○
田邊委員 大臣の
所信表明がありましたこの
機会に、緊急に
一言だけ
質問を申し上げたいと存じます。
すでに今
国会の
最大の焦点であります
公務員賃金の
決定に対しては、
政府関係者がいろいろと検討されておるところであろうと拝察をするわけであります。言うまでもなく、
公務員給与の
決定にあたって、
人事院勧告制度が設けられておりますけれ
ども、この
人事院の存在は、
公務員労働者の
労働基本権を制約をしておるというこの現実の
状態の中から、その
代償機関として設けられたものであることは、御案内のとおりであります。しかし、これとても、いま国際的に見た場合には、ILOあるいは
ドライヤー勧告に見られるとおり、すでに国際的な
見地からは、きわめて正当なものとは言いがたいところまでまいっておることも、また御
承知のとおりであろうと思うのであります。したがって、われわれとしては、あくまでも
公務員労働者の
労働基本権を
確立する、そういう
立場からいいまして、これは、いわば暫定的な
措置として
人事院勧告はあるというふうに、
理解をしなければならないと思うわけでございます。
ところが
大臣は、就任をされて早々、十日の
閣議後の
記者会見でもって、
人事院勧告はただ単にいわゆる
給与問題としてばかり取り扱うわけではないと
発言をされました。私は、そのところまではそのとおりだろうと思うわけであります。いま私が申し上げたとおり、これは
労働基本権にかかわりのある問題でございますから、当然そういう
理解の上に立って、この
給与問題を取り扱うことが正当であろうと思うわけであります。
ところが、
原労働大臣は、
給与問題として取り扱うべきでないというその
あとに、この問題はいわゆる七十年問題の
労働攻勢に対処するためにも
これは
考えなければならぬ、したがってその
見地から、四十四年度からの
完全実施をはかるべきである、私はその点に対して、
関係閣僚協議会においてその
主張を貫きたい、こういう実は
発言をいたしておるのであります。これはまことに驚くべきことであります。私
どもとしては、いま申し上げたような観点で、単なる
給与問題として取り扱うことは、これはいかがかと思うのでありますけれ
ども、しかし、これがいわゆる七十年の安保問題に関連をして
考えられるということは、これはまさに本末転倒であります。これはまさに労働問題を、あるいは
公務員の
給与問題を、治安問題として取り扱わんとするにおいがするわけでありまして、まことにゆゆしい問題であるといわなければならないのであります。私は
労働者の
権益を守る
立場の
労働大臣としての
発言としては、どうしても容認することができない、このように
考えておるわけであります。
したがって、この際ひとつ
原労働大臣、あなたは
公務員給与に対して、その
完全実施をはかるという
立場というものは、一体どういう
立場で、どういう
考え方でもってこの
労働者の
権益を守り、
人事院勧告の
完全実施をはからんとするのか、その
真意をこの際ひとつ
国民の前に明らかにしてもらいたい、このように
考える次第でございまして、
大臣の
所信をお伺いしたいのであります。