、貨物運賃が二百四十四倍でございます。いま申し上げましたとおり、戦前全く政府企業として一緒にやっておりました郵便のはがき料金国鉄の一キロ当たりの運賃というのは、明治の初めから同額でございました。それがいま二三四と四六六というふうな開きが出てきております。  次に、外国のほうを続けて申しますと、これは一九六六年にフランスで出しております世界各国鉄道統計、UICという世界鉄道連合機関がございます。これで出しておりますものによりますと、これはもちろん為替レート等の問題がございますが、一応、公定レートでもって比較いたしますと——数字は省略いたしまして倍率で申し上げますと、旅客運賃につきましては、日本を一〇〇といたしますと、アメリカが二五〇、イギリスが二一〇、それから西ドイツが一八〇、フランスが同じく一八〇でございます。イタリアが一四〇、スイスが一九〇。それから御参考までに貨物のほうを申し上げますと、日本を一〇〇といたしますと、アメリカだけが日本より安くて八〇でございます。イギリスが二三〇、西ドイツが二〇〇でございます。それからフランスが一六〇、イタリアが同じく一六〇、スイスが三〇〇、欧米主要国運賃との比較は一九六六年で申しますと、大体いま申し上げましたような数字になるわけでございます。
  9. 大竹太郎

    大竹委員 いま日本公共料金昭和十一年と現在の比率、たとえば、はがきが四六六、鉄道が二三四という御説明でございましたが、今度上げますと、この二・三四はどうなり、また、外国との比較は一体どうなるのでありますか、一応御説明をいただきたいと思います。
  10. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま御審議願っております運賃法改正案によりますと、賃率といたしまして一五%のアップでございますので、二三四が二六九に相なります。それから貨物は変わりませんので、そのままでございます。したがって、外国との比較は、いまの日本の一〇〇が一一五になるわけでございますので、若干ずつ外国のほうが減ってまいる、一〇%くらい減ってまいる、こういう形になります。一〇〇が一一五になりますので、その分だけ、百分の百十五だけ減ってまいりますので、その程度の違いでございます。
  11. 大竹太郎

    大竹委員 先ほどお聞きしたけれども、このほうのお答えがいまなかったのでありますが、国内における私鉄運賃との比較でありますが、聞くところによりますと、現在においても、国鉄運賃私鉄運賃よりも高くなっておる。ことに、私鉄運賃値上げを申請してあるけれども、そのほうを押えて、そして国鉄運賃だけを上げるということは、非常に不都合じゃないかというような陳情その他も私ども受けておるわけでありますが、この私鉄運賃との比較、そしてまた、この私鉄運賃を押えているのは、一体どういうところによるのか、これらについては、運輸省のほうからお答えをいただきたいと思います。
  12. 町田直

    町田政府委員 国鉄私鉄運賃比較についてまず申し上げます。  いままで国鉄私鉄は四十一年、三十七年、三十四年の三回を除きまして、大体同じ歩調で上がってきております。そして現在の段階で比較いたしますと、普通運賃につきましては、並行区間をとって申し上げますと、ほとんど差がございません。しかし、定期運賃につきましては、御承知のように、昨年の四月に国鉄定期運賃是正をいたしましたので、そういう意味で定期運賃につきましては、現在、私鉄国鉄の差がかなりございます。今度、一五%値上げをいたしますに伴いまして、私鉄国鉄の差は、多いところでは約二倍、少ないところでも五、六〇%こういう差が出てくるという状態に相なっておる次第でございます。
  13. 原田憲

    原田国務大臣 私鉄国鉄と差があるのに、なぜ押えておるのかというお問いがございましたので、私からお答えいたしますが、いまお聞きのように、普通運賃は改正せざる前、現在ではそう差はないわけでございます。ただ、定期を昨年、国鉄のほうは上げましたが、私鉄は上げておりませんので、いま御説明申し上げましたような状態にあるわけでございます。  私は就任いたしましたときに、この運輸委員会でも、前の大臣が、私鉄運賃についても考えなければならぬのじゃないか、一年据え置きをすると言った大臣でございますけれども、そういう話をされた、大臣はどうかという御質問を受けたわけでございますが、確かに前大臣からもそういう申し送りも受けておりますが、御案内のように、昭和四十四年度の予算を編成するにあたりまして、政府は、この予算基本的には警戒中立型と申しますか、安定した経済の持続ということに基本を置きまして、したがって、経済成長率も一四・四%というところに置いておる。そのために、物価という問題に一番重点を置こうじゃないか。いま、御承知のように、国際収支もたいへんよろしい、四十三年度予算を組むときには、ことしの四十四年度の入り口でまだ赤字じゃないかと言っておったのが、三十億ドルも外貨がたまっておる。それから国内経済も三年間続いての、いわゆる好況が続いておる。こういう状況でございますから、一番心配なのが物価値上がりである。そこで少なくとも政府公共料金値上げをする、政府主導型の物価値上がりということにはならないようにしょう、こういうことから、経済企画庁は五%ということに置いておるので、国鉄運賃以外は極力これを抑制するという基本方針を立てておるわけでございます。したがいまして、この国鉄運賃は、冒頭大竹さんのお話しのように、値上げをすることはけしからぬという御意見があることも存じ上げておりますけれども、もしこの国民経済国民生活を背負っておる国鉄がとまったら一体どうなるのか、こういうことを考えますときに、この財政再建はどうしてもしなければならぬ、だから、この点で国民皆さん方にも御理解を賜わりたいというのが運賃改正でございます。それ以外は極力抑制につとめる、こういう態度で臨んでおるということを申し上げたいと存じます。
  14. 大竹太郎

    大竹委員 先ほどのお答えによりますと、普通運賃私鉄と差がない、だけれども、定期については、昨年国鉄定期を上げたので、相当の差が出ているというお話でございます。  ところで、この国鉄定期でありまするが、私、こまかいことはわからぬのでありますけれども、たとえば、割引率の一番高いものは通学定期であろうと思いますが、通学定期の長いのは半年ですか、その定期が期間といい、割引率といい、一番高いのだろうと思いますが、これですと、現在でもたしか八、九〇%の割引になっているように思うのでありますが、どんなものでも九〇%も八〇%も値引きするというのは、ちょっと普通ではないと思うのであります。そういたしますと、私鉄定期と比べて、具体的に一体どうなっているのかもこの際お聞きしたい。九〇%も値引きをしてもまだ高い、私鉄のほうはそれよりまだ安いんだというようなことは、ちょっと想像もつかないのでありますが、その点、数字的にちょっと御説明いただきたいと思います。
  15. 町田直

    町田政府委員 御指摘のように、通勤につきましては、国鉄が現行で平均いたしまして五二・九%の割引率、それから通学につきましては八一・一%の割引率。これは昨年度是正をいたしましてこういうことになりましたので、その前はちょっとはっきり数字を覚えておりませんが、八五、六%ではなかったかと思います。したがいまして、私鉄につきましては、全く同じではございません。全く同じではございませんけれども、私鉄定期割引率は、昨年の国鉄定期割引是正のなかった状態と大体同じであるというようにお考えいただきたいと思います。
  16. 大竹太郎

    大竹委員 いま割引の問題が出ましたから、次に、この際、確かめておきたいと思うのであります。  これは貨物の問題になりますけれども、たしか農産物関係で、国鉄相当数の品種について割引をやっておるということでございますが、これについて御説明をしておいていただきたいと思います。   〔委員長退席阿部(喜)委員長代理着席
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 貨物運賃につきましてはいろいろの割引がございますが、ごく大きく分けまして三種類ございます。  一つは、私のほうの貨物運賃は、現在、明治の初年にとりましたいわゆる従価等級制度と申しまして、ものの価格でもって運賃がきまっている、重さとか容積ではなしに、ものの値段でもって運賃をきめる、こういう古い制度をそのまま現在も踏襲いたしております。その面からいたしまして、現在すべての貨物を四つの等級に分けておりますが、その際に、農産物等生活必需品につきましては、そのおのおのの等級に該当するものから、さらにそれを引きまして、一番下の等級に当てはめております。これを以前、特別等級と言っておりましたが、現在名前がありませんが、一番安い等級にそれをおさめております。それが第一点。  それから第二点は、いわゆる政策割引と申しまして、遠距離の貨物、あるいは米のように生活依存度が非常に高い貨物等につきましては、政策的な割引をいたしております。  それからもう一つ、前回の運賃値上げの際に、暫定的にさらに公共政策割引というのを設けたわけでございます。  この三種類を合計いたしますと、まず第一の等級によりましては約四十一億、その他の政策割引、これは通称暫定割引と言っておりますが、それが約二十億、それから一般公共政策割引が約三十億、合計いたしまして九十億——百億ちょっと欠けますが、その程度のものが貨物関係割引でございます。
  18. 大竹太郎

