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大橋和孝君 時間がありませんので、
あといろいろお尋ねしたいことがたくさんありますけれ
ども、要約して五つ六つお話を聞きますから、要領よくひとつ
答弁をしてもらいたいと思います。
いまおっしゃっているのは、今度のアジアかぜは非常にミルドだといわれている、だからというので予防に対しても非常に簡単に
考えておられるようでありますけれ
ども、御存じのように、こうしたかぜの流行というのは、人を介していく、あるいはまた人種を介していくに従って強度になるわけですね。いま、香港では、そういう調子で、四、五日の発熱であり、死亡者は四十万人、六十万人の中で二十四、五人か五、六人ということだから、これはミルドで大した心配はないと、こう言っておるのでありますが、おそらく来年の四月ごろの第二次の流行になってまいりましたならば、これは人種もかわり、人の世代もかわってくるに従って毒性がきつくなってくる。これはもうあたりまえのことでありますからして、そうなってきた場合に、いまあなたのほうで
考えておられるように、二十何人の死亡ぐらいだからいいということにはならないと思うわけであります。かなり大きなことになってくるのではないかという心配が私はあると思います。
それからまた、いまあなたの説明では、流行して集団的な欠勤があるかないかを調べることが大事だというが、それを調べて何をいたしますか。厚生省としては、いまできる方法としてはないのじゃないですか。私はそれが問題じゃないかと思うのです。御存じのように、ワクチンをつくろうとすれば、卵一個で〇・二七COしかできないわけでしょう。そうすると、一人分一CCが要るとすれば、これをつくるために卵は何個要るんですか。そういう卵を使って、それもふ化した卵でなければならないが、卵も手に入らないというのが
現状だと私は聞いているわけですよ。それを無理していま一生懸命に最大能力でやって、この十月ないし十一月の半ばになって初めていま言う五百十万人分ですか、三千三百リットルぐらいができる。それ以上は日本の能力ではできない。外国からはそれを入れることもできない。こういう
状態になっているということを聞いているわけでありますが、そういうことでありますれば、これから流行してくることに対して、何らの予防ができないということになるわけであります。私は、ここらでもって、何かする方法をもっともっと
考えて予防のあり方を何とかしなきゃならない、あるいはまた、今後病気になった場合にはどうしてこれを
指導していくかということを
考えなきゃならないのじゃないかと
考えますが、そういう点については一体厚生省としてはどう
考えられるのか。もし三十二年のころの大流行みたいになったとしたならば、交通機関は麻痺するかもしれない。基幹産業もとまっちゃうかもしれない。社会的にいってたいへんな大混乱も起こり得るのではないかということも想像されるわけでありますが、そういうことを見通して、これに対してどうするかということをもっと
考えてもらわなければならないし、いま予備費の中からでも出して、いまそうした養鶏方面もどういうふうになるか私はしりませんが、三千三百リッターで、これでもうマキシマムでありますということでなしに、もう少しここのところの手を打たなければたいへんではないかと、こういうふうに思います。この点について、どういうふうにお
考えになっているか、もう少し具体的なことを伺いたい、予防という
意味で。
それからもう
一つは、何ぼでしたか、いまありますのが二万六千リッターのA2型のものができているわけですね。おそらくこれで三千三百万人くらいの量ができていると思います。これは、今度のかぜがA3型であり、あるいはA2型であっても変型になっているものであれば、おそらく無効であるはずですね。これは、金に計算するならば、おそらく四十四億くらいだといわれています。ですから、これを使わないものにしてすぐ捨ててしまうということになれば、製薬メーカーは四十四億の損害をこうむることになるわけです。この四十四億というものを——私は皮肉に
考えているんですから、これはもうそのように解釈してもらいたいと思いますが、四十四億円をもし製薬会社に損をさせないとすれば、このワクチンを今度使うワクチンの中に加算したら、ずいぶんの金額になりますね。これはたいへんなことになります。一体、そのマイナス分を見てやるのか、あるいはまた、それをどういうふうにして、まさかこれをこの次の予防接種の中にプラスアルファをされるようなことはなかろうと思うのでありますけれ
ども、そういうことも伺っておきたいと思います。
特に、接種料金が、保健所で私ちょっと調べてみましたけれ
ども、一歳未満は二回で九十円、二歳から六歳までは百三十六円、あるいはまた六歳から十五歳までは百八十二円ですか、十五歳以上は二百七十二円だと、こういわれている。また、開業医のところに行ってこのワクチンをしてもらうと、あるいは三百円とか五百円かかるといわれているわけです。こういうようなことで、この大流行を前に予防接種をしなければならない、こういう
考えでありますと、非常に問題があると思うのでありますが、この料金なんかについての
考え方もどういうふうにされておるのか。それからまた、ワクチンなんかもマイナス二十度で保存しなければならないことになっているはずでありますから、この問題についてもこれからの取り扱い上問題が起こってくると思います。あるいは、低所得者なんかも、人口にしまして一〇%くらいあるはずですね。こういうものに対して無料でやるように国から予算をつけるとすれば、おそらく三億から四億かかると思いますが、こういう問題についても、こういう大流行の前には厚生省としては相当腹をきめて、無料でやるような方法も
考えなきゃならぬ。こういうふうな問題もたくさんあると思うのでありますが、こういうふうなことに対して、ワクチン対策というものの一貫した
考え方ですね、どういうようにしてやっていかれるかということも伺っておきたいと思うのであります。
それから今後こういう病気が非常にふえてきた場合には、いろいろな公的機関から、あるいはまた私的の
医療施設に対しましても相当の準備をして、何といいますか、続発症状というか、ほかの病気を併発して非常に重体にならないように、そうした設備に対してはいろいろな準備をして、これに対する薬剤の確保も必要でありましょうし、あるいはまた、そういうことに対する指令も必要でありましょう。特に低所得者階層、そういうものに対しての
手当てをしておかないと、そういう方面にしわ寄せが行って、そういう人が少々のかぜだということでもってがまんしていることによって、いろいろなほかの病気を併発して非常に死亡率を高めるということもありましょう。それからまた、特に私はここで問題にして
考えてもらわなきゃならぬことは、いろいろ公的機関というものが麻痺をしたりして社会問題になることもあり得ることを
考えていくならば、そういうものに対してはどうするかということも
考えなきゃならぬ。最後に
考えていくことはどうなるかといえば、やはり予防ということが大事でありますから、予防ということはいま申したようになかなかむずかしいことではないかと思うのでありますが、こういうことに対してどうだろうとか、担当
局長と同時にまた最終的には一ぺん大臣の所信も聞いておきたい。時間がありませんので、いろんな
質問ができないので、まとめて聞かしていただきたいと思います。