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1968-11-14 第59回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月十四日(木曜日)    午後一時二十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          柳田桃太郎君     理 事                 高橋文五郎君                 平島 敏夫君                 松本 賢一君                 渋谷 邦彦君     委 員                 井川 伊平君                 大谷藤之助君                 後藤 義隆君                 宮崎 正雄君                 山本敬三郎君                 瀬谷 英行君                 安永 英雄君                 横川 正市君                 多田 省吾君                 岩間 正男君    国務大臣        自 治 大 臣  赤澤 正道君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        警察庁刑事局長  内海  倫君        法務省刑事局参        事官       吉田 淳一君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省行政局選        挙部長      皆川 迪夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法改正に関する調査  (選挙違反取締り方針に関する件)  (開票事務管理に関する件)  (選挙違反恩赦に関する件)  (選挙人名簿の運用に関する件)  (選挙制度改正に関する当面の諸問題に関する  件)  (参議院地方区定数の是正に関する件)  (地方議会議員定数に関する件)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  まず、選挙違反取締り方針に関する件、開票事務管理に関する件及び選挙違反恩赦に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 横川正市

    横川正市君 最初に、自治大臣とはさきの衆議院の一月の選挙の終わったあとに初めて委員会でお目にかかって、それから何回かこの委員会でやりとりをやりましてから、参議院選挙があって、それが終わってお初にお目にかかるわけです。しかし、そういうような時間的な経過というものがずっといろいろな意味を持って経過をしておりますのに、一体私ども選挙法そのもの取り扱い方について、どういうふうに進展をし、それからそれが大体どういう固定した形になっているのかという点では全く知るよしもないわけです。ことに、私は先般の大臣との質疑の中にも、公職選挙法とそれから政治資金規正法と二つ合わせてみて、いかに今日にマッチしないかという点は、もう第三者機関相当指摘をしていることなのだ。だから、そういう第三者機関指摘をしていることをもし行なわないとすれば、立法府が怠慢になるんじゃないかと思うが、それをどういうふうな日程で改善するのかと言ったときにも、大臣からの答弁としては、きわめて満足すべき答弁であったと私は思うのですよ、その当時は。しかし、答弁現実とは違って、今日なお考え方が固定しておらない。ここに非常に私は不満に思うわけなんであります。  そこで、その参議院選挙というものを終わって、この違反関係取り締まり状態から私ども見てみますと、まず、私は食糧管理法とか、物価統制令等を出すわけじゃありませんが、食糧管理法とか、物価統制令が、時代の推移といろいろな機構政治情勢の変化に伴って、いわば有名無実法律になってきている。おそらく法律があるけれども事実上は取り締まりの対象として動いておらない現況じゃないか。それと同種の法律というのにはいささかこれは問題がありますけれども、たとえば形式犯取り締まり実態というようなものを見てみますと、第三者ないしは政治場所、あるいは実際にそれに携わっている者の考え方の中には、いわば食糧管理法的にもうすでに有名無実化された法律だと考えているような現象というものがあるわけであります。しかも、その現象があるにもかかわらず、法律があるからということでの取り締まり実態というものは、これは検挙件数その他ずっと見てみますと、非常に取り締まり当局の取り締まった件数のその大半を占めているのが、そういう形式犯に該当している。こういうところに問題が私はあったんじゃないかと、こう思うわけであります。ですから、そういう点から考えますと、私はこれはとりもなおさず、たとえば第六次審議会発足の問題をかかえての問題もありますけれども、すでに五次までのこの審議会答申に基づく内容を、少なくとも立法府としてはおくればせながらこれを実現化していく、このことが喫緊の問題じゃないかと思っておるわけですが、選挙をやられたその結果から見て、大体、自治大臣あるいはその自治大臣権力下にある事務当局事務段階といいますか、そういう点でどうなっておるのか。何か審議会にまた持ち込んでしまって独自性というものを内閣が持たないというようなことになりますと、行政が持たないということになりますと、ますますこれは問題になるのじゃないかと思いますので、大体、参議院選挙の終わった段階での自治大臣の見解をまず最初に伺っておきたい。
  4. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私は選挙制度審議会委員をやってまいりました。ここでは公明党渋谷さんもおられますが、その審議会ではいろいろ議論を尽くしております。審議会というものは学識経験者が主体であって、国会議員も各党から特別委員として出席しております。大体、選挙区制の問題であれ、あるいは資金の問題であれ、また運動方法の問題でありましても、いまの選挙は正しくはないということで非常に批判もあるわけです。ただ、審議会答申をいただいたもの、また方向をお示し願ったものを国会に持ち帰りますと、なかなか国会段階では議論が多過ぎてまとめがしにくい。私もずいぶん在任中いろいろ努力をいたしましたけれども、結局結実することがほとんどなかったと、こういうことでございます。で、運動方法のことにつきましても、日本ぐらい選挙取り締まりをやかましくやっている国は世界中どこにもない。まさに外国から言わせればふしぎ、気違いざたと思われるぐらい選挙というものは危険な仕事だというふうな扱いになっておるわけです。これはもう正しくない。やはり大幅に自由におっぱなしてやらせろというのが審議会学識経験者側の大多数の意見でございます。にもかかわらず、国会に持ち帰りますと、なかなか皆さんの議論一つにまとまらない。それから区制改正の問題にいたしましても、方向は出ておる。出ておりまするけれども、これまた各党派の考え方が違っておりまするので、さてこれを法案化しようとするといろいろな抵抗があって、これまたできない。それから政治資金規正法の問題にいたしましても、これは事故がいろいろ重なっておりまするので、これについては特にきびしい要求が審議会答申に書かれてあります。これをやはり議会政治ですから国会が議決をしなければ法案にはならないわけです。その前段階にはやはり多数党の了承を得ることが必要だ、多数党の了承を得て初めて閣議決定もできるし、それから国会にも提案ができる、こういうことになっておりまするので、これもなかなか学識経験者がお考えになっているとおりには進みかねて、この間提出いたしましたものも、この審議さえできなくて宙ぶらりんになってしまった、こういうことでございます。  それからいま一つ参議院制度は検討に入ったばかりでありまするけれども、これも、ここは参議院ですが、全国区をどうするとか、地方区定数をどうするとか、いろいろな御議論がありました。しかし、これは国会制度の基本に関する問題を含んでおりまするので、これもわずかな時間で議論したものを、すぐ法案化して提出するわけにはまいりません。で、先般の第五次審議会答申というものは、ほとんど行き詰まった形でそのまま置いてありますが、じゃ、なぜ第六次の審議会を早く発足してやらないかということを非常に強く要求し、また責められておるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、やはりせっかくああいう答申をいただいておるわけですから、せめてこれを相当部分実現できる方向まで運びまして、そうしてその上にさらに積み重ねていきたいという気持ちを持っておりまするので、第六次の発足はいたしかねておるわけですが、じゃ、委員でも取りかえてやったらどうかという御意見の方もあるけれども委員を取りかえたらいままでのことを御勉強なさる時間もたいへんですし、おそらくまた答申をいただくとすれば四年も五年もかかるであろう。じゃ、いままで長い間御苦労願った審議会委員先生にお願いするということになると、どういうことになるかというと、この間答申したばかりじゃないか、それをなぜあなた方はこれをまともに受け取って具体化されないのか、こう言われるにきまっておる、またそうはっきり言っておられる。そこで、私どもはやはり委員を取りかえるよりは、やはりいままで長い間御苦労いただいた学識経験者の方々を中核として、多少人の入れかわりはあるかもしれませんが、なるべく早い機会に第六次の審議会発足さして、そして残されている問題等については、また慎重に御審議願いたい、かように考えておる次第でございますし、段階でございます。
  5. 横川正市

    横川正市君 この大臣答弁ではですね、まあ私ども非常にむずかしいことだということの訴えは、それで了承できるわけなんですよ。しかし、たとえば学者とか学識経験者と言われる人の意見というものはどうかということで、それが国会現実に生きて動いている政治の場から見た場合に、学識経験者意見とは、まあいわば現実にマッチしない意見ですというような言い方を相互間でやるならば、私はあるいは大臣の言っているような答えで納得がいく問題だと思うのです。しかし、国民大ぜいがそうは私はなっておらぬと思うのですよ。たとえばですね、どこかのお坊さんが今度まあだいぶ買収供応をやったというので、新聞はこれはもう公器ですね、おそらくあれだけのスペースをとって報道するからには、これはやはり社会的に見ても、選挙のあり方についてはこれは相当大きなウエートを持った記事だというふうに私どもは受け取るわけですよ。しかし、検察当局はいろいろやっている間に、これは不起訴処分になりましたというのが次に出るわけですね。そういうのを見ている国民の一人一人の中に、坊さんが酒を飲んで無罪になるんなら、おれたちが酒を飲むのになぜ無罪にならぬのか。なぜ無罪になったのかといったら、坊主というのはいつでもかつでも法事だと言って酒を飲んでいるので、それが選挙の酒なのか法事の酒なのかわからないのだ。しかし、一般の庶民の生活からいけば、寄り集まって、さあひとつ慰労のために一ぱい飲もうかというようなことは、日常茶飯事のことになっているわけでしょう。しかし、それを選挙法というかっこうのものにとらえられると、うまく逃げたほうが無罪であり、ほんのささいなことで、まあと言ってコップ酒を飲んだ者が有罪ですよ。しかも、公民権何年停止ということになっておるわけですね。だから取り締まられる立場から、たとえば選挙法に対する関心というものは非常に強いということがひとつ言えると思う。これはわかると思うのですね、大臣も。それから最近の投票率の全体的な推移というものをずっと見ておりますと、これまた私は一つ問題が出てくるのじゃないかと思うのです。それからもう一つは、これは端的な例ですが、これは選管のほうで聞けばわかるのですが、全国一の投票率が高かったところは私は群馬県じゃないかと思う、今度の場合。どうして群馬県だけが飛び離れて選挙投票率というのが高かったか。これは言って見れば、選管立場からすれば、投票率が高ければほめられるべき問題であって、批判さるべき問題ではない。しかし、投票率が高かったという裏に何があったか。いま前橋の市議会はリコール運動を起こして市政そのもの停滞状態、桐生の保守系あるいは市会議員の問題も、これも相当大きな問題だというふうに、非常に大きな問題を惹起させておるわけです。いわゆる投票率が高かったという裏のまあできごとなわけです。そういうふうに見ると、取り締まられている立場の者が立ってみても、一体、現行法律については、これほどのことをしなきゃいけないのかと思っているのが、これは私は学者意見であり、経験者意見であった場合に、政治というのは一体これはどういうふうにこのむつかしい問題をこじつけているのかということになろうと思う。それから、全体的に投票率が悪くなってきているのに、私は本来ならば青年層や何かが多くなるべきなのに、そこが低下している原因は何かというと、もういままでの既成の政治概念に対しては、言ってみますと、投票しなかったらせいせいしたという気持ち。これは何人かのジャーナリストや、それから学識経験者文化人座談会の中で、投票しなかったことでせいせいしておる。これは私は民主政治に対して政治を行なっておる立場のものにすれば、たいへんなことだと思うのです。しかも、それが活字になり、あるいはニュースになり、テレビの写真になってどんどん出ていっている事実を、私どもはもっと厳粛にとらえなければいかぬと思うのです。それと同時に、投票率が高まった。ああよかったじゃないと思うのです。投票率が高かったその裏には、もうたいへんな事件というものが隠されているわけなんで、そういう点から考えますと、私は非常に、大臣立場で、いまいわゆるそういうようなこの構成をされている国会の中で、あるいは一つの党の中で論議をするということについては、これはもう非常にむつかしいとか、いろいろな意見が出るんだとか、なかなか取りまとめができないのだというようなことで推移ができない状態が今日の状態なんじゃないか。だから、その点ではやはり担当大臣事務当局というのは、これはもうほんとうに真剣にこれに取り組んでもらわないと、だれかからとやかく言われたら、それはもうそんな意見があるんならやってもしょうがないというようなかっこうのものではないんじゃないかと私は思うんですよ。これは、たとえば自民党さんが安保を通すのに、国会の中がどんなに混乱しようが、警察官がどんなに来ようが、通すくらいの勢いで最も政治的な案を通す気持ちになれば通せるわけですからね、実際には。そして、それがもし野党が反対をしたら、これは野党が壊滅的な打撃を受けるということになるわけでしょう。だから、いまのところ政治場所では批判をもらいながら、実際の政治権力というものは一つも動かない。固定化されているというのは、赤澤さん、これは何だと思いますか。正常な一票の行使で私はないと思うのですよ。実際にはまあ自民党総裁選挙があるようですが、しかし、そういうような正常でない選挙を行なって、総理総裁ができて、どれだけ責任政治がとれ、どれだけ国民から信頼を受けるか、そういう点を考えたらどうですか。私はきわめてこれは憂慮すべき問題だと思うのですね。野党の私が悲憤慷慨するだけのものではないと思うのですよ。政治をやっているものは皆同じじゃないかと思うのですね。だから、いま私は衆議院の一月選挙経験からも、いろいろな問題提起をして、それからその問題もめぐって国会の中でも何回か本会議の質問が行なわれ、そして法制化段階を終え、国会審議段階を終える。どうも私の腹では、率直に言いますけれどもね、政治資金規正法がかりにあなたのほうの案で通っても、選挙法だけはこれはまじめな形で通したかったと、こう思ってあの当時考えておりましたが、そういう経過をしながら、いまなお何らかの具体的な方針、確固たるものが持てない、こういうことでは私どもはこれはどこに問題をぶっつけていいかわからぬという状態になってしまうと思うのですよ。これは総裁選挙あと総理大臣が任命されて、閣僚が新しくなって、新しく発足するので、まあ赤澤さんはそのまま自治大臣でおるかどうか、これはわかりませんけれども、しかし、それだからと言って私は過ごされる問題ではないから、事務当局と一致して、いま改正しなければならぬ契緊の問題としては、自治省としては早期に国会に問題を提出させる、そういう準備があっていいんじゃないか。六次審議会なんていったら、審議会答申を待っておったら相当おくれますから、そのことはそのことで、すでに答申のできたことについては、今度はやるぞと、これはひとつはっきりした態度を示してもらいたいのですが。
  6. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 議論がたいへんいろい  ろな方向へ発展しておりますが、取り締まりのこ  とから触れますと、これはいうまでもなく警察当局としては違反取り締まり厳正中立で、不偏不党、公平にやる、こういうことでやっております。ただ、さばきの結果について、いろいろな御批判が生まれます。また、新聞の場合も扱いがずいぶん違うわけですね。それで、関係者が僧侶であったか、なかったかによってもまた扱いが違うことがあるかもしれません。やはり新聞新聞一つの目的がありますので、それに対してとやかく言ってみたところで始まらぬわけですが、さばくほうとしては、きわめて冷静にやっておられるはずですし、また、こういうものを摘発いたしますのも、厳正公平を旨としてやっておるつもりでございまするので、また個々のケースにつきましてでしたら、ここに担当官がおりますのでお答えできると思いますが、後段の大問題のほうは、やはり残念ながら日本民主政治の現段階を考えてみますと、国民全体の政治に関する意識、水準と申しますか、これが必ずしも私は高いとは思わない。まあ高い人ももちろんありますけれども、まだまだ十分ではないという判断が結局いろいろな事故になって起こるのじゃないか、これは法律を厳正にしたから直るという筋合いのものではなくして、やはり教育その他あらゆる機関を通じ、選挙に関しては、特に国民に与えられた重大な権利の一つですから、その行使はやはりこれはそれぞれ啓発指導によって厳正にこれが行なわれるということが最も望ましいが、まだ残念ながら多少時間がかかるのじゃないかというふうに思っております。  制度のことにつきましては、私は全く横川先生と同感ですね。それはやはり一つ指導理念と申しますか、強い姿勢をもって、とにかく断じてやるのだという気概をもってやれば、ある程度のことは私はできると思います。しかし、実際一つ法案をつくろうといたしますと、さっき申しましたように、関門がたくさんありまして、どうしてもこれを提案しようという段階にまで持ち運ぼうとすると容易ではない。私は微力にして、その任を果したわけではありません。ただ、たとえば規正法の問題にいたしましても、あれは実は重要な問題を含んでおるのです。金額が千万、二千万に頭を抜いたとか、いろいろなことを新聞もからかって書かれますけれども、やはり規正法の真髄というものは、政治資金公開の原則をいかにして担保するかということが中心であるべきはずです。だれが考えたって、そいつさえ明確にすれば、やはりこれは官報に出てくるわけですから、これは何の金だと言って拾えばすぐわかる。それがかりに先般の日通事件のように、日通が金の延べ棒で摘発されて、一ぱい政治家の名前が出てきた、こういうことがありますが、しかしながら、いままでの政治資金規正法では届け出ても届け出ないでもいいことになっているものだから、この人名を発表せいといったって、犯罪にならないものは発表しようがない、こういうことです。しかし、かりに先般の法律が通ったといたしますと、かりに日通が払い出しておった何のたれ兵衛への献金というものが、あるいは寄付金であれ、それが受け入れる政治団体の会計に載っていなかったら犯罪を構成するわけですから、議員を失格するでしょう。非常に重大な問題を含んでいるのだけれども、そういう提案すら審議価値なしということで一顧も与えられない、こういうことでなくて、私どももやはり規正法提案をいたしますからには、もう大骨小骨全部抜いたといって一応からかわれるけれども、そうではなくて、やはり真剣に現状また将来のことを考えて、ああいうものを苦労して策定したわけですから、審議段階でいろいろこういった問題について議論を重ねていただければ、なるほどそうかと、またこれが不十分じゃないかということが世間にもわかってくるし、私はそういう過程を通じてりっぱな法律ができる、かように考えておる。しかしながら、もう審議する価値なしということに扱われてしまったのでは、世間も知らなければ、私たちだってはなはだ本意ないことでございます。そういう点、いま申し上げてみたところでしかたありませんけれども、まだ次の国会もありますし、やっぱりこれはあくまで選挙資金だけでなくて、いろいろな答申が行なわれておりますが、これが具体化されるようにお互いの力でつとめなければならぬ、かように考えております。
  7. 横川正市

