○矢野絢也君 公明党を代表しまして、
佐藤総理に御質問いたします。
最初に、
沖繩返還問題についてでありますが、身命を賭してとか、あるいは
政治生命をかけてとか、
総理の勇ましい
ことばを、とき
たまお聞きしております。その
決意ははなはだ多とするものでありますが、肝心の
沖繩返還の
構想について、白紙、白紙と、だんまりをきめ込んでおられるのであります。
沖繩の主席公選において、即時祖国復帰、
基地撤去を主張する
屋良朝苗氏が新主席に選ばれました。この主席
選挙の結果の意味することは、戦後二十数年間、今日までの異
民族の統治支配に対し、さらに
日本政府の不誠意きわまる
沖繩政策に対し、
沖繩県民がノーと意思表示をしたことであります。今日、
佐藤さんが
沖繩県民に押しつけようとする運命に対して、拒絶反応を明確に示したということであります。
総理は、昨年の
ジョンソン大統領との共同
声明で、
日本と極東の平和と安全にとって、
沖繩米軍
基地が大切であると、その重要性を確認したのでありますが、このような前提に立つ
総理の
返還交渉は、いやおうなしに
アメリカの核抑止力を維持するため、米国の求める
核つき返還ないし
自由使用をむげに断わり得ない方向に追い込まれることを、私どもはすでに強く指摘してきたのであります。
総理は、いまや白紙に筆をおろそうとしているなど、もったいぶったことを言っておられますが、先ほど
外務大臣は、「最終的には
本土並み、望むらくは
本土並み」ということを言っておられます。これは、最終的にはそうであっても、経過的にはあるいは過渡的には、
本土並み以上がやむを得ないのか、あるいはまた、望むらくはと言われましたが、うまくいかなければ
核つきもやむを得ないと
総理は覚悟しておられるのか、このことを明確に御答弁を願いたいのであります。
直接
アメリカと交渉される
総理の立場といたしまして、
アメリカの意向を考える、これはまあやむを得ない面もあるでしょう。しかし、
基地の撤廃、それはもう初めから無理ですよ、このように、いたずらに
アメリカの意向にきゅうきゅうとするだけではお話しにならないのであります。
総理は、あなたは単なる調停者ではありません。要求者であるべきであります。
総理は、
わが国民と
沖繩県民百万の叫びを代弁しなければならない立場であります。
日本国民は、
総理の
非核三
原則がいささかのごまかしもなく実行されることを要求しております。
総理は、あくまでも核を持ち込まない、
非核原則を守り抜く
決意がありますか。
主席公選に示されたとおり、
沖繩百万
県民は、即時復帰、核
基地撤廃、
基地反対を強く要求しております。
総理は、
返還交渉に臨むにあたりまして、この
日本国民の強い盛り上がりの力を、なぜみずからの背にして、大きなささえとして、勇気百倍して、
アメリカに交渉しようとしないのでありますか。なぜ白紙、白紙と、いたずらに時日を遷延して、うろうろするのですか。
今日
わが国は、七〇年の
安保再検討期を目前にしまして、
わが国の将来、少なくとも七〇年代の
国家方針を
決定しなければならぬ、選択しなければならないときに差しかかっております。もし、
沖繩の米軍
基地に、
核つきあるいは核抜きであっても、
自由使用を万が一にも
総理が認めようとするのであれば、それは
国民に対する挑戦であります。
非核原則をみずから放棄することになります。それは、日米
安保体制に新しい難問題を持ち込むことになります。七〇年以降の
安保体制は、現体制の単純な延長ではあり得ないのであります。それは、より平和的な、より民主的な、より自主的な
わが国の進路を築こうとして、
安保体制を即時であれ、また段階的にであれ、解消していこう、あるいはまた改定していきたい、このように願う
国民に対して、
沖繩に核を認めようとすることは、新しい挑戦を試みることになります。
総理の
見解を伺いたいのであります。
また、
B52
撤去についての先ほどの
総理の答弁は、きわめて抽象的あるいは逃避的なものでありまして、御存じのとおり、
戦争への不安、墜落、爆発、このような不安の中で、
沖繩県民の総意は
B52の
撤去を要求しております。明確な
総理の答弁をお願いしたいのであります。
次に、話はかわりますが、
総理は、
総裁三選後の
記者会見におきまして、今後の
重要課題として、まず治安対策、と言われました。非常にタカ派的な
