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1968-08-08 第59回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月八日(木曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井川 伊平君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 北村  暢君                 山崎  昇君     委 員                 木村 睦男君                久次米健太郎君                 源田  実君                 佐藤  隆君                 柴田  栄君                 長屋  茂君                 山本茂一郎君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 山本伊三郎君                 多田 省吾君                 峯山 昭範君                 瓜生  清君                 岩間 正男君    委員以外の議員        議     員  田中寿美子君    国務大臣        国 務 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  田中 龍夫君        国 務 大 臣  増田甲子七君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        行政管理庁政務        次官       田村 賢作君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛庁人事教育        局長       麻生  茂君        防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君        防衛庁参事官   江藤 淳雄君        防衛施設庁長官  山上 信重君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (当面の防衛問題に関する件) ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家公務員給与に関する件)  (行政機構に関する件) ○岩手県に地方郵政監理局(仮称)設置に関する請  願(第一号) ○軍人恩給改善に関する請願(第一二号)(第二  四号)(第三八号)(第四四号)(第六四号) ○一世一元制法制化促進に関する請願(第二八  号)(第四一号)(第四六号)(第一四七号)(第一五  五号) ○公務員賃金大幅引上げに関する請願(第三〇  号)(第六二号)(第一四九号) ○板付基地撤去等に関する請願(第三一号)(第三  九号)(第四〇号)(第四八号) ○恩給共済年金等改善に関する請願(第三五  号) ○福岡東部農業協同組合事務所移転に対する  国の助成措置に関する請願(第三七号) ○旧軍人恩給に関する請願(第四五号) ○退職公務員恩給共済年金等に関する請願  (第四七号) ○板付基地山田弾薬庫撤去に関する請願(第  四九号)(第五〇号)(第五一号)(第五二号)(第五  三号)(第五四号)(第五五号)(第五六号)(第五七  号)(第五八号)(第五九号)(第六〇号)(第六一  号)(第一五〇号)(第一五一号)(第一五二号)(第  一五三号)(第一五四号) ○元満鉄職員であった公務員等恩給共済年金  通算等に関する請願(第六三号)(第一四八号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 井川伊平

    委員長井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国の防衛に関する調査のうち、当面の防衛に関する件を議題といたします。  関係当局からの御出席は、増田防衛庁長官宍戸防衛局長麻生人事教育局長浜田衛生局長蒲谷装備局長江藤参事官山上施設庁長官鐘江総務部長鶴崎施設部長、なお、ただいまは参っていませんが、間もなく島田官房長も参ることになっております。以上の方々でございます。  この際、増田防衛庁長官より発言を求められております。これを許します。増田防衛庁長官
  3. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 去る七月二日発生いたしました陸上自衛隊少年工科学校生徒訓練事故において、前途ある純真なる少年生徒十三名のとうとい犠牲者を出しましたことは、まことに遺憾にたえませんことをここに表明いたします。この事故についてその概要を御説明申し上げます。  少年工科学校三年在学の生徒の一部七十八名は、七月二日午後一時から同校内において、当日の先任教官田村一尉(第三区隊長)の指揮のもとに教官高林二尉(第四区隊長)及び助教四名の指導により、雨中、野外の戦闘各個訓練を実施していたのでありますが、田村一尉は午後二時ごろ、臨時に、同校内ため池、通称やすらぎの池(最大長東西約七十メートル、南北約五十メートル、水深最大五・一メートル)を川と見立てて、夜間渡河訓練を行なうことを決心し、午後二時三十分ごろ渡河を開始したのであります。  そのときの生徒の服装は、作業衣弾帯(弾なし)をつけ、半長靴をはき、M1ライフル銃を背負った姿で、いわゆる乙武装であり、隊形は池の西側寄り南北に展張したロープを境に東側に三区隊の主力西側に四区隊の主力がおり、北側の岸辺に蝟集しておりました。生徒田村一尉を先頭に、やや蝟集した隊形のまま池の北側から一斉に水に入りました。そして先頭グループが池の中ほどに達したころからおぼれる者が出始め、生徒相当数が中ほどにさしかかったときおぼれる者がふえ、泳ぎに困難を感じて北岸に引き返そうとする者、近くの西岸に泳ぎ着こうとする者、ロープ伝いに岸へたどり着こうとする者等が続出したのであります。  教官、助教は、事態の重大さに驚き、直ちに岸にいた者に濁水者救助を指示するとともに、みずからも池の中に入り救助活動に全力をあげました。訓練実施部隊を主とするこの初動救助活動により、事故発生後五、六分でおぼれかかった八名をはじめ、水没直前にあった生徒二名が救助され、水没直後の一名が発見されました。その後急を聞いてかけつけた副校長をはじめ学校幹部教官生徒等が逐次事故現場に到着し、海上自衛隊横須賀地方隊水中処分隊員の応援も加え、総勢約五百名をもって救助活動を続行し、午後四時二十五分ごろまでにさらに溺水者十二名を逐次発見、これらの者について直ちに医官職員生徒による人工呼吸注射等応急措置を行なった後、病院に後送して、さらに手当てを加えたのでありますが、そのかいなく、ついに生徒十三名が殉職したのであります。  当時、私は福岡板付において第一報を事務次官から聞き、急遽帰京し、詳細を知ったのでありますが、事の重大性から、自衛隊最高指揮監督者たる総理大臣に御報告とおわびを申し上げ、同時に報道機関を通じて御遺族国民皆さまにおわび申し上げる一方、直ちに庁内に事務次官を長とする訓練事故臨時調査委員会を設置して、事故原因の究明と将来の事故防止対策検討を命じ、さらに御遺族への善後措置に遺漏のないよう指示いたしたのであります。  事故原因につきましては、私もみずからしばしば現場におもむき、検討いたしたのでありますが、指導に当たった教官が、学校訓練基準にない不適当な訓練を実施したことが根本原因でありますが、なおかつ、訓練指導等に適切を欠いた諸点が認められたのであります。すなわち、当日訓練途中において訓練計画にない渡河訓練を決心し、これを実施したため、当然必要な事前の準備に周到さが欠けておりました。しかも現場における安全管理措置も不徹底であり、着装して泳いだ経験が全くない生徒に、半長靴をはいたまま銃を持たせて泳がせるという訓練にもかかわらず、救命胴衣、浮き輪ボート等救命資器材及び救助要員の配置がほとんどなく、また、教官現場指導も発進の統制、隊形規正等において不適切かつ不徹底でありました。また、学校当局安全管理に関する認識が不十分であり、当該池についての危険度認識が甘かったため、この池における危険防止等安全措置がとられていなかったのであります。  なお、今回の訓練に類似した訓練が過去にこの池で実施されていたにもかかわらず、上級幹部がその実情を把握しておらず、適切な措置がとられていなかったのであります。  私は、常日ごろ人命尊重を旨とし、健康及び衛生に留意しつつ教育訓練に励むよう指示しておりましたが、今回の事故を機に、さらに安全保持の見地から科学的合理的にして、かつ具体的な方策の検討を命じたのであります。すなわち、将来の訓練事故を防止する対策としましては、人命尊重に徹し、計画外で、かつ危険を伴うような訓練は禁止することといたしました。なお安全管理徹底を期するため、今月から私の特命による安全監察を実施するとともに、部隊等にも安全監察を行なわせることにしております。部隊及び学校においては、安全管理に関する指示通達徹底をはかるとともに、安全管理教育を強化してまいる所存でございます。水上訓練については、危険予防措置徹底をはかり、救命資器材の総点検及び整備を行ない、駐とん地内の用水池ため池等での遊泳を禁止し、人工呼吸法を含む水難救助教育を推進していきたいと考えております。  関係責任者処分につきましては、不本意ながら、七月三十日、十四名に対してこれを行なったのでありますが、校長高木陸将補減給二カ月五分の一、教官田村一尉は停職四十日、教官高林二尉は停職十日、その他減給三名、戒告一名、訓戒一名、注意六名となっております。  善後措置につきましては、去る七月五日、殉職生徒隊員の葬儀を少年工科学校において学校葬としてとり行ないましたが、私もこれに参列し、殉職生徒隊員の霊前にぬかずいて最善を尽くすことを誓い、その後、全御遺族を弔問いたしました。殉職生徒隊員の純粋なる行動に対しては勲八等瑞宝章が授与せられ、さらに、二階級特別昇任が行なわれました。  殉職者遺族に対しては、遺族補償一時金、葬祭補償退職手当のほか、賞じゅつ金が支給され、そのほか防衛弘済会弔慰金隊友会見舞い金団体生命保険金が給付されております。なお、各地の地方連絡部長をして今後における御遺族の御相談相手たらしめております。  以上御説明申し上げた次第でありますが、私自身、親が子を愛する心情をもって全自衛隊員指導監督し、今後かかる事故の絶滅を期し、もって国民皆さまの御期待に沿いたいと存じます。
  4. 井川伊平

    委員長井川伊平君) それでは、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 北村暢

    北村暢君 私は、まず第一に、最近の基地問題について多くの事件発生をいたしておりますが、この全般的な問題については、政府としてもいま対策を講じておるようでございますから、別の機会に譲りますが、ここで米軍のジェット機の九大構内墜落事件に関連をいたしまして、板付基地撤去問題についてお伺いいたしたいと思うんですが、新聞の伝えるところによりますというと、米軍との間の協議で、基本的には撤去することの了解ができておる、ただし代替地の問題が見通しがつけば基地を返還するということのようでありますが、この問題の処理について、現在どのように考えておられるのか、この点を御説明願いたいと思います。
  6. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 板付において米軍飛行機大学建物の上に墜落いたしたことにつきましては、心から遺憾の意を表します。  そこで、板付基地を私どもは撤去とは考えておりませんが、移転をさせるというのは、最初人口のあまりないところ、人家連檐でないところに板付基地をつくったわけでございますが、その後、自衛隊がこれを一緒に使う、それから民間航空に開放する、こういうことになりまして以来、急速に付近人家密集地区になりまして、いわゆる人家連檐状況と相なったわけでございます。もとよりこれは福岡市が急速に発展しておるという事情上やむを得ないところでありまするが、そこで付近民衆に与える危害というものが当然予想されるわけでございまして、今回のことはその一つのあらわれと私は考えております。  そこで六月十一日に基地問題閣僚協議会を開きまして、同じ十二、三日ごろ地位協定に基づく日米合同委員会を開きまして、合同委員会において、基地を適当な代替地があるならば移転せられたいということを日本政府から正式に要望いたしました。アメリカ側からはウイルキンソンという正式の政府代表が、適当な代替地がございましたならば板付基地米軍基地としては移転いたします、こういうふうに回答がございました。これが事実でございます。この回答は当然といえば当然でございまするが、基地状況その他を勘案いたしますというと、アメリカ側といたしましても、わがほうの強い要望もこれあり、移転の決意をしたということは、ある程度の事態に対する進展ではないかと私は考えておる次第でございます。そこで適当な代替地を見つけるということでございますが、われわれはまだ具体的にはきめていないのでございます。ただ、原則板付代替地、こういう一つ原則によって適当な代替地検討中でございます。  それから現在はどういうふうにしておるか、現在は少なくともこの板付における大学建物の中にF4フアントムというものが落ちた、この事故調査をいたしたいというふうに考えておりまして、文部当局大学当局等にも、防衛庁といたしましては、早く飛行機をとりおろして、そうしてその事故原因等調査いたすことに協力してほしいということを要望しておりまするが、まだその要望が実現しないという状態でございまして、それから、その間はどうするか、その間は夜間飛行というようなことは原則としてやめてしまう、それから人口稠密区域の上空を避けるような飛行経路を昼間といえどもとる、アクロバットの飛行というようなことは危険であるからやめる、騒音その他についても注意をするように、こういうことを日米合同委員会においてアメリカ軍に対して要求いたしております。大体において事故原因調査が完了するまでは、いま申したことはアメリカ側においても同意をいたしておる状況でございます。少なくとも事故原因調査が完了するまでは、板付基地においては、原則としては——絶対必要な場合は別でございまするが、夜間飛行は行なわないということを文書をもって政府側回答いたしておる次第でございます。
  7. 北村暢

    北村暢君 この問題は問題が多くあるわけですが、きょうは時間がございませんので限定して質問いたしますが、板付基地代替地として、代替になるところをいま検討中であるという御答弁でございますが、板付代替地でありますから、とんでもない北海道へ持っていくとかなんとかいうことはあり得ない。したがって九州、中国を含めて適当なところを検討中だということだろうと想像しますが、いま具体的の候補地としてあがっておるところはすでに新聞に出ておるわけでありまして、そこで一番有力視されているのが築城航空自衛隊基地が、一番常識的にいって代替地として適当であろう、こういうことを言われているのでありますが、検討中ということは、範囲が狭められて築城ということにしぼられて検討がなされているのかどうなのか、築城ということはいま全くの検討中で、全然それを前提にして調査をするというようなことが行なわれていないのかどうか、この点をひとつはっきりお答え願いたい。
  8. 山上信重

    説明員山上信重君) 板付基地移転につきましては、代替地として提供するような適当な施設を、ただいま技術的あるいは現地状況等もいろいろ考えあわせまして検討いたしておりまして、築城とかどことかいうような場所が、現在何ら決定いたしておるような状況ではございません。もっと広く検討いたしておる実情でございます。
  9. 北村暢

    北村暢君 その点はあまりはっきりしてないということですから、そのように受け取りますが、ただし選挙向けか何か知りませんけれども、佐藤総理福岡へ行ったとき、また防衛庁長官記者会見で、どうも築城ということが前提に置かれて行動がなされているように受け取っております。したがって、現在のところ、築城ということでは固定して考えておるのではないということははっきり言えるかどうか、この点重ねて長官にひとつ御答弁いただきたい。
  10. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は板付代替地、こういう原則代替地をさがしておる状況でございまして、具体的にはこれこれということをまだ考えたことはないわけでございます。
  11. 北村暢

    北村暢君 次にお伺いしたいのは、七月二十三日の北富士演習場における地元忍草の会の一周年記念集会にあたって、日本婦人会議代表等激励に行った際に起こった事件についてお伺いいたしたいと思いますが、この会合において、交流会において、富士学校自衛隊員新聞では報じておりますが、新聞記者を装ってその会合の初めから終わりまでメモを取り、写真撮影をし、録音をしておった、こういう問題が起こりまして、最初はだれも気がつかなかったわけでありますが、会合の終わりごろに、どうも行動がおかしいというので、取り囲まれまして追及された結果、身分が明らかになったのでございます。この問題について、まずこの二人の自衛隊員はどこの所属で、どういう身分であるのか、この点ひとつ明らかにしていただきたい。
  12. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) ただいま御質問の二名は、富士学校警備班長国行三佐と警備係長杉森一曹でございます。
  13. 北村暢

    北村暢君 そうすると、これは自衛隊職員でなしに制服であるということですね。
  14. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) そのとおりであります。
  15. 北村暢

    北村暢君 そうするとこの二人は、この日の集会において、極力個人的行動であるということを主張しておったようでございますが、自衛隊富士学校自衛隊員として何らかの任務を持っていかなければ、個人的行動ということはあり得ないと思うのですが、だれの命令でどういう任務を受けてここに来て、こういう行動をとったのか、その行動をとった事実を防衛庁としては知っておられるのか、どうなのか、この点についてお伺いしたい。
  16. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 警備班長国行三佐並びに警備係長杉森一曹は、富士学校警備課職員自衛隊員でございます。当然この両名の任務は、富士学校並びに東富士北富士演習場管理業務を行なっておる職員でございます。したがいまして、日常におきまして、北富士なりあるいは東富士なり、あるいは自分学校である富士学校構内警備管理というものに任じておる職員でございまして、常時、学校構内、構外あるいは演習場施設区域等管理し、警備する行動をいたしておる職員であります。したがいまして、当日の行動におきましては、特にだれの命令ということでなくて、本人たちの当然の日常職務としまして、管理行動を行なっておったということであります。
  17. 北村暢

    北村暢君 そうすると、警備課任務として、命令ではなしに、自己の判断で日常業務を行なった、こういうことのようですが、しからばこの日常業務を行なう上において、自衛隊は常日ごろ、その任務遂行のためには、こういうような諜報活動を行なうことを、常時任務として与えておるのかどうなのか。
  18. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) この両名は、警備課職員として、施設維持管理業務を行なっておりますので、その管理権範囲内において自分の責務をとっているということでございます。特に情報活動をするというようなことではございませんが、警備管理施設区域管理をいたす関係上、適当な施設管理上の情報をとるということは、管理行動範囲に入っておる。特別別個情報活動を行なうという趣旨で行なったものではございません。
  19. 北村暢

    北村暢君 諜報活動という趣旨のものではないと言うけれども、これは会合新聞記者を装って私服で来て、何の断わりもなしにメモをとり、撮影をやり、テープレコーダー——ここにあるわけですけれども、テープレコーダーをちゃんととっておる。こういう小さなものですね。これは会合の初めから終わりまでとっておるのです。こういう小さなものですから、どこに持っているかちょっとわからないくらいのもので、たまたまこれは見つかりましたが、手ぎわが悪かったのかどうか知らぬけれども、こういうことをやっておるのですね。これは日常管理行為とは言えないです。意図的に諜報活動をやる、いわば戦前の特高的な行動を行なっておるのです。これは日常管理何とかというのでないのです。これは特高的な諜報活動をやっておると言っても、これはもう間違いない。したがって私がお尋ねしているのは、常に自衛隊というものは、ここでこういうことが一つあらわれましたが、これが全国的にこういうことが行なわれておるのですか。  いま基地問題は全国でたいへんな事態が起こっておる。だから自衛隊の、防衛庁の方針として、こういう諜報活動が常時任務として与えられておる、このように私は理解せざるを得ない。だからこういうことが実際にあらわれて、何ぼ言っても身分を明かさなかったけれども、 ついに名刺もちゃんと、ここにおられる田中寿美子さんが行っておられた、国会議員が言ったから出したのかどうか知りませんけれども、名刺を出して、私はこういう者でありますということを最後に言った。いや、地元の者ですとか何とか言って逃げるところだった。約四十分間くらいみんなに囲まれて、ついに白状してしまった。そういう事態なんです。何の断わりなしに録音テープをとるということがいいことなのかどうなんですか。これは一種の行動とか何とかというのと違うのです。こういう録音をとるといった場合に、ある目的をもって、一般のニュースとか何とかでなしに録音とるといった場合には、当然その主催している者の了解を得るとか何とかというのが当然じゃないですか。それをやらないでこっそりとるというのは、これはどういうことなのか。そういうことが諜報活動でないというのか、一体どうなのか。こういうことが、自衛隊制服の者が、そういう法的にも疑わしい行動をやることがなされて、自衛隊は、防衛庁はそれを見のがしているということは、綱紀弛緩もはなはだしいんじゃないですか。だから私は常時、言うと言わざるとにかかわらず、この諜報活動として防衛庁はそういう任務を常に与えているのじゃないかというふうに理解せざるを得ないのです。これが当然の任務なんですか、どうなんですか。
  20. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 先ほど来申し上げます二名は、自衛隊富士学校警備課職員でございまして、警備課職員は、先生がおっしゃるような、いわゆる情報活動というものの使命は一切持っておりません。たまたま本人は、その集会がありました周辺に徹甲弾射場がございますが、その射場管理等もいたさなければならない関係上、北富士演習場を視察しておったということでございます。たまたま北富士忍草母の会と日本婦人会議というものが共催で行ないました一周年記念激励交流会というものが行なわれておりましたが、たまたまそこに会合が行なわれておるこの会合は、現地防衛施設庁の富士吉田の防衛施設事務所の所長が、当該演習場内に立ち入ることを禁止したにもかかわらず入りまして、そこで集会が行なわれておる、いわば不法な集会であるということでございまして、たまたまその日は演習訓練等も行なわれておりませんでしたので、特に現地で問題を起こすようなことをしないために、一応今後の警備管理行動の参考にするためにそのような行動をとったようでございまして、もちろんこのテープレコーダー等自衛隊のものではございません。本人がたまたま私物として携行しておったものを、その現地状況を上司に報告する際に、より正確を期するために、そのような個人的な行動をとったんではないかというふうに考えております。特段情報活動のような使命は全然持っていない自衛隊員でございます。
  21. 北村暢

