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1968-09-09 第59回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月九日(月曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡  三郎君     理 事                 内田 芳郎君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 沢田 政治君     委 員                 上田  稔君                 奥村 悦造君                 小山邦太郎君                 高橋文五郎君                 中津井 真君                 松永 忠二君                 松本 英一君                 藤原 房雄君                 高山 恒雄君                 春日 正一君                 塚田十一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        大蔵省主税局税        制第一課長    安井  誠君        水産庁漁政部協        同組合課長    鶴  哲夫君        建設政務次官   仮谷 忠男君        建設省計画局長  川島  博君        建設省河川局長  坂野 重信君        会計検査院第五        局長       小熊 孝次君    参考人        電源開発株式会        社副総裁     大堀  弘君        電源開発株式会        社理事      桑原  進君        首都高速道路公        団理事      飯田逸治郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (台風七号及び十号による災害に関する件)  (道路行政に関する件)  (土地収用法に基づく減税措置問題に関する件)     —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それではただいまから建設委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  なお、人選については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、台風七号及び十号等による災害に関する件について質疑を行ないます。  まず、政府から発言を求められていますので、これを許します。坂野河川局長
  6. 坂野重信

    説明員坂野重信君) お手元にお配りしてございます資料によりまして、簡単に最近の被害状況を御説明いたします。  お手元に二部いっていると思いますが、第一枚目が、八月十六日から二十一日の台風第七号及び集中豪雨による被害状況でございます。その中の概要につきまして、簡単に、逐次御説明申し上げます。  第一枚目を開いていただきます。八月十五日以降台風七号に伴う被害に先立ちまして、気象状況がそこにあがっておりますように、岐阜県におきましては、特に美並村等におきまして非常な集中豪雨がございまして、時間雨量百十四ミリを記録したわけでございます。二ページにまいりまして、特に雨量の多かったのは北海道青森の両県でございます。  それから被害状況がございまして、被害状況は、建設省所管にかかる公共土木施設等被害は、北海道外一府十一県に発生しておりまして、被害額は七十一億九百万でございます。その内訳は二ページ以下に書いてございます。直轄災害が合計いたしまして五十六カ所で七億三千一百万でございます。補助災害は三千七十六カ所で六十三億七千六百万円でございます。その他都市施設が一カ所ございます。合計いたしまして三千百三十三カ所、七十一億ばかりございます。  公共土木施設被害状況は、その次に書いてございまして、直轄河川、砂防の状況が三ページの後段に書いてございます。直轄道路被害状況が四ページの上段でございまして、補助災害が四ページの中段以降に書いてございまして、特に被害の多かった県だけをちょっと申し上げます。北海道が五百三十五カ所、十六億五千五百万、青森が九百三十九カ所の十七億三千万でございます。その次の岐阜県が千七十カ所の二十億九千四百万ばかりございます。その他各県に被害が発生しておりまして、二重まるを打ってあるのが災害救助法の発令された市町村でございます。  七ページに都市施設被害状況住宅被害状況が記載してございます。住宅におきましては、床上浸水四千六百六カ所一床下浸水一万七千五百四十九カ所でございます。  八ページに対策及び措置としております。八月十九日、道路局長から、事故防止の強化につきまして、関係筋に通達を出しております。  被害状況調査につきましては、私、河川局長外関係官現地に参りまして被害状況調査しております。公共土木施設被害につきましては、直轄につきましてはすでに現地調査を完了いたしまして、予備費要求中でございます。直轄道路につきましてはそのとおりでございます。補助災害につきましては、緊急を要する個所につきましては、工法協議によりまして工事実施中でございます。なお、現地準備完了を待って早急に査定実施し、予備費要求する予定でございます。  住宅につきましては、住宅金融公庫から資金の特別貸し付けを行なっております。国道四十一号の観光バス転落事故につきましては、九ページ、一〇ページにその状況を記載しておりまして、一〇ページの6に道路復旧状況を書いております。十九日の九時に一車線を開放し、十五時に二車線を確保いたしております。  別刷りのものに、八月の二十五日から三十一日までの台風十号及び集中豪雨による被害状況を記載しておりまして、一ページに気象状況を書いておりまして、二ページに各地の雨量を書いております。雨量の多かったところは石川県、長野県、静岡県、愛知県等でございます。  被害状況は三ページに書いてございます。被害額は百九十六億五千八百万円でございます。その内訳はそこにございますように、個所数にいたしまして一万六百五十九カ所でございます。  四ページ以下に直轄災害状況がそこに書いてございます。四ページ、五ページに載っております。  それから七ページ以降に補助災害状況が各県別に出ております。八ページに、特に被害の多かったところは、長野県千八百九十三カ所、三十二億四百三十六万七千円。石川県が千百七十四カ所、十七億八千八百万円。愛知県が千七百十七カ所、三十一億六千六百万円ばかりでございます。一〇ページに、その他比較的多かったのが、高知県の五百六十九カ所の十億五千三百万円。  住宅被害状況は一二ページ以下に掲げております。  対策及び措置でございますが、公共土木施設につきましては、直轄につきましては、復旧工事をすでに実施中でございまして、既定経費を立てかえて実施中であって、なお、現地調査の結果、予備費要求する予定でございます。  その他補助災害につきましては、愛知県、長野県及び石川県に災害査定官を急遽派遣いたしました。また、応急復旧を要する個所につきましては、工法協議によって応急工事実施中でございます。なお、現地準備完了を待って、早急に査定実施して予備費要求する予定でございます。  都市施設住宅につきましては、一四ページにあげてあるとおりでございます。  以上簡単でございますが、災害の概況の報告を終わります。
  7. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 政府のほうからの説明は終わりました。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 松永忠二

    松永忠二君 あと災害対策特別委員会があって、時間がきまっておりますので、毎回こういうことでは困ると思うので、委員長のほうでこれはひとつお考えいただきたいと思うのです。  時間も短いようでありますから、御答弁もひとつ簡潔にお願いをしたいと思うわけでございます。私は、あと説明をされました八月二十五日から三十一日の台風第十号及び集中豪雨、この被害の中の特に天竜水系の地域についてお尋ねをします。  まず、天竜の中の横山地区については、大体昭和四十年の災害と同様な災害を受けたと考えて差しつかえありませんか。
  9. 坂野重信

    説明員坂野重信君) そのとおりでございます。
  10. 松永忠二

    松永忠二君 横山地区が急激に浸水した時間というのは、午後の九時から十一時、大体その時間だというふうにわれわれ現地調査をして判断をしておるんですが、これは誤りではありませんか。
  11. 坂野重信

    説明員坂野重信君) そのとおりでございます。
  12. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、佐久間ダム操作規程に基づいた洪水警戒時というのは一体何時なんですか。それから洪水時は何時ということになっておりますか。
  13. 坂野重信

    説明員坂野重信君) ちょっと先生の御質問よくわからなかったのですが。
  14. 松永忠二

    松永忠二君 佐久間ダム操作規程に基づいて、佐久間ダムが今度の集中豪雨のときに洪水警戒時として判断を下したのは何日の何時なんですか。洪水警戒時ということになると、それからあと放水のしかたを変える規程があるわけです。洪水時になれば、洪水時になったということで、また操作状況を変えるわけであります。その警戒時というのは、今度の場合に、何日何時なのか、洪水時というのは何時に当たるのか、それを教えていただきたい。
  15. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 佐久間ダムは、操作規程に基づきまして、千四百立方メートル毎秒というのが、操作規程に基づく洪水時というぐあいに考えております。その時間が、今度の場合は八月二十九日の十九時ちょっと前でございます。ですからそれ以前に警戒時に入っているわけでございます。ちょっとはっきりした時間は私の手元に入っておりませんが、少なくとも八月二十九日の十九時に千四百七十四立方メートルという流量でございますので、これがちょうど十九時に当たっているので、その前後と考えております。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 洪水警戒時は何時だということははっきりしているわけじゃないですか。それは何時ですか。こういう場合が警戒時であるという規程がきちっとなっているわけですから、何時ですか。電源のほうでわかったらそのほうでもけっこうです。
  17. 桑原進

    参考人桑原進君) お答えいたします。  二十八日の午前九時に警戒に入っております。ただいま河川局長からお話がございましたが、千四百トン以上になりそうだという想定をしたわけでございます。そういうときが洪水警戒時、それから警戒に入っております。
  18. 松永忠二

    松永忠二君 少し違うのじゃないですか。洪水時に入ってから千四百立方メートルを放水する。千四百立方メートル以上に流入したときがつまり洪水時だというので、二十九日というお話ですけれども洪水してから一時間たっている間に千四百立方メートルの放水をするということになっているので、まあ日については二十九日というのはわかりました、十九時ということも。それから洪水警戒時が二十九日の九時だということになると、これはまた放水のしかたは少し変わってこなければいけないので、予備放水を始める時間が洪水警戒時の時間なんで、そのときは予備放水をやってない。流入のほうと放水量と比べてみると、時間は一応そういうことで、またあとで疑問は少し聞きますけれども、二十九日の九時が洪水警戒時で、二十九日の十九時が洪水時だと、こういうことですね。それでわかりました。
  19. 桑原進

    参考人桑原進君) 先生ちょっとあれですけれども、二十八日の九時でございます。二十八日の九時に警戒に入っております。十時から放流をしております。二十八日でございます。
  20. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、警戒時になってからも水位がどんどん上がっているのですよ。これは建設省のほうへあなたのほうから届けの出ているものの中にあるわけです。二十八日の九時だというわけです。十時、十一時とずっと水位は上がってきている。水位が下がってきたのは、警戒時に入って洪水がくる状態なので、水位を下げるために流入量よりも放水量を多くして、水位が低くなり始めたのは二十八日の十二時、それから洪水のときの予備放流水位になったのが、二十九日の十七時に三十七メートル五十になった。だからあなたの話では、これはどういうことですか。ダム操作規程からいうと、そういう規程になっていないのだが、それはどういうことなんですか。
  21. 桑原進

    参考人桑原進君) ダム操作規程では、予備放流水位がマイナス二・五メートルとなっております。千四百トン以上の洪水——千四百トンという洪水が予想されますときには、それより水位が高ければ放流をして二・五メートル下げるというのが規程になっております。今回はそれ以上に水位が下がっておりますので、利水ダムでございますので、水を有効に使いたいというつもりでそこまで上がるような形になっております。
  22. 松永忠二

    松永忠二君 これは間違いですか、時間は別として。つまり洪水警戒状態に入ってきたときに、これから洪水があると、そこで流入量放水量を考えて、放水量のほうを多くして水位を低くさしていく。そうして洪水を迎えるときの水位を、きめられたように三十七メートル五十センチにする。それで洪水を迎えるのが洪水時と。だから、おっしゃったとおり、二十八日の十時には三十七メートル五十より低いことは事実ですよ。それからあとどんどん水位が高まってきてしまって三十八メートル、ちょうど二十九日の十一時に三十八メートル四十三に水位がなっているわけなんですよ。それから今度は、そのときからその流入量を九百九十三トンにし、放水量を千三百六十九トンにして、水位が三十八・二七メートルに下がってきて、そうして二十九日の十七時に三十七メートル五十という、いわゆる警戒水位まで低めて洪水を待ってから、そうして三十七メートル五十にして、洪水時になったらば放水を一時間——六十分の間に千四百トンをやれというふうにちゃんと操作規程になっていて、それが二十九日の十九時に高水量が千四百トンになっている。それから以後は、前の時間の放流をするということになって、その次の二十時には、千四百七十四トンを二千二百二十八トンに、一時間後になってやっているので、操作規程ではちゃんとそういうふうになっている。だから、あなたたちの言っている洪水警戒時と洪水時というのは違うのじゃないですか。私の言った、つまり洪水警戒に入ったときに、流入量よりも放出量を多くして水位をだんだん下げる。そうして洪水時になったときに、いわゆる二メートル五十水位を下げて三十七メートル五十にして洪水を迎える。これが操作規程の考えですよ。そういうふうにちゃんと書いてある。時間が短いから、こんなこと質問していたら質問はできないけれども、これは私はそんなことを言ったんじゃ困る。洪水警戒時が何時で……。
  23. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと待ってください。そこのところはどうなっているのだね。食い違ったところでいつまでやっていてもしょうがないから、いまちょっとここのところ波長を合わしてくれ。
  24. 桑原進

    参考人桑原進君) 先生のおっしゃっていることと同じだと思うのですが、三十七メートル五十、満水時から二メートル半下がったところまで——満水時になったときからそこまで下げて、三十七メートル五十センチまで下げて洪水を迎えなさい、こういう規程でございます。
  25. 松永忠二

    松永忠二君 警戒はいつから下げたかということを聞いているのです。いつから水位は下げましたかということを。
  26. 桑原進

    参考人桑原進君) 今回は、その前からすでにもっと下がっておりました。
  27. 松永忠二

    松永忠二君 だって、この資料建設省の出した資料でしょう。あなたのほうから通知をしてきたのを建設省が出して、二十八日の十時には三十七メートル二十六になっておるけれども、十一時には三十七メートル七十六に上がって、十二時に三十八メートル三十一になっちゃっている。ずっと三十八メートル六十九とふえてきて、ここで水位が下がり始めてくるというのは、流入よりも放水が多くならなきゃ水位が下がらないから、水位が下がり出したのは、この二十八日の十二時に九百九十ミトン流入して千三百六十九トン放水した、だから水位が三十八・二七メートルに下がっていると、十三時もそういうふうなことを繰り返してやっていたものだから、二十九日の十七時に三十七メートル五十に下がったわけです。あなたは、三十七メートル五十センチ以下だからこれがこの洪水警戒時だと言うならば、そこから予備放流をしなきゃいけないのじゃないか。三十七メートル五十にしなきゃいけない。だんだん水位が高まっていって、二十八日の九時から十一時まではずっと水位が高まってきて——高まるわけですよ、流入量放出量を比べれば流入量のほうが多いのだから。そんなダム操作をやっちゃいないのだから、ダム放水は。
  28. 桑原進

    参考人桑原進君) わかりました。二十八日には、そういう一時流入量のほうが多くて予備警戒水量が上がったことがございますけれども警戒に入っておりましたので順次放水をふやしまして、先生おっしゃいましたように、二十九日の十七時には三十七メートル五十センチまで下がったわけでございます。そこで洪水を迎えるかっこうになりました。
  29. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃちょっと聞きますがね、一体二十九日の十一時にはダム水位は幾らですか。
  30. 桑原進