    横川正市君 その点はぜひお願いをしたいと思うのです。時間の関係もありますから、私どもはこれからなお一そうひとつ現状にマッチした法律制定努力をするつもりでおりますから、関係当局はその点十分私の気持ちをわかっていただいて、促進するようにお願いしたいと思うのです。  もう一つは、開票事務管理に関する件なんですが、これは選挙管理委員会の各都道府県、それから市町村段階選挙管理委員会に対するいわば選挙管理事務意思疎通といいますか、これは通常どういうふうにやられているかというのが一つなんです。  それからもう一つは、立ち会い人という制度、これは相手側からのいろいろな問題に対して独自の立場で選ばれるいわば利益代表ですね、その候補者利益代表。その人たち立ち会い人に対して無制限に意見が吐かれるものと、それからたとえば判例その他によって、ごり押しはいかに利益代表であっても通らないとかいうようないろいろなものがあるわけなんですが、選管開票事務をやる場合に、そこまで指導というものが徹底しているのかどうか。
  8. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) きわめて大事なことでございまするので、十分徹底いたしておるはずですし、それからもう疑問がありましたら、しかるべき筋を通じて明らかにするという仕組みになっております。
  9. 横川正市

    横川正市君 私は実は具体的な例をここで示していいのですがね。非常に何といいますか、立ち会い人の性格的な強引さによって有効になったり無効になったりする例があるのだけれども、これは私の例をとるのはちょっとなまなましいから、少しさかのぼってやりますと、たとえば鳥取県の中田さんの事件がありました。十何票か——十一票か二票。最高裁にいって中田さんの当選が確定しました。ああいうようなことだけでなしに、非常にたくさんな判例があって、本人の性格的なものではなしに、常識的な、あるいは法的な解釈によって有効無効という幾つかのものがあるわけですから、これは私は立ち会いに選ばれた人には簡明にわかるようなものを渡すか、そうでなければ疑問票というのは一番最後に残るわけですから、その疑問票取り扱いについては、たとえばこれは専門的な人がそれに介在をして、有効だ、無効だという両者の意見に対して、実はこうだというような指導的な措置をとるか、何かそういうことをしないと、非常に間違った結果というものが出てくるのじゃないかと思うのですが、これは実際の事務指導面でそれが可能なのか、可能でないのか。それで、私は実は自治省が、一省一局削減などというときに、選挙管理委員会に手をつけるなんということをやったときには、もうこれは非常に残念なことだと思っておりましたが、いまの立場からすれば、たとえば機構、それから予算とか人員とか、そういうものが担当関係選挙管理事務者として、一体、要望をするうちのどのぐらいしか満たされていないのか。この点は、これは事務当局の実際に事務をやっている人の意見としてお聞きしたいと思う。
  10. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 投票の効力の判定の問題でございますが、これは実際問題として非常にむずかしい問題でございまして、いろいろと見解が分かれる場合が多いわけでございます。で、法律的には開票立ち会い人意見を聞いて、開票管理者がきめる、こういう仕組みになっておりまして、開票立ち会い人が最後まで自分の主張を通すというわけにはいかないようになっております。最終的には開票管理者が判断をする、こういうことになっているわけでございます。この開票管理者と、あるいは自治省なり、あるいは選挙管理委員会なり、あるいは横の相互の開票管理者と意思の疎通の問題でございますが、こういう点は、長い間の判例等を基礎にして、またそれに行政実例を入れまして、お互い意思の統一をはかるように機会あるごとにこれはつとめておるわけでございます。しかし、何ぶんにも抽象的な問題でなくて、具体的な筆記体——字の形であるとか、あるいはその選挙における他の候補者の名前の問題であるとか、いろいろありまして、抽象的にはきめかねる点が多いわけでございます。しかし、そういっておりましてもそこに問題が出ては困りますので、御指摘のように、さらに努力をして、なるべく統一的な見解のつくようにつとめたいと思っております。なお、この機構なり、あるいは予算の問題でございますけれども、これは長い間の選挙をやってきておるわけでございますが、もちろんその中には、たとえば積極的に啓発の仕事をやっていくとか、そういう意味で予算が思うとおりに取れないとかという点はございますけれども選挙の管理、執行の点につきましては、大体いま要望の線も満たしているものと、かように思っているわけでございます。
  11. 横川正市

    横川正市君 これはひとつ大臣に強く要望をいたしておきたいと思うんですが、選挙関係についての違反か、違法か、あるいは適法かというような問題も含めて、選挙関係一切の事務をできるだけこれは選挙管理委員会が行なえるように、これはある意味において司直の手をわずらわすことはあっても、できるだけ私はこの選挙管理事務の中で行なえるようなそういう方向をとるべきだと、これは非常に重要な問題だと私は思うので、いま抽象的に聞きましたけれども、おそらく、できない問題が非常にたくさんあると思うのです、大切なことで。予算の面、人員の面、また機構上、これはぜひひとつ検討していただくように、これはいろいろあります、意見もたくさんありますけれども、時間がないので要望だけにとどめておきたいと思います。  そこで、三番目の選挙違反関係取り締まりの問題と、それから恩赦関係なんですが、大臣、この選挙違反というものは、いわば法律的に見て、食糧管理法物価統制令と同じような地位の法律というか、そういうものなのかどうかという点なんですよ、選挙違反というものは。今度の恩赦の大体一番大きな目的が——恩赦というのはけしからぬことには、すでに裁判請求をして、まだ最高裁までいっているか、どうかわからないが、そういう事犯にかかっている人が、現実にもう来年の何月は選挙だ、それで選挙の準備を始めた。そういう人たちは何と言っているかというと、いや恩赦でおれはもう公明正大になるのだからいいんだと言って、もうあらかじめ何カ月も前に選挙のための準備をやり始めている。そうすると、恩赦というものの考え方の中に、選挙法というのはこれはもう全く密接な関連性を持ったもので、私はどうも有名無実になった食糧管理法物価統制令恩赦に触れるなんということはある程度理解できるのだけれども、いま現実に、たとえば悪質犯と思われる買収供応等の行為を行なった者を恩赦の対象とするという、こういう行き方というのは、いささかこれは行き過ぎなんじゃないかというように思うのですけれども、もうやっちゃったのですからね。しかし、やっちゃったのだけれども考え方としてはどういう考え方だかは明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  12. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 恩赦は私の直接の所管ではありませんけれども、閣議できめました責任もありますので申し上げますけれども、いまの選挙法というものを法律のうちではどう考えるかということですが、憲法は国の基本法ですから、世界どこでもこれは一段上の法律と考えておりますけれども、その他の法律には私は軽重はないというふうに判断をしております。  それから恩赦についてですけれども、これは先生御承知のとおりに、歴史的に見まして、やはり政治犯と常事犯というのは少し扱いが違うように私は見ております。政治犯の場合は国によってはきわめて過酷と思われるような処罰をしてみたり、あるいはごく軽く扱ってみたり、また恩赦などの場合にも政治犯というものを別に扱おうとするような風潮がどこでもあるわけでございます。だといって、私は犯罪そのものは法律の上からいっては区別すべきものではない。そこで、今度も大赦という全部の犯罪者を御破算にしてしまうということでなくて、また政令恩赦と俗に言うておりまするけれども、政令減刑というようなこともやらないで、やはりこれは政令によりますけれども、復権だとか、個別恩赦、このぐらいのようなところでやるのが、まあまあ明治百年記念というこの際のことだから適当であろうという御判断を、最終は総理大臣がやられました。閣議ではいろいろ議論があった。ありましたけれども、そういうことでおさめがついたわけでございます。ですから、先般、総理がきめられたことは、私どもは、恩赦をやります上においてはまずまず今回はいい線であったのではないか、かように判断しております。
  13. 横川正市

