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1968-08-23 第59回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月二十三日(金曜日)    午前十時五十七分開会     —————————————    委員異動  八月十日     辞任         補欠選任      平島 敏夫君     八田 一朗君  八月二十二日     辞任         補欠選任      村尾 重雄君     片山 武夫君  八月二十三日     辞任         補欠選任      沢田 政治君     中村 波男君      松本 英一君     成瀬 幡治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         足鹿  覺君     理 事                 小林  章君                 佐藤  隆君                 武内 五郎君                 塩出 啓典君     委 員                 上田  稔君                 田口長治郎君                 八田 一朗君                 森 八三一君                 中村 波男君                 成瀬 幡治君                 前川  旦君                 片山 武夫君                 河田 賢治君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君        自 治 大 臣  赤澤 正道君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        宮出 秀夫君        常任委員会専門        員        吉田善次郎君        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        内閣法制局第一        部長       真田 秀夫君        内閣総理大臣官        房審議室長    橋口  收君        内閣総理大臣官        房参事官     川上 幸郎君        警察庁交通局交        通規制課長    玉田 茂芳君        警察庁警備局警        備調査官     津田 武徳君        防衛庁防衛局運        用課長      安田  寛君        厚生省社会局施        設課長      大和田 潔君        農林大臣官房参        事官       荒勝  巖君        林野庁長官    片山 正英君        林野庁指導部長  木村 晴吉君        中小企業庁計画        部長       井土 武久君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        気象庁長官    柴田 淑次君        気象庁予報部長  北岡 龍海君        郵政大臣官房電        気通信参事官   斉藤  浄君        郵政大臣官房広        報室長      平林 宏次君        建設政務次官   仮谷 忠男君        建設省河川局防        災課長      坂井 秀正君        建設省河川局砂        防課長      田中 憲一君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        消防庁調査官   永瀬  章君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (岐阜県における集中豪雨による災害対策に関  する件)     —————————————
  2. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、去る十七日に発生いたしました岐阜県における史上まれな集中豪雨による災害は、未曽有の大被害をもたらしたものでありまして、尊い人命を失いましたことは、まことに痛ましい限りでございます。つきましては、多数の犠牲者方々の御冥福をお祈りをいたし、再びこのような災害が起こらないよう、黙祷をささげたいと存じますので、御起立お願いいたします。   〔総員起立黙祷
  3. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 黙祷を終わります。御着席をお願いいたします。     —————————————
  4. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 委員異動について報告いたします。  去る十日、平島敏夫君が委員辞任され、その補欠として八田一朗君が選任され、昨二十二日、村尾重雄君が委員辞任され、その補欠として片山武夫君が選任されました。また本日、沢田政治君及び松本英一君が委員辞任され、その補欠として中村波男君及び成瀬幡治君が選任されました。     —————————————
  5. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 本日の理事会の結果について御報告いたします。  本日の議事につきましては、岐阜県における集中豪雨による災害対策に関する件について、関係省庁から説明を聴取した後、質疑を行なうことになりましたので御了承願います。     —————————————
  6. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) それでは、災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  岐阜県における集中豪雨による未曽有の今次災害によりまして、多数のとうとい人命を失いましたことは、胸迫る思いでございます。この災害によってなくなられました方々の御冥福をお祈りいたし、この災害対策措置について万全を期するため、これから関係省庁から、この被害状況について説明を聴取いたします。  まず、総理府からお願いをいたします。橋口審議室長
  7. 橋口收

    説明員橋口收君) 八月十六日から十八日までの大雨による被害及び飛騨川バス遭難事故について、田中総務長官にかわり御説明申し上げます。  初めに、今回の大雨により不幸にもおなくなりになりました方々に対し、つつしんで哀悼の意を表するとともに、罹災された方々には政府といたしましてできる限りのことをいたし、一日も早く立ち直っていただけるよう努力いたす所存であります。  まず、大雨による被害状況と、それに対する政府対策について御説明申し上げます。  八月十七日、台風第七号は日本海を北上するにつれ、熱帯低気圧となりましたが、その南西方面に延びていた寒冷前線を刺激したために、岐阜地方中心に高知県、京都府及び長野地方にかなりの大雨を降らしたのであります。これらの大雨による各地の総雨量は、岐阜美並で二百四十三ミリ、同じく富加で三百二十ミリに達し、一時間雨量美並で百十四ミリという大雨を記録したのであります。このため、岐阜県を中心河川のはんらんや、山、がけくずれ等が発生し、人命の損傷、家屋倒壊流失道路損壊等被害発生を見たのであります。  これら被害のうち、一般被害は、死者、行方不明三十四名、家屋全壊流失百八十八棟、床上浸水二千五棟、床下浸水一万一千八百七棟、罹災世帯数五千二百三十四棟等となっております。  また、施設関係等被害といたしましては、県報告によりますと、公共土木施設等約十九億円、農地等約七億円、農作物等約三億円、その他約八億円、合計約三十七億円となっております。  政府のとりました措置について御報告申し上げます。被災地警備救難人命救助行方不明者捜索給水道路啓開等の作業を、警察官消防団及び陸上自衛隊が一体となって実施しておるところであります。なお、災害救助法適用につきましては、岐阜県で一市二町二村であります。  次に、飛騨川バス遭難事故について申し上げます。  名古屋市内団体客を乗せ、乗鞍登山をめざしてバス十五台が十七日夕刻、愛知県犬山市を出発いたしましたが、途中、豪雨土砂くずれのため、モーテル飛騨で引き返したのであります。十七日夜半事故現場に到着いたしましたが、土砂くずれで通行不能となり停車していたところ、二台のバスの上に沢水とともに土砂が押し寄せ、その二台のバス飛騨川に押し流し、水没させたのであります。  転落いたしました二台のバスには百七名の乗客がおりましたが、このうち三名は救助されたのであります。残る百四名のうち、今日現在までに発見されました遺体が七十八名、行方不明者二十六名となっております。  この遭難に対しまして、警察官消防団自衛隊海上保安本部等全力をあげて行方不明者捜索に当たっておるところであります。政府といたしましても、事故規模等にかんがみ、総理府中心関係省庁連絡会議を開催し、さしあたって行方不明者捜索全力を傾けるとともに、各省庁において事故原因等について究明することといたしたのであります。今後とも事態の進展に応じ、適宜連絡会議を開催し協議していく所存であります。  なお、これらの災害の大きさにかんがみまして、政府といたしましては、現地被害状況等把握被災民の激励のため弘津総理府総務長官を団長とする政府調査団を本日派遣したところであります。政府といたしましては、これら調査団調査の結果を待って、さらに適切な対策を講じてまいる所存であります。  以上でございます。
  8. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、警察庁お願いをいたします。津田調査官
  9. 津田武徳

    説明員津田武徳君) 概況を御報告申し上げます。  ただいま御報告のあったような被害を生じたのでございますが、そのほかに人身被害のおもなるもの一、二申し上げますと、十八日の午前零時三十分ごろ、美濃加茂三和町農業の本多さん方が裏山のがけくずれによりまして住宅が押しつぶされ、家族五名の方が全員死亡されました。なお、十八日午前一時ごろ同じく美濃加茂市の三和地内農協職員旭さん方が裏山のがけくずれによりまして家族四名が生き埋めとなり、二名は自力で脱出したのでありますが、残る二名は痛ましくも死亡されたのであります。  警察措置概況について御報告申し上げます。岐阜県警察本部といたしましては、十七日の午後、降雨が激しくなりました直後の午後八時十七分に、県警察本部みずから警戒態勢強化し、県警察本部機動隊に対しまして全員待機指示をいたしました。さらに県下各警察署長に対しましても、災害警備態勢強化指示態勢をとったのでございます。さらに十時三十分、岐阜気象台からの大雨警報及び洪水注意報が発令されましたので、県警察対策本部におきましては直ちに災害警備本部を設けまして、関係警察署連絡を密接にして災害警備活動に入ったのでございます。特に観光バス転落事故発生報告を午前六時四十五分に受けて、直ちに所要の人員を派遣し、さらに多治見、金山の各警察署などの隣接署警察官およそ五百名を緊急に派遣しまして、被害者救助並びに行方不明者捜索に従事いたしたのでございます。  被害現場加茂警察署といたしましては、十七日の午後八時過ぎに本部長指示に基づきまして警戒態勢をとり、管内危険地域警戒に従事したのでございます。夜中になりまして、ますます雷雨が激しくなりましたので、もよりの駐在所員は臨機の措置として十一時五分に交通遮断措置をとったのでございますが、ときすでにおそく被害バス危険地域に進入して、御承知のような痛ましい事故を起こしたことはまことに残念に思います。  さらに、先ほど御報告申し上げました倒壊家屋内の救助につきましては、所要警察官を派遣しまして、徹宵これが救難に当たったのでございますが、全員死体となって発見されたのでございます。  なお、高山警察署におきましては、午後十時、当時の気象情報から乗鞍登山道に通ずる市内の若達町警備連絡所前に、乗鞍登山は荒天のため登山禁止をする、という立て看板を立てて登山者指導に当たったのでございます。また同署の駐在所員は、危険地域パトロール平湯峠付近においてマイカー約三十台に警告して登山中止措置をとったのでございます。  以上が応急措置でございますが、災害発生以来今日まで岐阜警察署警察官およそ三千名、愛知警察及び三重県警察合計およそ千二百名の警察官を動員いたしまして、痛ましい犠牲者捜索に従事しておるのでございますけれども、先ほど御報告がありましたように、なお二十六名の犠牲者遺体は、今日も発見できない状態でございます。警察といたしましては、総力をあげて早期に行方不明者を全員発見すべく努力中でございますので、この旨御報告いたします。
  10. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、気象庁お願いいたします。柴田気象庁長官
  11. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 最初に、今回の集中豪雨によってなくなられました御遺族の方々に対しましてつつしんで哀悼の意を表します。  さて、当時の気象状況と、それに対する現地地方気象台等活動、並びに気象庁としての集中豪雨に対する対策についてお話申し上げます。  先ほど総理府からお話がございましたように、今回の集中豪雨台風七号くずれの温帯低気圧から南西に伸びる寒冷前線に沿って生じた局地的な豪雨でございます。この豪雨は、岐阜県以外にも相当の雨を降らせましたけれども、岐阜県が最も降雨量が多かったのでございます。  これに対しまして、名古屋地方気象台レーダーは、十七日の早朝から連続観測を行なっておりまして、集中豪雨警戒をやっておりましたが、午後になりまして、雨雲のエコーがだんだん少なくなってまいりまして、それと同時に管内から入ってくる雨量の電報が少なくなり、かつ雨がもう小降りになったというような通報が入ってきたということと、それから当時のそのほかの気象資料から総合的に、技術的に判断いたしまして、当時出ておりました大雨洪水雷雨注意報を十七時十五分にひとまず解除したのでございます。  その後十九時ごろになりまして、再び雷が発生したという報告が入り、また富士山及び名古屋気象レーダーで、そういうような豪雨を降らすような雨雲の種が発見されましたので、二十時に再び雷雨注意報を出したのでございます。その後レーダー警戒しておりますと、それらの雨雲は非常に発達しておるということがわかりましたので、十時半に大雨警報洪水注意報を出したのでございます。それからあとは、十八日の五時十五分に洪水注意報洪水警報に切りかえた、すなわち大雨洪水の両方の警報を出しております。そういうようなことで経過をしております。  ここでバス転落事故関係いたしまして考えなければならないということは、これは新聞その他にも報道されておりますように、どうやらあのバスは、出発してからあとで再び出た注意報及び警報を全然知らなかったんじゃないかというような感覚がございます。それに対しまして、われわれのほうといたしましては、バスが出発いたしましてあとで出た注意報なり警報なりをどうしたら走っているバスに伝えることができるかということを考えなければならないというので、現在これは気象庁だけでできることではございませんので、関係省庁と目下話し合って早急に結論を出したいと考えております。  それからなおこの集中豪雨予報をできるだけ早くやるということは、これは基本的な面において非常に大切なことでございます。そのためには、どうしてもこの集中豪雨の機構、集中豪雨のメカニズムの解明、すなわちそういうような基本的な研究をもっと押し詰めなければならないということでございまして、これは現在、本年もやっておりますが、なお引き続いて来年もその研究を行なうべく予算をお願いしておる次第でございます。  なお集中豪雨に対しまして現在の観測施設整備強化ということも考えておるのでございまして、御承知のように集中豪雨で最も有効な働きをするのはレーダーでございます。したがいまして、来年度もレーダーの新設を考えておる次第でございます。  簡単でございますが、以上で御報告を終わらしていただきます。
  12. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) では次に運輸省お願いいたします。黒住自動車局長
  13. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 貸し切りバス飛騨川転落事故につきましては、ただいま関係のほうからそれぞれ報告があったとおりでございます。  今回の事故により水没いたしました二両を運行しております会社は、岡崎観光自動車株式会社でございまして、愛知県の岡崎市に本社を持つ会社で、資本金二千万円の、三十八両を所有いたしておる会社でございます。  事故の概要につきましては、先ほど御報告があったとおりでございます。  今後の対策といたしましては、気象関係につきましては、気象庁長官から話がありましたが、観光関係旅行あっせん業者と、それからバス事業者に対しまして通達を出しまして、今後の注意を与えております。  その中で自動車関係といたしましては、運行経路状況事前把握、それから運行経路に適合した乗務員の配置、次に無理な運行計画排除、それから運行中の措置、さらに運行上必要な気象に関する知識の修得、その他につきまして内容を盛りました通達を昨日発した次第であります。  それからわれわれのほうで自動車損害賠償責任保険関係の仕事を所掌いたしておるわけでございますが、この責任保険適用につきましては、バス会社及び運転者の過失の有無によって決定さるべきものでありますので、運転手がとった措置に問題がなかったかどうか等に関しまして、責任関係が明白になりました上で結論を出したいと思っております。
  14. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) それでは、次に建設省お願いいたします。坂井防災課長及び蓑輪道路局長お願いいたします。
  15. 坂井秀正

    説明員坂井秀正君) 建設省関係被害状況を御説明申し上げます。  白いパンフレットをごらんいただきたいと思います。  建設省関係公共土木施設被害は一ページの終わりのところから出ておりますが、直轄災害、まず河川でございますが、六カ所で一億五千万円、砂防が四カ所で五千八百二十万円、道路が十カ所で四千八百四十万円、合計で二億五千六百六十万円でございます。  補助災害のほうは、千六十六カ所で十七億二千七百六十万九千円。合計いたしまして千八十六カ所の十九億八千四百二十万九千円、こういうことに相なっております。  その内容といたしましては、直轄災害のほうは木曽川でございます。それから直轄砂防のほうも、これも木曽川水系の落合川でございます。直轄道路バス事故のございました国道四十一号線でございます。補助災害のほうは、岐阜県が十五億七千六百万円余でございまして、そのほか長野県、滋賀県、京都府等において被害発生をしております。住宅のほうの被害は、警察庁の調べによりまして全壊が九戸、半壊が二十戸、流失が十三戸となっております。  これらの被害に対しまして建設省のとりました対策は四ページに書いてございますが、八月十九日、道路局長の名をもちまして各地方建設局長並びに北海道開発局長道路災害による事故防止について通達を出しております。  それから、被害発生いたしまして、直ちに状況調査並びに復旧工法指導のために国道第一課長査定官、その他係官を現地に急派いたしました。  公共土木施設の今後の復旧の方針でございますが、直轄河川砂防につきましては、早急に現地調査いたしまして予備費要求をいたします。それから、直轄道路につきましては、既定経費応急工事を行ないまして、十九日中には二車線交通確保しております。今後現地調査を行ないまして、予備費要求をいたします。  それから、補助災害につきましては、県のほうの準備ができ次第、査定を実施いたします。それまで待てない個所につきましては、工法協議によって県のほうで応急工事ができるように処置をいたしております。  住宅につきましては、住宅金融公庫から復旧のための資金の特別の貸し付けを行なっております。  以上でございます。説明員蓑輪健二郎君) このたびの災害につきましての道路関係の御説明をいたします。  国道四十一号線が白川美濃加茂間を通っておりますが、これにつきましては、八月の十七日になりまして非常に天候が不安定になったということで——この国道は国が直接管理をしておるところでございますが、中部地方建設局岐阜国道事務所岐阜市にございます。その出張所美濃加茂にございまして、美濃加茂出張所より十七日の十六時から二十時にかけまして第一回のパトロールを行なっております。このときは、出張所から金山下呂までパトロールいたしましたが異状を認めておりません。さらに第二回のパトロールを二十時から二十二時、同じく美濃加茂出張所から金山下呂間を行ないまして、二十二時二十分に出張所に帰っておりますが、この間も異状がございませんでした。二十三時からさらに第三回のパトロールを行ないました。このときは白川町の大洞地区までパトロールいたしました。ここで土砂崩壊を発見いたしまして美濃加茂に引き揚げております。十八日にさらに二時から六時に再度のパトロールを行ないましたが、これも途中で交通不能となりまして、六時ごろ引っ返しております。さらにその間で十七日の二十二時十五分ごろ警察のほうから連絡ございまして、白川町の下油井地区土砂くずれがございます。これが出張所連絡がございまして、それと二十二時三十分に大雨警報が出ましたために、二十三時ごろ美濃加茂市と金山町で交通どめの標識を立てたわけでございます。このときにもう被害を受けましたバス十五台は、すでにこの危険の区域の中へ進入して行ってしまったあとでございます。  これからの問題といたしまして、やはり交通規制あとの、その中に入っておる車に対しての周知の方法、こういうのが今後のわれわれとしては、大いに検討しなければならない課題かと思います。国道四十一号の被害につきましては、今回のバス転落被害原因を探ってみますと、あそこは御承知かと思いますが、飛騨川に沿いまして、一方は飛騨川、一方は山というような山腹を縫っておる道路でございまして、その中でやはり道路といたしまして築造の際に、山の出っ張ったところを切りまして、沢には橋をかけ、また暗渠をつくって渡っておったのでございます。今度の被害は沢の上流でかなり大きな土砂崩壊がございまして、これが土石流となって沢に流れ出してきて、その沢の下流にかかっております道路をオーバーして土砂飛騨川に流れ込んだ、その土砂バスが巻き込まれたというような現状になっております。四十一号線につきましては、この事故のありましたあと、さっそく交通開放のために全力を尽くしまして、十八日の十六時四十分に一車線確保をいたしました。これはまだ危険も予想されますので、緊急車だけにとどめまして、十九日の九時から一車線一般開放をいたしました。その日の十五時に二車線確保をいたしました次第でございます。  で、今後こういう事故に対する道路管理の面の対策といたしましては、十九日とりあえず各地方建設局北海道開発局通達を出しまして、危険個所の点検、情報連絡網強化パトロール強化というこの三点をとりあえず通達いたしまして、今後私たちといたしましてはやはり情報連絡網強化、それをいかに道路利用者に周知させるか、こういうことが非常に大きなわれわれの考えなければならない問題だというように考えております。  以上でございます。
  16. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、防衛庁お願いします。安田運用課長
  17. 安田寛

    説明員安田寛君) 先ほどの一般報告においてすでに自衛隊の派遣について言及されておるわけでございますが、さらに詳細に申し上げますと、自衛隊は直ちに陸上自衛隊及び航空自衛隊が出動いたしまして、昨日までに延べ人員約二千六百五十名、それから特殊車両約四十両、一般車両約三百二十五両が出ております。そのほかに航空機が九機これに参加いたしまして、それぞれ転落バスの行くえ不明者捜索、それから給水支援土砂排除などの業務に当たっております。  で、行くえ不明者捜索遺体の収容、転落バスの引き揚げにつきましては、所在の守山、久居、豊川、岐阜、春日井の各駐とん地の部隊から約一千六百五十名が出ております。そのほかに水道の破壊された地方については給水支援をする。その他土砂排除をした村などもございます。また、本日ただいまさらに勢力を増強いたしまして、陸上自衛隊から八百名、そのほか航空自衛隊から若干名出て、さらに救援に力を尽くしておるとともに、また、今後県からの要請に応じまして、人員及び装備の許す限り、あらゆる救援活動をしたいと存じております。  以上でございます。
  18. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、厚生省にお願いします。大和田施設課長
  19. 大和田潔

    説明員(大和田潔君) 災害救助法適用状況等につきまして御説明申し上げます。  災害救助法につきましては、川辺、白川、富加、上六保、この二町二村につきまして、十八日の零時災害救助法適用をいたしました。さらに美濃加茂市につきましては、十九日の十六時に災害救助法適用をいたしまして、災害救助法に基づく救助の実施を行なっておるところでございます。すなわち、避難所を設置いたしまして、これに罹災者を収容する。たき出し、飲料水の供給、被服、寝具等の支給、医療、応急修理、それから障害物の除去等の実施をいたしておるところでございます。  さらに水道でございますが、水道は一部の地区すなわち美濃加茂市、白川町、富加村、この一部の地域におきまして、水道施設が被害を受けまして断水をいたしたところでございますが、直ちに応急の仮工事を開始いたしまして、本日の、きょうの正午までに一応この仮工事が完了いたしまして、全戸給水できる見込みになったところでございます。  それから伝染病関係でございますが、幸いにいたしまして現在まで伝染病の患者は、発生はいたしておりません。  次に、バス事故に対しますところの災害救助法適用でございますが、これは乗客に対しまして直ちにたき出しを実施しておりますが、なお、現在災害救助法に基づくところの死体の捜索を継続をいたしておるところでございます。  以上でございます。
  20. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、農林省にお願いします。荒勝事官及び片山林野庁長官
  21. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 農林省の今回の被害状況について御報告申し上げます。  御存じのように十七日から十八日朝にかけまして、東海、近畿地方内陸部に集中豪雨をもたらしまして、それは岐阜県を中心といたしまして、岐阜、大阪、京都、滋賀と、四府県にわたりまして被害発生しております。  農林省関係被害状況といたしまして、二十二日の十五時現在の各府県の報告によりますと、農地、農業用施設等、林道を含めました被害で総額約七億円、林地崩壊が約四億五千万円、農作物等被害が約三億二千万円ございまして、その他合わせまして約現在の段階で十五億二千万円でございます。  これにつきまして緊急に打ちました措置といたしましては、災害発生とともに東海農政局の建設部長並びに災害復旧課長、それから林野本庁の治山課の専門官を現地に派遣いたしまして、被害状況調査対策指導に当たっておりますが、現在林道等につきまして、多少まだ閉鎖中でございまして、奥へ入れないところもございますので、その点については後刻なお調査続行いたしたいと思います。  被害施設等の早期復旧をはかりますために、手続の整い次第、また調査完了次第早急に査定を開始する予定でございます。  なお、食糧の応急配給につきましては、岐阜県におきまして約六・二トンの米の配給を緊急配給をいたしまして、なお不足する場合におきましても、要請に応じて食糧は十分に確保されているものと思っております。  なお、農業に関する共済金、保険金の仮渡しまたは再保険金の概算払い等につきましては、目下農業共済団体で調査中でありまして、実情判明次第、応急措置する次第であります。  簡単でございますが、以上でございます。
  22. 片山正英

    説明員片山正英君) 林野庁でございます。ただいま農林省から報告がありました県の主体とします民有林関係につきましては、山地崩壊四億二千万、林道施設が八千三百万、大体五億円の被害でございますが、そのほかに国有林関係被害がございます。  概数申し上げますと、やはり山地災害が九千万円、それから林道関係で五千万円、約一億四千万円が国有林の被害でございます。  この地帯は岐阜の東南部でございます。国有林が比較的少ない地帯でございます。したがいまして、今回の被害も民有林関係に重点的に被害発生した実態でございます。したがいまして、民有林につきましては、現在先ほど御説明がありましたが、係官を派遣していま調査中のことではございますが、民生安定上必要な治山につきましては、緊急治山を実施すべく準備中でございます。  なお、また林道につきましては、早期復旧態勢でいま準備を進めておる段階でございます。  なお、今回の特に被害の激しかった白川町の下山地区のバス転落事故関係の地勢でございますが、このところの所有は民有林でございますけれども、道路沿いの非常に急傾斜地につきましては、実はすでに保安林の指定を実施しておるわけでございます。その林相は大体三十七年生ぐらいの雑木の濶葉樹の林になっておるわけでございます。その上部のほうの比較的緩傾斜の地帯につきましては、保安林の指定はいたしておりません。しかし、その地上立木は大体四年生ぐらいのやはり雑木林の実態でございます。この地帯は秩父古生層であり主として石英、安山岩地帯でございます。われわれのいまの判断では、比較的じょうぶな地帯だと実は判断いたしておった次第でございます。今回の被害は異常な雨量のための被害であったわけでございます。なお、一般論といたしまして、保安林の整備をいま着々準備をいたしておる次第でございます。簡単でございますが、以上でございます。
  23. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に郵政省にお願いをいたします。平林広報室長及び斉藤参事官
  24. 平林宏次

    説明員(平林宏次君) 今回の岐阜県下の集中豪雨による郵政業務の関係被害状況といたしましては、郵便局舎の床上浸水が一局、床下浸水が三局程度でございまして、業務運行にはほとんど影響がありませんでした。  また郵便運送の面につきましては、郵便物を運送しております国鉄線路一線路、それからバス道路七線路が不通になりまして、若干の乱れはございましたが、鉄道線路につきましては、臨時に自動車便を出しまして、またそのほか迂回運送あるいは人夫による運送等を行ないまして、極力郵便物の排送につとめました結果、目立った滞留は見られないわけでございます。  次に、災害救助法適用を受けました地域に対しましては、関係法令に基づきまして郵便はがきの無償交付、為替現金の非常取り扱い、保険年金の非常取り扱いを実施いたしております。  なお、バス転落事故による死亡者に対しましては、簡易生命保険金の倍額支払いを行なっております。  以上でございます。
  25. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 次に公衆電気通信設備関係被害状況並びにバス転落事故に伴いましての通信関係のとりました処置につきまして、御報告いたします。  十七日夜半からの豪雨によりまして、国道四十一号線に沿いまして施設してあります市外ケーブルが断線しまして、一時白川局及びその周辺の局が途絶いたしましたが、直ちに中津川並びに下呂、高山のほうを回るルートに切りかえまして、十八日の午前中には回復いたしております。  次に、バス転落事故に伴いまして通信のふくそうその他がありまして、公衆回線としましては、白川並びに美濃加茂関係につきまして、ふくそう回線の増設といたしまして、八回線の回線を移動無線機等を使いまして連絡をとりまして、さらに美濃加茂遺体安置所並びに事故現場におきましては、特設公衆電話を全部で十三個設けまして、被災者の方々のつつがのないように供しております。  さらに報道関係の通信の用に供しますところの専用回線の連絡回線を、主として名古屋及び美濃加茂関係局に設備いたしまして、通信の疎通をはかりました。  以上で、事故当日直後は若干ふくそういたしましたが、二十日現在にすべての通話は平常に復しております。  以上でございます。
  26. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 消防庁にお願いいたします。永瀬調査官。
  27. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 消防関係のとりました措置につきまして御報告申し上げます。  まず岐阜県におきましては、県では十七日の降雨が激しくなりましてから警戒体制をとっておりましたが、二十二時三十分に岐阜気象台から大雨警報洪水注意報が発令されましたことに伴いまして、県に災害対策本部を設置いたしまして、事故情報収集、被害状況調査対策指導及び実施、被災者の救護、連絡等に当たっておりまして現在なお奥地の被害が判明しない部分がございますので、これらの被害の収集等にも全力をあげております。  また自衛隊の派遣の要請をいたしまして、行くえ不明者捜索土砂の除去等の活動に従事していただいておる状況でございます。  現地の消防機関といたしましては、十七日の夜来の降雨が激しくなってまいりましてから、特に消防団を主体といたしまして、河川警戒に当たりましたが、その後豪雨による山くずれあるいは河川の増水、決壊等が出てまいりましたので、これらの危険個所警戒巡視並びに避難の指導、誘導あるいは埋没いたしました被災者の人命救助等を行ないました。  なお、バス転落事故に際しまして、現地の各市町村ごとに災害を受けておりまして、先ほど申し上げました人命救助等の作業もございますし、復旧作業もございますが、それをある程度犠牲にいたしまして、バスの行くえ不明者捜索に当たっております。  岐阜県下では二十二日までにこの災害応急復旧の作業と、バス遭難者の捜索をあわせまして、延べ七千八百八十二人の消防職、団員が出動いたしております。愛知県におきましては、バス転落事故に際しまして、岐阜災害対策本部からの要請に基づきまして行くえ不明者捜索活動に入ったわけでございますが 関係沿岸の各市町村も、捜索活動の状態の把握及び関係市町村あるいはその他県警、海上保安本部等との連絡をとりながら、これの万全を期している次第でございます。  なお、遺体捜索の協力の実施要領あるいは遺体発見時の措置等につきましては、関係市町村に十分な連絡をとっております。  また、バス転落事故家族の居住地でございますところの名古屋市におきましては、名古屋市の消防団から消防職員を機材、舟艇とも約四十名を連日美濃加茂市に派遣いたしまして、行くえ不明者捜索活動に入っておりますほか、消防艇を木曽川河口に出動いたさせまして不明者捜索を続けております。愛知県下全部を通しまして消防機関の延べ出動人員は、二十一日午前中までで千二百四十一人にのぼっております。  なお、知多半島に遺体が漂着したことに基づきまして、知多半島、三河湾、渥美半島の海岸線を持ちます市町村に対しましても、遺体の発見に努力するよう指示をいたしております。  三重県につきましては、岐阜県からの連絡によりまして、まず第一に伊勢湾内が現在小型漁船の出漁期にございますので、市町村漁協を通じまして、小型漁船に遺体の発見に協力するよう求めてまいっておりますが、そのほか県といたしまして漁船をチャーターいたしまして、鈴鹿市の地先及び木曽川河口におきまして遺体捜索活動をいたしております。  なお、消防団につきましては、河口の長島町ほか一村に、河口におきますところの遺体捜索活動に従事するよう慫慂いたしまして活動中でございます。なお、三県も、現在なお消防団が出動いたしまして活動中のはずでございます。  以上でございます。
  28. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御苦労さまでした。以上で説明聴取は終わりました。引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  29. 武内五郎

