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1968-11-19 第59回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月十九日(火曜日)    午後一時十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 鶴一君     理 事                 任田 新治君                 中村 波男君                 矢山 有作君                 宮崎 正義君     委 員                 鬼丸 勝之君                 栗原 祐幸君                 小枝 一雄君                 櫻井 志郎君                 田口長治郎君                 堀本 宜実君                 森 八三一君                 八木 一郎君                 足鹿  覺君                 杉原 一雄君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 沢田  実君                 向井 長年君                 河田 賢治君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   平井  進君        行政管理庁行政        監察局監察審議        官        石田  勝君        経済企画庁長官        官房長      岩尾  一君        厚生省環境衛生        局公害課長    橋本 道夫君        農林大臣官房長  大和田啓気君        農林大臣官房技        術審議官     原  政司君        農林省農林経済        局長       亀長 友義君        農林省農政局長  太田 康二君        農林省農地局長  中野 和仁君        農林水産技術会        議事務局長    近藤 武夫君        食糧庁長官    桧垣徳太郎君        通商産業省鉱山        保安局長     橋本 徳男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農地政策に関する件)  (米の配給機構に関する件)  (米価問題に関する件)  (作付転換問題に関する件)  (安中市における農作物公害及び京都市中央  卸売市場の問題に関する件)     —————————————
  2. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
  3. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと質疑に入る前にお尋ねしておきたいのですが、西村農林大臣、あなたは十九日、二十日の農林水産委員会があるということは、前回の二十五日の農林水産委員会あと協議会できめたのですが、このことはあなたはずっと前に御承知だったでしょうね、いままで知らなかったわけですか。
  4. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 大体存じておりました。
  5. 矢山有作

    矢山有作君 知っておった……。大体知っておったということは知っておったということなんですね。知っておったのにきょうとあすの委員会があるということはわかっておって、きのうの段階になって農協との懇談会があるからきょうの出席は三時以降にしてくれ、四時以降にしてくれ、あすは農政審議会があるから四時以降に出席さしてくれというのはどういうわけですか。これは私どもはあなたの御都合があるだろうと思って、一カ月から前にあなたのほうにこういう日取り委員会を開くからぜひ出席を願いたいということを連絡してあったはずです。現在はどういう時期かということはあなた一番よく御存じでしょう。農業問題についてはあらゆる方面からいろいろ意見が出ている。大蔵省から出る、経済企画庁から出る、財界から出る、それに農林省はいま引っぱり回されている状態でしょう。そういう中で農業政策方向がどういうふうになっていくかということは、ただ単に国会議員だけではない、全国民が注目している。そういうときに農協との懇談会があるから委員会出席できないとか、農政審議会との懇談会があるから出席できないというのはどういうことですか。それについて見解を伺いたい。
  6. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私としてはもちろん国会の大事な仕事でありますから、いま農業問題は大きい問題であるということは十分承知しておりますので、できる限り国会を優先しなければならない。同時に事柄がいろいろ重大なだけに、また関係機関あるいは関係団体等においても意見交換の場を持って、そこでちょうど時間を、日にちをずらせるとかいろいろ事務方でも苦慮されたようでありますが、なかなか調整がつかず、そこで、それらのことを理事会を通しましていろいろお話しを申しまして、先ほどお話し申し上げたような経過で、時間がありましたらばそちらのほうにも回らしていただく、こういうような形でおはかりいたした次第であります。
  7. 矢山有作

    矢山有作君 あなた、農林大臣には間違いがないね。農林大臣に間違いがないとするならば、委員会日取りが事前にきまっておったらその日取りに合わして他の会合考えるというのが筋じゃありませんか。それを、ほかの会合都合によって委員会を動かすというのは、これは国会なり委員会を軽視した態度と言わざるを得ない。以後、こういうことは厳重に慎んでもらいたいと思います。われわれは、あなたがそういう態度をとられるならば委員会の運営についても考えなければならぬ。委員会の尊重ということをこの席ではっきりあなたの口から聞きたい。
  8. 西村直己

    国務大臣西村直己君) たまたま残念ながら両日同じような時間になったためにあれでございますが、私としては、委員会というものは何といっても国会仕事でございますので、第一に優先してつとめてまいらなければならぬ、こういう考えでございますことははっきり申し上げます。     —————————————
  9. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  10. 足鹿覺

    足鹿覺君 農林大臣にお尋ねを申し上げたいと思いますが、御承知のように総合農政西村農林大臣が主唱されましてから稲作転換ないしは減反、こういうことが問題になり、これは一面わが国の従来までとられた農地政策との重大な関係を生じておると思いまするので、そういう視点から稲作転換政策と今後の農地政策あり方についてお伺いいたしたいと思うのであります。明確に御答弁をわずらわしたいと思います。  第一に、食管制度をなしくずしに改廃しようとする動きは一定方向が打ち出されてきたように認められます。すなわち、大蔵省は主として財政面から、経済企画庁は物価の面から、いずれも食管制度改正を提案せんとするかまえを見せております。農林省はこれに追随したとも見える態度でありまして、一面総合農政食管制度をあわせて検討し、また与党である自民党もこれらを受けて総合農政調査会で取りまとめ、大平政調会長食管赤字の圧縮によって農政予算を生み出したいという考え方を示しており、財政負担を減らすやり方としては予算米価方式を採用する以外にないという考え方を持っておるように見受けられます。農協西村農相と十月十五日に話し合い、本日も、先ほど矢山委員から御質問のあったごとく、きょうは農協と何か懇談をされる予定で、この委員会出席がおくれる都合であったと聞いておりますが、その内容はすでに一部に伝えられ、注目されておるところであります。特に中立米審について、農林省側が明年一月一日以降新しい構成の際に考慮する旨を明らかにしたと伝えられております。農協側は米の過剰を認め、作付転換のために適当な財政措置をとればこれに協力する考え方を示したといわれますが、事実でありまするかどうか、農林大臣のこの点についての御答弁もわずらわしたいと思います。まずそこからお願いいたします。
  11. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 十月の十五日に農業団体農業協同組合の最高の機関の長の方々と御懇談いたしましたことは、新聞報道のとおりでございまして、内容につきましてはきわめてフリートーキングでございますので、特に固まったものではございませんが、ただ私のほうからこの委員会にも多少御報告申し上げましたように、米の最近における需給見通し等を申し上げ、そしてその需給見通しは、さらにやがては私どもとしては今後農産物の長期需給見通しというような形でもって検討し、農政審議会等に諮問する、こういうような話をいたしました。その需給につきまして、非常に私どものほうの見方が誤りであればというような考え方も私どもとしては一つ申し上げましたが、まず需給見通しについては一応そういう考え方というものはあるであろう、またその見解というものについては、需給というものはそういう形になるのだ、こういう前提はほぼ一致したつもりでございます。  それからいま一つは、したがってそれに対してどういう形で今後農政をやっていくか、その場合に農政というものは私ども行政機関だけでは進展はできないので、各種農業団体協力を得てまいらなければならぬ、その協力のしかたにつきまして意見交換があったことは事実でありますが、要は食管制度というものがある、そういうものが健全に運行され、また必要に応じて私のほうは改善ということも検討しなければならぬが、そこらにつきましてとにかく運行していくについて協力し合っていかなければならない、こういうことが第二点でございます。  第三点は、米価審議会構成についての意見を問われて話が出ました。これにつきましては、従来国会を通してお話申し上げているとおり、私どもとしては、ことしは一応ああいう経過をたどったが、その経過にかんがみ、同時に各方面意見も出ておるから、十分それらの意見を体しながら同時に来年の米価審議会構成については考慮したい、こういう三点について話が進んだのが今日までの状況でございます。
  12. 足鹿覺

    足鹿覺君 第三点の米価審議会についてでありますが、各方面意見が出ておる、前向きで検討したいと言われたと聞いておりますが、前向きということは、また各方面意見が出ておるということは、いまの御用米審といわれる、つまり中立米審あり方については適当でない、かようにお考えになって、したがってもと構成に戻す、こういうお考えでございましょうか。それとも農業団体とか消費者代表とか、また学識経験者やその他の選び方について、いまのような姿では因るという一部に批判もございます。私どもも大いに意見を持っておりますが、端的にいって、農民代表農業団体代表消費者代表等を、あるいは国会議員代表等もとへ戻す所存か、あるいは一部を除いて利害関係者を加えるという構想か、前向きで検討し考慮するということはどのようなことでありますか、来年一月一日といえばもうすでに間近でありますので、この際御所見を伺っておきたいと思います。
  13. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私としては、米価審議会の来年の構成というものは、任期もまだございますし、その間に時間的なあれもございます。したがって、ことしはことしの経過をたどりましたが、その経過も一応考えなければいかぬ。一面におきまして、その際、その後におきましてもいろいろな意見が出ております。それらをかみ合わして、ひとつ私どもとしては現状だけにとまっていないというような意味で、何かくふうをこらすように、ひとつ検討してみたい、これが私の所存でございまして、具体的にどういうふうにするということはまだ申し上げる段階ではございません。
  14. 足鹿覺

    足鹿覺君 まだ具体的には言えないということでありますから、まああまり深くは追及いたしますまい。  先ほどの農協との懇談会の際のお話も承わりましたが、先般、自民党総合農政調査会農林大臣出席なさいまして、いろいろ総合農政考え方を説明し、その中で米の生産制限は種々困難な問題があるが、とりあえずは新規開田抑制をはかりたい、他作物への転換誘導には財政措置が必要であると述べられたのでありますが、これを公式の見解と見てよいのでありましょうか。農林大臣の御所見を承わりたい。
  15. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 農政の詰めは、もちろん米だけの問題ではございません。そこで、私は総合農政ということばを使っておるのであります。しかし、米というものは日本の総合食糧の中の中心であり、同時に大きなウエートを持っておりますが、しかし同時にまたこれ自体だけではなくて、他の作物、またそれに関連する諸般の情勢というものをよく考え農政を展開しなければいかぬ、これが私の今日までとっております総合農政態度でございます。その中には、構造政策もございますれば、環境整備もありますれば、後継者育成もございますれば、生産、価格、流通、消費政策、そういったような立体的な見方、もう一つは、あるいは国際経済との関係、いろいろございますが、しかし何といっても、事柄は米という大きな問題、これに対しましても、総合農政調査会というような場におきまして私がしゃべりましたことは、決してこれはないしょ事にこそこそと言ったのではございませんで、一つ意見として、農林省として、農林大臣としての意見を申し上げたものでございます。それは、米の需給中心にして申し上げますれば、今年度すでに二百六十五万トン、精米トンでも大きな持ち越しを持ち、さらに今年の大体推定される供給状況から見ますと、来年の出来秋には持ち越し量玄米トンで五百万トンぐらいになるであろう。相当な持ち越し量である。そうして平年作を今日考えましても、技術が発達し、これだけの現状の面積でございますれば、平年作でも、たとえば千三百六十五万トンの平年作がある。一方消費のほうは千二百四、五十万トンのいわゆる横ばいを続けやすい状況下になっておる。そこに持ち越しがふえてまいるという、言いかえますれば、米の過剰状況はしばらく続くという前提もとに、これをどうすべきか。そこで、稲作につきまして、少なくとも新しくこれから開田をされていくようなことについては、原則的にはひとつ抑制、自粛をしていただくという方針はひとつ考えなければならない。  第二は、現在の中でも、生産性の低いあるいは低能率であるというような場合におきまして、何らかいろいろくふうをこらして、いわゆる稲作についての生産についても何らかの措置をとらなければいかぬ、こういう話をいたしましたことはそのとおりでございます。
  16. 足鹿覺

    足鹿覺君 大体そういたしますと私の質問したことを御肯定なさっておるようでございます。そういたしますと、米の生産制限のための方法手段ということはすでに検討しておられるように見受けられる。大蔵省とも内々いろいろ折衝をしておられると考える節がありますが、稲作減反、他作物への転換考えられるといたしますならば、いまの農林省考えとして世間に伝わっておる新聞報道等によりますと、来年度十万ヘクタール、三カ年で二十五万ヘクタールとし、十アール当たり二万五千円の転換奨励金交付案を持っておられると言われる。大体これは非公式には農相もこういった気持ちを方々で言っておられるのではないかと思われます。ところが、農相の意図を受けて事務当局大蔵省とあたっておられると思われます。大蔵省はこれはちょっと多い。一万五千円ないし二万円を考えておると伝えられておりますが、いずれにせよこの計画を行なっていくについては強制手段をとっていく方針、手続なのか、補助金——補助金の金額はいま言っておるように未知数でありますが、これで誘導して作付転換ないしは廃作を行ない得たといたしましても、残った水田で増産を——、今後もまだ増産されていかなければ農家はやっていけません。そのものまでも抑制するということはできますまい。としますと、生産抑制手段としては最もむずかしく、しかも、効果のあがらない方法と私は考えますが、要するに来年度十万ヘクタール、三カ年二十五万ヘクタール、反当転換奨励金を出していくという考え方で来年度の予算折衝大蔵省と内々進めておられると解釈してよろしいのでありますか、それを承りたい。
  17. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 米が過剰であるという、しばらく過剰は続くという問題につきましては、私どもはこれは数字の問題でございますから明らかになると思うのであります。もちろん消費あるいは需要というものを伸ばすためには、まだ他にも私ども努力をしてまいらなければならない。海外へ出すとか、あるいはいろいろなそういう面のものも考えられる限度において努力はしてまいらなきやならぬけれども、しかし過剰である。その場合にこれをどうするかということは容易ではない、簡単ではない。また非常に困難な問題もあります。したがって、私どもはこういうようなものにつきましては、個々の農民が生活を持ち、また御承知のとおり所得をあげようという立場に立っておられることも理解しつつ、しかしながら同時にこの事態をそのままじっとしているということも、また非常に農民自体をはたして有利な状態にするか。むしろ非常に不安な状態に入ってしまってもいかぬ。それで私どもは他作物への転換ということもくふうしなければならない。そういう意味でわれわれはいろいろな考え方について検討いたしております。まだそれを具体的に数字をもって関係方面にどう折衝するという段階ではございません。  それからもう一つ基本的な態度としては、私どもはこういうことは強制力をもってやり得るかというと、なかなかそういうものではございません。そこで私どもとしてはできる限りやはり協力——、それにはリードする人たち協力も必要でありましょう。またそれを実際実行するような立場に立つ方々にも御理解を願うとともに、その中で全体の利益というものを見つめつつ、その中で転換をする。むずかしい問題ではございます。しかし、現時点でそのままとまっておってはたしていいかという問題もまた大きな問題でございます。そういう意味で私どもとしてはただ一つ行政の力だけでいくという問題ではないと考えておるのが基本的の態度でございます。
  18. 足鹿覺

