運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-12-20 第60回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十二月二十日(金曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村治郎君 理事 小川 三男君    理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    川野 芳滿君       菅波  茂君    中川 一郎君       井上  泉君    板川 正吾君       久保 三郎君    神門至馬夫君       内藤 良平君    米田 東吾君       渡辺 芳男君    吉田 賢一君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         海上保安庁長官 河毛 一郎君  委員外出席者         水産庁漁政部長 安福 数夫君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 長橋  尚君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         専  門  員 小西 眞一君     ――――――――――――― 十二月十九日  委員米田東吾辞任につき、その補欠として成  田知巳君が議長指名委員に選任された。 同日  委員成田知巳辞任につき、その補欠として米  田東吾君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員矢尾喜三郎君及び春日一幸辞任につき、  その補欠として久保三郎君及び吉田賢一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員久保三郎君及び吉田賢一辞任につき、そ  の補欠として矢尾喜三郎君及び春日一幸君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十七日  越佐航路における中小内航海運業者の保護に関  する請願河村勝紹介)(第三七九号)  山手線大崎西口復活に関する請願菊池義郎  君紹介)(第三八〇号)  国鉄宮之城線廃止反対に関する請願池田清  志君紹介)(第四二一号)  鉄道新線建設促進に関する請願川野芳滿君紹  介)(第四二二号)  総野線国鉄予定線編入に関する請願始関伊  平君紹介)(第四二三号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第四二四号)  同(臼井莊一君紹介)(第五八九号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第八五〇号)  国鉄財政再建及び安全輸送確保に関する請願  (田代文久紹介)(第五八七号)  同(枝村要作紹介)(第五八八号)  同(横山利秋紹介)(第八五一号)  国鉄矢島線廃止反対に関する請願斎藤実君紹  介)(第八五二号)  国鉄阿仁合線廃止反対に関する請願斎藤実君  紹介)(第八五三号)  仙台建設促進に関する請願愛知揆一君紹介)  (第八五四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十七日  列車のし尿処理改善に関する陳情書外二十二件  (第一一四号)  同外一件  (第二六八号)  奥羽及び羽越本線複線電化に関する陳情書  (第一一五号)  日豊本線及び長崎・佐世保本線複線電化に関  する陳情書  (第一一六号)  国鉄湖西線建設に伴う江若鉄道従業員国鉄移  籍に関する陳情書  (第一一七号)  国鉄安全輸送確保に関する陳情書  (第一一八号)  北陸鉄道石川総線廃止反対に関する陳情書外  五件  (第一一九号)  国鉄赤字線廃止反対に関する陳情書外五件  (第一二〇号)  同外一件  (第二六七  号)  国鉄気仙沼線廃止反対等に関する陳情書外一  件  (第一二一号)  国鉄八戸線及び小本線廃止反対に関する陳情  書(第  一二二号)  国鉄札沼線廃止反対に関する陳情書  (第一二三号)  国鉄江差線及び瀬棚線の廃止反対に関する陳情  書(第一二四号)  国鉄能登線廃止反対に関する陳情書外二件  (第一二五号)  国鉄阿仁合線廃止反対に関する陳情書  (第一二  六号)  国鉄川俣線等廃止反対に関する陳情書  (第一二七号)  国鉄越美北線及び三国線の廃止反対に関する陳  情書(第一二  八号)  国鉄三木線等廃止反対に関する陳情書  (第一二九号)  国鉄鍛冶屋線廃止反対に関する陳情書  (第一三〇  号)  国鉄倉吉線及び若桜線廃止反対等に関する陳  情書(第一三一号)  国鉄宇品線等廃止反対に関する陳情書  (第一三二号)  国鉄岩目線廃止反対に関する陳情書  (第一三三号)  国鉄牟岐線等廃止反対に関する陳情書外一件  (第一三四号)  国鉄指宿枕崎線廃止反対に関する陳情書外一  件(第一三  五号)  国鉄日影線等廃止反対に関する陳情書  (第一三六号)  国鉄長井線廃止反対に関する陳情書外二件  (第一三七号)  国鉄烏山線廃止反対に関する陳情書  (第一三八号)  国鉄烏山線廃止反対等に関する陳情書  (第一三九号)  国鉄会津線及び只見線廃止反対に関する陳情  書外二件  (第一四〇号)  国鉄佐賀線廃止反対に関する陳情書  (第一四一号)  国鉄宮之城線及び山野線廃止反対に関する陳  情書(第一四二号)  国鉄宮原線廃止反対に関する陳情書  (第一四三号)  国鉄根北線廃止反対に関する陳情書  (第一四四号)  国鉄内子線等廃止反対に関する陳情書  (第  一四五号)  国鉄室木線廃止反対等に関する陳情書外二件  (第一四六号)  国鉄会津線及び日中線廃止反対に関する陳情  書外一件  (第一四七号)  国鉄可部線廃止反対に関する陳情書  (第一四八号)  国鉄只見線廃止反対等に関する陳情書外一件  (第一四九号)  国鉄香椎線廃止反対に関する陳情書  (第一五〇号)  国鉄矢部線廃止反対に関する陳情書  (第一五一  号)  北海道の国鉄赤字線廃止反対に関する陳情書  外十四件  (第一五二号)  高知県の国鉄赤字線廃止反対等に関する陳情  書(第一五三号)  過疎地域バス運行助成に関する陳情書外一件  (第一五四号)  新東京国際空港建設促進に関する陳情書  (第一五五号)  西日本鉄道電車運賃値上げ反対に関する陳情  書(第一五九号)  運輸行政の一元化に関する陳情書  (第一九四号)  国鉄名松線及び参宮線廃止反対に関する陳情  書  (第一九五号)  淡路島に国際空港設置反対に関する陳情書  (第一九六号)  自動車強制賠償保険制度法制化に関する陳情  書  (第二〇二号)  公営高速鉄道建設助成に関する陳情書  (第二〇三号)  は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  陸運に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  海上保安に関する件(漁船海難防止等に関す  る問題)  請 願   一 国鉄会津線及び日中線廃止反対に関す     る請願八田貞義紹介)(第六九号)   二 総野線国鉄予定線編入に関する請願     (臼井莊一君紹介)(第一四四号)   三 同(山村治郎紹介)(第一四五号)   四 越佐航路における中小内航海運業者の保     護に関する請願河村勝紹介) (第三     七九号)   五 山手線大崎西口復活に関する請願(菊     池義郎紹介)(第三八〇号)   六 国鉄宮之城線廃止反対に関する請願     (池田清志君紹介)(第四二一号)   七 鉄道新線建設促進に関する請願川野芳     滿君紹介)(第四二二号)   八 総野線国鉄予定線編入に関する請願     (始関伊平紹介)(第四二三号)   九 同(丹羽喬四郎紹介)(第四二四号)  一〇 同(臼井莊一君紹介)(第五八九号)  一一 同(丹羽喬四郎紹介)(第八五〇号)  一二 国鉄財政再建及び安全輸送確保に関す     る請願田代文久紹介)(第五八七号)  一三 同(枝村要作紹介)(第五八八号)  一四 同(横山利秋紹介)(第八五一号)  一五 国鉄矢島線廃止反対に関する請願斎藤     実君紹介)(第八五二号)  一六 国鉄阿仁合線廃止反対に関する請願(斎     藤実紹介)(第八五三号)  一七 仙台建設促進に関する請願愛知揆一     君紹介)(第八五四号)      ――――◇―――――
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程全部を議題として審査を行ないます。  本日の請願日程に掲載されております請願は十七件でございます。  これらの各請願につきましては、委員各位もすでに文書表でその内容は御承知のとおりと存じますが、理事会において慎重に検討いたしましたので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  本日の請願日程中第一ないし第一一及び第一五ないし第一七の各請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 大野市郎

    大野委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、委員各位のお手元にお配りしてありますとおり五十一件であります。御報告申し上げておきます。      ————◇—————
  7. 大野市郎

    大野委員長 次に、閉会審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案  都市鉄道整備促進法案  自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件港湾に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件  気象に関する件を閉会中も引き続き審査を行ないたいと存じますので、その旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  9. 大野市郎

    大野委員長 陸運に関する件、日本国有鉄道経営に関する件及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  10. 久保三郎

    久保委員 最初に、昨夕、銚子一ノ島灯台付近漁船転覆遭難事故がありましたが、この概要について保安庁等からお伺いしたいと思います。なお、委員長から注意がありましたように、限られた時間でありますので、概要をかいつまんでお願いしたいと思います。
  11. 河毛一郎

    河毛政府委員 概要を御報告申し上げます。  昨夕起こりました事件は、まき網漁船第一稲荷丸操業を終え銚子港へ帰投中、北東六百メートル付近横波を受け、漁網移動により転覆し、漁民八名は自力で泳ぎ着き、ほかの一名も二ノ島に上陸し、これは後に助けられたわけでございます。残る十四名は行くえ不明であるという海難でございます。  この第一稲荷丸サバまき網漁船、木船でございまして、大きさは五十九トン、乗り組み員数は二十三名でございます。まき網でございますので、漁獲物は母船に移しておりますので、積み荷は網四トン以外はございません。救命設備といたしましては、いかだ、浮環、胴衣、SOSブイ及び二十七メガ無線機、一応一通り装備を持っておるということでございます。  当時の天候は曇り、北北東の風十五メートル、波五。うねり四。銚子海上保安部では、その日の午後の気象発表によりまして、四時過ぎに、銚子港口の航行は危険であるため、入港を見合わせるよう指導をいたしております。  その次に、救助の概要でございますが、十七時十五分、波崎の漁業協同組合より情報を得まして、銚子には巡視艇百三十トン「つくば」と「うらなみ」がございますが、これを直ちに出動させまして行くえ不明者捜索に当たらせますとともに、陸上救難班をつくりまして、先ほど申し上げました二ノ島に上陸した遭難者一名の救出作業に当たりましたが、これは新聞でも報道されておりますように、もやい銃を発射いたしましてロープを渡し、現地の漁民の献身的な努力によって救出されておるということで、この作業は二十二時に終了いたしております。  なお、第三管区本部といたしましては、巡視線「のじま」及び「げんかい」を銚子保安部に派遣いたしまして、本日早朝より航空機二機も加わりまして行くえ不明者捜索を続行しておる次第でございます。
  12. 久保三郎

    久保委員 大体状況はわかりましが、きのうの夜、二ノ島にはい上がった一人の船員を救出するのに、何かヘリコプターが早いところ飛べなかったように聞いております。飛んでいったときにはすでに地元潜水夫を使ってもやい銃によるロープで救出したという話を聞いているのです。いまヘリコプター基地東京だろうと思いますが、そういう配置の問題等も考えながら、さらにもう一つ天候の問題もあるとは思うのでありますが、通常のヘリコプターではなくて、少しくらいの悪天候でも安定性があるようなものを、購入というか、装備すべきだと私は思うのですね。この前の遭難のときにも、どうもそういうきらいが多少あった、これは船がそういうことだと思ったのですが、そういう点はどうですか。  それからもう一つ続けてお伺いしますが、状況によりますれば、海上保安部から、危険であるから銚子港への入港を見合わせろという警報を発しているそうであります。その船はもちろんこの通報を受け取っているのだろうと思うのでありますが、通報を受け取っていながら、ことさらに入ってくるというのはいかがかと思うのです。しかも漁獲物をそれには積んでいない。漁獲物を積んでいるとするならば、たとえば避難港の名洗等に入った場合には、市場への持ち出し、そういうようなものはかなり不利な点があるということはうかがい知ることができるのでありますが、これはどうしてこういうふうに強行したのか、そういう点についてどう思いますか。  それからもう一つ、これは船舶局になると思うのですが、漁網移動というお話がありましたけれども横波を食らって甲板に積んであった四トンほどの漁網移動で、それが転覆の原因になったといういまのお話のようでありますが、こういうものの積みつけについてどんな指導というか、どんな方法をとらせているのかどうか。これはいま始まったことじゃなくて、いろいろ甲板積みの問題、これからまた御質問申し上げますイカ釣りの問題にそういう問題があったのですね。だから、そういう技術的の問題がどうなっているのか、簡単にお答え願います。
  13. 河毛一郎

    河毛政府委員 ただいまの第一点のヘリコプターの点でございますが、先ほど申し上げましたとおり、天候状況が非常に悪うございまして、私どもの最も近い航空基地としては羽田があるわけでございますが、この羽田にはシコルスキーの大型のヘリコプターを持っております。ただ、この場合でも、天候の関係から見ますと、ヘリコプターは飛べなかったという状況でございます。したがって、ヘリコプターの場合に、今後このような天候の場合の機種その他をどのように考えるかということは、御指摘の点もございますので、慎重に検討さしていただきたいと存じます。  第二点の通報の問題でございますが、船側がこれに対してどうして入港を強行したかという点でございます。これは、現在船主船長ともに行くえ不明でございますので、さらに生存者の話を聞きまして、この具体的な問題は私どもで早急に究明する必要があると考えておりますが、やはり一般的には、地元の船でございますし、だいじょうぶ入港できるという一応の判断があったのではだかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  第三点につきましては、船舶局のほうから……。
  14. 佐藤美津雄

