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1968-12-20 第60回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十二月二十日(金曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 倉成  正君    理事 毛利 松平君 理事 渡辺美智雄君    理事 只松 祐治君 理事 村山 喜一君    理事 竹本 孫一君       天野 光晴君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    河野 洋平君       四宮 久吉君    田中 榮一君       西岡 武夫君    古屋  亨君       三原 朝雄君    山下 元利君       吉田 重延君    阿部 助哉君       井手 以誠君    佐藤觀次郎君       平岡忠次郎君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       武藤 山治君    岡沢 完治君       河村  勝君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      赤澤 璋一君         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         国税庁長官   亀徳 正之君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林省畜産局長 太田 康二君  委員外出席者         日本専売公社監         理官      平井 廸郎君         大蔵大臣官房審         議官      細見  卓君         大蔵大臣官房審         議官      上林 英男君         大蔵省主計局総         務課長     嶋崎  均君         通商産業省貿易         振興局長    原田  明君         参  考  人         (日本銀行総         裁)      宇佐美 洵君         参  考  人         (税制調査会会         長代理)    福良 俊之君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 十二月十八日  委員岡沢完治君及び浅井美幸辞任につき、そ の補欠として西村榮一君及び田中昭二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として岡 沢完治君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員河野洋平君及び岡沢完治辞任につき、そ の補欠として早川崇君及び西村榮一君が議長の指 名で委員に選任された。 同日  委員早川崇君及び西村榮一辞任につき、その 補欠として河野洋平君及び岡沢完治君が議長の指 名で委員に選任された。 同月二十日  委員岡沢完治辞任につき、その補欠として西 村榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として岡 沢完治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十七日  支那事変賜金国債償還に関する請願外十三件  (竹内黎一君紹介)(第三五三号)  同外二件(上林榮吉紹介)(第八一三号)  同外一件(森田重次郎紹介)(第八一四号)  中小企業に対する国民金融公庫融資制度改善  に関する請願外二件(安宅常彦紹介)(第五九  一号)  同外二件(阿部昭吾紹介)(第五九二号)  同外二件(阿部哉君紹介)(第五九三号)  同外二件(赤路友藏紹介)(第五九四号)  同外二件(淡谷悠藏紹介)(第五九五号)  同外二件(井岡大治紹介)(第五九六号)  同外二件(井手以誠君紹介)(第五九七号)  同外二件(井上泉紹介)(第五九八号)  同外二件(井上普方紹介)(第五九九号)  同外二件(伊賀定盛紹介)(第六〇〇号)  同外二件(猪俣浩三紹介)(第六〇一号)  同外二件(石川次夫紹介)(第六〇二号)  同外二件(石田宥全君紹介)(第六〇三号)  同外二件(石野久男紹介)(第六〇四号)  同外二件(石橋政嗣君紹介)(第六〇五号)  同外二件(板川正吾紹介)(第六〇六号)  同外二件(稻村隆一君紹介)(第六〇七号)  同外二件(江田三郎紹介)(第六〇八号)  同外二件(枝村要作紹介)(第六〇九号)  同外二件(小川三男紹介)(第六一〇号)  同外二件(大出俊紹介)(第六一一号)  同外二件(大柴滋夫紹介)(第六一二号)  同外二件(大原亨紹介)(第六一三号)  同外二件(太田一夫紹介)(第六一四号)  同外二件(岡田利春紹介)(第六一五号)  同外二件(岡田春夫紹介)(第六一六号)  同外二件(岡本隆一紹介)(第六一七号)  同外二件(加藤勘十君紹介)(第六一八号)  同外二件(加藤清二紹介)(第六一九号)  同外二件(加藤万吉紹介)(第六二〇号)  同外二件(勝澤芳雄紹介)(第六二一号)  同外二件(勝間田清一紹介)(第六二二号)  同外二件(角屋堅次郎紹介)(第六二三号)  同外二件(金丸徳重紹介)(第六二四号)  同外二件(神近市子紹介)(第六二五号)  同外二件(唐橋東紹介)(第六二六号)  同外二件(川崎寛治紹介)(第六二七号)  同外三件(川村継義紹介)(第六二八号)  同外二件(河上民雄紹介)(第六二九号)  同外二件(河野正紹介)(第六三〇号)  同外二件(木原津與志君紹介)(第六三一号)  同外二件(木原実紹介)(第六三二号)  同外二件(北山愛郎紹介)(第六三三号)  同外二件(久保三郎紹介)(第六三四号)  同外二件(久保田鶴松紹介)(第六三五号)  同外二件(工藤良平紹介)(第六三六号)  同外二件(栗林三郎紹介)(第六三七号)  同外二件(黒田寿男紹介)(第六三八号)  同外二件(小林信一紹介)(第六三九号)  同外二件(小松幹紹介)(第六四〇号)  同外二件(兒玉末男紹介)(第六四一号)  同外二件(後藤俊男紹介)(第六四二号)  同外二件(河野密紹介)(第六四三号)  同外二件(神門至馬夫君紹介)(第六四四号)  同外二件(佐々栄三郎紹介)(第六四五号)  同外二件(佐々木更三者紹介)(第六四六号)  同外二件(佐藤觀次郎紹介)(第六四七号)  同外二件(佐野憲治紹介)(第六四八号)  同外二件(佐野進紹介)(第六四九号)  同外二件(斉藤正男紹介)(第六五〇号)  同外二件(阪上安太郎紹介)(第六五一号)  同外二件(實川清之紹介)(第六五二号)  同外二件(柴田健治紹介)(第六五三号)  同外二件(島上善五郎紹介)(第六五四号)  同外二件(島本虎三紹介)(第六五五号)  同外二件(下平正一紹介)(第六五六号)  同外二件(田中武夫紹介)(第六五七号)  同外二件(田邊誠紹介)(第六五八号)  同外二件(田原春次紹介)(第六五九号)  同外二件(多賀谷真稔紹介)(第六六〇号)  同外二件(高田富之紹介)(第六六一号)  同外二件(武部文紹介)(第六六二号)  同外二件(只松祐治紹介)(第六六三号)  同外二件(楯兼次郎紹介)(第六六四号)  同外二件(千葉佳男紹介)(第六六五号)  同外二件(戸叶里子紹介)(第六六六号)  同外二件(堂森芳夫紹介)(第六六七号)  同外二件(内藤良平紹介)(第六六八号)  同外二件(中井徳次郎紹介)(第六六九号)  同外二件(中澤茂一紹介)(第六七〇号)  同外二件(中嶋英夫紹介)(第六七一号)  同外二件(中谷鉄也紹介)(第六七二号)  同外二件(中村重光紹介)(第六七三号)  同外二件(永井勝次郎紹介)(第六七四号)  同外二件(楢崎弥之助紹介)(第六七五号)  同外二件(成田知巳紹介)(第六七六号)  同外二件(西風勲紹介)(第六七七号)  同外二件(西宮弘紹介)(第六七八号)  同外二件(野口忠夫紹介)(第六七九号)  同外二件(野間千代三君紹介)(第六八〇号)  同外二件(芳賀貢紹介)(第六八一号)  同外二件(長谷川正三紹介)(第六八二号)  同外二件(畑和紹介)(第六八三号)  同外二件(華山親義紹介)(第六八四号)  同外二件(浜田光人紹介)(第六八五号)  同外二件(原茂紹介)(第六八六号)  同外二件(平岡忠次郎紹介)(第六八七号)  同外二件(平林剛紹介)(第六八八号)  同外二件(平等文成紹介)(第六八九号)  同外二件(広沢賢一紹介)(第六九〇号)  同外二件(広瀬秀吉紹介)(第六九一号)  同外二件(福岡義登紹介)(第六九二号)  同外二件(古川喜一紹介)(第六九三号)  同外二件(帆足計紹介)(第六九四号)  同外二件(穗積七郎紹介)(第六九五号)  同外二件(細谷治嘉紹介)(第六九六号)  同外二件(堀昌雄紹介)(第六九七号)  同外二件(松前重義紹介)(第六九八号)  同外二件(松本七郎紹介)(第六九九号)  同外二件(三木喜夫紹介)(第七〇〇号)  同外二件(三宅正一紹介)(第七〇一号)  同外二件(美濃政市紹介)(第七〇二号)  同外二件(武藤山治紹介)(第七〇三号)  同外二件(村山喜一紹介)(第七〇四号)  同外二件(森義視紹介)(第七〇五号)  同外二件(森本靖紹介)(第七〇六号)  同外二件(八百板正紹介)(第七〇七号)  同外二件(八木一男紹介)(第七〇八号)  同外二件(八木昇紹介)(第七〇九号)  同外二件(矢尾喜三郎紹介)(第七一〇号)  同外二件(安井吉典紹介)(第七一一号)  同外二件(柳田秀一紹介)(第七一二号)  同外二件(山内広紹介)(第七一三号)  同外二件(山口鶴男紹介)(第七一四号)  同外二件(山崎始男紹介)(第七一五号)  同外二件(山田耻君紹介)(第七一六号)  同外二件(山中吾郎紹介)(第七一七号)  同外二件(山花秀雄紹介)(第七一八号)  同外二件(山本幸一紹介)(第七一九号)  同外二件(山本政弘紹介)(第七二〇号)  同外二件(山本弥之助紹介)(第七二一号)  同外二件(米内山義一郎紹介)(第七二二号)  同外二件(米田東吾紹介)(第七二三号)  同外二件(依田圭五君紹介)(第七二四号)  同外二件(横山利秋紹介)(第七二五号)  同外二件(渡辺惣蔵紹介)(第七二六号)  同外二件(渡辺芳男紹介)(第七二七号)  ガス及び石油器具物品税減免に関する請願  (天野公義君外一名紹介)(第八六一号)  銀行系クレジットカード会社による割賦購入  あっせん等規制に関する請願赤澤正道君紹  介)(第八七二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十七日  たばこ販売手数料の改定に関する陳情書  (第一八一号)  貸金業金利引下げに関する陳情書  (第二三六号)  加算税執行猶予制度創設に関する陳情書  (第二三七号)  火災共済保険の認可に関する陳情書  (第二三八号)  揮発油税等引上げ反対に関する陳情書  (第二三九号)  教育費増高に伴う控除制度創設に関する陳情  書  (第二四〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  参考人出頭要求に関する件  国の会計に関する件  税制に関する件  関税に関する件  金融に関する件  専売事業に関する件  請 願   一 中小企業に対する国民金融公庫融資制     度改善に関する請願田代文久紹介)     (第一一号)   二 同(谷口善太郎紹介)(第一二号)   三 同(林百郎君紹介)(第一三号)   四 同(松本善明紹介)(第一四号)   五 入場税撤廃に関する請願青木正久君紹     介)(第五二号)   六 支那事変賜金国債償還に関する請願(小     峯柳多君紹介)(第五三号)   七 同外四件(田澤吉郎紹介)(第五四号)   八 同外二件(水野清紹介)(第五五号)   九 同外一件(武藤嘉文紹介)(第五六号)  一〇 日本専売公社茂木工場の存置に関する請     願外一件(藤尾正行紹介)(第五七号)  一一 支那事変賜金国債償還に関する請願外十     三件(竹内黎一君紹介)(第三五三号)  一二 同外二件(上林榮吉紹介)(第八一三     号)  一三 同外一件(森田重次郎紹介)(第八一四     号)  一四 中小企業に対する国民金融公庫融資制     度改善に関する請願外二件(安宅常彦君     紹介)(第五九一号)  一五 同外二件(阿部昭吾紹介)(第五九二号)  一六 同外二件(阿部哉君紹介)(第五九三号)  一七 同外二件(赤路友藏紹介)(第五九四号)  一八 同外二件(淡谷悠藏紹介)(第五九五号)  一九 同外二件(井岡大治紹介)(第五九六号)  二〇 同外二件(井手以誠君紹介)(第五九七号)  二一 同外二件(井上泉紹介)(第五九八号)  二二 同外二件(井上普方紹介)(第五九九号)  二三 同外二件(伊賀定盛紹介)(第六〇〇号)  二四 同外二件(猪俣浩三紹介)(第六〇一号)  二五 同外二件(石川次夫紹介)(第六〇二号)  二六 同外二件(石田宥全君紹介)(第六〇三号)  二七 同外二件(石野久男紹介)(第六〇四号)  二八 同外二件(石橋政嗣君紹介)(第六〇五号)  二九 同外二件(板川正吾紹介)(第六〇六号)  三〇 同外二件(稻村隆一君紹介)(第六〇七号)  三一 同外二件(江田三郎紹介)(第六〇八号)  三二 同外二件(枝村要作紹介)(第六〇九号)  三三 同外二件(小川三男紹介)(第六一〇号)  三四 同外二件(大出俊紹介)(第六一一号)  三五 同外二件(大柴滋夫紹介)(第六一二号)  三六 同外二件(大原亨紹介)(第六一三号)  三七 同外二件(太田一夫紹介)(第六一四号)  三八 同外二件(岡田利春紹介)(第六一五号)  三九 同外二件(岡田春夫紹介)(第六一六号)  四〇 同外二件(岡本隆一紹介)(第六一七号)  四一 同外二件(加藤勘十君紹介)(第六一八号)  四二 同外二件(加藤清二紹介)(第六一九号)  四三 同外二件(加藤万吉紹介)(第六二〇号)  四四 同外二件(勝澤芳雄紹介)(第六二一号)  四五 同外二件(勝間田清一紹介)(第六二二     号)  四六 同外二件(角屋堅次郎紹介)(第六二三     号)  四七 同外二件(金丸徳重紹介)(第六二四号)  四八 同外二件(神近市子紹介)(第六二五号)  四九 同外二件(唐橋東紹介)(第六二六号)  五〇 同外二件(川崎寛治紹介)(第六二七号)  五一 同外二件(川村継義紹介)(第六二八号)  五二 同外二件(河上民雄紹介)(第六二九号)  五三 同外二件(河野正紹介)(第六三〇号)  五四 同外二件(木原津與志君紹介)(第六三一     号)  五五 同外二件(木原実紹介)(第六三二号)  五六 同外二件(北山愛郎紹介)(第六三三号)  五七 同外二件(久保三郎紹介)(第六三四号)  五八 同外二件(久保田鶴松紹介)(第六三五     号)  五九 同外二件(工藤良平紹介)(第六三六号)  六〇 同外二件(栗林三郎紹介)(第六三七号)  六一 同外二件(黒田寿男紹介)(第六三八号)  六二 同外二件(小林信一紹介)(第六三九号)  六三 同外二件(小松幹紹介)(第六四〇号)  六四 同外二件(兒玉末男紹介)(第六四一号)  六五 同外二件(後藤俊男紹介)(第六四二号)  六六 同外二件(河野密紹介)(第六四三号)  六七 同外二件(神門至馬夫君紹介)(第六四四     号)  六八 同外二件(佐々栄三郎紹介)(第六四五     号)  六九 同外二件(佐々本更三君紹介)(第六四六     号)  七〇 同外二件(佐藤觀次郎紹介)(第六四七     号)  七一 同外二件(佐野憲治紹介)(第六四八号)  七二 同外二件(佐野進紹介)(第六四九号)  七三 同外二件(斉藤正男紹介)(第六五〇号)  七四 同外二件(阪上安太郎紹介)(第六五一     号)  七五 同外二件(實川清之紹介)(第六五二号)  七六 同外二件(柴田健治紹介)(第六五三号)  七七 同外二件(島上善五郎紹介)(第六五四     号)  七八 同外二件(島本虎三紹介)(第六五五号)  七九 同外二件(下平正一紹介)(第六五六号)  八〇 同外二件(田中武夫紹介)(第六五七号)  八一 同外二件(田邊誠紹介)(第六五八号)  八二 同外二件(田原春次紹介)(第六五九号)  八三 同外二件(多賀谷真稔紹介)(第六六〇     号)  八四 同外二件(高田富之紹介)(第六六一号)  八五 同外二件(武部文紹介)(第六六二号)  八六 同外二件(只松祐治紹介)(第六六三号)  八七 同外二件(楯兼次郎紹介)(第六六四号)  八八 同外二件(千葉佳男紹介)(第六六五号)  八九 同外二件(戸叶里子紹介)(第六六六号)  九〇 同外二件(堂森芳夫紹介)(第六六七号)  九一 同外二件(内藤良平紹介)(第六六八号)  九二 同外二件(中井徳次郎紹介)(第六六九     号)  九三 同外二件(中澤茂一紹介)(第六七〇号)  九四 同外二件(中嶋英夫紹介)(第六七一号)  九五 同外二件(中谷鉄也紹介)(第六七二号)  九六 同外二件(中村重光紹介)(第六七三号)  九七 同外二件(永井勝次郎紹介)(第六七四     号)  九八 同外二件(楢崎弥之助紹介)(第六七五     号)  九九 同外二件(成田知巳紹介)(第六七六号) 一〇〇 同外二件(西風勲紹介)(第六七七号) 一〇一 同外二件(西宮弘紹介)(第六七八号) 一〇二 同外二件(野口忠夫紹介)(第六七九号) 一〇三 同外二件(野間千代三君紹介)(第六八〇     号) 一〇四 同外二件(芳賀貢紹介)(第六八一号) 一〇五 同外二件(長谷川正三紹介)(第六八二     号) 一〇六 同外二件(畑和紹介)(第六八三号) 一〇七 同外二件(華山親義紹介)(第六八四号) 一〇八 同外二件(浜田光人紹介)(第六八五号) 一〇九 同外二件(原茂紹介)(第六八六号) 一一〇 同外二件(平岡忠次郎紹介)(第六八七     号) 一一一 同外二件(平林剛紹介)(第六八八号) 一一二 同外二件(平等文成紹介)(第六八九号) 一一三 同外二件(広沢賢一紹介)(第六九〇号) 一一四 同外二件(広瀬秀吉紹介)(第六九一号) 一一五 同外二件(福岡義登紹介)(第六九二号) 一一六 同外二件(古川喜一紹介)(第六九三号) 一一七 同外二件(帆足計紹介)(第六九四号) 一一八 同外二件(穗積七郎紹介)(第六九五号) 一一九 同外二件(細谷治嘉紹介)(第六九六号) 一二〇 同外二件(堀昌雄紹介)(第六九七号) 一二一 同外二件(松前重義紹介)(第六九八号) 一二二 同外二件(松本七郎紹介)(第六九九号) 一二三 同外二件(三木喜夫紹介)(第七〇〇号) 一二四 同外二件(三宅正一紹介)(第七〇一号) 一二五 同外二件(美濃政市紹介)(第七〇二号) 一二六 同外二件(武藤山治紹介)(第七〇三号) 一二七 同外二件(村山喜一紹介)(第七〇四号) 一二八 同外二件(森義視紹介)(第七〇五号) 一二九 同外二件(森本靖紹介)(第七〇六号) 一三〇 同外二件(八百板正紹介)(第七〇七号) 一三一 同外二件(八木一男紹介)(第七〇八号) 一三二 同外二件(八木昇紹介)(第七〇九号) 一三三 同外二件(矢尾喜三郎紹介)(第七一〇     号) 一三四 同外二件(安井吉典紹介)(第七一一号) 一三五 同外二件(柳田秀一紹介)(第七一二号) 一三六 同外二件(山内広紹介)(第七一三号) 一三七 同外二件(山口鶴男紹介)(第七一四号) 一三八 同外二件(山崎始男紹介)(第七一五号) 一三九 同外二件(山田耻目君紹介)(第七一六号) 一四〇 同外二件(山中吾郎紹介)(第七一七号) 一四一 同外二件(山花秀雄紹介)(第七一八号) 一四二 同外二件(山本幸一紹介)(第七一九号) 一四三 同外二件(山本政弘紹介)(第七二〇号) 一四四 同外二件(山本弥之助紹介)(第七二一     号) 一四五 同外二件(米内山義一郎紹介)(第七二     二号) 一四六 同外二件(米田東吾紹介)(第七二三号) 一四七 同外二件(依田圭五君紹介)(第七二四号) 一四八 同外二件(横山利秋紹介)(第七二五号) 一四九 同外二件(渡辺惣蔵紹介)(第七二六号) 一五〇 同外二件(渡辺芳男紹介)(第七二七号) 一五一 ガス及び石油器具物品税減免に関する     請願天野公義君外一名紹介)(第八六一     号) 一五二 銀行系クレジットカード会社による割     賦購入あつせん等規制に関する請願     (赤澤正道紹介)(第八七二号)      ――――◇―――――
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  国の会計に関する件  税制に関する件  関税に関する件  金融に関する件  証券取引に関する件  外国為替に関する件  国有財産に関する件  専売事業に関する件  印刷事業に関する件  造幣事業に関する件の各件につきまして、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、申し出の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。      ————◇—————
  4. 田村元

    田村委員長 本日の請願日程全部を議題といたします。  本会期中に付託になりました請願は、百五十二件でありまして、その取り扱いにつきましては、先刻の理事会において協議いたしたのでありますが、この際、直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  おはかりいたします。  本日の請願日程中、日程第一ないし第四、第一〇、及び第一四ないし第一五二の各請願につきましては、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  8. 田村元

    田村委員長 なお、本会期中参考送付されました陳情書は、十二件でありまして、印刷して配付いたしておきましたので、御了承願います。      ————◇—————
  9. 田村元

    田村委員長 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本日、税制に関する件について税制調査会会長代理福良俊之君、金融に関する件について日本銀行総裁宇佐美洵君に、それぞれ参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  11. 田村元

    田村委員長 国の会計税制関税金融及び専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
  12. 平林剛

    平林委員 きょう私が質問を展開する前に、基本的な原則でありますけれども、政府にちょっとお尋ねしておきたいことがあります。  大蔵省として、法人税と所得税の二重課税という問題についてはどういう方針をとっておるか、ちょっとその基本的な考え方をお聞かせいただきたい。
  13. 細見卓

    ○細見説明員 税制全体のたてまえといたしましては、かなりいろいろな点で修正を受けてまいってはおりますが、基本的に、シャウプ税制といわれますように、法人は株主の集団によって構成されたものと考えまして、法人と個人との間に二重課税がないと申しますか、法人には独立した納税義務がないのだ、いわば所得税の前払いをしておるのだというようなたてまえをとっておりますが、これらの点につきましては、配当軽課でありますとかいろいろなことで修正を受けております。
  14. 平林剛

    平林委員 わが国の税法は、その根本理念に、特に法人税は法人擬制説をとっております。そこで、法人税と所得税はいわば補完税の関係にある。そこで二重課税にならないような考慮がされておる。いろいろこまかい点はありますけれども、たとえば、法人の受け取り配当についてはその金額は益金に不算入するとか、あるいは個人の配当所得は一五%の税額控除を認めるとかいう形でいろいろな操作はありますけれども、たてまえとしては二重課税にならないように考慮をされておる、こう理解をしてよろしゅうございますか。
  15. 細見卓