    参考人桑原進君) 二十九日の十一時はちょっと手元資料がございませんので……。
  31. 松永忠二

    松永忠二君 だめですよ、そういうふうなことではさっぱりわからないじゃないですか。操作規程を読めばちゃんと書いてあるように、これはちょっと常識で考えてみてもそうでしょう。どうも洪水がきそうだということですね、そうして、洪水がくるのでその準備のために水位を三十七メートル五十センチに下げると、その放水を始めて、放水が多くなって下がり始めたのが洪水警戒時とわれわれ判断せざるを得ない。それからまた洪水時になるときには、結局三十七メートル五十で洪水時を迎える。その洪水時を迎えたらば、そのあとどういうふうな放水をしていくかということを規定をされて、数字的に見ると確かにさっき話の出た二十九日の十九時に千四百トン放水を始めている。それからは規程どおり放水をしていると、これがやっぱり洪水時。だから、洪水時というのは十八時をさすのか十九時をさすのか、われわれちょっとその辺は的確につかめないけれども、とにかく、つまり予備放流をしてきめられたダム操作水位を保ったのはいつかというと、二十九日の十七時であるということは、これは事実です。それからその規程どおり放水をしておる。それじゃ水位をそれに低めるために、何時から放流のほうを多くしているかというと、これは二十八日の十二時からであるということも、これははっきりしているわけです。で、あなたの言った二十八日の九時だなんというのは、それは水位が三十七・二六というのは二十八日の十時の水位だけれども、それは予備放流水位より以下だけれども、それからどんどん水がたまっちゃってどんどん上がっているわけですよ。そうして、放流のほうが流入量よりも多くなったのは二十九日の十二時だ。だから、どんどん水位を低くして洪水を迎えるために三十七メートル五十センチにしたのが二十九日の十七時と、こういうことになっておるのですよ。  そこで、まあその洪水時のことは大体意思統一ができたので、洪水時が二十九日の十九時なら十九時ということで、そういうことにしておいていい。そこで、その次に、この予備放流を始めた水位が、二十九日の十七時に洪水がくるというので、三十七メートル五十でダム水位を保って待機して、だんだん放水していった。このダム満水になった。つまりこれからあと流入するよりも放出のほうを少なくして——いよいよ洪水がきたので少なくして、ダムへ水をだんだんためていったわけです。ためて、ダムがこれ以上実際上はたまらぬじゃないかという操作規程にきめてある満水になったのはいつですか。三十七メートル五十にしたのは二十九日の十七時だ。いよいよそれが満水になって、もうこれ以上たまらぬというふうになったのは一体二十九日か——三十日の四時ですよ。
  32. 桑原進

    参考人桑原進君) 三十日の四時でございます。
  33. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、三十七メートル五十にして洪水を迎えたのは二十九日の十七時だ。それから満水になって、調節が終わったのが三十日の四時だということになると、水害を受けた時間は、さっき話が出ているように、横山あたりでは二十一時、二十二時、二十三時というのが水害を受けた時間だ。こうなると、もう一つ言うのは、三十日の二時ごろにはもう佐久間ダムでは警戒を解いちゃった、洪水警戒を地元では解いてしまった。だから佐久間ダムは、佐久間の役場でもうこの洪水警戒を解いてしまったのが三十日のつまり二時だ。それよりも二時間あと佐久間ダム満水になって、まだ調節をやっていた。調節を始めたのが二十九日の十七時だ。水害が一番多かったのが二十一時、二十二時、二十三時だということになると、この佐久間ダム調整能力というものは、調整機能は、今度の場合洪水に完全に働いたのかどうかということになりますと、この点についてはどういうふうに判断するのが正しいのですか。
  34. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 先ほどからいろいろ議論がございまして、先生のおっしゃっている前期の洪水と、それから後期洪水があるわけです、山が二つあって。この後期洪水が問題なんでございまして、後期洪水につきましては、私どもの観測では、もうダム操作ルールどおりにやっておりまして、そして横山水害につきましては、先ほど申し上げましたように二十時から二十二、三時ごろでございます。その時点においては、佐久間はすでに二十時から二十一時、二十二時、二十三時、二十四時、この間において洪水調節を行なっております。それは大体九百トンからずっと下がりまして、まあ九百トンないし七百トン、ずっと洪水調節効果は減っておりますが、ともかく横山地区の支点については、大体六百トンくらいの洪水調節効果が出ているというぐあいに私どもは解釈しております。
  35. 松永忠二

    松永忠二君 もう一度河川局長に聞きますが、私は調節せないということを言っちゃいないんですよ。ちゃんと調節をしてあるんであって、二十九日の十七時から三十日の四時まで調節をして四十メートルの水位にしたと言っているんでしょう三調節をしたことは、何も別にしないとは言っていない。調節をし始めたのがつまり十八時から始まって——極端に言えば十七時から始まったんだが、調節の終わったのは三十日の四時に満水になったというのです。このときに佐久間でさえももうこういうふうに書いてあるんです。三十日午前二時、警戒配備を解除した、注意報解除の報を受け、二時にはもう解除した。解除したあとで二時間たって佐久間ダム満水になったわけです。調節を始めたのは二十九日の十七時だ。水害を受けたのは、さっきあなたが説明したように二十九日の二十一、二十二、二十三時だと言うんだ。調節まん中つまり水害がきたわけですね。だから、もっと調節機能を完全に果たしていれば一この二十一、二十二、二十三時というのはまん中にはさまっちゃったわけだから、また災害の終わったあと調節をしているし、調節をする操作規程に基づいてやらないということを私は言っているわけじゃありませんよ。調節したことは事実だけれども、その調節は、完全に今度の場合、水害に適切な効果を発揮したかどうかということを聞いているのです。それをお答え願います。
  36. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 佐久間から秋葉の間に相当の区間がございます。これは問題は、やはり秋葉の地域を見てみなければいかぬわけです。秋葉のあたりの一番の放流量を見てみますと、やはり二十三時ごろが一番大きな放流をやっているわけです。ですから一番横山地区に対して洪水の影響の大きかったのは、四時以降が一番秋葉自体で洪水の最高水位が出ておるので、それがある時間伝わって横山地区にきているわけです。それに対して佐久間のほうは、先生おっしゃいますように、もう二十時ごろから洪水調節の影響というものが佐久間の下流において出ておるわけです。ですから、佐久間洪水カットをされた流量というものは秋葉のほうに伝わってきて、そうして途中の岸流域のいろいろの小さな中小河川で特に出水が多いわけです。そういうものを合わせた結果が秋葉の放流になって、下流のほうに横山地区がありますから、これの影響は明らかに出ているわけであります、と私ども判定しております。ですから、佐久間洪水調節効果というものは、横山地区においてもあらわれておるというふうに私どもは考えております。
  37. 松永忠二

    松永忠二君 秋葉ダムがたくさんの放水をしたのは、横山地区被害を受けた二十二時、二十三時、六千百六十トン放水した。さっきの秋葉ダム調整能力はなくて流入した量を洪水になると放水するのだからこれは問題にならないのです。そこで秋葉へ流れてくるのは、あなたがおっしゃるように、水窪ダム、あるいは気田川という川もあるが、そのまた上流の佐久間からも調節のために水が放流されて流れてくるわけです。放水能力を持っておったのは、水窪にも気田川にもないわけです。調整の能力を持っているのは佐久間だけです。その佐久間つまりその調節が終わったまん中水害があったわけです。だからもっと極端に言えば、もう少し調整能力を発揮させるというようなことができれば、上へあげることができるとかいうことになれば、いわゆる横山地区水害水量を変化させることはできるわけです。だからダム操作操作規程に違ったことをやっておったとか、そういうことを私は言っておるのじゃないですよ。佐久間ダム調整能力を発揮したことも事実なんです。発揮するように命令されておるのだから発揮したことは事実です。発揮したけれども、発揮をした時間というのは、さっき話したような時間である、もう佐久間でも警戒を解いたあとで、まだ二時間も調整をやったということです。そこで、佐久間ダムのいわゆる調整能力も十分に適切に発揮したということが言えるか言えないかということを聞いているのであって、秋葉ダム水害を受けたときに放水をたくさんいたしましたと言っても、それは流入したものを放水したのではあたりまえのことです。そのときに川の上流の重要な佐久間ダム放水量というものは調節されてきておるわけだが、その調節の機能というものが完全に果たされていたという判断はできないと私は思うのですよ、率直に言って。
  38. 坂野重信

    説明員坂野重信君) どうもそこは先生とちょっと合わないんですけれども先生のところに資料をお渡ししておりますように、二十一時から二十二時、二十三時ごろが一番佐久間ダムにおける放水量というものはしぼった放水量のピークが出ておるわけです。それが一時間くらいしてだんだん伝わって秋葉に入ってくるわけです。いつが一番秋葉に対する放水量が多かったかというと、ちょうど二十三時ごろが多いわけです。だから、一番佐久間でしぼった状態の水が流れて秋葉にきているのが、われわれのデータからいうと、一番きいているのじゃないか。そこに自然の流入量が入ったのだから相当にまた流量がふくらんで、そうして秋葉では相当な、六千幾らというふうになっておりますけれども、ちょうど一時間くらい前にさかのぼった状態においては、佐久間が結果的に見ても一番放水量のカットの量が多い、九百トン近い洪水調節をやっているわけです。ですから、そういうことから判断いたしまして、今回の場合は、佐久間ダム洪水調節横山地区においては相当きいておる、ルールの範囲内において。これは偶然かどうかわかりませんが、おそらく一番効果を発揮しておるというふうに私は考えております。
  39. 松永忠二

    松永忠二君 もしこういうことができたらもっと効果があったのじゃないですか。洪水警戒時というものがもっと上に上がって、三十七メートル五十にするのが二十九日の十七時よりもっと早く、そうして極端なことを言うならば、二十一時、二十二時、二十三時までの間に佐久間を四十メートルの水位に高めてしまったら、そのときには、二十一時、二十二時、二十三時に放水をした佐久間ダムの二千二百二十八トンという二千台の放水は全然なくてもいいということになってしまうわけでしょう。だから、あなたのおっしゃったことは、放水の中でこの時間にしぼったということは、数字ではなく、時間を見ればわかるわけですよ。しかし、洪水警戒時というものをもっと上げて三十七メートル五十を迎える時期をもっと早くして、そうして満水の時期をできるだけ二十一——二十三時に合わせるような形をとっていけば、もっと調節ができて、結局下流の豪雨のあったときの被害を避けることもできる、しかし、そういうダム操作規程はできていないというならわかるけれどもダム操作規程をかりに完全に実施をした——これはまた検討を要することだとぼくは思うわけですが、そういうことをやって、とにかく三十日の四時に満水になった。いわゆる上流で、佐久間警戒を解いたときでも、まだ水をためておる。そのためる力があったなら、なぜ二十一時、二十二時、二十三時前にためてくれなかったかということになるんでしょう。そのことを私は言っているんです。つまり洪水があった、一番ひどかったのは二十一時、二十二時、二十三時というときの洪水が一番ひどかったとあなたはおっしゃる。そのあと二十四時、一時、二時、三時、四時にみんな調整をやって、佐久間調節をやっているのだから、この調節の能力をもっと早く発揮できないであろうかということ、発揮できれば、この間に途中で流れる水は、秋葉は調節能力がないからそのまま流すわけだから、上流の佐久間放水量というものは、とにかく一番洪水のひどかったときでも二千二百二十八トン、二千八百十一トンという水を流しているわけです。これを千台に落とすとか、もっと下に落としておれば、あなたの言ったように、もっとしぼっていわゆる洪水はないということになるのじゃないかということを私は言っているんです。この点どうですか。
  40. 坂野重信

    説明員坂野重信君) まあ問題は、先生御承知のように、気象情報の問題に関連してくるわけですが、最初の洪水の山がきて、それから二回目の山がきておるわけです。その間に気象予報がどういうふうになっておりましたか、私もいまつまびらかではございませんが、おそらくこれは電発のほうの操作状態としては、その当時、規程のルールの範囲内でやっておりますし、そしてまた今度下流に対するそういった被害のことを考えますと、一挙に急速に千四百トン以上の流量を放流するということは——これまた千四百トンは私ども洪水ということで一つのそこを基準にしておりますが、放流を見てみますと、大体千四百に近い流量をずっと流しておるわけです。ですから、それ以上のことになってきますと、これはまたそういった洪水状態を、人工洪水というようなことをその時点においては考えるわけでございますし、やはり気象予報というものの的確性、また次にピークがはたしてくるかということは、おそらくその時点においては、いつごろの時点においてどういうような第二の山の洪水がくるかということは、おそらく予想できなかったんじゃないかと思うわけでございます。そういうことで、私どもは結果的に見れば、先生のおっしゃるように、そういうぐあいに水を早く急速に流しておいて、そうして早くそういった水位というものを下げておけば、確かに結果的にもう少し佐久間洪水調節能力、効果というものはあったと思いますけれども、その当時の時点の気象条件の総合的な判断では、どうもこの程度しかやむを得なかったんじゃないかと私ども思っております。その当時の電発のほうも聞いていただきたいと思います。
  41. 松永忠二

    松永忠二君 それはまた逆に、ここに佐久間、平岡、泰阜、秋葉、飯島、和合、神野山、気田の観測所の降雨量の統計したのがありますが、そうすると、洪水警戒時はあなたのおっしゃるとおり午前九時ということになれば、もっと調節能力は早く出てくるわけですね。まあこのときに洪水警戒にしたということについては、これまた妥当であるのかどうか、調べてみると必ずしも非常に的確だとい一ばかりには判断できない。そういうことまで研究をされて洪水警戒時が正しいというなら別ですよ。しかし、時間がないからあまりやりませんけれども、雨の降り方を上流のほうから調べてみないとそういうことは言えないと思う。そこで、あなたがいまおっしゃったように、まあいまの気象状況では洪水警戒時をいつにして洪水時をいつにするか。洪水時については、流入のトン数というものはきまっておるからそれはわかるとしても、洪水警戒時をいつ迎えるかというような点もいろいろ考えていかなきゃできないのです。しかし、ダム操作というものを、もっと全然新たな観点で考えるならば、今度の場合、これは架空なことであるとしても、いま言うとおり、洪水の一番多かったのが調節まん中へはさまっちゃったという点については、もっといわゆる調節のしまいにくっついてきたらよかろうじゃないかということも事実なんです。だから私から言わせると、いまも言うとおり、完全に調整能力を発揮したという断定をすることはできない。しかし、操作規程と違った操作をしたということを私言っているんじゃないですよ。  そこで、時間もありませんので、それは今後もひとつ研究してみてください。私の数字から言えば、いま申しました理由で、調節まん中洪水がきたということは妥当ではないという判断ができる。一体佐久間調節水量というのは何方トンあるんですか。そして有効貯水量、水を一番ためたときのトン数というものは幾らあるんですか。建設省でも電源でもどっちでもいいですよ。
  42. 桑原進