    足鹿覺君 転換やり方いかんによっては成功するというような考え方のようでありますが、私がただいま指摘したように、それは甘いと私は言わざるを得ない。いわんや、いまの大臣答弁によりますと、転換具体的実施方法については強制手段をとらないというふうなお考えのように承りますが、といたしますと、農協農業会議所などの協力を求めるという考え方のようであります。そこで転換したあとの、あるいは廃作したもののあとに何をつくるかということは、私は農民自身がきめることであって、作付選定権農民権利だと思うのです。これをただ農協農業会議所が、補助金を目先にぶら下げて農民政府と一緒になって協力をさすというようなことは私はあり得ないと思う。もしかりにそういうことにして実際行なわれたとしても、ある水利の上流にある地帯転換をした、中間は転換をしない、またその末端は転換したいと、こういうふうになったときには一体水利調整はどうしますか。要するに農地によって転換したものと廃作したものと現状のままのものが相交錯し、水利その他農作業上の混乱が生じ、それがもととなって紛争が起きることは必然と言わねばなりません。こういう状態考えた場合には、おそらく農協農業会議所などが政府のお先棒をかついでも、農民に与えられているその権限までも強制する力はないとするならば、私がいま指摘したような事態が起き、その政策は行き詰まらざるを得ないと考えますが、農地政策上そういう非効率な、かつて見ざるそういうことがあり得るのでありますか。やろうとしておるのでありますか。この点を農林大臣、しかと承りたい。
  19. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 反論を申し上げるようでありますが、それだといって手元に余っておる、過剰である米をただ積み上げていくという状況を続けること自体がそれではたしてほんとうの米づくりをされる農民利益になるかという問題もまた一つの大きな問題だと思うのであります。したがって、私どもはこういう問題に対処するためには、ただそれは困難であるというだけでとどまっておるだけではなくて、一歩前進した各方面の御意見をひとつお聞きしたいのであります。むしろそういう意味でも私どもはいろいろな機関意見交換をやる、あるいは謙虚に御意見をお聞きしたいのであります。私は単に後向きにただじっとしていればという状況には事柄が少し大き過ぎやせぬかと思います。もちろんそれから農地にはそういう問題があることも十分存じております。しかしながら同時に、土地々々によっていろいろな事情があるわけでございます。また畑、田それぞれの事情によって地域によって事情がかなり違っております。気候も違っております。作物も違っております。そういうような中で私どもはくふうをこらしていく以外にないのではないかと思うのであります。
  20. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の質問していることに全く的はずれの御答弁ですが、農地局長なりその道の専門家がおられたら承りたいのです。できっこないですよ。もしかりにある一定地域を集団的に転換させる、何らかの作目転換をさせる、こういうことが行なわれたといたしますならば、かつて政府はいままで失敗した事例をどう考えておりますか。たとえば最近東北、九州の西南暖地でビートの栽培を奨励し、大失敗をして、農民にわびのことばもないような事態を押しつけてきた経験を忘れてはおられますまい。二度とこのような苦い経験を繰り返さないためにも私は申し上げておるのであります。いま大臣はいろいろくふうをこらせば協力は得られると言われますけれども、ある一定地域を限られたといたしましても、農民権利として作目選定の自由を持っている以上、これを縛ることはできますまい。農民にも民主的な組織を持った農民組織もありますが、抵抗し、自分の選定権を主張してきた場合には、いまあなたが考えておられるようなことは実際的に不可能である。私は賛成しておるのではありません。事実上不可能であるということを農林省考えるべきだと思う。  そこで、私は大臣に申し上げますが、あなた方が考えられることは、転換地域一定地域を区切り、集団制考えられておるのではなかろうか。ということになると、その中へ組まれておる同調しない人の自由を侵害し、農業経営国家権力が介入をしていくという重大な事態が起きておるということをまず指摘しておきたい。だれがどのようにしてそのような集団地域を指定するかということを、私は具体的に進めていくとするならば用意がなければできません。第一、農協が同調しても、農民がついていかなければその施策は失敗することは明らかではありませんか。そこで最後の切り札としては、農地法改正でいくか、あるいはこれに伴う何か特例法のようなものをつくってこれを強制していく、そういうことも私どもは憂慮いたしますが、手段方法について集団制をとっていく場合には、法律による転換計画を進めていくのか、何かその場合には特例を設けていくつもりなのか、全くの農協農業団体その他の協力によって認めていくのか、この点を明らかにしていただきたい。大体いま考えられることは、北方農業犠牲にされようとすることは、私は火を見るよりも明らかだろうと思う。北海道が非常に米不足状態から、いまは移出県になった。稲作の北限があまりにも北に寄り過ぎておる、これをチェックすべきだという異論を吐いておるものもありますし、東北山間地帯における冷害等関係もあってこれをチェックしていくか、あるいは本州、中国、四国の場合でも山間地帯効率の悪い、生産性の低い山田を犠牲にするか、そういう方途を講ぜざるを得なくなると予見されますが、このことについて、大体ここまで新聞その他に転換を主張される以上は、少なくともその考え方の基調を確信があったならば示してもらいたい。私どもは絶対に民主的な農民組織や心ある農業協同組合の人々や、その人々と——米が余る、余らないという論議はここではいたしません。私どもには私ども見解があります。米が一年余ったからといって食糧の基本方針をゆるがすがごときことはとるべきでないと私ども考えておりますから、他にいろいろな方針は私ども持っておりますが、とにかく作付転換の——廃作となればこれはまた別ですよ。転換の困難性ということはいまから予見し得ることである。そのようなおろかなことに政府は憂き身をやつし、きょうの委員会をすっぽかして農協懇談するというような態度をおとりになることは、私は農林大臣のためにもとらないことだと思います。あなたでそういう具体的な見通しがつかなければ関係農地局長その他からあなたにかわって御答弁を求めます。
  21. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私から申し上げましょう。  米の過剰であるかどうかの問題につきましては、私のほうの党、それからなお農業団体等におきましても、その点は私ども見方は一致しておるのであります。今日ただ一時、一回豊作があったからというだけの状況ではございません。問題は、消費動向等も十分私どもは検討した結果としてのものでありまして、それに対して本来のよい米というものをりっぱにつくっていくためにどうしたらいいかという問題で私どもいろいろくふうをこらしてまいりました。それには、私どもはやはり生産者の立場はもちろんわかっております。また十分理解していかなければならぬ。その中でもってくふうをこらしていく何らかの措置をとらなければならぬ。それには総合農政として土地に合った作物転換ということもあり得るのではないか。必ずしもただ一律にそれは困る、絶対に困るのだという割り切った考え方ではなくて、その中にお互いが農民として農政の将来を見詰めてくふうをこらしていく道をさがし出していかなければならぬ。私はこういう考え方であります。
  22. 足鹿覺

    足鹿覺君 大臣、私は作目転換手段方法を、施策の具体策を聞いておるのです。それは失敗するだろうと言いましたけれども、そのことについて、その米が余る余らぬということは、きょうここで論争しようと思いません。何べんもあなたは余る余ると言って聞かないから、それは論争しません。私が尋ねておることに端的に答弁してください。(「聞いていることに答えないと時間が足らなくなる」と呼ぶ者あり)
  23. 西村直己

    国務大臣西村直己君) それは私が申し上げましたように、ただいま検討しておる段階であります。
  24. 足鹿覺

    足鹿覺君 検討中とおっしゃいますが——農地局長なぜきょうは来てないのですか。農地行政とこれ関連なしに、こういう作目転換とか廃作とかいうことはできません。——農地局長はどうしているのですか。どうもあなたは検討中で逃げようとされるけれども、おかしい。私がいま言ったように、ある上のほうは転換をする、真中のほうは現状維持だ、下流は転換をすると、上からも横からもいろいろのものが交錯してきます。法律によるか、何らかの強制を行なわない限り作目転換なんぞできません。むしろ、これをもしやろうとするならば、一年生作物の場合は一年、農畜産物の生産は数カ月、これは鶏とか豚の場合です。牛なりその他のものにいたしますと、二年ないし三年を要する。この相当な生産期間を要するものについては、価格の支持政策を準備して、二、三年先の作付転換を組む、長期の計画考えていくというならば、これはあなた方が何も手を加えなくても、米よりもそれが有利であるということが明らかになれば、もう農家は喜んで転換しますよ、どうですか。それをやらないで、この間自民党政調会に合わした長期の需給見通しについても、価格の問題については一言も触れておらぬではありませんか。作目転換前提にして、十年先の見通しを立てておるにすぎぬ。不確定要素を前提にしたこういう空文が、一体日本の権威ある食糧政策の根幹をなす指標たり得ますか。私は疑わざるを得ないと思います。  問題は米価の見通し、米にかわる所得についての確実な見通し生産農民に与えていくことこそが最も大事な米から畜産へ、需要に見合う生産への転換が行なわれる道であると思う。それには金をかけないし、ふえもしないで、いわゆる一年間十万ヘクタール、三カ年間二十五万ヘクタールをいま言ったような困難をしいながら転換をするなんということはナンセンスではありませんか。農林大臣も常識をお持ちでありましょう。私が無理な質問をしておるかどうか。まじめに私は日本農業の将来を考え、真剣にこの問題と日夜取り組んで私なりにこの結論を得てただしておるのであります。もっと具体的にあなたの所信を、ほかの場で言わないでこの参議院農林水産委員会の場で転換政策についてはかくかくかくかくのめどがある。転換したものについては、農畜産物については価格の安定保障についてこういう施策があるということを大胆率直に示さない限り私どもは断じてこれを容認することもできず、積極的に抵抗の運動を起こしていくということを御承知おき願いたい。はっきりしていただきたいと思います。率直に大事な問題であります。決して私どもはこれを党利党略の立場やそういうことでは考えておりません。日本農業の将来を卜する大きな転換期にきておるということを考えて質問をしておるということを認識され、具体的にまじめに前向きの御答弁を願いたい。
  25. 西村直己

    国務大臣西村直己君) もちろん経済でございますから、私どもは経済的要素というものをできるだけ入れるようには努力をしてまいります。しかしながら、いずれにいたしましてもこの家業をそのまま置いておくわけにもまいらず、またそれ自体農民の大きな将来の農業というものを考えた場合に、私どもとしてはくふうをこらしていかなければならぬ段階である。そこで各方面の御意見を聞いて私どもとしてはこれに検討を加えていきたい、これが私のただいまの態度でございます。
  26. 足鹿覺

    足鹿覺君 まあ何ぼ言っても馬の耳に念仏でありますし、あなたは農政担当者として力量はあるかもしらぬけれども、勇気がないと思います、誠意と勇気に欠くるというか、ここでなぜおっしゃらないのですか。まあおっしゃらなければ口を割って言わせるわけにもまいりませんから、一応これは保留いたします、時間の制限もありますから。そこで農地局長を早く呼んでおいてください。あなたは新規開田は認めない。廃作または作付転換を行なう。米は余っておるからそうやるのだと言われますが、現在までに着工をし、また計画をした農地造成畑かんの基盤整備等土地改良事業は現状どうなっておりますか。ここ数年前に政府は土地改良を十カ年計画案を樹立し、これに必要な土地改良法の改正を提案し、私どもも、当時私も衆議院に議席を持っておりましたが、そのことの、不十分なことはありますが、一歩前進を認めて同意を与えた経験を持っておりますが、いま、新規開田は認めない、転換を奨励する、廃作だ、こういうことになりますと、現在までに着工したもの、これはどうなりますか。これから土地改良十カ年計画に基づいて事業を行なう計画を立て、ヒヤリングを終わり、調査を行なうもの等についてはストップをかけるつもりでありますか。首尾一貫いたしません。農地政策と畑地転換を打ち出す以上は、長期——たった数年前の土地改良十カ年計画と矛盾することを私は指摘したいと思う。具体的に申し上げますと、山形県の鏑川の二千ヘクタール、静岡県三方原の畑かん計画、鹿児島県の笠之原の五千町歩の畑地かんがい計画等、これは畑地に水稲をやろうというんでありましょう。いいですか、畑地に水稲を作付する目的でもって畑地かんがいを計画され、すでに着工して数年となっておる。東北地方のビートで失敗した畑作地帯も、畑作水稲に転換しようという計画もあると聞いております。また長崎の諌早干拓、あるいは九州の有明干拓、私の郷土であります鳥取、島根にまたがる中海干拓、あるいは富山県の河北干拓等々、現在着工しまたは着工寸前の事業は枚挙にいとまないのが実情でありますが、このような可耕地の干拓や農地の造成など、一連の農地政策の推進計画はどういうふうに始末をされる所存でありますか。工事を進められるのかストップするのか、畑かんによる水稲の作付はこれをやめるというのか、やめるならば根本的に地元負担から変えていかなければなりません。転換作目は明確でありませんから、地元負担から変えていかなければならぬと思いますが、どういうふうにこれを始末される所存でありますか。大臣が御答弁できなければ関係局長から御答弁願いたい。大臣にかわって御答弁願いたい、どうするつもりか。  同時に、いま私が指摘したような、四十三年度までに新しく着手された国営、県営あるいはその他の土地改良事業、すべての種目を含む土地改良事業地域名、面積、予算、着工、竣工期日、基幹作物等について、計画中のものも含む資料を御提示願いたい。もらえますね。それなくしては農地政策は逆行する。前に進んでいいのか横へ行っていいのかとまっていいのか、わからぬじゃありませんか。資料をいただけるかどうかということと、あわせて、いま私が指摘した地域に対してはどうするか、御答弁願いたい。
  27. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 農地局長がすぐに参りますから、詳細答弁農地局長からいたしまして、いま御指摘の問題につきまして概略お答えをいたします。  すでに国営その他で着工中の事業につきましては、進度その他についてなお検討すべきものがあるといたしましても、これを急速に方向がえをするということはまずなかなかむずかしいのではないかというふうに私は考えます。調査計画段階、あるいはその前の段階につきましては、現地の具体的事情に応じて主要作物その他転換可能かどうかということの吟味が当然行なわれたはずでございます。土地改良長期計画につきましては、昭和四十年ないしは昭和四十九年、事業費二兆六千億ということで、現在ようやくその前期半分、五カ年周を近く終わるところでございますが、これは今度の米の問題を含めていろいろ新しい問題も出てきておるわけでございますから、やがて改定をする必要が出てくるのではないかというふうに考えます。なお、御要求の資料につきましては、できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたします。
  28. 足鹿覺

