○大矢正君 まあそれ以上の答弁ができないだろうと私も今日思いますが、やはり
産業政策上重大な問題でありますから、
通産省は一体どう考えているのか、
政府はどういうプログラムのもとに
自由化をしようとしておるのかという考え方は、これは示さなければいかぬと思うし、私は、保護
貿易の立場から、あるいはまた極端に
開放経済という原則だけを踏まえても国内の
産業を考えないという立場からの、そのいずれの場合でもなくて、やはり保護すべきものはもちろんあるだろうし、必要であろうけれ
ども、同時にまた、
開放経済のもとにおける
わが国の対外取引を考えてみまする場合に、十分それに対応していかなければならぬという問題もありますから、お尋ねをしているわけであります。そこで、物の面における取引上の制限かかりになくなったといたしましても、今日のように国際通貨不安が発生をするということになりまして、金の価値というものが一定していないということでは、結局のところ
貿易が停滞をするということになりますね。そこで、まあ
わが国はアメリカとの
貿易か三分の一以上も占めているという実情がありますから、
わが国か他国との間における取引の決済というものは、ドル建てが
中心であろうと思いまするが、しかしフランにいたしましてもポンドにいたしましても、主たる決済
手段のすべてが大きな不安に見舞われておりまするし、将来、平価の切り下げが行なわれるのでないだろうかというような心配が、
貿易を行なう上において常につきまとうわけであります。たとえば中国
貿易を見ましても、ポンドで決済をするのかフランで決済するのか。ドルではできない。さすればどうするかというようなことも、ある意味では
貿易を伸ばしていく上において重大な障害になることは当然であります。ですから、国際通貨不安というものは、それが国内であるか国際であるかは別にして、金融問題であるから大蔵省がやるべきことであって
通産省は
関係ないと言っては問題だと思うのであります。やはり、この通貨不安が与えるリスクというものは、
わが国の
貿易にとっては大きな障害になることは言うまでもないところでありますから、そういうことを考えますると、この通貨不安に対してどう対処していくかということも、また
産業政策として海外取引をする上においては重要なことだと思うのです。まあ
通産大臣は、自由民主党の中にありましてはずいぶん
政策に明るい方だとかねがね承っておりますから、十分の見識を持たれて御答弁いただけると私は確信をいたしておりますが、ともあれ、いまのような固定為替相場というものが、どうも今日の状態では維持することができない。したがって、重ねて、国際的なそれぞれの国の金の価値というものを再びここで洗い直してはどうかというような、ある場合には切り上げ、ある場合には切り下げというような事態が想定される。そういうことも昨今は議論になっているわけですね。それからもう
一つは、固定為替相場というものをこの際やめて、屈伸、すなわち幅のある、変動し得る、変動に対処し得るような相場制度をつくってはどうかというような意見も、国際的にもかなり有力な意見となってきておりますね。そういたしますと、アメリカの立場からいけば、特に日本のようなドル建て決済が多い立場からまいりますると、かりに屈伸為替相場になって、上下の幅が大きくなる現状では、円が強い強いといわれるけれ
ども、円が強いということ自身は、将来にとって日本必ずしもよくはないわけですね、
貿易をやる上におきましては。したがって、かりに屈伸為替通貨というような非常に幅の多いものができあがって、天井でもって日本の円というものが位置づけられてしまって、アメリカは実際にはドルの価値は下がっているのだが、ドルの価値をそのままにして日本の円だけを天井に上げておいて、そして
貿易の決済をやろうということにいたしますと、その分だけ日本が対外
貿易をやる上におきましてきびしい通貨上の制約になってあらわれてくるわけでしょう。そうすると、それだけ問題がありますし、ポンドにしてもフランにしても、
貿易の決済を行なうことによってリスクが非常に大きくなってきておる。したがって、そういう面については、国際通貨制度の根本が
解決をしないといたしましても、そういうリスクを国がどうやって
施策の上でカバーしていくかということも考えなければならぬ問題だと思います。そこで、私はいま言った
一つの国際通貨の不安に対する考え方の問題と、現にあるリスクに対する解消のための
政府の
施策上の何らかの方途があるかどうか、この二点についてお尋ねをしたいと思います。