    大竹委員 ただいま通勤通学割引あるいは農産物暫定割引公共割引ですか、のお話をお聞きしたのでありますが、先ほど欧米各国運賃比較がございましたが、外国においては通勤通学割引とか、あるいは農産物運賃割引というような制度、これに類した制度を採用しているところはほとんどないというように聞いているのでありますが、その点、外国との比較についてお話しを願いたいと思います。
  19. 磯崎叡

    磯崎説明員 まず、通勤通学のほうでございますが、外国におきましても、国によって多少の違いはございますけれども、通勤あるいは通学割引をしているところがございます。しかしながら、先ほど鉄監局長から御説明がありましたとおり、現在の通勤割引平均が約五六%、通学平均いたしまして八一%、最高約九割でございますが、平均八一%、こういう高額な割引をしている国はどこもございません。大体半分、五〇%ないし三〇%程度割引になっているようでございます。そのうちで一番大きいのはドイツでございますが、ドイツがせいぜい五〇%前後、あとは大体三割から五割までの間というのがヨーロッパの国々の通勤通学定期割引でございますが、これらにつきましての負担は、大体政府からめんどうを見ている、穴埋めをしているという形で、鉄道そのものにしわを寄せていないというのが非常な特徴でございます。  それから貨物につきましては、外国では全く自由運賃と申しますか、いわゆる定めがございません。イギリスのように最高だけきめまして、その範囲内でよろしいというきめ方の国が多少の例外でございます。あとは全部個別運賃でございまして、ちょうどトラックのように、ほとんど荷主との相対の運賃をきめているようでございます。したがいまして、こういう割引をするといたしましても、当然いわゆる営業政策として、よけい送ってくれれば割り引きますという商売上の割引をしているところがあるようでございますが、こういう政策的な割引は、全くないというように承っております。
  20. 大竹太郎

    大竹委員 先ほど冒頭に申し上げましたように、ほかの物価を刺激する、ほかの物価鉄道運賃を上げれば上がるから反対だという意見もあるということを申し上げましたが、また、ある経済学者に言わせれば、ある一定のものをばかに安く押えておくということは、その余剰購買力によって、むしろほかの物価を上げるのだという説もある。また一面、国鉄は非常に込んで困る、これの対策にまた金をかけるということが問題になっておりますが、料金を安くしておくとますます込むのだ、こういう説もあるのであります。これは大臣、どうお考えになりますか。
  21. 原田憲

    原田国務大臣 現在御提案をいたしまして御審議願っております国鉄運賃改定率というものは、御承知のとおり、旅客運賃だけで一五%、こういうことでございます。したがいまして、現在の公共料金の中で、もしこれが実現をした場合、国民消費の中でどれくらい影響するのか、これは〇・一八、四捨五入しまして〇・二といわれておるのでございまして、私はほとんど影響のない数字であるといっても差しつかえないと思う。これは経済企画庁長官もそう言っておるのですけれども、物価というものは値上がりムードがある、だから、国鉄が上がったのだから、わしも上げるというような便乗値上げというか、そういう傾向が一番困る、こういうことをおっしゃっておるのであります。私は先ほども申し上げましたように、大竹さんの御質問の中にありましたように、バランスがとれてないときには、かえって逆にそれが働きまして、物価に逆効果値上がりをもたらす要因になる。したがって、価格というものはバランスがとれることが一番大事である、これは私が先般からずっと申し上げておるところなんでございまして、私はこの国鉄運賃値上がりというものは、国民消費の中で一番吸収されやすいものであると思う。しかもこれは、実質的には一番数の多いのは、御案内のように通勤通学の収入でございまして、通学のほうは別でございますけれども、通勤のほうは、いわゆる税制等によってカバーされておる、こういうことでございますから、一番問題が少ない、影響が少ないという見方を私自身はいたしております。
  22. 大竹太郎

    大竹委員 そこでもう一つお聞きしておきたいのでありますが、自由主義経済のもとにおいて物価を決定するものは需給関係だ、こういう一応の原則があると思うのであります。それで国鉄で非常に問題になっていることは、国鉄は込んで困るということでありまして、ものの需給からいえば、需要が多過ぎるということになりますと、自由経済のもとにおいては、需要の非常に多いものは値上がりするというのは、私、これまた経済原則かと思うのでありますが、それと国鉄との関係はどうお考えになりますか。
  23. 原田憲

    原田国務大臣 物価をきめる要因は何だというと、原則的には需要供給だ、これはお説のとおりだと思います。したがいまして、いまたとえば一番込んで三〇〇というような数字を示しておるところ、そこではどういうことになっておるかというと、運賃が安い、そのためにサービスが受けられない、こういう逆効果をもたらしておる、これは私はいなめない事実であろうと思うのであります。だから、利用者負担ということからいいますと、そういうときには運賃は高く協力願って、そのかわりに投資をして、そういう混雑を少なくして、そしてお客さんにサービスをする、こういうことが普通の企業の姿であろうと思います。国鉄の場合は、これが全国の経営でございますから、原価をきめる際にも総合的な原価主義をとっておりますから、いま大竹さんのおっしゃっておりますことだけをとってやれないという、少しむずかしい面が出てきておりますので、今度は利用者にも御負担を願うが、市町村、国も負担をする、国鉄みずからも合理化するところはする、こういう三位一体方式をもって財政再建をはかろうというのが、今日御提案申し上げておる趣旨でございます。
  24. 大竹太郎

    大竹委員 それでは、いまの基本的な問題についてまだ御質問申し上げたい点もありますが、先へ進むことにいたしまして、国鉄財政再建推進会議意見書によって、今後十年間で国鉄財政再建しようということになっておるわけでありますが、御承知のように、この再建には三本の柱がある。一つは、いわゆる国の責任において、ある部分についてはめんどうを見よう、第二本目の柱は、利用者に御負担を願うというのが、この運賃値上げの問題だと思うのであります。三番目には、国鉄の内部における合理化とでも申しますか、節約とでも申しますか、それによって何がしかはじき出そうというのであります。先ほど来、磯崎総裁から、通勤通学その他政策的な面を外国ではすべてめんどうを見ているというお話がございましたが、今度の再建計画における国のめんどう見方が、これに見合うものであるかどうかということを、ひとつお答えいただきたいと思います。
  25. 石田禮助

    石田説明員 今度の国鉄再建につきましては、いまだかつてない救いの手を大蔵省から出してくださったのです。これはつまり、本来からいえば、いままで公共負担であるべきであったものにつきまして、ことに赤字線だったものに対して、独立採算のもとに経営しておる国鉄であるにかかわらず、一向政府めんどうを見てくれなかった、わずかに利息について、ちょっぴりめんどうを見てくれたというようなことでありますが、今度は大蔵省としては、だいぶんヨーロッパあたりの事情を調べました結果——さっき副総裁も申し上げましたように、英国にしても、フランスにしても、ドイツにしても、公共負担というものはありますけれども、鉄道は全然負担しない、政府がすっかりめんどうを見てくれる。なお、それでしりが出た部分については見てくれるというように、至れり尽くせりの愛の手を出してくださっておるのであります。日本においては、いまだかつてそういうことはない。今度大蔵省がそういうことをやってくれたのですが、一体これが十分なものであるかどうかということにつきましては、相当に私は議論があると思います。しかし、これまでそういう公共負担というものについて国鉄は一人でしょっておって、政府あたりに対して一向主張しなかったということは、私は国鉄がどうかしておったと思うのです。私は三十八年に総裁になりましてから、これをずいぶん強く言ってきたのでありまするが、その前には、こういう問題は一向問題になっていない。だからして、欲をいえば、大蔵省がもう少し出してくれてもいいじゃないか、こういうように思うのですが、あの大蔵省が今度のようになったということは、私はこれはよほどの奮発だと思うのです。これは、これ以上のことは追ってまたやるといたしましても、今度は、これでもってわれわれは満足し、感謝すべきものじゃないか。それであとの問題につきましては、社会党あたりはこれは政府が出せ、運賃値上げをするのは間違っておると言っていますが、政府が出せといったって、これは税金で出すのです。別に天から降ってきたものでもない、税金で出すということは、納税者が出すということなんです。それはすでにもう大蔵省が出しているのですから、この上は、やはり利用者が出すということのほうが公平じゃないかということで、私は大蔵省のあれに対しては感謝して、今度の運賃値上げということに進んだ次第であります。
  26. 大竹太郎

