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1969-03-07 第61回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月七日(金曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 阿部 喜元君 理事 大竹 太郎君    理事 徳安 實藏君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       加藤 六月君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    菅  太郎君       木部 佳昭君    四宮 久吉君       田澤 吉郎君    渡海元三郎君       中川 一郎君    西村 英一君       福家 俊一君    福井  勇君       箕輪  登君    毛利 松平君       山口 敏夫君    井上  泉君       板川 正吾君    神門至馬夫君       内藤 良平君    矢尾喜三郎君       渡辺 芳男君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         専  門  員 小西 眞一君     ――――――――――――― 三月七日  委員加藤六月君、金子岩三君、菅太郎君、木部  佳昭君及び西村英一辞任につき、その補欠と  して山口敏夫君、田澤吉郎君、渡海元三郎君、  亀岡高夫君及び毛利松平君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員亀岡高夫君田澤吉郎君、渡海元三郎君、  毛利松平君及び山口敏夫辞任につき、その補  欠として木部佳昭君、金子岩三君、菅太郎君、  西村英一君及び加藤六月君が議長指名委員  に選任された。     ――――――――――――― 三月六日  国鉄及び私鉄の運賃値上げ反対に関する陳情書  (第一五九  号)  国鉄鷹角線建設促進に関する陳情書  (第一六〇号)  国鉄中津川線及び下呂線建設促進に関する陳  情書  (第一六一号)  国鉄北十勝線建設促進に関する陳情書  (第一六  二号)  北陸鉄道能登線廃止反対に関する陳情書外一  件  (第一六三号)  国鉄樽見線建設促進に関する陳情書  (第一六四号)  都市高速度鉄道に対する財政措置に関する陳情  書(第一六五号)  栃木県に鉄道管理局設置に関する陳情書  (第一六六号)  船舶職員法の一部改正に関する陳情書  (第一六七号)  国鉄バス通学定期乗車券運賃据置きに関する  陳情書(第一七八  号)  国鉄能登線廃止反対に関する陳情書  (第一八六  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇号)  日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案内閣  提出第一一号)  日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措  置法案久保三郎君外九名提出衆法第五号)      ――――◇―――――
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  この際、暫時休憩いたします。    午前十一時二十八分休憩      ————◇—————    午後一時二十八分開議
  3. 砂原格

    砂原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  中川一郎君より議事進行に関する発言を求められておりますので、これを許します。中川一郎君。
  4. 中川一郎

    中川(一)委員 私は、国有鉄道の今回の問題について審議をいたしたいという気持ちでおるわけでありますが、これは同僚委員すべての気持ちであるわけであります。しかるに、先般来の理事会の決定とかで、まだ委員会開会するに至らない。これは、私は憲法にも違反するような大事な問題じゃないかと思うのであります。それは、昨日の公報にりっぱに、本日は十時半から開会をする、しかも、それらの法案内容まで書いて、われわれはその公報をいただいておるわけであります。そこで、十時半に私は発言機会が与えられるものと思って待機をいたしておるのでありますが、一向に委員会開会をされない。私は、国会議員発言権あるいは委員会出席する権利を、理事会の名のもとにおいて冒涜しているような気がいたすわけであります。これはルールだという話もありますが、これは一体どこからできたルールなのか。この「国会運営の理論」という本を読んでみますと、委員会委員長が宣言することによって開会をされる。また、議員出席する権利と義務を持っておる。それが、委員長が開かれない、それは理事会があるからだ、理事会権限は何か。国会法を調べてみると、委員長が事故あったときに、これに代理をするために生まれたのがこの理事会であります。その理事会が何だかんだ文句をつけて、大事なこの法案審議に入らない、そういった規則の上からも問題があると思います。  国鉄のこの法案国会提出されましたのは二月七日であります。二月七日からもうすでに一カ月間たっております。これは、付託されたのは二月十八日であります。当委員会に付託されてからでも二十日間も眠っておるわけであります。これは一体どういうことなんですか。しかも、去る四日、私が質問をしたときには、たった三十分間で委員会をやめなければならぬ。聞くところによると、開かれない理由は、大臣出席がないからだそうでありますが、政府側出席要求は、質問する者が必要であるならば、これは出なければならぬでありましょうけれども、質問者である私が、大臣は要らない、かわりの政務次官なりあるいは担当の局長等と、きょうは少し詰めて数字的に議論をいたしたい、そう言っておるものを、何の権限で一体とめるのか。(「憲法違反だ」と呼ぶ者あり)憲法違反発言がありましたけれども、私は、これは大事なことであると思う。国民は、まさかこんなばかなことで国会が空転をしておるとは思っておらないでありましょう。私は、九万三千二十一人の支持を得まして、そうして賛成のものは賛成反対のものは反対国民の世論を国政に反映をしたいということで出てまいりました。その私の発言を、理事会の名においてとめるということは、全く許されないことであります。しかも、あれだけ歳費というものをわれわれはもらっておる。国民の批判を受けるぐらい高いともいわれる歳費をいただいて、そうして朝から晩まで会議をしないことに努力をする議員の心理は、私はわからないのであります。表決の際にいろいろ横になることについては、これは異論をはさむものではありません。しかし、国会議員の使命である審議について、委員会を開かせないというのは、国会法違反であり、委員長の職務怠慢といわざるを得ないと思うのであります。  本日も、十時半からずっと待って——私だけの迷惑じゃありません。委員方々も、どこへ行きたい、あそこへ行きたいものを、時間の都合からいっても、たいへんな迷惑をこうむっておる。委員長、なぜ開かれないのか、まずその経緯についてお尋ねをいたしたいと思います。
  5. 砂原格