政治姿勢を強めておられるのであります。しかし、警察力などのそのような治安対策をお考えになる前に、はたして
国民生活の実際に対して説得力のある
政治的措置がとられてきたかどうか、このことを率直に反省する必要があるのではないでしょうか。昨日の
所信表明演説にも、その反省の姿勢はあまり見られませんでした。現在の
わが国には、さまざまな
社会のゆがみと矛盾が累積されております。それが
国民の欲求不満となって、たとえば大学紛争として暴発しておるのであります。なぜさまざまな不満や不信が
社会の底流に渦を巻いているのか。
世界第三位の
工業生産力を誇るまことにりっぱな国に暮らしながら、私たちの生活は、たとえば貧弱な
社会保障、あるいは
経済の二重構造、中小企業の倒産、農漁村の疲弊、あるいは
ベトナム戦争の戦死者よりも多い
交通事故の死者、あるいは
排気ガスその他の公害、住宅難、それに高い高い
物価、
戦争への不安、そしてぬぐうことのできない
政治不信、このような、これを要するに、富国貧民、国は豊かになったけれども、
国民は貧しい。この富国貧民の現実の姿こそ、
社会不安の原因であります。
総理が対決しようとするもろもろの騒動、いろんな
社会現象、これはこの富国貧民の不満、不信の声が結晶して、凝集したものだとあなたは知るべきであります。
総理は、一徴な対決姿勢を捨てて、治安対策に頭を痛めるよりも、このような
国民の声なき声に深くこうべをたれるべきだと私は
思います。その反省の上に立つならば、
社会不安を解消する道は、あなたのように硬直した治安対策ではなくして、
国民本位の
政治でなくてはならない。とりわけ強力な福祉行政こそ、あなたの言う治安対策でなくてはならないと思うのであります。(
拍手)これについて、四十四年度予算編成における
社会保障、特に児童手当など福祉関係予算、これについての方針をお示しいただきたい。
さらに、ここで
物価について特に伺っておきたいのでありますが、本年度の四月から九月までの上半期の
消費者物価の
上昇率は、昨年同期に比べまして五・七%上がっております。これは、一年ものの定期預金の金利が五・五%でありますから、貯金をしておいた利息よりも一年間の値上がりのほうが大きいということであります。また、この四年間を振り返ってみますと、
物価上昇率は、四十年には六・四%
上昇した。四十一年は四・七、四十二年は四・二、まあ
物価は相変わらず上がっておりましたが、その
上昇率は比較的落ちついてきた。しかし、この上半期は再び五・七と、
物価上昇は新しい第二ラウンドに入ったのであります。このような実態を考えるとき、
政府が従来口先だけで繰り返しておられた
物価安定、
物価対策、こういうことではなくして、真実に
国民の求める強力な施策を考えるべきであります。実行すべきであります。どのような
信念を持ち、どのような有効な施策を実施するお考えか、伺いたいのであります。
次に、
基地問題に入りたいと
思います。
日米
安保条約あるいは地位協定によりまして、
日本国内に米軍の常駐
基地が設けられております。しかし、この
基地は直接
国民の日常生活上の利益を害するとともに、極東に
アメリカが
戦争行為を行なった場合、
わが国の平和的な存立と中立的な立場を危うくする。
わが国自身が、へたをすると攻撃の対象になる、そういう
危険性も生ずるのであります。わが党は、
わが国の平和的存立と自主性回復のために、究極的には日米
安保体制は解消されねばならないと主張してまいりました。しかし、その解消の方途は、国際
政治を直視して、
わが国の
経済、
外交その他の
安保解消の対応条件を現実的に判断しながら、かつまた、
わが国の平和
憲法の精神と規定に従って、段階的にその解消をはかっていきたい、それがわが党の主張であります。
この観点に立って、われわれの主張する段階的解消の第一着手は、
在日米軍基地の
撤去であります。いわゆる七〇年問題に臨むにあたりまして、われわれは、ともすれば、いたずらに対決のみに終始して、現象面の
混乱に目を奪われがちになります。そのために、問題の焦点を万が一にも見失うことがあってはならない。今後、われわれは、どのような
国家目標を設定し、その目標達成のために具体的にどのように対処していくか、これは、むしろ全
国民が考え、その意思を
決定しなければならない大事な問題、これが七〇年問題であろうかと
