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1968-10-17 第59回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月十七日(木曜日)    午前十時五十分開会     —————————————    委員異動  十月十四日     辞任         補欠選任      長屋  茂君     田中 茂穂君  十月十六日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     長屋  茂君  十月十七日     辞任         補欠選任      八田 一朗君     北畠 教真君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井川 伊平君     理事                 石原幹市郎君                 長屋  茂君                 北村  暢君                 山崎  昇君     委員                 源田  実君                 柴田  栄君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 山本伊三郎君                 多田 省吾君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  田中 龍夫君        国 務 大 臣  増田甲子七君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁人事教育        局長       麻生  茂君        防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君        防衛施設庁総務        部長       鐘江 士郎君        防衛施設庁施設        部長       鶴崎  敏君        外務省アメリカ        局長       東郷 文彦君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○国の防衛に関する調査  (国の防衛に関する件) ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家行政組織に関する件)  (国家公務員給与に関する件)  (一般職の職員の給与に関する人事院勧告に対  する決議の件) ○派遣委員報告に関する件     —————————————
  2. 井川伊平

    委員長井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。  本日、八田一朗君が辞任され、北畠教真君が選任されました。     —————————————
  3. 井川伊平

    委員長井川伊平君) ただいまの委員異動に伴い、理事が一名欠けましたので、この際、その補欠互選を行ないます。  互選は、便宜委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事長屋茂君にお願いをいたします。     —————————————
  5. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 国の防衛に関する件を議題といたします。  政府側からは増田防衛庁長官島田官房長宍戸防衛局長麻生人事教育局長蒲谷装備局長江藤参事官鐘江防衛施設庁総務部長鶴崎施設部長東郷外務省アメリカ局長出席いたしております。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 北村暢

    北村暢君 私は、第一番目にFXの問題について質問いたしますが、それに先立ちまして、先ほど岩間君からありましたように、防衛庁長官の件に関しましては、出席の問題については次官からよくお話あったことだと思います。今後私どもも議院の権威のために努力したいと思いますが、長官においてもひとつ十分配慮していただきたい、こういうことを冒頭に申し述べておきます。  それで、第一番目に、十月八日の次期主力戦闘機FXにつきまして、航空幕僚長から防衛庁長官に意見の上申があったようでありますが、その上申書内容をここでひとつ説明を願いたいと思います。
  7. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まずもって、この前は健康の関係で欠席したことをおわび申し上げます。  私は内閣委員会出席を要求されました場合、政府委員として、あるいは国務大臣として、欠席したことは今回が、この九日が初めてでございまして、いついかなる場合におきましても国会優先という立場をとって、あらゆる差しつかえは差し繰りまして出席いたしております。そのことは北村さんにおいても御了承願っておると思いまするが、将来もそういう心組みでまいりたいと思います。  それからFXのことでございますが、十月八日に航空幕僚長より長官あて上申書が提出されました。その内容につきましては、整備したい新戦闘機機種選定理由、将来にわたって整備したい機数取得要領等が述べられております。  また、先般派遣いたしました調査団報告書が添付されております。それからその報告書に基づきまして、新しい戦闘機に関するORというもの、オペレーションズ・リサーチ、いわゆる運用分析でございます。運用分析をいたしましたその作業の結果等も添付されております。  個々の具体的内容につきましては、現在の段階ではまだ申し上げかねるわけでございますが、以上が大体の内容でございます。
  8. 北村暢

    北村暢君 ただいまの上申書内容説明では、私ども了承しかねるわけです。大体質問ができないです、これじゃ。したがって、私は、まあ機密保護の点もありましょうけれども、大体の概要ぐらいは発表できないものですか。いまのでは上申書説明には私ならないと思いますがね。私、質問しようたって質問ができないだろうと思うのです。これはやはり上申書が出て、まあ最終決定するまでは非常に重要な事項でしょうけれども、この決定にあたっては、やはり国民の代表であるわれわれが聞く権利はあると思っています。それほど機密にしなければならないものなんでしょうか。どうなんでしょうか。
  9. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これはまだ最終決定をしないわけでございますし、現に防衛庁といたしましては、各種作業を続行いたしております。それから一昨日でございますが、メーカー決定いたしました。これは通産大臣が、正式には航空機製造事業法によりまして許可をするわけでございまして、実質的には防衛庁長官とも相談するということになっておりまするが、その相談を私どもいたしまして、そうして主たるメーカーを三菱重工業、従たるメーカー川崎航空機工業KK、これにそれぞれ主、従という関係において製造することを一応内示いたしました。メーカー側におきましても、各般作業航空機につきましていたしている最中でございます。  でございまするから、そういう作業の過程にありますものにつきまして、中間の私ども部下のある段階の者が、こういう書類を出したというようなことは、まだ防衛庁長官としては決定するところに至っておりませんしいたしますから申し上げかねる、こういうわけでございます。
  10. 北村暢

    北村暢君 このFXメーカーの内示をしてやったということくらいは、新聞に出てこれはもうわかっておる。メーカー候補機について見積もりその他やるわけでしょう。そうすると、その候補機というものはわかっておらなければならないわけでしょう。大体新聞等でも伝えられているわけなんですが、それすら言えないわけですか。言えなければ私ども具体的にお伺いをしますが、それで答えられないということになると、これは審議が進まないと思います。候補機種は何と何ですか。一説には、候補F4Eファントムにしぼられて上申がなされたというふうに新聞では伝えられておりますね。そのほかの候補機というのは一体何と何でしょう。あなたは、いまメーカーに内定をして見積もりをさせることになったわけなんですけれども、その見積もりする機種というのは、いま私のお尋ねした範囲内でどういうものなのか、具体的にひとつお伺いをしたい。
  11. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) この五、六月ごろまでは九機種ございまして、その九機種のうちで、現在ございます現役戦闘機F104よりも能力等がまさっていないもの、同等もしくは劣っておるものはこれを落としまして、そこで三機種になったわけでございます。スウェーデンのビゲン等が相当云々されておりましたけれども、しかしF104に比べて同等あるいはそれ以下である機能等で、それを落としまして、そこで三機種にしぼったのが七月の段階でございます。すなわちフランスミラージュアメリカCL1010−2、1010と言っておりますが、それと、同じくアメリカファントム4、この三つにしぼりまして、緒方調査団が七月末から九月の初めにかけまして三機種の試乗をするとか、あるいはそれに近いものに試乗するとか、その他あらゆるデータにつきまして検討するために、約一カ月有余、自衛隊のパイロットを入れまして、緒方という術科教育本部長空将を団長にいたしまして、そして選定をしてこさしたわけでございます。調査団報告書等も出ております。それに基づきまして空幕監部で行ないました各般操作分析等の結果も出てはおりますけれども、しかし、これは一応防衛庁の私の部下段階におきましてやったことでございまして、その内容等は、先ほど項目は申し上げてございます。すなわち機種選定理由、将来にわたってどれくらい整備したらいいか、あるいは取得する要領、こういうことは申し上げましたが、まだ私自身がこれからの、メーカーからも各種データーをとりまして。そうして一つにしぼり上げてまいるという結論的なものには、まだ増田甲子七の頭が、防衛庁長官としての頭ができておりませんから、巷間各般のうわさが伝えられましても、私自身決定という——これは私は防衛庁長官行政処分行為だと思っておりまするが、その決定というところの段階にまではまだいっていない。こういうわけでございますから、したがいまして、その決定の前提をなす各種データについては申し上げかねる。つまり空幕長上申書一つデータであります。あるいは調査団報告書データでございます。そのデータまでは申し上げがたい、こういうわけでございます。
  12. 北村暢

    北村暢君 これはデータは申し上げられないと言ったって、いまあげられた機種の主要諸元というものはわかっているわけでしょう。それはあなた、いろいろなものにもうすでに性能その他出ている。そういうものはあなた、申し上げられないと言ったって、そこら辺があれじゃないですか、最初に私が申し上げたのは、機密機密ということで申し上げられないとか、話せられないというのじゃ審議できないですよ。しかしそれは私どもは、いま最終的に残った三つ機種について、われわれも一体どれがいいのか悪いのかという判断するくらいの内容諸元を出していただいても何にも差しつかえないと思うのですけれども、それはできないですか、どうなんですか。これはあれでしょう。どういうふうにしようということはわからないかもしれぬけれども、いま現実にあるF4Eファントム性能というものについては、ある程度出ているわけです。それからロッキードにしても、ミラージュにしても、その性能というものはある程度出ている。そういうものは資料として要求しても出せないですか、どうなんですか。
  13. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これはジェーン年鑑とか、あるいはミリタリー・バランスとかに出ているものはございますけれども、しかし向こうのオファーせんとする、われわれに提供せんとするものは、現存するミリタリー・バランスジェーン年鑑等にありますミラージュではないわけでございます。これが幾分進歩しているというわけで、プラスアルファであるCL1010というものは、現在存在しないわけでございまして、それに近いものに試乗してみた、こういうわけでございますから、現在データがあると言っても、申し出をしておるデータということであるならば、それはあるかもしれませんが、印刷され公刊されておる各般年鑑等に出ているものとは違うわけでございます。F4Eといえども、現在あることはありますけれども、それにさらに改良を加えるわけでございまして、現在あるF4がすなわちF4Eである、これはデータがそろっているじゃないかと言われても、私どもの見地からはそろってはいないと、こういうふうに申し上げる、ただそれに近いということだけは申し上げます。
  14. 北村暢

    北村暢君 それじゃそこら辺の、具体的になりますから、ここに私の知っている範囲のものはありますけれども、これを一々やっていたのじゃ時間がかかってしようがないから、現在のファントムF4CD改良して、4Eをこれからつくるというわけですね。4Eももう発注されたものがすでにある。それで、長官のおっしゃられる、いまあるものに改良を加えるというのは、改良を加えるところはどことどこなのか、そこをひとつ御説明願いたい。
  15. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) ファントムF4Eにつきましては、お話のように現在実機がございます。それでテストいたしまして、それをかりに日本に採用になれば、そのままというよりは、若干の改修は必要かと思いますけれども、現在どこを改修しなければならないというふうにまだきまっている段階ではございません。それから、CL1010につきましては実機はございません。で、一番それに近いものに乗ってきたわけですけれども、その一番近いものはイタリアで採用しておりますF104Sという機種でございますけれども、それに若干の改良を加えたものを提案をしております。その提案されております改良の要点は、翼面積を拡大するというのが主でございます。それに伴って所要の補強はいたします。それが日本に提案しておりますCL1010—2というものでございます。それから、ミラージュFlCにつきましては、フランス試作機の一号をつくりましたけれども、これは不幸にして事故でなくしておりますけれども、その事故で喪失しましたFlCというのが、まあ事故でなくなりましたけれども現にあったわけですが、そのものを提案している。こういう状況でございます。
  16. 北村暢

    北村暢君 なかなか専門的で、ちょっと聞いてもわからないんですけれども、それじゃ私は、大体可能性の強いF4Eについてお尋ねしますが、これの自重、それから全備重量というのはどうなっておりますか。
  17. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) F4E自重は約十四トンでございます。それから全備重量、つまり武装しました場合の重量は、約二十六トン程度でございます。
  18. 北村暢

    北村暢君 それから武装でありますが、現実にあるファントムF4E武装状況、並びに今後自衛隊がやろうとしている、計画しようとしている武装上申書はどう出てきているのか、これについて説明を願いたい。
  19. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) F4E基準兵装は、AIM7Eといいますか、これはスパローというミサイルでございますけれども、これが四発。それからAIM、ファルコンといっておりますけれどもミサイルでございますが、これが四発。これが基準兵装に相なっております。爆弾搭載の標準は、二百五十キロ爆弾を四発ないし八発というのが基準になっております。
  20. 北村暢

    北村暢君 このファントムF4Eはすでにベトナム戦争にこれ参加をしておりますわね。そして、従来の装備からいうと、二十ミリバルカン砲一門、それからAIMスパロー、それから同じくサイドワィンダー四発。それからブルパップも搭載されている。爆弾は六トンの爆弾を搭載可能である。現実にこれはいまのベトナム戦争における北爆に使用されている。こういうデータがすでに公開されているのですね。そういう性能のあるものと判断をして差しつかえないと思いますが、いかがですか。
  21. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) F4Eそのものベトナムには行っていないと思います。そういうことは聞いておりません。同系列のものは行っておりますけれどもF4Eはわりあい新しい型の機種でございますので、F4CとかDというのは、行って活躍しているようでございますけれどもF4Eは行っていないと思います。  いまお話基準兵装でございますが、先ほど申し上げたような基準兵装のほかに、ブルパップは搭載できる構造は持っております。ただ、かりにわが国に採用されました場合には、ブルパップわが国は採用することは考えていないということでございます。
  22. 北村暢

    北村暢君 先ほど二百五十キロの爆弾を四発ないし八発と言いましたね。これはどういう爆弾ですか。六トン爆弾が搭載可能であるというデータはないのですか。どうなんですか。
  23. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) 先ほど申し上げましたのは、基準兵装としまして二百五十キロのものが普通四発、少し大きく積みまして、つまり燃料なんかを節約しまして積みまして、八発までは積んで戦闘することも考えられます構造になっておりますけれども、つまり二百五十キロの八発ということは結局二トン程度でございます。ただ燃料を積むことを全部やめまして、これは仮定の話でございますけれども燃料を積むことを全部やめまして、羽や胴体の下にいろいろな装置がございますけれども、そこへ全部かりに爆弾を積むということになりますと、二十四カ所爆弾を積むことは観念上は可能でございますけれども、そういうふうなことでは実際に役に立たない。飛ぶ航続距離が非常に短くなるということで、ただ観念上だけの数字ではそういう数字になるかと思います。
  24. 北村暢

    北村暢君 いずれにいたしましても、このF4Eが採用される可能性が非常に強い、こう見て差しつかえないと思うのですね。ですからこれを中心にお伺いするわけですが、このF4Eのいま申しました性能から言って、これは従来のF04Jよりははるかに性能の点から言って改善されていることはもう間違いない。その趣旨はそうなんでしょうけれども、ところがいま言われましたように、これは明らかに私は戦闘爆撃機に類する機種である、こういうふうに見ていいと思うのですね、性能から言って。これはそう見て差しつかえございませんか。
  25. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) アメリカではこの機種戦術戦闘機といっております。御承知のように、最近の趨勢としては、戦闘機はいろいろな多用途に使うというふうなことで、要撃専門とか、あるいは対地攻撃専門だとかというふうなことでなくて、いろいろな用途に使えるというふうなことが最近の趨勢でございますので、ファントムも大体そういう傾向を持っておりまして、アメリカでは戦術戦闘機といっております。わが国で採用された場合においては、それを主として要撃に使うという考え方でおりますけれどもアメリカでは戦闘爆撃機というのは最近は使っていないようでございます。
  26. 北村暢

    北村暢君 戦闘爆撃機ということばは使っておりません、いまおっしゃったとおり戦術戦闘機という表現をしている。これは現在F111ですね、将来一九七〇年にはこのF111が主力になっていくだろうという想定は立てられる。おっしゃるとおり、これは戦術戦闘機であるけれども多目的に使われる機種に発展をしていく可能性がある。これはしたがってアメリカ戦術空軍のいまの主力機ですね、こう見ていいですよ。したがって、これは戦闘機であると同時に爆撃をやれるようにできているわけですね。したがって、ことばとしては使ってないけれども多目的になっていけば、戦術戦闘機という名前は使っているが、爆撃もやるから、戦闘爆撃機と従来いっているものに該当して差しつかえないものではないかということを私聞いているわけなんですよ。いかがですか。
  27. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) 従来、戦闘機をいろいろ区分けして名前をつけておりますが、お尋ねの戦闘爆撃機というのは、従来いっておりましたが、これは戦闘機の中で対地攻撃主力を置くものというものを戦闘爆撃機といっていたように思います。たとえば、ほかの対戦闘機と格闘する場合には制空戦闘機といい、あるいは対要撃機といえば、要撃して落とすことを主たる任務とするものはインターセプター、要撃機というふうにいいました場合は。対地攻撃を主たる任務とするものを戦闘爆撃機といっていたようでございますけれども、このアメリカが使っておりますファントム戦術戦闘機と最近はいっているわけでありますけれども対地攻撃を主たる目的にしているというわけではないと思います。対地攻撃も十分やれる能力は持っておりますけれども、それが最重点であるというわけではない。それを最重点にしたものがさっきお話に出ましたF111、これは対地攻撃相当重点を置いているものと思いますけれどもファントムのほうは、対地攻撃もやれるけれども、同時に爆撃機要撃することも十分やれる、戦闘機の相手もできるという多用途戦術戦闘機であるというふうにいわれていると思います。
  28. 北村暢

    北村暢君 だからあれでしょう、いまの表現をしているということは、これはF104よりは対地攻撃にも性能からいえば改善されているわけですね。現実ブルパップも搭載可能であり、しかもブルパップはいまベトナムで盛んに使われているでしょう。これはブルパップというのはあれでしょう、空対地ミサイルでしょう、明らかに。F104にはこれは積んでないですよ、搭載してない。したがって、これは対地攻撃性能からいえばはるかに改善されておる。爆弾F104は積みますけれども日本のやつは積んでいない。そういう意味においてこれはF104とは、自重、戦備、重量からいっても倍以上でしょう。そういう点から言って、これは明らかに爆撃機的性格を持っているのですよ。そういうものをはっきり認めたらいいんじゃないですか。何も遠慮する必要はない、そういうものなんでしょう。これはどうなんです。
  29. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) 客観的な性能でございますから、別に私は遠慮して申し上げる必要はもちろんございませんが、ただ戦闘爆撃機対地攻撃に最重点を置く機種かというふうに仰せられますと、それはF111とは少し違っておる。確かでございませんが、爆弾は積めます。対地攻撃が相当有力にできる機種ではございますが、たとえば空対地レーダーを備えておりません。111はその対地攻撃をするために対地レーダーも持っておりますが、このファントムはそれが欠けておるというようなことで、111とは対地攻撃はやはり落ちるというふうに見るのが客観的な見方ではないか。しかし仰せのように現在の104から比べれば、対地攻撃能力も相当向上しているということは確かでございましょう。
  30. 北村暢

    北村暢君 そこで、大臣FXについては爆撃機装置はしない、そういう答弁をされておりますね。FXについては、機種選定にあたってはしないということと、性能としてはできる。だけれども日本憲法自衛権範囲からいって爆撃機装置はしないということと別なんですよ。だから局長が言っているように、何もわかっているものは隠す必要はないのだから、爆撃することもあるのですと、はっきり爆撃機としても使うことがあるのだということははっきりしておるのです。したがってこのF4Eというものは、性能からいえばこれは爆撃にも使える、これははっきりしていますね。それを爆撃に使えるけれども使わないのだ、装置をしないというのと、性能はあるということとは、これは別にして、はっきりお答えになっていいと思うのです。どうですか、長官
  31. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) この際、衆議院、参議院、その他の機会において明瞭にしておるところでございますが、さらに明瞭にいたしておきたいと思っております。  それは日本憲法九条は、座して死を待てということを規定していないということを、かつて鳩山さんがおっしゃいまして、それに続いて、わが国が侵略を受けた場合——侵略者はどこかわかりませんけれども、その侵略者の基地をたたくにあらずんば日本は死中に活を求めることはできない、滅びてしまう、こういう場合には敵の——敵と言ってもどこか侵略者はわかりませんが、その侵略者の基地をたたくこともできるということを答弁しております。十年ぶりではございまするが、私もそのことを明瞭に衆、参両院において答弁いたしております。このことは北村さんにおいても御理解を願い、御認識を願っておるところでございまするが、さらにこの委員会においても明瞭に答弁いたしておきます。  それから将来選ぶべき新戦闘機はどういうものを選ぶか、第三次防の基本方針を決定するにあたりまして、選ぶべき新戦闘機は迎撃能力を高めたものを選ぶ、こういうことが国防会議あるいは閣議決定等において決定されておりまするし、皆さまにも申し上げております。すなわちF104よりは迎撃能力要撃能力の高いものを、こういう見地で決定もされておりまするし、皆さまにもよく御説明申し上げております。  そこで将来選ぶべきこの三機種のどれを選びましても、迎撃能力を高めるということが主眼でございまして、支援能力というような、つまり地上の爆撃というようなことは主眼ではございません。そこでブルパップ等は、ASMといいますか、ASMというようなものは設けない。ほかのどこの国の戦闘機にそういうものが設けてありましても、日本の選ぶ戦闘機には、形がかりに類似しておりましても、ブルパップ等の装置はいたさないということは、これまで衆参両院において、また各委員会において申し上げております。  それから、爆撃はしようと思えばできるけれども、F86Fは現に爆撃の演習をしております。しかしながら、F104等は西ドイツにおきましては爆撃装置をそれぞれ取り入れ、それから爆撃も運搬いたしまして演習もしておるようでございますが、わが国の現在あります最新鋭の戦闘機F104には爆撃装置も施していないわけでございます。迎撃が主たる任務でございます。  そこで将来のFでございますからFXでございます。このFXに対しましては、迎撃能力要撃能力を高める、これが主眼でございまして、したがって爆弾倉等がございましても、爆撃装置を施さない、このことを私はいつも明確にしておるのでございまして、一時この参議院の決算委員会等におきましてもこのことを明らかにいたしましたが、足が速い、短いというようなことは、これは修正をいたしております。結局足がある程度長かったり、スピードが速くないと迎撃能力が高まったとは言えないわけでございまして、問題は爆撃というようなことを主眼としていない、従たる立場で考えている。したがって、爆撃装置を施さない、こういうことでございます。こまかいレーダーのこととか、あるいは電子計算機のこと等はこまかには存じませんが、そういうしかけで製造する新戦闘機決定した場合には製造する、こういう原則に立っておることを明確にいたしておきます。
  32. 北村暢

    北村暢君 どうも防衛庁長官説明は論理的に非常に矛盾していると、私は思うんですがね。まず、迎撃能力を高める、私はもうF104ですらおかしいと思っているのですよ。というのは、アメリカ空軍の戦術、戦略の点からいって戦略空軍というものを設けている。核兵器、核火力を持っている。戦略爆撃機を中心としている。それから戦術空軍、TACというやつ、これは限定戦争、局地での通常戦闘、これはしたがって戦闘機、いわゆる対航空機に対する空中戦ですね。それと同時に地上爆撃、こういうものを主体とした体系ができている。そして防空空軍というのがありましょう。ADCという防空空軍というのをアメリカは設けているわけです。アメリカ大陸を防衛している空軍は迎撃専門の空軍を持っている。その主力機種は、F101、F102、F106です。これはおっしゃるような迎撃能力を高める、そういう性格の強いもので、性能のいいものというのは、F4Eではなくても迎撃能力能力のあるものはあるのですよ。こっちを採用していない。初めから問題にしていないのだ、これは。そこに問題がある。これは明らかにあなたは、爆撃ができる性能を持っているけれども爆撃機装置はしない、それからブルパップはつけられるけれども、そういうものはつけないのだ。わざわざ性能のうんといいものについて、それを武装すれば能力を大きく発揮できるものを、能力をわざわざ減少して使うなんという、そんな不経済なやり方はないですよ。これは価格の面からいってもとんでもない、違うのですからね。だからそういう意味からいえば、根本的に私は、戦術空軍というものを対象に考えなければならない、防衛空軍というものを対象に考えていない。日本憲法なり何かからいえば、当然防衛空軍というものを考え、それに最適の機種というものを、最初からそれを検討すべきなんだ、そうじゃないですか。  それからあなたは、日本の国がどうにもならない、かりにあなたのおっしゃるときは、危機に瀕した、戦争が始まったときには、それで日本の国の運命をどうするかといったときには、敵の基地まで——対象国はどこの国とは言えないが、対象国の基地まで行って攻撃するということ、基地まで行って攻撃するのに戦闘機で行っても攻撃になりませんよ。爆撃しなければ攻撃にならない。当然爆撃は、あなたの論理からいっても、爆撃機というものは持たなければならない、こういう性格でしょう。それをなぜ爆撃機を持たない持たないとあなたは抗弁するのですか。基地は攻撃すると言明しておきながら、敵の基地に飛んでいって爆撃しないで、何の目的を持ってそこへ行くのですか。あなたそんな論理的な矛盾はないでしょう。したがって、いざ一たんどうだといったときに爆弾をつけられるものを、これはあなた方はすでに選んでいるのじゃないですか。そういうことでしょう。いま積まないというだけの話でしょう。だから訓練はやっているというのでしょう。訓練はやっている。いざというときは爆撃できるような装置にすぐ転換できる、そういう機種を選んでいる。迎撃能力を最大限発揮するのだったら、F106でいいんじゃないですか。これのまた改良型もいま考えられてきているのですよ。どうですか、全く論理的に矛盾していますよ。
  33. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は論理的にきわめて整然たることを言っていると思いますが、北村さんが矛盾しているとおっしゃるならば、北村さんの御認識で、これはしようがないのですが、きわめて明瞭なことを言っております。  そこで、日本自衛隊というものは自衛防衛のためにつくられておる。このことを絶対ともいっていいくらいの原則で、われわれは陸上、海上、航空の自衛隊を整備しておるわけでございます。そこでF104は、設けようと思うならばドイツのごとく設けられるんだから、設けたらいいじゃないかという北村さんのお説のほうがどうかしていると思うんです。私は設けないという、日本の自衛防衛という原則から見て設けていないんですから、それですからF104以上の要撃能力、迎撃能力——私はこれは相対的なものでございますから、すべて防衛というものは、そこで、やはり相当向上してこないといけないと思います。迎撃能力要撃能力というものは、三次防の段階におきましては二次防の段階よりも、すべて相対関係でございますから、相手のあることでございまして、われわれはいつまでも旧套墨守していいというわけではございません。そこでFXという問題が問題になってきているわけでございます。ただ、そのFXは、F104に比べて要撃能力、迎撃能力は高いけれども、しかし地上支援といったようなことは従として考えておる。その地上支援というものも、かりに日本がどこか上陸でもされたり、あるいは占領でもされる、一部ですよ。そういうようなことがあった場合に侵略を排除する、あるいは日本に近づきつつある軍艦等を排除する、こういうような目的にある程度私は使ってしかるべきものだと思っております。  それから、先ほど一番先に、鳩山さんのことばばを私が十年ぶりで初めて引用したのは、何も十年間説が変わっているわけじゃないのでありまして、日本を侵略しつつある侵略勢力の基地をたたくにあらずんば日本の生存は維持しがたい、こういう場合にはこの基地をたたくこともできる。それは憲法の否定しておるところではない、こういうことは、鳩山さん以来一貫した考えでございまするが、特に声を大にして明瞭にしておるのは増田甲子七でございます。  そこで、それはどういうふうに一体たたくかということは、これは今度のFXでたたくとは必ずしも限っていないのでございまして、あるいは海上自衛隊もございましょうし、いろんな方法によって侵略しつつあるというんですから、もう侵略が始まっていることが前提でございます。侵略しつつある外部勢力の基地をたたくにあらずんば日本の生存が維持しがたいという場合には基地をたたき得る。このことはぜひ国会議員の皆さんにはコンセンサスを得たい意味におきまして、私はしばしば明瞭にいたしておるわけでございます。
  34. 北村暢

    北村暢君 だから存亡のときには基地をたたくことはあるんだと、これは自衛上、憲法の否定するものではないんだとおっしゃれば、それはそういうことを想定をして準備をするということでしょう。基地をたたくのは何も今度のFXだけでないんだと、こうおっしゃるけれども現実問題としてどうやってたたくんです。これは爆撃機でやる、軍艦で砲撃するといったって、それはあなた、ちょうどいいところにあればいいかもしれないけれども、そうばかりはいきませんよ。それはFXだけではないでしょうけれども戦闘機戦闘爆撃機爆撃するというのは、一つの大きな戦術上の常識でしょう、こんなものは。それをあなた方は想定をして準備をしているんじゃないですかということを聞いているんですよ。
  35. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 憲法上のことで、日本は独立主権国家としてやり得る範囲のことを私は申したわけでございまして、萎縮退嬰して、死を座して待つのみということでは憲法の趣旨はないのであるということを申しました。申しました瞬間において北村さんは、それでは敵の基地をたたくように常時あらゆる国防力を備え、検討しておるのであろうと、そういうようなことは飛躍でございまして、われわれのしょっちゅう考えておるのは、自衛、防衛、国防だけでございます。
  36. 前川旦

