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1968-11-08 第59回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月八日(金曜日)    午前十一時十二分開会     —————————————    委員異動  十月二十二日     辞任         補欠選任      北畠 教真君     八田 一朗君      多田 省吾君     阿部 憲一君  十一月八日     辞任         補欠選任      阿部 憲一君     多田 省吾君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井川 伊平君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 北村  暢君                 山崎  昇君     委 員                久次米健太郎君                 源田  実君                 佐藤  隆君                 長屋  茂君                 山本茂一郎君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 山本伊三郎君                 多田 省吾君                 峯山 昭範君    国務大臣        国 務 大 臣  田中 龍夫君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家公務員給与に関する件)     —————————————
  2. 井川伊平

    委員長井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。  本日、阿部憲一君が辞任され、多田省吾君が選任されました。     —————————————
  3. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 長屋君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、便宜委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事八田一朗君にお願いいたします。     —————————————
  6. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 国家公務員給与に関する件を議題といたします。  政府側からは宮澤経済企画庁長官鹿野総合計画局長二木大蔵政務次官海堀主計局次長及び尾崎人事院給与局長が出席いたしております。なお、田中総理府総務長官も間もなくおいでになる御予定でございます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは企画庁長官が時間の関係もありますので、まず宮澤長官に若干質問をしたいと思います。  もちろん公務員給与に関してでありますが、来年度予算編成が近づいております。いま自民党総裁選挙でそれどころではないかもしれませんが、予算委員会が実はなかなか開かれないので、この席を借りて来年度予算編成についての考え方を若干長官にお伺いしたい。宮澤構想ということで、これは正式に国会で聞いたのでありませんが、宮澤さんの予算編成に対する構想がいろいろ出ておる。また水田構想もその後出たわけですが、それを照らし合わせますと、若干、若干じゃない、非常に対立、矛盾する点がありますが、大蔵大臣の場合はまた大蔵大臣に聞きますが、宮澤さんの米価、その他公共料金を一応抑制するのだ、それを予算編成基本方針にしなければならぬという御意見が出ておるのですが、それについて時間ございませんから、簡潔にひとつあなたの構想を御披露願いたい。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 自由民主党の中で明年度予算の問題を考える際にヒヤリングをしておりますが、私が述べましたことは、その席においてであります。基本的には、昨年の十月に、私が昭和四十三年度のことを考えまして提起いたしました問題点の大体続きの部分になると自分では考えておりますが、この一年間で、米の問題につきましては、少なくとも党内部ではある程度問題のめどがついた。それから総合予算というものは、大体考え方としては定着をいたしつつある、こう考えております。そこで、ただ今年度の場合、消費者物価情勢相当に悪い。へたをいたしますと明年度もそれが再び続くということが心配されますので、そうなりますと、高い消費者物価上昇が二年続くということは、それがいろんな意味で経済の中に組み込まれるという心配があるので、明年はある程度物価に配慮をした財政をしてもらうことがいいのではないかということを申しておるわけであります。  ところでそのことは国債減額減税の規模、物価抑制にさき得る財源といったような、御承知のようにそういうところに問題が帰着いたしますが、大蔵大臣が、来年度予算はなるべく小さくしたい、そうして国債減額減税もと言われるのは、これはまことに大蔵大臣のお立場としては当然でありまして、そう言われなければ、いろいろな歳出の要求というものを押えにくいのでありますから、これは当然大蔵大臣のお立場としてそう言われるであろうということは考えておりました。私の申しておることと別段矛盾しておるとは思っておりません。結局明年度自然増収をどの辺に見込み得るかということにも関係をするであろうと思って見ております。
  9. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうことは抽象的に聞きますと、何か矛盾しておらないようでありますが、国民がいま一番心配しておるのはやはり物価の問題だと思います。それで宮澤さんが出されておる、いわゆる物価抑制するためには米価並びに公共料金抑制すべきである、こういう立場をとられておるんですが、財政運営から見ると、水田大蔵大臣構想、いろいろとありますけれども、私はやっぱり国民のいま一番期待している問題をひとつずばり政府が出してもらいたいということで、率直に言えば、あなたの構想にはわれわれ賛成をしておるわけなんです、全部じゃありませんけれども方針として。したがいまして、私はここで聞きたいのは、時間ございませんから、具体的にあなたの言われる物価抑制のために米価あるいは公共料金、そういうものについては抑制するんだ。大蔵大臣は、そうじゃない、財政運営上やはり公共料金は上げなくちゃならぬ。この問題だけにしぼって政府はどういう態度予算編成をやるのか、これをひとつ聞いておきたい。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 公共料金抑制するといいましても、かりに抑制するためにはそれなりの財源措置をしてやらなければならないわけでございますから、結局山本委員の言われますように白黒、そこをはっきり分けて、これかあれかというような考え方はできないのであろうと思います。財政の許す範囲で、しかも物価事情が非常に困ったことにならない範囲で、適当なバランスで両方の間に打ち出す、現実の問題としてはそういうふうに申し上げるしか方法がないのではないかと思います。
  11. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣の言われる、なるほど公共料金もその実態によって上げざるを得ない場合もあることは事実です。たとえば、これは国の事業でありませんが、いわゆる地方公共団体水道料金の引き上げ等々も、これは必ず出てくると思いますが、私はそういうことは別として、財政運営上予算編成方針としてどうするかという政府態度が、その態度がすべてに影響してくると思いますね。個々の問題についてはおっしゃるとおり、そういうふうになるでしょう。しかし政府としての基本的な態度としてはこれでいくんだ、しかしやむを得ないものについてはケース・バイ・ケース政府がひとつ考えていこう、こういう方針であるかどうか。大蔵大臣は積極的に財政運営上公共料金を上げなくちゃならないんだと、こういう御発言をしておるのですがね、これは大蔵省から言ってもらってもいいのですが、その辺の基本的な態度を、予算編成上どう堅持するか、ここを私は聞いているわけです。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) おっしゃっていることはわかりました。そういたしますと、結局財政負担するといいましても、これは国民のお預かりした税金負担をするということでありますから、その場合、それが受益者負担ということとどういう関係に立つかということであろうと思います。最終的に政府方針をきめろと言われますことはそのとおりですが、それはただいまの段階で、まだ予算編成に入っておりませんから申し上げることができません。  ただ、山本委員の御指摘になった問題は、公共料金といえどもこれは一種の国民租税類似負担でございますから、これを引き上げていくことも一つ購買力の吸収ということになるのではないかという、そういう考え方が片っ方にあろうかと思います。それとそれに対応する、いや、そうではない、やはりこの際としては、税金を使ってでもその財源措置を講じていくべきだという考え方がまた片っ方にあろうと思います。そのいずれに近い考え方をとるかという問題を御提起だと思いますが、それはやはり予算編成方針政府がきめた段階で、考え方としてはきめなきゃならないと思っております。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どらもちょっとあいまいのように思うのです。予算編成されれば、もうその方針国会で、いままでの例でいけばそれで押し通していくのですが、ただ一つ、これは経済企画庁長官としての態度だけ聞いておきたいのですが、大蔵大臣のような発言をされると、これは予算運営上公共料金を上げれば運営はしやすいのだから、軒並みに上がってくると思うのですよ。やはり抑制するんだという方針のもとに運用するのと、積極的に上げざるを得ないのとではおのずから結果が変わってくると思いますね。その点が宮澤構想としては出されておると私は見たのです。その点が明らかになって予算編成するのと、いや、もう必要であれば公共料金上げていくんだということと、予算編成基本的な姿勢が変わると思うのですね。その点、宮澤さんとしてはどちらをとっていかれるかということです。
