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1968-08-07 第59回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月七日(水曜日)    午前十時十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         阿具根 登君     理 事                 鬼丸 勝之君                 川上 為治君                 大矢  正君                 藤原 房雄君     委 員                 伊藤 五郎君                 石原幹市郎君                 徳永 正利君                 西田 信一君                 松平 勇雄君                 吉武 恵市君                 小野  明君                 小林  武君                 原田  立君                 片山 武夫君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   椎名悦三郎君        労 働 大 臣  小川 平二君    政府委員        通商産業政務次        官        藤井 勝志君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君    事務局側        常委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        通商産業省鉱山        保安局長     西家 正起君        労働省労働基準        局補償課長    長岡  貢君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (北海道炭砿汽船株式会社平和炭鉱における坑  内火災事故に関する件) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  当面の石炭対策樹立に関する調査を議題とし、先般、当委員会から派遣いたしました北海道炭砿汽般株式会社平和炭鉱における坑内火災事故実情調査のための派遣委員から報告を聴取いたします。鬼丸君。
  3. 鬼丸勝之

    鬼丸勝之君 御報告申し上げます。  去る七月三十日に発生しました北海道炭砿汽船株式会社平和炭鉱における坑内火災事故実情調査のため、阿具根委員長大矢理事藤原理事及び私、鬼丸の四名は八月四日出発、翌五日現地におもむき、札幌鉱山保安監督局北海道労働基準局夕張市当局及び会社側から、今次災害概況救出作業進行状況遺家族対策等について説明を聴取し、また組合側から今後の保安問題等についての要望を聴取いたしてまいりました。以下その内容を簡単に御報告いたします。  まず、平和炭鉱でございますが、この炭鉱北海道夕張市にあり、労働者約二千人、年間約百万トンを産出する甲種炭鉱でございます。  今回の坑内火災は、七月三十日午前三時五十分ごろ坑口から約二千二百四十五メートルの西部ベルト斜坑、あの地図にあります下のほうの水平のラインのまん中よりちょっと左のほうでございますが、その西部ベルト斜坑第二原動部付近から出火いたしました。事故当時、現場付近には六十五名が入坑しておりまして、うち三十四名は自力脱出したのでありますが、残り三十一名が逃げおくれて坑内に閉じ込められたのでありまして、私ども現地におもむきました時点においては死亡確認九名、二十二名がなお坑内に閉じ込められておる状態でございました。  次に、救援活動状況でございますが、事故連絡を受けた後、直ちに救護隊が招集され、救護活動に入りまして、当時は火災発生現場に接近することができましたので、水による消火を行ないました結果、午前七時五十分ごろ一応消火に成功したと見られたのでありますが、その直後、現場崩落が起こって進入不能となりましたため、他の坑道から救出に向かいました結果、九名の遺体を収容したのでありますが、この坑道坑内排気側坑道でありますため、濃い煙のためほとんど視界がきかず、救護隊の進入がきわめて困難でありましたので、八月一日から坑道まん中に板張りの仕切りを設けて一方を人気とし、一方を排気とする坑道の張り分け作業を進め、それにより前進をはかっておるのでありますが、煙と五十度近い高温のため作業は困難をきわめておる状況でございした。  次に、今回の坑内火災原因でございますが、これについてはいろいろ推測がなされておりますけれども、何ぶん崩落のために発火現場に到着することができず、現段階においては原因は明らかでないとのことでございました。しかし、今回の災害がこのように大きなものとなりました原因としては、火災発生がもちろんそのおもな原因ではありますが、事故発生後にとられた措置、行動に今後明らかにしなければならない疑問点があったのではないかと思われるのでございます。  その一つは、火災発生の知らせがいかなる方法坑内全体に通報されたかという点でありまして、もし火災発見後それが直ちに坑内全体に正確に通報されたならば、こういう多くの人が坑内に閉じ込められるような事態にはならなかったのではないかと推察されるのでございまして、今後の保安対策の上から、警報連絡方法は十分解明されなければならない問題であると存じます。  また、今回遺体となって発見されました方々は、逃げる途中の坑道一酸化炭素による中毒死をされたのであります。その坑道の途中には一酸化炭素自己救命器、いわゆるCoマスクと呼ばれるものが備えつけられておったのでありますが、もしそれらが各自めいめいに携行されていたならば、この遺体で発見されました九名の方々はこれを使用して、なくならずに済んだのではないかとくやまれるのでございます。この火災発生後の警報連絡方法、あるいはCoマスク使用については、日ごろ訓練が行なわれていたとのことではありますが、それが一たん生命の危険にさらされた場合に役立ち得るものまでになっていなかったのではないかと思われる点がございまして、保安教育避難訓練の不徹底が今回の災害を大きくした一つの大きな原因ではないかと考えられるのでございます。  次に、現地において組合側から種々具体的な要望がございましたので、そのおもなものを御報告いたしますと、  一つは、炭鉱においては日ごろから医療設備が不足しておりますが、一たび事故が起こりました場合には、その設備の貧弱さが痛感されますので、医療体制の整備に尽力していただきたい。  二番目には、Coマスク個人携行を即時実施すべきであり、生産が間に合わないならば、緊急輸入の道を講ぜられたい。  三番目には、災害発生時に備えて、各炭鉱から保安要員を集めて、直ちに出動できる近代的な装備を有する常設救護隊の設置を検討していただきたい。  四番目には、炭鉱保安確保については個々の企業では限界があるので、国において責任を持たれたい。等の要望がございました。  以上が今回の調査の概要でございますが、本年になりましてからも、美唄炭鉱における二度にわたる事故をはじめ、雄別炭鉱新田川炭鉱滝口炭鉱における災害事故など、炭鉱災害が相次ぎまして、多数の犠牲者、行くえ不明者負傷者を出しておりますことば、まことに遺憾にたえないところでございます。かかる事故の絶滅を期さない限り、山を離れる離山ムードがますます醸成されまして、今後労務者の確保に支障を来たし、わが国石炭産業はさらに困難な立場に追い込まれるであろうことは明らかでございます。労働者が安心して働ける炭鉱とするために、決意を新たして保安対策を取り組まなければならないと痛感いたした次第であります。  以上簡単でございますが、派遣報告を終わります。     —————————————
  4. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、北炭平和鉱事故について政府側から説明を聴取いたします。藤井通産政務次官
  5. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) ただいま参議院からおいでになりました調査団の詳しい御報告がございましたが、私が御報告申し上げるのは、多少時間的に経過いたしておりますけれども、一応調査団長としてまいりました時点における報告をさせていただきます。  去る七月三十日、北海道炭砿汽船株式会社平和炭鉱において坑内火災発生し、坑内に三十一名が閉じ込められておるとの報に接しまして、通産省といたしましては、鉱務監督官現場に急行させ、行くえ不明者救出に全力をあげるとともに、通産省調査団を編成して現地調査に当たりました。私は調査団長を命ぜられ、七月三十日午後四時ごろ災害現場に到着いたしました。現場坑道崩落している上に、煙の発生が多いため、救護隊による救出作業が困難をきわめており、当日は七名の遺体が収容されましたが、なお二十四名の方々が行くえ不明になっておりました。その後二名の遺体が収容され、現在までのところ九名の方が遺体として収容されまして、いまなお二十二名の方々が行くえ不明になっております。  七月三十一日、午前八時半、札幌において、平和炭鉱災害対策連絡会議通産局長主宰のもとに関係諸機関の協力を得て開き、当面の災害対策に万全の措置を依頼して帰京いたした次第であります。  災害原因につきましては、行くえ不明者救出後徹底的に究明する方針でありますが、中央鉱山保安協議会において、今後の保安確保対策のあり方について審議がなされておるさなかに、このような重大災害発生を見たことはまことに遺憾であります。通産省といたしましては、協議会の答申を得次第、保安対策の拡充にさらにつとめる所存であります。  災害の詳細につきましては、鉱山保安局長説明させることといたします。以上でございます。
  6. 西家正起

    説明員西家正起君) それじゃ、引き続きまして、災害の詳細につきまして御説明申し上げます。はなはだ申しわけないのでありますが、資料ができておるのでございますがちょっとまだここに到着していないのでありますが、やがて到着するかと思います。  今回の炭鉱名平和炭鉱平和坑でございまして、北海道夕張市にございます。鉱業権者北海道炭砿汽船株式会社社長原功一災害発生日時は七月三十日三時五十分ころでございます。災害発生個所西部ベルト斜坑第二原動部付近でございます。災害の種類は坑内火災罹災者の数は現在死亡九名、行くえ不明二十二名、軽傷二名、計三十三名となっております。  災害状況でございますが、当炭鉱の操業の概況を簡単に申し上げますと、当鉱は鉱山労働者二千八十九名で月産七万七千五百トンを六月末現在出炭をいたしております甲種炭鉱でございます。坑内の構造は東部区域西部区域北部区域の三つに大別されております。今回災害発生いたしました西部区域は、鉱山労働者約四百五十名で、月産二万二千トン出炭しております地区でございます。  災害概況及び救助活動の模様でございますが、災害当時は二十九日の三番方として二百二十八名が入坑いたしております。そのうち先ほど申しました西部区域には六十五名が配番になりまして、主として上、下段二つロング長壁式採炭切り羽でございますが、上、下段ロングの三十日一番方に対する準備作業に従事をいたしておったのでございますが、この三十日の午前三時五十分ごろ坑口から約二千二百四十五メートルの位置にございます西部ベルト斜坑の第二原動部付近におきまして火災発生いたしました。火災発生後、六十五名のうち三十四名は自力脱出うち二名は軽傷者でございますが、自力脱出したのでございますが、残りの三十一名が坑内に閉じ込められまして、六日十七時現在九名の方が遺体として収容されておるほか、二十二名の方が現在行くえ不明となっておる次第でございます。災害の起こりました直後に平和炭鉱真谷地炭鉱夕張炭鉱等関係炭鉱から招集されました救護班、これは逐次ふえまして現在三十三個班になっておりますが、この救護隊が行くえ不明者救助に鋭意努力中でございますけれども、その状況を簡単に御説明申し上げたいと思います。  災害あと、当初四個班が坑内侵入をいたしまして、マイナス七十メートル坑道救護隊基地を設けまして、そこから二手に分かれまして、二個班は人気側、すなわち火災のございました西部ベルト斜坑のほうから侵入をいたしまして消火作業に当たりました。もう一つの二個班は、もう一つの入り口でございます排気側、すなわち西部マイナス七十メートル下盤坑道になりますが、こちらのほうから探険侵入したわけでございます。その後、逐次救護隊の応援を得まして、排気側探険侵入を容易にするために風管通気作業を実施いたしました。坑道風管を出しまして、そこで空気を送りつつ逐次煙を排除しながら奥のほうに侵入して行ったわけでございますが、その後入気側第二原動機手前個所に戸門を設置いたしまして、通気確保しながら消火作業を始めておりましたのですが、現在もこの作業続行中でございます。また、排気側風管延長作業は、基地から四百八十五メートルの地点まで実施をいたしまして、八月一日未明までに九名の遺体を収容したのでございます。その後、坑内温度が非常に上昇いたしまして、作業続行が不能となりましたので、一応風管通気はやめにいたしまして、坑通全体に張り切り通気をやるように変更したわけでございます。すなわち坑道まん中に支柱をつくりまして、これにビニールを張り、空気の漏らないようにいたしまして、一つ坑道人気排気をとりながらやる張り切り通気に変更いたしまして、現在その作業続行中でございます。この作業は、基地から四百五十三メートルの地点まで八月六日の十四時四十分現在進んでおりますけれども、その張り切り先奥ガス量はかなり多いわけでございまして、メタンガスは干渉計ではかりまして一一・九%、炭酸ガス一〇・八%、一酸化炭素一・四%、温度が五十六度というような状態になっておりまして、非常に作業が難航いたしておるような状態でございます。  災害原因でございますが、現在行くえ不明者救出及び消火作業に総力をあげておりまして、本格的な原因究明にまで至っていないのでございますけれども、一応火災原因といたしましては、ベルト付近で起こったことは間違いございません。ベルトとキャリヤーローラーまたは駆動用のドラムとの摩擦熱であるか、または原動機の過熱であるか、その辺が大体現在のところ推定されておる発火原因となっているわけでございます。  火災が起こりましてから以後の連絡体制Coマスク問題等につきましていろいろ問題をはらんでおるわけでございますけれども、こういう点につきましては、自力脱出をした方、その他関係者からつまびらかな供述をとりまして、かなり突っ込んだ検討をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  札幌鉱山保安監督局は、署長以下四名の鉱務監督官事故がありました直後に現場に急行させますとともに、監督局からは大関管理官芝石炭課長以下五名の監督官現地に派遣いたしまして、罹災者救出作業の指揮及び原因究明に当たらしておるわけでございます。  通産省といたしましては、先ほど政務次官からお話のございましたように、災害発生後直ちに、七月三十日に通産省調査団を編成いたしまして、現地に参りまして諸種の対策に当たったような次第でございます。なお、自後の処置といたしまして、とりあえず昨日関係団体の長並びに北炭社長大臣が召喚いたしまして、厳重な警告をいたしたような次第でございます。  それから、はなはだ恐縮でございますが、資料の一番最後のところに簡単な略図が書いてございまして、これがちょうどここに張ってある図面と同じでございますけれども坑口はこの図面の上部の右のほうにございまして、それから斜坑で入り、左側のほうの水平坑道を通りまして、ちょうどまん中にございます西部ベルト斜坑に到達するわけでございまして、これはここにベルトコンベヤーがございまして、これの坑口から二千二百四十五メートルのところのベルトの第二原動機付近から発火をいたしております。中の通気は、このベルト斜坑左から右に入気が入りましてから、右のほうにございます下段ロング上段ロング作業場を洗った空気がその上の矢じるしを通って、西部マイナス七十メートル下盤坑道から排気をされる。一部奥の右下のほうに広がっておる坑道がございますが、これは掘採あとでございますが、一部こちらのほうも空気が通りまして、右のほうの矢じるしのほうを通って下盤坑道で合流をいたしまして坑口排気される、こういうことになっておるわけでございます。で、図面にペケじるしの位置が書いてございますが、この位置におきまして九名の方々遺体を収容したのでございます。  以上、簡単でございますが、御報告を申し上げます。
  7. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 質疑のあります方は順次御発言を願います。
  8. 小野明