    砂原委員長 中川君にお答えをいたしますが、民主政治というものは、御承知のように話し合いによってものごと解決をつけていくということ、これはいずれの国においても重要視されておるので、したがって、今回のこの国鉄法案に関しましては、国民関心事でもありますし、本件に対しては、野党諸君からも十分な質疑をしていただきたいと私は考えておるのであります。ごく民主的な運営をいたしたいと考えておりますだけに、発言希望者申し出各党に求めましたところ、自民党さんからは八名の発言通告が参っております。さらに社会党さんからは、九名の委員さんに対して十一名も発言をしたいという申し出があったわけであります。しかし、これはもう当然委員の数だけに整理していただくことは間違いないと思いますが、ほかに民社二名、公明二名の方々にも全員発言機会を与え、国民皆さんにも御納得のいくように、議会の審議を通じて国民の御理解をちょうだいいたしたいと考えまして、民主的な運営にこれつとめてまいっておるのであります。自来、過去のいわゆる運営の方式にのっとりまして、理事会においてそうしたことは申し合わせをいたし、協議をいたしまして、そうして順次発言お願いをするようにいたしておるのであります。  中川委員の御発言のごとく、提出されましてからすでに一カ月、本委員会に付託になりましてからでも十数日間を経ておるのであります。しかも、これには歳入の問題が伴っておるので、歳入欠陥を生ずることがあってはならぬと考えますだけに、できるだけ予算上支障のないようにこの審議を進めてまいりたいというので、極力誠意をもって各党理事諸君お願いをいたしておるのであります。  ただ、遺憾ながら本案が重要法案であるだけに、野党のほうからの申し入れば、この重要法案に対しては、一応大臣出席を要求するということであります。したがって、大臣出席についてのあらゆる努力をいたしましても、一方では衆議院予算委員会が開かれておる、衆議院予算委員会が終了いたしますと、今度は参議院のほうで予算委員会が引き続き開かれておって、目下総括質問が続けられておるのであります。この総括質問にあたって、野党諸君は、全員大臣がその質問の期間中は他へ自由に移ることは困ると言うので、大臣がくぎづけにされておるわけであります。そうなりますと、委員会出席を要求いたしましても、自然大臣が出てくることはできません。  そこで、先日の中川君の質疑の際は、大臣が一時間ほどの時間の余裕があるというので、その間を利用して中川委員に御質疑を願ったわけでありまして、あと中川委員は、もう大臣は要らないということでございましたが、そのときの理事会申し合わせでは、これがはたして中川君の言われるとおり、法理論にかなっておるかどうかということは別でございますけれども、申し合わせの席では、一応大臣の在席の間ということが約束されておったのでありまして、同日は中川君の御質疑を中間でお取りやめ願うという結果になったわけであります。しかもその後、去る水曜日の日にも、この法案審議に入っていただきたいということを各党申し入れましたところ、これは定例の一般質疑の日であって、法案審議の日でないから、それはやらないということでございますので、やむなく同日は一般質疑だけで打ち切ったわけであります。中川君の御説のごとく、だんだん日にちは迫ってくるし、この先たいへんであると思いますので、御協力お願いしたいと思いまして、本日も十時からの理事会慎重審議、いろいろとお話し合いを進めておるのでありますが、本日は委員長といたしましては、午後五時からは大臣がおあきになるそうでありますから、その時間から引き続き御審議お願いするように理事の各位に申し入れてございます。まだその後、各党理事さんから明確な回答を得るに至っておりませんけれども、委員長といたしましては、最善を尽くして、野党少数意見といえどもこれを尊重し、また、国民大衆に対しても御納得のいくようなこの重要法案解決をいたしていきたいという努力を続けておりますことは、お認めをいただきたいと思うのでありますが、微力、はなはだ御意に沿いかねます点を深くおわびを申し上げる次第であります。
  6. 中川一郎

    中川(一)委員 ただいまの経緯の御報告、また、委員長気持ちはわかりましたけれども、納得できません。少数政党の言うことも聞かなければいけない、これはわかりますけれども、審議をしない——私が審議をしたいというのに、なぜ大臣が来なければとか、これは一体どこの規則、どこの法律、あるいは憲法のどこかかにそういうことができるような精神のものがあるのですか。質問者が、大臣が来なければ私は審議に入らない、これはあたると思いますけれども、私が要らないというものを何で押しつけるのですか、何で押えるのですか。こんなばかなことは小学生でもわかることじゃないか。難くせ中の難くせです。難くせでも、少しぐらい理屈があれば難くせつけられてもしかたがないけれども、全く理由のないことをごねておる。慎重を期さなければいかぬこともわかりますが、二十日間ぶん投げる。これは、それじゃ一体いつになったら納得を得られる委員長の見通しがあるのですか。強行採決しようと言っているのじゃない。審議をいたしましょう——審議いたさなかったら、もうこれは国会議員じゃないのです。審議をした結果、考える。審議もさせないということになったら、これはもうほんとう憲法違反ですよ。これは委員長しっかりしてやってもらいたい。もうおそれることはない。自由民主党は多数政党なんだから、いやな者は出てこなくてよろしいから、どんどんといる者だけによってやろうじゃないですか。ほかの委員会はいざ知らず、当委員会はその先例を開いていただきたい。その決意ありやいなや、委員長の腹をもう一回聞きたい。
  7. 砂原格

    砂原委員長 ただいまの中川委員の御発言は、まことにごもっともですが、一応慣例といたしまして、理事会において協議することといたしておりますので、暫時休憩をいたしまして、なお……。(「関連」と呼ぶ者あり)
  8. 中川一郎

    中川(一)委員 ちょっと議事進行について発言中なんだから……。関連もあるんだそうだから。
  9. 砂原格

    砂原委員長 まだこれに対して……。
  10. 中川一郎

    中川(一)委員 とめるほうだけ委員長権限で、開くほうはやらないというのは、どういうことですか。
  11. 砂原格

    砂原委員長 その開くということは、何といいましてもやはり各党理事会意見を聴取して、できるだけ円満に運営をいたしたいと考えておりますので……。
  12. 中川一郎

    中川(一)委員 こっちの言うことも聞いてもらいたい。たくさん一生懸命ものを言いたい人がいる。言いたいほうのやつは押えるし、言いたくないほうは押えないで、どういうわけなんですか。ものを言うために国会へ来ている者に、何でものを言わせないのですか。私は立候補するときに、ちゃんと国鉄問題についてもしっかりがんばります、赤字だから困る、何とかやらなければならないと選挙公約をやってきた。選挙公約違反を当委員会理事会の名においてさせるとはどういうわけですか。それをもう少し明快にしてもらいたい。
  13. 砂原格

    砂原委員長 これは答弁しろと言われても非常に困るわけですけれども、これはやはり慣例に従って理事会に一応おはかりする以外には、委員長としてここで独断でどういたしますということは、いま御返答申し上げかねるところであります。
  14. 中川一郎