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私の考え方といたしましては、ただいま山本委員から御指摘のありましたようなことでいくのが適当ではなかろうかと、私としては思っております。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 わかりました。  それでは次に、時間がございませんので、宮澤さんも時間がないので、すわって答弁してけっこうですよ、私どももそうしていますから。次に、物価の問題について若干聞いておきたいのですが、昨年、本年度予算編成には四・八%をめど消費者物価を押えていきたいと、こういう予算、ことしの一月出ておるわけでありますが、本年度の、いま現在の時点では、本年度は私の、私のですよ。私の一つの推算によると六%オーバーするような傾向にあるのじゃないかと思っておるのです。その点どういう政府見通しを持っておられますか。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは必ずしもそういうふうに考えてしまわなきゃならぬとは思っておりません。といいますのは、九月上半期までの全国の対前年度対比消費者物価上昇は五・七%でございました。九月は非常に上がったわけでございます。しかし十月に入りまして、十月はまだ全国がわかっておりませんで、東京都だけでございますが、前年度同期対比四・八になっております。そういうことから申しますと、まだまだ私どもこの既定の目標を掲げて努力をしていくべきではないか、こういこういふうにも思っております。
  17. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 努力はわかりますがね。あなたの見通しでは四・八%で大体おさまるのだ、努力はまあいずれの場合でも努力せなければいけませんが、そういう見通しでおられるということにしていいのですか。
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 上半期が五・七であるということは、年度を通じて四・八にするためには、下半期に許容された上昇率が三・九になる、そういうことはとうてい不可能だというように御指摘になる向きもあったわけですが、実は前年度下半期相当上昇しておりますので、私は十月に入りましたらこの五・七という幅は縮まるはずだということを申し上げております。東京都の場合、実際四・八程度までは縮まってまいったわけでございますから、あと六カ月四・八が必ず達成できると申し上げることは、事の性質上、乱暴でございましょうけれども、事の性質上何とも言えないことでございましょうが、私どもはこの目標をおろすという必要はない、こう思っております。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 おろすとかなんとか——これは一応見通しですからね。現在の自由主義経済、これが計画経済であれば別として、自由主義経済ですから、どういう状態物価が動くということは、これはまあ見通しでありますけれども、いまの状態から見て、下半期においてはなるほど若干物価下降ぎみにあることは事実でありますけれども、やはり年末を控え、来年度に入ると、やはり物価上昇傾向が出てくるということを私は見ております。したがって、政府がそういうあらゆる努力をするというかまえを私は多といたしますが、結果は私は五%以上、六%近くなる場合も非常に危倶するわけです。したがって、いまここでその論議をしてもいかないから、そういう物価下降状態に置こうという場合に、いま申しましたように公共料金問題等政府が出されるということが非常に危険があるということにかかってくるわけなんですね。したがって、これは予算委員会でまたいろいろ論議しますが、その点政府としてはどういう施策を持って物価抑制、本年度ですよ、本年度下半期をどう押えていこうというような施策はないのですか。ただ自然にまかしていこう、こういうことですか。
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 問題は前年度対比でございますので、確かに下半期まで——本年も物価の上がる要素は相当にございます。ことに新聞値上げということも相当きつく響くわけでございますから、そういうことはございますが、昨年の下半期の場合でありますが、極端に大きゅうございましたから、ことしは上がってもそれほど、昨年ほど上がらないということでありますれば、前年度対比の率は落ちてくるので、まず、たとえば財政運営でもある程度注意をして、たとえば終局的には年度内に国債減額がある程度できるように、あるいはまた日本銀行の公定歩合などもこの程度でとめておくように、そういう基本的な、総需要の抑制とは申しませんが、ある程度の節度をつけていくといったようなことが基本ではないかと思っております。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題につきましては、またいずれ次に譲りますが、次に経済見通しのうちの何といいますか、経済成長率が当初の見積もりよりも非常に本年度伸びておりますね。これについて、これはまあ政府相当これにてこを入れられましたけれども日本経済成長潜在力というものは私はきわめて強かったと思いますが、本年度経済成長率は大体どの程度になるかということ、それはもうおわかりでしょう。
  22. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) どうもはなはだ申しわけないことでございますが、なかなか先の見えない予測能力でございます。それをあらかじめお含み願っておきまして、とうに御承知のことでございましょうけれども、まあ私は実質で一〇%というものは考えなければならないだろうと思っております。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実質で一〇%であれば、かりにあなたの言われる物価を四・八に押えても一五%近くの成長率ということになるわけですね。当初の一二・一%ですか、見通しが、そうなっておると思いますが、それから相当上回ってくるわけなんですね、一二・四ですか。そうすると相当各般に影響してきますが、たとえば税収の場合相当伸びてくると思うんですね、将来は別として。そういう点について、経済企画庁としてはどう考えておられますか。予算編成のときは一二・一%か二%で税収を見込んでおるんですね、予算編成のときの説明では。大体弾性値を見て一・五を掛けて国税の伸びを見ておるんですね。それが一四・八%になれば約三%ぐらい伸びてくる。そうすると当然税収伸びてくる。それで私は予算委員会で、少なくとも二千六百億円伸びがあるんだ、こう言ったんですがね、その見通しはどうです。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは弾性値が、御指摘のように非常にしっかりしたものでございませんので、成長率がただいまおっしゃった程度になるだろうということは私も思っておりますから、ある程度増収があるということはおそらく間違いなかろうと思いますが、これはむしろこういう段階になりますと、自然増収を計算いたしますのは、弾性値をいじるよりは毎月の収納歩合を見ていったほうが、わりかた確かな見当がつくように思います。その点から申しますと、いまおっしゃいました非常に大きな自然増収は、ちょっと財政当局はまだ見られないと言っておるのではないかと聞いております。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政府はそう言いますけれども予算委員会答弁を聞いてもそうではないんですよ。四十三年度税収伸びその他は、本年度は約七千億ぐらい見て予算編成したと私ちょっと聞いておるんですが、それは経済のそういう成長率等々を考えて実はやらざるを得ないんですね、予算編成は。そういうことになると、結局これからいくとそうならざるを得ないと私は見ておるんですがね。実際の収納率を見るなら決算で明らかになるんですから、それは問題ないと思う。前年度と比較してどれだけ上がるかということを、経済成長率、そういうものを基礎にして予算編成をするんですから、経済成長が二・五%も伸びれば、それだけの伸びはあるという一定の見通しをしなければ、予算編成時に出されたあの税収見込みというものはきわめて私としてはあいまいだと言わざるを得ないと思う。その点どうなんですか。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私が収納歩合と申し上げましたのは、最近そういうことばをあるいは使っていないのかもしれませんが、一応税収見積もりを立てますと、過去の実績に基づいて、それを日割りで各税ごとに毎月どのくらい収納があるはずだというふうに計画を立てるわけでございます。それに対して実際の収納はどのくらいだったかと、そのことを申し上げたつもりであったのですが、かなりこれは職人的な仕事でございますが、それによって大体収納歩合予定どおり一〇〇%あるとか、一〇〇ちょっと上とか九十幾つとか、そういうほうの仕事から見ておりますと、どうも先ほど言われましたような大きな自然増収は、いまの収納歩合では見積もれないというのが財政当局意見じゃないかと思います。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵省、だれか来ておりますね。いま経済企画庁財政当局ではないからと言っておりますが、それちょっと説明してください。時間がないから簡単に。
  28. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) いまわかっておりますのは九月末までの税収実績でございますが、前年度収納決算額、これは予算とほとんどひとしかったわけでございますが、これの収納割合に対しまして大体二%程度、九月末のことしの予算に対する収納割合は高いということになっています。ことしの一般会計分予算額というのは四兆六千九百七十八億円程度でございます。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 やはり十月、十一月にならぬと実際わからないと思うんですがね。やはり九月決算がはっきりと出てこない限りはわからないんでございますが、しかしそれに二%がつながっているのは想像できると思う。それでどうも政府はそういう点については控え目に発言されるのですね。それはわかるのです。一家のあるじでも、金がよけいあるというと子供がやはりお金をせびりにくるから、そういう気持ちで言われるのでしょうけれども、ここではそうではなしに、財政運営上、将来があるから、ある程度腹の中で持っておらなければいけないと思います。したがって、私はこれは宮澤長官とはかけはしませんけれども、本年度二千億下るということは絶対ないと思いますが、それはそれ以上あると思うけれども、こちらも負けたら困るから下目に言っているのですよ、その点は。それも答弁はわかっておりますよ。どんな答弁するかわかっておりますけれども、どうですか。