    ○前川旦君 関連をいただきましたが、先ほど長官お話の中で、ふに落ちないことが一つありますが、対地放撃能力で必要だとおっしゃいましたね。それで長官は、たとえばその例で、かりに侵略とか一部侵略をしておる、それを排撃していくときに、その地上を放撃するという場合もあり得るというお話でありました。あるいは艦船が接近してくるときに攻撃するということもあり得ると言われましたが、常識的に考えてどうでしょうか。もし、かりに万一日本を侵略してくる国がある場合に、地上軍が上がる前に、橋頭堡をつくる前に、当然制空権を確保するということは常道だろうと思います。ですから、制空権がこちらにあるうちに、艦船が接近したり、あるいは橋頭堡をつくったり、上陸をするということはちょっと考えられない。事前にやはり日本の基地をすべてたたいて、完全に制空権を向こうが取った段階でなければ上がってこれない、これは常識だろうと思います。こうなると、一体深い地形のようなところならともかく、日本のような地形で、日本の国土にかりに万一そういう橋頭堡をつくられた場合に、一部占領された場合に、日本の国内の基地から飛び上がって占領地域を攻撃する、ちょっとこれは常識的にも考えられない。そういうことはあり得る条件でないというように一つ思います。それが一つと、おそらく、かりにもし上陸してきた場合を想定をすれば、国民がいますね。その国民をよそに誘導をして、よそにのけてしまうということはできないわけです。混在するということはあると思う。そこに大きな地上攻撃をかけるということもちょっと考えられるのじゃないですか。そういうことを一体予想されるのでしょうか。
  37. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 主として要撃能力、迎撃能力を高めるということでFX選定いたします。しかし、従として地上支援ということも考えておかなくてはいけないと思っておりまするが、その場合は、先ほど私が北村さんに例示したとおりでありまして、前川さんもそのことは指摘されておりまするが、あとそこに日本の住民がおって、必ず混在しておって、そして敵を爆撃しようと思ってもできにくいのだというようなことは、その個々の戦術に関することでございまして、あらゆる場合を想定して私がここでお互いに問答しておっても何でございまするから、わが同胞を害さずに、そして日本に侵略——これは不幸なことで、まさかないと思いまするが、侵略してきた敵軍、これは敵軍といったっていいと思います、日本に侵略してくるのですから。敵軍を爆撃することによって侵略を阻止する効果が明瞭であるというような場合には、爆撃して地上支援をするということは、航空自衛隊に与えられた任務一つである、こう考えておる次第でございます。
  38. 前川旦

    ○前川旦君 任務一つであるかもしれませんが、それは文章として任務であるでしょうけれども、実際問題として、日本にそういうまだ稼働する地上攻撃の可能な飛行機があり、それが発着するに可能な飛行場、滑走路が残っている間に地上軍が上がってくるということは、ちょっと常識では考えられませんね。ちょっと考えられない。この場合の地上攻撃能力というのは、もっぱらあなたがさっきおっしゃった、やむを得ずの自衛の範囲内だという、外の基地を攻撃する、それにやっぱりしぼられてくるのじゃないかという危惧の念を非常に強く持っております。その点をひとつ解明してもらいたいと思います。
  39. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は専門の戦略戦術家じゃございませんから、常識の範囲内で前川さんと問答したいと思いまするが、多くの場合は、日本の地上が占領されるということは、これはないと思います。しかしながら、そういうこともあることを仮定して各般防衛計画をつくってあるわけでございまして、防衛計画の一々は皆さまには申し上げてございませんが、そういう場合もあるということを考えなかったら、そんなことはおれは考えなかったでは、国民に対して無責任であるというふうに私は考えるわけでございます。多くの場合は、まず飛行機でやってくるでしょうし、制空権が確立される、制海権が確立されるというときに上陸というようなことがあるでしょうけれども、しかし、そういう場合でなくて上陸するということもあるかもしれませんし、また海上にどんどん向こうのほうから、どこかわかりませんが、海軍が侵略してくるという場合に海上自衛隊が対処しますけれども、それだけでは、いまの海上自衛隊はターターを持っているのは一つきりありませんから、そこで航空自衛隊の支援を待つ、そして日本の侵略を排除するという場合が、各般の場合が私は考えられると、こう思います。一つのケース、ケースのことについて設問をされ、私が設答をする、自問自答ということはこの際時間の関係もございまするし、また、制服のほうもここに出ない習慣になっておりますから、やはりユニホームといたしましては各般の場合を考えて、一億国民の生命、身体、財産を平和と安全のうちにお守り申す責任がある、こう考えておる次第でございます。
  40. 前川旦

    ○前川旦君 もう一つ。それは長官そうおっしゃいますけれども、ゼロという可能性はありませんから、ごく一部くらいは可能性は残っているかもしれませんけれども、蓋然性としてほとんどそういうことはあり得ないと思いますから、非常にその点疑問を持ちますが、ゼロという可能性はないということをたてにとるとすれ違いになります。  そこでもう一つだけ伺っておきますが、要撃能力、迎撃能力というものを高めるという前提で、それを判断の基礎になさるということですが、それは一体個々の飛行機の性能だけに限っての技術的な判断をなさるのでしょうか、総合的な迎撃能力という立場に立つのでしょうか。たとえばF4Eですか、これの場合は。パイロット二人になりますね。それから費用の点でもCL1010よりだいぶ金がかかりますね。いまの104にしてもパイロットの数が足りないはずです。足りないという話を聞いております。そうなってくると、F4Eを二機持つのと、C1010を四機持つのと、あるいは四機以上、同じ費用なり同じ。パイロットで持てるというようなこともいろいろあると思います。そういうことを総合的に考えて、全体としての要撃能力というものを高めるというお考えなのか、個々の飛行機だけの性能に限って判断をしていくということなんでしょうか。
  41. 山崎昇

    ○山崎昇君 ちょっとそれに関連して。いまの前川君から性能の問題出ましたが、そこでぼくもこの間北海道の視察に行ったわけです。根室の何と言うのですか、あれは何基地と言うのですかね、ぐるぐる回る——レーダー基地に行って聞いたわけです。そうしたら根室のレーダー基地でかりに何かの飛行機を発見すれば、それは味方か敵かまず識別をする、敵だということが確認をされると、北海道の当別の町にある指令所に通報がいく、指令所から三沢の司令部に通報がいって、三沢から千歳の航空団に指令がきて、千歳の航空団から飛行機が飛び立つと、こう言うのですね。そこで飛行機を発見してから千歳で飛行機が飛び立つまでにどのくらい時間がかかるかと聞いたら七分から十分かかると。そうするといま盛んに議論されている飛行機が、われわれしろうとですけれども、かりにマッハ二だとすると、ほぼ時速二千五百キロくらいの換算になるのじゃないかと思う。そうすると十分くらいの時間を単位に考えますと、約四百キロくらい先に飛行機を発見したときには、それが爆撃し終わったときに日本の飛行機が飛び立っていくということになる、これはこの性能でやったとしても。だから私は要撃能力としても、この飛行機をとったって日本防衛にそうたいしたプラスにならぬのじゃないか。むしろ私はいまやられておる、この論争されておる飛行機は、相手の基地をたたくか、あるいは外へ出て戦闘をやるか、そういう任務が最大の任務でなければならなくなってくるのじゃないかという疑問を私ども持つわけです、自衛隊を見れば見るほど。この間私は視察中に、一緒に行かれた参事官の人に聞いたわけです。その場合に、さっきから長官が言うように、日本がかりに敵軍に上陸される、あるいは占領されると、こういうのですが、それはさっき前川君から言いましたように、制空権、制海権を向こうが握った後でなければできないと私は思う。日本だってそうだったと思う、かつての戦争を見れば。そうなれば向こうがきたときには日本の飛行機は何の役にも立たない。レーダーなんというものは何の役にも立たない。陸上自衛隊が戦って、戦場は日本になるわけですね。いまの戦争の性格からいえば戦闘員、非戦闘員の区別なんかできない。そういうときに、いまの日本自衛隊なんというのは、だから私はどうしてもあなた方が考えておることは、答弁はそうではないけれども、腹の中で思っているのは、相手をたたく攻撃用の飛行機でなければ意味をなさないのじゃないか、こう私は思うのですが、前川君の質問に関連して、ひとつ性能の問題から説明を願いたいと思います。
  42. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 山崎さんがよく視察してくだすって、非常に国防のために関心を持っていただいたことに対して感謝をいたします。そこで根室のレーダーから当別のほうのレーダー、それから三沢のレーダー、三沢の基地から千歳に指令する、こういうしかけになっておりまするけれども、これは時間的にはもうほとんど瞬間に近いくらいな時間でございまして、あとむしろスクランブルにはかかっております。七分という時間は私はよくないというわけで、私が長官になって以来、できるだけくふうをして、三分半くらいで出ろということにしておりまするが、やっぱり根室のほうからくるのは、千歳と限ってはいないですから、これは三沢のほう、八戸のほうから出るかもしれませんし、千歳と限れば、もう済んでしまったあとで……。
  43. 山崎昇

    ○山崎昇君 機構がそうなっているのじゃありませんか。
  44. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 千歳で必ずスクランブルをかけろということにはなっておりません。これは仙台の山田でかけるかもしれません。
  45. 山崎昇

    ○山崎昇君 管轄が違えば……。
  46. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 管轄が違っても、それは瞬間的に、府中にもきますから心配は御無用でございまして、そのためにバッジがあるわけでございます。日本全体が瞬間的に動いておりますから。ただエンジンを始動させましてから出るまでの時間が七分というのがちょっと私は長い時間じゃないかという感じがいたしておりまして、これではちょっと守られる国民のほうから見て不安であるから、もう少しくふう研究せよということで、いま三分半くらいで出かけるしかけになっております。そこで、あなたがずっと根室の先のほうからということを指定されましたから私は申しますが、根室の先のほうからきた場合に、千歳では間に合わないということがおそらくあるでしょう。その場合には八戸、三沢あるいは仙台の山田ということになって要撃をするということになります。  前川さんの御質問でございますが、われわれは全体としての迎撃能力の向上を考えておるわけでございまして、個々の一つの飛行機の迎撃能力ではなく、日本全体の国防、防衛という見地からものを考えております。
  47. 北村暢

    北村暢君 私は時間がなくなってまいりましたから簡潔に御答弁願いたいと思いますが、ブルパップを使わない、そういうものは考えていないと言う、なぜですか、これ。そう考えておられるのですか、その理由は何なのですか。
  48. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) こまかいことは防衛局長なり専門家からお話しいたしますが、三次防にいたしましても、あるいは昭和三十二年に決定されました国防に関する基本方針にいたしましても、戦闘機関係、防空関係につきましてはもっぱら要撃能力、迎撃能力、進攻せんとしつつある敵の戦闘機あるいは爆撃機を撃墜する、これが主たる任務でございます。したがいまして、対地上攻撃を主たる任務としたブルパップ等は考えない、またしかけをいたさない、こういうことにいたしております。
  49. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) 御承知と思いますけれどもブルパップ空対地ミサイルで、非常に攻撃的性格が強いわけでございますので、わが国の防空を主とします航空自衛隊任務から見ましても、これをつける必要は現段階ではないというふうな考え方でおります。
  50. 北村暢

    北村暢君 だから、そういうF4Eを使うというと、採用するとあれですよ、攻撃的な装備のできる性格のものがあるんですよ。爆撃もやらない、ブルパップも使わない、攻撃的性格、これはあなた方何ぼ弁解してみたところで、国際的にF4Eを使えば、これは攻撃的な性格は非常に強い性能を持ったものを採用したということになる、これは常識でしょう。それであなた他国に脅威を与えないというのですが、それはあなたどうやって与えないということを立証できるんですか。これはこういうものを採用したということによって、私は、行動半径からいったって、爆弾積んで、これはあれでしょう、F86Fは、あなたは、行動半径三百五十キロ以内だから、これは問題ないと言ったけれども、これは七百キロ以上行きますよ。もっと軽くしていけば千五百キロまで行動半径とれますよ。そういう性能を持った飛行機、戦闘機でしょう。だからこれは明らかに私は、いま攻撃的性格のものだから、これはつけないんだとおっしゃるけれども、あらゆる場面を想定して、というのは、先ほど言ったように、上陸をしてきた場合に地上軍に対しての戦闘をやるんだといっているんでしょう。そのときには、このブルパップというのは、戦車なり装甲車なり、こういう固定した目標に対する攻撃にはもう非常な威力を発揮してくるんですよね。そういうものなんでしょう。そういうものを想定してあなた方は訓練しておくといったら、こういうものを当然載っけなくちゃ合わないし、先ほどF86Fでもって爆撃の訓練をやっている、訓練をやっているわけでしょう。しかしF86Fは、104には爆撃機装置はしないんだというけれども、F86Fというのは一体いつまで続くんですか。今度の四次防の中間くらいでなくなる、いまもう性能悪くて使いものにならなくなって、損耗率が激しいということが新聞で伝えられています。そうすると、もう四十六年か七年か八年くらいに、もうF86Fはなくなるんですよ、これ。なくなったらあなた、次に104に爆撃機装置をしないわけにはいかない、今度は訓練できないですよ。当然これはあなたそういう訓練やるということになれば、訓練はやっているけれども、その兵器は積まないんですということは、それは詭弁ですよ、そんなこと言ったって。だから攻撃的な性格というものは非常に強くなってくる、これは。だから私は攻撃的性格が強くなくていいんだったならば、ADCの機種、これはアメリカで優秀なものがあるわけなんです。なぜそれを使わないんですか。防衛的だというならば、なぜF104の戦術戦闘機FXというものを考えなければならないのか。優秀な性能の迎撃機というのがあるのですよ、マッハ三くらい出る、スピードの出るすばらしいものがあるのです。なぜそれ使わないのです。迎撃専門だったらば、何も戦術戦闘機使わなくてもいいじゃないですか。マッハ三というものは、今後開発する可能性というものはある。そういう点からいってこれは納得いたしませんよ。  時間がきましたから要点を質問いたしますけれども、価格の問題、それから機数の問題、大体六十機くらい第一段階として想定しているというのが伝えられております。E104は約四億ちょっとでしょう、機体だけ四億。これは機体だけで十六億、装備入れれば十九億、いままでとこれはもう格段に価格が違いましょう。そして先ほど言いましたように、F86F、これの損耗率が、損耗度が非常に激しい、いま調査されている二次防なりの計画変更しなければならないというようになってきている。それは104でもって補うのですか、FXで補うのですか、どういうような構想を持っておられますか。こういう価格の面からいって、F104の体制で、現状維持という形で、さらに防空体制を強化していくという場合、価格面からいってばく大な問題になってくる。財政硬直化が自衛隊から出てくるという結果が私は出てくるのではないかと感じる。そういう意味において、機数が一体どういう計画でやられるつもりか。  それからもう一つは、いまのこのF86Fの損耗度の問題、すでにF86Dは、これは今年度をもって用途廃棄するという方向にいっているでしょう。これが四スコードロン持っているわけでしょう。これがもう今年度でなくなる、するとF86F、これが損耗してくるとなると、これは急速に補わなければならない問題で、それは一体三次防の計画でいけるという自信がおありになるのかどうか、この点をひとつお伺いしておきたい。
  51. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 一般論としてだけ申し上げます。F86Dが本年影を没してしまう、そしてF86Fが昭和四十八年ごろかに影を没してしまうということは御指摘のとおりでございます。それに対しましてわれわれはFXをもって補充せんとするものでございます。  それから、そのころまでにはナイキハ一キュリーズも四個大隊がまた一個大隊か二個大隊ふえて、これがやはり要撃専門でございますから、要撃関係の力の不足を補う。私は、予算のことを北村さんおっしゃいましたけれども、予算の関係は非常に遠慮しておるのでございまして、GNPは世界第二という、自由諸国におきましては第二位という国であるにもかかわらず、予算全体に占める割合は七・二五%、それから国民総生産——GNPのうちに占める国防費の割合は〇・八八%という世界無比の国防費が少ないわけでございまして、ある程度の国防費をやっぱり計上してもらわないと、外国に脅威を与える必要はございませんが、外国に侮りを受けるような防衛ではやはり日本の安全というものがゆるがされると思います。それではいけないと考えておる次第でございます。
  52. 北村暢

    北村暢君 これは、一つだけどうしても答えないのがあるのだが、戦術戦闘機でなくても要撃能力ならばほかにあるというのですよ。なぜ要撃能力のあるものを選ばないで、これを選ぶのか。問題は、九つの機種のうちに入ってきていないのですよ。そういう要撃能力のあるものが入ってきていない。もうそれだから、根本的にはあなた方がここで答弁していることと違うということを言うのです。それについて要撃能力を向上させるというなら、戦術的な、攻撃的な性格の強いものでなくても、要撃能力のあるのに、なぜそっちのほうを選ばないのか。防衛空軍というのをあなたは御存じでしょう。専門の防衛空軍のそういうものがから、ひとつその点をはっきりしてください。  それから、そのほかに私はブルパップを採用しない一つ理由として、そういういま述べられたような理由もあるかもしれませんけれども、これについては、これは核と非核との両用の兵器であるということなんでしょう。だからあなた方は、特にこれは使わないのだ、使わないのだということを主張しているのだろう、そういう理由があるのだろう。だから、この問題は、もう核武装の問題についてはまた機会を見て総体的にやりますけれども、その点をひとつはっきりお答え願いたい。
  53. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) アメリカの地勢と日本の地勢とはだいぶ違うわけであります。アメリカでこうしているからこうしろということは、私は首肯しかねるわけでございます。なかなか北村さん、御勉強の点は敬服いたしますが、F101とかF102とか、F106とかいう候補機種の九種の中に入っていなかった。すなわち、第三次防を決定する場合の基本方針の迎撃能力を高めるという見地から見て、現存する日本で備えておるF104よりは要撃能力は低かった。こういうふうに、これから防衛局長、その他に聞かなくちゃわかりませんけれども、そうでなければそういうものが候補機種にあがってくべきはずのものである。とにかく九種のうちで三種に落としたというのも、ビゲンをはじめ他の六種は、現存する日本が備えておるF104よりも攻撃能力が劣っているということで、各般の見地から劣っているということを私は報告を聞いております。そうして落として、あとの三機種を検討している、こういうわけでございます。
  54. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) 補足して申し上げますけれども、先生おっしゃいますように、あの防空任務の部隊に要撃専門機種が、先生御指摘の106といったものがございます。これはいま長官がお答えしましたように、九機種には入りませんけれども、その九機種を選びますときには、現在日本の持っております104よりも要撃能力の高いものという一つ基準をつくりました。また、これを次のFXをそろえます時期は、主として四次防、五次防、数年後から十年後にかけまして活躍することを期待する機種でございますので、そのころまでに十分活躍できる機種であることが望ましいというふうな基準も立てました。そういった基準から見ますと、現在アメリカの防空任務についておりますF106等は、これは104を選ぶときに候補になった機種でございまして、能力の点から見ましても、時期的な面から見ましても、今度はFX候補機種には不足しているというふうなことから除いております。  先ほど先生のおっしゃいましたスリーマッハのものが候補機種から落ちているというふうな点は、YF−12のことじゃないかと思いますが、いまの106と違いまして、これから実用化されようという機種でございますが、これは今度は逆に四十七、八年程度には実用部隊をつくりたいというふうなことから見ますと、少し今度は逆に時期が早過ぎることと、それから予想される値段がむやみに高くて、とてもわが国の財政需要の手に負えないというふうなことがわりあいはっきりいたしましたので、こういう機種から除いたというふうないきさつがございます。そういうふうな諸点を考慮いたしまして機種を選んだわけでございます。  先生の御指摘のF4につきましては、先ほど申しましたように、アメリカは多様化しまして戦術戦闘機として使っておるわけであります。わが国としてかりにそれを採用いたします場合には、そのF4が持っております高い要撃能力に着目いたしまして三機種候補機種にあがった、こういうふうなことでございます。F−4Eは対地支援能力のほうもこれは持っております。104よりは高い対地支援能力を持っております。それに対応しなくても要撃能力が104よりは相当高いという点に着目した、こういうことでございます。
  55. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 多田君に申し上げます。今朝御要求がありました運輸省からは泉航空局管制課長が参っております。多田君。
  56. 多田省吾

    ○多田省吾君 私はFX、それから防衛機密の問題、基地公害、この三点で御質問申し上げます。  いまFXの問題についてさまざま質疑がございましたので、簡単に質問させていただきますが、まず第一にFX機種決定を十月中に国防会議でなさるということをおっしゃっておりますけれども、この前のF104決定の場合も、三十三年四月十二日、国防会議でグラマンが内定してから、そのあと六月十五日に白紙還元しているというような事態も起こっております。今度は慎重に検討して、十月中に最終決定をするのかどうか、この点をまずお伺いします。
  57. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 多田さんにお答えいたします。  このごろ決算委員会においても申し上げましたが、この十月中にはきめたいと思っております。それからこれは防衛庁長官のなし得る行政行為である、行政処分的な行為である、こう考えております。しかしながら、国防会議の所管事項ではございませんけれども、グラマン、ロッキードのときの国防会議にかけた先例等もございますので、国防会議の議員等には打ち合わせをして、そうしてきめたい、こう考えておる次第でございます。
  58. 多田省吾

    ○多田省吾君 三次防で新戦闘機をつくるということは決定しているわけでありますけれども、その場合に、一九七〇年代の期間すべてにFXというものを活躍させるつもりか、また、つなぎ機種として用いようとしているつもりか。というのは西ドイツあたりではつなぎ機種としてF4Eファントムですか、それを注文しているということを聞いておりますので、その点はいかがですか。
  59. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 今度きめました場合には、だんだんほかのものをフェーズ・アウトいたしますから、それにかわるもの、こういうふうに考えておるのでありまして、何かFXのXがあって、そのFXのXに対してXがつなぎである、こういうふうには考えておりません。
  60. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほども質問がありましたが、その場合にF104J、二百三十機ありますけれども、それにかわる機種なのか、それともそれは温存しておいて、F86F三百機、これにかわるべきものがあるか、あるいは両者にかわるべきものとしてFXを選ぶのでしょうか、いかがですか。
  61. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) FXというものがよきものであるならば、先ほど北村さんの御指摘のF86Fも、昭和四十八年ごろには影を没するわけでございます。F104もいずれ昭和五十何年ごろには影を没すると思います。それにかわるものとして考えておる次第でございます。
  62. 多田省吾

    ○多田省吾君 新聞報道によりますと、この前五日の日に、米上院の軍事委員会の軍備調査委員会におきまして、米ソの空軍力を比較した報告書を発表したそうでありますが、その中でも、F104ファントム戦闘機でもミグ21とほぼ同程度性能しかないから、もうそれにはF23というような新兵器を開発している、新しいF111の改良型とか、あるいは新しいFXアメリカにおいても開発すべきである、こういうような報告がなされておるわけです。そのように、アメリカにおいて、あるいはソ連においてぐんぐんと戦闘機性能というものが上がれば上がるほど——また、わが国においても、防衛庁がいまから三、四年前は、たしかFXはつくらない、F104でいくというような話もあったようですが、三次防でFX決定している。今度、たとえば新しいFXをつくった場合でも、また次に新しいFXをつくらなきゃならぬじゃないか、そういう事態は起こり得るとは思いませんか。
  63. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 将来の方式、長期的の見通しを十数年後までは立てにくいわけでございまするが、昭和四十七、八年ごろまでは、私どもは今度選ぶべきFXでよろしいと、こう考えております。F111というのはまだ実験段階でございまして、私の知っているところでは、これは新聞等で見た知識でございまするが、イギリス等でもF111を採用したいということでございましたけれども、まだ自分自身の安定性が欠けておる、ときどき自分自身で他から攻撃される前に落っこちておる、こういうようなことで、三マッハあるいは二・八マッハというものが必ずしも万全でないということが、アメリカ自身ですら私は検討段階だと思っております。そこで、将来相当長期にわたって防衛のことは考えなくちゃなりませんから申し上げますが、ここ五、六年間ぐらいは今度選ぶべきFXで大丈夫、その後のことはわかりかねます。  以上をもってお答えといたします。
  64. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすると、あと四、五年といいますけれども、四次防、五次防の先まで防衛局長先ほどFXを考えたいとおっしゃった。防衛庁長官のいまの御答弁と違うようですが、どうなんですか。
  65. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) FXが選ばれて充実いたしますのは昭和五十年ごろでございまして、そのころ航空自衛隊として活躍してもらいたいということを考えのでございまして、またFXが起きやせぬかというのは、この五、六年間ぐらいは起きないであろうと、昭和四十八年や四十九年ごろまではまだ起きないであろうと、その例として、F111というものは実験段階であって、アメリカも実戦段階に乗っけていないということを例として申し上げたわけでございます。しかし、将来永久にということは申し上げかねる。少なくとも五、六年間や七、八年間は将来のFXの問題は考えないでよろしい。それから今度これがFX選定いたしまして、そうして相当製造いたしまして、航空自衛隊の実力になるという段階は昭和五十年ごろでございます。
  66. 多田省吾

    ○多田省吾君 F4CかDだと思いますけれども、一般に双発とか複座、あるいは最高速度がマッハ二・四、航続距離は三千七百キロ、あるいはまたいろいろ兵器の装備、あるいは原爆も積むことができるというような装備状態ですね。それがいわれておりますけれども、この兵器装備のほかに、最高速度や、あるいは航続距離を含めたF4E性能と思われるものを並べていただきたいのですが。
  67. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) CL1010、ミラージュF4E等はすでにわかっているのじゃないかということを、先ほど北村さんがおっしゃいましたが、外国のジェーン年鑑とかミリタリー・バランスに載っている線は、必ずしも現実のものではないということを申し上げます。そこで私どもがわかっている範囲でこの際言えといえば、防衛局長から答弁させますが、ちょっと時間の関係で、私が一時十分まではおりますけれども、あとで委員長から御発言があると思いまするが、その範囲で済むように御配慮くだされば幸甚でございます。
  68. 多田省吾

    ○多田省吾君 じゃあおっしゃってください。
  69. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) F4Eの主要項目を申し上げますと、乗員は二人でございます。全長は十九・二メートルでございます。全幅が十一・七メートル、高さ五メートル、自重が約十四トン。エンジンはJ79−GE−17というのが二基、最高速度が二マッハ以上でございます。戦闘の上昇限度でございますが、一万七千メートルないし一万八千メートルと申し上げておきます。航続距離は、フェリーといいまして、全く武装しませんで、外装しませんで、燃料を一ぱい積んで、飛ぶだけ飛んで帰らないというような飛び方をしますと約二千海里ちょっと上回りますが、これでは戦闘はできません。普通の戦闘で役立つような行動半径は、これも武装によって違いますけれども基準的にいいますと、三百ないし四百海里であろうかと思います。武装は先ほども申し上げましたけれどもミサイルとしましてスパローというのが四発、ファルコンというのが四発、機銃としましてM61というのが一基、爆弾は八発まで、離陸距離は八百ないし千メートル、所要滑走路長も二千五百メートルまでというふうなのが基準的な性能でございます。
  70. 多田省吾