    北村暢君 そういう言いわけしないで、結局諜報活動任務はないと、こうおっしゃる。あったらたいへんなんです、これは。それはないと言わざるを得ないでしょう。しかし、現実に私物であろうが何であろうが、集会やって、だれがどういうことを言ったということをメモまでとり、そうして、私は明らかに諜報活動と思うが、情報を収集しておった。上司に報告する便宜のためか何だか知らないが、とにかく無断で録音とったことは間違いないんです、これは。これは集会、結社、言論の自由というものに対する侵害じゃないですか。そういうことをあえて、私物であれば、こういうものを持っていって自由にとっていいということになるのですか。このやった行動というものは、あなた方はそれじゃ是認されておるのですか、正しい行動だと。あなた方は自衛隊演習場管理、運営のために必要であれば、隊員がいかなる行動をやっても、手段、方法を選ばず、どんなことをやってもよろしいと、こういうことなんですか。そういう指導をしているのですか、どうですか。
  22. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 北富士演習場の中には、御承知のように、徹甲弾射場がございます。そこは現在地位協定の二条四項の(a)によりまして、自衛隊が共同使用をする、一時使用をできるようなことになっております。その施設状況管理というものも警備課職員の使命になっております。そのような意味におきまして警備行動をいたしておった。たまたまその周辺におきまして、先ほど来申し上げますような集会が行なわれておった。したがって徹甲弾射場に対する当警備課課員としましては、その後の管理行動というものもございますので、その参考にするために、現地でどのような会合が開かれておるか、どのようなことが議論されているかということを、本人たち状況を把握し、できれば上司に正確な報告をしたいという意味におきまして、自分のたまたま持っておった私物であるテープレコーダーを使って、このような行動をとっておったというふうになっておるのであります。  本来、この二名の行動は、管理業務としましての行動範囲内で行なわれておるわけで、若干、二名のとりました行動というものが、現地のその当時の状況に応じまして、なるべく事態現地で事荒立てないような措置をとるために、個人的には若干誤解を招くような行為があったかもしれませんけれども、両名の行為は、常時行なっておる演習場管理管理業務範囲内であるというふうに考えております。
  23. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまの問題、ちょっと私のほうから関連してお聞きをしたいと思うのです。そうすると、あなたの答弁でいくと、日常管理をする場合にも、自分の私物であるカメラ、テープレコーダー、こういうものを使用することをあなた方許しているんですか。その日だけは許したんですか。そうすると、何か集会があるから、本人は通常の管理行為をやってるんだが、自分のカメラ持っていく、あるいはテープレコーダー持っていく、こういうことがあなた合法的だと、こうおっしゃるようだけれども、私はそうじゃないと思う。たまたまあなたいま持っていたと、こう言う。それじゃ、あそこに集会があるから、一ぺん本人管理行為から離れても、自分の部屋かどっか知りませんが、戻って、そしてカメラを持ち、あるいはテープレコーダー持って、もう一ぺんそれじゃ集会に出たのかどうか、そうなのか。初めから、集会があるから、あらかじめ予定してテープレコーダーを持って集会に行って、草むらに隠してこういうものをとったのかどうか。  だから第一にお聞きしたいのは、管理行為という勤務中に私物のものを持ってそういうことをやることをあなた方は許しておるのかどうか。もしこれ許すとすればたいへんなことになる。許さないとすれば、これまた本人の側からいえばたいへんなことをやったことになる。だから、二番目にあなたにお聞きしたいのは、その日の状況は私はわかりませんが、あらかじめそういう集会に備えて、上司にも何にも話さずに、自分の独断で私物のテープレコーダー持っていって草むらに隠してとった、こういうことをあなた方はあとになって認めるのか、認めないのか、そういう行為がいいのか悪いのか、そういう点だけ私からお聞きしておきたい。
  24. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 御承知のように演習場というものは非常に広大な面積でございますので、それらの警備行動をいたします際に、本人がカメラを持って歩くというようなことは普通行なっておることであろうと思います。ただ、このテープを持ちカメラを持ってそのような行動をとったということは、これは別に公にそのようなことを認めたわけじゃございません。ただ本人の好みと、それから上司に対して直接正確な報告をするというための本人の良心からそのような行動をとったのであろうというふうに考えておりまして、特にそのような行為は、警備課員の公の業務として認めたものじゃございません。
  25. 山崎昇

    ○山崎昇君 あなたね、たいへんなことを答弁してるんですよ。少なくとも公務によって勤務時間中に、本人の好みによってカメラを持って歩く、あるいはテープコーダー持って歩く、そういうことが管理者のあなた方、許せますか。ほんとうに管理をするというなら、自衛隊で準備をしたカメラを持ち、自衛隊で準備をした公物としてのテープレコーダーを持って状況判断の資料にするなら、私はまだわかる。しかし、これを好みとはどういうわけですか。自衛隊というところは本人の好みによって適当に何でもやっていいわけですか。もう一ぺん答弁してください。(「傍聴人がメモしている、注意したまえ」と呼ぶ者あり)
  26. 井川伊平

    委員長井川伊平君) ちょっと御注意申しますが、傍聴人の方、ただいまの議員発言の点について御留意願っておきます。
  27. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 演習場管理業務を行ないます場合には、本人が帰っていろいろ報告する場合に、より正確な状況を報告するという意味におきましては、自分が携行した写真機でとりましたものを、上司に対して、このようになっておりますというようなことを、さらに報告の正確を期す意味においてやるようなことはございます。それはもちろん狭い施設の中におきましてはそういう問題は起きませんけれども、演習場管理というようなものになりますと、そういうような行為は間々行なっております。
  28. 北村暢

    北村暢君 あなたは日常警備行動においてそういうものは認めていないんだと。諜報活動とか、私物のものを持っていって録音をとったりするということは認めておらないんだと。しかし、実際には行なっておるわけです。聞いておるというと、本人の職務に熱心なあまりにやったことなんだから、認めておらぬけれども、やったからといって別段悪いことでないというふうに聞こえるんですよ。それはいけないんじゃないですか。任務を行なうからといって、やはり行なうには行なうだけの、上司の命令なり何なりにおいて、どういうことでやれということに監督が行なわれてなきゃならないはずでしょう。管理警備行動を行なう範囲であったならば、基本的人権を侵すようなことを平気でやってもそれで差しつかえないのかどうか。こういうことは許されないでしょう。警備活動を行なう範囲のことについて、やはり限度というものはあるわけでしょう。だから私は、警備活動なり何なりを行なうんであったならば、私物のテープレコーダーを持って断わりなしにこういうことでやってもいいんだと肯定されておるわけです。というふうに私は受け取れるんですよ。どういうふうに処置するんですか。これは長官にちょっと聞きたい。こういうことは普通に行なわれているんですか、どうですか。
  29. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 具体的なことはこまかには存じませんが、大体のことは知っております。その前提からお答えいたします。  北富士演習場米軍管理に属する基地でございます。その中に自衛隊管理する基地が数十万平方メートルあるわけでございます。いわゆるこれは徹甲弾の試射場。そこで、米軍管理しておりまするけれども、あるいは自衛隊管理のお手伝いをすると、こういうことに相なっておりまするから、警備課の諸君が管理のお手伝いをする。それから、自衛隊自身の基地については、管理責任を正面から果たすということは当然の職責であると思っております。  それから、基地の中で集会を無警告でやたらに持たれるということはほんとうは困るわけでございます。しかしながら、事実上やっておる。不法であるから直ちにどうこうということはありませんが、事実上従来やっておりますからけっこうでございましょう。ただ、しかしながら、その事実上の集会は公開の集会でございます。秘密会ではないわけでございまして、だれでもそこへ行って聞いたり見たり、ノートをしたり写真をとったりすることは、別段人権の侵害ではないと私は考えておる次第でございます。公開の集会であるということを北村さんも山崎さんも御認識願って、人権の侵害というものは——公の席で公で議論している際にだれが何と言ったかということをノートしたって、それは民主社会における基本人権というものは、だれがこんなこと言ったなあとか、だれがまずいこと言ったなあなんということをノートすることは、筆記したって私はいいんじゃないかと、それがデモクラシーの世の中であると私は考えておりますが、あと警備課員が富士学校その他へ来て、参考にこんなことをしゃべっておりましたという材料に写真をとったりテープレコーダーをとったりしたと思いまするが、根本においてオープンの集会であるということだけは、ぜひお互いがダイヤローグ——対話をするような際の前提として、そのことだけは共通の認識を持っていただきたい。公開の集会であって、人の言っておることを書くことはけしからぬとか、あるいは写真をとるのはけしからぬということはございましょうが、これは道徳問題でございまして、法律上の問題ではない。できれば基地内の不法の集会であっても、慣習的に従来やっておるのであるから、集会の主催者等に、私は記事をとりますよとか、写真をとりますよということのほうが、それはベターでございましょう。それはやはりよろしいと思います。しかし、何しろオープンの集会ですから、写真をとっちゃいかぬとかテープをとってはいかぬとか、またそれに対して自衛隊員のほうで、一時は言いのがれをしたり、犯罪の意識を持ったりしたということがそもそもおかしいのであって、私はオープンの集会ですから、写真をとらしていただきますよ、記事もまたノートしますよということを言えば、なおけっこうであったと考えております。
  30. 井川伊平

    委員長井川伊平君) おはかりをいたしますが、ただいま委員以外の議員田中君から発言を求められておりますから、ごく簡単のようなことでございますが、これを許すことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認めます。田中君。
  32. 田中寿美子

    委員以外の議員田中寿美子君) どうもありがとうございます。私現地に行っておりましたものですから、一点だけ申し上げたいことがございます。  先ほど江藤参事官が不法集会と言われましたこの問題については、あの北富士演習場の入会権に関して係争のあることも御承知だと思いますし、それから日米安保条約に関連した地位協定で、米軍施設及び区域になっているという実情と、それから米軍施設及び区域であるにもかかわらず、米軍がほとんど使わないで、事実上自衛隊が使っておるという点で、いまこの問題はあそこで入会組合が不法な行為であるとして係争中でございますから、そこで集会を開くことを不法だと言われることに対して、私は疑問でございますけれども、この点はいまは差し控えます。  一点だけ申し上げたいと思いますが、その二人の自衛官以外の新聞記者はちゃんと名のりまして、そして記事をとらしてくれと言って写真をとっております。それからオープンの集会と言われましたけれども、私どもは両団体の、忍草母の会と日本婦人会議の交流集会でございます。主催者にあいさつするのが当然だと思います。非常に挙動がおかしかったからあとで気がついたわけでございます。これはテープレコーダーにとってあった現物はみんな差し出しましたし、それからカメラにおさめたフィルムも私どもに差し出しました。名刺も名のりまして、そして最後に、これを返還してもらいたいと言って宿に参りましたときに、その国行三等陸佐ですか、あの方はみんなの目の前で手をついてわびました。私の不徳のいたすところで、たいへん不始末なことをいたしましたことをおわび申し上げますとわびを申しましたので、いま江藤参事官は当然の行為であるように言われたり、増田防衛庁長官も当然の行為のように言われたことはおかしいと思います。その点だけを申し上げておきます。
  33. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 国行三佐なり杉森一曹の行なっている行為は、警備課員としまして、これは管理行為のこととして当然のことだと思います。再三先ほどから申し上げるとおりでございますが、ただ、もちろん公務員が実際に任務を遂行する場合に、自分のカメラだとかテープレコーダー等の私物を持って行動することは、何ら公務員法に違反するわけではございません。われわれ公務員が海外旅行します場合に、テープやカメラを持って、テープはどうかわかりませんが、カメラを持って現地状況撮影して、それを上司に報告するということは当然やっているわけでございます。そういう私物を持っていることは違反になっていない。  ただ問題は、二名の現地における発言内容というものは、この両名があくまでも現地におけるその当時の事態を十分配慮しまして、なるべく事を荒立てないようにするためにそのような不本意なと申しますか、必ずしも本意でないようなことを言われたのではないかというふうに私は考えております
  34. 北村暢

    北村暢君 いまの長官の、公開だからやった行為についてたいしてとがめる筋合いのものでない、こういうふうな御答弁のようですけれどもね。これは現実に忍草の会があそこに小屋を建てて、一年間婦人の皆さんがすわり込みをやって、早く撤去をして平和利用さしてくれという要望をして、一方自衛隊は、米軍管理権というものをかさにきて、先ほどの答弁にあるように、合議によって借用したような形になっておるのでありますけれども、この問題は県会においても全会一致でもって撤去して、平和利用してくれということを要望に行っておる。いま徹甲弾の問題があって、この管理云々という問題もございましたけれども、これは後ほど質問いたします。問題がある。とにかく公開だから何をやってもいいんだということにはならない。しかも場所が非常に相対峙して争っている場所なんでしょう。そこに特定の目的を持ってテープレコーダー持っていって集会録音をとっているということについて、これが当然許されることだなんということは常識的に考えられないでしょう。私は諜報活動だと、こういって差しつかえないと思う。したがって、そういうことが常時許されていいと、いまテープでとったのは、私物を持っていって、命じたのじゃないけれども、職務の熱心のあまりにやったことである。諜報活動だ、私は少なくとも行き過ぎであると思っているのです。これはやはり穏当を欠く行為なんじゃないですか。その点ははっきりしてくださいよ。これは当然やられて——自衛隊からすれば奨励して、職務に熱心なんですから、奨励すべきものであって——やった行為に対して、私どもは行き過ぎだと思う。自衛隊からいえば奨励すべきことかもしれません。しかしそれは許されませんよ、社会常識からいって。諜報活動やった、こういうことなんです。少なくとも断わりなしにテープをとったということは、公開であろうが何であろうが、時と所を考えれば明らかにこれは行き過ぎである。集まった人の感情を刺激することは間違いない行為になる。そういうことは当然行なわれていいというのですか、行き過ぎでないですか、これははっきりしてください。
  35. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 御承知のとおり北富士はわが日本の政府米軍基地として提供したものでございます。その中に入り会い権その他はあることは、東富士も同様でございまして、入り会い権があるからといって、あるいは入り会いの慣習があるからといって、直ちにそこへ家をつくっている、家をつくっているのだから、そこは米軍が使えない状態になるということはないと思います。また、家をつくっておるから、当然に集会をやってもよろしいということにもならないと思います。というのは横浜施設局の北富士施設局事務所において、入ってきて集会をしてもらっては困る、それは不法な集会になるということは、再三注意を促しておるわけでございます。しかしながら、事実上やっております。係争中のことであることも、北村さんと同様私は承知いたしております。  それから県会においては、北富士を返還して民間に開放してほしいという意見も相当ございましたが、地元におきましては、自衛隊管理に移して、東富士のごとくやってくれという声もだんだん出てきております。それから県会の声もそういうふうにだんだんなりつつありまして、いつまでもああいうふうなことをしておれは——東富士は非常に喜んでおるわけでございますから、そこで同じ日本人同士だと話し合いもうまくつきますし、入り会い権のことも、入り会い権じゃなくても、入り会いの慣習についても尊重いたしますから、そういう方向に建設的に進んでいただきたいということをまずもって御答弁の前に申し上げておきます。これはぜひとも、東富士のごとく北富士もやられるならば、地元皆さまもお喜びになる。現に富士吉田市においては、市長以下市議会議長も、決議書を私のところに持ってきておりまして、東富士のごとく自衛隊管理にしてほしい、そうでないといつまでも問題が解決しないからと、こういうことでございますから、これは地元の傍聴者の皆さまも、田中参議院議員さんと御一緒にいらっしゃるようでございますが、ぜひそういう方向へいったならば建設的に解決がつくのではないか、これは御質問の中に山梨県会というおことばが出ましたから申し上げるわけでございます。  東富士は二千七、八百万坪日本へ返ってまいりました。北富士が返ってまいりますと二千三百万坪返るわけでございます。基地総数一億坪あったのが七千三百万坪になりまして、北富士が返りますと五千万坪になるわけでございまして、基地問題の大半が解決つくわけでございまして、地元皆さまの民生にも非常に寄与する。同じ日本語を使う同士で話をすればよくわかる、こういうわけでございますから、ぜひ北村さんにおいても、山崎さんにおいても、田中さんにおいても御協力を願いたい、こう感ずるわけでございます。それから次に……(「そんなこと聞いてない」と呼ぶ者あり)山梨県会のことをおっしゃいましたから、山梨県会にやはり連関する問題でございますから申し上げるわけでございます。  それからその次に、一般に日本の国土内におきまして、秘密会でない場合は、だれが傍聴しようと、だれが写真をとろうと、写真はもっともちょっと問題がございます。これは肖像権という問題がありますけれども、これは日本ではあまり肖像権というものは尊重されていないので、これはほんとうはどうかと思うのですよ、いきなり写真をとりますから。それはどうかと思いますが、それは別個の問題として、秘密会でない場合は、婦人会でございましょうとも、忍草母の会でございましょうとも、秘密会であるといってシャットアウトすれば、これは出ていくのが当然の道徳上の問題であろうと思います。秘密会でないのですから、入ってきて傍聴して、ノートして写真をとるというようなことは、従来の慣行上やっておる。ただその三佐の人が田中参議院議員さんに大ぜいの前であやまったというのは、あまり大ぜいでいじめられる。そういう気分になっちまって、悪いことをしたんじゃないかと、こう思っちゃうんですが、法律上から考えますというと、秘密会でない場合は、私は諜報ということばはいまちょっとございませんから、日本国においては諜報ということばはやめていただきたいと思います。まず情報の一端として、諜報ということばは言ったことはございませんし、これからもやらない。お互いに国会においても、また国民の間においても諜報、諜報というと、ちょっと人聞きが悪うございますからやめていただきたいと思います。で、情報として参考にノートをしたり写真をとったりすることは、まあ不法の集会であろうとも、司会者にこうやりますよと、よろしゅうございますかと話をしたほうがなおけっこうではないかと、私一人は考えておりまするが、不法か不法でないかといえば、これは不法ではない。むしろ集会自身が不法である。集会自身が不法であるということは、集会にお集まりの皆さまが心の中では潜在意識として考えて、よくわかっていらっしゃることでございます。
  36. 北村暢

    北村暢君 これは認識の相違の問題ですから、不法な会合をやっておるなんて思っていないんですよ、会合をやっている人は何も不法だなんて思ってやっていない。やはり入り会い権というものを主張して争っている問題ですから、したがって不法な会合をやっているなんてだれも思っていないですよ。あなた心の中で思っているなんて、思っていたらできやしない、そんなこと。一年間も主婦の皆さんが、冬の中もすわり込んでやっているんですよ、実際問題として。そのために実弾射撃も行なわれていないわけです。  そこで私は、どうも諜報活動というのが悪いというなら、諜報活動でなくてもいいですよ、何でもいいですけれども、テープを断わらずにとるということは、写真もそうだとおっしゃられるけれども、しかもテープをこういう巧妙なテープを、しかも持っているか持っていないかわからないものでしょう。こういう小さなものを隠し持ってですよ、そして会合のテープをとっているということ、これはスパイ行為の、まあ対立している間の問題でありますから、スパイ行為とか何とかということは、これは成り立つかどうか知りませんけれども、これは卑劣な行為じゃないですか。だからこれは不法だとか、不法でないとかというのではなくして、穏当を欠く行為じゃないんですか。こういうことを奨励しているんですか、そこを聞いているんですよ。これがいいということになれば、全国の自衛隊みなやりますよ。どうなんですか、これは。これをはっきりしてくれと言っているんです。  ところが、少なくとも断わってとるならば別ですけれども、隠し持っていて、了解も得ないで、公開であろうと何であろうと、しかもエキサイトしている中においてこういうものをとるということは、穏当を欠いた行動だと思わないんですか。こういうこと奨励しているんですか。そこをはっきり答えてください。それを東富士だの何だのよけいなことを答弁しないでいいですから、これをはっきり答弁してください。
  37. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まあ不法ではないということは明言できます。ただ集会をしている場合にテープをとったり写真をとったりするということは、将来の問題としては私は司会者にこうやりますよと、よろしゅうございますかと、けっこうですというようなことで進んだほうがベターであると、こう考えております。
  38. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと関連。不法でないという法的根拠を明らかにしてもらいたい。どこにあるのですか、どの法律のどこ、何条に。
  39. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 岩間さんお答えいたしますが、私はコモンローの、コモンセンスから言っているわけでございます。何条の何に書いてあるというようなそういうことでなしに、秘密会でないならば言論、集会、その他結社の自由が許されるというところの範囲内において、人のしゃべったことをノートしたり、耳で覚えたり目で見たりすることは権利の中にある。目で見るかわりに写真をとるということなんですから、別に何条の何に書いてあるというようなことで、あまりドイツ法的なことをおっしゃらないでいただきたい。いまやっぱり英米法的な憲法もできておるものでございますから、常識でいこうじゃないですか、常識でいきたいと思います。
  40. 岩間正男

    ○岩間正男君 公務員でしょう、公務員の公務執行だろう、だから聞いているのですよ。法的根拠なしに何やつたってかまわないということになるでしょう、いまのあなたの言い方は拡大すれば。しかも、いま言ったように秘匿したこういう盗聴機、こういうものを使っているのでしょう。これはどういう任務にあるのです。自衛隊法の、それから自衛隊管理、その中のどういう条項にこういうことを行為としてやっていいという条項があるのですか。これはあなた、明確でなければ、公務員の公務について法的規制がなくて行なえるのですか。自衛隊はそんな恣意でやっていいのですか。そんなことをあなた答弁したらたいへんなことになりますよ。
  41. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) およそ公務員は、自己の任務の遂行のためには、私物の携行をいたすということは何ら禁止されておりません。したがって他の法律で禁止された物品を所持しない限り、公務員が実際の任務を実施していくという段階において、たとえば万年筆とかノートとか、あるいは市販のカメラとか、そういうものを携行することは法的に禁止されておるわけではございません。しかもこの場合のテープレコーダーはあくまで市販のものでございまして、特別自衛隊専用の器具ではございません。そのような私物を公務の遂行の際にみずから所持しておるということは、別に公務員としまして法律違反になるということではございません。
  42. 岩間正男