  30. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この点につきましては、いつぞや予算委員会大蔵大臣に同じような御提言をなさいましたが、私も大蔵大臣と同じように御返事申し上げておきます。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで、ほかの委員からも御発言があるから、私の時間は控え目にしておきますが、最後に、いまの段階では、決算委員会長官が言われたようでありますけれども、これは政府答弁私もわかって実は発言しておるのですよ。なかなか新聞記事に出るような発言をしない、したらたいへんだということは知っておりますけれども、何とか吐かそうと思ったが、時間がないからこれ以上突っ込めないのですが、最後経済社会発展計画、これはあなたちょうどケネディラウンドで外国へ行っておったときにやったのですがね、あなたは、それはおらぬから責任ないとは言えないと思いますが、どうもこれを見ていると、いまの情勢から見ると合ってこないのです。初年度から狂ってしまっている。四十二年度、四十三年度も狂っている。五カ年計画ですが、これはこのままずっと強引に通すつもりですか。
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 狂っておりますことは御指摘のとおりでございます。この計画は、そこにも述べてございますように、過去の経験にかんがみまして、どうも数量的な計量的なものはなかなか合わないということで、今度はものの考え方日本経済考え方というものをひとつ表に出そうということで、計量は付属になっているわけでございますが、それにしましても、計量のほうがあまり違ってまいりますと、やはり何かのときに皆さんお使いになるのに、いかにもどうも違うじゃないかということでございますから、どうかしなければならないと思っておるのでございます。ただ、従来の手法にかわるもう少し正確な計量なり何なりの方法があるかといいますと、必ずしもそうでもございませんので、また同じあやまちを重ねて迷惑をかけてもいかがなものであろうとも思っておりますので、私としてはどういうふうに扱うべきか、しばらく考えてみたいといま思っております。
  33. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 なかなかうまい答弁ですが、しかし、池田内閣長期計画を出し、また中期計画が途中で没になりましたけれども、それからこれですがね、もう三回ともみな狂っているのですね。だから出されても、これは信用しておりませんよ、もともと。ただ政府はこういう方向にやりたいという願望をあらわしたとしか私は見ておらない。あまり高度成長をすると物価その他に影響するから、安定成長という佐藤さんの思想をここに入れて、平均七・五%ぐらいの成長率で押えていこう、こういう構想であったと見ております。実態に合わないのですよ。それができた四十二年三月の予算委員会でやったときも、これはだめですよと言ったら、佐藤さんは、とにかくこういう方向努力するのだと、四十二年度は非常に違うように見えているけれどもあとは私はそう努力するのだと言っているが、あなたおられなかったけれども、そういう点についてはもうだめですよ。あなたが何とか考えなくちゃならないと言われることは、もうこれでは通用しない。やはりどこかでもう一ぺんやり直さなくちゃいかぬという思想だと思うのです。  そこで次に、予算編成はもうじき、予算委員会でもやられますから、そのときまでにもう少し日本経済の動向についてはっきり政府は把握してほしいですね。学者学者でおのおのやっておりますよ。見通しておりますが、私はいまの日本経済はもっとそこを深く考えてもらいたいと思う。物価の問題でもですよ。物価は四・八%に押えるといって手柄のようにいっておりますけれども、四・八%−五%は、たいした物価上昇ですから、それは日本人は平気ですよ。そういう点は政府はもっと真剣に考えてもらいたいと思うと同時に、私の意見だけ言っておきますが、いまの政府施策では物価は押えられませんよ、絶対。これこそ首をかけてもいい。かけますよ。ほんとうですよ。第一、土地の問題どうですか、あれがどれほど物価に大きい影響を与えておるか、土地の問題は、こんなものは相場もない、何もないんですよ。これはもちろん全国的な状態から見ると部分的だといわれますけれども、これは大きなインフレ傾向を持っていますよ。それも何もできないのですよ、政府は。一つの例ですよ。管理価格の問題どうですか、これは皆さん管理価格というと非常にいやがられますけれども、現在消費者物価が上がっておるというのは、一番低所得者が困るのです。日常の生鮮食料とか、日常必要なものが上がって、むしろ耐久消費財のようなものは比較的上がってないし、下がっておるものもある。もっと下がってもいいと思うけれども。そういうことで、現在下げ得るものは下げない。上がるものは自然に上がってしまう。これじゃ私は物価は、何ぼ宮澤さんがどれほど努力されても、日本物価は下がるどころじゃない、上がることを抑制することは、これは私はできないと思うのですね。  宮澤さんも相当しばらく、しばらくといいますか、この問題に取り組まれておりますが、私はあなたがおられる間に、物価が何年度は横ばいになったんだという時代がきたら、私はもうお目にかからぬ。したがって、一体物価抑制する基本的な問題はどこにあるかということだけ最後一つあなたから答えてもらいたい。
  34. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 基本的には生産性の低い部門の生産性を上昇させる、そのための施策をじみちに講ずるということに尽きると思います。それでもなお物価は上がりぎみであろうといわれることは、私もそう思います。
  35. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、世情伝えられるところ、これは日本学者だけじゃないですよ。いわゆる賃金と物価の相関関係から、所得政策というものがいろいろ流布されておるわけなんです。これはあなたはきわめて慎重な発言をされておると思いますが、やはり物価と賃金というものについての相関関係というものは、今後大きくクローズアップしてくると思うのです。あなたは生産性の低い生産についてはいろいろ考えないといけないと言われるが、それもやはりそういうところに関連性があると言われておるのですね。これが一つ大きく日本の将来の物価の問題に関係して出てくる宿命にあると私は思う。運命にあると思う。それについて宮澤さんはどういま考えておられますか。これが最後です。最後がたびたび続くけれども
  36. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 賃金も物の価格でありますし、しかもそれは最も大事な生産要素の一つである労働の価格でありますから、物価関係物価同士が関係し合うという意味で、両者が無関係であるということはあり得ないと思っています。したがって、私としては、国民全体が、名目賃金もさることながら、実質賃金の向上ということにいろいろ意を用いていただきたいと思っておりますけれども、これがともすると誤解を受けて、労働側を刺激しやすいのでありますから、実質賃金をみんなで問題にしようではないかという国民的な合意が時間とともにできることを私としては期待するし、そのための啓蒙運動といいますか、施策といいますか、そういうものは続けていくべきだと考えております。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ。それはあなたの言われること、わからぬこともないのですがね。というのは、実質賃金をということは、賃金は低くても——低いというのは、名目的にはそれは問題ないのです。名目で上がるよりも実質的に価値があればいいんじゃないか、こういうふうな御趣旨だと思う。しかし、いまの経済運営を見ると、物価が先に上がっちゃうのですね。だから賃金もそれで上げていかなきゃならないという必然性が出てきている。物価をどこかで断ち切らない限りは、あなたの言われる実質的に考えてもらうという理論は成り立たないと思います。これを深めていくと時間たちますからこれ以上言いませんが、その点を十分、反省といいますか、考えてもらいたいと思います。答弁いいです。考えておいていただきたい。
  38. 山崎昇

