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説明員(
金光克己君)
米ぬか油中毒事件の現在まで
厚生省がとってまいりました
措置並びに
現状につきまして御説明申し上げます。
米ぬか油中毒事件は、ただいま御
質問ございましたように、十月四日に、初めて
保健所におきまして探知したのでございますが、その後、
地元北九州市、
福岡県、
大牟田市等、並びに
関係県、
厚生省、また
関係官庁等、共同で総合的に
対策を進めてまいったわけでございます。特に
地元におきましては、
九大を中心といたしました学術的な面におきます
調査研究班を編成いたしまして、これには、もちろん県、
関係市等も参画いたしておるわけでございますが、そういった
調査研究班等も設置いたしまして、
原因の
究明に当たってまいっておるわけでございます。
中央におきましても、
厚生省に
米ぬか中毒対策本部を設置いたしまして、その
対策を進めてまいっております。また、この
中毒患者は、
西日本一帯の各県に
発生をいたしておるわけでございまして、それぞれの県におきましても、それぞれ
疫学調査、その他必要な
行政措置を進めてまいっておるわけでございます。そういうようなことでございまして、現在までにわかっております結果といたしましては、まず
患者につきましては、先ほど御
質問がございましたように、
西日本一帯で約一万二千名という
患者の
届け出があったわけでございます。しかし、これは非常に類似の
疾患等も含んでおるというようなことで、各県におきまして再
検査をいたしてまいっておるわけでございます。そういうようなことでございますが、この
病気そのものが、日本におきます初めての
発生でございます。
さようなことでございまして、
診断につきましてもいろいろとむずかし面があったのでございますが、
現地におきます
油症研究班におきまして作成されました
診断の
基準といいますか、
診断基準を参考にいたしまして、また各県も
現地に参りまして、この
患者につきまして勉強いたして
患者の再
検査をしてまいっております。さようなことでございまして、
届け出患者は
相当数ございますが、そのうち、現在まで届けられた者につきましては一万二千名というお話でございましたが、約一万三千名でございます。でございますが、そのうち、まず定型的な
症状を呈している者、まあ一応
確症患者と申しておりますが、それが二百八十七名でございます。それに疑わしき
患者、疑わしいといいましてもかなり疑わしいという範疇に入るかと思いますが、一応は確定はしていない、疑症と称しております。これが二百七十六名と、かような
患者の
発生状況でございまして、当初非常に
届け出がありまして
心配いたしたわけでございますが、幸い定型的な
重症患者と申しますか、定型的な
患者はかなり減ってきたということでございます。
患者の
状況はいま以上のようなことでございます。
それから
原因につきましては、十一月二十五日に、
中央におきまして
米ぬか油中毒事件の
対策本部の
打ち合わせ会を開催いたしたのでございまするが、その結果によりますと、先週
地元におきます
油症研究班におきまして
中間報告がなされたのでございますが、その
中間報告と
関係県から出てまいりました
資料並びに
中央におきまして
国立衛生試験所等で
検査いたしました結果、それらを総合いたしまして
中央におきまして
対策本部の
打ち合わせ会を開催して、そういうことで一応の
中間報告をいたしたわけでございます。
その結果につきましては、まず第一番に、
原因食品につきましては、
カネミ倉庫の
株式会社製油部製造の
ライスオイルであると断定できる。
原因食品につきましては、
カネミ倉庫で製造いたしました
製品であると断定できるということは、従来いろいろと
報告があるわけでございますが、一応二十五日の
打ち合わせ会におきまして断定いたしたわけでございます。
それから
中毒の
原因となった
ライスオイルの
疫学調査、あるいは
製品の
分析成績などの結果、二月上旬に詰められました
製品が
主体となっておる、いわゆる
中毒の
原因となっておる
ライスオイルは、二月上旬に製造されました
製品が
主体となっておると考えられるが、なお一部におきまして、それ以外の
製品につきましても、ごく一部でございますが、若干問題が残っておるというような
状況でございますので、二月上旬の
製品に限定してしまうということは、現在の
段階では断定できないということで、さらに二月上旬以外の
製品につきまして
検査を進めていくということにいたしておるわけでございます。さようなことでございまして、おおむねのところは、二月上旬の
製品に限定いたしておりますが、さらに
検査をして結果を出したい、かように考えております。
それから
病因物質につきましては、
脱臭工程——製造過程におきます終わりのほうの
過程でございますが、
脱臭工程に使用されております
塩化ジフェニールによる
公算が最も大きいということでございます。これは
脱臭工程におきまして、油を約二百三十度に熱しまして
真空蒸留を行なうわけでございますが、そのときに、この油をあたためる
一つの
熱媒体といたしまして
塩化ジフェニールを使っておるわけでございます。これがこのあたためる
方法につきましては、油の
タンクの中に
ステンレスの
パイプを通しまして、その
ステンレスの
パイプの中に
塩化ジフェニールという
媒体を通しておるわけでございます。この
塩化ジフェニールという
媒体は、高温にいたしましても液状を保つということで
熱媒体に使っておるわけでございます。これが油の
タンクの中の
らせん状の
ステンレスの
パイプの中に通してあるということで、これから漏れた
塩化ジフェニールというものの
疑いが濃いと、こういう
考え方でございます。
なお、この
塩化ジフェニール様の
物質が、
原因物質として
食品からも検出されておりますし、また、
患者側からも検出されておるわけでございます。したがいまして、この
物質が
原因物質であろうということは、ほぼ断定に近い
段階において判断しているわけでございます。ただ
汚染機序につきましては、その後
九大等の協力によりまして
北九州市がこの
製造工程の
検査をいたしたわけでございますが、この
タンクに三つの小さい穴があいておったということを発見したわけでございます。これは
タンクが六つございまして、六
号かんに穴があいておったということがわかったのでございますが、この穴にいたしましても〇・〇二ミリメートルというような小さいものでございます。そういうことでございまして、もし二月上旬に限定されて汚染されたとなりますと、その後どうなったかということが
一つの問題でございまして、かりに想像するといたしますれば、当初穴があいてそこから漏れた、その後この穴が埋まってその後の
製品は汚染されていなかったと解釈すべきかという問題も実は残されておるわけでございまして、こうしたことは、
全般の
製品の
検査の結果と、それからさらにこの
ピンホールからどの程度漏れ得るかというような物理学的な
成績といったようなもの等も勘案し、さらにその他の
調査から、この
汚染機序がどうなったかということをさらに検討していこうというようなことで、この二十五日の
対策本部会議におきましては、
汚染機序につきましてもさらにこれは検討していかなければならぬというようなことで、断定的な
結論はまだ出てないというのが
現状でございます。さようなことでございまして、おおむね
原因の
究明につきましては終わりに近づいているのでございますが、まだ
全般的には断定できないということでございます。
さらに
研究面におきましては、
患者の
治療方法というものがまだ確立されてないということでございまして、一般的な
治療は行なっているということでございまして、さらにこの
治療の
研究をやっていかなければならぬということでございます。
また、
塩化ジフェニール様の
物質を発見いたしておりますが、これが
熱媒体等を通りまして油の中に入って、それがいかようなるものに変化しているかというようなこともさらに
研究していかなければならぬ、かようなことで、
分析あるいは
動物試験等によります
発症試験等もあわせて現在実験を進めているというような
段階でございます。
大体いままでの
経過並びに
現状、今後の
研究調査の
方向というようなものは、ただいま申し上げたような次第でございます。
以上でございます。