    ○岩間正男君 自衛隊のスパイ行為を公認したということになるのですがね、それは重大問題ですよ、そんなことは承認できませんよ。自衛隊のそういう行為はかまわないというのですか、そんなことは承認できない。
  43. 北村暢

    北村暢君 この問題はまだ私納得しませんけれども、時間がございませんからきょうはこの程度にしておきますが、次の問題です。  次の問題、これはまたたいへんな問題なんですが、七月の八日、先ほどのちょっと話がありました、対戦車砲の徹甲弾の云々という、演習か何かわかりませんが、行動が行なわれている。これはいかなる目的を持って、どういう規模で、だれの管理下において行なわれたのか、このことをひとつお答えいただきたい。
  44. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 先ほど来申し上げますように、北富士演習場、特にその中の徹甲弾射場管理は、富士学校長が行なっております。
  45. 北村暢

    北村暢君 いかなる目的で、いかなる規模で、だれの管理下において行なわれたのか。
  46. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 徹甲弾射場におきまして、自衛隊が新しく発注しておる徹甲弾を、試射をやることになっておりましたので、この徹甲弾の試射が円滑に行なわれることを目的としまして、富士学校の隊員が現地射場管理をしておるのでございまして、目的と管理というのはそのような趣旨で行なったものでございます。
  47. 北村暢

    北村暢君 学校長の管理でやったのですか、それとも、その規模、どのくらいの人が参加したんですか、どういう目的で。
  48. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 先ほど来申し上げますように、徹甲弾射場地位協定二条の四項(a)によりまして、自衛隊米軍と共同管理するようになっております。したがいまして、その管理権が現在富士学校長にまかされております。その射場が円滑に遂行されるための管理というのは富士学校長の権限でございまして、今回の場合におきましては、富士学校長の管理下におきまして、このような管理業務が行なわれたということでございます。  その規模につきましては、具体的な資料を持ち合わしておりませんので、後ほど調査いたしまして御報告したいと思います。
  49. 北村暢

    北村暢君 徹甲弾の試射をやるのに相当な人数が参加しているのですね。千二、三百名参加しているんじゃないかといわれている。何のために、徹甲弾の試射をやるのに千二、三百名も集まってやらなければならないのか。これは徹甲弾試射の直接の関係者と、その試射を行なうための警備に必要な者と分かれておったんじゃないですか、だからその規模はどういうふうな規模で行なわれたのかと聞いておる。
  50. 蒲谷友芳

    説明員蒲谷友芳君) 規模の点につきまして、また、目的につきまして御説明申し上げます。  この徹甲弾の七月八日におきます規模は、九十ミリで十七発、七十六ミリが十六発でございます。この目的は、現在戦車用の徹甲弾米軍から供与を受けたものを使っておりますけれども、三次防からは国内開発をするということで、三次防の計画が組まれまして、実は四十一年度に契約が行なわれました。四十二年度中に納入されるという前提がございましたけれども、徹甲弾の専用射場の整備が現地関係でおくれまして、実は予算を繰り越しております。四十二年度の契約をいたしまして、われわれの装備上四十三年度中に所要の弾数がほしいということで試射を行なったわけでございます。この試射というものは、実はたまの場合には試射を行ないまして、ある種のたまをとりまして性能試験をいたします。その性能が合格しますと、それによって初めて量産に移れるということでございまして、われわれの三次防の計画上そういうことでございます。一千名という数は、実は私のほうもはっきりとつかんでおりませんが、警備員を含めまして、特にああいう場所でございますので、警備員を含めまして一千名程度が参加したというふうには聞いております。現実に行ないましたのは、富士学校の実験隊でございます。
  51. 北村暢

    北村暢君 まあ性能試験をやるのに一千名からの膨大な、これは当然業者も参加している。性能検査をやる試射に、三十三発かの徹甲弾の試射をやるのに、警備員の、しかも武装した警備員、これを一千名も置かなければ試射ができないような、予想してこれをやっている。そのくらい自衛隊は、この八日の試射を行なう以前に、六日の晩に問題が起こっているからこういうことが行なわれているのですよ。まことに私はけしからぬと思うのですけれども、七月六日に起こりましたこの徹甲弾射場の前に、夜中に忍草の会の人と入り会い組合の方々が試射場の前に建物を建ててすわり込みをやった、この事実、それを排除するために自衛隊が実力行使を行なっている。これは一体警察行為なのか治安出動なのか、だれの指揮でどのような行動をとったのか、それをひとつ説明してください。
  52. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) 先ほど来申し上げますように、徹甲弾射場は面積が約四万二千平方メートルありますが、この徹甲弾射場は、地位協定第二条四項の(a)によりまして、日米合同使用施設としまして、四十二年五月十一日の日米合同委員会で合意されております。さらに四十二年七月十八日の閣議決定によりまして、正式に自衛隊による使用が認められている施設でございます。したがって、国有財産法の管理からいいましても、米軍が使用していない期間におきましては、自衛隊がこの射場管理する管理権がまかされているという施設でございます。したがいまして、この自衛隊管理している施設の中に、その立ち入り禁止を無視して不法に侵入し、あるいは不法に物件を架設し、再三にわたる撤去の警告にもかかわらず撤去しなかったということになりましたので、当方としましては、施設管理権に基づいての自救行為である。刑法による緊急避難行為でございますが、自己の財産に対する現在の危難を回避するためにとった緊急避難行為としてこのような措置をとったのでございます。
  53. 北村暢

    北村暢君 あなた方はこの試射の実施について抵抗のあることははっきりわかっている。従来一カ年間実弾射撃を行なってなかったわけですからね。そうして新たに六日の日にそこへすわり込みが起こった。その以前に皆さん、あなた方は、県庁なり警察に対して要請をしておりますね。しかし、県庁も警察も、地元民との話し合いの中で解決してくださいといわれているようですね。したがって、緊急避難行為というけれども、一体従来の例から見て、緊急避難行為で処理しなければならない問題であったのか、その正当性について今後争われるだろうと思うのですけれども、これは非常に乱暴なやり方をやっている。負傷者も出ている。警告も一、二度しただけで、当然私はこれは従来の例からいっても、緊急避難行為だなんということではなしに、従来からも警察でもって警察行為として、不法に侵入し、退去するようにと言ってもしないということになれば、警察によって警察行動として第一段階はやるのが当然じゃないか。なぜやにわに緊急避難行為としてそれをやらなければならなかったか。しかも、試射の行なわれるのは八日である。ところがこの実力行使が行なわれたのは六日の晩である。何で緊急避難行為に該当するのですか。もっと話し合いをしてなぜやらなかったか。緊急避難行為であれば、すわり込んだ反対派の人を負傷させても何しても、はだしで一キロ以上無理やり引きずり出して、そして堀の中にはうり出すというようなことをやって、当然の行為であると、こういうふうに言われるのですか。まだ緊急避難行為の権限を発動する以前にとるべき手段、方法というのはあったんじゃないですか。  これは緊急避難行為どころじゃない、暴動のようなものだ。私は自衛隊はそう簡単に実力行使はやるべきじゃないと思う。一般の国家公務員が、農林省なり大蔵省にすわり込みに来たのを出す場合にも、だめですだめですと言って、行かなければ警察を呼ぶとかなんとかいうことでできるのですよ。自衛隊が、しかも武装した自衛隊の隊員が、緊急避難行為だからといって、実力行使でもって一キロもひっぱり出してけがをさして、それでいいと思うのですか。これは重大問題ですよ。自衛隊であるがゆえに私はもっと慎重でなければならないと思う。緊急避難行為というのは、武装も何もしない、普通のやむにやまれない緊急避難行為としてやるんだったならば、一般の人がやるなら、まだこれは場合によってはあり得るかもしれない。しかしこういうことは、そういう緊急避難行為で何か処理されるべき筋合いのものではない。話し合いの余裕があるし、その前にあなた方一体警察に対してどういう措置をとっているのですか、この点を明らかにしてください。
  54. 江藤淳雄

    説明員江藤淳雄君) この射撃場は、試射場として特に設けられた施設でございまして、先ほど申し上げましたように、正式に日米共同管理ということで、自衛隊米軍が使用してない期間においては全部の管理権を持っておる特定の施設でございます。その施設におきまして徹甲弾の試射を行なう、これが七月八日から行なうことになっておりまして、したがいまして八日から実際に徹甲弾の試射を行ないますということになりますと、七日の日は早朝からその実際に使用します戦車の持ち込み、あるいは実弾の装てんとか、あるいは点検、温度調整等をすべて一日の期間でやらなければなりません。それらの作業がまる一日かかりますので、どうしても七日の早朝から自衛隊試射が十分できますような準備行動がとれるような態勢にその試射場ができていなければならないという状況になっておりまして、したがいまして、六日の夜、このような不法な物件の仮設とか、あるいは試射場内に入り込むというようなことがございましたら、これを極力六月六日中に、あるいは七日の未明までに正常に試射の準備ができるような態勢に置かなければならないという、現地富士学校としましての責任がございます。このような事態、期日の関係から申しまして、勢い自衛隊が、警察にはもちろん連絡いたしましたけれども、自衛隊がみずから自分の自救行為としまして、そのような退去を命ずる、あるいは退去に応じない、説得に応じない人たちに対しては、手を添えて場外に出てもらうというような行為をとらざるを得なかったというのが実情でございます。警察には連絡しましたけれども、当方の管理業務の当然の行為としまして、このような措置をとったということでございます。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 北富士の問題では、少なくとも六、七年前やっておるのです。この問題の件については、私は十分聞いておりませんが、いまの答弁を聞いておると、地位協定第二条によって、これはやはりアメリカ軍の使用のものになっていることは事実です。それをいま聞きますと、使っておらない場合は、閣議で日本の自衛隊管理権にまかされておる、こう言われておるのですがね。これは少し問題がある。しかし私は関連ですから、それはいずれまたどっかでやりますけれども、それは一応別として、この前オネストジョンの発射試験をやりましたね、あのときはアメリカ軍がやったのですよ。その際でも、正当な管理権のあるアメリカ軍がやるときでも、そんな無謀なことをやっていませんよ。それをいま私ども聞きますと、すわり込みするのがいいか悪いか別として、日本国民がおるのです。それを日本国民から成り立っておる自衛隊が、何か非常な暴力で引きずり出したとかなんとか、そういうことはいままでないですよ。それは管理権の逸脱ですよ。そういうものが今後やられることになると、北富士の問題はますます長官、こじれてきますよ。東富士は何かいろいろ話し合いで返還されたようでありますけれども、北富土で、そういう自衛官の——いま聞きますと、自衛官がやったと言いますね。いままでたびたび紛争があったことは、私みずからもって体験しておりますけれども、そういう自衛官がみずから日本国民を引きずり出したというようなことは初めて聞いたのですが、そんなこと前にあるのですか。いま聞きますと、何か発射試験を、検査ですか、そのためにやむを得なかったと言いますけれども、これはやろうと思ったら、いろいろ話し合いの中で、アメリカ軍がやるときでも、一週間、二週間延ばして話し合いしたことがあるのですよ。それを日本の自衛隊がやるのに、話し合いのいとまがないからといって、緊急避難、何か刑法のようなことを言っておりますが、そんなことをたてまえにしてやられるということになれば、私はますますこれは北富士の問題は非常に混乱すると思うのですね。だから、長官頼みます。閣議で、管理権自衛隊にまかされておる、まかされておるから、管理権は、あの基地に対しては、日本は思うままにやってもいいと、そういう閣議決定になっておるのかどうか、それをひとつ。
  56. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 山本さんにお答えいたします。  この徹甲弾射場四万二千平方メートルは、地位協定に基づいて、北富士全体の基地はアメリカの基地に提供してあるのでありますが、自衛隊基地になっておるわけでございます。自衛隊基地が四万二千平方メートルございます。そこでそこ、並びにその付近に再三再四の警告にもかかわらず、居すわりをされました御婦人三名の方に対しまして、隊員が抱きかかえてさく外に連れ出した、こういうことが事実でございまして、一キロ半引きずり回したというような事実はございません。引きずり回したりしたら、人間は死んでしまうと私は思います。そういう事実はございません。  それで、これを常識上の例として見れば、お互いの住居の中に人が入ってくる。そこで警察に頼めばいいのですけれども、警察もなかなか手が回らないという場合には、住居の主人なり管理者が、うちの中に不法に入ってくるのを、出ていってくれと門の外まで出すということは、やはり民主憲法下における当然の権利だと私は考えております。そこで擦過傷その他を負わしたという点があれば、その点はまずかったと思っております。けれども、人の住居にやたらに侵入していいということは、民主憲法下においても、いずれの国においても許されないことでございまして、自衛隊管理する範囲内の基地は住居と同様の扱いを受ける、こういうように私は常識上考えております。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたの常識はかってな常識だ。大体北富士の歴史を知っておりますか。入り会い権でもって生活している農民ですよ。それをアメリカ軍に取られてしまった。補償も何もない。あなた住居だと、自衛隊の住居だと言うが、いまそんなことを政府はかってにきめているけれども、明治時代の歴史を見れば、そこの農民は入り会い権で生活をしておったのです。あなた知っておりますか。それじゃたまらんから何とか返してもらおうということで、過去何十年戦っておる。もともと農民のものですよ。何かってなことを言うのですか。あなたそういうものを例にとって言って、北富士の問題を解決するとは大間違いですよ。私は今度の問題については事実を知らぬから、千メートル引きずったかどうかということは、実証を聞きましょう。あなた、ちょっとさくを越して、のけたと言いますけれども、そんなものではないですよ。すわり込んでみれば大体わかりますけれども、広いですから、向こうは。ちょっとさくの横に出したということをあなたが言われるなら、それがもし事実であれば勝負ですよ。勝負、どちらがほんとうか、勝負しましょう。私は言っていませんよ。さくをちょっと越えて出しただけだと、あなた言うのですね。間違いないですね。それをもう一ぺん聞いておきましょう。
  58. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答えいたします。  隊員が御婦人三名を抱きかかえてさく外に連れ出した、こういうことになっております。そこであと事実問題でございますから、山本さんもお調べくださったり、北村さんもお調べくださったり、また事実は私どものほうも調べます。しかしながら、入り会い権を行使する場合、入り会い権があるからといって、基地を一応われわれが提供して、それから自衛隊基地になっている場合には、やはりそこで入り会い権を行使しますよという、民法上の問題でございますから、そこで入り会い権というものと入り会いの慣行というものと、非常に錯雑した問題で、徳川時代からずっと続いている問題であり、現に基地でない日本国土至るところにあるわけでございまして、そういう入り会い権なり入り会いの慣行は十分尊重せんければならない。尊重する場合におきましても、自衛隊管理権が移った場合には、同じ日本人同士だから、話し合いがつけば、地元の皆さんの民生に寄与するし、地元の感情を尊重することもできるであろう。やはり一歩前進ということで、北村さん、山本さん、田中さんも、積極的に進んで話をしていただきたい。やはりことばのわからない同士では話しにくいのですから、入り会い権の問題は、もう基地でない日本国土じゅう至るところあります。また入り会いの慣行の問題もございまして、最高裁に何十年もかかって係争中の問題もございます。しかしながら私は一般論として、入り会い権なり入り会いの慣行は尊重して、民生の安定をはからなければならないという立場に立っておるわけでございまして、東富士管理自衛隊に移ったからといっても、入り会い権は尊重をして、入り会いの慣行も尊重しております。そこで静岡県民は喜んでいるわけでございまして、山梨県の県民の皆さんもどうぞ喜ぶように、闘争ばかりが運動ではないのでありますから、やはり管理権をこちらに移して、お互いにこうして日本語で話をするとわかりいいのですから、また議論するときもお互いに幾らでも議論してもけっこうですから、そういうように前進をしていただきたいということを切に希望いたします。
  59. 北村暢

    北村暢君 これはいま長官は、いろいろ話し合いとか何とかと言われましたけれども、刑法の三十七条の緊急避難の条項を適用したと、こういうのでありますけれども、これはこの条項を適用する以前の問題として、行政的にいって、私はこれは不当だったと思うのですが、とにかく先ほどもこの目的その他をお伺いしましたが、先ほど県議会における一致した決議がなされて、撤去し平和利用するという決議があったことは事実なんです。あなたのおっしゃるように、逐次何か工作をされたかどうか知りませんけれども、そういう長官の言われたような意見が出てきているということも事実なんです。しかしながら、そういう山梨県会においてもいろいろ論争されておるときに、なぜ北富士のこのいましのぎを削ってやっておるところに試射場をつくらなければならないのか、徹甲弾の。いま話がついておる東富士のほうで相当な演習場があるわけですね。ここに持ってきたこと自体、これは見方によっては、いま紛争が起こってどうも自衛隊のほうに不利だ。この際ひとつ示威的にここに持ってきて強行して、ひとつ反対運動を押える意味においても示威的にやろうじゃないかというような意図的なもので行なわれたという見方すらあるのですよ。これは話し合いをしなければわからないですね。あなたはそんなことを考えてないと言うかもしらぬけれども、反対を続けておる人はそういうふうに受け取っておるかもしれない。私ども事実聞いておるわけです。  だからこの問題は、七月八日に期日をきめてやらなければならない問題であるし、また予算も使わないできておるから、予算を使うほうからいえば、これは業者から圧力がきて、こちらで何だたいへんだ、早くやってくれ、やってくれということがあったのでしょう。あったのかもしれませんけれども、絶対に七月八日というものが動かせない日にち、そんな緊急性なんというものは私どもは認めませんよ。かつての基地の戦い、紛争というものはずいぶんありました。先ほど山本さんから言ったように、アメリカ軍が期日を指定して実施するといったものをやめた例も幾らでもあるのですよ。幾らでもある。これは一回だってあんた、延ばしたことも何もないでしょう。やにわにあんたあれですよ、侵入したのは六日でしょう。六日の夜中でしょう。そうして何時間もたたないうちに強制的に退去させられておるのですよ。しかもバリケードの外に簡単に出されたようなことを言っておる。冗談ではない。バリケードの外は外だけれども、千メートルも千五百メートルも先の外まで引きずり出されている。そのために、いまここにあんた告訴状が出て、医者の診断書が出て、いま告訴になっておるのですよ。しかもそのやっておる九十名の自衛隊員というものは武装しておる。デモ隊に向かうときだって、警察官だってあんた武装なんかして行きませんよ。自衛隊がこういう行動をする、実力行使をやるというときには、これはよほどのことがなければ、自衛隊の性格からいって、実力行使をやるということは許されないことなんですよ。これを簡単に刑法の緊急避難の第三十七条の条項を適用してやるなんというようなことは、これはあんた、行政権の権限の乱用ですよ。これは明らかに乱用です。何の話し合いも何もなしに、一切この連れ出す人も無言ですよ。どういう理由で退去しなければならないのか、何を聞いたってものをしゃべらない。ものをしゃべらないでがむしゃらに引きずり出しておる。しかも、あんた、すわり込んでいるのは、もう七十を越えるようなおばあさん方だ、御婦人だ。警察だって、婦人に対する連れ出したり何かするときの礼儀だのやり方だってある。それをあんた、そういうおばあさんを引きずり出すのに、むちゃくちゃなやり方でもって引きずり出しておる。こういうことがあってしかるべきだということに、私ども断じて納得いたしません。  長官はあれですか、治安出動の場合においても、デモ隊のそういうときに治安出動というのはあり得ないのだし、またいままでもない。これはあなた、緊急避難条項に隠れた治安出動と同じですよ。自衛隊の実力行使というものは、こんなあなた、刑法の三十七条の緊急避難に隠れた事実上の治安出動ですよ。こういうものを一体だれが命令し、だれがやったのかということを明らかにしてください。だれの命令でこういうことをやったのか、治安出動だったらこれは長官が知らないはずがない。治安出動でないから長官おそらく知らないうちにこういうことが行なわれている。これは治安出動の命令に違反したときの罰則はあるけれども、治安出動に類似したような行為が行なわれたときのことについての罰則なんかない。これはたいへんですよ。小さな規模における九十名の部隊が出て実力行使をやっているのですから、これは治安出動だと見なければならないと思います。自衛隊だからこういうことが許されないのですよ、どうですか。
  60. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 基地内のことでございまして、私は基地を不法に占拠するということに対して再三警告をしております。再三警告したけれども聞かないから、結局実力行動をとったということになりまするが、治安出動とは全然性質を異にするものである、こう考えておる次第でございます。  それから婦人を三名実力をもって外に出したという報告は受けております。しかし、その状況等についての詳細なことは、なお聞きまして北村さんにお答えをいたします。
  61. 山崎昇