    ○山崎昇君 一つだけ。ほんとうは宮澤さんが、池田内閣時代にもあなたがいろいろと物価と賃金のことについて述べられておるわけだから、そのことから端を発して私ども聞いてみたいことがたくさんあるのですが、きょうは何せ時間がないというし、私も一、二点だけひとつお聞きをしておきたい。  私は、いま長官からいろいろ山本委員の質問に答えられておるのを聞いておって、どうもひとつ納得いかないのは、あなたのものの考え方は終始一貫、高物価高賃金政策というのをあなたがとっておったのではないかと私は思っておった。したがって池田内閣時代からあちこち演説、私どもは聞いておるというと、高度経済成長政策をとる限りは物価の値上がりというのはやむを得ないのだと。しかし、物価というのは卸売り物価のことであって、消費物価というのはたいして気にしなくてもいいんだ。そのかわり、それに見合う所得を上げていきたい、こういうことが終始一貫、所得倍増政策といわれる高度成長政策にとられた思想でなかったかと私は思うのですね。そうしてあなた方、物価をどんどん経済の成長に伴って上げた。所得も多少上げてきた。ところが、最近になったら、もはやもうその物価を上げること自体に国民の抵抗が出てきたから、あわててあなたのほうでは、何とか物価を押えなきゃならぬのではないかと、そのためには、先ほどちょっと議論になった所得政策というのを導入をして、何とか物価と賃金の関係だけ明確にして、賃金もできるならば押えていきたい。そういうことの内容として、いま答弁されたような実質賃金が安定したらいいんじゃないか、こういうお考えになってきたのだと私は思うのですが、従来あなたがお持ちになっておった高物価高賃金政策というのを、一体捨てられたのかどうか、そうして物価というものの抑制に最重点かけられると、あなたはこう言うのだが、一体その具体的な方策として、それならばどういうものがあるのかということが、どうも私はまだ納得できませんので、この点まず一つ聞いておきたい。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私どもが十何年成長政策を推し進めてまいりました一番大切な目的は、国内の失業率を下げるということであったと思うのであります。つまり雇用の増大ということであったわけでございまして、これが十何年間にそれなりの効果をあげてまいったと思います。その間、少し単純化して申せば、多少の物価上昇があっても、多くの失業があるよりはまだましである、完全雇用を実現したいと、こう思ってまいりました。したがって、ただいま言われましたような傾向を持っておったことは確かだと思います。しかし、最近になりますと——完全雇用とは申し上げません。いわば疑似完全雇用の状態になりまして、高い生産性部門の高い賃金が、生産性の低い部門まで伝播をする、人手不足になりましたので、そういう事態になりましたから、まず雇用の問題は大体目的を達した。そういう場合、今度はもう賃金が上がれば、それがしたがって一ぱい一ぱいに物価に影響するわけでございますから、なお賃金は上げながら、しかも物価をある程度に安定さしていく方法いかんといえば、これが先ほど言われました報告書——熊谷報告書に述べられておりますトレード・オフ曲線の問題でございますけれども、そういうものの考え方を、考え方としては少なくとも国民各層にだんだんわかってほしい、こう考えておるわけです。
  40. 山崎昇

    ○山崎昇君 トレード・オフの問題は、これはまたあらためて私も機会があれば聞きたいと思うし、したがってその点はきょう触れませんが、もう一点は、公務員給与に関して、来年度以降政府は完全実施をしたい、そこであなたから、宮澤構想の一環として、何か人事院の予備勧告制度ですか、あるいはまた、あわせてそのあとに修正勧告ですか、そういうものがなされたほうがいいのではないかというようなことを種々新聞で論ぜられておるわけです。そこで、直接あなたから聞いたことありませんので、長官から、一体どういう真意でああいうことをやられるのか、その内容が一体簡単に言えばどういうことなのかということですね。私は、もう時間がありませんから、あえて自分の意見をつけ加えて言えば、要は、財政をどうつけるかだと思う、勧告制度云々より先に問題になるのは。したがって、私は予備で組もうが、人件費の中に組もうが、当初予算で組もうが、政府がほんとうにやろうとして財政をつければ、それはもう解決することなんです。それを単に、あれこれあれこれいろんな問題くっつけて、いま政府の間でものを言われているのはこの内容じゃないか、こう単純に言えば思うわけです。そこであなたの言われる公務員給与を来年から完全実施するための試案というのですか、その内容についてひとつお聞きしておきたいと思います。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 公務員給与についての人事院勧告を完全に実施いたしますためには、御指摘のように、財政にそれだけの用意をいたしておかなければなりません。従来の場合、公務員給与の勧告が年度の途中で出ますので、補正予算という形でこれに対処いたしましたが、本来、補正予算というものが例外的な手段でございますから、そこで十分な財源確保ができるとは限らない。従来、したがって十分に文字どおり実施できなかった時代が多くあったわけでございます。そこで、このたびは総合予算ということで、もう補正予算というものをやめていこうという別の配慮がまたございまして、総合予算を組みました。そういたしますと、人事院勧告に対処するためには予備費で組んでおかなければならぬ。そうしますと、先般来御指摘がありましたように、予備費の中で公務員給与分は幾らだという、どのくらいに見ておるかという御質問が国会で当然ございます。それに対して私どもがお答えをするということは、人事院の勧告について政府側から一つの予断を与えるような結果になりますので、それについては国会では、予備費は一本でございまして、給与分が幾らとは考えておりませんと、こういうふうにずっとお答えをしてきておりますが、実はこのお答え自身も、ほんとうを申せばかなり無理なお答えなんでございます。しかし、人事院の勧告に予断を与えないためにはそう申し上げるよりほかはなかった。そこで一年それをやってみまして、どうも予備費へ何となく金を入れておくということは、説明もむずかしいし、その他の問題もあろうと考えられましたので、できるだけ予算編成の時期に、人事院が何かの腹づもりを政府に与えてくれるならば、それだけの財源の準備ができるのではないか。どういう方法でもよろしゅうございますが、そういう方法はないか。つまり総合予算制度と人事院勧告制度との調和を具体的にとる方法は何かないか。何と言ってこだわることはございません。予備勧告ができれば、それだけのことも考えられると思うのでございます。そういうことで、関係閣僚に人事院総裁を含めまして、ただいま協議を続けておるわけでございます。
  42. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの問題に関連してお尋ねいたしますが、企画庁長官給与関係閣僚の一人でもあるし、あなたと大蔵大臣考え方というものが、他の関係閣僚との間に常に意見衝突する状況にあるように、私ども新聞報道等で聞いているのであります。そこでその予算の組み方でありますけれども、いまそれを検討中のようですが、あなたは所得政策的な考え方から、いわゆる公務員給与について、いわば民間であれば生産性向上の範囲内、その他生産性が上がれば給与は上がるということがあり得るのだけれども公務員の場合はそういうものがない。にもかかわらず、給与がここ二、三年一〇〇%近く——これは定昇を含めてでありますけれども、上がっておるということについて、これではやはり将来の物価と賃金の関係経済成長というものを考えるときに、危機がくるのじゃないかという考え方から、せいぜい消費者物価上昇程度をあらかじめ予算に一定額組む、こういう考え方を持っておられるのではないかと私ども推測しておる。したがって、人事院勧告は、消費者物価上昇程度ではないわけですから、したがって昨年の予備費に組む際にも五百億というものは、明確にはしておりませんけれども、大体消費者物価の値上がり程度、こういうものを私は予定してあったと、こういうふうに思うのですよ。したがって、そういう考え方でおられるのかどうなのか。この点をひとつお伺いしておきたい。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま立法論をいたすことは無用なことでございますから、現在の制度が厳存しております以上は、かりに政府消費者物価上昇程度給与増額分を組んだといたしましても、その後に人事院の勧告があり、それを尊重しなければならないのでありますから、結局それは勧告に備えて一定の財源政府が自分の責任でどうやって準備しておくか、それで足りないわけでございますが、それでも無であるよりはいいではないかというような、一種の方法論として提起をしておるわけでありまして、所得政策的な考え方で提起をしておるわけではございません。
  44. 北村暢

    ○北村暢君 もう一つ。それですと、大体考え方はわかりましたけれども、しかし反面において、総合予算字義という形において補正予算を組まないと言っておるでしょう。ことしの場合は五百億を予定して六百億、それでも百億程度ふえておるわけでありますね。それで予備費の中で操作をするということで処理するわけですけれども、事実問題として、総合予算主義という形で、補正予算を組まないということになれば、あらかじめ組んだ物価値上がり程度の、ことしも五百億程度が五%程度物価値上がり程度、こういうものを入れれば、私は、総合予算主義の中から、どうしてもこれは完全実施できない形に追い込まれると思う。そういう意味において、物価値上がり程度を見るのではなくて、予備勧告の考え方についても、物価値上がりと経済情勢、その他民間給与の過去の実績、こういうものを勘案をして、私は、あらかじめ予算をたっぷり組んでおいてもらわないというと、物価値上がり程度だけ組むなら、組まぬよりはいいというけれども、そうはいかないと思うのです。またこれは完全実施できない結果になる。私は、予備勧告というものが考えられるならば、そういう物価値上がり程度のものを組むのではなくて、経済情勢経済伸び、さらには過去の経済に応じたところの民間給与上昇、こういうものを総合的に判断をしてあらかじめ予算を組む、こういうことでなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういたしました場合に、それに従って政府給与表の改定を国会に提出して御審議を願うということであるのか、あるいはそれはせずに、給与表の改定は人事院の勧告が出てからするのかというその問題がございます。で、全部をひっくるめて考えますと、理想的な姿としては、ただいま人事院の勧告の時期は八月でございますが、これがどういった形でか、予算編成に間に合うような時期においてなされますれば、すべての問題は一度に解決をするわけなのであって、そういう方法はないかという探求もいたしております。
  46. 北村暢