    足鹿覺君 大体現状どおりだというわけですね。そうすればね、笠之原にしたって、三方原にしたって、鏑川にしたって、みんな畑かんによる畑地水稲計画ですよ、官房長。そういう具体的なつじつまを——、あなたたちはわれわれをしろうと扱いにしても、そうはいきませんよ。すべてをにらんで具体的に詰めて見れば、矛盾だらけだ。そういうずさんなことで、作付転換などを口にする資格はありません。第一、土地改良十カ年計画はどうするつもりですか。どんどん造田計画をやっているのじゃありませんか。抑制するといまになって言っても、すでに進行しているじゃありませんか。ストップをせざるを得ぬではありませんか。あまりもの数を言わずに私は進行したいけれども、あまりにもあなた方の答弁が現実離れをしておるから納得がいかないのです。  それから資料は、努力する、のでなしに、資料は出す、大事な問題ですから出してもらわなければ困ります。皆さんに配ってください。いただけますね。
  29. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私の御答弁いたしましたとおり、片方で、米の需給から、作付転換ということが必要であると同様に、ある程度開田抑制ということも必要であることは言うまでもないことであります。ただ、作付転換あるいは開田抑制ということ自体、なかなか複雑な経緯もあるし、実施上困難な問題がございますから、どういう形でそれを進めるかということについて目下慎重に検討中であるということは、前々から申し上げているとおりであります。すでに事業実施中のものにつきましても、当然検討がなされるべきでありましょうけれども、大勢といたしましては、そう方向を大きく変えることはできないのではないかという趣旨のことを先ほど申し上げたわけでございます。土地改良長期計画につきましては、いま申し上げましたように、当然近く改定をするような新しい要素がいろいろ出ておるわけでございますから、昭和四十年から昭和四十九年にかけて十カ年計画の半ばを終えるところでございますから、明年度におきまして、できるだけ土地改良長期計画の改定をするということになる手はずでございます。なお、資料につきましては、申し上げましたように、できるだけ御趣旨に沿うようにいたします。
  30. 足鹿覺

    足鹿覺君 与党の人がたくさんおられますが、いまの御答弁で、与党の農村関係の皆さんはよろしいとお考えですか。大事な答弁をしているのですよ。全く重要な画期的な答弁だと思う。十カ年計画はもう半期過ぎたからあとは切るのだ、——そういう朝令暮改もはなはだしい計画を立てたこと自体が間違いだと率直に反省し、切るならば、他の作物への転換を促すような、農民が、このほうが経営の近代化なり一需要に見合うのだというようなふうに受け取って、自主的に作物転換していくような政策を、なぜもっとあなたたちは具体的にやらないのですか。私はこの「農産物の需要と生産の長期見通し」を見て、一行も価格問題について触れておらないことをまことに遺憾に思いますと同時に、いま言ったように、たった四年前につくった土地改良十カ年計画は、もうすでにくずれておる。いまこの大きな転換期に、長期の需要見通し、しかも作物転換前提にする不確定要素を根本的に踏まえたこの長期需給計画の不見識さというものにあきれざるを得ない。皆さんにもお配りして十分読んでもらわれてしかるべきだと思います。果実、畜産物の増産を考えるならば、価格政策の適正な裏づけが必要であることは言うまでもありません。水田を四十万ヘクタールつぶして需給の均衡を得るように言っておるけれども、その裏づけは、この長期計画には何もうたっていない。全くの机上プランにすぎない。さらに、最も大事なことは、十年後に、この需給見通しの達成されたときに、日本の産業経済における農業の位置づけがどういうふうに位置づけをされるかということにも一言も触れていない。こういうものが一体、今後の転換期における日本農政の指標たり得るかどうかということについても、私は、あなたの責任で、この前私が追及して、近く出すと言われたのだが、このようなお粗末なもので、しかも、甘い、不確定要素を前提に踏まえた需給見通しで、こんりんざい間違いないと断言できますか。農林大臣は、責任を持って、明日の農政審議会を乗り切る決心がありますか。私は、このようなものを農政審議会がうのみにするならば、いささか農政審議会の良識を疑いたいとすら思いますが、この長期計画、長期需給見通しに合わせて、いま一応、これとの関連において御答弁を願いたいと思います。
  31. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 農地局長が参りましたから詳細は農地局長から答弁をいたしますが、土地改良長期計画につきまして新しい要素がいろいろ出ましたので、すでに改定するのが適当な時期に来たのではないか。もちろん、事業内容としては当然拡張すべき部分もございますし、若干押えるべき部分もあるでございましょうけれども、全体として基盤整備事業の重要であることはますますもって明らかなことでございますから、土地改良長期計画が半ばにしてこれを廃止するとかいう趣旨で申し上げたことでないことを御了解いただきたいと思います。  それから、農産物の生産及び需給に関する見通しでございますが、これは、農業基本法に基づきまして、将来の農産物の生産及び需要に関する見通し政府として公表いたしまして、農政の指針ともし、また、農家が経営を行ないます場合の一つの参考とするということで、昭和三十七年にこれを公表いたしまして以来数年を経まして、現実と見通しと相当な食い違いがあるわけでございますから、今回、数年間の新しい資料をもとにいたしまして見通しを立てて、現在、農政審議会の審議に付する段通りになっておるわけでございます。あくまで、農政、農産物の生産及び需給見通しでございますから、見通しの範囲はおのずから限られておるわけで、これだけで十年先の農業、あるいは国民経済の中における農業に関する問題のすべてを言い尽くすつもりは私どもはございません。ただ、農産物の生産及び需要の見通しということに関連して所要の項目はおおむね盛り込んだつもりでございます。なおこれは、あくまで、いわゆる計画経済における計画ということでもございませんし、見通しでございますから、新しい条件が生じまして数年後その見通しの重要さが失われますようなときがありますれば、われわれといたしましては、また新しく策定し直すべきである、そういうふうに考えております。
  32. 足鹿覺

    足鹿覺君 農林大臣、いまの大和田君の答弁農林大臣の御答弁と承ってよろしいですな。
  33. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私どもは、御存じのとおり、さっき官房長が触れたように、計画経済をやっておるのじゃないのでございまして、自由経済の中における、あるいは国際経済の中における日本経済、あるいは国民経済の中における農業、したがって与件というものは変わっていく。これはなかなかむずかしいと思います。経済社会発展計画のような、全体をつかんだものでさえも一つ見通しでありまして、あれ自体計画でございません。したがって、その与件というものはすでに変わりつつある。しかし私どもとしては、三十七年の生産中心にした見通しをそのまま、現状の時点において指針としていいかどうかというと、やはり今日少なくとも一応の与えられたる与件の中で私ども努力をしてみる。そして、それはめどは十年に置きます。しかし、事柄が、これだけ成長経済をやっている過程においては、私どもの諸条件、また国際経済関係、いろいろ変わってまいると思います。その間において私どもは、またこれをさらに弾力的に見つめながら、そしてその必要があればその際にはその指針がそれに沿うて変わっていくということは、自由経済の本来としているところでは、私は、そういうふうにあってしかるべきじゃないかと思います。何も、十年先のことをこれを確定して、そしてそれできっちり押え込むというような窮屈な経済を私どもはやるつもりはないのであります。あくまで一つの指針、見通しとして、しかも生産面からみた見通しのデータであるという意味からは、私どもは、あなたがおっしゃるような無価値なものとは考えておりません。
  34. 足鹿覺

    足鹿覺君 これは長期の需給見通しでありますけれども、これを指標として財政投融資が行なわれる。あるいはこれに必要な施策が伴うことは明らかでしょう。そして、進めておいて、ある時点がきて、自由経済なんだからしかたがないと言って、また変える。またある時点がきてまた変える。それは不見識もはなはだしい、こういうことを私は申し上げておるのでありまして、私どもは別に、あなた方に私ども考えておるような計画経済をやりなさいなどとは一言も質問しておりませんよ。大臣、あまりひねくれないで答弁してもらいたい。何も私は、計画経済をやりなさいなどとは言ってやしません。あなた方のほうで私のほうに示したから、これを批判をし——指標だけだと言うなら、何のためにこんなやくたいもないものをつくるんですか。意味がないじゃないですか。あまりそういうことをやっていると——先を急ぎますから。  そこで、この間農林省は、資料をよこすよこすと言って、くれませんので、先に要求しておきますが、過日、農林省農林水産技術会議がまとめた地域農業及び畜産に関する試験研究推進方策、サブタイトルは、「地域別主要作物技術確立へ」という、このものはいただけますか。全部に配付できるか。きょうでも持ってきて配ってください。
  35. 近藤武夫

    説明員(近藤武夫君) 「地域農業及び畜産に関する試験研究推進方策」という資料を技術会議の内部でまとめたことは事実でございます。これは、最近の農業の発展に即応いたしまして、地域農業に関する試験研究なり、あるいは畜産に関する試験研究を強力に推進する必要があり、これに伴って研究体制を充実強化する必要があるという観点に立ちまして、農林省の試験研究機関の相互の分担関係を明確にするということ、そうしてその基礎の上に立って、各研究機関の共同研究体制を整備していくということ、それから都道府県の試験研究機関に対する農林省としての主体性を明確にしていくというようなこと、と同時に都道府県に対する助成の方針を確立するというようなこと、そういうような内容からなっておるものでございます。別に秘密の資料でもございませんので、御要望とあれば提出をいたしたいと思います。ただ、その資料はあくまでも農林水産技術会議の内部の資料でございまして、別に農林省の内部におきましても、関係の局とは打ち合わせばいたしましたけれども、全体としての農林省の中で決定したとか、了承を得たという資料ではございませんので、この点は御了承いただきたいと思います。
  36. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃもらえますね、そういう意味において。
  37. 近藤武夫

    説明員(近藤武夫君) そういうことを御了承の上提出いたしたいと思います。
  38. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまお聞きのとおり、農林大臣、そういう作業をやっておる。そこで私は大体農業生産手段としては農地政策がある。これには金融という裏づけが必要であり、労力がこれに伴う。ここで技術が加わって初めて営農が完ぺきを期せられると思うのであります。ところがいまどきになって、まあとにかく技術会議はいま局長が説明したようなものを内部資料だという断わり書きでしかもやるというのです。読ませてやるというのです。すでにそういうものが、いわゆる米から畜産へという大テーマがきまっておるならば、地域別営農類型というものはすでにでき上がっておらなければならぬと思います。それはすでに具体的に予算を伴って実施されておるのが本来ではありませんか。いまどきになって内部資料で検討するなどという、しかも試験研究の整備をするなどとは一体何ごとですか。国会は決して大まかな論議だけをするところではありません。この委員会においては、いわゆる営農の条件としての土地、労働力、資金、技術、この問題について論議する場であり、これを動かすのが農政でありませんか。農政技術は常に表裏一体でなければならぬと私ども考えております。そういう意味からまことに手ぬるい、関係部局とも打ち合わせした程度で、農林省議でまとめたものでない。一体そういう手ぬるいことで今後もこの長期需給見通しが達成できますか。局長、その自信がありますか。大臣にかわって答弁するのですよ、そのおつもりで。大臣がそこに一おられるけれども、こういうことは大臣は不得意だろうし、どうもあなたの答弁は的を射た答弁をしませんから、あなたがかわって答弁するのですよ。
  39. 近藤武夫

    説明員(近藤武夫君) 農林省の試験研究機関が試験研究をやる上におきまして絶えず行政との連携を密にし、農業の動向に即応して必要な研究を適時に実施していくということが何よりも必要なことでございまして、私ども研究行政に当たるものもそういう心がまえで日ごろ業務を遂行しておるわけでございます。先ほど御質問になりました資料もそういった業務を遂行する一環といたしまして、最近の情勢にかんがみて、この際一段と研究活動を活発にする必要があるという考えもとにつくったものでございます。ただし、その内容につきましては別に新しいことがあるわけではございませんので、そういう……まあ、はなはだ僣越な言い方かもしれませんけれども、必要な試験研究が長期的な視点の上に立って以前から実施しておると私ども考えておるわけでございまして、そういう意味で現在ことさらに特にいままでと変わったことをやらなければならぬというわけではありませんけれども、この際研究の方針というものもお互いに整理し、そうしてその基礎の上に立って効率的な前進をはかっていきたい、こういうような気持ちからまとめたものでございます。
  40. 足鹿覺

    足鹿覺君 最近のあなた方は和製コンバインあるいはこれに準ずる動力つき稲刈り機等の急激な普及ブームをどう判断していらっしゃいますか。農業基本法制定以来、トラクター、小型トラクター、それから中型トラクター、乗用トラクターと機械化が進み、稲の直播あるいは植え付けあるいは脱穀調整等に要するライスセンター等近代化資金を導入して各地に無体系にばらばらに農業の機械化と称して行なわれております。いまどきになって和製コンバインや動力つき稲刈機が入るようなことで、一体いままでは何をしておったんですか。農業技術会議はこういうものは技術一貫体系として文書の上ではできておっても、いわゆるトラクターが入ってくれば当然これに対して直播機あるいはその他の作業機さらに刈取機、コンバイン、ライスセンターと一貫的に技術体系としてつながるべき性質のものでありませんか。それを具体的な指導を怠り、ばらばらの体系でようやくいま和製コンバインが点々と入って試験段階から実施に入る。いわゆる動力つき稲刈機が一台三十万円もする新しいブームを起こして農民に新しい借金を押しつけておるのが現状であります。この実情は何ら地域の営農類型に関係なく、営農技術一貫体系によるのではなく、商社やあるいは農業団体が農村労力の老齢化や婦人化や労力不足を補うため農業の経営近代化と称して売り込んだ結果にすぎないのであります。あなた方の指導がどこにどういうふうに積み上げられてこういう一貫体系ができておりますか。まだ日本農業が生産性が低く、労働の生産性はある程度上がっても生産性が少々上がっても、その生産性の向上や労働生産性の向上が農民の所得につながらないいまの営農一貫技術体系がばらばらであるところにも大きな責任があると言わねばなりません。しかるに何ぞや、いままでやったことを、事新しく言うまでもないことで、まとめてみたなどとは一体何ですか、何をあんた言っておるんですか。ふざけたことを言っちゃ困りますよ。いままでやってきたことをなぜ事新しくこういうことを指示するんですか。なぜ地域別営農類型別技術一貫体系を——果樹地帯には果樹、畜産地帯には畜産、水田地帯には水田と一貫技術体系をなぜ押し込まなかったんだ。そういうことなくして作物転換などはできるはずはありません。日本の農業機械化は商社のえじきになっておるにすぎない。農機具メーカーのえじきになっておるにすぎない。現に近代化資金が償却期に入り農民は四苦八苦ではありませんか。ようやくこれを始末したところへ今度は稲刈機だ、こういうばらばらな状態政府は見て見ぬふりをし、いまどきになって研究をやるんだとは一体何を寝言言うんですか。大体農業技術会議というものが農林省の改良局をやめて技術会議になってから国会でもほとんど論議の対象にならない。何らの追及も受けないぬるま温につかっておるような存在をしておるから今日の存在になった。もとの改良局の時代のほうがもっと体系としては整備し論議も真剣であったことを認め、もっと真剣に検討される必要があると思う。いま言われたことを訂正されない限り私は了承できません。何ですかいまの答弁は。私がいま指摘したような努力をどこでどういうふうに重ねておるかということを説明してください。
  41. 近藤武夫