    ○山崎昇君 だいぶ時間もたってきましたから、私のほうから別の問題をお聞きいたします。  きょうの委員会の冒頭に、防衛庁長官から、先般なくなられた少年自衛隊員事故の問題について遺憾の意の表明があった。そこで私はこの問題についていろいろ聞きたいことはたくさんあるのですが、時間がありせまんので、一点にしぼって聞いてみたいと思います。  それは今度の内容を見ますというと、大きく分けて学校側の責任と、それから直接指揮に当たった田村一尉の責任と二つに分かれると思います。そこでこの二つの責任に対して、先般処分が行なわれておるわけですが、一体防衛庁長官、あなた増田さんはどういう責任をとるのか、あなたの処分一つもない。何か新聞の報道によると、進退伺いを出したが、やめるまでもないだろうということで立ち消えになったそうでありますが、あなたがきょう出されたあなたの文書の最後を見ると、「親が子を愛する心情をもって」云々だとか、美しいことばで飾られておる。部下はなるほど処分をした。しかし、あなた自身は何もないじゃないですか。ですから私は第一に、一体防衛庁長官の増田さん、あなたはどういう責任をとるのか、どういう処分をあなた自身は考えておるのか、それをまずお聞きをしたいと思います。
  62. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は自衛隊最高指揮監督者である内閣総理大臣指揮監督を受けまして隊務を統括しております。この隊務には運用と、それからいわゆる行政面とあると思います。運用面の中に教育なり、あるいは訓練なり、あるいは七十六条の命ずる行動なり、七十八条の命ずる行動なり、災害派遣の行動なり、あるいは八十二条の行動なりに関する実力行動なりが規定してあるわけでございまして、そういう行動自体にも指揮監督をする責任があると思いましたから、まず第一に私が責任を負いまして、そうして部下の責任はもちろんあることでございますが、なるべく軽くいたしたい、こう思いまして、全責任を負う意味におきまして辞意を表明したわけでございますが、たびたび固執いたしましたけれども、辞意は最高指揮監督者である、また政府の最高責任者である内閣総理大臣の聞くところとなりませんで、不本意ながら職にとどまっております。職にとどまる以上は、ベストを尽くして、積極的に責任を果たしてまいる、これが私の決意と覚悟でございます。そこで、はなはだ不本意でございますが、ただいま冒頭に報告を申し上げましたとおり、学校側の関係の責任者、また田村一尉等の現場の責任者の責任を規律に照らして処断をいたしたということは、最高指揮監督者として、私としては非常に不本意でございます。  また、山崎さんの御質問に対して、重ねて国会議員皆さまを通じて国民皆さま方に申し上げますが、これら大切なる十三人の少年並びに二十八万名の自衛隊員の親にかわって預かっておるのが内閣総理大臣であり、また平素の場合は防衛庁長官でございます。その大切なる子弟を失ったということに対しまして、心から遺憾の意を重ねて表明するものでございます。
  63. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は遺憾の意を表しているのに追い打ちをかけるような形になるのはたいへん心苦しいわけですが、しかし、いかに長官が遺憾の意を表し、今後再びこういうことのないようにということを繰り返し、あるいはまた、葬式に行って涙をこぼされても、死んだ自衛隊員は帰ってこないでしょう。私はほんとうにあなたがそれだけ決心をするならば、総理大臣を説得してもあなたはやはりみずからやめるべきじゃないですか。あなたは大臣をやめても再び大臣になることはできる。しかし、どんなにあなたが涙をこぼしても、この十何歳かの十三人の自衛隊員は帰ってこない。だから私は、腹切るばかりが責任のとり方ではないかもしれませんけれども、少なくとも人の命を失ったのですから、そうしてあなたは不本意ながらなんということばをつかって、部下だけを処分して、あなたは総理大臣から文句がきたそうでありますが、しかしそれだけで終えるものではないのではないか。真剣にあなたはもっと考えるべきではないか。ほんとうにあなたが遺憾の意を表し、今後こういうことをなくするためには、あなたみずからやはり職を賭すべきではないか、私はこういまも思っているのです。もう一ぺんあなたの決心を聞きたい。
  64. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 山崎さんにお答えいたします。  私ももう事柄が起きた場合に、事柄の釈明等は一切しないで辞意を表明し、また辞職するのが一番自衛隊を引き締め、また自衛隊を愛護するゆえんであり、また人命を尊重するゆえんである、こう考えまして、自発的に山崎さんの御指摘のような行動をとったわけでございますが、最後にあらがいまして、そうして政府の最高指揮者である方と私とが、あまりこの命令服従関係のことを抗争するということもどうかと思いまして、命令に服従いたしたわけでございますので、原則として山崎さんのお説には全然同感でございまして、まことに申しわけない限りでございます。
  65. 山崎昇

    ○山崎昇君 それで次に私がお聞きをしたいのは、先般処分の発表がありました。そこで当日直接指揮をとった田村一尉に対する処分について私は一、二お伺いしておきたいと思うのです。処分の発表を読みますというと、四十日間の停職処分になっているのですが、なぜ四十日間の停職処分になったのか、その経過並びに考え方についてまず私はお聞きをしたいと思うのです。
  66. 麻生茂

    説明員麻生茂君) われわれといたしましては、本件が訓練上の事故であるということを考えまして、先例から、昨年の八月に支笏湖におきましてレンジャーの訓練事故発生した。そのとき四人の若き隊員を失う結果になったわけでございますが、そのときの処分の例がございます。したがいまして、このとき直接指導いたしました教官停職二十日という停職処分を受けておるわけでございます。それらの点を考慮いたしました上、さらに田村一尉の日ごろの勤務成績、あるいは本人の改悛の情その他の点をくみまして、停職処分四十日が相当である、こう判断をしたわけでございます。
  67. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると四十日の停職処分ですから、四十日たてば停職がなくなって、原職に復帰するわけですね。そうして職務執行を行なうわけ  ですね。
  68. 麻生茂

    説明員麻生茂君) いま御質問の停職四十日でございまするから、四十日の停職期間が経過いたしまするというと、当然その職務を遂行できるように相なるわけでございます。現在田村一尉は教育隊第三区隊長のポストをはずされまして、企画室付きに先月の二十三日からなっておりますが、その企画室付きの職務に戻るということになるわけでございますが、四十日たった場合に、田村一尉の進退なりその他についてどうするかということについては、目下慎重に検討中の状況でございます。したがいまして、いまどうというお答えはいたしかねる次第でございます。
  69. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、自衛隊法の第四十六条のどの条件に違反をするということで停職処分にしたのかということが第一点。ここに三つありますね、そのうちのどれに該当するのか。  それから第二にあなたにお聞きをしたいのは、四十日の停職ですから、停職の期間を終われば原職に復帰をする。そうすると、その後の処分をどうするかわからないと、こういうのだが、四十三条の分限の規定との関係はどうなっているのか、二つまとめてお聞きをしておきたい。
  70. 麻生茂

    説明員麻生茂君) われわれといたしましては、自衛隊法第四十六条第一号に該当するものと考えまして懲戒処分をいたしました。もちろん懲戒処分の一号、二号あるいは三号というような規定は、それぞれ重復した面もあるわけでございます。われわれといたしましては、第一号の職務上の義務に違反し、職務を怠ったものという考えでやっております。  それから先ほどの懲戒処分停職をやった後の休職という問題でございますが、これは先生よく御承知だと思いますが、懲戒というものと休職というものが並行して行なわれるということは、たしか処分例か何かそういうものがすでにあったように思います。ただ、どういう処置をとるかということにつきましては、今後まだ期間もあることでありますので、慎重に検討したい、こう考えております。
  71. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は四十三条の分限のほうが先に発動されるべきではないか。なぜかなれば、いま田村一尉は起訴されている。過失致死罪の容疑で起訴されているわけでしょう。したがって四十三条でいけば、刑事事件で起訴された者は休職処分にならなければならないですね。その休職中の者について免職にさせるのか、あるいは懲戒だけでおいておくのか、あるいはどうするのかという行政処分の併科については、それはいろいろ意見のあるところだと思います。しかし、いまあなたの説明を聞くというと、休職処分がございませんから、したがって四十六条の懲戒処分停職期間が切れれば原職に復帰する。一方で起訴されておるので、当然裁判所に出なければならない。その場合、職務についていて出なければならないということになって、これは公務員法上あまりいい処置でないわけです。つまり四十三条の処分については、自衛隊としてはどういうふうにされるか、お聞きしておきたいと思います。
  72. 麻生茂

    説明員麻生茂君) 行政処分云々ということでお答え申し上げましたが、その点勘違いをいたしましたので、取り消しをいたします。私のいま申し上げましたのは、四十二条三号のつもりでお答え申し上げましたので、ちょっとはっきりしないお答えをいたしたのでありまして、前のところは取り消したいと思います。  それから、四十三条につきまして、「刑事事件に関し起訴された場合」というのがございますが、これによりまして自衛隊としては休職処分にすることができるわけです。しかし、われわれといたしましては、休職処分にこれはできるということであるわけでございまして、必ず刑事事件になって起訴されたら休職処分にしなければならないというふうには考えていないわけであります。ただ、先ほど質問がありましたように、停職期間が参りました場合にどうするかということにつきましては、いまの点も含めまして慎重に検討をしておる、こういうことでございます。
  73. 山崎昇

    ○山崎昇君 公務員の慣例は、刑事事件に起訴をされたら必ず休職処分にされておるのですよ。刑事事件に起訴されて休職処分にされていない事件があるならばお知らせください。ないのです。これはただし、交通事犯の違反等できわめて軽微なものはあります。これはまた選挙違反等で、罰金のような略式命令の場合に確かに起訴されておりません。これは私も承知しておる。そうでない場合に、刑法上過失致死罪のように重い刑に容疑者としてやられておる場合には、休職処分がないなんということはない。だから停職処分の前に、四十三条のように休職処分があってしかるべきじゃないかと考えている。しかし、いまの四十六条による停職処分をやったのだから、その後をどうされるか、この機会に明確にしてください。ただあとわからぬでは困る。
  74. 麻生茂

    説明員麻生茂君) いまの御質問につきましては、先ほどお答え申し上げておりますように、慎重に検討をしておるという段階でございますので、いまお答え申し上げかねるわけでございます。
  75. 山崎昇

    ○山崎昇君 では停職期間が切れるまでの間にあなたのほうは処分するかどうかについて考えるということですね。それではまたあとで聞きます。  それと関連してもう一点聞いておきますが、自衛隊法の施行令の五十八条によると、休職処分をした場合の復職についての規定があります。ところが定員に欠員がない場合には復職させないことができる。この場合五十七条に、三年以内においては休職期間には算入しない、こういう施行令がある。これは国会に来て初めてこういう規定を見るわけですが、そうすると、休職処分にしておるが、休職処分の期間が切れる、定員がない、そこでこの隊員は一体どういう処分になっておるのですか、その後は。休職処分の期間に算入をしないというんだから、定員がオーバーしなくなるまでの間は一体休職中なのか、休職でないのか、定員外なのか。この施行令の五十八条がどうも私にはわからないので、聞いておきたいと思う。
  76. 麻生茂

    説明員麻生茂君) われわれのほうは定員には必ず欠員がありますから、実際の運用上においては問題を生ずることはないと思っております。
  77. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は規定があるから規定について聞いておるのです。確かに事実問題はそういうことはあるでしょう。しかし、この五十八条はどういうふうに解釈されるのですか。幾ら読んでもわからない。私も人事行政は二十年やったけれども、こういうのはわからない。教えてくださいよ。
  78. 麻生茂

    説明員麻生茂君) ただいまの趣旨は休職——欠員が生ずるまでの間は休職にしておくと、こういうことだろうと思います。復職させないということですから、休職のまま、そのまま維持していくと……。
  79. 山崎昇

    ○山崎昇君 その場限りのあなた解釈しないでくださいよ。よくこの文章読んでください。この場合第五十七条の三年以内の休職期間に算入しないというんですよ。だから休職期間切れるわけでしょう。切れるんだけれども、欠員がないから復職させられない、しかし休職期間には入れないと、こういうんだ。じゃあ、この人は休職中ですか。ですから私はわからないんだ。だから一体どういう給与が払われるかも、そのあたりに関連してくる。
  80. 麻生茂

    説明員麻生茂君) やはりそれは休職として見ておる、休職として続いておると、こういうことでございます。
  81. 山崎昇

    ○山崎昇君 休職として。そうすると、その場合はあれですか、重ねて聞いておきますが、休職費をそのまま続けて払っていくということですね。
  82. 麻生茂

    説明員麻生茂君) そのとおりでございます。
  83. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると休職中の者は、これは定員外ですか。
  84. 麻生茂

    説明員麻生茂君) これは定員外でございます。
  85. 山崎昇

    ○山崎昇君 外。これはあらためてまた聞きますが、きょうはやめます、時間がないから。
  86. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間がありませんので、簡単に申し上げますので、簡潔に答弁をお願いしたいと思います。  さきの国会で長官は、自衛隊の治安出動の教範はないと、自衛隊の治安出動の教範はないと、そういうふうなことを言っておりましたけれども、先般の国会が終わりまして、すぐ治安出動についてのその行動基準ともなるような部隊長の心得というようなものをまとめるように指示をしたと私は聞いておりますけれども、事実かどうかお伺いしたいと思うんです。
  87. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 自衛隊法の七十八条に基づいて所定の場合に自衛隊は治安出動をいたします。治安出動をいたすのは所定の場合でございます。つまり自衛隊法七十八条に所定の条件が整った場合には治安出動いたします。  そこで、ここで誤解されてならぬことは、と言うのは、これは一般国民皆さま自衛隊員に申し上げるわけでございますけれども、治安出動に備えて訓練を励行するということはいたさなくてはならぬわけでございます。これは各部隊等において私は明確にいたしておりまするが、防衛出動に備えて訓練をするばかりが自衛隊任務ではない。治安出動に備えて、あるいは災害派遣に備え、あるいは海上における警備行動に備え、各種の暴動に備えてそれぞれの訓練は励行しなくてはならないということを、この際峯山さんの御質問に付帯いたしましてお答えいたします。  それから、さきの国会におきまして、一般隊員まで共通する教範はつくらないということを言ったのはそのとおりでございます。ただ、私自身が教範を作成すべきかいなかということをその後研究中でございます。それから治安出動をする場合には武器を使用するという場合もあるわけでございまして、その武器の使用というものは指揮者の命令によるということが書いてございます。そこで指揮者は治安出動に際しての心得が必要でございまして、その心得は私も検討するけれども、人事教育局長、その他幕僚監部等においても研究しろということで命令、指示してあることは事実でございます。
  88. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 さきの国会で教範はつくらない、それにかわるものを、さきの国会が終わってすぐに部隊長の心得を、かわるものとしてつくるように指示した、そのようにとってよろしいですね。
  89. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) はい。
  90. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それで、実はその部隊長の心得でありますけれども、新聞の報道するところによりますと、七月ころまでに作成する、そういうようなことを聞いておりますけれども、現在、できておるかどうか、またどの程度進んでおるかどうか、そういうことについてお伺いたします。
  91. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 旧軍のことを言うのは、ほんとうは自衛隊にとってよくないことでございますけれども、御参考に申し上げまするが、明治以来今日まで治安出動することは、旧軍時代にございましたので、自衛隊法七十八条が規定してございますが、教範というのはない。一般隊員の教範というのは治安出動に関してはございません。たとえば昔のことはちょっと例としてはよくないのでございまするが、戒厳令等の場合に出兵をすることがございます。その場合の教範はございません。地方長官の要請あるいは内務大臣の要請により出兵をすることがございます。国内治安の維持のために出兵することがございますが、その場合でも旧軍時代は教範がございせん。  旧軍と自衛隊は性質が違いまして、必ずしも例にならないわけでございますが、自衛隊になりまして七十八条、治安出動の規定がございまするが、これに対する訓練はしておく。これは衆議院において私が、非常に治安出動をする対象というものは、そのケース、ケースが多種多様であるということは、与野党の諸君いずれも認めておるわけでございまして、大は間接侵略から小は——と申しましても、七十八条によって出動する場合の小でございますが、そういう場合まであります。でございまするから、これに共通する最大公約数としての教範ということはあり得ないということをいまもって私は考えております。  それから自衛隊法は昭和二十九年にできたわけでございまするが、旧安保条約には内乱条項というものがございまして、一国もしくは数国の思想干渉に基づく内乱、暴動、騒擾等でもって、政府の明瞭なる要請があれば、米国の軍隊は出動する、これはいわゆる治安出動でございます。そういう条項は新安保条約によって削除されております。しかしながら、間接侵略というようなものは旧安保条約には明瞭に規定されてございまして、米軍すら出動するといったような大規模なものもありまして、現象的には直接侵略と何ら異ならないというものもあり得ると私は思います。たとえば飛行機のしるしを消して日本に侵入してくるというような場合は、これはそういう場合もありとすれば、間接侵略でございます。その場合にやはり直接侵略に対処するような方法の教範が要るのではないか、少なくとも心得が要るのではないかと私は考えております。  自衛隊法におきましては七十六条に直接侵略のことを書いてあるだけでございまして、今度は、自衛隊法は昭和二十九年にできたのでございますが、第一回の安保条約においては、米軍は間接侵略の場合といえども出動することがあると書いてあるにもかかわらず、自衛隊法七十八条には、間接侵略並びに警察力をもってしては維持することが困難であるという事象に対しては、内閣総理大臣自衛隊の出動を命ずることができる、いわば、十ぱ一からげに書いてあるわけでございまして、侵略戦争類似の間接侵略と、それから国内の外国の思想もしくは干渉に基づかざるものであって、大規模でないものというようなものを一緒くたにして七十八条を書いてあることは、これは立法論上問題ではないか。  私が教範を研究する、教範というものは一体あったほうがいいか、ないほうがいいかということを、ただいまのところ私は教範をつくる意思はございませんということを前国会で申し上げたことは事実でございます。しかし、これはやっぱり真剣に私は検討しなくてはなりませんから、検討の過程において、立法論上も問題が出てきたということでございます。間接侵略等の場合は、多くは、いま二百二十の直接侵略に対処する教範がございまするが、その教範を準用するといったような形でなければ治安は維持できないのではないかという印象を、私が勉強した結果持っております。それから、間接侵略以外の内乱、暴動、騒擾等の場合は、一般警察力が不足の場合にこれを補う意味において出動する、それはそういう場合もございましょう。それに対する規範というものか、心得というものは、いまのところ、国家公安委員長防衛庁長官との協定がございます。それから、赤城宗徳さんが防衛庁長官のときに、昭和三十五年に出しました、治安出動に対する治安出動時における訓令というものがございます。この訓令にのっとってあらゆる現象に対処するというわけでございまするが、この協定なり訓令もカバーできないようなこともある。すなわち、警察との協定によるというと、治安出動してももっぱら警察の後拠を支援をするということが書いてございまするが、これが間接侵略をも含むものとすれば、これは非常に事態をよくわきまえていない協定ではないか。警察の機動隊が間接侵略にもっぱら対処していく。それから後拠支援として自衛隊が補給的の活動をするというようなことは、間接侵略に対してはおもしろくない。私は、国内治安の維持、また、日本を含む世界全体の平和と安全を保持するたてまえから、警察力の後拠支援をもっぱらするというような約束は、事態によってはそういう約束にならない場合もある。事態は非常に、野党の諸君もおっしゃっておりまするが、複雑多岐である、また、事柄が非常に違うのであるということでございまして、勉強すればするほど、間接侵略に対しましては、間接侵略並びに国内における間接侵略でない、警察力をもってしては不足な場合に対処するものを、十ぱ一束にして教範というものをつくることはよくないという印象を持っておるわけでございます。そこで心得というものをいま研究しておりまするが、特に峯山さんに対するお答えになりまするが、七月中にはまだできておりません。まだ勉強中でございます。
  92. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間がありませんので、次の質問に入ります。  去る六月六日ですが、長官は対馬の自衛隊基地で、天皇は国家の機関である、このように発言しておりますが、これは事実でしょうか。
  93. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は旧帝国憲法のときに天皇機関説を持っておったから、民主憲法を受け入れ、理解し、体得する上においても、そう困難は感じなかった、こう言っただけでございます。
  94. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 記者会見の席上での、ちょっと載っておりますが、私は昔から天皇は国家の機関説をとっておる、新憲法では天皇は国家の象徴となっているが、私は国家の元首としたほうがよいと思っていると、こういうぐあいに載っておりますが、このとおりですか。
  95. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) それは全然逆でございます。新憲法において第一条から第八条まで天皇のことが規定してある、いわゆる象徴天皇制であります。これを無視するような者があるけれども、これは憲法違反だと思う。こう言っただけでございます。元首云々ということよりも、象徴天皇制がよろしいということを積極的に言ったわけでございまして、元首云々ということを言っている人もあるがというのを理解しがたかったマスコミの諸君が、そういうふうに報道をしたものでございまして、元首云々に対しましては私は反対であるということを積極的に言ったわけでございます。象徴天皇制がよろしいのである。しかしながら、憲法一条から八条まで規定してある象徴天皇制をすら無視する者があるが、これは遺憾にたえない。やっぱり主権在民のもとにおいても象徴天皇制は存在しておるのであるから、これを認めないという人々は困るということをはっきりと申しております。
  96. 多田省吾