    佐藤説明員 第三点について申し上げます。  甲板上の積みつけにつきましては、漁網についてはこまかい技術的な規制はございませんが、船の一般的な安全性としましてデッキの上に重いものを積んじゃいかぬという指導を検査の時期に常時行なっております。  以上でございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 いまの漁網その他あき箱というか、そういうものもあるし、漁獲物甲板積みする場合が多いのでありますが、こういう漁船構造というか、そういうものや、操業実態からいって、それを甲板に積んではいかぬと言っても、これはなかなかむずかしいことでありますから、船の構造自体をひとつ変えてみたらどうか、そういう研究をしてみたらどうかというふうにも思うのでありますが、これはひとつ考えてもらいたいと思うのです。  それからもう一つ——水産庁漁政部長は来ておられますな、これは水産庁はどういうふうに考えておられるか。新聞によりますと、死者にむちうつということはいかがかと思うのですが、むちうつことではなくて、われわれ考えているのでありますが、どうもいままで船主あるいは漁労長船長を支配しているという形がいつの海難でも起きているわけですね。このことは、単に法律制度の問題ではなくて、いわゆる漁業そのもの実態中小漁業というか零細漁業というか、そういうものの問題になってくると思うのですね。今度の問題も、漁獲物は積んでおらぬから、必ずしもそれに当たるかどうかわかりませんけれども、これから質問するイカ釣りの問題などは端的に見てそういうふうなきらいがある。この改善をどうしたらいいのか。いままでどんなふうな手配をとっているのか、簡単にあらましだけ説明してほしい。
  16. 安福数夫

    安福説明員 結局いまの御質問趣旨は、経営が非常に不安であるということから漁獲第一主義になっている、こういう趣旨を申されたのだと思いますが、われわれといたしましては、従来から漁業全般近代化と申しますか、ともかく経営が安定し、安全操業ができるという基本的な問題は、生産性向上生産力基盤を強化する、こういうことにあるだろう、こう思うわけでございます。したがいまして、そういう生産力の問題として考えて、その上に立って安全な操業確保してまいりたい、われわれは基本的にはそういうふうに考えているわけでございます。  それに対する水産庁政策としてはいろいろなことをやっておりますけれども、何ぶん漁業形態によりまして、イカ釣りの問題でもそうでございますけれども、非常に悪い船を使っている、どこかの下がりの船を使うとかいう形で漁業経営が行なわれている。そういうところに積極的な生産性向上生産力基盤を与える政策が必要だ、こう考えておるわけでございます。端的に申しますと、それに対して経済力をつける、資本をそこにつぎ込むということであろうと思うわけでございます。そういう面につきまして、公庫資金の強化なりあるいは来年度の予算編成ともからみますけれども系統金融資金余裕金に対して利子補給することによってできるだけ低利な資金を提供する、そういうことによって漁業近代化ひいては安全操業、そういった趣旨指導をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。  いま御質問の中に、漁労長船主を支配する、こういう問題があるわけでございます。それも漁労長中心として乗り組み員の給与を上げるということが意識として働く、こういうことがいえるわけでございます。それがあまりにも強い形で出ることによって安全性を阻害するということについては、従来からもわれわれは安全性確保の面から、そういうことがあってはならぬ、こういう指導はいたしております。ただ、たまたま本件につきましては船主漁労長であった、こういう経緯もあるようでございます。これは何も基本的な問題ではございませんけれども、そういう事情にある、水産庁としてはそういうふうに考えております。
  17. 久保三郎

    久保委員 いまいろいろお話がありましたが、たいへん失礼ですけれども、抽象的のようであります。  具体的な政策というか、系統金融の云々というお話でありますが、金を借りられない業者が多いのですね。それをどうするかということになれば、いわゆる協同組合をもうちょっと強化していくという方向一つあると思うのですね。  それからもう一つは魚価の安定という問題、これはこの委員会で長々と論議する問題じゃありませんから、別な場所で論議させてもらいます。  そういう問題について、はっきり言って、いままで水産庁は的確なものを提案したためしがないのですね。特にこの大衆漁業に対しての問題は、残念ながらそういうふうにいかない。だからこれらをもまた一ぺん考えてみる必要がある。私はこの問題はその程度にします。  一つは、何といっても全歩合制というか、歩合制が労働強化なり、命をかけて操業をするというふうになって、いつの場合でもそういうふうになっているのですね。従来から運輸省並び水産庁が共同で何がしかの通達、指導要項というか、そういうものは出しておりますが、なかなかどうも的確にきき目がないとすれば、ある一定の制限はありましょうけれども、やっぱり法律か何かでこれは縛っていくという方向以外にないと思うのですね。残念ながらそういう方向法律の効用によって生命を担保してやるという、おかしな話ですが、そういう方向が必要だと思うのです。これはどうですか。水産庁から聞きましょう。この所管は運輸省のようだけれども、いままでは水産庁の姿勢が一番どうかと思われたから、先に聞きましよう。
  18. 安福数夫

    安福説明員 歩合制の問題は、先般の本委員会においても問題になりましたけれども、一番典型的にあらわれておりますのはイカ釣りの問題だろうと思います。それを中心お話ししたいと思います。  やはり現段階におきます給与体系と申しますのは、生産力に基本的に規定されるものだろう、こういう問題があるわけであります。したがいまして、法律制度として歩合制はこうあるべきだというふうに打ち出しましても、それをくずす要素がたくさんあるわけであります。したがいまして、基本的には生産力を高めて生産性向上基盤を強化するということに尽きるのじゃないかと思います。従来そういう角度から安全操業確保なり近代化指導はいたしてまいっております。  現在八戸なんかで行なわれておりますイカ釣り漁業釣り子実態を申しますと、やはり自分は日本一のイカ釣り業者である、イカ釣りについてはだれにも負けない、こういうプライド釣り子にあるわけであります。したがいまして、それにまさる省力化機械、そういう機械化体系ができることによってそういった実際の問題を打ち破らなければ、容易にその壁は抜けないだろう、われわれは基本的にはこういうふうに考えているわけであります。したがいまして、イカ釣り漁業の場合には省力化機械体系というものはかなりの線までまいっております。ことに小さな船、家族経営的な中では非常に省力化機械が入っております。それが、いまの釣り子制度が一般的であります大きな船になりますと、先ほど申しましたように、釣り子自分が一番釣るのがうまいんだというようなプライドもございます。したがいまして、省力化機械の実績とそれとのかね合いの問題がやはりこの雇用形態に密接にからんでおる、私はこういう感じがいたすわけであります。  基本的には、生産性向上生産体系を機械化することによってそういうおくれた雇用形態をくずしていく。おくれた雇用形態は現実でありますので、こういう雇用形態にこびりついている漁民の意識の問題に対しても、今後啓蒙なり指導を強化してまいりたいと思います。両面相まちましで漁業経営近代化生産力向上に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  19. 久保三郎

    久保委員 時間が限られておりますので、具体的な答弁だけに限ってほしいと思います。  そこで、私のほうからも前置きを抜きにして、端的にイカ釣りの問題を続いて聞きます。  イカ釣りの問題でいま漁政部長からいろいろお話がございましたが、一つには、いまの全歩合制釣り子制度というか、そういうものをやめていくには——釣り針というか、釣りの道具を持って船に入ってくる。そうして、見ますと船の甲板に仕切りがしてある。自分のドラムのところだけに自分のものを置くわけだな。そして適当な時間に箱に詰めるのでしょうが、たくさんになれば積んだまま航行する。それがほとんど。そういうことを考えてみると、どうしてもその釣り針のドラムを個人が持って入るという制度からおかしい。これはやめていく。そして全部機械釣りにもっていく。機械釣りならば、優秀な技術であろうがなかろうが、同じだと思うのです。そうなれば甲板に置ける自分漁獲物を入れる何というか、前近代的なものですが、そういう仕切りがとれていく。仕切りがとれていけば、言うならば、これは少し全歩合制から前進する要素になると思う。そういうものに対する積極的な融資というか助成というか、そういうものをやはり考えていくべきだと思う。しかし、それだけでは残念ながらうまくいかないと思う。  そこでお聞きしたいのは、許可漁業にこれは指定すべきじゃないか。許可漁業というか、そういうものになるというと、許可の基準は魚族保存である、あるいは調整の必要があるときにだけ許可ということだという答弁があるでしょうね。しかし、いまあなたのほうの漁業調整課長が仲に入って、ことしの暮れまで、この三十一日までの期限つきで調整申し合わせができているわけですね。御存じでしょう。八戸港沖イカ及びサバ漁場の操業調整申し合わせというのがありますね。これはサバとイカの操業が同じ海域というか漁場について競合する、これを調整しようというような趣旨なんだな。そういうものが現実にあるんだから、これは許可漁業にしなければならない理由の一つにもなりはしないか。それからもう一つは、最近三百トンくらいの母船式のイカ釣りがやってきて、北海道沖あたりで一カ月半か二カ月やって東京にそのまま持ってきて水揚げする、こういう近代化された大型で母船式でやるというと、いまやっているような小さいものはだんだん大資本に駆逐されてしまうということがある。いわゆる企業間におけるところの調整が必要になってくる。それからもう一つ、いま申し上げたような、あなたもおっしゃっているような機械釣りにしていけば、そこに過剰労働力が出てくる。出てくれば、いまのままだというと、今度はやはりドラムを持っていまと同じように古い船を買って出てくる。そうするとますます漁場が混乱するわけですね。そういうものも考えますれば、これは許可漁業ということでやっていくほうが一番いいのではないかというふうに思うんだが、その理屈は別として、検討する用意があるかどうか、お伺いしたい。
  20. 安福数夫

    安福説明員 水産庁として答弁いたしますことは、質問の中でむしろ先生のほうが結論を出されたようでございますけれども、われわれとしまして、やはり許可漁業をやる場合には、先ほどお話に出ましたように、資源なり漁業調整という角度からこれをやる、こういうことでございまして、基本的には漁業というものは自由であっていい。むしろ自由というものは少ないわけでございますけれども、思想としてはそういうものでございます。  ただ御質問の、そういったいろいろなトラブルが八戸沖の漁業をめぐりましてあるわけでございます。それにつきまして、それを許可漁業にする考えはないかということでございます。ただいま御指摘のございましたイカ釣り漁業としては非常に巨大だという船が若干出現している、こういう事象もあるようでございます。ただ、現段階においてすぐに許可漁業にする必要があるかどうかということになりますと、われわれとしては必ずしもないだろう、こういう認識を持っております。  ただ、今後のイカ釣り漁業実態、あるいは他種漁業との関係という問題、先ほど申されましたまき網漁業との調整の問題というのが、確かに数年前からあるわけであります。ただ、まき網漁業との調整の問題は時期的あるいは場所的、そういった調整がかなりつきましたので、その過程においてイカ釣り漁業を許可漁業にする必要はないだろう、こういう割り切り方をしておるわけであります。しかし事態は推移しておりますので、そういう事態を十分踏まえまして、許可漁業にする必要があるかどうかという問題をさらに検討する用意はございますけれども、現段階においては直ちに許可漁業にする、それまでにわれわれの認識としては至っていない、こういうことでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから、この前の質問のあとでそれぞれの関係官庁がイカ釣り実態を点検されたと思うが、この詳細をいまここでお述べいただくという時間がございませんので、かいつまんでそれぞれのほうからお話をいただいて、詳細は文書によって当委員会を通してお知らせいただきたい、こういうふうに思います。
  22. 河毛一郎