    参考人桑原進君) お答えいたします。  佐久間ダムの有効利用水位点は四十メートルでございます。容量からいいますと約二億六百万トンだったと思います。
  43. 松永忠二

    松永忠二君 調節水量二メートル五十は幾らですか。
  44. 桑原進

    参考人桑原進君) 二メートル五十で千七百万立方メートルです。
  45. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、これは建設省にもお尋ねするんですが、いま全くの俗に言うと、こういう気持ちを天竜水域の人たちは持っておるわけです。これは質問しようと思ったんですが、佐久間は一万トンの放水をすることができるわけですね。ところが、今度の佐久間はそんなに放水はしていなかった。おっしゃるように二千台なんです。それでは、もし佐久間が一万トンの放水をしたならば、一万トンの放水と周囲から降る雨に耐える護岸というのが天竜川の下流にどれだけあるのかということになる。私がいま言っている横山、これは結局一万トンの放水には耐えない。そこで、今度設計するのは、一万トンの放水と降る雨の両方勘定して一万一千トンちょっと上を耐える護岸をこしらえるわけで、いままでなかったわけです。その際に、雲名というところはこの前も水害を受け、今度も同じように水害を受けた。ここらあたりはフルに入ってくる。そんなところは各地にたくさんあるわけなんです。だから、あなたが佐久問のダム放水を一万トンと認めておきながら、それは一万トン放水したときに雨が降っている量と一緒に流れてきたならば、この天竜川の下流では水害を受けないところがあるのかというと、ほとんどそういうところはみんな水害を受けるようになる。やっと横山は今度は水害を受けないように護岸をつくろうということになっている。この前の、建設大臣はそういうふうなことは必要だからやらなければいかぬということは出した。現実に起こっている横山はえらいということでいまやっているわけです。いまあなたは長期計画というのを立てて、長期計画で何とか一万トン放水の護岸をつくろうとしているわけですね。一体長期計画というのは何年くらいたってできるのか。ほとんど不可能に近いような、現実にはいつ手をつけるかわからないような長期計画を立てている。それは一万トン放水に耐える長期計画を立てている。それが実行されない現状であちこち放水している。今度の場合は二千トン放水している。水が流れて一緒になってこうなってしまう。そこで、有効貯水量が二億五千五百万トンあるならば、千七百万トンというとこれは〇・〇五%かそこらじゃないですか、いわゆる調節水量というのは。これはもっと高くしてもらいたい。それでなければ護岸のできるまでにはとても安心して住めないという意見が出てきているわけですよ。有効貯水量が二億五千五百四十四万四千トンあるんですよ。調節水量が千七百万トンしかないわけですよ、二メートル五〇しかないんですからね。そこで、一万トン放水に耐えるというためには、とにかく現在長期計画で、何年先にできるかわからないようなものを提示してくるよりは、この佐久間調節能力を発揮するようにもっとしてもらいたい。そのための操作規程を改める、検討しなさいということを切望しているわけです。これは無理もない話だと思うのですが、これはどうなんですか。できるのかできないのか、どういうことなんですか。
  46. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 確かに、天竜川の洪水計画でございますが、秋葉の下流、横山地点、鹿島地点が標準になっております。その地点で一万一千百三十だと思いますが、その計画高水流量をこえることに基づきまして、それに対していま鋭意河川改修を進めているわけでございます。それに対して横山地区は、先生おっしゃるように、たいへんおくれておるのは事実でございまして、今回災害を受けたことは非常に残念でございますが、佐久間のいわゆるダム調節量を幾らに見るかということが問題でございますけれども、もともと佐久間ダムは、先生御承知のように、これは電源開発ということででき上がったわけでございまして、洪水調節が目的じゃございませんので、できるだけ私どもとしては、三十六年、四十年の災害にかんがみて、従来の操作ルールということを電源開発のほうにお願いしまして、かなり——従来ははっきり洪水調節ということをうたってなかったわけでございますけれども、今度はっきり予備放流ということも明示していただきまして、それから高水量も千四百というものを、いままでなかったものをはっきり明示しているわけです。できるだけ電力の損失を最小限度にするといいますか、許せる範囲内において洪水調節ということを見ていただいたわけでございます。  もう一つ、先生のおっしゃる佐久間が一万トンで、下流が一万一千、少ないじゃないかという御議論でございますけれども、これは洪水基本計画を作成する際に、私どもはずいぶん既往の洪水の出方、あるいは洪水の記録等を調査いたしまして、上流側と下流側の水の出方のいろいろの相関等を見まして、まあ上流側のほうと必ずしも同時に雨が降るということもないだろうというような観点もございまして、現在の基本計画をきめたわけでございまして、佐久間の一万トンというのは、これは別に洪水基本計画——一貫して一万というふうに見ているのじゃなくて、佐久間でもって異常なる出水が出た場合に、主としてダムの安全性のほうから洪水の余水吐きの容量をそれだけ吐き得るという立場からきめたわけでございまして、天竜川の一貫した計画の中で佐久間計画高水の流量の範囲が一万一千トンという意味じゃございません。ですから佐久間地点で一万という流量が出たというぐあいに、かりに仮定した場合に、はたして今度は下流に対して幾らの流量が出るかということは、なかなかむずかしい問題でございまして……。
  47. 松永忠二

    松永忠二君 質問したことを答えてください。検討するのか、しないのか。
  48. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 答弁しているつもりでございますが、そういうことで、私どもとしては十分検討した結果、現在の操作ルールというものを改定したわけでございますので、現段階におきましては、これ以上操作ルールは改定する必要はないのじゃないかというぐあいに考えております。もちろん、今回の洪水のいろんな状態を十分調査をいたしまして、その結果であるいは改定する必要があれば改定するというようなことも検討するかもしれませんが、現在の、私どもの与えられた今回の洪水の記録等によりましては、必ずしも改定する必要はないんじゃないかというぐあいに考えているわけでございます。問題は、むしろ横山地区の河川改修を早く進捗する必要があるというぐあいに考えております。
  49. 松永忠二

    松永忠二君 はなはだ不満ですね、そんな御答弁は。それで、とにかく一万トン放水の可能を認める、いわゆる構造から考えてみて、最悪の場合には、最大毎時一万トンの放水を認めるということが現状あるわけです。ですから、そういうものが最悪の場合あるというふうに考えるのはあたりまえのことでしょう。それを放水をすれば、いわゆる洪水の地帯というのは相当たくさん下流にあるということがあるのです。それは認めているわけなんです。そうなってくると、それじゃ護岸をつくるか、調節をするか以外にやっぱり方法はないのじゃないかと思うので私は聞いているわけです。今度の河川法というのはそんなことをいっているのじゃないでしょう。河川法というのは、幾ら電源開発としてダムをつくったとしても、洪水とか、そういう際にはもうそういう意味の操作はさせない。河川の管理の立場からやるんだということで、河川法にそういう点は、ダム操作のいろいろな問題がある、第五十二条はこういうことまで書いてある。緊急な必要が認められた場合、必要な措置を指示することができる。ダム操作規程がきめてあったって、緊急の場合には、これが必要と認められた場合には、必要な措置を指示することができるとまで書いてある。だから、もう洪水の際は、ダム電源開発の機能というものは全然——普通のときにはずいぶん認めて設けているわけです、川の上流での発電所を。だから、水害が起こると思ったときには、もう電源開発としての、電力開発的なダムのものから洪水調節の機能に帰してしまうということが今度の河川法の規定ですよ。あなたのほうでは、一体緊急な必要が認められた場合に、必要な措置を指示することができるという場合には、佐久間ダムの場合には、どういう場合にそれを指示するのですか。
  50. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 質問に端的に答えてください、時間がないから。
  51. 坂野重信

    説明員坂野重信君) これは現在の私どもの従来の気象記録ではなかなか予想がつかぬところでございますけれども、かりに佐久間の上流で、もう何といいますか、異常な集中、しかも広い範囲に雨が降った。しかもそれが今度は天竜全域に未曽有のような大出水が広い範囲に同時に起きた。しかも、むしろ上流よりも下流のほうがおくれてそういった集中的な豪雨が広い範囲に起きて、しかも、その時点において下流、天竜川が重大なるはんらんが予想され、これを放置すれば天竜の本川が決壊して、あるいはその付近の都市が水びたしになって、人命に大損傷を与えるというような、そういう事態が起きたときに——一つの仮定でございますけれども、そういう場合に、明らかにこれは佐久間ダム調節しなければ、しかも、その時点において佐久間ダム調節し得るような能力があった場合に、それは佐久間ダムに対して私どもが指示をして、調節の容量というものは、規程以上のものをやらせるということはあり得ると思います。
  52. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことを逆にいえば、現実に一万トン放水どころじゃない、六、七千トンの放水でも、相当な集中豪雨があれば、もう下流に相当な浸水があることは、今度の場合でも予定をされているのだから、せめてさかのぼって有効貯水量と、いわゆる調節水量が妥当であったかどうか、こういう状態を検討するということは、私は当然なことだと思う。いざという場合には、そういう指示をいたします、というのだから、それじゃ、そういうふうな今度の場合などを調べて、再々のことであるので、こういう点についてなお検討するというのが、これは建設省の態度としてあたりまえのことです。まだそういうふうなことも検討しないで、妥当です、というようなことを言える筋合いではないと私は思う。  建設省の政務次官にお尋ねする。大臣来られておりませんけれども、いま私が質問いたしましたように、予備放流水位を保って、そして満水になるまでの途中に洪水が起こったということは、完全にダム操作規程を超越して調節が行なわれるということがあるとすれば、もっと妥当なこともあった。あるいは一万トン放水を認めている、構造上危険な場合は、最大一万トン放水ができると、こう言っている。そうすると、やはり一万トン放水に耐える護岸をつくっておかなければいかぬということで長期計画を立てた。しかし、その長期計画はいつ実施をされるかわからない。そうすると、現段階において河川法の精神に基づいてこの有効貯水量に対する調節水量を検討するということは、私は必要なことだと思う。こういう点について、一体政務次官は、いまの質問を聞いてどういうふうな御見解ですか。
  53. 仮谷忠男

    説明員(仮谷忠男君) 今回の集中豪雨というものが、おそらくいままで予想もしなかったような集中豪雨であったということ、そういう事態を見て、これからの国の、これはダムの問題に限らず、道路建設にしてもその他の問題にしましても、そういう異常事態を考えながらさらに今後の対策を真剣に検討しなければいかぬということで、これは私どもこの問題、常に議論をされ、そういう心がまえで進みたいと思っておるわけであります。  ダム操作の問題、いろいろなことから、技術的な問題もありまして、私は率直に言ってしろうとでありますから、具体的なお答えはできないかもしれませんけれども、それぞれ操作規程に基づいてやられたことであって、いまの事態では、そのことが大きな失態だったとは考えておらぬのであります。  それから長期計画の問題等につきましても、御承知のように、治水の五カ年計画が本年度を初年度として出発をいたしましたから、これに基づいてひとつ横山地区の堤防の問題についても、この計画に基づいてぜひ実施をし完成をしたいという考え方を持っております。ただ一般論として私が申し上げることのできますのは、こういうふうな異常な事態というものを、やはり常に予想して問題を検討しなければならぬ、これが今度の集中豪雨の大きな教訓ではなかったかという考え方から、常にそういう異常事態を想定をして、いつ事態が起こってもそれに対処できるような問題は、これから十分に検討していかなければならぬ問題だと、こういうふうに考えております。
  54. 松永忠二

    松永忠二君 もう一回、ひとつお尋ねしますがね、長期計画というものがいつ実施をされるのか容易なことではない、そういう中で、佐久間ダムの貯水、つまり調節能力というのは相当ある。したがって、その佐久間ダム調節能力を発揮してもらいたい、より以上もっと発揮してもらいたいという、またそういう点について、なお数字的にも今後検討してもらいたいという地元の住民の考え方は、これは間違いですか、間違いでないですか。
  55. 仮谷忠男

    説明委員(仮谷忠男君) 確かに地元のそういう御要望は当然のことであるし、また、そういう御要望にこたえるようにわれわれも心がまえを持たなければならぬと思う。ただ具体的にルール改善といった問題になりますと、これは専門的にもう少し検討してやらなければ、ここですぐルール改善いたします、というお答えがこれはできがたいということは、これは先ほど河川局長が御答弁申し上げたとおりだと思う。ただ、やはり最近の災害状態を見ますと、ほんとうにいままでの常識や観念では、あるいは技術的に検討してきた限度を越えるものがあると、そういうことを考えると、そういう事態を想定した今後の災害対策というものは、当然心がまえをしていかなければならぬ問題だと、こういうように私どもは考えております。
  56. 松永忠二

    松永忠二君 そういうあいまいなお答えでは困りますよ。さっきから異常な異常なと言うのですけれども、今度のはそんなに水量から考えて異常なものではない。集中豪雨ではあたりまえの水ですよ、上流の水量を調べれば。集中豪雨のときにはこれくらいの雨が降るのはあたりまえのことです。あなたのおっしゃったように、地元の住民が、長期の護岸はなかなか容易じゃないから——聞いてくださいよ、河川局長にも一緒に聞きますよ、いいですか。だから、せめていわゆる佐久間ダム調整能力を十分にしてもらいたい、また、そういう点について数字的に検討してもらいたいという気持ちを持っておる、その住民の気持ちは私どももわかるし、それは正しいと思う。正しいというか当然だと思う。しかし、専門的なことであるから、ここでやりますとは言えませんけれども、検討しなければならぬと思うと、こういうことならわかるのに、専門的なことだから私にはわからぬということじゃいかぬと思うのです。
  57. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 先ほど申し上げましたように、佐久間のルールは、三十九年、四十年、大体今度の出水と同程度の出水がございまして、それを契機にしてそういったルールをはっきり改定をする必要があると、従来どちらかというと洪水調節というものを電力のダムに持たすということをはっきりうたわなかったわけでございますけれども、今度はっきり予備放流というものを設定してうたったわけでございます。その際に、ずいぶん技術的にも検討いたしまして、おそらく一年以上かけていろいろな場合を想定してつくったわけでございますので、いま直ちにその操作ルールを改定するというよりも、先生のおっしゃるように、河川法に基づいて非常の場合に、五十二条の発動をどういうぐあいに具体的にやっていくのかという、むしろそういうことも含めまして、私は、先生のおっしゃるように、五十二条をなぜ発動しなかったのかということをあるいはお考えになっているかと思いますので、そういう点も含めて、今後いろいろ今回の洪水の実績等を分析いたしまして、そういった洪水時の非常な場合の指示をどうするかというようなことをむしろ中心にして検討してまいりたいと思うわけでございます。しかし、いま直ちに操作ルールを改定するという必要があるかどうか、その辺は十分検討してみないとわかりませんので、いま直ちにそういう検討をすることを前提として、変更することを前提として検討しようと申し上げるにはちょっとまだ早い段階でございますので、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  58. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと待ってください。変更することを前提としてじゃなくて、変更するかどうかを含めて検討するかということですよ。
  59. 坂野重信