    ○多田省吾君 関連。この前の倉石発言のときもそうですけれども、ちょっと都合が悪くなると、尾ひれがついたとか、そんなことは言わなかった、そういう弁解をするのがはやっているようですが、ほんとうに私は遺憾に思います。  この新聞記事を見ますと、天皇制はいまも歴然としており、天皇の大御宝として国民に信頼される隊員になってほしいということを訓辞の中でおっしゃっておるそうですが、天皇の大御宝として国民に信頼される隊員になってほしい、こういったことはおっしゃったのですか。
  97. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 多田さんにお答えいたしますが、私は別に弁解しておりません。正当に報道されないことが遺憾でございます。私は弁解をしたり、前言をひるがえしたりしていないのでございまして、そういうことを遺憾だというふうにおっしゃられることは、私は遺憾でございます。私が最も遺憾とするのは、報道機関が私の発言を正当に報道しないことが遺憾でございます。そしてまた、日本が現在の憲法のもとにおいて、第一条から第八条まで天皇の規定があるにもかかわらず、第九条から憲法は読めばいいだなんという人がおって、その人が平和憲法の擁護者なんということを平気で言っておられる人があります、私はそういう方に対して遺憾の意を表します。それだけでございます。
  98. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま私がお尋ねした、天皇の大御宝として国民に信頼される隊員になってほしい、こういう記事がございますが、こういうことをおっしゃったかどうかということをお尋ねしたい。
  99. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 言っておりません。
  100. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうならば、ほんとうに私たちが相当信頼している新聞が根も葉もないことをずいぶん書いたということになりますけれども、私はその席上におりませんでしたからこれ以上申しませんけれども、この前の予算委員会でも、はっきり本に載っている対談で、私は、こういうことをおっしゃったか、そういうことは言っていない、いつも防衛庁長官からの返事は、全部マスコミや新聞記者の方々の誤報であるということを強調されますので、もう私もこれからは長官発言に対しては、もっと私も積極的に監視したいと、こう思っておる次第ですが、この問題はおきまして……。
  101. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 簡単に願いたいのです、時間がありませんので。
  102. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほど山崎さんからもお話がありましたけれども、陸上自衛隊少年工科学校生徒訓練について、長官から釈明がありましたが、私も長官が何ら責任をとられていないということに対して、大きな公憤を覚えるわけです。私も過去に十四歳のときに兵学校にいった体験がありますが、このような少年工科学校の方々はまだ若い純真な青年です。これがこういった人命を失うような事故を起こしたということは、はなはだ残念です。それに対して校長の減俸あるいは教官田村一尉の停職四十日とか、いろいろ不本意ながらとおっしゃって処分をしておられますけれども、長官自身は何ら責任をとっていない。一応総理大臣に対して進退届けを出されたようですが、そのあともそのままになっておる。前にも上林山防衛庁長官のときにも、官費でお国入りをしたことでだいぶ国民の憤激を買いましたけれども、そのときも責任をとらない。代々の防衛庁長官があんなふうに部下の責任ばかり追及して、そして一番大事な防衛庁長官としての責任をとらないということは、私たちとしてほんとうに憤慨にたえない次第です。  で、東京都知事は美濃部さんですか、部下の汚職に対しても自分は責任をとって自分減給処分にしております。何もそれにならえというわけじゃありませんけれども、長官としてどう思っていらっしゃるのか、お答え願いたい。  それからもう一つは、これに関連しまして、まあ先ほど大御宝としてというふうなことをおっしゃっていないと言われましたけれども、私はどうもいま自衛隊の中にそういった過去の悪い精神主義あるいは天皇の子供として死を鴻毛の軽きに置くというような、人命を尊重しないような態度があるんじゃないかと、このように思う次第でありますが、そういう教育上の指導方針が私たちは誤っているんじゃないか。もう少し国民に信頼される、そして人命を尊重するような態度でいかなければならないんじゃないかと、こう思う次第ですが、この二点について簡明にお答え願いたい。
  103. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 第一点の大御宝としてでございますが、万葉の昔にきょうよりはかえりみなくて云々というようなことを私が言いまして、醜の御楯に立つわれらはと、そういう時代でも、天皇におかれては国民を大御宝として尊重されておった、民主的であったということを言ったわけでございます。いわんや民主憲法のもとにおいて、国民皆さまをお守りする自衛隊は、国民皆さまの同意と協力を得て愛される自衛隊になりなされと、こういう訓示をしたわけでございまして、ここまで聞かれるとわかるわけでございます。多田さんもおわかりだと思います。  それから山崎さんに対する私の答弁でもおわかりのとおり、私は私一身が責任をとるのが、一番何も言わずに、ただ申しわけないという一語に尽きるということで、進退伺いではございません、辞表を提出いたしました。再三総理にも、固執いたしましたが、積極的に責任をとれということで辞表が下げ渡されたことは、私が非常に遺憾とするところでございまするが、減俸よりも何よりも私自身非常にわれとみずからを反省しとがめておることは、山崎さんにお答えしたとおりでございます。
  104. 多田省吾

    ○多田省吾君 次の第二点、教育方針に誤りがあるんじゃないかという質問。
  105. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 多田さんにお答えいたしますが、当時精神主義であって、人命軽視ではないかというような御批判が新聞等にも出ておりましたが、人命尊重ということにつきましては、支笏湖の事件がございましたときに、特に訓令を幕僚長を通じて出したわけでございまして、安全管理ということばを自衛隊は使っております。安全管理のもとにおいて訓練に励むようと、こういうことを末端まで達しておるはずでございまするが、達しておりませんでしたことは、監督者として私は非常に自責の念にたえない次第でございますが、精神主義とか人命軽視の主義でないことは明瞭でございます。
  106. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 峯山さん、はなはだ御無礼ですけれども、岩間さんが残っているし、時間が約束の時間でございますので、適当によろしくお願いします。
  107. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 FXの問題ですが、九機種から三機種になった、しぼったと聞いておりますが、この三機種の内容について簡単にお願いしたいと思います。
  108. 宍戸基男

    説明員宍戸基男君) 三機種にしぼりました内容と申せられますのは、しぼりました基準という意味でございましょうか。もしそれでございましたら、次のような考え方でございます。  総合的に迎撃として現在のF104よりもすぐれているということ、それから全天候迎撃の能力を有すること、それから現在生産中のものは将来も引き続き生産を継続するものであることと、現在開発または開発予定にあるものは、所要の時期までにわが国において生産し得るものである、わが国に対して提供される可能性のあるものであるというふうな基準でしぼりまして、御承知だと思いますが、アメリカのCL1010という機種、それからF4Cという機種、それからフランスのミラージュF1という三つの機種を残して選考の対象機種にしている段階でございます。
  109. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いろいろありますけれども、最終的には結局一機にしぼられると思いますが、一機当たりの値段と、それから必要機数、それから総予算のかね合いで最終的な機種がきめられると思いますが、それだけに政治の介入する余地がある。また業界には早くも黒いうわさがいろいろ流れている。そういうふうに聞いておりますけれども、これに関して長官の心がまえを聞きたいと思います。
  110. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 峯山さんにお答えいたします。  私はFXと言わず、一般武器産業につきまして、一銭一厘の不正があっても許さないという気持ちで臨んでおります。私自身が防衛産業の人々に直接には公私ともに会うということはいたしておりません、私はあまりこまかいことを知らないわけでございますから。それから経団連の防衛生産委員会というところには、お茶の会等があります場合には私が出てまいりまして、武器産業等に一銭一厘の不正があっても国民の憤激を買うたいへんな問題になるから、御如才ないと思いますが、正確にりっぱな武器を競争的共存という原則のもとにやってほしいという訓辞をきびしくやっているわけです。訓辞と申しては、あるいは社会的地位の関係で相手方が相当偉い人がおりますが、防衛庁長官という立場においてきびしく訓辞をいたしているようなわけでありまして、私の部下もそういうような意味合いから、FXなり、あらゆる武器の製造について厳重にきびしい態度をもって臨んでいる、こう考えている次第でございます。
  111. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 最後にまとめて申し上げます。  ナイキハーキュリーズを千歳、長沼に配置する計画があると聞いておりますが、これは事実かどうか。もし事実であるとするならば、なぜ北海道の中央部にこのように配置するようになったのか、また、核弾頭がつかないように改修する、こういうように聞いておりますが、核弾頭がつかなくて、ほんとうにナイキの力が発揮できるのか、この三点をお伺いしたいと思います。
  112. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私どもが非核三原則をとっているというのは、戦術的核兵器といえどもこれを使えば、連鎖反応を起こして世界が壊滅状態になる。こう考えておりますから、ナイキハーキュリーズは核、非核両用でございますが、わが国においてライセンス生産をするときには、発射装置からレーダー装置から、それからミサイル自身も非核というナイキをつくるわけでございます。  それから北海道の長沼あるいは千歳付近にこれを設置せんとするということは事実でございまするが、これは防衛の見地から見て必要と認めたからでございます。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないようでありますから簡単に二、三の点を質問いたします。  第一の問題は、少年工科学校生徒の溺死の問題ですが、これについての報告書を見たのですが、非常にこれは通り一ぺんのものです。問題の本質を掘り下げていない。こういうことで問題を解決していくから、支笏湖の問題が起こっても、訓示を出してちょんになっている、下部には何にも徹底していない。そうしてまた、こういうことは拡大再生産をされている。私はこれは非常に重大な問題だと思います。ことに本年の参議院選挙の直前に起こった問題ですね。「みずくかばね」ということばがある。この「みずくかばね」の再生産なんです、文字どおり。そうでしょう。十三人のみずくかばねを出したでしょう。そしてこの背景というものは、非常に私は大きいと思うんです。  そういう点からお伺いするんですが、一体どんな現在訓練をやっているんですか、少年自衛隊を含め、自衛隊訓練ですね。ここが非常に大きな問題だと思うんですが、この訓練の内容について、これは資料を要求して、二、三の観点からお聞きしておきます。  第一に、最近非常に訓練が強化されている。これは事実ですね。そうして今度の問題が起こっても、田村一尉は善意でやったので、ほかではもっと激しい訓練をしているんだ、こういうことを自衛隊のこれは一部の幹部が漏らしています。また、あぶないことはやらないほうがいいとしり込みをするようになっては本物の教育はできない、これも某幹部がそういうことを漏らしている。あるいは、限度ぎりぎりの訓練こそ最高の訓練だ、こういう考えが実際あるでしょう、自衛隊の中に。私はこういうふうな考え方こそが今度のような問題を生んだ最大の原因だと思うのですが、まずこの点で長官はどう考えておられるか、見解をお伺いしたい。これは簡単にやってくださいよ。
  114. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 岩間さんにお答えします。  生命尊重ということでないと、自衛隊国民の生命を保護するなんて大きいことは言えないと私は考えておりまするし、総理大臣に御注意を受けた点もその点でございます。でございまするから、あくまで生命を尊重いたして自衛隊訓練しておるわけでございます。ただ、何か伝えられたところにおいて、幹部の間において、あぶない訓練はやらないほうがいいとか、あるいはこれからもどしどしやるんだとかいうことばは、いずれもこれは妥当でないのでありまして、われわれは、訓練は励行しなくては、国民から信頼される自衛隊になれないと思っております。ただ、訓練をする場合等においては、多く幹部等が、昔のことばでいえば将校でありますが、幹部等が実地に、たとえば山岳訓練なら山岳訓練をやってみて、あるいは堀なら堀を渡ってみて、武器なら武器をしょい込んで渡ってみて、そうしてその次にやらせると、こういうようなことでないと、少年等に対しては——少年でなくても、自衛隊員というのは平均年齢二十三歳ですから、やはりそういう点で注意が欠けておったということで、懲罰にも付したわけでございます。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはあなたたちの訓練の準拠にしているものがあるわけですね。これを出してもらいたいんですよ、資料としてね。そうすればはっきりするので、この資料をやはり明確にしない限り話になりませんよ。陸上幕僚監部発行の「各個の戦闘訓練」というのが出ているでしょう、二百ページばかりの。これをひとつ資料として要求します。それから昭和四十一年度の秋の発行の「使命教育篇」、これはA五版で三冊の教典になっているはずですが、こういうものを出してもらいたい。こういう資料を具体的に見なければ話にならぬのです。  そういう一つの準拠からこういう問題が起こってきているのでね、それは行き過ぎもあるでしょう。しかし、行き過ぎを起こすようなそういう基礎があるんですよ、最近のこの訓練の。だからこの資料を出してもらいたい。
  116. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 秘でないものは提出いたします。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、まあ秘とか何とかと言っていますが、これは秘でないんですか。どうなんです、いまのやつは。あなたは知っているでしょう。
  118. 麻生茂

    説明員麻生茂君) 私はまだ人事教育局長になりまして日が浅いものですから、教範の個々の点までまだ見ておりません。したがって私口を通した上で秘であるかどうか判断いたしまして、秘でなければ提出申し上げます。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここは国会論議だからね、こういう事故に対する根本的なメスを入れるかどうかという論議をやっているそのとき、あなた方の判断で秘だとか秘でないとかいうことで、そういう国会の要求に対していつでも出ない。私はこの前の治安行動草案のときに六つの資料を要求した。ところが、これに対しても出さない、提出しないのです。理由はない。不明朗です。一つしかもらっていないのです。これは三十五年の赤城さんの出した訓令しかもらっていない。そのほかの五つはあなた方黙殺している、こういうことではだめです。論議はできません。具体的なものを出さないから論議がから回りするのです。これ出してください。これ確認しておきたいと思いますが、どうですか。いまのくらいはできている。ちゃんと持っている人は何ぼでもいるのです。出してください。
  120. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 岩間さんのおっしゃったことばを、こちらも速記にはなかなかとれませんけれども、おっしゃったおことばのうちで、すでに教範として出版しているものがございます。そういうものはもちろん提出いたします。でございますから、別段秘密でもなんでもございませんものは提出いたします。それからこれは別段、内容は戦闘訓練等は秘にする必要もないと思いまするから、ただ案のうちはまだ案でございますから出せないということはございます。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 これをもらってこの中身を明確にすればいいわけですが、これはその一部分が報道されているのを見てもたいしたことですな、ここにも写真の写しがありますけれども、これはたいへんなことです。この訓練の仕方というのはね。もう全く戦闘訓練の中でのやり方、それから最近はヘリコプター訓練、それから山岳訓練、それからこういうものに加えて渡河訓練が非常に強化されているわけでしょう。そういう最近の傾向の中に、さらには三次防ではっきり訓練の強化をうたっている条項があると思うのですが、これはどうですか。これは大臣、御存じと思いますが、三次防の中ではっきりうたっているでしょう、訓練のやり方で、最近特にその点を留意している。
  122. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 三次防は、昭和三十二年に閣議決定いたしました国防に関する基本方針を演繹したものでございまして、本質の変化は——文章は多少いろいろな文章変えてございますが、本質的には変わっていないのでございます。そこで訓練について具体的に変わったものは、私はまだ政府委員から聞いておりませんからないと思います。ただ、訓練の正確、精度を期するとかいうようなことばはございましょうが、それ以上のものはない。こうやってむちゃなことをやれとか、ああやってむちゃなことをやれという、そういうことはございません。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこ読んでください。読んでくれればわかります。
  124. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 三次防の文章、これは基本的には昭和三十二年度の国防に関する基本方針を演繹したものでございまして、文章はいろいろ変わっておりまするが、本質的には変わっておりません。そこで、教育訓練については、教育訓練体制を充実する、これだけのことが書いてございます。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうふうに言っているが、もう少し詳細にうしろのほうも補助しなさいよ。こんなかっこうで答弁をはぐらかしてはいけません。「精強な部隊の練成のため愛国心を基調として使命の自覚を徹底させ、いかなる条件下においても一意任務達成にまい進しうる堅確な志操と徳操を確立し、強じんな精神力をかん養することを重視して精神教育の実施に努力する」、(「あたりまえだ」と呼ぶ者あり)こういう精神でやっているでしょう。いかなる条件下においても愛国心を基調として、これは内容については具体的に論議する時間がないから、きょうはやらぬけれども、あたりまえだというところにこれは問題がある。あたりまえじゃない。ここから起こってきている。こういう問題、冷静に論議すればいいのだ。こういうところがある。愛国心のさっきの話もそうだ。天皇の大御宝、こういう問題。  それから、いかなる条件下においても……、(「これは日本の国会だから」と呼ぶ者あり)そうエキサイトしなさぬな、冷静にやる。あたりまえだとあなた感じるならそれをやればいいのであって、私はこういうような最近のこと、いわば自衛隊訓練強化、それから愛国心の名によるところの、再び青少年たちを大きくこの体制の中に持っていっている。ここで議論しませんが、その背景に膨大なものがある。それで三次防でしょう。ことに最近の日米共同声明あたりからこういうものが強化されている。これは偶然じゃないですよ。
  126. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 岩間さん、質問お済みですか。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 いや、済みません。そこで、これは資料の要求と、それから時間的に非常に十分やる時間ありませんから、私のほうも協力して、最後に聞いておきたいのは、この少年自衛隊犠牲者に対してどういう処置をとったんですか。具体的にどういう処置をとった。それから、これについて処置がありますが、金額を明確にしてください、金額を。
  128. 麻生茂

    説明員麻生茂君) 先ほど長官から御説明いたしましたように、殉職者に対しましては二階級の特進を行ないまして、いずれも三等陸曹になったわけでございます。それから、勲八等瑞宝章が給されております。  また殉職者に対する補償につきましては、遺族補償一時金として九十八万三千円、それから葬祭補償として五万八千九百八十円の合計百四万一千九百八十円のほか、退職手当十万七千五百五十円、賞恤金百二十万円、合計二百三十四万九千五百三十円が国から支給されております。そのほか防衛弘済会の弔慰金四十五万円、それから隊友会見舞金六千円、それから私どもがやっております団体生命保険百五十万円、以上のものを総合計いたしますと、四百三十万五千五百三十円が支給されております。こういうことになっております。なお、さらに何らかの措置ができないかということで考慮いたしております。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうですか、こういうぐらいの補償でこの問題は一体気が済むと思いますか。問題の事態を解決するにはならぬと思いますから、ことにこの問題については、国家賠償法の問題が私はこれは当然提起されるべきだと思う。はっきりこれは認めているでしょう。自衛隊自分の非からこういうことが起こったということは認めますね。そうして公務中ですね。これは国家賠償法の適用が可能だというふうに考えますが、どうですか。これは長官、どう思いますか、即答できませんか。
  130. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 厳密に言えば岩間さんのようなことが言えるかもしれませんが、私どもは精神的、道徳的にできるだけのことをしておりまするし、これからも何らかの措置をしようとしていま配慮中でございますことは、局長がお答え申し上げたとおりでございます。これをもって足れりとしては考えておりません。そこで自衛隊員を出した家族等が、今度は法の関係でいろいろなことをなさるということは、自衛隊の将来にとりましてもいかがかと思いまするし、私どもは、これから後もベストを尽くすという立場で臨んでおることを申し上げておきます。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 人命尊重とかなんとか言っていたって、結局ジェット機は一台五億も、ものによってはこれはもっと多いでしょう。それは交通事故だって今日は一千万円くらい、これは普通でしょう。こういう中でいまのような金でもってここのところをまかなっていくというところに、人命尊重も何もないという実態が明らかなんです。これは再び起こらないという保障はないのだ。  きょうは時間の関係からこの詳細の立論はやめますけれども、それは資料をもらってからやりますけれども、こういう点については、はなはだ不十分ですよ。口ではそう言っても、しかし、たいへんな犠牲が起こってくるのだ。そしてそういうような犠牲の上にこの自衛隊訓練というものは重ねられていく。そしてその自衛隊そのものについての性格はどうか。三矢作戦との関連、ブルラン作戦との関連、第二次朝鮮戦争の一つの計画、そういう中での韓国への指導、そういう事態というようなものともこれはあわせ考えなければならない問題ですから、きょうはこの問題についてはやめますけれども、いまの資料をもらって詳細やります。  もう一つ最後に、少年自衛官の問題について次の資料を要求します。人数、それから部隊の規模、資格、給与、出身階層、それから出身地を特に明細にしてもらいたい。これは人数が県別にわかるでしょう。  それからもう一つは、事故調査委員会がつくられたのですが、これはどういう組織で、何日にわたってどのような調査をしたか。こういう結論を出されておるのですが、きわめてやはり私たちはこれは十分だと認めることはできない。なぜこういうことを私は追及しているかと言うと、いま申しましたように草むすかばねの現代版が始まっている。この背景は非常に深いと言わなければならない。愛国心の名によって、再びしかも青少年たちを大きく、これは自衛の名により、自主防衛とかなんとかという名前でさらに新しい核戦略体制の中に全面的に巻き込んでいく。そういう体制のもとでこの問題が提起されておる。  だからはっきりしているでしょう。沖繩の核基地の維持と、それから安保体制の堅持。安保体制の堅持には三つのはっきりした目標がある。それは何よりも日本列島の四つの島のこれは戦略的な地位でしょう。第二は日本の工業力でしょう。世界の第二位にのし上がろうとする工業力。第三は人的資源、この問題はこれは非常に大きく出てきます。少年自衛隊の問題というものは全くこれはこの問題と裏表を合わせるような、符節を合わせるような課題だ。そういう中でこの訓練が強化されている。そして新たにみずくかばねが十三体もつくられたという、これは悲惨な現実が目の前に出ているのですから、これは簡単にできない問題ですよ。  私はこのことをもっと時間をとって詳細にやりたいと思います。きょうは一時半までということですからこれでやめますが、いまの資料いいですね。さっきの二つの資料と、それからその資料を提出していただきたい。
  132. 麻生茂

