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1968-12-20 第60回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十二月二十日(金曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員   委員長 加藤常太郎君    理事 金丸  信君 理事 砂原  格君    理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君    理事 岡本 隆一君 理事 佐野 憲治君    理事 内海  清君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    大野  明君       仮谷 忠男君    澁谷 直藏君       正示啓次郎君    田村 良平君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       阿部 昭吾君    井上 普方君       斉藤 正男君    福岡 義登君       吉田 之久君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君         日本国有鉄道山         陽新幹線建設部         長       杉田 安衛君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     稗田  治君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     宮地 直邦君         専  門  員 曾田  忠君     ————————————— 十二月二十日  委員下平正一辞任につき、その補欠として斉  藤正男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員斉藤正男辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  請 願   一 都市計画街路放射第十一号線の事業促進     に関する請願島上善五郎紹介)(第一     四六号)   二 特別不動産鑑定士及び同鑑定士補試験に     関する請願塚本三郎紹介)(第三八一     号)   三 能代川分流案反対に関する請願石田宥     全君外一名紹介)(第八五五号)   四 町田市鶴川駅周辺都市改造区画整理事業     の撤回に関する請願長谷川正三紹介)     (第八五六号)   五 鎌倉市今泉滝ノ入地区特別保全地区指     定に関する請願小泉純也君紹介)(第八     五七号)   六 都市計画法の運用に関する請願増田甲     子七君紹介)(第八五八号)   七 都市計画街路放射第十一号線の事業促進     に関する請願鯨岡兵輔紹介)(第八五     九号)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  審査方法についておはかりいたします。  各請願内容につきましては、文書表で御承知のことと存じますし、また、先ほどの理事会で御検討願ったことでありますので、この際、各請願について紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採決を行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより採決いたします。  請願日程中、第一、第二及び第五ないし第七、以上の各請願は、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、残余の各請願は、いずれも採否の決定を保留いたしますので、御承知願います。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  7. 加藤常太郎

    加藤委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり、二十五件であります。この際、御報告いたします。      ————◇—————
  8. 加藤常太郎

    加藤委員長 次に、閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  理事会協議によりまして、本委員会といたしましては、  急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律  案  土地価格の抑制のための基本的施策に関する法  律案並びに  国土計画に関する件  地方計画に関する件  都市計画に関する件  河川に関する件  道路に関する件  住宅に関する件  建築に関する件及び  建設行政基本施策に関する件について、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  10. 加藤常太郎

    加藤委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  本件調査のため、本日、日本住宅公団から、総裁林敬三君、理事稗田治君、理事宮地直邦君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じます。さよう御了承願いたいと存じます。     —————————————
  12. 加藤常太郎

    加藤委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。  なお、この際、質疑をされる委員各位に申し上げますが、本日は質疑者多数のため、理事会協議によりまして、質疑は、一人おおむね三十分程度にお願いいたします。  吉田之久君。
  13. 吉田之久

    吉田(之)委員 初めに、新建設大臣に対しまして、民主社会党といたしまして、おそまきながら心からお祝い申し上げます。特に、大臣がその後あらゆる会合にきわめて積極的に直接出席なさいまして、その決意、経綸を大いに表明しておられることに対しましては、深く敬意を表する次第であります。  実はわが国高度経済成長というものが至るところにひずみを生じてまいりました。建設行政の面でよほど重要な手直しをいたさなければ、この問題が解決しないのではないかという段階でございます。そこで、われわれの党でも、これからのわが国の政治の重要なかなめと申しますか、柱というものは、高成長、高福祉でなければならない——高度成長は非常にけっこうでございますけれども、そのことによって住民福祉がますます低下していく、至るところで公害、交通難が続発する、あるいは過密過疎地帯ができ上がってしまうというふうなことではどうにもならないと思うのでございます。そういう点で、このわが国のとってまいりました高度経済成長政策が各地で過密地帯過疎地帯をつくり上げてしまった。現に、東京の三多摩地方だけでも何と人口二百五十万を数えるという状態のようであります。これはただならぬことだと思うのです。こういう過密と過疎住民福祉の低下を招いておる。要は、もうバランスがとれなくなってきておる。このバランスをとるのは、やはり積極的な建設行政の展開以外に方法はないと思うのです。そういう点におきまして、新建設大臣が、今後バランスのとれた国土開発という点について、まず大まかにどのようなビジョンと決意をお持ちであるかということを、あらためて申していただきたいと思います。
  14. 坪川信三

    坪川国務大臣 吉田委員の励ましのおことば、厚く御礼申し上げます。  いま御指摘になりましたわが国土開発、わが国土建設の基本的な問題に私も建設大臣として取り組ましていただきまして、もう二十日になろうといたしておりますが、いま吉田委員の御指摘になりましたごとく、ほんとう高度経済成長に伴う日本国土建設行政現状を見ますときに、まことにその格差の激しいことを思い、また、ひずみの多いことを思いますときに、われわれといたしましては、その上に立って高度な立場から日本国土建設開発の、まことにきびしいことばで申し上げますならば、改造期に来ておる、言いかえますならば、大きな転換期に来ておるというようなことをつくづく感ぜられるような次第でございます。そうしたことを考えますときに、やはり都市開発の推進をいたしますとともに、一番国民の不幸な生活に直結いたします過疎地域に対する総合計画というものを打ち出さなければならぬ。その総合計画と申しますか、総合施策の中には、治水もあり、道路もあり、また住宅もあるというような気持ちをいたしますときに、私といたしましては、建設行政の大黒柱である五カ年計画を、ひとつ年次計画を堅持いたしながら予算措置を講じてこれらの問題に取り組んでいくことが、われわれに与えられたきびしい、また最も重要な課題でなかろうか、こう考えておりますので、その基本線を堅持いたしながら、来年度の予算獲得その他にも最善努力をいたすつもりでおることを申し上げて、御了承をいただきたいと思います。
  15. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣も、いまいかにわが国が大きな改造期転換期に直面しておるかということをよく御確認いただいていることをありがたく思いますけれども、いまおっしゃいましたように、そのためには、確かにいままで政府が樹立いたしてまいりました五カ年計画というものを完全に実施していく以外にまず当面の方法はあり得ないのではないかというふうに考えます。  ところが、皆さんも、政府の方々もごらんになっていると思うのですが、この十二月の十八日、一昨日の朝日新聞ですが、「建設省など危機感」という見出しで、今年度の二の舞いはごめんだ、いわばいろいろな計画は立っておるけれども、実際毎年毎年建設行政獲得でき得る予算というものが、その五カ年計画をそれぞれ完全に実施遂行していくための裏打ちにならない不十分な予算でしかないということを非常に心配なさっているようでございます。きのうも治水事業促進全国大会に出たわけでございますけれども、そこでもいろいろと論議を呼んでおりましたのがこの治水事業五カ年計画合計二兆五百億円の予算で出発いたしております。ことしがその初年度でございますけれども、しかし、この初年度において合計のわずかに二二%程度しか消化できないのではないかという見通しのようでございます。こういうおくれ、おそらく来年も、とても二〇%は来年だけでは進まないのではないか、こういうことでは、いかに計画が立てられても、まさに画餅に帰すのではないかというふうに考えるわけであります。こういう重要な予算編成期にあたりまして、いま建設省が立てておられるそれぞれの五カ年計画、それがほんとうにこのままで計画どおり目的を達成できるのであろうかどうか、途中でまた手直しして新五カ年計画に変更してみたり、結局はあいまいもこたる五カ年計画に終わってしまうようなことが再びあってはならないと思いますので、そういう点で、今期予算編成期に臨んで、建設大臣としては、この五カ年計画完全実施のために具体的にどのような決意と、どのような対処を講じておられるかということを重ねてお聞きいたします。
  16. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました点、全く私も同感でございまして、建設行政景気調整のしわ寄せを受けるというようなことは、私といたしましては絶対に避けたい。現在の経済成長その他から見ましても、また経済効果等考えてみましても、長期にわたって公共事業を推進しなければなりませんが、一方、もしこの年次計画がおくれ、またこれがくずれるようなことに相なりましたときには、公共投資の時期を失してしまい、わが国土建設のすべてがくずれ落ちるというようなことも考えられるので、時間と競争しながらこれらのきびしい問題を解決していきたい、この信念と申しますか、決意をもちまして、来年度の建設行政の重要な五カ年計画予算獲得にはひとつ全幅の力を注いでいきたい。これには、御理解の深い建設委員会委員長はじめ委員の皆さまの御協力も、また御指導もいただかなければなりませんとともに、各種連盟その他団体等の御支援もちょうだいいたし、責任者である私どもといたしましては、財政当局責任者であるところの大蔵大臣にも過去において累次にわたりましてお願いもいたし、また、臨時国会も終わります時点に立って、福田大蔵大臣に強く事務的にも、また政治的にも折衝を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  17. 吉田之久

    吉田(之)委員 いろいろ大臣から御決意のほどを伺いましたが、それでは、このもろもろの五カ年計画の中で、現時点で確かにおくれていると思われるものについては、来年度において十分にこれをカバーし得る、また、しなければならないと思いますが、そういう最善努力坪川建設大臣においてなされなければならないと思いますので、あえてこれ以上御回答を求めることはやめますけれども、特に念を押し、またその善処方を期待いたしたいと考える次第でございます。  そこで、予算のほうはそういうことにいたしまして、今度は、いろいろと新しい全国的な総合開発計画についてでございます。企画庁のほうでは、この問、十月三十日付で、新全国総合開発計画第一次試案というものを発表なさいました。さらに、承るところによりますと、第二次試案もすでにできたというふうに聞いております。次々といろいろな試案を充実しておられるということは非常にけっこうだと思うのです。特に、第一次試案が出されてすぐにまた第二次試案が出さている、この間関係各省庁の意見も十分摂取して、さらに充実したもの、現状に即応したものに仕上げようという御努力をなさっていると聞いておりますが、建設省企画庁との間に、この問題について、第一次試案から第二次試案に至る経過の中でどのような意見調整がなされ、また、建設省としてはどのような内容を積極的に盛り込まれたか、第一次試案と第二次試案の顕著な相違点だけ御説明いただきたいと思います。
  18. 川島博

    川島(博)政府委員 いろいろこまかい点では御意見はございますが、大筋の意見といたしまして、企画庁案の第一次全国計画案に、建設省意見といたしましては二点掲げてございます。  一つは、今回の新全国総合開発計画案におきまする昭和六十年までの二十カ年間における公共投資は、百三十兆円から百七十兆円の間が適当である、こういう表現をせられております。私どもはこの経済成長の早い今日、しかもすでに過去におきまして社会資本民間設備資本のはなはだしいアンバランスということを前提といたしますと、百三十ないし百七十兆円という投資額は過小に過ぎるのではないか、こういう意見を一点申し上げております。  第二点といたしましては、今回の新計画では、札幌から福岡までを通ずる高速道路あるいは高速鉄道あるいは新しい通信網等によって主軸を形成いたしまして、この主軸を中心にいたしまして、地方中枢都市であるとか、あるいは広域生活圏を結びつけてネットワークを形成する、こういうことを柱にいたしております。この広域生活圏の扱いでございますが、企画庁の第一次案におきましては、これを与えられたワク、所与のものといたしまして、これを結びつけるネットワークの形成が大事である、こういっております。しかし私どもは、必ずしも広域生活圏というものがわが国において確立されておるわけではございません、これはむしろ今後いかにこれを形成し整備するかというプロジェクトそのものの問題ではなかろうか、したがって、この広域生活圏というものを、与えられたものと考えるよりも、計画対象そのものというふうに認識をすべきではなかろうか、こういう二点の意見を申し上げたわけでございます。  この第二の意見につきましては、第一次案から第二次案に移る段階におきまして企画庁も受け入れまして、これをプロジェクト一つに取り上げることにいたしております。しかし、第一に申し上げました、二十年間における投資額、これが百三十兆から百七十兆の問が適当であるということにつきましては、まだ調整がついておらない次第でございます。
  19. 吉田之久

    吉田(之)委員 それでは、まだ完全な話し合い、調整はついていない。第二次案というものはできているのですか、できていないのですか。
  20. 川島博

    川島(博)政府委員 第二次案につきまして、十二月の九日に、国土総合開発審議会特別部会が設けられておりますが、この特別部会に第二次試案が提示されております。
  21. 吉田之久

    吉田(之)委員 それでは、そういう作業を繰り返されて、結局、何次案くらいまでを積み上げていって、いつごろこういう全国的な新総合開発計画というものをセットしようとなさっているのか、その辺の見通しについてひとつ御説明願いたい。
  22. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 いまお答えがありましたように、第二次試案ということでやっておりますが、さらにこの計画の第二部、主として地方別に書いた構想関係でございますが、この辺についての修正がまだ残っておるのです。これをやりまして、一月の末ごろにこの次の修正案を出したいと思っております。これをもちまして——あと若干まだ問題が残るかと思いますが、そういった点をまとめまして、できるだけ早くきめたい、こういうふうに考えております。
  23. 吉田之久

    吉田(之)委員 いろいろその辺の皆さん作業の概要はわかりましたので、いずれでき上がった最終的なものをよく検討させていただきたいというふうに考えております。  そこで大臣、特に過密のほうはずいぶんいろいろと問題が出し尽くされております。ところで、過疎のほうの問題なんですけれども、最近松下幸之助さんが、社長一人の英断で、過疎地帯松下の工場を持っていくということを表明されて、なかなかのかっさいを浴びております。事業家がそういうことまで決断し始めている状態の中で、やはり今日の政府、特に建設行政責任を持っておられる皆さんのほうで過疎対策というものが後手後手に回っているのではないか——というよりも、率直に申しまして、ほとんど手を講じておられないのではないかというふうな気がしてならないわけでございます。聞くところによりますと、過疎地域に対しての一つ対策として、日常生活圏都市というのですか、生活都市圏というのですか、名前はよくわからないのですけれども、何かそういう一つ構想を持っておられるというふうに聞いておりますけれども、その辺のところをどなたかから御説明をいただきたいと思います。
  24. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、国民ほんとうに不幸な過疎対策、この問題につきましては、建設省といたしましては、今年度よりぜひともひとつこれの解消に努力をいたしたい、こう思っておるような次第でありまして、いま御指摘いただきましたごとく、一応いま事務当局考えておりますのは、全国五百集団ほどの——集団と申しますか、生活圏を共にする地帯に対する過疎対策を総合的に打ち出してまいりたい、こういうような方針をとっておるのでございますが、その中でやはり優先すべきものは道路の問題であろう、また治水の問題であろうと私は思うのでございます。そうしたことを考えますときに、地方道整備拡幅、また自治体その他との連絡による市町村道問題等も含め、それとともにもう一つ大事な問題は、山村振興道路、また山村産業開発道路、これらを含めましての整備拡幅というものに力を入れたい、また河川におきましては、中小河川整備というような問題も入れまして、同じ生活圏を共にする地帯住民のしあわせを願った対策——数字的にはまだはっきりいたしませんが、おおよそ五百集団、そういうようなことの上に立って総合的な施策を打ち出してまいりたいというのが、いま建設省として、また私といたしましてとりたい考えであることを御了承願いたいと思います。  また、技術的な詳しいことにつきましては、政府委員から答弁させます。     〔委員長退席金丸(信)委員長代理着席
  25. 吉田之久