    ○北村暢君 それはもう過去何回かやって、それはできないということなんです、いまの法律のたてまえから、また人事院制度のたてまえからいって。八月勧告を十一月ごろに勧告をして、そうして四月から実施ということもいわれておるけれども、これはもう人事院が絶対応じませんし、また公務員もこれは承服できないんですよ。だからあらかじめ、やはりいま考えられることでは、とにかく、どういう形でかわかりませんけれども、予測したものが春闘のベースアップを予測するようなものであってはあれでしょうけれども、示唆するようなもので、それが問題になるんでしょうけれども、いずれにしても、公労協関係だって、補正予算を組まないで仲裁裁定どおり実施しているわけですよ。それはやはり給与財源の、人件費とかにわからない形で節約をして出しているわけです。そういう技術的なものだってあるわけなんですよね。ですから、そういうことが予備勧告なり何なりというものでやられる場合に、いま長官の言われたような方法は、これはもう過去に検討済みなんでだめなんです。ですから予備勧告をするか、予備勧告をしなければ、政府が自主的にたっぷり予算を組むか、これしかないわけです。その技術的な問題なんですよ。あくまでも人事院勧告を完全に実施するというたてまえに立って、どうやってこの予算的な措置をしておくかということだろうと思うのですよね。技術的な問題だろうと思う。したがって、閣僚間における人事院勧告を完全実施するというこのことが一切きまっておれば、それはできると思う。ところが企画庁長官なり大蔵当局はなるべく、あなた、はしなくも言ったように、十一月勧告で予算にはっきり組んでおけばいいというのは、低く組んでおくということなんですよね。そういう意図があるから私は問題だと思う。それによって人事院勧告というものは、これは第三者機関だから左右されないはずなんだけれども、そういう固定的なものを組んでしまうというと、もう人事院無用論になってしまいますよ。そういう性格の問題に発展するのでこれはだめだ。だからこれは予算を組む技術的な問題であるから、完全実施をできるような、それは頭のいい人がおるのだから、大蔵省なんか、それだけの能力を十分持っているんですよ。昔は軍隊、いまは大蔵官僚だとか、これはもうそのくらいの生殺与奪の権を持っている。そんなことくらい何でもできるんですよ。できるものをやらないのだ。ここに問題がいままであって、勧告の完全実施が今日までなされていないのだから、それをひとつ私はそういう意味においてはっきり、特に企画庁長官に出ていただいたのは、あなたと大蔵省がいつも経済財政をいって、この完全実施を押えておる張本人であるから、私はそういう意味において特に要望しておきたい。これは技術的な問題であって、人事院勧告は完全実施するということは、もう当然のことなんだから、それをひとつはっきりさせておいてもらいたいと思うのです。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点は誤解があってはなりませんので申し上げておきますが、ただいま給与関係閣僚、人事院総裁を交えまして方法を研究しておりますのは、人事院勧告を完全実施するための方法はいかんということを研究しておりますので、前提は、ただいま言われましたようなことでなく、完全実施をするための方途を検討しておるのでございます。この点は大蔵大臣におかれても同様であろうと思っております。
  48. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間がございませんので、簡単に申し上げたいと思います。先ほどから所得政策の問題について種々話がございましたけれども、私も所得政策について話をしたいと思います。  先般、物価安定と所得政策、いわゆる熊谷報告書が出たわけでありますが、これは十月十七日の日に経済審議会に提出されたと、このように聞いております。との報告書を私も先般少し見たわけでありますが、との内容からしまして、結局は所得政策の可能性を慎重に検討すべきである、まあこういうぐあいなところもあります。こういうような観点からいきまして、私は、政府はこの報告書をどういうふうに扱うつもりか、また、との報告書をどういうふうな意図で求められたのか、そういうことについてお伺いしたいと思います。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) あとのほうの御質問からお答えいたしますが、経済社会発展計画ができましたときに、物価、賃金、所得、生産性の関係については十分な詳察がなされていないので、これについては別途専門家の検討を求める、こういう答申が出ております。それに従いまして専門家の検討を経済審議会において求められた、その報告がただいま御指摘の熊谷報告でございます。  これを政府はどういうふうにするかというお尋ねでございますが、ごらんのように相当学風の違った四人の学者が、中には従来の政府経済政策に基本的に批判的な学者もおられるわけでございますが、しかし、それらの方々が、ゆるやかではあるが一つの合意をこういう報告書の形で出されたのでありますから、私どもとしては、その合意がたとえゆるやかではあっても国民各層に浸透をしていく、そうしてそういう理解の上に立っていつの段階にかさらに突き進んだ議論が行なわれる、こういうことを一番大切なことと考えて、そのために無用な刺激を与えてはいけないのはもちろんでありますが、有用なことがあればいたしたいと、こう考えております。
  50. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この報告書はいろいろとありますけれども、独禁法とか、また自由化あるいは政府の保護の廃止、労働力の流動化、物価の安定を期しがたいときは、結局こういうふうなものを補充するために所得政策をやれと、こういうぐあいにいっておるのだと思うのです。しかし私は、こういうようなことをやる、所得政策をこういうふうなぐあいにしてやるということは、労働者の賃金に結局しわ寄せをする、これがいわゆる所得政策になるのじゃないか、こういうように思います。そういうような点から考えてみましても、私は、結局は政府が先にもっともっとやることがたくさんあるのじゃないか、こういうぐあいに思います。たとえば独禁法の強化とか自由化の推進、また経済政策の制度的な政策を強力に推し進めるべきだと、私はこういうぐあいに思います。結局は労働者の賃金を抑制しても、物価が下がる保証もないし、また米価を押え、賃金を押えて経済成長を実現するということは、結局はこういうぐあいにして賃金、いわゆる所得政策を導入するというような傾向を示すということは、結局は国民の犠牲において資本蓄積を進めるような、まあこういうふうなことになるのではないか、私はこういうぐあいに思うんですが、いかがでしょうか。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 安直にいわゆる所得政策なるものを導入すべきではない、その前にすべきことがただいま御指摘のようにたくさんあるということは、まさにこの報告書が一番大事なこととして指摘しておることだと私どもも了解しております。
  52. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この報告書も、物価の安定といわゆる所得政策と、こういうふうになっておりますが、物価の安定は賃金を抑制することによってではなくて、結局は独占資本の規制とこれに見合う経済政策によって解決すべきである、私はこういうぐあいに考えております。また、先ほどちょっと話がありましたけれども、ことしからやりました補正予算なしのいわゆる総合予算制の問題でありますが、これも今回は、人事院勧告に伴うところの公務員給与財源も結局、予備費からまかなうということでありましたけれども、結局はその予備費も完全に実施できるだけの予備費がありませんでした。そして、結局は八月実施というふうになったわけでありますけれども、結局はこの総合予算主義そのものが、中産者米価とそれから公務員給与上昇を押えるための歯どめを期待した一種のいわゆる所得政策ではないか、まあこういうぐあいに考えているんですけれども長官いかがでしょうか。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは私どもそういうふうには思っておりません。
  54. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しかし、現実にはそういうぐあいに考えざるを得ないと私は思うんです。たとえば総合予算主義のたてまえから言いましても、当初予算から、年度途中で起こる公務員ベアのいわゆる財源の織り込みを見て——物価、賃金、経済成長率など、いわゆる指標とするものはたくさんありますけれども、結局は政策の実験的段階で、これを推し進めることによって、いわゆる所得政策、いわゆる政府による賃金抑制が行なわれているのではないか、まあ私はこういうぐあいに考えるわけですが、いかがでしょう。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは人事院制度が現に存しておりますから、そのようなことは実際上できるものでもございませんし、そういう考えをいたしておりません。
  56. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほどちょっと消費者物価上昇ということで、ことしは四・八%ということで話がございましたが、まず長官は、ことしは四・八%で押えられるのかどうか。先般の読売新聞によりますと、長官は、四・八%の政府見通しが、いわゆることしは四%台ではどうもおさまりそうもない、こういうぐあいにことしの見通しを言っておりますが、もしそうだとするならば、結局はことし完全実施できなかった原因はここにも私はあると思うんです。そういうような面からいきますと、総合予算主義にこだわらないで、補正予算を組んで公務員給与を完全実施できるように私はすべきである、このように思うんですが、いかがでしょうか。
  57. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたように、自然増収の帰趨がはっきりいたしませんし、またかりに自然増収がありました場合にも、財政としては、国債の削減はじめいろいろしなければならないことがあると思います。いずれにしても、ただいま補正予算を論ずる段階ではないと思っております。
  58. 多田省吾

    多田省吾君 関連。先ほど長官は、来年度から公務員給与の人事院勧告を完全実施するためにいろいろ方策を考えている、あるいは予備勧告制度もその一環であるというようなことも述べられましたけれども、結局予備勧告をしたとしても、それ自体が人事院も非常に渋っていることでもあり、またそれに対する予備費というものをまた別個に組むだろうと思います。先ほども予備費をたっぷり取ったら問題ないじゃないかという意見もございました。私もそう思います。で、予備勧告制度にしたならば、予備費をたっぷり組むよりもスムーズにうまくいくという保証がどこにあるのか。予備勧告制度をしたとしても、結局はまた予備費を別個に取っておいて、また修正勧告が出た場合にそれを取るという姿にもこれは予想されるでしょう、当然。予備勧告制度をしたときのあれが足りなかった場合にはそうなるでしょう。それだったら、予備費を最初からたっぷり組んでおいたほうがいいのではないか。私は、公務員給与も完全実施できないのは、いつも人事院勧告が出ると、経団連の事務局長あたりが文句を言う。結局、財界の主張に従って政府が動いているような感を受ける。これは児童手当の問題も、財界が文句を言うと四十三年度実施が四十四年度実施もむずかしくなった。財界の意向でぐるぐる動いているような感を受けるわけです。まあ今度勧告は四十四年度から完全実施するとおっしゃっておられますけれども、予備勧告制度というようななかなかむずかしい問題をやるくらいなら、予備費をたっぷり取っておいたほうがむしろスムーズにいくのではないか、こう思うわけです。それに対してどうお考えですか。
