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1968-08-08 第59回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月八日(木曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡  三郎君     理 事                 内田 芳郎君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 沢田 政治君     委 員                 上田  稔君                 奥村 悦造君                 高橋文五郎君                 中津井 真君                 林田悠紀夫君                 村上 春藏君                 田中  一君                 松永 忠二君                 松本 英一君                 藤原 房雄君                 高山 恒雄君                 春日 正一君                 塚田十一郎君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        防衛施設庁施設        部長       鶴崎  敏君        通商産業省企業        局参事官     橋本 徳男君        建設省計画局長  川島  博君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省住宅局日        本住宅公団首席        監理官      野崎 清敏君        自治省財政局地        方債課長     山本 茂美君    参考人        財団法人日本万        国博覧会協会事        務次長      今枝 信雄君        財団法人日本万        国博覧会協会建        設部次長     林  光夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (日本万国博覧会関連施設建設状況等に関す  る件)  (台風四号による建設関係災害に関する件)  (駐留軍施設周辺都市計画等に関する件) ○参考人出席要求に関する件 ○建設工事適正単価確保に関する請願(第一  一号) ○都市計画法の運用に関する請願(第一六号)(第  二三号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまから建設委員会開会いたします。  日本万国博覧会関連施設建設状況等に関する件を議題といたします。  この際、おはかりいたします。本件調査のため、財団法人日本万国博覧会協会事務次長今枝信雄君及び建設部次長林光夫君を参考人として出席を求めることとし、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 大臣にちょっと伺っておきますが、万博開催までもう六百日を切ったような日取りしかないわけなんです。ところが、現在の状況では、とうてい三月十五日までに開催が間に合うかどうかという点について、非常に心もとない状況であるわけでありますが、一応建設大臣は、これはもう直接万博の監督も、推進もするわけじゃないんであるけれども、少なくとも、万博工事のおくれというものは、わが国の全部の建設界における非常に大きな障害というものが考えられるわけなんであります。たとえば、六百日に満たないというこの日程の中で、現在行なっている、契約されている外国出品館等も一、二にすぎません。ソ連がきまり、またカナダがきまったというような状況で、まだその後、参加国設計等もまだ日本の業者なりあるいは万博当局なりに示しておらないような現状で、この見通しに対しては、非常に憂えるものがある。ことに一番問題になるのは、それらの工事を行なう場合の場内施設、主として建設省が見なければならぬのは、この場内道路工事、それからこれに関連する場外の取りつけの幹線道路等、これはまだ見通しもつかないような現状であるわけです。全部で三十か、四十か、もっと参加国はあると思いますけれども、これが錯綜して一時に工事を始めた場合に、一体その混乱はどうなるかということ、最初にそれを道路局長に聞いてもいいが、万博当局からでもいいんですよ、その点は。その全体の建設計画というものをひとつ示してほしいと思うんです。
  5. 保利茂

    国務大臣保利茂君) それぞれ当局から御説明を申し上げると思いますが、私も本年の一月に万博準備に万遺漏なきを期しまするために、現地並びに周辺を見てまいりました。ちょうど半年になりましたが、先月の二十七日にまた現場へ行ってまいりました。かつまた周辺整備状況等も見てまいりましたけれども、御心配はたいへんごもっともだと思いますが、私が感じました率直な申し方をいたしますれば、たいへん進んでおる。大体幾らかの進み過ぎあるいはおくれもないわけではございませんけれども、全体としましては、これなら万博協会のほうでやられることを抜きにしますと、基盤の段取りにつきましては、まあ万全とは言えないかもしれませんけれども、おおよそ予定いたしておる事業は、大体でき上がったという見通しを持っております。これならだいじょうぶだという感じを強くいたして帰ってきたわけでございます。このことは閣議に報告もいたしました。なおしたがって、関係の向きにおいても、同様に一そう督励をしてもらうようにお話をしております。私のほうとしましては、建設省所管関連事業につきましては、とにかくやり上げるということでやっておりますから、個々のことについては、ひとつ当局から……。
  6. 田中一

    田中一君 それじゃ今枝君から説明してほしいんですが、このいま資料をもらいましたから、資料の大まかなところをひとつ説明してほしいと思うんです。これを読み上げるのも何ですから、大体の外国等のいままでの申し出なりあるいは建設の時期なり、そうした問題をまず最初に報告してもらいたい。
  7. 今枝信雄

    参考人今枝信雄君) ただいま田中委員から御質問のございました中で、万国博覧会協会が直接担当いたしております部分について、まずお答えを申し上げたいと思います。  御案内のとおり、外国政府館正式参加決定をいたしておりますのは、現在で三十九でございます。それから国内企業団体等展示館を建てることになっておりますのが二十八でございます。現在までにすでに着工いたしております展示館は、外国館で言えば、すでにソビエトが、御指摘のございましたように、契約を終わっておりますので、近く着工ができると思います。十二日には起工式をあげる予定でございます。すでに起工式を終わっておりますのはカナダ政府館スカンジナビア共同館でございます。国内企業あるいは団体につきましても、すでに着工をいたしておりますのが、段取りにかかっておりますのが六つでございます。こういうことで、展示館のほうの建設準備もだんだんと進んでまいっているわけでございますが、私どもといたしましては、展示館規模をほぼ想定をいたしまして、協会会場の中で行ないます建設工事と錯綜しないように、工程管理ネットワークを組みまして、いろいろと相談をいたしているわけでございます。御指摘のように、決して楽観はいたしてはおりませんが、そうかといって間に合わないというふうな悲観的な見通しでもございません。  現在のところはそういう状況でございますが、これらの建設を十分に進めるためには、まず取りつけ道路、その他関連公共事業の促進が非常に問題になるわけでございます。直接会場に取りつく道路につきましては、近畿地方建設局あるいは大阪府等におきまして、特別のいろいろな措置を講じていただきまして、工事用道路として、道路そのものは完成をいたしておりませんが、建設資材等を搬入できるように、道路整備を特別に急いでいただいております。そのためにたいした支障はない、こういう見通しでございます。会場の中におきましても、建設用のための道路あるいは電気、水道等も仮配線をいたしまして用意をいたしておりますので、その周辺の問題から特に建設支障が生ずるというところは現在のところございません。個々路線等につきましては、別途所管局から御説明があると思いますが、以上とりあえず御答弁を申し上げます。
  8. 田中一

    田中一君 林君からじゃ具体的に——林君のほうでいい。建設部次長から、ほかの館の着工予定を全部あげていただきたいと思うんです、ほかの外国出品館の。
  9. 今枝信雄

    参考人今枝信雄君) 先ほど申し上げました三十九の政府館着工について全部日取り予定をして、相手側打ち合わせをいたしまして、決定はいたしておりませんが、ただ建設期間から申し上げましてソビエトとか、そういう大規模のところはどうしても一年をこえるだろう。それから中規模のものは約一年、それから小規模であれば六、七カ月で建築ができる、こういう想定でいろいろとやっておるわけでございます。はっきりと着工を明示しておりますのはイギリス館でございまして、イギリス館は十月一日から着工する、これは館の規模といたしましては、中規模展示館であります。その他につきましては、具体的にいつ日取りというところまで打ち合わせを進めては現在のところ決定はいたしておりません。
  10. 田中一

    田中一君 相手があることだから、こっちでものをきめられぬと思いますが、しかし大体その日取りをきめなければ、出会い丁場になってどうにもならぬ混乱がないということをあなた言えますか。それではいつまでにその規模なり構造なりをあなたのほうに提示するという約束になっているのですか。
  11. 今枝信雄

    参考人今枝信雄君) ただいまお答えを申し上げましたように、大体展示館規模によって、日本建設業の従来の実績から考えまして、建設期間がこれぐらいかかるということは、政府代表会議等の機会に説明をしてございますので、当然向こう側もそれに間に合わせるように設計施工にかかるということを期待いたしております。また個々打ち合わせをしておる際には、当然私のほうに建築審査書類が出てまいりますので、それによりましていろいろと相談に入れるというふうに考えております。  いま申し上げましたように、会場展示館敷地配置から申しまして、大規模館中規模館小規模館というのが、大体周辺のところに、大規模館が集まり、中ぐらいのところに中規模館が集まり、まん中の会場人工湖予定いたしておる周辺小規模館が集まるということで、会場配置その他から考えてそれほど錯綜はしないだろう、また現実に出てまいりました建築審査書類等に基づきまして、私のほうに同時に向こう側建設工程管理ネットワークを提出していただくことにしております。それとそれぞれの展示館工程管理ネットワーク協会の持っております工程管理ネットワークを十分に打ち合せをいたしまして、資材の運搬の時期あるいは通路、そういう点についても、御指摘もございましたが、中で多少交通整理をやりませんと、一度に運び込むということは無理な場合もあります。そういうことを十分こまかく打ち合わせて、そのほうがかえって合理的にまいるのではないかという用意はいたしております。
  12. 田中一

    田中一君 最低いつまでに着工なら着工を見れば、大体完成するという考えなんですか。
  13. 今枝信雄

    参考人今枝信雄君) 先ほど申し上げましたように、建設期間から申しまして、大規模館は本年の十月ごろまでに着工していただきたいと思っております。中規模館であれば年明けてからでも間に合うと思います。
  14. 田中一