    吉田(之)委員 そこで、過疎地域なんですけれども、結局みずからの力ではレベルアップする能力を持たない、ほっておいたらますますその辺は取り残されていく、だから、いま大臣がおっしゃったように、河川とか道路とかについてさらに十分な整備投資をしていきたい——おっしゃることはごもっともでございます。結局、そういう地域においては、いままでの地方道をこの際その利用の頻度に応じて国道昇格してくれないかというふうな問題が相当出てくるのじゃないかと思います。現に県のほうでもそれをだいぶお願いし始めているはずであります。あるいは河川についても、全部一級河川にしてくれないかというふうな問題が出てまいります。この受け入れの体制を政府としては今後適切にとっていこうという気がまえでおられるのかどうか、その辺のところもあわせてお伺いいたしたい。
  26. 坪川信三

    坪川国務大臣 基本的な問題につきましては、やはり社会資本の充実ということが基本的な問題に相なりますが、それの具現につきましては、いまお話のありました道路、ことに一級国道への昇格という各府県から強い要望のあることも承知いたしておりますとともに、これらにつきましていま事務当局としまして考えておりますことは、大体予算適正化を行ないながら、獲得を求めながら、何とかひとつ各府県の願いである昇格を、百線を一つ目標に置いて来年度はこの昇格に取り組みたい、こう思っておりますとともに、一級河川に対する昇格もそれぞれの希望河川が多くございますので、これらの昇格につきましても、いろいろの経済効果及び技術その他のなにも勘案いたしながら、目標の線に沿うよう昇格努力いたしてまいりたい、こう考えております。
  27. 吉田之久

    吉田(之)委員 それで問題は、ただ今度は受け入れるだけではなしに、受け入れた以上はそれのめんどうを見ていかなければなりませんので、やはり最初の問題であるそれに伴う予算の裏づけといいますか、増額、それにかかってまいりますので、十分お考えのことだろうと思いますけれども、そういう気がまえで臨んでいただきたい。  それから、時間がもうあと十分も残されておりませんので、少しはしょって申し上げたいと思いますが、土地の問題です。前回も岡本委員はじめ各委員が、都市問題は土地問題であるということを述べられておりますが、特にわれわれは、地価をどのようにして抑制するか、ある程度は私権といえどもこれを制限せざるを得ない時点にもうすでに到達しているのではないかというふうに判断をいたしまして、民社党の場合、地価抑制法案なるものを提案しているわけなのでございますけれども、特にその一つである空閑地税創設等につきましては、大蔵省のほうもようやく動きかけたのではないかというふうに、われわれは感じとして受けるわけなんです。しかし、その大蔵省動き方まだ依然として十分だとは思えませんし、まだまだその態度がはっきりしないと思うのです。こういう点は、特に建設省のほうで積極的に、こういう措置なくしてはこれからの一切の計画が成り立たないのだということで、さらに決意を持って臨んでいただきたい、これは要望にとどめさせていただきます。  そこで、さらにいま一つの大きな問題は、やはり住宅問題だと思うのです。住宅計画がこれも計画よりはずいぶんおくれてきているのではないかと思います。現在計画と比較してどの程度の進捗率であるか、そしてそれを補うためには来年はどのくらいのことをしなければならないかという点を、ひとつ簡潔に、どなたかから御答弁をいただきたい。
  28. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました住宅問題は、ほんとう国民の強い願望であることを考えますときに、住宅五カ年計画はもう四年目を迎えようとしておりますので、目標であります六百七十万戸建設に向かって、一世帯一住宅という最終的な目標に向かってこの計画を推し進めてまいりたい、こう考えておりますとともに、建設省所管によるもの、また公的資金によるもの、各個人の御協力によっていただくもの、これらの伸び率を見ますときに、大体本年度末におきまして五五%から六、七%に到達するものと想定され、その実現に今後とも努力いたしてまいりたいと考えておりますとともに、四十四年度におきましては、少なくともこれを七二%まで、三つの立場から推し進めてまいりたい、これによって残りの二八%を最終年度に進めたい、こういうような計画でおりますことを御了承願いたいと思います。
  29. 吉田之久

    吉田(之)委員 そこで、住宅問題に関連いたしまして、日本住宅公団総裁理事の方がお見えでございますので、ちょっとお伺いをいたしたいと思うのですが、住宅公団ができたとき、その時点では、率直に申しまして、これほどたくさんの住宅が一挙にでき上がるとも御想像になっていなかったのじゃないか。今日、住宅団地というものが非常にマンモス化してきております。このマンモス化していく形態の中で、その団地のサービス、いろいろな雑務的なこと、営繕等のこと、そういうものをどうしていくか、だれしもがあまり気がつかなかったところに、非常に大きな問題が出てまいりました。そこで団地サービスというものが、昭和三十六年に会社としてでき上がったというふうに承っておりますが、この団地サービスという株式会社の仕事の内容、あるいはいろいろと現にかかえている問題点などありはしないか、そういうことにつきましてお伺いをいたしたいと思います。
  30. 林敬三

    ○林参考人 いまお尋ねいただきましたように、住宅公団発足当時、十三年前は、一年目に二万戸つくるという状態でありましたのが、現在は六万九千戸、さらにその次は七万から八万、八万数千戸を一年間に消化する予定になっております。したがいまして、団地も、当初はあき地があったらばそこに家を建てるという状態でありましたのが、計画的に山林を切り開いて何十万坪——坪で申しますと、何十万坪というものを大団地化して、二千戸、四千戸、六千戸、さらに七千戸、八千戸というような一つの団地、人口にいたしますと一万から二万くらいのものをつくらざるを得ない。またそれが経済的でもあるし、また、消化をする上においても必要であるという状態になってまいりました。しかしそれだけに、お察しいただきますように、非常に苦労が多く伴うものでございまして、関連公共施設その他においてもなかなか問題がございまするし、自治体との調整に骨を折りますし、また土地の入手においても困難をいたしますし、さらに、お話しのように、それだけの大団地をいかにして維持管理し、かつ、平均レベルの、少しでも理想に近い清潔な水準を保って快い住みかにしていくかということについては、大きければ大きいだけまた問題も多いわけでございます。そこで、いろいろと団地の居住環境、利便施設、それらを維持いたします業務を公団でも行ないますのですが、お話しのように、こまかいところまで及ぶのにたいへんな——いま四十数万戸管理している大大家でございますものですから、それだけにいろいろと問題がございます。そこで、三十六年に、住宅公団法三十二条の二によりまして団地サービスというものをつくりまして、公団の委託を受けていろいろな管理業務のこまごましたものを行なう、あるいは託児所、駐車場その他利便施設を経営する、あるいは住宅付属品とか日用品を売る、あるいは入居する者、退去する者、そういうときの引っ越しの手伝いとか、あるいはいろいろな補修工事のお手伝いとか、こういうことをするものをつくりましたわけでございます。そして資本は、御承知かと存じますが、三分の二は公団が出しまして、それから残りの三分の一は銀行、生命保険会社、損害保険会社が出資する、こういう形で逐次事業を固めて築いてまいっておるのでございます。しかし、こまごましたことをサービスする会社でございまして、ことに現在のような労務不足のときに、ガラス一枚破れましても、これを直すということの労務者を適切に得て、これを維持しながらできるだけ安い料金でサービスをするというようなことにいろいろ困難がございます。それからまた、こういう仕事でありまして、いろいろと住んでいらっしゃる方からの要望もありまして、こちらは一歩やはり反省しなければなりませんのは、いわゆるサービス会社とは申しますが、半官半民のものでございまして、いわゆる官僚的経営になって心が通わなくなってはいけないということも苦労しております。それから、住む人の生活態様というものはいろいろ千差万別でございます。そこにいろいろとまた要望の違いもありまして、その最大公約数をとりながら、清潔に住みよくするために皆さんの喜ばれる環境というものをつくりますことには、まあ絶えざる——これもこまごまとした、一がいに申せませんが、いろいろな苦心と苦労が要るのでございまして、また一面、この団地サービスに従事している職員に対して非常に同情もし、かつ、縁の下の力持ちになってよくやっているところに対しては敬意を表しているような次第でございます。ただ、これはやはり主任さんの人柄その他にもよりますので、非常に評判のいいところと、官僚的でいけないという、評判の悪いところと、いろいろとあって、絶えず気を配りながら、しかし、本来の趣旨である、大ぜいの住民の方々に、民間の資金まで導入したこういう民間法人で、そうして行き届いたサービスをするということに一そうつとめてまいりたいものと考えております。
  31. 吉田之久

    吉田(之)委員 この団地サービスの会社というのは、これは全国一社なんでしょう。従業員というのは何人くらいおりますか。
  32. 林敬三

    ○林参考人 約二千五百人でございます。
  33. 吉田之久

    吉田(之)委員 その団地サービスという会社が、今度はそれぞれ下請さしておりますね。いまお話しのとおり、ガラスを入れるとか、左官をするとか、そういう団地サービスが直接指定の工事人として入れている工事業者と申しますか、そういうものは大体どのくらいかかえているか、いろいろと検討なさったことはございますか。
  34. 宮地直邦

    宮地参考人 その総体の数字はわかりませんけれども、団地サービスは必ずしもすべてのものを下請に出すという形ではございませんので、たとえば塗装あるいは清掃というようなものにつきましては、できるだけ自分のほうで直営をするような指導方針をとっております。しかしながら、季節的な繁閑がございますので、一部を下請に出す  ことも、これは当然考えられることでございます。
  35. 吉田之久

    吉田(之)委員 その辺が何も御存じない御答弁だと思うのです。常識から考えまして、これほどの大きな住宅団地を二千五百人くらいで全国的に散在して完全なサービスやアフターケアができるものかどうかという点が一つです。いま一つは、われわれが聞いておりますところでは、ずいぶんやはり下請に出しております。しかもその地域独占の団地サービスという会社は、バックマージンをとったり、俗っぽいことばで言うならば、非常に零細な業者を泣かせておると申しますか、しかも非常におそれられる存在として、大げさに言えば、君臨しておると申しますか、やはり非常にいろいろな問題があるようです。そういう点について、やはりこれは住宅公団として十分管理監督をなさらなければならないと思うのです。もしそういうことがあり、それが巷間、政治資金に流れているのではないかというふうなうわさまで出るとするならば、これは誤解であれば、やはり誤解の根を断たなければなりませんし、もしもそれが何らかの意味で事実があるとするならば、これは直ちに対処してもらわなければなりません。いままでそういう点に心を配られたことがあるかないか。団地という問題は非常に大きな問題です。御答弁願いたいと思います。
  36. 宮地直邦

    宮地参考人 個々の、ことに、下請業者は幾ら、こういう数は存じませんけれども、団地サービスの経営方針としてどういうふうにあるか、どういう形態をとるべきかということにつきましては、公団としては十分関心を持っております。いま四十三年三月三十一日までの数字を総裁から申し上げたのでありますが、このほかに、職員でなくてやはり雇用しておる者のあることは当然であります。だからといって、直ちにすべてのものが下請に出ていっておるとは思いません、一部において下請業者等に出ておることは承知しておりますが、これがいわゆるトンネル機関として存在しないように、われわれ常日ごろいま御指摘のように指導いたしております。団地サービスの経理に関しましては、十分私どもは公団として、また三分の二の出資者として——これから政治資金が出たというような事実は全くございません。いまそういうお話を聞きましたのはここが初めてでございまして、公団としてはそういうようなことを全然許していないのが現状でございます。
  37. 吉田之久

    吉田(之)委員 トンネル会社になっているのです。これは現になっているのです。あなた方が一番懸念なさっているとおりにこの団地サービスというものがなりつつある。私はここでこれ以上のことは申しません。さらに私どももいろいろ調査いたしますが、ひとつ皆さん方もこの問題については真剣に対処していただかないと、将来日本の社会の中に大きな問題点を残していくことになりかねないということを付言いたしまして、私の質問を終わります。
  38. 林敬三

    ○林参考人 いまのお話、とくと承りまして、いやしくも誤りないように今後も指導いたしてまいりたいと存じます。  ただ、宮地理事から申し上げましたことに一言つけ加えさしていただくならば、現在五百以上の団地がございます。そのうち、団地サービスにたとえば清掃業務というものを委託しているのは、約半数、二百六十幾つだと存じます。あとは一般の業者に公団が直接——また逆に言いますと、団地サービスがそこまで発達していないとも言えるのでございますが、四十万戸以上あります公団のたとえば清掃業務のようなものを全部団地サービスに委託しているというのではないのでございます。いまは約半数を委託しておりますわけです。あとは直接にいたしております。それから、初めは数年間赤字でございました。ようやく黒になって、そして最小限六分の配当をしたいという状態でございます。それで決してそんなに豊かにお金があるということでもなくて、かろうじて黒にしておるというような状態で、私どももう少し豊かにしていろいろいいことができるようにいたしたいものと考えておるような状態でございます。ただし、そこからまたさらに下請に出していろいろ掃除なんかさせます。そういうときに、いろいろな非難批判というものがやはり相当参っておることも私ども耳にいたしておりますので、これは絶えざる注意をして、いい面を伸ばし、悪い面をためて、皆さんの御満足のいくようなものに一そう協力して育て上げてまいりたいと存じます。
  39. 金丸信

    金丸(信)委員長代理 斉藤君。
  40. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私は、時間もございませんので、簡単にダムの対策について大臣その他関係者に伺いたいと思うわけでございますが、数回にわたって災害対策委員会におきましてこの問題につきましてはお尋ねをいたしました。今日なお釈然といたさない問題がございますので、あえて伺いたいと思うわけでありますが、私の調査によりますれば、建設大臣、さらに知事が管理するおもな河川だけで三千七百余のダムが全国にあることを承知いたしておるわけであります。このうち、いわゆる河川法四十四条の規定に該当する堰堤の高さ十五メートル以上のダムが千八百カ所あるといわれておるのであります。一体、この千八百の堰堤十五メートル以上のダムのうち、治水ダムが何ほどあるのか、利水ダムがどれだけあるのか、そしてまた、治水、利水兼ねたダムがどのような数になっておるのか。大臣ではちょっと無理かと思いますので、関係者からお答えを願いたい。
  41. 坂野重信