  59. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点につきましては、今年度予算を御審議の過程においてたびたびお尋ねがあった点でございますが、そういう御審議の状況にかんがみましても、はっきり説明のつかないまま何となく大きな予備費を組んでおくということには、やはり財政のほう、あるいは財政法から申しますといろいろ問題があるわけでございます。御承知のように、予備費は予見すべからざる事態に備えるものでございますが、たとえば自然災害であればこれは明らかに予見し得ないのでございますが、人事院の勧告ということになりますとある程度は予見し得る、毎年あるのでございますから。ただその割合が予見できないということなのであって、したがって予備勧告のような形で、予見し得る程度のものをとにかく別にしておいて、さらにその上に乗るようなものはあるいは予備費ということがあっても、人事院勧告と災害とが、予見し得ないという意味では全く同じであると考えるのはもう少しくふうがないものかというのが、ただいま私どもが検討しております点でございます。
  60. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 宮津企画庁長官が退席いたします。佐藤人事院総裁が出席いたしました。なお田中総理府総務長官も出席いたしております。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 総務長官ね、何回言ってもあなたはそれは言わぬと思いますがね、どうなんですか。いま宮澤さんがいろいろ言って、あなたにかわってえらい答弁しておりましたがね。どうも八月実施に私は了解できないのですがね。この十一月二十七日に総裁選挙で内閣総理大臣——同じ人がやるかどうかはあなたらのほうの関係だと思いますけれども、やはり一応かわったらもう一ぺん閣議を開いてやり直したらどうですか、その点どうですか。
  62. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおりに、ただいまの御質問ではございますが、そのことはできないと存じます。ただいま宮澤長官からもるるお話がございましたが、まあぜひとも全実施を遂げたいという前提のもとに、先般集まりました関係閣僚並びに人事院総裁の話し合いに入ります前に、完全実施ということをお互いがひとつこれだけははっきりきめて、さてそれから、それじゃあそれを実現するにはどうしたらよかろうかということに入ろうじゃないかということで、その点はみんなが、特に大蔵大臣等まで非常に積極的にそれはそうであるということで御了承を得ております。あとどうしたら一体それが実現できるかという方法論の検討ということになります。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ一応あとの問題は別として、これだけ約束できますね。来年度は人事院勧告が出れば必ず完全実施いたします、これは言えますね。
  64. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) そのためにこそ、それができますようにただいま関係閣僚が一生懸命になっておりますのでございます。でございますから、私どもはぜひとも完全実施をするんだという大前提のもとに、いまお話が出ましたような財政法上の問題やら、あるいは人事院規則なり何なりの問題やら、さらに具体的には事務手続、調査方法あるいは予算編成の組み方、そういうふうなことを何とか打開をして完全実施をする、こういうことでございます。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その大前提とか法とか、そういうことを尋ねてないのです。政府がやろうと思ったらやれることです、過去の公労協の問題を見ましても。だからここで言ってほしいことは、本年のやつは、私ちょっと申しますけれども、本年のやつは一応おいでおいで、来年度については、人事院勧告はどういうものが出ても、政府としてはやります、やるかやらないか、この返事だけでけっこうです。
  66. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) やれるようにして、やります。
  67. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうも何かきめつけたようなことを言いますけれども、過去十回、九回の経験がありますから、そうやるように努力しますとか、そういうことでいつも言っておられるんですよ。去年もそうだった。去年もそういうことを言っておられるんですよ。したがってわれわれとしては、信用できないんですよ、実際問題で。だから、努力するでなしに、政府がやるということだけ閣議で決定したのかどうか、方法が見出せなければできないという意味であるのか、方法はどうしても考えて完全実施をいたしますという大前提であるか、どうなんですか、これは。
  68. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは閣議ではございません、関係閣僚のあれでございますから。で、ただいまも申し上げたように、やれるようにどうしてもするんだということでございます。きょうの御質問は、これはお互い信頼の上に立ってのことでございます。給与担当の私なり人事院総裁を御信頼いただかなければ、おまえはそう言ってもそうじゃないんじゃないかということではやはりだめじゃないか。私も皆さま方と全く思いは同じでございます。ひとつ御信頼いただきとうございます。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 来年はそれで安心いたしました。  それで次にもう一つ聞いておきますよ。これは臨時国会になったら問題になりますから。本年度八月から実施をしなければならないという理由は何であったか、これをひとつ簡単明瞭に。
  70. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これはつまり言えば財政的な金がないからということに落ちつくのでございましょうが、それは結局、補正、調整をしないという一つの原則に立った総合予算主義ということに相なるのだろうと存じます。そういう点が、まあ私ども総合予算主義ということについても、制度上大いにこれから関係者の間で議論を尽くさなければならぬ、こう考えております。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、ざっくばらんに言ってみれば、田中長官の話では、お金がないからできない、財政上の都合でできない、こう受け取っていいんですね。
  72. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お金がないという常識的なことばがなかなかむずかしいところでございますけれども、国全体の経済としてはそれはないことはない。しかし問題はたてまえという問題、やれるようにしなければならぬという問題、予備金の組み込み方についての量の問題、そこまでいきますと、先ほどの御議論のように、たっぷり組めば、所得政策的なあれになり、押え込むか底上げかというようないろんな議論に発展をいたすのであります。その点は先ほども宮澤長官もなかなかむずかしい御答弁をされておりましたが、それを受けて立ちます私どもも、なおむずかしいような事情でございます。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、概念をはっきりしててくださいね。金はないことはない、だから財政上だけの問題ではない、そういうことを言っておられますね。そうすると、お金はあるけれども、出すほうは、言いかえれば総合予算だから補正ができないので、いまの予備費の範囲内以外にはできない、こう受け取っていいんですね。
  74. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 究極的には総合予算主義というものは、最後になりましても調整をしないというたてまえらしいのでございまして、また金があるかないかという問題も、どこの金がどうあるかどうないかということでございまして、問題は、予備金の中に組み込んだ予定のお金が、その他いろいろな予備金を対象とした需要もありまして、公務員給与にだけたっぷり前取りするというわけにまいらないという意味の、ないということになるのであろうと存じます。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくはほかから言われますからこれでおきますが、われわれ普通の判断、頭では理解できないんですね、いまの御答弁は。ぼくが言っているのは、はっきり言うてもらったらいいですよ。金が財政上何かやりくりではできるけれども総合予算上それはできないんだと、出す方法が見出せないんだ、八月にきめられたのは、方法の問題であるか、財政上ほかのほうに必要であるから金があってもやれないということであるか、それを明らかにしておいてもらわぬと理解できないんですよ。何の理由で人事院勧告は——ぼくがいつも言うように、国会にも勧告したあれが五月から実施できない、八月から実施するというのは、大きい理由がなければこれはやれないという前提で私はものを言っている。そういうものを、命はあるけれども出す方法がないのか、もともと出すにはそでは振れない、政府は金がないんだ、こういう理由の二つのうち一つしかないと思うんです。そのどちらであるかということだけひとつ言ってください。ほかのことは言わぬでいいです。
  76. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 簡単に言います。予備金の中のお金がないということです。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは納得しませんよ。納得せぬが、一応あなたの答弁だけ聞いておきます。
