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坂田国務大臣 私は、
大学問題等重要な問題の
解決を迫られているこの時期に、
文部大臣の重責をになうこととなり、身の引き締まる思いがいたすのであります。この上は、
文教委員の
各位の御
協力を得まして、今日までの実績の上に新たな発展をはかるよう最善の
努力をいたす所存であります。
今後の
学校教育の総合的な
拡充整備のための
基本的施策につきましては、現在、
中央教育審議会で
検討を願っており、また、
社会教育審議会においても、急激な
社会構造の変化に対応する
社会教育の
あり方について
検討中であります。これらの
課題は、
長期的視野に立って慎重に
研究を進めてまいらなければならないと考えております。このようなじみちな
検討と
努力を重ねながら、当面
解決すべき
文教行政上の諸
課題につきましても、常にそれぞれの問題の本質を見きわめ、着実に
施策を進めてまいりたいと考えておりますが、特にこの機会に、
大学問題について日ごろ考えておりますことの一端を申し述べまして、
各位の御理解と御
協力を得たいと存じます。
最近、一部の
大学において
紛争が生じ、
大学当局の
努力にもかかわらず、いよいよ深刻な様相を呈し、一部学生の行動は、学外にあっては、
社会の
秩序を乱し、
公共施設を破壊し、ときには
市民生活に損害を加え、
社会不安をすら招くに至っており、また、学内にあっては、本来理性の場であるべき学園が、
暴力のために正常な機能を阻害され、
大学本来の
使命である
教育研究の場にふさわしい雰囲気は失われ、新入生の受け入れすら危ぶまれ、
大学に寄せる
国民の期待と信頼がそこなわれようとしていることは、まことに憂慮にたえないところでございます。
文教行政を担当する者として、その責任を痛感するものであります。
もとより
大学の
自治は、本来、
大学における
学問の自由のために認められてきたものであり、理由のいかんにかかわらず、法を無視し、
秩序を破壊する
暴力行為は、
学問の自由と
大学の
自治を否定し、
民主主義の基盤をそこなう反
社会的行為として、容認すべきものでないことは言うまでもありません。
このような
大学の混乱した事態のよって来たるところは、広く
現代社会における諸般の問題とも深い関連があると思われますが、
大学における
教育及び
管理運営等大学の
あり方について、
社会の変動と
大学の
質量両面にわたる変貌に即応して
検討すべき多くの問題があることを率直に認めなければならないと考えております。
現在、われわれが当面している学生問題や
大学の
あり方に関する
課題は、
ひとりわが国だけの問題ではなく、
欧米諸国にも通ずる
課題であり、各国それぞれの伝統と現実の中で
問題解決のために
努力しているところであります。
今日見られるような
大学紛争を
解決し、
大学の
運営を正常に復して
大学の
使命を果たすためには、種々の方策が講ぜられなければなりませんが、何よりもまず
大学自体のくふうと
努力にまつべきものであると考えます。しかし、同時に
文教行政を担当する私といたしましては、
大学当局の手による
努力を支援するため、当面の問題のみでなく、
長期的視野に立って
国民の
大学としてあるべき姿を
検討し、改善してまいりたいと考えております。
以上、当面する
大学問題を中心として日ごろ感じていることを述べたのでありますが、
文教委員各位におかれましても、何とぞ
格別の御指導と御
協力を賜わりますことをお願い申し上げまして、就任のごあいさつといたします。(
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