    ○坂野政府委員 大体先生のおっしゃるとおりでございまして、十五メートル以上のものが千八百、その中で、建設省のいわゆる多目的ダムと治水ダムを加えまして、いままでやったものが、水資源公団等を含めてちょうど百ダムでございます。
  42. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 いや、私は、千八百のうち治水ダムが幾つ、利水ダムが幾つ、総合ダムが幾つあるかということを聞いているのですから、ただ建設省所管が百あるということだけでは困るのでして、河川管理の責任者である建設省が、千八百のダムの内容をどのように把握されているかということを聞いているのですから、もう少し親切に答えてください。
  43. 坂野重信

    ○坂野政府委員 ちょっといま手元に資料を持ち合わせませんので、建設省関係だけさしあたってお答えしたわけでございます。おそれ入りますが、あとで資料を提出させていただきます。
  44. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ダム管理の実態が、いまの御答弁でもわかりますように、まことにずさんであり、放任されておることが、いまの答弁一言でも私は把握できるのであります。直接建設省所管であるダムについてしかじかかようだけれども、その他については知らない。河川の管理者が建設省である以上、たといそれが他の省庁に関係するものであっても、最高責任者としての建設省が、全国千八百のダムの目的別個所あるいはその実態等については当然詳細な把握をされていなければならぬというように思うのでありますけれども、一体いまのような局長の答弁で、千八百のダムのうち建設省が直接管理しているものは百だ、あとについては知らないというような河川行政では困ると思うのですが、大臣の見解を承りたい。
  45. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま局長より申し上げました点につきましてお答えをまたつけ加えさせていただきますが、河川行政の最も重要な部門を持っておりますところの治水ダム並びに利水ダム等の管理等につきましては、建設省といたしましては、十分その管理、指揮、指導等につきましては配慮いたしながら今後いたしてまいりたい、こう思っておりますので、私もいま斉藤委員の御指摘になりました点を十分心に入れまして、これらの管理その他に遺憾のないようにしたい、こう考えております。
  46. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 先ほど、後刻資料を作成して配付いただけるということですから、一応了といたしますが、ついでにぜひお尋ねをいたしますけれども、そのうち、電源開発株式会社が建設をし管理しているものは何ほどあるのか。北海道電力から九州電力に至るいわゆる九電力が建設をし管理をしているものが何ほどあるのか。そしてまた、水系別に、府県別に、ダムの高さ別に、発電の電力量別に、詳細なデータをひとつ用意してお知らせをいただきたいと思うわけであります。  そこで、次の質問に移りますが、戦前、小諸ダムと北海道の幌内ダムが決壊をいたしたことは建設省では御承知だと思うわけでありますけれども、この小諸ダムと幌内ダムはどういう状態で決壊をしたのか。なお、世界的に一番大きな事故では、アメリカのジョンストンダムとイタリアのバイオントダムの決壊が最大の事故といわれ、一瞬にして人命四千名が失われておるわけでありますけれども、このジョンストンダムとバイオントダムの決壊の原因は何であったのか。国内、国外二つの例を具体的に教えていただきたい。
  47. 坂野重信

    ○坂野政府委員 小諸ダムと幌内につきましては河岸の決壊がおもな原因になっております。  それから、海外の問題につきましては、地すべりによるものが主体でございます。
  48. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ちょっと答弁を聞き取れなかったのですが、小諸と幌内は何ですか。
  49. 坂野重信

    ○坂野政府委員 洪水のために水がダムの両側の河岸に回りまして、その河岸が決壊してそれに伴ってダムが破壊したということでございます。
  50. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 国外の最大の事故でありますジョンストンとバイオントにつきましても、ほぼ同じような形でダムが決壊をしたというように私も聞いておりますけれども、ダムの耐用年度、今日ダム工学、建設工学の進歩によって、しかもダムの建設が、二〇〇%、三〇〇%の安全度を見込んで建設されていることは承知いたしておるわけでありますが、いわゆる常識的にダムの寿命というものは何年なのか。セメントが利用され、鉄筋工法が施工され一それは日が浅くて、答弁不可能な質問だというふうに言われるかもしれませんけれども、常識的にいわれているダムの寿命というものは一体何年なのか。たとえば五十年から百年だと思いますとか、百年から二百年だと思いますとか、百年から三百年——三百年はひどいけれども、その程度の答弁ならばできると思いますけれども、常識的にどういうように考えておられますか。
  51. 坂野重信

    ○坂野政府委員 標準的に八十年程度というぐあいに考えております。もちろん、計画上は百年以上もつということでいろいろの洪水の計画、疎通計画等は考えております。
  52. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 まあ安全度を見込めばダムの寿命は八十年と見てよい。  今日千八百のダムあるいは三千七百のダムのうち、一番古いダムは一体ダム年齢何歳に達しているか、御存じですか。
  53. 坂野重信

    ○坂野政府委員 これもあとで提出いたします。
  54. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 安全度を見込んで八十年というような答弁がありましたし、工法の進歩によってダム寿命は延びていると見て差しつかえないと思いますけれども、日本で一番古いダムが河川局長のところで何歳になっているかまだわからぬというようなことでは、これは無責任もはなはだしい答弁だと思うのですよ。こういうことで河川行政をやられたのでは、地域住民というものはやはり安心できない。非常に残念です。大臣、一体どうなんですか。一番古いダムが建設して何年になっているか知らぬというのですか、どうですか。
  55. 坪川信三

    坪川国務大臣 斉藤委員の御心配になります点は私ももっともだと思います。私も、また関係政府委員も、これらの点につきましては、御指導いただきました点は十分胸に体していきたい、こう思っております。
  56. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大臣の御答弁のように、ひとつよく研究をし勉強をし、資料を御提出いただきたいと思うわけでありますが、すでに私は予備質問のような形で資料を当局に渡してありますので、それを読んでいただければ、斉藤が何を聞くかぐらいほおわかりだと思うのですけれども、残念でなりません。八百長質問のような形になっているんですよ、実は。こちらも親切そのものに資料をお渡ししてある。これを聞くんだよとお渡ししてあるのに、勉強してない。  ぐちを言ってもしょうがございませんから、伺うわけでございますけれども、貯水量が百万トン以上で、高さ十五メートル以上のダムのうち、土砂で八割以上も埋まってしまったダムが、全国に九つある。鬼怒川の黒部ダム、天竜川の平岡ダム、黒部川の小屋平ダム、利賀川の利賀ダム、早川の西山ダム、鬼怒川の中岩ダム、木曾川の大井ダム、天竜川の泰阜ダム、新冠川の岩清水ダム、この九つは、堆砂率が八〇%以上になって、湛水能力二割以下に減退をしておるのであります。ダムというのは、ポケットをなるべく大きくしてなるべく多くの水をためて、これを発電に利用するなりあるいは治水の役割りを果たすというのがダムの目的であります。したがって、八割以上も土砂で埋まってしまったダムというのは、ダムの機能は大部分がなくなっていると解釈して差しつかえないのでありますけれども、たとえば九一%埋まってしまっている鬼怒川の黒部ダム、栃木県にあって、ダムの高さは三十四メートルで、でき上がったのは一九一一年。いいですか、ことしは一九六八年ですよ。東京電力が所有し管理をしておるこのダムが、一〇〇%埋まってしまうのはいつなのか。推定でけっこうです。局長にばかり答弁させないで、課長や何か、どんどん勉強している人、答弁してください。これはいいかげんなことは聞かれないのです。
  57. 坂野重信

    ○坂野政府委員 堆砂の問題でありますが、御承知のように、ダムにはいろんなゲートがあるわけです。ダムのまん中にあるゲートもございますし、それからダムの天端にあるゲートもございます。それで、一〇〇%といいましても、ゲートの分だけは残るわけでございます。そういうゲートのあるものにつきましては、一〇〇%堆砂ということはあり得ないわけであります。小さなダムにつきましては、ダムの天端までそれはたまることがあるわけです。いま申されたような大きなダムについては、一〇〇%ということはないわけであります。いつごろまでに堆砂が満ぱいに近くなるかという、これはなかなかむずかしい問題でございまして、いろいろな気象条件、出水条件によって変わってくるわけでございます。ちょっと一律にそれぞれのダムにつきまして推定というのはなかなか困難であろう、このように考えます。
  58. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 何もそれぞれのダムについて言えと言っているのじゃないのですよ。いま言ったでしょう。一番埋まっている、九一%埋まっている鬼怒川の黒部ダムは、一九一一年にできて、東電が建設し管理をしている、栃木県にあるけれども、一体いつこのダムは一〇〇%だめになるのだ、ことしは一九六八年ですよと言っているのです。いままでの五十七年間に九一%埋まったのだ。そんな、一番上まで上げたゲートのてっぺんまで埋まったらたいへんなことですよ。この九一%というのは、ゲートを下げたときを標準に言っているのですよ。ゲートを一番上まで締め切って、そこまで土砂がたまってたまるものですか。冗談を言ってはいけない。推定でわかりませんならわかりませんでいいです、非常に科学的な問題なんですから。私はいろいろ資料を持っているのですから、いいかげんな答弁で納得できはせぬし、次から次へ聞きますよ。
  59. 坂野重信

    ○坂野政府委員 失礼しました。特定のこの鬼怒川の黒部ダムにつきましては、九一%という数字でございまして、四十二年度末では九五%になっております。最近このダムにつきましては掘さくも一部をやっております。また上流に川俣ダムもできましたし、そういう関係で今後の堆砂量はかなり減ってくるのじゃないかというぐあいに考えておりますので、何年先ということはわかりませんが、状況としては、かなりもつのじゃないかというぐあいに考えております。
  60. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そういう答弁をいただきたかったのです。  そこで、ダムには、いま局長からお話もありましたように、一般のゲートがございまして、大きなダムになりますと、土砂吐けと称する穴がダムの下のほうにあることは御承知だと思う。これをダム学上土砂吐けというのであります。この土砂吐けをあけてダムにたまった土砂を放出した例がどのくらいあるか、御存じでございますか。ダムには、土砂吐けという、堆積する土砂を排除するための特殊な施設がある。本来ならば、この土砂吐けをあけて土砂を放出する機能を持っているし、操作をしなければならぬことになっているのだけれども全国のダムでこの土砂吐けをあけてたまった土石を放出した例がどのくらいあるか、御承知でございますか。
  61. 坂野重信

    ○坂野政府委員 土砂吐きがあるのは、先生よく御勉強ですから御承知と思いますが、農林省の小さなダムにたくさんありますけれども、大規模のダムにはほとんどございません。実験的にやったのは、泰阜の問題があるダムにつきましては、実験的に排砂のそんなことをやっております。その程度の資料でございます。
  62. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 実に困った答弁をされるので——小さなダムには土砂吐けがある、大きなダムには土砂吐けがないとは一体何だ。驚いた認識ですよ。あなた、佐久問ダムを見たことがあるでしょう。小さなダムや農林省のダムには土砂吐けがあるが、大きなダムには土砂吐けがないとは一体何たることですか。驚いたね。佐久問ダムの写真を持っていますけれども、さがすのがめんどうですから、いいです。  実は大臣、土砂吐けという特殊な装置がございまして、たまった土石を排出する装置があるのですけれども、これはいわゆるダム構築上の許可事項にもございまして、それがなければ許可できないのですよ。したがって、みなつくっている。つくっているけれども、操作をしてたまった土石を放出した例はないのです。何となれば、その土砂吐けのある堰堤まで土石が上流からたまってきますから、ずっと堰堤まで土石が流れてきて土砂吐けまで達するのにかなりの年数がかかるわけです。しかもその土砂吐けは底部にございますから、それをあけると、たいへんな勢いで水も出てしまうわけです。水と一緒に土砂を流さなければ、土砂だけ流して水は流さないというわけにはいかないのでございます。したがって、大雨の降る状況、あるいはダムにたまっているいまの水量、あるいは気象状況その他で、どれだけの雨が降るのだろうかという予想をして、上流からの水圧と、ダムにためてある水の水圧とプラスしまして、その上流の土砂を一緒に持ってきて土砂吐けから流そうというのがダム側の態度なんです。御承知のように、天候なんというものは人為的にそう的確に把握できるものではありません。しかも利水ダムは、水は金なりでございまして、多少の土砂は土砂吐けをあけて流すというような操作は容易にやってない。私の研究した結果では、少なくとも電源開発株式会社が管理をしているダムでは、一度も土砂吐けをあけて土石を流したことはないのであります。しからば、たまった土石はどうするか。昔はしゅんせつをしたことがあります。陸上からしゅんせつをしたり、あるいはしゅんせつ船を入れてしゅんせつをしたりいたしましたけれども、これにはばく大な経費がかかるのであります。何となれば、川原の砂利を取るのとは違う、あるいは流れている河川の土石を採取するのとは違う。かなりの深さを持っているダムでございますから、その湖底のどろをすくうということにはばく大な経費がかかるのであります。したがって、特に電源開発株式会社はそういうことをやっていないのであります。土砂吐けはあけないわ、しゅんせつはしないわ、土石はたまりほうだいというのはあたりまえであります。こういう状態が続いて、今日、先ほど私が言いましたような形でダムは非常な勢いで埋まっているのであります。  そこで、そのダムのたまった土石を取る場合、これまたおかしなことに、電源開発株式会社が直営でやるということを考えましても、建設省や県の指導で砂利採取をきびしく規制いたしております。したがって、たとえダムの中の土石であろうとも、そのしゅんせつは既設の業者にやらせるべきだ、電源開発株式会社といえども直営はまかりならぬ、河川の砂利採取権は既設業者であるわれわれにあるという主張が非常に強くて、県などでも、電源開発株式会社がみずからやろうとすると、既設の業者との土石採取に対する調整に困難を来たしておる。常識的にはきわめて不可解なことでありますけれども、そういう状態にあるわけであります。私はここで砂利採取の問題につきあれこれ言うわけではありませんけれども、土砂吐けは使わないわ、しゅんせつはしないわ、たまりほうだいだ、こういう状態は、大臣、放任しておけないと思うのですよ。今後九電力会社あるいは電源開発株式会社等々と十分御協議をいただかなければならない問題がダムにはたくさんあるように思うわけでありますが、いまの土石の堆積についても、大臣の常識的な見解でけっこうですから、ひとつ承りたいと思うわけです。
  63. 坪川信三

    坪川国務大臣 斉藤委員のダム技術に対する非常に造詣の深い御見識を、私もしろうとなりに深く傾聴さしていただいたような次第でございます。したがいまして、既設業者と電発あるいは各電力会社、それらに対するところの今後の技術指導等につきましては、いまお述べいただきました貴重な御見識を十分体しながら、それぞれの部門に対しまして技術指導してまいりたい、こう考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  64. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大臣の答弁を了といたします。  そこで、伺いたいわけでありますけれども、ダムに土石が堆積すればダムの強度がふえるという学説と、いや、土石がたまることによってダムの強度はなお弱くなるという学説と二つあります。今日どの論文を見、どの研究を見ましても、この問題に対して結論が出ておりません。一体土石がたまることはダムを強くするのか弱くするのか、局長の見解を承りたい。
  65. 坂野重信