    小野明君 いまの図表によりますと、自力脱出は三十四名、行くえ不明者三十一名と、こう書かれているわけですね。次官なりまた保安局長説明によりますと、行くえ不明者が二十五、こういう数字が報告になったと思うのですが、その辺はどういう事情なのか説明をしていただきたいと思います。
  9. 西家正起

    説明員西家正起君) 死亡者九名、行くえ不明者二十二名と申し上げたわけでございます。計三十一名の方で、そのほかに軽傷者二名でございますが、なくなられた方は九名、行くえ不明者二十二名、計三十一名、三十四名の方は自力で脱出したわけです。
  10. 小野明

    小野明君 いまの調査報告を聞きますと、火災原因がまだわからない、こういうことなんです。一応推定される理由というのはこの調査報告書に書かれておるようでありますが、この山は常時監督されておると思うのですが、一番事故発生に近い日にちに監督をされた人の報告といいますか、その間の事情を少し御説明をいただきたいと思います。
  11. 西家正起

    説明員西家正起君) 災害の直前に監督局から検査に行っておるわけでございます。正確には七月二十三日から三日間監督官三名で平和炭鉱全域にわたりまして監督をいたしております。災害がございました西部地区につきましても巡回をいたしておりまして、当ベルトコンベヤーにつきましても運転状況等を見てきたわけでございますが、そのときは運転状況にさして特に異常は認めていないということでございまして、今度の災害に関連のある指示事項は何もいたしていなかった。こういうような状況でございます。
  12. 小野明

    小野明君 非常に北海道には最近事故が多いわけですが、そのたびに保安云々ということが問題になっております。そのたびにまた鉱務監督官監督ということが取り上げられるわけですが、二十三日に三名行かれておる。その際坑内非常警報装置とか、あるいは調査団から指摘をされておりますマスク携行の問題とか、あるいはこの際考えられます火源の問題とか、当然点検をされてなければならないと私は思うのです。あなたのところが、ほんとに何というか、ことばは悪いですが、しさいにこういう保安状況点検されておるのかどうか、そういった今回も調査団で問題になっておるような点についての報告というのは、どういうふうになっておるのですか。
  13. 西家正起

    説明員西家正起君) 確かに災害が起こりまして、先生御指摘のような感じを持たれるのははなはだ当然だという感じがいたしておりまして、私どもといたしましても非常に反省はいたしておるわけでございますが、一応施設面等につきましては、これは十分見落としのないような検査をいたしておるわけでございます。  それから警報関係にいたしましても、警報装置がどういうものがあるかというようなことにつきましてのチェックは、これは十分にいたしておるはずでございます。ただ、何か事故が起こりました場合の退避訓練、あるいは警報連絡方法、そういう実質的な訓練、動的な場面における監督と申しますか、チェックと申しますか、そういう点につきましては従来これはなかなかむずかしい点もあるのでございますけれども、たとえば一つ災害を想定して、そこで連絡退避をやってみろといったような監督チェックは実はしていなかったようなわけでございます。これにつきましても、したがいましてそういう点につきましては、鉱業権者のほうに当然保安上の義務もございますし、そういう実地的な退避訓練を何回もやるように、しかもそれが単なる形式的な訓練に終わらないようにといったような注意は、これは監督局といたしましても十分やっておったわけでございまして、鉱業権者が十分にその点をやっていただけるのが第一義だと思いますけれども、今回のような災害でございますと、やはりもう少し監督官のほうも現地のほうで山側の教育訓練にまで突っ込んでそれをチェックするということも考えていかなくちゃならぬのじゃないかというふうに反省をいたしておるわけでございます。  なお、マスク保安教育等につきましても、これもやかましく鉱業権者等使用方法その他につきましては口では言っておるわけでございますが、実際に監督官がこの場でやってみろといったような、一般鉱山業者に対する保安教育の成果という点につきましては、従来必ずしもやっていなかったというのが実情でございまして、大いにこの点われわれといたしましては反省をいたしまして、もっと実効のあるようなことにまで突っ込んでいかなきゃならぬのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  14. 小野明

    小野明君 災害発生からかなりの日時がたっておりますが、少し焦点をしぼってお尋ねをしたいと思うのですが、この坑内火災原因については、いまだにはっきりしないわけですか。それとも推定される有力な理由というものはここに書いてあるとおりですか。いかがですか。
  15. 西家正起

    説明員西家正起君) ベルトコンベヤーのございます災害現場岩石坑道でございまして、鉄のワクのほかに矢木が天盤を支えて、天盤浮き石を落さないようにするためにあるわけでございますが、要するにそのベルトコンベヤーのあります個所から発生したことは確かでございまして、そういう点から推測いたしますと、ベルトコンベヤー以外の点から発火したということはちょっと現在の段階では考えられないということでございまして、そうかといってどこから、原動機から出たのか、ベルト摩擦なのかというところまではまだ現在現地確認ができ得ない。しかし、ベルトコンベヤー関係から火が出たことは間違いない。したがいまして、推定され得る原因といたしましては、ここに申し上げましたような理由に大体九分九厘間違いないのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  16. 小野明

    小野明君 大体火源というのは推定がされるわけですが、それに伴う何といいますか、空気状況といいますかね、私は専門家でないからその辺はわかませんが、たとえば空気の中に炭素がどれくらいまじれば火災になると、こういうようなものを検査をしておる機械というものが、あるいは保安要員というものがおるののではないんですか。その辺は探知器で今日明らかになるのではないかと思うんですが、その辺の点検は、この山ではどういうふうになっておるのですか。
  17. 西家正起

    説明員西家正起君) ベルト斜坑には原動機二つございまして、一つ西部ベルト斜坑とそれから坑口から入ってくる北部ベルト斜坑の交差点に近い付近にございまして、もう一つは今回発生いたしましたベルト斜坑まん中あたり原動機があるわけでございます。この原動機は一応遠隔操作になっておりまして、第一原動機付近に一人の運転工がついておる。この運転工の方が、その第一原動機状況並びにあるいは五百メートルにわたってございますベルトコンベヤー全体につきまして、逐次歩いて見る、こういうようなふうに管理体制はなっておったようなわけでございます。
  18. 小野明

    小野明君 常時歩いて見ると言われる。それは常時歩いておるでようが、その際火災原因になる要素といいますか、そういうものの検査をする保安点検のやり方というのは、この山ではどのようにやられておるのかということを尋ねておるわけです。
  19. 西家正起

    説明員西家正起君) この当該ベルトにつきましては、一応運転工の方が巡視をいたしまして、ベルトコンベヤーが過熱を起こしているような状態、すなわち過熱いたしますと、ベルトコンベヤーが何かドラムからはずれまして、原動機だけが回ってベルトコンベヤーがとまっておるか、あるいはから回りしておるか、いろいろな摩擦原因が考えられますけれども、要するに正常に動いているかどうかということを運転工としては見ておったわけでございますが、それが正常に運転していないというような状況になりまして、初めてそれが摩擦とか火災につながる、こういうような関係になるんじゃないか、こういうように考えているわけでございます。したがいまして、この平和坑全体といたしましては、大きなベルトにつきましては、そういう異常状態発生いたしました場合には、これは自動的にとまりまして、そういう摩擦が起こらない、したがって火災も出ない、火も出ない、こういうような装置がつけてあったのでありますが、このベルトは分岐であったせいか、その点についてはそういうような安全装置が必ずしもついていなかった、こういうように私たちは現在のところ考えておるような次第でございます。
  20. 小野明

    小野明君 人気排気というのは、火災の際にも関係があるようにしろうと目では考えられるわけですが、その辺の異常は考えられなかったわけですか。送風ですね。
  21. 西家正起

    説明員西家正起君) 人気排気通気につきましては、特に問題はなかったと思います。
  22. 小野明

    小野明君 次に、いま鬼丸理事の報告によりますと、非常の場合の通報警報措置が完全でない、正確に坑内全体に通報されていない。いわば警報装置が故障しておるか、完全にこれがほったらかされておるかどちらかだと思うのですが、その辺の事情はどういうふうであったのか、詳しくひとつ説明をいただきたい。
  23. 西家正起

    説明員西家正起君) 当炭鉱におきましては、連絡通報につきましては、主として電話機を使用いたしております。で、電話機の個数は相当ございまして、そのうちの一部は非常ベル拡大装置というのがついておるわけでございます。全坑内で三十五ぐらいございまして、そのうち十三ぐらいが非常ベル拡大装置がついておるわけでございます。その西部地区は、西部ベルト斜坑の第一原動機付近、それから罹災者の方が多くおられました下段ロングのゲート、それから上段ロングの入り口、それからベルトコンベヤーの逆に終点になりますところのポケットの下あたりに、電話の装置並びに非常ベルの拡大装置つきの電話があったわけでございます。装置といたしましては、そういうわけで、一応現在保安法上に定められておる設備としてはあったわけでございます。ところが、先ほどお話もございましたように、これがどうしてうまいぐあいに伝わらなかったのであるか、こういう問題につきましては、現在関係者一人一人につきまして、何時にどういう行動をしたかということをいま詳しく調査中でございまして、そのはまだ結論は出ていないわけでございます。いないのですが、結果的に見て、確かに非常にスムーズに連絡が、警報がいったというふうにはどうも考えられない点がございまして、はたしてこの電話機の故障であったのか、あるいは電話機の線がちょうど西部ベルト斜坑を通っておりますので、火災がかなり広がってからでございますと、この間の連絡装置が中断するわけでございます。早期に連絡ができなかったものであるかどうか、あるいはそういう連絡ができないまでに火災が先に広がって連絡装置がだめになったものであるかどうか、もしだめになったとすれば、別の二回線のような別系統のもう一つ連絡装置が必要であったんじゃなかろうか、こういうような点につきまして、事実をもう少し究明いたしましてから検討いたしたい、かように考えております。
  24. 小野明