    ○細見説明員 たてまえとしては、おっしゃるとおりでございます。
  16. 平林剛

    平林委員 そこで私は、きょう同族会社の使用人兼務役員等の賞与に対する課税の問題を取り上げたいと考えるわけであります。  ただいまの原則的なお話にかかわらず、同族会社の使用人兼務役員等の賞与に対する課税については二重課税になっておる。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 ある同族会社、これはきょうは甲という名前の同族会社にいたしておきます。資本金は二百万から二百四、五十万程度、わが国にはこういう同族会社というのはおおよそ八十万くらいあると承知をいたしておるわけでありますけれども、この甲の同族会社、しかも小さな同族会社が、同族会社であることについての判定の基礎となった株主である使用人兼務役員三名について支給した使用人相当額の賞与の損金算入が否認をされて、税務署から更正決定を受けた。参考のために金額を申し上げます。昭和三十八年度に否認をされた賞与金額は六十八万円、三人ですね。法人税額は二十四万九千五百十円、過少申告加算税が一万二千四百五十円。昭和三十九年度も、否認された賞与金額が九十七万六千五百円、三人合計ですよ。法人税額が三十四万六千三百六十円、過少申告加算税が一万七千三百円。昭和四十年度が、否認された賞与金額は百三十二万五千二百円、法人税額がしたがって四十六万五千九百十円、過少申告加算税が二万三千二百五十円、こういう支給された賞与の否認をされまして更正決定を受けたわけであります。これは一面、所得税は徴収されているものでございますが、法律の規定によりまして損金算入を認めないというととから更正決定を受けましたから、所得税と法人税を納める、こういうことになるわけです。  さて、ただいま私が数字を申し上げたのは、法人税と所得税を合わせますとどのくらいになるかというと、昭和三十八年は正確にいえば五三・一七%、昭和三十九年は五二・九八%、昭和四十年が五六・六三%、これは一例ではございますけれども、こういうことで否認されるものは、数からいえば八十万の同族会社、しかもその中でも規定がこまかくなりまして、もっと数が多くなるわけでありますから、相当の数の人に影響がある。これは同族会社の使用人兼務役員の賞与が給与所得として徴収納付した金額と、これを否認する法人税の賦課というものから考えますと、二重課税になっているのではないか。先ほど私は原則的なことをお尋ねいたしましたけれども、この法の規定は二重課税をしておる、こういうことになりませんか。
  17. 細見卓

    ○細見説明員 私が、所得税と法人税との間の二重課税の調整ということが行なわれておるたてまえと申しておりますのは、会社を構成いたしておりまする株主と会社との間に税の調整が行なわれておるものでありまして、いま先生のおっしゃっておりますのは、法人の経費として認められるものと認められないものとがあることからしまして生じておる問題でございまして、ただ法人税の上で、使用人部分を除きましたいわゆる役員賞与部分が経費にならないということから出てくる結果である、かように考えます。
  18. 平林剛

    平林委員 いまいろいろお話がありましたが、少なくとも法人税法三十五条「役員賞与等の損金不算入」ここには、「内国法人がその役員に対して支給する賞与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。」こう書いてあります。二項にはさらにこまかく、「内国法人が、各事業年度においてその使用人としての職務を有する役員に対し、当該職務に対する賞与を他の使用人に対する賞与の支給時期に支給する場合において、当該職務に対する賞与の額につき当該事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額のうち当該職務に対する相当な賞与の額として政令で定める金額に達するまでの金額は、前項の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。」と、特殊な例はありますけれども、しかし、同条の第五項にいきますと、使用人としての職務を有する役員とはこういうものである。「社長、理事長その他政令で定めるものを除く。」といって狭められ、法人税法施行令の中にさらにこまかく制限をしてまいりまして、かなりのものが二重課税を受けるというたてまえになってくるのであります。法律条項ではないと言うけれども、法律にちゃんとそういうふうになっておる。この規定は、法律上の理念からいくと、二重課税になる仕組みになっておるし、かりに法律上解釈すると、所得税で最高では七五%、法人税で三五%を両方で課税できるような仕組みになれば、合計で一一〇%になる。毎年課税する年税で、同一の所得金額に対して一〇〇%をこえる課税が一体適法であるかどうかということは、私はやはり考えなければいけないと思う。法律自体として二重課税をし、法律的に解釈をすれば、その最高を当てれば一一〇%になる。同じ所得に対してとにかく所得税、法人税合わせて一〇〇%をこえる課税が一体適法であるかどうかというのは、私は問題があると思う。これが地方税も加えられますと、一一〇%どころではありません。百五、六十%になる。同一の所得に対してこういう法律の仕組みというのは一体適法かどうか、これは私は問題があると思うのです。いかがですか。
  19. 細見卓

    ○細見説明員 いまのお話で私どもが一つ申し上げなければなりませんのは、いま平林先生は法人の段階でかかった税金と所得税でかかったものとを合わせてお考えになっておりますが、この場合には法人と個人との間、役員との間におきましては全然別個の納税主体と考えておりますので、それを合わせまして幾らの負担になるということはいかがなものかと考えます。
  20. 平林剛

    平林委員 いや、そこに法人擬制説という問題の一つの矛盾があるわけでして、これはあとでおいおい私は詰めていくつもりです。しかし、いま私は一つの例を申し上げたんですよ。同族会社ですからわずかの人間でやっているわけでしょう。同一の人間、同一の所得に対して具体的にお話しいたしましたような課税がされているわけですよ。それは、法律上のたてまえは、こっちはこうであっちはこうだという理屈はありましても、払うのはその人間なんだから。そういうことから考えまして、私は、同一の所得に課税される国税と地方税の合計が一〇〇%をこえるような場合においては、その課税は不可能な納税義務を国民に強制しておるのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
  21. 細見卓

    ○細見説明員 平林先生は、同族会社をとらえられまして、あたかも個人と法人と申しますか同族会社が同じ主体であるかのごとくお考えでございますが、たとえば例が適当であるかどうか知りませんが、松下幸之助さんなら松下幸之助さんが七千万円、八千万円なりの賞与を得られまして、合わせて一一〇%になるから、それはひどいじゃないかというお話はおそらくとらないだろうと思うのです。そういう意味で、法人を同族会社と非同族会社で区分する方法も法人税制としてはございませんので、私どもはそれなりに社会理念にかなったものだと思っております。
  22. 平林剛

    平林委員 法律にどういうふうに書いてあろうとも、私は実態から考えるとおかしいじゃないかということを言っておるのですよ。法律に書いてあることが全部正しいとは限らぬ。法律をつくるのは議会でありますけれども、やはりこの法人税法三十五条の規定というものは、現実から考えてみるとおかしいじゃないですかということを言っておるのですよ。法律に書いてあるからどうなどという議論をいましているわけではないのですよ。この法律はそういう意味では矛盾がありませんか。私に言わせると、法人税法三十五条の第一項というのは憲法違反ではないかという疑問を提起をしたいわけなんです。なぜかというと、憲法の第十四条には、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」平等の原則がきめられておるわけでありますけれども、この法律は、いま同族会社だとか法人だから別々だとかなら話は別ですよ。しかし、法のもとの平等の原則に反しておる。それから憲法第三十条には「納税の義務」ということが規定されております。「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と書いてある。ところが、同一所得に対して一〇〇%以上取られるんではこれは不可能じゃありませんか。同一所得に対して一〇〇%以上の課税がされるということになれば、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と書いてあるけれども、納税の義務を果たし得ない、こういうことになるわけであります。  いまあなたは松下さんの例を言ったけれども、そういうふうに問題をそらしてはいけないですよ。私がいま取り上げてこの問題を何とか解決せねばならぬと考えておりますのは、全国に八十万、資本金百万とか百五十万あるいは二百万、三百万、こういう同族会社がたくさんある。そうしてそれらの取り扱いは現行法の一つの矛盾のために一〇〇%以上の課税をされる、こういうことについては検討する必要がある。そうでなければ、条理上憲法違反として検討しなければならない問題がはらむんではないかという問題を提起しておるのですよ。いかがでしょうか。
  23. 細見卓

    ○細見説明員 私の説明がまずかったのかと思いますが、ここで取り上げておりますのは、およそ重役が会社の業務を執行いたしまして正当な報酬を得ておる限り、それは経費になるわけであります。ところが、その報酬が同業とかあるいは同じ規模のものとかあるいは社内の使用人と比べまして著しく過大であるという場合には、それは定款なり株主総会で定められた報酬ではないので、それは賞与だ。それを否認いたしますということは、結果といたしまして、即従業員等に経費として支払われるべき人件費、給与等を払いました残り、そこに出てまいります利益の一部を賞与としてくれておるのだ、こういう断定をするわけです。したがいまして、いま先生のおっしゃるような問題は、そういう形で賞与を払えば法人税も重くなるし、それから所得税も重くなるという問題はございますが、あくまでも会社の利益の分配として行なっておりますので、そこに生じます負担は、やはり会社がそういう役員に対して功労に応ずるものとして、株主の利益全体を減らして、従業員を兼務しております、使用人を兼務しております役員に、役員部分の賞与としてこれだけ差し上げたいということでやっておるので、この問題はその個人の納税義務の話と法人とはかなり離れた話で、法人の経費にどういうものが認められるかその認め方の——使用人部分が適正な額であるかどうかという認定の問題はございましょうと思いますが、法律のたてまえとして、こういうものが憲法にどうとかいうことにはとてもならない問題だ、かように考えております。
  24. 平林剛

    平林委員 税務署の役人が認定すること自体も私は問題があると思うのですよ。おまえの同族会社、おまえの賞与は高過ぎる、これはだめだとかいいとかいって税務署がこれを査定してきめていくというそのことも、法定主役というたてまえからいくとおかしなことだということから前に議論したことがありますけれども、おかしいけれども、もう一度、あなたは専門家だから読まなくてもわかるでしょうけれども、三十五条の役員賞与等の損金不算入の規定のしかたと、同法三十四条と三十六条の規定のしかたは、全くあべこべになっていることにお気づきでしょう。つまり、あなたの言うように、それは法人説をとって、ある悪いのがあって、益金をあれするためにいろいろの名前でやることを制限するという考え方から、それが課税の公平につながるということは、特別な例としては私はわからないわけではありませんよ。しかし第三十四条は、「過大な役員報酬の損金不算入」についてはこういう規定のしかたをしている。「内国法人がその役員に対して支給する報酬の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。」と書いてあるけれども、これは過大な役員賞与については損金に算入しない。しかし、そうでないものには損金に算入するという書き方になっているのですね。三十六条も「過大な役員退職給与の損金不算入」として、「内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給する退職給与の額のうち、当該事業年度において損金経理をしなかった金額及び損金経理をした金額で不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。」しかし、過大な役員給与でなければ算入するというたてまえで表現がされている。三十五条だけは、逆に先ほど私が読み上げたように、たてまえが損金に算入しないという表現にしてある。これだけこの原則を中心にしておるということは、先ほどのような例が出てくる最大の原因である。そこで、これは憲法違反ではないか。これはあべこべに表現したという理由は、昭和四十年の改正、それまではこれとは違った表現であったのですね。三十四条、三十六条と同じ表現であったやつを、四十年の改正で変えた。どういうわけで変えたか、もう一度ひとつ話をしてもらいたい。
  25. 細見卓

    ○細見説明員 先ほども申し上げましたように、役員が会社との間に委任関係と申しますか、そういう付託を受けて業務を執行するわけでありますが、その場合に適正な報酬、労務の対価あるいは勤労の対価というものは報酬になるわけであります。ただ賞与ということになりますと、これはいわば役員が経営者という立場に立ちまして、そのときそのときの経営の巧否が結果としてはね返ってくる利益、それは本来株主に帰属すべきものでございますが、株主がその中から、そのつど決議等をいたしまして役員に支給するものであって、あらかじめ幾らを支給するというような形で定款とかあるいは株主総会できめられておるものではないわけです。それをこえまして支給されることもありましょうし、あるいは赤字の場合には支給されない場合もあるわけで、当然の経験、あるいは年々どうしても要る支出金額として会社としては考えなければならないものではない、そういう意味で賞与は損金性がないということはおわかり願えようかと思うのであります。そういう賞与の非損金性ということを言ってはおりますが、しかし、先ほどお話がありましたようなケースの従業員としての職務をもあわせとっておるというような場合に、従業員におきましても、御承知のように業績がよくなった場合にはある程度その従業員の功に報いるという形で賞与等が行なわれております。そういうものと並べてみまして、大体使用人の立場として順当な合理的な金額であるものにつきましては、これはここにも書いておりますように、普通の従業員の賞与と同様に使用人部分については経費としてみましょう、ただしかし、それがあくまでも経営者としての立場で、利益を株主とともに分け合うという立場で分けられるものは、これは会社の一般の利益として、いわゆる経費性のあるものでなくて、余った利益があるときにはくれてやるし、利益がないときには渡さないもの、こういうふうに考えます。そういう意味におきまして、これは会社の経費でない、しかし、それは個人にまいります限りは、百円はだれが受け取りましても同じ百円でございますから、それはそういうものとして税金になる、そういうわけでございます。
  26. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 関連質問。私は両方の議論を聞いておって、平林さんの言わんとすることとあなたが答弁していることとは相当食い違っておると思います。というのは、経費の容認をするかしないかという問題だけを論点にすれば、確かに大蔵当局の言うような説明がつくでしょう。しかし、平林委員の言わんとするところは、私がいま聞いた範囲においては、同族会社というものは一般の非同族と違った取り扱いを受けておる。受けておる原因はどこにあるのかというと、会社と個人は全然別なんだという割り切り方をすれば、何も同族会社を差別待遇することはない。ところが、現実には同族会社に対してはいろいろな差別待遇を設けておる。行為計算の否認規定もそうである。留保金課税もそうである。一般の非同族会社ならば、配当を全然しなくて社内に積み立てたからといってそれに課税されない。同族会社は配当をしないで社内に積み立てておけば、ある一定の限度を越すとそれに対しては留保金課税をとる。これは非同族会社の場合には必ず配当するものだ、同族会社は個人に配当しても会社で持っていても同じではないか、だから配当所得に相当する分だけ配当しないでおけば得をするから、配当しなくても税金は取るのだ、こういう思想であります。だから、同族会社というものについては、一般の非同族と違って、個人と会社というものは全然別なものだといった割り切った考え方をしていないのです。そういうようなときにあたって、たまたま使用重役に対して賞与を支給した。その賞与の計算の方法その他はよく知りませんけれども、いずれにしても厳格なる査定をして、否認をしてきたということは少し酷ではないか。同族会社が配当なり何なりしないで、利益が余るということになれば課税をされる。だからといって、今度は使用人重役として普通の方法で計算をして賞与を出した。そうしたら今度はそれを厳格に査定して否認する、こういうのは少し酷ではないか、こういう趣旨ではなかろうかと私は思うのです。  だから、この点について、ただ単に松下幸之助さんの例を出して、個人と法人は全然別で、当然賞与というものは税金を払った残りから重役は受け取るべき筋合いのものを、税金を払う前に重役が受けたということは否認されるのがあたりまえだ、それは個人の税金も法人の税金も両方払えというような割り切っただけの言い方はできないのではないかと私は思う。同族会社の留保金課税の問題と関係があるだろうと私は思う。したがって、同族会社の経費とか、少なくとも人件費については、一方において留保金課税ということをいっておるのだから、少なくとも人件費についてはそんなに厳重にしなくともいいじゃないか。あなたが言うように、法人と個人は全然別ならば、たまたまこれが賞与だからそういうことがいえるけれども、給与等の問題についても、過大報酬であるとか過大給料だとかいってやたらに否認するようなことはやめたまえ、私はこういう意味ではないかと思うのですよ。全然別なものなら、法人は法人、個人は個人なら、幾ら高い給料を払おうが大きなお世話なんだから。ところが、同族会社に限っては、それは月給が高過ぎるの安過ぎるの、くちばしをいれるのだから、こういうことは、少なくとも留保金課税というものを設けておる以上、少し行き過ぎである。留保金課税をするのならば、私はやはり同族会社の給与についてはそういうふうに厳格にしなくたっていいじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  27. 細見卓

    ○細見説明員 執行にわたりますことは長官もおられますからお答え願えると思いますが、たてまえといたしまして、おっしゃるように、同族会社が一般の会社法人に比べまして若干の制約を受けておるというのは、もう渡辺先生の御指摘のとおりで、その中には、少数の株主で会社がコントロールできることに伴いまして、一般の株式会社にはないようないろいろなこともでき得るであろうというところから行為計算の否認が入っておるわけであります。三十四条で申しておりますことは、同族会社であるからどうということじゃなくて、一般に会社全体として、株主の権限を侵すような過大な報酬は避けるべきだということになっておりますが、行為計算の否認の規定は、また別途普通の会社とは違う立場で問題を取り上げる、その点では今後同族会社の留保金課税とか、あるいはまた、その同族会社は多くの場合所得金額が小さいわけでありますから、それに見合って軽減税率が設けられておるとか、あるいは一般の株主が単なる投資家として参加しておるようないわゆる株式会社と、こういう同族会社でまだ経営者即株主という色の濃いものと同じような税制で律していくということのよしあしその他につきましては、今後検討してまいらなければならないむずかしい問題で、おっしゃるようないろいろな問題を含んでおることは私どもも承知しておりますが、ここでいま問題になっておりますことは、おっしゃるように給与を否認して賞与と見たものの金額の当否であるといたしますれば、それは事実の問題として適正な執行に期待するという以外ないのじゃないか、かように考えます。
  28. 平林剛

    平林委員 さっき私が質問をいたしました昭和四十年に改正された新しい法人税法三十五条の第一項、逆な形に表現をしたというのは、従来は、役員に対する賞与の額は各事業年度の所得の計算上損金の額に算入しないという原則はなかった。なかったのを書いたのは、商法が役員報酬については規定しておるが、賞与については規定をしていないから、役員賞与は利益処分であるとの解釈に基づいていまの説明のように改正していったわけであります。ところが、わが国の商慣習では、賞与とは何ぞや、賞与は報酬のあと払いである、こういうことから考えますと、私は三十五条の規定のしかたは誤りであると考えている。現にあなたの理屈からいえば、先ほど私があげたある甲という同族会社は、税務署がやったことが、更正処分したのが正しいということになるのだが、最近裁判所がそれをひっくり返して、取り消し処分を命じた。これはある弁護士さんが担当いたしまして、私と同じように、三十五条は憲法に違反しておる。そうして同じ所得に対して一〇〇%以上の課税をするということは、これは間違いである、一〇〇%以上の課税を認めるような法律は憲法に違反する、納税の義務と書いてあっても、納税をすることができないものを賦課するということは酷である、こういうことからその取り消しを命じたわけであります。私は理屈からいえば、一〇〇%以下であっても憲法に抵触すると考えられるそういうような法律は、たとえ先ほどあげた六五%、五五%でもやはり同様に無効であるという解釈は法律上は成立する。こういうことから考えて裁判所もこれをくつがえしたわけですよ。国税庁長官にきょうおいでになって聞いていただいているのはそのためなんであります。  私は、いままでの政府の説明どおりであるならば裁判所はかような決定はしない、こう考えるのでありますが、裁判所においてもこの理論は肯定をして、そうして処分の取り消しを命じておるということから考えますと、やはり問題がある。あなたもいま渡辺さんの質問に答えて、むろん検討しなければならぬと言ったけれども、やはりそういう意味で検討しなければならぬ。いかがですか。法三十五条について私がいまいろいろ提起をした角度から再検討する意思がございますか。
  29. 細見卓

    ○細見説明員 法人税の問題につきましては、いろいろむずかしい問題がございますが、何を経費と見るか、何を経費と見ないかということにつきましては、いろいろ会計学その他の原則等もございますので、そういうものから、あるいは商法の原則というようなものとの関係から私どもはこれは斉合しておると思います。先生御指摘の点につきまして、なお考えることがあるかどうかは検討いたしますが、私どもとしては、このものはすでに三十四年ごろから政令に入ってもおりますし、商法あるいは会計学の原則と矛盾しておらない、かように信じております。
  30. 平林剛

    平林委員 私は、三十五条は憲法違反の疑いがあるということを提起をしておるわけでありますから、重要視してほしいと思うのです。この主張は裁判所においても認められておるということになれば、矛盾はないと言って済ますわけにはいかない。政務次官いかがですか。
  31. 上村千一郎

    ○上村政府委員 平林先生のお話を承っておりましても、きわめてごもっともだと思いますのは、実は先生も御案内のように、この法人論というものにつきましては、法人擬制説というものは非常に古い観念でございまして、商法上の観念で、法律で擬制説をとっている法律理論というものはいまほとんどないのであります。あれ以来有機体説をとるのかあるいは組織体説をとるのか、いろいろな意見はありましても、法人実在説をとっていることは間違いないのであります。ところが税法上は、御案内のようにシャウプ勧告のときもございますが、大体法人とそれを組成しておりまする構成員などの所得につきまして二重課税にならぬように配慮したことは間違いございません。でございますので、純粋な法律理論と税法上の所得を中心として課税をするという観念の間におきましてはそごを来たしておることは、法律上間違いがないのであります。ところが、いま先生がおっしゃっております憲法違反であるかないかという問題につきましては、これはまたいろいろ論議があるだろうと思います。  それは、法人の中におきましても、先生の御案内のように、法人に対する学説が法人擬制説から実在説へ転化する過程におきましても、非常にいろいろな段階を経まして来ておる。ですから、いまの法人にしましても、たとえば税法上の所得を中心とした体制において、株式会社あるいは合資会社、あるいは合名会社、その他いろいろな段階において所得と税法上の考え方を別にするということは理論的にそぐわないとも必ずしもいえないと思うのでございます。しかし、同族会社につきましては、御案内のように、所得を中心としてまいりますればほとんど株式会社の形態をとっておりますけれども、その所得関係からいいますれば多少ニュアンスが違う、こう思うわけでありまして、そういうようなことを踏んまえまして、世界的な税制におきましても、同族会社というものにつきまして相当違った扱いをいたしておることは、先生御案内のとおりでございます。でございますが、いま先生が御指摘の点につきまして、なお裁判の判決その他をも勘案しまして検討するに十分値するものと思いますので、先生の御意見などをしんしゃくいたしまして、われわれのほうでも慎重にこれを考えていきたい、こう思っておるわけであります。
  32. 平林剛

    平林委員 ただいま副大臣、政務次官のお答え、私は適切だと考えております。やはり国としても、私は、本件のような二重課税の違法の非難を免れるためには、法人税法における根本理念を現在の法人擬制説の立場から法人実在説の立場に変更していくということが必要になってきておると考えておるわけでありまして、政府におきましてもその立場に変更しようとする考えがあるかどうかをお尋ねいたしまして、これは一応問題提起でありますから、いまのお答えで検討していただくということにしまして終わりたいと思います。実在説の立場に変更する考えがあるかどうかをお聞きしまして、この問題は打ち切りたいと思います。
  33. 上村千一郎

    ○上村政府委員 実は私も、多少税法の実務あるいは法律の実務に携わった人間でございますが、いま先生のおっしゃるとおりでございますが、割り切っていく際におきまして非常に割り切れない点がたくさん現在の状態にあるわけでございます。いわゆる法律学的におきましては、法人擬制説というのはほとんどいまとっておる国もなければ、主張しておる学者といったってほとんどないわけであります。そうすれば、法人実在説というものは、もうほとんどこれは常識的なものである。その常識が税法上の場合においては通用していないというところにございますが、しかし、税法はまた税法としての立場もございますし、それにおいてずっと組み立てられて税法ができておりますので、いまこの問題につきまして慎重に検討して考えていきたい。ひとつ答弁をこの程度にさしていただきたいと思います。真剣に考えていきたいと思っておるわけであります。
  34. 平林剛

    平林委員 とにかく私は、具体的な実例をあげて政府の考え方を聞きました。私が提起したのは、法人税法第三十五条の規定のしかたは、これは法のもとに平等であるということをきめた憲法第十四条にも違反する。それから納税の義務をき税率が設けられておるとか、あるいは一般の株主が単なる投資家として参加しておるようないわゆる株式会社と、こういう同族会社でまだ経営者即株主という色の濃いものと同じような税制で律していくということのよしあしその他につきましては、今後検討してまいらなければならないむずかしい問題で、おっしゃるようないろいろな問題を含んでおることは私どもも承知しておりますが、ここでいま問題になっておりますことは、おっしゃるように給与を否認して賞与と見たものの金額の当否であるといたしますれば、それは事実の問題として適正な執行に期待するという以外ないのじゃないか、かように考えます。
  35. 平林剛