    ○坂野政府委員 その前にちょっと、先ほどお答えしたことですが、佐久問ダムに土砂吐きがあるということでございます。これはいろいろな技術的な名称でございます。私どもは放水管といっております。放水管というのは、洪水等の起きた場合、放水するに役立つのに——上のゲートの下に、ダムのまん中辺に放水管というのはとっておりまして、それは確かに土砂を吐くのには役に立っているわけであります。しかし、それは土砂を吐くための、専門のそういう目的でもってつくったものでございませんので、土砂吐きともいえると思いますけれども、私ども放水管といっておりますので、あるいは何か非常に間違った見解というぐあいに思われると思いますので、その点御承知願いたいと思います。  それから、土石の堆砂がありました場合に、はたしてダムが強くなるか弱くなるか、非常にむずかしい問題でございますが、一般的には、堆砂をした場合にはかえってダム全体としての安全性はむしろ増加するんじゃないかという意見が多いわけでございますが、堆砂の状態等によって変わってまいりますし、砂がたまったから安全だとか、砂がたまったから強度が強くなるとか弱くなるとか、そういう問題、一律にはちょっと申し上げられないわけでございます。
  66. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 一律には言えないというのは当然だと思います。今日定説はないわけであります。  そこで、定説がない、強くなるとも言われる、弱くなるとも言われるというようなことで、じんぜん日を過ごすわけにはいかぬ。何となれば、先ほど申し上げましたようなダムの状態全国にあるからであります。私は天竜川沿岸に住む者でありますが、先ほど申し上げましたように、天竜水系には、すでに九〇%埋まっております平岡ダムと、八二%埋まっております泰阜ダムの二つをかかえているからであります。いまも答弁がありましたように、ダムそのものはあるいは強くなるかもしらぬが、弱くなるかもしらぬ、まあ強くなるという意見のほうが強いようにも思われるというような答弁でありますけれども、おびただしく堆積した土石が洪水時にゲートからダムの断面をものすごい勢いで流下をする、その摩擦によってダムの本体のコンクリートは全部洗い落とされ、鉄骨が露出してあばら骨が出たような形になっているのが、この天竜水系の平岡、泰阜であります。周囲のコンクリートがはげてしまって、中心部の鉄骨が露出しているというような事態は、これによってダムが強くなるとはよもや言わないと思うのであります。こういう事実を御存じでありましょうか、伺いたい。
  67. 坂野重信

    ○坂野政府委員 これはダム本体には別に損傷ございませんが、先生御承知のように、ダムの中で、いわゆる水たたきというものがダムの背面にあるわけであります。ダムを排水した場合、そこに水が落ちて、そこでまたジャンプして下流へ流れる、その水たたきの一部が確かに損傷しているという——私は詳しい実態は現在見ておりませんけれども、いま報告を受けますと、水たたきが一部やられている状態でございます。しかし、本体そのものには損傷はございませんので、ダム全体の安全性という点からいきますと、まあ水たたきが多少のことがあっても本体まで直ちに影響するというのではございませんし、いまダムが危険だという状態にはないわけでございます。
  68. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ダムの横ですよ。いまの答弁だと、ゲートが上にある——水たたきというのは下ですか。冗談言っちゃいかぬですよ。本体というのは、側面のところです。ダムから水がだあっと落ちてくる、八〇%、九〇%たまっている土石が水流に乗って落ちる、側面をむしり取って、コンクリートをはがして肋骨が出ている、いわゆる鉄骨が出ている。エプロンや、そんな水たたきなんというものじゃないのですよ。どうも認識の度合いが違うのですが、まあいいです。実はそういう状態がございます。  そこで、今日、ダムの問題は——なるほど、電気は、やれ火力だ、水力だ、原子力だということでいろいろなあれがありますけれども、今日なお特に電源開発株式会社は全国各地で大きな発電計画を持っておるわけなんでして、いままでのようなダム行政、ダム対策であっては、ほんとうの、河川法にいわれる河川の安全な管理はできない。また、八〇%も九〇%も堆砂したダムは、設置者にとりましてもきわめて利益の多いことではない。一〇〇水がたまるダムが八〇しかたまらぬ、一〇のところ八しかたまらぬということでは、貯水能力がないわけですから、ダム本来の目的はもうなくなっている、こういうように思う。しかも、一〇〇%だめになってしまったら設置者はどうするかというと、ほっぽらかして帰ってしまう、そのままほったらかしてどこかへ行ってしまう、小さいダムではこういう例もないわけではない。私は、やはりこの際本格的にダム対策——電源開発審議会の審議の段階から新設ダムについては十分検討を要するし、既設のダムにおいては地域住民との関連における運営についても十分注意をしていくべきだ、今日このまま放置せんか、先ほどアメリカとイタリアの例を申し上げましたけれども、瞬時にして多くの人命を失い、貴重な国民の財産を失わぬという保障は一つもないと思うのでございます。ぜひひとつ新大臣は認識を新たにしていただいて、当局を激励し、監督し、ダム対策に万遺漏のないようお願いを申し上げたいと思うわけでございます。  具体的に最後にもう一点だけ伺って終わりたいと思うわけですが、御承知の佐久間ダムでございますけれども、四十年災の直後、ダム管理規程が改められました。そのために、いままでは予備放水が水位計による表示三十六・五メートルまで実は下げておったのであります。何となれば、予備放水の際に、いままでたまっている水をどれだけ流してポケットをあけておくかということが問題でありますが、改正前のダム操作規程にはその予備放水の規定がなかったわけであります。したがって、ダム管理者の責任において発電に支障のない限り幾らでも予備放水をしておったものが、今回の操作規程の改定にあたって、一メートル高い標高二百五十七・五メートルになりました。いままでは三メートル五十下げることができたし、事実三メートル五十で、最も下げておったのでございますけれども、今度は二メートル五十しか下げない、下げなくてもいい、こういう規定になりましたので、予備放水量が一メートル違ってまいりました。このことは大きな問題でございまして、現地の佐久間発電所当局も地域住民地域の市町村も、改定前のほうがよほどよかった、改悪になった、こういうことを申しておるわけであります。このことは御承知だと思うわけでありますけれども、電発にも悪影響はないという、地域住民も前のほうがいいという、地域市町村はもちろん、従前のほうがよかったという、こういうならば、私はあやまちを改めるにはばかってはいけないというように思うわけでありますが、どのように把握をされ、どのようにお考えでありましょうか。
  69. 坂野重信

    ○坂野政府委員 いまの問題にお答えする前に、ダムの管理体制の問題でいろいろ御叱正いただいたわけでございます。私どもとしては、建設省がみずからつくるダムはもちろんでございますけれども、やはりその利水専用のダムにいたしましても、河川管理者として工作物の設置を許可しておるわけでございますので、許可にあたりまして、詳細に、できるだけダムの安全性ということを私ども最重点に置いておりまして、でき上がったあとにおきましても、昨年一昨年等の例にかんがみて、私どもは定期的に利水ダムについても定期検査を行なっておりまして、全国の利水ダムの安全性といいますか、こういう問題について遺憾のないように期しております。なお今後ともこういう面につきましては関係職員一同が万遺憾のないように、電源開発、あるいはこれは先生御承知と思いますが、通産省が直接の所管でございます。建設省河川監視の立場で特に安全性が本来でございますので、十分連絡をとって今後とも万全を期していきたいと思うわけでございます。  それから佐久問ダムの問題でございますが、これも再々先生その他の方々から御質問を受けてお答えしたわけでございますけれども、ダムの操作規程をつくるにあたりまして、私ども昭和四十年の災害の実態というものを十分分析いたしまして、いろいろな気象条件の想定、水位の想定というものを分析した上で実は操作規程というものを改定して現在に至ったわけでございます。先般の出水状況を見てみましても、ああいう気象条件、非常に異常な気象でございまして、長野県における気象予報あるいは静岡県における気象予報、何といいますか、集中的な異常豪雨に際しまして、異常ともいえるような気象の予報が出されておりまして、ああいう状態におきましては、ああいった操作は、もうあれ以上のことはできなかったと私ども考えておるわけでございます。かりにそういう操作規程はなかったとしましたら、予備放流の水位がもう少し下げ得たであろうと、そういうことをいろいろ想定して私どももいろいろ検討してみたのでございますが、先般の災害の状態では、どうも最初の予報では雨が早く上がってくるという傾向が見られた、そこで、そういうことならば、予備放流はもう少し前段の出水でできたのではないかと考えられますが、ところがその直後にまた静岡県で洪水注意報が出ております。大雨、風雨注意報というのが十五時ごろ出て、それからまた、十九時ごろになると、今度は洪水注意報というのが出てまいりました。その辺の、何というのですか、雨の動き方、集中豪雨の傾向というものが非常に突発的かつ異常であったために、おそらく、予備放流があっても、あの段階において早くたくさんの水を放流すると今度は下流に対して逆に人工洪水が起こるおそれがあるということが想定されて、実態的にそういうことをよく全体的に見て、全体的に把握をすれば、なかなか思い切った予備放流というものはできなかったのではないかというぐあいに考えます。もちろん、佐久間ダムを直接管理している人たちは、あるいは予備放流の水位がもう少し低かったらもう少し下げられたのではないかというようなことを言っているかもしれませんが、私どもが結果的に見たところでは、必ずしもあの水位のきめ方が高過ぎたというようなことは考えられないわけでございます。しかし、先生の御指摘もございますので、私どもは今回の災害の現象を全般的にとらえまして、操作規程というものも含めましてひとつ検討してみたいと思うわけでございますが、いままでの検討の結果では、必ずしもその操作規程をいま直ちに憂える必要はないのではないかと考えております。なお検討させていただきたいと思います。
  70. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ダムをつくってもうける——と言っては悪いのですけれども、喜ばれるのは、厚生省であり、農林省であり、通産省である。そちらへはとばっちりはあまりいかない。河川の管理者ということだけで建設省へ、少なくも私は攻撃の矢を向けておるのであります。このことは私自体ももう少し考えてみたいと思うわけでございますが、たとえば、ダムをつくってそこから取水をすることにより、上水道用水あるいは工業用水が完備をする、農業用水が潤沢になる、いろいろな恩恵が通産、厚生、農林等々にあるわけでありますけれども河川管理者なるがゆえに攻撃は建設省へいくということで、たいへん私も心苦しいものがあるわけであります。しかし、新河川法の精神、あるいはダム設置を規定しております四十四条以下、明確に河川国民のものだ、特定の企業や特定の団体のものでないということが明記をされ、しかも五十二条によりますれば、非常時にはいかなる措置も管理者は発動することができるという伝家の宝刀が規定をされております。この伝家の宝刀は、河川法ができてから一度も抜かれておりません。いかなる事態が伝家の宝刀を抜く事態か、むずかしい問題だと思いますけれども、今日まで一度も全国でこの伝家の宝刀が抜かれていないという事実は、私は、やはり河川法も企業に押されて容易にこの発動は困難だというような面もなきにしもあらずと疑わざるを得ないのであります。今後も当委員会へおじゃまをして、いろいろお尋ねをし、お願いをする機会があるかと思いますが、どうぞひとつ大臣におかれましても十分御配慮をいただき、河川当局のお勉強を切にお願いをして、私の質問を終わります。
  71. 金丸信

    金丸(信)委員長代理 福岡義登君。
  72. 福岡義登

    福岡委員 二、三御質問申し上げたいのですが、まず初めに、山陽新幹線建設に伴う関連公共事業、その中の側道問題についてお伺いをしたいのであります。  私の聞いているところによりますと、東海道新幹線では考えられなかったのでありますが、東海道新幹線の営業を開始して、その経験に照らして、山陽新幹線では、全路線ということではないようでありますが、市街地では、両サイドにそれぞれ四メートルの側道をとる。そうでないところは、北側に四メートルの側道をとる。その目的は、一つには、新幹線それ自体を建設する工事用の道路に使う。第二には、完成後の騒音・震動対策という立場からこの側道が考えられておるというように聞いておるのでありますが、そのとおりであるかどうか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  73. 杉田安衛

    ○杉田説明員 お答えいたします。国鉄といたしましては、新幹線が通過いたします沿線の環境整備の一環といたしまして、地元から側道設置の御要望が非常に熾烈でございます。こういう御要望にこたえるとともに、工事をやる上におきましても作業用の通路が必要でございます。また、線路ができ上がりましたあとで線路の保守のための通路がやはり必要でございますので、両方相まちまして、新大阪−岡山間の新幹線建設にあたりましては、新幹線の構造物の外側に幅四メートル程度の用地買収を行ないまして、原則としましては、市街地及び将来市街地が予想される地域につきましては両側四メートル、それから田園地域につきましては片側四メートルの増し用地を買収することで地元と御協議を申し上げておる段階でございます。  以上でございます。
  74. 福岡義登

    福岡委員 その側道の総延長、新大阪と岡山問は百六十一・三キロメートル、そのうちで、トンネルが五十五キロで、橋が十キロで、高架橋、築堤部分その他九十五キロ、こういうぐあいに聞いておるのですが、この九十五キロの高架橋及び築堤部分のうち、どれだけが側道建設が予定されておるのか、それをお聞きしたい。
  75. 杉田安衛

    ○杉田説明員 新大阪−岡山間につきましては目下のところ地元と協議中でございまして、確たる数字をただいま申し上げるわけにまいりませんが、おおむね平たん地が約九十キロございまして、そのうち田園付近がその約半数ございます。したがって、キロ程から申しますと、九十キロのうち約半数近くが両側ということに相なると思います。あと残りにつきましては側道の不要な地点もございますので、その残りの半分につきましてどういうふうに相なるか、これからいろいろ協議を申し上げておる段階でございます。     〔金丸(信)委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 福岡義登

    福岡委員 そうすると、いまの御説明は、この九十五キロのうち四十キロないし四十五キロぐらいが側道の距離になろうとしておるということですか。
  77. 杉田安衛

    ○杉田説明員 さようでございます。
  78. 福岡義登

    福岡委員 その四十四ないし四十五キロのうち、市街地は両サイドおのおの四メートル、こういうことなんですが、その部分はどのくらいありますか。
  79. 杉田安衛

    ○杉田説明員 約二十キロでございます。
  80. 福岡義登

    福岡委員 そういたしますと、八メートル部分が二十キロなら、四十キロですから、四メートルに換算いたしますと、全部で七、八十キロになるという計算になります。そうしますと、その工事費はどのくらいになりますか。
  81. 杉田安衛

    ○杉田説明員 約五十億でございます。
  82. 福岡義登

    福岡委員 そうしますと、総工事費は大体千七百億といわれておるのでありますが、そのうち側道部分の工事費はおおむね五十億である、こう考えて間違いございませんか。
  83. 杉田安衛