    小野明君 これは調査団に参加されました鬼丸理事にお尋ねしたいんですが、いま報告で非常の際の警報坑内に通達されていない、こういった点を報告に入れられておるんですが、いま保安局長説明によりますと、その原因が必ずしも明確でないわけです。それはどういう事情であったのか、おわかりでしたら、ひとつ御説明をいただきたい。
  25. 鬼丸勝之

    鬼丸勝之君 会社側からいろいろ事情を聴取いたしましたが、結論的には、いま局長が由しましたように、非常警報連絡が徹底しなかったという結果は出ておりますが、その原因はつまびらかでございません。われわれが質問した結果の会社側の答えといたしましては、五時二十分ごろからいまの電話連絡による非常警報ですね、非常警報をやって、次いでメルカプタンというにおいのするものを流しまして、退避を指示した。五時二十分以降そういうことをやりまして、さらに五時三十五分に救護隊を招集して、六時四十五分に救護隊が入坑しております。これははっきりしております。それから七時三十分ごろあそこの水平ベルト斜坑の煙が晴れましたので、第二原動機のそばに接近ができて、水によって消火しておる。大体七時五十五分には一応消火をしたと思われたということです。その直後に天盤の矢木が焼けて崩壊を起こしております。そういう状況で、いま由し上げましたように、五時二十分ごろから七時五十五分、一応消火されるまでの間の警報連絡が不徹底であったという結果は想像されるのでございますが、原因についてははっきりいたしておりません。
  26. 小野明

    小野明君 保安局長にお尋ねをしますが、火災発生が三時五十分ですね、それからいまの鬼丸理事の説明によりますと、警報らしきものが流されたのが五時二十分、非常に時間があるわけですね。この間どういう状態であったのか、その辺をひとつ説明をしていただきたい。
  27. 西家正起

    説明員西家正起君) 火災の起こりましたと推定される時間が三時五十分でございまして、一斉指令が出されたのは、たしか五時二十分ごろであるとわれわれは大体考えておりますが、その間、三時五十分にこの西部地区のほうにおられました係員が異常を感じまして、ベルトコンベヤーのほうに参りまして、そこで火災を発見いたしておるようでございます。それでそのときにちようどベルト運転工の方が、やはり同じ反対側からベルトコンベャーのほうにこれはそのときは電話は通じたわけでございまして、現地のこの西部のちょうどベルトコンベヤーの終点のポケットの下に一応その係員の部下をまとめて置いておったわけでございますが、そこからベルトコンベヤー運転工の第一原動機のほうに電話がかかって、どうもおかしいということの電話があったようでございまして、運転工がそれで同じくベルトコンベヤーのほうに参りまして、その辺で係員と会っておるわけであります。それから係員は直ちに一番近い電話、すなわち第一原動機のほうに参りましてそれぞれ連絡をしたようでございますが、その間、そのときになかなか電話が通じなかったといったような話がございます。その問いろんなそのほかにまた主任さん等も出てまいりまして、それぞれの供述をいま取っている最中でございますが、その当初の係員の方は、その後救護隊として活躍されておるようなわけでございまして、なかなか落ちついて時間的にゆっくり時間をとりまして供述を取るという段階に至っておりませんで、その点はもう少し時間をかしていただきまして、関係者の全部の供述を取りまして、その間どうやっておったかという点を明らかにしたい。これはもう時間をかしますよりしかたがないのでございます。その問各人がどういう行動をとったかという点につきましては、もう少し時間をかしていただきまして調査をいたしたい、かように考えます。
  28. 小野明

    小野明君 この辺の措置が非常におくれておるというところに私は非常に疑問を感ずるわけですが、いまの御説明では、一体これだけの時間の間何をしておったかということがまだ明確でないわけです。まだ調査をしたいというようなことですがね、何もしていなかった、 この間放置されておったんだと、火の拡大にまかしておったんだというようなことのようにもうかがわれるわけですが、この間に自力脱出した三十四名という方は、一体何時ごろどういうふうな形で脱出されたのか、そういう問題もあわせてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  29. 西家正起

    説明員西家正起君) 自力脱出をされました三十四名の方は、五時二十分から六時四十分の間に抗口に出ておられるわけでございます。で、先ほど御指摘があった点は非常にもっともでございまして、私どもとしても、この間の時間が相当ございますので、係員の方、あるいは中でどういうふうになっておったのかという点につきましては、われわれもいま非常な疑問を持っておりますし、この点を重点的に、あとは各人の、関係者の意見、お話し合いを全部正確に取るということで大体わかるんじゃないかという感じがいたしておりますけれども、とにかく坑外に初めてわかったという時間がすでにかなりおくれているようでございます。したがって、一斉退避したのは、坑外の方に通じた時間がおそらくやはり五時過ぎじゃないかという感じがいたしておりまして、それから一斉退避を坑外からやったのでございますが、その一斉退避もはたして退避のベルがこの西部に通じておったかどうか、そのときにはもうかなり火災が広がっておると見られますので、通じておったかどうかということもこれも疑問でございまして、自力脱出の三十四名の方、それから病院に入っておられる方、あるいは自宅療養されている方、あるいは関係者全部の供述書を、これはできるだけ早急に取りまして、明らかにいたしたいと考えておる次第であります。
  30. 小野明

    小野明君 その自力脱出が五時二十分から五時四十分の間に行なわれたということになりますと、一応警報らしきものが出されたのが五時二十分ですから、それが何らかの形で通じて、それから出られた、すぐ出た人が三十四名であると、こういうことが言えるわけですね。五時二十分から四十分の間に出られたというのですから、その間に警報らしきものが出されてから初めて退避を始めたと、こういうことですか。
  31. 西家正起

    説明員西家正起君) 現場から坑口まで出るには二千メートル以上の距離がございまして、深夜でございますので人車等も動いておりませんので、おそらく斜坑をかけ上がって出たと思います。したがいまして、二十分ぐらいではなかなか坑口まで出られないので、これは正確にはいまわかりませんけれども、おそらく一斉退避の命令を聞かずに三十四名の方々自力脱出されたのじゃないか、こういうふうに考えております。
  32. 小野明

    小野明君 そうしますと、この六十五名の中に組夫は何人おるのですか。
  33. 西家正起

    説明員西家正起君) 三番方の現場作業は、全部直轄の方はかりであります。
  34. 小野明

    小野明君 この山では、こういった際の保安訓練、そういったものは行なわれておったのかどうか。この辺の調査ですね、行なわれておったのかどうか、その辺がおわかりでしたらひとつ御説明いただきたいと思います。
  35. 西家正起

    説明員西家正起君) 平和坑におきましては、四十二年には一月と二月と九月の三回退避訓練をそれぞれ区域ごとに分けまして実施をいたしております。ことしの四十三年は一月に退避訓練を実施いたしておる次第でございます。
  36. 小野明

    小野明君 それからマスクですね、調査団が行かれた際に、個人携行をさしてもらいたいと、こういう要望があったわけですが、これは前の夕張の際ですか、あるいは三池の災害後にも、マスクについては個人携行をやらせますというような御答弁があったように私は記憶しておるわけです。これは三池の災害の際にもマスクの持続時間が非常に短かった。三十分ぐらいしかなかったので、この辺の改良も行ないますし、個人携行もやらせます、こういうお話があったように私は記憶をしておるのですが、その点はこの山ではそういうことがなかったわけですか。
  37. 西家正起

    説明員西家正起君) 一酸化炭素マスクにつきましては、先生、御指摘のとおりでございまして、昨年の九月の三池の災害にかんがみまして、マスク個人携行ということが問題になったわけであります。その後、ただ問題は、いいマスクをつくる製造能力の問題があったわけでございますので、昨年の十月からさっそくその会社の増産の計画をわれわれのほうからプッシュをいたしまして、増産をさせまして目鼻のついたところで、ことしの一月に規則の改正をいたしております。ことしの一月に、各個人ごとに携行させるということに規則を改正したわけでございますけれども、何ぶんにも製造能力の関係から全部各人に渡るには、来年の三月までの猶予期間を規則の経過規定として設けまして、この点は中央鉱山保安協議会その他にも御相談申し上げまして、やむを得ず四十四年の三月までの猶予期間をつけて、ことしの一月にマスク個人携行の改正をやったわけでございます。しかしながら四十四年の三月まで猶予期間がございましても、そのぎりぎりいっぱいまでにそろえるという方針ではなくて、できるだけ早くこれは各人に渡らせるということで、その後も国内の生産メーカーに毎月毎月増産をさせまして、大体来年の一月の中ごろまでには全部渡らせる、こういうようなふうに、計画的にあぶない山から持たせるということでやっておったわけであります。要するに大体個人携行をいたしますと、総数十万二千個が必要なんでございますけれども、現在わりあいに計画どおりにまいっておりまして、五万五千ぐらいの数が各人の個人携行として渡っておるような次第でございます。なおあと四万強の数がまだ不足をいたしておるような実態でございます。しかし、これはもうできるだけすみやかに各人に渡らせるほうがいいことは、はっきりしておるわけでありまして、今渡の災害後私たちも現地に参りまして、そういう要望を聞きましたので、帰りまして、さっそく八月からの生産を増強させるというような手段を講じておりまして、できるだけ早い機会に各人にわたらせるようにいたしたい、こういうように考えておるわけでございます。
  38. 小野明

    小野明君 通産大臣にお尋ねをいたしますが、いま私がいろいろお尋ねをしたような点については、災害があるたびに言われておるわけですね。今後災害がありましたときには、厳重に注意をいたしまして、かかることがないようにいたしますということで終わっておるわけです。今日、石炭産業というものが大きな危機に差しかかっておる。その大きな原因がやはりこの労働力不足にある。それは何かというと、やはり保安の不備、この点に私は大きな一つの問題点があるように思います。いまお聞きの点によりましても、保安点検  の問題あるいは保安訓練の問題、マスクの装備などの問題等につきましても、これはしばしば指摘をされておる問題で、こういった点が一向に保安局によって、通産省によってきっちり守られていない。こういう点がますます私は今度の災害によって痛感をされるわけですが、この点について通産大臣のひとつ御意見を伺いたいと思います。
  39. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 今回の災害に限定して考えましても、点検訓練及び具体的な施設、こういう点にまだ非常に欠けるところがあったと、こう思われます。これを十分に実効あらしめるためには、やはり炭鉱側−会社側、労組及び政府、この三者一体となってこれらの問題を一そう充足するようなことをつとめなければならぬ、かように考えるわけでございます。
  40. 小野明

    小野明君 いまの御答弁によりましても、いつも災害のたびにそういう御答弁をいただくわけですよ。ですから、事故原因、あるいはそういったいま大臣がおっしゃられたような点について徹底的にひとつ改善をしていただいて、事故の絶滅を期していただく、こういうお話を私は伺いたかったわけなんです。再度ひとつ御所信をいただきたいと思います。
  41. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 繰り返して申し上げますが、これは政府だけでいかに監督をやかましく言ってもだめだ。その点については、政府はもっと厳密な監督行政をしなければなりませんし、これを実行する上において、やはり企業と労組一体になってこれを充足してまいるということが絶体に必要であると思います。そういう意味におきまして、政府が三者共同体制をとって、そうして遺憾なきを期するというイニシアチブをとることにおきましては、この際大いに私どもは戒心をして、そうして今後努力したいと考えております。
  42. 小野明