    ○武内五郎君 議事に入る前にちょっと一言注意を喚起しておきたいと思います。  今回の災害は、全く史上かつてない痛ましい事態になってまいったのでありますが、本日各官庁の説明を承りまして、特に今回の災害に最も関係の深い運輸省に対して大臣の出席を要請しており、大臣が当然責任者として出席されなければならない事態であるにもかかわらず、本日大臣の出席を見ない。また、大臣にかわって政務次官等責任者が出てこないということは、もってのほかだと考えられます。こういうことは、まことに委員会運営上——少なくとも運営上重大なことであり、事態の重大性から考えましてゆゆしいことだと考えまするので、私は質問に入る前に、一言運輸省の深甚なる再考を求めたいと考えます。本日運輸省から出ておられまする方々から十分大臣並びに政務次官に対する御注意を伝達してもらうよう、委員部からもその旨を伝達するようにお願い申し上げます。
  30. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 委員各位に申し上げますが、いま武内君から御発言がありましたことで、実情をちょっと事前に打ち合わせをしてみました。本日は閣議があって、そのあと記者会見をして、群馬県のほうへ行かれると、こういう日程だと聞きました。その群馬県に行かれたことがどういう公務であり目的なものかは判明いたしません。よって政府委員室を招致いたしまして、その理由等も明確になりまして、われわれが納得いたしましたならば、これはまたやむを得ないことでありますが、追ってまた後ほど運輸大臣の御出席方については、調査の上御報告を申し上げます。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 委員長、それに関連して。  実は私もこの災害対策委員会がいつ開会をきめられたかということを承りますと、十九日の日にきめてお見えになるようです。きめられれば当然関係各省には御連絡があってしかるべきです。運輸大臣は少なくとも十九日の夕方には承知しておったと思うわけです。お互いに公務とか私用というものはあることは当然なことでございます。しかし、こうした重大な問題について、重大な関係でございますから、きょう御出席の各委員等もいろいろなことを繰り合わせて御出席になっているものと考えております。しかるに一番関係の深いと思われる運輸大臣が、閣議終了後記者会見をして郷里に帰っておるとは何事なんですか、一体。そんなばかな話はないですよ。こういう大臣でいいでしょうか。だからいろいろなことが起きてくるんじゃないですか。こういう大臣には私は即刻やめてもらうぐらいの決意がなければならぬと思う。どういうことなんですか、一体。この委員会で単に委員長はいま事後調査等をして御報告をされるとおっしゃるから、私はその報告を待ってからいろいろな対策を考えてもいいと思いますけれども、非常に不満なんですよ。こんなばかなことはないのです。私は委員会はもちろんでございますけれども、議長等も通して、こうした大臣に対する何らかの処置というものをせなければならないと思う。一言意見だけを申し上げて、今後の委員長を通じていろいろな議事の考え方の善処を強く切望するとともに、委員会に報告をしてもらいたいと思います。
  32. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 了承いたしました。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 百十六名というとうとい命が失われました。心からなくなられた方に対する御冥福をお祈りするとともに、遺族をはじめ関係の一同の皆さん方に哀悼の意を表するとともに、岐阜県等を中心としてたいへんな災害におあいになった方等に対して、深甚なお舞見いを申し上げます。  そこで、二度と繰り返してはならない災害でございます。ですから、繰り返してはならない災害がどうして起きてきたのか。今後どうしたらいいかというような立場に立って、いまからいろんな点について御質問等を申し上げるとともに、意見を加えて解明をしてまいりたいと思います。  そこで、まず第一にお伺いしたい点は、いま御報告等がございましたですけれども、まだ二十六名の遺体が収容をされておりません。遺族の身になれば一日も早く、一時間でも早く遺体の収容がしてもらいたいと心から願っておるわけでございますが、そのことに対して、いま簡潔な御報告がございました。たとえば漁船等をチャーターしておるが、なるほど海等に流されたお方に対してはそれでいいかもしれませんけれども、なお、あそこの水は御案内のとおり濁っておりまして、なかなか容易な問題じゃないと思っておりますし、また埋没等もありはしないかと想像されますが、遺体収容の問題についていま何をしようとしておみえになっておるのか、どういう対策を立ててお見えになっておるかということを、まずお伺いをいたします。
  34. 橋口收

    説明員橋口收君) 先ほど概括的に御報告申し上げましたように、政府の内部の連絡機関といたしまして、飛騨川バス遭難対策会議というものを設けまして、被害直後の十九日に第一回の会合を持ったわけでございます。で、遺体捜索等につきましては、それぞれの省庁あるいは地元府県等において御努力をいただいておるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、本日弘津総理府総務長官を団長といたします政府調査団現地に派遣いたしておるわけでございます。これは今回の集中豪雨による一般災害並びに飛騨川バス転落事故の両方につきまして、現地調査をいたしておるわけであります。その調査結果に基づきまして、でき得れば明日にも第二回の総合的な各省連絡会議を開催をいたしたいというふうに考えております。その調査団報告等に基づきまして、さらに政府として一そうの努力をする所存でございます。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いまのお答えを聞いて、ああそれでよろしゅうございますとか、みな納得しませんよ、ましてや遺族の方は納得しませんよ。そんなことなんですか、もっと真剣に考えるべきじゃないですか。もっと具体的にお答えを願いたいと思います。
  36. 橋口收

    説明員橋口收君) ただいまお答えいたしましたような総理府といたしましては、各省連絡会議を通じまして各省に対して督励をいたしておるわけであります。したがいまして、実際の実施機関におきまして、それぞれ御努力を願うことでございますので、それぞれの省庁から御努力をいただきたいと思う次第でございます。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 各省から答弁してください。
  38. 仮谷忠男

    説明員(仮谷忠男君) 私は建設省のほうの政務次官でございますから、直接のこういった衝に当たっていない。ただ、われわれの所管の災害復旧等について最善を期して努力をいたしておるわけでありますが、ただいま総理府のほうからのお話がありましたように、内閣としては連絡会議をつくって、これに対する万全を期するということで対策を立てておりますことは御承知のとおりであります。しかし、何といっても一番重大な、しかもまず最初にやらなければならぬことは、残されておる遺体を発見するということが最重点でなくてはならないと思います。そういう意味においては、先ほどそれぞれの省庁から御報告がありましたように、全力をあげて現地では捜索をいまやっておりますことは、御承知のとおりであります。まずそういった現地の状態もさらに十分に把握をして、さらに今後の対策を立てていくために、先ほど申し上げましたように総理府長官が団長になって調査団を本日派遣をいたしております。その調査団によって現地の実態をさらによく把握をいたしまして、そして引き続きこの問題に対する処置を十分に考えていかなければならぬと、こういうふうに考えておるわけでありまして、なお今後の具体的な処置につきましては、調査団が帰りまして、そして実態を把握した上で詳細に御報告を申し上げるということで御了承をいただきたいと思います。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 万全の対策を期するとおっしゃいました、まことにそのとおりだと思います。そして万全の対策をいま現にやっておみえになると思うんです。これからやるんじゃなくて、すでにやっておみえになる、実際現地では努力しておみえになると思うんですよ。私も見てまいりました。実際やっておみえになります。そのことを私は具体的にお聞きしたいと思っておるわけです。ですから総理府でまとまっておらなければ、関係省から御答弁を承りたいと思います。
  40. 安田寛

    説明員安田寛君) 防衛庁から御説明申し上げます。  自衛隊といたしましては、先ほど申し上げましたように、連日最大の努力を払ってまいりまして、遺体収容については本日はさらに勢力を増強いたしまして、八百人余りの人員で死体の収容に主力を注いで、そのほかのまた作業に従事しておるわけでございます。ただ非常に激流でございますし、また屈曲も激しく、それから両岸ががけになっておりまして、たいへん作業に難渋しているように、われわれは報告を聞いております。そのためにその作業は必ずしも容易ではないのでございますけれども、われわれといたしましては、それぞれ救命用具をつけた隊員を現地に派遣いたしまして、あらゆる努力を現在継続中であることを申し上げ、さらにその努力を続ける所存であることを御報告いたしたいと思うんです。
  41. 津田武徳

    説明員津田武徳君) 御報告いたします。  岐阜県警におきましては、全警察官の実員の三割五分、つまり五百名余を遺体収容に今日充てておりまして、愛知県並びに三重県三県を合計いたしますと、きょう現在遺体捜索に従事している警察官は九百十一名でございます。なおこの九百十一名の捜索に要する機材といたしましては、愛知県警がヘリコプター一機を投入し、三県合わして警備艇六隻、民間からの借り上げ舟艇十四隻、折りたたみの警察用の備えつけの舟艇、これが十一隻、アクアラングを借り上げまして、二名を水中にもぐらしております。そのほかレッカー車二台、クレーン車三台、こういう機材をフルに動員いたしまして、早急に全員の捜索が完了するように、懸命の努力をいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  42. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 消防の関係について御報告申し上げます。  消防機関といたしましては、飛騨川の沿岸の各市町村の消防機関は遺体捜索に出動いたしておりますことは、先ほど御報告申し上げましたとおりでございますが、現地の消防といたしましては、従前の人身事故等がございます関係上、遺体漂着個所につきましては、消防団が一番よく知っているという現地の話でございますので、現在のところ県警の方々、それから自衛隊方々と一緒になりまして遺体捜索を沿岸について行なっておりますが、特に先ほど申し上げましたような関係がございますので、消防団警察官、及び消防団自衛隊これが組になりまして、過去の経験に基づきまして、漂着していそうな場所、これを重点に捜索を開始いたしております。したがいまして、河口におきましても同様でございます。簡単でございますが……。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もうありませんですか、いいですね。大臣お見えになって、大臣はすぐ退席だというのですが、私は、実は建設大臣に御質問する予定はございません。予定はございませんけれども、実は今度のことに関連しまして特に自賠法の問題から申しますと遺族補償の問題等がございまして、運輸大臣と非常に関係が深いわけでございます。ぼくは大臣にちょっと、閣議に出られるからお願いしておきます。これをやることは三日前からわかっていることです。ところが中曽根運輸大臣は記者会見を済ましておいて郷里へ帰っちゃっている、まことにふまじめだと思うのです。一ぺん閣議で問題にしてください。そんなふまじめな大臣、いいかどうか、そのことだけを私は大臣にお願いしょうと思います。御了承願えますか。  そこで、いまお答えがありました、私は確かに現地の方たちがたいへんな努力をしておいでになるということは、十分現地を見てまいりましたから承知しております。しかし、あそこはいま指摘されましたように急流である、それから水が絶対にきれいにならないわけですね。ダム工事等がありいろんな関係があって絶対に水が濁っておる、なかなか発見は容易じゃないと思う。しかもそういう中で埋没ということも十分考えられますから、そういうようなことに対して、死体をあくまで、全部収容するという姿勢があるならば、そういうようなことに対しても当然対策がすでに立てられ、いろんなことについて、ただ単に潜水夫を二人頼んでやっておるというくらいじゃなくて、もっといろんなことが手を打たれてしかるべきだと思っているわけであります。ですから、そういうようなことについてどういう計画があったということを伺いたいわけであります。いま仮谷建設政務次官も万全の措置をとっておる、これからもとるとこうおっしゃる。万全の措置をとっておるならば、何をとったということをここで聞いているわけです。それに対していまのお答えでは納得ができません。万全の措置をとってきたとは言えぬじゃないですか、どうですか、仮谷政務次官。
  44. 仮谷忠男

    説明員(仮谷忠男君) 私どもは私どもとしての最善の処置をとってまいったつもりでありますし、これからもやっていくつもりでありまして、しかし、先生方がごらんになればまだまだ足りないところがあるとすれば、十分に御指摘をいただいて、そしてわれわれはさらに努力してまいらなければならぬ、そういう努力を申し上げたわけであります。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いや、努力はお互いわかるのですよ。努力で事は解決するわけじゃないですよ、もう埋没等があり、そして性別等も判定ができないくらい死体の破損をされておるというようなことも、私はこれは承知しておるわけなんですよ。たいへんなことなんですよ。ですからその中で死体を収容するというのですから、私はたいへんな努力をしてもらわなくちゃならぬと思っておるわけです。私は努力が足らぬということも申し上げたいが、また努力をしておられるということも私は認めておるわけであります。ですから、埋没等が当然予想されますから、そういうものに対してはどういう対策をとろうとしておるか、それを承りたい。しかも、それは当然総理府長官が出てきておらなければならぬ責任者である、ところが出てこない。これは私は人事院勧告等の六者会談等があってこれはやむを得ないと思います。とすれば、それにかわってだれかが受け答えをしてもらわなくちゃならぬと思います。だれかが受け答えをする、それに対してまとまった答弁をしてもらえますか。飛騨川事故対策会議……対策、何ですか会合を設定されておるということも承知しております、新聞等で。もしその責任者が長官であるなら長官でいい、もし総理府長官が都合が悪かったら、だれかまとめてかわって御答弁願いたいと思う。一体どうなっておるか。ばらばらじゃないですか。何にもやっていないように受け取れる。現地は一生懸命やっておる。こっちのほう、もとのほうは一体どうなっておるか。総理府長官がおられなかったら、だれがかわってしっかりやることになるのですか。
  46. 橋口收

    説明員橋口收君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在政府調査団の団長として総理府の弘津副長官現地に参っておるわけでございます。飛騨川バス遭難対策連絡会議の座長としては弘津副長官がなっておられます。そういう立場もございますので、先ほど申し上げましたように、今回の集中豪雨被害調査並びにバス転落事故調査現地に参っておるわけでございます。ただいま先生から御指摘がございましたように、各省庁において最善の努力をいたしておるつもりでございます。御指摘がございましたような点もあわせて、さらに座長でありまた調査団長である弘津総務副長官が帰りましたあとにおきましてさらに調査もし、また対策を推進してまいりたい、というように考えております。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は現地に一刻も早く行っていただかなければならないことも十分わかります。当然、災害対策委員会等が開かれることは十九日の月曜日きまっておることです。ですから、何かの都合があったと思いますが、もっと早く実は行っていただいて、そうしてこの場には少なくともいまおっしゃる弘津副長官がもし座長をつとめておみえになるのなら、私は出席していただきたかったけれども、行ってお見えになるならやむを得ない。とすると副議長という、副座長というのですか、それはどなたがやっておみえになるか。
  48. 橋口收

    説明員橋口收君) この対策連絡会議は、政府部内の情報交換並びに対策の推進のための事実上の会合でございます。そういう意味におきまして、会合の案内等は総理府の審議室においていたしております。ただ先ほども申しましたように、座長としては弘津総務副長官がなっておりまして、副座長あるいは代理というものは置いておらないのであります。ただ、会合の連絡あるいは準備等は、総理府の審議室でいたしておるわけでございます。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると災害対策基本法に基づいていろいろなそうした災害対策本部ではなくて、それを設ける必要はないのだから、飛騨川バス事故対策会議というものを設けたけれども、それは官制上の何らのものないものだ、というようなことになっておるわけですか。
  50. 橋口收

    説明員橋口收君) 成瀬先生からお話がございましたとおりでございまして、法律に基づく非常災害対策本部の設置というところまで、現在の段階においては考えておらないわけでございます。災害の態様等によりまして非常対策本部を正式に設ける場合もございますし、あるいは政府部内の連絡調整のための会議等を設ける場合もございます。今回はその後者の場合として運用をいたしておるわけでございます。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうするとここでいろいろなことを、きまったことになると、大体官房長官は談話を発表しておみえになりました。構成というのはどんなふうになっているか。ちょっとその点御報告願えませんでしょうか。
  52. 橋口收

    説明員橋口收君) 現在現地調査に参っておりますが、これは繰り返しお答えいたしておりますように、飛騨川バス遭難事故とあわせて今回の集中豪雨被害調査にも行っておるわけでございます。一方、飛騨川バス遭難事故につきまして対策会議を設けたわけでございますので、現在の構成メンバーといたしましては、当面、バス遭難事故対策ということで、構成員といたしましては、総理府は大臣官房審議室長の私でございます。それから、警察庁が川島警備局長、それから、防衛庁は宍戸防衛局長、厚生省は今村社会局長、運輸省黒住自動車局長気象庁は増田次長、建設省蓑輪道路局長、消防庁は山本次長、このようになっております。
  53. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大体わかりました。元来ならば総理府長官が出席をされてお答えいただくことになると思いますが、まあこの問題はもう少し、私はあなたに文句を言うわけじゃございませんけれども、遺族の身あるいは被災された方たちになれば、もっともっと親身な立場に立っていろんなことをやっていただかなければならないと思います。文字どおり万全の対策を講じてきたということが明らかになるようにしていただかなければならないと思います。非常に不満でございます。ことばがどんなにきれいであっても、やっておみえになる裏づけがなければ、みんなは納得するものじゃございません。  そこで次に問題を進めてまいりたいと思いますが、一体今回の事故でいろんな問題は同僚の中村波男君にやっていただくことになりますから、私はバス関係の問題に限って、先ほど一番最初に申しましたような意味合いに立って質問を申し上げたいわけですが、一体あのバス事故というものは、ほんとうに防ぐことができなかったと思っておみえになるのか、こういうことがやられておったら防げるとお考えになっておるのか、どういうことなんでしょうか。そういう点についてどういうふうに論議を掘り下げておみえになるのか、まずお伺いいたします。
  54. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) この事故が起きました経過につきましては先ほど御説明がございましたが、目下出発をいたしまして、事故が起きますまで——岡崎観光の自動車が岡崎の本社を出発いたしまして、途中飛騨モーテルで引っ返して事故に遭遇いたしました経過につきまして運行上の関係会社側あるいは運転手運行上の関係、また道路状況その他につきまして詳細にいま調査が進んでおるところでございます。したがいまして、これらの事実関係を確定いたしまして避け得なかったかどうか、すなわち不可抗力的な事故であったのか、責任がある事故であったのかというようなところを決定してまいりたいと思います。
  55. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 自動車局長。ぼくはそんなことを聞いておるのじゃないのですよ。少なくとも災害基本法は、昭和三十六年にできておる。足かけ七年ですよ。防災基本計画は昭和三十八年ですか、にできておるのです。だから、あなたは運行上何かあったらどうだとか、これから調べてみにゃわからぬということですが、私は予防はできたと思っておるのです。また防げなきゃならぬと思う。これが二度と繰り返さないことなんです。そのために災害特別基本法もあると思う。だから、私はこういうことが欠けたのだからこうなったということがあるならば、それで納得しますよ。これから調べてみにゃわかりませんなんていうことは納得できません。どういう措置がとられたら防げるとお考えですか。
  56. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) ただいま申し上げましたのは、事故が法律的に見まして不可抗力であったかどうか。不可抗力でないといたしますと責任の事故でございます。責任の事故といたしましては、まずわれわれが資料に出しておりますところの自動車の運行によって責任があったかどうか、あるいは道路関係がどうであったかというふうに、法律的に不可抗力であるか、あるいは責任事故であるかということにつきましては、いままでの経過等を詳細に調査いたしまして確定できるものと思います。しかし、今回の事故のようなことを二度と繰り返さないためには、先ほど申し上げましたように道路状況気象状況、経路の状況等を十分事前に調査いたしまして、気象条件の悪いようなときには出発を中止する、あるいは延期する措置を講ずる。そしてまた出発後におきまして天候情勢が変わってまいりました場合におきましては、バス運行者といたしましては気象関係警察関係道路関係管理者等に十分連絡をいたしまして、途中で適切な措置をすべきものと考えます。そのようなことにつきましては、将来のこの種の事故の防止、絶滅につきましては、先ほど申し上げましたようにそれぞれ所定の通達等もいたした次第でございます。
  57. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは実に情けないような話ですね。大体運行上からいって、私はここで運行がどういうふうにいったというようなことは、もう十分自動車局長も御承知の上だと思いますから、私は実はそういうことには触れたくないわけなんです。もっと基本的な問題で実は触れたいと思うわけでございますけれども、どうも前へ話は進みませんし、いろいろなことですから、これは総理府関係でいろいろなことをまとめたところでひとつ報告を願いたいと思うのですが、あすこは昨年の七月九日でございましょうか、四名が生き埋めになっておるところですね。そして消防団のお方たちがさっそくかけつけていただきまして三名のお方たちは助かっておるところです。そしてあすこの場所は危険な場所だということはみな常識になっておるところです。しかも、あれだけの雨が降ったところを通っていくような車は、よほどばか者だということを地元の人たちは言っておる。そういう常識化しておるところなんです。しかも白川口のあの駅のところには大ぜいのマイカー族の人たちや、それからバスも避難をしておったことは確かです。そういう人は消防団のたとえば警告等があると申しましょうか、指導があって避難した人もございましょう。自主的にした人もたくさんあるわけです。しかしあの危険な場所へ突っ込んでおる車もたくさんあったわけで、いまお聞きしておりますと、何か二十三時には金山とそれから上油井ですか何かのところは通行どめをしたこと、こうおっしゃっておる。この通行どめの趣旨は土砂くずれがあったから通れませんよという通行どめだと思うのです。行ったら危険ですよ、中へ入ったらたいへんですよという、そういう通行どめじゃないだろうと思うのです。それから建設省のほうで言えば、パトロールもやっておるというようなことも出ております。当日は三台出したとおっしゃっております。しかし乗鞍へ登山をするのは、夜中にあの辺を、あるいは夜半といってはおかしいですが、夜中を中心として大体登山をするというのが、バス等が通るというのが常識なんです。昼間はどれだけやっておっても意味ないのです。やはり夜間の問題です。ですからパトロールを三台やっておったのだから、いつものときは一台なんだけれども当日は三台出した、だから責任はないと言ったって、それはあまりにも実情に合わない。私は責任のがれの言い方としか受け取れません。  そこで私は、どうやったってあれだけのしのつく雨をついて、しかも自動車をおりたら道の上に十センチから十五センチも水はたまっておるわけですね。その中をバスは、大体視界十メーターぐらいの視界でおりてきたと言われております。そういうような所に突っ込んでいくことをやめたら事故はなかったと思う。どうしてそういうことをやるのか。そういうことはとめられぬものなのか。災害基本法ができて、そしてたとえばいまお聞きしておりますと国鉄であるとかそういうところには連絡があるけれども、私鉄やバスには連絡がないのだ、だからこれからやるんだということは実は怠慢だと思う。当然災害基本法ができまして、第四章ですか五章等にわたって予防措置はどうやってやるんだとか、あるいは応急措置はどうするんだというようなことがこまごまと書いてございます。しかも目的の第一条には、人命を守るということが明記されておるわけでございます。したがって、なぜこういうことが今日まで行なわれなかったのか、なぜそういうサボータジュをやってきたかということについて何か原因があるのなら、どうしてやらなかったのか。そういう怠慢を認めて、これはいかなんだ、これからやろうと、こうおっしゃるのか、その辺のところをどういうふうに、ほんとうに今度の災害というものは防ぐことができなかったのか、こういう措置があったら防げたんだということが私は論議されなければならなかったと思っているわけです。だから、そういうことが論議されなかったのですかと、こう言ってお尋ねしておる。それに対して、どうもおかしな答えしか出ておりません。ですから、もう一ぺん重ねてその点についてお尋ねいたします。
  58. 橋口收

    説明員橋口收君) 災害対策基本法ができましたのは、御承知のように昭和三十七年でございます。昭和三十八年には防災基本計画というものを策定いたしております。それに基づきまして、各地方団体あるいは指定行政機関等においていわゆる防災計画というものを樹立し、またその実施に努力をいたしておるわけでございます。防災基本法ができまして、さらにそれに基づきまして防災基本計画というものが設けられ、また中央、地方に防災会議等の組織も整備されてきておるわけでございます。御指摘のように、規定の上におきましては防災体制の整備あるいは防災思想の普及等のことがうたわれておりますし、また行政官庁においてもそれなりに努力をいたしてまいってきておるわけでございますが、先ほども御質問がございましたように、今度のバス転落遭難事故のようないろいろな複合的な要因が重なってああいう事故が起こった、というふうに考えられるわけでございますが、いわゆる単一の原因によって発生したということではないように考えられるわけでありますが、そういう何と申しますか、複合的な要因が重なってきて不幸な事態が発生する場合に対するいわゆるきめのこまかい計画なりあるいは実施なりにつきまして、必ずしも万全であったとは申しにくい面もございますので、総理府といたしまして、防災計画の策定その他各行政機関あるいは地方団体の防災計画の策定に対して指導する立場におりますので、さらに十分検討もし、改善を加えてまいりたいというふうに考えております。
  59. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いま、私は端的に、防ぐことができなかったのかどうか、という立場に立って議論されたことはございませんか、連絡会議と申しますか、事故会議で。
  60. 橋口收