    河毛政府委員 前回の点につきまして、御報告申し上げたいと存じます。  まず、第八昌徳丸の海難の原因でございますが、八戸海上保安部でその後調査いたしました結果、大体まとまりましたので、御報告申し上げます。  結局、本船が沈没時の重量をもとにいたしまして乾舷関係を調べましたところ、約十センチ程度乾舷以上に船が沈んでおったということが推定されまして、一応過積みであるという点が一点でございます。  それから、その次は積みつけ不良の点でございますが、この点につきましては、やはり三分の一程度の箱が甲板積みされておりまして、同時にまた航海の末期になっておりまして、船倉内の燃料、糧食等が船体下部で非常に減少しておったという点で、積みつけ不良によるアンバランスを起こしたということも、そのようなことではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  次に、私どものほうの海難防止の具体的な措置でございますが、事件が起こりましたあと直ちに、また本庁のほうから特にイカ釣り漁船及びサンマ漁船海難防止に関する特別の通牒を現地八戸港及び羅臼、花咲、釧路、根室、網走等、この関係の基地に通知いたしまして、事故発生直後から十一月三十日までを海難防止指導の重点期間と定めまして、入港船につきまして海上保安官が岩壁でこれを待ち受けまして調査をいたしました。その結果、全体的な問題といたしましては、入港したものが過積みという状況は、漁がやや不良であるということでありましたので、満載した船は一割弱であったということでございます。また乾舷マークの標示船は、これは安全法の施行期日その他とのからみもございますが、全体の約半数で、つけておりませんのは検査期日がまだきてないという状況のようでございます。それから膨張式の救命いかだ、SOS発信器の取り扱い方法を一部の乗り組み員しか知らないという船が多数ございまして、周知状況はかなり悪いという状態でございました。  そこで私どもといたしましては、将来に備えまして、具体的に各船に対しましてまず過積みをしないこと、それから魚倉を満載した後甲板積みすること、それから甲板積み魚箱の固縛を励行すること、乾舷マークをつけていない船につきましては目安の乾舷量を守ること、復原力の多少を判断する手段といたしまして動揺周期の目安量を活用すること、膨張式救命いかだ、SOS発信器等の所在及び取り扱い方法の周知をはかることを指導いたしまして、この臨船指導の十一月末における実績集計結果は、イカ釣り漁船につきましては二千十九隻、サンマ漁船につきましては二百七十七隻でございました。
  23. 久保三郎

    久保委員 時間がないようでありますが、本中ならばこの前の委員会で当方から注文をつけて償いたことでありますから、当然この席で御報告をいただかなければならぬのでありますが、事情けこのようなことでありますから、船舶局、船員局、水産庁もございましょうが、文書をもってひとつ御報告いただいて、次の機会に質問をさせていただきたい、かように思います。  そこで運輸大臣に一点だけ国鉄の来年度予算要求についてお伺いするのでありますが、国鉄は、御案内のとおり、資金概計表というか、そういうものを出したと思うのでありますが、運輸省はこの国鉄から出たものを大蔵省に示して折衝をされておるのでしょうか、あるいは国鉄から出たものを運輸省として査定して、その上で折衝をされているのか、いかがでしょう。
  24. 原田憲

    ○原田国務大臣 運輸省といたしましては、国鉄が出しておる予算をもとにして大蔵省と調整中でございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 そこで、それじゃ一つ伺いたいのだが、市町村納付金はこの国鉄の要求というか、ごらんになっていると思うのでありますが、今年度は百二十八億、来年度の要求としては三十八億で、九十億ほどこれは削っているわけです。ところが最近新聞を見ますと、全国市町会はこの報復手段として早いところ国鉄に対する上水道並びにくみ取り料というか、そういうものの料金値上げの条例改正を一斉にやろう、それで、ある市においてはすでに提案するとかしたとかという話です。こういうもののさばきはどうするのか。特に原田運輸大臣は与党内部においては自治行政に非常に権威のある方だそうでありますが、いかように考えられておりますか。
  26. 原田憲

    ○原田国務大臣 この間の委員会で同様のお問い合わせがありまして、実は私正直にいままでの立場と運輸大臣としての立場を申し上げて、正直でいいぞというようなおことばを賜わったのでありますが、いま仰せのようなことが伝えられております。これは国鉄と地方公共団体というものは緊密な相互依存の関係に立っておると私は認識しておりますので、地方団体の方々にもぜひ御理解を賜わりたい、このように考えております。したがって、新聞で拝見をしまして、一番手短に申しますと、私ども地元にもそういうところがございますので、あまり過激なことを言わぬようにしてもらいたいというようなことも実は申し上げております。たとえば、いまお話の出ました措置等は、運輸関係に属しておる人たちは何の関係もないことで、これにまた迷惑がかかってくるということになりますので、何とか了解を賜わって、私どもの考えておるところを理解していただきたい、このように考えておる次第でございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 時間がありませんからお気持ちだけ伺っておきましょう。しかし、これはかなり政府部内での調整が必要な問題でありまして、早急に方針はきめて、額はどうするにしても方針はやはりきめにゃいかぬとわれわれは考えているのです。だから、そういう事態が起きて、黙って推移を見ていて、最後の大蔵省との折衝のときにどうこうしようなんといったってなかなかうまくいかないのじゃなかろうかと私は思う。  それからもう一つは財投の問題でありますが、国鉄は一般利用債等を今度減額して、もう消化できない、財投でもらうというのだが、これまた財投も郵便貯金の増加もそう思うようでないというところから、国鉄の要求どおりにはおそらくこないだろうというのがいまの常識になっていますね。この確保についてだって問題だと思うのです。そういう要素がある。  それで、私は磯崎副総裁にお聞きしたいのだが、この要求から見ると政府の出資というのは一文も要求していないようなんでありますが、財投はやはり借金でありまして、借金は利息がつくわけです。安くてもおそらく六分五厘でしょう。六分五厘で再建ができるはずはない。しかし、片方にいわゆる再建利子の交付金というか、そういうものを置くからいいというものじゃ、これは今日までのやつでやっているんでしょう、おそらく。こういうことでやり得るのかどうか。もう時間ですからやめますが、それだけお聞きします。よほどふんどしを締めなければいかぬ。運賃値上げだけでおそらく九百五十二億もかせげるとは思わない。われわれは反対ですよ。こんなゆがんだ形で運賃値上げを旅客だけやろうと思ったって、そんなことで国鉄が将来にまで生き延びるような体質になるとは私は思っていない。十分この辺は考えないといかぬ。それからいわゆる四千億の新規投資、これもいろいろ書いてあるようですが、なかなか問題がある、こう思うのです。これだけで私は質問をやめますが、前もってその点を一本あなたたちに聞いておきたい、こういうふうに思います。
  28. 大野市郎

    大野委員長 磯崎副総裁、簡潔に願います。
  29. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ことしの予算から政府出資のほうを削りましたのは、いまお説のとおり、確かに政府出資をお願いしていただきたいのでございますが、やはり一般会計の事情もあると思いまして、大体財政交付金としてお願いをしました額がおおむね政府出資に見合うという意味で、やむを得ず片方を削った、こういう状況でございます。しかし、われわれといたしましては、なるべく利子の低い金ということで、一方利子補給を六分にしていただきたい、こういうお願いをいたしております。また四千億の内容につきましては、十分私どもといたしましてもこれが国鉄近代化に役立つような方向で内容を考えていきたい、こういうふうに思います。
  30. 大野市郎

    大野委員長 渡辺芳男君。
  31. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 いま国鉄財政再建をめぐっていろいろと問題になっていますが、十一月一日に国鉄財政再建推進会議の意見書が出されております。そしてまた十一月二十一日には大蔵大臣の諮問機関である財政制度審議会から、国鉄財政再建に関する報告書がそれぞれ出されておりますが、この問題をめぐって、いま特にローカル線の廃止についていろいろと全国的に大きな問題を提起いたしております。そこで以前に国鉄の諮問委員会から八十三線区、約二千六百キロの廃止の答申がありましたが、新たに財政制度審議会なりあるいは国鉄財政再建推進会議の意見書では、六千キロにわたる線路の廃止をして自動車輸送などに転換したほうがいいということが出てまいりました。いろいろとそれぞれ各省の立場からの意見が出ておりますが、特に推進会議の意見書の中にあります国鉄財政の立て直しの中で、利子補給なりあるいは市町村納付金の削減なり簡易保険あるいは国債整理基金会計の償還期限の延長について、財政制度審議会では、これはもう全然触れていないわけですね。大蔵省の立場としてやりたくないということですね。こういうことがこれからの予算編成にあたって大蔵省との折衝の中で非常にむずかしい問題があると思うのです。私は、こういう一番大事な国の財政援助措置というものができなければ、非常に大きな問題を提起している国鉄財政再建推進会議の意見書を取り上げるべきでないと思うのですが、この点はどうでしょう。
  32. 原田憲

    ○原田国務大臣 お答えいたします。  先ほど久保さんからもお問い合わせの内容を含んで私にお尋ねがありましたので、あわせて答弁いたしておきたいと思いますが、お説のように財政制度審議会のほうは国鉄の合理化あるいは運賃収入というようなものに主点を置いて、これからの財政再建をというようなことをいっておるようでございますが、私といたしましては、国鉄財政再建推進会議から意見書をいただいております中にあるごとく、やはりこれは国も地方も一体になって国鉄の再建に対して御協力を賜わらなければならないという考えを持っております。いま御指摘のように、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、私の全力を尽くしてみたいと考えております。
  33. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 あまりはっきりした結論らしいお話がございませんが、これからやるのですからやむを得ないとしても、この際特にこういう国の財政援助措置ができないということになれば、端的にいえば運賃の値上げを予想されるこの意見書によれば、まず新聞にも報道されているように、一三%の運賃の値上げを今度の国鉄予算の中で組んでおるようですね。十年間に三回も運賃の値上げをする、あるいは遠距離逓減制の廃止ないしけ通勤、通学定期の割引率の引き下げといいますか、いずれにしてもこれは運賃の値上げなのですね。国民の負担がますます増大をする。国では援助しない、めんどうを見ない、そういうことになれば運賃の値上げも必然的に大幅にならざるを得ない。一面的には、うわさされているように、国鉄職員の大量整理をやろうとしている、こういう片手落ちでは許されないわけですよ。前回の委員会で鉄監局長は、国鉄財政再建について国鉄再建促進法ですか、法律を提案したいといっているのですね。こういう片手落ちではきわめて遺憾だと思うのです。われわれも意見書が出されて——端的にいえば大蔵省は従来の主張を財政制度審議会を隠れみのにして宣伝をしている。運輸省国鉄の立場に立って推進会議の意見書をそれぞれ出して第三者的に国民に宣伝をしている。こういうことでどっちをとるかという、一番悪いところばかりとったら、泣く者は職員と国民だけなのですね。これは重大なことだと思うのです。立法措置をこれから考えていくといわれておりますが、こういう片手落ちでは私は遺憾だと思うのですが、この点はどうでしょう。
  34. 原田憲