    大竹委員 いま総裁のほうから、国のめんどう見方はこのくらいが限度だろうというお話、また、国鉄運賃値上げの問題、これはもちろん利用者負担の問題でありますが、私はやはりこの三本の柱の中で、率直に申し上げて、国鉄の内部におけるいわゆる合理化の計画案というものが、これはことばどおりにいくかいかぬかということについて、危ぶみとでも申しますか、なかなか心配な点がいろいろあると思います。これは、もちろん企業の内部のことでありますから、民間でも同じこと、ほんとうに今度立て直しをやるということになりますれば、労使ほんとうに協力体制を敷いてやらなければ、私はなかなかむずかしいと思います。赤字線の問題にいたしましても、無人駅の問題にいたしましても、あるいはこれは国鉄直接の問題ではございませんけれども、新線建設の問題にいたしましても、もちろん国鉄だけの力ではなかなかできない問題で、これは私どもはじめ、外も相当の協力をしなければできない問題だと私は思いますが、それにいたしましても、国鉄内部の労使の協調というものが、内部でごたごたしていて外で協力できるはずはないのでありまして、その点、私は非常に危倶するものであります。たとえばこの間の東鉄局の三分割案にいたしましても、ストまでいかないでおさまってけっこうでありますけれども、こういうようなことですらストまでいくというような問題、それからこれは前から人員合理化の問題で機関助士の問題等も相当長く議論されておったようでありますが、いまもってまだ結論が出たというお話は聞いておりません。また、国鉄運賃値上げの問題にいたしましても、これはあんまり表面には出ておりませんけれども、相当国鉄の従業員でも反対をしているというように私どもも聞いております。  こういうようなことで、私ども外部から見ておりましては、どうも国鉄内部において、ほんとうにこの再建計画というものを実施する上において、内部の体制が一体できておるのかどうかということについて、私どもは非常に心配でならないのであります。いま二、三の例をあげたにすぎないわけでありますけれども、それらについてのいわゆる今後の体制の持っていき方、それに対する覚悟、お見込みがあるのかどうか、それらについて責任ある御答弁をいただきたいと思います。
  27. 石田禮助

    石田説明員 お答えいたします。  国鉄自体の合理化の問題でありまするが、これはお察しのとおり、実に困難な問題だと思います。そのうちで一番問題なのは、やはり人に関する問題であります。国鉄の経費のなには総収入の約六割を占めている。経費の節減ということになると、結局、やはり人の問題ということに触れざるを得ない。今度の案につきましても、とにかく十年間に約六万の人間を減らそう、こういうことでありますが、この六万の人間を減らすということは、別に首を切るというわけじゃない。年々歳々一万二千人くらいの人間が退職しますので、その補充を全部はしないでもって、一年に六千人、これならば十年で六万人ということでありまして、これは組合のほうから言えば、必ずまた強硬な不法行為を繰り返してくるようになると思いますが、これは何もいま始まったことじゃなし、これまでもずいぶんやったことでありまするから、同じことをただ繰り返すだけの話であります。  しかし、この点につきまして、私が特に大竹さんに申し上げたいと思うのは、これからの人の問題です。国鉄にはいま四十六、七万おるのでありますが、これは一万二千人の人間が退職する。それでその一万二千人の人間を補充するということは、いまの人の需給関係から申しまして、非常に困離な点があるんじゃないか。だから、われわれはそれをよく頭に置いて、四十六万なり四十七万の人員を維持していくということは非常に困難であります。これはやはり、人を得るに困難だということを頭に置いてやる。どうしたってそれは減らさなければならぬ、こういうことになるのでありまして、これにつきましては、ストライキなんかありまして、また大ぜいの人に御迷惑をかけるようなことがあると存じますが、しかし、これはやはり国鉄としては、どうしてもやらなければならぬということで、また、その問題が起こりますと、それ見たことかというようにお感じになるかもしれませんが、これはどうも国鉄の宿命だ、これはしようがない。要するに問題は、国鉄が平和にいこうとするならば、これは私は何でもないことだと思うのです。それはトラブルなしにいこうとすれば一つある。要するに組合の言うことを聞いていればいいんだ、決して争議は起きやしませんよ。しかし、こういうことをやった日には、国鉄はどこへいくんだ。これは国鉄の言うことはフェアであるということを確信した場合には、組合がどうしようが、こうしようが、やはりやるべきことはやらなければならぬ、これは私、国鉄総裁としてやらなければならないことだというように思いますので、まず一番大きな問題は人的な問題でありますが、そういうことをどこまでもやり抜く、そのほかの問題につきましては、まず、できるだけそのほかの機械化、近代化によって人手が少なくて済むようにする、これはそうむずかしいことじゃない。  さらにもう一つは、収入をふやす。収入をふやすということは、まず輸送力をふやすということ。そして、そのふえた輸送力というものをできるだけ効果的に使う。まず旅客の収入をふやす。特に私が、いま大いに国鉄人に言っているのは、貨物の収入をふやさなければならぬということでありまして、これにつきましては、これまでどうも国鉄の努力というのは足らなかった。その努力が足らない。そこには輸送力というものが不足しているということでありますが、これから輸送力がふえてくるのでありますから、やり方によっては、私は貨物の輸送量というものをふやすことができると思います。それにはまずスピードアップするとか、あるいはこの貨物の発着の時間を正確にするとか、その他国鉄はいろいろ案を講じておりますが、たとえば三年ばかり前にようやく始めたのですが、自動車の貨車輸送というものは、もうほとんどやっていなかった。やり方によっては、今日は一日三千台ずつ運ぶ、そうすると、一年間に約百万台運べるんだというようなことで、さらにコンテナの輸送というものに大いに努力する。これは私はどこまでも主力でやる。まずもってターミナルをうんとつくって、そしてコンテナ輸送をやるというようなことでいけば、もうこれは別に御心配になることはないんじゃないか。とにかく国鉄人といたしましては、政府がおみこしをあげてくだすったので、希望を持って国鉄再建に当たることができる、こういう希望を持っていくということが何よりも強いことでありまして、どうかひとつこれは御期待くださるように、私はお願いしたいと思います。
  28. 原田憲

    原田国務大臣 いま国鉄総裁は、国鉄側の責任を果たすということを御答弁になったのでありますが、政府といたしましては、これらのことをいわゆる担保といいますか、必ずそれを実行してもらう、これを国民の名においてやってもらうということで、いわゆる日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案という名前で、その中にいま国鉄総裁が言われた、国もこれだけのことをいたします、国鉄もみずからの合理化をこうしてもらいましょう、こういうことを法律でもって固めて実行してもらおう、こういうことを御提案いたしておるということを御了解賜わりたいのであります。
  29. 大竹太郎

    大竹委員 ただいま総裁の非常な御決意、それからそれに裏づけする運輸大臣のおことばをお聞きして、一応安心をしたのでありますが、しかし、貨物の収入を上げるいろいろの計画がおありのようでありますけれども、やはりこの基本は、人間が動くか動かぬかということに私はあると思うのであります。また、えらい耳ざわりなことを言うようでありますけれども、たとえば順法闘争なんといって、車がダイヤ通りに動かぬことには、収入を幾ら上げようとおっしゃったって、おそらく上がらぬだろうと思うのでありまして、これはやはり、先ほど何でも言うことを聞いていなければ困る事態も起こりかねないということもおっしゃっておるわけでありますので、ほんとうに相当の決意をもって立ち上がっていただかなければ、少なくとも国鉄内部におけるこの合理化の問題というものは、私はなかなか実現不可能じゃないかというふうに思います。質問は再度いたしませんが、これについては、さらに決意をかたくしていただくことを特に希望いたしておきます。  次に、大臣にお聞きしたいのでありますが、これは少し古いものでございますので恐縮でございますが、これは池田内閣当時でありますが、総理の委嘱によってできた交通基本問題調査会というものがございまして、「わが国の陸上交通に関する総合的施策について貴調査会の意見を求める。」ということで、当時の総理大臣池田さんから——この会長は島田孝一氏、この方はたしか、かつての早稲田の総長でなかったかと思うのでありますが、こういう意見書昭和三十七年の八月二日に出されまして、昭和三十九年の三月二十七日に交通基本問題調査会の答申というものが出されておるのでございますが、これは御承知でしょうか。これはいまでも交通基本問題調査会の答申ということでございますので、陸上交通のいわゆる運輸省の施策の上で、この調査会の答申というものを重んじるとでも申しますか、これを絶えず考慮に入れていらっしゃるかどうかということを、まずお聞きいたしたいと思います。
  30. 原田憲