    ○杉田説明員 さようでございます。
  84. 福岡義登

    福岡委員 総延長七十ないし八十キロ、その総工事費五十億の中で、いわゆる都市計画なり区画整理事業との関連でやっておられるのはどのくらいありますか。
  85. 杉田安衛

    ○杉田説明員 都市計画の関連につきましては、関係の向きとただいま折衝を重ねておりますが、はっきり都市計画関連といたしまして話が煮詰まっておるものはごくわずかでございまして、いまだ数字を申し上げるほどにも至っておりません。折衝は重ねております。
  86. 福岡義登

    福岡委員 折衝を続けておる個所は何カ所ぐらいで、その総延長はどのくらいありますか。
  87. 杉田安衛

    ○杉田説明員 ただいまちょっとその数字については申しかねますが、場所につきましては、現在お話ししておりますのは、阪神間、これは尼崎、伊丹、西宮、それから西のほうにまいりまして明石付近あるいは姫路付近、岡山のほうにまいりまして岡山市内というふうになっております。
  88. 福岡義登

    福岡委員 では建設省に聞きたいのですが、いま国鉄新幹線のほうの説明によりますと、協議がととのったところはまだない、折衝中であるというお話なんですが、どういうところに大きい問題がありますか。
  89. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 ただいま国鉄のほうからお話がございましたように、阪神間及び岡山周辺において現在協議いたしておりますけれども、もともと街路網につきましては計画がございまして、私どもといたしましては、できれば側道を含めてそこを街路にいたしたいわけでございます。したがいまして、街路網の変更という点につきましていろいろ事務的、技術的問題がございまして、そこをはたして街路を通す必要があるか、また、通しました場合にどういう形で費用負担をしながら事業をやっていこうというような点につきましていろいろ考えている段階でございます。
  90. 福岡義登

    福岡委員 どうもはっきりわからぬのですが、この国鉄の路線発表がおくれておるために、いまの岡山までの例によりましても、都市計画のほうが先に出てしまって、あとから新幹線のために計画が出る、そういうことも、協議がしにくいというか、ととのいにくい一つの原因になっておるんじゃないかと思うのです。岡山までの分はもう路線がはっきりしておるのですが、岡山以西の場合ははっきりしていないので、できるだけ早く予定路線というものを発表して県なり市なりと協議をすべきだと思うのです。岡山までにもそういうきらいがあると思うし、それから岡山以西の問題についてもそういう心配があるのですけれども、岡山以西の路線決定というのはいつごろやりますか。
  91. 杉田安衛

    ○杉田説明員 岡山以西につきましても、新幹線を西へ延ばすという御要望が非常に熾烈でございます。相当な資金を要することでございますので、事業をいつ始めるかということは、やはり手続の問題もございますし、国鉄の方針というものもございまして、われわれとしましてはできるだけ早くやりたいと考えておりますが、まだいつ始められるということははっきりいたしておりません。できるだけ早い機会に西へ延ばしたい、こう考えております。
  92. 福岡義登

    福岡委員 一般的な言い方をされれば、そうだと思うのでありますが、この側道問題を処理するにしても、国鉄側の路線発表が早くできなければ、おくれればおくれるだけ都市計画などの事業等を一緒にやるということは問題がある。地価問題などもありますから、公表するというようなことはちょっと考えなければならぬ点もあると思うのですが、県知事なりあるいは市町村長、そういう行政の責任者のところには、少なくとも建設省には、前もってそういうものが、まあ公表でなくても、示されてしかるべきである。国鉄側としてはもうすでに予定路線を持っておると思うのです。持っておると思うのですが、なぜそういうものを早く建設省なり県に示して協議しないのか。いま岡山以西の話を出しておるのですが、岡山以西については、国鉄側としては、希望としては、路線の確定はいつごろしたいというように考えられておるのか、その辺をもう少し突っ込んで答えていただきたい。
  93. 杉田安衛

    ○杉田説明員 私どもといたしましては、できるだけ早くやりたいわけでございますが、それにはやはり事業の決定ということが必要でございます。その他、実際事業を決定いたしましても、路線の線形の調査、あるいはまた、営業政策に基づく経済調査というような諸調査が必要でございまして、それに基づきまして路線がきまっていくわけでございます。私どもは、国鉄自体といたしましていろいろな調査はやっておりますが、事業を早期に決定していただきまして、できるだけ早い機会に路線を具体的にきめたい、こう存じております。
  94. 福岡義登

    福岡委員 やはり一般的な言い方だと思うのですが、さっき私が申し上げましたのは、公表するかどうかは第二にするといたしまして、少なくとも建設省には早く示してもらいたい。また、建設省都市計画その他の観点から意見があろうと思うのですが、そういう協議も、いまの答弁の内容では、まだなされているようでもないから、それをぜひ早くやってもらいたいということが一つです。それは全路線についてはできなくても、部分的にはすぐにできるところが相当あると思うし、即刻それを始めてもらいたいということが一点です。  それから第二には、半ば公表ということになるでしょうが、岡山以西の路線は、早く県なりその他の行政責任者に示して、こういう問題とあわせて工事ができるようにしてもらいたいという要望をしておきたいと思います。  そこで、この問題の核心なんですが、この側道ができたあとの管理というものをどうするのかという点についてお伺いしたいのです。まだこれは確定したものではないようでありますが、国鉄側から県知事に示された覚え書き案について、これは間違いであるかどうか確かめておきたいのですが、私の手元にあるのは、国鉄が買収した側道は、建設工事完了後、現状のまま道路管理者たるべき者に移管をする、なお、価格については別途協議する意向、こういうもので、県知事側に示されておるというように聞いておるわけでありますが、そのとおりであるかどうか。
  95. 杉田安衛

    ○杉田説明員 そのとおりでございまして、工事完成後、国鉄といたしましては、地元の市町村から、増し用地として購入いたしました通路につきましては、道路としてお使いになるという御意向がある場合は、その用地を移管して道路として使っていただくつもりでございます。
  96. 福岡義登

    福岡委員 意向のない場合は、そのまま国鉄が監視用道路として持っておるわけですか。
  97. 杉田安衛

    ○杉田説明員 さようでございます。国鉄の所有のままであります。
  98. 福岡義登

    福岡委員 希望市町村——県を含めてですが、希望者にだけ有償譲渡するということであれば問題がない。そうしますと、極端にいえば、希望する県なり市町村が全然なかったという場合には全部国鉄が持つわけですか。
  99. 杉田安衛

    ○杉田説明員 これは完成後に保守用の通路として使いたいという意向がございますので、国鉄の所有のままでやっていきたいと考えております。
  100. 福岡義登

    福岡委員 もし、そういう希望が全線にわたってなかった場合には、監視用の道路として国鉄が持つ。もちろん、一般の地域住民もそれは使用することになろうと思うのですが、希望するものはほとんどありませんよ。有償ということになれば、それは国鉄が持っておって、地域住民はそのまま使うほうが有利なんですから、こんな覚え書きを出す必要は全然ないのですが、やはり国鉄としては地域の利用に供したいという気持ちから、工事が済めば引き取ってもらいたいという意図があるから、こういう覚え書き案が示されておると思うのですが、その辺の事情をもう少しはっきり言ってください。
  101. 杉田安衛

    ○杉田説明員 もともとこの通路である側道といたしましては、地元の御要望が非常に熾烈でございますから、これはもう道路として使っていただくことが一番望ましいわけであります。しかしながら、道路とするためにはいろいろな整備が必要でございます。鉄道工事用あるいは完成後の保守用といたしますには、あくまでわれわれの用途だけの設備で済むわけでございますが、一般道路として認定されるにはやはり整備が必要でございます。そのほかにも実はかかることがあるわけであります。
  102. 福岡義登

    福岡委員 そこで建設省にお伺いしたいのですが、私は、実際に山陽新幹線の現地をこの間見に行きまして、関係者の人ともお会いしたのですが、この側道は工事終了後はもう引き取るという気持ちが大部分であります。ただし、その場合に財源をどうするかということに悩んでおるわけであります。そこで、もしこの側道を県道としてあるいは市町村道として有償払い下げを受けようとするときに、何らか補助として出せる道があるかどうか、その辺についてお伺いしたい。
  103. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの鉄道の建設に伴ってできます側道を市町村に移管した場合の、有償の場合の問題かと思います。  有償といいましても、どのくらいで市町村が引き取るか、これに問題があると思いますが、現在のわれわれの道路法のたてまえでいいますと、新しい道路法上の道路拡幅改良、こういうものに補助するようになっておりまして、すでに一般の交通の用に供されております道路を別の管理者から買い取るというものに対してまだ補助をしていないわけでございます。われわれ高速道路をつくります場合にも、やはり側道という問題がございます。これにつきましても、やはり側道を別の管理者に無償で移管しておるような状況でございます。その辺もあわせまして国鉄の側道の問題は今後検討していきたいというふうに考えております。
  104. 福岡義登

    福岡委員 自治省に来ていただいておるのですが、最悪の場合は、市町村の意向としまして、特別の起債を認めるとか、あるいは交付税の中で何らかの援助というものを考えてもらえないかという強い要望があるのです。自治省としてのお考えをちょっとお聞かせ願いたい。
  105. 山本成美

    ○山本説明員 私どもまだ具体的な問題についてよく知っておりませんので、あるいは県の区域ごとに、あるいは市町村の区域ごとにいろいろな問題が出てまいるかと思いますけれども、そういう問題が出てまいりました場合は、なるべく前向きで関係省と相談してみたいと思います。
  106. 福岡義登

    福岡委員 時間がありませんので、最後のお願いをしておきたいのですが、この問題はいずれにいたしましても新しいケースなんです。東海道新幹線にはこういう問題はなかったのですから。究極的に、きょう問題を提起しておりますのは、有償払い下げをする場合、市町村財政に財源の裏づけがほしいという点にあるわけであります。そこで、国鉄は有償払い下げをされるという方針です。価格は幾らにされるかというのは別にいたしましても。ですから、国鉄並びに建設省、自治省の三者の関係になると思うのでありますが、あらゆる場面を想定いたしましてひとつ協議をしていただいて早急に一つの方向というものをまとめていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それから、第二番目には、さっき質問の中で申し上げましたように、国鉄はできるだけ早く、もう即刻でもやっていいと思うのでありますが、建設省のほうに路線を示して、都市計画その他の事業と関連してできるように十分の配慮をしていただきたいということをお願いして、この新幹線の側道の問題は終わりたいと思います。  次の問題は、これは建設大臣にお伺いしたいのであります。いろいろ質問もありましたし、大臣の所信表明もお伺いしたのでありますが、まあ全体的な問題は通常国会に譲るといたしまして、きょうここで特に取り上げてお願いしたいと思います点は、御承知のように、昭和四十二年度から道路整備五カ年計画がやられ、昭和四十三年度、今年度で二年目を終わるわけでありますが、この二年目を終わって達成率はわずか三%程度しかない。昭和四十四年度でそれを五〇%程度に近づけたいという立場で、予算の要求は概算要求として出されておるようでありますが、ぜひそれを促進していただくようにお願いしたい。その中で特に私どもが問題だと思いますのは、五カ年計画で六兆六千億の一応の計画が立てられ、一般財源がその中で六千億予定をされておったと思うのであります。ところが、昭和四十二年度は八百二十億しか一般財源は出ていない。今年度はそれが半減をいたしまして、四百七十億しか出ていない。非常にけしからぬと思うのでありますが、まあ過ぎたことはしかたがないといたしましても、問題は来年度なんです。この間予算要求の説明を聞いてみますと、来年度一般財源関係は一千億くらいしか要求が出ていないわけです。算術平均していいましても、六千億を五で割れば千二百億一般財源が毎年出なければいけません。いままでのおくれを取り返すといたしますならば、やはり二千億近い要求が出されてしかるべきであるのに、一千億程度しか要求が出されていない。われわれとしては非常に不満でしかたがないわけです。一体どういう見解でそういう控え目な予算要求が出されておるのか。五カ年計画を必ず達成するといわれるけれども、このままでは全体の達成率は八〇%くらいにしかいかぬのじゃないかというふうに思うのですけれども、その辺の経過と今後の心がまえを聞かしていただきたいと思います。
  107. 坪川信三

    坪川国務大臣 道路の問題につきましては、先ほどの委員の御質問に対しましてもお答えいたしましたとおりでございますが、道路五カ年計画年次計画現状を見ますときに、御指摘になりましたとおり、まだ道遠しの感を深くいたしておるような次第でございます。特に御指摘になりました本年度の四百七十億の一般財源、本年度要求中でありますところの一千億の問題、これらにつきましては、もう委員御高承のとおり、二五%以下という閣議決定も見ておりますために、こうした一般財源の要求を出したようなわけでございますが、この六兆六千億に及ぶところの道路五カ年計画の第三年目を迎えるこの際といたしましては、われわれといたしましては、一般財源の一千億の絶対確保、まあこまかく申し上げますならば、一千十六億の確保をはかりたいと思いますとともに、国費、特定、一般を含めまして五千三百十八億に及んでおりますとともに、また財投などの依存もありまして、この計画は絶対にくずさない方針で五カ年計画を推し進めたいと考えておる次第であります。
  108. 福岡義登

    福岡委員 時間がありませんので、強く予算要求には御努力をしてもらいたいという要望をいたしまして、次に移ります。  本州・四国架橋のその後の作業経過と今後の方針を、簡単に要点だけでいいですから、お聞かせ願いたい。
  109. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま御質問になりました本問題は、非常に重大な問題でございまして、もう私から申し上げるまでもありませんけれども、今後の国土の未来像の立場から考えてみましても、また、西日本の今後の発展に重大な影響を持っておることも考えますときに、また、国民一般の皆さまもこの推移につきましては重大な関心を持っておられることも私は拝察いたしておるような次第でございます。委員福岡さん御承知のとおりに、台風あるいは地震、あるいは潮の流れ等、世界各国の例を見ましてもその類の見られないようなきびしい悪条件を備えておるということによって、巨大な国費を建設費に使わなければならぬということも、御承知のとおりだと思うのでございます。したがいまして、これらに関する問題にいたしましては、建設省といたしましては、その経済効果、その技術効果、しかも船舶運航という問題も含めまして、あらゆる総合的な観点からこれに対する対応を講ぜなければならぬと私は考えておる次第でございます。
  110. 福岡義登

    福岡委員 大臣、そういうことを聞いておるのじゃないのですよ。本州・四国架橋のその後の作業経過と今後の方針はどうなっているかと聞いておるのです。
  111. 坪川信三