    田中一君 年が明けてからというのはいつのことですか。
  15. 今枝信雄

    参考人今枝信雄君) 明年の一月でございます。それから小規模館であれば五、六月でも十分に間に合う、こういう予定を立てておるわけでございます。
  16. 田中一

    田中一君 そこでこれに対する労働者資材等手当ても、おそらく万全を期しているのだと思うけれども建設省の中にも労務資材調査室だったか、これは昨年の夏つくったはずでありますけれども、その辺の活動はどうしていますか。建設省の中に、主として万博対策です、労務資材調査室というものをつくったはずだけれども、その活動はどうしているか。それは万博のほうと一緒にタイアップしてそれらの手当てをやっているのかどうか。これは建設省にお聞きします。
  17. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 私、通産省万博を担当しております参事官橋本でございます。同時に現在対策本部というものが内閣にありまして、そのほうもあわせで事務を進めておりますので、総合的にその辺をお話を申し上げたいと思うのでございます。  先生おっしゃいましたとおり、確かに万博準備の終期になってまいりますれば相当な混乱は予想せざるを得ないと思っております。これはもう正直なところ、カナダのモントリオール、これは相当前にいろいろ準備をいたしましたが、開会直前になりますと、たいへんなやはり混乱というものが生じたわけでございます。これもやはり諸外国ともそれぞれ予算をそれぞれの国の国会を通してやってくる関係もございますので、これをこちら側だけの事情でどうこうということはきわめて困難だと思っております。ただ、こちら側といたしましては、先ほど御説明ありましたように、政府代表者会議等を通じまして、できるだけこういう混乱を避けていただくようにということで、いろいろなインフォーメーションを与え、諸外国協力を要請してございます。  しかし、一番問題はやはり、おっしゃいましたように、労務の問題が一番中心であろうというふうに考えております。それで労務につきましては、これは労働省中心にし、建設省並びにわれわれのほうもタッチいたしまして、地方の二十四の県から労働者の供出をしてもらうというふうなことで、現在その二十四の県には労働協力員というのを配置していただきまして、逐次相互に連絡をとって、こちら側の労働の需要に応じて、向こうからいろいろ供給をはかるというふうなことになっておりまして、その中央との関連も、ことしの七月、労働省職安センターのほうと二十四の県が、電子計算機を通じまして常時にそういった労働需給を調整するような組織も開設されたわけでございます。ただ先ほど言いましたように、協会並びに政府その他でやっておりますような事業につきましては、かなり将来の見通しが立てられておるわけでございますが、諸外国並びに民間パビリオン等におきましてのスケジュールが、必ずしもはっきりいたしません。これは協会を通じて常時そういう出展者懇談会あるいは政府代表者会議を通じて、そういった労働等のアンバランスが生じないようにということで現在計画を出していただくというふうなことになっておりますが、まだいずれも必ずしもはっきりとした見通しが立っておりませんので、十分なそういった全施設につきましての計画ができていない。そのために、はっきりとした二十四の県に対する労働供給を仰ぐことがまだできないといったような段階ではございますが、しかし諸外国並びに国内パビリオンも、逐次設計が終わるに従いまして、そういったデータをいただくことになっておりますので、これに基づきまして労働需給から混乱の生じないように何とかやっていきたいというふうなことで努力しております。それから、非常にわずかな量ではございますが、労働対策につきましては、沖繩からも労働供給を受けようということで、これは沖繩青年隊が第一陣として今月一ぱいには日本にやってくるというふうな目鼻も大体ついております。それからそれ以外各地方からやってまいります労働者住宅につきましても、現在それの建設に取り組もうとしておるような段階でございます。  それから資材の点につきましては、いろいろ鉄材あるいはその他の材料につきまして検討を進めてまいりましたが、一番問題になりますのは、やはり骨材であろうというふうな感じがしたわけでございます。そこで骨材につきましても、特に地建中心にいたしましていろいろ確保の手を打ちまして、たとえばあの周辺にあります砕け石の事業者に対して供給力はどうか、あるいはそれに対する需給関係からいろいろな設備の状況等調査いたしましたが、砕け石の関係については、少なくとも問題はなかろうというふうな実は結論に対したわけでございます。その次、たとえば砂利の問題でございますが、砂利につきましては、これはなかなか確保困難であるというふうなことでございましたが、先般地建の努力によりまして、淀川の特定の場所から砂利採取が可能であるというふうなことになりまして、すでに砂利採取協同組合もできまして、そこから入手するというふうなことになっております。あと鉄材、これはもう非常に供給力がございますので、ただ加工段階におきましての問題がややあるかと思いますが、これは少なくともあの近所だけの加工能力を使わなくても、東京並び名古屋地区における加工能力を使うことによって、何とかそういうものは可能であろう。  木材につきましては、これは万博自体それほど多量の木材でもございませんので、これもあまり問題はないということで、こういった面からいろいろ各省の協力を得てやっておりますので、何とか大混乱は避けたいというふうなことで現在やっておる次第でございます。
  18. 田中一

    田中一君 どうもあなたのほうでは資材とか、それぞれ政府が打たねばならぬ手は打っているだろうけれども、いまの、来年の五、六月ごろにくれば間に合うだろう、というふうな甘い考えではだめなんです。労働者の問題一つとらえても、二十四都道府県に頼んであるといっても、一体いつ着工するかわからない、ただべんべんと待っているわけにいかないわけです。公共事業だって、四十三年度の予算で相当なものが、前年度程度のものがあるわけなんです。いまでも労働力不足で困っているわけです。それにこういう臨時のものが出る。それが時限をきめて何日までに、三月十五日までに完全に完成しなければならぬのだという前提でもってものを考えた場合、これがやはり優先されるのです。優先されると、必ずそこに賃金の問題が大きく浮かび上がってくるわけなんです。元請にしても、下請にしても、また孫請にしても、しょせん労働力というものがネックになって、これに対する争奪戦が行なわれるわけです。そういう場合に、日本の全部の公共事業なり、あるいは民間建設工事というものはどういう影響を受けるかということを考えると、網の目の計画というけれども、そんなものは絵に書いた計画であって、実際に具体的に外国、あるいは国内パビリオンにしても、それらの問題が全部具体的に表の上に載ってスタートしなければできないわけなんです。これはひとつ建設省に伺いますが、建設省予算を編成する場合ということを言っておるけれども労働賃金の五省協定があります。この協定金、これは予算を編成する上に一つの目安にしておるのだ、これに対して前年八月なら八月の時点におけるところの賃金というものに対して、プラスかマイナスかをして年度の賃金予算化するんだと言っておりますが、一体今度の万博の総工事、たいへんな工事です。諸外国からのもの、あるいは諸外国のうちの各都市のものなど加えると膨大なものです。これらのものに対する賃金というものをどう押えているのか、どういう協定をして日本のコントラクターにこれを頼もうとしておるのか、その点非常に心配なわけです。これは建設大臣万博はやりゃいいんだ。でき上がったらいいんじゃないか、外国日本商社なり請負人がきめればいいじゃないかということじゃ終わらないわけです。建設大臣所管されるところの公共事業というものに対してしわ寄せが全部かかってくるわけです。そして、オリンピックを見てもわかるとおり、一時的な高賃金の現象は当然起きるわけなんです。今度の場合には契約というものに時限がある。これに対する対策というものを立てておらなければならぬと思うけれども、これは、万博通産省の問題じゃありません。全体の建設工事という国土計画を担当しておるところの建設省は、どういう考えをもってこれに対処しようとするのか。また、万博が一々諸外国発注者日本受注者との間に一応の契約のモデルのようなものが、基本的な契約の要綱ぐらいはつくってあると思いますけれども、今度できるものは、それぞれその国々の特徴とくふうとをもった、これはカナダにおいてもわかるように、ただわれわれが考えているような建造物ではないわけなんです。特殊な工法なり特殊なデザインでもって、相当仕事をするのに困難なものだけが集まるのじゃないかと思うのです。まだどんなものを建てられるかそれもわからないのに、十月にくれば間に合います、三月にくれば着工すれば間に合います。小さいものは五、六月ごろで間に合いますなんというのは、大胆しごくなんです。その甘さというものは一体どうなのか。必ずしわ寄せばやはり明後年の一月ごろに殺倒してきて、それは日本国内仕事悪影響するのは当然なんです。それに対する見通しはどうもっていますか。建設省は一体これに対してどういう賃金の抑制をしようとするのか、むろん五省協定賃金なんというのはナンセンスです。こんなものではとてもいくものではありません。その点建設省はどう考えておりますか。賃金の高騰に対して、また、万博がこれに対してどういう態度をとっているか。むろん通産省のほうもどう考えているか。
  19. 川島博

    説明員川島博君) 五省協定単価といいますのは、公共事業の中でも補助事業について適用される単価でございます。これは御説明ございましたように、前年の八月の屋外労働者賃金調査結果をもとといたしまして、それで予算工事設計積算が行なわれます。前年度末、二月、三月ごろまでの賃金の動向を見きわめまして、それがある%以上上がれば修正をする。その値上がりがたいしたことがないということであれば八月の単価積算をいたすわけであります。資材につきましては、民間調査機関の結果を見まして、そのときどきの時価によって計算するというたてまえになっております。この五省協定単価は、一応たてまえが補助事業のみに適用になるわけでございますが、直轄事業も大体この単価標準といたしまして積算を行なうわけでございます。ただ実際は、前年の八月の単価が基準になりますので、時期的に発注がおくれましたり、あるいは地域的に賃金に格差があります場合には、これは五省協定単価では、必ずしも適正な積算が行なえない場合がございますので、その場合には、この標準単価の上下二五%の範囲内でプラスし、あるいはマイナスすることが認められておりますけれども、現在公共事業労務単価は、そういう方法によって積算が行なわれております。もとより万博関係パビリオン関係仕事は純然たる民間工事民間契約でございますので、直接にこれらの積算方法が適用されるわけではございませんけれども、何と申しましても、万博工事によりまして全国的に賃金なりあるいは資材等単価が極端に影響を受けるということは好ましくございませんので、私ども仕事といたしましても、地建、あるいは大阪万博協会等連絡をとりまして、なるべくこれらの工事のために公共事業悪影響を受ける。また公共工事のために民間のほうが悪影響を受けるというようなことがないように相談をいたしましてやっている次第でございます。
  20. 田中一