    説明員麻生茂君) できるだけ提出いたします。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 これでいいです。
  134. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件につきましては、本日はこの程度といたします。  午前はこの程度とし、午後二時三十分再開いたします。  休憩いたします。    午後一時二十九分休憩      —————・—————    午後二時四十四分開会
  135. 井川伊平

    委員長井川伊平君) これより内閣委員会を再開いたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち国家公務員給与に関する件を議題といたします。  関係当局からの御出席は、田中総理府総務長官佐藤人事院総裁、尾崎人事院給与局長、島職員局長、栗山総理府人事局長、以上の方々でございます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  136. 山崎昇

    ○山崎昇君 たいへん午後で一番暑い時間でもありますし、また内々人事院総裁からも近く勧告を出す作業等もあって多忙だという話も聞いておりましたので、ごく簡潔に二、三点きょう聞きたいと思います。すでに衆議院の内閣委員会でもかなり詳細な議論がなされておりますから、なるべく重複を避けたいと思いますが、一、二重複するかもしれません。  第一に聞きたいのは、新聞等々では、十五日か十六日ごろ勧告されるのではないだろうか、こういう内々の報道があったり、うわさがあったりするわけですが、私ども国会議員の立場から言えば、それが正しいともうそだとも言えない。こうなんで、もちろん何日に勧告しますということをこの場ですぐお答えできないかもしれぬけれども、ほぼ大体作業の過程からいって何日ごろには勧告を出せるなら出せると思うんだ、その点をまずお聞きしたい。
  137. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 大体作業の進捗状況は、例年程度のスピードで幸いにしていっております。あるいはしいて言えばちょっとおくれぎみという面もありますが、まあ大体従来どおりの進捗であります。去年が十五日勧告であります。まあその辺のところが一応作業上のめどになっていることは事実でございます。しかし、まあ暑いさなかでございますから、おくれているのを無理やりしりっぺたをたたいて職員の方にやってもらうわけにはまいりませんし、といってあまりおくれてもいけないし、あまり無理をしない程度で着実に作業を進めておる。したがって、十五日あたりをめどにしておる。まあ結果はわかりませんけれども、その程度のことを申し上げてよろしいと思います。
  138. 山崎昇

    ○山崎昇君 もちろんあまり明確に言えないと思いますが、去年と同じ進捗状況であるとするならば、いま総裁の言うように、十五日ごろがそうだろう、おくれても一日前後だろう、こう私は聞いておきたいと思うのであります。  そこで、勧告の内容は、勧告を出してからでなければ私どもまだ議論するわけにはいかないし、また総裁がここで詳細に内容を発表する前に言えないと思いますが、ただどういう点を柱にして人事院では作業をしているのか、あるいは去年の勧告とどういう点について違いがあって、あるいはどういう点がことしの特徴になっているのか、できるだけの範囲でけっこうですが、おおよそのところをお聞かせいただきたい。
  139. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 柱というほど大げさなことではありませんけれども、ただいま私たちの念頭にありますことは、これは毎度のことではありますが、初任給というのは常々われわれ注目してこれに関心を持って臨んでいるわけであります。とにかく初任給いかんによっては人材が全部民間に流れてしまう、公務員に来てくれ手がないということになりますと、大きな問題になります。したがって、われわれ民間の調査をした場合の初任給は、絶対に公務員の場合にも保障せぬければならぬ。これは昨今新聞等でも民間の初任給はたいへんな上がりだということを言っておりますが、われわれの調査結果にそういう実態が反映するかどうかわからないが、少なくともわれわれの調査した民間水準は確保しなければたいへんなことになるという気持ちで、これに重点を置いているということを申し上げていいと思います。  それから去年と違う点は、御承知のように、ことしの四月ですか、国鉄の定期の大幅な値上げがございまして、その関係が何らか影響があるのじゃないか。したがいまして、ことしの民間調査の場合においては、民間の通勤手当について調査をいたしております。その結果も勘案して、これはやはり適切な処置をとらねばなるまいというようなことが、そうたいして大きな柱ではないと思いますけれども、一つのわれわれの注目しておる点であると申し上げてよろしいかと思います。
  140. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、たとえば公務員共闘の諸君からいろいろ要望意見が出されておる。あるいはまた、この委員会でも私どもからかなりいろんな点について指摘をしておる。これはすぐ勧告するとは総裁も言われなかったが、検討さしてもらいたいという事項もかなりあるのですね。そういう事項は一体どうなんですか。たとえば私から、扶養手当なんぞというのは、これは何も民間にあって公務員に支給しているものじゃない。そもそもの出発からいえば、公務員に支給して、それが民間に波及していっておる。さらに、それが第二子以下の逓減法則とっているんだが、その理由もまたない。そういう点から、扶養手当等についても再検討すべきではないかという、一例を言えば、そういう私のほうからもかなり提言しているのですが、そういう点については今度の勧告でどのように議論されているのか、それは勧告するとかしないとかは言えぬでしょうが、内部でそういう点は議論されたのか、少し明らかにしてほしいと思うのですがね。
  141. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この場にあらわれましたかねての御議論は、十分われわれ身にしみて拝聴しております。それからまた、先ほどおことばの中で、公務員関係職員団体の方々の要望も一々十分に承っておるわけでございます。したがいまして、われわれは常にそれらをも勘案し、あるいは念頭に置きながら作業に臨むわけであります。御承知のように、配分の問題もあります。あるいはまた、扶養手当の関係で言えば、やっぱり民間の要素など念頭に置かなければならないというようなこともあります。かねての御要望などは十分頭に置きながら、その間において妥当、適正なところというのがわれわれの苦労の中心点であると申し上げてよろしいと思います。
  142. 山崎昇

    ○山崎昇君 議論の中心点はいいんですが、ある程度そういうものはやはり考慮されるというふうに私ども理解したいと思うのですが、いいですか。そうでないと、たいへん参考になりましたとか、それからけっこうな御意見でございましたなんということにはなっておるけれども、それが人事院を通してある程度実を結んでこなければ、委員会の論議はから回りしてくるわけですね。ですから、私は、今度の勧告で何でもかんでも言うこと全部勧告にしてくれ、そう言っているわけじゃありませんが、少なくとも矛盾点だと一番指摘するような点は真剣にやってもらわないと困るということ。それから住宅手当についても、民間にあまりないから、これも何か見送るんだという話も聞いているが、しかしこれも公務員の実態からいえばたいへんな状態である。あるいはこの間の消費者連盟かなんかの調査を見ても、間借りしている者はたいへんな状態である。特に東京の勤務者については、住宅の問題というのは深刻な問題になっておるわけです。そういう点がどういうふうに議論されているかわかりませんが、ここで一々総裁から、どうします、こうしますという答弁はできないだろうと思うが、いずれにしてもそういう点はかなりな比重を置いて討議をされている、こう私ども思うんですが、いいですか。
  143. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 各方面からの御要望というのは、実は山ほどあるわけでございます。これが全部かなえられるということは、これは物理的に考えてもおそらく不可能と申し上げてよろしいと思います。したがって、それらの御要望を一々胸の中に体しながら、そして総合勘案を加えて適正な勧告に持っていきたいというのが基本的態度で、非常にそこに大きな苦労があるということを先ほど申し上げたわけであります。したがいまして、その結果が勧告になって、こちらへも御提出申し上げるわけであります。また、その節は、これはどうした、あれはどうした、これが抜けているじゃないかという辛らつなる御意見が出てくることも、例年のことで十分わきまえております。そういう辛らつな御批判が出た場合には、お答えする基礎は持ちながら取捨選択に臨まなければならないという態度でおるわけでございます。
  144. 山崎昇

    ○山崎昇君 これから最後の作業をやるんでしょうから……。私はこれ先般人事院のほうにつくってもらった資料なんです。それで、いま総裁から柱として初任給と通勤費が出されたわけです。通勤費は、なるほど定期の値上げがありますから、ある程度の基準はあると思うのです。初任給は、これも民間と同様優秀な人材を公務員として採るということから、ある程度の均衡をとるということも私はわかると思う。ところが、ずっとここ四、五年の私は統計を見ていると、何回か中だるみ是正ということを人事院は出されておるのだが、このもらった資料だけを見ても、昭和三十六年を一応一〇〇として、初任給はほぼ二倍近い状態になっておる。ところが、四十歳から五十歳代くらいのいわば生活上からものをいえば一番支出が多くてたいへんなところのものは、これは傾向ですから必ずしもそのとおりになりませんが、ほぼ一七〇くらいにとどまっておる。ですから、初任給の上がり方に比べれば、一番生活の苦しいところというのはあまり上がっていないという傾向がある。こういう点も、もちろん人事院専門家ですから私はやられておると思うのだが、今度の勧告ではこれらの問題について私はよほど慎重に配慮してもらいませんと、ただ初任給だけ上げて、中だるみ是正、中だるみ是正ということで適当にやられたのでは、これらの諸君の意欲が下がってしまうと思う。そういう点でありますとか、あるいはまた、指摘をされているように、現場職員は、この前の生活給かあるいは職務給かの議論があった際にも言われたように、生活保護すれすれの状態にある。したがって、そういう問題についても検討されていると思うが、それらについては、人事院総裁、どの程度まであなた方いまの段階でお考えになっておるのか、話せる範囲内でひとつお答えいただきたいと思うのですがね。
  145. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) おっしゃるまでもなく、相当なその点はポイントになって、従来からもそういう御指摘がずっとあったわけです。われわれはもちろんその点をも十分念頭に置きながら、率直なことばを使えば四苦八苦している段階であるということを申し上げてよろしいかと思います。
  146. 山崎昇

    ○山崎昇君 内容にわたる点はもう勧告が出なければできませんから、したがってこの程度でやめたいと思うのですが、そこで去年一番議論になりました実施の時期を四月にすべきではないか、こういう議論もかなりここであったわけですが、ことしも相変わらず五月実施でしょうか、その程度は人事院総裁からお聞きしておきたい。
  147. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 率直に申し上げまして、まだはっきりここで申し上げる段階には達しておりません。それはずっと検討を続けますということでお約束しておるわけですから、なお検討しつつある態勢にあるということでございます。
  148. 山崎昇

    ○山崎昇君 その次に、これは毎年のことですが、この間本会議の質問でも総裁が答えられておるのだが、一体完全実施をどうされるのですか。今度は完全実施をしなかった場合に、これ総裁どういう責任をとるのか、いまからあなたの責任というのも少し先回りするようでどうかと思うのですが、それだけ切実な問題だから聞いておきたいと思います。
  149. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この間本会議で申し上げましたとおりで、例年努力に努力を重ねておるわけであります。ことしも例年にも増して努力をしたいという決意でおるわけであります。
  150. 山崎昇

    ○山崎昇君 例年にも増しての「増して」だけ大きい声だけれども、それは実現しなければ意味がないのです。幾ら大きい声を出されようが、どうしようが。だから、あなたは完全実施をやるだけの決心はあるんでしょうけれども、どうでしょうか、やりますという答えできませんか、これはあとで長官にも伺いますけれども、人事院総裁として、やらせます、それだけのことここで言い切れませんか、重ねて聞いておきます。
  151. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) そういう命令権を人事院にお与えいただければ、それは張り切ってやりますけれども、遺憾ながら、お願いいたします、お願いいたしますしかできない立場におるわけですから、したがってお隣のほうに十分これからお願いしようと思っております。
  152. 山崎昇

    ○山崎昇君 それでは、総務長官おいでですからお聞きしますが、今年度は給与担当大臣としてこの人事院勧告の完全実施はどうですか。
  153. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 平素から申し上げておりまするように、人事院の勧告を待ちまして、これをぜひとも尊重してまいりたい、この気持ちはいささかも変わっていないわけであります。
  154. 山崎昇

    ○山崎昇君 尊重なんてことばはここ十年来聞いているのであって、完全実施しますかしませんか。私はどっちかしかないと思う。だから、長官の責任において、給与担当大臣の責任において、完全実施しますか、これだけの決意を述べてください。
  155. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 政府側といたしましては、国民の奉仕者といたしまして彼此勘案いたしましてあらゆる努力をいたします。
  156. 山崎昇

    ○山崎昇君 何を勘案するのですか、勘案するというのは。
  157. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 公務員としての、公務員の諸君の給与をぜひとも、生活を守っていくという立場に立ちまして、他面におきましては国家財政全体を考察いたしまして、処理をいたします。
  158. 山崎昇

    ○山崎昇君 これはほんとうは大蔵大臣に聞かなければならぬことですが、きょうは大蔵大臣こっちに来られませんというので、総務長官——閣僚の一人ですから、ましてや給与担当大臣ですから、私は具体的にあなたに財源について聞いておきたい。  それは、昭和四十二年度の予算の状況から判断をするというと、いま組まれておるという千二百億円の予備費では、どうも人事院の勧告というのは完全実施がむずかしい状態にあると私は思う。これは必要であれば数字をあげてあなたにお聞きをしてもいいのだが、そこであなたは、そうではない、総合予算主義をとって予備費に千二百億円というものを組んだのは、あらかじめ予定される事件として給与問題があるから、したがってその勧告については、年度当初にある程度のことを考えて予備費に千二百億円組んだと説明されておりますから、したがって私は、千二百億円全部を使うのかどうか知りませんが、完全実施は当初から政府は考えて、この予備費というのを組んだのではないか。そうでなければ、総合予算主義はナンセンスではないだろうか、こう思うので、完全実施についてもう一ぺん予備費との関連でお聞きをしておきたい。
  159. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおりに、予算は当然通年組まれるべきものでありまして、予算そのものはあくまでも総合的に組まれているものでございます。しかしながら、ほとんど定型化いたしました恒常的な補正予算ということが、やはり国家財政の上から申しましてとるべき態度ではない。やはり相当額の予備費というものを当初から組んで、そして中間に膨大な補正その他の組みかえを行なうべきではないというたてまえのもとに、総合予算主義が組まれたわけでございます。のみならず、巷間伝えられるところによりますいろいろな予備費財源の捻出方法につきましては、これは過程におきましてあるいは節約あるいはどうこうというふうなことでなっておりまするが、千二百億というこの総額を決定いたしますまでのそれは過程における作業でございまして、予算それ自体は予備費として千二百億円を組んでおる。その中におきまして、人事院の勧告を待って、これをあくまでも尊重し、これを実現してまいるというこれからの努力をいたすわけでございます。  さような事態で、米価の問題はさておきまして、少なくとも不測の災害というようなことは当然これから支出しなければならぬというふうなことにかんがみましても、つゆはようやっと越すことができましたが、これから御承知のとおりにいろいろな、台風期に入りましたり、その他災害の発生時期に相なっておるわけでございまして、私は給与担当の責任者といたしまして、できるだけ人事院の勧告どおりにこれを実現したいものである。ほんとうに不測の災害というふうなものがないことを、国家のためにも、国民のためにも、また給与担当者といたしましても、ほんとうに心から祈っておるのが現在の心境でございます。
  160. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、あれですか、長官、千二百億の予備費で、これは当初からある程度見込んだのだから、したがってこれで人事院の勧告の完全実施についてはやり得ると判断をされておる、こういうふうに私ども理解をしたいのですが、いいですか。
  161. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 人事院の勧告を尊重してぜひともそうでなければならぬ、かように考えております。
  162. 山崎昇

    ○山崎昇君 だから、長官は尊重してぜひとも実現しなければならぬと言うのだから、そこで私は、予算的に言えば千二百億の予備費の中で長官の考えとしては十分それは実現できるのですと、そういうふうにいま判断をしておりますというふうに私も理解したいのだが、いいですか、こう聞いている。どうですか。
  163. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは、給与の担当者といたしましては、ぜひともそうありたいということを念願をいたしますると同時に、これからも全力を傾注いたす所存でございます。しかし、政府といたしましては、他面または財政当局もございましょうし、あるいはまたその他立場を異にするつかさ、つかさがあるわけでございます。その間におきまして、皆さま方の御協力をいただきまして、今後これが目的のために全力を傾けたいと存ずる次第でございまして、今後ともよろしく御協力のほどをひとえにお願いいたします。
  164. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、幾らあなたがひとえにお願いを申し上げますと言ったって、これはそういう事項ではないと思うのです。現実に、いま総裁の答弁からいえば、はっきりはしませんが、十五、六日にはもう勧告が出るわけですね。そうすると、長官あれですか、この勧告をどうするという閣議決定は大体いつごろ考えられるのですか。去年はたしか十月の十四日ころだと私は記憶しておるのですが、ことしは曲がりなりにも予備費に千二百億円を組んであるから、もう少し早く政府の態度をきめるというお考えなのか、あるいは去年と同じくらいになるとお考えなのか、そこら辺のことはどうですか。
  165. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは、勧告をちょうだいいたしましてから、政府部内におきまして関係閣僚と十分に談合いたしまして、そうしてすみやかに決定をいたしたいと、かように考えております。
  166. 山崎昇

    ○山崎昇君 すみやかに決定はいいですが、去年くらいまでかかるということですか、それとも、去年よりは補正予算を組む必要がないですから、ことしの場合はあなた方の言う総合予算主義といえば、一応は千二百億という手つかずの予備費があるわけですから、したがって閣議決定も去年ほどおそくならないというふうに私ども思われる節もあるのだが、長官としては、やはり去年くらいまでかかるという判断なのか、あるいは去年よりはもっと早く閣議決定をしたいというお考えなのか、その辺のことについてもお聞かせ願いたいと思う。
  167. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その辺の判断はまだいたしておりません。
  168. 山崎昇

    ○山崎昇君 しかし、担当者としては、もう勧告が目の前にあるわけですから、それくらいの判断というものはそろそろやはりしておくべきじゃないでしょうかね、どうですか。
  169. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) さようでございます。
  170. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、あなた、腹の中にはもう去年より少しでも早まるというふうなお考えで、いまのさようでございますという答弁ですか、そういうふうに理解していいですか。
  171. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) さようありたいと念願しております。
  172. 山崎昇