    ○多田省吾君 原爆は積むことはできるわけですね。
  71. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) 核武装をする性能は、アメリカのは持っております。
  72. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから先ほども値段の問題が起こりましたけれどもF4Eでは大体十六億一千万円、実戦装備をすれば三億プラスになって十九億一千万円。CL1010の場合は、まあ言われているのが大体十二億六千万円、実戦装備をすれば十五億六千万円とか、このようにちまたにいわれているわけです。その場合に三次防の七百八十億という予定のFXの購入の予算を取ってあると思いますが、初めは十二億で六十機、それがもし二十億近くになりますと、四十機しか購入できないのじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。
  73. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) 単価につきましては、最近きまりましたフライング・メーカー、三メーカーに計算してもらいましてきまることでございまして、まだ正確にはなかなか申し上げにくい段階でございますけれども、常識的に言いまして、二十億とまでは至らない、しかし十億以上はかかろうかと思います。三次防とのワクの関係では、三次防のワクがそもそもこれは今年度、単年度の予算で正確にはきめ得ることになっておりますが、一応おっしゃったような機数計算もかつてはしたことはございますが、そのとおりには必ずしもならないということは言えるかと思います。これは、これから財政当局と相談しまして、具体的な機数がきまっていくということで、現住何機ということを申し上げ段階には至っておりません。
  74. 多田省吾

    ○多田省吾君 いままでのお話によりますと、先ほどは戦術戦闘機というお話でありますが、一名戦闘爆撃機であるという、こういう名称もつけられております。明らかにこういった性能を見ますと、憲法第九条に違反する、自衛のためのみならず、攻撃的性能も相当有しておりまして、近隣諸国に大きな影響を与えるのじゃないかと、このように思うわけでございます。決算委員会でも防衛庁長官は、爆撃装備はしない、それから爆撃装備をした場合でも四百海里ですか、七百二十キロ以内ぐらいしか航続距離がないと、そういうお答えでございますけれども爆弾を半分ぐらい積めば、先ほどのお話のように相当航続距離も倍ぐらいに伸びるでしょうし、また、先ほど長官がおっしゃったように、十年前の鳩山首相、あるいはその当時の防衛庁長官の意見を引かれて、座して死を待つよりも、死中に活を求める意味で相手方の基地をたたく場合もあると。戦略途上とはいいましても、明らかに長官お話によりますと、いわゆる相手国の国土内における基地もたたき得るのであると、そういう意味にもとれます。もしF86Fにしましても、あるいはこの新しいFXにしましても、特にいま有力といわれておるファントムなんかにしますと、これは明らかに敵の国土内基地も爆撃できる性能もあると、このように思われますけれども長官いかがでございますか。
  75. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 多田さんの引例されました、先般開かれました決算委員会におきまして申し上げましたとおり、この三機種いずれを選びましても爆撃装置は施さない。爆撃装置というのは、レーダーその他の関係爆撃が正確にできる、その装置でございまして、爆弾を運ぶという意味ではございません。爆弾は運び得るわけでございます。爆撃装置を施さない、こういう立場に立って総理大臣も私も、防衛庁に対しましてそういうことを指示しておりまして、終始一貫してその方針で臨んでおります。
  76. 多田省吾

    ○多田省吾君 では、防衛庁長官としては、たとえば爆弾を全装備をしないで半分ぐらい積み込んだ場合、おそらく千五百キロぐらい行けるんじゃないか。その場合に、その相手方はどういう国かわかりませんけれども、相手方の基地をたたくことができるという意味もおっしゃった。それから性能としても、もし爆撃装置をちょっとでも改装してつければ、半分ぐらい爆弾を積めば、それぐらいまではいくであろうということはどうですか。
  77. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私も各般戦闘機を見たわけじゃございませんけれども、やっぱり戦闘機戦闘機でございまして、爆弾は積み得るけれども爆弾を積んだ場合の航続距離なんていうものはたいしたものではない。やはり三次防の基本方針に書いてございますように、要撃能力を高めることが主でございまして、それがかりに爆弾を積み得るからといって、ボンバーのように、日本を一周しました某国の戦略爆撃機のごとき何十トンも積めるとかいうようなものとはてんで問題にならないものである。わが国を侵さんとするものに対してはこれを要撃し、これを撃墜する、これが主たる使命でございます。
  78. 多田省吾

    ○多田省吾君 事実先ほどもお話がありましたように、北爆にはファントムを使っておる事実、そして幾ら爆撃装置を施さないといってみても、近隣諸国に与える影響というものは、もし装置をつけられたら、これは一たん緩急あった場合にはたいへんだ、また長官がおっしゃるように、座して死を待つような事態が起これば、もう相手基地をたたくのもやぶさかではない、このような言明がある以上は、その可能性というものも強く考えられるわけです。また、もしファントム購入の場合は、性能もいまのところたいしたことはないとおっしゃっておりますけれども、事実爆撃にも使われ、また全装備ではなくて、ある部分の爆弾を積めば相当の航続距離も考えられるわけです。そうしますと、そういう面の考慮も今度のFXに対しては払わなくてはいけないのではないか、場合によってはFXも考えなくてはいけないのではないか、このようにも思うわけです。これはいかがですか。
  79. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 多田さんにお答えいたしますが、現在のF104でも爆弾を積もうと思えば積めるのですが、現に西ドイツはそうやっているのですが、これは積んでいないわけです。それから外国のある戦闘機がどこを爆撃したかということは私よく存じないのでございまして、やはりベトナムなんかで爆撃を主たる任務としておるB52ではないかと思っております。もし戦闘機がしておるとすれば、戦闘機は何かエアクラフトキャリアの上から飛ぶのであって、それがグァムから飛べるとか、あるいは近隣諸国から飛べるというものではないと私は考えております。何かエアクラフトキャリア——航空母艦の上から飛ぶのではないかと、こういうふうに考えておるのでございます。日本を、わが国を守るということが主たる任務でございます。わが国を守らんとする立場において、わが国を侵さんとするものが都合が悪い、そういうものは脅威というものではないと私は思います。わが国を侵そうとするものが、わが国が国防をしっかりやっているから都合が悪いということは当然のことであって、それを脅威というならば、日本は国防を放棄するよりしかたがないのでありまして、そういうものではない。やはり日本を侵さんとする国々、あるいは相手方と言ったほうがいいと思いますが、相手方から都合が悪いような防備をしておく必要はあると思っております。
  80. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、このFXの問題にからんで、おそらくこの新しい型の戦闘機は千億、二千億と購入しなければいけないのではないかと、こういわれております。そうすると、当然商社の受注合戦というものが考えられますし、この前のロッキード、グラマンの問題におきましてもずいぶん黒い霧が騒がれました。現在ファントムの商社といわれておる日商においても、去年一年で千二百十二万円の政治献金をやっておるわけです。国民協会には三百万円ですか、そのほか各派閥に相当数ございます。また自治省の発表によるものでありますけれども、そのほかいわゆるCLの商社といわれている丸紅飯田でも千七百九十万円の政治献金、国民協会には九百五十万円、あるいはその他の派閥にも相当あります。対山社なんかは百二十万円となっております。で、十年前と同じようないわゆる黒い霧が発生するのじゃないかということがずいぶんささやきかけられてきておるわけです。こういった政治献金もその一端でございます。で、防衛庁長官として、今度のFX決定に際して絶対にそういう黒い霧は発生させないという確信、それから政治献金等に関してどのように考えておられるか、この問題に関してお答えを願います。
  81. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私はグラマン、ロッキードのときに何かあったというふうに考えておりません。ただ騒ぎがあったことは事実でございます。そういう騒ぎがあるということは最も好ましくないからしっかりやれということで、総理からも言いつかって、私は防衛庁長官に任じてすでに足かけ三年になっておりますが、FX、TX、CXと言わず、あらゆる国防産業につきまして黒い霧が発生するというようなことは断じてしかるべからず、一銭一厘でも不正があるならば、わが国は滅びてしまうと私は考えております。そのくらい真剣な気持ちでやっておりまするし、また私の部下も、非常にきびしい、公正な態度でFX選定に臨んでおる。りっぱな調査団長も参りましたし、団員もりっぱでございまするし、また、空幕も私の心持ちを体しまして、内局はもちろんでございまするが、例はあるいは悪いかもしれませんが、神のごとき公正なる見地で選んでおります。いやしくもファイターに限らず、国防産業について一銭一厘でも不正があるならば国民の怒りを激発することはたいへんなものでございまして、断じて許されない。そういう使命感を持って私宅全自衛隊員も臨んでおるということを、この際多田さんに申し上げるとともに、国民の皆さまに、この国会の答弁を通じてわかっていただきたい。多田さんのほうもぜひそのことをわかっていただきたい。こう考える次第でございます。  一般の政治資金をどう考えるかということは、これは別問題でございまするが、企業体等が政治資金を職務と関係なしに献金するということは、国の関係の、請負関係のいろいろな制約があると思います。その制約がない場合には、ほかの鉄鋼メーカーだとか、あるいは紡績だとか、その他の企業体が寄付し得るのに、国防産業だけは制約を受けて一文も寄付できないというものではない。政治資金の関係は、職務に関係がないならば別問題である、こう考えておる次第でございます。
  82. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前十四日の、秘密保護と綱紀粛正に関する委員会を開かれまして、防衛秘密に対してさらにきびしく守っていくというお話し合いがあったそうでございますけれども、そのことによってますます自衛隊と、それから国民の間の意思が隔絶するんじゃないか、あるいは秘密主義におちいって、いろいろ問題があるんじゃないかと思われますけれども、この問題に関して端的にお答え願います。
  83. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) 最近われわれのほうで秘密保全に関する訓令の改正の作業をやっておりますが、そのことが報道されましたことの御批判かと思いますけれども、直そうとしております訓令の要点は、秘密と指定されました書類等の保管、その他いろいろな手順につきまして、過去のいろいろな事故、事件にかんがみまして、不十分な点を改めたいということ、つまり事務的な手続の点でございまして、いま先生のおっしゃいましたような、本来公開すべきものを無理に秘密にするとかといった、秘密の範囲について今度特に狭くしようというふうな考え方でやっているわけではございません。何を秘密にするかということは、従来もそれぞれ責任者が判断しておりました。判断して、それを極秘なら極秘、秘密なら秘密に指定しておったわけでございますが、その判断をだれがするかということは、従来たとえば内局でいいますと課長クラスでやっておりましたが、今回はそれを、秘については課長クラスでございますが、極秘以上につきましては局長レベルまで上げたということで、行政経験の課長よりも少し多い者に、より適正な判断を期待するというふうな直し方をしておりますが、秘密の範囲をこれこれにするということではございません、適正に判断するというような考え方でやっております。
  84. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前四月十二日付だと思いますが、航空幕僚監部の生駒元一等空佐が一身上の都合で依頼退職になられたそうでありますが、その問題にからんで、その前に懲戒、補佐官会議で査問されたのじゃないかとか、あるいはF104J戦闘機のエンジンなどの輸入問題で関係があったのではないか、あるいはさらにある商社のバッジシステムとか、あるいはYS11機用の輸入部品の滞貨ができて、納期が非常におくれて、二百万円以上の延滞金を払わなければならないのに、それがうやむやになっているのじゃないかとか、それにも関係があったのではないか、こういうことがいわれております。前にも川崎一佐の処分がございまして、そうしてしかもその場合には相手商社には何らの手が打たれていないようでもあります。こういういわゆる黒い霧問題がささやかれておりますけれども、その真実の姿を簡単にお話し願いたいと思います。
  85. 麻生茂

    説明員麻生茂君) 最初に、ただいま航空自衛隊の航空幕僚監部の調達課長でございました生駒一佐についての御質問があったわけでございますが、四月の初めごろIさんという人が、銀座のキャバレーで業者と飲食を共にしているといううわさを聞きましたので、警務隊のほうで事実の調査に当たったわけでございますが、その結果お話のありました航空幕僚監部の調達課長の生駒一佐が、某商社の者と数回銀座のキャバレーで飲食を共にしたという事実を確認いたしたわけでございます。航空幕僚監部の調達の職にある者といたしまして、業界の者とこのようなキャバレー等において飲食を共にするということは、世上疑念を生ぜしめるものでありまして、隊員としてふさわしくない行為といたしまして、停職二日の処分をいたしました。また本人も申しわけないということで辞表の提出がありましたので、停職処分執行に引き続いて退職を承認いたしたわけであります。
  86. 多田省吾

    ○多田省吾君 ほかの問題はどうですか。
  87. 麻生茂

    説明員麻生茂君) それからほかの件について、生駒一佐と調本の輸入業務と申しますか、輸入品の検査業務ではないかと思いますが、そのことに関連して関係があったのではないかというお話がございましたが、生駒一佐がこの輸入品の検査について関係があったというふうには考えておりません。
  88. 蒲谷友芳

    説明員蒲谷友芳君) いまの調達関係につきましての関係でございますが、事実関係だけを申し上げますが、いま人事教育局長の答えましたように、この生駒一佐問題との関連は、われわれは最初からないと存じておりますが、御指摘の調達に関して事務的な面として御説明いたしますと、これにつきましては、われわれの調達の方面からいいまして、必要な手続で必要な調達をいたします。特にF104のエンジン・ノズル問題につきましては、当時調達上必要を感じまして、国内生産をする予定でおりましたが、技術的関係の改善がございまして間に合わないということで、米国側から輸入する手続をとりましたけれども、これも間に合わない、しかし現実に調達が必要であるということで、同じものがNATOに供給しております関係のところから手に入るということで、それはそこから得ております。そことの関係につきましては、実はこの104のエンジン・ノズルの前から、われわれの調達源としまして米国だけでは心配もございますし、価格問題の競争もございますので、四十年当時から欧州からも輸入するという手続をとっておりまして、その関係でやっております。  もう一つのバッジとかほかの関係の問題につきましての問題は、私事実のほうは覚えておりません。  それからもう一つ、川崎一佐問題があったのに、その後の手続はということでございますけれども、私のほうでは、検察関係の問題につきまして結論が出ますれば手続はできますけれども、その問題については結果を待つしかございません。ただ私のほうでわかりました範囲関係会社には処分はいたしております。
  89. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に基地公害問題で一、二お尋ねしますが、水戸射爆場がまだきまらないようでありますが、私は、あそこにはいわゆる原子燃料の適正な再開発工場がすぐそばにできようとしております。で、この前の商工委員会でも科学技術庁長官が、水戸射爆場はどうしてもないほうがいいというような発言もしておるわけでございますが、この問題にからんで、まあこれは科学技術庁と相当連携をとって、政府自体の問題としてやらなければならない問題であると思いますけれども、水戸射爆場、またその鼻の先の爆弾が落ちておるところから二キロメートル、その射爆場から境のところに工場ができようとしている。このことに対して、防衛庁のほうではどう考えておられましょうか。
  90. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 多田さんの御心配は私の心配でございます。そこで水戸の射爆場に代替するものがあるならばかわりましょうと、こういうことでございます。御承知のごとく、米海軍、米陸軍等は、実戦部隊はございませんが、米空軍は一飛行旅団ずつ一飛行師団、日本に駐留しておるわけでございまして、それらの軍人の——性能というものをいつも身につけて訓練をしておく必要があるわけでございまして、そこでわが国のためにもなるわけでございます。そこで新島というもの以外は関東、中部地方を通じてない。というのは、横田等から見まして、半径二百キロ以内でないとぐあいが悪いと、こういうことでございます。そこで内陸地帯に百平方キロも緩衝地帯をつくっておくということはなかなかできないわけでございます。結局新島というものを候補地に選んでおるわけでございますが、皆さまや、東京都知事や、あるいは現地の方々の御協力を得まして、できるだけ早く水戸の射爆場を廃止して、そうして新しく代替地を快く設けさしていただきたい。これが私の願いでございます。
  91. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後にですね、一つは厚木飛行場の南部方面でまあ九百戸家がありますが、昨年の三月三十一日以降建った家については移転補償をしないと、こういう施設庁長官の告示が出ております。これを少し変えて、困っている方々の補償をするおつもりはないか。  それからもう一つは、横田基地の南のほうにあるあの拝島都営第一住宅の六十二戸の方々は、非常に生命の危険にさらされておる。あの移転は都の払い下げ問題もからんでおりますけれども防衛施設庁としてそれを善処するおつもりはないか。  それからもう一つは、今度学校、病院のほかに、防音工事の補償として、庁舎あるいは公民館等、あるいは図書館等の防音工事を補償するという法案を新しく出されるそうでありますが、その問題についてお伺いいたします。
  92. 鶴崎敏

    説明員鶴崎敏君) ただいまお話がありました厚木飛行場の南部の住宅の移転にからみまして、施設庁長官範囲を指定した以後に建った建物については移転補償ができないという法律のたてまえになっております。したがいまして、施設庁長官が指定した後に、事情を知らずして建てた方もあると思いますが、現在の法律ではそれを救済する方法がないという実態でございます。しかしながら、家を建てるにあたりましては、市町村に建築許可の申請を当然するわけでございますが、その際には、ここが進入表面下である、あるいは転移表面下であるから、非常に騒音に悩まされるから、建てないほうがいいんじゃないかというようなことを申請者に言っていただくように、行政指導を現在お願いをしております。したがいまして、その時点で、ほかに家を建てる機会はあるという状況でございます。  それから横田飛行場の南の都営住宅の移転の問題でございますが、これにつきましては、土地並びに家屋の所有者が都であるというようなことで、この移転の場合には土地、建物の所有者に対して移転補償する。そして住んでいる方に対して動産の移転費しか金の出場がない。こういう実態になっております。ところが現在都営住宅に住んでいる方は、それでは移転ができないというようなことで、東京都のほうに対しまして、土地、家屋の払い下げを申請をしておるわけでございますが、都のほうとしましては、都営住宅を払い下げるということは現在できないという回答をしておりまして、これがまだ未解決の状態でございます。われわれとしましては、そういうところに騒音に悩まされて住んでおることでございますので、何とかこれを解決したいということで、東京都のほうにも協力方をお願いをしておるわけでございます。
  93. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) 第三の御質問によりますところの周辺対策の問題でございますが、明年度当庁といたしましては、航空機騒音によるところの障害防止対策といたしまして、法律を改正いたしまして、庁舎、公民館、図書館、こういうものも防音工事を施すということにいたしたい、かように存じております。なお、その他法律改正といたしましては、整備法四条の関係では、従来対象を市町村だったのを、都道府県を対象とするということ。その他政令の改正といたしましては、四条の農林漁業用の施設の補助率をアップするということ。その他いろいろ積極的に施策を講じたいという考え方で、予算要求をいたしておるというのが現状でございます。
  94. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 午前中の調査はこの程度にいたします。  午後二時まで休憩いたします。午後二時からは、本日の午前中になお調査が終わっておりませんので、その続きを行なうことにいたします。  休憩いたします。    午後一時休憩      —————・—————    午後二時六分開会
  95. 井川伊平

    委員長井川伊平君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  国の防衛に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は御発言を願います。
  96. 岩間正男

    岩間正男君 最初にお聞きしたいのですが、過般九月十一日、十二日に開かれました日米軍事事務レベルの会議ですね、これについて最初にお伺いしたいのですが、会議の正式な名称は何というのですか。それからこれに参加した出席のメンバーですね、それからこの会議の性格ですね、こういう点についてまずお聞きしたい。
  97. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) 九月に行なわれました会議は、安保条約などの実施に直接関連します官庁、すなわち外務省及び防衛庁、その事務当局がいろいろな機会のあるごとに会合を持ちまして、主として極東の安全保障の面から見た極東の情勢に関しまして意見を交換する場所でございまして、特にこれを何会議と呼ぶような固まった名称はつくっておりません。  九月に集まりました際は、出席者は、わがほうは牛場外務省事務次官、近藤審議官、それから私、鈴木国際費料部長と、防衛庁からは小幡次官、牟田統幕議長等が出席しました。アメリカ側は、大使館のジョンソン大使、在日米軍のマッギー司令官、それから国務省からブラウン大使及びスナイダー日本部長、国防省からハルペリン次官補代理、それからアメリカの統合幕僚会議のエプス少将などが出席いたしました。  会議の性格は、いま申し上げましたように、最初に申し上げましたとおりでございます。
  98. 岩間正男

    岩間正男君 そうするとこの会議は、この日米安保協議委員会の下部機構というようなそういうような性格は、これは持っていないわけですか。今度つくられる日米軍事協議委員会なるものが、これが構想されているようでありますが、これとの関連はどうなるんですか。この点をお聞きします。
  99. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) 安保協議委員会は、御承知のように、安保条約の実施上生ずる問題に関しまして、最高レベル、すなわち、わがほうは外務大臣防衛庁長官、相手側は米国大使とハワイの太平洋軍司令官、こういうメンバンによりまして、随時、安保条約実施上の問題を協議する場でございますが、この、ただいまの九月の委員会は、特にこれが——この安保協議委員会のほうは交換公文でできましたれっきとした機関でございますが、この九月の、この間のような集まりは、特にその下部機構といって制度化したものではございませんので、その安保条約の実施に関します事務当局が、随時集まって意見を交換する、こういう趣旨でございまして、制度化された下部機構という厳格なものではございません。
  100. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、これはどうなんです。軍事協議委員会というものは持たれるんでしょう。そうするとこれは、この前の、八年前の安保の構想のときに、この下部機構として軍事委員会というものは持つと、そういうことであったのでありますが、これはいままでそういう形のものはできなかった。しかし、昨年あたりからこの事務レベルの会議、その中にもこれは制服組は入っているわけですね。制服組は、現に日本からは統幕議長が行っているし、向こうからはマッギー在日米軍司令官が来ているわけですね。ところが、この性格はいままでと非常に変わってきたということは、これははっきりしておりますね。これと今度つくられようとするこの軍事協議委員会との関係というものは、これはどうなるんですか。この軍事委員会というものは、協議委員会というものが発足すれば、こういうものはいままでのように持たれていくのかどうか、どうなるのか。ここのところが非常にはっきりしないんですよ。ここを明確にしておかないと困る、実際問題として、結局は、安保の運用を中心とした課題でしょう。これは安全保障問題に関する日米事務レベル協議というふうに呼ばれているようでありますが、そういうことになりますと、これと、それから新たにつくられようとする軍事協議委員会との関係はどうなるんですか。この点はどうなるんですか。
  101. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) 軍事委員会と申しますのは、どういうことをお考えかよくわかりませんですが、現在この九月の会議の性格は、先ほど申し上げたようなものでございます。その九月の会議の後に、いまおっしゃいましたような軍事委員会ができることになったというような報道もあったようでございますが、九月の会議におきましては、御承知のように、在日米軍基地の問題もいろいろ話し合ったわけでございます。その際に、この基地の問題に関しても、まあ基地の機能的な側面と申しますか、そういう点も十分意見を交換しなければ、基地問題の十分な話しができないのではないかというような考え方から、基地問題についての従来の、たとえば合同委員会におきまして、米国の制服とわがほうの文官とやっておるのに加えまして、制服の間でもそういうことで意見を交換したほうがいいのではないかと、こういう話しがございましたけれども、だからといって、新たにまた別の軍事委員会とか特別の組織をつくるというところまでの話ではございませんので、そういう見地から、基地の機能面の話をするについても現在いろいろなルートもございますから、そういうところでもう少し話をするようなふうに持っていったらいいのではないか、こういう話があったわけでございます。したがいまして、九月の会議の結果として、新たに制度的に軍事委員会をつくるというようなことはないわけでございます。
  102. 岩間正男

    岩間正男君 それでは新聞報道は事実無根ですか。どうなんでしょう。これは安保協議委員会のメンバーである防衛庁長官にお伺いしたいのですが、そういう話はないのですか。
  103. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 九月の下打ち合わせをときどきするということは、いま東郷アメリカ局長からお話したとおりでございます。そこでその際に基地のことがやはり議題になりました。その基地は、日米合同委員会という協定に基づいた——安保条約の実施に関する協定があるわけでございますが、いわゆる地位協定と言っておりますが、その地位協定の中に日米合同委員会というものがございます。その合同委員会等においてケース・バイ・ケースで相談をしたらいいじゃないかというような結論になった模様でございます。私は仄聞しただけで、部下から報告を受けただけでございますが。そこで、日米合同委員会なるものは法的に存在している合同委員会でございます。これは地位に関する、施設の提供その他に関することを議題とする合同委員会でございまして、常設のものでございます。そのまたサブコミッティみたいなもの、委員会みたいなもので施設委員会というものがございまして、おそらくその施設委員会においては、常時米軍に提供すべき、また提供してある各種の地域あるいは施設につきまして議題になるわけでございまして、そのときに自衛官等の意見もいれる意味におきまして打ち合わせ等に参画するというようなことがあり得るというだけのことが、プレスに相当大きく、牟田統幕議長が会員であるというようなことが書いてございますけれども、私はそういうふうに承知しておりません。現在存在いたしておる日米合同委員会、これは地位協定のもとにおいて存在いたしております。その合同委員会において小委員会があるわけでありまして、それが施設委員会でございます。その施設委員会において、米軍に提供してあるいわゆる基地でございます。正確には施設もしくは区域でありますが、施設もしくは区域に関する相談をいたします際に、制服の人々のほうが専門的知識があるから、打ち合わせにときどき参加したらどうやと、こういう程度でございまして、新しく軍事委員会が設けられるとか、あるいは軍事協議会が設けられるということは聞いていないということをいま東郷アメリカ局長が言われましたとおり、そのとおり私も聞いておりません。
  104. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、これは新聞の報道する記事というものは、実際は日米の間でそういう話し合いはない、そういう構想もない、そういうものでこれは書かれたということになるのですか。どうもその点が非常にあいまいですよ。この点やはり私は明確にされなくちゃならないと思っているが、最初にこの安保条約ができて、日米合同委員会が持たれて、それからそのときは、やはり専門的な軍事委員会が必要だと、こう言っていたが、それが持たれなかった。そうしてその間に今度は今度のような事務レベルの会議というものが持たれた。その構成員を見るというと、これは制服も入っている。それでいま防衛庁長官お話では牟田統幕議長入っていないということですが、先ほどのお話では構成メンバーの中に牟田統幕議長人っていると言っていますね。それからマッギー司令官もこれは入っている。こういうものと、それからさらにいまお話の日米協議委員会の一部門の施設委員会、その委員会をもっとこうこまかにするために参考者を呼んでやっているのだ、こういうお話がありますが、これは機構の上からいっても非常にあいまいですよ。そうしてどこからどういう何が出るのだか、わからないですね。こんな点では非常に私は不十分だと思うので、これは時間の関係もありますから、整理して、そういう問題に対して明確にしてもらいたいと思うのですが、どうなんですか。これは先にいって、この安保条約が非常に問題になっている。その運用の問題、あるいは日米の共同防衛体制ということが非常に大きな問題になっている。そういう体制の中で、一体、いまのような問題が明確にならないと、非常に重大な問題ですから、私はそのことを要求しておきたいと思います。  で、そういう中で実は九月の段階で開かれた会議では、どういうことが問題になったんですか、議題となったんですか。この点について概略を報告してもらいたい。
  105. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) この会議におきましては、極東の情勢というものが、常に日米双方とも最も重大な関心のあるところでございます。したがいまして、第一日目には、もっぱら極東の情勢、ベトナムなり、朝鮮半島の情勢なり、こういうことについて意見の交換をしたわけでございます。今回の会議においては、特にいわゆる基地問題についても話をしようじゃないかということでございましたので、両方考えますところは、要するに日本にこの施設、区域がいかなる形であるべきかという点において意思の疎通をはかるということでございますが、アメリカのほうからは、アメリカの海外基地全体についての考え方、たとえばアメリカは世界各地にいろんな約束を持っている。そういう安全保障上の約束を果たす。また、果たすということは、その裏に安全保障上共通の利害というものがなければいかぬわけでございますが、そういう基礎の上に安全保障上の約束を果たすその必要の限度、また軍事科学技術の進歩に即応して多少形も変わってくる。また、アメリカ国内が政治的、経済的の、予算上の制約もある。いろいろそういう観点から、米国自身アメリカの海外の基地というものについて絶えず検討を加えておる。また、基地の役割りと言っても、いわゆる戦略的基地は大体において米国本土にある。しかし、いわゆる戦術基地と申しますか、前線の基地、あるいは補給、通信の基地、そういうものについては、技術の進歩があっても、なかなか現在の安全保障上の約束を果たす見地から、海外基地の重要性がなくなるということにはなかなかならないというような、基地についての一般的な考え方の説明があったわけです。  わがほうからは、いわゆる日本における基地問題、基本的には国土狭隘、人口稠密というところから出てくることも多いわけですが、日本におけるいわゆる基地問題というのがどういうところから発生してくるか。また、これをどういうふうにして解決していくべきかという点について、幾つかの例をあげて説明し、アメリカ側の認識も深めた。その結果は、今後のこういう問題の扱い方についてアメリカ側と双方の立場を理解し合うことによって、今後の扱い方に貢献していく。具体的の個々の基地の問題については、従来どおり合同委員会及びその分科会、委員会である施設委員会で個々に処理していく、こういうのがこの前の委員会の大体の話でございます。
  106. 岩間正男