    田中一君 相談したって、発注するものがまだ自分の意思表示をしていないのに何をしようとするのですか。万博が、たとえばアメリカと日本商社との間に契約になったところの単価というものを、それをもっと切り下げるということを発言する権利があるのですか。権限があるのですか。
  21. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 労働賃金の問題につきましては、確かにこれは非常に問題がございますので、先ほど言いましたように、二十四の府県からいろいろ協力を仰ぐわけでございますが、しかし  一般の労働者はそういったところである程度の確保はできると思うのでございます。しかし、万博でいろいろ調査いたしましたが、一番問題になりますのは特殊技能者でございまして、あるいは鉄筋工とか塗装工とか、こういった非常に特殊な技能者は、大阪周辺におきましてもきわめて数が少ない、しかも全国的な供給力も非常に少ない。こういった面から、いわゆる賃金上昇の非常に高い突破口ができるのではないかということで、労働省と内々こういった点には相談をしておりまして、たとえば四十四年度になりまして非常にそういった需給状況から、どうしても特殊な技能工が足らないという場合には、たとえば職業訓練所の訓練生、まだこれは一人前ではございませんが、職業訓練生の活用をはかって、全国的に職業訓練所がございますが、そういったところから訓練生の活用をはかろう。これは実は伊勢湾台風のときに、若干名そういった職業訓練生の活用をはかっております。したがいましてそういった緊急的な方法でも講じて、特別な職種の不足をできるだけ解消するようにというふうなことで、そういった点、まだ計画そのものはできてはおりませんが、内々労働省あたりと現在話を進めておる段階でございます。
  22. 田中一

    田中一君 日本建設労働者はね、日雇い的立場にあるんです。どっかに常用されているわけじゃないわけです。したがって二十四都道府県に頼んであるといっても、それは遊んでいるものじゃないです。かりに遊ばしておくなら、遊ぶ期間だけ賃金を払わなければならぬです。そういう同じことを繰り返しておる、いままでも。一体そういう未熟練な職人を使って、一番心配するのは保安上の問題なんです。保安対策というものをどういう考えを持っているか。ただ、万博などは請負にまかせばいいのだということだけでは済まないわけなんです。これはもう積極的に建設大臣が発言しなければならぬことなんです。労働大臣じゃないですよ。この事態がどうなるかは、われわれ想像できますよ。そしてことに期間としても、三月から九月というと、当然あの辺は台風圏内に入るようなコースになっているから、相当堅牢なものをつくらなければならぬ。そうしてランドマークで見られるように、まあ日本建築工学から見た場合に、相当異例な新しいアイデアのものが持ち込まれる可能性がたくさんあるのです。したがって従来われわれが考えておるところの建造物というものじゃなくて、特殊な建造物です。それこそ熟練したところの労働者が命がけでかからなければならぬようなものが多いわけなんです。いまのような程度の答弁では、これはもう何もつかんでいるわけじゃないのです。大体間違いないようにやりましょう、ということにすぎないのであって、その点は万博当局はどういう考え方を持っているか。たとえばランドマークにしてもおかしな話じゃありませんか。東大の丹下君に頼んで、丹下君が菊竹君を推薦して一つの設計を持ち込んだ。そうすると、この三月末でしたかね、入札に出してみると十五億かかる。予算が七億だから何とか七億にしてくれと、こういう依頼をすると、自分の建築家としての良心があるならば、四本柱の百二十メータくらいあったですね、最高。その四本のやつを一本削って三本にしましょうという設計変更してみたり、それこそ未来の住宅というつりぶねがどっかに吹っ飛んでしまったり、これは建築家としては全くお粗末な設計変更なのです。象徴であるところのものならば、それは永久にそこに残そうというものであるから、建築家の良心があるならば、かってな金の都合でもって自分のアイデアというもの、自分の設計というもの、デザインというものをこわされていいというようなものをしいる万博の神経というものを、ぼくは疑うわけなのです。諸外国ではまさかそこまでしないでしょう。どういうものをつくろうとも、自分の金でつくるものに文句を言わぬでしょうが、最初からどうも万博というものはゆがんでいるわけです。アジアに平和が来た場合には、これは成功するかもしらぬけれども、ベトナムなり、あるいは朝鮮でもしも紛争が起きたとするならば、お客なんか来やしませんよ。そこでそういうものからいっても、一日も早く出品者の計画というものを掌握して——私はいまこの建設委員会でこういう質問をするのは、やる以上成功させなければならぬから言うのです。そうしてランドマーク一つにしたって、それだけのものを採用するというなら、金が十億かかろうが、二十億かかったってやるべきなのです。いたずらに建築家の良心を踏みにじってかたわのものをつくるなんていうことはあってはならないわけなのです。そういう意味において、いまの労働者対策——資材は何とか、もし困れば外国から持ってきても間に合うのだから、いよいよ日本にはそれがないといえば持ってきても間に合うと思う。しかし、労働者というものは、向こうから来たところが使いものにならぬ。依然日本労働者に依存しなければならぬ。だから、時間もないから言っておきますが、大体いつごろまでに、諸外国に対して、政府に対して着工するということの申し入れをしてあるかどうかということ。それから保安対策、一番大きな問題、保安対策に対しては、万博並びに建設省も当然しなければならぬことなんです。これは労働省ばかりの問題じゃありませんよ。そうしてデザインがおそらく全部、日本建築家、建築家というよりも、施工者がやったことのないようなものが来ると思うのです。これに対してむろん、仮設物じゃないわけですから、日本建築基準法の法規に従ってそれに対するチェックをするだろうけれども、それに対してどういう態度、対策をとろうとするのか。それからいま申し上げたような労務不足、仕事が始まる前からもう職業訓練所の未熟練工を使わなければならぬということを言っているようでは、とうてい成功すると思いません。労務対策については、そうして賃金をどの辺に押えていこうとするのか、これは書類で出してほしいと思うのです、そういう点は。この委員会でことばの上でもって適当に言ったって、それはもう架空なものだから、だから納得できないものだから、書類を出してほしい、そういうものは。
  23. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 第一点の時期の問題につきましては、先ほど協会のほうから話がございましたように、協会並びに政府代表者会議におきまして、大きいもの、中程度のもの、小さいものということに分けまして、それぞれ大きいものにつきましては今年の十月ごろ、中程度のものにつきましてはできるだけ年内、なかなか困難な場合には来年の一月くらいまで、それから小さいものにつきましては、これは必ずしも諸外国自体がストレートにつくるものではなしに、諸外国の委託を受けて協会でつくるものも出てくると思います、共同的なものでございますので。これは四月、五月になっても十分可能であるというふうなことで、一応そういうことで諸外国にいろいろ協力を要請しておる段階でございます。  それから保安対策につきましては、これは現在におきましても建設業者並びに協会、それから労働基準監督署で会議を持ちましていろいろな指導をやっておりますが、それだけでは不十分でございますので、大体ことしの八月一ぱい、今月一ぱいぐらいには施設が完成すると思いますが、労働基準監督署の分室を会場内に置いて、常駐の監督員のもとに、より強力な労働基準の順守を進めていくというふうなことでやりたいというふうに考えております。   それから賃金の問題につきまして、どの程度に押えるとか、押えぬということは、これは実際問題として無理でございます。しかし、現在の上昇の姿は大体毎年一〇%前後の上昇が一応建設関係賃金上昇というふうなトレンドを歩んでおりますので、あまりこれを大きくならないように、先ほど来先生十分ではないとおっしゃいますが、できるだけの手は打って、労働需給バランスをとる面からする不当な高騰の抑制をしたいというふうに実は考えております。もちろんこの問題につきまして、直接何ぼに押えるとか押えぬということは、これは無理だと思いますが、そういう需給面からする調整をはかっていきたいというふうなことで考えております。  それで、先ほどのように職業訓練生の問題は、これはすべてがこういった特殊な技能者でも——それは熟練工にこしたことはございませんが、熟練工のもとにそのアシスタントという意味で、相当数のそういった特殊技能者の必要な部面については訓練生の活用も考えられるということで研究しておるわけでございます。まあこれで十分だとは申し上げられませんが、可能な限りの手は打っていきたい、というふうに考えておるわけでございます。
  24. 田中一

    田中一君 建設大臣、おそらくことしから来年にかけて、公共事業は相当万博工事のほうで圧迫されますよ。一番大きな問題は、予算面で圧迫されるんです。従業者がいなくなってしまうという危険が多分にある。その場合には、当然万博相場並みの賃金を払うということを、予備費から支出する決意がありますね。これは保利さんに伺うんですよ、保利さんの仕事なんだから。
  25. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほど来からの田中さんの万博を成功せしめるために障害となるであろうという問題、特に労務状況からして賃金の全体に影響を及ぼすような賃金状況を呈するのじゃないかという御注意につきましては、これはそういうおそれなしといたしませんから、ただいま当局から申し上げまするように、十分政府全体といたしまして——全体に影響を及ぼさないといっても、これは無理な話でございますけれども、とにかく特に技能労務者につきましは、よほど手回しよく対策を講じなけりゃならぬと存じます。御注意の点々等を十分また対策本部でも検討いたしまして、何とか万博を成功せしめなきゃならぬということは、これは至上課題でございますから、そこに集中的にひとつ知能を傾けて万全を期してまいるように一そう努力をしてまいるということで、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  26. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 田中君、まとめてください。
  27. 田中一