    説明員坂野重信君) それは申し上げましたように、五十二条のほうの問題があるわけでございますので、私どもの見解としては、現在のところ操作規程を改定する必要——規程そのものについて検討するということよりも、まず、そういった洪水時に異常事態が出た場合にどういう指示を与えるかという問題について検討してみたいと思います。
  60. 松永忠二

    松永忠二君 なおもう少し聞きますが、河川法が改まる前は、そういうことを、調整ということを考えていたのが、河川法が改まって調節するということで操作規程を改めたわけですね。だから、その調節の問題については検討するという基本線はあるわけですよ。基本線があるからこそダム操作規程を変えたのですよ。だから、現に新たに起こった現象に基づいて、また、調節するということについてもっと機能を発揮できないかどうかということを検討するのはあたりまえのことなんですよ。  それから同時に、さっき何か政務次官は、異常だ、異常だと言うけれども、異常じゃないのですよ。集中豪雨としては洪水量はあたりまえのことなんだ、この程度のことは。だけれども、もっと極端にひどい場合のことを河川法五十二条で考えるべきだというのはそのとおりだ。それは考えてもらわなければならぬ。異常のときのことばかり考えて、この程度でこういうふうになったときのことについても考えないというのはおかしい。操作規程を検討する——操作規程の検討をいま直ちにすることは考えておりませんというならば、それならば河川法は一体何のためにつくったのか、変えたのか。こういう機能が有効であるかどうかということを検討する責任は建設省にあるし、そういうことを検討するということが必要だから、この河川法も改まったわけです。したがって、当然こういうことが起こった場合には、検討します、というのがあたりまえのことですよ。委員長の言うとおり、その場合検討した結果、こういう理屈でだめだということならわかるし、こういう状態でまだいいというのならあたりまえだけれども、検討するということは、河川法の精神であるのにそれをやらないというならば、これは明らかに法律違反ですよ。どうですか、政務次官、坂野河川局長
  61. 仮谷忠男

    説明員(仮谷忠男君) 見解にいろいろ相違があると思うのですけれども、今回横山地区災害というものが、たとえば佐久間ダム操作の誤りとか、あるいは何か失態によって生じたものではないという基本的な考え方、そういうものを一応われわれは持っておるわけでありまして、したがって、そういうことを前提にした調整、検討ということになりますと、これはもう少しさらに突っ込んで検討しなければならぬという言い方が事務当局の考え方ではないかと思っております。しかし、おっしゃったような問題もございますので、これは最悪の事態に備えて、いつでも万全の措置を講じておかなければならぬということは、行政庁として当然のことでありますから、そういう面において今後も十分に研究を続けてまいりたい、かように考えております。
  62. 松永忠二

    松永忠二君 ダム操作規程の誤りではございませんということばかり強調する気もわかるのでございますが、そういうことではなくて、私の質問したのは、いわゆる佐久間ダム調節能力を十分に発揮したという状態でない中で洪水が起こったということを言っているのですよ。そこで、ダム操作規程をそのまままじめにやって、こうなりましたからということであれば、それならその操作規程を検討しましょうというのが話の筋でしょう。全くぼくは、ほかの委員の方もお聞きになっているけれども、そんな無理なことを言っているのじゃないと思うのですよ。筋だと思う、ぼくは。あなた方は、操作規程は誤りじゃありません、そういう意味で検討はしませんと、こう言う。おかしいじゃありませんか。ダム操作規程が誤りだというようなことはだれも言っていない。しかし、ダム操作規程が誤りじゃない、操作規程にそむいて操作をしたわけじゃないけれども、現実にこういうことが起こった、しかも、調節まん中になっておるという事実のほうから考えてみれば、現実に——私はきょうはできなかったが、ほかに幾らでもあるのですよ、水害の起こったところが。そういう水害が起こっている。ダム操作をしても、そういうことになっている。だから、ダム操作が全く機能を発揮して、満水とちょうど災害の起こるときと一緒になっておりましたということなら、機能は完全に発揮したということになるのだけれども、そうでもないので、そこでダム操作規程——ダム操作規程といっても、その中のとにかく調節水量というものについて、これが妥当なのかどうなのか、政治的にはもう検討しなきゃいかぬでしょう。あなた方建設省が言っている、一万トン放水を認めているが、それがすぐ実施ができない。これは検討しなきゃできないことはあたりまえでしょう。その場合、どういう状態のときに検討——そういうことをやるかということについては、それは雨の降り方とか、いろいろなことも考えなきゃいかぬけれども、検討することはあたりまえなことじゃないですか。検討したいという住民の希望だって当然なことだし、そのことを言っているのですよ。ダム操作規程に間違いありませんでしたからどうのこうのなんて、そんな電源のようなことを言わぬでもいいのじゃないですか。河川の管理者ですよ。
  63. 坂野重信

    説明員坂野重信君) まあこれは先生の御見解はよくわかるわけでございますがね。これは基本的な問題でございまして、私どもが河川改修といいますか、天竜全体の治水をいかにあるべきかということ——先ほど申し上げましたように、工事実施基本計画というのは河川法に基づいてやっておるわけです。その段階で、これは確かに佐久間洪水調節の機能をもう少し持たせるか、あるいは佐久間を現状のままに置いて、堤防方式によって、佐久問以外に、あとは必要な放流ダムをつくってやるかという基本論に私はさかのぼってくると思うわけでございます、先生の御意見からは。そこで、確かに佐久間ダム調節能力を持たすというのも、これは河川改修、治水の一つの観点でございます。しかし、これは佐久間をそのままにしておいて、それ以外に必要なダムをつくって、余ったものを堤防をつくって、それで防ぐというのも、これも一つの洪水の基本計画でございまして、そういう段階はわれわれは十分検討したわけでございます。しかし、先生のおっしゃるように、確かに完全治水ができ上がるまでにここ数年かかるわけでございまして、日本全体でなお必要な資金というものは五十兆、治水五カ年計画としていま二兆五百億認めていただきましたけれども、なかなかこれは治水全体の完ぺきを期するのは容易なことじゃないのであります。そういうことで確かに基本的に、佐久間にもう少し高水量を持たしたらどうかということはまことにごもっともだと思いますけれども、その辺はやはり総合的に考えなきゃいかぬのでございますが、しかしながら、堤防を重点のところからいかにして早くつくるか、その辺はなかなかこれは基本論でございまして、まあそういう御意見もございますので、私ども操作ルールを改定するということは、いまこの際に申し上げられませんけれども、そういうもの全体を含めてもう一ぺんひとつ今度の出水にかんがみて振り返ってみたい、かように考えます。
  64. 松永忠二

    松永忠二君 時間も少ししかありませんけれども、端的なことだけ聞いてそれで終わります。  政務次官でもあるし、それから河川局長でもあるので、答弁がもう少しすっきりした御返事ができるかと思っておったのですが、できません。がしかし、地元がそういうことを考えるというのも妥当だということですから、そういう点についても、五十二条の効果についてなお検討するということでありますから、これはやはり具体的に検討してもらいたい。私は聞きませんけれども、二億六百万トンの中でなぜ千七百万トンの調節量でなきゃできないかという科学的な根拠を示せということだって言えると思うのですよ。こういう点についてこたえるものがやはりあるし、そういう点の再検討というものだってあると思うのです。まあひとつ、いまのように広い意味で今度は水窪の上流にダムができるわけです。これはまた逆な意味が、天竜水系調節機能もそういう違った面で発揮できる、そういうことになってくるわけですから、そういうこともかね合わせて、いま言ったとおり、地元の住民の護岸が十分回復できないという要望と、なおかつ、こういう場合での洪水がたびたびあるということもかね合わせて、ひとつ検討をしてもらいたい。電源のほうもそれに呼応してひとつやってもらいたいと思うんです。  そこで、まとめて少し質問しますから……。
  65. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと待ってください。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  67. 松永忠二

    松永忠二君 実はまだ私は質問の一ページですよ。まだほかのところの問題もあるので、実は電源も呼んだわけですし、ほかの港湾関係、運輸省のほうも呼んでいるわけですが、全然できないわけですからね。  そこでまとめて、横山地区が実は建設がおくれた。これは四十一年に予算がついたのですけれども、国鉄が佐久間線をつくり、その土砂でかさ上げをしたいというようなことで、建設省との間に設計協議とかいろいろなことをやった。ところが、国鉄が途中でぐずぐずしたので、そこで打ち切って建設省横山に仕事を始めたわけです。だから、最初の予算も行使できないという状態だったわけです。だから、逆にいえば、横山地区はそれをそのままやってくれれば今度の水害だって助かった面もあったのじゃないかという気持ちが出てきているわけです。しかし、とにかく建設省横山地区護岸を六億の全体計画をもってやっていこうということで一生懸命手をつけていることは事実であるし、これはまた、さっきの高水量をきちっとして、いろいろ洪水水量も考えてのことであって、私は、これができれば一応横山地区水害は防ぐことができる。したがって、四十四年の予算要求も出ていることであるし、これをひとつ確実に予算を取って早く完成をしてもらうということについて考え方を聞きたい。  それからもう一つは、実は全然触れませんけれども、雲名というところはその横山の上流でして、これはこの前と同じような災害を受けた。しかもこれは電源のほうですけれども、後ほどひとつ十分検討してみてください。サイレンも聞こえないのですよ。サイレンの場所、つまりそこの住民が非常にやかましいと、移動してしまった。移動したところは山かげになってしまったから雲名には全然聞こえない。しかも避難命令が出たのかというと、避難命令も出ない。二十町歩の二俣上流の最もいい耕地が全部浸水しちゃって、しかも二メートル以上の床上浸水があった。サイレンも鳴らなければ避難命令も出ない。しかもそれは四十年と同じ災害が起きておる。それじゃ四十年の災害から何を一体やったのだ、建設省は。一体地元の市と、こういう問題について協議したことがあるのか。あるいはまた地元の市が直接的に住民と話し合いして何をやったのか。この人たちの四十年災以降にやってもらったのは建設省の補助じゃありませんよ。自治省関係の水防の施設でゴムボートを一つくれただけです。これはゴムボートをもうそれより前にほしいといったのが、やっとゴムボートが水防の小屋に一つきただけで、全然四十年災からいままで一つも協議もなければ、いわゆる災害対策もない。じゃその原因は、どこで水害が起きたかといえば、これはここへ流れている平沢川という川から天竜が逆流してきて——堤防を越えて水が来るのじゃなくて——逆流してそこが満水になってしまった。全く私は怠慢だという考え方を持っている。長期計画にはどうなっているかというと、これには護岸をつくることになっておる。護岸をいつつくるかといえば、横山だってこんなこといったってまだ二、三年あとですよ、完成は。とても雲名あたりに護岸をつくるというようなことは、実情ではできない。そうなると、二回同じような災害が起きたのだから、これについては当面どうして災害を防ぐのか、いわゆる平沢川の逆流をどう防ぎとめるのか。堤防をつくれない以上は、何かそこに具体的な当面の災害対策を考えなければいけないと思うが、この雲名について、当面の災害に対して、即刻に協議をして一つの案をつくってほしい、これは当然なことだということが一つです。  もう一つ、実は電源のほうで非常に問題があるので、もしあれならまた災害対策ででもやりたいと思うけれども、秋葉ダム佐久間ダムの間が河床が上がっているわけです。これまた政務次官ではあれですけれども、秋葉ダム佐久間ダムの間は河川管理者の直接の責任者は建設省です。しかしこれはダムの中だということで、管理とかそういうものは電源開発がやっているわけだ。で、河床の調査建設省がやらないで、県と電源が河床調査をやって、河床が上がった場合にはつまりこれを補償をするわけです。すでにこういう補償もやった。その補償の際には、十メートルから低いところでも二メートル河床が上がるということで補償をやった。水窪の合流点の少し下のところに大輪橋という橋がある。県道にかかった橋です。この橋が今度はとれた。そこでそのそばの県道が七十メートルくらい三メートルの水深がきた、周囲の七戸の家は床上どころか非常にあぶなかった、ところがもっといけないことは、大輪橋という橋の耐風線というのがあるそうですね、引っ張った。耐風線は買収した線よりも一メートル低いところにある。いわゆる補償した線より一メートル低いところに耐風線のある橋というのは全国にないそうです。電源佐久間ダムをつくるときには、地元や県も、この大輪橋付近は河床が上がるから、水深がないから河床が上がるから、どうしてもこれはつくり変えてもらいたいという話はあったけれども、それはやらなかった。しかも三十六年災も四十年災もそういう陳情を電源にやっている。四十三年の八月には知事にも陳情している。もう初めからのものであるのに、それをそのままにしておいて、今度はとれちゃった。当然これは電源が責任を持って対策を考えていくであろうし、建設省またそういう態度で電源に善処を求めると私は思う。で、これについて電源の考え方を聞くし、また建設省の考え方も聞きたいと思う。似たようなことは実はほかにもありますので、また機会を見てお伺いをしたいと思うので、実は毎日新聞等、あるいは地方の新聞でもそうでありますけれども田子ノ浦の富士、吉原の海岸で、建設省所管のもの、運輸省所管のもの、建設省の所管であるけれども工事災害で県がやっているものあるいはまた河口には農林省の管理の場所、これらの問題について、工期が非常にまちまちであるということ、構造が違うというようなことで、その災害に対する非常な不安を感じているので、いろいろ地元からも要望が出ている、これらの点については、あまり簡単な答弁をお聞きをして、その線を逸脱してもまずいので、きょうは御答弁をいただきませんけれども建設省、運輸省、いまひとつ十分地元と協議をしてもらって、とにかく地元住民に不安がないのだということを積極的に説得をしていただくようなことをやってもらわなければだめだ。また、予算のつけ方もできるだけ調節をして、ひとつ予算をつけてもらいたい。この点は最後は要望でありますが、最初の三つについてだけは御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  68. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 橋の問題を先に御答弁いたします。先生おっしゃるように大輪橋というのは秋葉ダムの上流の末端にくらいするわけでございますが、その堆砂状況については、やはり十一月ごろに定期的に調査が行なわれておりまして、その報告によりますというと、この付近の河床は若干傾向的に見ますと、平均河床が上界しておるようでございますけれども、四十年に一級河川となりましてからは、その後の調査によりますと特に著しく河床の変動は認められない状態でございます。今回、三十六年、四十年と同程度の出水があったわけでございますけれども、その当時はどうにか橋もたいして被害もなくてもったわけでございますが、大輪橋が今回の出水でまあ被害を受けたわけでございますけれども、まあ流量的には昭和四十年あるいは三十六年とたいして変わりはなくて、若干上回る程度の出水であったわけでございますけれども水位の上昇がかなり今度はあった。そういうことで流失を見たものと判断されるわけでございます。それで、じゃどうしてそういった水位の上昇がひどかったかというようなことにつきましては、今後十分調査をいたしませんとわかりませんので、現地につきまして十分調査、検討をいたした上で善処をいたしたいというぐあいに考えております。  それから当面の問題でございますが、それは予算の関係等もございまして、私どもかねがね心配しているわけでございますけれども、いままでに河川改修費が先生おっしゃいますように、まだ投入されておりません。しかし今回の災害状況にかんがみまして、私どもはできるだけひとつ何らかの対策を考えてまいりたいというぐあいに考えております。  横山地区につきましては、五カ年計画で六億程度の予算を見ておりまして、先生のおっしゃいましたような事情がございまして、工事の着工が用地の買収等の関係あるいは国鉄の新線の建設等の関連でおくれたわけでございますけれども、できるだけひとつ明年以降におきまして進捗をはかってまいりたいというぐあいに考えております。
  69. 大堀弘