    説明員橋口收君) 第一回の連絡会議は十九日に開いたわけでございます。事故が十八日の午前一時半ないし二時ごろと承知いたしております。その間、日曜日をはさんでおりまして、十九日に開催をいたしましたわけでございまして、事故のいわば直後ということでございます。で、先ほども申し上げましたように、遺体捜索なりその他当面の応急対策ということに、主として連絡会議内容が集中いたしております。で、いまお話がございましたように、こういうことをしたら防げたんじゃないか、いわゆる原因の究明と、さらにそれに基づく対策の確立という点につきましては、その際の議題としては当面の議題にはなっておらないわけでございます。先ほど申しましたように、いろいろな要因が複合しておる災害であるという認識に基づきまして、さらに今後警察当局においても原因調査をいたしていくように承知いたしておりますので、さらにその結果等を見まして、総合的な見地から判断をいたしたいというふうに考えております。
  61. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 予報の伝達が国鉄とか飛行機とか、そういうところにはいきますね。しかし私鉄とかバス等にはいってないわけですね。観光事業がレジャーで発達しておりますが、なぜ、いままでこういうことについて伝達しておけばよかったわい、というようなことをお考えにならなかったか。そういうようなことはやる必要はないんだというふうに検討されて結論が出たものか、全然そういうことはいままで考えておみえにならなかったのか。これは運輸省がその責任だと思いますが、どういうふうにいままでお考えになっておりますか。
  62. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) これは当然、異常気象時におきますバス運行につきましては、気象関係の情報を的確に把握して旅行を開始するか中止するかというふうなことにつきましては、従来から業者のほうには指示しております。で、今回の事故の場合におきましては、気象情報の収集につきましては、名鉄観光というエージェント旅行のあっせん業者と、それから岡崎観光業者が、それぞれ出発する事前に気象情報を聞いておった次第でございます。時間的に見まして、気象情報が、警報等が途中で解除になっております。したがいまして、この状況ならば旅行を継続してさしつかえないだろうという判断から、一応、犬山に集結いたしまして、各社四社でございますが、四社の車が犬山に二十二時過ぎに集結いたしまして、十五両の一団となって出発したような次第でございます。で、その出発後におきまして警報が出たわけでございまして、その警報をキャッチできず白川飛騨モーテル付近まで行った。それで前途を調べました結果、道路状況等が悪いためにモーテル付近で奥様ジャーナルの社長と名鉄観光の責任者と関係バス会社の運転士が協議いたしまして、引き返したというふうな順序でございます。情報のキャッチの方法等につきましては、従来から相当注意をいたしておりますけれども、さらに今後におきまして情報の伝達とそれの収集の方法をさらに正確を期する必要があるということで、情報を送るほうは気象庁でございます。申すまでもなく、気象庁運輸省に属しているわけでございまして、将来におきまして気象庁と、そしてまた今回の場合は旅行あっせん業者が相当多数の車をあっせんしているわけでございまして、その責任者も参っておるわけでございますが、そしてまたバス会社というふうに、出発前における情報の収集いうことと、出発後における情報の収集につきまして種々の方法をいま、さらに正確を期するために検討をしておる次第でございます。
  63. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 気象等の情報の収集について指示しておるという話ですが、それはあとでひとつ文書で出してもらいたいのですが、大体、いっそういう指示をしておみえになるのか、それは。それも出発までの話なのか、出発後も含めて指示されてあるのかどうか。
  64. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 道路運送法に基づきます省令がございますが、その省令の中の第二十条に「旅客自動車運送事業者は、天災その他の理由により輸送の安全の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、事業用自動車の乗務員に対する必要な指示その他輸送の安全のための措置を講じなければならない」ということが省令に規定されております。
  65. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いやいや、そういう省令があるのだったら、そこであなた指示しておると言ったんでしょう。だからその指示はいつしておるのか。業者に対して、それの気象情報は出発前まで集めておいて、出発したらあとはいいというのかどうか、そこを明確にしてもらいたい。
  66. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 省令でもって規定をいたしておる次第でございまして、それは事業者が順守すべき事項でございます。したがいまして、事業者が情報を把握いたしまして、乗務員等に適切な指示をしなければならないというわけでございます。
  67. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 答弁になっておらぬよ。局長、ぼくの言うことがわからぬのか。そんなことを、何べんも同じことを言わせなさんなよ。一体、気象情報をあなたは指示してあるとこう言った。気象情報をキャッチしなくちゃならぬ、それは、出発前の責任までのことなのか、出発したあとはいいのかどうか、ということを明確にお答え願いたいのです。
  68. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) いま申し上げましたように、運行といいますのは、運行前の準備から途中の運行、全部入るわけでございまして、十分的確なる異常気象及び気象の変化を把握いたしまして、適正な運行をせよということでございます。したがいまして、出発前において注意すると同時に、出発後におきましても、気象状況等につきましては十分の注意をしなければならぬ、ということでございます。
  69. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、出発後、このバスの車掌さんたちは気象情報の収集をしたということが入っておりますか。
  70. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) この自動車が岡崎を出発いたしましたのが大体夕方の六時三十分ごろでございます。その前に、十七日の十九時と十一時、注意報がございまして、十一時十分にありましたのは大雨洪水雷雨注意報でございます。これが十七時十五分に解除になっております。解除になりまして、十八時三十分に岡崎を出発している。その当時は晴れでございます。二十二時過ぎに犬山を十五両が一団となりまして一号車から十六号車——四号車抜けておりますが、十六号車までが一団となって出発をいたしたわけでございますが、二十時に雷雨注意報が出ておりまして、それから二十二時三十分に大雨警報洪水注意報が発令されておるようでございます。で、いままでの調査では、犬山を出発後にこの警報が出ておりまして、この警報はキャッチしてないようでございます。で、いまいろいろ警報が出た、そしてキャッチの状況、それから道路管理者の規制の関係、それから消防団等の制止の関係につきましては、建設省のほうにおきまして詳細に調査が行なわれておるように承っております。
  71. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 二十時または二十三時に気象情報が実は発表されております。もしこれをキャッチしておらぬということになると、それは責任があるわけですね。
  72. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 自動車、バスにおきましては、通常ラジオ等を携帯しておるわけでございまして、ただこういうふうな場合に、常時気象情報というものを把握する方法というものをどうどうしたらいいかという問題があるかと思います。で、今回の場合におきましては消灯をいたしておりまして、気象警報が出たということは知らなかった。で、途中には、白川のモーテルまでの間は山くずれ等はなくて四十一号線は無事に通れたわけでございます。それで、その後の気象状況等は、これは相当強い雨でございまして、これから旅行を継続するかどうかという点につきましては、道の状況気象状況等を調べてみるわけでございまして、旅行を継続することは不可能であるという判断になったようでございます。それで、その後におきまして、それでは現地で七、八百名の人がそのままとどまるか、あるいはまあ通常の場合でございましたら約二時間程度で帰れるわけでございますので、帰るかというふうな相談になりまして引き返したというふうな状況でございます。したがいまして気象情報につきましては、二十二時三十分の気象情報バスではキャッチしていなかったという次第でございます。
  73. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたは先ほどは調べなければわからぬと、警察でやっておるからと。いまは二十二時三十分のやつは知らなかったと言う。それではじゃ二十時のやつは知っておったのですか。
  74. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) われわれといたしましても、さらに関係者等に聴取するわけでございますが、こういう場合における気象情報をだれがうんと知っておるということにつきましては、やはり警察機関の調査を待ちまして確定をしなければならぬ要素があると思います。で、ただいま申し上げました二十二時三十分の関係につきましては、あとで一部の名古屋陸運局その他の調査によりまして、これは知っていなかったということははっきり聞いておりますので、申し上げた次第でございます。で、二十時のほうは雷雨注意報というものでございまして、これにつきましては知っていたかどうかということは、目下のところは私は知っておりません。調べたいと思います。
  75. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、あなたのほうの省令に基づくところの指示に従わずに、情報の収集を怠ったと言っては、たいへんことばがきつ過ぎるかもしれませんけれども、とにかくやらなかったということだけは事実ですね。
  76. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) ただいまのところの調査では、二十二時三十分の警報をキャッチしていなかったことは、事実のようでございますけれども、これらは関係者の取り調べその他によってはっきりすると思います。ただこういうふうな場合におきまして、バスの輸送におきまして、通常の運行の場合にどの程度気象情報というものをキャッチすべきか、あるいはキャッチする方法を考えるべきかにつきましては、いろいろ今後改善策はあるかと思うわけでございまして、今回の場合におきまして、通常バス会社がキャッチするような情報収集をしなかったかどうかという問題は、責任があるかないかという一つの判断の資料になるかと思いますので、とにかくわれわれといたしましても、この種の大事故は初めてでございますので、これらの点につきましては、法制当局とも十分打ち合わせをいたしまして、今後検討してまいりたいと思っております。
  77. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 少なくとも省令に基づいている指示があり、そしてその指示に忠実でなかったということだけは、明らかになったと思います。少なくとも二十三時はあなた、すごい豪雨で、たいへんな所で危険だということは、だれよりも運転者の人が一番よく知っている、業者の人が一番よく知っている。しかもそういう中ですから、気象が刻々変化してくる、ということは、常識上当然なことです。ですから、何人かの命を預る人たちでございますから、そういう指示があるなら少なくとも情報収集に積極的でなければならなかったはずです。ところが、そういうものが行なわれておらなかった。もしあすこで情報が入っておったとするならば、この事故は防げたでしょう。
  78. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) そのことは非常にむずかしい問題でございまして、結果論といたしましては、引き返すことによりまして事故にあったわけでございます。引き返す途中におきまして事故現場の前に土砂くずれがあり、トラックが停車いたしておりましたから、それより前に進むことができないので、事故現場において待機しようということで事故にあったわけでございます。しかしながら、モーテル付近で打ち合わせをいたしましたときに、結果論といたしましてそこにとどまっておればあるいは事故はなかった、事故はなかったということになるわけでございますが、引き返したから事故にあったという事実はありますけれども、この場合の措置としてそこにとどまったほうが適切であったかというふうな問題につきましては、これはいろいろ今後検討の要素として残るのではないかと考えております。
  79. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その戻ったからよかったとか、前へ進んだからいけなかったという問題ではない。一番危険な個所へ入ったんです。一番危険な個所へ入ったところで、前へ進んで行っても、うしろへ戻っても、これは同じです。動いたということ、しかも危険な所へ行ったということです。その危険な場所だということはだれが一番よく知っているかというと、自動車の人が一番よく知っている、これは常識になっている。それをしかもさっき申し上げましたように、いつも土砂くずれがあり、落石があり事故がある所です。ほんとうに知っておったならば、私は帰らなかったというのが常識だと思う。知らなかったから帰っちゃった、あなたはそういうふうにお考えになりませんか。これは適切な処置だということが言えないじゃないか。戻ったから適切だということは言えないでしょう。
  80. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 事故にあいました車は岡崎観光自動車でございます。そして、一団となってまいりましたものも、おおむね名古屋近くの自動車でございまして、運転手諸君はこの道は初めての人たちでなくして、何回も通過した人たちであると思います。それで、飛騨モーテル付近で雨が非常に強くなった場合に、前に進んでいくのがいいかあるいはそこにとどまる、あるいは引き返えすと、三つあるかと思います。それで、主催者側でありますところの奥様ジャーナルの社長、これは一号車に乗っていたようでございますが、それと名鉄観光の責任者、それから各自動車の主任の運転手、予備運転手と二人乗っておりますけれども、主任のほうの運転手と集まりまして、当時の情勢といたしまして、引き返したほうが適切であろうというふうな結論に達しておるようでございます。したがいまして、その達したことは、はたして適切であったかどうかということは、これから判断をしなきゃならぬ問題であるかと思います。
  81. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなた、いま初めての運転手だと言ったね。運転手が通るのが初めてだとおっしゃいましたね、ほんとうですか、それ。
  82. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) ちょっと発音が明確でなかったかと思いますが、名古屋付近の会社運転手諸君でございますから、たいがいの人が何回かあの道を通って乗鞍登山等もやっておった人でございまして、道を知らないという人はほとんどないと、道は知っておる人たちであるというふうに申し上げた次第でございます。
  83. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 自治大臣がお見えになりましたので、お忙しいようでありますから、私からただいまの問題について関連をして一、二お尋ねを申し上げますが、今回の飛騨川自動車遭難事故は、史上まれに見る重大な遭難事故でありまして、その御遺族に対してお悔やみを申し上げ、つ遺体の早期発見等を、先刻来政府当局から関連して種々御報告を受け、それに対して質疑を行なっておったわけであります。  いま問題になっておりますのは、遺族に対してどのような措置をとるべきかということを中心に、成瀬幡治委員から自動車局長並びに政府当局に対して御質問がなされておるわけでありますが、肝心なきょうは中曽根運輸大臣が記者会見後郷里へお帰りになっておる。いまその真相をただしておるような状態でありますし、総理府に設けられました連絡会議の座長は現地へおいでになった。こういう情勢の中でございまして、新聞紙の伝えるところによりますと、自賠法の適用警察結論待ちと、こういうふうに伝えておる点を、私は重視したいと思うのであります。したがって所管大臣といたされまして、この遭難事故に対する自賠法を適用していく上において、警察結論が非常に大きな問題になることを御認識になりまして、御所見をこの際承りたいと思うのであります。  具体的に申し上げますと、八月十九日の政府飛騨川バス事故対策連絡会議の第一回の会合においては、まず当面遭難者全員の遺体引き上げに全力をあげる方針を確認するとともに、事故原因の徹底的究明や遺族に対する補償などについては、警察当局の結論を待って協議していくことになった、こういうふうになり、十九日現場検証を前に、篠田岐阜県刑事部長並びに関係者は、観光バス飛騨川転落事故は刑事部が担当する、さっそく岡崎観光運転手関係者から実情を聞き、業務上過失責任があるかどうかを調べる。こういうふうに述べておりますし、官房長官は同日の記者会見において、補償の問題については会議結論を出すことは困難である、警察当局の結論を待って検討することになった、こういうふうに言っておるのであります。これは自賠責を含んでの見舞金その他政府の補償も含めた広範な問題だと私は思うのでありますが、当面、一番問題になるのは人災であるか天災であるかということに関連をいたしまして、何か警報連絡上のミスやあるいは手落ちがあることは、午前中の各省庁報告によって、私どもあったと思うのです。これをきわめて狭義の事務的解釈をとっていくならば、自賠法は適用にならないという解釈をとる意見が一部にあるそうでありますが、もっと広い視野に立って、金で生命を買うわけではありませんが、当然自賠法という法律を活用して遺族補償の一端にすべきではないか、政府が見舞金等を出すことは切り離して、まずこの措置をとるべきではないかと私は考えるのでありまして、そういう点で警察当局の結論待ちということには、非常に大きな問題を含んでおると思いますが、当該大臣としての御所見をこの際明かにしていただき、でき得る限り法を活用して自賠法の適用等について、内閣として善処されるように、十分遺族等に納得のいく御答弁がこの機会にいただけないかどうか、これを申し上げる次第であります。御所見を承りたいと存じます。
  84. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 冒頭に言われましたとおり、まことに悲惨な事故でございまして、遺族にどうお悔やみのことばを申し上げてよいのかわからぬ気持ちがいたします。私は警察並びに全国の消防を所管いたしておりまして、この事故に対しましては非常に責任を感じております。責任と申しますのは、いま委員長が御指摘のとおりに、一体これが普通の天災なのか、まあ人災と申しますか、何らかの過失がその間にあって、それぞれ責任を負うべきものがあるのかどうかということは、事故原因などをよく調査いたしませんと、結果は出てこぬわけでございまして、それによって自賠法というか、自賠責の制度というものが適用されるかどうか、最終は運輸省の所管でございますから、運輸省が判断いたしますにつきましても、やはり原因等はよく調査をしなければならぬ、これは警察の所管になるわけでございます。いま責任を感じたと申します意味は、極力調査をいたしております、はたして運転者あるいは会社側、こういったものに刑事責任があるのかどうか、また広く考えればいろいろの議論もありましたでしょうけれども、やはり道路管理者あるいは山林の所有者、いろいろこの間にあるわけでございますけれども、これに対してもいろいろ御究明はあったことと思います。  刑事責任の点につきましては、消防も関連いたしまするけれども、新聞などでも伝えられておりますとおり、警報が出ました直後、やはり消防団員、警察官はそれぞれ任務につきまして、そうして警告したりした事実が確かにあります。ありますがどの自動車のだれに何を言ったかということ等は、いま詳細に調査中でございますけれども、大体受ける感じはまだ途中ですけれども、どうもあの事故を起こしたあとになっておるのじゃないかという気持ちで私は見ておりまするけれども、しかしなお詳細調査をいたしませんと、この点はわかりかねます。しかしあの事故に対して消防団員は消防団員なりに、また警察官警察官なりに、また署長は事故を予見いたしまして、やはり道路迂回等の措置をとったようでありますけれども、これもまた通過した直後であったのではないか、時間的な問題などは非常に重大な関係がありましたので、こういったこと全般にわたって綿密に調査いたしております。しかし刑事責任があるないは別といたしまして、これだけの事故を起こしたわけですから、あるいは民事的な意味におきましてもいろいろ問題が起こってくるかもしれませんけれども、私どもはまず責任の所在、少なくとも刑事責任を負わなければならぬだけの過失がその間にあったかどうかということにつきまして、目下鋭意調査を進めておりますが、その結論はいますぐにはちょっと出かねるような状態でございまして、まあ何をぐずぐずしておるかとおっしゃるかもしれませんけれども、大体来週一ぱいはかかるんじゃないかというふうな感じがしておる次第でございます。
  85. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) もう一つだけ申し上げますが、自賠法に基づく法適用の前提となる過失の有無について、警察当局の調査結論がきめ手になる、慎重に検討して対処するという大臣のお話でありますので、非常にけっこうでありますが、私は先ほど申し上げましたように、ただ単なる行政的判断だけでこの問題を処理することなく、「自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと」というこの規定をなるべく広義に解釈して、そうして政府としては対処さるべきではないか、このことを申し上げて、特に善処を願っておきたいと思います。  道路局長は法に忠実であるかどうか、きわめて問題を事務的にのみ御答弁になっておりますが、事故責任が自動車運行上にある、あるいは道路管理面にある、こういう点で警察結論が出ておらぬからと言って、きょうの御答弁もきわめて押し問答のような答弁に終始しておるわけであります。したがって、私どもは中曽根運輸大臣が当然この会議に御出席になって、ただいま述べたような両大臣がおそろいになって、この問題を広義の立場から政治的な面もよく御勘案になって善処されることが最も好ましいと、かように考えて御出席をわずらわしたわけでありますので、いま中曽根さんの帰郷等の行動等については調べてもらっておりますが、十分本委員会といたしましても、きょうは終日会議を開きまして、この問題については真摯に取り組む所存でありますので、十分意のあるところをおくみとり願いまして対処願いたい、このことを強く要望申し上げてお尋ねをいたします。
  86. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 自賠法の問題が進展をしておりますが、私は、自動車局長に念を押すというわけではございませんけれども、私が先ほど申し上げました、指示がしてあるとおっしゃったその文書の写しを、次の委員会に御提出が願えましょうか。
  87. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 承知いたしました。
  88. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたは、そうすると、情報の収集というのは、非常にああいう情勢の中で困難であったとか、いろんな点は私たちも認めます。認めますが、逆にまた情報の収集をするという注意と申しましょうか、義務と申しましょうか、そういうものも怠っておったと、ああやったらよかったのにやらなかったから惜しいことをしたなということもお認めになりますか、どうですか。
  89. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 情報の収集は念には念を入れてやるべきであるということは、先生の御意見のとおりでございます。ただ、今回の場合におきまして、二十二時三十分の警報を収集し得なかったという点につきまして、非常に因難であったと判断するかどうかという点が、一つのあれもあるかと思います。しかし、この問題と、それから現実に事故が起きましたのは、その後の引き返しでございまして、その当時におきましては非常な豪雨でございますから、情報のキャッチとは別に、その場合の措置としてどうあるべきかということは、また考えるべき問題であると思います。そこで、それらの時間的な前後の関係等につきましては、警察側におかれまして詳細な調査をされておるところでございますので、その事実の確定等を待ちまして、われわれとしても注意を怠っておったかどうかというふうな点につきまして、判断をしていきたいと思っております。
  90. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 建設大臣がだいぶお待ちになっておられますから、建設大臣に対する御質疑をまずありましたらお願いしたいと思います。
  91. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一言だけ建設大臣に提案がしたいのですが、実はこういう気象情報が出ると、非常に危険な個所というのは、私は国道にたくさんあると思うのです。ですから、そういう場合に、今後の場合ですが、今後の場合に、どういう基準か、その基準も私の頭にはございませんが、ある特定な気象情報が出た場合は、バス運行者等には、建設省はこの個所とこの個所はもう自動的に通行禁止になりますというふうにしないと、この白川町の消防団の人たちがとめたとか、とめないとか、いろんな問題がございます、ございますが、結局制止でやっても警告になってしまって、何を言うばかやろう、おれたちは帰るのだというような失礼なことをいって突っ走っていくというようなこともあるわけです。まして乗っておる乗客の人たちも、あぶないからといってバス運転手がとめようと思っても、何を言うか行け行けと、こういう場合もあるわけですね。運転手さんは行かなければならぬことになってしまう。そこで、こういうことを二度と繰り返してはならぬと思いますから、建設省のほうで、危険な場所というものはあるのですから、そういうところには、こういう情報が出たらこれは通行を禁止するのだというようなことはお考えになっておらぬかどうか。一つの私は意見として申し上げておきたいのですが、どんなものでございましょうか。
  92. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) まことに残念なできごとでございまして、何とか未然に防ぐ方法はなかったものだろうかということを、残念に思うわけでございます。ただいま調べが進んでおるようでございますが、あやまちがあったかどうか、そういうことは究明されてまいると思うわけです。あの事故に対しましては、道路当局者として私どものほうも非常な関心を払わざるを得ないわけです。第一は、とにかく日本のこの地勢的な状況から、気象庁でもずいぶん苦労されていると思うのですけれども、近来のあの集中豪雨といいますか、異常豪雨が的確に、ずいぶん前に時間をおいて事前に把握されることが、われわれしろうとからすれば、少し手ぬるいような感じがいたすわけでございます。運輸大臣も非常に心配をして、その点を成瀬さんと全く同じような心配を私どももいたしました。やっぱり第一は、この気象状況を的確に、早く、できるだけこまかくつかまえるということには、やっぱり気象観測の強化ということ、そうして的確に観測が行なわれたものをできるだけ早く必要な機関、住民に伝達をする方途を考える、ただいまお話しの道路等につきましては、特にそうでございまして、相当この地勢の中で、交通が、需要が大きいものですから、無理して道路をつくっておるわけです。そういうところをできるだけ、もう道路管理者だけでというわけにはいかぬでしょうけれども、警察当局とも連絡をとりまして、とにかく通らないことが一番の防災でございますから、そうかといって、道路はできるだけ使ってもらわなければならぬし、そこはあなたと同じような考えで、道路局長もただいま具体的に検討をいたしまして、そうして再びこういう事故が起こらぬように、できるだけの万全の手配を尽くしていくように相談をいたしておるわけでございます。私どももあなたと同じような考えを持っておるわけでございます。
  93. 前川旦

    ○前川旦君 関連してお伺いいたしますが、よく国道を通りましたら、あぶない所へ落石注意というような標識が出ております。ああいう標識は、これは、管轄は建設省ではないかと思いますけれども、いずれにせよ、あぶない、この道は落石の危険があるとか、土砂くずれの危険があるとか、そういう危険性というものについての把握というものを、国道について、建設省でなさっていらっしゃると思いますが、どうでしょうか。
  94. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまのお話しの「落石注意」という標識については、これは建設省でいたしております。で、今後、こういう危険な所について技術的な検討が行なわれているか行なわれていないかという問題でございますが、実は、今度の事故、及びいままで再三集中豪雨によります土砂崩壊というものがございました。それには、やはり道路の付属物の中でそういう集中豪雨によりまして被害を受けそうなもの、こういうものを事前によく点検し、さらに悪い所は補強するということが第一かと思います。ただ、今度の場合のように、道路敷地以外の非常に広範なところの土砂崩壊が伝わって道路に出てくるという場合もございますので、やはり、これからの道路交通の安全を考えますと、道路の敷地だけの、道路の沿道だけじゃなくて、やはり、かなり広範な範囲での情報、危険があるかないか、こういうようなものの調査強化してまいりたい。  それと、こういうような事故を防ぐためには、やはり、先ほどから言っております情報、これは大雨の情報及び土砂の崩落、そういう危険個所の情報、こういうものの伝達、連絡、こういう機構について、今後、強化をはかっていきたいというふうに考えております。
  95. 前川旦

    ○前川旦君 いや、私のお尋ねいたしましたのは、国道でどの個所が危険だとか、落石のおそれがあるとか、土砂崩壊のおそれがあるとか、そういうような現実、実態の把握というものは建設省のほうでなさっていらっしゃるのですね、ということをお尋ねしたのです。
  96. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) これは道路管理の中で一番問題になることで、現在管理者として十分そういう点は実態を調査して、把握しておるつもりでございます。
  97. 前川旦

    ○前川旦君 たとえば何ミリぐらい雨が降れば土砂くずれの危険性があるとか、どの程度まではだいじょうぶだとか、その程度までの科学的な根拠を持った危険度というものを把握していらっしゃいますか、どうですか。
  98. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) これは非常にむずかしい問題だと思います。ただいま、何ミリまで雨が降れば崩壊になるかということでございますが、あの場合に崩壊が一部ございましたが、これは大体時間雨量が三十数ミリというような時間雨量崩壊しております。しかしそれ以後、そのくらいの雨が降っても崩壊しないというところもございますので、これは一がいに何ミリならば危険ということは言えないかと思いますが、ただ今度の降雨量のように一時間九十ミリとなると、これは非常に弱いところが崩壊が出ると思います。しかし、それでも今度の災害土砂崩落の原因を見ますと、どうも道路の付属物の中に、たとえば擁壁、のり面を保護したところ、そういうところについてはそのわりに大きなものが出ていない。やはりそれは上流のほうで非常に山腹の崩壊があったということもございますので、なかなかこれは何ミリ以上ということはむずかしいかと思いますが、全体にはこのくらいの——ここは大雨のときには危険が予想される、ということは十分把握しておるつもりでございます。
  99. 前川旦

    ○前川旦君 私はなぜそういうことを聞いたかといいますと、先ほど成瀬委員のほうから、ある程度の危険があれば、自動的にその道を閉鎖をするというようなことにしないと、それが出先の現地の消防なり警察の判断なり、あるいは出先の個人の判断でするということになれば、危険性が強いのにもかかわらず、その人の独自の判断で通す場合もありましょうし、あるいは危険がほとんどないのに非常に過大にとってとめると、この場合はそのために損害を与えるということも起きましょう。ですからある程度まで危険が高まれば、自動的に閉鎖するのだ、こういうような方法がとれないものかどうかということを、成瀬委員が言われたかと思いますので、そのためにはやはり危険の度合いというものが把握されなければいけない。そういう方向で、この国道はたとえば雨量が何ミリになれば土砂くずれの可能性が出てくる、あなたおっしゃったように何ミリなら出てくるということじゃなくて、危険性が出てくる可能性がある、こういうような把握のしかたを今後なさっていくおつもりがあるかどうか、ということをお尋ねしたいというのが、私の質問の趣意でございます。
  100. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 私もその主義で、そういうお話どおりいきたいと思います。ただ、非常に場所々々によりまして地すべりが起こるようなところと、かなり今度のような岩盤が非常にかたいような場合のところ、やわらかいような場合のところ、あるいはその中でやはり破砕帯みたいなところがありまして、雨が降れば非常に流出しやすいような地質もございますので、やはり、そういうところは現地々々で道路管理者、警察、その他県の土木部も入れて、どのくらいの降雨量がございましたら、一応予防的に交通どめにするか、これはそのつどその現地々々できめていきたいというふうに考えております。
  101. 前川旦