    坪川国務大臣 したがいまして、私は、いま前提に申し上げたような次第でございますので、具体的な作業といたしましては、ただいまその経済効果調査の結論を急がせておるということであるとともに、海上保安庁とも連絡をとりまして、船舶運航の問題、並びに、鉄道建設公団とも連絡を密にいたしまして、道路・鉄道の併用橋という問題もございますので、これらに対する技術的調査、技術効果の調査、それも急がせまして、その結論の上に立って、私として考えておりますことは、経済企画庁その他関係各庁と事務的にも技術的にも連絡を十分密にいたしまして、慎重、しかし、拙速という立場でもございませんが、また急ぐという立場に立ってこの結論を出したい、私はこう考えております。
  112. 福岡義登

    福岡委員 大臣の答弁は丁寧過ぎて、演説部分が長くて要点がないので、具体的にお伺いしますが、経済効果その他の調査をやられておるのは、従来から伺って知っておるわけであります。その経済効果調査などがいつごろ集約できるのか、集約しようとしておるのか、最終的にルートはどういう手順を経て、いつごろきめようとしておるのか、そういう点をずばりと答えてください。
  113. 坪川信三

    坪川国務大臣 ずばりとお答えしたい気持ちは一ぱいでございますけれども、いま、経済効果は、建設省のほうについては終わりつつありますが、さっき申し上げました技術調査も、関係各庁と連絡をとって急がせたい、私はこう思っておりますが、本年内にその結果の結論を見るということは無理ではなかろうか、こう思います。本年内でございます。年度でございません。
  114. 福岡義登

    福岡委員 いつごろになりますか。
  115. 坪川信三

    坪川国務大臣 いつごろかにつきましては、この結論の報告などを受けまして、そのタイム・リミット等も十分ひとつ考えてみたいと思いますが、たいへん恐縮でございますけれども、いま申し上げる段階に立ち至ってないということをひとつお許し願いたい、こう思います。
  116. 福岡義登

    福岡委員 うまく答えてもらえれば、こんな問題は三分もあれば話は済むのですけれども——いまのニュアンスからうかがいますと、年内には無理だ。そうすると、正月もちを食べれば年が明けて、大体花の咲くごろまでには……程度のめどだろうと思うのです。すでに来年度予算では、直轄部門で一億、公団関係で九億の実施調査予算要求をされておるわけです。それらのことを考え合わせてみると、大体こういうめどでこういう作業をしたいという方針ぐらいあろうと思うんですよ。やはりそれをある程度言うてもらわないと、答えにはなりませんよ。
  117. 坪川信三

    坪川国務大臣 年内には無理であるということは私はっきり申し上げますが、いまさっき前段で申し上げましたように、非常に重大な、非常に大切な問題でございますので、慎重な結論を得るということが、今後の百年の大計の上から必要であろうか、こう思いますので、そのタイミングが、花の咲くころになりますか、あるいは雪解けごろになりますか、あるいは青葉のころになりますか、これらのことについては、大事な国費を使う、ほんとう国民皆さんが関心を持っておられることでございますから、ひとつ十分各省と連絡を持ちまして、今後の運び方として私が考えておりますことは、それらの調査の結論を得ました上において関係閣僚との協議会の場も持ちまして、最終的に結論を出したい、こう思っております。
  118. 福岡義登

    福岡委員 井上委員のほうからも関連質問が出ると思うのですが、いまのような答弁ではわれわれは得心できないですね。それは結果としてどうなるかということは、これはいろいろあると思う。しかし、どういう手順で、どういう時期をめどとして作業を進めたいという方針ははっきり言ってもらっていいのではないか。そういう方針も全然示さない。それでは答弁にならないということを言っておるのであって、それを聞きたいのですよ。
  119. 坪川信三

    坪川国務大臣 手順につきましては、いま申し上げましたように、経済効果並びに技術効果を、各省連絡のもとに、また鉄道建設公団、海上保安庁とも十分連絡をとりまして、慎重に、しかも急がせながら、その結論を出したい、しかる上に立って、経済企画庁はじめ関係各省とも十分協議の上、その結論を得ました上において関係閣僚協議会を開いて最終的な結論を出したい、こう思っておりますので、御了承を願います。
  120. 福岡義登

    福岡委員 前の西村建設大臣のときだったと思うのでありますが、この問題で私質問したのです。西村建設大臣は大要次のように答えられました。それぞれの経済調査などをできるだけ早くやって、それがまとまれば、何らかの審議会か諮問機関的なものをつくって、そこにはかって最後のルートを決定したいと思いますという意味の答弁があったと思う。そういうものを現在でも考えられておるのかどうか。そういう一連の経済調査などの作業が終わったら、関係大臣協議をして原案をつくって、閣議決定という手順になるのか、前の西村建設大臣が答えられたように、何か特別の機関を置いて調整されようとしておるのか、その辺は一体どうなっておるのですか。
  121. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほど申し上げましたとおりの手順で進めてまいりたいと思いますが、西村元建設大臣が申されたお気持ちは那辺にあったかは、私わからないのでございますが、福岡委員御承知のとおりに、一応鉄道審議会もございますし、また建設審議会もございます。そうした点を思うときに、新たにこの問題だけに特別の審議会を設けてさらに御審議を願うという方法はとらずにいきたい、こう思っております。
  122. 井上普方

    ○井上(普)委員 関連して質問いたしますが、坪川大臣は、前の保利大臣との事務の申し伝えといいますか、そのとき、本土・四国連絡の問題についてどのような申し受けをしておられるのか、ひとつお伺いしたのであります。
  123. 坪川信三

    坪川国務大臣 保利前建設大臣と引き継ぎをいたしました場合にも、保利建設大臣の従来とられましたこの問題に対する考え方、方針等は、そのまま私も引き継いでおりますような次第でございますから、その点ひとつ御了承願いたい、こう思います。
  124. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は大臣に、どういう内容を引き継いだかということを実はお伺いしておるのです。
  125. 坪川信三

    坪川国務大臣 引き継ぎの内容につきましては、もううそも隠しもいたしません、いま私が申し上げました点が含まれての引き継であったので、それ以外には何もございません。
  126. 井上普方

    ○井上(普)委員 ただいまのお話と保利大臣のおっしゃられたこととだいぶ違うのです。だからあえて私はこういうことを申しておる。といいますのは、建設省におきまして三本の本土・四国連絡橋の経済効果を十一月までに発表できる、こういうことをおっしゃったのです。ところが、あなたはいま建設省と鉄道と、あるいはまた海上保安庁まで出てきましたけれども、そこらの経済効果を総合してやられる、こういう発表なんです。だいぶ違ってきておるのです。といいますのは、いままで鉄建公団においても経済効果は策定しておることは私知っております。建設省建設省だけとして出すのだというのがいままでのお考え方であったわけであります。それが坪川さんになったとたんに違ってきておるから、一体どうなっているのかということを聞いておるのです。
  127. 坪川信三

    坪川国務大臣 保利前建設大臣の方針もそのお気持ちであったことも承っておりますが、その計画がややずれてまいりました点については、政府委員から答弁させます。
  128. 井上普方

    ○井上(普)委員 建設省経済効果が十一月末——というのは、ことしの年内になるかもしれません。しかし、建設省経済効果を策定したときに建設省独自として発表するというのが、いままで保利さんのお考え方であった。あなたは、いまの福岡君への答弁によりますと、どうもそこらあたりがはっきりしないので——はっきりしないというよりは、むしろいままでの保利さんの御答弁を否定するようなお考え方で御答弁になっておりますので、その点はどうなんですか。
  129. 坪川信三

    坪川国務大臣 経済効果に関する報告につきまして保利前大臣と食い違がいあるというような御指摘のおことばでございますが、それらにつきましては、私は、食い違うといいますか、そういうような点はない、こう思っております。したがいまして、おくれたといいますか、その経過を——建設省だけで経済効果を発表するというお気持ちが保利前大臣にあったかどうかというようなことについても、その的確な気持ちは何も受けておりませんが、その問の経緯につきましてはひとつ道路局長から報告させます。
  130. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 現在、本州−四国の三ルートにつきまして経済調査を実施しております。先生のおっしゃるように、ことしの十月を目標にやっておった。これをやっておりますと——いろいろな四国の経済の将来のモデルのとり方なんかで電算機を使ったりしてやっておりますが、一つをやると、また、こういうような場合はどうするんだというようなものもございまして、つい十一月になり十二月になって、今月中には大体建設省自身のものを得たいというふうに考えております。  もう一つ、それではこれを終わったあとどうするのかということでございますが、もちろん、建設省自身といいましても、土木研究所、本州—四国を実際に調査している事務所、われわれみんな集まってやるのでございます。これは道路の単独橋についてでございますが、そのほかに、鉄道との併用橋がございまして、併用橋程度になりますと、やはり鉄道で運ぶ物、人、こういうものと、併用橋の場合は道路で運ぶ人、物、このシェアをどうするか、この辺が、これから両方経済調査を合わせましていろいろ検討しなければならない問題だと思います。この辺が、将来の料金の問題採算の問題にもからんでくるということもございまして、お互いが十二月中くらいでおのおのの調査を終わりまして、それから鉄道の調査とよくつき合わせて、直すべきは直し、改良すべきものは改良していきたいというふうに考えております。前に保利大臣のときに、すぐ発表するかというような問題もございましたが、私、まだその当時は、調査についてすぐ発表するかしないかということはいままであまり真剣に考えたことはございませんで、やはり発表するなら、これは鉄道、それから道路も、政府としての一つの統一した経済効果じゃないと、おのおのがばらばらで出すのも非常に物議をかもすことになりますので、そういう意味で、今後お互いが、経済調査ができましたら、よくつき合わせまして改善して一本のものにしていきたいというふうに考えております。
  131. 井上普方

    ○井上(普)委員 道路局長のおっしゃったことはわかりました。保利さんはやはり経済効果を十一月、十二月ごろには発表するということをおっしゃっていたのです。作業上ずれているということも了といたします。しかし、いまおっしゃったように、経済企画庁あるいは鉄建公団で経済調査をやられておる、それを一本にして発表する、その時期は一体いつごろになるのか。大臣、来年総選挙がありそうなんです。(「ない、ない」と呼ぶ者あり)いま、ないとおっしゃった方もおられるが、いつも四国並びに中国地方におきましては、橋というものを一つの大きなえさにして実はやられてきた。だから、あなたのおっしゃるように、桜の花が咲くころとか、あるいは葉が青葉になったころとか、葉が落ちるころなんということになると、もうこれはわれわれとしては非常に困るわけです。時期として大体いつごろ発表できるか。経済効果を発表する、あるいはそのあとであなたのおっしゃるように関係閣僚懇談会できめられてもよろしい、しかし、それは一体いつごろになるんだという大体のめどはお示し願わぬと、もうこれは何回もいままで選挙のたびにいわれてきた、と同時に、昨年来この問題について事務作業の進め方について、ルート決定に至るまでのきめ方につきましては何回も質問はいたしておるのです。それに対して現段階において明確にその時期を、大体いつぐらいになるというお示し方をしていただかぬと、選挙民に対し、あるいは国民に対し、何と申しますか、大きい困惑を来たさすと思うのです。だから、その点事務的な話としてお伺いしたいと思うのです。
  132. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました点、また、委員のお気持ちも私十分御理解も申し上げ、私も全くその気持ちを同じゅういたしておるような次第でございます。その総合的な結論を最終的にまとめるべく、経済効果並びに技術効果等につきましてさらにひとつ促進をいたしながら、なるべくおそきに失しないようにいたしつつ、しかも慎重な立場で結論を発表申し上げたいと思いますので、その点で決して私はモミジになるころとかというようなことでなくして、もう場合によってはほんとうに雪の降っているさなかのころでもというような気持ちで、その結論につきましては、委員の御指摘になりましたお気持ちを、また国民の皆さまや地元関係者の皆さまの意向も体しながら十分善処いたしたいと思いますので、この点御了承願います。
  133. 福岡義登

    福岡委員 このまま押し問答をしておりましても時間が経過しますから、いずれ機会をあらためることにしますが、どうかひとつ早急に作業を進めてルート決定という運びにしていただきたい。  最後にもう一つ聞きたいのですが、それは中国自動車縦貫道の問題、千代田−美弥間の整備計画編入というものを促進していただきたい。できれば、どういう方針か、これを説明してもらいたいのですが、いま整備計画に入って、落合−千代田問の作業もいろいろ進められておるのでありますが、二車線でようやく買収、供用開始というようであります。そこで、市街地だけでも四車線買収しておくほうがいろいろな意味でいいと思うので、そういう要望をしたいのですけれども、その点について答えていただきたい。
  134. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 最初の千代田−鹿野間の整備計画の問題でございます。これは、御承知のように、現在基本計画が出ております。大体千代田—鹿野間の中間に冠高原という高原がございます。あれを通過するような線を考えております。非常に地形が峻険でありまして、また工事が非常にかかるというところで、さらにあの周辺で地質その他できるだけ工事も楽に、また幹線自動車道路としても線形のいいような道路をいまいろいろな角度から調査している段階でございます。  もう一つの落合−千代田間の用地二車、工事二車の問題でございます。いま先生のおっしゃいました土地の中だけでも二車線買ったらという問題でございます。現在整備計画ではっきり路線をきめまして、それで地元に了承が得られればあるいは一部というようなことも可能かと思いますけれども、全体といたしましてはまだまだ相当山もございまして、二車線の用地を買収して早く二車線をつくりたいという意味で、用地二車線、工事二車線ということになりました。さらにそのさきをやるときにはまた十分土地がとれるというつもりでいまやっておるわけでございます。将来とも土地を買っておかないとあとの用地の確保が困難だという問題については、これからの検討にしたいと思います。
  135. 福岡義登

    福岡委員 これで終わりますが、最後に、これは答えていただかなくてもいいのですが、バスの停留所ですね、これが、聞くところによると、数が少し少ないようであります。これは何カ所どうだというようなことは申し上げませんが、十分実情に沿うように配慮していただくようにお願いしまして、きょうの私の質問を終わります。
  136. 加藤常太郎

  137. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 住宅公団の総裁が来ておられますので、先に公団から聞いていきたいと思います。  埼玉県の八潮・草加の工業団地の隣に、今回広大な、約一千三百戸以上の住宅団地を建てることになっておりますが、これについて、埼玉県から、再三、この工業団地の隣に住宅団地を建てることは、公害が発生するから考え直してほしい、このように言われておるわけでありますが、それに対して公団は、この募集に際して、公害を明記した上で募集をする、このように言っておりますが、この点についてまずお尋ねいたしたいと思います。
  138. 林敬三