    岩間正男君 当時の政府の見解というのは当時報道されたわけですね。木村官房長官は当時こういうことを言っているわけです。「防衛庁から提出される参考資料には、在日米軍基地百四十数カ所のうち問題のある五十二カ所を取り上げ、特に顕著な所は移転、返還が望ましいなど、はっきり指摘する」、会議に臨む態度としてこういうことを言い、それを夕方の記者会見ではちょっと訂正して、「在日米軍基地のうち問題のあるところは五十二カ所あるが、防衛庁から提出する参考資料では、このうち特に問題の顕著なところを例示的に取り上げ、移転、縮小、規制の緩和などが望ましいことを指摘する。例示するのは、移転が望ましいもの四、五カ所、規制の緩和を求めるもの四、五カ所、米軍が現に使用していないことを指摘するもの数カ所など、合わせて十数カ所になろう。」、こういうことをこれは記者会見で述べていると、当時報道されております。そうすると、この政府の方針でいったんですか。いまのお話によりますというと、こういう具体的な話はなかったように受け取るんですが、これはどういうことですか。  それからもう一つ、これは防衛庁長官にお伺いしますが、施設庁長官おりませんので、あなたが代理で——代理というとおかしいが、あなた国会優先されるそうでありますから。その出した資料というのはあるわけなんでしょう。この資料というのはもらえないですか、このとき出した資料、参考資料として出しているわけですけれども日本の基地についての日本政府の見解、これは出されたはずだ。そうでないと、これははっきりしないわけですから、その点お伺いしたい。
  107. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まず岩間さんが先ほど申されました、この機構がさっぱりわからぬとおっしゃいましたけれども東郷アメリカ局長がおっしゃった線で明確ではないかと思っております。すなわち、安保条約に基づく委員会が一つあります。それは日米安保協議委員会であって、構成メンバーは、日本側が外務大臣防衛庁長官アメリカ側は全権大使と太平洋軍総司令官である。その下打ち合わせとしてときどき協議会を持つ。これはしかし常設のものではございませんから、別段名称はつけておりませんが、ときどき打ち合わせするというか、協議会が事実上の協議会として九月十一日と九月十二日に持たれたわけでございます。この線と今度は違いまして、その線と境界を分けまして、地位協定に基づく日米合同委員会というものが、これは常設のものが存在しております。それに付設した小委員的なもので施設委員会というものがありまして、そこで、提供すべき施設あるいは提供した施設についての各般の問題があれば論議をする、こういうことになっておりまするが、九月十一日、九月十二日の会合におきましては、まず区域、施設に関する具体的の問題は、合同委員会等において処理したほうがいいでしょうということで、日米双方とも話し合いがついております。その際には、日本側はユニホーム等も入れて相談したらどうでしょう、すなわち日米合同委員会にも、あるいはそのまた下部機構である施設委員会にも自衛官が一人や二人いるほうが、専門的見地から意見を述べ得て非常に好都合である、こういうことに相なっているわけでございます。  それから、九月十一日と九月十二日に開かれたのは、日米安保協議委員会のためのときどき下打ち合わせをするための協議会であるということは、冒頭において私が強く申したとおりでありまするが、その際、基地の問題が一種の社会的な問題になっておりますから、基地の問題もこの際真剣に考えたい、日米双方でといって、たとえばといったようなことでお話をしてございますけれども、全部網羅的に話したわけでございませんし、官房長官お話と私との話が決して矛盾しているわけじゃありませんが、しかし、たとえばといって出したことは一つの進展でございます。基地問題の解決に対する一種の進歩である、こういうふうにわれわれは考えております。しかし、その問題全体は、日米合同委員会その他の適当なる機関で処理したほうがいいでしょうということに、日米双方なってはおりますけれども、しかし、この下協議会において議題とし、例示をしたということは一つの進展である、進歩であると考えております。しからばその例示したものをここで提供せよとおっしゃられても、これはちょっと差し控えたい、こういうことに相なります。
  108. 岩間正男

    岩間正男君 いまの説明で、事務レベルの会議が安保協議委員会の下相談の会議であるということは、性格は明らかになりましたね。その点はいま説明があって明らかになった。  それから、次の資料は出されないということでありますが、その中で、特に顕著なところは、移転、返還が望ましいなどはっきり指摘すると、こういうことを言っておるわけですが、これはやったんですか。それなら具体的にこうあげて、ここのところをはっきり返してもらいたいという点については、日本政府はそういう積極的な意思を持ってあの中で主張したんですか。これはどうですか。
  109. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) この官房長官お話にもありますように、いろんな日本にあります施設、区域につきまして、このいろんな問題を類型的に例として説明したわけでございまして、したがって、これは例でございますから、そこにのって例としてあげられたものだけが問題だというわけではむろんないわけでございます。個々の施設の問題につきましては、先ほど申しましたように合同委員会及びその施設委員会でやるということになっておりますので、九月のその会議と申しますのは、個々の施設について交渉といいますか、やりとりをする場ではないわけでございます。あくまでも今日のいわゆる基地問題というものに関する例としていろいろあげて話をしたわけでございます。
  110. 岩間正男

    岩間正男君 これは主張はしなかったのか、したのかと聞いているんですよ。この官房長官の談話によるというと、これを指摘して主張したいと、こういうことを言っているわけですから、この方針が貫かれてあそこの委員会でこれは主張したのか。ところがそうじゃない、一般的に例示して話し合いをしたと、これで終わったんですか。そこはどうなんですか。日本側は要求したのか、しないのか。これは具体的に言えば十二、三カ所といっているんだから、特にいま顕著に出ている問題、それについて、個々の問題についてこの際お話ししなければ、それはそれをもとにして一般論をやるにしても、それは具体的な問題が出たわけでしょう。出したんですか、出さないんですか。そこのところをはっきりしないと困る。
  111. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) この九月の話は、これは一般的な話でございまして、今後合同委員会及び施設分科委員会において仕事を進めますいわば背景をつくると、こういう考えでございます。したがいまして、九月の委員会で特定の基地をあげてこれを返せという交渉をしたわけではございません。
  112. 岩間正男

    岩間正男君 返還を求めるのか、あるいは共用基地にしようとか、いろいろこう要求があったわけでしょう。そういうものをこう問題としては出したんですか、出さないんですか。そしてそのときには当然これは具体的に出てくる話であります。そういうことをやったんですか、やらないんですか。
  113. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) いま岩間先生のおっしゃいましたようなことは、新しく合同委員会及び施設分科委員会においてやるべきことでございまして、先生のおっしゃいましたような形で九月に議論したということではございません。
  114. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、これは官房長官のこの記者会見というのは、国民に期待だけは持たしたんですよ。基地問題がやかましくなっている。この問題を解決するための話し合いの場が始まった、だからこういうものは具体的に出します、そして五十何カ所ある、その中の特に顕著なものは十二、三カ所である、これについてははっきり指摘をして要求すると、こう言った。そうすると実際これは貫かれなかったんですか、この委員会で。そういうことはいまの御答弁で確認してもいいんですね。  それで具体的にお聞きしますが、板付基地についてはどういう話をして、その次には水戸の射爆場についてはどういう話をして、それから王子の野戦病院についてはどういう話をして——これは出なかったんですか。全然出ないとすれば、これはどうも官房長官の記者会見は非常に、国民へのPRであって、そしてこの背後の実態と違っておったんだということになりますね。どうなんですか。
  115. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) いま個々の例をあげることは、あげた例だけがその問題のすべてではないという意味から、どれをあげたということを申し上げることは適当でないと存じますが、しかし、およそ例をあげるとすれば、いまおっしゃいましたような板付なり王子の病院なんか、こういうものが例にあがるのは、これは申すまでもございません。また、官房長官も、それらの特に問題のあるものをこの九月の委員会だけでやるとおっしゃったわけではないと思います。九月の会議を通じまして、わがほうから見ましたいわゆる基地問題というものについていろいろ説明をし、これが引き続いて常時行なわれております日米間の話し合いに反映される、こういう意味で官房長官もおっしゃっていると思います。またわれわれも、九月の会議その他で日米間でいろいろ話し合いましたことを背後に置いて、個々の施設の問題を扱う場所である合同委員会、施設分科委員会において今後とも進めていく考えでおります。
  116. 岩間正男

    岩間正男君 だから政府の方針とあなたたちのやったこの会議の内容というものは、非常にそぐわないのですね。宣伝だけに使われている。木村官房長官はこういうことを言っている。一つの時期を画するものだ。だからこの問題について日本側も積極的にアメリカに対してやっているのだということを国民は考え、そうしていかにも国民感情に同調するようなことを述べている。ところが、実際にはここでは何も具体化しなかった。そのうち日米合同委員会でやろう、そういうものをきめただけで、しかもアメリカの基本方針がはっきり出されたのじゃないか、実際はこれはどうなんですか。  ここに「国際情報資料」というのがありますが、この中にワシントン・ポストの九月十三日、東京特派員によってこういうことが書かれている。「会議に提出されたアメリカ戦略構想の変化を分析した結果、新しいポセイドン・ミサイルと空輸、海上輸送能力の画期的な改善によって日本その他アジアの諸国にある高価な政治論争のタネとなっているアメリカ軍施設の必要は徐々に減少するという日本の有力軍事思想家の間に広がっている見解は真っ向から挑戦を受けることになった。」、こう書いてある。こういうことになりますと、政府が意図して返還を求めるのだ、国民の前にもPRをして、そうしてそのような方針が国民の前に出された。しかし実際はこの会議の内容は、もしこのワシントン・ポストの記者の言うような情報が正確とすれば、これは逆に、あくまでも日本の軍事基地は、これは根本的にこの方針を維持する、返すとかなんとか下から問題が起こっても、これに対してはなかなか応ぜられない、こういうものを押しつけられたのじゃないか、こういうことをはっきり語っていると思うが、これはどうですか。
  117. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は、部下から報告を受けた範囲でございますが、まず東郷局長の答弁されたように、日米安保協議委員会の下打ち合わせの協議会でございますから、日本を含む極東の軍事情勢だとか、あるいは軍事科学に関する進歩発展の状況とか、そういうことが議題になるわけであります。また、集まった人もハルペリンとか、また向こうの国務省のスナイダーとか、皆さんが好んで引き合いに出されるそういう人が来ているわけであって、一つ一つの基地をここに出しても、ほかに適当な委員会があるからそこでやってくれということになると思います。私は報告を受けた範囲でお答えしております。そうしてこの協議会の下打ち合わせ会の性質から見まして、個々の基地をどこを幾坪返す、どこを何万坪新しく提供しろということにはなりっこない。しかし官房長官の言うこともほんとうでありまして、われわれが例示的にいわゆる基地に関する措置についてかくかく考えているのだという例示をしたことについて向こうは非常にアプリシエートした——理解と感謝の念を表明したということは事実でございます。  そこで、具体問題はケース・バイ・ケースですから、そのために常設の日本に存在いたしておる日米合同委員会、そのまた小委員会である施設分科会において議題として扱ってもらいたい、しかし例示された点は、個々の具体問題としては扱いかねるけれども、よくわかりました、非常に有益でありましたということで帰ったということを報告を受けております。
  118. 岩間正男

    岩間正男君 もっと具体的に言ってください。日本は何を主張したのです。概括的に日本の基地全体についてその中で何を主張したのです。そして何を米軍が感謝したのです。全然どうもそこ抽象的な話じゃわからない。たとえば、返還を要求した事実はあるのですか。あるいは使用転換、そういうものを要求した基地があるのですか。それから騒音の問題とか、そういうような基地対策について、そういうものについて要求した事実はあるのですか。これに対する米軍の意向というものはどうだった。ここがはっきりしない限りは、これは話にならぬです。これはどうなんです。これは東郷さんのほうがいい。どうです。簡潔に答えてください。
  119. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) お話のような点は、これも会議の趣旨からしまして、一般論といたしまして、わが国におけるいわゆる基地問題のよってくるところ、その実情、こういうものを米側の合同委員会施設委員会レベル以上の者、あるいはワシントンから来ておる者、こういう者との間に十分意見を交換いたしました。その結果は、今後の個々の問題の処理につきましてきわめて有益だったとわれわれも考えております。
  120. 岩間正男

    岩間正男君 どうもあなたたちはひとりでそう考えているような、これは国民の前に明らかにするかしないかというところが大事なんですよ。基地の問題は、ある意味ではもういま日本国民の当面している大きな問題でしょう。政府もこれでずいぶん板付の問題や王子の野戦病院の問題で、選挙中苦労した問題だと思うのです。だから、何とかこれに対して対策を立てる、これに対して実際は国民の要望をいれるというジェスチャーだけでも示さなければならぬという段階にあったのは事実でしょう。ですから、そういう形で官房長官の談話がなされておる。そんならそれを貫くための資料をつくり、そこでそれを主張したのかどうかということになると、全然そこのところあいまいだ。ただ日本のいろいろな意見を聞いて米軍が感謝したという。ところがワシントン・ポストは、はっきりこれに対しては、全く向こうはいれなかった。基本的に日本の軍事基地は科学技術が進歩したら必要がないのだという、そういう日本の意向があるけれども、そういうものに対してまっこうから挑戦したのだ。こういうものは全然いれなかったということがあるから、だから私は聞いた。全然こういうところについては腹を割って答えておられない。この問題で押し問答やっておりますと、時間の関係からこれはまずいわけですからやめますが、それじゃ具体的に聞きましょう。  第一に、軍事基地が縮小するというようなかっこうでこれは返還されておるところがあると思うのです。これは東富士演習場の場合ですが、この演習場の返還に関する米軍との交渉経過並びにその結果について、その概略をここで報告してもらいたい。
  121. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 概略のことは申し上げます。岩間さんはあくまでしっこくいろいろ言われますけれども、この協議会の性質にかんがみて、具体的に基地を一つ一つを、王子のようにどうしろこうしろという時間もありませんし、何しろ二日間やっただけですから。
  122. 岩間正男

    岩間正男君 だから例示として。
  123. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) ですから、例示としても、具体問題に取りつけ得ない。ただし例示としては、私どもは勇敢に出しております、何もおそれることはないですから。そして、これは国民の皆さまの要望に沿った線を出しております。それはしかしながら、この協議会の性質にかんがみて、そういうことがあまりわからない人が来ておるのですから、正直の話。しかし、こういうことを出していただいて非常に参考になりましたということで、一段の進歩、進展を示したということはあなたに答えておる。これ以上正直の話がないですから、岩間さんのような練達たんのうの人がわかってくださらないはずはない。  それからワシントン・ポストについては、いま私は読んでおりませんけれども、ポセイドンができたからあとは日本は要らぬじゃないかということは、日本の軍事専門家がそのとき述べたようなことはありません。これはただ、ポセイドンというものはポラリスの、つまりまたたくさん爆発しますから、ですからABMのほうから見ても非常に不便な、しかしながら有力な武器が開発されたというだけの話です。だから、どうしろこうしろなんということは、この協議会で、ハルペリンやスナイダーなんかの集まった協議会でかれこれ言うはずのことはないのですから、むしろそれはワシントン・ポストのほうを少し間違ってやせぬかということを岩間君のほうからなおしてもらいたいと、こう思う次第でございます。
  124. 岩間正男

    岩間正男君 私は東富士演翌場の返還の経過と結果について聞いているのです。これをお答え願いたい。
  125. 鶴崎敏

    説明員鶴崎敏君) ただいま東富士演習場の返還のいきさつについてお尋ねがありました。東富士演習場は、米軍に対して地位協定の二条一項の(a)の施設区域として提供しておったわけですが、米軍の地上部隊が撤退をしたというような大きな客観情勢の変化がございまして、三十四年と三十六年の閣議了解に基づきまして、使用転換の方針を決定をいたしました。自来約十年にわたりまして地元関係の方々と協議を続けてきたわけでございますが、片一方、日米間におきましても、三十四年以来、施設特別委員会、それからその下にあります特別部会で、使用転換のためのいろいろな条件について調整をしてきたわけでございます。本年の七月の十八日になりまして日米合同委員会で両政府間の合意が成立して、七月三十一日に使用転換がなされたといういきさつになっております。  なお、この使用転換にあたりましては、従来、米軍に提供中は、国有地は大蔵省所管の普通財産という形になっておったわけでございますが、これを国有財産法に基づく手続をとりまして、七月三十一日に防衛庁所属の行政財産とし、また民公有の財産につきましては、八月一日にその所有者と自衛隊並びに駐留軍が使用することを目的としました賃貸契約を締結して、防衛庁の管理する演習場になったわけでございます。まあこの演習場の使用転換の後におきましても、米軍はこの演習場を随時使用できるわけでございますが、その根拠は、地位協定の二条四項(b)の規定に基づき使用する、こういう形態になっております。
  126. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 岩間君に申し上げます。お約束の時間が過ぎておりますので、御注意を願います。
  127. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますと、これは返還じゃないですね、使用転換なんですね。第二条四項(b)ですか、四項(b)による使用転換ですね。この協定書があるでしょう、協定書が。私は大体、安保条約の地位協定というのはどれだけ厳格に実施されておるかということは、ずいぶんあのとき騒いだけれども、案外これが目が届いていない。そういう意味からいいましても、国会審議の場でどうしても協定書の実物がほしいのです。少なくとも、こういう使用転換、こういうところが、共用しているところがいま七カ所くらいあるはずです。これの協定書が全部あるはずです。この中で、少なくとも、とりあえず東富士の協定書というものはもらえないですか。これは施設庁にあるのでしょう。どうですか、この国会に出してもらいたい。
  128. 鶴崎敏

    説明員鶴崎敏君) ただいま使用転換ということばを使ったわけでございますが、その意味は、従来米軍に提供しておりまして米軍が管理権を持っておった演習場を一たん日本政府に返還をし、これを自衛隊の管理管轄する演習場に切りかえまして、さらに同時に、これを地位協定の二条四項(b)によって米軍に使用させる、この一連の作業を同時点において実施するということが使用転換としての意味合いになっております。したがいまして、一たん日本政府に返還され、管理の主体が米軍ではなくて日本政府になったという点に、非常に大きな意味があるわけでございます。  なお、いま御要望の資料というのは、東富士関係につきましては非常にいろいろ資料がございますが、その点、あとでどういう資料か、意味合いをよくお尋ねしてから御返答したいと思います。
  129. 岩間正男

    岩間正男君 これはもう少なくとも協定の主文、そしてそこで条項が出ているわけでしょうから、そういうものをほしいと思うのですが、その中で私は、これは実はお聞きしたいのは、遁避とか、それから使用転換とか、そういうようなことばで実は日本に返されたのだ、こういうことがいわれておるのですが、しかし実際はどうなんですか。実際は、いつでも米軍が使えるのでしょう。そこで私は、この協定書というものは非常に重要になってくると思う。実は四項の(b)ですね、(b)によると、この協定の規定の協定書をつくり、それに対してはどんなような規定を適用するかということを、この使用の協定の範囲を明記しなければならぬと書いているわけですね。そうすると、東富士の場合は、これはどうなんです。どういう条項——地位の協定の制限された条項が適用されるのか、あるいは全文が適用されるのか、どっちですか。
  130. 鶴崎敏

    説明員鶴崎敏君) 地位協定の概念は先ほど申し上げたとおりでございますが、この点につき面して合同委員会で合意をしておりますが、その内容についてはここで発表できないことを遺憾に思っております。
  131. 岩間正男

    岩間正男君 そんなこと言って、あんたたちいいんですか。
  132. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 岩間君、簡単にお願いします。
  133. 岩間正男

    岩間正男君 ここに出ているじゃないですか。いまどんな条項適用かというのは、これは言えないというのですか。とんでもない話じゃないですか。どうして言えないのです。いまの答弁、たいへんなことじゃないですか。官報に出ているんです。官報にちゃんと書いてあるじゃないですか。こう書いてあるでしょう、「合衆国軍隊の使用期間中は、地位協定の必要な全条項が適用される。」——全条項が適用されるのですから、地位協定全文がこれは適用されるということになるのでしょう。そうしたら、米軍はこれを使用する期間における権限というのはオールマイティーでしょう。これははっきりそうじゃないですか。
  134. 鶴崎敏

    説明員鶴崎敏君) 従来は米軍に提供しておったわけでございますから、米軍が常時使用する演習場という形態になっておったわけでございます、しかしながら、今度の使用転換によりまして、米軍は随時ということで、使用を従来に比べまして制限されるといいますか、そういう点が変わってきたと思います。いま御指摘のように、使用条件で必要な全条項が適用されるということは閣議決定でも明らかにされておりますが、問題は、使用が常時的ではない。二—四—(b)に基づいて随時、一時的に使用できるというところに、大きな変化があると思います。
  135. 岩間正男

    岩間正男君 あんた、(a)項を読んでごらんなさいよ。使用期間中どういう条項が適用するのかと私は聞いているのですよ。これに対しては、はっきり官報に出ているじゃないですか。全文が適用される、全条項が適用される。そのことを聞いているんだ。ほかの七つの例はどうですか。七つの例の場合に、全条項が適用される、あるいはその地位協定の中のある条項が適用されるという制限したものがありますか、どうですか。ここが非常に重要な問題なんです、いま論じているのが。問題をはっきりつかんでくださいよ。
  136. 鶴崎敏

    説明員鶴崎敏君) ほかの七つの一時使用の施設と申しますのは、米軍の施設を自衛隊が一時使用するという形でございまして、この場合とは逆のケースになっております。
  137. 岩間正男

    岩間正男君 いまの問題で、この全条項が適用されるというのは東富士の場合はっきりしていますね、そうですね。七つというのは何ですか、自衛隊が使う場合ですか。米軍のやつはどうですか。その辺少し整理して、はっきり出してもらいたいのです、資料として。つまり、地位協定が今日どのように実施されておるかということなんです。これが非常に私たちは知りたいところなんです。実情がはっきりしないのです。これはあなたたちの秘密で、書類としてはちゃんと金庫の中にあるかしらぬけれども、国民としては全然門外不出のものなんです。そこから問題が出てきておるのです。どうなんです。これは時間がないのではなはだ残念なんですけれども、ここのところ、正確にあなたたちは問題を把握して答えてもらいたいと思います。
  138. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いま御指摘の線は、おそらく第二条の第四項の(b)だと思います。これについては、個々の協定を結びまして、その協定において、この協定、つまり地位協定が適用されるわけでございますから、その協定の範囲内はこれを明記しなければならないと書いてございまするし、機密にわたる線は後刻岩間委員までお答えいたします。
  139. 岩間正男

    岩間正男君 二条四項(b)による一時使用……。
  140. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 岩間君、どうぞ時間が迫っていますから。
  141. 岩間正男

    岩間正男君 これは七つあるはずですが、みな協定書があるはずです。これは地位協定によって協定書を一つ一つつくらなければならない。その協定書を見れば一目りょう然としたことが、いまのような混濁した答弁しかできないというところに、あなたたちは問題を整理していない、問題を明らかにしていない。そうして、地位協定そのものさえも今日では適用のしかたが正確になっていないことの一端をいまの答弁ははしなくも語っております。私がこういうことを言っておるのは、防衛庁長官、これは最後にお聞きしたいと思うのですが、こういうことでしょう。あなたは、この米軍の基地は返還された、そうしてだんだん少なくなっております、こういうことをしばしば言っておられます。しかし、名目はなるほど変わって、一応管理権は日本に移る、そうしてさらに自衛隊が管理しておる、こういうことがあるかもしれぬ。しかし、この地位協定の全条項を適用していつでも使用されるのだということになっておるのでありますから、したがって、返還されて日本の基地は狭くなっておるというような、そういうような言い方は私はできないだろうと思うのです。私が特にいまのこの四項(b)の問題を問題にしたのは、具体的に検討すれば全部、全文適用です。七つの共用基地の場合、ほとんど全条項が適用される。そうすると、返されておるのだが、いつでもこれは使えるということになる。そのために、実際はどうですか。この施設庁で出した資料を見ますと、少しも基地は減っていないじゃないですか。基地は減っておるとあなた方は言われましたけれども、少しも減っていないじゃないですか。これははっきりと私は年度をあげて最後に言ってもらいたいのだが、安保闘争のときの昭和三十五年のときの基地の件数と、それから現在の基地の件数をここで述べてもらいたい、面積も述べてもらいたい。そうすれば、これははっきりします。あなた方からもらった資料がはっきりこれを示しておるのですが、減っていないのです。いまから八年前からいかにも減っておるような印象を与えるが、実際は減っていないのです。逆にふえておる。そうでしょう。これは一々戻しますとなんですから、ここで言いますと、昭和三十五年には件数としては二百四十三、三億三千六百三万平方メートル、それが昭和四十三年七月三十一日には百四十八、これが三億六千五百九十六万七千平方メートルというふうに、逆にふえてきておるわけでしょうが、この点はどうなんだ、この点は。だから、いかにも減らしておるということになっているが、寒質的には、いつでも米軍が何らの制限もなしに権利を保有して、それを使えるような基地になっているのだ。こういうような問題を実は協議委員会でやっても、実際は日本国民の要求を実現することには私はならぬと思うんです。この陰にははっきりドル防衛の問題がありますよ。世界各国の基地を全部検討しておるというが、結局ドル防衛の立場から米軍のいままでの管理下にあるものを一応戻したというかっこうで、経費の負担、そういうものは、経済的な負担は全部その国にまかせる、しかし使用する権利はあくまでこれを保有するという形での、これは協議委員会の内容じゃないか。ここが非常に私は一つの大きな観点になっていると思うんですが、これはどうなんですか。これは、国会でいかにも減らしておるような、そういう話をされておりますが、この点は私たち納得できない。  時間の関係からもう一つ申しますけれども、これは基地が非常にやかましくなってきた。この問題について、どうしても対策を立てて住民の要求をここで取り上げなきゃならぬ。そういうとこで、基地対策費というものも強化されて、そしていかにもこれに適用するようなやり方を盛んに宣伝しております。しかし、はたしてこれはそういう実態に、いま言ったような基本的な方針を貫いていく限り、私はなかなかそういうことにはならないと思う。それから、実質的には、横田あたりに行ってみると、横田の拡張が一方でなされているでしょう。もう一つは、これは大和田の通信基地でもそうです。上瀬谷の通信基地でもそうですが、制限地区が非常に設けられている。そうすると、基地の性格というのはまた変わりつつある。これは、やっぱりアメリカの核戦略体制の方向に日本の基地を即応させるという、そういうねらいが実は今度の事務レベルの会議の中心課題ではなかったか。だから、ほんとうの国民の要求というものは、基地をなくすんだ、撤廃するんだという方向、そうして基地からくるところの公害というものをほんとうに排除するという方向、そういうものにいかにもとたえるような宣伝をしておりますけれども、実質的にはそうでなくなっているのが日本の実情じゃないですか。私は、いろいろな点から、時間の関係で、これを詳細に論ずることはできなかったんですが、とにかくこういう点では、いまの政府の態度というものをもっと明確にする必要があります。そうでないと、国民に一つの幻想を与えて、しかもその幻想の裏ではとんでもないことがどんどん行なわれておるというのが実情でしょう。私たち基地をいささか見たわけです。現実的に見てごらんなさい。あの横田の基地のもとの拝島のところの拝島小学校に行ってみてごらんなさい。堀向の町を見てごらんなさい。町がほんとうにこわされていってるでしょう。そして、そこのところはどうしてもそこから立ちのきせざるを得ないように、医院のようなものから、ふろ屋だとか、床屋だとか、そういうものを最初に疎開させて、そして町の中には、もうここのところは国有地につき立ち入り禁止、そして町は荒涼たるもんですよ。あの姿を見てごらんなさい。一緒に行って見ますか、防衛庁長官。あれを見なきゃ、ほんとうの基地の問題を論ずることはできないわけです。横田に行って見てごらんなさい。大和田の通信基地の姿を見てごらんなさい。一方では減らすと言っているが、一方では減らしていながら、一方ではどんどん拡張しようとしておる。これは全部アメリカの核戦略体制に歩調を合わしたたもんじゃないですか。そういうことをやっていながら、そのこのは伏せておいて、一方では基地を減らすんだ、それからこれに対して住民のそういう被害をなくすんだ、そういうための施策費、そこで今度は八十億も来年度の予算の中では要求をふやしております。しかし、そういうことでは問題が解決しないと思います。これは総論だけやって、そして各論についてはこれから具体的にやりますけれども、どうですか。
  142. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 練達なる岩間さんにしては、知っておって知らぬようなことをおっしゃいますけれども日本が強大なるアメリカの核抑止力に依存していることは事実でございます。すなわち、核戦争があってはならない、ないようにしておることは事実でございます。しかしがなら、あなたはしょっちゅう核戦略体制に日本が繰り込まれていると言いますけれども現実の核戦略体制というものがあるかどうかは存じませんが、われわれ依存しておるだけでございまして、日本レーダーなりその他の通信施設なりが核戦略体制の一環をなしておるということは全然ございません。このことをこの際明確にしておきます。あなたのおっしゃることを一方的に聞いておりますというと、私が承認したことになりますので、そこで反駁するわけであります。  それから、従来東富士はぜひとも防衛庁の所管にしてくれというのが地元の要望でございまして、十年間の要望がようやく実りまして、日本に返ってきた、すなわち三千万坪返ってきましたから、一億坪と言ったのが今度は七千万坪になったわけであります。北富士のほうでも、ぜひ防衛庁の所管にしてくれ、これが使用転換であります。その使用転換が実現できれば、アメリカの基地は五千万坪になります。しかし、新しく提供することがあるかもしれません、若干は。と申しますのは、アメリカ軍に提供している基地というものは、日米安保体制の日本の現在の、今日の平和の維持にも貢献しておること、このことをやっぱり認めることが大国民の態度ではないかと私は考えるものであります。  これで答弁を結ばさしていただきます。
  143. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。     —————————————
  144. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 次に国家行政組織に関する件を議題にいたします。  政府側からは、木村行政管理庁長官、河合行政管理局長、諸永行政監察局長、田代審議官が出席いたしております。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  145. 山崎昇