    参考人(大堀弘君) ただいまの大輪橋の件につきましては、河川局長から御答弁がございましたとおりでございます。私どもとしましても河床等につきましては常時調査をいたしておりますし、先ほど先生御指摘ございましたように、秋葉のバックウォーターの終端方面につきましては相当用地の買い増し等もいたしまして、対策を講じておりますが、大輪橋地点につきましては、今回いろいろと調査の報告を受けておりますけれども、今回の水の量では、この橋がこわれるということは通常の状態では考えられないことでございまして、何か特殊な事情があったのではないかと思っておりますけれども、なお十分調査をいたしたいと思っております。  なお、雲名の地点について何か警報装置等のお話がございました。これは私どもは前回のとき以来、建設省の担当部局とそれぞれ御相談いたしまして、警報装置の伝達方法、伝達設備等については相当改善をいたしたつもりでございますが、ただいまの点がちょっと私ども聞き漏らしておりましたので、なお調査をいたしますけれども、十分地元等とも話し合いをいたしておるつもりでございます。
  70. 松永忠二

    松永忠二君 最後に、だいぶ長くなってあれですが、ただ大輪についての建設省の答弁は、もう少しやはり検討してみてください。特に時間があれば、一体河床はどのくらい上がっているのか、データを持っているわけですから、大輪橋の河床の水位の上がり方もわかるわけです。これは明らかに河床はそこらで一メーターないし二メーター上がっているわけですから、これはやはり河床の変化に伴う災害であるということで、建設省とひとつ電源のほうでよく調査をされて善処してほしい、こういうことを申し添えておきます。
  71. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  72. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  73. 春日正一

    ○春日正一君 十号台風と関連して、天竜川の治水問題ですけれども、いま松永委員からも質問があったように、天竜川の佐久間、秋葉の下流で横山その他三十六年、四十年に出た個所が同じような状況でやはり相当大きな被害を出しております。被害状況を私ここで言いませんけれども、この前四十年災のときに私この問題でやはり質問して、それで大臣の答弁、局長の答弁でも、あそこの川のはんらんというものが本流そのものの増水と同時に、かなり大きな支流があって、支流の水が非常に大きく出るために、それが重なってああいうことになる、だから、総合的に施策を講じなければならぬということが答弁されておったんですけれども、四十年からいままでに、こういう災害を受けた地域に対して、どのような施策をとってこられたのか。  それから、さっき言ったこういう災害を根絶するためにどのように考えているのか、そこのところを端的に御答弁してほしいと思います。
  74. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 四十年以降まずやりましたことは、佐久間ダム操作規程を、先ほど申し上げましたように改定したという問題でございます。  それから、河川改修のほうは、横山地区につきましては、先ほどお話しましたように、さっそく工事をやろうということで努力したわけでございますが、地元にいろいろな事情がございまして、ようやく昨年の四十二年から工事の着工を見たわけであります。今回工事の中途において災害を見たことはきわめて残念でございます。下流の一般改修につきましては、できるだけ五カ年計画の一環として事業を進めてまいっておりまして、天竜川全体として見てまいりますと、四十三年度で大体十億弱の費用を投入いたしておりまして、できるだけ五カ年計画の線に沿って今後の事業を推進してまいりたいというふうに考えております。  それから、もちろん河川改修だけでなくて、砂防あるいはダム等の建設も鋭意推進いたしてまいりたいと思います。
  75. 春日正一

    ○春日正一君 そういう処置をとってきて、また今度やられた。特に横山の場合、堤防をかさ上げするという計画のようですけれども、あそこの場合だと、堤防をかさ上げすると、下の住宅のあるところがくぼ地になるんですね、そこの排水をどうするか。建設省のほうでは天竜川の水が引いたときに水門をあけて流せばいいというけれども、そうすると、排水することを前提にして、つかっても天竜川が減水すれば引けるからいいじゃないかというけれども、つかれば当然財産に大きな被害を受けることになるので、これはつからないことを当然考えなければならぬ道理じゃないですか。だからそれを住民にやろうといっても、あそこの住民に聞いてみますと、この前の災害でも被害を受けて、このときの借金が残っている、それに今度は建設省のかさ上げに対応して、自分の住んでいるところを上げるということの負担はとてもできかねる、これは当然われわれ考えても、さっき松永委員が言ったように、ダムのために河床が上がって、それで堤防のかさ上げをしなければならぬということになれば、住んでいる本人知ったことじゃないわけですよ、住んでいる本人の関係なしに、ダムの関係から河床が上がり、堤防が上がり、自分のところがくぼ地になっているというのだから、当然建設省なり電源なり、双方が協力してなり、とにかくそういう原因をつくっているところが、安全のための対策というものでめんどうを見るべきだと思うのですが、あなた方そういうことをひとつも考えていない。堤防を上げさえすれば水は出ません、内水でつかった分は水が引けば出ていきます、そういう考え方で治水がいいのかどうか、また、そういう建設省なり電源の負担で住民の状態をもとへ戻すということをお考えになるのか、その点お聞かせ願いたい。
  76. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 横山地区の改修計画につきまして、私どもできるだけ築堤方式によってひとつやろうということで、先生おっしゃるように築堤によって内水が残るんじゃないかという議論があるのでございますが、築堤すれば、かなり滞水の時間は減ってくるということでございますので、ひとつ樋管を設置して、その段階でひとつできるだけ内水というものを見ていきたい。しかし、樋管を設置してもなお内水が引かないということになってくると、将来あるいは段階に応じてポンプを設置するということも必要ではないかというように考えられますけれども、内水排除は、ようやく建設省としてもここ数年前に始まったばかりでございますので、全国一律に内水排除を各所に設置するということは、予算の制約等もございますので、なかなかすぐにポンプの設置ということに踏み切れないわけでございますので、まあ緊要度あるいは重要度というものに応じて逐次考えていきたいというぐあいに考えております。  それから、電発に一部持たすかという議論がございますが、その辺は今度の出水の状況あるいは原因等十分調査した段階で考えていきたいと思うわけでございまして、現在の段階では、その辺が非常に不十分な状態でございます。操作上の誤りというものもございませんし、先ほどの堆砂の問題等につきましても、まあ川全体としてよく調査した上でひとつ考えていきたいと思います。
  77. 春日正一

    ○春日正一君 ダム操作の誤りというようなことは問題になっていないんですよ。あそこは河床が上がっておる。この写真を見てもわかるように、むしろこの内水を抜くといのそのきわまで土がきてしまっているんですね。さっきあなたがしょっちゅう見ていますと言ったけれども、こうなっておる。二メーター上がっている。だからこういう状態は、住民が河床を上げているわけじゃないんだから、当然河床の上がるということは住民の責任じゃない。それからポンプにしてくれということを住民は要求しておる。これをやっておきませんと、今度また水がついたときに、あのときにポンプを要求したのになぜやらぬかということで、あなた方はやっぱり責任を問われるようになる、ここは十分考慮してほしいと思います。  それから、時間がありませんから次に移りますが、天竜川の水系の治水対策として、先ほども言ったように本川の流量、支川の流量、これが合流して大きな災害を起こすわけですから、当然本川支川の関係を総合的にやらなきゃならぬし、特にあそこの川はどっと大きく水の出るところですから、ダムの持つ治水の役割りというものが、もっと水流のゆるやかな川の場合よりもはるかに大きいと思うんですが、だから今度の場合でも、あそこの住民は佐久間でもって四千トンに前に押えてくれれば——まあ佐久間ですか、秋葉ですか、秋葉は六千百トン出たわけですが、四千トン——二千トン切ってくれれば水は道路でおさまっているんだ。その調節佐久間でできなかったかということを言っているんですけれども、こういう点は私一度に言うけれども、考えてみれば、やはり天竜川の水を治めていくという上では、ダムを一〇〇%に生かしてこの調節機能をやっていかなきゃならない。それで、いまこれができるのは佐久間だけでしょう。秋葉は小さいし、できるようになっていない。ほとんど効果がない。そうすると佐久間のこの操作の問題ですね、先ほども操作規程を云々やられましたけれども、私はここで時間がないから操作規程云々は言いません。ただ、五十二条の緊急の対策の命令ですね、こういうものによっても、当然夏になれば日本は雨が多くなるし、長期予報でもことしは水が多い年だということは一般にいわれておる、そして水の出る相当前から低気圧が来る、台風が発生したというようなことがいわれて、大体見当がついているということになれば、その水の出る二、三時間前になって放流する、調節すると言ったって、先ほど言った程度の非常にわずかなものです。あれをもう少し大きく下げて、水の出る、そういう可能性、危険のあるとき、そういうことを当然おやりになってしかるべきじゃないか。先ほどあなたは五十二条について検討をしないということを言っておったけれども、当然ああいう状態が予報されておったのだから、これで佐久間に対してどうしろというようなことを命令すればできたはずだし、そういうことをあなた検討しなかったのか、ダム調節の問題として。
  78. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 五十二条の問題でございますけれども、これは先ほどから議論しておりますように、操作のルールがかなり確立されておりますし、操作ルールどおりいけば今回五十二条というものは発動しなくていいんじゃないかということで、現地のほうもずいぶん議論いたしまして、また検討したようでございます。直接的には中部地建がやっておりますが、この段階で五十二条を発動すべきかどうかということも議論したようでございますけれども、今回は操作ルールの範囲内でひとついくことによって差しつかえないんじゃないかという解釈でやっております。横山地区の問題につきましては、ひとつ今後ともできるだけ促進をはかっていきたいというぐあいに考えております。
  79. 春日正一

    ○春日正一君 今回は検討してみたけれども操作規程の範囲でいいだろうという判断でおやりになった。ところが被害が起こったということになれば、今後は当然その問題についてもっと真剣に検討して、被害の起こらぬような処置をとるということは当然おやりになると思うんですけれども、その点どうですか。
  80. 坂野重信

    説明員坂野重信君) これは先ほど申し上げましたように、全般的にそれを含めて検討してまいりたいと思います。
  81. 春日正一

    ○春日正一君 それで、この天竜川のあの辺のダム、この地図で見ますと、ほとんどあれですね、発電ダムですね。気田川の上のほうのやつもそうだし、水窪のやつもそうだし、ほとんど発電ダムになっている。だからダムの水の調節機能というものが非常に制約されて、治水という面ではほとんど役に立たない。たくさんダムをつくっておいでになるけれども、全部発電ダムになっている。その点で建設省天竜川の治水という点についてやはり不親切なところがあった、あるいは誤算があったということになるんじゃないでしょうか、その点どうですか。
  82. 坂野重信

    説明員坂野重信君) そういう誤算があったというぐあいにも私どもは考えておりません。河川の計画をつくる場合には、先ほど申し上げましたように、そういったダムあるいは砂防、それから全体を考えまして、水系一貫して既往の洪水の実績等を分析して計画をつくるわけでございまして、天竜水系には佐久間等の電発——電源関係のダムもございますけれども、それらのダムについては、できるだけ洪水調節の機能もひとつ電発のほうに持ってもらうということはございますけれどもダムはそれ以外にもまた先生御承知のように小浜ダムとか、あるいは美和ダム等考えております。できるだけ上流のダム群による洪水調節とあわせて河川計画というものを総合的に検討しておるわけでございますけれども、河川計画が間違っておったというぐあいには私どもは考えておりません。
  83. 春日正一