    小野明君 終わります。
  43. 藤原房雄

    藤原房雄君 このたびの災害は、とかく現在まではガス爆発の事故が大きな原因になっておりまして、これに関しましては、非常に神経を使って今日まできたわけでありますが、坑内火災という今回のこの事件、このことについてはいまもいろいろお話がございましたが、非常に近代的設備が整いながら、こういう問題についての事故防止対策が非常におくれておるのではないか、このように考えるのであります。  私が聞きたい第一点は、視界がゼロになるほど煙が立ち込め、そうしてこういう状態になったわけでありますが、この消火にあたりまして、水をかけて消火したというのですが、消火施設についてお聞きしたいと思います。
  44. 西家正起

    説明員西家正起君) 坑内ベルトコンベヤー原動機付近には、これは当然でありますが、四塩化炭素消火器は置いてあったわけでございます。ただ、坑内は非常に通気が激しく、すなわち極端な発言をいたしますと、煙突の中で火災が起こったようなことになりかねない。その発見がおそくなればなるほど早く広まるというような性質のものでございまして、確かにその置いてあった化学的な消化器というものが、はたして有効な容量を持っておったのかどうか。この辺は私どもも現在疑問に思っているわけでございますが、早期の、ほんとうの初めの発見段階におきましては非常に有効であるというふうに考えるわけでございます。ひとつ処置を誤りまして、これが大きくなったという段階におきましては、これはもうそういう消火器では間に合わない。したがって、大体現在やっておりますのは、水のようなものを使いまして消火をする、こういうようなことに相なるわけでございます。
  45. 藤原房雄

    藤原房雄君 この消火に水を使った。まあ水をかけたことのために崩落が起きたということを聞いておりますが、そういう点でこの消火施設については非常にまずかったのではないか。このように考えておりますが、この点についてはどうですか。
  46. 西家正起

    説明員西家正起君) 坑内火災が起こりました場合に、これを積極的に消すという意味からいたしますと、現在の段階ではやはり水が最も有効な方法になっておるわけでございます。一部泡沫——あわを出しまして、これを坑道に広げて消すような装置もございますけれども、なかなかこれはまだ実用化の段階には至っていない。まあ大きくしないという方法でございますと、そのほかに非常に原始的な方法ではございますけれども、炭坑におきましては、密閉するといったような手段を講じておるのが普通でございますが、第一段階といたしまして、今後の災害について、連絡を先にすべきか、消火を先にすべきかという点につきましては、問題があろうと思いますけれども消火方法といたしまして、ある程度広がったものに対して水を使ったという点につきましては、まあやむを得ないのじゃないか。こういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 藤原房雄

    藤原房雄君 ガス爆発等についてのいろいろな監督等は厳重に行なっていると思いますが、炭鉱災害がずいぶん続いておりますので、この炭鉱災害について監督を今日までしていらっしゃった状況を伺います。
  48. 西家正起

    説明員西家正起君) 先生御指摘のとおり、ガス爆発関係というのは、これは非常に瞬時にして悲惨な災害を起こす関係上、ガス爆発を一つの重点項目として監督はいたしておりますけれども、私どもといたしましては、やはりガス爆発ばかりじゃなくて、ガス突出、それから実は坑内火災につきましても、必ず文書あるいは口頭でもって、かねがねやかましくこちらのほうを監督をやるように、四十三年度の監督方針にも、こういう重大災害発生するおそれがある炭鉱につきましては、極力監督を厳にするようにうたいまして、それぞれ監督局におきまして、監督官によりまして施設の面で厳重に監督をしてまいっておったようなわけでございますけれども、しかし、この結果といたしまして、このような災害が起こりましたということは、これは率直に反省をいたしまして、今後もう少し何らかの有効な監督方法はないか、そういう点につきましては十分検討いたしたいと考えておるわけでございます。  大体われわれのやっております監督といたしましては、たとえば平和炭鉱のような山でございますと、月に一回必ず監督官検査に出かけております。それからそのほかに法規違反がございました場合にあとで追跡検査をする、それだけの目的であと追跡検査をする。それからときには年に一回ぐらいでございますが、かなりたくさんの監督官を同時に派遣をいたしまして、単なる表面の法規違反ばかりじゃなくて炭鉱の操業のあり方全般、採炭法、計画的なものも含めまして、全般的な総合検査ということも年に一回ぐらい実施をいたしておるところであります。そのほか御指摘のございましたように最近非常に災害が多いものでございますので、そのつど具体的な項目を含めて山で総点検を実施させまして、今度の場合も五月二十五日付でそれぞれの炭鉱自身の総点検というものを、具体的な資料指示事項を掲げまして、その点についてやらせておったようなわけでございまして、やらせたあと監督官がその結果をチェックする、こういうような方法を使いまして監督をいたしておったようなわけでございます。しかし結果といたしまして、この災害が出たことにつきましては大いに反省をいたしておるような次第でございます。
  49. 原田立

    ○原田立君 ちょっと関連。いまこの監査ですか、監督、その点でお話があったけれども、整備をさせたそのあと検査をやっているというようなお話がいまちょっとあったけれども、それは一番最良の状態検査するということであって、ちょっとこうおかしいんじゃないか。それで以前から炭鉱のこういう災害、これは起きるたびにいろいろ問題にされるのが抜き打ち検査ですよ。これをやらなきゃいけないということをさんざん言われておるにもかかわらず、それがはっきりしていない。言ってみれば底抜けだ。何か監督官が行くとなると、二日前とか三日前に、それがどういうかげんか、通報されているようだ。そのためにほんとうならば、普通の状態ならば事故発生する危険が多分にあるのだけれども、そこのところはあわてて直してしまう、そういうふうにやっているんじゃないかという疑問が非常に大きいわけなんです。  それで局長に聞きたいのですけれども、そういう災害というのはやはり最良の状態で起きるんじゃなくて最悪の状態で起きるわけです。常時ずっと仕事をやっていて、そうしていろいろ故障ができて、それで事故が起きる。だから検査をやって装備をちゃんとやらせてそのあと監督するなんていうのじゃなくて、むしろもっと抜き打ち検査監督、これをもっと強化しなきゃいけないんじゃないか、私はそう思うのです。ところが、その抜き打ち監査がどうも底抜けじゃないかというような批判が非常に大きいんです。ただ私たちがしろうとで聞いているというのではない。そういうふうになっている、底抜けになっていると。そこら辺からもう少し鉱山保安局としても姿勢を正してやっていかなかったならば、今後どんどんこういうふうな類似した事故というものが続発するんじゃないか、こう私思うのですよ。ですから保安行政の立場からいってもそういう抜き打ち監査、これをもっと姿勢を厳重にすべきじゃないか、こう思うのですが、この点は一体どうなのか、それが一つです。  それから労働大臣もお見えですから、この際あわせてお伺いしたいんですけれども炭鉱災害はいまに始まったことじゃない。毎年一年間で起きないことはありやしない。ずっと続いている。こんなことが今後もあるとしたら、これは人命軽視ですよ。労働省は一体何のためにあるのかなんて言われても、それは甘受しなければいけないのではないか。そうあっちゃならない。鉱山関係については通産省でちゃんと責任を持ってやっているんだろうが、そういう人命尊重の立場から言っても、労働省としてはもっと強い勧告というものか、あるいは現場に立ち入っての監督というのか、そういうものがもっとあってしかるべきじゃないのか。そうでなければ、いつまでたってもこんな事故が続発する。被災者にとってみれば、痛ましい事件だと思うんですよ。今後の生活のことなども考えてみれば、残った家族の人たちが非常に苦労なさるだろうと、こう思うわけです。ですから、いわゆる労働行政という立場からいっても、今回の問題を軽く見ちゃいないだろうと思いますけれども、もっと重要視して、炭鉱が再びこういう事故が起きないような強力な施策といいますか、それをここではっきりと打ち立てるべきじゃないか。かつて大牟田の三池があれほどの災害があって当時世の中を騒がした。そのときも、大臣は違っておりましたけれども、こういう事故が再び起こらないように努力しますというようなお話もあった。だけれども、その後相次いで起こるので、こういう保安というものについて、ただ鉱山保安局  通産省のほうにまかしておくだけでなしに、労働省としても、人命尊重の立場から、これをもっと強力に打ち出していくべきではないか、これが二つです。あわせて御回答願いたいと思います。
  50. 西家正起

    説明員西家正起君) 抜き打ち検査の点につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、一般の巡回検査は、ほとんど予告をしない抜き打ち検査を原則といたしております。ただ、監督官が大ぜい参りまして総合検査をやるような場合には、これは計画とか、あるいは資料を要求する場合もございますので、この場合には予告をいたしますけれども、一般検査といたしましては、御指摘のとおり抜き打ちを原則といたしまして、最悪の状態を見たい、かようにやっておるわけでございます。ただ最悪の状態も、法規の違反を指摘した場合に、直せという命令をした場合に、それが直っておるかどうか。うっかりしますと、指示はあったけれども直っていないという状況がまま見られるものでございますから、そういう点は後ほど追跡して、直っておるかどうかを確認しておるような次第でございます。それが追跡検査といたしましてやっておる次第でございます。そういうことで、抜き打ちに検査は予告しないでやっておるのを原則といたしておりますけれども、先生の御指摘のように、それが底抜けになって、ある程度すぐわかってしまう、そういうような御意見でございますが、この点につきましては、ひとつ今後とも十分注意をいたしまして、そういうことのないように、全く予告をしないような形で、また予告が漏れないようなかっこうで炭鉱検査をやらしていただきたい、かように考えております。
  51. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) 炭鉱も含めまして、鉱山における労働災害がほかの産業に比べて著しく多発していることは非常に残念に存じております。ことに、今回のこの悲惨な事故はまことに遺憾千万と存じます。御承知のように、労働基準法の安全衛生に関する規定が鉱山の保安については適用されておらないわけでございますが、鉱山保安法五十四条に基づく勧告権というのがございます。従来も必要と信じましたつど強い勧告をいたして今日に至っておりまますが、これから先もこの勧告権を活用いたしまして災害の絶滅を期してまいりたいと、このように考えておりまます。
  52. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほどから話を聞いたわけですが、ガスマスク携行というものは法律できめられておりまますね。石炭鉱保安規則第七十条の二の自己救命器等、この条項でガスマスクを、簡易救命器を携帯させなければならないと、こういうふうになっておるのです。そのあとにすぐ「ただし、鉱山保安監督局長または鉱山保安監督部長の許可を受けたときはこの限りでない。」と、こういうふうに、携帯させなきゃならぬという法律がせっかくつくられたのに、すぐ携帯しなくてもいいという、こういう抜け道をこの法律がつくっていますよ。ところが、実際にはこのあとのほうが使われておる、こう言わなきゃならぬのですがね。こういうことで実際にやっていけるのですかどうですか。
  53. 西家正起

    説明員西家正起君) 先生、いま御指摘のございました保安規則の件でございますが、この条項にございます特別許可、これは亜炭山が亜炭鉱山として鉱山保安法の適用を受ておりますので、亜炭山にはさしあたってそういう必要はないだろうということで、亜炭山だけこれを除外しておるわけでございます。普通の炭鉱につきましては、これは全部持たせることになっておりますが、規則の改正をことしの一月に改正した際に、全部いますぐ持たせるわけにいきませんので、これは経過規定のほうで四十四年三月まではよろしいとこういう規則改定をいたしたような次第でございます。
  54. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 しかし、四十四年三月まで災害は待ってくれるものじゃないですよ。そんなゆうちょうなことじゃ人命尊重など言えないですよ。日本の製品が間に合わなかったら何で外国から輸入しないですか。外国から輸入することもできるでしょう。何でそういう方法をとらないのです。
  55. 西家正起

