○
磯崎説明員 ただいまの
大臣の御
説明を多少数字的に補足させていただきます。
ただいま
大臣から仰せられましたとおり、今後の再建にあたっての一番大きな問題は、やはり
人件費の問題だろうと思います。
資本費等は、いずれ計算上はっきり出てまいりますので、これはいろいろ対策が講じられますけれども、
人件費は非常に流動的でございます。しかも、毎年毎年の仲裁裁定で、ほとんど
国鉄の意思とは離れて決定されるという性格を持っております。しかし、長期計画策定にあたりましては、
人件費のアップ率を見るのが当然でございますが、一応今度の計画では、定期昇給を含めまして九%の上昇率を見ております。しかしながら、いまの
大臣のお話しのとおり、定期昇給その他でどんどん
人件費が上がっていったのでは、やはりどうしてもこれはやっていけないということで、
国鉄再建の三本の柱の一つといたしまして、やはりまず
収入の増加、あるいは政府からの御援助というもののほかに、
国鉄自体の経営の
合理化ということを、徹底的にやらなければならないというきびしい再建推進
会議の御
意見をちょうだいいたしました。その
内容といたしましては、ただしゃにむに
人間を減らすということ、これは非常にむずかしいことでございますので、やはり相当の設備投資をして、そして機械化、近代化をして、浮いてきた人を適宜使っていく、こういういわゆる機械化、近代化による余剰人員の捻出ということを、当然しなければいけない。今度の計画の全体の投資規模約三兆七千億を見込んでおりますけれども、この三兆七千億のうちの五千五百億は近代化、機械化投資に充てたい、こういうふうに思っております。
近代化、機械化投資の
内容といたしましては、おもな点だけを申し上げますと、営業体制を近代化する、あるいは電化、ディーゼル化によって動力を近代化して人を減らす、あるいは輸送方式を近代化する、あるいは乗務員の適正化をはかる、あるいは保守作業を近代化する、仕事全体のコンピューター化をはかる、こういった各方面にわたりまして、いわゆる
国鉄の仕事のやり方の組織、システムを変えていくのだということがなければ、なかなかたくさんの
人間を捻出することは不可能だと思いますので、約五千五百億の投資をいたしまして、いま申し上げましたような数項目につきまして、積極的な投資を行なう、これによって当然人が浮いてくるわけでございます。そうすると、その浮いてきた人を人員整理するということ、これは現時点では不可能でございますので、いわゆる減耗の不補充と申しますか、減耗を一部だけ補充するということでまいりたいと思います。現在四十六万の職員がおりますが、そのうち毎年一万人ぐらいずつ自然にやめてまいります。したがいまして、その一万人やめてまいりますうちの、
ほんとうに必要な部分だけを、若い人でなければできない仕事だけを新規採用でいたしまして、あとは、さっき申しました機械化、近代化によって、浮いてきた
人間をそちらへ回す、減耗の一部だけを補充していく、こういう方法によりまして総体の人員を自然に減るにまかせていきたい。決して積極的な首切りとか、行政整理ということでなしに、減耗の不補充、これはいかなる企業でもやっておられることでありますので、当然、
国鉄もやらなければならぬというふうに思っております。減耗不補充という形で人員の適正な配置をやってまいりたい。
給与の引き上げにつきましては、先ほど
大臣がおっしゃいましたとおり、
国鉄限りではできないことになっておりますので、これは仲裁
委員会等におまかせするわけでございますが、いままでの仲裁等を拝見いたしますと、財政問題その他には、ほとんど考慮なしに仲裁がきめられておるような実情もございますので、今後そういった場におきましても、十分
国鉄の財政問題もお考えいただいた上で、給与の単価をきめていくというふうな方向に
お願いしてまいりたい、こういうように思っておる次第でございます。