    ○春日正一君 その点、この前の三年前の大臣の答弁とちょっとニュアンスが違ってくるんですがね。瀬戸山大臣のときには、やはり発電の利益よりも住民の被害ということを優先して守らなけりゃならぬ、そういう立場でやっていくということを言われておる。ところがさっきの答弁ちょっと聞いておっても、なぜ二・五メートルというところで調節やらなかったのかということについて、前は下がっておったから二・五まで上げて水はためておりましたというこっちからの答弁があった。発電の側からいえば、水は一トン一円するとか、二円するとか言われている。できるだけためなければならぬ。もし流してしまって、予想どおり雨が降らなかったらたいへんな損になるというようなことで、どうしたって水はためがちになるのですよ、発電の側からいえば。そうすると、どうしたって調節機能はできないんだから、それだからこれは治水の機能を兼ねるということをはっきりして、そうしてそういう場合にはもっと幅が大きく調節できるようなふうにしていかなければ、天竜川は発電ダムをどんどんつくればつくるほど災害が大きくなるというような結果になる。現にあれだけ佐久間につくったときには、当時の新聞の報道でも、住民の受け取り方でも、これでもう災害から免れられるという安心感があった。それが現実には、ダムができてからますます災害がひんぱんになるという結果になっているわけですから、そういう点については、あなたは誤算がなかったと、これでやっていくということになると、治水問題ということについては非常に無責任な態度をとっているということになるわけじゃないんですか。だから私の言いたいのは、いまある発電所も最大限に使って、二・五メーターあけておけというのを、そういう水がずっと出る季節、こういう場合にはもう少し下げる。そしてあそこで、今度の場合でも二、三時間ずらせば被害はずっと軽減されているんですね、このあれで見ると。だから、それのできる程度のことをやるような緊急な指導が必要だろうし、今後ダムをつくっていく場合、やはり治水という観点が大幅に組み入れられなければ、こういう問題が至るところに起こってくる。だから、その根本問題としてぼくは言っているんだ。あなたはそれを発電ダム計画どおりでございます、ちっとも誤算はありませんと言っているけれども、それでほんとうにそういう災害が起こらぬと、発電ダムで十分調節できると言い切れるのですか。その点どうですか。
  84. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 私申し上げているのは、何といいますか、天竜全体の治水計画はそごがないということでございまして、もちろん先生がおっしゃいますように、既設の電発のダムといえども洪水調節の機能をできるだけ発揮していただきたいということは、私ども先生と全く同感でございます。ただ、先ほどいろいろ議論しましたように、今度の場合、振り返ってみましても、気象予報の的確性という問題があるわけであります。だから、その範囲内において私どもは既往の洪水を解析いたしまして、あらゆる場合を想定して、最大公約数的な立場でとって、その洪水調節マイナス二メートル五〇というものを予備放流水位というのをきめたのでございまして、その段階において十分長期間かけてやったわけでございます。その程度でございませんと、気象予報が非常に的確で、刻々わかれば問題ないんですけれども、そうすればもう少し予備放流水位を下げるということもできるかと思いますけれども、現在の段階においては、なかなか気象予報が的確でない段階において、人工洪水だということも考えなきゃいかぬ。それからダムをからっぽにして、はたしてあと水が入ってくるかどうかというような問題を総合的に考える必要があるかと思いますので、そういうことをあれこれ勘案して、やっと四十一年にダム操作規程というものを、それも従来洪水調節のことをはっきりうたわなかったのをうたったわけでございます。そういう観点で、私どもは今後そういった非常事態が出てきた場合には、五十二条をどういう段階で発動するかというようなことを、気象情報の的確性というものを踏まえて、その点の精度というものと勘案しまして、遺憾のないようにひとつやっていきたいと思うわけでございます。したがって、五十二条につきまして、私ども今後十分検討してまいりたいと思うわけでございます。
  85. 春日正一

    ○春日正一君 その点で一言言っておきますが、気象情報もちろん正確でないけれども、しかし、くるかこないか、どっちにするかという場合、やはり住民の被害ということを重く見て、多少発電のほうの水が減っても、予防的な処置をとっておくか、あるいは発電の利益ということを重く見て、そしてぎりぎり一ぱいまでためるものはためておくという処置をとっておくかという分かれ目が非常に大事だと思うんです。今度の場合でもその点を地元の人たち非常に言っている。だから、やはり地元の住民の利益ということを主に考えて、もっと、あなたはダム災害放流水のために洪水が起こりはせぬかというけれども、水が出そうになったとき一度にやっては出るかもしれないけれども、いまじゃ気象は長期予報として相当前から様子がわかるわけですから、じりじり前のほうから抜いておくというふうな形で、相当早い期間から手を打っておけば、そういうことなしに被害から守れる。そういうことは十分考えられると思うんですよ。ただ、いつでもそこについてくる問題は、あけたあと水が入らなかった場合はどうする。損害はだれが持ってくれるという言い方です。電発のほうでは、損害はだれが持ってくれると言うかもしれないけれども被害を受けた住民はどうなる。そのたび被害を受けて、ちっとも損害を持ってくれない。そういう点考えると、弱い者をいじめるのではなくて、大きい者がしょう。そういうものを受けないような施設をつくっていくということが国の施策の根本ではないか、その点は特に言うておきます。その辺のところは松永委員もいろいろお聞きしたし、特に次官にも頭に入れておいていただきたいのですが、天竜川は非常なあばれ川ですから、そこの治水ということは、やはりダムをつくる、その他の場合も総合的に考えて、流水調節ということをほんとうに考えていきませんと、あそこの治水というものは片がつきませんから、それで私くどくど言っているのですから。これは頭に置いて、今後の計画を立てる場合、必ず発電ダムにしても、治水効果を十分に発揮できるような構造なり処置をしていかなければならないだろう、そう思います。  それからもう一つの問題は、あそこの住民の被害の場合でも、いつでも被害を受けた——公共施設その他は国その他でやるけれども——住民が全部被害の復旧をやらされる。借金がふえるという状態になっておりますけれども、今度の災害で、もう一つ特徴的なのは、天竜川のもう少し上の南信濃の天竜峡の下のほう、あの辺が非常にたくさん被害を受けて、しかも本川とか国道のほうはわりあい完備してきておりますし、被害を受けてない、あるいは少ないのですけれども、特に市町村の管理する小さな川とか沢、林道、そういったところが被害が多いのです。長野県全体で言えば、山くずれ六百八十四、道路の損壊千二百四十八、河川の決壊等七百八十八カ所、件数、非常に顕著な数ですけれども、非常にふえておりますけれども、泰阜、阿南町あたりは、十キロくらいの間で十カ所も崩壊している。こういうところはやはりそういう奥地でもって市町村の管理するというようなところのために、実際上そういう防災措置というものはほとんどとられてなくて、市町村道は山の中腹をブルドーザーで削っただけで、そのままになっているということになっているために非常に今度被害が多かったわけです。こういうものについての対策、これをひとつ聞かしておいてもらいたい。  もう一つの問題は、この被害を受けた地域というのは、長野県でも一番南の天竜峡の下ですから、山が川に迫っているという非常に貧乏な村です。いまのことばで言うと過疎地域になっている。そこが非常な被害を受けた。そしてそれがほとんど村や町の管理する小さなところがやられておるということで、たとえば泰阜村なんかでは再建団体に指定された赤字団体なんですけれども、村の予算一億円、今度の被害が一億円、こういわれているのです。そうすると自力ではとても早急な復旧というわけにいかぬということになるわけですけれども、当然これは国あるいは県で費用を持って復旧してやるということにしなければ、これは復旧不可能だと思うのですけれども、そういう点についてはどういうふうに考えているのか。
  86. 岡三郎

    委員長岡三郎君) もっとあったらまとめてやってください。時間がありませんので。
  87. 春日正一

    ○春日正一君 その点。  それともう一つは、住民の被害の問題。これはあなた方に言ってもあれだから、次官から大臣のほうに伝えてほしいのですけれども長野県の資料、陳情書を見ても、緊急住宅のワクでもって応急住宅四戸しか建てられない。ところが実際には十二月どうしても建てなければならぬ。ところがその十二月の人たちというのは、町民税その他一切免除されているような貧困者なので、自分の負担ではうちを建てる能力は全然ない。どうしても十二月は必要なんだ。そういう場合だから、四戸というワクは法律上あるけれども、十一戸に広げるという処置をとってほしいというようなことも要請しております。これは一、二の例ですけれども、そういう点について政府として処置がとってもらえるかどうか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  88. 岡三郎

    委員長岡三郎君) よろしゅうございますか。
  89. 春日正一

    ○春日正一君 これでいいです。
  90. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは答弁もらいます。
  91. 春日正一

    ○春日正一君 はっきり答えておいてください。
  92. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 天竜の上流、特に泰阜上流一帯における災害復旧でございます。災害の実態は、先生御承知のように非常に今度は局地的な集中豪雨でもって山くずれあるいは中小河川のはんらん等に基づく災害が多うございますので、それらに対しましてはできるだけ早急に調査をいたしまして、災害の復旧を実施いたしたいと思います。災害の復旧については、できるだけ改良的な復旧をひとつ実施いたしまして、再度災害をこうむらないように、万全を期していきたいというぐあいに考えます。  それから山地につきましては、砂防指定地域につきましては、砂防施設のあるものは砂防の災害復旧、砂防施設のないものは、できるだけ緊急砂防という制度がございますので、緊急砂防によってひとつ砂防事業を進めていきたい。あるいは急傾斜地に該当するものでございましたら、急傾斜地というものの対策事業ができますので、そういうものを当てはめて、できるだけ促進をはかってまいりたいと思うわけでございます。  町村につきましては、確かに非常に災害のため町村に問題があると思いますけれども、公共土木の関係では、できるだけ町村の負担を軽減する、そういう意味で査定を弾力的にやって、査定率を上げることによって地元の負担を軽減するように持っていきたいと思います。  あとはちょっと抜本的な問題ですから……。
  93. 春日正一

    ○春日正一君 住宅の問題、緊急住宅
  94. 仮谷忠男

    説明員(仮谷忠男君) 今回の災害の問題については、災害委員会でもいろいろ質疑を受けておりますし、われわれも具体的な問題については、ただいま局長からお話あったように、全力をあげて努力をいたしているわけであります。住宅の問題もございましたが、率直に言いますと、これは厚生省所管でありますけれども、えびの地震のいろいろ例から考えてみましても、大体地元から特にそういう御要望があれば、いろいろ基準は基準としてありますけれども、町村の実態を見ながら善処して御期待にこたえているという例があるわけでありますから、よく実情に即しまして検討さしていただきたいと、かように思います。
  95. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御発言がなければ、本件に関する質疑はこの程度といたします。
  96. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、道路行政に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  97. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 災害についての問題につきましては、いまいろいろお話がございましたので、私は別な問題についてお伺いいたしたいと思います。  首都高速道路公団に伺いますが、首都高速の羽田−横浜間の建設に際しまして、子安浜並びに西神子安浜漁業協同組合に対し、道路築造工事に伴う損失補償を行なっておりますが、地元におきましては、この配分をめぐって相当の不満の声また黒いうわさが流れております。こういう問題について御存じかどうかお伺いいたします。   〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕
  98. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) 首都高速道路公団の理事の飯田でございます。  ただいま羽田−横浜間の高速道路の築造に関連いたしまして、入江運河のところを通るわけでございます。その際に、漁業者に対する損失補償について、組合の中に相当の不満があるということを聞いておるかという御質問でございます。私のほうといたしましては、組合員から直接公団に対してさような不満を言われた事実はございません。
  99. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 首都高速では、事業計画作成のときにおいて予算は幾ら計上したのか、また、両組合に対しまして損失補償が最終的には一億八千五百万、このように話し合いがついたと聞いておりますが、このいきさつについて簡単にお聞きしたいと思います。
  100. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) お答えいたします。  この二つの漁業協同組合に対して、損失補償といたしまして一億八千五百万を補償いたしておりますが、それは、ただいま申し上げました高速道路が入江運河の上を通るのでございます。たまたまそこには以前から二つの漁業協同組合が漁船の根拠地を持っておりました。初めわれわれの計画といたしましては、そこは公の水面であるので、したがって補償を行なわずに済まされるのではなかろうかと、こういうような実はいささか安易な考え方かもしれませんが、ということでおりましたが、四十年の四月ころから、地元の漁業協同組合の幹部の方々に工事の方法それから工程等につきまして説明をいたしましたところ、そういうような工法、工事であれば、われわれの漁船の係留それから出入等に非常に大きな支障を来たす、したがって、それがひいて漁業の減収を来たすので、どうしても補償をしてもらわなくちゃならぬというような強い要望がございました。われわれも向こうさんの説明を承りますと、なるほど相当の支障を与えるであろうということから、ある程度の補償をせざるを得ない腹をきめたのでありますが、十月に入りまして、両漁業協同組合から、二億数千万の補償要求がございました。それをその後折衝をいたしまして、十二月の下旬に至りまして、ただいま申し上げました一億八千五百万円ということで妥結をいたしたような次第でございます。   〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕
  101. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そこでお伺いするわけでありますが、両組合との交渉において、組合側の代表の中に、議員の肩書きを持った者がおったと、このように聞いておりますが、どういう資格で交渉に参加したのか。また、どういう資格があると認定して交渉の席上に参加を許したのか。おわかりでありますれば、その議員の所属党派、名前をお伺いしたい。
  102. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) 漁業協同組合との折衝の過程におきまして、県会議員の白幡さんと、市会議員の加瀬さん、この方が交渉の席に出席されました事実はございます。われわれはこのお二人は、両漁業協同組合の顧問ということに理解をいたしておるのでございます。
  103. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 公団は、組合の相談役並びに顧問として参加を認めたと言われますが、顧問であることを確認したかどうか、この点お伺いします。
  104. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) 私のほうは、白幡さんは先ほど申し上げましたように県会議員であり、それから加瀬さんは市会議員という公職におられますので、特にその資格についてせんさくをしないで折衝の席にこられたのでございます。
  105. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 じゃ確認しなかったわけですね。まあせんさく云々というお話でありますけれども、これは組合との交渉でありますから、正式の組合の肩書きのある方がその席に臨むのは当然でしょう。水産庁の方にお伺いしますが、両組合の定款上顧問制度、これはありますかどうか。
  106. 鶴哲夫

    説明員(鶴哲夫君) 水産庁の協同組合課長でございます。  一般的に漁業協同組合に顧問を設置するというようなことにつきましては、水産業協同組合法その他法律上特別の規定はございませんで、定款の必要記載事項にもなっておりません。しかし、その設置にあたりましては、一般的な私どもの行政指導といたしまして、総会に付議するよう行政指導をいたしております。この両組合につきまして調査いたしましたところ、顧問に関する規定は定款にはございませんが、また規約にもございませんが、昭和三十六年五月の総会において両組合とも承認をしているという報告を受けております。
  107. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 両議員は大黒町の埋め立て、根岸湾の埋め立てや本牧埠頭関連産業用地の埋め立てに関する補償の際も、組合の顧問または相談役、このように称して顔を出しておったと聞いておりますが、また、これらの配分をめぐって横浜市会で問題になったことがあるそうであります。そのとき市長は、漁業補償の配分についてはタブーである、このように答弁をし、未解決に終わってしまったという、こういう疑惑のある議員だということも聞いております。しかもいまお伺いをすれば、相談役、顧問として、はっきり定款にもない。そういう立場の人が交渉に参加したということは、公団の手落ちではないか、このように思いますがどうでしょう。
  108. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) われわれが交渉をいたしますのは、相手方はあくまで組合の代表、幹部と折衝をいたしておるのでありますが、たまたまその席に両議員さんが出席せられた。そしてまたある程度の発言はされておりますが、あくまでわれわれの交渉の対象は組合の代表者である、こういうことでいたしておりますので、御了承願います。
  109. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 こっちは組合の代表者と相談すると言っても、組合に関係のない方がおるということは、本旨にかなわないことである、このように思うのでありますが、その点につきましてはまたあとにいたしまして、次に、水産庁の方にお伺いいたしますが、この補償がなされた時点、すなわち昭和四十年十二月の二十三日現在、両組合の組合員数は何人であったか、この点お伺いいたします。
  110. 鶴哲夫