    ○山崎昇君 これはうなぎ回答みたいなことをやってもどうもくだらぬと思うので、ちょっとしばらく長官のやつを置いておいて、総裁にもう一ぺん聞きたい。  人事院規則の九−八を改正して、そうして局長を全部指定職俸給表に変えたようですね、一等級から。これはいつからそういうことにして、なぜそういう改正をしたのか、お聞かせを願いたいと思います。
  173. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 現在の指定職俸給表が設けられておるわけでございますが、甲というのは、いわゆる一官一給与で、次官及び長官等が格づけされておるわけでございますが、乙のほうにつきましては、それに準ずるということで、先年この制度が設けられたわけでございます。で、これにつきましては、従来、局長の中で重要な仕事をするという人々につきまして格づけをしておったわけでございますけれども、やはり同じ局長であって、片方は指定職、片方は行政職俸給表の一等級ということで、その間の区別と申しますか、そういう点につきましていろいろ問題があったわけでございます。なお、行政職一等級におきましては、そのほかにも局次長及び部長というところが標準的に格づけされておりまして、そういう人々と、そういうポストと、そのいわば一格上である局長を同じ等級に格づけしておるということは、やはり問題がございます。非常にふぐあいなところがございますし、やはり本省の局長等につきましては、民間に比べますれば、いわば重役級の給与を支給すべきものというふうに判断もされますので、これにつきましては、まあ本年いわゆる一局削減もございまして、従来いわゆる一等級に格つけされておりましたような局長につきましては削減をみたというのと関連をいたしまして、先般、ことしの六月十五日からその関係を標準職務表におきまして整理をした——俸給表の適用範囲といたしまして改正をいたしたのでございます。
  174. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはあまりにも上級職だけをかばい過ぎませんか。たとえば三等級と四等級見たって、三等級にも本省の課長補佐がある、四等級にも本省の課長補佐がある。局長だけがなぜ、一等級の職務があって、指定職乙の職務にまたがってはいけないのですか。なぜ局長だけがそんなに優遇されなければならぬか。私は、勧告が出たら、局長と民間との比較はあらためてやりますが、なぜ上級職員だけが民間の重役と対比をして、一般職員だけはなぜ低いものと対比をしなければならぬのか。そういう私は人事院のものの考え方が基本的に誤りじゃないかと思うのです。なぜ局長だけが指定職に全部移行しなきゃならぬのか。事実上、あなた方は八等級制と言いながらも、すでに九等級——局長だけでいえば九等級になる。もっと指定職の甲表を使えば、事実上は十等級制になっているじゃないですか。上級職だけがそういう優遇措置をとる。そして一般の下級職員はきわめて不遇な状況に置いておる。さらに頭打ちがたいそう出ておる。こういうことを私ども考えてみると、この局長の指定職乙に昇格させるなんというのは不当だと思う。人事院のやり方は、根本から私はものの考え方が誤りでないかと思う。なぜ、八等級制を守るというなら、守らないのですか。下級職員だけはなぜ過酷なもとに置いておいて、なぜ局長だけが、一等級をはずして、そんなに優遇しなければならぬのか。だから、私はどうもこのごろ人事院の給与体系のやり方について納得ができないのです、これは。なぜそれならば三等級の課長補佐と四等級の課長補佐と二つつくるのですか、その辺のところをもう少し明確にしてください。
  175. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 公務員法にもございますように、やはり給与は職務と責任に応じてやる必要がございます。現在の行政職一等級は、ただいま申し上げましたとおり、局次長、それから部長等が主として格づけされる等級でございまして、それに局長も一部入っておったのでございますけれども、そういういわば上下関係にある人が同じ等級に格づけされているということは、何としても適当でないという状態でございます。そういう意味合いにおきまして、局長につきましては、今回各省一局削減もございまして、そういう一等級に格つけされているような局長がいなくなったという——原則としていなくなったという関係におきまして、たてまえとしてつまり適用範囲を改めたということでございます。したがいまして、別に局長を特に優遇したということではないのでございまして、誤解があってはいけないのでございますけれども、いまの御指摘になりました課長補佐の場合におきましても、一つの課の中で数人の課長補佐がおりまして、従来四等級に格つけされておったのでございますけれども、その中にもやはり総括とそうでない者がいるということで、先般四等級の中を分割いたしまして三等級を特に設け、総括の方につきましては三等級に格つけし、それ以外の者は四等級に格づけするということを行なってきたものでございまして、特に局長を今回引き上げたということでは毛頭ございません。
  176. 山崎昇

    ○山崎昇君 局長だけは、指定職と一等級にするとどうもぐあいが悪いから、全部指定職にする。そういう理屈で言うならば、本省の課長だって一等級もあれば二等級もあるのです。課長という職務に差がないはずです。それじゃなぜ課長を一等級にしないのですか。だから、局長だけが何か優遇措置みたいにして全部上のほうにランクして、課長以下の問題については二つにも三つにもまたがる、私はそういう等級のやり方が誤まりではないかと思うのです、第一に。だから、あなたのほうでかってに人事院規則でやってしまう。かってに人事院規則を変えればそういう方式がとれる。さらにもっと言うならば、八等級制といういまの給与体系は、事実上あなた方がこわしているのじゃないか。そういうことについて、あなた方がいいと言うならば、私は勧告が出た時点でもう一ぺんやりますけれども、きわめてこれはいまの人事院のやり方というものは、給与の体系づけについても、片方ではぶちこわしながら、片方では下級職員を押える、そういうやり方をあな方しているじゃないか。だから、事実上八等級制がまずくて、十等級制にしなければいまの等級制が維持できなければ、維持できないと言ってください。それなら、私はまたそれで論争します。しかし、そうではなくて、八等級制は厳然として置きながら、上級職だけ適当に指定職俸給表をつくって、あなた方の判断だけで規則を変えて、そういう指定のやり方をやる、こういういまの給与のやり方は誤まりだと思う。どうですか、総裁。これであなた方妥当だと思いますか、こういうやり方が。それなら八等級制をやめなさい。そうして、いまの下級職員は全部一等級ずつ上げなさい。そうでなければつじつまが合わないです。一局削減で局長がなくなったから全部指定職にしたなんていうことは、これは給与法からいったらナンセンスです、そういう論は。そうじゃないんですか。下級職員を一等級ずつ上げますか、それなら。明確に答弁してください。
  177. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 公務員の給与は、十分御承知でございますけれども、職務と責任に応じてやるということになっておりまして、そういうたてまえに準拠いたしまして現在の等級制ができておるわけでございます。で、その中で八等級の場合には御承知のとおりの関係になっておるわけでございますけれども、これはやはりそれぞれ公務員の中における職務の段階に応ずるという関係が基本になっておりますとともに、これと民間における職務段階というものの、つまり給与における官民比較という関係も十分留意をしつつそういう段階を設けて、かつそれに対する給与措置ということをやっているわけでございます。今回御指摘の改正にあたりましては、大きな関係は、いま御指摘になりました局長関係と、それからもう一つはいわゆる主任の関係を標準職務表に掲げたわけでございます。で、そのつまり等級格づけのいわば標準的職務と申しますか、基準になる職務につきましては、人事院の規則におきまして、これはまあ八等級制度のつくられましたときに国会で一応参考としてごらんいただいたものでございますけれども、それにつきまして今回、いままでのこの十年間における実施の態様を十分反省をいたしまして、つまりたとえて申しますと、一般職員につきましては六等級まで行けるという措置を三年ほど前に講じたわけでございますけれども、そういう関係から見ますと、地方におけるたとえば出張所の係長等におきましては七等級の標準職務になっておりましたり、あるいは係長が六等級の標準職務になっておるという関係がございまして、そういう関係につきましても今回改めたわけでございます。それで、同時にいろいろ昇進について、いわゆる頭打ちと言われておりますものに対する措置といたしまして、主任制度というものを活用するために、今回の標準職務表では、そういう本省その他における係長に準ずる職というものといたしまして主任という職務を標準職務表の標準職務として掲げることによりましてそういう問題に対処をしたいということを考えて措置した、その二点が重要な問題というふうに考えております。
  178. 山崎昇

    ○山崎昇君 それならば、あなたに聞きますがね。一体各省の設置法で局長任務権限変わりましたか、職務の内容が。各省設置法、国家行政組織法の中で局長の権限や任務がそれぞれ変わりましたか。一つも、何も変わらないんじゃないですか、局長の内容は。局長のそういう職務内容が変わらないのに、なぜ給与面だけ変えなければならぬのか。だから、あなた方のやり方というのは好きかってなことをやっているとしか言えないというんですよ。なぜ局長だけがそういうことをしなければならぬか。だから、八等級制でどうしてもいまの職務権限の内容からいっていまの給与体系がまずいというんなら、それなら人事院は正式に九等級制にでも十等級制にでもしなさい。そうでなければ、下級職員についてももっと考えなさい。そうでなくて、何の職務権限も変わらないものを局長だけは規則を変えて給与面で厚くもてなす、こういうやり方が私は不当ではないかと思うんです。どうですか、局長局長の職務権限変わりましたか、各省設置法で。
  179. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 別に御指摘のとおり権限が変わったわけではありませんけれども、問題は給与上の評価でございます。私どもとしましては、従来重要な局長につきましては、指定職俸給表を策定いたしましたときに、重要な局長はそれに格づけするということでやってまいったのでございますけれども、その後におけるいろいろ運用の結果、同じ局長であって一等級、つまり、先ほど申し上げましたように、部下である次長あるいは部長と一緒の等級で運用するということはどうもやっぱり適当でないという問題がございまして、かつ今回一局削減ということがございましたために、いわば一等級に格づけされておりました局長原則としていなくなったということに伴いましてこういう改正をしたものでございまして、今回の措置局長だけをよくしたということでは毛頭ないのでございます。つまり、いま申し上げましたとおり、同時に標準職務表におきましていろいろの改正をしておりまして、全体として均衡のとれた方向でまず措置してまいっておるつもりでございます。
  180. 山崎昇

    ○山崎昇君 そんなことで納得できませんわ。なぜ局長と局次長が一等級にいちゃ悪いのですか。それじゃなぜ局次長と課長が一等級におけるのが不合理じゃないのですか。だから、あなたのものの考え方は論理的ではないのですよ。局長と局次長が一等級で悪いというなら、局次長と課長が一等級にいることもまずいじゃないですか、理論的に。だから、あなたがどう抗弁しようとも、局長だけ優遇したことには間違いがない。そうして、事実上八等級制をあなたみずからこわしている。だから、給与体系をそういうふうにこわすなら、下級職員までこわしてもらいたい。下級職員も全部一等級上げてくださいよ。そうでなければつじつまが合わない、どんなことを言おうとも。これはきょう時間があまりありませんから私はこの程度でやめますけれども、いずれ勧告出たらもっと詳細やります。そういう人事院の給与政策をとるというなら、根本から私はこれは論争しなけりゃたいへんなことになると思うのですよ。ですから、そういう意味で、これ以上はきょうは言いませんが、いずれにしてもあなた方のやっておるいまの給与体系の扱い方というのは不合理だ。特定人にだけ何かしら優遇措置がとられておる、こういうことだけきょうは指摘してこの問題を打ち切っておきたいと思う。  そこで、その次に、ついでにもう一つ人事院総裁に聞いておきたいのです。それは、きょうも午前中防衛問題で若干の議論がありました。この間少年自衛隊の自衛兵が死んだわけですね。それから、去年千歳でも四人ばかり死んでいます。それから、あるいはまた、警察官でもかなり死んだ者、けがした者がおる。そこで私は、国家公務員の災害補償法に関連をして、こういう方々の給与の問題については、国家公務員災害補償法でやる部分もあるけれども、そのほかに訓練その他等で適当に功労金として金が出されておる。今度の少年自衛隊兵を見ると、功労金で出しているほうが百二十万くらいで、退職金で出ているのがわずかに三万程度、そういう私はいまの給与のやり方というのは、これも誤りではないだろうか。こういう殉職した人については、あくまでも国家公務員災害補償法の特例なら特例を設けてそういうものの措置をするとか、あるいは警察でも、自衛隊でも、それは特殊性はあるかもしませんけれども、多少の差はあってもいいけれども、もっと法的にこれはきちっとすべきではないかとこう思うのだが、やられてないですね。したがって、そういうことについて人事院はどう考えられるのか。あるいはまた、あなたのほうでこれ出したのかどうか知りませんが、研究会が持たれているようですね。私もいまこれコピー持っているわけですが、去年の十二月の二十日に災害補償特別調査研究会会長今井一男さんから中間報告が出されておる。これを見てもそういうことについて指摘をされておるけれども、一回も人事院からそれらについて発言されたことがないし、私どもに意見を求められたこともない。ですから、私は、専門機関である人事院というのは事給与に関していろいろなことをやられておるようでありますけれども、もう少し総体的にこういう問題について意を尽くしてもらいたい、こう思うのですが、一体これらの点についてどうされようとするのか、総裁からこれは聞いておきたい。
  181. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いまお持ちの中間報告によっても御推察いただけますとおりに、われわれとしてはこの点についていかに熱心に勉強しているか証拠にはなると思います。したがって、この御指摘の問題は、われわれとしては重大な関心を持ってこれに臨んでおるわけです。中間報告をいただきまして、いずれまた最終の報告をいただく段階になるでしょうが、その御審議の過程では、われわれ事務当局も一緒に入りましていろいろの御意見を伺いつつ勉強を重ねておるわけでございます。したがって、問題点の一つは、公務災害補償法の中でいまのような角度からどの程度に取り入れるかという問題と、さてさらに、いま御指摘がありましたように、ばらばらに現在行なわれているものと今度新しく取り入れたものとの関連をどう持っていくかというようなことにも触れて研究しなければなりません。われわれは今後なお真剣に取り組んでいこう、こういう心がまえでおります。
  182. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、給与法の第三条との関係はどうなりますか。たとえば「いかなる給与も、法律又は人事院規則に基かずに職員に対して支払い、又は支給してはならない。」、こうある。ただし、公務員法の適用を受けない職員もおりますから一律には言えないけれども、公務員法の適用を受ける者もいる。給与法の適用を受ける者もいる。そういう者が、一長官やそういう者の訓令その他でもって支出されている。それがむしろばく大な金額になっている。こういうものと給与法第三条と一体どういうふうに人事院はお考えになっているか、これもあわせてお聞かせを願いたい。
  183. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 結局、法律にいう給与とは何をさすかということで、そこを煮詰めていきませんと明快なるお答えはできないわけでありまするけれども、従来の考え方としては、賞じゅつ金というようなもの、あるいはそれに準ずるようなものは、給与法にうたっているような給与とは考えておらない。そこで、そういうものができておるということになるわけで、その考え方は、これはいろいろ見方によって結論は違いましょうけれども、われわれとしてはそれも一つの考え方ではないかということで今日まできておるわけであります。ただし、先ほど触れましたように、今度公務災害補償法等々の関係においては、これは  一ぺん洗い直してみなければならないという気持ちでおるわけであります。
  184. 山崎昇

    ○山崎昇君 あなた方のほうは、法律で聞けばいろんなことを言って逃げるんだが、何と言おうとも給与法の第三条に違反することは明らかですね、これは。しかし、私は出したことについていまとやかく言いませんよ。それは死んだ人の補償ですから。しかし、ここに警察官等に対する特別報償実施要領なんというものがあって、これを見るというと、「法の実効を確保するため」とある。しかし、法はない、規定はない。ですから、私は、人事院はもう少し自分でつくった法律というものを検討して、そうしてこういう問題についてはすみやかにやっぱり体系づけてもらいたい、これだけきょうは指摘して、あらためてこの点についてまた議論したいと思いますが、指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、時間がだいぶきましたから、最後にもう一ぺん総務長官にお聞きしますが、総理府としても、これはやっぱり、人事院でいろんなことをやりますけれども、あなたのほうで職員対策やっているわけですから、もっと私は総理府においても公務員の給与問題については真剣にやってもらいたいし、あるいはまた体系上の問題についても、いま指摘したような事項についても、単に訓令やら、閣議決定やら、あいまいなことでやらずに、あなたのほうでももう少し私は真剣に検討してもらいたい、これが第一点です。ひとつそれは検討されるかどうか。  それからもう一つは、繰り返しになりますが、人事院勧告が間もなく出ますが、ことしこそは財源の問題だとかどうだとかということで完全実施をサボるなんということは許されないと思う。これはもう昭和三十五年から八年間守られてないわけですからね、勧告が実施期日を明記して以来。ですから、最後に長官に重ねて念を押しておきますが、ことしは予備費にあなた方が組んだとおりでありますから、ぜひひとつ完全実施をやってもらいたい。もう一ぺん決意を述べてもらって、私給与はきょうはこれで終わっておきます。
  185. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御趣旨以上に私どももさように考えておりまして、真剣に、しかものりを越えないように、分に応じて全力を尽くします。
  186. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件につきましては、本日はこの程度といたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  187. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 速記をつけて。     —————————————
  188. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、行政機構に関する件を議題といたします。  関係当局からの御出席は、木村行政管理長官、河合行政管理局長、浅古総務課長、以上の方々でございます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  189. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃたいへん暑いようですから、うんと質問内容をしぼります。  そこで長官ね、まず第一に、私は当選してから三年間疑問に思っていることがあるんで、長官ならわかると思うのでお聞きしたいのですが、本会議場の大臣のすわる位置というのは、あれは何か基準があるんですかね、順序は。これは何か国家行政組織法に従ってすわるのか、あるいは党内の実力ですわるのか、基準があったらひとつ教えてください。
  190. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) どういう基準かわかりませんがね。私も端のほうにすわらせられておるものですから実はおもしろくないんですよ。上のほうにでもすわらせてくれたら……。調べてみましょう。これはほんとうに調べて御返事申し上げます。
  191. 山崎昇

    ○山崎昇君 議長席から遠いほうが序列が低いのでしょう。議長席に近いほうが序列が高いわけでしょう。それで私が疑問に思ったのは、石井さんが法務大臣のときは、いまの増田さんのところにすわっていた。ところが、赤間さんが法務大臣になったら、左端のほうにすわらされているでしょう。だから私は、一体あの大臣のすわり方というのは、あれは何か国家行政組織法上の別表に従って、その順序でやるのか、あるいは国務大臣でも、各省の大臣と各庁の長官とは私は差があると思うのです、行政機構上からいえば。ところが、長官のほうが上席に来て、大臣のほうが小さくなっているという、どうもそういうふうにも見受けるし、あるいは党内の実力に従ってなるのかわからないし、いま調査して教えていただくというのだから、この次までにひとつ教えてください。  そこで私きょう一番聞きたいのは、この間の国会であなたは私に対して、まず総定員法が廃案になったわけですが、国家行政組織法の十九条の二項ではやりませんと、こういうあなたは答弁をした。しかし、実際はやられている。一体それはなぜそうなったのか。それから、会期末の自社両党の国会対策委員長間の申し合わせで、総定員法は廃案とする、次の臨時国会で各省設置法を出します、こういう文書交換が行なわれている。したがって、今度の国会は短いわけですけれども、次の臨時国会に各省設置法案が出るのか出ないのか、まずこれからお聞きをしておきます。
  192. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 私はあのときに、総定員法はとどのつまりは通してくださるものだ、こう思っておったのです。それだから、実は自信を持って申し上げておったのであります。ところが、残念ながら廃案になってしまったわけであります。廃案になりましたけれども、政令は出したくない、出さない、こういう方針で強行にがんばっておったのですけれども、相当がんばりましたけれども、がんばりがきかなくなってしまった。それは灘尾文部大臣なんですけれども、御承知のような顔でしょう。それが最後には私があまりがんばったものですから泣き顔になったのです、ほんとうに。そうして、私よりも年の若い人であったならば私はまあもっとがんばるつもりだったのですけれども、まあお気の毒になりまして、私が我を折ってしまったのであります。そうしますとにこにこされたものですから、私はあとでは、いいことをした、こう思っておったのであります。しかし、国会開会中にほんとうにやりたくなかったものですから、私はやらないというふうに申し上げておったのでありますけれども、それがやるようになりまして、私は、相手が喜ばれて、いいことをしたとは思っておりますけれども、所信をひるがえして申しわけなかった、こういうふうに思っております。
  193. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は長官、きわめて不謹慎だと思うのですよ、あなたの答弁は。少くともこの委員会であなたは繰り返し十九条の二項ではやりませんと。そして私は、廃案になる事態もあるから、だんだん切迫してきますから、あなた政治判断をすべき時期でないかということを何回も迫った。それでもあなたは、いやそうではありませんと突っぱねたわけです。そうして十九条の二項についても、使いませんというあなたはこの委員会で正式にわれわれに答弁をした。いま聞いていると、文部大臣が泣き顔になろうが、泣こうが、大臣が泣き顔になったらあなた国会答弁をしたことをやすやすと破るのですか。あまりにも私は浪花節にしても不謹慎だ、そのやり方では。
  194. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) そうおっしゃいますけれども、実際面と向かってみるとそうはいかなくなるわけです、人間というものは。あなたは浪花節口調だ、どうのこうのとおっしゃいますけれども、ほんとうにあのために文部行政というものがこういうように困っているのだ、これはどうするのだ、おれの立場はどうするのだと言って真剣に迫まられると、口調がどうのこうのというわけにはまいりません。私はやりたくなかったのですけれども、ほんとうにやらざるを得なくなってしまった。冗談でやっておったわけではない。私は冗談でもって答弁したのではないのです。そのときには、ほんとうにやりたくない、やるつもりはぜんぜんなくて御答弁申し上げたのであります。その場所に直面して、私は文部大臣からいろいろな、文部行政上自分は文部大臣としてつとまらないのだ、こういう話を切にるると申し述べられてみると、私がここでいつまでも我を張っているというわけにはいかない、こういうように考えまして、冗談でやったのでも何でもありません、それは私は。その点だけはどうか御了承くださるようにお願い申し上げます。
  195. 山崎昇

    ○山崎昇君 それではあなたは、委員会ではあなたの我を張って、そうして文部大臣の泣き顔を見たら我がやめになった。そんなばかなことでとても許されませんよ、それは。だから私は何回もあなたに、政治家としては判断すべき時期ではないですか、繰り返し繰り返しあなたに、その場合には野党も協力いたします、こういうことで総定員法のときにはずいぶんあなたに言ったのです。しかし、あなたはそれを聞き入れずして最後まであなたの我を通したではありませんか。そうしてわれわれに対しては、十九条の二項は使いませんと、たいしたたんかを切っておきながら、何か文部大臣が泣き顔になったらそんなことはできませんと、そういう私は答弁で了承できません、それは。我を通すならば、最後まであなたの信念を通してください。
  196. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) それは、あのときにあなたから政治判断をすべきじゃないかと言われたことは事実なんであります。しかし私は、法案を出しておりまして途中で変更するというような政治判断はできなかったのです。それでありまするから、必ず通してくださるものと、通せるものと、こういう自信であのときには臨んでおったのであります。私の政治判断は、変更するという政治判断には達しなかった。したがって、通してもらえるものだと、通るものだという政治判断であのときには最後まで臨んでおったのであります。それが判断の誤りであったとおっしゃればそのとおりでありまするけれども、そのときは、私は通してもらえるものだ、通るものだと、こう思っておったのであります。判断に誤りのあったことだけは私の不明のいたすところであります。
  197. 山崎昇