    中川(一)委員 慣例というのは、私が大臣は要らないと言っている、その本人が要らないと言っているのに、押しつける慣例というのがあるのですか。必要な人が呼んでも来ないから待つということはありますよ。私が要らないと言うのです、ここに連れてきたって質問しないんですから。質問しない人間を何でここに連れてこなければいけないのですか。いつからできた慣例ですか。
  15. 砂原格

    砂原委員長 中川君に申し上げますが、これは慣例ではございません。本日の理事会でそういう発言がありましたので、という意味でございます。
  16. 中川一郎

    中川(一)委員 ですから、それを理由にして、五時まで延ばされるのは迷惑だと言うのです。要らないんだから……。大事なことなんですよ。理事会で話し合うということは慣例だ、これはわかるのですが、ものには限度がある。私が、大臣は要らないで局長質問いたしたいと言うのに、理事会の名で何で無理やり引っぱってくるのですか。断じて承服できないですな。
  17. 砂原格

    砂原委員長 関連質問がありますか。——関連しての発言を求められておりますので、加藤委員発言を許します。
  18. 加藤六月

    加藤(六)委員 ただいま中川委員から、委員長に対して議事進行についての御意見がありましたが、それに対し、委員長は非常に苦しい答弁をされております。慣例とか、あるいは民主的な運営とか、いろいろなことばをお述べになっておられたと思うのでございますが、まず、民主的な運営ということについての委員長の見解を承っておきたいと思います。
  19. 砂原格

    砂原委員長 加藤君にお答えをいたしますが、民主的運営ということは、御承知のように、民主主義というものは何といいましても話し合いでございます。話し合いによって、ものごとのどこかに光明を求めるということが、私は絶対の条件だと思うわけであります。したがって、民主主義というものは時間のかかるものなんです。ある程度まで時間をかけなければならぬものなんです。(「二十日間だ、切りがない」と呼ぶ者あり)ただ、およそものには限度もございます。そこで、良識の府であるこの委員会各党各派理事諸君ほんとう協力をして、本問題をすみやかに解決していこう、反対であれば反対であるという意思を十分明らかにしながら、また、国民の御納得を得ながらこれを究明していこうという意欲に燃えておられるものと私は想像いたします。そういうことを想像し、信頼を申し上げておりますだけに、多少の時間をかけてでもやっておりますけれども、もうこのままでは——先ほどから中川君なり加藤君なりの御質疑のように、もう委員長どうにもならぬじゃないかというおしかりは、しごくごもっともだと思いますから、先般来、いわゆる法案の取り扱いというものは火曜日と金曜日にする、それから水曜日は一般質問にするということでございましたけれども、これも……(「きまってない」と呼ぶ者あり)そういうことが、おおむねそうしていこうじゃないかということでございましたけれども、しかし私のほうから、これではとうてい審議が尽くされかねる、したがって、週に三回ないし四回以上の審議を尽くしてもらうことに御協力が願いたいという申し入れを、再三再四にわたっていたしておるのであります。まだ御共鳴を得るに至っておりませんけれども、誠意をもって私はこの問題に当たっていくつもりでございますので、いましばらく時間をお与えいただきたいと思います。
  20. 加藤六月

    加藤(六)委員 委員長は、各党各派信頼感を持って話し合いをしてきておる、こうおっしゃいましたが、しからば、いままで何回理事会を開き、何時間この問題についてお話し合いをされておりますか。
  21. 砂原格

    砂原委員長 本件に対しての理事会は、私、全部をいま記憶しておりませんが、一番長いのは四時間半も本件に対して理事会を開いております。それで、なかなか意見一致点を見ておりません。けれども、そういうことでもうほとんど本委員会が成立以来、もうそのつど本問題は議題として取り上げられながら御審議を願っておる次第であります。
  22. 中川一郎

    中川(一)委員 いま国鉄再建整備法案が出ておりますが、その内容合理化であります。その国鉄合理化よりは、国会合理化をしなきゃいかぬのじゃなかろうか、国民審議をするための審議を、そのための審議をそこでやっておる、何時間も何時間も、二十日から学生の大衆団交みたいなことをやって、こんなばかなことがありますか。もうがまんがならないです。それでも、相手がこういう条件だというのなら、これはまだわかるけれども、やりたくない人間なんだから、だから、委員長代理には理事がなれるそうだから、そこへ来て、ひとつ反対している理事の人が、ここで国民の前に審議できない理由を明らかにすべきだと私は思うが、どうですか。——それもできないと言うんですか。そんな国民の前に堂々と言えないことを、そこでごそごそ取引するのはやめなさいよ。堂々と言って、堂々とやれることをやろうじゃないですか。
  23. 砂原格

    砂原委員長 中川加藤御両君の御意見の御趣旨のほどはよくわかりますので、理事会で御趣旨に沿うよう最善努力をいたします。(「また理事会か」と呼ぶ者あり)いましばらくお待ちを願いたいと思います。
  24. 中川一郎

    中川(一)委員 委員長がせっかくそこまで言うのなら、私も相当我の強いほうだけれども、今回は了承いたしますが、これからはひとつそんなことに屈しないで、堂々と審議をやってもらいたい。マスコミの皆さん方にもお願いしたい。審議をしたくない政党がある、大いにPRをしてもらいたい。(「そういうことはごうも言ってない」と呼ぶ者あり)審議に入ろうと言っておるのに審議しないんだから……。(「審議しないという政党がどこにある」と呼ぶ者あり)どこにあるかないか知らぬが、審議に入らない事実がある。(「理事会審議じゃないか」と呼ぶ者あり)審議に応じない、まことにけしからぬ。ひとつ今後は力強いいまの精神でやっていただきたい。  以上をもって質問を終わります。——ただし、進行についての質問ですから、そのほうは継続いたしておりますので、間違いのないように……。
  25. 砂原格

    砂原委員長 以上で中川君の議事進行に関する緊急質問は終わりました。理事会において十分協議をいたします。  暫時休憩いたします。    午後一時五十六分休憩      ————◇—————    午後七時四十一分開議
  26. 砂原格

    砂原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案及び日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措置法案一括議題として、審査を行ないます。  質疑通告がありますので、順次これを許します。中川一郎君。
  27. 中川一郎