    平林委員 さっき私が質問をいたしました昭和四十年に改正された新しい法人税法三十五条の第一項、逆な形に表現をしたというのは、従来は、役員に対する賞与の額は各事業年度の所得の計算上損金の額に算入しないという原則はなかった。なかったのを書いたのは、商法が役員報酬については規定しておるが、賞与については規定をしていないから、役員賞与は利益処分であるとの解釈に基づいていまの説明のように改正していったわけであります。ところが、わが国の商慣習では、賞与とは何ぞや、賞与は報酬のあと払いである、こういうことから考えますと、私は三十五条の規定のしかたは誤りであると考えている。現にあなたの理屈からいえば、先ほど私があげたある甲という同族会社は、税務署がやったことが、更正処分したのが正しいということになるのだが、最近裁判所がそれをひっくり返して、取り消し処分を命じた。これはある弁護士さんが担当いたしまして、私と同じように、三十五条は憲法に違反しておる。そうして同じ所得に対して一〇〇%以上の課税をするということは、これは間違いである、一〇〇%以上の課税を認めるような法律は憲法に違反する、納税の義務と書いてあっても、納税をすることができないものを賦課するということは酷である、こういうことからその取り消しを命じたわけであります。私は理屈からいえば、一〇〇%以下であっても憲法に抵触すると考えられるそういうような法律は、たとえ先ほどあげた六五%、五五%でもやはり同様に無効であるという解釈は法律上は成立する。こういうことから考えて裁判所もこれをくつがえしたわけですよ。国税庁長官にきょうおいでになって聞いていただいているのはそのためなんであります。  私は、いままでの政府の説明どおりであるならば裁判所はかような決定はしない、こう考えるのでありますが、裁判所においてもこの理論は肯定をして、そうして処分の取り消しを命じておるということから考えますと、やはり問題がある。あなたもいま渡辺さんの質問に答えて、むろん検討しなければならぬと言ったけれども、やはりそういう意味で検討しなければならぬ。いかがですか。法三十五条について私がいまいろいろ提起をした角度から再検討する意思がございますか。
  36. 細見卓

    ○細見説明員 法人税の問題につきましては、いろいろむずかしい問題がございますが、何を経費と見るか、何を経費と見ないかということにつきましては、いろいろ会計学その他の原則等もございますので、そういうものから、あるいは商法の原則というようなものとの関係から私どもはこれは斉合しておると思います。先生御指摘の点につきまして、なお考えることがあるかどうかは検討いたしますが、私どもとしては、このものはすでに三十四年ごろから政令に入ってもおりますし、商法あるいは会計学の原則と矛盾しておらない、かように信じております。
  37. 平林剛

    平林委員 私は、三十五条は憲法違反の疑いがあるということを提起をしておるわけでありますから、重要視してほしいと思うのです。この主張は裁判所においても認められておるということになれば、矛盾はないと言って済ますわけにはいかない。政務次官いかがですか。
  38. 上村千一郎

    ○上村政府委員 平林先生のお話を承っておりましても、きわめてごもっともだと思いますのは、実は先生も御案内のように、この法人論というものにつきましては、法人擬制説というものは非常に古い観念でございまして、商法上の観念で、法律で擬制説をとっている法律理論というものはいまほとんどないのであります。あれ以来有機体説をとるのかあるいは組織体説をとるのか、いろいろな意見はありましても、法人実在説をとっていることは間違いないのであります。ところが税法上は、御案内のようにシャウプ勧告のときもございますが、大体法人とそれを組成しておりまする構成員などの所得につきまして二重課税にならぬように配慮したことは間違いございません。でございますので、純粋な法律理論と税法上の所得を中心として課税をするという観念の間におきましてはそごを来たしておることは、法律上間違いがないのであります。ところが、いま先生がおっしゃっております憲法違反であるかないかという問題につきましては、これはまたいろいろ論議があるだろうと思います。  それは、法人の中におきましても、先生の御案内のように、法人に対する学説が法人擬制説から実在説へ転化する過程におきましても、非常にいろいろな段階を経まして来ておる。ですから、いまの法人にしましても、たとえば税法上の所得を中心とした体制において、株式会社あるいは合資会社、あるいは合名会社、その他いろいろな段階において所得と税法上の考え方を別にするということは理論的にそぐわないとも必ずしもいえないと思うのでございます。しかし、同族会社につきましては、御案内のように、所得を中心としてまいりますればほとんど株式会社の形態をとっておりますけれども、その所得関係からいいますれば多少ニュアンスが違う、こう思うわけでありまして、そういうようなことを踏んまえまして、世界的な税制におきましても、同族会社というものにつきまして相当違った扱いをいたしておることは、先生御案内のとおりでございます。でございますが、いま先生が御指摘の点につきまして、なお裁判の判決その他をも勘案しまして検討するに十分値するものと思いますので、先生の御意見などをしんしゃくいたしまして、われわれのほうでも慎重にこれを考えていきたい、こう思っておるわけであります。
  39. 平林剛

    平林委員 ただいま副大臣、政務次官のお答え、私は適切だと考えております。やはり国としても、私は、本件のような二重課税の違法の非難を免れるためには、法人税法における根本理念を現在の法人擬制説の立場から法人実在説の立場に変更していくということが必要になってきておると考えておるわけでありまして、政府におきましてもその立場に変更しようとする考えがあるかどうかをお尋ねいたしまして、これは一応問題提起でありますから、いまのお答えで検討していただくということにしまして終わりたいと思います。実在説の立場に変更する考えがあるかどうかをお聞きしまして、この問題は打ち切りたいと思います。
  40. 上村千一郎

    ○上村政府委員 実は私も、多少税法の実務あるいは法律の実務に携わった人間でございますが、いま先生のおっしゃるとおりでございますが、割り切っていく際におきまして非常に割り切れない点がたくさん現在の状態にあるわけでございます。いわゆる法律学的におきましては、法人擬制説というのはほとんどいまとっておる国もなければ、主張しておる学者といったってほとんどないわけであります。そうすれば、法人実在説というものは、もうほとんどこれは常識的なものである。その常識が税法上の場合においては通用していないというところにございますが、しかし、税法はまた税法としての立場もございますし、それにおいてずっと組み立てられて税法ができておりますので、いまこの問題につきまして慎重に検討して考えていきたい。ひとつ答弁をこの程度にさしていただきたいと思います。真剣に考えていきたいと思っておるわけであります。
  41. 平林剛

    平林委員 とにかく私は、具体的な実例をあげて政府の考え方を聞きました。私が提起したのは、法人税法第三十五条の規定のしかたは、これは法のもとに平等であるということをきめた憲法第十四条にも違反する。それから納税の義務をきば一定の期間引き続き農業を維持するという者に対しては、特例として相続税についての軽減の措置をとる、しかし、もしその約束に反して土地を売るというときには、さかのぼって追加して取りますよというようなことでもいいから、そういう意味の相続税法の検討が必要ではないかということを考えるのであります。これは実務をやっているほうの人の御意見をちょっと聞かしておいてください。
  42. 細見卓

    ○細見説明員 おっしゃること、非常にむずかしい問題で、先ほども政務次官から申し上げましたように、評価と申しておりますのは、実は農地を農地として評価いたしておりまして、別に宅地として評価しているわけではないのでございますが、おっしゃるように土地の価格をどういう形で評価するか、つまり収益還元でいたすのか、あるいは売買実例でいたすのかというようなことにつながってくる問題だと思います。一方、売買実例でなくて、収益還元ですべての評価をいたすということになりますと、低収益の土地の利用としては、土地が足らないというような問題から、空閑地税だとかいろいろな議論も出ておるときでございますので、それらの点を総合的に各方面の御意見を承りながら、相続税の中に取り入れられるものが何かあるかということで考えていきたいと考えております。
  43. 平林剛

    平林委員 私の考えておりましたのにたいへんぴったりしたお答えがありましたから、これで私の質問をやめますが、国税庁長官、私はあなたにも実は現行相続税法の実情その他こまかいことをお聞きしょうと思ったのでありますが、予定の時間が参りましたから、せっかくおいでになりましたけれども、こまかい質問や実際のお話をお聞きいたしませんが、御了承いただきたいと思うのであります。しかし、私がいまお尋ねいたしましたことは、国税庁としてこれからいろいろ検討してもらわなければならぬ問題もございますので、ぜひ参考にして、意のあるところをくみ取った税務行政をやっていただきたいということを希望いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
  44. 田村元

  45. 只松祐治

    ○只松委員 先に大蔵関係のほうにお尋ねいたしますが、前の国会におきまして、ケネディラウンドをめぐる関税の適用につきましていろいろ論議をいたしました。そのときに私が各党を代表いたしまして、附帯決議を読み上げたわけでございます。時間がありませんから詳細は読み上げませんけれども、その中の一つに、対共産圏貿易、特にその中で中国貿易に対して差別をなくするように努力をしてもらいたい、こういう附帯決議がついておるわけです。政府関係者もそのように努力をいたします、こういうこととともに、質疑やいろいろな過程を通じて、そういう差別をできるだけ今秋までに撤廃をいたします、そういう努力をいたします、こういうことを大蔵省あるいは農林省の関係の方が当時、ことしの春、お答えになっておるわけです。そういうものの成果がいろいろ出てきております。皆さん方の御努力もわかるわけでございますが、その一つとして、対中国関税を四年間にわたって半分に引き下げる、こういうこともけさの読売等に出ております。あるいは、あとでお尋ねをいたしますが、中国産の食肉の輸入等の問題が前向きの姿勢で進められてきている。たいへんにけっこうなことだと思います。  ここで一つ、ほんとうは内容も聞きたいのですが、時間もありませんし、それから現在進捗しておる中でいろいろ微妙な問題も含んでおるようでございますから、詳しい質問はきょうは差し控えたいと思います。ただ、そういう状況の中から、どういうふうに今朝来の新聞に出ておりますような形で対共産圏貿易の問題が前向きで善処されておるか、あるいはその進捗状況でもけっこうでございますが、関係者からお答えをいただきたいと思います。
  46. 上林英男

    上林説明員 先生ただいま御指摘がございましたように、前国会で関税定率法の御審議の際に附帯決議が付せられたわけでございますが、その附帯決議の御趣旨に沿いまして、政府部内におきましてもいろいろ検討いたしまして、大体結論を得て、ただいま関税率審議会でいろいろと御審議を願っておる状況でございます。政府部内といたしましてまとまっておりますところは、いまの附帯決議の御趣旨に沿いまして、また先般の国会の答弁でも明らかにいたしましたように、国内産業に競合のないものにつきましては、できる限りその格差を解消いたしまして、御趣旨のような点に十分沿うつもりで努力をいたしておるのでございます。
  47. 只松祐治

    ○只松委員 全体としてはそういうことだと思うが、何か大きなネックになるような問題がまだ残っておるかおらないか。この前も生糸関係が一番問題だろうというような話があったわけです。そういうことも含んでおるかどうか、今年度内に大体そういう見通しがつくのかどうか、こういうことだけお答えをいただきたい。
  48. 上林英男

    上林説明員 生糸の問題につきましては、なかなかむずかしい問題もございますので、ただいま検討を一生懸命いたしております。率直に申し上げますと、まだ結論が出ておりません。その他の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、極力そういう附帯決議の御趣旨に従いまして勉強をし、努力もいたしましたわけでございます。  まだ品目数その他につきましては、なお詰めましたところで申し上げざるを得ないわけでございますが、大ざっぱなところを申し上げますと、たとえば四十一年、四十二年で中共から輸入の実績がありました品目につきまして申し上げますと、品目数及び輸入金額、両方から申しましても、大体目下のところ九四、五%程度のものは税率の格差が解消されるという結果になるであろうと思っております。なお、今後も残りました品目、たとえば生糸につきましては、十分いろいろと研究してまいりたいと思います。
  49. 只松祐治

    ○只松委員 その方法ですが、ことし一年で、暫定的に一年ごとにやっていくとか、あるいは恒久的な——どういう手続で引き下げられていくお考えですか。
  50. 上林英男

    上林説明員 やり方といたしましては、ただいま申しましたように、格差のある品目につきまして支障のないものはできるだけ全部格差を解消してまいる。しかも、その結論を得ましたものは次の通常国会に御審議願いたいと思っております。  なお、具体的なやり方を申しますと、御存じのように、ケネディラウンドの関税率の引き下げは、五年間にわたりまして、例外もございますが、順次原則として半分にしていくわけでございますが、それに合わせまして、同じような税率の引き下げを行なっていく、こういうつもりでございます。
  51. 只松祐治

    ○只松委員 ひとつぜひ一そうの御努力をお願いいたしまして、一般的な質問を終わりたいと思います。  それから、そういう中で中国産の牛肉、食肉の輸入問題がいろいろ問題になってきております。これも時間がありませんから、一般的な問題は申し上げられませんけれども、とにかくいまの異常な物価高、わけても食料品の高物価ということは、これはいろんな統計で東京は世界一だというようなことも指摘されてきておる。午後から宇佐美さんでもおいでになれば、私もいろいろ聞きたいと思いますが、こういう高物価は単なる物価高ではなくて、すでに私はインフレーションといってもいいんじゃないかとさえ思っている。できるだけそういう食料品の値上げを阻止する、あるいは引き下げるというような観点や、明年の貿易を見通したり、いろんなことを考えましても、この中国産の牛肉の輸入というのは時宜を得たものといいますか、たいへんにけっこうなことだと思います。ところが、実際上はなかなかそう簡単には進んでおらないし、進む方向にもないようでございます。この概況について農林省のほうからも、特に問題になり隘路となっているのは口蹄疫の問題というふうにいわれております。そういう問題についてひとつお話をしていただきたい。
  52. 太田康二

    太田政府委員 先生が御指摘のとおり、中国につきましての食肉輸入の問題に関しましては、口蹄疫の問題が実は大きな問題になっておるわけでございまして、実は農林省といたしましても、従来三回調査をいたしたのでございまして、その調査の結果の報告もあるわけでございます。一番最終の調査がたしか四十一年の三月ごろ行なわれたかと思いますが、その調査報告等をもとにいたしまして、一昨年の秋にわが国の家畜衛生専門家の参集を求めまして、これまでの調査結果につきまして検討を加えたのでございますが、その検討を加えた結果、大方の意見といたしまして、なお特に口蹄疫に関しまして、その疫学的特性からして、わが国家畜に対する安全性が必ずしも十分に確証されていないという結論が得られたのでございます。  そこで、私のほうの農林省といたしましては、口蹄疫に関して必ずしも十分に明らかにされていない五つの項目、いわゆる五項目といっておるのですが、過去における口蹄疫の発生状況と実害、あるいはいままで中国で行なわれました口蹄疫の撲滅の方法の具体的経過、それから口蹄疫ワクチンの性状とか種類とか製造方法、使用目的等、第四番目に口蹄疫の診断の方法・第五番目にその他最近におきます不明疾病の発生の有無とその状況、以上の五項目に関しての資料の提供をぜひお願いしたい。こういった資料の提供を受けることが、本問題につきましてより専門的検討を行なうために必要であるという立場をとり続けてきたのでございますが、残念ながら今日までその五項目についての回答をいただいていない。したがって、現段階におきましては、やはり口蹄疫に関しては、これは先生も御承知のとおり、たいへんおそろしい病気でございますし、わが国は口蹄疫の清浄国で処女地でございますので、もし輸入した場合にそういったことになりますと、たいへんなことになりますので、ぜひこれの回答を得たいという態度を従来続けてきたのでございます。
  53. 只松祐治

    ○只松委員 回答というのはどういう形でおとりになっておるのですか。政府が政府に対して求められているのですか。どういうことですか。
  54. 太田康二

    太田政府委員 その点につきましては、実は正式の政府間の交渉ということはないわけでございますので、従来はLTの関係を通じてお願いをしている、こういう実情でございます。
  55. 只松祐治

    ○只松委員 申すまでもなく、日本は中国と国交回復しておりません。したがって、政府が政府に対してそういうことを求めるということは、およそ不可能なことですね。だから、回答を求めておるとか求めていないとか農林省が言ってみたって、いわば正式の論議にはならないと思うのです。LT貿易の関係を通じてなり、あるいは日中往来をしておるいろいろな形を通じて、非公式にといいますか、半公式かもしれませんが、非公式に結局便宜を供与してもらうというか、そういうこと以外にはない。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 そのかわりに、魚心あれば水心だというような形でとる以外にはないんじゃないですか。だから、ほんとうにこれが政府対政府の関係でやろうとするならば、もっと別な角度から日中国交回復がなされなければならぬ。これを食肉問題にからませてもできないことは百もわかっておる。本質的にもう少し私はとり方があるだろうと思う。方法それからその内容について、国交回復をしておらない中国に対して、こちらとしてはそれほど不可能じゃないという前提に立って、その内容が妥当だということでしょう。向こう側にしてみれば、国交回復をしておらない国が、かってに一方的にそんなことを言ってくるのはけしからぬじゃないか、ある程度の調査結果でも向こうは民間でなくて政府が出すわけですから、政府が出しても、日本側でこれにけちをつけたり、要するにけ飛ばされて因縁をつけられたのでは割りが合わない。中国はメンツを重んずる国家ですから、こういう程度のものを出したりなんかすればオーケーが出る、こういう前提、あるいは見通しでも立たないことには、そう簡単にこっちが出してくれと言ったって出すものじゃないだろうと思う。したがって、ある面からいえば、初めからできないことの相談で、輸入すると形だけは前向きの姿勢をしながら、農林省は入れる腹がなくて、そういう無理難題を言って、実質上そういうことでとめようとしておる、こういうことを言っておる人がある。事実たとえば一九五六年、六五年、六六年と、高松さん、大石さん、田中さんたちがそれぞれ調査においでになっておる。そういう中で大体のことはわかっておるわけですね。いわばないということがわかっておる。あるいは中国方面だけではなくて、アルゼンチンの食肉の輸入なり、あるいはフランスから輸入しておることになり、いろいろなことと関連して、中国だけ——あるいは牛肉だけじゃない、アメリカ産のブロイラーの日本国内に対する輸入、こういうものと比較すれば、そんなに中国の牛肉だけ口蹄疫がおそろしいとはいっても、問い詰めて回答まで求める必要があるのか。こういういわゆるほかとの相対関係を見てくる場合に問題にされてくる。  私は、時間があればそういう諸外国の輸入状況、あるいは食肉やなまものの輸入状況等例をあげて、じゃ、なぜこういう問題をもう少しきびしくしないんだ、アメリカの鶏の輸入によって、日本にもいろいろな問題が持ち込まれておる。こういう問題はそれほど強い規制もしていないし、その後起こってもそれほど注意もしていない。こういう問題があるわけです。きょうはあとの本会議の時間が控えておりますので、そういう皆さん方の意見を反論しながら質問することができないのはたいへん残念です。ただ、そういう見方もしたがってある。だから、ほんとうに前向きの姿勢でこれを輸入しようとするならば、あまりそういう四角四面といいますか、いやがらせみたいなことをしないで、もっと私は具体的に問題に取り組み、進めたほうがいいのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  そういう段階になりますと、これは畜産局長の問題を離れて、大臣なり政務次官の問題になるかと思いますが、さっきから言っているように前提となるべきいろいろな論議を私は省いておりますから、そういうことを省いて結論だけということになると、たいへん恐縮でございますけれども、農林当局はどういうふうにお考えですか。
  56. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 中共貿易につきまして、できるだけ正常化していく、そして前向きにこれを進めていくのだという態度を、これはもう私ども農林省としても協力を申し上げていかなければならないと思います。そういう考え方でございまして、口蹄疫に関連するいろいろな要望を、いま局長が現状を申し上げ、この五つの項目についての不安、科学的なデータ、こういうものをお願いしたいということを申し上げたのも、決して政治的な背景なりあるいは考慮があって言っているわけじゃありませんで、全く純粋に家畜衛生の技術的、科学的な見地から検討をしていることでございます。この点は誤解しないでいただきたいと思うわけであります。  わが国の食用肉、牛肉は不足であるから生産も大いに伸ばしていかなければならない。また、先生のおっしゃるように、物価問題の点から考えましても、いいものは入れていくということについては、私どもも決して反対をするわけじゃないのでございます。ただ一方において、食用牛の生産者が口蹄疫についての非常な心配と不安を持っていることは事実でございます。この点は、大臣や私どもが政治家としてもう決断をしていいじゃないかというようなわけにはなかなかまいらない。ことに清浄国でございますから、私どもは、入ってきた牛の中に、あるいは肉の中に口蹄疫が発生したかどうか、実は検査さえできないという現状で、そういう疑問が起きますと、わざわざイギリスまで送って、イギリスのほうでそれを検定してもらいまして、その回答を得て直ちに防疫体制をしいていかなければならない。いままでそうした清浄国でございますので、そういう検査もできない。しかもこれを撲滅しようといいましても、今度は私どものほうの体制がいままでは全然とられていないわけでございます。そういうような意味で、非常に技術的にそういう面を心配される専門家の意見というものは慎重に耳を傾けていかなければならないわけでございます。  しかしながら同時に、一方において先生がおっしゃるように、この問題を何とかひとつ前向きに解決をしていかなければ中共貿易の正常化といいますか、伸展をはかることはなかなか容易でないということはよくわかるわけでございます。したがって、実は私、新しい大臣がおいでになりましてからこの問題につきまして——いま局長が申し上げました五項目、こういうことにあまりこだわっておっても、これは先生がおっしゃるように、その国の、ことにワクチンの問題等、あるいはいままでの過去の発生状況、それの撲滅方法等についての詳しいデータということになりますと、中共側のいろいろな事情もあろうかと思います。そういうような点で、この五項目にかわるような方法を何とかひとつ考えられないものか、有効適切な措置というものをもっと検討してみたらどうか、そして何とかこの問題の打開をはかりたいという非常に前向きな姿勢で従来まで来ました。この五項目についてのデータ、回答がはっきりしなければだめだというような考え方と態度から一歩も二歩も前進しようということで、いませっかく検討をしているという状況でございますので、私ども先生のおっしゃるような気持ちでこの問題の打開を何とかはかりたい、こういうことでいま苦慮しているというのが現状でございます。
  57. 只松祐治