    説明員(近藤武夫君) 新しくつくった資料は、いまおっしゃいましたようなことを内容とするものではございませんので、これは具体的にごらんいただければ御理解いただけると思います。  それでその機械化技術体系につきましては、農林省の試験研究機関で以前から最も力を入れて研究しておるところでございまして、大型機械体系それから中小型機械体系、それぞれについて研究を行なっておるわけでございます。そうして各地域ごとに標準となる技術体系につきましては、すでに水田作につきまして二十二体系、それから畑作につきましても、主として大型機あるいは小型機を利用するものでございますが十一体系、その他畜産関係で飼料作に関する体系、こういったもの、あるいは園芸もございますが、あるいは蚕糸、各部門にわたりまして地域標準技術体系というものを作成いたしまして公表し、それぞれ県の専門技術員等を通じまして、これが有効に活用されておる現状であると心得ております。
  42. 足鹿覺

    足鹿覺君 まことにいまの事務局長答弁は不適当であり、私の質問に対する答弁にはなっておらぬと思います。何となれば、どういう地域にどういう一貫技術営農体系に基づく機械化が導入され、どういう成果をあげておるか、指導の経過なり結果はどうかと、こういうことについての明確な答弁のない限り、先ほどの資料はあなた方が世に問うためにいま必要なこととして検討しておるのでしょう。必要なことで検討しておるならば、われわれがもらって読む、勉強をする、そういう意味でたとえば申し上げたのであって、私の質問を勘違いをなさっては困ります。いまあなたが答弁されたようなことであるならば、それに基づく経過なり結果なり今後の見通しなり、具体的に資料として御提示を願いたいと思います。  大臣にこの際申し上げますが、いまもお聞きのように、もと農林省の改良局の当時は、国会にもしばしば出席を求め、いろいろ技術営農体系等についても論議、検討したものでありますが、最近はおそらく農林水産技術会議を国会に招致して意見を求めるということはきわめてまれであります。この重大な農政転換といわれるときに、技術を無視し、その体系を無視して日本農業の前進は私はあり得ないと思いますが、農林省のいまの農林水産技術会議の機構等については、検討を要する段階が私はきておると思いますが、拡大強化ないしは整備充実等、いろいろな意味を含めてどのように御判断になりますか。この際大臣としての御所見を承っておきたい。
  43. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 農業につきましては、もちろん営農技術、これは裏打ちをされていかなければならぬことは、これはもう当然のことでございまして、たとえば今日作物転換、われわれとしては畜産、あるいはその基礎になるところの飼料作物、こういったものについては重点を置いていかなければならない。したがって一貫技術体系というものを類型別に積み上げて、過去の研究あるいは過去の経験もとに、これは当然のことでありまして、いままでもやっておりますが、今後もさらにわれわれとしてはこれに対しては極力努力をしてまいりたい。  そして技術会議の問題でございますが、なるほど改良局時代には改良局時代の特徴もあったでしょうが、諸般の経緯を経て今日の技術会議になっております。最近私どもとしては、相当これ、各試験場その他私も見ておりますが、相当努力はいたしておりますが、なお今後とも私どもはこれを充実していくことにはやぶさかでないことは当然であります。
  44. 足鹿覺

    足鹿覺君 ちょっと時間が超過しそうですけれどもお許しをいただきたいと思いますが、米の過剰傾向に端を発して、大蔵省農林省の上層部あるいは外部団体から、稲作技術研究等について、もうある程度押えたらいいじゃないか、技術の研究だとか、あるいは増産の研究だとか、そういうようなことに補助を出したり、あるいは有利な融資をするということはつまらぬではないか、抑制ないしは打ち切るべきではないかという論があると聞いておりますが、農林大臣はお聞きになっておりますか。また農林大臣みずからどのように技術会議等の現段階をあわせ考えられて、いまの御答弁から考えてあり得ないと思いますが、いかがでありますか。
  45. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は米というものをいじめるという考えはございません。米は総合食糧としてあくまで今後も、いつも申し上げますようにキングであり王者である、日本の主食の中心である。したがいまして、これが良質でありかつ生産性が向上する、こういう意味においての技術というものは大いに今後もやってもらわなければならぬ、こう思うのであります。しかしながら、同時に国民の需要の強まるところの畜産その他の面におきましても、私どもはさらにより以上、従来以上にこの技術等については力を入れてまいらなければならぬ、こういう考えでございます。
  46. 足鹿覺

    足鹿覺君 これは原審議官に聞いたらいいんですか、技術会議に聞いたらいいんですかよくわかりませんが、原さんは農業技術の大家で審議官ですから原さんがいいかもしれません。稲作の多収穫品種とはまずい米の代名詞のごとく何かこのごろマスコミでいわれておりますが、技術的に見て、育種学上から見て、そのようなことは言い得るのでありますか。
  47. 原政司

    説明員(原政司君) お答えいたします。  足鹿先生御案内のように、食味の問題は非常に複雑な要素を持っておりまして、研究者におきましても、その鑑定方法等についていろいろ研究を進めておりますことは御案内のとおりでございます。しかし一般的に申し上げまして、確かに不評な品種と非常に好評な品種とありますことも御承知のとおりでございますが、概して申し上げますと、従来耐病性あるいは冷害抵抗性ということに重点を置きますと、その結果といたしましてやや品質に難点を生じてきましたことも、この長い間のわれわれの経験に徴しましても事実でございます。しかし品種とそういう耐病性あるいは冷害抵抗性という相関関係等につきましても研究が進むにつれまして漸次改善をされまして、現在ではかなりそういった矛盾が解決されている段階でございます。なお今後の見通しといたしましては、われわれ関係者の今後の見通しといたしましては、良質かつ多収、かつ耐病性という品種の育成も今後は可能であるというふうに研究者あるいはその事業に携わっている連中は将来に対して考えている次第でございます。
  48. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまの御答弁で私は了承いたしました。その次の質問まで全部御答弁になったようでございますので、もう一点お尋ねをいたしますが、これは非常に最近のベストセラーの米について書いた専門の書を読んで感じたことでありますが、最近砕け米、くず米が非常に多い、胴割れ米が非常に多い。それはどこに原因があるか。まずい米と一口にけなすということは私はできないと思うのです。要するにライスセンターやカントリーエレベーターが漸次普及をして、そうして送風の熱が高過ぎて玄米の内部にひびが入る、これを胴割れ米といって、これを白米にするとくず米になってしまう。そこで、これを防ぐためにはコンバインの機械の幅や乾燥機の中で強い衝撃にあっても口を開かないようなかたいからのもみがほしいわけである、からのかたいもみをつくるような品種がほしいわけであると指摘されております。まさに従来はセンバでこいだものが上ずりうすにかわり、動力脱穀機にかわり、ライスセンターにかわり、さらにカントリーエレベーターにかわっていくと、こういう革命的な米の精米過程を見て、これに品種が即応されていかなければどのようなりっぱな品種をつくってもまずいんだと、こう言われてしまう可能性があり、こういう点について農林水産技術会議はどのような研究をし、どのように対処しておりますか。そういう近代的な米の機械化の革命に備えて、これに対応していくようなからのかたい、胴割れのこないうまい品種がそのまま保持できるような対策についてどういう対処をしておりますか。いまのまずい米論議を見ておっても、一口にまずいという。なぜまずいというかに対する検討というものに対して政府はこのような事態について国民に納得できる説明をしない。だから何か食管制度が悪くてまずい米を食わされておるよるような錯覚を起こす。この点にも私は日本の農業技術の指導に当たる政府なり技術会議に私は非常に停滞がある。怠慢とは言わぬが、少なくとも停滞があるということを指摘したい。その点についてどのように対処されるつもりか、原さんなり事務局長から承り、さらにそういった面はややもすれば技術的だといって、この農政の論議の場でやることは何か議論がこまかいというような印象を持ちがちでありますが、私はこういう問題を具体的に解決せずして、うまい米、まずい米の論議をし、米の問題を論ずることは私はできないと思う。そこまで問題点はきておると思いますので、農林大臣の御所見があれば承っておきたいと思います。
  49. 近藤武夫

    説明員(近藤武夫君) 最近の収穫過程の機械化等に対応いたしまして、それに適合した品種をつくるということにつきましては、そのような基本的な目標のもとに米の品種改良を続けておるわけでございます。機械化適合性の品種作出ということが目標でございまして、そういう性質を持った品種が作現しつつあるというのが現状でございます。  それから食味の問題につきましては、率直に申しまして食味の要素をもう少し重視すべきであったというふうに反省しておるわけでございますが、食味のいい品種もたくさんございまして、すでに出ておるわけでございます。今後は食味という要素を米の育種におきまして最も重要な目標に掲げてやっていきたいというふうに考えております。
  50. 足鹿覺

    足鹿覺君 農水技事務局長、あなたは技官出身ですか事務官ですか。何だかきわめて平面的な御答弁になりますが、実証がないですよ、あなたの答弁は裏づけが。たとえばどういうものがあるからその要請にこたえつつあるのだ。たとえばフジミノリをやり玉に上げる、これは早期多収である、まずいという。ところが実際はからが厚いのです。だから百姓はたくさんとる、つくる、これを排撃しようとしておる、あなたの言っておることと違いますよ。ですからやはりいまの農林水産技術会議の運営なり構成には問題が私はあると思うのです。農林大臣は先ほども技術会議の問題については何もお触れになりませんでしたが、こういうあり方ではいわゆるびっこになっておるのです、日本の農政は。非常に技術はむしろ農民のほうが進んでおる。末端の指導員、改良普及員のほうが進んでおる。農事試験場は何をやっておるかと言えば、いわゆる博士論文の研究をしておる人もたくさんおるでしょうし、とにかくあまり応用の面について成果をあげておる事例というものはたくさんはないように思います。とにかく今後の営農を類型とそれに即応する技術一貫体系の問題とあわせていわゆる時代に即応したいろいろな農産物に対する品種の革命的な開発、育成ということが私はなされなければ、あなた方が何ぼこういう長期計画を立てたって絵に書いた餅に終わってしまうということを指摘し、農林大臣についてはこれはきわめて農政的な面よりも技術的なあなたの胸三寸で解決つける問題だと思いますが、御所見があればひとつお聞かせをいただきたいと思います。いかがですか。
  51. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私も技術というものはしろうとではございますが、しかし農政を進めるに当たって技術というものがきわめて大事であるということは十分わかるつもりでございます。その意味では今後も私どもは時代に即応した技術の振興、これをはかってまいりたいと思います。
  52. 足鹿覺

    足鹿覺君 最後に、事務局長一つお尋ねをしますが、いま転作問題が先ほどから問題になっておりますが、農業技術会議農林大臣から稲作転換の対象となる地域、あるいはそれを進めるための御下問がありましたか、なくても研究しておりますか。地域別に集団的にやるようにという考え方か、あるいは北方水稲地帯か、山間水稲地帯犠牲になると考えられておりますが、その地域に対して転換技術的、経営的、何を導入し、これを営農体系としてまとめていくか、そこまでお考えになっておりますか、私はそこまでたとえこの方針が誤っておったとしてもそこまで考えておられればわれわれと所見を異にしたといえどもそれはひとつの見識であり、ひとつの政策の一貫化として評価に値すると思いますが、それもないというふうなことではわれわれはあなた方の大きなスタッフをかかえたいまのあなた方のやり方に対して尊敬することはできません。どうですか。
  53. 近藤武夫

    説明員(近藤武夫君) 試験研究機関の研究の結果、それぞれの地域に適合いたしました転換作物技術体系というものはいろいろできておるわけでございますけれども、この際われわれといたしましては全国にわたりましてそれぞれの地域に適した転換作物は何であるか、で、それに対する技術体系は具体的にどういうものが適当であるかというような総合的な調査をこの際農林省の試験研究機関の全体の組織をあげまして、そういう調査を緊急に行なうことが必要ではなかろうかということで各関係試験研究機関と目下協議をしておる最中でございまして、十二月の初めごろまでにその計画をきめるように取り運びたいというふうに考えております。まあそれができればおそらくいまのお話にございましたような趣旨のものにほぼ近いものができ上がるんではなかろうかと、これはまあ緊急を要するものでございますので、できるだけもう期間を早めまして、で、しかも新しい試験研究をやるというんじゃございませんので、既存の研究の蓄積を活用いたしまして緊急に取りまとめるということを考えておるわけでございます。
  54. 原政司

    説明員(原政司君) ただいま技術会議の事務局長からお答えを申し上げましたとおり、何と申しましても技術的な検討を十分深めることが非常に重要なことでございますので、技術会議の年来の研究の成果あるいは県、国を通じましてのことでございますが、そういう研究の成果を中心にいたしまして関係各局の技術官の間でただいま御指摘がございました技術的な問題につきましては検討をいたしております。
  55. 足鹿覺