    横川正市君 まあ私は、それはやったことに対しては国民批判して、選挙のときに票にあらわれればいいんだというような言われ方をするのは非常に心外なのは、あなた自身が、選挙民というのはそれほど政治意識そのものについて高くはないのだと、だから、そういうふうに考えていながら、その意識が低いと思っている大衆に結果というものをまかせるという、そういう何か行き方をやるのは私はどうも場当たりの意見だと思うのですよ。もっとやはり、たとえば大多数の意見も代表するような、そういう意見があって、恩赦、大赦、こういったものはけしからぬじゃないか、ことに今度の場合にやるようなかっこうはとるべきじゃないと、こう言っているのに、なおかつ、それをやった原因を新聞はこう見ていますよね。結局、自分の手勢がすぐ選挙を前において間に合わない。この手勢を白紙にして、そうして自分の選挙を有利にするためにやったのだという、そういうことをいわれるわけですよ。そういうことじゃないといってもいわれている事実があるわけですからね。だからもっとこの点は政治姿勢の問題としては、現況は私は間違いなんじゃないか、こういうふうに思いますね。大臣は妥当だと言われているようだけれども、長い目で見て私はこれは妥当なことじゃない、こういう歴史の審判が下りそうな問題だ、こう思いますね。ことに今度の場合にこういう事件が起こるわけですよ。十一月一日以前の問題については今度の恩赦に該当するが、それまでにたとえば起訴されて略式とか、あるいは裁判にかかっているとか、いろいろなものがあって、なおかつ結審になっておらない問題については、今度はまた新たな現行どおりの問題が出るわけですよ。本人がこれはもうけしからぬと思って本訴に持ち込む、あるいは控訴している分についてはそのまま残り、しかも裁判官や検察官の判断は現行法に基づいて判断をし、恩赦という次元において、それよりももっと悪質であったものについては復権が行なわれて、そうして公明白日な身になるという、いわゆる法は公平にして平等であるべきものが、その次元の違いできわめて不公平な結果を生むという、そういうことになってしまうのですよ。政治犯についてなどということが、もしいま言われるように、過酷であったり、あるいは恩恵的だったりするような流れというのは権力ですよ、時の権力のあり方ですよ。その国家権力のあり方というもので私は左右されるような時代とはいま違ってきているわけなんだから、そういう点で法律は、結局根本においては現行にそぐわない法律は早く直さなければならないし、現行にそぐわっていかなければならないだろうし、そしてまた公平な法の保護という立場からすれば、これはまんべんなく受けるようなかっこう、これはどうやったらとれるかというふうに理解しなければならないし、その点をごちゃごちゃにしておくから、私は国に対するいわば信頼というか、尊敬とか、こういったことがなくなっちまって、あいつらはあいつらでかってにやりやがれ、おれはおれでかってにやるということになってしまうわけですから、私はそういう点から非常にこの問題は大切なことだと思うんですよ。恩赦そのものについて、いままあ大臣は、総理の裁断が妥当なものだと、こう言われておりますが、私はこれは妥当ではなかったと、しかも一般世論もそういうことを支持しているのだということだけは、これははっきりと申し上げておきたいと思うんです。  そこで取り締まり当局も、今度の選挙の場合の一つ方針として、たとえば買収、供応、選挙の自由妨害と、実質犯に伴う問題について出ているわけなんですが、これは一体新聞で私どもは承知するだけで、検察官の合同会議やなんかで、あなたたちがいろいろ下部へ浸透させる内容についてはよくわからないのですけれども、今度の場合はどういう力点を置かれ、それから現状をどういうふうに把握をされて、取り締まりの大本というものをきめられたか、それを下部にまでどういう形で浸透されているのか。  で、きわめて心外な点を一例だけ申し上げておきますと、私どもは取り調べを受けた人からこういう意見を聞くのです。あなたたちは一将功なって万骨枯るということを知っているか、何も彼のためにこんなことまでして何で選挙をやらなければいけないのだというようなことを言いながら、取り調べの衝に当たるという取り調べ官がいるようなんです。まあこれは一例ですがね。それは私がいま言ったように、大本として、今度はどういうかっこうで選挙というものを取り締まるかという中に、先ほど私が言いましたように、もうすでに形式犯その他については、公正な選挙の妨害だと、取り締まりの強化は。あるいは民主政治選挙に非常におそれを抱いた国民大衆がたくさんになるにしたがって、これは自由な投票というのは阻害されるから、この面からもいわば形式犯等の取り締まりについては問題があると、こう私どもは思っておるわけなんです。たとえば時間を過ぎて連呼をやった、連呼行為は禁止されているといったら、これがいわゆる何か警告一件というかっこうで報道されるわけですよ。だから新聞で今度の参議院選挙で警告何件、何々件と出てくる中には、非常に大きなものもあるし、それから小さいものもある。たとえば何々をやりましたといって、実質犯に該当するようなものであっても、警告になるかもしれないし、ほんのちょっと時間外に連呼したら、これも警告、しかし警告何件といっても、選挙一つの行なわれた体質によってその結論になってしまうというような件があるわけですが、私はその中で大体形式犯の占めている割合というものは相当高いのじゃないか、また実際上取り締まりをされている人たちは、上からはこう言われているけれども、だんだんその中に既定の選挙取り締まり概念といいますか、そんなものがあって、そういうことが強くなって、実際上は時間の推移にマッチした取り締まりができないという結果になるのじゃないか。これはくどくは申しませんが、今度の大体取り締まり方針、そしてそれがどういうふうに下部に浸透されたのか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  14. 内海倫

    説明員(内海倫君) 選挙の場合におきます基本的な取り締まり方針でございますが、私どもずいぶん選挙の回数を重ねておりまして、そのつど、私どものほうで基本的な取り締まり方針というものを定めて、これを全国の警察に示すわけでございますが、選挙の回数を重ねますごとに、その前における選挙取り締まりにおける教訓というものを十分織り込みまして、さらに次の選挙においては、そうした教訓に基づいてより適正なより合理的な取り締まり方針というものを策定するわけであります。その基本は、先ほど大臣も申しましたように、厳正公平、不偏不党というものが、何と申しましても警察における選挙法違反取り締まりの基本でなければならないわけであります。これをまず厳格に指示をいたしております。取り締まりの内容につきましては、やはり実質犯あるいは買収、供応、自由妨害というふうな非常に悪質な違反というものを重点に取り締まりを行なうようにという方針を出し、形式犯等につきましては、できることならば、警告を繰り返し、なおそういうふうな警告によっても敢行されておる形式犯については残念ながら取り締まらざるを得ない。しかしながら、実質犯と形式犯というものを比較いたしまする場合、実質犯を重点に置いてこれを行なうということが、内容における問題、人権尊重ということは、ひとり選挙違反取り締まりだけの問題でなくて、私どもの仕事をしていく上における最も大事な問題でありますけれども、とりわけ選挙法違反取り締まりという場合におきましては、この点を重視して、きびしくその問題について指示をいたしております。  最後に、先ほども一つの例ということで言われましたが、こういう取り締まりに従事する警察官の言動というものについて、これはまた長い間におけるいろいろな教訓があるわけでございます。これらを積み重ねて具体的に指示をいたしておるところであります。  以上申し上げたようなものを骨子として方針を定め、これの趣旨の徹底につきましては、具体的には選挙の行なわれる若干前に本部長会議を招集いたしまして、ほとんどそのことだけのために各面からの指示を本部長に対して行なうわけであります。さらに本部長はこれを持ち帰りまして、自分の部下に対して徹底した指示をいたしております。しかし、もちろんそれだけでなく、私ども地方に出向きまして指導する、あるいは文書をもって指導するというふうなことで、趣旨の徹底にはきわめて大きな努力をいたしておるところであります。しかしながら、多数の警察官があり、さらに警察官の中には、警察官になりましてからまだ経験の浅い者もおりまして、先ほど例示をされましたような、まことにその関係者に対して失礼きわまることをついうかつに言う者もおるようでございます。私どもは心外ではありますけれども、こういうふうなことがありましたならば、そのつどきびしい態度をもってこの是正につとめておるところでございます。まあ以上が私どもの基本的な取り締まり方針でございます。  なお、警告ということについて御意見を承りましたが、まあ私どもとしましては、確かに仰せられますように、選挙法の規定の内容について、取り締まりという立場だけから見ても非常に考えさせられる点もあるわけでございます。そういうことをかね合わせまして、直ちにこの法条に違反したからすぐ手続によって検挙措置をとらなければいけないというふうなことは実態に反する。されど法令に反しておる行為が行なわれておるというのをそのまま看過することもできない。したがって、警告という形をもって自発的にそういう違法の状態を解消してもらう、こういうふうなことで警告を行なっておる次第でございます。  最後に、取り締まり立場から見ましても、確かに取り締まられる側においても苦悩は多いと思いますが、同時にまた取り締まる側におきましても一つ一つについて非常な苦悩を感じつつ、しかしながら法規が存するわけでございますので、これに反する行為があれば措置をとらざるを得ないということで、決してそこに法があるからやりさえすればいいんだというふうな気持ちでこれに当たっておるわけではございません。しかも選挙の場合、相対する候補者関係でございますので、ひとり警察だけでなく、いろいろな方から、あるいはいろいろな運動員から、これはどうしたんだ、これは違反ではないかというふうな指摘も相当あるわけであります。そういうことも合わせまして、私どもは決して法規一点張りというふうなことで取り締まりに当たっておるわけではなく、あらゆる面を考えながら、何とかほんとうの選挙の真精神が実現するようにという気持ちをもって選挙違反取り締まりに当たっておる次第でございます。
  15. 横川正市

    横川正市君 もう一点お伺いしたいのは、違反が起こるかもしらないということを予見して対策を立てますか。それとも、現実に起こったかどうかというのを、いわば実質的に、実質犯で現場確認ができたその段階で捜査というのが始まるわけですか、その点どちらを重点に置かれておるか。
  16. 内海倫

    説明員(内海倫君) 私どもは予見をして、そこに焦点を合わせていくというふうなことではなくて、やはりあらわれてくる違反に対してこれに対する取り締まりを行なうというのが本旨でございます。ただまあ、しかしながら、きわめて客観的に見て違反のおそれが多いというふうな場合には警告とか何とかいう、そういうかた苦しいことでなく、いわゆる公正な選挙が行なわれるために、あるいはいたずらに罪人が出ることのないために、そういうふうなことに対するいわゆる警告というふうなことはございますが、違反を予見して、そこに焦点を合わせて、出てくるのを待つというふうなことは、決していたしておるわけではございません。
  17. 横川正市

    横川正市君 国会委員会審議ですから、おれのほうはこうやったのに、あっちのほうは野放しにしているじゃないか、あっちのほうはこうやったのにおれのほうはどうなんだという、そういう言い方は、これは一切差し控えたいと思います。  そこで取り締まり当局としては、これは言いづらいかもわかりませんが、恩赦のようなものを目の前にして、これから十一月一日以降の問題と取り組むのに、取り締まり当局としてはどうですか。これは実際にあまりそんなことは全部忘れ去って、事犯だけに取り組むというかっこうになりますか。恩赦というものがどんな影響を与えておるか、これは率直に聞かせていただきたいと思います。
  18. 内海倫

    説明員(内海倫君) 恩赦というものは制度上行なわれることのあるべきものでございますので、これらについては、それが行なわれました時点において、いろいろそういう必要がありということで行なわれるものと考えております。私ども取り締まりに当たっております者は、先ほども言いましたように、決してしゃくし定木ではございませんけれども、しかしながら、やはりその法の規定に従って、それに違反する行為があればやはり取り締まりはしておかなければならない。そこのところは取り締まりに当たる立場の者は、やはりそういう事柄にある程度徹していかざるを得ない、こういうふうに考えております。
  19. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連。大臣恩赦の問題で閣議でもいろいろな意見があったと、横川さんの質問に答えられた中にそういうことを言われましたね。いろいろな意見があったということは、幾ら何でも、選挙違反をパーにしてしまうなどということはあつかましい限りだから、遠慮したらよろしいというふうな意見もあったのかどうか。そうじゃなくて、やれやれという意見ばかりだったのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  20. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) どうも閣議の席でだれが何を言ったかということは、ちょっと申し上げるわけにはまいりませんけれども、やはりこの際の恩赦は見合わせてしかるべきだという意味の発言をなさった方も中にはあります。しかし大勢は、やはり先般講和条約を結びましたときにもありましたし、何年目かにこういうことをやることにずっとなっておるわけです。法律というものはいかにきびしいものでありましても、しょせん人間がつくるものですから、それはときにはおめでたいときやなんか、記念の行事があるときには、まあとにかく減刑するとか、あるいは刑を免除するとかいうふうなことがあってもいいし、世界各国やっておるわけですから、まあ今度の明治百年記念がそれに該当するかどうかということについては、これは皆さん異論があると思います。しかし、世間ではよくこういうことを言いますと、すぐ新聞紙上なんかに反対の意見が出てくる。それは何をやりましても賛否両論ございますので、みんなが一々一人残らず賛成ということにはまいりませんので、いろいろ議論は尽くしましたが、結局全部一本にまとまるということじゃなくて、最終は法務大臣に一任、しかも総理が裁断を下す、こういうことになったわけでございます。
  21. 多田省吾

    ○多田省吾君 恩赦に関連しましてお尋ねしたいんですが、今度の総理のおっしゃった明治百年に関する恩赦で刑事局長にお尋ねしたんですが、大体こういう復権とか、個別恩赦の内容で、昨年も衆議院選挙、また統一地方選挙、またことしは参議院選挙が行なわれましたが、大体何人ぐらい選挙法違反の問題で恩赦の恩恵を受けるのか、おわかりでしたらちょっとおっしゃっていただきたい。
  22. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 私は、刑事局の参事官で、恩赦関係の直接の担当ではありませんので、今回の恩赦によりまして、たとえば政令復権の対象になる者はおよそ何人いるかどうかというようなことについて、本日こまかい——おそらく担当の保護局恩赦課のほうに問い合わせればすぐわかると思いますが、本日はこまかい数字を持ち合わせてきておりませんので、よく正確なことはわかりません。
  23. 多田省吾