    ○只松委員 時間がありませんからこまかく言いませんが、一九五六年当時は、中国に口蹄疫があったといわれている。そのときでも輸入の仮契約がなされているのですね。その後六六年に行ったときはもうない。そのときは坂田農相がやっぱり許可しているわけです。日本の政府の扱い方でもそういうふうに必ずしも一貫はしておらない。それからアルゼンチンから輸入しておる口蹄疫がある牛に対して、七十度で一分間ぐらい肉の中心に達する煮沸をしようといっているけれども、実際にはそれは行なわれていないということですね。あなたのほうは行なわれていないと言うとたいへんなことになるだろうから、やっていると言うでしょうが、業者にすれば行なわれていないと言う。それからフランスも口蹄疫がある。したがって、アメリカはフランスの牛を輸入しない。ところが、日本はフランスから輸入している。したがって、アメリカはフランスの牛を輸入する場合には、一ぺん日本を通して輸入をする。こういうふうに国によっても多少扱い方が違ってきておる。いわば五項目というものに必ずしもとらわれないというお話でございましたから、事務当局はおそらくそういうものにとらわれてといいますかこだわって、この回答がなければなかなか進めぬ、こういうことはしないと思うのです。  しかし、こういうふうにそのときの農林大臣、わが国でもそうです、あるいは諸外国でも口蹄疫に対する認識のしかた、取り扱い方というものは必ずしも一致しておらないのですよ。必ずしも五項目がぴしっとこなければわれわれのほうでは一歩も前進しないということであってはならないと思う。これが入ってくれば安いということもありますけれども、大体最低百五十円くらいしているのが四十円そこそこで売られるだろう、こういうことさえいわれている。若干それはありましても、市価の半値以下の肉が出回る。当然に日本の食肉業界からの反対陳情やなんかあることは予想されます。事実私のところへ来ております。にもかかわらず、やはり日中関係の問題、それからわが国の明年度の貿易の伸展のぐあい、一部に警戒型といわれておりますように懸念されておる。あるいはいま私が言うような高物価の中における消費者物価の問題、いろいろ考えてもやはりこの程度のことぐらいはひとつやったっていいじゃないか。小沢さんなんか進歩的な人なのですから、少なくとも小沢さんが農林省におられる間にこういう問題の結論を出して、一つや二つぐらい実績を残す。長谷川さんも農林大臣になりましたが、ほんとうはきょう大臣にも来てもらえばよかった。だから、あまり技術的なこまかいことだけではなくて、前の坂田さんでも一ぺん許可したようなこういう問題を、そう大騒ぎしないで許可をして、前向きの姿勢で、ぜひ早急に問題を解決してもらいたいということをお願いいたまして、きょうは私の質問を終わりたいと思います。  重ねて次官の御答弁をお願いしたいと思います。
  58. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 先生おっしゃるように、そういうふうに私どもも同じ気持ちで、この問題をひとつ前向きに善処したいと思います。
  59. 毛利松平

  60. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 只松委員の質問に関連しまして、日工展の問題について御質問したいと思うのです。  中国の食肉の輸入の問題については先ほどのとおりですが、確かにずいぶん長い間の懸案で、私どもは、さぼっているんじゃないか、故意にいろんなことを考えているんじゃないかというくらいまで突き詰めているわけですが、日中貿易についてはもっと否定的もしくは妨害しているというような節が見られるのが日工展の問題なんです。  けさの読売新聞にも出ているけれども、「通産省は、来春、北京と上海で開く日本工業展覧会の出品物審査をしているが、出展品目七千点のうち一割の七百点がココムの禁輸規定とからんで精密審査をする必要が生じたため、二十一日から日工展事務局から補足説明をうけることになった。」ということで日延べになっているのですね。そうすると、日工展の日は非常に迫ってくる。十二月中旬に申請したものはおろしてもらいたいというところに対して、審査の内容なんですが、たとえば電子工業課というのがそちらにありますが、五十一社で四百五十件の呼び出しをかけて、こういう内容だというのですね。いろいろ例が一ぱいありますが、たとえば金属顕微鏡の試料をハンダづけする付属溶接器に対して、電気ごてですが、「構造図を出してください。」「ハンダごてに毛がはえたようなものですよ。」と答えると、「それから溶接器のトーチの写真を提出して下さい。」それからたとえばいろいろのペンキの材料、材質、それからブラウン管でも「十年前に買ったブラウン管ですよ。」「カタログを提出して下さい。」「カタログは十年前のだからありません。」「どこのメーカーのですか。」「M社のです。」と言うと「ああ、そこなら十年前のカタログがあるはずですから、もらってきて下さい。」ということで、ペンキの材質からその他まで根掘り葉掘りやられるんで、結局日工展の事務がストップしてしまう、麻痺状態になっているのですが、こういう調べ方は前のプラハとかその他の見本市、それからその前の状況と全然違うのです。なぜこんなにきびしくやるのか、だれがそれを指示してこういうふうになったのか、お聞きしたいと思います。
  61. 原田明

    ○原田説明員 最初に、広沢先生の御質問に対しまして、私ども日工展というものについてどういう考え方を持っているかということを申し上げたいと思います。  私どもは、中国との貿易もできる限り拡大の方向に持っていきたいという精神を持っておりますことは従来と変わりがございません。特に日工展につきましても、展覧会を開きます以上は、これが成功裏に実施されるという非常に強い希望を持っております。したがいまして、その出品物に対します審査につきましても、これをことさらに厳密にいたしましておそくするというような考えは毛頭ございませんで、むしろいままでに比べて点数が非常に多いわけでございますけれども、それにほとんどかかりきりといっていいぐらいにこれを促進いたしますために、いままでと比べまして急いで審査をしているというような状態でございまして、決して出品がおくれることがないようにということで目下進めておるところでございます。  いままでたびたび先生から御指摘のございましたような、審査がいままでよりどうもきびし過ぎるではないかという御批判をいただきましたので、私どももそういう状況があるかどうか調べてみたわけでございます。ただ、いままでのところ、従来は審査に際しまして、カタログでございますとか、先ほど先生お話しのございましたようないろいろな資料というものがあらかじめ申請書に添付されまして御提出をいただいていた分が大部分であったと聞いておりますが、今回は、申請者の側におきましても大急ぎでやったせいもございましょうか、そういうものがほとんどついていないものが大部分でございました。したがいまして、申請書に記載されている品目だけを拝見したのでは中身がよくわからないということで、そういう中身がはっきりいたしますということの必要のために、原局の担当の者がお聞きしておるという段階でございます。  ただいま先生が御指摘になりましたような問題につきましては、私、技術的によく存じませんので、さっそく帰りましてどういう状況になっておるか調べてみたいとは存じますが、再三、必要な範囲の資料をなるべく早く御提出をいただきまして、展覧会の出品がおくれることがないようにするようにという注意は与えておる次第でございます。
  62. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 展覧会の出品をおくらせるようなことはない、時期は間に合わせる。これは当然のことで、その点については私は非常に期待しますし、さっそく帰って調べていただきたいのです。  いろいろと材料はあるのです。三時間待たせたあとで、「なんだ、このメーカーはきくものないね、ああ、あった、あった。」「この変圧器はなんですか。」「トランスです。」「いやいや、材質は何ですか。」「鉄芯にコイルを巻いただけです。」こういう問答を繰り返しているのです。ペンキの材質まで調べて、何かこれが戦略物資と言うのです。  これはもう御承知だと思いますが、決算委員会田中武夫委員が質問した。それから大蔵委員会で前に阿部委員が質問をしましたから御承知だと思います。このココムというのは、もう一回繰り返しますと、簡単にいいますと、協定の調印はしていないのですね。会議の申し合わせぐらいのもので、法律上これは問題になったのですが、法律上も根拠がないのです。そうすると、通産省の行政措置でこのように重大なこと、どこからどこまで幅があるのか、戦略物資だといっても、ペンキの材質から何からみんな出さして、ハンダづけまで、十年前のものまでいろいろとやって、さんざっぱら引っぱり回して、とうとう事務機構が麻痺してしまった。こういう状態に対しまして、何でこういうことをやらなければならぬのかというのを、私、一番初め聞いた。だれが指示しているのか。前よりきびしくやれという指示は一つもないですね。それをお伺いします。
  63. 原田明

    ○原田説明員 前よりきびしくやれとかゆるくやれというような指示は一切ございません。
  64. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうしますと、法的根拠もないことなんです。ただ単なる通産省の行政でやっていて、しかもこの前阿部委員が質問したときに、さんざっぱら質問したら、答えが出ないんですよ。田村委員長が、あまり下ばかり責めてもしようがないじゃないか、実際やっている人を責めてもしようがないじゃないか、大きな上を考えなければしようがないと言うのですが、実際法的根拠もない、だれの指示もない。それを今度行政当局だけが、こういう根掘り葉掘り、吉良上野介みたいですね。     〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕  それでは、もう日工展はやめてしまう、与党の非常に熱心な方で橋渡している人までかんかんになっておるような状況をつくるというのは、上の責任じゃないですね。日中貿易はいま断絶しそうなんです。御承知のとおりですよ、もうこの日工展とその他の問題で。LT貿易もだめになれば、期限切れになれば、断絶するのですよ。日中貿易の断絶の責任は通産省の電子工業課とかその他が負いますか。責任を負いますか。
  65. 原田明

    ○原田説明員 たいへん手きびしいおしかりを受けて、たいへん恐縮しておる次第でございますが、私ども通産省におきまして審査をいたしておりますのは、法的根拠があるわけでございます。それは、外国為替及び外国貿易管理法に基づきまして、この審査の手続を、通常の輸出承認手続として実施させていただいているわけでございます。その意味で、この日工展を故意におくらせるとかあるいは故意にむずかしくするというような意図を全然持ってやっているわけではございませんで、法に基づきましての通常の輸出承認手続としまして、しかも今回は品目も多うございますので、かかりきりに近い状態で、急いで間に合うようにということで、一生懸命にやっているというのがいまの実情でございます。
  66. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 これは、法的根拠があるかどうかということを決算委員会田中さんがさんざつばらやったわけで、私たちはないと思うのですよ。ごらんなさい、四十八条、ことに第二項ですよ。「前項の政令による制限は、国際収支の均衡の維持」——日中貿易を盛んにすることですよ。「並びに外国貿易及び国民経済の健全な発展に必要な範囲をこえてはならない。」そうすると、なぜココムが——法的根拠でいろいろこんなにまで商社が責め立てられて、十年前のものまで持ち出され、心電図——健康ですよ、脳波の計算の測定器までいちゃもんつけられていじめられているのですが、これはなぜなんですか。あとのいろいろな答弁で、たとえば唯一の水田大蔵大臣の答弁は、自由国家その他の国に影響があると言うのですが、何ですか。西ドイツだってフランスだって、ココムを吹っ飛ばして堂々とやっているじゃないですか。機械は一番伸びているのですよ。中国貿易の中で機械はよその国で伸びていて、日本はずっと萎縮している、御存じでしょう。戦略物資というものは自由自在に解釈しようがあるし、各国とも事実上吹っ飛ばしてやっているのです。材料は一ぱいありますよ、フランスでもどこでも。そうしますと、この条項であまりてまえがってな解釈でやるということは、どういうことでしょうか。答えられますか。
  67. 原田明

    ○原田説明員 外国為替及び外国貿易管理法第四十八条第二項の規定に基づきまして、先生御指摘のとおり、「外国貿易及び国民経済の健全な発展」という観点から審査をするわけでございますが、この場合に、政府といたしましては、従来引き続きましてずっと、自由主義諸国との協調をはかるということが、この「外国貿易及び国民経済の健全な発展」につながるという立場から実施をしているわけでございます。先生御指摘の、非常につまらない質問をしているというように聞こえるわけでございます。先般も、某新聞紙上で、入れものについているペンキの中身を聞いておるというような、くだらぬことを質問をしているというような報道がございました。私もさっそく調べてみたわけでありますが、どうも事実はそうではございませんで、入れものに塗ってある塗料ではございませんで、塗料自体を輸出をしたいという項目があるわけでございまして、発光塗料の場合、トリチウム混合物というようなものが入っておりますと、これは戦略性が非常に高いものであるということが技術界においてはもう常識になっていまして、それがあるかどうかということを御質問をしたという状況だそうであります。ほかにも、いろいろ、御質問をする側の技術的な見解と、質問をさせる側の方の技術的見解とがマッチしないで、お持ちになる方が、何のために聞くかよくわからないという問題があったりしまして、そのためにどうも非常につまらないことを聞いているではないかという印象を与えているのではないかと思いまして、私どもも、審査に当たります担当官に、そういう印象を与えないように、よく御説明をして御理解を得て、御協力をいただくように申しておる次第でございます。
  68. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 前向きな御答弁ですから、あんまり時間もないから追及しませんが、実際は、一回現場を見てください。これからずっとやるのだから。  とにかく「ハンダごて、それから溶接器のトーチの写真を提出してください。」「なぜ写真を提出するのですか、どこに持っていくのですか。」ノーコメント、通産省は黙っているのです。だから、一ぱい材料はあるのですよ。大体心電図のあれなんか、私行ったけれども、中国で医療機械なんてじゃんじゃん発達しているのですよ。もちろん向こうはミサイルだって出そうというのです。そのときに、このペンキは戦略物資だどうだと言っていれば、どんどんおくれていきます。イギリスはもうバイカウントをそっくりそのまま、どんどん輸出しているのです。だから、こんな戦略物資ということで、しかつめらしく、法的根拠もない——法的根拠というのは、法律の附則でちゃんと、これこれの品目は戦略物資なんて書いてないのだから、そんなばかげたことないですよ。これはばかげたことであるということを意識しなければだめですよ。答えられなくてもいいですよ。これは通産大臣にもどんどん言います。ばかげているのです。全く時代おくれなんです。  だから、こういう問題で、それをしゃくし定木にさらに強めていって、外務省かどこからか命令されているのかわからないけれども、こんなことをやっていたら、日本の国の独自性、日本の国の貿易の発展、四十八条そのままの発展はないですよ。それを考えて、もっと後藤新平みたいな腹の太さを行政当局は持ってやらなければ、椎名さんのほうがずっと前向きな答弁をしているじゃないですか。この前、田村委員長から言われて阿部さんはやめたのですが、気の毒だと言うのですけれども、吉良上野介が公務員の中にいるということで、追及せざるを得ない。  それで、きょうの新聞では、ずいぶん審査の日が延びているのですよ、じりじりしておりますよ。何も好きこのんで中国へ行って苦労するあれじゃないですよ。日本と中国の間の貿易というのは、たいへんな今後——おわかりだと思うのです。おっしゃったとおりですね。アメリカとは重化学工業で保護貿易やなんかあるわけだから、今後長い目で見れば、中国にプラント輸出したり、それから医療機械とかそれからいろんな問題について、そんなもの調べる必要はないですよ。だから、その点前向きに日にちを早めて、どうしてもこれを成立させる。それでなければずいぶん苦労された宇都宮さんとか、あんなに苦労した人に気の毒ですよ。そういう点で前向きの答弁をひとつお願いします。
  69. 原田明

    ○原田説明員 実は展覧会の御当局の首脳部の方々からも、この展覧会が成功裏に実施されるということがないと非常に困る、そのためにおくれては困るので、審査を急いでくれというような重なる要望もたびたびいただいております。したがいまして、私ども、その御要望もっともでもございますので、あくまで不必要な審査をするとか、いままでより非常にきびしくするというような考えでいるわけではございませんので、必要の範囲に限りまして、かつまた、必要な範囲で審査をいたします際にも、いかにも不要なことを聞いているのではないかというような印象を与えるようなことがないようにという要望を、実はけさも、私のところでやっているわけではございませんので、原局の方々に申し伝えてお願いをいたした次第でございます。  また、西洋は全然ルーズにかってなことをしていて、日本だけやっているというようなことはまことに日本としては困るわけでございます。その点は厳重に双方監視し合っております。西洋並みといいますか、協調の線に従いまして、いままでと同じようにルーズにもしない、しかしきつくもしない、法の範囲におきまして許されております審査をできるだけスムーズに進めまして、日工展が成功裏にいくようにしたいと考えております。
  70. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それでは、私は、今後の審査のやり方、今後そういうことがあったら、正直いってどなり込むし、もう一回当事者を呼び出しましてとことんまで対決させますから。  それから、確かにおっしゃるとおり、ヨーロッパと相互に監視するのは——まあ、あまり監視しなくていい。アメリカさんのほうが問題だから、沸騰点に達するまで少しおこらせるくらいにやって、そうして沸騰点に達したら、おまえさんは自動車の保護貿易をやめろというようなことをやればずっとうまくいきますよ。対米貿易交渉だってうまくいきますよ。おどかす材料がなくて対米交渉をうまくもみ手でもってやってもだめですよ。ですから、少しおどかすくらいの腹をもってやるということをお願いしたいのです。  国立病院と特会制の問題をちょっと簡単にお聞きします。  この前の特会制移行に際して、私たちは国会で附帯決議を決議しました。この附帯決議には非常にいいことが書いてあるのですが、「独立採算制をとらないこと。」これは社会保障ですからあたりまえですね。現在この特会制でもって国立病院の勘定と国立療養所の勘定で、たとえば約三百名の定員が前年度より減っているという事実は御存じですか。
  71. 船後正道

    ○船後政府委員 定員関係の資料、ただいま手元にございませんので、記憶に従って申し上げますが、国立療養所は結核、それから精神、あるいは重症心身、いろいろな仕事をしておるわけでございますが、全体といたしましては、四十三年度の定員は、四十二年度に比較いたしまして減少をしてはおりません。
  72. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 この三百名減っているという状況をあとでお調べになっていただきたいと思うのです。その中で結核患者は多少減りました。ところが、重症心身障害者、これは園田さんがお約束になって、筋萎縮症、それから脳卒中、心臓ぜんそくなど、ずいぶん患者の収容がむしろ多くなってきている。そういうために非常にいろいろな事故が起きてきております。脳卒中の事故なんか相当ありますが、この原因はやはり独立採算制をとらないと言いながら、会計が相当苦しい思いをしている。それですから、いまいろいろと予算要求をしているのですね。これは参議院のほうで明らかになっているのは御承知だと思います。四十四年度の要求額が、国立療養所勘定では五〇・二五%要求をしていると思うのです。それから国立病院の勘定では一三・一九%くらいを要求しているのです。これはやはり繰り入れるというお考えですか。まだ十分に答えられないとしても、一般原則としてやはり繰り入れをするというお考えでしょう。
  73. 船後正道

    ○船後政府委員 先ほどの定員三百名の資料がございましたのでお答え申し上げますが、御指摘のとおり、国立療養所全体といたしましては四十三年度二百九十九名の減になっております。ところが、これは実を申しますと形式的な数字でございまして、今年度療養所から国立病院へ転換をしたものがございます。これが四百五十一ございますので、この要素を差し引きますと、差し引き約百五十名程度の増になります。この点申し上げておきます。  それから、ただいま御質問の療養所勘定に対する一般会計の繰り入れの方針でございますが、この点につきましては、この春の国会で当委員会におきましても御質問に対しまして大臣をはじめ私どもも御答弁申し上げておるのでございますが、療養所につきましてはその特殊性から、いわゆる独立採算制はとれないし、とれるものではない。この場合の独立採算制と申しますのは、やはり常識的には収入の限度内でしか支出しない、こういうことだろうと思います。そういうような経理のやり方はとうてい療養所ではできるものではございません。そこで、療養所に対する一般会計の繰り入れの方針といたしましては、その際も、療養所の適正な経営から生じた収支差額につきましては、これを一般会計から繰り入れるということを申し上げた次第でございます。  四十四年度におきまして、この繰り入れがどういうことになるか、これは、一方におきましては療養所の適正な経営のために必要な歳出がどの程度要るかということと、一方は療養所には診療収入をはじめとする自己財源があるわけでございますから、これがどの程度見込み得るかという二つの要素から、おのずから一般会計の繰り入れ額がきまってくるということに相なるわけでございまして、ただいまから、昨年度の四九%に比較いたしましてその率がどの程度になるか、申し上げるわけにいかないし、また見当もつかないのでございますけれども、いずれにいたしましても、療養所の経営に支障を来たさないようにわれわれは一般会計繰り入れを考えていきたい、かように考えております。
  74. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 確かに額は参議院でもちょっとお答えできなかったと思いますが、いま看護婦さんが不足している。それで脳卒中の事故が起きるわけですね。それで増員を要求しています。それから夜勤が非常にひどくなっているから夜勤をやるのはいやだから看護婦さんにならないという人もずいぶんいるので、これは厚生省で大きな問題になっていますが、どのくらいの増員計画か御承知でございましょうか。——それじゃいいですよ。第一年度七百名の要求をしているのです。常識的に考えまして、全国で看護婦さんが不足している。それから非常にひどい勤務で、夜勤等々を考えた場合には、七百名ぐらいは国立療養所や病院でもって必要ではないかと思うのですが、それもなかなかお答えになれないと思いますが、その点ひとつ十分配慮していただきたいと思います。  時間がないから、もう一つの問題は、新聞で拝見していますと、大蔵省は国有財産を今後あまり払い下げない方針だということが出ておりますね。私はそのとおりだと思うのです。いま土地がどんどん上がっているときだから国有財産はなるべく払い下げないで、そこにいろいろの公共施設を建てるとか、住宅を建てる方向へ持っていくべきだと思うのですが、大体そういう方向でございますか。
  75. 船後正道

    ○船後政府委員 第一点の着護婦等をはじめとする病院、療養所の増員の問題でございます。私、要求数字はただいま手元に資料がございませんのでつまびらかにしておりませんが、かなりの増員要求がございます。この点につきましては、国家公務員全体を通ずる一つの定員のものの考え方というものが背後にあるわけでございまして、私ども必要な分野にはできるだけ増員を配慮する。しかし、経済社会情勢の推移に伴いまして、不必要とは申しませんけれども、緊要でなくなった分野もございますし、他方行政事務等におきましては、簡素化等によりましてさらに人員の節減の可能性のある分野もあるわけでございますから、これらの定員要求につきましては、省の中であるいは政府全体として適正な配置転換をはかっていくという方向でもって対処していきたいと考えております。  それから、第二点の国有財産の売り払いでございますが、これは理財局が所管いたしておりますので一般方針は私つまびらかにいたしておりませんけれども、ただ病院特会におきます国有地の問題は、これは施設の近代化、集約化に伴いましておのずから余剰の土地が生じてくる。この余剰の土地につきましては、これを地元のいろいろな発展計画あるいは公用公共的な目的のために非常な要望のあるところもあるわけでございますので、こういった方面にこれを転用しながら、また他方では特別会計の財源を出していくという方向でもって進むのが最も合理的ではないかと考えております。
  76. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それでは最後に念を押しておきますが、この前の院の附帯決議で、「土地処分については、国立療養所の運営及び患者の療養に支障を生じないよう配慮するとともに、処分に当っては、公共の福祉に貢献する用途への転用を優先し、住宅、学校、社会福祉施設等に対し、特別の配慮を行なうこと。」となっておるのです。今度四十四年度も、これは大蔵省の圧力で計上したものではないと厚生省は参議院のほうで御答弁なすっていますが、十五億円ですね。たいへんです、相当の額です。十五億円土地を売り払うというのです。それをやっていかないと整備計画がうまくいかないのではないかという気持ちがあると思うのですが、独立採算制とか、整備計画も自分でやれ自分でやれということで追い詰めると、これは営利事業でないからやはり土地を手放さなければならない。この土地は、たとえば看護婦さんが不足だから共同の住宅を建てるとかして、そしてそれに収容する。そこへ託児所なんかを建てれば、いま資格のある人は一ぱいいますから、夜勤でもやれるというので看護婦さんが来ると思うのです。そういう創意くふうをされるべきではないか。したがって、国立療養所の土地の処分の問題については、十分な施策といい指導をしていただきたい。  以上で終わります。
  77. 田村元