    ○原田国務大臣 そのような措置だけではいけないという考えに立って私は答弁をいたしたわけでございます。いま国というのは具体的に何かというと、やはり税金でございます。だからこれも国民の負担、運賃という形になるかあるいは税という形になるかという問題になるのでありますけれども、一般の国民の税金も注入をしてもらわない限り、国民経済の立場に立っての国鉄というものを再建することは非常に困難である。こういう判断のもとに、私はいまお説のとおり、今度の再建をするための具体措置としては、国の援助というものが必要であると考えております。
  35. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 いずれ通常国会でいろいろと質問したり意見を申し上げたいと思いますが、ぜひひとつ片手落ちにならないように強く希望しておきます。  時間がありませんから、駅の廃止の関係などについて重点的にしぼってお尋ねをします。  副総裁、旅客駅あるいは貨物の取り扱い駅がいま全国でどのくらいありますか。
  36. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 旅客につきましては現在五千四十一駅、貨物につきましては二千九百十八駅あります。
  37. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 このうちいま想定をしている当然のこととして、国鉄財政再建推進会議の意見書を会議で作成する過程においては、国鉄でそれぞれ資料を提供したわけですね。ですから、おそらくそれぞれ机上の計画はしておると思うのですよ。このうち旅客駅をどのくらい廃止または無人化しますか。それから貨物の取り扱いの廃止をどのくらいやりますか。意見書には大体五〇%とそれぞれいっておるわけですね。具体的にあなた方が考えておるのはどのくらいですか。
  38. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 先ほど申しましたとおり、旅客駅については五千余駅ございますが、このうちで調査いたした点につきましては、一日の乗降が五百人以下、こういうような駅は全体のうちで二千百九十五駅ございます。したがいまして、パーセントにいたしますと四四%、全体の乗降人員にいたしましてはわずかに二・四%にしかすぎないわけであります。国鉄の役割りという点から考えますと、都市間の高速輸送あるいは都市の通勤輸送というような点で自動車と共同していくということが今後の使命ではないかというふうに考えるわけでありまして、今後におきまして、こうした中間駅というものにつきましてはCTC化によりまして無人化するということが先般の財政再建推進会議によって出されたわけでございます。推進会議の意見書を見ますと、八百人以下の駅につきましては五十三年度までに半分にするべきであるということを述べております。目下CTCあるいは投資との関連におきまして具体的に検討いたしております。個々の駅につきましては具体的な内容をまだ持っておりません。今後こうした投資との関連等につきまして検討していかなければならないというふうに考えております。  貨物につきましては同じようなお答えでございますが、一日五十トン以下あるいは一車ないし二車の程度でございますが、先ほどの約三千駅のうちで千百五十駅ぐらいがそういう駅でございます。約四〇%ぐらいがこうした小さな駅でございます。したがって、発着トン数で申しますと、全体のこれらの駅で扱っておりますものがわずかに二・六%にしかすぎない。一方千五百トン以上というような駅はわずかに百四十二駅、約四・九%でございますが、発着トン数といたしましては約半分の四八%あるというような状況でございますので、これからの貨物輸送というものにつきましては、やはり自動車との結合輸送ということが近代化方向だろうと考えます。  貨物駅は先ほど申しましたとおり七キロに一つずつある。こういうことでは今日の自動車あるいは道路の発展した段階におきましては時代おくれになるというのが現実ではなかろうか。したがいまして国鉄財政再建推進会議の意見書を見ましても、八十トン以下というような駅については駅の取り扱いを半分にする、全体の駅につきまして半分にすべきであるということがいわれておりますが、これにつきましても貨物輸送が今後のコンテナ輸送あるいはフレートライナー、物資別輸送というような段階におきましての近代化との関連において、個々の駅名につきまして検討しなければならぬわけであります。これにつきましても具体的な駅名につきましては、まだ検討中でございますので、今後逐次具体化していくということを考えております。
  39. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 検討というても、具体的にこういう基準をきめてやろうとすればわかりますね。これはやはり国民の反発を買うということから、おそらく具体的には言えないと思いますが、いずれまた伺います。  それで逆に、現在国鉄に駅の新設を陳情している数はどのくらいありますか。
  40. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 きょうはその資料を持ってまいりませんでしたが、各地で相当たくさんあるということでございますが、詳細につきましては後ほど……。
  41. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 私の聞く範囲では、二百四、五十はあると聞いておるのですよ。それで、この新設は今後どういう方針で要望にこたえていくつもりでありますか。つまり長い間の要求がたくさんあると思うのです。おそらくその中には、廃止線というとなにですが、これからひとつ赤字線の整理をするということについて、実はこの駅をつくってもらいたい、あるいは現在ある国鉄の駅でも、これが幹線であろうと、準幹線であろうと、あるいはローカル線であろうと、相当な請願駅がたくさんあると思うのですね。こういう問題を含めて、あなた方は、この駅の整理をするについてあるいは新設の要望について、一体どういう取り扱いをいたしますか。
  42. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 新駅の設置につきましては、今後は、先ほど申し上げましたとおり、極力押えていくということが、国鉄の旅客輸送あるいは貨物輸送におきます近代化あるいは国鉄の役割りから見まして正しい方向であろうと考えております。ただ、旅客駅につきましては無人化する。無人化するということは、廃止ではなくて、停車をする、たとえばローカル列車がとまるという程度の駅でございます。これにつきましては、いろいろな情勢、駅間距離その他を考えて検討しなければなりませんが、原則的には今後の新設というものは極力辞退申し上げるということを考えております。
  43. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 新設の問題は、これは強い要望があって、年に数カ所ぐらい現実にはやっておるでしょう。つくっておるわけですね。これからもつくるというわけですね。片方では廃止をする、あるいは無人化をする、こういう方針を具体的に進めていくのですか。要するに、ローカル線いじめをするということですか。
  44. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 最近申請によりましてつくりました駅は、先ほど申し上げましたとおり、たとえば大都市の通勤に関連する駅等でございまして、いわゆるローカル線につきましては、せいぜい無人でただ停車をするというような駅でございます。こういう点から、国鉄の役割りに反しないというような面におきます旅各駅、これは今後あるいは情勢によりましてはつくらなければならないという事態が起こるかもしれません。
  45. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 現在国鉄の営業キロが大体二万七百キロくらいありますね。駅数は先ほど常務が言われましたように五千四十一ある。大ざっぱに言って、算術計算で言えば、四キロに一駅ぐらいあることになりますね。で、意見書による整理をしようとする線区なり駅なりというものをやっていきますと、四四%ないし五〇%整理をするということになると、廃止反対のそれぞれの地域の強い要望があることについて、先日も総裁は、何か雑誌で拝見しましたが、慎重に取り扱いたい、こう言っております。大臣、どうですか。この点は、国鉄のローカル線の廃止にしても、駅の廃止あるいは無人化にしても、戦後いろいろと合理化をやっている中で、非常に強い要望が自治体なり地域住民からあるわけですね。地域的にはたくさんある。私もそういうことは経験もしたり聞いてもいますが、こういう取り扱いについてこれからどういうふうにやられますか。
  46. 原田憲

    ○原田国務大臣 これも先般お答えを申し上げておるところでございますが、いわゆる赤字線対策といたしましては、個々の線区については、鉄道網に占める当該線区の地位、当該地方における同線区の役割りは、総合的な国土開発計画との関連、地域開発等から見た消雪道路の整備状況等を具体的にかつ綿密に調査の上、総合的観点から判断したいと存じます。
  47. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 あと二つですが、現在の駅の無人化なり廃止なりしていきますと、常務、駅関係の従業員が大体十三万名あるといわれておりますが、詳しいことは私もよくわかりませんが、駅の従業員はどのくらい減る予定になりますか。
  48. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 これは個々の駅につきましてまだ具体案はございませんので、算術的に十三万を二で割るというふうにはいかないだろうと思います。小さな駅につきましては、一人、二人というような駅もたくさんございますので、今後個々の駅の問題といたしまして、この数字が出てまいる、こう考えます。
  49. 渡辺芳男

    ○渡辺(芳)委員 時間がありませんから、またいずれお伺いします。  大臣、最後に、私は最近つくづく考えるのですが、昭和三十八年の七月に新産都市の指定を十三地区、あるいは工業整備特別地域の指定が六地区行なわれました。これは法に基づいてです。その法律が前年の三十七年の国会に出されて、その前後から指定されるまでは全国的にたいへんな陳情運動が行なわれましたね。あの当時政治家や自治体あるいは経済団体などがぐるになって非常に陳情しました。そればかりか、地方自治体は、工場誘致条例などという全く至れり尽くせりの条例で、工場誘致の運動をする、こういうふうなことをやってまいりましたね。五年もたたないうちに、それがいま産業公害で全部この地域は騒いでおるのです。悩んでおるのですね。私は、こういう経過を見て、ほんとうにそれぞれの地域住民は事態がこういうふうになるということは先刻考えておらなかった。あるいは地方自治体もあまり考えなくて、いま大騒ぎになってびっくりしておるという状態ですね。ローカル線の廃止なり駅の廃止というものが、今日の産業、経済の発展に伴ってこれに即応するということをいっておりますが、よくフランスやイギリスの鉄道がこうなっておると引き合いに出されますけれども、日本の鉄道というものは、ああいうヨーロッパ諸国の鉄道とは歴史的に発達の過程が違っておると思うのですよ。日本の鉄道には日本の鉄道それぞれの歴史があって、地域開発を中心に政治的に行なわれてきた問題です。私がローカル線の廃止などをめぐって一番冒頭に言いましたように、いろいろと地域では問題を提起をしております。また反対の陳情もたくさんある。国会は国民の声というものを十分聞かなければいけないと私は思っておるのです。日鉄法の五十三条でしたか、監督事項があります。監督権がありますが、この運用はきわめて慎重にやってもらわぬと、これは混乱を増すばかりだと思うのです。こういうことを私は憂えるのですが、最後に申し上げておきますけれども、ひとつどうか、この点は念を押すようで恐縮ですけれども、決意の表明をいただきたいのです。
  50. 原田憲

    ○原田国務大臣 渡辺さんのおっしゃるとおり、私は先ほどもお答えいたしておりますが、これらの措置を講じますのには、もちろん審議会の議を経なければならぬという経過もございます。私自身慎重に考慮をいたしていきたいと思います。
  51. 大野市郎

    大野委員長 板川正吾君。
  52. 板川正吾

    ○板川委員 まず新大臣に一言ごあいさつを申し上げます。  原田大臣は大臣として初経験であり、新任の際のごあいさつにもありましたように、運輸行政はいまや重大な転換期に立っておると思います。こういう時代の変化を見落としたために、御承知のように大学紛争がありますように、今後の運輸行政は大きな変革期に直面しておって、過去の概念では律し切れないという事態になっておると思います。だからいまにして今後十年、二十年後の運輸行政のあり方を考え、その芽をいまのうちに立てておかなければ、大学紛争のごとき混乱に将来必ず到達するだろうと思うのであります。一年前に中曽根さんが運輸大臣になりました際に、若く、活動的であり、大臣の経験もあるのだからというふうに、われわれはある種の期待を持ったのでありますが、中曽根前大臣は就任早々地下鉄の終夜運転とか、乗車拒否問題とか、あるいは街頭に出てというようなことで、たいへん話題をまき散らした。しかし、これは有言不実行であって、私は前大臣に、あなたは中曽根ラッパといわれておるが、せめて話の半分くらいひとつ任期中にやってほしい、こう言ったのですが、振り返ってみると、ほとんど何にもしなかった。はなばなしいことばはあったけれども、実行がなかった。しかし、原田大臣は逆に不言実行型だろうと思うのであります。その点においてひとつ期待をいたしますから、全部大いにがんばっていただきたいと思います。  時間の関係もありますから、私は運輸政策と石炭政策の問題、江若鉄道の問題、乗車拒否の問題、この三点にしぼって、当面質問をいたしたいと思います。  最近、地方の中小私鉄で廃線が相続いでおります。そして廃線に伴って従業員の賃金、退職金等の未払いという事態が非常に相次いでおるのであります。ところが、今次の石炭の第四次再建案というものを見ますると、この従業員の退職金、賃金の未払い、こういうものにも一つの手当の方針が出ておるようでありますが、それと地方私鉄の廃線、その従業員の賃金、退職金の未払いというものを比較いたしますと、あまりにも運輸政策と産業政策に差があるという感じがするのであります。大臣も御承知のように、高度経済成長により、人口の大都市集中が行なわれる反面、地方には急激な過疎現象が起こっております。また高度の経済成長によって自動車の普及が一般化し、四輪車でも九人に一台、二世帯に一台という割合になっております。道路の拡張、整備が行なわれて、地方交通も自家用車時代を迎えつつあることは御承知のとおりであります。こういう中にあって、従来地方交通の輸送を担当してまいりました地方鉄道が、各所で廃線といううき目にあっておることも御承知のとおりでありますが、石炭鉱山の廃止により、石炭にたよっておった石炭鉄道も多数廃線ということにもなっておるのであります。こうした傾向は今後一そう拍車がかけられてくる実情でありまして、まさにエネルギー革命に次ぐ交通革命を迎えつつあるといっても過言じゃないのであります。ところが先ほども申し上げましたように、エネルギー革命の犠牲者たる石炭産業には、今次の第四次答申にありますように、一次から四次にわたる再建策には膨大な国家資金が投じられております。交通革命の犠牲者たる中小私鉄の従業員には何らの対策も講じられておらない、こういう実態であるのであります。     〔委員長退席、徳安委員長代理着席〕  そこでひとつ参考に通産省鉱山石炭部長に伺いますが、今度の第四次再建案で、廃山したときに従業員の未払い賃金、退職金、社内預金等に支払わるるような措置、再建交付金や閉山交付金で、これについて支払いさるるように取り扱われておりますが、その実情をひとつ説明をしていただきたい。  それから第二点は、三十七年の第一次石炭再建計画より四十二年の第三次石炭再建計画まで三千億という膨大な財政資金が国家から出されております。さらに第四次の今度の再建計画が政府の了承されるところとなるでありましょうが、一千億の肩がわりを含めて五カ年間に四千二百億円という資金が石炭再建のために投入されるということになっておると思うのであります。このように国家が石炭産業の再建のために膨大な金額を使う理由と申しますか、大義名分と申しますか、そういう点、なぜ国家がこういうふうに石炭産業の再建のために多くの資金を投ずるのか、大義名分というものをひとつ鉱山石炭部長から説明していただきたいと思います。
  53. 長橋尚