    ○山崎昇君 それでは、あなたは判断の誤りであると言う、その判断の誤りをおかして、さらに委員会で答弁したことを破ったことの責任はどうなりますか。
  198. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) おわびを申し上げます。
  199. 山崎昇

    ○山崎昇君 簡単にあなた、おわびだけでこれは私は済む問題ではない。しかし、あまりにこの問題の論議だけやっても進まないから、私は別の機会にまたあなたの政治責任は追及しますが、それならば、あのときにあなたが——というより、公党間の約束である、次の臨時国会に各省設置法を出します、これについては、じゃ約束守りますね。
  200. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) まあ、そのことなんですけれども、私はあのとき知らなかったのです。そんな約束があったなんて一つも知らなかった。それで、きょうのきょうまで実は知らなかった。それはうそじゃありませんよ。あなた、そっちのほうを向いて、木村のやつうそを言っていると思われるかもしれませんけれども、うそじゃありませんよ。そういう公党間の約束があったということを私に言った人はだれもおりません。国会対策委員長も言いませんし、幹事長も言いませんし、あのときには。そういうことですから、私は最後までがんばっておったのであります。そうして、最後には必ず通してくださるものだと、通してくれるものだ、こう思っておりました。その公党間の約束があったということはほんとうに知らなかった。それはうそ偽りなくはっきり申し上げておきます。少しも知らなかった、こういうことであります。
  201. 山崎昇

    ○山崎昇君 あなたが、うそ偽りなく全く知らなかったと、こう言うのだから、じゃ信用しましょうね。いま、公党間の約束があったと私は指摘をしたわけだけれども、それじゃあなたは今度は自民党の国対委員長に会って、社会党とそういう約束があったのかという話になりましたら、これはあなた守ってもらわなければ困るわけで、次の臨時国会に、それならば各省設置法出しますね。あなたが国対委員長と会われて、社会党との間にそういう協定ができております、こうなったら、あなたもそれに従って各省設置法を出すことになると思うのだが、それでいいですね。
  202. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) あなたのお話しのとおりに、わが党の国対委員長に会ってそれは確かめてみます。しかし私は、あのときにも、何か党に約束事があったならばおれに伝えてくれと、こういうことを言ったのですけれども、全然約束なんかないと、こういう答弁だったものですから。なお確かめてはみます。しかし、確かめてみて、国対委員長が私をそのときだましておったと、うそ言ったと、こういうことであったならば、私と国対委員長間において、二人の間で問題を処理する。党のほうは党のほうで交渉してくださいよ、私とあなたの約束でなく。私は長谷川国対委員長に会いまして、その話を確かめまして、そして二人の間で問題の処理はいたしまするが、党は党の間でどうか御承知くださるように。そして党の処置は、私は党員ですから、聞かなければならない、こう思っております。
  203. 山崎昇

    ○山崎昇君 あなたと長谷川国対委員長の間がどうであったか、党内の問題ですから私ども内政干渉するわけにいきませんが、少くとも私どもはそういう協定があったと言われて、いまあなたに指摘したわけですから、したがって、いまあなたに言うように、国対委員長と会われて、そしてその党の約束が守られるようにやってもらいたいということを重ねて指摘だけきょうしておきます。  次に、あなたにお聞きをしておきたいのは、定員のパーセントの削減について何か新聞でかなり詳細に報道されておったですね。たとえば何省では何千名削るとか、こういうことになっておるようなんですけれども、そういう数字ができたのなら資料をもらいたいということと、あわせて、この前の委員会でも長官に言ってありますが、十八万人に及ぶ非常勤職員をどうされるのか。ただあの場合に、論議の内容は、全部一ぺんにやれと言ったってそれはなかなか不可能でしょう。しかし、少なくとも常勤的なものについてはあなたは三年以内に解消しますと私に答弁なんですが、そこで、定員の五%削減の計画と定員外職員の定数化の問題をどうされるのか、あなたの見解をこの機会に聞いておきたい。
  204. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 五%削減のいままでの進行状態ですな。そういうものは管理局長から答弁をさせます。必要な資料はお手元にも差し上げます。それから定員外の問題ですね。定員外の問題は、非常勤ではあるけれども常勤に近いものから逐次定員に繰り込んでいくと、こういう方針は私は変わりません。何とか早くこれは実行していきたい。そして、ほんとうに三年以内の間に解決できるものは解決していきたい。こういうことはいまでも変わりなく、今度その問題ができましたならばやるつもりでおります。
  205. 山崎昇

    ○山崎昇君 あなたの方針はわかるけれども、具体的に、たとえば何省は三カ年間で定員を何千名削ります、定数外の職員については何名定数化いたします、こういう具体的な案になってきますね。そうすると、そういうことを私どもに提示する、こう私ども理解していいですね。
  206. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) そう御理解くださってけっこうであります。そういうように思い切って進めてみていきたいと思います。
  207. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃもう二問ほどでやめます。  その次は、この前の委員会で当時の管理局長から、現在の国家行政組織法は多くの不備の点がある、ただいま検討いたしております、こういう答弁があったのだが、一体どういう検討をされて、どういう点が不備だといま考えられておるのか、この機会に聞いておきたい。
  208. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) そういうことになると私わからないのですよ。こっちでいいでしょう。
  209. 河合三良

    説明員(河合三良君) お答えいたします。  前国会で国家行政組織法の不備な点につきまして検討いたすというふうに申し上げてございました。その後検討いたしてございますが、ただ、いかにもこの問題につきましては、非常に行政組織の現在の内容は複雑になっておりまして、その名称もまことに複雑になっておりますので、それを簡素明確にいたしたいという趣旨では考えております。ただ、一般的に基準をつくるということが非常にむずかしゅうございまして、特に御指摘のこれは三条、それから三条機関と八条機関の関係、特に八条機関の整理につきましていろいろと考えておりますけれども、いまだ統一的な基準が出ておりませんので、今後とも検討を続けていきたいと思っております。
  210. 山崎昇

    ○山崎昇君 この前の委員会で、私に対する答弁は検討しておりますということだったのですよ、すでに。さらに私のほうから指摘をしたわけですね。ですから、むずかしいことは私も理解をします。そら簡単なものではないということは理解をします。しかし、これもこの次の機会に詳細聞きたいと思いますが、行政監理委員会から第二次意見書がすでに出ているのですね。それと私は関連してくると思うのです。もっと言えば、たとえて言えば、総理府の設置法を見ただけでも、委員会や外局合わせて十一あるのですね、総理府に。そして、外局でありながら大臣がその長官になっているものが五人いる。たとえば木村さんだけでも北海道開発庁に行管長官でしょう。経済企画庁も防衛庁も科学技術庁も国家公安委員長国務大臣を当てているのです。ですから、組織法からいけば、各省大臣と各庁長官とどれだけの差があるのかといえば、事実上の差はないと思うのです。総理府の外局でありながら各省大臣よりももっと権限の強いことをやっておる。こういうことは、国家行政組織法をそのままにしておいて部分部分だけいじくってみてもナンセンスではないかと思うのです。そういう意味で、私はこの国家行政組織法を根本から考えていくべき時期に来ているのではないかと思うのです。たとえて言えば、防衛庁というのは二十万も軍隊がおって、そしてある意味では最大の権力者です、防衛庁長官は。それが総理府の一外局の長官なんです。あるいは、もっとひどいのは、警察庁の長官なんかは国家公安委員会の事務局みたいな存在だけれども、これまた最大の権力機関ですね。こう私ども考えてみますというと、この国家行政組織法は一日も早く私は根本的に検討しなければならぬのではないか。そんなゆうちょうなかまえで、行政機構改革をやるとか簡素化をやるのと言っても私は無意味ではないかと思うのです。そういう意味で、重ねて言いますけれども、この国家行政組織法についてはもう少し真剣に検討してもらいたい、こう思うのですが、長官どうですか。
  211. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) その話はこの前あったでしょう。私聞きましたか……。全く行政のことではしろうとなものですから申しわけありませんが、いまお話をお聞きいたしましてもごもっともだと思います。たとえば防衛庁が二十万も自衛隊を持っておってですね……。
  212. 山崎昇

    ○山崎昇君 それは大臣反対だよ。
  213. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 反対ですか。——何はともあれ、考えたいと思っております。おっしゃるとおりだと思います。
  214. 山崎昇

    ○山崎昇君 それではもう一問でやめます。  最後に長官、八月中に各省から計画案が出るらしいのですね。これは出たあとで、あなたは相談すると、こう言ったのですから、どうされるのか、今後の推移を見たいと思うのですが、八月中に地方事務官の問題については四大臣で相談をされて結論を出して、できれば次の国会に関係法案を出したいというのがあなたの答弁です。二、三の新聞報道によると、労働大臣は委譲してもいいではないか、多少問題点があるようですけれども、そういう見解等が示されたという報道がある。あるいはまた陸運の問題についても、最近は交通災害の問題と関連をしてこれはやはり早急にやらなければならぬ問題ではないか。こうなってきておって、この地方事務官の問題については一体どうなるのかというのが二つ目です。もう一つ申し上げたいのは何か。これも新聞報道ですが、自治省が各自治体に対して百ほどのアンケートをとって、これは大体の内容を持っているのですが、それに対して各省の出先が何かそういうものをやってはいかぬとか相当な圧力をかけたのが閣議でも問題になったと聞いているのですが、どういう圧力があって、閣議ではそれに対してどう処置されたのか、この三つだけ聞いて、あとやめます。
  215. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 地方事務官の問題でございますが、労働大臣と自治大臣と、それから運輸大臣と自治大臣と一ぺん、それから厚生大臣と自治大臣と一ぺん、いままで三省大臣とは会談いたしました。そして結果から申し上げますと、とにかく地方事務官制度は二十五日までの間にめどをつける、こういう点で一致したのであります。ただ、内容的にむずかしい問題があるものですから、どれを地方に移すとか移さないとか、移せないとか、そういうような問題はもう一ぺん折衝してきめよう。というのは、あなたのおっしゃったように、自治省からアンケートを出しておる。それが集積されるのが十五日だそうです。それができましてから具体的な折衝を大臣はして、ともあれ、二十五日までの間にはめどをつける、こういう方針でいま進んでおります。したがって、解決することだけは間違いない。  それから閣議の問題なんでありますが、自治大臣が私のところに参りまして、こういうアンケートを出したところが、省によっては非常に圧力を加えたところがある、実にけしからぬと、こういうことだったと思うのです。そこで私に閣議で発言してくれということだったのですが、せっかく自治大臣がああいうアンケートを出したんだ、それは決定事項じゃないのだ、実態を出してこれから作業に入ろうとするときに調査にまで圧迫を加えることはけしからぬことだと思う。どこだと名ざしませんが、そういう話をしてみたんですよ。そういたしましたら農林大臣が発言いたしまして、誤解を受けては困る、おれのほうでは、そういうアンケートが出たということで、横の連絡がなく突然出されたものですから、けげんに思って、そしてどういうことを書いてあるということを調べたものなんだと、したがって、それだけのことであって、そういうことに対しては必ず御協力申し上げますと、そのときにはそういう御返事を得ておったのであります。そういう経過であったわけであります。
  216. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 全部で六つにしぼって御質問申し上げます。  まず初めに、政府は先の国会で一省庁一局削減を実施しましたけれども、これは三カ年をめどとする行政改革の実施の突破口をなすものである、こういうぐあいに政府みずから述べておりますが、単なる一省庁一局削減のみでは行政改革としての意義が現実には薄いと思います。したがって問題は、今後の行政改革をいかに押し進めていくかという決意が、また考え方が大事だと思います。そこで長官の御所見を初めに伺いたいと思います。
  217. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 一省庁一局削減のときは、行政改革の突破口であると申し上げました。そして、それをもとにして各省庁から六月一ぱいまでの間に改革案の素案を出してもらいたいと、こういうことを言っておったのであります。それはそのとおり出てまいりました。それから臨調の答申、それから行政監理委員会その他民間の人たちのいろいろな意見をお聞きいたしまして、行政改革の素案をつくるべく努力する、そしてそれをつくると、こういうことを申し上げておりまして、現在そのとおりに進んでおります。いま私は各省庁から出てまいりました素案を見ておりますると、機構改革に具体的に触れたものが少なかったものですから、抽象的なものはいま省庁等管理庁のほうで煮詰めて、それだけでなく、たとえば所管の行政の一元化という問題が大きく取り上げられたものですから、その問題ともまた取り組みまして、ほんとうに八月一ぱいまでの間に改革の素案をつくりまして、そしてそれを皆さまに御提示申し上げるつもりで努力しております。それが大体できる、こういうようにいまは判断いたしております。
  218. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの問題ですが、六月に出てまいりまして、その各省庁から出てまいりました改革計画案は、結局閣議決定の趣旨に沿ったものであったかどうか。大臣の意に沿ったものであったかどうか、それをちょっともう一回お伺いしておきます。
  219. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 閣議決定には沿うております。沿うておりまするけれども、満足なものであったか、不満足なものであったか、こう言いますると、私が見て不満足だったのです。まあ私は大胆に採点いたしましたけれども、五十五点じゃないか、こういうふうに見たのであります。それで、もっと、たとえば許認可事項なんかは、非常にこっちが要求したパーセントよりも越えてはおりまするけれども、内容を分析してみて、これじゃいかんと思いましたから、もっとその点についてはこっちから要望事項を出し、いま鋭意そのことで努力しておる最中なんであります。線には沿うておりますけれども、私から言えば不満足な線であった、こういうことであります。
  220. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 行政機構の改革につきましては、過去におきましてもたびたびその実施をはかりましたのですが、そのつど十分な成果が現実にあがってないというのが実情ではないかと思います。まあ、その理由としましてはいろいろあると思いますけれども、官僚の抵抗が強かったとか、またはそのときの総理のリーダーシップの不足とか、いろいろあると思います。今回の機構改革の問題につきましても、この三年計画を政府が勇断をもって実施をする。そうしないと、結局は単なるかけ声のみに終わることになってしまうと思います。そこで、先ほどの監理委員会も、七月の二十九日の意見でその実現を強く要望しております。また、各省庁より提出された計画案を見ましても、先ほどの話にもちょっと出ましたけれども、相当抵抗の大きいこともあらわれております。政府は今後この実施にあたってどのような決意で当たられるか、この点もちょっとお聞きしたいと思います。
  221. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) あなたも御指摘になったとおり、一番大切なことは、内閣総理大臣の態度、決心です。その態度とそれから決心は不動ですから、安心はいたしておりますが、私、今度この問題と取り組みまして感じたことがもう一つあるのです。それは、政情が安定しておるかしないかということも非常に影響する。これは私はびっくりしたのですよ。それで参議院の選挙の前だったのですけれども、大体政情不安と人は見たのかもしれませんが、各省から提出されました内容はなまぬるかったと思うのです。選挙後はみんな一生懸命になって努力しているようでありますから、これ以上政局が安定いたしましたならば、そのとおり実行することができる、こういうように私は見ております。しかし、今後ぐらぐらいたしますと、役人というものは非常に敏感で、驚き入ったものなんでありまするから、その点若干不安も残っております。
  222. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いろいろありますけれども、具体的な問題としまして、地方事務官制度につきましても、臨調の意見、さらには昭和四十一年七月には行政監理委員会からも改革意見が出ております。現在それについてもその解決を見ておりません。これらの意見に沿った解決が現実に得られるのかどうか、これについても伺いたいと思います。
  223. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) それにほんとうに近いようなものをやってみようと思っていま取り組んでおります。満足な状態に皆さん喜んでもらうように、思い切っていま作業中なんであります。
  224. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではもう一つ。行政監理委員会は、現在委員の任期が切れているのではないかと思います。今国会に新委員の任命について国会の承認を求めることになっていると思いますけれども、行政機構の改革と懸案事項が現在現実に山積みしております。すみやかに新委員を任命して委員会の体制を整えるべきではないか、こういうぐあいに思いますが、いかがですか。
  225. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) そのとおりでありまして、七月一ぱいで任期は切れているのであります。それで、その間に新しい委員を任命しようと思いましたけれども、その行政監理委員会にお頼みしておったことでまだつくってもらわなければならないものが若干残っておるものですから、私はまあ任期はなくなりましたけれども、そういうことで手伝ってもらっておるものですから、ちょっと模様を見ておるような次第なんであります。それも大体十五日までにはいままでのお頼みしておった事項が終わりますから、それが終わりましたならば正式にきめたいと、こう考えております。任期が終わったにもかかわらず、新任の者をつくらなかったということだけは私も申しわけないような考えを持っておりますが、そういう次第なんであります。仕事とにらみ合わせて実はきめておるのであります。
  226. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 じゃ最後に、去る七月二十九日の監理委員会の意見で、監理委員会の地位と権限をさらに強化するよう現行制度を再検討する必要がある、こういうぐあいに述べております。これに対する政府の考え方はどうか。  それから、さきに述べました地方事務官制度に関する意見をはじめ、監理委員会からしばしば意見が提出されておりますが、この意見が政府によって尊重され現実に実施されているものが少ない。これでは実際に監理委員会を設けた趣旨より見ましてもはなはだ遺憾でありますし、また、所期の目的が達成されていないのではないか、こういうぐあいに思います。どうかこの点について大臣の所見を伺いたいと思います。
  227. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 監理委員会の内容をもう少し考えてもらいたいという意見が出ておりまするが、その具体的なことは、行政管理長官がその行政監理委員会の委員長をつとめるということは、結局二重的なものになって非常に仕事がやりづらいのじゃないか、こういうことだったのであります。私は管理長官としてここの委員長になりましたけれども、委員との間にいささかもそういう食い違いとか、仕事の点においてまずいとかいうものがなかったものですから、一つの懸案として今後もう一ぺん考えてみよう、こういう実は気持ちがいたしておるのであります。  それから、臨調答申や委員会なんかから提出されました問題について、非常にいままでの処理がなまぬるい点があったのじゃないか、こういうお話でありますが、それもごもっともだと思いまするが、なまぬるいということよりも、やっぱり一つの問題を取り上げまして、さて解決せよ、こういうことになってくると、そう簡単にできないものが相当あるのです。と申しますると、たとえば特殊法人としての北海道地下資源の会社を民間に移行しようといたしましても、私は法律を提出して、その法律が通ればそれで済むものと、こういうふうに思っておったところが、そうじゃない。やっぱりそういうものが民間に移行されて民間の会社として運営できるかどらかという大きな問題になってくると、そうして、できないということになってまいりますると、そこの従業員の再就職の問題などが出てまいりまして、そう簡単になかなかいかない。法律の改廃だけで済むというものじゃないわけですから時間がかかるのであります。そこで、やっぱり政治ですから、摩擦がないように、不必要な摩擦を起こさないように、それからやっておることがやっぱり了解してもらえるように、納得してもらえるようにやろうと思いますと、やっぱり時間がかかってなかなか進まない、こういうことなんであります。それでも、一つの問題を取り上げて恐縮でしたけれども、北海道地下資源の問題なんかを各党の非常な御理解、御援助によりまして百七十人の従業員の就職なども円満にいきまして、そして喜ばれたのであります。北海道開発庁の私の秘書なんかは組合から感謝状までもらいました。それですから、一つの仕事を法律の改廃なんという冷たいことでやったならば簡単ですけれども、やっぱり血の通うような、あたたかいような処置をしようと思うと時間がかかる。そういう点もどうかお認めくださいまして、一生懸命やっておったならばどうかお許しくださいまして、大目に見てくださるように、これからもあることでありまするから、お願い申し上げておきます。
  228. 井川伊平

    委員長井川伊平君) この際、田村行政管理政務次官から発言を求められております。これを許します。田村行政管理政務次官。
  229. 田村賢作

    政府委員田村賢作君) たいへんおくれまして恐縮でございますが、七月三十日付で行政管理政務次官に任命されました。たいへん未熟者でございますが、誠心誠意努力をいたしたいと存じまするので、あたたかい御鞭撻をお願い申し上げましてごあいさつといたします。(拍手)
  230. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件につきましては、本日はこの程度といたします。     —————————————
  231. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 次に、請願を議題といたします。  本委員会に付託されております請願は四十二件でございます。審査は慣例により速記を中止して行ないます。速記を中止して。   〔速記中止〕
  232. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 速記を起こしてください。  それでは、懇談中御検討いただきましたとおり、国家公務員関係三件、恩給、共済関係十件、防衛関係一件、合計十四件の請願は、議院の会議に付し内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  235. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査、並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続して行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、議長に提出すべきこれら二件の継続調査要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  238. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 次に、閉会中の委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  先ほど決定されました二件の継続調査が議決されました場合、これらの調査のため委員派遣を行なうこととし、これが取り扱いにつきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会      —————・—————