    足鹿覺君 まだいっぱい質問を用意しておりましたが時間が来ましたので、大臣に大事な食管制度関係して配給制度改善の問題について大臣関係するところだけほんの、抜いてお尋ねをし、あと食糧庁長官に明日お尋ねをすることにいたしますが、お許しをいただきたいと思います。  配給制度改善対策はその後どうなっておりますか。年内には実施できますか。何かもめておるというふうにも聞いておるのであります。  それから、制度改善のねらいについて、小売り販売業者の新規登録を急いで認めるべきではないか、特に人口急増の団地等に対して知事をして即時新規登録の認可をするように指導しておられますか。聞くところによると、ある県では四十二年一月から十二月までに新規登録の公示はたった三カ所であったと聞いております。何か停滞をしておる、これが二点。三点は、卸小売りの登録がえは認めない、これは政府の配給改善対策要綱を見ますと、小売店に対する消費者の登録は自由にしたいという考えのようである。だとするならば卸と小売りとの登録は、小売り店の自由意思によって競争原理の導入をはかってこそ真の目的が達成できるのではないかと思うが、いわゆる良心的な卸や良心的な小売り店に消費者が集中していく、小売り店が集中していく、そういうふうな面は食管制度の改善として私はけっこうなことだと思いますが、何か卸売り、小売りの登録がえが停滞をしておる、これに食糧庁は反対をしておられるような、賛意を表されないような点があるように思いますが、いかがでありますか。これが第二点ないし三点であります。  次に、配給秩序が混乱しておりますが、これに対してどういうふうに政府は対処されようとしておられますか。いまの状態を見ておりますと格上げ配給が行なわれておる、等外米を政府が買わないということになったために等外米が上米と一緒に東京や大消費地に流れ込んでくる、たとえばナシとかくだものの名前を打った紙袋ないしその他の容器に、包装で堂々と東京へ流れ込んでくる。一体物統令はまだ生きておるはずの法律だと思います。物価統制令四条を思いますが、これが生きている限り今日のごとくやみ米を公認し、しかも一格ずつ上げていく、等外米を普通米にして配給していけばぼろいでしょう、物価政策の上から見ても私はおかしいと思う。そういうことが公然と行なわれておりますが、この配給秩序の混乱に対してどう対処されようとしておりますか、これが三ないし四点。  それから、現在の配給上の問題になっておりますのは集中精米制度が食糧庁通達ないしは食糧庁の方針で出ておることは御承知のとおりでありますが、集中精米ということは全国を対象にしたものであり、たとえば二百馬力以上に大体したいというお考えのようでありますが、これでは独占を奨励することになり、競争の原理というものは無視されると思います。私の鳥取県では鳥取、米子が五十馬力ずつ、その他に農業団体が三十馬力、二十馬力というものがありまして、ほとんど全部合わせても二百馬力にはなりません。これを大都市並みに全国一律に集中精米を称して独占を許すかのごとき方針をとっておられるかのごとく受け取られますが、これはおかしいではないかと思います。配給秩序は混乱に混乱を続け、また政府がやろうとしておることは、それには手を染めずに、物統令を寝かせておいて、そして一面においては競争原理を導入すべきことはこれを取りやめ、そして独占を奨励するような基本方針を配給改善といわれるでしょうか。こまかいことは明日食糧庁長官中心にお尋ねをいたしますが、この点で農林大臣なり、あるいは農林大臣ではこまかい問題があったと思いますが、食糧庁長官から御答弁を願っておきたいと思います。
  56. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 米の需給が緩和の実情があることは事実でございまして、これに即応して買い入れ制度、これをどうするかという問題、これにあわせまして配給制度の改善、これについてはただいま基本的には検討中でございますが、当面すでに発表になっておりますような米穀販売業者の消費者等との間の登録制度の改善、それから大型集中精米、これの推進をしていきたいと、こういうことによって米穀販売の近代化、それから配給基準量を引き上げる、こういうようなことにつきまして、当面措置としての考え方というものを私どもはすみやかにやりたい、それを党との間でただいま調整中でございまして、当面措置はできる限り私どもとしては急いでやってまいりたいと思うのであります。結論を得て急いでやってまいりたい。それから物統令の問題、言いかえますれば秩序が乱れていやせぬかと、確かに御指摘のような面も私は存じております。ただ物統令、言いかえますれば、秩序というものは基本だけはできるだけ維持してまいりたいが、末端の現象における一々の行為というものについては必ずしも今日厳格に処理をしにくいというような状況に立っておることは事実でございますが、基本は私どもとしてはこれを維持してまいりたい、こういう考えでおります。
  57. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 大臣のお答えに補足いたしまして御答弁を申し上げます。  当面の米穀の配給改善の方策につきましては、米価審議会等にも当局の腹案を示しまして御意見を求めたのでございますが、その後関係の業界あるいはその他の関係方面意見を求めまして、なるべくすみやかに実施をいたしたいというふうにつとめてまいったのでございますが、現実の米の流通の問題でございますので、その間に実務上の難点を生じますことは、これは広く本来の姿でございますが、消費者に御迷惑をかけるという場合もあり得ますので、慎重に検討いたしてまいった関係上、事務的にも多少おくれておるのでございますが、現段階でまだ実施に至らないということは端的に申し上げまして与党に総合農政調査会が設置されましたわけでございますが、その審議事項と配給改善の問題とは関連があるということで党の側にも意見があるということでその調整をする必要があるということで今日もなお意見調整をしておりますが、その点でまだ最終的には調整を終わりませんで実施に至らないというような情勢でございます。意見調整ができましたならばすみやかに実施をいたしたいというふうに考えておるのでございます。  それから、第二点の、第二点と申しますか、新規の小売りの参入がはかばかしくないようではないかということでございますが、私どもは指導としては人口急増地帯等で消費者が非常に遠距離といいますかの小売り販売店に登録をすることもやむを得ないようになっておるというようなことから、そういう不便を除くために新規の小売りを設置する場合には、新たに事業地域を指定をして小売りの新規参入を認めるという方向で指導してまいったのでございますが、ただいまの指定のしかたは一市町村単位に指定をいたしております関係上、現在の市町村区域、地区町村の区域では人口急増地帯がその中に含まれてしまって意味がはっきりしないというようなことから地方自治体の指定がなかなか進まないというようなこともございますので、今回の改善案ではその点について人口急増地域を特定して地域指定をするということで、新規小売りの参入を進めてまいりたいということを考えておるわけでございます。  それから、私どもの案では消費者と小売りの登録の結びつきを廃止いたしまして、同一地区町村内では消費者は配給通帳を呈示することによってどの小売り店からでも配給を受けられるようにいたしたい。ある意味での競争の原理を取り入れたいという考え方の案になっておるのでございますが、それに対しまして小売りの卸への登録は特別の卸に登録をいたしたいという場合にはもとの卸の同意なくして登録がえができるという点はゆるめてありますが、全般的に卸と小売りの登録については消費者と小売りの関係よりは登録制度の緩和という問題が表に出ておりません。これは今後なお私は検討すべき事柄ではあると思いますが、小売り業者と消費者はこれは配給機構消費者関係であり、小売りと卸は配給機構そのものの関係でございますので、取引の実態も異なっておりますので、なお研究はいたしますが、今日の段階で直ちに同様に見ることは私は配給実務の混乱の問題があるのではなかろうかというふうに思っておりますので、そこに差が出ておるということであります。  それから、配給秩序の混乱の問題につきましては事実私どもそういうような御指摘のようなことを聞くのでございまして、それを排除いたしますために集中精米による小袋詰め配給というようなことも考え、また都道府県あるいは食糧事務所による監査の励行、またそのことのために消費者意見を求めるということで全国的に精米配給協議会というようなものを消費者を含めて設置することを指導しておるのでございます。  集中精米について、先刻二百馬力というのは大き過ぎて独占になるのではないかという御質問でございましたが、確かに全国を二百馬力ということで画一的に実施することは私はやや困難があると思っております。どの程度にするべきかということはなお検討を要しますが、少なくとも地方においては百馬力程度のものを集中精米として認めることが必要ではなかろうかというふうに思っております。
  58. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 きょう、十九日でございますが、富山では単協の代表人たちが集まって農協大会を開いているわけです。先ほど足鹿委員の大臣とのやりとりを、実況を見まして、これをそのまま実況放送したならば、だれの意見に拍手を送り、だれの考え方に怒りを爆発するか、きわめて私は明瞭であり、日本農業の今日の直面する問題に非常な怒りと憂いを持っておるものであります。そこであえて説明員として経済企画庁官房長出席をいただいておりますので、その答弁を枕にしながら農政の問題等について農林大臣に所感を伺いたいと思うのであります。  それはマスコミでは第二次宮澤構想という表現をとっているわけであります。発想の根本は現在の物価上昇ということで、物価上昇を経済全体の問題としてこれをどう始末をつけていくかということから宮澤構想は四つの考え方を明らかにしているわけであります。一つは、所得減税をほどほどにして総需要の抑制をはかりたい。いま一つは、生産者米価、消費者米価、二つとも三年間据え置きをする。次は、国鉄の公共料金を押えるということ、それについては財政投融資等によって処置をはかる。第四点は、人事院勧告を予算編成前に出させるなどと、問題をきわめて明瞭に提示しているわけであります。そのことは足鹿委員が先ほど指摘したとおりでありますが、あえてここでお尋ねしたいのは、生産者米価、消費者米価を三年間据え置きをする、きわめて明瞭であります。このことについて後ほど農林大臣がいかにお考えになるかをお伺いしたいわけですが、あえて企画庁の官房長にお願いすることは、この議論、考え方の背景にあるもの、それは単なる物価政策なのか、また経済構造の基本的な変革を目ざし、その中における日本の農業構造の問題に大きなメスを入れようとしているのか、そうしたことについてお伺いしたいわけです。もちろんいまあとで指摘したようなことなくして三年間据え置きをするというような大胆な発言は、提起はできないものだろうと私は信じているわけです。そのことを企画庁のほうから明確に御答弁いただきたいと思います。
  59. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) いわゆるただいまお話になりました第二次宮澤構想と申しますのは、自民党の政務調査会におきまして長官個人として御出席をされまして御発言をされた内容でございます。そういう意味でお聞き取りを願いたいと思いますが、その際にただいま申されましたようなことを言われたわけでございますが、長官が生産者米価につきましては三年間据え置きということをおっしゃったわけでございますが、消費者米価については来年は引き上げることは無理である、また引き上げるべきではないと思うということだけでございまして、三年間消費者米価のほうも据え置くというふうにはおっしゃっておらないわけでございます。そこで御質問にございますような、いま申された点、どういうような背景でお話しになったかと申しますと、今後の経済運営の態度といたしまして、ただいま先生のお話しになりましたように、物価の問題が非常に大事である。したがって、来年は物価第一主義の予算を編成し、経済運営を行なうべきである。それについては米のほうから申しますと、本年度着手いたしました総合予算主義、いわば年度当初に予想さるべきその本年度内の財政需要というものは予算に計上しておく、こういうやり方は定着さす必要があるんではないか、これが第一点でございます。したがって、そういう意味合いから申しますと従来のように年の半ば、七月ごろにならないと、実際の生産者米価が幾らになるのかわからないといったような状態は避けるべきではなかろうか、むしろ本年はこれくらいだからまあこういうふうにつくろう、あるいは作付転換をしようというような判断ができるような体制をつくっていくほうがいいのじゃないか、これが背景の一つであります。  それからそういった総合予算主義ということを前提にいたしまして、第二に、現在の米価、特にこの米価が消費者物価全体に対して持っております心理的影響からかんがみて、消費者米価というものは来年上げるべきでないだろう。そういう発想をいたしますと、消費者米価を上げない場合には現在の食管会計への繰り入れは生産者米価を、逆ざやでございますから、かなり引き下げないとつじつまが合わない。そこでそういう意味生産者米価についてはできるだけ食管会計の赤字を消すという意味でこの引き上げを見合わせたほうがいいのじゃないか、これが第二点でございます。  それから第三点といたしまして、現在の全体の農政については、もちろん党の農政調査会あるいは農林省のほうで鋭意御検討中でございますけれども、少なくとも米作第一主義ということが現在の全体の総合農政の中で走り過ぎてきたのじゃないか、そこでこういった過剰な米という需給をにらんだ対策、特に政府が量だけを中心に質というものはあまり考えないで指導してきたという責任はあるのじゃないか。そういう意味合いで生産者米価については実際に適地適産的な総合農政が展開され得るようにこの方向づけをその価格によって行なっていくということを考えるほうがいいのじゃないか、ドラスチックな作付転換とか、そういったきつい手段ではなくて、値段によって判断をしていくというような方向づけができないだろうか、そういう意味合いで現在の米の生産者米価の決定方式はよく御存じのように、生産費所得補償方式と申しておりまして、その年の米の生産費に対しまして、平均反収からシグマを引いたもの、まあしたがって非常に少ない生産量になるわけでありますが、限界反収でこれを割り戻すという形で価格を決定しておるわけであります。したがって予算の際にその年に実際に米の生産をお始めになる前に生産費をきめるというのであれば、そのとき予想される米の生産費の上昇分に応じて現在の平均反収、四十二年で申しますと四百六十八キログラムでありますが、これが実際に採用しておりますシグマの限界反収で申しますと約八十キロばかり少ないわけであります。その限界反収から平均反収へ近づけていく米生産費の上昇に応じてその分だけを平均反収に近づけるという作業をやってもらえば結果的に本年産の米というものの値段を上げないで据え置きというような計算ができるのじゃないか、こういうことを続けながら三年間の間は米の値段は生産費を上げませんということでかりにいってみたら、農家の方はおそらくそういう状況を勘案して、適当な作付転換なり、適当な農政への転換へと移行していかれるのじゃないか、こういう趣旨の御発言をなさったと思います。
  60. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 あえてただいまの答弁を追っかけようとは思わないし、答弁に対する私の考え方もあるわけですが、問題を農林大臣のほうにころがしていきたいと思いますが、ただいまの経済企画庁官房長答弁の中で幾つかの問題が明らかになったと思います。ただし前提は個人であるという表現でございますので、どこまで詰めればいいか私もかなり迷うているわけでありますが、しかし、いまの話で、かりに、先ほど足鹿委員の質問していた米作をあるいは減反抑制するというような話の中で、答弁の中でややあいまいでありましたことが、企画庁のほうでは価格政策による操作、こうした三年据え置きだということをかりにいってみれば、そのことで農民に反応が出て、自主的な抑制があらわれてくるであろうという期待を含めた企画庁の発言であったように思われますが、そうした問題等を含めて、いまお聞きのとおりでございますので、大臣の明快な御答弁をいただきたいと思います。
  61. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 米価の決定を今後どのように行なっていくかについては、まあ総合農政の具体的な展開の一環で、慎重に検討していかたければならない。で、来年度における米の需給を今日の状況から見て私は感じておるのでありますが、消費者米価について上げるということについては、来年は五回目でありましてなかなか困難な状況に立つ、なるたけなら避けるべきではないかというのが私の意見でございます。それから生産者米価につきましては、いろいろなまだこれから検討していく段階でありまして、経済企画庁長官にも個人的な意見の提案、あるいはその他にもいろんな意見が出ているようでありますが、需給状況を勘案するということは、反映するということは、これは当然やるべきだと思います。それからいま一つは、従来のような形だけでいき得ないというような状況も立っておる、こういう中で総合農政の一環として私どもは決定をしてまいりたいと、こういう考え方もとに今後十分研究をしてまいりたいと思います。
  62. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 少し食い足らないようでありますが、と申しますのは、三年間生産者米価を据え置きすれば、米作第一主義で走り過ぎた、農林省当局の農政が誤っていた、そのあやまちが農民の自主的判断に従って修正されるだろう、こういう期待を含めていっておるわけですから、そうした期待に対しての大臣考え方をはっきりしておいていただきたい。
  63. 西村直己