    原田国務大臣 これはたしか国鉄が現在まだ行なっておりまして、ちょうど半ばになりました第三次中期計画の基本になるべき国鉄基本問題として考えられた答申であろう、私はそのように了解をいたします。
  31. 大竹太郎

    大竹委員 それでこの答申でございますが、実はこの答申について、昭和四十年の第何回国会でございますか、当時の松浦運輸大臣に対しまして、私が予算分科会で御質問をいたしております。この答申の中には、三つの原則を今後陸上交通の基本としなければいけないということが書いてございます。その第一は、運営の上においては自立の原則をとらなければいけない、第二番目には、利用者負担原則をとらなければいけない、第三番目には、自由競争の原則をとらなければいけないという、この三つの原則を掲げてございまして、その中をいろいろ読んでみますと、戦後の日本のいわゆる復興、繁栄というものは、交通産業の犠牲において他の産業が繁栄してきたというような極端なことばすら使って、交通業というものの自立の原則利用者負担原則というものを強調しておるわけでございます。これに対して運輸大臣のお考えを一いまでもこの原則を御踏襲になっておるのかどうかということを……。
  32. 原田憲

    原田国務大臣 この答申の御趣旨にあります利用者負担原則というものは、企業性というものを強く訴えておると私は承知いたすのであります。したがいまして、国鉄企業性を発揮してやっていって、独力でいわゆる独立採算制に立って、りっぱな企業になるべきじゃないか、こういうことを言っておると思うのでございます。私は、率直に言いまして、確かに企業性というものを重視するならば、そのかわりに国もそれだけの機会を与えなければいかぬと思うのです、同じことを。国鉄総裁がよく言われますが、自分たちはその意気込みでいっても、ちっとも国のほうはめんどうを見てくれなかったじゃないか。たとえば、独立採算制でやれ、利用者負担でいけというなら、五〇%というような法律でくくっておいて、そうして利用者負担というなら値上げしてくれと言ったら、何で聞いてくれないのだ、そうしておいて、仕事をやれやれと言うてもできますかということを、この間もここで私は、大臣になってからもお聞きしておりますが、総裁になられてからしょっちゅう言っておられるのを予算委員会の片すみで、あるいは運輸委員会の片すみで、また、党の政務調査会でも聞かしてもらっておるのであります。これは私は、ほんとうの声じゃないかと思うのです。利用者負担ということを強調するならば、それだけのことをやらなければ、だれが出ていったって、私は企業経営というものはできないと思う。だから、そういう意味で今度も、なるほど運輸審議会もこの公共負担という一つの具体的な事例として、法律でもって運賃を半分に押えていますね。そこから割り引きしているのですから、通学通勤のなには。これについては考えなくてはならぬではないかという答申をいただいております。しかし私は、激変をするということは、これはまた大きな問題を起こしますから——去年定期運賃の改定を行なった、ゆえに答申にありましたけれども、このことは、今度皆さんに御提案をいたしております中には、基本料金の改定はお願いいたしておりますが、定期運賃割引率の改定、いわゆる公共負担利用者負担ということはお願いをしなかったのであります。そのかわりに、国が果たすべきことは果たさなければうそじゃないか、こういう意味で、国鉄にやれやれと言ったというのは、いわゆる第三次計画ですね。これは中期経済社会発展計画にのっとった国鉄が背負うべき——国がこうしろということでなったのですから、四十年から四十六年を目ざして、この間にこれだけのことをやれ、こういうことをやった。そしてそれに見合うべき、それじゃ低利の長期の金を貸したかといったら、それは国鉄総裁がここでまた言っておられるように、高い金利の、どこででも金を見つけてこい、いわゆる特別債、金を見つけてきたらそれだけは見てやろう、こういうやり方で、悪いことばで言うたら、高利貸しから金を借りてこい、殺生じゃないかという。こういうことは私は、三十九年当時のこの答申の中で強調しておられることはわからぬではありませんけれども、それだけを強調するならばするだけのことを、やはりしなければならぬ、それが今度皆さん方にお願いしなければならぬことになった一つの原因でもなかろうかというように考えます。ただ、このときの答申の方々の心の中では、これだけの答申をしておけば、要らぬものはみなやめて、そして自主独立の企業体として伸びていくんだという気持ちでおやりになったかとも思いますけれども、私は一方におきまして、今日までそういうことから生じてきたことが今日の国鉄状態であるから、これを今度こそ抜本的にやるために、いわゆる三位一体の方策、政策というものをお願いいたしておるのでございます。
  33. 大竹太郎

    大竹委員 まだいろいろの点で御質問を申し上げたいことがあるのでございますが、同僚のほうからも質問したいという方も多々あるようでございますので、私の質問はこの程度にいたしますが、いまほど申しました交通基本問題調査会の答申というものは、いま大臣のほうから御答弁を聞きまして、ある程度わかったのでありますけれども、大臣におかれましても、これは私は非常に参考になると思いますので、ひとつおひまのときに御精読をいただきたい。そして、これに関係いたしまして、また次回に御質問をいたしたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
  34. 阿部喜元

    阿部(喜)委員長代理 加藤六月君。
  35. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 本日、私の主として質問いたしたい内容は、実は同じ措置法を出されております社会党の措置法について十分質問いたしたい、こう思っておったわけでございますが、残念なるかな、提案者が出てきておられませんので、これに対する質問をまず留保させていただくことを委員長にお願いいたしまして、私の質問を始めたい、こう思うわけでございます。  私は、今回の料金改定並びに日本国有鉄道財政再建促進特別措置法、政府提案の分でございますが、この問題に遭遇いたしまして、一体この日本国有鉄道はいかなる目的で、いかなる状態のもとに発足したかということを、まず調べてみたわけでございます。すなわち、第三回国会におきまして日本国有鉄道法案が提出されまして、いろいろの審議の内容等も読ましていただいたわけでございます。現在は社会党の長老になっておられます佐々木更三委員や、また成田知巳委員が、昭和二十三年の十一月における運輸委員会においていかなる質問、いかなる疑義を将来の日本国有鉄道に対してお持ちになっておったか、また、わが党の故人になられた議員や、あるいは代議土でなくなられた先輩議員たちが、日本国有鉄道の将来に対し非常に熱心なる議論を展開されておったわけでございます。この委員会の速記録を読ましていただきまして、今日のこの措置法並びに国鉄運賃改定の質疑、あるいは当委員会における審議を進行するにあたりまして、非常に胸を打たれるものがあるのでございます。この速記録を読ましてもらいますと、二十三年の十一月十二日の当時の小澤運輸大臣日本国有鉄道法に対する提案理由の説明、同じく二十三年の十一月十三日の下山説明員の日本国有鉄道の財政問題あるいは損益計算に関する問題、こういう問題等でずいぶん激しい議論が当運輸委員会において行なわれておるわけでございます。同じく十一月十五日におきましては、国鉄独立採算制の問題についても議論が展開されております。また、現在の国鉄赤字になった場合にどうするのだという議論等も展開され、それぞれの政府委員から、それに対する御説明等があったわけでございます。ところが今日、国鉄の財政問題等を見ますときに、非常に再建ということばを使わなくてはならなくなったこの事態というものを静かに反省してみますと、いろいろな原因あるいは結果というものが想像されるわけでございますが、日本国有鉄道が今日このようになるのではないかということが、昭和二十三年の国有鉄道が発足するときに議論されておった。いまの赤字補てんの問題にいたしましても、あるいは運賃を国会で承認さすというのが正しいのか正しくないのかという議論等は、すでに昭和二十三年において行なわれておる。あるいは公共負担の問題にからみ、あるいは公共の福祉という問題にからみ、政府はどの程度これに対して、てこ入れしなくてはならなかったかということ等が議論されておったわけでございます。ただいま先輩議員の大竹委員より、総裁、運輸大臣、それぞれの方々に対して、これに対するいろいろな質疑が行なわれましたので、私は重複しないようにこの問題について質問いたしたい、こう思う次第でございます。  まず第一番に、この二十三年の委員会の速記録からさかのぼってみますと、日本国有鉄道法の第一条、目的「国が国有鉄道事業特別会計をもって経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する。」この第一条にまずこれがございます。それから、先ほど申し上げました損益問題についてでございますが、これは四十一条その他にあるわけでございます。  そこで私は、先ほど来議論になりました点をまず第一番にお伺いしたい。運輸大臣でも総裁でもけっこうでございますが、国鉄というものと独立採算制という関係は、今日どのような関係になっておるかということを一番にお伺いしたいわけでございます。
  36. 原田憲