    田村委員長 午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  78. 田村元

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  なお、参考人として日本銀行総裁宇佐美洵君が御出席になっております。  佐藤觀次郎君。
  79. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 久々に宇佐美総裁が来られまして、いろいろ尋ねたいことがたくさんございますが、よんどころない事情があるそうでありますから、時間の許す限りの質問をしたいと思います。  宇佐美さんは総裁になられてすでに満四年になられるそうでありますが、その間、非常に不安な金融界も大体順調に暮れまして、特に日銀の窓口規制がうまくいっておるということも、この点では宇佐美さんの力だと思うのであります。私は特にこの十年間、大蔵委員会で日銀の総裁といろいろ懇談をしたり質問をしておるのですが、山際さんはこの委員会に非常に長くおられますが、宇佐美さんは残念ながら時間がないのでつい一時間とか二時間くらい、実は日本銀行総裁という仕事は大蔵大臣以上の仕事をやっておられるので、ひとつあまり国会をきらわずにちょいちょい顔を出していただきたいということをお願いしたいと思います。  それからもう一つ、これは佐々木副総裁にも言ったんでありますが、日銀の人は優秀な人が入っておられますが、たとえば大蔵省の人が大蔵省の外部へ出られてもなかなか活躍されておるのにかかわらず、どうも日銀の人はそういうことが非常に少ない。私は日銀びいきでありますけれども、それはどうも世の中の世事にうといからじゃないかということと同時に、地方の日銀支店長といえば地方の県知事以上の権限も一あるし、非常な待遇をされておるので、どうも少し温室におるような感じがするんじゃないか。これは宇佐美さんは三菱銀行におられまして頭取を長くやっておられましたし、そういう点について私はきょうちょっとお伺いしたいのです。たとえば三菱銀行の状態と、それから日銀のやっておられることについて、あなたは何かお気づきになり、感想があるんじゃないか。私は日銀びいきでありますから、悪口を言うつもりはありませんけれども、何となく官僚的になってあまり外部に出ておらぬという感じがするのですが、その点は四年もおやりになっておりますから、何か御感想があるかと思いますので、ひとつお伺いしたいと思います。
  80. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 お呼びに対していつも時間をいろいろ申し上げてまことに申しわけないのですが、私としてはなるべく機会あるごとに皆さんにも御理解を得たいと思っておるわけです。決してなまけておるわけじゃないということを御了承いただきたいと思います。  それから、私が民間におりまして、日本銀行に参りました感想といいますか、それについてまず第一に御質問がございました。もっと若い人も国会なんかに出てきて鍛えたらどうかというようなことなんでございますが、たとえば大蔵省の方は政府委員という資格でございますし、それからまた、私は申すまでもなく参考人で意見を述べるというのですから、若い人が出てきて意見を述べるということもなかなかむずかしいんじゃないかと思っておるわけでございます。若い人の議論も聞きたいということでございましたらなんでございますが、やはり貴重なお時間でありますので、参考人としての意見を聞きたいということになると、私が出てきたほうがいいんじゃないか、こう考えるわけでございます。若い行員の鍛え方につきましては、また私も大いに努力しなければならぬと思っておりますが、これはまた別の機会に佐藤さんの御意見も承りたいと思います。  それから感じはどうだということでございますが、私も来たときはいろいろ考えたんでございますが、四年もやっておりますと、市中銀行と日本銀行は使命がまるで違うということである。これは比較にならないのですよ。どっちがむずかしいとかなんとかいうことでなくて、日本銀行というものは、日本全体の、あるいはこのごろは世界の信用制度を維持したり、あるいはまた通貨の維持であるとか、また一般の資金調節というようなことをもっぱらやっておるところであります。市中銀行のほうは、これもむろん市中銀行として大きな社会、国家に対する責任もございますけれども、やはり根本的にもうけるということもございますし、そういうわけですから、私が来たときはとかく両方比較したのでございますが、このごろはもう全く比較をやめたのです。まるで別なものだ。銀行という名前は同じについているけれども、やっていることはまるで違うのだ。こういうことで、日本銀行としては日本銀行の使命に徹しなければいかぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。しかし、鍛えなければならぬことは同じでございます。
  81. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 御承知のように、公定歩合を二、三日前アメリカが引き上げまして、また五分五厘になったということは、一九三〇年以来アメリカでは最高の金利になっておる。御承知のように、イギリスが七%、それからフランスが六%、日本は四・七五%でございます。この高金利の時代になってきておる関係もありますが、一体あなたは、いまの日本の金利が世界の水準の中では、よそが高くなったから比較的低くなっておる、しかし何といっても最近はアメリカのドル不安、ポンド不安の関係などもありまして、諸外国の金利が非常に高くなってきておりますが、この水準についてどういう目安を持っておられますか。日銀の総裁としての御意見をお聞きしたいと思います。
  82. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 この間八月でございますが、日本も昨年九月から金融引き締めをやっておりまして、海外の情勢あるいは国内の努力によりまして、国際収支は非常に改善され、外貨準備もふえてきたことは御承知のとおりであります。それで八月になりましてから、そういう引き締めの第一の目標でございます国際収支がだいぶよくなってきたということで、私どもは一厘引き下げたわけです。本来いえば、もとに戻すという考えからいえば二厘でございますが、一厘下げた。しかし、私はそのとき、やはり海外の情勢、海外に出かけたりいろいろしますと、手放しではなかなか楽観できないんじゃないか。なるほど日本の国際収支はよくなったけれども、しかし同時に、海外にはいろいろな問題がある。通貨の問題もございますし、会議に行きましても、なかなかこれでいいという結論が出ないままに、事件が起これば、御承知のように各国の協力によって救うとか、そういうような手段によってだんだん糊塗すると言っては言い過ぎでございますが、乗り越えてくるというようなことを繰り返しているような状態でございます。さらに、アメリカをはじめ国際収支もなかなか思うように改善できない。こういうときに、日本だけが国際収支がいいからといって手放しに楽観できないんじゃないかということでございました。そこで一厘下げたわけであります。  ところが、その後国際収支はますますよくなりましたので、十月ころになりますと、もう一厘下げろという議論がかなり強くなってまいりました。そういういろいろな議論が国内にあります。そうしてそれに伴いまして、企業は拡大マインドがだんだん強く、また、金融機関もさらに金融をゆるめるんじゃないかというような気持ちもだんだん出てくる。それがまた企業にも反映するという事態で、私はちょっと心配したわけでございます。このままそういう気持ちがだんだん拡大していくと、海外の情勢とだんだん合わなくなってくるんじゃないかということで、そういう考えは当分やめてもらいたいというので、十月に私は、いろいろ検討の結果、公定歩合はいろいろ御議論があるけれども、当分下げませんということを述べたわけでございます。そうして今日に至っておるわけでございます。その情勢はなお今日でも変わっておりません。  国際収支は、先行指標を見ますと、当分まだこれはいいでしょう。いいけれども、先行き海外のほうは、いまお話しのように、いろいろきびしくなってくるという状態でございます。さらに、私ども海外の状態の不安ということについては、金の問題以来いろいろ思惑筋も相当ある。何か言うとすぐ大事件に発展するというような非常に不安定な状態にございますので、私はいまの状態は、なるほど国際収支はよくなってはきておりますけれども、しかし、警戒は厳重にやっておかぬといかぬのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  83. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一つそれに関連して、この数日来金相場が、たとえばロンドンでもパリでも上がっておりますが、実はこの前水田大蔵大臣のときには私らが、十八億ドルくらいに日本の外貨が落ちたときに、三十億ドルくらい持たなければ不安定じゃないかという話をしたのです。そうしたら、はっきりした返事はなかったのですけれども、今度福田さんが大蔵大臣になられて、日本の外貨準備は少なくとも四十億ドルあるいは五十億ドルくらいないと発展ができないというようなことを言われておるのですが、これは政党政治の中で大蔵大臣がかわったのですから別段そういう意見に文句は言いませんけれども、一体日本銀行の総裁として、日本の外貨準備は大体どれくらいの程度がいいのか。それからもう一つ、御承知のようになまの金は三億三千万ドルくらいしかないのですが、この点は不均衡であるかないか。これは総裁の権限かどうか知りませんけれども、あなたの御感想を伺いたいと思います。
  84. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 私は、外貨準備につきましては、日本の経済がだんだん大きくなり、また、貿易もだんだんふえてきておるという状態にございますので、外貨準備は多いほうがいいと思います。しかし、四十億ドルがいいとか——多いほどいいわけなんですけれども、しかし、その数字はいま大蔵大臣がおっしゃったということでございますけれども、数字よりも、どういう姿でそういう外貨がたまってきておるかということも大事だろうと思う。あまり人工的にふやすだけではいけないと思う。なぜ外貨準備がよけいになれば、多いほどいいと言うわけは、もう申し上げるまでもないのですが、少ないと、ちょっと減るとすぐあわてなければならぬのです。これは終戦後大蔵省も心配した、日本銀行も、そのつどぎりぎりの外貨準備しかないから、減るとすぐ金融を引き締めなければならぬ。私どものねらいは、経済ですから上がったり下がったりはしますけれども、その幅をなるべく小さくしなければいかぬ。国民が迷惑するという意味で余裕のある外貨準備がほしいというように考えておるわけであります。  それでは、外貨準備が多ければそれでいいのかというと、決してそうじゃない。最近のフランスの例で御承知のとおりです。もう申し上げるまでもないのですが、いまの段階として金融の状況その他から見まして、まだもっと多いほうがいいと私は内心思っておりますが、それじゃ四十億ドルでもう安心かというとなかなかそうもまいりません。政策のほうがより大事だと私は思っております。そういうわけでございます。  それから金の問題でございますが、なるほどおっしゃるとおり少ない。金が多ければそれで安心かというと、これもフランスの例で御承知のとおりです。しかし、日本はフランスよりも少ない。そういう意味からいいまして、この間のIMF総会に、大蔵大臣いらっしゃいませんでしたので、私が金の配分についてももっと考える必要があるのじゃないかという提案を、日本を代表して演説したわけなんですが、しかしそれも、いま金の売買について二重価格制度というものもやっておりますし、そう日本だけがかってに金を買いあさるわけにもむろんいかぬわけであります。そういう情勢を見ながら、今後だんだん各国の迷惑にならぬようにしながら金をふやしていく、こういうことで進むのが一番いいのではないか、こういうふうに考えております。
  85. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そういうことに関連しまして、最近世界の通貨不安が非常にはなはだしくなりまして、たとえばフランは平価切り下げをやることができぬけれども、マルクを切り上げしょうというような意見もある。しかし、このよってきた原因というものは、やはりポンドが退勢になり、このごろはベトナム戦争の関係でアメリカのドルが非常に劣勢になりました。ところが、大体の基準が、特に日本なんかドルに依存する度が非常に強いのですけれども、どうもいつもドルが太陽のようになって——われわれ太陽を回っておる衛星のような形になっておるのですが、いつでもドルが太陽であればいいけれども、だんだん太陽でなくなってくる。現在は御承知のようにドルの不安がひどくなっておりますが、そういうような通念が、これはIMFへおいでになったからいろいろおわかりになると思うのですが、いつも固定して考える。昔はいい記録を持っておったけれども、今日ではアメリカはいい記録を持ってない。アメリカを憎むわけではありませんけれども、現在何でもトルにリンクするというのは——何でもドルに依存するということによっていろいろな弊害が今日世界に起こっておるのじゃないか。通貨不安は何といってもドルが劣勢になったということが大きな原因の一つだと思うのですが、その点は一体総裁はどういうふうにお考えになっておりますか。
  86. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 確かに前のドルと比べると、今日のドルは弱くなっておる。あるいはアメリカの経済も。しかしそれにしても、世界ではやはり最も大きな経済力もあるし、ドルの力も強いと私は思っておるのであります。それで私どもも、ドルに対して、アメリカに対して、通貨の問題について何も要求してない、もうアメリカさんにぶら下がっておるというわけではございません。アメリカに対しましても、国際収支は早く直しなさいということも私どもも言っておるわけです。また、ドルが強くならなければ、世界じゅうの通貨がやはり不安定になるということも申しておるわけであります。そういうわれわれのことばで向こうが考えているとは思いません。私は、アメリカ自体がずいぶん反省もしたりいろいろ考えていると思うのです。今度政権が新しくなった場合には一そうそういう感じが強くなるのじゃないか、これはアメリカとしては当然だと私は思います。  したがって、日本がいままでアメリカに何かというと依存していたという態度を——むろんアメリカがいま申し上げたとおり非常な力を持っていますし、日本とのいろんな関係も、従来の関係を全面的に百八十度変えるわけにはまいりませんけれども、しかし、われわれ自身もアメリカにたよるよりも、われわれ自身が力をつけるということが必要だろうと思います。したがって、先ほど申し上げましたとおり、やはり国全体としての政府の施策におかれても、慎重な態度で進まなければならぬという理由もそこにあるわけでございます。
  87. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それからそれに関連して、日本の円というのは皆さんのいろいろな努力でとにかく世界の通貨の中でも非常に強くなりました。しかし、私は五年ぐらい前にハンブルグへ行ったときには、西ドイツが非常に悪くなりまして、造船所などでも作業をやめて、ほとんど日本の造船所に圧倒されているということで、その当時は戦後一番悪かったのじゃないかと思うのです、ドルも減っておりましたし。お隣のフランスのほうが七十億ドル持っておって、永久に繁栄の国であろうというようなうわさがヨーロッパにございました。しかし、いま考えてみますと、いま全く逆になっておりまして、実にわずか数年の間に世界のそういう通貨の価値が非常に変動するということを考えまして、非常に感慨無量なものがあるわけです。  いまは御承知のように大体順調で、これは宇佐美さんが日本銀行の総裁になられてから堅実な形をとっておるのでございますが、しかし、いつまでも日本が必ずこの調子でやっておって、イザナギ景気が来たりあるいは日本の円というものが高まるという保証はないと思うのです。そういう点について、来年はいいといわれておりますけれども、今後どんなような位置になるのか。特にIMFに行かれました宇佐美さんの最近の感想をあわせて伺いたいと思います。     〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕
  88. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 円も、なるほどおっしゃるとおり、いまは世界で何番目か知りませんけれども、強い通貨ということになっておるわけでありますが、これが永久に強いかということは、お説のとおり何も保証がないわけであります。そのためには、やはりまず国際収支をよくしておくということも非常に大事なことだと思います。それからまた、国内のいろいろな情勢、政治情勢もございましょう、またこのごろはそのほかいろいろなことがございますが、これらの不安が起こらないようにすることも、円を強くする大きな原因だと思うのです。フランが弱くなったのは、フランスの競争力が弱くなったためでもございましょうけれども、ああいう労働者の三分の二がストライキをやるなんという国ということになりますと、やはりこれは、フランスが外貨を持っていても、国内のいろいろな情勢が悪くなると、なかなかこれだけではいかぬということなんだろうと思うのであります。したがって、日本銀行の立場からいいますと、当面の問題は当面の問題として、何とかしてそういう政治、社会、もろもろの問題が安定してないと、やはり強い通貨とはいえない、かように思うのであります。
  89. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろこういう問題についてお伺いしたいと思いますが、時間がたくさんありませんから、この通貨問題は、これで終わります。  もう一つ、日本の産業は発達しまして、いろいろ最近にない景気があるようであります。しかし、零細企業や中小企業は必ずしも全部が全部日の当たるわけではありません。そこで、産業界の合同の問題がやかましくなっておりますが、同時に、銀行の合同という問題が、イギリスあたりはすでに昨年あたりから起きておりますけれども、日本ではどういうような状態になるのか。先ほど、三菱銀行の頭取をやっておられたが、全く趣を異にすると言われましたけれども、何といっても中央銀行というのは都市銀行の元締めでございますし、それからまた、高い見地からごらんになっていると思うのでございます。銀行の合同について、いま太陽銀行がこの間一つ独立して新しいあれをとってきたのですが、日本の銀行も産業の半面である限り、いつまでもそう安泰の道ばかりとっておられぬように思いますが、その点はどのようにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
  90. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 銀行の合同でございますが、私は、むろん今後も日本の経済が大きくなり、さらに世界に伍していくためには、大いに考えなければならぬ問題だと思います。ただ私の考えは、企業の合同よりも金融機関の合同は一そう慎重でなければならぬと思うのであります。影響するところが、企業の合同ですとその範囲は大体想像もつきますけれども、金融機関の場合は実に広い影響があるんじゃないかと思うのであります。特にこれは具体的な話になりますけれども、全国的の規模の金融機関、地域的の金融機関、これまたおのずから影響するところが違うんじゃないか、こう思うわけでございます。いずれにしても、それぞれの地域におきまして、ことに大規模の金融機関の場合は大きく全日本的の影響力があるものですから、よほど慎重に考えなければならぬ。しかし、慎重に考えるというと、日本の場合はノーという意味にとられますけれども、私はそういう意味で言っておるのではない。その合併が日本のためになるというならば、進んでやっていいんじゃないか、かように考えます。
  91. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 時間がありませんから最後にいたしますが、あとでまた澄田銀行局長にも伺うのでありますが、日本の経済は一応いま順調な形をとっておりますが、特に私は子供のころに愛知県で銀行の倒れたのが非常にたくさんありました。そういうような記憶がいま残っておりますが、御承知のように昨年は日本の産業の小さいのが非常にたくさんつぶれました。これは史上初めてだといわれますが、産業がつぶれれば銀行も影響なしとはしませんけれども、まあ信用金庫とかそういう軽微なあれはありましたけれども、全体としては非常に発展しておるような形であると思います。そういう点で日銀におられる宇佐美さんとしては、ひとつそう安易な道ばかり歩けないという日本の経済の原則を考えまして、銀行のことにつきましてももっと高い見地から御指導あることをお願いしておきまして、私の質疑は終わります。
  92. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 どうもありがとうございました。
  93. 倉成正

    ○倉成委員長代理 只松祐治君。
  94. 只松祐治

    ○只松委員 二時から実は本会議が始まるものですから、あと税調のほうにも聞きますので、わずか十分間でほんの一、二の問題だけを御質問させていただきたいと思います。  一つは、高度経済成長、俗にイザナギ景気とかなんとかいっておりますが、こういう高度経済成長、別名過度の経済成長というのは、私は必ずしもいいことばかりではない、こう思います。日銀総裁もおりに触れて多少そういうことをおっしゃっておりますけれども、現在の日本の過度の成長に対してどういうお考えをお持ちでございますか、お聞かせいただきたいと思います。
  95. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 過度の経済成長はいわゆるひずみが出てくることは当然でございます。したがって、過度の経済成長は何とかして避けなければならぬ。過度の経済成長をいたしますと、第一に早く息が切れる。つまり、非常によくいう経済の安定成長ということはできなくなります。そういう意味からいって、過度の成長はいかぬと思っております。さらに、いろんな点からいいまし七、まあ過度ということばはいかぬという意味もあるのだろうと思うのですけれども、もう論ずるまでもなくいけないと思っております。
  96. 只松祐治

    ○只松委員 いま実質一二%をこす本年度の経済成長率が行なわれるだろう、ここ数年やはり一〇%前後の経済成長が続くのではないか、こういうことがいわれております。そして物価の問題なんですが、うらはらをなして物価上昇というのが続いております。この物価上昇とインフレーションとは同一でありませんけれども、アメリカの財務長官が、アメリカは二%そこそこの物価上昇ですが、やはりインフレへの懸念を警告いたしましたが、宇佐美さんも九月四日でしたか、このように物価の上昇が続くとインフレの懸念がある、こういうことを記者会見でおっしゃっていますけれども、いまでもこのお考えに変わりはございませんか。
  97. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 アメリカが最近金融を引き締め、金利を上げておりますが、これも最近のインフレ傾向に警告を出しているのだと思うのであります。私は、日本の現在はインフレだとは思っておりません。おりませんけれども、こういう状態が、たとえば経済成長にいたしましても、三年も四年も一〇%以上続けるということは、よほどやはり警戒しなければならぬことだ。一年一〇%なら、これはいいのですが、こういうふうに継続的にいきますと、やはりいろいろな点で注意しなければならぬ。その意味からいいますと、やはりいまおっしゃったとおり、物価の問題も非常に大きな問題になってくるのだろうと思うのであります。幸いにも、卸売り物価はそんなに上がっておりません。私どもの計算によりましても、卸売り物価は四十三年度は一%にならずに済むのではないか、かように考えております。しかし消費者物価は、どうも困ったことに、政府の努力にもかかわらず、いろんな理由によりまして上がってきておるわけであります。これについては政府も最大関心事として努力されておるわけであります。金融のほうから見ますると、私どもはこの問題が、卸売り物価がいいからといって消費者物価が上がってもかまわぬというふうには考えておりません。何とかして消費者物価のほうももう少し落ちつくようにしなければならぬと思っております。ただこのほうは、金融面からいうと、たとえば米価は幾らにしなければならぬとか、国鉄の運賃幾らという、中央銀行はとてもそういうことは言う力もございません。また、そういうことをやるのはいけない。個々の政策については、私は申すことはいたしておりません。ただ大ワクとしては、これはやはり中央銀行としてもほうっておけない問題じゃないか、こういうふうに考えております。
  98. 只松祐治

    ○只松委員 総裁は、現在の物価の問題、その他日本の経済はインフレの懸念はあるけれども、インフレじゃない。私はインフレだと思うのです。戦後の高度経済成長というものは、巧みにインフレを応用してそして高度経済成長を続けてきた、私はこういうふうに判断をしておる。時間がありませんから、インフレ論をここではいたしませんけれども、ただ一言、総裁はどういう状態になったならばインフレだ、こういうふうにお考えでございますか。そのインフレのお考え方を聞いておきたいと思います。
  99. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 どういう状態がインフレかということについて包括的に申し上げると、またこれは時間がかかるわけでありまして、一、二の例を申し述べてみたいと思います。  一番激しい例は、物価が非常に上がる、買いだめが起こるというのが一番激しい例だと思う。しかし、私は現在そういう状況はないと思っております。  それからまた、通貨の面からいいましても、通貨は日銀券もございます。それからまた預金通貨というものも考慮しなければならぬと思う。それぞれ伸びております。しかし、名目成長率をこえるという状態ではいまございません。これをこえるようになったら、私はやはり警戒しなければいかぬ。いまでも先行き非常に心配だという意味は、警戒はしているのですけれども、ほんとうに何か警戒をしなければならぬのはそういうときだと思う。なるべくそれに近づけないようにするという意味でございます。発券のほうは、これはもう日本銀行の窓口に金取りに来られたら断わるわけにいかないのです。したがって、一番問題は預金通貨の問題です。預金通貨につきましては、私どもは金が出ないように、窓口規制を廃止したときでも、ポジション指導というちょっとわかりにくいあれでございますが、とにかく金を出すことについては私どもはもう非常に注意深くやっておるつもりでございます。やはり金が出ますと預金通貨がふえるという意味において非常に警戒しております。
  100. 只松祐治