    国務大臣西村直己君) それは経済企画庁長官も個人の意見として披瀝されているようでありまして、価格政策から米の需給調整をやりたいというお考えのようであります。これも一つのサイドの考えですが、しかし、私はそれだけで問題の解決をするには事柄が重大であると思います。そういう面で十分こういうような意見も、これは参考にはなります。ただ、一方におきまして、私どもは従来のような形でなくて、何らかやはり需給を反映するというような面では価格決定においてもやっていかなきゃならぬ、こういうことだけはいま申し上げられる段階でございます。
  64. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 時間が限定されておりますから、大臣簡単に一、二の点をなお引き続き質問したいと思います。それはきのう大阪における三木武夫さんの演説の内容で、物価という項目の中で、とりわけ農業問題をとらえておられるようですが、要約すれば、農業構造高度化政策を推進するため積極的な財政資金の投入も必要である。こういう言い方をしておられるわけです。この具体的な内容はわかりませんので、判断のしようもございませんが、ただ、きょうの朝日で古井さんと橋本さんの論争が出ているわけです。この中でも明らかに自民党内における農政に対する考え方が食い違っているようであります。この辺のところをどう大臣がかじとりをしながらいま日本の農業が直面している困難な問題に対処されようとしておられるのか、非常に私は苦労なさることだと思いますが、めんどうなことでしょうけれども……。一応古井さんの意見を簡単に紹介しておくとともに、橋本さんの意見もあわせて御披露申し上げながら——御承知のことだと思いますが、それに対する考え方を明示していただきたいと思います。特に農業問題でありますが、「農業は相も変らぬ零細経営で、生産性はきわめて低い。これでは農民はやっていけない。農業の近代化、規模の拡大はどうやって実現していくのか。」一方で、国民の食生活が向上し、食糧事情が大きく変ってきた。これらの変化に対して、農業はますます立遅れが目立っている。この矛盾がいま食管制度の問題として表に出てきたのだ。米価を小手先でいじくっても、根本的解決にはならない。放っておけば農民はどうなるのか。しめ上げられるだけではないか。」、こういうきわめて否定的な発言をしておいでになるようであります。一方、橋本さんは、「農業問題については、これまでの歴代内閣が食管制度に慣れきってきたため、十分な手をうってこなかった面がある。今後は米作中心の農業でなく、畜産、野菜など園芸、果樹の生産に力をいれるなど、総合農政を根本的に検討しなければならない。これはいわば佐藤内閣のこれからなすべき使命でもある。」、だから若干の食い違いがあるように思われるわけです。その辺のところを大臣に求めるのは無理かもしれませんが、これをどう統一的に理解すればいいか、答弁お願いしたいと思います。
  65. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 古井君も橋本君も、両者とも総裁公選という党内事情を目ざしてそれぞれ意見を発表されておるのでありまして、まあ農政あり方について、両方がそれぞれ候補者をかかえているから、候補者の立場のいいようにしゃべったのじゃないかと思います。まあ北門から入る人と、南門から入る人とありますから、入り方は、多少ことばのニュアンスは違いますが、入ること自体は同じ目的でございますから、私は党内で矛盾はないと思います。言いかえますると、私はこういうことだと思います。米の需給が相当緩和されたということについては、党内については異論はない。問題は、それに対してどういうような手を打って農業の近代化をはかっていくか、農民の所得を向上させながら、農業の近代化、しかも需要に合ったものをやっていく、これが農業のためであれば、それにはやはり一方においては金を使う、一方においてはやはり調整をしていくべきものは調整していく。こういうことから、それぞれの意見は一致していくんじゃないか、こういうふうな考え方であります。
  66. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 その他にも質問等がございますが、理事会の申し合わせがございますので、私は一応打ち切りまして、明日、大臣以外の所管の皆さんからお聞きすることとして、きょうのところはこれで終わります。
  67. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 次に任田君。
  68. 任田新治

    任田新治君 私も時間があまりありませんので、特に大臣にお伺いしたいことだけを伺いたいと思います。実は作付転換の問題、これに関連いたしまして多目的干拓の問題、また次期の構造改善事業について、こういうことでありますが、まず多目的干拓について大臣にお伺いいたしたいと思います。  御承知のとおり戦後の緊急開拓の当時、ちょうど干拓事業としては全国五万町歩くらいをめどにしまして干拓事業が始まったわけでありますけれども、非常にその成果があがっただろうと思います。しかし、何といっても、時代の推移によりまして、その干拓地そのものが農地として利用されているというわけにはまいりません。どんどん中には転用されておるものもあろうかと思います。また農地法があり、その関係で、かえって干拓地に造成された住宅地なりあるいは工場用地というようなことが問題を起こして、しばしば国会で論議の種になったこともあったわけであります。今日のように、米作そのものがやかましくなり、干拓地の中に農地をつくることがどうかなということになってまいりますと、考えざるを得なくなってきた面も多かろうと思います。  ところで、農地局長にお尋ねいたしますけれども、いままでに干拓地として完成したものが大体どれぐらいございますか。また、そのうち、大体、転用されたものがどの程度ありましょうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  69. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 戦後、緊急干拓以来、四十二年度まで、昨年度までに完了いたしました面積は、造成いたしました面積は一万三千ヘクタールでございます。それから第二番目のお尋ねの、その中で他用途に転用いたしましたものは、これも四十二年度までの合計でございますが、十九地区、千七百三十二ヘクタールでございます。
  70. 任田新治

    任田新治君 先ほど足鹿委員からも、特に土地改良の長期計画の問題で、干拓事業の現在施行されておるものについて、今後どういうふうに処理するかというお話があったわけであります。私自身もこの点は御質問を申し上げたいわけであります。それぞれの目的に従って、すなわち、農地造成という目的によりまして、このままその現地で、希望に応じて事業が進められていくだろう、このように信じておりますが、その点はいかがですか。
  71. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 現在、干拓事業を実施中のものは約一二万四千ヘクタールございますが、その場所は、あるいは先生御承知のように、主として西日本——もちろん八郎潟にも大きなものがございますが、したがいまして、この地域地域の実情に応じて考えていかなければならないというふうに思うわけであります。大体、干拓は水田、水稲をつくるというのが原則でございます。しかし、いろいろな需給事情等もございますので、いま着工中のもの、あるいは計画中のものにつきましても、たとえば田畑輪換計画というものを入れてまいりますとか、その辺は地元とよく話し合いをした上で考えていきたいというふうに考えておりますから、やっておるものにつきまして、これを急にやめるというふうなことは現在考えておりません。
  72. 任田新治

    任田新治君 その点では、私もいささか安心をいたしました。ぜひとも現地の事情に即応して、そうしてやっていっていただきたいと思います。また、せっかく多額の工事費を投じていま施行中でありますから、それがむだになるということでは困るわけであります。  そこで、私といたしまして、新しく一つ提案をいたしてみたいと思います。元来、干拓の技術というものは明治時代からの、当時の農商務省時代からかもしれませんが、農林省のお家芸でございまして、いわゆる内務省でもなく、またいまの建設省にもなく、運輸省あるいは通産省にもこういうような技術はありません。したがいまして、農林省だけがこの技術を持ち、特にオランダから最近では干拓の大規模な技術を導入しまして、しかも工事期間も極力短縮することのできる技術を導入しましてやっておるだろうと思います。しかしこれが農林省のお家芸であるがために、その目的は何であるかということになりますと、農地造成である、こう言わざるを得ないので、農地造成を目的に掲げて、農林省の所管として干拓事業がなされておったわけであります。しかし、昨今のこのような情勢になりますと、必ずしもそういうことでは適正ではないというふうに私は考えます。なにしろ国自体が持っている、一つ機関が持っているところの高度な技術を、一つの省だけで独占する。しかも農地造成という目的だけで独占していくというようなことでは、この狭い日本の国土というものの発展はない。どうしてもこの干拓技術というものをこの際飛躍的に発展させまして、多目的干拓ということに踏み切って、とにかく工場用地であろうが、あるいは住宅用地であろうが、あるいはまた本来やっておりましたところの農地造成であろうが、そのようなものの目的のために広く門戸を開いて、そうして干拓技術を今後も活用していく。それが、ひいては大きな意味合いの国土造成であり、そこに意義があるというふうに私は考えます。  こういう点で、さて具体的にどうすればよいかということも、私はよりより考えてみているわけでありますが、とにかくこの際、干拓技術というものが、農林省にあるあの技術陣営というものを、ひとまず農林省から引き抜いて、そうして新しく関係各省の共管の場であるところの、たとえて言うならば公団であるとか、そういうものをひとつつくり上げまして、そこであるいは港湾、あるいは運輸、あるいは建設、もちろん農林というようなことで、一つの多目的な干拓をやっていく場をひとつつくってみたらどうか、こういうふうに思います。また、そうすることによって、新しくいわゆる作付転換意味合いのことも今後解決できる道もあるだろうというふうに信じているわけでありまして、現在、これは申すまでもないことでありますが、八郎潟の新農村の建設事業団があったり、あるいは農地開発機械公団があるというようなことで、農業の関係だけでも土地の開発あるいは建設ということで公団もあるわけであります。これらの公団もひっくるめまして、もう少し大きい意味での公団をひとつ考えてみたらどうかというふうに思います。また、建設ということだけではなくて、でき上がった国土というものに対しての、土地の管理の意味合いをも含めまして一つの公団構想が打ち出されていいのじゃないかというふうにも思います。最近、私伺ってみますと、行政管理庁のほうで、中国、四国のほうですか、あそこのほうで監察がありまして、そうして勧告があるようでありますが、そういう点で何らかの関連があれば、そういう関連の勧告の内容をひとつお伺いしたいと思います。
  73. 石田勝

    説明員(石田勝君) おくれてまいって、申しわけございません。  行政管理庁で九州管区行政監察局をはじめ七管区の地方局で、昨年四月から数カ月にわたって干拓の事業の現地的な調査をいたしておりました。その結果、本年の九月の十日に、一応農林省に取りまとめた勧告をいたしております。  おもな要点を申し上げますと、最近、主食増産のための干拓事業というものの必要性がやや薄くなってきている。なおその上に、非常に干拓事業というのは長年月を要するものですから、事業計画着手当時と最近の状況と、非常に周囲の経済社会状態が変わりまして、工事の途中で中止したり、あるいは工事はでき上がったけれども、ほかの用途に使っているというふうなものが数少なくはない状況がわかりました。したがって、今後干拓事業を進める場合には、社会経済の発展動向に即して今後の干拓事業のあり方をもう一ぺん検討し直したらどうだというのが主眼でございます。なお、具体的な問題として途中で中止したりあるいは工事を休んでいると、そういうものも、将来農用地として使用する見込みがないというふうなものが君子ありますが、こういうものは国土の総合的利用の面から、ほかの用途に転用処理をするような促進をはかったがいいんじゃないか、こういう点も申しております。また農地として造成されたものも、その配分状況を見ますと、非常に零細化してしまっておる。で、結局農業経営規模の拡大あるいは構造改善と、そういうものにあまりたいして役に立っていないものもあるというので、そういうふうな事例、前轍を踏まないように、いわゆる配分の適正化ということも注意していただきたい、こういうことを勧告申し上げております。
  74. 任田新治

    任田新治君 ありがとうございました。どういう内容かわかりましたが、私のいま申し上げた意見に対して、かえってマイナスだというような意見はないようでございます。ますます意を強める次第でありますが、いま大臣に対しまして、私いろいろ意見を申し上げました。きょうお話をして、すぐきょう御意見がどうだというのも何でございますけれども、しかしこれは長い間の事業をやって、しかも相当の技術を外国から導入し、しかも日本の国土に合ったように技術をそしゃくして、そうして今日まできておるわけでありますから、狭いのれんの中におるということでなくて、広く門戸を広げて、そしてしかも作付転換の今後の処理にも対処するということもできますわけでありますので、この点を特にお考えをお願いいたしたいと思います。そこであわせて大臣の御意見もこの際ちょうだいいたしたいし、また大蔵省から主計官がお見えであれば、大蔵省意見をちょうだいいたしたい。
  75. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 結論から先に申し上げますと、私同感です。と申しますのが、私、総合農政の中にもうたっておりますように、農政立場でありますけれども、国土の総合的な開発利用、したがって国土を広げていくということは、非常にいまの日本の国民経済にとっても基本的に大事だ。そこで海、湖沼におきましては、干拓開拓、それから山におきましては里山を中心に開発を行なって広く使っていく。これは主として草地、畜産等を中心にした考え方中心になると思います。そこで今度は干拓等の場合におきまして、確かに農地造成の大事な面もあります。大規模農業をやる場合に、そういった広いところで近代化農業をやっていただくということも必要でありますが、一面におきましてただそれを水田を中心にしたもので広げていくという、時代の要請と逆行する面があっても、国民経済全体から見てまずい。そこでおっしゃるような多目的的な時代に合ったような中で、その従来たくわえられた技術というものを大いに生かしてもらう。私は農林省一つの中で視野を広めるだけでなくて、もっと大きな舞台にその技術をむしろ発展的に伸ばす、こういう中で問題を解決していけば、ある程度社会資本として投資されたものが、より時代にも合い、効率的に、もちろん農業に寄与するものもありましょうし、宅地に、あるいは工場敷地、あるいは交通に、あるいは流通の仕事に、いろいろな意味で役に立つ。しかもその技術というものは蓄積された非常にとうとい技術でございますから、それを生かして、したがってその場合には、場合によれば、単なる特殊法人設定はいかんとかいいとかいうワクの問題を越えたもっと高い次元からいろいろくふうをこらせば、私はそういう構想というものの具体的な生かし方というものが出てまいるのではないか、こう思います。私どもとしても十分これは大事な意見でございますから、検討は加えてまいりたいと思います。
  76. 任田新治