    ○前川旦君 たとえば山を削って道をつけるときに、石垣はどのくらいの厚さがあったらいいだろうか、山の斜面にコンクリートを吹きつけるのだったら、どのくらいの厚さで吹きつければいいだろうとか、最近いろいろ変わったもしゃもしゃとした草を植えたりしますね、こういうものがどのくらいの根張りのものであったらいいか、こういうことにやはり科学的に、一応土木工学というのですか、何というのですか、そういうことを計算なさって、やはりそういう施工をなさっていらっしゃるのじゃないかと思うのです。となると、やはり道路をつけるときの最初の調査のときから、事前に危険性の度合いが、どの程度のものかということがわかりそうなものだというふうに私どもは考えますが、どうでしょう。あまりむずかしいそんなに困難性があるというようなことではないように思いますが、どうでしょうか。
  102. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまおっしゃるように、道路の設計をするときには、この辺は地質がどういう地質だ、非常に雨が降れば流れやすい地質だ、非常にここはかたい岩盤だから崩落はない、こういうことによりまして、道路を設計する際には、土を切った場合の勾配を変えていく、また切ったあとの保護の工事も変えていくということはやっております。でございますから、やはりここについては、非常にまあ土も安定している、危険はない、しかしここは非常にこういう設計をしているけれども、これ以上の雨が降ればあぶないぞということはあると思います。ただやはり道路の構造物が安全になるためには、いかにその構造物の周辺で排水をよくするか、これがまず第一だと思います。かなり擁壁をつくりましても、排水さえしておけば相当大きな雨でも耐えられると思います。ただこれが擁壁の裏に水が回りまして、それが排水できないようだと、これはまあ簡単な雨量でも擁壁が崩壊するということもございますので、やはり道路の設計の際は、道路の路体そのものももちろんでございますが、その周辺の排水には、これは万全を尽くしているつもりでございます。
  103. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) なるべく建設大臣の質問を。
  104. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃもう一つだけ。ぐるぐるの御答弁で回転をするようで、ちっとも核心に触れぬような思いがしますが、「落石注意」という標識がありますが、あれは一体われわれにどうしろということなんですか。落石があぶないから通るなということですか。注意して通っても石が上から落ちてくる場合がありますが、どうしろというのか。あれを出されるには何らかの対策が裏づけになっていなければだめだと思うのですね。たとえば、最初に私が指摘いたしましたように、幾ら雨が降ったときにはあぶないからもうとめるんだと、そういうようなある程度の裏づけがないと、ただ落石注意、上から落ちてくるかわからないからこの道はあぶないぞ、たいへんこれは無責任じゃないかと思います。通ってはいけませんということならわかりますけれども、注意して通りなさいでは、注意して通っても落ちてくるものは落ちてきますから。その辺の裏づけを私どもは言っているので、方向としてやはり成瀬さんの言われたようなその辺を科学的に判断をして、自動的に閉鎖するという方向で今後いってほしいという気持ちで一ぱいなわけなんですがね。ですからその方向へ進むのであれば進むというような、その方向へ向かって前進したいというふうにお答えいただけば、私はそれでいいんです。
  105. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 具体的な技術的なことでございますけれども、とにかく「落石注意」というような注意をしなければあぶないというようなところですね。これはやっぱりこの砂防関係砂防事業等のできるだけ対象として、あるいは急傾斜地帯の事業対象としてですね、なるべく早くそういうところはなくして、落石注意なんという看板を出したら出したでただ出しっぱなしで手をこまねいているということは、どうもよくないように思いますから、ひとつこれは砂防当局をも督励しまして、道路担当者のほうから言えば、ずいぶん親切なやり方だろうと思うのですが、それならばやっぱり砂防のほうでそういうことのないようにやらなきゃいかぬじゃないか、ひとつ真剣に研究させてみます。
  106. 中村波男

    中村波男君 それでですね建設大臣、この間新聞を拝見いたしますと、十九日の閣議でいろいろ今回の災害が協議されまして、保利建設大臣が発言をされておる。その要旨は山間の道路パトロールを一そう強化する必要がある、今後危険性のある道路については、人命尊重の立場から多少の非難はあっても早目に交通どめをする必要がある、こういうことをおっしゃったと新聞は書いておるわけです。そこでいま前川委員が質問いたしましたのも、そういう措置が必要ではないかという立場で質問をいたしたのでありますが、それに対してお答えがなかったようでありますけれども、この新聞の記事のように保利建設大臣は考えておいでになるのか、研究をいたしていらっしゃるのかどうか、まずその点からお尋ねしてまいりたいと思うわけであります。
  107. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) さあ、そういうふうに申し上げたかどうか、ちょっとはっきり記憶はございませんけれども、当日の閣議で、第一は気象観測の強化をはかるべきである。観測をしてそれが各関係機関に十分にできるだけすみやかに伝達される方途を講ずべきである。たとえばガソリン・スタンドであるとかドライブインであるとか、そういうところに刻々と気象情報が伝達される。そしてまた道路関係としましては、先ほど前川君にも申し上げましたように、警察等とも連絡をいたしまして、さらばあとじゃ、何のことだといっておしかりを受けるかもしれませんけれども、危険だということであれば、やはり人命尊重という上から、通行どめ等の措置をとることが、それもしかし適切でなければならないので、これはできるだけ道路利用はただむだに利用されておるわけじゃないのですから、そういう点を考えてやっていかなければいかんのじゃないか。さしむき建設省道路当局としてとらなければならない態度については、道路局長が各機関にそういう措置をとるように、まあたとえば危険個所の総点検を再点検等をする等の措置をするように取り計らう、大体の趣旨はそういうことです。
  108. 中村波男

    中村波男君 そこで今回の災害について、政府の統一見解というものは出ておりませんけれども、大方の考え方として、これはまあ天災である、不可抗力的な災害である、こういうことが強く出ておるように感ずるのであります。そこでたしか十九日の新聞によって私は承知をしたんでありますが、岐阜国道工事事務所の野村工務課長の談話として、「思ってもみなかった事故だ。道路管理者としては不可抗力といいたい」こう言っておる。私はこの不可抗力ということについて、はたして不可抗力であったかどうか。このことをまずきょう深く究明をしたいと思っていたところであるが、関連でありますから、また許されればあとからいろいろお聞きしたいと思いますが、私の承知しておる範囲で、いつだったか「落石注意」という表札が立っておったところを通って、落石によって死んだ人に、国家賠償の責任があるというので、判決が下ったということを承知しておるわけです。そういう事実ありますか。
  109. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) これは高知の須崎の先でございますが、やはり海岸に道路が通りまして、一方は山でございまして、そこからまあこれは雨が、相当大きな雨ではございませんで、ただ石が落ちてきて死亡者が出たという事件がございます。これは道路のやはり擁壁がございますが、それからずっと民地に入ったところから落ちてきて、事故が起きたわけでございますが、これにつきましては現在最高裁まで争われておりますが、まあ高裁までの判決では道路管理者に責任——無責任の過失というようなことで、道路の、国の営造物の瑕疵があるということで、国家賠償を判決しております。
  110. 中村波男

    中村波男君 次はですね、いまの道路工法の基準の中でですね、大体私たち承知しておりますのは、五十ミリを限度にして工法が行なわれておる、こういうふうに承知しておりますがそうですか。
  111. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 道路基準の中に特に五十ミリというはっきりした数字はうたってございませんが、私たちも道路の設計をいたします場合に、やはり沢を暗渠でつくるというような場合に、時間雨量を想定いたしまして、それによって暗渠の大きさをきめておるわけでございます。その時間雨量が大体これは五十ミリくらいをとるようなのが、いままでの例になっておった次第でございます。
  112. 中村波男

    中村波男君 大臣、道路管理上、また保全上、道路の工法上、全く今度の事件というのは、建設省として不可抗力な事件であったかどうか、この点についてひとつ明快にお答え願いたいと思うわけでございます。
  113. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 明快なお答えを——これはちょっと私できるわけがないと思うのです。実際、時間雨量百ミリからきた場合に、飛騨のみならず九州でも四国でも、河川であるとか、道路であるとか、時間雨量が想像をこえるような量できたときに、どこまで耐え得るか。私どものいま治水上で考えているのは、何とかいまの災害を半分程度にでも引き下げていく方法はないものか、治水計画のねらいというものは、そこに置いているわけでございますけれども、四百ミリ、五百ミリといっても、長い時間で降る場合と、一時間に百ミリこえるような雨量ですと、威力が違ってきますし、ここのところで今度の場合でも、おそらく何人も百ミリをこえるような集中豪雨を受ける、あの地点で、特にこの地点でくるかもしれぬぞということは、それはこないとだれも言い切れませんけれども、またくるということでやってたら、第一、少しオーバーになるかもしれないけれども、道路なんかできるだろうかと感ずるわけです。およそここで大体の常識的なところで……。しかしあらゆる耐え得る方途を講じてやっておるわけで、ただ上のほうからどっと落ちてきて、それは相当あとから、事後に言われると、相当沢というか、ひだというかそういうところで起こるかもしれぬというような危険度を、いまにして言えばわかったかもしれないけれども、あの事故直前までは何人も想像しなかったところであろうかと思いますし、どうもその辺を不可抗力、そうだからといって不可抗力かと言えば、それは人間の力ですから、ある個所、ある局部にそれに耐え得るだけのことをできないかと言えばできないはずはないのですから、それを言われれば不可抗力と言えないこともないと思いますし、そこのところをはっきり明快に断言しろとおっしゃられても、ちょっと無理な気がいたします。
  114. 中村波男

    中村波男君 だとすれば明快に不可抗力だということをはっきりおっしゃることは、被害を受けた罹災者あるいは地域の住民の感情としては、政治的にあるいは行政的にまだやり方があるはずだ、という大きな不安と不信を私は持っていると思うのです。そこで、私も重箱の底を突っつくような議論をいたしたいと思いませんが、とにかく今日の道路行政は交通産業の強い要請にこたえて、まず道路をつくらなければならぬ、ここに大きな目的があると思うのです。この目的も大切な道路行政上のポイントでありますが、日本の地形に合った、こういう国土の七割、八割が山岳地帯を占めている、特に国道四十一号線については、新聞等はややもすると観光道路という、こういう名称を冠しておりますけれども、裏日本と表日本をつなぐ産業交通上の重要な道路でありまして、この道路ができたことによって、地域開発その他に重要な裨益しておることは、争えない事実であります。しかしながら、今度のような事故が今後続発してよろしいということには、これは政治責任としても私はあり得ないと思うわけです。岐阜県の土木部の調査によりますと、岐阜県の国道危険個所が四百四十一カ所あるということであります。この四百四十一カ所の完全防災施設を行なおうとするならば、おそらく十八億から二十億の金が要るであろう、こういうことが言われておるわけであります。こういう要求に対応する国の予算が、はたしてどこまでが可能であるかという問題が、建設大臣として真剣にひとつ御考究いただかなければならない問題だと思いますが、それは真剣にひとつ取り組んでいただきたいのでございますが、その前に、やはり私は危険な場合には、多少の問題はありまするけれども、通行どめをするという措置が早急に考えられなければならぬと思うわけです。これは道路法のいまの条文からいいまして、行政措置だけでは不十分だと思います。したがって、道路法もおのずからそれに対応する改正を行なう必要がありましょうし、また危険個所というのを一応は承知をしておる、調査をしております。また従来の災害対策特別委員会等の議事録を読んでみましても、当時の建設大臣が、それぞれ早急に調査をいたします、台帳をつくりますという答弁をしておりますけれども、それは全く一片の答弁に終わってきておるのではないかと思うわけであります。しからば、あの個所災害指定になっておったかといいますと、災害指定個所にはなっておらなかった、もちろん百ミリ以上という雨を予測しない事故であるというふうに逃げられればそれっきりでありますが。したがってまず私は金が要るでありましょうけれども、災害個所を徹底的に調査をして、台帳をつくって、その実態の上に、今後こういう事故を起こさないための方策はどうあるべきかということを具体的に検討願いませんと、再びまた事故が起きたときに責任のなすり合い、また一片の答弁で逃げてという行政を続ければ、私は地球より重い人命を救うということができないのではないか、こういう立場でお尋ねをいたすわけであります。
  115. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) そのとおりでございまして、逃げことばでその場を逃げて申しておるわけじゃございませんので、道路局長から各地局長、北海道開発局長あてすぐ再点検をしてくれと言っておりますのは、そういうあなたの言われるようなことを実際やらないというと、いつでも災害が来て、その場のがれを言ったんじゃらちあきゃせせぬということで、道路局を督励いたしておるわけでございます。したがってそういうことでやってまいりたい。ただ、岐阜県だけのことであれば、これは問題ございませんけれども、全国でございますから、相当無理して、特に東名高速の松田−御殿場あたりの工事を見ますと、どうかなという感じがするくらい危険なところに無理をしているように思いますけれども、あれはまた専門技術的に、少しの不安もないというので進められておるようですから。しかし今回にも再点検をいたしまして、そうして危険個所が出てまいりましょう、もちろんある程度わかっておると思いますけれども、そういう点につきましては、災害防止対策として、できるだけ手厚い予算措置も講じてまいりたいと考えております。
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 建設大臣に、時間がないようですから簡単にお聞きしたいと思いますが、今回たまたまがけくずれの下にバスがいたために、非常にこのような大きな問題になったわけでございますが、おそらくそういうがけくずれはいままでにも非常に、これはあとでよく関係の方にお聞きしたいと思うんでありますが、おそらくたくさんのがけくずれがいままでにもあった。そのために個人的に死亡した方もあるし、またそういう人的災害のない場合もあったと思うんでありますが、そういう点、今回の事故から国の方針といたしまして、あまりにも道路の舗装に重点が置かれて、がけくずれ等の対策が非常になおざりにされたんではないか、そういう点が新聞等でもいわれているわけでございますが、そういう点、建設大臣のお考えをよくお聞きしたいと思います。
  117. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私は道路問題に関しまして、基本的にこう考えております。国会の御協力をいただきまして、国道の整備等に全力をあげてまいっております。いまやもうどの線もバイパスの必要を感ずるようにもなっておりますけれども、しかしながら、一応国道の一次改築というものは全体として見ますと非常に進んでいるということが目についてまいります。また住民の利便からいいまして、県道、地方道のおくれというものがそれだけに目立ってまいっております。また過疎対策、地域開発等の上からいたしまして、基盤としてはたいへん道路整備というものが先行しないというと、過疎対策も地域開発も、それは結局ことばだけに終わるんじゃないか、そういう意味で地方道の整備というものを何とか急がしていただきたい、これは私の強い念願でございます。そういうことで、もちろん先ほど来お話しのように相当予知すべき、あるいは予知できる危険個所等につきましては、でき得る限りの手を打ちつつ、しかしながらこの道路の整備というものは、一番私どもとして心配してまいります。過疎ないしは僻地の開発、そういう上から進める上におきましても、道路整備が非常に立ちおくれておるということを痛感いたしておるということは、もう私は率直に申します。
  118. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私がお聞きしたそういう道路も確かにどんどんつくっていかなければならない、その点はよくわかります。けれど、だからといって非常にいいかげんな道路であってはならない。ましてや国道であれば、当然そういうがけくずれの対策等もとっていかなければならないと思うんであります。そういう点がいままでの道路行政において、いままでのやり方でいいのかどうか、あるいは建設大臣のお考えとして今後そういうがけくずれ、そういうような面にももっともっと力を入れていかれる、そういうお考えがあるかどうか、その点をお聞きしたいというわけです。
  119. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) やはり砂防事業というものがいかに大事であるかということでは、去年の七月九日の集中豪雨で神戸とか、あるいは呉とか等の事例から見まして、砂防事業がいかに大事であるかということを痛感をいたしております。またひとり山林のみならず急傾斜の地帯の防災的な事業というものは非常に大事だ、急傾斜地等に関する法案等も前国会で用意をいたして御審議を願っておったわけでございまするが、そういうことで砂防、急傾斜につきましては、建設省としては特段の留意を払っておる次第でございます。
  120. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、先ほどの質問の中で道路局長も答えられておったわけでございますが、そういう一つの道路をつくる場合に、そういうそこの傾斜とか、またそこの地質とか、またそこの非常に雨量の多いところ、少ないところ、いろいろあると思うわけでありますが、そういう場所場所に対して、この場所にはこういう程度の安全対策を講じなきゃならない、もちろん一〇〇%ということは、それは金額においてできないかもしれませんけれども、やはりそこにはかなりの安全度を見た安全対策がなされなければならないと思うんでありますが、そういう点の現在の基準、この道路はこれでいいという、そういう法的な基準となるような法律とか、そういうものはやっぱり現在できておるんだかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  121. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これはせっかくの御質問でございますけれども、正直、私、建設大臣でない立場におりますときも、年々の異常集中豪雨というもので私たちが思わない被害を受けるわけです。昨年は七月九日に私の地元が非常にやられました。ことしはどこへ集中豪雨がゆくだろうかというようなことで、これはどうも、おおよそどの辺がよけい降るのだということが私は、どうも、不敏にしてまだわからない。やはり、これは特に日本の地勢、位置からいたしまして、わからないままに、しかし、あとう限り効率的な防災的措置を講じて道路網を改築する、河川の改修はやるというようなことでやらしていただいておるわけでございます。事務当局はどういう用意をいたしておりますか、説明いたさせます。
  122. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまの、道路をつくる際にどういうような基本でやるかという問題でございますが、これは非常に日本の土質及び雨の降り方、また地形が複雑でございまして、なかなか一がいに、これでゆきなさいというような工法もないわけでございます。技術基準にやはり、そういうような土を切ったり岩を切ったりする場合に、のり面工法の問題とか、沢を暗渠にする際の問題とか、道路自身一つの排水の問題とかということを書いてございますが、比較的これはこういうことに気をつけろということであって、数値的なものはございません。ただ、実際に現場で道路を設計する際の標準的な工法というものは、参考にいろいろ出してございます。その中でやはり、一番むずかしいのは山腹におけるのり面の崩壊をいかに防ぐか、これが山腹ということになりますと、ずっと山の上までゆくわけでございますから、どの程度でどれだけのものをやればまず安全ではないかというようなことで、いろいろこれは土木研究所で切り取り面の保護工の問題も研究してございます。一応、そういうような標準的な断面を出しまして、それをもとにしてその地形その地形に合わせて、いかに経済的な、いかに安全な道路を設計するかをやらしておる次第でございます。
  123. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 最後に……。私が言いたいところは、こういう事故を一つの反省として再び次の予防が非常に大事ではないかと思うわけであります。そういう点で今後つくる道路におきましては、特にこういうこまかい科学的な、ことにそこの雨量とか、それもただこまかい点はわからないかもしれませんが、大体過去の実績等を見れば、ある程度のことはわかるのじゃないかと思います。こういう点を、ひとつの基準というものをつくって、そうしてやはり道路をつくる場合はそれを厳重にやって、そうして今後、こういう突発的な非常にまれにみる災害の場合はやむを得ないとしても、普通の集中豪雨というのには少なくとも耐えるくらいの国道はつくっていかなければならない、そういう点を建設省としてはさらに検討していただきたい、このことをお願いいたしまして質問を終わります。
  124. 片山武夫

    片山武夫君 今回の事故に対しましては、なくなられた方々に対して私、心から哀悼の意を表したいのであります。  特に今度の災害について、建設省に相当多くの責任があるのではないか、こういう感じがするわけであります。先ほど来、いろいろ各委員から質問がありました際にも、大臣がお答えになったように、問題は、こういうふうに技術が進歩している状態の中で、天災か人災かという問題をめぐって、天災というのは非常に限られてくる。私はさような気がするわけでありまして、今度の問題がなかなかその判定がむずかしいことはありますが、しかしまだまだ予防措置が十分であるならば、この災害も予防できたんではないか、こういう感じがするわけであります。そういう意味におきまして、先ほど大臣が質問に答えられて、いま道路に表示されておるいわゆる路肩弱しとか、落石多し、こういったような表示が、あれは幾日問表示されているのか私は知りませんけれども、あれはむしろないほうがよろしい。これはやはり責任回避の一つの手段であると考えられるほど、あの問題については不信を持っておる。道路を通るたびに、落石多しこういうのを見たときに、とまって上を見ながら走らなければならんのかしら、こういうふうな気がするわけであります。ああいうものはむしろ取りはずすべきだと思います。そのためにはそういう個所は一時間も早く落石をなくし得るように、あるいは路肩を直すように至急に措置をすべきだと思うのであります。そういう意味では、私はああいう表示はないほうがいいのじゃないか。ただ人心に不安を与えるのみで、何の効果もない、私はかように思うのであります。したがって、道路の建設も必要でしょうが、こういう個所が非常に私は多いと思うので、そういう個所の修理をして、安心して道路の通過ができるようにすることが、建設省の最大の任務ではなかろうか。そういう意味で、大臣のひとつ決意を聞きたいんですが、ああいう表示はせいぜい一週間か十日くらいにして、すぐ取りはずせるように修理に重点を置く、いわゆる予防措置に重点を置く、こういったことに今後建設省の方針の重点を置きかえてもらいたい。道路の建設よりもまずこのほうが優先的に行なわれなければならない、こういう考えを持っております。そういうふうにすることによって、集中豪雨の場合は別としても、ある程度の雨量災害というものが避けられるのではないか。ただ表示をしておけば責任はないのだといったような考え方自身に、これは行政上の怠慢がある。そういう点をお聞きしておきたいと思うのですが、ひとつ大臣のそれに対する、いまからでも私はけっこうだと思いますが、新しい道路を建設するよりも、むしろ修理のほうに重点を置いた政策を今後とってもらいたい、そういうふうに思うのでありますが、大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  125. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私の道路問題についての基本的な考えは先ほど申し上げましたとおりでございまして、ただ落石注意であるとかいうような表示をしておりますのは、おそらく平常であればこれは何事もない。ただ地震がくるとか、異常な集中豪雨とかあるときには、ちょっとやはり危険だということの表示だと思うのであります。お話しのように、そういうものが全国にどのくらいございますか、かなりあるのじゃないかと思います。そうしますと、その山をつくり変えるということに結論はなるのだろうと思うのであります。そういうことが、まあそれはいらんことを想像して申し上げる必要はないと思いますが、そういうとこで、御趣意は、先ほど前川君に申し上げましたように、そういう危険個所があらかじめ十分にだれにでもわかれば、やはり防災に対する措置を講じなければならん。ひとつ至急にそういう方向で研究をいたしてみたいと思います。
  126. 河田賢治

    ○河田賢治君 大臣は急いでおられますから、単刀直入に聞きますが、気象の問題について、運輸省気象庁としてやっておるわけですが、これはここで座談会を開かれて、これは新聞社ですが、事件のあったあとです。運輸省のほうでは国鉄でやっておる、これはある程度一つの省だからデータも入ると言われておる。ところが、先ほど話が、大臣自身も集中豪雨についてのデータ、そういうものを集めなければ、こういうものがまた解決できる方向にいかぬということを言われた。ところが、気象庁のほうが、建設省道路局のほうからもそのデータがもらいたいということを言われておる。ところがそのとき、ここに出席の道路局長のほうでは、いまわれわれがこのデータをつくって交換する時期に至っていないと、こう言われたのです。こういう事実は、幾ら各官庁がセクショナリズムでそれぞれのことをやっておるにしても、こういう重大な人命に関するような問題では、自分で集めたデータをそれぞれまたお互いに交換するとかいうことをしてやはり防がなければならぬ。ところが局長は、ここでそういうことを言っておらない。新聞には出てないのです、言われたかもしらぬけれども。それはどうですか、そういう問題について、部下がそういう考えを持っていることについて、先ほど大臣はできるだけそういう事実を集めて、そうして集中豪雨やその他にも備える必要があるということを言われたわけです。ところが、あなたの部下はそういうことを言って、少しも協力的な態度を示そうとしておらない。こういう点について責任を問います。
  127. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) どうも何か誤解があるのじゃないかと思いますが、気象観測を行なっているのは気象観測が目的ではなしに、気象観測によって国民の生活を守っていく、向上をしていくというところに任務があるわけでございますし、それが集中豪雨のとらえ方等非常にむずかしゅうございましょう。そういう点にもっと気象観測をこまかく強化していかなければいかぬじゃないか。で、それが把握されたならば、それが各機関住民にできるだけすみやかに伝達されるような方途を講じてまいる必要があるのじゃなかろうか。そういうことで、道路局長もちろんそういう考えでございますし、何かのそれは誤解じゃなかろうかと思いますが、(河田賢治君「新聞に出ているのだからね」と述ぶ)どうぞそういうふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。
  128. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  129. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記をつけて。
  130. 河田賢治

    ○河田賢治君 今度の事件で大部分がこれは天災だといってのがれているわけです。現地でいろいろと道路関係やあるいはその他の人々は新聞では相当発表しておりますが、しかし御承知のように、道路そのものを管理しそれを保全するのは、やはり道路法に規定されて、建設省が責任があるのです。もちろん道路だけを見るのでなくして、さっきいろいろと話の中にもパトロールの問題出ましたけれども、それはなるほど道路は全然いたんでない、穴があいていないということは言える。しかし、道路を取り巻く周囲の諸条件というものを考えなければならぬ、道路にどんな影響があるかということを。そういう点で、先ほど局長のほうでは、できるだけ今後道路にずっと山間あるいは山腹等ではいろいろともっと周囲の諸条件を考えてやらなければいかぬということをおっしゃった。これは私は賛成なんです。ところが、こういう問題でやはり今日までそういうことをやっていないということ、これに対してやはりあなた方は不可抗力だということが言えるだろうかどうか。そこをちゃんと、土砂崩壊、これを防ぐとかそういうことが考えられればそれをやるべきであって、できたあとになって、これは不可抗力だとかあるいは雨量が多かったとかいうような考えは、これは間違いじゃないか、こういうふうに私は思うのです。この点いかがですか。
  131. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) ごもっともなことでございますけれども、これはその現場であれだけの時間雨量があっているときに、私は車がよう動いたものだと思うのでございます。おそらく水の壁になっておったのじゃないか、そういう状態じゃなかったろうかと思います。これはどうも、おそらく先ほど自動車局長が御説明いたしておりましたように、モーテルで皆さんが相談されて、戻ろうか、行こうか、とどまろうかという相談をされて、何とか行けるんじゃなかろうかということで、現場の判断が行なわれたように、先ほどうかがあったわけですけれども、それは河川の堤防がくずれた、道路が決壊した、すべてこれは人災だということになれば、世に人災ならざるはなかろうと思いますけれども、あの客観事情のもとで、人災だときめつけられるというところにはどうだろうかという感じが——私はどちらとも申しませんけれども、どうも割り切れないんじゃないかという感じがしておるんです。そこで、先ほど委員長の非常に含みある質問、発言がありましたが、私どもの気持ちとしては、そういうことでいかなるものだろうかと、こういうふうに思っておるようなことでございます。
  132. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 一問だけね。
  133. 河田賢治

