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参考人(有馬駿二君)
産炭地域振興事業団は、今日まで発足以来六年を経過いたしたわけでございます。この間におきまして、当団の
事業は、土地を
造成いたしまして、これを低利長期でもって
企業に分譲し、あるいは
設備資金などを、やはり低利長期の融資をいたす、そのほかいろいろな手段によりまして九州、山口、常磐、北海道のいわゆる産炭
地域に
企業を誘致するということを、当団の
事業としてまいったわけでございます。で、当初は
事業の運営が軌道に乗りますまで、多少時間を要したわけでございますが、特に昨年来当団の
事業につきましてようやく各方面に周知されましたことと、いわゆる産炭
地域などの道路などの事情が非常によくなってまいりまして、いわゆる輸送費が非常に少なくなってきたというようなこと、また特別に認められますのは、太平洋ベルト地帯というような地帯におきまして、
労働需給が著しく窮屈化してきたというようなことから、私
どもの
造成いたしました土地の売れ行きが、急速に上昇いたしますとともに、進出いたします
企業の融資の申し込み額もどんどんとふえてまいりまして、本年度はとうとう手持ち金をはるかに上回るというような実情にあるわけでございます。現在通産省にもお願いいたしまして、今後の
予算措置について関係方面と折衝をしていただきまして、実情に見合うように
資金を確保することにつとめたいと考えておるわけでございます。
現状を簡単に申し上げますと、土地
造成につきましては三十七年から四十三年に至る間におきまして、百六十五億円という
予算が与えられておりますが、このうち八月末現在におきましてすでに百三十三億円を支出いたしまして、これによりまして五十九団地約七百万平方メートル、坪にいたしますと約二百十万坪、金額にいたしまして約七十億円ぐらいの土地をつくりあげております。このうちすでに売却いたしましたものは百三十二件、約三百万平方メートル、金額にいたしまして三十一億円ほどのものがすでに
企業に分譲されておるわけでございます。さらに現時点におきまして七十件約百五十万平方メートルの申し込みを受けておりまして、現在
造成済みの土地のうち七、八割ぐらいは売れる状態になっておるわけでございます。
一方、融資のほうの
事業につきましては、八月末におきまして六百七十三件の融資をいたしております。融資額が約百七十七億円でございますが、このほかに現在融資の申し出を受けておりますものが約百三十件、四十一億円ほどございます。本年度の
予算は昨年度の繰り越しを含めまして融資額が四十八億円でございますが、もうすでに底をつきまして、まだまだ希望に満たせないものが非常にたくさん残っておるというような実情にあるわけでございます。
このほか
工業用水道につきまして、筑豊の鞍手の用水を完成いたしまして、すでに給水を開始いたしておりまするし、
工場をつくって分譲していくというような制度も本年度から始まりまして、直方の
地区において着工をいたしておるわけでございます。これらはいずれも昨年から急速に
事業が進行してまいりましたので、この結果当団の収支の面におきましても四十二年度までは若干赤字の決算でございましたけれ
ども、この赤字の解消というものにつきまして、最近ようやく改善のきざしが見えてまいっておる次第でございます。
これらの
産炭地域振興事業の結果、現在までの進出
企業は合計四百六十二社ございまして、このうち約百二十社はいわゆる産炭地以外からの東京とか大阪とか名古屋というようなところから新たに産炭地へ進出したものでございまして、これら
企業による新しい雇用は二万七千人をこえておりまして、このうち炭鉱関係の離職者の関係の
方々は一万六千人に達しております。
企業の出荷額は本年度の推定が約千三百億円でございまして、
石炭の山元価格に換算いたしますと約三千万トンに相当いたします。もちろんこれは付加価値額ではございませんので、三千万トンだけのものの価値があるとまでは申し上げませんが、かなり大きな
石炭のマイナスを補うだけの仕事はいささかやってまいっているというふうに考えます。産炭
地域の再
開発というようなことといたしましては、何らかの成果をあげてまいっておるというふうに申せるかと存じます。