○林
参考人 ただいまお尋ねの埼玉県の八潮団地のことでございますが、これは数年前から、地元からも町長をはじめ熱心に誘致の運動がございまして、ぜひここへ
住宅団地がほしい、こういうような御
要望がありました。しかし、私のほうでいろいろ検討してみますと、いま御
指摘ありましたように問題が二つある。
一つは、あそこは地盤が悪いのですね。それで、パイルをずいぶん深く打たなければなりません。それで家賃なんかにはね返ってくる。経済性を
考えましてどうかということで、その試験がずいぶん手間どりました。
もう
一つは、いまお尋ねの公害でありまして、隣が、埼玉県の企業局でいたしております四十数万坪にわたります大工業団地ができつつあるところでございます。その隣でありますので、
住宅として適切かどうかということをいろいろ
考えたのであります。それで、もし公害があって、お話のような公害つきといいますか、そういうことで、それでも入りたければ入れというようなものは極力つくりたくございませんので、また、つくるべきでないと存じますから、それで
——ただし、公害の
程度はどの
程度のものが出てくるのか、ある
程度の距離をとって
措置を講すれば許容できる、その
程度ならばそんなあれじゃないというところかどうかということを、県当局と二年以上にわたって折衝を続けたわけであります。それで、あそこは内陸
地帯でもあるし、その連れてくる工場というものにはそんなに公害の出るものはない、現に第一次募集と第二次募集とございますが、第一次募集はほとんど公害が出ないものばかりだ、こういうことで、それから、第二次募集についても極力そういうように公害を出さないものを選んで立地するようにするからという県とお話がありまして、そしてこれを買収することに決心したわけです。で、この買収が金額にいたしますと四億でございまして、面積三万坪以上でございます。これは、四億ものお金を使いますときに、それが役に立たなくなったらたいへんだということで、相当慎重に県当局と連絡をしたわけでございます。ところが、第二次募集があって業者がだんだんと決定していく、そうすると、途中においてどうも公害の出るものも出てくるようだ、それじゃそれを防ぐ
——といいますか、お互いに防ぐのですね、片方は出さないようにする、こっちは受けないようにするのにどうしたらいいかということでいろいろと折衝を続けてきたわけでございます。それで、この折衝を続けてきまして、そうしていよいよ、いろいろな条件でこれだけのことをすればいいだろうというところまでいきましたので、そこを買収して農地転換を行なって、そうして二メートルほど埋め立てなければいけません、埋め立てを終わったところでございまして、これからくい打ちをしようというところになりまして、一番トップレベルの知事さん、副知事さんのほうから
——これはいろいろ新聞にも最近出ておるようでございます。特に公害があることがわかっているところに団地をつくることは県として同意できない、今度はこういう最高首脳部の判断になってきたわけでございます。まあその後のいろいろな変化もあります。そこで、現在、どうしてこれを打開するか、どういうふうにしたらいいかということについて、ここ数日来県といろいろ折衝中でございます。
いままで県と話していて、私のほうでいたしますと言っていることは、この工業用団地との問に六十メートル以上幅を離すということで、問に川がございます、それから五十メートルの幅をとりまして、そうしてその次に建物を壁みたいにずっと建てる、その建物は特殊装置にして、そうしてその建物の次のところから一般の
住民の住む団地をつくる、その建物にはその工場の方におもに住んでいただく、こういうようなことに
考えて、工業用地と
住宅団地との問を六十メートル以上離して、それからその問を緑地にする、公園にして、植林をしてなるべく大きな木を植える。それから、この工場の次が川でありまして、その川の土手のところを土盛りしまして高さ三メートルの堤防をつくって、そうして音を上へそらしていってしまうということで
——工場ですから、公害がないとか少ないとかいっても、どうしても音が出ます。それをそらすということ。それから、建物をアルミサッシを使いまして気密性を強くして、音が入らないようにする。その近いほう、壁になる
地帯には特殊装置をする。それからばい煙のことが心配でありますから、ベランダをつくるのをやめてサンルームにして、部屋の中で干す、こういうようにして、かりにもそういうせっかくの洗たくものがよごれるということがないようにする、こういうようなことまではして、事務的には話が、それじゃそれで……ということになったわけでございますが、さらに大所高所の見地からもう一回、そういうお話がありましたので、そこで私のほうとしては、ここまでいっておりますし、東京の都心に四十五分というなかなかいいところでございますし、それから、そこにいわゆる
生活として許容し得る
程度の若干の音とか、くささとか、そういうものであれば、それをどうして防ぐかということを
考えて、その問に面者の
調整が成り立たないかということで、いま一生懸命苦心をいたしておるのでございます。いわゆる
生活というものが大事でもございますし、また、工場公害のやかましいときでもございますし、また、知事さんはああいう良識的な方であって、その方が非常に心配してそう言われる、そこいらをよく尊重いたしながら、この間極力
調整につとめましてこの問題を善処していきたいと
考えております。