    ○長橋説明員 お答え申し上げます。  今回、石炭鉱業審議会に、今後の石炭政策はいかにあるべきかという形で諮問が四月に発せられ、過日審議会の小委員会の段階におきまして、答申の土台となる骨子につきまして報告が出たわけでございますが、その中に、現在引き続きまして総合部会において審議中でございまして、小委員会の段階での報告に即して、炭鉱が閉山した場合における労務者の退職金あるいは未払い賃金というようなものについて、どういうふうな措置がとられておるかという点でございます。これは今回は、炭鉱の閉山に際して国が交付する閉山交付金の水準を従来のベースから引き上げるにあたりまして、退職金について、かなり賃金水準の高い企業においても少なくとも七五%程度は確保できるものを考えたらどうかというふうな案になっております。もともとこの閉山に際しましての労務者に対する退職金等の措置につきましては、非常に歴史が古いわけでございまして、昭和三十年に石炭鉱業合理化臨時措置法という法律がつくられました。当時ようやく進展しつつございましたエネルギー革命というふうなものに対処しまして、その際、非能率な山を整理すると同時に、能率の高い山を育成すべきだという考え方に立ちまして、全鉱業権者が、当時でトン当たり二十円というものを拠出し合いまして、そうして閉山によって退職していく労務者に平均賃金の一カ月分に相当する離職金を出し合おうというふうな制度が仕組まれました。そこから端を発しまして、その後国の補助が昭和三十五年度から追加されるというふうな過程で、今回の答申案のようなところまで参ったわけでございます。  それから第二点の御質問でございますが、今回また、この審議会の答申では、昭和四十八年度までの五年間に、大体四千二百億円程度のものを国の助成ワクとして一つ確定した。そのワクの中で、労使一体となっての最大限の企業努力を発揮し、それによって石炭の再建路線を現在の企業体制のもとで見出してほしいというふうなことで、最終的な審議が進められているわけでございます。  その場合の大義名分は何かという点でございます。この点につきましては、従来何度か政府の対策が講ぜられて、御指摘のような巨額の財政支出が行なわれてきたわけでございますが、そういった中で予想外にきびしい客観情勢の変化、あるいは石炭鉱業内部における自然条件の悪化というふうなものがございまして、石炭鉱業自体再建策を何度か出しながら、不況に追い込まれてきてまいったわけでございます。これはやはり石炭鉱業をめぐる内外情勢の客観条件の変化、また総じてエネルギー革命に関連いたしましての競合エネルギーの発展というふうな問題、あるいはまた高度成長に伴います労働力事情の構造的変化、そういうふうな過程によるところが大きいわけでございます。他面、需要面から見ますと、石炭につきましては、原料炭をはじめ一般炭につきましても、なお電力用その他で相当の需要があり、先々も必要とされるわけでございます。こういう生産面、需要面の状況の中におきまして、有力な国内エネルギー資源でございます石炭について、現在のままの生産規模を維持することは非常にむずかしいといたしましても、労使一体となっての企業努力を最大限に発揮するような助成の仕組みのもとで、できるだけこの石炭の再建路線を、関係者の協力を得ながらやってまいりたい、こういうことでございます。
  54. 板川正吾

    ○板川委員 いま少し簡潔に、うまく説明するように……。
  55. 徳安實藏

    徳安委員長代理 重ねて申し上げます。答弁は、できるだけ、時間に制約がありますから、簡単明瞭に言ってください。
  56. 板川正吾

    ○板川委員 説明が十分じゃないけれども……。  国内資源のエネルギーを開発していくということで膨大な資金が投じられておるということでしょう。  そこで私は本論に入りますが、運輸大臣と鉄監局長、ひとつ聞いてもらいたい。  石炭政策に比較いたしまして、私鉄の廃線の場合はどうなっておるか、御承知だろうと思うのです。例をあげてみますると、北海道の炭鉱地帯ですが、寿都鉄道が四十三年四月に、鉄道線が全部廃線になって、三十一名が失業し、賃金が九十万、退職金が千三百八十三万、未払いとなっておる。バス部門も、四十三年十一月、札幌中央バスに身売りをした。バス部門の未払い金は、賃金が三百二十九万、退職金が八百四十六万、バスと鉄道の両方で、賃金が四百十九万、退職金が二千二百三十万、合計二千六百四十九万というものが未払いとなっております。一方、会社の累積赤字は二億四千万という数字になっております。その累積赤字の借金の中には、組合保証となっております労金からの借り入れ金も入っておる。会社は失業保険の金まで使い込んだために、失業保険ももらえないという事態も起こっておる。天塩炭艦鉄道では、御承知のように四十二年七月廃線になって、百三十名が失業し、未払いの賃金と退職金が一億一千六百二十七万、幸いに駅前の土地を市があっせんして売却したために、何とか払われたといわれております。北海道拓殖鉄道の場合には、四十三年四月に廃線となって、三十八名が失業し、未払いが二千六百万あります。夕張鉄道は、ビルド炭鉱である北炭の鉄道でありますが、現在の退職者には、退職金五〇%しか払いません、いやならやめなければいいだろう、こう言っておる。花巻電鉄でも、四十三年七月、六十一名の合理化が行なわれて、退職金がまだ十分に払われていない、また労金から組合保証で会社が金を借りておる、こういう実情であります。  この石炭産業に従事しておる従業員が閉山等でやめる場合には、退職金や賃金の未払いに対して措置がされる。しかし同じ石炭を、片方は掘る、片方は輸送する。この輸送する部門の労働者が、閉山したために鉄道が必要がなくなった、こういう場合に何らの措置が講じられない。これは、運輸行政がそういう点に及んでいないのでありまして、不平等ではないかと私は思うのです。石炭山で働いておる掘る人には閉山交付金や何かが出て、石炭を輸送している鉄道部門が廃線になった場合に何らの保障がないというのは、一体どういうことでしょう。運輸行政として、これでやむを得ないと思っておられるのかどうか。これは局長でいいです。答弁してください。
  57. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま先生から御指摘のございました北海道その他幾つかの鉄道の中で、必ずしも石炭山の鉄道だけではないように伺っておりますが、少なくとも、石炭山に直結した鉄道でございまして、石炭産業の合理化——いま通産省からお話がありましたような、合理化に伴いまして石炭山がなくなる、そのために鉄道は事実上廃止にならざるを得ない、そういうものにつきましては、私どもとしては、石炭産業の合理化の施策一一貫した形で同じような施策をやっていただきたいというふうに考えておるわけでございます。そういう趣旨から、通産省、労働省等に事務的にお願いをいたしまして、連絡いたしまして、種々折衝いたしております。これは後ほど通産省のほうからお答えがあるかと思いますけれども、現在の段階では、必ずしも石炭産業の施策の一環として対処するという段階にはまだ参っておりません。しかし、できるだけそういうふうに行っていただきたいと思いまして、現在折衝しておる最中でございます。
  58. 板川正吾

    ○板川委員 大臣、いま言ったとおり石炭の場合にはやられておる。鉄道の場合は、お願いしているけれども、結局実際はやられていないのですね。石炭産地の鉄道のほかに、廃線しようという地方私鉄が最近続々出ております。先ほど言うように、交通構造の革命によって地方私鉄は赤字になります。中止しようとすれば、沿線の住民、利用者は反対です。反対でありますから、これは許可事項ですから、廃線、中止をするわけにいきません。ですから、会社は赤字が続いても、それを経営せざるを得ない。赤字が続けば、結局借金がふえる、従業員の賃金も払えない、退職金も払えない、それからその保険金まで使い込む。こういう事態になってみないと、廃線という事態は起こらないのですね。こういうようなときに、従来、公益事業として地方交通に寄与しておった従業員に、賃金も退職金も払われない。二、三年の場合は別だけれども、二十年も三十年もつとめておって、退職金が唯一の財産だというときになって、それが退職金も払われないといった労働者の気持ちを考えたら、これはどうも——私は石炭政策にブレーキをかけるんじゃないのです。石炭と同様な措置、あるいはこれに準じた措置が、公益事業である地方私鉄の従業員のためにとられてもいいんじゃないか、こう私は思うのです。  御承知のように、鉄道は免許制です。運賃も認可制です。そして廃線も許可制です。こういった事態になっておる地方私鉄のために、賃金、退職金が、最悪の場合、廃線する場合に支払えるような措置をひとつ考えてもらいたいと思いますが、大臣の見解はいかがですか。
  59. 原田憲

    ○原田国務大臣 板川さんから冒頭に私に対して非常に激励のことばをいただきまして、私は非常に感銘をいたしております。私、微力でございますけれども、全力を尽くしたいと存じますが、いまお話の出ておりますものは、そのうちの地方の中小私鉄問題と判断をいたしますが、前大臣から引き継ぎまして、このような問題が提起されておるということを承知いたしまして、これからどうするかということについてお答え申し上げたいと思います。  末端の地方におけるところの過疎対策といいますか、これらは陸運局長の諮問に応じまして、地域住民の意見を反映させる場として協議会を設けまして、この協議会の場を通じて中小私鉄及びバスについての、地域の実情に応じた検討を行ない、不採算路線の存続、転換または廃止の計画を作成する。上記計画に基づき存続すべきものとされた路線については、徹底的な近代化、合理化を行なわせることとし、これに必要な助成金の交付または融資のあっせんを行ない、廃止すべきものとされた路線についてはバス転換のための融資のあっせんを行なう。以上が基本的な姿勢でございますが、私就任をいたしまして、できるだけの施策を講じてまいりたいと存ずる次第でございます。
  60. 板川正吾

    ○板川委員 その原稿はいいんですが、石炭との関係は、原稿を用意してなかったと思うのですが、石炭との関係、地方私鉄の廃線の従業員の退職金や賃金を払えるようにひとつ十分な検討をしてもらいたいと思います。力を入れてもらいたいと思います。
  61. 原田憲

    ○原田国務大臣 いま、石炭産業に対する助成と比べて、地方の私鉄というものの持っておる重大な関係が同じように重要な仕事をしているじゃないか、一方では手厚いことがやられていて、一方ではまだ及んでおらない、こういう点について十分配慮せよということでございますから、今後十分検討していきたいと存じます。
  62. 板川正吾

    ○板川委員 時間の関係で急ぎます。  鉄監局長に江若鉄道問題で伺いますが、湖西線建設に関連して、私鉄江若鉄道の身売り廃線にからんで、従業員引き継ぎ問題が未解決である。これは昨年十月だったと思いますが、当委員会で当時の増川鉄監局長に私が質問をして、それは国鉄と江若鉄道の問題ですが、従業員の引き継ぎ問題が円満に解決しない限り、江若鉄道が廃線許可の申請をしても許可すべきではない、また新線工事開始の認可申請が国鉄からあっても、認可すべきではない、こういう二点に明確な答弁がされております。この二点の両方にいわばこういう規制があることによって、この問題が円満に解決すると思うのでありますが、この増川鉄監局長の当委員会における答弁というのは、新局長も当然この方針を守っていかれると思いますが、いかがでありますか。
  63. 町田直

    ○町田政府委員 江若鉄道の問題でございますが、先生御指摘のように、現在まず買収の交渉を鉄道建設公団と江若鉄道でいたしております。その交渉が最終的にまだまとまっておりません。そこで、従業員の今後の問題につきましても、そういう形の中でいま行なわれているというふうに理解している次第であります。  そこでただいまの御指摘の二点でございますが、まず工事認可の前に会社の鉄道の廃止という申請が出てくるということが順序でございます。廃止の申請が出てまいります場合には、私どもいつも廃止のときにやっておりますことは、地元の問題が一つと、それから従業員の退職その他の関係が円満に解決しているかどうかということを判断した上でやっておりますので、そういう意味で当然廃止の申請が出てまいります段階では、従業員の問題が円満に解決したというふうに考える次第でございます。したがいまして、そういう意味では前局長の申しました趣旨と同様に私も考えております。
  64. 板川正吾

    ○板川委員 前局長の約束を踏襲しまして、国鉄・江若鉄道問題が円満に解決するように、なおひとつ側面から指導してやってほしいということを要望いたしたいと思います。  最後に一点、大臣と自動車局長から。  最近都内タクシーにおける乗車拒否は非常に目に余るものがあります。都内の街頭でタクシーを拾おうとすると、これは私が最近何回か経験しておるのですが、五台ぐらい空車札に手をあげて、ようやく一台がとまるという状況です。婦人、子供や老人などだとすると、大体横目で見て、すうっとそのままとまらずに通り過ぎてしまう。しかも空車札だ。昨日の夕刊によりますと、都内で非常に大きい会社でしょう、グリンキャブというのは。このタクシーの運転手が乗車拒否をして、窓につかまったお客さんを引きずったまま走りだした。そうして相当の距離を走ってから、反対方面からパトカーが来たためにやむを得ず停車した。運転手は現行犯ですぐ逮捕された、こういうことが昨日新聞で報道されております。真偽はまた別といたしまして、そういう報道があります。その運転手が言うのには、走り出せば手を放すだろうと思ったら、お客のやつは案外執念深かった、こう言っているのだ。これは地方の小さい雲助タクシーみたいなのなら別ですが、グリーンキャブと言えば屈指の会社じゃないですか。大きい会社でしょう。その会社の運転手が、走り出せば手を放すだろうと思ったら執念深い、こういうような態度というのは、私はいわばタクシーの百鬼夜行時代じゃないかと思うのです。タクシー業界では毎年指導委員会等をつくって指導しておるというのです。毎年そう言っておりますが、しかし実効はさっぱり上がっていない。一体この乗車拒否というのを取り締まる官庁はどこなんですか。これから聞いていきましょう。
  65. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 事業者に対します監督は、道路運送法でもって規制されておるわけでございまして、道路運送法の運用に当たっておりますのは運輸省でございます。ただし、その道路運送法の偉反の現場等における取り締まりというのは、並行して警察もやるわけでございます。
  66. 板川正吾