    ○多田省吾君 この政令恩赦、いわゆる選挙法違反恩赦については、ことしの衆議院の予算委員会等においても、法務大臣が、そういうことは考えていない、こう言っておりました。また参議院におきましても、五月十三日の本会議で、私が政治資金規正法問題にからんで質問いたしましたときに、佐藤総理大臣は、「罰則、連座等の規定はあっても、明治百年の恩赦ということがあったら何にもならぬじゃないか、こういう御指摘でありますが、政令恩赦を実施することは考えておりません。」と、はっきり述べられていたにもかかわらず、国民の大多数の世論に反して、今度政令恩赦を実施したということは、これは私たちとして、はなはだけしからぬことである。まあ四万人以上にも及ぶであろうところの選挙法違反者が、公民権停止の人もほとんど復権して、そして今度の衆議院選においては、大手をふってまかり通るようになるんじゃないか、それを見越しているんじゃないかという、まあこれは大方の意見でございます。私は、選挙関係担当大臣として、多額の国費を使って、いつも選挙のたびごとに選挙の啓発等もなさっております、また明るく正しい選挙のためにということもおっしゃっているようでありますけれども、こういった恩赦の問題で、これがまかり通るようなことになりますと、担当大臣としては、これは困るんじゃないか、こう私は思うわけです。赤澤自治大臣としては、そういう閣議の席上で、一応私たちが伺っているところによりますと、法務大臣等は、一応こういう政令恩赦に対して反対したようなことがコラム等に出ておりましたけれども自治大臣は、そういった閣議で反対の意思を何ら表明されたことはないんですか。そうだとすれば、私ははなはだおかしい。どうですか。
  24. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) やはり私と法務大臣とは、この問題についてはちょっと見方が違うのは当然だと思う。それは、法務大臣は処罰するほうだし、私のほうは摘発するほうですから。しかし、ものがきまってしまったあとで、その閣議の席でだれが何と言ったか、だれの立場はどうであったかという、いまの段階で申し上げることは百害あって一利なしというふうにも考えますし、いやしくも閣議でいろいろ議論をして、そして総理が最終の断を下したわけですから、私は、いまの段階ではそれが正しい政府の方針であるというふうに考えておるわけでございます。
  25. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、ほかの大臣の述べられた、述べられない、というような意見を聞いているのじゃなくて、赤澤自治大臣御当人、あなたが閣議でどういうお話をなさったか、どういうお考えをお持ちであったかということを聞きたいと思って聞いたわけです。その問題に対して、それは終わってから総理から決裁のあったこをあとから言うのはおかしいとおっしゃるほうがおかしいと思うんです。担当大臣として、選挙あるいは政令恩赦に関して最も関係あるのは、やはり法務大臣自治大臣だと私は思います。そういう意味で法務大臣は一応反対していらっしゃる。ところが自治大臣としては先ほど、総理の決裁はいい線ではなかったかというような御発言もさっきございましたけれども、これは私たちとして、はなはだ不見識きわまる発言じゃないかと思う。さだめしそういうお答えなら、閣議の席上でもだまっておられたか、あるいは賛成なされたのではないかとも考えられますし、そういう態度であっては、今後の明るく正しい選挙という啓発に対しても、国費を何億、何十億と使って、そして各県の選挙管理委員会あるいは担当者に対して、あるいは国民全体に対して、明るく正しい選挙をしなさいというような啓発は、そういう態度で今後できるかどうか。もし、今度の内閣改造なんかでおやめになるんだから、私は関係ないとおっしゃるなら別でございますけれども、そういうことも今後予想しておられるのか。私は、先ほどの、総理の裁定はいい線ではなかったかというような御発言は、これは自治大臣として、はなはだ不見識きわまるものであり、慎しむべきではないか。前向きで行くべきではないか。そうしなければ、今後の日本選挙が明るく正しい方向に向くはずはない、こう思いますけれども、いかがでございますか。
  26. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) なかなかむずかしい御質問ですが、選挙啓発指導はますます熱心にやっていかなきゃならぬというふうに考えます。一方、順法精神をつちかい、また法秩序というものを厳正に保っていくということは、私どもの責任でございます。ですから、私のその立場というものをちょっと申し上げたわけですが、しかし私も閣僚でございまして、内閣は一体ですから、いまきまってしまったあとにおいて、いや実は総理の決定に反対だということは、一閣僚としては言える立場でもありませんし、ですからいろいろ検討いたしまして、それを総合して総理としての一つの断を下されたわけですから、私はいまの段階ではこれが正しいのだということを申し上げた。ただ、かと言って、将来にわたって何もその順法精神にきずがつくようなことは、私どもは決していたさないつもりですし、まあ後任者がだれであろうが同じことであると、私考えております。
  27. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本件に関する調査は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  28. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、選挙人名簿の運用に関する件、選挙制度改正に関する当面の諸問題に関する件及び参議院地方区定数の是正に関する件を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  29. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、現在の永久選挙人名簿の運用に関しまして最初にお尋ねいたします。  この前赤澤自治大臣が三重にいらっしゃいまして、そしてこういう発言をなさったと「夕刊三重」に伝えられておまりす。「公明党は選挙政党で、例えば会員が移籍して選挙権を得るというやり方など、事務当局に検討さしているがなかなかチェックできないむつかしい問題だ。全国共通の悩みで、何とか方法をみつけ、間違ったルールで選挙をしないようにしたいと考えている。」、いつもこの委員会で、新聞紙上に載った赤澤自治大臣の発言をとらえて質問いたしますと、そういうことを言った覚えはないと必ずのようにおっしゃいますので、念のために「夕刊三重」の新聞社の山下取締役社長にも正式に伺ったところ、十月十三日に返答が来まして、「「赤澤自治相が語る」件に関する回答」として、「当社昭和四十三年九月十四日附本紙に掲載された「赤澤自治相が語る」の記事中「公明党は選挙政党で例えば会員が移籍して選挙権を得るというやり方など事務局に検討させているがなかなかチェックできないむつかしい問題だ。全国共通の悩みで、何とか方法をみつけ間違ったルールで選挙をしないようにしたいと考えている」とあるのは當社の主観記事ではなく、あくまでも赤澤自治大臣の談話を骨子として発表したものである。」と、こういう回答ももらっているわけでございます。で、この前、住民基本台帳と永久選挙人名簿の照合に関して、十月十六日に行政局長から通達が出ている。また、行政局の振興課長からは十一月五日にまた同じものが出ておりますけれども、これはもう昨年から住民基本台帳の問題で、来年の七月からこれは実行される問題ですから、これは当然照合してしかるべき問題であると思います。ところが、今回の記者会見においても自治大臣は、あたかもこの三重発言にからんで、住民基本台帳と永久選挙人名簿の照合をやらせるのだというような発言もなさっているようでございますけれども、私はこれは関係ないと思っているのでございます。当然これは来年の七月に備えてやるべき問題ですから、私は直接の関係はないと思います。そういうものとからめておっしゃるのも、何か意図があられるのではないかと勘ぐられます。私は、一昨年の参議院公職選挙法特別委員会におきまして、北條委員からも、総理がここにいらっしゃったときに、このいわゆる集団移動あるいは、不正住居移転の問題で質問したときのことを覚えております。そのときは長野行政局長も選挙局長としていらっしゃいましたから、当然おわかりのことだと思います。このいわゆる集団移動というデマが飛んだのは、三十九年の四月に衆議院選挙法特別改正委員会でまあそういう話が持ち出されたのでありますが、その後参議院の予算委員会等において、時の吉武自治大臣等にその問題を追及したときに、それは全然そういうことはありません、また考えてもおりませんと、そういうはっきりした答弁もあり、また衆議院選挙法特別委員会でおっしゃった本人も、そういうことは確証があって言ったことじゃないと、こういうことをはっきり言っているわけです。申しわけないとも言っているわけですね。その後三十九年の六月十日、東京都選管が、正式見解として、集団移動の事実のないこともはっきりと表明しておりますし、そういった表明は数限りなくあります。そうして昭和四十一年——一昨年の、これはここに持ってきておりますけれども、五月三十一日の当委員会においても、北條委員の質問に対して佐藤総理大臣は、「政府はさような疑いも持っておらない、かように御了承をいただきます。」とはっきり申しております。その後二年たって、赤澤自治大臣から、いわゆる三重でこういった発言をされるということは、公党としもて大きなこれは迷惑であり、そうして調査もなさらないでそういうことをおっしゃるということは、これははなはだ不見識ではないかと私たちは思っているわけでございます。自治大臣はこの問題をどう考えておりますか、最初にお伺いしたいと思います。
  30. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) このことについては、公明党さんと私はたいへん縁がございまして、三十九年のあの問題が起こったときは私自治大臣をしておりまして、国会で幾たびか答弁をしているのです。また今度自治大臣になりましたところ、この問題が起こってきた。これは私は意識的に何かものを考えたり処理しようとしているわけではありませんので、あなたのおっしゃいましたように、やはりこの選挙人名簿というものはちゃんと正しい形を整えておかなければならぬことは言うまでもありませんから、やはり来年の七月には選挙人名簿と住民台帳とリンクすることにもなっておりますし、間違わないように始終通達をいたしまして、注意も喚起しているわけです。三重での私の発言は、記者会見したわけでもないのですが、ただ私の衆議院の同僚の野呂君のうちへちょっと立ち寄りました。後援会の方が数名おられて、そこでいろいろと話をしたわけですが、そういう内輪の席ですから、私も少し過ぎたことを言ったかもしれませんけれども、しかしそれは、中身は私はいま覚えておりませんが、ただいま述べられたようなことを私は言った記憶はないわけです。これは速記とっておったわけでもありますまいけれども、ちょっと間違いますとペンがどっちへ走っていくかわからない。ただうわさは確かにあるのですよ、前の選挙のときだって。うわさがあるということは、うわさがあって迷惑しているということは、公明党の方も言っていらっしゃるわけですから。ただ、真偽のほどは、それは絶対間違いありませんという資料は私のほうにはないわけですので、それは私のほうとしては、選挙人名簿というものは正しいものを置いておかなければなりませんから、やはりそういったことも頭に置きながら調査を——頭に置きながらということはおかしいけれども、正しい姿に置くように調査は始終しなければならない、これが私の立場でございます。ですから、何か選挙のたびごとにことさら有権者が他の選挙区へ移動するなどということについて、私は事実は全然知らぬわけでございますので、その点は明確に申し上げておきます。
  31. 多田省吾

    ○多田省吾君 赤澤自治大臣としては、そういう永久選挙人名簿が実施されている今日、そういった不正の住居移転がどういうふうに行なわれているか、もしあるとすれば具体的にどういうふうに行なわれているかということを、前からそういうお調べもあっているでしょうし、また当局にもお尋ねになっていると思いますけれども、どういうものが一体集団移動であり、また不正住居移転であるか、その定義をひとつお聞かせいただきたい。
  32. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) どういう御質問の意味かわかりませんが、定義ということは、どういう立場の人が住民としてその基本台帳なりあるいは選挙人名簿に登録されるべきものであるかということは、事務当局から具体的に申し上げさせます。
  33. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 御承知のように、住民基本台帳に基づく住民票の記載というものは、個々の市町村に住民が住居をかまえたときに直ちにこれを行なう、こういうたてまえになっております。  そうして、選挙人名簿のほうは、そこに住所をかまえてから三カ月を過ぎますと、名簿の登録期が参りました際に、新しく補充登録をすると、こういうたてまえになっております。  それで、いわゆる虚偽の登録とかあるいは集団的な移動というような問題は、私たち実態がどういうものであるかは存じませんけれども、要するに住所の移転の事実がないのに登録をしているということがあるとすれば、そういうものをさすのじゃなかろうか、こういうふうに思っております。  私たちとしましては、名簿が正しいものでなければならぬということは、これは申すまでもないのでありまして、ただ従来も、居住をしておって名簿に載らなかったとか、あるいは常に居住をしてないのに名簿に間違って載っておったというケースが、これはときどき出てまいるわけであります。そういうことがあるとすれば、これはまことにたいへんでございますので、常にあらゆる機会に正しいものに是正するように努力しておるわけです。
  34. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ、いまの選挙部長のお話で、結局全然具体的に移動していないのに、あたかも移動したかのごとく書類をつくり、また永久選挙人名簿に登録してしまうということが不正住居移転である、そのようなお答えがございましたけれども自治大臣も、そういったことがあったらまずいと、こういうふうにお考えなんですか。
  35. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) そうでございます。
  36. 多田省吾

    ○多田省吾君 担当大臣が、たとえ、こういった野呂代議士の事務所を訪れたときにお話しなさったというお話でありますけれども、まあ新聞記者もそこにいたんじゃないかと思いますけれども、はっきり申しました。「夕刊三重」のトップにこういったふうに大きく報道されているわけですよ。それで、新聞社の社長からも、もう骨子においては間違いなく伝えていると、自信持って証明までされているわけです。先ほどの自治大臣のそういう答弁というものは、非常に無責任な、いま覚えてないとか、あるいはそういったことを言った覚えはないとか。ぼくは、はなはだこれは公党に対する大きな職権を利用した侮辱であり、中傷であると、このように思わざるを得ません。ほんとうに大臣が、二年前からの自治大臣としておられたときに、そういった集団移動の問題が予算委員会段階で出されたという以上は、やはり、いろいろ認識もおありだし、またその後二年間というものは当然心にもかけておられたことだろうと思います。しかも、この報道では、単なるうわさがあるというだけじゃなくて、「間違ったルールで選挙をしないようにしたいと考えている。」とか、「公明党は選挙政党」だとか、まあこういうことをここでおっしゃているわけですよ。まことにこれは軽はずみであり、自治大臣がここで何らかのこういった問題に関してのはっきりした御答弁がなければ、私はここで引き下がれない。そういう、言った覚えはないとか、それから骨子をはき違えているとか、こういう責任のがれの答弁では、私はどこまでも納得できないですね。全然言わなかったわけでもありますまい。ですから、自治大臣として、いずこであろうと、こういったことを担当大臣としておっしゃられることがどういう大きな影響を及ぼすかということを考えておっしゃっているのか、そうして少しでもこういった事実があるかないか調査された結果おっしゃったのか、うわさが流れているからいい機会だと思っておっしゃったのか、その点を明確にひとつ御答弁願いたいと思うのです。そうでなければ話が進みません。
  37. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) わかりませんことをおっしゃられるので困ってしまうわけですが、そうでなくて、ちょうどここへたまたま局長が持ってまいりましたが、三十九年六月五日の参議院でのこの問題に対する質疑応答がある。そのときも中尾辰義さんという方が同じことを言っている。「この権威ある国会におきまして軽々なる答弁はつつしむべきである、非常に影響は尽大であります。」というようなことを言っておられる。国会答弁というものは、言うまでもなく、軽率なことを言えるわけのものではありませんので、もちろん慎重にしておるわけであります。ですから、私の答弁の記録をお調べいただいても、私はただいまおっしゃったようなことをここで言っているはずもありませんし、また新聞社の社長が何を言ったか存じませんが、しかし、公明党は選挙政党だといっても、自民党だって選挙政党で、選挙をしない政党はないと思うのです。  それから、そういう選挙のたびに選挙区を移動したり何かしたり、これは違法なことは言うまでもありませんが、そういうことがないように気をつけるというのが私のやはり責務でもありますので、そういうことに十分注意することは当然のことだと思います。だから、軽率な発言だとおっしゃいますけれども、私は軽率な発言とは思いません。ですから、よく記録を調べていただいて、そうして御指摘になっている点が軽率だとおっしゃるなら、これは改めなければならぬと思います。
  38. 多田省吾