    原田国務大臣 いまの国鉄はいわゆる公社でございまして、企業性というものをもって、いま第一条に読まれましたように、能率をあげ、そして公共のために働かしてもらう、こういうたてまえをとっております。それで企業として考えますときに、それじゃ何をもって立っていくのかといいますと、鉄道でございますから、運賃収入をもって立っていく、ゆえに、その運賃をもって経営をしていくということが独立採算制の基本になっておる、このように私は理解をいたします。
  37. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 基本になっておるわけでございますが、今日ただいま、先ほど御質問いたしましたように、再建ということばを使わなくてはならなくなった、これについての原因といいますか、理由は、もうこの席上ではお尋ねいたしませんが、しからば、財政再建推進会議において三本の柱というものを打ち出された。十一月一日でございましたか、これに対して、政府に対し答申があったいわゆる三本の柱でもって、今後国鉄再建していかなくてはならない。しかも、強力な集中的な再建方法を講じなかったらだめだということが、私の胸を強く打っておるわけでございますが、これは料金改定ではございません。この措置法を通じて、はたして国鉄独立採算というものは可能なのかいなか、あるいは、いままでの累積赤字というものは解消できるかどうかという点につきまして、もう一度お伺いしておきます。
  38. 原田憲

    原田国務大臣 企業を行なっていきますための投資は、自己資本が足りない場合には、これは融資ですね、金を借りてきて投資をしていく。そして、それが利益をもたらして——国鉄の場合には運賃によって利益をもたらして、また事業を伸ばしていく、事業をやっていくのには金を借りていく、こういうことで企業というものは成り立っておるのでおります。   〔阿部(喜)委員長代理退席、細田委員長代理   着席〕  よく出資を、国の事業であるから国から出資をしたらよいという議論が——社会党の案なんかはそれでありますが、これは純然たる国有鉄道というもので運営をされるという考え方に立っておられると私は思うのでありますけれども、いまの国有鉄道は、いわゆる公社でございまして、国は最初に現物出資、あるいは出資の形である出資はいたしておるわけであります。したがって、運賃をもってやっていかなければならぬ。ところが、たびたびここでも国鉄総裁も言われますが、戦前国鉄というものは、国の交通の王者であり、独占をしておったわけだ。だから、赤字であろうが何であろうが、まだ余裕があって、人が乗らぬようなところへでも、これから鉄道をつけて人を乗らすんだというようなことができたわけです。しかるところ、先ほど大竹さんから話が出ましたが、三十九年来、これは所得倍増、高度成長政策に入った三年目、四年目ごろでございますが、これは実際を言うと、革命ということばが暴力革命ということでないとするならば、私は日本に起こっておる非常な革命だと思うのですよ。あなたがよく言われるけれども、二千万の人口が十年の間に移動するということは、これはたいへんなことなのです。世界の歴史にないようなことが行なわれている。だから、日本の国の中で、国鉄以外に交通機関として飛行機も出てくれば、特にものすごいのは自動車でございますね。自動車を日本が輸出するというようなことを十年前に考えていた人があるでしょうか。現在は、その日本の自動車が世界へ輸出されていっておる。そこに相当数の人が働いて所得を得ている。この影響というものは、国鉄の場にもあらわれてきて、国鉄の独占を許さない、こういうことになってきておるわけであります、したがいまして、国鉄が見込んだ運賃というものがそのまま入ってこない、運賃収入はよそへとられる。上げたら上げただけで、またよそへとられるというような影響も出てくる。  そういうようなことで経営というものがむずかしくなるところへ、今度は資本を投入して、やはりもうけるところではもうけていかなければいけませんから、たとえば新幹線なら新幹線というものを新しい技術をもってする。最初には、それが三千億でできるかと思っておったら、土地が非常な値上がりをした、そのために資本がかかって利子に追われる、こういうような状態に立ち至ってきたのが今日までの状況です。しかも、国鉄自身が赤字を出したからといって、今日では、企業赤字だから月給を払わぬというような時代ではない。やはり月給は上げていかなければいかぬ、こういうことで人件費は、何十万とおるのですから、毎年毎年上がってくる。資本の利子はもうものすごい馬力でおおいかぶさってくる、いわゆる運賃でこれをまかない切れないということが——これは上げてもいいですよ。ところが、それを上げたら物価影響するといって上げてくれない、こういうことが出てくる。そこにむずかしい問題が出てきて、三位一体方式でやる。これは国鉄に補助金をくれといっているのではないのです。利子の補給はいたしますけれども、今度の一番大きなものは、いままで投入した借金を一時たな上げして、そして財政を再建して、黒字になったら返します。やはり、あくまで企業として独立採算制ということを基本考えておりますということであろうと私は理解をするのでございます。
  39. 石田禮助