    ○林参考人 ただいまお尋ねの埼玉県の八潮団地のことでございますが、これは数年前から、地元からも町長をはじめ熱心に誘致の運動がございまして、ぜひここへ住宅団地がほしい、こういうような御要望がありました。しかし、私のほうでいろいろ検討してみますと、いま御指摘ありましたように問題が二つある。一つは、あそこは地盤が悪いのですね。それで、パイルをずいぶん深く打たなければなりません。それで家賃なんかにはね返ってくる。経済性を考えましてどうかということで、その試験がずいぶん手間どりました。  もう一つは、いまお尋ねの公害でありまして、隣が、埼玉県の企業局でいたしております四十数万坪にわたります大工業団地ができつつあるところでございます。その隣でありますので、住宅として適切かどうかということをいろいろ考えたのであります。それで、もし公害があって、お話のような公害つきといいますか、そういうことで、それでも入りたければ入れというようなものは極力つくりたくございませんので、また、つくるべきでないと存じますから、それで——ただし、公害の程度はどの程度のものが出てくるのか、ある程度の距離をとって措置を講すれば許容できる、その程度ならばそんなあれじゃないというところかどうかということを、県当局と二年以上にわたって折衝を続けたわけであります。それで、あそこは内陸地帯でもあるし、その連れてくる工場というものにはそんなに公害の出るものはない、現に第一次募集と第二次募集とございますが、第一次募集はほとんど公害が出ないものばかりだ、こういうことで、それから、第二次募集についても極力そういうように公害を出さないものを選んで立地するようにするからという県とお話がありまして、そしてこれを買収することに決心したわけです。で、この買収が金額にいたしますと四億でございまして、面積三万坪以上でございます。これは、四億ものお金を使いますときに、それが役に立たなくなったらたいへんだということで、相当慎重に県当局と連絡をしたわけでございます。ところが、第二次募集があって業者がだんだんと決定していく、そうすると、途中においてどうも公害の出るものも出てくるようだ、それじゃそれを防ぐ——といいますか、お互いに防ぐのですね、片方は出さないようにする、こっちは受けないようにするのにどうしたらいいかということでいろいろと折衝を続けてきたわけでございます。それで、この折衝を続けてきまして、そうしていよいよ、いろいろな条件でこれだけのことをすればいいだろうというところまでいきましたので、そこを買収して農地転換を行なって、そうして二メートルほど埋め立てなければいけません、埋め立てを終わったところでございまして、これからくい打ちをしようというところになりまして、一番トップレベルの知事さん、副知事さんのほうから——これはいろいろ新聞にも最近出ておるようでございます。特に公害があることがわかっているところに団地をつくることは県として同意できない、今度はこういう最高首脳部の判断になってきたわけでございます。まあその後のいろいろな変化もあります。そこで、現在、どうしてこれを打開するか、どういうふうにしたらいいかということについて、ここ数日来県といろいろ折衝中でございます。  いままで県と話していて、私のほうでいたしますと言っていることは、この工業用団地との問に六十メートル以上幅を離すということで、問に川がございます、それから五十メートルの幅をとりまして、そうしてその次に建物を壁みたいにずっと建てる、その建物は特殊装置にして、そうしてその建物の次のところから一般の住民の住む団地をつくる、その建物にはその工場の方におもに住んでいただく、こういうようなことに考えて、工業用地と住宅団地との問を六十メートル以上離して、それからその問を緑地にする、公園にして、植林をしてなるべく大きな木を植える。それから、この工場の次が川でありまして、その川の土手のところを土盛りしまして高さ三メートルの堤防をつくって、そうして音を上へそらしていってしまうということで——工場ですから、公害がないとか少ないとかいっても、どうしても音が出ます。それをそらすということ。それから、建物をアルミサッシを使いまして気密性を強くして、音が入らないようにする。その近いほう、壁になる地帯には特殊装置をする。それからばい煙のことが心配でありますから、ベランダをつくるのをやめてサンルームにして、部屋の中で干す、こういうようにして、かりにもそういうせっかくの洗たくものがよごれるということがないようにする、こういうようなことまではして、事務的には話が、それじゃそれで……ということになったわけでございますが、さらに大所高所の見地からもう一回、そういうお話がありましたので、そこで私のほうとしては、ここまでいっておりますし、東京の都心に四十五分というなかなかいいところでございますし、それから、そこにいわゆる生活として許容し得る程度の若干の音とか、くささとか、そういうものであれば、それをどうして防ぐかということを考えて、その問に面者の調整が成り立たないかということで、いま一生懸命苦心をいたしておるのでございます。いわゆる生活というものが大事でもございますし、また、工場公害のやかましいときでもございますし、また、知事さんはああいう良識的な方であって、その方が非常に心配してそう言われる、そこいらをよく尊重いたしながら、この間極力調整につとめましてこの問題を善処していきたいと考えております。
  139. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 トップ会談のことはいま聞いたのですが、知事はここを住宅公団から買い取って工業団地にしたいというような意向もあるやに聞いております。この公害を防止することは、いま、五十メートルの緩衝地帯を設けるとか、いろいろありましたけれども、その程度のことでは、パルプとか、いろいろな化学工場とか、ゴムといった工場を誘致した場合には、できないというのが県側の考え方なんです。検討をするということは、何が何でも、どんなに県が反対しても、これは住宅公団としてここへ建設をしていく、そのためには、いま総裁がおっしゃったようないろいろなことをやるのだ、そういうことを検討になっているのか、それとも、その検討の中には、将来どうしてもだめならばこれを県に譲って工場団地の続きにしたいのか、その辺のところはどういうふうに考えますか。
  140. 林敬三

    ○林参考人 公団が特に東京都なり東京の近県に大規模の団地をつくりますときは、御承知のように、当然、県とは意見が一致いたしませんと、双方いろいろがまんすることや努力することがありましても、成り立たないわけでございます。是が非でも、どんなことがあっても公団がやっていくというわけにはまいらない。どうしても県と地元の市町村とは最後的には意見が一致しませんと成り立たないわけでございますし、道路にしても水道にしても、ガスにしても電気にしても、県の世話にならないものは一つもない。入りまじった網の中に入るような関係でございます。そこで、埼玉県当局にはまた県の立場がございます。それから、私のほうのまた事業をする立場もございます。その問をよく話し合ってみて、苦しみも悲しみもともにさらけ出してこの問題を解決していこう、こう思っておるわけでございまして、いまどうでなければならないという結論で押していくというものではございません。ただ、率直な気持ちを申しますれば、数年来事務当局とは折衝して、農地転用のときも、知事の具申をいただいて転用の許可を得た、それから県の課長からは、正式に、どうぞ来てよろしいということにいたしますという通知があって、買収に踏み切った、こういうところでございます。しかし、それは県は県の事情があって、特に公害の限度も上がってきて最近やかましくもなってきておりましょうから、これは知事さんの言われることもとくと尊重して、そこで、もう一回ここでしっかりお話し合いをしてみたい、そして一番いい結論を出すようにしていきたい、そのためには、是が非でも公団の立場を貫く、あるいは、いままでこういういきさつがあったから、どうでもこうでもこれはどうしてもつくろうというようなものでなくて、どうしたら協力していいものができるか、そしてどうしてもいいものができないときは、他にどうして転換したら一番傷が少なくて済むかというような、ゆとりのある態度でこれは考えていかなければならないものだと思っておるわけでなんです。  これは公団の側だけから言うと、私のほうの部下は、私がその上におります立場から言うと、かわいそうなくらい、いままで涙の出るような努力をしてやったところで、ここでちょっとこうなっている。しかし、それでも、いやしくもおかしいものができたら、それはいけないのでありますし、それから、あとで役に立たない、あるいは住む方の迷惑になるようなものをつくったらいけませんから、もちろん改むべきは改め、正すべきは正して、幅広い立場で、しかし、お互いに誠意を尽くしてこの問題を何とか解決していこう、かように考えておる次第であります。
  141. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一点気になる点があるのですけれども総裁が、公害の発生する側にはその工場の従業員を入れるというようなことをちょっといまおっしゃったのですけれども、公団の募集には、公正の立場の募集側からそういう手心を加えるようなことができるのですか。
  142. 林敬三

    ○林参考人 側といいますか、そこだって、工場の従業員の入るところだから、自分たちのほうで起こす公害なんだから、がまんせいというようなつもりで公団では入れる気はないのでございまして、その側のところには特殊装置をして特に音や何かを防げるようにし、くささや、ばい煙の防げるような装置にして、やはり住めるという水準でもってそこに入っていただくわけです。それでも、遠いところと近いところでは、比較すれば、近いところのほうが、幾ら防いでも、それだけ音が大きいわけでございます。そこで、公団でそういうアンバランスができるか。これはできないのでございます。しかしながら、業種をいろいろに区別することはできるのでございまして、たとえば工場の単身者の従業員の方の住むような部屋をつくるということをすれば、いやおうなしにそこの工場の単身者がみんな入ってくるということになるわけで、公平に募集しましても、そこの方がお使いいただく。そうでない方も少しは入られるかもしれませんけれども……。それから2DKやなんかで家族持ちが入るのでも、工業地帯の近く——大森のほうなんかにつくりましたときも、やはりそこに中小企業の従業員で宿舎がなくて困っている人を三人なり四人なり2DKに住まわせるというようなことで募集するというようなこともいたしております。種類によってはそういうことをいたそうと思っております。ただし、工場の従業員だから、自分のところで出した音だからがまんせい、そんなひどい気持ちではないのですけれども、そこに近いところはやはりそういう方に入っていただいて、しかし、両方とも生活としては快適な生活ができるところというようなことも頭の中で考えているという状態でございます。
  143. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最近、公団の団地パワーといって、強い力が団地の住民から出るわけで、公団側としてもいろいろな問題をかかえているのですが、時間があまりないので、いつまでも突っ込んでおれませんけれども、この団地の募集については、公害を明記して募集するのか、次に、家賃はどれくらいに押えるのか、この二点だけお答え願いたい。
  144. 稗田治

    稗田参考人 家賃の点は、まだ工事をやってないわけでございまして、上ものの工事がまだ発注してない、したがって、御承知のように、公団は所要の経費を与えられただけの公団の資金コストで支払うという形でできておりますので、いますぐ家賃幾らというのはちょっと申し上げにくい。と申しますのは、ただいま県知事のほうからは、公団の公害防止対策について具体案を示せという文書が来ておるわけです。これから各関係の部局と打ち合わせしながら具体案をつくるわけでございます。したがって、まだちょっと積算もできないということでございますので、いまはっきり幾らということを申し上げるのは困難かと思うわけでございます。  それから、募集のときに、公害つきとか、そういうような意味の募集はいたさないわけでございますけれども、一般に住宅に応募する場合に、その付近に住んでいる方ばかりが応募するわけじゃないという場合が多いわけでございますから、大体どういうところだろうという、ある程度のイメージと申しますか、そういうものは抱いていただきませんと、こんなはずじゃなかったというふうな誤解も生むわけでございますので、そういう誤解のおそれのないように、たとえば、隣に県企業局の造成した工業用地がある、そこにはこういうものがあるというようなことは、図面なり文章なりで明記する、そういう態度を従来からとっております。
  145. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まだ聞きたいことがありますが、この点はこれでやめておきます。  建設大臣にお尋ねいたします。  先ほど道路五カ年計画の問題で話が出ましたが、その財源として、ガソリン税——揮発油税、トラック税、固定資産税、それから宅地税、こういった一連の税の取り立てということを建設大臣はお考えになっているように聞いておりますが、この点をまず確認したいと思います。
  146. 坪川信三

    坪川国務大臣 小川委員にお答えを申し上げます。先ほど来申し上げておりますごとく、道路建設五カ年計画を従来どおりの方針をもって推し進めてまいっておるような次第でありますとともに、来年度の一般財源といたしましては一千十六億をぜひ確保いたすべく予算措置最善努力を払いたい、こう考えておるのでございますが、その他の財源の問題につきまして、ガソリン税の問題あるいはトラックの税の問題につきましては、ただいま十分検討をいたしており、また、大蔵省とも十分協議をいたしておるという段階であることを御了承願いたいと思います。
  147. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ガソリン税——まあ揮発油税ですが、この税金を上げるということは、日本の物価問題に非常な影響がある。ところが、道路のほうもどうしてもやらなければならぬ。このことをこまかくここで言いますと相当時間がかかるのですが、金がないものはできないのです。当然ここでガソリン税——揮発油税またはトラック税等の値上げということを建設省考えておる。しかし、大蔵当局としては全般的な問題から検討する。この点については、一体、大臣は、検討でなくて、建設省としては、これこれの道路をつくるための財源捻出方法としては、どうしても一〇%から一五%くらいガソリン税を上げることはやむを得ないのだというお考えのもとにあるのか。ただ検討と言ってもちょっとわからないのですが、その点はどうなんでしょうか。ここは委員会でございますので、ひとつその点をはっきりしておきたいと思うのです。
  148. 坪川信三

    坪川国務大臣 道路事業の計画の伸び率は、小川委員御存じのとおりに、ただいま約一八%の伸び率でございますが、これに対しまして、今後の揮発油税等の収入の伸び率は約十三%程度見込まれておるというような状態等も考えますときに、これらの一般道路事業の伸び率に対してやや下回る税収しか期待ができないのが現状であります。なお今後国の一般税収の伸びは相当期待できると思いますが、政府全体としても財政上いろいろな問題を控えており、道路整備にのみ大幅な一般財源を投入することは必ずしも容易なことでないとも考えております。そのためには、建設省といたしましては、極力一般財源の投入を期待いたしますとともに、今後の計画拡大の必要性等も十分勘案いたしまして、道路財源の拡充等は慎重に検討をいたしたい、こう考えております。  なお、かりに揮発油税等の税率をアップしたとしましても、理論的に推計いたしました場合には、消費者物価の上昇率にはきわめてわずかなものとも私は考えております。たとえば、小川委員御高承のとおりでございますが、消費者物価と揮発油税との比率を見ますと、もしアップいたしたとしましても、消費者物価に対しましては〇・〇 ○三%という状況であり、軽油引取税が〇・〇〇六%、また、卸売り物価に対しましては、揮発油税につきましては〇・〇四%、また軽油引取税につきましては〇・〇一%というような状況でもありますので、これらの点を十分考えながら大蔵省その他と十分協議いたしまして態度を決定いたしてまいりたいと考えております。
  149. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、いま大臣のお考えを聞いておりますと、物価に及ぼす影響はたいしたことないということで、最終的に、大蔵省がどんなに反対しようとも、道路拡充の政策、経済効果、その他いまの日本の都市計画または総合開発計画、国土の開発の上からいってこれはやむを得ない、必要悪だ、であるからこの点はひとつ了解をいただきたいというようなニュアンスのように私いま受け取ったのでありますが、その点いかがでございましょうか。
  150. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほど消費者物価、卸売り物価等に影響する率等を申し上げましたのは、決して物価に影響しないからこれを上げるんだという気持ちでなくして、きめこまやかな、物価高に影響しないような立場で、ひとつこれらの問題を真剣に取り組んでまいりたい、こういうような気持ちでおりますので、建設省といたしましては、いま直ちにこれを決定いたしまして大蔵省その他と交渉するというような気持ちでなくして、消費者物価も卸売り物価も、また他に影響する面等も十分検討いたしまして、総合的な判断のもとにおいてこの問題に取り組みたい、こう考えておる点で御了承願いたい、こう思っております。
  151. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これ以上大臣を責めてもお気の毒でありますので、しませんけれども、これは非常に大きな問題なんですね。揮発油税を上げるか上げないかという問題は、これはもういろいろな面から、いろいろな角度から検討されなければならぬ。とにかく建設省としては、道路財源の一番大きな問題としてこれを取り上げたいというような意向を強めているように私たちは理解しております。この点においては大臣もいやとは言わないと思うのですけれども、ただ大蔵省との検討があり、またその他の検討がある、これはすぐにここで結論を出せない、こう理解したのですけれども、願わくは、これを絶対に押えながら、そうして道路財源という問題にさらに一段深く立ち入って五カ年計画を達成していただきたい、こう要望しておきます。  次に、建設五カ年計画ですが、これも大臣は非常に努力なさっておりますけれども、建設五カ年計画は一体達成できるかというと、私は、結論からいって、いま非常に不安に感じておる。それは、公営住宅の達成率が、埼玉県の場合は三三%、全国平均が、調整を入れましても四八%、達成で五〇・〇〇%です。民間自力建設のほうが五八%。この五八%も、いろいろと見ていきますと、もっとできているんじゃないかという懸念がわれわれはあるのですが、埼玉県、千葉県が全国平均を下回って三三ないし三四%という理由は、大臣、どのようにお考えになっておりますか。
  152. 坪川信三