    説明員西家正起君) 実は、これは規則改正をいたします際に、四十四年三月というのは確かに御指摘のとおり期間的にも相当に長い期間でございますし、これは一応議論になったわけでございます。私どもでも中央鉱山保安協議会でこの点だいぶ議論をしたのでございます。しかしマスクの生産の点で、相当な増産を見ましても、やはり相当な期間がかかるということと、それから輸入につきまして、当時ドイツのドレイガー等にも当たってみたのでございますけれども、外国でもこの一酸化炭素マスクの製造を余分になかなかつくっていない。需要が限定されておる。それに将来非常に数がふえて、どんどん増産するようなものではございません。当時の話では、まず最初に半年後に一千個ぐらいがやっと入るのじゃないかと、こういうようなことで全然問題にならないようなお話がございましたので、この点は国内の生産のほうに切りかえる。これは規則上は四十  四年三月まででございますけれども、これは先生御指摘のように、一日も早く備えつけなくちゃいかんものでございますので、それは極力早く計画的に、重点的に、これを、期限ば三月だけれども、一月ころまでにはやらせる、こういうことで製造メーカーその他にプッシュをいたしまして、計画的にやっていきたいと思うのでございます。しかし、その間それはそのままでいいのかというお話でございますが、これはその間ははなはだあれでございますが、現場に定置式のマスクというものがやはり従来の規則であるわけでございまして、これをできるだけ活用していただくというようなことで、中央鉱山保安協議会のほうでいろいろ議論の結果、四十四年三月までの経過規定を設けさしていただく、各炭鉱会社全部が計画的に、それが製造能力にマッチしまして、一日も早く整備されるというような計画のもとにやらしておるような次第でございます。
  56. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなた、口では一日も早く一日も早くと言っておるけれども、私たち見ていると、一日も早くということが実行に移されてないというのですよ。たとえ何個といえども外国から輸入のできる限り輸入したらいいじゃないか。もしも輸入料が高くて困るというならば、人命と輸入の代価とどちらをとるかという問題になります。だから、たとえ高くても、たとえそれが千個であろうと百個であろうと、やはり即刻輸入をして補充すべきものです。そういうことをあなた一つもしていない。そうして一日も早く一日も早くと言ったって、これは労働者は納得しませんよ。やはり人命救助、あなたたちの考え方の中にそういう切実な考え方がないという私は一つのあらわれだと思う。来年の三月まで災害は待つちゃくれませんよ。現に三池でまた起こったでしょう。もう日本の炭鉱というのは、ガタがきていますから、あっちこっちほうぼうで起こる。来年の三月まで災害は絶対待っちゃくれません。私予告しておきますよ、それなら今日からでも前非を悔いて、一日も早くというなら外国へ電報を打って、あるだけのマスクを集めなさいよ。それがたとえ高くても人命と比較すればそんなものは安いものです。そういうことをやりますかどうですか。どういう手を尽くすのですか。
  57. 西家正起

    説明員西家正起君) 当時の規則改正のときの当初の考え方を御説明申し上げまして、お叱りを受けましたが、まことに先生の御指摘のとおりだと思います。今回につきましては、私どもも急遽帰りまして増産の手当てをまず一つとりました。したがいまして、これによりまして当初の一月の計画よりもさらに一カ月半か一カ月二十日くらいそれだけ早くなる。その次に特に性能が日本のものと同等以上と考えられますドイツのドレイガーというのは、非常にこの前時間がかかるということがございいましたので、アウエルという製造会社がございますが、そちらのほうにさっそく商社のエージェントを通じまして当たった。当たった返事が三日に参りまして、やはりここも一番早く手続をしまして三カ月後に最初は五百個、その次の月が五百個、その次から千個くらいにしてもいいというお話もございました。これは全体の計画を見渡しまして、その必要があればそういう措置ももちろんとりたいと思いますけれども、国内生産のほうが一月の計画がさらに一カ月、二カ月ばかり早くなりますと、大体当初に到達する五百個と同じ時期には果たせるのじゃないか。これは確かに今月中に何とかせい、こういうことになりましても、ちょっとその点はなかなかいまのところ頭が痛いような状況でございまして、先生の御趣旨に沿いまして、できるだけとるべき手段はこの際とりたい、かように考えております。
  58. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、外国からもできるだけ輸入をして、一日も早くできるだけ補充する、こういう御意見ですね。
  59. 西家正起

    説明員西家正起君) 輸入の時期よりも早く国内生産が完備すれば、輸入しなくても完備させる、こういう考え方でございます。
  60. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 国内生産を急ぐことはぜひ必要ですよ、それは必要だが、しかし来年の三月でないと国内生産ができないのでしょう。それまで待っているわけにいかぬから、だから即刻外国からも輸入をして、両方相待って一日も早く完備するようにしたらどうか、すべきだというのが私の意見なんです。そうでないと人命軽視ですよ。金にかかわらず輸入したらいいじゃないですか。現在あるものなら、電報を打って注文したらすぐくるでしょうが、何でそれをしないのか。やりなさいよ。けちけちしなさんな。
  61. 西家正起

    説明員西家正起君) そういうことでエージェントに当たりました結果は、十月以降に最初五百個、こういうことで、これはもちろんいまそういうことで五百個入るわけでございます。しかし、いま考えておりますのは、生産能力をふやしまして、そのほかにいろいろな方法をとりまして、十月、十一月にいくまでに国内のマスクの生産が可能であれば、これは輸入をしなくても済みますけれども、そういうことでできない場合にば、これは当然そういうことで輸入をしなければならない。
  62. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 来年の三月でも国内需要の一〇〇%を満たすことはできないのでしょう。できるのですか。来年の三月になれば十何万個というのはできるのですか。
  63. 西家正起

    説明員西家正起君) 全部で必要なのが十万三千個、現在五万五千あるのですから、あと必要なのは四万六千程度のマスクの数が必要なわけです。これは三月までというのは現在の規則の限界でございまして、われわれは三月中ということでなくて、当初は一月ということで計画をやっておったのです。今度八月からマスクのメーカーの製造能力を月一万個にいたしたいわけでございます。そうしますと、一万個となりますと、この期間を想定するのに、現在でも十二月の上旬にはそれだけで全部に渡ることは可能でございます。各人に持たすことは可能でございますが、そのほかにたとえば定置式というものもございます。これは置いておくわけです。これは実は持ち歩きをすれば性能が落ちるわけでございますけれども、しかし製造年月日によりましては、二カ月ぐらいはこれを持っておっても有効だというようなことも言われておりまして、これは今後研究をいたした  いと思っておりますが、それが確実に二カ月間持っても有効なものであれば、これは現在相当数炭鉱にございますので、それを二カ月間に限りまして各人に持たせるという方法もございますし、それからこの携帯用マスクは一番方、二番方、三番方のそれぞれの個人には支給しているわけでございますが、これをたとえば一番方の使いましたマスクを三番方のときにこれを併用いたしまして持たせる、こういうようなことをいたしますと、これは非常にとりあえず短期間に各人に渡る、こういうようなことになる。一方海外のほうから輸入いたしまして、これはいますぐ手続をとりましても、やはり十月に五百個しか入らない、こういうことでございます。で、この十月までに全部そろえば輸入を——もちろん輸入して悪いということを言っているのじゃなくて、輸入を待つまでもなく各人に渡るような方法があればそれをすぐにとりたい、こういうことでございます。
  64. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私の質問趣旨を簡単に理解してもらいたいのです。ぼくは素朴な質問をしているのです。十月に五百個入るならば、十月に何で五百入れないかと言うのですよ。これは五百個でもいい、補充をしてやっていくということが必要なんです。特に国内産はいつまでにできるかどうかわからないでしょう。十月に全部輸入するということじゃないでしょう。十月に五百個でも補充していく、それがあなたたちの誠意の見せどころだと思うんです。そういうことをしないで、国内産で間に合うときは間に合わすというようなことでは、労働者の気持ちにはそぐはないです。労働者は、通産省は何ら誠意を持たぬ、こう言います。そうじゃなしに、あらゆる手を尽くして、外国のほうぼうに、英国でもドイツでもアメリカでも、どこでも注文して、ある物を全部輸入するのですよ。そして一日も早く補充する、完備するということが、これはやっぱり行政官のつとめだと私は思う。そういうことをしないで、いろいろな言いわけをしておっても、われわれは納得できないです。どうぞそういうふうにしてもらいたい、一日も早く完備してもらいたい、これが私たちの希望です。
  65. 大矢正

    大矢正君 西家さん、あなた答弁の中身は非常に多いのだけれども、的を射た結論だけあなた言えばいいのです。それはどういうことかと言えば、それが輸入であろうと国内生産であろうと、一日も早く全員に携行用のマスクが行き渡るようにどうしてやるかということのために、あなたは、最善を尽くしますと、その結論だけはっきりしておればいいわけです。それが国内生産で間に合わなければ輸入すればいい。そういうことに対して、いずれにしてもあなたがいま言ったとおり、何も一人、ずつ必ずしも全部持たなくても、番方編成によって一番方のものを二番方が持って行ってもいい。携行用のマスクと定置式のマスクは内容も違うわけですから、そういうことはあってもいい。そういう技術的な問題を十分考慮した上で、ただ問題は一日も早く全員が携行できる、入坑者が携行できるような体制のために、輸入であろうと国内生産であろうとやりなさい、やるべきだということなんだから、あなたそういうことに対して答弁すればいい。それをあなた輸入が五百個とか何とか数のことばかり言うから話が合わなくなる。
  66. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいま御指摘のとおりでございまして、一日も早く労働者の各人に渡りますように最善の努力をいたします。
  67. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうあなたから言えばいい。ガスマスクは法律で個人携帯になっておりますね。ところが、今度生還した人たちの中に一人もガスマスクをつけて生還した人がいないのです。それで死んでいる人も一人もつけて死んでいる人がない。こうなると、一体こういう個人携帯させなければならない、それから第三項の最後のところには「携帯および使用上の注意事項ならびに備付け箇所は、鉱山労働者に周知させなければならない。」とこう書いてある。せっかくこういう法律があっても、実際に生きていないということが言えるんじゃないか。それはなぜか、今度の生還者が一人もガスマスクをつけていないというところを見ても、携帯していた人は一人もいないということ、それからある一定の個所に置いておったというが、その置いておった所もあまりはっきりと教育を受けていなかったということも言えるし、何か欠陥があったと思う。このガスマスク自体に対する教育上欠陥があったと思わなければならない。こういう点はどういうふうにあなたは理解しているか。
  68. 西家正起

    説明員西家正起君) 確かにマスク使用につきましては、さらに全部の者にいろいろ聞いてみないとわかりませんが、確かに御指摘のようにマスクを使っていなかったということは事実でございます。したがいまして、マスクのある場所等を周知させる、あるいはまたマスク使用法に対する保安教育の徹底を欠いておった、あるいは教育はしておっても、なかなかとっさの煙等のために特に使用が不可能であったかどうか、その二点につきまして、今後とも十分検討いたしたいと思っておりますけれども、やはり御指摘のような保安教育が十分でなかったような疑いがかなりあると思います。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それらは、今後保安設備に対しての教育を十分にすることと、それからこういう一定個所に置いていたのでは、さあといったときに間に合わない。どうしても個人携行という問題を一日も早く解決しなければならない。そのことを私は強く要望しておきます。  それで教育を十分やる、まあ経営者側というのは教育にあまり熱心でないと思う。災害時のいろいろなことをあまり労働者に話をすれば、労働者はやはり不安感を持つわけです。そういうことは経営者側というものはあまり好まない。だから教育が常に手抜かりがたくさんあるんじゃないか、これは行政官のほうではっきりさせて、もっと十分に教育をさせることが必要だと思う。それから経営者には保安に対する義務が負わされているはずだと思う。この保安義務をもしも経営者が怠った場合はそれに対する罰則があるのですか。どうですか。
  70. 西家正起