    ○河田賢治君 もうあと一問だけです。道路関係の人が、この災害あとで、神戸の六甲山系は非常にいろいろと補修や何かでりっぱになって、あそこでは災害は起こらぬという見通しがついているということを発表されております。ところが、先ほどここでの委員会での道路局長が基準について、別に基準はないということを言われてるんですね、雨量に対する。ところが、一般の新聞では、大体において五十ミリだ、ときによっては最高八十ミリだという、こういう設計をしておるといわれておるんです。しばしば集中豪雨があり、しかもまた集中豪雨に対してのはっきりした科学的な法則というものがまだつかまれていない。しかしながら、こういう事件は、こういう気候関係や何かでしばしば起こることでありますので、そうすると、どうしても、基準がないにしても、一応あなた方のほうでは基準というものを持っておられますね。そうすると、この基準を少なくともどの程度に置いて、これから改めようとされるのか、こういう点を少しはっきりとひとつ聞いておきたいと思うんです。これからの道路行政の大体の基準というものを……。
  134. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまのこれからの道路をつくるときの基準をどういうふうに改めるかという問題でございます。実は、やはり道路をどんな天候でも何も災害を受けないという道路をつくるということは、これは非常に金もかかるし、ほとんど不可能かと思います。やはり、その地区で最も起こりやすいところの災害を防ぎ、かつ経済的にできるということが、まず一つの目標になろうかと思いますので、いま道路の構造基準には何ミリで設計するということは書いてございませんが、これは北海道とやはり内地では雨量が違いますし、やはり、そういう集中豪雨の出やすい場所と出にくい場所、こういうものによって道路を設計するときの雨量を考えていくべきであるというふうに考えております。
  135. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 総務長官はたいへんお急ぎだとか、いろんなことがございますが一つだけお聞きしたいと思っております。  そこで、自賠法の適用の問題なんです。いいですか。内閣法制局長官はお昼、昼食後出ていただくことということですが、そこでいろいろお聞きしながらやっていきたいと思いますが、総務長官はいろんなことについての御責任がございますから、お聞きするわけですが、ずばり言って、内閣法制局の見解のとおりに運営をされますか。そして、姿勢はいままでは何か非常に天災であって、自賠法の適用が非常に困難なようなふうに前提条件をいろいろつけられて、そして、困難なように新聞報道等がされております。そして、内閣の、と申しましょうか、飛騨川災害対策会議の姿勢も、大体自賠法の適用には消極的なように、しばしば報道されましたが、きょうの新聞を見ますと、内閣法制局等の見解をただして自賠法の適用をしようではないかというような積極的な姿勢にも受け取れるわけなんです。ですからずばり言って、方向としては自賠法の適用が——たとえば刑事責任の問題等がございますけれども、その刑事責任が必ずしもなくても自賠法の適用をするのだという法制局の見解等が示されれば、大体そのとおりおやりになる予定なのかどうか、その点だけをひとつお聞きしておきたい。
  136. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) まず私たいへんおくれてまいりまして失礼いたしました。  今回の災害にあたりましては、たくさんの方々が思いももうけない不慮の死を遂げられたことにつきまして、心からお悔やみ申し上げます。  ただいま御質問の自動車事故についての自賠法の問題でございます。御案内のとおり、私のところは総合調整をいたす役所でございます。まあちょっと余談でございますが、実は私のところで、副長官を団長といたしまして、ただいま関係各省から現地のほうに派遣いたしておりまして、行っておりますが、自賠法の問題となりますと、御所管の役所として自動車局がおられるわけでございますが、なお、それについての運転手の過失責任の問題だとか、いろいろ条件があるように伺っております。私は詳しいことはよく存じませんが、法制局のほうでもいろいろと御検討いただいているように聞いております。その詳細な法制上の問題について、これを適用するか、適用しないかということについては、私のところの報告では、目下担当の各省庁におきまして事務的に検討中であるという経過的なものしか承っておりません。  なお、担当の審議室長もおりますから、より詳細なことは担当官からお答えをさしていただきたいと思います。
  137. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いいです、あとでまた昼食後に。長官ね、私は運輸省の方から聞いて承知しているわけですよ。しかし、あなたが直接の、災害関係というのはあなたがもとですよ。それで、自賠法が適用になるかならないかというのは、たいへんな問題なんですよ。それに対して何も知らぬというのはたよりない長官だなということだけを申し上げて私の質問を終わります。
  138. 小林章

    ○小林章君 担当局からいろいろお話を聞きまして、政府当局の現在の考え方は大体わかってまいったようなわけでございます。時間がございませんので、一言だけ総務長官から政府としての責任ある御答弁をいただきたいと思いますが、実は私先般現地へ行ってまいりました。参りますときに、これもうかつな話ではございますけれども、東京の新聞ではだいぶ問題になっておりますが、バス事故しか聞いておりませんので、バス事故調査のつもりで実は参ったのであります。例の美濃加茂市に早朝着きまして話を聞きましたら、今回のこの災害というのは、大きく言えば二つに分かれる。これはただいま問題になっておりますバス事故と、もう一つはその他の岐阜県下の鉄砲水による災害、この二つあるんだ、ということを初めて知ったようなわけでございます。そこで、まあ話は横道にそれますが、私といたしまして美濃加茂が、自分のところが、地元が人災、財産の損害等たいへんな災害をこうむりながら、これはもう御承知のように例のバス事故が地元であったために、その御遺体はまあ名古屋中心だそうですが、現在の捜索が三県に及んでおるけれども、美濃加茂市で遺体の収容、洗体、安置、確認等非常に心を込めて引き受けられておりました。この点につきましては、国民の一人として非常に美濃加茂市御当局に感謝申し上げる気持ちを持って、実は本日同僚委員方々に御報告を申し上げる次第でございます。それはまあ別としまして、そういうことで現地で話を伺いますと、とてもたいへんな災害があったということで、むしろバス災害のほうは新聞等で大きく取り上げられ、事実がむしろはっきりしておるし、わざわざ行かなくても写真も十分出ておる。むしろいままでだれも来てくれない美濃加茂それから坂祝村、富加村、川辺町、八百津町、白川町、東白川村、こういう方面で実情を見てくれということでございますし、実は早朝から昼めしも食わずに、途中までしか車が行きませんので、実はあと歩いて実情を見てまいりました。まあたいへんな災害で、これは鉄砲水独特の災害でございました。先ほど御当局のほうから御報告がございましたが、家は全部流失、その一家家族が四人もなくなり、小さな子が二人だけ残っているというような災害のところも見てまいりました。その際に、だれも来てくれない、一体われわれはほっとかれるのか、どうも片方のことだけが大きく出ておるので、政府からも県、市からもほっておかれるのではないかということで、私も時間の関係で早く帰りたいということを申しましたところが、ここまで来た以上は、見るだけ見ないと帰さないというような現地の御意見もございました。いわば俗なことばで言えば、いささかひがんでおるという感じでございました。また昨日その方面の御報告に来られた方の話でも、やっときのうになって東京の親戚がおまえのところもやられたらしいなというような話があったというようなことでございまして、何か片方のほうが非常に見捨てられているんではないかというような感じを持っておられるのが実情ではなかろうかと思うんでございます。こういうことであれば、これはもう民心安定上非常なことでございますので、この機会に政府当局としては一体どういう考えでおるのか。この今回の事故を大きく分けて二つあるが、この事故をどのように取り扱うつもりであるのか、その辺についての政府の心がまえをひとつ総務長官からお伺いしたいと思います。
  139. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 昨日も委員会にお呼び出しがございまして、自動車の問題ばかりを言われるのは不都合だということで、たいへんおしかりをいただきました。私どもも決してそういうわけではございませんで、自動車の関係があまりにも多数の人命が失われたという悲惨なために、そちらのほうの救済の問題とあわせてやっておるわけでございますが、御案内の鉄砲水の問題は、まあ当然自動車事故が起こる原因といたしましては、ひどい集中豪雨が局地的にあったわけでございます。いまの御質問の中で一番問題になります点は何かと申しますと、これは昨年のえびの吉松のときもさようでございますが、局地的に非常な災害をこうむりましても、現在の激甚法でありますとかなんとかというふうな法制の上から申しますと、相当広範囲の相当な量がないとなかなか救済措置というものはつくれない。激甚法ができます前に、私どもが災害に関していろいろ立法いたしましたころには、いろいろな各種の災害の立法がございまして、ずいぶんこまかいところにまで国庫の救済が行なわれるようになっていたのですが、どうも最近はそういう点が局地的なものについて救済の措置がやりにくいような法制になったのじゃないか、ということを非常に私ども懸念いたしております。  御案内のとおりに、今回の岐阜長野京都等の災害は累計いたしまして三十四億円ほどに相なります。こういうふうな鉄砲水の出ます原因につきましても、やはりいろいろなことがございましょうが、先般私のほうの役所から全国の各都道府県に、やはりこれも御注意がございまして指示いたしたのでありますが、採石や何かで石を取ったあとがずいぶんほったらかしてある。そういうふうなことがその後の台風期になって沢の出水、それがさらに鉄砲水の原因になるのじゃないかということから、全国的に防災の注意をするようにというふうなお示しもございまして、指示をいたしたことがございます。こういうような集中豪雨についての対策といたしましては、やはりそういうふうな出水についての防災堰堤の問題あるいは危険個所降雨量の精密な調査網をつくる、あるいはまたそういうふうな出水に対する平常からの訓練、こういうふうな対策を総合的にとっていかなくちゃならない。かように考えておりますが、しかしいまお示しのこの岐阜中心といたしました今回の災害にあたりましても、国といたしましては全力をあげまして早期の復旧に努力をいたす次第でございます。現在のところ詳細な報告を待ちましてから、さっそく対処いたす所存でございます。
  140. 小林章

    ○小林章君 激甚災害法施行の問題も別途お聞きするつもりでありますが、私がお伺いいたしましたのは、マスコミに取り上げられたものと取り上げられないものとある。それを政府当局は一体区別するのかどうか、区別されずにやってくれるのかということを現地において心配してありますから、その点をお伺いいたしたわけであります。
  141. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) さようなことは全くございません。
  142. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 簡単に質問いたしますが、これだけ大きな災害が起きて、そうしてこの場でけさほど来議論をしたそのことが末端まで行き届かないことには、ここでの議論というのは意味がないのです。なぜそういうことを申し上げるかというと、五月二十三日に私が総務長官お願いして、雨期を控えての急傾斜地の総点検を指令してください、中央防災会議の名においてひとつおやりください、それは六月の十日におやりになられた。それはここにあります中央防災会議事務局長名、あわせて総理府総務長官としても豪雨災害予防措置に関する対策についてということでお出しになっている。さっそくやっていただけたので八月八日のこの委員会で私は総務長官にお礼を申し上げたところが、またこの事故が起きたわけです。  そこであの飛騨川事故によって、関係各省では何を言ったかというと、特に建設省等においては道路パトロールをやらなければいかぬ、危険個所はどうなっている。口をそろえてみんな言い出している。事故が起きてからなぜ言い出すのかということです。私がこの問題についてしつこく申し上げるのは、せっかくここで議論をして一つの結論が出て、中央防災会議の事務局長がおやりになったことが、都道府県でどう受け取られているか、末端市町村でどう受け取られているか、住民がどう考えているのか。それが考えられなかったら意味がないですよ。ここで幾ら議論したって、国民のために何にもならぬのですよ。私はここでお伺いしたのは、六月十日に確かに出してくださった。もう二カ月以上たっておりますが、私はこれを出してくださったのはお礼を申し上げたけれども、もう一つ配慮がほしい。この通達を出して、それを都道府県がどう受け取って、末端市町村にどういう指示をして、その結果どういう対策を講じたかという把握を、中央防災会議においてなされるべきであるし、総理府においてその把握をしていなければいかぬのですよ、その把握はしておられますか。
  143. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) それはまことにいみじくも実はこの間あの通達を出したあとの集計や何かがどうなっているかというと聞いたところでございます。ところが、各都道府県のほうには通達を防災会議が出しましたけれども、別に危険個所調査して集計するという回答が義務づけられて——いま各省のほうからきている報告もだいぶあるようでございます。じゃ、ちょっと担当官言ってください。ちょうど私のほうで佐藤さんがおっしゃったのと同じことを申しまして、どうなっているのか、自分のやった行政に対するトレースをするように申しました。いま、ここへだいぶ集計も集まっているようですから、ちょっと御報告申し上げます。
  144. 川上幸郎

    説明員(川上幸郎君) ただいまの件につきましてお答え申します。  総理府からは、先生からお尋ねのように、各省庁及び都道府県に対しまして、先ほど長官が申しましたような通牒を六月十日に出しまして、これに基づきまして、同時に防災会議におきましてもこれについての打ち合わせを行なっております。  この結果によりまして、各省庁におきましては建設省、農林省、通産省、消防庁、運輸省、文部省等の官庁から通牒を出してございます。その内容につきましては、すべて防災会議におきまして集計いたしまして、これに基づく会議も行なっております。なお、先ほどお尋ねがございました危険個所等につきましては、建設省、農林省、通産省等から、危険個所はどの程度あるかというような報告を受けております。
  145. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 それはちゃんと集計してあるんですね。
  146. 川上幸郎

    説明員(川上幸郎君) してございます。
  147. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 そうすると、義務づけていないものが自発的に都道府県から関係省庁を通じて出てきておるということですか。
  148. 川上幸郎

    説明員(川上幸郎君) ただいまの件につきましては、関係各省より集計をいたしております。
  149. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 私が申し上げているのは、防災について、この日本の中枢的存在である防災会議が、当然それを義務づけて集計するぐらいのことをしないと、なかなか末端まで通らぬのですよ。六月十日に中央防災会議事務局長名で出される前に、私の県のことを言っちゃ何ですが、私はあまりここでりっぱなことを言って、新潟県何をやっているかということになると悪いから、あらかじめ調べてきた。六月の五日にやっているのです。もうこれが出る前にやっているのです。そういうことはきわめてこまかくやっている。ところが、県が地域防災計画を災害対策基本法によって立てても、もう一つ下がった市町村において防災計画は立てられなければ何にもならぬのです。災害対策基本法という法律、わかるでしょう。これには国の責務、都道府県の責務、市町村の責務、公共機関の責務、さらに住民の責務まで負わしているのですよ。みんなの責任だと、こういうことになっている。みんなの責任でなさねばならぬことが、中央で考えられたことが通らぬということになったら無意味だ、ということを私は申し上げる。そういう実情にありますから、いいですか、これを義務づけるようなやり方で、そういう積極的なやり方でやっていただきたいということを申し上げるわけです。義務づけなかったけれども何となく集まってきている。まあ何となくという失礼な言い方だけれども、集まってきている。それは防災会議にかけておりますと言うけれども、防災会議だってそんなにしょっちゅう開かれているわけじゃないんです。しょせん寄り集まり世帯の形ですし、言うなれば外局的存在なんですよ。予算の取り合い、予算というものの意見を言うにしても、これはもう力がないわけですよ。しかし、力がなくても現在中央防災会議というものがある限りにおいては、そこでいい意見をどんどん出して、そして末端まで、ここで考えたこと、あるいはあなた方が考えたこと、やろうということがなされるように、やっぱりやらなければいかぬ。こう思うのです。これからまだ雨期が続きますよ。まだあるかもしれない。これはないという保証はないのですよ。そうすると飛騨川のようなあの事故がどこで起らぬとも限らぬですよ。いいですか、そういうことで、私はもう少し詰めたやり方をひとつしていただきたい。そういうことなんですよ。だからこれは通牒を出した、通達を出したことは一歩前進なんですよ。それはお礼を申し上げるけれども、この通牒を出してこれなりに済むかと思ったら、もう飛騨川事故が起きた。飛騨川事故が起きるとパトロールをやらなければいかぬなんて建設省が言い出すんだからこれはお粗末だ。やっていますけれどもこうだということなら——それでも天災はあるでしょう、鉄砲水もあるでしょう。しかし、やるべきことがやっぱりやられてなかったんじゃないかという感じを私は持つわけです。そういう意味で、ひとつさっそく私はそういうことを、この通牒に盛られた趣旨のことを四十六都道府県に対して調査を、これに基づいてどうやったか、そしてそれを集計されて、白書なんという気どったものじゃなくていいんですよ。どこの県とどこの県はまだやっておらぬ、ここはこんなふうによくやっているとか、そういうことを国民の前に公表してくださいよ。国民は安心もし、心配もする、心配をするところはさらに手を加えてやる。そうしたことでなければ、災害を未然に防ぐということはできないと私は思うのです。そういうことをひとつぜひやっていただきたいと思いますが、長官どうですか。
  150. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 御注意に従いまして、私のほうでもさっそく処置をいたします。
  151. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 もう一つだけ申し上げますが、これで終りますが、実は消防庁のことですが、これは自治省の外局ということになっておるわけです。ところが外局というところは、やはり一般的に言って非常に力がないというか、まあ皆さん一生懸命にやっておられるんだろうけれども、なかなか外局というものは力がないということは、これは世間一般の常識的な見方です。そこで私ども地方に参りますと極論を言う人間は——極論ですよ、極論を言う人間は、消防庁を格下げしてでもむしろ自治省の防災局ぐらいにしたほうがうんと実績が上がるんじゃないかとさえささやかれておるのです。これは極端な言い方かもしれませんですよ。これだけ災害のある国ですから、私はいま消防庁で防災救急課なんというものができておって、そしてある程度のスタッフをそろえてやっておられることもわかる。しかし各省の寄り集まり世帯、みな出向で二年か三年でかわっているのでしょう、そういうあれがあるんじゃないですか。そういうことになってくると、なかなか責任ある実務というものができないのじゃないか。こんなふうにも私考えるんですよ。そこで、私は災害の問題が起きると、この地方の都道府県なりあるいは市町村を主体として、これがあと始末もやる、あるいは防災ということもやらなければいかぬ、防災資器材の問題、そういうことについても中央のお役所に地方の役所が何を求めたらいいのか、どういう求め方をしたらいいのか、どの程度の力を持っているのか、非常に不安がっておるんですよ。ですから私は、四十四年度の予算要求も大蔵省ともうあるいは始まっておるかもしれませんけれども、これから始まるのかもしらぬが、とにかく外局としての消防庁がほんとに防災ということについて防災救急課が主管課となって、地方のお役所を指導なさるのにいろいろやりにくい点があると思うんです。きょう私は時間がもうないからこれ以上聞きませんが、ひとつ検討してください。そして特に総務長官お願いしておきたいことは、そうしたいまの中央防災会議というものの機能、これをフルに発揮してもらいたいということと、それから消防庁、この問題について、いま言った極論、これは私聞けば聞くほどもっともだと思うんですよ。そういうことも含めて、防災というものについて、各省庁のなわ張り争いというと大げさですけれども、何かもうこれは運輸省だ、いや建設省だというような、このたびの問題でもそう聞き取れるような節もないでもございません。各省庁のなわ張りの関係で、どうも災害対策というものがおろそかになるというような感じを私は持っておるんです。したがって防災、災害対策についての主務官庁として、機構の整備、どういう機構でやったらいいのか、そういうことを、消防庁のいまの問題を含めて、ひとつ中央防災会議の議題にして、御検討いただきたい。そしてこの委員会で、ひとつそれをこういう考えでおる、しかし予算が伴うからということで、具体的な案が出てくるかどうか、そこまでいくようにひとつ議題として御検討いただきたい。きょうのところは一つの問題点を投げかけたというような、問題点を提案したということにとどめておきますが、これをひとつ真剣にお考えいただきたい。先ほどの資料要求とあわせてお願い申し上げます。
  152. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの佐藤先生の御要望に対しまして、私どもも平素から、普通の行政とは違いまして、防災というのはまず迅速であり、しかも相当果敢に各省庁を総合動員しなければならぬというふうな特質を持っておる行政なんです。できるだけ機能の向上のためにも、機構的な問題につきまして、御注意はありがたく承っておきます。  なお私まあ考えまして、これは平常の行政ではございませんから、で、やはり臨時の行政であるべきで、災害が三百六十五日あったのじゃ、これは結果としていけないのでありますから、そういう点ではただいまの防災会議というもののあり方、これはやはり私どもの先輩がずいぶん研究してやった一つの結論だろうと思いますが、その中に生じます欠陥につきましては、逐次私のほうで機構的にも反省をしたり、あるいは機構的にもさらに整備をして万全を期してまいりたい、かように考えておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  153. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) これにて暫時休憩いたします。    午後二時三十五分休憩      —————・—————    午後三時三十五分開会
  154. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) これより委員会を再開いたします。  御報告申し上げます。運輸大臣の件につきましては休憩中に官房長に事情を聴取いたしましたところ、閣議後記者会見を行ない、群馬県のほうに出向かれたそうであります。出向かれた目的は、会議等つまびらかでありません。したがいまして、在京をしておられませんので、本日の御出席はありませんので御報告を申し上げます。     —————————————
  155. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  156. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 法制局お見えになっておりますか。——午前中ですね、いろいろな点でずっと伺いたかったわけでございますが、大臣等の出席がございまして、時間等の関係がございまして自賠法の問題等について途中にはさまったようなかっこうになっておりますから、そこで時間等の関係がございますから、ずばりお尋ねをしたいと思いますが、何かけさの新聞の報ずるところによりますと、適用が可能だというような法律解釈をしたやに報道されております。その辺のいきさつを御説明を願いたいと思います。
  157. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) お答え申し上げます。  けさの新聞の記事、私ももちろん読みましたが、実は具体的には私の役所はこの問題につきまして新聞に書いてありますような会議は全然まだいたしておりません。
  158. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、法制局では全然どんなものかということについて御討論等しておみえになりませんですか。
  159. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 全然研究もしていないかというお尋ねでございますと、それは研究はいたしております。正直なところ申し上げまして、昨日関係官庁の方が私のところへお見えになりまして、こういう問題について法律解釈の疑義があるからひとつ研究してくれないか、というお話がございましたので、私のところで目下いろんな教科書とか資料などに当たりまして検討している最中でございます。
  160. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、刑事責任は追及するほど大きな過失がなくとも、そういうことはない、ないけれども、これは一つの行政法なんだから、運用でそういうものはやっていけるんだと、刑事責任とは切り離してやれるんだという、そういう見解はどうでございますか、法制局としては。
  161. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 非常に微妙な問題でございますが、問題になっております事件についてとやかく言うのじゃなくて、一般論としてお答えをさしていただきたいと思うのですが、一つの行為につきまして刑事上の責任とあるいは民事上の責任とがそれぞれの法律によって出るという例は、これはほかにもたくさんあるわけでございます。刑事上の責任は、これは申し上げるまでもなく本人の責任を追及するという目的の制度でございますから、それぞれ警察なり検察庁なりが処罰を必要とすると思った場合に処罰その手続をとるわけでございます。そこで警察のほうであるいは検察庁のほうで刑事責任を問わないことにするとなった場合に民事上はどうかということがございますが、その刑事上の責任を問う、問わないことにするという意味合いがまた問題であろうと思うのですが、全然もうこれは過失がないという判断のもとに不起訴なり事件を刑事処分として扱わないということになる場合と、それから過失はある、過失はあるが、本人の刑事責任を現実に追及するほどのことはないということで、いわゆる不起訴処分にするという場合二通り考えられるわけでございますが、前者の場合はやや問題がむずかしくなってまいると思いますが、後者の場合ですと、これはもう刑事責任はあるけれども追及をしないという、いわゆる検察官の裁量の問題として考えられるわけでございますから、これは理論上は当然それに伴う民事上の責任を追及されてやむを得ない、ということに相なろうかと思います。
  162. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そういう解釈をいままでしておみえになったのか、あるいはそういう解釈で何か運用をされたような事例がございましょうか。これは自賠法に限らず、その他民事上のそういう問題について……。
  163. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 先ほど申し上げましたのは理論上の問題でございまして、常々私たちはそういうふうに考えておるわけでございます。現実にそういう事例があったかということになりますと、これは私のところはそういう具体的な事件を処理する役所でございませんので、はたしてどれだけあったかという的確なことはわかりません。わかりませんが、一般論として申し上げますと、先ほど申しましたように、同じ事実につきまして刑事上は不起訴処分にするが、民事上あるいは行政上の処分の理由には取り上げるということは、これはたくさんあるだろうと思います。
  164. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 自動車局長、いまの第一部長の解釈のようなふうのそういう運用がされた例はござまいしょうか、自賠法に限って。
  165. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 私実は六月にこちらへまいりましたので、私がまいってからはそういう事例はございません。したがいまして、その事例についていま調査をさしていただいております。調査をしばらくさしていただいております。
  166. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それではどうなっておるかということなんですが、新聞の報ずるところによりますと、これはまあ「等筋によれば」ということがありますから、あまりこだわるわけじゃございませんですが、しかしあなたのほうへ聞きに見えたということですが、それは運輸省ですか、法務省、警察、どこからお見えになったのですか。
  167. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 内閣の審議室の方でございます。
  168. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃいま調査適用されるかどうかということで、実情だけ自動車局長に申し上げ、それで終わりたいと思うのですが、白川町でそのバスが通過するときに、戻るときに、もうすでに水がたくさん出ております。そして白川町は零時五分にサイレンを三回鳴らしまして警戒態勢を、消防士等の動員をされておることは確かでございます。そうしてあそこの白川橋で警戒態勢に入っておる、その中をバスが通ったということも事実のようでございます。そこでそれを消防のお方たちがとめたかどうかということが、ある新聞に大きく出ました。そういうことに対して、私が二十日の日に現地に参りましたが、とにかく現地の空気として——これはもう私が察知したのですから私の感じただけですが、現地の人たちの言われるには、保険会社の方たちが十名ほどお見えになっておる。そして逐一だれがああいったとかこう言ったとかいうことを、大体保険会社、損保関係の人たちがやられておる。もう一つは、警察のほうで実際こういうことがあったかなかったかということに対して取り調べがあった。するとこの忙しいさなかに何べんも行かなくちゃならない。片方ではそうしたような圧力もあるようです。非常に現地の人としては迷惑なんです。簡単に言えば迷惑なんです。そんなことより実はわしらのところの災害がたいへんなことであって、そちらのほうにも力を注がなくちゃならない。とにかくえらいめんどうなことにかかり合ってしまうと、できたらかかり合いたくないというのが、私は率直な話ではないかと思います。したがって過失があったかなかったかということについて、そのときに警告を出した、それを押し切って行ったのだと、いやそうしたら警告を出したならば、その車は何号車であって、それじゃどの人の顔であってということに話がなれば、あの豪雨の中で事はうやむやになってしまう。しかもいま申しましたそういう背景の中ですから、私は事は容易な問題じゃないと思うのです。したがって、警察等でこれを開き直った調書にし、いろいろなことになるということで、その人の証言によって事がどうこうなるということで、たいへんなことになるから、いろいろな点を控えられる。おれはそのことには関係したくないというようなふうになってしまって、真相というものが究明されにくくなるのじゃないかと思っております。それがここでいう自賠法の第三条のいろいろなことに関連をし、特に刑事上の問題でということになれば、私は真相とはほど遠いところに実は行ってしまうように思っております。そういうことが第一に申し上げたいと思います。  二つ目に申し上げたい点は、とにかく地元の人たちに言わせれば、あれだけの豪雨の中を、あそこを通って突っ走って行くというようなものは、非常識もはなはだしいのだ、われわれの常識ではないのだ、こういうことを地元の人たちは言っておみえになりました。したがって、バス運行等に携わる人から見れば、それはとりもなおさず地元の人の意見と同じでなければならぬと思います。何べんも通っておみえになるから、その状況は十分知ってみえる。しかも犬山のほうから登るときには、落石があったのをその石を取り除いて、そして上に登っておるのですよ。犬山を八時に出て登っておるときは、もうすでにそういうこともあったという。ですからそういう一つのあの客観的な情勢というものをどういうふうに把握するかということ、そのときに自動車を運行したとすれば、責任は全然ないのだというふうに結論を出していいものかどうかという点で、ひとつ状況判断として十分私は考えてもらいたいと思います。  三つ目に申し上げたい点は、だれが何と言ったって、白川口の駅の広場には、自主的に避難しておった車がたくさんあったということです。また消防団の人たちの警告に基づいて避難をしたバスもたくさんあるということです。ですからそうした人たちは全然被害にあっていない。ですからそういうような情勢も、この適用をどうこうするということについては、十分判断に入れてもらいたいと思います。  第四番目には、これは不確実なことで確実だとは言えませんけれども、実はあの現場に消防団の人たちも行って、そしてバックをしたらいいとか悪いとかいうような指示までしておるというふうに聞いておるわけでございます。それは一号車、二号車、三号車が通って——そして結局五号車、六号車が前に出て、そのあとに一号車、二号車、三号車がくっついておるわけです。普通なら一号車、二号車、三号車と行って、そのあとに五号車、六号車、七号車が続いておるわけですが、そうでなくてこうなっておるわけですね。そういうことはだれがそこでやられておるかというと、消防団の人が、こちらのほうの土砂くずれがあるけれども、これはこうさえすれば十分大型のバスといえどもバックすることができると誘導をしたとも、実は新聞を通して報道をされておるというようなこともございますし、そういうようなことは全部警察で調べようとすると、そういうものがいま申しましたような背景の中だから出てこないということです。そういう点等を私は判断をされて、いま法制局の第一部長の真田さんがそういう解釈をされておるわけです。ですから、運用をされる自動車局はと申しますか、運輸省等は十分ひとつこうした問題について、私は遺族の身になって十分——ただ単に法律がこうなっておるからこうなんだ、おれのほうが調べたらこうだったんだよというような、そういうことじゃなくて、ほんとうに人情の機微に触れた私は運用を実はやっていただけないものであろうか、またそうすべきじゃないか、それが当然じゃないか。しかも、先ほど承っておりますと、情報収集の問題については、すでにあなたのほうが指示をされた。それだのに二十二時三十分の情報は知らなかったということは明確になっておる。ただ、二十時の問題については今後聞いてみなければわからないと、こうおっしゃっているが、おそらく私は知らなかっただろうと思うのですが、そういうようなことからでも、小さな過失と申しましょうか、刑事責任は追及されないかもしれませんけれども、そこには百点の点をつけるのに対してはちゅうちょする。それに対して六十点とか七十点とか八十点という点しかつかなくて、必ずしも満点ではないと思う。ですから、そういうような運営というものがやれない、またやっていただけなかったと思いますが、そういうようなことに対して局長はどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
  169. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) ただいま先生から四点につきまして御意見があったわけでございますが、警察のほうの調査は、先刻大臣からお話がありましたように、現在進行しておるわけでございます。われわれといたしましては、警察のほうの調査はいま先生がおっしゃいましたような四囲の情勢等も判断した調査が行なわれるものと思っております。われわれといたしましても、警報あるいは警報等の時間的関係、それから、どういう打ち合わせがあったかということのみではなくして、いま御指摘ありましたような点等も十分勘案いたしまして、またそのような実態がわかれば、今後法律の適用につきましては、運輸省の判断あるいは法制局等にも御相談をして、最終的な結論を出したいと思っております。
  170. 前川旦