    ○山崎昇君 たいへん高度な国防問題をやったあとで、きわめてささやかな問題でこれから長官に聞きたいのですが……。
  146. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御静粛に願います。
  147. 山崎昇

    ○山崎昇君 事国家の行政執行について、どうこれを能率的にするのか、あるいは民主的にするのかという、別な意味ではきわめて重要な課題でもあると思います。  そこで、長官に基本的なことを聞く前に、先般の委員会で私から、本会議場の大臣の席順を何できめるのだと聞いたら、調査してお答えしますということだったんですね。その後ずっと私は黙っておったんだが、一ぺんもあなたから積極的に答弁しようとする態度がない。そこで、まずそれからひとつ答弁願いたい。あれはどういう基準でやっているのか。
  148. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) うかつでして忘れておりまして、申しわけないと思います。
  149. 山崎昇

    ○山崎昇君 私はそういう長官の態度が一番やっぱりけしからぬと思うのですよ。この間の委員会にあなたやっぱり出なかった。それも私はいま触れてきょうは言うつもりであったのですがね。しかし、いまあなたから忘れてしまいましたではね。これはかりに簡単な問題かもしれませんけれども、やはり委員会で正式にわれわれは聞いているのです。あなたも調査して答弁しますということを言ったんですね。そういうことが、簡単に忘れておりましたというだけでは、私は済まされない気がする。しかし、きょうは本題はそれだけではありませんから、この問題はそれだけでそう深追いしませんが、あなたが答弁すると言ったことは、やはり責任をもって調査して答弁するという態度をまずあなたに責めておきたい。  そこで、時間がありませんから論題を進めていきたいと思うのですが、この間の委員会で、閣議では行政機構改革の一つのポイントとして、許可認可の整理であるとか、あるいは報告その他の整理であるとか、多少の問題を整理したようであります。ところが、一番この委員会で議論になっている行政機構を根本的にどうされるのかという点については、何にも触れられてないんですね。もっと具体的に言えば、国家行政組織法については、去年の段階で検討しておりますということを答弁をしておるんだが、それ以降何にも触れられていない。あるいはまた一省一局削減のときには、これさえ通ればあとはもう三カ年計画でりっぱな計画書を出すんだとあなたは私どもに答弁されたが、今度の案を見ると、それがまた何にもない。ですから、私は新聞を見てそう言うわけじゃありませんが、この十一日の毎日新聞の特集を見ればおわかりのように、あなたラッパだけ吹いているけれども何も問題は進展していないという総括的な批判になっていますね。一体ほんとうにあなたは、行政機構の簡素化なり、あるいは民主化なり、そういうものをどうされようとするのか。私は、一省一局削減のあの法案のときにも、あれをやるというならば、あわせて三カ年計画を出しなさい、具体的な計画を出しなさい、こういうことを繰り返しあなたに述べたはずなんです。ところが、あなたは、ショック療法だから、あれさえ通れば、あれに続いてどんどんどんどんいまにでも改革ができるような言い方をした。しかし、その後ほぼ一年近くたっているんだが、ほとんど改革らしきものは何もない、こういう状態なんですがね。一体国家の行政組織を基本的にどうされようとするのか、もう一ぺんあなたに考えを聞いておきたい。
  150. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 最初は、国会でも答弁いたしましたとおりに、八月下旬までの間に行政改革の政府の素案をつくる方針で臨んだのでありますが、やはり取り組んでみるとそう簡単ではない。したがって、第一次案と第二次案というように分けて、第二次案のほうは十二月中旬までの間にこれを作成する、そして第一次案と第二次案をあわせまして行政改革の政府の一つの案とする、こういう方針にいま変更せざるを得なかったのであります。その変更せざるを得なかった理由はたくさんありまするけれども、申し上げませんが、とにかく第一次案では、あなたが御指摘になりましたとおりに、許認可事項だとか、報告事項だとか、各省庁から答案として出してまいりましたものにすべて目を通しまして、これをまとめる。それから、その中で機構の改革などにつきましては、抽象的なことば表現されたものが若干あります。たとえば観光行政などは、運輸省では観光行政は一元化したほうがよろしいということを言う。しかし、厚生省とか文部省あたりではそれに反対の意見を述べる。それから建設省のほうでは、営繕行政の一元化をはかるべし、こういうことを言いますけれども、一元化の内容につきましては各省庁の間でおのおの意見がある、こういうようなことになりました関係上、とても八月下旬までの間に全体の案をまとめるということができなくて、そういうような共管競合の行政の問題は第二次案に回す、こういうことにしたのであります。目下そのことにつきましては、各省庁と鋭意折衝してまとめようと思って取り組んでおります。  もう一つは、各省庁内の整理であります。そういうようなことにつきましても、いま交渉をやっております。それから地方支分局の整理統合なんでありまするけれども、このことにつきましても、具体的には指示いたしませんけれども、おおよそ半分を目途として整理できるような案を出してこい、こういうことを指示いたしまして、折衝中なんであります。そういうような機構の問題は、したがって第二次のほうにいま回ってしまったのであります。全体のまとまりは、十二月中旬までの間にすべてをまとめまして、政府の素案を提出するつもりであります。
  151. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま長官から答弁ありましたけどね。一省一局削減をあれだけあなたのほうで無理してやって、そしてその結果としていいものが出たかといえば、何にもない。ただあの減らされた局長給与が一等級から指定職俸給表に変わっただけ。そのあと行政機構改革あなたのほうでやっていることといえば、この間の閣議で定員削減をきめただけですね。それと、いまあなたの説明のあった許認可の多少の整理案だけ。ですから、基本的な国の行政機構をどうするのか——ぼくらがかなり具体的に指摘したような事項は、あなた十二月と今度言われる。すぐもう四十四年度の予算編成が始まっているわけです。さらに私ども聞くところによれば、十二月の初めには内閣改造があるともあなたのほうの幹事長が言うわけですね。そうすると、あなたが在任中にやれるのかやれないのかも私どもはきわめて心配である。また、あなたがかわられれば、新しい大臣はまた別の抱負なり述べてまた新しいことをやられるのじゃないか。だから、ここであなたはいま十二月の半ばと言うけれども、それが一体確実視されるものかどうか。ですから私は、去年の一省一局削減のときには、やはり三カ年計画という具体案を示しなさい、その上でなければこういうものをやっても意味がないんじゃないですかということをすっぱくなるほどあなたに言ったんだが、結果はそうでなかったわけです。全く私は残念だと思っているわけですね。そこで、私はそれに関連してきわめてふしぎに思うわけです。なぜふしぎに思うかというと、この十月十一日の毎日新聞に、前の行政管理庁の次官であった井原さんがやはり述べておるわけですね。これは、自分が在任中にやったことを、やめたから今度思い切って述べるのでしょうけれども、私がこれを見ると、大臣がずいぶんラッパを鳴らして行政改革をやるやると言っているんだが、実際は何にもできないのじゃないかという気に私自身もなってくる。なぜかというと、この人は「世間体をとりつくろう程度の改善か手直しができれば、せいぜいである。」とか、あるいは「たとえば、行政のむだを排除するという場合に、こともあろうにむだをしている当の役所の官僚に、むだの有無を考えさせるのが現状なのである。」、こんなことではやれませんということを行政管理庁の次官をやった人が堂々と新聞で述べられる。そして一番ひどいのになってくると、「そこにはいつも官僚化の恐れ、民意からの遊離、隔絶の危険性が存在するのであり、政治優位の必要、行政戦略の存在がますます要請されるのである。」、こう言うのですね。そこで私は、やっぱり国会で議論して、そして政治家として、あるいは行政管理庁長官としてのあなたが答弁されたことが、そのまま実行されるなら、私もある程度いいと思うが、実際はそうではない。その衝に当たるあなたに次ぐ一番の権限を持っている人がこういうことばを書いて、ほんとうにそれはもうナンセンスに近いのだというような意見を発表される。こういうものを見ると、私は、行政管理庁の職員の方々はいろいろ苦心をするだろうけれども、実際にあなたが言うほど行政機構改革なんぞというものはできないのではないだろうか、こう思うのですが、どうですか。
  152. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 井原さんは前の前の次官であった人であります。そしてほんとうに臨調答申案をつくるときにも中心になってお働きになった人でありまして、なかなかしっかりした人でありますが、私は井原さんのおっしゃることはごもっともだと思います。その井原さんのことばは肯定いたします。事務レベルと行政レベルだけにまかしておったのでは、なかなか改革なんかできるものじゃない。私は、そういうようなことは下から積み上げてきて、それから各省庁間の了解事項でできるものだ、こういうふうに思っておったのですよ。ところが、とても積み上げてきて事務レベルだけで行政改革をやるなんということは非常に困難であるということを私は自分で取り組みましてしみじみと感じたのであります。行政改革というものはそれほど非常に困難なものであるということは、私は自分で体験したのであります。しかし、いままでそういうような努力が積み重ねられてまいっただけでなく、世論なんかも、できないんじゃないかというような非常におしかりのことばをちょうだいいたしておるものですから、私はいままでやろうと思って手をつけておりましたことは、私の時代に必ず解決いたしまして、そして閣僚協議会の議を経て閣議決定事項まで持っていきたいと考えております。ただ、十二月中旬といたしましたのは、それまでにできれば予算編成にも間に合うと、こういうようなことでありまして、最終段階を十二月中旬までと、こう決定したのでありまして、できるものは逐次やっていく方針であります。いままで手にかけてまいりましたことは、大体閣僚同士の間では煮詰まってきておりまするから、いずれ断を下すときが来ると、こういうふうに自分は考えております。ただ、私はどうなるかわかりませんけれども、佐藤内閣の続く限りは、行政改革は後退することは絶対ないと、これだけは申し上げておきたいと思います。
  153. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃあ、十二月の中旬までにあなたがつくられるという第二次の改革案というのは、概要どういうものですか。
  154. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 三つか四つぐらいは一元化行政——共管競合の問題で一元化行政をやってみたいと思います。観光行政の一元化の問題とか、それから営繕行政の一元化の問題、それから社会保険行政の一元化の問題と、統計行政の一元化の問題、その四つだけは少なくともやっていきたいと、こういう考えでいま取り組んでおります。  各省庁内の整理の問題になりまするけれども、これは交渉はいたしておりまするけれども、まだ発表できる段階まで達しておりませんから、お許しくださるようにお願い申し上げます。  地方支分局の問題なんかも、強い指令を出しておりましたから、いずれ逐次こういうものはこうしたいというような各省庁から連絡があるだろうと思いますが、私はこの問題は無理して半分とこう言いましたけれども、無理して半分と言ったときには非常に抵抗があったのでありますが、何としても無理して半分ということを私自身が現在強制しておるような次第でありまするが、そういうようなことにつきましても逐次報告が来ると思います。
  155. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまお聞きしましたら、第二次の改革案というのはそうするとほぼ四つですね。観光行政の一元化、営繕行政の一元化、三番目に言われた社会保険というのは、あとでも聞きたいと思うんですが、これは地方事務官の移管の問題と関連をしてくるだろうと、こう思うんですが、一体これは一元化という意味はどういう意味ですか。たとえば観光行政であれば、運輸省なり、あるいは厚生省なり、二、三省にまたがっておる問題をどこかの省の機構の一つにするという意味なのか、あるいはいまの青少年対策本部のように、何か調整機関を設けるという意味なのか、この一元化といっても、私は機構面と運営面と二つあると思うんです。したがって、いま御説明のあったこの一元化行政というのは、たとえば観光行政であれば機構的にはどうされるのか、あるいは運営的にはどうお考えになっているのか、そういうふうにもう少し説明をほしいと思うんです。それは、さっき新聞を読みましたが、政治の力でリードをせよというのがこの人の見解のようでありますから、したがって、私は少なくとも長官においてそれらの見解があってしかるべきではないか。これまた、事務当局に言えば、さっきのあなたの答弁じゃないが、でき上がらないじゃないか、こう思うから、したがって、長官としては、いまあげられたところの四つについては、機構面と運営面ではどういうように考えられておるのか、まだ固まってないかもしれませんが、固めつつあれば、それらの見解をひとつ聞いておきたいと思います。
  156. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 観光行政の一元化は、最初に機能の一元化をはかってみたい、それから機構の一元化に入りたい、こういう考えでいま取り組んでおります。  それから営繕行政のほうは、特別会計の営繕行政と、それから一般会計の営繕行政というものを基本的に分けまして、そしてその中でも、特別会計の中でもその一般会計のほうとして取り扱ってよいものは、それを一般会計のほうに回す。それから、一般会計のほうでもやはり特別に待遇しなければならないようなものは一般のほうに回す。ですから、その二つの線でやってみたい、こういう考えであります。  それから保険行政のほうは、現在三通り考えておりまするけれども、まだどういうように裁断を下すかということは決定いたしておりませんです。統計行政も一本になり得るものはとにかく一本にしてみよう。どうしても一本になれないものははずさざるを得ないだろう、こういうことでいま取り組んでおります。
  157. 山崎昇

    ○山崎昇君 この問題は、まだ法案が出たわけじゃありませんし、考え方だけですから、私はそのときまたいろいろ私どもの見解も述べ、質問もしたいと思いますが、ただ社会保険の問題は、これは地方事務官の移管問題等も関連をしているわけですね。ところが、地方事務官の問題は、労働省の管轄の問題もあるし、それから運輸省管轄の問題もありますしですね、社会保険関係だけ取り立てて何か一元化行政という考え方に私はどうも賛成しがたいものを持つわけです。ですから、あなたはしばしばこの委員会で、この地方事務官の問題については、当初、八月中に四人の大臣とお会いをして、そして案をつくって、できれば十二月の国会等に関係法律案の改正案を出したいということを言っておったのです。で、いま聞きますというと、第二次案では社会保険関係はどういうかっこうになるかわかりませんが、考えておるが、他の地方事務官の移管問題についてはそれならばどうなるのか、これはいつごろまでどうされるのか、十二月まで案ができないのか、あるいは来年度予算編成に間に合わないのか間に合うのか、そこらのことをあわせてひとつお聞きをしたいと思います。
  158. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 地方事務官制度は、廃止するということはきまったのです。どういうようにその廃止後を片づけるかという問題についてはまだ意見の調整ができていないのでありますが、ともかく廃止するという根本方針だけは片づけた。したがって、運輸事務官の問題は、それから厚生、労働省の事務官の問題は、同時に片づけたいと私は思っております。別々には片づけない。別々に片づけないということは、世に問うときには同時に発表する、こういうことなんであります。ことしの、この次の国会に間に合うようにもちろんやりまするし、十二月中旬以前にその問題は必ず解決することになっております。それだけはお約束しておいてよろしいと思います。ただ、どういうようになるのだという決定的なものは、残念ながらいま申し上げかねます。きまっておりませんから、調整がまだできておりませんから、申し上げかねます。
  159. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、長官、確認をしておきますが、地方事務官の問題については廃止ということはきめたのです。ところが、いま、社会保険ばかりでなしに、他のものについても同時にあなたは決断を下したい、こう言われて、第二次の改革案とは直接的には返事はありませんでしたが、十二月の半ばまでに社会保険の問題も労働の問題も陸運の問題も全部決断を下すと、こうひとつ確認をしておきたい。  ただし、もう一つ確認をしておきたいのは、あなたが留任されるかやめられるかわかりませんけれども長官の更迭によってこれが変更になることありませんね。
  160. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 私は、やめまするときには、万々事務引き継ぎをいたしてまいりますから、それから、佐藤内閣の続く限りは、決定したものは佐藤内閣によってそいつを受け継いでもらう、こういう方針でありまするから、私は万一にもない、こう思っておりまするが、内閣がかわったならば、私はどう返事していいかわかりませんけれども、それだけのことはお答え申すことができます。
  161. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、しつこいようですが、長官がかわるたんびにこの問題は振り出しに戻るわけですね。したがって、今日まで二十三年間放置をされているわけです。ですから、いまあなたはたいへん確信のあるようなことを言われるから、だから、佐藤内閣が続くのかどうか、私のほうはそれこそわかりませんが、長官がどなたにかわられようと、十二月中旬に、あなたのいまのスケジュールでいけば、この地方事務官の問題については決断を下す、こういうわけですから、それに間違いありませんねと、もう一ぺん聞いておきます。
  162. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 間違いありません、これは。
  163. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで長官、この問題に入りましたから、重ねてお聞きをしたいのですが、地方事務官を移管する際の基本的な考え方、しばしば長官からも私ども聞いているわけですが、私はもう一ぺんやはり念を押しておきたいのは、臨時行政調査会の結論、それからあなたが委員長やられておる行政監理委員会の意見、それから全国知事会、それから地方制度調査会、それから関係する労働組合その他関係団体の意見がすべて一致しているのは、地方自治体に身分移管をしなさいということなんですね。ですから、私はその方針からはみ出たようなあなたは決断を下すまいと思うけれども、この方針に沿ってあなた方はやる、こういうあなたは決心されているのだと理解しておきたいのですが、いいですね。
  164. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 私は行政管理庁の長官をしておりまするし、臨調答申も行政管理庁のもの、調査会も管理庁の委員会でありますから、私といたしましては、そういう決心、そういう方針でこの問題と取り組んでおりまするから、非常に難航しておると、思いどおりにはなかなかいかない、こういうことで、実は苦慮いたしております。それで、即座に解決ができない、現在でもそういう点の調整をやっておる、こういう状態なんでありまするが、私の立場はどうかとこうおっしゃいますると、私は行政管理庁として在来の歴史の上に立っておる、しかし、なかなか反対がありまするので、非常に苦慮しておる、こういうことだけ御了解いただきたいと思います。
  165. 山崎昇

    ○山崎昇君 その点は、長官ね、私は、佐藤内閣というのは世論を尊重すると、こう言うのですが、だから、あらゆる関係団体が意見を一致して出されているものについては、多少の問題点があろうともやはりそれに従うのが、あるいはそれに沿うのが内閣のあり方だと思うから、したがって、いま申し上げましたような、あらゆる団体の意向に沿うことを基本にして、この問題は十二月に決断をしてもらいたい、重ねてこれは要望としても申し上げて、次の質問に移りたいと思うのです。  そこで、この間の委員会で、大臣から五%削減の説明があったわけです。その際に、私と長官とのやり取りの議事録がそちらから読まれておりました。私も帰りましてから、自分の言ったことでありますから、詳細にずいと議事録に目を通した。やはり長官ね、具体案出すと言ってるんです、あなたは。もう一ぺん言いましょうか。これは私です。「あなたの方針はわかるけれども、具体的に、たとえば何省は三カ年間で定員を何千名削ります、定数外の職員については何名定数化いたします、こういう具体的な案になってきますね。そうすると、そういうことを私どもに提示する、こう私ども理解していいですね。」とあなたに尋ねたら、あなたは、「そう御理解くださってけっこうであります。そういうように思い切って進めてみていきたいと思います。」、これがね、八月八日の委員会における答弁です。  ですから、私はこの間の委員会でも申し上げたけれども、削るほうは各省別に具体的な数字が出てきた。しかし、臨時職員がいないところもあるのかもしれませんが、二、三指摘した点を言えば、相当数存在するところもある。そういうところについてはどうされるのかという何の計画もない。この点はどうされるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  166. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 山崎さんの八月のこの委員会での話でありましたが、私がこの前自分はこうであったという意見を申し述べたのは、通常国会のときであったと思います。そのあとで、帰りましたところが、八月の国会では長官としてこういうことを言っているということを見せられまして、山崎さんに押し切られてしまったなあと、自分は思ったのであります。  ただ私は、そのことの問題でなく、何としてもその定員外の人々の処遇は片づけてみたいと、こういう考えを非常に強く持っておるのであります。行政管理庁では、三十七年の一月の閣議決定で、定員繰り入ればこれを打ち切ったのであります。したがって、定員外の人々というものはいないのだと、こういうのが管理庁の根本方針になっている。私はそいつをお聞きいたしましたときに、管理庁の根本方針がどうであろうとも、定員外の人というものはいることだけははっきりしておるのじゃないか、だからそういうような問題を親切に真剣に取り組んでいくことが私は一番大切なことであると、こういう考えを自分で持ったのであります。ただ単に法律的な答弁でこういう問題は処理すべきではない、片づけるべきではない。私は私の立場において、何としてもこの問題は解決してあげてみたいと、こういう自分は自分なりの決心をしておったときに、山崎さんからそういう質問がありまして、方向が私と同じでありまするし、一体いつまでかかったならばこういうものが解決できるだろうかなどということは、私にはそろばんが出てこないのでありますが、とにかく山崎さんが一生懸命になって、三年の間に何とかせい、やはりこうおっしゃいまするし、私は山崎さんのその熱意に感心したのであります。それでありまするから、なるべく早い機会にそれだけは何とかしなければならないという気持ちで思い切ってやってみましょうと、こういうことを申し上げたのでありまするが、行政管理庁の担当者に向かっても、各省に向かって、そうして新規採用の場合には定員外の人々を数多く採るように話をしてくれということは督促いたしてはおります。しかし、公務員の試験にパスしているとかパスしていないとかいうことがあったりなんかして、なかなか難航しているようで、困難があるようで、思うようにいっていませんが、思うようにいかないことだけはおわびを申し上げなければならない。しかし、私は北海道開発庁の長官も兼務いたしておりますから、自分の立場でできることだけはやってみよう、こう思いまして、十二分にその問題と取り組んでみたわけであります、そして、関係局長はじめみな集まりまして、何とか三年以内にならないものだろうかと話をしましたけれども、やはり事務的にどうしても三年以内に片づけるわけにいかない。ほんとうの定員外で常勤の人は北海道に二千人いらっしゃる。その二千人を区別いたしますると、大体四分の一が運転手をしておいでになる。それから四分の一は御婦人なんかで事務を担当しておいでになる。それから四分の一はまかないなんかを担当しておいでになる人と、あとの四分の一は工手の補欠の人ですか、そういうような人に区別することができるが、それらの問題をすべて片づけるためには五十年までかかる。しかし五十年までかけても長官がそうおっしゃったのだったらやるようにいたしましょう、こういうことで、話はそういうことにしておきましたけれども、ともあれ五十年なんと言わないで、もっと時間を早めたいということは頼んでおいた次第であります。自分のできることだけは思い切ってやってみようと、他を督促いたしておりまするけれども、残念ながら他の人々は私の気持ちどおり動いてくれないことを非常に残念に思っておる次第なんであります。そういう点で、行政はもっと親切であってしかるべきものであると、常からこう感じておる次第であります。
  167. 山崎昇