    田中一君 それから万博のほうでね、諸外国政府日本商社なりコントラクターなりが契約している契約書のひな形を出してほしいんです。私はいつも——いつもというか、いままででも外国に行って日本人が行なっている仕事を見ると、とんでもない出血で帰ってくるのです。なぜかというと、どの国でもやはり建築家、チーフのコンサルタントの立場でもってこっちへ来て、それが全部一人でさいはいをふるうのです。おそらく今度の場合でも、設計等日本の立地条件等がわからぬから、おそらく日本人の設計事務所に頼んで設計するのではなかろうかと思うのです。そうなると、その仕事が余分にかかるのです。そうして今度これを日本商社にやらせる、商社というか商社を通じた請負にやらせると思いますが、これは契約はどういう契約になりますか。またその契約に対して、私の希望するところは、万博がそれを引き受けてしまって、万博日本の施工者との間の契約ということになったほうが心配ないわけです。たいへんなわがまま言いますよ。向こうはコミッションを取るのは普通です。ちょっと設計変更をしたらコミッションを要求します、施工者に対して。これはあたりまえなんです。やはり万博のほうでかちっと押えて、そういう点の問題がないような契約にしなければならぬと思うので、そのひな形を出してください。いま申し上げた数々の注文した資料をお出し願いたいと思います。なるべく早く。それをひとつ、今枝さんどうですか。
  28. 今枝信雄

    参考人今枝信雄君) 外国政府間の建築に伴う工事請負契約につきましては、当協会といたしましては、御案内の日本建築学会、日本建築協会日本建築協会、全国建設業協会、この四者が作成をいたしております標準約款がございます。それをもとにいたしまして、博覧会に伴う特記事項を加えたものをモデル約款として外国政府に提示をいたしまして、できるだけこの約款に従って契約をしてほしいという要請をいたしております。御指摘がございましたが、各国の建築協会が一括してというのも、実際問題としてなかなかまいりませんので、契約個々の請負業者、それから各国政府契約することに相なります。正式に契約書を取りかわしましたところ、それ以外も実質上合意に達しておるわけでございますが、正式に契約書を取りかわしましたソビエトの例を見てみますと、ほぼ約款どおりでございまして、たとえば日本文とするというところを、実は英文を正文とする。一つの妥協だったように聞いておりますが、そういうところが変わっております。あるいは毎月一定の支払いをするというのを、毎月何日に支払うという、日を明示したという多少の修正はございましたが、ほぼそういうところでまとまっておりますので、それ自体としては、あまり問題は起こらないのではないかと思います。ただ、御指摘のございましたデザインその他いろいろ問題と申しますか、非常にユニークなものを持ち込んでくることは事実でございますが、私どもといたしましては、博覧会施行のためにつくりました建築に関する特別規則で、日本側の協力建築家を必ずつけるようにということを要求をいたしております。設計書の審査にあたりましては、その建築家が立ち会うと申しますか、むしろ主になっております。そういう関係で材料なりあるいは工法については、日本建設業者が手なれておるものを使うことが、建築費そのものを安くする。あるいは工期を短縮するために有利であるという情報も十分伝えておるのでございます。協力建築家が設計書そのものを十分に審査をいたしておりますので、いままでのところは、特に問題になって変更を求めたという事例はございません。日本のりっぱな建築家がそれぞれついておりますので、そういう点は心配はないだろうということを、あわせてお答えを申し上げておきます。
  29. 岡三郎

    委員長岡三郎君) そこでちょっと建設省のほうに申し上げますが、ただいま田中君の質疑についてひとつ書面で回答願いたいという趣旨があったわけです。この点どうですか。
  30. 田中一

    田中一君 通産省建設省万博三者それぞれ私が質問をした範囲で……。
  31. 岡三郎

    委員長岡三郎君) いま言われるように、建設省それから通産省万博のほうから一応いまの動きに応じて、いま御答弁せられたことも含めてひとつ資料を出してもらいたい、こういうことでございますので、時間がまいりましたので、この点はひとつ田中さんのほうと打ち合わせてお取り計らいを願いたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  32. 保利茂

    国務大臣保利茂君) よろしゅうございます。
  33. 田中一

    田中一君 今枝さんに、いま説明のあった中でちょっと不備な点があるので一点だけ。いまのその約款はたしかにこの条文はないはずです。天災地変に対する保証の問題はないはずですが、これは一体どう考えていますか。工事中に災害があった場合、この場合にどうなっているのか。おそらくそれはないはずだ、その約款には。この点が一番大事な問題なんです。その点は、いまソビエトはそれで了承したというけれども、天災地変に対するところの保証の問題ですね。これは確かに片務的に施工者が持つのだということになっているはずです。その点は明らかに天災地変の場合には施主がそれを負担するのだということになっておらないのですか。
  34. 今枝信雄

    参考人今枝信雄君) ただいまの御指摘でございますが、実は博覧会の別の特別規則で保険に関する特別規則をつくっております。建築に関しては組み立ての保険を強制保険で全部かけることにいたしております。それで全体としては参加国政府協会との参加契約書の中で、損害賠償の請求権を行使しない、こういう仕組みを一方でとっております。そのかわりに保険で処理をする。こういうことで博覧会に関しては、全体として博覧会に関係のある参加者あるいは工事請負者その他が、お互いに損害賠償請求権を行使しない、そういう取りきめをいたすことにしております。現に参加契約いたしたところはそういうことになっております。そのかわりに保険でもって全部処理をするということで、別に強制保険に付することにいたしておりますので、そのほうで問題を解決いたしたい、こういう仕組みを考えております。
  35. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 本件に関する質疑は、この程度にとどめます。     —————————————
  36. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、台風四号による建設関係災害に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  37. 松永忠二

    ○松永忠二君 実はいまからお聞きいたしますのは、静岡県の一地方の被害ですけれども、私がここで取り上げたのは、これが建設省の直轄工事であるということですね。それからどうも被害について少し疑念が持たれるので、こういう点について明確にしていきたい。これはまた他の災害にも関連をして共通の問題であるので、ここで問題にしたのでありまして、その点をひとつ御了承をいただいて質問をしたいと思うのです。  そこでお聞きいたしますのは、この四号台風の余波として、静岡県の大井川町大井川吉永海岸というところの、これは駿河湾の西海岸は特定海岸でありまして、建設省の直轄工事として行なう地域であります。ここの防潮堤が被害を出したわけでありますが、この被害の状況と被害の額をひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  38. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 先生の御指摘のように、台風四号によりまして大井川の河口の東側の吉永海岸でございますが、その防潮堤が、これは建設省直轄による防潮堤でございますが、それが約百八十メートルにわたりまして堤防の決壊あるいは基礎侵掘等の被害を受けたわけでございます。原因は台風による、波のうねりによる破損でございます。  御質問の災害の額は、全部で一億八百万ばかり見込んでおりまして、とりあえず工事が急ぎますために、既定経費を流用いたしまして、目下応急的な処置をやっておる段階でございます。
  39. 松永忠二

    ○松永忠二君 この四号台風の余波で、静岡県の海岸には、ほかに被害は出ていないと思うのでありますが、その状況はどうです。
  40. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 私どもの現在まで調べている段階では、よその個所には出ておりません。
  41. 松永忠二

    ○松永忠二君 四号台風は、現実的に通過をしたところでもたいした被害はない。特に、静岡県の海岸では、四号台風の余波としての被害はほとんどない。そうであるのにかかわらず、国が直轄工事として行なった防潮堤だけが被害を受けた。しかも、これは昭和三十九年の八月に施工して、四十年の四月に完成をしている。こういうふうに非常に新たにできて、しかも直轄工事として地元の住民も、非常な信頼を寄せているこの特定海岸の工事が被害を受けたというのは、何かそこに特別の原因があると考えなければいけないのですが、この点について、何か建設省のほうでは調査をされておって、特に被害の起きた理由というのはここにある、というふうにお考えを持っておられるのですか。
  42. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 仕事の、海岸工事のやり方でございますが、この海岸の工事は、堤防をつくりまして、その堤防の前面をコンクリート張りいたしまして、なおそれに対しても安全を期するために消波工という、先生御承知でございますが、ブロックを堤防の前面に落とすわけでございます。そういうような順序でございますが、予算関係等もございまして、とりあえず堤防のほうを先にやろうということで、しかも、堤防の位置も安全を期すために波打ちぎわからかなり後退した場所に、しかも人口の連檐区域というものを主として守るということを重点に置きまして、堤防を先にやりまして、そのあとで引き続いてそういった堤防を守るためのコンクリートブロックをやろうというように、一貫した計画を持っておったわけでございまして、たまたま四号台風の結果にかんがみて見ますというと、そういった堤防をつくるのと並行して、同時に前面にそういった波を殺すような施設を早くやるべきであるというようなことを反省いたしておりますが、この一帯の傾向といたしまして、非常に工事的にむずかしい問題でございますけれども、この付近の海岸が、若干数年前から後退を始めまして、非常に高い部分については心配ないように考えておったものが過去の台風等の経験にかんがみて、だんだん海岸の侵触といいますか、後退する度合いがひどくなってまいりましたので、急遽直轄工事を三十九年から始めたわけでございます。そういった地形上の関係等で、欠け込みの地形上の関係からいって、今度の台風四号のうねりによる波の影響というものが、特にこの付近は強かった。そのためにこういった破堤を来たしたというふうに考えておるわけでございます。
  43. 松永忠二