    ○前川旦君 関連して一つだけお伺いしたいのですが、刑事上の責任と民事上の責任、刑事上の過失と民事上の過失とまたこれは別だろうと思います。現実の問題として両方がダブっている場合が多いと思いますが、それぞれ別だろうと思います。そこで、一般論としてお伺いしますが、こういう場合、たとえば刑事上の責任を追及する場合には、これは人権の問題もありますし、疑わしきは罰せずというようなことばもありますように、厳密に法規というものを適用さしていかなければならない。類推解釈とか拡大解釈とか禁止されている。間違いであれば避けなければならない場合もありますが、そうなりますと、結局不可抗力であったということになれば、これは刑事上の責任はないということになると思います。その場合に過失がなかった、不可抗力であったということを今度民事上の責任の場合で見た場合には、何といいますか、「運行によって」云々というのがこれは自賠法にありますけれども、今度は刑事上の問題とは違って民事上の場合にはうんと拡大した解釈をしていくのが至当ではないか、というふうに実は思うわけですね。その場合に、自賠法では、不可抗力であればこれは免責されるであろうというふうに思います。自賠法の場合、不可抗力であれば不可抗力というのを、今度は逆に何が不可抗力であるのか、不可抗力というものはどういうものであるか、不可抗力というものはどういうものであって、不可抗力に該当しなければ、すべて民事上の過失の責任に問うべきだと、こういうふうに逆に広く考えていく。刑事上の場合はこれはまた逆ですね。逆に今度は狭く考えていく。そういうふうな考えで、この自賠法の「運行によって」というものを解釈していっていいものでしょうか、どうでしょうか。
  171. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 自賠法では第三条に自動車損害賠償責任としての規定がございます。で、これは御承知のように、民法の七百九条に対する特則といたしまして規定をされたものでございます。しかし、この規定も絶対的な無過失責任というものではなくて、現在の民法におきます過失責任主義に対しましては特則ということに相なっております。それでいままでの解釈——考え方におきましては、不可抗力というものは、「運行によって」ではないのであって、不可抗力によって事故が起きた場合においてはこれは責任がないというように考えております。しかし、不可抗力ではなかったらばすべて責任があるかといいますと、そうではないのでありまして、一応この三条の規定では、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したとき」には責任がある——一応原則としてはそれは責任がありますということを規定いたしまして、ただしこの自動車の保有者、それから運転手におきまして過失がなかった——注意を怠らなかったのであるということ、あるいは自動車の構造、装置に欠陥がなかった、あるいは逆にこの被害者または運転手以外の第三者に故意や過失があったのだということを自動車側から挙証いたしましたときには責任は免れる、その挙証のできない場合には損害賠償の責任があるという規定でございます。で、民法の規定では逆に、その被害者のほうから挙証いたすことになっておりますが、この自動車損害賠償法におきましては、不可抗力でない場合におきましては、責任を免かれる場合には、自動車側のほうから挙証をしなければならないというふうになっているわけでありまして、いまお尋ねのように不可抗力でない場合は全部責任があるかというと、そうではなくて、原則的には責任があるけれども、ただし書きの場合におきましては責任を免れるという規定でございます。
  172. 前川旦

    ○前川旦君 いまこれは問題になっておりますが、これはどうなんですか。この第三条の後段じゃなくて、前段の「運行によって」というところにひっかかっているのじゃないでしょうか。ですから、そこを、その「運行によって」というのが不可抗力であれば免責されるというようにこれは法律のほうには書いてありますね、普通、学説としてね。だから、あなたのおっしゃったあとのほうのことじゃなくて、前段が問題になっているのじゃないでしょうか。
  173. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) これは法律の解釈論としていろいろあるかと思いますが、今回の場合におきます停止をするということは、自動車が運転してまいりまして、停止をしまして、あと継続して運転するということになりますから、そういう形は「運行」ということに現在は解釈される。で、今回起きました事故が、直接どの原因が相当因果関係をなしているかというところに問題があるかと思うわけでございまして、考えられますのは、自動車側で注意を怠ったがためにこの事故が起きた、あるいはこの道路から土砂が流出してきたわけでございますから、それらのものが重なったことで事故原因をなしたというようなことに、いろいろ疑問があるとは思うのでございまして、したがいまして、現在起きました転落の現象に対して、その原因をなしたものが単独であるかあるいは重なった原因かということによって、重なった原因であるとすれば、そのおのおのの原因につきまして責任があるかどうかということで云々されるというわけでございます。それらの点につきまして、先ほどから申し上げましたように、実態、事実の追及をいたしました後においては、はっきりした結論を出していくべきだと思います。
  174. 前川旦

    ○前川旦君 私よくわからないからあなたに質問しているのであって、わかるようにひとつ説明していただきたいと思います。私がたびたび繰り返しているのは、この第三条の「その運行によって他人の生命又は身体」——「その運行によって」ということがいま問題になっているのではないだろうか、こういうふうに実は思うわけです。この運行によって生じた被害であるというふうにこれははっきり言っていいのでしょうか。
  175. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) いま停止しておりますところの姿は運行でございます。ただし、ただし書きによって「自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、」とあります。したがいましてこの場合に、とまったということが、岡崎を出発してからいろいろ経過をたどりましてこの位置に来たわけでございます。その位置に来る問において注意を怠らなかったかどうか、ということに相なるかと思うわけでございまして、それらの経過が、途中においてその注意を怠ったかどうかということについて刑事責任があるかどうか、これは警察で調べられるかと思います。それでさらにその事実について、その後に民事上の責任があるかということをこれから調べて結論を出したいというわけでございます。
  176. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃ私は前段だと思っておりましたが、あなたのおっしゃることは後段に問題があるというようにいま伺いました。となると、この自己及び運転者がみずからのほうに過失がなかったということを証明することができなければ、これは挙証責任があるわけですね。証明することができなければ、当然これは該当する、こういうふうに考えてよろしいのですか。
  177. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) この問題点は、最終的には裁判等で決定をするわけでございますが、一応自分のほうで責任がなかった、逆にいえば、道路土砂の決壊によってこの事故が起きた、あるいはそのほかの不可抗力によって事故が起きたのである、というようなことについて挙証できるかどうかということでございます。最終的にはこれは裁判によるわけでございますが、しかしながらその以前におきましては、運輸省といたしましても、この法律規定いろいろございますので、それらに照らして、これはどうであったかという一つの判断をする必要があります。警察のほうにおきましては、刑事責任があるかどうかという判断をされるわけでございまして、それらの調査するところの事実の探求によって、この法律をどう適用するかということに相なるわけでございまして、これは繰り返し言っておるところでございます。
  178. 前川旦

    ○前川旦君 先ほど刑事上と民事上の責任が違うということは、原則的にこれは当然そうです。それを運輸省は何か混同されているように実は聞こえます。刑事上の責任は検察庁がこれは当然おやりになるというふうに思いますが、民事上の責任ですが、これを認定するのは運輸省じゃないんですか。あなたのところでさえ民事上の責任があるというふうに認定すれば、この自賠法はきくのでしょう。
  179. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 刑事責任と民事責任を混同しているものではないと思います。といいますのは、警察のほうでいろいろ調査をされます事実につきまして、その事実について刑事責任があると判定するか、あるいは刑事責任がないと判定するか。そうされてもなおかつ民事的な責任を負うということは、その事実に基づいてあり得るわけでありまして、したがいまして、その事実に基づいてわれわれが一々調べるよりは、警察で十分調査されました結果の事実を基礎にして責任を判断したほうが正当ではないかというふうに考えている次第でございまして、その両方の責任を混同しておるものじゃございません。ただし、刑事責任というものがかりに明白になった場合におきましては、もう民事責任はないなんということはないわけでございまして、そういうことにつきましては関連があるかと思います。したがいましてわれわれといたしましても、刑事責任と民事責任が全く同じものであるというふうな観念ではございませんで、やはり一つの事実に対しまして事実は一つでございますから、それをどう考えるかということについて、おのおのの法規に照らした判断が必要であると、私はさように考えております。
  180. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 自動車局長、少なくとも運輸省として今後運用されるわけです。それは刑事責任が過失という場合で明らかになれば、これは無条件でいいと思います。ところが、なかなかその過失ということが、刑事責任等がない場合に、それじゃこれを適用するかどうかということになると、非常に問題があるだろうということについて——こっちのほうじゃやれという、あなたのほうではそれについて何と言質をとられぬようにいろいろ御苦労になっておる。そこで、いやそうじゃないのだ、そういう場合にでも客観的に運用される条項というようなものが何らか出てくれば、これは進んで適用するのだ、ということさえ言えばすっと済んでしまうのですよ。どうですか、これは。
  181. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) いま刑事責任の追及というものも、もちろん言うまでもなく結果として重大でございます。同様に民事責任の追及というものも、これは自賠責だけの範囲にとどまらないものでございまして、自賠責にプラスいたしまして任意保険の問題がございます。さらに現在の自賠責は保険金額というものはこれでもって終わるというものではなくして、これは最小の場合三百万円までは自賠法で出しますということでございまして、上につきましては規定しているものではございませんので、それらの問題にもいろいろ発展することでございます。したがいまして、この法律の適用個所につきましては、事実の探求をもって慎重に正当なる正しい結論を出していく、さように思っております。  なお、先生の先ほどのお尋ねの件につきまして、福島地方裁判所の三十八年十一月十五日の判例がございまして、レールを積んでおりましたところのトラックが、待避中にバイクに衝突した事例でございますが、刑事上は、赤ランプがついておりそして、助手の配置等危険防止の措置が一応とられたとしてこれは無罪ということに相なっておりますが、その同じ事件につきまして、無事に通過させる措置がさらに必要であったのじゃないかということで、民事上は有責ということに相なっております。
  182. 前川旦

    ○前川旦君 ちょっと一つだけ、もう最後にしておきます。個々の運転手の責任とそれから運行供用者の責任と、これはちょっと違うのじゃないかと思う。たとえば個々の運転者、運転している運転手ですかね、この責任ということになりますと、これは過失責任というたてまえの民法の七百九条が適用されると思います。ですから、運転者に過失があったという挙証をする責任は被害者のほうにあるのじゃないかというふうに私は思います。しかし、普通これは一般的にこの条文の解釈として、運行供用者の場合は、いま言った後段のいろいろ免責規定がありますけれども、実際問題として、運行供用者が過失がなかったということを、みずから証明して見せなければいけないということは、非常に困難なことですから、事実法的なところから、事実上の無過失責任に近い状態ではないかというふうに実は考えるわけです。ですから、そういうもので考えれば、刑事責任を追及する場合には、法の解釈を非常にシビアにしてなるべく罪をつくらないというたてまえを通すべきでありましょうけれども、この自賠法の適用云々の第三条の場合には、ほとんどもう無過失責任に近いような考え方でこの自賠法の適用があるんだと、非常に広い、むしろ拡大した形でこれを解釈していくのがほんとうの筋ではないかというふうに実は思いますが、どうお考えでしょうか。
  183. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) いま御指摘のとおりに、普通のわが国の民事責任に関しましての原則は民法の七百九条でございます。で、自動車についてのみこれを七百九条の例外規定を規定いたしまして、これは三十一年にできた法律でございますけれども、責任法といたしましては非常に進歩的な責任法でございまして、いわば無過失責任に一歩近づいた規定でございますことは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、現在のほかの法律よりも被害者側に有利にできておるわけでございまして、したがいまして、この法律の規定の趣旨はさようなものでございますから、われわれもちろんこれの適用にあたりましても、その適正を期していかなきゃならぬところでございます。しかしながら、いま民事責任の最終決定につきましては、非常にこれも影響するところが大きいわけでございますから、これは正しく判定をしていかなきゃならぬと思っております。なお、この運行を命ずるのは会社でございまして、会社のほうは運転手が出発いたしますときにおいて、タイムスケジュールをつくり、行程をつくり、そして前途旅行に対するところの天候、地形その他諸注意を与える。そしてまたふだんから事故防止に対する訓練をするというふうな点につきましては、当然会社側の責任でございます。しかし、出発後におきまして会社の責任者が同乗してない場合におきましては、当該各車両におきますところの運転手会社にかわって運行を継続するか、あるいは中止するかというような責任を持って運転をしているわけでございます。したがいまして、ただし書の適用等につきましても、そういう面において会社側あるいは運転手側に注意を怠った事実があるかないかということを、これから調査してまいりたいというのは、そういう意味でございます。
  184. 前川旦

    ○前川旦君 なるべく拡大して、民事上の責任をなるべく拡大解釈してはどうですかと、そう言っているのを、それ答弁がないのですが、それお考えになりますかということを。刑事上の責任はともかく、民事上の責任というのはできるだけこれを拡大していくということは、いま裁判所でも、学説でも、判例でもだんだん広がって、民事上の責任がいっているという傾向なんですから、やはりそのお立場をおとりになるのが当然ではないですか、というのですが、それの御答弁をしてください。
  185. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) ただいま申し上げましたように、この法律がいまのような、私が御説明申し上げましたような趣旨から出た法律でございます。被害者保護ということから賠償責任保険を規定しているわけでございますから、そういう面を考えつつ法律を、規定を、これを適用していくのは当然のことだと思います。しかし、法律の適用でございますから、そこに正しく問題がないように運用していくということが、われわれのまた義務かと思うわけでございまして、それらにつきましては、非常にこれは新しい初めての大きな事故でございますので、運輸省としてもいろいろ研究すると同時に、法制当局等にも御相談申し上げまして適正な結論を出していきたい、かように思います。
  186. 中村波男

    中村波男君 いま前川、成瀬委員から自賠法の適用、運用について相当突っ込んだ質問があったわけでありますが、局長は慎重に検討をして結論を出したい、こういう御答弁で終始しておるわけです。そこで、私は朝日新聞と毎日新聞のみ見ておるだけでありますが、今朝の新聞に『「自賠法適用できる」飛騨川惨事政府、解釈を広げる』こういう記事が出ましたことによって、おそらくこれを読んだ国民なり特に被災者の関係者は、こういう運用をされるのじゃないか、大きな期待を持って見守っておると思うわけです。そこで少なくとも新聞にこういう記事を取り上げられますには、私たちはその出所がでたらめなものでないということを信じて疑わぬわけです。「その筋によると」という表現がしてありますが、それはそれといたしまして、「今度の場合、刑事責任を追及するほどの大きな過失はなくても、運行上の注意義務に問題があったなどという点が〃小さな過失〃と運輸当局によって認定されれば、自賠法の適用が可能であるというものである。」この問題を離れまして、一般的な解釈としてこういう運行上の統一見解というのが出たのじゃないかというふうに思うのですが、この記事について、全くあなたたちの知らざる記事なのかどうか、この点をはっきりしてもらいたい、こう思うわけです。
  187. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) ただいまの記事は、どういうところのお話を基礎にして出されたということは存じておりません。ただし、昨日あたりに一部新聞の記者の人から、こういう記事があした各紙に出る可能性があるので、運輸省としてはどうかという質問がありました。それに対して、われわれといたしましては、ただいまこの席で各先生にお答えしておりますような段階でございますので、これから検討をしたいということを記者諸君に話をしておる、したがいまして、この記事がどういうのを基礎にしたか、政府の筋というものは少なくとも運輸省からはいまのような記事を出したものではございません。
  188. 中村波男

    中村波男君 まあけさほど建設大臣に新聞記事をもとにいたしまして建設大臣の閣議の見解をただしたのでありますが、そういうことは言ったことはない、こういうふうに逃げられたわけでありますが、少なくとも私は新聞がこういう取り上げ方をされるには、それ相当の根拠があって取り上げられたというふうに考えるのでありますけれども、その運用の中心をなす運輸省が全く知らなかった、そういうことを聞かれて初めて知ったということになりますと、きょうここでこれ以上究明をいたそうといたしましてもできないことでありますから、私はこの質問は、この点についてはやめたいと思いますが、とにかく早急に結論をお出しになって、そして自賠法の適用が困難であるということならば、木村官房長官がこれまた記者会見で言っておられますように、見舞金を出す等の措置を早急に講じてもらいたいということを要望いたしまして、この点については質問をやめたいと思いますが、これに関係いたしまして道路局長おいでになりますか。これまた八月十九日の道路局長の記者会見で、「現場近くに建設省の出先によって交通止めの標識が出されていたはずだが、行きにバスがこれを見たかどうかは、はっきりしない。」こういうことをおっしゃっておる記事があるのであります。しかし、さいぜんの災害報告書によりますと、たしか二十二時十分ごろ美濃加茂市と金山町には出したということが書かれており、御報告もあったのでありますが、少なくとも、金山町と美濃加茂市との中間で事故が起きておるのでありまして、現場近くなどという距離では私はないと思うのでありますが、この交通どめの標識をどことどこにお出しになったのか。これは自賠法を適用する上においても重大な私は一つの条件となると思いますので、確認をしておきたい、こういう考えで御質問申し上げるわけです。
  189. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) お答えいたします。  私たち現地から報告を受けておりますのは、道路管理者として交通規制交通どめの標識を出しましたのが、美濃加茂市の太田橋という橋がございます、それの上流で、美濃加茂市のはずれということになっております。またもう一方、金山につきましては、これは地形でいいますと、美濃加茂からずっと飛騨川を上がってまいりますと、白川町、その次が金山町でございますが、その金山町の町の一番名古屋寄りのところに出したというように報告を受けております。
  190. 中村波男

    中村波男君 ことばじりをとらえる考えはありませんけれども、問題が問題でありますから、明らかにいたしておきたいと思いまして質問を申し上げたわけでありますが、局長は現地を御存じか御存じないか知りませんけれども、美濃加茂市から川辺町、さらに白川町、金山町というふうにあるわけでありますが、それぞれ相当広大な面積を占めておる町村でありまして、現場近くなどというような状況のところに出ておったのではないと思うわけです。それからもう一つは、標識を立てられたと言いますが、その標識はどこそこにいわゆる土砂がくずれて交通ができないから通れないぞという標識なのか、そのものずばりで交通どめなのか、また今後の運用としてただ何十里の両側に立てたから、それで用が足りるという考え自体が私は問題だと思うのです。途中から災害のないところまで行かなければならない人たちもありますから、そういうむちゃな道路規制をやられたら、それこそ住民は困るわけでありまして、道路規制をするならばするように、やはりそれらの実情を十分考えた上でこまかい段階に分けて道路規制をされることが適切ではないか、こういうふうに考えておるわけです。したがって、少なくとも局長としては、十分その責任を感じておられる、私はこの態度には実に好感をもって当然の発言だというふうに感心を一応いたしたわけでありますが、内容を見ますと、何かその責任を回避しようとするにおいが、このことばの中にもあるように私は見受けられたわけであります。したがって、こういうことが事実あって、運転手が無理をして通ったということになるならばこれは刑事責任を問う前提として重大な過失の一つに入るわけであります。こういう点についていま少し局長の御見解を承りたいと思いますのと同時に、私は、とにかく行けば危険で人が死ぬかもわからないというような交通どめは、工事をしておって、そこまで行って引っ返せば時間のロスがあるというような交通どめと内容を異にいたしますのでありますから、ただ標識を立てるというような、そういう交通どめのやり方ではもうだめではないか。やはりなわを張るなり、さくを結うなり、また係官がそこにおって注意をするなり、そういう緊急な交通どめというのは、おのずから私は従来の方法ではだめではないかと、こういうふうに考えておりますので、それらの点についての御見解をお聞きいたします。
  191. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまの先生のおっしゃること、ごもっとものことだと思います。実はこの美濃加茂金山道路管理者が交通どめの標識を出しましたのは、やはり美濃加茂には国道事務所の出張所がございます。そのためと、金山には美濃加茂出張所の詰め所というものがございまして、そこにいろいろ機械も置いてあるために、ここで出したと思います。いま先生のおっしゃいますこの間かなり距離がございまして、実際に土砂の崩落しておる現地で出さなければ、その中の通行の車には役に立たないということ、もっともだと思います。また、これだけ大雨警報が出ており、土砂くずれも一部出て、そのために交通どめということになりましても、おっしゃいますように、その間の車の通れぬところはあるところ限定されておりまして、そのほかは通れるのでございますので、その点はやはりきめをこまかくどこが通れない、どこが危険だということにやるべきだと思います。そういう意味でやはり私たちが国道管理をいたします面で、できるだけこういうような災害の場合には、ほかからの人の援助も受け、こういうようなもっときめのこまかい規制のできるようなことを考えていかなきゃならぬと思います。また、それにはやはり私たち国道管理しておるものだけではなく、今度の場合でも飛騨のモーテルとか、やはりこういうような民間にもこちらの情報を知らせ、そこで通ります車に対しても知らせるというような民間及び地元の消防団の協力も願いまして、今後私たちはいかにこの危険の情報、交通道路の情報あるいは気象状況かいかに皆に周知させるか、こういうことで私たちは将来、交通事故を防ぐために、十分検討をして安全を期していきたいというように考えております。
  192. 中村波男

    中村波男君 それでは、私はただいまから、今度の岐阜県に襲いました集中豪雨被害は、すでに御承知のようにバス関係の死者百四人のほかに、家の倒壊流失等によって十四人のとうとい人命を失い、しかも、四千五百戸以上にのぼる罹災戸数を見まして、金額にして約四十億という被害を出しておるわけでありますが、もちろんバス事故は史上最大と言われておるような大事故でありまして、しかも、その百四人の死体がまだ今日多く見つからないままにあるという、まことに痛ましい事件でありまして、おのずから新聞その他の報道がこれに集中いたしますことも当然だとは思いまするけれども、さいぜん小林委員からも実際に調査においでをいただきまして、県民の率直な感情をお話しいただいたわけでありますが、この飛騨川への転落事故岐阜県の一般の災害が隠されまして、その結果が、国においても熱意を欠いておるのではないか、こういう感情を持っておりますので、ぜひともひとつ早急に応急対策を樹立願いますと同時に、災害復旧に万全を期していただきたいということを、岐阜県選出の国会議員の一人といたしまして、冒頭に御要望を申し上げるわけであります。  そこで、具体的に若干の質問を申し上げたいと思いますが、集中豪雨について気象庁長官に最初にお尋ねいたしますが、現在の気象学から見て、あのような集中豪雨を予知することは全く学問的に不可能であるのかどうか、この点をまず明らかにしていただきたいと、こう思うわけであります。
  193. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 集中豪雨予報ということであると存じます。現在集中豪雨がどこかにあるということは予報できる体制でございますけれども、その集中豪雨がいつ、どの程度、どの地区に降るということを的確に指示あるいは予報するということは、現在の技術のレベルではできないのでございます。非常に残念なことだと思いますけれども、そういうふうな現状でございます。
  194. 中村波男

    中村波男君 学問的にはいままだその領域に入っておらない。しかし、さっき午前中に長官がおっしゃったように、レーダー等々をできるだけ多く備えることによって、さらに予知の幅を広げていくことができるということですか。
  195. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) そのとおりでございまして、レーダーに映ります映像と申しますのは、申すまでもなくその瞬間における雲の状態がその瞬間のレーダーに映るのでございます。それの推移その他を観察しておりますと、大体レーダーの映像に雲が映れば、その雲がどちらの方向へ、どういう速度で動いていくかということなどが判明いたしますので、集中豪雨につきましても、ある程度事前にどの地方があぶないのだということがわかるのでございます。しかし、ただいま申しましたように、レーダーというものに映る像はその瞬間の像でございまして、今後その雲の映像がどういうようになっていくかということにつきましては、レーダーの映像は教えてくれないのでございます。その点は、現在の技術の段階では、はっきりと集中豪雨予報ができないということの一つでございます。
  196. 中村波男

    中村波男君 私、災害対策に三年席を置いてきたわけでありますが、災害が起こるたびに、施設の貧困、人員の配置の少ないこと、予算の足らないこと等が指摘されて、一そう今後は努力をすると言われまするけれども、その足どりというのは言明とは相当下回るものであり、遅々としてということばはオーバーかもしれませんけれども、進んでおらないと思うわけであります。したがって答弁としては、ことしも予算を要求して施設の拡充その他観測の充実をはかるという御答弁はありますが、こういうことをば繰り返しておりましては、災害日本というものを改めるわけにはまいらないのでありますから、長官としても今後全力をあげてひとつ取り組んでいただきたい。きょうは大臣の御出席がありませんので、現状をお聞きいたしまして、長官に対する質問は、これで終わりたいと思うわけであります。
  197. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、今後とも気象庁といたしましも、なお一そうそういう点については努力したいというふうに考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
  198. 中村波男

    中村波男君 その次に今度は、四十一号線のあの被害を振り返りながら、全体を考えてみます場合に、私の聞いておりますのが間違っておれば別でありますが、道路管理としては大体上に三十メートル程度だというふうに聞いておるわけでありますが、その区分はどういうことか御答弁をいただきたいと思いますが、問題は、そこから上は山林砂防でやらなければならない、ここに私は大きな隘路と障害があるというふうに思うわけです。今度の現地のあの災害を見ましても、いわゆる道路の壁が倒れたということでなしに、奥のほうで崩壊をいたしまして、その水が鉄砲水となって押し流したという、こういうことが事故原因であったようにも見受けられるわけでありますが、したがってこの行政というのは、やはり道路行政としてとらえてみたところで解決のしないものがあるのではないか。したがって午前中も私が質問をいたしましたように、危険個所をできるだけ早く調査をされまして、その危険個所というものを、いわば山をひっくるめて調査をして、そうしてやはり山林砂防河川砂防その他の関連においてこの未然防止策を立てる、また防災工事をやる、こういうことが必要だと思うわけでありますが、道路局並びに林野庁の長官の御出席もあったように思いますので、それぞれ御見解を承り、またこれを総合する何か政府に機関というものが必要ではないか、というふうに考えるわけでありますが、これも大臣の出席がありませんから、局長としての答弁の限界もあろうと思いますけれども、お願いしたいと思います。
  199. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいま先生の御質問、まことに私もっともだと思います。私たち、国道でありますと大体毎日パトロールをしておるのでありますが、やはり普通の日のパトロールと、こういう豪雨のある災害のおそれのあるときのパトロールはまた内容が違うかと思います。普通の日であれば、道路の構造物の中の、やはり山の上に上がったり、川の下におりまして構造物が根固めがいいか、地すべりがないかというようなパトロールになろうかと思います。ただやはり災害のときになりますと、そういうような山に上がることもできませんので、やはり道路中心としたその周辺の目で見えるところのパトロールが主体になろうかと思います。これだけではやはり道路の安全は期せられないのでございまして、先生のおっしゃいました広い範囲の山の砂防、治山問題こういうものとあわせて、各官庁と連絡を密にしながら、ここは非常にまだ治山ができていない地すべりのあるような所、こういう所を早く指定個所とわれわれいたしまして、そこについて特にこういう豪雨のときは重点的に見て回る、早くその徴候を発見するというようなことに今後いきたいと思っております。いままでもそういうことでやっておったんでございますが、やはりこの事故にかんがみまして、そういう点特に重視してやるようにしていきたいというふうに考えております。
  200. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 山地保全につきましては、林野庁といたしましても十分常々配慮いたしておるわけでございますが、特に公共土木施設の重要な個所あるいは人命にも危険のあるような個所につきまして、全国的に一万七千カ所程度の危険個所把握をいたしておるのでございますが、今後、このような公共施設の保全につきましては、関係各省とも十分協議さしていただきまして、今後ともその保全維持について十分努力したいと思っております。
  201. 中村波男