    ○山崎昇君 長官、これは一開発庁の問題ではないんです。私は制度論としてあなたにお尋ねをしておるわけです。いま具体的に開発庁の長官をやっておるから開発局の話が出ました。私のところにも資料があります。全部で常勤労務者というのが二千百九十人名おる。そのうち最も多いのは自動車の運転手、それからその次に多いのが庶務事務ですね。それから多いのが、重作業といいますから、道路だとか、あるいはクレーンを使うとか、そういうときの作業の労務者的な要素の人、あるいは写図工といって、図面を引く人、直す人、こういうのが約四百人から五百人存在しておる。十一ある開発建設部に全部散らばっているわけです。ですから、あなたに具体的にこういうものをどうされるのかということを——存在するわけですから、だから具体的に解消案がなければ意味がないのですね。なんぼ解消したいしたいと言っても具体的に何も数字が上がってこないわけです。それならば、三年で五%の定員を削って、欠員を全部落とすのだ。開発庁でいえば、七百四十九名落とすことになる。年間二%の自然退職がある。だから私から言えば、それならば、非常勤のこういう常勤的なものを解決するという熱意があなたにあるならば、この三年間の五%の定員削減を撤回しなさい。こういうものを全部整理して——内容を当たるなら当たってけっこうです、整理をしてきちっとした上で、あなた方が定員をどうされる、こうなら、私はまだ話は順序としていいと思う。ところが、いまあなたから言われたように、全国で十五万人ほどおって、北海道の開発局だけでその他の非常勤も入れると約六千人をかかえておって、定員はこれから三カ年で七百四十九名削ります。これを三で割ったら、自然退職者で終わってしまうのです。一名も新規採用できないかっこうになる、開発局で言えば。一般的な自然退職の率は、何か四%というふうにこの間局長から答弁がありました。ところが、北海道の場合には二%しかないのです。それまでいっていない、自然退職は。ですから、半分新規採用を採るようにやらないと、ここは新規採用できないのです。そういうものを放置をして、存在を知りながら、あなた方は無理無体に三カ年間で五%の定員を削るというやり方は、どうしても私は不当だと思う。ですから、この三カ年間の五%削減というものはもう一ぺん撤回をして、そうして定員外職員が一体どこの省の何課に何名おって、そのうち常動が何名で、ほんとうのパートタイム式の者が何名なのか、具体的に調査をして、それでどういうふうに解決するのだということが具体的に案として出て、その上で私は行政整理をやるならやる——私は反対ですけれども、政府がやるというなら、そういう案をつくるのが趣旨ではないだろうか。さらに、関連をする具体的な行政機構改革が何にもない。ただ末梢的な許認可事務の多少の整理を行なうだけであって、そういうものは何にも手をつけないで人間の数だけ切っている。そうして、いままで申し上げているように、常勤的な労務者をこれだけかかえて放置をしている。さらに私は、長官、ふしぎなのは、昭和四十三年度の予算を見るというと、開発庁にはちゃんと常勤職員給与費というのがある。そういう費用がちゃんとこれは持たれているのですよ。そして二千名もここから払われておる。ただし年間を通じて採用すると困るから、そこで、この間申し上げたように、四月の一日、一日だけちょん切って、四月の二日に採用して三月三十一日で退職金を払っておる。五、六千円の退職金を毎年払って、本人は共済組合もなければ何の恩典もない。それで今日まで十年以上も使われている者がざらにおる。こういうことを放置をして、この定数だけ削減するというやり方は、どうしてもぼくは承服できない。どうですか、もう一ぺん各省ごとに私は行政管理庁は事務的にも調査をして、ほんとうにそこにこういう職員がいないのかいるのか。帳面づらはいないことになっていると、こういうのですが、いるのですから、その上で定数問題はもう一ぺんひとつ閣議で私は相談されるのが筋道じゃないかと思うのですが、どうしますか、この定数外職員。あなたの関係している開発局だけで二千百九十八名の常勤職員がいる、一年以上の者がいるわけですから、具体的にどうされますか、これを。
  168. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 定員法を撤回して調査せいと、こういうことでありまするが、撤回しないで調査したいと思っております。撤回はしないで、調査するものは調査していく。北海道に関する限りは、先ほども申し上げましたとおりに、事務当局と相談いたしまして、あなたのおっしゃったような定数なんでありまするが、五十年までの間に私は解決する、こういう方針で臨んでおります。ただ、山崎さんがおっしゃいましたその自然退職の率は、北海道は非常に少ない。その少ない中において新規採用云々なんということを言ってみてもできないのではないかと、こういうお話でありましたが、当局の話を聞いておりますると、非常に困難ではありまするけれどもあながちそうとは思わない、こういうことを言っております。それでありまするから、最終段階に達しまして山崎さんのおっしゃるとおりでありましたならば、北海道開発庁長官で私は行政管理庁の長官ですから、非常に困難な場合には各省庁大臣と結論において話をする、こういうことになっておりまするから、一人二役で、そのときは最終段階において考えたいと、そのように考えております。
  169. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま長官の発言は、そうすると、こういうことですか。これから検討は事務当局に検討させる、最終段階にいってどうしてもぐあいが悪いというときには、この案を修正されますね。それじゃ、あなたの閣議決定やられた三年間五%の数字、これを修正しなきゃ、それは絵にかいたもちになるんじゃないですか。ですから、事務当局も来ているから、管理局長にも聞きますが、具体的に各省について調べて、そして、これは常勤的なものだからこの省についてはこういう措置をとります、この省についてはこういう措置をとりますという具体的な案、計画案出せますか、それじゃ。その上で委員会で審議やりますか。私は主として北海道だから開発局の問題言っていますが、ここに非常勤職員勤務記録というのも幾つか私は例を持ってきている。ざっとここにあるだけでも、昭和三十六年以降使われている、そういう人もおる。昭和二十九年からいる者もおる。私は無手勝であなたにものを言っているわけじゃないんです。そして、これは国家公務員法でいう臨時的職員の範疇ではない。あるいは臨時的な仕事ではないんです。そういうこと等考えると、いま申し上げましたように、どうですか、管理局長、全部当たって具体案を私のほうに提示しますか。そして、その結果どうしても自然退職率その他入れてこの常勤労務者が始末つかないというならば、この五%の削減案というのは修正しますか。それなら私は長官のいまのことばは信用しますが、そうでなければ意味がない。
  170. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 定員外削減の問題は、新規採用でやる方針であります。それから、やっぱりいろいろな点で事務当局が折衝いたしました結果、まあ非常に困難な場所も若干あったろうと思いまするし、困難でない、ごく簡単な場所もたくさんあったように思われます。それだけでなぐて、五%でなくともいいような場所もあったかもしれませんですが、そういうようないろんな事情を含めまして、八月三十日の閣議決定は、特別の事情により定員削減目標の達成に支障を来たす場合には行管長官等と協議しその実施方法を定めろと、こういう一つの条項だけは立っておるのでありまするが、まあ非常にかた苦しい、何といいますか、修正だとかなにかかにかということでなく、そういうような場合には状況によって考えろと、こういうことにきめたのであります。
  171. 山崎昇

    ○山崎昇君 行政管理庁の私ども資料で見ると、削るほうは第一分類から第三分類だなんて職種則に、そして何等級のどうだなんということまで詳細な検討をされているんですよ。しかし、定数外職員をどうこうされる段になると何にもない、第一番目に。ですから、私は、いま大臣がそう言われるなら、表向き閣議決定で修正ということばが悪いなら、事実上定数外職員がおさまるようにあなた方案をつくって私どもに提示できますか。してください。
  172. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 先ほども申し上げましたとおりに、行政管理庁の立場というものは、三十七年にそういう人々をみな入れたと、したがって定員外の存在というものはないんだと、こういう立場をとっておるのでありまして、行政管理庁の事務当局としてはないものと判断しておる。私はそのことに対して、行政管理庁長官ではありまするけれども、個人として、そういうようなことではいけないと、こう思って、定員外の人々も新規採用の形でも数多くとらせるような方針をとってくれといって、私のほうから行政管理庁のほうに頼んでおるのでありまするから、それを制度として出すなんというところまではとてもいかないと。しかし、何としてもそういうものは行政の盲点だとは思っております。政治は親切であるべきなのが当然だと思っておりまするから、何とかして解決してみたいというのが私の気持ちなんであります。
  173. 山崎昇

    ○山崎昇君 どうも、三十七年以降いないことになっておると言ったって、いますでにあなたの所管する開発局でさえ、あなた自身が二千人も常勤者がいると認めているんじゃないですか。それではこの人は何の存在ですか。何で月給払って、何で仕事をやらしているのですか、この人は。そういうことになると、存在そのものを否定するということになれば、たいへんなことになりますよ。ですから、三十七年以降政策としていないことになっているとしても、現実にあなたの出した資料で十五万人いるわけでしょう。全部が全部私は常勤だとは言っておりません。しかし、一応の資料では、参与あるいは顧問まで入れば十八万名いますというあなた方は資料を出している。その中で、私のほうは、少なくとも常勤的な仕事については当然これは身分を確立すべきではないか。そのために具体的なやり方としてどうなのかというのですから、あなたのほうで定員削減をやるというなら、それをやられたらこの人の身分確立はできないのではないか。だから、定数外職員の定数内繰り入れなら繰り入れでけっこうです。あるいはどういう方法をとるのか知りませんが、その人の身分を確立するという案が具体的に示されなければならないのではないですか。そういう意味で、各省別に、ですからいまあなた方は資料がないというならば、三十七年以降いないことになっているというなら、もう一ぺん各省別に調べて、ほんとうに常勤的な者がいるのかいないのか、おったとすればその者をどういう形で定数内にするのか、新規採用でやるのか、そういうことがもっと具体的に述べられなければならぬのじゃないですか。ですから、長官の方針上の問題でなければ、事務当局でもけっこうでありますが、もっと具体的に答弁してください。
  174. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 事務費支弁の職員というものはおると、こういう答弁なんであります。しかし、私はたびほどお話申し上げましたとおり、そういう点では、山崎さんと同じ立場に立つてこの問題は取り組んで解決したい、こういう気持ちを持っておるのでありまするが、ただその法律だとか行政などというものは案外冷たいものであります。
  175. 山崎昇

    ○山崎昇君 普通の給与費から支払われないのですから問題が起こっているのですね。普通の給与費から支払われるなら、定数内職員なんです。そうでないから、事業費支弁だとか、あるいは雑費だとか、さまざまな形でやられているわけです。一方公務員法で言えば、二月以上採用されたものは一般職という、こういう定義のもとに、服務なりあるいはその他のいろいろな監督は一般職員と同様にやられる。しかし、給与その他については全くの差別待遇になっている。そういうことを私どもは含めて、あなたのほうで定員を削るというのですから、そういう人が存在をするのに定員を割るというのは不合理ではないですか。だから、その存在をあなたのほうで確認をするならば、その存在をするという定数外職員というものをどういうふうに解消されるのか、具体的な案をほしいというのです。あなたのほうはそれがないのではないかということなんです。どうですか、管理局長、具体的な案を出してくださいよ。
  176. 河合三良

    説明員(河合三良君) ただいまの点につきましては、各省庁の離職者数、現実に発生いたしまする離職者数その他とにらみ合わせて個々の場合について検討していくことになると思います。
  177. 山崎昇

    ○山崎昇君 ですから、それはそれじゃ具体的にあなたのほうで調査をして、この省はこういうふうになりますという経過については私どものほうに資料として出してもらえますね。そうでなければ、私は、少なくとも三年計画でこの定数外職員については定数に入れる、少なくとも定数上は定数外職員というものはなくするというなら、いまある人を定数内に入れてもらいたい。そういうことを具体的にあなたのほうでそうしたら案を出しますね。
  178. 河合三良

    説明員(河合三良君) そういう案を作成することはできないと思います。現在この定員外職員の定員化いたしますにつきましては、これは各省庁の任命権者におきまして新規採用の形で定員の余裕があった場合にそれを定員に繰り入れるという措置をとっておりますので、各任命権者におきましてその際の新規採用のワクの中でこれを考えていく、こういうことになるかと思います。
  179. 山崎昇

    ○山崎昇君 手続的にはわかります。これは任命権者が違うんですから、わかりますがね。少なくともあなたのほうで定数削減の制度的なことをやるわけですから、だから、行政管理庁としてはそれじゃ各省に号令かけて、あなたのほうでこれだけ定数は減るのだけれどもこれだけの定数外職員がおるが、これはどういうふうにされるか計画案出してもらえないかということはではないことはない。具体的な発令は各任命権者がやることです。しかし、少なくとも行政管理庁でそれだけの手続がとれないということはない。なぜならば、あなたのほうでこれだけのことをやっているじゃないですか、削るほうは。これだって、いわば任命権者がやることじゃないですか、各省の。ですから、首切るほうはやれて、そのあとで埋めるほうはできないということにはならない。どうですか。
  180. 河合三良

    説明員(河合三良君) 定員化する必要ございますものは恒常的な職についている職員でございまして、現在そういう職員が何名いるかどうかということは各省庁においてお調べいただきまして、五%削減につきましては、五%削減の実施に際しまして新規採用についてはこれは最小限度新規採用はこれは確保するという考え方になっておりますので、その新規採用の中に任命権者として定員化できることになると思います。
  181. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ長官にお伺いしますがね、閣議でいまの局長の言ったことを確認できますか。閣議で決定できますか。たとえば定員を削減をいたします。各省ごとに定数外職員のうちで常勤職員がおった場合には、欠員が出た場合その者を入れることをやりなさいということを閣議で決定してもらえますか、それなら。
  182. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) なかなか困難でしょう。
  183. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃどこでやるんですか。
  184. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) やっぱり行政管理庁として各省庁に向かって力強く好意的にやってくれと言うよりございません、いまのところは。そうでなければなかなか困難でできないんじゃないかと思います。あなたは何とか制度化せいと、そういうようなものは統計的なものをつくって、そのとおりやれと、こういうことなんでありましょうけれども、各省庁に向かってそういう案をつくって出せと言うことは、言うことは簡単でありますけれども、それはなかなかできないと思うのです。非常に困難なことではないかと思うのです。そうでありまするから、私は山崎さんの気持ちはよくわかります。私と同じ気持ちであります。そういうことはなかなかむずかしいことで、できないことであります。それほどいまの行政機構、行政組織というものは簡単なものじゃない。私から見ますと非常にさびしいことだと思います。
  185. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ具体的にあなたがやるところないじゃないですか。私は定員問題だから行政管理庁に言っているんですよ。そうして、定員を削って欠員を落とすと言うから言っているんですよ。ですから、当然削るほうはこういう案が出ているのだから、それじゃ各省でもう一ぺん調べてもらって、そうして各省に対してあなたのほうがどういう行政指導するのか知らないけれども、どこか各省と折衝してやれるのかやれないのか、そういう案といいますか、そういうものを行政管理庁として各省とのやりとりした経過、あるいは具体案をつくらせるならつくらせる、そういうことについて次回の委員会までにひとつ答弁願いたいと思うんです。
  186. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 措置的にはむずかしいと思います。ただ、こっちのほうがそういう気持ちになって一生懸命になって交渉すると、こういうだけの問題であります。私は措置的には非常にむずかしいことだと、こう思っております。
  187. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ、結局ことばだけであって何も進まないじゃないですか。与給その他の問題は、これは人事院総裁に私は別な機会に聞きますけれども、少なくとも定数上の問題としては、この定員外職員については、私は閣議なり何なりでもう一ぺんひとつ相談していただいて、すみやかにこれは解決していただきたい。そして行政管理庁としては各省と協議をして、具体的な案をやっぱりつくってもらいたい。このことだけ強く要望しておきます。  そこで、もう時間がありませんから最後にもう一点だけ聞いてやめたいと思うのです。それは最近行政管理庁から毎月の月報を私どもはもらっているのですが、あれを見るというと、地方でもそうですが、かなり行政監察を行なっているわけですね。そして勧告するなり警告するなり注意を与えるなりあるいはその他の措置をとっているようでありまするが、一体そういうことをやられて、ずいぶんな件数にのぼると思うのですが、どういうふうな効果が実際あがっておるのか。あるいは地方の監察同等でやられた問題がどうそれが生かされて行政の上に反映されているのか。これはもう全部なんということは申し上げませんが、一、二特徴的な点があれば、ここでひとつお知らせを願いたい。それから、できれば、四十三年度だけでもけっこうでありますが——どもは月報を見ていればいいんですが、やっぱり一括したものがほしいので、多少分類をして、どういう注意を与えて、それがどういうふうになされたかというようなもの、これはそんな詳細なものは要りませんが、もし出せるものなら資料として出してもらいたい、こう思う。
  188. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 監察行政なんでありまするが、いままでは事務当局が監察したものを各省庁の専務当局に話をしておく、こういうふうだったようであります。しかし、私はそれだけでは少しもの足りない、こう思いましたので、監察行政は必ず閣議で発表する。そして閣議で各大臣にそういうことを言いまして、そして各大臣からその監察行政の結果について御報告があったならば非常に幸いだ、こういうように申しておったのであります。その結果でありまするが、行政管理庁のほうからこういう監察を受けましたのでこういう点で非常に改善を促進することができてけっこうであるというようなことは、農林大臣とか、それから厚生大臣とか、そういう人々からは閣議で報告があって、閣議でこういうことを取り上げることになって効果がより以上あがって喜ばしいことだと私自身は思っております。  ここに、中央計画監察の結果に基づく勧告については、昭和三十年四月から昭和四十二年十二月末までに四千百七十二項目の回答を受け取っておる。そのうち当庁が改善済みであると認定したものは三千二百九十六項目、七九%、一部改善と認定したものは三百二項目七%であり、かなりの効果があがっておると考える、こういう事務の報告があります。それから地方監察につきましては地方地域住民の生活に密着した具体的な問題を取り上げておる場合がほとんどであるため、当庁の改善助言が受け入れられない場合はまれであって、ほとんど改善されておる、こういう報告を受け取っております。  それから、おくれましたけれども、一番最初におしかりを受けた閣僚の序列なんですが、本会議の答弁に便利なように官房長官がきめたんだそうでございます。実際はその他、閣僚経験、代議士経験も加味されておる、こういうことなんでありまして、どうも小さなことでもほんとうはおろそかにしちゃいけません。実はあのときひやかしみたいに聞いたものですから、どうも申しわけありませんでした。
  189. 多田省吾

    ○多田省吾君 二、三お尋ねします。  まず最初に、八月三十日の閣議決定による各省庁別定員削減目標につきましては、たとえば北海道開発庁のように、三年間の平均の離職者数よりも、今後三年間の、いままで三十九年、四十年、四十一年と離職者が出ていますが、それよりも今後三年間に削減するほうが多いようなところもございます。そういったたいへんなところでは、閣議の決定で、ただし特別の事情により定員削減目標の達成に支障を来たす場合においては、行政管理庁長官と協議の上実施の方法を定めるものとする、このような取りきめもございますが、具体的には、これはどういうふうにするのか。  それからもう一点はですね、この問題にからんで、この別表を見ますと、まあ、昭和四十三年度の削減数の一・四%を差し引いた三・六%を新たにウエート分類表というものをつくって各省別に割り当てているようなふうになっておりますけれども、各省庁によっては、たとえば防衛庁とか建設省あたりは、もうすでに昭和四十三年度において五%近く削減されているというようなところもございます。それを新たにまた三・六%平均削減されるとなると、省庁によっては、もう八%以上削減されるようなところもあって不公平ではないかというような異議もあるようでございますが、この点をどう考えておられるか、この二点についてお伺いいたします。
  190. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 行政管理庁長官として、やっぱり不公平であるのかもしれませんけれども、まあ、各省庁おしなべて五%減、それをやらないとなかなかその解決が困難になるものですから、そのとおりやったのであります。北海道の開発庁長官として五%の問題と取り組んでみたんでありまするが、やっぱりあそこはまあ現業部隊でありまして、非常に苦しいことは万々承知いたしておったんでありまするが、そこに除外例を求めるというわけには私どもとしてもいきませんでした。そこでおしなべて五%削減をやるようにしたのであります。しかし、決して無理はしないようにしてくれと、言いかえますと首切りとなどということはこんりんざいやらないようにしてくれと言ってそれは堅持させております。そうして、先ほどもまあ山崎委員にお答え申し上げましたとおりに、ぎりぎりのところまでいって万やむを得ないときには行政管理庁と相談をすると、こういうような方針をとっておるのであります。定員法でも御承認を得ましたならば、多いところもありまするし、お気の毒なところもありますから、そういうようなやりくりができて非常にけっこうだ、こういうふうに一応私どもは考えております。ただ、どういう点で五%削減をしたかというようなことは、事務的なことは局長に答弁いたさせます。
  191. 河合三良

    説明員(河合三良君) ただいまの閣議決定のただし書きの点でございますが、これにつきましてはきわめて例外的な場合に限りますが、離職等の状況とにらみ合わせまして、各種の事情を検討の上当年度の削減数の一部を変えて訂正する必要が生ずるかと思います。ただし、これはきわめて例外的なものでございます。  それから、防衛庁その他につきましてパーセンテージが非常に高くなるという質問がございましたが、これは昭和三十九年から実施いたしております凍結——欠員の凍結と申しまして、発生いたしました欠員の半分は補充する、半分は補充しないということで、定員を、人員を押えておりましたが、その凍結のし残しがございましたために、最後の段階でパーセンテージが高くなっております。そういう点を考慮に入れますと、これはさほどではないと、かように存じております。
  192. 多田省吾

    ○多田省吾君 許認可及び報告等の整理でございますが、まあ、現在の許認可事項の整理は一応何%か整理されているようでありますけれども、あの臨調の答申当時の許認可事項よりは現在相当ふえておる。それで、そういった整理をしてみても、また新たな許認可事項がどんどんどんどん出てくる。これは毎年問題になっていますけれども、行政管理庁として新たな許可認可事項が各省から出てくる場合はそれをチェックして、不必要なものは認めない、こういうような方針をとらなければ、いつまでたっても、幾ら減らしてもまた新たに許認可事項が出てくるということで、これは実質的な削減にはならないのじゃないか、かように思いますが、その点はどうでしょうか。
  193. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 多田さんのお話はごもっともでありまして、そういう点でこちらのほうとして非常に苦労しておったのであります。そうでありまするから、新たに許可認可するような場合には、行政管理庁のほうに連絡をとるようにいたしまして、そうしてその決定に基づいてそれを実施するようにしてもらいたい、こういうような話もしておったんであります。そうでありますから、そういう相談役を行政管理庁だけでやっていいものやら、また別の機関をつくる必要があるものやら、どうしたらいいかということで、まだ決定いたしておりませんけれども、おっしゃることは全くそのとおりであります。私のほうで非常にそういうことを心痛している問題でありまするから、そのことは慎重に対処していきたいと、こう考えております。
  194. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから補助金の整理は、今後の方針としてやられるようでありますけれども、見てみますと、やはり小額の場合だけ整理簡素化しているように見えます。これはほんとうに一つ一つ点検して自主的に不必要なものを整理していくということではなくて、やはり補助金の小額のものだけをつじつまを合わせるために削っていくように思いますけれども、この点はどういう姿勢でやっておられるか。
  195. 河合三良

    説明員(河合三良君) お答えいたします。  補助金につきましては、小額補助金、零細補助金の廃止とあわせまして、各種補助金のうち、統合いたしましてそれで補助を受けます側の立場の方がかなり選択的にそれを使えるというメニュー方式というものを考えております。小額補助金、零細補助金の打ち切りと同時に、その他の方法もあわせ補助金の整理をやっている次第でございます。
  196. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、今度四十四年度予算について概算要求が各省から出ていると思います。それに関連しまして、新しい局あるいは庁の新設要求あるいは附属機関の新設要求もだいぶ出ているようでありますけれども、もうすでに概算要求も出そろったところでありますし、行政管理庁としてそれを現在どのように把握しておられるか、どのように対処されようとしているのか伺いたい。
  197. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 各省庁から相当のものが出ております。出ておりますけれども、検討は加えますけれども、少なくとも、行政改革を行なっておる三年の間において新しいものは認めないつもりであります。
  198. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、各省庁からどのような局の新設、庁の新設……内容をちょっと教えていただきたい。
  199. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 運輸省は航空庁——それは航空局を改組する。それから建設省は土地鑑定委員会(事務局)、それから科学技術庁は宇宙開発局、厚生省は国立病院管理局、通商産業省は立地公害局(立地公害部改組)。それは外局と局の部であります。  部の部は、営内庁の臨時皇居造営部、これはもうできましたから廃止する。外務省は大臣官房に調査企画部、特許庁は審判第二部、航空庁は総務灘、保安第一部、保安第二部。  それから職は、総理府賞勲局が次長——参事官を廃正して次長にしてもらいたい。特別地域連絡局、ここに参事官は廃止して次長を置きたい。公正取引委員会は委員長秘書官を置きたい。それから審判官一人増。司法試験管理委員会、委員二人増員。外務省は儀典長を置きたい。外務省アジア局は次長がほしい。経済協力局も次長がほしい。通商産業省は事務次官補二人。特許庁は技監がほしい。運輸省は運輸審議会委員を廃止して事務次官補。航空庁は航空局審議官を廃止して次長。労働省は労働基準局に次長をほしい。建設省は監察官を一人廃止して建設審議官がほしい。  以下ずいぶんありますが、もういいですか。
  200. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま長官は、まあ今後三年間の行政改革の実施期間においてはこんな省庁は絶対認めないという決意を発表されましたけれども、去年一省一局削減したときからすでにもうそういう方針であったろうと思います。それは閣議等を通じて総理あるいは行管長官からはっきり申し渡しがあったにもかかわらず、こういう局や庁の新設要求がずいぶん出ているということは、やはり私は、行管長官は佐藤内閣が続く限り行政改革は進めていくというお話でありますけれども、各省ではそういうふうにとってない。で、総理や行管長官にほとんど協力しているような姿勢が見られない、こういうふうにも考えられます。これに対処して、やはり長官として今後の行政改革は非常に多難であるということは言えますけれども、このような事態に対してどうお考えになり、また、今後各省庁の強い要求に対してどのように対処されていくのか、最後にお伺いします。
  201. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 行政改革と取り組んでおるんだと、しかも、その行政改革を目ざすものは行政を簡素化すること、簡素化してなおかつ能率のあがる行政にするんだということを口がすっぱくなるほど言っているにもかかわらず、平気でこういうことを出してまいりまする各省庁の良識を実は私は疑っております。それだけに私は、何と申しますか、頭のいいお役人ですか——というものはたいへんなものだと、こういうふうに自分は考えております。それでありまするから、それに対しましてはあくまでも行政の簡素化というものを目ざして、一切の新規のものは認めない。やめて名称を解消するというのなら別でありますけれども、少なくとも簡素化の根本方針に反するものは認めない、こういうつもりで私は取り組んでおります。近き将来、閣議で各大臣から自発的に取り下げてもらいたい、こういうことも言うつもりでおります。
  202. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。     —————————————
  203. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 次に、国家公務員給与に関する件を議題といたします。  本件につきましては関係当局から二木大蔵政務次官海堀主計局次長、佐藤人事院総裁、尾崎給与局長、岡田任用局長、島職員局長出席いたしております。なお田中総理府総務長官、栗山人事局長は間もなく出席の予定でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。——総務長官はただいまお見えになりました。
  204. 山崎昇

    ○山崎昇君 総務長官にお尋ねをしたいんですが、まず九月二十六日のこの委員会で、自治省の公務員第一課長の森清さんの言動について私のほうから指摘をしたんですが、長官は、よく調査をして次の委員会等でこの結果は話をしたい、こういうことでありましたので、その後この公務員課長の問題については総理府としてどういうふうにされたのか、その経過と結果だけお聞かせ願いたい。
  205. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お話を承りまして直ちに自治大臣の赤澤君のほうに連絡をいたしました。本件は具体的な事案でございまして、赤澤大臣は任命権者でございまするので、検討いたすように十分注意をいたしております。
  206. 山崎昇

    ○山崎昇君 十分に注意をするようという連絡だけしたというんですか。ただそれだけですか。その後自治大臣のほうから、こういうふうにしたとか、あるいはこうするつもりだとか、あるいは総務長官のほうからは、不適格者だからやめてもらうようにせいとか、何かの処分等について指示なりあるいは指導なりされたのか、あわせてひとつお聞きしたい。
  207. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま申し上げましたごとく、本件に関しまする御回答その他の点は自治大臣のほうからいたすように相なります。
  208. 山崎昇

    ○山崎昇君 この問題は所管でありませんからあまり言いませんが、しかし、ただわかることは、あまりたいしたことはしてないようですね、いずれにしてもこれは公務員の人事上の問題も含んでいますから、今後ともひとつ総理府で厳重な処断をしてもらいたいということだけつけ加えておきます。  そこで長官に、きょうだいぶ時間がおくれておりますから、またこれ問題をしぼらざるを得ないのですが、第一にお聞きをしたいのは、人事院の勧告を八月から実施をする、ただし通勤手当については勧告どおり実施をする、こういう閣議決定をされたわけですね。そこで私が長官にお聞きをしたいのは、ここ二、三年の間に衆参の委員会で、多少の表現の違いはありますけれども、公務員の人事院勧告の取り扱いについては完全実施をすべきだという決議が六回出ているのですね。一体国会のこういう決議というものを政府はどのようにこれを評価をして、どのように考えられるのか。私どもは、何か言いっぱなしで、政府が破るたびにああそうかと言うだけでは済まされないものを含んでいるのではないか。それも一ぺんや二へんではありません。順次私のほうから言えば、ここ二、三年でありますが、四十年の十二月二十七日参議院の内閣委員会、四十年十二月二十四日には衆議院の内閣委員会、四十二年の十二月二十二日には参議院の内閣委員会、四十二年の十二月十五日には衆議院の予算委員会、四十二年の十月二十日には参議院の内閣委員会、四十二年の十月二十三日には衆議院の内閣委員会、いわば所管の委員会や予算委員会等を通じて、この人事院勧告は完全実施をすべきだという決議をここ二、三年来でもすでに六回やっておる。そのたびに当時の責任者が出てきて、そのようにいたしますという答弁をする。しかし、翌年になればそれが守られない。国会の決議というものをどういうふうに長官お考えになるのか、まずそこらあたりからお聞きしたい。
  209. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 政府といたしましては、立法府の御決議に対して真、面目にこれを尊重し実施いたさなくちゃならない責任が政治的にございます。
  210. 山崎昇