    ○松永忠二君 このいま被害を受けたところへ、つまりテトラポットなどを置いてほしい、こういう陳情がすでに相当前になされていて、地元自身もここは危険なんだということを強く感じて、その陳情等をしていたという事実があるわけですが、こういう点は御承知なんですか。そうしてまた一体ここにどうもあぶないという状況が出てきたのは、一体いつごろなのか。
  44. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 先生の御指摘のようにそういった要望も地元からあったように聞いておりまして、その地元の要望において逐次西のほうから東のほうに向かってそういった消波ブロックというものを設置いたしておったわけでございます。それから直轄の区域に移しましたのは三十九年でございます。その付近につきましても、急いでそういったブロックをやろうというぐあいに計画している段階であったわけでございます。
  45. 松永忠二

    ○松永忠二君 ここはひとつ大臣も聞いておいていただきたいんですが、このすでに防潮堤の下に砂がえぐられて空洞ができたというのは、それはもう一月のことです。それで、順次やっておったというお話ですけれども、テトラポットをやって消波のことをやっていたところは、もう前からできておったわけなんです。そこのところはつまりテトラポットを入れておらなかったところなんです。順次じゃなくてそこは入れていなかった。それでしかも地元でこれはあぶないから何とかしてもらいたいという陳情を、地方建設事務所あるいはその他の地建等に要請をし、陳情をし、それももう四月には相当な数できているというこの事実、すでにもう防潮堤の下がえぐられているし、このままではあぶないし、何とかひとっこれを応急処置をしてほしいということを言われていたのにかかわらず、これがなかなかできなかった。それで八月の一日に実はテトラポットを入れるということで入札をするという段取りのその前にこれがやられた。こういうことになると、どうなんですか。一体この被害というものは、普通の被害ではないと私たちは思うんですがね。調査とか手当てが遅延をしていたところに原因があるのじゃないか。こういうことを承知をされていたのにかかわらず、その手当てがおくれていた。もうすでに防潮堤が下に空洞ができてあぶなくなってきているという事態が、もう一月に発生をしているということから考えてみると、そのときは早急に手当てをしておけば、一応この被害はなくて済んだということになると思うんですがね。こういうふうな点について不十分な調査手当ての遅延があったということを率直に認められるのかどうか。まあ先ほどは海岸の浸食もあるので入れておきたいということだったが、予算関係もあってできなかったというお話ですけれども、そういうことより一歩前進した原因がそこにあるというふうに思います。事実、私はなぜその現場を見に行ったかといえば、一体その直轄工事でどこにも被害がないのに、ここにばかり百八十メートルの防潮堤が決壊をするというのは、何か原因があるのじゃないかというような気持ちで、まあ自分も行って調べてみまして、現場を見てみるというと、やっぱりここだけが被害を受けた理由というのは、そこに原因があるのじゃないかというふうに私たちは思うのですが、この点について、一体局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  46. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 先ほどお答えしましたふうに消波のブロックを逐次やっておりまして、四十二年度にもそのブロックを西のほうから東へ向かってやってきておったわけでございます。たまたま不幸にして決壊をいたしましたその区間につきましては、四十三年度の工事でひとつやろうということでもう準備をすでに進めておったわけでございます。仕事のやり方としましては、先ほど先生に申し上げましたように、まず堤防をどんどんどんどんつくっていきまして、それに追っかけてひとつブロックをつくっていこう。どちらを先にやるべきかという問題がございますが、堤防の本体をまずつくっておいて、そうしてできるだけ予算の範囲内において消波ブロックをつくっていく……。
  47. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の聞いたのが事実かどうか。
  48. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) それは先生おっしゃいましたように、西のほうから逐次継続的にブロックをやってきましたが、今度の被災個所についてはやっておりませんでした。そういうことで今度の台風については消破ブロックについては、間に合わなかったというわけでございます。こういうことでその点は残念でございます。しかしながら、本堤はできております。  それから災害の原因は先ほど先生御指摘になりましたが、私が申し上げたように、よその地点においては比較的起きていないのにここだけがなぜ起こったかということがございますが、それは先ほど申しましたように前面の、堤前が非常に底が欠け込んでおったという事実がございまして、そのために同じ波が来ても、よその場所に比べてそこに波の力が集中して強くなったという現象がそこにあらわれたということと、それから先ほど申しましたように、残念なことには消波ブロックができていなかった、もしできていれば防げたかもしれませんが、ここのところはむずかしい問題であります。私どものほうは予算の範囲内でもって本堤を延ばして、そうしてブロックを実施中でありますが、不幸にして今度の災害を受けた所は、まだブロックができていない端っての所から起こったということであります。
  49. 松永忠二

    ○松永忠二君 私がお聞きしたいのは、一月にそういうふうにえぐられて防潮堤の下に相当空洞があったということで、四月に陳情しているというこの事実は事実ですが、違うのですか。
  50. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) そのとおりだと思います。実はこれは地方建設局が直接工事段階ではやっておりますので、本省に参りました段階は多少おくれていると思いますが、地元から陳情のあったことは事実でございます。陳情を受けまして、私どもは早くブロックをつくりたいということで努力しておったわけでありますが、不幸にして間に合わなかったということは、非常に残念でございます。
  51. 松永忠二

    ○松永忠二君 先にもうその下がえぐられ防潮堤の下に相当の穴があいていた、そのことはどうなんですか。
  52. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) そこまで私は存じませんでした。
  53. 松永忠二

    ○松永忠二君 それはおかしいじゃないですか、すでにそこヘテトラポットを入れていこうということがことしの予算でできているというなら何も陳情する必要はない、あぶないからということでそこに早く入れてくれという陳情がなされたのだと思います。これははっきり調べてください。私は現地に行って責任者から話を聞いているのです。だからテトラポットを入れていない所がやられていることは事実なんです。しかも、それは相当破壊をされてあぶないという現象が出ているから早くやってくれと、そういう事実があったことは、陳情したことも事実である。そういうことになると、それは現実的にはもっと早く手当てをしたら、これだけの被害がなくて済むだろう、しかもいまお話のようにことしやろうとかなんとかと言う所のそのすぐ横は砂浜であって、そこはテトラポットを置く心要はない、そこだけが海に接している所なんです。そこでその原因は私はそういうところに原因があった。とにかくもっと早く手当てをすればこの被害はなくて済んだ、こういう点を考えてみると、やはりこういうふうな地元陳情とか、あるいは特に出てきたときの早急な調査というものが非常に必要だということを考えるわけですが、これはもう私のところで、この前の台風災害のときに、吉原の海岸に非常な被害が出ていることは事実です。そのときも現実にそういうようなところから、つまり防潮堤が被害を受けていることも事実なんです。しかしここまで破壊をされているのをそのままにして、しかもようやく八月——予算はついているのに八月一日に入札をしてこれからやろうというのではおそいじゃないか。もっと早くやればこの被害は受けずに済んだんじゃないか。そこで一体この工事はどこがやったのですか。
  54. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) ちょっといまわかりかねます。あとで調べまして御報告いたします。
  55. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は、こういうふうな、やはり被害としては比較的どうもほかにはないのにここに被害が出たら、どういうことになっているのか、どこがやったかということを先に調べる責任がある。これは補助事業じゃないんですからね。これは新日本土木株式会社というのが施工しているのですよ。この建設大臣登録を得たのが昭和四十一年六月十一日で、この工事をやるときには建設大臣登録もなかったのです。この会社は昭和三十六年にできて、新日本道路建設株式会社という会社がそういう会社になった。これは道路の鋪装とかそういうことをやる会社なんです。しかもこの会社がこういう海岸防潮堤に手をつけたのは、この工事最初工事だということを私たちは聞いているわけです。しかも、ここで工事のときにシートパイル打ち込みの道具が最初のときになかった。非常に原始的な打ち込みのやり方をしたために入らない。そこで途中でシートパイルを切って、夜シートパイルを運んでいったというようなことがあったというので、そういう事実を証言するというなら、地元の人で証言してもいいという人があると、こういうことも聞いているわけです。しかもシートパイルが防潮堤のコンクリートの中に入ってない。食い込んでないわけです。いま現にシートパイルもそのまま残っておりますがね。こういう点についてやはり調査をやる必要があるんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  56. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) いまのシートパイルを切ったとかどうとかいう話は初耳でございますので、私どもいずれこの災害の復旧につきましては、どういう原因で破堤したか、それに対処するのはどういう工法でやればいいかということを、常々検討しているわけでございますが、この問題につきましては、よくまた実地に地建当局に命じまして詳しく調査いたしたいと思います。
  57. 松永忠二

    ○松永忠二君 まあ新日本土木株式会社というのは一体役員構成はどうなっているのか、こういう点もひとつお調べいただいて、何で大臣登録でない道路鋪装をやるようなのが、最初にこんな防潮堤をやったのかという点についても、何かそういうことでやらしたんじゃないかなということも考えられるような点が出てくるわけですけれども、とにかくやはりここばかりがこういうふうなことになったんですから、全般的に被害があるときに被害があったというなら私は何も別にそんなにとやかく言うことはない、早く復旧してくれということをお願いすれば、私足りると思うのですけれども、しかしどうもおかしい。とにかく地元民は直轄工事だということに非常な信頼を寄せているわけですよね。そのところがすっぽり被害を受けているわけですからね。こういう点、一体最初施工したものに何か欠陥はないのかどうか。しかも、これにやらせているのでしょう、復旧は、いま、この会社に。だからもっとしっかりした、四十年の工事はまたほかの経験のある工事者がやっているようですが、その次はまたこれがやっているようですが、もっとそういうことに経験を持っているものがたくさんあるので、そういうものにやらせてもらいたいという気持ちが地元に起こるということもわかると思うのですね。しかし、りっぱな会社として成長していったということであれば、今後またそういうことを特に留意してほしいと思うのです。  そこでその次の問題ですが、さっきお話がありましたように、この辺は海岸の水深が非常に変化をするというところで、事実、実は大井川口の港湾の前の海岸を水深調査をしたものがありますが、相当水深が海岸に近づいているという事実があるわけですね。特定海岸ですから、海岸の管理者は建設省になっておるわけなんですが、そこで一体海岸について水深調査をやっているのかどうなのか。これはどうなんでしょうか、お聞かせをいただきたい。
  58. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) やっております。
  59. 松永忠二