    任田新治君 直接機構だ何だという問題を担当しておられます行政管理庁の御意見をひとつ……。
  77. 平井進

    説明員(平井進君) 多目的干拓につきましては、関係いたします省庁が種々に分かれますことは御承知のとおりでございます。また実施いたします場合にはいろいろ調整をいたす問題も出てまいるかと存じますが、御指摘もございますので慎重に検討を進めてまいりたいと存じます。
  78. 河田賢治

    ○河田賢治君 西村農林大臣は急がれるそうですから、私はできるだけ問題の焦点だけを話して質問したいと思うのです。  二つあるんですけれども一つは一応見ておいていただくだけにします。これは群馬県の安中でできておる米です。これは葉で、いろいろ被害をこうむった。これはちょっと日にちがたちましたけれども、土、こういうものを持ってまいりました。現地でとってきたわけです。これについて農林大臣に直接ただすわけじゃありませんけれども、こういう被害が日本の各地にかなりあるということですね。農林大臣も、この前私が深川の倉庫を見に行きましただいぶあとになって、また行かれておるようですが、もっともっと下情に通じていただかないと正しい政策は生まれてこないんじゃないかというふうに考えます。  そこで、安中のほうの被害の問題は、他の関係者から一応大臣と同じ資格で答弁していただくことにして、もう一つの問題は、京都の中央卸売市場が最近倒産をして廃業をしたという結果があります。これはもう新聞でも発表になり、また農林当局も中央卸売市場の問題についてはそれぞれ資料をもらっておられるわけです。一体、こういう中央卸売市場というような公共的な性質を持った市場の中の会社が倒産をすると、ほとんど、ああいう市場というものは大体責任者である都市がこれをずっと場所から何から提供している。ですから、そこの卸売業者というものは、いわばたいした自分たちに設備やらいろんなものがなくてもやれる仕事なんです。ところがこの会社は実に京都市からでも十回のこの問題についていろいろと警告を受けておる。農林省も最近になって八月ごろに一つの解決策を出されておるんですけれども、こういう長きにわたって、そして毎年毎年農林省は年二回の決算報告書を受けておられる。そうしてまた、会社の、あるいは会社の重役の兼業は一応は禁止され、万一兼業をやる場合にはその承認を受けなくちゃならぬとか、あるいはその資料を提出しなくちゃならぬということになっている。それほど公共性が重んじられている。ところが、この会社が御承知のとおり資本金五千万円で約八億が近いところの負債を持っておる。そして農民にだけでも約一億一千万の今日未払い金がある。こういう中でいま倒産しておるわけですね。一体こういうことについて農林省として農林大臣はどのような考えを持っておられるのか。これについて農林省が責任を持つのかどうか。その責任の内容はどうかということを基本的な問題だけをまずお聞きしたい。その他の問題は関係者からお聞きしたいと思うんです。
  79. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 群馬県の問題、これは確かにこういうような状況について、厚生省、農林省等、工場の廃液等が川に流れ込んでこういう被害がある、こういうようなことから、さらに実態を調査して明らかにしてまいりたい、このように思います。  それから、京都の中央卸売市場のたしか丸京青果という卸売り人の会社が夏に倒産をして、生産者あるいは金融機関等いろんな面に影響しておる。特に生産者に迷惑をかけておる。こういう状況につきましては、私も関西の市場等を調査に参りました際にも報告は受けておりました。担当部局におきましてもしばしば現地へ参りまして、いろいろ実情調査をいたし、この事態が起こりましたことは非常に残念なことでございまして、私どもとしては、中央卸売市場の機能は公共的な性格を持っておる。ここに参加しておる卸売り人が経営をルーズにやって、そして倒れて、生産者に、出荷者に迷惑をかけるというようなことは、非常に遺憾であります。と同時に、公共性のある卸売市場の信用を害するということは、これは消費者にも迷惑なことでありましてまことに遺憾に存ずる次第であります。ただこれにつきまして、第二会社をつくるとかいろんな工夫をこらしているようでありますが、あと十分でなくて、産地の未払い金の処理、こういうようなものにだんだん問題はしぼってはきております。それらにつきましでも、後ほど担当の局長から、見通し等について、処理のやり方等につきまして方策等を、ただいま用意と申しますか、検討と申しますか、話し合いと申しますか、詰めておりますので、それらによって、ひとつ今後そういうことの事態のないように、全国的に十分注意をしてまいりたい。また私どもとしては、中央卸売市場なり、こういう市場というものの明朗、近代化、これに対して前向きに進まなきゃならぬときにこういう事故を起こしましたことについては、まことに遺憾に存ずる次第であります。
  80. 河田賢治

    ○河田賢治君 一つだけお聞きしたいんです。まあ、先ほど話がありまして、いま進めておると言われておりますが、しかしこの処理の方法が、聞くところによると、農林省の指導では京都市が二千万円、それから業者が、二つの会社だけがあと残っておりますが、この業者が五千万円の負債の引き継ぎをして、そしてこれを、市場の手数料をまけてやるから、また二つになれば収入も多くなるだろうからといって、そういうところへおっかぶせて、そして結局物価を上げると、こういうことになってるわけですね。農林省自身は何一つこれに対する自分たちの責任というものは明らかにしてない。農林大臣が、すべてここは全部帳簿の監督、帳簿を見たり、その資産内容を見て、そしてもう早くから手を打って、こういう問題の起きぬように指導する責任があったわけでしょう。ところが、こういう問題は全部下へ押しつけてやってしまう。その結果、京都あたりの野菜あるいはリンゴなんか、価格は非常に上がってきているんです。実に、これはあとで話しますけれども、こういう状態で、農林省自身がどういう一体責任を具体的にとるのか、その問題を少し聞きたいと思うのです。
  81. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 残りました債務の処理につきまして、第二会社等ができれば、ある程度それで長期にわたりましていろいろ解決をしたいという努力もしておりますが、それが受けられないので、京都並びに残りました卸売り人等も、金を出すことによりまして解決をしておるのでありまして、まあ事柄が国のいわゆる、もちろん監督については責任はありましょう。しかしそれ自体をもって、直ちに国が介入、経済的な介入までしてやるというのは、一つの判断の問題になってまいります。私どもとしては卸売市場の問題として、できるだけの処理をやりたいという、ただいまのお話のような考え方で進んでおるわけであります。
  82. 河田賢治

    ○河田賢治君 まあ私はこの問題はすぐに解決する問題ではないと思いますし、また京都市あたりでも、これに対して理事者は二千万円ですか、引き受けなければならぬなんていうようなことは言っているらしいのですけれども、しかし、おそらくあそこの議会は通らんじゃないかと思いますよ。そうすると結局農林省の案も御破算になるということもあり得るということはお考えになっておくほうがいいのではないかと思います。しかし、一番問題は、先ほどから申しましたように、これがもう、この会社が昭和三十七、八年ごろからずっと大きく傾いた、三十三年ごろからこの業態内容が悪いということはわかっていたわけですから、あなた方の部下がこれをちゃんと毎年の決算報告なんかを見て、どこに、表だけが黒字であっても、内面的にどうなのか、あるいはどこから金を借りて、どこへ一体使っているのかということを精密に調べれば、粉飾決算であることはすぐわかるわけなんですよ。それくらいの、帳簿を見るだけの能力のある人が農林省にはいないのか、いればこんなものはもっと早く、しかも、京都市では十何回にわたって警告をしているのですから、これに基づいて農林省において早く手を打てば、一億何千万円という、特に長野県あたりはリンゴやら蔬菜等で、ほとんど、ある部落では一軒の家が六十万から七十万出荷して金が取れぬという状態のところも出てきているわけです。農民利益を守る農林省として、こういう問題は、少なくともいまになって業者が持てとか、市が持てとかという、そういう態度は私は出て来ないと思う。この点もう少し農林大臣はっきりできませんか、農林省自身がどういうことをやるのか、この問題について。
  83. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 今般の丸京青果の事件、私どもとしても非常に残念なことに思っております。京都市がかねがねから検査を行なっておったことは事実でございまして、京都市のほうから私どものほうに、四十三年八月に財務が非常に悪化しているので農林省の検査を要請するというような報告を受けましてから、直らに職員を派遣して検査をいたした次第でありますが、数回にわたりまして役員を喚問する、あるいは簿外負債等もありまして、もちろん私ども行政官でございますので、権限上もむずかしい問題もございまして、いろいろ努力をいたしましたのでありますが、事態が今日まで遷延したわけであります。九月以降京都市とも連絡をとりながら、純資産の回復等の措置、あるいは第二会社等への移管の措置等、いろいろの措置を講じたわけでありますが、遺憾ながらだれもこれを引き受けるということの合意が成立いたさないような状況でございましたので、やむなく実質的には廃業するという形になったわけであります。私どもとしましては、今後こういう監督につきましては、もちろん検査の回数をふやす、さらに京都市におきましても従来の定例検査以上の検査をやっていただくとともに、簿外の資産というようなものについてもできるだけの検査を強化してまいりたいと考えております。さらに現実には各市が開設者でございますので、各市の開設者としての責任をより明確に果たすよう、今後徹底的にやってまいりたいと思います。生産者の救済につきましては、先ほど御質問の際出ましたように、京都市の協力も私ども要請をいたしておりますので、できるだけ産地の京都の市場に対する信用を失わないように、京都市において積極的に努力するように私ども要請をしている次第であります。
  84. 河田賢治

    ○河田賢治君 まあ大臣はもう時間だと思いますので、質問はこれで打ち切りますが、たとえば京都の、先ほどおっしゃいましたけれども、会社の経理をもっとしっかり見ろ、そうして早目に、単に会社に対してお前のところの会計は悪いぞというだけではだめなんで、公表して関係者だれでもわかるように、そうすると早く、まじめな業者だったら努力して建て直すでしょうし、不まじめな者は信用がなくなって取引がだんだん減って、自壊作用を起こすでしょうし、そうすると、これだけ大きな被害は与えずにすんだわけでしょう。こういう点のやはりあなた方の仕事の仕方が、どのようにして被害を食いとめていくか、農民利益を守っていくか、消費者利益を守っていくか、こういう点のやはり仕事の仕方をやってもらわなければならぬと思うんですよ。  それで御承知のとおり、京都でいま二つの会社だけですから、蔬菜あるいはキャベツやあるいはリンゴなんかはこんなに違ってきているんですよ。これはやはり中央公設市場の卸売関係から見ましても、仲買というのがいろいろの手を使いまして、物価を上げることをはかっていますよ。だからこういう点を実際調べてもらう必要があること、たとえばインドリンゴ、長野ですよ。これが大阪では十月三十日に千五百円、十六キロあたり。ところが京都では二千三百円しているんですよ。相当の開きですね。だから十六キロについて、八百円違うとか、五百円違うとかというような大きな値開きが出てきているんですよ。百円や二百円の差じゃないですよ。わずか京都と大阪の間じゃ運賃だってそう大して変わりません、信州から出すなら。キャベツや白菜でも、こういう値開きがうんと出ているのです。だから、今日やはり卸業者が少なくなれば独占的にだんだんと価格をつり上げ、仲買い人とうまく結託して、たとえ法律ではそれをやっちゃいかんといっても、そういうことをやりがちなんです。だから、そういう点で相当ああいうところの市場に対するいろいろな問題をやはり直接指導しませんと、これは農林省が責任を持っておるわけですから、決して市場開設者だけの責任じゃないですよ、中央卸売市場の法律から見ると。したがって、やはり農林省が的確に、それらが不正なことをやっているかどうか、あるいは仲買い人なんかに対する不正があるかないかとかというようなことは、市のやはり市場を通じてこれはやる必要もあるでしょうし、こういうことを早くやりませんと、これは大きな消費者の迷惑だし、また生産者も迷惑になるわけですね。  私は、この点について一つの問題と、それから、ここの京都信用金庫ですか、相当ここは金を貸しているようですね、京都信用金庫。京都信用金庫というのは、この法律によりますと、私もきょう六法全書を見たんですけれども、貸し金は、普通には不動産なんかを担保には貸すことができないことになっているのじゃないですか、不動産なんか。
  85. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 京都市の生鮮食料品が大阪より非常に高いという御指摘につきましては、私どもで、まあ地理的なりあるいは若干季節的にそういうことがあるかもしれませんが、制指摘のようなひどい格差があるとすれば、早急に調査をいたしたいと思っております。仲買いとか卸とかいろいろな取引関係がございまして、私どもとしても直接商行為そのものに入るわけにはいきませんけれども、卸売りの経理であるとかあるいは不公正取引というようなことにつきましては、今後とも十分監視を強化していきたいと思っております。  また、現在の市場法につきましても、先般の国会で御議論がありましたように、私ども近い将来に法律改正ということを目下検討いたしております。指導監督の強化につきましても、御指摘のような点につきまして十分検討いたしたいと考えます。  京都信用金庫が相当多額の金をこの丸京青果に貸しておったということは事実でございます。担保があったかなかったかという点は、私の聞いている範囲では、あまり担保がなかったというふうに聞いておりますが、信用金庫が不動産を担保に取ってはいけないということは、私、存じません。
  86. 河田賢治

    ○河田賢治君 信用金庫法を見てください。
  87. 亀長友義

    説明員亀長友義君) この点、もう一回私のほうで大蔵省調査をいたしましてお答えをいたします。
  88. 河田賢治

    ○河田賢治君 京都のことは、まだ後日に問題を保留しておきます。  この資料は、蔬菜とキャベツの最近の大阪と比較したものです。  安中の農作物について一応お聞きしたいと思います。農林省は、ここの地域が、まずここに製錬所ができて、そうして大きな被害を与えていると。どのような被害であるということは、相当やはり調査されておるのですか。農作物について、稲なりそれから野菜等々ですね。
  89. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 農林省といたしましては、四十年に水質汚濁の実態調査というものを全国的にやりました際に調査をいたしました。その場合には、水田被害面積が、安中市で四十四ヘクタールで、高崎市で二百六十五ヘクタール、合計しますと三百九ヘクタールの被害があったということでございます。これは、工場の拡張による排水量の増加、あるいは敷地内のいろいろな汚濁水が工場周辺の柳瀬川に流れ込んで農作物に被害を与えたのじゃないかというふうに思われております。また、ことしもかなり問題があるようでございまして、目下厚生省なり群馬県が調査中でございますので、農林省といたしましても、これらの各省なり県と十分連絡をとりまして、なお被害の把握につとめたいと思っております。  それから昨日われわれのほうでも県からの報告をとったわけでございますが、安中市でやはり東邦亜鉛株式会社の関係ではないかと思われているようでありますが、煙害がございまして、先ほどお話がありましたように三十ヘクタール程度の被害がある。桑なり麦なりあるいは水稲、蔬菜、果樹に被害があるというように現在報告を受けております。
  90. 河田賢治