    ○板川委員 乗車拒否をしてはいけないと、いろいろ指導するところはどこですか。
  67. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 これは道路運送法あるいはその省令でございますので、陸運局あるいは現地の陸運事務所でございます。
  68. 板川正吾

    ○板川委員 乗車拒否が明らかになった場合にはいかなる措置をされておりますか。また、昨年どのくらいのそれに対する措置がなされておりますか。
  69. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 たとえば、東京におきましては、四十二年一月から十二月までで、一般の申告と指導委員会からの上申、警察からの通報、これを合計いたしまして九百五十九件あがっております。それから四十三年は一月からこの十二月十五日までに八百八十一件が申告されております。  それで、処分といたしましても、この一月から十二月十五日までに八百八十四件を処分しておる次第でございまして、いま申し上げましたような申告に応じまして陸運局が関係事業者を招致して実態を調べ、その実態があります場合におきましては、基準に従いまして処分をしておるような次第でございます。
  70. 板川正吾

    ○板川委員 乗車拒否を車の使用停止等で処分する、それはそれとして、そういう不良な運転者、企業に対して、乗車拒否をしないようにどういう措置がとられておりますか。
  71. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 乗車拒否に対しますものは、処分といたしまして、これを見せしめとして将来ほかの者もやらないということが一点かと思います。それはただいま申し上げたとおりでございます。それから、乗車拒否をいたしました運転者に対する教育でございますが、運転者の指導監督につきましては、特にことしの一月一日から実施いたしました省令の改正等におきましても指導の主任者を選任させましてその指導に当たらしておるわけでございますが、乗車拒否をいたしましたような者に対しましては、個々に直接面接をやらせまして、その接遇について再指導を行なう、それからこれらの指導の結果につきましては、一年間の記録簿を保存させまして、われわれといたしましては、監査の際等においてこれをチェックして会社を監督しておるような次第でございます。
  72. 板川正吾

    ○板川委員 運輸規則二十六条の三で、業者は運転者の指導要領を作成して届け出をする、指導主任を任命して氏名をこれまた届け出をする、指導した内容を記録して一年間保存しろ、こういうことになっておりますね。そこで、これはあとで委員長に要請して出してもらいたいのですが、グリーンキャブという会社のこの指導記録をひとつ参考資料として提出をしてもらいたいと思います。こういう悪質な者に対する監督というのはどういう実態で、ほんとうに真剣に乗車拒否をなくすためにやっておるのかどうかわかりませんから、運輸規則二十六条の三による指導記録をひとつ参考資料としてあとから出してもらいたいと思います。  時間がありませんから最後に大臣に言いますが、従来の監督指導で今後乗車拒否というのが防止できるかどうか。かつてタクシー業界では声明を発しまして、蛮勇をふるって乗車拒否をなくする、乗車拒否をした運転手は送検をしてもらう、解雇する、事業者は厳罰に処して累犯会社には減車命令を運輸大臣から出してもらうというような非常にきつい自粛の方針を出したのです。しかしそれは実際は効果がないのです。一体なぜ効果がないのかというと、結局私は、乗車拒否をなくすためには、賃金の支払い方法を改正しない限りはなくならないと思います。いまの累進歩合制度という賃金体系がある限りは、運転手を馘首する——私は労働者の立場ですから、運転手を首にしろとかなんとか言っているのじゃないのですよ。そういう立場をもってしてもだめだということなんです。なぜだめかといえば、そういう給料が累進歩合制になっているというところにあると思います。これでは幾ら乗車拒否をするなと言ったって乗車拒否をせざるを得ない。食うためにはそうせざるを得ない状態になる。だから、乗車拒否を徹底的になくすというならば、この賃金体系を累進歩合制度——まあ歩合制度を全くなくせと私は言いたいのですが、最悪の場合でも累進的な歩合制度をなくす。まあやっぱり歩合制度をなくすのがほんとうでしょうね。私の組合ではなくしましたけれども、なくしていくことがほんとうじゃないでしょうか。それでなければ、私は乗車拒否問題というのはいつになっても解決しないと思います。いまのように乗車拒否が相次いで、われわれの顔を見ても三台も四台も知らぬ顔して通過していく、こういう情勢の中で、タクシー業界でいま何か料金の値上げを申請しておるそうでありますが、運賃値上げをされたり乗車拒否をされたりしたのじゃ、利用者の立場からいってとてもたまったものではない。中曽根運輸大臣は、大臣になったときに、乗車拒否の問題に手をつけて、結局これは何らの解決点を見出せなかった。原田運輸大臣は不言実行型ですから、ひとつこの乗車拒否問題に勇断をふるって、乗車拒否が完全になくなるような処置を講じてもらいたい。これは東京都内ばかりじゃないのです。この周辺の都市もほとんど同じようです。われわれ運輸委員をしておるとその苦情が一ぱい来るのです。この間タクシーに乗りました、そんな近いところなら歩っていきなさいといって途中からおろされたという。     〔徳安委員長代理退席、委員長着席〕 ある運転手は、私が乗ったら、何で電車があるのに自動車に乗っていくのですか、こう文句を言った運転手もあるとか、あるいは、これは近場かなと思えば、左側を通ってきながらすっと右へ行っちゃって、とまっているので、そこへ行くと、ここでは乗車できませんからといって拒否をする、とにかく目に余る状況であります。しかも、タクシーの需要というのは非常にふえておるのですから、国民生活に重要な関係を持ってきております。ぜひひとつ乗車拒否をなくすような勇断を大臣に期待したいと思いますが、いかがですか、大臣。
  73. 原田憲

    ○原田国務大臣 乗車拒否問題は、この間もお答えを申し上げたとおり、これはけしからぬことでございます。いま具体的な一つの方策を御提案になりました。賃金体系を変えなければだめだというお話でございます。そういう問題も含んで十分検討して、このタクシー乗車拒否——夜中に一ぱい飲んで自分のかってに帰りたいのに拒否したからというそういう問題は別にして、婦人子供が安心して、タクシーはありがたいと言われるようになるように、一ぺん努力をしてみたいと思います。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 私も銀座のチョウを輸送するために終夜運転しろとかタクシーをあそこへ集めろとかいうことを言っておりません。女子供や老人が安心して、手を上げたら乗せて親切にそこまで連れていくようなタクシー行政ができるようにぜひひとつやってもらいたいということを要望いたしまして、終わります。
  75. 大野市郎

    大野委員長 吉田覧一君。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は、国鉄の運営と社会開発ないしは経済国策、この関連におきまして、いわゆる赤字路線廃止の問題を中心に若干御質問いたします。時間がございませんので、ひとつ端的に御答弁をお願い申します。  兵庫県におきまして三木、北条、鍛冶屋の三線は赤字路線として廃止の意見書が出ておるようであります。これを中心といたしまして、兵庫県政全般、その地域における社会開発、産業開発、ないしは経済政策の運営との間に相当大きな矛盾が生じてくるのであります。かかる意味におきまして、どうしてもこれは明確にして、そして廃止線からはずすということが、これは地域住民のためにも国策運営のためにも最も適当である、こういうふうに考えるのであります。  そこで、ひとつ端的に、もうしばしば御答弁あったと思いますが、私はまだ伺っておりませんので求めますが、一体、赤字路線廃止というものの基本的に一番重要な理由は何ですか。端的に言ってください。
  77. 町田直