    ○松永忠二君 それはいつどういうふうにやっているのか、定期的にやっているのか、どういうふうに定期的にやっているのですか、ちょっとお聞かせください。その結果はどうなっているのですか。
  60. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 毎年一回ずつ、一定の間隔を置きまして深浅測量をやっております。この時点につきましては、先ほどお話いたしましたように、逐次後退しているというような状況につきましても、私ども調査をいたしております。
  61. 松永忠二

    ○松永忠二君 一番新しい調査は何月何日にやつたのですか。
  62. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 全般的な深浅の測量は、昨年の台風期を過ぎました秋にやっております。それから汀線の調査は最近七月にやっております。
  63. 松永忠二

    ○松永忠二君 全般的には昨年の秋ですか。それから汀線のほうはいつですか。
  64. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 本年の七月でございます。
  65. 松永忠二

    ○松永忠二君 その結果を見せてください。  それからその七月の調査でもう相当なあれが出ているのじゃないですか、水深が非常に近づいているというようなことは。
  66. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) あとで先生のところにお届けいたします。
  67. 松永忠二

    ○松永忠二君 私たちの感ずることは、この前もそうでありますけれども、駿河湾の水深が非常に変化する、特にこの前の吉原とかああいうところが非常に陥没している。したがって、これをこのまま施工したらいいものなのか、どういうものなのかということを相当研究していかなければならぬということを、この前の災害のときにも検討された事柄です。現実に四十二年にやられたものを、本年七月にやられた資料を見せていただくわけですが、そういうものを見れば、もういち早く手当てをしなければいかぬということは、私はもうはっきりしていると思うのですね。だから、そういうことをやっていればいるほど、こういう点についての配意がなされなきゃできなかったんだということを申し添えたいと思うのです。  そこで、これが決壊をしたために、地元民が四千二百人動員をされるとか、あるいは消防団員とか、水防団員とかが動員をされる。あるいはいろいろの土のう、麻袋、かます、いろいろなものをたくさん使っているわけですよ、水防のために。これについては一体この費用は建設省は補助をするのかどうなのか、この点はいかがですか。
  68. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 建設省といたしましては、この水防団が非常に活動をしていただきまして、われわれ感謝しているわけでございますが、これらの資材は全部私どものほうで見ることにいたしております。
  69. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと松永さん、自治省からも来ておりますし、時間もあと約十分程度ですから、ひとつまとめて……。
  70. 松永忠二

    ○松永忠二君 それ間違いないのですか。現地ではそういうことを言っていませんがね。やっているところでは、これはめんどう見ませんと。土のう、麻袋、かます。まあ土のうのあたりも一万八千袋。麻袋、かます、肥料袋、そういうものを非常に、大体三百万から四百万くらいある。それをめんどうきちっと見るのですね。
  71. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) もう先生よく御承知のとおりでございますが、水防団に使います資材というものは、原則としては一切水防団の経費で見ることになっておりまして、あらかじめ備蓄資材というものをそれぞれ水防倉庫に持っております。それに対しては十分国の補助も——まあ十分とは申しませんが、やっております。しかしその中で、災害を受けましたので、どうせこれは応急復旧ということで工事いたしますので、その段階でできるだけ見れる範囲内のものは見ようということで、私どもの気持ちとしてはできるだけ見てあげたいというつもりでおるわけでございます。原則としては水防団のみずからの御協力によってやっていただくというのが原則でございます。
  72. 松永忠二

    ○松永忠二君 いま御答弁ですので、それが実行できるように、ひとつできるだけ広い範囲でやってもらいたい。ただしかし、水防法の規定には、条文にはなかなかそれが十分できないようなふうになっているわけですがね。施設補助については相当規定をしているわけですけれども、水防は管理者の責任だというようなことで。この水防法についても少し問題があると思うわけですがね。直轄工事の防潮堤が決壊したために、水を防ぐためにやらなければいけない工事をやっておいた。その工事は、いや私のほうはただ防潮堤を復旧するのが仕事であって、そういうことをおやりになったのは水防活動なんだから、これは管理者が出してもらわなければ困るというようなことでは、幾ら何でもこれはやり切れないと思うのですよ。防潮堤がくずれさえしなければ、そんな金は要らなかったわけですからね。だから、こういう点は、いまの水防法にもやや検討を要するものがあるし、また広範囲に解釈をしていけば、十分にいま言うように、補助の対象をひとつふやしてもらって、十分にめんどうを見てもらう。だからこれについてはいまの言明が実行されるように、ひとつ努力をしていただきたいわけです。  なおそれでも不十分な点があるので、自治省にお尋ねするわけですが、これはやはり地方交付税の法律に出ている、第十五条の特別交付金の、災害等のために特別な財政需要ということで、この点についてはひとつ十分配慮してめんどう見るという、こういう自治省はお考えですか。
  73. 山本茂美

    説明員(山本茂美君) さようでございます。
  74. 松永忠二

    ○松永忠二君 それじゃひとつ、それは十分調査をして見ていただくということにしてもらいたいと思います。あわせて、建設省としてのできる責任は果たしてもらいたい。  最後に、一体この復旧の計画はどうなっているのか。これについて、私は何か変な、悪いことばかりをあげましたけれども、今度やってみて、防潮堤のうしろの排水のパイプを入れているところがある。これは非常な効果をあげたということがあるわけです。ところが同時に、地元からいえば、防潮堤の中に隔壁といいますか、一定の工事の距離を置いて壁をつくってもらえば、非常に工事が、防潮堤自身が非常に堅牢にしてこういう破壊に耐えていくことができる。あるいは、さっきの話ですが、シートパイルの上部をコンクリートで直結をして、全部防潮堤を固めてもらいたい、あるいは防潮堤の根元にコンクリートを固めて入れてもらいたいとか、防潮堤を高くしてもらいたいというような具体的な要望もあるようです。だからやはりこういうふうなものについては、復旧計画を着手するにあたって、十分に考えてもらいたいということが一つ要望としてあります。  と同時に私は、さっき話が少しあなたのほうから出ましたけれども、ここに泉川という川が出ているわけです。この放水路が横になっているわけです。これが非常に排水のために水みちをこしらえて、あの防潮堤の前の水深を深くしているという事実があるわけです。この一体泉川の放水口の水勢をどう処理していくかということをやらないと、これからまたあと、みな海岸がえぐられて、またテトラポットもどんどんどんどん持っていかなければできないということになるのを、私も行って見ているし、地元も言っているし、そうだという感じを持っているのです。そういうふうな要望を含めて今後検討してもらいたいと思うのですけれども、現在考えている復旧の計画というのはどういうものか。ひとつ十分なものをやってほしいという要望ですが、最後に一つその点お話を聞いて、ひとつ大臣に最後に、この被害の状況がどういうふうな状況だということから考えてみて、特に私は早期にこうした予防の措置というものを的確にやっていくということによって、被害を防ぐことができる一つの事例だというふうに私たちは思うので、よく言うように、地元の陳情というものをあまり軽んじないで、ひとつこうした問題について十分なる調査手当てを慎重に行なうように、大臣に要望するわけです。この点についての御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思うわけです。
  75. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 大井川河口の防潮堤の決壊について、なるほど私も全く松永委員と同様に、あの四号台風に対してどうだろうかということで案じておりましたが、ああいう状態です。そこへ大井川のほうの防波堤が百八十メートルにわたって決壊をした。これはひどいものだなということを感じました。実際、河川局長からだんだん事情を聞いてみますと、その防波堤の堤防の決壊は、沿岸地元の方々に対する非常な被害と同時に、第一、防波堤自体を失うことによって国の損害というものも非常に感ずるわけです。せっかく防災の大きな目的でもって金をかけてつくったものを流す、決壊せしめる、破損するということは、実際、国自体から、国益から言いましてもたいへんなものだ。だんだん話を伺っておりますと、実態が非常によく理解できるわけです。私はできるだけ行政が、官庁の窓から見るだけでなしに、受けるほうの地元住民の意向というものをやはり大事に反映されていくような行政になっていかなければいかんということを、年来考えている一人でございます。お話しのように相当防波堤のあれがえぐられておって危険じゃないか、なるほど予算もありますから、できる場合とできない場合があろうかと思いますけれども、何らかの手を尽くしておけば持ちこたえるのじゃないか、手を尽くさなければいかぬ、あぶないぞということを地元の人が非常に心配しておられるのに、予算ができたらやりましょうというようなことだと、こうやって災害復旧については五千万も六千万もとにかく予算流用でやるわけですから、非常に危険なそういうことはだれしもわかるならば、ひとつそういうことは多少行政の妙味といいますか、そういうもので事前にできなかったものだろうかということ、これはだれでもあとで考えることでございますけれども、しかし、このことは今後のこういったような問題に対する非常な教訓を残しておると思いますから、のみならず、また施工者等に対するお話は私は初めて伺ったわけでございますが、そういう点において考えなければならぬものがあるかどうか、ひとつ河川局長にみっちりこれは研究していただいて、それで御趣意に沿うような方向でひとつ指導してまいりたいと考えております。
  76. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 先ほどの先生のおっしゃいましたいろいろな技術的な問題ございますので、それにつきましては十分検討させていだきまして、できるだけ御趣旨に沿ったように十分安全な堤防をつくっていきたいというぐあいに考えております。いろいろそこに港湾のしゅんせつの問題あるいはその放水路の問題もございまして、そういう意味では、この地点は先生おっしゃるように特殊な場所でございますので、そういう影響をできるだけ除外するようなひとつ措置を含めて考えていきたい。  それから、本復旧につきましては、来年の台風期までに堤防の本体の復旧を完成することにしておりまして、もちろんその前面にはコンクリートブロックをいたすようにしております。それに接続する直轄の海岸保全事業としてできていない場所につきましても、コンクリートブロックによる根固め工というものを引き続いて補強してまいりたいということでございまして、災害復旧費は一億八百万でございますが、それ以外に積極的な海岸保全事業というものを重点的に振り向けまして、遺憾のないようにしていきたいと考えております。
  77. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 本件に対する質疑は、この程度にとどめます。     —————————————
  78. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、駐留軍施設周辺都市計画等に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  79. 春日正一