    説明員(鶴哲夫君) 補償契約が締結されました昭和四十年十二月二十三日現在の組合員数は、私ども調査によりますれば、子安浜漁業協同組合が二百六名、西神子安浜漁業協同組合が二百十名、計四百十六名というふうになっております。
  111. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いまの人数——組合員数のことでございますが、補償金を支出するにあたって、組合員の員数を掌握するのに組合の名簿等きちっと確認したかどうか、その点お伺いいたします。
  112. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) その点はむしろ私のほうからお答えしたほうがよろしいかと存じます。  組合員の数につきましては、ただいま水産庁のほうからお答えになられたとおりでございますが、この組合員の数、それから名簿といいますか、そういうものは組合が本件に関して臨時総会をいたしたのでございますが、その際の発送通知簿、それを組合員に出されたものを組合員ということでわれわれは理解しているのでございます。
  113. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 その両組合が公団に提出した付帯資料ですが、臨時総会の議事録、これによりますと、補償対象組合員数は、子安浜が二百六名、西神子安浜が二百九名、合計四百十五名、このようになっておりますが、この点はどうでしょう。
  114. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) ただいまの数字でございますが、私たちの入手したのは、先生のおっしゃったとおりのことでございます。
  115. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 間違いありませんか。
  116. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) もう一度申し上げたいと思います。子安浜がその当時の現在で二百六名、それから西神子安浜が二百九名でございます。
  117. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 実際に組合が個人別に把握している員数は子安浜が二百九名、西神子安浜が二百名、合計四百九名、こういうことになっておるのであります。すなわち、子安浜については公団に提出した権利者以外の三名に配分している。また西神子安浜については九名の員数を偽って補償を受けているのではないかという疑惑が持たれるのであります。このように公団の補償員数と組合員の配分員数に相違がある、このように私ども資料上見ているわけでありますが、この点について答弁願います。
  118. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) ただいま申し上げました組合員の数は、先ほどお答えいたしましたように、本件について臨時総会をいたす際の通知をした方々の数字でございますが、その後配分をせられたのは若干あとでございます。したがいまして、総会の際の組合員数と実際に配分をなされたときの数とが若干の相違があるのではなかろうかと私は想像いたしておりますが、やはり配分をなさるときにはその現在においてしておられると思います。
  119. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 思いますというような答弁ではちょっと困るのでありますが、その点のことが一つ問題なんです。組合が配分している四百九名のうち、漁業権を持っていない組合の一般事務職員に対し、子安浜が十二名、これは二百四十六万六百七十八円、西神子安浜が十四名、二百六十三万八百八十三円、合計二十六名で五百九万一千五百六十一円、このように漁業権者と同じように補償金の配分を行なっている、このようなふうに考えられているわけであります。公団はこの点について知っているかどうか。また、このような配分のあり方についてはどう考えているか、この点を御答弁いただきます。
  120. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) ただいま漁業権を持っていない組合の従業員といいますかに配分されている事実を知っているかどうか、こういう御質問でありますが、私のほうでそれは存じておりません。ただし、こちらから一括して組合と補償契約をいたしました。その配分方式については、組合と組合員との問題でございますので、その内容についてとやかく私のほうで申し上げる筋合いのものではなかろうかと存じております。
  121. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 よく御存じないようでありますけれども、念書を取ってあるからということをおそらく言いたいのだと思いますが、これは念書によれば、補償金の配分については組合側の責任において適正に行ない、公団側には一切迷惑をかけないというような一項が入っております。そういうことで、いまのような発言をなさったのではないかと思います。ここが一つ問題である。ほんとうは組合員に対し公団が直接補償すべき義務があるわけであります。そういう立場であるわけでありますが、組合に配分の業務を代行させた、こういう意味ではないかと私は思うのでありますが、この点はどうでしょうか。
  122. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) 組合に対して一括補償をいたしましたのは、神奈川県横浜付近におけるこの種の漁業補償は、従来とも組合一括補償として受けて、そしてそれを再び組合の内部において適当な機関をつくって配分をするというようなのが従来からの例になっておるようであります。それを強く主張されたのでありますが、と同時に、われわれはその念書があるから云々ということでなくして、むしろ組合の総会におきまして、本補償金は組合一括して受領するということを組合の総会で決議をいたしております。と同時に、その際、一括して受けた補償金は組合の中に配分審査委員会というものを特別につくって、そこでその配分の方式を検討し、きめて、そして最後には組合総会にはかって配分をするということも議決されておるのでございます。したがいまして、公団といたしましては、その組合員の方々の意思を尊重いたしまして、組合と一括契約をいたしているわけでございます。
  123. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 受任者である組合の行為いかんによっては、委任者たる公団にやはり直接の責任が及ぶということも考えなければならないと思うのであります。公団は組合の配分業務には重大な関心を持っていなければいけない、このように考えるのであります。このような考え方をいたしますと、補償者の通念として協定条件を忠実に履行させるための必要な指示は当然公団としても行なうべきである、このように思うのでありますが、この点についてはどうでしょう。
  124. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) 補償総額一億八千五百万円のうち約二千数百万円は、これはもう組合自体に対する補償になりますが、残りの約一億六千万が、組合員に分割して補償されるべきものであることは私たちも十分承知いたしております。が、先ほど申し上げましたように、組合の総会において、それは一括して受領する、しかも、その配分については別に配分審査委員会をつくって納得のいく配分をするということもあわせて議決をいたしております。なお、われわれ非常にこの点気を使いまして、当日総会に出席をされなかった方々がやはり数十名おいでになりますが、この方々については、一々当日の総会の決議を承認するという承認書を出しておられるのであります。かようにまで組合の側では慎重に取り扱って、しかも、その上でただいまお話のありましたような念書も出してまいりました。したがって、公団といたしましては、組合と一括折衝をし、そうしてその内部の配分については配分審査委員会が責任を持ってやられると、その良識をわれわれくみましていたしたのでございます。
  125. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ良識を重んずるのはけっこうな話でありますが、しかしいろいろ問題があることであります。組合は、交渉から配分に至るまでの経費として三百三十八万七千六百六十二円という、ちょっと想像以上のお金が配分経費として使われておるわけであります。また組合では、個人別配分額算出にあたっては、先ほどお話がありましたように、配分基準要項というものをつくって、それに基づいて算出したようであります。また組合の総会においても、異議の申し立て等については総会を開いてそこでいろいろ審議なさったようであります。しかしながら、ここで考えられることは、大ぜいの中で異議の申し立てがもしあったといたしましても、多数決で押し切られてしまう。こういう場合も考えられますし、さらにまた、個々の場合には村八分のようなそういう問題も当然ここに考えられなければならない。こういうことから、自分は異議があっても強く主張できない、こういうことも私どもは考えなければならないと思うわけであります。こういう状況の中で配分が行なわれたということにつきましては、私どもは、まかせたからそれでいいのだというのではなくして、また、信頼する、または自治権を尊重する、そういうことばはりっぱではありますけれども、個々の方々に対しては、もっと公団としては配慮がなければならない。配慮が欠けていたのではないか。このように思うわけでありますが、この点について御答弁いただきます。
  126. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) 公団が組合と一括契約をいたしまして補償をしたことは、先ほどから御説明を申し上げている次第でございますが、その配分の内容について、もっと公団は積極的な配慮をする必要がありはしないか、こういうような御質問でございますが、われわれといたしましては、組合側に一括して補償をし、しかも組合が内部において特に配分審査委員会というものをつくって民主的に配分をせられるということを尊重いたしておりました。しかしながら、将来こういうような事態、事件といいますか、補償、これに類するような補償がありました場合には、われわれといたしましても、たとえ一括補償をするにいたしましても、その結果というようなものについて報告を求めるとか、そういうようなことは今後は十分考えていきたい、かように考えております。
  127. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 次に、公団の補償総額の内訳、項目別にでけっこうですから御答弁いただきたいと思います。
  128. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 明瞭にひとつ。
  129. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) まず八項目に分かれておりますが、一つは魚介類の関係の補償一億六千三百余万円、それからノリ関係の補償、これが五百九十余万円、それから立て船経費の補償、これが六百六十余万円、それから釣り船関係の補償が九十万七千余円、そのほか組合で直接持っております船舶の修理の台の移転補償、これが四百四万余円、これは二つの組合に分かれておりますが、もう一つの組合が四十七万二千余円、それから、いけすの設備を一時移転をしなければなりません。これに要する移転補償費三百四十一万余円、そのほか移転雑費として十三万九千余円を合わせまして一億八千五百万円、こういうことになっております。
  130. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 公団はいまお話があったような補償を行なったと、こういうお話でございますが、組合の補償金の支出明細を見ますと、休業補償が一億六千二十九万九千六百六十五円、また組合手数料補償が一千百二十七万百十円、代替資産補償が八百四十三万二百二十五円、漁業振興資金が五百万円、合計一億八千五百万円と、こういう金額になっておるのであります。この点につきまして少々こまかい数字も出ますが、お伺いするわけでありますが、個人に配分された金額は休業補償の一億六千二十九万九千六百六十五円に積み立て利息の百六十四万二千五百円を加えた一億六千百九十四万二千百六十五円から補償関係経費三百三十八万七千六百六十二円と、補償に何ら関係のない香典一万円を差し引き、端数残金が一万九千九百四十三円、これを差し引いて、結局一億五千八百五十二万四千五百六十円、このようになっておるのであります。  これを組合の補償金の支出明細と公団の補償内訳から言えることは、  まず第一点は、組合は組合手数料補償を一千百二十七万百十円しか計上していないが、公団は組合事務費として千百六十万二千五百六十四円支出している。この差額というものは三十三万二千四百五十四円組合に公団が水増しして補償したのではないか、こういう疑念がひとつ持たれるのであります。  それから第二点は、組合は代替資産補償として八百四十三万二百二十五円留保しているが、公団が補償した中でこれに見合うものは船舶修理工場移転補償、これが四百四万二千七百三十五円、船舶修理船台移転補償が四十七万二千七十円、いけす設備補償が三百四十一万五千八十円、移転雑費が十三万九千二百九十八円、合計して八百六万九千百八十三円、こういうことになっている。この差額の三十六万一千四十二円についても公団が組合に水増しして補償したのではないか、こういう疑念が持たれる。  第三点は、組合は漁業振興資金という名前で五百万円留保しているが、公団ではこのような名目の補償は行なっていない。したがって、これは不当な留保措置ではないか、このように考えるわけでありますが、この三点について、公団並びに会計検査院のほうの御見解を承りたいと思います。
  131. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) ただいま委員さんから、組合が配分する際の数字の内容について御説明がございましたが、私のほうはあくまで、先ほど私が申し上げました内容によって補償をいたしております。ただ、その中に、先ほども申し上げましたように、組合自体に対する補償が二千数百万円あることを申し上げておきます。なお、その組合のほうでその内部の数字はどういうふうにしてできましたか、私のほうは存じておりませんが、私のほうの補償は先ほど申し上げた一億八千五百万円であります。それをいかに配分するかということは、組合の内部でできました配分審査委員会において十分審議をされてきめられたものと存じます。特に五百万円の漁業振興資金というものをリザーブされているというのは不当じゃないかというようなおことばがございましたが、これも補償金の中で、そういう公共的な組合自体の利益のためにそういう金額をリザーブされることは、これはもう組合の配分審査委員会においてさようにきまり、さらに総会においてさようにきまっておるとすれば、これに対して私のほうからとやかく申し上げる筋合いのものでないと思っております。
  132. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) お答えいたします。  本件の公団側の補償の各項目別の内容と、これを受領いたしました組合側の配分実績、特に農業振興費でございますか、五百万円と、そういう差があるというお話でございますが、この補償の支払いは、先ほど公団側が話しておられますように、補償として一括支払いをいたしまして、これを組合内部においてお互いに話し合いをいたしまして、その費途をきめる、こういう性格のものであろうと考えられますので、また、われわれといたしましても、公団の補償というものの内容については検査をいたしますが、これを受けました組合側の配分その他につきましては、これは検査する立場でございませんので、ただいま申し上げましたように差がありましても、これはやむを得ないものであろう、このように考えております。
  133. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 先ほどからいろいろお話ございましたが、一括して組合と公団ということで事を済ましておるようでありますが、あくまでも、これは事態はどうあろうとも、信頼云々のことばもありましたが、しかし先ほどもお話しましたが、最終的には公団側がやはり責任を持って最後まで見守ってあげる、地域住民の方々の姿を忘れてはならないと、こう思うわけであります。また、事務的に流れてもならないと思うわけであります。そういうことからいたしまして、配分の内訳、これはどうなっているのか、われわれは関知しないんだ、それは向こうのほうにまかせてあるから。こういうことではならないと私は思うのであります。そういうように考えるところから、冒頭に申し上げましたように、いろいろな黒いうわさや、また住民の方々の非常に困っておるという声も聞かれるような原因がそこにあるのではないかと思うわけであります。公のために使用したわけでありますから、これはやはり公団としても責任を持って、たとえば個人の配分明細の報告義務を課すぐらいの慎重さがあってよろしいんではないか、このように考えるわけでありますが、この点についてはどうでしょう。
  134. 飯田逸治郎

    参考人飯田逸治郎君) 先ほどお答えをいたしました中で、将来かような補償については、たとえ一括補償をいたしましても、その配分についての報告をとるというようなことも十分考えなければならぬということを先ほど申し上げたのでありますが、お説もありますので、今後は、さような場合には十分そういういまの御意見等を参酌いたしていきたいと、かように考えております。
  135. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 水産庁の方にちょっとお伺いしますが、両組合が設立されてから今日に至るまで、私の知っているだけでも、今回の補償と合わせて四回補償を受けている、このように考えておるわけでありますが、水産業協同組合法の百二十三条の定める会計検査、これを何回行なったか、その状況をちょっとお聞かせください。
  136. 鶴哲夫