    ○町田政府委員 赤字路線廃止と一口で申しますけれども、要するに、輸送構造が変わりまして、必ずしも鉄道でなくて、自動車、バス等で輸送ができる、しかも一方では、鉄道でやっておりますと採算的に非常によくない、こういうことで自動車輸送にかえ得るものについてかえていこう、こういうことであります。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、その対象となった国鉄は経済性が乏しい、ないしはほかの輸送方法のほうがよほど経済性が高い、ないしはこれが国鉄運営の上に赤字の原因になるものであるかもしれぬ、こういうことに帰するらしいですね。  そこで、それならば、いま指摘いたしました三線は大体何を重点にして廃止の予定になっておるのだろうか、それとも、廃止予定ということはいまだきまらず、国鉄の最高方針、終局の御方針はきまっていないというのか、検討しつつあるというのか、いずれか、ひとつ明快にしておいてもらいたい。
  79. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 諮問委員会の答申によります三木、北条、鍛冶屋線につきましては、諮問委員今の意向をそんたくいたしますと、意見書によりますと、輸送量が非常に少ないということがまず一つの問題じゃないか、こうなりますと、いわゆる交通機関として、国民経済的に見て自動車で十分いいではないか、しかも、鉄道のように輸送量が少ないので回数が少ないという点では、むしろ自動車のほうのフリーケンシーというような点から考えると、自動車のほうが地域住民にとってよりベターでないかというような観点から、この線につきまして答申が出たものと考えております。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いまの御答弁によりますと、諮問委員会の意見をそんたくするという、そんたくの程度ですね。私は、やはりこのような重大な問題の意思決定にあたりましては、具体的に当地域におけるあらゆる角度から、経済性も、ないしは住民の福祉関係も、ないしは交通路線としての国鉄の使命とか、ないしは沿革等、あらゆる角度から具体的に検討いたしまして、その資料に基づいて意思決定をしなければならぬ。いまはそんたくの段階ですね。
  81. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 諮問委員会におきます作業といたしましては……。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それだけ答えてください、時間がないから。
  83. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 数字によりましてやっておりますので、輸送量等のデータによりまして諮問委員会が判定を考えております。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならもっと具体的に伺いますが、きょう副総裁見えていますね。  磯崎さん、あなたはこの道の、国鉄オンリーのベテランですから何もかもあの辺のことは御承知と思います。  兵庫県におきまして、特に瀬戸内臨海工業地帯、これは日本におきましても有数な工業地帯と指定されまして、三十九年に国会で衆参両院とも満場一致で、いわゆる工業整備特別地域の法律ができたのであります。この線に沿いまして、三十九年以降十一カ年計画をもって、基盤整備について、県の計画は六千八百数十億円を投じて基盤整備をやるのです。御承知かどうか知りませんが、具体的に言うと。しかし、東播磨港と申しますと、明石から高砂です。あの間はどんどんと埋め立てが進んでおります。たとえば、神戸製鋼のごときは、一会社で四百五十万平米の埋め立てをして工場誘致するということです。川鉄にしても川重にしても、川崎電工ですか、そういうものにしてもこれから続々と参ります。それからまた、一方高砂においては、この間私は行ってみたんですが、たとえば、例の電源開発九十万キロワットがすでにもう動いているものもあります。関西電力も大体同じく九十万キロで、これが高砂におきまして新しく火力発電を起こします。というならば、エネルギー源はあそこでどんどんと供給の体制ができておるのです。姫路はもうできておって、百万キロ以上のものが動いております。そこで、そのエネルギー源は一体どこへ供給するのかということを、私は現地に住んでいるものですから、現地に行って知っているのです。これは既成工業地域だけではないのです。その背後地帯、言うならば、いま言った工業整備特別地域、この地域、つまり鍛冶屋線も北条線も全部含んでおりますこの地域全体に対する電力の供給です。このエネルギー源というものと、それから工場整備と、それからそれぞれの企業計画と資本の投下、住民のこれに対して向かっていく体制、また自治体につきましても、兵庫県のみならず各自治体、それから商工業者あるいはその他、業者の団体等が一致しましてこれは推進しておるのです。実はいま推進の途上なのです。途上に国鉄が、これは盲腸だから切ってしまえ、こいつは推測において輸送量が少ないから切ってしまえ、何か赤字だから、これはつまらないから切ってしまえということになるのですか。国鉄はこの辺について盲目なのかというようなうわさが高いのです。あなたは、失礼ですけれども、三木線、鍛冶屋線あるいは北条線を具体的に歩いて——線路は別ですよ。周辺の産業地域計画とか社会開発の状況を具体的につかんで御承知じゃないでしょう。そこですよ、問題は。どんどんと進めようとしておるのです。これとの関連ですよ。この辺についてどういう認識を持っておられるのですか。
  85. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 全国的にわたりまする二千六百キロの廃止問題でございまして、これは先ほど担当から申しましたとおり、いま検討中の段階でございます。ただ、現時点における輸送量から申しますと、さっき申しましたように、自動車輸送をもってかえ得るという状況であります。ただ、いま先生おっしゃったように、いろいろ各地各地で新しい産業開発が現実に行なわれております。私も、実は過般この三線の地元の方にお目にかかって相当詳しくいろいろお話も具体的に伺っております。ただ、地方によりますと、一応地方の単に希望的な観測のものもございますが、いま先生のおっしゃったように、ある程度相当具体的なものもございます。そういう各地各地の各線沿線の具体的な問題について、いま私のほうの出先でもって詳細な調査をいたしております。単に地方の希望的意見だけでなしに、本社のほうでほんとうにそこに進出する気があるのかどうか、それから、はたして進出しても、その貨物を鉄道輸送するかどうか、もう全部道路ができてトラックで輸送したいという会社も相当あります。それから各本社に当たりまして、たとえば神戸製鋼なら神戸製鋼に、一体その製品輸送はだれがやるのか、トラックでやるのか鉄道でやるのか、どこへ持っていくのか、こういうことを具体的に調べました上で各線各線の性格をきめたいと思います。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いまの段階、もしくは近い将来を見通しまして、たとえば神戸製鋼、川鉄、その製品なり材料を国鉄が輸送なさるということには私は直結いたしません。もっとも、高砂線なら高砂線というのは、実はこんなに細くて旧体依然のままであるのですけれども、そのために、たとえばあそこの三菱重工はやむを得ずトラックで貨物を輸送しているのです。これはまあ別問題ですが……。  そこで、こういうものは下請がありますよ。あらゆる関連産業がありますよ。また、あなたは御承知かどうか知りませんけれども、兵庫県におきましても、たとえば、あそこの中国縦貫道路が再来年の四十五年までに宝塚まで開通しますが、これをぶち抜いて下関まで行くでしょう。これがこの中心を行っておるのですよ。ここを中核といたしまして円形をかいておりますが、この中に十二の工場センターができるのです。工場地ができるのです。この北に西脇地域があるのです。西脇地域を中心に加西市、西脇市、小野市、あの辺全体は千四百の繊維工場がありますが、西脇地域だけで百二十億円の投資をするのですよ。そういたしまして、構造改善事業は五年計画で去年からどんどん進行しています。つまり、繊維工業の構造改善事業は、アメリカ輸出の、明治以前からの先染めの工場地帯です。それからまた、三木にしましても金物でしょう。この間アメリカにおいて、ニューヨークだとかワシントンその他におきまして大げさな見本市をやってきたのですよ。これは海外進出をあらためて企画しておるのです。あるいけ小野も同様なんです。加西市にしましても、御承知と思いますけれども、二大メーカーである三洋電機の大きな工場があります。あれを中心といたしまして下請工場が相当多量の煙をどんどん吐いてまいります。また糀屋ダムというのがあります。これは加古川水系の多目的ダムで、工業用水、農業用水に提供します。これの工事が始まります。また平荘ダムが完成しました。言うなれば、いま言った臨海工業地帯の背後地帯は内陸地帯といっていますが、ここは私は五へんも十ぺんも歩いて、この問題が起こりましてから三べん歩いた。あなたは陳情者にお聞きになっただけだと思いますが、現地では首くくるようにしましてこの構造改善事業に取り組んでいる中小業者もあるのですよ。こういうことです。ですから、この背後関係における大げさな国策の線に沿うた地域、並びに広域の産業開発や大きな動きについて、これは協力しなければいけません。  いま過密地帯の関係、過疎地帯の関係が深刻になりつつあります。この地域は過密にあらず、過疎にあらずなんです。したがいまして、この中間地帯にありまして盛んに将来の夢を見まして進めようとするときに、引き合わぬから、輸送量が少ないからぷつんと切ってしまうというような、そんな国鉄ならやめなさい。極論ですよ。そんなことなら民間に渡しなさいという議論が出ますよ。  ですから私は、根本の姿勢として、諮問委員会の御意見も大事なことでしょうけれども、もっと大所高所から、日本の産業開発なり、ないしは地域開発なり、ないしは過密地帯、過疎地帯の重要な山積する諸問題解決へ乗り出しつつあるところのこの真剣な姿に対応する国鉄の姿がなければいかぬと思います。単に経済性、合理性を単純に一面から見るだけではいけませんよ。何も貨物に渡したらいいじゃないか、とんでもないことですよ。貨物ともっと協定しなさい。私も貨物の重要な幹部の人に何人か会って聞きました。私鉄の人にも会って聞きました。だから、そういう面におきましても、たとえばコンテナ輸送にしてもそうでしょう。海にしても空にしても、あるいは陸にしても、それぞれの多角的な総合輸送ということは、運輸省の最も大きな方針でしょう、原田さん。でありますので、新任の大臣で、まことにすばらしい意気込みで御就任になったと聞いておりますし、あなたは大阪の方だからこの辺のことはとくと御承知だと思いますが、私がいま申しましたような具体的な背景ないしは国策を推進しつつあるところの地方の力ある情熱をそがぬようにしてもらいたいと思うのです。  私は、自分の選挙区の問題でこんなに熱情をもってぶち当たるというのは初めてですよ。国鉄はとんちんかんの認識をしておるのです。ですから、構造改善事業でも地域開発でも、どれだけわれわれが人知れぬ苦労をしているかわからぬのですよ、いろいろな利害を調整しながら。ですから、ここは大臣、大所高所から見まして十分に国鉄を御指導になりまして、私がいま言ったような線を傷つけない線にするように、ひとつ方針づけるようにしてほしいと思いますが、どうでありますか。
  87. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほどからもお答えいたしておりますが、いまお話しのような線区については、当該地方における同線区の役割り、総合的な国土開発計画との関連、地域開発等から見た将来性、道路の整備状況等を具体的かつ綿密に調査の上、総合的な判断をいたしていきたいと存じます。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 御就任早々ですから、一々の問題について詳しく御承知をいただいておりませんが、基本的な御方針はもっともでございますので、この点は形式論だけではとてもいかぬということだけはとくと頭に置いておいてもらいたいと思います。  もう一つ国鉄の赤字、これは私は先般も石田総裁に決算委員会で少しお尋ねいたしましたが、四十六年には、私の記憶が間違いなければ、何でも三兆の赤字になる、二千二百億円の利息も払わなければならぬ。わかります。わかりますが、もっと経済性を発揮するために、いまさっきも触れましたように、コンテナ輸送にしても同様であります。貨物輸送について改革したらどうか。旧態依然なんです。たとえば、いまの鍛冶屋線から米を高知市なら高知市に送っておるのですが、四日かかりますよ。まるで昔、徳川時代にかごで運ぶようなもので、四日かかりますよ。いま超音ジェット機が入ってきましたから、羽田からニューヨークまで三時間で飛びます。この宇宙時代に直面した輸送力——国鉄は輸送力の元祖ですよ。四日かかりますよ。四日かかって知らぬ顔している。とんでもないことです。ですから、ここはいかにして貨物輸送力の経済性をもっと高めるか、そして、たとえば貨物自動車の業者にしても私鉄にしても、提携しなさい。提携の面はあります。たとえば、西脇、北幡地域におきましても、大阪の工場からトラックで原糸を運んできます。それで生産したものは神戸の埠頭にトラックで持っていきます。そういうものも工場から工場へ、工場から埠頭へもっとコンテナ輸送でもして、そしてトラックと協定して、私鉄とも提携していく、こういうような輸送力の改革というものへ脱皮するように積極的にやる、これはどうしても早くしなくちゃいかぬと思います。こういう点についても、先般石田さんは研究するとおっしゃっておりましたけれども、もうそんなまだるいことではあきませんよ。日進月歩ですよ。刻々と進歩しつつある技術革新時代ですから、そういう面についても、断然と、新しい時代に即応するような輸送体制を強化しなくちゃいかぬと思うのですが、この点いかがですか。
  89. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 貨物輸送による面についての御意見は、全く先生のおっしゃるとおりでございます。私どもも、いま及ばずながらそういう方向に進んでおります。  たとえば、新しいフレートライナー・システムを利用したいわゆる急行コンテナ列車を来年三月から東海道に設定いたします。ただ、私のほうは中長距離のものが目的でございまして、短距離の輸送になりますと、鉄道輸送はどうしても不合理、非能率でございます。これはさきの五月の決算委員会においても御指摘を受けましたが、そのとおりでございます。ですから、短距離はなるべくトラックに譲って、中長距離を鉄道輸送で運ぶ、これは流通経済上最も安くなりますけれども、そういう方向で進んでまいりたいと思います。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 フレートライナーにしましても、これは早く実施いたしまして、たとえば、小さく小刻みにしまして、ああいった駅で一々とめて、上げておろして上げておろしてなんという、そんなまだるいことをしないで、もっと飛ばして早く渡して、そして何時に、送ったら何時に到着します、受けて待っていますということで初めてこの時代に即応する輸送の機能を全うすることができると思う。私は、そこまで改革することが、国鉄輸送力の強化ないしは財政再建の基本柱でなければならぬと思います。  それからもう一つ国鉄は一面において公共性があります。他面においてやはり経済性がなくちゃならぬ、企業性がなくちゃならぬ。企業性において、もっとうんと力を入れなさい。公共性についても徹底的に考えなさい。どっちつかずということは、どちらとも目的を達しないということであります。  したがいまして、国鉄の赤字につきましても、もっと国の税金にたよれ、何かいったらまた少し運賃値上げをしておけというようなことをおっしゃっておりますが、運賃値上げが影響するところの深刻広大なこと、国のそれにたよるということで公共性になずんでいくというような弊害、こういうようなものは、国鉄においてためられなければいかぬと思うのです。そうしなかったら、国鉄もいわゆる公社、公団の中に入って、これは廃止すべきかどうかということが国会で議論になりますよ。私はきっとそうなると思う。つまり、国鉄がそう変わらなければならぬのかどうか。何とたれば、これをもっと精密に検討いたしましたならば、いまのような国鉄の赤字は出ない、こういう方法あり、もしこういう結論や議論が出たとしたらどうします。人口がどんどん膨張する、物価が上がるところ天井知らず、国民は塗炭に苦しむという現在の実情に対しましては、いたずらに親方日の丸にあぐらをかく、こういう態度は絶対にいかぬと思います。  そういう意味におきまして、地域開発、産業開発の経済成長の線とこれとはうまくマッチしていくというように絶えず連絡をとっていくようにされなければいかぬと思うのです。個々に対して、もっと積極性がなければいけません。こんなことをしておってはいまは通りませんよ。だから、あなたにしても、失礼ですが、陳情者に会うだけじゃなしに、みずから大久保彦左衛門になって歩きなさい。それから、駅長やそんなものを集めて訓辞するのじゃなしに、自治体へ行きなさい。知事と会談しなさい。また、いなかに行って町長や市長に会いなさい。そういうふうにいたしまして、私はやっぱり解け合ってもらいたいと思います。これは今後の最大の課題です。  これらにつきまして、大臣と副総裁の御意見を伺って、私の質疑を終わります。
  91. 原田憲

    ○原田国務大臣 高邁なる御意見を承りまして、御趣旨に沿って運輸行政と真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  92. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄経営の企業性については、十分に努力をはかりたいと思います。
  93. 大野市郎

    大野委員長 松本忠助君。
  94. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣に対する質疑を三点だけ申し上げます。  自動車の都市部乗り入れにつきまして賦課金を徴収する、こういうことが前大臣の当時に構想がございましたが、この点について、新大臣としてどのように考えられるか、第二点は、路線のトラック運賃の値上げの問題が最近話題になっていますけれども、これに対して大臣はどういうふうに考えられるか、第三点、最近自動車関係の諸税の増税の動きがありますが、これに対してどのように考えておるか、以上、三点だけ御答弁願っておきます。
  95. 原田憲