    中村波男君 ついででありますから林野庁に要望し、また御質問したいと思うのであります。台風シーズンを前にいたしまして、今や住民は不安と危険にさらされておるわけでありますが、今度の災害について、山腹の崩壊したのはいま調査中でありますからまだふえてくると思いますが、数百カ所に上っておることは明らかであります。したがって、かりに下流で応急的に橋をかけていただき河川の破堤を修理願いましても、もとをおさめなければ、そんなに大した水害でなくとも土砂を押し流し災害災害を生みましてたいへんなことになるのではないか、そういうことを考えますと、実にじっとしておれないような気持ちに現地を回りまして痛切に感じておるのでありますし、これが住民の国に対する強い要望でもあるというふうに思うわけであります。したがって、特に今回被災しました加茂郡白川町、川辺町、美濃加茂市等の集落地域は、この山腹崩壊が相当多く出まして惨状を呈しておるわけでありますが、大部分が砂防指定地域に編入になっておらない未編入地域でありますから、ぜひひとつこれを編入願いますと同時に、緊急砂防事業として早急にひとつ採択を願って、予算もいろいろ特別に配分を願うことがまず重要じゃないかというふうに考えるのでありますが、予算的な面についても見通しをお聞かせいただきたい、こう思うわけです。
  202. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) いまのお尋ねの件は、建設省河川局の砂防主管のことかと思うのでありますが、私らの担当いたしております林野治山のことに関しましても、上流の治山それから下流の砂防とが一体となりまして、特に治山の、先ほどの崩壊地につきましては緊急治山の方法で緊急に対処してまいりたい考えでございます。
  203. 田中憲一

    説明員田中憲一君) お尋ねの建設省所管の先生のおっしゃいました河川砂防でございますが、建設省所管の砂防工事につきましては、治山関係の緊急治山事業と同様の趣旨の緊急砂防事業で処理したいと考えております。
  204. 中村波男

    中村波男君 次に、今度の災害の特殊性と申しますか、昨年来の集中豪雨で、他県にも見られますように、中小河川がずたずたにやられておるわけです。したがって、あの実態を見ますと、局部改修等でかりにこれを復旧いたしたいといたしましても、また水が出ればもとに戻る状態に被害を受ける。たとえて申し上げますと、津保川で今回六つの橋が流れておりますが、これは昭和二十八年のたしか室戸台風のときに流出をいたしまして復旧をしたのが全部また今度流れた。これはそれぞれ一つ一つ検討しなければ一がいには言えぬと思いますけれども、改良復旧がなされておらなかったのじゃないかという感じを持ったわけであります。そういう実感の上に立ちまして、でき得ますならば中小河川も改修河川として編入を願いまして、根本的改修を願いたいのでありますが、それも一度に全部というわけにはまいらないということになりますならば、災害助成事業あるいは災害関連事業を多く取り入れていただきまして、改良復旧をぜひひとつお願いをしたい。こういうふうに考えるのでありますが、これらについての方針をお聞かせいただきたいと、こう思うわけです。
  205. 坂井秀正

    説明員坂井秀正君) ただいまのお話のように、建設省といたしましても災害直後に査定官を派遣いたしまして実情をよく調査して帰ってきております。その調査によりますと、いま先生のお話の津保川、それから川浦川、この辺が一番ひどい川じゃないかということで、津保川と川浦川につきましては、災害助成事業が成り立つかどうか、現在防災課で検討をしている最中でございます。  それからもう一つお話のございました橋梁でございますが、二十八年ごろの建造というお話でございますが、二十八年ごろの橋梁の採択の方針と現在とだいぶ変わってきておりまして、だいぶ昔に比べますといい採択ができるようになっております。災害状況を写真で見ますと、コンクリートの橋脚が大体残っておって、上部の木造が流れておるというようなかっこうの災害が多いようでございます。こういうものにつきましても、今度の災害洪水状況等をよく調査いたしまして、できる限り全部永久構造でやれるように努力をしたいと考えております。
  206. 中村波男

    中村波男君 時間が制約されておりますから、いろいろお尋ねしたいことはたくさんありますが、次に、農地等復旧についてお尋ねを申し上げたいと思うわけであります。  相当農地の流出、埋没等が出まして被害を大きく受けたわけでありますが、したがって、地元としてはでき得るならば激甚災害特別財政援助法の適用を受けたいということでありますが、これは一定の規定がありますから、御検討をいただくことにいたしまして、少なくとも天災融資法の適用をぜひひとつ考えていただきたい。さらに災害の早期復旧については言うまでもないことでありますが、個人災害についてもいまの法律その他によってほとんど援助を求めることができないのでありますから、したがって、自創資金あるいは農業近代化資金を災害ワクとして相当要求が出ておりますから、ぜひこれだけは確保するようにお願いをしたい。聞くところによりますと、予算は残っておらないということも聞くのでありますが、予算がないといってほうっておかれては立ち上がることはできないのでありますので、いわゆる総合予算のワクの中で問題はあろうと思いますが、いわゆる追加予算その他の方法をもって、あるいは予備費等をこれに充てる等をもちまして、ぜひひとつこういう面の措置を積極的に行なっていただきたい。また行なうべきであるというふうに私は考えて御質問を申し上げるわけであります。またいつの災害でも同じ要望が出ますが、農業災害補償法によるいわゆる再保険金の概算払い等、一連の措置を早急にひとつ講じていただきたい。以上要望と実情をお話し申し上げまして御見解を承りたいと思うわけであります。
  207. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えいたします。  今回の岐阜県を中心とした災害を受けました農業関係の設備の復旧資金につきましては、農林漁業金融公庫の災害復旧資金のワクが設けられておりますので、まあ岐阜県の集中豪雨による被害を受けた農業施設につきましても、この資金によって対処していきたいと考えております。特に、ただいま御要望のありました農業近代化資金につきましては、御指摘のとおり現在の段階におきましては政府の手持ちが非常に窮屈になっておりまして、従来四月以来のたび重なる地震等の災害によりまして相当融通してまいりました関係もありまして、現在の段階では非常に窮屈になっております。しかし、まあ今後のそれらの融資実績あるいは今後におけるその他の資金需要等も考慮して現在ただいますでに都道府県に配賦済みの実績を検討しながら、その融資のワク内で特に岐阜県を中心とする今後の災害についても対処してまいるようにいたしたい、こういうように思っております。  第二点のいわゆる共済の問題に対するお答えでございますが、特に、水稲の被害状況等について、現在、県からは応急に取りまとめた報告がございますが、今後岐阜県を中心とする農業共済団体の報告等を基礎に、こういったことについては調査が判明次第、その実績がわかり次第、必要に応じ、共済金並びに保険金の仮渡しあるいは再保険金の概算払い等の措置を急速に措置いたしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  208. 中村波男

    中村波男君 建設省にもう一つだけお尋ねをしたいと思うのでありますが、御承知のように、美濃加茂市の中心をなしております太田付近は常に木曽川の逆流によって相当広範囲にわたりまして、少ないときにでも床下浸水、多いときには床上浸水というような被害を見ておるわけでありますが、根本的には木曽川の護岸工事をさらに徹底して進めていただきたいということでございますが、それと同時に加茂川の樋門を設置してもらいまして逆流を防いでもらいたい。そのこと以外には湛水地帯を救う方法はないのではないかというふうに考えておるわけでありますが、この点について、建設省としてどういうふうに考え、調査等がありますればお聞かせいただきたい、こう思うわけです。
  209. 坂井秀正

    説明員坂井秀正君) 木曽川の改修につきましては、もう以前よりやっているわけでございます。ただいまの先生のおっしゃった個所につきましてもよく調査いたしまして、樋門の方法でやるかどうか、そういう点を現在調査を進めておりますので、調査が終わりましてから、着工なりその他の措置をとりたいと考えております。
  210. 中村波男

    中村波男君 次に、中小企業庁いらっしゃいますか。  関の肥田瀬にあります関協同組合連合会の刃物協同工場、これが中小企業の高度化資金を借りまして、昨年の十二月操業をしたわけでございますが、業績は順調に進んでおりまして、施設の適切であったことが証明されておりましたが、先般の水害で二メートルくらいのいわゆる出水を見まして、機械その他ほとんど水浸しになっているような大被害を受けたわけでございます。  これがまた踏んだり、けったりで、その一部に落雷がありまして焼失をしたというような痛手を受けたことは御承知だと思うのでありますが、その被害総額は一億五千万円に及んでおりまして、その復興については相当の時日を要するということで、関係者が頭を痛めているところであります。しかしながら、第一回の償還金を十一月四日に払わなければならないのでありまして、とてもとてもいまの災害の中から償還金を返すような余裕もありませんし、大被害を受けまして立ち上がるためにさらにばく大な運転資金その他も要るわけでありますから、少なくとも二年くらいは償還を延長してもらいたい、延長できないものであろうか、また運転資金等についても、何とかひとつ融資を願うような道を考えてもらいたい、これは関市はじめ県関係、協同工場の皆さん方の強い御要望でありますし、またそれをやっていただかなければ、せっかくできました協同工場がつぶれるという結果にもなりかねないのでありますので、こういう点に対する配慮をしていただきたいと思うのでありますが、これについての見通しをお聞かせいただきたい、こう思うわけです。
  211. 井土武久

    説明員(井土武久君) 関の刃物の協同工場につきましては、災害による被害並びに今後の再建計画につきまして現在県当局並びに中小企業振興事業団で検討中でございますが、これの再建につきましては、この高度化資金当時のものが振興事業団に引き継がれておりますので、これを県当局が再建計画を検討いたしまして、十分に再建できるように償還の延期をいたしますとともに、必要なる運転資金につきましては、それをあっせんをするという態度で現在再建計画を検討中でございます。
  212. 中村波男

    中村波男君 したがっていまここで二年程度ですね、延長するというそういう言明はできませんか。
  213. 井土武久

    説明員(井土武久君) まだ再建計画がきまっておりませんので、再建に必要な期間だけ償還を延長いたしますし、また必要な運転資金は、追加が必要であれば融資をあっせんするということにいたしたいと思っております。
  214. 中村波男

    中村波男君 最後に、もう一問だけ厚生省に申し上げたいと思うわけでございますが、災害救助法適用についてでございますが、言うまでもなく市町村単位に適用基準がありますので、したがって、今回のような集中豪雨によって、関市の関係でありますが、関市全体でこの基準を計算いたしますと、適用にはならない。たしか六であるところが、五・五くらいで適用にならない、しかし、被害を受けた部落は、適用を受けた上流の上之保村に劣らない被害を受けておる、こういう矛盾が出ておるわけであります。これはもういままでにも何度も是正方を国会でも取り上げてきた問題でありますが、特に最近のように集中豪雨がひんぱんに被害をもたらしております現状において、この問題は法律改正として検討をすべき価値のある問題ではないか、また実態として改正しなければならない問題ではないか、こういうふうに考えるのでありますが、これらについての厚生省の態度をひとつお聞かせいただきたい、こう思うわけです。
  215. 大和田潔

    説明員(大和田潔君) 災害に際しまして、この応急救助でございますが、これは申し上げるまでもなく、災害対策基本法の規定によりまして市町村並びに県、これが災害応急救助を行ないます義務を持っておるわけであります。さらに災害の規模が大きくなりました段階におきまして国が乗り出していく、こういう形の乗り出し方が、これが災害救助法の発動という形で乗り出していく。したがいまして、そこに一定の基準が設けられておるということは、まあやむを得ないことであろうかと思うんです。いま先生のおっしゃいましたように、その基準のボーダーラインの市町村があるのでございます。われわれもボーダーラインの市町村につきましてはお気の毒だという気はいたします。一応の国が乗り出していきますそのための基準というのは、ある一定以上のやはり規模でなければならぬというような考え方からいたしますと、その基準に到達しない市町村につきましては、やはり現段階では災害救助法適用までいかず、県あるいは市町村が救助の実施を行なっていただくということしかないのではないかというふうに考えざるを得ないわけです。  で、次の問題といたしまして、この災害救助適用基準でございますが、これは災害救助法の施行令のいわゆる政令でもって規定されておるわけでございますが、その施行令によりますと、一応この基準は、五千人未満の市町村につきましては滅失が三十と、こういうことになっております。この三十は、床上浸水等の場合は三対一、三でこの一になる、こういった程度の滅失状況が、一応災害救助法による国が乗り出していく基準ということでございますので、私どもといたしましては、これ以上に基準を下げるということになりますと、さて国が乗り出すというか災害救助を行ないますには、やや規模の問題といたしまして問題がありはせぬか。われわれといたしましては、現段階ではこの線で妥当ではないかというふうに考えておるわけです。
  216. 中村波男

    中村波男君 私も法律の内容についてはある程度承知をして質問申し上げたわけでありますが、現行法によれば、そういう矛盾が出てくるのは当然でありますが、その矛盾を直すという立場で検討をする価値があるのじゃないか、それも二十軒や三十軒が被害を受けたというのじゃなしに、百五十軒、二百軒という部落が集中して被害を受けておる、隣村は災害救助法適用を受けておるが、その地域は受けられない、こういう面から考えますと、これはやはり法律の改正を検討願う価値のある問題ではないか、こういうことから質問を申し上げたわけでありますが、時間もすでに超過しておりますから、要望を申し上げまして、御検討をお願いしたいと思うわけです。
  217. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、気象庁にお伺いしたいと思いますが、今回の天気の予報におきまして、十七時十五分に雷雨注意報等を解除しておるわけでありますが、私たちのしろうとの考えでは、それからあとで二時間後に——二時間四十五分後にまた雷雨注意報をやっておるわけであります。そういう点、私たちしろうとの考えでは、こういうのは気象庁の誤報ではないか、そういうような気がするわけでございますが、そういう点はどうでしょうか。
  218. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 結果的に見まして、あの注意報を解除しなければ、もっとうまくいったのでないかというようなお考えにつきましては、私も異存はございません。しかし技術的に申し上げまして、現在の技術の段階におきまして、本日の朝にも申し上げましたように、あの十七時十五分という時点におきましては、レーダーにおきましても、そういうような集中豪雨を起こすような雲がだんだん少くなってきまして、非常に少なくなっております。それからまた岐阜県県内の各地からの情報をとってみましても、一応雷がおさまったという情報も入っておりますし、また雨も小やみになったというような情報も入っております。岐阜市自体におきましては、そのときにはもう青空が見えております。そういうような状況でございまして、そのほかの地上天気図その他の資料から技術的に判断いたしまして、一応ああいう集中豪雨災害を起こすような気象現象はそのときにはもうなくなったというように判断をしたわけでございます。ただそこで問題なのは、それから二時間四十五分ですか後に、また今度新しい雷雲が発生するということがその十七時十五分にはどうしても予想できないのが現状の技術の段階でございまして、そういうようなことでございますので、十七時十五分に注意報を一応解除したということなのでございます。
  219. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで先ほどレーダーの数が非常に少ない、またレーダーによっては瞬間的な雲の動きがわかる、雲があるから雨が降るじゃないかと思うわけです。そういう点で、現在あるレーダー岐阜県の空にある雲を全部掌握できないのじゃないか、そういう点はどうなんですか。
  220. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 名古屋気象台に御承知のようにレーダーがございまして、これは有効半径三百キロでございます。それからまたけさも申しましたように、富士山の上に強力なレーダーがございまして、この有効半径は六百キロと称しております。したがいまして、富士山のレーダー及び名古屋地方気象台レーダーには、もしも岐阜県の県内に災害を起こすような大きな危険な雲があるということであれば、両方ともこれは把握できるわけでございます。
  221. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで先ほど設備がもっともっと充実していけば予測は可能である、それは結局どういう点から、レーダーの面からいえば全部の雲が掌握できる、レーダーの面では増設する必要はない、もっとほかにどういうものが足りないのか、そういう点をちょっと具体的に……。
  222. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 岐阜県の問題に限りますと、岐阜県についてはただいま申しましたように、レーダーは大体完備しておると申してもいいわけですが、集中豪雨について考えます際には、レーダーの像と、それから先ほども申しましたように、各地の観測所から入ってくる観測資料というものも有力な判断の資料になるのでございまして、現在岐阜県内においては自動的にと申しますか、無線ロボット雨量計と称するものがございまして、これは自動的に通報してまいります。時間が来れば、自動的に通報してまいります。岐阜県の部分に限りますと、岐阜県ではこのロボットの数が十四個ございます。それからまた通報所と申しまして、気象庁の職員がそこに勤務いたしまして、雨の通報をやっている所が五カ所ございます。そのほか、一般の方々お願いしまして、雨の通報を気象台が受けている所が二十六ほどございます。で、こういうような観測所はございますけれども、これらの観測所を整備強化する、こういう意味でございます。岐阜県につきましてはそういうことでございます。  しかし、御承知のように、まだ日本全国について考えますと、たとえば秋田県に対して考えますと、秋田にはレーダーがございません。仙台にはレーダーがございますけれども、まだ不十分でございますので、そういった秋田県のレーダーあるいは北海道にも不足しております。九州にもまだ新設したいところがございます。全国的に考えますと、そういうようなところの観測網を集中豪雨のためにも、今後、強化していきたいということでございます。
  223. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ気象庁といたしましても、たとえば岐阜県下の場合ですね、観測所とかロボットとか、そういうものを大体どれぐらいふやしたら、まず当面の目標として、どの程度ふやせばもっともっと正確な予報ができるかどうか、そういう点はどうなんでしょう。
  224. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) その点につきまして、観測所を増加するというお話しでございますが、現在のところ、ただいま申し上げましたように、岐阜県下に大体四十五通報所がございます。で、大体、そういう集中豪雨というようなものは、御承知のように、三十キロとか二十キロとか、あるいは大きな範囲であれば五十キロぐらいの範囲において非常に豪雨が降るというのが集中豪雨でございまして、岐阜県につきましては、大体四、五十程度というところの観測所で、数としては、そんなに不足しているということではございませんが、ただ、ここでわれわれが改善したいと考えておりますのは、そういった観測の施設をできるだけ近代化していきたいということでございます。  それで、これは岐阜県だけの問題ではございませんが、来年も、特にこの雨量ロボットの近代化ということにつきまして、予算を組みまして提出するつもりでおります。
  225. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあふやすんではなくして、設備の近代化をはかりたい、そうすればもっともっと正確な予報ができる見通しがあると、そういうお考えでございますね。  それから、今回のような集中豪雨というものは、この岐阜県の場合、そういう例はやはり過去にはなかったわけですか。その点伺います。
  226. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 過去の例でございますが、これは不連続線だったか、台風だったか知りませんが、岐阜県は、集中豪雨の回数はかなり全国的にも多いんではないかというように、私はそういう気がいたします。しかし、ここで何年に何回あったというようなことをちょっと申し上げる資料をいま持ち合わせておりません。
  227. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういうレーダーはちゃんとそろっているわけですね。そういう過去の、いままで一時間に何ミリぐらいの雨量があったと、そういうようなことは、ちゃんともう気象庁のほうにはそういうデータはそろっているわけですね。それから考えて、今回のようなそういう集中豪雨というのは何年に一回ぐらいあるのですか。
  228. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 今回の集中豪雨岐阜県の美並という所の雨量が百十四ミリということでございまして、それは一時間雨量でございますが、一時間雨量百十四ミリというこの集中豪雨は非常に大きな集中豪雨でございます。それでこの美並というところは実はいわゆる一般の方々お願いしまして観測通報をやっていただいているところでございますので、で、全国にそういうのがかなりございます。かなりございますけれども、それについては、統計はいま手元にございません。しかし、全国の気象官署、気象庁の職員が勤務しておりますところの気象官署における降水量の順位はございまして、一時間雨量の最大は、百五十ミリでございますが、これは四国の足摺に昭和十九年十月十七日、これは低気圧でございますが——で降ったのが最大でございます。あとずっとそれについては記録がございます。
  229. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回気象台の天気予報、そういう気象通報が一般のそういうバス等への連絡が非常に問題になっているわけでありますが、現在気象台がそういう天気予報なり、あるいは気象予報、そういうものを出すわけでございますが、ラジオとか、あるいは電話とか、まあいろいろあると思うのですが、そういう日本の国内にその予報を伝達する方法というのは、いま現在どういう方法がとられているわけですか。
  230. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) その伝達方法につきましては、気象業務法に伝達しなければならないところの相手方の名前が載っております。たとえばNHKとか警察庁とか、あるいは建設省とか、そういうところでございます。全部で七つ業目が載っております。それ以外にも伝達はしております。それからまた地方気象台、たとえば岐阜であれば岐阜地方気象台岐阜地方気象台で、またその土地の現状によりまして、必要なところをこれに追加いたしまして伝達をしております。そういう状況でございます。
  231. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、まあ私たちが台風なんか来る場合に、台風状況はどうかと、そういう点をやはり聞きたい場合に、電話なんかで聞く通報があるわけですが、電話で聞いた場合に、放送しているのは新しい中央気象台の発表をやっているのじゃないかと思うのですが、あの発表というのは大体何時間おきぐらいに発表しているわけですか。
  232. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) その点につきましては、私がお答えいたしますよりも、ここに予報部長州参っておりますので、予報部長からお答えさしていただきたいと思います。
  233. 北岡龍海

    説明員(北岡龍海君) いまの質問に対してお答え申し上げます。気象庁の本庁の予報部におきましては、大体三時間ごとの天気図をいつも書いておりますので、その時点におきまして、前の予報を変更する必要があると認めましたら変更して吹き込んでおります。また、台風が参りましたときには、必要によりまして毎時間ごとの観測資料を集めまして、それに基づいて予報の更新をいたしますので、そういう場合には一時間ごとに更新することもあります。
  234. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 台風がきているときはやはり一時間ごととか、もっと接近してやっているわけですか。
  235. 北岡龍海

    説明員(北岡龍海君) そのとおりであります。
  236. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この前私東京におりまして、台風何号かが紀伊半島に来るので、それでまあ東京の電話で聞きましたら、もう三時間ぐらい前のをやっているわけなんですよ。で、やはり台風のときぐらいは、もう台風状況をやはり知りたいわけですから、まあ中央気象台何時発表ではなくて、もっともっと発表の間隔を狭むべきではないか、そのように考えたわけですけれども、ちょっといまの間隔は広過ぎるんではないか、そのように思うわけですが、そういう点はどうでしょう。
  237. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) まことにごもっともな御意見でございまして、必要に応じ必要な時間に放送するように今後なお一そう努力していきたいと思います。ただしこの放送は、この電話放送というのは気象庁ないしは地方気象台が吹き込んでいるんではございませんで、御承知のように気象協会というものがございまして、この気象協会がこの仕事をやっているのが現状でございます。
  238. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、そういうふうに気象状況というものを、いわゆる観光バスのようなものもありますし、またマイカー族というか、自分で車を運転しているそういう場合もあると思うのですが、そういう人のためにやはり一番手っとり早くそういう情報を知るのは、やはりラジオが一番早いんではないかと思うのですが、今回そういう気象情報というものを一般の人に伝える通知の方法というものが問題になっているわけですが、そういうラジオの放送等の面においてもっとこのように改革したいとか、そういうようなお考えは持っていないかどうか。
  239. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 現在NHKをはじめ民放につきまして注意報警報が出ますと即刻通達いたしまして放送してもらっております。特にNHKのほうにつきましては、現在たとえばドラマ番組が進行しております際に、警報が出ますとその放送を切って警報をラジオで放送していただいております。したがいまして、テレビ、ラジオ関係につきましては、気象庁と放送関係方々とはしょっちゅう連絡いたしまして改善をはかっている現状でございます。大体必要に応じてすぐに放送して周知徹底してもらうという線に沿って今後も努力していきたいというように考えております。
  240. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういう点につきまして、ひとつまあ番組の、特にそういうものが出たら実際に放送する、これはNHK以外の民間の放送でもちゃんと義務づけられておるわけですか、NHKだけですか。
  241. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 警報を番組を切って放送するということを義務づけられているのはNHKだけでございまして、民放に対しましても、義務づけられてはいませんけれども、できるだけそういうふうにしてほしいということを頼んでおります。
  242. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういう点は非常に今回の災害を見ましても大事な問題でありますし、別にそのために長時間の放送が切られるわけではないわけであります。ただ、そういうのを放送すれば、あとは電話で聞いたりする方法があるわけですから、民間放送等についても、実際にいまはNHKよりも民間放送を聞いている人が多いのではないかと思いますが、そういう方面にも、ちゃんとはっきりと義務づけをすべきではないか、そのように思うわけですが、長官のお考えを。
  243. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 民放さんにつきましてそういう問題を義務づけすべきかどうかということについては、はなはだ残念ながらここでそうだということをお答えすることはできません。民放は民放でまた御事情もあろうかと思いますけれども、しかし、先ほども申しましたように、たとえ義務づけられなくてもそれを放送してもらうように、できるだけ民放に対しましては話し合って努力していきたいと考えております。
  244. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その点はひとつよろしく御検討のほどを、またその結果をこの委員会に報告していただきたいと思います。  それから最後は道路局長お願いしたいと思いますが、午前中ちょっと問題になったわけでありますが、五十ミリまではだいじょうぶだということが新聞等にも載っておって、私もそういうのを見たわけでございますが、先ほどの御答弁では、そういう基準はないと、そのようにもとれたわけですが、大体いま新しい道路をつくる場合に、そういう雨に対する抵抗度というものは一体建設省としてはどの程度に範囲をおいてやっているのか、あるいはそういう基準がないのか、あるいはそれぞれの現地にまかしておるのか、その点のところをちょっとお聞きしたいと思うのですが。
  245. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 先ほど、そういう五十ミリという基準はないと言いましたのは、建設省でつくっております道路の技術基準、これにははっきりした数字は、五十ミリという数字は載せておりません。ただ、先ほど言いましたように、暗渠なんかを設計するときにはやはり一時間雨量何ミリか想定いたしませんと、どのぐらいの水が出てどのぐらいの大きさの断面になるか設計できませんので、そういう場合に、普通大体五十ミリぐらいの一時間雨量についてとっておるということでございます。
  246. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで道路をつくる場合、この道路については、この勾配をこうしなければいけない、またその斜面に対しては、こういう程度の工事を行なわなければならない、そういうのを決定し、またできた道路についてそれを検査するというのですか、それを責任を持ってやっているのはどこでやるのでしょうか。
  247. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) これは直轄の事業につきましては、私たち本省で道路の基本的な計画、どういうところに道路をつけるか、車線の幅を何車線にするか、そういう基本的な計画の承認を与えまして、それによりまして各地方建設局の工事を実施しております。工事事務所、これから設計書が地方建設局の本局にまいりまして、地建の建設局長が承認をして実施しておるという状況でございます。
  248. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私はそういう斜面をどうするかという問題は、今回の事故から見ても非常に大事ではないかと思うわけであります。そういう点が地方の建設局にまかせられてはっきりした基準がない。そういうことではやはり場合によっては手抜き工事が行なわれる場合もあるのじゃないか、そういうような工事は私はしろうとでわかりませんが、完全にやるのといいかげんにやるのとでは大きな違いがあると思う。そういう点で、そのような面についても地方の建設局において判断をするに基準となるそういうものをちゃんときめておくべきじゃないか、もっともっと具体的に、そのように私は思うわけでございますが、そういう点はどうでしょうか。
  249. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまのお話の、やはり道路をつくります際に一つの例をとってみますと、暗渠の大きさをどうするか、それから切り取りののり面をどのぐらいの勾配をきるか、この辺が問題になろうかと思います。ただ、これは非常に土の質によって違う、また岩盤の質によって非常に風化しやすい岩盤と風化しにくい岩とございまして、やはり風化しやすいものについてはコンクリートを張るとかモルタルを吹きつけるとかということで風化を防ぐような方法をとらなければならないと思います。また、切り取ったのり面から水の出ているような場合はやはり水を抜くようなことを考えなければいかぬということでございまして、いろいろ地形に応じて最も経済的な設計をするということになると千差万別になろうかと思いますが、これはやはり地方建設局においても若い技術者が入っておりますし、そういう人がやはり自分で設計するような例もございますので、やはり標準的な設計を各地方建設局につくりまして、それによって、さらにここはそれ以上のものをしなければならない、ここはそれだけのことは要らないのじゃないかということがいま地方建設局道路部で十分検討されて、最終の設計をきめるというような方法になっております。そのほかにやはり直轄事業といたしましては、毎年一回そういう技術の研究会を開きまして、いろいろ新しい工法なり新しい失敗した例なり、そういうものの技術の交換を行なっておる次第でございます。
  250. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だからまあ私が言いたいのは、そういうように非常に千差万別な場合がある。だからこそ一つの基準をつくっておかないと、結局いいかげんになっちゃうのじゃないか。少なくともそれは非常に私は大事な問題じゃないかと思うのですね。それに対してちゃんと地方にまかせるのではなくして、もっともっと政府においてもそれを掌握し、また先ほども気象庁のほうから話がありましたように、雨量というものも過去の実績を見たならば、大体どの方面、何県は非常に多い、何県は少ない、そういう点もあると思うのです。当然そういう点も考えに入れて、やはり一律に五十ミリとはいかない点はあるのじゃないかと思いますが、そういう点は私はしろうとでできないことを言っておるのかもしれませんが、一応常識から考えて、そういうものをやっぱりつくって、土質もやはりファクターの中に入れて、そういう一つの基準というものをつくる方向に、一ぺんには完全なことはできないかもしれませんが、一歩一歩やはりそれに前進しつついかなければならぬ。だからそういう点早急に検討し、まあそれは検討した結果そういうことは不可能だという結論が出るかもしれませんけれども、一応今回こういう問題があったことを契機に検討していただきたい。先ほど申しましたように、今回はたまたまそういうバス事故があったために、こういう問題が大きくなりましたけれども、今日までそういうがけくずれは何百何千とあり、そのために幾人もなくなった人もいるし、そのために交通が途絶して非常に困った人もおるのじゃないかと思います。そういうために私の言っているような方向に検討したらどうかと、私はそう思うわけでありますが、局長のお考えを聞きたいと思います。
  251. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまのお説、私も同感でございます。やはりいろいろ地形その他が千差万別でございますが、どういうところにはどういうものをつくるか、どういうところにはどういうものをつくるかという一つの標準の設計をつくりまして、さらにそれをいろいろ地形、土質に応じて、標準の設計をもとにして変えていくという形で、標準の設計をつくっていきたいというふうに考えております。  なお、それには建設省には土木研究所もございます。またいろいろ過去の災害の実績による教訓もございますので、そういうものを十分取り入れた一つの標準の設計と、その設計はどういうところに注意しなければいかぬ、どういうような点が変えるべき問題点であるかというところまでつくりました一つの標準設計ということに進んでいきたいというふうに考えております。
  252. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、現在そういう研究はどこでやっておりますか。そういうがけくずれに対してですね。こういう傾斜の土質にはどういうものをすべきだという、そういうようないわゆる研究といいますか、それはどこでやっておりますか。
  253. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 建設省に土木研究所というのがございまして、その中のいろいろ砂防研究室、道路研究室、その他でやっております。
  254. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 最後に、農林省の林野庁、まあいままで非常に水害のときにこういう集中豪雨が起こる、そういう問題山の木を非常に切り過ぎて、そのために水が出やすい。そういうことはふだんから常識で言われているわけでありますが、今回の集中豪雨の場合にですね、そういうような木の切り過ぎとか、そういうような保安林の対策といいますか、そういうような点がどうなっておるか、その点だけお聞きしたいと思います。
  255. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) いまの御指摘の関係につきましては、伐採の進度が進んで出水が出たというような点については、まあ現実的には聞いておりませんし、現在担当官が現地調査指導に行っておりますが、調査の結果を待ちまして、対処いたしたいと思っております。
  256. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まだ調査中ですね。
  257. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) はい。
  258. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。
  259. 上田稔