    説明員(鶴哲夫君) 両組合はいずれも漁業協同組合、いわゆる単協でございますので、水産業協同組合法上はその検査権限を神奈川県知事に行なわせることにいたしております。神奈川県知事からの報告によりますれば、昭和四十年度以降条例検査をそれぞれ三回行なっておるという報告を受けております。
  137. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 最後に、私どもまあ細目についていろいろ申し上げましたが、公団の方もあまり御存じないようで、それは一括やったので私のほうには関係ないみたいな、そういうようなふうにまあ受け取られるのでありますが、まあ先ほども私申し上げましたけれども、従来も各地に漁業組合員に対するこの補償配分のことでいろいろ問題が起きているわけであります。こういうことを根絶するためにどうしなければならないかということで、私はきょういろいろお聞きをしたわけであります。また、私の考えも率直に申し述べたわけでありますが、こういうことが、すっきりとした形で今後とも進んでいけるように、まあ先ほども公団の方から今後鋭意つとめますということでございますが、抜本的に法の改正といいますか、強力にそういう面について進めていかなければならないのではないか。まあきびしく言えばそのようにも考えている次第でございます。この点について政務次官にひとつ最後に御所見をお伺いしたいと思います。
  138. 仮谷忠男

    説明員(仮谷忠男君) 漁業補償に限らず、すべての公共補償については、これはもちろん個人を対象にして行なわなければなりませんし、しかも、それは公平に明朗に補償の趣旨が十分に行きわたるようにしなければならないことはお説のとおりでありまして、そういう心組みでやっております。ただ漁業補償の問題は、御承知のとおり同一漁業権を、その組合の組合員が、場合によったら共同で操業もするし、共同で荷揚げもするし、共同で出荷もする。そういうような体系から考えて、従来の補償は漁業組合単位で行なっているのが常識であったようでございます。しかもそれは総会の議決によって配分方法をきめ、総会の議決によって配分するということが一つの常識になっておりまして、そういうことが行なわれておることは、われわれはやむを得ないことであって、不都合なことだとは思っておりませんが、ただ配分のしかたについていろいろ組合の中に意見があるとすれば、そういうことのないように十分に注意していかなければならないということは当然のことだと思っております。
  139. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  140. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、土地収用法に基づく減税措置問題に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  141. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 御承知のように、住宅公団または地方住宅供給公社が住宅団地を造成いたしますために土地収用法、これはまあ三条かと思うのですが、に基づいて用地を買収する場合、被収用者に対する税制上の優遇措置として住宅を建てて分譲する予定の土地については、租税特別措置法による千二百万円の特別控除が認められている。これはわりあいにはっきりしているからそのとおりになっているのですが、同一の団地内において、住宅を建てないで宅地として分譲する予定の土地も実際の扱いとしてはあるわけであります。ところがこの宅地として分譲する予定の土地は、この特別措置法の恩典に浴しないというのが現在の関係官庁の解釈であるということで、非常にまあ現実に住宅供給公社が扱う場合に苦労しているわけです。ある意味においては、こういうぐあいではできない。宅地を宅地のままで分譲するということはできないという結果にもなってしまうわけです。ところが住宅供給公社がやるのは建て売りをするのもあるけれども、宅地として分譲する場合もこれは法律で認められている仕事のうちの一つなのでございますから、少なくとも住宅供給公社のようなこういう性質の団体がやる場合には、宅地で分譲する場合もこの恩典に浴してもいいのじゃないか、こういうふうに自分としても考えるのですが、この辺の関係官庁の解釈がどのようになっているか、ひとつお聞かせを願いたい。
  142. 川島博

    説明員(川島博君) ただいまの御質問でございますが、先生の御指摘されるとおりでございまして、公団あるいは住宅供給公社等が建設いたします住宅団地のために土地を提供いたしました権利者に課される譲渡所得税、これが一団地の住宅建設すなわち土地を買った供給公社自体が賃貸住宅なり分譲住宅建設し、これを賃貸または分譲する場合につきましては、その土地を売った者については租税特別措置の適用がありますのに対しまして、公社が宅地分譲を行なうという前提で土地を買いました場合には、その土地を売った地主のほうに減税の恩典が及んでいないわけであります。したがいまして、地主のほうから申しますと、同じ住宅供給公社に土地を売りました場合に、公社がその上にアパートなり分譲住宅を建てました場合には税金が負けてもらえる。しかし、公社が宅地だけを分譲するという目的で地主から土地を買いました場合には、地主は税金を負けてもらえない。これは地主の側から言わせますと、住宅供給公社という半ば公的な機関に土地を売ったのに、その土地を使う目的が違うと減税措置を受けられたり受けられなかったりする。地主にとっては非常に割り切れない気持ちがあることは容易に想像されるわけであります。一体このようになぜ不均衡が生じたかと申しますと、これはその事業が収用にたえ得る公益性を持つかどうかということに関係するわけでございますけれども、これは根本的にはこの宅地分譲で宅地を個人に売りました場合には、もちろん公社といたしましては二年以内に家を建ててください、建てなければ土地はお返し願いますという、こういう条件をつけることが多いわけでありますが、何と申しましても宅地だけを分譲いたしました場合には、必ず二年以内に住宅が建つという保証は実情必ずしも守られないわけであります。それに反しまして、公社が土地を買って自分で賃貸アパートや分譲アパートを建てますということになりますと、これは必ず直ちに土地が住宅供給という効果を達するわけであります。収用法上の効果は、宅地のままで売る場合と、宅地に住宅を建てて売る場合の法的公益性には相当相違があるという前提に立ちまして、このように賃貸あるいは分譲住宅を建てる場合に限ってその土地を買収する場合に、土地収用特権を与える、こういう法律構成になっておるわけであります。これが地主のほうから見ると非常に不合理な、不均衡な感をぬぐい切れない原因でございます。これは現在の収用法の体系が、宅地を宅地として分譲するという場合に収用特権が働くのは、新住宅市街地開発法に基づく市街地開発事業、これは規模も大きいし、それから事業も有用である、しかも事業主体は国、地方公共団体、日本住宅公団あるいは地方住宅供給公社というふうに公的機関に限定されておるということから、新住宅市街地開発法に基づく市街地開発が行なわれている場合には、これを宅地を宅地として分譲する場合も収用特権を与える。したがって地主に対して減税措置の適用があると、こういうことになっておるわけであります。しかしながら公団、公社が必ずしも新住宅市街地開発法に基づく新市街地の開発事業だけではございませんで、そういった法律に基づかない比較的小規模の団地を買いまして、この一部分には分譲住宅あるいは賃貸住宅を建て、ある一部分につきましてはこれを宅地に分譲するというケースも現実に相当あるわけでございます。したがいまして、今後この宅地分譲をいたす予定の土地を売りました地主に対する租税特別措置をどうするかというのは、先生の御指摘になったとおり一つの大きな問題点であろうと思います。この点につきましては、実は本年の一月から、昨年の租税特別措置法の改正によりまして民間の宅地造成事業者につきましても、大規模かつ優良な宅地造成を行ない一と申しますのは、たとえば公共用地は二五%を必ず確保する、あるいは住宅を分譲いたします場合にはこの縁故者というような形でなく、公募によって必ずその分譲希望者を募集する等、いろいろな条件をつけました上で優良大規模な民間宅造につきましても三百万円の特別控除を行なうという優遇措置がことしから実現をされたわけでございますが、それとの均衡を考えますと、公団、公社なるがゆえに、民間の宅造事業者が受けております減税措置が受けられないという不均衡を生ずるに至った次第でございます。したがいまして、昨年来この政府の税制調査会がいろいろと土地税制の改正につきまして御審議され、また去る七月二十六日には政府に対する土地税制全般の改善問題についての答申がなされたわけでございますが、私どもは、これらと並行いたしまして、来年度以降の住宅あるいは宅地の供給を促進するための政策減税につきましても、近く大蔵省当局に要望をいたすことになっておりますが、その際、本問題につきましてもあわせて税務当局に要望いたすことにいたしております。
  143. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 そうすると、現在できないのはやはり法制上そういうことになっておるからということでございますね。そこでお尋ねをしたいのは、いま局長説明を伺っておりますと、宅地で分譲されるやつは家が必ずしも建つか建たぬか保証がないということなのでありますが、これはよくそういうことを言うのですけれども、現実に土地をほしい、家をほしいというものは、家と土地を一緒にほしい、したがってそれだけの資金をもってかかるということは少ないのであって、とりあえず土地だけ買ってそれから金ができてきてまた家を買うというようになるのだから、実際にこの住宅供給公社なり住宅公団が、住宅をほんとうに早く建ててそして家を持ちたいと希望する人たちに早く持たせるという観点からすれば、これは区別をされる必要はないし、区別をされては無理じゃないかと私は思うのです。今後したがって法制的に御検討を願うということでありますので、その点は一応そうしておきますが、主税局のほうでは、その御検討願うという段階において、なお強くこの区別を主張されるおつもりか、実情がそうであるならばひとつ考えてみようというおつもりであるか、その辺の気持ちをお聞かせいただきたい。
  144. 安井誠

    説明員(安井誠君) 現在税の立場から申しますと、土地収用法の適用を受けましたものにつきましては、先ほど来お話がございますような特例措置、二分の一課税ないし千二百万円控除という措置を適用しているわけでございます。したがいまして、原則的には土地収用法の改正が行なわれまして、いまの宅地の、ただ単に賃貸もしくは譲渡する目的で行なう団地の住宅経営というための土地取得以外に、いま御指摘のようなものまで含まれるということになりますと、現在の租税特別措置法の上からは、それに乗っかるような形になっておりますので、同様の取り扱いが行なわれることになるわけでございます。ただ問題は、いま計画局長の御指摘のような問題点もあろうと思いますし、また来年度以降の租税特別措置法における土地収用に対する対策が、前回の税制調査会の答申でも問題点の指摘も行なわれておりますので、それらの一環として検討さしていただきたいと思います。かように考えております。
  145. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 そこで最後にもう一点お尋ねをしたいのですが、いままでは、これは私がそういうように聞いたので、ほんとうであるかどうか知りませんが、八百万円までの特別控除措置で、この場合には届け出によって効力を発生したので、区別なくみな実施をしておる。つまり宅地を売るものも、建て売りの部分も、八百万円までの減税措置の場合には届け出でよかったからそうなっておったが、今度千二百万円までになって、事前に協議をしろということになったら、こういう区別がはっきり出てきて、いまは、だめになったと聞いているのですが、そういうことがありますか。
  146. 安井誠

    説明員(安井誠君) ちょっと私正確に記憶いたしておりませんが、改正が行なわれましたときには、特定公共事業が千二百万円、一般の収用事業におきましては特別の控除がなかったわけでございますが、これが合わされまして千二百万控除ということになったときに、どのような措置になったか、少しそのときに、あるいは何か問題があったかと存じますが、記憶はいたしておりませんが、ただ、いまの土地収用法の関係から申しますと、土地収用の対象にならないものであれば、税制上の特別措置は恩典を及ぼしていないということになっておりますので、その辺は基本的には変わっていないのじゃないかという感じを持っております。
  147. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 ところが、いま申し上げたように、現実に供給公社で仕事をしておる者はやっておったらしいのです。したがって千二百万円までになって変わるとは思わぬものだから、そのつもりで土地を買っておるという。これから先の分は法制的に御検討願うということでいいが、現在買ったものが非常に困っちゃっておる。したがって法制的に措置がつくまで、何か扱いの上で便宜を見てやる方法というものがないのか。かりに見てやられても、土地を売った者が最終利益でありますが、住宅供給公社はそれによってプラスもマイナスもないわけであります。こういう特殊の団体が扱っているものだけについては、おそらく一団地で売っておる旧所有者の立場から見れば、特別措置が特別控除が得られると思って売っておる。相手も相手だから。ところが現実に解釈の上でそうはいかなくなったということになって、非常に困難な状態が出ているので、その辺の特別の扱いができないものかどうか、これをひとつお答えいただきたい。
  148. 安井誠

    説明員(安井誠君) 先ほど申し上げましたように、現在の法律に変わりましたときの状況と、それから個別の事案の内容も存じませんので、お答えしにくいわけでございますが、事情を個別に伺いました上で、私ども主税局の問題ではなしに、国税庁の問題でございますので、連絡はいたしてみたいと思います。ただ、もし法律的に不可能であるとすれば、取り扱いでゆるめるということは不可能であろうという感じがいたします。
  149. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 それでけっこうですが、ひとつ計画局長におかれましても、国税庁と十分折衝をしていただいて、何らか方法があるならば、救済措置を講じていただきたい、このように存じます。
  150. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 政務次官、ひとつだけお伺いしておきますが、先ほど午前中に質疑があった災害問題の中で、特に今回は伊那谷の被害が非常にきつい。したがってこれに対して激甚地の指定をしてもらいたいという陳情、要請が建設省にもいっていると思う。これについてひとつとくと御検討願いたい、こう思うのですが、いかがでしょう。むずかしいことは要りませんが。
  151. 仮谷忠男

    説明員(仮谷忠男君) これはもう災害のたびに——実は特にえびの地震のときに非常に強い要望があって、せんだっても衆議院の災害対策委員会がありまして、この問題も非常に強い要望がありました。ただ、やっぱり一つの制限、条件等もございますものですから、その規定にはまらない場合に一体どうするか。その場合にはそれに準ずるものを考えるか、思い切って法改正まで踏み切って進んでいくかといったことを今後さらに検討してみようということで、いまのところ政府の見解は一致いたしておるわけでございます。努力はいたしてまいるつもりであります。
  152. 米田正文

    ○米田正文君 私はちょっと希望を申し上げますけれども、政務次官に申し上げておきますが、きのうからきょうにかけて、水資源開発の計画が一部発表されておる。それを見まして、感じる点は、私まだ内容的によく検討しておりませんから、感じだけを申し上げますけれども、あの基本が、どうも先だってから経済企画庁が全国計画をつくっておる数字を見ましても、やはり都市集中の関係、東京、大阪、名古屋を中心にまだ考え過ぎておるという感じがあるのです。そういう点で私は是正を要すると思うのですが、どうしても地方開発というのがあれの主眼でありながら、実際の数字になってくると、どうもやはり東京、大阪、名古屋中心である。建設省計画も、どうもそういうふうに内容が少しなっているような気味があります。内容は数字的検討をなお私させてもらいたいが、そういう計画をいまつくっているところですから、地方開発——北海道、東北、中国、九州というような地域に重点的に今後やっていかなければ、よほどそれに力を入れようとしても、やはり都市集中といえば東京、大阪、名古屋になるのです、ほうっておけば。そこを、まあ意図的に、意欲的に地方開発をやるという方針を打ち出してもらえば、いまの水資源開発計画も、ある程度は変わってこなければならぬという感じがするのです。計画局長もこれにおるからあれですが、私はそういう感じが非常にしてならぬので、この際、根本的にひとつ考えておいていただきたいということを希望申し上げて、いずれ質問は他の機会でしますが、希望だけ申し上げておきます。
  153. 仮谷忠男

    説明員(仮谷忠男君) わかりました。
  154. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十二分散会