思います。しかし、ともすれば七〇年問題は、現実論よりも抽象論、具体論よりも観念論、対話より対決に流されがちでありまして、今日、最も大切なことは、戦後二十数年、占領時代の惰性が残る
わが国の現実を、
社会のあらゆる部門について具体的に総点検を行ない、その矛盾を正さねばならないことであると私どもは思うのであります。(
拍手)
さて、
安保条約のかなめともいうべきこの
在日米軍基地、いまどのようになっておりますか。今日まで、
政府は
基地の実態を
国民の前に明らかにしようとする義務を怠ってまいりました。ことさら隠蔽してきたといわれてもしかたがありません。そこで、わが党は、
基地の総点検を
決意し、このほど、その実態調査が完了いたしました。もちろん、単なる一
政党が、たとえ全党的な
努力を傾け、力を注ぎましても、その能力と時間にも限界があります。限度があります。したがって、この総点検の結果を完ぺきだ、このように言うつもりはございません。しかし、この調査にあたって——これは
佐藤さんにも答弁の関係がありますから、念頭に置いていただきたいのでありますが、この調査にあたって、私たちは、感情的な
基地反対のための意図的な調査、こういうことはやりませんでした。それでは客観性を欠きます。
国民的合意の資料にならないというわけで、主観的なそういう立場は極力排除して、ここに
基地の総点検ができ上がった。このことをあらかじめ御記憶願いたい。
そこで伺いたいのでありますが、
国民の財産であるこれら米軍
基地に十分の調査を行ない、そして、適切なる処理をしていく、これは
国民に対する
日本政府の当然の責務であります。しかし、この調査の結果、当該官庁である防衛施設庁が、十分実態を把握、掌握しておられない。このことを情けない
思いで痛感をいたしました。まことに怠慢といわねばなりません。
総理は、この事実をどうお考えになりますか。
時間の制約がありますので、
基地総点検の結果を百四十数
基地のすべてについて全部申し上げることができない。個々については、今後、
内閣委員会などでお尋ねしたいと思っておりますが、ここでは、かいつまんで若干の点をお尋ねすることにいたします。
まず、この市町村や地元住民が
返還を無条件で強く希望しておるのが、百四十カ
基地の中で九十カ所もあります。残りの五十五カ所、これについて念のため申し上げますと、ほとんど無人に近い二十四カ所の通信施設あるいは事務所、倉庫などの施設で、地元住民が、そんなところに
基地があるのを知らなかった、つまり、
基地として意識していないため、特に
返還希望があらわれなかったのにすぎないのであります。わが党の調査中、まあ
佐藤総理はよけいなことをしたと言われるかわかりませんが、住民がそれを知りまして、そんなところにあるのなら、これはぜひ返してもらわなくちゃいかぬ、こういうような声も強くなってまいりました。が、しかし、調査の厳格を期するために、これは
返還希望
基地の分類には入れなかった。いずれにせよ、程度の差こそあれ、
基地の全部について
返還を希望しておる、このようにいっても過言ではありません。残念ながら、積極的にこの
基地は残しておいてもらいたい、こういうようなことを言う市町村はありませんでした。現にこれらの
基地の存在が、地元市町村にとって、開発計画の大きな障害となっております。きわめて強いこのような
返還要求があるのに、これに対して
総理は、どのようにこたえられるか、まず
所信のほどを伺いたいのであります。
日本の代表的な米軍
基地は、板付、岩国、三沢、横田、立川、厚木、佐世保、横須賀あるいは山田弾薬庫、数え立てたらこれらの代表的な
基地はたくさんあります。しかし、これらの
基地は、もうすでに周知のとおり、あらゆる公害が発生して、市民に恐怖を与えており、マスコミに取り上げられる機会も比較的多かったのであります。しかし、この総点検の結果、それらいわゆる前科のある有名な
基地、これも大問題であるけれども、比較的知られておらない、もっと知られていない
基地に、いろいろな問題が山積しておる、このことをこのレポートは明らかにしてくれました。
まず、
基地公害につきまして申し上げたいのでありますが、公害が発生している、このように地元民が訴えているのは、五十一カ所の多くになっております。たったの五十一カ所か、このように
総理、喜んではいけません。公害が発生していないとみなされる