    中川(一)委員 質疑に入ります前に、先ほどの委員会において私がお願いいたしましたことにこたえていただきました委員長の決断に対し、心から敬意を表するものであります。ただし、そのことが本委員会開会にあたりましていろいろの議論を呼び、委員長ほか委員皆さま方に御迷惑をかけた点があったとするならば、この機会おわびを申し上げておくわけでありますが、趣旨は、私は審議を促進いたしたい、こういうことからであったのでありまして、御了承をいただきたいと存じます。   〔委員長退席大竹委員長代理着席〕  そこで、前の委員会において御質問をいたし、中断になったわけでありますが、国鉄における賃金の問題、人件費がどれくらいかかるか、支出のうちにおけるパーセントを国鉄総裁お尋ねをいたしたわけであります。国鉄総裁からは、六〇%ぐらいになるというふうに記憶をいたしておるのでありますが、この点についてもう少し詳しく、審議をするにあたって詰めておきたいと思いますので、人件費の占める割合についてもう一度、国鉄総裁でもけっこうですし、副総裁でもけっこうであります。事務的なことでありますから、どなたでもけっこうであります。
  28. 磯崎叡

    磯崎説明員 お許しを得まして、私から御説明申し上げます。今度の再建問題の非常に中心でございますので、多少時間を拝借いたしまして、詳しく御説明させていただきたいと存じます。  先般、総裁から申し上げましたとおり、いま提出中の予算におきまして、人件費は総体の約六〇%でございます。その率は逐年上昇いたしております。約五年ほど前は五四、五%であったものが、逐年増加して、現在は大体六〇%という数字になっております。  この点につきまして、いままでの過去のいきさつをもう少し詳しく申し述べますと、例を昭和三十六年度、すなわち、三十六年度に運賃改定をいたしましたので、三十六年度と、それから昭和四十一年度、ただし、昭和四十一年度も運賃改定をいたしましたが、その両年度につきまして、収入、それから経費経費の中の人件費物件費資本費等の伸びについて、少し御説明をさせていただきたいと思います。  昭和三十六年度に比較いたしますと、昭和四十一年度は、収入におきまして一五七%、五割七分増加しております。これは、一般客貨の自然の増加並びに四十一年度の運賃改定分を含めまして一五七になっておりますが、これに対しまして、これに見合います経費と申しますか、原価のほうでございますが、人件費は実に一八五%、八割五分増加しております。さらに資本費と申しますか、減価償却費並びに利子その他の資本費を全部合計いたしますと、これが二三四%になっております。これに対しまして、物件費は一五六%の増で、物件費の増と収入の増は大体見合っておるわけでございますが、いま申しました数字でごらんくださいますとおり、人件費の増加と資本費の増加が非常に大きいということでございます。  それを今度は、いまのは伸び率だけでございますので、これを実額的に見ますと、収入の伸びが約二千八百億でございます。昭和三十六年度と四十一年度の対比で約二千八百億収入が伸びております。三十六年度に約五千億だったものが、七千八百億くらいに伸びております。これに対しまして、先ほど申しました人件費の一八五と申しますのは、実は千八百億でございます。資本費の伸びは、率としては二三〇と非常に多うございますけれども、実額は千三百億でございます。したがいまして、全体の収入の伸びが六年間で約二千八百億しか伸びないのに対しまして、人件費は実に千八百億伸びている。それから資本費は千三百億、物件費は約六百億くらいでございます。これは収支が赤になっておりますので、当然、合計が合わない勘定でございますけれども、ごらんのとおり収入の伸び、ことに運賃値上げをいたしましても、収入の伸びのうちの相当部分を、実は人件費に食われてしまっておるということ。これは、ことにこの六年間に一回しか運賃がいじられておりません。そのときの運賃の改定額が約千二百億くらいでございますので、金にいろいろ糸はついておりませんけれども、金のワクから申しますと、ベースアップでもって収入増加の相当部分を食われてしまっておるわけであります。したがいまして、今後の問題について申しましても、今後運賃を上げていただきましても、やはり相当部分をベースアップに使わざるを得ない、こういう現状でございます。
  29. 中川一郎

    中川(一)委員 そこで、実は今後もこの人件費の問題が相当大きなファクターになってくるだろう、今度の再建計画がりっぱにできるかできないかは、人件費のアップということが今後どうなるかということに大きな影響を持ってくる。前の第二次計画でありましたか、現在までの計画を想定いたしましたときに、人件費はいまのように上がるような計算をされての計画であったのかどうか。計画は計画どおりできたのか、あるいは計画を上回ったのか下回ったのか、この辺の見通しと実態について御説明をいただきたいと思います。
  30. 磯崎叡

    磯崎説明員 毎年の人件費のアップは、御承知のとおり仲裁委員会において決定されまして、いわゆる団体交渉ではきめてないわけでございます。三次計画をつくりました昭和三十八年度の時点におきましては、毎年の人件費のアップ率、いわゆるベースアップ分を定期昇給を含めまして七・〇%の推定のもとに三次計画を策定したわけでございますが、実際に昭和四十三年度までの実績を検討いたしますと、計画に対して非常に狂いが生じまして、多少毎年出入りはございますが、平均一一%ないし一二%というアップ率になっておるわけでございます。この点で相当大きな食い違いが生じておるわけでございます。
  31. 中川一郎

    中川(一)委員 今度の再建計画がまた二の舞いになって崩壊するというか、再建ができない、また、大騒ぎをしなければならぬのではないかという要素に、この人件費の問題が出てくるのではなかろうか。前の計画でも、予想を上回る人件費のアップがあった。でありますから、国民の中では、単純にいうと、われわれ運賃を上げた分は、みんな国鉄職員のベースアップに食われてしまうだけだ、こういう疑問を率直に持っておるわけであります。前の昭和四十一年でありましたか、上げたときにも、その上げた分は全部が人件費に食われた、こういう実態もたしかあるはずであります。その点について、国鉄としてはどういう見解を持っておられるか。また、重ねて運輸省当局も、この際、その点についての回答をいただきたいと思います。
  32. 原田憲