    ○春日正一君 初めに防衛施設庁のほうにお聞きしますが、九大にジェット機が落ちてたいへん問題になって、当時板付の米車基地を移転してくれという具体的な自治体の決議もありましたし、それから世論も相当ありましたけれども、その問題の扱いですね、その後現在までどういうふうに考えて、どういう努力をしてきましたか。
  80. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 九大の構内に米軍のジェット機が墜落しまして、これを契機として人口稠密な基地の近傍に軍用の飛行場があるということは適当ではないんじゃないか、こういう一般の世論もございまして、政府においては閣僚懇談会を開き、その結果、板付飛行場を移転するという方針を打ち出したわけでございます。その後米側にも折衝いたしまして、米側としても適当な代替地の提供があれば、移転するにやぶさかでない、こういう回答を得ておりまして、その後一体移転先としてどこが適当であるかということを、事務的に検討は進めております。しかしながら、何ぶんにも板付飛行場という非常に大きな施設を移転するという問題ですので、これはよほど慎重にやらないと、実際問題としていろいろ支障が将来出てくるということもございますので、まだ特定のどこという候補地にしぼる段階ではございませんけれども幅広い範囲で現在検討を進めております。
  81. 春日正一

    ○春日正一君 この問題についてはこれ以上深くお聞きしないことにしておいて、こういう墜落事故とか何とかいう基地につきもののことが全国で起こっているわけですね。そういう意味でこういう米軍基地による墜落その他の事故の件数ですね、それから国民の被害状況というようなものはまとめて調査されて掌握しておりますか。
  82. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 現在までに起こりました米軍機による事故の件数等は、ただいま資料を持ち合わせておりませんが、調べたものがございます。
  83. 春日正一

    ○春日正一君 それではあとでその資料を提供してもらえませんか。
  84. 岡三郎

    委員長岡三郎君) よろしゅうございますね。
  85. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) はい。
  86. 春日正一

    ○春日正一君 そこで本論に入りますけれども、四十三年の七月に提供施設に関する要望書といって、神奈川県の基地関係県市町連絡協議会という名前で、施設に対する補償あるいは撤去の要請ですね、これが出て、これは非常にたくさん書いてありますから、一々私は読みませんけれども、具体的にどこは撤去してほしい、どこは縮小してほしい、具体的な理由を非常にはっきりあげて要請が出ているわけですが、これに対して検討され、そして処置をされておるのかどうか、その点聞きたいと思います。
  87. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 都市近傍にある米軍の基地につきましては、厚木に限らず都市計画等との関連でいろいろ具体的な要望が出てきております。特に九大の事故以来、こういった問題がかなり全国的にクローズアップしておるという客観的な情勢でもございますので、われわれとしましては、厚木に限らず基地の現在の状況等をまず正確に把握する、その上でこういった問題に対する今後の方針をどうするかということをきめたいということで、現在のところ——もちろんこれは常日ごろやっておることですが、さらにこの時点において全国各基地の現状を把握するということで、いま事務的に進めておる段階でございます。
  88. 春日正一

    ○春日正一君 具体的にお聞きしますけれども、たとえば、横浜市で下水道処理施設が非常に他の都市に比べて立ちおくれている、下水道の普及率が一四%しかあれだけの大都市でなっていない。そうして下水道整備緊急五カ年計画で努力しておるんだけれども、特に神奈川の処理ですね、あすこだけは下水道の処理場をつくる見通しさえつかない。そのためには一番適地である横浜のあのノースドッグですね、約一ヘクタールの面積、これをどうしても返してほしい。あすこは地勢上一番低いし、私も神奈川のほうよく知っておりますけれども、放流先の条件、施設構造その他の条件からいって最適地だし、ぜひこれは使わしてほしいということをこの中で言っておるわけですが、その問題について具体的に調べて処置をとるということはおやりになりましたか。
  89. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 横浜のほうからかねがねノースドッグ地区で米軍が現在モータープールとして使っている場所が、下水処理施設を設置するのに最もかっこうな場所にあるので、ひとつぜひこれを米軍から返還してもらって、そういう用途に使いたい。ついてはその代替地は、市のほうで現在の埠頭のある地区に埋め立てをしまして、そこを提供したいという申し入れがございます。そこで、この問題につきまして、私どもとしましては、確かにそういった下水処理施設が必要であるということはわかりますので、米軍に交渉をして、横浜市のほうが出した条件について米側の意向を打診したわけです。これに対しまして米側は、横浜市が提案しておる埋め立ての場所は、LSTが接岸する際に、そこで船の方向を変えて回転をしなくちゃならないわけですが、埋め立てをするとその幅が狭くなって回転が不可能になる、あるいはもう直接海に面したところであるから塩害がある、こういったようなことで、現在米側としては横浜市の提案に対してまだオーケーを出しておらぬわけです。そこで、この米側の意見に対して、横浜市のほうからも米側が言っている事項はどうなんだ、ちょっとよくわからないことがあるから、その点確認してもらいたいという申し入れがございまして、その点、さらに米側に照会をしておるわけですが、まだ回答をいただいてないという状況でございます。こういうことで、現在横浜市のそういった御要望につきましては、施設庁のほうで米側と交渉をしておる、こういう段階でございまして、われわれとしては、事柄の性格上、市の申し入れに対してはできるだけの協力はしたい、このように考えております。
  90. 春日正一

    ○春日正一君 それからもう一つ具体的な例をあげますと、これはあなた方はよく知っておられるだろうと思うのですが、これですね。相模原の総合補給廠、ここにこういう大きな総合補給廠ができて、しかもこれがために下水道の流れが——ここは国道七号ですか、ここを通っているのは、補給廠のところを通っているのは。国道が通っていて、そこが稜線になっていて、そこで水はこっちに流れるのと、それからこっちに流れるのとがあって、それが自然の形なんですね。従来は補給廠の中を一メートルの下水管が通っておったのを、それを米軍のほうでこれを閉鎖して通させないようにした。臨時に排水のあれをつくってやるとか、こっちのほうのものを国道を通してこっちに流すというようなことをやっているけれども、平時はそれでいいけれども、雨が降れば、ここの道路が排水路になってしまうというような現状になっている。そして町が発展していく中で、この地図を見てもわかるように、ここに町があるわけですから、ここは基地がまん中にあって、ドーナツのようにまわりに町が広がっていくという形になっているということになると、これは町の発展にとって、町としても都市計画をつくろうといっても、これを除外してこれをつくろうということになると、非常にゆがんだ形で都市計画をつくらにゃならぬことになる。そういうことで、下水道の問題、この排水路の問題だけでも何とかしてほしい、だから調べるだけ調べさせてほしいというのに、アメリカ軍は調べることもまかりならぬという状態になっている。しかも、最近聞いてみると、アメリカはここに戦車か何かの修理工場をふやすというような予算を組んでいます。そういうようなことになると、ますますこの市の計画というものは立たなくなってしまう。この点について、何で調べることもさせないのか。そこに補給廠があったって、下水道ということをとってみれば、その下を通してパイプで流すというようなことはできそうなものじゃないか、これが一般の考え方ですね。この問題について、施設庁のほうでは一体どういう努力をされているのか。
  91. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) この相模原補給廠地区の排水の問題でございますが、実はわが方に周辺整備法という法律がございまして、基地があることによって直接的な因果関係の範囲内でいろいろ災害的なものが発生する場合は、それを救済するような規定がございます。そこで、この相模原の補給廠地区につきましても、この排水の状況を検討いたしまして、市のほうの御要望によって、一部河川につきましては防災工事を実施しているところもございます。いまお話のありました基地の中の排水の問題につきましては、これは米側がどういう意図でその調査を拒否しておるのか、つまびらかにはしませんけれども、わが方に申し出をいただければ、米側に申し入れをしまして調査できるように取りはからいたい。これは都市計画の必要上そういう調査がどうしても必要だということであれば、私どものほうに市のほうから申し出いただければごあっせんをしたい、このように思っております。
  92. 春日正一