基地は、これは十六カ所の住宅地域、これはまあ、公害の発生のしょうがない。しかし、この住宅は、
あとで説明しますが、一世帯当たり五百坪という、
日本人をばかにした米人住宅、このようなものに対して、
日本国民に屈辱と憎悪という精神的な公害が発生しておる。その住宅以外は、無人に近い三十四カ所の通信施設、これは山のてっぺんにあるだけでありますから、公害は出ないでしょう。それに十五カ所の倉庫、こういうものでありまして、いずれにしても先ほど申し上げた五十一カ所、ここにはもろもろの公害が発生しておる。ひとつ参考のために、この公害の内容を申し上げましょう。公害には、風紀の紊乱、騒音、墜落、あるいは会話、電話、ラジオ、テレビが聞こえない難聴、あるいは農耕労働ができない。農作物が非常に被害を受けておる。家畜の乳量や産卵が減少した。あるいは誤射、あやまって撃った、誤爆、あやまって爆撃をした、誤投下、あやまって投下した。あるいは漁獲量が、魚が減った。学童の授業ができなくなった。伝染病の不安がある。爆発の不安がある。あるいはそこに
基地があるために、その辺の周辺開発が阻害されておる。
交通阻害がある。建物の高さも制限されておる。米軍
基地からの汚水や、あるいは米軍
基地が水を使うために渇水が起こる。言えば切りがありませんが、さまざまな公害が、しかも多数組み合わさってその地域に発生しておるのであります。この公害をいつまでもあなたは放置しておくつもりか、
総理のお考えを承りたいのであります。
基地の
使用状況について次に申し上げたいのでありますが、米軍
基地の総面積は三億六千百万平方メートル、これは一億一千万坪のばく大な広さになります。一億一千万坪です。この面積は、たとえば東京の赤羽台団地、これは有名な団地でありますが、これは敷地面積が十五万平方メートル、ここにおる世帯数は三千四百戸であります。この赤羽台団地で一億一千万坪、かりに換算をいたしますと、この団地が二千四百四十カ所もできる土地です。八百二十九万世帯が収容可能な面積なんです。万博会場なら、これは百九つもできる。この米軍
基地のうち、現在
使用されていると思われるのは一億三千万平方メートル。これは全体の三六・一%です。残りの六三・九%、これは目的外に
使用されたり、
使用されていないもの、一部しか
使用されていないと思われるもの、こういったものであります。いずれにしても、私たちが調べまして、使われていると思われたものは、この一億一千万坪のうちの約三分の一にすぎない。使われていないものについて、これはまあいろいろとありますけれども、参考のために申し上げておきましょう。
たとえば、北海道のキャンプ千歳補助施設、これは使われておりません。六百万平方メートルの広い土地に鉄塔が三十三基しょんぼり立っておるだけです。現在。ペンペングサがはえて荒廃しきっております。九州大分の日出生台十文字原演習場、これは一千三百八十万平方メートルであります。朝鮮
戦争のときには、ここに二万人の兵隊が結集して、実戦さながらの演習を繰り広げた、このようにいわれておりますが、いまは全く使われておらないのであります。地元では、この大草原を放牧地としてぜひ利用したい、このように希望しております。それから、北海道の支笏湖水上訓練所、ここは一ぺん
総理に行ってもらったらわかるのでありますが、すばらしい観光地であります。ここの一万三千平方メートル、これは米軍人及び家族が専用の避暑地として夏の一カ月、二カ月、
たまに使うだけでありまして、
日本人はここから入ったらいかぬ、オフリミットになっておるのであります。東京の多摩弾薬庫、これは有名なところでありますが、三百四十二万平方メートル。いまは車の出入りもなく、ほとんど使っておらぬ。しかも御丁寧に、この昭島にある米軍ゴルフ場をこの多摩弾薬庫に移転するために、
日本政府が四億五千万円のお金をかけまして、わざわざ
アメリカのために一生懸命ゴルフ場をこの中につくっておる。こういうよけいなことをしますと、よけいに
返還が困難になるのではないか、私はそのように思うのであります。
それから、これは分類が変わりますが、
アメリカ軍が使ってなくて自衛隊がちゃっかりこれに便乗して使っておる、こういうところもたくさんあります。木更津飛行場、これは二百十二万平方メートル。あるいは名寄演習場、百八十万平方メートル。この名寄は
たまに