    ○原田国務大臣 ただいま中川委員お尋ねの件は、きょうも実は参議院でお尋ねがあったのであります。すなわち、国鉄のたび重なるベースアップによって、過去の運賃改定収入は、実際的に全部食われてしまっておるではないか、だから、率直に国民の前に、国鉄の運賃の値上げは、ベースアップで食われておるということを言ったほうがいいのではないか、国鉄再建のためというようなことを言っておるが、奇異に感ずるというようなお尋ねが実はあったのでございます。  確かに国鉄財政悪化の大きな原因の一つに、人件費の増高があることは否定ができません。しかし、国鉄の財政の悪化は、人件費の増高だけではなしに、資本経費の増加、これもあるわけでございます。したがって、この二つが今日の国鉄財政悪化の大きな原因になっております。いま御指摘のように、人件費の増高の状況を見ますと、国鉄人件費は、その特異な年齢構成、公共企業体等労働関係法による仲裁裁定等により、昭和三十年度以降、定期昇給を含めて年率九・五%上昇してきている、その間、生産性の向上が年率四・五%である、消費者物価の上昇も年率四%であった、このことを考えると、いかにベースアップが大幅であったかといえる、ということを指摘しておるわけであります。そこでいま御指摘のように、この際限のないベースアップというようなもので、国鉄の財政再建ということについて、人件費によって食われてしまうということがないように、今後どうしたらよいかということにつきましては、わが国経済の近代化に伴いまして、国鉄輸送の機械化、近代化も、極力推進すべきでございまして、これに伴って要員の余剰も生じてくると思います。そういうものは輸送力の増強に振り向ける等により、国鉄の体質改善をはかることは適切なことと考えられます。国鉄当局では、たしか第三次計画にあたって、いわゆる五万人という人員の問題で、この間まで労組との間に交渉を重ねられ、今後もできるだけ労使の間で話し合いをつけて、少なくとも冗費といわれるようなものによって、再建のとうとい費用が食われることがないように考えていってもらいたいと、運輸大臣である私は考えております。  また、再建推進会議でも、このことにつきまして、少なくとも再建期間中におけるところの給与単価の引き上げは、原則として消費者物価の上昇、生産性の向上等を勘案して、必要最小限度にとどむべきであると考えるということを、意見書の中で指摘しておるのでございます。私は、そのとおりであろうと思うのでございます。
  33. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの大臣の御説明を多少数字的に補足させていただきます。  ただいま大臣から仰せられましたとおり、今後の再建にあたっての一番大きな問題は、やはり人件費の問題だろうと思います。資本費等は、いずれ計算上はっきり出てまいりますので、これはいろいろ対策が講じられますけれども、人件費は非常に流動的でございます。しかも、毎年毎年の仲裁裁定で、ほとんど国鉄の意思とは離れて決定されるという性格を持っております。しかし、長期計画策定にあたりましては、人件費のアップ率を見るのが当然でございますが、一応今度の計画では、定期昇給を含めまして九%の上昇率を見ております。しかしながら、いまの大臣のお話しのとおり、定期昇給その他でどんどん人件費が上がっていったのでは、やはりどうしてもこれはやっていけないということで、国鉄再建の三本の柱の一つといたしまして、やはりまず収入の増加、あるいは政府からの御援助というもののほかに、国鉄自体の経営の合理化ということを、徹底的にやらなければならないというきびしい再建推進会議の御意見をちょうだいいたしました。その内容といたしましては、ただしゃにむに人間を減らすということ、これは非常にむずかしいことでございますので、やはり相当の設備投資をして、そして機械化、近代化をして、浮いてきた人を適宜使っていく、こういういわゆる機械化、近代化による余剰人員の捻出ということを、当然しなければいけない。今度の計画の全体の投資規模約三兆七千億を見込んでおりますけれども、この三兆七千億のうちの五千五百億は近代化、機械化投資に充てたい、こういうふうに思っております。  近代化、機械化投資の内容といたしましては、おもな点だけを申し上げますと、営業体制を近代化する、あるいは電化、ディーゼル化によって動力を近代化して人を減らす、あるいは輸送方式を近代化する、あるいは乗務員の適正化をはかる、あるいは保守作業を近代化する、仕事全体のコンピューター化をはかる、こういった各方面にわたりまして、いわゆる国鉄の仕事のやり方の組織、システムを変えていくのだということがなければ、なかなかたくさんの人間を捻出することは不可能だと思いますので、約五千五百億の投資をいたしまして、いま申し上げましたような数項目につきまして、積極的な投資を行なう、これによって当然人が浮いてくるわけでございます。そうすると、その浮いてきた人を人員整理するということ、これは現時点では不可能でございますので、いわゆる減耗の不補充と申しますか、減耗を一部だけ補充するということでまいりたいと思います。現在四十六万の職員がおりますが、そのうち毎年一万人ぐらいずつ自然にやめてまいります。したがいまして、その一万人やめてまいりますうちの、ほんとうに必要な部分だけを、若い人でなければできない仕事だけを新規採用でいたしまして、あとは、さっき申しました機械化、近代化によって、浮いてきた人間をそちらへ回す、減耗の一部だけを補充していく、こういう方法によりまして総体の人員を自然に減るにまかせていきたい。決して積極的な首切りとか、行政整理ということでなしに、減耗の不補充、これはいかなる企業でもやっておられることでありますので、当然、国鉄もやらなければならぬというふうに思っております。減耗不補充という形で人員の適正な配置をやってまいりたい。  給与の引き上げにつきましては、先ほど大臣がおっしゃいましたとおり、国鉄限りではできないことになっておりますので、これは仲裁委員会等におまかせするわけでございますが、いままでの仲裁等を拝見いたしますと、財政問題その他には、ほとんど考慮なしに仲裁がきめられておるような実情もございますので、今後そういった場におきましても、十分国鉄の財政問題もお考えいただいた上で、給与の単価をきめていくというふうな方向にお願いしてまいりたい、こういうように思っておる次第でございます。
  34. 石田禮助

    ○石田説明員 私から補充いたしますが、国鉄人件費の問題ですが、これは副総裁が申し上げましたとおり、国鉄総裁にも権限はない、仲裁裁定できめる。私は、人間を減らすということにつきましては、国鉄のような、一年に一万人も一万五千人ものたくさんの人間がやめる、それをこれから補充するということは、いまのような就職者の少ないときに、これは非常に困難だ。これは実際、人的に全部を補充することは事実できやせぬ。たとえば、保線の仕事なんというのは重労働の仕事なんですから、これから国鉄が要求する人間は集めることはできやしませんよ。そういうことで、これから労働力の供給というのは非常に減るのだ。その間に、国鉄ではうまく仕事をやっていくには、少数の人間でやらなければならぬ。こういう、つまり人のディマンド・サプライということを考えて、どうしてもこれは少数の人間でやらなければならぬ。そこで自然に合理化になる、こういうことであります。これはもう企業のみならず、それを離れてぜひ必要なことです。その点をどうぞひとつ御了承願います。
  35. 大竹太郎