    石田説明員 二十三年ごろといえば、まだ自動車とか道路なんというものは、もうほとんど問題にならなかった。やはり国鉄人からいえば、昔の独占制における夢というものが去らなかった時分だと思うのです。それで、その後とにかく道路は発達し、自動車は盛んに利用されるということで、国鉄というものは、えらい強敵にぶつからねばならぬということで、ここに独占制のプラスというものはほとんど消えちゃった。そこへ持ってきて、収支の体制というものがすっかり変わっちゃった。そういうぐあいで、自動車なんかの競争があることによって収入はふえますけれども、収入のふえ方はきわめて貧弱だ。そこへ持ってきて、さらに支出のほうですが、要するに人件費というものは、えらい勢いで一二%も二二%もふえるというようなことで、収支の差というものはすっかり逆転してしまった。たとえば四十三年と四十四年の予算なんか見ますと、収入の増はまず七%ぐらい。しかも、支出の増は一二%ということで、運輸収入と経費だけの差を見ても、すでに三百億ぐらいのマイナスになってきておる。そこへ持ってきて、御承知のとおり、非常な大きな通勤輸送の増強をやらなければならぬ。これが四十年から五千百九十億で第三次計画をやったのですが、四十一年、四十二年、四十三年で約二千七、八百億かかった。さらにその上に、初めの五千百九十億じゃだめだ、いまから二千七百九十億のほかに五千五百億を加えなければ、ということで、八千何ぼというものをやらなければならぬ。しかも、この通勤輸送というやつが、昔と違って工事費はいかにも高い。とにかく土地だけで四割ないし五割はかかる。しかも、収入の点においては非常に大きな割り引きをしなければならぬために、問題にならぬ。そこへさらに人口の増で、とにかく今後ともこれはますますやらなければならぬという、この八千何ぼというものの利息の負担はどうなるか、それが一番大きなものです。だから、いまの国鉄が直面している問題は、収支の体制が非常に悪いということである。そして、利息の負担にとにかく千数百億もかかってやらなければいかぬ、これが一番大きいのですよ。それでわれわれとしては、これまでに易々諾々としてやって、おった公共負担なんか、この際つつしんで返上しなければならぬ、政府でひとつ見てくれということである。さらに赤字線の問題、これがいまだって、赤字だけだと千四、五百億はマイナスになっている。これは、えらい勢いでまだふえている。この赤字はどうするかということで、要するに天下の大勢というものはすべて非なり。ただ、われわれが望みを持ち得るのは、一生懸命でやれば、収入のほうの増というものは相当に期待できるということで、今度のような三本柱による再建計画を立てたといったような次第でございます。これは二十三年ごろといまとは、全く情勢が変わっておるのであります。しかし、今度政府があれだけ援助してくださるということ、そしてまた、国鉄としても、だいぶ合理化の余地はある。そこへ持ってきて利用者に九百十億も負担してもらえば、まずもって私どもは、希望を持ってこの再建計画に当たれるということで、この運賃値上げというものが出たわけなんです。  さらにこれは一つ、ついででありますから、質問してくれる方がないかもしれぬから申し上げるが、運賃値上げの問題です。これは一体、運賃値上げするというと物価の上に影響がある。それは私は二つあると思う。第一は、公共料金を上げるということの心理的影響だな。これは私は、〇・九%よりはむしろ大きいんじゃないかと思う。しかし、これは時の問題で、かすに一月や二月の時をもってすれば——問題は〇・九%の問題ですが、企画庁長官の意見は、少々私は不賛成だ。ということは、なるほど〇・九%というものは影響はありましょう。しかし、これによって得た九百十億というものは、何もどぶへ捨てるわけじゃない。これによってわれわれは輸送力を増強する、通勤輸送を改善するということで、ことに輸送力を増強すれば、それだけやはり物資の流動というものが盛んになってくる。それは需要供給の上にプラスになりこそすれ、決してマイナスにならぬ。さらに、輸送力を増強するということは、それだけ生産の増強に役立つではないか。そこにおいて、つまり品物のサプライの上において相当大きいプラスになる。だからして、私に言わせれば、〇・九%の影響があるということではなくて、マイナスの×の×というのは、あるいは〇・九より大きいかもしれない。いずれにしても、〇・九より小さいということは考えられない。したがって、この〇・九というものを振り回すということは、私はこれは、一を知って二を知らぬということではないかと思う。
  40. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 運輸大臣からいまいろいろございましたが、実は時間がございますと、私もいわゆる新国土総合開発計画における新幹線の任務と目的ということについても十分訴え、また、同じく運輸大臣が御説明になりましたいわゆる国鉄の輸送分野における激化と独占性の欠除、シェアの低下、こういった問題等もいろいろ調べておりまして、やりたかったわけでございますが、あまり時間がございませんので、その問題は省略させていただきます。さらに同じく、いま総裁がおっしゃいました国鉄運賃値上げといわゆる消費者物価指数との関係、この問題についても、経済企画庁の長官ないしは国民生活局長にこの委員会に出てきてもらって、一度徹底的に議論しておきたかったわけです。それは、いま総裁がおっしゃいました心理的影響の問題と、そしてこの国鉄運賃の改定というものが、日本経済の大きな歯車の中でどういうとうとい役割りをするかということにつきまして、私は経済企画庁と一度徹底的に議論してみたかった。もちろん、この委員会の席以外のところでは、ずいぶん議論いたしておりますが、しかし、そういうことは、この際だいぶおそくなっておりますので、もしあとから時間がございましたら、ひとつやらしていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで先ほど大臣からも、独立採算制の問題についていろいろ御説明いただいたわけですが、大臣は今回、三本柱のうちの二本を強力に打ち出している。特に、政府関係措置につきましては、原田運輸大臣に非常にがんばっていただきまして、われわれ国鉄の将来を憂える者にとりましては、非常に感謝いたしておる次第でございます。  そこで重ねて大臣にお伺いしますが、この公共性ということと独立採算制ということについて、非常にその突っかかりがあるわけです。独立採算制ということになりますと、先ほど大臣が御答弁になりましたが、運賃問題あるいは資金の獲得ということにつきましても、国鉄独自にこれを行なわしめるならば、あるいは独立採算制という問題は維持していけるのかもわかりません。しかしながら、先ほど大臣の御答弁の中にありましたが、運賃値上げはたびたび要求しても認めてくれなかった、政府もまた、公社という立場から、そう簡単に応援できなかった。また、大臣にこれからあと質問していきたいと思うわけですが、国鉄が今日のようになった点について、総裁並びに大臣から御答弁があった、いわゆる合理化問題と人件費の国鉄全体の経費に占めるアップの問題、こういう問題等も実はやらしていたきたいわけでございます。  それで、まず大臣にお伺いしたいのは、私が先ほど申しましたように、日本国有鉄道法の第一条に「公共の福祉」ということが出てきております。この公共の福祉ということは、これから申し上げたいと思ういわゆる赤字路線の問題、並びに過疎地域における国鉄の任務という問題にからんでいくわけでございます。これは第一条の「目的」にあるわけでありますが、ただそれと違いまして、今回「鉄道運賃改訂理由」というのを国鉄から提出されましたが、これを読んでみますと、その中に、いわゆる公共負担という問題が非常なウエートを占めております。たとえば、この説明書を読みますと、本年度だけにおいても、公共負担は六百十億円に達する見込みである、日本国有鉄道が公共企業体移行後二十年たってこの負担額を累計すれば、総額一兆円にもなる、こういう御説明があるわけでございますが、この公共負担という問題と公共性、これは同じように解釈していいと思いますが、これと独立採算制との関係につきまして、もう一度だけ大臣に伺っておきたい、こう思います。
  41. 原田憲

    原田国務大臣 日本国有鉄道法第一条により、国鉄は公共の福祉を目的として設立されていることは、言うまでもございませんが、これはわが国の交通機関として、安全、大量、迅速、安価の輸送サービス国民の利益を目的として提供することにある。いわゆる公共負担といわれているものの中には、国鉄財政の現状から見ても、過度と認められる各種の負担を含むものであり、これについてある程度の軽減をはかるか、あるいは経営全体の中において国等の助成が妥当である、こういうふうに考えるのでございます。
  42. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 大臣の先ほどの御説明の中に、国鉄の輸送分野における旅客並びに貨物あるいはバス等にも通ずると思うのですが、いわゆるシェアの低下ということがございました。これを見ましても、年々輸送分野における国鉄のシェアというものは非常に下がっております。これは輸送人キロのほうでございますが、昭和三十五年が五三・五%、四十二年度においては五〇・六%、いわゆる独占的な国鉄というものではあり得なくなっておる。しかるに、その国鉄に対して非常に公共負担をしいておる。ところが、先ほど申し上げましたように、大臣、非常に努力していただきまして——中曽根前運輸大臣のときに、財政再建推進会議の答申をみた。わが党の国鉄基本問題調査会と、はたしてこの推進会議の答申というものがすれ違っておるか、あるいは一致しておるかということ、あるいはこの財政再建推進会議に伴って、政府はいかなるてこ入れをするんだ、これは主として公共負担を軽くするために、あるいは国鉄という使命を達成さすためにどうするんだということを、実は私も昨年十一月二十二日に、各分野について質問いたしておるわけでございますが、今回はこの面については、大体政府側の処置としましては、大竹委員国鉄総裁お答えになっておりましたような線で、おのずからいいんじゃないかと思うわけです。  ところが、私が一番心配いたしますのは、わが党の中川委員が前に質問いたしましたように、今日の日本にとって最も重要なる問題は、いわゆる過密と過疎の問題であります。この過密と過疎の問題を誤りますと、これからの日本はたいへんなことになる。これは大臣も平素より非常に卓見を持っておられるわけでございますが、過密対策だけに本気になりますと、過疎がおろそかになる。過疎だけが取り残される。ちょうど過疎地域という日本の荒野をつくり出すような結果にもなりかねないわけです。ところが、日本国有鉄道法の第一条「目的」のところに、先ほど私が申し上げましたように、「公共の福祉」という問題が出てきております。そこで、私なんかが声を大にして申し上げたいのは、過密と過疎の問題を誤ると、ちょうど鉄道の列車が転覆するのと同じようなことになる。過密と過疎は車の両輪じゃないか、こう思っております。  ところが、同じくこの運賃改訂の理由書きの、中の一番最後の7というところに、こういうことばがあるわけです。「国鉄としては、今後、政府の抜本的な施策の推進と相まって、国鉄みずから決意を新たにし、全職員一丸となってあらゆる企業努力を傾注し、すみやかに国鉄財政再建をはかり、」ここから先が問題なんですが、「国鉄の使命とする都市間高速輸送、大都市通勤輸送、中・長距離大量貨物輸送において、その責務を完遂し、国民の負託にこたえる所存である。」こういう内容があります。もちろん今日の国鉄の大きな任務は、いわゆる都市間高速輸送、あるいは大都市通勤難を解除するための大都市通勤輸送、あるいは物価安定に非常に大きな寄与をする中・長距離大量貨物輸送が必要でありますが、私は、森の石松ではございませんが、ここに何か抜けておるものはございませんか、国鉄の使命がこれだけであるとお考えになるのなら、これは相当なる決意をしなくちゃならない。  そこで、大臣、公共の福祉という問題と過疎地域における国鉄の輸送力の確保という問題についてどうお考えになっておるか、これを承りたい。
  43. 原田憲