    ○上田稔君 私はやはりこのバス転落事故につきまして、その原因と将来の対策につきまして、特に道路の面からお聞きをいたしたいと思うわけでございます。先ほどからいろいろの御質問があり、御答弁がございました。そして気象庁のほうからは、この一時間、雨量百十四ミリという雨、これは非常な雨であって、何十年洪水というか、むしろ百年をこえるような私は印象を受けたのでございますが、そういう特異の雨が降ってこういう事態が起こった、そしてバスが流されたのは沢の水、鉄砲水によって流された。これがほんとうの原因である。そのほかとまった場所がどうとか、いろいろございますでしょうが、そういうことだと思うのでございます。これに対する対策として、いろいろお考えになっておるのでございますが、道路局長さんにお聞きをいたしますが、いまのような場合、この沢の鉄砲水を防ぐような処置というようなことは、現在の道路予算、また道路要求個所の点を考慮して早急にできるものでございましょうか。
  260. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 先ほど塩出先生の御質問でございましたが、やはり道路をつくるにはどうしても山の中でございますと、沢を渡らなければなりません。そのときに、沢にどのくらい、どういうような水が出るかということがまず道路を設計するもとになります。非常にその沢が流域の大きいときにはやはり大きな水が出るということで、断面の大きな暗渠なり橋梁をつくるということになります。それが先ほど言いました、どのくらいの水が出るかの一つの基準が、普通五十ミリくらいをとりまして、それにその地形の流出の状況を考えて、どのくらいの水が出るかによって断面をきめていくわけでございます。ただこの際、問題になりますのは、そういう水によりまして、いわゆる設計しておる水以外の土砂が出てくる場合、さらにその土砂と同時に山の木が、山はだが崩落いたしまして木を伴ってまいりますと、どんな大きな暗渠その他を入れましても、全部その木でふさがってしまうというような事態になります。これを防ぐにはやはり上流で何か一つの土砂をとめる砂防堰というものが必要になってこやせぬかと思います。こういう砂防堰堤が必要になってくるということになりますと、道路のすぐわきの沢にそういう土砂どめの堰堤をつくるとか、流木が流れてくるのをある程度防ぐようなたとえばレールを堰堤の上に出して流木を防ぐような設備を、これはできるかと思います。ただ、これが非常に道路の沿道からはずれまして、かなり山の上になってきますと、これはなかなか道路の力では及ばない、やっぱり治山砂防の問題で一緒に解決してもらわなければいけない問題ではないかというように考えております。
  261. 上田稔

    ○上田稔君 そういうことになりますと、今回のような場合におきましては、やはりその砂防堰堤をつくるということができるかどうか、そういうことになってくる。この現地は、私も見ておりませんが、図面で見せていただいたところによりますと一四十度くらいの角度をなした傾斜地であります、沢そのものが。そうすると、そこに堰堤をつくるとしても、ごくわずかな土砂しかとめられない、一つくらいつくっても。そうすると、幾つもつくらなくちゃならないということになると膨大な費用になる。こういうような個所は全国的に道路にはたくさんあると思いますが、いかがですか。
  262. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) お説のとおりそういうことをやりますと、非常に現在通っております道路はたくさんございます。しかし、そのうちやはりわれわれとして考えなければならないのは国道とか、こういうような非常に交通量の多いところ、そういうところからまずそういうものを始めていきたい。全部の、山の中の県道までやるということは、これは非常にいまも容易じゃないと思いますが、非常に交通がひんぱんなところこそ、こういうような災害の起こりやすいところでございますので、そういうところからやっていきたいというふうに考えております。  ただもう一つは、今度の場所につきましては、実は道路の近くの沢が非常に勾配が急でございます。さらにその上になりますと、かなりゆるい沢になっております。やはりこういうような場合は、相当ゆるい沢のところで土をとめるということをいたしませんと、四十五度の急なところでは、堰堤をつくりましてもほとんどそれにとまる土のボリュームも少なくなりますので、かなり上のほうからやってこなければなかなかこの効果が出ないんじゃないかというような感じでございます。
  263. 上田稔

    ○上田稔君 それでは、もう一つお聞きをいたしたいんですが、道路標識令というのがございますが、この標識令につきましては、何かお聞きをするところによりますと、建設と警察と両方でこれを監督をしておられるということをお聞きしますが、その区分はいかがでございましょうか。
  264. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 標識令の中にいまの御質問のように道路管理者と公安委員会と両方に分かれております。道路管理者は主として案内標識、警戒標識、そういうものをやるようになっております。公安委員会は交通をとめるとか、そういう規制法の標識が主体になっております。ただ、その中で通行どめの場合は、これは道路の工事その他に基づきます通行どめもございますので、通行どめという標識は規制標識でございますが、これについては両者ができるようになっておる次第でございます。
  265. 上田稔

    ○上田稔君 そうしますと、その標識令によりますと、道路のほうは案内標識と警戒標識を主体におやりになる。それに一部、規制標識を特別なもののみに限っておやりになっている。そうすると、今度警察庁にちょっとお聞きをいたしたいのですが、この山岳道路につきましては、現在ではどんな標識をお考えになられておりますか。
  266. 玉田茂芳

    説明員(玉田茂芳君) 今回の場合は白川町の下油井というところで最初の土砂くずれがあるという情報が入りまして、地元の加茂警察署におきまして、直ちに通行禁止の標識、通行禁止の交通規制を行なったわけでございます。この地点は七宗村の、事故現場の場所から約一・三キロ下流の地点でございますが、七宗橋というところにおいて通行禁止の規制を行なった。同時に隣接いたします金山警察署のほう、つまり土砂くずれのありました向こう側、北側になる金山警察署管内金山町の井尻三差路といっておりますところにやはり、同じく南の方向に向けましての通行禁止の規制を実施いたしたわけでございます。
  267. 上田稔

    ○上田稔君 ただいまの御答弁は、事故が起こってからあとのお話ではありませんか。平生における、つまり事故前における規制標識あるいは指示標識、そういったものはどういうものをお立てになっておるのでしょうか。あるいはお考えになっておったのでしょうか。
  268. 玉田茂芳

    説明員(玉田茂芳君) 警察といたしましては、こういうような災害時には諸般の措置がございまして、このような情報を、事前に交通の危険を認知し得るような場合には、交通規制等を実施すべきだと思うわけでございますが、現状におきましては、こういう危険な事態の発生を見て交通規制を実施しておるというのが現状でございます。
  269. 上田稔

    ○上田稔君 私は、現在のこのバス転落事故でございますが、この事故につきましては、道路局でおつくりになる安全施設といいますか、防御施設というか、そういうものについては非常にこれはやりにくい場所である。何百メートルも上流において、何といいますか、がけの上のほうにおいて、それが隣地の土石が水とともに流れてきて、そして押し出されてくる、こういうことになると、その防御施設をつくるということは非常に金もかかるし、なかなかわからない。こういうものを全部おやりになるということについては、おやりになるのは非常にけっこうだと思いますが、それをやってもらうには、これは何十年、何百年もかかるじゃないか。現在山岳道路——わが国は非常に山岳地帯が多い。こういう地帯は非常に多いのじゃないか。そうすると、これに対する考え方をひとつ何か出さなければいけない。道路の、警察のほうでは安全に交通を通す。また円滑に交通を通すということを任務としておられる。大都市においてはこれも非常な死者が出たり、負傷者が出る。しかし、道路構造をもっとよくすればこういうものは出ないかもしれない、出ないでしょう。しかし、そういうことには非常に金がかかるから、やはりこれもなかなかできない。それがために警察は非常に苦労をされて、安全対策あるいは円滑化のための諸施策を講ぜられておられる。私は、山岳地帯の道路というものも現在では非常に交通量がふえてきておる。国道が整備されあるいは高速道路が整備されてくる。そうすると何万台という自動車が通るようになる。そういうときには、やはりこの山岳道路というものの安全対策というか、安全標識というか、そういう道路の規制をひとつぜひ考えてもらいたい。私は寡聞にしてまだそういう山岳地帯の規制の標識というものを見たことがない。なるほどカーブだとか、ヘアピン・カーブがあるとかあるいはそういう構造上のものはあるけれども、あるいはまた、スピード制限というものはやっておられる。しかし、ここのところは駐車したらあぶないですよというようなものはこれはない。駐車禁止、そういうものがない。私は、そういうことは警察庁としてはお考えにならないのかどうか、ちょっとお聞きをいたしたい。
  270. 玉田茂芳

    説明員(玉田茂芳君) 山岳道路につきましての規制の実態は、お説のとおり実施しておる個所は少ないかと思います。一般的に、道路の曲がり角とか勾配の頂上とかいうようなところにおきましては、道交法の法律そのものにおきまして、交通のルールは規定されておりまして、特に一々交通規制を実施しなくてもいいようなぐあいにはなっておるわけでございますけれども、いまここに危険な個所ということが、特に駐車とかあるいはその他の交通のルールにおいて規制すべきことがあって、必要があると、一般的ルールのほかに必要があるということであれば、当然交通規制をやるべきであろうと考えますが、それにつきましては道路の構造のみならず、交通量等、交通のほうの条件も加味いたしましてやらなくてはならぬと考えます。そういうことで、現地状況に即応いたしましたような規制を進めてまいる所存でございます。
  271. 上田稔

    ○上田稔君 私は、そういう意味で、道路のほうでは先ほど道路局長さんからお答えがありましたが、落石をしやすいところ、あるいはまた、そういう沢のところで大雨があった場合において土砂が流出しそうであるというところは、大体道路管理者はわかっておるんだ、こういうお話がございました。で、こういうところをさらに点検をしてのりくずれの起こらないようにするんだというお話があった。これは対策として私は非常にけっこうだと思う。しかし、そのほかに、この被災地のように、何百メートルという上から土砂が落ちてくる。それも沢になっておって沢の水と一緒に落ちてくる。そうして道路上にあるものを押し流す。こういったようなところにつきましては、ぜひこれは規制標識といいますか、そういうものをお考えになっていただきたい。何百年間に一回しか起こらないような雨ではありますけれども、こういうところに駐車したためにやはり事故が起こったんじゃないか。一両、二両、三両目の車というものは前のほうへ出過ぎたために帰ったんでしょうけれども、そこに駐車しなかった。駐車しなかったために助かった。こういう鉄砲水によって土砂が多量に出てくるという個所は、私は、なかなかそれの防護をやるといってもできない。そうすると、やはり規制しかしかたがないじゃないか。これから後、わが国は山岳道路というものがますます発達をしてきて、そうして高速の自動車が通ると思います。これに対してぜひ警察庁としても規制標識、そういうものを考えていただきたい。こういうふうに存ずる次第であります。希望いたします。
  272. 玉田茂芳

    説明員(玉田茂芳君) いまの問題は、現在の道交法では範囲を越えたような問題であろうかと思いますので、今後そういう面で実施していくということになりますれば、道路管理の面と相談いたまして、そういう措置を講じ得るような手だてを考えなくてはならぬのじゃないかと考えておるわけでございます。現在の交通規制といいますのは、道路上の交通の状態から交通規制をやっているという実態でございます。
  273. 上田稔

    ○上田稔君 じゃそれはいまの標識は、道交法ではできないというお話でございますけれども、大都市においては、時間的制限によって駐車禁止という標識を立てておるわけです。それと同じようなことが大雨のときには一たとえば五十ミリ以上ぐらい、もうとにかくしのつくような雨が降っているときは、そこへとまったらいけないという標識をつくればいいんであって、あるいは時間的制限をすればいいのであって、そういうことは現在の道交法でできるんじゃありませんか。
  274. 玉田茂芳

    説明員(玉田茂芳君) ただいまの御質問のような事態につきましては、現在の道交法におきましては、現地におります警察官の判断で処置するのが大体ルールとなっておるわけでございます。警察官の処置いたします場合の標識というのは、規定はございません。しかし、そういう警察官の行ないますいろいろな規制に該当することが一般的であって、交通規制標識を設けることが妥当であるということであれば、標識令にそういうものを設けるというようなことを考えてまいらなければならない、かように考えます。
  275. 上田稔

    ○上田稔君 この問題につきましては、私はいままであまり警察庁のほうでお考えになっておらなかったんじゃないか、これをひとつ十分に検討していただいて、建設省のほうと標識についても十分連絡をしていただいて、そうしてこういう災害が起こらないように、ぜひ処置をしていただきたい。今後のこういう対策としてぜひ考えていただきたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
  276. 玉田茂芳

    説明員(玉田茂芳君) 十分検討いたしたいと思います。
  277. 河田賢治

    ○河田賢治君 林野庁の方に聞きたいんですが、今度の災害の場所、私自身は行きませんでしたけれども、私のほうで行きました調査団が、土砂のくずれたところが従来そこの立ち木がほとんどこの二、三年のうちに切られている、約三百メートルほど上がった右側の場所である。そこからまた木があるんだけれども、そこにがけくずれが起きたということを言っているわけです。ただいま林野庁の方は全然今度の報告は受けていないということを塩出委員に答弁されましたが、実際に調査されたんですか。
  278. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 先ほど私の答えましたことは、舌足らずで失礼いたしましたが、現在、先生御指摘の崩壊した個所は、保安林の中なのか、あるいは保安林の外かという点については、まだ詳細な報告は実は受けておりませんが、担当官が現地に行っておりますので、その帰りました結果、報告を受けまして、よく今後の対策を検討いたしたい。このたびの崩壊をした当該地の急傾斜地のそれも含めましたやや緩になっておる地域約六ヘクタールは、明治四十一年指定の保安林であることは事実でございます。
  279. 河田賢治

    ○河田賢治君 岐阜建設省国道事務所のほうでは、私有地だからもう保安管理上手が打てない、こういうことを言うわけです。そうすると、道路局のほうでは手が打ってない。そうすると、これは林野関係のほうの方がやはりこういう問題をある程度未然に防ぐような伐採なり、伐採のやり方、どの程度一ぺんに伐採するかあるいは除々にどの程度に伐採さすか、いろいろな条件があるでしょうけれども、そういう問題については、あまりこういう危険な個所についてのまだまとまった考えはないんですか。
  280. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 公共施設の保護等のために山地保全を必要とするところにつきましては、保安林として指定するわけでございまして、現在の崩壊地がなぜ起こったのかあるいは今後このように起こらないようにするためにどうしたらいいかという点につきましては、所管の建設省道路局のほうとも今後の保全対策については十分ひとつ協議してまいりたいと思っております。
  281. 河田賢治

    ○河田賢治君 いま御返事を受けまして、まあこれから十分協力してやりたいということが言われたわけです。いずれにしましても、片方はもう道路だけを考える、片方のほうは林野ばかりを考える、しかし、林野にしましても相当今度岐阜から出しました被害関係が出ているわけですね。そうすると、やはりこういう地域はたくさんあるわけですから、こういう問題についても十分農林省のほうはこれを考える必要があると思うわけです。  質問を別に変えまして、気象庁長官お願いいたします。先ほど委員の質問で、富士山が六百キロメートル、それから名古屋が三百キロメートル、大阪にも大体その程度のがあるんじゃないかと思います。私この災害があったあと京都気象台へ参りますと、当日富士山からレーダーで、あそこは二回ですか、毎日送るということになっているらしいですね。まあそのときになって臨時に一回送ってきたということになっておるんです。ところが、大阪ではレーダーで映像が映るんですけれども、瞬間的にせよ。ところが京都は全然ないわけですね。それを電話で映像の状態を聞く。それでまあちょっと図面に再生するというようなことを言っております。もちろんそうどこにもここにもレーダーは置かぬでしょうけれども、相当京都あたりには、大都市も控え、それから日本海側と太平洋沿岸とああいう山地の境界線はやはり気流の変化の多いところですね。そうすると、こういうところではやはりそういう機械設備を必要とするならば少々近くても置くべきじゃないかと思うわけですが、こういう問題に対して長官のお考えをお聞きしたい。
  282. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 京都にそのレーダーが必要かどうかというお話でございますが、先ほども申し上げましたが、レーダーが大阪にございます。その大阪のレーダーもやはり有効半径が三百キロでございまして、大阪府、京都府は全部そのレーダーの有効範囲の中にカバーされます。したがいまして、京都府の上空にこういった集中豪雨を起こすと考えられるような雲がございましたら、これはもう現在のところ大阪のレーダーでそれが見えるのでございまして、あるいはその雲の位置によっては名古屋レーダーでも見えます。それからまた富士山のレーダーでも見えるのでございまして、京都府だけのことを考えますと、京都につきましてはレーダーの必要はございません。ただし、先生のおっしゃいました、電話でその情報を受けているという状態が実は現状でございます。これは電話のみならず気象専用線あるいは無線模写放送と申しまして図を無線で送るという装置もございます。こういうふうな装置を使いまして現在やっておりますけれども、しかしなお望むらくは、たとえば京都なら京都気象台の中で大阪のレーダーの映像が見られるということが一番望ましいのでございます。それにつきましては気象庁でも、京都のみならず全国的にそういうような装置を各地方気象台に設置したいと思いまして、二、三年前からそれに取り組んでおる次第でございます。ただ残念ながら京都はまだ完成していないというのが現状でございます。
  283. 河田賢治

    ○河田賢治君 気象庁のほうに聞きますが、集中豪雨というのは非常に範囲が小さくて局地的に魚に雨が降る。したがって、レーダーなんかでもなかなか一瞬であるので、こまかくこれが集中豪雨をとらえることができない、どこで発生したかということが。これはこれまで言われたとおりでありますが、そうしますと、いま集中豪雨のほかの方の新聞を見ますと、少なくとも昨年からこの問題に取りかかったと気象庁の方は言っておられる。そうしますと、これについての何らかの晴雨計をたくさん置くとかいろいろな方法が考えられるのじゃないかと思いますが、先ほど岐阜県のあれを聞きましても、大体四十五カ所ですか、通報、その他二十六カ所、ロボットが十四というわけでありまして、全体的に言えば晴雨計というものを置いている所が少ないのです。京都でもこの間、私行きましたら晴雨計が一個がわずか千五百円でできるのですね。京都では簡易晴雨計と言っているそうですが、どの程度のものか、私もまだ見ておりませんけれども、しかし、そういうものを各学校であるとか、あるいは役場であるとか、駐在所とか、いろいろな公共機関に置いて、そして雨量がどの程度に発生するかということを追跡すれば、ある程度情報が早くキャッチできるし、それを総括的に気象観測所が集めて、またそれを下へ流すかというふうなことが考えられるわけですが、あなた方のほうでは、こういう地方の各観測所が下のほうへどれだけの時間をもって通報するとか、そしてその通報の範囲が各地方自治体にまで、どこまで及ぶか、こういう時間の関係や、その範囲、それからまたそういう雨量計やその他を備えた、全体的にそういう問題が見られるようなものをあなた方のほうでお持ちなんですか。上だけでばっばっととるだけでなくて、材料を……。
  284. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) ちょっといまの先生の御質問に的確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、地方気象台というのは各県の主要な都市に一つございます。そのほかに気象観測の職員の勤務するところが一つの県に何カ所かございます。そのほかに先ほど申しましたような一般の方に委託して雨の情報を得ているという観測所が相当数ございます。そういうような観測所で観測情報を収集したり、あるいはそこへ観測をお願いしたりしているような状態でございますので、それをもって現在が十分であるとは私たちは考えておりません。  なお、簡易晴雨計とおっしゃいましたが、簡易晴雨計というようなものじゃなくて……。
  285. 河田賢治

    ○河田賢治君 簡易雨量計。
  286. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) 簡易雨量計につきましては、実は二、三年前だと思いますが、これは各市町村役場その他にそういうような、千五百円ですか、非常に安い雨量計を備えつけていただきまして、注意報警報というのに若干まだ予報上の問題がございますので、自衛手段といたしまして、たとえばそこのその簡易雨量計にたまる雨の水があふれればこれは危険だというように、その場その場で考えていただきたいというようなことを考えまして、これは実は消防庁のほうと御相談をしたのでございますが、消防庁にお願いしまして、そういうような機械を各市町村あるいは村役場に備えつけていただくというようなことで、いま備えつけていると私は考えております。ちょっと焦点がはずれましたかもしれませんで申しわけございませんが……。
  287. 河田賢治

    ○河田賢治君 集中豪雨を理論的にやはりこれから法則をつかむということなんですから、いろいろなやはり局地局地の気象条件やなんかと、それらの相関関係のもとにデータを集めてつくり上げなければならなぬと思うのですよ。そうだとすれば、これは相当、まあ人件費やなんか多少は要るでしょうけれども、手数料やなんかこういうものはそう金のかかるものじゃないですから、たくさんそういうものをつくって、そしてその地域のやはり自己防衛もやってもらうと同時に、科学的なデータとしてこれを集中豪雨の基礎材料にもしていくというようなお考えはないですか。その辺の熱意がないように思うのですが、長官
  288. 柴田淑次

    説明員柴田淑次君) そのとおりでございまして、そういった簡易雨量計その他の機械をできるだけたくさん置いてそうして集中豪雨の現状を把握するという考えは十分気象庁は持っております。したがいまして、今後もその考えによりまして強力に推進していきたいと考えております。
  289. 河田賢治

    ○河田賢治君 時間がなんですから、最後に運輸省の自動車局長ですか、自賠法の問題で、先ほど来から社会党の委員諸君に対していろいろな、まあのらりくらりと逃げているわけです。明確な答弁をされていない。ところが新聞で見ますと、名古屋交通災害共済制度、これは御承知のとおり、一日一円で一年三百六十五円、これを一人が共済制で金をかけるわけですね。ここで二十一日の審査会で交通事故とこれを認めた。そうして一人について規定どおり五十万円を三十五人の加入者に支払うということを決定したということが新聞に載っております。これはやはり車両などの交通による被害ということでこれを大体認めております。ですから、これ賠償問題——自賠の問題ではなかなか御返事がなかったわけなんですが、こういうふうに地方自治体では多少でもまあ血の通った政治を、問題が起こったならば直ちに処理をしていくと、こういう態度で一応これはきめていると思うんですね。もちろんこれは地方自治体だから国とはちょっと違って、小さいところではまあ人情で政治はできるだろうけれどもというお考えかもしれませんが、しかし、こういう地方自治体でやっております交通災害の共済制度でこれを交通事故と認定した。そして被害者に対して五十万円を支払うということを一応きめたわけですが、この処置に対してあなたはどういうふうなお考えを持つか、ひとつ聞いておきたいわけです。
  290. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 保険につきましてはおのおのの保険の約款がございます。本件につきましても、自動車損害賠償保険とそれから任意保険、これは上積みでありますが、任意保険、それから旅行傷害保険、それからその他の生命保険。いま先生が御指摘の共済的なもの、いろいろあるかと思うわけでございます。で、おのおのの保険の約款によりまして支払うわけでございますが、特にこの生命保険的な性格のものは、これは損害を賠償するというものをカバーしている保険ではございませんので、これは支払いし得るわけでございます。それで自動車損害賠償保険は損害を賠償する、その責任を果たすためにそれをてん補してくるというための保険でございますので、これは朝来から申し上げましたような事情でございます。いま御指摘のものは、性格上生命保険に近い性格でございまして、おそらくその保険の約款に従いまして支払いされるというふうに相なったのではないかと思います。
  291. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  次に、本委員会の決議に関する件についておはかりをいたします。  まず決議の案文を朗読いたします。  本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本決議の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  293. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいまの決議に対して、政府から発言を求めれておりますのでこれを許します。田中総務長官
  294. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御決議をいただきました点につきまして、政府といたしましては御趣旨を十分尊重いたしまして善処いたしてまいりたい、かように存じております。
  295. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時十八分散会