    ○只松委員 私はそういう論議でも、たとえば物価の指数が消費者物価は五・六%上がるとか上がらないとかいわれるのですが、たとえば電話料金を一つとりましても、表面上がるのは一二・何%ということになりますが、実際上は個人の場合は六〇%ぐらい上がる。あるいは交通費にいたしましても、平均は十何%ということでも、定期代やなんかは五〇%上がる。あるいは短距離に乗る人は、十円が二十円になって一〇〇%上がる。こういう形で庶民なり日常のものは、必ずしも消費者物価の指数にあらわれてきたものどおりでない、それ以上に上がっている。そういう意味では庶民は、あなたが懸念されているようなインフレ感というものはひしひしと味わっておるわけであります。しかし、きょうはそういう問題は時間がありませんから論議いたしませんが、ひとつ全体のそういう面でなく、もっと庶民の立場もお考えいただいて金融政策をおやりいただきたいことをお願いしたい。  それから最後に、日銀の規制力というものが現在だんだん弱まってきて、都銀中心で金融の大体三割の規制力だ、こういわれている。たとえば公安歩合を一厘や二厘上げても下げても、市中金利等にはほとんど影響しない、こういう状態が出てきているわけであります。これは保険や信託やあるいは農協や信用金庫やその他、そういうところに集まる金の量はきわめて大きくなってきておるわけであります。そういうことで大蔵当局も、新たな金融政策といいますか金融規制の方法を、いまの高度経済成長その他とも関連してくるわけですけれども、考えておるようでございますけれども、日銀におきましてもどういうお考えがありますか。たとえば長期貸し出し金利を公定歩合にスライドする、あるいは新たに準備預金制度を設けるとか、いろいろな案が出つつありますけれども、そういう金融規制について、日銀当局のお考えをお聞かせいただきたい。
  101. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 よく、いまの金融政策は三割とか三割三分しか及ばぬという御意見がございます。これは、この間の引き締めの際に、窓口規制をいたしました、その窓口規制の対象になるのが、全体の金融のうちの三割——全体というのは、金融機関だけでなくていろいろなものが入っております。農協も入っておる。その全体の三割というのでございます。したがって、窓口規制の直接及ぶのは三割だということでございまして、私どもは、窓口規制の対象だけを相手にいたしておりません。いろいろなものに対して、いろいろなことを申しておるのであります。都市銀行の窓口規制の対象にはこういうことを申しました、この趣旨はこういうわけだから、皆さんもその趣旨でやってくれと、直接的には私どもはコントロールはしませんでしたけれども、間接的には及ぼしておるつもりでございます。また、そのほかの金融機関に対しましても、いろいろな機会に、それぞれ責任者を呼んだりいろいろなことをして、私どもの政策が全般的に及ぶように——ただ、あのときの情勢は、そういうふうに三割の対象よりも拡大する必要があるかどうかということはむろん考えなければならなかった。考えたけれども、しかし、目的である国際収支は幸いによくなってきた。それならば、あの程度で、直接統制はあの範囲でいいのじゃないか、こういうふうに考えております。しかし、間接にはいろいろなところに影響を及ぼしておる。ですから、金融機関は三割しか及ばぬのじゃないかという御説に対しては、直接的にはそうであったけれども、間接的にはかなり響いてきておる。現に、国際収支もよくなったじゃないか、あれがよくならなければ、私はもっとやったんですよ。  今後の問題ですが、今後の問題は、そういうわけで、経済情勢が非常に変わってきております。具体的に申しますと、たとえば国債発行という問題も、最近大きく一般金融に影響を及ぼしてきておる。また、外資が入ってくるということも、いままでも若干ずつ入ってきましたけれども、いままでよりも大きく入ってくる。そのほか、いろいろな問題がございます。それに対して、今後われわれが経済政策をやるときに、そのときの状況によってどういう手段をとるかということについて研究いたしております。
  102. 只松祐治

    ○只松委員 たとえば具体的に、長期貸し出し金利を公定歩合にスライドしている国もありますけれども、そういうこととか、あるいは準備預金制度を設けるとか、いろいろありますが、それをするかしないか、時間がございませんから、その点だけお答えいただきたい。
  103. 宇佐美洵

    宇佐美参考人 そういう具体的な問題は、中央銀行というものは、それをやるときでないと言うものじゃないと思っております。
  104. 倉成正

    ○倉成委員長代理 これにて宇佐美参考人に対する質疑は終了いたしました。  宇佐美参考人には、御多用中のところわざわざ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。  御退席いただいてけっこうです。  引き続き質疑を続行いたします。  なお、参考人として税制調査会会長代理福良俊之君が御出席になっております。  只松祐治君。
  105. 只松祐治

    ○只松委員 せっかくおいでいただきましたので、二時までお話をお伺いする予定でございます。二時から本会議がありますので、まことにおいでいただいて恐縮でございます。  しかし、問題はきわめて重要ですし、したがって、前回も東畑さんにおいでいただこうと思ったのですが、おいでがなかった。きょうもお願いしたのですが、会長代理がおいでになった。きめたあとでいろいろ御説明されるのもけっこうでありますが、また、きめる途中で、本委員会において私たちの述べたことをいろいろ参考になさったり、やはりその途中においても、国会の意向なり意見なり聞くべきだ。あなたたちがおきめになったことは大体政府において法案化されます。そして、その出てきたものは大本押し通されるが、われわれ野党の場合はほとんど発言する機会がない。税調そのものを皆さん方は民主的とおっしゃっているけれども、私たちは民主的とは思っていない。そういうことについて、ひとつおいでいただきたいと言うのだけれども、なかなかおいでいただけない。今回も、田村委員長等の御尽力によって、やっとお見えになったわけであります。ほんとうはそういうことの論議も多少したかったのですが、時間がありませんから、これはそのことだけにとどめます。そういう趣旨を含んで、ひとつ明快なお答えを賜わりたいと思います。  時間もありませんが、現在の税調の進捗状況というものをひとつお話しいただきたい。
  106. 福良俊之

    福良参考人 御承知のように、現在のところは、四十四年度の税制改正につきまして、起草小委員会で、来年度税制改正をどうするかということで、目下検討を続けているのが現状でございます。けさも十二時半まで起草小委員会が持たれまして、引き続きまして二十六日も起草小委員会が開かれる。それが現状でございます。
  107. 只松祐治

    ○只松委員 たとえばきのうの日経等を見ますと、これはあとでまたお聞きしますが、あたかもある程度具体的にサラリーマンの所得減税がきまったかのようなことも書いてありますけれどもそういうものについて、新たにきまったもの等がありますれば、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
  108. 福良俊之

    福良参考人 ただいま日経の記事を御引用になられましたけれども、起草小委員会の段階におきましては、所得税減税につきまして、まだ検討をいたしておりせん。今日まで行ないましたところでは、きょうは地方税制を中心に検討が行なわれた。それまでにおきましては、土地税制の問題でありますとか、あるいはたばこ消費税の問題でありますとか、そういった問題が論議を重ねられてまいりましたけれども、所得税につきましては、起草小委員会の段階ではまだ何ら検討を行なっておりません。
  109. 只松祐治

    ○只松委員 租税特別措置につきまして、本委員会で私たちがたびたび論議をいたしておりますし、それから税調の長期答申においても、この問題は抜本的に検討すべきだ、やめるべきものはやめるべきだということを言っておられます。本年期限の到来する租税特別措置がたくさんあるわけでありますが、これにはどういう姿勢でお取り組みになっておられますか。たとえば交際費課税等の問題につきましても、ある新聞によれば、相当進んだかのような印象を受ける記事が流れておりますけれども、全体的には必ずしもそうでないようでありますが、租税特別措置全般についての進捗状況を、もし進んでいなければお考えをお聞かせいただきたいと思います。     〔倉成委員長代理退席、毛利委員長代理着席〕
  110. 福良俊之

    福良参考人 先ほど申し落としましたけれども、租税特別措置についての検討はいたしました。何ぶんにも項目が非常に多いものでございますので、期限の到来いたしますものにつきましてまず検討するという形で、基本方針としては、期限の到来したものについては、検討するだけではなくて、もしそれをさらに継続しなければならないという特殊の事情のない限りは整理をするという考え方をしております。そして、期限が到来していなくても、現在の経済情勢その他から考えて、もうすでに不合理ではないかというものについても検討すべきである。新しい産業経済情勢の変化に応じまして、新しく租税特別措置を要請する向きもたくさんございます。それらについては、できるだけ一方において租税特別措置を整理して、その整理した中において緊要やむを得ないものだけ認めるという体制で進みたい、こういうことで方針としてはその方針を守っていきたい、このように考えております。
  111. 只松祐治

    ○只松委員 財政の硬直化ということがよく去年は宣伝をされました。いまも使われております。私は、これは一面から見れば、税制の硬直化だともいえると思うんです。その中で、この租税特別措置というのが大きなウエートを占めておるわけでございます。一般の税の公平の原則にもとったり、あるいは納税意欲をそぐだけではなくて、国の財政、税制の基本問題にまでこの問題は及んできておるわけです。長期税制でも述べているわけですから、そして本年は期限の到来するものが多いわけですから、ひとつぜひ勇気をもってこの問題に取り組んでいただきたい。そのことがないと、単に当面の財政硬直化だけ論議しても、わが国の予算問題その他は片づいてこない。時間がありませんし、本委員会は予算を論議する委員会ではありませんから申しませんけれども、ぜひひとつそういう角度からも取り組んでいただきたい。  それから、一番税金が重いのは申すまでもなく給与所得者の税金でございますけれども、これもお聞きする前に、皆さん方も試算されておると思いますが、概算をいたしまして、たとえば昭和三十四年度の給料を一〇〇といたしました場合に、四十三年度は二五〇・八、二倍半ですね。その間における所得税の伸びというのは、昭和三十四年度を同じく一〇〇にとった場合には、四十三年度は五二七、こういうことで倍以上所得税の額が伸びております。政府は毎年毎年、減税した、減税したと言うけれども、私たちはこれは税の調整で、減税ではない。課税最低限を引き上げても税の調整をしているにすぎない。しかもそれが完全になっておらないから、この税率が非常な高度累進になっておりますから、こういうふうに減税したと言いながら給与所得に対して税金は倍以上になっておる、こういうことです。これは多少の誤差はありましょうけれども、概算して試算した場合にこういうことになる。一般の国民感情をもってしても、あるいは実際上のこういう数字をもってしても、勤労者の給与所得というのはきわめて重いわけです。  そういうことで、私たち課税最低限の引き上げ、独身者の課税の引き下げ、免税点の引き上げ、あるいは税率の緩和、こういうことで昨年からいろいろやりまして、水田大蔵大臣も税率の緩和は必ず実行するということでここで答弁されました。さきの委員会でも私が福田大蔵大臣に重ねて質問して、そのとおり、前大臣のとおり踏襲して努力いたしますと、こういうお答えがあったわけでございますけれども、税調におきましては、いかなるお考えなり作業が進められておりますか、お答えをいただきたいと思います。
  112. 福良俊之

    福良参考人 前回の税制調査会におきまして長期税制の答申を行なっておりますことは、御承知のとおりでございます。その長期税制の答申の中におきましては、所得税の課税最低限度を引き上げるだけではなくて、税率の緩和を行なうということにつきましても、それぞれ税率改定等を明示いたしましてその方向を示しております。今回の税制調査会におきましても、その基本方向を受け継いでいままで論議をしておるというのが実情でございます。しかし、先ほど申し上げましたように、起草小委員会の段階ではまだそこまでいっていない。税制調査会の総会においていろいろの御議論を拝聴した、こういう段階でございます。
  113. 只松祐治

    ○只松委員 しかし、大体の方向は、ここに主税局長がおいでになりますけれども、出てきておるわけでございます。最終的にはそうですが、一応あなたの御意見と、こう聞いておるわけです。方向があればひとつお示し願いたいと思います。
  114. 福良俊之

    福良参考人 個人的な意見でよろしければ、やはりその基本税制の方向に従って、ことに給与所得者にとっては現行の所得税制というものが重課になっておる、それについてはできるだけ、いま御指摘のように課税最低限を引き上げるだけではなくて、所得階層別に、つまり税率の緩和、いまの累進税率につきまして、ある程度の緩和を加えなければならない、このように考えております。
  115. 只松祐治

    ○只松委員 それからいままで課税最低限を五人で八十三万幾らとか、今度も九十三万五千幾らとかいう形ですが、厚生省の発表によりますと、日本の現在の家族構成は三・五人です。したがって、私は三・五人の実態ないしは四人とすべきだと思う。たとえば八十三万三千円の現在の五人家族の課税最低限の場合には、子供二人で四人の場合は七十二万九千円、実際の近似値、現在の家族構成に近い一・五人の子供という形を試算いたしますと六十七万九千四十二円、こういうことになるわけであります。したがって、この八十三万とこう言いましても、実際上はこんなに低い。九十三万になりましても、三・五人の場合はずっと低い。これは一種の国民に対する欺瞞行為でもあろうかと思います。三・五人の実態家族数であるのに五人を発表するのは、五人の家族には当てはまりますけれども、日本の一番多い標準の三・五人の平均には当てはまらない。こういうことはやめて、少なくとも三・五人の数字で発表いたしまして、実際上は三人も四人もこうなる。何かちょっと五人、四人、三人、こういう発表がありましたけれども、少なくとも税調で親切に発表するならば三・五人ということで——いままで五人だけでしたが、 三・五人で発表できないとすれば、五人、四人、三人という形の数字で課税最低限を発表する、こういうことが私は国民に対する親切な正直な発表だろうと思う。したがって、架空の五人という数字ではなくて、それがくずせないというのならば、四人、三人という形で今後の課税最低限の発表をしていただきたい。いかがでございますか。
  116. 福良俊之

    福良参考人 ただいまの御指摘のとおりでございまして、前回の税制調査会におきましても、標準家族五人ということで課税最低限を出しているのは実態に合わないじゃないかという議論が強かったわけで、今回もまたその意味の議論がございました。ただ事務的に申しますと、その点が問題になろうかと思いますけれども、今日までの標準家族というものを五人でとってきた。したがって、それをいま御指摘のように三・五人あるいは四人というふうに改めるについては、多少そこに事務的な問題があろうか、かように考えますけれども、税調としても実態に合ったところに持っていくべきであるという御意見は、そのとおりに委員の中からも指摘されておりますことを申し上げておきます。
  117. 只松祐治

    ○只松委員 時間がありませんからこれで終わりますが、委員の中からあるのではなくて、ぜひひとつお願いとしても、五人家族で発表されるならば、四人、三人もつけ加えて、この場合にはこうなるということを発表していただきたい。主税局長もおいでになりますが、政府側でもひとつ御努力をお願いしたい。  それから給与所得控除の場合、一般の必要経費に相当する面が百十万円で頭打ちですが、これも福田大蔵大臣は三百十万という、額は明示しませんでしたけれども、その最高額を引き上げる、また控除額を二十五万から三十八万にというふうにいわれているように、この額も明示はされていませんけれども、するということをお答えになった、この点もひとつ御努力をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  118. 福良俊之

    福良参考人 その点につきましては、御承知のように長期税制にもそういう方向を打ち出しておりますので、今回におきましてもその方向に沿うて考えていくことになろうかと思います。
  119. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  福良参考人には、御多用中のところわざわざ御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。御退席いただいてけっこうです。  本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。     午後二時一分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  120. 田村元

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河村勝君。
  121. 河村勝

    ○河村委員 主計局が実はいないので、初めにちょっと聞こうと思ったのですが、政務次官に一つだけお伺いしますけれども、ついこの間あたり新聞紙上で、来年度の公共投資のおくれを取り戻すために伸びを一〇%ぐらい確保するということを、大蔵大臣が事務当局に命じて作業をさしておる、そういうように新聞に出ておりましたけれども、大体いままでの公共投資のおくれから見て、考え方としてはけっこうなんです。一〇%ぐらい確保するのはあたりまえでありますけれども、まだはっきりしたことは言えないでしょうが、大体どの辺の見当を考えて、その場合に民間の設備投資の来年度の伸びをどの程度に想定をして考えておられるのか、それをもしおわかりだったらお伺いします。
  122. 上村千一郎

    ○上村政府委員 河村委員もお触れになったようでありますが、ただいままだ具体的な点を申し上げる段階に立ち至っていないわけです。と申しますのは、今回は実は食管の問題とか、あるいは国鉄財政の問題、あるいは地方財政との関連の交付税の税率の問題とか、あるいは社会保険の問題、その他いろいろな重要な問題が山積しておりますが、この点について大きな柱がまだ確立いたしていないわけなんですが、大臣が過般、公共投資の関係について触れられましたのは、日本の社会資本がまだ充実していないんだ、そういう観点のもとに、とにかくその点は重視しながら検討をしていく、こういう方針を打ち出しておるわけでございます。  民間投資とのバランスの問題でございますが、民間設備投資の関係につきまして、これが増加していくということは決して悪い傾向ではございません。しかしながら、財政面とのアンバランスを来たしてはいけませんので、そういう点を考慮しながら、公共投資の部面についてとにかく検討を開始していく、こういう趣旨でございまして、現実にその額とか割合というものにつきましては、まだ確たるものはきまっていないというのが実情でございます。
  123. 河村勝

    ○河村委員 これ以上お聞きしても無理だろうと思うのですけれども、主税局長、法人税率に関連して伺いますけれども、おそらく来年度、政府では民間設備投資についてずいぶんかたく見るでしょうけれども、幾らかたく見ても一七、八%の伸びでしょう。それで公共投資もおそらく一〇%ぐらいというのだから、それを大きく上回ることはお考えになっておるとは思われないのですが、その場合に民間設備投資が先行き警戒を要する。特に大臣も、来年は国際通貨不安から通商不安の可能性もあると言っておる時期ですね。ところで法人税の実効税率が相対的に下がっておる。特に経済社会発展計画の計画から見ても、実効税率がだいぶ下回って、それが設備投資をよけいに誘発しておるということは、一般的な意見です。そういう点について主税局長としてはどう考えておられますか。
  124. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 わが国の法人の設備投資の額というものは、先生も御承知のとおり非常に大きな額になります。法人税の額は、御承知のとおり、ことしで一兆五千億前後、そういう意味から申しますと、設備投資が留保利益でできている部分というのは非常に少ないわけです。結局設備投資の基礎になってくるのは、何と申しましても、現在一部は減価償却費、一部は借り入れ金というものが大きな源泉になっていると思います。そういう意味で、法人税率が低過ぎるから設備投資が非常に大きいとは言い切れないと思います。もちろん、税引き後の留保利益が大きくなるという意味ではそういう影響があるわけですが、日本の法人の収益率そのものは諸外国に比べて決して高いものではございません。私どもは、法人税率というもののあり方につきましては、現在税制調査会でも法人税制のあり方そのものについて検討中でございまして、来年度設備投資の関係でどうという観点から問題を取り上げるまでに至っておりません。  もちろん、実効税率が落ちてきた一つの理由といたしましては、昭和四十年に法人税率を下げていることがございますのと、それから、利益が出てまいりまして配当が多くなされますと、御承知のように、現在は配当軽課税率の適用がございますので、その分を加えた実効税率はどうしても下がらざるを得ない。そのかわりに、その部分は配当としての個人課税の分で配当控除が減らされておるということで均衡はとれていると思いますので、実効税率が下がった問題はそういうところに求むらるべきでなかろうかと思います。その軽課税率自体がいいのかどうかということをいま検討中でございまして、来年度あるいはおそくとも再来年度には法人税制について基本的な考え方をまとめなくてはならぬということは考えております。いま直ちに法人税率を引き上げるというふうに考えているわけではないわけでございます。
  125. 河村勝

    ○河村委員 いま法人税率を上げ下げしてもそう大きく設備投資に響かぬだろうという意見でありましたけれども、政府のいろいろな経済予測にタッチしておる学者のはじいた数字で、法人税率、税引き後の利潤が一単位ふえると設備投資が二単位ふえるんだ、それくらい誘発効果がある。現実に昭和四十二年度は約——さっきの法人税率が下がったやつは昭和四十年です。だから、あれはもう経済社会発展計画に盛り込んでおりますね。だから、そいつはもう影響なしに、実際、計画値から実質値が下回っているために生じた設備投資の伸びが九千億になったという数字が出ておるのですが、そういう点についてはあなたはどうお考えになりますか。
  126. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 いま御指摘になりました計算の問題には、いろいろこまかい問題があることは御承知だと思います。たとえばあの計算では、法人の所得の発生年度と税額の実現の年度とは食い違っておることを無視しております。法人税がふえてまいりますときには、どうしても所得のほうが先にふえまして税額の実現がおくれますから、だんだん下がって見えるわけです。法人税率が変わっていなければ、本来実効税率が下がるわけはない。もちろん、さっき申し上げた配当性向がふえたという点ではふえると思いますけれども、あの点、学者の先生もちょっと見落としておられるように思います。正確に期間対応をやってみればそういうことは実際ないと思います。上昇期はどうしても法人税のほうがおくれまして、法人所得に対する税額の率は落ちると思います。別の時期を比較しているわけであります。今度は逆に、下がるときは法人税率が重くなっていくという結果になるので、その辺の調整がよくできていないように思いますが、それは別といたしまして、配当性向がやや高くなって、景気がよくなって配当を多くしている、復配をしたとかいうことから、実効税率が下がっている面が若干あると思いますが、これもたいして影響はない、かように考えております。
  127. 河村勝

    ○河村委員 時間的なズレのあることはもちろん勘定に入れなければいけませんけれども、その上でもなおあるような気がしますが、これはきょうここでもって三十分以内に議論してもしようがありませんから……。  ただ、あなた方がたいへん尊重し、かつ利用している税制調査会の答申でも、景気調整政策と法人税の関係を答申をしておりますね。今後日本のように、設備投資が行き過ぎてそれが景気過熱の原因になっているところでは、法人税はもうちょっと機動的に使えという趣旨のことがありますね。これは一体、こういう趣旨の考えを——単にいままで安過ぎるから法人税率を上げるというのでなしに、そのときに応じて弾力的に操作できるようなそういう仕組にしようという考えはお持ちですか。
  128. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 景気の上昇過程において、あるいは停滞過程におきまして、全体の予算策定の時期に法人税率を操作するということは、将来考えられないことではないと思いますが、法人税の実現いたします時期というのは、先ほど申し上げましたとおり、大体一年先でございますので、その点の見通しをよほどしっかりしてないといろいろなそごが起きる可能性がある。ことに期中に、法律ではなくて政令に委任して税率を上げ下げするということもさらにその危険性は大きいのです。もちろん、経済予測等が非常に的確になってまいりました場合には、その点も十分考えられると思いますけれども、御承知のとおり、現在景気予測というのがかなり当たらないほうが多いわけでございまして、たとえば政府にことしの四月ごろ、例の景気調整政策を発動せよという声がずいぶんあった。あのとき景気調整政策を発動しておりますと、ちょうど九月決算にそれが出てまいります。九月決算のときにはちょうどまた公定歩合をむしろ一厘引き下げという時期になっておるわけでございまして、その辺を考えますと、私どもはいまの段階では、むしろ法人税自体に備わっている景気調整機能というものを生かしていくということが必要ではないかと考えております。  と申しますのは、御承知のように、日本の法人の場合にはほかの国の法人と非常に違います点は、いわゆる営業利益の中で利子支払いに充てられる部分が非常に大きいわけです。これが営業利益が増益をいたします場合に、純税率は営業利益の増加割合以上にふえるわけです。そのために実際の付加価値がふえた以上に大きな割合で法人税は増収になる。それが非常に大きな引き揚げ効果になります。景気が沈滞して営業利益が縮小した場合には、今度は逆にそれ以上に税収が減る、それが緩和要素になるというような強い弾力性を持っております。それだけでも相当な景気調整能力を発揮するのではないかという感じはいたしますが、将来の問題としては、御指摘のような問題を考え得る余地は、先ほど先生御指摘のように、法人の留保利益というものは非常に大きな投資効果を持ちますから、景気予測のより確実性が期せられる時期には、あわせて考えられる問題ではないかということは税制調査会も指摘しているとおりであります。
  129. 河村勝