アメリカの軍人さんがスキーに来る、それだけでありますが、そういったものが十二件、四百七十八万平方メートルあります。
あるいは
アメリカ軍と自衛隊が共同
使用しておる、こういうものは、東富士演習場、座間小銃射撃揚、三沢対地射爆撃場など六件、九千三百万平方メートルある。聞くところによりますと、自衛隊の幹部は、特に射爆場などの音がしたり危険なところ、こういうものは、
アメリカ軍
基地のまま、それをそのまま自衛隊がちょっと拝借するだけのほうが文句がこちらに来なくてよろしい、米軍に行くからこちらは助かる、こんなことを言っておるようでありますけれども、私どもは決して自衛隊にそのまま返せ、こういうことを言うわけではありませんが、米軍が使っていないのであれば、とにかく
返還してもらったらどうか、私はそのように
思います。(
拍手)
さらに、われわれの
国民感情から見てどうしても納得がいかないのがある。これは米軍専用のゴルフ場であります。たとえば東京と埼玉にまたがっておりますキャンプ朝霞、ここは三百九十五万平方メートルもあるけれども、三百万平方メートルが芝生になっておりまして、ほとんどそれがゴルフ場に使われております。三百万平方メートルといえば、これは約百万坪です。東京都の中にある先ほど引用した東京の赤羽台団地、これは三千四百戸入っておりますが、十五万平方メートル。このキャンプ朝霞が
返還されたならば、二十七の赤羽台団地ができます。九万世帯の東京都民を収容することができる。このようなゴルフ場が何と全国に十カ所、四千二百万平方メートルもあります。この四千二百万平方メートル、先ほどの赤羽台団地で換算いたしますと、この団地が二百八十九カ所できる。九十八万世帯が収容できる。全部を団地にせいと言っているわけじゃありませんが、御理解をしていただきたいために、このようなたとえで申し上げておるわけです。赤羽台団地クラスが二百八十九、九十八万世帯、これがゴルフ場を
撤去するだけでできるのであります。
東京周辺の土地不足で悩んでいるところでも、朝霞、昭島、根岸、座間、厚木、五カ所ある。千三百万平方メートルの広大な面積にゴルフ場がある。まあ
日本の中にはたくさんの民間ゴルフ場があるのであります。
政府のいう
日本防衛のために米軍
基地がある、どういうわけで米軍専用のゴルフ場が
日本防衛のために必要なんだ、このようなゴルフ場をどうされるつもりか、
総理のお考えを伺いたいのであります。
念のため
総理に申し上げておきたいのでありますが、この米軍のゴルフ場
使用については、東京地裁で行政協定違反の判決が出ております。これは原告は
昭和飛行機であります。被告の
日本政府は敗訴しております。判決理由は、ゴルフ場に使うことは、
安保条約第一条の米軍駐留の目的にのっとるものとは言いがたい、このように東京地裁は判決をしておる。これでもまだゴルフ場をそのままにしておく、このようにおっしゃるのですか。この点について明確に伺いたいと
思います。(
拍手)
数多くの通信連絡所、これについても問題があります。一ぺん見に行ってもらいたい。広大な
基地面積を含む山がある。その山のてっぺんに鉄塔が一本立っておる。なぜ鉄塔一本のために何万坪の米軍
基地が必要なのか、われわれは理解に苦しみます。どうしても通信鉄塔が必要だ、このように言うのであれば、もっと縮小したらどうですか。何万坪も要らない。
米軍の住宅地域、これについても腹が立つのでありますが、これも聞いておいてもらいたい。東京のグラントハイツ住宅地区というのがある。これは百八十一万平方メートルある。そこに
アメリカ人世帯がたったの千二百八十四戸、百八十一万平方メートルに千二百八十四戸です。一戸当たり千四百十平方メートル、四百二十四坪です。しかもゴルフ練習場がある。夜間照明の野球場もある。非常に優雅な生活をエンジョイしておるのであります。
日本人の目に見えないところならまだがまんもできる。そのすぐ近くに密集した私たち
日本人の小さな家がひしめき合っておる。そして、グラントハイツの汚水で住民が悩んでおります。
交通は遮断されておる。住民は憎悪の目でにらんでおるのであります。こういうのを言いますと腹が立ってきますので、どうもいけませんけれども、横須賀の長井住宅は、一戸当たり四千四百平方メートル、千三百坪、一世帯当たりですよ。全くこれは別天地の生活。横須賀です。その他春日原、相模原、こういうような人をばかにしたような住宅がたくさんある。住宅事情に苦しんでおる
