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説明員(岩尾一君) いわゆるただいまお話になりました第二次宮澤構想と申しますのは、
自民党の政務
調査会におきまして長官個人として御
出席をされまして御発言をされた
内容でございます。そういう
意味でお聞き取りを願いたいと思いますが、その際にただいま申されましたようなことを言われたわけでございますが、長官が
生産者米価につきましては三年間据え置きということをおっしゃったわけでございますが、
消費者米価については来年は引き上げることは無理である、また引き上げるべきではないと思うということだけでございまして、三年間
消費者米価のほうも据え置くというふうにはおっしゃっておらないわけでございます。そこで御質問にございますような、いま申された点、どういうような背景でお話しになったかと申しますと、今後の経済運営の
態度といたしまして、ただいま先生のお話しになりましたように、物価の問題が非常に大事である。したがって、来年は物価第一主義の予算を編成し、経済運営を行なうべきである。それについては米のほうから申しますと、本年度着手いたしました総合予算主義、いわば年度当初に予想さるべきその本年度内の財政需要というものは予算に計上しておく、こういう
やり方は定着さす必要があるんではないか、これが第一点でございます。したがって、そういう
意味合いから申しますと従来のように年の半ば、七月ごろにならないと、実際の
生産者米価が幾らになるのかわからないといったような
状態は避けるべきではなかろうか、むしろ本年はこれくらいだからまあこういうふうにつくろう、あるいは
作付の
転換をしようというような判断ができるような体制をつくっていくほうがいいのじゃないか、これが背景の
一つであります。
それからそういった総合予算主義ということを
前提にいたしまして、第二に、現在の米価、特にこの米価が
消費者物価全体に対して持っております心理的影響からかんがみて、
消費者米価というものは来年上げるべきでないだろう。そういう発想をいたしますと、
消費者米価を上げない場合には現在の食管会計への繰り入れは
生産者米価を、逆ざやでございますから、かなり引き下げないとつじつまが合わない。そこでそういう
意味で
生産者米価についてはできるだけ食管会計の赤字を消すという
意味でこの引き上げを見合わせたほうがいいのじゃないか、これが第二点でございます。
それから第三点といたしまして、現在の全体の
農政については、もちろん党の
農政調査会あるいは
農林省のほうで鋭意御検討中でございますけれ
ども、少なくとも米作第一主義ということが現在の全体の
総合農政の中で走り過ぎてきたのじゃないか、そこでこういった過剰な米という
需給をにらんだ対策、特に
政府が量だけを
中心に質というものはあまり
考えないで指導してきたという責任はあるのじゃないか。そういう
意味合いで
生産者米価については実際に適地適産的な
総合農政が展開され得るようにこの
方向づけをその価格によって行なっていくということを
考えるほうがいいのじゃないか、ドラスチックな
作付転換とか、そういったきつい
手段ではなくて、値段によって判断をしていくというような
方向づけができないだろうか、そういう
意味合いで現在の米の
生産者米価の決定方式はよく御存じのように、
生産費所得補償方式と申しておりまして、その年の米の
生産費に対しまして、平均反収からシグマを引いたもの、まあしたがって非常に少ない
生産量になるわけでありますが、限界反収でこれを割り戻すという形で価格を決定しておるわけであります。したがって予算の際にその年に実際に米の
生産をお始めになる前に
生産費をきめるというのであれば、そのとき予想される米の
生産費の上昇分に応じて現在の平均反収、四十二年で申しますと四百六十八キログラムでありますが、これが実際に採用しておりますシグマの限界反収で申しますと約八十キロばかり少ないわけであります。その限界反収から平均反収へ近づけていく米
生産費の上昇に応じてその分だけを平均反収に近づけるという作業をやってもらえば結果的に本年産の米というものの値段を上げないで据え置きというような計算ができるのじゃないか、こういうことを続けながら三年間の間は米の値段は
生産費を上げませんということでかりにいってみたら、農家の方はおそらくそういう
状況を勘案して、適当な
作付転換なり、適当な
農政への
転換へと移行していかれるのじゃないか、こういう趣旨の御発言をなさったと思います。