    説明員西家正起君) 経営者が義務を怠りました場合には、私ども監督局監督官が、これは司法上の問題といたしましてこれを検察庁に送致するわけでございす。そういうことによりまして、法律違反、規則違反が明らかになった場合は、罰則がこれは全部あるわけでございます。
  71. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、今度の場合、簡易救明器を携帯させなければならない、ただし鉱山保安監督局長が許可した場合にはその限りでない、こう法律になっておりますが、平和炭鉱においては個人携帯をさせなくてもいいというふうに監督局長が許可を与えたんですか、どうですか。
  72. 西家正起

    説明員西家正起君) それは与えております。
  73. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 与えているのですか。
  74. 西家正起

    説明員西家正起君) はい。
  75. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 何で与えたのですか。
  76. 西家正起

    説明員西家正起君) この一月に規則を改正いたしました際に、先ほど申し上げましたように、経過規定はしいてございまして、四十四年三月までを期限といたしましてついておるわけでございますが、それを各炭鉱会社、それから各炭鉱会社の炭鉱ごとの重要度において生産能力にマッチするだけの補てんをいつまでにやる、この炭鉱はいつまで、この炭鉱はいつまで、こういうようなことで計画的に整備をさせるということで、これは経過規定でそういうことができるわけでございます。それに基づきまして、今度の平和炭鉱につきましては、十二月末までに備え付けなさい、こういうような許可を与えてございます。
  77. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、今度の災害に対して、許可をした監督局長の責任がありますよ。あなたが許可しなければちゃんとできるわけだ。あなたが許可したためにこういう災害になったのでしょう。やはりあなたの責任は免れないということになりますが、どうですか。
  78. 西家正起

    説明員西家正起君) この点につきましては、先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、規則改正の際に、規則改正と同時にこれを完備することができない性質のものでございますので、したがいまして、これはいつにしたって、早ければ早いほどいいのでございますけれども、経過規定が要る規則でございます。したがいましてその期間をどうするかという問題につきましては、これは現地監督局長ばかりでなく、私自身がこの計画にはタッチをいたしまして、規則改正の際、その運営につきましても十分鉱山保安協議会とも相談いたしまして、こういう形式をやったわけであります。
  79. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 せっかく簡易救命器を携帯させなければならないという法律をつくっておいて、そうしてそのあと監督局長の許可を受ければこの限りでないというような、こういうずさんな法律は改めなければいかぬと思うのでよ。どうしても携帯をしなければならぬという法律に書きかえなさい。それでないと、官庁と経営者は一緒になって抜け道ばかり考えているのですよ。その災害はだれが受ける、現場で働く労働者です。たまったものじゃない。あなたが許可したために、こういう状態になって、こういうことになった。もしもこういう法律が出なくて、どうしても簡易救命器を携帯しなければならない、そこで打ち切ってあれば、あなたも許可しないでしょう。抜け道があるから許可しているのです。だからそういう法律はやめて、どうしても救命器はつけなければならないという法改正をしなければいかぬと思います。法改正をする意思がありますか。法改正しなさい。大臣から答えてもらう。私は問題だと思います。大臣、こういう法律の不備のために労働者がこんなひどい目にあっていくのではたまったものじゃない。やはり労働者災害を受けないような法律というのは、万全の策を考えていかなければいかぬと思います。
  80. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) これは結局個数が間に合わない、個数が間に合わないから、その個数がそろうまで、その炭鉱によっていろいろ選択したのですが、期限をきめて、そろうまではしようがないということで経過的な扱いをしておる、こういうわけであります。だから日本で、あるいはドイツから輸入するかして、そして十万何千個全部そろって、どの炭鉱にも一人一人渡るということになれば、そんな経過規定は要りません。まだ間に合わないからこういうことをやっておる。
  81. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたの言うことを誠意をもって聞いておきましょう。しかし、それならばもう一度質問しますが、数がそろったらこの法律のあとの半分は削除しますか。監督局長の許可さえあったらこの限りでないということは。
  82. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 必ず携行しなければならぬということになっておるけれども、数が間に合わないから、その間の経過規定でございます。
  83. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 だったら、数がそろったら……。
  84. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 数がそろったら要らない。
  85. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 削除しますか。削除するなら削除すると言ってください。削除しますか。
  86. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 石炭に関する限りはその必要ありませんから削除します。
  87. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃこの条項の後半は削除するという大臣の答弁で、私はこの際これに対する質問はやめて次に移ります。  私は現場災害を防ぐ唯一の方法としては、今度の経過を聞いておりましても、煙が立ったのを見た、それを電話で通知に行ったら、そうしたら電話が話し中で通じなかった。そうしてうろうろしている間に時間が経ってしまった、こういうことじゃなくて、もしも煙が出ているのを見たら、労働者の自主的、自発的な行為によってその機械をとめるということが私は必要じゃないかと思います。自主的に生産を中止しても災害を防がなければならぬ、こういう権限を労働者に与えるべきと思いますが、どうでしょうか。
  88. 西家正起

    説明員西家正起君) 現在の鉱山保安法のたてまえでは、労働者がそういう異状を発見した場合に非常のベルを押すということはできることになっているわけでございます。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 できることになっている。
  90. 西家正起

    説明員西家正起君) 保安法上、したらいけないということにはなっていないわけでございます。保安法上のたてまえといたしましては、鉱山労働者に対しましては、何々してはいけないという禁止規定が若干あるほかは、みな大体保安統括者、保安技術職員、係員等に義務があるわけでございまして、鉱山労働者自身に義務を負わしているものは非常に少ないわけでございます。今度の場合、押すことは一向差しつかえないわけでございますが、それをしかし立法化する場合に、義務を課するというところまでは鉱山労働者にはちょっと無理じゃないかと思います。
  91. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 義務としてできないけれども、権利を与えろと言っているのです。発見した労働者が、これは危険だと思ったら、保安監督官に言わなくても、その場で機械をとめる、今度でもとめたら火災に至らずに終わっている。それを電話かけたり、あっちこっちしている間に火になっちゃったわけでです。
  92. 西家正起

    説明員西家正起君) 権利といいますか、労働者は押していいことになっているわけでございまして、押したらいけぬということにはなっていないわけでございます。
  93. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ労働者がそういうときには自発的に機械をとめる、生産をとめても文句は出ないということですね。
  94. 西家正起

    説明員西家正起君) 非常災害の際にはそれは当然差しつかえない、もちろんそうやるべきだと思います。
  95. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今度の場合ベルトコンベヤーの過熱によって火が出たということになっているのですが、今度の火事になったベルトコンベヤーは五月一日に減速機が故障したわけですね。その前のやつは毎分百三十一メーターという減速機だったわけです。これは私視察に行けませんでしたから、現地の党に言って連絡して調査さした結果です。それで臨時のものを付けた。それは毎分九十一メーター、だから前よりも速度は落ちておったわけです。それが七月の二十八日に修理が完成したのでもとへ戻した。ここに私は問題があるのじゃないかと思うのです。百三十一メーターを九十一メーターに落とした。それをもう一度百三十一メーターに戻した。前も百三十一メーターであるから、今度百三十一メーターになったから加速したとは私は言わない。それはないと思いますけれども、その修理が実際に完全に修理されたのか、また九十一メーターで走っておったものが百三十一メーターに戻ったから、そこに無理があったのじゃないか。十分試運転をやり調査をした結果、そういうことになったのか、そこら辺に今度の火災の問題点があったのじゃないかと思いますが、その点どういうふうに考えますか。
  96. 西家正起

    説明員西家正起君) 先生御指摘のとおりベルトスピードを変更する減速機は三段の切りかえでございまして、当初中速の毎分百三十一メートルを使用しておったわけでございますが、五月一日に軸が折損をしたために変えておりまして、低速の毎分九十一メートルという回転数に落として運転をしておったようであります。そうしてその折損機の修理完了を待って、災害の前々日でございます七月二十八日に、もとの設計どおりのスピードに変更いたしております。したがいまして、先生のいま御指摘のような点につきまして、私どもも注目をいたしまして、今後の原因追及の段階では十分この点は明らかにしたいと、かように考えております。
  97. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あの災害時に自動防止機ですね、これがとまっておったというんですね。自動制御機というのですか、これが動かなかったというのはどういうところに原因があるのですか。
  98. 西家正起

    説明員西家正起君) その点につきましては、ちょっとまだ私のほうで現在わかっておりません。十分調査いたしたいと思います。
  99. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私の聞いているのは、これも党のほうで調べた結果ですが、自動制御装置が働かなかったというのですね。それでは自動制御装置ということが言えませんので、この点が一つの問題点だろうと思います。よく調べていただきたいと思います。  もう一つ、このベルトはゴムですね、いま使っているのは。私はゴムというものは、しろうとで燃えにくいようなものだと思っておったんですよ。ところが、火はっきにくいのだけれども、火がついたらとたんに、もうえらい勢いで燃え出すものだということをきのう監督官の人に私は聞いたのですが、それならば、こういう非常な問題の多い炭鉱の中にそういう危険なゴムベルトを使うことが適当なのか、難燃性のベルトを使うようにやはり研究をしていかなきゃならぬというように思うんですが、その点どうですか。
  100. 西家正起