    ○河村委員 景気予測が当たらないのは、むしろ政府がかってに政策変数をいじっておかしくするから当たらないというほうが一番大きいのですけれども、それはよろしいとしまして、時間がありませんから、銀行局長おいでですから伺います。  先ほども日銀総裁に只松さんが聞いておりまして、日銀総裁たいへん巧妙なる答弁をされて、大体昨年来の景気調整期においても、三割引き締めしかできなかったのじゃなしに、それで済んだからやらなかったのだというような説明をされました。確かに大蔵大臣は、これじゃいかぬということで新しい景気調整手段を事務当局に策定を命じていたというふうに新聞には出ておりましたが、まあ日銀、中央銀行は具体的なことはその場でなければ言わないというのがたてまえでしょうけれども、大蔵当局としてはやはり制度的に考えていかなければならぬ。特に、いつなんどき外貨不安がもとで引き締めをやらなければならぬ時期が来ないとも限らぬですから、いまごろ検討しているのはほんとうはおそいくらいだと思いますが、どのようなスケジュールで、どのような考えでやっておられるか、ちょっと伺います。
  130. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまの問題でございますが、確かに日銀の窓口規制の対象になっている金融機関の資金のシェア、全体の金融機関の中に占める割合というものは低下をしてきている。そういう意味で、今回の引き締めの効果が鈍かったのではないか、こういう御指摘であるわけでありますが、これは国債発行等によって資金の流れが変わってきている。あるいは企業の自己金融力というようなものも増大をしてきている。また反面、今回においては輸出が非常に早く伸び出しまして、輸出の好調と、当然、輸出に伴っての資金、輸出代金というようなものが市中に流れる。それから外資も取り入れられてくる、この金もやはり市中に出る。そういったようないろいろな原因が重なりましてああいう現象になったもので、すべてがすべて窓口規制の対象の金融機関のシェアが落ちたからこうなった、こうはいえないと思います。その辺、要するに経済情勢の変化に応じまして——金融調節の手段の中には窓規制のような量的調整の手段もございます。金利機能を使うというような意味の質的な面、いろいろな手段、全体にわたってこの新しい経済情勢のもとにおいてどういうふうにあるべきかということを再検討をしなければならない。こういう意味に考えております。  そういう意味におきましては、たとえば金融制度調査会におきまして、現在民間金融機関に関する特別委員会金融制度を審議いたしておりますが、中間報告というものをいままでに二回出しております。その中で、公定歩合をはじめとして金利を年利建てにするというような構想を出しまして、これにつきましては現在全国銀行協会におきましても、これを実施するための具体的な問題点というものを委員会を設けて検討しておりまして、間もなく結論が出ることになっております。年利建てということになりますと、公定歩合の変動幅というものが、従来の一厘、二厘といった刻みから年利〇…五%あるいは一%、こういうような刻みになるというような問題もございまして、これも金利機能がより強く動く要素になるわけでございます。それからまた、預金金利のうちのいわゆる円歩預金、通知預金とか普通預金とか、こういった預金でございますが、この預金金利というようなものも、あるいは公定歩合と連動的な関係で動かすというようなこともやはり中間報告で出ております。そういった事項はすでに金融制度調査会の中間報告というもので取り上げられておりますので、今後実施面の措置を検討してまいる、こういうことであるわけであります。  そのほかいろいろ、きょうもちょっとお話に出ましたような準備預金制度をどういうふうに考えるかとか、あるいは窓口規制の対象というようなものをどう考えるか、まあいろいろな問題がございます。それにはそれぞれの技術的な問題があるわけでありまして、これは今後日本銀行でも検討いたしますでありましょうし、われわれのほうも検討してまいりたい、かように考えております。
  131. 河村勝

    ○河村委員 実はこの前も、準備預金制度の問題についてはこの前の景気調整期であれだけ——いまのお話では、必ずしも窓口規制がきかないだけではないという説明がありましたけれども、実際は輸出環境が非常によくなったのが神風みたいな働きをしたというのが適切だろうと思いますけれども、この議論は別といたしまして、ああいう時期においてすら、準備預金制度を現行法で許される範囲すらやっていないのを非常にふしぎに思ったものですから、あなたにお聞きしたのですけれども、やはりこれからも、輸出環境が非常に恵まれて、引き締めもきかないうちに国際収支も改善されてしまうというケースがそうしょっちゅうあるわけではないのですから、どうしても金融調整の一番基本的なものは、準備預金制度とそれから公開市場操作の組み合わせだろうと思いますが、準備預金制度を、いまのままでまだ広げる余地がありますけれども、この際、根本的に改正をされて、もっと本式に活用するという意思はないのですか。
  132. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまのお話は、原則的には全くお話のとおりであろうと思うのです。現在準備預金制度は、御承知のとおり、銀行そのほか相互銀行、信用金庫でも資金量が一定限度以上のものに対して、その一定割合を日本銀行に預ける、こういう制度でありますが、その割合はきわめて低い、こういう状況でございます。これはわが国の場合は、準備預金制度が動いておりますほかの西欧諸国あるいはアメリカ等の場合に比較をいたしまして。日銀貸し出しというものが現在はオペレーション中心になりましてから、日銀貸し出しというものの姿が変わっておりますが、なおかつ、日銀貸し出しというものが準備預金の対象になっている金融機関に相当あるわけでございます。そこで準備預金の率を上げますと、それは一方貸し出しと両建てになる、いわゆる両建てという形が民間と銀行、金融機関の間ではなくて、日銀と銀行の間で両建て、こういう形になるような面を持っております。そういうことも全然無意味であるという意味ではないわけでありますが、そういうようなこともありまして、準備預金の率というものがこういう面で先進国である国に比べるとその比率が低いということも従来あった。準備預金制度のあり方等につきましては、おっしゃるとおり、基本的には準備預金を活用するという方向で考えるべきことは、私もそのとおりであると思います。いろいろ日本の場合の特殊な金融情勢による問題点というものを考慮しながら、その準備預金の活用という点について積極的に今後検討すべき問題である、かように存じております。
  133. 河村勝

    ○河村委員 いま銀行局長、たいへん正直に、オーバーローンが原因でどうもあまりうまくいかないのだ、こういう御説明でありますが、オーバーローンの問題はここで議論してもしかたがありませんが、なかなかそう簡単になくなるわけでもないでしょうから、オーバーローンがあって、それは預金と貸し出しの両建てになることはあっても、それが全然効果がないわけではないし、いわんや日銀の金を借りない他の金融機関についていま一番問題があるわけですね、 金融調節に対して。特に農業系金融機関などは、現在この準備預金制度の適用がないわけですね。そういうものは当面広げておいておかなければ困るのではないか。  それから、いま準備預金にしても最高限度一〇%ですね、これをもうちょっと引き上げてくれなければいけないのではないか、そういうことを考えて御質問しておるわけです。オーバーローンの状態であることを一応抜きにしても、この際改正するほうがほんとうじゃないかと考えるのですが、いかがですか。     〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕
  134. 澄田智

    ○澄田政府委員 現在御承知のとおり、農林系統の機関に対して準備預金の制度が適用になっておりません。これは必ずしも法律を改正しなくても、この点は現行の法律で指定をするということでもって、政令の指定ということで対象にはなるわけでございます。農林系統機関等の準備預金の問題という問題は、当然一つの検討事項として検討すべき問題であると思っております。  それから、いまお触れになりました一〇%の比率というものが法律でそれをこえることができないということになっておるわけでありますが、これをどうするかという点につきましては、現在の準備預金の比率というものが非常に低いわけで、実際は最高一〇%というようなわけでございますから、それにさらに今後の場合等を考えてみましても、いま一〇%の法律の最高限度を引き上げるというような必要はない。現行の限度の中でどのくらいの比率が適当であるか、そういう問題だと思います。
  135. 河村勝

    ○河村委員 いまの銀行局長の御答弁、間違ってはいませんか。農協系の金融機関ですね、なるほど農林中金は施行令を改正すれば準備預金率の適用はできますけれども、それ以外のものはできないでしょう。どうなんですか。
  136. 澄田智

    ○澄田政府委員 その点は、私が系統機関と一般的に申し上げましたのは誤りでございます。農林中金ということでございますが、これは考え方でございますが、農林系統機関というような場合を考えれば、日銀が取引対象として信用の調節をするという場合には中金を対象にする、中金が下部機関に——中央機関としてそこに集まるような機構からいっても、中金を対象として行なえばよいのではないか、かように考えております。一体に日銀の窓口規制にいたしましても、都銀中心ということになるわけでございますが、それはそこに信用の、コールその他いろいろなものを通じまして、信用の影響というものがそこに集まっているというようなところを対象にするということで、その対象機関のシェア以上に全体に影響力がある、そういうような面があるわけで、準備預金についてもそういうようなことがいえると思うわけです。  そういう意味で、私は不正確な言い方をいたしましたが、そのときは農林系統というのはその頂点にある中金、こういう意味で申し上げました。訂正いたします。
  137. 河村勝

    ○河村委員 それはそれでいいのですが、実際今度の場合なんか農林中金に集まっ金だけでもって規制する分なんというのはわずかです。実際は農協系、いろいろな農協あるいは農業共済組合とか、そういったものの貸し出し増加のほうが多かったんじゃないですか。
  138. 澄田智

    ○澄田政府委員 今回の場合は、いまお触れになりました共済連等の機関が新たに貸し出しの対象ワクを広げられた、そういうような問題がありまして非常に伸びたことは事実でございます。そういう意味で、そういう機関の貸し出しというものが金融引き締めという場合に、資金の動きという上から見らば一つの意味を持っておるということも事実でございます。
  139. 河村勝

    ○河村委員 その額も少しじゃありませんね、相当大きな額です。景気に相当な影響を与える程度の額です。ですから、それをほっておいていいのかということを私は聞いているのです。
  140. 澄田智

    ○澄田政府委員 この場合は、その資金の性質がかなり一般の商業金融の金とは違っていることは御承知のとおりでございます。そういうようなものでございますので、これをどういうふうにコントロールするかという点はいろんな角度から検討しなければならない。よくいわれておりますように、金融機関の一般の銀行の保証で貸し出されているというようなこともございます。保証のほうの面をコントロールするような手段はないのかとか、いろいろな問題があると思います。今後検討いたしたいと思います。
  141. 河村勝

    ○河村委員 たいへん遠慮がちな御答弁ですけれども、実際農協糸の金融機関の貸し出し増加額は保険会社より多いくらいで、ですから、ほっておいていいわけはないので、私はそれについて制度を改正するのがほんとうだと思いますけれども、きょうは時間がありませんから、今後ひとつ積極的に御検討願いたいと思います。  そこで、時間になってしまったので、主税局長に具体的な問題を二つだけ伺います。  一つは住宅貯蓄減税、これも大蔵大臣が就任以来すぐ拡充するというようなことを言っておったようだが、その後しりつぼみになって、むしろ事務当局ではそれを消していくような傾向に見えるようですが、それは一体どうなんですか。
  142. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 住宅対策が必要である、これは言うまでもないことであります。先生御承知のとおり、いま住宅が建たないという一番の問題は土地でございます。土地の取得が非常に困難である、地価が高騰して一般のサラリーマンの手に届かないというところに問題がある。そういう意味で、住宅問題の基礎をなすものは土地税制の改革でなければならぬ。大臣もそれに主力を置かれまして、今回の税制調査会の土地税制をできるだけ全面的に実施したい、それは御承知のとおり、長期保有土地については思い切った分離課税をやるということで供給促進をはかっているわけであります。反面、投機的な土地取得に対しては非常に高率課税をしようという考え方でございますから、これによって土地問題の解決の一助として、それを中心に住宅対策を展開していくという考え方で目下検討いたしております。住宅そのものの供給増加という問題につきましても、いい案があればということでせっかく勉強いたしております。
  143. 河村勝

    ○河村委員 土地税制を直していただくのが根本で、それはけっこうでございますが、多く議論するひまはありませんけれども、いまの租税特別措置というのをやるからには効果のあるものでなければ意味がない。いま税額控除で一万円限度ですね。これではせっかくつくっても実際に魅力ないですね。だから少なくとも魅力あらしめるくらい、税額控除で五万円くらいやらなければ存在する意味がないと思います。政府の住宅五カ年計画はおそらくだめですよ、民間にたよるばかりで。だめにしてはわれわれの責任だから、これからやらなければいけませんが、そういう意味で意味あらしめるような額にする気はないかということを簡潔こ……。
  144. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 いま御指摘になりましたように五万円くらいの税額控除をやるということになりますと、これはそもそも税額が五万円なければいかぬわけで相当な高額所得者になる。そういう意味で税の免除でやれる範囲というのは非常に少ないという面はやむを得ないと思います。一般の控除自体がまだ百万円にもいっていない段階でございますので、特別措置としてもそこには限界があるだろうという点で、むしろ外郭を整備するという意味では土地その他の条件整備をはかるということが一番大きな問題ではないか、かように考えております。
  145. 河村勝

    ○河村委員 もう時間切れでこれ以上質問するひまもありませんが、最後に一つだけ。  自動車損害賠償保険の責任保険、あれを保険料控除しないというのはどうも筋が通らない。時間がないから一ぺんに言ってしまいますけれども、一体、法律でもって強制的に支払いをさせる、しかも一般の社会保険は全部保険料控除ですね。あの分だけは税金にひとしいものだと思うのに全然保険料控除もやらない。筋が通らないと思いますが、いかがですか。
  146. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 いま生命保険料控除あるいは損害保険控除という制度がございますけれども、生命保険料控除は貯蓄増強という線が一つの政策の基礎にある。損害保険の場合は住宅対策という面があるわけでございます。自動車についても同じようなことがいえるかどうか、これは将来の検討問題だと思います。  と申しますのは、自動車のいまの維持経費の一つとしての保険料というものは、事業所得者の場合事業経費になりますが、一般の事業所得者以外の場合には経費にならない。その経費になるかならぬかという点で問題はございますが、もし経費になるべきものならば保険料控除に入るだろうという問題でもございますし、それを特別に控除するためにはやはりそれだけの強い政策的理由がなければならぬ。現在自動車を持っておるという人を考えますと、いまの課税最低限その他から考えた場合に、決して持っていない人よりも不利ではないという程度の人が自動車を持っておられると思いますし、自動車を持っている人にだけ特別な控除が与えられるという段階ではまだないんではないか。もちろん強制であるという点はわかりますけれども、これはやはり自動車税その他の負担金と性質上はある程度似たものではないか。そういう意味では、必ずしもこれを必要がないからといって、理論的でないということではないと思います。政策問題として、今後自動車を保有させ、またその保険料というものを控除させることがより必要であるという時期になれば、またこれは考えられると思いますが、現段階ではそこまで考える必要はないだろうというのが、いまの損害賠償保険を入れていない理由でございます。
  147. 河村勝

    ○河村委員 これは、私は強制という点に問題があると思うのですよ。強制保険であっても、それによって自分が何か給付を受けるというならまだいいのですけれども、一般的に自動車保険に入る人間というのは、これは私が言うまでもないのですが、ちゃんと交通法規を守って自動車を動かしておれば、そうすれば事故も起こらないし、起こっても賠償責任はないわけでしょう。ですから、一般のまじめな人間は、あれはかける意味がないわけです。ただ、不特定多数の歩行者保護のために、悪いやつが中におるから、だから全部ひっくるめて強制保険にしているわけでしょう。ですから、あれは一種の税金ですよ。税金から税金を引くというばかなことはないわけですよ。その点理屈が合わないと思うのですが、どうでしょう。
  148. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 いまおっしゃいましたように、確かに一種の社会的責任とも申せるような負担だと思います。そういう意味で税金に近いと思いますが、同じような意味の自動車税も、これは所得計算上の損金に入れていないわけでございますので、やはり社会的、一般的な責任として、自動車を持っている以上、それは負担すべきものであるということは、これは確かでございますが、これが特別に所得から控除されるべき費用であるということにはならぬというふうに考えます。
  149. 河村勝

    ○河村委員 時間が来てしまって催促されていますから、一応やめます。
  150. 倉成正

    ○倉成委員長代理 応沢直樹君。
  151. 広沢直樹

    広沢(直)委員 まずきょうは、予算編成も大詰めになってまいっておりますので、その問題に関して、要望を加えながら諸問題についてただしてみたいと思います。  まず、予算編成の大蔵原案のできる時期でありますが、昨今の新聞によりますと、年内はむずかしい、来年になるだろう、こういうことですが、その見通しはどうですか。
  152. 上村千一郎

    ○上村政府委員 実は、年内編成を目途に努力をいたしておるわけでございまするが、結果的には、ちょっと年内編成は無理かというふうに思っております。そして、新聞などで流れておりまするけれども、そんなような状態になるんではなかろうかというような感じを持っております。
  153. 広沢直樹

    広沢(直)委員 大体煮詰まってはきているのでしょうか。
  154. 上村千一郎

    ○上村政府委員 実は、今回の予算編成につきまして、御案内のように、あるいは食管問題なりあるいは国鉄の財政の問題、あるいは地方財政、要するに交付税率の問題、あるいは社会保険の問題とか、その他非常に大きな問題をかかえております。そして、これが非常に大きなウエートになって、それをどう処理をするか、柱をどう立てるかということによりまして——非常に大きくなってまいりますのは、自然増収の見込みが、まあ先のことですからはっきり言えませんけれども、一兆一千億から二千億くらいいくだろうとしましても、いわゆる当然増の経費関係が七千億ぐらいいきはしないだろうか。これもはじいてみないとなかなかはっきりしませんが、そうしますと、先ほど申し上げましたような方針がはっきり立ちませんと、なかなか予算編成というふうな方針に近づけないわけです。  それで、あす臨時国会が終わりますけれども、その後におきまして、先ほど申し上げましたように大きな柱についてひとつ方針を立てていこう、こういう状態であるわけです。
  155. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは、大体そういう大きな柱を問題にして大詰めに来ていると思いますが、そこで、予算編成にあたっての最重点施策というものはどこに置いているか、その点について。
  156. 上村千一郎

    ○上村政府委員 最重点施策という問題についてでありますが、要は、いま言ったように当然支出すべき、要するに制度上あるいは法律上当然支出しなければならぬ増加というものが非常に大きなウェートを占めてきておる、これをどう処理をするかという問題がございまするが、それをのけますれば、最近の国内経済というものにつきましては、御案内のように順調に伸びておりまするけれども、拡大生産がずっと続いておりますので、この点につきまして慎重に考えなければなるまいし、また、御案内のように海外経済におきましても、国際通貨の不安という状態も予見されるし、あるいはアメリカ経済におきましても、先行きの不安状態ということも頭に入れなければならぬということを考えますと、どうしても相当警戒をいたして、財政が景気を刺激しないような状態で、多少締めていくというような基本的な態度が出てくると思うのであります。それとともに、来年の自然増ということを踏んまえてまいりますれば、財政体質というものを改善しなければならぬという観点から、公債の依存度というものをひとつ改善をしていこう、こういうような意味におきまして、公債の発行額を減ずるとか、あるいは現在国民も一番要望しておりまするところの減税関係、特にサラリーマン減税とかいわれる給与所得者の減税ということも踏んまえていかなければならぬ。こういうようなことをいま考えながら、先ほど申し上げましたような大きな柱を煮詰めていく、こういう状態でございます。
  157. 広沢直樹

    広沢(直)委員 私は、そこで要望も加えながら申し上げておきたいわけでありますが、佐藤総理の臨時国会の所信表明演説の中にも、当然、国民生活を守るために物価問題を最重点に取り上げていく、こういうことをおっしゃっているわけです。また大蔵大臣も、物価の問題については、非常に重点的に考えていくように承っております。したがって、そういうことになりますと、これは財政の体質の問題もございましょうが、やはり物価最優先の政策を織り込んだ財政をつくっていかなければいけない、私はそう思うわけでありますが、その点についてどうでしょうか。
  158. 上村千一郎

    ○上村政府委員 お説のとおりかと思うわけでございまして、この物価問題というものは、これはもう非常な最重点の問題かと思うのであります。それとともに、経済の安定的な成長をはかりながら、しかもそれが持続して成長していくということもあわせて考えていかなければならぬというような点で、総合的に検討をいたしておるわけであります。
  159. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それで、物価最重点の政策ももっともだというお話でありますが、具体的には——もちろん佐藤内閣ができて以来、物価の安定という問題と社会資本の充実という二本の柱は国民に公約された問題である。ところが、その後の状況を見ますると、これはもうすでに新聞紙上等でも明白になっているとおり、経済の伸びも非常に高度成長しておりますし、それから消費者物価の上昇もはなはだしいものがあり、論議の中心になっているわけでありますが、そういうことになりますと、具体的に物価を安定さしていく、抑制していく政策というものについては、どういうふうに考えていますか。
  160. 上村千一郎

    ○上村政府委員 先ほど申し上げましたように、物価関係というものはなかなかむずかしい問題がございます。たとえば公共料金などの問題や何かも、これは大きな問題になっておるけれども、しかし、これをむげに押える一点ばりというようなこともとり得ない。と申しますのは、結局その企業関係のいわば抜本的と申しましょうか、相当本質的に検討して改善をはかっていくという線でないというと、公共料金だけを押える一点ばりでいって、そしてその間の赤字を財政でまかなっていくというような方針ばかりもとれぬわけです。それかといって、公共料金が上がってまいりますれば、これが物価に大きく響くことは確かでございますから、これをどのような調整をするかという問題も大きくございましょうし、あるいは財政そのものにつきまして、物価を刺激するような、経済を過度に刺激するような財政を組みますれば、また物価にも響くし、いろいろな問題が物価の問題に響いていくかと思います。それを総合的に検討しながらしていこう。けれども、何と申しましても、いま、先ほど申し上げましたような大きな問題をたくさんかかえておりますので、これを基本的にどう煮詰めるかということが、まだかっきりきまっていないというのが実情なんです。あす臨時国会が終わりますれば、それから急速にこれをきめていくという状態になるかと思います。
  161. 広沢直樹

    広沢(直)委員 新聞紙上によりますと、来年度の公共料金の値上げという問題が盛んに取りざたされているわけであります。もちろん概算要求の中にも総合予算主義をとっておる関係上、各省からはそういう公共料金の値上げを含めた要求があっていると思います。財政硬直化打開ということを一つの目標にして、本年度から総合予算主義をとったわけでありますが、一年を経過してみまして、本年の物価の上昇というものは、当初の経企庁の経済見通しの中にある消費者物価の上昇率をこえている。これは過日の予算委員会でも明らかに長官から答えがあったわけでありますけれども、その最大の問題であった消費者米価の八%値上げ、これと前後して諸物価の値上げ旋風が起こってきて、どうもこの見通しは維持できない、こういうような情勢になってきているわけであります。  そこで、来年度も公共料金の値上げ要請があるわけでありますけれども、その問題について具体的にどういう問題が起こっているか、その点についてまずお伺いしておきたい。
  162. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 お答えいたします。  公共料金の問題につきましては、極力事業等の合理化を行なって、企業の努力によって利用者の負担を必要最小限度にとどめるよう努力するのが当然であろうと思っております。  来年度どういうものが問題になっておるかという点につきましては、御承知のように、国鉄の経理状況というのは毎年度四百億ずつも悪くなるというような状況でございまして、いろいろ国鉄のほうで合理化の努力を行なっても、なおその企業としての存続、発展をはかっていくために、どうしても料金の値上げを考慮すべきであるというような点から、国鉄の料金の問題が一番大きな問題として取り上げられておるわけであります。  それから、さらに電信電話料金、それから食管の運用の問題をめぐる米麦価の値上げが、これまた、全然問題として煮詰まって正式にまだ要求としてもないわけでありますけれども、そういうような問題が現在予算の編成の過程での問題として取り上げられておるわけであります。
  163. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それだけですか。まだほかに国立大学の授業料の問題とか、これは文部省あたりから出ているんじゃないかと思うのです。それから、あるいは健康保険料の問題、あるいは揮発油税の問題等、これは主税局のほうの関係だと思いますが、そういった問題も出ているんじゃないかと思いますが、もう少し詳しく……。
  164. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 御指摘のように、いろいろ新聞等で話題は出ておりますけれども、学校関係の授業料の値上げにつきましては、関係省から特に要求が出ておるわけじゃございません。  それから、保険料その他の問題でございますけれども、保険料はその性質から考えまして、これは何らかの意味で保険制度に加入している方々の負担になることは間違いありませんけれども、結果としては、これは何らかの給付にはね返ってくる性格のものであります。これを物価と称し得るのかどうかという点については、相当問題があろうかと思います。  ガソリン税の問題についても、いろいろ最終消費者の価格というのが、確かに払う料金が間接税ということになりますから、大きくなることは間違いありませんけれども、税制の問題で基本的にものの価格が上がるかどうかというような点については、非常に議論の多いところだろうと思っております。  そのほか、特に新聞等でいろいろ塩の問題とかいうようなものが出ておりますけれども、大体そういうようなことで尽きておるんじゃなかろうかと私、思っております。
  165. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それで、この問題ばかりではどうもしょうがございませんが、要するに、佐藤内閣以来ずっと公共料金というものは毎年値上げがあるわけです。特に消費者米価等については、毎年値上げになってきている。いま大きな問題になっておりますが、ここで総合予算主義というものを貫いていこうとすれば、先日も大蔵大臣から受益者負担という、そういった原則を打ち出されて、それを貫いていこう、こういうことに答弁があったわけでありますけれども、財政からはみ出した分はすべて物価の値上がりにかぶせていくという結果になるんじゃないか、政府は物価上昇をある程度まで計画的に実施しているんじゃないか、毎年毎年の動きを見ておりますと。単年度で、最近は公共料金を値上げしなかった年はないわけです。ですから、いわゆる政府主導型の物価値上げである、こういうふうにいわれているわけであります。  以上のような公共料金の値上げの動きは、財政当局が年次途中で補正予算を組まない総合予算主義を財政硬直化と結びつけて考える、財政負担のかかるものは物価政策に持っていくという、こういう傾向がやはり総合予算主義の中に含まれている。ですから、財政硬直化打開というのは、それはよくわかるわけですけれども、そこにはまた別の問題点がございますけれども、結局それは来年度も貫くという方針を打ち出されております。そうなっていく上においては、いま最も問題になりました国鉄料金あるいは電話料金等の問題についても、値上げが必至じゃないか、こういう状況にあるのですが、その点の見方というか考え方はどうですか。
  166. 上村千一郎