    原田国務大臣 いまの問題を具体的に言いますと、いわゆる赤字ローカル線の問題あるいは新線の問題、これらをどうするんだということになってきやせぬかと私は思うのですが、過疎地帯におけるところの輸送部門を受け持っておる国鉄を一体どうするんだ、推進会議では、これらのことについてCTC化あるいは拠点貨物駅の整備、乗車券の自動販売機の設備というようなことをいっております。  しかし、いまあなたの言っておられることは、そんなこまかい話ではなくて、過疎地帯といわれておるところにも、現在通勤通学、それらの輸送機関がなければ通えない人たちがいるじゃないか、これは一体どうするんだ。具体的に言いますと、こういうことであろうと思うのであります。これらの問題は、ここで何度も私が申し上げておりますように、他に確かに、これならかわるものがある——一番早いのは自動車ですね。自動車にこれがかえられる、それのほうがよいということが認められるということが前提になって、そしてその中で、いま過疎地帯になっておるけれども、将来はそこが発展するかわからぬ、いわゆる全国総合開発計画というようなものとにらみ合わしたその地区の今後の状況であるとか、あるいはその地方が果たしておるところの役割りとかいうようなものを十分勘案して、なおかつ、その地区の人たちとよくお話し合いをしまして、納得いくところで、私のところはかわってもよろしゅうございますというところは別で、そうでないところには十分慎重な検討を払わなければ、この問題は解決をしませんよという、そういう慎重な態度で臨んでいくんだということを私は申し上げておるのであります。しかも、国鉄再建のための政策は十年ということを見ておりますので、そのことについての配慮というものは十分なしていかなければならぬ、このように考えております。
  44. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 大臣はじょうずに答弁されたわけでございますが、私が申し上げたかったのは、きょうこの委員会の席へ出てきていない社会党の諸君が、赤字線廃止問題の点検運動というのをやっておる。各地区へ行って政府国鉄がまだ計画も何もしてないものについて、わが社会党がこの赤字線廃止をとめてやるんだ、こういうことで町長も出てこい、市長も出てこい、議長も出てこい、商工会議所から農協から全部出てこい——一人じゃないんですよ、図をつくって各地区へ行きまして、一生懸命これをあおっておるのです。私は、きょう社会党の委員におってもらわぬのが非常に残念だと思う、実はこの問題についてもやりたかったが、扇動し、あおっておる。しかも、まじめに国鉄問題を審議し、国鉄再建ということまで言わせなければならなくなった国会議員の立場から、この問題を真剣に審議しておる本日この委員会におられる方々、これは国会に足どめですよ。しかるに、審議をやっておるのかやっておらぬのかわからぬような態度をとりながら、地方ではこれをやっておる。まじめに国鉄再建の議論ができるかどうか、お互いの足元をそういうことによってすくわれておる。これは非常に重大な問題であるということで言いたかったのですが、残念なるかな、相手がいないので申しわけないのですが、ただ赤字線再建の問題につきまして、大臣がただいま、簡明に申し上げますと、今後慎重にこの問題には処するという御答弁をいただきましたので、私はこの問題つきましては、これ以上深く追及しませんが、日本国有鉄道法にある公共の福祉ということを、国鉄さんは忘れてもらっては困るということ。もちろん大都市間の通勤輸送、中・長距離の大量貨物輸送、あるいは都市間高速輸送、これも国鉄の使命であるかもわかりませんけれども、国鉄の目的は、私が一番最初に条文を読み上げましたところにあるわけでございます。本日は、この席に国鉄の幹部の皆さん方がおいでになりますので、この点については、この程度質問を終わらせていただきます。  その次に、再建促進措置法と運賃改定の問題につきまして、先ほど来たびたび三本柱ということが出てきました。私たちは少なくとも当委員会でやっておるのは、三本柱のうちの二本をやっておるのではないかと思うのです。そうしますと、あとの一本の柱は何かということになりますと、これは国鉄内部の徹底的な合理化だ、機械化だということになるわけでございます。国鉄総裁は、いつか私らのような若い人に、こんこんとさとしてお話されたことがございます。国鉄の四十七万の職員は、真の意味で命がけで働いておるのだ、こんな危険な事業はないんだ、こんな危険な仕事はないんだ、しかるに、それに遇するに給料その他においては非常に悪い面があると、私はこのことばには胸を打たれたわけです。そのとおりだ、こう思うたことがございます。しかしながら、私がもう一歩そこから先に突き進んで質問してみたいと思いますのは、先ほどちょっと申し上げましたが、いわゆる経費の全体における人件費は五七%前後である、こう記憶いたしておりますが、間違いございませんか。これは副総裁に……。
  45. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和四十二年度の予算で五八%でございます。
  46. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 それでは、副総裁に引き続き承りますが、去年われわれはいろいろな問題等を聞きながら、負担の公平と公共負担の問題で、通勤通学定期料金是正を行ないました。これの運賃増収分は幾らでございますか。
  47. 磯崎叡

    磯崎説明員 当初三百億と予定いたしておりましたが、先買いと申しますか、年度内における、値上げ前の安いうちに買う方が非常に多かったために、実際には二百六十億くらいになっております。
  48. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 通勤通学定期是正以外の昨年の運賃収入の伸びは、一体どの程度の伸びだったでしょうか。
  49. 磯崎叡

    磯崎説明員 本年度——本年度まだ終わっておりませんが、現時点における年度末までの収入見込み、それから昨年の一年前の実績、これを比較いたしますと、旅客収入におきましては約五%、貨物収入におきましては六%程度の伸びでございます。
  50. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 副総裁、それは金額にしますとどの程度になるでしょうか。私が言いたいのは、この旅客の五%の伸び、貨物の六%の伸び、通勤通学定期是正の二百六十億という問題ではないのです。先ほど総裁のおっしゃいました昨年の人件費の伸びとの比較をしてみたかったわけです。昨年の、四十三会計年度におきます人件費の伸びは、パーセンテージでなくして、もし金額でおわかりになるならばお教え願いたい、こう思います。
  51. 磯崎叡

    磯崎説明員 たまたまいま値上げを提案いたしております四十四年度の予算、それから四十三年度のほうが新しゅうございますので、これで比較いたしますと、実額で人件費が六百二十億の増加でございます。それに対します運賃収入の伸びは六百四十七億、それに対しまして、人件費の伸びは六百二十億でございます。これは、いま御審議願っておる予算でございます。運賃改定分は別でありますが、自然増はほとんど人件費に回ってしまう、こういう姿でございます。
  52. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 運賃収入の伸びは、運賃改定を別にして六百四十七億である。四十三年度の人件費の予算と四十四年度の人件費の関係で見ると、六百二十億である、こういう御答弁でございます。せっかく四十七万国鉄職員の皆さま方が、あらゆる努力をして運賃改定が行なわれなかったら、六百四十七億の水揚げ増しかない。ところが、人件費は六百二十億伸びるということでは、どう考えても国鉄合理化——われわれは人員整理とは申しておりません。合理化が不足しておるのではないか、こう思うわけでございますが、もしここで諸外国におけるレールキロ一人頭のいわゆる水揚げ料と申しますか、運賃収入等の表があれば、お教え願いたいわけです。
  53. 磯崎叡