    説明員西家正起君) その点、全く先生御指摘のとおりでございまして、実はこれは法規上の強制ではございませんけれども、できるだけ難燃性のベルトに切りかえるように、これは強力な行政指導をやっておりまして、現在北海道炭鉱の中でも相当難燃性に変わりつつつあるようなのが現段階でございます。まあこの平和炭鉱につきましては、難燃性のものを使っていなかったのでございますが、いろいろこういう点についての研究は会社もやっておられたようでございます。
  101. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは非常に原則的な質問になるんですが、日本じゅうの炭鉱では、災害がもうほうほうにしょっちゅう起こっておる。一体通産大臣、労働大臣、この炭鉱災害というものは不可抗力でどうにもしょうのないものなんですか、どうなんですか。災害をなくすことはできないのですか。
  102. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 技術のことはどうも責任をもって申し上げられませんけれども、大体の災害は、これは決して避けられないものではないと、まあこういうふうに私は理解しております。場合によってはなかなか予測することが非常に困難である、私は今日の科学技術の力ではどうも非常に困難であるというのがあるようでありますが、それはごくパーセンテージとしては低いものであって、大体の災害は努力をして注意を怠ってなければ、大体まあこれを未然に防止することができるのではないかというふうに理解しております。
  103. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは災害は防ぐことができるという御意見ならば、今日災害がたくさん起こっておるが、これに対して通産省としての抜本的対策ですね、災害を絶対なくすという抜本的対策を具体的に示していただきたい。  それから災害が非常に多いですから、労働省として災害補償について、やはり私は今日のような状態ではもの足りない。不足だ。だから、この点を抜本的に労働者の立場に立って大いに考えてもらわなければならぬと思うのですが、この点について労働省と通産省の御意見をはっきり伺っておきたいと思います。
  104. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 御承知のとおり、通産省はあくまで監督行政の主体としてこの災害対策に当たっておるわけであります。実際問題として、災害を防止するためには監督行政の任に当たる者だけでなく、その炭鉱の経営に当たっておる企業の側及びこの労務に従事しておる労働組合、この三者が一体になって、そうして災害の防止に全力を尽くすということによって、非常に私は日本の炭鉱災害というものは減るのではないか、かように考えておるわけであります。ただ三者一体になると、こう言いましても、非常にいろいろな問題がそこにあるのでありまして、監督行政の面から見ると、人員の問題であるとか、あるいはその他の国家が分担すべき施設等の問題とか、企業自身としても非常に多々これはあると思いますし、労務に従事する労働側においても、いろいろな問題について絶えず注意を払って、そうして三者一体となって災害防止に当たるということによって、私は相当災害の数を減ずることができると思うのであります。その点においてまだまだ改善すべき余地が多々あるというのがまあ現状でございます。われわれといたしましても、この点につきましては、できるだけの努力を払って、この目標を達成するようにつとめてまいりたいと、こう考えております。
  105. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 労働大臣に……。
  106. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) 災害の補償につきましては、御高承のとおりに昭和三十五年、四十年に法律を改正いたしまして、もっぱら年金を中心にして全期間にわたって必要な補償をするということになっております。従前は労働基準法による補償、それから労災保険による補償、いずれも千日分で打ち切りになっておったわけでございまして、これに比較いたしますれば、相当大幅な改善をいたしたわけでございますが、災害補償の問題は申すまでもなく、ますますこれは大切な緊切な問題になってくるわけでございますので、審議会の意見を伺いまして、これから先も拡充強化につとめてまいりたいと、かように考えております。
  107. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま通産大臣も、労働組合と監督官庁と資本家側ですか、この三者が協力をして災害を防止したいというような御意見ですし、それから労働大臣も、災害補償については積極的に解決をするようにはかっていきたいという意味のお答えだったと思うのですが、なお私のほうでも、これはどうしたら災害をなくすことができるかという問題、どういうふうに災害補償をすべきかという問題につきましていろいろ検討をいたしました。まず労働組合と専門技術者によって構成されます——私の言うとおり政府当局か実行するかとうかは別としましても、参考までに聞いておいていただきたいと思うのです。  まず、労働組合と専門技術者によって構成される民主的保安委員会をつくるということです。この委員会保安施設の拡充及び施業に関する勧告、さらに緊急の場合には作業停止を命ずる権限を与える、これは先ほど申しました点です。  それから二番目には、炭鉱には千人に一人の割合で労働者から直接選出された代表が、国から給与をもらって労働基準法、労働安全衛生規則、鉱山保安法など安全衛生についての諸法規の履行を監督する制度を確立するということ。  それから三番目は、これは労災保険に関することですが、労災保険を改善し、休業補償を現在は六〇%ですが、これを一〇〇%に引き上げること。それから傷害給与を、労働者が傷害を受ける前の生活が保障できるように引き上げること。遺族補償は現行の規定のほかに遺族一時金三百万円を新設し、支給させるようにするとともに、遺族補償年金を大幅に引き上げる。休業補償、傷害補償、遺族補償年金を物価の引き上げに応じてスライドするようにしたらどうか、これが私たちのほうの考え方です。  こうして災害をできるだけなくするようにすると同時に、万一災害が起こった場合は、労働者の生活保障のために、最小限これくらいの制度は必要だ、こういうように私たちは考えるのですが、通産大臣、労働大臣の御意見を伺って、私の質問を終わりにいたしたいと思います。
  108. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) なかなか示唆に富んだ御意見と拝聴いたしております。十分に参考にいたしたいと思います。
  109. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) ただいまの御意見につきましては、私どもといたしましても十分検討いたしてみたいと思います。いずれにいたしましても、労災保険の拡充、給付の改善ということは私どもの願いでございまして、ただいま労災保険審議会に御意見を承っておる段階でございます。十分研究いたしまして、根本の御趣旨においては私ども同感でございます。御期待に沿いたいと思います。
  110. 大矢正

    大矢正君 労働大臣。いま労災に関連して質問があったので、私もこの際基本的にあなたの所感を承っておきたいと思うのだけれども、言われているとおりに、過去においては千日分遺族補償として出された。新しい法律によって、年金かあるいはまたそれに付加して一時金と、こういう二つのものに分けて、新しい制度が発足しているのですが、そこで一体その遺旅補償の考え方の出発点はどこにあるのかということをあなたに聞きたいのです。具体的に言えばこういうことになるのですね。私が調べている範囲によると、今度殉職された方の遺族補償の一番低いのは、おそらく年間十九万円から二十万くらいにしかならない。そういたしますと、これは遺族補償なんという内容のものじゃないでしょう。遺族の生活を保障するというなら、生活保護よりもまだまだ低いような年金なんということば一体どこから出てくるのだということになる。だから根本的な思想というのはどこにあるのか、私わからないんですよ。たまたまこの程度の金だけ出しておけばいいというような根拠のないものではないのじゃないか、何か根拠があるはずだ。あるとすれば遺族補償というものの根拠は一体何か、そこを私は承っておきたいと思います。
  111. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) 今回の災害につきまして、個々の遺族の方等に対する補償がどのようになるかという点につきましては、試算がございますから、これは申しつけがあれば出ますが……。
  112. 大矢正

    大矢正君 いや、手元に持っています。
  113. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) 根本的には、災害によって収入を得る能力を喪失したという事実に着目をいたしまして、生前得ておった収入を基準として、一定の限度で遺族の方々に補償をする、こういう考え方でございます。
  114. 大矢正

    大矢正君 だから、生前の収入というものを基準にして一定の水準とする、その一定の水準とは何を求めているのか、たとえば家族の生活保障だとするならば、かりに生活保護の基準があるとすれば、最低限度せめてその水準まではきてしかるべきものだ。ところが、いまよく詳細に調べてみると、年間十五万円というのがある、一カ月にしたら一体幾らになるですか、一万円そこそこでしょう。それで遺族の生活保障なり何なりになるのか。一体一定のという意味はどこにあるのか。私は子供なり主人なりが生前に働いていた所得を保障せよ、こう言っているのではない、そこまで無理を言っているわけではない。せめて最低限度何かがあってしかるべきではないのか、その最低限度というのは一本どこにあるのかということを聞きたいのです。
  115. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) これは賃金を基準として算定いたしておることはいま申し上げたとおりでございますが、この賃金が著しく低いという場合もあるわけでございます。さような場合には……。
  116. 大矢正

    大矢正君 そんなこと聞いているんじゃない。あなた答弁をはぐらかしちゃだめだよ。
  117. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) さような場合には、一定の最低の基準を定めているわけでございますが、現行法ではこれが一日四百八十円ということになっております。
  118. 大矢正

    大矢正君 そうすると、あなた、遺族が子供をかかえて一日四百八十円で生活ができると判断されているんですか。あなたは答弁をはぐらかして、働いていたときの給与が低ければ低い、それはあたりまえの話ですよ。そういう制度になっているのだから。ですから、ここにも一つ問題はあるのですよ。同じ坑内で働いて、それが係員であろうと採炭夫であろうと、給与の安い保安夫であろうと、死んでまでとにかくもらう金の差をつけられるということ自身に私は大きな問題があるが、かりにこれを言わないにしてもだ、その遺族補償というものは何か、やはり遺族の何をするためにこれだけを渡すのだという何かがなきゃならぬのじゃないかということを、私はそのことを強く言っているわけですよ。あなたは、給与が低ければ低いですと、そんなことはあたりまえの話ですよ。そんなことを聞いているのではない。遺族の一体何をするために補償するのかということを明らかにしてくれと、こう言っているのです。それが生活保護だ、生活保護というのは少なくとも今日では、最低の生活水準だけは維持しようということで生活保護費を出されていることはあなた一番御存じでしょう。だとすれば、それにも満たない遺族補償というのはどういう意義と意味があるのか、私にはわからない。
  119. 長岡貢

    説明員(長岡貢君) 遺族補償の問題につきまして、先生から御指摘があったわけでございますが、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、従来最低額の補償制度はなかったのでございますが、四十年の法律改正の際に最低額を設けたわけでございます。その三百六十円の最低額が現状におきまして情勢に適応しないということで、ことしの労災審議会にはかりまして、最低額を四百八十円というふうにきめたわけでございます。  この遺族補償年金につきましては、遺族の生活を長期継続的に保障するという趣旨からつくられた法律でございまして、各国におきましても、遺族年金あるいは重篤な障害者に対しましては年金制度を導入いたしておるというのが現状でございます。しかるところ、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、この給付の改善等につきましては、常時労災審議会を開きまして、その改善に十全の努力を払っているというのが現状でございます。最近の労災保険審議会の状況を申し上げますと、毎月現在労働者側、それから使用者側から意見を出して、今後の問題の改善をどうするか、どういうふうな点に問題点があるかというようなことを現在検討を進めているところでございます。もちろんこの労働者の遺族に対する補償あるいは業務上に基因いたしまして疾病にかかったりした方々に対する補償というものが手厚いということは好ましいことでありますが、けがした当時の賃金の高い低いによりまして補償の内容について若干の相違がございます。で、四百八十円の最低補償額につきましては、最賃であるとかあるいは他の社会保障というような点との均衡を考慮いたしまして、審議会の議を経てことし改定をいたしたところでありますけれども、家族の構成等によりまして、標準家族以外の生活保障というような点につきましては、労災補償法の遺族補償のみで十全とは考えられないと思います。したがいまして、そういう方々に対しましては、遺族の人の就職の援護であるとか、あるいはその他の労使のあたたかい関係の中から、将来の遺族の生活が安んじてできるように十全の努力を払っていただく、こういうような状況で問題の処理をはかっておるというのが現状でございます。
  120. 大矢正

    大矢正君 だから、私に言わせると、一日四百八十円で一カ月生活できるはずのものじゃないわけでしょう。そうすると、まあ子供を残して働いて収入を得て、それをプラスして生活をするという以外に方法がないわけだ。ところが、まあいままでの災害の経緯を見ると、遺族対策には万全を期しますと、こういうような労働省それ自身、あるいは政府それ自身が、一体なくなった遺族の再就職なり生活を維持するための諸方策についてどれほど具体的な措置を講じたかということになると、非常にこれは残念ながらまあわずかな人数に限られたことですよ。しかも、石炭産業それ自身が、このようにきびしい情勢の中で遺族を働かせるといっても、働かせる場所はもうないわけでしょう。結局、大きな会社ならばまだ幾らか余裕はあったとしても、かりにその事故が中小炭鉱のような小さな規模の企業になってきたら、とてもじゃないが遺族の生活を見るための職場の開拓なんということは考えられないことだよ。ですから、労災法で遺族補償する場合に、四百八十円で生活ができるのかできないのかということを現実に考えてみて、やはりこの際根本的に労働者の労働災害の補償というものに対して検討すべき時期に私は来ているのじゃないかと思うのですよ。ですから、これ以上申し上げませんが、特にこれは労働大臣要望したいと思うのですが、ある程度の補償を年間しているから、それでいいというものじゃなくて、それがどのような役割り、どのような意義があるのだということが考えられないで単に遺族補償が行なわれるというようなことではいかぬと思うのですよ。ですから、もっときめのこまかい遺族補償その他労働災害に対する対策を私は立ててもらいたいと思うのですよ。いまの状態では、前の給与の水準がここの水準にあったからこうだ、こういう単にそれだけの根拠を、しかも最低はここですよということをきめているだけであって、どこにその意義と目的を求めているのか、労働災害遺族補償というものはそれが現実にはないわけですよ。ですから、やはり根本にさかのぼって労働災害遺族補償というものはどうあるべきかということは、やはり腰だめやこの程度でということではなくて、根拠のあるものを求めてもらいたいということを私強く希望したいと思う。
  121. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) もちろん現行の制度をもって足れりと考えているわけではございませんので、いま承りました御注意等も念頭に置きまして、これからも制度そのものの改善につとめてまいりたいと思います。
  122. 片山武夫

    ○片山武夫君 この事故発生からすでに一週間以上経過しているのですが、この行くえ不明者救出、これはもうひとつ緊急にやっていただきたい。これは私の要望でございます。  一つ御質問申し上げたいことは、災害原因についてでありますけれども、ここに一、二、と、ベルト摩擦熱あるいは原動機の過熱、こういうふうに簡単に書いてありますけれども、いままでもいろいろ災害事故があったわけですけれども、なかなかその原因が究明できない、こういうところに非常に災害原因の究明についてはむずかしい面があろうかと思いますけれども、しかしこの一、二、の原因は、これは確かに発火原因ではあるけれども、そこに至るまでにいわゆるベルトが簡単に摩擦熱発生するわけのものでもなし、あるいはまた原動機も急に過熱するものでもない、過熱するまでに至る問題点が幾つかあるわけです。そのほうがむしろ私は原因として重要な問題ではないかと思うのでありますが、先ほど須藤先生からも御指摘があったように、いろいろ摩擦熱あるいは過熱を起こすまでの経過、これらについて究明をしていかないと、これは原因の究明にならないかと思うのでありまますが、この一、二、だけの原因だけでは私はちょっと不満なんです。またこれでは原因の究明にはなっていない、そういう意味で何かお調べになったことがあったらお知らせ願いたい。
  123. 西家正起