わが国の一般庶民の生活のことを考えたときに、
総理ははたしてこれでもやむを得ないと
国民に説明されますか、これをはっきりしてもらいたいと
思います。(
拍手)
あまり腹の立つ話もあれでございますから、ちょっと変わった話を申し上げたいと
思いますが、横浜にミルクプラントというのがある。牛乳のプラントであります。約一万一千平方メートル。
アメリカ陸軍のミルクやアイスクリームをつくっておる。どうも
日本人のあれは飲めないとおっしゃるらしい。そしてそのまわりが、もう広大な地域があいておる。全然使っていません。あるいは横浜べ−カリー、パン屋さん、これも横浜ですよ。市内です。四千五百平方メートル。
アメリカ軍人やその家族のための特別のパンをつくっておられるらしいけれども、横浜駅の近くにあって、横羽線が通れなくなっておる。しかも土地がたくさんあいておる。あるいは横浜ランドリー、これは
アメリカ人専用の洗たく施設、横浜市内で一万平方メートルを占領しております。この近くには中央卸売り市場があって、
アメリカのトラックのために
交通は麻痺しておる。群馬県の太田小泉飛行場、百六十四万平方メートル、全く使っていない。しかも一部にゴルフ場があります。鶴見の野積み場一・七万平方メートル、からのドラムかんがぱらぱらぱらと散らばっているだけであります。大島通信所、七万平方メートルです。これは
アメリカ人さま御専用のレクリエーションの場所です。
日本人オフリミット。ベビープールやゴルフ場がありまして、非常にけっこうなところです。昭島住宅地区に九十二万平方メートル、住宅は二十棟ほどです。ここにもゴルフ場があります。相模原の米陸軍医療センター、二十万平方メートル、ここはベトナム負傷兵が利用しておりまして、毒ガスや細菌戦の研究で有名なフォートデリック研究所の出先機関がここにあるといわれております。羽田空港でサソリが積み荷から出てきた。この積み荷の発注者はこのセンターです。雁ノ巣空軍施設、五百三十万平方メートル、大部分の地域が放置されて、荒廃しておる。またここにもゴルフ場がある。こんなところはたくさんありまして、もう言えば切りがありませんから、しかも時間がありませんので、これぐらいにしておきます。
ここでよく聞いてもらいたい。鶏が卵を生まなくなった。農作もできない。学生は勉強ができない。飛行機が墜落する。ジェット騒音で話もできない。こういうような公害を遠慮なくまき散らして、しかも自分がゴルフ場をたくさん持って——行政協定違反の判決が出ておるのです。このゴルフ場をたくさん持って、一世帯当たりで五百坪、こういうりっぱな家に住んで、優雅な生活を楽しんでおる。しかもたくさんの
基地にはペンペングサがはえておる。使っていない。しかも
日本人はそれを指をくわえて見ておるのであります。その実態はこの中にいやになるほどありますから、よく読んでいただきたい。あなたは、狭い住宅でひしめき合って暮らしておる
日本国民の
総理です。この
基地の実態をよく読んでいただいて、
国民の納得する方策を尽くしてもらいたい。
われわれは、最初に申し上げましたとおり、日米
安保条約が
わが国を
戦争に巻き込む危険な条約である、そのゆえにその解消を強く要求しております。したがって、われわれは使っていないところだけ返せと言っているわけではありません。全部返してもらいたい。
基地全廃がわれわれの要求であります。そのためにも、その実態を明らかにして、強力な施策を推進してもらわなくちゃならぬ、要求をしなくちゃならぬ、こういうわけでお尋ねしておるわけであります。しかし、従来からの自民党
政府の答弁を見ておりますと、この
基地は
日本の平和と安全のために
アメリカ軍がわざわざ
日本に来て守ってくださっておるありがたい
基地であると、顔色も変えないで言うでしょう。しかし、百歩譲ってそうであったとしても、なぜ
日本の安全のために一戸当たり五百坪の住宅が要るのか、ゴルフ場が要るのか。私は百歩譲って言っておるのです。ペンペングサのはえておる
使用されていないものが、なぜそのままにしておかなくてはならないか。なぜ
日本国民は公害を耐え忍ばなくちゃならないか。私は、自民党の立場に立って考えましても、これは理解できません。どうですか自民党の諸君、特にヤングパワーといわれておる諸君、私の言っておることが間違っておるでしょうか。