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説明員(平井廸郎君) ただいま先生から御指摘がございましたように、七月に長期税制に関する答申が税制
調査会から出されまして、その中で、現在の専売納付金制度を
たばこ消費税制度に改める等の制度改正について、すみやかに検討するようにという結論が出されているわけでございます。御
承知のように、現在のたばこ専売制度は、公社制度が
昭和二十四年に
実施されまして、専売公社が創設されて以来、専売公社の手によって
運営され、その専売公社がたばこの販売によりまして、総収益から総損失を差し引きまして、一部資産の増額に充てるために留保されるものを除いて、全部納付金として国に納付されるという制度をとっているわけでございます。このような制度をとっていることもありまして、健全にして能率的な経営を
目途としてつくられた公社制度が、必ずしも十分な目的を果たしていないというような世間の批判から、その一つの原因としての、総収益から総損失を引いたものが結果的に専売納付金になるというような制度では、経営についての計数的な基準もなく、かつその能率化のための基盤になっていないというような批判があったわけでございます。このような批判を受けまして、
各種の
調査会等でいろいろな検討はされてまいったわけでございますが、その後先生が先ほど御指摘になりました税制
調査会におきまして、
昭和四十一
年度から引き続き数年間、
実質的に消費税でありながら、形式的に納付金というような形をとっているために、いわば意図せざる減税が毎年のように行なわれていることは妥当でない。やはり消費税として、
実質的な消費税として含まれているものを、はっきりした消費税相当部分と公社の利益相当部分に分離すべきである、こういう考え方が強く打ち出されてまいったわけでございます。さらに近年におきます
地方たばこ消費税制度の相次ぐ率の引き上げ等もございまして、
実質的に見て国の専売制度としてつくられたたばこの専売制度は、次第にその
財政専売の実を失いつつあるというような点も指摘されたわけでございまして、こういった点を前提といたしまして、先ほどの税制
調査会の答申が出されたというようなことになっているわけでございます。
このような答申と、一方には、本年の五月から
実施されましたたばこの定価引き上げに際して、それが公社の経費の
増高によるものか、あるいは国の
財政需要によるものかというような点も問題になりまして、このような点からも専売納付金制度というものについて、あらためて考え直すべきだというような意見が出てまいりまして、この点につきましては、大蔵大臣の諮問機関でございます専売
事業審議会におきまして、二月以来検討は重ねられてまいったわけでございます。その検討の結果といたしまして、先般専売
事業審議会として、いろいろの問題はございますけれども、この際、
地方たばこ消費税との調整をはかって、国として、
たばこ消費税制度を創設すべきであるという御結論をいただいたわけでございます。また、先生も御指摘のとおり、これは
財政制度の一環としての大きな意味も持っておりますので、
財政制度審議会におきましてもこの問題は取り上げられまして、昨日その総会におきまして、やはりこの際積極的に制度改正に取り組んで、消費税制度を導入すべきであるという御結論をいただいたわけでございます。
消費税制度の導入にあたりまして、
地方たばこ消費税との調整が制度的に問題になる点を申し上げますならば、御
承知のように、現在の
地方たばこ消費税は、前
年度におきまする
全国のたばこ売り上げ高を本数で割りまして、いわば
全国的な平均単価を基準にして、これに本
年度の各府県なり
市町村の販売本数をかけて、それぞれの団体にその一定率を税金として差し上げる、こういう形をとっております。いわば消費税という名前を持っておりますけれども、
実質的に見て譲与税的な、
財源配分的な性質を持った制度になっているわけでございます。そこで一方、国におきまして、先ほど申し上げましたような経緯で
実質的な消費税制度をつくるということになりますと、いま申し上げましたような、いわば形式は消費税であるが、
実質は譲与税的な内容を持った、
財源調整的な内容を持った
地方たばこ消費税につきましては、何らかの意味で調整をはからねばならないということは、当然の結論として出てまいるわけでございまして、そういう意味におきまして、これから以上のような審議会なり
調査会の御結論を得まして、来月以降、税制
調査会におきまして本格的な御審議をいただくということになろうと考えておる次第でございます。