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田中一君
日本の
建設労働者はね、日雇い的立場にあるんです。どっかに常用されているわけじゃないわけです。したがって二十四都道府県に頼んであるといっても、それは遊んでいるものじゃないです。かりに遊ばしておくなら、遊ぶ
期間だけ
賃金を払わなければならぬです。そういう同じことを繰り返しておる、いままでも。一体そういう未熟練な職人を使って、一番
心配するのは保安上の問題なんです。保安
対策というものをどういう
考えを持っているか。ただ、
万博などは請負にまかせばいいのだということだけでは済まないわけなんです。これはもう積極的に
建設大臣が発言しなければならぬことなんです。
労働大臣じゃないですよ。この事態がどうなるかは、われわれ想像できますよ。そしてことに
期間としても、三月から九月というと、当然あの辺は台風圏内に入るようなコースになっているから、相当堅牢なものをつくらなければならぬ。そうしてランドマークで見られるように、まあ
日本の
建築工学から見た場合に、相当異例な新しいアイデアのものが持ち込まれる可能性がたくさんあるのです。したがって従来われわれが
考えておるところの
建造物というものじゃなくて、特殊な
建造物です。それこそ熟練したところの
労働者が命がけでかからなければならぬようなものが多いわけなんです。いまのような程度の答弁では、これはもう何もつかんでいるわけじゃないのです。大体間違いないようにやりましょう、ということにすぎないのであって、その点は
万博当局はどういう
考え方を持っているか。たとえばランドマークにしてもおかしな話じゃありませんか。東大の丹下君に頼んで、丹下君が菊竹君を推薦して一つの
設計を持ち込んだ。そうすると、この三月末でしたかね、入札に出してみると十五億かかる。
予算が七億だから何とか七億にしてくれと、こういう依頼をすると、自分の
建築家としての良心があるならば、四本柱の百二十メータくらいあったですね、最高。その四本のやつを一本削って三本にしましょうという
設計変更してみたり、それこそ未来の
住宅というつりぶねがどっかに吹っ飛んでしまったり、これは
建築家としては全くお粗末な
設計変更なのです。象徴であるところのものならば、それは永久にそこに残そうというものであるから、
建築家の良心があるならば、かってな金の都合でもって自分のアイデアというもの、自分の
設計というもの、デザインというものをこわされていいというようなものをしいる
万博の神経というものを、ぼくは疑うわけなのです。諸
外国ではまさかそこまでしないでしょう。どういうものをつくろうとも、自分の金でつくるものに文句を言わぬでしょうが、
最初からどうも
万博というものはゆがんでいるわけです。アジアに平和が来た場合には、これは成功するかもしらぬけれ
ども、ベトナムなり、あるいは朝鮮でもしも紛争が起きたとするならば、お客なんか来やしませんよ。そこでそういうものからいっても、一日も早く出品者の
計画というものを掌握して——私はいまこの
建設委員会でこういう質問をするのは、やる以上成功させなければならぬから言うのです。そうしてランドマーク一つにしたって、それだけのものを採用するというなら、金が十億かかろうが、二十億かかったってやるべきなのです。いたずらに
建築家の良心を踏みにじってかたわのものをつくるなんていうことはあってはならないわけなのです。そういう意味において、いまの
労働者対策——
資材は何とか、もし困れば
外国から持ってきても間に合うのだから、いよいよ
日本にはそれがないといえば持ってきても間に合うと思う。しかし、
労働者というものは、
向こうから来たところが使いものにならぬ。依然
日本の
労働者に依存しなければならぬ。だから、時間もないから言っておきますが、大体いつごろまでに、諸
外国に対して、
政府に対して
着工するということの申し入れをしてあるかどうかということ。それから保安
対策、一番大きな問題、保安
対策に対しては、
万博並びに
建設省も当然しなければならぬことなんです。これは
労働省ばかりの問題じゃありませんよ。そうしてデザインがおそらく全部、
日本の
建築家、
建築家というよりも、施工者がやったことのないようなものが来ると思うのです。これに対してむろん、仮設物じゃないわけですから、
日本の
建築基準法の法規に従ってそれに対するチェックをするだろうけれ
ども、それに対してどういう態度、
対策をとろうとするのか。それからいま申し上げたような
労務不足、
仕事が始まる前からもう職業訓練所の未熟練工を使わなければならぬということを言っているようでは、とうてい成功すると思いません。
労務対策については、そうして
賃金をどの辺に押えていこうとするのか、これは
書類で出してほしいと思うのです、そういう点は。この委員会でことばの上でもって適当に言ったって、それはもう架空なものだから、だから納得できないものだから、
書類を出してほしい、そういうものは。