    坪川国務大臣 建設行政に理解ある小川委員の御質問、私も十分心得ておるような次第でございますが、建設省といたしましては、公共事業計画的に総合的に推進いたしまして、そして社会資本の立ちおくれを解消いたしまして、均衡ある国土建設に邁進するという立場からこの五カ年計画を打ち立ててまいっており、しかも、この五カ年計画が、景気調整等によってのしわ寄せから来る犠牲を公共事業に向けられるというようなことだけは、私は先ほど来御質問いただきました各委員に申し上げているとおりでございまして、その点を十分ひと?心に入れながら道路計画あるいは住宅計画治水計画、下水道計画、その他五本の大きな柱である建設省所管に関係する五カ年計画をあくまでも推進いたすべく、全力をあげて予算獲得その他に努力いたしてまいりたい、こう考えております。
  153. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、私が聞きたいのは、三カ年の達成率が鹿児島県が五五・七%、宮崎県が五三・二%、過疎県といわれております香川、徳島、高知、この辺が五四・六%、それで埼玉、千葉、東京、神奈川、この首都圏地帯が三三・七%。では一体首都圏だけかと申しますと、大阪方面は、大阪を中心にいたしまして五四・九%もできております。これは一体どういう——最も公営住宅を建てなければならぬ要求のある埼玉県、千葉県、東京、この首都圏の公営住宅の達成率が三三%台、三割三分、要するに、五カ年計画を一〇〇としますと、三割三分しか三カ年でできていないという。それじゃ一体ほかはできてないかというと、そういう過疎県のほうではできている。こういうアンバランスに対して、ただいまもいろいろ話がありますが、埼玉県で公団の消化率が——約六割首都圏でやりたい、その六割のうちの三分の一を埼玉県で消化したい、こういうふうに非常にいい条件下にあるところがこういうふうに低比率だということは、土地の高騰とか、いろいろな問題があると思います。これに対して大臣は何らかの行政指導もしくはこれに対する援助をしなければならぬと思いますが、三三%台にとどまっている千葉、埼玉に対しては今後どのような処置をとられますか。
  154. 坪川信三

    坪川国務大臣 国全体の住宅政策五カ年計画を総合的な判断をいたしますと、先ほど申し上げましたごとく五五・二%、六百七十万戸を目標にいたしております。四十三年度末に三百七十五戸、さらに四十四年度の予算等からくる目標額は、すべてを入れますと百四十二万戸の建設というめどを立てながらまいりたい、こう考えておりますが、いま御指摘になりました埼玉、千葉あるいは首都圏等の範囲内におけるところの住宅の伸び率が低いということを考えますときに、これらにつきましては、やはり御承知のとおりの都市開発あるいは都市計画法の推進等、土地対策あるいは税制対策、地価対策等を総合的に含めまして、これらの不均衡をひとつさらに四十四年度には是正してまいりたい、こう考えております。
  155. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは、局長、具体的にどういうふうになりますか。
  156. 大津留温

    ○大津留政府委員 五カ年計画府県別の計画の進捗状況でございますが、公営住宅につきましては、埼玉県、千葉県あるいはその他の地域の状況は、小川委員のおっしゃったとおりの状況でございます。埼玉県、千葉県が神奈川県と並びましてこの東京地区の人口急増の受け入れの役割りをやっていただいておるということでございまして、公営住宅計画においても、あるいは公団の計画におきましても、他の府県と異なりまして特段の受け持ちをお願いしておるわけでございます。まあ地元の埼玉県、千葉県とされましては、自分の県民のためというよりは東京のためという意識が、これは率直に申しまして、あろうかと思いますけれども、非常に御協力を願って今日に至っておるわけでございます。ただ、結果といたしましては、戸数の総数が多い関係で、率で申しますと、おっしゃるように三四%ないし三五%程度にとどまっております。しかし、その後県当局ともいろいろ御相談をいたしまして、埼玉県のごときは、特に本年度は前年度に比べまして特段の御努力をいただいております。この調子でやっていただきますならば、各県とも目標にそれぞれ近い、あるいはそれ以上の達成にいくものだと考えております。
  157. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まことに甘い答弁で、私非常に情けないのです。これを分析しますと、とうてい達成できない。この不足しておるのは、市町村の公営住宅が全然できないのです。こういうところをきょうは詳しく言う時間がございませんから申しませんが、大臣、こういう実情なんです。これはとくとお考えをいただいて、千葉県、埼玉県に対しては特段の公営住宅に対する配慮をしなければ、建設五カ年計画は絶対達成できないというのが私の結論です。どうかひとつよろしくお願いをいたします。  もう一点大臣にお尋ねいたしますが、都市計画法第八十四条第一項から第二項によるところの都市計画区域内における市町村または県の土地の先行投資または工場あと地等の問題は建設省から今回土地中央基金なるものが出されております。しかし、これは自治省からは開発基金という名目で出されており、これに対してお互いにセクションで争っておりますが、まず、建設大臣はこれに対してどのようにお考えになっておりますか。
  158. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました点等を考えまして、私といたしましては、ぜひとも大蔵省その他と折衝いたしまして中央土地基金というものの制定を急ぎたい、こう考えております。
  159. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 自治省にお尋ねしたいのですが、自治省としては、これは大蔵省の最後のあれがあるのでしょうけれども建設省の案をどこまでも通した場合には、自治省は引っ込めますか。
  160. 山本成美

    ○山本説明員 私のほうと建設省の案とは、確かにおっしゃるように食い違いがございます。ただ、私のほうとしては考え方があって来年度の地方計画の案の中に入れておるわけでございますけれども、きまりますまでに、いずれにいたしましても調整をつけたい、かように考えております。
  161. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大蔵省意見を聞きたいと思います。——きょうは通告したのですけれども、何かの手違いで大蔵省のほうから関係の方が来ておりませんので、私も、新大臣になられたばかりなのでこれ以上言いませんが、どうしてもこの中央土地基金の問題は私は建設省の案を支持したいと思うのです。それはなぜかというと、私は何も建設委員会に所属しているからではなくして、あくまでもこういった——これはなぜかと申しますと、都市計画法がこれでは施行できなくなってしまいます。こういう重要な問題にいまなっておりますので、この点はひとつ大臣大蔵大臣または自治大臣とよくお話し合いの上で進めてもらいたいと思います。
  162. 坪川信三

    坪川国務大臣 非常に励ましのお気持ち感謝いたします。都市の開発推進をいたす意味においては、この問題は非常に大事な問題でございますので、私といたしましては、自治並びに大蔵関係当局の責任者と十分折衝いたしまして、いま励ましをいただきましたような結論を出すべく最善努力をいたしたいと思いますので、今度ともよろしくお願いいたします。
  163. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣に、尾瀬分水の水利権、これの政治問題の解決、これについてお聞きしたいと思います。
  164. 坪川信三

    坪川国務大臣 就任いたしまして、この問題につきまして事務当局からも報告を受けておりますが、関係府県の問で十分この問題についてはこれから調整せなければならぬ問題があると考えますので、関係知事とも協議いたしまして、この問題の調整とよりよき結論を出したい、こう考えております。
  165. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは長い問の政治案件になっております。四十一年三月にこの許可権が切れておりますね。これは一体許可権があるのですか。この水利権、法的にどうなんです。
  166. 坪川信三

    坪川国務大臣 たいへん失礼でございますが、許可権の問題の可否その他につきまして、私がいまの立場で申し上げますことは、今後の調整の上においてもまたいろいろと支障を来たすおそれもあるやに考えますので、この点、私の気持ちをお察し願いたいと思います。
  167. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣が非常に低姿勢で、肝心なところへくると頭を下げてしまうのですが、これは時間がありませんから、次の通常国会で真剣にやりたいと思います。その点まず一つお預けしておきますが、これは早急にやらなければならない。  それから、和歌山県古座川にかかる古座大橋、これの質問をいたしますが、これはどうして渡れないのですか。
  168. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 和歌山県の古座大橋につきましては、国道四十二号線の改築事業として、四十一年から四十三年にわたって事業を実施しております。橋の規模といたしましては、幅員が七メートルで、三百二十四メートルの延長でありますが、事業費一億九千六百万で、ことし終わる予定でございます。現在、右岸側の橋脚のところはいままで非常に州がついておりまして、これが本年度、昭和四十三年七月二日及び五日の集中豪雨で異常な出水がございまして、底が大きく洗掘されてまいったわけでございます。橋梁の基礎構造といたしまして、鋼管パイルを下の岩盤までつけております。非常に大きな洗掘が起こりまして、現在それを補強いたしまして、この三月中に補強を終わって開通するという予定にしております。
  169. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは橋脚の下がえぐれたと聞いているのですけれども、この橋脚の下がえぐれたということは、設計上のミスですか、それとも施工上のミスですか。
  170. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 現在の橋脚のフーチングといいますか、こういう形をしておりまして、この下に鋼管パイルを打ち込むのです。そのフーチング自体が、これは河口でございますので、海面の平均の高さより四メートルから六メートルぐらい下げております。この辺で十分だいじょうぶだろうということでございましたが、今回の出水でえぐられたところを見ますと、やはり砂が非常に軽い砂であったということもございまして、さらに補強してから通すのが安全だろうということでございます。設計も、この程度の設計なら、設計上のミスというようなものでもないかと思います。
  171. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点につきましては、私写真を持ってきております。これは三月までに補強するということになっているのですけれども、そこの古座川にテトラポットを投入している。現地住民はこれに非常に反対しているように聞いておりますけれども、これは河川のはんらん等には影響がないのですか。
  172. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いま先生のおっしゃるように、前は相当砂がたまっておりました。その当時から、これについては、洪水のときにはある程度水は流れるのだということで、底を全部埋めてかたいものにするということには、上流が水位が上がるというような心配もございまして、反対があったのでございます。現在いろいろ地元とも折衝いたしまして、また河川管理者とも折衝いたしまして、できるだけ洪水のときの河積はあけておくというような形で補強をやることに話がついた次第でございます。
  173. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 五カ年計画の問題で大臣にいまちょっと申し上げたのですけれども道路、それから道路財源の揮発油税の問題それからまた住宅等は、ただいま私が数字をあげて説明したように、非常におくれているわけですね。これに対して先ほどから決意は聞いておりますけれども、五カ年計画は絶対手直しはしない方針ですか。
  174. 坪川信三

    坪川国務大臣 各種重要なる五カ年計画についての基本的な態度は、先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、この五カ年計画を手直しするというような気持ちは絶対持たずに、その計画の完全実施を目標にいたしまして最善努力を払いたい、こう考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  175. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最後に、この五カ年計画の中で公庫住宅があるのです。これが百二十万戸も建てなければならぬのですね。そうすると、二百七十万戸の政府施策住宅の半分は公庫住宅です。この公庫住宅というのは、私どもはこれは自力建設じゃないかという考えをしているのです。それは六分とか七分とかでお金を借りるのです。ところが、これは土地がない者には貸さないのです。その点、大臣はどのように考えておりますか。
  176. 坪川信三

    坪川国務大臣 これら公営、公庫住宅に関する問題につきましては、やはり従来の補助制度等の経緯また内容を十分検討いたしまして、新たなる融資制度と申しますか、長期にわたり、しかも低い率によっての融資制度をもちまして、これらの気の毒な大衆の要望に沿うよう立法措置その他を考え、準備をいたしておるということでお含み願いたい、こう思っております。
  177. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは土地のない人たちにも貸せるというふうに理解していいのですか。お金を貸してくださるのですか。
  178. 大津留温

    ○大津留政府委員 公庫の持ち家融資におきましては、土地費もあわせて貸すというのもございます。しかし、それは、数からいいますと、ごく限られております。それで、特に最近は、東京地区のような地価の高騰した、土地をなるだけ高度利用すべき地区におきまして、公庫が土地費まで貸してそこの住宅を建てるというのは必ずしも賢明な政策でないと私ども考えております。したがいまして、東京におきましてはそういう土地費を貸すというようなことはいたしませんで、すでに土地をお持ちの方が住宅をお建てになる際にその建築費を貸す、しかし、地方におきましては土地費もあわせてお貸しする、こういういき方でいきたいというふうに考えております。
  179. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その土地がわりあいに買えないのですね。これは大臣御存じのとおり。いろいろな土地対策がいま打ち出されておる。この点はわれわれとしては非常に不満なんです。この点をまず改めてもらいたいという希望があるのですけれども、長くなるからやめますが、公営住宅を建てる市町村が、その原理からいくと、補助制度を打ち切られて今度融資制度になる。その融資も、二分とか三分のそんな安いことを一体大蔵省で許可するのかという疑問があるのです。公共団体がその土地を確保するための融資という問題で、補助にかわって、二分とか三分とかいう金を一体出せるか、許可するか。これは大臣の折衝の段階になると思いますけれども、非常に大きな問題だと思うのです。地方公共団体の土地を確保するのに、いままでは補助制度であった。これを来年度は打ち切られるわけです。そうしてそのかわりに、低利の融資制度であなた方は土地を心配しなさい、こういうふうに改めていくわけなんですが、その点、その二分、三分という低利を大蔵省がのまなかった場合には、大臣としてはどのようにしていかれますか。
  180. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました数々の点を十分配慮いたしながら大蔵大臣と折衝もいたし、またその措置を講じたい、こう思っております。
  181. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それではこれで終わります。
  182. 加藤常太郎

    加藤委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十分散会