    ○多田省吾君 話を変えてお伺いしますけれども、こういう公明党のいわゆる不正住居移転があるといううわさに基づいて、今度のいわゆる永久選挙人名簿と住民台帳を照合するように指示をされたわけですか、その点どうですか。
  39. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 公明党を対象として言っておるわけではないということを私は申し上げたのです。ただうわさは、これは日本国じゅう言っている者があるものですから、私はそのことは承知しております。それとこれとは別なんでして、やはりそういう不正が行なわれるのは選挙だけではありません。すべてそういうものは正していかなければなりませんから、私はやはりやらなければならぬことはやっておるということをいま申し上げたわけでございます。事があるようにおとりくださらぬようにお願いいたします。
  40. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、三十九年の六月にも参議院の予算委員会自治大臣担当大臣として御答弁なさり、また四十一年の五月三十一日にもこの委員会総理大臣みずから「政府はさような疑いも持っておらない」とはっきり答弁なさっているのに、自治大臣が、あたかもそういううわさを取り上げて、だから調査させるのだというような意味のことをおっしゃるということ自体が、これは不見識じゃないか、担当大臣としてこれは職権を乱用した中傷じゃないかと、こう思わざるを得ないわけです。  で、いま、選挙政党——自民党だってみな選挙政党だということをおっしゃっておりますが、これはそこだけ取り上げたらそうかもしれませんが、そのあとで「例えば会員が移籍して選挙権を得るというやり方など、」、こういうことに関連して選挙政党だという中傷なんです。単なる選挙政党ということば自体じゃないのです。これに関連をしなければ意味が違ってくる。ですから私は、はっきり、予算委員会でも、また当委員会でも、こういったことが調査され、総理大臣みずから、そういう疑惑は抱いておらない。もし疑惑を抱いているならば、一昨年の時点において調査させたでありましょうし、決着がついていることをまたあらためて持ち出したということは、何か意味があるのじゃないかと思われるのですが、事実私としては非常な迷惑をこうむっているわけです。自民党の一代議士が何も代議士の事務所でおっしゃったのとは意味が違う。自治大臣としてやはり発言したことだからこそ、こういう「夕刊三重」のトップを飾るような記事にもなったと思うのですが、やはり私は、軽はずみであり、不見識であると、こう思わざるを得ない。どうですか。
  41. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 何べんも同じことを御答弁申し上げるよりしかたがないわけですが、公明党と結びつけてどうこうと言った事実は決してありません。  それから私は、いろいろうわさがあることはあなた方でも知っていらっしゃるから、そういうことがないことを証明せよというようなことを言っていらっしゃるわけだから、何かあるのに調べていないのに言えとおっしゃっても、言えないわけですから。しかし、とにかく三十九年の参議院でおやりになりましたのは、ここに速記にもありますが、つまり四畳半の部屋に百人も選挙人を移すということは、一体そういうことがあり得るのかどうかなどということがうわさの種になって、そういうこと自体が国会で公明党との間に質疑に出てくるということすら、私はおかしいと思うのです。そういう事実がないのなら、皆さんのほうではこういうことを取り上げて何もおっしゃる必要もないし、それでも公明党を支持なさる方は敢然として支持なさるわけです。それでいいと私は考えておるのですが、いかがでしょう。
  42. 多田省吾

    ○多田省吾君 三十九年の五月の時点においては、はっきりと衆議院選挙法特別委員会で、ある人が四畳半に百人も二百人も移動しておるようなうわさがあるということがはっきりと衆議院段階では議事録に載っております。だから、国会においてそういったうわさを取り上げて、議事録に残るようなそういう発言をそのままにしておいてはならないというので、こちらは衆議院に議席ありませんでしたから、参議院の予算委員会でそれを確かめたのじゃないですか。それを、何もそんなことは質問しないで、そんなばからしいこととおっしゃいますけれども、ほんとうにばからしいことですよ。じゃ、そういううわさがあったなら、そんなことはないのだよ君と、このように自治大臣が否定されてお話なさるなら、別だ。それを、あたかもこの話はさも思わせぶりに話をなさるから、こういう誤解を受けるのです。私たちとして、正していかなければならぬ。そんな永久選挙人名簿ができて、私どもも名簿自体は、もしそれが正しく運用されるならば、非常にけっこうなことですから、もろ手をあげて賛成したわけです。実際、永久選挙人名簿がある現在、前だって同じことでありますけれども、こんな不正住居移転なんてできるものかどうか。一体学校に通っている子供さんはどうなるのですか。また運転免許証はどうなるのですか。また近所の人がおかしく思う。また市町村当局だって、住んでもいないのにそんな選挙人名簿だけそこにあるとしたら、たとい一軒であっても大きな疑いを持つでしょう。そういった事実が一つもないのに、チェックしなければいけないとか、あるいは調査させなければならないと、こういう発言をなさること自体が、結局疑いを持っておっしゃっておることじゃありませんか。だからこそ、私たちはここで追及しなければならない。どうですか。
  43. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 三十九年にも同じ質問がございまして、読み上げますと、小平芳平君が、某議員質疑として、「創価学会の会員がアパートの一つの部屋へ百人も二百人も住居を移動させて選挙権を得ているとか、それから、一つ選挙区へほかの選挙区に住んでいる信者を全部移動させて、三千人も五千人も移動させているという具体的に数字をあげているのですが、」云々ということを言われておるのですよ、参議院で。それに対して私の答弁は、「かりに四畳半の部屋に何百人も住んでおるということはあり得ようはずはございません。」と、はっきり言っておる。しかし、このうわさのもとは、公明党のほうから国会に持ち出されておるわけですよ。
  44. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうじゃないですよ。衆議院選挙法改正委員会ではっきり議事録に残っておる。その前に衆議院でそのことが述べられたわけですよ。
  45. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) だから、某議員からの質問としてこのことが出ておるということは、小平芳平君が言われておるわけです、参議院で。それに対する答弁として、私は「あり得ようはずはございません。」——そんなことはありませんということは私も調査しておりませんから申し上げられないのですが、ですから私はそういうことはできないはずだということを言っておるのです。それと同じ態度でいまこの問題に対処しておるわけですから、そのことを御理解いただきませんとどうにもならぬと思います。
  46. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、同じ態度でおられるならば、「夕刊三重」に報道されたような発言の内容が私は出てこないと思うのですよ。時あたかも来年の四月に住民基本台帳と永久選挙人名簿の照合をなされなければならないと、こういう時期にちょうどタイミングを合わせたように、あたかもこれはそういう中傷のデマにからんで調査をするようなふうにとられるし、事実自治大臣が十月十五日に新聞記者にこのことを発表して、その十六日にこの通達を出しているわけですよ。何か関係がないものをあたかも関係があるがごとく通達が出されているということ自体、また自治大臣の三重発言自体が、これはもう軽はずみじゃないか、そのことを言っておるわけです。何も三十九年の大臣答弁が悪いと言っておるのじゃない。それは私は妥当だと思います。同じ態度でずっと臨んでいるならば、こういった発言が出てこないのじゃないかと、そのことを申し上げている。自治大臣として、そういう現在不正住居移転のようなことが、三十九年と同じ質問になりますけれども、まあ行なわれる可能性があるのかどうか、いまの永久選挙人名簿下でそういったことが行ない得るのかどうか、それに関していまどうお考えになっておられるか。調査してないとおっしゃいましょうけれども、常識的に考えて、それから、実際移転をしていないのに移転をしたと、そういう永久選挙人名簿に対する登録をもししたとすれば、一体その生活がどうなるのか、どうですか、自治大臣
  47. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 重い罰則もあることですから、こういうことができ得ようはずはありませんということを言ったわけですから、これでひとつ御了承をお願いいたしたい。
  48. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 関連。赤澤さんはいまないとおっしゃる。それはよくわかります。ただその前に、この「夕刊三重」はローカル紙でございます。私もその代表者に会いました。公称一万部だそうです。どこから金が出ているかわかりませんけれども、そういうことで、赤澤さんのおっしゃった発言というのはその趣旨を取り違えたと、いろいろな言い方があるだろうと思うのです。したがって、これは「夕刊三重」に載っかった記事内容については取りざたするほうがおかしいじゃないかと、まあ「夕刊三重」なんかつまらない新聞だから、こういうお考えのもとに、事実この載った内容とそれからおっしゃったことは大いなる食い違いがあると、このように判断してよろしいのですか。
  49. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 食い違いがあると申しますか、私がはっきり申し上げますことは、公明党自体がこういう不正をやっておるということを言ったわけでは決してありませんので、この前の参議院のときと同じく、うわさは確かにあるのですよ、うわさは。しかし、そのうわさを具体的に私は一言も言って……、何を言ったか記憶しておりません、私的な会合ですからね。しかし、そこにまあ新聞記者の人がおられたかどうか知りません。また、その場の人から新聞社に何を語ったか知りませんけれども、ここに私は「夕刊三重新聞」も持っておりますけれども、これを見てもそう私間違ったことを言っているとは思わないですよ。
  50. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 見方の違いだと言われてしまえば、それまでかもしれませんが、やはり影響は大きいと思います。御承知のとおり、あの地域は非常に、まあ何といいますか、都会と申しましても小都会、群小の町村が至るところにございます。そういううわさなんということは案外早く一般の選挙民に入ります。そうすると、意外とああいうローカル紙というものは地元民に読まれていると、何だというふうになるのは、これはまあ常識でございましょう。もちろん、その他の大新聞は取り上げなかったというような経過もありまして、あるいは私ただいま申し上げたように取り上げること自体がどうかと思う場合があるかもしれませんが、しかし、事柄が重大であるだけに、たとえローカル紙といえども、そう筆を曲げてまで書いているということは私は考えられない。それから、いま大臣がしきりにうわさ、うわさということをおっしゃる。それはいろんなうわさが大臣の耳に入ったかもしれませんけれども、そのうわさというものがはたして信憑性があるかないか、ない場合のほうがもちろん多い場合がございます。それをやはり公的——私的の場所であろうとも現職の大臣である以上は公人だと思うんです。公の人であります。したがって、たとえ冗談であってもそういうような発言、そしてまたここで問題にしなければならないというそういう影響を考えた場合、やはり不見識のそしりを免れない、このように思うわけでございます。  それからもう一つは、先ほど来から、公明党がこの国会で取り上げたとおっしゃる、それは誤認でございます。われわれがみずからそういう問題を取り上げて問題にしようと思ったことは一度もありません。それは、ほかから出たがゆえに、われわれとしてもその立場を明らかにするために、いままで予算委員会あるいは衆参両院の特別委員会等を通じましてその立場を明らかにしてきたというその経過大臣自身が御存じのはずなんです。われわれとしたって、いつまでもこういった問題を、大臣がおっしゃるとおり、出したくございません。事実ないんですから。ばかばかしい話と言えばそれに尽きるわけです。けれども、やはり一ぺん消えた火が再び何かまたくすぶり始めているという、そういう印象を与えること自体がわれわれとしては非常に残念であると、こうした角度から、大臣の忌憚のないいままでのお話でおわかりいただけないかということでございましょうけれども、まあ、われわれとしては大臣がおっしゃったことはよくわかりますよ、けれども、ただ一つ結論として、主務大臣として、所管大臣として、そのいうあるいは与えたであろういろんな影響を考えて、申しわけなかったぐらい、一つぐらいおっしゃられたって何もいいじゃないかと、こういうことで、私ども大臣のいままでのお話を伺っておりましても、何かこう他意があるような印象を受けるわけですよ。そういう点について、たいへん恐縮でございますけれども、いま私が申し上げたことについてあらためてひとつ忌憚のない大臣としての所信をお聞かせいただきたい。まあ、今後そういうことのないようにしてもいただきたいと思いますし、それをあわせておっしゃっていただきたいと、こう思うわけです。
  51. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私が間違ったことでしたら、もう率直にあやまる性格のものですからね、それは問題ありませんけれども、そうでなくて、いま議論している本来の筋は違っておると思うんですね。それでもうこの「三重夕刊」読みはいたしませんけれども、うわさをいまさら持ち出すのはおかしいじゃないかとおっしゃる点は、私たち選挙担当しております者になってみれば、始終、こういうようなことを取り締まるのはおかしいと、こういうことがあるじゃないかと、こういうふうに訴えてこられる方があるわけですよ。そのつど調べるといったって事実どこに何があるんだ、調べようがないじゃないかと、そういう応対を始終やっておるわけですから、それでちょうど三重でも、たしかあすこは、あなたのほうで立候補者を出されているかどうか知りませんけれども、非常にうわさがあるものだから、そういう話がまあ出たんでしょう。おそらくそれに対して私は間違ったことは言っているとは思わぬ。ただ、そういうことは公明党がなさっておらぬと思います。思いまするが、もしやればこれは重要な処罰の対象になるわけですから、事が明確になれば公明党の方もこんなばかなことはおれたちはするもんかということで済ましていただけるんじゃないかと思います。それ以上言われることは私はどうかと思うんですけれどもね。
  52. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ、最初大臣のお答えは、そういうことを言った覚えはないという御答弁だったのですが、途中から、私も「夕刊三重」を読んだと、もしこれがほんとうだったとしてもこれは何もおかしいことを言っていない、こういう発言をなさいましたけれども、私はこれはほんとうに重大な発言だと思う。「公明党は選挙政党で、例えば会員が移籍して選挙権を得るというやり方など、事務当局に検討さしているがなかなかチェックできない」。「例えば会員が移籍して選挙権を得るというやり方」があるというこういう発言自体は、もううわさをいいことにしてあたかもそれをやっているかのごとき印象を読んだ人に与えるじゃありませんか。これをまず取り上げること自体が、三十九年あるいは一昨年総理大臣自体が、政府はそういう疑いを持っておらないということをはっきり断言しているのに、担当自治大臣がまたここでこういううわさを蒸し返すということ自体、そうしてこういう断定的な言い方、これを自治大臣がごらんになって、たいして間違ったことを言っていないじゃないか、こういう発言はおかしいと思うのですよ。私、取り消していただきたいですね。
  53. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) どうも、決して「夕刊三重」を軽んずるわけではありませんけれども新聞の二、三行をお読みになって取り消すかどうかとおっしゃるのは、私はこのことに関しては筋がおかしいと思うのですよ。もう一ぺん読みますと、こういうことでしょう。「例えば会員が移籍して選挙権を得るというやり方など」といううわさがあるがという意味ですね、事務当局に検討さしてもそういうことはチェックできないむつかしい問題だと言ったそのことでしょう。ですから、いま申しますように、私どもでは事実調査をしておるわけじゃないのです。そういうことはあり得ないという発言もしておる。なかったということは、調査しておりませんから言えないわけなのです。一方、三重ではたくさんうわさがあったからこういうことが話題になったのじゃないか。ただ、このとおり私は発言したということについては、私は責任持たぬし、三重県の新聞社長だって速記やテープコーダーをとっているわけでもないから言えないと思うのですね。しかし、かりにこういう筋のことが事実としても、私はそうとがめられる筋じゃないという感じを申し上げたわけです。
  54. 多田省吾