    大竹委員長代理 私語のため速記がとりにくいということでございますので、御注意をいただきたいと思います。
  36. 中川一郎

    中川(一)委員 非常に具体的に御説明をいただきました。了解するものでありますが、特に大臣には、私は出席を要求しないにもかかわらず、御熱意を持って、みずから先頭に立って回答をしようという態度に対しましては、心から敬意を表します。  そこでいま総裁から、仲裁裁定によって賃金のベースアップはきまっていくのだ、国鉄としての権限ではないのだということであります。そこで、私が非常に心配をいたしますのは、九%の人件費の増高を今度の計画の中に入れてあるということでありますが、これは九%でおさまらない心配も十分あるのじゃないか。そうなってくると、たちまちまた、この計画がくずれていくだろうという心配をいたすのですが、九%で押えることができる見通しでありますかどうか。できるなら私は率直に、過去の例から推定をして、これくらい上がる、もう少しこの際思い切って見ておくなら見ておくべきじゃないか。といいますのは、国鉄の問題になるものは、この際、総洗いして出した上で計画を立てなければ、また二の舞いを踏むのじゃないかという気がいたしますので、この九%については、これは仲裁裁定がきめることですからわかりませんけれども、大体これで押えることができるかどうか、この点についてお見通しをお聞かせいただきたいと存じます。
  37. 磯崎叡

    磯崎説明員 今後のベースアップの見通し、これは私どもしろうとで、非常に困難なことでございますが、一応、財政再建推進会議におきまして論議されました経過について御説明申し上げますと、いままでの例から見ましても、仲裁の理由書等を読みますと、結局、全般的な消費者物価の動向、それからその企業内における労働の生産性の向上、大体この二つの見地から、仲裁裁定をお出しになっているようでございますし、また、公務員の人事院の勧告も、それにさらに民間企業とのバランスというふうな面で見ておられるようでございます。  ただ、民間企業とのバランスということになりますと、根本的に給与制度が違いますし、また、直接給与以外のいろいろな間接の給与の面におきまして非常にバラエティもございますし、また、大企業、中企業、小企業によりましてもまた非常に違いますので、一律に民間のベースというものは、必ずしも数字だけで参考にならないということで、再建推進会議におきましては、主として消費者物価の動向と鉄道企業内における生産性の向上、この二点で検討されたわけであります。  まず、消費者物価の動向でございますが、これは政府におかれましても、大体四%ないし五%、また、過去の実績を見ましても、大体年率その程度の率で上がっておりますし、それを一応四%前後というふうに押えております。  それから生産性の向上につきましては、これはぜひとも五%ぐらいの生産性の向上がなければいけない。いまの日本のあらゆる産業を見ても、五%という生産性の向上は非常に低いほうでございますが、鉄道企業というものは、そう簡単に生産性が上がるものでないというふうな点からいたしまして、一応五%、合計いたしまして九%というふうな見方でもって出した数字であります。
  38. 中川一郎

    中川(一)委員 新聞その他で聞くところによりますと、国鉄総裁は、給料を返上して、少しでも経費を軽くして、国鉄の再建に当たるというふうに聞いております。しかも御高齢でありながら、身命を賭して国鉄再建の先頭に立っておられる御熱意に対して、心から敬意を表するものであります。そういった石田さんが、身をもって労働組合の皆さん方にお訴えをするならば、心ある労働組合の皆さん方も、ベースアップについては協力してくれるものと私は思うのであります。しかるに、運賃の値上げは絶対阻止する、ベースアップは幾らでもよこせ、こういう姿勢では、国鉄再建はできないのじゃないか。ましてや、もし総裁がもう熱意がなくなった、この前、事故がありましたとき、もういやになった、私はほんとうに涙をもって総裁のあの記事を見たのであります。そこで、それだけの声涙をもって国鉄の労働組合の皆さん方お願いしてもできないというものであるか、その交渉の経緯について少しく触れていただくことができるならば、この機会お願いをいたしたいと思うのであります。
  39. 石田禮助

    ○石田説明員 この九%というものが、今後ずっとこれをこさないでいくかどうかということは、むずかしい問題でございますが、いま政府は、物価というものに対して非常に関心を払っております。要するに、ベースアップのもとは物価ということであれば、政府が一生懸命にやれば、そこに九%でやり得るというふうに考えていいのじゃないか。ことに、仲裁裁定委員国鉄のベースをきめるのには、民間の給与のベースというものを考えていく。ところが、民間の給与というものは、最近非常に上がっているのであります。今後いままでの調子でずっと長年やっておった日には、これは外国との競争上、競争できなくなってくる。現に日本のある工業などは、もう賃金の関係から東南アジアに持っていく、朝鮮に持っていく、台湾に持っていくというような傾向があるのでありますからして、これまでずいぶん上がってきたということと、物価のいまの趨勢、政府の方針などから考えて、私は九%に見ておけば、まずだいじょうぶじゃないかと考えております。  それで、もう一つ中川さんに申し上げたいことは、この経費の問題と同時に、われわれは収入の増ということをうんとやらなければいけない。ところが、その点につきまして、いままで国鉄は旅客のほうに一生懸命だったのですが、これも私は、まだ相当伸びる余地があると思います。貨物のほうも、最近だいぶその点について、しりをたたいてきたのですが、その曙光が見えてきた。最近の貨物の収入減の一番大をなしたのは、石炭輸送の減であった、千万トンぐらい減っているのですから。ところが、その後、自動車の輸送であるとか、いわく何々、いわく何々、相当に調子よくなっているし、一番われわれが希望を持っているのはコンテナ、これはえらい勢いでふえている。これは国鉄としては非常ないいカモでして、今後これに対して私は、関係の者に対して、これはどこまでも強気でいけ、それに対するターミナルをつくるとか、コンテナをつくるということは、積極的にやらなければいかぬということをずいぶん強く言っていますが、その点コンテナというのは非常に有力だ、ベースの問題と同時に、やはり収入の問題というのは非常に考えていかなければならぬ、そういう点について、相当に私は楽観して考えていいというように考えております。まあ、御心配になるようなことは、私はないと思います。
  40. 中川一郎