    ○上村政府委員 あとから課長からお話を申し上げますが、いまお説のような点に結果的にはなっているようなわけでございますが、計画的に物価を上げているわけじゃございません。どうしてもこれだけ高度の成長を遂げてまいりますと、物価関係はある程度物が上がっていくということは、世界的な傾向かと思うわけであります。が、何としましても、物価は上げないようにしていくということが基本的な方針、そうしなければならぬと思うのです。  総合予算主義をとっていった場合に、それからはみ出したやつは、結局公共料金や何かを上げていくんじゃないか、受益者負担にいくんじゃないか、こういう点はある程度そういう点も考えられるかと思いまするが、しかし、先ほど申し上げましたように、公共料金そのものをすべて抑制してしまうのだというようなものの考え方は、現在政府はとっていない。しかし、それはやむを得ぬ状態のものに限るのであって、そうでないものにつきましては極力上げないようにする。何となれば、物価政策というものは大きな一つの柱でございますから、総合予算主義といいましても、そうすることによって物価関係もある程度抑制ができるんじゃなかろうかというようなことも考えるわけです。ですから、非常にむずかしいたくさんの問題を一つのふろしきの中に包もうとするわけでありますから、多少はみ出す点もあったりいろいろな点がありまするけれども、考え方はいま言ったような考え方を持っております。  他の問題につきましては、課長からお答え申し上げます。
  167. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ただいまの政務次官からの御説明で尽きておるわけでございますけれども、そもそも公共料金の問題を考えてみますと、非常に人的なサービスに依存する度合いが多いものが公共料金には多いわけでございますが、たとえば米の問題にしましても、さらに国鉄の料金の問題にしましても、国鉄の場合、たとえば例をとりますと、あれだけの設備投資をしても年に四・五%程度しか実質生産性というものは上がらないということになっておるわけであります。そういう反面、御存じのように経済の成長に伴って所得が上がる。特にわが国の場合には、生産性の上がる部門におけるところの賃金の上昇が、過渡的であるかもしれませんけれども、労働不足というようなことを背景に平準化されておるというようなことで、結果的に生産性の上がらない部門の賃金がある程度上がるということも、あるいはやむを得ない点もあるのだろうと思うのです。  御指摘の総合予算主義だから物価が上がるという点につきましては、御承知のとおり、総合予算主義というのは年に一度予算編成する際に、限られた原資の中であらゆる財政需要を洗いまして、その優先順位に応じてそれぞれの施策にどれだけの財源を配分するかということを総合的に判断しよう。これは予算編成の基本的な考え方で、何もいま新しく出た問題じゃないと思いますけれども、そういう考え方からしまして、たとえば米の問題につきまして、四十三年度の場合二千四百十五億円の範囲内で処理したい、そういう判断を経て編成された。その運営の過程で現実の米価の問題、いろいろな問題があったことも事実でございますけれども、それが物価を上げたということではないと判断をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、公共料金は上がればいいというものではないんで、できる限りそれぞれの中における個々の合理化努力を伴って、なおかつ、どうしてもその値上げを行なわなければならないというようなものについて、最小限度の範囲内で事柄を処理すべきであると考えております。     〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕
  168. 広沢直樹

    広沢(直)委員 財政硬直の場合においては、総合予算主義をとった場合には、あとからまた私も論議しようと思っておるわけでありますけれども、勢いそういう受益者負担が強くなってくる、こういうことを申し上げているわけです。  そこで、いま何も公共料金が上がったからといって物価を上げたことにならないじゃないかという、ちょっと耳ざわりなことを聞いたのですが、経済企画庁にお伺いいたしますけれども、かりに国鉄が予定している一五%の値上げ、あるいは電報、電話料金の値上げをした場合には、経企庁の試算では物価へのはね返りは大体どのくらいに考えているのですか。
  169. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 まだ本年度から来年度にかけまして物価全体につきましての試算を行なっておる最中でございますので、正確にいま何%ということは申し上げられないと思います。国鉄の問題にいたしましても、ただ国鉄ということだけではなくて、あと私鉄の問題でありますとかバス、タクシーとかいろいろな問題がこれに関連をいたしております。そういった点を総合的に考えて計数をはじきたい。目下検討いたしておるところでございます。
  170. 広沢直樹

    広沢(直)委員 これは新聞に出ておりましたけれども、国鉄運賃をかりに一五%値上げをした場合、これだけの場合だったら経済企画庁も試算が出ておるというふうに発表になっております。それによりますと、大体〇・二%、物価を上昇さす力を持っている、あるいは電報、電話料金等においては〇・十六%、これを四十五年まで続けると〇・三二%、倍になる、こういうような試算が経企庁から出されているというのですが、どうですか。それが一点。  もう一つ、重ねてお伺いしておきたいわけですが、電報、電話料金の問題にしましても、先日大蔵大臣は記者会見で、これはできるだけ上げないようにしたいと申しておりまして、結局現在電電公社の場合については赤字ではない。大型の設備投資をやっていくとこれは赤字になる傾向にある。こういうような場合は、来年度の消費者物価の値上がりも、こういった関係から景気の関係も加味して非常に上がっていく。こういうようなことが見込まれておる場合においては、先ほどのお話のように、できるだけ下げるという抽象的な問題ではなくて、具体的にお伺いしているわけです。  こういった電報、電話料金等の問題、あるいは国鉄運賃の問題にしても、公共性の強いものについては、価格の決定についても経済全体の上から考えていかなければならない。これは単に一般の企業と違うわけですし、競争原理を導入しているわけでもありませんで、一種の独占的価格というか管理価格的な色彩が強いわけですね。企業努力というものが一般の企業と比べてなされない。ですから、そういう公共性の強いものについては、当然財政面からの援助というものを考えていくべきじゃないか。それには限度があると言われるでしょうが、限度があるとしても、それならばもう一歩突っ込んで、企業努力というものがどの程度できていっているのか。そういったことが具体的に明らかになった上で、経済全体の伸びからいって——これは公共料金といえども全然そのまま上げなくてよろしいという問題じゃないかもしれません。しかし、現在のような物価高あるいはいろいろな状況の中においては、当然公共料金というものは財政負担をしてでも一時押えるべきである。前の宮澤経済企画庁長官はそういう話もしておるのです。ところが、いま言ったような情勢にあるので、この検討をしているということだけではちょっと納得できない。その点についてもう少し詳しく話していただきたい。
  171. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 冒頭にお述べになりました数字でございますが、おそらく運賃の値上げあるいは電報料の値上げ等をフラットに、ほかのところを考えないではじけばそういう数字になると思います。ただ、運賃と申しましても定期あり、区間料金あり、急行料金あり、いろいろなことで、物価指数というものについてのはね返りが相当違っております。私ども具体的な運賃の上げ方といいますか、国鉄料金の値上げの内容につきまして、数日前に国鉄当局からも説明を受けまして、その辺のところをいまかみ砕いて計算をしておるというのが実情だろうと思います。  それから、公共料金あるいは物価についての考え方でございますが、もちろん、経済企画庁は物価というものを非常に大きく仕事の中心に置いておる役所でもございまするので、また御承知のように、本年度の物価の見通しが、当初見通しの四・八%を相当大きく上回るというような情勢でもございますので、長期に見ましても物価を安定するということが、わが国の経済の今後の安定成長には欠くべからざる要件だという認識を強く持っております。また、公共料金というものは、それ自体ではなくて、それの持つ波及効果も考えなければなりませんので、そういったもろもろの観点から、われわれとしましては、先般来御審議を願っておりますようなもろもろの公共料金につきましては、これが上がっていくということはやはり物価の問題については非常に大きな影響があるというふうに考えております。  ただ、この問題は、財政全般の問題とも関連をいたしまするし、たとえば国鉄をとって申しますと、国鉄の財政再建という問題ともからみますので、そういった全体の観点から、なお今後予算編成の中心課題が議論されます際に、企画庁としてもいろんないま案と申しますか、対策、考え方も練っておりますので、そういった段階で財政当局その他関係の省と打ち合わせしながらやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  172. 広沢直樹

    広沢(直)委員 もう一点申し上げておきたいことは、いま申し上げたとおりでありまして、経企庁としては、まあ前経企庁長官も、結局公共料金を一年でもストップして、その中で財政の体質というものを考えていかなければならぬのじゃないか、こういう意向をはっきり表明しているわけです。おそらく今回の菅野経済企画庁長官も同じ意向だろうと思うのです。特に経企庁においては、そういった面についてもっとはっきりとした態度をいま表明していくべきじゃないか。それと財政当局とあわせてまたお答えいただきたい。
  173. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 おっしゃるとおりでございまして、ただいま申し上げましたように、私どもとしては、来年度の全体の経済の見通し、その中における物価の重要性というものは非常に強く考えております。先般、商工委員会等におきます菅野経済企画庁長官の所信表明の中にも、物価安定というものを今後の施策の第一義としたい、こういうことをはっきり述べておることでもその点はおわかりいただけると思います。  いま申し上げましたような全体の観点からいろいろ私ども検討いたしまして、私どもとしては長官が私どもに指示をいたしておりますように、来年度の物価を何とか五%以下の水準に押えたい、こういうことで努力をいたしておるところでございます。
  174. 広沢直樹

    広沢(直)委員 私が聞いておるのは、具体的に、いまこういうふうに予算編成の時分において、当然概算要求の中に組み込まれてきておるであろうこういう公共料金の問題について、これを押えるべきであると私は申し上げているわけです。ですから、そういう面に関して経企庁としては、この一つ一つは、これはやむを得ない、これだけはどうしても押えたい、こういう態度をはっきりしておくべきじゃないか。と同時に、財政当局は、いまちょうど予算編成中であるから、具体的にこれをどうすると言えないかもしれませんが、考慮する立場にありましょうけれども、これだけはやはり明確にすべきじゃないかと思う。もうこれは最初お伺いしたように、煮詰まってきておる段階に来ているわけですから、その点をひとつお伺いしたいわけです。基本的な財政体質改善の問題については、いろいろ柱はまだ重要な問題として残っている、これから煮詰めていく段階である。それはよくわかるわけですけれども、その点どうでしょうかね。
  175. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 先ほどもお答え申し上げたとおり、公共料金の問題につきましては、極力事業の合理化によりまして、すなわち、企業努力によって利用者の負担を最小限のものにとどめていきたいという考え方は、財政当局といえども変わっておるわけではありません。しかし、特定の受益者に対するところの公共サービスの料金を利用者が負担すべきか、あるいは一般的な租税で負担するほうがいいのかということは、なかなか重要な問題であろうと思うのでございます。公共料金を無理に抑制するということだけで、すなわち、財政補給でうまく一時的に料金を上げないでしのぐということは、これはびほう策にしかすぎないわけでござまして、基本的に物価を安定させるということは、やはり企業の努力等によりまして生産性を上げることによってこれを安定させるということでなければならないというぐあいに思っております。  しかし、これは一般論でございまして、個々の料金の問題を具体的に予算編成の過程でどういうぐあいに扱っていくかという点につきましては、いずれも相当の大きな問題でございまして、今後予算編成の過程でいろいろ話題に出てくる諸料金につきまして、十分部内でも論議を詰め、それぞれ選別をしまして、適正な処理をはかっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  176. 広沢直樹

    広沢(直)委員 要するに、公共性が強いために企業性が排除されている分もあるわけです、公共料金の中には。国鉄なんかもそういう方面で、合理化の問題で赤字線ですか、そういった問題でいろいろ苦慮しているようでありますけれども、そういった場合においてはやはり財政面から援助してこれを防いでいく。要するに、将来の利便のための投資財源というものは受益者にはね返されるのじゃなくて、当然財源の確保というものについては財政当局からの援助、そういったもので補っていくべきである、私はそう考えるわけですが、その結論は、論議しておっても時間がありませんから出ませんので、それを強く要望しておきたいと思うのです。  そこで、もう時間がありませんから簡単にお伺いしますが、来年度の予算の性格は、再三いわれておりますけれども、警戒中立型予算、こういうことでいま編成中だろうと思うのですが、この点よろしいですか。
  177. 上村千一郎

    ○上村政府委員 さようでございます。
  178. 広沢直樹

    広沢(直)委員 警戒中立型予算を編成する、それは景気一般の動向から考えて当然だと思います。私は、むしろ抑制的にいくべきじゃないか、こういう考え方を持っておるわけであります。大体予算の規模というものは、ちょうど編成中でありますから、これは煮詰まっていないというお答えになるだろうと思うのですけれども、希望を申し上げておきたいので、大体のめどはどの辺にあるのか、その点はお答えいただけませんか。
  179. 上村千一郎

    ○上村政府委員 新聞では五兆六千億とかいろいろな数字が出ておるようでございますが、現在のところ、はっきりまだ煮詰まっておりません。
  180. 広沢直樹

    広沢(直)委員 当然増経費というものが、先ほどちょっとぼやかしたようなお答えであった、相当あるというようなお答えであったのですが、予算委員会のときに大蔵大臣は、七千億をかなりというような表現をなさっておったようであります。そうすると、「ファイナンス」に主計局長の話が出ておりますけれども、この中には大体七千億をちょっとオーバーするような見方の話が出ているわけです。ということになりますと、これを本年度の当初予算にプラスしますと、どうしてもやっぱり一二%くらい本年度より上がってくるのじゃないかと思われるわけですね。先ほども次官のお答えにありました税の自然増収というものが、大蔵大臣は一兆一千億をかなりと申しました。いまは一兆一千億か二千億、こういうような一つのめどであると申しておったようでありますが、それがそのままあったとするならば、私はまたそれ以上に伸びるであろうと考えておるわけですけれども、そういった場合は、大体本年度の当初予算にそのままプラスすると、これはすごい予算の伸びになるわけです。  そこで、減税と国債減額、こういう問題が起こってきておるわけでありますが、いまの論議されている中において、大体減税はどれくらい見積もっておるのか、国債減額はどの程度考えているのか、これははっきりした数字は出ないかもしれませんが、そのめどというものをちょっと教えていただきたい。
  181. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 お答えいたします。  御承知のように、四十四年度予算につきましては、現在編成の過程にあるわけでございまして、現在具体的な数字をあげてお答えするのは困難であろうというふうに思っておるわけでございます。先ほど御指摘のように、確かに財政硬直化打開ということでいろいろ努力はしておりましたけれども、結果的に四十四年度の当然増経費というのは七千億程度にのぼるというようなことも事実でございます。いろいろそのほかに政策的な経費の需要というようなものもあるわけでございます。しかし、いずれにしましても、諸般の景気情勢、すなわち、国内経済はいま非常に順調に好況を続けておりますけれども、海外の経済事情というのは必ずしも楽観を許さないような状態にあるということに対応しまして、できる限り予算の規模を適正なものにしたいということで努力をしていきたいと思っております。  なお、予算の規模なりを経済の状況とどういう指標で比べるかというようなことは、いろいろ議論のあるところでございます。先般の国会においても、政府の財貨サービス購入の規模と経済の成長との関係で判断をすべきものじゃないかという御議論のあったこともございますので、そういう点も十分考えて、いたずらに景気を刺激することのないような予算にしたいということで現在編成作業を進めているような状況でございますので、規模の点については、この際お答えをするのは御容赦を願いたいと思います。
  182. 広沢直樹

    広沢(直)委員 この論議は当然予算のなにが出てきてからすべきであろうと思うのですけれども、ただ、やはり物価を押えていく、抑制していくということを第一義に考えていくならば、予算の規模というものがあまり大きくなってまいりますと、これは先ほど言った経済効果的に考えて、当然あらゆる面から物価を押し上げていく結果になるわけでありますから、これを小さくすべきであろう、そういうことで少々いろいろな論議をここで論議したいというつもりでおったわけでありますが、時間がありませんので、大体煮詰まった段階において、これはまた具体的に論議したいと思います。  それでは次に、たばこ消費税制度についてお伺いしたいと思うのです。この問題がいま問題になっておりまして、各方面から答申も出ておるようでありますけれども、これの経緯について、時間がありませんので、簡単にひとつお願いをしたいと思うのです。
  183. 平井廸郎

    ○平井説明員 この問題につきましては、昭和二十年来からいろいろな調査会等で検討されたものでございますが、最近のものだけちょっと申し上げますと、本年七月に出されました税制調査会の長期税制答申の中におきまして、現在の専売納付金をたばこ消費税に改める等について、すみやかに検討するようにという御答申がございました。これを受けまして、かねてから研究をしておりました専売公社におきましても、制度研究会の結論を本年の九月に出しまして、同じような方向の結論を出しておるわけでございます。  さらに、先ほども触れました長期税制答申の中におきましても、この専売納付金を税制に改める問題は、単に税制上の問題でなくて、財政制度上、財政収入の問題でもございますし、また、専売事業運営という面の問題でもございますので、その面の検討をするようにという配慮をされましたので、これを受けまして、財政制度審議会並びに専売事業審議会におきまして、それぞれ約二カ月かけまして検討いたしました。それぞれの結論におきまして、同じ方向をとることが望ましいということを答申並びに建議をいただいておるわけでございます。  これを受けまして、さらに税制調査会におきまして、目下具体的な内容について御検討いただいておるところでございます。
  184. 広沢直樹

    広沢(直)委員 結局これは、勢いたばこ消費税制の方向に持っていこうという一つのお考えがおありなんですね。
  185. 平井廸郎

    ○平井説明員 ただいま申し上げました各種の審議会並びに調査会のお考えの基本には、消費税制度にすみやかに移行すべきであるということがうたわれておりまして、現在税制調査会で御検討中のこの消費税法案について成案が得られますならば、四十四年度からでも実施に移したいというのが大蔵省の考え方でございます。
  186. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そういう消費税制度にした場合のメリット、そしてまたデメリット、それはどういう点にあると思いますか。
  187. 平井廸郎

    ○平井説明員 先ほど来御説明申し上げました各種の調査会、審議会の御答申並びに建議の内容から総合いたしますと、消費税制度に移る場合のメリットというのは三つの面から考えられております。  まず、現在の納付金制度についてちょっと御説明申し上げますならば、毎年の専売事業における総収益から総損失を引いたもの、これが原則として国に納付され、一部が地方たばこ消費税にまいるという形になっております。この考え方は、公社が必要なものだけは使うが、残りは全部国並びに地方において徴収するという形をとっております。したがいまして、企業として運営していくための合理的な基準がない、こういうところに基本的な欠陥がございます。消費税制度をとることによって、一定の率による税制を前提にして、その範囲内において公社が経営をしていくということになりますれば、企業経営を合理的に運営していくための基盤が計数的に形成されるようになります。そういう面において公社の経営の合理化に大いに役立つであろうと考えております。  第二点は、現在の納付金制度を見ておりますと、先ほど申し上げましたように、公社の経費を引いたものを国が受け入れるということになっておりますので、長年の経緯を見ますと、だんだん納付金が減ってきておる、率として減ってきておるということになっております。納付金の実体が消費税であるということはかねがねいわれておるところでありまして、税制の立場から見ても、税率としてきまっていない、消費税というきわめて変則的なものであると同時に、かつ、意図せざる減税が行なわれてきたということがいわれておるわけでございまして、消費税制度に切りかえることによって、こういった事態は解消されるということになるわけでございます。  第三は、財政収入の面でございまして、財政収入の面では、先ほど申し上げましたように、だんだん納付金率というのは減ってきておるわけでございますが、これが税制として一定率によって確保されるということになりますれば、安定的な歳入が確保される、こういうことでございます。
  188. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは、時間がもうオーバーしましたけれども、あと二点くらい聞いておきたいと思うのです。  実は、いま三点にわたってございましたけれども、当然公社経営のいろいろな問題に立ち入った話もございましたけれども、それはやはり現状においても、何らかの企業努力というものはめどをつけてできないわけはないと思う。  時間がありませんから簡単に申し上げますが、あるいはまた意図せざる減税の問題にしても、これは嗜好品としての非常に大衆化したこういったものに税金が多くかかり過ぎておる。いまは税金ではありませんけれども、そういうふうな空気が強いし、前回のたばこ値上げの問題のときも、これは大きな問題になった。いまハイライト等で値上げして六〇%くらいかかっておりますか、そういうことになっておりますから、多少それが減っていってもいいじゃないか、こういう議論もあったわけであります。  それからまた、財政を確保していくという問題ですけれども、これも前の大蔵委員会のときに私も再三聞いたわけですが、どの程度財源の依存度というものを考えておるか、前からずっと減ってきたからと、こういうようなことも言っておりますけれども、その点については私は問題があると思います。  要するに、これを消費税制度にした場合においては、やはり現在のたばこの益金率が低下して、何%の率にするかということは、また具体的な案が練り上がったときに問題になってくると思うのですけれども、しかし、この制度そのものが——いま反対側のデメリットの説明がなかったのですよ。これは財政当局からいえば、メリットのことばかり言ったわけですけれども、したがって、これが消費税で取り上げられてしまうと、あと残った分が公社の経営の合理化であるとか、あるいは収納価格に影響してくる問題だとか、そういったところにしわ寄せが寄ってくるのじゃないかということが考えられるわけですね。取るだけ取ってしまったら、あとはみんなで分けてやっていけ、特に現在の物価上昇やいろいろ経済の変動が激しい場合においては、やはり毎年毎年収納価格というものも値上げをしていかなければならないという問題が出てくるであろうし、そういった点にしわ寄せがやってくるのじゃないか。あるいは価格を値上げしなければ減反になってくるとか、いろいろな問題がここに出てくるのではないかと考えられるわけです。そこもいかなくなれば、また、たばこの定価改定で値上げという問題になってくるのではないか、そういった面を十分検討して、そしてこれは考えていかなければならない問題ではないかと思います。具体的な案が出ておりませんから、結局その中でどうなるかこうなるかということはいま十分論議は尽くす段階じゃないと思いますけれども、一応納付金のパーセントが六〇%を割っているような状況になってきているわけですね。そういうような段階において、これをこういうようにしていこうということになりますと、やはりしわ寄せというものが、デメリットのほうが非常に大きくなってくる。財政の上から見れば、メリットは非常に大きくなってくると思うのですが、そういった面を十分考慮して慎重に扱っていただきたい。このことを要望して、私はきょうは終わりたいと思います。
  189. 田村元

    田村委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時一分散会