    ○河田賢治君 ひとつ鉱山局のほうに聞きたいと思うのです。鉱山関係では三、四年前に放水パイプをつくって、それで下流に流して、もう一切ここでの被害はないはずだ、一〇〇%だいじょうぶだ、特にカドミウムなんかはこの会社の労働者はもう毎日吸っていてもだいじょうぶだというようなことを言って、会社の文書課長ですか、副課長が広言を吐いているのですが、一体ここの会社がこういうふうに農民に毎年毎年被害を与える、でいま農協方々が、大体どれだけの被害になっているかといえば、約一億に達するだろうと言っているのです、毎年ですから。しかもだんだんこれがふえてきているのですね。しかも最近小林教授が調べますと、カドミウムが含まれている、非常に高いといわれている。県もそれを受けながら、ことし春ごろですか、これはちっとも公表しないわけです、隠していた。この秋ごろ共産党の議員が出まして、直接小林教授からの話を聞いて、それを暴露して初めて県も取り組む。それから代表がこちらに来まして、鉱山局やあるいはまた厚生省へ行って調べるということになっているのですが、一体こういう被害を農民に毎年毎年与える、それで会社のほうでも二人の専門員を置いて、そうしてことしの被害がどの程度かといって、最近は二百万円ばかりを農民に渡している、しかしこの渡し方も、部落のボスですかあるいは有力者と申しますか、そういう者に渡して、公平に、ほんとうに被害がどれだけあったということで公平に渡っていないらしいです。なかなかそれをまた調査するのも困難だといわれている。しかし会社は一応その程度の見舞い金を出して、そうしてこの被害の責任を免れようとしているわけですが、一体鉱山局はこういう廃液やなんかが、いまでは稲やそれからこういう野菜等々に及んでおりますが、ここにおける人は御承知のとおり長い間ここの食物を食べているわけです。だから高崎市民病院ですか、ここでずっと健康診断をやりますと——これは民主的にやっているわけですが、男の人で約三三%女の人が三一%、イタイイタイ病の症状の前提ですね、そういういま症状を持っているといわれているわけですよ。だからそういうふうにしてだんだんこれが蓄積されれば、結局水俣病とかあるいは神通川のああいう病気になる、そういう方向にいっているわけですが、こういう被害を与える会社に対して、一体鉱山局はどういう方針で臨んでおられるのか。この会社はかつて群馬県で桑をつくりまして蚕にやりましたら、蚕が育たぬ、それじゃおれのところで桑は買ってやるといって桑を買い上げて、そうしてお隣の長野県に売ったということがある。現に対馬の今度東邦亜鉛という会社の鉱山で、やはりイタイイタイ病で死んでいる人があるでしょう。こういう問題について、なるほどいま日本では何PPMという基準はないにしましても、現実に大きな被害をみんなに与えているときに、あなた方は一体どういうお考えでこれをやっているのか、その辺をお聞きしたいと思うのですよ。
  91. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 安中の問題につきまして通産省の考え方でございます、また指導のやり方でございますが、御承知のように安中は三十二年ごろにこういった農作物についての被害問題が発生いたしまして、それで地元といろいろな相談をした結果、決着がついたわけでございます。その後それを契機にいたしまして、安中の製錬所から五キロ離れたところに特別の放水路をつくる。それからまた、いろいろ沈澱池その他堆積場をつくるというようなことで、これはあくまでも鉱山保安法によりまして監督局で指示をいたしましてそういうふうにやってきたわけでございます。ところが最近、亜鉛製錬の工場におきましてはカドミウム問題が発生したというふうなことから、実はことしの七月に特別の検査をいたしました。その検査をいたしまして、施設についてとにかく改善をすべきであるということで、たとえば沈澱池あるいはその他シックナー、こういったものにつきましてより中和機能が発揮されるようにということで改善指示をいたしました。それは現在の段階では完了しておるわけでございます。ところが、また十月、再度検査したわけでございます。そうして、十月に検査をいたしまして、近くその結果が出るとは思いますが、同時に、県、厚生省、こういったようなところも農作物その他に対する被害状況調査いたしまして、このほうは厚生省の話によりますればそういった総合的な判定はいろいろな角度から検討する必要があるので、来年の三月ごろに結論を出すということになっておるのでございます。しかし、そういったように、われわれのところではあくまでもこういった鉱山の廃液によって他に被害を及ぼすことはこれはもう厳に避けるべき問題であるということで、監督局は監督局自体として常時、水質を検査し、そのつどその改善ということを実はさしてきておるわけでございます。
  92. 河田賢治

    ○河田賢治君 実は、こういう公害の問題でも、早く取り組んで改善しているところがあるわけなんです。たとえばこれは御承知と思いますけれども、洲本の、淡路島ですね、三洋電機がカドミウム問題を起こした。このときは六月に農民が県に持ち込んで、七月になると県の公害課が中心調査を始める。そうして会社にも改善の要求をする。九月の末には県と神戸医大の人々が調査をやる。そうして、その間、会社も改善の処置をとって、そうして最近、ここ四、五日前だと思いますが、ここではやはり相当減っているわけですね。取り入れ口とか出口ではどうなっていくとか、こういうふうにまじめに取り組めば、生産しているものが若干違うかもしれませんけれども、ほんとうに企業がまじめになって取り組み、また監督官庁も、法律がなくても、いまできなくてもこういうふうにやったら大体防げるというような方向をとって、やはりそれを矯正させなければ今日われわれの人体生命がみすみす奪われていくでしょう。かつて通産省は、あのサリドマイドにしても、それから御承知のとおりポリオにしましても、企業の利益を守ってずいぶんあのためにたくさんの人がかたわになっているでしょう。もしあなたの奥さんがああいう子供を生んだとしたらどんな気持になりますか。そういうことがほったらかされているのです。だから大勢の人が死ななければならないというような、そこまでほうっておけというようなこういう態度では私はよくないと思うのです。現にどんだんイタイイタイ病でたくさんの人がかたわにもなり死にもする。そしてそれが進行しようとしている場合ですから、未然にそれをやはり防いでいく、これが監督官庁としての仕事だと思うのです。企業の利益ばかり守っておったのでは日本の空気も悪くなる、土地も悪くなる、すべてが悪くなるばかりです。もっと権威を持って監督してもらいたいと思う。現に放水路をつくっているけれども、入るところの量と出るところの量が半分になっているのです。そんなことでは途中どこかで漏れているに違いない。そんなことだって調べてみればすぐわかる。四、五カ月先じゃなくて、こんなことはほんとうに動員するならば……研究員の諸君がこのごろは内職なんかやっているからつい悪いほうにひっかかっているのですが、もっとこういう研究所の人々を総合してやはり急いでやる必要がある。私は、そういう点に、公害問題で今日特に安中方面では非常に苦しんでおりますから、こういう問題を、特にこの会社に対するあなた方の監督権をあらゆる角度から強めてもらいたいということを希望したいと思います。  厚生省の方にお聞きするのですけれども、ここでこういう事実がある。最近では二週間ばかり前に建てたへいの上にも、そこに、調べてみますといろいろな人体に影響を与えるあれを含んでいるということを小林さんあたりも発表されている。小林さんは厚生省と一緒になっていま研究されているらしいけれども、この方は前からあそこの問題と取り組んでいるわけです。最近でも一緒になって取り組み、それ以外のところでもそういう問題をとらえて、やはり一日も早くこういう問題を、害から守るためにおやりになっていると思うのですが、こういうことについてあなたのほうでは、少なくともその地域の人々の健康診断なんかを保健所を通じてなり、いろいろまた官庁関係を通じて、あるいは病院を通じて、ずっとやはりおやりになる考えはないのですか。
  93. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 安中の件につきましては、厚生省は昭和四十三年度から微量重金属による環境汚染を未然に予防するということについて調査を始めたわけでございます。この点につきましては私ども作物被害、そういう問題については従来承知をいたしておりませんでしたが、亜鉛を出す鉱山ではカドミウムを出してくるということでございますので、そのような鉱山の周辺を予防的な観点から取り上げております。  現在、厚生省としましては別にその回りにイタイイタイ病の患者がおるというような考え方には立っておりません。ただ、いまおっしゃいましたように、御心配の点を承りまして、その点につきましては群馬県の衛生部長と直接話をいたしまして現地の保健所で学校検診、成人病検診、あるいは妊婦検診のデータを別の角度から整理をしておるということでいまお願いしております。いずれその結果が今年度末には整理される、こういうぐあいに考えております。またこの地域につきましては、従来昭和四十年度以来、鉱山の微量重金属の環境汚染の調査班を組んでおりまして、その研究班が今年調査をいたしました対象の一環としましては、一つは川の水、川のどろを二十地点にわたりまして採取をいたしまして詳細な研究をいたしております。もう一つは現地の井戸水について御心配がありましたので、十八地点の井戸につきまして地下水の詳細な調査をいたしまして、十一地点につきまして水田、農作物につきましての調査をいたしております。この点につきましては非常に分析がこのデータにつきまして問題がいろいろ起こりますので、三つの機関が同じサンプルをチェックをする、その三つの機関で出てきたものを合わせて最終的な判断を行なうということをいたしております。岡山大学の小林先生もその三機関のうちの一機関に入っております。そのほか衛生試験所、東京工大というところが加わっておりまして、公衆衛生院の重松部長が班長になってこれをやっておりますので、結果は今年度末までに整理が出されますので、それによりまして対策を最終的に判断をいたしたい、そういうふうに思っております。
  94. 河田賢治

    ○河田賢治君 これ、急いで——そういう事態ならばやはり未然に、死んだり病気したりしないようにやっていくのが厚生省の仕事でしょうから、そういう点は早く私は進めていただきたいと思うのです。  農林省に最後にお聞きするのですが、こういう毎年々々非常な被害がある。しかしそれに対して会社の多少見舞い金が出るでしょうけれども、これもかなり不公平なやり方で、みんな農民が納得するような形でやられていない。ここは昔は一等地だったそうですけれども、もういまでは全体として工場のすぐそばにはちっとも出ていかない。そうすると工場がそれを安い値で買いたたいて、前は二千坪だったのが六万何千坪になっているのです。安値で買いたたいて拡張する。最近ではここをさらに拡張するために東京電力に送電線を引かすんですけれども、この東京電力が無断で山あるいはその他の立ち木を伐採しているというような事実があるのですね。無断でですよ。こういうことをやっている。これは、東京電力はどこが監督しておるか知りませんけれども、通産省だったと思いますが、とにかくこういうふうにして、他人の、農民の、弱いんだからといって、無断で立ち木を伐採するというようなこういうむちゃなやり方をやっている。しかも被害を受けるのは農民なんです。だから農林省としまして、こういう特別な非常な災害を受けている地に対して一体、どうされるのか、構造改善で土地をひっくり返すとか、あるいはもっと客土を入れるとか、あるいはもっと構造自身がはっきりとした災害の起こらぬようなやり方をしなければいかぬのですが、こういう場合に、一体こういう問題をほうっておかれるのかどうか、毎年毎年このままでいかれるのかどうか。それからまた現に食糧が、あそこでは配給米でなくて、大体供出する農家が多いそうですが、供出するにしても、いまこんなような調子で米の取れるところもあるわけです。大体、そこでは自分の家では食わぬそうですが、カドミウムがあるから危険だというので。そういう場合に農林省の食糧の買い入れ、それからこれをどこへ配給するかということは、まだ疑うべき余地のある時期でもありまして、こういう問題に対しては初めに処置をして被害のないように、同じ米なんかを一人の者がいつまでも食うようなことのないようにずっと散らばすか、さらには廃棄するかいろいろなことを考えてもらわなければならぬと思うのです。第一、県はさっき申しました兵庫県の淡路では、県の衛生部がお百姓さんに、この米はしばらく食わぬでおけ、こういう命令を出しておるのです。私は至当なことだと思うのです、わかった以上は。そして最近これは解除しているのです。こういう処置が下のまじめなところはやっておるのです。農民のいろいろな生産やら生活をまじめにこれをやはり責任をもってやろうとするならば、こういう問題についても、それぞれ強制はせぬでも、そういう行政的な指導措置を私はとるべきだというのです。だから米の買い入れ、あるいは野菜もこんなにして食わぬところがあるのですから、できるだけいまカドミウムを含んでいるという場合には、何らかこれに対して農林省は適当な処置をして、その被害を少しでも起こらぬような処置をする。また生産についても一応安心して農業のやれるような私は措置をすべきじゃないかと思うのです。おそらくお考えになっていると思いますけれども、一体具体的に何かそういう問題に  ついてお考えがあるかないか、これを最後にお聞きして私の質問は終わりたいと思うのです。
  95. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) この問題につきましては、先生お話のように、基本的にはそういう会社の施設から公毒が出ないというふうにしていくことがわれわれの最も希望するところでございますけれども、この地域につきましても、必ず被害が出ましたときに、農林省といたしましても公害対策として、転換方法によりまして水源を変えてみたり、あるいは客土をやってみたりしたことで、もうすでにそのために数千万円出したわけです。まだそういう被害がおさまっていないということでありますので、われわれとしましても県庁とよく相談し、地元ともよく話し合いをしまして、今後どうするかというのを、ここでの具体策を考えてみたいと思います。  それから配給あるいは買い入れの問題につきましては、私所管でございませんので、帰りまして食糧庁にその旨よく伝えたいと思います。
  96. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 先ほどの河田委員の質問に対しまして、農林経済局長から補足の説明があります。
  97. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 先ほどの河田先生からお尋ねの京都信用金庫につきましては、相当巨額の融資がございましたが、当初は預金担保で貸しておりましたが、もちろんそれでは不足でございますので、後に至りまして主として不動産を中心とする抵当権を設定いたしております。  それから信用金庫法の規定に関するお尋ねの件でございますが、ただいま大蔵省の中小金融課の信用金庫係に電話で照会をいたしましたところ、御質問のような、信用金庫が土地を担保で融資をしてはならぬというような制限は全然ないということでございます。以上報告申し上げます。
  98. 河田賢治

    ○河田賢治君 わかりました。
  99. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ほかに御発言もなければ、農林水産政策に関する調査は、本日はこの程度にとどめます。  次回は明二十日午前十時より開会することにし、これにて散会いたします。    午後四時十五分散会