○温水
三郎君 倉石
農林大臣が中立
委員と称する米価審議会の構成をされたわけでございますが、私はそのときに倉石
農林大臣に対して、これはほんとうの中立
委員ではない、もし中立
委員というならば、飯米
農家が中立
委員の資格があるだけである。かように私は申し上げたのでありまして、かつまた、この米上審の構成をなさるならば、米の問題はベトナム戦争に
発展いたしますぞという警告を申し上げたわけであります。直ちにこれは
生産者、
消費者を代表に加えるように改めなさいということを申し上げたわけでありますが、はたしてこの問題は私の見ましたところ、今日ベトナム戦争に
発展いたして、かつ、パリの講和
会議もまだ開かれてないという状況に私は見ておるのであります。
長谷川農林大臣の出現によって、私は
農業政策が大きく変わっていくことを
期待するのでありますが、というのは、かねてからのお人柄といい、先ほどの御
発言といい、政治不信をなくするということをすでに言明をされておりますので、まことに心強く私感じますけれ
ども、今日の
農民ほど
政府、かつまた
農林省に対して不信の念を抱いておる
農民はないと私は思うのであります。
農林省は事実
生産者、
農民のためにあらゆる
努力を払っておりますることはわれわれは承知いたしておりまするが、このことをもって
農民諸君に対して説得いたしましても、容易にこの政治不信をぬぐい去ることはできないというのが現在の
状態であるので、私はこの政治不信があるところ、いかなる知恵をしぼっても、いかなるりっぱな
農業政策をやっても、その効果は全然あがらないのではないかと思うのであります。例を申し上げるまでもないのでございまするけれ
ども、一例をあげれば、自主流通という文句を一言言っただけで、これはなしくずしの統制撤廃である、自主流通の陰に隠れているものは
食管法の撤廃である、こういうふうに考えまするし、品質改善のために等級間格差をもう少し広げようということを言いまするならば、これは等級間格差に名を借りた米価の値下げであると、こういうふうな感じで受け取っておるのが現況でございます。そしてまた、これを裏書きするように、財界まで米価の値下げを主張しておるような現状でありまするし、
政府部内におきましても、経済企画庁の官房長という高級官僚ですら、
農民の
所得は過去よりも二倍になっておる、あるいは
農民の労賃は都市の最高労賃をとっているというような、全く的はずれの
議論を国
会議員を相手にして堂々としておるような現状でございまするし、かような現状、かつまた、
財政当局、これは
食管の赤字を目のかたきといたしておりますことは御承知のとおり。外交
関係におきましては、農産物の
自由化等いろいろな問題を遠慮会釈なく持ち出しておる現況でございます。しかも、果樹、園芸、
畜産といいますけれ
ども、酪農は楽農にあらずして苦農であるということは
農民の間の定説でございますしミカンにおきましては、いまやこれ以上絶対ミカンをつくることには二の足を踏んで、あとずさりをするというのが
農民の心境でございます。園芸は、これまたその
所得が補償されていない。変動が激しい。私の現に知っております身近な開拓
農民も、カンランの値下がりによって本年の償還金が払えないから、もう涙を飲んで離農せざるを得ないというような事例もあるのでございます。すでに御承知のように麦、なたねは全滅をいたしております。カンショ、ジャガイモは危篤の
状態にございます。そこへもってきて、米もまた過剰であるからこれをつくるのは罪悪であるというふうな感覚で
農民は今日受け取っているのであります。かようなときにおきまして、私は
長谷川農林大臣が
農林大臣に御
就任になったことは、まことに私はお気の毒だと存じますけれ
ども、しかしながら、かような困難な
情勢のもとにおいて、総理に対しても一歩も譲らず、また、
農民に対しても激論でも大衆団交でもするというかたい信念を持って打ち当たっていただきますならば、われわれまた国
会議員の中におきましても、いろいろ
農業関係の団体がたくさんございますので、こういうものを十分に活用していかれますならば、私はこの困難な
農政を打破して、
農家に対して、今後何をしたら、どういう
方向を持っていったならば子や孫の代まで安心して
農業が営めるかという指針を与えることは私は
長谷川農林大臣ならおできになると信頼をいたしているのでございます。どうかひとつ
長谷川農林大臣がかような信念において、職を賭してということはもちろんのこと、政治生命をかけてこの難局の打開に当たっていただきたい、かように考えるのでございます。
農林大臣の所信のほどをお伺いいたしたいと思います。