    ○原田国務大臣 第一点の、乗り入れの賦課金のお話、これは私は就任をいたしまして、中曽根大臣当時にそういう考え方があるということを私ども新聞等で読んだりしていましたので、どうかということを問いましたが、それは検討をしておるところでございます。というのは、目的は、要するに都市の交通の繁雑というものをどうして除去すべきかということについて、運輸省としての考え方の一つの方法として考えたものであろうと思います。これはまだ検討中でございます。  それから第二点の、トラックの路線運賃の値上げ、これはまだ運輸省に提出されておりません。したがいまして、私はこれに対していま値上げをするというような答弁はいたすはずはございません。これは後ほど局長からいまの状態について答弁をさせますが、私は、いまのところ申請を受けておりませんので、もし出てくることがありましても、慎重に対処しなければならぬと考えます。  それから最後にもう一点、税の値上げの問題でございますが、これは運輸当局といたしましては、この増税が物価にかぶさってくるということになるとこれは困りますので、税の値上げに対しては、消極的な立場でございます。
  96. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、けっこうです。  それでは、引き続いて自動車局長にお願いいたしたいと思います。  最近、東京のいわゆる法人タクシーの増車が認可になりました。この認可になりました車の会社数並びに認可台数、そのうち、年内までに可動のできるものは何両くらいあるか、こういう点についてお答えを願いたい。
  97. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 今回の増車の予定は三千五百両でございますけれども、十二月六日に認可いたしましたものは約二千七百両でございます。それで、そのうち現時点におきましては千四百三十五両が稼働をいたしております。  それから、会社数につきましては、後ほど集計いたしまして御報告いたします。
  98. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 東京都内と大阪の法人タクシーの事業者数は現在何社あるか、昨年度とどのような変化を期たしているか、伺いたい。
  99. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 本年の九月三十日現在で、東京都特別区の場合におきましては、法人等の事業者数が三百五十三社、車両数で二万五千九百七十六両、個人タクシー七千二百四十二人、合計いたしまして、車両数で三万三千二百十八両でございます。それから大阪市におきましては、法人等が百七十四でその車両数が一万二千七百十二両、個人タクシーが二千十九人でありまして、合計一万四千七百三十一両でございます。
  100. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 昨年度末。
  101. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 これがことしの九月三十日の数字でございますが、昨年度を見ますと、車両数におきまして、東京都区内におきましては、最近においては個人タクシーの認可をいたしておりまして、個人タクシーの数につきましては、四十一年度に約五千五百人でございましたが、四十二年度末におきましては約七千人ということで、千五百人ふえております。法人の一般のものにつきましては昨年の暮れに若干増車いたしましたが、本年に入りまして増車いたしておりませんので、本年の十二月に至りまして、ただいま申し上げましたように三千五百両の増車をやるという予定で、そのうち二千七百両を増車したので、それだけのものがふえておる次第でございます。
  102. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一ぺん、東京の法人の会社は何社ですか。
  103. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 法人等三百五十三社でございます。
  104. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 九月三十日で三百五十三社ですか。
  105. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 九月三十日現在で三百五十三社でありまして、これは昨年来法人の新免はやっておりませんので、増減はございません。
  106. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 東京のほうを一つの例にとりまして、法人のタクシー会社の車両数はいまの二万五千九百七十六ですが、これに対して、現在乗務運転者は余っておるのか不足しておるのか、この点。
  107. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 運転者は本年の三月末現在、すなわち四十二年度末でございますが、所要人員が五万九千九百五十二に対しまして、在籍が五万九千百八十六人でございますから、合計といたしましては七百六十六人の不足になっておりますが、これは会社ごとに充足しておるところもあり、不足しておるところもあるということでございます。
  108. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 昨年末、東京では法人タクシーを一社一両の割合で増車を認めました。私の記憶では百六十四社、百六十四両だったと思いますが、この認可条件に、期限を四十三年十月三十一日、こうしてあったように記憶しておりますが、この点はどうでしょうか。
  109. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 四十二年度末の増車におきましては、いま先生お示しのように、四十三年十月三十一日までの期限を付しております。
  110. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そのときの認可条件の中に三項目、四項目ほどございますが、第三項目に、運転者が不足しているものは、その期限の時点において該当しないものは期限の更新を認めないということになっているわけですね。そういうふうなことだと記憶しておりますが、この更新できなかった会社は何社なのか、何両なのか。
  111. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 当時認可いたしましたものの合計は百六十四両でございますが、そのうち八十七両は更新いたしております。更新を却下いたしましたものは、三十九両でございます。あと残りの三十八両につきましては、今回の増車申請と同時に審議したいと思っております。
  112. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この十月三十一日の時点において、陸運局では立ち入り検査をして確認したわけですか。
  113. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 これは運転者の確保の状態につきまして調査をいたすわけでございますが、この調査は、源泉所得税徴収票あるいは給与台帳、運転者台帳によりまして在籍状態を把握するわけでございます。そういう調査をいたしまして、必要保有車両数に見合う運転者を確保しているかどうかということを審議いたしまして、その確実なものにつきまして認可をするという仕事をやっております。
  114. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 実際問題として確認はできなかったろうと思うのです。確認した、立ち入り検査を受けたというようなところは、一社も東京ではないわけです。申請をするときだけ運転者の頭数をそろえても、その後どうなったのか、実際問題として監査した実例はない。根本的に運転者が足らないのをいまの報告ではわずか七百六十六名といっておりますけれども、現実に昨年の報告を受けましたときには、乗務運転者が、必要運転者数が五万三千七十四人、それに対して二・四をかけた五万一千七百三十三人、少なくとも昨年でも千三百四十一人足らなかったものが、非常に需要がふえ、個人タクシーが認可されているのに七百六十六人しか不足しない。こういうことはちょっと考えられないわけです。  実際問題として、運転者の不足を見のがして新しく認可しているんじゃなかろうか。今回の増車につきましても、はたして二千七百両の認可をしても、実際稼働できるのはいつになるやらわからない、車庫にはみんなあいた車がぞろぞろしている、こういう実情をわれわれ見ているわけです。この点、運転者の不足に対してどのように陸運局では思っておられるか、この点をもう一ぺんはっきりしてもらいたいと思う。
  115. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 タクシー事業というものは、一両につきまして二・四人の運転手が要るのでございます。したがいまして、これを合理化するというのは非常に困難でございますから、その運転者を確保する努力が必要だと思うわけでございます。  それにつきましては、タクシー事業というものが、いわゆる運転者として好ましき職場でなくちゃならないということでございまして、それには給与の問題、あるいは厚生施設の問題等があるかと思います。そういう点につきまして、事業者を督促いたしましてこれの確保をはかるということでございます。これはタクシーのみならず、自動車運送事業の運転者は一般的に不足しておりますが、特にタクシーの場合におきましてもそういう不足の状況があるわけでございます。われわれといたしましては、会社が努力いたしまして確保をしたというものを確認後、増車を認可するというわけでございます。  今回につきましても、先ほどちょっと数字につきまして申し上げるのを保留いたしたわけでございますが、今回につきましては、二百七十八事業者、先ほどの三百五十三の中で二百七十八事業者に対しまして認可をいたし、あと運転者の関係、あるいは車庫等の施設の関係でそれに達しないものにつきましては却下をいたしております。あとの全部の中でまだ未申請のものにつきましては、施設あるいは運転者の確保等につきまして現在鋭意努力しておるように聞いております。
  116. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほど局長の御答弁の中に、賃金台帳あるいは在籍者の名簿等によって確保すると言われておりましたけれども、実際問題として、架空な人間を帳面にあげて、そしてつじつまを合わせている、そういう者に対して賃金も支払っている。そういうふうにして余分の金を浮かしているというようなところもあります。この問題は、もっともっと都民の交通安全の見地からも自動車の運転者の確保、そして、先ほども板川議員から話のあったような乗車拒否を起こすような運転者、こういう者がたくさんあるわけであります。こういう者に対して十分の指導監督をお願いしておきたいと思います。  それでは次に移りまして、個人タクシーの問題でありますが、個人タクシーの免許申請にあたりまして、現在車庫の問題があります。申請者の営業所の近くに車庫を設けるということは当然のことでございますが、最近は、御承知のように都内の地価が非常に暴騰しておる、したがいまして自分で車庫を持つことはとうていできない、結局車庫を借りるという状態になります。そういう場合には、当然申請時において繁雑な書類を全部そろえまして借りるわけであります。そして実際上は使わないけれども、そのお金を払っていかなければならない。これが実情でございますが、最近賃借料がどれくらいになっておるか、局長のほうは御存じかどうか。
  117. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 五千円ないし八千円のように存じております。
  118. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 御答弁がなければけっこうでございますが、その点については、今後考えていただきたいと思います。  そこで、質問の要点をしぼりまして、車庫の設置場所、たとえば足立区とか練馬区、板橋区のように埼玉県に道一つで隣接しておるところでは、二十三区以外のところ、そこに車庫を設定して申請することはいけないかどうか、この点についてどう思いますか。
  119. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 現在のやり方におきましては、事業区域内に車庫があり、その自宅があるということでやっております。と申しますのは、事業区域外に車庫がある、あるいは逆に自宅があるというふうなことになりますと、路上駐車の問題あるいは区域外の車庫の取り締まりの問題等がございまして、現在では、いま申し上げますように、事業区域内に車庫と自宅があるということでやっております。ただし、自宅につきましては、この個人タクシー制度を創設いたしました当時においては非常にシビアーに処理しておりましたが、現在におきましては、二キロまでは合格であり、五キロまでにおきましても、それ自体では却下しない——減点の要素にはしておりますけれども、それ自体では却下しないというふうなことで、運用を逐次緩和しておるような次第でございます。
  120. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 答弁を簡潔に願いまして、代務運転者の承認制度ですが、代務運転者が、現在提出しまして三週間もたたなければ事務処理がされない。いずれにしても、代務をお願いするということは、病気ということの事情のためにやるわけで、これを即日承認する方法は考えられないか、簡単にひとつ。
  121. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 第一回目の代務運転につきましては、個人タクシーとおおむね同じような基準の人でございまして、いま先生御指摘のように、日にちも三週間かかっております。しかし、その人が二回目からは四日以内で処理するということでやっております。なお、今後さらにこれを早くやるように努力いたしたいと思います。
  122. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 個人タクシーは評判がいいのですけれども、一面、自分の都合のいいときにしか稼働しないという面があります。会社タクシーのほうは午前八時以後に大体交替になる。この時間帯は出勤時間にぶつかって、利用者が多いわけであります。それを補うために個人タクシーの稼働時間を義務づけする必要はないか、この点はどうでしょう。
  123. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 個人タクシーは長年月自動車を運転した人で、相当の年齢の人も採用されているわけでありまして、それらの人が自分の体力等に応じまして適時出動していくというような運用をいたしておる次第でございます。しかしながら、個人タクシーの計画的配車につきましては、たとえば東京についても大阪についても、関係の協会等におきまして自主的に計画的な配車をやるということで実施あるいは検討しておるような次第でございます。
  124. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 会社タクシーと個人タクシーの定期検査、これは同じだと思います。そうですね。
  125. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 そうでございます。
  126. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、会社タクシーのほうは運行の制限が三百六十五キロ、一方はその半分ということになりますが、会社タクシーのほうは運転者も非常にかわる、ところが、一方は一人の人間が引き続いて乗っておる。そこで、定期検査の期間を個人タクシーの場合は倍に延長してもよろしいのじゃなかろうか、こう思いますが、その点の見解を。
  127. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 東京、大阪、名古屋のような大都市におきましては、確かに法人タクシーは個人タクシーよりも走行キロは相当長いわけでございますが、全国的に見ますと、個人のタクシーは月平均六千キロでございます。それに対しまして、東京、大阪等の個人タクシーは五千キロ以内でございまして、全国的に見ました場合において、法人タクシーと個人タクシーの走行キロの差はほとんどないということで、個人タクシー、法人タクシーとも車検期間は一律に一年ということになっておる次第でございまして、事業用のタクシーは、諸外国等の例を見ましても一年あるいは六カ月というふうな状況でございますから、人命を預かる事業でもございますので、現在のところ、これのみを短縮するという考え方は持っておりません。
  128. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは最後に、東京都内と大阪の個人タクシーの現在申請中のもの、この審査はいつごろ終わるか、東京と大阪に分けて、年度別にお知らせ願いたい。
  129. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 東京都区内におきましては、現在申請が出ておりますものが、これは十二月一日現在でございますが、四千五百六十五件でございます。これにつきましては、毎月二百ないし二百五十件処理しておりますので、来年の六月ごろまでには、少なくとも四十二年十二月中までに申請がありましたものにつきましては、これは約千五百六十件ばかりでございますが、これを処理するようにしたいと思っております。  それから大阪の市区につきましては、四十三年に七百十九件出ております。それまでのものは審査が終わっておりますが、九月一日に公示したことしの二月一日から八月三十一日までの申請分につきまして、半数を年内に処理し、残りの半分につきましては来年の春四月ごろには処理したいということで仕事を督促いたしておる次第でございます。
  130. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと、東京のほうでありますが、四千五百六十五出ているうちに、来年の六月までに、四十二年十二月分までの千五百六十は審査するということですね。それ以降の分についてはどうですか。
  131. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 四十一年、二年の分につきましてはそのとおりでございます。四十三年に申請いたしましたものが三千件あるわけでございまして、これは先般来の年齢の引き下げというふうなものも影響しておるかと思う次第でございます。われわれといたしましては、毎月二百ないし二百五十件を処理している次第でございますけれども、事務の簡素化その他をはかりましてこれをさらにふやして、この申請をなるべく早急に処理するように措置いたしたいと思っております。
  132. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もございませんものですから、もうきょうはこれで終わりますが、先ほど大臣に質問をいたしました路線トラックの運賃あるいは自動車関係の諸税の問題について、詳しくまた時間を見てお聞きしたいと思っております。  では、きょうはこれで終わります。
  133. 大野市郎

    大野委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時四分散会