○板川委員
特殊法人で
法律の立法化をするということになりますと、いろいろの
意見があり、
結論を出すまでに時間がかかるだろう。したがって、一面非常に激化しつつある
交通事故による
遺児の救済ということは、当面の急を要しますから、とりあえずは
民間の団体を育成して目的を果たしつつ、やがて必要がある場合には法制化をする、こういう形でもいいと思うのです。この際、拙速を選ぶという気持ちで以下若干
質問いたしますが、これは余談になりますが、
新聞報道によると、
総理府の
陸上交通安全調査室がつくった
交通事故による
親等を失った
児童生徒の
調査結果の
集計、この
集計が閣議に
総理府から報告をされたときに、閣僚に大きなショックを与えた。しかし閣議では、これらの
遺児に対する
救済措置が話題にはなったものの、これという名案が浮かばなかった、こういうふうなことが
新聞に出ておりますが、その事実がほんとうかどうかは別といたしまして、私は
一つ具体的な提案といいましょうか、こういう形でやったらどうかというものを
一つ提案をして御
意見を承りたいと思うのです。参考にしてもらいたいと思うのですが、それは、
一つは、組織は
交通遺児育英会という仮称、どういう名称かは別として、
交通遺児育英会という
民間団体をつくる。これは
財団法人とする。で、
事業の目的は、
交通遺児に対して育英
奨学金を貸与する。これは
生活保護ではない。まあ
交通遺児という問題については、重傷で自主的に通常の作業ができない
状態になった、廃疾不具者になったような人の
子供も
交通遺児というふうに見てもいいと思いますが、そういう
育英資金を貸与するという目的を持つものである。受給資格要件は、
生活保護法の要
保護者あるいは準要
保護者、こういう資格を持つものであって、
日本育英会等での規定によりますと、貧困と優秀というのが二つの条件になっております。ほかの
育英資金の柱というのは、ほとんど貧困と優秀、貧乏だけれども非常に優秀な者、そういうものに
奨学金を与えるという式になっているのですが、この団体としては優秀であることは希望しますが、これを要件としないで、貧困であれば
奨学金を貸与するという
考え方に立つ。
奨学金の貸与基準は、ほとんど
義務教育化いたしておりまする
高校就学に
重点を置く。
高校就学者に月額五万円程度を貸与する。大学の場合には、これは
一般の大学の
奨学金制度もありますから、原則として出さないが、しかし、大学で交通問題を専攻しようとする者には月額二万円程度を出したらどうか、こういうような構想ですね、
考え方。これをちょっと概算してみましたらば、
交通遺児を四千人
——この統計に基づいて、中学三年が大体三千八百九十人、若干ふえて四千人近くですから、まあ四千人程度といたしますと、五千円に四千人をかけ十二カ月にいたしますと、約二億の資金を要するということになりましょう。そして、その他を入れますと、大体二億五千万か三億程度でこの目的は果たせるんじゃないかと思います。この
財源は、官民よりの寄付による。たとえば、先ほども他の委員から質疑が行なわれたのでありますが、自
賠法の
特別会計よりの
補助金とか、競輪、競馬、ボートレース、お年玉はがき、こういったものからの寄付、
政府からの
補助、
民間の法人及び個人からの寄付、こういうようなところから
財源を求める、こういうふうにされたらどうだろうか。
それで、第六として、実は、この四千人というのは、この
調査に基づく
生活保護者、要
保護者という、中学一年から三年までの数学を
高校に置きかえたわけでありますが、先ほど言いましたように、
事故で親が廃疾不具になったような場合ですね、こういう者等を加えますと、実はもっとこれよりも若干よけいになるだろうと思います。その
財源の確保のために、実は一番大事なことは、
民間の法人、個人から寄付を容易にするために、この
財団法人交通遺児育英会が大蔵省に指定寄付の認可申請をした場合に、大蔵省がこれをすみやかに認めるように
政府がひとつ約束
——この
趣旨に賛成して積極的に取り組むという総理や
総務長官の
趣旨から言いましても、大蔵省がこの指定寄付の申請を認めるように
措置をひとつ約束してもらいたいということが問題なのです。御
承知のように、法人税法三十七条によりますと、資本金の千分の二・五プラス所得の百分の二・五割る二という
金額以上の寄付をした場合には、損金に算入しないという規定になっております。個人の所得の場合には、寄付金は免税
対象になっておりませんが、しかし、この指定寄付の認可を受けた団体に寄付をされる場合には、その規定の分を上回った寄付金は損金と算入されまするし、個人の場合には年間所得の一五%までは免税される、こういうたてまえになる。ですから、この
民間団体が
事業目的を果たすためには、どうしても大蔵省の指定寄付の認可をされるという前提がないと、なかなかこの三億円の
財源というのは確保できないというふうに
考えるのであります。
また、このいまの方式でやる場合には、私は、主務官庁は、文部省よりも厚生省よりも
総理府になるべきじゃないか。文部省の管轄しておりまする
奨学金は、いわゆる貧困、優秀というのが条件になっております。この場合には、優秀をあえて要件といたしませんから、そうしますると、文部省ではいやだと言っておるようなんでありますから、これは
総理府管轄になるのではないか、こういうふうに
考えておるのです。
これは、私の
一つの提案でありますが、以上のように、
特殊法人化するその前に、とりあえず、ひとつ来年度からでもこういう
趣旨の
対策を打って、総理の
趣旨も大臣の
趣旨も政治の中で生かしてもらいたいと思うのでありますが、
長官の
見解、いかがでしょうか。