    ○山崎昇君 政治的に実施をしなければならぬ義務が政府にあるなら、一回もやらないというのはどういうわけですか。そしてさらに、これは附帯決議ではなく、単独の委員会の決議もある。予算委員会の決議もある。そういうものをあなたのほうは政治的に実施しなければならぬという義務があるなら実施すべきではないですか。なぜ今日までこんなに国会が意思表示をしているのにそれを破って完全実施をしないのか。それじゃあなたの実施をしなかった政治責任というのはどういうふうになるのか明らかにしてください。
  211. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) さような次第でございまして、ぜひ今度は隘路になっております諸点を究明し、打開していかなければならないというようなことで、御案内のとおり、特に本年は注1の項目を置きまして予算編成までにこの問題をぜひ打開したい、かように考えておる次第でございます。
  212. 山崎昇

    ○山崎昇君 できなかった政治責任はどうしますかと聞いておるのです。  二つ目は、あなたは、国会の決議だから行政府としてこれはやらなければならぬと、こう言うのですから、それを一回も守っていないのでしょう。そういうものに対する——それでは担当大臣でもけっこうですが——政治責任は一体どうなるのか。あなたの責任はどうとろうとするのですか。責任はないのですか。もう少し明確にしてください。
  213. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御決議に対しまして十分政治的に責任を感じておる次第でございます。
  214. 山崎昇

    ○山崎昇君 長官はいま責任を感ずると言うのです。それはどういうふうに感ずるのですか、どういうふうに、具体的に。
  215. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) でございますから、今回はぜひとも制度の調整なり、改むべきものを改めたい。私に関しましては、さように考えております。
  216. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃあなた責任のとり方を、これから完全に実施するためにいろんなことをやりたいと、こうおっしゃるが、そこで関連をして私はお尋ねしますが、毎年、毎年繰り返されることは、人事院勧告が実施されない大きな理由が二つあります。一つは財政上の問題ですね。それからもう一つは、来年こそは完全実施するような方策をとります、こういうことを述べて、今日まで少なくとも五月実施明記をされた勧告、昭和三十五年以降九年にわたって同じことが繰り返されているわけですよ。そしていま申し上げたように、ここ二、三年の間に六回国会ではいろんな議論をしましたけれども、与野党一致して決議をしているわけです。それをあなたのほうは破っているわけですね。そこで、関連をして聞きますが、それなら来年はどうされようとするのですか。すでに予算編成期に来ておるのですが、長官の計画ですか抱負ですか知りませんが、明確にしてください。
  217. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 来年は完全に実施いたしたいということで全力を尽くす所存であります。
  218. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはどういう方法で完全実施するのですか。
  219. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これから関係閣僚会議をいたしまして、この隘路の打開と究明をいたしてまいりたいと思っております。
  220. 山崎昇

    ○山崎昇君 総務長官としてはどういう考えを持っておられるのですか、具体的に。
  221. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 本件につきましては、たまたま大蔵大臣が入院をせられておりますので、引き続いて週一回程度この問題につきまして協議を遂げたいと、かように考えておったのでありますが、まだ閣議にも臨席できない、出席できないというような現状でございますので、その間も放置いたしておるわけではございません。関係者省庁間におきまして、少なくとも週一回本件につきまして討議を遂げてまいっております。そのいまの内容につきましては、まだ閣僚会議にも提案いたしておりません段階でございますので、ただいま御披露申し上げかねますけれども、しかしながら、事務当局同士におきましては、非常にこの問題につきましては、まあ一つ表現を申すならば、白熱的な論戦もあったようでございます。しかしながら、やっぱり事務当局といたしましては、なかなか政治的な大所高所に立っても打開、解決というところまで本質的な問題には参りません。大蔵大臣の回復次第関係閣僚会議をぜひ早急にいたす段取りにいたしております。
  222. 山崎昇

    ○山崎昇君 給与を担当する大臣が何も案がなくて、私ども新聞報道だけしかわかりませんが、経済企画庁長官のほうは直接総理大臣に進言をしておるのじゃないですか。そのやり方は、十一月ころに人事院が勧告をして翌年度の予算に盛って四月から実施をする。途中でまた人事院が修正勧告の必要があればさして、修正勧告した分が最初の勧告よりも上回る場合には、その分は翌年度から実施すべきだというふうに経済企画庁長官のほうはすでに総理大臣に具体的な進言をしておるのじゃないですか。私はこれがいいという意味で言っておるのじゃないですよ。しかし、少なくとももう予算編成期に入ってきておるのに、給与を担当する大臣が、何も案がございません、大蔵大臣が入院中ですからまだ話ができません。最後の金はどうなるかは別として、少なくともあなたは公務員の給与をどうするかということについては、担当大臣としての見解がなければならぬのじゃないですか。どうですか。
  223. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) たまたま経済企画庁長官、来年度の予算編成の基本の方針等の問題につきまして総理との会談の際に見解の一端を述べられたものと存じますが、しかしながら、まあ宮澤構想でありますとかなんとかということは、昨年から数回にわたりまして、あるいは高橋構想でありますとかあるいは何構想でありますとか唱えられたものを繰り返したにすぎないものでございまして、まあ私ども少なくとも責任を負う関係者、各省庁の者は、これから関係閣僚集まりましてお話を詰めていかなきゃなりませんが、もちろん宮澤君の意見もその中の部分ではございますが、全貌ではございません。まあ、われわれが責任をもって関係閣僚はこの問題を処理してまいりたい。また、それについて、ただいまお話しのごとく、私のほうといたしましても、人事院制度の本質にかんがみまして十分りっぱな見解も持っている次第であります。
  224. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま長官から、私としては別個な考えがあると、こう言われます。ですから、あなたの見解、これは委員会ですからね、私どもに答弁ということは、公務員の諸君に、政府としてはことしは八月しかできなかったけれども、来年以降、政治責任にかけても完全実施をしますと、こうあなたは言うんだったら、それなら、こういう考え方でおりますとか、こういう点をいま議論していますとか、長官としてはこういう見解ですとか、そういうものがもう予算編成の時期になっているのに、何も示されないで、公務員にやみくもに来年はどうするんだと言ったってなかなか公務員の諸君は理解をしないと思うんです。そういう意味で、あなたがいま制度の問題も言われたから、もう一ぺん長官としてやはりこの程度までいまの段階で考えているなら考えているとか、そういうことを私は述べてもらいたい。そして新聞報道だけによると、あれだけ大々的に直接総理大臣に対して宮澤さんの見解を述べているわけです。それがそのままいくとは私は思わない。あるいは人事院総裁にも、あの経済企画庁長官の意見については、長官が、少なくとも担当大臣の総務長官どっかへ行っちまって、予算編成方針、財政方針だけから公務員の給与が議論されているような印象がいま流布されているんじゃないですか。そうだとすれば、これは私はたいへんだと思うんですよ。ですから、総務長官という職務柄からいっても、ああいうことを経済企画庁長官が言うならば、事前に特に相談があるとか、あるいはもしも公務員の給与の問題についてものを言うというなら、やっぱり誤解を受けないような言い方をさせるとか、担当大臣として私はそういう配慮がなきゃならぬのではないですか。いまお聞きしますと、あなた腹の中がからっぽであって何も案はないんじゃないですか。もう少し、いまの段階でけっこうですから、あなたの見解を聞いておきたい。そうでないと、公務員の諸君はもう何かしらぬ予備勧告なんていうことができ上がるような錯覚になっておる。この点について給与担当大臣としてもう一ぺん聞きたいし、あわせて人事院総裁に、あの宮澤さんが述べておられる見解についてどう人事院では検討されておるのか、あるいはそれについてどういう結論を持っておられるのか、あわせて総裁から聞いておきたいと思う。
  225. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおり、私給与を担当いたしておりまする責任者でありまするだけに、軽々な発言はいたしかねるのでございまするし、また、時期的に申しましても、大蔵大臣出席できる時点におきましては直ちに閣僚会議を開催する予定でおりますのでございます。でございますから、時期的に申しましてもごく最近の機会でございまするし、なおまた責任者でありまするだけに、個人的とは申しながら私が私的な見解を述べることは差し控えたいと存じます。同時にまた、宮澤君の総理に言われましたのはあくまでも、まあ初めてのことではございません、昨年来の続きました一つの個人的な見解にすぎないのでありまして、関係閣僚懇談会によりまして各省庁の煮詰めました案につきまして十分討議を重ね、そうして結論を出していきたい、かように考えております。
  226. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) あらかじめ御了解をいただいておきたいのは、私どもにとっては、来年の問題よりもまずことしの問題が当面一番重要な問題であるという気持ちに立っておりますわけで、たびたび申しますように、国会に対する御勧告を申し上げたその御処置はまだこれからのことでありまして、これがおそらくりっぱに実を結ぶであろうという期待を持っておることをまず先に申し上げまして、さて、その次に、じゃ来年以降何かいい考えはないか、くふうはないかということが出てくるわけでありまして、いま御指摘の宮澤構想という名前で呼ばれております構想がありますが、実はこの考え方はもう数年前から出ておりまして、私どもの検討の場にものぼっておりまして、また人事院の立場としては、これは責任を持ってお引き受けはいたしかねるということをはっきり言明してまいっているわけでありまして、したがいまして、また新たなる何か特段のりっぱな理由がそこへ出てくれば、それはまあえこじになって突っぱるわけではございませんけれども、従来これはお引き受けいたしかねると申しております態度は、いまのところ変わっておらないと、率直に申し上げてよろしかろうと思います。
  227. 山崎昇

    ○山崎昇君 この問題は、来年のことを言えば鬼が笑うというのですから、あまり追及はする考えもないのですが、ただ従前の経過からいって、必ず来年は完全実施します、こういうことが続く関係から、いまあわせてお伺いしているわけです。  そこでもう一ぺん大蔵省にお聞きをしたいのですが、この問題も財源関係聞きました、あなたから数字的に答弁があったわけですが、そこでもう一点聞きたいわけです。  それは、八月から実施をすると六百四十億かかりますと、閣議決定の文書を見るというと、これは予備費から支出をいたしますと、こうなっているわけですね。そうすると、千二百億の予備費のうち、この間の御説明では、百三億はすでに支出済みである、残った千九十七億のうち六百四十億円はこれは給与費に出すのだ、こういうふうにまず私ども理解をしているのですが、そのとおりですね。
  228. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) この前御説明申し上げました六百四十億というのは、それは国の負担の全体を申し上げましたので、一般会計負担といたしましては、これは特別会計負担を含んでおりますので、一般会計負担といたしましては、これも注釈が要るのでございますが、たとえば防衛庁職員は同じように該当職で伸ばすとか、そういう措置をとりまして一般会計負担を計算しますと六百一億円になります。その点が、この前の御質問は国でどれだけ要るかという御質問であったために特別会計負担分も含めておりますので、一般会計負担としては特別会計繰り入れ部分を含めまして六百一億円と御了解願いたいと思います。
  229. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、三十九億ばかり特別会計ということになりますね。とにかくまあ国家公務員全体として六百四十億かかる、そのうち予備費から支出するのはそれでは六百一億ですね。そうすると、六百一億に前回の説明で百三億のすでに支出済みがありますと、こういうことだったですね。そのとおり私どもで確認をしておきたいと思いますが、いいですか。
  230. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 九月三十日までの予備費の支出済み額は百三億円でございます。ただし、これは支出済み額でございます。
  231. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、重ねてお伺いしますが、支出済み額が百三億、それから公務員給与に支出する予備費が六百一億、合わせて七百四億になるわけですね。そこで残った予備費の支出予定は何かとあなたにお尋ねしたら、災害がおおむね四百六十億円、各省でどうしても予備費から支出をしなければならぬものが二百五十億円程度、こういう説明でありました。ところが、これを全部足すとどうしても千二百億円、こうあるわけであります。そこで、その点をどうですかと聞いたら、四百六十億ないし二百五十億の金は、これは、整理をしてみなければならぬ、内容を検討してみなければならぬというあなたの返答だった。そこで千二百億に当てはめるとすれば、残される予備費を、たとえば災害はことしあんまりないと私は思うのです。そうすると、二百五十億についても詳細に私どもは中身はわかりませんが、何か削らなければ予備費は超過をする、補正予算を組まなければならない、こうなると思うのです。どういうふうにそうするとこれは削るわけですか。
  232. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 一応百三億の支出済み額というものは、先ほど申し上げました災害に対する予備費使用見込み額の四百六十億円のうちでございます。それからその他の使用見込み額が大体二百五十億円と申し上げましたが、それも一部分はすでに支出された百三億の中に入っておりますので、私たちの見込みといたしましては、一応公務員給与については六百一億円、概算して六行億円。それから災害につきましては四百六十億円、それからその他につきましては一応二百五十億円程度、こういうふうに見込んでおるわけであります。そうしますと、大体これが千三百十億円程度になろうかと思うのでございます。そうしますと、百十億円程度金がオーバーするということになります。  それから、それをいろんな点で詰めていかなければいかぬわけですが、災害について申しますと、この四百六十億円という見込みは、現在まではっきりわかっております災害は八月までの実績でございます。八月までの実績におきましては、これは実績で取れますので、実績で取りましたところ、三百十三億円程度の国費が要るということははっきりとしております。ただ、災害復旧費の支出は、それは工事の査定をしてきちっと計画が出て初めて予備費の使用ということになりますので、実際、予備費を支出しましたベースはもっと小さいわけですが、ともかく初め八月までありました災害処理のためにきまっておる額が三百十三億円でございます。九月以降の災害をどう見ているかと申しますと、過去三年の平均で見ております。したがいまして、もし過去三年平均で見ますと、公共土木その他の災害を含めまして約百四十六億円、百四十七億円程度になろうかと思うのでありますが、これは九月−十二月の災害が過去三年平均程度であればそれだけの額が要るというふうに見ているわけでございます。私たちとしましては、できるだけ災害が少なくてそれより以下におさまることを希望しているわけでございます。それから二百五十億円と申しましたが、その他の財政需要でございますが、これは公務員給与の実施につきましてどうするかという際に、主計局の冬担当のところから各省でその需要の見込みをとりましてそれを集計いたしたわけでございます。もちろん、その中にはこれはどうにもこんなものは必要ないというものもございまして、まず予算をやっている者としてこれはどうにもなかなか減少することがむずかしいんじゃないかというふうなものを拾い上げまして、その二百五十億円というものを一応積算したわけでございます。これが必ず全部そのとおりに出るかと申しますと、その点につきましては、半年しかたっておりませんので、今後の事態の推移を見なければいけないわけでございますが、参考までに去年、おととしという関係で補正と予備費で幾ら、そういう公務員給与と災害を除きまして、金が出ているかと申しますと、四十二年が二百五十四億円、四十一年度が二百八十九億円の金が出ております。もちろん、その内容はことし予定するのにひとしいようなもの、同じような性質のものもあれば、違ったようなものもございます。まあ、ここ二、三年ぐらいが二百五十億円程度で推移してきているので、まあ、この程度がそう違った見当じゃなかろうかというふうに見ているわけでございます。そうしますと、百十億はまだどうするのかということになってくると思いますが、これは予備費の今後の二百五十億の支出につきましても、主計局としてできるだけ各省に御協力をいただく。災害が過去三年平均よりも落ちることを非常に希望しているわけですが、これがどういうふうになるかはわからぬわけですが、できるだけ少ないことを希望する。さらに現在鋭意各省の人事担当官に頼みまして三月までの欠員がどういうふうに出て、給与の現在組んでいる費用にどの程度の不用が出るだろうかということを検討していただいております。去年の人件費の当初予算に計上しましたものの不用額、それを公務員の給与改定に充当いたしました額が三十億円ございます。したがって、去年と同じ程度であるならば三十億円程度のものを期待できるのではなかろうかということでございますが、まだ現在年の半ばでございますので、今後の見込みをできるだけ精密に把握していきたいというふうに思っております。
  233. 山崎昇

    ○山崎昇君 詳細に説明があったのですが、たてまえとしては、予備費で公務員給与もそれから災害あるいは各省の予期せざる支出等もやっていく、こういうことになると思うのですね。まだ、いまの説明段階だけで言えば九月以降の災害が明確になりませんから、これは私どもは去年と比較してことしは少ないのではないかという、これは私どもの判断ですけれども、持っているわけです。さらに二百五十億についてもことしはどういう内容かわかりませんが、去年までのものを見ると、かなり私ども首をひねるような内容のものも、これは決算でよく調べてみたいと思いますが、いずれにしてもそういう内容である。そこで考え方としては、いま申し上げたように、予備費の千二百億で災害と公務員給与とそれから各省のやつをおさめていきたい、こう私は財政当局としてはなると思うのですね。最終的には予備費がゼロになってくるのではないかと思います。そこで、そうすると、人件費の節約という問題は、これは私は当然人件費を節約をして財源を浮かすというならば、ある意味では公務員に還元をすべきものではないだろうか、それはすべてをそういう考え方でいっているわけじゃありませんが、公務員の人を入れるのを欠員不補充で入れない。そういう人件費が余る。あるいはまた、当初予算に平均給で組んだが、それまでいっていないから人件費の不用額が出てくる。超勤予算の余り。さまざまなものがある。そういうものが去年のように三十億だとすれば、私は三十億あれば、この間も申し上げましたけれども、七月実施のうちの半分はこれだけで財源が出てくる。五十七億円あればいいわけですから、ほんとうに私は政府が人事院勧告を何とか少しでも完全実施をしたい、こういう気持ちがあるならば当然、こういう経費については多少私は問題があったとしても、公務員の諸君に振り向けるのが私はものの筋道でないだろうか、こう思うのですが、そういう点について、これは総務長官、財政当局でありませんが、ものの考え方ですからあなたにお聞きしておきたい。  さらに、ついでに大蔵省に聞きますが、九月の決算はもう終わったと思うのです。ほぼ私は数字は明らかになっているんじゃないかと思うのです。当初予算では税の自然増収は九千億見ているのですが、追加の自然増収といいますか、そういう自然増収は、どうも一説には三千億くらいともいわれるし、あるいは一説にはそんなにならぬではないかという説もありますし、私ども数字を計算するわけにいかないのですが、そろそろ九月決算が終わった段階ですから、一応どれくらい大蔵省は見込んでおるのか、お聞きをしたい。  まず長官からひとつものの考え方を。
  234. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御指摘のとおりでございまして、私どもも財政方面を何とか打開をしなければならぬということから、お説のごとき主張もいたしましたが、財政当局のほうでは、すでにそのことは織り込み済みで計算をしておる、こういうふうな回答でございました。
  235. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 九月決算の状況はいつも、去年も問題になりましたように、十一月の末ごろになりませんとその実績が出ませんので、現在わかっておりますのは八月末までの税の収納の状況でございます。これで申し上げますと、去年の決算、税収の決算に対する八月までの収納割合よりもことしの予算に対する八月までの収納割合のほうが高くなっております。約二・一%程度高くなっております。したがいまして、去年と各期別に税収が入ってくる割合が同じであるとすれば、ある程度の増収を期待し得ると考えるのが常識的かと思います。ただ、何といいましても、まだ八月までには四〇%程度の税収しか入っておりませんので、九月決算の状況あるいは暮れの賞与の支払いの状態、そういうものによって大きく変わり得る要因をはらんでおりまするので、現段階においてどの程度という推算をすることは無理があろうかと思います。
  236. 山崎昇

    ○山崎昇君 それなら、いつごろこれはおおむねの数字が出るのですか。もう予算編成に入ってきていますからね。少なくとももう私は今月か来月ぐらいまでにあなたのほうでこれをやらなければ、具体的な予算編成になっていかないのではないだろうかと、こう思うのです。ですから、数字はきっちりしたものでなくても、多少の違いはそれはあるでしょう。あるでしょうけれども、大まかな見込みをひとつ言ってもらいたい。
  237. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 大体各年補正予算を組む時期、去年でありますれば、九月決算の状況が十一月の末ごろに明らかになりまして、それをもとにいたしまして去年は十二月に補正予算を編成して提出したわけでございます。そしてその結果の税収の見込みと決算とはほとんど差がなかった。たぶん多少の欠減が出たんじゃなかろうかと思います。したがいまして、常識的に考えますと、毎年十二月の半ばごろに補正予算を出しているのでございますが、その時点では九月決算の状況がわかっておりますので、ほぼ年度間の見込みというものをつけ得るのではなかろうかと思います。
  238. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは私は昭和四十二年度の決算はまだ出ないわけですからわかりませんが、去年十二月十二日に大蔵省から出された参議院予算委員会の資料を見ると、去年の十二月の段階では予備費は二百四十六億四千二百万、一応残額になっておりますね。なおその後に支出が生じた経費に使用する見込みであるという注書きはあるけれども、去年の予算委員会の資料を見ると、十二月段階で約二百四十六億の予備費の残額がある。もちろん、これは補正予算の関係もあるのでありますけれども、そうすると、あなたは三年間の平均、平均とこう言うけれども、一番近い去年のこの資料を見るというと、いまから私ども考えても、予備費が完全になくなるなんていうことにはならないんではないだろうか、こう私は思うのです。これは推定ですから狂うかもしれません。ですから、去年の補正予算、予備費で考えて見ても、今年の予備費とほぼ匹敵をするのですね、補正予算の要因等も入れて見ますと。ですから、私はいまの段階でこの予備費を確定することは、なかなか、支出の問題もあるでしょうけれども、さっきの節約かりに三十億を入れたとしたら、あと二、三十億出して、予備費から支出をして、せめて七月実施ぐらいは不可能だということには私はならないのではないか、数字的には。去年の予備費からいってもそうなるのではないかと思うのです。どうですか長官、その金は出せませんか。さらにお聞きをすると、九月期決算はもちろんまだですから数字的には明らかでありませんが、少なくともあなたのこの間の答弁では、自然増収があるのは常識でしょうと、こう言うから、幾らにせよ追加の自然増収があることは明らかです。国債の減額にかりに幾らか充てたとしても、二十億、三十億の金が自然増収の中から出せないということにはなってこない、どう考えたって。本来私は、責める段から言えば、完全実施であと二百億出しなさいとこう言うのだ。それが私ども野党の使命でもあるのだけれども、一歩かりに譲ったとしても、あと自然増収やら予備費の昨年の実績やら考えて、二、三十億の金が出せないのだということにはならないのじゃないかと思うのですが、どうですか総務長官。これはほんとうは大蔵大臣がおれば決断する問題でしょうけれども、あなたが給与の担当大臣ですから、この点はもう少し大蔵省と折衝して、閣議決定はやったけれども、何かいま総評はいろいろなことを言っているようですけれども、なぜ公務員に誠意を示すならこのくらいの金が出せないですか。私はどうしても納得ができない。抽象論をあなたにお聞きをしておるのではないのです七あなたのほうから出されたこの数字を見て言っているわけですから。どうですか。私は長官としての決断の時期だと思うのですよ、この点は。明快にひとつ答弁を願いたいと思う。もしあなたが出せないと言うなら、出せないだけの理由を具体的に述べてください。
  239. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 大体一カ月さかのぼりますと約六十億程度でございます。で、関係閣僚会議の際におきましても、八月実施を七月実施に一カ月繰り上げようとする場合にわずか六十億——わずかと言っては語弊がございますが——六十億。そういたしますと、いまの御承知のとおりな、あるいは欠員不補充とかなんとかというふうないろいろな節約の面から考えましてもそのくらいの還元はできるのじゃないかというような、ただいま先生の御指摘いただきましたと同じような論議を尽くしまして、どうしてもそれはできないということに相なったのでございまして、その点どうぞ、これ以上のことは私財務当局者ではございませんので、まことに残念でございますが、御了承願います。
  240. 山崎昇

    ○山崎昇君 私はきわめて残念に思うのは、十月八日の公務員のストライキの前日に、七人の閣僚が集まって何とかしようではないかという閣僚協議会をやったら、そこに大蔵省の主計局長が出てきて、そして予算がないからだめだと、前の閣議決定でやりなさいというので、主計局長の一喝を食らったかどうか知りませんが、そういうことだけであなた方閣僚ああそうですかというふうになって八月実施になったと。こう新聞は報道しておるわけです。私はそれに立ち合ったわけではないから真相の点はわからぬけれども、結果から言えば、事務当局に閣僚が押し切られておる。しかし、私どもから計算をすれば、いま申し上げたような五兆九千億の中で、さらに千二百億の予備費の中で、あるいはこれから税の追加増収がある中で、一カ月早めるだけで約五十七億円、かりに三カ月早めても二百億もあれば間に合う。そしてその内容としては、去年の大蔵省から出された決算の内容を見ても、見込みを見ても、十二月段階で予備費が残されている。人件費の節約はこれからはかると言う。そういうのがあって、なぜやれないのか。これは大蔵政務次官が来ているから、大臣にかわって述べてください。そうでなければ私は、もう一ぺん総務長官は大蔵大臣と会って、こういうことになるではないか、せめて七月実施くらいできないのかということを、もう一ぺんあなたは大蔵大臣に交渉すべきではないかと思うんですよ。それが公務員諸君に対する私は誠意の披瀝ではないだろうか、さらに、いま政府に対する不信感で一ぱいである公務員諸君に対する政府としての態度ではないかと、こう思うのですが、どうですか。金の点は政務次官でけっこうです。ものの考え方としては、長官からもう一ぺん聞きたい。
  241. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) じゃ、ものの考え方の点を申し上げます。  ただいまのお話によりますと、事務当局にどうということはございません。やはりおのおの国を思い、国家の前途を憂えるから、つかさつかさ真剣に努力をいたしておる次第でございます。
  242. 二木謙吾

    説明員(二木謙吾君) ただいま、去年も人件費の余りが三十億と、また、予備費の節約によればなんとか五十億余りの金は出るんじゃないかと、そうすれば七月実施ができるじゃないかと、まあこういうお話でございますが、今年いまの人件費の余りがまだどのくらい出るとも見通しがついておりませんし、また予備費も、ただいま主計局長が申し上げましたとおりに、公務員給与に六百億、あるいはまた、災害費あるいはその他の経費を加えれば、それが七百億、すなわち千三百億になるというようなことでございますので、私どもはどこまでもやりくりをいたして、そしていまの八月実施ということは完全にやりたい。  いま、税の伸びもあるではないか、こういうお話でございましたが、それは、経済界の事情その他を勘案いたしまして税の伸びは私はあると思いますが、大体八月末ではいま税の進捗状況が四〇・九%でありますし、昨年が同時期においては三八・八%と、いぼ主計局長が言ったように、二・一%だけは伸びておるのでございますが、まだこれも半年に達しておらぬ状況でございますので、いまからどのくらいあるということを的確に申し上げることのできぬことを残念に思いますが、伸びることは確かに伸びると、こう言っても差しつかえないとかように考えておりますけれども、財政事情は、いま主計局長も申しましたように、はなはだ困難な状況にありますので、ひとつ御了承をいただきたいと思うのです。
  243. 山崎昇

    ○山崎昇君 こればかりやっていても、私もほんとうに時間がないのであれですし、それじゃ、この次の委員会が十一月十日前後にあるようですが、それまでの間に大蔵省から資料をもらいたい。それは、去年の決算はまだ出ないわけですが、おおむね見込み額等はわかっているはずですから、予備費の内容と使用ですね。それから、ことしのこれから必要だとされる二百五十億の内容ですね。  それから、税が、追加して自然増収が幾らか——九月期決算が終わりますから、当初予算では九千億見ているわけですね。ですからその分が一体どれくらいの見込み額になるのか。さらにそれをどういうふうに使用されようとするのか。そういう内容を含めて資料としてひとつ大蔵省から出してもらいたい。そのときにもう一ぺん私はこの予算については議論したいと思うんです。そのときには大蔵大臣ぜひ出席願いたいと私は思うわけですから、それを要求して、次の質問に移ります。
  244. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほど申し上げましたように、四十二年度のその他の追加財政需要というものは、予備費とそれから災害と給与の改定を除きました補正で追加した分を合わせて二百五十億と申し上げたわけでございます。したがって予備費だけを出しましても、その比較にはならないと思いますので、四十二年の予備費使用並びに補正追加しました事項とさしていただきたいと存じます。  それから四十三年度の二百五十億の中身を出せ、こういうお話でございますが、これは今後これを詰めていかなければできないわけでございまして、現在までの支出済み額は出せるのでございますが、かりに給与の不用が三十億ありましても、なお八十億は詰めなければいけない問題でございまして、この内容を現在の段階で、私のほうがこう考えているということを出すことは御容赦願いたいと存じます。
  245. 山崎昇