    説明員西家正起君) 災害原因につきまして、ここに簡単にあげましたのは、これは発火の直接原因を羅列しただけでございまして、確かに御指摘のように、ここに至るまでの過程につきまして十分に究明をいたさなくちゃならないのではないか、かように考えている次第でありますが、現在まだその辺の調査を本格的にやっていないところでございます。今後鋭意そういう点に着目いたしまして、もちろん調査をいたしたいと思います。
  124. 片山武夫

    ○片山武夫君 重ねてお伺いしたいのですが、このベルト摩擦熱であるとか、あるいは原動機の過熱、この個所は一応ごらんになったのですか、まだそれを見ないで想定ですか、この原因は。
  125. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいま現場個所崩落いたしておりまして、これは関係者の一部供述書をとりまして、それによりまして、この辺じゃないかということを推定している状態でございます。
  126. 片山武夫

    ○片山武夫君 まだ現場なり機器の調査は済んでいないということですから、これ以上質問はできませんが、問題はこの一、二、という簡単な原因という意味で述べられているところに私は問題があると思うのであって、ここに至るいわゆる経過のほうが私は原因としては重要だと思うので、そういう点十分にひとつ原因の究明に当たってもらいたい、私はそう要望いたします。
  127. 原田立

    ○原田立君 先ほどの鉱山保安局長の御説明の中で携帯マスクのときに、あぶない山があって、順次にそれを整備していくんだというような御説明があったのですけれども、ビルド鉱が全国で約二百ぐらいある、こういうふうに聞いております。その二百ぐらいある山が、保安局長説明によると、まああぶない山とあぶなくない山と、そんなふうな差があるのかどうか、その点をただ簡単にビルド鉱ということでなしに、何かそこにランクをつけておられるのか、もしつけてないということであれば、今後そういうふうにつけてやられる考えはあるのか、そこいら辺はいかがですか。
  128. 西家正起

    説明員西家正起君) 先ほどの説明で、必ずしも私うまい表現をしなかったようでありますけれどもマスクにつきましては、一応どんどん毎月つくられてくるものを即座に鉱山に分配するわけでございます。したがいまして、大手につきましては、大手の各業界と相談をいたしまして、一応会社ごとにある程度の割り当てのようなことになるのであります。その一つの会社の中では、Aという炭鉱とBという炭鉱とどちらを先にするか、こういう点につきましてまずそれを慎重に炭鉱の判断によりそれを分けまして、保安監督局長がそれでよろしいとか、あるいはこちらにしなさいというようなことで御相談を申し上げて、まあ危険度の比較的高い鉱山のほうから順次にこれを完全に備えつけさせる、こういうような方式をとっておるような次第でございます。  それから炭鉱のランクがあぶないとかあぶなくないとかいう問題でございますが、これは非常に危険の種類がそれぞれ炭鉱によって違っておりまして、必ずしも一がいにこれは言えないのでございますけれども、一応監督上はいろいろな重大災害の要因をもとにいたしまして、危険度の高い鉱山というものを一応仕分けをいたしまして、そしてそういうところには監督回数をふやし、そうでないところには監督回数を少なくする、こういうようなことで、一種、二種、三種といったような仕分けをいたしまして、監督を現在やっているわけでございます。しかしながら、その山全体を簡単にそれが対外的にこっちは悪くてこっちはいいと、なかなかはっきりその辺は言えない点もあるかと思うのでございますけれども、一応そういうことで監督をいたしておるような次第でございます。
  129. 原田立

    ○原田立君 その危険度の高いというところ、一つの会社の中でもまあ幾つも山があって、危険度の高いところ、そうでないところというふうに差別されるのだというふうにいま御説明をお聞きしたわけなんですけれども、今度のこの事故のあった炭鉱ですね、これはその危険度の高いほうの部類であったのか、あるいはまた普通よく整備しておけばこんなような災害が起きなかったようなところなのですか。そこいら辺はどうですか。
  130. 西家正起

    説明員西家正起君) 災害の危険度の高いと申しますか、一番保安監督上重要な危険度の高い——危険度の高いということばが適当かとうかわかりませんが、まあ比較的高い炭鉱につきましては、年に一回回っておる、これは当鉱山もその種類に入っておったわけでございますが、ちょっと念のために申し上げておきますが、その非常に危険度の高い山というのは非常に少数というのではなくて、それは相当大きなたくさんの数が一つのグループとして、年に一回回るような危険度の高い炭鉱である、そういうふうに御理解願いたい。その中には入っておる、こういうことでございます。
  131. 原田立

    ○原田立君 よく理解しがたいんですが、そうすると、この危険度の高い部類に入っていたんだと、そうなると、それに対する保安設備ももちろん厳重な監督をなさっておられるだろうと思うが、一年に一ぺんの監査ではたしてそれがちゃんとそんな危険でない状態に持っていけれるのかどうか。
  132. 大矢正

    大矢正君 一年に一回なんということはないだろう。毎月だろう。もう少ししっかり答弁しなければだめだ。
  133. 西家正起

    説明員西家正起君) たいへん頭が混乱していて申し訳ございません。一カ月一ぺんの間違いでございます。申し訳ありません。
  134. 原田立

    ○原田立君 まあそうだろうと思う。一年に一ぺんだなんといったら、とんでもないことになって、当局の責任がほんとうに追及されることになると思う。そういうことでまあ月に一ぺんそうやって監査すると、そういうところでありながら、先ほど須藤委員のほうから御指摘もあったように、なくなった人も、出てきた人もガスマスク携行はなかった。これは非常に重大な責任問題だと思うのですね、会社にとっても。その点どう思っておりますか。
  135. 西家正起

    説明員西家正起君) 先ほども申し上げたのでございますが、確かにまあマスク使用していないということが、保安教育の欠陥であるといたしますならば、これはもちろん鉱業権者の責任ではございまするけれども、当然監督官庁としても重大な責任というふうに考えておるのであります。保安教育がいかに効果的になされなければならないかというような問題につきまして、今後十分に反省をいたしまして、監督いたしたいと思うわけでございます。
  136. 原田立

    ○原田立君 先ほどの説明の中に一種、二種、三種というふうに区別しているというような御説明がありましたけれども、何か資料ができておりますか。できておれば教えてもらいたいと思う。そうしてそれになおつけ加えて、一種というのはそんな危険が少ない、三種というのが危険が高いと、こんなふうにどっちかがなると思うのですが、それがたとえば危険度の高い炭鉱のほうにはどういうふうな監査が行なわれているか、あるいはまた携帯マスクの設置状況が一応どんなふうになっておるのか、そこいら辺を付記してもらえばたいへんありがたいと思うのです。  それと、まあそんなことで結局こういう災害が起きないようにしてもらわなければ困るわけですよ。その鉱山保安の責任は、あげて西家さんあなたのほうの鉱山保安局だけでおやりになっておるようですから。  それから労働大臣に先ほどの質問とちょっと関係してお伺いしたいんだけれども、労働省としてはいわゆる人命尊重というそっちのほうの面からいろいろ勧告権というものがおありになるだろうと思う。それから鉱山保安局のほうでは、いわゆる山全体の鉱山保安ということがねらいだろうと思う。それでこういう事故発生すると、どうしても人命尊重ということをもっともっと強化してもらわなければならない、強化すべきだ、こういう意見が実は強くなるわけなんですが、大臣としては、鉱山保安法で現在きめられている勧告権、それだけで鉱山関係の人命尊重ということをはたして今後もずっと守っていける自信があるのかどうか、あるいはそれでは非常に足りない、もっと何らか改善しなければならないと、こういうふうにお考えなのか、その点はどうですか。
  137. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) 先ほど申し上げましたように、労働基準法の安全衛生に関する諸規定が、鉱山の保安については適用されておらない。したがいまして、労働基準監督機関の権限がここに及んでおらないというのが現状でございます。私どもといたしましては、現行法のもとで勧告権を活用して災害の絶滅を期していきたいと考えておるわけでございまして、鉱山の保安につきましては、これは通産省に信頼をいたしていくよりほかない。労働者の大切な生命と安全を守る労働災害防止行政、これは一元的に所管されることが望ましいと、私自身としては考えておりますが、これには御承知のように長い経緯もございますので、ここで直ちに結論を出すわけにもまいりかねると存じます。こういう点については、これから先も政府部内でさらに検討をいたしたいと考えておりますけれども、さしあたりましては、私どもといたしましては、勧告権を活用して災害の防止につとめていきたいと、こう考えております。
  138. 原田立

    ○原田立君 それは現在の法律では勧告権しかない。これは私も十分承知しているのですよ。ただ、それで今後の鉱山保安ですね、人命尊重の面からはたして労働省が考えているような鉱山のそういう労働災害を絶滅しきれると、こうお考えなのかどうかですね。ところが、いままでも勧告権があっておやりになっていて、そうして大牟田の三池の事故とか、その後ずっと引き続き事故が起きてますよ。それにただ法律がこうなってるから勧告権しかないんだと、それを活用するんだとこう言っておるが、しかし、それでは今後こういう労働者災害の絶滅を期するというわけにはいかないんじゃないですか。
  139. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) 現行法のもとにおきましては、これは通産省に善処していただくほかはないと存じます。もちろん私どもといたしましても、必要な助言をいたしまするし、御相談にものります。これからも必要と信じますれば、勧告もいたすつもりでおりますけれども、現存の仕組みそのものにつきましては、これは確かに一つの問題点であると存じますけれども、この場で結論的なことを申し上げるわけにもまいりません。
  140. 原田立

    ○原田立君 それは結論なんか言ってもらわなくてもいいんですよ。そういう方向であるかどうかを示唆してもらえばけっこうです。それで労働大臣通産省を信頼し云々というお話もあったし、それから長い経緯によりまして、これしかないのだ、こういうお話もあった。それは確かにお役所同士ですから、信頼もしなければならぬ、あるいはいままでの長い慣習というものもあるから、それも考えなければならぬと思うわけですよ。しかし、そんなことを言っていても、事故はどんどん毎年起きているんですよ。これはひとつのしろうと考えでありますけれども、何か一つの部に対して、仕事に対して第三者がチェックするような、そういうことがあれば、むしろ内容は改善されていくのではないか、そういう意味で、労働省としてもただ鉱山の保安通産省ばかりに信頼してまかしておくなんていうことではなしに、もっと強力に言えるようにしなければならないのじゃないか、またそういうふうにしていくという労働省としての姿勢が必要なんじゃないか、こうぼくは思うのですがね。
  141. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) 確かに第三者的な立場から何らかのチェックを加えるべきだという御意見はひとつの問題点だと存じております。そういうことが可能であるかどうか、私もこれから研究をいたすつもりでございます。
  142. 原田立

    ○原田立君 研究をなさるということで、最終的になるようですけれども、当委員会もずっと今後長く続くのですから、災害は待っていないのですから、どんどんまた起きる可能性もあるわけなんですから、のんびりというと、ことばが悪いですけれども、ゆっくりなさらんで、早急にもっと労働省としてもこういう労働者災害を絶滅するという、そういう面での強い姿勢、方向、それを打ち出してもらいたい、こう思うのです。
  143. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  理事会において協議いたしました結果、北炭平和炭鉱における坑内火災事故調査のため、次回八月九日の委員会参考人の出席を求め、その意見を聴取することに決定いたしました。  右理事会の決定どおりとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議なしと認めます。  なお、参考人の人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後零時四十七分散会