    ○春日正一君 もう一つついでにお尋ねしておきますけれども、厚木の海軍飛行場ですね。これが非常に大きな被害をもたらしている。この点については、ここに調査した資料がありますけれども、墜落その他の事故、あるいは部品の落下とか、大体一年に二件半くらいなわりで出ていますね。五カ月に一回というわけです。しかもあの周辺地区は人口が密集してきている。そしてこの地図で説明もしていますけれども、ここに小田急が入ってきています。ここに基地がある。だから、町はこっちのほうに伸びようがないというようなことで、都市計画をつくる上でも、これは非常に困っているのですね。しかも、ここをぶち抜いて、こっちの部落までつなぐ道路をつくりたいのだけれども、ここにイースト・キャンプというのですか、こういうものがあって、出っぱっておるために、この本来の基地でも、非常に大きな障害になっているのだけれども、この小さな出っぱりがあるために、都市計画がほとんどつくれないというような状態になっている。そして、これはいま使っていないそうですね。使っていないと言っていました、現地の話では。だから、せめてさしあたってこれくらい取ってもらわなければ、この地域の都市計画というものはできないのじゃないかということで、これを何とかしてほしいということを要望しておるわけですけれども、そういう点についてはいま初めてお聞きになるということなんですか。それとも、前からそういう話があって、これは数年前から問題になっておって、特に来年度から新しい都市計画法計画をつくっていかなければならない。その場合に、この問題が解決つかぬというと、この地域の都市計画というものはつくりようがないというような問題になっているわけですね。それについて、どういうふうにされるのか。
  93. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) ただいまお話しのイースト・キャンプの問題でございますが、これは地元のほうから来た文書によりますと、使っておらないということですが、私のほうで調べました結果は、全体で五十数棟ですか、全体で五十九棟ございまして、そのうち三十七棟は使っております。それから残りのうち七棟は近く使用計画があるということでございます。そこで地元の言っておるように全然使っておらないという実態ではないと思います。しかしながら、都市計画道路関係上、その一部を道路を通してくれというお話につきましては、そのイースト・キャンプのまん中を通るということでは、ちょっと米側と交渉しましてもなかなか実現がむずかしいかと思いますが、へりのほうを少し割愛してくれというようなことであれば、そういった例はほかにもございますし、米側のほうに折衝したいと思います。何ぶんこの問題は、ことしの六月に文書をもって地元からわが方に出されたばかりでございますので、まだ具体的なアクションはあるいはとってないと思いますが、さっそく調査しまして、できることなら米側に交渉したい、このように思っております。
  94. 春日正一

    ○春日正一君 まとめて確かめておきますけれども、こういう問題を具体的に出しておる地元ではそう思っているんですけれども政府とすれば施設庁のほうで調査もし折衝もする。その場合ですね、日本人が住んでいるんですから、あなたのさっき言われた基地に関する法律ですか、あれによると騒音がうるさかったら出ていけと。そうすれば土地を買ってやるとか何とかいう形で、むしろ基地が住民を追放する、まわりをクリアにするという形でものごとを考えようとしておられる。そういう形になれば、ますます都市計画という立場から見れば、その面積が少なくなるし、そうして都市をつくっていく上で非常に大きな障害を受けるようになる。日本人の土地なんだから、しかも神奈川県の相模原、あの辺の土地は、政府見通しでいっても、これから大きく発展していく、そういう見通しを持っている土地なんですね。そこに基地がでんと居すわっているのだから、むしろ日本の国土建設ということを主にして、基地そのものを取り払っていくというような立場で折衝しなければ、この問題というのは片がつかない。アメリカが軍事的な必要があるからということを優先にすれば、それは遊んでいるものだって持っているに越したことはないんだから、どうしたって手放すということはしないわけですから、当然都市計画なり日本都市建設ということを主として、その立場から交渉するということにならなけりゃならない道理だと思いますけれども施設庁としてのお立場は一体どういう立場に立つのか、その点確かめておきたいと思います。
  95. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 私冒頭に申し上げましたように、都市の近郊に米軍の施設があります場合、都市計画その他からいろいろ問題が出てくるというのは、最近の事実でございます。しかしながら都市計画のじゃまになるから基地は全部どこかよそへ行ってしまえということでは、これまた防衛上の問題にもなってきますし、非常に調整のむずかしい問題ではございますが、何とか両者が調整の上、現実的な個々の問題を解決していくという方向でいかざるを得ないんじゃないか、このように思っております。ただ、基地の存在があまりにも周辺に与える影響が多過ぎるという場合は、これは大所高所に立って基地の移転というのもそれはあり得ないとは言いませんが、それが原則であるということにはまいらないかと、このように思っております。
  96. 春日正一

    ○春日正一君 この問題は安保条約との関係もあるし、非常に重要な問題だし、ここの簡単なやりとりで根本問題が片がつくというわけにいきませんし、私の質問時間もあと幾らもありませんから、またの機会にもっと突っ込んでひとつ問題にしたいと思いますけれども大臣にこの地図をひとつごらんいただきたいと思うんですけれども、相模原市でここにこういう大きな基地がある、ここにもある、ここにもある、ここにもあるというような形で、ほとんどの市町村の重要な部分に非常に大きな基地がある。そのために、私いまたくさんかかえているものの中の三つぐらいをあげたのですけれども、実際都市として生きていく上で、横浜ほどの大都市が下水の処理が片がつかないということになれば、これは一番根本のところでやはり都市生活というものがかたわにされていってしまうような、そういうせっぱ詰まった問題も出ておりますから、特に相模原のこの辺の地域になれば、町とか、あるいは市でも小さな市でもって、こういう大きな基地があって人家がどんどんふえている中で町がゆがんでいく。また基地の被害のためにいろいろな施設をしなければならぬ。あなたがさつき、施設をするにはちゃんと補助したりなんかするようにできていますと言ったけれども、こういうものを見ますれば、法律に基づく補助というようなものは、実に実際かかる費用の何分の一にもならぬ。だからこのため自治体の費用が非常に大きくなって困っているんだ。基地が国の防衛のために必要だというなら、それは日本国中の負担でやるんで。基地のあるその市町村の特別な負担なり犠牲をしいるということは不公平じゃないかということが、この要望書とかそういうもので出されているんですね。だからそういう問題でもちろんありますけれども、同時に建設大臣としてのお考えをぜひお聞きしたいのは、こういう形で都市がどんどん膨張していく中で、都市として最も適地になっているようなこういう地域に大きな基地があって、しかもそれがこの都市の発展をゆがめているだけでなくて、この間通った都市計画法による新しい市街地の指定も、こういうようなものをつくっていこうとすれば、この基地の問題を避けて通るわけにはいかない。ここをこうしてこうやれば都合がいいのだけれども、基地があるからそれができぬという形、あるいはさっきの補給廠のそばなんか、すでにある町がこの基地があるがために背後の住宅ができぬものですから、商店が倒産していくというんですか、廃業していくというんですか、そういうような現象まで出ているということを考えますと、建設省としてこれから大規模な都地計画都市建設を進めていこうという場合、この基地の問題をどうしても解決しなきゃならぬし、少なくとも大都市のまん中、周辺にあるような基地は移転してもらう、取り払ってもらうというような方向で、あるいは少なくとも当面必要なだけに縮めてもらうというような方向でやっていかなければ、建設省のほうで考えておられるような都市計画もできなくなるんじゃないか。その点について都市計画とこの基地との矛盾の問題を、建設大臣としてはどのようにお考えになるか、どういう姿勢でこれを解決していこうとされておいでになるか。その点だけお聞きして、あとの問題はまたこの次の機会にお聞きしたいと思います。
  97. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は基本的にこの基地の問題に関しましては、安保条約のもとで基地を提供いたしましたときの国土の状況と、こういうふうに高度成長して、しかも都市化現象が非常に急激にきている現状におきましては、いわば大都市並びに都市周辺は折り重なって土地を利用しているような状態でございますから、したがって安保条約が締結せられた当時の日本の国土状況と、今日の都市周辺の国土状況というものは全く様相が、姿が違っておる。そのことをよく理解をして、米軍当局にも理解を願って、さらばとて基地の機能を低下するということについては、私は賛成をいたすものではございませんけれども、少なくともそういう国土利用という面からして、できるだけひとつ都市周辺の問題はそういう考えで、施設庁にもたいへんめんどうのような仕事だけれども、そこの調整をとっていくことが大事じゃないか。九大の墜落事件がありましたとき、私は政府部内でも、とにかく方途がなければ別だけれども、何とか知恵を出してほかへ移すということが、移ってもらうということが、それで機能が果たせないということであれば別だけれども、狭いといっても何かくふうがありそうなものじゃないか。それは全体を通じて私が思っておるところでございます。そしてそれは、今後の新しい都市計画を推進していきます上におきましての基本的な私の考えであることを申し上げておきます。政府部内におきましては、私は微力ではございますけれども、そういう考えで努力をいたしておることを御了承いただきたいと思います。
  98. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 本件に対する質疑は、この程度にとどめます。     —————————————
  99. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、沢田君のほうから資料の要求がございますので、発言を許します。沢田君。
  100. 沢田政治

    ○沢田政治君 前国会の当委員会において、公団住宅の共益金に関するトラブルですね、この点について大臣並びに関係者に鈴木強さんから質問があったわけですね。ところが、大臣も、住宅に住んでおってそういう共益金の負担をめぐって争いがあるということは、非常に不愉快なことである、だからしかるべくように早く解決をさせるようにする、こういうような意味の答弁があったわけですが、その後私のほうにもいろいろな何と申しますか、苦情が持ち込まれているわけですが、依然としてまだ解決しないように私としては聞いているわけです。時間がありませんのできょうは質問しません。したがって、その後の経過、あるいは将来どういう方向で解決するか見通しを添えて、経過を含めた資料等を求めたいと思うのです。
  101. 岡三郎

    委員長岡三郎君) よろしゅうございますか。
  102. 野崎清敏

    説明員(野崎清敏君) ただいまの先生のおっしゃいました資料につきましては、さっそく調製いたしまして先生のお手元まで提出したいと思います。     —————————————
  103. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、請願第一一号建設工事適正単価確保に関する請願及び第一六号、第二三号都市計画法の運用に関する請願を議題といたします。  まず専門員から説明を聴取いたします。  速記やめて。   〔速記中止〕
  104. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記起こして。  それでは、ただいま審議いたしました請願三件は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  107. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を続行することとし、本院規則第五十三条により本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成及び提出の時期等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  110. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十六分散会      —————・—————