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参考人(
山本信一君)
お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおりに、外岡町長が前段でそういう働きをいたしまして、三十八年にやめられて、現在の石井町長がそのあとを引き継いだわけでございますが、石井町長も御用邸の問題であるということで誠心誠意その実現に努力したわけでございまして、一方狼煙崎の土地買収につきましては、当時京浜急行が買収に当たっておりまして、四十年の七月ごろになりますというと、あの狭煙崎の全地域、大体、私の記憶では十二万七十坪ぐらいあるかと存じますが、それはほとんど買い占めてしまった。残っておるのは、そこに町の近路予定地がございまして、その坪数は大体一千六百七十坪くらいと記憶しておりますが、これがあると
国有財産に移管することが非常に困難である、しかも、その当時の京浜急行の幹部の方方のことばは、近く大蔵
大臣も現地を見に来る、そういう段階になっておるのに、ここに一部一般の町民が将来通うことができるような道路敷地があることは非常にまずいから、早く譲渡してほしいという要望が盛んにあったわけでございまして、しかもそのときに、もしそれを譲渡してもらうならば、来年の三月ごろは
国有財産として移管したいんだと、だから、ぜひとも頼むという要望がありました。町長はそのために何とかしてここを譲渡すべきだという
考えを持ったわけでございますが、たまたま町長が、自治省の研究が不足したために、当然無償譲渡でございますから町議会の議決を要すべき案件を、その手続をとらないで町長の権限内でできると、かように
解釈いたしまして、無償譲渡の契約を町長が結び、その土地の登記を京浜急行とかわしてしまって、それを議会には何ら報告してなかったわけでございますが、それを七月の十七日から開かれる臨時議会に提出する予算書の中に、百万円の寄附金、これは京浜急行からの寄付金である、それは大体一千六百七十坪と思いますが、その無償譲渡することに対する書付行為であると、こういう予算書の
説明がありました。初めて議会はそれを知って驚きまして、町長は何事をするのだ、これは当然議会の議決を要するのを、町長は越権行為じゃないかということで大騒ぎになりまして非常に混乱したわけでございますが、すでに登記してある。そこで私は、休憩をいたしまして、町長室に行き、町長、助役、総務課長、それから副議長、総務
委員長を呼びまして、その善後策に相当の時間を費やしたわけでございますが、とにかく譲渡契約を結んで登記は完了してあるが、町長の誤った手続によって登記されたものであるから、その千六百七十坪というものは、現在まだ町の所有地であるという私たちは
解釈をしたわけでございます。ただし、登記のほうは、早く京浜急行にいま電話で連絡とって、あやまちによって登記したのだから、この登記は抹消手続をとってほしいという了解を求めなさいと町長に言って、私のいるところで町長は京浜急行に連絡をし、京浜急行の了承を得たわけでございます。そこで町長が申すのには、これはこのまま置くというと、御用邸にすることがおくれるから、ぜひともこの会期中に再提案したい、こういうことでございまして、私は了承して、それを最終日の
会議に無償譲渡の件を提案したわけで、ございますが、そのときに町長に重ねて、非常に町民はこういうことに対して不審を抱いておる。ここにも参考までに持ってまいりましたが、町民の相当数の者が、まぼろしの御用邸だ、そして一体これが御用邸になるという根拠がどこにあるのか、町長や議員の大多数は皇室のために非常に一生懸命で奉仕せんとしているけれ
ども、これが半永久的の御用邸の候補地としてきまったときには、だれが責任をとるのかということを盛んに追及され、そしてそういったチラシもその方方は三万下山町民にまいたわけでございます。そういうことがありますので、町長に、大事な時期であるから、あなたがここで御用邸の用地として、用地のためにこれを譲渡するというひとつ証拠をいま一回見せなさい、こう言ったところが、実は前町長から申し送りを受けておるし、こういうものがありますと言って、
国有財産関東地方審議会の答申書の写しを見せたわけでございます。それを私見まして、非常にごりっぱな方々がたくさん
委員であって、その方々が慎重審議されて御用邸候補地として適当であるという答申を出しておられる。そのためにはおそらく大蔵
大臣も——大蔵
大臣の諮問でございますから、大蔵
大臣も宮内庁のほうとの十分話し合いがあって答申を求められたものである。その答申を見まして、私はこれならだいじょうぶ、町長の
説明することと、そういうものを見まして、かたく信じて、最終日にさらに議案として提案したわけでございます。
そこでそうなりますというと、いままでまぼろしの御用邸の用地であるというようなことを言っておった議員がこれに非常に反発をしまして、これは効力がない、すでに京浜急行に登記されておるので、その所有権は京浜急行にあるんだ、それを町が無償譲渡するという議案を出すこと、そのことがこれは無効であるということと、いま一つ、そこの土地は道路予定地として買っておりましたので、そういう連中の申すのには、行政財産である、一般財産でないんだ、行政財産は自治法によってそういった譲渡をすべきものではないと、こういう二つで非常に混乱いたしましたが、私たちの見解は、道路用地として買い上げはしましたけれ
ども、いろんな状況の変化によって、その時点におきましては、道路法に基、ついての設定をしてなかったわけでございますから、これはまだ行政財産ではない、一般財産であるという主張をしましたが、見解の相違で非常にそれがもめまして、時間ぎりぎりになってもなかなかそれが終えない。そこで、町長はさらに何とか通していただきたいということで、さらに会期延長をはかろうとしましたが、相当の数の人が、もう会則は認めない。これを廃案にするのだという勢いで、非常にそこでもめたわけでございますが、私は何回も休憩をしまして、賛成してくれるような方々といろいろな打ち合わせをやった結果、議会にはかりまして、過半数をもって会期延長を認めさした。そして引き続いてその無償譲渡の件を審議しまして、採決に至って、過半数でこれを採決した、こういうような次第でございます。