    ○多田省吾君 この記事自体を取り消せと私が言ったのではなくて、これがほんとうとしてもたいした問題じゃないじゃないか、こういうことの発言自体がおかしいからそれを取り消していただきたい、こう言ったわけです。そうやってもし大臣が開き直って、もうこの記事が、大臣がおっしゃったことであろうともこの記事自体がたいした問題じゃないじゃないかとおっしゃるならば、私たちはどこまでも追及しますよ。もう全然そういったことが行なわれてないのに、そういったうわさを取り上げて、影響の大きい担当大臣がこういったことをおっしゃって新聞に大々的に取り上げられたと、もしここで追及しておかなかったら、これ読んだ人はみんなあたかもやっているがごとき印象を受けますよ。この問題だけじゃない。この前の政治資金規正法の問題だって、記者団に発表したその内容というものは私は言った覚えはないと、こういう一点ばりでここでおっしゃった。ここではさらに、言った覚えはないだけじゃなくて、これがほんとうだとしてもたいした問題じゃないじゃないか、こういう発言だから私は重大視するのです。ますますわれわれにとってはこれは心外であり、また大きな迷惑をこうむります。こういった問題の発言が全然行なわれていないのに、そういったうわさをもとにして担当大臣としてこういう発言をどんどんやっていけばどうなりますか、一体。  質問を変えて、じゃ、いま現在自治大臣はそういったことが行なわれる可能性があるとでも思っていらっしゃるのですか。もし、思ってもいらっしゃらない、しかも、こういった問題を取り上げて、そしてこれを読んだ限りにおいてはあたかも公明党がやっているかのような印象を受ける、こうしたならばどうですか。大臣だって、全然やってない、身に覚えのない問題でこういった問題が新聞にどんどん報道されれば、それでよしというわけでもないでしょう。影響が重大だからこそ言うのです。私はあくまでも、これがもし大臣の発言でこういうことを事実おっしゃったとすれば、これは公党に対する大きな侮辱であり、軽はずみであり、軽率であり、不見識だと思うのです。大臣、そう思いませんか。そして、いままでの御発言のとおり、こんなことはあり得るわけがないとはっきりいまおっしゃってるのに、あたかもこの記事は、またこの発言は、そういうデマが行なわれていることをいい機会だというので発言してるように受け取られる。どうですか、この点は。
  55. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 何べんでもお答えいたしますが、私は公明党を、特にそういう意図を持って不正をしていらっしゃるということを指摘した覚えは決してございません。ただ、至るところでいろんなうわさがあるわけなんでして、まあ、今後うわさもあまり取り上げぬようにいたします。
  56. 多田省吾

    ○多田省吾君 当局としてどうなんですか、一体。一昨年は総理までここに来てもらってはっきりさしたんじゃないんですか。まあ、行政局長にしましても、選挙局長にしましても、自治大臣の補佐として、こういった問題が何回も予算委員会やこういう特別委員会ではっきりさしたにもかかわらず取り上げられて、しかも自治大臣の発言になるというこの事実ですね。長野行政局長も、二年前は選挙局長としてここにいらっしゃったわけですから、一部始終も知ってらっしゃる。そして永久選挙人名簿を通すときも選挙局長として幾ぶんは関係されたわけですからね。いまの永久選挙人名簿制度化において実際こういうことが起こり得るのかどうかですね。事務当局としてどう考えておられるのか、お答え願いたいと思います。
  57. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 永久選挙人名簿ができましたときに、お話がございましたように、私どもも多少関係をしたわけでございますが、最近は都市に人口の集中移動が非常に激しい時期でございまして、都市の人口も農村の人口も、そういう意味で流出、流入が非常に続いております。で、また都市の中におきましては、都市間も非常にまあ移動が激しい。これはまあ最近の状況でございます。そこで、従来のような選挙人名簿制度をとりまして、選挙のたびごとに補充名簿をつくるということは、有権者にとって選挙の機会をなるべく多く与えるという意味では、非常に適当なわけでございますが、片一方で選挙管理委員会が非常に選挙事務その他の準備に忙殺をされる。そういうときに補充名簿ということで、片一方で名簿の調製をするということになりました結果、非常に選挙のたびごとに大量の脱漏があるとか、その事実に合わないものがあるとかということが、その当時たいへん指摘を受けたわけでございます。考えてみますと、それまでの選挙人名簿は、毎年一回一回名簿をつくり直し、また選挙のたびごとに補充名簿をつくる。これが、そういう意味で非常に名簿の正確性というものを疑わしめるような原  にもなってるということでございますので、まず全体の調査をいたしまして、一たんつくりました名簿は、そのままもうつくりかえるということのないかっこうでやって、そして新しく登録の資格のある人、それからまたその市町村から移動する人、こういう人を永久名簿の中に加えたり、はずしたりしていくというようなことでやっていくほうが名簿の正確性を期し得るんじゃないかというようなことから、永久選挙人名簿という制度ができ上がったわけでございます。で、確かにそういう点で、名簿の正確性というものは非常にふえてまいったと思いますが、ただ、それにしても、現状においてはまだまだ人口の移動が非常に激しゅうございます。で、その当時も、片一方で住民登録法というものがございまして、二、三の都市におきまして、住民登録と名簿とそれからまあ現実に調査をした結果というものを調べたものを見た記憶もございますが、そういたしますと、まあこれなかなか能力の限界があるということもございましょうが、移動が非常に激しゅうございますので、ひどいところになりますと、それぞれが食い違ってくる。そういう結果もその当時出ておりました。そこで……
  58. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間がないんですから、こちらの質問にはっきり答えてくださいよ。
  59. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) そういう意味で、住民基本台帳というものにつくりかえましたときに、名簿と台帳とを結びつける、こういうことが考えられまして、この三月から、そういう名簿の結びつきを考えることによって一そう名簿の正確性を期していきたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、現在の永久選挙人名簿でも、その法律上の登載要件と一致しているということは、私どもはあくまで正確性を確保いたしますために随時指導をして注意を促しておりますが、そういう意味の名簿と実際の間の食い違いというものが全く払拭されているかということについては、正確性は増していると思いますけれども、十分断定をもって言うことはできないと言っては語弊がありますけれども、多少そういう危険なところが人口の移動の激しいところではありはしないか、それをなるべく埋めていくための努力をこれからも引き続きいたしたい、こう考えております。
  60. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしたら、そういう不正住居移転が行なわれる可能性があるということですか。
  61. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 私どもとしては、現在のところ、そういう不正な移転による架空の登録というものは、この制度がしっかり行なわれる限りにおきましては、ほとんど考えられない、こう考えております。
  62. 多田省吾

    ○多田省吾君 事実そこに住んでいないところに住所を移し住民登録もする、それから選挙人名簿の移動も届ける。そうして三カ月ないし六カ月たったら、それが永久名簿に一応載って調査もする。そうならば、また実際学校にかよっている子供さんのこともあるでしょう。自動車の運転免許のこともあるでしょう。そういった架空の移転というものはできないことなんです。また、私たちもそんなことは絶対行なっておるわけはない。それをあり得るかのごときことを言っているのは、もうはっきりこれは私たちはほんとうにデマであり、こういったことを中傷する人は、とことんまで私たちは一人一人突きとめていきたい、このように考えてあります。実際にこの十月十六日の行政局長の通達、それから選挙課長の十一月五日の通達というものは、あれですか、自治大臣からどういう指示があって出されたのですか。
  63. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) この住民基本台帳の施行が実は十一月の十日でございました。その施行の一周年を控えておりますということと、それからもう一つは、十二月が名簿のまた登録の時期になっておりまして、先ほど申し上げましたが、来年度以降におきましては、住民基本台帳と名簿とを結合するという一応の予定にもなっておるわけでございますので、基本台帳のほうも、正確の上にも正確を期しておいてもらいたい。それから、名簿作製のほうも、そういう意味で、基本台帳との照合ということも十分留意しながら実態を正確に反映して登録をするようにしてもらいたい、こういうことを地方自治体、あるいは現在の選挙管理委員会にあてまして指示をいたしておるのでございます。大臣からもかねて、この名簿の正確性については十分に地方に指導が徹底するようにしろということもかなり私どもも言われておりまして、私どももそのことは非常に大切だと思っておりますので、そういう住民基本台帳の施行一周年を控えまして、さらにまた名簿登載時期を控えておりますことですから、そういう意味で、いままでの実績と申しますか扱い要領その他を検討いたしまして、そしてあらためて注意を促す意味におきまして関係の通達を出した次第であります。
  64. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、私がお聞きしていることは、公明党の不正住居移転のうわさがあるから事務当局に検討させているというような発言がありましたので、そういう意味で自治大臣から検討を言われたのか、それとも、全然関係なく、住民基本台帳と永久選挙人名簿の照合ということで検討しているのか、そのどちらかということをお伺いしているわけです。
  65. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 住民基本台帳と名簿の正確性の照合というものは非常に必要でございます。そちらのほうの正確性の維持のために通達をいたしているわけでございまして、特に特定の問題からこういう問題を考えるということで一般的に通達を出すようなことはいたしておりません。
  66. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間もおそくなりまして、私一人が伺っているわけにもいきませんので……。しかし、まあ自治大臣としても、こういった新聞記事に対してこの席上で軽はずみだというようなこともまあなかなか言いにくかろうと思うのです。で、先ほどは、デマを取り上げないようにするということをおっしゃいましたので、一応この場ではこの発言についてはこれで終わりたいけれども、まあ問題として通告してあります二、三点についてまとめてお伺いしたいと思いますので、簡潔にお答え願いたいと思います。  一つは、政治資金規正法を今度の通常国会に出すのか。いままでの同じものを出すのか。それとも、うわさによれば、二千万円というような上限を一つだけつけて出すとかという可能性も考えられますけれども、少しは変えるのか。それが第一点。  第二点は、第六次選挙制度審議会発足につきましては、総理等とも話し合いをされていると思いますけれども、もうすでに昨年の十一月から一年たっております。一年以上同じ審議会がたって、また第六次選挙制度審議会が一年以上たってから発足するということは、常識上も考えられないし、また法制的にも問題があろうと思います。で、私は、これはすみやかに発足させて、参議院地方区の定員是正等に関して結論を得べきであり、また、そのためにも政治資金規正法をやはり答申に沿った線で早く出すべきであるとも考えております。  で、また大臣は、第三点として、参議院地方区の定員是正については、次の参議院選挙までに考えなければならない問題だというような発言もなされているようでございますが、具体的にどう進めようとなされているのか。この三点。政治資金規正法の問題と、第六次選挙制度審議会の問題、参議院地方区の定員についてお答え願いたいと思います。  特に、二番目の第六次選挙制度審議会発足について要望したいことは、いままでは区制ということを重んじて、何んですか、小選挙区推進論者だけを集めているような姿がありましたけれども、私どもはあくまでも国民の各層から、特に主婦とかあるいは若い学者とか、そういった人たちも大いに入れるべきであると、こう考えておりますけれども、どう考えておられるか。この三点を最後にお伺いいたします。
  67. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 政治資金規正法は、先般提案したのをそのまま出すつもりでございます。  第六次選挙制度審議会は、一日も早く発足さしたいと思っておりまするけれども、人選難で困っております。  参議院地方区定数是正の問題は、まだ二年半先の選挙でございまするので、間に合うように審議会の構成もし、また法案を提出したい、かように考えております。
  68. 多田省吾