    ○山崎昇君 いや、そうでなければ、数字ですから明らかにならないのです。私は抽象論言っているのじゃない。あなたのほうで数字説明があるから、それじゃ二百五十億を何にどういうふうに出されるのか、私はわからなかったら議論できないのですよ。それであとであなた方の責任問うとか何とかという意味じゃございませんが、少なくとも大蔵省は親切にこういう数字は出してもらいたい。そうでなければ私は議論できないですよ、あなた。それは出してもらいたい。
  246. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) その二百五十億というものは、あくまで見込みの問題でございまして、こういう事項、こういう事項というものを一応は想定いたしておりますが、あくまで需要される今後の状況もいろいろと変わっていくだろうと思いますので、そのために、従来の実績から見まして二百五十億というものが、そういう追加財政需要——給与と災害を除きまして追加財政需要の総額としてはそう大きなものではないというために、四十二年並びに四十一年も出してもよろしゅうございますが、要するに従来こうであったということは言えましても、今後の分を大蔵省としてはこう見込むといいましても、予備費の使用はあくまで閣議の決定を要する問題でございまして、これはあくまで見込みの問題でございますので、私のほうから出すわけにはまいらないということでございます。
  247. 山崎昇

    ○山崎昇君 見込にしろ何にしろ、あなたのほうで各省から要求があって、それを積算して二百五十億という数字を一応出しているのでしょう。ですからその中身をそのまま出してけっこうです。各省からこう言ってきました、何の事項について何億ですと言ってきました、それをあなたのほうは七十億でも八十億でも、幾らになるかわかりませんが、削らなければならないんでしょう、現実的に。ですから私どもはそれを知らなければ、公務員の給与の問題だって最終的に議論できないのです、これは財政の問題は。それはあくまでも要求しますよ、私は。出してください。
  248. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) それは各省大臣が正規に要求したわけのものではございません。それはあくまで各予算の担当の主計官から各省の官房に事情を聞きまして、そうしてこういう程度のものを私のほうでは考えられるというものを集計したものでございまして、各省大臣から正規に予備費の使用要求のあったものではございません。
  249. 山崎昇

    ○山崎昇君 だから各省大臣から正規のものでなくてもけっこうです。事務レベルの見込みでもけっこうです。私ども内容を見なければわからない。たとえば去年の例を見ますと、海外協力費だとかいろいろなものが入っているのだね。中身を私ども調べて見ると、予備費から海外協力費なんかが出ている、そういうこともあるから、私は中身を見なければどうも議論できないから、こう言っているわけです。ですから、ものによっては予備費から出せない性格のものだってあると思う。私はしろうとですけれども、やはり何年か公務員やったから、予算だって幾らかわかる。見たらわかりますよ、これは予備費でやるものかそうでないものか。ですからこの内容はぜひ出してもらいたい。あなたのほうで、官房で打ち合わせた数字でも何でもいいです。このときに私はあらためて議論します。政務次官、どうですか。主計局次長にそんなことを言ったってしようがない。大臣にかわってあなたのほうから。
  250. 二木謙吾

    説明員(二木謙吾君) できるだけ御期待に沿うように……。
  251. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 時間ですから。
  252. 山崎昇

    ○山崎昇君 あと二つばかりにしぼります。そこで人事院総裁にお聞きしますが、十月一日で特別昇給に関する規則と細則を改正して、すでに告示したのですね、官報で。私は少し人事院は早まったやり方ではないだろうか、こう思うのです。なぜかといえば、今日までの人事院の報告、勧告の中に、特別昇給を入れて報告、勧告したものがない。今度のも八・〇%という数字の中には、特別昇給も入れての数字になっているわけです。ですから、いまこの人事院勧告をどうするか、また特別昇給の問題についてもどう取り扱うかは、国会で何にもまだ議論をしてない。そういう段階で勧告の一部をなしておるこの特別昇給の問題について、いち早く人事院の細則を変えてですね、やってしまうというやり方は、少し私は官僚的じゃないだろうか、先走っているんではないだろうか、国会を軽視しているんではないだろうか、こうも私は感ずるわけですがね。どうして早まってこの特別昇給だけ取り上げてやったのか、この辺から人事院総裁に聞きたい。
  253. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 特別昇給の関係は、おっしゃるとおり報告の中にこれは入れております。勧告には入れておりません。それは報告は御承知のように事実の報告でございますからして、勧告そのもの内容を通して立法で措置されるべきものもあげておりますとともに、人事院の規則その他の措置によって実行できるものについても、これを報告の中に載せて一向差しつかえない、こういう立場で報告に今回載せておるわけでございます。したがいまして国会の権威をどうこうという問題にはならない。報告の中に載せてむしろ堂々と国会に御報告したことは、国会の権威を尊重したゆえんであると、むしろおほめのことばをいただいてもしかるべきことではないかと思うわけです。事柄は大体そういう気持ちでやっております。
  254. 山崎昇

    ○山崎昇君 ことしの勧告は去年までの勧告とかなり性格を異にしていると私は思う。これはいずれお聞きをしようと思っている。なぜならば、初めて特別昇給の五%設定したときも何もない。一〇%やったときも何もない。従来の勧告あるいは報告というものは、特別昇給制度と一般の給与の平均の出し方とは、ベースアップのやり方とは別な範疇で考えておったのですね。しかし今度はこの特別昇給も入れて八%という数字を出してきているわけですから。そして皆さん方のほうでは、ことしの勧告八%——八%というのはこの特別昇給も入ってのことなんですから。そうでしょう。ですから私は、国会で議論をし、そして一般的な他の問題について法律案等が議論されて、その経過の中で、あなた方の権限でやるものはやるということは私はいいとしても、まだ一つも特別昇給のこういうやり方がいいかどうかも何も議論されないうちに、いち早くこれだけ、それも十月一日からやっている。なぜこれを十月一日からやるのですか。ぼくに言わせれば、たとえば勧告は五月実施ですから、四月一日の定期昇給に間に合わないとすれば、当然七月一日は該当してきますね、あなたのほうの議論でいけば。なぜこの十月一日からやらなければならないのですか。ですから私は、人事院は少しこういう点最近先走ってやられておるんではないだろうか、何か国会で議論するときには、これはもうすでに実施してしまうから、これだけはずして議論しなければならぬ、そういうことにもなってくると思うのですね、実際あなたのほうで行政としてやっておるわけですから。ですから私は、どうもこの九—八—二の細則の改正は、これは私は実行を少し待ってもらいたい。私はこの特別昇給そのものについて意見があるのだ、どうして人事院はこういう先走ったことをやるのか、いまの総裁の答弁では私は納得できない。  さらにつけ加えてお聞きしますが、今度の細則の変更を見るというと、いままでの規定にないようなことばが使われる。表彰と顕彰なんということばが初めて入ってきている。この顕彰を各省ではどういうふうにやられるのかという制度的なものも何もない。あるいは表彰規程等についても、各省ではどれだけ整備されているのかというと、これもあまり整備されてない。あなたのほうの規則だけが先走って、実際にやろうとする段階においては何もないじゃないですか。顕彰なんという制度はこれはどこに根拠があってこういうことになってくるのか、あるいは表彰と顕彰と一体どういうふうに違うのか、こういうことだって、私のほう、国会でまだ何も議論をしないうちに、あなたたちの見解も聞かないうちに、各省の状況も知らぬうちに規則だけ変えて、そうしてこういうやり方をするということは、私は少しやはり先走り過ぎているんではないだろうか。あるいは公務の能率をあげるのにしたって、こういう特別昇給だけが公務の能率のあげ方ではない。だからそういう点を私は、人事院総裁がなぜ先走ってやったのか、どうしても納得できない。しかしこれは官報に載ったわけですから、私はこの実行についてはしばらく待ってもらいたいと思うのです。これはもう少し国会で議論をして、煮詰めた段階でやってもらいたいし、諸規定等が整備をされた段階でやってもらいたい、そういう意味でこれは実行を保留してもらいたいと思うのですがどうですか。
  255. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 先走ってという御批判でございますけれども、私どもとしては、この特別昇給制度は、国家公務員法なり、あるいは一般職給与法の基本となっております成績主義というものに基づいて、特別昇給制度自体が給与法の中に明文をもって定められておるわけでありまして、したがいまして、その趣旨をさらに拡充していこうということで、むしろ法に沿ったこれは措置でありますから、事情の許す限り少しでも早く実施に移したい。善は急げという気持ちでこれはやったことでありまして、ただしそれに対していろいろな御批判ということはありましたけれども、これは勧告で申し上げた直後からいろいろな委員会で、この委員会においてもしかりであったと思いますけれども、いろいろな御批判は御批判として承りましたし、私どもはまたそれに対して、私どもの意の存するところを十分御説明申し上げてきたわけでありまして、私どもとしては十分自信を持っておるつもりでございます。
  256. 山崎昇

    ○山崎昇君 いや、あなたの、はうと労働組合関係では話をしたかもしれませんよ。しかし私ども国会議員としては、人事院の勧告内容についてはほとんどまだ議論してないのです。これはあなたのほうのまだ見解も聞いてない。そういう時間もまだ与えられてないのです。それも、すでにもうそろそろやめたらどうかという意見ですからね。ですから私はこの勧告内容についてももっともっと聞きたいし、矛盾点が私どもなりにいろいろあると思っておるわけですから。そして勧告全体の一部をなしているんです、これは。これだけ切り離すべき問題ではない。それではあなたは報告の中になぜ特勤手当についてはほっかむりをしたまま何もやってないのか、なぜ特昇だけ急いで規則を変えなければならないのか。あなた方のやっていることは一貫性がないんじゃないですか。しかしもうすでに行政機関としては、官報に載せたことですから、私はそれをいま取り消せといっても、なかなか行政機関としてはむずかしいでしょう。しかし実行は待ってもらいたい。もう少し私ども国会議員にも議論をさせて、こういう特別昇給制度そのものについてどうあるべきか、してから、行政機関として実行するならするとか、そういう態度があっていいんじゃないかと思うのです。どうですか、総裁。
  257. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 御批判は今後いろいろ精密なおことばで下されることと思います。それは私どもは謙虚に拝聴いたします。またごもっともであるという点があれば、規則のことでありますから、人事院限りの措置でありますから、これは改めるにやぶさかでありませんけれども、今日の段階においては、これは非常にいいことをやったという自信に満ち満ちております。
  258. 山崎昇

    ○山崎昇君 いや、われわれから見ると、いいことではないのだ、何も。もっともっと関連してこれはやらなければならないのですよ。各省に表彰規程全部ありますか。どういう手続でやりますか、あなたがた。それから顕彰なんという制度を今度初めてやった。細則の何かちょっと説明を見ましたけれども、これだけでは顕彰なんていうのわかりませんよ。何か非公式に聞くところによれば、様式を伴うものが表彰で、様式を伴わないものが顕彰だという言い方もあるそうでありますし、あなたのほうでも困って国語研究所がどこかに聞いたという話です。そういうようなことで公務員の特別昇給なんということを軽々に実施するのは私はもってのほかだと思うのです。先ほど来言ったように、官報に載ったことですから、実行については保留してもらいたいということを重ねてあなたに申し上げておきたいと思います。もう少しこれは国会で議論してからこの問題をやってください。  もう一点でやめます。それは総務長官にぜひ要望をかねて申し上げておきたいのですが、ことしの人事院勧告の中で、寒冷地給の勧告が出ているんですよ。ところが、これをよく私ども検討してみますと、五等級の十三号の人を基準にとって定額というのを二万六千八百円にきめているわけです。ところが、この案でいきますと、多少ことしは上がる人もいますが、しかし来年以降はかなりの人が下がってくる。それから一番わかりやすい例でありますから申し上げると、八等級二号俸、これは高校卒の初任給ですね。これを計算しますと、これは三年目から下がってくるのです。計算してみたら、二万六千八百円という数字が変わらない限り八等級二号俸の者でもダウンしていく傾向がある。数字を言えというなら私は申し上げます。ですから私は、立法の段階で、この寒冷地給についてはよほど総務長官として配慮してもらいたい。たとえて言うと、八等級二号俸は、ことしは約九百円ばかりプラスになります。一年後には五百八十円、二年後には百三十円、三年後には二百七十円マイナスになる。これは定期昇給の額を入れて計算するとマイナスになると思います。ですから私は、この寒冷地給のあり方というのは不当な勧告だと思うのですけれども、きょうは時間がありませんから簡単に問題点だけ具体的に申し上げておきますが、立法の段階では十分ひとつこの寒冷地給については考慮を払ってもらいたい。既得権が侵害されないようにしてもらいたい、まあ、大まかにいえば。あるいは石炭の価格についても、北海道の人事委員会の調べたものとはかなりな違いがある。これもやがて数字的に私は明らかにしますけれどもね。いずれにしても、この寒冷地給という問題はたいへんな問題であるし、それから全国全部ではありません、これは限られたところに支給されているわけですから。都市手当が調整手当になり、二年間の暫定期間つきの経過もあるから、それらとも関連をしてくると思うので、この寒冷地給については十分ひとつ立法の段階で考慮してもらいたい。  さらに私は人事院の総裁にも申し上げておきたいと思うのだが、こんな不当な勧告は私はこれはやめてもらいたい。しかし、もう出してしまったあとだから、出してしまったものを引っ込めろと云ってもなかなかいかないと思うのだが、せめて私は、来年は別の角度から、調整手当等とも関連をして、あるいはほかの手当とも関連をしてひとつこの問題は解決をしてもらいたいということを総裁にも申し上げておきます。  それからもう一つは、宿日直手当についても申し上げておきたい。これも長官、ぜひ考慮してもらいたい。今度の勧告を見ますと、監獄の看守長だけ上がることになっている。ところが皆さん、監獄の看守長だけがつらいのじゃないのです。もっとつらい職場がたくさんある。たとえば重度心身障害児を扱っているところとか、あるいは少年院ですね、矯正機関といいますか、でありますとか、あるいは養老院、乳児院、一般的に夜中でも手をわずらわして世話をしなければならぬような宿直の場合は、何にも考慮されていない。さらに、そういうところというのは町からかなり離れたところに存在をしているわけです。ですから私は、監獄の場合はむしろかぎをかけておけばそういうところの人よりもっと楽だと思うのです、ものの見方によれば。ところが、そういうところの手のかかるところについてはやはり何も解決がはかられていない。特に少年院のごときは、あの先生方というのは、自分の家庭に少年を連れてきて、生活を一緒にさしておる。そうして自分の子供が悪に染まっては困るということで、親戚に預けたりしている、そういうところもある。ですから私は宿日直の手当の問題をやる際には、当然そういう施設等も、職員の宿日直手当等について十分な配慮をするように、立法段階、あるいは規則を改正する際に考慮を願いたい。この点は私は人事院総裁にも、総理府から相談があった場合には、勧告に載ってないことでありますけれども、十分ひとつ意見を述べて実現するようにしてほしい、この点は質問というより要望になると思うのですが、この要望にこたえていただけるかどうか、ひとつ決意のほどだけ述べていただいて、私の質問はきょうは終わっておきたいと思います。
  259. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 貴重な御高見をいただきましてありがとうございました。なお、精細な点につきましては事務当局に連絡をしまして調べさせます。
  260. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 何か人事院の勧告を手直しすることを総務長官のほうにおすすめになっているやにちょっと聞き取れるのでありますけれども、まず私ども説明を十分聞いていただいた上で、そしてこれがよくないとお考えになるならば、国会のお力をもって私は適当な御処置をいただきたい、これが私の考え方の筋道でございます。
  261. 多田省吾

    ○多田省吾君 昨年度、総合予算制度に踏み込むときに、今度は予備費から出すようにやるということで、完全実施をしたいということで、そう去年のこの委員会でも強く担当大臣は述べられていたのです。また、ただいまも人事院総裁も、まだおそくないですから、完全実施を期待するということでお述べになっておるようでございます。当然、この予備費の千二百億円という問題がやはり非常に少なかったことが、政府の責任においてこれは解決すべき問題である。したがってわれわれはどこまでも、補正予算を組んでも、そうしてまた税の自然増収も三千億ほど見込まれているわけですから、どうしてもここで補正予算を組んでも五月実施、完全実施を、いまからでもおそくない、やるべきである。このように強く要望する次第であります。そのためのまた臨時国会も開くべきであると、このようにどこまでも要求するわけでありますけれども、この点いかがですか。
  262. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私どもが人事院の勧告の完全尊重をぜひ実現したいということに対しまして歩んでまいりましたことにつきましては、よく御承知と思いますが、しかしながら、国の財政その他諸般のことから、どうしてもこれが実現できませんでしたことは非常に遺憾を禁じ得ないものがある次第でございます。なおまた、この人事院の制度を尊重し、勧告を完全実施することのために、私どもは制度的な改変を技術的な面から調整しなければならぬ、こういうふうな問題もございますので、御承知の、閣議決定中にございますような閣僚会議を開きまして、鋭意これが実現を期している次第でございます。
  263. 多田省吾

    ○多田省吾君 どうしても五月実施できないとするならば、まあ人事院勧告を無視したことになりますが、これは憲法に規定されたところの生存権的な基本人権さえも踏みにじっているということにおいても、当然これは公務員に労働三権は認めるべきである。もし人事院勧告を完全実施しなければ、労働三権は当然認めるべきである、このように思っておりますが、どうですか。
  264. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 人事院制度がありまする上からおきましても、私はその保護調整の機能というものについては、これを尊重し、同時にわれわれは、その勧告に対しましてぜひとも実現をはかるように最善の努力を尽くすべきものと思います。
  265. 多田省吾

    ○多田省吾君 ほんとうに人事院勧告を無視して、しかも労働三権も認めない。ただ努力をしたい、それだけでは、政府が責任を果たしておらない、当然このようになります。百歩を譲って、八月実施の問題が述べられておりますけれども、七月あるいは六月の実施に、去年よりも一カ月前進あるいは二カ月前進すべきであるという要望も非常に強いのでございます。いま大蔵省当局のお話によりますと、災害でも、この前は一月から七月までは大体実績であると、それで約四百六十億、きょうの話は、今度は一月から八月までの実績で三百十三億だと、このような話で、しかも符節を合わせたようにやはり四百六十億である。このように言われているようでございます。それから、各省庁からくるのが二百五十億だ。これはあれですか、最近になってようやくわかったのですか。それとも予算を組むときに大体こういう見込みがあったのですか。
  266. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予算を組む際はっきりと何が幾らとわかっておれば、これは当然必要な財政需要であるなれば組むわけでございますが、はっきりとわかっていないけれども、各面ほぼこの程度の追加財政需要があるということで、去年は、昭和四十二年度は当初予算で七百億円の予備費を組んだわけでございます。その結果、補正予算において百七十億円程度の減額をいたしまして、それを補正予算の財源に充当いたしております。したがいまして、予備費として支出いたしましたのは、その差額金額が支出されているという形でございます。ただ、補正で先ほど申し上げましたように百七十億円というものを減額しておりますが、別途に追加している面もございますので、ほぼ災害とその他の追加財政需要というものは、去年の七百億円でほぼまかなわれたのではなかろうかという観点で、ことしは補正予算を組まないという前提のもとに、諸施策との均衡を考えまして、公務員の給与改定に備えまして予備費の充実をはかりまして、千二百億円という予備費の金額を計上したわけでございます。
  267. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、初めからもう、そういう説明を伺っても、もう公務員給与のほうには五百億ぐらいしか回さない。そういう予定でやられているようであります。これはもうはっきり完全実施を最初からしないという、まあせいぜい八月実施でごまかしてしまおうという考えが当初からあったものと言わなければならないと思います。  それで、いま二百五十億円の内容でございますが、この前九月二十六日の御説明では、小笠原復帰に伴うもの、あるいは消費者米価を引き上げるものに伴う費用、あるいは種子島でロケットを打ち上げるときの周辺の漁業に対する対策とかいろいろあげられているようでありますけれども、おおよそでけっこうですから、それは大体どのくらいずつ見込まれているのか。簡単でけっこうですからおっしゃってください。
  268. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 初めから五百億円しか予定しなかったんだろうというお話でございますが、予備費の充実をはかるのは、公務員給与の改定に備えて予備費の充実をはかったわけでございますが、特に公務員の給与を五百億円ときめてあったわけではないわけでございます。  で、そもそも予算の編成期は、経済見通しに基づいて各般の施策の均衡をとって行なうわけでございまして、経済見通しにおきましても、ほぼ国民勤労者一人頭の所得の伸びというものの推算もあるわけでございまして、そういう経済見通しのもとにおきます所得の伸びというふうなものとの均衡、それから他の施策との均衡を考えて、ある金額はもちろん想定いたさざるを得ないわけでございますが、その時点におきましては、八月の十六日に出されました人事院勧告というものはないわけでございまして、その場合に何を基本にして予算の編成を行なうかと言いますと、日本経済の見通しと、そのもとにおける財政運営の基本的な方針、それと各般の施策との均衡を考える以外に方法はないわけでございまして、初めから人事院勧告をどうこうしようという意図があったのではないことを御了解いただきたいと存じます。  それから二百五十億のそれぞれの金額を申し述べろと、こういうことでございますが、閣議において正式に予備費の使用を決定いたしました分につきましては、これははっきりとここに申し述べて——いまちょっとおりませんので、出していいと思いますが、今後の見込みにかかる分につきましては、あくまで行政部内の事務的な検討でございまして、それをどれが幾ら、これが幾らということが今後半年間でいかに変わるかは、わからない面が多分にあるものでございますから、その金額あるいは項目を述べさしたいただくことは差し控えさしていただきたいと存じます。
  269. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ昨年から一昨年は補正予算を組んだこともありまして、補正で追加した分が四十二年度は二百五十四億、四十一年度が二百八十九億と言われておりますけれども、もし総合予算制を堅持すると仮定するならば、やはり去年以上に不要不急の支出を防ごうとするならば、当然二百五十億を相当下回る額でやっていけるのじゃないかと、このようにも、しろうと考えでありますけれども、思うわけでございますが、この点はいかがですか。
  270. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほど申し上げましたように、公務員の給与改定に六百億円を要し、災害が、九月以降の実績が過去三年平均と同じでありますと四百六十億程度になるわけでございます。したがいまして、災害のほうは少なきを願うわけでございますが、まだどうなるか、ちょっと見込みが立たないのでございますが、二百五十億円は、一応の見込みをおきまして、去年、おととしの各例から見まして、その程度になるかと思うわけでございますが、これだけの支出をいたしますと、もし災害が予定どおりあったといたしますと、予備費が足りなくなるわけでございまして、財政を預かるものといたしましては、この予備費の使用額をできるだけ少額に済ませるように今後力をあわせて努力をしていきたいというふうに考えております。
  271. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほども質問が出ましたけれども、税の自然増収を見込んで、少なくとも七月実施あるいは六月実施まで踏み込めないわけはない。どうしてそれを、国債の問題に振りかえると言っておりますけれども、わずか一カ月、二カ月の前進を税の自然増収でできないのか、その政治姿勢ですね。それを総務長官にお伺いしたい。
  272. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 山崎委員にもお答えいたしましたごとくに、私どもも、ただいまの御質問と全く同じようなことを閣僚会議でも意を尽くして話をいたしておるわけでございます。さような次第で、詳細にわたりまして検討もし、要望をいたしたんでございまするが、財政当局のこれをいれるところとならなかったということは、まことに残念でございますが、しかしながら、政府の全体意思といたしまして、先般閣議決定いたしましたようなことをきめたわけでございます。
  273. 多田省吾

    ○多田省吾君 政府は来年から完全実施をしたいということを再三言っているわけでありますけれども、私、もしここで勧告制度が変更になって実質的に完全実施——ことしのような勧告制度における完全実施ではなくて、いろいろ勧告制度を変えたために、実質的に公務員給与の額が予定よりも下がったというようなことも十分考えられるわけでございます。それで、いままで勧告制度のあり方について四つか五つ言われているわけです。予備費をたっぷり取る案とか、予備勧告、予測勧告の問題とか、あるいはただいまお話のあった八月調査、十一月勧告の方法とか、あるいは消費者物価をある程度予測して、それにスライドして予算を組む方法、あるいは五%のアップを見込んで一応予算を組み、そのほかに予備費を取っておいてそれに充てるとか、いろいろな方法を考えられておりますけれども人事院総裁としては、どの制度が一番よろしいのか、また、どの制度になったらちょっとまずい事態が起こるのか。簡単でけっこうですからお伺いしたい。
  274. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 従来、おことばにありましたようないろいろな案が提案されて、以前の閣僚懇談会でも論議をされたわけでありますけれども、いずれも完全無欠とは言えないということでありますし、私どもとしても、先ほど触れました一つの構想に対して述べましたように、やはり責任をもってお引き受けできるだけの自信はないというものが大多数であったわけであります。今後閣僚懇談会でまた熱心に御研究いただきますわけで、残念ながらまだ一回しか開かれておりません。これからさらに御熱心な御検討が始まると思いますので、これに私としは期待をしております。すなわち、いままで出なかった名案、筋の通った名案というものが出れば、これに越したことはないという期待を持っているわけであります。結局当面の考え方から申しますというと、たびたび申し上げましたように、私どもが一番うらやましいと思っているのは、公社現業に対する仲裁裁定が年度半ばに行なわれながら、当初予算だけのやりくりで四月にさかのぼってこれが完全に実施されているのはどういうわけだろう。企業体によってはたいへんな赤字をかかえていらっしゃる企業体でありながら、当初予算だけでやりくりして四月にさかのぼって完全に実施されている。これは結局当初予算に相当の含みをもってつくられているからではないかということからいきますと、今年のような、たとえば予備費で相当額保留していただいたという行き方をもっと徹底さしていただいて、たっぷりと予算の財源を保留していただく。当面、手近な考え方としては、そういうことをお願いをしたいという気持ちを持っているわけであります。
  275. 多田省吾

    ○多田省吾君 大蔵大臣は、予備費を十分用意すればインフレの可能性があるとかなんとか言って、予備費を十分に取ろうとしない態勢にありますけれども、どうしても来年完全実施をするためには、いま人事院総裁の話があったように、いまの勧告制度でいけば当然予備費を十分に取る以外には考えられない。それに対して総務長官として、来年の完全実施のために、まだ方法はあまり考えられておらないようでありますけれども、やはり総務長官一つの案を持って、そして閣僚会議に提案し、それを強力に推進するということは、先ほどもお話があったように、これは当然の給与担当大臣としての姿勢でなければならぬと、こう思います。これに対して最後にその姿勢をお尋ねいたしまして質問を終わります。
  276. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御指摘になりましたごとくに、次回行なわれます閣僚会議におきましては、当然ただいま仰せのごとく見識を持ってこれに対して臨みたい、かように考えます。     —————————————
  277. 井川伊平

    委員長井川伊平君) この際、一般職の職員の給与に関する人事院勧告に対する決議の件についておはかりをいたします。  先刻理事会におきまして御協議をいただき、意見の一致を見ました決議案を便宜私から提案申し上げ、委員各位の御賛同をいただきたいと存じます。案文はお手元にお配り申し上げてありますが、一応朗読いたします。   一般職の職員の給与に関する人事院勧告に対   する決議(案)   公務員の給与に関する人事院勧告について  は、その制度の趣旨にかんがみ、これを完全に  実施すべきである。   右決議する。  以上であります。  別に御発言もないようですから採決をいたします。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  278. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 全会一致であります。よって本決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田中総理府総務長官から発言を求められております。これを許します。田中総理府総務長官
  279. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 政府といたしましては、ただいまの御決議の趣旨を十分尊重いたしまして、今後とも善処いたしたいと、かように考えております。
  280. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。     —————————————
  281. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 次に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般来本委員会が行ないました国の出先機関、公務員制度及び自衛隊の実情調査につきましての派遣委員報告につきましては、口頭報告を省略し、報告書を会議録に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  282. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決します。  次回は参議院公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十八分散会      —————・—————