  78. 北村暢

    ○北村暢君 私は、いま山本委員の触れた、また企画庁長官に質問したことについて、ひとつ給与担当大臣人事院総裁に確かめておきたいと思います。  いまの勧告制度の問題について検討をされておるわけでありますけれども、その勧告制度ということの前提が、先ほど言われたように給与関係閣僚会議で、人事院勧告は完全に実施する、そういう基本的なことは決定した。そうしてそれについて、どうやって勧告が完全実施できるようにするかということについての方法をいま論議しているということのようですが、それについてまあいろいろあるようですが、いま企画庁長官が言われたような、十一月勧告をして、そして四月実施という形で一定の予算のワクというものを確定してしまうという考え方、そしてこれは人事院勧告との関係が出てくるでしょうから、そのとき勧告が出た際に若干の手直しをする、そういう程度のものを予備費から支出してやるんだという考え方と、それから予備勧告をして、そしてその不足分は、正式勧告の不足分があった場合には予備費等から出す、こういういろいろな案が検討されているようですけれども、論議の中としては、この予備勧告についてもあまりはっきりきまらなかったようですが、給与表の裏づけのない予算を組むということはまずい。従来、ことしの場合は予備費の中に給与改定費というものを——これは給与改定費とは言わないんでしょうけれども、予備費の中に暗黙のうちに五百億程度見たというんですよね。今度は予備費ではなしに給与改定費というものを一般事務人件費の中に組んでおく。それを大蔵省のほうでは、給与改定費というばく然たるもので組むことではまずい、給与表の裏づけのないものはまずい、こういう意見があるようですがね。給与表ということになれば、法律改正がなければ給与表の改正はできないわけですから、裏づけができないわけですから、これは大蔵省がそういうことを主張してもおそらく困難だろうと思うんですね。したがって、やはり給与改定費というような形でばく然たるもので組んでおく。そして予備勧告に基づいて給与改定費に組んでおく。そして正式の勧告のあった際に足りない場合は、若干のものであろうからこれは予備費から出す、こういうことにならざるを得ないのじゃないか、私はそう思う、予備勧告をする場合はですね。予備勧告がなくても政府はあらかじめ給与改定費というようなものを相当のものを組むという方法もありましょう。しかし、これは私はやはり大蔵省が組む場合には決してたっぷりなものが組まれないのではないか。やはり人事院が予備勧告というような形で示唆をしないというと、大蔵省に一方的にまかしておけばたっぷりな予算というものは組まれないのじゃないかという心配がある。それで心配なしにたっぷり組まれるなら私は問題ないと思うのですけれども、たっぷり組まれない心配がある。そこで、人事院に予備勧告を出させたほうがベターである。その予備勧告の内容については、人事院というものは予備勧告をやる場合に一体どういう内容のものを考えておられるのか、ここら辺のところを給与担当大臣としてどういう方針でいかれるのかもかりに予備勧告をする場合に人事院としては予備勧告の準備があるのかないのか、そこら辺のところを両者からお伺いしておきたい。
  79. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えをいたします。  五日の会合におきましては、いろいろな議論が出まして、実は事が非常に重大な問題であり、デリケートな問題でございますので、その中で論じられましたいろいろな議論は一切新聞発表や外部に出さない、十二日にさらに話を詰めてまいろう、こういうふうにいろいろとあれしたわけでございますが、どうも、漏れたわけでもございませんでしょうが、そのいまのわれわれの話の内容が御類推になりましても容易におわかりのように、そういうようないろいろな問題がございます。そこで、いままで毎年々々この問題が口じゃ言われながら一向に実現ができないということが、結局事務段階におきましてはどうしても乗り越え切れないどこかに壁があるわけで、これをひとつ政治的にその壁をぶち破らなければならないということでございます。そこで、私どもは人事院制度というものについてはあくまでもこれを守っていかなければならぬという立場を堅持いたしておるわけでございます。そうしますと、そのいまのことばで表現すれば、事務的なと申しますか、手続上の問題と申しますか、たいしたことではないようではございますが、実際問題といたしますと、各省の間で真剣にそれを取り上げてやってみると、なかなかやりにくいケースがたくさん出てまいります。ですけれども、これをやっぱり打開しなければ完全実施できないということになりますれば、どこかが泣いてもらわなければならぬ面が出てくるわけでございます。そういう点で、先般も、関係閣僚同士におきましては、ずいぶん真剣に論じ合ったわけでございます。で、現在の段階ではいろいろな議論が出ましたが、いまの中間の段階では、外部に一切出さないで、この十二日までにまた各省作業をさして、できるできないの事務的な問題もさらに話を詰め、検討をして、それでこの十二日にまたやろうということに、いま真剣に申し合わせたような次第でございます。いまのお話について、先生の御質問も、非常によく御承知でございますから、ディテールにわたっての内容になりますが、それを私がお答えいたしますと、また結局外にも出てしまうようなことで約束にも反しますので、その点はごかんべん願いまして、現在先生がお考えになったようないろいろな問題をわれわれは突っ込んで話し合っております。十二日の関係閣僚の会議も、相当私はしのぎを削らなければならぬと思いますが、しかし、私が担当者といたしまして、人事院制度の実体的な、本質的な問題は、これはあくまでも尊重をして貫いていきたい、こう考えておりますので、ひとつごかんべん願いたいと思います。
  80. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ただいまのお尋ねの要点は、予備勧告というものをまずお取り上げになりまして、それについてどういうふうに人事院は考えておるか、あるいはその方法について準備しておるかという御趣旨のように承りました。  今回の研究の段階では、いま総務長官から答えましたようなことで、煮詰まっておりませんけれども、しかし、かねがね予備勧告ということは新聞等にも伝えられておりますので、その意味でお答えを申し上げたいと思います。この意味そのものがなかなかあいまいなところがありますが、私の了解するところでは、いまのお話の筋から申しましても、とにかく予算をたっぷりとってもらうという意味での予備勧告というように了解するわけで、そうでありますとすれば、実はわれわれのいままでやってきておりました行き方に根本的な変改は加えずしてとり得る措置ではないか、ばく然と言えばそういうことが言えるわけです。たとえば、ことしの予備費の関係からどうしてもうまくいかなかった、この次からは少なくとももっとたっぷり予算を組んでおいていただきたいということは、もう衆参両院の委員会で、公開の席上でさんざん申し上げておるわけです。これは一種の予備勧告のはしりをここでやっておるとごらんになってもいいわけです。したがいまして、最も大まかな自然な形からいえば十分とっていただきたいというところから、さらにだんだんだんだん精細にきめこまかにやっていきますれば、こっちでそろばんをはじいて大体これくらいになる見込みじゃないか、したがってこれに備えてこれだけの額はぜひ用意していただきたいという言い方まで、資料をそろえてのきわめて精緻な申し上げ方まで、いろんな段階があると思います。したがいまして、その段階をそれぞれ考えてみて、かりにそっちの方向に話がいくとすれば、それらの方法をいろいろ考えてみなければならないと思いますが、現在のところは、いま申しましたようなことで、その根本においてはたっぷりとっていただきたいとう一点ばりで、これは勧告という形をとるか、あいるいは意見の開陳という形をとるか、あるいはまた、いま申しましたように、こういう公開の国会の席上で声を大にして叫ぶか、いろんな方法があるだろうという程度の気持ちでございます。
  81. 山崎昇

    ○山崎昇君 関連して。来年度予算編成が差し迫っており、そしていま論議されておるのは、来年度から実施するとこう言うのでしょう。ですから、時間的にかなり余裕がないことをやっておるわけです。そこで、そういうことを前提にして長官と総裁にお聞きをしたいのだが、予備勧告という名称そのものについても私は疑問を持つわけですが、いま人事院総裁の言うように、たっぷり金をつけてもらうのだという意味の予備勧告ということと、それから政府の考えておる予備勧告ということの内容は、私は少し違うのではないだろうかというような気がするわけです、これは新聞紙上でだけでありますが。ということは、来年度予算編成にあたって、簡単に言えば、まあとりあえずこれくらい給与を上げておくべきではないかということで、給与表の変更まで含めて人事院から意思表示がなされる、どういう形の意思表示か知りませんがなされる。それに基づいて政府予算を組んで、四月から現実的に公務員給与を改める。たとえば、いま二万円のものが二万二千円になるのか二万三千円になるのか知りませんが、現実的に四月から給与を変えてしまう。そしてあらためて人事院が従来のような方式で勧告を行なう。それが四月から改まった分を上回った場合にあらためて四月に遡及をしてそれを直すという意味、そういう分は予備費に組むのか、あるいはそれも含めて本予算に組むというのか、いずれにしても、もうすでに十一月に入っているわけですね。来年度予算編成が一月になるというように多少おくれたとしても、もうそろそろ制度的にもあるいは事務的な面についてもきちっとしなければ間に合わないのじゃないか。人事院がどういう作業をするにしても、作業的にも間に合わなくなってくるのじゃないか、こういう危惧の念を持つわけです。したがって、私はこの前から給与の担当大臣である総務長官はきぱっとした意見をもうそろそろ出さなければならないのではないかということを終始言うのですが、給与担当大臣としてものを言うとあまり影響があって言えないからまだ出せませんという一点ばりで今日まできた。そういう意味で、総務長官は来年度から完全実施は先ほど山本さんに対してやるという決心は述べられておる。それはそれでいいとしても、一体どういうことまで考えられての内容なのか、もう少し私は説明願いたい。それから人事院総裁も、いまおっしゃった限りでは何かわかるような気もいたしますけれども、それだけで私はやはり人事院勧告を扱う人事院としては私は足りないのじゃなかろうか。そういう意味で、一体政府の言っている予備勧告という名称の内容、いわゆる人事院総裁の先ほどの答弁では、私は少しどうも納得いきかねる点があるので、もう少しこの機会に言えるものならば言ってもらいたい。そしてできるならば、いつごろまでをめどにしてそういうものをきちっとするのか、そして国会に対してそういう意思表示をされるのか、あと私は、十二月の臨時国会までおそらく委員会もそう開かれるわけではありませんから、ある程度予備知識としてきょう聞かしてもらえるなら聞かしてもらいたい、私どものほうも検討したいと思う。そして臨時国会の冒頭なら冒頭に正式にそういう見解が示されるなら示してもらいたい。こういう一応の願望を入れて、もう一ぺん両者から答弁願いたい。