    磯崎説明員 ちょっと詳細をきょう持ってまいりませんでしたけれども、御承知のとおり、ヨーロッパにおきましても、アメリカにおきましても、実は旅客収入はほとんどございません。アメリカでは十大私鉄の全部を合計いたしますと、旅客収支は全収入の約二%くらいでございます。ほとんど貨物収入です。ヨーロッパにおきましても、大体八割から九割までが貨物収入、旅客収入は一割、多いところ、オランダくらいのところで三割くらいということで、ほとんど貨物輸送だけになっております。輸送の体系が非常に違っております。頭数から申しますと、アメリカ鉄道はやはり一番少のうございます。これは駅の数が非常に少ないということ、それから列車単位が非常に大きいということで、ちょっと日本比較になりませんが、現在日本鉄道と同じ程度の能率をあげているのは、ドイツフランスが大体似たようなところでございますが、これも非常に輸送の形が違いますので、一がいには言えません。いずれも企業としては、あまりいい成績をあげておらないのでありますが、ヨーロッパで一番いいといわれておりますオランダの国鉄、これもすでに赤字に転落いたしまして、これが一番よろしいのでございますが、職員の一人当たりの働き量と申しますか、これで申し上げてよろしゅうございますか——これで申し上げますと、人トンキロでちょっとおわかりにくいかと思いますが、鉄道が運びます貨物と旅客の人員、トン数とその運んだキロをかけたものが人トンキロでございます。これは一九六六年でございますが、日本の一人当たりが四百九十一人トンキロでございます。これに対しまして、アメリカの先ほど申しました一級鉄道、十大私鉄は、けた違いにもうよろしくて、千七百八十二人トンキロでございます。ほとんどトンキロ、貨物輸送でございます。それからイギリス、これはまた非常に能率が悪くて百五十七、それから西ドイツが二百十九、フランスが三百、イタリアが二百三十五、スペインが百九十一、ただこういうふうに数字を羅列いたしますと、非常に日本国鉄がいいようでございますが、これは通勤の客が入っているからでございまして、実は通勤客を引きますと、先ほど申しましたとおり、フランスドイツ程度ということになるわけでございます。外国比較いたしまして、日本鉄道の能率がいいということは、必ずしも申し上げられないと思います。
  54. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 諸外国の例で、戦後、いわゆる走行キロ、車両数に合わせて何人の人間を使っておったか、それがどれほど数を少なくしたか、こういうことを言いますと、すぐ、やれ首切りだ何だといわれますので、あまり申し上げませんが、そういった数字等も、実は国鉄から昨年いただきました資料でずいぶん研究させていただいたことがあったわけであります。なぜこの問題を私が出したかと申し上げますと、実は、昨年わが党の代議士がソ連へ行きました。そしてその帰ってきた報告を、同じくわが党の若手代議士が集まっていろいろ聞いたわけです。ここにおります阿部委員あるいは箕輪委員等も一緒になって、わが党のある代議士からその報告を聞いたわけですが、そのとき、働く国、社会主義国家のソ連においてある工場を視察したところ、昨日首切りを行なった、こういう話が出た。それで非常に驚きまして、働く者の天国といわれておる国でも首切りを行なうのかと言ったら、首切りを行なうのはあたりまえだ、まじめに働かない人間がおって、まじめに働く人間に対して負担をかけるということは、まじめに働く人間がばかを見るので、わが国においても、どんどん首切りをやるのだ、聞くところによると、おまえの国、日本日本国有鉄道というのがあるそうだが、ここはあまり働かない人間でも首も切らないし、整理もしないし、配置転換もやらぬそうではないか、こういうことをほんとうに言われたそうでございます。わが党の議員は、これを聞きまして冷や汗をかいた。ソ連にまでそんなに思われ、言われておるのかということで、実は冷や汗をかいた。その報告を聞いた十数名のわが党の代議士も、冷や汗をかいたわけです。われわれとして、はたしていままでの国鉄合理化に対する態度がよかったのか、悪かったのかということで、冷や汗をかいたわけでございます。首を切れとは申し上げません。先ほど総裁の御説明もございましたので、この問題についてもそう強く追及はいたしませんが、ソ連のモスクワでそういう話が出たということを、国鉄の幹部の皆さん方は御記憶願いたい。そして、こういう話が出るゆえんのものは、合理化に対し、生産性向上に対して、まだまだ国会も政府も、また、国鉄幹部の皆さま方も、熱意が足りなかったのではないかということを、これはお互い反省しなくてはならぬのじゃないか、こう思う次第でございますので、あえてこの問題を申し上げたわけでございます。二本柱は、かりに少々困難なことがあっても、私は遂行できると思いますが、もう一本の柱の国鉄の徹底的な合理化というのは、たいへん困難であろうと思います。先般の東鉄局の分割一つにしましても、あれほど労働組合の諸君は国民皆さま方に迷惑をかけた、あれをほめた新聞論調というものはどこにもありません。それでもああいう何ら労働条件の悪化でもないのにかかわらず、あれほどのことをやったということになりますと、今後の合理化あるいは生産性の向上というのは非常な困難が予想される、こう思うわけでございます。それで繰り返しお願いいたしますが、どうぞひとつ政府も、国会も、当局も、国民皆さま方に一五%の料金改定をお願いしておる、政府もあらん限りの応援をしておる、そうすると四十七万国鉄の職員全員、ひとつこの際はえりを正して反省してもらって、この生産性の向上と合理化という問題、国民に迷惑をかけないような態度を私は強くお願いしておくものでございます。それに対する総裁の決意のほどを承りたいと思います。
  55. 石田禮助

    石田説明員 みなごもっとものところでございます。とにかく、国鉄合理化というもので一番むずかしいものの一つは人の問題であります。さっきも申し上げましたように、とにかく十年の間に約六万の人間を節しなければならぬというのでありますが、この問題につきましては、何も国鉄が新たにやるものではなく、過去においても、相当に大きなことをやってきておるのであります。国鉄には相当に練達の士がいますので、どうぞひとつわれわれを御信頼くださるようにお願いしたい。とにかく、われわれとしては二本の柱がまず立ちましたので、この問題については希望を持って検討することができるということでありまして、一生懸命やりますが、同時にあなた方もわれわれを御後援くださるようにお願いいしたいと思います。
  56. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 大臣、これに対してどういう決意を持っておられますか。
  57. 原田憲

    原田国務大臣 この国鉄のストライキくらい国民に人気の悪いものはない。私はこの間、予算委員会で同様な質問に受けて申し上げたのですが、東京で一番人気の悪いものは何だというと、タクシーの乗車拒否と国鉄がストライキをやるということ、もう投書を見ましても社会欄を見ても、これほど人気の悪いものはない。いま国鉄運賃値上げし、国からも助成をし、みんなで何とかこれをよくしようと言っているときに、運賃が上がったら、一番先に月給で取ってしまう連中がこれに反対するということだけでもわからぬのに、おまけに列車をとめて国民に迷惑をかけるということはわからぬというのが大半の国民意見であって、私はいま、何とかして国鉄再建をしようと思って骨を折っておるときに、こういうことを見ると、何と情けないことであるかと理解ができない。これをやる人にとっては、何を言うておるんだ、おまえらの言うておることが間違うておるんだと言うか知らぬが、私は私が言っていることは、大半の国民が認識されておるところであり、国鉄の働く人の中にも、私が言っておると同じ立場をとっておる人たちがおると信じておるのであります。したがいまして、国鉄総裁におかれても、先般の三分割の問題は、幸い列車がとまるということはなかったのですが、この間、もうあれは言うことを聞かぬのでしようがないということまで言っておられましたけれども、しようがないと言わずに、できるだけの努力をして、国民に迷惑をかけないようにひとつがんばってもらいたい。私どもも、国鉄が違法ストライキをやったら処分せんならぬのです。そういうことをだれだってやりたくない。しかし、違法行為は違法行為として、断固たる態度で臨まなければならない。これがおろそかにされると、暴力、違法ということが横行する世の中になるのでありますから、あくまでそういうことを避いけたいという気持ちがありましても、もしそういうことがあったら、国鉄側は断固とした処置をとらなければならないのであります。この大事なときでありますから、どうぞ国鉄は一丸となってがんばってもらいたい。国民の代表の皆さん方の前でいま総裁は、あなた方も助力をしてくれということでありますから、私も力の限りを尽くすつもりでございますから、ひとつ国鉄においても、国民に迷惑をかける違法のストライキなどはやらない、打って一丸となって国鉄再建のために努力するということを、私はこの場で十分総裁に申し上げますから、総裁もぜひがんばってもらいたい、このように思う次第でございます。
  58. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 運輸大臣国鉄総裁から、今後の国鉄の生産性向上並びに合理化、三本柱の大切な一本につきまして、それぞれ御意見がございました。  だいぶ時間もおそくなりましたので、私は一番最初に申し上げましたように、社会党提出措置法に対し久保議員に質問する権利を留保いたしまして、また、今後いわゆる運賃改定と物価及び国民生活に対する影響の度合い、新幹線網における国鉄の任務等、そういうものをもあわせて質問を留保させていただきまして、きょうの質問は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
  59. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 次回は、委員長の指定により、明十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後九時三十二分散会