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石原慎太郎君 外部
大臣に御
質問いたしますに先立ちまして、このたびの御母堂の御逝去を心からお悔やみ申し上げます。
いままで比較的ショート・レインジの
質問が多く出ましたのですが、私ここでごくロング・レインジの
質問をさしていただきたいと思います。これは決して観念論、理念論ではございませんで、いかなる将来の問題も今日の
外交がそのいしずえというものを築いていくわけでありまして、すなわち、これからの
外交、新しい核時代における
日本の
外交の
基本的な問題についてお尋ねしたいと思います。
いままで、戦後冷戦の基調をなしてまいりましたイデオロギーの対決が非常に緩和されまして、多様化の現象が強くなり、そしてまた、わが国
日本も非常に国際的に力をつけまして、
日本を見守っておる各国の中で一番当の
日本人がおくれてみずからの力を認識し、自覚を持った現在、ベトナム戦争あるいはソビエトのチェコ侵入という超大国のエゴイズムというものにかんがみ、現今の
日本には自主独立の
外交というものを非常に強く望む傾向があると思います。たとえば、
沖繩の選挙の結果も、あれは決してイデオロギーの選択ということでなしに、政治、
外交における自主独立性というものに対する強い
期待のあらわれだと私は思います。しからば自主独立
外交とは何かという問題でありますが、これは私はたとえ
日本がいかなる陣営に属そうとも、その陣営に属す
——帰属というものを
国民がみずからの選択できめるものであると私は思います。そしてこのべーシックなナショナル・インタレスト
——基本的な国益
——というものを第一に追求していくことが私は自主独立
外交でなければならないと思いますが、この
基本的な国益というものを簡単に申しますれば、やはりわれわれの平和とより大きな繁栄だと思います。そしてこれをさらに
外交的に換言すれば、われわれが持っている国際的なオプションとフレキシビリティというものをいかに確保し、増大していくかということではないかという気がいたします。われわれのこの持っておるオプションあるいはフレキシビリティというものを何と理解するかということに問題はかかってくると思いますが、私はまあ、われわれが攻撃的な軍備を持つことを非常に規制している、幸か不幸か規制しているこの憲法というものの存在を非常に大きな要素としてつちかわれてきた、驚異的に発展してきた
日本の
経済力、そしてまたこれからの将来にもその発展が予測されている
日本の
経済力こそがわれわれのオプションであり、またそういった状態をこれから規制していく、これから先も規制していく平和憲法の拘束力というものがわれわれのオプションであり、フレキシビリティであると思いますが、この二つをこれからの変動する国際社会の中でいかに保ち、いかにうまく使って、すなわちデプロマティックなバーゲニング・パワーとしてわが国の平和と繁栄あるいは他国との友好にいかに使っていくかということが、これからの新しい
外交に課せられた大きな主題であると思いますけれども、そういった点。
日本にいま台頭しつつあるナショナリズムというものの強く希求している自主独立
外交というものに対して、外相はこれから
基本的な
姿勢としてどういうふうなお
考えを持っていらっしゃるかを、まずお聞きしたいと思います。