  82. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この問題は日が差し迫っているじゃないか、四十四年度予算編成のもう日もわずかなのに何だという話でありまするが、実はこの問題は、数年間、三年も四年も論じ尽くされておるようなことで、それで大詰めにきておる、こういうことでございます。でございますから、各省も閣僚ももうぎりぎりのところまでまいっておりますので、またぎりぎりのところまでまいらないとものごとが片づきませんので、これがたっぷり時間があるからといって議論をいたしておったのではまただめだろうと存じます。それからいまのお話のような点は、一言の表現でおっしゃっております。たとえば予備勧告というような問題も、いま先生のお話のように分析いたしますと、やはりデリケートな問題でございまするが、本質論にもやはり触れる制度上の問題も出てくるわけでございます。私どもは、そういうふうな点についても、あくまでも人事院制度というものを堅持するというたてまえは貫き通してまいりたいと思います。
  83. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) まず、私ども基本的な立場と申しますか、態度というものをひとつはっきり申し上げて、それからお答えに移りたいと思います。  まず第一に、当然のととでございますけれども申し上げておかなければならないことは、いまの勧告のやり方のままでは完全実施はできないということはわれわれとしては絶対に考えておらない、現在のままで十分可能でありますということが根本であることをよくお聞き取り願いたい。したがって、たとえばことしの場合考えてみましたところで、一般会計であと二百十億か二百二十億かありさえすればいままでのやり方で完全実施できて、はたしてあと予備費がどのくらい余っておりますか、自然増収がどのくらいありますか、それらのやりくりによっては絶対不可能なものではないとわれわれは考えておる。しかしながら、従来政府財政上いろいろ御都合があって、やりやすくしてやろう、完全実施ができやすくしてやろう、これはありがたいおぼしめしでありますから、われわれは率直に謙虚にその方向に向かって研究もいたしましたし、また共同の研究など貢献しておるつもりであるということをまず申し上げておきたいと思います。したがって、われわれの立場から申しますと、極端にいままでの勧告のやり方を変える、さらに徹底した形で言えば、いわゆる労働基本権の代償の一つの機能としておる人事院勧告は非常に大きく見られておるわけであります、またそこにデリケートな周辺を持っておるわけでありますから、それにひびの入るようなやり方は絶対困ります、この態度は当然堅持してまいるつもりでございます。したがって、先ほどきわめて素朴なことを申し上げましたけれども、当面われわれの経験からいけば、ことしの場合でいえばあと二百何十億じゃありませんか、それだけ当初予算にプラスしておかれたならば完全に実施されておられたはずではありませんかということから発想がいきますと、きわめて現実で、当面の発想からいけば、来年の場合、これでこりましたと、したがって千億以上——二千億か何億か知りませんけれども、たっぷり組んでおいていただきたいという素朴な発想は、これは当然われわれに浮かんでくるべき発想だと思います。それ以上いろいろな案は出てきておりますけれども、これらはこれらとして、やはりわれわれとしては一長一短であります。あるいは長所もあるでありましょう。これはだんだん煮詰まる段階においてわれわれもそれに対応すべき妙案を考え、これならうまくやれるという決断がつけばそれは乗りますけれども、いままでのところはまだその段階には入っておりませんというのが率直なお答えでございます。
  84. 北村暢

    ○北村暢君 私はこの一問で終わりますけれども、いま人事院総裁も触れられておりますように、また山本君もさっきから、従来の政府態度から信頼が置けないからこういうことを繰り返し繰り返しやっておるわけでありますが、いま公務員制度審議会が開かれて、人事院の勧告制度と公務員の労働権剥奪の問題との関連からして論議になっておる段階で、政府としてはどうしても人事院勧告を完全実施しなければ公務員制度審議会で申し開きができないという段階にきている。だから、政府は完全実施、完全実施ということをいま盛んに新聞等で出しております。私は、そういういきさつからいって、政府は何としてもやはりここで決断しなければならないところに追い込まれている。そういう意味において、これは単なる宣伝や何かであってはいけない。そういう意味において、私は政府を信頼する意味において、今回、ことしの場合は昨年までとは違うと、こういうふうに善意に理解しております。だから、そういう意味では、ひとつ完全実施するということをたてまえとして検討しているという、このことは了解します。ただ、その人事院の勧告を尊重し完全実施するのだが、勧告そのものがゆがめられるようであっては、私は趣旨に反する。したがって、担当大臣のいまおっしゃられておる人事院の勧告制度そのものは堅持する、いま人事院総裁が言われているいままでの勧告のあり方において完全実施というものについて不可能ではないというたてまえ、したがって人事院の勧告は従来どおりであってこれをゆがめるものではないということをはっきりすること、そしてそれを完全実施するための措置を検討するということ、そしていま山崎君が言われておるように、予算編成期に向かってそろそろ公務員給与というものが米価の問題その他と関連して大きな政治問題であり、予算編成期に向かって確定しなければならない方針である。したがって、これは二十七日の総裁選挙まで以前に私はこの完全実施について態度をきめてもらわなければならない。そうでないというと、また大臣がかわったり何だりしてどこかへいってしまったのでは困る。そういう意味においてまた、十一月末ごろまでに予算編成基本態度というものはやはりきめなければならない。したがって、十二日に開かれるという給与関係閣僚会議は、私は非常に重要だと思うのです。それ以降だというと、総裁選挙でごたごた皆さん自身も忙しくなるのだから、何とかして私はこの結論を出してもらいたい。これに期待をしておりますし、いま私が申し上げたような形でぜひひとつ実現するように最大の努力をしてもらう。そうして、人事院もこの問題については協議を受けているわけで、人事院の態度は変わらないということはもうしばしば総裁がここで述べておりますから、私は人事院を信頼します。ただ、それを受ける政府として、この完全実施について、しばしばのこの委員会の決議もありますことですし、ぜひひとつこの結論を総裁選挙前に確定してもらうということをひとつ要望しておきたいと同時に、それに対する所感を承りたいのですが、大蔵省がやはり問題なんで、それで私は大蔵大臣の出席をしっこく要求しているのですが、出てこない。どうもそこら辺が逃げているととろを見ると、信頼できないのですよ。これは政務次官でまことに不足——あれなんだけれども、政務次官、やはりこれははっきり答弁をしてもらって見解を聞いておきたい、こう思うのです。以上です。
  85. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) この問題は予算編成について非常に大きな問題であると考えております。大蔵省としても担当閣僚懇談会できまれば決してやぶさかではございませんので、申し上げておきます。
  86. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 先生の御意見のとおりでございまして、私も全くそのように考えておりますので、ぜひとも今月早期にきめたいと思います。
  87. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほど総務長官から、来年は必ず人事院勧告を完全実施するということを聞きましたのですが、現実にはことしも実施されませんでしたし、またいままでは実施されませんでした。そこで一つだけお伺いしておきたいのですが、人事院勧告は結局労働三権を認めないかわりにこの勧告があるわけですが、先日第二次公務員制度審議会ですか、向こうで労働者側の委員から、もし現在のような完全実施されないような人事院勧告であるならば公務員のいわゆる基本権の回復を目ざしているように私は聞いたのですが、現実に毎年実施されない人事院勧告、こういうような完全実施されない人事院勧告ならば、結局は政府はこの際公務員に労働基本権を認めてはどうか、私はこのように思うのですが、この点いかがでしょうか。
  88. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは今日までもお答えいたしてまいったように、私どもは、公務員というものの国家に対しまする、国民に対しまする奉仕者としての重大な立場から、さようには考えておりませんので、その点は従来同様の態度でございます。
  89. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先般の公務員のストの場合にも、結局は完全実施されないためにストが行なわれているわけです。政府は厳重にその違反者を処分するというだけで、これだけでは私はいけないと思うのです。やはり何といいましても、人事院勧告を完全に実施できないのは政府そのものに責任があるわけなんですから、そこのところをよく考えて今後の点も、よろしくお願いしたいと思います。以上で終わります。
  90. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  次回は参議院公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時散会