    中川(一)委員 総裁がそう申されるのでありますから、これは間違いないだろう、そうあってほしいものだと願うわけであります。  いま貨物の伸びの問題がちょっと出ましたので、その点について、ちょっとお尋ねをいたしたいのでありますが、北海道あたりでは——ローカル問題になって恐縮ですが、ずいぶん貨車回りが悪い。荷物は幾らでもあるのだけれども、貨車が来ない。旭鉄、釧鉄その他では、貨車の争奪戦、これは激しいものであります。どうしてそんなに貨車が来ないのかと聞いてみたところが、青函の輸送能力がネックになっておる、こういう話でございます。それがほんとうであるかどうか、もしほんとうだとするならば、昭和五十三年には青函隧道ができるそうでありますけれども、それまでの間、約十年間の青函輸送力の増強ということについて案をお持ちであるかどうか、お聞かせをいただきます。
  41. 磯崎叡

    磯崎説明員 青函航路の問題につきましては、実は総裁から、戦後の戦標船をいつまでも使っておってけしからぬというおしかりを部内で非常に受けまして、実は数年前から、非常に急ピッチで新しい船に取りかえております。乗り組み員も半分以下の数で済むという、いまの日本の貨客船で一番近代的な船を使っております。現在、一日の平均の輸送力が、これは車数でございますが、約一千両の輸送力を持っております。一千両と申しますと、年間にいたしますと約七百四、五十万トンでございます。しかし、これで足りませんので——と申しますことは、おかげさまで、東北線の複線電化が昨年の十月完成いたしました。また、北海道の函館本線の、これは部分複線でございますが、相当の部分の隘路が解消されております。したがいまして、ただいま先生のお示しのとおり、内航海運も伸びておりますけれども、やはり国鉄に対する需要が急激にふえております。その両端だけの鉄道のほらが非常に広がって、中の船がまだ七百万トンくらいしかないということで、現在、貨物船を二隻つくっております。これはもう少し詳しく担当の常務から申し上げますけれども、私どもといたしましては、青函隧道の開通するまでに何とか現在の青函間の輸送力——幸い陸上輸送力がほとんどできましたので、これに劣らない青函の輸送力をつけたいというふうに思っておりますが、ただ、青森の岸壁等に相当の制限がございます。あるいは青森以外の場所を使う、あるいは函館以外の場所を使う等の、ほかのそういった根本的な船以外の設備も考えなければなりませんが、一応、船の増強と、それから接岸と申しますか、岸壁の増強ということで、青函隧道が開通するまで処してまいりたいと思いますが、もう少し詳しく具体的なことにつきましては、担当の常務から御説明いたしたいと思います。
  42. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ただいまの点につきまして、数字的に御説明申し上げたいと思います。  御承知のとおり、青函の航送力というものは、十月まではワム換算で九百七十三車でございます。これが現在は千二十四両になっております。これに対して、東北線あるいは青森、函館の改良をいたしまして、さらに北海道の線増を行なっておりますが、御承知のとおり、繁忙期には北海道渡しの貨車が非常にたまる。極端な場合を申しますと、繁忙期には七千両というような数字がたまった実績もございます。そういうような点で、輸送制限をするということでは、まことに北海道の皆さまに御迷惑になりますので、先ほどお話しのとおり、新しい船をつくるということを計画いたしております。現在ございます十勝丸、日高丸、これは昭和二十三年につくりました船でございます。これを取りかえまして、現在の四十四両の航送に対して五十五両の航送にいたします。さらに一隻新造いたしまして、合計三隻を現在考えております。それによりまして、四十四年の十月には第一船が就航する、それから四十五年の四月には第二船が就航いたしまして、こうなりますと、千二百十三両の航送力がつく。それから四十五年の九月、これに第三船ができまして、このときには千三百九両。そうなりますと、現在の輸送力に対して八十五万トンの増強ができる。パーセントで申しますと十二、三%の増強ができるということでございまして、それによって……。
  43. 中川一郎

    中川(一)委員 一二〇%ですか。
  44. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 そうでございます。一二〇%でございます。ということで、青函の航送力は現在着々とつけている段階でございます。
  45. 中川一郎

    中川(一)委員 大体一二〇%、倍以上の増強でありますから、相当なふんばり方である。まことにけっこうですが、そうなれば、貨車の争奪戦は大体なくなるだろうか、その辺のところはどうですか。
  46. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 北海道の輸送力というもの自体の問題がございますが、これは、たとえば北海道自体の線増の問題その他がございますが、北海道渡しの貨車というものにつきましては、これによって大幅に解消できるというふうに考えております。
  47. 中川一郎

    中川(一)委員 いまの点はちょっと横道にそれたわけですが、本論に帰りまして、今度の三本柱で、資本利子のほうについては政府がめんどうを見よう、運賃については国民に最小限度のところのめんどうを見てもらおう、そうしてまた、国鉄当局も合理化をする。三本柱でこの計画がなっておるわけでございますが、そもそも国鉄は、ほかの道路あるいは港湾、飛行場、空路、こういった競合路線に比較をして、国のめんどうの見方が少ないのではなかろうか。飛行場にしましても、港湾にしましても、あるいはまた、道路にしてももちろんのこと、大部分が国がめんどうを見る、地方が金を出すということで整備をいたしておるわけでございます。国がそういう面で若干は見ておりましても、比較にならない国のめんどうの見方だ。これではこの再建整備計画が、先ほどの人件費の問題と同じように、破綻を来たす時期が来るのではなかろうかという心配をいたすのであります。この点について運輸大臣は、今後どういった腹を持っておられるか。まあそこまでやらなくても、まずできるとお考えであるか、お聞かせをいただきます。
  48. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほど中川委員は、私までわざわざ出てこなくてもというお話がございましたが、これはこの間のお話でございまして、きょうは委員皆さん方からぜひ出席せよという御要望がありまして、私は出席をいたしまして、御答弁を皆さん方の熱意にこたえていたしておるのでございます。  いまお話しのございました鉄道とほかの輸送機関との間のバランスについてのお尋ねでございます。いま御指摘のあるところは、これは国民経済的に見て、これからの問題点であろうと考えられるのでございます。すなわち、各種輸送手段間の競争条件を均衡化して、合理的な総合交通体系の形成をはかるということが必要であると思います。国鉄再建推進会議は、この点で国鉄に今後こうすべきだという点を指摘をいたしております。私どもも、今度の法案でそのことを言っておるのでございますが、たとえば先ほど国鉄総裁が、貨車についてコンテナ輸送というものが非常に増加する傾向にある、今後力を入れたいということを発言されたのでありますが、フレートライナーとかコンテナ輸送とか、いわゆる貨物の大量輸送というものについて、国鉄の働く場所は今後も大いにある。それから都市間の旅客の輸送、長距離の輸送であるとか、それから大都市の大量通学、通勤の輸送であるとか、こういうことについては国鉄が背負うべきことであって、これらについては、政府は相当力を入れるべきである。このことを私どもは考えて、いま中川さんの言われるように、三位一体の形でこれを達成しようとしておるのであります。すなわち、たとえばトラック輸送というものがございますが、近距離にはトラックがよかろう、長距離は、いま言いましたように、国鉄が一番貢献をする輸送機関である。これを結びつけた輸送体系というものを今後開発して、考えて、実現していく、こういうようにやっていくことが、これからの御指摘のあった問題であろうと思うのでございます。このことにつきましては、現在の実態をよく正確に判断をした上で、事業の実態、それから国の財政状況を勘案しつつ、適切な施策を講じていく必要があると思いますので、今後、早急に検討を進めまして、御指摘のような点を是正して、そうして輸送というものの体系を立てていきたいと存じておる次第でございます。
  49. 中川一郎