    ○多田省吾君 第六次選挙制度審議会の人選については、どう考えておられますか。
  69. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) だれでもというわけにはまいりませんので、やはりしかるべき、国民全体が一応この人はという信頼のおける方をいろいろ人選をして進めつつある途中でございます。
  70. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いまの問題に関連しまして、選挙制度審議会の件でございますけれども、先ほど冒頭に横川委員の質問に対する御回答で、現在の委員のメンバー、いわゆる現在と申しますのは第五次選挙制度審議会、せっかく答申が出たにもかかわらず、それが少しも答申が具体化されていない、まあ引き受け手がないというお話の趣であったようでございます。そういう条件のもとに自治大臣としてはこれからも強力に第六次の発足を意図されているのか。いまも多田委員からお話がありましたように、その構成メンバーについて、まあだれでも彼でも——これはだれでも彼でもというふうにはいかないと思いますけれども、やはりわれわれのねらいとしては各層ですね、選挙民の中からも広範にわたってという、そういう表現が当たるかどうかわかりませんけれども、いままでの特定のそういう限られた人じゃなくて、もっと視野を広げて選ぶ方法——たとえば労働界からも、あるいは主婦の代表からもというようなお考え方はないかどうか、もう一ぺんそれを重ねてお伺いをいたします。
  71. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 審議会委員を新しくいたしますと、なかなか複雑な法律でもありますし、また、非常に批判の多い関係でもありますから、全部入れかえて新しいメンバーでやりますと、答申を得るまでに、いままでの実績からすれば、おそらく四年も五年もかかると思います。ですから、私どもやはりもうここ五年以上の実績を踏んでこられた方々、これもなかなかお願いしても全部おやりになるとは考えられませんけれども、やはりその中でお残りいただく方々にリードしていただきませんと、なかなか答申答申と言ってもむずかしかろうと思います。ですから、そういうことをあれこれ考えまして、なかなか人選ということになると条件などもありますのでむずかしくなるわけです。だから、まあ主婦の中からというような、そういうようなことは考えておりません。
  72. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いまの御答弁にもありましたように、第一次からまあその前の調査会の制度から入れると、もう十年この方やっているわけですね、政治資金規正法等を初めとして、まずこの問題に関する限りは答申の尊重されたためしがない。おそらく現在も政府に対する不信感が各メンバーにも相当根強く底流にある。このことだけは否定できない。したがって、いまおっしゃるように、引き受け手がないということもむべなるかな、こう思うわけでありますけれども、私が言っていることは、五年間もやられた委員の方々を全部入れかえろということを言っているわけではございません。当然長年審議会に携わってきた経験者意見も十分尊重する必要がありますし、いままでの経過を知っておられる方がおられれば相当私はスムースに運ぶ。けれども、やはり若手の学者の中でも相当に権威を持った、オーソライズされた学識経験の豊かな人もございます。私どももそういう人を知っております。何もその人をというわけじゃございませんけれども、あるいはマスコミの方々が、片寄り過ぎているのじゃないか、構成メンバーで。というようなこともございまして、そういう点ももう一ぺん整理をなさって、そうして広く各層からと、こういうふうに私申し上げているわけです。だれでも彼でも、そんな非常識なことは、とても法律そのものがいろいろな複雑な内容を持っているだけに考えておりませんし、そういう点ではどうかと、こういうことを申し上げている。
  73. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) その点でしたら、渋谷委員と全く同感でございます。
  74. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そういうことでありますれば、私ども要望としては、ぜひともその線に沿うて人選をお願いしたいと思っておりますし、また、早い時期に審議会発足というものが考えられはしないかということを思うわけでございます。いずれにしても、政府としては、審議会発足待ちということでは、ただいま話題になっております政治資金規正法の問題にいたしましても、あるいは参議院定数是正の問題にいたしましても、これはいつまでたったって落着しない、二年半も先じゃないかとおっしゃいますけれども、いつもそういうことで、まぎわになって審議未了である、政府のほうあるいは与党のほうの話し合いがつかないから答申も尊重できない、これはもう繰り返し繰り返し続いてきているわけです。それはだれも知っています。それを大臣からあらためてそんな答弁を願おうとは思っておりません。私も大臣とは一緒に審議会のメンバーとして討議に加わった一員でございますから、よく存じております。ですから、その点をもっと、大事だ、大事だと言われながら、この選挙制度というものがいつも何かしり切れトンボに終わっているということは、やはり主務大臣の熱意が足りないという面もあるでしょうし、そういう点で、もっと前向きの、これからどういうふうに内閣改造になろうとも、引き継がれる方にもそういう点を十分伝えてもいただきたいと思いますし、党内でも、大臣の場合には相当選挙制度については心をくだかれておられるお一人じゃないか、こういうふうにも考えておりますので、強力にやっていただきたいということを要望いたします。その点についてどうですか。
  75. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) おっしゃるとおりでございまして、この問題につきましては私も真剣に取り組みたいと思います。
  76. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本件に関する調査は本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  77. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、地方議会議員定数に関する件を議題といたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初に、いまの参議院定数是正の問題に関連して私も発言しておきたいのですけれども、とにかく二年半先の問題だという認識は非常に誤りじゃないかと思うわけです。選挙の結果は、この前あんなすごいアンバランスですね、私がくどくどあげる必要はないと思いますが、東京は六十三万九千、六十四万で落選しているときに、佐賀県は十三万で当選している。それから一府県当たりの有権者数を見ると、東京が百九十五万九千人、鳥取が三十七万五千人と五・二倍ですけれども、こういう問題はこの前の臨時国会でこの実態が追及された。こういうことになりますと、民主主義の根底がくずれているわけですね。その不完全な選挙法をそのまま持って、その上に立って選挙行政が行なわれるかどうかということは、私は非常に重大だと思う。この問題を追及されたときに、佐藤総理はこう言っているでしょう。参議院選挙地方区での定数のアンバランスを適正に直すことは今日の急務だと、こう答弁している。これは八月五日の本会議での首相の答弁ではっきりしている。ところが全くこれはのど元過ぎれば熱さを忘れるというかっこうのいまの答弁なんです。あと二年半あるんだからだいじょうぶだという話では話にならないです。したがって、このようなもう実態に合わない法律そのものがあることが問題なんですから、これについてほんとうにこれを解決するための緊急な手を打つべきだ、こういうふうに考えるのです。選挙制度審議会発足の問題とこれはからんでくるわけですが、これはどうなんですか。さきのような発言では承服できないのです。この点についてもう一回。あなた方、ほんとうにもう任期がどうなるかわからぬからどうでもいいという問題じゃないのですから、これについてはっきりした見解を述べておいてもらいたい。これは、総理の一体答弁というのはどういうことになるんですか。全く無責任じゃないですか。今日の急務だという、これは何ですか。二年半までいいということですか。そんなことにならぬのです、これは。はっきり……。
  79. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 二年半と申しましたのは、二年半先に選挙があるということを言ったわけでございまして、二年半先にきめると言ったわけじゃない。ただやはり国会できまるわけですから、逆算して、私たちはいろいろ研究もしております。ですから極端に言えば、再来年の国会できまっても間に合いますけれども、やはり常識的には来年の通常会できめるべきものである。そうすると、それに先立ってやはり第六次審議会を構成して、審議会の議を経ないでというわけにまいりませんから、そういうことも全部計算して、いま審議会の構成に苦慮しておるということを申し上げたわけでございます。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく選挙あとでは大さわぎになった問題です。そうして、重大な課題として論議された問題です。これについて、ほんとうにこれは私は国民の要求を実現するために努力をすべきだということを最初に申し上げたい。このことを私先に申し上げたというのは、実はそのあとで、私がお聞きしょうとしている地方議員定数の問題、ことに東京都議会の議員定数の問題について質問したいからなんです。  まず第一に、七月二十四日ですか、過般、東京都議会議員の定数をふやしてほしいという要望書が満場一致で採決され、自治大臣のほうにも提出されておると思うのですね。自治大臣はこれを検討しましたか。検討したとすれば、これに対する一体見解はどういうふうにお考えになりますか。
  81. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私、いま基本的には、議員をふやすことは不賛成でございます。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは十分に検討されましたか。ただ不賛成とか何とか最初に聞いているのじゃなくて、要望書が出ているのだ、具体的に。そうでしょう。要望書が出ているわけです。それについて検討した上に立って答弁されなければならない。不賛成だ、要望書は見ない、じゃ話にならない。見ましたか。
  83. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 要望書も検討し、また、それに基づいて部内でもいろいろ検討いたしておりますが、私は基本的にこの問題に対処しておると、こう私述べたわけでございます。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは検討したということですね。
  85. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) そうです。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これはどうなんですか。都議会の要望としてはこの定数は是正をしなければならぬという理由をあげているだろうと思うのですね。どういう点がおもな理由になっておりますか。
  87. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 都議会の要望書は、東京都におきましては非常に、人口が一千万人以上に達してふえてきて、他の府県には見られないような特異な行政需要が生まれた。したがって、そういう特殊性からいたしまして、都議会議員の職責は、ほかの府県の議会の議員に見られないような量的な負担と質的な困難性を持っておる、こういうことが一つの大きな前提になっております。議員定数に対する制度というものは、しかるにもかかわらず、ほかの府県の議会の議員定数制度と同じような基礎に立って定数を定めるということで、東京都における特殊性というものに全く考慮が払われていない。現在の府県会議員の定員の定限というものは百二十人ある。それに見合う人口は六百十八万人であるからして、東京都に関しては人口の増加とは無関係になっておる。こういうことがさらにこのまま放置されますというと、特別区の区域における定数は減少の一途をたどることになる。そうして、しかも昼夜間の人口差は非常に激しくなってくる。そういうことから考えて、この定限のない考え方で都議会の議員定数をいまの人口に従って考えると、百八十六人になり得るのであるから、いまの百二十人というのは低過ぎる、同時に国勢調査に基づく議員の一人当たりの人口は、都では九万五百七十七人、全国最低の鳥取県では一万四千四百九十六人、都議会議員の数は、さらに全国平均で考えましても、三万五千九百四十五人であるから、二倍半に達している。最低県の六倍強に達している。また財政規模を議員一人当たりについて見ても、都の場合には八十二億九千九百万円、最低の鳥取県では議員一人当たりが八億五千五百万円であって、そういう意味で最低県の約十倍、平均県の約五倍になっておる。そういうことから言って、いまの議員定数というものは都の特殊性というものを全然見ていないということと、他府県との均衡上もいかにも不合理だ、こういうことが要望書の中にうたってございます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 その要望書の要点をあげられました。幾つか抜けておりますけれども、おもなことがだいぶ出ていますね。これを検討されて、これについて何ですか、いまの出している理由ですね、それを大臣は認められないのですか。そして反対だというような、最初から結論を出したわけなんですけれども、どうなんです。
  89. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 何でもかでも反対だというわけではありませんが、基本的に反対だと申し上げたことは、つまり地方行政を、住民の意思を反映しながら円滑に推進していくためには、何名議員がいなければならぬということはないはずだと思う。ただ、先ほど一つ行政区域内でアンバランスがあるということは、これは悪いですけれども、しかし、その区域内の議員数が三十二人だから民意の反映ができないとか、百人だからできたということはないと思う。これは東京都だけではありませんので、地方公共団体が三千五百あるとすると、三千五百議会がある。それにはどこでも、小さい場合は小さいなりにやっぱりいろんなでこぼこがあるわけですから、それはやっぱり頭打ちをしておいて、その中で皆それぞれ不平不満がありながら操作をしてきているわけです。ただ、東京都は、これは世界に例のないこういう膨大な町になりましたので、ここには一つの実情はあると思います。しかしながら基本的には、私は地方議員の数をふやすことは反対であるということを申し上げたまででございます。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ詳細にやればいいわけですが、いずれきょうは時間の関係でやれないかもしれません。しかし、いまあげた理由というのはまことにこれは重要な理由ですよ。東京都だけが持っている、ほかの自治体にはない、そういう特殊性があるわけでしょう。そういうものをこれはあげて、しかも二十数年にわたる実際の業績の中からこれは打ち出してきたもので、しかも、これは各党派全部満場一致ですよ、この要望書は。それほど重大な内容を持っているのに、これに対して自治省のほうでは反対だという意見を表明されている。そこで、この反対意見が十一月八日の新聞に発表されたのですがね、これは公式な見解ですか。そしてその発表した内容は、さっきの新聞記事じゃないけれども、知らないなどということじゃ困るのだから、これはどうなんです。新聞にもみんな出たんです。資料があるのなら資料を出してもらいたい。そこにあるならば読んでもらいたい。あとで知らないじゃ困るから、さっきの例もありますから。殷鑑遠からず、すぐ前にあるから。
  91. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 東京都議会議員の定数の増加の問題につきましては、まあ都議会からも要望書が自治大臣に出ておりますし、事務的にいろいろな角度から、要望書にあります理由等につきましても、もちろん重要な理由ということでございますので、いろいろ検討をいたしております。先般新聞に出ましたということにつきましては、いろいろ知らぬと言われちゃ困るというお話でございますが、これは、私どもの事務的に一応考え方を取りまとめ、整理をいたしておりましたものにつきまして、発表ということじゃございませんが、新聞社の取材の網にひっかかりまして、それがまあ新聞紙上に出たと、こういうかっこうになっています。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは大臣も御承知なんですね。それから、あなたたちが一応これは作業をして、つくり上げてまとめたものを発表したと見ていいですね。これは単なる談話とかなんとかいうような形じゃ出ていない。三カ条に分かれているようだけれども、これはあるでしょう、そこにあるでしょう、手元に。簡単なものだから、要点だけでいいが、読み上げてもらうか、私も新聞の記事見ただけなんで。この点は、私はなぜこのことを問題にしているかというと、これは自治体が、自治体の意思として満場一致で、しかも、いままでのこの業績の中からはっきり打ち出してきた意見に対して、それを主管する立場にある自治省が、いきなりこれに対して水をぶっかけるような反対意見をPRする、これは、まあ別に形の上では差しつかえないだろうけれども、しかし、物事を成立させる立場から考えるというと、非常に問題のあるところですよ。したがって、少なくとももっと慎重でなければならぬと考えている。そういう点から考えますというと、この問題は、少なくともこれは省議にかけるか、あるいは自治大臣がはっきりこれを確認し、それから新聞に出すような形でなければ全く困るのじゃないですか。どうなんです、そこのところはっきりしてください。これは自治大臣に聞いている。