    中川(一)委員 それと同じ趣旨のものが、例の通勤輸送あるいはまた貨物の特割という、国が当然しなければならないものを国鉄に負担をさせておるという問題もあるわけであります。東京付近でも、相当の設備投資をしなければならないのは通勤、通学対策である。この点についても、国は黙って見ている手は私はないのではないかと思うのであります。この点についての大臣の御見解を承りたいと存じます。
  50. 原田憲

    ○原田国務大臣 このことも御指摘のように、政府が補償すべきではないかというお考えもございますが、今日、国鉄財政を再建をしていくためには、先ほどからお話の出ておりますように、国鉄経営全般にわたって総合的に考える必要がある。この観点に立って、国鉄みずからの能率化、近代化、そうして国及び地方の財政措置、それから利用者の理解と協力に基づく必要最小限度の運賃の改正、この三者を総合した施策を講じていくべきであると考えておるのであります。運輸審議会からの答申でも、いまの定期運賃なんかの法定ですね、五〇%という公共負担分は、この際、是正すべきではないかというような御答申もいただいておりますが、いわゆる物価との関係もあり、この際は、それらも配慮しつつ適正なものに是正してまいりたいと考えておりますが、結論は、やはりいま三者一体の形でやっていくことが適当であろう、このように考えておる次第であります。
  51. 中川一郎

    中川(一)委員 その点については、国鉄はどういう姿勢で今後臨まれるか。公共負担の問題と、それからほかの輸送体系とのアンバランスということについての考え方をお聞かせいただきます。
  52. 石田禮助

    ○石田説明員 通勤輸送の問題につきましては、国鉄も、御承知のとおり、四十年から今後の十年計画を入れますと、八千億近い投資をすることになっております。いままでに投資をしたのは約二千七、八百億、四十年、四十一年、四十二年、四十三年の四年間において。今後五千五百億をやろう、こういうことでございまして、これについては私が申し上げるまでもなく、とても国鉄だけではできないのだ、工事は非常に金がかかる。とにかく用地費だけでも工事費の四割ないし五割はかかる。そうして、それによって得る収入というものは、非常に大きな割引をしなければならぬということで、これは引き合わぬ。それでこの通勤輸送なんというものは、ある意味において、住宅政策の一環ではないか。しかも政府は土地の安いところ、安いところに団地をつくる。そうすると、結局、国鉄は通勤輸送をやっていくという結果になる。これは、ぜひとも国鉄で通勤輸送をやらなければならぬということと、それからそのほかの公共負担ということを考えた結果が、今度の政府の補助というものになったのですから、私は、この政府の補助というものは、これでしまいになるものではなくて、今後の形勢によっては、相当にやってくれることと思います。  このことにつきましては、私は、これは運輸大臣にもお願いしようと思っているのですが、たとえば鉄道と飛行機、それからトラックあたりの競争が、同じ土台においてやられているのではないのです。たとえば飛行機なんというものは、エアフィールドをつくるにいたしましても、金を出すわけではない。ちっぽけな料金だけ払ってやる。船なんかだって、港湾の費用はほんとうにわずかな料金でやっておる。それからトラックや何かでも、最近道路が非常によくなったために、実に大きなトラックができてきたということで、これは国鉄に対しては非常な脅威なんです。その大きなトラックが、いかに道路をこわすか。それに対しては、ドイツやフランスあたりも、車軸税というようなことで大きなものを取っているようですが、これはやはり日本としても考えてもらうべきものじゃないか。つまり、同じ土台において競争し得るようなことにやってもらいたいということ、これは運輸大臣に対する私のお願いです。ということで、今後相当にこれは考えなければならぬ問題であります。  さらに中川さんにもう一つ言いますが、さっきの貨物輸送の問題につきまして、私は申しおくれたのですが、国鉄のいままでの貨物輸送に対する力の入れ方というものは、どっちかというと、輸送力がしょっちゅう不足しているということで足らなかったのですが、最近は非常にふやしている。これにつきましては、貨物輸送の近代化ということでスピードアップをする、さらに発着時刻の正確化をはかるというようなこと。さらに運賃や何かの点につきましても、国鉄の貨物運賃というものは、負担力主義でもって値段の高いものに対しては運賃を上げる、安いものに対しては安い運賃でやる。船ではそういうことは全然考えていない。まだ目方や容積だけでいくということなんで、国鉄としても、もう少しいままでの運賃や何かに対して、やはり最近の情勢に合ったようなものにするということで、この貨物輸送につきましては、貨物局長一生懸命やっておりますので、この点からいけば、私はさっき申しましたように、相当楽観していいのではないか。たとえば自動車の輸送を三年前から始めたのですが、いまや一日に三千台ぐらいです。いまの調子でいくと、一年間に百万台は運べるのではないかということで、この収入の面からいくと、少なくとも貨物に対しては、私はそういうふうに楽観していいのではないかというふうに考えております。
  53. 大竹太郎

    大竹委員長代理 次回は、委員長の指定により、来たる十一日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時三十分散会