  93. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 自治省の公式見解などというものを出した記憶はありませんが、私が基本的には賛成しないと申しましたことは、やっぱりいろいろ部内でも検討をいたしましても、これは容易には賛成しがたい。これは方針と言えば方針かもしれません0議員の数の増加だとか、予算の増額等は、えてして超党派でみんな全員一致賛成されがちなものでございまするから。しかしそれに押されておりましたのでは、やはり地方公共団体の数がばく大な数にのぼりまするので、よほどそういう特例を設けます場合には、よく他に波及するかどうかなどということも十二分に検討いたしました上でありませんと、なかなかやりがたいことは御了解願えると思います。ですから、いまなおこの問題は検討の途中にあるわけでございまして、公式見解という、そういう公式発表などというものではございません。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう形でPRをして、そうしてあなたたち立場を逆に押しつけるというかつこうになりますとまずいと思うのです。もっと慎重であっていいと思う。公式見解でもないものが新聞ではほとんど公式見解のように出されて、自治体の意向と対決するわけです。これはむろん国会の意思で決定される問題ですから、自治省がどうあろうとも、これは進むものは進むでありましょうけれども、見解出されるのはいいのだけれども、いま聞きますと、少なくともこれは省議にもかけない。こういう形で出されるということはまずいのじゃないか。しかしこの見解については、これは検討されて賛成なんですか、大臣はどうです。ここにありますがね、これ原文どうですか。あるのですか、発表したの——ない。口頭ですか、そのときだれがやったのです、新聞発表、行政局長ですか。
  95. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 先ほども申し上げましたように、発表をいたしておりません。ただ、自治省におきまして、こういういろんな都議会議員の定数を含めまして、地方議会議員定数というものを検討しておることは各社ともよく知っております。知っておりまして、そういうものについていろんな人からの意見を集約をし、事務的にもある程度検討をしたものというものを新聞社として取材をされたというかっこうでございまして、だれが発表したということではございません。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 こんなにまとまったものを、そういう形でいつでも逃げるのだから、実にあなたたちの記者会見というのはあてにならないということです。そうでしょう。少なくともちゃんとここに、相当なものですよ、これは。私読む時間ないから読みませんけれども、そうでしょう。その中で、こういうことがあるでしょう。「今回の定数増の主張は、結局人口移動に伴い定数が減少する特別区内の選挙区の定数を減らさずに、」云々ということを言っておりましたですね。しかし、この特別区の人口が減っていて、そうして定数が減るのならばですけれども、この二十年間に、どうなんです、一体。特別区の人口というのは二倍以上にふえているのですよ。それだのに、しかも定数は減ってくる。人口は二倍以上にふえているのに、定数は減らされる。こういうことで、ほんとうにこれは自治が、住民のほんとうに利益を代表した代表権を行使することができるかどうか、これによってほんとうに住民の要求を満たしていくような行政がやれるかどうかですね、どうなんです。こういう点を、私は、これは非常にあなたたちは百二十人という定限を頭に持っている、コバンイタダキのように頭につけている、動かない。これを自分で押しつけるために、それを前提としてこれは考えているんでしょう。しかも二十一年前にこれをきめた。わずかに東京都四百六十万時代にきめた。その定数がまるで金科玉条で絶対に動かせないというその前提の上に立ってこういうことが決定されて、非常にこれは独善的な文章だと言わなければならぬ。この点どう思いますか。人口はふえている、特別区は二倍以上、正確にあれしたら三倍以上になっている。それなのに、定数はもとより減らされている、こういうかっこうになっている。これはどうですか。
  97. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 議員定数につきましては、人口がふえるのに従ってふやすという方式は、考えられないことはもちろんございません。しかし、現在の地方自治法におきますところの地方議会の議員定数の定め方は、県会議員は百二十人をもって定限とする、市町村会議員は百人をもって定限とする、特別区の議員は六十人をもって定限とする、こういうことで規定が加えられておるわけであります。もちろんその当時の人口とかなんとかいう問題もございますが、議会の運営ということから考えました場合に、定限というものの考え方は、何人でなければいかぬということではないといたしましても、議会の会議体としての運営から考えて、百二十人というようなところがある一定の望ましい限度じゃないだろうかというのが現在の考え方だと思います。したがいまして、そういう中で人口が移動したり、いろいろ現実のものが移動したりいたしますから、東京の場合で申しますと、お話のように、二十三区も人口はふえておりますけれども、三多摩地方のほうがはるかに高い割合で人口がふえてまいる。したがいまして、その高い割合で人口がふえておりますところに案分をいたしますというと、百二十人という定限のあります限りは、定員が特別区の中では減ってくる、こうならざるを得ないということであります。ただ、ほかの府県におきましても、これは総体的には人口の減っている府県が多いわけでありますが、県の全体の人口が減りませんでも、都市に人口が集中するというようなことが起こりますと、郡部の定員というものが減っていくということがあるわけでございます。したがいまして、一つの府県の中では、府県の中の選挙区内の人口というものが移動を生じました場合には、やはり選挙区ごとの定員というものの異動を生ずる、これはどこの県でも、現在非常に苦痛を味わいながらもそれに耐えてやっておるわけであります。そういう関係もございますので、定限問題というものがここにあるから、よけいそういうことが著しく起こるではないかというお説はまさにそのとおりでございますけれども一つ定数の中で、その中で人口に移動が生ずる場合はいろいろと変化が生ずる。これはやむを得ないんじゃないか、こう考えております。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、定限をきめるということは、もう全部それに従うという形での行政指導になるわけなんですからね、そこのところ非常に大きな問題なんです。だから、あなたたちはそういうような形で百二十人というものを動かせないものだ、金科玉条だ、絶対に動かせないものだ、この上に立っているのだ、そういうことになりますと、こんなものは、法というものは人がつくったものでしょう、そうしてこの法そのものも、実際の運用は、実情に即した方向でこれは血の通ったものにしなければならないわけです。あなたたちは、こういう法律があるので、そういう法律のたてまえで、それからいくから、実際は特別区の二十二区で人口は二倍以上にふえているのに、定数は減らさなければいかぬということになる。三多摩のほうがさらに大きくふえているわけです。ドーナツ現象でもってふえているから、そのほうにさかなければならぬからこっちは減るんだ、百二十人というものさしそのものが問題になるわけでしょう。そういうような点について、あなたたちはあくまでもその立場を、自分できめたものさしでこの問題をあくまでも推論しているわけですよ。ぼくは大きな問題があると思う。  もう一つ、私はいろいろ二、三聞いていきますから、これに関連した問題だけ答えてください。ずいぶんあちこち長くなるとまずいですから。その次、また、「もしこれを認めれば、その影響は全国に波及「国勢調査ごとに選挙定数を改定する」という公選法は死文化し、」云々ということをいっていますね。これなんかもどうなんです。一体、国勢調査ごとに選挙定数を改定するという、そういう規定は一体公選法のどこにあるのです。これは地方の選挙法にありますか。地方自治法にありますか。国勢調査ごとに定数を改定するということはありますか。これはどうです。
  99. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) いまの文章はまあそういう文章ということでございますので、私のほうで発表した文章でないということは明らかなんですが、私のほうは公選法が死文になるということを言った覚えもありませんし、考えておることもございません。ただ地方自治法におきますところの人口というものは、国勢調査の結果による人口、これは地方自治法にはっきり規定されておる、したがいまして、国勢調査のたびごとに、人口に増減が生じました場合には議員定数がそれに従って変更が起こる、これははっきりしたことでございます。公職選挙法の問題ではございません。地方自治法の問題でございます。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 公選法の中に、あなたたちがそう書いてある、そう言ったのです。言わないとさっきのあれと同じになるのです。記者会見で言わないといっているけれども、ちゃんとこれだけの文章がある、公選法の中ではなるほど別表でしょう。十三条の別表一、その中の末尾にこれはありますね。そうでしょう。これは、「本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」、これが、二十一年前のこの定数がいまだに改正されない。参議院なんかでは最もひどくきている。衆議院ではこの前の選挙の前にちょっぴりいじったけれども、全然この問題は根本的に改正されたということではない。これを死文化しているのはあなたたちじゃないですか。実際死文化ですよ。実際公選法の国勢調査のこの結果によって定数を更正するというのは、これはまた公選法の精神でしょう。これをしなければならないということになっていないから、それで、「例とする。」ということだから、今日まで二十何年、参議院定数のごときはものすごいアンバランスの中でこれはそのままにされているのでしょう。だからそういうようなやり方で、問題をまるではぐらかすようなやり方をしちゃいかぬと思うのです。それからまたこういうことをいっていますよ。議員定数をふやすと、「議員一人当たりの発言権、議決参加権が減少、」云々というようなことをいっております。これも都合のいいところだけをあなたたちはあげている。しかしどうですか。議員の数がふえたからといって、これは委員会制度でしょう。委員会制度ですから、本会議だけですべてを決するのではありませんから、日常活動の面からいっても、これはいまの一千百万をこえるようなこういう東京の中で、当然私はこの議員としての任務というものは非常にふえていると思うのです。だから、まるで人数がふえるというといろいろな発言権が制限されるというような言い方をしてはいかぬと思うのですが、こういう点はどうなんですか。これもあなたたちは言った覚えはない、こういうことですか。こういう点はどうなんですか。
  101. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 先ほどの話でございますが、地方自治法の二百五十四条という規定がございまして、それは公職選挙法の場合とは違っております。したがいまして二百五十四条という規定は、この法律の人口というのは、国勢調査の結果に基づく人口だということがはっきり規定をしてあります。したがいまして国会議員定数につきましては、先ほどお話がございましたように、何年間もちっとも、国勢調査があっても人口が変わらないという御指摘がございますが、地方自治法の場合には、国勢調査の結果に基づきまして議員定数というものはそのたびごとに変えております。これはたてまえが、地方自治法における地方議会の議員定数のきめ方と、公職選挙法に書いておりますところの国会議員選挙区なり何なりの定員のきめ方と違っておるわけでございます。ですから、私どものほうで公職選挙法を死文化するということを発表した覚えはないということを申し上げたわけでございます。そういう間違いを私どものほうでも発表することはございません。そこでそういうことを申し上げておるのでございます。先ほどの答弁の補足を申し上げておきたいと思うのであります。  それから、そこでそう言いながらも、やはりほかの府県とか、ほかの地方団体の議員定数に影響すると申しますのは、現在すでに大阪府等におきましては、百二十人の定限で頭を打っております。それから都市におきましても百人が定限でございます。これが大阪市等においては、百人の定限で打っております。そういうことがございますし、また同時に、地方自治法の現在の議員定数のたてまえというものは、そういう意味で、一つの定限方式というものをそれぞれの地方議会の段階においてとっているわけでございます。そこで、東京都は別だという御議論があることは一応承知しておりますが、都道府県、こういう一つの形で地方自治法というものは規定をいたしております。そうしますというと、東京都は別だという考え方をとるかとらないかということは、いままでの原則に対して、たいへんな例外を考えることになるわけでございます。また全体の定限方式に非常な修正を加えるということにも相なるわけだと思います。  それからまた、先ほども申し上げましたように、定限というものをなぜ考えたんだということになりますと、人口の増加ということもあるけれども、やはり議会としての一つの能率あるよき運営、運営の合理化というようなことがはかられる限界というようなものをその当時もいろいろ考え、地方自治法になります前は、人口の定員の最高限は百人でございました。地方自治法になりましたときに、二割増しの百二十人ということになったように記憶をいたしております。そういうことで議員定数というものはいまきめられておるわけでございまして、現在の運営から考えまして、百二十人というものも、あながちそれが全くもう実態に即さないというものでもないんじゃないか、こういう感じがいたすわけでございます。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 地方自治法で、国勢調査ごとに是正する、こういうことをいっているんですが、そうしますと、それと関連して、定限の問題をやはり問題にしないということは非常に不公平ですよ。そこからきているんだ、大体。大体東京で百二十人をきめたときは、当時のこれは記録に残っているようですが、七百万の東京都というものが大体二十年後にできるということを想定しておったらしいんです。ところが、実際は人口移動がものすごく激しい、高度経済成長政策、あるいは農業構造改善事業で、六割の農村から掃き捨てられた人口が都市に集中する、そういうことで、膨大な、当時の予測をはるかに上回るような、こういう人口の過密な集中が始まったんですよ。そうすると、そのときの、二十一年前の定限の百二十人ではとても話にならないでしょう。私はそういう点から言えば、当然人口調査によってこの定数を是正するというのと同時に行なわれなくちゃならなかったのは定数定限ですね。定限を実情に即してはっきりやはり再検討する。しかもその時はもうはっきりきていると思うんです。その時を迎えている。それをあなた方は二十一年前にきめた、東京都が四百六十万の人口しか持っていなかったときにきめたそういうものをさしがねにして、これでもって現在の東京をはかろうというところに大きな矛盾が出てきておる、アンバランスが出てきておる。この点をあなた方は再検討しないで、まるで自分のきめた尺度か、ものさしだけで、そしてそれでほっかぶりして通す。こういうことでは私は話にならぬと思う。それがほかにも影響があると言っている。なるほど大阪、これは百十人ですか、百十人です、定限は。ところが六百六十五万ですね。北海道、これは五百十七万、そうして百五人、定限は。こういうのに比べたら、東京のアンバランスというものは比較に絶するんですよ。単に量の問題じゃありません。これは質の問題になってきているわけです。こういう問題について、あなた方実情を一体ほんとうに検討したんですか。この要望書にあるところの国際都市としてのいろいろな行政上の任務も持っている。それから過密からくるところの、ほんとうにもう交通、住宅、公害、それからいろいろなもう福祉行政、こういうものの問題、そうして人口が御承知のように比較に絶するような形でいま多くなっている。それで三多摩のほうが非常にふえた。そのしわは特別区に押しつけてくる。こういうことになると、結局問題は、百二十人の定限というものは、今日ほんとうに検討される時期にきている、こう考えます。私は当然だと思うんです。この議論を明確にしなければ、まるで法が実態を殺すということになりますよ。東京都のそういう民主的な行政というものを殺すということになりますよ。どうなんですか、一体。これは自治大臣、そういうふうな立場から検討したことはありますか。これは単に一地方の問題じゃありませんから、首都東京の問題ですから、足もとで起こっている問題ですから、この問題について十分の検討をすべきだし、あなたのほうの党だって、これに対してはやはりほんとうに実態に合うような、そういう立場をとれということを要望しているわけだ。われわれもそうだ。これを再検討するのが当然じゃないですか。それを頭ごなしみたいなこういうかっこうで自治省がPRをして、しかも十分に検討したのでないらしい。また固まっていたのでもないらしい、ほんとうに公式にも発表できないようなものをちらちらやって、これをPRであなたたちの意向をまかり通させるというのは、これは全く中央の押しつけですよ。と思いませんか。いまの自治行政についての根本的なやはり問題を持っている、簡単な問題じゃないんです。どう思いますか。
  103. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私どもの省では、三千五百の都道府県市町村の所管をいたしておりますので、基本的には議員定数をふやすということは反対だと申し上げている。しかし、東京の実情というものはおっしゃるとおりで、そのことはよくわかります。しかし、やはり他との関連もありますので、目下深刻に検討中であるという立場を申し上げます。自治省で検討中のものを新聞社がどういうふうに出されましたか、拝見しておりませんけれども、しかし、まだそういう段階でありませんということをはっきり申し上げておきます。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、これは何ですね、記者のスクープによる、そうして自治省の正式な見解でないということを確認してようございますか。そうしてあくまでもやはり私が申し上げたようなこともあるし、それからもっと、要望書がこれは詳細伝えている、実情はもっと何十倍の激しさでもってこれは迫っている問題です。この問題を検討するということを確約できますか、どうなんですか。再検討して、そうして十分に実態に即する定限に再検討するかどうかということは非常に重大な問題です。これはもっとやはりどうしたって実態に合うような立場をとらなければならないと思うんですけれども、この点についてのはっきりした返答を伺いたい。
  105. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 地方議員定数をふやすということに対しては基本的に反対でございます。しかし、東京都の実情というものもよく承知いたしておりますので、他との関連を考慮しながらこの問題については深刻に検討をしている中途でございます。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一回念を押しますが、新聞記者に発表したことは正式見解でない、検討中だ、こう考えてようございますか。
  107. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) そうです。
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 それを確認しておきます。
  109. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会